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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-13
(45)【発行日】2024-12-23
(54)【発明の名称】シート給送装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 5/06 20060101AFI20241216BHJP
   B65H 3/52 20060101ALI20241216BHJP
   B65H 3/06 20060101ALI20241216BHJP
【FI】
B65H5/06 D
B65H3/52 330Z
B65H3/06 340E
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020119987
(22)【出願日】2020-07-13
(65)【公開番号】P2022016967
(43)【公開日】2022-01-25
【審査請求日】2023-07-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003133
【氏名又は名称】弁理士法人近島国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】新田 淳平
(72)【発明者】
【氏名】細原 和広
【審査官】前田 浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-066936(JP,A)
【文献】特開2016-064569(JP,A)
【文献】特開2007-001673(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 5/06
B65H 3/52
B65H 3/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを支持するシート支持部と、
前記シート支持部に支持されたシートを給送する給送回転体と、
前記給送回転体によって給送されたシートを搬送する搬送回転体と、
前記給送回転体によって給送されたシートが通過し、上方に湾曲する湾曲搬送路と、
前記シート支持部の上方に配置されると共にシートが通過可能に設けられ、前記湾曲搬送路に合流する上搬送路と、
前記湾曲搬送路の湾曲方向における内側に配置され、前記湾曲搬送路を通過するシートに対して従動回転する第1従動回転体と、
前記第1従動回転体を支持する第1軸と、
前記給送回転体の回転軸方向において前記搬送回転体を挟んで前記第1従動回転体とは反対側に配置され、前記湾曲搬送路を通過するシートに対して従動回転する第2従動回転体と、
前記第2従動回転体を支持し、前記第1軸とは別体であって前記第1軸から前記回転軸方向において離れた位置に配置される第2軸と、を備え、
前記第1従動回転体及び前記第2従動回転体のそれぞれが、前記回転軸方向において前記搬送回転体から離れて配置され、
前記第1軸と前記第2軸は、前記第1従動回転体及び前記第2従動回転体が前記搬送回転体と同軸上に配置されるように設けられている、
ことを特徴とするシート給送装置。
【請求項2】
前記湾曲搬送路においてシートを1枚ずつに分離可能な分離部を更に備える、
ことを特徴とする請求項1に記載のシート給送装置。
【請求項3】
前記第1従動回転体及び前記第2従動回転体の外径は、前記搬送回転体の外径よりも小さい、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のシート給送装置。
【請求項4】
前記給送回転体は、前記第1軸を中心に、前記シート支持部に支持されたシートに当接する当接位置と、前記シート支持部に支持されたシートから離間する離間位置と、の間で揺動可能に設けられ、
前記上搬送路を搬送されるシートは、前記離間位置に位置する前記給送回転体と前記シート支持部に支持されたシートとの間を通過する、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のシート給送装置。
【請求項5】
前記上搬送路は、シート搬送方向における下流に向かうにつれて下方に傾斜する、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のシート給送装置。
【請求項6】
前記湾曲搬送路は、シートの下面に接触すると共にシートを上方に案内する湾曲ガイド部材によって形成され、
前記上搬送路は、第1ガイド部材及び第1ガイド部材の下方に配置される第2ガイド部材によって形成され、
前記第2ガイド部材に支持されると共に、シート搬送方向において前記湾曲ガイド部材の上流端よりも下流側に延び、かつ前記上搬送路を搬送されるシートを前記湾曲ガイド部材に案内する接続ガイドを更に備える、
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のシート給送装置。
【請求項7】
前記接続ガイドは、前記湾曲搬送路から退避する退避位置と、前記湾曲搬送路に突出する突出位置と、の間で移動可能であり、
前記接続ガイドを前記退避位置に付勢する付勢部を更に備える、
ことを特徴とする請求項6に記載のシート給送装置。
【請求項8】
前記回転軸方向に視て、前記退避位置に位置する前記接続ガイドを前記第1従動回転体及び前記第2従動回転体に重なるように位置決めする位置決め部を更に備える、
ことを特徴とする請求項7に記載のシート給送装置。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか1項に記載のシート給送装置と、
前記シート給送装置から給送されたシートに画像を形成する画像形成部と、を備える、
ことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートを給送するシート給送装置及びこれを備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、給送カセットから給送されたシートにトナー像を形成する画像形成装置が提案されている(特許文献1参照)。この画像形成装置は、シートを手差しして給送する手差し給送部を有しており、手差し給送部から給送されたシートは、給送カセットの上方に配置される搬送路を通過し、カセット給送部から給送されたシートが通過する搬送路に合流する。そして、このシートは、フィードローラ及びリタードローラによって形成される分離ニップ部によって上方へ搬送される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-222439号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の画像形成装置においては、分離ニップ部によって挟持されたシートが、上方へ向けて湾曲する湾曲搬送路に沿って搬送される。しかしながら、例えば特にコシの強い厚紙等のシートを搬送する場合、湾曲搬送路をシートが通過する際に搬送抵抗が大きくなってしまう。
【0005】
そこで、本発明は、湾曲搬送路を搬送されるシートの搬送抵抗を低減可能なシート給送装置及びこれを備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、シート給送装置において、シートを支持するシート支持部と、前記シート支持部に支持されたシートを給送する給送回転体と、前記給送回転体によって給送されたシートを搬送する搬送回転体と、前記給送回転体によって給送されたシートが通過し、上方に湾曲する湾曲搬送路と、前記シート支持部の上方に配置されると共にシートが通過可能に設けられ、前記湾曲搬送路に合流する上搬送路と、前記湾曲搬送路の湾曲方向における内側に配置され、前記湾曲搬送路を通過するシートに対して従動回転する第1従動回転体と、前記第1従動回転体を支持する第1軸と、前記給送回転体の回転軸方向において前記搬送回転体を挟んで前記第1従動回転体とは反対側に配置され、前記湾曲搬送路を通過するシートに対して従動回転する第2従動回転体と、前記第2従動回転体を支持し、前記第1軸とは別体であって前記第1軸から前記回転軸方向において離れた位置に配置される第2軸と、を備え、前記第1従動回転体及び前記第2従動回転体のそれぞれが、前記回転軸方向において前記搬送回転体から離れて配置され、前記第1軸と前記第2軸は、前記第1従動回転体及び前記第2従動回転体が前記搬送回転体と同軸上に配置されるように設けられている、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、シートの搬送抵抗を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1の実施の形態に係るプリンタを示す全体概略図。
図2】シート給送装置を示す斜視図。
図3】給送カセットからシートを給送する様子を示す側面図。
図4】手差し搬送路からシートを給送する様子を示す側面図。
図5】湾曲搬送路を通過するシートの変形を矯正する様子を示す図。
図6】第2の実施の形態に係るシート給送装置を示す斜視図。
図7】給送カセットからシートを給送する様子を示す側面図。
図8】手差し搬送路からシートを給送する様子を示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<第1の実施の形態>
〔全体構成〕
まず、本発明の第1の実施の形態について説明する。画像形成装置としてのプリンタ100は、電子写真方式のフルカラーレーザビームプリンタである。プリンタ100は、図1に示すように、シートSに画像を形成する画像形成部110と、シート給送装置200と、定着装置400と、を有している。画像形成部110は、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の4色のトナー画像を形成する4つのプロセスカートリッジ10Y,10M,10C,10Kと、レーザスキャナ11と、を備えている。
【0011】
なお、4つのプロセスカートリッジ10Y,10M,10C,10Kは、形成する画像の色が異なること以外は同じ構成である。そのため、プロセスカートリッジ10Yの構成及び画像形成プロセスのみを説明し、プロセスカートリッジ10M,10C,10Kの説明は省略する。
【0012】
プロセスカートリッジ10Yは、感光ドラム12と、帯電ローラ13と、現像ローラ14と、を有している。感光ドラム12は、アルミシリンダの外周に有機光導電層を塗布して構成され、不図示の駆動モータによって回転する。なお、感光ドラム12に代えて、感光ベルトを用いてもよい。また、画像形成部110には、駆動ローラ202やテンションローラ205等に巻回される中間転写ベルト201が設けられ、中間転写ベルト201は、駆動ローラ202によって図中時計回りに回転する。中間転写ベルト201の内側には、一次転写ローラ15Y,15M,15C,15Kが設けられている。
【0013】
定着装置400は、ヒータによって加熱される定着フィルム401と、定着フィルム401に圧接する加圧ローラ402と、を有している。シート給送装置200は、プリンタ100の下部に設けられ、装置本体としてのプリンタ本体100Aに対して引き出し及び装着可能な引き出し部としての給送カセット300を備えている。また、シート給送装置200は、シートが手差し挿入される手差し給送口330を有している。
【0014】
次に、このように構成されたプリンタ100の画像形成動作について説明する。不図示のパソコン等から画像信号がレーザスキャナ11に入力されると、レーザスキャナ11から、画像信号に対応したレーザ光がプロセスカートリッジ10Yの感光ドラム12上に照射される。
【0015】
このとき感光ドラム12は、帯電ローラ13により表面が予め所定の極性・電位に一様に帯電されており、レーザスキャナ11からレーザ光が照射されることによって表面に静電潜像が形成される。感光ドラム12に形成された静電潜像は、現像ローラ14により現像され、感光ドラム12上にイエロー(Y)のトナー像が形成される。
【0016】
同様にして、プロセスカートリッジ10M,10C,10Kの各感光ドラムにもレーザスキャナ11からレーザ光が照射され、各感光ドラムにマゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)のトナー像が形成される。各感光ドラム上に形成された各色のトナー像は、一次転写ローラ15Y,15M,15C,15Kにより中間転写ベルト201に転写され、駆動ローラ202によって回転する中間転写ベルト201により二次転写ローラ203まで搬送される。
【0017】
なお、各色の画像形成プロセスは、中間転写ベルト201上に一次転写された上流のトナー像に重ね合わせるタイミングで行われる。また、中間転写ベルト201に各色のトナー像が転写された後、感光ドラム12の表面に残ったトナーは、不図示のクリーニング装置によって除去される。
【0018】
この画像形成プロセスに並行して、シート給送装置200の給送カセット300に収容されたシートS又は手差し給送口330から供給されたシートが搬送ローラ対321,322のニップN2に向けて搬送される。なお、搬送ローラ対321,322は、シートの斜行を補正すると共に、シートを画像形成プロセスに合わせて所定の搬送タイミングで搬送するレジストレーションローラ対から構成されてもよい。また、搬送ローラ対321,322のニップN2のシート搬送方向における上流に、シートの先端が突き当たることでシートの斜行を補正するレジシャッタを設けてもよい。
【0019】
搬送ローラ対321,322によって搬送されたシートSには、二次転写ローラ203に印加された二次転写バイアスによって、中間転写ベルト201上のフルカラーのトナー像が転写される。トナー像が転写されたシートSは、定着装置400の定着フィルム401及び加圧ローラ402によって所定の熱及び圧力が付与されて、トナーが溶融固着(定着)される。定着装置400を通過したシートSは、排出ローラ対403によって排出トレイ404に排出される。
【0020】
[シート給送装置]
次に、図1及び図2を用いて、シート給送装置200の構成について詳述する。なお、以下、給送カセット300に収容されたシートをシートS1とし、手差し給送口330から挿入されたシートをシートS2とする。
【0021】
シート給送装置200は、図1及び図2に示すように、給送カセット300と、ピックアップローラ311と、ピックアップローラ311を揺動可能に支持する揺動アーム311aと、フィードローラ312と、分離ローラ313と、を有している。
【0022】
給送カセット300は、シートS1を収容するカセット枠体301と、カセット枠体301に回動軸302aを中心に回動可能に支持されるシート積載板302と、シート積載板302を回動させるためのリフトアーム303と、を有している。給送カセット300は、プリンタ100の正面側からプリンタ本体100Aに挿入される。
【0023】
シート支持部としてのシート積載板302には、ユーザがカセット枠体301内に挿入したシートS1が積載され、シート積載板302は、不図示の駆動源によって駆動されるリフトアーム303が揺動することで、回動軸302aを中心として昇降する。リフトアーム303は、印刷ジョブが開始されると、シート積載板302に積載された最上位のシートS1が所定の高さを保つように制御される。
【0024】
搬送回転体としてのフィードローラ312は、不図示の給送モータによって駆動されるフィードローラ軸314の一端に固定されている。フィードローラ軸314には、揺動アーム311aが揺動可能に支持されており、揺動アーム311aの先端には、ピックアップローラ311が回転可能に支持されている。なお、揺動アーム311aには、フィードローラ軸314の回転をピックアップローラ311に伝達する不図示の駆動列が設けられている。
【0025】
給送回転体としてのピックアップローラ311は、揺動アーム311aによって、シート積載板302上の最上位のシートS1に当接する当接位置と、シートS1から離間する離間位置と、の間で昇降可能である。ピックアップローラ311は、当接位置に位置した状態で回転することにより、図3に示すように、シートS1を上方に湾曲する湾曲搬送路CP1に向けて搬送する。第1の搬送路としての湾曲搬送路CP1は、シート搬送方向における下流に向かうにつれて上方に湾曲するシートガイド318によって形成されている。湾曲ガイド部材としてのシートガイド318は、シートの下面に接触すると共にシートを上方に案内する。
【0026】
分離ローラ313は、フィードローラ312と共に分離ニップN1を形成しており、ピックアップローラ311によって給送カセット300から給送されたシートS1は、分離部としての分離ニップN1において1枚ずつに分離される。
【0027】
分離ローラ313には不図示のトルクリミッタが取り付けられており、2枚以上のシートが分離ニップに進入した場合には分離ローラ313は回転せず、1枚のシートが分離ニップに進入した場合には分離ローラ313はフィードローラ312に従動回転する。なお、分離ローラ313に、シート給送方向とは反対方向の回転駆動を入力する、いわゆるリタードローラ方式を採用してもよい。また、分離パッドや分離斜面によってシートを湾曲搬送路CP1において1枚ずつに分離可能に構成してもよい。
【0028】
一方で、手差し給送口330から手差し挿入されたシートS2(図4参照)は、第1ガイド部材としての手差し上ガイド331及び第2ガイド部材としての手差し下ガイド332によって形成される手差し搬送路CP2に沿って案内される。上搬送路として及び第2の搬送路としての手差し搬送路CP2は、給送カセット300の上方に配置され、シートS2が通過可能に設けられている。手差し搬送路CP2には、手差し搬送ローラ対333,334,335が設けられており、シートS2は、これら手差し搬送ローラ対333,334,335によって搬送される。手差し搬送路CP2は、湾曲搬送路CP1に合流し、シートS2は、手差し搬送路CP2及び湾曲搬送路CP1を通過して、搬送ローラ対321,322のニップN2によって二次転写ローラ203に向けて搬送される。
【0029】
ここで、手差し給送口330からシートS2が給送される手差し給送時には、図4に示すように、ピックアップローラ311は、シートS1から離間した離間位置に位置しており、手差し搬送路CP2を通過するシートS2を阻害することは無い。すなわち、手差し搬送路CP2を搬送されるシートS2は、離間位置に位置するピックアップローラ311とシート積載板302に支持されたシートS1との間を通過する。
【0030】
また、分離ローラ313は、図1に示すように、分離アーム313aによって揺動可能に支持されており、手差し給送時には、分離ローラ313はフィードローラ312から離間している。このため、シートS2は、フィードローラ312及び分離ローラ313によってニップされることなく、搬送ローラ対321,322のニップN2へ向けて搬送される。
【0031】
[搬送コロ]
ここで、本発明の要部である搬送コロ315,316について説明する。図2に示すように、フィードローラ軸314には、従動回転体及び第1従動回転体としての搬送コロ315が回転可能に支持されている。また、フィードローラ軸314と同軸上、かつピックアップローラ311の軸方向ADにおいてフィードローラ312を挟んでフィードローラ軸314と反対側には、軸317が設けられている。軸317には、第2従動回転体としての搬送コロ316が回転可能に支持されている。すなわち、フィードローラ312及び搬送コロ315,316は、同軸上に配置されている。なお、搬送コロ315,316は、例えばEリングや周辺のガイド部材等によって、回転軸方向としての軸方向ADには移動不能に設けられている。
【0032】
搬送コロ315,316は、フィードローラ312に対して軸方向ADにおいて略対称に配置されており、かつ湾曲搬送路CP1の湾曲方向における内側に配置されている。更に、図5に示すように、搬送コロ315,316の外径D1は、フィードローラ312の外径D2よりも小さく設定されている。
【0033】
図3に示すように、給送カセット300からシートS1が給送される場合には、シートS1は、シートガイド318に沿って屈曲させられながら上方に向けて案内される。この時、湾曲搬送路CP1を通過するシートS1は、上面側がフィードローラ312及び搬送コロ315,316に接触する。
【0034】
搬送コロ315,316は、それぞれフィードローラ軸314及び軸317に回転可能に支持されているため、搬送されるシートS1に対して従動回転する。このため、例えば固定されたガイド部材にシートS1の上面側が摺接する場合に比して、湾曲搬送路CP1を搬送されるシートS1の搬送抵抗を低減することができる。よって、例えばフィードローラ軸314を駆動する給送モータを小型化及びコストダウンすることができる。
【0035】
次に、図4に示すように、手差し給送時には、シートS2は、手差し搬送路CP2に沿って搬送される。手差し搬送路CP2は、シート搬送方向における下流に向かうにつれて下方に傾斜しており、手差し搬送路CP2を通過したシートS2は、シートガイド318に沿って屈曲させられながら上方に向けて案内される。この時、シートS2は、手差し搬送路CP2が下り傾斜しているために、給送カセット300から給送されたシートS1に比してより小さい曲率半径で屈曲し、より大きな搬送抵抗が発生する虞がある。
【0036】
例えば、搬送コロ315,316が無い構成の場合には、搬送されるシートS2は、フィードローラ312との接触点を最下点部としてV字状に大きく変形する。このように、シート搬送方向に視てシート厚み方向に変形したシートS2は、軸方向に視てシート厚み方向に変形しにくくなる。すなわち、V字状に変形したシートS2は、シートガイド318によって上方に案内され難くなり、大きな搬送抵抗が発生する虞がある。また、V字状に変形したシートS2の最下点部は、局所的にシートガイド318に接触するため、シートS2の先端にダメージが発生する虞がある。
【0037】
しかしながら、湾曲搬送路CP1を通過するシートS2は、図5に示すように、軸方向ADにおいてフィードローラ312の両外側に配置される搬送コロ315,316に接触する。そして、搬送コロ315,316の外径D1は、フィードローラ312の外径D2よりも小さく設定されているため、シートS2は、フィードローラ312との接触点を最下点部として緩やかにV字状に変形するため、シートS2のV字状の変形が矯正される。このため、シートS2は、搬送コロ315,316を起点にシートガイド318に沿って上方に向けて屈曲しやすくなり、シートS2の搬送抵抗を低減することができる。また、シートS2の先端がシートガイド318に局所的に接触しなくなり、シートS2へのダメージを低減することができる。
【0038】
以上のように構成することで、以下の効果を奏する。本実施の形態では、ピックアップローラ311及びフィードローラ312は、コストダウンを図るため、軸方向ADにおいて搬送路の幅に比して比較的短く構成されている。また、プリンタ100の小型化の要望に伴って湾曲搬送路CP1の曲率半径が小さくなっている。
【0039】
これにより、特に、厚紙等の剛度の高いシートは、湾曲搬送路CP1を通過する際に搬送抵抗が高くなる傾向がある。しかしながら、湾曲搬送路CP1を通過するシートS1,S2の上面側がフィードローラ312だけではなく搬送コロ315,316にも接触するため、コストダウン及びプリンタ1の小型化を図りつつ、シートの搬送抵抗を効果的に低減することができる。また、シートS2の先端がシートガイド318に局所的に接触することを抑制し、シートS2へのダメージを低減することができる。
【0040】
<第2の実施の形態>
次いで、本発明の第2の実施の形態について説明するが、第2の実施の形態は、第1の実施の形態の構成に加えて、可動部材385,386を設けて構成したものである。このため、第1の実施の形態と同様の構成については、図示を省略、又は図に同一符号を付して説明する。
【0041】
[シート給送装置]
第2の実施の形態に係るシート給送装置200Bは、図6に示すように、搬送コロ365,366を有している。フィードローラ軸314には、従動回転体及び第1従動回転体としての搬送コロ365が回転可能に支持されている。また、軸317には、第2従動回転体としての搬送コロ366が回転可能に支持されている。すなわち、フィードローラ312及び搬送コロ365,366は、同軸上に配置されている。なお、搬送コロ365,366は、例えばEリングや周辺のガイド部材等によって、軸方向ADには移動不能に設けられている。
【0042】
搬送コロ365,366は、フィードローラ312に対して軸方向ADにおいて略対称に配置されており、かつ湾曲搬送路CP1の湾曲方向における内側に配置されている。更に、搬送コロ365,366の外径D1は、第1の実施の形態の搬送コロ315,316の外径(D1)と同等であり、フィードローラ312の外径D2よりも小さく設定されている。
【0043】
そして、第1の実施の形態と同様に、湾曲搬送路CP1を通過するシートS1,S2の上面側がフィードローラ312だけではなく搬送コロ365,366にも接触するため、シートの搬送抵抗を低減することができる。
【0044】
搬送コロ365には、搬送コロ365と一体に形成され、外径D1よりも小さい外径D3(図7参照)を有する突き当てボス365bが設けられている。同様に、搬送コロ366にも、搬送コロ366と一体に形成され、外径D3を有する突き当てボス365bが設けられている。
【0045】
[可動部材]
図6及び図7に示すように、手差し下ガイド332には、それぞれ回動軸385a,386aを中心として、接続ガイドとしての可動部材385,386が回動可能に支持されている。可動部材386は、軸方向ADにおいて、フィードローラ312を挟んで可動部材385とは反対側に配置されている。可動部材385,386は、シート搬送方向においてシートガイド318の上流端318aよりも下流側に延びている。
【0046】
これら可動部材385,386は、図7に示す退避位置と、図8に示す突出位置と、に移動可能に設けられている。可動部材385,386の下方には、可動部材385,386を下方からそれぞれ押圧する押圧部材387,388が配置されており、可動部材385,386は、付勢部としての押圧部材387,388によって退避位置に付勢されている。
【0047】
押圧部材387,388によって上方に付勢された可動部材385,386は、退避位置において、先端がそれぞれ突き当てボス365b,366bに突き当たることで退避位置に位置決めされている。可動部材385,386は、退避位置において湾曲搬送路CP1から上方に退避しており、突出位置において湾曲搬送路CP1に突出している。言い換えれば、可動部材385,386は、軸方向ADに視て、退避位置において湾曲搬送路CP1とは重ならない位置に位置し、突出位置において湾曲搬送路CP1に重なる位置に位置している。
【0048】
シートS1が給送カセット300から給送されるカセット給送時には、図7に示すように、可動部材385,386は退避位置に保持されたままとなっている。そして、シートS1は、可動部材385,386に接触することなく、シートガイド318によって上方に案内される。
【0049】
一方で、手差し給送時には、図8に示すように、手差し搬送路CP2を通って湾曲搬送路CP1に合流したシートS2は、押圧部材387,388の付勢力に抗して可動部材385,386を突出位置に押圧する。これにより、可動部材385,386は、シートガイド318に形成された凹部389に入り込み、シートS2は、突出位置に位置する可動部材385,386によって、シートガイド318へ滑らかに案内される。
【0050】
ここで、押圧部材387,388は、可動部材385,386を上方に付勢可能な範囲で、できる限り小さい力で可動部材385,386を押圧することが好ましい。これにより、剛性の低い薄紙等のシートが手差し給送される際でも、可動部材385,386を押圧部材387,388の付勢力に抗して突出位置へ向けて押圧することができる。
【0051】
また、手差し搬送路CP2を搬送されるシートS2は、退避位置に位置する可動部材385,386上を滑り、先端がフィードローラ312及び搬送コロ365,366に突き当たる。その後、シートS2は、可動部材385,386を突出位置に押下げるように動作すると想定される。この場合、シートS2と搬送コロ365,366との接触点におけるフィードローラ312の外周面の接線と、可動部材385,386の上面とがなす角θが大きいと、シートS2の先端にダメージが発生する虞がある。
【0052】
このため、本実施の形態では、可動部材385,386の先端を突き当てボス365b,366bに突き当てることで、上記角度θが大きくならないように可動部材385,386の退避位置が設定されている。言い換えれば、軸方向ADに視て、位置決め部としての突き当てボス365b,366bは、退避位置に位置する可動部材385,386を搬送コロ365,366に重なるように位置決めしている。角度θは、例えば80度以下が好ましい。そして、このように可動部材385,386が適切な退避位置に精度良く位置決めされるので、シートS2の先端へのダメージを低減することができる。
【0053】
<その他の実施形態>
なお、既述のいずれの形態においても、搬送コロ315,316,365,366の外径D1は、フィードローラ312の外径D2よりも小さく設定されていたが、これに限定されない。例えば、搬送コロ315,316,365,366の外径D1をフィードローラ312の外径D2と同等としてもよい。
【0054】
また、既述のいずれの形態においても、搬送コロ315,316,365,366は、フィードローラ312と同軸上に配置されていたが、これに限定されない。例えば、搬送コロ315,316,365,366は、フィードローラ軸314とは異なる軸に支持され、フィードローラ312とは異なる回転軸線を中心に回転するように構成されてもよい。
【0055】
また、既述のいずれの形態においても、ピックアップローラ311が昇降するように構成されていたが、これに限定されない。例えば、シート積載板302の昇降により、シート積載板302に積載されている最上位のシートをピックアップローラ311に対して接離するように構成してもよい。また、ピックアップローラ311に代えて、ベルト等の他の回転体によってシートを給送してもよい。
【0056】
また、既述のいずれの形態においても、プリンタ100は給送カセット300を有していたが、これに限定されない。例えば、給送カセット300を用いず、プリンタ本体100Aの内部に設けられたシート収容空間に、ユーザが直接シートをセットするように構成してもよい。
【0057】
また、既述のいずれの形態においても、電子写真方式のプリンタ100を用いて説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、ノズルからインク液を吐出させることでシートに画像を形成するインクジェット方式の画像形成装置にも本発明を適用することが可能である。
【0058】
また、第2の実施の形態においては、1対の可動部材385,386を設けたが、これに限定されない。例えば、可動部材は1つでもよく、3つ以上でもよい。
【符号の説明】
【0059】
100:画像形成装置(プリンタ)/110:画像形成部/200,200B:シート給送装置/302:シート支持部(シート積載板)/311:給送回転体(ピックアップローラ)/312:搬送回転体(フィードローラ)/315:従動回転体、第1従動回転体(搬送コロ)/316:第2従動回転体/318:湾曲ガイド部材(シートガイド)/318a:上流端/331:第1ガイド部材(手差し上ガイド)/332:第2ガイド部材(手差し下ガイド)/365b,366b:位置決め部(突き当てボス)/385,386:接続ガイド(可動部材)/387,388:付勢部(押圧部材)/AD:回転軸方向(軸方向)/CP1:湾曲搬送路、第1の搬送路/CP2:上搬送路、第2の搬送路(手差し搬送路)/D1,D2:外径/N1:分離部(分離ニップ)/S1,S2:シート
図1
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図8