(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-13
(45)【発行日】2024-12-23
(54)【発明の名称】研磨材噴射装置、研磨材噴射方法、物品の製造方法、プログラム、記録媒体
(51)【国際特許分類】
B24C 7/00 20060101AFI20241216BHJP
B24C 5/02 20060101ALI20241216BHJP
B24C 5/04 20060101ALI20241216BHJP
【FI】
B24C7/00 E
B24C5/02 A
B24C5/02 C
B24C5/04 Z
(21)【出願番号】P 2020147787
(22)【出願日】2020-09-02
【審査請求日】2023-08-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003133
【氏名又は名称】弁理士法人近島国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】寺崎 智
【審査官】須中 栄治
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-333726(JP,A)
【文献】特開2003-089061(JP,A)
【文献】特開2005-081525(JP,A)
【文献】特開2004-243421(JP,A)
【文献】特開平01-183369(JP,A)
【文献】米国特許第05460025(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24C1/00-11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
研磨材を貯留する貯留部と、前記貯留部に貯留された研磨材の
上面の高さを計測するセンサを備えた研磨材供給部と、
前記研磨材供給部から供給された研磨材をエア流と混合させてワークに向けて噴射する噴射ノズルと、
制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記センサの計測値が相対的に大きい場合には、前記貯留部から前記噴射ノズルに向けて研磨材を供給するスクリューの回転速度を相対的に小さくし、前記センサの計測値が相対的に小さい場合には、前記スクリューの回転速度を相対的に大きくする、
ことを特徴とする研磨材噴射装置。
【請求項2】
前記センサは、前記センサの一部が前記貯留部に貯留された研磨材に接触することで
研磨材の上面の高さを計測する、
ことを特徴とする請求項1に記載の研磨材噴射装置。
【請求項3】
前記センサは、前記貯留部の壁面と前記貯留部の中心位置との間で、かつ前記壁面から所定距離離間し前記中心位置から所定距離離間した位置に配置されている、
ことを特徴とする請求項1
または2に記載の研磨材噴射装置。
【請求項4】
前記制御部は、フィルタ処理または平均化処理された、前記センサの計測値、を取得する、
ことを特徴とする請求項1から
3のいずれか1項に記載の研磨材噴射装置。
【請求項5】
前記センサは、静電容量式またはレーダー式である、
ことを特徴とする請求項1から
4のいずれか1項に記載の研磨材噴射装置。
【請求項6】
前記センサは、前記貯留部に貯留された研磨材の
上面の高さを直接的に計測する、
ことを特徴とする請求項1から
5のいずれか1項に記載の研磨材噴射装置。
【請求項7】
前記制御部は、
前記センサの計測値と、前記スクリューから前記噴射ノズルに向けて供給される研磨材のかさ密度の相関関係と、を予め記憶しており、
前記相関関係を用いて、前記スクリューの回転速度を制御する、
ことを特徴とする請求項1から
6のいずれか1項に記載の研磨材噴射装置。
【請求項8】
研磨材を貯留する貯留部と、前記貯留部に貯留された研磨材の
上面の高さを計測するセンサを備えた研磨材供給部と、
前記研磨材供給部から供給された研磨材をエア流と混合させてワークに向けて噴射する噴射ノズルと、
前記噴射ノズルと前記ワークの相対位置を移動可能な移動機構と、
制御部と、を備え、
前記制御部は、前記移動機構を制御して、
前記センサの計測値が相対的に大きい場合には、前記噴射ノズルと前記ワークの距離を相対的に大きくし、前記センサの計測値が相対的に小さい場合には、前記噴射ノズルと前記ワークの距離を相対的に小さくする、
ことを特徴とする研磨材噴射装置。
【請求項9】
研磨材を貯留する貯留部と、前記貯留部に貯留された研磨材の
上面の高さを計測するセンサを備えた研磨材供給部と、
前記研磨材供給部から供給された研磨材をエア流と混合させてワークに向けて噴射する噴射ノズルと、
前記噴射ノズルと前記ワークの相対位置を移動可能な移動機構と、
制御部と、を備え、
前記制御部は、前記移動機構を制御して、
前記センサの計測値が相対的に大きい場合には、前記噴射ノズルの前記ワークに対する走査速度を相対的に大きくし、前記センサの計測値が相対的に小さい場合には、前記噴射ノズルの前記ワークに対する走査速度を相対的に小さくする、
ことを特徴とする研磨材噴射装置。
【請求項10】
研磨材を貯留する貯留部と、前記貯留部に貯留された研磨材の
上面の高さを計測するセンサを備えた研磨材供給部と、
前記研磨材供給部から供給された研磨材をエア流と混合させてワークに向けて噴射する噴射ノズルと、
制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記センサの計測値が相対的に大きい場合には、前記エア流の圧力及び/または流量を相対的に小さくし、前記センサの計測値が相対的に小さい場合には、前記エア流の圧力及び/または流量を相対的に大きくする、
ことを特徴とする研磨材噴射装置。
【請求項11】
貯留部に貯留された研磨材の
上面の高さをセンサで計測し、
前記センサの計測値が相対的に大きい場合には、前記貯留部から噴射ノズルに向けて研磨材を供給するスクリューの回転速度を相対的に小さくし、前記センサの計測値が相対的に小さい場合には、前記スクリューの回転速度を相対的に大きくし、前記噴射ノズルからワークに向けて研磨材を噴射する、
ことを特徴とする研磨材噴射方法。
【請求項12】
貯留部に貯留された研磨材の
上面の高さをセンサで計測し、
前記センサの計測値が相対的に大きい場合には、噴射ノズルとワークの距離を相対的に大きくし、前記センサの計測値が相対的に小さい場合には、前記噴射ノズルと前記ワークの距離を相対的に小さくする、
ことを特徴とする研磨材噴射方法。
【請求項13】
貯留部に貯留された研磨材の
上面の高さをセンサで計測し、
前記センサの計測値が相対的に大きい場合には、噴射ノズルのワークに対する走査速度を相対的に大きくし、前記センサの計測値が相対的に小さい場合には、前記噴射ノズルの前記ワークに対する走査速度を相対的に小さくする、
ことを特徴とする研磨材噴射方法。
【請求項14】
貯留部に貯留された研磨材の
上面の高さをセンサで計測し、
前記センサの計測値が相対的に大きい場合には、研磨材と混合させてワークに向けて噴射するエア流の圧力及び/または流量を相対的に小さくし、前記センサの計測値が相対的に小さい場合には、前記エア流の圧力及び/または流量を相対的に大きくする、
ことを特徴とする研磨材噴射方法。
【請求項15】
請求項1
1から1
4のいずれか1項に記載の研磨材噴射方法により、研磨材を前記ワークに向けて噴射して前記ワークを加工する、
ことを特徴とする物品の製造方法。
【請求項16】
請求項1
1から1
4のいずれか1項に記載の研磨材噴射方法をコンピュータにより実行可能なプログラム。
【請求項17】
請求項1
6に記載のプログラムを記録した、コンピュータにより読み取り可能な記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、研磨材噴射装置、研磨材噴射方法などに関する。より詳しくは、圧縮空気等の駆動流と研磨材とを混合管内で混合して被加工物に噴射するサクション式の研磨材噴射装置において、噴射ヘッドに研磨材を供給する方法や、噴射ヘッドの位置を制御する方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、圧縮空気と共に研磨材を噴射してワークを加工するブラスト加工装置が知られている。ブラスト加工装置は、さびや皮膜の剥離をはじめとする表面清浄化処理、バリ取りをはじめとする整形処理、梨地加工をはじめとする粗面化処理、ウエハや基板の表面を平坦化するための研磨処理など、様々な用途で活用されている。
【0003】
ブラスト加工においては、例えば、噴射ノズルの移動速度を制御したり、噴射ノズルとワーク(被加工物)の距離を制御して、加工量(研削量)を調整することが行われている。前者は、滞留時間制御などと呼ばれ、ワーク上において研削量を大きくしたい位置では噴射ノズルの移動速度を遅くして滞留時間を大きくする一方、研削量を小さくしたい位置では噴射ノズルの移動速度を速くして滞留時間を小さくする方法である。また、後者は、ワーク上において研削量を大きくしたい位置では噴射ノズルとワークの距離を小さくし、研削量を小さくしたい位置では噴射ノズルとワークの距離を大きくする方法である。
【0004】
近年では、ブラスト加工の加工精度を高めることが要求されており、単位時間あたりにワークを研削する研削量(加工レート)を安定化することが求められている。噴射ノズルの滞留時間を制御する場合でも、噴射ノズルとワークの距離を制御する場合でも、加工レートが時間的に変動すると、研削量に過不足が生じてしまい、加工精度が低下してしまうからである。
【0005】
特許文献1には、研磨材タンクから研磨材搬送路に供給する研磨材の量を安定化させるため、研磨材タンク内にあって水平回転する回転ディスクに、計量孔を等間隔に設けた研磨材供給装置が開示されている。特許文献1に記載された研磨材供給装置は、サクション式研磨材噴射ノズルに研磨材を安定的に供給するための装置である。
【0006】
ここで、サクション式研磨材噴射ノズルとは、研磨材を研磨材導入室内に負圧で吸引し、混合管内で研磨材と圧縮空気等の駆動流と混合して、被加工物に向けて噴射する研磨材噴射ノズルのことである。以下、研磨材噴射ノズルと記載した場合には、特段のただし書きがない限り、サクション式研磨材噴射ノズルを指すものとする。
【0007】
また、特許文献2には、研磨材タンクから研磨材噴射ノズルに研磨材を供給するスクリューコンベアの駆動源に加わる負荷に応じてスクリューの回転数を制御する方法が開示されている。スクリューコンベアが配されている供給タンク内の研磨材の量の増減や供給タンク内の圧力の変化により、供給タンク内の底部に充填されている研磨材のかさ比重が増減する。これを、スクリューコンベアの駆動源に加わる負荷の変化で検知し、スクリューの回転数を制御して研磨材の供給量を調整するのである。
【0008】
また、特許文献3には、ホッパ(研磨材タンク)内の粉粒体(研磨材)の堆積量をセンサを用いて測定し、測定された堆積量に比例してホッパ内に吹き込ませるエアの圧力を制御することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2008-264912号公報
【文献】特開平11-333726号公報
【文献】特開2002-346929号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従来のブラスト加工装置では、ブラスト加工の加工精度を高めることが未だ不十分であった。
例えば、特許文献1に開示された計量孔を等間隔に設けた研磨材供給装置では、供給する研磨材の体積の計量精度は高まるが、研磨材のかさ比重が変化した時には、供給する研磨材の実質的な質量が変動してしまうため、加工レートが変動してしまっていた。
【0011】
この点、特許文献2では研磨材のかさ比重の変化に着目してはいるものの、かさ比重が変化した時のスクリューコンベアの駆動源に加わる負荷の変化は微小であるため、計測精度が十分ではなく、加工レートの変動を十分に抑制することはできなかった。
【0012】
また、特許文献3では、研磨材タンク内の研磨材の堆積量をセンサを用いて測定し、堆積量に比例してエアの圧力を制御しているが、エアの圧力を比例制御したのでは加工レートの変動を十分に抑制することはできなかった。
そこで、研磨材タンク内で研磨材の堆積量が変動したとしても、高い加工精度を達成可能なブラスト加工装置が求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の第1の態様は、研磨材を貯留する貯留部と、前記貯留部に貯留された研磨材の上面の高さを計測するセンサを備えた研磨材供給部と、前記研磨材供給部から供給された研磨材をエア流と混合させてワークに向けて噴射する噴射ノズルと、制御部と、を備え、前記制御部は、前記センサの計測値が相対的に大きい場合には、前記貯留部から前記噴射ノズルに向けて研磨材を供給するスクリューの回転速度を相対的に小さくし、前記センサの計測値が相対的に小さい場合には、前記スクリューの回転速度を相対的に大きくする、ことを特徴とする研磨材噴射装置である。
【0014】
また、本発明の第2の態様は、研磨材を貯留する貯留部と、前記貯留部に貯留された研磨材の上面の高さを計測するセンサを備えた研磨材供給部と、前記研磨材供給部から供給された研磨材をエア流と混合させてワークに向けて噴射する噴射ノズルと、前記噴射ノズルと前記ワークの相対位置を移動可能な移動機構と、制御部と、を備え、前記制御部は、前記移動機構を制御して、前記センサの計測値が相対的に大きい場合には、前記噴射ノズルと前記ワークの距離を相対的に大きくし、前記センサの計測値が相対的に小さい場合には、前記噴射ノズルと前記ワークの距離を相対的に小さくする、ことを特徴とする研磨材噴射装置である。
【0015】
また、本発明の第3の態様は、研磨材を貯留する貯留部と、前記貯留部に貯留された研磨材の上面の高さを計測するセンサを備えた研磨材供給部と、前記研磨材供給部から供給された研磨材をエア流と混合させてワークに向けて噴射する噴射ノズルと、前記噴射ノズルと前記ワークの相対位置を移動可能な移動機構と、制御部と、を備え、前記制御部は、前記移動機構を制御して、前記センサの計測値が相対的に大きい場合には、前記噴射ノズルの前記ワークに対する走査速度を相対的に大きくし、前記センサの計測値が相対的に小さい場合には、前記噴射ノズルの前記ワークに対する走査速度を相対的に小さくする、ことを特徴とする研磨材噴射装置である。
【0016】
また、本発明の第4の態様は、研磨材を貯留する貯留部と、前記貯留部に貯留された研磨材の上面の高さを計測するセンサを備えた研磨材供給部と、前記研磨材供給部から供給された研磨材をエア流と混合させてワークに向けて噴射する噴射ノズルと、制御部と、を備え、前記制御部は、前記センサの計測値が相対的に大きい場合には、前記エア流の圧力及び/または流量を相対的に小さくし、前記センサの計測値が相対的に小さい場合には、前記エア流の圧力及び/または流量を相対的に大きくする、ことを特徴とする研磨材噴射装置である。
【0017】
また、本発明の第5の態様は、貯留部に貯留された研磨材の上面の高さをセンサで計測し、前記センサの計測値が相対的に大きい場合には、前記貯留部から噴射ノズルに向けて研磨材を供給するスクリューの回転速度を相対的に小さくし、前記センサの計測値が相対的に小さい場合には、前記スクリューの回転速度を相対的に大きくし、前記噴射ノズルからワークに向けて研磨材を噴射する、ことを特徴とする研磨材噴射方法である。
【0018】
また、本発明の第6の態様は、貯留部に貯留された研磨材の上面の高さをセンサで計測し、前記センサの計測値が相対的に大きい場合には、噴射ノズルとワークの距離を相対的に大きくし、前記センサの計測値が相対的に小さい場合には、前記噴射ノズルと前記ワークの距離を相対的に小さくする、ことを特徴とする研磨材噴射方法である。
【0019】
また、本発明の第7の態様は、貯留部に貯留された研磨材の上面の高さをセンサで計測し、前記センサの計測値が相対的に大きい場合には、噴射ノズルのワークに対する走査速度を相対的に大きくし、前記センサの計測値が相対的に小さい場合には、前記噴射ノズルの前記ワークに対する走査速度を相対的に小さくする、ことを特徴とする研磨材噴射方法である。
【0020】
また、本発明の第8の態様は、貯留部に貯留された研磨材の上面の高さをセンサで計測し、前記センサの計測値が相対的に大きい場合には、研磨材と混合させてワークに向けて噴射するエア流の圧力及び/または流量を相対的に小さくし、前記センサの計測値が相対的に小さい場合には、前記エア流の圧力及び/または流量を相対的に大きくする、ことを特徴とする研磨材噴射方法である。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、研磨材タンク内で研磨材の堆積量が変動したとしても、高い加工精度を達成可能なブラスト加工装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】実施形態1にかかるブラスト加工装置の構成を説明するための模式図。
【
図2】実施形態2にかかるブラスト加工装置の構成を説明するための模式図。
【
図3】実施形態3にかかるブラスト加工装置の構成を説明するための模式図。
【
図4】実施形態4にかかるブラスト加工装置の構成を説明するための模式図。
【
図5】(a)実施形態1にかかる制御パラメータを説明するための図。(b)実施形態2にかかる制御パラメータを説明するための図。
【
図6】(a)実施形態3にかかる制御パラメータを説明するための図。(b)実施形態4にかかる制御パラメータを説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図面を参照して、本発明の実施形態であるブラスト加工装置について説明する。
尚、以下の実施形態及び実施例の説明において参照する図面では、特に但し書きがない限り、同一の参照番号を付して示す要素は、同様の機能を有するものとする。
【0024】
[実施形態1]
図1を参照して、実施形態1にかかるブラスト加工装置の概略構成を説明する。
ブラスト加工装置50は、研磨材を噴射してワーク100の加工を行う研磨材噴射ノズル10と、研磨材噴射ノズル10に研磨材を供給する研磨材供給装置20と、制御部25とを備えている。研磨材噴射ノズル10は、ワーク100および研磨材供給装置20に対して相対移動を可能ならしめる移動手段(不図示)により移動可能に支持されている。移動手段の構成は任意であるが、研磨材噴射ノズル10を、X方向、Y方向、Z方向、θ方向の中の一部あるいは全てについて移動可能ならしめる機構を採用することができる。
【0025】
研磨材供給装置20と研磨材噴射ノズル10は、直列接続された柔配管30と剛配管14により連結されており、これらの配管を経由して研磨材供給装置20から研磨材噴射ノズル10に研磨材が供給される。柔配管30と剛配管14は直列に接続されており、柔配管30は研磨材供給装置20側に、剛配管14は研磨材噴射ノズル10側に研磨材噴射ノズル10と一体に設けられている。剛配管14は、研磨材噴射ノズル10の一部と見なすことができる。
【0026】
ここで、柔配管とは、柔軟に変形可能で、変形しても管路が閉塞されることなく研磨材を輸送可能な配管を意味し、例えばウレタンやナイロン等の樹脂製のチューブを用いた配管を指す。研磨材が管内を流動する際の帯電を防止するために、柔配管30は導電性を有するチューブで構成してもよい。研磨材噴射ノズル10がワーク100の被加工領域を移動する際に、管路が閉塞することなく維持され、しかも弾性反力や慣性重量が過大にならず、繰り返しの変形に対して耐久性を持つように、柔配管30の材質、内径、肉厚、長さ等は適宜設定される。例えばメートルサイズの大きなワーク100を加工する装置でも、柔軟で引き回しの自由度が高い柔配管30を設定することができる。
【0027】
また、剛配管とは、高剛性の材料により形成された管路で、研磨材噴射ノズル10が移動する際に柔配管30から力を受けても、実質的に変形しないだけの剛性を備えた配管を指す。必要な剛性を備えていれば、銅や真鍮などの金属材料や、樹脂材料などを用いて形成することができる。
【0028】
研磨材供給部としての研磨材供給装置20は、貯留部として研磨材1を貯留するタンク21と、研磨材1を研磨材排出部24に向けて送り出すスクリュー22と、スクリュー22を回転させるモータ23とを備えている。モータ23を用いてスクリュー22を回転させることで、タンク21内に貯蔵された研磨材1を、研磨材排出部24に押し出すことができる。研磨材排出部24に押し出された研磨材は、柔配管30および剛配管14を通して、研磨材噴射ノズル10に供給(輸送)される。
【0029】
貯留部としてのタンク21には、研磨材の貯留量を計測するために研磨材の上面のレベル27を計測する粉体レベル計26が設けられている。粉体レベル計26は、連続的に研磨材の上面のレベル27を計測できるものが望ましく、例えば静電容量式やレーダー式などが好適に用いられ得るが、これに限らない。粉体レベル計26は、研磨材の上面の位置(高さ)を高い分解能で計測可能であり、計測結果を制御部25に送信可能である。計測値を制御部に送信する際には、ノイズ等の影響を抑制するため、フィルタ処理や平均化処理等を行ってから送信してもよい。
【0030】
研磨材噴射ノズル10は、研磨材導入室11と、駆動流噴射管12と、混合室としての混合管13と、導入管としての剛配管14と、を備えている。
ここで、剛配管14とは、前述したように、研磨材噴射ノズル10が移動する際に柔配管30から力を受けても、実質的に変形しないだけの剛性を備えた管である。導入管としての剛配管14は、一端は柔配管30に接続され、他の一端は開口が研磨材導入室11に臨むように研磨材噴射ノズル10の本体に固定されている。
【0031】
駆動流噴射管12は、一端は不図示のエアチューブに接続され、他の一端は研磨材導入室11内に挿入され、先端が混合管13と所定の距離だけ離間するように、研磨材噴射ノズル10の本体に固定されている。エアチューブは、柔配管30と同様に柔軟に変形可能で、変形しても管路が閉塞されることがない配管である。エアチューブは、不図示の圧縮気体供給源と接続されており、駆動流噴射管12は研磨材導入室11に向かって気流を噴出させる機能を有している。
【0032】
混合室としての混合管13は、研磨材噴射ノズル10のノズル先端部分を構成しており、剛配管14から研磨材導入室11に導入された研磨材と、駆動流噴射管12から噴射されるエア流を、管内にて混合して先端からワーク100に向けて噴射する管である。混合管13は、中心線が駆動流噴射管12の中心線と同一直線上に配置されるように位置決めされ、研磨材導入室11に固定されている。
【0033】
制御部25は、ブラスト加工装置50の動作を制御するためのコンピュータで、内部には、CPU、ROM、RAM、I/Oポート等を備えている。ROMには、ブラスト加工装置の動作プログラムが記憶されている。
本実施形態の研磨材噴射方法あるいは噴射ノズルへの研磨材の供給方法にかかる各種処理を実行するためのプログラムは、他の動作プログラムと同様にROMに記憶させておいてもよいが、ネットワークを介して外部からRAMにロードしてもよい。あるいは、プログラムを記録したコンピュータにより読み取り可能な記録媒体を介して、RAMにロードしてもよい。
【0034】
I/Oポートは、外部機器やネットワークと接続され、たとえばブラスト加工に必要なデータの入出力を、外部のコンピュータとの間で行うことができる。また、I/Oポートは、モニターや入力装置と接続され、ブラスト加工装置50の動作状態情報を操作者に表示したり、操作者からの命令を受け付けたりすることができる。
【0035】
制御部25は、粉体レベル計26、モータ23、研磨材噴射ノズル10の移動機構、駆動流噴射管12に注入するエアの圧力や流量の制御機構、をはじめとする装置各部と接続され、制御信号の授受を行う。制御部25は、これら各部の動作を制御して、ブラスト加工の工程全般に係る処理を実行する。尚、図示の便宜上、
図1には制御部25と各部を結ぶ制御線の中の一部だけを示している。
【0036】
本実施形態では、制御部25は、粉体レベル計26の計測結果を用いて、スクリュー22を回転させるモータ23を制御する。特許文献2に開示された方法では、モータにかかる負荷に基づいてモータの回転を制御していたが、駆動源に加わる負荷の変動は微小であるため、タンク底部における研磨材1のかさ比重の変化の検知精度が不十分であった。本実施形態では、粉体レベル計26を用いて粉体レベルを計測することにより、かさ比重(かさ密度)の変動を高精度に検知することが可能であり、研磨材噴射ノズル10に供給する研磨材の単位時間あたりの質量を高精度に制御して安定化させることができる。
【0037】
粉体レベル計26で計測される研磨材の上面のレベル27とスクリュー22の近傍位置における研磨材のかさ比重(かさ密度)の相関関係を、予め実験やシミュレーション等により取得して制御部25に記憶させておく。さらに、モータ23の回転速度と研磨材排出部24に排出される研磨材の体積流量の相関係数を、予め実験やシミュレーション等により取得して制御部25に記憶させておく。
そして、あらかじめ取得した2つの相関係数と、粉体レベル計26の測定値を用いて、研磨材排出部24に排出する研磨剤の質量流量が一定となるように、制御部25はモータ23の回転速度を制御する。
【0038】
具体的には、
図5(a)に示すように、研磨材の上面のレベル27が相対的に高い位置にある時は、スクリュー22近傍の研磨材のかさ密度が大きい為、スクリュー22を駆動するモータ23の回転速度を相対的に小さくする。また、研磨材の上面のレベル27が相対的に低い時には、スクリュー22近傍の研磨材のかさ密度が小さい為、スクリュー22を駆動するモータ23の回転速度を相対的に大きくする。
尚、
図5(a)に示すように、制御部25は、粉体レベル計26の測定値とスクリュー回転速度の関係が線形になるように制御するのが好適である。
【0039】
かかる制御を行うことにより、研磨材1が消費されたり補充されたりしてタンク21内研磨材の上面のレベル27が変動しても、研磨材噴射ノズル10に対して供給する研磨材の質量流量を安定させることができる。本実施形態によれば、研磨材タンク内で研磨材の堆積量が変動したとしても、高い加工精度を達成することができるブラスト加工装置50を提供することが可能である。
【0040】
[実施形態2]
図2を参照して、実施形態2にかかるブラスト加工装置の概略構成を説明する。実施形態1と共通する部分については、同一の参照符号を付して図示し、説明を簡略化する。
本実施形態に係るブラスト加工装置60は、研磨材を噴射してワーク100の加工を行う研磨材噴射ノズル10と、研磨材噴射ノズル10に研磨材を供給する研磨材供給装置20と、制御部25とを備えている点で、実施形態1と同様である。
【0041】
本実施形態においても、タンク21には、研磨材の上面のレベル27を計測する粉体レベル計26が設けられており、計測結果が制御部25に伝達される。実施形態1では、制御部25は粉体レベル計26の計測結果に基づいてスクリュー22を回転させるモータ23の回転速度を制御したが、本実施形態では、粉体レベル計26の計測結果に基づいて、研磨材噴射ノズル10とワーク100の距離を制御する。
【0042】
図2に示すように、ブラスト加工装置60は、研磨材噴射ノズル10とワーク100の距離を変更するための法線方向駆動機構33を備えている。具体的には、法線方向駆動機構33は、ボールねじ31と、ボールねじを回転させるためのモータ32とを備えている。研磨材噴射ノズル10の支持部34にはねじ穴が設けられており、ねじ穴はボールねじ31と嵌合しているため、モータ32の回転に応じて研磨材噴射ノズル10は上下動が可能である。制御部25は、モータ32を制御することにより、研磨材噴射ノズル10とワーク100の距離を変更することができる。
【0043】
実施形態1と同様に、粉体レベル計26で計測される研磨材の上面のレベル27とスクリュー22の近傍位置における研磨材のかさ比重(かさ密度)の相関関係を、予め実験やシミュレーション等により取得して制御部25に記憶させておく。さらに、ワークと研磨材噴射ノズル10の距離と、単位時間あたりの研削量(研削レート)の相関関係を、スクリュー22が搬送する研磨材のかさ比重(かさ密度)ごとに、予め実験やシミュレーション等により取得しておき、制御部25に記憶させておく。
【0044】
そして、2つの相関係数と、粉体レベル計26の測定値を用いて、ワーク100を研削する単位時間あたりの研削量(研削レート)が一定となるように、制御部25は、モータ32の回転(研磨材噴射ノズル10とワーク100の距離)を制御する。
【0045】
具体的には、
図5(b)に示すように、研磨材の上面のレベル27が相対的に高い位置にある時は、スクリュー22近傍の研磨材のかさ密度が大きい為、研磨材噴射ノズル10とワーク100の距離が相対的に大きくなるようにモータ32を制御する。研磨材の質量流量が大きいため、距離を大きくしないと、研削レートが過大になるからである。また、研磨材の上面のレベル27が相対的に低い位置にある時は、スクリュー22近傍の研磨材のかさ密度が小さい為、研磨材噴射ノズル10とワーク100の距離が相対的に小さくなるようにモータ32を制御する。研磨材の質量流量が小さいため、距離を小さくしないと、研削レートが過小になるからである。尚、
図5(b)に示すように、制御部25は、粉体レベル計26の測定値とワークディスタンス(研磨材噴射ノズル10とワーク100の距離)の関係が非線形になるように制御するのが好適である。
【0046】
かかる制御を行うことにより、研磨材1が消費されたり補充されたりしてタンク21内研磨材の上面のレベル27が変動しても、研磨材噴射ノズル10による加工レートを安定させることができる。本実施形態によれば、研磨材タンク内で研磨材の堆積量が変動したとしても、高い加工精度を達成することができるブラスト加工装置60を提供することが可能である。
【0047】
[実施形態3]
図3を参照して、実施形態3にかかるブラスト加工装置の概略構成を説明する。実施形態1と共通する部分については、同一の参照符号を付して図示し、説明を簡略化する。
本実施形態に係るブラスト加工装置70は、研磨材を噴射してワーク100の加工を行う研磨材噴射ノズル10と、研磨材噴射ノズル10に研磨材を供給する研磨材供給装置20と、制御部25とを備えている点で、実施形態1と同様である。
【0048】
本実施形態においても、タンク21には、研磨材の上面のレベル27を計測する粉体レベル計26が設けられており、計測結果が制御部25に伝達される。実施形態1では、制御部25は、粉体レベル計26の計測結果に基づいてスクリュー22を回転させるモータ23の回転速度を制御した。これに対して、本実施形態では、制御部25は、粉体レベル計26の計測結果に基づいて、研磨材噴射ノズル10がワーク100上を走査する走査速度を制御する。
【0049】
図3に示すように、ブラスト加工装置70は、研磨材噴射ノズル10をワーク100上で走査させるための水平方向駆動機構43を備えている。具体的には、水平方向駆動機構43は、ボールねじ41と、ボールねじを回転させるためのモータ42とを備えている。研磨材噴射ノズル10の支持部44にはねじ穴が設けられており、ねじ穴はボールねじ41と嵌合しているため、モータ42の回転に応じて研磨材噴射ノズル10は水平移動が可能である。制御部25は、モータ42を制御することにより、研磨材噴射ノズル10のワーク100に対する走査位置および走査速度を変更することができる。
【0050】
実施形態1と同様に、粉体レベル計26で計測される研磨材の上面のレベル27とスクリュー22の近傍位置における研磨材のかさ比重(かさ密度)の相関関係を、予め実験やシミュレーション等により取得して制御部25に記憶させておく。さらに、ワークに対する研磨材噴射ノズル10の走査速度と、単位時間あたりの研削量(研削レート)の相関関係を、スクリュー22が搬送する研磨材のかさ密度ごとに、予め実験やシミュレーション等により取得しておき、制御部25に記憶させておく。
そして、2つの相関係数と粉体レベル計26の測定値を用いて、ワーク100を研削する単位時間あたりの研削量(研削レート)が一定となるように、制御部25はモータ42の回転速度(ワーク100に対する研磨材噴射ノズル10の走査速度)を制御する。
【0051】
図6(a)に示すように、研磨材の上面のレベル27が相対的に高い位置にある時は、スクリュー22近傍の研磨材のかさ密度が大きい為、研磨材噴射ノズル10のワーク100に対する走査速度が相対的に大きくなるようにモータ42を制御する。研磨材の質量流量が大きいため、走査速度を大きくしないと、研削レートが過大になるからである。また、研磨材の上面のレベル27が相対的に低い位置にある時は、スクリュー22近傍の研磨材のかさ密度が小さい為、研磨材噴射ノズル10のワーク100に対する走査速度が相対的に小さくなるようにモータ42を制御する。研磨材の質量流量が小さいため、走査速度を小さくしないと、研削レートが過小になるからである。尚、
図6(a)に示すように、制御部25は、粉体レベル計26の測定値と走査速度の関係が線形になるように制御するのが好適である。
【0052】
かかる制御を行うことにより、研磨材1が消費されたり補充されたりしてタンク21内研磨材の上面のレベル27が変動しても、研磨材噴射ノズル10による加工レートを安定させることができる。本実施形態によれば、研磨材タンク内で研磨材の堆積量が変動したとしても、高い加工精度を達成することができるブラスト加工装置70を提供することが可能である。
【0053】
[実施形態4]
図4を参照して、実施形態4にかかるブラスト加工装置の概略構成を説明する。実施形態1と共通する部分については、同一の参照符号を付して図示し、説明を簡略化する。
本実施形態に係るブラスト加工装置80は、研磨材を噴射してワーク100の加工を行う研磨材噴射ノズル10と、研磨材噴射ノズル10に研磨材を供給する研磨材供給装置20と、制御部25とを備えている点で、実施形態1と同様である。
【0054】
本実施形態においても、タンク21には、研磨材の上面のレベル27を計測する粉体レベル計26が設けられており、計測結果が制御部25に伝達される。実施形態1では、制御部25は、粉体レベル計26の計測結果に基づいて、スクリュー22を回転させるモータ23の回転速度を制御した。これに対して、本実施形態では、制御部25は、粉体レベル計26の計測結果に基づいて、研磨材噴射ノズル10の噴射流量または噴射圧力を制御する。
【0055】
図4に示すように、ブラスト加工装置70は、研磨材噴射ノズル10の駆動流噴射管12に流れる圧縮空気の圧力または流量を制御するエア流制御装置56を備える。
エア流制御装置56は、駆動流噴射管12と接続する配管51、駆動流噴射管12に流れる圧縮空気の圧力または流量を計測する計測器55を備えている。エア流制御装置56は、さらに、駆動流噴射管12に流れる圧縮空気の流量を制御する流量制御弁52、駆動流噴射管12に流れる圧縮空気の圧力を制御する圧力制御弁53を備えている。制御部25は、計測器55の計測結果に基づくフィードバック制御により流量制御弁52及び/または圧力制御弁53を動作させることで、駆動流噴射管12に流れる圧縮空気の流量及び/または圧力を制御することができる。
【0056】
実施形態1と同様に、粉体レベル計26で計測される研磨材の上面のレベル27とスクリュー22の近傍位置における研磨材のかさ比重(かさ密度)の相関関係を、予め実験やシミュレーション等により取得して制御部25に記憶させておく。また、駆動流噴射管12に流れる圧縮空気の流量及び/または圧力と、単位時間あたりの研削量(研削レート)の相関関係を、スクリュー22が搬送する研磨材のかさ比重(かさ密度)ごとに、予め実験等により取得して制御部25に記憶させておく。
そして、2つの相関係数と粉体レベル計26の測定値を用いて、ワーク100を研削する単位時間あたりの研削量(研削レート)が一定となるように、制御部25は流量制御弁52及び/または圧力制御弁53を制御する。
【0057】
研磨材の上面のレベル27が相対的に高い位置にある時は、スクリュー22近傍の研磨材のかさ密度が大きい。この為、
図6(b)に示すように、研磨材噴射ノズル10の駆動流噴射管12に流れる圧縮空気の圧縮空気の圧力が相対的に小さくなるように圧力制御弁53を制御する。供給される研磨材の質量流量が大きいため、噴射圧力を小さくしないと、研削レートが過大になるからである。あるいは、駆動流噴射管12に流れる圧縮空気の流量が相対的に小さくなるように流量制御弁52を制御することもできる。
【0058】
また、研磨材の上面のレベル27が相対的に低い位置にある時は、スクリュー22近傍の研磨材のかさ密度が小さい。この為、研磨材噴射ノズル10の駆動流噴射管12に流れる圧縮空気の圧縮空気の圧力が相対的に大きくなるように圧力制御弁53を制御する。研磨材の質量流量が小さいため、噴射圧力を大きくしないと、研削レートが過小になるからである。あるいは、駆動流噴射管12に流れる圧縮空気の圧縮空気の流量が相対的に大きくなるように流量制御弁52を制御することもできる。
【0059】
尚、
図6(b)に示すように、制御部25は、粉体レベル計26の測定値と駆動流噴射管12に流れる圧縮空気の圧縮空気の圧力の関係が非線形になるように制御するのが好適である。制御部25は、圧力と流量のうち、一方だけが変化するように制御してもよいし、両方が同時に変化するように制御してもよい。
【0060】
かかる制御を行うことにより、研磨材1が消費されたり補充されたりしてタンク21内研磨材の上面のレベル27が変動しても、研磨材噴射ノズル10による加工レートを安定させることができる。本実施形態によれば、研磨材タンク内で研磨材の堆積量が変動したとしても、高い加工精度を達成することができるブラスト加工装置70を提供することが可能である。
【0061】
[他の実施形態]
なお、本発明は、以上説明した実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で多くの変形が可能である。
例えば、スクリュー22の回転制御、研磨材噴射ノズル10とワーク100の距離制御、研磨材噴射ノズル10の走査速度制御、圧縮空気のエア流制御を、任意に組み合わせて、複合的な制御を行ってもよい。
【0062】
また、ワークと研磨材噴射ノズルの距離や、ワークに対する研磨材噴射ノズルの走査速度を変更する際には、必ずワークを固定して研磨材噴射ノズルのみを移動させなければならないわけではない。ワークと研磨材噴射ノズルの相対位置を変更できれば良いので、ワークを移動して研磨材噴射ノズルを固定してもよいし、両者を移動させてもよい。
【0063】
実施形態にかかるブラスト加工装置は、例えば、ウエハの厚みを均一化する加工処理に用いることができる。事前にウエハの厚み分布を測定しておき、厚みが厚い部分は加工量を多く、薄い部分は加工量を少なくすることで、ウエハの厚みを均一化できる。実施形態によれば、タンク内に貯留されている研磨材の量が変わったとしても単位時間あたりの加工量が変化しない。そのため、ウエハ上の位置ごとの滞留時間あるいは移動速度を変化させることによって、位置ごとの加工量を高精度に調整することができ、ウエハの厚みを高精度に均一化することができる。
【0064】
また、ウエハや基板の表面を平坦化するための研磨処理に限らず、さびや皮膜の剥離をはじめとする表面清浄化処理、バリ取りをはじめとする整形処理、梨地加工をはじめとする粗面化処理など、物品の製造や加工において広く実施することができる。
【0065】
本発明は、実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【符号の説明】
【0066】
1・・・研磨材/10・・・研磨材噴射ノズル/11・・・研磨材導入室/12・・・駆動流噴射管/13・・・混合管/14・・・剛配管/20・・・研磨材供給装置/21・・・タンク/22・・・スクリュー/23・・・モータ/24・・・研磨材排出部/25・・・制御部/26・・・粉体レベル計/27・・・研磨材の上面のレベル/30・・・柔配管/31・・・ボールねじ/32・・・モータ/33・・・法線方向駆動機構/34・・・支持部/41・・・ボールねじ/42・・・モータ/43・・・水平方向駆動機構/44・・・支持部/50・・・ブラスト加工装置/51・・・配管/52・・・流量制御弁/53・・・圧力制御弁/55・・・計測器/56・・・エア流制御装置/60・・・ブラスト加工装置/70・・・ブラスト加工装置/80・・・ブラスト加工装置/100・・・ワーク