(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-13
(45)【発行日】2024-12-23
(54)【発明の名称】手持式作業機
(51)【国際特許分類】
B25F 5/00 20060101AFI20241216BHJP
B25F 5/02 20060101ALI20241216BHJP
【FI】
B25F5/00 H
B25F5/02
(21)【出願番号】P 2020153628
(22)【出願日】2020-09-14
【審査請求日】2023-08-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000141174
【氏名又は名称】株式会社丸山製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140682
【氏名又は名称】妙摩 貞茂
(72)【発明者】
【氏名】竹田 智哉
【審査官】山内 康明
(56)【参考文献】
【文献】実開平03-062783(JP,U)
【文献】特開2019-171510(JP,A)
【文献】特開2014-144508(JP,A)
【文献】特開2020-082299(JP,A)
【文献】特開2010-201612(JP,A)
【文献】特開2012-065622(JP,A)
【文献】特開2020-104190(JP,A)
【文献】特開2014-110654(JP,A)
【文献】特許第6106155(JP,B2)
【文献】特許第6398187(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25F 5/00
B25F 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力により動作する駆動源(3)を有する本体(10)と、
前記本体(10)に設けられたバッテリ装着部(12)であって、前記駆動源(3)に電力を供給する第1のバッテリパック(40A)が装着され、前記第1のバッテリパック(40A)に電気的に接続される第1の接続端子(13)を有する前記バッテリ装着部(
12)と、
前記本体(10)に設けられたケーブル装着部(37)であって、前記駆動源(3)に電力を供給するために前記本体から離れて位置する第2のバッテリパック(40B)に電気的に接続されたケーブル(51)が電気的に接続される第2の接続端子(38)を有する前記ケーブル装着部(37)と、を備え
、
前記本体(10)は、所定の方向に互いに離間して配置された第1の把持部(15)と第2の把持部(30)とを含み、
前記バッテリ装着部(12)は、前記所定の方向において、前記第1の把持部(15)と前記第2の把持部(30)との間の位置に設けられている、手持式作業機。
【請求項2】
前記第1の接続端子(13)と前記第2の接続端子(38)とは、前記駆動源(3)に対して電気的に並列に接続されている、請求項1に記載の手持式作業機。
【請求項3】
前記第1のバッテリパック(40A)からの電力と前記第2のバッテリパック(40B)からの電力とを選択的に切り替えて前記駆動源(3)に供給する制御回路(18)をさらに備える、請求項2に記載の手持式作業機。
【請求項4】
前記制御回路(18)は、前記第1の接続端子(13)から供給される電力が所定の閾値以下になっているときに、前記第2の接続端子(38)を介して前記駆動源(3)に電力を供給する、請求項3に記載の手持式作業機。
【請求項5】
前記制御回路(18)は、前記第1のバッテリパック(40A)が前記第1の接続端子(13)に電気的に接続され、前記第2のバッテリパック(40B)が前記第2の接続端子(38)に電気的に接続された状態において、前記第1のバッテリパック(40A)の電力が実質的に全て消費されたあとに、前記第2のバッテリパック(40B)から前記駆動源(3)への電力の供給を開始する、請求項3に記載の手持式作業機。
【請求項6】
前記本体(10)は、前記駆動源(3)が収容されている本体ケース(11)を有し、 前記バッテリ装着部(12)は、前記第1のバッテリパック(40A)を本体ケース(11)の内側に収容するために本体ケース(11)に設けられた開口(12a)を含み、
前記本体ケース(11)は、前記開口(12a)を開閉可能な蓋体(14)を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の手持式作業機。
【請求項7】
前記第2の接続端子(38)は、前記本体(10)が底面を下にして水平面に載置された状態において、前記第2の把持部(30)の直下に設けられている、請求項
1~6のいずれか一項に記載の手持式作業機。
【請求項8】
前記第2の接続端子(38)は、前記本体(10)が底面を下にして水平面に載置された状態において、前記本体(10)側である基端から先端に向かって上向きになるように傾斜している、請求項
7に記載の手持式作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手持式作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、手持式作業機の例として電動工具が開示されている。この電動工具は、工具が取り付けられた本体と、本体に収容されたモータと、本体に設けられた複数の取付部とを備える。複数の取付部のそれぞれには、バッテリパックが着脱可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
手持式作業機に複数のバッテリパックが装着された場合、バッテリパックを含む作業機全体の重量は大きくなる。使用者は手に持った状態で作業機を取り扱うため、作業機全体の重量が大きくなると、使用者にとって作業が行い難くなる虞がある。
【0005】
本発明は、複数のバッテリパックが使用されても、重量の増加を抑制できる手持式作業機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一形態に係る手持式作業機は、電力により動作する駆動源(3)を有する本体(10)と、本体(10)に設けられたバッテリ装着部(12)であって、駆動源(3)に電力を供給する第1のバッテリパック(40A)が装着され、第1のバッテリパック(40A)に電気的に接続される第1の接続端子(13)を有するバッテリ装着部(12)と、本体(10)に設けられたケーブル装着部(37)であって、駆動源(3)に電力を供給する第2のバッテリパック(40B)に電気的に接続されたケーブル(51)が電気的に接続される第2の接続端子(38)を有するケーブル装着部(37)と、を備える。
【0007】
上記の手持作業機では、第1のバッテリパック(40A)と第2のバッテリパック(40B)とによって駆動源(3)に電力が供給されるため、バッテリパックを一つのみ備える場合に比べて、例えば手持式作業機を長時間にわたって駆動できる。第2のバッテリパック(40B)は本体(10)に装着されることなく、ケーブル(51)を介してケーブル装着部(37)の第2の接続端子(38)に接続されるので、作業者が手持作業機を使用する際に、本体(10)に対して第2のバッテリパック(40B)の重量が加わることがない。したがって、複数のバッテリパックの使用に際し、手持式作業機の重量の増加を抑制できる。
【0008】
一例の第1の接続端子(13)と第2の接続端子(38)とは、駆動源(3)に対して電気的に並列に接続され得る。この構成では、第1のバッテリパック(40A)と第2のバッテリパック(40B)とのいずれか一方のみが接続された状態であっても、手持式作業機を動作させることができる。
【0009】
一例の手持式作業機は、第1のバッテリパック(40A)からの電力と第2のバッテリパック(40B)からの電力とを選択的に切り替えて駆動源(3)に供給する制御回路(18)をさらに備え得る。この構成では、第1のバッテリパック(40A)と第2のバッテリパック(40B)との両方が接続された状態で、いずれか一方のバッテリパックから電力の供給が可能となる。
【0010】
一例の制御回路(18)は、第1の接続端子(13)から供給される電力が所定の閾値以下になっているときに、第2の接続端子(38)を介して駆動源(3)に電力を供給し得る。この構成では、第1の接続端子(13)及び第2の接続端子(38)に第1のバッテリパック(40A)及び第2のバッテリパック(40B)がそれぞれ接続されている状態で、第1のバッテリパック(40A)の電力から先に消費されることになる。
【0011】
一例の制御回路(18)は、第1のバッテリパック(40A)が第1の接続端子(13)に電気的に接続され、第2のバッテリパック(40B)が第2の接続端子(38)に電気的に接続された状態において、第1のバッテリパック(40A)の電力が実質的に全て消費されたあとに、第2のバッテリパック(40B)から駆動源(3)への電力の供給を開始し得る。この構成では、第1のバッテリパック(40A)の電力から先に消費されることになるので、第1のバッテリパック(40A)の電力が実質的に全て消費されたあとに、第1のバッテリパック(40A)を本体(10)から取り外した状態で手持式作業機を動作させることができる。
【0012】
一例の本体(10)は、駆動源(3)が収容されている本体ケース(11)を有し、バッテリ装着部(12)は、第1のバッテリパック(40A)を本体ケース(11)の内側に収容するために本体ケース(11)に設けられた開口(12a)を含み、本体ケース(11)は、開口(12a)を開閉可能な蓋体(14)を有し得る。この構成では、第1のバッテリパック(40A)が装着されていない場合であっても、バッテリ装着部(12)の第1の接続端子(13)が本体(10)の外部に露出することが抑制される。
【0013】
一例の手持式作業機は、互いに離間して本体(10)に設けられた第1の把持部(15)と第2の把持部(30)とをさらに備え、バッテリ装着部(12)は、第1の把持部(15)と第2の把持部(30)との間の位置に設けられ得る。この構成では、使用者は、第1のバッテリパック(40A)の重量を両手で略均等に支えることができる。
【0014】
第2の接続端子(38)は、本体(10)が底面を下にして水平面に載置された状態において、第2の把持部(30)の直下に設けられていてよい。この構成では、第2の接続端子(38)の直上に配置された第2の把持部(30)によって第2の接続端子(38)が保護され得る。
【0015】
第2の接続端子(38)は、本体(10)が底面を下にして水平面に載置された状態において、本体(10)側である基端から先端に向かって上向きになるように傾斜していてよい。この構成では、本体(10)が地面等に載置された状態において、第2の接続端子(38)に接続されたケーブル(51)が地面等に接触して損傷することが抑制される。
【発明の効果】
【0016】
本発明の手持式作業機によれば、複数のバッテリパックが使用されても、重量の増加を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】一例に係る手持式作業機を示す斜視図である。
【
図2】一例に係る手持式作業機が使用される様子を示す図である。
【
図3】一例に係る手持式作業機を示す側面図である。
【
図6】手持式作業機の動作フローを示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図面の説明において同一要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。また本明細書において、上下、前後、左右等の方向を表す語は、手持式作業機を使用する作業者を基準とした方向を表すものとする。作業者にとっての前方(本例においてブレード側)が、「前」と定められる。
【0019】
手持式作業機の一例であるヘッジトリマー1は、電力により動作する駆動源であるモータ3(
図4参照)及びモータ3に連結されたギヤケース5を有する本体10と、ギヤケース5から前方に突出するように設けられたブレード20とを有する。
【0020】
本体10は、本体ケース11と、フロントハンドル(第1の把持部)15と、リヤハンドル(第2の把持部)30と、を含んでいる。本体ケース11の内側には、少なくともモータ3が収容されている。
図1に示すように、モータ3は、本体10に装着される本体側バッテリパック(第1のバッテリパック)40A、又は、電気ケーブル51を介して本体10に接続される外付けバッテリパック(第2のバッテリパック)40Bから供給される電力により動作する。モータ3の回転運動は、本体ケース11の下部に取り付けられたギヤケース5内のギヤ(動力伝達機構)によって、往復運動としてブレード20に伝達される。なお、本体側バッテリパック40Aと外付けバッテリパック40Bとは、同一規格に基づく同一製品であってよい。そのため、以下の説明において本体側バッテリパック40Aと外付けバッテリパック40Bとを区別しない場合には、本体側バッテリパック40Aと外付けバッテリパック40Bと総称してバッテリパック40という。
【0021】
バッテリパック40は、再充電可能な蓄電装置である。例えば、バッテリパック40は、樹脂製の筐体41と、筐体41の内側に収容されたリチウムイオン二次電池等の蓄電セルと、を有する。また、バッテリパック40は、過充電及び過放電から蓄電セルを保護する制御用の保護回路を有していてもよい。一例において、バッテリパック40は、略直方体形状を呈している。バッテリパック40の外面には、外部接続用の電極43が設けられている。例えば、バッテリパック40は、専用のアダプタによって充電され得る。一例として、バッテリパック40は、アダプタに対してスライド装着するためのガイドを有していてもよい。
【0022】
ブレード20は、ギヤケース5の前方に突出するように設けられたガイド21と、ガイド21に沿うように取り付けられ、左右方向に突出し前後方向に多数の刃が並設された上刃23および下刃25とを含む。ブレード20の上刃23および下刃25は、モータ3の回転運動が往復運動に変換されて伝達されることで往復動し、生け垣や植木等の被切断物を刈り込むように構成されている。
【0023】
本体側バッテリパック40Aは、本体ケース11に設けられたバッテリ装着部12に装着されることにより、モータ3と電気的に接続される。一例の本体側バッテリパック40Aは、本体ケース11の内側に収容され得る。例えば、本体ケース11は、バッテリ装着部12として、内側に本体側バッテリパック40Aを収容するための開口12aを有している。一例の開口12aは、本体ケース11の上部に形成されている。開口12a内の空間12sは、当該ヘッジトリマー1において使用されることが想定されるバッテリパック40を収容可能な大きさを有している。本体側バッテリパック40Aは、開口12a内の空間12sに収容された状態で、モータ3に電気的に接続され得る。すなわち、開口12a内には、バッテリパック40に電気的に接続可能な接続端子(第1の接続端子)13(
図4参照)が設けられている。例えば、開口12a内の空間12sに配置されたガイド(不図示)にバッテリパック40が係合されることによって、開口12a内の接続端子13とバッテリパック40の電極43とが電気的に接続される。
【0024】
図示例の本体ケース11は、開口12aを開閉可能なカバー(蓋体)14を有する。カバー14は、開口12aの周縁に沿った周縁を有しており、開口12aを閉塞可能に設けられている。一例のカバー14は、上側に向かって凸状をなす湾曲した板形状を有している。
図1に示されるように、カバー14が開いている状態において、バッテリ装着部12に対するバッテリパック40の着脱が可能となっている。カバー14は、バッテリ装着部12にバッテリパック40が装着された状態、すなわち、開口12a内の空間12sにバッテリパック40が収容されている状態で、開口12aを閉塞することができる。カバー14は、本体ケース11に対して一体的に設けられていてもよい。例えば、カバー14の前端がヒンジ構造によって本体ケース11に接続されていてもよい。また、カバー14は、本体ケース11に対して着脱可能であってもよい。
【0025】
フロントハンドル15は、例えば、ヘッジトリマー1を使用する作業者の一方の手で握られる部分である(
図2参照)。一例のフロントハンドル15は、本体ケース11の前側部分において、左右側面のそれぞれの下部同士を接続する逆U字状を呈している。フロントハンドル15は、本体側バッテリパック40Aが収容される空間よりも前側の位置において、本体ケース11に接続されている。図示例では、フロントハンドル15はギヤケース5の上側に配置されている。なお、側面から見た場合、フロントハンドル15が接続されている位置は、モータ3が配置される位置に重複している。
【0026】
リヤハンドル30は、例えば、ヘッジトリマー1を使用する作業者の他方の手で握られる部分である。なお、一例のリヤハンドル30は、本体ケース11に対して回転可能に設けられているため、特に言及がない場合、リヤハンドル30の構造的な説明はリヤハンドル30が回転されていない標準的な位置にある状態を基準とする。
【0027】
図3に示すように、リヤハンドル30は、側面から見て、例えば略矩形環状をなしていてよい。リヤハンドル30は、上部グリップ部分31と、下部グリップ部分33と、接続部分35とを含む。上部グリップ部分31は、主として使用者に把持されることを目的とする。上部グリップ部分31は、リヤハンドル30における上側部分を構成しており、前後方向に延在するとともに、その後端から下側に延在する。下部グリップ部分33は、上部グリップ部分31の後端部から前方に向かって延在している。接続部分35は、リヤハンドル30と本体ケース11とを接続する取付部36を含む。接続部分35は、リヤハンドル30における前側部分を構成しており、上部グリップ部分31の前端と下部グリップ部分33の前端とを接続するように、上下方向に沿って延在している。
【0028】
取付部36は、接続部分35の上下方向の中央から前方に向かって突出している。一例の取付部36は、中空の筒状をなしており、前後方向に沿った軸線を有する。取付部36は、本体ケース11の後端面に回転可能に支持されている。すなわち、リヤハンドル30は、前後方向に沿った取付部36を回転軸として、本体ケース11に対して回転され得る。本体側バッテリパック40Aが収容される空間12sは、前後方向(所定の方向)に互いに離間して配置されたフロントハンドル15とリヤハンドル30との間に位置している。
【0029】
接続部分35の下端には、ケーブル装着部37が設けられている。ケーブル装着部37は、接続端子38(第2の接続端子)を含む。接続端子38は、略円筒状の外形を有している。一例の接続端子38は、ヘッジトリマー1を側面から見たときに、接続部分35の下端から後方に向かって突出しており、本体ケース11が底面11aを下にして水平面に載置された状態において、接続部分35側(本体ケース11側)である基端から先端に向かって上向きになるように傾斜している。この場合、例えば、接続端子38の水平面に対する傾斜角θは、0°~15°であってよく、一例として約10°であってよい。図示例では、下部グリップ部分33が接続端子38と同様の傾斜角をもって傾斜している。また、接続端子38は、本体ケース11が底面11aを下にして水平面に載置された状態において、リヤハンドル30の下部グリップ部分33の直下に設けられている。例えば、下部グリップ部分33の左右方向の幅は、接続端子38の左右方向の幅よりも大きくてもよい。
【0030】
接続端子38は、取付部36の内側を通る配線を介してモータ3に電気的に接続されている。接続端子38には、モータ3に電力を供給する外付けバッテリパック40Bに電気的に接続された電気ケーブル51が電気的に接続され得る。例えば、外付けバッテリパック40Bは、電気ケーブル51が接続された収容ケース50に収容されてもよい。収容ケース50は、有底矩形筒状の筐体53を有している。筐体53は、例えば樹脂等によって形成されていてよい。
【0031】
筐体53の上部に形成された開口53aの周縁には、収容されたバッテリパック40の脱落を防止する第1バンド54が設けられている。第1バンド54は、帯状をなしている。例えば、第1バンド54の一端は、筐体53の対向する一対の側面の一方に固定されており、第1バンド54の他端は、筐体53の対向する一対の側面の他方に着脱可能であってよい。筐体53にバッテリパック40が収容された状態において、第1バンド54の両端が筐体53に固定されると、開口53aを横断する第1バンド54によりバッテリパック40の脱落が抑制される。
【0032】
また、筐体53の一つの側面には、底面53bを通って、対向する他の側面に接続される第2バンド55が設けられている。第2バンド55は、帯状をなしている。例えば、第2バンド55の一端は筐体に固定されており、第2バンド55の他端は筐体53に着脱可能であってよい。
図2に示すように、使用者が装着したハーネスHの腰ベルト等を第2バンドと筐体53との間に通すことによって、使用者は、両手が使用可能な状態で筐体53を保持できる。
【0033】
筐体53の内側には、バッテリパック40の電極43に接続可能な接続端子57(
図4参照)が設けられている。例えば、筐体53内に形成されたガイド(不図示)にバッテリパック40が係合されることによって、筐体53内の接続端子57とバッテリパック40の電極43とが電気的に接続される。
【0034】
接続端子57は、電気ケーブル51の一端に接続されている。電気ケーブル51は、筐体53に対して固定されていてもよいし、着脱可能に構成されていてもよい。電気ケーブル51の他端は、接続端子38に着脱可能に構成されたコネクタ51aであってよい。図示例では、接続端子38は雄型であり、電気ケーブル51のコネクタ51aは雌型である。例えば、接続端子38及びコネクタ51aには、ぞれぞれ互いに対応するねじ切り加工がなされており、コネクタ51a側を回転させることによって、電気ケーブル51の抜け止めが可能になっている。
【0035】
上部グリップ部分31の下側には、トリガー32が配置されている。トリガー32は、モータ3を動作させるためのものである。また、上部グリップ部分31の上側には、セーフティレバー39が配置されている。セーフティレバー39は、トリガー32の操作を可能とするためのものである。
【0036】
接続部分35の上端、すなわち、上部グリップ部分31の前端には、操作パネル60が設けられている。
図5に示すように、一例の操作パネル60には、回転レバー61、主電源スイッチ62、速度スイッチ63、通電ランプ65及び速度ランプ66が設けられている。回転レバー61は、リヤハンドル30の回転を規制し得る。例えば、使用者がリヤハンドル30を回転させる場合、使用者は回転レバー61を操作(例えば押圧)した状態でリヤハンドル30を回転させる。主電源スイッチ62は、ヘッジトリマー1の動作システムを起動するためのスイッチである。主電源スイッチ62が押され、バッテリパック40による通電が確認されると通電ランプ65が点灯する。速度スイッチ63は、ブレード20の往復速度を変更するスイッチである。例えば、速度スイッチ63を切り替えることによって、低速、中速及び高速のいずれかにブレード20の往復速度を切り替えることができる。速度ランプ66は、ブレード20の速度が低速、中速及び高速のいずれの状態にあるかを使用者に知らせるためのランプである。
【0037】
一例のヘッジトリマー1は、駆動制御のための制御回路18を有している。制御回路18は、主電源スイッチ62、速度スイッチ63、トリガー32及び接続端子38のそれぞれと、取付部36を通る配線コードを介して電気的に接続されている。また、制御回路18は、接続端子13及びモータ3のそれぞれと本体ケース11に配置された配線コードを介して電気的に接続されている。なお、図示されていないが、通電ランプ65及び速度ランプ66も制御回路18に接続されていてよい。
【0038】
制御回路18は、例えば、本体ケース11内に配置されている。制御回路18は、演算装置、記憶装置、インターフェース等を備えており、記憶装置に保存されたプログラムを実行することにより、所定の制御を実行する。一例の制御回路18は、MCU(Micro Control Unit)を含んでいてよい。
【0039】
制御回路18は、接続端子13を介して接続される本体側バッテリパック40Aと、接続端子38,57を介して接続される外付けバッテリパック40Bとをモータ3に対して電気的に並列に接続している。制御回路18は、例えば使用者によってトリガー32が引かれた際に、トリガー32から入力された信号に応じてモータ3を回転させる。モータ3の回転数は、速度スイッチ63から入力された信号に基づいて、制御回路18によって制御される。制御回路18は、速度スイッチ63から入力された信号に基づいて、速度ランプ66の点灯を切り替える。また、制御回路18は、本体側バッテリパック40A及び外付けバッテリパック40Bの電圧を検出し、所定の閾値以上の電圧が確認された場合、モータ3の駆動が可能であると判定して、通電ランプ65を点灯させる。
【0040】
一例の制御回路18は、本体側バッテリパック40Aからの電力と外付けバッテリパック40Bからの電力とを選択的に切り替えてモータ3に供給する。例えば、制御回路18は、接続端子13から供給される電力が所定の閾値以下になっているときに、接続端子38を介してモータ3に電力を供給する。一例においては、制御回路18は、本体側バッテリパック40Aが第1の接続端子に電気的に接続され、外付けバッテリパック40Bが接続端子38に電気的に接続された状態において、本体側バッテリパック40Aの電力が実質的に全て消費されたあとに、第2のバッテリパックからモータ3への電力の供給を開始する。
【0041】
以下、
図6のフローチャートを参照しながら、制御回路18による制御の一例について説明する。一例のヘッジトリマー1では、まず、作業者によって本体側バッテリパック40Aがバッテリ装着部12に装着され、外付けバッテリパック40Bに電気的に接続された電気ケーブル51のコネクタが電気ケーブル51装着部に装着される。ヘッジトリマー1にバッテリパック40が接続されることにより、制御回路18が待機状態となる(ステップS1)。例えば、待機状態は、制御回路18に含まれるMCUが起動された状態であってよい。MCUを起動させる電力は、本体側バッテリパック40A及び外付けバッテリパック40Bのいずれかによって供給される。
【0042】
ステップS1の待機状態では、制御回路18によってバッテリパック40の電卓のチェックが実行される。一例において、制御回路18は、本体側バッテリパック40Aの電圧が正常か否かを判定する(ステップS2)。例えば、制御回路18は、本体側バッテリパック40Aの電圧を計測し、計測結果に基づいて、本体側バッテリパック40Aによってモータ3の動作が可能か否かを判定する。一例として、制御回路18は、計測された電圧から本体側バッテリパック40Aの電池残量を算出することにより、モータ3の動作が可能か否かを判定してもよい。また、制御回路18は、計測された電圧と所定の閾値とを比較することでモータ3の動作が可能か否かを判定してもよい。
【0043】
ステップS2において、本体側バッテリパック40Aの電圧が正常である、すなわち、本体側バッテリパック40Aによってモータ3を動作可能であると判定された場合、制御回路18は主電源スイッチ62が押されているか否かを判定する(ステップS3)。主電源スイッチ62が押されている場合、制御回路18は、制御回路18全体、すなわち、ヘッジトリマー1の動作に関する全てのシステムを起動させる(ステップS4)。この場合、制御回路18は、モータ3の電力供給源として本体側バッテリパック40Aを選択している。主電源スイッチ62が押されていない場合、再び、一例の制御方法は、ステップS1に戻る。
【0044】
ステップS2において、本体側バッテリパック40Aの電圧が正常ではない場合、すなわち、本体側バッテリパック40Aの電圧が低く、本体側バッテリパック40Aの電圧によってモータ3が動作できないと判定された場合、制御回路18は、外付けバッテリパック40Bの電圧が正常か否かを判定する(ステップS5)。外付けバッテリパック40Bの判定方法は、ステップS2における本体側バッテリパック40Aの判定方法と同様であってよい。
【0045】
ステップS5において、外付けバッテリパック40Bの電圧が正常でない場合、すなわち、外付けバッテリパック40Bの電圧が低く、外付けバッテリパック40Bの電圧によってモータ3が動作できないと判定された場合においては、本体側バッテリパック40A及び外付けバッテリパック40Bのいずれによってもモータ3の動作が可能ではないため、制御回路18は、待機状態を終了する。
【0046】
ステップS5において、外付けバッテリパック40Bの電圧が正常である、すなわち、外付けバッテリパック40Bによってモータ3を動作可能であると判定された場合、制御回路18は主電源スイッチ62が押されているか否かを判定する(ステップS6)。主電源スイッチ62が押されている場合、制御回路18は、制御回路18全体、すなわち、ヘッジトリマー1の動作に関する全てのシステムを起動させる(ステップS7)。この場合、制御回路18は、モータ3の電力供給源として外付けバッテリパック40Bを選択している。主電源スイッチ62が押されていない場合、再び、一例の制御方法は、ステップS1に戻る。
【0047】
続いて、制御回路18は、本体側バッテリパック40A及び外付けバッテリパック40Bが正常であるか否かの判定を行う(ステップS8)。例えば、制御回路18は、本体側バッテリパック40A及び外付けバッテリパック40Bのそれぞれについて、過負荷、過温度等の異常がないかを判定する。このような判定は、例えば、本体側バッテリパック40A及び外付けバッテリパック40Bのそれぞれの保護回路から入力される信号に基づいて実行され得る。
【0048】
ステップS8において、いずれかのバッテリパック40に異常があると判定された場合、制御回路18は動作システムを終了する。この場合、例えば作業者によって主電源スイッチ62がオフにされ、バッテリパック40の交換等が実行される。
【0049】
ステップS8において、バッテリパック40が正常であると判定された場合、制御回路18は、トリガー32からの駆動信号が入力されているかを判定する(ステップS9)。トリガー32からの駆動信号が一定の時間にわたって入力されていない場合、制御回路18は動作システムを終了する。一方、トリガー32からの駆動信号が入力されている場合、制御回路18は、モータ3の電力供給源として選択されているバッテリパック40の電圧が低くなっているかを判定する(ステップS10)。バッテリパック40の判定方法は、ステップS2における本体側バッテリパック40Aの判定方法と同様であってよい。
【0050】
ステップS10において、バッテリパック40の電圧が低くなっていないと判定された場合、すなわち、バッテリパック40にモータ3を動作させるだけの電池残量がある場合、制御回路18は、速度スイッチ63から入力されている速度に応じてモータ3を動作させる(ステップS11)。これにより、モータ3の動力を受けて上刃23および下刃25が前後方向に対称的に往復運動する。
【0051】
ステップS10において、バッテリパック40の電圧が低くなっていると判定された場合、制御回路18は、現在選択されているバッテリパック40が本体側バッテリパック40Aか否かを判定する(ステップS12)。現在選択されているバッテリパック40が本体側バッテリパック40Aであると判定された場合、制御回路18は、モータ3の電力供給源を外付けバッテリパック40Bに切り替え(ステップS13)、ステップS9に戻る。
【0052】
一方、現在選択されているバッテリパック40が外付けバッテリパック40Bであると判定された場合には、本体側バッテリパック40A及び外付けバッテリパック40Bのいずれにおいてもモータ3を動作させるだけの電池残量がないため、制御回路18は、モータ3を停止させる(ステップS14)。この場合、例えば作業者によって主電源スイッチ62がオフにされ、取り外されたバッテリパック40の充電等が実行される。
【0053】
以上説明したとおり、一例の手持式作業機は、電力により動作するモータ3を有する本体10と、本体10に設けられたバッテリ装着部12であって、モータ3に電力を供給する本体側バッテリパック40Aが装着され、本体側バッテリパック40Aに電気的に接続される接続端子13を有するバッテリ装着部12と、本体10に設けられたケーブル装着部37であって、モータ3に電力を供給する外付けバッテリパック40Bに電気的に接続された電気ケーブル51が電気的に接続される接続端子38を有するケーブル装着部37と、を備える。
【0054】
上記の手持作業機では、本体側バッテリパック40Aと外付けバッテリパック40Bとによってモータ3に電力が供給されるため、バッテリパックを一つのみ備える場合に比べて、例えば手持式作業機を長時間にわたって駆動できる。外付けバッテリパック40Bは本体10に装着されることなく、電気ケーブル51を介してケーブル装着部37の接続端子38に接続されるので、作業者が手持作業機を使用する際に、本体10に対して外付けバッテリパック40Bの重量が加わることがない。したがって、複数のバッテリパックの使用に際し、手持式作業機の重量の増加を抑制できる。
【0055】
一例の接続端子13と接続端子38とは、モータ3に対して電気的に並列に接続され得る。この構成では、本体側バッテリパック40Aと外付けバッテリパック40Bとのいずれか一方のみが接続された状態であっても、手持式作業機を動作させることができる。
【0056】
一例の手持式作業機は、本体側バッテリパック40Aからの電力と外付けバッテリパック40Bからの電力とを選択的に切り替えてモータ3に供給する制御回路18をさらに備え得る。この構成では、本体側バッテリパック40Aと外付けバッテリパック40Bとの両方が接続された状態で、いずれか一方のバッテリパックから電力の供給が可能となる。
【0057】
一例の制御回路18は、接続端子13から供給される電力が所定の閾値以下になっているときに、接続端子38を介してモータ3に電力を供給し得る。この構成では、接続端子13及び接続端子38に本体側バッテリパック40A及び外付けバッテリパック40Bがそれぞれ接続されている状態で、本体側バッテリパック40Aの電力から先に消費されることになる。
【0058】
一例の制御回路18は、本体側バッテリパック40Aが接続端子13に電気的に接続され、外付けバッテリパック40Bが接続端子38に電気的に接続された状態において、本体側バッテリパック40Aの電力が実質的に全て消費されたあとに、外付けバッテリパック40Bからモータ3への電力の供給を開始し得る。この構成では、本体側バッテリパック40Aの電力から先に消費されることになるので、本体側バッテリパック40Aの電力が実質的に全て消費されたあとに、本体側バッテリパック40Aを本体10から取り外した状態で手持式作業機を動作させることができる。
【0059】
一例の本体10は、モータ3が収容されている本体ケース11を有し、バッテリ装着部12は、本体側バッテリパック40Aを本体ケース11の内側に収容するために本体ケース11に設けられた開口12aを含み、本体ケース11は、開口12aを開閉可能なカバー14を有し得る。この構成では、本体側バッテリパック40Aが装着されていない場合であっても、バッテリ装着部12の接続端子13が本体10の外部に露出することが抑制される。
【0060】
一例の手持式作業機は、互いに離間して本体10に設けられたフロントハンドル15とリヤハンドル30とをさらに備え、バッテリ装着部12は、フロントハンドル15とリヤハンドル30との間の位置に設けられ得る。この構成では、使用者は、本体側バッテリパック40Aの重量を両手で略均等に支えることができる。
【0061】
接続端子38は、本体10が底面を下にして水平面に載置された状態において、リヤハンドル30の直下に設けられていてよい。例えば、接続端子38は、リヤハンドル30の後端部など、他の箇所に設けられてもよいが、その場合には、接触等により接続端子38が損傷されやすくなる。上記の構成では、接続端子38の直上に配置されたリヤハンドル30によって接続端子38が保護され得る。
【0062】
接続端子38は、本体10が底面を下にして水平面に載置された状態において、本体10側である基端から先端に向かって上向きになるように傾斜していてよい。この構成では、本体10が地面等に載置された状態において、接続端子38に接続された電気ケーブル51が地面等に接触して損傷することが抑制される。
【0063】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の具体的形態は上記の例に限定されない。例えば、上記実施形態ではヘッジトリマを例に挙げて説明したが、ヘッジトリマとは違う他の手持式作業機に、本発明が適応されてもよい。本発明は、電気を動力とするモータ等の駆動源を含み、使用者に持たれた状態で使用される作業機であれば適用可能であり、例えば、チェーンソー、刈払機、ブロワ等に本発明が適用されてもよい。
【符号の説明】
【0064】
1…ヘッジトリマー(手持式作業機)、10…本体、11…本体ケース、12…バッテリ装着部、12a…開口、13…接続端子(第1の接続端子)、14…カバー(蓋体)、18…制御回路、15…フロントハンドル(第1の把持部)、30…リヤハンドル(第2の把持部)、37…ケーブル装着部、38…接続端子(第2の接続端子)、40A…本体側バッテリパック(第1のバッテリパック)、40B…外付けバッテリパック(第2のバッテリパック)、51…電気ケーブル(ケーブル)。