(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-13
(45)【発行日】2024-12-23
(54)【発明の名称】交通流計測装置、交通流計測方法及び交通流計測プログラム
(51)【国際特許分類】
G07C 9/00 20200101AFI20241216BHJP
B66B 3/00 20060101ALI20241216BHJP
【FI】
G07C9/00
B66B3/00 U
B66B3/00 K
B66B3/00 N
(21)【出願番号】P 2020167957
(22)【出願日】2020-10-02
【審査請求日】2023-07-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】会津 宏幸
(72)【発明者】
【氏名】中谷 博司
(72)【発明者】
【氏名】茂木 久
(72)【発明者】
【氏名】松江 清高
【審査官】小島 哲次
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-282234(JP,A)
【文献】特開2005-282235(JP,A)
【文献】特開2007-323262(JP,A)
【文献】特開2007-280083(JP,A)
【文献】特開2020-123128(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07C 9/00- 9/38
G06Q 50/16
B66B 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
個人識別情報が割り当てられた複数の人物のそれぞれが通過したビル内の複数のセキュリティゲートのそれぞれのゲート識別情報と通過時刻とを含むゲート通過情報を取得し、
前記ゲート通過情報に基づき、前記複数の人物の移動元から移動先までの区間の移動に要する移動時間を交通流情報として生成し、
それぞれの区間における最短の前記移動時間を基準値に設定し、
それぞれの区間における時間帯毎の前記移動時間の平均値を算出し、
前記基準値と前記平均値との差が所定時間を超える時間帯を混雑状態として特定する、
計測処理部を具備する交通流計測装置。
【請求項2】
前記計測処理部は、
それぞれの区間における最頻出の移動時間に対する差が所定時間を超える移動時間を前記平均値の算出から除外する、
請求項
1に記載の交通流計測装置。
【請求項3】
前記計測処理部は、
前記ゲート通過情報に基づき、前記個人識別情報のそれぞれについて最も多く通過した前記セキュリティゲートを特定し、前記特定したセキュリティゲートに基づき、前記人物と関連の高い前記ビル内の場所を推定する請求項
1又は2に記載の交通流計測装置。
【請求項4】
前記セキュリティゲートとの前記ゲート通過情報の通信を前記ビル内のローカル環境で行うように構成されたローカル通信モジュールをさらに具備する請求項1乃至
3の何れか1項に記載の交通流計測装置。
【請求項5】
前記ビルの外の機器との前記交通流情報の通信を公衆ネットワークで行うように構成されたグローバル通信モジュールをさらに具備する請求項1乃至
4の何れか1項に記載の交通流計測装置。
【請求項6】
交通流計測装置の計測処理部が、個人識別情報が割り当てられた複数の人物のそれぞれが通過したビル内の複数のセキュリティゲートのそれぞれのゲート識別情報と通過時刻とを含むゲート通過情報を取得することと、
前記計測処理部が、前記ゲート通過情報に基づき、前記複数の人物の移動元から移動先までの区間の移動に要する移動時間を交通流情報として生成することと、
前記計測処理部が、それぞれの区間における最短の前記移動時間を基準値に設定することと、
前記計測処理部が、それぞれの区間における時間帯毎の前記移動時間の平均値を算出することと、
前記計測処理部が、前記基準値と前記平均値との差が所定時間を超える時間帯を混雑状態として特定することと、
を具備する交通流計測方法。
【請求項7】
個人識別情報が割り当てられた複数の人物のそれぞれが通過したビル内の複数のセキュリティゲートのそれぞれのゲート識別情報と通過時刻とを含むゲート通過情報を取得することと、
前記ゲート通過情報に基づき、前記複数の人物の移動元から移動先までの区間の移動に要する移動時間を交通流情報として生成することと、
それぞれの区間における最短の前記移動時間を基準値に設定することと、
それぞれの区間における時間帯毎の前記移動時間の平均値を算出することと、
前記基準値と前記平均値との差が所定時間を超える時間帯を混雑状態として特定することと、
をプロセッサに実行させるための交通流計測プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、交通流計測装置、交通流計測方法及び交通流計測プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
オフィスビル等の館内の人の流れを表す館内交通流の情報は、館内の各種の管理をしたり、館内の各種のサービスを提供したりするために用いられ得る。オフィスビル等にはセキュリティゲートが設けられていることが多い。セキュリティゲートの通過情報は、館内交通流の情報を得るために有用な情報となり得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、セキュリティゲートの通過情報を利用して館内交通流の情報を得ることが可能な交通流計測装置、交通流計測方法及び交通流計測プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態において、交通流計測装置は、計測処理部を備える。計測処理部は、個人識別情報が割り当てられた複数の人物のそれぞれが通過したビル内の複数のセキュリティゲートのそれぞれのゲート識別情報と通過時刻とを含むゲート通過情報を取得する。計測処理部は、ゲート通過情報に基づき、複数の人物の移動元から移動先までの区間の移動に要する移動時間を交通流情報として生成する。計測処理部は、それぞれの区間における最短の移動時間を基準値に設定する。計測処理部は、それぞれの区間における時間帯毎の移動時間の平均値を算出する。計測処理部は、基準値と平均値との差が所定時間を超える時間帯を混雑状態として特定する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る交通流計測システムの一例の概要を示す図である。
【
図2】
図2は、交通流計測装置の一例の構成を示す図である。
【
図3】
図3は、ゲート通過情報の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、交通流計測装置の動作を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、データ変換処理の一例について示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、データ分析処理の一例について示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、予測処理部による交通流情報の予測の概念を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照しながら実施形態を説明する。
図1は、一実施形態に係る交通流計測システムの一例の概要を示す図である。交通流計測システム1は、例えばオフィスビルの館内の人の流れを計測するシステムである。したがって、交通流計測システム1は、ビルBの中に設けられている。交通流計測システム1は、交通流計測装置10と、セキュリティゲート20-1、20-2、…、20―nとを有している。交通流計測装置10と、セキュリティゲート20-1、20-2、…、20―nとは、ビルBの中に構築されたローカルなネットワーク環境を用いて通信する。また、交通流計測装置10は、ビルBの外に構築された公衆ネットワークNWを用いてクラウドサーバ30とも通信し得る。
【0008】
実施形態においては、人物Pがセキュリティゲート20-1、20-2、…、20-nの何れかを通過する毎にセキュリティゲート20-1、20-2、…、20-nにおいてゲート通過情報が取得される。ゲート通過情報は、個人識別情報と、ゲート識別情報と、ゲート名称と、通過時刻と、事象とを含む。個人識別情報は、セキュリティゲートを通過した人物Pを識別するための情報であり、例えば人物Pに割り当てられたIDである。セキュリティゲートがカード認証式である場合、個人識別情報はカードに割り当てられたIDであってもよい。ゲート識別情報は、セキュリティゲート20-1、20-2、…、20-nを識別するための情報であり、例えばセキュリティゲート20-1、20-2、…、20-nのそれぞれに割り当てられたゲート番号である。ゲート名称は、対応するセキュリティゲートの名称である。通過時刻は、人物Pがゲートを通過した時刻である。通過時刻は、人物Pの認証が行われた時刻であってもよい。事象は、セキュリティゲートの通過が入室(入館)のためのものであるのか、退室(退館)のためのものであるのかを示す情報である。「事象」は、セキュリティゲートの入室側で認証がされたか、退室側で認証されたかによって取得される情報である。
【0009】
図1の例では、人物Pは、ビルBの入り口から入館するときにセキュリティゲート20-1を通過し、その後にエレベータEVで2階に上がって部屋Rに入室するときにセキュリティゲート20-2を通過する。この場合、セキュリティゲート20-1とセキュリティゲート20-2のそれぞれでゲート通過情報が取得される。セキュリティゲート20-1とセキュリティゲート20-2とは、ゲート通過情報を交通流計測装置10に送信する。
【0010】
交通流計測装置10は、人物Pが先に通過したセキュリティゲート20-1、すなわちビルBの入り口を人物Pの移動元として、また、人物Pが後に通過したセキュリティゲート20-2、すなわち部屋Rを人物Pの移動先として特定する。そして、交通流計測装置10は、移動元から移動先までに要した移動時間をセキュリティゲートの通過時刻の差から算出する。例えば、移動元であるセキュリティゲート20-1の通過時刻をT0とし、移動先であるセキュリティゲート20-2の通過時刻をT1としたとき、移動時間TはT1-T0になる。つまり、人物Pは、ビルBの入り口から部屋Rまで移動時間Tをかけて移動したことになる。このような移動元と移動先との関係を表す情報、移動元から移動先までの区間の移動時間の情報を多数の人物について集計することで、ビルBの中の交通流が計測され得る。
【0011】
交通流計測システム1についてさらに説明する。
図2は、交通流計測装置10の一例の構成を示す図である。交通流計測装置10は、例えばコンピュータによって構成される。
図2に示すように、交通流計測装置10は、プロセッサ11と、ROM(Read Only Memory)12と、RAM(Random Access Memory)13と、ストレージ14と、ローカル通信モジュール15と、グローバル通信モジュール16とを有している。ここで、交通流計測装置10は、
図2で示した以外の要素を有していてもよい。例えば、交通流計測装置10は、ディスプレイ、操作インターフェイスといった要素を有していてもよい。
【0012】
プロセッサ11は、例えばCPU(Central Processing Unit)であり、交通流計測装置10の動作を制御する。プロセッサ11は、必ずしもCPUである必要はない。プロセッサ11は、MPU(Micro Processing Unit)、GPU(Graphical `Processing Unit)等であってもよい。また、プロセッサ11は、ASIC(Application Specific IC)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等であってもよい。さらに、プロセッサ11は、単独のCPU等である必要はなく、複数のCPU等で構成されていてもよい。実施形態のプロセッサ11は、例えばストレージに記憶された交通流計測プログラムを実行することによって計測処理部111及び予測処理部112として動作する。計測処理部111は、館内の交通流の計測に係る各種の処理を行う。また、予測処理部112は、計測処理部111によって過去に計測された館内の交通流に基づいて、未来の館内の交通流を予測する。
【0013】
ROM12は、例えばフラッシュメモリである。ROM12は、例えば交通流計測装置10の起動プログラムを記憶している。RAM13は、交通流計測装置10の各種の処理における作業メモリとして用いられ得る。
【0014】
ストレージ14は、ハードディスクドライブ(HDD)、ソリッドステートドライブ(SSD)といったストレージである。ストレージ14は、交通流計測装置10の各種の処理に用いられるプログラム及びデータを記憶している。例えば、ストレージ14は、オペレーティングシステム(OS)141と、交通流計測プログラム142と、ゲート通過情報143と、交通流情報144と、分析情報145とを記憶している。OS141は、交通流計測装置10の基本的な機能を実現するためのプログラムである。ストレージ14に格納されている各種のプログラムは、OS141の制御下で実行される。交通流計測プログラム142は、交通流の計測に係る各種の処理を実行するためのプログラムである。ゲート通過情報143は、セキュリティゲート20-1、20-2、…、20―nから取得されたゲート通過情報である。ゲート通過情報143については後で詳しく説明する。交通流情報144は、交通流計測プログラム142のデータ変換処理によって得られる交通流に係る情報である。交通流情報は、前述した移動元と移動先との関係を表す情報、移動元から移動先までの区間の移動時間の情報を含む。分析情報145は、交通流計測プログラム142のデータ分析処理によって得られる交通流情報の分析結果に係る情報である。
【0015】
図3は、ゲート通過情報143の一例を示す図である。
図3に示すように、ゲート通過情報143は、例えば「日時」、「ID」、「ゲート番号」、「ゲート名称」、「事象」の項目を含む。「日時」は、セキュリティゲートの通過があった日時であり、前述の通過時刻に相当する。「ID」は、セキュリティゲートを通過した人物を特定するための個人識別情報である。ここで、
図3の例の「ID」は、匿名化処理が施されている。匿名化処理には、例えばハッシュ関数による変換処理が用いられるがこれに限定されない。つまり、匿名化処理には、同一人物のIDに対して同一の変換結果が得られる方式であれば任意の方式が用いられ得る。例えば、
図3のNo.2、No8及びNo.9の「ID」は、同じ値を有している。この場合、No.2、No.8及びNo.9については同じ人物がセキュリティゲートを通過していることを意味している。「ゲート番号」は、セキュリティゲートのそれぞれに割り当てられた一意の番号であり、ゲート識別情報に相当する。「ゲート名称」は、セキュリティゲートのそれぞれの名称である。「事象」は、セキュリティゲートの通過が入室のための通過であるのか、退室のための通過であるのかを示す情報である。
【0016】
ここで、
図2では、ゲート通過情報143と、交通流情報144と、分析情報145とは、交通流計測装置10のストレージ14に記憶されるものとされている。これに対し、ゲート通過情報143と、交通流情報144と、分析情報145とは、交通流計測装置10とは別のストレージに記憶されてもよい。この場合、交通流計測装置10は、必要に応じてこの別のストレージからゲート通過情報143と、交通流情報144と、分析情報145とを取得する。この場合の通信には、ローカル通信モジュール15が用いられる。
【0017】
ローカル通信モジュール15は、セキュリティゲート20-1、20-2、…、20―nとの通信に用いられる通信モジュールである。ローカル通信モジュール15は、例えばIEEE802.3規格に準拠した有線LANモジュールである。ローカル通信モジュール15は、ビルBの中で閉じられたローカル環境での通信に対応した通信モジュールであれば、限定されない。例えば、ローカル通信モジュール15は、IEEE802.11規格に準拠した無線LANモジュールであってもよい。
【0018】
グローバル通信モジュール16は、クラウドサーバ30との通信に用いられる通信モジュールである。グローバル通信モジュール16は、例えば有線LANモジュールであり、ルーティングモジュールを介して公衆ネットワークNWに接続し得る。グローバル通信モジュール16は、無線LANモジュールを介して公衆ネットワークNWに接続するように構成されていてもよい。
【0019】
セキュリティゲート20-1、20-2、…、20-nは、認証を受けた人物の通過を許可する入退室管理機能を備えたn個(nは自然数)のゲートである。セキュリティゲート20-1、20-2、…、20-nは、ビルB内の各所に設置され、設置される場所に応じて各種の形態をとり得る。例えば、セキュリティゲートは、ビルBの出入り口等に設置されるフラッパー式のセキュリティゲートであってよい。また、セキュリティゲートは、例えば認証式のオートロックシステムを備えたセキュリティドアであってもよい。また、セキュリティゲート20-1、20-2、…、20-nの認証の方式は、特定の方式に限定されない。例えば、セキュリティゲート20-1、20-2、…、20-nの認証の方式は、IDカードを用いたカード認証であってよい。この他、セキュリティゲート20-1、20-2、…、20-nの認証の方式は、顔認証、指紋認証、網膜認証といった各種の生体認証であってもよい。何れの認証方式であっても、セキュリティゲート20-1、20-2、…、20―nは、認証のときに通過する人物Pの個人識別情報を取得する。そして、セキュリティゲート20-1、20-2、…、20-nは、取得した個人識別情報に、通過時刻、ゲート識別情報、事象の情報を関連付けてゲート通過情報を生成し、生成したゲート通過情報を交通流計測装置10に送信する。ここで、通過する人物Pの認証は、必ずしもセキュリティゲートにおいて行われる必要はない。例えば、通過する人物Pの認証は、セキュリティゲートと連携したサーバによって行われてもよい。
【0020】
次に、交通流計測装置10の動作を説明する。
図4は、交通流計測装置10の動作を示すフローチャートである。
図4の処理は、交通流計測装置10のプロセッサ11によって行われる。
図4の処理と並行して、セキュリティゲート20-1、20-2、…、20-nは、ゲート通過情報を交通流計測装置10に送信する。セキュリティゲート20-1、20-2、…、20-nは、人物の通過がある毎にゲート通過情報を交通流計測装置10に送信してもよいし、1時間毎、1日毎、1週間毎といったある一定期間毎にゲート通過情報を交通流計測装置10に送信してもよい。
【0021】
ステップS1において、プロセッサ11は、セキュリティゲート20-1、20-2、…、20-nの何れかからゲート通過情報が受信されたか否かを判定する。ステップS1において、ゲート通過情報が受信されたと判定されたときには、処理はステップS2に移行する。ステップS1において、ゲート通過情報が受信されていないと判定されたときには、処理はステップS4に移行する。ここで、セキュリティゲートの管理が例えばセキュリティゲートの管理装置において一括でされている場合、ゲート通過情報の送信はセキュリティゲートの管理装置によって行われてもよい。
【0022】
ステップS2において、プロセッサ11は、受信されたゲート通過情報に含まれるIDに対して匿名化処理をする。例えば、プロセッサ11は、ハッシュ関数を用いてIDをハッシュ値に変換する。ここで、IDの匿名化処理は、セキュリティゲート20-1、20-2、…、20-nにおいて行われてもよい。また、IDの匿名化処理は、セキュリティゲートの管理装置によって行われてもよい。この場合、ステップS2の処理は省略され得る。
【0023】
ステップS3において、プロセッサ11は、受信されたゲート通過情報を例えばストレージ14に記憶する。
【0024】
ステップS4において、プロセッサ11は、データ変換処理を実施するか否かを判定する。データ変換処理は、セキュリティゲート20-1、20-2、…、20-nからほぼ生のデータとして受信されるゲート通過情報をより匿名性の高い交通流情報に変換する処理である。データ変換処理は、例えば1日毎、1週間毎といった所定期間毎に実施されてもよいし、ゲート通過情報の蓄積量がある一定量に達した時点で実施されてもよいし、ビルBの管理者等からの指示を受けて実施されてもよい。ステップS4において、データ変換処理を実施すると判定されたときには、処理はステップS5に移行する。ステップS4において、データ変換処理を実施しないと判定されたときには、処理はステップS6に移行する。
【0025】
ステップS5において、プロセッサ11は、データ変換処理を実施する。その後、処理はステップS6に移行する。データ変換処理の詳細については後で説明する。
【0026】
ステップS6において、プロセッサ11は、データ分析処理を実施するか否かを判定する。データ分析処理は、データ変換処理で変換された交通流情報を用いてビルBの管理に関わる種々の分析をする処理である。データ分析処理は、例えば1日毎、1週間毎といった所定期間毎に実施されてもよいし、交通流に係るデータの蓄積量がある一定量に達した時点で実施されてもよいし、ビルBの管理者等からの指示を受けて実施されてもよい。ステップS6において、データ分析処理を実施すると判定されたときには、処理はステップS7に移行する。ステップS6において、データ分析処理を実施しないと判定されたときには、処理はステップS8に移行する。
【0027】
ステップS7において、プロセッサ11は、データ分析処理を実施する。その後、処理はステップS8に移行する。データ分析処理の詳細については後で説明する。
【0028】
ステップS8において、プロセッサ11は、データ送信を実施するか否かを判定する。データ送信は、クラウドサーバ30に各種の情報を送信する処理である。データ送信は、例えば1日毎、1週間毎といった所定期間毎に実施されてもよいし、交通流に係るデータの蓄積量又はデータ分析結果がある一定量に達した時点で実施されてもよいし、ビルBの管理者等からの指示を受けて実施されてもよい。ステップS8において、データ送信を実施すると判定されたときには、処理はステップS9に移行する。ステップS8において、データ送信を実施しないと判定されたときには、処理はステップS1に戻る。
【0029】
ステップS9において、プロセッサ11は、クラウドサーバ30へのデータ送信を実施する。その後、
図4の処理は終了する。ここで、クラウドサーバ30に送信されるデータは、交通流情報144と分析情報145の少なくとも何れかである。
【0030】
図5は、データ変換処理の一例について示すフローチャートである。ステップS101において、プロセッサ11は、例えばストレージ14に記憶されているゲート通過情報143のうちの1つのIDのゲート通過情報を抽出する。例えば
図3において、プロセッサ11は、ID「281CAA8FE9931ED32BD511AC8C9e3439」のゲート通過情報No.2、No.8及びNo.9を抽出する。
【0031】
ステップS102において、プロセッサ11は、抽出したゲート通過情報のうちの1日のうちの最終の移動元(Origin: O)と移動先(Destination: D)を抽出する。最終の移動元と移動先は、日時が最新のゲート通過情報とその1つ前のゲート通過情報である。例えば
図3において、プロセッサ11は、ゲート通過情報No.9及びNo.8を最終の移動元と移動先として抽出する。ここで、ステップS102の処理において、プロセッサ11は、抽出したゲート通過情報のうちの最初の移動元と移動先を抽出してもよい。
【0032】
ステップS103において、プロセッサ11は、移動元から移動先までの区間の移動に要する移動時間を算出する。移動元のセキュリティゲートの通過時刻をT0とし、移動先のセキュリティゲートの通過時刻をT1としたとき、移動時間TはT1-T0から算出され得る。例えば、
図3を例にすると、移動時間Tは、2(分)である。
【0033】
ステップS104において、プロセッサ11は、算出した移動時間Tと、この移動時間Tと同じ区間の最頻出の移動時間Tfとの差が所定時間以上であるか否かを判定する。ここでの同じ区間とは、移動元Oと移動先Dとが一致している区間である。なお、移動元Oと移動先Dとが入れ替わっている場合も同じ区間とみなされてよい。また、再頻出の移動時間Tfは、同一のIDについて算出された移動時間のうちの最も頻度の高い移動時間であってもよいし、複数の異なるIDについて算出された移動時間のうちの最も頻度の高い移動時間であってもよい。ステップS104において、移動時間Tと移動時間Tfとの差が所定時間以上であると判定されたときには、処理はステップS105に移行する。ステップS104において、移動時間Tと移動時間Tfとの差が所定時間以上でないと判定されたときには、処理はステップS106に移行する。
【0034】
ステップS105において、プロセッサ11は、算出した移動時間Tを、移動元Oのセキュリティゲートのゲート番号と、移動先Dのセキュリティゲートのゲート番号と、それぞれのセキュリティゲートの通過時刻とともに交通流情報144としてストレージ14に記憶する。さらに、プロセッサ11は、記憶した移動時間Tに不正確フラグを設定する。その後、処理はステップS107に移行する。
【0035】
不正確フラグは、算出した移動時間Tが人物Pの移動を正しく捉えていない可能性があることを示すフラグである。通常、同じ区間の移動であれば移動時間は同程度になると考えられる。これに対し、例えば移動の際に寄り道があり、また、寄り道の区間中にセキュリティゲートがない場合には、寄り道の分だけ移動時間は長くなる。この他、セキュリティゲートによっては所謂友連れ入室が可能なセキュリティゲートもある。友連れ入室は、他の人物による認証によって通過可能となっているタイミングでセキュリティゲートを通過することである。さらに、セキュリティゲートによっては入室の際にだけ通過が制限され、退室の際には認証不要なセキュリティゲートもある。これらの場合、セキュリティゲートが通過されているにも関わらずにゲート通過情報が得られないので、結果として移動時間は長くなる。しかしながら、これらの移動時間は人物Pの移動を正しく捉えているわけではない。したがって、このような移動時間Tは、後の分析に使用されないように不正確フラグによって管理される。
【0036】
ステップS106において、プロセッサ11は、算出した移動時間Tを、移動元Oのセキュリティゲートのゲート番号と、移動先Dのセキュリティゲートのゲート番号と、それぞれのセキュリティゲートの通過時刻とともに交通流情報144としてストレージ14に記憶する。その後、処理はステップS107に移行する。ステップS106ではプロセッサ11は、不正確フラグを設定しない。
【0037】
ステップS107において、プロセッサ11は、同一IDに対する処理を終了したか否かを判定する。例えば、最初の移動元と最初の移動先についての移動時間の算出が終了したときに同一IDに対する処理を終了したと判定される。ステップS107において、同一IDに対する処理を終了していないと判定されたとき、処理はステップS108に移行する。ステップS107において、同一IDに対する処理を終了したと判定されたとき、処理はステップS109に移行する。
【0038】
ステップS108において、プロセッサ11は、次の移動元と移動先を抽出する。その後、処理はステップS103に戻る。次の移動先は例えば前回の移動元のセキュリティゲートである。また、次の移動元は前回の移動元のさらに1つ前のセキュリティゲートである。例えば
図3において、プロセッサ11は、ゲート通過情報No.8及びNo.2を次の移動元と移動先として抽出する。
【0039】
ステップS109において、プロセッサ11は、すべてのIDに対する処理を終了したか否かを判定する。ステップS109において、すべてのIDに対する処理を終了していないと判定されたとき、処理はステップS110に移行する。ステップS109において、すべてのIDに対する処理を終了したと判定されたとき、処理はステップS111に移行する。
【0040】
ステップS110において、プロセッサ11は、例えばストレージ14に記憶されているゲート通過情報143のうちの次のIDのゲート通過情報を抽出する。その後、処理はステップS102に戻る。
【0041】
ステップS111において、プロセッサ11は、OD表を作成し、作成したOD表を交通流情報144としてストレージ14に記憶する。その後、
図5の処理は終了する。
【0042】
図6Aは、OD表の一例を示す図である。OD表は、移動元Oと移動先Dとの関係を表す表である。
図6Aでは、OD表は、フロア単位で作成されている。つまり、
図6Aは、あるデータ期間中のすべてのIDについての移動元Oのセキュリティゲートのゲート番号と、移動先Dのセキュリティゲートのゲート番号とをフロア単位で集計したものである。したがって、OD表では、個人毎の情報はなくなる。このようなフロア単位のOD表では、出発階と目的階の交通量の大小が分かる。ここで、
図6AのOD表におけるそれぞれのセルの数値は、例えばセキュリティゲートを通過した延べ人数である。セルの数値は、例えば総人数によって正規化された値であってもよい。また、OD表は、ビルBにおいて定められたエリア単位で作成されてもよいし、セキュリティゲート単位で作成されてもよい。
【0043】
さらに、OD表は、時間帯毎に作成されてもよい。例えば、オフィスビルの運用において、出勤時間帯についてのOD表が作成されれば、出勤時間帯における交通量の大小が分かる。例えば出勤時間帯において3階から他の階への人物Pの移動が多いようであれば、出勤時間帯においては予めエレベータEVを3階に呼んでおくといった制御をすることもできる。さらには、出勤時間帯では、最初の移動先Dは、その人物Pの所属部署の居室であることが多い。このことから、出勤時間帯についてのOD表が作成されれば、人物Pの所属部署等の人物Pと関連の高い移動先を推定することも行われ得る。
【0044】
さらに、OD表の拡張として、プロセッサ11は、移動時間表を作成してもよい。
図6Bは、移動時間表の一例を示している。移動時間表は、それぞれの移動元Oと移動先Dとの間の移動時間の表である。移動時間表のセルの数値は、移動時間の最小値、平均値、最頻値等であってよい。また、これらの移動時間の最小値、平均値、最頻値の表は別個に作成されてもよい。
【0045】
さらに、OD表の拡張として、プロセッサ11は、混雑度表を作成してもよい。
図6Cは、混雑度表の一例を示している。混雑度表は、それぞれの移動元Oと移動先Dの間の区間における混雑度を数値として表した表である。混雑度は、後で説明するデータ分析処理において算出され得る。
図6Cの混雑度表のセルの「0」は空いている状態を表し、「1」はやや混雑している状態を表し、「2」は混雑の状態を表している。
図6Cでは、混雑度が3段階に分けられているが、2段階に分けられてもよいし、4段階以上に分けられてもよい。
【0046】
ステップS9において、プロセッサ11は、交通流情報をクラウドサーバ30に送信する。例えば、プロセッサ11は、OD表を交通流情報としてクラウドサーバ30に送信してもよいし、OD表と移動時間表を交通流情報としてクラウドサーバ30に送信してもよいし、OD表と混雑度表を交通流情報としてクラウドサーバ30に送信してもよいし、OD表と、移動時間表と、混雑度表を交通流情報としてクラウドサーバ30に送信してもよい。ここで、交通流情報として、プロセッサ11は、
図6Dに示すような詳細な交通流情報を生成してもよい。
図6Dの詳細な交通流情報は、例えば「ID」、「No.」、「Origin通過時刻」、「Origin場所情報」、「Destination通過時刻」、「Destination場所情報」、「移動時間」、「確度情報」の項目を含む。「ID」は、OD間の移動をした人物を特定するための個人識別情報である。「ID」は、セキュリティゲートから取得されるIDであってよい。「No.」は、それぞれの交通流情報に割り当てられる一意の番号である。「Origin通過時刻」は、対応するIDの人物が移動元Oのセキュリティゲートを通過した時刻である。「Origin場所情報」は、移動元Oのセキュリティゲートのあるフロアを表す情報である。「Origin場所情報」は、移動元Oのセキュリティゲートのゲート番号等であってもよい。「Destination通過時刻」は、対応するIDの人物が移動先Dのセキュリティゲートを通過した時刻である。「Destination場所情報」は、移動先Dのセキュリティゲートのあるフロアを表す情報である。「Destination場所情報」は、移動先Dのセキュリティゲートのゲート番号等であってもよい。「移動時間」は、移動元Oと移動先Dの間の区間における移動時間である。「確度情報」は、「移動時間」の確度の情報であり、例えば前述の不正確フラグである。算出した移動時間が人物の移動を正しく捉えていない程度が数値化できるのであれば、「確度情報」はその数値であってもよい。プロセッサ11は、ステップS9において詳細な交通流情報のデータ送信を実施する際に、
図6Dの交通流情報から「ID」を削除し、残りの太枠部分の情報のみの交通流情報を送信してもよい。これにより、個人情報が無くなった状態の交通流情報がクラウドサーバ30に送信され得る。
【0047】
ここで、例えば、オフィスビルにおける人物Pの1日の移動を考えた場合、人物Pは例えばビルBに入館するためにビルBの入口に設置されたセキュリティゲートを通過し、自分の所属部署の部屋に入るためにセキュリティゲートを通過し、1日の終わりにビルBから退館するためにビルBの出口に設置されたセキュリティゲートを通過する。このため、最終の移動先のゲート通過情報は、通常、ビルBからの退館を示すビルBの出口に設置されたセキュリティゲートのゲート通過情報であり、その事象は「退室」になる。同様に、最初の移動元のゲート通過情報は、通常、ビルBへの入館を示すビルBの入口に設置されたセキュリティゲートのゲート通過情報であり、その事象は「入室」になる。しかしながら、ビルBの構造によっては、セキュリティゲートを通過せずに退館又は入館できてしまう場合がある。この場合、人物Pは実際には退館しているにもかかわらずにゲート通過情報の上では在館していることになったり、入館の記録がないにもかかわらずにゲート通過情報の上では在館していることになったりしてしまう。最終の移動先のゲート通過情報がビルBの出口に設置されたセキュリティゲートの「退室」でないときには、ある時刻を以て最終の移動先のゲート通過情報がビルBの出口に設置されたセキュリティゲートの「退室」に切り替えられてもよい。この時刻は、例えば午前4時である。実際にはこの時刻はビルBの運用に応じて決められてよい。また、最初の移動元のゲート通過情報がビルBの入口に設置されたセキュリティゲートの「入室」でないにも関わらずに、その後にもゲート通過情報が得られているときには人物PはビルBに在館しているとみなされてよい。
【0048】
図7は、データ分析処理の一例について示すフローチャートである。ステップS201において、プロセッサ11は、例えばストレージ14に記憶されているそれぞれのOD間の移動時間のうちの最短時間T
MINを抽出する。最短時間T
MINは、OD間を最短経路でかつエレベータEVにおける待ち時間も殆どなく移動できたときの移動時間であると考えることができる。この最短時間T
MINは、混雑時間帯の分析に用いられる。なお、ステップS201においては、フロア単位又はエリア単位のODについて最短時間T
MINが抽出されてもよい。
【0049】
ステップS202において、プロセッサ11は、抽出した最短時間TMINが外れ値でないか否かを判定する。例えば、対応するOD間の移動時間の平均値に対する最短時間TMINの偏差が所定値以内であるときには抽出した最短時間TMINが外れ値でないと判定される。平均値に代えて中央値等の他の統計値が用いられてもよい。ステップS202において、抽出した最短時間TMINが外れ値であると判定されたときには、処理はステップS203に移行する。ステップS202において、抽出した最短時間TMINが外れ値でないと判定されたときには、処理はステップS204に移行する。
【0050】
ステップS203において、プロセッサ11は、対応するOD間の移動時間のうちで次に短い移動時間を最短時間TMINとして抽出する。その後、処理はステップS202に戻る。
【0051】
ステップS204において、プロセッサ11は、最短時間TMINを基準値に設定する。
【0052】
ステップS205において、プロセッサ11は、時間帯毎のそれぞれのOD間の移動時間の平均値を算出する。時間帯は、適宜に決められてよい。例えば、時間帯は、出勤時間帯(8:00-9:00)、退勤時間帯(17:00-20:00)、その他(9:00-12:00、13:00-17:00、20:00-28:00)といったように決められてよい。ここで、プロセッサ11は、不正確フラグが設定されている移動時間については平均値の算出に使用しない。ステップS205においても中央値等の各種の統計値が用いられてよい。
【0053】
ステップS206において、プロセッサ11は、時間帯毎の平均値と対応するOD間の基準値とを比較し、基準値よりも所定時間以上長い平均値を有する時間帯があるか否かを判定する。ステップS206において、基準値よりも長い平均値を有する時間帯があると判定されたときには、処理はステップS207に移行する。ステップS206において、基準値よりも長い平均値を有する時間帯がないと判定されたときには、処理はステップS208に移行する。
【0054】
ステップS207において、プロセッサ11は、該当する時間帯について混雑時間帯フラグを設定してストレージ14に記憶する。混雑時間帯フラグは、該当の時間帯においてエレベータEV等が混雑していることを示すフラグである。つまり、平均値が基準値よりも長いことは、本来であれば基準値、すなわち最短時間TMIN程度でOD間の移動ができるところ、何らかの理由によって移動時間の平均値が長くなってしまっていることを意味する。寄り道等による移動時間の平均値に与える影響は、前述の不正確フラグによって除外されている。したがって、移動時間の増加は、エレベータEV等の混雑による影響が主であると考えることができる。
【0055】
ステップS208において、プロセッサ11は、一定期間の間で、最も多く通過されたセキュリティゲートのゲート番号及びそのセキュリティゲートが設置されているフロア又はエリアの情報をID毎に抽出する。ステップS209において、プロセッサ11は、一定期間の間で、ID毎に最も朝早くに最も多く通過されたセキュリティゲートのゲート番号及びそのセキュリティゲートが設置されているフロア又はエリアの情報をID毎に抽出する。ここで、一定期間は、半期、四半期、1月毎、直近m月毎といった期間であってよい。また、ステップS208及びステップS209の抽出の対象からは、ビルBの出入口のセキュリティゲートは除外される。
【0056】
ステップS210において、プロセッサ11は、最も多く通過されたセキュリティゲートのゲート番号及びそのセキュリティゲートが設置されているフロア又はエリアの情報と最も朝早くに最も多く通過されたセキュリティゲートのゲート番号及びそのセキュリティゲートが設置されているフロア又はエリアの情報から、対応する個人IDを有する人物Pの所属部署を推定する。実施形態では、ID毎のODも得られるので、対応するIDの人物の移動元又は移動先に最も多くなっているセキュリティゲート、すなわち場所が特定される。この場所は、そのIDの人物にとって関連の高い場所と言える。例えば、オフィスビルの場合、人物Pにとって関連の高い場所は人物Pの所属部署の居室である。そして、人物Pは居室の近くのセキュリティゲートを最も多く通過すると推定される。したがって、最も多く通過されたセキュリティゲートのゲート番号と最も朝早くに最も多く通過されたセキュリティゲートのゲート番号から対応する個人IDを有する人物Pの所属部署が推定され得る。ここで、最も多く通過されたセキュリティゲートのゲート番号と最も朝早くに最も多く通過されたセキュリティゲートのゲート番号とは必ずしも一致しない。一致しない場合に何れの結果を優先するかは、適宜に決められてよい。また、人物Pの所属部署の情報を他のシステムから取得する、手動で入力するといった別の方法で取得できるのであれば、ステップS208-S209の処理は省略され得る。
【0057】
ここで、人物Pの所属部署の情報は、前述した移動元及び移動先の抽出にも利用され得る。前述したように、友連れ入室が可能なセキュリティゲートや退室の際の認証不要なセキュリティゲートの場合、セキュリティゲートが通過されているにも関わらずにゲート通過情報が得られない。このような場合の移動元及び移動先として人物Pの所属部署の居室に最も近いセキュリティゲートが設定されてもよい。この場合の通過時刻は、例えば同じ区間の移動時間の平均値等から逆算されてよい。
【0058】
ステップS211において、プロセッサ11は、混雑時間帯の情報とID毎の所属部署の情報とを含む分析情報145を生成し、生成した分析情報145をストレージ14に記憶する。その後、
図7の処理は終了する。
【0059】
ここで、
図7の分析処理は一例である。実施形態で生成された交通流情報144を用いて種々の分析が行われ得る。例えば、交通流情報144を用いて時間帯毎のビルBの在館人数が特定され得る。また、在館人数は、ビル全体ではなく、フロア毎、エリア毎といった単位でも特定され得る。
【0060】
図8は、予測処理部112による交通流情報の予測の概念を示す図である。
図8に示すように、予測処理部112には、過去の交通流情報に加えて、例えばカレンダー情報と、気象情報と、イベント情報が入力される。過去の交通流情報は、前述した変換処理によって生成されてストレージ14に記憶される交通流情報144である。カレンダー情報は、年月日、曜日、祝日といったカレンダーの情報である。気象情報は、カレンダー情報と連動した各日の気象の情報である。イベント情報は、カレンダー情報と連動した各日のイベントの有無及びイベント内容の情報である。予測処理部112は、過去の交通流情報と、カレンダー情報と、気象情報と、イベント情報との関連を学習する。学習は、機械学習やディープニューラルネットワーク等を用いて行われ得る。そして、学習済みの予測処理部112は、カレンダー情報と、気象情報と、イベント情報との入力に対し、未来の所定の日時の交通流情報を出力する。
【0061】
以上説明したように実施形態によればビル内に複数設置されたセキュリティゲートを人物が通過した際のゲート通過情報に基づいて区間の移動時間及びOD表といった交通流情報が生成される。つまり、生のデータに基づいて交通流情報が生成されるので、交通流情報の生成の精度が維持される。
【0062】
また、交通流情報及びそれに基づく分析情報は、それぞれのセキュリティゲートのゲート通過情報を集計したものである。この集計の段階で個人単位の情報はなくなる。このため、個人情報の保護も図られる。交通流情報及び分析情報をクラウドサーバに出力することで、これらの情報が柔軟に活用され得る。
【0063】
[変形例]
次に実施形態の変形例を説明する。実施形態ではセキュリティゲートを通過した際のゲート通過情報を用いて交通流情報が生成される。これに加えて、人物Pがビーコン端末を保有していれば、このビーコン端末によって特定される人物Pの位置情報がさらに考慮されて交通流情報が生成され得る。また、ビーコン端末によって特定される人物Pの位置情報は、予測処理部112による予測の際の教師情報としても用いられ得る。
【0064】
また、実施形態ではビルB内のセキュリティゲートを通過した際のゲート通過情報を用いて交通流情報が生成されるとしている。これに対し、実施形態の技術は、店舗の出入り口に設けられたセキュリティゲート等に対しても適用され得る。
【0065】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0066】
1 交通流計測システム、10 交通流計測装置、11 プロセッサ、12 ROM、13 RAM、14 ストレージ、15 ローカル通信モジュール、16 グローバル通信モジュール、20-1,20-2,…,20-n セキュリティゲート、30 クラウドサーバ、111 計測処理部、112 予測処理部、141…オペレーティングシステム(OS)、142 交通流計測プログラム、143 ゲート通過情報、144 交通流情報、145 分析情報。