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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-13
(45)【発行日】2024-12-23
(54)【発明の名称】コネクタ組立体
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/639 20060101AFI20241216BHJP
【FI】
H01R13/639 Z
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020178847
(22)【出願日】2020-10-26
(65)【公開番号】P2022069904
(43)【公開日】2022-05-12
【審査請求日】2023-04-05
(73)【特許権者】
【識別番号】591043064
【氏名又は名称】モレックス エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】弁理士法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村上 海
(72)【発明者】
【氏名】牧野 公保
【審査官】濱田 莉菜子
(56)【参考文献】
【文献】実開平04-029179(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2009/0246992(US,A1)
【文献】特開2017-091805(JP,A)
【文献】特開2011-198517(JP,A)
【文献】特開平08-148221(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/56-13/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の方向で並んでいる複数の端子と、前記複数の端子を取り囲むフレームと、を有している第1コネクタと、
前記第1の方向で並んでいる複数の端子を有し、第2の方向で前記第1コネクタに接続し、前記フレームの内側に配置される第2コネクタと
を有し、
前記第2コネクタは、前記フレームに係合するロック位置と、前記フレームとの係合が解除されるアンロック位置との間で移動可能なロックレバーを有し、
前記ロックレバーは第1被係合部と第2被係合部とを有し、
前記フレームは第1係合部と第2係合部とを有し、
前記第1係合部は、前記ロックレバーが前記ロック位置にあるロック状態において前記第1被係合部と係合し前記第1コネクタと前記第2コネクタが第2の方向で分離するのを規制し、
前記ロックレバーと前記フレームうちの一方は、前記第1の方向において弾性変形可能である弾性部を有し、
前記弾性部は前記第2被係合部と前記第2係合部のうちの一方を有し、前記ロック状態において前記第1の方向で弾性変形し前記一方を前記第2被係合部と前記第2係合部のうちの他方に接触させており、
前記第1被係合部と前記第1係合部のうちの一方は前記第1の方向に折り曲げられた部分であり、
前記第1被係合部と前記第1係合部のうちの前記一方は前記第1の方向に対して交差する方向に向いている縁を有し、
前記第1被係合部と前記第1係合部のうちの前記一方の前記縁は前記第1被係合部と前記第1係合部のうちの他方に当たる
コネクタ組立体。
【請求項2】
前記ロック状態において、前記第1被係合部と前記第2被係合部のうちの一方は、前記第1被係合部と前記第2被係合部のうちの他方から、前記第1の方向と前記第2の方向の双方に交差する方向における一方側に向けて離れており、
前記第2コネクタは、前記第2コネクタに接続されているケーブルを保持している保持部を有するハウジングを有し、
前記保持部は、前記ハウジングにおける前記一方側に位置している
請求項に記載されるコネクタ組立体。
【請求項3】
前記ケーブルは前記第2の方向に対して傾斜している方向に前記第2コネクタから延びており、
前記ロックレバーは前記第1の方向に延びている延伸部を有し、
前記延伸部は、前記ロックレバーが前記アンロック位置にあるとき前記第2コネクタに対して前記第2の方向に位置している
請求項に記載されるコネクタ組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、2つのコネクタの分離を規制するロックレバーを有するコネクタ組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1で開示されるコネクタ組立体では、一方のコネクタが左右方向に延びている軸線を中心として回転可能なレバーを有している。レバーはその前端に係合爪71を有している。この係合爪71は他方のコネクタに形成されている係合突起73に係合可能である。2つのコネクタの分離が係合爪71と係合突起73の係合によって阻止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5135173号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、レバーの軸線に沿った方向での2つのコネクタの相対位置が、コネクタが搭載される装置の僅かな振動に起因して変化してしまうと、コネクタを通して伝送される信号にノイズや瞬断等が生じる可能性があり、結果として、信号の信頼性が低下する。特に、信号が高周波である場合に、そのような問題が顕著となる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示で提案するコネクタ組立体は、第1の方向で並んでいる複数の端子と、前記複数の端子を取り囲むフレームと、を有している第1コネクタと、前記第1の方向で並んでいる複数の端子を有し、第2の方向で前記第1コネクタに接続し、前記フレームの内側に配置される第2コネクタとを有している。前記第2コネクタは、前記フレームに係合するロック位置と、前記フレームとの係合が解除されるアンロック位置との間で移動可能なロックレバーを有している。前記ロックレバーは第1被係合部と第2被係合部とを有している。前記フレームは第1係合部と第2係合部とを有している。前記第1係合部は、前記ロックレバーが前記ロック位置にあるロック状態において前記第1被係合部と係合し前記第1コネクタと前記第2コネクタが第2の方向で分離するのを規制している。前記ロックレバーと前記フレームうちの一方は、前記第1の方向において弾性変形可能である弾性部を有している。前記弾性部は前記第2被係合部と前記第2係合部のうちの一方を有し、前記ロック状態において前記第1の方向で弾性変形し前記一方を前記第2被係合部と前記第2係合部のうちの他方に接触させている。
【発明の効果】
【0006】
このコネクタ組立体によると、コネクタ組立体が搭載される装置の僅かな振動に起因して2つのコネクタの相対位置が変化することを、抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本開示で提案するコネクタ組立体の一例を示す斜視図である。
図2】本開示で提案するコネクタ組立体の分解図である。
図3】コネクタ組立体を構成する第1コネクタの分解斜視図である。
図4】第1コネクタの内側を示す斜視図である。
図5】コネクタ組立体の平面図である。この図において、ロックレバーはアンロック位置に配置されている。
図6図5で示すVI-VI線で得られる第2コネクタの断面図である。
図7図5で示すVI-VI線で得られる第1コネクタの断面図である。
図8】上下方向で離れている第1コネクタと第2コネクタの側面図である。
図9A】接続する過程にある第1コネクタと第2コネクタの側面図である。
図9B図9Aで示す状態での第1コネクタと第2コネクタの断面図である。切断面は図6と同じである。
図10A】ロック状態における第1コネクタと第2コネクタの側面図である。
図10B図10Aで示す状態での第1コネクタと第2コネクタの断面図である。切断面は図6と同じである。
図10C図10Aで示すXc-Xc線で得られるコネクタ組立体の断面図である。
図11A図10Aで示すXIa-XIa線で得られる断面図である。
図11B図10Aで示す領域XIbの拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示で提案するコネクタ組立体の例について説明する。以下では、図1で示すX1方向及びX2方向をそれぞれ右方及び左方と称し、図1で示すY1方向及びY2方向をそれぞれ前方及び後方と称し、図1で示すZ1方向及びZ2方向をそれぞれ上方及び下方と称する。また、X1-X2の方向は左右方向、或いは後述するロックレバー70の「軸線Axに沿った方向」と称する。左右方向は、後述する端子11・12・51・52が並んでいる方向である。これらの方向は、コネクタの各部の相対的な位置関係を説明するために使用されており、他の装置に搭載されている時のコネクタの姿勢を限定するものではない。
【0009】
[概要]
コネクタ組立体1は、図2で示すように、第1コネクタC1と第2コネクタC2とを有している。第1コネクタC1は、例えば回路基板(不図示)に実装されるコネクタである。第1コネクタC1は、図3で示すように、左右方向で並んでいる複数の端子11・12と、端子11・12を取り囲むフレーム20と、フレーム20の内側に配置され端子11・12を保持している第1ハウジング30とを有してよい。第1ハウジング30はフレーム20に取り付けられてよい(図4参照)。第2コネクタC2は左右方向で並んでいる複数の端子51・52(図6参照)を有している。第2コネクタC2は、例えば複数のケーブル91・92の端部に設けられるコネクタである。端子51・52は複数のケーブル91・92の端部にそれぞれ接続されていてよい。第2コネクタC2は、端子51・52を保持している第2ハウジング60(図2参照)と、第2ハウジング60に取り付けられているロックレバー70(図2参照)とを有してよい。コネクタ組立体1とは異なり、第1コネクタC1と第2コネクタC2の双方が、ケーブルの端部に設けられるコネクタであってもよい。
【0010】
第1コネクタC1と第2コネクタC2は上下方向において接続・分離が可能であってよい。フレーム20は上方に開口している箱状である。図1で示すように、第1コネクタC1と第2コネクタC2とが接続しているとき(すなわち、コネクタC1・C2が後述するロック状態にあるとき)、第2コネクタC2は第1コネクタC1のフレーム20の内側に配置される。第1コネクタC1に対する第2コネクタC2の相対位置の変化が、フレーム20によって制限される。例えば、第1コネクタC1の第1ハウジング30に対して第2コネクタC2が前方(或いは後方)に傾斜することが、フレーム20によって制限される。フレーム20の機能については、後において詳説する。
【0011】
[第2コネクタの概要]
図6で示すように、第2コネクタC2は、左右方向で並んでいる複数の前端子51と、左右方向で並んでいる複数の後端子52とを有してよい。前端子51はケーブル91の端部に接続され、ケーブル91の端部から下方に延びてよい。後端子52はケーブル92の端部に接続され、ケーブル92の端部から下方に延びてよい。ケーブル91は前端子51の上部から後方に延びてよい。そして、ケーブル91は後方且つ上方に曲がり、第2コネクタC2の後側から斜め後方且つ上方に延びてよい。ケーブル91と同様、ケーブル92は後端子52の上部から後方に延びてよい。そして、ケーブル92は後方且つ上方に曲がり、第2コネクタC2の後側から斜め後方且つ上方に延びてよい。
【0012】
ケーブル91・92がこのように第2コネクタC2から斜め上方に延びているために、複数のコネクタ組立体1を前後方向で並べて回路基板に実装する場合に、隣り合うコネクタ組立体1の間隔を低減できる。すなわち、複数のコネクタ組立体1の配置密度を増すことができる。また、第2コネクタC2の上側にスペースが確保されるので、後述するロックレバー70の可動範囲をそのスペースを利用して増すことができる。
【0013】
図6で示すように、第2ハウジング60は、端子51・52とケーブル91・92との接続部分(端子51・52の上部)を収容している。第2ハウジング60は、その下部に、嵌合凹部62aを有している。嵌合凹部62aは下方に開口している。第1コネクタC1と第2コネクタC2とが接続している状態では、この嵌合凹部62aの内側に第1ハウジング30が嵌まる(図10B参照)。端子51・52の下部はこの嵌合凹部62aの内側で露出しており、第1コネクタC1の後述する端子11・12とそれぞれ接触する。
【0014】
図6で示すように、第2ハウジング60は、その上部を構成し端子51・52の上側を覆うハウジング上部61と、その下部を構成し嵌合凹部62aを有しているハウジング下部62とを有してよい。また、第2ハウジング60は、その後部を構成しケーブル91・92を保持するハウジング後部(保持部)63を有してよい。ハウジング後部63はケーブル91・92とともにインサート成形されていてよい。すなわち、ハウジング後部63の成形工程において、ケーブル91・92の一部を金型内部に配置している状態でハウジング後部63の樹脂材料を金型内部に注入し、ハウジング後部63を成形してよい。この構造によると、ケーブル91・92の保持を強固にできる。
【0015】
上述したように、ケーブル91・92は後方且つ上方に曲がり、第2コネクタC2のハウジング後部63から斜め後方且つ上方に延びている。ハウジング後部63は、ケーブル91・92の屈曲部を保持していてよい。このハウジング後部63によると、ケーブル91・92の延伸方向を固定でき、複数のコネクタ組立体1の配置密度を増すことができる。
【0016】
[第1コネクタの概要]
図4で示すように、第1コネクタC1は、第1ハウジング30によって保持され且つ左右方向で並んでいる複数の前端子11と、第1ハウジング30によって保持され且つ左右方向で並んでいる複数の後端子12とを有してよい。図7で示すように、各端子11・12は、第1ハウジング30の下側で露出している被取付部11a・12aと、被取付部11a・12aから上方に延びており且つ第1ハウジング30によって保持される接触部11b・12bと有してよい。第1コネクタC1が回路基板に実装されているとき、被取付部11a・12aは回路基板上に形成されている導体部に半田付けされてよい。第1コネクタC1と第2コネクタC2とが接続しているとき(これらが後述するロック状態にあるとき)、接触部11b・12bに第2コネクタC2の端子51・52がそれぞれ接触する(図10B参照)。第1ハウジング30は、複数の端子11・12を取り囲む外壁部31と、前端子11と後端子12との間に配置され且つ端子11・12を保持している中央部32とを有してよい。端子11・12は外壁部31の内側で露出してよい。
【0017】
図2で示すように、第1コネクタC1はフレーム20を有してよい。フレーム20は、平面視において、第2コネクタC2を取り囲む略矩形である。フレーム20は、第2ハウジング60の前側に沿って配置されることとなる前壁部24と、第2ハウジング60の後側に沿って配置されることとなる後壁部23と、第2ハウジング60の側面に沿って配置されることとなる左右の側壁部25とを有してよい。
【0018】
第1ハウジング30はフレーム20の内側に配置され、フレーム20に固定されていてよい。図4で示すように、フレーム20は、側壁部25の下縁からフレーム20の内側に延びているハウジング固定部21を有している。ハウジング固定部21は第1ハウジング30(外壁部31)の左右方向での端部31aに固定されてよい。例えば、ハウジング固定部21は、左右の側壁部25の下縁からフレーム20の内側に延びている底部21aと、底部21aから上方に延びているフック部21bとを有してよい。底部21aとフック部21bとに開口が形成され、この開口に第1ハウジング30(外壁部31)の端部31aが嵌まる。フック部21bは第1ハウジング30の上側に引っかかっており、フレーム20に対する第1ハウジング30(外壁部31)の上方への相対動を規制する。この構造によると、第1ハウジング30の動きがフレーム20によって規制されるので、第1ハウジング30(より具体的には端子51・52)が回路基板から離れることを規制できる。第1ハウジング30の端部31aには溝が形成されていてよい。フック部21bの上部はこの溝部に嵌まっていてよい。
【0019】
フレーム20は下側に向けて開口していてよい(図7参照)。コネクタC1・C2が接続しているとき(これらがロック状態にあるとき)、第2コネクタC2の下端はコネクタC1が実装されている回路基板に接していてよい。
【0020】
図3で示すように、フレーム20は、その下縁に、複数の被取付部22a・22bを有してよい。被取付部22a・22bは第1ハウジング30が実装されている回路基板に半田付けされる部分である。図7で示すように、フレーム20は、例えば、前壁部24の下縁から前方に折り曲げられる被取付部22aを有してよい。また、フレーム20は、例えば、後壁部23の下縁から後方に折り曲げられる被取付部22bを有してよい。これら被取付部22a・22bは、前壁部24と後壁部23の左右方向での端部の下縁に形成されてよい。
【0021】
[第1コネクタのフレーム]
フレーム20の前壁部24と後壁部23との間の距離は、第2ハウジング60の前後方向でのサイズに対応していてよい。これにより、第1ハウジング30に対する第2コネクタC2の前方への傾斜をフレーム20の前壁部24によって規制でき、反対に、第2コネクタC2の後方への傾斜をフレーム20の後壁部23によって規制できる。
【0022】
図2で示すように、第2ハウジング60は、その前面に、位置決め面62bを有している。位置決め面62bは第2ハウジング60の前面の他の部分よりも前方に突出しており、位置決め面62bとフレーム20の前壁部24までの距離は、第2ハウジング60の前面の他の部分と前壁部24との距離よりも小さくてよい(図5参照)。第1ハウジング30に対する第2コネクタC2の前方への傾斜を、フレーム20の前壁部24と位置決め面62bとの衝突によって規制できる。位置決め面62bとフレーム20の前壁部24までの距離は、例えばフレーム20の前壁部24の厚さよりも小さくてよい。位置決め面62bは、第2ハウジング60の左右方向での端部に位置していてよい。
【0023】
図5で示すように、フレーム20の後壁部23は位置決め部23bを有してよい。位置決め部23bと第2ハウジング60の後面61cとの距離は、後壁部23の他の部分と第2ハウジング60の後面との距離よりも小さい。これにより、第1ハウジング30に対する第2コネクタC2の後方への傾斜を、フレーム20の位置決め部23bと第2ハウジング60の後面61cとの衝突によって規制できる。フレーム20の位置決め部23bと第2ハウジング60の後面61cとの距離は、例えばフレーム20の厚さより小さくてよい。
【0024】
位置決め部23bは、第2ハウジング60においてケーブル91・92を保持している部分(第2コネクタC2の例においてハウジング後部63)に対して左方又は右方にずれた位置に形成されてよい。位置決め部23bは、例えば、左右方向における後壁部23の端部に位置してよい。
【0025】
フレーム20の後壁部23は、左右の位置決め部23bの間に位置し且つ第2ハウジング60のハウジング後部63に沿って配置される横延伸部23aを有してよい。横延伸部23aは一方の位置決め部23bから他方の位置決め部23bまで延びている。横延伸部23aは左右の位置決め部23bに対して後方に突出している。後壁部23は、横延伸部23aの下側に開口を有していてよい(図3参照)。
【0026】
図10Bで示すように、第1コネクタC1が第2コネクタC2に接続している状態において(これらのロック状態において)、フレーム20の前壁部24の上部は第2ハウジング60の上部(ハウジング上部61)の前面の前側に位置している。すなわち、フレーム20の前壁部24の高さは第2ハウジング60の高さに対応している。また、フレーム20の後壁部23(より具体的には、位置決め部23b、図5参照)も第2ハウジング60の上部(ハウジング上部61)の後側に位置している。フレーム20の後壁部23の高さは第2ハウジング60の高さに対応している。同様に、フレーム20の側壁部25の高さも第2ハウジング60の高さに対応している。これによると、第2ハウジング60の大部分がフレーム20の上下、前後及び左右方向における内側に配置されることとなり、第1ハウジング30に対する第2コネクタC2の前後方向及び左右方向への傾斜をフレーム20によって効果的に規制できる。
【0027】
図6で示すように、後端子52に接続されているケーブル92の先端部(後端子52から後方に延びている部分)は、前端子51に接続されているケーブル91の先端部(後端子51から後方に延びている部分)よりも低い。これにより、ケーブル91・92の配置密度を高めることができている。図10Bで示すように、第1コネクタC1が第2コネクタC2に接続している状態において(後述するロック状態において)、フレーム20の前壁部24と後壁部23の高さは上側のケーブル91の先端部(後端子51から後方に延びている部分)の位置よりも高い。これにより、第1ハウジング30に対する第2コネクタC2の前後方向への傾斜をフレーム20によって効果的に規制できる。端子51・52及びケーブル91・92の配置は、コネクタ組立体1の例に限られない。例えば、左右方向で並ぶ端子の列の数は1つであってもよし、3つ以上であってもよい。この場合、フレームの上縁の高さは、このケーブルの端部(端子から後方に延びている部分)より高くてよい。
【0028】
[第2コネクタのロックレバー]
図2で示すように、第2コネクタC2はロックレバー70を有している。ロックレバー70はフレーム20に係合するロック位置(図1で示すロックレバー70の位置)と、フレーム20との係合が解除されるアンロック位置(図2で示すロックレバー70の位置)との間で移動可能である。ロックレバー70は第1コネクタC1と第2コネクタC2との接続方向(上下方向においてコネクタC1・C2が近づく方向)に対して交差する軸線Axを中心としてロック位置とアンロック位置との間で回転可能であってよい。より具体的には、ロックレバー70は左右方向に沿った軸線Axを中心として回転可能であってよい。第2コネクタC2の右側面(図8参照)を見たとき、ロック位置はアンロック位置に対して軸線Axを中心とする反時計回りの回転方向に規定されている。ロック位置に配置されているロックレバー70は第1コネクタC1と係合し、第1コネクタC1と第2コネクタC2の分離を規制する。以降の説明では、アンロック位置からロック位置に向かう回転方向を「ロック方向」と称し、ロック位置からアンロック位置に向かう回転方向を「アンロック方向」と称する。
【0029】
図2で示すように、ロックレバー70は、第2ハウジング60の左右の側面に沿って配置されている側部71を有している。軸線Ax上に位置しているレバー取付部62cは、軸線Axを中心とする側部71の回転を許容するように、側部71を第2ハウジング60の側面に取り付けている。レバー取付部62cは、第2ハウジング60と一体的に形成されている部分であってもよいし、螺子であってもよい。ロックレバー70は左右の側部71の間で延びている横延伸部74を有している。ロックレバー70がアンロック位置(図2参照)にあるとき、横延伸部74は第2ハウジング60の上側に位置している。ロックレバー70がロック位置(図1参照)にあるとき、横延伸部74は第2ハウジング60の前側に位置している。
【0030】
[係合部と被係合部]
図2で示すように、ロックレバー70は、その側部71に、第1被係合部73と、第2被係合部72aとを有してよい。第1コネクタC1は第1係合部26aと第2係合部27aとを有してよい。第1コネクタC1の例では、第1係合部26aと第2係合部27aは、フレーム20の側壁部25に形成されている。このように、被係合部73・72aが横延伸部74ではなく側部71に形成され、係合部26a・27aが前壁部24ではなく側壁部25に形成されているので、コネクタ組立体1の前後方向でのサイズを抑えることができている。
【0031】
図2で示すように、第2係合部27aは側壁部25に形成されている穴、凹部、切り欠きの縁の一部であってよい。第1係合部26aも側壁部25に形成されている穴、凹部、又は切り欠きの縁の一部であってよい。本開示の形態である第1コネクタC1の例では、側壁部25に穴27と穴26が形成されている。以下では、この穴27を「嵌合穴」と称する。この嵌合穴27の上側の縁が第2係合部27aである。この穴26を「通過穴」と称する。第1コネクタC1の例では、通過穴26の縁の一部が第1係合部26aである。後述するように、通過穴26はコネクタC1・C2の接続方向(上下方向)に延びている通過領域26e(図8参照)と、通過領域26eの後方に規定されている係合領域26f(図8参照)とを有している。係合領域26fの縁の上側部分が第1係合部26aとして機能し、第1被係合部73の上方への動きを規制する。
【0032】
第1係合部26aは、ロックレバー70がロック位置(図1参照)にある状態において、ロックレバー70の第1被係合部73と係合し、第1コネクタC1と第2コネクタC2が上下方向において分離するのを規制する。ロックレバー70がロック位置(図1参照)にある状態において、第1被係合部73は側壁部25に形成された通過穴26の後部(係合領域26f、図8参照)の内側に配置され、第1係合部26a(通過穴26の後部の縁の上側部分)の下側に位置する。このため、第1係合部26aは、第1コネクタC1と第2コネクタC2の分離方向での第1被係合部73の動きを規制する。より具体的には、第1係合部26aは、第1被係合部73の上方への動きを規制する。(ここで、分離方向とは、第1コネクタC1と第2コネクタC2が離れる方向であり、コネクタC1について下方であり、コネクタC2について上方である。)以降の説明では、ロックレバー70がロック位置(図1参照)にある状態を「ロック状態」と称する。ここで、第1係合部26aと第1被係合部73とが係合するとは、第1被係合部73の上方への動きを第1係合部26aが規制する位置関係にこの2つの部位26a・73があることをいう。
【0033】
ロックレバー70は金属材料によって形成されてよい。ロックレバー70は板金加工によって形成されてよい。フレーム20も金属材料によって形成されてよい。フレーム20も板金加工によって形成されてよい。コネクタC1・C2の例とは異なり、ロックレバー70とフレーム20の一方又は双方は樹脂によって形成されてもよい。
【0034】
図2で示すように、第1被係合部73は、左右方向(軸線Axに沿った方向)に折り曲げられた部分であってよい。すなわち、右側の第1被係合部73は右方に折り曲げられた部分であり、左側の第1被係合部73は左方に折り曲げられた部分であってよい。第1被係合部73は、軸線Axに対して交差する方向に向いている縁73a(図8参照)を有してよい。縁73aは、ロックレバー70の材料である板の縁である。図10Aで示すように、ロックレバー70がロック位置にあるとき、縁73aは斜め上方に向いている。以下では、この縁73aを「衝突縁」と称する。第1係合部26a(通過穴26の縁の一部)はこの衝突縁73aの上方に位置してよい。第1被係合部73のこの形状によると、第2コネクタC2を第1コネクタC1から離そうとする力に対する第1被係合部73の強度を増すことができる。すなわち、第1被係合部73の変形を抑えることができる。ロックレバー70がロック位置にあるとき、衝突縁73aは第1係合部26aに当たっていてよい。
【0035】
コネクタC1・C2の例では、コネクタC1・C2のロック状態において第1被係合部73の衝突縁73aは斜め後方且つ上方に向いている。上述したように、ケーブル91・92も第2ハウジング60から斜め後方且つ上方に向いている。従って、ロック状態において、第1被係合部73は、ケーブル91・92をその延伸方向に引っ張る力に対して高い強度を有している。
【0036】
第1係合部26aと第1被係合部73の形状は、コネクタC1・C2の例に限られない。例えば、コネクタC1・C2の例とは反対に、第1被係合部73ではなく、第1係合部26aが左右方向(軸線Axに沿った方向)における内側に向けて(フレーム20の内側に向けて)折り曲げられた部分であってよい。そして、ロックレバー70は、第1被係合部73として、第1係合部26aの下側に位置し第1係合部26aによって上方への動きが規制される部分を有してよい。この場合、第1係合部26aは、軸線Axに対して交差する方向に向いている縁を有し、この縁が第1被係合部73に当たって、第1被係合部73の上方への動きを規制してよい。
【0037】
図2で示すように、ロックレバー70は、その側部71に弾性部72を有してよい。弾性部72は、左右方向において弾性変形可能である。コネクタ組立体1の例において、弾性部72は軸線Axに沿った方向において弾性変形可能である。弾性部72は、例えば、軸線Axに対して交差する方向に延びている板状であってよい。第2被係合部72aは弾性部72に形成されている。そのため、第2被係合部72aは、弾性部72の弾性変形によって左右方向(軸線Axに沿った方向)に変位できる。
【0038】
図10Cで示すように、コネクタC1・C2のロック状態において、弾性部72は左右方向において弾性変形しており、第2被係合部72aをフレーム20の第2係合部27aに接触させている。例えば、コネクタC1・C2のロック状態において、弾性部72は、弾性部72の自由状態(外力が作用していない状態)よりも、フレーム20の内側に向けて湾曲していてよい。コネクタC1・C2のロック状態において、第2被係合部72aは、弾性部72の変形によって生じる弾性力で第2係合部27aに押し当てられていてよい。この構造によると、コネクタC1・C2の相対位置が左右方向で変化することを、効果的に抑えることができる。例えば、僅かな振動に起因して左右方向においてコネクタC1・C2の相対位置が変化することを抑えることができる。
【0039】
第1被係合部73と第2被係合部72aと弾性部72は、左右方向において互いに反対側に位置している2つの側部71(左右の側部71)の双方に形成されていてよい。また、第1係合部26aと第2係合部27aは、左右方向において互いに反対側に位置している2つの側壁部25(左右の側壁部25)の双方に形成されていてよい。この構造によると、コネクタC1・C2のロック状態において、第2コネクタC2は第1コネクタC1のフレーム20の左右方向(軸線Axに沿った方向)での中心に位置することとなる。
【0040】
なお、上述した第1被係合部73は、左右方向において弾性部72よりも高い剛性を有している部分に形成されている。したがって、左右方向での第1被係合部73の変位は、第2被係合部72aよりも生じにくい。このため、コネクタC1・C2を分離しようとする力がそれらに作用した場合、第1被係合部73と第1係合部26aの係合が効果的に作用し得る。第1コネクタC1の例では、ロックレバー70の側壁部25は、レバー取付部62cから第1被係合部73に向かって延びている部分71b(図8参照)を有している。左右方向での第1被係合部73の変位が、第2被係合部72aの変位よりも生じにくくなるように、この部分71bの幅W1が確保されている。部分71bの剛性を確保する手段は、ここで示す例に限られない。例えば、部分71bが他の部分とは異なる材料で形成されたり、部分71bの剛性を確保するためのリブが部分71bに形成されてもよい。
【0041】
図10Cで示すように、第2ハウジング60は、第1ハウジング30の端面31b(左右方向での端面)と側壁部25との間の隙間に嵌まる嵌合部62gを有している。左右方向での嵌合部62gの厚さは、側壁部25と端面31bとの距離に応じて設定されてよい。これにより、側壁部25も左右方向でのコネクタC1・C2の相対位置の変化を規制する。
【0042】
なお、左右方向で弾性変形可能な弾性部(コネクタ組立体1において弾性部72)は、ロックレバー70ではなく、フレーム20に形成されていてもよい。この場合、第2係合部27aが弾性部に形成され、左右方向において変位可能であってよい。この場合、ロックレバー70は、その側部71に、この第2係合部27aが嵌まる穴、凹部、又は切り欠きが形成されてよい。
【0043】
図10Cで示すように、ロックレバー70の第2被係合部72aは左右方向(軸線Axに沿った方向)に突出している凸部であってよい。より詳細には、右側の側部71に形成されている第2被係合部72aは右方に突出してよく、左側の側部71に形成されている第2被係合部72aは左方に突出してよい。フレーム20の第2係合部27aは第2被係合部72aに対してアンロック方向(ロック位置からアンロック位置に向かう方向)に位置している。左右方向(軸線Axに交差する方向)でコネクタC1・C2を見たとき、第2被係合部72aは少なくとも部分的に第2係合部27aと重なる。これにより、アンロック方向への第2被係合部72aの動きは第2係合部27aによって規制され、ロックレバー70の回転が効果的に防止され得る。
【0044】
図10Aで示すように、コネクタC1・C2のロック状態において、第2係合部27aと第2被係合部72aは軸線Axより前方に位置している。コネクタC1・C2のロック状態において、フレーム20の第2係合部27aは第2被係合部72aの上方に位置している。
【0045】
第2係合部27aと第2被係合部72aの位置は、コネクタC1・C2の例に限られない。例えば、コネクタC1・C2のロック状態において第2係合部27aと第2被係合部72aは軸線Axの下方に位置してよい。この場合、第2係合部27aは第2被係合部72aの前方に位置してよい。この場合でも、第2係合部27aはアンロック方向への第2被係合部72aの動きを規制できる。
【0046】
また、第2係合部27aと第2被係合部72aの構造は、コネクタC1・C2での例に限られない。例えば、フレーム20の第2係合部27aは、フレーム20の内側に向かって突出する凸部であってよい。一方、ロックレバー70の第2被係合部72aは、凸部である第2係合部27aが嵌まる穴や、凹部、切り欠きであってよい。この構造においても、フレーム20の第2係合部27aは第2被係合部72aに対してアンロック方向に位置してよい。それにより、ロック位置にあるロックレバー70がアンロック位置に向けて回転することは、効果的に防止される。
【0047】
図10Cで示すように、第2被係合部72aは斜面72bを有してよい。斜面72bはフレーム20の第2係合部27a(嵌合穴27の縁)に対してロック方向(コネクタC1・C2の例において「下方」)に位置してよい。コネクタC1・C2のロック状態において、弾性部72は左右方向(軸線Axに沿った方向)において弾性変形してよい。より具体的には、弾性部72は左右方向における中心に向けて曲がっていてよい。弾性部72の弾性力によって斜面72bは第2係合部27aに押しつけられ、第2被係合部72aをロック方向に押す力が生じる。この結果、図10Aで示すように、コネクタC1・C2のロック状態において、第1被係合部73は第1係合部26aに押し当てられ、コネクタC1・C2の相対動(例えば、第2コネクタC2の上方への動き)が効果的に抑えられる。
【0048】
上述したように、第1被係合部73の縁73a(ロックレバー70の材料である板の縁)が第1係合部26aに当たっている。これに対し、第2被係合部72aにおいては、その斜面72b(ロックレバー70の材料である板の表面)が第2係合部27aに当たっている。
【0049】
図11Aで示すように、コネクタC1・C2のロック状態において、第1被係合部73は左右方向において第1係合部26aを第1の幅W1だけ超えている。詳細には、第1被係合部73はフレーム20の側壁部25の内面を第1の幅W1だけ超えている。一方、第2被係合部72aは、図11Bで示すように、コネクタC1・C2のロック状態において左右方向に第2係合部27aを第2の幅W2だけ超えている。詳細には、第2被係合部72aはフレーム20の側壁部25の内面を第2の幅W2だけ超えている。そして、第1の幅W1は第2の幅W2よりも大きい。この構造によると、第1係合部26aと第1被係合部73の意図しない係合解除を、より効果的に防ぐことができる。
【0050】
図8で示すように、フレーム20の側壁部25に通過穴26が形成されている。通過穴26は、コネクタC1・C2の接続方向に延びている通過領域26eと、通過領域26eの後方に規定されている係合領域26fとを有している。図9Aで示すように、ロックレバー70がアンロック位置に配置されている第2コネクタC2をフレーム20の内側に嵌め入れると、第1被係合部73は通過領域26eを通り、通過領域26eの下縁26g(ストッパ部)に衝突する。以下では、図9Aで示すこの状態を「中間停止状態」と称する。図9Bで示すように、この中間停止状態において、第2コネクタC2の端子51・52は第1コネクタC1の端子11・12に達していない。
【0051】
図4で示すように、フレーム20の左右の側壁部25は、その最上部に、ガイド部25bを有している。ガイド部25bは上方に延びるとともに、左右方向における外側に開いている。図5で示すように、アンロック位置にあるロックレバー70を平面視したとき、第2被係合部72aはガイド部25bに部分的に重なる。そのため、ロックレバー70をロック位置に向けて回転させる過程では、第2被係合部72aはガイド部25bにあたり、フレーム20の内側に案内される。第2コネクタC2は左右方向での中心(軸線Axに沿った方向の中心)に向けて押される。
【0052】
ロックレバー70をアンロック位置からロック位置に向けて回転させると、第1被係合部73は軸線Axを中心として係合領域26f(図8参照)に向けて移動し、第2被係合部72aは嵌合穴27に向けて軸線Axを中心として移動する。ロックレバー70がロック位置に達すると、第1被係合部73は係合領域26fに配置され、第2被係合部72aは嵌合穴27に配置される。このとき、図10Bで示すように、第2コネクタC2の端子51・52は第1コネクタC1の端子11・12に接触する。
【0053】
図8で示すように、フレーム20は、その側壁部25に、干渉部25aを有している。干渉部25aは、ロックレバー70がアンロック位置からロック位置に移動する過程で第2被係合部72aが通過する領域に位置する。第2コネクタC2の例では、干渉部25aは嵌合穴27の上方に規定されている。左右の側壁部25の双方に、干渉部25a、及び係合部27a・26aが形成されている。中間停止状態においてロックレバー70がロック位置に向けて移動する過程で、左右の第2被係合部72aは干渉部25aと干渉し、干渉部25aの内面を滑りながら嵌合穴27に向けて移動する。この過程において、第2コネクタC2は左右方向(軸線Axに沿った方向)での中心に案内される。
【0054】
弾性部72と第2被係合部72aは、フレーム20の内側で軸線Axを中心として回転する。弾性部72の長さ、第2被係合部72aの位置及び形状は、それらが回転する過程でフレーム20の前壁部24の内面と干渉しないように形成されてよい。具体的には、第2被係合部72aの縁72d(図8参照)は、前壁部24の内面との干渉を回避するために、斜めに形成されてよい。
【0055】
図9Aで示すように、中間停止状態において、第1被係合部73の前部73bはロックレバー70の軸線Axよりも前方に位置している。すなわち、第1被係合部73の前部73bは、軸線Axを通り且つコネクタC1・C2の接続方向に沿った鉛直面Pvよりも前方に位置している。一方、図10Aで示すように、コネクタC1・C2のロック状態においては、第1被係合部73の前部(下部)73bは軸線Axよりも後方に位置している。すなわち、第1被係合部73の前部(下部)73bは、軸線Axを通り且つコネクタC1・C2の接続方向に沿った鉛直面Pvよりも後方に位置している。この構造によると、中間停止状態において、第2コネクタC2を第1コネクタC1に向けて押したときに、ロックレバー70にモーメントが発生し、作業者による回転操作を受けることなくロックレバー70が係合領域26fまで回転することを防ぐことができる。
【0056】
図10Aで示すように、コネクタC1・C2のロック状態において、第1係合部26aと第1被係合部73との接触位置と、第2係合部27aと第2被係合部72aとの接触位置は、軸線Axを通り且つコネクタC1・C2の接続方向に沿った平面Pvを挟んで互いに反対側に位置している。そのため、第2コネクタC2を第1コネクタC1から分離しようとする力が作用した場合、ロックレバー70には反対向きのモーメントが生じる。すなわち、第1係合部26aと第1被係合部73との接触に起因して、ロックレバー70には時計回りのモーメントが生じる。一方、第2係合部27aと第2被係合部72aとの接触に起因して、ロックレバー70には反時計回りのモーメントが生じる。そのため、第2コネクタC2を第1コネクタC1から分離しようとする力が作用した場合にロックレバー70がアンロック位置に向けて回転することを、防ぐことができる。
【0057】
図10Aにおいて、距離L3は、第1係合部26aと第1被係合部73との接触位置から軸線Axまでの距離である。距離L4は、第2係合部27aと第2被係合部72aとの接触位置から軸線Axまでの距離である。より詳細には、距離L4は、第1被係合部73において軸線Axから最も離れている部分と軸線Axとの距離である。距離L4は距離L3よりも大きい。この位置関係によると、第2コネクタC2を第1コネクタC1から分離しようとする力が作用した場合、第2係合部27aと第2被係合部72aとの接触に起因するモーメントが、第1係合部26aと第1被係合部73との接触に起因するモーメントよりも大きくなる。その結果、ロックレバー70がアンロック位置に向けて回転することを、より確実に防ぐことができる。
【0058】
図10Aで示すように、第2被係合部72aと第1被係合部73は異なる高さに位置している。コネクタC1・C2のロック状態においては、第2被係合部72aの位置は第1被係合部73よりも低い。より詳細には、第2被係合部72aの位置は第1被係合部73の下端よりも低い。この位置関係によると、第2コネクタC2の前後方向でのサイズの増大を抑えながら、上述した距離L4を距離L3よりも大きくすることが容易となる。また、第2被係合部72aの位置が第1被係合部73よりも低いので、第2コネクタC2の前後方向でのサイズの増大を抑えながら、ロックレバー70の弾性部72の長さ(コネクタC1・C2の接続方向での長さ)を確保することが容易となる。
【0059】
また、コネクタC1・C2のロック状態において第2係合部27aの後端27cは、第1被係合部73が通過する通過穴26の前縁26hよりも後方に位置している。これにより、第2コネクタC2の前後方向でのサイズの増大を抑えることができる。
【0060】
図10Aにおいて、距離L5は、ロックレバー70の横延伸部74に形成された、後述する被操作部74aまでの距離である。距離L5は上述した距離L4よりもさらに大きい。そのため、作業者によるロックレバー70の操作は比較的容易に行うことができる。コネクタC1・C2のロック状態において、被操作部74aはフレーム20の前壁部24の上方に位置している。被操作部74aは前壁部24の前面よりも後方に位置してよいし、或いは、被操作部74aの前面と前壁部24の前面は同一の鉛直面に位置してもよい。こうすることによって、コネクタ組立体1の前後方向のサイズの増大を抑えることができる。
【0061】
[ロックレバーの動き]
図2で示すように、ロックレバー70がアンロック位置にあるとき、ロックレバー70の横延伸部74は第2ハウジング60の上側に配置されてよい。第2ハウジング60は、その上面に、アンロック位置にあるロックレバー70の横延伸部74を支持する支持台61a(図1参照)を有してよい。ロックレバー70と支持台61aのこのような配置は、ケーブル91・92を第2コネクタC2の上側から延ばすのではなく、第2コネクタC2の後側から延ばすことによって可能となっている。また、アンロック位置を第2ハウジング60の上側に規定することによって、ロックレバー70の可動範囲を十分に確保することができている。コネクタ組立体1において、ロックレバー70の可動範囲は略90度となっている。
【0062】
支持台61aは軸線Axより後方に規定され、ロックレバー70がアンロック位置にあるとき、横延伸部74は軸線Axより後方に位置している。一方、ロックレバー70がロック位置にあるとき、横延伸部74は第2ハウジング60の前側に位置することとなる(図1参照)。
【0063】
図2で示すように、支持台61aには凸状の嵌合部61bが形成されている。一方、ロックレバー70の横延伸部74は、ロックレバー70がアンロック位置にあるときに嵌合部61bが嵌まる穴である係合部74bを有してよい。この構造によると、アンロック位置にあるロックレバー70の左右方向での振動を効果的に抑えることができる。コネクタC1・C2の例とは反対に、支持台61aに凹部が形成され、横延伸部74に係合部74bとして機能する凸部が形成されてもよい。図1で示すように、横延伸部74は、その軸線Axに沿った方向(左右方向)での中心に被操作部74aをさらに有してよい。被操作部74aは、横延伸部74の縁から突出している。
【0064】
[ロックレバーの詳細形状]
図8で示すように、弾性部72の長さL1は、軸線Axから弾性部72までの距離L2よりも大きい。ここで、長さL1は弾性変形する部分の長さである。距離L2は、軸線Axから弾性部72の縁までの距離である。この構造によると、弾性部72の弾性変形量(左右方向での第2被係合部72aの変位)を十分に確保できる。図8で示すように、ロックレバー70の側部71は、レバー取付部62cによって第2ハウジング60に固定されている被取付部71aを有している。被取付部71aと弾性部72との間にスリットS1が形成されている。第1コネクタC1の例では、スリットS1の長さが弾性部72の長さL1に一致している。
【0065】
図10Aで示すように、ロックレバー70がロック位置にあるとき、弾性部72はコネクタC1・C2の接続方向(コネクタC2について下方)に延びている。ロックレバー70のこの形状によると、コネクタC1・C2の接続方向と軸線Axに沿った方向の双方に交差する方向(コネクタ組立体1の例において前後方向)におけるコネクタC1・C2のサイズを低減しながら、弾性部72の長さを確保できる。
【0066】
図10Aで示すように、第2コネクタC2は、その後部(ハウジング後部63)でケーブル91・92を保持している。コネクタC1・C2のロック状態において、第1被係合部73の位置と第2被係合部72aの位置は前後方向で離れている。より詳細には、第1被係合部73は軸線Axよりも後方に位置し、第2被係合部72aは軸線Axよりも前方に位置している。このような配置によると、例えばケーブル91・92を持ち上げて第2コネクタC2を前方に傾けるような力がこれらに作用した場合、この力に起因して第2コネクタC2の後部が持ち上がることを第1被係合部73と第1係合部26aとによって防止できる。反対に、ケーブル91・92を下げて第2コネクタC2を後方に傾けるような力がこれらに作用した場合、この力に起因して第2コネクタC2の前部が持ち上がることを第2被係合部72aと第2係合部27aとによって防止できる。
【0067】
また、図10Aで示すように、コネクタC1・C2のロック状態において、第1被係合部73とケーブル91・92を保持しているハウジング後部63の双方は、第2被係合部72aよりも後方に位置し、且つ第2被係合部72aの位置よりも高い。この配置によると、ハウジング後部63と第1被係合部73との距離が近くなる。その結果、ケーブル91・92が上方に引っ張られたときに第1コネクタC1が前方又は後方に傾くことを抑えることができる。
【0068】
コネクタ組立体1の例では、第1被係合部73は、コネクタC1・C2のロック状態において第1係合部26aに当たっている。また、第1被係合部73は左右方向に折り曲げられており、その衝突縁73a(左右方向に対して交差する方向に向いている縁、より具体的には斜め上方に向いている縁)で第1係合部26aに当たっている。そのため、第1被係合部73は、第2被係合部72aよりも、それらが受ける力に対して高い剛性を有している。その結果、ケーブル91・92が上方に引っ張られたときに第1コネクタC1が傾くことを、より効果的に防ぐことができる。
【0069】
図10Aで示すように、ロックレバー70がロック位置にあるとき、ロックレバー70の軸線Axの位置はコネクタC1・C2の接続方向(コネクタC1について上方)におけるフレーム20の上縁25d(具体的には、ガイド部25bの上面)よりも低い。これにより、第2コネクタC2の前後方向での動き(傾き)を、フレーム20によって効果的に抑えることができる。また、被係合部73・72aの位置をフレーム20の上縁25dから下方に離れた位置に設けることができるので、被係合部73・72aの上方への動きを規制する部分(側壁部25において係合部26a・27aより上方の部分)の強度が確保し易くなる。コネクタC1・C2の例では、レバー取付部62cの全体がフレーム20の上縁25dよりも低い。
【0070】
[ケーブルとの他の要素との位置関係]
上述したように、フレーム20は、ケーブル91・92を保持している第2ハウジング60のハウジング後部63の後側に沿って延びている横延伸部23a(図10B参照)を有している。左右の側壁部25は、この横延伸部23aを介して連結されている。ケーブル91・92は、この横延伸部23aの上縁23fと、アンロック位置にあるロックレバー70との間を通過してハウジング後部63から斜め後方且つ上方に延びている。言い換えれば、ケーブル91・92は、この横延伸部23aの上縁23fと、第2ハウジング60の支持台61aとの間を通過して、ハウジング後部63から斜め後方且つ上方に延びている。この構造よると、複数のコネクタ組立体1の前後方向での配置密度を増すことができ、横延伸部23aによってフレーム20の剛性を確保でき、ロックレバー70の可動範囲を確保できる。
【0071】
[まとめ]
以上説明したように、コネクタ組立体1は、左右方向で並んでいる複数の端子11・12と、複数の端子11・12を取り囲むフレーム20と、を有している第1コネクタC1と、左右方向で並んでいる複数の端子51・52を有し、上下方向で第1コネクタC1に接続し、フレーム20の内側に配置される第2コネクタC2とを有している。第2コネクタC2は、フレーム20に係合するロック位置と、フレーム20との係合が解除されるアンロック位置との間で移動可能なロックレバー70を有している。ロックレバー70は、第1被係合部73と第2被係合部72aとを有している。フレーム20は、第1係合部26aと第2係合部27aとを有している。第1係合部26aは、ロックレバー70がロック位置にあるロック状態において第1被係合部73と係合し第1コネクタC1と第2コネクタC2が上下方向で分離するのを規制する。ロックレバー70は、左右方向において弾性変形可能である弾性部72を有している。弾性部72は第2被係合部72aを有し、ロック状態において左右方向において弾性変形し、第2被係合部72aを第2係合部27aに接触させる。このコネクタ組立体1によると、コネクタ組立体1が搭載される装置の僅かな振動に起因して2つのコネクタC1・C2の相対位置が左右方向で変化することを、防止できる。
【0072】
[変形例]
なお、本開示で提案するコネクタ組立体は、これまで説明したコネクタ組立体1に限られない。
【0073】
コネクタ組立体1においてロックレバー70は軸線Axを中心にして回転可能であり、この軸線Axの位置は固定されている。ロックレバー70の動きはこれに限られない。例えば、ロックレバー70の回転中心(第2コネクタC2において軸線Ax)はロックレバー70が回転する過程において軸線Axに対して直交する方向(例えば、前方或いは後方)にスライド可能であってよい。さらに他の例では、ロックレバー70は回転することなく、上下方向及び/又は前後方向に平行移動可能であってもよい。
【符号の説明】
【0074】
1 コネクタ組立体;11 前端子;11a 被取付部;11b 接触部;12 後端子;20 フレーム;21 ハウジング固定部;21a 底部;21b フック部;22a・22b 被取付部;23 後壁部;23a 横延伸部;23b 位置決め部;23f 上縁;24 前壁部;25 側壁部;25a 干渉部;25b ガイド部;25d 上縁;26 通過穴;26a 第1係合部;26e 通過穴;26e 通過領域;26f 係合領域;27 嵌合穴;27a 第2係合部;27c 後端;30 第1ハウジング;31 外壁部;31a 端部;31b 端面;32 中央部;51 前端子;52 後端子;60 第2ハウジング;63 ハウジング後部;61 ハウジング上部;61a 支持台;61b 嵌合部;61c 後面;62 ハウジング下部;62a 嵌合凹部;62b 位置決め面;62c レバー取付部;62g 嵌合部;63 ハウジング後部;70 ロックレバー;71 側部;71a 被取付部;72 弾性部;72a 第2被係合部;72b 斜面;72d 縁;73 第1被係合部;73a 衝突縁;73b 前部;74 横延伸部;74a 被操作部;74b 係合部;91・92 ケーブル;C1 第1コネクタ;C2 第2コネクタ。
図1
図2
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図5
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図7
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図9A
図9B
図10A
図10B
図10C
図11A
図11B