IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ローム アンド ハース カンパニーの特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-13
(45)【発行日】2024-12-23
(54)【発明の名称】ホルムアルデヒド不含硬化性配合物
(51)【国際特許分類】
   C08L 33/00 20060101AFI20241216BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20241216BHJP
   B32B 27/30 20060101ALI20241216BHJP
   C08L 35/00 20060101ALI20241216BHJP
   C08L 101/02 20060101ALI20241216BHJP
   C09J 133/00 20060101ALI20241216BHJP
   C09J 201/02 20060101ALI20241216BHJP
【FI】
C08L33/00
B32B27/00 M
B32B27/30 A
C08L35/00
C08L101/02
C09J133/00
C09J201/02
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020183572
(22)【出願日】2020-11-02
(62)【分割の表示】P 2018530046の分割
【原出願日】2015-12-29
(65)【公開番号】P2021050336
(43)【公開日】2021-04-01
【審査請求日】2020-12-02
【審判番号】
【審判請求日】2022-11-10
(73)【特許権者】
【識別番号】590002035
【氏名又は名称】ローム アンド ハース カンパニー
【氏名又は名称原語表記】ROHM AND HAAS COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(72)【発明者】
【氏名】イン・シュエ
(72)【発明者】
【氏名】ヅェンビン・チェン
【合議体】
【審判長】細井 龍史
【審判官】藤井 勲
【審判官】近野 光知
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-251474(JP,A)
【文献】特開2000-303026(JP,A)
【文献】特開2007-070448(JP,A)
【文献】特開2009-073920(JP,A)
【文献】特開平06-248030(JP,A)
【文献】特開2004-035580(JP,A)
【文献】特開2008-231275(JP,A)
【文献】特開2014-095052(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08C 19/00- 19/44
C08F 6/00-246/00,301/00
C08K 3/00- 13/08
C08L 1/00-101/14
C09J 1/00- 5/10
C09J 9/00-201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬化性水性配合物であって、
a)~20重量パーセントの酸モノマーを含むエマルションポリマーと、
b)オキサゾリン含有ポリマーと、
c)40~100重量パーセントの酸モノマーを含み、2000~500000の範囲の重量平均分子量を有する水性アクリルポリマー分散液と、
を含む、硬化性水性配合物。
【請求項2】
乾燥固形物を基準にして、前記エマルションポリマーが、80~99.8重量パーセントの範囲の量で存在し、前記オキサゾリン含有ポリマーが、0.1~10重量パーセントの範囲の量で存在し、前記水性アクリルポリマー分散液が、0.1~10重量パーセントの範囲の量で存在する、請求項1に記載の硬化性水性配合物。
【請求項3】
前記エマルションポリマーが、スチレン、ブチルアクリレート、アクリル酸、及びイタコン酸を含む、請求項1に記載の硬化性水性配合物。
【請求項4】
前記オキサゾリン含有ポリマーが、少なくとも1つの2-オキサゾリン基を有する、請求項1に記載の硬化性水性配合物。
【請求項5】
前記オキサゾリン含有ポリマーは、2-ビニル-2-オキサゾリン、2-ビニル-4-メチル-2-オキサゾリン、2-ビニル-5-メチル-2-オキサゾリン、2-イソプロペニル-2-オキサゾリン、2-イソプロペニル-4-メチル-2-オキサゾリン、2-イソプロペニル-5-エチル-2-オキサゾリン、2-イソプロペニル-4-ヒドロキシメチル-4-エチル-2-オキサゾリン、2-(I-ヘキサデシルビニル)-4,4-(ビスステアロイルオキシメチル)-2-オキサゾリン、2-(I-エイコシルビニル)-4,4-ビス(ヒドロキシメチル)-2-オキサゾリン、2-イソプロペニル-4,4-ビス(ヒドロキシメチル)-2-オキサゾリン、2-イソプロペニル-4,4-ビス(メチル)-2-オキサゾリン、及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の硬化性水性配合物。
【請求項6】
請求項1に記載の硬化性水性配合物を形成するための方法であって、
a)少なくとも1つのモノエチレン性不飽和モノマー及び少なくとも1つの酸モノマーを水溶液中で乳化重合して、前記エマルションポリマーを形成するステップと、
b)前記オキサゾリン含有ポリマー及び前記水性アクリルポリマー分散液を前記エマルションポリマーに添加して、前記硬化性水性配合物を形成するステップと、を含む、方法。
【請求項7】
請求項1に記載の硬化性水性配合物を含む硬化基材を形成するための方法であって、 a)織布基材または不織布基材を前記硬化性水性配合物と接触させて、接触済みの基材を形成することと、
b)前記接触済みの不織布基材を120℃~220℃の温度に加熱して、前記硬化基材を形成することと、を含む、方法。
【請求項8】
a)織布基材または不織布基材と、
b)請求項1に記載の硬化性水性配合物を含む結合剤と、を含む、製品。
【請求項9】
請求項1に記載の硬化性水性配合物を含む感圧接着剤。
【請求項10】
請求項1に記載の硬化性水性配合物を含む積層接着剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、織物及び不織布用途のための結合剤に関する。
【背景技術】
【0002】
織物及び不織布用途で使用される従来の結合剤は、硬化後に結合剤の優れた耐水性(湿
潤強度)及び耐溶剤性(イソプロピルアルコール強度)を与える官能性モノマーとしてN
-メチロールアクリルアミド(NMA)を含有する。しかしながら、NMA含有結合剤は
、加熱時にホルムアルデヒドを放出する。過去に使用された1つの解決法は、イタコン酸
に基づくホルムアルデヒド不含架橋技術であった。この技術は、硬化後に良好な水及び溶
剤耐性を有するが、NMA含有結合剤の優れた特性を欠く。したがって、ホルムアルデヒ
ド不含であり、また同等の特性を有する方法が所望される。
【発明の概要】
【0003】
本発明の一態様は、硬化性水性配合物であって、a)0.1~20重量パーセントの酸
モノマーを含むエマルションポリマーと、b)オキサゾリン含有ポリマーと、c)40~
100重量パーセントの酸モノマーを含み、2000~500000の範囲で重量平均分
子量を有する水性アクリルポリマー分散液と、を含み、それらからなり、または本質的に
それらからなる。
【発明を実施するための形態】
【0004】
本発明は、水性硬化性配合物を形成するための方法を提供する。
【0005】
「水性」は、本明細書で使用されるとき、連続相が水であるか、または、代替物におい
て、主に水を含むが、また水混和性溶剤、殺生物剤、皮膚軟化剤、緩衝剤、キレート剤、
及び界面活性剤、ならびに他の成分も任意に含む混合物である組成物を意味する。
【0006】
本明細書において「織布」は、一方向に通る長い糸をそれに対して正しい角度で他の糸
と組み合わせることによって形成される典型的にはシートまたは織物の形をした布様の繊
維の集合体を意味する。
【0007】
本明細書において「不織布」は、織られたまたは編まれた素材ではない典型的にはシー
トまたは織物の形をした布様の繊維の集合体を意味する。不織布基材は、紙、不織布、フ
ェルト及びマット、または他の繊維の集合体を含む。不織布基材は、綿、レーヨン、及び
木材パルプのようなセルロース系繊維、ポリエステル、ガラス、及びナイロンなどの合成
繊維、複合繊維、及びそれらの混合物を含み得る。例えば、湿式、エアレイド、スパンボ
ンド、スパンメルト、及びハイドロエンタングリングウェブ形成のような当該技術分野に
おいて既知の方法によって形成され得る。
【0008】
硬化性水性配合物は、a)0.1~20重量パーセントの酸モノマーを含むエマルショ
ンポリマーと、b)オキサゾリン含有ポリマーと、c)40~100重量パーセントの酸
モノマーを含み、2000~500000の範囲で重量平均分子量を有する水性アクリル
ポリマー分散液と、を含み、それらからなり、または本質的にそれらからなる。
【0009】
成分A-エマルションポリマー
水性不織布結合剤は、エマルションポリマーを含み、これは、水性乳化重合プロセスに
おけるエチレン性不飽和モノマーの遊離ラジカル重合によって調製されるポリマーである
。エマルションポリマーは、共重合単位として、エマルションポリマーの重量に基づいて
0.1~20重量パーセントの酸モノマーを含む。0.1重量パーセントと20重量パー
セントとの間の全ての範囲は、本明細書に含まれ、本明細書に開示されており、例えば、
酸モノマーの重量パーセントは、0.1、5、7、または10の下限から12、15、1
8、または20の上限まであり得る。
【0010】
エマルションポリマーは、また、5000~500000の重量平均分子量を有する。
5000~500000の間の任意及び全ての範囲は、本明細書に含まれ、本明細書に開
示されており、例えば、エマルションポリマーは、50000~400000または10
0000~300000の重量平均分子量を有し得る。
【0011】
酸モノマーは、モノ酸モノマー及びジ酸モノマーを含み得る。モノ酸モノマーとしては
、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、モノメチルイタコネート、モノメチ
ルフマレート、モノブチルフマレートなどのようなカルボン酸モノマーが挙げられる。ジ
酸モノマーの例としては、その無水物、塩、及びそれらの混合物を含むイタコン酸、フマ
ル酸、マレイン酸が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0012】
エマルションポリマーとしては、また、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル
(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アク
リレート、デシル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒド
ロキシプロピル(メタ)アクリレート、ウレイド官能性(メタ)アクリレート、及び(メ
タ)アクリル酸のアセトアセテート、アセトアミド、またはシアノアセテートを含む(メ
タ)アクリル酸エステルモノマー、スチレンまたは置換スチレン、ビニルトルエン、ブタ
ジエン、ビニルアセテートまたは他のビニルエステル、塩化ビニル、塩化ビニリデンのよ
うなビニルモノマー、及び(メタ)アクリロニトリルのような少なくとも1つの他の共重
合エチレン性不飽和モノマーが挙げられる。本開示全体を通して使用される(メタ)アク
リレートまたは(メタ)アクリルアミドのような他の用語が後に続く用語「(メタ)」の
使用は、それぞれ、アクリレート及びメタクリレートまたはアクリルアミド及びメタクリ
ルアミドの両方を指す。異なる組成物を有するエマルションポリマーの混合物もまた使用
され得る。
【0013】
エマルションポリマーは、乾燥固形物を基準にして、80~99.8重量パーセントの
範囲で配合物中に存在する。エマルションポリマーは、様々な他の実施形態において、8
2~99.8重量パーセントの範囲で存在し得、様々な他の実施形態において、85~9
9.8重量パーセントである。
【0014】
成分B-オキサゾリン含有ポリマー
配合物は、また架橋剤として少なくとも1つのオキサゾリン含有ポリマーを含む。様々
な実施形態において、オキサゾリン含有ポリマーは、付加重合性オキサゾリン及び少なく
とも1つの(上に列挙されたような)エチレン性不飽和モノマーの、水性溶媒中での当業
者に既知の任意の好適な重合プロセスを用いた溶液重合反応または乳化重合の実施によっ
て生成され得る。様々な実施形態において、付加重合反応が起こる。
【0015】
様々な実施形態において、オキサゾリン含有ポリマーは、下に示される式の構造を有す
る。
【0016】
【化1】
【0017】
式中、R、R、R、及びRは、独立して、水素原子、ハロゲン原子、アルキル
基、アラルキル基、フェニル基、置換フェニル基を表し、Rは、付加重合性不飽和結合
を有する非環状有機基を表す。
【0018】
いくつかの実施形態では、オキサゾリン含有ポリマーは、2-オキサゾリン基を有する
【0019】
オキサゾリン含有ポリマーの例としては、2-ビニル-2-オキサゾリン、2-ビニル
-4-メチル-2-オキサゾリン、2-ビニル-5-メチル-2-オキサゾリン、2-イ
ソプロペニル-2-オキサゾリン、2-イソプロペニル-4-メチル-2-オキサゾリン
、2-イソプロペニル-5-エチル-2-オキサゾリン、2-イソプロペニル-4-ヒド
ロキシメチル-4-エチル-2-オキサゾリン、2-(I-ヘキサデシルビニル)-4,
4-(ビスステアロイルオキシメチル)-2-オキサゾリン、2-(I-エイコシルビニ
ル)-4,4-ビス(ヒドロキシメチル)-2-オキサゾリン、2-イソプロペニル-4
,4-ビス(ヒドロキシメチル)-2-オキサゾリン、2-イソプロペニル-4,4-ビ
ス(メチル)-2-オキサゾリンのようなビニルオキサゾリンが挙げられるが、これらに
限定されない。
【0020】
オキサゾリン含有ポリマーは、乾燥固形物を基準にして、一般に、0.1~10重量パ
ーセントの範囲で配合物中に存在する。オキサゾリン含有ポリマーは、様々な他の実施形
態において、1~8重量パーセントの範囲で存在し得、様々な他の実施形態において、3
~7重量パーセントである。
【0021】
成分C-水性アクリルポリマー分散液
配合物は、また、水性アクリルポリマー分散液を含む。水性アクリルポリマー分散液は
、40~100重量パーセントの酸基を有する。分散液は、様々な他の実施形態において
、50~95重量パーセントの酸基を有し得、様々な他の実施形態において、65~80
重量パーセントの酸基である。水性アクリルポリマー分散液は、また、2000~500
000の範囲で重量平均分子量を有する。分散液は、様々な他の実施形態において、50
000~400000の重量平均分子量を有し得て、様々な他の実施形態において、10
0000~350000である。
【0022】
水性アクリルポリマー分散液はまた、上に列挙されるエチレン性不飽和モノマーのうち
の任意のものから形成され得る。
【0023】
水性アクリルポリマー分散液は、乾燥固形物を基準にして、一般に、0.1~10重量
パーセントの範囲で配合物中に存在する。分散液は、様々な他の実施形態において、1~
8重量パーセントの範囲で存在し得、様々な他の実施形態において、3~7重量パーセン
トである。
【0024】
任意の成分
水性不織布結合剤としては、また、例えば、乳化剤、顔料、充填剤または延長剤、マイ
グレーション防止剤、合体剤、界面活性剤、殺生物剤、可塑剤、オルガノシラン、消泡剤
、腐食防止剤、着色剤、ワックス、他のポリマー、及び抗酸化剤のような従来の処理成分
が挙げられ得る。
【0025】
エマルションポリマーを調製するために使用される乳化重合技術は、例えば、米国特許
第4,325,856号、同第4,654,397号、及び同第4,814,373号に
開示されるように、当該技術分野において既知である。様々な実施形態において、乳化重
合は、開始プロセス(例えば、熱または還元酸化反応)によって、室温から100℃まで
の反応温度で行われる。例えば、アルカリ金属またはアンモニウムアルキルサルフェート
、アルキルスルホン酸、脂肪酸、共重合界面活性剤、及びオキシエチル化アルキルフェノ
ールなどの、陰イオン性及び/または非イオン性乳化剤などの従来の界面活性剤が使用さ
れ得る。陰イオン性乳化剤が好ましい。使用される界面活性剤の量は、総モノマーの重量
に基づいて、通常0.1重量%~6重量%である。熱または還元酸化反応開始プロセスの
どちらも使用され得る。総モノマーの重量に基づいて、典型的には、0.01重量%~3
.0重量%の濃度で、例えば、過酸化水素、t-ブチルヒドロペルオキシド、t-アミル
ヒドロペルオキシド、アンモニウム及び/またはアルカリペルスルフェート、及びアゾビ
スシアノ吉草酸などの水溶性アゾ化合物などの従来のフリーラジカル開始剤が使用され得
る。一実施形態において、開始剤は、総モノマーの重量に基づいて、0.5重量%~1.
5重量%の範囲で存在する。例えばホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム、ハイド
ロサルファイト、イソアスコルビン酸、ヒドロキシルアミンサルフェート、及び亜硫酸水
素ナトリウムのような好適な還元剤と連結された同じ開始剤を使用する還元酸化反応法が
、例えば鉄及び銅のような、任意でさらに金属用錯化剤を含む金属イオンと任意で組み合
わされて、同じ濃度で使用され得る。メルカプタンのような連鎖移動剤は、ポリマーの分
子量を低下させるために使用され得る。モノマー混合物は、水なしでまたは水中にエマル
ションとして添加され得る。モノマー混合物は、単一の添加もしくは複数の添加で、また
は反応期間にわたって連続的に、均一または様々な組成物を使用して、添加され得る。任
意の段階の前に、間に、または後に、例えば、フリーラジカル開始剤、酸化剤、還元剤、
連鎖移動剤、中和剤、界面活性剤、及び分散剤のような追加の成分が添加され得る。様々
な実施形態において、エマルションポリマーは、組成物において異なる少なくとも2つの
段階が連続的な様式で重合される多段階の乳化重合プロセスによって調製され得る。最終
ポリマーの分子量は、上の分子量範囲に収まる。次いで、オキサゾリン含有ポリマー及び
水性アクリルポリマー分散液が、いくつかの実施形態において、かき混ぜながらまたは攪
拌しながらエマルションポリマーに添加され得る。
【0026】
エマルションポリマー粒子の平均粒径は、Brookhaven Instrumen
t Corp.,Holtsville,NYによって供給されるBrookhaven
Model BI-90 Particle Sizerによって測定されるように、
典型的には、30ナノメートル~1000ナノメートル、好ましくは100ナノメートル
~200ナノメートルである。
【0027】
織布または不織布基材は、硬化性水性配合物と接触させられる。典型的には、アドオン
%としても知られる百分率で表現された乾燥重量ベースの接触済みの基材の比に対する配
合物の比は、基材の強度及び所望の最終用途に応じて選択される、1%~40%、好まし
くは15%~35%である。基材は、例えばエアまたはエアレススプレー塗り、パディン
グ、含浸、ロール塗布、カーテン塗布、グラビア印刷、及びその同等物のような従来の適
用技術を使用して硬化性水性配合物と接触させられる。基材は、一方もしくは両方の表面
の上もしくは近くで結合剤を提供するように硬化性水性配合物と接触させることができる
か、または不均一にもしくは構造全体にではなく分配されてもよい。また、パターン化さ
れた分布が所望される場合、硬化性水性配合物が、一方または両方の表面に対して不均一
な様式で適用され得ることが企図される。
【0028】
本発明の硬化性水性配合物を含有する基材を形成するための方法においては、硬化性水
性配合物と接触した基材が、硬化の達成に十分な時間の間、120℃~220℃の温度、
好ましくは140℃~180℃に加熱される。
【0029】
本発明の硬化性水性配合物は、また、織物及び不織布用途に加えて、感圧接着剤及び積
層接着剤を作製するために使用され得る。
【実施例
【0030】
使用された略語:
IPA:イソプロパノール
DI水:脱イオン水
CD:幅方向
SC:固形分
BA:ブチルアクリレート
Sty:スチレン
IA:イタコン酸
AA:アクリル酸
DS-4:ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、界面活性剤
TR-407:ホルムアルデヒド(HCHO)を用いたNMA技術に基づく現在の市販品
SWX1116(A):45%のSCを含むポリマーにおいて49Sty/46BA/3AA/2IAを含むエマルション
EPOCRS WS500(B):40%のSC及び4.5mmol/gのオキサゾリン固形分を含むNippon Shokubaiからのオキサゾリン基を含むポリマー溶液
Leukotan 1084(C1):100%のAA及び28%のSCを含むThe Dow Chemical Companyからの液体
ASE60(C2):40%のAA及び28%のSCを含むThe Dow Chemical Companyからのエマルションポリマー
TRITON(商標)X-100:The Dow Chemical Companyからの界面活性剤
WHATMAN(商標):Whatman Ltd.からの#4の紙
【0031】
発明の参考例1及び実施例1ならびに比較例1及び2
上の原材料を30分間適切に攪拌しながら配合し、表1及び2の配合物に従った硬化性水性組成物を得た。
【0032】
【表1】

【0033】
【表2】

【0034】
WHATMAN(商標)の28cm×46cm紙片を、200mLの配合されたエマル
ションに浸漬した。処理された基材を、Mathisパッダーによってパディングし、次
いで、乾燥させ、150℃で3分間硬化させた。紙上のポリマーの量は、表1では28%
~32%、表2では15%~16%に制御された。硬化した基材を1インチ×4インチの
片に切断し、この4インチの方向が紙の幅方向(CD)であった。試料の引張強度は、乾
燥(未処理)、湿潤(0.1%のTriton X-100/水溶液に30分間漬けた後
)、及びIPA(イソプロパノール中の30分後)の処理下で試験した。湿潤強度は、結
合剤の水への耐性を反映し、IPA強度は、溶媒中の結合剤の耐性を反映する。データを
表3及び4に示す。
【0035】
【表3】

【0036】
表3の結果は以下を示す。
●強度の値が高いほど、より良好な性能をもたらす。
●比較例1を除いて、全ての実施例がHCHO不含である。
●比較例1は、HCHO含有のNMA技術に基づくものであり、最良の全体的な性能
を示した。
●比較例3は、比較例2aよりも良好なIPA強度を示した。
●比較例4は、低分子酸を有し、比較例3から性能は向上しなかった。
●比較例5、6は、高酸ポリマー(C)を有し、ポリマー含有オキサゾリンを含まな
い比較例2aから全体的な性能は改善しなかった。
【0037】
【表4】

【0038】
概要:
●比較例2bと比較して、参考例3及び参考例4は、湿潤強度に関して10%を超えた改善を示し、IPA強度に関して少なくとも20%の向上を示した。
●比較例2bと比較して、参考例2及びは、15%よりも低い湿潤強度を示し、IPA強度に関して65%を超えて増加した。
●発明の参考例3及びを比較すると、成分Cが0.1%~10%増加する場合、IPA強度は2.8~3.81増加することが見出される。