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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-13
(45)【発行日】2024-12-23
(54)【発明の名称】現像装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/08 20060101AFI20241216BHJP
【FI】
G03G15/08 366
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020191309
(22)【出願日】2020-11-18
(65)【公開番号】P2022080328
(43)【公開日】2022-05-30
【審査請求日】2023-11-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003133
【氏名又は名称】弁理士法人近島国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】重廣 浩司
【審査官】内藤 万紀子
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-020964(JP,A)
【文献】特開2019-070708(JP,A)
【文献】特開2018-194783(JP,A)
【文献】特開2020-052223(JP,A)
【文献】特開2009-122555(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0301315(US,A1)
【文献】特開2020-052079(JP,A)
【文献】特開2006-106601(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像位置にトナーとキャリアを含む現像剤を担持搬送する現像剤担持体と、
前記現像剤を収容する現像容器と、
第1搬送スクリュー部と、
第2搬送スクリュー部と、
補給用搬送スクリュー部と、
を備え、
前記現像容器は、
前記現像剤担持体に現像剤を供給するための第1室と、
隔壁によって前記第1室と区画された第2室と、
前記第1室から前記第2室に現像剤が連通することを許容する第1連通部と、
前記第2室から前記第1室に現像剤が連通することを許容する第2連通部と、
前記第1室と前記第2室との間で現像剤が循環する循環経路に補給用現像剤を搬送するための補給用搬送経路と、
前記補給用搬送経路に補給用現像剤を補給する現像剤補給部と、
を有し、
前記第1搬送スクリュー部は、前記第1室に設けられ、前記第2連通部から前記第1連通部に向かう第1方向に現像剤を搬送し、
前記第2搬送スクリュー部は、前記第2室に設けられ、前記第1連通部から前記第2連通部に向かう第2方向に現像剤を搬送し、
前記補給用搬送スクリュー部は、前記補給用搬送経路に設けられ、前記現像剤補給部から前記第1連通部に向かう第3方向に補給用現像剤を搬送し、
前記補給用搬送経路は、前記第2方向に関して、前記第2室よりも上流に配置されており、
前記第2搬送スクリュー部は、前記第2方向に関して、前記第1連通部よりも下流且つ前記第2連通部よりも上流に配置されており、
前記補給用搬送スクリュー部は、前記第2方向に関して、前記第2搬送スクリュー部よりも上流に配置されており、
前記補給用搬送スクリュー部の回転軸は、前記第2搬送スクリュー部の回転軸と同軸であり、
前記補給用搬送スクリュー部は、
前記補給用搬送スクリュー部の回転軸の外周面に螺旋状に形成された、補給用現像剤を前記第3方向に搬送する第1羽根部と、
前記補給用搬送スクリュー部の回転軸の外周面に螺旋状に形成された、補給用現像剤を前記第3方向に搬送する第2羽根部と、
前記補給用搬送スクリュー部の回転軸の外周面に螺旋状に形成された、補給用現像剤を前記第3方向に搬送する第3羽根部と、
を有し、
前記第1羽根部のピッチ、前記第2羽根部のピッチ、及び、前記第3羽根部のピッチのそれぞれは、前記第2搬送スクリュー部の羽根のピッチよりも大きく、
前記第1羽根部の外径と前記第2羽根部の外径と前記第3羽根部の外径は、同じであり、
前記第3方向に関して前記第1羽根部の終端と前記第2羽根部の始端との間であって且つ前記第1羽根部の前記終端及び前記第2羽根部の前記始端から前記補給用搬送スクリュー部の周方向にずれた領域において、前記第3羽根部が連続して形成されていることを特徴とする現像装置。
【請求項2】
前記補給用搬送スクリュー部の回転軸線方向において、前記第1羽根部の前記終端と前記第2羽根部の前記始端との間には、ギャップが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
【請求項3】
前記第2方向に関して、前記第1羽根部の前記終端及び前記第2羽根部の前記始端のそれぞれは、前記第1連通部よりも上流に配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の現像装置。
【請求項4】
前記補給用搬送スクリュー部は、前記補給用搬送経路から前記第1連通部まで延伸して設けられていることを特徴とする請求項1ないし3の何れか1項に記載の現像装置。
【請求項5】
前記補給用搬送スクリュー部は、前記第1羽根部の前記終端と前記第2羽根部の前記始端によって形成されたギャップを有し、
前記補給用搬送スクリュー部の周方向に関して、前記ギャップの範囲は、30°以上90°以下であることを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
【請求項6】
前記ギャップは、前記補給用搬送経路と前記循環経路とが合流する合流部に配置されていることを特徴とする請求項5に記載の現像装置。
【請求項7】
前記ギャップは、前記第3方向に関して前記現像剤補給部から外れた位置に配置されていることを特徴とする請求項5又は6に記載の現像装置。
【請求項8】
前記第2搬送スクリュー部には、前記第2搬送スクリュー部の回転軸線方向の少なくとも一部に羽根が不連続となる部分が形成されていることを特徴とする請求項1ないし7の何れか1項に記載の現像装置。
【請求項9】
前記補給用搬送スクリュー部は、前記補給用搬送スクリュー部の回転軸の外周面に螺旋状に形成された、補給用現像剤を前記第3方向に搬送する第4羽根部を更に有することを特徴とする請求項1ないし8の何れか1項に記載の現像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電潜像を現像剤により現像する現像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式などを用いた画像形成装置では、感光ドラムなどの像担持体に形成された静電潜像を現像装置によりトナー像として現像する。具体的には、現像装置が備える現像剤担持体に現像剤を担持させ、現像部において現像剤を像担持体に供給することでトナー像を形成する。このような現像装置として、トナーとキャリアを含む二成分現像剤を用いたものが、従来から使用されている。二成分現像剤を用いた現像装置の場合、現像容器の循環経路において現像剤をスクリューにより攪拌しつつ搬送する。
【0003】
このように現像剤を循環経路内で搬送するスクリューとして、回転軸の周囲に螺旋状に形成された複数の羽根を設けた多条スクリューにおいて、羽根のそれぞれに回転軸の軸線方向で不連続となる不連続部を設けた構成が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-256429号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、二成分現像方式の現像装置では、静電潜像を現像することによって消費した分の現像剤を逐次新しく補給することで現像装置内のトナーの量をキャリアの量に対して所定の割合で維持しながら画像形成を行うことができる。このような構成において、補給用の現像剤を現像剤担持体へ搬送するまでに如何に良好に攪拌できるか否か、ということが異常画像を低減するために重要な課題となってきている。
【0006】
特に、補給用の現像剤が輸送中に受ける熱履歴や、画像形成装置の現像剤搬送経路中の駆動などによって凝集塊が発生することがあり、凝集塊が意図せず現像部に供給されることで画像上に染みを落としたような画像不良(シミ画像)が発生する。したがって、現像剤を搬送する搬送スクリューによって凝集塊を破砕することが、これらシミ画像を抑制し画像品質を向上するために重要である。
【0007】
上述の特許文献1には、現像剤の攪拌性を向上するためのスクリュー構成が開示されている。しかしながら、特許文献1のように現像剤の循環経路内の搬送スクリューの現像剤の攪拌性を向上させただけでは、補給用の現像剤中の凝集塊を十分に破砕できない虞がある。
【0008】
本発明は、補給用搬送スクリュー部により補給用現像剤中の凝集塊を効率的に崩すことが可能な構成を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様は、現像位置にトナーとキャリアを含む現像剤を担持搬送する現像剤担持体と、前記現像剤を収容する現像容器と、第1搬送スクリュー部と、第2搬送スクリュー部と、補給用搬送スクリュー部と、を備え、前記現像容器は、前記現像剤担持体に現像剤を供給するための第1室と、隔壁によって前記第1室と区画された第2室と、前記第1室から前記第2室に現像剤が連通することを許容する第1連通部と、前記第2室から前記第1室に現像剤が連通することを許容する第2連通部と、前記第1室と前記第2室との間で現像剤が循環する循環経路に補給用現像剤を搬送するための補給用搬送経路と、前記補給用搬送経路に補給用現像剤を補給する現像剤補給部と、を有し、前記第1搬送スクリュー部は、前記第1室に設けられ、前記第2連通部から前記第1連通部に向かう第1方向に現像剤を搬送し、前記第2搬送スクリュー部は、前記第2室に設けられ、前記第1連通部から前記第2連通部に向かう第2方向に現像剤を搬送し、前記補給用搬送スクリュー部は、前記補給用搬送経路に設けられ、前記現像剤補給部から前記第1連通部に向かう第3方向に補給用現像剤を搬送し、前記補給用搬送経路は、前記第2方向に関して、前記第2室よりも上流に配置されており、前記第2搬送スクリュー部は、前記第2方向に関して、前記第1連通部よりも下流且つ前記第2連通部よりも上流に配置されており、前記補給用搬送スクリュー部は、前記第2方向に関して、前記第2搬送スクリュー部よりも上流に配置されており、前記補給用搬送スクリュー部の回転軸は、前記第2搬送スクリュー部の回転軸と同軸であり、前記補給用搬送スクリュー部は、前記補給用搬送スクリュー部の回転軸の外周面に螺旋状に形成された、補給用現像剤を前記第3方向に搬送する第1羽根部と、前記補給用搬送スクリュー部の回転軸の外周面に螺旋状に形成された、補給用現像剤を前記第3方向に搬送する第2羽根部と、前記補給用搬送スクリュー部の回転軸の外周面に螺旋状に形成された、補給用現像剤を前記第3方向に搬送する第3羽根部と、を有し、前記第1羽根部のピッチ、前記第2羽根部のピッチ、及び、前記第3羽根部のピッチのそれぞれは、前記第2搬送スクリュー部の羽根のピッチよりも大きく、前記第1羽根部の外径と前記第2羽根部の外径と前記第3羽根部の外径は、同じであり、前記第3方向に関して前記第1羽根部の終端と前記第2羽根部の始端との間であって且つ前記第1羽根部の前記終端及び前記第2羽根部の前記始端から前記補給用搬送スクリュー部の周方向にずれた領域において、前記第3羽根部が連続して形成されていることを特徴とする現像装置である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、補給用搬送スクリュー部により補給用現像剤中の凝集塊を効率的に崩すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1の実施形態に係る画像形成装置の概略構成図。
図2】第1の実施形態に係る現像装置の概略構成横断面図。
図3】補給装置及び現像装置の概略構成縦断面図。
図4】現像装置を、一部を省略して上方から見た図。
図5】羽根の搬送面の角度を示す図。
図6】羽根のピッチと現像剤の搬送量の関係を示すグラフ。
図7】(a)比較例に係る搬送スクリューを示す側面図、(b)第1の実施形態に係る搬送スクリューを示す側面図、(c)不連続部の範囲を示す側面図及び断面図、(d)各羽根の不連続同士の間隔を示す側面図及び断面図。
図8】羽根の角度を説明するための模式図。
図9】シミ画像を可視化した図。
図10】(a)現像剤の補給量と凝集塊個数との関係を示すグラフ、(b)不連続部の切り欠き断面の角度と凝集塊個数との関係を示すグラフ。
図11】第2の実施形態に係る搬送スクリューを示す図。
図12】(a)不連続部の断面積比と凝集塊個数との関係を示すグラフ、(b)不連続部の断面積比と遅れ時間との関係を示すグラフ。
図13】現像剤の補給量と凝集塊個数との関係を示すグラフ。
図14】第3の実施形態に係る補給用搬送経路周辺の断面図。
図15】(a)現像剤の補給量と凝集塊個数との関係を示すグラフ、(b)不連続部の切り欠き断面の角度と凝集塊個数との関係を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<第1の実施形態>
第1の実施形態について、図1ないし図10を用いて説明する。まず、本実施形態の画像形成装置の概略構成について、図1を用いて説明する。
【0013】
[画像形成装置]
画像形成装置100は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色に対応して設けられ4つの画像形成部PY、PM、PC、PKを有する電子写真方式のフルカラープリンタである。本実施形態では、画像形成部PY、PM、PC、PKを後述する中間転写ベルト24の回転方向に沿って配置したタンデム型としている。画像形成装置100は、画像形成装置本体に接続された原稿読み取り装置(図示せず)又は画像形成装置本体に対し通信可能に接続されたパーソナルコンピュータ等のホスト機器からの画像信号に応じてトナー像(画像)を記録材27に形成する。記録材としては、用紙、プラスチックフィルム、布などのシート材が挙げられる。
【0014】
このような画像形成プロセスの概略を説明すると、まず、各画像形成部PY、PM、PC、PKでは、それぞれ、感光ドラム28Y、28M、28C、28K上に各色のトナー像を形成する。このように形成された各色のトナー像は、中間転写ベルト24上へ転写され、続いて中間転写ベルト24から記録材27上に転写される。トナー像が転写された記録材27は、定着装置25に搬送されて、トナー像が記録材27に定着される。以下、詳しく説明する。なお、各画像形成部PY、PM、PC、PKは、画像形成装置本体に対して着脱自在な、感光ドラム28Y、28M、28C、28Kを有するドラムカートリッジと、現像装置(現像カートリッジ)1Y、1M、1C、1Kとから構成される。これらを一体に画像形成装置本体から着脱自在としたプロセスカートリッジであっても良い。
【0015】
なお、画像形成装置100が備える4つの画像形成部PY、PM、PC、PKは、現像色が異なることを除いて実質的に同一の構成を有する。したがって、以下、代表して画像形成部PYについて説明し、他の画像形成部の構成は、画像形成部PYにおける構成に付した符号の添え字「Y」をそれぞれM、C、Kに置き換えて示し、説明を省略する。
【0016】
画像形成部PYには、像担持体として円筒型の感光体、即ち、感光ドラム28Yが配設されている。感光ドラム28Yは、所定のプロセススピード(周速度)で図中矢印方向に回転駆動される。感光ドラム28Yの周囲には帯電ローラ21Y(帯電装置)、現像装置1Y、一次転写ローラ23Y、クリーニング装置26Yが配置されている。感光ドラム28Yの図中上方には露光装置(レーザースキャナ)22Yが配置されている。
【0017】
帯電ローラ21Yは、画像形成時に感光ドラム28Yに従動回転する。帯電ローラ21Yは、感光ドラム28Yに向かって加圧バネ(不図示)によって付勢されている。また、帯電ローラ21Yは、高圧電源から帯電バイアスが印加される。これによって、感光ドラム28Yは、帯電ローラ21Yによりほぼ均一に帯電される。
【0018】
また、感光ドラム28Y、28M、28C、28Kと対向して中間転写ベルト24が配置されている。中間転写ベルト24は、二次転写内ローラ29aを含む複数の張架ローラにより張架され、複数の張架ローラのうちの駆動ローラの駆動により図中矢印方向に周回移動する。二次転写内ローラ29aと中間転写ベルト24を挟んで対向する位置には、二次転写部材としての二次転写外ローラ29bが配置され、中間転写ベルト24上のトナー像を記録材27に転写する二次転写部T2を構成している。二次転写部T2の記録材搬送方向下流には定着装置25が配置される。
【0019】
上述のように構成される画像形成装置100により画像を形成するプロセスについて説明する。まず、画像形成動作が開始すると、回転する感光ドラム28Yの表面が帯電ローラ21Yによって一様に帯電される。次いで、感光ドラム28Yは、露光装置22Yから発せられる画像信号に対応したレーザ光Lにより露光される。これにより、感光ドラム28Y上に画像信号に応じた静電潜像が形成される。感光ドラム28Y上の静電潜像は、現像装置1Y内に収容されたトナーによって顕像化され、可視像(トナー像)となる。
【0020】
感光ドラム28Y上に形成されたトナー像は、中間転写ベルト24を挟んで配置される一次転写ローラ23Yとの間で構成される一次転写部T1Yにて、中間転写ベルト24に一次転写される。一次転写後に感光ドラム28Y表面に残ったトナー(転写残トナー)は、クリーニング装置26Yによって除去される。
【0021】
このような動作をマゼンタ、シアン、ブラックの各画像形成部でも順次行い、中間転写ベルト24上で4色のトナー像を重ね合わせる。その後、トナー像の形成タイミングに合わせて記録材収納カセット(図示せず)に収容された記録材27が二次転写部T2に搬送され、中間転写ベルト24上の4色のトナー像が、記録材27上に一括で二次転写される。二次転写部T2で転写しきれずに中間転写ベルト24に残留したトナーは、中間転写ベルトクリーナ24aにより除去される。
【0022】
次いで、記録材27は定着装置25に搬送される。そして、この定着装置25によって、加熱、加圧されることで、記録材27上のトナーは溶融、混合されて、フルカラーの画像として記録材27に定着される。その後、記録材27は機外に排出される。これにより、一連の画像形成プロセスが終了する。なお、所望の画像形成部のみを用いて、所望の色の単色又は複数色の画像を形成することも可能である。
【0023】
[現像装置]
次に、現像装置1Yについて、図2ないし図4を用いて説明する。なお、現像装置1M、1C、1Kについても同様である。現像装置1Yは、非磁性トナーと磁性キャリアとを含む二成分現像剤を収容する現像容器2を有する。現像容器2は、感光ドラム28Yに対向した現像領域の部分が開口しており、この開口部に一部露出するようにして、内部にマグネットロール4が非回転に配置された現像剤担持体としての現像スリーブ3が回転可能に設置されている。
【0024】
本実施形態では、現像スリーブ3は非磁性材料で構成され、所定のプロセススピード(周速度)で、現像動作時に図2の矢印方向に回転する。磁界発生手段としてのマグネットロール4は、周方向に沿って複数の磁極として、N1、N2、N3、S1、及び、S2の5つの磁極を有し、発生する磁界により現像スリーブ3の表面に現像剤を担持させる。
【0025】
即ち、現像スリーブ3は、図中矢印方向に回転し、マグネットロール4のN1極(吸引極)の位置で吸着した現像剤を規制部材としてのブレード5方向へ搬送する。S1極によって現像スリーブ3上で穂立ちされられた現像剤は、ブレード5によって、現像スリーブ3とブレード5のギャップをその量が規制されつつ通過することで、現像スリーブ3上に所定の層厚の現像剤層を形成する。そして、現像剤層は感光ドラム28と対向する現像領域(現像部、現像位置)に担持搬送され、N2極によって磁気穂を形成した状態で感光ドラム28の表面に形成されている静電潜像を現像する。現像に供された後の現像剤はN3極(剥離極)とN1極の間にある無磁力帯まで搬送され、現像スリーブ3より剥離されて現像剤循環経路へ取り込まれる。
【0026】
なお、本実施形態においては、感光ドラム28Yと現像スリーブ3との対向部である現像領域に対して、現像スリーブ3表面の回転方向上流側で現像剤を規制するため、ブレード5が現像スリーブ3の下方に配置されている。
【0027】
現像容器2の内部は、垂直方向に延在する隔壁(仕切り部材)15によって、第1搬送経路としての現像室(第1室)11と第2搬送経路としての攪拌室(第2室)12とに区画されている。図4に示すように、隔壁15の長手方向(現像スリーブ3の回転軸線方向)の両端側には、それぞれ現像室11と攪拌室12とを連通する連通部(受け渡し部、連通口)16、17が形成されている。これにより、現像室11と攪拌室12とで現像剤の循環経路を形成している。
【0028】
また、現像容器2内には、それぞれ現像剤を攪拌しつつ且つ搬送する第1搬送スクリュー13(第1搬送スクリュー部)と、第2搬送スクリュー14(第2搬送スクリュー部)と、補給搬送スクリュー31(補給搬送スクリュー部)が配置されている。なお、図3及び図4に示す搬送スクリューは模式図であり、図3及び図4は、第1搬送スクリュー13、第2搬送スクリュー14及び補給搬送スクリュー31が、1の条数の羽根を有する1条スクリューである例を図示している。一方、本実施形態では、第1搬送スクリュー13、第2搬送スクリュー14及び補給搬送スクリュー31は、複数の条数の羽根を有する多条スクリューであるものとして以降説明を進める。具体的には、各搬送スクリューは、回転軸と、回転軸の周囲に螺旋状に形成された3条の羽根とを備えた3条スクリューとしている。なお、補給搬送スクリュー31は多条スクリューであるのに対し、第1搬送スクリュー13及び第2搬送スクリュー14は1条スクリューである変形例であってもよい。
【0029】
第1搬送スクリュー13は、現像室11に配置され、現像室11内(第1搬送経路内)の現像剤を第1方向としての図4の矢印α方向に攪拌しつつ搬送し、且つ、現像スリーブ3に現像剤を供給する。第1方向は、連通部(第2連通部)16から連通部(第1連通部)17に向かう方向である。第2搬送スクリュー14は、攪拌室12に配置され、攪拌室12内(第2搬送経路内)の現像剤を第1方向と逆の第2方向としての図4の矢印β方向に攪拌しつつ搬送する。第2方向は、連通部17から連通部16に向かう方向である。現像剤は、このようにして、第1、第2搬送スクリュー13、14によって搬送され、連通部16、17を介して現像容器内を循環する。
【0030】
攪拌室12の第2搬送スクリュー14の搬送方向上流側(第2方向上流側)には、補給用搬送経路53が接続されている。補給用搬送経路53は、循環経路に補給用現像剤を供給するためのものである。このために補給用搬送経路53には、補給口50が設けられている。補給口50は、後述する図3に示す現像剤補給装置80の補給搬送部(補給パイプ)83に接続されている。補給用搬送経路53は、第2搬送スクリュー14の上流に位置し、第2搬送スクリュー14と同軸上の現像剤循環経路外に設置している。そして、補給用搬送経路53の上流端部の鉛直方向上方に補給用現像剤収容器であるトナーボトル8と連結する様に補給口50及び補給搬送部83が備えられている。
【0031】
また、補給用搬送経路53には、補給搬送スクリュー31が配置されている。補給搬送スクリュー31は、補給用搬送経路53内(補給用搬送経路内)の現像剤を循環経路に向けて搬送する。即ち、補給搬送スクリュー31は、補給口50から連通部17に向かう第3方向に補給用現像剤を搬送する。補給搬送スクリュー31は、第2搬送スクリュー14と一体に形成されており、言い換えれば、第2搬送スクリュー14の一部である。即ち、補給搬送スクリュー31は、第2搬送スクリュー14の上流端部から現像剤の循環経路と接続するまでの区間である。したがって、補給用現像剤は、現像剤補給装置80から補給搬送部83及び補給口50を介して補給用搬送経路53に供給され、更に、補給用搬送経路53に配置された補給搬送スクリュー31により攪拌室12内に供給される。
【0032】
なお、現像容器2には、図4に示すように、現像容器2内のトナー濃度を検知するトナー濃度センサとしてのインダクタンスセンサ43が設けられている。本実施形態では、インダクタンスセンサ43は、攪拌室12の現像剤搬送方向下流側に設けられている。
【0033】
現像装置1Yの上方には、図3に示すように、トナーを含みキャリアを含まない補給用現像剤、若しくは、トナーとキャリアを含む補給用現像剤を収容したトナーボトル8が画像形成装置本体に対して着脱自在に配置されている。例えば、トナーボトル8内には、トナー濃度(キャリア粒子及びトナー粒子の合計重量に対するトナー粒子重量の割合、T/D比)が90%の現像剤が収容されている。一方、現像装置1Y内の現像剤のトナー濃度は、10%以下、例えば7%~10%(7%以上10%以下)程度である。このため、トナーボトル8には、現像装置1Y内で循環する現像剤のトナー濃度よりも高いトナー濃度の現像剤が収容されている。
【0034】
上述の現像剤補給装置80は、このトナーボトル8と、補給機構81と、補給搬送部83とを有する。トナーボトル8は、円筒状の容器の内壁に螺旋状の溝を掘った構成となっており、トナーボトル8自体が回転することで長手方向(回転軸線方向)へと現像剤の搬送力を発生させる。トナーボトル8の現像剤搬送方向下流端部には、補給機構81が接続されている。補給機構81は、トナーボトル8から搬送される現像剤を排出口82から排出するポンプ部81aを有する。ポンプ部81aは、蛇腹状に形成され、回転駆動されることで容積が変化して空気圧を発生し、トナーボトル8から搬送された現像剤を排出口82から排出する。
【0035】
排出口82には、補給搬送部83の上端部が接続されており、補給搬送部83の下端部は、現像装置1Yの現像剤の補給口50に接続されている。即ち、補給搬送部83は、排出口82と補給口50とを連通させている。したがって、ポンプ部81aにより排出口82から排出された現像剤は、補給搬送部83を通って現像装置1Yの現像容器2内に補給される。
【0036】
なお、上述の現像装置1Yにおいて、補給口50が形成された補給用搬送経路53は、攪拌室12の現像剤搬送方向上流側で、且つ、現像室11と攪拌室12とで形成される現像剤の循環経路の外側に備えられている。具体的には、補給用搬送経路53は、一方の連通部17よりも攪拌室12の現像剤搬送方向上流側に設けられている。したがって、補給口50の近傍は、現像剤の循環経路の現像剤は殆ど存在せず、補給用現像剤が通過するのみである。
【0037】
このような現像剤補給装置80による補給は、自動トナー補給制御(以下、「ATR(Automatic Toner Replenisher)制御」という)により行われる。このATR制御は、画像形成時の画像比率、インダクタンスセンサ43、トナー像の濃度を検知する濃度センサ101(図1)によるパッチ画像の濃度検知結果に応じて、現像剤補給装置80の動作を制御して、現像剤を現像装置1Yに補給するものである。
【0038】
濃度センサ101は、図1に示すように、中間転写ベルト24の回転方向に関し、最下流の画像形成部PKの下流で、二次転写部T2の上流に、中間転写ベルト24の表面と対向して配置されている。濃度センサ101を用いる制御では、例えば、画像形成ジョブの開始時や所定枚数の画像形成毎などのタイミングで、制御用のトナー像(パッチ画像)を中間転写ベルト24上に転写し、濃度センサ101によりパッチ画像の濃度を検知する。そして、この検知結果に基づいて、現像剤補給装置80による現像剤の補給制御を行う。
【0039】
なお、現像装置1Yに現像剤を補給する構成は、このような構成に限らず、従来から知られている構成を用いても良い。例えば、トナーボトルと現像装置との間に、トナーボトルから供給される現像剤を一旦貯留する現像剤貯留部を有するホッパーを設け、このホッパーから現像装置に現像剤を補給する構成であっても良い。この構成の場合、ホッパーが現像装置に現像剤を補給するためのスクリューを有し、このスクリューの駆動を制御することで、上述の現像剤補給装置80と同様に現像装置への補給を行う。
【0040】
[現像剤の循環]
次に、現像容器2内の現像剤の循環について、図4を用いてより詳しく説明する。第1搬送スクリュー13及び第2搬送スクリュー14は、現像スリーブ3の回転軸線方向に沿って略平行に配置されている。そして、第1搬送スクリュー13と、第2搬送スクリュー14とは、現像スリーブ3の回転軸線方向に沿って互いに逆方向に現像剤を搬送する。こうして、現像剤は、第1搬送スクリュー13、第2搬送スクリュー14によって、連通部16、17を介して現像容器2内を循環させられる。
【0041】
即ち、第1搬送スクリュー13、第2搬送スクリュー14の搬送力により、現像工程でトナーが消費されてトナー濃度の低下した現像スリーブ3上の現像剤は、現像室11に回収され、連通部17を介して攪拌室12に搬送され、攪拌室12内を移動する。また、現像スリーブ3にコートされなかった現像室11内の現像剤も、現像室11内を移動し、連通部17を介して攪拌室12内へ移動する。
【0042】
ここで、攪拌室12の連通部17よりも第2搬送スクリュー14の現像剤搬送方向上流側には、現像剤補給装置80から現像剤が補給される補給用搬送経路53が設けられている。このため、攪拌室12では、現像室11から連通部17を介して搬送された現像剤と、補給用搬送経路53から供給された補給用現像剤とが、第2搬送スクリュー14によって攪拌しつつ搬送される。そして、第2搬送スクリュー14により搬送された現像剤が、連通部16を介して現像室11へ移動する。
【0043】
一般的に、トナー及びキャリアを用いた二成分現像方式では、トナーとキャリアとを摩擦接触させることによって両者を所定の極性に荷電させる。このため、一成分現像剤を用いた一成分現像方式よりも、トナーの受けるストレスが少ないという特徴を有している。
【0044】
また、現像剤中のキャリアの表面積はトナーよりも大きいことから、トナーがキャリア表面に付着することによってキャリアが汚れることも少ない。しかし、長期間の使用により、キャリア表面に付着した汚れ(スペント)が増加し、そのためにトナーを帯電する能力が次第に低下する。その結果、かぶりやトナー飛散の問題が発生する。二成分現像方式の現像装置の長寿命化を図るために、現像装置に収容するキャリアの量を増やすことも考えられるが、これは現像装置の大型化を招くために望ましくない。
【0045】
このため、本実施形態の現像装置1Yでは、ACR(Auto Carrier Refresh)方式を採用している。ACR方式では、上述のように、新規の現像剤を少しずつ現像容器2内に補給すると共に、帯電性能の劣化した現像剤を少しずつ現像装置から排出することによって、劣化キャリアの増加を抑制するものである。このような現像装置1Yは、現像剤の嵩変動を利用して、余剰となった劣化現像剤を排出して現像容器2内の現像剤の嵩レベルを大略一定に保つ構成である。このACR方式の現像装置1Yによれば、現像容器2内の劣化キャリアが少しずつ新規キャリアに置換され、現像容器2内のキャリアの帯電性能を大略一定に保つことが可能となる。上記ACR方式の現像装置1Yには、トナー比率の高い補給用現像剤が用いられる。通常、トナーに対するキャリアの重量比率は5~10%程度である。言い換えれば、補給用現像剤は、トナー濃度が90%以上、例えば90~95%(90%以上95%以下)程度の現像剤が用いられる。
【0046】
[現像剤]
ここで、本実施形態で用いる二成分現像剤について説明する。現像剤はマイナス帯電極性の非磁性トナーと、プラス帯電極性の磁性キャリアを混合したものを用いる。非磁性トナーは、ポリエステル、スチレンアクリル等の樹脂に着色料、ワックス成分などを内包し、粉砕あるいは重合によって粉体としたものに、酸化チタン、シリカ等の微粉末を表面に添加したものである。磁性キャリアは、フェライト粒子や磁性粉を混錬した樹脂粒子からなるコアの表層に樹脂コートを施したものである。初期状態の現像剤中のトナーの濃度は、本実施形態の場合10%としている。
【0047】
次に、現像容器内で現像剤を搬送するスクリュー部材として、図5に示す1条の搬送スクリュー400を用いた場合の羽根402のピッチと現像剤の搬送性について説明する。搬送スクリュー400は、回転軸401の周囲に螺旋状に形成された1条の羽根402を設けたものである。図示の例では、スクリュー外径が14mmの場合を示している。
【0048】
搬送スクリュー400の1回転当たりの現像剤搬送量は、羽根402のピッチ403によって変化する。全ての現像剤が螺旋状の羽根402に追従して運ばれると仮定すると、搬送スクリュー400が1回転する間に現像剤が進む距離は、羽根402のピッチ403に等しくなる。しかしながら、実際には、羽根402の上を滑って行く現像剤があるため、全ての現像剤が羽根402に追従して搬送されることはない。ピッチ403を広げていくと、羽根402の搬送面の角度αが小さくなっていくため、上述の羽根402上を滑る現像剤の量が増えていく。上述の現像剤の挙動に対して、トナーの場合は二成分現像剤よりも流動性が低いため、羽根上を滑る挙動が少なく羽根の間にトナーを保持しつつ搬送される傾向が強いため、搬送効率は高くなる。
【0049】
図6に、羽根402のピッチ403を変化させて、それぞれの1回転当たりの現像剤搬送量を調べた結果を示す。搬送スクリュー400のピッチ403と1回転当たりの現像剤搬送量の関係は、図6のような上に凸のグラフとなる。図6では、ピッチ403が30mmの際に1回転当たりの現像剤搬送量が最も多くなる。なお、スクリュー外径を変えた場合には、図6に表わされるグラフの形状は異なるものとなるので、本実施形態を適用可能なピッチは、これに限るものではない。
【0050】
[現像剤中の凝集塊について]
ここで、近年は現像装置の小型省スペース化が進んでおり、現像装置内部に充填されている二成分現像剤の量が少量になる傾向がある。そのため、補給用現像剤を現像スリーブへ搬送するまでに如何に良好に攪拌できるか否か、ということが異常画像を低減するために重要な課題となってきている。特に、補給用現像剤が輸送中に受ける熱履歴や、画像形成装置の現像剤搬送経路中の駆動などによって凝集塊が発生することがあり、凝集塊が意図せず現像部に供給されることで画像上に染みを落としたような画像不良(シミ画像)が発生する。したがって、現像装置内部に設置された現像剤を搬送する搬送スクリューによって凝集塊を破砕することが、これらシミ画像を抑制し画像品質を向上するために重要である。
【0051】
しかしながら、現像剤中に混入した凝集塊は現像剤と比重が異なるため現像剤表面を漂いながら搬送されて現像部においてシミ画像として顕在化することが多い。このため、特許文献1に記載されているように、攪拌室12内に配置された第2搬送スクリュー14を多条スクリューとすると共に、羽根に不連続部を有する構成にしたとしても、凝集塊の破砕機能としては十分とは言えない。さらに、攪拌性を重視しているため現像剤の搬送能力が低下することで、消費トナーに対してトナー供給が遅れてしまう虞がある。
【0052】
また、上述のような、従来構成より省スペースを達成するための小型で現像剤量が少ない現像装置を用いる場合には、現像剤の量に対する補給されるトナーの割合が多く且つ現像剤の循環経路が短い。更に、搬送スクリューの径などが小さくなる。このため、シミ画像の原因となる凝集塊の破砕に対して不利になってしまう。一方で、凝集塊を破砕するために搬送スクリューにパドルなどの攪拌部材を設けた場合、現像剤の搬送能力を低下させることになってしまう。
【0053】
更に、本実施形態では、画像形成装置本体の省スペース化のために補給用現像剤の貯蔵部であるホッパーを用いずにトナーボトル8から現像装置1Y内に直接現像剤を補給する構成としている。このような構成の場合、計量による振れが大きく従来構成の補給量より多い量の現像剤が補給されてしまう場合があり、補給用現像剤中の凝集塊の影響を受けやすくなる。このため、画像形成装置本体及び現像装置の小型化が進むにつれて、より凝集塊を破砕することができるような現像装置が求められている。そこで、本実施形態では、小型省スペースの現像装置を用いた場合にも搬送能力の低下を抑えつつ凝集塊の破砕効率を向上して、シミ画像の発生を低減すべく、補給搬送スクリュー31を次のような構成としている。
【0054】
[補給搬送スクリュー]
次に、本実施形態の補給搬送スクリュー31の構成について説明する。補給搬送スクリュー31は、図7(b)に示すように、回転軸310と、回転軸310の周囲に螺旋状に形成された複数の条数の羽根311とを有する。そして、複数の条数の羽根311のうちの少なくとも1条の羽根311は、回転軸310の軸線方向の少なくとも一部に羽根311が不連続となる不連続部(切り欠き部)312を有する。
【0055】
また、上述したように、補給用搬送経路53は、攪拌室12の第2搬送スクリュー14の現像剤搬送方向である第2方向上流側に接続されている。そして、補給用搬送経路53に配置された補給搬送スクリュー31は、第2搬送スクリュー14の第2方向上流に配置され、第2搬送スクリュー1と共通の回転軸310を有する。即ち、補給搬送スクリュー31と第2搬送スクリュー14とは、同じ回転軸310を有し、一体的に形成されたものである。
【0056】
また、第2搬送スクリュー14も、回転軸310と、回転軸310の周囲に螺旋状に形成された複数の条数の羽根14aとを有する。そして、複数の条数の羽根14aのうちの少なくとも1条の羽根14aは、回転軸310の軸線方向の少なくとも一部に羽根14aが不連続となる不連続部(切り欠き部)14bを有する。本実施形態では、補給搬送スクリュー31と第2搬送スクリュー14は、3条の羽根311、14aを有する3条スクリューであり、そのうちの2条以上の羽根311、14aに不連続部312、14bを形成している。具体的には、3条の羽根311、14aのそれぞれの複数個所に不連続部312、14bを形成している。
【0057】
このように本実施形態では、補給搬送スクリュー31として、螺旋状の羽根311が回転軸(スクリュー軸)310に対して複数存在している多条スクリューを採用している。多条スクリューは、上述のようにスクリュー軸に対して螺旋状の羽根を複数枚備わっているため、スクリューが1回転した際にとある断面を通過する羽根の数が条数の分だけ増加する。そのため、スクリューの搬送性能が向上する特性を持っている。但し、羽根の数を増やし過ぎると単位体積当たりに占めるスクリューの体積が増加して、現像剤を抱き込めなくなるため搬送力が低下する特徴もある。したがって、補給搬送スクリュー31を多条スクリューとすることで、現像容器2に新たに補給された補給用現像剤が補給搬送スクリュー31の1回転あたり搬送される効率も向上し、現像容器2内に効率よく供給することができる。
【0058】
図7(a)は、比較例として、羽根に不連続部がない補給搬送スクリュー410及び不連続部がある第2搬送スクリュー14を示す。この比較例の場合も、補給搬送スクリュー410及び第2搬送スクリュー14は、3条スクリューである。また、第2搬送スクリュー14は、羽根14aに不連続部14bを有する。一方、図7(b)は、上述したような本実施形態の補給搬送スクリュー31及び第2搬送スクリュー14を示し、図7(c)は不連続部312の範囲を、図7(d)は不連続部312の間隔をそれぞれ示している。
【0059】
図8は、上述した3条スクリューに対して、スクリュー1周あたり外周の長さを平面図に展開したものである。図8において、縦方向は搬送スクリューの回転軸に対して垂直方向でのスクリューの外径の外周の長さ、横方向は搬送スクリューの回転軸線方向のスクリューピッチ(羽根のピッチ)を示している。また、斜めの各直線は3条スクリューが1周回転したときのスクリューの最外周の距離(最も外側に位置する部分が移動する距離)を示している。また、羽根の外径を直径とする円の外周の長さ(スクリュー外周長)を縦軸にとり、羽根の1ピッチを横軸にとった場合の、対角線と横軸がなす角度を羽根の角度αとする。なお、羽根の外径とは、搬送スクリューの外径であり、回転軸に直交する断面において回転軸の中心から羽根の外周までの距離を半径とする円の外径に相当する。
【0060】
3条スクリューが1周回転したときのスクリューの最外周の距離は、スクリュー1周あたりに現像剤を搬送する量にも相当する。そして、この距離が大きいほど現像剤を多く搬送していることになり、同様に補給現像剤と多くの現像剤と搬送し撹拌していると言い換えることもできる。ここで、上記スクリュー最外周の距離は、スクリューの外径、羽根の角度αもしくはスクリューピッチによっても決まってくるものであり、上述のように搬送スクリューの搬送性が良好なスクリュー外径、および角度αを選択することが必要となってくる。
【0061】
多条スクリューにおける上記スクリュー最外周距離は、各羽根の最外周距離の和がこれに相当し、多条になるとスクリュー最外周距離は条数に比例して増えていく。これはスクリューの撹拌性能が、条数に比例して向上していくと言い換えることができる。ただし、上述のように条数が多すぎると逆に搬送力を低下させてしまうこともある。
【0062】
ここで、前述の図6に示したように、搬送スクリューの羽根ピッチと1回転当たりの現像剤搬送量の関係は、上に凸のグラフに表すことができる。このとき、現像装置内の現像剤を搬送した場合で羽根ピッチが30mmの際に1回転当たりの現像剤搬送量が最も多くなり、この現像剤よりもトナー濃度が高い補給用現像剤を搬送した場合で羽根ピッチが50mmの際に1回転当たりの搬送量が多くなる。これは、トナーを多く含む(例えばトナー濃度が90%以上の)補強用現像剤と、現像装置内で循環する現像剤(例えばトナー濃度が10%以下)とでは、現像剤の流動性が異なるためである。
【0063】
一方で、多条スクリューによって現像剤を搬送する場合、搬送力が高くなる半面、羽根間及び条間の空間が小さくなって現像剤の挙動が小さくなるため、ミクロな領域での攪拌性能を得にくい。このため、補給用現像剤中に凝集塊が含まれている場合に、図7(a)に示したように、補給搬送スクリュー410を不連続部がない多条スクリューとした場合、凝集塊を十分に破砕することが難しい。
【0064】
そこで、本実施形態では、上述のように、補給搬送スクリュー31を多条スクリューとすると共に、羽根311に不連続部(ギャップ)312を設けることで、補給用現像剤中の凝集塊を破砕し易い構成としている。本実施形態の場合、図7(b)に示すように、補給搬送スクリュー31の3条の羽根311において、各条に1箇所の不連続部312を設けた。また、1条の羽根311は、不連続部312を介して第1羽根部3111と第2羽根部3112を有する。また、3条のうちの他の2条の羽根311は、それぞれ第3羽根部3113、第4羽根部3114を有する。そして、第3方向に関して第1羽根部3111の終端と、第3方向に関して第2羽根部3112の始端との間において、第1羽根部3111の終端及び第2羽根部3112の始端と、補給搬送スクリュー31の周方向にずれて、第3羽根部3113が連続して形成されている。本実施形態では、第4羽根部3114も、第3方向に関して第1羽根部3111の終端と、第3方向に関して第2羽根部3112の始端との間において、第1羽根部3111の終端及び第2羽根部3112の始端と、補給搬送スクリュー31の周方向にずれて、補給搬送スクリュー31の周方向にずれた位置に連続して形成されている。
【0065】
また、本実施形態の場合、補給搬送スクリュー31の複数の条数の羽根311のピッチ(スクリューピッチ)は、第2搬送スクリュー14の複数の条数の羽根14aのピッチよりも大きくしている。これは、上述のように、補給搬送スクリュー31により搬送される補給用現像剤と、第2搬送スクリュー14により搬送される現像装置内で循環する現像剤とでは、流動性が異なるためである。具体的には、トナー濃度が高い補給用現像剤の方が流動性が低いため、羽根311のピッチを狭めると現像剤が羽根311の隙間から搬送方向前方へ滑る挙動が少なくなり、羽根311のピッチを広げても現像剤が羽根311上を滑り搬送方向後方へ滑る挙動が少なくなる。したがって、図6に示すように補給用現像剤の方が羽根311同士の間に保持されつつ搬送される傾向が強く、通常の現像剤よりも羽根311のピッチが広い側に搬送量のピークが表れる。
【0066】
不連続部312は、図7(c)に示すように、現像剤搬送方向に対して垂直方向に断面が向いており、不連続部312の範囲はスクリュー周方向において1周のうち45度の範囲とした。この不連続部312の範囲は、30度から90度(30°以上90°以下)の範囲であることが望ましい。30度未満の場合、空間が狭くてスクリューによって搬送中の現像剤が不連続部312の断面の前に流れ込み、現像剤が断面と衝突する確率が低下する。一方で、90度より大きいと多条スクリューのメリットである搬送性能が大きく低下し始める。
【0067】
また、不連続部312における羽根311の断面、即ち、切り欠き面313は平面であり、搬送している現像剤に対して面で衝突する様に形成している。また、切り欠き面313は、回転軸310に対して垂直方向、若しくは垂直方向に対して±20°の範囲(-20°以上+20°以下)で切断された断面としている。即ち、切り欠き面313は、補給搬送スクリュー31の回転軸円周面に対して垂直方向に向いて設ける。この切り欠き面313は、回転軸周面に対して垂直方向に±20度程度にすることが望ましい。断面が向いている方向を+側とした場合、プラス側に20度よりも大きく傾斜していると回転によって補給用現像剤を抱き込むように搬送するため凝集塊の破砕能力が低下する。また、-20度よりマイナス側に傾斜していると補給用現像剤が切り欠き面313を滑るように搬送されるようになるため、凝集塊の破砕能力が低下する。
【0068】
また、切り欠き面313は、補給搬送スクリュー31による現像剤の搬送方向に対して平行方向、若しくは、平行方向に対して±30°の範囲(-30°以上+30°以下)で切断された断面としている。即ち、切り欠き面313は、搬送方向に対して平行に切られた断面であり、現像剤搬送方向に対して平行方向に傾斜させる場合は±30度程度までであることが望ましい。切り欠き面313が現像剤搬送方向下流側(プラス側)に面を向けて傾斜している場合、平行方向に+30度よりもプラス側に傾斜すると、搬送される現像剤と切り欠き面313が衝突する際の相対速度が小さくなる。このため、凝集塊の破砕能力が小さくなってしまう。一方で、切り欠き面313が現像剤搬送方向上流側(マイナス側)に面を向けて傾斜している場合、平行方向に-30度よりもマイナス側に傾斜していると、現像剤の搬送を阻害する方向で衝突するため破砕能力はやや向上するが搬送速度が低下してしまう。
【0069】
また、上述のように、不連続部312は、補給搬送スクリュー31の3条の羽根311において、各条に1箇所ずつ設けた。このとき、不連続部312は、図7(d)に示すように、回転軸線方向に対して均等な間隔、且つ、補給搬送スクリュー31の回転軸線に直交する断面から見て不連続部312の中心が120度の間隔になるように配置することが望ましい。不連続部312が軸方向または周方向に並んで若しくは近い位置に配置されると、補給搬送スクリュー31の羽根311による駆動力が現像剤に伝達しない部分が発生し、搬送力および攪拌力が低下してしまう。このため、ある一つの羽根311の不連続部312の隣り合った別条の羽根311の部分は、不連続部312ではなく羽根が連続した部分であることが望ましい。
【0070】
一方で、補給口50と現像剤の循環経路との間の補給用搬送経路53の容器形状としては密閉形状であること望ましい。補給搬送スクリュー31の周囲を密閉形状(例えばトンネル形状のような)にすることで、補給搬送スクリュー31の羽根311によって巻き上がった補給用現像剤が天井に当たって補給搬送スクリュー31の回転半径内に戻る。これにより、トナーが上述の不連続部312の切り欠き面313に衝突する頻度を上がり、且つ、羽根311による搬送力の損失を最小限に抑えることができる。さらには、同じメカニズムによって、切り欠き面313に衝突する確率が上昇して凝集塊の破砕能力および搬送性能が向上する。
【0071】
[効果の検証]
次に、補給搬送スクリュー31の搬送性能及び現像剤中の凝集塊破砕性能の関係を検証した結果を説明する。本検証では、補給搬送スクリュー31の凝集塊破砕性能の検証として、補給用現像剤を高温高湿槽に入れて長期間放置することで補給用現像剤の中に加速的に凝集塊を作成して用いることとした。具体的には、温度50℃、湿度50%の恒温槽内で72時間放置した凝集塊検証用補給用現像剤を用いた。
【0072】
凝集塊の破砕性能に関しては、試作した補給搬送スクリュー31を備えた現像装置を用意した。そして、補給用現像剤の補給口50に前述の加速手法で作成した凝集塊検証用補給用現像剤を所定量投入したときに現像スリーブ3上に現れる凝集塊の個数をカウントすることで評価を行った。
【0073】
また、凝集塊破砕性能の弊害としての現像剤搬送性能への影響を検証するため、補給搬送スクリュー31の下流の現像剤循環経路内に設置されたインダクタンスセンサ43(図4)を用いて搬送速度を評価した。
【0074】
本検証で使用する現像装置は図2に示す構成と同等であり、感光ドラムにトナーを供給する現像スリーブ3、第1搬送スクリュー13、第2搬送スクリュー14、補給搬送スクリュー31、インダクタンスセンサ43などを備える。
【0075】
ここで、インダクタンスセンサ43について説明する。インダクタンスセンサ43とは、現像剤の透磁率に関する情報を検知する濃度センサである。インダクタンスセンサ43は、図4に示したように、第2搬送スクリュー14の搬送方向下流の領域に現像容器2の内壁から検知面を突き出るようにして、第2搬送スクリュー14に対向させて配置されている。第2搬送スクリュー14の外周とインダクタンスセンサ43のセンサ面との最近接距離は、本発明者らの検討ではセンサの感度の関係から0.2~2.5mm程度とすることが好ましいことがわかっている。0.2mmより近づけ過ぎた場合、検知面とスクリューとが接触して削れ粉などが発生してしまう虞がある。一方、2.5mmより遠ざけるとセンサが検知することができる空間の現像剤が入れ替わらないため、現像剤循環によるトナー濃度変化を測定することができなくなる。これらの検討結果を鑑みて、本実施形態において該最近接距離は0.5mmに設定している。
【0076】
インダクタンスセンサ43は、検知面から所定の検出範囲の透磁率を検出するので、第2搬送スクリュー14の動きに伴って、検出される透磁率も変化する。具体的には、第2搬送スクリュー14の回転周期にそって、現像剤がインダクタンスセンサ43の検知面を通過していく。このため、インダクタンスセンサ43が検出する透磁率の信号波形は、第2搬送スクリュー14の動きに応じた最大値と最小値を有する。
【0077】
ここではインダクタンスセンサ43により現像剤の透磁率の検出を10ms毎に行う。そして、その10ms毎の検出を、波形の最大値と最大値の間に相当するスクリュー1周分(スクリューの回転速度から1周に要する時間分)行い、これらの平均値を求める事によってインダクタンスセンサ43の検出値としている。
【0078】
上述したように、現像剤(二成分現像剤)は磁性キャリアと非磁性トナーで構成されている。この現像剤のトナー濃度(キャリア粒子及びトナー粒子の合計重量に対するトナー粒子重量の割合)が変化すると、磁性キャリアと非磁性トナーの混合比率による透磁率も変化する。その透磁率の変化を、インダクタンスセンサ43により検出することでトナー濃度を測定する。これにより、現像装置内のトナーの過不足や補給現像剤の循環周期など様々な情報を得ることができ、感光ドラムに対して均一なトナー像を形成できるように制御することができる。
【0079】
次に、本検証での凝集塊破砕に対する評価条件について説明する。本検証では、現像装置に対して、トナー濃度10%の現像剤を200g入れ、現像装置を駆動させるための冶具に設置した。また、現像装置の現像スリーブ3の開口部に対向してラインカメラを設置した。ラインカメラは現像スリーブ3の開口部の感光ドラムとの対向部に焦点を合わせ、現像スリーブ3の現像剤コート領域長手全域が入るように画角を調整する。撮影条件は、500fpsでA4画像1枚分相当の1.0秒間の画像を10枚撮影することとした。
【0080】
また、静止状態の現像装置の補給口50に補給用現像剤として上述の凝集塊を含んだ所定量の補給用現像剤を投入し、現像駆動開始と同時に前述のラインカメラの撮影をスタートし画像を記録した。補給用現像剤が第2搬送スクリュー14に搬送されて現像スリーブ3に到達し始める5枚目くらいから、凝集塊が画像上に現れた。このとき、補給用現像剤と現像装置に充填しておく現像剤は異なる色の現像剤であると、評価がし易くなる。本検証では、補給用現像剤にYellow、現像装置に充填する現像剤にCyanのトナーを使用した。
【0081】
撮影した画像は、画像処理ソフトImageJを使用して、RGBに色分解してG要素の像に対してコントラスト強調処理を実施して凝集塊の像を可視化した。その画像の一例を図9に示す。このように撮影した10枚の画像に現れた凝集塊の個数をカウントして、本実施形態の効果を検証した。
【0082】
本実施形態の効果を検証するために、補給搬送スクリュー31の羽根311に不連続部312を有する構成(図7(b)、実施例1)と、補給搬送スクリュー410の羽根311に不連続部がない構成(図7(a)、比較例)とを用意した。そして、それぞれの補給搬送スクリューを用いて、上述のように、現像スリーブ3上に発生する凝集塊の個数をカウントした。この時の補給用現像剤の量は、現像剤消費量が少ない画像形成ジョブから多いジョブまでを想定して、0.125g、0.250g、0.400g、0.800gの4水準に設定した。
【0083】
図10(a)に、上記検証の結果を示す。図10(a)から明らかなように、実施例1と比較例とでは、補給用現像剤の量が少ない0.125g、0.250gの場合に差が出ず、どちらの構成でも現像スリーブ3上に凝集塊の発生は少なく良好であった。しかしながら、0.400g以上の補給量では、比較例において凝集塊を破砕しきれておらず現像スリーブ3上に凝集塊が多量に発生した。
【0084】
一方で、実施例1では、特に0.400gの補給量領域で現像スリーブ3上の凝集塊の発生を大幅に抑制することができた。また、0.800gの補給量領域においても、比較例に対しては十分に凝集塊の発生を抑制することができた。
【0085】
また、切り欠き面313の角度を振った場合の凝集塊の発生量の傾向を図10(b)に示す。ここでは、切り欠き面313を、補給搬送スクリュー31の回転軸310に対して垂直に立った断面を0°とし、垂直方向に対して±30°までの範囲で設定した場合の凝集塊個数を比較した。補給用現像剤の量は、0.400g、0.800gとした。
【0086】
切り欠き面313が垂直方向(0°)の場合に最も凝集塊を破砕することができ、垂直方向に対して±20°を超えると破砕能力が大きく低下し始めることわかった。このことから、上述のように切り欠き面313の角度は、回転軸310の垂直方向から±20°の範囲に設定することが望ましい。
【0087】
上述の検証結果から明らかなように、本実施形態の構成を用いることで、補給用の現像剤中の凝集塊を十分に破砕でき、シミ画像の発生を抑制できる。特に、小型の現像装置に適用した場合でも、シミ画像の発生が抑制でき、良好な高品質な画像形成装置を提供することができる。
【0088】
<第2の実施形態>
第2の実施形態について、図11ないし図13を用いて説明する。本実施形態では、上述の第1の実施形態と比較して、不連続部の切り欠き面の断面積を異ならせている。その他の構成及び作用は上述の第1の実施形態と同様である。このため、同様の構成については同じ符号を付して説明及び図示を省略又は簡略にし、以下、第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0089】
図11に、本実施形態の補給搬送スクリュー31A及び第2搬送スクリュー14を示す。本実施形態では、不連続部312Aにおける羽根311Aの断面、即ち、切り欠き面313Aの形状を変更して断面積が大きくなるように設定した。切り欠き面313の断面積を、補給搬送スクリュー31Aの羽根311Aが連続している連続部の平均断面積よりも大きくしている。
【0090】
具体的には、補給搬送スクリュー31Aの螺旋状の羽根311Aの形状として、通常の厚さに対して厚くなる節状の部分を周期的に作り、羽根311Aの厚さが厚くなる部分に不連続部312Aを形成した。このように羽根311Aの厚い部分に不連続部312Aを設けることで、切り欠き面313Aの断面形状を、第1の実施形態の切り欠き面313に対して台形の幅を広くした形としている。これにより、本実施形態の切り欠き面313の断面積を回転軸線方向に大きくしている。
【0091】
このように切り欠き面313Aの断面積を大きくすることで、凝集塊と接触する確率が増加するため凝集塊の破砕能力を向上させることができる。一方で、断面積が大きくなることで補給搬送スクリュー31Aの現像剤搬送性能に影響が出る。節状に不連続部312Aの部分のみ断面積を大きくすると、その周辺の羽根形状が裾状に広がって搬送方向に対して垂直の面ができるため、凝集塊破砕能力が向上するが搬送を阻害してしまう。
【0092】
具体的には、断面積が第1の実施形態の断面積の2.5倍程度以上になると現像剤搬送能力が15%以上低下し、凝集塊破砕能力と現像剤搬送能力の両立ができなかった。なお、第1の実施形態における不連続部312は、羽根311の厚さを変えずに形成したものであるのに対し、第2の実施形態の不連続部312Aは、上述のように羽根311Aの厚さを一部で大きくしてその部分に形成したものである。
【0093】
次に、第1の実施形態の補給搬送スクリュー31(実施例1)と、第2の実施形態の補給搬送スクリュー31A(実施例2)とを用意し、それぞれ凝集塊の個数を調べるために行った実験について説明する。実験では、実施例1の切り欠き面313の断面積に対する実施例2の切り欠き面313Aの断面積の比(断面積比=切り欠き面313Aの断面積/切り欠き面313の断面積)を変えて、上述の検証と同様に凝集塊の個数を調べた。なお、断面積比は、切り欠き面313Aの断面積を変えることで変更した。また、この際、インダクタンスセンサ43のピーク変化値Δ[%]を用いて、補給現像剤がインダクタンスセンサ43に到達するまでの時間(遅れ時間)を調べた。
【0094】
その結果を図12(a)、(b)に示す。図12(a)は、断面積比と凝集塊個数との関係を示し、図12(b)は、断面積比と遅れ時間との関係を示す。図12(a)、(b)から明らかなように、実験では、実施例1の切り欠き面313の断面積に対する実施例2の切り欠き面313Aの断面積の断面積比が2.0倍までなら、搬送能力と凝集塊破砕能力とを両立することができる傾向を得られた。例えば、第2の実施形態の補給搬送スクリュー31Aの羽根311Aの最も厚さが小さい部分の断面積が実施例1の切り欠き面313の断面積と同じとする。この場合、切り欠き面313Aの断面積は、羽根311Aの最も厚さが小さい部分の断面積の2.0倍以下であれば、現像剤の搬送能力の低下を抑制しつつ凝集塊の破壊能力を向上させることができる。
【0095】
次に、実施例2の切り欠き面313Aの断面積が実施例1の切り欠き面313の断面積の1.8倍、即ち、断面積比が1.8の構成で、第1の実施形態の検証と同様に凝集塊の破砕能力を検証した結果について説明する。
【0096】
実施例2では、補給搬送スクリュー31Aを3条スクリューで且つ1条につき1つの不連続部312Aを有する構成を採用した。また、実施例1と同様に軸方向においても周方向においても3つの不連続部312Aが隣り合わないように均等に配置した。補給搬送スクリュー31Aの詳細な寸法は、スクリューピッチは50mm、羽根311Aの直径がφ14mm、回転軸310がφ6mmで構成している。
【0097】
また、実施例2では、切り欠き面313の断面積を広くするために、図11に示したように、補給搬送スクリュー31Aの羽根311Aの厚みを変化させ、不連続部312Aになるところで厚くなるようにした。但し、切り欠き面313Aの断面を広くする方法としては、羽根の厚みを変えるだけではなく、別の方法を用いても良い。例えば、リブ状の部材を羽根の切り欠き面に設けて、切り欠き面の面積を大きくするようにしても良い。
【0098】
このような構成において、第1の実施形態の検証と同様に現像容器2内に凝集塊を含む凝集塊検証用補給用現像剤を入れた時の現像スリーブ3上に現れるシミ画像について確認を行った。このときの結果を図13に示す。図13のグラフでは、シミ画像中の補給量に対する現像スリーブ3上の凝集塊の個数を表している。また、図13には、図10(a)に示した比較例及び実施例1の結果も合わせて示している。図13から明らかなように、実施例2では、実施例1よりも凝集塊の個数を低減できることが分かった。
【0099】
上述の検証結果から明らかなように、本実施形態の構成を用いることで、第1の実施形態の構成よりも更に補給用の現像剤中の凝集塊を十分に破砕でき、シミ画像の発生を抑制できる。特に、小型の現像装置に適用した場合でも、シミ画像の発生が抑制でき、良好な高品質な画像形成装置を提供することができる。
【0100】
<第3の実施形態>
第3の実施形態について、図14ないし図15(b)を用いて説明する。本実施形態では、補給用搬送経路53を補給搬送スクリュー31Aの周囲を覆う形状にすると共に、補給用搬送経路53から搬送される現像剤が攪拌室12の現像剤と合流する合流部57に不連続部312Aを配置している。その他の構成及び作用は上述の第2の実施形態と同様である。このため、同様の構成については同じ符号を付して説明及び図示を省略又は簡略にし、以下、第2の実施形態と異なる点を中心に説明する。なお、補給用搬送経路53に配置する補給搬送スクリューが第1の実施形態の補給搬送スクリュー31であっても同様である。
【0101】
図14に、本実施形態の補給用搬送経路53及び攪拌室12に配置された補給搬送スクリュー31A及び第2搬送スクリュー14を示す。本実施形態においても、補給用搬送経路53は、現像剤が補給される補給口50から循環経路までの区間において、補給搬送スクリュー31Aの周囲を覆うように構成されている。また、本実施形態では、補給用搬送経路53から搬送される現像剤が攪拌室12の現像剤と合流する合流部57に不連続部312Aが配置されている。補給搬送スクリュー31Aは、一部が攪拌室12内に侵入している。
【0102】
具体的には、本実施形態の場合も、第1、第2の実施形態と同様に、3条スクリューの各羽根311Aに不連続部312Aを有する補給搬送スクリュー31Aを用いる。また、補給搬送スクリュー31Aは、第2搬送スクリュー14の上流側を延長した同軸上に配置され、補給用搬送経路53は、最上流部には補給用現像剤を収容したトナーボトル8と連結した補給搬送部83(図3)との連結部である補給口50を有する構成とした。
【0103】
更に、上述の構成で補給用現像剤中の凝集塊をより効率的に破砕するために、補給搬送スクリュー31Aと第2搬送スクリュー14との合流部57から補給口50までの間の容器形状を補給搬送スクリュー31Aの外周に沿ってトンネル状の形状とした。比重の軽いトナー主体の補給用現像剤を補給搬送スクリュー31Aにより搬送した際には、現像剤の跳ね上げや飛散が発生し易い。このため、このように補給用搬送経路53をトンネル状の形状とすることで、現像剤が天井部56により羽根311Aの径内に留まり、補給搬送スクリュー31Aの影響を受けやすい状況にしている。
【0104】
次に、本実施形態の補給搬送スクリュー31Aの不連続部312Aの配置について説明する。本実施形態では、補給搬送スクリュー31Aとして3条スクリューを使用するため、不連続部312Aは各条に1箇所、合計3箇所に設置する。補給用現像剤中の凝集塊を効率よく破砕および攪拌するためには、第3方向に関して補給口50の位置に不連続部312Aを配置しないこと、そして現像剤の循環経路との合流部57に不連続部312Aを配置すること、が重要である。
【0105】
そこで、本実施形態では、不連続部312Aの搬送方向上流側から1箇所目を補給口50よりも下流の補給用搬送経路53内に配置した。補給口50の位置に不連続部312Aを配置した場合、鉛直方向上方の空間が広いため、不連続部312Aの切り欠き面313Aや羽根311Aに衝突した現像剤が一旦宙に浮いた状態になり、搬送経路内に取り込まれ難くなって搬送効率が低下する。
【0106】
これに対して、補給用搬送経路53の天井部56がある部分に不連続部312Aを配置することで、切り欠き面313Aに衝突した凝集塊がさらに天井部56に衝突し跳ね返って、再び補給搬送スクリュー31Aの回転半径内に戻る。そして、再度、切り欠き面313Aに衝突する確率を上げ、跳ね上げによる搬送のロスを抑制できるため搬送効率を維持することができる。補給用搬送経路53の天井部56は、補給搬送スクリュー31Aの補給口50から合流部57までの間の全域に延在するように配置しても良いし、不連続部312Aの上方のみに配置しても良い。不連続部312Aの2箇所目は、補給用搬送経路53の中央部に配置し、1箇所目と同等の効果を得られるようにした。
【0107】
一方で、不連続部312Aの3箇所目は合流部57に配置した。言い換えれば、補給搬送スクリュー31Aは、補給用搬送経路53から連通部17(図4参照)まで延伸して設けられている。合流部57では、トナー粒子主体の補給用現像剤とキャリア粒子主体の現像剤との比重の異なる2種類の粉体が混ざり合って搬送される。ここで、補給用現像剤と現像剤は、両者の比重が大きく異なるため混ざりにくい。本来、補給用現像剤と現像剤とが混ざりながら搬送されることが期待される。但し、図7(a)に示したような不連続部のない補給搬送スクリュー410を用いた場合、比重の軽い補給用現像剤の挙動が循環経路中の現像剤に衝突して混ざらずに一時滞留しながら徐々に混ざり合って搬送されることが多い。そして、補給搬送スクリュー410で補給用現像剤を分散させた効果が失われてしまう。
【0108】
これを回避するために、本実施形態では、合流部57に不連続部312Aを配置することで、補給用現像剤と循環経路中の現像剤とが滞留せずに混合されるようにした。即ち、不連続部312Aを合流部57に配置することで、循環経路中の現像剤が切り欠き面313Aに衝突して合流部57における現像剤密度が実質的に小さくなり、空間ができることで補給用現像剤と攪拌されるようになる。これにより、凝集塊を破砕しつつも搬送力が阻害されることが無く補給用現像剤を現像剤循環経路中に供給することが可能になる。
【0109】
次に、上述の構成(実施例3)を用いて、第1の実施形態の検証と同様に凝集塊の破砕能力を検証した実験、及び、この際に第2の実施形態で説明した遅れ時間を調べた実験について説明する。即ち、実験では、現像容器2内に凝集塊を含む凝集塊検証用補給用現像剤を入れた時の凝集塊破砕に対する評価およびインダクタンスセンサ43のピーク変化値Δ[%]について確認を行った。また、実施例3の補給搬送スクリュー31Aの断面積比は2.5とした。
【0110】
この実験結果を図15(a)、(b)に示す。図15(a)のグラフでは、シミ画像中の補給量に対する現像スリーブ3上の凝集塊の個数を表している。また、図15(a)には、図13に示した比較例及び実施例1、2の結果も合わせて示している。図15(b)のグラフでは、断面積比を変えて、補給現像剤がインダクタンスセンサ43の位置に到達するまでの時間(遅れ時間)を調べた結果を示している。
【0111】
図15(a)から明らかなように、実施例3の場合、現像スリーブ3上に顕在化するシミ画像の個数は補給用現像剤の量が多くなるにつれて比較例や実施例1、2の構成に対して少なくなる傾向が得られた。また、図15(b)から明らかなように、凝集塊を低減することができる断面積比2.5の構成である実施例3であっても、遅れ時間が増加することを抑えられることがわかった。これにより、実施例3の構成を用いることで、攪拌性を向上した場合にも搬送速度のロスが少ない構成を得られることがわかった。
【0112】
上述の実験結果から明らかなように、本実施形態の構成により、凝集塊を効率的に破砕することができ、且つ、補給用現像剤の搬送の遅れが発生しない現像装置を提供することができる。
【0113】
<他の実施形態>
上述の各実施形態で説明した不連続部は、羽根を連続させないような部分であれば良く、例えば、螺旋に沿う方向に隣り合う羽根同士の間に、これらの羽根よりも外径が小さい羽根が存在していても良い。即ち、軸線方向に連続した羽根の外周側の一部を、軸線方向の一部で切り欠いたような形状とし、この切り欠いた部分を空隙部としても良い。
【0114】
上述の各実施形態では、画像形成装置がプリンタである構成について説明したが、本発明は、複写機、ファクシミリ、複合機などにも適用可能である。また、上述の各実施形態では、現像装置として、現像室から現像スリーブに現像剤を供給し、現像室で現像スリーブから現像剤を回収する構成について説明した。但し、本発明は、現像室(第1搬送経路)から現像剤を供給し、現像室と隔壁を挟んで配置される攪拌室(第2搬送経路)で現像剤を回収する構成にも適用可能である。更には、第1搬送経路と第2搬送経路とが水平方向に並んで配置される現像装置以外に、第1搬送経路と第2搬送経路とが上下方向、或いは、水平方向に対して傾斜するような位置関係に存在するような構成にも、本発明を適用可能である。
【符号の説明】
【0115】
1Y、1M、1C、1K・・・現像装置/2・・・現像容器/3・・・現像スリーブ(現像剤担持体)/11・・・現像室(第1搬送経路)/12・・・攪拌室(第2搬送経路)/13・・・第1搬送スクリュー(第1搬送スクリュー部)/14・・・第2搬送スクリュー(第2搬送スクリュー部)/14a・・・羽根/14b・・・不連続部/31、31A・・・補給搬送スクリュー(補給搬送スクリュー部)/50・・・補給口/53・・・補給用搬送経路/310・・・回転軸/311、311A・・・羽根/312A・・・不連続部/313A・・・切り欠き面
図1
図2
図3
図4
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