(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-13
(45)【発行日】2024-12-23
(54)【発明の名称】画像読取装置、画像形成システム
(51)【国際特許分類】
H04N 1/00 20060101AFI20241216BHJP
H04N 1/04 20060101ALI20241216BHJP
【FI】
H04N1/00 567Q
H04N1/12 Z
(21)【出願番号】P 2020201382
(22)【出願日】2020-12-03
【審査請求日】2023-11-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003133
【氏名又は名称】弁理士法人近島国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】相原 涼
【審査官】橋爪 正樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-096713(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00- 1/207
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を形成する画像形成手段により形成された記録材上の画像を読み取る画像読取装置であって、
記録材を搬送する搬送手段と、
前記搬送手段により搬送される記録材に対して鉛直方向上方側に設けられ、記録材の第一面の画像を読み取る第一読取ユニットと、
前記第一読取ユニットに対し鉛直方向下方側に間隔を空けて設けられ、前記第一読取ユニットとの間に記録材の搬送経路を形成する第一ガイド部と、
前記搬送手段により搬送される記録材に対して鉛直方向下方側に設けられ、記録材の前記第一面とは反対の第二面の画像を読み取る第二読取ユニットと、
前記第二読取ユニットに対し鉛直方向上方側に間隔を空けて設けられ、前記第二読取ユニットとの間に記録材の搬送経路を形成する第二ガイド部と、を備え、
前記第二読取ユニットは、
長方形状の透過部材と、
前記透過部材を介して記録材の前記第二面に光を照射して画像を読み取る光学読取手段と、
前記透過部材と対向する対向面を有し、前記透過部材と共に前記光学読取手段を収容する収容体と、
前記収容体の前記対向面に対して突出するように設けられ、前記透過部材の長手方向における中央よりも一端側において前記透過部材に当接する第一当接部と、
前記収容体の前記対向面に対して突出するように設けられ、前記透過部材の長手方向における前記一端側と反対側の他端側において前記透過部材に当接する第二当接部と、
前記透過部材の長手方向において前記第一当接部よりも前記中央に近い位置で、かつ前記第一当接部が当接した前記透過部材の当接面とは反対の反対面側から前記収容体へ向けて前記透過部材を押圧する第一押圧手段と、
前記透過部材の長手方向において前記第二当接部よりも前記中央に近い位置で、かつ前記反対面側から前記収容体へ向けて前記透過部材を押圧する第二押圧手段と、
前記収容体の前記対向面に対して突出するように設けられ、前記透過部材の長手方向において前記第一当接部と前記第二当接部との間で前記透過部材と対向する対向部であって、前記対向面に対する突出量が前記第一当接部及び前記第二当接部よりも小さい対向部と、を有
し、
前記対向部は、
前記第一当接部と前記第二当接部との間の中央位置に配置され、
記録材の搬送方向から視て前記第一当接部及び前記第二当接部が前記当接面に当接する当接位置との差が、0.1mm以上0.2mm以下の位置にある、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記第一押圧手段と前記第二押圧手段とは、前記透過部材の前記長手方向において記録材が搬送される搬送領域よりも外側の領域において、前記透過部材を押圧する、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記搬送方向の上流側から視た場合、前記第一当接部が前記当接面と当接する第一当接位置及び前記第二当接部が前記当接面に当接する第二当接位置よりも、前記対向部の頂点は低い位置に設けられる、
ことを特徴とする請求項
1又は2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記収容体は、底面部と、記録材の搬送方向において前記底面部の上流側に立設された第一壁部と、前記底面部の下流側に立設された第二壁部とを有し、
前記第一当接部と前記第二当接部と前記対向部は、鉛直方向において前記第一壁部と前記第二壁部のそれぞれの先端から鉛直方向に突出するように設けられ、
前記対向部の突出量は、前記第一当接部及び前記第二当接部の突出量よりも小さい、
ことを特徴とする請求項1乃至
3のいずれか1項に記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記第一当接部と前記第二当接部と前記対向部は、金属製の板状部材をプレス加工して前記収容体を製作する際に一体的に形成される、
ことを特徴とする請求項1乃至
4のいずれか1項に記載の画像読取装置。
【請求項6】
前記第一押圧手段と前記第二押圧手段は、前記収容体に固定される固定部と、前記透過部材を押圧する押圧部と、前記固定部から折れ曲がって前記押圧部を前記透過部材に向け付勢する付勢部とを有する板ばねである、
ことを特徴とする請求項1乃至
5のいずれか1項に記載の画像読取装置。
【請求項7】
前記画像形成手段を有する画像形成装置と、
前記画像形成装置に連結され、前記画像形成装置から排出される記録材上の画像を読み取る、請求項1乃至
6のいずれか1項に記載された画像読取装置と、を備える、
ことを特徴とする画像形成システム。
【請求項8】
前記第二読取ユニットの前記透過部材に突き当たるように前記第二ガイド部に回転自在に設けられ、回転して前記第二読取ユニットに対し前記第二ガイド部を移動させ、前記第二ガイド部と前記第二読取ユニットとの間に形成される間隔を変更する変更手段を備える、
ことを特徴とする請求項
7に記載の画像形成システム。
【請求項9】
前記変更手段は、前記長手方向において前記第一押圧手段と前記第二押圧手段よりも内側で前記透過部材に突き当たる、
ことを特徴とする請求項
8に記載の画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録材に形成された画像を読み取る画像読取装置、及びこれを備えた画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ、複写機等の画像形成装置では、記録材の両面に画像を形成する場合、記録材の表面(第一面)に対する画像形成と、裏面(第一面と反対側の第二面)に対する画像形成とが別々に行われる。即ち、記録材の表面に対する画像形成の後に、記録材の裏面に対する画像形成が行われている。それ故、記録材の表面と裏面とにおいて、相対的に画像の形成位置(印刷位置)にずれが生じないように(例えば、文字の印字ずれ等)、表面と裏面それぞれに形成する画像の形成位置を調整する必要がある。そこで、記録材の表面に形成された画像と裏面に形成された画像を読み取り、読み取った表裏それぞれの画像に基づいて、表面に形成する画像と裏面に形成する画像の位置調整を行うことができるようにしている。
【0003】
従来では、記録材が搬送される搬送経路に、記録材の画像形成面に対向する側にコンタクトガラスを配置して、記録材に形成された画像を、コンタクトガラスを介してイメージセンサにより読み取る画像読取装置が提案されている(特許文献1)。特許文献1に記載の装置のように、画像読取装置には読取基準部材(バッキングローラとも呼ぶ)が回転自在に設けられている。バッキングローラは、イメージセンサの焦点深度に応じたギャップがコンタクトガラスとの間に形成されるように、コンタクトガラスに対向して配置されている。このギャップを記録材が通過する際に、イメージセンサにより記録材上の画像が読み取られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、記録材に対し1回の搬送で両面の画像を読み取るようにすれば、記録材の両面に形成された画像の読み取りを効率的に行い得る。そうするために、記録材の搬送経路に沿って上流側から順に、例えば記録材の裏面(第二面)の画像を読み取る第二の画像読取ユニットと、記録材の表面(第一面)の画像を読み取る第一の画像読取ユニットが配置される。これら第一、第二の画像読取ユニットは、メンテナンスやコストなどの観点から共通部品で構成される場合がある。
【0006】
しかしながら、上記した第一、第二の画像読取ユニットとして、特許文献1に記載されたような画像読取装置を用いた場合、コンタクトガラスと対向するバッキングローラとの間で記録材が詰まり、搬送異常が発生する場合があった。即ち、上述したような画像読取装置では、イメージセンサが収容される収容部に対しコンタクトガラスを押圧部材により押圧して、固定する場合がある。そして、コンタクトガラスがバッキングローラとのギャップを通過する記録材に対し鉛直方向上方側に配置されている場合には、コンタクトガラスの自重によって押圧部材が設けられていない部分が鉛直方向下方に撓んでしまう場合があった。これは、従来の画像読取装置では、コンタクトガラスが撓んだ場合に、バッキングローラとコンタクトガラスとの間に形成されるギャップが狭くなり過ぎて、記録材がギャップを通過し難くなるからである。
【0007】
このようなコンタクトガラスの撓みによる搬送異常を防止するため、コンタクトガラスを抑える押圧部材の押圧力を強くする構成が考えられる。しかしながら、上述のように第一、第二画像読取ユニットを共通部品で構成する場合、鉛直方向上方側に配置される画像読取ユニットに合わせてコンタクトガラスを押圧する押圧部材の押圧力を決定すると、鉛直方向下方側に配置される画像読取ユニットのコンタクトガラスが撓みやすくなってしまう。これは、鉛直方向下方側に配置される画像読取ユニットにおいては、押圧部材がコンタクトガラスを押圧する力と、コンタクトガラスの自重によって、バッキングローラから離れる方向にガラスが撓みやすくなるためである。このように、鉛直方向下側に配置される画像読取ユニットのコンタクトガラスが撓んでしまうと、イメージセンサに対して搬送される記録材の距離が変化してしまい、画像の読取精度が低下してしまい得る。このように、第一、第二の画像読取ユニットが共通部品を用いて構成されている場合には、搬送異常の抑制と画像の読取精度の向上とを両立することが難しかった。
【0008】
本発明は上記問題に鑑み、コンタクトガラスの撓みによる記録材の搬送異常の抑制と画像の読取精度の向上を両立可能な画像読取装置、及びこれを備えた画像形成システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る画像読取装置は、画像を形成する画像形成手段により形成された記録材上の画像を読み取る画像読取装置であって、記録材を搬送する搬送手段と、前記搬送手段により搬送される記録材に対して鉛直方向上方側に設けられ、記録材の第一面の画像を読み取る第一読取ユニットと、前記第一読取ユニットに対し鉛直方向下方側に間隔を空けて設けられ、前記第一読取ユニットとの間に記録材の搬送経路を形成する第一ガイド部と、前記搬送手段により搬送される記録材に対して鉛直方向下方側に設けられ、記録材の前記第一面とは反対の第二面の画像を読み取る第二読取ユニットと、前記第二読取ユニットに対し鉛直方向上方側に間隔を空けて設けられ、前記第二読取ユニットとの間に記録材の搬送経路を形成する第二ガイド部と、を備え、前記第二読取ユニットは、長方形状の透過部材と、前記透過部材を介して記録材の前記第二面に光を照射して画像を読み取る光学読取手段と、前記透過部材と対向する対向面を有し、前記透過部材と共に前記光学読取手段を収容する収容体と、前記収容体の前記対向面に対して突出するように設けられ、前記透過部材の長手方向における中央よりも一端側において前記透過部材に当接する第一当接部と、前記収容体の前記対向面に対して突出するように設けられ、前記透過部材の長手方向における前記一端側と反対側の他端側において前記透過部材に当接する第二当接部と、前記透過部材の長手方向において前記第一当接部よりも前記中央に近い位置で、かつ前記第一当接部が当接した前記透過部材の当接面とは反対の反対面側から前記収容体へ向けて前記透過部材を押圧する第一押圧手段と、前記透過部材の長手方向において前記第二当接部よりも前記中央に近い位置で、かつ前記反対面側から前記収容体へ向けて前記透過部材を押圧する第二押圧手段と、前記収容体の前記対向面に対して突出するように設けられ、前記透過部材の長手方向において前記第一当接部と前記第二当接部との間で前記透過部材と対向する対向部であって、前記対向面に対する突出量が前記第一当接部及び前記第二当接部よりも小さい対向部と、を有し、前記対向部は、前記第一当接部と前記第二当接部との間の中央位置に配置され、記録材の搬送方向から視て前記第一当接部及び前記第二当接部が前記当接面に当接する当接位置との差が、0.1mm以上0.2mm以下の位置にある、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、透過部材の撓みによる記録材の搬送異常の抑制と画像の読取精度の向上を両立可能な画像読取装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本実施形態の画像読取装置を備えた画像形成システムを示す概略図。
【
図4】第二CISユニット及び第二バッキングローラの概要を説明するための模式図。
【
図5】第二CISユニット及び第二バッキングローラを示す斜視図。
【
図6】読取ガラスの取付構成について説明するための断面図。
【
図7】読取ガラスを取り外した第二CISユニットを示す斜視図。
【
図8】第一CISユニットの読取ガラスに生じ得る撓みの抑制について説明するための図であり、(a)比較例、(b)本実施形態。
【
図9】第二CISユニットの読取ガラスに生じ得る撓みの抑制について説明するための図であり、(a)対向支持部がない比較例、(b)対向支持部がある本実施形態。
【
図10】スペーサーを用いた場合について説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<画像形成システム>
本実施形態の画像読取装置を備えた画像形成システムの概略構成について、
図1を用いて説明する。
図1に示す画像形成システム1Xは、画像形成装置100と、画像読取装置200と、フィニッシャ装置300とを有している。画像形成装置100と画像読取装置200とフィニッシャ装置300は、記録材Sを受け渡し可能に連結されている。本実施形態において、画像読取装置200及びフィニッシャ装置300は、機能拡張のために画像形成装置100に後付け自在な後工程ユニットであって、画像形成装置100によりトナー像が形成された記録材Sに対し後述するような後工程を行い得る。
【0013】
これら画像形成装置100、画像読取装置200、フィニッシャ装置300は、シリアル通信やパラレル通信が可能な通信インタフェースを通じてそれぞれの間でデータ送受信可能に接続されている。こうして、画像形成装置100が画像読取装置200、フィニッシャ装置300を制御しつつ、故障を含む動作状況を監視できるようにしている。
【0014】
<画像形成装置>
まず、画像形成装置100について説明する。画像形成装置100は、電子写真方式のタンデム型のフルカラープリンタである。画像形成装置100は、それぞれイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの画像を形成する画像形成部Pa、Pb、Pc、Pdを備えている。画像形成装置100は、装置本体100Aに接続された原稿読取装置190又は装置本体100Aに対し通信可能に接続されたパーソナルコンピュータ等の外部機器(不図示)からの画像信号に応じてトナー像を記録材Sに形成する。
【0015】
なお、本実施形態の場合、画像形成部Pa~Pd、一次転写ローラ24a~24d、中間転写ベルト130、複数のローラ13~15、二次転写外ローラ11により、記録材Sにトナー像を形成する画像形成ユニット700(画像形成手段)が構成されている。また、記録材Sとしては、普通紙、厚紙、ラフ紙、凹凸紙、コート紙等の用紙、プラスチックフィルムや布など、といった様々な種類の予め裁断済みの記録材S(所謂、カットシート)が挙げられる。
【0016】
図1に示すように、画像形成部Pa、Pb、Pc、Pdは装置本体100A内において、中間転写ベルト130の移動方向に沿って並べて配置されている。中間転写ベルト130は複数のローラ(13、14、15)に張架されて、図中矢印R2方向に移動される。そして、中間転写ベルト130は後述のようにして一次転写されるトナー像を担持して搬送する。中間転写ベルト130を張架する二次転写内ローラ14と中間転写ベルト130を挟んで対向する位置には、二次転写外ローラ11が配置され、中間転写ベルト130上のトナー像を記録材Sに転写する二次転写部T2を形成している。二次転写部T2の記録材搬送方向の下流には、定着ユニット800が配置されている。
【0017】
画像形成ユニット700の下方には、記録材Sが収容された複数(ここでは二台)のカセット10が配置されている。これらカセット10にはサイズや厚さの異なる記録材Sが収容されており、カセット10のいずれかから選択的に記録材Sが搬送される。記録材Sは、搬送ローラ16によりカセット10から搬送経路を通じてレジストレーションローラ12へ向けて搬送される。その後、レジストレーションローラ12が中間転写ベルト130上に形成されたトナー像と同期して回転することにより、記録材Sは二次転写部T2へ向けて搬送される。なお、カセット10に収容された記録材Sに限らず、手差し給送部(不図示)に載置された記録材Sが搬送されるようにしてもよい。
【0018】
画像形成部Pa、Pb、Pc、Pdは、トナー像の現像色が異なることを除いて実質的に同一の構成である。したがって、ここでは代表してイエローの画像形成部Paについて説明し、その他の画像形成部Pb、Pc、Pdについては説明を省略する。
【0019】
画像形成部Paには、感光体として円筒型の感光ドラム3aが配設されている。感光ドラム3aは、図中矢印R1方向に回転駆動される。感光ドラム3aの周囲には帯電装置2a、露光装置La、現像装置1a、一次転写ローラ24a、ドラムクリーニング装置4aが配置されている。
【0020】
画像形成装置100により、例えばフルカラーの画像を形成するプロセスについて説明する。まず、画像形成動作が開始されると、回転する感光ドラム3aの表面が帯電装置2aによって一様に帯電される。帯電装置2aは、例えばコロナ放電に伴う荷電粒子を照射して感光ドラム3aを一様な負極性の暗部電位に帯電させるコロナ帯電器などである。次いで、感光ドラム3aは、露光装置Laから発せられる画像信号に対応したレーザ光により走査露光される。これにより、感光ドラム3aの表面に画像信号に応じた静電潜像が形成される。感光ドラム3aに形成された静電潜像は、現像装置1a内に収容されているトナーとキャリアを含む現像剤によって可視像であるトナー像に現像される。本実施形態の場合、現像装置1a~1dは、現像剤として非磁性トナーと磁性キャリアとを含む二成分現像剤を使用している。
【0021】
感光ドラム3aに形成されたトナー像は、中間転写ベルト130を挟んで配置される一次転写ローラ24aとの間で構成される一次転写部T1にて、中間転写ベルト130に一次転写される。この際、一次転写ローラ24aには一次転写バイアスが印加される。一次転写後に感光ドラム3aの表面に残ったトナーは、ドラムクリーニング装置4aによって除去される。
【0022】
このような動作をイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各画像形成部Pa~Pdで順次に行い、中間転写ベルト130上で4色のトナー像を重ね合わせる。その後、トナー像の形成タイミングにあわせてカセット10に収容された記録材Sが二次転写部T2へ搬送される。そして、二次転写外ローラ11に二次転写バイアスを印加することにより、中間転写ベルト130上に形成されたフルカラーのトナー像が記録材Sに一括して二次転写される。二次転写後に中間転写ベルト130上に残ったトナーは、ベルトクリーニング装置22によって除去される。
【0023】
トナー像が転写された記録材Sは、定着ユニット800へ搬送される。定着ユニット800は、トナー像が転写された記録材Sに熱と圧力を加えることで記録材Sにトナー像を定着させる。本実施形態の場合、記録材Sに対し第一定着器81により熱と圧力を加えたのちに、さらに第二定着器91により熱と圧力を加えることが選択的に実施できるようにしている。定着ユニット800では記録材Sを、第一定着器81の通過後に第二定着器91へ向けて搬送させるか、第一定着器81の通過後に第二定着器91を回避して搬送させるかを、定着切替フラッパ95により切り替えられる。
【0024】
第二定着器91は、第一定着器81よりも記録材Sの搬送方向下流側に配置されている。第二定着器91は、第一定着器81により定着された記録材S上のトナー像にさらに光沢を付与するなどの目的のため選択的に使用される。例えば、記録材Sが光沢紙や合成紙などのコート紙である場合、第一定着器81及び第二定着器91の両方にて定着が行われるように、第一定着器81を通過した記録材Sは定着ルート30aを搬送される。これに対し、記録材Sが普通紙などの非コート紙である場合、第一定着器8にて定着が行われる一方で第二定着器91にて定着が行われないように、第一定着器81を通過した記録材Sは第二定着器91を回避する定着バイバスルート30bを搬送される。例えば、記録材Sが非コート紙の場合、定着バイバスルート30bを搬送される。
【0025】
上記の第一定着器81と第二定着器91は同じ構成であってよいので、ここでは第一定着器81を例に説明する。第一定着器81は、記録材Sのトナー像が定着された面に接触して回転可能な定着ローラ82(あるいは定着ベルト)と、定着ローラ82に圧接して定着ニップ部を形成する加圧ベルト83(あるいは加圧ローラ)とを有する。定着ローラ82はヒータ84により加熱され、加圧ベルト83は不図示のヒータによって加熱される。第一定着器81は、定着ローラ82と加圧ベルト83とによって形成される定着ニップ部においてトナー像が形成された記録材Sを挟持搬送することにより記録材Sを加熱、加圧してトナー像を記録材Sに定着させる。このようにして、加熱、加圧によって記録材Sに形成されたトナー像のトナーが溶融、混合され、フルカラーの画像として記録材Sに定着される。
【0026】
本実施形態の場合、画像形成装置100は両面印刷可能である。片面印刷の場合、トナー像が定着された記録材Sは、排出搬送路150へ搬送されて装置本体100Aの排出口から装置本体100A外(装置本体外)へ排出される。両面印刷の場合、トナー像が定着された記録材Sは、両面反転搬送路600へ搬送される。両面反転搬送路600では、スイッチバック動作によって記録材Sが反転され、記録材Sの表面と裏面とが入れ替えられる。反転された記録材Sは、レジストレーションローラ12に向けて搬送され、レジストレーションローラ12により印刷されていない裏面側を中間転写ベルト130側に向けた状態で二次転写部T2へ搬送される。二次転写部T2では、中間転写ベルト130上に形成されたフルカラーのトナー像が記録材S(裏面側)に一括して二次転写される。その後、記録材Sは定着ユニット800によるトナー像の定着が行われて排出口から装置本体100A外へ、直前に画像形成された面(画像形成面)を上側に向けた状態で排出される。なお、上記した排出搬送路150と両面反転搬送路600の切り替えは、搬送切替フラッパ160により行われる。
【0027】
本実施形態の場合、画像形成装置100から排出された記録材Sは、画像読取装置200により搬送される。本実施形態の場合、画像読取装置200は、画像形成装置100により記録材Sの両面に形成された画像(トナー像)を読み取るために設けられている。本実施形態の画像読取装置200については、後述する(
図2参照)。
【0028】
そして、画像読取装置200には、フィニッシャ装置300が記録材Sを受け渡し可能に連結されている。画像読取装置200からフィニッシャ装置300へ搬送された記録材Sは、フィニッシャ装置300によって記録材Sに孔をあけるパンチ処理、あるいは複数枚の記録材Sを束ねて針閉じするステイプル処理などの後工程処理が行われる。フィニッシャ装置300において、孔あけされた記録材Sは上排紙トレイ301へ、針閉じされた記録材Sの束は下排紙トレイ302へとそれぞれ分けて排出される。
【0029】
<画像読取装置>
次に、本実施形態の画像読取装置200の概略構成について、
図2を用いて説明する。
図2に示すように、画像読取装置200は、画像形成装置100から排出された記録材Sを搬送するための複数の搬送ローラ対(201、202、203、204、205、215、216、217、218)と、両面画像読取部400とを備えている。入口搬送ローラ対201は、画像形成装置100から排出された記録材Sを、両面画像読取部400へ向けて搬送する。両面画像読取部400は、記録材Sを搬送方向(矢印X方向)に搬送しながら画像を読み取る「流し読み」を行う装置である。本実施形態では、両面画像読取部400により、1回の搬送で先に記録材Sの表面(第一面)の画像を読み取り、その後に裏面(第二面)の画像を読み取るようにしている。両面画像読取部400の詳しい説明は後述する。
【0030】
両面画像読取部400が読み取った表裏の画像は画像データとして、記録材Sの表面と裏面とにおいて、記録材Sに対する相対的な画像の位置ずれが生じないように、記録材Sの表面と裏面それぞれに形成する画像の位置調整を行うために用いられる。画像データを得るために、記録材Sの両面に測定用の画像(テストパターン)が形成され、両面画像読取部400により測定用の画像が読み取られる。また、連続して複数枚の記録材Sに測定用の画像が形成され、それを読み取る必要があることから、「流し読み」によって画像の読み取りに係る時間の短縮が図られている。なお、両面画像読取部400による画像の読み取りは、記録材Sに測定用の画像を形成する場合に行うようにし、測定用の画像以外のユーザ所望の任意画像を形成する場合には行わないようにしてよい。
【0031】
両面画像読取部400を通過した記録材Sは、後工程としてパンチ処理あるいはステイプル処理を行う場合に、スルーパス230を通じて出口搬送ローラ対205によりフィニッシャ装置300へと搬送される。他方、パンチ処理あるいはステイプル処理を行わない場合、記録材Sは複数の排出搬送ローラ対(215、216、217、218)により排出パス232を通じて、画像読取装置200の上面に設けられた固定トレイ223へ排出される。上記の記録材Sが搬送されるスルーパス230と排出パス232の切り替えは、分岐フラッパ222により行われる。
【0032】
<両面画像読取部>
次に、両面画像読取部400の構成について、
図3乃至及び
図4を用いて説明する。なお、
図3では、突き当て部材409及び圧縮ばね410(
図4参照)の図示を省略している。
図3に示すように、両面画像読取部400は、記録材Sを搬送する搬送手段としての複数の読取搬送ローラ対(202、203、204)と、第一CISユニット400aと、第二CISユニット400bとを有する。複数の読取搬送ローラ対(202、203、204)は回転することで、記録材Sを搬送方向(矢印X方向)に搬送する。
【0033】
本実施形態では、記録材Sの搬送方向において、記録材Sが通過する記録材搬送路Hに臨む2カ所の離れた位置に下流から順に、第一CISユニット400a、第二CISユニット400bが配置されている。第一読取ユニットとしての第一(下流側)CISユニット400aは、記録材Sの表面(第一面)の画像を読み取るために、記録材搬送路Hを搬送される記録材Sの鉛直方向上方側に配置されている。他方、第二読取ユニットとしての第二(上流側)CISユニット400bは、記録材Sの裏面(第二面)の画像を読み取るために、記録材搬送路Hを搬送される記録材Sの鉛直方向下方側に配置されている。
【0034】
本実施形態において、第一CISユニット400aと第二CISユニット400bとは同一構成であって、記録材搬送路Hを境に上下逆向きに反転された状態で配設されている。つまり、第一CISユニット400aと第二CISユニット400bとは、画像読取装置200に対する配置が互いに異なるが、共通の部品を用いて構成されている。ここで、共通部品とは、例えば同じ金型によって成形または加工された部品を示すものである。そこで、以下では説明を理解しやすくするために、特に断りの無い限り、第二CISユニット400bを例に説明する。
【0035】
図4に示すように、第二CISユニット400bは、収容体としての収容ケース407と、例えば等倍光学系の密着型イメージセンサであるCIS(Contact Image Sensor)401と、読取ガラス(コンタクトガラス)403とを有する。光学読取手段としてのCIS401は、光源のLEDアレイ401aから記録材搬送路Hを搬送される記録材Sに向けて光を照射し、記録材Sで反射した反射光をセンサ素子401b(光電変換素子など)に結像して記録材S上の画像を読み取るものである。LEDアレイ401aは、記録材Sの搬送方向に交差し且つ鉛直方向に交差する幅方向に、照射光量が略均一になるように光を照射する。CIS401は、収容ケース407の中に収容されている。
【0036】
透過部材としての読取ガラス403は、収容ケース407において記録材搬送路Hを搬送される記録材Sと対面する側に取り付けられ、LEDアレイ401aから記録材Sに向けて照射される照射光や、光の照射に応じて記録材Sで反射した反射光を透過する。即ち、第二CISユニット400bでは、記録材搬送路Hを搬送される記録材S上の画像が読取ガラス403を介して読み取られる。収容ケース407に対する読取ガラス403の取付構成については、後述する(
図5乃至
図7参照)。本実施形態では、サービスマン等の作業者が収容ケース407から読取ガラス403を取り外して、傷ついた読取ガラス403や故障したCIS401の交換を行えるように、CIS401や読取ガラス403は収容ケース407に取り外し自在に設けられている。
【0037】
図3に戻って、両面画像読取部400はさらに、第一ガイド部としての第一バッキングローラ405と、第二ガイド部としての第二バッキングローラ406とを有する。第一バッキングローラ405は第一CISユニット400aに対し鉛直方向下方側に間隔(ギャップ)を空けて設けられ、第二バッキングローラ406は第二CISユニット400bに対し鉛直方向上方側に間隔(ギャップ)を空けて設けられている。第一CISユニット400aは、記録材Sが読取ガラス403と第一バッキングローラ405との間に形成される隙間を通過する際に、記録材Sの表面の画像を読み取る。第二CISユニット400bは、記録材Sが読取ガラス403と第二バッキングローラ406との間に形成される隙間を通過する際に、記録材Sの裏面の画像を読み取る。
【0038】
第一バッキングローラ405及び第二バッキングローラ406は不図示のバッキングモータにより駆動を受け、読取搬送ローラ対(202、203、204)と同じ周速で回転される。こうして、回転する第一バッキングローラ405、第二バッキングローラ406と、搬送される記録材Sとの間に速度差を生じさせないことで、記録材Sの画像が擦れた状態になることを防ぐことができる。また、画像に擦れが生じないので、画像の擦れによって生じていたトナーによる汚れを低減することができる。なお、記録材Sが通過する上記のギャップは、後述するように記録材Sの種類に応じて記録材Sを通過させるのに適切な大きさに設定され、第一バッキングローラ405及び第二バッキングローラ406が記録材Sを積極的に搬送しない構成としている。
【0039】
本実施形態において、第一バッキングローラ405と第二バッキングローラ406は同じ構成である。そこで、ここでは第二バッキングローラ406を例に挙げて説明する。
図4に示すように、不図示の軸受けに回転自在に支持されている第二バッキングローラ406には、回転軸線方向(幅方向)の両端部の軸受けにギャップ調整用の突き当て部材409が設けられている。突き当て部材409は、読取ガラス403に突き当たるように、圧縮ばね410により読取ガラス403に向けて付勢されている。こうして、付勢による突き当て部材409の移動に伴って、軸受けと共に第二バッキングローラ406が読取ガラス403に向けて移動できるようにしている。そして、突き当て部材409が読取ガラス403に突き当たると、第二バッキングローラ406は読取ガラス403との間に、記録材Sの搬送経路となるギャップGを形成する位置に位置づけられる。なお、第一バッキングローラ405と第二バッキングローラ406は、回転しないガイド部材であってもよい。
【0040】
変更手段としての突き当て部材409は、ギャップGの大きさ、つまりは第二バッキングローラ406と読取ガラス403との間に形成する搬送経路の間隔を変更することができるように、軸受けに対し回転可能に設けられている。例えば、突き当て部材409は楕円形状に形成されたり、中心から各辺までの長さが異なる偏心した多角形状に形成されたりする。この突き当て部材409が軸受けに対し回転されることで、軸受けと共に第二バッキングローラ406が読取ガラス403に対し接近したり離れたりすることで、ギャップGの大きさが変わる。突き当て部材409は、例えばギャップGの大きさを10段階で変更できる形状に形成されている。一例を挙げると、突き当て部材409は、例えば「10.25、10.35、10.45、10.65、・・・、11.50mm」のように10段階の異なる半径を有する形状に形成されている。
【0041】
上記のギャップGの大きさは、CIS401の焦点深度と記録材Sの種類(詳しくは坪量に応じて決まる厚み)に応じて決められる。即ち、記録材Sの厚みにより搬送中にギャップGで記録材Sが詰まる(所謂ジャム)ことなく、また記録材Sが滑らかにギャップGへ侵入できるように、ギャップGの大きさは記録材Sの厚みよりも大きく設定されている。ただし、記録材Sが搬送中にバタついても、CIS401が記録材S上の画像を読み取れるように、ギャップGの大きさは、記録材SがCIS401の焦点深度を逸脱して搬送されない程度の大きさに限定される。つまり、ギャップGの大きさは「記録材Sの厚さ<ギャップGの大きさ<記録材Sの厚さ+CIS401の焦点深度」となるように設定されている。
【0042】
例えば、焦点深度が「0.45mm」のCIS401を用いた場合には、記録材Sが厚さ「0.1mm」未満(坪量100g/m2未満)であれば、ギャップGの大きさは「0.3mm」に設定される。この場合、記録材Sが第二バッキングローラ406と読取ガラス403との間に侵入しても、「0.2mm」の隙間が生じるので(ギャップGの大きさと記録材Sの厚さの差)、記録材Sは滑らかにギャップGへ侵入して詰まることなく搬送される。
【0043】
<読取ガラスの取付構成>
次に、収容ケース407に対する読取ガラス403の取付構成について、
図5乃至
図7を用いて説明する。
図5に示すように、読取ガラス403は収容ケース407の幅方向(読取ガラス403の長手方向)の両端部に、また搬送方向上流側と下流側に配設された4個の板ばね501により、収容ケース407に取り付けられている。読取ガラス403は搬送ガイドを兼ねており、読取ガラス403の表面には記録材Sが搬送される。このため、読取ガラス403の長手方向において搬送可能な最大サイズの記録材Sが搬送される搬送領域Lに板ばね501を配置すると、板ばね501によって記録材Sを傷つけてしまう虞がある。したがって、幅方向(読取ガラス403の長手方向)において記録材Sが搬送される搬送領域Lには板ばね501を配置することができない。それ故、4個の板ばね501は収容ケース407の搬送領域Lの外側(幅方向端部側)に配設されている。
【0044】
図6に示すように、板ばね501は、収容ケース407に固定される固定部501aと、読取ガラス403を押圧する押圧部501bと、固定部501aから折れ曲がって押圧部501bを読取ガラス403に向け付勢する付勢部501cとを有する。収容ケース407は、底面部407cと、搬送方向において底面部407cの上流側に立設された第一壁部407aと、底面部407cの下流側に第一壁部407aに対向して立設された第二壁部407bとを有する。収容ケース407の上流側に配置された板ばね501は、固定部501aを介してねじ等により第一壁部407aに固定され、収容ケース407の下流側に配置された板ばね501は、固定部501aを介してねじ等により第二壁部407bに固定される。なお、これに限らず、板ばね501は、底面部407cの両端側に互いに対向して立設された両端壁部407d(
図5参照)のそれぞれに、固定部501aを介して固定されていてもよい。
【0045】
本実施形態では、上述したように、同一構成である第一CISユニット400aと第二CISユニット400bとが、記録材搬送路Hを境に上下逆向きに配設されている(
図3参照)。それ故、特には第一CISユニット400aにおいて読取ガラス403の落下を防ぐべく、読取ガラス403を収容ケース407に接着剤や両面テープ等で固定することが考えられる。しかしながら、接着剤や両面テープ等で固定した場合には、作業者が収容ケース407から読取ガラス403を取り外し、読取ガラス403やCIS401の交換などといったメンテナンスを容易に行うことが難しくなる。そこで、作業者が収容ケース407から読取ガラス403を容易に取り外しできるように、上記した板ばね501によって読取ガラス403を収容ケース407に固定するのが適当である。なお、本実施形態の場合、上記した板ばね501が、収容ケース407の搬送領域L外で読取ガラス403の両端部を押圧する第一押圧手段、第二押圧手段に相当する。
【0046】
図6に示すように、読取ガラス403は、板ばね501によって、収容ケース407の第一壁部407a(第二壁部407b側も同様)との間に、取り外し自在に挟まれる。本実施形態では、第一壁部407aと第二壁部407bの幅方向のそれぞれの両端側に、読取ガラス403に当接して読取ガラス403を支える、計4個の当接支持部411が設けられている。当接支持部411は、
図7に示すように、板ばね501と同様にして、収容ケース407の搬送領域Lの外側(端部側)に配設されている。それ故、板ばね501は、当接支持部411が当接する当接面403aとは反対の反対面403b側(反対面側)から読取ガラス403を押圧する。ただし、板ばね501は、幅方向において当接支持部411が読取ガラスに403に当接する当接位置よりも内側で読取ガラス403を押圧するようにしている(
図9(b)参照)。本実施形態の場合、読取ガラス403の長手方向の一端側において、一方の板ばね501が当接支持部411よりも内側の位置で、かつ当接支持部411が当接した当接面とは反対の反対面側から収容ケース407へ向けて読取ガラス403を押圧する。そして、読取ガラス403の長手方向の他端側においても、もう一方の板ばね501が当接支持部411よりも内側の位置で、かつ反対面側から収容ケース407へ向けて読取ガラス403を押圧する。
【0047】
図6及び
図7に示すように、上記の当接支持部411は、例えば亜鉛メッキ鋼板をプレス加工して収容ケース407を製作する際に絞り加工を行って、第一壁部407aと第二壁部407bのガラス対向面4701から突出するように一体的に形成されている。第一壁部407aと第二壁部407bのガラス対向面4701(フレーム面)全面で読取ガラス403を支持させずに、第一壁部407aと第二壁部407bにおいてフレーム面から突出する当接支持部411により読取ガラス403を支持させる(4点支持)。こうすると、CIS401による画像の読み取りに影響を及ぼす、収容ケース407(詳しくは、収容ケース407に取り付けられたCIS401)に対する読取ガラス403の取付位置をより正確に規定し得る。なお、ガラス対向面4701とは、当接支持部411や後述する対向支持部412よりも離れて読取ガラス403に対向する部分のことであり、平面であることに限られず、曲面であってもよく、また段差があってもよい。
【0048】
即ち、幅方向長さが「400mm」の読取ガラス403を収容ケース407に取り付けて第二CISユニット400bを製作する場合、収容ケース407に対する読取ガラス403の高さ位置を「0.1mm」の誤差に収めるのは難しい。これは、収容ケース407の第一壁部407aと第二壁部407bのフレーム面の平面度を例えば「0.1mm」以内に収めることが難しいなどの理由からである。そこで、当接支持部411により読取ガラス403をフレーム面全面でなく一部で支持させ、板ばね501によって反対面403b側から押圧させる。これにより、読取ガラス403は収容ケース407に対し、CIS401の焦点深度に応じた高さに取り付けられる。このように、一方の当接支持部411が収容ケース407の読取ガラス403と対向するガラス対向面4701から突出して、読取ガラス403の長手方向において記録材Sが搬送される搬送領域Lよりも外側のうち一方側において読取ガラス403に当接する。他方の当接支持部411が収容ケース407の読取ガラス403と対向するガラス対向面4701から突出して、読取ガラス403の長手方向において記録材Sが搬送される搬送領域Lよりも外側であって反対側の他方側において読取ガラス403に当接する。本実施形態の場合、上記した当接支持部411が、収容ケース407の搬送領域L外で読取ガラス403の両端部に当接する第一当接部、第二当接部に相当する。
【0049】
また、本実施形態では、
図7に示すように、第一壁部407aと第二壁部407bの中央部において、先端から突出するように対向部としての対向支持部412が設けられている。即ち、対向支持部412は読取ガラス403の長手方向において搬送領域L内(搬送領域内)で読取ガラス403と対向するように設けられ、当接支持部411が当接する読取ガラス403の当接面403a(
図6参照)に対向する対向面412aを有している。対向支持部412の対向面412aは読取ガラス403が撓んだ状態で当接面403aに当接し、読取ガラス403が撓んでいない状態で当接面403aに当接しない。こうした対向支持部412の詳細については後述する(
図9(b)参照)。
【0050】
ところで、読取ガラス403は幅方向長さに比較して、記録材Sの搬送方向長さが短い。本実施形態では、読取ガラス403の幅方向長さを400mm、搬送方向長さを100mmとした長方形状の読取ガラス403を用いている。ここで、本実施形態における長方形状とは、必ずしも直角の角部を含まなくてもよいものとする。例えば、角部が面取りされている略長方形状の読取ガラスや、いずれかの辺が傾斜している形状であっても短辺と長辺を持つ形状を長方形状とする。このように長方形状の読取ガラス403を用いるため、上記のように当接支持部411により読取ガラス403をフレーム面全面でなく一部で支持させると、読取ガラス403の長手方向に撓みが生じやすい。また、読取ガラス403の厚みが薄く形成されている(例えば3mm)ため、読取ガラス403の長手方向の撓みがより生じやすい。第一CISユニット400aにおいて、読取ガラス403に生じ得る撓みの抑制について、
図8(a)及び
図8(b)を用いて説明する。
図8(a)は比較例を示し、
図8(b)は本実施形態を示す。また、第二CISユニット400bにおいて、対向支持部412による読取ガラス403に生じ得る撓みの制限について、
図9(a)及び
図9(b)を用いて説明する。
図9(a)は対向支持部がない比較例を示し、
図9(b)は対向支持部がある本実施形態を示す。
【0051】
図8(a)に示す比較例の場合、読取ガラス403は、突き当て部材409による押圧力と板ばね501による押圧力とを、読取ガラス403の反対面403bにおいて、当接支持部411に対向する箇所で受けている。即ち、読取ガラス403は幅方向の両端部に近い箇所で、突き当て部材409による押圧力と板ばね501による押圧力とを受けている。この場合には、読取ガラス403に幅方向中央部で自重により撓みが生じる。上記した突き当て部材409による押圧力と板ばね501による押圧力の合力は、自重により読取ガラス403が撓む向きに対し反対向きに作用するが、幅方向中央部では自重による撓みを抑制するまでに作用しないからである。読取ガラス403の幅方向長さが「400mm」である場合、自重により読取ガラス403の幅方向中央部で最大「約0.3mm」程度となる撓みが生じる。
【0052】
読取ガラス403に「約0.3mm」程度の撓みが生じた状態では、上述のようにギャップGの大きさが「0.3mm」に設定されていても、中央部において「0mm」となる。即ち、読取ガラス403と第一バッキングローラ405との間に形成される隙間がなくなるため、記録材Sが詰まる。そこで、例え読取ガラス403が撓むことを前提として、記録材Sが詰まらないようにするために、ギャップGをより大きくすること(例えば、0.6mm)が考えられる。しかし、そうした場合には、読取ガラス403の撓む量が小さい両端部側において、記録材Sが搬送中にバタついてしまい、CIS401による画像の読取不良が生じる虞がある。即ち、一般的なCIS401は、焦点深度が「0.3mm~0.5mm」程度である。したがって、ギャップGの大きさを「0.6mm」とした場合には、搬送中の記録材Sが幅方向両端部において焦点深度からはずれやすくなり、CIS401により読み取られた画像は所謂ピンボケ状態(ピントが合っていない状態)となる。
【0053】
上記点に鑑み、本実施形態では、
図8(b)に示すように、読取ガラス403は、突き当て部材409による押圧力と板ばね501による押圧力とを、反対面403bにおいて、当接支持部411よりも内側の箇所で受けるようにしている。こうすると、自重による撓みが、突き当て部材409による押圧力と板ばね501による押圧力との合力による撓みによって相殺されることから、読取ガラス403に撓みが生じるのを抑制できる。なお、読取ガラス403に自重により生じる撓みを相殺できればよいので、突き当て部材409による押圧力と板ばね501による押圧力との合力が、反対面403bにおいて支持面よりも内側の箇所にかかればよい。例えば、
図8(b)に示した例に限らず、反対面403bにおいて、突き当て部材409による押圧力を支持面よりも内側の箇所で受ける一方で、板ばね501による押圧力を支持面に対向する箇所で受けるようにしてもよい。なお、第一CISユニット400aの場合、読取ガラス403に撓みが生じないことから、後述する対向支持部412は読取ガラス403の当接面403aに当接していない。
【0054】
ただし、上述したように、本実施形態では、共通の部品で構成された第一CISユニット400aと第二CISユニット400bとが、記録材搬送路Hを境に上下逆向きに配設される(
図3参照)。つまり、第一CISユニット400aと第二CISユニット400bとを構成する読取ガラス403や収容ケース407は、第一CISユニット400aと第二CISユニット400bとで同じ形状をした共通部品を用いている。そのため、
図9(a)に示すように、第二CISユニット400bでは、自重による読取ガラス403の撓む向きと、突き当て部材409による押圧力と板ばね501による押圧力との合力によって読取ガラス403の撓む向きとが同じ(重量方向下向き)である。その結果、読取ガラス403の撓み量は、自重による撓み量よりも大きくなるので、それに伴ってギャップGがCIS401の焦点深度に応じた大きさ(例えば0.5mm)よりも大きくなってしまい、CIS401による画像の読取不良が生じる虞があった。
【0055】
そこで、本実施形態では、ギャップGがCIS401の焦点深度に応じた大きさよりも大きくならないように、
図9(b)に示すように、読取ガラス403の撓みを制限する対向支持部412を収容ケース407に設けている。対向支持部412は、搬送方向から視て当接支持部411が読取ガラスに403に当接する当接位置(高さ)よりも収容ケース407に近い位置に、当接面403aに対向する対向面412aを有する。例えば、対向面412aと、当接支持部411が当接する当接位置との差が「0.1mm以上0.2mm以下」となるように、対向支持部412はフレーム面からの突出量が当接支持部411よりも小さく形成されている。
【0056】
この対向面412aと当接支持部411が当接する当接位置との差は、CIS401の焦点深度に応じて異なる値に設定される。また、記録材S間のばらつきを低減する目的で、搬送方向において下流側の第一CISユニット400aは上流側の第二CISユニット400bに可能な限り近付けて設置される。その場合、第二CISユニット400bで読取ガラス403が上凸になると、第二CISユニット400bから第一CISユニット400aへ通じる搬送経路が窮屈になり、第一CISユニット400aでの搬送に影響が出てしまう。これを避けるため、対向支持部412はフレーム面からの突出量が当接支持部411よりも小さく形成されている。ただし、対向面412aと、当接支持部411が当接する当接位置との差が「0.2mm」より大きいと、CIS401による画像の読み取りが適切に行われない虞があるので、上記の差が「0.1mm以上0.2mm以下」となるようにしている。
【0057】
上述したように、第二CISユニット400bでは読取ガラス403が重量方向下向きに撓むが、撓んだ読取ガラス403は対向支持部412に当接されて下支えされる。上記の差を例えば「0.2mm」とした場合、読取ガラス403の撓みは「0.2mm」に制限されるので、ギャップGは最大で「0.5mm」(中央部)となるが、これはCIS401の焦点深度(0.3~0.5m)の範囲内である。したがって、CIS401による画像の読み取りには影響を及ぼさない。
【0058】
以上のように、本実施形態では、第一CISユニット400aにおいて突き当て部材409と板ばね501によって自重による読取ガラス403の撓みを相殺する。そして、第二CISユニット400bでは、自重並びに突き当て部材409と板ばね501とにより撓みが生じた読取ガラス403を対向支持部412に下支えさせることで、読取ガラス403がそれ以上に撓まないように、読取ガラス403の撓みを制限する。こうすると、第一CISユニット400aにおいて第一バッキングローラ405と読取ガラス403との間、また第二CISユニット400bにおいて第二バッキングローラ406と読取ガラス403との間に形成されるギャップGが狭くなるのを抑制できる。それ故、共通部品を用いて構成された同一構成の第一CISユニット400aと第二CISユニット400bとを、記録材搬送路Hを境に上下逆向きに反転して配設する場合であっても、記録材の両面の画像をそれぞれのCIS401によって適切に読み取り得る。
【0059】
<他の実施形態>
本実施形態では、例えば収容ケース407を厚さ「0.8mm」の亜鉛メッキ鋼板のプレス加工で製作しており、当接支持部411及び対向支持部412は絞り加工で形成する。当接支持部411の突出量を「0.1mm」とし、対向支持部412の突出量を「0mm」つまり対向支持部412を形成しないで、上記した効果を得ることも理論上可能である。しかしながら、高精度に加工しても当接支持部411の突出量が「0.1mm±0.1mm」程度となることに加え、フレーム面の平面度を「0.1未満」にすることが難しいことから、対向支持部412を形成するのがよい。
【0060】
そして、
図10に示すように、対向支持部412や当接支持部411に所定厚さのスペーサー480を1乃至複数枚重ねて、対向面412aと、当接支持部411が当接する当接位置との差を「0.1mm以上0.2mm以下」に調整できるようにするとよい。この場合、フレーム面の平面のばらつきを考慮して、対向支持部412や当接支持部411に重ねるスペーサー480の枚数を変えるとよい。なお、収容ケース407は樹脂成型で製作してもよいが、金属製の板状部材で製作した場合に比較して、フレーム面のばらつきが生じやすい。それ故、樹脂成型の収容ケース407である場合には特に、上記のように対向支持部412や当接支持部411に重ねるスペーサー480の枚数を変えて、上記の差を調整できるようにするのが好ましい。
【0061】
なお、収容ケース407のフレーム面と読取ガラス403の隙間から、記録材Sの搬送時に発生する紙粉等の異物が、収容ケース407の内部に侵入しないように、スポンジなどで上記隙間を囲うように覆うとよい。
【0062】
なお、上述した実施形態では、画像形成装置100に画像読取装置200を連結した構成を例に説明したが、これに限らない。例えば、画像形成装置100の装置本体100A内において、両面画像読取部400(
図2参照)が定着ユニット800の下流側の排出搬送路150(
図1参照)に設けられた構成であってもよい。また、画像形成装置100と画像読取装置200との間に別の筐体をもつ搬送装置が連結されていてもよい。
【0063】
なお、上述した実施形態では、電子写真方式の画像形成装置100を用いて説明したが、これに代えて、例えば、インクジェットプリンタや昇華型プリンタなどの熱乾燥方式の画像形成装置を用いてもよい。
【符号の説明】
【0064】
1X…画像形成システム、100…画像形成装置、200…画像読取装置、202、203、204…搬送手段(読取搬送ローラ対)、400a…第一読取ユニット(第一CISユニット)、400b…第二読取ユニット(第二CISユニット)、401…光学読取手段(CIS)、403…透過部材(読取ガラス)、403a…当接面、405…第一ガイド部(第一バッキングローラ)、406…第二ガイド部(第二バッキングローラ)、407…収容体(収容ケース)、407a…第一壁部、407b…第二壁部、407c…底面部、409…変更手段(突き当て部材)、411…第一当接部(第二当接部、当接支持部)、412…対向部(対向支持部)、501…第一押圧手段(第二押圧手段、板ばね)、501a…固定部、501b…押圧部、501c…付勢部、700…画像形成手段(画像形成ユニット)、4701…対向面(ガラス対向面)、S…記録材