(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-13
(45)【発行日】2024-12-23
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 21/18 20060101AFI20241216BHJP
G03G 21/16 20060101ALI20241216BHJP
G03G 21/14 20060101ALI20241216BHJP
【FI】
G03G21/18 157
G03G21/18 160
G03G21/16 147
G03G21/14
(21)【出願番号】P 2020206319
(22)【出願日】2020-12-11
【審査請求日】2023-12-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000718
【氏名又は名称】弁理士法人中川国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鴫原 啓太
(72)【発明者】
【氏名】田邉 雄一
【審査官】河内 悠
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-132752(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0231933(US,A1)
【文献】特開2005-010273(JP,A)
【文献】特開平03-255482(JP,A)
【文献】特開2020-181097(JP,A)
【文献】特開2010-033086(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0046129(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/18
G03G 21/16
G03G 21/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光体と、
現像剤を担持し、前記感光体に形成された静電潜像を現像する現像剤担持体と、
第1の回転方向及び前記第1の回転方向とは反対の第2の回転方向に回転し、前記感光体及び前記現像剤担持体を回転駆動するモータと、
前記モータから前記現像剤担持体へ駆動を伝達する第1の駆動列、又は、前記モータから前記感光体へ駆動を伝達する第2の駆動列の少なくとも一方に設けられるカップリングであって、前記カップリングの回転方向に遊びを有するカップリングと、
前記モータを制御する制御部であって、前記感光体に形成された静電潜像が現像される場合に、前記第1の回転方向に
第1の速度で回転するように前記モータを制御する制御部と、
を備え、
前記モータが前記第1の回転方向に回転している状態において、前記感光体は
第3の回転方向に回転し、前記現像剤担持体は
第4の回転方向に回転し、
前記モータが前記第2の回転方向に回転している状態において、前記感光体は前記第3の回転方向と反対方向に回転し、前記現像剤担持体は前記第4の回転方向と反対方向に回転し、
前記モータが前記第1の回転方向に回転した後、前記制御部が前記モータを前記第2の回転方向に回転させるように制御する場合、前記制御部は、停止している前記モータを前記第1の回転方向に
前記第1の速度よりも低い第2の速度で回転させるように制御した後、前記モータを前記第2の回転方向に回転させるように制御する、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記第1の速度で前記第1の回転方向に回転している前記モータを前記第2の回転方向に回転させる制御を行う場合、前記第1の速度で前記第1の回転方向に回転している前記モータを前記第1の速度よりも低い第2の速度で前記第1の回転方向に回転させる制御を行った後、前記モータを停止させる制御を行い、その後、前記モータを前記第2の回転方向に回転させる制御を行う、
ことを特徴とする請求項
1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記画像形成装置により画像が形成されるシートの枚数が所定の枚数以上となった場合に、前記モータを前記第2の回転方向に回転させるように制御する、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記感光体に接触して回転し、前記感光体を帯電させる帯電ローラと、
前記モータの前記第2の回転方向への回転に応じて、前記帯電ローラを前記感光体から離間させる離間部材と、を備え、
前記制御部は、前記離間部材に前記帯電ローラを前記感光体から離間させる動作を行わせることなく、前記モータを前記第2の回転方向に第1の所定量だけ回転させて前記現像剤担持体を前記第4の回転方向に回転させることが可能である、
ことを特徴とする請求項
3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記帯電ローラは、前記感光体の回転に従動して回転し、
前記離間部材は、前記モータが前記第2の回転方向に回転した状態で、前記帯電ローラの回転に連動して移動し、前記帯電ローラを前記感光体から離間させる、
ことを特徴とする請求項
4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記現像剤担持体を前記第4の回転方向に回転させるとともに、前記帯電ローラを前記感光体から離間させるように前記離間部材を動作させるために、前記モータを前記第1の所定量よりも大きい第2の所定量だけ前記第2の回転方向に回転させるように制御し、
前記モータが前記第2の回転方向に前記第2の所定量だけ回転した後の前記カップリングの遊びは、前記モータが前記第2の回転方向に前記第1の所定量だけ回転した後の前記カップリングの遊びよりも小さい、
ことを特徴とする請求項
4に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記感光体に接触して回転し、前記感光体を帯電させる帯電ローラと、
前記モータの前記第2の回転方向への回転に応じて、前記帯電ローラを前記感光体から離間させる離間部材と、を備え、
前記制御部は、前記画像形成装置が画像形成動作を停止してから所定の時間以上経過した場合に、前記モータを前記第2の回転方向に回転させるように制御する、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記帯電ローラは、前記感光体の回転に従動して回転し、
前記離間部材は、前記モータが前記第2の回転方向に回転した状態で、前記帯電ローラの回転に連動して移動し、前記帯電ローラを前記感光体から離間させる、
ことを特徴とする請求項
7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記カップリングは、オルダムカップリングである、
ことを特徴とする請求項1乃至
8のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記オルダムカップリングは、前記モータから前記現像剤担持体へ駆動を伝達する駆動列に設けられている、
ことを特徴とする請求項
9に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記オルダムカップリングは、第1ハブと、第2ハブと、前記第1ハブと前記第2ハブとの間で駆動力を伝達する中間部材と、を有し、
前記中間部材と前記第1ハブのいずれか一方は、前記オルダムカップリングの回転軸線方向の端面に形成され、前記回転軸線方向に凹み、前記回転軸線方向と直交する第1方向に延びる第1凹部を有し、
前記第1凹部は、
前記回転軸線方向と前記第1方向と直交する第2方向の一方側の第1内壁と、
前記第2方向の他方側に設けられ、前記第1内壁と平行に延びる第2内壁と、を有し、
前記中間部材と前記第1ハブのいずれか他方は、前記回転軸線方向に突出し、前記第1凹部に嵌合し、前記中間部材と前記第1ハブとの間で駆動力を伝達する第1突出部を有し、
前記第1突出部は、
前記オルダムカップリングが前記モータの前記第1回転方向への回転に伴って回転する場合に前記第1内壁に接触する第1縁部と、
前記オルダムカップリングが前記モータの前記第1回転方向への回転に伴って回転する場合に前記第2内壁に接触する第2縁部と、
前記オルダムカップリングが前記モータの前記第2回転方向への回転に伴って回転する場合に前記第1内壁に接触する第3縁部と、
前記オルダムカップリングが前記モータの前記第2回転方向への回転に伴って回転する場合に前記第2内壁に接触する第4縁部と、を有し、
前記第1縁部が前記第1内壁に接触し、かつ前記第2縁部が前記第2内壁に接触している場合、前記第3縁部は前記第1内壁から離間し、かつ前記第4縁部は前記第2内壁から離間しており、
前記第3縁部が前記第1内壁に接触し、かつ前記第4縁部が前記第2内壁に接触している場合、前記第1縁部は前記第1内壁から離間し、かつ前記第2縁部は前記第2内壁から離間しており、
前記オルダムカップリングは、前記モータの前記第2回転方向への回転に伴って回転する場合、前記第1方向において前記第1縁部における前記第1ハブの回転中心である第1回転中心から最も離れた部分は、前記第2方向において前記第1回転中心よりも前記第2内壁に近い位置に位置し、且つ、前記第1方向において前記第2縁部における前記第1回転中心から最も離れた部分は、前記第2方向において前記第1回転中心よりも前記第1内壁に近い位置に位置し、
前記オルダムカップリングは、前記モータの前記第1回転方向への回転に伴って回転する場合、前記第1方向において前記第3縁部における前記第1回転中心から最も離れた部分は、前記第2方向において前記第1回転中心よりも前記第2内壁に近い位置に位置し、且つ、前記第1方向において前記第4縁部における前記第1回転中心から最も離れた部分は、前記第2方向において前記第1回転中心よりも前記第1内壁に近い位置に位置する、
ことを特徴とする請求項
9又は
10に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記オルダムカップリングにおいて、前記第1突出部は、前記回転軸線方向から見た時、前記第1縁部、前記第2縁部、前記第3縁部、前記第4縁部を結ぶ仮想線によって略菱形が形成される形状である、
ことを特徴とする請求項
11に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記オルダムカップリングにおいて、前記中間部材と前記第2ハブのいずれか一方は、前記回転軸線方向の端面に形成され、前記回転軸線方向に凹み、前記第2方向に延びる第2凹部を有し、
前記第2凹部は、
前記第1方向の一方側の第3内壁と、
前記第1方向の他方側に設けられ、前記第1内壁と平行に延びる第4内壁と、を有し、
前記中間部材と前記第2ハブのいずれか他方は、前記回転軸線方向に突出し、前記第2凹部に嵌合し、前記中間部材と前記第2ハブとの間で駆動力を伝達する第2突出部を有し、
前記第2突出部は、
前記オルダムカップリングが前記モータの前記第1回転方向への回転に伴って回転する場合に前記第3内壁に接触する第5縁部と、
前記オルダムカップリングが前記モータの前記第1回転方向への回転に伴って回転する場合に前記第4内壁に接触する第6縁部と、
前記オルダムカップリングが前記モータの前記第2回転方向への回転に伴って回転する場合に前記第3内壁に接触する第7縁部と、
前記オルダムカップリングが前記モータの前記第2回転方向への回転に伴って回転する場合に前記第4内壁に接触する第8縁部と、を有し、
前記第5縁部が前記第3内壁に接触し、かつ前記第6縁部が前記第4内壁に接触している場合、前記第7縁部は前記第3内壁から離間し、かつ前記第8縁部は前記第4内壁から離間しており、
前記第7縁部が前記第3内壁に接触し、かつ前記第8縁部が前記第4内壁に接触している場合、前記第5縁部は前記第3内壁から離間し、かつ前記第
6縁部は前記第4内壁から離間しており、
前記オルダムカップリングは、前記モータの前記第2回転方向への回転に伴って回転する場合、前記第2方向において前記第5縁部における前記第2ハブの回転中心である第2回転中心から最も離れた部分は、前記第1方向において前記第2回転中心よりも前記第4内壁に近い位置に位置し、且つ、前記第2方向において前記第6縁部における前記第2回転中心から最も離れた部分は、前記第1方向において前記第2回転中心よりも前記第3内壁に近い位置に位置し、
前記オルダムカップリングは、前記モータの前記第1回転方向への回転に伴って回転する場合、前記第2方向において前記第7縁部における前記第2回転中心から最も離れた部分は、前記第1方向において前記第2回転中心よりも前記第4内壁に近い位置に位置し、且つ、前記第2方向において前記第8縁部における前記第2回転中心から最も離れた部分は、前記第1方向において前記第2回転中心よりも前記第3内壁に近い位置に位置する、
ことを特徴とする請求項
11又は
12に記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記オルダムカップリングにおいて、前記第2突出部は、前記回転軸線方向から見た時、前記第5縁部、前記第6縁部、前記第7縁部、前記第8縁部を結ぶ仮想線によって略菱形が形成される形状である、
ことを特徴とする請求項
13に記載の画像形成装置。
【請求項15】
前記感光体と前記現像剤担持体は、画像形成ユニットとして一体化されており、
前記画像形成ユニットは、前記画像形成装置に対して着脱可能に構成されている、
ことを特徴とする請求項1乃至
14のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真複写機、電子写真プリンタ(例えばレーザビームプリンタ、LEDプリンタ等)などの画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置においては、感光ドラムの表面に静電潜像を形成し、この静電潜像を現像ユニットによって現像して画像を形成する。ここで特許文献1では、一つのモータを用いて感光ドラムと現像ユニットが備える現像スリーブの両方を回転させる構成が記載されている。このように複数の部材を一つのモータで駆動させることで、複数のモータを用いる構成と比較して画像形成装置の小型化や低コスト化を図ることができる。
【0003】
また特許文献1では、感光ドラムと現像スリーブを選択的に回転させるための構成が記載されている。特許文献1の構成は、駆動源と現像スリーブとの動力伝達機構において、所定の回転角度の遊びを有するカップリングを設ける。このような構成により、モータを正回転させた場合に感光ドラムと現像スリーブの両方が回転する。またモータを上記の所定の回転角度の分、逆回転させた場合、現像スリーブは回転せずに、モータが正回転している時とは反対の方向に感光ドラムが回転する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の構成において、モータを正回転から逆回転に切り替えるためにモータを停止させる際、モータの停止後に被駆動体である感光ドラムや現像スリーブが慣性によって回転する。この慣性による被駆動体の回転により、モータと被駆動体との間の駆動列に介在された回転方向の遊びを有するカップリングの停止位置は、カップリングがモータの正回転時の回転方向にガタ詰めされた状態となる理想の停止位置からずれてしまう。このようにカップリングの停止位置が理想の停止位置からずれた状態でモータを逆回転させる場合、被駆動体が逆回転を開始するタイミングが理想のタイミングからずれて、逆回転制御の精度が悪化する。
【0006】
そこで本発明は、モータと被駆動体との間の駆動列に回転方向の遊びを有するカップリングを介在させる構成において、モータを正回転から逆回転に切り替える制御の精度の悪化を抑制することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための本発明に係る画像形成装置の代表的な構成は、感光体と、現像剤を担持し、前記感光体に形成された静電潜像を現像する現像剤担持体と、第1の回転方向及び前記第1の回転方向とは反対の第2の回転方向に回転し、前記感光体及び前記現像剤担持体を回転駆動するモータと、前記モータから前記現像剤担持体へ駆動を伝達する第1の駆動列、又は、前記モータから前記感光体へ駆動を伝達する第2の駆動列の少なくとも一方に設けられるカップリングであって、前記カップリングの回転方向に遊びを有するカップリングと、前記モータを制御する制御部であって、前記感光体に形成された静電潜像が現像される場合に、前記第1の回転方向に第1の速度で回転するように前記モータを制御する制御部と、を備え、前記モータが前記第1の回転方向に回転している状態において、前記感光体は第3の回転方向に回転し、前記現像剤担持体は第4の回転方向に回転し、前記モータが前記第2の回転方向に回転している状態において、前記感光体は前記第3の回転方向と反対方向に回転し、前記現像剤担持体は前記第4の回転方向と反対方向に回転し、前記モータが前記第1の回転方向に回転した後、前記制御部が前記モータを前記第2の回転方向に回転させるように制御する場合、前記制御部は、停止している前記モータを前記第1の回転方向に前記第1の速度よりも低い第2の速度で回転させるように制御した後、前記モータを前記第2の回転方向に回転させるように制御する、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、モータと被駆動体との間の駆動列に回転方向の遊びを有するカップリングを介在させる構成の画像形成装置において、モータを正回転から逆回転に切り替える制御の精度の悪化を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】画像形成装置のシステム構成を示すブロック図である。
【
図10】駆動カップリング、ドラムカップリング、現像カップリングの構成を示す図である。
【
図11】オルダムカップリングの分解斜視図である。
【
図12】オルダムカップリングの分解斜視図である。
【
図13】オルダムカップリングの現像駆動ギアと中間部材と駆動カップリングの嵌合部分を示す図である。
【
図14】画像形成動作終了後の各部材の理想の動作タイミングを示すタイミングチャートである。
【
図15】現像カップリングと駆動カップリングとの間の位置関係を示す図である。
【
図16】逆回転シーケンスのフローチャートである。
【
図17】現像カップリングと駆動カップリングとの間の位置関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<画像形成装置>
以下、まず本発明に係る画像形成装置の全体構成を画像形成時の動作とともに図面を参照しながら説明する。なお、以下に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0011】
本実施形態に係る画像形成装置Aは、現像剤として、イエローY、マゼンダM、シアンC、ブラックKの4色のトナーを中間転写ベルトに転写した後、シートに画像を転写して画像を形成する中間タンデム方式の画像形成装置である。なお、以下の説明において、上記各色のトナーを使用する部材には添え字としてY、M、C、Kを付するものの、各部材の構成や動作は使用するトナーの色が異なることを除いて実質的に同じであるため、区別を要する場合以外は添え字を適宜省略する。
【0012】
図1は、画像形成装置Aの断面概略図である。
図1に示す様に、画像形成装置Aは、シートSに画像を形成する画像形成部61を備える。画像形成部61は、プロセスカートリッジ65(65Y、65M、65C、65K)、レーザスキャナユニット28、一次転写ローラ31(31Y、31M、31C、31K)、中間転写ベルト30、二次転写ローラ51、二次転写対向ローラ52を備える。
【0013】
各々のプロセスカートリッジ65(画像形成ユニット)は、画像形成装置Aに対してそれぞれ着脱可能に構成されている。各々のプロセスカートリッジ65は、感光体としての感光ドラム26(26Y、26M、26C、26K)、帯電ローラ27(27Y、27M、27C、27K)を備える。また各々のプロセスカートリッジ65は、現像剤担持体としての現像スリーブ71(71Y、71M、71C、71K)を有する現像ユニット29(29Y、29M、29C、29K)、クリーニングブレード45(45Y、45M、45C、45K)を備える。つまり感光ドラム26、帯電ローラ27、現像スリーブ71、クリーニングブレード45は、プロセスカートリッジ65として一体化されている。
【0014】
次に、画像形成動作について説明する。まず不図示の制御部が画像形成ジョブ信号を受信すると、シートカセット22に積載収納されたシートSが、給送ローラ66によってレジストローラ24に搬送される。その後、レジストローラ24は、二次転写ローラ51と二次転写対向ローラ52から形成される二次転写部に所定のタイミングでシートSを搬送する。
【0015】
一方、画像形成部61においては、まず帯電ローラ27Yによって感光ドラム26Yの表面が帯電させられる。その後、不図示の外部機器から入力された画像データに応じてレーザスキャナユニット28が感光ドラム26Yの表面にレーザ光を照射する。これにより感光ドラム26Yの表面に画像データに応じた静電潜像が形成される。
【0016】
次に、現像ユニット29Yが有する現像スリーブ71Yにより、感光ドラム26Yの表面に形成された静電潜像にイエローのトナーを付着させ、感光ドラム26Yの表面にイエローのトナー像(現像剤像)を形成する。感光ドラム26Yの表面に形成されたトナー像は、一次転写ローラ31Yにバイアスが印加されることで中間転写ベルト30に一次転写される。その後、感光ドラム26Yの表面に残留したトナーは、クリーニングブレード45Yによって掻き取られる。なお、クリーニングブレード45Yは、画像形成時の感光ドラム26Yの回転方向に対してカウンターとなるように感光ドラム26Yの表面に当接する。
【0017】
同様のプロセスにより、感光ドラム26M、26C、26Kにも、マゼンダ、シアン、ブラックのトナー像が形成される。そして一次転写ローラ31M、31C、31Kにバイアスが印加されることで、これらのトナー像が中間転写ベルト30上のイエローのトナー像に対して重畳的に転写される。これにより中間転写ベルト30の表面にフルカラーのトナー像が形成される。その後、感光ドラム26M、26C、26Kの表面に残留したトナーは、クリーニングブレード45M、45C、45Kによって掻き取られる。
【0018】
中間転写ベルト30は、二次転写対向ローラ52の回転に従動して周回移動する。フルカラーのトナー像を担持した中間転写ベルト30が移動すると、トナー像が二次転写部に送られる。そして二次転写部において、二次転写ローラ51にバイアスが印加されることで、中間転写ベルト30上のトナー像がシートSに転写される。
【0019】
次に、トナー像が転写されたシートSは、定着部36に搬送され、定着部36において加熱、加圧処理が施され、これによりシートS上のトナー像がシートSに定着される。その後、トナー像が定着されたシートSは、排出ローラ38によって排出部40に排出される。
【0020】
<制御部>
次に、画像形成装置Aのシステム構成について説明する。
【0021】
図2は、画像形成装置Aのシステム構成を示すブロック図である。
図2に示す様に、画像形成装置Aは、CPU53(制御部)、ROM54、RAM55、ユーザインターフェース部56、カウンタ57、タイマー58、モータ制御部59を備える。
【0022】
ROM54には、ファームウェアプログラム、ファームウェアプログラムを制御するブートプログラムなどの各種の制御プログラムやデータが格納されている。RAM55は、プログラムロード領域、作業領域、各種データの格納領域などを有する。CPU53は、ROM54に格納された各種の制御プログラムに基づいて、RAM55を作業領域やデータの一時記憶領域として用いながら、画像形成装置Aの各デバイスを制御する。
【0023】
ユーザインターフェース部56は、タッチパネル方式の操作部(不図示)やインターネット回線を介したPCなどの外部機器に接続されており、これらを介してユーザから各種のジョブを受け付けてCPU53に送信する。カウンタ57は、画像形成装置Aの画像形成枚数をカウントし、カウント値をCPU53に送信する。タイマー58は、CPU53の指示に従って計時を行う。
【0024】
モータ制御部59は、感光ドラム26Y、26M、26Cと現像スリーブ71Y、71M、71Cの駆動源であるモータ92aと、感光ドラム26Kと現像スリーブ71Kの駆動源であるモータ92bを制御する。CPU53は、モータ制御部59に対し、モータ92a、92bの制御に関する指示を行い、モータ制御部59を介してモータ92a、92bを制御する。
【0025】
<プロセスカートリッジ>
次に、プロセスカートリッジ65の構成について説明する。
【0026】
図3は、プロセスカートリッジ65の斜視図である。
図4は、プロセスカートリッジ65の断面図である。
図3、
図4に示す様に、プロセスカートリッジ65は、ドラムユニット42と現像ユニット29から構成されている。
【0027】
まずはドラムユニット42の構成について説明する。
図5は、ドラムユニット42の斜視図である。
図6は、ドラムユニット42における感光ドラム26の周囲の断面図であって、帯電ローラ27が感光ドラム26から離間する様子を
図6(a)~
図6(d)の順に示す図である。
図5、
図6に示す様に、ドラムユニット42は、感光ドラム26、帯電ローラ27、クリーニングブレード45を有し、これらの部材はドラム容器11によって一体的に保持されている。
【0028】
ドラム容器11は、感光ドラム26を回転可能に保持する。ドラム容器11における感光ドラム26の回転軸線方向の一端側には、後述する駆動ユニット90から駆動力を受け取るドラムカップリング13が感光ドラム26と一体的に設けられている。ドラムカップリング13は、ドラム容器11における画像形成装置Aの背面側に配置されている。また感光ドラム26の回転軸線方向の両端部には、フランジギア14が感光ドラム26と一体的に設けられている。
【0029】
またドラム容器11には、感光ドラム26の表面からクリーニングブレード45によって除去されたトナーを回収する回収部16(
図4)が設けられている。回収部16の内部には、回収部16にあるトナーをドラムユニット42の外部に搬送する搬送スクリュー17が設けられている。搬送スクリュー17は、フランジギア14からアイドラギア67を介して駆動力が伝達されることにより回転してトナーを搬送する。搬送スクリュー17によってドラムユニット42の外部に搬送されたトナーは、画像形成装置Aに設けられた不図示の容器に回収される。
【0030】
またドラム容器11には、帯電ローラ27を回転自在に保持する軸受19が設けられている。軸受19は、感光ドラム26に対して接近又は離間する方向にスライド移動可能となるようにドラム容器11に保持されており、バネ12によって感光ドラム26に向かって付勢されている。この付勢力により、帯電ローラ27は感光ドラム26に圧接し、感光ドラム26の回転に従動して回転する。
【0031】
帯電ローラ27の両端部には、ワンウェイクラッチ21がそれぞれ設けられている。ワンウェイクラッチ21は、画像形成時の帯電ローラ27の回転方向と反対の方向のトルクが付与されるとロック状態となって帯電ローラ27と一体的に回転する。またワンウェイクラッチ21は、画像形成時の帯電ローラ27の回転方向と同方向の所定以上のトルク(空転トルク)が付与されるとロック状態が解除され、帯電ローラ27との間で駆動力が伝達されずに空転する。本実施形態では、ワンウェイクラッチ21をラッチ爪とラックを用いた構成としている。
【0032】
またワンウェイクラッチ21の外周部には、感光ドラム26の両端部に設けられたフランジギア14と噛み合うギア部32aを有する離間部材32が設けられている。離間部材32とワンウェイクラッチ21は、回転方向に関わらず、常に一体的に回転する。つまり感光ドラム26の回転に従動して帯電ローラ27が画像形成時の回転方向と反対の方向に回転すると、これに連動してワンウェイクラッチ21と離間部材32が回転する。離間部材32は、帯電ローラ27が感光ドラム26に長時間圧接して帯電ローラ27が変形して画像品質に悪影響を与えることを抑制するために、次に説明する動作によって帯電ローラ27を感光ドラム26から離間させる。
【0033】
即ち、
図6(a)に示す様に、画像形成装置Aが画像形成動作を行っている間、離間部材32のギア部32aとフランジギア14は離間して噛み合っていない。画像形成装置Aが画像形成動作を終了させた後に所定時間経過すると、感光ドラム26は画像形成時の回転方向とは逆方向に回転する。これにより帯電ローラ27も感光ドラム26の回転に従動して画像形成時の回転方向とは逆方向に回転し、ワンウェイクラッチ21や離間部材32も回転する。
図6(b)に示す様に、離間部材32が回転すると、離間部材32のギア部32aがフランジギア14に噛み合う。本実施形態では、帯電ローラ27が54度回転するとワンウェイクラッチ21がロック状態となる。これにより、ワンウェイクラッチ21と一体的に回転する離間部材32のギア部32aがフランジギア14と噛み合う。なお、離間部材32のギア部32aがフランジギア14と噛み合うまでは、帯電ローラ27は感光ドラム26との直径比で回転する。本実施形態では、感光ドラム26の直径はφ30mm、帯電ローラ27の直径はφ14mmであるため、感光ドラム26の回転量としては25.2度となる。
【0034】
次に、
図6(c)に示す様に、感光ドラム26や帯電ローラ27が画像形成時の回転方向とは反対方向への回転を続けると、ワンウェイクラッチ21や離間部材32も更に回転する。離間部材32が更に回転すると、離間部材32の形状によって帯電ローラ27には感光ドラム26から離間する方向への力が作用し、この力によって帯電ローラ27がバネ12の付勢力に抗って感光ドラム26から離間する。本実施形態では、離間部材32のギア部32aがフランジギア14と噛み合ってから帯電ローラ27がさらに45度回転すると、帯電ローラ27は感光ドラム26から離間する。なお、離間部材32のギア部32aとフランジギア14と噛み合ったあとは、帯電ローラ27は離間部材32のギア部32aとフランジギア14とのギア比で回転する。本実施形態では、感光ドラム26と帯電ローラ27の離間量は1mmであるため、感光ドラム26の回転量としては24度となる。なお、感光ドラム26から離間した帯電ローラ27は、次回の画像形成時に感光ドラム26が画像形成時の回転方向に回転することにより、上述した離間動作とは逆の動作を行い、感光ドラム26に再び接触する。
【0035】
また
図6(d)に示す様に、帯電ローラ27が感光ドラム26から離間した後、感光ドラム26を画像形成時の回転方向とは反対の方向に継続して回転させると、離間部材32がドラム容器11に接触して動作不良を起こすおそれがある。本実施形態では、帯電ローラ27と感光ドラム26が離間してからさらに45度(感光ドラム26の回転量で24度)回転すると離間部材32とドラム容器11が接触する。そこで本実施形態では、帯電ローラ27を感光ドラム26から離間させつつ、離間部材32とドラム容器11との接触を抑制するために、感光ドラム26の画像形成時の回転方向と反対の方向への回転量を49.2度~73.2度に設定している。
【0036】
次に、現像ユニット29の構成について説明する。
図7は、現像ユニット29の斜視図である。
図7では、現像ユニット29の内部構成を説明するために、現像容器70の一部を切り欠いて図示している。
図7に示す様に、現像ユニット29は、現像スリーブ71、現像ブレード72、搬送スクリュー73、74を備え、これらの部材が現像容器70によって一体的に保持されている。
【0037】
現像容器70は、感光ドラム26と対向した部分に開口を有し、この開口に一部が露出するように現像スリーブ71が配置されている。現像スリーブ71は、感光ドラム26に対し、所定の間隔(本実施形態では240μm)を空けて対向して配置されている。現像スリーブ71の回転軸線方向の一端側には、後述する駆動ユニット90から駆動力を受け取る現像カップリング75が設けられている。現像スリーブ71は、駆動ユニット90から現像カップリング75を介して駆動力が伝達されて回転する。
【0038】
現像カップリング75は、現像容器70における現像スリーブ71の回転軸線方向の一端側であり、画像形成装置Aの背面側の位置で、現像容器70に保持されている。現像スリーブ71の回転軸には、現像カップリング75と係合するDカット形状の係合部(不図示)が形成されており、これによって現像スリーブ71が現像カップリング75と一体的に回転する。また現像容器70における現像スリーブ71の一端側には、スリーブギア81が設けられている。スリーブギア81は、現像スリーブ71の回転軸と不図示の平行ピンによって連結されており、現像スリーブ71と一体的に回転する。
【0039】
また現像スリーブ71は、複数の磁極を有するマグネットローラ76(
図4)を非回転状態で内包する。
図4に示す様に、マグネットローラ76は、感光ドラム26と対向する位置である現像領域に現像極S1を有する。またマグネットローラ76は、現像スリーブ71の画像形成時の回転方向において、現像極S1の下流側に順に搬送極N1、剥ぎ取り極N2、汲み上げ極S2、カット極N3を有する。これら各磁極の中心位置は、現像極S1を0度とする場合、画像形成時の現像スリーブ71の回転方向(
図4の反時計方向)に沿って、搬送極N1が60度、剥ぎ取り極N2が180度、汲み上げ極S2が230度、カット極N3が290度である。マグネットローラ76は、画像形成に際して、各磁極の磁力によってトナーを担持してトナーを現像領域に搬送する。
【0040】
即ち、マグネットローラ76は、まず汲み上げ極S2により現像容器70に収容されたトナーを汲み上げて、現像スリーブ71にトナーを担持させる。次に、現像スリーブ71に担持されたトナーは、カット極N3によってブラシ状に穂立ちさせられる。その後、穂立ちさせられたトナーは、現像スリーブ71の回転によって現像領域に搬送され、現像極S1で感光ドラム26上に移動させられる。その後、現像スリーブ71に残留したトナーは、搬送極N1と剥ぎ取り極N2によって形成される反発磁界により、搬送極N1と剥ぎ取り極N2との間の中心位置に向かうにつれて徐々に隆起し、最終的に現像スリーブ71から剥ぎ取られる。
【0041】
また現像スリーブ71の近傍には、現像ブレード72が現像スリーブ71との間で所定の間隔を空けて設けられている。現像ブレード72は、現像スリーブ71に担持されているトナーに当接して所定の厚みのトナー層を形成する。具体的には、現像スリーブ71の回転に伴って、現像スリーブ71に担持され、カット極N3で穂立ちさせられたトナーが現像ブレード72の先端部と現像スリーブ71の表面との間を通過することで、トナーの量が規制されてトナー層が形成される。また現像ブレード72において、現像スリーブ71が配置された側と反対側には、現像容器70の外部へトナーが飛散することを抑制するスクイシート77が貼り付けられている。
【0042】
また現像容器70の内部は、現像スリーブ71の回転軸線方向に延在する隔壁78によって、現像室79と撹拌室80に区画されている。隔壁78の長手方向の両端部には、現像室79と撹拌室80とを連通させる不図示の連通部がそれぞれ設けられている。
【0043】
現像室79と撹拌室80には、回転することで螺旋状の羽根によってトナーを搬送する搬送スクリュー73、74が設けられている。搬送スクリュー73、74は、トナーを隔壁78の長手方向であり、且つ、互いに反対の方向に搬送する。搬送スクリュー73、74は、現像スリーブ71と一体的に設けられたスリーブギア81から駆動力が伝達されることで回転する。搬送スクリュー73、74が回転すると、現像室79と撹拌室80との間で連通部(不図示)を介してトナーが循環する。
【0044】
また画像形成動作が行われる度に、現像容器70における現像スリーブ71、現像ブレード72、スクイシート77によって囲われた空間にはトナーが堆積する。このトナーの堆積量が過剰になる場合、堆積したトナーが現像領域に侵入してシミ画像と呼ばれる画像不良を発生させるおそれがある。これを抑制するため、現像スリーブ71は、画像形成動作が所定回数行われた後の非画像形成時に画像形成時の回転方向と反対方向に回転し、現像スリーブ71、スクイシート77、現像ブレード72で囲われた空間に堆積したトナーを撹拌室80側に移動させる。具体的には、搬送極N1と剥ぎ取り極N2で形成される反発磁界により隆起したトナーが、現像スリーブ71の回転により、現像スリーブ71、スクイシート77、現像ブレード72で囲われた空間を通過し、この空間に堆積したトナーを撹拌室80側に押し戻す。なお、本実施形態ではA4用紙で500枚の画像形成動作が行われる度にこの動作が行われる。
【0045】
ここで現像スリーブ71の画像形成時の回転方向と反対方向への回転量が大きく、汲み上げ極S2で汲み上げられたトナーが現像ブレード72を通らずに、大量のトナーが現像領域まで搬送される場合、トナーが現像容器70の外部へ飛散するおそれがある。そこでこれを抑制するため、現像スリーブ71の画像形成時の回転方向と逆方向への回転量は、搬送極N1から剥ぎ取り極N2までの角度に設定されている。つまり本実施形態では、現像スリーブ71の回転軸線周りの角度で60度から180度までの角度に設定されている。
【0046】
<駆動ユニット>
次に、プロセスカートリッジ65を駆動させる駆動ユニット90の構成について説明する。
【0047】
図8(a)は、駆動ユニット90の正面図である。
図8(b)は、駆動ユニット90の背面図である。
図9は、駆動ユニット90が有するギアを示す図である。
図8、
図9に示す様に、駆動ユニット90は、リアフレーム91aとフロントフレーム91bで形成された箱型形状の駆動フレーム91を備える。
【0048】
駆動フレーム91には、感光ドラム26Y、26M、26Cと、現像スリーブ71Y、71M、71Cの駆動源であるモータ92aと、感光ドラム26Kと現像スリーブ71Kの駆動源であるモータ92bが固定されている。本実施形態では、モータ92a、92bは、DCブラシレスモータである。
【0049】
モータ92aのシャフトには、ピニオンギア93aが取り付けられている。ピニオンギア93aにはドラム減速ギア94a1が噛み合い、ドラム減速ギア94a1にはドラム駆動ギア95M、95Cが噛み合う。またドラム駆動ギア95Mとドラム駆動ギア95Yには、ドラム減速ギア94a2が噛み合う。これらのギア列のギア比により、ドラム駆動ギア95Y、95M、95Cの回転速度は、モータ92aの回転速度に対して減速される。
【0050】
モータ92bのシャフトには、ピニオンギア93bが取り付けられている。ピニオンギア93bにはドラム減速ギア94bが噛み合い、ドラム減速ギア94bにはドラム駆動ギア95Kが噛み合う。これらのギア列のギア比により、ドラム駆動ギア95Kの回転速度は、モータ92bの回転速度に対して減速される。
【0051】
またドラム駆動ギア95Y、95M、95C、95Kと同軸上には、プロセスカートリッジ65Y、65M、65C、65Kに設けられたドラムカップリング13と係合する駆動カップリング96Y、96M、96C、96Kが設けられている。ここで
図10(a)に示す様に、各色の駆動カップリング96とドラムカップリング13との間には、回転方向の遊びαがそれぞれ設けられている。本実施形態では、遊びαは感光ドラム26の回転軸線回りの角度で34度に設定されている。
【0052】
このような構成により、モータ92aの駆動力は、ピニオンギア93a、ドラム減速ギア94a1、94a2、ドラム駆動ギア95Y、95M、95C、駆動カップリング96Y、96M、96Cを介してドラムカップリング13に伝達される。これにより感光ドラム26Y、26M、26Cが回転する。つまりピニオンギア93a、ドラム減速ギア94a1、94a2、ドラム駆動ギア95Y、95M、95C、駆動カップリング96Y、96M、96C、ドラムカップリング13は、モータ92aと感光ドラム26Y、26M、26Cとの間で駆動力を伝達する駆動列である。また駆動カップリング96Y、96M、96Cとドラムカップリング13は、モータ92aと感光ドラム26Y、26M、26Cとの間の駆動列に介在し、回転方向の遊びを有するカップリングである。
【0053】
またモータ92bの駆動力は、ピニオンギア93b、ドラム減速ギア94b、ドラム駆動ギア95K、駆動カップリング96Kを介してドラムカップリング13に伝達され、これにより感光ドラム26Kが回転する。つまりピニオンギア93b、ドラム減速ギア94b、ドラム駆動ギア95K、駆動カップリング96Kを、ドラムカップリング13は、モータ92bと感光ドラム26Kとの間で駆動力を伝達する駆動列である。また駆動カップリング96Kとドラムカップリング13は、モータ92bと感光ドラム26Kとの間の駆動列に介在し、回転方向の遊びを有するカップリングである。
【0054】
またピニオンギア93aには、現像減速ギア97aが噛み合っている。また複数のアイドラギア98a~98gは、現像減速ギア97aとの間でギア列を形成するよう設けられている。アイドラギア98a、98d、98gは、現像駆動ギア99Y、99M、99Cとそれぞれ噛み合う。これらのギア列のギア比により、現像スリーブ71Y、71M、71Cの回転速度は、感光ドラム26Y、26M、26Cの回転速度の198%となるように、モータ92aの回転数に対して減速される。
【0055】
またピニオンギア93bは、ドラム減速ギア94b、アイドラギア98h、現像減速ギア97b、アイドラギア98iで形成されるギア列を介して、現像駆動ギア99Kと噛み合っている。これらのギア列のギア比により、現像スリーブ71Kの回転速度は、感光ドラム26Kの回転速度の198%となるように、モータ92bの回転速度に対して減速される。
【0056】
また現像駆動ギア99Y、99M、99C、99Kの不図示の回転軸は、後述するオルダムカップリング1により、
図8(a)に示すプロセスカートリッジ65Y、65M、65C、65Kに設けられた現像カップリング75の回転軸100Y、100M、100C、100Kに連結されている。また現像カップリング75は、オルダムカップリング1の一部を成す回転軸100Y、100M、100C、100Kには、プロセスカートリッジ65Y、65M、65C、65Kに設けられた現像カップリング75と係合する駆動カップリング89Y、89M、89C、89Kがと係合する。ここで
図10(b)に示す様に、各色の駆動カップリング89と現像カップリング75との間には、回転方向の遊びβがそれぞれ設けられている。本実施形態では、遊びβは現像スリーブ71の回転軸線回りの角度で30度に設定されている。
【0057】
このような構成により、モータ92aの駆動力は、ピニオンギア93a、現像減速ギア97a、アイドラギア98a~98g、現像駆動ギア99Y、99M、99C、駆動カップリング89Y、89M、89Cを介して、現像カップリング75に伝達される。これにより現像スリーブ71Y、71M、71Cが回転する。つまりピニオンギア93a、現像減速ギア97a、アイドラギア98a~98g、現像駆動ギア99Y、99M、99C、駆動カップリング89Y、89M、89C、現像カップリング75は、モータ92aと現像スリーブ71Y、71M、71Cとの間で駆動力を伝達する駆動列である。また駆動カップリング96Y、96M、96Cとドラムカップリング13、及び、オルダムカップリング1は、モータ92aと現像スリーブ71Y、71M、71Cとの間の駆動列に介在し、回転方向の遊びを有するカップリングである。
【0058】
またモータ92bの駆動力は、ピニオンギア93b、現像減速ギア97a、アイドラギア98h、98i、現像駆動ギア99K、駆動カップリング89Kを介して、現像カップリング75に伝達される。これにより現像スリーブ71Kが回転する。つまりピニオンギア93b、現像減速ギア97a、アイドラギア98h、98i、現像駆動ギア99K、駆動カップリング89K、現像カップリング75は、モータ92bと現像スリーブ71Kとの間で駆動力を伝達する駆動列である。また駆動カップリング96Kとドラムカップリング13、及び、オルダムカップリング1は、モータ92bと現像スリーブ71Kとの間の駆動列に介在し、回転方向の遊びを有するカップリングである。
【0059】
前述のとおり、本実施形態では、各色の現像スリーブ71の回転速度は、各色の感光ドラム26の198%の回転速度となる。また本実施形態では、感光ドラム26の直径はφ30mm、現像スリーブ71の直径はφ18mmである。従って、感光ドラム26と現像スリーブ71とのギア比の差は約3.3倍となる。つまり、感光ドラム26が一周すると、現像スリーブ71は約3.3周する。
【0060】
<オルダムカップリング>
次に、オルダムカップリング1の構成について説明する。
【0061】
図11は、オルダムカップリング1を画像形成装置Aの正面側から見た分解斜視図である。
図12は、オルダムカップリング1を画像形成装置Aの背面側から見た分解斜視図である。
図13(a)は、オルダムカップリング1の現像駆動ギア99と中間部材3との嵌合部分を示す図である。
図13(b)は、オルダムカップリング1の駆動カップリング89と中間部材3との嵌合部分を示す図である。
【0062】
図11、
図12に示す様に、オルダムカップリング1は、現像駆動ギア99(第1ハブ)と、駆動カップリング89(第2ハブ)と、現像駆動ギア99と駆動カップリング89との間で駆動力を伝達する中間部材3から構成されている。オルダムカップリング1は、フロントフレーム91bに設けられたカップリングホルダ2の内部で回転可能に保持されている。
【0063】
オルダムカップリング1の回転軸線方向である矢印X方向において、中間部材3の一方側の端面には、矢印X方向に凹み、矢印X方向と直交する矢印Y方向(第1方向)に延びる矩形断面の凹部3a(第1凹部)が形成されている。また矢印X方向において、中間部材3の他方側の端面には、矢印X方向に凹み、矢印X方向と矢印Y方向に直交する矢印Z方向(第2方向)に延びる矩形断面の凹部3b(第2凹部)が形成されている。凹部3a、3bの形状は、それぞれが互いに直交する方向に延びていることを除いて同形状である。なお、オルダムカップリング1の回転軸線方向は、現像駆動ギア99の回転軸線方向、駆動カップリング89の回転軸線方向、中間部材3の回転軸線方向とそれぞれと同じ方向である。
【0064】
またオルダムカップリング1の回転軸線方向(矢印X方向)において、現像駆動ギア99の一端部には、矢印X方向に突出し、中間部材3の凹部3aに嵌合する凸部99a(第1突出部)が形成されている。またオルダムカップリング1の回転軸線方向において、駆動カップリング89の一端部には、矢印X方向に突出し、中間部材3の凹部3bに嵌合する凸部89a(第2突出部)が形成されている。
【0065】
モータ92a又はモータ92bの駆動力により現像駆動ギア99が回転すると、現像駆動ギア99の凸部99aが凹部3aの内部を相対的にスライド移動しながら、凹部3aの内壁に接触して中間部材3に駆動力を伝達し、中間部材3が回転する。そして中間部材3が回転すると、駆動カップリング89の凸部89aが凹部3bの内部を相対的にスライド移動しながら、凹部3aの内壁が凸部89aに接触して駆動カップリング89に駆動力を伝達し、駆動カップリング89が回転する。このようにして現像駆動ギア99の不図示の回転軸と現像カップリング75の回転軸100の回転軸線がずれている場合でも、モータ92a又はモータ92bの駆動力がオルダムカップリング1を介して現像カップリング75の回転軸100に安定的に伝達される。
【0066】
ここで
図13(a)に示す様に、凸部99aは、オルダムカップリング1が矢印R1方向に回転する時に凹部3aの幅方向の一方の内壁3a1(第1内壁)に接触する縁部99a1(第1縁部)を有する。また凸部99aは、オルダムカップリング1が矢印R1方向に回転する時に凹部3aの幅方向の他方の内壁3a2(第2内壁)に接触する縁部99a2(第2縁部)を有する。また凸部99aは、オルダムカップリング1が矢印R2方向に回転する時に凹部3aの内壁3a1に接触する縁部99a3(第3縁部)と、内壁3a2に接触する縁部99a4(第4縁部)を有する。縁部99a1~99a4は、矢印Y方向と矢印X方向に延びる面によって凹部3aの内壁3a1又は内壁3a2に面接触する。凹部3aの幅方向とは、凹部3aが延びる矢印Y方向と直交し、且つ、凹部3bが延びる方向と同方向である矢印Z方向である。また矢印R1方向は、モータ92a、92bが画像形成時の回転方向に回転する時のオルダムカップリング1の回転方向であり、矢印R2方向は矢印R1方向と反対の回転方向である。
【0067】
ここでオルダムカップリング1が矢印R2方向に回転する場合、矢印Y方向において縁部99a1における現像駆動ギア99の回転中心CT1(第1回転中心)から最も離れた部分は、矢印Z方向において回転中心CT1よりも内壁3a2に近い位置に位置する。またオルダムカップリング1が矢印R2方向に回転する場合、矢印Y方向において縁部99a2における回転中心CT1から最も離れた部分は、矢印Z方向において回転中心CT1よりも内壁3a1に近い位置に位置する。またオルダムカップリング1が矢印R1方向に回転する場合、矢印Y方向において縁部99a3における回転中心CT1から最も離れた部分は、矢印Z方向において回転中心CT1よりも内壁3a2に近い位置に位置する。またオルダムカップリング1が矢印R1方向に回転する場合、矢印Y方向において縁部99a4における回転中心CT1から最も離れた部分は、矢印Z方向において回転中心CT1よりも内壁3a1に近い位置に位置する。
【0068】
また凸部99aは、オルダムカップリング1の回転軸線方向から見た場合、縁部99a1、縁部99a2、縁部99a3、縁部99a4を結ぶ仮想線H1によって略菱形が形成される形状を成している。具体的には、縁部99a1と縁部99a4を延長させた仮想線で角部を形成する場合に角部の角度が45度であり、縁部99a2と縁部99a3を延長させた仮想線で角部を形成する場合に角部の角度が45度である菱形が形成される。なお、略菱形の形状として、上記のような角部を有する構成であっても、上記のような角部が面取りされた形状となっていてもよい。
【0069】
このような構成により、オルダムカップリング1が矢印R2方向に回転する場合、縁部99a1と凹部3aの内壁3a1との間、及び、縁部99a2と凹部3aの内壁3a2との間にはそれぞれ遊びγ1が作られる。またオルダムカップリング1が矢印R1方向に回転する場合、縁部99a3と凹部3aの内壁3a1との間、及び、縁部99a4と凹部3aの内壁3a2との間には、同様の遊びγ1が作られる。
【0070】
また
図13(b)に示す様に、凸部89bは、凸部99aと同様の形状である。即ち、凸部89aは、オルダムカップリング1が矢印R1方向に回転する時に凹部3bの幅方向の一方の内壁3b1(第3内壁)に接触する縁部89a1(第5縁部)を有する。また凸部89aは、オルダムカップリング1が矢印R1方向に回転する時に凹部3bの幅方向の他方の内壁3b2(第4内壁)に接触する縁部89a2(第6縁部)を有する。また凸部89aは、オルダムカップリング1が矢印R2方向に回転する時に凹部3bの内壁3b1に接触する縁部89a3(第7縁部)と、内壁3b2に接触する縁部89a4(第8縁部)を有する。縁部89a1~89a4は、矢印Z方向と矢印X方向に延びる面によって凹部3bの内壁3b1又は内壁3b2に面接触する。凹部3bの幅方向とは、凹部3bが延びる矢印Z方向と直交し、且つ、凹部3aが延びる方向と同方向である矢印Y方向である。
【0071】
ここでオルダムカップリング1が矢印R2方向に回転する場合、矢印Z方向において縁部89a1における駆動カップリング89の回転中心CT2(第2回転中心)から最も離れた部分は、矢印Y方向において回転中心CT2よりも内壁3b2に近い位置に位置する。またオルダムカップリング1が矢印R2方向に回転する場合、矢印Z方向において縁部89a2における回転中心CT2から最も離れた部分は、矢印Y方向において回転中心CT2よりも内壁3b1に近い位置に位置する。またオルダムカップリング1が矢印R1方向に回転する場合、矢印Z方向において縁部99a3における回転中心CT2から最も離れた部分は、矢印Y方向において回転中心CT2よりも内壁3b2に近い位置に位置する。またオルダムカップリング1が矢印R1方向に回転する場合、矢印Z方向において縁部89a4における回転中心CT2から最も離れた部分は、矢印Y方向において回転中心CT2よりも内壁3b1に近い位置に位置する。
【0072】
また凸部89aは、オルダムカップリング1の回転軸線方向から見た場合、縁部89a1、縁部89a2、縁部89a3、縁部89a4を結ぶ仮想線H2によって略菱形が形成される形状を成している。具体的には、縁部89a1と縁部89a4を延長させた仮想線で角部を形成する場合に角部の角度が45度であり、縁部89a2と縁部89a3を延長させた仮想線で角部を形成する場合に角部の角度が45度である菱形が形成される。なお、略菱形の形状として、上記のような角部を有する構成であっても、上記のような角部が本実施形態のように面取りされた形状となっていてもよい。
【0073】
このような構成により、オルダムカップリング1が矢印R2方向に回転する際、縁部89a1と凹部3bの内壁3b1との間、及び、縁部89a2と凹部3bの内壁3b2との間にはそれぞれ遊びγ2が作られる。またオルダムカップリング1が矢印R1方向に回転する際、縁部89a3と凹部3bの内壁3b1との間、及び、縁部89a4と凹部3bの内壁3b2との間には、同様の遊びγ2が作られる。
【0074】
このように本実施形態の構成によれば、オルダムカップリング1において、現像駆動ギア99と中間部材3との間に回転方向の遊びγ1を設け、駆動カップリング89と中間部材3との間に回転方向の遊びγ2を設けつつ、駆動力を伝達することができる。また縁部99a1~99a4は凹部3aの内壁3a1又は内壁3a2に面接触し、縁部89a1~89a4は凹部3bの内壁3b1又は内壁3b2に面接触するため、駆動力を伝達する際の凸部99a、89aの強度を確保し、変形を抑制することができる。
【0075】
<画像形成動作終了後の画像形成ユニットの動作タイミング>
次に、画像形成動作終了後、感光ドラム26、現像スリーブ71、帯電ローラ27が画像形成時の回転方向と反対の方向に回転する時の動作タイミングについて説明する。
【0076】
図14は、感光ドラム26、現像スリーブ71、帯電ローラ27が画像形成時の回転方向と反対の方向に回転する時の理想の動作タイミングを示すタイミングチャートである。
図14に示す様に、まず画像形成動作が終了すると、駆動カップリング96とドラムカップリング13との間の遊びα、駆動カップリング89と現像カップリング75との間の遊びβ、オルダムカップリング1の遊びγ1、γ2が確保された状態でこれらの部材が停止する。この状態からモータ92a、92bが画像形成時の回転方向と反対方向への回転駆動を開始する。モータ92a、92bが回転を開始すると、ドラム駆動ギア95と現像駆動ギア99が回転を開始する(タイミングT1)。
【0077】
次に、タイミングT2に達すると、現像駆動ギア99の回転によってオルダムカップリング1の遊びγ1が詰まり、中間部材3が回転を開始する。その後、タイミングT3に達すると、中間部材3の回転によってオルダムカップリング1の遊びγ2が詰まり、駆動カップリング89が回転を開始する。
【0078】
次に、タイミングT4に達すると、ドラム駆動ギア95の回転により遊びαが詰まり、ドラムカップリング13が回転を開始し、これに伴い感光ドラム26が回転を開始する。その後、タイミングT5に達すると、駆動カップリング89の回転によって遊びβが詰まり、現像カップリング75が回転を開始し、これに伴い現像スリーブ71が回転を開始する。
【0079】
次に、タイミングT6に達すると、感光ドラム26の回転に伴って離間部材32のギア部32aがフランジギア14に噛み合い、帯電ローラ27が感光ドラム26から離間し始める。そしてタイミングT7に達すると、帯電ローラ27が所定の位置まで離間し、離間が完了する。その後、タイミングT8に達すると、現像スリーブ71が所定の回転角度まで回転し、モータ92a、92bの駆動が停止される。
【0080】
ここでモータ92a、92bの駆動が停止した後、感光ドラム26に駆動力を伝達する駆動列を構成する回転体や、現像スリーブ71に駆動力を伝達する駆動列を構成する回転体は、慣性によって回転する。特に、感光ドラム26に駆動力を伝達する駆動列には感光ドラム26とクリーニングブレード45との間の摩擦力により停止負荷がかけられるものの、現像スリーブ71に駆動力を伝達する駆動列にはこのような停止負荷が無いため回転量が大きくなりやすい。この慣性による回転により、モータ92a、92bの駆動が停止した後の上述した各カップリングの回転方向の遊びα、β、γ1、γ2が理想の大きさよりも小さくなる。
【0081】
図15は、画像形成動作の終了後にモータ92a、92bの駆動を停止させた時の現像カップリング75と駆動カップリング89との間の位置関係を示す図である。ここで
図15(a)は、現像カップリング75と駆動カップリング89との間の慣性を考慮しない理想の位置関係を示す。
図15(b)は、現像カップリング75と駆動カップリング89との間の慣性を考慮した位置関係を示す。
【0082】
図15(a)に示す様に、慣性を考慮しない場合、モータ92a、92bの駆動を停止させると、現像カップリング75と駆動カップリング89との位置関係は、画像形成時の回転方向にガタ詰めされた状態となる。このとき、両者の画像形成時の回転方向とは反対方向の遊びβは最大値となる。これに対して
図15(b)に示す様に、慣性を考慮する場合、現像カップリング75と駆動カップリング89との位置関係は、画像形成時の回転方向にガタが生じる。このとき、両者の画像形成時の回転方向とは反対方向の遊びβは、理想値(最大値)よりも小さくなる。このように慣性による現像カップリング75と駆動カップリング89の回転の影響により、両者の回転方向の遊びβは理想値(最大値)よりも小さくなる。本実施形態では、
図15(a)に示す遊びβが30度であり、
図15(b)に示す遊びβが理想値(最大値)から28度減少した2度になる。これと同様に、駆動カップリング96とドラムカップリング13との間の遊びαやオルダムカップリング1の遊びγ1、γ2も理想値に対して小さくなる。
【0083】
本実施形態では、帯電ローラ27を感光ドラム26から離間させるために必要な、感光ドラム26の画像形成時の回転方向と反対方向への回転角度は49.2度~73.2度である。また駆動カップリング96とドラムカップリング13との間の遊びαが34度である。従って、帯電ローラ27を感光ドラム26から離間させるためには、帯電ローラ27を離間させるために必要な感光ドラム26の回転量である49.2度に遊びαの34度を合わせて、感光ドラム26を83.2度回転させる必要がある。
【0084】
前述したように、感光ドラム26を駆動させる駆動列と現像スリーブ71を駆動させる駆動列との減速比は、3.3倍であるため、感光ドラム26を83.2度回転させると現像スリーブ71は約274.6度回転する。現像スリーブ71を駆動させるための駆動列にある各カップリングの遊びは120度(β+γ1+γ2)であるため、感光ドラム26を83.2度回転させると、現像スリーブ71の回転量の理想値は約154.6度となる。
【0085】
しかしながら、
図15(b)に示す様に、遊びβが理想値から28度減った状態で画像形成時の回転方向とは反対方向への回転が始まると、現像スリーブ71の回転角度は182.6度(154.6度+28度)回転することになる。この場合、現像スリーブ71の許容回転角度が60度~180度であるため、現像スリーブ71の許容回転角度を超えてしまうことになり、現像容器70からトナーが飛散するおそれがある。即ち、慣性による回転によって遊びα、β、γ1、γ2が理想値から変動することにより、各部材の動作タイミングがずれるため、モータ92a、92bを画像形成時の回転方向の回転である正回転から正回転と反対の逆回転に切り替える制御の精度が悪化する。
【0086】
<逆回転シーケンス>
本実施形態では、画像形成動作の終了後に実行される逆回転シーケンスにおいて、モータ92a、92bを正回転から逆回転に切り替える際、上述した逆回転時の制御の精度の悪化を抑制する。以下、逆回転シーケンスについて、
図16に示すフローチャートを用いて説明する。
【0087】
図16に示す様に、まずCPU53は、ユーザインターフェース部56を介して画像形成ジョブ信号を受信すると、画像形成部61を制御して、画像形成動作を実行させる(S1、S2)。ここでCPU53は、画像形成部61の制御の一つとして、モータ制御部59に対し、モータ92a、92bを速度V1(第1速度)で画像形成時の回転方向(第1回転方向)に回転駆動させるように指示する。これによりモータ92a、92bが正回転し、感光ドラム26や現像スリーブ71が画像形成時の回転方向に回転し、シートSに画像が形成される。
【0088】
次に、CPU53は、画像形成動作の終了後、カウンタ57から画像形成枚数のカウント値の情報を受信し、画像形成枚数のカウント値がA4用紙で500枚以上であるか否かを判定する(S3)。ここでCPU53は、画像形成枚数のカウント値が500枚未満の場合、モータ制御部59に対してモータ92a、92bの駆動停止を指示し(S9)、ステップS10に進む。
【0089】
一方、CPU53は、画像形成枚数のカウント値が500枚以上の場合、モータ制御部59を介してモータ92a、92bの駆動を停止させる(S4)。そしてCPU53は、モータ制御部59に対し、モータ92a、92bを速度V1より遅い速度V2(第2速度)で画像形成時の回転方向に回転駆動させるように指示する(S5)。これによりモータ92a、92bが速度V2で正回転する。その後、CPU53は、モータ制御部59に対し、モータ92a、92bの駆動を停止するように指示する(S6)。またCPU53は、カウンタ57に対し、カウント値をリセットするように指示する(S7)。
【0090】
ここで速度V2は、速度V2で駆動するモータ92a、92bがステップS6で停止する際に、感光ドラム26や現像スリーブ71に駆動力を伝達する各駆動列を構成する回転体が慣性によって回転しない速度である。本実施形態では、速度V2は、現像スリーブ71が30rpmで回転する速度である。
【0091】
またステップS5でのモータ92a、92bの回転量は、モータ92a、92bがステップS4で停止する際に慣性の影響で理想値(最大値)から減少した遊びα、β、γ1、γ2が理想値に戻る回転量である。本実施形態では、遊びβが30度、遊びγ1、γ2がそれぞれ45度であるため、駆動カップリング89が少なくとも120度回転するまでモータ92a、92bが回転する。
【0092】
このようにモータ92a、92bが速度V2で正回転することにより、各カップリングの位置関係は、画像形成時の状態と同様に、画像形成時の回転方向にガタ詰めされた状態に戻り、減少した遊びα、β、γ1、γ2が理想値に戻る。即ち、現像カップリング75と駆動カップリング89との位置関係は、
図17(a)に示す状態から
図17(b)に示す状態に変化し、画像形成時の回転方向と反対方向への遊びβが理想値となる。
【0093】
次に、CPU53は、モータ制御部59に対し、モータ92a、92bを画像形成時の回転方向と反対の回転方向(第2回転方向)に回転駆動させるように指示する(S8)。これによりモータ92a、92bが逆回転する。ステップS8におけるモータ92a、92bの回転量は、現像スリーブ71が回転許容領域内で画像形成時の回転方向と反対方向に回転する回転量である。これにより現像スリーブ71、現像ブレード72、スクイシート77によって囲われた空間に堆積したトナーが撹拌室80に戻されて画像不良が抑制される。その後、CPU53は、モータ制御部59に対し、モータ92a、92bの駆動を停止するように指示する(S9)。
【0094】
次に、CPU53は、タイマー58から情報を受信し、前回の画像形成ジョブを終了してから所定以上の時間(本実施形態では8時間)が経過したか否かを判定する(S10)。ここでCPU53は、前回の画像形成ジョブを終了してから8時間経過していないと判定する場合、ステップS1に戻って画像形成ジョブ信号の受信を待機する。
【0095】
一方、CPU53は、前回の画像形成ジョブを終了してから8時間以上経過したと判定する場合、モータ制御部59に対し、モータ92a、92bを速度V2で画像形成時の回転方向に回転駆動させるように指示する(S11)。これによりモータ92a、92bが速度V2で正回転する。ここでのモータ92a、92bの回転量は、ステップS5と同じ回転量であり、モータ92a、92bがステップS9で停止する際に慣性の影響で理想値から減少した遊びα、β、γ1、γ2が理想値に戻る回転量である。その後、CPU53は、モータ制御部59に対し、モータ92a、92bの駆動を停止するように指示する(S12)。
【0096】
次に、CPU53は、モータ制御部59に対し、モータ92a、92bを画像形成時の回転方向と反対の回転方向に回転駆動させるように指示する(S13)。これによりモータ92a、92bが逆回転する。ステップS13におけるモータ92a、92bの回転量は、帯電ローラ27が回転許容領域内で回転する量であり、且つ、現像スリーブ71の回転量が回転許容領域内を超えない量である。これにより帯電ローラ27が感光ドラム26から離間し、帯電ローラ27が感光ドラム26に長時間圧接して画像品質に悪影響を与えることが抑制される。その後、CPU53は、モータ制御部59に対し、モータ92a、92bの駆動を停止するように指示し(S14)、逆回転シーケンスを終了する。
【0097】
このように逆回転シーケンスにおいて、モータ92a、92bを逆回転させる前に、画像形成時の速度V1より遅い速度V2でモータ92a、92bを正回転させる。このような構成により、慣性による回転によって各カップリングの遊びα、β、γ1、γ2が減少した場合であっても、モータ92a、92bを逆回転させる前に遊びα、β、γ1、γ2を理想値に近づけることができる。従って、モータ92a、92bを逆回転させる際に各部材の動作タイミングがずれることが抑制され、モータ92a、92bを正回転から逆回転に切り替える制御の精度が悪化を抑制することができる。
【0098】
なお、本実施形態では、モータ92a、92bを速度V2で正回転させる前にモータ92a、92bを停止させる構成について説明したものの、本発明はこれに限られるものではない。即ち、モータ92a、92bを停止させずに速度V1から速度V2に速度を下げて、且つ、モータ92a、92bを停止させる構成よりも速度V2で回転する時間を長くする構成としても、上記同様の効果を得ることができる。
【0099】
また本実施形態では、モータ92a、92bを速度V2で正回転させた後にモータ92a、92bを停止させる構成について説明したものの、本発明はこれに限られるものではない。即ち、モータ92a、92bを速度V2で正回転させてからモータ92a、92bの駆動を停止させずにモータ92a、92bを逆回転させる構成としても、上記同様の効果を得ることができる。
【0100】
また本実施形態では、駆動ユニット90において、現像スリーブ71に駆動力を伝達する駆動列内にオルダムカップリング1を設ける構成について説明したものの、本発明はこれに限られるものではない。即ち、感光ドラム26に駆動力を伝達する駆動列内など、駆動力を伝達する他の部分にオルダムカップリング1を設ける構成としても上記同様の効果を得ることができる。
【0101】
また本実施形態では、オルダムカップリング1において、現像駆動ギア99の凸部99aと駆動カップリング89の凸部89aの両方を略菱形とする構成について説明したものの、本発明はこれに限られるものではない。即ち、現像駆動ギア99の凸部99aと駆動カップリング89の凸部89aのいずれか一方を中間部材3の凹部3a又は凹部3bと略同一の矩形形状としてもよい。また遊びα、β、γ1、γ2の回転角度は、本実施形態で説明した角度に限られず、任意の角度に設定可能である。
【0102】
また本実施形態では、オルダムカップリング1において、現像駆動ギア99と駆動カップリング89に対して凸部99a、89aを設け、中間部材3に凹部3a、3bを設ける構成について説明したものの、本発明はこれに限られるものではない。即ち、中間部材3におけるオルダムカップリング1の回転軸線方向の一端部と他端部に凸部99a、89aに相当する凸部を設け、現像駆動ギア99と駆動カップリング89に中間部材3の凸部に嵌合する凹部を設ける構成としても、上記同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0103】
1…オルダムカップリング
3…中間部材
3a…凹部(第1凹部)
3b…凹部(第2凹部)
26…感光ドラム(感光体)
27…帯電ローラ
32…離間部材
53…CPU(制御部)
65…プロセスカートリッジ(画像形成ユニット)
71…現像スリーブ(現像剤担持体)
89…駆動カップリング(第2ハブ)
89a…凸部(第2突出部)
92a、92b…モータ
99…現像駆動ギア(第1ハブ)
99a…凸部(第1突出部)
A…画像形成装置