(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-13
(45)【発行日】2024-12-23
(54)【発明の名称】画像処理装置、その制御方法、プログラム及びシステム
(51)【国際特許分類】
H04N 1/00 20060101AFI20241216BHJP
H04N 1/32 20060101ALI20241216BHJP
H04M 11/00 20060101ALI20241216BHJP
【FI】
H04N1/00 127Z
H04N1/32
H04M11/00 302
(21)【出願番号】P 2020212150
(22)【出願日】2020-12-22
【審査請求日】2023-12-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002767
【氏名又は名称】弁理士法人ひのき国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】矢野 翔大
【審査官】橋爪 正樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-135570(JP,A)
【文献】特開2017-108338(JP,A)
【文献】特開2020-065215(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
H04N 1/32
H04M 11/00
G06F 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置とネットワークを介して接続される画像処理装置であって
、
メールの送信元、返信先の少なくともいずれかを含む送信情報と該送信情報を用いたメールの送信に係るジョブを
前記情報処理装置から受信する受信手段と、
前記ジョブに基づいて
、送信元、返信先の少なくともいずれかを設定したメール
を送信す
る送信手段と、
メールの送信元、返信先の少なくともいずれかを含む所定の送信情報が前記画像処理装置において設定されている場合、前記受信手段によって受信した前記送信情報と前記所定の送信情報のどちらの送信情報を前記送信手段において送信する前記メールに使用するかを、前記画像処理装置に設定されている情報であって、前記送信情報と前記所定の送信情報のどちらの送信情報を前記送信手段において送信する前記メールに使用するかを示す設定情報に基づいて決定する決定手段と、
有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
認証手段を更に有し、
前記受信手段は、認証されたユーザのジョブを受信することを
特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記設定情報は、前記送信情報と前記所定の送信情報のどちらの送信情報を前記送信手段において送信する前記メールに使用するかを示す情報が、送信元、返信先のそれぞれの情報について設定されている情報であることを
特徴とする請求項
1または2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記画像処理装置に設定されている
前記所定の送信情報の送信元
は、認証されたユーザのアドレス
であること
を特徴とする請求項
1乃至3のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記画像処理装置は、近距離無線通信により、前記画像処理装置の接続情報を
前記情報処理装置に送信し、ネットワークを介して
前記情報処理装置と接続する
ことを特徴とする請求項
1乃至4のいずれか一項に記載の
画像処理装置。
【請求項6】
情報処理装置とネットワークを介して接続される画像処理装置の制御方法であって、
メールの送信元、返信先の少なくともいずれかを含む送信情報と該送信情報を用いたメールの送信に係るジョブを情報処理装置から受信する受信ステップと、
前記ジョブに基づいて
、送信元、返信先の少なくともいずれかを設定したメール
を送信する送信ステップと、
メールの送信元、返信先の少なくともいずれかを含む所定の送信情報が前記画像処理装置において設定されている場合、前記受信ステップによって受信した前記送信情報と前記所定の送信情報のどちらの送信情報を前記送信ステップにおいて送信する前記メールに使用するかを、前記画像処理装置に設定されている情報であって、前記送信情報と前記所定の送信情報のどちらの送信情報を前記送信ステップにおいて送信する前記メールに使用するかを示す設定情報に基づいて決定する決定ステップと、
を有することを特徴とする画像処理装置の制御方法。
【請求項7】
請求項
6に記載の画像処理装置の制御方法を、コンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項8】
情報処理装置と、前記情報処理装置とネットワークを介して接続される画像処理装置を含むシステムであって、
前記画像処理装置は、
メールの送信元、返信先の少なくともいずれかを含む送信情報と該送信情報を用いたメールの送信に係るジョブを情報処理装置から受信する受信手段と、
前記ジョブに基づいて、送信元、返信先の少なくともいずれかを設定したメールを送信する第1の送信手段と、
メールの送信元、返信先の少なくともいずれかを含む所定の送信情報が前記画像処理装置において設定されている場合、前記受信手段によって受信した前記送信情報と前記所定の送信情報のどちらの送信情報を前記第1の送信手段において送信する前記メールに使用するかを、前記画像処理装置に設定されている情報であって、前記送信情報と前記所定の送信情報のどちらの送信情報を前記第1の送信手段において送信する前記メールに使用するかを示す設定情報に基づいて決定する決定手段と、
を有し、
前記情報処理装置は、
メールの送信元、返信先の少なくともいずれかを含む前記送信情報と該送信情報を用いたメールの送信に係る前記ジョブを前記画像処理装置に送信する第2の送信手段
を有するシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信を実行可能な情報処理装置、および画像処理装置において、情報処理装置で設定した送信者情報を画像処理装置の送信元、および返信先に反映する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スマートフォンと呼ばれる高性能なモバイル端末の普及と共に、そのモバイル端末のOS標準機能としてスキャン機能、プリント機能等を提供している。例えば、送信機能の実行では、LANなどのネットワーク上のデバイスを探索し、ユーザが設定した送信先メールアドレスと各種スキャン設定情報(例えば、カラー、両面)を付加して送信情報として構成する。前記送信情報を前記探索した送信機能を有する画像処理装置に送信することで、送信に必要な一連の処理をモバイル端末で実行できる。このとき、モバイル端末と画像処理装置のネットワーク通信は、例えば、TCP/IP、NFC、Bluetooth(登録商標)等の通信プロトコルに従って確立されるものであり、公知の技術で実現することができる。
【0003】
また、従来の画像処理装置では、メール送信機能を実行する際に、画像処理装置で設定したメールアドレスを送信元、および返信先に指定することが可能である。しかし、画像処理装置がモバイル端末等のデータ情報装置から前記送信情報を受信した際に、前記送信情報に含まれるメールアドレスを送信元、および返信先に設定することができない。これにより、画像処理装置の送信元、返信先に、初期設定で画像処理装置自身のメールアドレスが設定されている場合には、メールの受信者にとって誰から送られてきたのか分かりづらい。また、返信を行う際に受信者の意図と異なったメールアドレスに返信してしまう恐れがある。 以上の問題を解決するために、特許文献1の技術が開示されている。まず、画像処理装置でメール機能を選択すると、携帯端末にアドレス帳アプリの起動命令を送信する。起動命令を受信したモバイル端末から選択したアドレスを画像処理装置に送信することにより、画像処理装置上のメール送信機能でモバイル端末のアドレスを利用する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の特許文献1に記載されている、携帯端末のアドレス帳からアドレスを検索して、そのアドレスを送信先に設定する方法では、メール送信するまでにモバイル端末と画像処理装置の両方の操作をする必要があるため、操作性に課題がある。
そこで本発明では、モバイル端末で送信元、および返信先として設定されたメールアドレスを、画像処理装置の送信元、返信先に反映してメール送信を実行する仕組みを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、情報処理装置とネットワークを介して接続される画像処理装置であって、メールの送信元、返信先の少なくともいずれかを含む送信情報と該送信情報を用いたメールの送信に係るジョブを前記情報処理装置から受信する受信手段と、前記ジョブに基づいて、送信元、返信先の少なくともいずれかを設定したメールを送信する送信手段と、メールの送信元、返信先の少なくともいずれかを含む所定の送信情報が前記画像処理装置において設定されている場合、前記受信手段によって受信した前記送信情報と前記所定の送信情報のどちらの送信情報を前記送信手段において送信する前記メールに使用するかを、前記画像処理装置に設定されている情報であって、前記送信情報と前記所定の送信情報のどちらの送信情報を前記送信手段において送信する前記メールに使用するかを示す設定情報に基づいて決定する決定手段と、有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、画像処理装置がモバイル端末から前記送信情報を受信する際、送信元にモバイル端末で設定したメールアドレスを反映することで、メールの受信者はメールの送信者を特定することが容易になる。同様に、返信先にモバイル端末で設定したメールアドレスを反映することで、メールの受信者は誤ったメールアドレスへ返信してしまうことを減らすことができ、返信先を自ら設定する手間を省くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】情報処理装置のハードウェア構成を示すブロック図
【
図3】画像処理装置のハードウェア構成を示すブロック図
【
図4】情報処理装置のソフトウェア構成を示すブロック図
【
図5】画像処理装置のソフトウェア構成を示すブロック図
【
図7】情報処理装置のメール送信設定画面の一例を示す図
【
図8】情報処理装置のメール送信設定画面の一例を示す図
【
図9】画像処理装置のメール送信画面の一例を示す図
【
図10】画像処理装置の送信元、返信先設定画面の一例を示す図
【
図11】画像処理装置の送信元、返信先優先度の設定画面の一例を示す図
【
図12】情報処理装置のFrom、Reply to設定の処理を示すフローチャート
【
図13】画像処理装置のFrom設定の処理を示すフローチャート
【
図14】画像処理装置のReply to設定の処理を示すフローチャート
【
図15】画像処理装置の競合時におけるFrom設定の処理を示すフローチャート
【
図16】画像処理装置の競合時におけるReply to設定の処理を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態について図面を用いて例示的に詳しく説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成要素はあくまで例示であり、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0010】
<実施例1>
1.情報処理システムの全体構成
図1は、本実施例に係る情報処理システムの全体構成示すブロック図である。
情報処理システム100は、情報処理装置101、無線LANターミナル102、画像処理装置104、及びクラウドサーバー105で構成され、これらは、Wi-Fi及びネットワーク103を介して互いに接続される。
情報処理装置101は、スマートフォンなどのモバイル端末であり、小型端末用のオペレーティングシステムや、通話、データ通信を制御するプログラムが動いていても構わない。もしくは、音声制御や位置検出制御、携帯電話データ通信等を備えないパーソナルコンピュータであっても構わない。また、情報処理装置101は、無線LANターミナル102によりネットワーク103に接続している。
無線LANターミナル102は、一般的なネットワーク・ルーター機能を有した無線LANの親機であって、家庭内や事務所などの中でWi-Fiを通じた無線LANを提供している。
画像処理装置104は、プリンタ機能、コピー機能、スキャナ機能、ファクス送信機能等各種ジョブ実行機能を備えるデジタル複合機(MFP)である。ユーザは、情報処理装置101を操作することで、画像処理装置104に対しジョブ実行を指示し、画像処理装置104の各種機能を実行することができる。
【0011】
クラウドサーバー105は、ネットワーク103を介して、情報処理装置101や画像処理装置104で利用されるデータ管理や、各種機能の拡張処理等を行う。なお、本実施例では、画像処理装置104やクラウドサーバー105はネットワーク103と有線接続する形態となっているが、情報処理装置101と同様に無線LANターミナル102を利用して無線接続してもよい。
さらに、情報処理装置101及び画像処理装置104は、NFC(Near Field Communication)やBLE(Bluetooth Low Energy)等の無線信号を介して近距離無線通信が可能である。画像処理装置104は後述するNFC通信部やBLE通信部に画像処理装置104と無線LAN接続するための情報(IPアドレスやMACアドレス等)を持ち、情報処理装置101が近距離無線通信で接続情報を取得する。そして、取得した情報に基づいて情報処理装置101と画像処理装置104の通信を開始する。
【0012】
2.情報処理装置のハードウェア
図2は、本実施例に係る情報処理装置101のハードウェア構成を示すブロック図である。
情報処理装置101は、コントローラユニット201を持つ。コントローラユニット201は、NFC通信部210、BLE通信部211及び無線LAN通信部212の各種通信部やマイク・スピーカ213、ディスプレイ214及びタッチパネル215の各種UI部を制御する。
コントローラユニット201は、CPU202、ROM203、RAM204,ネットワークI/F205、音声制御部206、表示制御部207、入力制御部208及び記憶装置209で構成され、それらはシステムバス216で接続される。
CPU202は、情報処理装置101のシステム全体を制御する。
ROM203は、情報処理装置101のオペレーティングシステム及び、通話、データ通信を制御するアプリケーションが記憶されており、CPU202が各種プログラムを実行する。
【0013】
RAM204は、CPU202が各種プログラムを実行するためのメモリであり、アプリケーションがプログラムを実行するワークメモリエリアである。
記憶装置209は、不揮発性の記憶装置であり、情報処理装置101の再起動後も保持しておく必要のある各種動作モード設定や、稼働ログ等を記録する。
ネットワークI/F205は、NFC通信部210、BLE通信部211及び無線LAN通信部212と接続され、画像処理装置104やクラウドサーバー105との各種無線通信制御を行う。
音声制御部206は、マイク・スピーカ213を介した音声データの入出力制御を行う。
表示制御部207は、ディスプレイ214で表示する画像データの出力制御を行う。
入力制御部208は、ユーザがボタンやタッチパネル215を介して指示した情報の入力制御を行う。これら、音声制御部206、表示制御部207、入力制御部208を利用して、情報処理装置101で実行される各種アプリケーションがユーザに提供される。
【0014】
3.画像処理装置のハードウェア
図3は、本実施例に係る画像処理装置104のハードウェア構成を示すブロック図である。
画像処理装置104は、コントローラユニット301を持ち、コントローラユニット301は、NFC通信部310、BLE通信部311及び無線LAN通信部312の各種通信部や操作部307、スキャナ313及びプリンタ314を制御する。
ユーザがコピー機能を利用する場合、コントローラユニット301は、スキャナ313を制御して原稿の画像データを取得し、プリンタ314を制御して画像を用紙に印刷し出力する。
また、ユーザがスキャン機能を利用する場合、コントローラユニット301 は、スキャナ313を制御して原稿の画像データを取得してコードデータに変換し、ネットワーク103を介して情報処理装置101やクラウドサーバー105等へ送信する。
また、ユーザがプリント機能を利用する場合、コントローラユニット301は情報処理装置101やクラウドサーバー105ネットワーク103を介して画像データ(コードデータ)を受信する。そして、コントローラユニット301は受信した印刷データを画像データに変換し、プリンタ314に送信する。プリンタ314は、受信した画像データに基づき、画像を用紙に印刷して出力する。
また、画像処理装置104は、ISDN等からデータを受信してプリントするFAX受信機能やISDN等へスキャンしたデータを送信するFAX送信機能も有する。
これら各機能における処理の実行指示をジョブと呼び、画像処理装置104は各機能に対応するジョブに従って所定の処理を実行する。
【0015】
コントローラユニット301は、CPU302、RAM303、ROM304、HDD305、操作部I/F306、ネットワークI/F308及びデバイスI/F309で構成され、それらはシステムバス312で接続される。
CPU302は、画像処理装置104のシステム全体を制御する。
RAM303はCPU302が動作するためのシステムワークメモリであり、画像データを一時記憶するための画像メモリである。また、RAM303はオペレーティングシステムやシステムソフトウェア、アプリケーションソフトウェアなどのプログラムやデータも配置される。また、スキャナ312で読み取られたスキャン画像データを格納したり、情報処理装置101からネットワーク103を介して受信したプリント画像データを格納したりする。
ROM304はシステムのブートプログラムが格納されている。
ハードディスクドライブ(HDD)305はオペレーティングシステムやシステムソフトウェア、アプリケーションソフトウェア、画像データ、設定データなどを格納する。
操作部I/F306は操作部307とのインターフェース部であり、操作部307に表示する情報を操作部307に対して出力する。また、操作部307からユーザが入力した情報を受け付ける。
ネットワークI/F308はNFC通信部310、BLE通信部311及び無線LAN通信部312と接続され、情報処理装置101やクラウドサーバー105との各種無線通信制御を行う。
無線LAN通信部312は、ネットワーク103を介して情報処理装置101と無線LANを形成する。
また、NFC通信部310、BLE通信部311は、無線信号を介して情報処理装置101と近距離無線通信を形成する。画像処理装置104は、ネットワークI/F308を介して、情報処理装置101とジョブ設定情報や画像データを送受信し、画像処理装置104の各種機能の実行コマンドを受けてジョブを実行する。
デバイスI/F309は、画像データの読み取りや印刷を実行するスキャナ313やプリンタ314とコントローラユニット301を接続し、画像データの入出力を行う。
【0016】
4.情報処理装置のソフトウェア構成
図4は、本実施例に係る情報処理装置101のソフトウェア構成を示すブロック図である。
アプリケーション401は、情報処理装置101のCPU202が実行するソフトウェアであり、RAM203に格納されている。
ユーザインタフェース(UI)制御部402は、ユーザがタッチパネル215で入力したジョブ設定情報を受け付け、入力制御部208を介して、ジョブ設定管理部406に送信する。また、UI制御部402は、ジョブ設定管理部406やジョブ制御部407からの応答を受信し、表示制御部207を介して、ディスプレイ214に出力する。さらに、UI制御部402は、ユーザがタッチパネル215で入力した認証情報を受け付け、入力制御部208を介して、認証設定管理部403に送信する。
認証設定管理部403は、UI制御部402から受信したユーザ情報に基づいて認証情報をネットワーク制御部405に送信する。その認証情報は、ネットワーク103を介して、後述する画像処理装置104における認証処理で使用される。
デバイス接続部404は、情報処理装置101と画像処理装置104のNFCやBLEの近距離無線通信とネットワーク103を介した無線LAN通信を確立する。例えば、NFCの場合、ユーザが情報処理装置101のNFC通信部210と画像処理装置104のNFC通信部310を近づけ、接触させることで、近距離無線通信を開始する。また、BLEの場合、ユーザが情報処理装置101のBLE通信部211と画像処理装置104のBLE通信部311の距離を近づけ、デバイス接続部404がBLEの強度が一定の強度以上となる距離内にあると判断することで、近距離無線通信が開始する。このように、ユーザが情報処理装置101と画像処理装置104のNFCやBLEの通信部を近づける操作(タッチ操作と呼ぶ)ことで、デバイス接続部404は、画像処理装置104の機器情報を取得する。その取得した機器情報からネットワーク103を介した画像処理装置104との無線LAN接続を開始する。
【0017】
ネットワーク制御部405は、画像処理装置104に対するジョブ設定やジョブ実行指示コマンド、画像データ、ユーザ認証情報等を、ネットワーク103を介して送信する。さらに、ネットワーク制御部405は、画像処理装置104で格納されたジョブ設定情報を、ネットワーク103を介して受信する。
ジョブ設定管理部406は、UI制御部402によりユーザが入力したジョブ設定情報や、ネットワーク制御部405により画像処理装置104やクラウドサーバー105から受信したジョブ設定情報をRAM204や記憶装置209に格納する。このとき、ジョブ設定管理部406は、これらのジョブ設定情報をユーザがよく使う設定として「お気に入り」として管理する。また、ジョブ設定管理部406は、アプリケーション401のインストール時にRAM204や記憶装置209に格納されたカスタムのジョブ設定を「プリセット」として管理する。
ジョブ制御部407は、ジョブ設定管理部406で登録された「お気に入り」や「プリセット」のジョブ設定からジョブ実行指示情報を生成し、ネットワーク103を介して画像処理装置104に対するジョブ実行要求を送信する。また、ジョブ制御部407は、ジョブ実行状況や、スキャナ313やプリンタ314のデバイスの動作状態を、ネットワーク103を介して画像処理装置104から取得し、UI制御部402に送信する。
【0018】
5.画像処理装置のソフトウェア構成
図5は、本実施例に係る画像処理装置104のソフトウェア構成を示すブロック図である。
アプリケーション501は、画像処理装置104のCPU302が実行するソフトウェアであり、RAM303に格納されている。
ユーザインタフェース(UI)制御部502は、ユーザが操作部307で入力したジョブ設定情報を受け付け、ジョブ設定管理部506に送信する。また、UI制御部502は、ジョブ設定管理部506やジョブ制御部507からの応答を受信し、操作部307に出力する。
認証部503は、情報処理装置101から受信した認証情報に基づいてユーザ認証処理を行い、その結果を返す。
デバイス接続部504は、情報処理装置101と画像処理装置104の近距離無線通信でハンドオーバーし、ネットワーク103を介した無線LAN通信を確立する。
ネットワーク制御部505は、情報処理装置101からジョブ設定やジョブ実行指示コマンド、画像データ、ユーザ認証情報等を、ネットワーク103を介して受信する。さらに、ネットワーク制御部505は、画像処理装置104で格納されたジョブ設定情報を、ネットワーク104を介して情報処理装置101に対し送信する。
【0019】
ジョブ設定管理部506は、UI制御部502によりユーザが入力したジョブ設定情報や、ネットワーク制御部505により情報処理装置101やクラウドサーバー105から受信したジョブ設定情報をRAM203やHDD305に格納する。このとき、ジョブ設定管理部506は、これらのジョブ設定情報をユーザがよく使う設定として「お気に入り」として管理する。また、ジョブ設定管理部406は、アプリケーション401のインストール時にRAM204や記憶装置209に格納されたカスタムのジョブ設定を「プリセット」として管理する。また、画像処理装置104で実行されたジョブ設定を「履歴」として管理する。
ジョブ制御部507は、受信したジョブ設定に応じ、スキャン処理部511、コピー処理部512、プリント処理部513及びファクス処理部514の各処理部を制御し、各種ジョブを実行する。このとき、ジョブ制御部507は、ユーザが操作部307で設定したジョブ設定や、ジョブ設定管理部506で登録された「お気に入り」や「プリセット」のジョブ設定から各種ジョブを実行する。さらに、ジョブ制御部507は、ネットワーク103を介して、情報処理装置101から受信したジョブ実行要求を受信し、受信したジョブ設定やジョブ実行指示に応じて、各種ジョブを実行する。また、ジョブ制御部507は、ジョブ実行状況や、スキャナ313やプリンタ314のデバイスの動作状態を、ネットワーク103を介して情報処理装置101へ送信する。
【0020】
6,情報処理装置の画面(スキャンして送信)
(機能選択画面)
図6を用いて、情報処理装置101の機能選択に関して説明する。
情報処理装置101は、機能選択画面601で実行する基本ジョブ、お気に入り、プリセットをボタンとして表示する。プリセットには、スキャン画像をメール送信する「スキャンして送信」ジョブを表現するスキャンして送信ボタン602がある。スキャンして送信ボタン602を押下すると、スキャンして送信画面701に遷移する。基本ジョブボタンエリア603は、基本ジョブを実行するボタンを複数配置し、各ボタンを押下するとジョブ実行のための設定画面に遷移する。
【0021】
(スキャンして送信設定画面)
次に、
図7、
図8を用いて情報処理装置101のスキャンして送信する設定に関して説明する。
図7のスキャンして送信画面701は、メールを送信するための設定を行う。
タイトル702は、タイトルを表示し、設定をキャンセルして前の画面に戻るボタン[×]を配置する。
送信先設定エリア703は、送信先のメールアドレスをソフトキーボードで入力が可能である。アドレス帳起動ボタン704[+]を押下すると情報処理装置101のアドレス帳を起動する。ユーザがアドレス帳でメールアドレスを選択すると、送信先設定エリア703に選択したメールアドレスを表示する。
メールアドレスは、複数設定可能である。送信元設定エリア705と返信先設定エリア706は、送信先設定エリア703と同様の操作で、メールを送信するアドレスの入力が可能である。送信元設定エリア705と返信先設定エリア706には、情報処理装置101のメールアドレスがデフォルトで設定されているようにしても良い。開くボタン707を押下すると、
図8の画面表示に切り替わりメール設定が可能になる。CC入力エリア801とBCC入力エリア802は、送信先設定エリア703と同様の操作で、メールを送信するアドレスの入力が可能である。件名を入力する件名フィールド803、本文を入力する本文フィールド804は、情報処理装置101のソフトキーボードで、ユーザが任意の文字列を入力可能である。
図7に戻り、スキャン設定エリア708は、カラー設定ボタン709を含むスキャン設定を変更するボタンを配置する。実行ボタン710を押下することで、上記で設定した送信情報を画像処理装置104に送信する。
【0022】
7,画像処理装置の画面(スキャンして送信)
図9は、本実施例に係る画像処理装置104の送信画面を示す図である。
画面901は送信を設定する画面であり、送信先の選択や、スキャン設定を行える。From、Reply toと書かれているボタン902を押下することで、HDD305に格納されているメールアドレスを送信元、返信先に設定可能な
図10で示す画面1001に遷移する。
【0023】
図10は、
図9に示したFrom、Reply toと書かれているボタン902が押下されることで遷移する、送信元、返信先メールアドレスを設定する画面1001を示す図である。
アドレス一覧表示エリア1002には、HDD305に格納されているメールアドレスの表示を行う。例えば、ユーザが画像処理装置104にログイン中であれば、当該ユーザに紐付けて登録してあるメールアドレス一覧が表示される。送信元入力エリア1004が押下により選択された状態で、アドレス一覧表示エリア1002から任意のメールアドレスが選択されることで、送信元入力エリア1004に選択されたメールアドレスを反映する。また、返信先入力エリア1003が押下により選択された状態で、アドレス一覧表示エリア1002から任意のメールアドレスを選択されることで、返信先入力エリア1003に選択されたメールアドレスを反映する。送信元入力エリア1004や返信先入力エリア1003には画像処理装置104にログインしているユーザのメールアドレス(例えばユーザ情報と紐付けて画像処理装置104に登録されているユーザのPCのメールアドレス)がデフォルトで設定されているようにしても良い。本実施例では、アドレス一覧表示エリア1002からメールアドレスを選択したが、送信元入力エリア1004および返信先入力エリア1003には、ハードキーボードやソフトキーボードを用いてメールアドレスを入力してもよい。また、アドレス一覧表示エリア1002を設けるのではなく、送信元入力エリア1004,返信先入力エリア1003にドロップダウンメニューとしてメールアドレスを選択可能とするようにしてもよい。
【0024】
図11は、送信元、および返信先メールアドレスが情報処理装置101と画像処理装置104両方で設定されていた場合の優先度を設定する画面を示す図である。
送信元優先度を設定するエリア1102内のONボタン1103が押下されることで、画像処理装置104の設定よりも優先的に情報処理装置101で設定されているメールアドレスを送信元にするように設定する。また、OFFボタン1104を押下することで、画像処理装置104のメールアドレスを送信元にするように設定する。同様に、返信先の優先度を設定するエリア1105内のONボタン1106が押下されることで、画像処理装置104の設定よりも優先的に情報処理装置101のメールアドレスを返信先にするように設定する。OFFボタン1107を押下することで、画像処理装置104のメールアドレスを返信先にするように設定する。
【0025】
8.情報処理装置におけるメール設定処理
次に、情報処理装置101のFrom、Reply to設定の処理フローに関して、
図12の送信フローチャートを用いて説明する。なお、以下では、送信先を設定する場合はアドレス帳から選択することを前提とした処理フローを説明する。送信先を直接ソフトキーボードで入力するようにしてもよいし、また、送信元、返信先の設定についても、アドレス帳から選択可能としてもよい。
まず、ユーザが
図6の機能選択画面601にあるスキャンして送信ボタン602を押下したところからこの処理フローが開始する。
まず、S1201で、
図7に示すスキャンして送信画面701を表示する。
続いて、S1202で、ユーザがアドレス帳起動ボタン704を押下したことを受け、アドレス帳を起動し、アドレス帳からメールアドレスの選択を受け付ける。
S1203で送信先設定エリア703にS1202で選択されたメールアドレス受け付け、Toの設定を行う。
S1204で送信元設定エリア705のメールアドレスを受け付けFromの設定を行う。また、返信先設定エリア706のメールアドレスを受け付けReply toの設定を行う。
続くS1205で、スキャンのカラー設定、解像度などのスキャン設定エリア708のスキャン設定の設定を受付ける。また、開くボタン707が押下された場合は、
図8の画面701を表示し、件名フィールド803、本文フィールド804の入力フィールドでメール内容の入力を受け付け、実行ボタン710が押下されたら
図7の画面701に戻る。
S1206で、ユーザが情報処理装置101を画像処理装置104のNFCタッチエリアにタッチし、画像処理装置104の接続情報を含むNFCのタグ情報の取得を検知する。
NFCのタグ情報を取得できた場合、S1207に進み、取得できない場合は、待機する。
S1207では、S1206で取得した接続情報を元に画像処理装置104を探索し接続を開始する。
接続されると、S1208で、認証設定管理部403で管理されている認証情報を用いてで画像処理装置104にユーザ認証をする。
S1209で、画像処理装置104から受信したユーザ認証の結果を判断する。認証がOKだった場合は(S1209でYes)、S1210に進む。
S1210で送信元、送信先、返信先のメールアドレスのリスト、スキャン設定、メール内容を含む送信情報を画像処理装置104に送信し、処理を終了する。
S1209でユーザ認証がエラーだった場合は(S1209でNo)、S1211で認証エラーを画面に表示し処理を終了する。
【0026】
9.画像処理装置におけるメール設定処理(1)
次に、画像処理装置104の送信元設定の流れに関して、
図13のFromの設定フローチャートを用いて説明する。
S1301で、画像処理装置104は情報処理装置101から送信情報を受信する。
S1302で、受信した送信情報から「送信元」の情報を取り出す。
S1303で、「送信元」にメールアドレスが設定されているか否かを判断する。
メールアドレスが設定されていた場合は(S1303でYes)、S1304進む。
S1304で「送信元」のメールアドレスをメールのFromに反映し、S1305に進む。
一方、メールアドレスが設定されていなかった場合は(S1303でNo)、S1307に進む。
S1307で、画像処理装置104に設定されているメールアドレスをメールのFromに反映し、S1305に進む。ここでのメールアドレスは例えば情報処理装置101から送信された認証情報を用いて認証したユーザに対応付けて画像処理装置104に登録してあるメールアドレスである。
S1305で前記送信情報を使用してメール内容を作成する。
続くS1306でメール送信を実行する。
【0027】
画像処理装置104の返信先設定の流れに関して、
図14のReply toの設定フローチャートに記述されているが、上記のFromと同様のフローであるため説明は省略する。上記実施例では、メールアドレスに関して記載したが、送信者情報の設定先はSubject、本文、ファイル名でもよい。
また、S1307で画像処理装置装置104に設定されているメールアドレスの代わりに、認証されたユーザのメールアドレスをメールのFROMに反映するようにしてもよい。
【0028】
以上の説明の通り、本実施によれば、情報処理装置から受信した送信情報に含まれるメールアドレスを送信先、送信元、返信先に設定することができる。さらに、画像処理装置のユーザがパネル上で操作を行うことなく受信したメールアドレスを送信先、送信元、返信先に設定することができるため、操作性が向上する。
【0029】
10.画像処理装置におけるメール設定処理(2)
<実施例2>
実施例1では、受信した送信情報に含まれるメールアドレスを送信元、および返信先に設定する方法について説明した。しかし、画像処理装置で送信元、返信先として任意のメールアドレスがあらかじめ設定されている可能性がある。実施例2では、受信した送信情報に含まれるメールアドレスとどちらを優先すべきかの設定に基づき決定する方法について説明する。また、以下の実施例では、画像処理装置で送信元、返信先として任意のメールアドレスがあらかじめ設定されているものとする。
【0030】
画像処理装置104に設定されている送信元と情報処理装置101から受信した送信元とが競合した場合におけるFromの設定の流れに関して、
図15のフローチャートを用いて説明する。
S1501では、情報処理装置101から送信情報を受信する。
S1502で、受信した送信情報から「送信元」の情報を取り出す。
S1503で「送信元」にメールアドレスが設定されているか判断する。
「送信元」にメールアドレスが設定されていた場合は(S1503でYes)、S1504に進む。メールアドレスが設定されていない場合は、S1507に進む。
「送信元」にメールアドレスが設定されていない場合は(S1503でNo)、画像処理装置104で設定されているメールアドレスをメールのFromに反映し、S1507に進む。
S1504で、ジョブ設定管理部506で管理されている「優先度設定」を参照する。
続く、S1505で「優先度設定」において「モバイルを優先する」がONになっているか否か判断を行う。
「モバイルを優先する」がONになっていた場合は(S1505でYes)、S1506に進む。
「モバイルを優先する」がONでない場合は(S1505でNo)、画像処理装置104に設定されているメールアドレスをメールのFromに反映し、S1507に進む。
S1506で、「送信元」のメールアドレスをメールのFromに反映し、S1507に進む。
S1507で、反映されたFromの設定を使用してメール内容を作成する。
S1508でメール送信を実行する。
【0031】
図16のフローチャートは画像処理装置104に設定されている送信先と情報処理装置101から受信した送信先とが競合した場合におけるReplay-toの設定の流れを示す。上記のFromと同様のフローであるため説明は省略する。
以上の説明の通り、本実施の形態によれば、画像処理装置、および受信した送信情報に送信元、返信先としてメールアドレスが設定されていた場合に、優先すべきメールアドレスを決定することができる。
【0032】
(その他の実施例)
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【符号の説明】
【0033】
101 情報処理装置
104 画像処理装置
305 HDD
506 ジョブ設定管理部