(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-13
(45)【発行日】2024-12-23
(54)【発明の名称】飲料サーバー、飲料サーバーシステム、及び飲料の提供方法
(51)【国際特許分類】
B67D 1/04 20060101AFI20241216BHJP
【FI】
B67D1/04 F
(21)【出願番号】P 2020525730
(86)(22)【出願日】2019-06-17
(86)【国際出願番号】 JP2019023968
(87)【国際公開番号】W WO2019240298
(87)【国際公開日】2019-12-19
【審査請求日】2022-01-14
【審判番号】
【審判請求日】2023-09-08
(31)【優先権主張番号】P 2018114462
(32)【優先日】2018-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】309007911
【氏名又は名称】サントリーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100138210
【氏名又は名称】池田 達則
(72)【発明者】
【氏名】吉原 慶太
【合議体】
【審判長】平城 俊雅
【審判官】小川 恭司
【審判官】横山 幸弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-240892(JP,A)
【文献】米国特許第4595121(US,A)
【文献】特開2002-337996(JP,A)
【文献】特開2002-205796(JP,A)
【文献】特開2001-146299(JP,A)
【文献】実公昭12-9965(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B67D 1/00 - 3/04
B65D 83/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料を収容する本体部と、前記本体部に気密に装着される蓋部とを備える容器であって、前記本体部に前記飲料を最大限収容した場合でも、前記本体部の外側かつ前記蓋部の内側において前記本体部の上部の開口を覆うガス充填用の空間が生じるように形成された容器、
一端が前記容器の前記本体部内に配置される飲料吐出管路、
前記飲料吐出管路を開閉する開閉弁、
前記容器の外側に形成されると共に、ガスボンベに接続された流体コネクタと接続可能に形成され、ガスの流入のみを許容する前記容器のガス入口、及び
前記ガス入口から前記ガスを流入するためのガス導入管路であって、前記ガス入口とは反対側の端部は、前記ガス充填用の空間内で開口しているガス導入管路、
を具備する飲料サーバーであって、
前記本体部に収容された前記飲料が、その吐出前に前記ガス入口を介して前記ガス充填用の空間に予め充填されていたガスの圧力に基づいて、前記開閉弁が開弁されたとき前記飲料吐出管路を介して前記容器の外へ吐出
され、
前記飲料は、飲料製造者により製造され、製造時の飲料入りボトルに装着された密封栓を除去した上で前記本体部に収容され、
前記飲料は、前記容器内に導入されたガスを維持しつつ前記ガス入口と前記流体コネクタとの接続を切り離した状態で前記容器の外へ吐出できることを特徴とする、飲料サーバー。
【請求項2】
前記容器の前記本体部が、飲料製造者により製造された
前記飲料入りボトルであって、製造時に装着された
前記密封栓が除去された
前記飲料入りボトルから構成され、
前記蓋部が前記飲料入りボトルに気密に装着される、請求項1に記載の飲料サーバー。
【請求項3】
前記ガス入口から前記容器外へのガスの逆流を防止する逆止弁をさらに具備する、請求項1又は請求項2に記載の飲料サーバー。
【請求項4】
前記ガス入口が、前記容器の前記蓋部から延出する前記ガス導入管路の先端部に設けられている、請求項1又は請求項2に記載の飲料サーバー。
【請求項5】
前記容器内のガス圧力が所定の値を超えたときに作動する逃がし弁をさらに具備する、請求項1又は請求項2に記載の飲料サーバー。
【請求項6】
請求項1又は請求項2に記載の飲料サーバーと、
前記ガスボンベと、
前記流体コネクタと、
を具備する飲料サーバーシステム。
【請求項7】
飲料を収容する本体部及び前記本体部に装着される蓋部を有する容器と、前記容器のガス入口と、飲料吐出管路とを具備する飲料サーバー、並びにガスボンベを準備する段階
であって、前記飲料は、飲料製造者により製造され、製造時の飲料入りボトルに装着された密封栓は除去される、段階と、
前記容器の前記本体部に
前記飲料を注ぎ入れる段階と、
前記本体部に前記蓋部を気密に装着するとともに前記飲料吐出管路の一端を前記本体部内の前記飲料の中に配置する段階と、
前記ガスボンベに接続された流体コネクタを前記容器の前記ガス入口に接続することにより、前記容器内のガス充填用空間に前記ガスボンベからのガスを導入する段階と、
前記容器内に導入されたガスを維持しつつ前記ガス入口から前記流体コネクタを切り離す段階と、
前記ガス入口から前記流体コネクタを切り離した状態で、前記飲料吐出管路に設けられた開閉弁を開弁することにより前記容器内の飲料を外部に吐出する段階と、
前記開閉弁を閉弁することにより飲料の吐出を止める段階と、を含むことを特徴とする飲料の提供方法。
【請求項8】
前記容器の前記本体部が、飲料製造者により製造された
前記飲料入りボトルであって、製造時に装着された
前記密封栓が除去された
前記飲料入りボトルから構成される、請求項7に記載の飲料の提供方法。
【請求項9】
飲料を収容する本体部及び前記本体部に装着される蓋部を有する容器と、前記容器のガス入口と、飲料吐出管路とを具備する飲料サーバー、並びに飲料製造者により製造された飲料入りボトルであって、製造時に装着された密封栓が除去された飲料入りボトル、並びにガスボンベを準備する段階と、
前記容器の前記本体部に前記飲料入りボトルを収容する段階と、
前記本体部に前記蓋部を気密に装着するとともに前記飲料吐出管路の一端を前記飲料入りボトル内の前記飲料の中に配置する段階と、
前記ガスボンベに接続された流体コネクタを前記容器の前記ガス入口に接続することにより、前記容器内のガス充填用空間に前記ガスボンベからのガスを導入する段階と、
前記容器内に導入されたガスを維持しつつ前記ガス入口から前記流体コネクタを切り離す段階と、
前記飲料吐出管路に設けられた開閉弁を開弁することにより前記容器内の前記飲料を外部に吐出する段階と、
前記開閉弁を閉弁することにより前記飲料の吐出を止める段階と、を含むことを特徴とする飲料の提供方法。
【請求項10】
前記流体コネクタを切り離す段階の直後に、前記飲料サーバーを移動する段階をさらに含む、請求項7から請求項9のいずれか一項に記載の飲料の提供方法。
【請求項11】
前記飲料サーバーと前記ガスボンベとを準備する段階から前記飲料サーバーを移動する段階までを実行する人と、前記飲料を外部に吐出する段階から前記飲料の吐出を止める段階までを実行する人が異なる人である、請求項10に記載の飲料の提供方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばビール等の飲料をグラスあるいはジョッキ等に供給するための卓上型の飲料サーバーに関する。
【背景技術】
【0002】
飲食店等でビール等の飲料を来店した顧客に提供するやり方の一つに、ピッチャーと呼ばれる容器に数人分のビールを入れて、そのピッチャーを顧客に提供し、顧客が必要に応じてビールをピッチャーからグラス等に注ぐというやり方がある。ピッチャーは、持ち手の付いた飲料ポットであって、一般的には、容量は例えば1.8リットル程度であり、注ぎ口を有し、上面開口を覆う蓋も付属している。特許文献1にはそのようなピッチャーが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ピッチャーは気密には作られていないので、ピッチャー内で長時間残されていたビールについてはガス抜けの問題が無視できなくなる。また、飲食店で用いられるピッチャーの容量は通常は1.8リットル程度であるので、飲料の収容されたそのようなピッチャーを傾けてグラスに失敗することなく飲料を注ぐ顧客には、それなりの腕力が要求される。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、発泡性飲料のガス抜けが抑えられると共に、操作の楽な、ピッチャーの代替となり得る飲料サーバーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述の目的を達成するために、本発明の第1の様態によれば、飲料を収容する本体部と、本体部に気密に装着される蓋部とを備える容器であって、本体部に飲料を最大限収容した場合でも、ガス充填用の空間が生じるように形成された容器、一端が容器の本体部内に配置される飲料吐出管路、飲料吐出管路を開閉する開閉弁、及びガスの流入のみを許容する容器のガス入口、を具備する飲料サーバーであって、本体部に収容された飲料が、その吐出前にガス入口を介してガス充填用の空間に予め導入されていたガスの圧力に基づいて、開閉弁が開弁されたとき飲料吐出管路を介して容器の外へ吐出される飲料サーバーが提供される。
【0007】
さらに、本発明の第2の様態によれば、第1の様態による飲料サーバーと、ガスボンベと、ガスボンベに接続された流体コネクタであって、飲料サーバーの容器のガス入口に接続可能な流体コネクタと、を具備する飲料サーバーシステムが提供される。
【0008】
さらに、本発明の第3の様態によれば、飲料を収容する本体部及び本体部に装着される蓋部を有する容器と、容器のガス入口と、飲料吐出管路とを具備する飲料サーバー、並びにガスボンベを準備する段階と、容器の本体部に飲料を注ぎ入れる段階と、本体部に蓋部を気密に装着するとともに飲料吐出管路の一端を本体部内の飲料の中に配置する段階と、ガスボンベに接続された流体コネクタを容器のガス入口に接続することにより、容器内のガス充填用空間にガスボンベからのガスを導入する段階と、容器内に導入されたガスを維持しつつガス入口から流体コネクタを切り離す段階と、飲料吐出管路に設けられた開閉弁を開弁することにより容器内の飲料を外部に吐出する段階と、開閉弁を閉弁することにより飲料の吐出を止める段階と、を含む飲料の提供方法が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によると、飲料を収容して気密に密閉された容器にガスが導入されて維持されるので、従来のピッチャーを使用した場合に起きていたビール等の飲料のガス抜けの問題が解消される。さらに、本発明によると、飲料の吐出の原動力は容器内に導入されて維持されたガスの圧力であるので、飲料吐出のために従来のピッチャーの場合のように重い容器を傾ける必要がなく、開閉弁の簡単な操作だけでよい。
【0010】
また、飲料の吐出中に外部から容器内にガスを供給する必要はなく、従って、ガスボンベ等のガス供給源から容器を切り離すことができる。その結果、飲料サーバーは、従来のピッチャーと同様の移動性を確保できる一方で、ガス供給源としてはグラム単価の安価な大容量のガスボンベを使うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の第1の実施形態による飲料サーバーシステムを模式的に示す図である。
【
図2】本発明の第2の実施形態による飲料サーバーシステムの飲料サーバーを模式的に示す図である。
【
図3】本発明の第3の実施形態による飲料サーバーシステムの飲料サーバーを模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1を参照して、本発明の第1の実施形態による飲料サーバーシステム100について説明する。飲料サーバーシステム100は、飲料サーバー10と、それにガスを供給するガスボンベ20とを具備する。飲料サーバーシステム100は、例えばビール、発泡酒、麦芽以外の原料から作成されていて別のアルコール飲料が混入されたビール風味の発泡アルコール飲料(第三のビール)、ノンアルコールビール、チューハイ、ハイボール、非アルコール系炭酸飲料等の発泡性飲料を供給することができる。ガスボンベ20に充填されたガスは、本実施形態では炭酸ガスである。
【0013】
飲料サーバー10は、ビール等の飲料を収容する容器11と、一端14aが前記容器11内の飲料内に配置される飲料吐出管路14と、飲料吐出管路14を開閉する開閉弁15と、ガスの流入のみを許容する容器11のガス入口16とを具備する。容器11は、飲料を収容する本体部12と、本体部12に気密に装着される蓋部13とを具備する。
【0014】
容器11の本体部12は、その内部に飲料を収容する空間を有する上部が開口した有底円筒状に形成されている。本体部12の上端部の外周面には蓋部13との螺合を可能にする雄ねじ(図示せず)が形成されている。蓋部13は本実施形態では有蓋円筒状に形成されており、その下端部の内周面には、本体部12の雄ねじと螺合可能な雌ねじ(図示せず)が形成されている。本体部12と蓋部13との間には、蓋部13が本体部12にねじ込まれたときに容器11が気密に密閉されるように、シール部材(図示せず)が配設されている。また、容器11は、本体部12に飲料を最大限収容して蓋部13を装着したときでも、
図1に示されるように、飲料の上方にガス充填用空間11aが生じるように形成されている。
【0015】
ガス充填用空間11aへのガスの導入のために、蓋部13の上面にガス導入管路17が接続されている。ガス導入管路17の容器11外の一端が前述したガス入口16を構成している。ガス導入管路17の他端は容器11内のガス充填用空間11a内で開口している。ガス入口16は、ガスボンベ20側の流体コネクタ24が着脱可能に接続する流体コネクタ16として形成されている。また、本実施形態では、容器11内のガスの外部への流出を防ぐために逆止弁18がガス導入管路17に設けられている。ただし、ガス入口16を構成する流体コネクタに逆止弁が内蔵されてもよい。あるいは、逆止弁18に変えて手動の開閉弁をガス導入管路17に設けた実施形態も可能である。このようにして、ガス入口16は、ガスの流入を許容するがガスの流出を許容しないように構成可能である。
【0016】
さらに、ガス導入管路17を有しない実施形態も可能である。この場合、逆止弁を内蔵する流体コネクタからなるガス入口16が容器11の蓋部13に設けられる。
【0017】
飲料吐出管路14は、容器11の本体部12内の底部近くで開口した一端14aと容器11外の他端14bとを有する。飲料吐出管路14は、容器11内の一端14aから上方に延びて、蓋部13の上面を貫通し、容器11外に延びている。飲料吐出管路14を開閉する開閉弁15の吐出口が、飲料吐出管路14の他端14bを構成している。開閉弁15は、本実施形態では、手動の操作レバー(図示せず)を有するコック弁15として形成されている。また、飲料吐出管路14が容器11外で延びる部分を有さず、従ってコック弁15が蓋部13に直接取り付けられる実施形態も可能である。
【0018】
飲料サーバー10は逃がし弁19もさらに具備する。逃がし弁19は、容器11内のガス充填用空間11aの圧力が所定の値を超えたときに作動するように蓋部13に配設されている。ガスボンベ20から容器11内にガスを充填するとき、逃がし弁19を作動させることにより、その作動時間に応じて容器11内に残留する空気の濃度を次第に低下せせることが可能になる。そのためには、逃がし弁19の作動圧力をガスボンベ20のレギュレータ22の設定圧力よりも低く設定しておけばよい。容器11内の空気の濃度を下げることにより、容器11内のビール等の飲料の酸化が抑えられる。
【0019】
ただし、炭酸ガスを容器11内に導入するときに容器11内の空気が追い出されない実施形態も可能である。その場合は、飲料サーバー10は逃がし弁19を有しないか、あるいは逃がし弁19を有するもののその作動圧力がガスボンベ20のレギュレータ22の設定圧力よりも高く設定される。ところで、逃がし弁19が、容器11内圧力の異常上昇に対する安全弁として機能することも自明であろう。
【0020】
ガスボンベ20は、ボンベ開閉弁21及びレギュレータ22を有する通常のタイプのものであり、本実施形態では比較的大容量の10kgの二酸化炭素が充填されたものが用いられている。ガスボンベ20のレギュレータ22にはガス供給管路23の一端が接続されている。ガス供給管路23の他端は、飲料サーバー10のガス入口16の流体コネクタに接続可能な流体コネクタ24として形成されている。
図1は、それら流体コネクタが切り離された状態を示している。
【0021】
ガス供給管路23の流体コネクタ24には、相手側のコネクタとの着脱を手で行える所謂クイックカプラと呼ばれているものが用いられている。また、本実施形態では、ガス供給管路23の流体コネクタ24は、相手側のコネクタと接続されたときにガスの流れを許容するが、相手側のコネクタ16から切り離されたならガスの流れを遮断するタイプのものが用いられている。
【0022】
流体コネクタ24としては、上述したもの以外の様々なタイプのものが使用でき、例えば、人の手の力によって相手側のコネクタ16に押し付けられている間に流体を流通させ、押し付け力が除かれて相手側のコネクタ16から切り離されるとガスの流れを遮断するタイプのものが用いられてもよい。
【0023】
次に、前述した飲料サーバーシステム100を用いた飲料の提供方法の一例について以下に説明する。以下の説明では、飲料はビールであり、また飲料サーバーシステム100は、飲食店に設置されているものとする。
【0024】
最初に、飲食店の店舗スタッフは、飲料サーバー10の容器11の本体部12に、その上部の開口からビールを注ぎ入れる。ビールは、例えば、固定された従来型のビールサーバー(図示せず)あるいは大容量のビールボトル(図示せず)から、飲料サーバー10の容器11の本体部12に注ぎ入れられる。店舗スタッフは、容器11の本体部12からビールが溢れ出る限界近くまでビールを注ぎ入れてもよい。その場合でも、容器11の本体部12に蓋部13を装着したときに、内部にガス充填用空間11aが形成される。
【0025】
次に、店舗スタッフは、容器11の本体部12に蓋部13をねじ込んで装着する。飲料吐出管路14は蓋部13に固定されているので、蓋部13の装着によって飲料吐出管路14の一端14aが飲料内の底部近くに配置される。また、店舗スタッフは、飲料吐出管路14の開閉弁15が閉弁されていることを確認する。
【0026】
次に、店舗スタッフは、容器11のためのガス入口16の流体コネクタに、ガスボンベ20から延びるガス供給管路23の先端の流体コネクタ24を接続する。そうすると、高圧のガスボンベ20から炭酸ガスが容器11内に流入して、容器11内のガス充填用空間11aが、ガスボンベ20のレギュレータ22で設定した圧力にほぼ等しい圧力の炭酸ガスと空気の混合気で充填される。前記混合気中の空気の比率を低下させるために、容器11内へ炭酸ガスを導入しているときに逃がし弁19を作動させるようにしてもよい。
【0027】
次に、店舗スタッフは、ガス供給管路23の先端の流体コネクタ24を容器11のガス入口16から切り離す。このとき、逆止弁18がガス導入管路17に配置されているので、容器11内のガスがガス入口16から流出することはない。一方、ガス供給管路23の流体コネクタ24からガスボンベ20内のガスが流出することもない。これは、このガス供給管路23の流体コネクタ24は、相手側のコネクタとの接続が切り離されたらガスの流れを遮断するタイプのものだからである。
【0028】
次に、店舗スタッフは、飲料サーバー10を、来店した顧客が待つテーブル等へ運ぶ。
【0029】
次に、顧客は、飲料吐出管路14のコック弁15の下にグラス等を準備してから、コック弁15を開弁する。そうすると、容器11内のガス充填用空間11a内のガス圧力に基づいて、容器11内のビールが飲料吐出管路14を介して吐出される。望ましい量のビールが吐出されたなら、顧客はコック弁15を閉弁する。
【0030】
上述した、飲料の提供方法によると、ビールを収容した飲料サーバー10の気密に密閉された容器11に炭酸ガスが導入されて維持されるので、従来のピッチャーを使用した場合に起きていたピッチャー内のビールのガス抜けは防止される。そのため、飲料サーバー10の容器11内に長く残されたビールであっても炭酸感が維持される。また、炭酸ガスの導入時に、逃がし弁19等を使って容器11内の空気を追い出すようにすれば、ビールの酸化も防止される。
【0031】
飲料サーバー10は、その容器11内への炭酸ガスの導入後、ガスボンベ20側から切り離されるので、店舗スタッフは、従来のピッチャーと同様に、顧客のテーブルに飲料サーバー10を運び、その後のビールの吐出を顧客に託すことができる。また、このように飲料サーバー10が運搬されるのに対して、ガスボンベ20は固定されたまま使用されるので、ガスボンベ20には大容量のものを使うことも可能である。
【0032】
ビール吐出の原動力は飲料サーバー10の容器11内に維持されたガスの圧力である。このため、グラスへビールを注ぐ際には、顧客は、従来のピッチャーの場合のように容器を傾ける必要はなく、単に飲料サーバー10のコック弁15の操作レバーを操作するだけでよい。
【0033】
次に本発明の第2の実施形態による飲料サーバーシステム200について、
図2を参照して以下に説明する。
図2は、第2の実施形態による飲料サーバーシステム200の飲料サーバー210のみを描いたものであり、ガスボンベ20等の作図は省略されている。
【0034】
第2の実施形態による飲料サーバーシステム200は、飲料サーバー210と、第1の実施形態におけるのと同様のガスボンベ20(図示せず)を具備する。第2の実施形態における飲料サーバー210は、第1の実施形態の場合と同様の、本体部12と蓋部13とからなる容器11、飲料吐出管路14、開閉弁15、ガス入口16、逆止弁18、ガス導入管路17、及び逃がし弁19を具備する。第2の実施形態における飲料サーバー210は、さらに、飲料製造者の工場で製造された飲料入りボトル205を具備する。飲料入りボトル205は、製造時に工場で装着されたキャップあるいは王冠等の密封栓が除去された状態で容器11の本体部12内に置かれる。飲料吐出管路14の一端14aは飲料入りボトル205内に配置される。
【0035】
第2の実施形態による飲料サーバーシステム200を使った飲料の提供方法は、飲料を容器11の本体部12に注ぎ入れる代わりに飲料入りボトル205を本体部12に収容することにおいて前述したものと異なるが、その他の点については同様である。
【0036】
第2の実施形態による飲料サーバーシステム200によると、飲料は容器11の本体部12の内壁に直接触れないので、外気との熱交換が抑えられ、したがって、飲料がビール等の場合にはその冷たさがより長い時間維持されるという効果がさらに得られる。また、飲料が直接触れない容器11の本体部12は、その使用後の洗浄の基準を第1の実施形態の場合に比較して緩くすることも可能である。
【0037】
次に本発明の第3の実施形態による飲料サーバーシステム300について、
図3を参照して以下に説明する。
図3は、第3の実施形態による飲料サーバーシステム300の飲料サーバー310のみを描いたものであり、ガスボンベ20等の作図は省略されている。
【0038】
第3の実施形態による飲料サーバーシステム300は、飲料サーバー310と、第1の実施形態におけるのと同様のガスボンベ20を具備する。第3の実施形態における飲料サーバー310は、第1の実施形態の場合と同様に、本体部12と蓋部13とからなる容器11、飲料吐出管路14、開閉弁15、ガス入口16、逆止弁18、ガス導入管路17、及び逃がし弁19を具備する。但し、その容器11の本体部12が、飲料製造者の工場で製造された飲料入りボトルから構成されることにおいて第1の実施形態とは異なっている。本体部12、即ち飲料入りボトル12は製造時に工場で装着されたキャップ等の密封栓が除去された状態で準備され、また飲料吐出管路14の一端14aが飲料入りボトル12内の底部近くに配置される。
【0039】
飲料入りボトル12の除去されたキャップ(図示せず)は第3の実施形態ではねじ込み式のものであり、したがって、容器11の蓋部13は前記キャップと同様にボトルにねじ込み可能であるように形成されている。また、ボトル12と蓋部13との間の封止のためのシール部材(図示せず)も同様に備えられている。
【0040】
第3の実施形態による飲料サーバーシステム300によると、飲料入りボトル12を容器11の本体部12として利用するので、第1及び第2の実施形態の場合に比較して構成及び操作方法が単純化される。
【0041】
その他の実施形態
第1の実施形態の変形例として、飲料サーバーの容器の本体部の断熱性を高めるために、それを真空二重壁構造にした飲料サーバーシステムの実施形態も可能である。
【0042】
上記では飲料がビールである例を説明したが、ハイボール、ワイン、日本酒等の酒類、コーラ、サイダー等の炭酸飲料、ジュース等の非炭酸飲料に適用した実施形態も可能である。
【0043】
上記では、内部に充填されるガスが炭酸ガスである例を説明したが、窒素ガス等、他種のガスを充填することも可能である。特に窒素ガスを充填した際は、ワイン等の酒類において酸化劣化を抑える効果が期待できる。