(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-13
(45)【発行日】2024-12-23
(54)【発明の名称】面ファスナー
(51)【国際特許分類】
A44B 18/00 20060101AFI20241216BHJP
【FI】
A44B18/00
(21)【出願番号】P 2020562030
(86)(22)【出願日】2018-12-26
(86)【国際出願番号】 JP2018047982
(87)【国際公開番号】W WO2020136779
(87)【国際公開日】2020-07-02
【審査請求日】2021-04-05
【審判番号】
【審判請求日】2023-02-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000006828
【氏名又は名称】YKK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】菅野 孝太
(72)【発明者】
【氏名】久保田 就子
【合議体】
【審判長】金丸 治之
【審判官】武市 匡紘
【審判官】一ノ瀬 覚
(56)【参考文献】
【文献】特開平7-79812(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0034560(US,A1)
【文献】特開2010-68928(JP,A)
【文献】特開2016-28768(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A44B13/00-18/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに係合及び脱係合可能な第1面ファスナー部材(110、210、310)と第2面ファスナー部材(150、250、350)とからなる面ファスナー(100、200)であって、
前記第1面ファスナー部材(110、210、310)は、複数の第1セグメント(120、130、140、220、230、240、320、330、340)と、隣り合う第1セグメント間を繋ぐ軟質部材の連結部(125、135、225、235、325、335)とを備え、
前記第2面ファスナー部材(150、250、350)は、少なくとも1個の第2セグメント(160、170、180、260、270、280、360、370、380)を備え、
前記第1及び第2セグメント(120、130、140、160、170、180、220、230、240、260、270、280、320、330、340、360、370、380)それぞれは、基板(121、131、141、161、171、181、221、231、241、261、271、281、321、331、341、361、371、381)と前記基板(121、131、141、161、171、181、221、231、241、261、271、281、321、331、341、361、371、381)から突出する多数の係合部(122、132、142、162、172、182、222、232、242、262、272、282、322、332、342、362、372、382)と前記多数の係合部(122、132、142、162、172、182、222、232、242、262、272、282、322、332、342、362、372、382)間に規定される係合空間(123、133、143、163、173、183、223、233、243、263、273、283、323、333、343、363、373、383)とを有し、
前記第1及び第2セグメント(120、130、140、160、170、180、220、230、240、260、270、280、320、330、340、360、370、380)の一方の多数の係合部(122、132、142、162、172、182、222、232、242、262、272、282、322、332、342、362、372、382)のうち少なくとも1個の係合部(122、132、142、162、172、182、222、232、242、262、272、282、322、332、342、362、372、382)の一部を他方の係合空間(123、133、143、163、173、183、223、233、243、263、273、283、323、333、343、363、373、383)に受け入れることにより、前記第1セグメント(120、130、140、220、230、240、320、330、340)と前記第2セグメント(160、170、180、260、270、280、360、370、380)とが係合し、
前記第1及び第2セグメント(120、130、140、160、170、180、220、230、240、260、270、280、320、330、340、360、370、380)と前記連結部(125、135、225、235、325、335)との材質は、同一であり、
前記第1及び第2セグメント(120、130、140、160、170、180、220、230、240、260、270、280、320、330、340、360、370、380)の基板(121、131、141、161、171、181、221、231、241、261、271、281、321、331、341、361、371、381)の主表面に平行な方向であって、前記第1及び第2セグメント(120、130、140、160、170、180、220、230、240、260、270、280、320、330、340、360、370、380)同士を連結する方向と垂直な方向における前記連結部(125、135、225、235、325、335)の長さは、前記第1及び第2セグメント(120、130、140、160、170、180、220、230、240、260、270、280、320、330、340、360、370、380)の基板(121、131、141、161、171、181、221、231、241、261、271、281、321、331、341、361、371、381)の主表面に平行な方向であって、前記第1及び第2セグメント(120、130、140、160、170、180、220、230、240、260、270、280、320、330、340、360、370、380)同士を連結する方向と垂直な方向における前記第1及び第2セグメント(120、130、140、160、170、180、220、230、240、260、270、280、320、330、340、360、370、380)の長さよりも短
く、
前記第1及び第2セグメント(120、130、140、160、170、180、220、230、240、260、270、280、320、330、340、360、370、380)の前記基板(121、131、141、161、171、181、221、231、241、261、271、281、321、331、341、361、371、381)は、前記係合空間(123、133、143、163、173、183、223、233、243、263、273、283、323、333、343、363、373、383)に対応する箇所に開口部を有し、前記第1及び第2セグメント(120、130、140、160、170、180、220、230、240、260、270、280、320、330、340、360、370、380)が係合した状態で、前記第1及び第2セグメント(120、130、140、160、170、180、220、230、240、260、270、280、320、330、340、360、370、380)の前記多数の係合部(122、132、142、162、172、182、222、232、242、262、272、282、322、332、342、362、372、382)のうち少なくとも1個の係合部(122、132、142、162、172、182、222、232、242、262、272、282、322、332、342、362、372、382)の一部が第2及び第1セグメント(120、130、140、160、170、180、220、230、240、260、270、280、320、330、340、360、370、380)の前記開口部に入り込む面ファスナー。
【請求項2】
前記第1面ファスナー部材(110、210、310)は、隣り合う第1セグメント(120、130、140、220、230、240、320、330、340)間に、前記第2面ファスナー部材(150、250、350)の多数の係合部(162、172、182、262、272、282、362、372、382)のうち係合部(162、172、182、262、272、282、362、372、382)の一部を係合及び脱係合可能に受け入れることができる係合空間を有する請求項1に記載の面ファスナー。
【請求項3】
前記第1及び第2セグメント(120、130、140、160、170、180、220、230、240、260、270、280、320、330、340、360、370、380)の前記基板(121、131、141、161、171、181、221、231、241、261、271、281、321、331、341、361、371、381)は、前記多数の係合部(122、132、142、162、172、182、222、232、242、262、272、282、322、332、342、362、372、382)からなる係合部群の外側であって、他方の係合部(122、132、142、162、172、182、222、232、242、262、272、282、322、332、342、362、372、382)に対応する箇所
に開口部を更に有し、前記第1及び第2セグメント(120、130、140、160、170、180、220、230、240、260、270、280、320、330、340、360、370、380)が係合した状態で、前記第1及び第2セグメント(120、130、140、160、170、180、220、230、240、260、270、280、320、330、340、360、370、380)の前記多数の係合部(122、132、142、162、172、182、222、232、242、262、272、282、322、332、342、362、372、382)のうち少なくとも1個の係合部(122、132、142、162、172、182、222、232、242、262、272、282、322、332、342、362、372、382)の一部が第2及び第1セグメント(120、130、140、160、170、180、220、230、240、260、270、280、320、330、340、360、370、380)の前
記開口部に入り込む請求項
1に記載の面ファスナー。
【請求項4】
前記第1面ファスナー部材(110、210、310)と前記第2面ファスナー部材(150、250、350)とが、同一の構造である、請求項1~
3のいずれか一項に記載の面ファスナー。
【請求項5】
前記軟質部材は、軟質樹脂、紐、及びモノフィラメントよりなる群から選択される1種である、請求項1~
4のいずれか一項に記載の面ファスナー。
【請求項6】
前記軟質樹脂は、エラストマー樹脂である、請求項
5に記載の面ファスナー。
【請求項7】
請求項1~
6のいずれか一項に記載の面ファスナー(100、200)を備えた物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は面ファスナーに関する。
【背景技術】
【0002】
面ファスナーは典型的に衣料品、鞄類、靴類及び雑貨品に開閉具として使用されている。面ファスナーは互いを係合する一対の面ファスナー部材から構成され、その面ファスナー部材には基板と、基板の一面から突出する多数の係合素子とを一体成形したものが存在する。これらの面ファスナー部材同士を係合した面ファスナーについては様々な報告がある。
【0003】
例えば、特許文献1では、
図10に示すように、第1係合体(10)と第2係合体(20)からなる静音面ファスナーであって、前記第1係合体(10)は硬質樹脂からなり、基板(11)上に円柱状の突起(12)が多数一体形成され、前記突起(12)同士の間が隙間(14)となっており、前記第2係合体(20)は軟質樹脂からなり、基布(21)上に円柱状の突起(22)が植設され、前記突起(22)同士の間が隙間(23)となっており、一方の係合体の前記突起(12,22)と他方の係合体の前記隙間(14,23)がはまりあう静音面ファスナーが提案されている。
【0004】
また、特許文献2では、
図11に示すように、ホックは、比較的硬い面ファスナ生地(41)又は合成樹脂シートの表面側に複数の合成樹脂製の円柱状突起(42)を設けてなるものであって、雌雄面ファスナテープが同一形状であり、一方のテープ(40)の円柱状突起(42)が他方のテープ(40)の円柱状突起(42)に囲まれた窪み(43)と係合する面ファスナテープ(40)が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2014-004207号公報
【文献】特開2017-148261号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、機能性や美観性に優れた物品の需要が高まっており、物品の湾曲部に適用することが可能な面ファスナーが要求されている。
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載された静音面ファスナーにおいては、先述したように第1係合体(10)が硬質樹脂であり、第2係合体(20)が軟質樹脂を使用しているので、物品の湾曲部に適用するのが困難であると考えられる。また、特許文献2に記載された面ファスナテープは、比較的硬い面ファスナ生地(41)又は合成樹脂シートを有しているので、一方向に柔軟に湾曲することができたとしても、他方向に湾曲することができないと考えられる。このように、従来の面ファスナーでは、物品において湾曲部に適用することが容易ではない。また、従来の面ファスナーを備えた幼児用衣類を着用した幼児が仰向けからうつ伏せとなった際に、一対の面ファスナー部材の係合が解除されるおそれがある。したがって、特許文献1及び2のような従来技術では、面ファスナーについて未だ改善の余地があると考えられる。
【0008】
そこで、本発明は上記事情に鑑みて創作されたものであり、物品の湾曲部に柔軟に対応することが可能な面ファスナーを提供することを課題とする。また、物品のねじれ等に対して柔軟に対応することが可能な面ファスナーを提供することを別の課題とする。更に、本発明はそのような面ファスナーを備えた物品を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討したところ、2つの面ファスナー部材のうち、一方の面ファスナー部材において隣り合うセグメントを繋ぐ軟質部材の連結部で構成することが有効であることを見出し、以下によって特定される発明を創作した。
【0010】
本発明の上記目的は、下記の構成により達成される。
[1]
互いに係合及び脱係合可能な第1面ファスナー部材と第2面ファスナー部材とからなる面ファスナーであって、
前記第1面ファスナー部材は、複数の第1セグメントと、隣り合う第1セグメント間を繋ぐ軟質部材の連結部とを備え、
前記第2面ファスナー部材は、少なくとも1個の第2セグメントを備え、
前記第1及び第2セグメントそれぞれは、基板と前記基板から突出する多数の係合部と前記多数の係合部間に規定される係合空間とを有し、
前記第1及び第2セグメントの一方の多数の係合部のうち少なくとも1個の係合部の一部を他方の係合空間に受け入れることにより、前記第1セグメントと前記第2セグメントとが係合する、面ファスナー。
[2]
前記第1面ファスナー部材は、隣り合う第1セグメント間に、前記第2面ファスナー部材の多数の係合部のうち係合部の一部を係合及び脱係合可能に受け入れることができる係合空間を有する、[1]に記載の面ファスナー。
[3]
前記第1及び第2セグメントの前記基板は、前記係合空間に対応する箇所に凹部又は開口部を有し、前記第1及び第2セグメントが係合した状態で、前記第1及び第2セグメントの前記多数の係合部のうち少なくとも1個の係合部の一部が第2及び第1セグメントの前記凹部又は開口部に入り込む、[1]又は[2]に記載の面ファスナー。
[4]
前記第1及び第2セグメントの前記基板は、前記多数の係合部からなる係合部群の外側であって、他方の係合部に対応する箇所に凹部又は開口部を更に有し、前記第1及び第2セグメントが係合した状態で、前記第1及び第2セグメントの前記多数の係合部のうち少なくとも1個の係合部の一部が第2及び第1セグメントの前記凹部又は開口部に入り込む、[3]に記載の面ファスナー。
[5]
前記第1面ファスナー部材と前記第2面ファスナー部材とが、同一の構造である、[1]~[4]のいずれか一つに記載の面ファスナー。
[6]
前記軟質部材は、軟質樹脂、紐、及びモノフィラメントよりなる群から選択される1種である、[1]~[5]のいずれか一つに記載の面ファスナー。
[7]
前記軟質樹脂は、エラストマー樹脂である、[6]に記載の面ファスナー。
[8]
[1]~[7]のいずれか一つに記載の面ファスナーを備えた物品。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一実施形態によれば、物品の湾曲部に柔軟に対応し、物品のねじれ等に対して柔軟に対応することが可能な面ファスナーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明に係る面ファスナーの一実施形態の模式的な斜視図である。
【
図2】
図2(A)は、本発明に係る面ファスナーの一実施形態において、面ファスナー部材の模式的な平面図であり、
図2(B)は、
図2(A)のC-C線矢視部分断面図である。
【
図4】本発明に係る面ファスナーの一実施形態において、面ファスナー部材の連結部が湾曲した状態である面ファスナー部材を示す模式的な平面図である。
【
図6】本発明に係る面ファスナーの一実施形態において、第1セグメントと第2セグメントの係合状態を説明するための部分拡大図である。
【
図7】本発明に係る面ファスナーの別の実施形態の模式的な斜視図である。
【
図8】
図8(A)は、本発明に係る面ファスナーの別の実施形態において、面ファスナー部材の模式的な平面図であり、
図8(B)は、
図8(A)のD-D線矢視部分正面図である。
【
図9】
図9(A)は、本発明に係る面ファスナーの別の実施形態において、面ファスナー部材の模式的な平面図であり、
図9(B)は、
図9(A)のE-E線矢視部分正面図である。
【
図10】特許文献1(第1図)に記載された図である。
【
図11】特許文献2(第7図)に記載された図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明は、以下で説明する実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明と実質的に同一な構成を有し、かつ、同様な作用効果を奏しさえすれば、多様な変更が可能である。また、セグメントは、後述する実施形態では縦一列に配列されているが、セグメントを縦に複数配列し横に複数配列してもよい。また、セグメントの係合部の数は、後述する実施形態では係合部が縦3個、横3個と縦4個、横4個で構成されている面ファスナー部材を挙げたが、係合部を縦に複数配列し横に複数配列していればよい。更に、以下の説明において、「上下方向」は、基板における表裏方向を上下方向と規定し、特に、後述する第1面ファスナー部材において基板に対して係合部が突出されている側の方向を上方とし、その反対側の方向を下方とする。「左右方向」は、セグメントの基板の主表面に平行な方向であって、セグメント同士を連結する方向と垂直な方向である。「前後方向」は、セグメントの基板の主表面に平行な方向であって、セグメント同士を連結する方向である。
【0014】
本発明に係る面ファスナーの一実施形態について、図面を使用しながら説明する。
図1は、本発明に係る面ファスナーの一実施形態の模式的な斜視図である。
図2(A)は、本発明に係る面ファスナーの一実施形態において、面ファスナー部材の模式的な平面図であり、
図2(B)は、
図2(A)のC-C線矢視部分断面図である。
図3(A)は、
図1のA-A線矢視部分断面図であり、図
3(B)は、図
3(A)の変形例である。
図4は、本発明に係る面ファスナーの一実施形態において、面ファスナー部材の連結部が湾曲した状態である面ファスナー部材を示す模式的な平面図である。
図5は、
図1のB-B線矢視部分正面図である。
図6は、本発明に係る面ファスナーの一実施形態において、第1セグメントと第2セグメントの係合状態を説明するための部分拡大図である。
【0015】
図1に示すように、当該面ファスナー(100)は、互いに係合及び脱係合可能な第1面ファスナー部材(110)と第2面ファスナー部材(150)とからなる。
【0016】
(面ファスナー部材)
図2(A)に示すように、第1面ファスナー部材(110)は、複数の第1セグメント(120、130、140)と、隣り合う第1セグメント(120、130、140)間を繋ぐ連結部(125、135)とを有する。第2面ファスナー部材(150)は、第1面ファスナー部材(110)と第2面ファスナー部材(150)とを係合するため、少なくとも1個の第2セグメント(160、170、180)を備えていれば特に限定されないが、第1面ファスナー部材(110)と同一の構造であってもよい。より詳しくは、第2面ファスナー部材(150)は、複数の第2セグメント(160、170、180)と、隣り合う第2セグメント(160、170、180)間を繋ぐ連結部(165、175)とを備える。
【0017】
(セグメント)
第1及び第2セグメント(120、130、140、160、170、180)それぞれは、基板(121、131、141、161、171、181)と、基板(121、131、141、161、171、181)から突出する多数の係合部(122、132、142、162、172、182)と、多数の係合部(122、132、142、162、172、182)間に規定される係合空間(123、133、143、163、173、183)とを有する。
【0018】
第1及び第2セグメント(120、130、140、160、170、180)の材質は、使用用途という観点から、軟質樹脂であることが好ましい。なお、第1及び第2セグメント(120、130、140、160、170、180)の材質は、第1及び第2面ファスナー部材(110、150)を成形機で成形するという観点から、連結部(125、135、165、175)と同一でもよい。
【0019】
多数の係合部(122、132、142、162、172、182)は、基板(121、131、141、161、171、181)の一方の主表面の多数の箇所から突出する。多数の係合部(122、132、142、162、172、182)は、規則的に配列されている。ここで、第1及び第2セグメント(120、130、140、160、170、180)の係合部(122、132、142、162、172、182)は、
図2(A)に示すように、第1及び第2セグメント(120、130、140、160、170、180)内に、縦3個、横3個を直角に配列しているが、これに限定されるものではなく、例えば縦横方向の間隔が45°斜め方向に配列されてもよい。
【0020】
図2(B)に示すように、係合部(122、132、142、162、172、182)は、円柱状のステム(122a、132a、142a、162a、172a、182a)と、ステム(122a、132a、142a、162a、172a、182a)の先端から突出し、楕円体状の係合頭部(122b、132b、142b、162b、172b、182b)とから構成される。なお、本発明において、ステム(122a、132a、142a、162a、172a、182a)の形状は円柱状に限定されず、角柱状、円錐台状、逆円錐台状(
図3(B)参照。)であってもよい。また、係合頭部(122b、132b、142b、162b、172b、182b)の形状は、楕円体状に限定されず、円板状、半球状、半楕円体状(
図3(B)参照。)等であってもよい。また、係合頭部(122b、132b、142b、162b、172b、182b)は、第1及び第2面ファスナー部材(110、150)を成形機で成形するという観点から、ステム(122a、132a、142a、162a、172a、182a)と一体構造であってもよい。
【0021】
係合頭部(122b、132b、142b、162b、172b、182b)の径は、ステム(122a、132a、142a、162a、172a、182a)の径よりも大きい。これにより、本発明の一実施形態では、第1及び第2セグメント(120、130、140、160、170、180)の多数の係合部(122、132、142、162、172、182)のうち少なくとも1個の係合部(122、132、142、162、172、182)の一部を第2及び第1セグメント(120、130、140、160、170、180)の係合空間(123、133、143、163、173、183)に受け入れた後、上下方向、左右方向、又は前後方向に第1及び第2セグメント(120、130、140、160、170、180)を移動させた場合、第1及び第2セグメント(120、130、140、160、170、180)の係合頭部(122b、132b、142b、162b、172b、182b)の基端部が、他の係合頭部(122b、132b、142b、162b、172b、182b)の基端部と接触する。その結果、第1セグメント(120、130、140)と第2セグメント(160、170、180)との係合が容易に外れない。なお、上記係合空間(123、133、143、163、173、183)は、第1セグメント(120、130、140)と第2セグメント(160、170、180)との係合した状態で、一方のセグメントの係合部(122、132、142、162、172、182)に対応する、他方のセグメントにおける縦2個、横2個の係合部(122、132、142、162、172、182)間の領域である。
【0022】
また、係合頭部(122b、132b、142b、162b、172b、182b)の径とステム(122a、132a、142a、162a、172a、182a)の径は、いわゆる同心円状になっている。なお、
図2(B)に示すように、係合頭部(122b、132b、142b、162b、172b、182b)の先端部は、例えば各セグメント(120、130、140、160、170、180)を金型による成形を実施した際に、その金型から抜き出しやすいという観点から、凹部状のくぼみ部を有する。なお、係合頭部(122b、132b、142b、162b、172b、182b)の先端部は、凹部状のくぼみ部を有さなくてもよい。
【0023】
(係合空間)
係合空間(123、133、143、163、173、183)は、第1及び第2セグメント(120、130、140、160、170、180)の一方の多数の係合部(122、132、142、162、172、182)のうち少なくとも1本の係合部(122、132、142、162、172、182)の一部を他方の係合空間(123、133、143、163、173、183)に受け入れることにより、第1セグメント(120、130、140)と第2セグメント(160、170、180)とが係合する。このとき、係合空間(123、133、143、163、173、183)の中心線は、係合空間(123、133、143、163、173、183)内に係合部(122、132、142、162、172、182)を受け入れた際に係合頭部(122b、132b、142b、162b、172b、182b)の軸線と略一致する。
【0024】
図2(A)に示すように、第1及び第2セグメント(120、130、140、160、170、180)の基板(121、131、141、161、171、181)は、係合空間(123、133、143、163、173、183)に対応する箇所に凹部又は開口部を有する。凹部は、基板の一方の面に窪ませて形成した部分であることを示し、開口部は、基板を貫通して形成した部分であることを示す。また、第1及び第2セグメント(120、130、140、160、170、180)の基板(121、131、141、161、171、181)は、多数の係合部(122、132、142、162、172、182)からなる係合部群の外側であって、他方の係合部(122、132、142、162、172、182)に対応する箇所に凹部又は開口部を更に有する。
図1に示すように、第1セグメント(120、130、140)と第2セグメント(160、170、180)とが係合した状態である場合には、第1及び第2セグメント(120、130、140、160、170、180)の多数の係合部(122、132、142、162、172、182)のうち少なくとも1個の係合部(122、132、142、162、172、182)の一部が第2及び第1セグメント(120、130、140、160、170、180)の凹部又は開口部に入り込む。そうすることで、面ファスナー(100)の嵩張りを低減することができ、外部からの衝撃により第1セグメント(120、130、140)と第2セグメント(160、170、180)との係合が容易に解除されない。また、当該面ファスナー(100)は、糸くずやほこりなどが付着しにくい構造となっている。従来の面ファスナーは、J字型等のフック状に起毛された面ファスナー部材又はループ状に密集して起毛された他方の面ファスナー部材に、糸くずやほこりなどが付着しやすかった。しかしながら、当該面ファスナー(100)においては、各セグメントにおいて基板が先述したように、第1セグメント(120、130、140)と第2セグメント(160、170、180)とが係合するだけであり、その第1及び第2セグメント(120、130、140、160、170、180)の多数の係合部(122、132、142、162、172、182)に糸くずやほこりなどが付着しにくく、更に係合力を維持するために定期的な手入れを必要としない。なお、上記基板(121、131、141、161、171、181)において、
図2(A)に示すように、凹部又は開口部は、規則的に配列されている。
【0025】
第1セグメント(120、130、140)と第2セグメント(160、170、180)とが係合したことで、
図3(A)に示すように、第1セグメント(120)の係合頭部(122b)の先端部は、第2セグメント(160)の基板(161)の側壁面(161a)に当接する。第1セグメント(120、130、140)が上下方向、左右方向、又は前後方向に移動させた場合に、第1及び第2セグメント(120、130、140、160、170、180)の係合頭部(122b、132b、142b、162b、172b、182b)の基端部が、他の係合頭部(122b、132b、142b、162b、172b、182b)の基端部と接触し、更に第1セグメント(120)の係合頭部(122b)の先端部の外周面は、第2セグメント(160)の側壁面(161a)との間で摩擦が生じる。その結果、第1セグメント(120、130、140)と第2セグメント(160、170、180)との係合が容易に解除されない。なお、当該面ファスナー(100)は、上記基板(121、131、141、161、171、181)に、
図2(A)に示すような凹部又は開口部が形成されていなくとも、第1及び第2セグメント(120、130、140、160、170、180)の係合部(122、132、142、162、172、182)が、対応する第1及び第2セグメント(120、130、140、160、170、180)の係合空間(123、133、143、163、173、183)に収容されるので、第1セグメント(120、130、140)と第2セグメント(160、170、180)とが係合する。
【0026】
凹部又は開口部の距離(H)は、面ファスナー(100)の嵩張りを低減し、外部からの衝撃により第1及び第2面ファスナー部材(110、150)が外れないという観点から、係合頭部(122b、132b、142b、162b、172b、182b)の最大径(R)より小さく、係合頭部(122b、132b、142b、162b、172b、182b)の先端部の径(r)より大きい。これにより、第1セグメント(120、130、140)と第2セグメント(160、170、180)との係合を維持することができる。本発明において、凹部又は開口部の距離(H)は、凹部又は開口部内の側壁面(161a)から対向する側壁面(161a)までの最短距離である。なお、
図3(B)に示すように、係合部(122)は、上方向に拡径である逆円錐台状のステム(122a)と、ステム(122a)の先が半楕円体状である係合頭部(122b)とからなるものでもよい。このような係合部(122)では、左右方向における凹部又は開口部の距離(H)は、係合頭部(122b、132b、142b、162b、172b、182b)の最大径(R)より小さく、係合頭部(122b、132b、142b、162b、172b、182b)の先端部の径(r)より大きい。これにより、第1セグメント(120、130、140)と第2セグメント(160、170、180)との係合を維持することができる。
【0027】
(連結部)
図2(A)に示すように連結部(125、135、165、175)は、隣り合う第1セグメント(120、130、140)間を繋ぎ、第2セグメント(160、170、180)間を繋ぐ。そのため、
図4に示すように、第1面ファスナー部材(110)と第2面ファスナー部材(150)は、その連結部(125、135、165、175)を起点に湾曲させることで、物品の湾曲部に柔軟に対応することが可能である。そのため、当該面ファスナー(100)は、第1セグメント(120、130、140)と第2セグメント(160、170、180)とが係合しても、開閉具としての機能を損なわない。
【0028】
第1セグメント(120、130、140)と第2セグメント(160、170、180)とが係合したことで、先述したように、一方のセグメントの多数の係合部(122、132、142、162、172、182)のうち少なくとも1個の係合部(122、132、142、162、172、182)の一部を他方のセグメントの係合空間(123、133、143、163、173、183)に受け入れる。更に、
図5に示すように、第1面ファスナー部材(110)は、面ファスナー(100)の嵩張りを低減し、第1及び第2面ファスナー部材(110、150)による取り付けの自由度を高めるという観点から、隣り合う第1セグメント(120、130、140)間に、第2面ファスナー部材(150)の多数の係合部(162、172、182)のうち少なくとも係合部(162、172、182)の一部を係合及び脱係合可能に受け入れることができる係合空間(123、133、143)を有する。また、第2面ファスナー部材(150)は、隣り合う第2セグメント(160、170、180)間に、第1面ファスナー部材(150)の多数の係合部(122、132、142)のうち少なくとも係合部(122、132、142)の一部を係合及び脱係合可能に受け入れることができる係合空間(163、173、183)を有する。このとき、隣り合う第1セグメント(120、130、140)間及び第2セグメント(160、170、180)間の離間距離(D)は、面ファスナー(100)の嵩張りを低減し、外部からの衝撃により面ファスナー部材(110、150)が外れないという観点から、係合頭部(122b、132b、142b、162b、172b、182b)の最大径(R)より小さく、係合頭部(122b、132b、142b、162b、172b、182b)の先端部の径(r)より大きい。このような場合、係合頭部(122b、132b、172b、182b)は、他方のセグメントの基板(121、131、161、171)の側面(121b、131b、161b、171b)と、それに対向した、基板(131、141、171、181)の側面(131b、141b、171b、181b)とに当接される。第1セグメント(120、130、140)を上下方向左右方向、又は前後方向に移動させた場合に、第1及び第2セグメント(120、130、140、160、170、180)の係合頭部(122b、132b、142b、162b、172b、182b)の基端部が、他の係合頭部(122b、132b、142b、162b、172b、182b)の基端部と接触し、更に基板(121、131、141、161、171、181)の側面(121b、131b、141b、161b、171b、181b)は、この係合頭部(122b、132b、142b、162b、172b、182b)の先端部の外周面との間に摩擦が生じる。その結果、第1セグメント(120、130、140)と第2セグメント(160、170、180)との係合が容易に解除されない。
【0029】
連結部(125、135、165、175)の材質は、物品の湾曲部や物品のひねり等に柔軟に対応するという観点から、軟質部材である。軟質部材としては、例えばセグメントと同質又は異質の軟質樹脂、紐、モノフィラメント等が挙げられる。これにより、外部からの衝撃が当該面ファスナー(100)を備えた物品に加わったとしても、第1セグメント(120、130、140)と第2セグメント(160、170、180)との係合が容易に解除されず、面ファスナー(100)がその物品から容易に外れない。連結部(125、135、165、175)の材質は、好ましくは軟質樹脂である。また、軟質樹脂としては、エラストマー樹脂であることが好ましく、適度な硬度と柔軟性を有していることを考慮し、例えばポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、アクリル系、シリコーン系、ポリスチレン系、スチレンブタジエン系、ニトリルブタジエン系などの各種エラストマー樹脂が挙げられる。特に、エラストマー樹脂は、当該面ファスナー(100)を衣服などに使用するという観点から、ポリエステル系又はシリコーン系樹脂がより好ましい。なお、第1及び第2セグメント(120、130、140、160、170、180)と連結部(125、135、165、175)との材質は、射出成形や押出成形等の成形を容易に行うという観点から、同一の材質がよい。
【0030】
図6に示すように、第1セグメント(120、130、140)と第2セグメント(160、170、180)との係合角度θ=45°となるように第1セグメント(120)と第2セグメント(160、170、180)とを係合してもよい。例えば、第2セグメント(160、170、180)の係合部(162、172、182)を縦横方向の間隔が45°斜め方向に配列すれば、第1セグメント(120、130、140)の多数の係合部(122、132、142)のうち少なくとも1個の係合部(122、132、142)の一部を第2セグメント(160、170、180)の係合空間(163、173、183)に受け入れ、且つ第2セグメント(160、170、180)の多数の係合部(162、172、182)のうち少なくとも1個の係合部(162、172、182)の一部を第1セグメント(120、130、140)の係合空間(123、133、143)に受け入れることができる。なお、本発明において係合角度(θ)は、第1セグメント(120、130、140)の基板(121、131、141)の主表面と、第2セグメント(160、170、180)の基板(161、171、181)の主表面とが交わって作る鋭角である。係合角度(θ)は、第1セグメント(120、130、140)と第2セグメント(160、170、180)が係合することができれば45°に限定されず、適宜調整可能である。そのような場合には、係合角度(θ)に併せて、第1及び第2セグメント(120、130、140、160、170、180)の係合部(122、132、142、162、172、182)の配置を適宜調整すればよい。
【0031】
次に、本発明に係る面ファスナーの別の実施形態について、図面を使用しながら説明する。なお、先述した構成要素と重複する場合には、説明を割愛する。
【0032】
図7は、本発明に係る面ファスナーの別の実施形態の模式的な斜視図である。
図8(A)は、本発明に係る面ファスナーの別の実施形態において、面ファスナー部材の模式的な平面図であり、
図8(B)は、
図8(A)のD-D線矢視部分正面図である。
【0033】
当該面ファスナー(200)は、
図7に示すように、互いに係合及び脱係合可能な第1面ファスナー部材(210)と第2面ファスナー部材(250)とからなる。
【0034】
図8(A)に示すように、第1面ファスナー部材(210)は、複数の第1セグメント(220、230、240)と、隣り合う第1セグメント(220、230、240)間を繋ぐ軟質部材の連結部(225、235)とを有する。また、第2面ファスナー部材(250)は、第1面ファスナー部材(210)と同一構造であり、より詳しくは複数の第2セグメント(260、270、280)と、隣り合う第2セグメント(260、270、280)間を繋ぐ軟質部材の連結部(265、275)とを有する第2面ファスナー部材(250)とを備える。
【0035】
第1及び第2セグメント(220、230、240、260、270、280)それぞれは、基板(221、231、241、261、271、281)と、基板(221、231、241、261、271、281)から突出する多数の係合部(222、232、242、262、272、282)と、多数の係合部(222、232、242、262、272、282)間に規定される係合空間(223、233、243、263、273、283)とを有する。なお、係合部(222、232、242、262、272、282)は、各セグメント(220、230、240、260、270、280)内に、縦4個、横4個を直角に配列しているが、これに限定されるものではなく、例えば縦横方向の間隔が45°斜め方向に配列されていてもよい。
【0036】
図8(B)に示すように、係合部(222、232、242、262、272、282)は、円柱状のステム(222a、232a、242a、262a、272a、282a)と、ステム(222a、232a、242a、262a、272a、282a)の先端から突出し、楕円体状の係合頭部(222b、232b、242b、262b、272b、282b)とから構成される。
【0037】
第1及び第2セグメント(220、230、240、260、270、280)の基板(221、231、241、261、271、281)は、係合空間(223、233、243、263、273、283)に対応する箇所に凹部又は開口部を有する。また、第1及び第2セグメント(220、230、240、260、270、280)の基板は、多数の係合部(222、232、242、262、272、282)からなる係合部群の外側であって、他方の係合部(222、232、242、262、272、282)に対応する箇所に凹部又は開口部を更に有する。これにより、第1及び第2セグメント(220、230、240、260、270、280)が係合した状態で、第1及び第2セグメント(220、230、240、260、270、280)の多数の係合部(222、232、242、262、272、282)のうち少なくとも1個の係合部(222、232、242、262、272、282)の一部が第2及び第1セグメント(220、230、240、260、270、280)の凹部又は開口部に入り込むことになる。なお、上記基板(221、231、241、261、271、281)は、凹部又は開口部が規則的に配列される。また、ミシン等で直接生地に縫着できるように、基板を貫通して形成される開口部はメッシュ状(
図8(A)参照。)に構成されてもよい。
【0038】
さらに、本発明に係る面ファスナーの別の実施形態について、図面を使用しながら説明する。なお、先述した構成要素と重複する場合には、説明を割愛する。
【0039】
図9(A)は、本発明に係る面ファスナーの別の実施形態において、面ファスナー部材の模式的な平面図であり、
図9(B)は、
図9(A)のE-E線矢視部分正面図である。
【0040】
当該面ファスナーは、
図9(A)に示すように、互いに係合及び脱係合可能な第1面ファスナー部材(310)と第2面ファスナー部材(350)とからなる。
【0041】
第1面ファスナー部材(310)は、複数の第1セグメント(320、330、340)と、隣り合う第1セグメント(320、330、340)間を繋ぐ軟質部材の連結部(325、335)とを有する。また、第2面ファスナー部材(350)は、第1面ファスナー部材(310)と同一構造であり、より詳しくは複数の第2セグメント(360、370、380)と、隣り合う第2セグメント(360、370、380)間を繋ぐ軟質部材の連結部(365、375)とを有する第2面ファスナー部材(350)とを備える。
【0042】
第1及び第2セグメント(320、330、340、360、370、380)それぞれは、基板(321、331、341、361、371、381)と、基板(321、331、341、361、371、381)から突出する多数の係合部(322、332、342、362、372、382)と、多数の係合部(322、332、342、362、372、382)間に規定される係合空間(323、333、343、363、373、383)と、基板(321、331、341、361、371、381)の両端部の主表面上に、前後方向に延在した凹条溝部(324a、324b、334a、334b、344a、344b、364a、364b、374a、374b、384a、384b)とを有する。当該面ファスナーは、第1面ファスナー部材(310)と第2面ファスナー部材(350)が互いに係合した場合、凹条溝部(324a、324b、334a、334b、344a、344b、364a、364b、374a、374b、384a、384b)に縫製用糸を通すことで、各種の物品の面ファスナー被着部に縫製を容易にすることができる。また、係合部(322、332、342、362、372、382)は、各セグメント(320、330、340、360、370、380)内に、係合部(322、332、342、362、372、382)を係合空間(323、333、343、363、373、383)に入り込む数を増やすことで、第1面ファスナー部材(310)と第2面ファスナー部材(350)との係合を強化するという観点から、縦横方向の間隔が45°斜め方向に配列されている。上記係合部(322、332、342、362、372、382)の配列は、限定されるものではなく、縦と横で直角に配列してもよい。
【0043】
図9(B)に示すように、係合部(322、362)は、円柱状のステム(322a、362a)と、ステム(322a、362a)の先端から突出し、半球状の係合頭部(322b、362b)とから構成される。なお、係合頭部(322b、362b)の形状は、先述したように、特に限定されるものではない。
【0044】
第1及び第2セグメント(320、330、340、360、370、380)の基板(321、331、341、361、371、381)は、係合空間(323、333、343、363、373、383)に対応する箇所に凹部又は開口部を有する。例えば、係合空間(323、333、343、363、373、383)に対応する箇所に凹部を有する場合には、基板(321、331、341、361、371、381)は外部からの衝撃に対する変形又は割れが生じにくい。また、第1及び第2セグメント(320、330、340、360、370、380)の基板は、多数の係合部(322、332、342、362、372、382)からなる係合部群の外側であって、他方の係合部(322、332、342、362、372、382)に対応する箇所に凹部又は開口部を更に有する。これにより、第1及び第2セグメント(320、330、340、360、370、380)が係合した状態で、第1及び第2セグメント(320、330、340、360、370、380)の多数の係合部(322、332、342、362、372、382)のうち少なくとも1個の係合部(322、332、342、362、372、382)の一部が第2及び第1セグメント(320、330、340、360、370、380)の凹部又は開口部に入り込むことになる。なお、上記基板(321、331、341、361、371、381)は、凹部又は開口部が規則的に配列される。
図9(A)に示す別の実施形態では、ミシン等で直接生地に縫着するために基板(321、331、341、361、371、381)を貫通して形成された開口部を備えていない替わりに、基板(321、331、341、361、371、381)の両端部の主表面上に、前後方向に延在した凹条溝部(324a、324b、334a、334b、344a、344b、364a、364b、374a、374b、384a、384b)を形成することで、直接生地に縫着することを可能にしている。
【0045】
本発明に係る面ファスナー(100、200)は、一実施形態において、面ファスナー部材(110、150、210、250、310、350)と連結部(125、135、165、175、225、235、265、275、325、335、365、375)とを一体成形可能な任意の公知の手法によって製造すればよい。得られた面ファスナー(100、200)を各種の物品の面ファスナー被着部に縫着することによって、面ファスナー(100、200)を備えた物品が製造される。物品としては、例えば衣服、ポケット、鞄、靴(例:ブーツ、シューズ)、テント、ベッドのマット、車両用シート、建材などの開口部に使用することができる。
【0046】
以上、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内において種々の改変が可能である。
【符号の説明】
【0047】
100、200 面ファスナー
110、210、310 第1面ファスナー部材
120、130、140、220、230、240、320、330、340 第1セグメント
121、131、141、161、171、181、221、231、241、261、271、281、321、331、341、361、371、381 基板
121b、131b、141b、161b、171b、181b 側面
122、132、142、162、172、182、222、232、242、262、272、282、322、332、342、362、372、382 係合部
122a、132a、142a、162a、172a、182a、222a、232a、242a、262a、272a、282a、322a、362a ステム
122b、132b、142b、162b、172b、182b、222b、232b、242b、262b、272b、282b、322b、362b 係合頭部
123、133、143、163、173、183、223、233、243、263、273、283、323、333、343、363、373、383 係合空間
125、135、165、175、225、235、265、275、325、335、365、375 連結部
150、250、350 第2面ファスナー部材
160、170、180、260、270、280、360、370、380 第2セグメント
161a 側壁面
324a、324b、334a、334b、344a、344b、364a、364b、374a、374b、384a、384b 凹条溝部
H:凹部又は開口部の距離
L:離間距離
R:最大径
r:先端部の径
θ:係合角度