(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-13
(45)【発行日】2024-12-23
(54)【発明の名称】撮像装置及び撮像装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
H04N 23/667 20230101AFI20241216BHJP
G03B 15/00 20210101ALI20241216BHJP
G02B 7/02 20210101ALI20241216BHJP
G03B 17/14 20210101ALI20241216BHJP
【FI】
H04N23/667
G03B15/00 D
G02B7/02 E
G03B17/14
(21)【出願番号】P 2021023507
(22)【出願日】2021-02-17
【審査請求日】2024-02-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125254
【氏名又は名称】別役 重尚
(72)【発明者】
【氏名】華山 龍也
(72)【発明者】
【氏名】柴田 正義
(72)【発明者】
【氏名】鳥海 祐介
(72)【発明者】
【氏名】坂牧 拓弥
【審査官】▲うし▼田 真悟
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-061670(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 23/667
G03B 15/00
G02B 7/02
G03B 17/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線ICタグを有する装着部品を装着可能な撮像装置であって、
前記無線ICタグに記録された情報を読み取る読取手段と、
装着された前記装着部品の前記撮像装置に対する姿勢を判別する姿勢判別手段と、
前記撮像装置の機能を変更する機能変更手段と、を備え、
前記機能変更手段は、前記読取手段が前記無線ICタグに記録された情報を読み取
った場合、前記判別された装着部品の姿勢に応じて、前記撮像装置の機能を変更
し、
前記装着部品は、前記撮像装置に装着された際に前記撮像装置の撮像レンズが嵌まり込む開口部を有することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記機能変更手段は、前記撮像装置の撮影モードを変更することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記機能変更手段は、前記撮像装置の撮影モードを自撮りモードに変更することを特徴とする請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記自撮りモードでは、前記撮像装置の設定値が予めユーザによって設定されることを特徴とする請求項3に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記機能変更手段は、前記撮像装置の設定値を変更することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記装着部品は表面と裏面を有し、
前記姿勢判別手段は、前記装着部品の表面と裏面のどちらが前記撮像装置の外側を向くかを判別し、
前記機能変更手段は、前記装着部品の表面と裏面のどちらが前記撮像装置の外側を向くかに応じて、前記撮像装置の機能を変更することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記装着部品では、前記表面の反射率と前記裏面の反射率が異なることを特徴とする請求項6に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記機能変更手段は、前記反射率が高い面が前記撮像装置の外側を向く場合に前記撮像装置の撮影モードを自撮りモードに変更する請求項7に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記装着部品が前記撮像装置へ装着される際、前記装着部品は前記撮像装置へ機械的に係止されることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項10】
前記装着部品は、前記撮像装置が有する撮像レンズの光軸回りの複数の位置で装着可能であり、
前記姿勢判別手段は、前記装着部品が前記光軸回りのどの位置で装着されているかを判別し、
前記機能変更手段は、前記装着部品が装着されている位置に応じて、前記撮像装置の機能を変更することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項11】
前記装着部品は、前記装着部品が装着されている位置に対応する機能を示す表示を有することを特徴とする請求項10に記載の撮像装置。
【請求項12】
前記機能変更手段は、前記装着部品が前記撮像装置から取り外されたことを検知すると前記撮像装置の設定を初期設定に戻すことを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項13】
前記姿勢判別手段はホール素子を含み、前記装着部品が有する磁石の磁界又は磁極を検知して前記装着部品の前記撮像装置に対する姿勢を判別することを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項14】
前記装着部品の前記撮像装置への装着を検知した後、前記読取手段は前記無線ICタグに記録された情報を読み取ることを特徴とする請求項1乃至13のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項15】
前記機能変更手段は、前記無線ICタグに記録された識別情報を用いて前記装着部品の固有情報の有効化を行うことを特徴とする請求項1乃至14のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項16】
前記無線ICタグに記録された識別情報は、サーバ、情報処理端末及び前記撮像装置を含む通信システムにおいて、前記情報処理端末の操作によって前記サーバから取得され、前記情報処理端末から前記装着部品の前記無線ICタグに記録されることを特徴とする請求項15に記載の撮像装置。
【請求項17】
前記装着部品は、前記無線ICタグのアンテナと、前記撮像装置へ固定するための固定部材
とを有し、前記アンテナ、前記固定部材及び前記開口部は略同一平面上に配置されていることを特徴とする請求項1乃至16のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項18】
無線ICタグを有する装着部品を装着可能な撮像装置の制御方法であって、
前記無線ICタグに記録された情報を読み取る読取工程と、
装着された前記装着部品の前記撮像装置に対する姿勢を判別する姿勢判別工程と、
前記撮像装置の機能を変更する機能変更工程と、を有し、
前記機能変更工程では、前記読取工程において前記無線ICタグに記録された情報が読み取
られた場合、前記判別された装着部品の姿勢に応じて、前記撮像装置の機能を変更
し、
前記装着部品は、前記撮像装置に装着された際に前記撮像装置の撮像レンズが嵌まり込む開口部を有することを特徴とする撮像装置の制御方法。
【請求項19】
前記装着部品は表面と裏面を有し、
前記姿勢判別工程では、前記装着部品の表面と裏面のどちらが前記撮像装置の外側を向くかを判別し、
前記機能変更工程では、前記装着部品の表面と裏面のどちらが前記撮像装置の外側を向くかに応じて、前記撮像装置の機能を変更することを特徴とする請求項18に記載の撮像装置の制御方法。
【請求項20】
前記装着部品は、前記撮像装置が有する撮像レンズの光軸回りの複数の位置で装着可能であり、
前記姿勢判別工程では、前記装着部品が前記光軸回りのどの位置で装着されているかを判別し、
前記機能変更工程では、前記装着部品が装着されている位置に応じて、前記撮像装置の機能を変更することを特徴とする請求項18に記載の撮像装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機能変更が可能な撮像装置及び撮像装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、アウトドアシーン等で活用しやすいように、本体にカラビナを備えることで容易にユーザの身に着けることを可能にしたアウトドアカメラが知られている。このようなアウトドアカメラでは、小型化や耐久性が重視されるため、液晶画面を備えず、さらに、ボタンやレバーの数を減らしている。その結果、アウトドアカメラの機能変更は本体のボタンやレバーではなく、無線接続されたスマートフォン等の外部機器において指示される。
【0003】
一方、アウトドアシーンにおいて、ユーザはスマートフォンの水没や紛失を避けたいと思うことがあり、スマートフォンを帯同しないことがある。この場合、アウトドアカメラの機能変更を行うのは困難である。
【0004】
そこで、外部機器としての交換レンズを撮像装置に接続することにより、カメラの機能変更を行うことが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この技術では、交換レンズがICタグを有し、撮像装置はICタグリーダを有する。交換レンズのICタグには、例えば、シェーディング補正の情報が記録され、撮像装置に交換レンズが装着されると、撮像装置はICタグリーダによってシェーディング補正の情報を読み取り、該情報に基づいてシェーディング補正処理を実行する。
【0005】
また、スマートフォンに取り付けることによって当該スマートフォンへ新たな機能を付与するアクセサリも知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2006-246130号公報
【文献】特開2017-45043号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、いずれの技術も撮像装置やスマートフォンへ交換レンズやアクセサリを取り付けるか否かで機能を変更するものであるため、機能を変更するためには交換レンズやアクセサリを取り外すことが必要となる。この場合、取り外した交換レンズやアクセサリをカメラやスマートフォンとは別に保持する必要があるため、これらの紛失等のおそれがあり、手軽に撮像装置やスマートフォンの機能を変更することができない。
【0008】
本発明の目的は、手軽に機能を変更することができる撮像装置及び撮像装置の制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の撮像装置は、無線ICタグを有する装着部品を装着可能な撮像装置であって、前記無線ICタグに記録された情報を読み取る読取手段と、前記装着された装着部品の前記撮像装置に対する姿勢を判別する姿勢判別手段と、前記撮像装置の機能を変更する機能変更手段と、を備え、前記機能変更手段は、前記読取手段が前記無線ICタグに記録された情報を読み取った場合、前記判別された装着部品の姿勢に応じて、前記撮像装置の機能を変更し、前記装着部品は、前記撮像装置に装着された際に前記撮像装置の撮像レンズが嵌まり込む開口部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、撮像装置の機能を手軽に変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の第1の実施の形態における撮像装置としてのカメラと該カメラに装着可能な装着部品の構成を概略的に示すブロック図である。
【
図2】
図1のカメラへの装着部品の装着状態を説明するための外観斜視図である。
【
図3】
図1の装着部品の構成を説明するための図である。
【
図4】
図1のカメラと装着部品の構成を示す分解斜視図である。
【
図5】
図1の装着部品のカメラへの装着方法を説明するための図である。
【
図6】第1の実施の形態におけるカメラの撮影モード変更処理を示すフローチャートである。
【
図7】本発明の第2の実施の形態に係る撮像装置としてのカメラと該カメラに装着可能な装着部品の構成を説明するための図である。
【
図8】第2の実施の形態における装着部品のカメラへの具体的な装着態様を説明するための図である。
【
図9】各撮影モードの名称の装着部品の表面へのプリントの態様を示す図である。
【
図10】
図8のカメラと装着部品の第1の変形例を説明するための図である。
【
図11】第2の実施の形態におけるカメラの撮影モード変更処理を示すフローチャートである。
【
図12】インターネットを介したカメラ、スマートフォン及びサーバを含む通信システムの概念を説明するための概念図である。
【
図13】
図8のカメラと装着部品の第2の変形例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。まず、本発明の第1の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態における撮像装置としてのカメラと該カメラに装着可能な装着部品の構成を概略的に示すブロック図である。
図1において、デジタルカメラであるカメラ100には、略平板状の装着部品120が装着可能である。カメラ100及び装着部品120は撮像システムを構成する。
【0013】
カメラ100は、カメラマイコン101(機能変更手段)、電池102、カメラ電源回路103、画像処理ブロック104、レリーズボタン305等の入力手段105、AD変換ブロック106、シャッター107及び撮像レンズ304を備える。また、カメラ100は、レンズ駆動回路109、絞り駆動回路110、撮像素子112、マグネット301、IDタグリーダ115(読取手段)、向き検知手段116(姿勢判別手段)及びWLAN117を備え、外部メモリ113が取り付けられる。装着部品120はRFIDタグ122(無線ICタグ)を備え、マグネット301の磁力によってカメラ100へ吸着される。なお、装着部品120はカメラ100以外のカメラへ装着可能に構成されていてもよい。
【0014】
スマートフォン(不図示)とカメラ100はWLAN117によって接続する。これにより、ユーザはスマートフォンを用いて、カメラ100の機能の設定、撮影画像の表示、画像ファイルの転送やRFIDタグ122に記録される装着部品120の固有情報の受け取りを行うことができる。特に、RFIDタグ122に記録される固有情報は、スマートフォン経由でインターネット上のサーバからダウンロードされ、その後、ユーザによるスマートフォンの操作に応じてRFIDタグ122に記録される。略平板状の装着部品120には種々の種類が存在し、例えば、裏面が鏡面仕上げされているものや特定のアニメのキャラクタが印刷されているものがある。このような情報も装着部品120の固有情報としてRFIDタグ122に記録される。
【0015】
カメラマイコン101はカメラ100の各部を制御するマイクロコンピュータである。カメラ100に電池102が装着されると、カメラ電源回路103からカメラマイコン101に電源が供給され、電源スイッチ(不図示)がONされると、カメラマイコン101の制御によってカメラ100の各構成要素へ電源が供給される。カメラマイコン101は、装着部品120のRFIDタグ122と無線通信を介して通信し、装着部品120の固有情報を取得する。また、カメラマイコン101は、取り付け向き検知手段116を用いて、装着部品120がどの向きでカメラ100へ装着されたかを検知することができる。なお、装着された装着部品120の向きの検知方法は後述する。シャッター107は、カメラマイコン101による制御の下、撮像素子112の露光時間を制御する。撮像素子112は、撮像レンズ304によって結像された被写体像を光電変換し、アナログの画像信号として出力する。
【0016】
AD変換ブロック106は、撮像素子112から入力されたアナログの画像出力信号を設定されているISO感度に応じてデジタル映像信号に変換する。画像処理ブロック104は、静止画撮影時、デジタル化された画像データに対してフィルタ処理、色変換処理やガンマー/ニー処理を施す。また、画像処理ブロック104は、AD変換ブロック106から入力されるデジタル映像信号にホワイトバランス処理を施す。さらに、画像処理ブロック104はJPEG等への画像データの圧縮処理も行う。例えば、連写モードの場合、画像データはバッファメモリ(不図示)に一時格納され、未処理の画像データがバッファメモリから読み出されて画像処理ブロック104で画像処理や圧縮処理が施される。そのため、連写枚数はバッファメモリの記憶容量や記憶速度に左右される。
【0017】
カメラマイコン101は、撮像前に設定されているISO感度、画像サイズや画質に応じた画像サイズの予測値データに基づき、外部メモリ113の記憶容量を確認する。入力手段105はユーザの操作を受け付け、操作情報をカメラマイコン101に送信する。カメラマイコン101は、入力手段105からの操作情報に応じてカメラ100の各構成要素を制御し、これにより、撮像等の各種機能が実現される。例えば、入力手段105としてのレリーズボタン305(
図3(C)参照)が半押し状態になると、カメラマイコン101がカメラ100の各構成要素を制御して撮影準備動作が行われる。このとき、カメラマイコン101は、例えば、デフォーカス量を演算し、演算したデフォーカス量に基づいてレンズ駆動回路109を制御して焦点を合わせる。その後、レリーズボタン305が全押し状態になると、カメラマイコン101がカメラ100の各構成要素を制御して撮影動作が行なわれる。なお、入力手段105には、レリーズボタン305の他に、モード設定ダイヤル等が配置され、カメラマイコン101によってモード設定ダイヤルの選択状態が検出される。
【0018】
図2は、カメラ100への装着部品120の装着状態を説明するための外観斜視図である。
図2(A)は装着部品120の表面がカメラ100の外側を向くように装着された場合を示し、
図2(B)は装着部品120の裏面がカメラ100の外側を向くように装着された場合を示す。本実施の形態では、
図2(A)に示す状態をカメラ100に装着部品120が表向きに装着された状態と定義し、
図2(B)に示す状態をカメラ100に装着部品120が裏向きに装着された状態と定義する。
図2(B)に示すように、装着部品120の裏面には自撮り用のミラー202が形成され、ユーザがカメラ100を用いて自撮り撮像を行う際、ユーザはミラー202に映し出される自分自身を被写体として確認することができる。一方、装着部品120の表面にはミラーが形成されない。したがって、装着部品120の表面と裏面では反射率が異なる。
【0019】
図3は、装着部品120の構成を説明するための図である。
図3(A)は装着部品120を表面側から眺めた図であり、
図3(B)は装着部品120を裏面側から眺めた図であり、
図3(C)は装着部品120が装着されていないカメラ100を正面から眺めた図である。
図3(A)に示すように、装着部品120には向き判別用部材121とRFIDタグ122が埋設されている。向き判別用部材121は、例えば、磁石からなり、N極及びS極の一方が装着部品120の表面を指向し、残りの極が装着部品120の裏面を指向するように埋設される。したがって、向き判別用部材121の磁極を判別することにより、装着部品120の向きを判別することができる。また、
図3(C)に示すように、カメラ100では、装着部品120が装着される面(以下、単に「装着面」という。)にマグネット301、撮像レンズ304、IDタグリーダ115及び向き検知手段116が配置される。IDタグリーダ115及び向き検知手段116は装着部品120が装着される面に埋設され、向き検知手段116は、例えば、ホール素子からなり、向き判別用部材121の磁極を検知する。また、カメラ100では、装着部品120が装着される面とは異なる場所にレリーズボタン305が配置される。
【0020】
カメラ100の装着面に装着部品120を装着すると、カメラ100はIDタグリーダ115によって装着部品120の固有情報を近距離無線通信によってRFIDタグ122から読み取る。装着部品120の固有情報が読み取られるタイミングは、カメラ100の電源がオンするタイミングや固有情報の読み取り動作を行なうためのボタンが押されたタイミングであってもよい。また、無線等で接続されたスマートフォン等からの遠隔操作されたタイミングであってもよい。さらには、カメラ100が所定の間隔で定期的に装着部品120の固有情報の読み取ってもよい。
【0021】
また、カメラ100は装着部品120の向き判別用部材121の磁極を向き検知手段116で検知して装着部品120が表向きに装着されたのか、裏向きに装着されたのかを判別する。なお、装着部品120の向きの判別は、上述した磁極を利用するものに限られず、カメラ100の装着面や装着部品120へ物理的な凹凸形状を形成し、装着部品120のカメラ100への装着時の凹凸形状の組み合わせで実現してもよい。
【0022】
図4は、カメラ100と装着部品120の構成を示す分解斜視図である。カメラ100は、撮像モジュール506や不図示のメイン基板等を保持するインナーベース505を前カバー501と後カバー504によって挟み込むように組み合わせて構成される。前カバー501と後カバー504は互いに固定ネジ508によって固定される。前カバー501には、装着部品120を保持するマグネット301と、撮像レンズ304が接着剤等で固定される。インナーベース505にはフレキシブルプリント基板507が配置され、フレキシブルプリント基板507にはIDタグリーダ115を構成するループコイルアンテナ507aと、ホール素子からなる向き検知手段116が配置される。
【0023】
装着部品120は、RFIDタグ122、向き判別用部材121や板金部材524(固定部材)を前カバー521と後カバー522によって挟み込むように組み合わせて構成される。前カバー521と後カバー522は、いずれも無線通信に支障が無い様にポリカーボネート等の樹脂で成形され、互いに両面テープ526や接着剤等で固定される。RFIDタグ122はフレキシブルプリント基板で構成され、ループコイルアンテナ523a及び装着部品120の固有情報が記録されたIC523bを有する。RFIDタグ122は、両面テープ(不図示)によって後カバー522の位置規制穴522aの中へ高精度に位置決めして固定される。RFIDタグ122と並んで配置される板金部材524は、例えば、鉄板からなり、両面テープ525によって、前カバー521に固定される。このとき、板金部材524は前カバー521の貫通穴521aの周囲にある位置規制リブ(不図示)によって位置が規制される。
【0024】
カメラ100の吸着面に装着部品120を宛がうと、カメラ100のマグネット301と装着部品120の板金部材524が対向し、マグネット301は板金部材524を吸着する。これにより、装着部品120がカメラ100へ装着される。このように、装着部品120は磁力によってカメラ100へ装着されるため、カメラ100から取り外すのは容易であり、結果、ユーザは装着部品120の向きを変えてカメラ100へ気軽に再装着することができる。また、板金部材524には撮像レンズ304に対応する開口部524aが設けられ、さらに開口部524aの脇には向き判別用部材121に対応する円形の収納穴524bが設けられる。そして、磁石からなる向き判別用部材121はN極が前カバー521(装着部品120の表面)を指向するように収納穴524bへ挿入されて接着固定される。また、両面テープ526にはRFIDタグ122に対応するように貫通穴526aが設けられ、該貫通穴526aが後カバー522の位置規制穴522aと一致するように、両面テープ526が前カバー521と後カバー522へ貼り付けられる。
【0025】
後カバー522の表面の凹部分(不図示)にはミラー202が貼り付けられる。ミラー202は、所定のシート材へ鏡面部となる反射率の高い材料を蒸着して構成される。装着部品120では、ミラー202の厚さが、IDタグリーダ115とRFIDタグ122による近距離無線通信の支障とならない程度の薄さに設定される。
【0026】
前カバー521の貫通穴521aや板金部材524の開口部524aは、装着部品120がカメラ100へ装着される際にカメラ100の撮像レンズ304と対向するように形成される。また、両面テープ525や後カバー522にも貫通穴521aや開口部524aと同様の開口部が形成される。これにより、装着部品120がカメラ100へ装着されても、装着部品120が撮像レンズ304を覆うことが無く、撮影に支障を来すことが無い。なお、
図4に示すように、RFIDタグ122、向き判別用部材121、板金部材524及び板金部材524の開口部524aは略同一平面上に配置される。
【0027】
図5は、装着部品120のカメラ100への装着方法を説明するための図である。
図5(A)は、カメラ100へ装着部品120が表向きに装着された状態を示す正面図であり、理解を容易にするために、カメラ100や装着部品120の各構成要素の一部が透けて見えるように描画されている。
図5(B)は、装着部品120のカメラ100への機械的係止の様子を示す部分拡大断面図である。
図5(C)は、装着部品120がカメラ100へ正しく装着されていない状態を示す斜視図である。
図5(D)は、装着部品120がカメラ100へ正しく装着されていない状態における機械的係止の様子を示す部分拡大断面図である。
図5(E)は、装着部品120がカメラ100へ正しく装着された状態における機械的係止の様子を示す部分拡大断面図である。
【0028】
装着部品120がカメラ100へ装着される際、装着部品120は、カメラ100の前カバー501の装着面の周囲に形成された立壁部501bと撮像レンズ304の周囲に形成された凸形状501aによって位置が規制される。このとき、前カバー521の貫通穴521aへ凸形状501aが嵌まり込み、カメラ100に対する装着部品120の位置決めが安定化される。
【0029】
装着部品120がカメラ100へ装着される際、正面視において、装着部品120のRFIDタグ122はカメラ100のIDタグリーダ115(ループコイルアンテナ507a)と重なる。これにより、IDタグリーダ115とRFIDタグ122による近距離無線通信が円滑に行われ、装着部品120の固有情報を確実に読み取ることができる。また、このとき、
図6で後述するように、カメラ100の向き検知手段116が装着部品120の向き判別用部材121の磁極を検知することにより、カメラ100へ装着された装着部品120の向きを判別する。
【0030】
また、装着部品120がカメラ100へ装着される際、正面視において、装着部品120の向き判別用部材121はカメラ100の向き検知手段116と重なる。ここで、装着部品120において、向き判別用部材121は装着部品120の上下方向に関する略中央に配置される。装着部品120の向きを変更させてカメラ100に装着する場合、装着部品120は上下に関して反転するが、装着部品120の上下方向に関する略中央に配置される向き判別用部材121の上下に関する位置は変わらない。これにより、カメラ100へ装着される装着部品120の向きに関わらず、向き検知手段116は向き判別用部材121と向き合うことができ、向き判別用部材121によって向き検知手段116の磁極を確実に検知することができる。その結果、向き検知手段116や向き判別用部材121の数を増やすこと無く、装着部品120の向きを判別することができる。
【0031】
装着部品120の前カバー521の端部にはリブ形状521bが形成される。また、カメラ100の前カバー501の立壁部501bは断面庇状に形成され、軒下部501cを有する。装着部品120がカメラ100へ装着される際、リブ形状521bが軒下部501cへ入り込むことにより、装着部品120がカメラ100へ機械的に係止される。また、軒下部501cは、カメラ100へ装着される装着部品120の向きに関わらず、リブ形状521bが入り込むことが可能に成形される。これにより、カメラ100へ装着される装着部品120の向きに関わらず、カメラ100からの装着部品120の浮き上がりや脱落を機械的に防止することができる。なお、装着部品120の前カバー521の端部に凹部が形成され、カメラ100の前カバー501の立壁部501bに凸形状が形成され、この凸形状が上述した凹部に入り込むことによっても、同様の効果を得ることができる。
【0032】
ところで、装着部品120はマグネット301によってカメラ100へ吸着されるため、装着部品120がカメラ100へ正しく装着されていなくても、装着部品120がカメラ100によって保持されることがある(
図5(C))。このような状態では、撮像レンズ304が前カバー521の貫通穴521aと対向せず、撮像レンズ304の一部が装着部品120で覆われ、カメラ100による撮像が困難となる。一方、このような状態では、向き判別用部材121と向き検知手段116が互いに対向せず(
図5(D))、向き検知手段116は向き判別用部材121の磁力を検知できないか、極弱い磁力しか検知できない。したがって、向き判別用部材121が検知できないか、極弱い磁力しか検知できない場合には、装着部品120がカメラ100へ正しく装着できていないと判別してもよい。この場合、カメラ100が有するスピーカー(不図示)から警告音を発したり、カメラ100が有するLED灯(不図示)を発光させてユーザに装着部品120がカメラ100へ正しく装着できていない旨を知らせてもよい。
【0033】
また、装着部品120では、装着部品120の厚み方向に関する略中央に存在する前カバー521と後カバー522の間の空間に、向き判別用部材121、板金部材524やRFIDタグ122が配置される(
図5(E))。これにより、カメラ100へ装着された装着部品120の向きによってマグネット301による装着部品120の保持力や向き検知手段116による向き判別用部材121の磁力の検知能力に差が生じるのを防ぐことができる。
【0034】
図6は、第1の実施の形態におけるカメラ100の撮影モード変更処理を示すフローチャートである。
図6の処理は、カメラ100のカメラマイコン101が、例えば、RAM(不図示)に展開されたプログラムに従って実行する。
【0035】
まず、装着部品120がカメラ100へ装着されると、カメラマイコン101はIDタグリーダ115を用いてRFIDタグ122に装着部品120の固有情報が記録されているか否かを判別する(ステップS401)。RFIDタグ122に装着部品120の固有情報が記録されていないと、本処理を終了する。RFIDタグ122に装着部品120の固有情報が記録されていると、IDタグリーダ115がRFIDタグ122から装着部品120の固有情報(例えば、装着部品120はミラー202を備えるという情報)を読み取る(ステップS402)。
【0036】
次いで、向き検知手段116が向き判別用部材121の磁極を検知することにより、カメラ100へ装着された装着部品120の向きを判別する(ステップS403)。本実施の形態では、例えば、向き検知手段116が向き判別用部材121のN極を検知した場合、装着部品120の前カバー521がカメラ100の装着面と向き合う状態であるため、装着部品120が裏向きに装着されていると判別する。
【0037】
ステップS403において、装着部品120が表向きに装着されていると判別された場合、本処理を終了する。一方、装着部品120が裏向きに装着されていると判別された場合、ユーザが自分自身をミラー202に映し出すことができるため、カメラマイコン101はカメラ100の撮影モードを自撮りモードに変更する(ステップS404)。さらに、カメラ100の各設定値を予めユーザが設定した設定値に変更する(ステップS405)。予めユーザが設定した設定値としては、顔優先や瞳優先等のフォーカス設定や露出設定、美肌効果等のエフェクト設定、又はセルフタイマーへ設定される秒数が該当する。
【0038】
ステップS405の設定値の変更が完了すると、カメラマイコン101はユーザへ撮影モード変更の完了を通知する(ステップS406)。撮影モード変更の完了の通知方法としては、例えば、スピーカー等からの発音、LED灯の発光やカメラ100に内蔵されたモータ(不図示)による振動が該当する。その後、カメラマイコン101は本処理を終了し、カメラ100を撮像待機状態に移行させる。なお、ステップS401において固有情報が記録されていないと判別された場合やステップS403において表向きに装着されていると判別された場合、カメラ100の撮影モードを通常撮影モードに変更してから本処理を終了してもよい。
【0039】
本実施の形態によれば、カメラ100へ装着される装着部品120の向きに応じてカメラ100の撮影モードが変更されるため、撮影モードを変更するために取り外した装着部品120をユーザがカメラ100とは別に保持する必要がない。これにより、ユーザは装着部品120の紛失等を恐れること無く、カメラ100の撮影モードを手軽に変更することができる。
【0040】
また、本実施の形態では、装着部品120が裏向きに装着されていると判別されて撮影モードが自撮りモードに変更される場合、カメラ100の各設定値が予めユーザが設定した設定値に変更される。これにより、ユーザは自撮りモードに適したフォーカス設定、露出設定やエフェクト設定を行わなくてもよいため、撮影モードの変更に伴う手間を大きく低減することができる。
【0041】
さらに、本実施の形態では、装着部品120をカメラ100へ磁力によって吸着させるだけでなく、リブ形状521bや軒下部501cを用いて装着部品120をカメラ100へ機械的に係止させる。これにより、ユーザの動きが激しくなるアウトドアシーンにおいても、装着された装着部品120がカメラ100から外れるのを確実に防止することができる。
【0042】
なお、本実施の形態では、装着される装着部品120の向きに応じたカメラ100の機能の変更の一例として、カメラ100の撮影モードが変更される事例について説明した。しかしながら、装着される装着部品120の向きに応じたカメラ100の機能の変更は、撮影モードの変更に限られない。例えば、装着部品120の裏面へミラー202の代わりに特定のアニメのキャラクタが印刷されている場合、装着部品120が裏向きに装着されていると判別されると、カメラ100の操作音をキャラクタの声に変更してもよい。さらに、カメラ100の撮影画像にキャラクタを用いた枠やキャラクタとともに被写体が映り込むようなエフェクト効果を付与してもよい。
【0043】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。第2の実施の形態は、その構成、作用が上述した第1の実施の形態と基本的に同じであり、装着される装着部品の撮像レンズの光軸回りの位置に応じてカメラの機能が変更される点で第1の実施の形態と異なる。したがって、重複した構成、作用については説明を省略し、以下に異なる構成、作用についての説明を行う。
【0044】
図7は、本発明の第2の実施の形態に係る撮像装置としてのカメラと該カメラに装着可能な装着部品の構成を説明するための図である。
図7(A)は装着部品820を表面側から眺めた図であり、
図7(B)は装着部品820を裏面側から眺めた図であり、
図7(C)は装着部品820が装着されていないカメラ800を正面から眺めた図である。
図7(A)に示すように、装着部品820には、例えば、磁石からなる位置判別用部材821とRFIDタグ122が埋設されている。また、
図7(C)に示すように、カメラ800では、装着部品820の装着面にマグネット801、撮像レンズ304、IDタグリーダ115及び向き4つの位置判別用手段803a~803dが配置される。各位置判別用手段803a~803dは、例えば、ホール素子からなり、位置判別用部材821の磁界を検知する。
【0045】
カメラ800の装着面に装着部品820を装着すると、カメラ800はIDタグリーダ115によって装着部品820の固有情報を近距離無線通信によってRFIDタグ122から読み取る。なお、装着部品820の固有情報が読み取られるタイミングは、第1の実施の形態における装着部品120の固有情報が読み取られるタイミングと同じである。
【0046】
本実施の形態では、装着部品820を撮像レンズ304の光軸(以下、単に「レンズ光軸」という。)回りの複数の位置においてカメラ800に装着可能である。具体的に、後述の
図8(A)乃至
図8(D)に示すように、装着部品820をレンズ光軸回りに90°刻みでカメラ800に装着可能である。カメラ800において、各位置判別用手段803a~803dはレンズ光軸回りに90°刻みで配置される。また、装着部品820において、位置判別用部材821は、装着部品820がカメラ800に装着された際、位置判別用手段803a~803dのいずれかと対向するように配置される。したがって、本実施の形態では、どの位置判別用手段803a~803dが位置判別用部材821の磁界を検知したかを判別することにより、装着部品820がカメラ800に対してレンズ光軸回りのいずれの回転角度で装着されたかを判別することができる。なお、装着部品820がカメラ800に対してレンズ光軸回りのいずれの回転角度で装着されたかの判別は、上述した磁界を利用するものに限られない。例えば、カメラ800の装着面や装着部品820へ物理的な凹凸形状を形成し、どの凹形状に凸形状が嵌まったかを判別することによって実現してもよい。
【0047】
図8は、装着部品820のカメラ800への具体的な装着態様を説明するための図である。
図8(A)は、装着部品820がカメラ800に対してレンズ光軸回りの回転角度が0°で装着された場合を示す。この場合、位置判別用部材821は位置判別用手段803aと対向する。したがって、位置判別用手段803aが位置判別用部材821の磁界を検知した場合は、装着部品820がカメラ800に対してレンズ光軸回りの回転角度が0°で装着された場合に該当する。本実施の形態では、位置判別用手段803aが位置判別用部材821の磁界を検知すると、カメラ800の撮影モードが通常モードに設定される。
【0048】
図8(B)は、装着部品820がカメラ800に対してレンズ光軸回りの回転角度が90°で装着された場合を示す。この場合、位置判別用部材821は位置判別用手段803bと対向する。したがって、位置判別用手段803bが位置判別用部材821の磁界を検知した場合は、装着部品820がカメラ800に対してレンズ光軸回りの回転角度が90°で装着された場合に該当する。本実施の形態では、位置判別用手段803bが位置判別用部材821の磁界を検知すると、カメラ800の撮影モードがスポーツモードに設定される。
【0049】
図8(C)は、装着部品820がカメラ800に対してレンズ光軸回りの回転角度が270°で装着された場合を示す。この場合、位置判別用部材821は位置判別用手段803cと対向する。したがって、位置判別用手段803cが位置判別用部材821の磁界を検知した場合は、装着部品820がカメラ800に対してレンズ光軸回りの回転角度が270°で装着された場合に該当する。本実施の形態では、位置判別用手段803cが位置判別用部材821の磁界を検知すると、カメラ800の撮影モードが夜景モードに設定される。
【0050】
図8(D)は、装着部品820がカメラ800に対してレンズ光軸回りの回転角度が180°で装着された場合を示す。この場合、位置判別用部材821は位置判別用手段803dと対向する。したがって、位置判別用手段803dが位置判別用部材821の磁界を検知した場合は、装着部品820がカメラ800に対してレンズ光軸回りの回転角度が180°で装着された場合に該当する。本実施の形態では、位置判別用手段803dが位置判別用部材821の磁界を検知すると、カメラ800の撮影モードが自撮りモードに設定される。
【0051】
なお、いずれのモードにおいても、当該モードの設定後、カメラ100の各設定値は予めユーザが当該モードに対応して設定した設定値に変更される。
【0052】
本実施の形態では、撮像レンズ304の周囲に形成された凸形状501aが正面視で略正方形状に形成され、装着部品820には、撮像レンズ304に対向する位置に正面視で略正方形状に形成された貫通穴820aが形成される。装着部品820がカメラ800へ装着される際、凸形状501aが貫通穴820aへ嵌まり込むことにより、装着部品820に対するカメラ800のレンズ光軸回りの回転角度が規定され、且つカメラ100に対する装着部品120の位置決めが安定化される。なお、凸形状501aの貫通穴820aへの嵌め込み易さを考慮して、凸形状501aや貫通穴820aの四隅はR形状に仕上げられる。
【0053】
各位置判別用手段803a~803dは位置判別用部材821の磁界だけではなく磁極も検知することができる。したがって、例えば、位置判別用部材821のN極又はS極が装着部品820の表面を指向するように配置されていれば、各位置判別用手段803a~803は磁界だけでなく磁極も検知することにより、装着部品820の向きも検知することができる。装着部品820の向きの判別方法は、第1の実施の形態における判別方法と同じである。この場合、カメラ800は8通りの装着部品820との位置関係を検知することができ、その結果、最大で8つの撮影モードを設定することができるようになる。なお、凸形状501aや貫通穴820aの正面視の形状は略正方形状(四角形状)に限られず、例えば、略正五角形状や略正八角形状に形成してもよい。これにより、カメラ800が検知可能な装着部品820との位置関係を増やすことができ、設定可能な撮影モードの数を増やすことができる。但し、このように設定可能な撮影モードの数が増えると、ユーザはどの回転角度がどの撮影モードに対応しているかを失念することがある。そのために、
図9に示すように、レンズ光軸回りの回転角度毎に対応する撮影モードの名称(表示)を装着部品820の表面にプリントしてもよい。
【0054】
また、本実施の形態では、装着部品820やカメラ800が正面視で長方形状を呈するが、
図10に示すように、装着部品820やカメラ800を正面視で略正方形状を呈するように構成してもよい。この場合、例えば、
図8(C)や
図8(D)に示すように装着部品820の一部がカメラ800からはみ出すことがなくなり、カメラ800の携帯性を向上することができ、特に、ユーザが激しく動くアウトドアシーンでは有用である。
【0055】
図11は、第2の実施の形態におけるカメラ800の撮影モード変更処理を示すフローチャートである。
図11の処理は、カメラ800のカメラマイコン101が、例えば、RAM(不図示)に展開されたプログラムに従って実行する。
【0056】
まず、装着部品820がカメラ800へ装着されると、カメラマイコン101は
各位置判別用手段803a~803dのいずれかが所定値以上の磁界を検知したか否かを判別する(ステップS901)。各位置判別用手段803a~803dのいずれかが所定値以上の磁界を検知していない場合、ステップS901に戻る。各位置判別用手段803a~803dのいずれかが所定値以上の磁界を検知した場合、IDタグリーダ115を用いてRFIDタグ122に装着部品820の固有情報が記録されているか否かを判別する(ステップS902)。RFIDタグ122に装着部品820の固有情報が記録されていないと、本処理を終了する。RFIDタグ122に装着部品820の固有情報が記録されていると、IDタグリーダ115がRFIDタグ122から装着部品820の固有情報を読み取る(ステップS903)。固有情報としては、装着部品820はカメラ800へレンズ光軸回りに回転して装着可能という情報が該当する。
【0057】
次いで、カメラマイコン101は、どの位置判別用手段803a~803dが所定値以上の磁界を検知したかを特定する(ステップS904)。その後、カメラ800に装着された装着部品820のレンズ光軸回りの回転角度に応じてカメラ800の撮影モードを変更する。具体的には、所定値以上の磁界を検知した位置判別用手段803に応じてカメラ800の撮影モードを変更する(ステップS905)。例えば、位置判別用手段803aが所定値以上の磁界を検知した場合(装着部品820のレンズ光軸回りの回転角度が0°の場合)、カメラ800の撮影モードを通常モードに維持する。位置判別用手段803bが所定値以上の磁界を検知した場合(装着部品820のレンズ光軸回りの回転角度が90°の場合)、カメラ800の撮影モードをスポーツモードに変更する。位置判別用手段803cが所定値以上の磁界を検知した場合(装着部品820のレンズ光軸回りの回転角度が270°の場合)、カメラ800の撮影モードを夜景モードに変更する。位置判別用手段803dが所定値以上の磁界を検知した場合(装着部品820のレンズ光軸回りの回転角度が180°の場合)、カメラ800の撮影モードを自撮りモードに変更する。また、このとき、カメラ100の各設定値は予めユーザが変更されるモードに対応して設定した設定値に変更される。その後、カメラマイコン101はユーザへ撮影モード変更の完了を通知する(ステップS906)。撮影モード変更の完了の通知方法は、第1の実施の形態と同じである。
【0058】
次いで、カメラマイコン101は装着部品820がカメラ800から取り外されたか否かを判別する(ステップS907)。装着部品820がカメラ800から取り外されている場合、カメラマイコン101はカメラ800の設定を初期設定に戻す(ステップS909)。例えば、撮影モードを通常モードに戻す。その後、カメラマイコン101はカメラ800の設定が初期設定に戻った旨をユーザへ通知し(ステップS910)、本処理を終了する。一方、装着部品820がカメラ800から取り外されていない場合、カメラ800に対する装着部品820のレンズ光軸回りの回転角度が変更されたか否かを判別する(ステップS908)。この判別は、所定値以上の磁界を検知した位置判別用手段803が変更されたか否かに基づいて行われる。装着部品820のレンズ光軸回りの回転角度が変更された場合、ステップS904に戻り、装着部品820のレンズ光軸回りの回転角度が変更されていない場合、本処理を終了し、カメラ800を撮像待機状態に移行させる。
【0059】
本実施の形態によれば、カメラ800に装着された装着部品820のレンズ光軸回りの回転角度に応じてカメラ800の撮影モードが変更されるため、撮影モードを変更するために取り外した装着部品820をユーザがカメラ800とは別に保持する必要がない。これにより、第1の実施の形態と同様に、ユーザは装着部品820の紛失等を恐れること無く、カメラ800の撮影モードを手軽に変更することができる。
【0060】
図12は、インターネットを介したカメラ、スマートフォン及びサーバを含む通信システムの概念を説明するための概念図である。例えば、通信システムにおいて、デジタルカメラであるカメラ800、サーバ730及びスマートフォン740(情報処理端末)はそれぞれ通信機能を有し、インターネットを介して互いに接続される。このような通信システムにおいて、例えば、
図12の表に示すように、カメラ800の各撮影モードへ課金情報を付与してもよい。このような各撮影モードへ課金情報を付与するタイミングとしては、例えば、ユーザがスマートフォン740を入場チケット代わりに使用する場合が考えられる。この場合、ユーザが、スポーツの試合会場、イベント会場やテーマパーク等においてスマートフォン740からサーバ730にアクセスし、ユーザ登録を行い、追加可能な機能の有効化チケットを購入する。この有効化チケットには、カメラ800に装着される装着部品820のRFIDタグ122に記録される各撮影モードの固有情報と、各撮影モードの使用に課金されるか否かを示す識別情報課金情報が含まれる。
【0061】
まず、有効化チケットが購入されると、スマートフォン740に識別情報課金情報が付与される。そして、カメラ800がスマートフォン740に接続した際に識別情報課金情報がカメラ800へ付与されてRFIDタグ122に記録される。また、識別情報課金情報が記録されているか否かを示す識別ビットがRFIDタグ122の不揮発性の記憶領域に記録され、識別情報課金情報が記録されている場合、識別ビットとして「1」が記録される。また、識別情報課金情報は、記録された装着部品820の固有情報の有効化に使用される。
【0062】
以上、本発明の好ましい実施の形態について説明したが、本発明は上述した各実施の形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【0063】
例えば、装着部品820をカメラ800へレンズ光軸回りに回転して装着可能な第2の実施の形態では、カメラ800に4つの位置判別用手段803a~803dを設けたが、位置判別用部材の数は4に限られない。例えば、
図13(A)に示すように、カメラ900へ1つだけ位置判別用手段903を設け、カメラ900へレンズ光軸回りに回転して装着可能な装着部品920にも1つだけ位置判別用部材921を設けてもよい。この事例では、装着部品920がカメラ900に対してレンズ光軸回りの回転角度が0°で装着された場合(
図13(B))と、装着部品920がカメラ900に対してレンズ光軸回りの回転角度が0°以外で装着された場合(
図13(C))を区別できる。すなわち、2つの撮影モードを設定することができるようになる。このように、位置判別用手段の数に応じて設定可能な撮影モードの数を設定することができる。
【0064】
本発明は、上述の各実施の形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワークや記憶媒体を介してシステムや装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータの1つ以上のプロセッサーがプログラムを読み出して実行する処理でも実現可能である。また、本発明は、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【符号の説明】
【0065】
100,800,900 カメラ
101 カメラマイコン
115 IDタグリーダ
116 向き検知手段
120,820,920 装着部品
121 向き判別用部材
122 RFIDタグ
304 撮像レンズ
524 板金部材
524a 開口部
803a~803d,903 位置判別用手段
821,921 位置判別用部材