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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-13
(45)【発行日】2024-12-23
(54)【発明の名称】ダンプトラック
(51)【国際特許分類】
   B60P 1/267 20060101AFI20241216BHJP
   F15B 11/02 20060101ALI20241216BHJP
【FI】
B60P1/267 B
F15B11/02 F
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021048368
(22)【出願日】2021-03-23
(65)【公開番号】P2022147214
(43)【公開日】2022-10-06
【審査請求日】2023-12-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000163095
【氏名又は名称】極東開発工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】弁理士法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三村 真一
(72)【発明者】
【氏名】福西 政樹
【審査官】林 政道
(56)【参考文献】
【文献】実開昭55-083431(JP,U)
【文献】実開昭57-203099(JP,U)
【文献】実公昭47-037804(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60P 1/267, 1/04, 1/16
F15B 11/00-11/22,21/14
F15B 15/00-15/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体に対して傾動可能に設けられた荷箱と、
前記荷箱の後端部に回動可能に設けられ、前記荷箱の後部開口を開閉するテールゲートと、
伸長作動により前記荷箱を傾動させ、収縮作動により前記荷箱を倒伏させるダンプシリンダと、
伸長作動により前記後部開口を開放するように前記テールゲートを回動させ、収縮作動により前記後部開口を閉鎖するように前記テールゲートを回動させるテールゲートシリンダと、
油タンクから前記ダンプシリンダ及び前記テールゲートシリンダに作動油を供給する油圧ポンプと、を備えるダンプトラックであって、
前記テールゲートシリンダは、前記テールゲートシリンダの伸長作動時に前記油圧ポンプからの作動油が供給され且つ前記テールゲートシリンダの収縮作動時に内部の作動油が排出される第1油室と、前記テールゲートシリンダの収縮作動時に作動油が供給される第2油室と、を有し、
前記テールゲートシリンダの前記第1油室と前記第2油室とを連通し、前記第1油室から前記テールゲートシリンダの外部へ作動油を排出し、当該外部へ排出した作動油を前記第2油室に供給するための連通油路を備えるダンプトラック。
【請求項2】
前記ダンプシリンダは、前記ダンプシリンダの伸長作動時に前記油圧ポンプからの作動油が供給され且つ前記ダンプシリンダの収縮作動時に内部の作動油が排出される作動油室を有し、
メイン油路と、
前記油圧ポンプに接続され、当該油圧ポンプから吐出された作動油が流れる吐出油路と、
前記油タンクに接続された戻り油路と、
前記メイン油路と前記吐出油路とを連通する状態と、前記メイン油路と前記戻り油路とを連通する状態と、に切り換えられる切換弁と、
前記メイン油路から分岐して前記ダンプシリンダの前記作動油室に接続された第1分岐油路と、
前記メイン油路から分岐して前記テールゲートシリンダの前記第1油室に接続された第2分岐油路と、
前記第1分岐油路に設けられ、前記メイン油路から前記第1分岐油路に流れる作動油の油圧が、前記テールゲートシリンダの伸長作動に必要な油圧以上の設定圧に達すると、前記第1分岐油路の前記メイン油路側から前記作動油室側への作動油の流れを許容するリリーフ弁と、
前記第1分岐油路の前記リリーフ弁よりも前記メイン油路側から分岐し、前記第1分岐油路の前記リリーフ弁よりも前記作動油室側に接続されるバイパス油路と、
前記バイパス油路に設けられ、前記バイパス油路の前記作動油室側から前記メイン油路側への作動油の流れを許容し、前記バイパス油路の前記メイン油路側から前記作動油室側への作動油の流れを規制するチェック弁と、を備える請求項1に記載のダンプトラック。
【請求項3】
前記油圧ポンプから吐出された作動油が流れるメイン油路と、
前記メイン油路から分岐して前記テールゲートシリンダの前記第1油室に接続された分岐油路と、
前記分岐油路に設けられ、前記分岐油路の前記第1油室側から前記メイン油路側への作動油の流れを許容するパイロットチェック弁と、を備え、
前記パイロットチェック弁は、前記分岐油路における前記パイロットチェック弁よりも前記メイン油路側の作動油の油圧が所定圧未満のときは前記分岐油路の前記メイン油路側から前記第1油室側への作動油の流れを規制し、前記分岐油路における前記パイロットチェック弁よりも前記メイン油路側の作動油の油圧が前記所定圧以上になると前記分岐油路の前記メイン油路側から前記第1油室側への作動油の流れを許容する、請求項1に記載のダンプトラック。
【請求項4】
前記第2分岐油路に設けられ、前記第2分岐油路の前記第1油室側から前記メイン油路側への作動油の流れを許容するパイロットチェック弁を備え、
前記パイロットチェック弁は、前記第2分岐油路における前記パイロットチェック弁よりも前記メイン油路側の作動油の油圧が所定圧未満のときは前記第2分岐油路の前記メイン油路側から前記第1油室側への作動油の流れを規制し、前記第2分岐油路における前記パイロットチェック弁よりも前記メイン油路側の作動油の油圧が前記所定圧以上になると前記第2分岐油路の前記メイン油路側から前記第1油室側への作動油の流れを許容し、
前記パイロットチェック弁の前記所定圧は、前記リリーフ弁の前記設定圧よりも小さい、請求項2に記載のダンプトラック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダンプトラックに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1に記載されたダンプトラックは、車体に対して傾動可能に設けられた荷箱と、荷箱を傾動させるダンプシリンダと、荷箱の後端部に回動可能に設けられたテールゲートと、テールゲートを回動させるテールゲートシリンダと、を備えている。このようなダンプトラックでは、ダンプシリンダを伸長作動させて荷箱を傾動させるときに、テールゲートシリンダを伸長作動させてテールゲートを荷箱から離れるように回動させ、荷箱の後部開口を開放する。これにより、荷箱内の土砂等の積載物を、荷箱の後部開口から外部へ排出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特公昭54-11163号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されたダンプトラックでは、荷箱内の積載物を外部へ排出した後、作業者が所定のスイッチ操作を開始すると、ダンプシリンダが収縮作動するとともに、テールゲートシリンダも収縮作動する。これにより、荷箱が倒伏しながら、テールゲートが荷箱に近づくように回動して荷箱の後部開口が閉鎖される。その際、テールゲートシリンダには、油圧ポンプから作動油が供給されることで、テールゲートシリンダ内では比較的高い作動油圧が発生するので、テールゲートシリンダを迅速に収縮作動させることができる。
【0005】
しかし、テールゲートの自重によりテールゲートシリンダを収縮作動させるダンプトラックの場合、テールゲートシリンダ内で発生する作動油圧は比較的低いので、テールゲートシリンダの収縮作動速度が遅くなる。このため、ダンプシリンダの収縮作動が完了して荷箱が車体上に倒伏した時点で、テールゲートシリンダは収縮作動を完了しておらず、テールゲートが荷箱の後部開口を閉鎖していない状況が発生しやくなる。このような状況が発生した場合、作業者は、テールゲートが荷箱の後部開口を閉鎖するまで、スイッチ操作を続ける必要がある。
【0006】
しかし、作業者によっては、荷箱が車体上に倒伏した時点で、テールゲートも後部開口を閉鎖したと勘違いし、スイッチ操作を終了する場合がある。特に、スイッチ操作後にダンプトラックを迅速に走行できるように、作業者が運転席やその近くでスイッチ操作を行う場合には、テールゲートの回動状態を視認しにくいので上記勘違いが発生し易い。作業者がこのような勘違いをしてスイッチ操作を終了した場合、荷箱の後部開口が開放したままダンプトラックを走行させてしまうおそれがある。
【0007】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、荷箱の後部開口を開放させたままダンプトラックが走行するのを抑制できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明のダンプトラックは、車体に対して傾動可能に設けられた荷箱と、前記荷箱の後端部に回動可能に設けられ、前記荷箱の後部開口を開閉するテールゲートと、伸長作動により前記荷箱を傾動させ、収縮作動により前記荷箱を倒伏させるダンプシリンダと、伸長作動により前記後部開口を開放するように前記テールゲートを回動させ、収縮作動により前記後部開口を閉鎖するように前記テールゲートを回動させるテールゲートシリンダと、油タンクから前記ダンプシリンダ及び前記テールゲートシリンダに作動油を供給する油圧ポンプと、を備えるダンプトラックであって、前記テールゲートシリンダは、前記テールゲートシリンダの伸長作動時に前記油圧ポンプからの作動油が供給され且つ前記テールゲートシリンダの収縮作動時に内部の作動油が排出される第1油室と、前記テールゲートシリンダの収縮作動時に作動油が供給される第2油室と、を有し、前記テールゲートシリンダの前記第1油室と前記第2油室とを連通するための連通油路を備える。
【0009】
本発明によれば、テールゲートシリンダを収縮作動させて荷箱の後部開口を閉鎖するようにテールゲートを回動させるときに、テールゲートシリンダの第1油室から排出される作動油を、連通油路を介してテールゲートシリンダの第2油室に供給することができる。これにより、テールゲートの自重でテールゲートシリンダを収縮作動させる場合でも、テールゲートシリンダの収縮作動速度が遅くなるのを抑制することができる。その結果、ダンプシリンダを収縮作動させて荷箱を倒伏させている間に、テールゲートは回動し終わって荷箱の後部開口を閉鎖する可能性が高くなるので、荷箱の後部開口を開放させたままダンプトラックが走行するのを抑制することができる。
【0010】
(2)前記ダンプシリンダは、前記ダンプシリンダの伸長作動時に前記油圧ポンプからの作動油が供給され且つ前記ダンプシリンダの収縮作動時に内部の作動油が排出される作動油室を有し、前記ダンプトラックは、メイン油路と、前記油圧ポンプに接続され、当該油圧ポンプから吐出された作動油が流れる吐出油路と、前記油タンクに接続された戻り油路と、前記メイン油路と前記吐出油路とを連通する状態と、前記メイン油路と前記戻り油路とを連通する状態と、に切り換えられる切換弁と、前記メイン油路から分岐して前記ダンプシリンダの前記作動油室に接続された第1分岐油路と、前記メイン油路から分岐して前記テールゲートシリンダの前記第1油室に接続された第2分岐油路と、前記第1分岐油路に設けられ、前記メイン油路から前記第1分岐油路に流れる作動油の油圧が、前記テールゲートシリンダの伸長作動に必要な油圧以上の設定圧に達すると、前記第1分岐油路の前記メイン油路側から前記作動油室側への作動油の流れを許容するリリーフ弁と、前記第1分岐油路の前記リリーフ弁よりも前記メイン油路側から分岐し、前記第1分岐油路の前記リリーフ弁よりも前記作動油室側に接続されるバイパス油路と、前記バイパス油路に設けられ、前記バイパス油路の前記作動油室側から前記メイン油路側への作動油の流れを許容し、前記バイパス油路の前記メイン油路側から前記作動油室側への作動油の流れを規制するチェック弁と、を備えるのが好ましい。
【0011】
この場合、メイン油路が吐出油路と連通するように切換弁を切り換えた状態で油圧ポンプを駆動させると、油圧ポンプから吐出された作動油は、吐出油路、切換弁、及びメイン油路を通過して、第1分岐油路及び第2分岐油路にそれぞれ流れる。第1分岐油路に流れた作動油は、その油圧がリリーフ弁の設定圧に達するまで、ダンプシリンダの作動油室には供給されない。また、第1分岐油路からバイパス油路に流れた作動油も、チェック弁によりダンプシリンダの作動油室には供給されない。一方、第2分岐油路に流れた作動油は、テールゲートシリンダの第1油室に供給されるので、テールゲートシリンダはダンプシリンダよりも先に伸長作動する。テールゲートシリンダの伸長作動後に、第1分岐油路内の作動油の油圧がリリーフ弁の設定圧に達すると、第1分岐油路からダンプシリンダの作動油室に作動油が供給されることで、ダンプシリンダが伸長作動を開始する。したがって、テールゲートシリンダを伸長作動させた後に、ダンプシリンダを伸長作動させることができるので、荷箱の後部開口を開放してから荷箱を傾動させることができる。
【0012】
荷箱を傾動させた後、メイン油路が戻り油路と連通するように切換弁を切り換えた状態にすると、ダンプシリンダの作動油室内の作動油は、バイパス油路経由で第1分岐油路を通過してメイン油路に流れるとともに、テールゲートシリンダの第1油室内における作動油は、第2分岐油路を通過してメイン油路に流れる。このように両シリンダからメイン油路に流れた作動油は、切換弁及び戻り油路を介して油タンクへ戻される。これにより、ダンプシリンダを収縮作動させながらテールゲートシリンダを収縮作動させることができるので、荷箱の後部開口を閉鎖するようにテールゲートを回動させながら、荷箱を倒伏させることができる。
【0013】
以上より、単一の切換弁により、テールゲートシリンダ及びダンプシリンダをその順に伸長作動させる状態と、テールゲートシリンダ及びダンプシリンダの両方を収縮作動させる状態とに切り換えることができる。これにより、テールゲートシリンダに作動油を給排するための切換弁、及びダンプシリンダに作動油を給排するための切換弁を個別に設ける必要がないので、油圧回路をコスト安価に構成することができる。
【0014】
(3)前記ダンプトラックは、前記油圧ポンプから吐出された作動油が流れるメイン油路と、前記メイン油路から分岐して前記テールゲートシリンダの前記第1油室に接続された分岐油路と、前記分岐油路に設けられ、前記分岐油路の前記第1油室側から前記メイン油路側への作動油の流れを許容するパイロットチェック弁と、を備え、前記パイロットチェック弁は、前記分岐油路における前記パイロットチェック弁よりも前記メイン油路側の作動油の油圧が所定圧未満のときは前記分岐油路の前記メイン油路側から前記第1油室側への作動油の流れを規制し、前記分岐油路における前記パイロットチェック弁よりも前記メイン油路側の作動油の油圧が前記所定圧以上になると前記分岐油路の前記メイン油路側から前記第1油室側への作動油の流れを許容するのが好ましい。
【0015】
この場合、一般的にダンプトラックの走行中には油圧ポンプは駆動されないので、分岐油路におけるパイロットチェック弁よりもメイン油路側の作動油の油圧は所定圧未満となり、分岐油路のメイン油路側から第1油室側への作動油の流れは規制される。これにより、テールゲートシリンダの伸長作動が抑制されるので、ダンプトラックの走行中にテールゲートが後部開口を開放する方向に回動するのを抑制することができる。
また、ダンプトラックを停車させて荷箱の後部開口を開放させるときには、油圧ポンプを駆動してメイン油路から分岐油路に作動油を流すと、分岐油路におけるパイロットチェック弁よりもメイン油路側の作動油の油圧が所定圧以上になることで、分岐油路のメイン油路側から第1油室側への作動油の流れが許容される。これにより、テールゲートが伸長作動するので、荷箱の後部開口を開放することができる。
【0016】
(4)前記ダンプトラックは、前記第2分岐油路に設けられ、前記第2分岐油路の前記第1油室側から前記メイン油路側への作動油の流れを許容するパイロットチェック弁を備え、前記パイロットチェック弁は、前記第2分岐油路における前記パイロットチェック弁よりも前記メイン油路側の作動油の油圧が所定圧未満のときは前記第2分岐油路の前記メイン油路側から前記第1油室側への作動油の流れを規制し、前記第2分岐油路における前記パイロットチェック弁よりも前記メイン油路側の作動油の油圧が前記所定圧以上になると前記第2分岐油路の前記メイン油路側から前記第1油室側への作動油の流れを許容し、前記パイロットチェック弁の前記所定圧は、前記リリーフ弁の前記設定圧よりも小さいのが好ましい。
【0017】
この場合、一般的にダンプトラックの走行中には油圧ポンプは駆動されないので、第2分岐油路におけるパイロットチェック弁よりもメイン油路側の作動油の油圧は所定圧未満となり、第2分岐油路のメイン油路側から第1油室側への作動油の流れは規制される。これにより、テールゲートシリンダの伸長作動が抑制されるので、ダンプトラックの走行中にテールゲートが後部開口を開放する方向に回動するのを抑制することができる。
また、ダンプトラックを停車させて荷箱の後部開口を開放させるときには、油圧ポンプを駆動してメイン油路から第2分岐油路に作動油を流すと、第2分岐油路におけるパイロットチェック弁よりもメイン油路側の作動油の油圧が所定圧以上になることで、第2分岐油路のメイン油路側から第1油室側への作動油の流れが許容される。これにより、テールゲートが伸長作動するので、荷箱の後部開口を開放することができる。
さらに、パイロットチェック弁の所定圧はリリーフ弁の設定圧よりも小さいので、テールゲートシリンダを伸長作動させた後に、ダンプシリンダを伸長作動させることができる。これにより、上記のようにパイロットチェック弁を用いても、荷箱の後部開口を開放してから荷箱を傾動させることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、荷箱の後部開口を開放させたままダンプトラックが走行するのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施形態に係るダンプトラックの後側を示す側面図である。
図2】ダンプトラックの機能を説明するための側面図である。
図3】荷箱の後部を示す拡大側面図である。
図4】テールゲートの動作を説明する拡大側面図である。
図5】テールゲートの動作を説明する拡大側面図である。
図6】ダンプトラックの油圧回路図である。
図7】荷箱の傾動時における作動油の流れを説明する油圧回路図である。
図8】荷箱の倒伏時における作動油の流れを説明する油圧回路図である。
図9】連通油路の変形例を示す油圧回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の好ましい実施形態について添付図面を参照しながら説明する。
[全体構成]
図1は、本発明の実施形態に係るダンプトラックの後側を示す側面図である。図2は、ダンプトラック1の機能を説明するための側面図である。以下、本明細書において、前後方向、上下方向、及び左右方向は、それぞれダンプトラックの前後方向、上下方向、及び左右方向をいう。図1及び図2において、ダンプトラック1は、車体2、荷箱3、テールゲート4、ダンプ装置5、及びテールゲートシリンダ6を備えている。
【0021】
車体2は、シャシフレーム2aと、シャシフレーム2a上に固定されたサブフレーム2bと、を有している。荷箱3は、車体2上に搭載され、車体2に対して傾動可能に設けられている。具体的には、荷箱3は、サブフレーム2bの後端部においてヒンジ軸7を介して傾動可能に設けられている。荷箱3は、左右一対の側壁3aと、後部開口3bとを有している。
【0022】
図3は、荷箱3の後部を示す拡大側面図である。図4及び図5は、テールゲート4の動作を説明する拡大側面図である。図3図5において、テールゲート4は、荷箱3の後部開口3bを開閉するものである。本実施形態のテールゲート4は、荷箱3の各側壁3aの上側に配置された左右一対のアーム部4aと、これらのアーム部4aに接続されたゲート本体部4bと、を有している。各アーム部4aの前端部は、各側壁3aの後部の上側において、第1ヒンジピン8を介して回動可能に取り付けられている。各アーム部4aの後端上部には、ゲート本体部4bの上端部が、第2ヒンジピン9を介して回動可能に取り付けられている。
【0023】
ゲート本体部4bは、左右方向(車幅方向)に延びており、図3に示す状態では荷箱3の後部開口3bを閉鎖している。ゲート本体部4bの左右両側面には、それぞれロックピン10が固定されている。荷箱3の左右の側壁3aには、それぞれ上側に開口するフック11が固定されている。図3に示す状態において、各ロックピン10は、それぞれ対応するフック11に係合している。これにより、ダンプトラック1の走行中にテールゲート4が荷箱3に対してばたつくのを抑制することができる。
【0024】
[テールゲートシリンダ]
テールゲートシリンダ6は、荷箱3の左右両側壁3aの外側において、上下方向に伸縮作動するように配置されている。各テールゲートシリンダ6は、複動式の油圧シリンダである。各テールゲートシリンダ6は、筒状のシリンダ本体6aと、シリンダ本体6a内において上下方向に往復移動可能に設けられたピストン6bと、ピストン6bに下端が固定されたロッド6cと、を有している。ロッド6cの上端側は、シリンダ本体6aの端壁を貫通している。
【0025】
シリンダ本体6aの下端は、側壁3aに接続されている。ロッド6cの上端は、テールゲート4のアーム部4aの後端下端に接続されている。シリンダ本体6a内には、ピストン6bの下側に第1油室6dが形成され、ピストン6bの上側に第2油室6eが形成されている(図6参照)。
【0026】
図3に示す状態から、シリンダ本体6aの第1油室6d及び第2油室6eに作動油が供給されると、ピストン6bの受圧面積差により、テールゲートシリンダ6は伸長作動する。テールゲートシリンダ6の伸長初期において、図4に示すように、アーム部4aは第1ヒンジピン8を中心に上方回動するとともに、ゲート本体部4bは第2ヒンジピン9を中心に図3の時計回り方向に少しずつ回動しながら上方へ移動する。これにより、ロックピン10とフック11との係合が解除される。また、ゲート本体部4bの上端部がアーム部4aの後端面に当接するので、ゲート本体部4bの前記時計回り方向の回動が規制される。
【0027】
図4に示す状態から、さらにテールゲートシリンダ6を伸長作動させると、図5に示すように、アーム部4a及びゲート本体部4bは、一体となって第1ヒンジピン8を中心にさらに上方回動する。これにより、テールゲート4は上方回動して荷箱3の後部開口3bを開放する。
【0028】
図5に示す状態で、テールゲートシリンダ6の第1油室6dから作動油が排出されるとともに第2油室6eに作動油が供給されると、テールゲートシリンダ6は収縮作動する。その収縮作動によって、アーム部4a及びゲート本体部4bは、一体となって第1ヒンジピン8を中心に下方回動する。そして、図4に示すテールゲートシリンダ6の収縮終期において、ロックピン10がフック11の上部に当接すると、アーム部4aが第1ヒンジピン8を中心に下方回動するとともに、ゲート本体部4bは第2ヒンジピン9を中心に図4の反時計回り方向に少しずつ回動しながら下方へ移動する。これにより、図5に示すように、荷箱3の後部開口3bがテールゲート4により閉鎖されるとともに、ロックピン10がフック11に係合される。
【0029】
[ダンプ装置]
図1及び図2において、ダンプ装置5は、サブフレーム2bと荷箱3との間に配置されている。ダンプ装置5は、三角形状のリフトアーム21と、棒状のテンションリンク22と、ダンプシリンダ23と、を備えている。リフトアーム21の一の頂部は、連結軸24を介してサブフレーム2bに回動可能に取り付けられている。リフトアーム21の他の一の頂部には、テンションリンク22の一端部が連結軸25を介して回動可能に取り付けられている。テンションリンク22の他端部は、連結軸26を介して荷箱3の底部に回動可能に取り付けられている。
【0030】
リフトアーム21の残りの頂部には、ダンプシリンダ23の一端部が連結軸27を介して回動可能に取り付けられている。ダンプシリンダ23の他端部は、連結軸28を介して荷箱3の底部に回動可能に取り付けられている。ダンプシリンダ23は、単動式の油圧シリンダであり、その伸縮作動時に作動油が給排される作動油室23aを有している(図6参照)。
【0031】
図1に示す状態からダンプシリンダ23の作動油室23aに作動油を供給すると、ダンプシリンダ23は伸長作動する。ダンプシリンダ23が伸長作動すると、図2に示すようにリフトアーム21が連結軸24を中心として上方回動することで、荷箱3は車体2に対して前上がりに傾動したダンプ状態となる。図2に示すダンプ状態から、ダンプシリンダ23の作動油室23aから作動油を排出してダンプシリンダ23を収縮作動させると、リフトアーム21が連結軸24を中心として下方回動することで、図1に示すように荷箱3は、車体2上に倒伏した着床状態となる。
【0032】
[油圧回路の構成]
図6は、ダンプトラック1の油圧回路図である。この油圧回路は、主として、油タンク31、油圧ポンプ32、吐出油路33、戻り油路34、切換弁35、メイン油路36、第1分岐油路37、及び第2分岐油路(分岐油路)38を備えている。以下の説明において、油圧ポンプ32に近い側を「上流側」といい、油圧ポンプ32から遠い側を「下流側」という。また、各油路33,34,36~38において、油圧ポンプ32に近い側の路端を「上流端」といい、油圧ポンプ32から遠い側の路端を「下流端」という(後述する連通油路39、第1バイパス油路44、及び第2バイパス油路48も同様)。
【0033】
油圧ポンプ32は、油タンク31内の作動油を吸引して吐出する。吐出油路33は、油圧ポンプ32に接続されており、油圧ポンプ32から吐出された作動油は吐出油路33に流れる。吐出油路33には、作動油が上流側へ流れるのを規制するチェック弁40が設けられている。戻り油路34は、油タンク31に接続されており、作動油を油タンク31に戻す油路である。戻り油路34には、フィルタ41及びチェック弁42が図示のように接続されている。
【0034】
切換弁35は、吐出油路33とメイン油路36とを連通する状態と、戻り油路34とメイン油路36とを連通する状態と、に切り換える。本実施形態の切換弁35は、例えば3ポート三位置の電磁切換弁であり、各ポートに、吐出油路33の下流端、戻り油路34の上流端、及びメイン油路36の上流端が接続されている。切換弁35は、一対のソレノイド35a,35bを有する。各ソレノイド35a,35bは、作業者がスイッチ操作したときに励磁されるようになっている。
【0035】
切換弁35は、両ソレノイド35a,35bが非励磁の状態では中立位置(図6の中央の位置)にある。この中立位置では、メイン油路36は吐出油路33及び戻り油路34のいずれにも連通しておらず、吐出油路33と戻り油路34とが連通している。
【0036】
ソレノイド35aを励磁させると、切換弁35は中立位置から第1連通位置(図6の右側の位置)に切り換わる。この第1連通位置では、吐出油路33はメイン油路36と連通し、戻り油路34はいずれの油路とも連通しない。これにより、吐出油路33からメイン油路36に向かって作動油が流れる。
【0037】
ソレノイド35bを励磁させると、切換弁35は中立位置から第2連通位置(図6の左側の位置)に切り換わる。この第2連通位置では、戻り油路34はメイン油路36と連通する。これにより、メイン油路36から戻り油路34に向かって作動油が流れる。
【0038】
第1分岐油路37は、メイン油路36の下流端36aから分岐し、ダンプシリンダ23の作動油室23aに接続されている。第1分岐油路37には、リリーフ弁43が設けられている。リリーフ弁43は、メイン油路36から第1分岐油路37に流れる作動油の油圧が設定圧に達すると開弁し、第1分岐油路37の上流側から下流側への作動油の流れを許容する。リリーフ弁43の設定圧は、テールゲートシリンダ6の伸長作動に必要な油圧以上に設定されている。
【0039】
第1分岐油路37には、リリーフ弁43を迂回する第1バイパス油路(バイパス油路)44が設けられている。具体的には、第1バイパス油路44は、第1分岐油路37のリリーフ弁43よりも上流側から分岐し、第1分岐油路37のリリーフ弁43よりも下流側に接続されている。第1バイパス油路44には、第1チェック弁(チェック弁)45が設けられている。第1チェック弁45は、第1バイパス油路44の下流側から上流側への作動油の流れを許容し、第1バイパス油路44の上流側から下流側への作動油の流れを規制している。
【0040】
第2分岐油路38は、メイン油路36の下流端36aから分岐し、テールゲートシリンダ6の第1油室6dに接続されている。本実施形態の第2分岐油路38は、第1路部38aと、一対の第2路部38bと、を有している。第1路部38aの上流端は、メイン油路36の下流端36aに接続されている。一対の第2路部38bは、第1路部38aの下流端38a1から分岐し、各テールゲートシリンダ6の第1油室6dにそれぞれ接続されている。
【0041】
第2分岐油路38には、各テールゲートシリンダ6の第1油室6dと第2油室6eとを連通するための一対の連通油路39が接続されている。各連通油路39は、第2分岐油路38の第1路部38aにおいて、その下流端38a1よりも少し上流側の途中部38a2から分岐し、各テールゲートシリンダ6の第2油室6eに接続されている。これにより、テールゲートシリンダ6の第1油室6dと第2油室6eは、第2路部38b、第1路部38aの下流端38a1から途中部38a2までの部分、及び連通油路39を介して連通している。
【0042】
第2分岐油路38の第1路部38aには、途中部38a2よりも上流側にパイロットチェック弁46が設けられている。パイロットチェック弁46は、第1路部38aの下流側から上流側への作動油の流れを許容している。パイロットチェック弁46は、第1路部38aにおけるパイロットチェック弁46よりも上流側の作動油の油圧が所定圧未満のときは、第1路部38aの上流側から下流側への作動油の流れを規制する。
【0043】
パイロットチェック弁46は、第1路部38aにおけるパイロットチェック弁46よりも上流側の作動油の油圧が所定圧以上になると、第1路部38aの上流側から下流側への作動油の流れを許容する。前記所定圧は、切換弁35が中立位置にある状態で第1路部38aにおけるパイロットチェック弁46よりも上流側に作用する作動油の油圧よりも大きく、且つ、リリーフ弁43の設定圧よりも小さい値に設定されている。
【0044】
第2分岐油路38の第1路部38aには、パイロットチェック弁46よりも上流側に流量調整弁47が設けられている。流量調整弁47は、第1路部38aを流れる作動油の流量を調整する。また、第1路部38aには、流量調整弁47を迂回する第2バイパス油路48が設けられている。
【0045】
第2バイパス油路48は、第1路部38aの流量調整弁47よりも上流側から分岐し、第1路部38aの流量調整弁47よりも下流側、且つパイロットチェック弁46よりも上流側に接続されている。第2バイパス油路48には、第2チェック弁49が設けられている。第2チェック弁49は、第2バイパス油路48の上流側から下流側への作動油の流れを許容し、第2バイパス油路48の下流側から上流側への作動油の流れを規制している。
【0046】
これにより、テールゲートシリンダ6が収縮作動するときに、第1油室6dから排出されて第1路部38aの下流側から上流側に向かって流れる作動油は、必ず流量調整弁47を通過するので、その作動油の流量を流量調整弁47で調整することで、テールゲートシリンダ6の収縮速度を調整することができる。
【0047】
[走行時の油圧回路]
ダンプトラック1を走行させるとき、図6に示すように、切換弁35は中立位置に保持されているので、メイン油路36は、吐出油路33及び戻り油路34のいずれにも連通していない。ダンプシリンダ23及びテールゲートシリンダ6は、いずれも収縮した状態にある。すなわち、荷箱3は着床状態にあり、テールゲート4は荷箱3の後部開口3bを閉鎖している。
【0048】
ダンプトラック1の走行中に振動が発生すると、収縮状態にあるテールゲートシリンダ6が伸長作動しようとする場合がある。その場合、第2分岐油路38に残っている作動油が、テールゲートシリンダ6の第1油室6d及び第2油室6eに吸い込まれようとする。しかし、本実施形態では、ダンプトラック1の走行中に切換弁35は中立位置にあるので、第2分岐油路38のパイロットチェック弁46よりも上流側の作動油の油圧は所定圧未満となる。これにより、第2分岐油路38の上流側から下流側への作動油の流れはパイロットチェック弁46により規制されるので、テールゲートシリンダ6の伸長作動が抑制される。その結果、ダンプトラック1の走行中にテールゲート4が荷箱3の後部開口3bを開放する方向に回動するのを抑制することができる。
【0049】
[荷箱の傾動時の油圧回路]
図7は、荷箱3の傾動時における作動油の流れを説明する油圧回路図である。ダンプトラック1を停車させた状態(図1参照)で、作業者により荷箱3を傾動させるスイッチ操作が行われると、切換弁35のソレノイド35aが励磁される。これにより、図7に示すように、切換弁35は、中立位置から第1連通位置に切り換わり、吐出油路33とメイン油路36が連通する。
【0050】
次に、油圧ポンプ32が駆動されると、油圧ポンプ32から吐出された作動油は、吐出油路33、切換弁35、及びメイン油路36を介して、第1分岐油路37と第2分岐油路38(第1路部38a)にそれぞれ分岐して流れる。第1分岐油路37に流れた作動油は、その油圧がリリーフ弁43の設定圧に達するまで、ダンプシリンダ23の作動油室23aに供給されることはない。また、第1分岐油路37から第1バイパス油路44に流れた作動油も、第1チェック弁45により下流側への流れが規制されるので、ダンプシリンダ23の作動油室23aに供給されることはない。
【0051】
一方、第2分岐油路38の第1路部38aに流れた作動油は、流量調整弁47及び第2バイパス油路48の第2チェック弁49を通過し、パイロットチェック弁46の上流側まで流れる。そして、パイロットチェック弁46の上流側の作動油の油圧が所定圧以上になると、パイロットチェック弁46の上流側から下流側への作動油の流れが許容される。
【0052】
そうすると、第2分岐油路38の第1路部38aを流れる作動油は、第2路部38bと連通油路39を介して、各テールゲートシリンダ6の第1油室6dと第2油室6eにそれぞれ供給される。第1及び第2油室6d,6eに作動油が供給されると、テールゲートシリンダ6は伸長作動する。これにより、テールゲート4が伸長作動を開始するので、荷箱3の後部開口3bを開放することができる。
【0053】
各テールゲートシリンダ6の伸長作動が完了し、荷箱3の後部開口3bが開放された状態になると(図5参照)、第1分岐油路37内の作動油の油圧がリリーフ弁43の設定圧に達することで、リリーフ弁43が開弁する。そうすると、第1分岐油路37内の作動油は、リリーフ弁43を通過してダンプシリンダ23の作動油室23aに供給される。これにより、ダンプシリンダ23が伸長作動を開始し、荷箱3は車体2に対して前上がりに傾動する(図2参照)。したがって、テールゲートシリンダ6を伸長作動させた後に、ダンプシリンダ23を伸長作動させることができるので、荷箱3の後部開口3bを開放してから荷箱3を傾動させることができる。これにより、荷箱3内の土砂等の積載物を、後部開口3bから確実に外部へ排出することができる。
【0054】
[荷箱の倒伏時の油圧回路]
図8は、荷箱3の倒伏時における作動油の流れを説明する油圧回路図である。荷箱3が傾動した状態(図2参照)で、作業者により荷箱3を倒伏させるスイッチ操作が行われると、切換弁35のソレノイド35bが励磁される。これにより、図8に示すように、切換弁35は、中立位置から第2連通位置に切り換わり、戻り油路34とメイン油路36が連通する。
【0055】
戻り油路34とメイン油路36が連通すると、切換弁35よりも下流側の各油路36~39,44,48における作動油の油圧が開放される。これにより、伸長状態のダンプシリンダ23は荷箱3の自重により収縮作動を開始し、伸長状態のテールゲートシリンダ6はテールゲート4の自重により収縮作動を開始する。
【0056】
ダンプシリンダ23が収縮作動することで、作動油室23a内の作動油は、第1バイパス油路44及び第1チェック弁45を経由して第1分岐油路37を通過し、メイン油路36に流れる。また、テールゲートシリンダ6が収縮作動することで、第1油室6d内の作動油は、第2分岐油路38を通過してメイン油路36に流れる。第1分岐油路37及び第2分岐油路38のそれぞれからメイン油路36に流れた作動油は、切換弁35、戻り油路34を通過して油タンク31に戻る。これにより、ダンプシリンダ23を収縮作動させながらテールゲートシリンダ6を収縮作動させることができるので、荷箱3の後部開口3bを閉鎖するようにテールゲート4を下方回動させながら、荷箱3を車体2上に倒伏させることができる。
【0057】
上記のようにテールゲートシリンダ6が収縮作動するとき、第1油室6dから第2路部38bを介して第1路部38aの下流端38a1へ流れた作動油の一部は、第1路部38aの途中部38a2から連通油路39を介して第2油室6eに供給される。これにより、テールゲート4の自重でテールゲートシリンダ6を収縮作動させる場合でも、テールゲートシリンダ6の収縮作動速度を高めることができる。その結果、ダンプシリンダ23を収縮作動させて荷箱3を倒伏させている間に、テールゲート4は下方回動を終えて荷箱3の後部開口3bを閉鎖する可能性が高くなるので、荷箱3の後部開口3bを開放させたままダンプトラック1が走行するのを抑制することができる。
【0058】
また、前述したように、テールゲートシリンダ6の収縮終期にテールゲート4側のロックピン10が荷箱3側のフック11に係合されるので、テールゲートシリンダ6の収縮作動速度が高まることで、ダンプシリンダ23を収縮作動させて荷箱3を倒伏させている間に、ロックピン10をフック11に確実に係合させることができる。
【0059】
以上のように、本実施形態の油圧回路では、単一の切換弁35により、テールゲートシリンダ6及びダンプシリンダ23をその順に伸長作動させる状態と、テールゲートシリンダ6及びダンプシリンダ23の両方を収縮作動させる状態とに切り換えることができる。これにより、テールゲートシリンダ6に作動油を給排するための切換弁、及びダンプシリンダ23に作動油を給排するための切換弁を個別に設ける必要がないので、油圧回路をコスト安価に構成することができる。
【0060】
また、パイロットチェック弁46の所定圧はリリーフ弁43の設定圧よりも小さいので、テールゲートシリンダ6を伸長作動させた後に、ダンプシリンダ23を伸長作動させることができる。これにより、上記のようにパイロットチェック弁46を用いても、荷箱3の後部開口3bを開放してから荷箱3を傾動させることができる。
【0061】
[その他]
なお、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0062】
例えば、本実施形態の連通油路39は、第2分岐油路38(第1路部38a)とテールゲートシリンダ6の第2油室6eとを連通しているが、図9に示すように、テールゲートシリンダ6の第1油室6dと第2油室6eとを直接連通してもよい。また、ダンプ装置5は、少なくともダンプシリンダ23を備えていればよい。
【0063】
本実施形態のテールゲート4は、アーム部4aとゲート本体部4bとによって構成されているが、ゲート本体部4bのみで構成されていてもよい。その場合、テールゲートシリンダ6のテールゲート4側の端部は、ゲート本体部4bに接続すればよい。
【0064】
切換弁35は、メイン油路36と吐出油路33とを連通する状態と、メイン油路36と戻り油路34とを連通する状態とに切り換えられることができれば、本実施形態に限定されるものではない。例えば、切換弁35は二位置の電磁切換弁であってもよい。
【符号の説明】
【0065】
1 ダンプトラック
2 車体
3 荷箱
3b 後部開口
4 テールゲート
6 テールゲートシリンダ
6d 第1油室
6e 第2油室
23 ダンプシリンダ
23a 作動油室
31 油タンク
32 油圧ポンプ
33 吐出油路
34 戻り油路
35 切換弁
36 メイン油路
37 第1分岐油路
38 第2分岐油路(分岐油路)
39 連通油路
43 リリーフ弁
44 第1バイパス油路(バイパス油路)
45 第1チェック弁(チェック弁)
46 パイロットチェック弁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9