IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社イノアックコーポレーションの特許一覧

<>
  • 特許-防音カバー 図1
  • 特許-防音カバー 図2
  • 特許-防音カバー 図3
  • 特許-防音カバー 図4
  • 特許-防音カバー 図5
  • 特許-防音カバー 図6
  • 特許-防音カバー 図7
  • 特許-防音カバー 図8
  • 特許-防音カバー 図9
  • 特許-防音カバー 図10
  • 特許-防音カバー 図11
  • 特許-防音カバー 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-13
(45)【発行日】2024-12-23
(54)【発明の名称】防音カバー
(51)【国際特許分類】
   G10K 11/16 20060101AFI20241216BHJP
   F04B 39/00 20060101ALI20241216BHJP
【FI】
G10K11/16 150
F04B39/00 101T
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021075062
(22)【出願日】2021-04-27
(65)【公開番号】P2022169191
(43)【公開日】2022-11-09
【審査請求日】2023-12-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000119232
【氏名又は名称】株式会社イノアックコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100158067
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 基
(74)【代理人】
【識別番号】100147854
【弁理士】
【氏名又は名称】多賀 久直
(72)【発明者】
【氏名】加藤 治樹
(72)【発明者】
【氏名】早川 大生
【審査官】▲徳▼田 賢二
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-160882(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第112675983(CN,A)
【文献】中国実用新案第209829504(CN,U)
【文献】特開昭60-062678(JP,A)
【文献】登録実用新案第3226820(JP,U)
【文献】特開平09-079221(JP,A)
【文献】特開2000-129816(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10K 11/16
F04B 39/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒンジで開閉可能な外殻体と、
前記外殻体の内側に配置された吸音体と、
前記外殻体に設けられ、前記吸音体を保持する保持部と、を有し
前記保持部が、前記外殻体の縁から内側へ延びる鉤状に形成されている
ことを特徴とする防音カバー。
【請求項2】
前記外殻体に設けられた係合部と、
前記外殻体に設けられ、該外殻体を閉じた際に前記係合部を引っ掛け可能な係合受部と、を有し、
前記保持部が、前記係合受部の内側に配置されている請求項1記載の防音カバー。
【請求項3】
前記外殻体は、エラストマーの成形品であり、
前記吸音体は、発泡体の成形品である請求項1または2記載の防音カバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えばコンプレッサやモータなどの機器に取り付け可能な防音カバーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
機械や装置の振動・騒音対策として、防音カバーを取り付けることが提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1の防音カバーは、樹脂製の外殻と、外殻の内側に配置された吸音材とで構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平7-175483号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のようにコンプレッサと外殻との間に吸音材を詰め込む構成であると、吸音材がずれ易い。
【0005】
本発明は、従来の技術に係る前記問題に鑑み、これらを好適に解決するべく提案されたものであって、吸音体が適切に保持された防音カバーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、本発明に係る防音カバーは、
ヒンジで開閉可能な外殻体と、
前記外殻体の内側に配置された吸音体と、
前記外殻体に設けられ、前記吸音体を保持する保持部と、を有していることを要旨とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る防音カバーによれば、吸音体を保持部によって適切に保持できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第1実施形態に係る防音カバーを、外殻体を閉じた状態で示す斜視図である。
図2】第1実施形態の防音カバーを、外殻体を開いた状態で示す斜視図である。
図3】第1実施形態の防音カバーを示す平面図である。
図4】第1実施形態の防音カバーを示す正面図である。
図5】第1実施形態の防音カバーを示す側面図である。
図6】第1実施形態の外殻体を開いた状態で示す平面図である。
図7図2のA-A線端面図である。
図8図7のB部拡大図である。
図9】第2実施形態の外殻体を開いた状態で示す斜視図である。
図10】(a)は第2実施形態の外殻体を開いた状態で示す平面図である。(b)は(a)のC-C線端面図である。(c)は(a)のD-D線端面図である。
図11】第2実施形態の防音カバーを、図10のE-E線に対応する位置で切断した端面図である。
図12図11のF部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に、本発明に係る防音カバーにつき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照して以下に説明する。本発明の防音カバーは、例えば、コンプレッサやモータやその他の音発生源(取付対象物)に取り付け可能であり、より具体的には、車両に搭載されている車載機器などに用いることができる。
【実施例
【0010】
(第1実施形態)
図1および図2に示すように、第1実施形態の防音カバー10は、ヒンジ14で開閉可能な外殻体12と、外殻体12の内側に配置された吸音体16を備えている。また、吸音体16を保持する保持部18が、外殻体12に設けられている(図2および図6参照)。防音カバー10は、外殻体12を開いて取付対象物に着脱され(図2参照)、外殻体12を閉じることで、取付対象物を囲うように取り付けられる(図1参照)。
【0011】
図1および図3図5に示すように、外殻体12は、防音カバー10の外殻を構成し、音の透過を遮る遮音体として機能する。外殻体12は、ヒンジ14を支点として2つの壁部分20,20に分けて開放可能に構成されている。また、外殻体12は、2つの壁部分20,20の開放端同士を突き合わせて閉じることで、取付対象物を包囲可能な箱状になる。第1実施形態のヒンジ14は、半円筒形状の壁部分20と一体的に形成されたインテグラルヒンジである。
【0012】
図6に示すように、第1実施形態の外殻体12は、壁部分20、ヒンジ14、保持部18、係合部22および係合受部24などの各部が一体成形された高分子化合物の成形品である。外殻体12を構成する高分子化合物としては、オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)などの熱可塑性エラストマー(TPE)を含むエラストマー、または、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)などの合成樹脂等を用いることができる。なお、外殻体12として、防音カバー10に干渉するおそれがある周辺部材の保護などの観点において、オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)などのエラストマーが柔軟性を有することから好ましい。
【0013】
図1図4および図5に示すように、一方の壁部分20に設けられた係合部22を、他方の壁部分20に設けられた係合受部24に引っ掛けて、外殻体12の閉じた状態を保持可能になっている。係合部22は、壁部分20におけるヒンジ14が設けられた縁部と異なる縁部に設けられている(図6参照)。係合部22は、壁部分20の縁部から突出するように形成された舌片形状である。また、係合部22を貫通して係合孔22aが形成されている(図2参照)。係合受部24は、外殻体12を閉じた際に係合部22に対応する部位に設けられている。係合受部24は、壁部分20におけるヒンジ14が設けられた縁部と異なる縁部に設けられている。係合受部24は、係合孔22aを通して、係合孔22aの開口縁に引っ掛け可能な鉤形状に形成されている。
【0014】
吸音体16は、ポリウレタンフォームやオレフィン系フォームなどの発泡体の成形品を用いることができる。吸音体16が、壁部分20のそれぞれに対応して配置されている。第1実施形態において、外殻体12を閉じた際に、2つの吸音体16,16で取付対象物を囲うようになっている。吸音体16は、外殻体12と別体であり、外殻体12に対して着脱可能である。吸音体16は、保持部18によって外殻体12に保持されているだけで、外殻体12をインサートした型で吸音体16を成形して外殻体12と一体化したり、外殻体12に接着剤等により接着したりするなどのように、外殻体12に接合されていない。
【0015】
図6に示すように、保持部18は、壁部分20の縁部に設けられている。保持部18は、外殻体12の縁から内側へ延びる鉤状に形成されている(図7および図8参照)。より具体的には、保持部18は、壁部分20の縁から内側へ延出する延出片18aと、延出片18aの延出端から壁部分20に対向するように延びる保持片18bとを有している。保持部18は、保持片18bと壁部分20との間に、吸音体16の縁部を挟持するようになっている。なお、第1実施形態において、保持片18bの先端部は、壁部分20の内面から離れるように開いており、吸音体16を着脱する際に保持片18bを操作し易くなっている。保持部18は、壁部分20に複数箇所設けられている。例えば、係合部22を有する壁部分20において、ヒンジ14に繋がる縁部におけるヒンジ14の内側に対応する位置や、ヒンジ14と異なる縁部などに、保持部18が設けられている(図6参照)。また、係合受部24を有する壁部分20において、ヒンジ14に繋がる縁部におけるヒンジ14の内側に対応する位置や、係合受部24の内側に対応する位置や、ヒンジ14と異なる縁部などに、保持部18が設けられている(図6参照)。
【0016】
図2に示すように、吸音体16は、保持部18を収容可能な収容凹部26を有している。第1実施形態の収容凹部26は、延出片18aに対応して吸音体16の端面を凹ませると共に、保持片18bに対応して吸音体16の内面を凹ませて形成されている。外殻体12を閉じたときに、延出片18aが収容凹部26に収容されて、壁部分20の端や吸音体16の端面から出っ張ることなく、吸音体16の間に隙間が生じ難くすることができ、防音性能を向上できる。また、保持部18を収容凹部26に収容することで、壁部分20に対して吸音体16を位置決めできる。
【0017】
第1実施形態の防音カバー10は、吸音体16を保持部18によって外殻体12に保持するので、吸音体16が位置ずれすることを防止できる。また、保持部18で吸音体16を保持することで、吸音体16を外殻体12に簡単に取り付けることができる。特に保持部18によって吸音体16の縁部を保持することで、少ない数の保持部18によって吸音体16を効果的に保持できる。
【0018】
吸音体16を外殻体12に接着剤で接着する場合とは異なり、第1実施形態の防音カバー10は、接着剤の塗布手間や塗布不良が発生することなく、吸音体16を外殻体12に簡単に取り付けることができる。また、吸音体16を外殻体12に一体成形する場合とは異なり、第1実施形態の防音カバー10は、吸音体16と外殻体12とを接合させないので、互いに接合する材質を選ぶ必要がなく、外殻体12および吸音体16の材質の自由度を向上できる。
【0019】
外殻体12の縁から内側へ延びる鉤状に形成された保持部18を、吸音体16に挟むことで、吸音体16を外殻体12に簡単に取り付けることができる。このように簡単な形状の保持部18によって、吸音体16を適切に位置決めできる。
【0020】
第1実施形態において、係合部22を引っ張りつつ、係合孔22aに係合受部24を通して、係合受部24に係合部22に引っ掛ける。この際、係合受部24が係合部22(係合孔22a)以外の部分で押さえられることがある。特に外殻体12がエラストマーの成形体であると、外殻体12における係合受部24の周辺が撓み易く、係合受部24に係合部22を引っ掛け難くなる。ここで、保持部18が係合受部24の内側に配置されていると、外殻体12における係合受部24の周辺が撓み難くなり、係合部22を係合受部24に引っ掛け易くなる。これにより、取付対象物に対する防音カバー10の取り付け作業を行い易くすることができる。
【0021】
外殻体12が、エラストマーの成形品であることで、防音カバー10の周辺に配置された機器などに接触しても、悪影響を与え難くすることができる。また、吸音体16が発泡体の成形品であることで、好適な吸音性能が得られる。
【0022】
(第2実施形態)
図9図12を参照して、第1実施形態と別の実施形態の保持部を有する防音カバー30を以下に説明する。なお、第2実施形態の防音カバー30の基本的な構成は、第1実施形態と同じにすることができる。
【0023】
図10(a)に示すように、第2実施形態の外殻体12は、突片形状の第1保持部32と、鉤形状の第2保持部34とを有している。第1保持部32は、壁部分20の内面から立ち上がる板状である。第1保持部32は、吸音体16に形成された凹状の第1受部36に挿入される(図11および図12参照)。第2実施形態の第1保持部32は、壁部分20の縁近傍に設けられ、吸音体16の縁部を保持するようになっている。第2保持部34は、壁部分20の内面から立ち上がる板状である。複数の第2保持部34が外殻体12に並べて設けられ、鉤が一方に向く第2保持部34(図10(b))と、鉤が一方と反対へ向く第2保持部34(図10(c))とを有している。第2保持部34は、吸音体16に形成された凹状の第2受部38に引っ掛かるようになっている(図11参照)。第2実施形態の第2保持部34は、壁部分20の中央部に設けられ、吸音体16の中央部を保持するようになっている。
【0024】
第2実施形態であっても第1実施形態と同様の作用効果を奏する。第1保持部32が、係合受部24の内側に配置されていると、壁部分20の撓みを抑える効果が向上して更に良い。第2実施形態であれば、第1保持部32および第2保持部34によって、吸音体16をより効果的に位置決め保持することができる。なお、第1実施形態であれば、外殻体12に吸音体16をより簡単に取り付けることができる。
【0025】
(変更例)
前述した事項に限らず、例えば以下のようにしてもよい。なお、本発明は、実施例および以下の変更例の具体的な記載のみに限定されるものではない。
(1)防音カバーは、外側全体を外殻体で構成することに限らず、吸音体の一部が外側に露出していてもよい。
(2)外殻体は、2つに開く構成に限らず、3つ以上の壁部分をヒンジで接続した構成であってもよい。
(3)吸音体は、ポリウレタンフォームなどの発泡体が吸音性や軽量であることなどから好適であるが、グラスウールなどの他の吸音材料を用いてもよい。
(4)第1実施形態の保持部の構成を、第2実施形態の第1保持部として適用してもよい。
(5)第2実施形態において、第1保持部および第2保持部の一方を省略してもよい。
【符号の説明】
【0026】
12 外殻体,14 ヒンジ,16 吸音体,18 保持部,22 係合部,
24 係合受部,32 第1保持部(保持部),34 第2保持部(保持部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12