(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-13
(45)【発行日】2024-12-23
(54)【発明の名称】図面情報抽出システム、及び展開接続図・ソフトロジック図連携シミュレーションシステム
(51)【国際特許分類】
G05B 19/048 20060101AFI20241216BHJP
G05B 23/02 20060101ALI20241216BHJP
【FI】
G05B19/048
G05B23/02 Z
(21)【出願番号】P 2021111330
(22)【出願日】2021-07-05
【審査請求日】2024-03-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001380
【氏名又は名称】弁理士法人東京国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高倉 啓
(72)【発明者】
【氏名】西 優弥
(72)【発明者】
【氏名】芝 広樹
(72)【発明者】
【氏名】日隈 幸治
(72)【発明者】
【氏名】冨澤 充夫
【審査官】岩▲崎▼ 優
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-096029(JP,A)
【文献】特開2008-203987(JP,A)
【文献】特開2003-067010(JP,A)
【文献】特開平9-265306(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/04 -19/05
G05B 23/00 -23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソフトロジック図との取り合い部を含む展開接続図(ECWD)中から前記ソフトロジック図に関する回路要素を抽出して特定の他の回路要素に変換するソフトロジック取り合い変換部と、
1枚以上の前記ECWD間での相互の取り合い情報を整合する取り合い情報整合部と、
全ての前記回路要素の繋がり関係を整理する繋がり関係整理部と、
前記ECWD中に含まれる全ての前記回路要素の情報を整理するシンボル情報整理部と、を有して構成されたことを特徴とする図面情報抽出システム。
【請求項2】
前記ソフトロジック取り合い変換部は、ECWD中に存在するソフトロジック図に関する回路要素をコイルやスイッチを含むアナログ回路要素に変換するシンボル変換部と、前記シンボル変換部にて変換された前記アナログ回路要素に前記ソフトロジック図との信号の入出力に関する情報を付与するI/O情報付与部と、を備えて構成されたことを特徴とする請求項1に記載の図面情報抽出システム。
【請求項3】
前記ソフトロジック取り合い変換部は、シンボル変換部での変換ルールを記録したシンボル変換DBを、備えて構成されたことを特徴とする請求項2に記載の図面情報抽出システム。
【請求項4】
前記ECWD中の回路要素を、一意に識別して表現するノードに変換するノード化部を、更に有して構成されたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に載の図面情報抽出システム。
【請求項5】
ソフトロジック図との取り合い部を含む展開接続図(ECWD)と前記ソフトロジック図とを連携させて、アイソレーションに関するシミュレーションを行う展開接続図・ソフトロジック図連携シミュレーションシステムであって、
前記ECWD中の回路要素の通電状態をシミュレーションするECWDシミュレーション機能部と、
前記ソフトロジック図中の信号をシミュレーションするソフトロジック図シミュレーション機能部と、
前記ECWDシミュレーション機能部と前記ソフトロジック図シミュレーション機能部によるそれぞれのシミュレーションを連携させるためのECWD・ソフトロジック図インターフェースと、を有して構成されたことを特徴とする展開接続図・ソフトロジック図連携シミュレーションシステム。
【請求項6】
前記ECWD・ソフトロジック図インターフェースは、ECWDとソフトロジック図との接続点の対応関係を抽出する接続点対応関係整合部と、ECWDシミュレーション機能部からのECWD接続点状態情報とソフトロジック図シミュレーション機能部からのソフトロジック図接続点状態情報とを、前記対応関係に基づいてフォーマット変換するECWD/ソフトロジック図状態情報変換部と、前記ECWDシミュレーション機能部と前記ソフトロジック図シミュレーション機能部とのそれぞれのシミュレーションのタイムステップを監視して、前記両シミュレーションを制御するシミュレーションタイムステップ制御部と、を備えて構成されたことを特徴とする請求項5に記載の展開接続図・ソフトロジック図連携シミュレーションシステム。
【請求項7】
前記ECWDシミュレーション機能部は、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の図面情報抽出システムにより作成されたECWDシミュレーション情報を入力して用いることを特徴とする請求項5または6に記載の展開接続図・ソフトロジック図連携シミュレーションシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、展開接続図(ECWD)からECWDシミュレーション情報を抽出する図面情報抽出システムと、この図面情報抽出システムを備えた展開接続図・ソフトロジック図連携シミュレーションシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
発電所等において、配電システムや運転機器、監視機器などの工事、保守・点検または修理を行なう場合、作業員の安全確保、及び他機器や他系統への影響を最小限に抑えるために、対象となる配電システムまたは機器をプラントの系統及びシステムから電気的に隔離し停止(停電)させる。このような作業はアイソレーション作業と呼ばれている。
【0003】
従来、このようなアイソレーション作業の計画は、専門のエンジニアが各機器の接続関係を示す単線結線図、構成機器の制御関係を示すECWD(展開接続図)、IBD(インターロックブロック線図)、ソフトロジック図等の設計図書を参照し、影響を一つ一つ検討し評価しながらアイソレーション作業の計画を作成していた。
【0004】
例えば原子力発電所では、アイソレーション計画をエンジニアが策定する際には数千~数万の関連図書を調査する必要があり、エンジニアには専門性と熟練された経験が必要とされ、また多くの労力が費やされていた。また、検討不足や見落とし等に起因するアイソレーション計画のミスによって異常を知らせる警報が発生したり、プラント自体の運転が停止したりしてしまう事象も生じている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平6-46528公報
【文献】特願2011-96029号公報
【文献】特開2008-181283号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
これまでに、特許文献1に示すようなプラントの母線点検のための作業計画立案及び実施を自動化するアイソレーション装置を提案したものや、特許文献2のような設計図書から対象となる図面を抽出する保守作業計画支援方法及びシステムが提案されている。また、特許文献3では、アイソレーション作業の実施時に誤ったアイソレーション作業を行うことを防止するための誤アイソレーション防止装置が提案されている。
【0007】
ところで、回路シミュレータ、論理回路シミュレータ、または経路探索を行う経路探索シミュレータ等を用いて隔離状態の抽出を行うことはできるが、対象が複数種類の図面にまたがる場合にはシミュレーションが困難になる。例えば、ECWD上にソフトロジック図で記述されたデジタル制御装置がある場合、ECWDのみを対象としたシミュレーションだけでは不十分で、デジタル制御装置の挙動も把握する必要がある。このデジタル制御装置の挙動を把握するためにはソフトロジック図のシミュレーションを行う必要がある。
【0008】
特許文献2における保守作業計画支援方法及びシステムでは、IBDからソフトロジック図を参照するために、IBDとECWDとソフトロジック図とを用いてアイソレーション作業の事前検討を支援する方法が提案されている。この事例では、IBDとソフトロジック図とECWDとを入力信号名等から紐づけする方法が提案されているが、ソフトロジック図とECWDとを連携させてシミュレーションする方法は開示されていない。
【0009】
本発明の実施形態は、上述の事情を考慮してなされたものであり、ソフトロジック図との取り合い部を含む展開接続図(ECWD)であっても、アイソレーションに関するECWDシミュレーションを実施するために必要なECWDシミュレーション情報を得ることができる図面情報抽出システムを提供することを目的とする。
【0010】
また、本発明の実施形態は、ソフトロジック図との取り合い部を含む展開接続図(ECWD)を用いてアイソレーションをシミュレーションする際に、ECWDとソフトロジック図とを連携させてシミュレーションすることができる展開接続図・ソフトロジック図連携シミュレーションシステムを提供することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の実施形態における図面情報抽出システムは、ソフトロジック図との取り合い部を含む展開接続図(ECWD)中から前記ソフトロジック図に関する回路要素を抽出して特定の他の回路要素に変換するソフトロジック取り合い変換部と、1枚以上の前記ECWD間での相互の取り合い情報を整合する取り合い情報整合部と、全ての前記回路要素の繋がり関係を整理する繋がり関係整理部と、前記ECWD中に含まれる全ての前記回路要素の情報を整理するシンボル情報整理部と、を有して構成されたことを特徴とする図面情報抽出システムものである。
【0012】
本発明の実施形態における展開接続図・ソフトロジック図連携シミュレーションシステムは、ソフトロジック図との取り合い部を含む展開接続図(ECWD)と前記ソフトロジック図とを連携させて、アイソレーションに関するシミュレーションを行う展開接続図・ソフトロジック図連携シミュレーションシステムであって、前記ECWD中の回路要素の通電状態をシミュレーションするECWDシミュレーション機能部と、前記ソフトロジック図中の信号をシミュレーションするソフトロジック図シミュレーション機能部と、前記ECWDシミュレーション機能部と前記ソフトロジック図シミュレーション機能部によるそれぞれのシミュレーションを連携させるためのECWD・ソフトロジック図インターフェースと、を有して構成されたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の実施形態の図面情報抽出システムによれば、ソフトロジック図との取り合い部を含む展開接続図(ECWD)であっても、アイソレーションに関するECWDシミュレーションを実施するために必要なECWDシミュレーション情報を得ることができる。
【0014】
また、本発明の実施形態の展開接続図・ソフトロジック図連携シミュレーションシステムによれば、ソフトロジック図との取り合い部を含む展開接続図(ECWD)を用いてアイソレーションをシミュレーションする際に、ECWDとソフトロジック図とを連携させてシミュレーションすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】第1実施形態に係る図面情報抽出システムが適用された図面情報抽出機能部を有する展開接続図・ソフトロジック図連携シミュレーションシステムの構成を示すブロック図。
【
図2】
図1の図面情報抽出機能部の構成を示すブロック図。
【
図3】
図2のソフトロジック取り合い変換部の構成を示すブロック図。
【
図4】
図2の取り合い情報整合部の構成を示すブロック図。
【
図5】
図1のECWD・ソフトロジック図インターフェースの構成を示すブロック図。
【
図6】デジタル制御装置を含む展開接続図(ECWD)の一例を示す図。
【
図7】ソフトロジック図との取り合い部分があるECWDの一例を示す図。
【
図8】ソフトロジック図との取り合い部分があるECWDの他の例を示す図。
【
図9】
図7の回路シンボルを変換したシンボル変換結果を含むECWDを示す図。
【
図10】
図3のシンボル変換DBの一例を示す説明図。
【
図11】
図4の渡線取り合い整合部での処理の一例を示す説明図。
【
図12】
図4のリレー関係整合部での処理の一例を示す説明図。
【
図13】
図5のECWDシミュレーション機能部、ソフトロジック図シミュレーション機能部及びECWD・ソフトロジック図インターフェースによる処理動作を示すフローチャート。
【
図14】第2実施形態に係る図面情報抽出システムが適用された図面情報抽出機能部の構成を示すブロック図。
【
図15】回路要素に線番と機器番号を明示したECWDの一例を示す図。
【
図16】回路要素にノード番号を付与したECWDの一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための形態を、図面に基づき説明する。
[A]第1実施形態(
図1~
図13)
図1は、第1実施形態に係る図面情報抽出システムが適用された図面情報抽出機能部を有する展開接続図・ソフトロジック図連携シミュレーションシステムの構成を示すブロック図である。この
図1に示す展開接続図・ソフトロジック図連携シミュレーションシステム1は、例えばプラントの対象機器を他の機器や系統からアイソレーションさせる計画を作成する際に用いられるものであり、ソフトロジック図との取り合い部を含む展開接続図(ECWD)と上記ソフトロジック図とを連携させて前記アイソレーションに関するシミュレーションを行うものである。この展開接続図・ソフトロジック図連携シミュレーションシステム1は、シミュレーション条件設定部2、図面情報抽出システムとしての図面情報抽出機能部4、ECWDシミュレーション機能部7、ソフトロジック図シミュレーション機能部8、ECWD・ソフトロジック図インターフェース9、及び結果表示部11を有して構成される。
【0017】
シミュレーション条件設定部2は、シミュレーション対象の図面(ECWD及びソフトロジック図)の選択、並びに境界条件、図面上の機器の初期状態、及びその他のシミュレーション制約条件を、ユーザーの操作によって設定する。ここで、ECWDは展開接続図であり、シーケンス制御の動作過程を、その動作順序に沿って平面的に展開したものであって、機器や配電盤、ユニットなどの相互の接続関係を表現している。
【0018】
図面情報抽出機能部4は、シミュレーション条件設定部2から入力される構造化された図面(ECWD)3から、ECWDシミュレーション機能部7によるECWDシミュレーションに必要なECWDシミュレーション情報5を抽出するものである。ここで、
【0019】
構造化された図面(ECWD)では、図面上の配線、回路シンボルまたは渡線シンボル等の全ての回路要素(シンボル)がベクター形式になっており、図面中の文字や英数字が文字情報として定義されている。また、それぞれの回路シンボルや配線は、その属性情報及び接続情報を保持している。属性情報であれば、例えば
図15に示す図面中の回路シンボルγはランプであり、接続点1と接続点2があるといった情報を保持しており、また、接続情報として回路シンボルγは、線番2の配線と線番3の配線に接続されている等の情報を有している。構造化された図面としては、一般的に、CADソフトで作図され且つ上述の属性情報及び接続情報を保持するCAD図面が挙げられる。
【0020】
上記図面情報抽出機能部4は、
図2に示すように、構造化された図面(ECWD)3を対象に、この構造化された図面(ECWD)3中からソフトロジック図との取り合い部分であるソフトロジック図に関する回路要素を特定の他の回路要素に変換するソフトロジック取り合い変換部12と、1枚以上の構造化された図面(ECWD)3間での相互の取り合い情報を整合する取り合い情報整合部13と、この取り合い情報整合部13により整合がとられた構造化された図面(ECWD)3中に含まれる全ての回路要素の繋がり関係を整理する繋がり関係整理部14と、取り合い情報整合部13により整合がとられた構造化された図面(ECWD)3中に含まれる全ての回路要素の情報を整理するシンボル情報整理部15と、繋がり関係整理部14及びシンボル情報整理部15により整理された情報をECWDシミュレーション情報5として出力する出力部17と、を有して構成される。
【0021】
上述のソフトロジック取り合い変換部12について
図3を用いて詳説する。ソフトロジック取り合い変換部12は、構造化された図面(ECWD)3中から回路要素をシンボル情報20として抽出するシンボル情報抽出部19と、このシンボル情報抽出部19で抽出されたシンボル情報20から、ソフトロジック図に関する回路要素であるソフトロジック図との繋がり関係がある回路要素を検出し、この回路要素を特定の回路要素(例えばアナログ回路要素)に変換するシンボル変換部21と、シンボル変換部21にて変換された回路要素にソフトロジック図との信号の入出力に関する情報を属性情報として付与するI/O情報付与部23と、を備えて構成される。更に、このソフトロジック取り合い変換部12は、シンボル変換部21での変換ルールを記録したシンボル変換DB(データベース)22を備える。
【0022】
図2及び
図3に示すように、構造化された図面(ECWD)3がソフトロジック取り合い変換部12に入力されると、このソフトロジック取り合い変換部12では、まず、シンボル情報抽出部19によりシンボル情報20が抽出される。このシンボル情報20には、入力された構造化された図面(ECWD)3の中に含まれるコイルや接点、接続点等の回路シンボル、渡線シンボル及び配線といった全ての回路要素(シンボル)について、形状の他に、回路要素の名称や種別などの属性情報に関する情報が含まれる。
【0023】
次に、シンボル情報20がシンボル変換部21に入力される。シンボル変換部21では、シンボル情報20中のソフトロジック図との取り合い箇所(部分)がある回路要素(シンボル)が、特定の他の回路要素(例えばアナログ回路要素)に変換される。ソフトロジック図との取り合い箇所がある回路要素とは、
図7のECWDにおける回路シンボル25-1のユニットU1234、
図6のECWDにおける回路シンボル25-2のデジタル制御装置、
図8の回路シンボル25-3のユニットA00-A0-A00-0やB00-B0-B00-0が挙げられる。
図9には、
図7の回路シンボル25-1がシンボル変換部21により変換されたシンボル変換結果26が示されている。
【0024】
これらのソフトロジック図との取り合いがある回路要素(シンボル)は、シンボル変換DB22に登録されている。シンボル情報20に、シンボル変換DB22にて登録された回路要素(シンボル)が存在する場合には、この回路要素は、予めシンボル変換DBに登録された回路要素(シンボル)に変換される。
【0025】
例えば、シンボル変換DB22には、
図10に示すようなシンボル変換テーブルが登録されている。1列目に示す変換前のシンボル(回路要素)を例に説明すると、このシンボルが存在する場合、このシンボルはスイッチと配線(電源線)からなるシンボル郡に変換される。また、変換後のシンボルは、変換前のシンボルが保持していた情報を属性情報として保持する。変換前のシンボルが保持していた情報とは、点Noや取り合い対象のソフトロジック図の図面番号、ユニット番号などが挙げられる。
図10では、変換前のシンボルが保持していた点No;Dは、変換後のシンボルの属性値1に格納される。
【0026】
なお、
図10では、変換後のシンボルは接点や電源線というような回路要素で構成される。変換後のシンボル(表示)は、変換後のシンボル(機能)で表現されるような接点や電源線といった回路要素である必要はなく、表示上は変換前のシンボルに類似した形状でもよい。即ち、
図10の4列目に示すように、2列目の接点や電源線といった回路要素と同等の機能を有していればよい。
【0027】
次に、
図3に示すI/O情報付与部23において、ソフトロジック図との信号の入出力に関する情報が属性情報として追加で付与される。以上の処理によって、構造化された図面(ECWD)3は、ソフトロジック図との取り合い情報が付与された図面(ECWD)24に変換される。
【0028】
図4を用いて、前述の取り合い情報整合部15の構成を説明する。この取り合い情報整合部15は、ソフトロジック図との取り合い情報が付与された図面(ECWD)24に対して、他の配線との繋がりがある渡線の取り合いを設定し確認する渡線取り合い整合部27と、ソフトロジック図との取り合い点を設定し確認するソフトロジック整合部28と、コイルとの接点といったリレー関係について設定し確認するリレー関係整合部29とがある。なお、これら3つの整合部の他に、任意の回路シンボルや配線に対して取り合いの整合を行ってもよい。また、取り合い情報整合部15は、各整合部27、28、29で不整合が生じた取り合い部分をユーザーに対してECWDまたは一覧リストとして表示する不整合箇所表示部30と、不整合箇所をユーザーが修正し設定する不整合箇所設定部31と、を更に有して構成される。
【0029】
ソフトロジック取り合い変換部12から出力される取り合い情報が付与された図面(ECWD)24には、
図11に示すように渡線シンボルを持つものがある。この渡線シンボルは配線上に設けられており、別の配線との繋がり関係があることを表している。また、取り合い情報が付与された図面(ECWD)24には、
図12に示すように、コイルと接点を備えたリレー関係を持つものがある。このように1枚のECWD内で、あるいは複数枚のECWD間で、渡線やリレーといった関係を有することがある。ECWDのシミュレーションを行う際には、これらの関係を整理して明示化(リスト化)しておく必要がある。更に、本来、関係性を保持しておくべきシンボルが関係性を有していない場合には、そのシンボルに対して何らかの取り合い関係性を付与する必要がある。
【0030】
従って、
図2及び
図4に示すように、ソフトロジック取り合い変換部12により作成されたソフトロジック図との取り合い情報が付与された図面(ECWD)24は、取り合い情報整合部13に入力され、渡線取り合い整合部27、ソフトロジック整合部28及びリレー関係整合部29によって取り合い関係の整理が行われる。
【0031】
本実施形態では、まず、渡線取り合い整合部27での処理例を、
図11を用いて説明する。図面〇の線番1の配線には渡線シンボルAが接続されている。この渡線シンボルAは属性1、属性2にそれぞれシンボル名、関連線番に関する情報を保持している。また、この渡線シンボルAは、取り合い関係にある別のシンボルの場所(座標)に関する情報を属性3として保持している。即ち、渡線シンボルAの場合は、図面△の座標(x1、y1)にある渡線シンボルと取り合い関係がある。
図11では、渡線シンボルAと取り合い関係にある渡線シンボルは、図面△の渡線シンボルBとしている。
【0032】
渡線取り合い整合部27は、渡線シンボルの座標情報(属性3にある渡り元(先)の座標情報、及び渡線シンボルの自己位置の座標情報)をもとに、渡り関係にあるシンボルを渡線取り合いリストに整理して出力する。一方、渡線シンボルではあるものの、渡り先(元)が、入力したECWD(取り合い情報が付与された図面24)に存在しない渡線シンボルについては、不整合シンボルリストに整理して出力する。
【0033】
次に、リレー関係整合部29(
図4)での処理例を、
図12を用いて説明する。図面〇の盤ABCD-Eには、接続点8E、8Fを持つコイルS2がある。このコイルS2とリレーの関係にある接点は、同一の盤に存在する図面〇の接続点7E、7Fを持つB接点S2と、図面△の同一盤ABCD-Eにある接続点9E、9Fを持つA接点S2である。リレー関係整合部29では、このようにリレー関係にあるシンボルについてリレーリストを、図面名、盤名、器具名、接続点名をもとに作成する。なお、ECWDが接点対応表を有する場合には、この接点対応表から必要な情報を取得することも可能である。また、リレー関係にあるコイルや接点が存在しないシンボルについては、不整合シンボルリストに出力する。
【0034】
不整合シンボルリストに記載されたシンボルは、不整合箇所表示部30(
図4)において、ユーザーに対してECWD上の該当シンボルを強調した表示形態、またはリストとして表示させる。ユーザーは、表示された不整合箇所に対して不整合箇所設定部31を用いて、取り合い関係を設定する。以上の処理によって、取り合い情報の整合が取れた図面(ECWD)32が出力される。
【0035】
図2及び
図4に示す取り合い情報整合部13からの取り合い情報の整合が取れた図面32は、繋がり関係整理部14とシンボル情報整理部15に入力される。繋がり関係整理部14では、回路要素(シンボル)としての配線、回路シンボル(接続点を含む)、渡線シンボルについての繋がり関係が整理される。また、シンボル情報整理部15では、ECWD中の全ての回路要素(シンボル)について、シンボルの種別や名称、リレー関係等の属性情報が整理される。
【0036】
これらの繋がり関係整理部14及びシンボル情報整理部15により整理された情報は、出力部17を介してECWDシミュレーション情報5として出力される。このECWDシミュレーション情報5としては、繋がり関係整理部14で整理された情報をリスト化した繋がりリスト18-1、及びシンボル情報整理部15で整理された情報をリスト化したシンボル属性リスト18-2である。
【0037】
図1に示す前述のECWDシミュレーション機能部7は、図面情報抽出機能部4にて作成されたECWDシミュレーション情報5を用いて、このECWDシミュレーション情報5のECWD中の回路要素(シンボル)の通電状態をシミュレーション(ECWDシミュレーション)する。つまり、ECWDシミュレーション機能部7は、図面情報抽出機能部4からのECWDシミュレーション情報5におけるECWD上の電源線間の経路探索を行い、経路上にある遮断可能な器具(スイッチ、ヒューズ、遮断器、コネクタ等)のON/OFF状態を切り替えることで、特定の機器をON/OFF操作した後の経路上の全ての機器の状態をシミュレーションする。
【0038】
ECWDが
図6に示すソフトロジック図と取り合っている場合、即ちECWD中の経路上にソフトロジック図として記述されたデジタル制御装置が存在する場合のECWDシミュレーション機能部7の処理方法について説明する。デジタル制御装置は、ソフトロジック専用のシミュレータで演算が可能である。本実施形態では、ソフトロジック図についてはソフトロジック図シミュレーシミュレーション機能部8(
図1)が演算を行い、ECWD上のソフトロジック図以外の回路要素等についてはECWDシミュレーション機能部7が演算を行う。
【0039】
図1に示すように、ECWDシミュレーション機能部7は、ECWDシミュレーション情報5を入力してECWD上の経路解析を行う。つまり、経路中にデジタル制御装置が含まれる場合には、このデジタル制御装置をブラックボックスとして扱い、デジタル制御装置の内部のソフトロジックの解析は、ソフトロジック図シミュレーション機能部8に行わせる。そして、ECWDシミュレーション機能部7はデジタル制御装置を、図面情報抽出機能部4のソフトロジック取り合い変換部12(
図2)が変換した回路要素として扱う。この回路要素の状態(回路要素の接続点の状態)を、ECWDシミュレーション機能部7は、ソフトロジック図シミュレーション機能部8が算出するON/OFF状態に応じて切り替える。
【0040】
図1に示す上述のソフトロジック図シミュレーション機能部8は、ECWDに関連するソフトロジック図(例えば
図6のデジタル制御装置)が存在する場合に、シミュレーション条件設定部2からソフトロジック図シミュレーション情報6を入力する。そして、このソフトロジック図シミュレーション機能部8は、ソフトロジック図シミュレーション情報6を用いてソフトロジック図中の信号をシミュレーション(ソフトロジック図シミュレーション)する。更に、ソフトロジック図シミュレーション機能部8は、ECWDからソフトロジック図に入力される状態情報に基づいて、ECWDとの接続点(出力点)の状態情報をシミュレーションする。
【0041】
図1に示すECWD・ソフトロジック図インターフェース9は、ECWDシミュレーション機能部7とソフトロジック図シミュレーション機能部8とによるそれぞれのシミュレーションを連携させるものであり、
図5に示すように、接続点対応関係整合部33、ECWD/ソフトロジック図状態情報変換部37、及びシミュレーションタイムステップ制御部38を有して構成される。
【0042】
接続点対応関係整合部33は、ECWDシミュレーション情報5及びソフトロジック図シミュレーション情報6を入力することで、ECWDとソフトロジック図(例えば
図6のデジタル制御装置)との接続点の対応関係を抽出して、接続点の対応リスト34を作成する。この接続点の対応リスト34には、ソフトロジック図の取り合い点の線番とECWD上の点No(線No)との対応関係が記載されている。
【0043】
ECWD/ソフトロジック図状態情報変換部37は、ECWDシミュレーション機能部7からのECWD接続点状態情報35と、ソフトロジック図シミュレーション機能部8からのソフトロジック図接続点状態情報36とを、接続点対応関係整合部33からの接続点の対応リスト34に基づいてフォーマット変換して入出力する。具体的には、ECWDシミュレーション機能部7及びソフトロジック図シミュレーション機能部8は、ECWD/ソフトロジック図状態情報変換部37を介し、ECWDとソフトロジック図(例えばデジタル制御装置)との接続点の状態情報35、36及び接続点の対応リスト34を用いて、それぞれのシミュレーションを行う。
【0044】
シミュレーションタイムステップ制御部38は、ECWDシミュレーション機能部7とソフトロジック図シミュレーション機能部8とのそれぞれのシミュレーションのタイムステップを監視して、両シミュレーションを制御するものである。つまり、このシミュレーションタイムステップ制御部38は、ECWDシミュレーション機能部7とソフトロジック図シミュレーション機能部8とのそれぞれのシミュレーションのタイムステップの違いを調整して、ECWDシミュレーション機能部7とソフトロジック図シミュレーション機能部8の両シミュレーションを制御する。
【0045】
次に、ECWDソフトロジック図インターフェース9を介してのECWDシミュレーション機能部7及びソフトロジック図シミュレーション機能部8の処理動作を、
図13のフローチャートを用いて説明する。
【0046】
このフローチャートでは、ECWDシミュレーション機能部7、ECWD・ソフトロジック図インターフェース9(ECWD/ソフトロジック図状態情報変換部37、シミュレーションタイムステップ制御部38)、ソフトロジック図シミュレーション機能部8毎に処理動作を記載している。
【0047】
まず、ECWDシミュレーション機能部7はECWDの経路探索を行い、ECWD上の全ての経路を抽出する(ステップ1)。次に、ECWDシミュレーション機能部7は、経路上にある全ての器具について、予め決められた初期状態を読み込む(ステップ2)。ここで、初期状態とは、器具が電気的に開放状態であるか、閉止状態であるかを表すものである。
【0048】
次に、ECWDシミュレーション機能部7は、初期状態に基づき全ての器具の通電状態を算出してシミュレーションする(ステップ3)。次に、ECWDシミュレーション機能部7は、経路上にあるソフトロジック図との取り合い点の状態情報(通電の有無)を、ECWD接続点状態情報35として出力する(ステップ4)。
【0049】
その後、ECWD・ソフトロジック図インターフェース9のECWD/ソフトロジック図状態情報変換部37は、前記ECWD接続点状態情報35を、ソフトロジック図シミュレーション機能部8に入力可能な形式であるソフトロジック図接続点状態情報36にフォーマット変換する(ステップ5)。そして、シミュレーションタイムステップ制御部38が、ECWDシミュレーション機能部7でのタイムステップを記録する(ステップ6)。
【0050】
次に、ソフトロジック図シミュレーション機能部8は、ステップ5にて変換された前記ソフトロジック図接続点情報36を初期状態として入力する(ステップ7)。次に、ソフトロジック図シミュレーション機能部8は、ソフトロジック図のシミュレーションを実行して(ステップ8)、このシミュレーション実行後の、接続点の状態情報をソフトロジック図接続点状態情報36として出力する(ステップ9)。
【0051】
その後、ECWD・ソフトロジック図インターフェース9のECWD/ソフトロジック図状態情報変換部37は、ステップ9によるソフトロジック図接続点状態情報36をECWD接続点状態情報35にフォーマット変換する(ステップ10)。そして、シミュレーションタイムステップ制御部38は、ソフトロジックシミュレーション機能部8でのタイムステップを記録すると共に、ソフトロジックシミュレーション機能部8とECWDシミュレーション機能部7とのタイムステップを比較して、ソフトロジック図シミュレーション機能部8でのシミュレーションを継続するか否かを判定する。
【0052】
シミュレーションタイムステップ制御部38は、ソフトロジックシミュレーションの終了条件を満たしている場合、ソフトロジック図シミュレーション機能部8によるソフトロジックシミュレーションを終了し、満たさない場合には再度ステップ8に戻す(ステップ11)。
【0053】
その後、ECWDシミュレーション機能部7は、ステップ10にて変換されたECWD接続点状態情報35を入力する(ステップ12)。次に、ECWDシミュレーション機能部7は、ソフトロジック図シミュレーション機能部8によるシミュレーション結果入力後の全ての器具の通電状態を算出してシミュレーションする(ステップ13)。ECWDシミュレーション機能部7は、器具の状態が安定した(変化しなくなった)ときにシミュレーションを終了し、安定しなければステップ4またはステップ12に戻る(ステップ14)。
【0054】
図1に示す結果表示部11は、ECWDシミュレーション機能部7、ソフトロジック図シミュレーション機能部8及びECWD・ソフトロジック図インターフェース9による処理動作(
図13)の結果、即ちソフトロジック図シミュレーション機能部8によるソフトロジックのシミュレーション結果を考慮したECWDシミュレーション機能部7によるECWDシミュレーションの結果を、シミュレーション結果10として表示する。
【0055】
なお、展開接続図・ソフトロジック図連携シミュレーションシステム1の各構成要素(シミュレーション条件設定部2、図面情報抽出機能部4、ECWDシミュレーション機能部7、ソフトロジック図シミュレーション機能部8、ECWDソフトロジック図インターフェース9及び結果表示部11)は、シミュレーション対象のプラントの内部または外部に設置されたサーバやパーソナルコンピュータ、タブレット端末上に構築可能である。
【0056】
以上のように構成されたことから、本第1実施形態によれば、次の効果(1)及び(2)を奏する。
(1)
図1及び
図2に示す図面情報抽出機能部4は、主にソフトロジック取り合い変換部12が、
図3に示すシンボル情報抽出部19及びシンボル変換部21により、ソフトロジック図との取り合い部を含むECWD中から、ソフトロジック図との取り合い部分であるソフトロジック図に関する回路要素を、スイッチや配線等のアナログ回路要素に変換し、更に取り合い情報整合部13(
図2)が、
図4に示す渡線取り合い整合部27及びリレー関係整合部29により、1枚以上のECWD間でリレーや渡線などの取り合い情報を整合している。これらにより、
図1及び
図2に示す図面情報抽出機能部4は、ソフトロジック図との取り合い部を含む展開接続図(ECWD)であっても、ECWDシミュレーション機能部7がECWDシミュレーションを実施するために必要なECWDシミュレーション情報5を作成することができる。
【0057】
(2)
図1及び
図2に示すように、図面情報抽出機能部4は、ECWDに含まれるソフトロジック図に関する回路要素を抽出して例えばアナログ回路要素に変換等することで、ECWDシミュレーション機能部7に必要なECWDシミュレーション情報5を作成する。更に、
図1及び
図5に示すように、ECWDシミュレーションを行うECWDシミュレーション機能部7と、ソフトロジック図シミュレーションを行うソフトロジック図シミュレーション機能部8とは、両シミュレーションを連携させるECWD・ソフトロジック図インターフェース9の接続点対応関係整合部33及びECWD/ソフトロジック図状態情報変換部37を介して、ECWDとソフトロジック図との接続点の状態情報をやり取りする。これらの結果、ソフトロジック図との取り合い部を含むECWDを用いてアイソレーションをシミュレーションする際に、ECWDとソフトロジック図とを連携させてシミュレーションすることができる。
【0058】
[B]第2実施形態(
図14~
図16)
図14は、第2実施形態に係る図面情報抽出システムが適用された図面情報抽出機能部の構成を示すブロック図である。この第2実施形態において第1実施形態と同様な部分については、第1実施形態と同一の符号を付すことにより説明を簡略化し、または省略する。
【0059】
本第2実施形態の図面情報抽出システムとしての図面情報抽出機能部40が第1実施形態の図面情報抽出機能部4と異なる点は、繋がり関係整理部14及びシンボル情報整理部15にて整理されたECWDの図面情報を入力し、このECWD中の全ての回路要素(スイッチやコイル等の回路シンボル、配線、渡線シンボルなど)をノードに変換する(置き換える)ノード化部41を更に有す点である。ここで、ノードとは、ECWD中の配線、回路シンボル(スイッチ、コイル、接続点(回路シンボルの端子(PIN))等)、渡線などに対して、それぞれを一意に識別して表現可能な識別番号(通し番号)である。
【0060】
つまり、図面情報抽出機能部40では、繋がり関係整理部14とシンボル情報整理部15で整理されたECWDの図面情報がノード化部41に入力される。このノード化部41では、ECWDシミュレーション機能部7によるECWDシミュレーションの処理を容易に行うために、且つ図面情報をアイソレーション立案プログラムで容易に処理するために、図面中の器具番号や端子番号、線番などの“文字”を含む属性情報を、一意に決まる“数値”に変換して表現する。また、図面中の回路要素(シンボル)である配線(線番が付加されたもの)、回路シンボル(接続点を含む)、渡線シンボル等をノードに置き換えて表現する。
【0061】
例えば、
図15に示すECWDに対して、ノード化部41でノード情報を付与すると
図16のようになる。ここでは、配線、回路シンボル及び接続点のノード化について説明する。配線とは、
図15に示すように、ECWD中の回路シンボルと回路シンボルとを結ぶ線のことである。つまり、任意の1つの回路シンボルを起点とし、そこから少なくとも1つ以上の別の回路シンボルに至るまでの経路を、同一の線番を有する1つの配線として定義する。なお、線番とは、配線を一意に識別するための(CAD上で付与される)番号のことである。
【0062】
図15に示した例では、図面上方に、電源線の役割をしている配線(線番1)がある。この線番1の配線は、スイッチの回路シンボルα、接点の回路シンボルβに接続されており、これらの経路上にある配線を、同一の線番1を有する1つの配線として定義している。また、図面中央の線番2の配線は、スイッチの回路シンボルαを始点とし、ランプの回路シンボルγに接続されている。これらの経路上にある配線を同一の線番2として定義している。ノード化部41では、
図16に示すように、線番が付与された配線に、線番ごとに識別番号を付与し、ノードとして再定義する。
【0063】
また、回路シンボルは、
図15に示すように、電気図面中のコイルやスイッチ、接点、接続点、コネクタ等の総称であり、これらの回路シンボルには機器番号(正確には器具番号)や接続点番号、所属する盤情報等の属性が定義されている。回路シンボルは、図面中での座標情報で一意に識別できるが、
図16に示すように、各回路シンボルに対してそれぞれ識別番号が付与され、ノードとして再定義される。
【0064】
また、図面での接続関係を表現する際に、回路シンボルや配線の情報だけでは不十分である。例えば、
図15に示すように、ランプの回路シンボルδに対して、線番4と線番3の配線が接続されているとき、回路シンボルδの上流側か下流側のどちらに配線が接続されているかを定義しなければ、配線と回路シンボルとの正確な接続関係を表現できない。そこで、回路シンボルδのどの接続点(PIN)に配線が接続されているかが分かるように、回路シンボルにPIN情報(接続点情報)を予め定義している。ノード化部41では、接続点についてそれぞれ一意の通し番号を付与し、ノードとして再定義している。
【0065】
図面上にノード番号を明示的に付与した例を
図16に示す。例えば、左端にあるように、線番1の配線はノード番号1、回路シンボルαはノード番号3、回路シンボルαの接続点1と2はそれぞれノード番号2と4、線番2の配線はノード番号5である。また、回路シンボルδはノード番号15であり、この回路シンボルδの接続点1と2はそれぞれノード番号14と16である。
【0066】
図14に示すように、ノード化部41によりノード化されたECWDの図面情報は、出力部17を介して、ECWDシミュレーション情報5として出力される。このECWDシミュレーション情報5は、ノードで表現された繋がりリスト18-1、ノードで表されたシンボル属性リスト18-2、ノードと元の図面上での実際の記載との対応関係を示した対応リスト18-3である。図面情報抽出機能部40の出力部17から出力されるECWDシミュレーション情報5はECWDシミュレーション機能部7(
図1)に入力され、このECWDシミュレーション機能部7がECWDシミュレーションを行う。
【0067】
以上のように構成されたことから、本第2実施形態においても第1実施形態の効果(1)及び(2)と同様な効果を奏するほか、次の効果(3)を奏する。
【0068】
(3)ECWD内の回路要素が図面情報抽出機能部40のノード化部41によって、回路要素の種類に拘わらず、一意に識別して表現可能なノードに変換される。このため、各種の回路要素が存在するECWDを、ECWDシミュレーション機能部7によるECWDシミュレーションにおいて単純なグラフ(ノードの集合体)として取り扱うことができるので、ECWDシミュレーションを容易に実行することができる。
【0069】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができ、また、それらの置き換えや変更は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0070】
1…展開接続図・ソフトロジック図連携シミュレーションシステム、3…構造化された図面、4…図面情報抽出機能部(図面情報抽出システム)、5…ECWDシミュレーション情報、6…ソフトロジック図シミュレーション情報、7…ECWDシミュレーション機能部、8…ソフトロジック図シミュレーション機能部、9…ECWD・ソフトロジック図インターフェース、12…ソフトロジック取り合い変換部、13…取り合い情報整合部、14…繋がり関係整理部、15…シンボル情報整理部、19…シンボル情報抽出部、21…シンボル変換部、22…シンボル変換DB、23…I/O情報付与部、33…接続点対応関係整合部、34…接続点の対応リスト、35…ECWD接続点状態情報、36…ソフトロジック図接続点状態情報、37…ECWD/ソフトロジック図状態情報変換部、37…シミュレーションタイムステップ制御部、40…図面情報抽出機能部(図面情報抽出システム)、41…ノード化部