(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-13
(45)【発行日】2024-12-23
(54)【発明の名称】半導体記憶装置
(51)【国際特許分類】
H10B 43/27 20230101AFI20241216BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20241216BHJP
H01L 29/788 20060101ALI20241216BHJP
H01L 29/792 20060101ALI20241216BHJP
【FI】
H10B43/27
H01L29/78 371
(21)【出願番号】P 2021152580
(22)【出願日】2021-09-17
【審査請求日】2024-03-12
(73)【特許権者】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】後藤 正和
【審査官】小山 満
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0358591(US,A1)
【文献】特開2021-118200(JP,A)
【文献】特開2021-044490(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2021/0226013(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2021/0082935(US,A1)
【文献】特開2019-165178(JP,A)
【文献】特開2019-169577(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10B 43/27
H01L 21/336
H01L 29/788
H01L 29/792
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の導電層と複数の絶縁層とが交互に積層された積層体と、
前記積層体中を前記複数の導電層の積層方向に延びるチャネル層、前記チャネル層の側面に設けられるメモリ層、及び前記チャネル層上に設けられ、前記積層体の上層配線に接続されるキャップ層を含むピラーと、を備え、
前記チャネル層は、前記複数の導電層のうち少なくとも最上層の導電層の高さ位置から前記積層体中へと延び、
前記チャネル層に含まれる結晶の粒径は、前記キャップ層に含まれる結晶の粒径よりも大き
く、
前記チャネル層の前記結晶中には炭素、窒素、及び酸素の少なくともいずれかのドーパントが含まれ、
前記チャネル層の前記結晶中における前記ドーパントの体積密度は、3×10
18
原子/cm
3
以上5×10
20
原子/cm
3
以下である、
半導体記憶装置。
【請求項2】
前記チャネル層の前記結晶の平均粒径は100nm以上である、
請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項3】
前記キャップ層の前記結晶中にはヒ素およびリンの少なくともいずれかのドーパントが含まれる、
請求項1
または請求項
2に記載の半導体記憶装置。
【請求項4】
前記ピラーは前記積層方向に延びる絶縁性の芯材を含み、
前記メモリ層と前記芯材とに挟まれた前記チャネル層の層厚は5nm以下である、
請求項1乃至請求項
3のいずれか1項に記載の半導体記憶装置。
【請求項5】
前記芯材の上端部の高さ位置は、前記チャネル層の上端部の高さ位置と異なっている、
請求項
4に記載の半導体記憶装置。
【請求項6】
前記芯材の上端部は前記キャップ層内に突出している、
請求項
4または請求項
5に記載の半導体記憶装置。
【請求項7】
複数の導電層と複数の絶縁層とが交互に積層された積層体と、
前記積層体中を前記複数の導電層の積層方向に延びる半導体層を含むピラーと、を備え、
前記半導体層は、
前記複数の導電層のうち最上層の導電層より高い位置から前記ピラーの上端部に至る第1の領域と、
少なくとも前記最上層の導電層の高さ位置から前記積層体中へと延び、前記半導体層に含まれる結晶の粒径が前記第1の領域における前記結晶の粒径よりも大きい第2の領域と、
を含
み、
前記第2の領域の前記結晶中には炭素、窒素、及び酸素の少なくともいずれかのドーパントが含まれ、
前記第2の領域の前記結晶中における前記ドーパントの体積密度は、3×10
18
原子/cm
3
以上5×10
20
原子/cm
3
以下である、
半導体記憶装置。
【請求項8】
前記第2の領域における前記結晶の平均粒径は100nm以上である、
請求項
7に記載の半導体記憶装置。
【請求項9】
前記第1の領域の前記結晶中にはヒ素およびリンの少なくともいずれかのドーパントが含まれる、
請求項
7または請求項
8に記載の半導体記憶装置。
【請求項10】
前記ピラーは前記積層方向に延びる絶縁性の芯材を含み、
前記芯材の側面を覆う前記半導体層の層厚は5nm以下である、
請求項
7乃至請求項
9のいずれか1項に記載の半導体記憶装置。
【請求項11】
前記芯材の上端部の高さ位置は、前記第1の領域と前記第2の領域との境界部分の高さ位置とは異なっている、
請求項
10に記載の半導体記憶装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
3次元不揮発性メモリでは、例えば複数の導電層が積層された積層体中にピラーを貫通させ、ピラーと少なくとも一部の導電層との交差部にメモリセルが形成される。メモリセルにおいては、急峻な閾値電圧の分布を有し、また、大きなセル電流が得られることが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-179465号公報
【文献】特開2021-048196号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
1つの実施形態は、メモリセルの特性を向上させることができる半導体記憶装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の半導体記憶装置は、複数の導電層と複数の絶縁層とが交互に積層された積層体と、前記積層体中を前記複数の導電層の積層方向に延びるチャネル層、前記チャネル層の側面に設けられるメモリ層、及び前記チャネル層上に設けられ、前記積層体の上層配線に接続されるキャップ層を含むピラーと、を備え、前記チャネル層は、前記複数の導電層のうち少なくとも最上層の導電層の高さ位置から前記積層体中へと延び、前記チャネル層に含まれる結晶の粒径は、前記キャップ層に含まれる結晶の粒径よりも大きく、前記チャネル層の前記結晶中には炭素、窒素、及び酸素の少なくともいずれかのドーパントが含まれ、前記チャネル層の前記結晶中における前記ドーパントの体積密度は、3×10
18
原子/cm
3
以上5×10
20
原子/cm
3
以下である。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】実施形態にかかる半導体記憶装置の構成の一例を示す断面図。
【
図2】実施形態にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一例を示すY方向に沿う断面図。
【
図3】実施形態にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一例を示すY方向に沿う断面図。
【
図4】実施形態にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一例を示すY方向に沿う断面図。
【
図5】実施形態にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一例を示すY方向に沿う断面図。
【
図6】実施形態の変形例にかかる半導体記憶装置の構成の一例を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、本発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の実施形態により、本発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるものあるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0008】
(半導体記憶装置の構成例)
図1は、実施形態にかかる半導体記憶装置1の構成の一例を示す断面図である。
図1(a)は半導体記憶装置1のピラーPLの全体構造を示す断面図である。
図1(b)は選択ゲート線SGD0,SGD1近傍のピラーPLの拡大断面図であり、
図1(c)はワード線WL近傍のピラーPLの拡大断面図であり、
図1(d)は選択ゲート線SGS0,SGS1近傍のピラーPLの拡大断面図である。
【0009】
図1(a)に示すように、半導体記憶装置1は、ソース線SL、積層体LM、絶縁層51~53、及びビット線BLを備える。なお、本明細書においては、ソース側にあたるソース線SLに向かう方向を半導体記憶装置1の下方向とし、ドレイン側にあたるビット線BLに向かう方向を半導体記憶装置1の上方向とする。
【0010】
導電膜としてのソース線SLは、積層体LMの下方位置に設けられており、下方側から順に下部ソース線DSLb、中間ソース線BSL、及び上部ソース線DSLtが積層された積層膜である。これらの下部ソース線DSLb、中間ソース線BSL、及び上部ソース線DSLtは、例えば導電性のポリシリコン層等である。
【0011】
積層体LMは、複数のワード線WL及び複数の選択ゲート線SGD,SGSと、複数の絶縁層OLとが、1層ずつ交互に積層された構成を有する。選択ゲート線SGDは最上層のワード線WLの更に上層に1つ以上設けられ、選択ゲート線SGSは最下層のワード線WLの更に下層に1つ以上設けられている。
【0012】
複数の導電層としてのワード線WL及び複数の導電層としての選択ゲート線SGD,SGSは、例えばタングステン層またはモリブデン層等である。絶縁層OLは例えば酸化シリコン層等である。
【0013】
なお、
図1(a)の例では、積層体LM内に5つのワード線WLが設けられている。また、ワード線WL側から順に、2つの選択ゲート線SGD1,SGD0が設けられている。また、ソース線側から順に、2つの選択ゲート線SGS1,SGS0が設けられている。しかし、ワード線WL及び選択ゲート線SGD,SGSの層数は、
図1(a)の例によらず任意である。
【0014】
積層体LM上には、絶縁層51~53がこの順に積層されている。絶縁層53中には積層体LMの上層配線にあたるビット線BLが設けられている。絶縁層51~53は例えば酸化シリコン層等であり、ビット線BLは金属層である。
【0015】
積層体LMには、積層体LMを積層体LMの各層の積層方向に延びるとともに、積層体LMの各層に沿う第1の方向としてのX方向に沿う方向に延びる複数の板状コンタクトLIが設けられている。複数の板状コンタクトLIは、X方向と交差する第2の方向としてのY方向に、互いに離れた位置で、絶縁層52,51、積層体LM、及び上部ソース線DSLtを貫通して中間ソース線BSLに到達している。このように、積層体LMは、複数の板状コンタクトLIによってY方向に分割されている。
【0016】
板状コンタクトLIの側壁には酸化シリコン層等の絶縁層54が設けられている。絶縁層54の内側にはタングステン層等の導電層21が充填されている。板状コンタクトLIの導電層21は、図示しないプラグ等によって上層配線に接続されている。また、導電層21の下端部は中間ソース線BSLに接続されている。
【0017】
以上の構成により、板状コンタクトLIは、例えばソース線コンタクトとして機能する。ただし、板状コンタクトLIの代わりに、ソース線コンタクトとしての機能を有さない絶縁層等が積層体LMをY方向に分割していてもよい。
【0018】
Y方向に隣接する2つの板状コンタクトLIの間には、選択ゲート線SGD0,SGD1を貫通し、X方向に沿う方向に延びる分離層SHEが設けられている。分離層SHEは例えば酸化シリコン層等の絶縁層から構成され、積層体LMの最上層の導電層を含む1つ以上の導電層を貫通することで、2つの板状コンタクトLIの間でこれらの導電層をY方向に分離して選択ゲート線SGDのパターンに区画する。
【0019】
また、2つの板状コンタクトLIの間には、複数のピラーPLが、積層体LMの積層方向から見て例えば千鳥状に分散して設けられている。ピラーPLは、チャネル層CN、キャップ層CP、メモリ層ME、及びコア層CRを含んで構成され、絶縁層51、積層体LM、上部ソース線DSLt、及び中間ソース線BSLを貫通して下部ソース線DSLbに到達している。
【0020】
第2の領域としてのチャネル層CNは積層体LM中を積層体LMの積層方向に延びる。より具体的には、チャネル層CNは、積層体LMの少なくとも最上層の選択ゲート線SGD0の高さ位置から積層体LM中へと延び、下部ソース線DSLbにまで到達している。
【0021】
第1の領域としてのキャップ層CPはチャネル層CN上に設けられている。つまり、キャップ層CPは、積層体LMの最上層の選択ゲート線SGD0より高い位置からピラーPLの上端部にまで至る。
【0022】
チャネル層CN及びキャップ層CPはシリコン層等の半導体層である。チャネル層CNに含まれるシリコン等の結晶は、例えばキャップ層CPに含まれるシリコン等の結晶よりも大きな粒径を有している。
【0023】
このような結晶の粒径の比較は、例えば結晶の平均粒径に基づく。結晶の平均粒径は、例えば1つ1つの結晶の最大径をそれぞれの結晶の粒径として、単位体積あたりに存在する結晶の粒径を平均したものである。
【0024】
チャネル層CN中の結晶は例えば平均粒径が100nm以上であり、より好ましくは、チャネル層CNは略単結晶のシリコン層であってよい。キャップ層CPの平均粒径は100nm未満であり、キャップ層CPは、例えば平均粒径が20nm以下のポリシリコン層等であってよい。キャップ層CPが、ポリシリコンとアモルファスシリコンとが混在した層となっていてもよい。
【0025】
また、キャップ層CPの結晶中にはヒ素等のドーパントDPaが拡散されており、キャップ層CPは、その上端部において絶縁層53,52中に設けられたプラグCHを介してビット線BLに接続されている。キャップ層CPにドーパントDPaが拡散されていることにより、キャップ層CPとプラグCHとのコンタクト抵抗を低減させることができる。ただし、キャップ層CP中のドーパントDPaは、ヒ素以外にも例えばリン等の他のN型の不純物であってもよい。
【0026】
ピラーPLの中心部には、積層体LMの積層方向に延びる芯材としてのコア層CRが設けられ、上述のチャネル層CNは、コア層CRの側面および下端部を覆うように設けられている。コア層CRの上端部の高さ位置は、例えばチャネル層CNの上端部の高さ位置とは異なっており、コア層CRの上端部は例えばキャップ層CP内に突出している。コア層CNは、例えば酸化シリコン層等の絶縁層である。
【0027】
コア層CRを覆うチャネル層CNの層厚は、例えば5nm以下であることが好ましい。これにより、ゲート長に相当するチャネル層CNの積層方向の長さに比して空乏層を薄くすることができ、短チャネル効果を抑制することができる。
【0028】
メモリ層MEはチャネル層CNの側面に設けられている。より具体的には、メモリ層MEは、
図1(b)~(d)に示すように、ピラーPLの外周側から、ブロック絶縁層BK、電荷蓄積層CT、及びトンネル絶縁層TNがこの順に積層された積層構造を有する。ブロック絶縁層BK及びトンネル絶縁層TNは例えば酸化シリコン層等であり、電荷蓄積層CTは例えば窒化シリコン層または酸窒化シリコン層等である。
【0029】
上記のように、メモリ層MEは、チャネル層CNの側面を覆って下部ソース線DSLbにまで到達し、チャネル層CNの下端部をも覆っている。ただし、メモリ層MEは、ソース線SL内の中間ソース線BSLの深さ位置には設けられておらず、中間ソース線BSLはチャネル層CNと接している。これにより、チャネル層CNは、側面で中間ソース線BSLを介してソース線SLに接続されている。
【0030】
以上の構成により、ピラーPLの側面には、ワード線WLの高さ位置にそれぞれ配列される複数のメモリセルMCが形成される。このように、半導体記憶装置1は、例えばメモリセルMCが3次元に配置された3次元不揮発性メモリとして構成されている。
【0031】
図1(c)は、ピラーPL側面のワード線WLと対向する高さ位置に、メモリセルMCが形成された様子を示している。ワード線WLを介して所定の電圧が印加されること等により、メモリセルMCに対してデータの書き込み及び読み出しが行われる。
【0032】
つまり、メモリセルMCに “H”レベルデータを書き込むときは、接続されるワード線WLに書き込み電圧を印加する。このとき、チャネル層CNには接地電位が供給されてチャネルが形成され、チャネル中の電子がトンネル絶縁層TNを抜けて電荷蓄積層CTに注入され蓄積される。これにより、メモリセルMCの閾値電圧Vthが上昇して、“H”レベルデータが書き込まれた状態となる。
【0033】
メモリセルMCに “L”レベルデータを書き込むときは、チャネル層CNのチャネルをフローティング状態とすることで、電荷蓄積層CTに電子が注入されず、メモリセルMCの閾値電圧Vthが低いままの“L”レベルデータが書き込まれた状態が維持される。
【0034】
メモリセルMCからデータを読み出すときは、接続されるワード線WLに読み出し電圧を印加する。読み出し電圧は、“L”レベルデータを保持しているメモリセルMCがオンし、“H”レベルデータを保持しているメモリセルMCはオンしない電圧である。したがって、ビット線BLにセル電流が流れれば“L”レベルデータが読み出されたことを意味し、ビット線BLにセル電流が流れなければ“H”レベルデータが読み出されたことを意味する。
【0035】
図1(b)に示すように、ピラーPLの側面には、選択ゲート線SGD0,SGD1と対向する高さ位置に選択ゲートSTD0,STD1がそれぞれ形成される。また、
図1(d)に示すように、ピラーPLの側面には、選択ゲート線SGS0,SGS1と対向する高さ位置に選択ゲートSTS0,STS1がそれぞれ形成される。
【0036】
選択ゲート線SGD,SGSを介して所定の電圧が印加されることで、選択ゲートSTD,STSがオンまたはオフして、それらの選択ゲートSTD,STSが属するピラーPLのメモリセルMCが選択状態または非選択状態となる。
【0037】
積層体LMは、例えば複数のワード線WL及び選択ゲート線SGD,SGSが階段状に引き出された図示しない階段部を備える。階段部の個々のワード線WL及び選択ゲート線SGD,SGSは、図示しない上層配線を介して周辺回路に接続されている。ピラーPLのメモリセルMCは、上述のビット線BLを介して周辺回路に接続されている。
【0038】
周辺回路は、例えば図示しないトランジスタ等を備えて積層体LMの下方または上方等に設けられている。ワード線WL及び選択ゲート線SGD,SGSに印加する電圧を制御することで、周辺回路はメモリセルMC及び選択ゲートSTD,STSの動作に寄与する。また、周辺回路は、ビット線BLを流れるセル電流をセンスしてメモリセルMCからのデータを読み出す。
【0039】
(半導体記憶装置の製造方法)
次に、
図2~
図5を用いて、実施形態の半導体記憶装置1の製造方法の例について説明する。
図2~
図5は、実施形態にかかる半導体記憶装置1の製造方法の手順の一例を示すY方向に沿う断面図である。
【0040】
図2(a)に示すように、下部ソース線DSLb、中間層SCN、及び上部ソース線DSLtをこの順に形成する。中間層SCNは、例えば窒化シリコン層等の犠牲層であり、後に導電性のポリシリコン層等と置き換えられて中間ソース線BSLが形成される。
【0041】
また、上部ソース線DSLt上に、複数の絶縁層NLと複数の絶縁層OLとが1層ずつ交互に積層された積層体LMsを形成する。絶縁層NLは、例えば窒化シリコン層等の犠牲層であり、後にタングステン層またはモリブデン層等に置き換えられてワード線WL及び選択ゲート線SGD,SGSが形成される。積層体LMs上には絶縁層51が形成される。
【0042】
図2(b)に示すように、絶縁層51、積層体LMs、上部ソース線DSLt、及び中間層SCNを貫通して下部ソース線DSLbに到達するメモリホールMHを形成する。
【0043】
図2(c)に示すように、メモリホールMHの側壁および底面に、ブロック絶縁層BK、電荷蓄積層CT、及びトンネル絶縁層TN(
図1(b)~(d)参照)がこの順に積層されたメモリ層MEを形成する。メモリ層MEは絶縁層51の上面にも形成される。
【0044】
また、メモリホールMHの側壁および底面に、メモリ層MEを介してチャネル層CNaを形成する。チャネル層CNaは、後に結晶化されてチャネル層CNとなるアモルファスシリコン層等である。チャネル層CNaは、メモリ層MEを介して絶縁層51の上面にも形成される。
【0045】
また、メモリホールMHのチャネル層CNa内側をコア層CRsで充填する。コア層CRsは、例えば酸化シリコン層等の犠牲層であり、後の工程で除去される。コア層CRsは、チャネル層CNa及びメモリ層MEを介して絶縁層51の上面にも形成される。
【0046】
図2(d)に示すように、コア層CRsをエッチバックして、絶縁層51の上面及びメモリホールMHの上面から除去する。これにより、絶縁層51の上面にチャネル層CNaが露出する。また、コア層CRsの上端部がメモリホールMH内の所定深さに位置することとなり、コア層CRsの上方に凹部RCcが形成される。
【0047】
メモリホールMH内の凹部RCcは、例えば絶縁層51上面のコア層CRsが除去された後も、所定時間、オーバーエッチングを継続することで得られる。
【0048】
図2(e)に示すように、絶縁層51上面のチャネル層CNaを覆うキャップ層CPsを形成する。キャップ層CPsは、例えばアモルファスシリコン層等の犠牲層であり、後の工程で除去される。キャップ層CPsは、メモリホールMH内の凹部RCcにも充填される。
【0049】
図2(f)に示すように、例えばアニール処理等によってチャネル層CNa及びキャップ層CPsを結晶化して、チャネル層CNを形成する。アニール処理の際、結晶化を促進するため、例えばMILC技術等が併用されてもよい。
【0050】
なお、この時点で、上部ソース線DSLt及び下部ソース線DSLbの深さ位置で、チャネル層CNaはメモリ層MEに覆われており、例えばポリシリコン層等である上部ソース線DSLt及び下部ソース線DSLbとは接していない。このため、比較的均質な略単結晶のチャネル層CNが得られやすくなる。
【0051】
図3(a)に示すように、チャネル層CN及びメモリ層MEをエッチバックして絶縁層51の上面から除去する。これにより、絶縁層51の上面が露出する。またこのとき、メモリホールMH内においてもチャネル層CN及びコア層CRsがエッチバックされる。これにより、チャネル層CN及びコア層CRsの上端部がメモリホールMH内の所定深さに位置することとなり、チャネル層CN及びコア層CRsの上方に凹部RCmが形成される。
【0052】
メモリホールMH内の凹部RCmは、例えば絶縁層51上面のチャネル層CNが除去された後も、所定時間、オーバーエッチングを継続することで得られる。このとき、オーバーエッチング時間等を制御して、チャネル層CN及びコア層CRsの上端部を、少なくとも積層体LMsの最上層の絶縁層NLよりも上方の高さ位置に維持する。
【0053】
図3(b)に示すように、絶縁層51の上面を覆うサイドウォール層SWを形成する。サイドウォール層SWは、メモリホールMHの側壁を覆うように、メモリホールMH上端部の凹部RCm内にも形成され、後述するチャネル層CNのスリミング処理においてメモリ層MEを保護する。サイドウォール層SWは例えばアモルファスシリコン層等である。なお、処理時間等を制御することによって、凹部RCmが完全に塞がらないよう、サイドウォール層SWの層厚を調整する。
【0054】
図3(c)に示すように、ウェットエッチング、あるいは等方的なドライエッチング等によって、メモリホールMH内のコア層CRsを除去するとともに、チャネル層CNを薄層化する。このとき、サイドウォール層SWによってメモリホールMH側壁のメモリ層MEが保護される。なお、チャネル層CNの層厚が例えば5nm以下となるように、上記スリミング処理を行うことが好ましい。
【0055】
このように、当初、厚膜のチャネル層CNaを形成してアニール処理等を行うことで、チャネル層CNaの結晶化が促進されやすくなる。また、結晶化されたチャネル層CNをスリミングすることで、上述のように、ゲート長に対して空乏層を薄くすることができ、短チャネル効果を抑制することができる。
【0056】
図3(d)に示すように、コア層CRsが除去され、チャネル層CNがスリミングされて生じたメモリホールMH内の空隙に、絶縁層等を充填してコア層CRを形成する。このとき、コア層CR上端部の高さ位置が、チャネル層CN上端部の高さ位置と等しくならなくともよく、例えばチャネル層CNの上端部よりも上方にコア層CRの上端部が位置することとなってもよい。
【0057】
図3(e)に示すように、絶縁層51上面のサイドウォール層SWを覆うキャップ層CPaを形成する。キャップ層CPaは、後に結晶化されてキャップ層CPとなるアモルファスシリコン層等である。キャップ層CPaは、メモリホールMH上端部の凹部RCm内にも充填される。
【0058】
図3(f)に示すように、キャップ層CPa及びサイドウォール層SWをエッチバックして、絶縁層51の上面から除去する。このとき、オーバーエッチング量を抑制して、メモリホールMH内のキャップ層CPa及びサイドウォール層SWまでもが除去されないように制御する。
【0059】
図4(a)に示すように、残ったキャップ層CPa及びサイドウォール層SWを、例えばアニール処理等によって結晶化して、キャップ層CPを形成する。キャップ層CPにおける結晶化の度合いは上述のチャネル層CNほど高くなくてよく、キャップ層CPは例えばポリシリコン層等であってよい。キャップ層CPの一部にアモルファスシリコンの層が残っていてもよい。
【0060】
なお、コア層CR上端部の高さ位置が例えば最上層の絶縁層NLよりも下方であると、後に選択ゲート線SGD0となる最上層の絶縁層NLの高さ位置で、チャネル層CNの内側がキャップ層CPで埋まってしまい、円環状に形成されない。上述のように、コア層CR上端部を例えばチャネル層CN上端部から突出させているので、チャネル層CNのこのような形成不良を抑制することができる。
【0061】
形成されたキャップ層CPに、例えばヒ素等のN型のドーパントDPaを拡散させる。上述のように、ドーパントDPaは例えばリン等の不純物であってもよい。
【0062】
これにより、ピラーPLが形成される。ただし、この時点でも、ピラーPLのチャネル層CNの側面および下端部はメモリ層MEに覆われている。
【0063】
図4(b)に示すように、絶縁層51上に絶縁層52を形成する。また、絶縁層52,51、積層体LMs、及び上部ソース線DSLtを貫通して、中間層SCNに到達するスリットSTを形成する。スリットSTは、積層体LMs内をX方向に沿う方向にも延びている。
【0064】
図4(c)に示すように、スリットSTのY方向に向かい合う側壁に絶縁層54sを形成する。絶縁層54sは、例えば酸化シリコン層等であり、後述するリプレース処理における保護層となる。
【0065】
図4(d)に示すように、スリットSTの上部から熱リン酸等の除去液を注入して、スリットSTの底面に露出する中間層SCNを除去する。これにより、上部ソース線DSLtと下部ソース線DSLbとの間には空隙GPsが形成され、ピラーPL最外周のメモリ層MEの側面が空隙GPs内に露出する。
【0066】
このとき、スリットST側壁の絶縁層54sにより、除去液が積層体LMs内へと流れ込むことが抑制されて、積層体LMs内の絶縁層NLは除去されない。
【0067】
図4(e)に示すように、スリットSTの上部から順次、酸化シリコン層および窒化シリコン層等を除去する除去液を注入して、空隙GPs内に露出したメモリ層MEの外周側から、ブロック絶縁層BK、電荷蓄積層CT、及びトンネル絶縁層TNを順に除去していく。これにより、チャネル層CNの側面が空隙GPs内に露出する。
【0068】
図4(f)に示すように、スリットSTの上部から、ポリシリコン等の原料となる原料ガスを注入し、空隙GPs内をポリシリコン層等で充填して中間ソース線BSLを形成する。
【0069】
これにより、下部ソース線DSLb、中間ソース線BSL、及び上部ソース線DSLtを含むソース線SLが形成される。また、ピラーPLのチャネル層CNが側面でソース線SLに接続された状態となる。
【0070】
なお、
図4(d)~
図4(f)に示したように、中間層SCNを除去して中間ソース線BSLを形成する処理をソース線SLにおけるリプレース処理とも呼ぶ。
【0071】
図5(a)に示すように、スリットST側壁の絶縁層54sを除去する。
【0072】
図5(b)に示すように、スリットSTの上部から熱リン酸等の除去液を注入して、スリットSTの側面に露出する積層体LMs内の絶縁層NLを除去する。これにより、複数の絶縁層OL間に空隙GPwを有する積層体LMgが形成される。
【0073】
図5(c)に示すように、スリットSTの上部から、導電体等の原料となる原料ガスを注入し、空隙GPw内を導電層で充填してワード線WL及び選択ゲート線SGD,SGSを形成する。これにより、複数のワード線WL及び選択ゲート線SGD,SGSが積層された積層体LMが形成される。
【0074】
なお、
図5(b)~
図5(c)に示したように、絶縁層NLを除去してワード線WL等を形成する処理を積層体LMにおけるリプレース処理とも呼ぶ。
【0075】
図5(d)に示すように、スリットSTの側壁に絶縁層54を形成し、絶縁層54の内側を導電層21で充填して板状コンタクトLIを形成する。ただし、スリットST内を全体的に絶縁層で充填して、ソース線コンタクトとして機能しない板状の部材を形成してもよい。この場合、スリットSTは、専らソース線SL及び積層体LMのリプレース処理に用いるために形成されることとなる。
【0076】
図5(e)に示すように、分離層SHEを形成するため、絶縁層52,51及び選択ゲート線SGD0,SGD1を貫通し、X方向に沿う方向に延びる溝GRを形成する。換言すれば、積層体LM内の導電層のうち、選択ゲート線SGDとして機能させたい導電層に溝GRを貫通させて、複数の選択ゲート線SGDのパターンに分離する。
【0077】
図5(f)に示すように、溝GR内に絶縁層を充填して分離層SHEを形成する。
【0078】
その後、絶縁層52上に絶縁層53を形成し、絶縁層53,52を貫通してピラーPLのキャップ層CPに接続されるプラグCH、及びプラグCHに接続されるビット線BL等を形成する。
【0079】
以上により、実施形態の半導体記憶装置1が製造される。
【0080】
(概括)
3次元不揮発性メモリ等の半導体記憶装置においては、閾値電圧の分布がブロードになってしまうことによるメモリセルの動作不良、及びセル電流が小さいことによるデータのセンス不良等の改善が課題となっている。また、キャップ層に拡散させたドーパントが、例えばソース側の選択ゲートの深さ位置まで達してしまい、選択ゲートのオフ特性が悪化したり、ばらついたりしてしまう課題も生じている。
【0081】
実施形態の半導体記憶装置1によれば、チャネル層CNに含まれる結晶の粒径は、キャップ層CPに含まれる結晶の粒径よりも大きく、平均粒径が例えば100nm以上となっている。これにより、メモリセルMCの特性を向上させることができる。
【0082】
具体的には、チャネル層CNの結晶性が向上することで、チャネル層CNの電気抵抗を下げ、キャリアである電子の移動度を向上させることができる。また、チャネル層CN中の結晶欠陥を低減することができ、チャネル層CN内で電子の散乱および捕捉が生じ難くなる。
【0083】
チャネル層CN内での電子の散乱および捕捉が抑制されることで、同じピラーPL内で隣接するメモリセルMC間で、互いの閾値電圧Vthに及ぼす影響が少なくなり、閾値電圧Vthの分布が急峻となって、書き込み特性を向上させることができる。
【0084】
また、セル電流が、チャネル層CN内を流れやすくなるとともに、チャネル層CN内で減衰することが抑制される。このため、ビット線BLを流れるセル電流の量が増大してセンスされやすくなり、メモリセルMCの読み出し特性を向上させることができる。
【0085】
実施形態の半導体記憶装置1によれば、チャネル層CNとキャップ層CPとによる結晶粒径が異なる2つの領域が半導体層内に存在し、結晶粒径がより大きい領域は、少なくとも最上層の選択ゲート線SGD0の高さ位置から積層体LM中へと延びる。
【0086】
ここで、ヒ素等のドーパントDPaは、結晶中の粒界に沿って拡散していく特性を有する。このため、チャネル層CNとキャップ層CPとの界面偏析により、結晶性が高く粒界等の影響が少ないチャネル層CN側へとドーパントDPaが拡散していくことが抑制される。
【0087】
よって、選択ゲートSTDのオフ特性を向上させ、また、オフ特性のばらつきを抑制することができる。また、選択ゲートSTDをより確実にオン/オフさせることができるので、選択ゲートSTDの数を削減しても半導体記憶装置1の動作の信頼性を担保することができる。さらには、選択ゲートSTDに替えてメモリセルMCの数を増やし、半導体記憶装置1の記憶容量を高めることも可能である。
【0088】
実施形態の半導体記憶装置1によれば、コア層CRの側面を覆うチャネル層CNの層厚は例えば5nm以下である。これにより、短チャネル効果を抑制することができる。
【0089】
実施形態の半導体記憶装置1によれば、メモリ層MEは、ソース線SL内の中間ソース線BSLの深さ位置を除くチャネル層CNの側面および下端部を覆っており、チャネル層CNは側面でソース線SLと接続されている。このようなソース線SLとの接続方式を採ることで、チャネル層CNaの側面および下端部をメモリ層MEで覆った状態でチャネル層CNaを結晶化することができる。これにより、チャネル層CNの結晶性をより向上させることができる。
【0090】
(変形例)
次に、
図6を用いて、実施形態の変形例の半導体記憶装置2について説明する。変形例の半導体記憶装置2は、チャネル層CNcに所定のドーパントDPcが拡散されている点が上述の実施形態とは異なる。
【0091】
図6は、実施形態の変形例にかかる半導体記憶装置2の構成の一例を示す断面図である。
図6は、上述の実施形態の
図1(a)と同様、Y方向に沿う断面を示している。なお、
図6において、上述の実施形態の半導体記憶装置1と同様の構成には同様の符号を付し、その説明を省略する。
【0092】
図6に示すように、半導体記憶装置2のピラーPLcは、積層体LM中を各層の積層方向に延びるチャネル層CNcを備える。チャネル層CNcの結晶中には、例えば炭素等のドーパントDPcが拡散されている。チャネル層CNcの結晶中におけるドーパントDPcの体積密度は、例えば3×10
18原子/cm
3以上5×10
20原子/cm
3以下である。
【0093】
ただし、チャネル層CNc中のドーパントDPcは、炭素以外にも例えば酸素または窒素等の不純物であってもよい。
【0094】
チャネル層CNcの上記以外の構成、及びピラーPLcの上記以外の構成は、上述の実施形態のチャネル層CN及びピラーPLと同様である。
【0095】
上記のドーパントDPcを含むチャネル層CNcは、例えば上述の実施形態の
図2(c)の処理において、メモリホールMH内にチャネル層CNaが形成されたタイミングであって、コア層CRsが形成される前のタイミングで、チャネル層CNa中にドーパントDPcを拡散させておくことで形成することができる。
【0096】
変形例の半導体記憶装置1によれば、チャネル層CNcの結晶中には炭素、窒素、及び酸素の少なくともいずれかのドーパントDPcが含まれており、結晶中のドーパントDPcの体積密度は、例えば3×1018原子/cm3以上5×1020原子/cm3以下である。
【0097】
チャネル層CNcに拡散された炭素、窒素、酸素等のドーパントDPcは、キャップ層CPに拡散されたヒ素等のドーパントDPaがチャネル層CNc中に拡散されることを抑制する効果がある。よって、選択ゲートSTDのオフ特性をいっそう向上させ、また、オフ特性のばらつきをいっそう抑制することができる。
【0098】
また、半導体記憶装置2の製造工程において、結晶化前のチャネル層CNa中に炭素、窒素、酸素等のドーパントDPcを拡散させておくことで、チャネル層CNaの結晶化を促進する効果も期待できる。
【0099】
変形例の半導体記憶装置1によれば、その他、上述の実施形態の半導体記憶装置1と同様の効果を奏する。
【0100】
(その他の変形例)
上述の実施形態および変形例では、半導体記憶装置1,2は、導電層として、タングステン層等の金属層であるワード線WL及び選択ゲート線SGD,SGSを含む積層体LMを備えることとした。しかし、積層体の導電層は、ポリシリコン層等のシリコン材料を含む層であってもよい。この場合、当初より、シリコン材料を含む層が積層された積層体を形成し、リプレース処理を含まずに半導体記憶装置が製造される。
【0101】
上述の実施形態および変形例では、半導体記憶装置1,2は、1つの積層体LMを含む1Tier(1段)構造を備えることとした。しかし、半導体記憶装置は、2Tier以上の構造を備えていてもよい。
【0102】
上述の実施形態および変形例では、半導体記憶装置1,2は、積層体LMの下方または上方に周辺回路を備えることとした。しかし、半導体記憶装置は、積層体と同じ階層に設けられた周辺回路を備えていてもよい。
【0103】
積層体LMの下方に周辺回路を設ける場合、シリコン基板等の半導体基板上に、トランジスタを含む周辺回路を形成し、周辺回路の上方にソース線SL及び積層体LM等を順次形成して、半導体記憶装置1,2を得ることができる。
【0104】
積層体LMの上方に周辺回路を設ける場合、ソース線SL及び積層体LMを支持基板上に形成し、周辺回路が設けられた半導体基板を積層体LMの上方に貼り合わせることで、半導体記憶装置1,2を得ることができる。
【0105】
積層体と周辺回路とを同じ階層に設ける場合、半導体基板上に積層体を形成し、その外縁部に周辺回路を形成することができる。
【0106】
(付記)
以下、本発明の好ましい態様について付記する。
【0107】
(付記1)
本発明の一態様によれば、
複数の導電層と複数の絶縁層とが交互に積層された積層体と、
前記積層体中を前記複数の導電層の積層方向に延びるチャネル層、前記チャネル層の側面に設けられるメモリ層、及び前記チャネル層上に設けられ、前記積層体の上層配線に接続されるキャップ層を含むピラーと、を備え、
前記チャネル層は、前記複数の導電層のうち少なくとも最上層の導電層の高さ位置から前記積層体中へと延び、
前記チャネル層に含まれる結晶の粒径は、前記キャップ層に含まれる結晶の粒径よりも大きい、
半導体記憶装置が提供される。
【0108】
(付記2)
上記の付記1の半導体記憶装置において、
前記積層体の下方に、前記複数の導電層に沿う方向に延びる導電膜を更に備え、
前記ピラーの下端部は前記導電膜へと延びる。
【0109】
(付記3)
上記の付記2の半導体記憶装置において、
前記チャネル層は側面で前記導電膜に接続されている。
【0110】
(付記4)
上記の付記3の半導体記憶装置において、
前記メモリ層は前記チャネル層の下端部を覆っている。
【0111】
(付記5)
上記の付記3または付記4の半導体記憶装置において、
前記メモリ層は、前記導電膜内の所定の深さ位置を除く前記チャネル層の側面および下端部を覆っている。
【0112】
(付記6)
上記の付記1乃至付記5のいずれか1つの半導体記憶装置において、
前記複数の導電層の少なくとも最上層の導電層を貫通し、前記複数の導電層に沿う第1の方向に延び、貫通した前記導電層を前記第1の方向に交わる第2の方向に分離する分離層を更に備える。
【0113】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0114】
1,2…半導体記憶装置、BL…ビット線、CN,CNc…チャネル層、CR…コア層、LM…積層体、ME…メモリ層、OL…絶縁層、PL,PLc…ピラー、SGD,SGS…選択ゲート線、SHE…分離層、SL…ソース線、STD,STS…選択ゲート、WL…ワード線。