(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-13
(45)【発行日】2024-12-23
(54)【発明の名称】農業支援装置、農業支援システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/02 20240101AFI20241216BHJP
【FI】
G06Q50/02
(21)【出願番号】P 2021214447
(22)【出願日】2021-12-28
【審査請求日】2023-12-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110003041
【氏名又は名称】安田岡本弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】辻村 克志
(72)【発明者】
【氏名】千葉 翔太
(72)【発明者】
【氏名】松元 康史
(72)【発明者】
【氏名】藤本 周作
(72)【発明者】
【氏名】京村 美沙子
【審査官】大野 朋也
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-230088(JP,A)
【文献】国際公開第2017/164097(WO,A1)
【文献】特開2019-144935(JP,A)
【文献】特開2007-272853(JP,A)
【文献】特開2002-189774(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の生産者がそれぞれ農作物を生産する複数の圃場に関する圃場情報
、前記生産者に関する生産者情報、及び農作物の需要に関する需要情報を取得する情報取得部と、
前記情報取得部により取得された複数の前記圃場情報に基づいて、
複数の前記圃場を合わせた仮想農場を設定する農場設定部と、
前記仮想農場で農作物を生産するための生産計画を策定し且つ当該生産計画を修正する計画策定部と、
前記生産計画を出力する情報出力部と、を備え
、
前記圃場情報には、前記圃場の面積及び前記圃場での農作物の生産実績を示す情報が含まれ、
前記生産者情報には、農作物の生産に関する前記生産者の要望を示す情報が含まれ、
前記需要情報には、必要な農作物の種類及び要求量を示す情報が含まれ、
前記農場設定部は、前記圃場情報に基づいて、複数の前記圃場のそれぞれに対応するように前記仮想農場を区画して、複数の仮想圃場を設定し、
前記計画策定部は、前記圃場情報、前記生産者情報、及び前記需要情報に基づいて、種類が異なる複数の農作物をそれぞれ生産する1つ又は複数の前記仮想圃場を決定し、当該決定した結果を前記生産計画に含める農業支援装置。
【請求項2】
前記生産者情報には、生産を希望する農作物についての前記生産者の複数の要望を示す情報が含まれ、
前記計画策定部は、前記生産者情報に含まれる前記生産者の複数の要望のうちの1つ以上を満たすように、複数の前記仮想圃場のそれぞれで生産する1つ以上の農作物の種類を決定する請求項1に記載の農業支援装置。
【請求項3】
前記計画策定部は、前記需要情報に含まれる前記農作物の需要を満たすように、複数の前記仮想圃場のそれぞれで生産する農作物を決定する請求項1又は2に記載の農業支援装置。
【請求項4】
前記計画策定部は、前記圃場情報及び前記生産者情報に基づいて、複数の前記圃場のそれぞれで生産されていた前記農作物を特定し、前記需要情報における前記農作物の要求の増減傾向を判断し、当該増減傾向に応じて、複数の前記仮想圃場のそれぞれで前回と種類が同一の農作物を生産するか又は前回と種類が異なる農作物を生産するかを決定し、当該決定した結果を前記生産計画に含める請求項1~3のいずれか1項に記載の農業支援装置。
【請求項5】
前記情報出力部は、前記生産者が管理する生産者端末装置に前記生産計画を送信する請求項1
~4のいずれか1項に記載の農業支援装置。
【請求項6】
前記情報取得部は、
複数の前記生産者が
それぞれ管理する生産者端末装置から前記圃場情報
及び前記生産者情報をそれぞれ取
得する請求項1
~5のいずれか1項に記載の農業支援装置。
【請求項7】
前記生産者情報に
は、農作業に関する前記生産者の要望又は前記生産者の農作物の生産能力
を示す情報が含まれている請求項
1~6のいずれか1項に記載の農業支援装置。
【請求項8】
前記農場設定部は、
複数の前記生産者が
それぞれ管理する生産者端末装置から前記情報取得部によってそれぞれ取得された複数の前記圃場情報より、
複数の前記生産者が
それぞれ管理する前記圃場のサイズをそれぞれ抽出し、当該サイズを合計して前記圃場より大きな前記仮想農場を設定する請求項1~
7のいずれか1項に記載の農業支援装置。
【請求項9】
前記計画策定部は、
前記情報取得部により取得された情報に基づいて、
複数の前記仮想圃場のそれぞれで
生産する農作物を決定
し、当該決定した結果を前記生産計画に含める請求項
1~8
のいずれか1項に記載の農業支援装置。
【請求項10】
前記計画策定部は、
前記情報取得部により取得された情報に基づいて、
複数の前記仮想圃場のそれぞれで
前記農作物を生産するために実施する農作業
又は当該農作業のスケジュールを決定
し、当該決定した結果を前記生産計画に含める請求項
1~9
のいずれか1項に記載の農業支援装置。
【請求項11】
前記計画策定部は、
前記情報取得部により取得された情報に基づいて、
複数の前記仮想圃場のそれぞれで
前記農作物を生産するために用いる農業機械、
作業装置、又は資材を決定
し、当該決定した結果を前記生産計画に含める請求項
1~10のいずれか1項に記載の農業支援装置。
【請求項12】
前記計画策定部は、
前記情報取得部により取得された情報に基づいて、前記仮想圃場毎に前記生産計画を策定し且つ修正する請求項1~
11のいずれか1項に記載の農業支援装置。
【請求項13】
前記生産計画に基づいて前記仮想農場で
前記農作物を生産した場合の
前記農作物の供給予測値を演算する供給演算部と、
前記農作物
を必要とする複数の需要者が管理する需要者端末装置から前記情報取得部によりそれぞれ取得された複数の前記需要情報に基づいて、
前記農作物の需要予測値を演算する需要演算部と、を備え、
前記計画策定部は、前記供給予測値と前記需要予測値とに基づいて、前記生産計画を策定し又は修正する請求項1~12のいずれか1項に記載の農業支援装置。
【請求項14】
前記生産計画に基づいて農作物の需要の促進又は抑制を提案する需要提案部を備えた請求項1~13のいずれか1項に記載の農業支援装置。
【請求項15】
前記生産計画に基づいて前記圃場で農作物を生産するための農作業を提案する生産提案部を備えた請求項1~14のいずれか1項に記載の農業支援装置。
【請求項16】
請求項1~15のいずれか1項に記載の農業支援装置と、
農作物を生産する複数の生産者がそれぞれ管理し且つ前記農業支援装置と通信する生産者端末装置と、を含む農業支援システム。
【請求項17】
農作物を必要とする需要者が管理し且つ前記農業支援装置と通信する需要者端末装置を含む請求項16に記載の農業支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農作物の生産者による農業を支援する農業支援装置及び農業支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
農作物の生産者による農業を支援するため、例えば特許文献1及び特許文献2に開示されたシステムが知られている。
【0003】
特許文献1に開示された植物の栽培管理システムは、生産者の経営方針と植物生育シミュレーションに基づき、植物栽培計画を決定する計画決定装置と、植物周囲環境を制御し作業者に作業指示をする環境・作業制御装置と、計画決定装置で決定された栽培計画に関わる計画指標値と、環境・作業制御装置で得られた植物栽培の実際の指標値との関係を管理する管理実行装置と、を備えている。管理実行装置は、計画決定装置に指標値の実績・予測情報や作業内容情報を提供し、計画決定装置から指標値計画情報を取得し、環境・作業制御装置に作業内容の変更情報及び植物周囲環境の制御方針を提供し、環境・作業制御装置から、実際の作業内容情報、植物の指標値の記録情報及び植物周囲環境と生体記録情報を取得する。
【0004】
特許文献1に開示された農作物栽培連動システムは、リアル圃場での栽培と連動させた農作物の栽培シミュレーションゲームを提供するシミュレーションサーバを備えている。シミュレーションサーバは、バーチャル栽培されるバーチャル農作物に関して、当該バーチャル農作物の収量を決定する収量パラメータを含む栽培状況を記録する栽培状況記録部と、栽培状況を更新しながらバーチャル農作物を自動的に成長させる自動成長制御部と、リアル圃場で災害が発生したとの情報を受信して、収量パラメータを強制的に減少させるための補正処理を行う成長補正制御部と、収量パラメータに応じて、リアル農作物のユーザへの配分量を決定する配分量決定部と、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2021-12483号公報
【文献】特許第5973153号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
農業に従事している農作物の生産者は多数いるが、各生産者は大抵独立で所望の農作物を任意に生産して、市場に出荷している。このため、農作物の供給と需要のバランスが悪化して、農作物の供給の過不足と農作物の価格の変動などが生じ、生産者が農作物を安定に生産することができなくなるおそれがある。
【0007】
そこで、本発明は上記問題点に鑑み、生産者による農作物の生産を安定化させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記技術的課題を解決するための本発明の技術的手段は、以下に示す点を特徴とする。
【0009】
本発明の一態様に係る農業支援装置は、複数の生産者がそれぞれ農作物を生産する複数の圃場に関する圃場情報、前記生産者に関する生産者情報、及び農作物の需要に関する需要情報を取得する情報取得部と、前記情報取得部により取得された複数の前記圃場情報に基づいて、複数の前記圃場を合わせた仮想農場を設定する農場設定部と、前記仮想農場で農作物を生産するための生産計画を策定し且つ当該生産計画を修正する計画策定部と、前記生産計画を出力する情報出力部と、を備え、前記圃場情報には、前記圃場の面積及び前記圃場での農作物の生産実績を示す情報が含まれ、前記生産者情報には、農作物の生産に関する前記生産者の要望を示す情報が含まれ、前記需要情報には、必要な農作物の種類及び要求量を示す情報が含まれ、前記農場設定部は、前記圃場情報に基づいて、複数の前記圃場のそれぞれに対応するように前記仮想農場を区画して、複数の仮想圃場を設定し、前記計画策定部は、前記圃場情報、前記生産者情報、及び前記需要情報に基づいて、種類が異なる複数の農作物をそれぞれ生産する1つ又は複数の前記仮想圃場を決定し、当該決定した結果を前記生産計画に含める。
【0010】
本発明の一態様では、前記生産者情報には、生産を希望する農作物についての前記生産者の複数の要望を示す情報が含まれ、前記計画策定部は、前記生産者情報に含まれる前記生産者の複数の要望のうちの1つ以上を満たすように、複数の前記仮想圃場のそれぞれで生産する1つ以上の農作物の種類を決定する。
【0011】
また、本発明の一態様では、前記計画策定部は、前記需要情報に含まれる前記農作物の需要を満たすように、複数の前記仮想圃場のそれぞれで生産する農作物を決定する。
【0012】
また、本発明の一態様では、前記計画策定部は、前記圃場情報及び前記生産者情報に基づいて、複数の前記圃場のそれぞれで生産されていた前記農作物を特定し、前記需要情報における前記農作物の要求の増減傾向を判断し、当該増減傾向に応じて、複数の前記仮想圃場のそれぞれで前回と種類が同一の農作物を生産するか又は前回と種類が異なる農作物を生産するかを決定し、当該決定した結果を前記生産計画に含める。
【0013】
本発明の一態様では、前記情報出力部は、前記生産者が管理する生産者端末装置に前記生産計画を送信する。
【0014】
また、本発明の一態様では、前記情報取得部は、複数の前記生産者がそれぞれ管理する生産者端末装置から前記圃場情報及び前記生産者情報をそれぞれ取得する。
【0015】
また、本発明の一態様では、前記生産者情報には、農作業に関する前記生産者の要望又は前記生産者の農作物の生産能力を示す情報が含まれている。
【0016】
また、本発明の一態様では、前記農場設定部は、複数の前記生産者がそれぞれ管理する生産者端末装置から前記情報取得部によってそれぞれ取得された複数の前記圃場情報より、複数の前記生産者がそれぞれ管理する前記圃場のサイズをそれぞれ抽出し、当該サイズを合計して前記圃場より大きな前記仮想農場を設定する。
【0017】
また、本発明の一態様では、前記計画策定部は、前記情報取得部により取得された情報に基づいて、複数の前記仮想圃場のそれぞれで生産する農作物を決定し、当該決定した結果を前記生産計画に含める。
【0018】
また、本発明の一態様では、前記計画策定部は、前記情報取得部により取得された情報に基づいて、複数の前記仮想圃場のそれぞれで前記農作物を生産するために実施する農作業又は当該農作業のスケジュールを決定し、当該決定した結果を前記生産計画に含める。
【0019】
また、本発明の一態様では、前記計画策定部は、前記情報取得部により取得された情報に基づいて、複数の前記仮想圃場のそれぞれで前記農作物を生産するために用いる農業機械、作業装置、又は資材を決定し、当該決定した結果を前記生産計画に含める。
【0020】
また、本発明の一態様では、前記計画策定部は、前記情報取得部により取得された情報に基づいて、前記仮想圃場毎に前記生産計画を策定し且つ修正する。
【0021】
また、本発明の一態様では、前記農業支援装置は、前記生産計画に基づいて前記仮想農場で前記農作物を生産した場合の前記農作物の供給予測値を演算する供給演算部と、前記農作物を必要とする複数の需要者が管理する需要者端末装置から前記情報取得部によりそれぞれ取得された複数の前記需要情報に基づいて、前記農作物の需要予測値を演算する需要演算部と、を備え、前記計画策定部は、前記供給予測値と前記需要予測値とに基づいて、前記生産計画を策定し又は修正する。
【0022】
また、本発明の一態様では、前記農業支援装置は、前記生産計画に基づいて農作物の需要の促進又は抑制を提案する需要提案部を備える。
【0023】
また、本発明の一態様では、前記農業支援装置は、前記生産計画に基づいて前記圃場で農作物を生産するための農作業を提案する生産提案部を備える。
【0024】
本発明の一態様に係る農業支援システムは、前記農業支援装置と、農作物を生産する複数の生産者がそれぞれ管理し且つ前記農業支援装置と通信する生産者端末装置と、を含む。
【0025】
本発明の一態様では、前記農業支援システムは、農作物を必要とする需要者が管理し且つ前記農業支援装置と通信する需要者端末装置をさらに含む。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、生産者による農作物の生産を安定化させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図2】農業支援装置が取得する情報の一例を示した図である。
【
図4】農業支援装置から出力される情報の一例を示した図である。
【
図5A】農業支援装置と端末装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【
図5B】
図5Aの続きの動作の一例を示すフローチャートである。
【
図5C】
図5Aの続きの動作の他の例を示すフローチャートである。
【
図6】生産者の要望を入力する画面の一例を示した図である。
【
図7A】圃場情報と生産者情報の一例を示す図である。
【
図8A】圃場情報と生産者情報の他の例を示す図である。
【
図9A】圃場情報と需要情報と生産計画の他の例を示す図である。
【
図9B】農作物毎の総生産実績面積の割合を示す図である。
【
図9C】仮想農場での農作物毎の総生産面積の割合を示す図である。
【
図10】農業支援装置と端末装置の動作の変形例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0029】
まず、本実施形態の農業支援システム100及び農業支援装置1の構成について説明する。
図1は、本実施形態の農業支援システム100の構成図である。農業支援システム100には、農業支援装置1、生産者端末装置2、及び需要者端末装置3が含まれている。農業支援装置1は、例えば、管理センタに設置されたサーバ又はパーソナルコンピュータなどで構成されている。
【0030】
生産者端末装置2は、農作物を生産する生産者が管理するパーソナルコンピュータ、スマートフォン、又はタブレット機器などから構成されている。
図1では、3台の生産者端末装置2を例示しているが、生産者端末装置2の台数は3台に限定されない。生産者には、例えば、個人の農家又は営農団体などが含まれる。生産者は地域を問わず多数いるため
、各生産者が管理する生産者端末装置2も多数ある。生産者が管理するパーソナルコンピュータ、スマートフォン、又はタブレット機器とは、生産者が操作又は所有するパーソナルコンピュータ、スマートフォン、又はタブレット機器のことである。
【0031】
需要者端末装置3は、農作物の需要者が管理するパーソナルコンピュータ、スマートフォン、又はタブレット機器などから構成されている。
図1では、3台の需要者端末装置3を例示しているが、需要者端末装置3の台数は3台に限定されない。需要者には、例えば外食企業若しくはスーパーマーケットなどの団体、その他の小売業者、又は市場で農作物を販売する事業主などが含まれる。需要者は地域を問わず多数いるため、各需要者が管理する需要者端末装置3も多数ある。需要者が管理するパーソナルコンピュータ、スマートフォン、又はタブレット機器とは、需要者が操作又は所有するパーソナルコンピュータ、スマートフォン、又はタブレット機器のことである。
【0032】
以下、生産者端末装置2を、単に「生産者端末2」と言い、需要者端末装置3を、単に「需要者端末3」と言う。また、生産者端末2及び需要者端末3を、まとめて「端末装置2、3」と言う。
【0033】
農業支援装置1は、制御部4、記憶部5、及び通信部7を備えている。制御部4は、CPU(又はマイクロコンピュータ)とメモリなどから構成されている。制御部4には、情報取得部11、農場設定部12、計画策定部13、情報出力部14、供給演算部15、需要演算部16、生産提案部17、及び需要提案部18が設けられている。これら各部11~18は、本例ではソフトウェアにより構成されているが、ASIC又はFPGAなどのハードウェアから構成されてもよい。
【0034】
記憶部5は、不揮発性のメモリデバイス又はハードディスクなどから構成されている。記憶部5には、制御部4の制御情報と端末装置2、3に対する送受信情報などの各種の情報とデータとが記憶されている。また、記憶部5には、圃場で農業を行うための各種情報を格納した農業データベース(DB)6が構築されている。
【0035】
通信部7は、公衆通信網とインターネットとを介した通信を行うための通信回路又は通信デバイスから構成されている。農業支援装置1は、通信部7により公衆通信網とインターネットとを介して端末装置2、3と相互に通信する。他の例として、例えば農業支援装置1が専用回線又は狭域通信網を介して、端末装置2、3と相互に通信するようにしてもよい。
【0036】
図2は、農業支援装置1が端末装置2、3から取得する情報の一例を示した図である。農業支援装置1の情報取得部11(
図1)は、通信部7により複数の生産者端末2から、生産者が農作物を生産する圃場に関する圃場情報と、生産者に関する生産者情報とをそれぞれ取得(受信)する。
【0037】
生産者は、1つ以上の圃場を管理していて、管理する生産者端末2を操作することにより、当該生産者端末2に自身が管理する圃場毎に圃場情報を入力する。圃場情報には、例えば、圃場の識別情報、圃場がある場所、圃場のサイズ(面積など)、圃場の管理者(生産者)の識別番号、圃場の位置(座標など)、圃場の輪郭、圃場で生産している農作物の種類、圃場での農作物の生産状況(現在の農作物の生産の有無、生産している農作物の種類、生産数、生産面積、生産開始日時、生育状態など)、又は圃場での農作物の生産実績(過去の農作物の生産の有無、生産した農作物の種類、生産数、生産面積、生産期間、生産した農作物の地域とのマッチング率など)が含まれている。然るに、圃場情報は、これらの情報に限定されない。
【0038】
生産者は、管理する生産者端末2を操作することにより、当該生産者端末2に自身の生産者情報を入力する。生産者情報には、例えば、生産者の識別情報、管理する圃場の識別情報、生産者の要望(生産を希望する農作物、農作業を実施する時期、農作業の内容など)、生産者の農作物の生産能力(生産可能な農作物、当該農作物の生産可能量、生産者が管理している農業機械、作業装置、人手など)、生産者の個人情報(氏名、住所、連絡先、生年月日など)、又は農作物の生産実績(過去の農作物の生産の有無、生産していた農作物の種類、生産数、生産面積、生産期間)が含まれている。然るに、生産者情報は、これらの情報に限定されない。
【0039】
情報取得部11は、通信部7により複数の需要者端末3から、農作物の需要に関する需要情報を取得(受信)する。需要者は、管理する需要者端末3を操作することにより、当該需要者端末3に自身が必要とする農作物の需要情報を入力する。需要情報には、例えば、農作物の種類、需要量(要求量)、必要時期、品種、産地、又はサイズが含まれている。然るに、需要情報は、これらの情報に限定されない。
【0040】
他の例として、生産者端末2以外の外部装置から、複数の圃場に関する圃場情報と、複数の生産者に関する生産者情報とを、情報取得部11が取得してもよい。また、需要者端末3以外の外部装置から、農作物の需要に関する需要情報を情報取得部11が取得してもよい。
【0041】
農業支援装置1の農場設定部12(
図1)は、情報取得部11により取得された複数の圃場情報に基づいて、複数の生産者がそれぞれ管理する複数の圃場を合わせた仮想農場を設定する。
図3は、圃場と仮想農場の一例を示した図である。
【0042】
情報取得部11により複数の生産者端末2から取得された複数の圃場情報には、各生産者が管理する複数の圃場H1のサイズ(面積)がそれぞれ含まれている。農場設定部12は、複数の圃場情報から各圃場H1のサイズをそれぞれ抽出し、当該サイズを合計して、
図3に示すように、各圃場H1より大きな仮想農場(バーチャル大農場)H2を設定する。また、農場設定部12は、複数の圃場H1のそれぞれに対応するように仮想農場H2を区画して、仮想圃場H1aを設定する。即ち、仮想農場H2は、複数の仮想圃場H1aから構成されている。
【0043】
計画策定部13(
図1)は、農場設定部12により設定された仮想農場H2で農作物を生産するための生産計画を策定し、且つ当該生産計画を修正する。また、計画策定部13は、農場設定部12により区画された仮想圃場H1a毎に生産計画を策定し又は修正する。また、計画策定部13は、情報取得部11により取得された圃場情報、生産者情報、又は需要情報に基づいて、生産計画を策定し又は修正する。
【0044】
また、計画策定部13は、生産計画として、各仮想圃場H1aで栽培する農作物、各仮想圃場H1aで実施する農作業、各仮想圃場H1aで用いる農業機械、当該農業機械に連結する作業装置、又は資材(肥料、薬剤、水、農業機械の燃料などと、これらの使用料)を決定する。また、計画策定部13は、生産計画として、各仮想圃場H1aで農作物を生産するために実施する農作業のスケジュールも決定する。
【0045】
図4は、農業支援装置1が端末装置2、3に出力(送信)する情報の一例を示した図である。農業支援装置1の情報出力部14(
図1)は、計画策定部13により策定及び修正された生産計画を、通信部7によって生産者端末2に出力(送信)する。生産計画には、例えば、仮想農場H2の識別情報、仮想圃場H1aの識別情報、仮想圃場H1aに対応する圃場のサイズ(面積)と場所、仮想圃場H1aで生産する農作物の種類、生産方法(農法)、実施する農作業、使用する農業機械と作業装置と資材、又は農作業スケジュールな
どが含まれている。
【0046】
図1に示すように、農業支援装置1には、ディスプレイ又はプリンタなどの出力デバイス8が電気的に接続されている。情報出力部14は、計画策定部13により策定及び修正された生産計画とその他の情報を、出力デバイス8により出力(即ち、ディスプレイによる表示、プリンタによる用紙への印刷)することも可能である。
【0047】
供給演算部15は、計画策定部13により策定し又は修正された生産計画に基づいて、仮想農場H2で農作物を生産した場合の農作物の供給予測値を演算する。農作物の供給予測値には、例えば、農作物の総生産量(総収穫量)又は農作物を生産する圃場H1の総面積(総生産面積)などが含まれる。需要演算部16は、情報取得部11により取得された需要情報に基づいて、農作物の需要予測値を演算する。需要予測値には、例えば、農作物の総需要量(総要求量)、又は当該総需要量を得るために農作物を生産する圃場H1の総面積(総需要面積)などが含まれる。計画策定部13は、供給演算部15により演算された農作物の供給予測値と、需要演算部16により演算された農作物の需要予測値とに基づいて、生産計画を策定し又は修正する。
【0048】
需要提案部18は、計画策定部13により策定し又は修正された生産計画に基づいて、農作物の需要の促進又は抑制を提案する。情報出力部14は、
図4に示すように、需要提案部18による農作物の需要の促進又は抑制の提案を、通信部7によって需要者端末3に出力(送信)する。農作物の需要の促進の提案には、農作物の販売を促進する旨の情報(メッセージなど)が含まれている。農作物の需要の抑制の提案には、農作物の販売を抑制する旨の情報(メッセージなど)が含まれている。
【0049】
生産提案部17(
図1)は、計画策定部13により策定し又は修正された生産計画に基づいて、圃場H1で農作物を生産するための農作業を提案する。情報出力部14は、
図4に示すように、生産提案部17による農作業の提案を、通信部7によって生産者端末2に出力(送信)する。農作業の提案には、例えば、施肥、薬剤、若しくは水の散布作業(これらの散布量)の実施、他の農作業の実施(若しくは不実施)、農作物の早期出荷、又は必要な農業機械と作業装置と人手での調達などを勧める情報(メッセージなど)が含まれている。これら以外に、農作物の生産方法、ノウハウ、又はその他の助言が、農作業の提案に含まれていてもよい。
【0050】
次に、農業支援装置1及び端末装置2、3の動作について説明する。
図5A及び
図5Bは、農業支援装置1及び端末装置2、3の動作の一例を示すフローチャートである。
図5Bは、
図5Aの続きの動作を示している。
図5A及び
図5Bでは、便宜上、生産者端末2と需要者端末3の一連の動作をそれぞれ1つずつ示しているが、生産者端末2と需要者端末3とはそれぞれ複数あって(
図1)、各生産者端末2と各需要者端末3において、
図5A及び
図5Bに示す一連の動作が実行される。
【0051】
複数の生産者端末2から圃場情報と生産者情報とが送信されると(
図5AのS1)、当該各圃場情報と各生産者情報とが農業支援装置1の通信部7により受信されて、情報取得部11により取得される(S2)。このとき情報取得部11は、取得した圃場情報と生産者情報とを記憶部5に記憶させる。そして、農場設定部12が、情報取得部11により取得された複数の圃場情報に基づいて、前述したように仮想農場H2と仮想圃場H1aとを設定する(S3、
図3参照)。
【0052】
また、複数の需要者端末3から需要情報が送信されると(
図5AのS4)、当該各需要情報が農業支援装置1の通信部7により受信されて、情報取得部11により取得される(S5)。このとき情報取得部11は、取得した需要情報を記憶部5に記憶させる。そして
、計画策定部13が、情報取得部11により取得された圃場情報、生産者情報、又は需要情報に基づいて、仮想農場H2で農作物を生産するための生産計画を策定する(S6)。この際、計画策定部13は、圃場情報、生産者情報、及び需要情報のそれぞれに含まれる各種情報のうち、1つ以上の所定情報に基づいて仮想農場H2の仮想圃場H1a毎に生産計画を策定する。
【0053】
具体的には、例えば計画策定部13は、圃場情報に含まれる圃場H1での農作物の生産実績、生産者情報に含まれる生産者による農作物の生産能力、又は需要情報に含まれる農作物の需要量に基づいて、仮想農場H2の仮想圃場H1a毎に生産計画を策定する。これら以外の、圃場情報(例えば圃場H1の輪郭、圃場H1での農作物の生産状況など)、生産者情報(例えば生産者による農作物の生産実績など)、又は需要情報(例えば農作物の必要時期、サイズなど)に基づいて、計画策定部13が仮想圃場H1a毎に生産計画を策定してもよい。
【0054】
生産計画の策定後、計画策定部13は、生産者情報に含まれる生産者の要望を確認し、当該生産者が管理する圃場H1に対応した仮想圃場H1aの生産計画が生産者の要望を満たすか否かを判断する。ここで、仮想圃場H1aの生産計画が対応する生産者の要望を満たしていない場合に(S7:NO)、計画策定部13は、当該生産者の要望を満たすように、仮想圃場H1aの生産計画を修正する(S8)。これにより、複数の仮想圃場H1aから構成された仮想農場H2の生産計画も修正される。なお、計画策定部13は、生産者の要望を満たすか否かの判断(S7)において、複数の生産者の要望のうち、少なくとも1以上の要望、又は、所定数以上の要望を満たすことができれば、生産者の要望を満たしたと判断してもよい。
【0055】
次に、供給演算部15が、計画策定部13により策定された生産計画に基づいて、仮想農場H2で農作物を生産した場合の農作物の供給予測値を演算する(S9)。この際、例えば供給演算部15は、生産計画に含まれる仮想農場H2のサイズ(面積)、圃場情報に含まれる圃場H1での農作物の生産実績、農業データベース6に含まれる農作物の収穫量の統計データ、又は気象情報などを参照し、供給予測値として仮想農場H2で農作物を生産した場合の農作物の総生産量を、所定の計算式で若しくは確率統計的に演算する。
【0056】
また、需要演算部16が、情報取得部11により取得された需要情報に基づいて、農作物の需要予測値を演算する(S10)。この際、例えば供給演算部15は、情報取得部11により取得された全ての需要情報に含まれる農作物の需要量(要求量)を合計した総需要量(総要求量)を、需要予測値として演算する。
【0057】
そして、計画策定部13は、農作物毎に供給予測値(総生産量)と需要予測値(総需要量)とに基づいて、農作物の需要を満たすか否かを判断する。具体的には、例えば計画策定部13は、農作物毎に供給予測値(総生産量)と需要予測値(総需要量)とを比較し、供給予測値が需要予測値未満である場合に、農作物の需要を満たさないと判断する(
図5BのS11:NO)。そして、計画策定部13は、当該需要を満たすように、即ち供給予測値が需要予測値以上になるように、1つ以上の仮想圃場H1aの生産計画を適宜修正する(S12)。これによっても、仮想農場H2の生産計画が修正される。
【0058】
上述のように計画策定部13により生産計画が策定又は修正された後、情報出力部14が通信部7により、各仮想圃場H1aの生産計画を対応する圃場H1の管理者(生産者)の生産者端末2に送信(出力)する(S13)。
【0059】
生産者端末2では、農業支援装置1からの生産計画を受信すると、当該生産計画が生産者端末2に備わる記憶部に記憶される(S14)。この後、生産者が生産者端末2を操作
することにより、生産者端末2の記憶部に記憶された生産計画の内容が、生産者端末2に備わる液晶ディスプレイ又はタッチパネルなどの表示部に表示される(S15)。そして、生産者が、その表示部に表示された生産計画の内容を視認して、当該生産計画に関する新たな要望を含んだ生産者情報を生産者端末2に入力すると、当該生産者情報が生産者端末2から農業支援装置1に送信される(S16)。また、生産者が新たな圃場情報を生産者端末2に入力すると、当該圃場情報が生産者端末2から農業支援装置1に送信される(S16)。
【0060】
農業支援装置1では、生産者端末2からの生産者情報又は圃場情報を情報取得部11が通信部7により取得すると(S17)、計画策定部13が、当該生産者情報又は圃場情報と、これらに対応する仮想圃場H1aの生産計画とを参照して、当該生産計画の修正が必要か否かを判断する。このとき、例えば、仮想圃場H1aの生産計画で示されていた農作物と異なる農作物の生産を希望する旨の要望が生産者情報に含まれていた場合、又は圃場H1のサイズ(面積)の変更が圃場情報に含まれていた場合などに、計画策定部13は、仮想圃場H1aの生産計画の修正が必要であると判断する(S18:YES)。そして、計画策定部13は、情報取得部11により取得された生産者情報又は圃場情報に基づいて、仮想圃場H1aの生産計画を修正する(S19)。情報出力部14は、計画策定部13により修正された生産計画を、通信部7により生産者端末2に送信する(S20)。
【0061】
一方、例えば、農業機械又は資材の提供を求める旨などのような、仮想圃場H1aの生産計画で示されていた農作業を行うための要望が生産者情報に含まれていた場合、計画策定部13は、仮想圃場H1aの生産計画の修正が不要であると判断する(S18:NO)。この場合、計画策定部13は、生産計画を修正しない。
【0062】
次に計画策定部13は、例えば農業データベース6(
図1)を探索し、予め登録された農機具ディーラ又は農業サポートセンタなどにおける農業機械又は資材の在庫を示す在庫情報を確認して、農業機械又は資材が提供可能か否かを判断する。そして、計画策定部13は、農業機械又は資材が提供可能であれば、当該農業機械又は資材を提供可能な数量と日時などを決定する。この後、情報出力部14が、当該計画策定部13の決定結果を含む返答(要望に対する返答)を通信部7により生産者端末2に返信する(S21)。
【0063】
生産者端末2は、農業支援装置1からの返答を受信すると(S22)、当該返答内容(農業機械又は資材の提供可否、提供可能である場合には、提供可能な数量と日時など)を記憶してから、表示部に表示させる(S23)。当該表示内容を視認した生産者は、農業機械又は資材を調達して、生産計画に沿って農作業を実施することができる。
【0064】
また、需要者が新たな需要情報を需要者端末3に入力すると、当該需要情報が需要者端末3から農業支援装置1に送信される(S24)。農業支援装置1では、情報取得部11が需要者端末3からの需要情報を通信部7により取得すると(S25)、計画策定部13が、当該需要情報と仮想農場H2の生産計画とを参照して、当該生産計画の修正が必要か否かを判断する。ここで、計画策定部13は、修正が必要であると判断した場合に(S26:YES)、需要情報に基づいて仮想農場H2の生産計画を修正する(S27)。情報出力部14は、計画策定部13により修正された生産計画を、通信部7により生産者端末2に送信する(S28)。
【0065】
その後、農業支援装置1では、
図5Aの処理S7から以降の処理が実行される。生産者端末2では、例えば
図5Bの処理S14から以降の処理が繰り返し実行される。需要者端末3では、例えば
図5Bの処理S24が繰り返し実行される。
【0066】
図5Cは、農業支援装置1及び端末装置2、3の動作の他の例を示すフローチャートで
ある。詳しくは、
図5Cは、
図5Aに示した農業支援装置1及び端末装置2、3の動作の続きの動作を示している。即ち、前述の
図5Bに示した動作に代えて、
図5Cに示す動作が実行される。
図5Cでは、
図5Bに示した処理と同一の処理には、同一符号を付している。
【0067】
図5Aにおいて、前述したように処理S1~S10が実行された後、農業支援装置1の計画策定部13は、例えば、生産計画などに基づく農作物の供給予測値が、需要情報に基づく農作物の需要予測値未満である場合と、当該供給予測値が需要予測値より多い所定の過剰値以上である場合に、農作物の需要を満たさないと判断する(
図5CのS31:NO)。この場合、次に計画策定部13が、仮想圃場H1a及び仮想農場H2の生産計画を修正し(S12)、情報出力部14が当該修正後の生産計画を通信部7により各生産者端末2に送信(出力)する(S13)。また、需要提案部18が修正後の生産計画に基づいて、農作物の需要(販売)の抑制又は促進を提案して、情報出力部14が当該提案を通信部7により1つ以上の需要者端末3に送信(出力)する(S32)。
【0068】
需要者端末3は、農業支援装置1からの農作物の需要の抑制又は促進の提案を受信すると(S33、当該提案の内容を記憶してから、需要者端末3に備わる液晶ディスプレイ又はタッチパネルなどの表示部に表示させる(S34)。これにより、農作物の需要の抑制の提案が需要者端末3の表示部に表示された場合、当該表示を視認した需要者は、例えば農作物を店舗に陳列しないなどの、販売を抑制する措置を講じる。また、農作物の需要の促進の提案が需要者端末3の表示部に表示された場合、当該表示を視認した需要者は、例えば農作物を店頭に陳列したり、農作物の販売することを広告したりするなどの、販売を促進する措置を講じる。
【0069】
また農業支援装置1では、生産提案部17が修正後の生産計画に基づいて、圃場H1で農作物を生産するための農作業を提案し、情報出力部14が当該提案を通信部7により1つ以上の生産者端末2に送信(出力)する(S35)。具体的には、生産提案部17は、例えば施肥などの農作業の追加若しくは減少、農作物の早期出荷、又は農業機械若しくは作業装置の変更などを提案する。なお、複数の生産者端末2に対して、生産提案部17で同一の提案をして、当該同一の提案を情報出力部14が各生産者端末2に送信するようにしてもよいし、又は生産提案部17で異なる提案をして、当該各提案を情報出力部14が対応する生産者端末2にそれぞれ送信してもよい。
【0070】
生産者端末2は、農業支援装置1からの提案を受信すると(S36)、当該提案内容を記憶してから、表示部に表示させる(S37)。この後、生産者が、その表示部に表示された農作業の提案内容を視認して、当該提案を受容するか否かの旨、又は当該提案に対する要望を含んだ返答(生産者情報に含まれる。)を生産者端末2に入力すると、当該返答が生産者端末2から農業支援装置1に返信される(S38)。
【0071】
農業支援装置1では、生産者端末2から返信された返答を情報取得部11が通信部7により取得すると(S39)、計画策定部13が、当該返答と生産計画とを参照して、当該生産計画の修正が必要か否かを判断する。このとき、例えば生産提案部17の提案を受容する旨が生産者端末2からの返答に含まれていた場合、計画策定部13は、生産計画の修正が不要であると判断して(S40:NO)、
図5Aの処理S7から以降の処理を実行する。
【0072】
また、例えば生産提案部17の提案を受容しない旨が生産者端末2からの返答に含まれていた場合、計画策定部13は、生産計画の修正が必要であると判断して(
図5CのS40:YES)、生産計画を修正する(S41)。情報出力部14は、計画策定部13により修正された生産計画を、通信部7により生産者端末2に送信する(S42)。この後、
図5Aの処理S7から以降の処理を実行する。
【0073】
次に、生産者の要望について説明する。生産者の要望は、生産者が生産者端末装置2に入力し、当該生産者端末装置2から生産者情報を農業支援装置1に送信することで、農業支援装置1が取得することができる。
図6は、生産者の要望を入力する画面(要望入力画面)M10の一例を示す図である。本要望入力画面M10は、生産者端末装置2で所定の操作を行うことにより、生産者端末装置2に備わる表示部に表示される。生産者端末装置2は、要望入力画面M10に入力された情報を生産者情報として、農業支援装置1に送信する。
【0074】
要望入力画面M10では、生産者の要望として、生産する農作物を入力することが可能である。要望入力画面M10において、生産実績部201は、生産者が過去に生産したことのある農作物を表示するためのキーである。例えば生産者が生産者端末装置2を操作して、生産実績部201を選択することで、生産者が過去に生産したことのある農作物が要望入力画面M10にポップアップで表示される。
【0075】
作物指定部202は、生産者が生産したい農作物を直接入力する入力欄203、204を含んでいる。
図10では、入力欄203、204を2つ例示しているが、入力欄の数は1つでもよいし、3つ以上でもよい。また、生産者が生産者端末装置2を操作することで、作物指定部202の入力欄を増減させてもよい。例えば生産者が生産者端末装置2を操作して、生産実績部201のいずれかの入力欄203、204を選択した後、当該入力欄に生産したい農作物を入力する。
【0076】
上記のような要望入力画面M10により、生産者は過去に生産したことのある農作物を再び生産したいという要望を入力したり、生産者がこれまで生産したことのない農作物を新たに生産したいという要望を入力したりすることができる。
【0077】
次に、農業支援装置1による生産計画の策定と修正の具体例を説明する。
図7Aは、圃場情報と生産者情報の一例を示す図である。
図7Bは、需要情報の一例を示す図である。
図7Cは、生産計画の一例を示す図である。
【0078】
農業支援装置1の情報取得部11が複数の生産者端末2から取得した圃場情報及び生産者情報より、計画策定部13は、特定情報をそれぞれ抽出して、当該特定情報を
図7Aに示すように、農場設定部12により設定された仮想農場H2の各仮想圃場H1aに対応付ける。
図7Aでは、特定情報として、各仮想圃場H1aに対応する圃場H1を管理している生産者の名称(識別情報)、当該圃場H1の識別情報、及び当該圃場H1で前回生産された農作物が含まれている。
【0079】
また、農業支援装置1の需要演算部16は、情報取得部11が複数の需要者端末3から取得した需要情報より、
図7Bに示すように、農作物毎の需要量を演算する。そして、計画策定部13は、需要演算部16の演算結果から、農産物毎の要求の増加傾向又は減少傾向を判断する。
図7Bでは、農産物である「たまねぎ」と「キャベツ」の需要量が多くて、これらの要求が増加傾向にある。また、「にんじん」、「レタス」、及び「ブロッコリ」の需要量が少なくて、これらの要求が減少傾向にある。
【0080】
計画策定部13は、
図7Aに示す圃場情報及び生産者情報と、
図7Bに示す需要情報とに基づいて、
図7Cに示すように、仮想農場H2の仮想圃場H1a毎に生産計画を策定する。詳しくは、
図7Bに示すように、「たまねぎ」と「キャベツ」の要求が増加傾向にあって、「にんじん」、「レタス」、及び「ブロッコリ」の要求が減少傾向にあるため、計画策定部13は、仮想圃場H1aのうち、
図7Aに示すように「たまねぎ」と「キャベツ
」が生産されていた圃場「001」~「005」と、「にんじん」が生産されていた圃場「006」、「007」で、
図7Cに示すように「たまねぎ」を生産することを計画する。
【0081】
また、計画策定部13は、
図7Aに示すように「キャベツ」が生産されていた圃場「008」~「010」と、「ブロッコリ」が生産されていた圃場「011」、「012」で、
図7Cに示すように「キャベツ」を生産することを計画する。さらに、計画策定部13は、
図7Aに示すように「レタス」が生産されていた圃場「013」~「015」のうち、
図7Cに示すように、圃場「013」で「にんじん」を生産し、圃場「014」で「レタス」を生産し、圃場「015」で「ブロッコリ」を生産することを計画する。即ち、計画策定部13は、圃場情報、生産者情報、及び需要情報に応じて、仮想農場H2の生産計画を策定する。
【0082】
また、計画策定部13は、
図7Cに示すように生産計画を策定した後、例えば、需要者端末3からの新たな圃場情報を情報取得部11により取得したとき、又は生産を希望する農作物などの生産者の要望を含む新たな生産者情報を生産者端末2から情報取得部11により取得したときに、当該圃場情報又は生産者情報に応じて、仮想農場H2の仮想圃場H1a毎に生産計画を修正する(詳細図示省略)。
【0083】
図8Aは、圃場情報と生産者情報の他の例を示す図である。
図8Bは、生産計画の他の例を示す図である。
【0084】
計画策定部13は、情報取得部11により複数の生産者端末2から取得された圃場情報及び生産者情報を集約して、
図8Aに示すような圃場生産者テーブルを作成する。
図8Aの圃場生産者テーブルには、生産者の名称、生産者の識別情報、生産者が管理する圃場H1の識別情報、圃場H1の面積、圃場H1の場所、圃場H1で使用した機械(農業機械と作業装置など)、圃場H1で生産した農作物、及び生産者の要望が含まれている。
【0085】
農場設定部12は、例えば
図8Aの圃場生産者テーブルに示された複数の圃場H1を合わせて、1つ以上の仮想農場H2と、当該仮想農場H2に含まれる仮想圃場H1aを設定する。計画策定部13は、圃場生産者テーブルの情報に基づいて、
図8Bに示すように生産計画を作成する。詳しくは、計画策定部13は、圃場生産者テーブルに含まれる情報のうち、生産者の要望を満たすように、仮想農場H2に含まれる仮想圃場H1aで生産する農作物を調整する。
【0086】
図8Bの生産計画には、仮想農場H2の名称、仮想農場H2の識別番号、生産者の名称、生産者が管理する仮想圃場H1aの識別情報、仮想圃場H1aの面積、仮想圃場H1aの場所、仮想圃場H1aで生産する農作物、仮想圃場H1aで実施する農作業、及び仮想圃場H1aで使用する農業機械が含まれている。仮想圃場H1aに関する情報は、対応する圃場H1に関する情報と同一である。
【0087】
図8Aに示すように、「たまねぎ」と「キャベツ」を生産している「生産者A」は、「たまねぎ」の生産に専念することを要望し、「レタス」を生産している「生産者E」は、生産する農作物の品目を増すことを要望している。このため、計画策定部13は、
図8Bに示すように、「生産者A」に対応する仮想圃場H1aで「たまねぎ」を生産することを計画する。また、計画策定部13は、「キャベツ」の生産量をある程度確保するため、
図8Aに示すように「ブロッコリ」と「キャベツ」とを生産していた「生産者D」に対応する仮想圃場H1aで、
図8Bに示すように「キャベツ」だけを生産することを計画する。また、計画策定部13は、「生産者E」に対応する仮想圃場H1aで「レタス」と「にんじん」と「ブロッコリ」を生産することを計画する。
【0088】
図9Aは、供給予測値と需要予測値の一例を示す図である。
図9Bは、農作物毎の総生産実績面積の割合をグラフで示す図である。
図9Cは、仮想農場H2での農作物毎の総生産面積の割合をグラフで示す図である。
【0089】
農業支援装置1の供給演算部15は、情報取得部11により複数の生産者端末2から取得した各圃場情報に含まれる農作物の生産実績より、各圃場H1での農作物の前回の生産面積を抽出して、当該前回の生産面積を農作物毎に合計した総生産実績面積(
図9A)を演算する。
【0090】
需要演算部16は、情報取得部11により複数の需要者端末3から取得した各需要情報に含まれる農作物の需要量を抽出して、当該需要量を農作物毎に合計した総需要量を演算する。さらに、需要演算部16は、当該総需要量を得るために各農作物を生産する仮想圃場H1aの面積を、農作物毎に合計した各総需要面積(
図9A)を演算する。総需要面積は、需要予測値の一例である。
【0091】
計画策定部13は、情報取得部11により複数の生産者端末2から取得した各圃場情報に含まれる農作物の生産実績より、各農作物が前回生産された圃場H1と当該圃場H1の面積を抽出する。また、計画策定部13は、供給演算部15により演算された総生産実績面積と、需要演算部16により演算された総需要面積とを農作物毎に比較する。そして、計画策定部13は、上記の抽出結果と比較結果とに基づいて、仮想農場H2の生産計画として、各仮想圃場H1aで生産する農作物を決定する。
【0092】
また、供給演算部15は、上記のように決定された農作物毎に仮想圃場H1aの面積を合計した総生産面積(
図9A)を、農作物の供給予測値として演算する。そして、計画策定部13は、農作物毎に計画策定部13により演算された総生産面積が需要演算部16により演算された総需要面積以上になるように、各仮想圃場H1aで生産する農作物を調整(変更)することにより、仮想圃場H1a及び仮想農場H2の生産計画を修正する。
【0093】
上記のように、計画策定部13が仮想農場H2の生産計画を策定し且つ修正することで、複数の生産者が管理する複数の圃場H1全体において、各農作物の供給予測値が需要予測値以上になる。
図9A~
図9Cに示す例では、
図9Bに示す複数の農作物の総生産実績面積に大差がなかったのに対して、仮想農場H2では、需要情報に応じて、
図9Cに示すように「たまねぎ」と「キャベツ」の総生産面積が、他の農作物の総生産面積より広くなっている。
【0094】
図7C及び
図8Bでは、表形式の生産計画を例に示したが、例えば農作物を生産するための農作業と、当該農作業を実施する時期とを表す農作業スケジュールなどを、計画策定部13が生産計画として策定又は修正し、情報出力部14が生産者端末2に出力してもよい。
【0095】
上述した実施形態では、
図5及び
図6に示したように、計画策定部13が策定し且つ修正した生産計画を、情報出力部14が生産者端末2に出力したが、これ以外に、例えば計画策定部13が生産計画を策定すると、当該生産計画を情報出力部14が直ぐに生産者端末2に出力し、その後計画策定部13が生産計画を修正すると、当該修正後の生産計画を情報出力部14が生産者端末2に出力してもよい。
【0096】
上述した実施形態では、生産提案部17が圃場H1で農作物を生産するための農作業又は農業機械などを提案し、需要提案部18が農作物の需要の促進又は抑制を提案したが、提案部17、18の提案はこれらに限定されない。例えば、生産提案部17が圃場H1で
農作物を生産するための作業者数などを提案してもよいし、需要提案部18が要求する農作物又は農作物の需要量などの変更を提案してもよい。
【0097】
上述した実施形態では、農業支援装置1で生産計画の策定を行った後に、生産者の要望を満たすか否かの判断を行っていたが、生産者の要望を満たすか否かの判断を行う前に、生産者の要望の再確認を行ってもよい。この場合の実施形態を
図10に示す。
図10は、農業支援装置1と端末装置2、3の動作の変形例を示すフローチャートである。
図10に示す動作は、
図5Aに示した動作に代えて実行される。
【0098】
図10において、農業支援装置1の計画策定部13で生産計画が策定されると(S6)、情報出力部14が当該生産計画を生産者端末装置2に送信する(S50)。生産者端末装置2は、生産計画を受信すると(S51)、当該生産計画を表示部に表示する(S52)。また、生産者端末装置2は、処理S1で農業支援装置1に送信した生産者情報に含まれる生産者の要望を表示部に表示して(S53)、要望確認処理を実行する(S54)。要望確認処理では、生産者端末装置2は、生産者による所定操作を受けて、前述の要望入力画面M10(
図10)を表示部に表示させる。このとき、生産者端末装置2は、処理S1で農業支援装置1に送信した生産者情報に含まれる生産者の要望を要望入力画面M10に表示させる。
【0099】
また、生産者端末装置2は、要望入力画面M10に表示された要望の変更を受け付ける。即ち、生産者端末装置2は、要望入力画面M10において、生産者が生産したい農作物の変更を受け付ける。要望入力画面M10で要望(生産したい農作物)が変更された場合、生産者端末装置2は、要望が変更された旨と変更後の要望とを含む要望変更通知を農業支援装置1に送信する(S55)。農業支援装置1は、要望変更通知を受信した場合(S56)、当該要望変更通知に含まれる変更後の要望で、記憶部5に記憶された生産者情報に含まれる生産者の要望を更新し、当該変更後の要望を用いて、生産者の要望を満たすか否かを判断する(S7)。
【0100】
一方、要望入力画面M10で要望が変更されなかった場合、生産者端末装置2は、例えば、要望が変更されなかった旨を示す要望無変更通知を農業支援装置1に送信する(S55)。農業支援装置1は、当該要望無変更通知を受信した場合(S56)、記憶部5に記憶された生産者情報を更新せず、当該生産者情報に含まれる要望を用いて、生産者の要望を満たすか否かを判断する(S7)。他の例として、要望入力画面M10で要望が変更されなかった場合、生産者端末装置2が上記要望無変更通知を農業支援装置1に送信しなくてもよい。
【0101】
以上説明した本実施形態の農業支援装置1及び農業支援システム100は、以下の構成を備え、効果を奏する。
【0102】
本実施形態の農業支援装置1は、複数の生産者がそれぞれ農作物を生産する複数の圃場H1に関する圃場情報を取得する情報取得部11と、情報取得部11により取得された複数の圃場情報に基づいて、複数の圃場H1を合わせた仮想農場H2を設定する農場設定部12と、仮想農場H2で農作物を生産するための生産計画を策定し且つ当該生産計画を修正する計画策定部13と、生産計画を出力する情報出力部14と、を備える。
【0103】
上記構成によれば、複数の生産者がそれぞれ農作物を生産する複数の圃場H1を生産計画により連携させることができる。このため、農作物の供給と需要のバランスの悪化、農作物の供給の過不足、及び農作物の価格の変動などを抑制し、各生産者による農作物の生産を安定化させることが可能となる。
【0104】
本実施形態では、情報出力部14は、生産者が管理する生産者端末装置2に生産計画を送信する。これにより、生産者は生産者端末装置2により生産計画を確認して、当該生産計画に沿って農作物を安定且つ容易に生産することができる。
【0105】
また、本実施形態では、情報取得部11は、各生産者が管理する生産者端末装置2から圃場情報をそれぞれ取得し、計画策定部13は、圃場情報に基づいて生産計画を策定し又は修正する。これにより、複数の生産者が農作物を生産する圃場H1に関する圃場情報を生産者端末装置2により入力することで、当該圃場H1に応じた生産計画が策定又は修正されるので、生産者は当該生産計画に沿って農作物を安定且つ容易に生産することができる。
【0106】
また、本実施形態では、計画策定部13は、圃場情報に含まれる圃場H1での農作物の生産実績に基づいて、生産計画を策定し又は修正する。これにより、生産者は圃場H1での農作物の生産実績に応じた生産計画に沿って、農作物を安定且つ容易に生産することができる。
【0107】
また、本実施形態では、情報取得部11は、各生産者が管理する生産者端末装置2から生産者に関する生産者情報を取得し、計画策定部13は、生産者情報に基づいて生産計画を策定し又は修正する。これにより、生産者は自身に応じた生産計画に沿って、農作物を安定且つ容易に生産することができる。
【0108】
また、本実施形態では、計画策定部13は、生産者情報に含まれる生産者の要望又は生産者の農作物の生産能力に基づいて、生産計画を策定し又は修正する。これにより、生産者は自身の要望又は生産能力に応じた生産計画に沿って、農作物を安定且つ容易に生産することができる。
【0109】
また、本実施形態では、農場設定部12は、各生産者が管理する生産者端末装置2から情報取得部11によってそれぞれ取得された複数の圃場情報より、各生産者が管理する圃場H1のサイズをそれぞれ抽出し、当該サイズを合計して圃場H1より大きな仮想農場H2を設定する。これにより、複数の生産者がそれぞれ管理する複数の圃場H1に適正に相当する仮想農場を設定して、当該仮想農場H2の生産計画を複数の圃場H1に応じて策定することができる。
【0110】
また、本実施形態では、農場設定部12は、複数の圃場H1のそれぞれに対応するように仮想農場H2を区画して仮想圃場H1aを設定し、計画策定部13は、仮想圃場H1a毎に生産計画を策定し且つ修正する。これにより、複数の生産者がそれぞれ管理する圃場H1に対応した仮想圃場H1aの生産計画に沿って、農作物を安定且つ容易に生産することができる。
【0111】
また、本実施形態では、計画策定部13は、生産計画として、少なくとも各仮想圃場H1aで栽培する農作物を決定する。これにより、複数の生産者がそれぞれ管理する圃場H1に対応した仮想圃場H1aの生産計画で示される農作物を、安定且つ容易に生産することができる。
【0112】
また、本実施形態では、計画策定部13は、生産計画として、少なくとも各仮想圃場H1aで実施する農作業を決定する。これにより、複数の生産者がそれぞれ管理する圃場H1に対応した仮想圃場H1aの生産計画で示される農作業を実施して、農作物を安定且つ容易に生産することができる。
【0113】
また、本実施形態では、計画策定部13は、生産計画として、少なくとも各仮想圃場H
1aで用いる農業機械又は資材を決定する。これにより、複数の生産者がそれぞれ管理する圃場H1に対応した仮想圃場H1aの生産計画で示される農業機械又は資材を用いて農作業を実施して、農作物を安定且つ容易に生産することができる。
【0114】
また、本実施形態では、情報取得部11は、農作物の需要に関する需要情報を取得し、計画策定部13は、情報取得部11により取得された需要情報に基づいて、生産計画を策定し又は修正する。これにより、生産者は農作物の需要に応じた生産計画に沿って、農作物を安定且つ容易に生産することができる。
【0115】
また、本実施形態では、農業支援装置1は、生産計画に基づいて仮想農場H2で農作物を生産した場合の農作物の供給予測値を演算する供給演算部15と、農作物の複数の需要者が管理する需要者端末装置3から情報取得部11によりそれぞれ取得された複数の需要情報に基づいて、農作物の需要予測値を演算する需要演算部16と、を備え、計画策定部13は、供給予測値と需要予測値とに基づいて、生産計画を策定し又は修正する。これにより、農作物の供給と需要のバランスがとられた生産計画が策定されるので、当該生産計画に沿って生産者は農作物を安定に生産することができる。
【0116】
また、本実施形態では、農業支援装置1は、生産計画に基づいて農作物の需要の促進又は抑制を提案する需要提案部18を備える。これにより、農作物の需要が調整されて、生産者による農作物の生産を安定化させることができる。
【0117】
また、本実施形態では、農業支援装置1は、生産計画に基づいて圃場H1で農作物を生産するための農作業を提案する生産提案部17を備える。これにより、生産者は生産計画に応じた農作業を実施して、農作物を安定に生産することができる。
【0118】
本実施形態の農業支援システム100は、農業支援装置1と、農作物を生産する複数の生産者がそれぞれ管理し且つ農業支援装置1と通信する生産者端末装置2と、を含んでいる。これにより、複数の生産者が生産者端末装置2に入力した圃場情報と生産者情報とを、生産者端末装置2から農業支援装置1に送信して、当該圃場情報又は生産者情報に基づいて農業支援装置1で生産計画を策定し又は修正することができる。また、生産計画を農業支援装置1から生産者端末装置2に送信して、当該生産計画を生産者が生産者端末装置2により確認することができる。そして、生産者が生産計画に沿って農作物を安定に生産することができる。
【0119】
本実施形態では、農業支援システム100は、農作物を必要とする需要者が管理し且つ農業支援装置1と通信する需要者端末装置3をさらに含んでいる。これにより、農作物の需要者が需要者端末装置3に入力した需要情報を、需要者端末装置3から農業支援装置1に送信して、当該需要情報に基づいて農業支援装置1で生産計画を策定し又は修正することができる。また、生産計画に基づいて農作物の需要を調整するための提案を農業支援装置1から需要者端末装置3に送信して、当該提案を需要者が需要者端末装置3により確認することができる。そして、需要者が当該提案を受容して、農作物の需要を促進又は抑制する措置を講じることができる。
【0120】
以上、本発明について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0121】
1 農業支援装置
2 生産者端末装置
3 需要者端末装置
11 情報取得部
12 農場設定部
13 計画策定部
14 情報出力部
15 供給演算部
16 需要演算部
17 生産提案部
18 需要提案部
100 農業支援システム
H1 圃場
H1a 仮想圃場
H2 仮想農場