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▶ アンチセンス セラピューティクス リミテッドの特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-13
(45)【発行日】2024-12-23
(54)【発明の名称】治療での使用及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/7125 20060101AFI20241216BHJP
   A61P 21/04 20060101ALI20241216BHJP
   A61K 31/712 20060101ALI20241216BHJP
   A61K 31/711 20060101ALI20241216BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20241216BHJP
   A61K 31/573 20060101ALI20241216BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20241216BHJP
   C12N 15/113 20100101ALI20241216BHJP
【FI】
A61K31/7125
A61P21/04
A61K31/712
A61K31/711
A61K48/00
A61K31/573
A61K45/00
C12N15/113 Z ZNA
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021510492
(86)(22)【出願日】2018-12-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-30
(86)【国際出願番号】 AU2018051353
(87)【国際公開番号】W WO2019210347
(87)【国際公開日】2019-11-07
【審査請求日】2021-12-17
(31)【優先権主張番号】2018901531
(32)【優先日】2018-05-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (1)ウェブサイトに公開された「ATL1102 for Multiple Sclerosis and Duchenne Muscular Dystrophy Update」
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (2)ウェブサイトに公開された「Approval received for Phase II trial of ATL1102 in Duchenne Muscular Dystrophy」
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (3)ウェブサイトに公開された「Appendix 4D For the Half-year ended 31 December 2017」
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (4)ウェブサイトに公開された「Institutional Placement and Rights Issue」
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (5)ウェブサイトに公開された「Placement Completion and Entitlement Issue」
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (6)ウェブサイトに公開された「Investor Presentation」
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (7)ウェブサイトに公開された「121 Tech Investment Hong Kong Conference 13-14 June,2018」
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (8)ウェブサイトに公開された「ANP initiates ATL1102 Phase II trial in Duchenne Muscular Dystrophy」
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (9)ウェブサイトに公開された「ANP to Present at 14▲th▼ Annual Bioshares Biotech Summit」
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (10)ウェブサイトに公開された「Notice of Annual General Meeting」
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (11)ウェブサイトに公開された「Investor Presentation - October 2018」
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (12)ウェブサイトに公開された「AGM Presentation - November 2018」
(73)【特許権者】
【識別番号】505303978
【氏名又は名称】アンチセンス セラピューティクス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ジョージ・タチャス
【審査官】長部 喜幸
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0258093(US,A1)
【文献】特表2013-541520(JP,A)
【文献】特表2011-525531(JP,A)
【文献】LIMMOROTH V. et al,CD49d antisense drug ATL1102 reduces disease activity in patients with relapsing-remitting MS,Neurology,2014年,Vol.83,pp.1780-1788
【文献】Rudjie He, Cheng Zhang,Immune-mediated Mechanisms and Immunotherapy of Duchenne Muscular Dystrophy,Journal of Musculoskeletal Disorders and Treatment,2016年,Vol.2, Issue 1,Pages 1-6
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00-33/44
A61K 48/00-48/08
A61K 45/00-45/08
A61P 1/00-43/00
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
GenBank/EMBL/DDBJ/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトCD49dに対する治療有効量の阻害性オリゴヌクレオチドを含む、それを必要とするヒト対象の筋ジストロフィーを治療する方法で使用するための医薬組成物であって、
前記方法が、医薬組成物を前記対象に定期的に投与して、前記対象において筋ジストロフィーもしくはジストロフィー性筋線維の1つ以上のマーカー、徴候もしくは症状を改善すること、または対象の筋ジストロフィーの進行を遅延させることを含み、且つ、前記方法が、対象において筋肉強度もしくは筋肉機能を改善するか、または筋肉機能もしくは筋肉強度の低下を遅延させるための方法であり、
前記オリゴヌクレオチドが、以下の構造:
5’-MeMeUG AGTMeCTG TTTMeMeMeCAMeMeMeMeU-3’
(式中、
a)前記オリゴヌクレオチドの19のヌクレオチド間結合のそれぞれは、O,O-連結型ホスホロチオエートジエステルであり;
b)5’末端から1~3位のヌクレオチドは、2’-O-(2-メトキシエチル)修飾リボヌクレオシドであり;
c)5’末端から4~12位のヌクレオチドは、2’-デオキシリボヌクレオシドであり;
d)5’末端から13~20位のヌクレオチドは、2’-O-(2-メトキシエチル)修飾リボヌクレオシドであり;
e)全てのシトシンは、5-メチルシトシン(MeC)である)
か、またはその薬学的に許容される塩もしくは立体異性体を含み、
前記医薬組成物が、対象において筋ジストロフィーの1つ以上のマーカー、徴候もしくは症状を改善するか、または対象の筋ジストロフィーの進行を遅延させるのに十分な時間及び条件下で、投与され、
前記投与は、コルチコステロイド治療と組み合わせて行われる
医薬組成物。
【請求項2】
前記定期的な投与は、週、半月、または月に1回または2回または3回である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記オリゴヌクレオチドは、ナトリウムまたはカリウム塩である、請求項1または2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
医薬担体は、WFIであり、前記医薬組成物は、pHが7.2~7.6に調整される、請求項1~3のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記筋ジストロフィー(MD)は、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)、肢帯型筋ジストロフィー(LGMD)、ベッカー型筋ジストロフィー(BMD)、先天性筋ジストロフィー(CMD)、福山型CMD、ミオシン欠損症を伴うCMD、顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー、眼咽頭型筋ジストロフィー、エメリー・ドレイフス型筋ジストロフィー、及び遠位型筋ジストロフィーからなる群から選択される、請求項1~4のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記筋ジストロフィーがジストロフィン遺伝子内に突然変異を伴うものである、請求項5に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記対象が筋ジストロフィーと診断され、歩行可能であるかまたは歩行不能である、請求項1~6のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記対象が10歳以上の若年または思春期の男児である、請求項6に記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記医薬組成物が、皮下投与されるものである、請求項1~8のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項10】
(i)コルチコステロイドが、プレドニゾロンである場合、プレドニゾロンは、プレドニゾロンの標準用量の0.75mg/kg/日の3分の2、半分、または3分の1の用量で投与され、あるいは
(ii)コルチコステロイドが、デフラザコートである場合、デフラザコートは、デフラザコートの標準用量の0.9mg/kg/日の3分の2、半分、または3分の1の用量で投与される、
請求項1~9のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記阻害性オリゴヌクレオチドの治療有効量が、1週間当たり25mg~100mgである、請求項2~10のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書では、筋ジストロフィーなどの筋障害を治療するための組成物及び方法が可能になる。
【背景技術】
【0002】
主題明細書の参考文献の書誌の詳細も、本明細書の最後に記載されている。
本明細書における先行技術への言及は、この先行技術がいずれの国においても共通の一般知識の一部となることを認めるもの、またはいかなる形態の提案としても解釈されるものではなく、また解釈されるべきではない。
【0003】
筋ジストロフィー(MD)は、特定の筋肉組織の進行性の衰弱及び消耗(筋壊死)、及び骨格筋の線維性、骨性、または脂肪性組織への置換を特徴とする障害の群である。筋ジストロフィーには、男性または男性及び女性のいずれかに影響を与えるいくつかの異なる形態があり、その多くは、乳児期及び小児期から中年以降に現れる。形態及び重症度は特に発症年齢によって異なり、若年の対象は、多くの場合、急性進行性疾患を経験する。
【0004】
MDの最も一般的な形態は、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)、肢帯型筋ジストロフィー(LGMD)、ベッカー型筋ジストロフィー(BMD)、先天性筋ジストロフィー(CMD、福山型先天性MD及びミオシン欠損症を伴う先天性MD、顔面肩甲上腕型、眼筋咽頭型、エメリー・ドレイフス型及び遠位型など)である。ほとんどすべての型のMDは、単一遺伝子の突然変異から生じる。
【0005】
DMD及びBMDは、X染色体上のジストロフィン遺伝子の欠陥を伴う。ジストロフィンタンパク質は、筋細胞(サルコメア)の収縮機構(アクチンフィラメント)と細胞骨格を、コラーゲンが筋力を伝達する細胞外マトリックス(ECM)と連結させる働きをする(Grounds MD、2008)。ECMは、筋肉機能及び筋肉再生において複雑な役割を果たすことが公知である。ジストロフィー筋線維症は、壊死、炎症及び線維症に関連している。ジストロフィンの欠損の結果として進行性疾患につながるイベントの正確な順序は、分子レベルでは理解されていない。DMDを有する小児は、ジストロフィンが欠損している筋肉を有しており、収縮の影響を受けやすく、筋肉への損傷を引き起こし、免疫系を引き起こし、筋肉の損傷を悪化させる(Direct of the FDA CDERによる出版物(Rosen et al,2015)に要約されている)。進行中の筋肉強度の低下は、下肢に影響を及ぼし、運動障害を引き起こし、また、上肢にも影響を及ぼし、機能及びセルフケア能力がさらに喪失する。遺伝子治療及びエクソンスキップのアプローチが理想的であるが、研究者らはまた、その重症度を改善し、その進行を遅延させることができる戦略及び剤を開発するために、疾患の性質を理解することに焦点を当てている。Mdxマウスモデルは、前臨床のメカニズム及び介入を調査するために広く採用されている。Grounds MD,2008では、mdxマウスでの本疾患の慢性期及び急性期の両方を標的とする2段階アプローチの必要性を特定した。
【0006】
DMDは、壊滅的な状態であり、主に男児に影響を及ぼし、出生数は約1:3,500である。男児は、低年齢で歩行能力を喪失し、典型的には、思春期後に車椅子生活となり得、心肺機能低下による死亡が、多くの場合、20歳~29歳の間に生じる。BMDは、DMDに類似しているが、はるかに穏やかである。
【0007】
コルチコステロイドによる現在の治療は、炎症を減少させて筋肉量及び機能をある一定期間維持することにより、疾患の重症度を軽減することを目的としている。コルチコステロイドは、短期間のものであり得る急性抗炎症効果を有し、その作用機序は、理解されていない。コルチコステロイドは、その副作用により、使用が厳しく制限され、また萎縮を引き起こし得るため、最適ではない。プレドニゾロン(0.75mg/kg/日)及びデフラザコート(0.9mg/kg/日)は、歩行可能なDMD患者の標準治療法であるが、男児が歩行不能になると、CSの利点についてコンセンサスが得られず、男児は歩行不能になったときに服用していた固定用量である場合もあり、用量(mg/kg/日)を減少させて治療を継続し得るか、またはCS治療から外れる可能性もある。抗炎症性NF-κB薬としてのエダサロネキセントは、DMDを有する若年の歩行可能な男児における単剤療法として、開発されている。ジストロフィーの様々な態様を標的とした臨床試験にはいくつかの薬物がある。例えば、タモキシフェンは、線維症を標的とし、イデベノンの呼吸機能及び停止コドンスキップのためのアタルレンは、MDの臨床試験を受けているところである。ジストロフィン遺伝子の標的エクソンスキップを誘発することによるDMDのためのオリゴヌクレオチド療法は、結果を組み合わせたものにより評価している。モルホリノオリゴヌクレオチドであるエテプリルセンは、エクソン51スキップに適したエクソン51の遺伝子停止コドン突然変異を有するDMD小児の13%において、確認研究まで進んだが、エクソン51スキップ用の2’-O-メチルホスホロチオエートオリゴヌクレオチドであるドリサペルセンは、活性を得ることができず、FDAの承認を得られなかった。
【0008】
現在の治療法におけるこれらの欠陥は、追加の治療アプローチが必要であることを示唆している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本明細書を通じて、単語「comprise(含む)」、または「comprises(含む)」もしくは「comprising(含む)」などの変形は、既定された要素、整数またはステップ、または要素群、整数群またはステップ群を包含するが、いかなる他の要素、整数またはステップ、または要素群、整数群またはステップ群は排除しないことを意味することが理解されよう。
【0010】
本明細書で使用される場合、文脈による明確な別段の定めがない限り、単数形「a」、「an」、及び「the」には複数の態様が含まれる。したがって、例えば、「組成物」への言及は、単一の組成物、ならびに2つ以上の組成物を含み、「剤」への言及には、1つの剤ならびに2つ以上の剤を含み、「開示」への言及は、開示の単一及び複数の態様などを含む。
【0011】
一実施形態では、本開示は、対象における筋ジストロフィーを治療するための方法を提供し、本方法は、阻害性オリゴヌクレオチドをヒトCD49d((VLA-4のアルファ4鎖)に投与することを含む。
【0012】
一実施形態では、例示的な阻害性オリゴヌクレオチドとしては、単離または合成アンチセンスRNAまたはDNA、siRNAまたはsiDNA、miRNA、miRNA模倣体、shRNAまたはDNA、ならびにアンチセンスDNAもしくはRNAまたはDNA:RNAハイブリッドが挙げられる。
【0013】
一実施形態では、本開示は、それを必要とする対象における筋ジストロフィーを治療する方法を提供し、この方法は、対象に、薬学的に許容される担体を含む医薬組成物及び以下の構造を含む治療有効量のオリゴヌクレオチドを定期的に投与することを含む:
5’-MeMeUG AGTMeCTG TTTMeMeMeCAMeMeMeMeU-3’
式中、
a)オリゴヌクレオチドの19のヌクレオチド間結合のそれぞれは、O,O-連結型ホスホロチオエートジエステルであり;
b)5’末端から1~3位のヌクレオチドは、2’-O-(2-メトキシエチル)修飾リボヌクレオシドであり;
c)5’末端から4~12位のヌクレオチドは、2’-デオキシリボヌクレオシドであり;
d)5’末端から13~20位のヌクレオチドは、2’-O-(2-メトキシエチル)修飾リボヌクレオシドであり;
e)全てのシトシンは、5-メチルシトシン(MeC)であるか、
またはその薬学的に許容される塩である。
【0014】
一実施形態では、投与は、筋ジストロフィーの1つ以上のマーカー、徴候または症状を改善するのに、または対象での筋ジストロフィーの進行を遅延させるのに十分な時間及び条件下で行われる。
【0015】
一実施形態では、投与は、標準的なコルチコステロイド治療と組み合わせて行われる。
【0016】
一実施形態では、コルチコステロイドは、低用量で投与される。低用量コルチコステロイドへの言及には、標準用量の2/3、1/2、1/4、及び1/3を含む。
【0017】
一実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドの投与は、標準用量または低用量のコルチコステロイドの存在下で治療的に有効である。
【0018】
一実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドの投与は、コルチコステロイドの非存在下で治療的に有効である。
【0019】
一実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドの投与は、コルチコステロイドの非存在下で治療的に有効であり、対象は歩行可能である。
【0020】
一実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドの投与は、コルチコステロイドの非存在下で治療的に有効であり、対象は歩行不能である。
【0021】
別の実施形態では、本記載では、筋ジストロフィーを有する対象において筋肉機能を改善するか、または筋肉機能の低下を遅延させるための方法が可能になり、この方法は、ジストロフィー性筋線維の1つ以上のマーカー、徴候または症状を改善するか、または対象の筋ジストロフィーの進行を遅延させるのに十分な時間及び条件下で、薬学的に許容される担体、及び以下の構造を含む、治療有効量のオリゴヌクレオチドを含む医薬組成物を対象に定期的に投与することを含む:
5’-MeMeUG AGTMeCTG TTTMeMeMeCAMeMeMeMeU-3’
式中、
a)オリゴヌクレオチドの19のヌクレオチド間結合のそれぞれは、O,O-連結型ホスホロチオエートジエステルであり;
b)5’末端から1~3位のヌクレオチドは、2’-O-(2-メトキシエチル)修飾リボヌクレオシドであり;
c)5’末端から4~12位のヌクレオチドは、2’-デオキシリボヌクレオシドであり;
d)5’末端から13~20位のヌクレオチドは、2’-O-(2-メトキシエチル)修飾リボヌクレオシドであり;
e)全てのシトシンは、5-メチルシトシン(MeC)であるか、
またはその薬学的に許容される塩もしくは立体異性体。
【0022】
一実施形態では、オリゴヌクレオチドは、RNA-DNAハイブリッドである。
【0023】
一実施形態では、対象は、MDにより歩行不能である。
【0024】
一実施形態では、対象は思春期後である。
【0025】
一実施形態では、この方法は、CD4+及び/またはCD8+T細胞レベルを監視することを含む。一実施形態では、この方法は、CD4+及び/またはCD8+T細胞レベルの減少を監視することを含む。一実施形態では、この方法は、M1マクロファージまたはHLADR単球を監視することを含む。一実施形態では、この方法は、M1マクロファージまたはHLADR+単球の減少を監視することを含む。
【0026】
一実施形態では、この方法は、MDまたはジストロフィー筋線維の1つ以上のマーカーのレベルまたは存在を決定することを含み、これらのマーカーとしては、免疫細胞もしくはそれによって産生される免疫調節因子のレベルもしくは数、炎症マーカーのレベル、または線維症のマーカーのレベル、または筋肉の状態のマーカーのレベルが挙げられる。
【0027】
一実施形態では、MDまたはMD進行またはジストロフィー筋線維の1つ以上のマーカーとしては、免疫細胞またはそれによって産生される免疫調節因子のレベルまたは数、炎症マーカーのレベルまたは線維症のマーカーのレベルまたは筋肉の状態のマーカーのレベルが挙げられる。
【0028】
筋肉状態のマーカーとしては、これらに限定されないが、運動筋機能のマーカー、筋線維症またはその不在を示すマーカー、筋肉の変性または再生を示すマーカー、心機能のマーカー及び肺機能のマーカーが挙げられる。
【0029】
一実施形態では、MDまたはジストロフィー筋線維の1つ以上の徴候の改善としては、四肢機能、体筋機能、心臓機能及び/または肺機能の改善が挙げられる。
【0030】
一実施形態では、この方法は、MDまたはジストロフィー筋線維の1つ以上の徴候のレベルまたは存在を決定することを含む。実例となる徴候としては、四肢機能、身体の筋肉機能、心臓機能及び肺機能が挙げられる。
【0031】
一実施形態では、MDまたはジストロフィー筋線維の1つ以上の症状としては、エネルギーレベル、幸福度、知覚される歩行の容易さ、上肢機能活動などの生活の質の因子が挙げられる。
【0032】
一実施形態では、それを必要とする対象としては、MDの遺伝的診断及び/または臨床的診断、ならびに比較的低レベルのジストロフィー筋線維及び炎症マーカーを有する対象が挙げられる。
【0033】
一実施形態では、対象は、正常またはわずかにのみ上昇したレベルの炎症性細胞を示す。炎症性細胞としては、T細胞(CD4、CD8)、B細胞(CD-19)、顆粒球(好中球、好塩基球、及び好酸球)が挙げられる。
【0034】
一実施形態では、対象は、正常またはわずかに上昇したレベルのCD49d細胞のみを示す。
【0035】
一実施形態では、対象は、正常またはわずかに上昇したレベルのCD49dT細胞のみを示す。
【0036】
一実施形態では、対象は、CD3、CD4、CD8、CD49d、CD29及びHLA-DRなどの正常またはわずかに上昇したレベルの免疫細胞マーカーを示す。
【0037】
細胞またはタンパク質/核酸または脂質分析などのマーカーの好適な方法は当技術分野で公知であり、これらに限定されないが、フローサイトメトリー、ビーズ技術及びELISAベースの方法、クロマトグラフィー及び/またはMS法、ハイブリダイゼーションまたは配列決定ベースの方法などが挙げられる。
【0038】
さらなる実施形態では、MDと診断された対象は、重度の筋肉壊死及び炎症を伴う、有意に上昇したかまたは急性レベルの重度のジストロフィー筋線維を示す。
【0039】
一実施形態では、対象は、正常な健康な対照と比較して、有意に上昇したレベルのCD49dT細胞を示す。
【0040】
一実施形態では、対象におけるMDの形態は、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)、肢帯型筋ジストロフィー(LGMD)、ベッカー型筋ジストロフィー(BMD)、先天性筋ジストロフィー(福山型先天性MD、ミオシン欠損症を伴う先天性MDなどのCMD)、顔面肩甲上腕型、眼咽頭型、エメリー・ドレイフス型、及び遠位型筋ジストロフィーからなる群から選択される。
【0041】
一実施形態では、対象は、DMDまたはBMDを有し、歩行不能である。
【0042】
一実施形態では、対象は、DMDまたはBMDを有し、思春期後である。
【0043】
本開示の別の形態では、実施形態は、本明細書に記載の方法または使用において使用される場合の医薬組成物、対象における筋ジストロフィーの治療または予防のための医薬品の製造における本明細書に記載の組成物の使用、本明細書に記載の方法で使用するための医薬組成物を対象とすることが企図されている。
【0044】
したがって、一実施形態では、本開示は、筋ジストロフィーの治療もしくは予防のための、または対象における筋ジストロフィーの進行を遅延させるための医薬品の製造における以下の構造:
5’-MeMeUG AGTMeCTG TTTMeMeMeCAMeMeMeMeU-3’
式中、
a)オリゴヌクレオチドの19のヌクレオチド間結合のそれぞれは、O,O-連結型ホスホロチオエートジエステルであり;
b)5’末端から1~3位のヌクレオチドは、2’-O-(2-メトキシエチル)修飾リボヌクレオシドであり;
c)5’末端から4~12位のヌクレオチドは、2’-デオキシリボヌクレオシドであり;
d)5’末端から13~20位のヌクレオチドは、2’-O-(2-メトキシエチル)修飾リボヌクレオシドであり;
e)全てのシトシンは、5-メチルシトシン(MeC)であるか、
またはその薬学的に許容される塩を含むオリゴヌクレオチドの使用を提供する。
【0045】
別の実施形態では、説明は、対象における筋ジストロフィーの治療もしくは予防に使用するため、または進行を遅延させるために、以下の構造を含むオリゴヌクレオチドが可能になる:
5-MeMeUG AGTMeCTG TTTMeMeMeCAMeMeMeMeU-3’
式中、
a)オリゴヌクレオチドの19のヌクレオチド間結合のそれぞれは、O,O-連結型ホスホロチオエートジエステルである。
b)5’末端から1~3位のヌクレオチドは、2’-O-(2-メトキシエチル)修飾リボヌクレオシドである。
c)5’末端から4~12位のヌクレオチドは、2’-デオキシリボヌクレオシドである。
d)5’末端から13~20位のヌクレオチドは、2’-O-(2-メトキシエチル)修飾リボヌクレオシドである。
e)全てのシトシンは、5-メチルシトシン(MeC)であるか、
またはその薬学的に許容される塩もしくは立体異性体である。
【0046】
一実施形態では、本開示では、それを必要とする対象の筋ジストロフィーを治療する方法が可能になり、この方法は、ヒトCD49dに対する治療有効量の阻害性オリゴヌクレオチドを対象に定期的に投与して、筋ジストロフィーの1つ以上のマーカー、徴候もしくは症状を改善すること、または対象の筋ジストロフィーの進行を遅延させることを含む。
【0047】
一実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドの投与は、標準的または低用量のコルチコステロイド治療と組み合わせるか、またはそれらによる補助的治療である。
【0048】
一実施形態では、コルチコステロイドは、低用量で投与される。
【0049】
一実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドの投与は、コルチコステロイド療法を行っていない場合に効果的である。
【0050】
別の実施形態では、筋ジストロフィーの1つ以上のマーカー、徴候または症状を改善するための、または筋ジストロフィーを有する対象における筋ジストロフィーの進行を遅延させるための医薬品の調製におけるヒトCD49dに対する阻害性オリゴヌクレオチドの使用が開示される。
【0051】
一実施形態では、対象における筋ジストロフィーの治療または筋ジストロフィーの進行の遅延に使用するための、ヒトCD49dに対する阻害性オリゴヌクレオチドを含む医薬組成物が提供される。
【0052】
上記の要約は、本開示のすべての実施形態の包括的な列挙として決して見られることはなく、また見られるべきではない。
【0053】
本開示の範囲から逸脱することなく、多くの修正が当業者には明らかであろう。
【0054】
多くの変形例及び/または修正は、本開示の広い一般的な範囲から逸脱することなく、上記の実施形態になされ得ることが、当業者によって理解されるであろう。そのため、本発明の実施形態はあらゆる点において、例示的であり、制約的ではないとみなすべきである。
配列表の解読
【0055】
配列番号1ヒト α4インテグリンアンチセンス化合物(ATL1102)
配列番号2マウス α4インテグリンアンチセンス化合物(ISIS348574)
【発明を実施するための形態】
【0056】
主題の開示は、剤の特定のスクリーニング手順、剤の特定の配合物、及び様々な医学的方法論に限定されるものではなく、それ自体が異なる可能性がある。他に定義されない限り、本明細書中で使用するすべての技術用語及び科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載されているものと類似または同等の任意の材料及び方法を使用して、本開示を実施または試験することができる。開業医は、特に、当業者の定義及び用語、ならびに当業者に公知である他の方法について、Ausubel et al.,Current Protocols in Molecular Biology,Supplement 47,John Wiley & Sons,New York,1999;Colowick and Kaplan,eds.,Methods In Enzymology,Academic Press,Inc.;Weir and Blackwell,eds.,Handbook of Experimental Immunology,Vols.I-IV,Blackwell Scientific Publications,1986;Remington’s Pharmaceutical Sciences(第18版,Mack Easton,Pa.(1990))に関する。
【0057】
用語「対象」としては、MDと診断されたヒト対象もしくは個体、または臨床研究モデル動物が挙げられる。
【0058】
例えば、DMDは、乳児の運動マイルストーンが18ヶ月の時点で遅延しているときに、臨床的に診断されることが多い。筋肉衰弱の初期の特徴としては、広範囲にわたる歩行、つま先歩行の脊椎の脊柱前彎過度、頻繁な転倒、ふくらはぎ、三角筋、四頭筋、舌咬などの筋肉肥大、起き上がりの困難、腕の衰弱が挙げられる。歩行の喪失は、典型的には、DMDでは7~13歳の間に発生するが、その後の歩行はBMDの特徴である。心肺障害も明らかであり得る。倦怠感及び言語発達も遅延し得る。しかし、上位運動ニューロンの徴候または筋肉の線維束性収縮は観察されない。
【0059】
DMDの診断は、ジストロフィン免疫蛍光検査及び/またはジストロフィン欠損症を示すイムノブロット、ならびに典型的なDMDと一致する臨床像によって確認することができる。あるいは、遺伝子欠失は、ジストロフィン遺伝子の陽性(1つ以上のエクソンの欠如)結果となり、リーディングフレームは「フレーム外」として予測でき、典型的なDMDと一致する臨床像が示される。一実施形態では、完全なジストロフィン遺伝子配列決定は、点突然変異、重複、またはDMDと確実に関連し得る停止コドン突然変異をもたらす他の突然変異を示し得る。兄弟または母方の叔父で上記の基準のうちの1つによって確認されたDMD陽性の家族歴も有用である。また、DMDの特徴的な臨床症状または徴候(例えば、近位筋力低下、ガワーズ動作(Gowers’ manoeuvre)、血清クレアチニンキナーゼレベルの上昇)の評価も使用される。
【0060】
MDまたはジストロフィー筋線維の好適なマーカー、徴候及び症状の改善、筋肉機能の改善は、当業者には公知であろう。
【0061】
好適な検査としては、治療中の経時的な運動、筋肉、心臓、血流、肺機能の増加に関する検査が挙げられる。
【0062】
前臨床心筋症の対象では、血清バイオマーカー応答に基づいて、心臓の効力が決定され得る。これは、ミオスタチン比、心臓トロポニン、心臓BNPなどの1つ以上のマーカーのレベルを決定することによって達成され得、eGFRの変化も監視され得る。他の心機能は、遠隔測定、または継続的なモバイル遠隔測定モニタリングによって評価されるリズム異常によって評価され得る。
【0063】
さらなる検査としては、筋肉の酸素化パラメータ及びミトコンドリア表現型の検査が挙げられる。
【0064】
線維症の減少は、MRIによって評価され得る。筋肉脂肪の減少、心臓線維症の減少、つまみ強度の増加、握力、心臓機能及び肺機能の改善の検査。他の評価では、上記の機能の低下率の低下が見られる。
【0065】
生活の質に関する質問票は、治療の効果を判断する際に非常に有用である。
【0066】
臨床転帰としては、例えば、正規化された上肢の到達可能表面積の変化率、MRIによる心臓の円周方向のひずみの変化率を決定することを伴う場合があり、心臓の外側及び後壁のひずみを評価する。別の有用な検査は、強制肺活量、呼吸機能の遅延喪失、例えば肺活量測定によるベースラインからのFVC5pの変化などを測定することである。
【0067】
運動機能検査としては、治療前後の4つの標準的な階段登り検査の平均変化、床から上昇させるまでの時間、磁気共鳴分光法による、MRSでの外側広筋の脂肪分率の平均変化の決定、大腿四頭筋の筋肉検査、膝伸筋のピークトルク測定、前腕への超音波筋肉微小血管血液供給が挙げられる。
【0068】
重要な臨床評価としては、6メートルまたは10メートル歩行/走行するまでの時間、4つの階段を上る時間、4つの階段を降りる時間、仰臥位から立ち上がる時間が挙げられる。体重、身長、BMIの変化も評価され得る。
【0069】
あるいは、またはそれに加えて、筋生検評価からのバイオマーカー、ELISAもしくはプロテオミクスによって測定された血漿バイオマーカーパネルの変化を測定する薬力学マーカー、または循環免疫細胞マーカーの変化が評価される。
【0070】
本明細書で使用される「アンチセンス化合物」という用語は、VLA-4(α4β1)及び/またはα4β7インテグリンのα4インテグリン鎖をコードする核酸分子にハイブリダイズするオリゴマー化合物を指す。ヒトのα4インテグリン鎖は、CD49dである。アンチセンス化合物は、CD49d、β1インテグリン及び/またはβ7インテグリンの発現を妨害し得る。
【0071】
本明細書で使用される「α4インテグリンをコードする核酸分子」という用語は、VLA-4またはα4β7インテグリンのα4インテグリン鎖をコードするDNA、そのようなDNAから転写されたRNA(プレmRNA及びmRNAまたはその一部など)、さらに、そのようなRNA由来のcDNAを包含する。
【0072】
本明細書で使用される「VLA-4」という用語は、α4インテグリン及びβ1インテグリンのヘテロ二量体を指す。VLA-4は、正常な末梢血のB細胞及びT細胞、胸腺細胞、単球、他の細胞、ならびに造血幹細胞及び前駆細胞にかなりのレベルで発現している。VLA-4は、間葉系前駆細胞及び内皮前駆細胞、ならびに間葉系幹細胞、場合によっては内皮幹細胞にも発現する。VLA-4のリガンドとしては、血管細胞接着分子-1(VCAM-1)及びCS-1、フィブロネクチンのHepII領域内の交互にスプライシングされたドメインが挙げられる。
【0073】
本明細書で使用される「α4β7インテグリン」という用語は、α4インテグリン及びβ7インテグリンのヘテロ二量体を指す。α4β7インテグリンは、腸管に対する向性を有するメモリーT細胞のサブセットを識別する。α4β7インテグリンは、マスト細胞、リンパ球細胞、NK前駆細胞のサブセットにも発現する。α4β7インテグリンは、一部の幹細胞及び前駆細胞上に発現する。α4β7インテグリンのリガンドとしては、MAdCam-1及びVCAM-1が挙げられる。
核酸
【0074】
本開示は、核酸とも呼ばれる様々なオリゴヌクレオチドの使用を包含する。例示的な核酸としては、DNA(例えば、相補的DNA(cDNA)、ゲノムDNA(gDNA))、RNA(例えば、メッセージRNA(mRNA)、短いヘアピンRNA(shRNA)、短い阻害性RNA(siRNA)、リボソームRNA(rRNA)、tRNA、マイクロRNA、DNAまたはRNA類似体(例えば、塩基類似体、糖類似体及び/または非天然骨格など)、RNA/DNAハイブリッド及びポリアミド核酸(PNA)が挙げられ、これらはすべて単一または二本鎖形態であり得る。一例では、核酸は単離される。本明細書で使用される場合、「単離された核酸」という用語は、ヒトの介入によって自然状態から改変または除去される核酸を意味する。
【0075】
「オリゴヌクレオチド」という用語は、広義には短い核酸分子を意味する。オリゴヌクレオチドは、配列特異的な方法で、それぞれの相補的なオリゴヌクレオチド、DNA、またはRNAに容易に結合して、二本鎖を形成する。一実施形態では、オリゴヌクレオチドは、長さが5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、または50ヌクレオチドであるか、またはさらに長い。
【0076】
一実施形態では、本開示のオリゴヌクレオチドは、阻害性オリゴヌクレオチドである。一例では、「阻害性オリゴヌクレオチド」という用語は、1つ以上のタンパク質の産生、発現、または生物学的活性を低下させる任意のオリゴヌクレオチドを指す。例えば、阻害性オリゴヌクレオチドは、リボソーム内のタンパク質へのmRNAの翻訳を妨げることができる。別の例では、阻害性オリゴヌクレオチドは、1つ以上のタンパク質をコードする遺伝子またはmRNAのいずれかに十分に相補的であり、標的遺伝子(複数可)またはmRNAに結合(ハイブリダイズ)し、それによって標的タンパク質の発現または生物学的活性を低下させることができる。別の例では、阻害性オリゴヌクレオチドは、タンパク質をコードしない細胞内核酸の生物学的活性を阻害する。例えば、阻害性オリゴヌクレオチドは、非コードRNAの生物学的活性を阻害することができる。
【0077】
本明細書で使用される「アンチセンス」という用語は、コード配列に相補的であり、したがってこのコード配列に結合することができるヌクレオチドの配列を意味し、これは、転写を受けるDNA二重らせんの鎖の配列、またはメッセンジャーRNA分子の配列のいずれかであり得る。アンチセンスDNAは、二本鎖DNAのコード鎖に相補的な非コード鎖である。
【0078】
「ショートヘアピンRNA」または「shRNA」という用語は、二重領域及びループ領域を有するRNA構造を指す。
【0079】
低分子干渉RNA(siRNA)という用語は、短い干渉RNAまたはサイレンシングRNAとも呼ばれ、長さが約19~25塩基対の二本鎖または一本鎖RNA分子のクラスである。特定のタンパク質への翻訳を阻害するかまたは防止するsiRNAは、siRNAという用語と組み合わせたタンパク質名で示す。典型的には、様々な実施形態におけるsiRNAは、約19~約28ヌクレオチド(すなわち、約19、20、21、22、23、24、25、26、27、または28ヌクレオチド)を有する二本鎖または一本鎖の核酸分子である。
【0080】
「マイクロRNA」(略称miRNA)という用語は、植物、動物、及び一部のウイルスに見られる小さい非コードRNA分子(約22ヌクレオチドを含む)であり、RNAサイレンシング及び遺伝子発現の転写後調節において機能する。接頭辞「miR」の後にダッシュ及び数字が続く。数字は多くの場合、命名の順序を示す。1つまたは2つのヌクレオチドを除いてほぼ同一の配列を有する異なるmiRNAには、追加の小文字の注釈が付けられている。多数のmiRNAが当技術分野において公知である(miRBase V.21 nomenclature;Kozomara et al.2013;Griffiths-Jones,S.2004を参照されたい)。これらのmiRNAの配列は、当技術分野において周知であり、例えば、www.mirbase dot orgで見つけることができる。
【0081】
一実施形態では、「阻害性オリゴヌクレオチド」は、1つ以上のmiRNAの活性を模倣する。本明細書で使用される「miRNA模倣体」という用語は、細胞に導入されたときに内因性の成熟miRNA分子を模倣するように設計された小さい二本鎖RNA分子を指す。miRNA模倣体は、Sigma Aldrich及びThermo Fisher Scientificなどの様々な供給業者から入手できる。
【0082】
一実施形態では、「阻害性オリゴヌクレオチド」は、1つ以上のmiRNAの活性を阻害する。この目的には、様々なmiRNA種が好適である。例としては、これらに限定されないが、アンタゴミール、干渉RNA、リボザイム、miRNAスポンジ、及びmiRマスクが挙げられる。「アンタゴミール」という用語は、本開示の文脈において、標的miRNAに結合し、miRNAのその同族遺伝子標的への結合を妨げることによってmiRNA機能を阻害する化学修飾させたアンチセンスオリゴヌクレオチドを指すために使用される。アンタゴミールは、当技術分野において公知である任意の塩基修飾を含むことができる。一例では、上記で言及されたmiRNA種は、長さが約10~50ヌクレオチドである。例えば、アンタゴミールは、長さ10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、または50ヌクレオチドのアンチセンス部分を有し得る。
【0083】
一実施形態では、miRNA種は、2つ以上の化学的に異なる領域を含み、それぞれが少なくとも1つのヌクレオチドから構成されるキメラオリゴヌクレオチドである。これらのオリゴヌクレオチドは、典型的には、1つ以上の有益な特性(例えば、ヌクレアーゼ耐性の増加、細胞への取り込みの増加、標的に対する結合親和性の増加など)を付与する修飾ヌクレオチドのうちの少なくとも1つの領域及びRNA:DNAまたはRNA:RNAハイブリッドを切断できる酵素の基質である領域を含む。
【0084】
一実施形態では、本開示に含まれる核酸は合成である。「合成核酸」という用語は、その核酸が天然に存在する核酸の化学構造または配列を有さないことを意味する。合成ヌクレオチドとしては、操作された核酸分子が含まれる。別の例では、核酸構造を修飾して、2’酸素と4’炭素との間にメチレンブリッジを有するロックド核酸(LNA)とし、核酸のA型コンフォメーションにおいて、リボースを3’-エンド(North)型コンフォメーションにロックすることもできる(Lennox et al 2011;Bader et al 2011)。miRNAの文脈では、こうした修飾により、分子の標的特異性及びハイブリダイゼーション特性が両方とも大幅に向上し得る。
【0085】
本明細書に開示される方法で使用するための核酸は、必要に応じて通常の方法を使用して設計され得る。例えば、阻害性オリゴヌクレオチドの文脈において、シード配列内の、またはシード配列に直接隣接する少なくとも5つの連続ヌクレオチドのストレッチを含む、長さが5、6、7、8、9、10またはそれ以上のヌクレオチドの標的セグメントは、遺伝子を標的とするのに好適であると考えられている。例示的標的セグメントとしては、シード配列のうちの1つの5’末端から少なくとも5つの連続したヌクレオチドを含む配列を挙げることができる(残りのヌクレオチドは、シード配列の5’末端のすぐ上流で始まり、核酸が約5~約30ヌクレオチドを含むまで続く同じRNAの連続ストレッチである)。別の例では、標的セグメントは、シード配列のうちの1つの3’末端から少なくとも5つの連続ヌクレオチドを含むRNA配列によって表される(残りのヌクレオチドは、標的セグメントの3’末端のすぐ下流で始まり、核酸が約5~約30ヌクレオチドを含むまで続く同じRNAの連続ストレッチである)。「シード配列」という用語は、本開示の文脈において、標的特異性の重要な決定因子であるmiRNAの5末端での最初の8ヌクレオチド(nt)内の6~8nt長の部分ストリング(すなわち、シード配列)を指すために使用される。1つ以上の標的領域、セグメントまたは部位が同定されると、標的に十分に相補的である、すなわち、十分によくハイブリダイズし、十分な特異性を有し(すなわち、他の非標的核酸配列に実質的に結合しない)、所望の効果を与える阻害性核酸化合物が選択される。
α4インテグリンに対するアンチセンス化合物
【0086】
一実施形態では、本開示の方法は、α4インテグリンに対するアンチセンス化合物の使用に依存している。このようなアンチセンス化合物は、VLA-4(α4β1)またはα4β7インテグリンのα4インテグリン鎖をコードする核酸を標的とする。いくつかの実施形態では、アンチセンス化合物は、オリゴヌクレオチドである。しかし、これに限定されないが、オリゴヌクレオチド模倣体など、他のオリゴマーアンチセンス化合物が企図される。
【0087】
アンチセンス化合物とその標的核酸とのハイブリダイゼーションは、一般に「アンチセンス」と呼ばれる。アンチセンス化合物とその標的核酸とのハイブリダイゼーションにより、標的核酸の機能を阻害する。そのような「アンチセンス阻害」は、典型的には、標的核酸が切断、分解、または他の方法で操作不能になるような、アンチセンス化合物の標的核酸への水素結合に基づくハイブリダイゼーションに基づく。干渉される標的DNAの機能としては、複製及び転写を挙げることができる。複製及び転写は、例えば、内因性細胞テンプレート、ベクター、プラスミド構築物または他のものからのものであり得る。干渉されるRNAの機能としては、タンパク質翻訳部位へのRNAの転座、細胞内の、RNA合成部位から離れている部位へのRNAの転座、RNAからのタンパク質の翻訳、1つ以上のRNA種を生成するためのRNAのスプライシング、RNAに関与し得るか、またはRNAによって促進され得る、RNAを伴う触媒活性または複合体形成などの機能を挙げることができる。
【0088】
本明細書で使用される「ハイブリダイゼーション」は、オリゴヌクレオチド及び標的核酸の相補的塩基の対形成を意味する。塩基対形成には、典型的には、相補的なヌクレオシドまたはヌクレオチド塩基(核酸塩基)間の水素結合を伴い、これは、ワトソンクリック、フーグスティーン、または逆フーグスティーン水素結合であってもよい。グアニン(G)及びシトシン(C)は、3つの水素結合の形成を介して対形成する相補的な核酸塩基の例である。アデニン(A)及びチミン(T)は、2つの水素結合の形成を介して対形成する相補的な核酸塩基の例である。ハイブリダイゼーションは、様々な状況下で起こり得る。
【0089】
「ヌクレオシド」は、塩基-糖の組み合わせである。ヌクレオシドの塩基部分は、通常、複素環式塩基である。こうした複素環式塩基のうちの2つの最も一般的なクラスは、プリン及びピリミジンである。「ヌクレオチド」は、ヌクレオシドの糖部分に共有結合により連結されたリン酸基をさらに含むヌクレオシドである。ペントフラノシル糖を含むヌクレオシドの場合は、リン酸基を、糖の2’、3’または5’ヒドロキシル部分のいずれかに連結することができる。
【0090】
「特異的にハイブリダイズ可能」及び「相補的」は、アンチセンス化合物と標的核酸との間で安定かつ特異的な結合が生じるように十分な程度の相補性を示すために使用される用語である。アンチセンス化合物は、特異的にハイブリダイズ可能であるようにその標的核酸配列に対して100%相補的である必要はない。アンチセンス化合物の標的核酸への結合が標的分子の正常機能に干渉して、活性の喪失を引き起こす場合、アンチセンス化合物は、特異的にハイブリダイズ可能であり、特異的結合が所望される条件下、例えば治療用治療の場合の生理学的条件下では、アンチセンス化合物の非標的配列への非特異的結合を回避するのに十分な程度の相補性が存在する。
【0091】
本明細書で使用される「相補的」は、アンチセンス化合物の核酸塩基と標的核酸との間での正確な対形成のための能力を指す。例えば、アンチセンス化合物のある特定の位置の核酸塩基が、標的核酸のある特定の位置で核酸塩基と水素結合することができる場合、アンチセンス化合物と標的核酸との間の水素結合の位置は、相補的な位置であると見なされる。アンチセンス化合物は、介在セグメントまたは隣接セグメントがハイブリダイゼーション事象に関与しないように、1つ以上のセグメントにハイブリダイズしてもよい(例えば、ループ構造またはヘアピン構造)。一実施形態では、アンチセンス化合物は、標的核酸内の標的領域に対して少なくとも70%の配列相補性を含む。
【0092】
例えば、20核酸塩基中18核酸塩基が、標的核酸内において、標的領域に相補的であり、これにより、特異的にハイブリダイズするアンチセンス化合物は、90%の相補性を呈する。この例では、残りの非相補的核酸塩基は、相補的核酸塩基と共にクラスター化されているか、または相補的核酸塩基が散在している可能性があり、互いにまたは相補的核酸塩基に隣接している必要はない。したがって、標的核酸と完全に相補的な2つの領域と隣接している4つの非相補的核酸塩基を有する18核酸塩基長のアンチセンス化合物は、標的核酸に対して77.8%の総相補性を有しており、したがって本開示の範囲に包含される。標的核酸の一領域に対するアンチセンス化合物の相補性パーセントは、通常当技術分野において公知であるBLASTプログラム(basic local alignment search tool)及びPowerBLASTプログラム(Altschul et al.,1990;Zhang and Madden, 1997)を使用して決定することができる。
アンチセンスオリゴヌクレオチド
【0093】
本開示は、α4インテグリン、及び/またはVLA-4及び/またはα4β7インテグリンの発現を阻害するためのアンチセンスオリゴヌクレオチドを提供する。このようなアンチセンスオリゴヌクレオチドは、VLA-4またはα4β7インテグリンのα4インテグリン鎖をコードする核酸を標的とする。
【0094】
本明細書で使用される「阻害する」という用語は、VLA-4またはα4β7インテグリン発現の任意の測定可能な減少(例えば、10%、20%、50%、90%、または100%)を意味する。
【0095】
本明細書で使用される場合、「オリゴヌクレオチド」という用語は、RNAまたはDNAのオリゴマーもしくはポリマー、またはそれらの模倣体、キメラ、類似体及び相同体を指す。この用語には、天然に存在する核酸塩基、糖、及び共有結合ヌクレオシド間(骨格)連結から構成されるオリゴヌクレオチド、ならびに同様に機能する非天然に存在する部分を有するオリゴヌクレオチドが含まれる。そのような修飾または置換オリゴヌクレオチドは、例えば、細胞取り込みの増強、標的核酸に対する親和性の増強、及びヌクレアーゼの存在下での安定性の増加などの所望の特性のために、天然型よりも多くの場合好ましい。
【0096】
オリゴヌクレオチドは、キラル(非対称)中心を含み得るか、または分子全体がキラルであり得る。個々の立体異性体(エナンチオマー及びジアステレオ異性体)及びこれらの混合物は、本開示の範囲内にある。Wan et al.Nucleic Acids Research 42(22:13456-13468,2014、キラルホスホロチオエート連結を含むアンチセンスオリゴヌクレオチドの開示に関する)を参照することができる。
【0097】
オリゴヌクレオチドを形成する際に、リン酸基は隣接するヌクレオシドを互いに共有結合により連結させて、直鎖高分子化合物を形成する。次に、この直鎖ポリマー化合物のそれぞれの末端をさらに結合して、環状化合物を形成することができる。しかし、直鎖化合物が一般的に好ましい。さらに、直鎖化合物は、内部核酸塩基相補性を有し得、したがって、完全にまたは部分的に二本鎖化合物を生成するように折り畳まれ得る。オリゴヌクレオチドに関して、リン酸基は、一般に、オリゴヌクレオチドのヌクレオシド間骨格を形成すると称される。RNA及びDNAの通常の結合または骨格は、3’から5’のホスホジエステル結合である。
【0098】
本開示のアンチセンスオリゴヌクレオチドとしては、例えば、リボザイム、siRNA、外部ガイド配列(EGS)オリゴヌクレオチド、代替スプライサー、プライマー、プローブ、及び標的核酸の少なくとも一部にハイブリダイズする他のオリゴヌクレオチドが挙げられる。本開示のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、一本鎖、二本鎖、環状またはヘアピンの形態で投与することができ、内部または末端のバルジまたはループなどの構造エレメントを含むことができる。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、投与されると、1つ以上の酵素または構造タンパク質の作用を誘発して、標的核酸の修飾をもたらすことができる。
【0099】
そのような酵素の1つの非限定的な例は、RNAse Hであり、RNA:DNA二本鎖のRNA鎖を切断する細胞性エンドヌクレアーゼである。「DNA様」である一本鎖アンチセンス化合物がRNAse Hを誘発することは当技術分野において公知である。したがって、RNase Hの活性化により、RNA標的の切断がもたらされ、これにより、オリゴヌクレオチドを介した遺伝子発現の阻害の効率が大幅に向上する。RNaseIII及びリボヌクレアーゼLファミリーの酵素などの他のリボヌクレアーゼについても同様の役割が想定されている。
【0100】
二本鎖RNA(dsRNA)分子の導入は、遺伝子またはその関連遺伝子産物の機能の強力かつ特異的なアンチセンス媒介による低下を誘発することが示されている。この現象は、植物及び動物の両方で発生し、ウイルス防御及びトランスポゾンサイレンシングに進化的な関係を有すると考えられている。dsRNAが動物での遺伝子サイレンシングにつながる可能性があるという最初のエビデンスは、1995年に線虫Caenorhabditis elegansでの研究から得た(Guo and Kempheus,1995)。Montgomery et al.(1998)は、dsRNAの主要な干渉効果が転写後であることを示した。二本鎖RNA(dsRNA)への曝露に起因するCaenorhabditis elegansにおいて定義されている転写後アンチセンスメカニズムは、その後RNA干渉(RNAi)と呼ばれている。この用語は、内因性の標的mRNAレベルの配列特異的な低下をもたらすdsRNAの導入を伴うアンチセンス媒介遺伝子サイレンシングを意味するように一般化されている(Fire et al.,1998)。近年、実際には、RNAiの強力な誘導物質であるdsRNAのアンチセンス極性の一本鎖RNAオリゴマーであることが示された(Tijsterman et al.,2002)。
【0101】
当業者は、過度の実験なく、本開示の方法において有用であるアンチセンスオリゴヌクレオチドを同定することができる。
修飾ヌクレオシド間連結(骨格)
【0102】
本開示のアンチセンス化合物には、修飾された骨格または非天然のヌクレオシド間連結を有するオリゴヌクレオチドが含まれる。修飾骨格を有するオリゴヌクレオチドは、骨格内にリン原子を保持するもの、及び骨格内にリン原子を有さないものを含む。
【0103】
リン原子を含有する修飾されたオリゴヌクレオチド骨格は、例えば、ホスホロチオエート、キラルホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホトリエステル、アミノアルキルホスホトリエステル、メチル及び他のアルキルホスホネート、例えば3’-アルキレンホスホネート、5’-アルキレンホスホネート及びキラルホスホネート、ホスフィネート、ホスホルアミデート、例えば、3’-アミノホスホルアミデート及びアミノアルキルホスホルアミデート、チオノホスホルアミデート、チオノアルキルホスホネート、チオノアルキルホスホトリエステル、セレノホスフェート、及び通常の3’-5’連結を有するボラノホスフェート、これらの2’-5’連結類似体、ならびに1つ以上のヌクレオチド間結合が、3’-3’、5’-5’、または2’-2’連結である反転極性を有するものが挙げられる。極性の反転を有するオリゴヌクレオチドは、3’-ほとんどのヌクレオチド間連結に単一の3’から3’連結、すなわち、脱塩基性であり得る単一の反転ヌクレオシド残基を含む(核酸塩基が欠落しているか、その代わりにヒドロキシル基を有する)。様々な塩、混合塩、及び遊離酸の形態も含まれる。
【0104】
上記のリン含有連結の調製を教示する代表的な米国特許としては、これらに限定されないが、US3,687,808、US4,469,863、US4,476,301、US5,023,243、US5,177,196、US5,188,897、US5,264,423、US5,276,019、US5,278,302、US5,286,717、US5,321,131、US5,399,676、US5,405,939、US5,453,496、US5,455,233、US5,466,677、US5,476,925、US5,519,126、US5,536,821、US5,541,306、US5,550,111、US5,563,253、US5,571,799、US5,587,361、US5,194,599、US5,565,555、US5,527,899、US5,721,218、US5,672,697、及びUS5,625,050が挙げられる。
【0105】
リン原子を含まない修飾オリゴヌクレオチド骨格としては、例えば、短鎖アルキルもしくはシクロアルキルヌクレオシド間連結、混合ヘテロ原子及びアルキルもしくはシクロアルキルヌクレオシド間連結、または1つ以上の短鎖ヘテロ原子もしくは複素環式ヌクレオシド間連結によって形成される骨格が挙げられる。これらには、モルホリノ連結(ヌクレオシドの糖部分から一部形成される);シロキサン骨格;硫化物、スルホキシド及びスルホン骨格;ホルムアセチル及びチオホルムアセチル骨格;メチレンホルムアセチル及びチオホルムアセチル骨格;リボアセチル骨格;アルケン含有骨格;スルファメート骨格;メチレンイミノ及びメチレンヒドラジノ骨格;スルホン酸及びスルホンアミド骨格;アミド骨格;ならびに混合N、O、S、及びCH2構成要素部分を有する他の成分を有するものが挙げられる。
【0106】
上記のオリゴヌクレオチドの調製を教示する代表的な米国特許としては、これらに限定されないが、US5,034,506、US5,166,315、US5,185,444、US5,214,134、US5,216,141、US5,235,033、US5,264,562、US5,264,564、US5,405,938、US5,434,257、US5,466,677、US5,470,967、US5,489,677、US5,541,307、US5,561,225、US5,596,086、US5,602,240、US5,610,289、US5,602,240、US5,608,046、US5,610,289、US5,618,704、US5,623,070、US5,663,312、US5,633,360、US5,677,437、US5,792,608、US5,646,269、及びUS5,677,439が挙げられる。
修飾された糖及びヌクレオシド間結合
【0107】
本開示のアンチセンス化合物としては、ヌクレオチド単位の糖及びヌクレオシド間連結(すなわち、骨格)の両方が新規の基で置き換えられているオリゴヌクレオチド模倣体が挙げられる。核酸塩基単位は、標的核酸とのハイブリダイゼーションのために維持される。
【0108】
優れたハイブリダイゼーション特性を有することが示されているオリゴヌクレオチド模倣体は、ペプチド核酸(PNA)と呼ばれる。PNA化合物において、オリゴヌクレオチドの糖骨格は、アミド含有骨格、特に、アミノエチルグリシン骨格で置換される。核酸塩基は保持され、その骨格のアミド部分のアザ窒素原子に直接的または間接的に結合される。PNA化合物の調製を教示する代表的な米国特許としては、これらに限定されないが、US5,539,082;US5,714,331;及びUS5,719,262が挙げられる。PNA化合物についてのさらなる教示は、Nielsen et al.,1991に見出すことができる。
【0109】
また、本開示のアンチセンス化合物として、ホスホロチオエート骨格を有するオリゴヌクレオチド及びヘテロ原子骨格を有するオリゴヌクレオチド、例えば、-CH2-NH-O-CH2-、-CH2-N(CH3)-O-CH2-[メチレン(メチルイミノ)またはMMI骨格として公知である]、-CH2-O-N(CH3)-CH2-、-CH2-N(CH3)-N(CH3)-CH2-及び-O-N(CH3)-CH2-CH2-[ここで、天然のホスホジエステル骨格は、-O-P-O-CH2-として表される](US5,489,677)、及びUS5,602,240のアミド骨格が挙げられる。
【0110】
また、本開示のアンチセンス化合物としては、US5,034,506のモルホリノ骨格構造を有するオリゴヌクレオチドが挙げられる。
修飾糖
【0111】
本開示のアンチセンス化合物は、1つ以上の置換された糖部分を有するオリゴヌクレオチドを含む。
【0112】
例としては、2’位に以下のいずれかを含むオリゴヌクレオチドが挙げられる:OH;F;O-、S-もしくはN-アルキル;O-、S-、またはN-アルケニル;O-、S-もしくはN-アルキニル;またはO-アルキル-O-アルキル。ここで、アルキル、アルケニル及びアルキニルは、置換または非置換のC1~C10アルキルまたはC2~C10アルケニル及びアルキニルであり得る。
【0113】
一実施形態では、オリゴヌクレオチドは、2’位に以下のうちの1つを含む:O[(CH2)nO]mCH3、O(CH2)nOCH3、O(CH2)nNH2、O(CH2)nCH3、O(CH2)nONH2、及びO(CH2)nON[(CH2)nCH3]2。式中、n及びmは1~約10である。
【0114】
修飾オリゴヌクレオチドのさらなる例には、2’位に、C1~C10低級アルキル、置換低級アルキル、アルケニル、アルキニル、アルカリル、アラルキル、O-アルカリルもしくはO-アラルキル、SH、SCH3、OCN、Cl、Br、CN、CF3、OCF3、SOCH3、SO2CH3、ONO2、NO2、N3、NH2、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルカリル、アミノアルキルアミノ、ポリアルキルアミノ、置換シリル、RNA切断基、レポーター基、インターカレーター、オリゴヌクレオチドの薬物動態特性を改善するための基、またはオリゴヌクレオチドの薬力学的特性を改善するための基、及び同様の特性を有する他の置換基のうちのいずれか1つを含むオリゴヌクレオチドが含まれる。
【0115】
一実施形態では、修飾は、2’-メトキシエトキシ(2’-O-CH2CH2OCH3(2’-O-(2-メトキシエチル)または2’-MOEとしても公知である)(Martin et al.,1995)、すなわち、アルコキシアルコキシ基を含む。さらなる実施形態では、修飾は、2’-ジメチルアミノオキシエトキシ、すなわち、O(CH2)2ON(CH3)2基(2’-DMAOEとしても公知である)、または2’-ジメチルアミノエトキシエトキシ(当技術分野では2’-O-ジメチル-アミノ-エトキシ-エチルまたは2’-DMAEOE)としても公知である)、すなわち2’-O-CH2-O-CH2-N(CH3)2を含む。
【0116】
他の修飾は、2’-メトキシ(2’-O-CH3)、2’-アミノプロポキシ(2’-OCH2CH2CH2NH2)、2’-アリル(2’-CH2-CH=CH2)、2’-O-アリル(2’-O-CH2-CH=CH2)、及び2’-フルオロ(2’-F)を含む。2’-修飾は、アラビノ(上)位またはリボ(下)位であってもよい。一実施形態では、2’-アラビノ修飾は2’-Fである。
【0117】
オリゴヌクレオチドの他の位置において、特には、3’末端ヌクレオチド上または2’-5’連結オリゴヌクレオチド内での糖の3’位及び5’末端ヌクレオチドの5’位において、同様の修飾が行われていてもよい。
【0118】
オリゴヌクレオチドは、ペントフラノシル糖の代わりに、シクロブチル部分等の糖模擬体を有してもよい。
【0119】
そのような修飾糖構造の調製を教示している代表的な米国特許としては、これらに限定されないが、US4,981,957、US5,118,800、US5,319,080、US5,359,044、US5,393,878、US5,446,137、US5,466,786、US5,514,785、US5,519,134、US5,567,811、US5,576,427、US5,591,722、US5,597,909、US5,610,300、US5,627,053、US5,639,873、US5,646,265、US5,658,873、US5,670,633、US5,792,747、及びUS5,700,920号が挙げられる。
【0120】
糖のさらなる修飾は、2’-ヒドロキシル基が糖環の3’または4’炭素原子に結合され、それによって二環式糖部分を形成するロックド核酸(LNA)を含む。一実施形態では、結合は、2’酸素原子及び4’炭素原子を架橋するメチレン(-CH2-)n基であり、式中、nは1または2である。LNA及びその調製は、WO98/39352及びWO99/14226に記載されている。
天然及び修飾核酸塩基
【0121】
本開示のアンチセンス化合物には、核酸塩基修飾または置換を有するオリゴヌクレオチドが含まれる。本明細書で使用される場合、「未修飾」または「天然」核酸塩基としては、プリン塩基アデニン(A)及びグアニン(G)、ならびにピリミジン塩基チミン(T)、シトシン(C)及びウラシル(U)が挙げられる。
【0122】
修飾されたヌクレオチドとしては、他の合成及び天然の核酸塩基、例えば、5-メチルシトシン(5-me-C)、5-ヒドロキシメチルシトシン、キサンチン、ヒポキサンチン、2-アミノアデニン、アデニン及びグアニンの6-メチル及び他のアルキル誘導体、アデニン及びグアニンの2-プロピル及び他のアルキル誘導体、2-チオウラシル、2-チオチミン及び2-チオシトシン、5-ハロウラシル及びシトシン、5-プロピニル(-CC-CH3)ウラシル、及びシトシン、ならびにピリミジン塩基の他のアルキニル誘導体、6-アゾウラシル、シトシン及びチミン、5-ウラシル(疑似ウラシル)、4-チオウラシル、8-ハロ、8-アミノ、8-チオール、8-チオアルキル、8-ヒドロキシル、ならびに他の8-置換アデニン及びグアニン、5-ハロ、特に5-ブロモ、5-トリフルオロメチル、ならびに他の5-置換ウラシル及びシトシン、7-メチルグアニン及び7-メチルアデニン、2-F-アデニン、2-アミノ-アデニン、8-アザグアニン及び8-アザアデニン、7-デアザグアニン及び7-デアザアデニン及び3-デアザグアニン及び3-デアザアデニンが挙げられる。
【0123】
さらなる修飾核酸塩基としては、三環系ピリミジン、例えば、フェノオキサジンシチジン(1H-ピリミド[5,4-b][1,4]ベンゾオキサジン-2(3H)-オン)、フェノチアジンシチジン(1H-ピリミド[5,4-b][1,4]ベンゾチアジン-2(3H)-オン)、Gクランプ、例えば、置換フェノキサジンシチジン(例えば、9-(2-アミノエトキシ)-H-ピリミド[5,4-b][1,4]ベンゾオキサジン-2(3H)-オン)、カルバゾールシチジン(2H-ピリミド[4,5-b]インドール-2-オン)、ピリドインドールシチジン(H-ピリド[3’,2’:4,5]ピロロ[2,3-d]ピリミジン-2-オン)が挙げられる。
【0124】
修飾核酸塩基にはまた、プリンまたはピリミジン塩基が他の複素環、例えば7-デアザ-アデニン、7-デアザグアノシン、2-アミノピリジン及び2-ピリドンで置換されたものも含まれ得る。さらに、核酸塩基としては、US3,687,808号に開示されている塩基、J.I.Kroschwitz(editor),The Concise Encyclopedia of Polymer Science and Engineering,pages 858-859,John Wiley and Sons(1990)に開示されている塩基、及びEnglisch et al.,(1991)によって開示されている塩基、及びY.S.Sanghvi,Chapter 15:Antisense Research and Applications,pages 289-302,S.T.Crooke,B.Lebleu(editors),CRC Press,1993によって開示される塩基が挙げられる。
【0125】
これらの核酸塩基の一部は、オリゴヌクレオチドの結合親和性を増加させるのに特に有用である。これには、5-置換ピリミジン、6-アザピリミジン、ならびにN-2、N-6、及びO-6置換プリン、例えば、2-アミノプロピルアデニン、5-プロピニルウラシル、及び5-プロピニルシトシンなどが挙げられる。5-メチルシトシン置換では、0.6~1.2℃ごとに核酸二重鎖の安定性が増加することが示されている。一実施形態では、これらの核酸塩基置換は、2’-O-メトキシエチル糖修飾と組み合わされる。
【0126】
上記の特定の修飾核酸塩基及び他の修飾核酸塩基の調製を教示する代表的な米国特許としては、これらに限定されないが、US3,687,808、US4,845,205、US5,130,302、US5,134,066、US5,175,273、US5,367,066、US5,432,272、US5,457,187、US5,459,255、US5,484,908、US5,502,177、US5,525,711、US5,552,540、US5,587,469、US5,594,121、US5,596,091、US5,614,617、US5,645,985、US5,830,653、US5,763,588、US6,005,096、US5,681,941、及びUS5,750,692が挙げられる。
抱合体基
【0127】
本開示のアンチセンス化合物は、アンチセンス化合物の活性、細胞分布または細胞取り込みを増強する1つ以上の部分または基に抱合され得る。
【0128】
これらの部分または基は、一級または二級のヒドロキシル基などの官能基に共有結合し得る。
【0129】
例示的な部分または基としては、インターカレーター、レポーター分子、ポリアミン、ポリアミド、ポリエチレングリコール、ポリエーテル、オリゴマーの薬物力学特性を向上させる基、及びオリゴマーの薬物動態特性を向上させる基が挙げられる。典型的な抱合体基としては、コレステロール、脂質、リン脂質、ビオチン、フェナジン、葉酸塩、フェナントリジン、アントラキノン、アクリジン、フルオレセイン、ローダミン、クマリン、及び色素が挙げられる。
【0130】
薬力学的特性を向上させる部分または基としては、取り込みを改善し、分解に対する耐性を向上し、及び/または標的核酸との配列特異的ハイブリダイゼーションを強化するものが挙げられる。
【0131】
薬物動態特性を向上させる部分または基としては、本開示の化合物の取り込み、分布、代謝または排泄を改善するものが挙げられる。代表的な部分または基は、PCT/US92/09196及びUS6,287,860に開示されている。部分または基としては、これに限定されないが、脂質部分、例えば、コレステロール部分、コール酸、チオエーテル、例えば、ヘキシル-S-トリチルチオール、チオコレステロール、脂肪族鎖、例えば、ドデカンジオールまたはウンデシル残基、リン脂質、例えば、ジヘキサデシル-rac-グリセロールまたはトリエチルアンモニウム、1,2-ジ-O-ヘキサデシル-rac-グリセロ-3-H-ホスホネート、ポリアミンまたはポリエチレングリコール鎖、またはアダマンタン酢酸、パルミチル部分、またはオクタデシルアミンまたはヘキシルアミノ-カルボニル-オキシコレステロール部分が挙げられる。
キメラ化合物
【0132】
当業者が理解するように、所与の化合物内におけるすべての位置が均一に修飾される必要はなく、実際、前述の修飾のうちの2つ以上が単一のオリゴヌクレオチド内で、またはオリゴヌクレオチド内の単一のヌクレオシドでさえ組み込まれ得る。
【0133】
本開示のアンチセンス化合物としては、キメラオリゴヌクレオチドが挙げられる。「キメラオリゴヌクレオチド」は、2つ以上の化学的に異なる領域を含み、それぞれが少なくとも1つのモノマー単位、すなわち、オリゴヌクレオチド化合物の場合はヌクレオチドから構成される。これらのオリゴヌクレオチドは、典型的には、オリゴヌクレオチドが、ヌクレアーゼ分解に対する耐性の増加、細胞取り込みの増加、安定性の増加、及び/または標的核酸に対する結合親和性の増加を付与するように修飾される少なくとも1つの領域を含む。オリゴヌクレオチドの追加の領域は、RNA:DNAまたはRNA:RNAハイブリッドを切断できる酵素の基質として役立ち得る。一例として、RNase Hは、RNA:DNA二本鎖のRNA鎖を切断する細胞性エンドヌクレアーゼである。したがって、RNase Hの活性化は、RNA標的の切断をもたらし、それにより遺伝子発現のオリゴヌクレオチド媒介阻害の効率を大幅に向上させる。RNA:RNAハイブリッドの切断は、同様の方式で、細胞RNA及びウイルスRNAの両方を切断するRNAseLなどのエンドリボヌクレアーゼの作用によって達成できる。RNA標的の切断は、ゲル電気泳動、及び必要に応じて、当技術分野において公知である関連する核酸ハイブリダイゼーション技術によって日常的に検出することができる。
【0134】
本開示のキメラアンチセンス化合物は、2つ以上のオリゴヌクレオチド、修飾オリゴヌクレオチド、及び/またはオリゴヌクレオチド模倣体の複合構造として形成され得る。こうした化合物はまた、当技術分野ではハイブリッドまたはギャップマーと呼ばれている。そのようなハイブリッド構造の調製を教示している代表的な米国特許としては、これらに限定されないが、US5,013,830、US5,149,797、US5,220,007、US5,256,775、US5,366,878、US5,403,711、US5,491,133、US5,565,350、US5,623,065、US5,652,355、US5,652,356、及びUS5,700,922が挙げられる。
例示的なオリゴヌクレオチド
【0135】
当技術分野で公知である例示的なアンチセンスプラットフォームとしては、これらに限定されないが、モルホリノ、第1世代オリゴ、第2世代オリゴ、ギャップマー、siRNA、LNA、BNA、またはペプチド核酸酸などのオリゴ模倣体が挙げられる。オリゴヌクレオチドは、裸であるか、またはリポソーム内に配合され得る。オリゴヌクレオチドは、細胞への送達手段に連結されていてもされなくてもよい。オリゴヌクレオチドは、エンドソーム離型剤を使用しても使用しなくてもよい。
【0136】
一実施形態では、アンチセンス化合物は、VLA-4 mRNAの3’非翻訳領域にハイブリダイズするように設計された第2世代のホスホロチオエート骨格2’-MOE修飾キメラオリゴヌクレオチドギャップマーである。一実施形態では、オリゴヌクレオチドは、VLA-4のα4インテグリンサブユニットであるCD49及びα4β7インテグリンをコードするRNAにハイブリダイズすることにより、初代ヒト細胞及びいくつかのヒト細胞株の両方においてVLA-4の発現を選択的に阻害する。
【0137】
一実施形態では、オリゴヌクレオチドは、3’→5’ホスホロチオエートオリゴヌクレオチド20merの19ナトリウム塩であり、分子量7230ダルトンを有する3-9-8MOEギャップマーとも呼ばれ、5’末端から1~3位にあるヌクレオチドは、2’-O-(2-メトキシエチル)(2’MOE)修飾リボヌクレオシド(2’-O-(2-メトキシエチルリボース)であり;5’末端から4~12位にあるヌクレオチドは、2’-デオキシリボヌクレオシドであり(すべてのシトシンが5-メチルシトシンである);5’末端から13~20位にあるヌクレオチドは、2’-O-(2-メトキシエチル)修飾リボヌクレオシドである。
【0138】
一実施形態では、オリゴヌクレオチドの配列は(配列番号1)である:
5’-MeMeUG AGTMeCTG TTTMeMeMeCAMeMeMeMeU-3’
オリゴヌクレオチドの実験式は次のとおりである:
233327601291919Na19
【0139】
アンチセンスオリゴヌクレオチドATL1102は、中枢神経系障害、MSにおいて、及び本明細書で提案されているよりも有意に高い用量で有効であることが以前に示されている(Limmroth et al)。免疫細胞においてVLA-4を選択的に阻害する、VLA-4のCD49dアルファ鎖に対するアンチセンスオリゴヌクレオチドの能力により、PMLなどの重大な安全性イベントを防止する。これは、VLA-4を発現するすべての細胞に影響を与える、汎VLA-4阻害剤であるVLA-4の抗体及び小分子阻害剤の投与を特徴とする。
【0140】
一実施形態では、すべてのウラシルは5-メチルウラシル(MeU)である。典型的には、オリゴヌクレオチドは、5-メチルウラシルではなく、2-メトキシエチル修飾チミジンを使用して合成される。
【0141】
一実施形態では、すべてのピリミジンがC5メチル化されている(すなわち、U、T、Cは、C5メチル化されている)。
【0142】
一実施形態では、オリゴヌクレオチドの配列は、承認されているオリゴヌクレオチド命名法によって命名され得、各O-O結合ホスホロチオエートヌクレオチド間結合を示す:
2’-O-メトキシエチル-5-メチルシチジリル-(3’―>5’O,O-ホスホロチオイル)-2’-O-メトキシエチル-5-メチルウリジル-(3’―>5’O,O-ホスホロチオイル)-2’-O-メトキシエチルグアノシリル-(3’―>5’O,O-ホスホロチオイル)-2’-O-デオキシアデノシリル-(3’―>5’O,O-ホスホロチオイル)-2’-O-デオキシグアノシリル-(3’―>5’O,O-ホスホロチオイル)-チミジリル-(3’―>5’O,O-ホスホロチオイル)-2’-デオキシ-5-メチルシチジリル-(3’―>5’O,O-ホスホロチオイル)-チミジリル-(3’―>5’O,O-ホスホロチオイル)-2’-デオキシグアノシリル-(3’―>5’O,O-ホスホロチオイル)-チミジリル-(3’―>5’O,O-ホスホロチオイル)-チミジリル-(3’―>5’O,O-ホスホロチオイル)-チミジリル-(3’―>5’O,O-ホスホロチオイル)-2’-O-メトキシエチル-5-メチルウリジル-(3’―>5’O,O-ホスホロチオイル)-2’-メトキシエチル-5-メチルシチジリル-(3’―>5’O,O-ホスホロチオイル)-2’-メトキシエチル-5-メチルシチジリル-(3’―>5’O,O-ホスホロチオイル)-2’-O-メトキシエチル-5-アデノシリル-(3’―>5’O,O-ホスホロチオイル)-2’-O-メトキシエチル-5-メチルウリジル-(3’―>5’O,O-ホスホロチオイル)-2’-O-メトキシエチル-5-メチルウリジル-(3’―>5’O,O-ホスホロチオイル)-2’-O-メトキシエチル-5-メチルシトシン、(3’―>5’O,O-ホスホロチオイル)-2’-O-メトキシエチル-5-メチルウリジル-19ナトリウム塩。
【0143】
オリゴヌクレオチドは、固相合成及び下流処理の2つの異なる操作に分割できる多段階プロセスによって合成され得る。最初の操作では、オリゴヌクレオチドのヌクレオチド配列は、コンピューター制御固相シンセサイザーを介して組み立てられる。その後の下流処理としては、脱保護ステップ、分取逆相クロマトグラフィー精製、単離、及びオリゴヌクレオチド原薬を生成するための乾燥が挙げられる。オリゴヌクレオチド(oligonucelotide)の化学合成は、ホスホルアミダイトカップリング化学及びその後の酸化的硫化を利用し、その3’末端が固体支持体に共有結合により付着している伸長オリゴマーへの活性化モノマーの連続カップリングを伴う。
脱トリチル化(反応a)
【0144】
固相合成の各サイクルは、支持体に結合したオリゴヌクレオチドの5’末端ヌクレオシドの酸に不安定な5’-O-4,4’-ジメトキシトリチル(DMT)保護基の除去から始まる。これは、酸性溶液(例えば、トルエン中のジクロロ酢酸(DCA))で処理することによって達成される。脱トリチル化後、次の反応の準備のためにアセトニトリルで洗浄することにより、過剰な試薬を支持体から除去する。
カップリング(反応b)
【0145】
鎖の伸長は、活性剤(例えば、1H-テトラゾール)の存在下で、支持体結合オリゴヌクレオチドの5’-ヒドロキシル基とその特定の塩基位置に対応するホスホルアミダイト(例えば、塩基2の場合:MOE-MeCアミダイト)の溶液との反応によって達成される。これにより、入ってくるヌクレオチドシントンと支持体結合オリゴヌクレオチド鎖との間に亜リン酸トリエステル連結が形成される。カップリング反応後、次の反応の準備の際にアセトニトリルにより洗浄することにより、過剰な試薬を支持体から除去する。
硫化(反応c)
【0146】
新たに形成された亜リン酸トリエステル連結は、硫黄移動試薬(例えば、フェニルアセチルジスルフィド)の溶液で処理することにより、対応する[O,O,O)-トリアルキルホスホロチオエートトリエステルに変換される。硫化後、次の反応の準備の際にアセトニトリルにより洗浄することにより、過剰な試薬を支持体から除去する。
キャッピング(反応d)
【0147】
任意の所与のサイクルで利用可能な5’-ヒドロキシ基のごく一部は拡張できない。後続のサイクルのいずれかにおいてこれらの基が結合すると、プロセス関連の不純物(「DMT-on(n-l)-mer」)が形成され、所望の生成物から分離することが困難である。これらの不純物の形成を防ぎ、精製を容易にするために、「キャッピング試薬」(例えば、無水酢酸及びN-メチルイミダゾール/アセトニトリル/ピリジン)を反応容器に導入して、キャッピングさせた配列を得る。得られた不良配列(「DMTオフショーマー(DMT-off shortmer)」)は、逆相HPLC精製によって所望の生成物から分離される。キャッピング反応後、次の反応の準備の際にアセトニトリルにより洗浄することにより、過剰な試薬を支持体から除去する。
【0148】
適切な保護されたヌクレオシドホスホルアミダイトを使用してこの基本的な4ステップのサイクルを繰り返すことにより、保護されたオリゴヌクレオチド配列全体の組み立てが可能になる。
骨格の脱保護(反応e)
【0149】
本プロセスの組み立て部分の完了後、(O,O,O)-トリアルキルホスホロチオエートトリエステルヌクレオチド間連結を保護するシアノエチル基は、トリエチルアミン(TEA)を含むアセトニトリル溶液で処理することによって除去される。このステップ間に生成された試薬及びアクリロニトリルは、カラムをアセトニトリルにより洗浄することによって除去される。
支持体からの切断及び塩基の脱保護(反応f)
【0150】
環外アミノ基の脱保護及び支持体からの粗生成物の切断は、水酸化アンモニウム水溶液とのインキュベーションによって達成される(反応f)。粗製の5’-O-DMT保護生成物の精製は、逆相HPLCによって行われる。逆相HPLCステップでは、DMTオフ障害配列を除去する。溶出プロファイルは、UV吸収分光法によって監視される。DMT-onオリゴヌクレオチド産物を含む画分を収集して分析する。
酸性脱保護(反応g)
【0151】
5’-O-DMTにより保護されたオリゴヌクレオチドを含む逆相HPLC画分をプールし、沈殿タンクに移す。いくつかの合成物の精製から得た生成物は、プロセスのこの段階で組み合わせる。精製されたDMT-onオリゴヌクレオチドを酸(例えば、酢酸)で処理して、5’末端に付着したDMT基を除去する。所定時間の酸曝露及び中和の後、オリゴヌクレオチド原薬を単離して乾燥させる。
【0152】
最後の酸性脱保護ステップ後、水酸化ナトリウム水溶液を添加することによりこの溶液を中和し、エタノールを添加することによりこの溶液からオリゴヌクレオチド原薬を沈めさせる。沈殿した物質を反応容器の底に沈めさせ、エタノール性上清をデカントする。沈殿した物質を精製水に再度溶解させ、溶液のpHをpH7.2~7.3に調整する。沈殿ステップを繰り返す。沈殿した物質を水に溶解し、その溶液を0.45ミクロンフィルタでろ過し、使い捨てのポリプロピレントレイに移して、凍結乾燥機に添加する。溶液を-50℃まで冷却する。一次乾燥は、25℃で37時間行う。温度は30℃まで上昇させ、二次乾燥ステップは5.5時間行った。凍結乾燥プロセスの完了後、原薬は高密度ポリエチレンボトルに移し、-200℃で保管する。
標的核酸
【0153】
アンチセンス化合物を特定の核酸に「標的化」することは、多段階のプロセスであり得る。このプロセスは、通常、機能が調節される標的核酸の同定から開始する。本開示では、標的核酸は、VLA-4またはα4β7インテグリンのアルファ4インテグリン鎖をコードする。
【0154】
標的プロセスは、アンチセンス相互作用が生じて、所望の効果(例えば、発現の阻害)が結果的に生じるように、通常、標的核酸内の少なくとも1つの標的領域、セグメント、または部位を決定することを含む。本明細書で使用されている「領域」は、少なくとも1つの同定可能な構造、機能、または特徴を有する標的核酸の一部分と定義される。標的核酸の領域内には、セグメントがある。「セグメント」は、標的核酸内の領域のさらに小さいまたは下位の部分と定義される。本明細書で使用される「部位」は、標的核酸内の位置を意味する。
【0155】
「翻訳開始コドン」は、典型的には、5’-AUG(転写されたmRNA分子では;対応するDNA分子では5’-ATG)であるため、翻訳開始コドンは「AUGコドン」、「開始コドン」、または「AUG開始コドン」とも称される。少数の遺伝子は、RNA配列5’-GUG、5’-UUG、または5’-CUGを有する翻訳開始コドンを有し、5’-AUA、5’-ACG及び5’-CUGは、in vivoで機能することが示されている。したがって、「翻訳開始コドン」及び「開始コドン」という用語は、それぞれの場合の開始アミノ酸が典型的にはメチオニン(真核生物の場合)またはホルミルメチオニン(原核生物の場合)であっても、多くのコドン配列を包含することができる。真核生物及び原核生物の遺伝子が2つ以上の代替の開始コドンを有し得、それらのうちのいずれかが特定の細胞型または組織において、または特定の一連の条件下で翻訳の開始に優先的に利用され得ることも当技術分野において公知である。本明細書で使用される「開始コドン」及び「翻訳開始コドン」という用語は、こうしたコドンの配列(複数可)に関係なく、例えば、VLA-4またはα4β7インテグリンのα4インテグリン鎖をコードする遺伝子から転写されるmRNAの翻訳を開始するためにin vivoで使用される1つ以上のコドンを指す。
【0156】
「停止コドン」とも呼ばれる「翻訳終止コドン」は、3つのRNA配列5’-UAA、5’-UAG及び5’-UGA(それぞれ対応するDNA分子内において、5’-TAA、5’-TAG及び5’-TGA、)のうちの1つを有し得る。本明細書で使用される「翻訳終止コドン」及び「停止コドン」という用語は、こうしたコドンの配列(複数可)に関係なく、VLA-4またはα4β7インテグリンのα4インテグリン鎖をコードする遺伝子から転写されるmRNAの翻訳を終止させるためにin vivoで使用される1つ以上のコドンを指す。
【0157】
「開始コドン領域」及び「翻訳開始コドン領域」という用語は、翻訳開始コドンからいずれかの方向(すなわち、5’または3’)に約25~約50の連続するヌクレオチドを包含するmRNAまたは遺伝子の一部を指す。同様に、「停止コドン領域」及び「翻訳終止コドン領域」という用語は、翻訳終止コドンからいずれかの方向(すなわち、5’または3’)に約25~約50の連続するヌクレオチドを包含するmRNAまたは遺伝子の一部を指す。したがって、「開始コドン領域」または「翻訳開始コドン領域」及び「停止コドン領域」または「翻訳終止コドン領域」はすべて、本開示のアンチセンス化合物で効果的に標的化され得る領域である。
【0158】
翻訳開始コドンと翻訳終止コドンとの間の領域を指すことが当技術分野で知られている「オープンリーディングフレーム」(ORF)または「コード領域」もまた、効果的に標的化され得る領域である。一実施形態では、遺伝子のORFの翻訳開始または終止コドンを含む遺伝子内領域が標的とされる。
【0159】
他の標的領域としては、翻訳開始コドンから5’方向のmRNAの部分を指すことが当技術分野で公知である5’非翻訳領域(5’UTR)が挙げられ、したがって、mRNAの5’キャップ部位と翻訳開始コドン(または遺伝子上の対応するヌクレオチド)、及び翻訳終止コドンから3’方向のmRNAの部分を指すことが当技術分野で公知である3’非翻訳領域(3’UTR)、したがって、mRNAの翻訳終止コドンと3’末端との間のヌクレオチド(または遺伝子上の対応するヌクレオチド)が挙げられる。mRNAの5’キャップ部位は、5’-5’三リン酸連結を介してmRNAの5’-ほとんどの残基に結合したN7-メチル化グアノシン残基を含む。mRNAの5’キャップ領域は、5’キャップ構造自体、及びキャップ部位に隣接する最初の50ヌクレオチドを含むと見なされる。一実施形態では、5’キャップ領域が標的とされる。
【0160】
一部の真核生物のmRNA転写産物は、直接翻訳されるが、多くは「イントロン」として公知である1つ以上の領域を含み、翻訳される前に転写産物から切除される。残りの(したがって翻訳された)領域は「エクソン」として公知であり、一緒にスプライシングされて連続的なmRNA配列を形成する。異なる遺伝子源からの2つ(またはそれ以上)のmRNAのスプライシングのプロセスを介して生成されたmRNA転写物は、「融合転写物」として公知である。一実施形態では、イントロン、またはスプライス部位、すなわち、イントロン-エクソン接合部もしくはエクソン-イントロン接合部、または再配列もしくは欠失による異常な融合接合部が標的とされる。代替的RNA転写産物は、DNAの同じゲノム領域から生成できる。これらの代替的転写物は、一般に「バリアント」として公知である。
【0161】
「プレmRNAバリアント」は、同じゲノムDNAから生成された転写物であり、同じゲノムDNAから生成された他の転写物とは、開始位置または停止位置のいずれかが異なり、イントロン配列及びエクソン配列を両方とも含む。スプライシング中に1つ以上のエクソン領域もしくはイントロン領域、またはその一部を切除したときに、プレmRNAバリアントは、より小さい「mRNAバリアント」を生成する。その結果、mRNAバリアントは、処理されたプレmRNAバリアントであり、各固有のプレmRNAバリアントは、スプライシングの結果として、常に固有のmRNAバリアントを生成する必要がある。これらのmRNAバリアントは、「選択的スプライシングバリアント」としても公知である。プレmRNAバリアントのスプライシングが発生しない場合、プレmRNAバリアントは、mRNAバリアントと同一である。
【0162】
バリアントは、転写を開始または停止するための代替的シグナルを使用することによって、すなわち、代替的開始コドンまたは停止コドンを使用することによって生成することができる。代替的開始コドンを使用するプレmRNAまたはmRNAに由来するバリアントは、そのプレmRNAまたはmRNAの「代替的開始バリアント」として公知である。代替的停止コドンを使用するこれらの転写物は、そのプレmRNAまたはmRNAの「代替的停止バリアント」として公知である。代替的停止バリアントの1つの特定のタイプは「polyAバリアント」であり、内部で生成される複数の転写物は、転写機構による「polyA停止シグナル」のうちの1つの代替選択から生じ、それによって固有のpolyA部位において終止する転写物を生成する。一実施形態では、プレmRNAまたはmRNAバリアントが標的とされる。
【0163】
アンチセンス化合物がハイブリダイズする標的核酸上の位置は、「標的セグメント」と呼ばれる。本明細書で使用される場合、「標的セグメント」という用語は、アンチセンス化合物が標的とされる標的領域の少なくとも8核酸塩基部分として定義される。理論に束縛されることを望むものではないが、これらの標的セグメントは、ハイブリダイゼーションのためにアクセス可能な標的核酸の一部分を表すと現在考えられている。
【0164】
1つ以上の標的領域、セグメントまたは部位が同定されると、標的セグメントに十分に相補的であるアンチセンス化合物、すなわち、十分によく、かつ十分な特異性でハイブリダイズして、所望の効果を付与するアンチセンス化合物が選択される。
【0165】
標的セグメントはまた、そのそれぞれの相補的アンチセンス化合物と組み合わせて、安定化された二本鎖(二本鎖)オリゴヌクレオチドを形成し得る。そのような二本鎖オリゴヌクレオチド部分は、標的発現を調整し、翻訳、ならびにアンチセンスメカニズムを介したRNAプロセシングを調節することが当技術分野で示されている。さらに、二本鎖部分は化学修飾を受ける可能性がある(Fire et al.,1998;Timmons and Fire,1998;Timmons et al.,2001;Tabara et al.,1998;Montgomery et al.,1998;Tuschl et al.,1999;Elbashir et al.,2001a;Elbashir et al.,2001b)。例えば、そのような二本鎖部分は、二本鎖のアンチセンス鎖の標的への古典的なハイブリダイゼーションによって標的を阻害し、それによって標的の酵素分解が引き起こされることが示されている(Tijsterman et al.,2002)。
組成物
【0166】
本開示のアンチセンス化合物は、取り込み、分布及び/または吸収において支援するために、混合させ、カプセル化させ、抱合させ得るか、または他の分子、分子構造、または化合物の混合物と他の方法で関連させ得、その結果、例えば、リポソーム、受容体標的分子、経口、直腸、局所または他の配合物を得る。そのような取り込み、分布及び/または吸収支援配合物の調製を教示する代表的な米国特許としては、これらに限定されないが、US5,108,921、US5,354,844、US5,416,016、US5,459,127、US5,521,291、US5,543,158、US5,547,932、US5,583,020、US5,591,721、US4,426,330、US4,534,899、US5,013,556、US5,108,921、US5,213,804、US5,227,170、US5,264,221、US5,356,633、US5,395,619、US5,416,016、US5,417,978、US5,462,854、US5,469,854、US5,512,295、US5,527,528、US5,534,259、US5,543,152、US5,556,948、US5,580,575、及びUS5,595,756が挙げられる。
【0167】
本開示のアンチセンス化合物は、薬学的に許容される担体で投与することができる。「薬学的に許容される担体」という用語は、対象、特に哺乳動物、より特にはヒトに投与されるときにアレルギー反応、有毒反応、あるいは有害反応を生じさせない、分子実体を指す。薬学的に許容される担体は、固体または液体であってもよい。薬学的に許容される担体の有用な例としては、本開示の活性剤の活性に影響を及ぼさない、希釈剤、溶媒、界面活性剤、賦形剤、懸濁化剤、緩衝剤、滑沢剤、アドジュバンド、ビヒクル、乳化剤、吸収剤、分散媒体、コーティング剤、安定剤、保護コロイド、接着剤、増粘剤、チキソトロープ剤、浸透剤、金属イオン封鎖剤、等張及び吸収遅延剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0168】
一実施形態では、医薬担体は注射用水(WFI)であり、医薬組成物は、pH7.4、7.2~7.6に調整される。
【0169】
一実施形態では、塩はナトリウム塩またはカリウム塩である。
【0170】
オリゴヌクレオチドは、キラル(非対称)中心を含み得るか、または分子全体がキラルであり得る。個々の立体異性体(エナンチオマー及びジアステレオ異性体)及びこれらの混合物は、本開示の範囲内にある。
【0171】
本開示のアンチセンス化合物は、薬学的に許容される塩、エステル、もしくはエステルの塩、投与時に生物学的活性代謝物を(直接的または間接的に)提供することができる任意の他の化合物であり得る。
【0172】
本明細書で使用される「薬学的に許容される塩」という用語は、親化合物の所望の生物学的活性を保持し、投与時に望ましくない毒物学的影響を与えないアンチセンス化合物の生理学的にかつ薬学的に許容される塩を指す。薬学的に許容される塩の例及びそれらの使用は、US6,287,860にさらに記載されている。
【0173】
本開示のアンチセンス化合物は、プロドラッグまたはプロドラッグの薬学的に許容される塩、または他の生物学的同等物であり得る。本明細書で使用される「プロドラッグ」という用語は、内因性酵素または他の化学物質及び/または条件の作用によって投与されると活性形態(すなわち、薬物)に変換される不活性形態で調製される治療剤を指す。特に、本開示のアンチセンス化合物のプロドラッグ形態は、WO93/24510、WO94/26764、及びUS5,770,713に開示されている方法に従って、SATE[(Sアセチル-2-チオエチル)ホスフェート]誘導体として調製される。
【0174】
プロドラッグは、例えば、血液中での加水分解によって、身体内で、医学的効果を有するその活性型に変換され得る。薬学的に許容されるプロドラッグは、T.Higuchi and V.Stella,Prodrugs as Novel Delivery Systems,Vol.14 of the A.C.S.Symposium Series(1976);「Design of Prodrugs」ed.H.Bundgaard,Elsevier,1985;及びEdward B.Roche,ed.Bioreversible Carriers in Drug Design,American Pharmaceutical Association and Pergamon Press,1987に記載されており、これらは参照により本明細書に組み込まれる。有機化学の当業者は、多くの有機化合物が、それらが反応するか、またはそれらが沈殿または結晶化される溶媒と錯体を形成できることを理解するであろう。これらの複合体は、「溶媒和物」として公知である。例えば、水との複合体は「水和物」として公知である。
従来の治療法
【0175】
コルチコステロイド療法は、歩行患者のDMD治療の主力である。「コルチコステロイド」は、自然発生コルチコステロイドの効果を模倣もしくは増補するステロイドの一般的化学構造を有する、いくつかの合成または自然発生の物質のうちのいずれか1つを指す。合成コルチコステロイドの例としては、プレドニゾン、プレドニゾロン(プレドニゾン、プレドニゾロンの前駆体、メチルプレドニゾロンなど)、デキサメタゾントリアムシノロン、ブデソニド、及びベタメタゾンが挙げられる。
【0176】
一実施形態では、MDを有するヒト対象におけるMDのための本発明の治療は、CD49d(VLA-4のアルファ鎖)に対するアンチセンスオリゴヌクレオチドなどの有効量の治療剤を対象に投与することを含み、さらに、有効量の第2の医薬品、すなわちコルチコステロイドを対象に投与することを含む。一実施形態では、コルチコステロイドは、プレドニゾン(またはプレドニゾン同等物)、デフラザコート(誘導体またはプレドニゾロン)である。他のコルチコステロイドは、上記のように当技術分野において公知である。
【0177】
本明細書における併用投与としては、別個の配合物(または単一の薬学的配合物)を使用する共投与と、いずれかの順序における連続投与とが挙げられ、概して、両方(または全て)の活性剤がそれらの生物活性を同時に発揮する期間が存在する。
【0178】
標準用量でのコルチコステロイド治療は、一部の患者において歩行を維持するのに何らかの効果を有することが示されているため、歩行するDMD患者に使用される。しかし、標準用量(0.75mg/kg/日プレドニゾンまたは0.9mg/kg/日デフラザコート)での長期治療は、筋萎縮及び/または他の副作用を引き起こし得る。CSを継続し得る歩行不能DMD患者には標準治療がなく、歩行を失ったときに使用していたCSの固定用量、すなわちCSを減少させた用量(mg/kg/日)であり得、または、副作用及び/または利益がないためにCS治療を外す。本明細書で提唱され、示されているように、歩行不能対象における、コルチコステロイド治療のレベルの減少など、コルチコステロイド治療と組み合わせたCD49dに対するアンチセンス治療は、筋肉機能の進行を低下させたか、または遅延させた。CS治療がこうした対象において何らかの利益をもたらしたかは不明であるため、これはATL1102単剤療法または併用療法を支持する。
【0179】
本明細書で使用される場合、治療法の投与の文脈における「組み合わせ」という用語は、複数の治療法または治療剤の使用を指す。「組み合わせて」という用語の使用は、治療法または治療剤が対象に投与される順序を制限するものではない。治療法または治療剤は、対象への第2の治療法または治療剤を投与する前、それらと同時に、またはそれらの後に投与することができる。
投与
【0180】
一実施形態では、本開示のアンチセンス化合物は全身投与される。本明細書で使用される場合、「全身投与」は、経腸的または非経口的のいずれかの投与経路である。
【0181】
本明細書で使用される場合、「経腸」は、胃腸管の任意の部分が関与する投与形態を指し、例えば、錠剤、カプセルまたは液滴形態のアンチセンスオリゴヌクレオチドの経口投与;胃栄養チューブ、十二指腸栄養チューブ、または胃瘻造設術;及び、例えば、坐剤または浣腸形態でのアンチセンス化合物の直腸投与が挙げられる。
【0182】
本明細書で使用される場合、「非経口」としては、注射または注入による投与が挙げられる。例としては、静脈内(静脈内へ)、動脈内(動脈内へ)、筋肉内(筋肉内へ)、心臓内(心臓内へ)、皮下(皮膚下)、骨内注入(骨髄内へ)、皮内(皮膚自体へ)、髄腔内(脊髄管へ)、腹腔内(腹膜への注入または注射)、膀胱内(膀胱への注入)、経皮(無傷の皮膚を介した拡散)、経粘膜(粘膜を介した拡散)、吸入が挙げられる。
【0183】
一実施形態では、医薬組成物の投与は皮下である。
【0184】
アンチセンス化合物は、単回投与として、または期間ベースで、例えば、1日1回、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日または14日に1回、1回/週、2回/週、3回/週、または2週間ごと、または3週間ごとの反復投与として投与することができる。
【0185】
一実施形態では、投与は、1~3回/週、または1回/週、2週間、3週間、4週間、または2ヶ月に1回である。
【0186】
一実施形態では、投与は週に1回である。
【0187】
一実施形態では、低用量を3~6ヶ月間、例えば、約25~50mg/週で少なくとも3~6ヶ月間、その後最長12ヶ月間、及び慢性的に投与する。
【0188】
例示的用量は、約10mg~300mgである。例示的用量としては、25、50、100、150、200mgが挙げられる。例示的用量としては、1.5mg/kg(約50~100mg)及び3mg/kg(100~200mg)及び4.5mg/kg(150~300mg)が挙げられる。一実施形態では、用量は週に1回投与される。したがって、一実施形態では、約10mg~30mg、または20mg~40mg、または20mg~28mgの低用量を、典型的には約25kg~65kgの体重の対象に投与することができる。一実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、治療効果を生み出すために、用量あたり50mg未満、または30mg未満、または約25mgの用量で投与される。一実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチド、ATL1102は、治療効果を生み出すために、用量あたり50mg未満、または30mg未満、または約25mgの用量で投与される。
【0189】
一実施形態では、進行の遅延などの治療効果は、最初の用量の投与後約3ヶ月以内に見られる。本明細書で使用される「治療有効量」という用語は、例えば筋ジストロフィーの1つ以上のマーカー、徴候もしくは症状を改善する、または、対象の筋ジストロフィーの進行を遅延させる、またはジストロフィー筋線維の1つ以上のマーカー、徴候もしくは症状を改善する、または投与条件下での対象の筋ジストロフィーの進行を遅延させるのに十分なアンチセンス化合物の用量を指す。
【0190】
別の実施形態では、投与は、ヒト対象の血漿中に2890ng/mL以上、一実施形態では約10,000~11,000ng/mLのオリゴヌクレオチドのCmaxをもたらすのに効果的である。
【0191】
別の実施形態では、投与は、少なくとも2.5ng/mL、一実施形態では少なくとも20ng/mL、または少なくとも45ng/mLの、ヒト対象の血漿中のオリゴヌクレオチドのCminまたはCtroughをもたらすのに有効である。
【0192】
研究は、ヒト対象の血液または筋肉中のVLA-4のレベルを低下させるVLA-4インテグリンに対する阻害性オリゴヌクレオチドによる筋ジストロフィーの治療を実証するために実施する。VLA-4のレベルの低下は、血液、筋肉、または肺など、1つ以上の臓器の細胞のサブセット内で検出され得る。一実施形態では、対象は、投与の約24時間前にコルチコステロイドを断つ。
【0193】
これにより、コルチコステロイドの非存在下での免疫細胞におけるVLA-4インテグリンのCD49dアルファ鎖に対する阻害性アンチセンスオリゴヌクレオチドの効果を評価でき、コルチコステロイドは、投与後24時間の時点で、循環免疫細胞への影響を有するように、血流中に有意なレベルで存在していない。
実施例1
【0194】
一実施形態では、ATL1102は、10歳以上の歩行不能の若年(または思春期)の男児に、毎週約1.5mg/kg(約50~100mg)及び3mg/kg(100~200mg)及び4.5mg/kg(150~300mg)で最長12週間DMDと共に投与される。例えば、運動/筋肉機能及び炎症マーカーに対する投与されたオリゴヌクレオチドの効果が測定される。筋肉の変性-再生及び線維症のマーカーも評価される。マーカーは、in situまたは血漿、尿、筋肉生検などのサンプル中で検出され得る。呼吸性能の変化を評価するために、吸気圧及び呼気圧、咳のピーク流量、FVCが評価される。正規化された上肢の到達可能表面積の変化率、上肢性能評価スコア(Performance of the Upper Limb Assessment score)の変化率、(PROM-UL)測定者が報告した上肢測定結果(Person-Reported Outcome Measure Upper Limb)機能能力スコアの変化率を使用して筋肉機能を評価する。生活の質に関する質問票は、治療の効果の判断に有用である。コルチコステロイドは、1日1回、またはそれより少ない頻度で投与され得る。プレドニゾロンは、0.75mg/kg/日で、デフラザコートは0.9mg/kg/日で、歩行可能DMD患者の標準治療法として、標準用量の3分の2、半分、または3分の1の用量で投与され得る。
実施例2
【0195】
一実施形態では、ATL1102は、4~11歳以上の歩行不能の小児の男児に、毎週約1.5mg/kg(約10~100mg)及び3mg/kg(20~200mg)及び4.5mg/kg(30~300mg)で最長12週間DMDと共に投与される。例えば、運動/筋肉機能及び炎症マーカーに対する投与されたオリゴヌクレオチドの効果が判断される。歩行可能な小児男児は、歩行能力が良好である場合も歩行能力が低い場合もある。歩行能力の喪失の維持または低減は、当業者に公知である方法によって評価されてもよい。
実施例3
【0196】
一実施形態では、12~18歳の10名の歩行不能DMD患者は、開始用量3mg/kgで週に1回、4週間、ATL1102を受ける。最初の5名の患者はさらに4週間3mg/kg/週で投薬を続け、残りの5名の患者は4週間4.5mg/kg/週(週2回2.25mg/kg)まで用量を増量させる。8週間の治療後、4週間のモニタリング期間を実施する。治療及びモニタリング期間では、評価はベースライン、2週間、4週間、6週間、8週間、及び10週間及び12週間に行われる。主な活性結果は、4週間及び8週間の治療時対ベースラインでの循環リンパ球、CD4+及びCD8+T細胞、及びhi CD49d T細胞の数、注射部位反応、血小板変化、肝酵素GGT-ビリルビン、CRP、及びアルブミン、A/G比の変化など、安全性を評価することである。副次評価項目の臨床評価は、上肢機能における強度、機能的能力、生活の質、呼吸マーカーの測定値、及び筋線維症、脂肪性炎症-浮腫、萎縮のMRI評価、及び薬物動態である。探索的結果指標としては、筋肉炎症、筋肉線維症、筋肉のアポトーシス/変性、サイトカインを含む筋肉の再生に関連するもの、及びプロテオミクス、及び単核細胞RNAアレイ、エキソソームRNAなどの血清/血漿バイオマーカー応答が挙げられる。
実施例4
阻害性オリゴヌクレオチドの低用量投与
【0197】
一実施形態では、10~18歳、体重25kg~60kgの9名の歩行不能DMD患者が、開始用量25mgで週に1回、24週間、ATL1102を受ける。24週間の治療後、8週間のモニタリング期間を実施する。治療及びモニタリング期間では、評価はベースラインにあり、治療期間中は2週間ごと、治療後のモニタリング期間中は4週間ごとである。主な活性結果は、4週間及び8週間の治療時対ベースラインでの循環リンパ球、CD4+及びCD8+T細胞、及びhi CD49d T細胞の数、注射部位反応、血小板変化、肝酵素GGT-ビリルビン、CRP、及びアルブミン、A/G比の変化など、安全性を評価することである。臨床評価のための副次評価項目は、上肢機能における強度(myosetにより測定)、機能的能力PUL-2(DMD2.0用の上肢性能モジュール(performance of upper limb module for DMD2.0)により測定)、生活の質、及び呼吸マーカー、及び筋線維症、脂肪性炎症-浮腫、及び萎縮のMRI評価、ならびに薬物動態である。探索的結果指標としては、筋肉炎症、筋肉線維症、筋肉のアポトーシス/変性、サイトカインを含む筋肉の再生に関連するもの(筋肉損傷のマーカーのうちの1つ以上であり得る)、及びプロテオミクス、及び単核細胞RNAアレイ、及び潜在的にはエキソソームRNAなどの血清/血漿バイオマーカー応答が挙げられる。
実施例5
結果
【0198】
体重62kgの13歳の歩行不能対象に25mg/週の低用量のATL1102を12週間投与し、コルチコステロイド(CS)デフラザコート(0.48mg/kg/日)を1日1回30mg投与した。ATL1102は、CSを毎日投与する前のベースライン(1週目)時にこの患者で観察された循環CD8+細胞及びCD49dが高発現レベルであるCD8+細胞のマイクロリットルあたりの細胞数を減少させる、生化学探索マーカーによって測定された筋肉損傷のマーカー、myosetによって測定された筋肉強度を減少させるのに効果的であり、重要なことに、PUL-2によって測定されたとおりに機能する。この対象は約2.5年前に歩行を失い、歩行時にDMDを有する対象を治療するために使用されるデフラザコートの標準治療0.90mg/kg/日の用量の約50%を使用していた。標準治療として使用される同等のプレドニゾロン用量は、歩行時のDMDで0.75mg/kg/日である。
免疫細胞
【0199】
免疫細胞に対するATL1102の効果は、ベースライン(1週目)、5週目(ATL1103投与の3日後)、ならびに8週目及び12週目(8週目及び12週目の投与後7日)にフローサイトメトリー及び血液学によって測定した。CD8+細胞に対するATL1102の効果は、多発性硬化症(MS)におけるより高い用量のATL1102での以前の経験と比較して、比較的選択的であった(Limmroth et al 2014)。また、MS試験で以前に測定されたとおり、効果は投与後3日よりも長く、ATL1102投与の7日後に初めて効果が示された。特定の免疫細胞は、この用量では影響を受けることはなく、評価の時点で、ATL1102効果はこうした低用量において比較的特異的であることが示された。例えば、MS研究(Limmroth et al)において、ATL1102の高用量で観察されたとおり、好中球または血小板の有意な減少はなかった。
Myoset-筋肉強度データ
【0200】
この対象1のmyoset予備データは、ベースラインと比較して12週間の投与後、myogripにより測定したときに利き手での強度の喪失があったが、myopinchによって測定したときに親指での強度の喪失はなく、moviplateによって判断されたときに、指の強度の喪失もなく、タップ数は、ベースラインに対して12週間後に同じであったことを示唆している。一方、データは、ベースラインと比較して、12週目で、手または指の強度の低下はなく、親指の強度が数値的に高いことを示している。Ricotti et al(2016)は、CS及びmyosetにより、12週間以上治療された15名の患者(CSにより治療された14名)を調べ、ベースラインと比較して、myogripでは0.22kgの減少、myopinchでは0.1kgの平均傾向の減少、moviplateでの増加を観察した。
PUL-2-機能データ
【0201】
DMD用のPUL-2は、上肢機能の測定に使用される更新版PUL-1である。PUL-2では、最大スコアが12である高レベルの肩機能、最大スコアが17である中間レベルの肘機能、及び最大スコアが13である遠位手首及び手の機能を測定する。エントリースコア3~6は、対象が肩の機能について評価できることを意味する(最大値が6であり、最小値が1である)。対象1のエントリーレベルの機能は5であり、記録された測定値では、12週間以上の投与があり、肩機能の喪失はなく、ベースライン時及び12週においてスコアが8であることを示している。対象1は、スコアが12週目では14であり、ベースラインでは13である中レベルの肘において機能を獲得し、スコアが12週目では12であり、ベースラインでは10である遠位手首及び手で、機能を獲得した。ベースラインと比較して12週間の投与時に、PUL-2スコアは、31に対して34であった。患者のエントリースコアも、記録されたPUL-2の結果と一致して、ベースラインのレベル5からレベル6に上昇した。
【0202】
ATL1102アドオン療法は、myosetによって測定された筋肉強度を維持するのに役立つ可能性があり、この対象の機能を改善しない場合でも、PUL-2によって測定される機能を維持すると考えられる。したがって、ATL1102療法により、疾患の進行が減速され得る。
【0203】
結果から、一般に、CD49d(VLA-4のアルファ鎖)に対するアンチセンスの使用、及び特にDMD患者を治療するためのATL1102の使用、及び単剤療法として、またはCSとの併用により筋ジストロフィー疾患の進行の遅延が検証される。
筋肉損傷の探索的薬力学的結果の測定
【0204】
クレアチンキナーゼ(CK)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、及び乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)は、DMDを有する男児において筋肉損傷の指標であり、主に低レベルのジストロフィンまたはジストロフィンを有さないことに関連し、収縮時に筋肉に損傷を与え、炎症及び筋肉への他の下流の損傷に副次的に関連する。クレアチンキナーゼ(CK)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、及び乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)は、歩行不能患者よりも筋肉量及び炎症が多いDMDを有する若年歩行患者の筋肉損傷の指標である。
【0205】
それにもかかわらず、血液及び血清サンプルを収集して、対象1の筋肉損傷マーカーの変化を調査した。対象1では、CK、ALT、AST、LDHは、ベースライン及び第5週と比較して、第8週及び第12週で減少した。CK、ALT、AST、LDHのそれぞれのベースライン/週5レベル(単位/リットル)は、5860/6881、304/404、非検査/184及び632/681であり、第8/12週のレベル4606/5358、265/250、116/134及び564/498と比較した。LDHレベルは、高いと考えられるレベルから正常範囲内まで低下した。これは、ジストロフィンの喪失または炎症または他の損傷に関連する筋肉損傷の徴候が、この歩行不能な患者で減少したことを示唆している。
【0206】
当業者に公知であるとおり、多くの修正が含まれる。


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