IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ジュノー セラピューティクス インコーポレイテッドの特許一覧

特許7604366遺伝子操作されたT細胞を作製するための方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-13
(45)【発行日】2024-12-23
(54)【発明の名称】遺伝子操作されたT細胞を作製するための方法
(51)【国際特許分類】
   C12N 5/10 20060101AFI20241216BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20241216BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20241216BHJP
   C07K 16/28 20060101ALN20241216BHJP
   C12N 15/31 20060101ALN20241216BHJP
   C07K 14/705 20060101ALN20241216BHJP
   C12N 15/12 20060101ALN20241216BHJP
   C12N 15/867 20060101ALN20241216BHJP
   C12N 15/62 20060101ALN20241216BHJP
【FI】
C12N5/10 ZNA
A61P35/00
C12N15/63 Z
C07K16/28
C12N15/31
C07K14/705
C12N15/12
C12N15/867 Z
C12N15/62 Z
【請求項の数】 24
(21)【出願番号】P 2021524022
(86)(22)【出願日】2019-11-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-07
(86)【国際出願番号】 US2019059946
(87)【国際公開番号】W WO2020097132
(87)【国際公開日】2020-05-14
【審査請求日】2022-11-04
(31)【優先権主張番号】62/756,571
(32)【優先日】2018-11-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/798,457
(32)【優先日】2019-01-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】516316897
【氏名又は名称】ジュノー セラピューティクス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】クーパー サラ
(72)【発明者】
【氏名】コゼット ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ラーソン ライアン
(72)【発明者】
【氏名】テオ ジェフリー
【審査官】田ノ上 拓自
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2006/056061(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/187216(WO,A1)
【文献】NATURE PROTOCOLS,2014年,VOL.9, NO.4,pp.950-966,doi:10.1038/nprot.2014.064
【文献】BLOOD,2011年,Vol.117, No.3,pp.808-814,DOI 10.1182/blood-2010- 05-286286
【文献】BLOOD,Vol.128, No.4,2016年,pp.519-528,DOI 10.1182/blood-2015-11- 683847
【文献】J Transl Med,2016年,Vol.14,214 (pp.1-10),DOI 10.1186/s12967-016-0973-y
【文献】nature medicine,2017年01月,Vol.23, No.1,pp.18-27,doi:10.1038/nm.4241
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 5/0783
C12N 5/10
A61P 35/00
C07K 1/00-19/00
C12N 15/00-15/90
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
T細胞を濃縮するための方法であって、
(a)第1の選択を行う工程であって、第1の選択が、初代ヒトT細胞を含む生体試料からCD57-またはCD3+ T細胞のいずれかを濃縮し、それにより、濃縮されたT細胞集団を生成することを含む、工程と、
(b)濃縮されたT細胞集団からの細胞に第2の選択を行う工程であって、
第1の選択が、CD57- T細胞を濃縮することを含み、第2の選択が、濃縮された集団からCD3+ T細胞を濃縮することを含むか、または
第1の選択が、CD3+ T細胞を濃縮することを含み、第2の選択が、濃縮されたT細胞集団からCD57+ T細胞を除去することを含み、
該方法により、生体試料よりも少ないCD57+ T細胞を含みかつCD3+ T細胞が濃縮された、枯渇された集団が生成される、工程と、
(c)組み換え受容体をコードする異種ポリヌクレオチドを、該枯渇された集団から得られたT細胞の集団に導入し、それにより、T細胞の操作された集団を生成する工程と、
(d)該T細胞の操作された集団の細胞を、T細胞の操作された集団の増殖または拡大増殖を促進する条件下で培養し、それにより、T細胞の拡大増殖された操作された集団を生成する工程と、
を含む方法。
【請求項2】
第1の選択が、CD57- T細胞を濃縮することを含み、第2の選択が、濃縮された集団からCD3+ T細胞を濃縮することを含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
第1の選択が、CD3+ T細胞を濃縮することを含み、第2の選択が、濃縮されたT細胞集団からCD57+ T細胞を除去することを含む、請求項1記載の方法。
【請求項4】
(a)第1の選択を行う工程であって、該第1の選択が、初代ヒトT細胞を含む生体試料からCD57+ T細胞を除去し、それにより、第1の枯渇された集団を生成することを含み、第1の枯渇された集団が、生体試料よりも少ないCD57+ T細胞を含む、工程;
(b)第1の枯渇された集団からの細胞に第2の選択を行う工程であって、該第2の選択が、第1の枯渇された集団から(i)CD4+ T細胞および(ii)CD8+ T細胞の一方を濃縮することを含み、それにより濃縮は、(i)CD4+ T細胞および(ii)CD8+ T細胞の一方が濃縮された第2の枯渇された集団と、選択されなかった集団とを生成する、工程;
(c)第3の選択を行う工程であって、該第3の選択が、選択されなかった集団から(i)CD4+細胞および(ii)CD8+細胞の他方を濃縮することを含み、それにより濃縮は、(i)CD4+ T細胞および(ii)CD8+ T細胞の他方が濃縮された第3の枯渇された集団を生成する、工程;
(d)組み換え受容体をコードする異種ポリヌクレオチドを、該枯渇された集団から得られたT細胞の集団に導入し、それにより、T細胞の操作された集団を生成する工程;ならびに、
(e)該T細胞の操作された集団の細胞を、T細胞の操作された集団の増殖または拡大増殖を促進する条件下で培養し、それにより、T細胞の拡大増殖された操作された集団を生成する工程
を含む、T細胞を濃縮するための方法。
【請求項5】
第1の枯渇された集団、第2の枯渇された集団、または第3の枯渇された集団が、以下:
(i)5%未満のCD57+ T細胞;
(ii)生体試料中に存在するCD57+ T細胞の頻度の35%未満であるCD57+ T細胞の頻度;
(iii)CD4+ T細胞であって、該CD4+ T細胞の少なくとも95%がCD57-である、CD4+ T細胞;および
(iv)CD8+ T細胞であって、該CD8+ T細胞の少なくとも95%がCD57-である、CD8+ T細胞
のうち少なくとも1つを含む、請求項1~4のいずれか一項記載の方法。
【請求項6】
生体試料が、アフェレーシス産物または白血球アフェレーシス産物を含む、請求項1~5のいずれか一項記載の方法。
【請求項7】
枯渇された集団のCD3+ T細胞の少なくとも95%が、CD57-CD3+ T細胞を含む、請求項1~6のいずれか一項記載の方法。
【請求項8】
第1の枯渇された集団、第2の枯渇された集団、または第3の枯渇された集団中のCD57+ T細胞の頻度が、生体試料中のCD57+ T細胞の頻度の35%、30%、20%、10%、5%、1%、もしくは0.1%未満である、
第1の枯渇された集団、第2の枯渇された集団、または第3の枯渇された集団が、3%未満、2%未満、1%未満、0.1%未満、または0.01%未満のCD57+ T細胞を含む、および/または、
第1の枯渇された集団、第2の枯渇された集団、または第3の枯渇された集団が、CD57+ T細胞を含まないかまたは本質的に含まない、
請求項1~7のいずれか一項記載の方法。
【請求項9】
第1の枯渇された集団、第2の枯渇された集団、または第3の枯渇された集団中のナイーブ様T細胞の頻度が、生体試料中のナイーブ様T細胞の頻度よりも少なくとも10%、20%、30%、40%、もしくは50%大きく、
ナイーブ様T細胞が、CD45RA、CD27、CD28、およびCCR7より選択されるマーカーのうち1つまたは複数について表面陽性であり、かつ
第1の枯渇された集団、第2の枯渇された集団、または第3の枯渇された集団中のCD27+ T細胞の頻度が、生体試料中のそれぞれの細胞の頻度よりも少なくとも10%、20%、30%、40%、もしくは50%大きい、
第1の枯渇された集団、第2の枯渇された集団、または第3の枯渇された集団中のCD28+ T細胞の頻度が、生体試料中のそれぞれの細胞の頻度よりも少なくとも10%、20%、30%、40%、もしくは50%大きい、および/または
第1の枯渇された集団、第2の枯渇された集団、または第3の枯渇された集団中のCD27+/CD28+ T細胞の頻度が、生体試料中のそれぞれの細胞の頻度よりも少なくとも10%、20%、30%、40%、もしくは50%大きい、
請求項1~8のいずれか一項記載の方法。
【請求項10】
第2の枯渇された集団と第3の枯渇された集団とを、1:3から3:1の間の比、または1:1の比で組み合わせ、それにより、第2の枯渇された集団および第3の枯渇された集団を含む枯渇された集団を生成する工程
をさらに含む、請求項4~6および8~9のいずれか一項記載の方法。
【請求項11】
少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%、または少なくとも99.9%のCD57-CD4+ T細胞、CD57-CD8+ T細胞、またはCD57-CD3+ T細胞
を含むT細胞組成物を製造する、請求項1~10のいずれか一項記載の方法。
【請求項12】
前記組成物中のCD4+対CD8+ T細胞の比が、3:1~1:3、2:1~1:2、1.5:1~1:1.5、または1.2:1~1:1.2(各々両端の値を含む)である、または
前記組成物中のCD4+対CD8+ T細胞の比が、1:1である、
請求項11記載の方法。
【請求項13】
初代T細胞が、疾患または状態を有する対象に由来し、かつ疾患または状態が、がんである、または
初代T細胞が、健康な対象に由来する、
請求項1~12のいずれか一項記載の方法。
【請求項14】
CD57+ T細胞を除去することが、免疫親和性に基づく選択を含み、
免疫親和性に基づく選択が、CD57に特異的に結合することができる抗体と細胞を接触させ、抗体に結合していない細胞を回収することを含み、それにより、陰性選択がもたらされ、
回収された細胞は、CD57+細胞が枯渇されている、
請求項1~13のいずれか一項記載の方法。
【請求項15】
第1、第2、および/または第3の選択において、細胞を濃縮することが、免疫親和性に基づく選択を含む、請求項1~14のいずれか一項記載の方法。
【請求項16】
CD4またはCD8 T細胞を濃縮する選択が、免疫親和性に基づく選択を含み、かつ、それぞれCD4またはCD8に特異的に結合することができる抗体と細胞を接触させ、抗体に結合した細胞を回収することによって行われ、それにより、陽性選択がもたらされ、回収された細胞は、CD4+細胞またはCD8+細胞が濃縮されている、請求項4記載の方法。
【請求項17】
CD3 T細胞を濃縮する選択が、免疫親和性に基づく選択を含み、かつ、CD3に特異的に結合することができる抗体と細胞を接触させ、抗体に結合した細胞を回収することによって行われ、それにより、陽性選択がもたらされ、回収された細胞は、CD3+細胞が濃縮されている、請求項1記載の方法。
【請求項18】
導入の前に、前記枯渇された集団が刺激条件下でインキュベートされる、請求項1~17のいずれか一項記載の方法。
【請求項19】
導入する工程が、異種ポリヌクレオチドを含むウイルスベクターを用いた形質導入を含み
ウイルスベクターが、ガンマレトロウイルスベクターまたはレンチウイルスベクターである、
請求項1~18のいずれか一項記載の方法。
【請求項20】
培養する工程が、IL-2、IL-7、およびIL-15のうち1つまたは複数を含む、1つまたは複数の組み換えサイトカインの存在下で実施される請求項1~19のいずれか一項記載の方法
【請求項21】
組み換え受容体が、
疾患、障害、または状態の細胞または組織に関連する、それに特異的な、および/またはそこに発現される、標的抗原
に結合することができ、かつ
疾患、障害、または状態が、感染性疾患もしくは障害、自己免疫疾患、炎症性疾患、または腫瘍もしくはがんである、および/または
標的抗原が腫瘍抗原である、
請求項1~20のいずれか一項記載の方法。
【請求項22】
組み換え受容体がキメラ抗原受容体(CAR)である、請求項1~21のいずれか一項記載の方法。
【請求項23】
組み換え受容体が、
抗原結合ドメイン、一本鎖Fv断片(scFv)、スペーサー、および/もしくはヒンジ領域を含む、細胞外ドメイン、
膜貫通ドメイン、ならびに
共刺激シグナル伝達領域を含む細胞内シグナル伝達ドメイン
を含む、請求項22記載の方法。
【請求項24】
細胞内シグナル伝達ドメインが、CD3鎖の細胞内シグナル伝達ドメイン、CD3-ゼータ(CD3ζ)鎖の細胞内シグナル伝達ドメイン、もしくはそれらのシグナル伝達部分であるかもしくはそれを含む、および/または
共刺激シグナル伝達領域が、CD28、4-1BB、もしくはICOSの細胞内シグナル伝達ドメインまたはそれらのシグナル伝達部分を含む、
請求項23記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年11月6日に出願され、「PROCESS FOR PRODUCING GENETICALLY ENGINEERED T CELLS」と題された米国仮出願第62/756,571号;および2019年1月29日に出願され、「PROCESS FOR PRODUCING GENETICALLY ENGINEERED T CELLS」と題された第62/798,457号に対する優先権を主張し、それらの内容は、あらゆる目的のためにその全体が参照により組み入れられる。
【0002】
配列表の参照による組み入れ
本出願は、電子形式の配列表と共に出願されている。配列表は、2019年11月5日に作成された735042017640SeqList.TXTと題されたファイルとして提供され、そのサイズは74キロバイトである。配列表の電子形式の情報は、その全体が参照により組み入れられる。
【0003】
分野
本開示は、いくつかの局面では、CD57陰性T細胞が濃縮されたまたはCD57陽性細胞が枯渇された細胞集団、およびD57陰性T細胞が濃縮されたまたはCD57陽性T細胞が枯渇された細胞集団を刺激、培養、拡大増殖、および/または遺伝子操作するための方法に関する。陰性選択などによって、CD57陰性T細胞を生成、単離、濃縮、もしくは選択するため、またはCD57陽性細胞を枯渇させるための方法も含まれる。
【背景技術】
【0004】
背景
疾患および状態を処置するために様々な細胞療法が利用可能である。キメラ抗原受容体などの組み換え受容体により遺伝子操作された、T細胞などの免疫細胞を伴う方法が、細胞療法に含まれる。しかし場合によっては、既存の方法のうちいくつかは、結果としてインビボで低い一貫性、効力、または残留性を有する集団を生じる場合がある。インビボで高い一貫性、効力、および残留性を有する改善された細胞療法産物を提供することを含む、そのような細胞療法を製造および/または操作するための改良法が必要である。
【発明の概要】
【0005】
概要
第1の選択を行う工程であって、第1の選択が、初代ヒトT細胞を含有する生体試料からCD57+ T細胞を除去し、それにより、枯渇された集団を生成することを含み、枯渇された集団が、生体試料よりも少ないCD57+ T細胞を含有する、工程;および枯渇された集団からの細胞に第2の選択を行う工程であって、第2の選択が、枯渇された集団からCD3+ T細胞を濃縮することを含み、それにより濃縮が、CD57-CD3+ T細胞の濃縮された集団を生成する、工程を含む、T細胞を濃縮するための方法が本明細書に提供される。
【0006】
第1の選択を行う工程であって、第1の選択が、初代ヒトT細胞を含有する生体試料からCD3+ T細胞を濃縮し、それにより、濃縮されたT細胞集団を生成することを含む、工程;および濃縮されたT細胞集団からの細胞に第2の選択を行う工程であって、第2の選択が、濃縮された試料細胞集団からCD57+ T細胞を除去し、それにより、枯渇された集団を生成することを含み、枯渇された集団は、生体試料および/または濃縮されたT細胞集団よりも少ないCD57+ T細胞を含有し、かつCD3+ T細胞が濃縮されている、工程を含む、T細胞を濃縮するための方法もまた、本明細書に提供される。
【0007】
初代ヒトT細胞を含有するアフェレーシス産物または白血球アフェレーシス産物を含有する生体試料からCD57+ T細胞を除去し、それにより、T細胞の枯渇された集団を生成する工程を含む、T細胞を濃縮するための方法もまた、本明細書に提供され、その際、枯渇された集団は、生体試料よりも少ないCD57+ T細胞を含有し、枯渇された集団は、以下のうち少なくとも1つを含有する:(i)5%未満または約5%未満のCD57+ T細胞;(ii)生体試料中に存在するCD57+ T細胞の頻度の35%未満または約35%未満であるCD57+ T細胞の頻度;および(iii)CD3+ T細胞であって、少なくとも95%または少なくとも約95%がCD57-である、CD3+ T細胞。
【0008】
任意のそのような態様のいくつかでは、枯渇された集団は、以下のうち少なくとも1つを含有する:(i)5%未満または約5%未満のCD57+ T細胞;(ii)生体試料中に存在するCD57+ T細胞の頻度の35%未満または約35%未満であるCD57+ T細胞の頻度;(iii)CD4+ T細胞であって、少なくとも95%または少なくとも約95%がCD57-である、CD4+ T細胞;および(iv)CD8+ T細胞であって、少なくとも95%または少なくとも約95%がCD57-である、CD8+ T細胞。任意のそのような態様のいくつかでは、枯渇された集団のCD3+ T細胞の少なくとも95%または少なくとも約95%は、CD57-CD3+ T細胞を含有する。任意のそのような態様のいくつかでは、枯渇された集団は第1の枯渇された集団であり、該方法は、第1の枯渇された集団からCD3+ T細胞を濃縮し、それにより、CD57-CD3+ T細胞の濃縮された集団を生成する工程をさらに含む。
【0009】
任意のそのような態様のいくつかでは、生体試料は、アフェレーシス産物または白血球アフェレーシス産物を含む。
【0010】
第1の選択を行う工程であって、第1の選択が、初代ヒトT細胞を含むアフェレーシス産物または白血球アフェレーシス産物を含有する生体試料からCD57+ T細胞を除去し、それにより、第1の枯渇された集団を生成することを含み、第1の枯渇された集団が、生体試料よりも少ないCD57+ T細胞を含有する、工程;および(b)第1の枯渇された集団からの細胞に第2の選択を行う工程であって、第2の選択が、第1の枯渇された集団からCD3+ T細胞を濃縮することを含み、それにより濃縮が、CD57-CD3+ T細胞の濃縮された集団を生成する、工程を含む、T細胞を濃縮するための方法もまた、本明細書に提供される。
【0011】
(a)第1の選択を行う工程であって、第1の選択が、初代ヒトT細胞を含有するアフェレーシス産物または白血球アフェレーシス産物を含有する生体試料からCD3+ T細胞を濃縮し、それにより、濃縮された生体試料を生成することを含む、工程;および(b)濃縮された生体試料からの細胞に第2の選択を行う工程であって、第2の選択が、濃縮された生体試料からCD57+ T細胞を除去し、それにより、CD57-CD3+ T細胞の濃縮された集団である枯渇された集団を生成することを含む、工程を含む、T細胞を濃縮するための方法もまた、本明細書に提供される。
【0012】
初代ヒトT細胞を含有するアフェレーシス産物または白血球アフェレーシス産物を含有する生体試料からCD57+ T細胞を除去し、それにより、T細胞の枯渇された集団を生成する工程を含む、T細胞を濃縮するための方法もまた、本明細書に提供され、その際、枯渇された集団は、生体試料よりも少ないCD57+ T細胞を含有し、枯渇された集団は、(i)5%未満もしくは約5%未満のCD57+ T細胞;(ii)生体試料中に存在するCD57+ T細胞の頻度の35%未満もしくは約35%未満である、CD57+ T細胞の頻度;(iii)CD4+ T細胞であって、少なくとも95%もしくは少なくとも約95%がCD57-である、CD4+ T細胞;および/または(iv)CD8+ T細胞であって、少なくとも95%もしくは少なくとも約95%がCD57-である、CD8+ T細胞を含有する。
【0013】
任意のそのような態様のいくつかでは、枯渇された集団は、CD57-CD4+ T細胞を含有する。任意のそのような態様のいくつかでは、枯渇された集団は、CD57- CD8+ T細胞を含有する。任意のそのような態様のいくつかでは、枯渇された集団は、CD57-CD4+ T細胞およびCD57-CD8+ T細胞を含有する。
【0014】
任意のそのような態様のいくつかでは、枯渇された集団は、第1の枯渇された集団であり、該方法は、第1の枯渇された集団からCD4+ T細胞を選択し、それにより、CD57-CD4+ T細胞が濃縮された、濃縮された第2の枯渇された集団と、選択されなかった集団とを生成する工程をさらに含む。任意のそのような態様のいくつかでは、該方法は、選択されなかった集団からCD8+ T細胞を選択し、それにより、CD57-CD8+ T細胞の濃縮された集団である第3の枯渇された集団と、第2の選択されなかった集団とを生成する工程をさらに含む。
【0015】
任意のそのような態様のいくつかでは、枯渇された集団は第1の枯渇された集団であり、該方法は、第1の枯渇された集団からCD8+ T細胞を選択し、それにより、CD57-CD8+ T細胞の濃縮された集団である第2の枯渇された集団と、選択されなかった集団とを生成する工程をさらに含む。任意のそのような態様のいくつかでは、該方法は、選択されなかった集団からCD4+ T細胞を選択し、それにより、CD57-CD4+ T細胞の濃縮された集団である第3の枯渇された集団と、第2の選択されなかった集団とを生成する工程をさらに含む。
【0016】
そのような態様のいずれかのいくつかでは、枯渇された集団は、第1の枯渇された集団であり、該方法は、第1の枯渇された集団からCD3+ T細胞を選択し、それにより、CD57-CD3+ T細胞の濃縮された集団である第2の枯渇された集団と、選択されなかった集団とを生成する工程をさらに含む。
【0017】
(a)第1の選択を行う工程であって、第1の選択が、初代ヒトT細胞を含有するアフェレーシス産物もしくは白血球アフェレーシス産物を含有する生体試料からCD57+ T細胞を除去し、それにより、第1の枯渇された集団を生成することを含み、第1の枯渇された集団が、生体試料よりも少ないCD57+ T細胞を含有する、工程;(b)第1の枯渇された集団からの細胞に第2の選択を行う工程であって、第2の選択が、第1の枯渇された集団から(i)CD4+ T細胞および(ii)CD8+ T細胞の一方を濃縮することを含み、それにより濃縮は、(i)CD4+ T細胞および(ii)CD8+ T細胞の一方が濃縮された第2の枯渇された集団と、選択されなかった集団とを生成する、工程;ならびに(c)第3の選択を行う工程であって、第3の選択が、選択されなかった集団から(i)CD4+細胞および(ii)CD8+細胞の他方を濃縮し、それにより濃縮は、(i)CD4+ T細胞および(ii)CD8+ T細胞の他方が濃縮された第3の枯渇された集団を生成することを含む、工程を含む、T細胞を濃縮するための方法もまた提供される。任意のそのような態様のいくつかでは、枯渇された集団(任意で、第1の枯渇された集団、第2の枯渇された集団または第3の枯渇された集団)中のCD57+細胞の頻度は、生体試料中のCD57+ T細胞の頻度の35%、30%、20%、10%、5%、1%、もしくは0.1%未満、または約35%、30%、20%、10%、5%、1%、もしくは0.1%未満である。任意のそのような態様のいくつかでは、枯渇された集団(任意で、第1の枯渇された集団、第2の枯渇された集団または第3の枯渇された集団)中のCD57+ T細胞の頻度は、生体試料中のCD57+ T細胞の頻度の35%、30%、20%、10%、5%、1%、もしくは0.1%未満、または約35%、30%、20%、10%、5%、1%、もしくは0.1%未満である。任意のそのような態様のいくつかでは、枯渇された集団(任意で、第1の枯渇された集団、第2の枯渇された集団もしくは第3の枯渇された集団)は、3%未満もしくは約3%未満、2%未満もしくは約2%未満、1%未満もしくは約1%未満、0.1%未満もしくは約0.1%未満、または0.01%未満もしくは約0.01%未満のCD57+ T細胞を含む。任意のそのような態様のいくつかでは、枯渇された集団(任意で、第1の枯渇された集団、第2の枯渇された集団または第3の枯渇された集団)は、CD57+ T細胞を含まないまたは本質的に含まない。いくつかの態様では、CD57+ T細胞を本質的に含まない枯渇された集団は、約3%未満もしくは約3%、約2%未満もしくは約2%、約1%未満もしくは約1%、約0.1%未満もしくは約0.1%、または約0.01%未満もしくは約0.01%のCD57+ T細胞を含む。
【0018】
そのような態様のいずれかのいくつかでは、枯渇された集団(任意で、第1の枯渇された集団、第2の枯渇された集団または第3の枯渇された集団)のCD4+ T細胞の少なくとも95%または少なくとも約95%は、CD57-CD4+ T細胞を含む。そのような態様のいずれかのいくつかでは、枯渇された集団(任意で、第1の枯渇された集団、第2の枯渇された集団または第3の枯渇された集団)のCD8+ T細胞の少なくとも95%または少なくとも約95%は、CD57-CD8+ T細胞を含む。そのような態様のいずれかのいくつかでは、枯渇された集団(任意で、第1の枯渇された集団、第2の枯渇された集団または第3の枯渇された集団)のCD4+ T細胞の少なくとも95%または少なくとも約95%およびCD8+ T細胞の95%は、それぞれ、CD57-CD4+ T細胞およびCD57-CD8+ T細胞を含む。
【0019】
任意のそのような態様のいくつかでは、枯渇された集団(任意で、第1の枯渇された集団、第2の枯渇された集団または第3の枯渇された集団)中のナイーブ様細胞の頻度は、生体試料中のナイーブ様細胞の頻度またはおよその頻度よりも少なくとも10%、20%、30%、40%、もしくは50%、または少なくとも約10%、20%、30%、40%、もしくは50%大きい。任意のそのような態様のいくつかでは、枯渇された集団(任意で、第1の枯渇された集団、第2の枯渇された集団または第3の枯渇された集団)中のCD25+ T細胞、CD27+ T細胞、CD28+ T細胞、CCR7+ T細胞、またはCD45RA+ T細胞のうち1つまたは複数の頻度は、生体試料中のそれぞれの細胞の頻度またはおよその頻度よりも少なくとも10%、20%、30%、40%、もしくは50%、または少なくとも約10%、20%、30%、40%、もしくは50%大きい。
【0020】
任意のそのような態様のいくつかでは、枯渇された集団(任意で、第1の枯渇された集団、第2の枯渇された集団または第3の枯渇された集団)は、少なくとも15%、20%、25%、30%、35%、もしくは40%、または少なくとも約15%、20%、25%、30%、35%、もしくは40%のCD27+ T細胞を含む。任意のそのような態様のいくつかでは、枯渇された集団(任意で、第1の枯渇された集団、第2の枯渇された集団または第3の枯渇された集団)は、少なくとも10%、15%、20%、25%、25%、30%、35%、もしくは40%、または少なくとも約10%、15%、20%、25%、25%、30%、35%、もしくは40%のCD28+ T細胞を含む。任意のそのような態様のいくつかでは、枯渇された集団(任意で、第1の枯渇された集団、第2の枯渇された集団または第3の枯渇された集団)は、少なくとも10%、15%、20%、25%、25%、30%、35%、もしくは40%、または少なくとも約10%、15%、20%、25%、25%、30%、35%、もしくは40%のCD27+CD28+ T細胞を含む。任意のそのような態様のいくつかでは、枯渇された集団(任意で、第1の枯渇された集団、第2の枯渇された集団または第3の枯渇された集団)は、少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、50%、60%、70%もしくは80%、または少なくとも約10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、50%、60%、70%もしくは80%のCD27+CD28+ T細胞を含む。任意のそのような態様のいくつかでは、枯渇された集団(任意で、第1の枯渇された集団、第2の枯渇された集団または第3の枯渇された集団)は、少なくとも70%もしくは80%、または少なくとも約70%もしくは80%のCD27+CD28+ T細胞を含む。任意のそのような態様のいくつかでは、枯渇された集団(任意で、第1の枯渇された集団、第2の枯渇された集団または第3の枯渇された集団)は、少なくとも10%、15%、20%、もしくは25%または少なくとも約10%、15%、20%、もしくは25%のCCR7+ T細胞を含む。
【0021】
提供される態様のいずれかのいくつかでは、枯渇された集団(任意で、第1の枯渇された集団、第2の枯渇された集団または第3の枯渇された集団)は、T細胞を遺伝子操作するためのプロセスにおけるその後の工程のためのインプット組成物として使用される。いくつかの態様では、インプット組成物は、CD4+細胞が濃縮されたCD57枯渇集団(CD57-CD4+)およびCD8+細胞が濃縮されたCD57枯渇集団(CD57-CD8+)を含む。いくつかの態様では、インプット組成物は、CD4+ T細胞が濃縮されたCD57枯渇集団(CD57-CD4+)およびCD8+ T細胞が濃縮されたCD57枯渇集団(CD57-CD8+)を含む。該方法のいずれかのいくつかの態様では、該方法は、第2の枯渇された集団と第3の枯渇された集団との細胞を組み合わせ、それにより、インプット組成物を生成する工程を含む。提供される態様のいずれかのいくつかでは、該方法は、第2の枯渇された集団と第3の枯渇された集団とを組み合わせる工程をさらに含む。提供される態様のいずれかのいくつかでは、第2の枯渇された集団および第3の枯渇された集団は、1:3または約1:3から、3:1または約3:1の比で組み合わされ、それにより、第2の枯渇された集団および第3の枯渇された集団を含む枯渇された集団を生成する。提供される態様のいずれかのいくつかでは、第2の枯渇された集団および第3の枯渇された集団は、1:1または約1:1の比で組み合わされ、それにより、第2の枯渇された集団および第3の枯渇された集団を含む枯渇された集団を生成する。
【0022】
提供される方法のいずれかのいくつかでは、該方法は、少なくとも90%もしくは少なくとも約90%、少なくとも95%もしくは少なくとも約95%、少なくとも97%もしくは少なくとも約97%、少なくとも99%もしくは少なくとも約99%、または少なくとも99.9%もしくは少なくとも約99.9%のCD57-CD4+ T細胞を含有するT細胞組成物を製造する。提供される方法のいずれかのいくつかでは、該方法は、少なくとも90%もしくは少なくとも約90%、少なくとも95%もしくは少なくとも約95%、少なくとも97%もしくは少なくとも約97%、少なくとも99%もしくは少なくとも約99%、または少なくとも99.9%もしくは少なくとも約99.9%のCD57-CD8+ T細胞を含有するT細胞組成物を製造する。提供される方法のいずれかのいくつかでは、該方法は、少なくとも90%もしくは少なくとも約90%、少なくとも95%もしくは少なくとも約95%、少なくとも97%もしくは少なくとも約97%、少なくとも99%もしくは少なくとも約99%、または少なくとも99.9%もしくは少なくとも約99.9%のCD57-CD3+ T細胞を含有するT細胞組成物を製造する。
【0023】
提供される態様のいずれかのいくつかでは、組成物中のCD4+対CD8+ T細胞比は3:1~1:3(各々両端の値を含む)である。提供される態様のいずれかのいくつかでは、組成物中のCD4+対CD8+ T細胞比は2:1~1:2(各々両端の値を含む)である。提供される態様のいずれかのいくつかでは、組成物中のCD4+対CD8+ T細胞比は1.5:1~1:1.5(各々両端の値を含む)である。提供される態様のいずれかのいくつかでは、組成物中のCD4+対CD8+ T細胞比は、1.2:1~1:1.2(各々両端の値を含む)である。提供される態様のいずれかのいくつかでは、組成物中のCD4+ T細胞対CD8+ T細胞比は、1:1または約1:1のCD4+である。提供される態様のいずれかのいくつかでは、初代T細胞は、ヒト対象に由来する。提供される態様のいずれかのいくつかでは、初代T細胞は、疾患または状態を有する対象に由来する。提供される態様のいずれかのいくつかでは、疾患または状態はがんである。提供される態様のいずれかのいくつかでは、初代T細胞は、健康な対象に由来する。
【0024】
提供される態様のいずれかのいくつかでは、CD57+ T細胞を除去することは、免疫親和性に基づく選択を含む。提供される態様のいずれかのいくつかでは、免疫親和性に基づく選択は、細胞を、CD57に特異的に結合することができる抗体と接触させ、抗体に結合していない細胞を回収し、それにより、陰性選択を引き起こすことを含み、その際、回収された細胞は、CD57+細胞が枯渇されている。提供される態様のいずれかのいくつかでは、細胞を濃縮することは、免疫親和性に基づく選択を含む。提供される態様のいずれかのいくつかでは、第1、第2および/または第3の選択は、CD4またはCD8 T細胞を濃縮し、免疫親和性に基づく選択は、細胞を、それぞれCD4またはCD8に特異的に結合することができる抗体と接触させ、抗体に結合した細胞を回収し、それにより、陽性選択を引き起こすことによって引き起こされ、その際、回収された細胞は、CD4+細胞またはCD8+細胞が濃縮されている。提供される態様のいずれかのいくつかでは、選択は、CD3 T細胞を濃縮し、免疫親和性に基づく選択は、細胞を、CD3に特異的に結合することができる抗体と接触させ、抗体に結合した細胞を回収し、それにより、陽性選択を引き起こすことによって引き起こされ、その際、回収された細胞は、CD3+細胞が濃縮されている。提供される態様のいずれかのいくつかでは、抗体は、固体表面に固定化されている。提供される態様のいずれかのいくつかでは、固体表面は磁性粒子である。提供される態様のいずれかのいくつかでは、抗体は、アフィニティークロマトグラフィーマトリックスに固定化されているまたは付着している。
【0025】
提供される態様のいずれかのいくつかでは、抗体は、マトリックスに固定化された結合試薬と可逆的結合を形成することができる1つまたは複数の結合パートナーをさらに含み、その際、抗体は、接触の間にクロマトグラフィーマトリックスに可逆的に結合されている。提供される態様のいずれかのいくつかでは、結合試薬は、結合パートナーに可逆的に結合するストレプトアビジンムテインである。提供される態様のいずれかのいくつかでは、ストレプトアビジンムテインは、SEQ ID NO:66に示されるアミノ酸配列のストレプトアビジンにおける位置に関して44~47位に対応する配列位置にアミノ酸配列Ile44-Gly45-Ala46-Arg47を含有する;またはストレプトアビジンムテインは、SEQ ID NO:66に示されるアミノ酸配列のストレプトアビジンにおける位置に関して44~47位に対応する配列位置にアミノ酸配列Va144-Thr45-Ala46-Arg47を含有する。提供される態様のいずれかのいくつかでは、結合パートナーはストレプトアビジン結合ペプチドである。提供される態様のいずれかのいくつかでは、ストレプトアビジン結合ペプチドは、
からなる群より選択される。提供される態様のいずれかのいくつかでは、ストレプトアビジン結合ペプチドは、配列
を有する。提供される態様のいずれかのいくつかでは、該方法は、試料中の細胞をアフィニティークロマトグラフィーマトリックスに接触させた後、競合試薬を適用して結合パートナーと結合試薬との間の結合を破壊し、それにより、抗体に結合した細胞を回収する工程をさらに含む。提供される態様のいずれかのいくつかでは、競合試薬は、ビオチンまたはビオチン類似体である。提供される態様のいずれかのいくつかでは、クロマトグラフィーマトリックスは、カラムである分離管に充填されている。提供される態様のいずれかのいくつかでは、初代T細胞を含む生体試料は、凍結保護物質と製剤化された試料である。提供される態様のいずれかのいくつかでは、アフェレーシスまたは白血球アフェレーシス試料は、凍結保護物質と製剤化された試料である。
【0026】
インプット組成物のT細胞を刺激条件下でインキュベートし、それにより、T細胞の刺激された集団を生成する工程を含む、T細胞を刺激するための方法もまた提供され、その際、インプット組成物は、本明細書に記載される任意の方法によって生成される枯渇された集団(任意で、第1の枯渇された集団、第2の枯渇された集団または第3の枯渇された集団)を含有する。
【0027】
インプット組成物のT細胞を刺激条件下でインキュベートする工程を含む、T細胞を刺激するための方法もまた提供され、その際、インプット組成物中のCD57+ T細胞のパーセンテージは、CD57+ T細胞の閾値パーセンテージ未満であり、該閾値は、30%以下または約30%以下のCD57+ T細胞である。任意のそのような態様のいくつかでは、閾値パーセンテージは、25%、20%、15%、10%、5%、もしくは1%以下、または約25%、20%、15%、10%、5%、もしくは1%以下のCD57+ T細胞である。
【0028】
任意のそのような態様のいくつかでは、インプット組成物は:(i)5%未満または約5%未満のCD57+ T細胞;(ii)少なくとも95%または少なくとも約95%のCD57- T細胞;(iii)少なくとも90%または少なくとも約90%のCD57-CD4+ T細胞;(iv)少なくとも90%または少なくとも約90%のCD57-CD8+ T細胞;および(v)少なくとも90%または少なくとも約90%のCD57-CD3+細胞を含有する。
【0029】
インプット組成物のT細胞を刺激条件下でインキュベートし、それにより、T細胞の刺激された集団を生成する工程を含む、T細胞を刺激するための方法もまた本明細書に提供され、その際、インプット組成物は、以下:(i)5%未満または約5%未満のCD57+ T細胞;(ii)少なくとも95%または少なくとも約95%のCD57- T細胞;(iii)少なくとも90%または少なくとも約90%のCD57-CD4+ T細胞;(iv)少なくとも90%または少なくとも約90%のCD57-CD8+ T細胞;および(v)少なくとも約90%または約90%のCD57-CD3+ T細胞のうち少なくとも1つを含有する。
【0030】
任意のそのような態様のいくつかでは、インプット組成物は、初代ヒトT細胞を含有するアフェレーシス産物または白血球アフェレーシス産物を含有する生体試料から得られた細胞を含む。
【0031】
任意のそのような態様のいくつかでは、該方法は、生体試料からCD57+ T細胞を除去し、それにより、T細胞の枯渇された集団を含有するインプット組成物を生成する工程をさらに含む。
【0032】
(a)第1の選択を行う工程であって、第1の選択が、初代ヒトT細胞を含有する生体試料からCD57+ T細胞を除去し、それにより、第1の枯渇された集団を生成することを含み、第1の枯渇された集団が、生体試料よりも少ないCD57+ T細胞を含有する、工程;(b)第1の枯渇された集団からの細胞に第2の選択を行う工程であって、第2の選択が、第1の枯渇された集団から(i)CD4+ T細胞および(ii)CD8+ T細胞の一方を濃縮することを含み、それにより濃縮は、(i)CD57-CD4+ T細胞および(ii)CD57-CD8+ T細胞の一方が濃縮された第2の枯渇された集団と、選択されなかった集団とを生成する、工程;(c)選択されなかった集団からの細胞に第3の選択を行う工程であって、第3の選択が、選択されなかった集団から(i)CD4+細胞および(ii)CD8+細胞の他方を濃縮することを含み、それにより濃縮は、(i)CD57-CD4+ T細胞および(ii)CD57-CD8+ T細胞の他方が濃縮された第3の枯渇された集団を生成する、工程;ならびに(d)刺激条件下で1つまたは複数のインプット組成物をインキュベートする工程であって、1つまたは複数のインプット組成物が、第2の枯渇された集団または第3の枯渇された集団からのT細胞を含む、工程を含む、T細胞を刺激するための方法もまた提供される。
【0033】
任意のそのような態様のいくつかでは、工程(d)は、第2および第3の枯渇された集団からのCD4+ T細胞およびCD8+ T細胞を含むインプット組成物をインキュベートすることを含む。任意のそのような態様のいくつかでは、工程(d)は、第1のインプット組成物および第2のインプット組成物を別々にインキュベートすることを含み、第1のインプット組成物は、第2の枯渇された集団からのT細胞を含有し、第2のインプット組成物は、第3の枯渇された集団からのT細胞を含有する。
【0034】
任意のそのような態様のいくつかでは、第2の選択は、(i)CD4+ T細胞を濃縮し、それにより、(i)CD57-CD4+ T細胞が濃縮された第1の濃縮された集団を生成することを含み、第1のインプット組成物は、濃縮されたCD57-CD4+ T細胞を含有し;第3の選択は、(ii)CD8+ T細胞を濃縮し、それにより、(ii)CD57-CD8+ T細胞が濃縮された第2の濃縮された集団を生成することを含み、第2のインプット組成物は、濃縮されたCD57-CD8+ T細胞を含有する。任意のそのような態様のいくつかでは、第2の選択は、(ii)CD8+ T細胞を濃縮し、それにより、(ii)CD57-CD8+ T細胞が濃縮された第1の濃縮された集団を生成することを含み、第1のインプット組成物は、濃縮されたCD57-CD8+ T細胞を含有し;第3の選択は、(i)CD4+ T細胞を濃縮し、それにより、(i)CD57-CD4+ T細胞が濃縮された第2の濃縮された集団を生成することを含み、第2のインプット組成物は、濃縮されたCD57-CD4+ T細胞を含有する。(a)第1の選択を行う工程であって、第1の選択が、初代ヒトT細胞を含有する生体試料からCD57+ T細胞を除去し、それにより、第1の枯渇された集団を生成することを含み、該枯渇された集団が、生体試料よりも少ないCD57+ T細胞を含有する、工程;(b)第1の枯渇された集団からの細胞に第2の選択を行う工程であって、第2の選択が、第1の枯渇された集団からCD3+ T細胞を濃縮することを含み、それにより濃縮は、CD3+ T細胞が濃縮された第2の枯渇された集団を生成する、工程;および(c)刺激条件下で1つまたは複数のインプット組成物をインキュベートする工程であって、1つまたは複数のインプット組成物が、第2の枯渇された集団からのT細胞を含有する、工程を含む、T細胞を刺激するための方法もまた、本明細書に提供される。
【0035】
(a)生体試料からの細胞に第1の選択を行う工程であって、第1の選択が、生体試料からCD3+ T細胞を濃縮することを含み、それにより濃縮は、CD3+ T細胞が濃縮された、濃縮された生体試料を生成する、工程;(b)第2の選択を行う工程であって、第2の選択が、初代ヒトT細胞を含有する濃縮された生体試料からCD57+ T細胞を除去し、それにより、枯渇された集団を生成することを含み、枯渇された集団が、濃縮された生体試料よりも少ないCD57+細胞を含有する、工程;および(c)刺激条件下で1つまたは複数のインプット組成物をインキュベートする工程であって、1つまたは複数のインプット組成物が、枯渇された集団からのT細胞を含有する、工程を含む、T細胞を刺激するための方法もまた、本明細書に提供される。
【0036】
任意のそのような態様のいくつかでは、インプット組成物は、5%未満または約5%未満のCD57+ T細胞を含む。任意のそのような態様のいくつかでは、インプット組成物は、3%未満もしくは約3%未満、2%未満もしくは約2%未満、1%未満もしくは約1%未満、0.1%未満もしくは約0.1%未満、または0.01%未満もしくは約0.01%未満のCD57+ T細胞を含有する。任意のそのような態様のいくつかでは、インプット組成物中のCD57+細胞の頻度は、生体試料中に存在するCD57+ T細胞の頻度の35%、30%、25%、20%、10%、5%、1%、もしくは0.1%未満または約35%、30%、25%、20%、10%、5%、1%、もしくは0.1%未満である。任意のそのような態様のいくつかでは、インプット組成物中のCD57+ T細胞の頻度は、生体試料中に存在するCD57+ T細胞の頻度の35%、30%、25%、20%、10%、5%、1%、もしくは0.1%未満または約35%、30%、25%、20%、10%、5%、1%、もしくは0.1%未満である。任意のそのような態様のいくつかでは、インプット組成物は、CD57+ T細胞を含まないまたは本質的に含まない。いくつかの態様では、CD57+ T細胞を本質的に含まない枯渇された集団は、約3%未満もしくは約3%、約2%未満もしくは約2%、約1%未満もしくは約1%、約0.1%未満もしくは約0.1%、または約0.01%未満もしくは約0.01%のCD57+ T細胞を含む。
【0037】
任意のそのような態様のいくつかでは、インプット組成物は、少なくとも95%または少なくとも約95%のCD57- T細胞を含有する。任意のそのような態様のいくつかでは、インプット組成物は、少なくとも90%もしくは少なくとも約90%、少なくとも95%もしくは少なくとも約95%、少なくとも97%もしくは少なくとも約97%、少なくとも99%もしくは少なくとも約99%、または少なくとも99.9%もしくは約99.9%のCD57-CD4+ T細胞を含有する。任意のそのような態様のいくつかでは、インプット組成物は、少なくとも90%もしくは少なくとも約90%、少なくとも95%もしくは少なくとも約95%、少なくとも97%もしくは少なくとも約97%、少なくとも99%もしくは少なくとも約99%、または少なくとも99.9%もしくは約99.9%のCD57-CD8+ T細胞を含有する。任意のそのような態様のいくつかでは、CD57- T細胞は、CD57-CD4+ T細胞およびCD57-CD8+ T細胞を含む。任意のそのような態様のいくつかでは、インプット組成物は、3:1~1:3、2:1~1:2、1.5:1~1:1.5、または1.2:1~1:1.2のCD4+ T細胞対CD8+ T細胞比(両端の値を含む)を含有する。任意のそのような態様のいくつかでは、インプット組成物は、1:1または約1:1の比のCD4+ T細胞対CD8+ T細胞を含有する。
【0038】
任意のそのような態様のいくつかでは、インプット組成物中のナイーブ様細胞の頻度は、生体試料中のナイーブ様細胞の頻度またはおよその頻度よりも少なくとも10%、20%、30%、40%、もしくは50%、または少なくとも約10%、20%、30%、40%、もしくは50%大きい。任意のそのような態様のいくつかでは、インプット組成物中のCD25+ T細胞、CD27+ T細胞、CD28+ T細胞、CCR7+ T細胞、またはCD45RA+ T細胞のうち1つまたは複数の頻度は、生体試料中のそれぞれの細胞の頻度またはおよその頻度よりも少なくとも10%、20%、30%、40%、もしくは50%、または少なくとも約10%、20%、30%、40%、もしくは50%大きい。
【0039】
任意のそのような態様のいくつかでは、インプット組成物は、少なくとも15%、20%、25%、30%、35%、もしくは40%、または少なくとも約15%、20%、25%、30%、35%、もしくは40%のCD27+ T細胞を含有する。任意のそのような態様のいくつかでは、インプット組成物は、少なくとも10%、15%、20%、25%、25%、30%、35%、もしくは40%、または少なくとも約10%、15%、20%、25%、25%、30%、35%、もしくは40%のCD28+ T細胞を含有する。任意のそのような態様のいくつかでは、インプット組成物は、少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、50%、60%、70%もしくは80%、または少なくとも約10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、50%、60%、70%もしくは80%のCD27+CD28+ T細胞を含有する。任意のそのような態様のいくつかでは、インプット組成物は、少なくとも70%もしくは80%、または少なくとも約70%もしくは80%のCD27+CD28+ T細胞を含有する。任意のそのような態様のいくつかでは、インプット組成物は、少なくとも10%、15%、20%、もしくは25%、または少なくとも約10%、15%、20%、もしくは25%のCCR7+ T細胞を含有する。
【0040】
任意のそのような態様のいくつかでは、第1および/または第2の選択において生体試料からCD57+ T細胞を除去することおよび/または細胞を濃縮することは、免疫親和性に基づく選択を含む。任意のそのような態様のいくつかでは、免疫親和性に基づく選択は、細胞を、CD57、CD4またはCD8に特異的に結合することができる抗体と接触させ、抗体に結合していない細胞を回収し、それにより、陰性選択を引き起こすこと、または抗体に結合した細胞を回収し、それにより、陽性選択を引き起こすことによって引き起こされ、その際、回収された細胞は、CD57+細胞が枯渇され、かつ/またはCD4+細胞もしくはCD8+細胞が濃縮され、抗体は、磁性粒子に固定化されている。任意のそのような態様のいくつかでは、免疫親和性に基づく選択は、細胞を、アフィニティークロマトグラフィーマトリックスに固定化されているまたは付着している抗体と接触させることによって引き起こされ、該抗体は、CD57、CD4またはCD8に特異的に結合することができ、CD57+細胞の陰性選択またはCD4+もしくはCD8+細胞の陽性選択を引き起こす。任意のそのような態様のいくつかでは、免疫親和性に基づく選択は、細胞を、CD57、CD4またはCD8に特異的に結合することができる抗体と接触させ、抗体に結合していない細胞を回収し、それにより、陰性選択を引き起こすこと、または抗体に結合した細胞を回収し、それにより、陽性選択を引き起こすことによって引き起こされ、その際、回収された細胞は、CD57+ T細胞が枯渇され、かつ/またはCD4+ T細胞もしくはCD8+ T細胞が濃縮され、抗体は、磁性粒子に固定化されている。任意のそのような態様のいくつかでは、免疫親和性に基づく選択は、細胞を、アフィニティークロマトグラフィーマトリックスに固定化されているまたは付着している抗体と接触させることによって引き起こされ、該抗体は、CD57、CD4またはCD8に特異的に結合して、CD57+ T細胞の陰性選択またはCD4+もしくはCD8+ T細胞の陽性選択を引き起こすことができる。
【0041】
任意のそのような態様のいくつかでは、刺激条件は、刺激試薬の存在を含み、刺激試薬は、TCR複合体の1つまたは複数の成分の1つまたは複数の細胞内シグナル伝達ドメインおよび1つまたは複数の共刺激分子の1つまたは複数の細胞内シグナル伝達ドメインを活性化することができる。任意のそのような態様のいくつかでは、刺激試薬は、(i)TCR複合体のメンバーに特異的に結合する、任意で、CD3に特異的に結合する一次作用物質および(ii)T細胞共刺激分子に特異的に結合する二次作用物質を含有し、任意で、共刺激分子は、CD28、CD137(4-1-BB)、OX40、またはICOSより選択される。
【0042】
任意のそのような態様のいくつかでは、一次作用物質および二次作用物質の一方または両方は、抗体またはその抗原結合断片を含む。任意のそのような態様のいくつかでは、一次作用物質および二次作用物質は抗体を含み、任意で、刺激試薬は、抗CD3抗体および抗CD28抗体、またはそれらの抗原結合断片とのインキュベーションを含む。任意のそのような態様のいくつかでは、一次作用物質はm抗CD3抗体またはその抗原結合断片であり、二次作用物質はm抗CD28抗体またはその抗原結合断片である。任意のそのような態様のいくつかでは、抗原結合断片は、Fab断片、Fv断片、および一本鎖Fv断片(scFv)からなる群より選択される一価抗体断片である。任意のそのような態様のいくつかでは、一次作用物質は抗CD3 Fabであり、二次作用物質は、抗CD28 Fabを含む。任意のそのような態様のいくつかでは、一次作用物質および二次作用物質は、固体支持体の表面に存在するまたは付着している。任意のそのような態様のいくつかでは、固体支持体は、ビーズ、任意で、常磁性ビーズであるまたはそれを含む。任意のそのような態様のいくつかでは、固体支持体は、表面に付着した抗CD3および抗CD28抗体を有する常磁性ビーズであり、刺激試薬は、約3:1未満または約3:1のビーズ対細胞比で存在する。
【0043】
任意のそのような態様のいくつかでは、刺激条件は、表面に付着した抗CD3および抗CD28抗体を有する常磁性ビーズを含有する刺激試薬の存在を含み、刺激試薬は、3:1未満または約3:1未満のビーズ対細胞比で存在する。任意のそのような態様のいくつかでは、刺激試薬は、1:1または約1:1のビーズ対細胞比で存在する。
【0044】
任意のそのような態様のいくつかでは、該方法は、細胞から刺激試薬を分離する工程をさらに含み、分離する工程は、細胞を磁場に曝露することを含む。
【0045】
任意のそのような態様のいくつかでは、一次作用物質および二次作用物質は、複数のストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン分子を含むオリゴマー粒子試薬の表面に可逆的に結合されている。任意のそのような態様のいくつかでは、ストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン分子は、ビオチン、アビジン、ビオチン類似体もしくはムテイン、アビジン類似体もしくはムテイン、および/またはそれらの生物学的に活性な断片に結合するまたは結合することができる。任意のそのような態様のいくつかでは、ストレプトアビジンムテイン分子は、SEQ ID NO:66に示されるアミノ酸配列のストレプトアビジンにおける位置に関して44~47位に対応する配列位置にアミノ酸配列Val44-Thr45-Ala46-Arg47またはIle44-Gly45-Ala46-Arg47を含む。任意のそのような態様のいくつかでは、ストレプトアビジンムテイン分子は:a)SEQ ID NO:66~68、73、80~82、もしくは85~88のいずれかに示されるアミノ酸配列;b)SEQ ID NO:70~73、78、および85~89のいずれかと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくはそれ以上、または少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくはそれ以上の配列同一性を示し、かつVal44-Thr45-Ala46-Arg47もしくはIle44-Gly45-Ala46-Arg47に対応するアミノ酸配列を含有し、かつ/またはビオチン、ビオチン類似体もしくはストレプトアビジン結合ペプチドに可逆的に結合する、アミノ酸配列;あるいはc)ビオチン、ビオチン類似体、またはストレプトアビジン結合ペプチドに可逆的に結合する、a)またはb)の機能的断片を含有する。
【0046】
任意のそのような態様のいくつかでは、ストレプトアビジンムテイン分子は、SEQ ID NO:73または78に示されるアミノ酸配列を含有する。任意のそのような態様のいくつかでは、ストレプトアビジンムテイン分子は、SEQ ID NO:73に示されるアミノ酸配列を含有する。任意のそのような態様のいくつかでは、ストレプトアビジンムテイン分子は、SEQ ID NO:78に示されるアミノ酸配列を含有する。任意のそのような態様のいくつかでは、一次作用物質および二次作用物質は、各々ストレプトアビジン結合ペプチドを含有する。任意のそのような態様のいくつかでは、ストレプトアビジン結合ペプチドは、
からなる群より選択される。任意のそのような態様のいくつかでは、ストレプトアビジン結合ペプチドは、
からなる群より選択される。任意のそのような態様のいくつかでは、一次作用物質は、抗CD3 Fabを含み、その際、二次作用物質は、抗CD28 Fabを含有する。
【0047】
任意のそのような態様のいくつかでは、オリゴマー粒子試薬は、60nm超もしくは約60nm超、70nm超もしくは約70nm超、80nm超もしくは約80nm超、または90nm超もしくは約90nm超の半径を含有する。任意のそのような態様のいくつかでは、オリゴマー粒子試薬は、少なくとも5×107g/molもしくは少なくとも約5×107g/mol、または少なくとも1×108g/molもしくは少なくとも約1×108g/mol;および/または5×107g/mol~5×108g/mol、1×108g/mol~5×108g/mol、または1×108g/mol~2×108g/molの分子量を含有する。任意のそのような態様のいくつかでは、オリゴマー粒子試薬は、少なくとも500個もしくは少なくとも約500個のストレプトアビジンもしくはストレプトアビジンムテイン四量体、少なくとも1,000個もしくは少なくとも約1,000個のストレプトアビジンもしくはストレプトアビジンムテイン四量体、少なくとも1,500個もしくは少なくとも約1,500個のストレプトアビジンもしくはストレプトアビジンムテイン四量体、または少なくとも2,000個もしくは少なくとも約2,000個のストレプトアビジンもしくはストレプトアビジンムテイン四量体;および/または1,000~20,000個のストレプトアビジンもしくはストレプトアビジンムテイン四量体、1,000~10,000個のストレプトアビジンもしくはストレプトアビジンムテイン四量体、または2,000~5,000個のストレプトアビジンもしくはストレプトアビジンムテイン四量体を含有する。
【0048】
任意のそのような態様のいくつかでは、該方法は、細胞から刺激試薬を分離する工程をさらに含み、分離する工程は、物質を細胞に接触させることを含み、該物質は、一次および二次作用物質とオリゴマー粒子試薬との間の結合を解消する(reverse)ことができる。
【0049】
任意のそのような態様のいくつかでは、物質は、遊離結合パートナーであり、かつ/または競合作用物質である。任意のそのような態様のいくつかでは、物質の存在は、T細胞において一次および二次作用物質によって誘導またはモジュレートされるシグナルを終止または減少させる。任意のそのような態様のいくつかでは、該物質は、ストレプトアビジン結合ペプチド、ビオチンもしくは生物学的に活性な断片、またはビオチン類似体もしくは生物学的に活性な断片であるまたはそれを含む。任意のそのような態様のいくつかでは、該物質は、ビオチン類似体であるまたはそれを含む。任意のそのような態様のいくつかでは、該物質は、ストレプトアビジン結合ペプチドであるまたはそれを含み、ストレプトアビジン結合ペプチドは、
からなる群より選択される。任意のそのような態様のいくつかでは、該物質は、ビオチンもしくは生物学的に活性な断片、またはビオチン類似体もしくは生物学的に活性な断片であるまたはそれを含む。
【0050】
任意のそのような態様のいくつかでは、刺激条件は、1つまたは複数の組み換えサイトカインの存在を含む。任意のそのような態様のいくつかでは、刺激条件は、組み換えIL-2、IL-7、およびIL-15のうち1つまたは複数の存在を含む。
【0051】
任意のそのような態様のいくつかでは、該方法は、組み換え受容体をコードする異種ポリヌクレオチドを、枯渇された集団またはインプット組成物、または刺激された集団から得られたT細胞集団に導入し、それにより、T細胞の操作された集団を生成する工程をさらに含む。
【0052】
インプット組成物中のCD57+ T細胞のパーセンテージが、CD57+ T細胞の閾値パーセンテージ未満であり、その際、閾値が30%以下または約30%以下である場合、組み換え受容体をコードする異種ポリヌクレオチドを、インプット組成物のT細胞を刺激条件下でインキュベートすることによって生成されるT細胞の刺激された集団に導入する工程を含む、T細胞を遺伝子操作するための方法もまた提供される。任意のそのような態様のいくつかでは、閾値は、25%、20%、15%、10%、5%、もしくは1%以下または約25%、20%、15%、10%、5%、もしくは1%以下である。
【0053】
組み換え受容体をコードする異種ポリヌクレオチドを、本明細書における方法のいずれかに記載の方法によって製造されたT細胞組成物からのT細胞の集団に導入し、それにより、T細胞の操作された集団を生成する工程を含む、T細胞を遺伝子操作するための方法もまた提供される。組み換え受容体をコードする異種ポリヌクレオチドを、本明細書に提供される刺激されたT細胞集団のいずれかからのT細胞の集団に導入し、それにより、T細胞の操作された集団を生成する工程を含む、T細胞を遺伝子操作するための方法もまた提供される。
【0054】
組み換え受容体をコードする異種ポリヌクレオチドをインプット組成物からのT細胞に導入する工程を含む、T細胞を遺伝子操作するための方法もまた提供され、インプット組成物は:(i)5%未満もしくは約5%未満のCD57+ T細胞;(ii)少なくとも95%もしくは少なくとも約95%のCD57- T細胞;(iii)少なくとも90%もしくは少なくとも約90%のCD57-CD4+ T細胞;または(iv)少なくとも90%もしくは少なくとも約90%のCD57-CD8+ T細胞のうち1つまたは複数を含有する。
【0055】
(a)第1の選択を行う工程であって、第1の選択が、初代ヒトT細胞を含有する生体試料からCD57+ T細胞を除去し、それにより、枯渇された集団を生成することを含み、枯渇された集団が、生体試料よりも少ないCD57+ T細胞を含有する、工程;(b)枯渇された集団からの細胞に第2の選択を行う工程であって、第2の選択が、初代ヒトT細胞を含有する生体試料から(i)CD4+ T細胞および(ii)CD8+ T細胞の一方を濃縮することを含み、それにより濃縮は、(i)CD57-CD4+ T細胞および(ii)CD57-CD8+ T細胞の一方が濃縮された第1の濃縮された集団と、選択されなかった集団とを生成する、工程;ならびに(c)選択されなかった集団からの細胞に第3の選択を行う工程であって、第3の選択が、選択されなかった集団から(i)CD4+細胞および(ii)CD8+細胞の他方を濃縮することを含み、それにより濃縮は、(i)CD57-CD4+ T細胞および(ii)CD57-CD8+ T細胞の他方が濃縮された第2の濃縮された集団を生成する、工程;(d)組み換え受容体をコードする異種ポリヌクレオチドを、第1および第2の濃縮された集団の一方または両方からのT細胞に導入し、それにより、T細胞の第1および第2の操作された集団を生成する、工程を含む、T細胞を遺伝子操作するための方法もまた、提供される。
【0056】
第1の選択を行う工程であって、第1の選択が、初代ヒトT細胞を含有する生体試料からCD57+ T細胞を除去し、それにより、枯渇された集団を生成することを含み、枯渇された集団が、生体試料よりも少ないCD57+ T細胞を含有する、工程;枯渇された集団からの細胞に第2の選択を行う工程であって、第2の選択が、初代ヒトT細胞を含有する生体試料からCD3+ T細胞を濃縮することを含み、それにより濃縮は、CD57-CD3+ T細胞が濃縮された第1の濃縮された集団を生成する、工程;および組み換え受容体をコードする異種ポリヌクレオチドを、第1の濃縮された集団からのT細胞に導入する工程であって、それにより、T細胞の第1の操作された集団を生成する、導入する工程を含む、T細胞を遺伝子操作するための方法もまた提供される。任意のそのような態様のいくつかでは、導入する工程の前に、第1の濃縮された集団は、刺激条件下でインキュベートされる。
【0057】
第1の選択を行う工程であって、第1の選択が、初代ヒトT細胞を含有する生体試料からCD3+ T細胞を濃縮することを含み、それにより濃縮は、CD3+ T細胞が濃縮された、濃縮された生体試料を生成する、工程;濃縮された生体試料からの細胞に第2の選択を行う工程であって、第2の選択が、初代ヒトT細胞を含有する濃縮された生体試料からCD57+ T細胞を除去し、それにより、枯渇された集団を生成することを含み、枯渇された集団が、濃縮された生体試料よりも少ないCD57+ T細胞を含有する、工程;および組み換え受容体をコードする異種ポリヌクレオチドを、枯渇された集団からのT細胞に導入し、それにより、T細胞の第1の操作された集団を生成する工程を含む、T細胞を遺伝子操作するための方法もまた、本明細書に提供される。そのような態様のいずれかのいくつかでは、枯渇された集団は、導入する工程の前に刺激条件下でインキュベートされる。
【0058】
任意のそのような態様のいくつかでは、インプット組成物または濃縮された集団は、導入する工程の前に刺激条件下でインキュベートされる。
【0059】
任意のそのような態様のいくつかでは、工程(d)は、第1および第2の濃縮された集団からのCD4+ T細胞およびCD8+ T細胞を含有する細胞の集団に異種ポリヌクレオチドを導入することを含む。任意のそのような態様のいくつかでは、工程(d)は、第1の濃縮された集団の細胞および第2の濃縮された集団の細胞に異種ポリヌクレオチドを別々に導入することを含む。
【0060】
任意のそのような態様のいくつかでは、第2の選択は、(i)CD4+ T細胞を濃縮し、それにより、(i)CD57-CD4+ T細胞が濃縮された第1の濃縮された集団を生成することを含み、第1の操作された集団は、CD57-CD4+ T細胞を含み;第3の選択は、(ii)CD8+ T細胞を濃縮し、それにより、(ii)CD57-CD8+ T細胞が濃縮された第2の濃縮された集団を生成することを含み、第2の操作された集団は、CD57-CD8+ T細胞を含む。任意のそのような態様のいくつかでは、第2の選択は、(ii)CD8+ T細胞を濃縮し、それにより、(ii)CD57-CD8+ T細胞が濃縮された第1の濃縮された集団を生成することを含み、第1の操作された集団は、CD57-CD8+ T細胞を含み;第3の選択は、(i)CD4+ T細胞を濃縮し、それにより、(i)CD57-CD4+ T細胞が濃縮された第2の操作された集団を生成することを含み、第2のインプット集団は、CD57-CD4+ T細胞を含む。
【0061】
任意のそのような態様のいくつかでは、第1および第2の濃縮された集団の一方または両方の細胞は、導入する工程の前に刺激条件下でインキュベートされる。任意のそのような態様のいくつかでは、導入する工程は、異種ポリヌクレオチドを含むウイルスベクターを用いた形質導入を含む。任意のそのような態様のいくつかでは、ウイルスベクターは、ガンマレトロウイルスベクターまたはレンチウイルスベクターである。任意のそのような態様のいくつかでは、ウイルスベクターはレンチウイルスベクターである。
【0062】
任意のそのような態様のいくつかでは、該方法は、導入する工程の後に、形質導入細胞を含有する組成物を最大96時間インキュベートする工程をさらに含む。任意のそのような態様のいくつかでは、インキュベートする工程は、37°±2℃または約37°±2℃の温度である。任意のそのような態様のいくつかでは、インキュベートする工程は、導入する工程の後に最大72時間実施される。任意のそのような態様のいくつかでは、インキュベートする工程は、導入する工程の後に最大48時間実施される。任意のそのような態様のいくつかでは、インキュベートする工程は、導入する工程の後に最大24時間実施される。任意のそのような態様のいくつかでは、インキュベートする工程は、結果としてT細胞のゲノムへのウイルスベクターの組み込みを生じる。
【0063】
任意のそのような態様のいくつかでは、該方法は、形質導入された集団の細胞を、操作された細胞の増殖または拡大増殖を促進する条件下で培養し、それにより、細胞の拡大増殖された集団を生成する工程をさらに含む。任意のそのような態様のいくつかでは、培養することは、1つまたは複数の組み換えサイトカインの存在下で実施される。いくつかの態様では、1つまたは複数の組み換えサイトカインは、IL-2、IL-7、およびIL-15のうち1つまたは複数である。任意のそのような態様のいくつかでは、増殖または拡大増殖は、結果として異種ポリヌクレオチドを含む生存T細胞数に2倍、3倍、4倍、5倍、または約2倍、3倍、4倍、5倍、または少なくとも2倍、3倍、4倍、5倍、または少なくとも約2倍、3倍、4倍、5倍、または5倍を超えるもしくは約5倍を超える増加を生じる。
【0064】
本明細書に記載される任意の方法によって生成される細胞の集団を採取または収集する工程を含む、細胞を採取または収集する方法もまた提供される。
【0065】
(a)本明細書に記載される任意の方法によって生成される枯渇された集団からのT細胞を刺激条件下でインキュベートする工程であって、刺激条件が、TCR複合体の1つまたは複数の成分の1つまたは複数の細胞内シグナル伝達ドメインおよび1つまたは複数の共刺激分子の1つまたは複数の細胞内シグナル伝達ドメインを活性化し、それにより、刺激されたT細胞を生成することができる刺激試薬の存在を含む、工程;ならびに(b)刺激されたT細胞に異種ポリヌクレオチドを導入する工程であって、刺激されたT細胞に、組み換え受容体をコードする異種ポリヌクレオチドを含むウイルスベクターを形質導入し、それにより、T細胞の操作された集団を生成することを含む、導入する工程を含む、T細胞を遺伝子操作するための方法もまた提供される。
【0066】
(a)第1の選択を行う工程であって、第1の選択が、初代ヒトT細胞を含む生体試料からCD57+ T細胞を除去し、それにより、枯渇された集団を生成することを含み、枯渇された集団が、生体試料よりも少ないCD57+ T細胞を含有する、工程;(b)枯渇された集団からの細胞に第2の選択を行う工程であって、第2の選択が、初代ヒトT細胞を含有する生体試料から(i)CD4+ T細胞および(ii)CD8+ T細胞の一方を濃縮することを含み、それにより濃縮は、(i)CD57-CD4+ T細胞および(ii)CD57-CD8+ T細胞の一方が濃縮された第1の濃縮された集団と、選択されなかった集団とを生成する、工程;ならびに(c)選択されなかった集団からの細胞に第3の選択を行う工程であって、第3の選択が、選択されなかった集団から(i)CD4+細胞および(ii)CD8+細胞の他方を濃縮することを含み、それにより濃縮は、(i)CD57-CD4+ T細胞および(ii)CD57-CD8+ T細胞の他方が濃縮された第2の濃縮された集団を生成する、工程;(d)第1の濃縮された集団および第2の濃縮された集団からのT細胞を刺激条件下でインキュベートする工程であって、刺激条件が、TCR複合体の1つまたは複数の成分の1つまたは複数の細胞内シグナル伝達ドメインおよび1つまたは複数の共刺激分子の1つまたは複数の細胞内シグナル伝達ドメインを活性化することができる刺激試薬の存在を含み、それにより、第1および第2の濃縮された集団の刺激されたT細胞を生成する、工程;ならびに(e)第1および第2の濃縮された集団の刺激されたT細胞に異種ポリヌクレオチドを導入する工程であって、刺激されたT細胞に異種ポリヌクレオチドを含有するウイルスベクターを形質導入し、それにより、第1および第2の濃縮された集団からT細胞の操作された集団を生成することを含む、導入する工程を含む、T細胞を遺伝子操作するための方法もまた提供される。
【0067】
第1の選択を行う工程であって、第1の選択が、初代ヒトT細胞を含有する生体試料からCD57+ T細胞を除去し、それにより、枯渇された集団を生成することを含み、枯渇された集団が、生体試料よりも少ないCD57+ T細胞を含有する、工程;枯渇された集団からの細胞に第2の選択を行う工程であって、第2の選択が、初代ヒトT細胞を含有する生体試料からCD3+ T細胞を濃縮することを含み、それにより濃縮は、CD57-CD3+ T細胞が濃縮された、濃縮された集団を生成する、工程;濃縮された集団からのT細胞を刺激条件下でインキュベートする工程であって、刺激条件が、TCR複合体の1つまたは複数の成分の1つまたは複数の細胞内シグナル伝達ドメインおよび1つまたは複数の共刺激分子の1つまたは複数の細胞内シグナル伝達ドメインを活性化することができる刺激試薬の存在を含み、それにより、濃縮された集団の刺激されたT細胞を生成する、工程;ならびに濃縮された集団の刺激されたT細胞に組み換え受容体をコードする異種ポリヌクレオチドを導入する工程であって、刺激されたT細胞に異種ポリヌクレオチドを含有するウイルスベクターを形質導入し、それにより、濃縮された集団から操作されたT細胞の集団を生成することを含む、導入する工程を含む、T細胞を遺伝子操作する方法もまた、本明細書に提供される。
【0068】
第1の選択を行う工程であって、第1の選択が、初代ヒトT細胞を含有する生体試料からCD3+ T細胞を濃縮することを含み、それにより濃縮は、CD3+ T細胞が濃縮された、濃縮された生体試料を生成する、工程;濃縮された生体試料からの細胞に第2の選択を行う工程であって、第2の選択が、初代ヒトT細胞を含有する濃縮された生体試料からCD57+ T細胞を除去し、それにより、枯渇された集団を生成することを含み、枯渇された集団が、濃縮された生体試料よりも少ないCD57+ T細胞を含有する、工程;枯渇された集団からのT細胞を刺激条件下でインキュベートする工程であって、刺激条件が、TCR複合体の1つまたは複数の成分の1つまたは複数の細胞内シグナル伝達ドメインおよび1つまたは複数の共刺激分子の1つまたは複数の細胞内シグナル伝達ドメインを活性化することができる刺激試薬の存在を含み、それにより、枯渇された集団の刺激されたT細胞を生成する、工程;ならびに(d)組み換え受容体をコードする異種ポリヌクレオチドを、枯渇された集団の刺激されたT細胞に導入する工程であって、刺激されたT細胞に異種ポリヌクレオチドを含有するウイルスベクターを形質導入し、それにより、枯渇された集団からT細胞の操作された集団を生成することを含む、導入する工程を含む、T細胞を遺伝子操作する方法もまた、本明細書に提供される。
【0069】
任意のそのような態様のいくつかでは、該方法は:(i)操作されたT細胞の集団を、操作された集団の増殖または拡大増殖を促進する条件下で培養し、それにより、T細胞の拡大増殖された集団を生成する工程;および(ii)拡大増殖された集団を採取または収集する工程をさらに含む。
【0070】
任意のそのような態様のいくつかでは、インキュベートする工程の前に、第1の濃縮された集団および第2の濃縮された集団は:(i)5%未満もしくは約5%未満のCD57+ T細胞;(ii)生体試料中に存在するCD57+ T細胞の頻度の35%未満もしくは約35%未満であるCD57+ T細胞の頻度;または(iii)少なくとも95%もしくは少なくとも約95%のCD57- T細胞のうち1つまたは複数を含有する。任意のそのような態様のいくつかでは、インキュベートする工程の前に、第1の濃縮された集団および第2の濃縮された集団は、5%未満もしくは約5%未満のCD57+ T細胞を含有する。任意のそのような態様のいくつかでは、インキュベートする工程の前に、第1の濃縮された集団および第2の濃縮された集団は、各々、3%未満もしくは約3%未満、2%未満もしくは約2%未満、1%未満もしくは約1%未満、0.1%未満もしくは約0.1%未満、または0.01%未満もしくは約0.01%未満のCD57+ T細胞を含有する。任意のそのような態様のいくつかでは、インキュベートする工程の前に、第1の濃縮された集団および第2の濃縮された集団におけるCD57+細胞の頻度は、生体試料中のCD57+ T細胞の頻度の35%、30%、20%、10%、5%、1%、もしくは0.1%未満、または約35%、30%、20%、10%、5%、1%、もしくは0.1%未満を含有する。任意のそのような態様のいくつかでは、導入する工程の前に、第1の濃縮された集団および第2の濃縮された集団は、CD57+ T細胞を含まないまたは本質的に含まない。いくつかの態様では、CD57+ T細胞を本質的に含まない枯渇された集団は、約3%未満もしくは約3%、約2%未満もしくは約2%、約1%未満もしくは約1%、約0.1%未満もしくは約0.1%、または約0.01%未満もしくは約0.01%のCD57+ T細胞を含む。
【0071】
任意のそのような態様のいくつかでは、第1の濃縮された組成物および第2の組成物の細胞は、単一の混合された集団として一緒にインキュベートおよび/または培養される。任意のそのような態様のいくつかでは、導入する工程の前に、単一の混合された集団は、3:1~1:3、2:1~1:2、1.5:1~1:1.5、または1.2:1~1:1.2のCD4+ T細胞対CD8+ T細胞比(両端の値を含む)を含む。任意のそのような態様のいくつかでは、導入する工程の前に、単一の混合された集団は、1:1または約1:1のCD4+ T細胞対CD8+ T細胞比を含む。任意のそのような態様のいくつかでは、第1の濃縮された集団および第2の濃縮された集団の細胞は、別々にインキュベートおよび/または培養される。
【0072】
任意のそのような態様のいくつかでは、刺激試薬は、表面に付着した抗CD3および抗CD28抗体を有する常磁性ビーズを含む。任意のそのような態様のいくつかでは、刺激試薬は、可逆的に結合される抗CD3および抗CD28 Fabを有する複数のストレプトアビジンもしくはストレプトアビジンムテイン分子を含有するオリゴマー粒子試薬を含む。
【0073】
任意のそのような態様のいくつかでは、生体試料からCD57+ T細胞を除去することならびに/または第1のおよび/もしくは第2の選択で細胞を濃縮することは、免疫親和性に基づく選択を含む。任意のそのような態様のいくつかでは、免疫親和性に基づく選択は、細胞を、CD57、CD4またはCD8に特異的に結合することができる抗体と接触させ、抗体に結合していない細胞を回収し、それにより、陰性選択を引き起こすこと、または抗体に結合した細胞を回収し、それにより、陽性選択を引き起こすことによって引き起こされ、その際、回収された細胞は、CD57+細胞が枯渇されており、かつ/またはCD4+細胞もしくはCD8+細胞が濃縮されており、抗体は、磁性粒子に固定化されている。任意のそのような態様のいくつかでは、免疫親和性に基づく選択は、細胞を、アフィニティークロマトグラフィーマトリックスに固定化されているまたは付着している抗体と接触させることによって引き起こされ、該抗体は、CD57、CD4またはCD8に特異的に結合して、CD57+細胞の陰性選択またはCD4+もしくはCD8+細胞の陽性選択を引き起こすことができる。任意のそのような態様のいくつかでは、免疫親和性に基づく選択は、細胞を、CD57、CD4またはCD8に特異的に結合することができる抗体と接触させ、抗体に結合していない細胞を回収し、それにより、陰性選択を引き起こすこと、または抗体に結合した細胞を回収し、それにより、陽性選択を引き起こすことによって引き起こされ、その際、回収された細胞は、CD57+ T細胞が枯渇されており、かつ/またはCD4+ T細胞もしくはCD8+ T細胞が濃縮されており、抗体は、磁性粒子に固定化されている。任意のそのような態様のいくつかでは、免疫親和性に基づく選択は、細胞を、アフィニティークロマトグラフィーマトリックスに固定化されているまたは付着している抗体と接触させることによって引き起こされ、該抗体は、CD57、CD4またはCD8に特異的に結合して、CD57+ T細胞の陰性選択またはCD4+もしくはCD8+ T細胞の陽性選択を引き起こすことができる。
【0074】
任意のそのような態様のいくつかでは、採取する工程は、T細胞の操作された集団または拡大増殖された集団がT細胞、生存T細胞、操作されたT細胞もしくは生存している操作されたT細胞の閾値数、またはT細胞、生存T細胞、操作されたT細胞もしくは生存している操作されたT細胞の閾値濃度を含む時点またはその後に行われる。任意のそのような態様のいくつかでは、T細胞、生存T細胞、操作されたT細胞または生存している操作されたT細胞の閾値数または濃度は、刺激の開始の4、5、6もしくは7日後以内、または約4、5、6もしくは7日後以内に到達される。
【0075】
任意のそのような態様のいくつかでは、操作されたT細胞の複数の集団または拡大増殖されたT細胞の複数の集団のうち、T細胞、生存T細胞、操作されたT細胞または生存している操作されたT細胞の閾値数または濃度は、該複数の少なくとも70%、80%、90%もしくは95%、または少なくとも約70%、80%、90%もしくは95%において刺激の開始の5もしくは6日後以内、または約5もしくは6日後以内に到達される。任意のそのような態様のいくつかでは、T細胞、生存T細胞、操作されたT細胞または生存している操作されたT細胞の閾値数または濃度は、刺激の開始後の2、3、4もしくは5以内、または約2、3、4もしくは5以内の集団倍加で到達される。
【0076】
任意のそのような態様のいくつかでは、操作された集団または拡大増殖された集団は、3%未満もしくは約3%未満、2%未満もしくは約2%未満、1%未満もしくは約1%未満、0.1%未満もしくは約0.1%未満、または0.01%未満もしくは約0.01%未満のCD57+ T細胞を含有する。任意のそのような態様のいくつかでは、操作された集団または拡大増殖された集団は、CD57+ T細胞を含まないまたは本質的に含まない。いくつかの態様では、CD57+ T細胞を本質的に含まない枯渇された集団は、約3%未満もしくは約3%、約2%未満もしくは約2%、約1%未満もしくは約1%、約0.1%未満もしくは約0.1%、または約0.01%未満もしくは約0.01%のCD57+ T細胞を含む。
【0077】
任意のそのような態様のいくつかでは、操作された集団または拡大増殖された集団におけるナイーブ様細胞の頻度は、該集団中の細胞の少なくとも10%、20%、30%、40%、もしくは50%、または少なくとも約10%、20%、30%、40%、もしくは50%である。任意のそのような態様のいくつかでは、操作された集団または拡大増殖された集団中のCD25+ T細胞、CD27+ T細胞、CD28+ T細胞、CCR7+ T細胞、またはCD45RA+ T細胞のうち1つまたは複数の頻度は、該集団中のそれぞれの細胞の頻度またはおよその頻度よりも少なくとも10%、20%、30%、40%、もしくは50%または少なくとも約10%、20%、30%、40%、もしくは50%大きい。任意のそのような態様のいくつかでは、操作された集団または拡大増殖された集団は、少なくとも15%、20%、25%、30%、35%、もしくは40%、または少なくとも約15%、20%、25%、30%、35%、もしくは40%のCD27+ T細胞を含有する。任意のそのような態様のいくつかでは、操作された集団または拡大増殖された集団は、少なくとも10%、15%、20%、25%、25%、30%、35%、もしくは40%、または少なくとも約10%、15%、20%、25%、25%、30%、35%、もしくは40%のCD28+ T細胞を含有する。任意のそのような態様のいくつかでは、操作された集団または拡大増殖された集団は、少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、50%、60%、70%もしくは80%、または少なくとも約10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、50%、60%、70%もしくは80%のCD27+CD28+ T細胞を含有する。
【0078】
任意のそのような態様のいくつかでは、操作された集団または拡大増殖された集団は、少なくとも70%もしくは80%、または少なくとも約70%もしくは80%のCD27+CD28+ T細胞を含有する。任意のそのような態様のいくつかでは、操作された集団または拡大増殖された集団は、少なくとも10%、15%、20%、もしくは25%、または少なくとも約10%、15%、20%、もしくは25%のCCR7+ T細胞を含有する。
【0079】
任意のそのような態様のいくつかでは、細胞を採取する工程は、細胞をすすぐまたは洗浄することによって細胞デブリを除去することを含む。任意のそのような態様のいくつかでは、採取または収集する工程は、凍結保存または対象への投与のために細胞を製剤化することをさらに含む。任意のそのような態様のいくつかでは、採取または収集された細胞は、薬学的に許容される賦形剤の存在下で製剤化される。任意のそのような態様のいくつかでは、採取または収集された細胞は、凍結保護物質の存在下で凍結保存のために製剤化される。任意のそのような態様のいくつかでは、凍結保護物質は、DMSOを含む。任意のそのような態様のいくつかでは、採取または収集された細胞は、容器、任意で、バイアルまたはバッグ中に製剤化される。
【0080】
任意のそのような態様のいくつかでは、分離は、採取する工程の前に起こる。任意のそのような態様のいくつかでは、分離は、培養の前または途中に起こる。任意のそのような態様のいくつかでは、分離は、導入する工程の後に起こる。
【0081】
任意のそのような態様のいくつかでは、組み換え受容体は、疾患、障害または状態の細胞または組織に関連する、特異的な、および/または発現される標的抗原に結合することができる。任意のそのような態様のいくつかでは、疾患、障害または状態は、感染性疾患もしくは障害、自己免疫疾患、炎症性疾患、または腫瘍もしくはがんである。任意のそのような態様のいくつかでは、標的抗原は腫瘍抗原である。任意のそのような態様のいくつかでは、標的抗原は、αvβ6インテグリン(avb6インテグリン)、B細胞成熟抗原(BCMA)、B7-H3、B7-H6、炭酸脱水酵素9(CA9、CAIXもしくはG250としても知られる)、がん-精巣抗原、がん/精巣抗原1B(CTAG、NY-ESO-1およびLAGE-2としても知られる)、がん胎児性抗原(CEA)、サイクリン、サイクリンA2、C-Cモチーフケモカインリガンド1(CCL-1)、CD19、CD20、CD22、CD23、CD24、CD30、CD33、CD38、CD44、CD44v6、CD44v7/8、CD123、CD133、CD138、CD171、コンドロイチン硫酸プロテオグリカン4(CSPG4)、上皮成長因子タンパク質(EGFR)、III型上皮成長因子受容体変異(EGFR vIII)、上皮糖タンパク質2(EPG-2)、上皮糖タンパク質40(EPG-40)、エフリンB2、エフリン受容体A2(EPHa2)、エストロゲン受容体、Fc受容体様5(FCRL5;Fc受容体ホモログ5もしくはFCRH5としても知られる)、胎児アセチルコリン受容体(胎児AchR)、葉酸結合タンパク質(FBP)、葉酸受容体アルファ、ガングリオシドGD2、O-アセチル化GD2(OGD2)、ガングリオシドGD3、糖タンパク質100(gp100)、グリピカン-3(GPC3)、Gタンパク質共役受容体5D(GPRC5D)、Her2/neu(受容体チロシンキナーゼerb-B2)、Her3(erb-B3)、Her4(erb-B4)、erbB二量体、ヒト高分子量-黒色腫関連抗原(HMW-MAA)、B型肝炎表面抗原、ヒト白血球抗原A1(HLA-A1)、ヒト白血球抗原A2(HLA-A2)、IL-22受容体アルファ(IL-22Rα)、IL-13受容体アルファ2(IL-13Rα2)、キナーゼ挿入ドメイン受容体(kdr)、カッパ軽鎖、L1細胞接着分子(L1-CAM)、L1-CAMのCE7エピトープ、ロイチンリッチリピート含有8ファミリーメンバーA(LRRC8A)、Lewis Y、黒色腫関連抗原(MAGE)-A1、MAGE-A3、MAGE-A6、MAGE-A10、メソセリン(MSLN)、c-Met、マウスサイトメガロウイルス(CMV)、ムチン1(MUC1)、MUC16、ナチュラルキラーグループ2メンバーD(NKG2D)リガンド、メランA(MART-1)、神経細胞接着分子(NCAM)、がん胎児抗原、黒色腫優先発現抗原(PRAME)、プロゲステロン受容体、前立腺特異抗原、前立腺幹細胞抗原(PSCA)、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、受容体型チロシンキナーゼ様オーファン受容体1(ROR1)、サバイビン、栄養膜糖タンパク質(TPBG、5T4としても知られる)、腫瘍関連糖タンパク質72(TAG72)、チロシナーゼ関連タンパク質1(TRP1、TYRP1もしくはgp75としても知られる)、チロシナーゼ関連タンパク質2(TRP2、ドパクロムトートメラーゼ、ドパクロムデルタ-イソメラーゼもしくはDCTとしても知られる)、血管内皮成長因子受容体(VEGFR)、血管内皮成長因子受容体2(VEGFR2)、ウィルムス腫瘍1(WT-1)、病原体特異的もしくは病原体発現抗原またはユニバーサルタグに関連する抗原および/またはビオチン化分子および/またはHIV、HCV、HBVもしくは他の病原体によって発現される分子の中より選択される。
【0082】
任意のそのような態様のいくつかでは、組み換えタンパク質は、機能的非TCR抗原受容体もしくはTCRまたはそれらの抗原結合断片であるまたはそれを含む。任意のそのような態様のいくつかでは、組み換えタンパク質はキメラ抗原受容体(CAR)である。任意のそのような態様のいくつかでは、組み換え受容体は抗BCMA CARである。任意のそのような態様のいくつかでは、組み換えタンパク質は抗CD19 CARである。任意のそのような態様のいくつかでは、キメラ抗原受容体は、抗原結合ドメイン、スペーサーおよび/またはヒンジ領域を含有する細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、ならびに共刺激シグナル伝達領域を含有する細胞内シグナル伝達ドメインを含む。任意のそのような態様のいくつかでは、抗原結合ドメインを含む細胞外ドメインは、scFvを含む。
【0083】
任意のそのような態様のいくつかでは、細胞内シグナル伝達ドメインは、一次シグナル伝達ドメイン、T細胞において一次活性化シグナルを誘導することができるシグナル伝達ドメイン、T細胞受容体(TCR)成分のシグナル伝達ドメイン、および/または免疫受容活性化チロシンモチーフ(ITAM)を含むシグナル伝達ドメインであるまたはそれを含む。任意のそのような態様のいくつかでは、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3鎖、任意で、CD3-ゼータ(CD3ζ)鎖の細胞内シグナル伝達ドメイン、またはそのシグナル伝達部分であるまたはそれを含む。任意のそのような態様のいくつかでは、共刺激シグナル伝達領域は、CD28、4-1BBもしくはICOSの細胞内シグナル伝達ドメイン、またはそれらのシグナル伝達部分を含む。
【0084】
集団中のCD57+細胞の頻度を測定する工程を含む、拡大増殖することができる細胞の集団を特定するための方法もまた、提供され、その際、CD57+細胞の頻度が閾値頻度未満である場合に、細胞の集団は拡大増殖することができると特定される。集団中のCD57+ T細胞の頻度を測定する工程を含む、拡大増殖することができる細胞集団を特定するための方法もまた提供され、その際、CD57+ T細胞の頻度が閾値頻度未満である場合に、細胞の集団は拡大増殖することができると特定される。
【0085】
任意のそのような態様のいくつかでは、閾値頻度は、35%、30%、20%、10%、5%、1%、もしくは0.1%未満、または約35%、30%、20%、10%、5%、1%、もしくは0.1%未満であるパーセンテージである。任意のそのような態様のいくつかでは、拡大増殖することができる集団は、増殖または拡大増殖を促進する条件下で、4、5、6、7または8日以内の培養で少なくとも2倍、4倍、8倍、もしくは16倍、または少なくとも約2倍、4倍、8倍、もしくは16倍拡大増殖する。
【0086】
T細胞集団におけるCD57発現に関連する形質の値を測定する工程を含む、T細胞の集団の拡大増殖の能力を決定するための方法もまたもまた提供され、その際、形質の値が形質の閾値未満またはおよその閾値未満である場合、T細胞の集団は拡大増殖することができると決定される。
【0087】
任意のそのような態様のいくつかでは、閾値は:i)複数の参照T細胞集団におけるCD57発現に関連する形質の測定値の平均もしくは中央値よりも25%、20%、15%、10%、もしくは5%小さい、約25%、20%、15%、10%、もしくは5%小さい、または25%以内、20%以内、15%以内、10%以内、もしくは5%以内小さく、かつ測定値の平均もしくは中央値またはおよその平均もしくは中央値の1標準偏差下よりも小さい;ii)複数の参照T細胞集団の中からの集団における、CD57発現に関連する形質の最低測定値未満であり、任意で、最低測定値から50%以内、25%以内、20%以内、15%以内、10%以内、または5%以内小さい;iii)複数の参照T細胞組成物からの試料の65%、75%、80%、85%超の間から計算されたCD57発現に関連する形質の測定値の平均または中央値未満であり;その際、複数の参照T細胞集団は、T細胞の増殖または拡大増殖を促進する条件下で培養された場合、拡大増殖しなかった複数の集団であり、任意で、該細胞は、培養の4、5、6、7または8日以内に少なくとも2倍、4倍、8倍、もしくは16倍、または約2倍、4倍、8倍、もしくは16倍拡大増殖しなかった。
【0088】
任意のそのような態様のいくつかでは、形質は、総T細胞、CD4+ T細胞、またはCD8+ T細胞に発現されたCD57ポリペプチドのレベルまたは量である。任意のそのような態様のいくつかでは、形質は、細胞集団に存在するCD57+ T細胞、CD57+CD4+ T細胞、またはCD57+CD8+ T細胞の頻度、パーセンテージ、または量である。任意のそのような態様のいくつかでは、形質は、細胞集団中のT細胞に存在するCD57 mRNAのレベルまたは量である。任意のそのような態様のいくつかでは、形質は、CD57(B3GAT1)をコードする遺伝子のクロマチンアクセシビリティのレベルまたは量である。
【0089】
任意のそのような態様のいくつかでは、該方法は、T細胞集団における1つまたは複数の第2の遺伝子産物の発現に関連する第2の形質の第2の値を測定する工程をさらに含み、その際、形質の値が形質の閾値未満またはおよその閾値未満である場合、および第2の形質の第2の値が、第2の形質の第2の閾値よりも大きいまたはおよその閾値よりも大きい場合、拡大増殖することができる。
【0090】
任意のそのような態様のいくつかでは、第2の遺伝子産物は、ナイーブ様T細胞に関連するマーカーである。任意のそのような態様のいくつかでは、1つまたは複数の第2の遺伝子産物は、CD27、CD28、CCR7、またはCD45RAより選択される。任意のそのような態様のいくつかでは、1つまたは複数の第2の遺伝子産物は、CD27およびCD28である。
【0091】
任意のそのような態様のいくつかでは、第2の閾値は:i)複数の第2の参照T細胞組成物における、第2の遺伝子の発現に関連する形質の測定値の平均または中央値よりも25%、20%、15%、10%、もしくは5%、約25%、20%、15%、10%、もしくは5%、または25%以内、20%以内、15%以内、10%以内、もしくは5%以内大きく、かつ/あるいは測定値の平均もしくは中央値またはおよその平均もしくは中央値の1標準偏差上よりも大きい;ii)複数の参照T細胞組成物からの組成物における、第2の遺伝子の発現に関連する第2の形質の最高測定値よりも大きく、任意で、最高測定値よりも50%以内、25%以内、20%以内、15%以内、10%以内、または5%以内大きい;iii)複数の参照T細胞組成物からの試料の65%、75%、80%、85%超より計算される第2の遺伝子の発現に関連する形質の測定値の平均または中央値未満である。
【0092】
任意のそのような態様のいくつかでは、第2の形質は:(i)総T細胞、CD4+ T細胞、もしくはCD8+ T細胞中に存在する第2の遺伝子によってコードされるポリペプチドのレベルもしくは量;(ii)総T細胞、CD4+ T細胞、もしくはCD8+ T細胞の表面に存在する第2の遺伝子によってコードされるポリペプチドのレベルもしくは量;(iii)第2の遺伝子の発現について陽性を示すT細胞、CD4+ T細胞、もしくはCD8+ T細胞の頻度、パーセンテージ、もしくは量である形質;(iv)T細胞中に存在する第2の遺伝子のmRNAのレベルもしくは量;または(v)第2の遺伝子のアクセシビリティのレベルもしくは量である。
【0093】
(a)本明細書に記載される任意の方法によって特定または決定されるT細胞の集団からのT細胞を刺激条件下でインキュベートする工程であって、刺激条件がTCR複合体の1つまたは複数の成分の1つまたは複数の細胞内シグナル伝達ドメインおよび1つまたは複数の共刺激分子の1つまたは複数の細胞内シグナル伝達ドメインを活性化することができ、それにより、刺激されたT細胞を生成する刺激試薬の存在を含む、工程;ならびに(b)刺激されたT細胞に異種ポリヌクレオチドを導入する工程であって、刺激されたT細胞に、組み換え受容体をコードする異種ポリヌクレオチドを含むウイルスベクターを形質導入し、それにより、T細胞の操作された集団を生成する、導入する工程を含む、T細胞を遺伝子操作するための方法もまた提供される。
【0094】
本明細書に記載される方法によって製造されるもののいずれかを含む、細胞の組成物もまた、本明細書に提供される。CD57-CD4+細胞を含む、細胞の組成物もまた、本明細書に提供される。CD57-CD8+細胞を含む、細胞の組成物もまた、本明細書に提供される。CD57-CD3+細胞を含む、細胞の組成物もまた、本明細書に提供される。
【0095】
本明細書に記載される任意の方法によって作製される削除された集団のCD57- T細胞を含む、細胞の組成物もまた提供される。
【0096】
本明細書に記載される任意の方法によって作製されるCD57-CD4+ T細胞の濃縮された集団のCD57-CD4+ T細胞を含む、濃縮されたCD57-CD4+ T細胞の組成物もまた提供される。
【0097】
本明細書に記載される任意の方法によって作製されるCD57-CD8+ T細胞の濃縮された集団のCD57-CD8+ T細胞を含む、濃縮されたCD57-CD8+ T細胞の組成物もまた提供される。
【0098】
本明細書に記載される任意の方法によって作製されるCD57-CD3+ T細胞の濃縮された集団のCD57-CD3+ T細胞を含む、濃縮されたCD57-CD3+ T細胞の組成物もまた提供される。
【0099】
本明細書に記載される任意の方法によって作製されるT細胞の刺激された集団の集団を含む、細胞の組成物もまた提供される。
【0100】
本明細書に記載される任意の方法によって作製されるT細胞の操作された集団の細胞を含む組成物もまた提供される。
【0101】
本明細書に記載される任意の方法によって作製されるT細胞の拡大増殖された集団の細胞を含む組成物もまた提供される。
【0102】
本明細書に記載される任意の方法により拡大増殖することができると特定または決定されたT細胞集団を含む組成物もまた提供される。
【0103】
本明細書に記載される任意の方法によって作製される操作されたT細胞の集団または本明細書に記載される任意の方法によって作製されるT細胞の拡大増殖された集団からのT細胞の用量を対象に投与する工程を含む、疾患、障害、または状態を有するまたは有する疑いがある対象を処置する方法もまた提供される。
【0104】
対象における疾患、障害、または状態の処置のための、本明細書に記載される任意の方法によって作製される操作されたT細胞の集団または本明細書に記載される任意の方法によって作製されるT細胞の拡大増殖された集団の使用もまた提供される。
【0105】
対象における疾患、障害、または状態の処置のための医薬の製造のための、本明細書に記載される任意の方法によって作製される操作されたT細胞の集団または本明細書に記載される任意の方法によって作製されるT細胞の拡大増殖された集団の使用もまた提供される。
【0106】
(i)CD57、CD4および/またはCD8に特異的な細胞の免疫親和性に基づく選択のための1つまたは複数の試薬;ならびに(ii)本明細書に記載される任意の方法を行うための1つまたは複数の試薬の使用のための指示書を含む製造物品もまた提供される。
【0107】
(i)CD57、CD4および/またはCD8に特異的な細胞の免疫親和性に基づく選択のための1つまたは複数の試薬;(ii)TCR複合体の1つまたは複数の成分の1つまたは複数の細胞内シグナル伝達ドメインおよび1つまたは複数の共刺激分子の1つまたは複数の細胞内シグナル伝達ドメインを活性化することができる1つまたは複数の刺激試薬;ならびに(iii)本明細書に記載される任意の方法を行うための1つまたは複数の試薬の使用のための指示書を含む、製造物品もまた提供される。
【0108】
任意のそのような態様のいくつかでは、免疫親和性に基づく選択のための試薬は、CD57、CD4またはCD8に特異的に結合することができる抗体であるまたはそれを含む。任意のそのような態様のいくつかでは、免疫親和性に基づく選択のための試薬は、CD57に特異的に結合することができる抗体であるまたはそれを含む。任意のそのような態様のいくつかでは、抗体は、磁性粒子に固定化されているまたはアフィニティークロマトグラフィーマトリックスに固定化されているもしくは付着している。
【0109】
任意のそのような態様のいくつかでは、刺激試薬は、(i)TCR複合体のメンバーに特異的に結合する、任意で、CD3に特異的に結合する一次作用物質および(ii)T細胞共刺激分子に特異的に結合する二次作用物質を含み、任意で、共刺激分子は、CD28、CD137(4-1-BB)、OX40、またはICOSより選択される。任意のそのような態様のいくつかでは、一次作用物質および二次作用物質の一方または両方は、抗体またはその抗原結合断片を含む。任意のそのような態様のいくつかでは、一次作用物質および二次作用物質は、抗体を含み、任意で、刺激試薬は、抗CD3抗体および抗CD28抗体、またはそれらの抗原結合断片とのインキュベーションを含む。任意のそのような態様のいくつかでは、一次作用物質および二次作用物質は、固体支持体の表面に存在するまたは付着している。任意のそのような態様のいくつかでは、固体支持体は、ビーズ、任意で、常磁性ビーズであるまたはそれを含む。任意のそのような態様のいくつかでは、一次作用物質および二次作用物質は、複数のストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン分子を含むオリゴマー粒子試薬の表面に可逆的に結合されている。
【0110】
(i)本明細書に記載される任意の組成物;および(ii)対象に組成物を投与するための指示書を含む製造物品もまた提供される。
【0111】
組み換え受容体を発現しているCD4+ T細胞および組み換え受容体を発現しているCD8+ T細胞を含む治療用T細胞組成物もまた、本明細書に提供され、組成物中の総受容体+/CD8+細胞の少なくとも80%はCD57-であり、組成物中の総受容体+/CD4+細胞の少なくとも80%はCD57-である。
【0112】
任意のそのような態様のいくつかでは、組成物中の細胞の少なくとも80%もしくは少なくとも約80%、少なくとも85%もしくは少なくとも約85%、少なくとも90%もしくは少なくとも約90%、少なくとも95%もしくは少なくとも約95%、少なくとも96%もしくは少なくとも約96%、少なくとも97%もしくは少なくとも約97%、少なくとも98%もしくは少なくとも約98%、少なくとも99%もしくは少なくとも約99%、約100%、または100%は、CD4+ T細胞およびCD8+ T細胞である。任意のそのような態様のいくつかでは、組成物中の総受容体+/CD3+細胞の少なくとも80%はCD57-である。任意のそのような態様のいくつかでは、組成物中の細胞の少なくとも80%もしくは少なくとも約80%、少なくとも85%もしくは少なくとも約85%、少なくとも90%もしくは少なくとも約90%、少なくとも95%もしくは少なくとも約95%、少なくとも96%もしくは少なくとも約96%、少なくとも97%もしくは少なくとも約97%、少なくとも98%もしくは少なくとも約98%、少なくとも99%もしくは少なくとも約99%、約100%、または100%はCD3+ T細胞である。任意のそのような態様のいくつかでは、組成物中の受容体+/CD4+ T細胞対受容体+/CD8+ T細胞比は、約1:3~約3:1である。任意のそのような態様のいくつかでは、組成物中の受容体+/CD4+ T細胞対受容体+/CD8+ T細胞比は、1:1または約1:1である。
【0113】
任意のそのような態様のいくつかでは、組み換えタンパク質は、疾患、障害または状態の細胞または組織に関連する、特異的な、および/または発現される標的タンパク質に結合することができる組み換え受容体であるまたはそれを含有する。任意のそのような態様のいくつかでは、組み換えタンパク質はキメラ抗原受容体(CAR)である。任意のそのような態様のいくつかでは、組成物中の生存T細胞の数は、10×106個または約10×106個から、200×106または約200×106個であり、任意で、組成物中の生存T細胞の数は、10×106個もしくは約10×106個から、100×106個もしくは約100×106個、10×106個もしくは約10×106個から、70×106個もしくは約70×106個、10×106個もしくは約10×106個から、50×106個もしくは約50×106個、50×106個もしくは約50×106個から、200×106個もしくは約200×106個、50×106個もしくは約50×106個から、100×106個もしくは約100×106個、50×106個もしくは約50×106個から、70×106個もしくは約70×106個、70×106個もしくは約70×106個から、200×106個もしくは約200×106個、70×106個もしくは約70×106個から、100×106個もしくは約100×106個、または100×106個もしくは約100×106個から、200×106個もしくは約200×106個(各々両端の値を含む)である。任意のそのような態様のいくつかでは、組成物の体積は、1.0mL~10mL(両端の値を含む)、任意で、2mLもしくは約2mL、3mLもしくは約3mL、4mLもしくは約4mL、5mLもしくは約5mL、6mLもしくは約6mL、7mLもしくは約7mL、8mLもしくは約8mL、9mLもしくは約9mL、または10mLもしくは約10mL、または前述のいずれかの間の任意の値である。
[本発明1001]
(a)第1の選択を行う工程であって、第1の選択が、初代ヒトT細胞を含む生体試料からCD57-またはCD3+ T細胞のいずれかを濃縮し、それにより、濃縮されたT細胞集団を生成することを含む、工程;および
(b)濃縮されたT細胞集団からの細胞に第2の選択を行う工程
を含む、T細胞を濃縮するための方法であって、
第1の選択が、CD57- T細胞を濃縮することを含み、第2の選択が、濃縮された集団からCD3+ T細胞を濃縮することを含むか、または
第1の選択が、CD3+ T細胞を濃縮することを含み、第2の選択が、濃縮されたT細胞集団からCD57+ T細胞を除去することを含み、
該方法により、生体試料よりも少ないCD57+ T細胞を含みかつCD3+ T細胞が濃縮された、枯渇された集団が生成される、方法。
[本発明1002]
(a)第1の選択を行う工程であって、第1の選択が、初代ヒトT細胞を含む生体試料からCD57+ T細胞を除去し、それにより、枯渇された集団を生成することを含み、枯渇された集団が、生体試料よりも少ないCD57+ T細胞を含む、工程;および
(b)枯渇された集団からの細胞に第2の選択を行う工程であって、第2の選択が、枯渇された集団からCD3+ T細胞を濃縮することを含み、それにより濃縮が、CD57-CD3+ T細胞の濃縮された集団を生成する、工程
を含む、T細胞を濃縮するための方法。
[本発明1003]
(a)第1の選択を行う工程であって、第1の選択が、初代ヒトT細胞を含む生体試料からCD3+ T細胞を濃縮し、それにより、濃縮されたT細胞集団を生成することを含む、工程;ならびに
(b)濃縮されたT細胞集団からの細胞に第2の選択を行う工程であって、第2の選択が、濃縮された試料細胞集団からCD57+ T細胞を除去し、それにより、枯渇された集団を生成することを含み、枯渇された集団は、生体試料および/または濃縮されたT細胞集団よりも少ないCD57+ T細胞を含み、かつCD3+ T細胞が濃縮されている、工程
を含む、T細胞を濃縮するための方法。
[本発明1004]
(a)第1の選択を行う工程であって、該第1の選択が、初代ヒトT細胞を含む生体試料からCD57+ T細胞を除去し、それにより、第1の枯渇された集団を生成することを含み、第1の枯渇された集団が、生体試料よりも少ないCD57+ T細胞を含む、工程;
(b)第1の枯渇された集団からの細胞に第2の選択を行う工程であって、該第2の選択が、第1の枯渇された集団から(i)CD4+ T細胞および(ii)CD8+ T細胞の一方を濃縮することを含み、それにより濃縮は、(i)CD4+ T細胞および(ii)CD8+ T細胞の一方が濃縮された第2の枯渇された集団と、選択されなかった集団とを生成する、工程;ならびに
(c)第3の選択を行う工程であって、該第3の選択が、選択されなかった集団から(i)CD4+細胞および(ii)CD8+細胞の他方を濃縮することを含み、それにより濃縮は、(i)CD4+ T細胞および(ii)CD8+ T細胞の他方が濃縮された第3の枯渇された集団を生成する、工程
を含む、T細胞を濃縮するための方法。
[本発明1005]
枯渇された集団(任意で、第1の枯渇された集団、第2の枯渇された集団、または第3の枯渇された集団)が、以下:
(i)5%未満または約5%未満のCD57+ T細胞;
(ii)生体試料中に存在するCD57+ T細胞の頻度の35%未満または約35%未満であるCD57+ T細胞の頻度;
(iii)CD4+ T細胞であって、該CD4+ T細胞の少なくとも95%または少なくとも約95%がCD57-である、CD4+ T細胞;および
(iv)CD8+ T細胞であって、該CD8+ T細胞の少なくとも95%または少なくとも約95%がCD57-である、CD8+ T細胞
のうち少なくとも1つを含む、本発明1001~1004のいずれかの方法。
[本発明1006]
生体試料が、アフェレーシス産物または白血球アフェレーシス産物を含む、本発明1001~1005のいずれかの方法。
[本発明1007]
初代ヒトT細胞を含むアフェレーシス産物または白血球アフェレーシス産物を含む生体試料からCD57+ T細胞を除去し、それにより、T細胞の枯渇された集団を生成する工程を含む、T細胞を濃縮するための方法であって、
枯渇された集団が、生体試料よりも少ないCD57+ T細胞を含み、
枯渇された集団が、以下:
(i)5%未満または約5%未満のCD57+ T細胞;
(ii)生体試料中に存在するCD57+ T細胞の頻度の35%未満または約35%未満であるCD57+ T細胞の頻度;
(iii)CD4+ T細胞であって、該CD4+ T細胞の少なくとも95%または少なくとも約95%がCD57-である、CD4+ T細胞;および
(iv)CD8+ T細胞であって、該CD8+ T細胞の少なくとも95%または少なくとも約95%がCD57-である、CD8+ T細胞
のうち少なくとも1つを含む、方法。
[本発明1008]
枯渇された集団のCD4+ T細胞の少なくとも95%または少なくとも約95%が、CD57-CD4+ T細胞を含む、本発明1001~1007のいずれかの方法。
[本発明1009]
枯渇された集団のCD8+ T細胞の少なくとも95%または少なくとも約95%が、CD57-CD8+ T細胞を含む、本発明1001~1007のいずれかの方法。
[本発明1010]
枯渇された集団のCD4+ T細胞の少なくとも95%または少なくとも約95%およびCD8+ T細胞の少なくとも95%または少なくとも約95%が、それぞれCD57-CD4+ T細胞およびCD57-CD8+ T細胞を含む、本発明1001~1009のいずれかの方法。
[本発明1011]
枯渇された集団のCD3+ T細胞の少なくとも95%または少なくとも約95%が、CD57-CD3+ T細胞を含む、本発明1001~1010のいずれかの方法。
[本発明1012]
枯渇された集団が第1の枯渇された集団であり、
前記方法が、第1の枯渇された集団からCD4+ T細胞を選択し、それにより、CD57-CD4+ T細胞の濃縮された集団である第2の枯渇された集団と、選択されなかった集団とを生成する工程をさらに含む、
本発明1007~1011のいずれかの方法。
[本発明1013]
選択されなかった集団からCD8+ T細胞を選択し、それにより、CD57-CD8+ T細胞の濃縮された集団である第3の枯渇された集団と、第2の選択されなかった集団とを生成する工程
をさらに含む、本発明1012の方法。
[本発明1014]
枯渇された集団が、第1の枯渇された集団であり、
前記方法が、第1の枯渇された集団からCD8+ T細胞を選択し、それにより、CD57-CD8+ T細胞の濃縮された集団である第2の枯渇された集団と、選択されなかった集団とを生成する工程をさらに含む、
本発明1007~1011のいずれかの方法。
[本発明1015]
選択されなかった集団からCD4+ T細胞を選択し、それにより、CD57-CD4+ T細胞の濃縮された集団である第3の枯渇された集団と、第2の選択されなかった集団とを生成する工程
をさらに含む、本発明1014の方法。
[本発明1016]
枯渇された集団が第1の枯渇された集団であり、
前記方法が、第1の枯渇された集団からCD3+ T細胞を選択し、それにより、CD57-CD3+ T細胞の濃縮された集団である第2の枯渇された集団および選択されなかった集団を生成する工程をさらに含む、
本発明1007~1011のいずれかの方法。
[本発明1017]
枯渇された集団(任意で、第1の枯渇された集団、第2の枯渇された集団、または第3の枯渇された集団)中のCD57+ T細胞の頻度が、生体試料中のCD57+ T細胞の頻度の約35%、30%、20%、10%、5%、1%、もしくは0.1%未満、または約35%、30%、20%、10%、5%、1%、もしくは0.1%である、本発明1001~1016のいずれかの方法。
[本発明1018]
枯渇された集団(任意で、第1の枯渇された集団、第2の枯渇された集団、または第3の枯渇された集団)が、約3%未満もしくは約3%、約2%未満もしくは約2%、約1%未満もしくは約1%、約0.1%未満もしくは約0.1%、または約0.01%未満もしくは約0.01%のCD57+ T細胞を含む、本発明1001~1017のいずれかの方法。
[本発明1019]
枯渇された集団(任意で、第1の枯渇された集団、第2の枯渇された集団、または第3の枯渇された集団)が、CD57+ T細胞を含まないかまたは本質的に含まない、本発明1001~1018のいずれかの方法。
[本発明1020]
枯渇された集団(任意で、第1の枯渇された集団、第2の枯渇された集団、または第3の枯渇された集団)中のナイーブ様T細胞の頻度が、生体試料中のナイーブ様T細胞の頻度よりも少なくとも約10%、20%、30%、40%、もしくは50%大きい、または約10%、20%、30%、40%、もしくは50%大きい、本発明1001~1019のいずれかの方法。
[本発明1021]
ナイーブ様T細胞が、CD45RA、CD27、CD28、およびCCR7より選択されるマーカーのうち1つまたは複数について表面陽性である、本発明1020の方法。
[本発明1022]
枯渇された集団(任意で、第1の枯渇された集団、第2の枯渇された集団、または第3の枯渇された集団)中のCD27+ T細胞の頻度が、生体試料中のそれぞれの細胞の頻度よりも少なくとも約10%、20%、30%、40%、もしくは50%大きい、または約10%、20%、30%、40%、もしくは50%大きい、本発明1001~1021のいずれかの方法。
[本発明1023]
枯渇された集団(任意で、第1の枯渇された集団、第2の枯渇された集団、または第3の枯渇された集団)中のCD28+ T細胞の頻度が、生体試料中のそれぞれの細胞の頻度よりも少なくとも約10%、20%、30%、40%、もしくは50%大きい、または約10%、20%、30%、40%、もしくは50%大きい、本発明1001~1022のいずれかの方法。
[本発明1024]
枯渇された集団(任意で、第1の枯渇された集団、第2の枯渇された集団、または第3の枯渇された集団)中のCD27+/CD28+ T細胞の頻度が、生体試料中のそれぞれの細胞の頻度よりも少なくとも約10%、20%、30%、40%、もしくは50%大きい、または約10%、20%、30%、40%、もしくは50%大きい、本発明1001~1023のいずれかの方法。
[本発明1025]
第2の枯渇された集団と第3の枯渇された集団とを、任意で、1:3または約1:3から、3:1または約3:1の間の比、任意で、1:1または約1:1の比で組み合わせ、それにより、第2の枯渇された集団および第3の枯渇された集団を含む枯渇された集団を生成する工程
をさらに含む、本発明1004~1006、1013、1015および1017~1024のいずれかの方法。
[本発明1026]
少なくとも90%もしくは少なくとも約90%、少なくとも95%もしくは少なくとも約95%、少なくとも97%もしくは少なくとも約97%、少なくとも99%もしくは少なくとも約99%、または少なくとも99.9%もしくは約99.9%のCD57-CD4+ T細胞を含むT細胞組成物を製造する、本発明1001~1025のいずれかの方法。
[本発明1027]
少なくとも90%もしくは少なくとも約90%、少なくとも95%もしくは少なくとも約95%、少なくとも97%もしくは少なくとも約97%、少なくとも99%もしくは少なくとも約99%、または少なくとも99.9%もしくは少なくとも約99.9%のCD57-CD8+ T細胞を含むT細胞組成物を製造する、本発明1001~1025のいずれかの方法。
[本発明1028]
少なくとも90%もしくは少なくとも約90%、少なくとも95%もしくは少なくとも約95%、少なくとも97%もしくは少なくとも約97%、少なくとも99%もしくは少なくとも約99%、または少なくとも99.9%もしくは少なくとも約99.9%のCD57-CD3+ T細胞を含むT細胞組成物を製造する、本発明1001~1025のいずれかの方法。
[本発明1029]
前記組成物中のCD4+対CD8+ T細胞の比が、3:1~1:3、2:1~1:2、1.5:1~1:1.5、または1.2:1~1:1.2(各々両端の値を含む)である、本発明1028の方法。
[本発明1030]
前記組成物中のCD4+対CD8+ T細胞の比が、1:1または約1:1である、本発明1028または本発明1029の方法。
[本発明1031]
初代T細胞が、ヒト対象に由来する、本発明1001~1030のいずれかの方法。
[本発明1032]
初代T細胞が、疾患または状態を有する対象に由来する、本発明1001~1031のいずれかの方法。
[本発明1033]
疾患または状態が、がんである、本発明1032の方法。
[本発明1034]
初代T細胞が、健康な対象に由来する、本発明1001~1030のいずれかの方法。
[本発明1035]
生体試料が、CD4+およびCD8+細胞を含む、本発明1001~1034のいずれかの方法。
[本発明1036]
CD57+ T細胞を除去することが、免疫親和性に基づく選択を含む、本発明1001~1035のいずれかの方法。
[本発明1037]
免疫親和性に基づく選択が、CD57に特異的に結合することができる抗体と細胞を接触させ、抗体に結合していない細胞を回収することを含み、それにより、陰性選択がもたらされ、
回収された細胞は、CD57+細胞が枯渇されている、
本発明1036の方法。
[本発明1038]
任意で、第1、第2、および/または第3の選択において、細胞を濃縮することが、免疫親和性に基づく選択を含む、本発明1001~1037のいずれかの方法。
[本発明1039]
第1、第2、および/または第3の選択により、CD4またはCD8 T細胞が濃縮され、
免疫親和性に基づく選択が、それぞれCD4またはCD8に特異的に結合することができる抗体と細胞を接触させ、抗体に結合した細胞を回収することによって行われ、それにより、陽性選択がもたらされ、
回収された細胞は、CD4+細胞またはCD8+細胞が濃縮されている、
本発明1038の方法。
[本発明1040]
前記選択により、CD3 T細胞が濃縮され、
免疫親和性に基づく選択が、CD3に特異的に結合することができる抗体と細胞を接触させ、抗体に結合した細胞を回収することによって行われ、それにより、陽性選択がもたらされ、
回収された細胞は、CD3+細胞が濃縮されている、
本発明1039の方法。
[本発明1041]
抗体が、固体表面に固定化されており、任意で、固体表面が磁性粒子である、本発明1037~1040のいずれかの方法。
[本発明1042]
抗体が、アフィニティークロマトグラフィーマトリックスに固定化されているか、またはそこに付着している、本発明1037~1040のいずれかの方法。
[本発明1043]
抗体が、マトリックスに固定化された結合試薬と可逆的結合を形成することができる1つまたは複数の結合パートナーをさらに含み、それによって、接触の間に抗体がクロマトグラフィーマトリックスに可逆的に結合される、本発明1042の方法。
[本発明1044]
結合試薬が、結合パートナーに可逆的に結合するストレプトアビジンムテインである、本発明1043の方法。
[本発明1045]
ストレプトアビジンムテインが、SEQ ID NO:66に示されるアミノ酸配列のストレプトアビジンにおける位置に関して44~47位に対応する配列位置にアミノ酸配列Ile 44 -Gly 45 -Ala 46 -Arg 47 を含むか、または
ストレプトアビジンムテインが、SEQ ID NO:66に示されるアミノ酸配列のストレプトアビジンにおける位置に関して44~47位に対応する配列位置にアミノ酸配列Va1 44 -Thr 45 -Ala 46 -Arg 47 を含む、
本発明1044の方法。
[本発明1046]
結合パートナーがストレプトアビジン結合ペプチドである、本発明1043~1045のいずれかの方法。
[本発明1047]
ストレプトアビジン結合ペプチドが、
からなる群より選択される、本発明1046の方法。
[本発明1048]
ストレプトアビジン結合ペプチドが、配列
を有する、本発明1046または本発明1047の方法。
[本発明1049]
試料中の細胞をアフィニティークロマトグラフィーマトリックスに接触させた後、競合試薬を適用して結合パートナーと結合試薬との間の結合を破壊し、それにより、抗体に結合した細胞を回収する工程
をさらに含む、本発明1043~1048のいずれかの方法。
[本発明1050]
競合試薬が、ビオチンまたはビオチン類似体である、本発明1049の方法。
[本発明1051]
クロマトグラフィーマトリックスが、カラムである分離管に充填されている、本発明1042~1050のいずれかの方法。
[本発明1052]
初代T細胞を含む生体試料が、凍結保護物質と製剤化された試料である、本発明1001~1051のいずれかの方法。
[本発明1053]
アフェレーシスまたは白血球アフェレーシス試料が、凍結保護物質と製剤化された試料である、本発明1006~1052のいずれかの方法。
[本発明1054]
インプット組成物のT細胞を刺激条件下でインキュベートし、それにより、T細胞の刺激された集団を生成する工程を含む、T細胞を刺激するための方法であって、
インプット組成物が、本発明1001~1053のいずれかの方法によって製造される、
方法。
[本発明1055]
インプット組成物が、以下:
(i)5%未満または約5%未満のCD57+ T細胞;
(ii)少なくとも95%または少なくとも約95%のCD57- T細胞;
(iii)少なくとも90%または少なくとも約90%のCD57-CD4+ T細胞;
(iv)少なくとも90%または少なくとも約90%のCD57-CD8+ T細胞;および
(v)少なくとも約90%または約90%のCD57-CD3+ T細胞
のうち少なくとも1つを含む、本発明1054の方法。
[本発明1056]
インプット組成物のT細胞を刺激条件下でインキュベートし、それにより、T細胞の刺激された集団を生成する工程を含む、T細胞を刺激するための方法であって、
インプット組成物が、以下:
(i)5%未満または約5%未満のCD57+ T細胞
(ii)少なくとも95%または少なくとも約95%のCD57- T細胞;
(iii)少なくとも90%または少なくとも約90%のCD57-CD4+ T細胞;
(iv)少なくとも90%または少なくとも約90%のCD57-CD8+ T細胞;および
(v)少なくとも90%または少なくとも約90%のCD57-CD3+ T細胞
のうち少なくとも1つを含む、方法。
[本発明1057]
刺激条件が、刺激試薬の存在を含み、刺激試薬が、TCR複合体の1つまたは複数の成分の1つまたは複数の細胞内シグナル伝達ドメインおよび1つまたは複数の共刺激分子の1つまたは複数の細胞内シグナル伝達ドメインを活性化することができる、本発明1056の方法。
[本発明1058]
刺激試薬が、
(i)TCR複合体のメンバーに特異的に結合する、任意でCD3に特異的に結合する、一次作用物質、および
(ii)T細胞共刺激分子に特異的に結合する二次作用物質であって、任意で、共刺激分子が、CD28、CD137(4-1-BB)、OX40、またはICOSより選択される、二次作用物質
を含む、本発明1057の方法。
[本発明1059]
一次作用物質および二次作用物質の少なくとも一方が、抗体またはその抗原結合断片を含む、本発明1058の方法。
[本発明1060]
一次作用物質が、抗CD3抗体またはその抗原結合断片であり、二次作用物質が、抗CD28抗体またはその抗原結合断片である、本発明1058または本発明1059の方法。
[本発明1061]
抗原結合断片が、Fab断片、Fv断片、および一本鎖Fv断片(scFv)からなる群より選択される一価抗体断片である、本発明1059または本発明1060の方法。
[本発明1062]
一次作用物質が抗CD3 Fabであり、二次作用物質が抗CD28 Fabを含む、本発明1058~1061のいずれかの方法。
[本発明1063]
一次作用物質および二次作用物質が、各々、固体支持体の表面に存在するかまたは付着している、本発明1058~1062のいずれかの方法。
[本発明1064]
固体支持体が、ビーズ、任意で常磁性ビーズであるかまたはそれを含む、本発明1063の方法。
[本発明1065]
固体支持体が、表面に付着した抗CD3および抗CD28抗体を有する常磁性ビーズであり、刺激試薬が、約3:1未満または約3:1のビーズ対細胞の比で存在する、本発明1064の方法。
[本発明1066]
刺激試薬が、1:1または約1:1のビーズ対細胞の比で存在する、本発明1065の方法。
[本発明1067]
一次作用物質および二次作用物質が、複数のストレプトアビジン分子またはストレプトアビジンムテイン分子を含むオリゴマー粒子試薬の表面に可逆的に結合されている、本発明1058~1062のいずれかの方法。
[本発明1068]
ストレプトアビジン分子またはストレプトアビジンムテイン分子が、ビオチン、アビジン、ビオチン類似体もしくはビオチンムテイン、アビジン類似体もしくはアビジンムテイン、および/またはそれらの生物学的に活性な断片に結合するかまたは結合することができる、本発明1067の方法。
[本発明1069]
ストレプトアビジンムテイン分子が、SEQ ID NO:66に示されるアミノ酸配列に関して残基44~47に対応するアミノ酸残基にアミノ酸配列Val 44 -Thr 45 -Ala 46 -Arg 47 またはIle 44 -Gly 45 -Ala 46 -Arg 47 を含む、本発明1067または本発明1068の方法。
[本発明1070]
ストレプトアビジンムテイン分子が、
(a)SEQ ID NO:70~73、78、85~89のいずれかに示されるアミノ酸配列;
(b)SEQ ID NO:70~73、78、85~89のいずれかと少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれ以上、または約85%、86%、87%、88%、89%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれ以上の配列同一性を示し、かつVal 44 -Thr 45 -Ala 46 -Arg 47 もしくはIle 44 -Gly 45 -Ala 46 -Arg 47 に対応するアミノ酸配列を含有し、かつ/またはビオチン、ビオチン類似体、もしくはストレプトアビジン結合ペプチドに可逆的に結合する、アミノ酸配列;あるいは
(c)ビオチン、ビオチン類似体またはストレプトアビジン結合ペプチドに可逆的に結合する、(a)または(b)の機能的断片
を含む、本発明1067~1069のいずれかの方法。
[本発明1071]
ストレプトアビジンムテイン分子が、SEQ ID NO:73に示されるアミノ酸配列を含む、本発明1067~1070のいずれかの方法。
[本発明1072]
ストレプトアビジンムテイン分子が、SEQ ID NO:78に示されるアミノ酸配列を含む、本発明1067~1070のいずれかの方法。
[本発明1073]
一次作用物質および二次作用物質が、各々、ストレプトアビジン結合ペプチドを含む、本発明1067~1072のいずれかの方法。
[本発明1074]
ストレプトアビジン結合ペプチドが、
からなる群より選択される、本発明1073の方法。
[本発明1075]
一次作用物質が抗CD3 Fabを含み、二次作用物質が抗CD28 Fabを含む、本発明1067~1074のいずれかの方法。
[本発明1076]
オリゴマー粒子試薬が、約60nm超もしくは約60nm、約70nm超もしくは約70nm、約80nm超もしくは約80nm、または約90nm超もしくは約90nmの半径を含む、本発明1067~1075のいずれかの方法。
[本発明1077]
オリゴマー粒子試薬が、少なくとも約5×10 7 g/molもしくは約5×10 7 g/molまたは少なくとも約1×10 8 g/molもしくは約1×10 8 g/mol;または5×10 7 g/mol~5×10 8 g/mol、1×10 8 g/mol~5×10 8 g/mol、または1×10 8 g/mol~2×10 8 g/mol(各々両端の値を含む)の分子量を含む、本発明1067~1076のいずれかの方法。
[本発明1078]
オリゴマー粒子試薬が、少なくとも約500個もしくは約500個のストレプトアビジンもしくはストレプトアビジンムテイン四量体、少なくとも約1,000個もしくは約1,000個のストレプトアビジンもしくはストレプトアビジンムテイン四量体、少なくとも約1,500個もしくは約1,500個のストレプトアビジンもしくはストレプトアビジンムテイン四量体、または少なくとも約2,000個もしくは約2,000個のストレプトアビジンもしくはストレプトアビジンムテイン四量体;または1,000個~20,000個のストレプトアビジンもしくはストレプトアビジンムテイン四量体、1,000個~10,000個のストレプトアビジンもしくはストレプトアビジンムテイン四量体、または2,000個~5,000個のストレプトアビジンもしくはストレプトアビジンムテイン四量体を含む、本発明1067~1077のいずれかの方法。
[本発明1079]
細胞から刺激試薬を分離する工程をさらに含む方法であって、
分離する工程が、細胞を物質と接触させることを含み、該物質が、一次作用物質および二次作用物質と、オリゴマー粒子試薬との間の結合を解消する(reverse)ことができる、
本発明1061~1078のいずれかの方法。
[本発明1080]
前記物質が、遊離結合パートナーであり、かつ/または競合作用物質である、本発明1079の方法。
[本発明1081]
前記物質が、ストレプトアビジン結合ペプチド、ビオチンもしくはその生物学的に活性な断片、またはビオチン類似体もしくはその生物学的に活性な断片であるかまたはそれを含む、本発明1079または本発明1080の方法。
[本発明1082]
前記物質が、ビオチンまたはビオチン類似体であるかまたはそれを含む、本発明1081の方法。
[本発明1083]
刺激条件が、1つまたは複数の組み換えサイトカインの存在を含む、本発明1056~1082のいずれかの方法。
[本発明1084]
刺激条件が、組み換えIL-2、IL-7、およびIL-15のうち1つまたは複数の存在を含む、本発明1056~1083のいずれかの方法。
[本発明1085]
組み換え受容体をコードする異種ポリヌクレオチドを、本発明1001~1053のいずれかの方法によって製造されたT細胞組成物からのT細胞の集団に導入し、それにより、T細胞の操作された集団を生成する工程
を含む、T細胞を遺伝子操作する方法。
[本発明1086]
組み換え受容体をコードする異種ポリヌクレオチドを、本発明1054~1084のいずれかの刺激されたT細胞集団からのT細胞の集団に導入し、それにより、T細胞の操作された集団を生成する工程
を含む、T細胞を遺伝子操作する方法。
[本発明1087]
導入する工程が、異種ポリヌクレオチドを含むウイルスベクターを用いた形質導入を含む、本発明1085または本発明1086の方法。
[本発明1088]
ウイルスベクターが、ガンマレトロウイルスベクターまたはレンチウイルスベクターである、本発明1087の方法。
[本発明1089]
ウイルスベクターがレンチウイルスベクターである、本発明1087または本発明1088の方法。
[本発明1090]
導入する工程の後に、形質導入された細胞を含む組成物を最大96時間、任意で37°±2℃または約37°±2℃の温度でインキュベートする工程
をさらに含む、本発明1085~1089のいずれかの方法。
[本発明1091]
導入する工程の後に、インキュベートする工程が、最大72時間実施される、本発明1090の方法。
[本発明1092]
導入する工程の後に、インキュベートする工程が、最大48時間実施される、本発明1090の方法。
[本発明1093]
導入する工程の後に、インキュベートする工程が、最大24時間実施される、本発明1090の方法。
[本発明1094]
インキュベートする工程が、結果としてT細胞のゲノムへのウイルスベクターの組み込みを生じさせる、本発明1090~1093のいずれかの方法。
[本発明1095]
操作された集団の細胞を、操作された細胞の増殖または拡大増殖を促進する条件下で培養し、それにより、細胞の拡大増殖された集団を生成する工程
をさらに含む、本発明1085~1094のいずれかの方法。
[本発明1096]
培養する工程が、任意で、IL-2、IL-7、およびIL-15のうち1つまたは複数を含む、1つまたは複数の組み換えサイトカインの存在下で実施される、本発明1095の方法。
[本発明1097]
増殖または拡大増殖が結果として、培養開始時と比較して、異種ポリヌクレオチドを含む生存T細胞数において、約2倍、3倍、4倍、5倍、もしくは少なくとも2倍、3倍、4倍、5倍、もしくは少なくとも約2倍、3倍、4倍、5倍、または5倍を超えるもしくは約5倍を超える増加を生じる、本発明1095または本発明1096の方法。
[本発明1098]
該方法によって生成される細胞の集団を採取または収集する工程をさらに含む、本発明1001~1097のいずれかの方法。
[本発明1099]
採取または収集する工程が、凍結保護物質の存在下での凍結保護のために細胞を製剤化することをさらに含む、本発明1098の方法。
[本発明1100]
採取または収集された細胞が、薬学的に許容される賦形剤の存在下で製剤化される、本発明1098または本発明1099の方法。
[本発明1101]
組み換え受容体が、
疾患、障害、または状態の細胞または組織に関連する、それに特異的な、および/またはそこに発現される、標的抗原
に結合することができる、本発明1085~1100のいずれかの方法。
[本発明1102]
疾患、障害、または状態が、感染性疾患もしくは障害、自己免疫疾患、炎症性疾患、または腫瘍もしくはがんである、本発明1101の方法。
[本発明1103]
標的抗原が腫瘍抗原である、本発明1101または本発明1102の方法。
[本発明1104]
標的抗原が、αvβ6インテグリン(avb6インテグリン)、B細胞成熟抗原(BCMA)、B7-H3、B7-H6、炭酸脱水酵素9(CA9;CAIXもしくはG250としても知られる)、がん-精巣抗原、がん/精巣抗原1B(CTAG;NY-ESO-1およびLAGE-2としても知られる)、がん胎児性抗原(CEA)、サイクリン、サイクリンA2、C-Cモチーフケモカインリガンド1(CCL-1)、CD19、CD20、CD22、CD23、CD24、CD30、CD33、CD38、CD44、CD44v6、CD44v7/8、CD123、CD133、CD138、CD171、コンドロイチン硫酸プロテオグリカン4(CSPG4)、上皮成長因子タンパク質(EGFR)、III型上皮成長因子受容体変異(EGFR vIII)、上皮糖タンパク質2(EPG-2)、上皮糖タンパク質40(EPG-40)、エフリンB2、エフリン受容体A2(EPHa2)、エストロゲン受容体、Fc受容体様5(FCRL5;Fc受容体ホモログ5もしくはFCRH5としても知られる)、胎児アセチルコリン受容体(胎児AchR)、葉酸結合タンパク質(FBP)、葉酸受容体アルファ、ガングリオシドGD2、O-アセチル化GD2(OGD2)、ガングリオシドGD3、糖タンパク質100(gp100)、グリピカン-3(GPC3)、Gタンパク質共役受容体5D(GPRC5D)、Her2/neu(受容体チロシンキナーゼerb-B2)、Her3(erb-B3)、Her4(erb-B4)、erbB二量体、ヒト高分子量-黒色腫関連抗原(HMW-MAA)、B型肝炎表面抗原、ヒト白血球抗原A1(HLA-A1)、ヒト白血球抗原A2(HLA-A2)、IL-22受容体アルファ(IL-22Rα)、IL-13受容体アルファ2(IL-13Rα2)、キナーゼ挿入ドメイン受容体(kdr)、カッパ軽鎖、L1細胞接着分子(L1-CAM)、L1-CAMのCE7エピトープ、ロイチンリッチリピート含有8ファミリーメンバーA(LRRC8A)、Lewis Y、黒色腫関連抗原(MAGE)-A1、MAGE-A3、MAGE-A6、MAGE-A10、メソセリン(MSLN)、c-Met、マウスサイトメガロウイルス(CMV)、ムチン1(MUC1)、MUC16、ナチュラルキラーグループ2メンバーD(NKG2D)リガンド、メランA(MART-1)、神経細胞接着分子(NCAM)、がん胎児抗原、黒色腫優先発現抗原(PRAME)、プロゲステロン受容体、前立腺特異抗原、前立腺幹細胞抗原(PSCA)、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、受容体型チロシンキナーゼ様オーファン受容体1(ROR1)、サバイビン、栄養膜糖タンパク質(TPBG;5T4としても知られる)、腫瘍関連糖タンパク質72(TAG72)、チロシナーゼ関連タンパク質1(TRP1;TYRP1もしくはgp75としても知られる)、チロシナーゼ関連タンパク質2(TRP2;ドパクロムトートメラーゼ、ドパクロムデルタ-イソメラーゼもしくはDCTとしても知られる)、血管内皮成長因子受容体(VEGFR)、血管内皮成長因子受容体2(VEGFR2)、ウィルムス腫瘍1(WT-1)、病原体特異的もしくは病原体発現抗原、またはユニバーサルタグに関連する抗原、および/またはビオチン化分子、および/またはHIV、HCV、HBV、もしくは他の病原体によって発現される分子の中より選択される、本発明1101~1103のいずれかの方法。
[本発明1105]
組み換え受容体が、機能的非TCR抗原受容体もしくはTCRまたはそれらの抗原結合断片であるかまたはそれを含む、本発明1101~1103のいずれかの方法。
[本発明1106]
組み換え受容体がキメラ抗原受容体(CAR)である、本発明1101~1104のいずれかの方法。
[本発明1107]
組み換え受容体が、
抗原結合ドメイン、スペーサー、および/もしくはヒンジ領域を含む、細胞外ドメイン、
膜貫通ドメイン、ならびに
共刺激シグナル伝達領域を含む細胞内シグナル伝達ドメイン
を含む、本発明1101~1106のいずれかの方法。
[本発明1108]
細胞外ドメインが、scFvを含む抗原結合ドメインを含む、本発明1107の方法。
[本発明1109]
細胞内シグナル伝達ドメインが、一次シグナル伝達ドメイン、T細胞内で一次活性化シグナルを誘導することができるシグナル伝達ドメイン、T細胞受容体(TCR)成分のシグナル伝達ドメイン、および/または免疫受容活性化チロシンモチーフ(ITAM)を含むシグナル伝達ドメインであるかまたはそれを含む、本発明1107または本発明1108の方法。
[本発明1110]
細胞内シグナル伝達ドメインが、CD3鎖、任意でCD3-ゼータ(CD3ζ)鎖の細胞内シグナル伝達ドメインまたはそのシグナル伝達部分であるかまたはそれを含む、本発明1107~1109のいずれかの方法。
[本発明1111]
共刺激シグナル伝達領域が、CD28、4-1BB、もしくはICOSの細胞内シグナル伝達ドメインまたはそれらのシグナル伝達部分を含む、本発明1107~1110のいずれかの方法。
[本発明1112]
本発明1001~1053のいずれかの方法によって製造される、細胞の組成物。
[本発明1113]
細胞が、CD57-CD4+ T細胞を含む、本発明1112の組成物。
[本発明1114]
細胞が、CD57-CD8+ T細胞を含む、本発明1112の組成物。
[本発明1115]
細胞が、CD57-CD3+ T細胞を含む、本発明1112の組成物。
[本発明1116]
本発明1085~1111のいずれかの方法によって製造されるT細胞の操作された集団を含む、組成物。
[本発明1117]
組み換え受容体を発現しているCD4+ T細胞と、組み換え受容体を発現しているCD8+ T細胞とを含む、治療用T細胞組成物であって、組成物中の総受容体 + /CD8 + 細胞の少なくとも80%がCD57-であり、組成物中の総受容体 + /CD4 + 細胞の少なくとも80%がCD57-である、治療用T細胞組成物。
[本発明1118]
前記組成物中の細胞の少なくとも80%もしくは少なくとも約80%、少なくとも85%もしくは少なくとも約85%、少なくとも90%もしくは少なくとも約90%、少なくとも95%もしくは少なくとも約95%、少なくとも96%もしくは少なくとも約96%、少なくとも97%もしくは少なくとも約97%、少なくとも98%もしくは少なくとも約98%、少なくとも99%もしくは少なくとも約99%、約100%、または100%が、CD4+ T細胞およびCD8+ T細胞である、本発明1117の治療用T細胞組成物。
[本発明1119]
前記組成物中の総受容体 + /CD3 + 細胞の少なくとも80%がCD57-である、組み換え受容体を発現しているCD3+ T細胞を含む治療用T細胞組成物。
[本発明1120]
前記組成物中の細胞の少なくとも80%もしくは少なくとも約80%、少なくとも85%もしくは少なくとも約85%、少なくとも90%もしくは少なくとも約90%、少なくとも95%もしくは少なくとも約95%、少なくとも96%もしくは少なくとも約96%、少なくとも97%もしくは少なくとも約97%、少なくとも98%もしくは少なくとも約98%、少なくとも99%もしくは少なくとも約99%、約100%、または100%がCD3+ T細胞である、本発明1119の治療用T細胞組成物。
[本発明1121]
前記組成物中の受容体+/CD4+ T細胞対受容体+/CD8+ T細胞の比が、約1:3~約3:1である、本発明1117~1120のいずれかの治療用T細胞組成物。
[本発明1122]
前記組成物中の受容体+/CD4+ T細胞対受容体+/CD8+ T細胞の比が、1:1または約1:1である、本発明1117~1121のいずれかの治療用T細胞組成物。
[本発明1123]
組み換えタンパク質が、
疾患、障害、または状態の細胞または組織に関連する、それに特異的な、および/またはそれに発現される、標的タンパク質
に結合することができる組み換え受容体であるか、またはそれを含む、本発明1117~1122のいずれかの治療用組成物。
[本発明1124]
組み換えタンパク質がキメラ抗原受容体(CAR)である、本発明1117~1123のいずれかの治療用組成物。
[本発明1125]
前記組成物中の生存T細胞の数が、10×10 6 個もしくは約10×10 6 個から、200×10 6 個もしくは約200×10 6 個であり、任意で、組成物中の生存T細胞の数が、10×10 6 個もしくは約10×10 6 個から、100×10 6 個もしくは約100×10 6 個、10×10 6 個もしくは約10×10 6 個から、70×10 6 個もしくは約70×10 6 個、10×10 6 個もしくは約10×10 6 個から、50×10 6 個もしくは約50×10 6 個、50×10 6 個もしくは約50×10 6 個から、200×10 6 個もしくは約200×10 6 個、50×10 6 個もしくは約50×10 6 個から、100×10 6 個もしくは約100×10 6 個、50×10 6 個もしくは約50×10 6 個から、70×10 6 個もしくは約70×10 6 個、70×10 6 個もしくは約70×10 6 個から、200×10 6 個もしくは約200×10 6 個、70×10 6 個もしくは約70×10 6 個から、100×10 6 個もしくは約100×10 6 個、または100×10 6 個もしくは約100×10 6 個から、200×10 6 個もしくは約200×10 6 個(各々両端の値を含む)である、本発明1117~1124のいずれかの治療用組成物。
[本発明1126]
前記組成物の体積が、1.0mL~10mL(両端の値を含む)、任意で、2mLもしくは約2mL、3mLもしくは約3mL、4mLもしくは約4mL、5mLもしくは約5mL、6mLもしくは約6mL、7mLもしくは約7mL、8mLもしくは約8mL、9mLもしくは約9mL、または10mLもしくは約10mL、または前述のいずれかの間の任意の値である、本発明1117~1125のいずれかの治療用組成物。
[本発明1127]
本発明1085~1111のいずれかの方法によって作製されるT細胞の操作された集団からのT細胞の用量を対象に投与する工程を含む、疾患、障害、または状態を有するかまたは有する疑いがある対象を処置する方法。
[本発明1128]
本発明1112~1126のいずれかの組成物からのT細胞の用量を対象に投与する工程を含む、疾患、障害、または状態を有するかまたは有する疑いがある対象を処置する方法。
[本発明1129]
組み換え受容体、任意でCARが、疾患または状態に関連するかまたは疾患または状態の細胞に発現されるかもしくは存在する抗原を、特異的に認識するかまたはそれに特異的に結合する、本発明1127または本発明1128の方法。
[本発明1130]
T細胞の用量が、5×10 6 個または約5×10 6 個から、1.5×10 8 個または約1.5×10 8 個の組み換え受容体発現T細胞、5×10 6 個または約5×10 6 個から、1×10 8 個または約1×10 8 個の組み換え受容体発現T細胞、5×10 6 個または約5×10 6 個から、50×10 6 個または約50×10 6 個の組み換え受容体発現T細胞、5×10 6 個または約5×10 6 個から、25×10 6 個または約25×10 6 個の組み換え受容体発現T細胞、5×10 6 個または約5×10 6 個から、10×10 6 個または約10×10 6 個の組み換え受容体発現T細胞、10×10 6 個または約10×10 6 個から、1.5×10 8 個または約1.5×10 8 個の組み換え受容体発現T細胞、10×10 6 個または約10×10 6 個から、1×10 8 個または約1×10 8 個の組み換え受容体発現T細胞、10×10 6 個または約10×10 6 個から、50×10 6 個または約50×10 6 個の組み換え受容体発現T細胞、10×10 6 個または約10×10 6 個から、25×10 6 個または約25×10 6 個の組み換え受容体発現T細胞、25×10 6 個または約25×10 6 個から、1.5×10 8 個または約1.5×10 8 個の組み換え受容体発現T細胞、25×10 6 個または約25×10 6 個から、1×10 8 個または約1×10 8 個の組み換え受容体発現T細胞、25×10 6 個または約25×10 6 個から、50×10 6 個または約50×10 6 個の組み換え受容体発現T細胞、50×10 6 個または約50×10 6 個から、1.5×10 8 個または約1.5×10 8 個の組み換え受容体発現T細胞、50×10 6 個または約50×10 6 個から、1×10 8 個または約1×10 8 個の組み換え受容体発現T細胞、1×10 8 個または約1×10 8 個から、1.5×10 8 個または約1.5×10 8 個の組み換え受容体発現T細胞(各々両端の値を含む)を含む、本発明1127~1129のいずれかの方法。
[本発明1131]
T細胞の用量のT細胞が、総T細胞、総生存T細胞、総生存組み換え受容体発現T細胞、総生存組み換え受容体発現CD4+ T細胞、または総生存組み換え受容体発現CD8+ T細胞である、本発明1127~1130のいずれかの方法。
[本発明1132]
T細胞の用量が、処置されている対象に対して同種である、本発明1127~1131のいずれかの方法。
[本発明1133]
T細胞の用量が、処置されている対象に対して自家である、本発明1127~1131のいずれかの方法。
[本発明1134]
疾患または状態ががんである、本発明1127~1133のいずれかの方法。
[本発明1135]
対象における疾患、障害、または状態の処置のための、本発明1085~1111のいずれかの方法によって作製される操作されたT細胞の集団または本発明1112~1126のいずれかの組成物の使用。
[本発明1136]
対象における疾患、障害、または状態の処置のための医薬の製造のための、本発明1085~1111のいずれかの方法によって作製される操作されたT細胞の集団の使用。
[本発明1137]
対象における疾患、障害、または状態の処置における使用のための、本発明1112~1126のいずれかの組成物。
[本発明1138]
組み換え受容体、任意でCARが、疾患または状態に関連するかまたは疾患または状態の細胞に発現されるかもしくは存在する抗原を、特異的に認識するかまたはそれに特異的に結合する、本発明1135~1137のいずれかの使用または使用のための組成物。
[本発明1139]
疾患または状態ががんである、本発明1135~1138のいずれかの使用または使用のための組成物。
[本発明1140]
対象に対して自家である、本発明1135~1139のいずれかの使用または使用のための組成物。
[本発明1141]
対象に対して同種である、本発明1135~1140のいずれかの使用または使用のための組成物。
[本発明1142]
(i)CD57と、CD3、CD4、および/またはCD8のうち1つまたは複数とに特異的な細胞の免疫親和性に基づく選択のための1つまたは複数の試薬;ならびに
(ii)本発明1001~1141のいずれかの方法を行うための1つまたは複数の試薬の使用のための指示書
を含む、製造物品。
[本発明1143]
(i)CD57と、CD3、CD4、および/またはCD8のうち1つまたは複数とに特異的な細胞の免疫親和性に基づく選択のための1つまたは複数の試薬;
(ii)TCR複合体の1つまたは複数の成分の1つまたは複数の細胞内シグナル伝達ドメインおよび1つまたは複数の共刺激分子の1つまたは複数の細胞内シグナル伝達ドメインを活性化することができる1つまたは複数の刺激試薬;ならびに
(iii)本発明1001~1141のいずれかの方法を行うための1つまたは複数の試薬の使用のための指示書
を含む、製造物品。
[本発明1144]
免疫親和性に基づく選択のための試薬が、CD57、CD3、CD4、またはCD8に特異的に結合することができる抗体であるかまたはそれを含む、本発明1142または本発明1143の製造物品。
[本発明1145]
免疫親和性に基づく選択のための試薬が、CD57に特異的に結合することができる抗体であるかまたはそれを含む、本発明1142~1144のいずれかの製造物品。
[本発明1146]
抗体が、磁性粒子に固定化されている、本発明1145の製造物品。
[本発明1147]
抗体が、アフィニティークロマトグラフィーマトリックスに固定化されているかまたは付着している、本発明1145の製造物品。
[本発明1148]
刺激試薬が、
(i)TCR複合体のメンバーに特異的に結合する、任意でCD3に特異的に結合する、一次作用物質、および
(ii)T細胞共刺激分子に特異的に結合する二次作用物質であって、任意で、共刺激分子が、CD28、CD137(4-1-BB)、OX40、またはICOSより選択される、二次作用物質
を含む、本発明1143~1147のいずれかの製造物品。
[本発明1149]
一次作用物質および二次作用物質の一方または両方が、抗体またはその抗原結合断片を含む、本発明1148の製造物品。
[本発明1150]
一次作用物質および二次作用物質が、抗体を含み、任意で、刺激試薬が、抗CD3抗体またはその抗原結合断片および抗CD28抗体またはその抗原結合断片とのインキュベーションを含む、本発明1148または本発明1149の製造物品。
[本発明1151]
一次作用物質および二次作用物質が、固体支持体の表面に存在するかまたは付着している、本発明1148~1150のいずれかの製造物品。
[本発明1152]
固体支持体が、ビーズ、任意で常磁性ビーズであるかまたはそれを含む、本発明1151の製造物品。
[本発明1153]
一次作用物質および二次作用物質が、複数のストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン分子を含むオリゴマー粒子試薬の表面に可逆的に結合されている、本発明1148~1152のいずれかの製造物品。
[本発明1154]
(i)本発明1112~1126のいずれかの組成物;および
(ii)対象に組成物を投与するための指示書
を含む、製造物品。
【図面の簡単な説明】
【0114】
図1図1A~1Dは、初代ヒトT細胞のための例示的な製造プロセス、または細胞の形質導入を行わない類似のプロセスにおける刺激の開始後約240時間にわたり7人の異なるドナー(ドナーA~G)から得られたCD8+ T細胞の中の総細胞数(図1A)、拡大増殖の倍率(図1B)、生存率(図1C)およびKi-67+細胞の率(細胞周期の進入に関連するマーカー;図1D)を示す。
図2図2Aは、初代ヒトT細胞のための例示的なプロセスにおける刺激の開始後約216時間にわたる様々な時点でのCD57およびKi-67発現についてのフローサイトメトリー分析を示す。図2Bは、3人の異なるドナー(ドナーA~C)における刺激および培養の間の細胞集団におけるCD57+細胞のパーセンテージを示す。図2Cは、刺激および培養の間の細胞集団におけるCD57+細胞またはCD57-細胞の間のKi-67+細胞のパーセンテージを示す。図2Dは、3人の異なるドナー(ドナーA~C)における刺激および培養の間のCD4+細胞集団中のCD57+細胞のパーセンテージを示す。図2Eは、刺激後のドナー細胞組成物からの細胞上のCD57およびKi67の発現を経時的に示す。1つのドナー細胞組成物の細胞は、採取基準に到達するまでに8日を要した(「採取まで8d」)一方で、その他のドナー細胞組成物の細胞は、採取基準に到達するまでに7日だけを要した(「採取まで7d」)。図2Fは、図2Eに記載されるドナー細胞組成物からの細胞上のCD45RAおよびCD27の発現を示す。
図3図3Aは、初代ヒトT細胞のための例示的なプロセスにおける刺激および培養の間の細胞集団中のCD57+細胞およびCD57-細胞の間のCD69およびCD25の発現(活性化に関連するマーカー)についてのフローサイトメトリー分析を示す。図3Bおよび3Cは、T細胞分化表現型(例えば、ナイーブ様T細胞、エフェクターT(TEFF)細胞、メモリーT細胞、セントラルメモリーT細胞(TCM)、エフェクターメモリーT(TEM)細胞、エフェクターメモリーRA T(TEMRA)細胞)に関連する様々な表面マーカーの発現、およびCD57(図3B)またはKi-67(図3C)の発現についての階層的クラスタリング分析を示す。各々の行は、個別のドナーからの細胞集団を表し、列は、T細胞分化表現型に関連するマーカーまたはマーカーの組み合わせを表す。
図4図4Aは、CD57+細胞とCD57-細胞との混合物を以下の頻度:(1)100%のCD57+細胞;(2)75%のCD57+細胞;(3)25%のCD57+細胞;および(4)0%のCD57+細胞で含有する用量設定された細胞組成物について例示的な製造プロセスにおいて刺激の開始後約240時間にわたる総細胞数および生存している細胞のパーセンテージを示す。例示的な採取基準を表示する。図4Bは、用量設定された細胞組成物の刺激および培養における、刺激試薬の存在下での細胞クラスタリングを示す、刺激の開始の48時間後での細胞培養ウェルの画像を示す。図4Cは、用量設定された細胞組成物の刺激および培養における、刺激の開始の12および48時間後での培養培地中に存在するIL-2の量(μg/mL)を示す。
図5図5Aおよび5Bは、CD57+ T細胞(図5A)、CD27+CD28+ T細胞(図5B)のパーセンテージを示す。図5Cは、CD57+細胞が枯渇されなかった(非枯渇)、またはCD57+細胞が枯渇された(枯渇)、4つのドナー細胞組成物についてのCD27の発現を示す。図5Dは、枯渇されたおよび枯渇されなかったCD3+細胞組成物におけるKi67発現を示す。図5Eは、CD57+細胞が枯渇された(枯渇)またはCD57+細胞が枯渇されなかった(非枯渇)、対象から得られた初代CD8+細胞についての採取までの培養持続時間(刺激の開始から採取基準に到達した時点まで)を示す。図5Fは、刺激後の枯渇および非枯渇細胞組成物中の経時的なT細胞の総数を示す。図5Gは、枯渇および非枯渇細胞組成物における形質導入後のキメラ抗原受容体(CAR)を発現している細胞のパーセンテージを示す。
図6図6Aは、例示的な製造プロセスを用いて、キメラ抗原受容体(CAR)を発現するように細胞を操作するための、非ホジキンリンパ腫(NHL)患者から得られたCD4+およびCD8+ T細胞におけるCD57+ T細胞のパーセンテージを示す箱ひげ図を示す。箱は四分位範囲を表し、ひげは、データセットの全域を表す。図6Bは、NHL患者から得られた様々な細胞集団中のCD57+CD8+細胞のパーセンテージとKi-67+細胞のパーセンテージとの間の関係を示す。図6Cは、T細胞分化表現型(例えば、ナイーブ様T細胞、エフェクターT(TEFF)細胞、メモリーT細胞、セントラルメモリーT細胞(TCM)、ターミナルエフェクター細胞)に関連する様々な表面マーカーの発現、およびNHL患者から得られた細胞集団中のCD57の発現についての階層的クラスタリング分析を示す。各々の行は、個別の患者を表し、列は、T細胞分化表現型に関連するマーカーまたはマーカーの組み合わせを表す。図6Dは、CD27およびCD45RAの発現状態によって群分けされた細胞集団のサブセット中のKi67を発現している生きたCD57+細胞のパーセンテージを示す。図6Eは、CD27およびCD45RAの発現によってソートされた細胞集団のサブセット中の生きたCD8+CD57+細胞のパーセンテージ(上の欄)、ならびにCD27およびCD45RAの発現によってソートされた細胞集団のサブセット中の生きたCD4+CD57+細胞のパーセンテージ(下の欄)を示す。
図7】治療用アウトプットT細胞組成物(例えば、医薬品)中のセントラルメモリー/ナイーブ様CD4+ T細胞のパーセンテージと、採取基準を達成するための集団倍加数との間の関係を示す(Spearman ρ:-0.54;p値:<0.001)。治療用アウトプットT細胞組成物(例えば、医薬品)中のCD8+ T細胞について類似の結果が観察された。
図8図8Aは、作製プロセスの拡大増殖工程の間の高(細胞0.35×10^6個/mL)および低(細胞0.05×10^6個/mL)播種密度についての採取基準に到達するまでの集団倍加数を示す。図8Bは、作製プロセスの拡大増殖工程の間の播種密度の関数としてのアウトプット治療用組成物中のCD27+CAR+CD8+ T細胞のパーセンテージを示す。図8Cは、アウトプットT細胞組成物中のセントラルメモリーT細胞の量に及ぼすプロセス持続期間の影響を示す。
図9図9A~9Dは、ある特定の閾値レベルを超えるまたは下回る、CD4+ CAR+ T細胞の中(無増悪生存期間について図9A、奏効持続期間について図9C)およびCD8+ CAR+ T細胞の中(無増悪生存期間について図9B、奏効持続期間について図9D)のCCR7+CD27+ CAR+ T細胞のパーセンテージを含有する組成物を投与された群に分けられた、CAR+ T細胞組成物を投与された対象についてのKaplan-Meier生存曲線を示す。
図10】CD8+/CAR+ T細胞における「高い」または「低い」集団倍加数(PDL)を有する患者についての最適スプリット(optimal-split)ログランク検定に基づくPFS曲線を示す。低いPDLは<6のPDLを指し、>6のPDLは高いPDLを指す。
図11】非ホジキンリンパ腫患者由来の濃縮されたCD4+(左欄)およびCD8+(右欄)インプット組成物中のCD27+CD28+ T細胞のパーセンテージを示す。
図12】濃縮されたCD4+インプット組成物中のエフェクターメモリーT細胞のパーセンテージと、採取基準を達成するために必要な集団倍加数との間の関係を示す(Spearman ρ:0.43;p値:<0.001)。濃縮されたCD8+インプット組成物について類似の結果が観察された。
図13図13A~Dは、様々な非拡大増殖および拡大増殖操作プロセスを含む製造運転の途中および後の総生存細胞(図13A)、生存率(図13B)、および表現型(図13Cおよび13D)を示す。
図14】様々な非拡大増殖および拡大増殖操作プロセスを含む製造運転の途中および後のCD4+およびCD8+細胞集団中のCD57+細胞のパーセンテージを示す。
【発明を実施するための形態】
【0115】
詳細な説明
例えば出発細胞材料または生体試料と比較して、減少したCD57+ T細胞頻度を有する細胞の試料、集団、または組成物を選択、単離、濃縮、刺激、活性化、遺伝子操作、または拡大増殖するためにとりわけ有用な方法および組成物が、本明細書に提供される。いくつかの局面では、例えば濃縮されたCD57- T細胞の集団、またはCD57+細胞が枯渇された集団を生成するために、生体試料からCD57+ T細胞を選択、単離、または除去することであるまたはそれを含む、T細胞を濃縮するための方法が、本明細書に提供される。いくつかの局面では、例えば濃縮されたCD57- T細胞の集団、またはCD57+ T細胞が枯渇された集団を生成するために、生体試料からCD57+ T細胞を選択、単離、または除去することであるまたはそれを含む、T細胞を濃縮するための方法が、本明細書に提供される。
【0116】
いくつかの局面では、CD57- T細胞の集団を、該集団の細胞を刺激条件下でインキュベートすることによって刺激するための方法が、本明細書に提供される。細胞、例えば濃縮されたCD57- T細胞の集団の細胞またはそれに由来する細胞に、異種ポリペプチドを導入することによってT細胞を遺伝子操作するための方法もまた、本明細書に提供される。
【0117】
特定の態様は、操作されたT細胞、例えば、キメラ抗原受容体(CAR)を発現している操作されたT細胞を生成するための既存の方法は、T細胞の集団または組成物が増殖または拡大増殖する工程、ステージ、または期を含む場合がある。しかし、場合によっては、集団または組成物の一部は、いかなる増殖も拡大増殖も示さない場合があり、または場合によっては、ゆっくりと拡大増殖する場合があり、したがって操作プロセスを完了するために余分の日数を必要とする。
【0118】
いくつかの局面では、操作された細胞組成物を生成または製造するための既存の方法またはプロセスは、結果として製造プロセスに不均一性を生じる可能性がある。いくつかの局面では、メモリーT細胞に関連する表現型は、臨床アウトカムに影響する可能性がある(例えば、Fraietta et al., Nat Med. 2018; 24(5):563-571;およびLarson et al., Cancer Res. 2018; 78(13 Suppl):Abstract nr 960を参照されたい)。一部の場合では、初期メモリーT細胞表現型を示している細胞を濃縮することは、操作された細胞組成物の製造を改善することができる(例えば、Singh et al., Sci Trans Med. 2016; 8(320):320ra3を参照されたい)。
【0119】
提供される方法および組成物は、これらの問題に取り組むものである。提供される方法および組成物は、少なくとも一部には、例えば、T細胞を刺激または操作するためのプロセスの間に、細胞の集団、例えば、改善された、またはより迅速な増殖および拡大増殖を起こす、濃縮されたCD57- T細胞の集団に関する。CD57(HNK1およびLEU7としても知られる)は、TおよびNKリンパ球の表面に発現される場合があるベータ-1,3-グルクロニルトランスフェラーゼである。いくつかの局面では、CD57発現、例えば、表面発現は、TおよびNK細胞の成熟し、エフェクター分化した亜集団に関連する。いくつかの局面では、CD57発現は、ある特定の局面では、持続する増殖および細胞生存に影響することができる、共刺激受容体CD28およびCD27の発現を欠如するT細胞またはT細胞集団に対応する。特定の局面では、CD57発現は、より少ないまたは低下した増殖能力を有する細胞もまた特定する場合がある。いくつかの局面では、CD57+CD28-細胞集団は、CD57-細胞集団と比較して短いテロメア長および低下した増殖能力を示す場合がある(Strioga, Pasukoniene, & Characiejus, Immunol. (2011)に総説されている)。
【0120】
特定の態様は、遺伝子操作プロセスに使用される出発細胞材料からのCD57+ T細胞の頻度における減少が、より大きい増殖能力を有する細胞を濃縮すると考えている。いくつかの局面では、CD57+ T細胞の陰性選択は、拡大増殖する用意がより整った細胞を予備濃縮することによって製造の成功および医薬品の一貫性を改善する。さらには、いくつかの態様では、増加した増殖能力を示している細胞を有する細胞の集団または組成物を濃縮することは、エフェクター細胞の分化の程度を低下させる場合があり、そのことは、自家の設定における対象間または同種の設定でのバッチ間の標的産物プロファイル(CD27+、CCR7+ T細胞)の一貫性の改善を助けるはずである。
【0121】
いくつかの態様では、該方法は、代替的なプロセスよりも迅速で効率的であり得るやり方で、細胞療法に適した遺伝子操作された細胞を生成または作製するプロセスに関連して使用される。ある特定の態様では、本明細書に提供される方法は、代替的なプロセスから可能であり得るものよりも広い対象集団から操作された細胞の組成物を生成または製造することについての高い成功率を有する。したがって、いくつかの局面では、細胞療法のための操作された細胞を生成するための提供される方法の速さおよび効率は、いくつかの代替方法によって可能であり得るものよりも広い対象集団への、自家療法などの細胞療法処置のより容易な計画および調整を可能にする。いくつかの局面では、下流のプロセスにおける細胞集団の一貫性を改善することなどによって、CD57+細胞(例えばCD57+ T細胞)の枯渇が有利であると考えられている。例えば、CD57+細胞を枯渇させることは、より低いまたは低下した増殖能力を有する細胞を枯渇させる場合があり、その結果、枯渇された組成物は、細胞増殖速度に改善された一貫性を示したことが本明細書において観察されている。これに関係して、細胞増殖速度における一貫性を改善することは、細胞集団が採取基準に到達するのに必要な持続期間における一貫性を改善する場合がある。細胞集団にキメラ抗原受容体(CAR)をコードするベクターを形質導入する前に、CD57+細胞を枯渇させることが形質導入細胞のCAR発現における一貫性を改善し得ることが、本明細書において追加的に観察されている。
【0122】
いくつかの局面では、例えば、CD57+ T細胞を除去することまたは低い量のCD57+ T細胞についてスクリーニングすることによって、改善された増殖能力を有する受け入れドナー細胞を予備選択することは、細胞療法を生成するためのプロセスに使用される細胞数に、改善されたプロセス制御を提供することができる。ある特定の態様では、CD57の発現は、遅延したまたは不十分な成長を示す細胞を示すバイオマーカーとして役立つ場合がある。したがって、提供される態様のいくつかは、細胞を刺激、遺伝子操作、または拡大増殖するためのプロセスの前にCD57+細胞を選択的に除去するために1つまたは複数の選択試薬またはプロセス工程を利用する方法に関する。いくつかの局面では、そのような試薬およびプロセス工程は、CD8+およびCD4+選択戦略と共に使用される場合がある。例えば、いくつかの態様では、CD57+細胞の選択は、CD8+またはCD4+ 選択のための任意の工程の前に、細胞の試料、組成物、または集団からCD57+細胞を除去または枯渇させるために採用される。例えば、いくつかの態様では、CD57+ T細胞の選択は、CD8+またはCD4+選択のための任意の工程の前に、細胞の試料、組成物、または集団からCD57+ T細胞を除去または枯渇させ、それにより、CD57枯渇集団を生成するために採用される。いくつかの局面では、例えば、CD8+またはCD4+選択のための任意の工程の前に、陰性選択(陽性選択とは対照的に)によりCD57+細胞を枯渇させることが有利な場合がある。いくつかの局面では、例えば、CD8+またはCD4+選択のための任意の工程の前に、陰性選択によりCD57+細胞を枯渇させることは、CD57枯渇集団に、CD57選択工程に使用される1つまたは複数の試薬または溶液が混入している可能性を低下させる。
【0123】
いくつかの態様では、CD57+ T細胞の選択は、CD8+またはCD4+選択のための任意の工程の後に細胞の試料、組成物、または集団からCD57+ T細胞を除去または枯渇させるために採用される。いくつかの局面では、そのような試薬およびプロセス工程は、CD3+選択戦略と共に使用される場合がある。例えば、いくつかの態様では、CD57+ T細胞の選択は、CD3+選択のための任意の工程の前に細胞の試料、組成物、または集団からCD57+ T細胞を除去または枯渇させるために採用される。いくつかの態様では、CD57+ T細胞の選択は、CD3+選択のための任意の工程の後に細胞の試料、組成物、または集団からCD57+ T細胞を除去または枯渇させるために採用される。いくつかの態様では、CD57+細胞は、カラムの中などの、CD57+細胞と結合するCD57に対する磁気ビーズを用いて選択または除去され、次いで、カラム通過画分(未結合画分)は、CD57+を枯渇した細胞供給源、例えば、CD57- T細胞が濃縮された細胞の集団を含有する。いくつかの態様では、CD57+ T細胞は、カラムの中などの、CD57+ T細胞と結合するCD57に対する磁気ビーズを用いて選択または除去され、次いで、カラム通過画分(未結合画分)は、CD57+を枯渇した細胞供給源、例えば、CD57- T細胞が濃縮された細胞の集団を含有する。
【0124】
CD57+ T細胞は増殖する可能性が低いので、特定の態様は、ある期間の後、例えばプロセスの最初の48時間の後に、いくつかの既存のエクスビボT細胞活性化または拡大増殖プロトコルがCD57+ T細胞の存在を低下させる可能性があると考えている。いくつかの局面では、CD57+細胞(例えばCD57+ T細胞)は、そのようなプロセスの間に死滅するか、または強い拡大増殖ができる細胞のサブセットによりその頻度が減少するかのいずれかである。しかし、CD57+ T細胞の自然減少がそのようなプロセスの間に起こり得るのに対し、自然減少は、高い増殖能力を示すプロセスに入りつつある細胞(例えば、CD57-細胞)の量を制御しない。したがって、いくつかの局面では、CD57+細胞(例えばCD57+ T細胞)は生存しているが、あまり増殖しない細胞であるので、それらは、プロセスへの全体的な出発細胞数インプットに寄与する。したがって、いくつかの態様では、試料、組成物、または集団中のCD57+ T細胞を除去する、または低いCD57+ T細胞含量を実証する利点は、CD57- T細胞、例えば、増殖する能力を有する細胞が、受け入れ材料における少数集団を構成していないことを保証する。したがって、いくつかの態様では、CD57+ T細胞の小さい頻度または増殖している細胞の低下した割合を保証することは、操作プロセスの間のプロセス時間の延長、細胞分化の増加、および/または採取基準への不適合に関する発生率を低下させることもできる。
【0125】
いくつかの局面では、提供される態様は、細胞療法のための組み換え受容体発現T細胞を含有する組成物を生成するための製造プロセスのような、細胞を操作するためのプロセスの間に、多数の細胞が、抗CD3/抗CD8抗体の存在下での細胞のインキュベーションなどの刺激後に、CD25およびCD69を含むT細胞の刺激または活性化に関連するマーカーを発現またはアップレギュレーションするという観察に基づく。いくつかの局面では、Ki-67の発現に基づき示されるように、細胞のサブセットだけが細胞周期に入ることが観察されている。一部の場合では、Ki-67+細胞は、主として、CD27およびCD28を発現している細胞を含み、一方で、Ki67-集団は、CD57+細胞が濃縮されていることが観察され、CD27-CD28-表現型を示した。いくつかの局面では、CD57+細胞は、刺激または活性化に関連する表現型を示すことが本明細書において観察され、製造プロセスの初期段階の間ずっと持続した。いくつかの局面では、CD57+ T細胞の頻度は、刺激の約48時間後に減少し、これは典型的にはT細胞の拡大増殖および増加した生存率と同時に起こった。いくつかの局面では、特定タイプの細胞、例えばCD57+細胞(例えばCD57+ T細胞)は、刺激または培養の間に低い拡大増殖を示したまたは拡大増殖を示さなかったのに対し、成長因子および/または活性化試薬を使用し続けることは、結果としてプロセスおよび産物の不均一性を生じる。
【0126】
いくつかの局面では、CD57+細胞(例えばCD57+ T細胞)が選択され、刺激の前にCD57-細胞(例えばCD57+ T細胞)と様々な比で組み合わされた場合、刺激前の細胞組成物(例えば、インプット組成物)中のCD57+細胞の頻度は、より長いプロセス持続期間と関連した。いくつかの局面では、細胞組成物、例えばCAR+ T細胞を含有する組成物は、組成物中のT細胞の95%またはそれ以上、例えば100%がCD57+ T細胞であった場合に拡大増殖も増殖もしなかったことも観察された。
【0127】
いくつかの局面では、CD27+ T細胞は、操作されたT細胞を生成するための製造プロセスの間に細胞を拡大増殖させるために寄与することができるのに対し、CD57+細胞、例えばCD57+ T細胞)は、一般に拡大増殖せず、操作された細胞組成物(例えば、投与のための細胞組成物)中の細胞に最小限に寄与することが観察された。したがって、CD57+ T細胞の存在は、製造プロセスに影響する可能性があり、例えば、拡大増殖のための培養の間、プロセスにおける変動性、および他の細胞組成物の特質に寄与することも観察された。いくつかの局面では、本明細書に提供されるように、例えば細胞の刺激前の製造方法の最初におけるCD57+ T細胞の選択的枯渇は、操作された細胞組成物の一貫性、品質および効力を改善することができる。
【0128】
したがって、いくつかの態様では、提供される方法は、細胞療法を生成するためのプロセス持続期間を減少させることができ、したがって、ある特定の局面では、製造スケジュールの一貫性を改善する。さらに、いくつかの局面では、細胞療法のための操作された細胞を生成するための提供される方法の速さおよび効率は、いくつかの代替方法により可能であり得るものよりも広い対象集団への自家療法などの細胞療法処置のより容易な計画および調整を可能にする。
【0129】
ある特定の態様では、提供される方法は、細胞療法に有用な細胞、例えば、操作されたT細胞の集団または組成物を生成するプロセスの開始時に非増殖細胞の少なくとも一部をうまく除去する。いくつかの局面では、これは、そのようなプロセスの開始前にCD57+細胞(例えばCD57+ T細胞)を選択することを通じて、またはCD57+ T細胞を含まないもしくはその含量が低い細胞組成物もしくは集団だけがそのようなプロセスのために使用されることを保証するためにスクリーニングすることによって達成され、例えば、細胞療法に使用するために適した細胞集団をうまく生成する速さまたは頻度を改善する。いくつかの態様では、提供される方法は、例えば、細胞療法として使用するためのT細胞の必要数をもたらすための採取までの増殖、培養、または拡大増殖の間の、必要な細胞倍加持続期間および数を減少させる。したがって、理論に縛られることを望むわけでなく、いくつかの態様は、改善された増殖能力を示す受け入れドナー細胞の十分な数を、提供される方法が増加させるまたは実証することを考えている。
【0130】
いくつかの態様では、濃縮されたCD57- T細胞の集団から生成された細胞療法は、代替的なプロセスから生成された細胞療法よりも低い分化度を有するT細胞を含有する。ある特定の態様では、細胞療法の低下した細胞分化は、提供されるプロセスによって生成される細胞療法の間の一貫性を、(例えば、代替的なプロセス、例えば、様々な量のCD57+ T細胞を含有する細胞の集団から生成される細胞療法と比較して改善する。ある特定の態様では、細胞療法の低下した細胞分化は、細胞療法の産物品質プロファイルを改善する。
【0131】
特定の局面は、CD57がT細胞に加えてNKおよびNKT細胞(そのすべてが生体試料中、例えば、白血球アフェレーシス材料中に存在し得る)によって発現されることを考えている。したがって、いくつかの態様では、CD57+細胞(例えばCD57+ T細胞)のための陰性選択は、残留する非T細胞を減少させ、T細胞の純度を改善する。したがって、提供される方法は、刺激、形質導入、または拡大増殖などによって処理されるT細胞の集団の純度に加えて、結果として生じる細胞療法のT細胞の純度を増加させる。
【0132】
本出願において参照される特許文書、科学文献およびデータベースを含むすべての刊行物は、各々の個別の刊行物が参照により個別に組み入れられたのと同じ程度にすべての目的のためにその全体で参照により組み入れられる。本明細書において示される定義が、参照により本明細書に組み入れられる特許、出願、公開された出願および他の刊行物に示される定義に反する、またはその他の方法で矛盾する場合、本明細書に示される定義が、参照により本明細書に組み入れられる定義に優先される。
【0133】
本明細書に使用されるセクションの見出しは、単に編成目的であり、説明される主題を限定するものとして見なされるべきではない。
【0134】
I. 濃縮されたCD57- T細胞の集団
ある特定の態様では、濃縮されたCD57- T細胞の集団(本明細書においてCD57- T細胞集団、濃縮されたCD57- T細胞の組成物、またはCD57- T細胞組成物とも呼ばれる)が、本明細書に提供される。ある特定の態様では、濃縮されたCD57- T細胞の提供される集団は、T細胞、例えば、濃縮されたCD57- T細胞の集団のT細胞またはそれに由来するT細胞を刺激、活性化、操作、形質導入、培養、または拡大増殖するための方法に関連して使用される。いくつかの態様では、濃縮されたCD57- T細胞の集団は、例えば、生体試料、例えば、1つまたは複数の免疫細胞を含有する生体試料の単離、選択、または濃縮に起因する、またはその産物である。ある特定の態様では、濃縮されたCD57- T細胞の集団は、生存T細胞、CD3+ T細胞、CD4+ T細胞、および/またはCD8+ T細胞であるまたはそれを含む。特定の態様では、濃縮されたCD57- T細胞の集団の細胞は、生存T細胞、CD3+ T細胞、CD4+ T細胞、および/もしくはCD8+ T細胞または前記のいずれかの組み合わせであるまたはそれを含む。様々な態様では、濃縮されたCD57- T細胞の集団の細胞は、生存CD57- T細胞、CD57- CD3+ T細胞、CD57- CD4+ T細胞、CD57- CD8+ T細胞、または前記のいずれかの組み合わせであるまたはそれを含む。
【0135】
特定の態様は、細胞を含有する試料、集団、または組成物中のCD57発現の量、例えば、CD57+ T細胞の量は、任意の適切な公知の手段によって測定され得ると考えている。いくつかの態様では、CD57の発現は、CD57+細胞、例えば、試料、集団、または組成物中のCD57+ T細胞の量、頻度、またはパーセンテージを測定、評価、または決定するための試料、集団、または組成物において測定される。ある特定の態様では、CD57の発現は、CD57+細胞、例えば、試料、集団、または組成物中のCD57+ T細胞の量、頻度、またはパーセンテージを測定、評価、または決定するために、試料、集団、または組成物において測定される。
【0136】
いくつかの態様では、より高いパーセンテージのCD57+細胞を有する細胞組成物は、結果として、増殖的拡大増殖ができる細胞のより低いパーセンテージを生じることができる。一部の場合では、CD57+細胞の高いパーセンテージを有する操作された細胞組成物は、低下した増殖能力と関連し、細胞療法のための操作されたT細胞組成物を製造するための製造プロセスにおいて、プロセス時間の延長、閾値細胞数を達成するためのより高い倍加、細胞分化の増加および/または採取基準への不適合を結果として生じる場合がある。
【0137】
いくつかの局面では、集団におけるCD57+細胞の頻度を測定する工程を含む、拡大増殖することができる細胞の集団を特定するための方法もまた提供され、その際、細胞の該集団は、CD57+細胞の頻度が閾値頻度未満である場合に拡大増殖することができると特定される。任意のそのような態様のいくつかでは、閾値頻度は、35%、30%、20%、10%、5%、1%、もしくは0.1%未満または約35%、30%、20%、10%、5%、1%、もしくは0.1%未満であるパーセンテージである。任意のそのような態様のいくつかでは、拡大増殖することができる集団は、増殖または拡大増殖を促進する条件下で培養4、5、6、7または8日以内に少なくとも2倍、4倍、8倍、もしくは16倍、または少なくとも約2倍、4倍、8倍、もしくは16倍拡大増殖する。
【0138】
いくつかの局面では、T細胞集団におけるCD57発現に関連する形質の値を測定する工程を含む、T細胞集団の拡大増殖の能力を決定するための方法もまた提供され、その際、形質の値が形質の閾値未満またはおよその閾値未満である場合、T細胞の集団は拡大増殖することができると決定される。
【0139】
いくつかの態様では、閾値は:i)複数の参照T細胞集団における、CD57発現に関連する形質の測定値の平均または中央値よりも25%、20%、15%、10%、もしくは5%小さい、約25%、20%、15%、10%、もしくは5%小さい、または25%以内、20%以内、15%以内、10%以内、もしくは5%以内小さく、かつ/または測定値の平均もしくは中央値またはおよその平均もしくは中央値の1標準偏差下よりも小さい;ii)複数の参照T細胞集団からの集団における、CD57発現に関連する形質の最低測定値未満であり、任意で、最低測定値から50%以内、25%以内、20%以内、15%以内、10%以内、または5%以内小さい;iii)複数の参照T細胞組成物からの試料の65%、75%、80%、85%超から計算されたCD57発現に関連する形質の測定値の平均または中央値未満であるが;その際、複数の参照T細胞集団は、T細胞の増殖または拡大増殖を促進する条件下で培養された場合に拡大増殖しなかった複数の集団であり、任意でその際、細胞は、4、5、6、7または8日以内の培養で少なくとも2倍、4倍、8倍、もしくは16倍、または少なくとも約2倍、4倍、8倍、もしくは16倍拡大増殖しなかった。
【0140】
いくつかの態様では、形質は、総T細胞、CD4+ T細胞、またはCD8+ T細胞に発現されるCD57ポリペプチドのレベルまたは量である。いくつかの態様では、形質は、細胞集団中に存在するCD57+ T細胞、CD57+CD4+ T細胞、またはCD57+CD8+ T細胞の頻度、パーセンテージ、または量である。いくつかの態様では、形質は、CD3+ T細胞に発現されるCD57ポリペプチドのレベルまたは量である。いくつかの態様では、形質は、細胞集団中に存在するCD57+CD3+ T細胞の頻度、パーセンテージ、または量である。いくつかの態様では、形質は、細胞集団中のT細胞に存在するCD57 mRNAのレベルまたは量である。いくつかの態様では、形質は、CD57(B3GAT1)をコードする遺伝子のクロマチンアクセシビリティのレベルまたは量である。
【0141】
いくつかの態様では、該方法は、T細胞集団中の1つまたは複数の第2の遺伝子産物の発現に関連する第2の形質の第2の値を測定する工程をさらに含み、該集団は、形質の値が形質の閾値未満またはおよその閾値未満であり、かつ第2の形質の第2の値が第2の形質の第2の閾値よりも大きいまたはおよその閾値よりも大きい場合、拡大増殖することができる。
【0142】
いくつかの態様では、第2の遺伝子産物は、ナイーブ様T細胞に関連するマーカーである。いくつかの態様では、1つまたは複数の第2の遺伝子産物は、CD27、CD28、CCR7、またはCD45RAより選択される。いくつかの態様では、1つまたは複数の第2の遺伝子産物は、CD27およびCD28である。
【0143】
ある特定の態様では、陰性発現、例えば、CD57の陰性発現またはCD57-は、例えば、標準的な技術、例えば抗体染色を伴う技術を用いて検出される場合、バックグラウンド発現のレベルと等しいまたはそれ未満の発現である。ある特定の態様では、陰性発現は、タンパク質または遺伝子発現を評価するために適した技術、例えば、非限定的に免疫組織化学、免疫蛍光、またはフローサイトメトリーに基づく技術によって検出される場合、バックグラウンド発現のレベルと等しいまたはそれ未満である。いくつかの態様では、例えば、特定のタンパク質の陽性発現は、量、レベル、または濃度においてバックグラウンドを超えるタンパク質の表面発現であるまたはそれを含む。特定の態様では、例えば、特定のタンパク質の陰性発現は、量、レベル、または濃度においてバックグラウンドまたはそれ未満であるタンパク質の表面発現であるまたはそれを含む。
【0144】
ある特定の態様では、本明細書に提供される方法は、例えば、タンパク質または遺伝子(例えば、CD57)について陽性または陰性発現を有する試料、組成物、または集団中の細胞を定量化するために、試料、集団、または組成物中の1つまたは複数のタンパク質または遺伝子(例えば、CD57)の発現を評価、測定、決定、および/または定量化する1つまたは複数の工程を含む。そのような工程は、発現に関連する任意の適切な形質を評価、測定、決定、および/または定量化すること、例えば、タンパク質、表面タンパク質、mRNA、または遺伝子アクセシビリティ、例えば、エピジェネティック遺伝子アクセシビリティのレベルを測定することを含む場合がある。
【0145】
いくつかの態様では、タンパク質(例えば、CD57)の発現は、細胞の表面に発現される、タンパク質、または遺伝子によってコードされるタンパク質のレベル、量、または濃度を評価、測定、決定、および/または定量化することであるまたはそれを含む。特定の態様では、タンパク質(例えば、CD57)の発現は、タンパク質の表面発現、例えば、細胞表面のタンパク質のレベル、量、または濃度を評価、測定、決定、および/または定量化することによって評価される。特定の態様では、タンパク質の表面発現について陽性の細胞の量、頻度、またはパーセンテージ、例えば、表面タンパク質を測定するために使用される技術のバックグラウンドシグナルよりも大きな、表面のタンパク質のより大きな量、濃度、または密度を有する表面を有する細胞。特定の態様では、タンパク質(例えば、CD57)の表面発現は、免疫組織化学、免疫蛍光、またはフローサイトメトリーに基づく技術によって測定される。いくつかの態様では、タンパク質の表面発現について陽性の細胞の量、頻度、またはパーセンテージは、免疫組織化学、免疫蛍光、またはフローサイトメトリーに基づく技術などの適切な公知の技術によって決定される。
【0146】
特定の態様では、試料、組成物、または集団におけるタンパク質発現、例えば、表面発現について陰性または陽性である細胞の量、頻度、またはパーセンテージは、フローサイトメトリーによって決定される。いくつかの態様では、タンパク質は、CD3、CD4、CD8、CD25、CD27、CD28、CD57、CCR7、またはCD45RAである。特定の態様では、タンパク質はCD57である。
【0147】
特定の態様では、試料、集団、または組成物におけるタンパク質(例えば、CD57)の発現は、タンパク質のレベル、量、または濃度を評価、測定、決定、および/または定量化するための任意の適切な方法であるまたはそれを含む。そのような方法には、イムノアッセイ、核酸またはタンパク質に基づくアプタマー技術、HPLC(高速液体クロマトグラフィー)、ペプチドシークエンシング(例えば、エドマン分解シークエンシングまたは質量分析(MS/MSなど)、任意でHPLCと連結したもの)、および前記のいずれかのマイクロアレイ適応(核酸、抗体またはタンパク質-タンパク質(すなわち、非抗体)アレイを含む)による検出が含まれるが、それに限定されるわけではない。いくつかの態様では、イムノアッセイは、例えば、抗体または抗原結合抗体断片の遺伝子産物への結合を検出することによる、免疫学的反応に基づきタンパク質を検出する方法またはアッセイであるまたはそれを含む。イムノアッセイには、定量免疫細胞化学もしくは免疫組織化学、ELISA(直接、間接、サンドイッチ、競合、マルチプルおよびポータブルELISA(例えば、米国特許第7,510,687号を参照されたい)を含む、ウエスタンブロット(一次元、二次元またはより高い次元のブロッティングまたは他のクロマトグラフィー手段を含む、任意で、ペプチドシークエンシングを含む)、酵素イムノアッセイ(EIA)、RIA(ラジオイムノアッセイ)、およびSPR(表面プラズモン共鳴)が含まれるが、それに限定されるわけではない。
【0148】
ある特定の態様では、タンパク質またはその対応する遺伝子の発現は、タンパク質(例えば、CD57)をコードするmRNA(またはmRNAから得られるcDNA産物)を測定することによって測定、評価、または定量化される。特定の態様では、mRNA(または対応するcDNA)の量またはレベルは、逆転写酵素(rt)PCR、ドロプレットデジタルPCR、リアルタイムおよび定量的PCR法を含む任意の適切な手段(PCR)(例えば、TAQMAN(登録商標)、分子ビーコン、LIGHTUP(商標)、SCORPION(商標)、SIMPLEPROBES(登録商標)を含む;例えば、米国特許第5,538,848号;同第5,925,517号;同第6,174,670号;同第6,329,144号;同第6,326,145号および同第6,635,427号を参照されたい);ノーザンブロット法;例えば、逆転写産物および誘導体の、サザンブロット法;ブロットされたアレイ、マイクロアレイ、またはインサイチュー合成アレイを含む、アレイに基づく方法;およびシークエンシング、例えば、合成によるシークエンシング、ピロシークエンシング、ジデオキシシークエンシング、もしくはライゲーションによるシークエンシング、または任意の他のアッセイ法、例えば、Shendure et al., Nat. Rev. Genet. 5:335-44 (2004)またはNowrousian, Euk. Cell 9(9): 1300-1310 (2010)に論じられているもの(HELICOS(登録商標)、ROCHE(登録商標)454、ILLUMINA(登録商標)/SOLEXA(登録商標)、ABI SOLiD(登録商標)、およびPOLONATOR(登録商標)シークエンシングなどの特定のプラットフォームを含む)によって評価、測定、決定、および/または定量化される。いくつかの態様では、mRNAの発現は、次世代シークエンシング法、例えばRNAシークエンシング(RNA-Seq)によって決定される。RNAシークエンシング法は、もっとも一般的なDNAシークエンシングプラットフォーム(HiSeqシステム(Illumina)、454 Genome Sequencer FLX System(Roche)、Applied Biosystems SOLiD(Life Technologies)、IonTorrent(Life Technologies))に適応されている。これらのプラットフォームは、RNAのcDNAへの最初の逆転写を必要とする。逆に、単一分子シークエンサーHeliScope(Helicos BioSciences)は、シークエンシングについてのテンプレートとしてRNAを使用することができる。
【0149】
いくつかの態様では、タンパク質またはその対応する遺伝子の発現は、タンパク質のエピジェネティック分析であるまたはそれを含む。いくつかの態様では、細胞の集団は、遺伝子のアクセシビリティ、例えば、CD57をコードするB3GAT1のアクセシビリティについて評価される。エピジェネティック分析は、クロマチンアクセシビリティを調べるためのシークエンシングを用いたトランスポサーゼ-アクセシブルクロマチンのためのアッセイ(ATAC-seq)を含むが、それに限定されるわけではない、任意の適切な公知の手段によって行われる場合がある。
【0150】
いくつかの態様では、濃縮されたCD57-細胞の集団は、CD57+ T細胞を25%、20%、15%、12%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、0.1%、0.01%、もしくは0.001%含有するか、約25%、20%、15%、12%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、0.1%、0.01%、もしくは0.001%含有するか、または25%、20%、15%、12%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、0.1%、0.01%、もしくは0.001%未満または約25%、20%、15%、12%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、0.1%、0.01%、もしくは0.001%未満含有する。ある特定の態様では、濃縮されたCD57-細胞の集団は、CD57+細胞を本質的に含まない。ある特定の態様では、濃縮されたCD57-細胞の集団は、CD57+細胞を本質的に含まない。特定の態様では、濃縮されたCD57-細胞の集団は、20%未満または約20%未満のCD57+細胞を含有する。ある特定の態様では、濃縮されたCD57-細胞の集団は、10%未満または約10%未満のCD57+細胞を含有する。いくつかの態様では、濃縮されたCD57-細胞の集団は、5%未満または約5%未満のCD57+細胞を含有する。様々な態様では、濃縮されたCD57-細胞の集団は、1%、0.1%、もしくは0.01%未満、または約1%、0.1%、もしくは0.01%未満のCD57+細胞を含有する。
【0151】
ある特定の態様では、濃縮されたCD57-細胞の集団は、CD57- T細胞を60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%、99.5%、99.9%、99.99%、もしくは100%もしくは約100%含有するか、約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%、99.5%、99.9%、99.99%、もしくは100%もしくは約100%含有するか、少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%、99.5%、99.9%、99.99%、もしくは100%もしくは約100%、または少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%、99.5%、99.9%、99.99%、もしくは100%もしくは約100%含有する。ある特定の態様では、濃縮されたCD57- T細胞の集団は、少なくとも80%または少なくとも約80%のCD57- T細胞を含有する。ある特定の態様では、濃縮されたCD57- T細胞の集団は、少なくとも95%または少なくとも約95%のCD57- T細胞を含有する。様々な態様では、濃縮されたCD57- T細胞の集団は、少なくとも99%、99.9%、もしくは99.99%、または少なくとも約99%、99.9%、もしくは99.99%のCD57- T細胞を含有する。特定の態様では、濃縮されたCD57- T細胞の集団の細胞のすべてまたは本質的にすべては、CD57- T細胞である。いくつかの態様では、濃縮されたCD57-細胞の集団は、CD57-CD3+ T細胞を60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%、99.5%、99.9%、99.99%、もしくは100%もしくは約100%含有するか、約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%、99.5%、99.9%、99.99%、もしくは100%もしくは約100%含有するか、または少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%、99.5%、99.9%、99.99%、もしくは100%もしくは約100%、または少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%、99.5%、99.9%、99.99%、もしくは100%もしくは約100%含有する。ある特定の態様では、濃縮されたCD57- T細胞の集団は、少なくとも80%または少なくとも約80%のCD57- CD3+ T細胞を含有する。ある特定の態様では、濃縮されたCD57- T細胞の集団は、少なくとも95%または少なくとも約95%のCD57- CD3+ T細胞を含有する。様々な態様では、濃縮されたCD57- T細胞の集団は、少なくとも99%、99.9%、もしくは99.99%、または少なくとも約99%、99.9%、もしくは99.99%のCD57- CD3+ T細胞を含有する。特定の態様では、濃縮されたCD57- T細胞の集団の細胞のすべてまたは本質的にすべては、CD57- CD3+ T細胞である。
【0152】
特定の態様では、濃縮されたCD57- T細胞の集団の細胞は、生存細胞であるまたはそれを含む。いくつかの態様では、細胞生存率は、色素取り込みアッセイ(例えば、カルセインAMアッセイ)、XTT細胞生存率アッセイ、および色素排除アッセイ(例えば、トリパンブルー、エオシン、またはプロピジウム色素排除アッセイ)を含む場合があるが、それに限定されるわけではないアッセイを用いて評価される。特定の態様では、生存細胞は、1つまたは複数のアポトーシスマーカー、例えば、アネキシンVまたは活性カスパーゼ3の陰性発現を有する。いくつかの態様では、生存細胞は、カスパーゼまたは活性カスパーゼ、例えば、カスパーゼ2、カスパーゼ3、カスパーゼ6、カスパーゼ7、カスパーゼ8、カスパーゼ9、もしくはカスパーゼ10、Bcl-2ファミリーメンバー、例えば、Bax、Bad、およびBid、アネキシンV、またはTUNEL染色を含む場合があるが、それに限定されるわけではない1つまたは複数のアポトーシスマーカーの発現について陰性である。特定の態様では、生存細胞は、活性カスパーゼ3が陰性である。ある特定の態様では、生存細胞は、アネキシンVが陰性である。ある特定の態様では、濃縮されたCD57- T細胞の集団の細胞の少なくとも60%もしくは少なくとも約60%、少なくとも65%もしくは少なくとも約65%、少なくとも70%もしくは少なくとも約70%、少なくとも75%もしくは少なくとも約75%、少なくとも80%もしくは少なくとも約80%、少なくとも85%もしくは少なくとも約85%、少なくとも90%もしくは少なくとも約90%、少なくとも95%もしくは少なくとも約95%、少なくとも97%もしくは少なくとも約97%、少なくとも99%もしくは少なくとも約99%、少なくとも99.5%もしくは少なくとも約99.5%、少なくとも99.9%もしくは少なくとも約99.9%、または100%もしくは約100%は生存細胞である。いくつかの態様では、生存細胞は、生存CD3+、生存CD4+、生存CD8+、生存CD57-、生存CD57- CD3+、生存CD57-CD4+、もしくは生存CD57-CD8+ T細胞、または前記のいずれかの組み合わせであるまたはそれを含む。いくつかの態様では、生存細胞は、活性カスパーゼ3が陰性である。特定の態様では、生存細胞はアネキシンVが陰性である。
【0153】
ある特定の態様では、濃縮されたCD57-細胞の集団は、CD57- CD4+ T細胞を60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%、99.5%、99.9%、99.99%、もしくは100%もしくは約100%含有するか、約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%、99.5%、99.9%、99.99%、もしくは100%もしくは約100%含有するか、または少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%、99.5%、99.9%、99.99%、もしくは100%もしくは約100%、または少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%、99.5%、99.9%、99.99%、もしくは100%もしくは約100%含有する。ある特定の態様では、濃縮されたCD57- T細胞の集団は、少なくとも80%または少なくとも約80%のCD57- CD4+ T細胞を含有する。ある特定の態様では、濃縮されたCD57- T細胞の集団は、少なくとも90%または少なくとも約90%のCD57- T細胞を含有する。様々な態様では、濃縮されたCD57- T細胞の集団は、少なくとも95%または少なくとも約95%のCD57- CD4+ T細胞を含有する。特定の態様では、濃縮されたCD57- T細胞の集団の細胞のすべてまたは本質的にすべてはCD57- CD4+ T細胞である。いくつかの態様では、濃縮されたCD57-細胞の集団は、CD57-CD8+ T細胞を60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%、99.5%、99.9%、99.99%、もしくは100%もしくは約100%含有するか、約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%、99.5%、99.9%、99.99%、もしくは100%もしくは約100%含有するか、または少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%、99.5%、99.9%、99.99%、もしくは100%もしくは約100%、または少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%、99.5%、99.9%、99.99%、もしくは100%もしくは約100%含有する。ある特定の態様では、濃縮されたCD57- T細胞の集団は、少なくとも80%または少なくとも約80%のCD57- CD8+ T細胞を含有する。ある特定の態様では、濃縮されたCD57- T細胞の集団は、少なくとも90%または少なくとも約90%のCD57- CD8+ T細胞を含有する。様々な態様では、濃縮されたCD57- T細胞の集団は、少なくとも95%または少なくとも約95%のCD57- CD8+ T細胞を含有する。特定の態様では、濃縮されたCD57- T細胞の集団の細胞のすべてまたは本質的にすべてはCD57- CD8+ T細胞である。いくつかの態様では、濃縮されたCD57-細胞の集団は、CD57-CD3+ T細胞を60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%、99.5%、99.9%、99.99%、もしくは100%もしくは約100%含有するか、約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%、99.5%、99.9%、99.99%、もしくは100%もしくは約100%含有するか、または少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%、99.5%、99.9%、99.99%、もしくは100%もしくは約100%、または少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%、99.5%、99.9%、99.99%、もしくは100%もしくは約100%含有する。ある特定の態様では、濃縮されたCD57- T細胞の集団は、少なくとも80%または少なくとも約80%のCD57- CD3+ T細胞を含有する。ある特定の態様では、濃縮されたCD57- T細胞の集団は、少なくとも90%または少なくとも約90%のCD57- CD3+ T細胞を含有する。様々な態様では、濃縮されたCD57- T細胞の集団は、少なくとも95%または少なくとも約95%のCD57- CD3+ T細胞を含有する。特定の態様では、濃縮されたCD57- T細胞の集団の細胞のすべてまたは本質的にすべてはCD57- CD3+ T細胞である。
【0154】
特定の態様では、濃縮されたCD57-細胞の集団の細胞の頻度はナイーブ様細胞である。いくつかの態様では、ナイーブ様T細胞は、細胞がナイーブであり、かつ/またはナイーブ様細胞であることを示す1つまたは複数のマーカーの発現について陽性であるT細胞である。ある特定の態様では、ナイーブ様T細胞は、T細胞におけるナイーブまたはナイーブ様状態に関連するマーカーの発現について陽性である細胞である。特定の態様では、ナイーブ様T細胞は、細胞がナイーブでなく、かつ/またはナイーブ様細胞でないことを示す1つまたは複数のマーカーの発現について陰性であるT細胞である。ある特定の態様では、T細胞における非ナイーブまたは非ナイーブ様状態は、例えば、エフェクターT(TEFF)細胞、メモリーT細胞、セントラルメモリーT細胞(TCM)、エフェクターメモリーT(TEM)細胞、およびそれらの組み合わせを含むが、それに限定されるわけではない。
【0155】
いくつかの態様では、ナイーブ様T細胞は、細胞がナイーブであり、かつ/またはナイーブ様細胞であり、かつ/またはT細胞におけるナイーブもしくはナイーブ様状態に関連することを示す少なくとも1つまたは複数のマーカーの発現について陽性である。いくつかの態様では、マーカーは、細胞表面に発現される。ある特定の態様では、ナイーブ様T細胞は、細胞が非ナイーブであり、かつ/または非ナイーブ様細胞であり、かつ/またはT細胞における非ナイーブもしくは非ナイーブ様状態に関連することを示す少なくとも1つまたは複数のマーカーの発現について陰性である。
【0156】
T細胞がナイーブであり、かつ/またはナイーブ様T細胞であり、かつ/またはT細胞におけるナイーブもしくはナイーブ様状態に関連することを示すマーカーには、CD27、CD28、CD45RA、CD62L、および/またはCCR7が含まれるが、それに限定されるわけではない。いくつかの態様では、ナイーブ様T細胞、例えば、ナイーブ様CD4+および/またはCD8+ T細胞は、CD27、CD28、CD45RA、および/またはCCR7の発現について陽性である。ある特定の態様では、ナイーブ様T細胞は、CD27、CD28、CD45RA、および/またはCCR7のうち1つまたは複数の表面発現について陽性である。いくつかの態様では、ナイーブ様T細胞、例えば、ナイーブ様CD4+および/またはCD8+ T細胞は、CD62Lの発現について陰性である。いくつかの態様では、ナイーブ様T細胞、例えば、ナイーブ様CD3+ T細胞は、CD62Lの発現について陰性である。いくつかの態様では、ナイーブ様T細胞、例えば、ナイーブ様CD3+、CD4+、および/またはCD8+ T細胞は、CD62Lの発現について陰性である。
【0157】
細胞が非ナイーブであり、かつ/または非ナイーブ様T細胞であり、かつ/またはT細胞における非ナイーブもしくは非ナイーブ様状態に関連することを示すマーカーには、CD25、CD45RO、CD56、KLRG1、および/またはCD95が含まれるが、それに限定されるわけではない。いくつかの態様では、ナイーブ様T細胞、例えば、ナイーブ様CD4+および/またはCD8+ T細胞は、CD25、CD45RO、CD56、および/またはKLRG1の発現について陰性である。特定の態様では、ナイーブ様T細胞、例えば、ナイーブ様CD4+および/またはCD8+ T細胞は、非ナイーブまたは非ナイーブ様細胞に関連するマーカーの低い発現を有する。いくつかの態様では、ナイーブ様T細胞、例えば、ナイーブ様CD3+ T細胞は、CD25、CD45RO、CD56、および/またはKLRG1の発現について陰性である。特定の態様では、ナイーブ様T細胞、例えば、ナイーブ様CD3+ T細胞は、非ナイーブまたは非ナイーブ様細胞に関連するマーカーの低い発現を有する。特定の態様では、ナイーブ様T細胞は、CD95の低い発現を有する。ある特定の態様では、ナイーブ様T細胞は、CD25、CD45RO、CD56、および/またはKLRG1のうち1つまたは複数の表面発現について陰性である。
【0158】
いくつかの態様では、非ナイーブまたは非ナイーブ様細胞に関連するマーカーの低い発現は、非ナイーブ様細胞である細胞、および/あるいは細胞が非ナイーブであり、かつ/または非ナイーブ様T細胞であり、かつ/またはT細胞における非ナイーブもしくは非ナイーブ様状態に関連することを示す1つまたは複数のマーカーについて陽性である細胞におけるマーカーの発現よりも少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%低い発現であるまたはそれを含む。ある特定の態様では、非ナイーブまたは非ナイーブ様細胞に関連するマーカーの低い発現は、エフェクターT(TEFF)細胞、メモリーT細胞、セントラルメモリーT細胞(TCM)、および/またはエフェクターメモリーT(TEM)細胞におけるマーカーの発現よりも少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%低い発現であるまたはそれを含む。
【0159】
いくつかの態様では、細胞が非ナイーブであり、かつ/または非ナイーブ様T細胞であり、かつ/またはT細胞における非ナイーブもしくは非ナイーブ様状態に関連することを示すマーカーは、1つまたは複数のサイトカインを含む。例えば、ある特定の態様では、非ナイーブまたは非ナイーブ様T細胞は、IL-2、IFN-γ、IL-4、およびIL-10のうち1つまたは複数の発現および/または産生について陰性である。いくつかの態様では、1つまたは複数のサイトカインが分泌される。特定の態様では、1つまたは複数のサイトカインは、例えば、分泌を防止、阻害、または低下させる作用物質による処置の途中または後に、非ナイーブ様T細胞によって内部で発現される。
【0160】
ある特定の態様では、ナイーブ様T細胞、例えば、ナイーブ様CD57- T細胞は、CD45RAおよびCCR7の発現、例えば、表面発現について陽性である。特定の態様では、ナイーブ様CD4+ T細胞は、CD45RAおよびCCR7の発現、例えば、表面発現について陽性である。いくつかの態様では、ナイーブ様CD8+ T細胞は、CD45RAおよびCCR7の発現、例えば、表面発現について陽性である。いくつかの態様では、ナイーブ様CD3+ T細胞は、CD45RAおよびCCR7の発現、例えば、表面発現について陽性である。特定の態様では、ナイーブ様T細胞は、CD45RA、CD27、およびCCR7の発現、例えば、表面発現について陽性であり、CD45ROの発現、例えば、表面発現について陰性である。特定の態様では、ナイーブ様CD4+ T細胞は、CD45RA、CD27、およびCCR7の発現、例えば、表面発現について陽性であり、CD45ROの発現、例えば、表面発現について陰性である。いくつかの態様では、ナイーブ様CD8+ T細胞は、CD45RA、CD27、およびCCR7の発現、例えば、表面発現について陽性であり、CD45ROの発現、例えば、表面発現について陰性である。いくつかの態様では、ナイーブ様CD3+ T細胞は、CD45RA、CD27、およびCCR7の発現、例えば、表面発現について陽性であり、CD45ROの発現、例えば、表面発現について陰性である。
【0161】
ある特定の態様では、濃縮されたCD57- T細胞の集団は、CD25発現について陽性であるT細胞を、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、もしくは50%含有するか、約10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、もしくは50%含有するか、または少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、もしくは50%、または少なくとも約10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、もしくは50%含有する。様々な態様では、濃縮されたCD57- T細胞の集団は、CD57- CD25+ T細胞を10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、もしくは50%含有するか、約10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、もしくは50%含有するか、または少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、もしくは50%、または少なくとも約10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、もしくは50%含有する。様々な態様では、濃縮されたCD57-細胞の集団は、10%~60%、20%~50%、もしくは25%~40%、または約10%~60%、約20%~50%、もしくは約25%~40%のCD25+ T細胞(各々両端の値を含む)を含有する。いくつかの態様では、濃縮されたCD57-細胞の集団は、10%~60%、20%~50%、もしくは25%~40%、または約10%~60%、約20%~50%、もしくは約25%~40%のCD57- CD25+ T細胞(各々両端の値を含む)を含有する。
【0162】
ある特定の態様では、濃縮されたCD57- T細胞の集団は、CD27発現について陽性であるT細胞を、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、もしくは50%含有するか、約10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、もしくは50%含有するか、または少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、もしくは50%、または少なくとも約10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、もしくは50%含有する。様々な態様では、濃縮されたCD57- T細胞の集団は、CD57- CD27+ T細胞を10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、もしくは50%含有するか、約10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、もしくは50%含有するか、または少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、もしくは50%、または少なくとも約10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、もしくは50%含有する。様々な態様では、濃縮されたCD57-細胞の集団は、10%~60%、20%~50%、もしくは25%~40%、または約10%~60%、約20%~50%、もしくは約25%~40%のCD27+ T細胞(各々両端の値を含む)を含有する。いくつかの態様では、濃縮されたCD57-細胞の集団は、10%~60%、20%~50%、もしくは25%~40%、または約10%~60%、約20%~50%、もしくは約25%~40%のCD57- CD27+ T細胞(各々両端の値を含む)を含有する。ある特定の態様では、濃縮されたCD57- T細胞の集団は、少なくとも25%または少なくとも約25%のCD27+ T細胞を含有する。
【0163】
特定の態様では、濃縮されたCD57- T細胞の集団は、CD28発現について陽性であるT細胞を、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、もしくは50%含有するか、約10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、もしくは50%含有するか、または少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、もしくは50%、または少なくとも約10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、もしくは50%含有する。様々な態様では、濃縮されたCD57- T細胞の集団は、CD57- CD28+ T細胞を5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、もしくは50%含有するか、約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、もしくは50%含有するか、または少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、もしくは50%、または少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、もしくは50%含有する。ある特定の態様では、濃縮されたCD57-細胞の集団は、5%もしくは約5%から、50%もしくは約50%、5%もしくは約5%から、35%もしくは約35%、または10%もしくは約10%から、25%もしくは約25%のCD27+ T細胞(各々両端の値を含む)を含有する。いくつかの態様では、濃縮されたCD57-細胞の集団は、5%~50%、5%~35%もしくは10%~25%、または約5%~50%、約5%~35%もしくは約10%~25%のCD57- CD27+ T細胞(各々両端の値を含む)を含有する。ある特定の態様では、濃縮されたCD57- T細胞の集団は、少なくとも25%または少なくとも約25%のCD27+ T細胞を含有する。
【0164】
いくつかの態様では、濃縮されたCD57- T細胞の集団は、CCR7発現について陽性であるT細胞を、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、もしくは50%含有するか、約10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、もしくは50%含有するか、または少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、もしくは50%、または少なくとも約10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、もしくは50%含有する。ある特定の態様では、濃縮されたCD57- T細胞の集団は、CD57- CCR7+ T細胞を5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、もしくは50%含有するか、約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、もしくは50%含有するか、または少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、もしくは50%、または少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、もしくは50%含有する。いくつかの態様では、濃縮されたCD57-細胞の集団は、5%もしくは約5%から、50%もしくは約50%、5%もしくは約5%から、35%もしくは約35%、または10%もしくは約10%から、25%もしくは約25%のCCR7+ T細胞(各々両端の値を含む)を含有する。特定の態様では、濃縮されたCD57-細胞の集団は、5%もしくは約5%から、50%もしくは約50%、5%もしくは約5%から、35%もしくは約35%、または10%もしくは約10%から、25%もしくは約25%のCD57- CCR7+ T細胞(各々両端の値を含む)を含有する。いくつかの態様では、濃縮されたCD57- T細胞の集団は、少なくとも25%または少なくとも約25%のCCR7+ T細胞を含有する。
【0165】
いくつかの態様では、濃縮されたCD57- T細胞の集団は、CD45RA発現について陽性であるT細胞を、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、もしくは50%含有するか、約10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、もしくは50%含有するか、または少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、もしくは50%、または少なくとも約10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、もしくは50%含有する。ある特定の態様では、濃縮されたCD57- T細胞の集団は、CD57- CD45RA+ T細胞を5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、もしくは50%含有するか、約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、もしくは50%含有するか、または少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、もしくは50%、または少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、もしくは50%含有する。いくつかの態様では、濃縮されたCD57-細胞の集団は、5%もしくは約5%から、50%もしくは約50%、5%もしくは約5%から、35%もしくは約35%、または10%もしくは約10%から、25%もしくは約25%のCD45RA+ T細胞(各々両端の値を含む)を含有する。特定の態様では、濃縮されたCD57-細胞の集団は、5%もしくは約5%から、50%もしくは約50%、5%もしくは約5%から、35%もしくは約35%、または10%もしくは約10%から、25%もしくは約25%のCD57- CD45RA+ T細胞(各々両端の値を含む)を含有する。いくつかの態様では、濃縮されたCD57- T細胞の集団は、少なくとも25%または少なくとも約25%のCD45RA+ T細胞を含有する。
【0166】
いくつかの態様では、枯渇された集団中のナイーブ様細胞の頻度は、生体試料中のナイーブ様細胞の頻度またはおよその頻度よりも少なくとも10%、20%、30%、40%、もしくは50%、または少なくとも約10%、20%、30%、40%、もしくは50%大きい。いくつかの態様では、枯渇された集団中のCD25+ T細胞、CD27+ T細胞、CD28+ T細胞、CCR7+ T細胞、またはCD45RA+ T細胞のうち1つまたは複数の頻度は、生体試料中のそれぞれの細胞の頻度またはおよその頻度よりも少なくとも10%、20%、30%、40%、もしくは50%、または少なくとも約10%、20%、30%、40%、もしくは50%大きい。いくつかの態様では、枯渇された集団は、少なくとも15%、20%、25%、30%、35%、もしくは40%、または少なくとも約15%、20%、25%、30%、35%、もしくは40%のCD27+ T細胞を含む。いくつかの態様では、枯渇された集団は、 少なくとも10%、15%、20%、25%、25%、30%、35%、もしくは40%、または少なくとも約10%、15%、20%、25%、25%、30%、35%、もしくは40%のCD28+ T細胞を含む。いくつかの態様では、枯渇された集団は、少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、50%、60%、70%もしくは80%、または少なくとも約10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、50%、60%、70%もしくは80%のCD27+CD28+ T細胞を含む。いくつかの態様では、枯渇された集団は、少なくとも70%もしくは80%、または少なくとも約70%もしくは80%のCD27+CD28+ T細胞を含む。いくつかの態様では、枯渇された集団は、少なくとも10%、15%、20%、もしくは25%、または少なくとも約10%、15%、20%、もしくは25%のCCR7+ T細胞を含む。
【0167】
II. CD57- T細胞の選択および/またはCD57+ T細胞の枯渇
いくつかの態様では、濃縮されたCD57- T細胞の集団は、生体試料から得られる。特定の態様では、濃縮されたCD57- T細胞の集団は、生体試料から選択、単離、または濃縮される。特定の態様では、CD57+ T細胞は、生体試料から除去、分離、または枯渇される。ある特定の態様では、少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%、もしくは99.9%のCD57+ T細胞が、生体試料から除去、分離、または枯渇される。
【0168】
特定の態様では、細胞のサブセット、例えば、T細胞のサブセットは、生体試料からCD57- T細胞を選択、単離、または濃縮する前に生体試料から選択、単離、または濃縮される。いくつかの態様では、細胞のサブセット、例えば、T細胞は、濃縮されたCD57- T細胞の集団から選択、単離、または濃縮される。
【0169】
いくつかの態様では、濃縮されたCD57- T細胞の集団は、例えば、選択、単離、または濃縮の前に、生体試料のCD57+ T細胞の50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、15%、10%、5%、1%、0.1%、0.01%、もしくは0.001%を含有するか、約50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、15%、10%、5%、1%、0.1%、0.01%、もしくは0.001%を含有するか、または50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、15%、10%、5%、1%、0.1%、0.01%、もしくは0.001%未満を含有する。特定の態様では、濃縮されたCD57- T細胞の集団は、生体試料のCD57+ T細胞の20%を含有するか、約20%を含有するか、または20%未満を含有する。ある特定の態様では、濃縮されたCD57- T細胞の集団は、生体試料のCD57+ T細胞の5%を含有するか、約5%を含有するか、または5%未満を含有する。いくつかの態様では、濃縮されたCD57- T細胞の集団は、例えば、選択、単離、または濃縮の前に、生体試料のCD57+ T細胞の1%を含有するか、約1%を含有するか、または1%未満を含有する。様々な態様では、濃縮されたCD57- T細胞の集団は、生体試料のCD57+ T細胞の0.1%を含有するか、約0.1%を含有するか、または0.1%未満を含有する。特定の態様では、濃縮されたCD57- T細胞の集団は、生体試料のCD57+ T細胞の0.01%を含有するか、約0.01%を含有するか、または0.01%未満を含有する。いくつかの態様では、枯渇された集団中のCD57+ T細胞の頻度は、生体試料中のCD57+ T細胞の頻度の35%、30%、20%、10%、5%、1%、もしくは0.1%未満、または約35%、30%、20%、10%、5%、1%、もしくは0.1%未満である。いくつかの態様では、枯渇された集団は、3%未満もしくは約3%未満、2%未満もしくは約2%未満、1%未満もしくは約1%未満、0.1%未満もしくは約0.1%未満、または0.01%未満もしくは約0.01%未満のCD57+ T細胞を含む。いくつかの態様では、枯渇された集団は、CD57+ T細胞を含まないまたは本質的に含まない。
【0170】
特定の態様では、濃縮されたCD57- T細胞の集団の細胞は、例えば、選択、単離、または濃縮の前に、生体試料の細胞よりもあまり分化していない。ある特定の態様では、濃縮されたCD57- T細胞の集団は、生体試料よりも高い頻度のナイーブ様細胞を含有する。ある特定の態様では、濃縮されたCD57+ T細胞の集団は、例えば、選択、単離、または濃縮の前に、生体試料よりも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、125%、150%、1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、もしくは10倍多い、約25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、125%、150%、1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、もしくは10倍多い、または少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、125%、150%、1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、もしくは10倍多い、または少なくとも約25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、125%、150%、1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、もしくは10倍多いナイーブ様細胞を含む。
【0171】
いくつかの態様では、ナイーブ様細胞は、ナイーブT細胞またはセントラルメモリーT細胞を含む。いくつかの態様では、ナイーブ様細胞は、1つまたは複数の表面マーカーが陽性またはそれを高レベル発現している細胞、例えば、CD28+、CD62L+、CCR7+、CD27+、CD127+、CD4+、CD8+、CD45RA+、および/またはCD45RO+ T細胞を含むことができる。いくつかの局面では、細胞はCD27+である。いくつかの局面では、細胞はCD28+である。いくつかの局面では、細胞はCCR7+である。特定の局面では、CCR7は、ナイーブまたはナイーブ様T細胞(例えば、CCR7+CD45RA+またはCCR7+CD27+)およびセントラルメモリーT細胞(CCR7+CD45RA-)によって発現される。ある特定の態様では、ナイーブ様T細胞またはナイーブ様T細胞上に発現されるマーカーについて表面陽性であるT細胞はCCR7+CD45RA+であり、その際、該細胞は、CD27+またはCD27-である。ある特定の態様では、ナイーブ様T細胞またはナイーブ様T細胞上に発現されるマーカーについて表面陽性であるT細胞はCD27+CCR7+であり、その際、該細胞は、CD45RA+またはCD45RA-である。ある特定の態様では、ナイーブ様T細胞またはナイーブ様T細胞上に発現されるマーカーについて表面陽性であるT細胞はCD62L-CCR7+である。ある特定の態様では、ナイーブ様細胞は、分化の初期段階の細胞(例えば、CCR7+CD27+である細胞)を含む。
【0172】
ある特定の態様では、セントラルメモリーT細胞は、様々な分化状態の細胞を含む場合があり、ある特定の細胞マーカーの陽性もしくは高い発現(例えば、表面発現)および/または他の細胞マーカーの陰性もしくは低い発現(例えば、表面発現)によって特徴づけられる場合がある。いくつかの局面では、あまり分化していない細胞、例えば、セントラルメモリー細胞は、長寿命であり、あまり迅速に消耗せず、それにより、残留性および耐久性が増している。いくつかの局面では、CAR-T細胞療法などの細胞療法の奏効者は、セントラルメモリー遺伝子の発現が増加している。例えば、Fraietta et al. (2018) Nat Med. 24(5):563-571を参照されたい。いくつかの局面では、セントラルメモリーT細胞は、CD45RO、CD62L、CCR7、CD28、CD3、および/またはCD127の陽性または高い発現によって特徴づけられる。いくつかの局面では、セントラルメモリーT細胞は、CD45RAおよび/またはグランザイムBの陰性または低い発現によって特徴づけられる。ある特定の態様では、セントラルメモリーT細胞またはセントラルメモリーT細胞上に発現されるマーカーについて表面陽性であるT細胞はCCR7+CD45RA-である。
【0173】
特定の態様では、濃縮されたCD57- T細胞の集団は、例えば、選択、単離、または濃縮の前に、生体試料よりも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、125%、150%、1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、もしくは10倍多い、約25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、125%、150%、1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、もしくは10倍多い、または少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、125%、150%、1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、もしくは10倍多い、または少なくとも約25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、125%、150%、1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、もしくは10倍多いCD27+ T細胞を含む。特定の態様では、濃縮されたCD57- T細胞の集団は、例えば、選択、単離、または濃縮の前に、生体試料よりも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、125%、150%、1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、もしくは10倍多い、約25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、125%、150%、1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、もしくは10倍多い、または少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、125%、150%、1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、もしくは10倍多い、または少なくとも約25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、125%、150%、1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、もしくは10倍多いCD28+ T細胞を含む。様々な態様では、濃縮されたCD57- T細胞の集団は、例えば、選択、単離、または濃縮の前に、生体試料よりも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、125%、150%、1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、もしくは10倍多い、約25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、125%、150%、1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、もしくは10倍多い、または少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、125%、150%、1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、もしくは10倍多い、または少なくとも約25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、125%、150%、1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、もしくは10倍多いCD25+ T細胞を含む。ある特定の態様では、濃縮されたCD57- T細胞の集団は、例えば、選択、単離、または濃縮の前に、生体試料よりも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、125%、150%、1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、もしくは10倍多い、約25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、125%、150%、1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、もしくは10倍多い、または少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、125%、150%、1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、もしくは10倍多い、または少なくとも約25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、125%、150%、1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、もしくは10倍多いCCR7+ T細胞を含む。ある特定の態様では、濃縮されたCD57- T細胞の集団は、例えば、選択、単離、または濃縮の前に、生体試料よりも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、125%、150%、1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、もしくは10倍多い、約25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、125%、150%、1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、もしくは10倍多い、または少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、125%、150%、1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、もしくは10倍多い、または少なくとも約25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、125%、150%、1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、もしくは10倍多いCD45RA+細胞を含む。
【0174】
ある特定の態様では、T細胞、例えば、CD3+ T細胞は、生体試料からCD57- T細胞を選択、単離、または濃縮する前に、生体試料から選択、単離、または濃縮される。いくつかの態様では、T細胞、例えば、CD3+ T細胞は、濃縮されたCD57- T細胞の集団から選択、単離、または濃縮される。特定の態様では、T細胞、例えばCD3+ T細胞を選択、単離または濃縮することは、試料からの細胞の陽性選択を伴う。
【0175】
いくつかの態様では、CD57+細胞は、試料、細胞組成物、または細胞集団から選択、単離、または濃縮され、それにより、単離または選択されたCD57+細胞と、濃縮されたCD57-細胞、例えば、T細胞の集団とを作製する。ある特定の態様では、CD57+細胞は、生体試料から選択、単離、または濃縮され、それにより、単離または選択されたCD57+細胞と、濃縮されたCD57-細胞、例えば、T細胞の集団とを作製する。ある特定の態様では、CD3+ T細胞は、濃縮されたCD57-細胞の集団から濃縮、選択、または単離され、それにより、濃縮されたCD57- CD3+ T細胞の集団と、濃縮されたCD57-細胞の選択されなかった集団とを生成する。ある特定の態様では、CD3+ T細胞は、濃縮されたCD57-細胞の選択されなかった集団から濃縮、選択、または単離され、それにより、濃縮されたCD57-CD3+ T細胞の集団を生成する。様々な態様では、CD3+ T細胞は、濃縮されたCD57-細胞の集団から濃縮、選択、または単離され、それにより、濃縮されたCD57- CD3+ T細胞の集団と、CD57-細胞が濃縮された選択されなかった集団を生成し、次いで、CD4+またはCD8+ T細胞が、濃縮されたCD57-細胞の選択されなかった集団から濃縮、選択、または単離され、それにより、濃縮されたCD57-CD4+ T細胞またはCD57-CD8+ T細胞の集団を生成する。
【0176】
ある特定の態様では、T細胞のサブセット、例えば、CD4+またはCD8+ T細胞は、生体試料からCD57- T細胞を選択、単離、または濃縮する前に、生体試料から選択、単離、または濃縮される。いくつかの態様では、T細胞のサブセット、例えば、CD4+またはCD8+ T細胞は、濃縮されたCD57- T細胞の集団から選択、単離、または濃縮される。特定の態様では、T細胞のサブセット、例えば、CD4+またはCD8+ T細胞を選択、単離または濃縮することは、試料からの細胞の陽性選択を伴う。
【0177】
いくつかの態様では、CD57+細胞は、試料、細胞組成物、または細胞集団から選択、単離、または濃縮され、それにより、単離または選択されたCD57+細胞と、濃縮されたCD57-細胞、例えば、T細胞の集団とを作製する。ある特定の態様では、CD57+細胞は、生体試料から選択、単離、または濃縮され、それにより、単離または選択されたCD57+細胞と、濃縮されたCD57-細胞、例えば、T細胞の集団とを作製する。特定の態様では、CD4+ T細胞は、濃縮されたCD57-細胞の集団から濃縮、選択、または単離され、それにより、濃縮されたCD57- CD4+ T細胞の集団と、CD57-細胞が濃縮された選択されなかった集団とを生成する。ある特定の態様では、CD8+ T細胞は、濃縮されたCD57-細胞の集団から濃縮、選択、または単離され、それにより、濃縮されたCD57- CD8+ T細胞の集団と、濃縮されたCD57-細胞の選択されなかった集団とを生成する。ある特定の態様では、CD8+ T細胞は、濃縮されたCD57-細胞の選択されなかった集団から濃縮、選択、または単離され、それにより、濃縮されたCD57-CD8+ T細胞の集団を生成する。特定の態様では、CD4+ T細胞は、濃縮されたCD57-細胞の選択されなかった集団から濃縮、選択、または単離され、それにより、濃縮されたCD57-CD4+ T細胞の集団を生成する。
【0178】
特定の態様では、CD4+ T細胞は、濃縮されたCD57-細胞からの集団から濃縮、選択、または単離され、それにより、濃縮されたCD57- CD4+ T細胞の集団と、CD57-細胞が濃縮された選択されなかった集団とを生成し、次いで、CD8+ T細胞が、濃縮されたCD57-細胞の選択されなかった集団から濃縮、選択、または単離され、それにより、濃縮されたCD57-CD8+ T細胞の集団を生成する。様々な態様では、CD4+ T細胞は、濃縮されたCD57-細胞の集団から濃縮、選択、または単離され、それにより、濃縮されたCD57- CD4+ T細胞の集団と、CD57-細胞が濃縮された選択されなかった集団とを生成し、次いで、CD8+ T細胞は、濃縮されたCD57-細胞の選択されなかった集団から濃縮、選択、または単離され、それにより、濃縮されたCD57-CD8+ T細胞の集団を生成する。
【0179】
特定の態様では、(1)CD4+ T細胞は、生体試料から濃縮、選択、または単離され、それにより、濃縮されたCD4+ T細胞の集団と、CD4-細胞が濃縮された選択されなかった集団とを生成し;(2)CD8+ T細胞は、濃縮されたCD4-細胞の選択されなかった集団から濃縮、選択、または単離され、それにより、濃縮されたCD8+ T細胞の集団を生成し;および(3)CD57+ T細胞は、濃縮されたCD4+およびCD8+ T細胞集団から枯渇され、濃縮されたCD57-CD4+およびCD57-CD8+ T細胞の集団を生成する。特定の態様では、(1)CD8+ T細胞は、生体試料から濃縮、選択、または単離され、それにより、濃縮されたCD8+ T細胞の集団と、CD8-細胞が濃縮された選択されなかった集団とを生成し;(2)CD4+ T細胞は、濃縮されたCD4-細胞の選択されなかった集団から濃縮、選択、または単離され、それにより、濃縮されたCD4+ T細胞の集団を生成し;および(3)CD57+ T細胞は、濃縮されたCD4+およびCD8+ T細胞集団から枯渇され、濃縮されたCD57-CD4+およびCD57-CD8+ T細胞の集団を生成する。
【0180】
特定の態様では、CD4+ T細胞は、生体試料から濃縮、選択、または単離され、それにより、CD4+ T細胞の濃縮された集団を生成し、次いで、CD57+細胞は、CD4+ T細胞の濃縮された集団から除去され、それにより、濃縮されたCD57-CD4+ T細胞の集団を生成する。特定の態様では、CD8+ T細胞は、生体試料から濃縮、選択、または単離され、それにより、CD8+ T細胞の濃縮された集団を生成し、次いでCD57+細胞がCD8+ T細胞の濃縮された集団から除去され、それにより、濃縮されたCD57-CD8+ T細胞の集団を生成する。
【0181】
いくつかの態様では、濃縮されたCD57- T細胞の1つまたは複数の集団は、単離、選択および/または濃縮の後に凍結される、例えば、凍結保存および/または凍結保護される。特定の態様では、濃縮されたCD57- CD4+ T細胞の集団は、単離、選択および/または濃縮の後に凍結される、例えば、凍結保存および/または凍結保護される。ある特定の態様では、濃縮されたCD57- CD8+ T細胞の集団は、単離、選択および/または濃縮の後に凍結される、例えば、凍結保存および/または凍結保護される。ある特定の態様では、濃縮されたCD57- CD3+ T細胞の集団は、単離、選択および/または濃縮の後に凍結される、例えば、凍結保存および/または凍結保護される。いくつかの態様では、濃縮されたT細胞の1つまたは複数の集団は、細胞の集団をインキュベート、活性化、刺激、操作、形質導入、形質移入、培養、拡大増殖、採取、および/または製剤化する任意の工程の前に凍結される、例えば、凍結保存および/または凍結保護される。特定の態様では、濃縮されたCD57-CD4+ T細胞の集団は、細胞の集団をインキュベート、活性化、刺激、操作、形質導入、形質移入、培養、拡大増殖、採取、および/または製剤化する任意の工程の前に凍結される、例えば、凍結保存および/または凍結保護される。いくつかの態様では、濃縮されたCD57-CD8+ T細胞の集団は、細胞の集団をインキュベート、活性化、刺激、操作、形質導入、形質移入、培養、拡大増殖、採取、および/または製剤化する任意の工程の前に凍結される、例えば、凍結保存および/または凍結保護される。いくつかの態様では、濃縮されたCD57-CD3+ T細胞の集団は、細胞の集団をインキュベート、活性化、刺激、操作、形質導入、形質移入、培養、拡大増殖、採取、および/または製剤化する任意の工程の前に凍結される、例えば、凍結保存および/または凍結保護される。特定の態様では、1つまたは複数の凍結保護されたインプット組成物は、例えば、-80℃または約-80℃で、12時間~7日間、24時間~120時間、または2日~5日間保存される。特定の態様では、1つまたは複数の凍結保護されたインプット組成物は、-80℃または約-80℃で、10日、9日、8日、7日、6日、または5日、4日、3日、2日、または1日未満の期間保存される。いくつかの態様では、1つまたは複数の凍結保護されたインプット組成物は、-70℃もしくは約-70℃、または-80℃もしくは約-80℃で3日間未満、例えば約2日間保存される。
【0182】
いくつかの態様では、1つまたは複数の特定の細胞タイプまたは細胞集団を指す場合の「枯渇させること」または「除去すること」は、例えば、集団もしくは細胞によって発現されるマーカーに基づく陰性選択によって、または枯渇されるべき細胞集団もしくは細胞に存在しないマーカーに基づく陽性選択によって、細胞タイプまたは集団の数またはパーセンテージを、例えば、組成物中もしくはその体積中の細胞の総数と比較して、または他の細胞タイプと比べて、減少させることを指す。一般に、枯渇させることまたは除去することという用語は、組成物からの細胞、細胞タイプ、または集団の完全な除去を必要としない。
【0183】
いくつかの態様では、1つまたは複数の特定の細胞タイプまたは細胞集団を指す場合の「濃縮すること」は、例えば、集団もしくは細胞によって発現されるマーカーに基づく陽性選択によって、または枯渇されるべき細胞集団もしくは細胞に存在しないマーカーに基づく陰性選択によって、細胞タイプまたは集団の数またはパーセンテージを、例えば、組成物中もしくはその体積中の細胞の総数と比較して、または他の細胞タイプと比べて、増加させることを指す。一般に、濃縮することという用語は、組成物からの他の細胞、細胞タイプ、または集団の完全な除去を必要とせず、そのように濃縮された細胞が濃縮された組成物中に100%またはさらには100%近く存在することを必要としない。
【0184】
いくつかの局面では、細胞療法、例えば、養子細胞療法のための対象、例えばヒト対象から得られた細胞集団または細胞組成物は、低い成長または遅い成長を示す可能性があり、その結果、それらは、治療用組成物を生成するための細胞を採取するための閾値(例えば、採取基準)に到達しない(例えば、成長しない)、または治療用組成物を特定の期間内に生成するための細胞を採取するための閾値(例えば、採取基準)に到達しない(例えば、遅い成長)。いくつかの局面では、そのような細胞集団のいくつかは、大きい頻度のCD57+細胞、例えば閾値よりも大きい頻度のCD57+を含有することができる。他の局面では、細胞療法、例えば、養子細胞療法のための対象、例えばヒト対象から得られた細胞集団または細胞組成物は、成長なしまたは遅い成長を示している集団と比較して改善された成長を示すことができる。いくつかの局面では、そのような細胞集団または細胞組成物は、小さい頻度のCD57+細胞、例えば、閾値未満の頻度のCD57+細胞を含有することができる。いくつかの局面では、改善された成長を示す細胞集団または細胞組成物は、CD27+、CD28+および/またはCCR7+などのナイーブ様またはセントラルメモリー様表現型に関連する表現型を示す、またはマーカーを発現することができる。いくつかの態様では、提供される方法は、ヒト対象からの生体試料(例えば、白血球アフェレーシスまたはアフェレーシス試料)中のT細胞の間のCD57+ T細胞発現に変動性または不均一性があるという観察に基づき、そのことは、いくつかの局面では、たとえ同じ製造プロセスを用いても、複数の異なる対象からの養子細胞療法に使用するために製造された、操作されたT細胞組成物の表現型および機能に結果として変動性を生じる可能性がある。特定の態様では、提供される方法は、生体試料からCD57- T細胞を選択、単離、または濃縮することによって、例えば、生体試料からCD57+ T細胞を除去、分離、または枯渇させることによって、そのような変動性を制御または低下させる。次いで、そのような細胞は、細胞療法のための細胞を操作または製造するためのプロセスに使用されて、産物間の変動性を最小限にでき、一方で、対象に投与したときに拡大増殖し、残留する能力などの産物の特定の特質および特徴も改善する。
【0185】
A. 試料および細胞調製
特定の態様では、提供される方法は、生体試料から細胞を単離、選択または濃縮して、濃縮された細胞、例えば、CD57- T細胞の1つまたは複数の集団を生成することに関連して使用される。いくつかの態様では、提供される方法は、生体試料、例えば、特定の疾患もしくは病状を有する、細胞療法を必要とするまたは細胞療法が投与される対象などの対象から得られるまたは対象に由来する生体試料からの、細胞またはその集団の単離を含む。いくつかの局面では、対象は、ヒト、例えば、細胞がそのために単離、処理および/または操作される養子細胞療法などの特定の治療的介入を必要とする患者である対象である。したがって、細胞は、いくつかの態様では、初代細胞、例えば、初代ヒト細胞である。試料は、組織、体液、および対象から直接採取された他の試料を含む。生体試料は、生物学的供給源から直接得られる試料、または処理される試料であることができる。生体試料は、限定されないが、体液、例えば、血液、血漿、血清、脳脊髄液、滑液、尿および汗、組織および臓器の試料を含み、これらに由来する処理済み試料も含む。
【0186】
いくつかの局面では、試料は、血液もしくは血液由来試料であるか、またはアフェレーシスもしくは白血球アフェレーシス産物であるかまたはそれに由来する。例示的な試料は、全血、末梢血単核細胞(PBMC)、白血球、骨髄、胸腺、組織生検、腫瘍、白血病、リンパ腫、リンパ節、腸関連リンパ組織、粘膜関連リンパ組織、脾臓、他のリンパ組織、肝臓、肺、胃、腸、大腸、腎臓、膵臓、乳房、骨、前立腺、子宮頸部、精巣、卵巣、扁桃腺もしくは他の臓器、および/またはそれらに由来する細胞を含む。試料は、細胞療法、例えば、養子細胞療法の状況下では、自己および同種の供給源由来の試料を含む。いくつかの態様では、試料は、全血試料、バフィーコート試料、末梢血単核細胞(PBMC)試料、未分画のT細胞試料、リンパ球試料、白血球試料、アフェレーシス産物、もしくは白血球アフェレーシス産物であるか、またはそれらを含む。
【0187】
いくつかの例では、対象の循環血液由来の細胞は、例えば、アフェレーシスまたは白血球アフェレーシスによって得られる。試料は、いくつかの局面では、T細胞、単球、顆粒球、B細胞、他の有核白血球細胞、赤血球細胞、および/または血小板を含むリンパ球を含有し、いくつかの局面では、赤血球細胞および血小板以外の細胞を含有する。
【0188】
いくつかの態様では、対象から収集された血液細胞は、例えば、血漿画分を除去するために、かつ、後続の処理工程のために細胞を適切な緩衝液または培地に入れるために、洗浄される。いくつかの態様では、細胞は、リン酸緩衝食塩水(PBS)で洗浄される。いくつかの態様では、洗浄溶液は、カルシウムおよび/またはマグネシウムおよび/または多くのもしくはあらゆる二価カチオンを欠く。いくつかの局面では、洗浄工程は、製造業者の指示に従って、半自動化された「フロースルー」遠心分離機(例えば、Cobe 2991細胞プロセッサ、Baxter)によって達成される。いくつかの局面では、洗浄工程は、製造業者の指示に従って、接線流濾過(TFF)によって達成される。いくつかの態様では、細胞は、洗浄後、例えば、Ca++/Mg++を含まないPBSなどの多種多様な生体適合性緩衝液に再懸濁される。ある特定の態様では、血液細胞試料の成分が除去され、細胞が培養培地に直接再懸濁される。
【0189】
いくつかの態様では、細胞を含有する試料(例えば、アフェレーシス産物または白血球アフェレーシス産物)は、アフェレーシスまたは白血球アフェレーシスの間に添加されたヘパリンなどの1つまたは複数の抗凝固剤を除去するために洗浄される。
【0190】
いくつかの態様では、細胞を含有する試料(例えば、全血試料、バフィーコート試料、末梢血単核細胞(PBMC)試料、未分画T細胞試料、リンパ球試料、白血球細胞試料、アフェレーシス産物または白血球アフェレーシス産物)は、凍結保存および/または凍結保護(例えば、凍結)され、次いで、細胞の集団の単離、選択、活性化、刺激、操作、形質導入、トランスフェクション、インキュベーション、培養、採取、製剤化、および/または製剤化された細胞集団の対象への投与のための任意の工程の前に融解され、任意で洗浄される。
【0191】
いくつかの態様では、対象由来の自己末梢血単核細胞(PBMC)を含有する試料は、適切な製造品質を確保するのに適した方法において収集される。一局面では、PBMCを含有する試料は、分画された全血に由来する。いくつかの態様では、対象由来の全血は、白血球アフェレーシスによって、遠心力を使用し、細胞表現型間の密度差を利用して分画され、このとき、自己単核細胞(MNC)が優先的に濃縮される一方で、赤血球細胞などの他の細胞表現型は、収集された細胞組成物において低減される。いくつかの態様では、自己血漿がMNC収集の間に同時に収集され、それは、いくつかの局面では、白血球アフェレーシス産物の安定性の拡大を可能にすることができる。一局面では、自己血漿が白血球アフェレーシス産物に加えられ、白血球アフェレーシス産物マトリックスの緩衝能が改善される。いくつかの局面では、白血球アフェレーシス産物を生成するために処理される全血の総体積は、2L、4L、6L、8L、10L、12L、14L、16L、18Lもしくは20Lであるかまたは約2L、4L、6L、8L、10L、12L、14L、16L、18Lもしくは20Lであるか、あるいは、前述のいずれかの間の任意の値である。いくつかの態様では、収集された自己血漿の体積は、10mL、50mL、100mL、150mL、200mL、250mLもしくは300mL以上であるかまたは約10mL、50mL、100mL、150mL、200mL、250mLもしくは300mL以上であるか、あるいは、前述のいずれかの間の体積である。いくつかの態様では、白血球アフェレーシス産物は、白血球アフェレーシス収集完了の約48時間以内に、手順、例えば、プロセス内凍結保存のための洗浄および製剤化に供される。いくつかの態様では、白血球アフェレーシス産物は、例えば、白血球アフェレーシス収集完了の約2時間、6時間、12時間、18時間、24時間、36時間または48時間以内に、1つまたは複数の洗浄工程に供される。いくつかの局面では、1つまたは複数の洗浄工程は、白血球アフェレーシス収集中の抗凝固剤、白血球アフェレーシス産物中に蓄積され得る細胞廃棄物、残留血小板および/または細胞残屑を除去する。いくつかの態様では、1つまたは複数の緩衝液交換は、1つまたは複数の洗浄工程の間に実施される。
【0192】
特定の態様では、アフェレーシス産物または白血球アフェレーシス産物は、以下に記載されるように、凍結保存および/または凍結保護(例えば、凍結)され、次いで、細胞の濃縮、選択、または単離工程(例えば、T細胞の選択または単離工程)に供される前に融解される。いくつかの態様では、凍結保存および/または凍結保護されたアフェレーシス産物または白血球アフェレーシス産物がT細胞の選択または単離工程に供された後、追加の凍結保存および/または凍結保護工程が、細胞の集団を活性化、刺激、操作、形質導入、トランスフェクション、インキュベーション、培養、採取、製剤化、および/または製剤化された細胞集団を対象に投与する工程などのいずれかの後続の工程の最中または間に実施されることはない。例えば、融解された凍結保存および/または凍結保護されたアフェレーシス産物または白血球アフェレーシス産物から選択されたT細胞は、T細胞活性化/刺激または形質導入などの下流プロセスのために融解され、任意で洗浄される前に、再び凍結保存および/または凍結保護されることはない。
【0193】
特定の態様では、アフェレーシス産物または白血球アフェレーシス産物は、凍結保存溶液または緩衝液中に、5×106個の細胞/mL、10×106個の細胞/mL、20×106個の細胞/mL、30×106個の細胞/mL、40×106個の細胞/mL、50×106個の細胞/mL、60×106個の細胞/mL、70×106個の細胞/mL、80×106個の細胞/mL、90×106個の細胞/mL、100×106個の細胞/mL、110×106個の細胞/mL、120×106個の細胞/mL、130×106個の細胞/mL、140×106個の細胞/mLもしくは150×106個の細胞/mL、約5×106個の細胞/mL、10×106個の細胞/mL、20×106個の細胞/mL、30×106個の細胞/mL、40×106個の細胞/mL、50×106個の細胞/mL、60×106個の細胞/mL、70×106個の細胞/mL、80×106個の細胞/mL、90×106個の細胞/mL、100×106個の細胞/mL、110×106個の細胞/mL、120×106個の細胞/mL、130×106個の細胞/mL、140×106個の細胞/mLもしくは150×106個の細胞/mL、または少なくとも5×106個の細胞/mL、10×106個の細胞/mL、20×106個の細胞/mL、30×106個の細胞/mL、40×106個の細胞/mL、50×106個の細胞/mL、60×106個の細胞/mL、70×106個の細胞/mL、80×106個の細胞/mL、90×106個の細胞/mL、100×106個の細胞/mL、110×106個の細胞/mL、120×106個の細胞/mL、130×106個の細胞/mL、140×106個の細胞/mLもしくは150×106個の細胞/mL、あるいは前述のいずれかの間の任意の値の密度で、凍結保存および/または凍結保護(例えば、凍結)される。いくつかの態様では、凍結保存溶液または緩衝液は、例えば、DMSO溶液(任意でヒト血清アルブミン(HSA)を含む)または他の好適な細胞凍結培地であるかそれを含有する。
【0194】
特定の態様では、凍結保存および/または凍結保護されたアフェレーシス産物または白血球アフェレーシス産物がバンクされ(例えば、試料を凍結する前のT細胞選択を伴わない)、これにより、いくつかの局面では、後続の製造工程にさらに多くの柔軟性を与えることができる。いくつかの局面では、凍結保存および/または凍結保護されたアフェレーシス産物または白血球アフェレーシス産物は、産物の処理において各々個別にまたは組み合わせて使用することができる複数の凍結保存容器(バッグなど)に分割される。例えば、アフェレーシス産物または白血球アフェレーシス産物中の生存細胞の総数が15×109個未満の細胞であるとき、凍結保存および/または凍結保護されたアフェレーシス産物または白血球アフェレーシス産物は、4個の凍結保存容器(バッグなど)に分割される。いくつかの態様では、アフェレーシス産物または白血球アフェレーシス産物中の生存細胞の総数が15~30×109個の細胞であるとき、凍結保存および/または凍結保護されたアフェレーシス産物または白血球アフェレーシス産物は、8個の凍結保存容器(バッグなど)に分割される。
【0195】
一局面では、選択前に細胞をバンクすることにより、下流プロセスの細胞収量が増加し、細胞を早期にバンクすることは、それらの健康が向上し、製造成功基準を満たすのがさらに容易になる場合があることを意味し得る。別の局面では、一旦融解されると、凍結保存および/または凍結保護されたアフェレーシス産物または白血球アフェレーシス産物は、1つまたは複数の異なる選択方法に供することができる。このアプローチの利点は、とりわけ、試料のドナーおよび/または別のレシピエントなどにおける対象の疾患または病状の治療のための細胞療法の細胞の利用可能性、有効性および/または他の側面を強化することである。
【0196】
いくつかの態様では、試料(例えば、アフェレーシスまたは白血球アフェレーシス試料)は、ドナーが何らかの疾患または病状と診断された後の時点で、細胞選択の前に、または事前の細胞選択を伴わず(例えば、クロマトグラフィーによる選択などの事前のT細胞選択を伴わず)収集され、凍結保存および/または凍結保護される。いくつかの局面では、凍結保存の時期はまた、疾患もしくは病状に対する任意の初期治療、疾患もしくは病状に対する治療のために標識された任意の標的化治療もしくは任意の治療、または放射線および/または化学療法以外の任意の治療のうちの1つもしくは複数をドナーが受ける前である。いくつかの態様では、試料は、疾患の初期治療後の疾患の最初の再発の後、およびドナーまたは対象が疾患のためのその後の治療を受ける前に収集される。初期治療および/またはその後の治療は、細胞療法以外の療法であり得る。いくつかの態様では、収集された細胞は、初期治療および/またはその後の治療後の細胞療法に使用されてもよい。一局面では、事前の細胞選択を伴わず凍結保存および/または凍結保護された試料は、クロスオーバーして後に治療を必要とし得る無作為化臨床試験の非治療患者に関連するものなどの初期費用の削減に役立ち得る。
【0197】
いくつかの態様では、試料(例えば、アフェレーシスまたは白血球アフェレーシス試料)は、疾患の第2選択治療後およびドナーまたは対象が疾患のためのその後の治療を受ける前の疾患の第2の再発後の時点で、細胞選択の前に、または事前の細胞選択を伴わず(例えば、クロマトグラフィーによる選択などの事前のT細胞選択を伴わず)収集され、凍結保存および/または凍結保護される。いくつかの態様では、患者は、例えば、特定の危険因子を評価することによって、第2選択治療の後に再発する可能性が高いと識別される。いくつかの態様では、危険因子は、ダブルヒットリンパ腫、原発性の難治性がん、または活性化B細胞リンパ腫などの疾患タイプおよび/または遺伝的特質に基づく。いくつかの態様では、危険因子は、第1選択治療後の早期再発、または治療後の他の予後不良指標(例えば、IPI(国際予後指数)>2)などの臨床像に基づく。
【0198】
いくつかの態様では、試料(例えば、アフェレーシスまたは白血球アフェレーシス試料)は、ドナーまたは対象が何らかの疾患と診断される前の時点で、細胞選択の前に、または事前の細胞選択を伴わず(例えば、クロマトグラフィーによる選択などの事前のT細胞選択を伴わず)収集され、凍結保存および/または凍結保護される。いくつかの局面では、ドナーまたは対象は、何らかの疾患を発症するリスクがあると判定されてもよい。いくつかの局面では、ドナーまたは対象は、健康な対象であり得る。ある特定の場合では、ドナーまたは対象は、何らかの疾患を発症するリスクまたは何らかの疾患と診断されるリスクがあると考えられることがなくても、細胞療法が人生のさらに後の段階で必要とされる場合に、細胞をバンクまたは保存することを選択してもよい。いくつかの態様では、ドナーまたは対象は、遺伝子変異、遺伝子異常、遺伝子破壊、家族歴、タンパク質異常(タンパク質産生および/またはプロセシングの欠陥など)、および何らかの疾患を発症するリスクを高め得るライフスタイルの選択などの因子に基づいて、何らかの疾患を発症するリスクがあると考えられる場合がある。いくつかの態様では、細胞は、予防薬として収集される。
【0199】
いくつかの態様では、細胞の凍結保存および/または凍結保護された試料(例えば、アフェレーシスまたは白血球アフェレーシス試料)、例えば、事前の細胞選択に供されていない(例えば、クロマトグラフィーによる選択などの事前のT細胞選択を伴わない)細胞の試料は、12時間超、24時間超、36時間超もしくは48時間超または12時間、24時間、36時間もしくは48時に等しい期間、あるいは、0.5日超、1日超、1.5日超もしくは2日超または0.5日、1日、1.5日もしくは2日に等しい期間にわたり貯蔵またはバンクされる。いくつかの態様では、試料は、1週間超、2週間超、3週間超もしくは4週間超または1週間、2週間、3週間もしくは4週間に等しい期間にわたり貯蔵またはバンクされる。いくつかの態様では、試料は、長期貯蔵または長期バンクされる。いくつかの局面では、試料は、1カ月超、2カ月超、3カ月超、4カ月超、5カ月超、6カ月超、7カ月超、8カ月超、9カ月超、10カ月超、11カ月超、1年超、2年超、3年超、4年超、5年超、6年超、7年超、8年超、9年超、10年超、11年超、12年超、13年超、14年超、15年超、16年超、17年超、18年超、19年超、20年超、25年超、30年超、35年超、40年超もしくはそれ以上、または1カ月、2カ月、3カ月、4カ月、5カ月、6カ月、7カ月、8カ月、9カ月、10カ月、11カ月、1年、2年、3年、4年、5年、6年、7年、8年、9年、10年、11年、12年、13年、14年、15年、16年、17年、18年、19年、20年、25年、30年、35年、40年もしくはそれ以上に等しい期間にわたり貯蔵される。
【0200】
いくつかの態様では、ドナーから採取されたアフェレーシスまたは白血球アフェレーシス試料は、冷却環境で貯蔵施設または処理施設に輸送され、かつ/または、貯蔵施設で極低温保存されるか、処理施設で処理される。いくつかの態様では、試料は、輸送前に、例えば、CD3+ T細胞、CD4+ T細胞および/またはCD8+ T細胞などのT細胞を選択することによって処理される。いくつかの態様では、そのような処理は、試料を輸送後および極低温保存する前に実施される。いくつかの態様では、処理は、極低温保存に続いて試料を融解した後に実施される。
【0201】
ドナー、ひいてはその細胞が、疾患に対する広範囲な治療を受けていない段階、および/あるいは、疾患もしくは病状の発症またはその診断の前の段階で、ドナーがその細胞を貯蔵することを可能にすることによって、そのような細胞は、1回または複数回の治療の後に採取された細胞と比較して、細胞療法における使用に対して特定の利点を有し得る。例えば、1回または複数回の治療の前に採取された細胞の方が、数回の治療を受けた細胞よりも健康であり得る、高いレベルの特定の細胞活性を示し得る、迅速に増殖し得る、および/または遺伝子操作に対して受容的であり得る。本明細書に記載される態様による利点の別の例には、利便性が含まれ得る。例えば、細胞療法に必要とされる前にドナーの細胞を収集し、任意で処理し、貯蔵することにより、レシピエントが後にそれらを必要とする場合に、細胞は容易に利用可能となる。これにより、アフェレーシス検査室の容量が増加し、技術者がアフェレーシス収集プロセスの予定を決める際の柔軟性が高まる。
【0202】
アフェレーシス試料などの試料由来の細胞を極低温保存および処理するための例示的な方法およびシステムには、WO2018170188に記載されているものが含まれ得る。いくつかの態様では、本方法およびシステムは、患者が細胞療法を必要とする前にアフェレーシスを収集する工程、次いで、組換え受容体(例えば、CAR)を用いて細胞(例えば、T細胞)を操作するプロセスで後に使用するために、アフェレーシス試料を凍結保存する工程を伴う。場合によっては、そのようなプロセスは、本明細書に記載されるプロセスを含むことができる。いくつかの態様では、対象からアフェレーシス試料が収集され、その後のT細胞選択、細胞の集団の活性化、刺激、操作、形質導入、トランスフェクション、インキュベーション、培養、採取、製剤化、および/または製剤化された細胞集団の対象への投与の前に凍結保存される。そのような例では、凍結保存されたアフェレーシス試料は、試料を本明細書に記載されるいずれかなどの1つまたは複数の選択工程に供する前に融解される。
【0203】
いくつかの態様では、細胞の凍結保存および/または凍結保護された試料(例えば、アフェレーシスまたは白血球アフェレーシス試料)、例えば、事前の細胞選択に供されていない(例えば、クロマトグラフィーによる選択などの事前のT細胞選択を伴わない)細胞の試料は、細胞療法のための細胞集団、例えば、CAR+ T細胞を含有するT細胞集団を製造するための下流プロセスに使用する前に融解される。いくつかの態様では、そのような細胞の凍結保存および/または凍結保護された試料(例えば、アフェレーシス試料または白血球アフェレーシス試料)は、CAR+ T細胞療法などの操作されたT細胞療法のための、本明細書において提供されるプロセスに関連して使用される。特定の例では、採取/製剤化工程の前またはその間に、凍結保存のさらなる工程は行われない。
【0204】
いくつかの態様では、凍結保存および/または凍結保護されたアフェレーシス産物または白血球アフェレーシス産物が融解される。いくつかの態様では、融解された細胞組成物は、希釈(例えば、無血清培地による)および/または洗浄(例えば、無血清培地による)に供され、このことは、場合によっては、不要なまたは望ましくない成分を除去または低減させることができる。場合によっては、希釈および/または洗浄は、融解された試料中に含有される、別の面で細胞の生存率、収量、長期室温曝露時の回収率に負の影響を及ぼし得る、凍結保護物質、例えば、DMSOの存在を除去または低減する。いくつかの態様では、希釈および/または洗浄は、参照により本明細書に組み入れられるPCT/US2018/064627に記載されるように、無血清培地への、融解された凍結保存産物の培地交換を可能にする。
【0205】
いくつかの態様では、無血清培地は、1つまたは複数のサプリメントが補充された基礎培地(例えば、OpTmizer(商標)T-Cell Expansion Basal Medium(ThermoFisher))を含む。いくつかの態様では、1つまたは複数のサプリメントは、無血清である。いくつかの態様では、無血清培地は、例えば追加のサプリメント(例えば、OpTmizer(商標)T-Cell Expansion Supplement(ThermoFisher))によって提供される、細胞(例えば、T細胞)の維持、拡大増殖および/または活性化のための1つまたは複数の追加の成分が補充された基礎培地を含む。いくつかの態様では、無血清培地はさらに、血清代替サプリメント、例えば、免疫細胞血清代替物、例えば、CTS(商標)Immune Cell Serum Replacement(ThermoFisher、#A2596101)、またはSmith et al. Clin Transl Immunology. 2015 Jan; 4(1): e31に記載されている免疫細胞血清代替物を含む。いくつかの態様では、無血清培地はさらに、L-グルタミンなどのアミノ酸の遊離形態を含む。いくつかの態様では、無血清培地はさらに、L-グルタミンのジペプチド形態(例えば、L-アラニル-L-グルタミン)、例えば、Glutamax(商標)(ThermoFisher)中のジペプチドを含む。いくつかの態様では、無血清培地はさらに、1つまたは複数の組換えサイトカイン、例えば、組換えヒトIL-2、組換えヒトIL-7、および/または組換えヒトIL-15を含む。
【0206】
B. T細胞選択
いくつかの態様において、細胞、例えばCD57+またはCD57-細胞(例えばCD57+ T細胞)の選択、単離または濃縮は、1つまたは複数の調製および/または非アフィニティーベースの細胞分離工程を含む。いくつかの例において、細胞は、1つまたは複数の試薬の存在下で洗浄、遠心分離および/またはインキュベートされて、例えば不要な成分を除去し、所望の成分を濃縮し、特定の試薬に感受性の細胞を溶解または除去する。いくつかの例において、細胞は、1つまたは複数の性質、例えば密度、接着性、サイズ、特定の成分に対する感度および/または耐性に基づいて分離される。いくつかの態様において、方法は、密度ベースの細胞分離法、例えば、赤血球の溶解およびPercollまたはFicoll勾配による遠心分離による、末梢血からの白血球の調製を含む。特定の態様において、選択、単離および濃縮のための方法、技術および試薬は、例えば、全体として参照により本明細書に組み入れられるPCT出願国際公開公報第2013124474号および第2015164675号に記載されている。
【0207】
ある特定の態様において、CD57-細胞は、1つまたは複数の選択工程を含むプロセスまたは手順で単離、濃縮または選択される。いくつかの態様において、1つまたは複数の選択工程は、陰性選択である、または陰性選択を含む。特定の態様において、CD57-細胞は、CD57+細胞の分離または除去によって単離、濃縮、または選択される。特定の態様において、集団からのCD57+細胞の陰性選択の結果として、CD57-細胞を濃縮された細胞集団が得られる。
【0208】
ある特定の態様において、CD57+細胞を大きな密度細胞またはビーズに結合するための二価抗体。この技術は、赤血球で最も顕著に使用されており(例えばRosetteSep(商標)STEMCELL Technologies)または、標的細胞、例えばCD57+ T細胞を除去のために密度勾配に結合するために、任意の他の類似または適当な技術が使用されている。
【0209】
いくつかの態様において、選択工程の少なくとも一部分は、選択試薬との細胞のインキュベーションを含む。1つまたは複数の特定の分子、例えば表面マーカー、例えば表面タンパク質、細胞内マーカーまたは核酸の、細胞中または細胞上の発現または存在に基づく1つまたは複数の異なる細胞タイプの選択のための1つまたは複数の選択試薬を使用して実施され得る、例えば選択法の一部としての選択試薬とのインキュベーション。特定の態様において、そのような表面タンパク質はCD57、CD4またはCD8を含み得る。特定の態様において、そのような表面タンパク質はCD3を含み得る。いくつかの態様において、そのようなマーカーに基づく分離のために選択試薬を使用する任意の公知の方法が使用され得る。いくつかの態様において、選択試薬は、アフィニティーまたはイムノアフィニティーベースの分離である分離を生じさせる。例えば、いくつかの局面において、選択は、1つまたは複数のマーカー、通常は細胞表面マーカーの細胞の発現または発現レベルに基づく細胞および細胞集団の分離のための試薬とのインキュベーション、例えば、そのようなマーカーに特異的に結合する抗体または結合パートナーとのインキュベーション、次いで、一般に洗浄工程および抗体または結合パートナーを結合させて有する細胞の、抗体または結合パートナーを結合させて有しない細胞からの分離を含む。いくつかの態様において、細胞の分離のための試薬は、CD4、CD8またはCD57に結合する、またはそれを認識する抗体またはその抗原結合断片である、またはそれを含む。いくつかの態様において、細胞の分離のための試薬は、CD3に結合する、またはCD3を認識する抗体またはその抗原結合断片である、またはそれを含む。
【0210】
そのようなプロセスのいくつかの局面では、ある体積の細胞が、ある量の所望の親和性に基づく選択試薬と混合される。免疫親和性に基づく選択は、分離される細胞と、細胞上のマーカー、例えば、固体表面の抗体または他の結合パートナー、例えば、粒子に特異的に結合する分子との間の有利なエネルギー的な相互作用をもたらす任意のシステムまたは方法を使用して行うことができる。いくつかの態様では、方法は、細胞のマーカーに特異的な選択剤(例えば抗体)によってコーティングされたビーズ、例えば、磁性ビーズなどの粒子を使用して行われる。粒子(例えばビーズ)は、エネルギー的に有利な相互作用を促進するために一定の細胞密度と粒子(例えばビーズ)との比で、チューブまたはバッグなどの容器内の細胞とともに、振盪または混合しながら、インキュベートまたは混合することができる。他の場合では、方法は、選択の全部または一部が、例えば、遠心回転下で、遠心チャンバの内部キャビティ内で行われる、細胞の選択を含む。いくつかの態様では、細胞と、選択試薬、例えば、免疫親和性に基づく選択試薬とのインキュベーションは、遠心チャンバ内で行われる。特定の態様では、単離または分離は、国際特許出願公開番号WO2009/072003またはUS20110003380A1に記載されているシステム、デバイスまたは装置を使用して行われる。一例では、システムは、国際公開番号WO2016/073602に記載されているシステムである。
【0211】
いくつかの態様では、遠心チャンバのキャビティ内でそのような選択工程またはその一部(例えば、抗体被覆粒子、例えば、磁性ビーズとのインキュベーション)を行うことによって、使用者は、様々な溶液の体積、処理中の溶液の追加、およびそのタイミングなどの特定のパラメータを制御することができ、これは、他の利用可能な方法と比較して利点を提供することができる。例えば、インキュベーション中にキャビティ内の液体の体積を減少させる機能により、キャビティ内の細胞の総数に影響を与えることなく、選択に使用される粒子(例えばビーズ試薬)の濃度、ひいては溶液の化学ポテンシャルを増加させることができる。これにより、処理されている細胞と選択に使用される粒子との間の対の相互作用を強化することができる。いくつかの態様では、例えば、本明細書において記載されるシステム、回路および制御と関連する場合にチャンバ内でインキュベーション工程を行うことにより、使用者はインキュベーション中の所望の時間に溶液を撹拌することができ、これにより、相互作用を改善することもできる。
【0212】
いくつかの態様では、細胞と選択試薬とのインキュベーションを含む選択工程の少なくとも一部は、遠心チャンバ内で行われる。そのようなプロセスのいくつかの局面では、ある体積の細胞と、製造業者の指示に従って同一の数の細胞および/または体積の細胞を選択するためにチューブまたは容器内で同様の選択を行う際に通常使用される量よりもはるかに少ない量の所望の親和性に基づく選択試薬とが混合される。いくつかの態様では、製造業者の指示に従って、同一の数の細胞および/または同一の体積の細胞について、チューブまたは容器ベースのインキュベーションでの細胞の選択に使用される同一の選択試薬の量の5%以下、10%以下、15%以下、20%以下、25%以下、50%以下、60%以下、70%以下、または80%以下である単数または複数の選択試薬の量が使用される。
【0213】
いくつかの態様では、選択、例えば、細胞の免疫親和性に基づく選択のために、チャンバのキャビティ内で、濃縮および/または枯渇が望まれる細胞上の表面マーカーに特異的に結合するが、集団中の他の細胞上の表面マーカーには結合しない分子、例えば、ポリマーまたは表面、例えばビーズ、例えば磁性ビーズ、例えば、CD4およびCD8に特異的なモノクローナル抗体に結合した磁性ビーズなどの足場に任意で結合した抗体などの選択試薬を含む選択緩衝液も含有する集団中で細胞がインキュベートされる。いくつかの態様において、細胞の選択、例えばイムノアフィニティーベースの選択の場合、細胞は、チャンバのキャビティ中、選択バッファーをも含有する集団中で、選択試薬、例えば、濃縮する、および/または枯渇させることが望まれる細胞上の表面マーカーに特異的に結合するが、集団中の他の細胞上の表面マーカーには結合しない分子、例えば、任意で、ポリマーまたは表面などの足場、例えばビーズ、例えば磁気ビーズ、例えばCD3に特異的なモノクローナル抗体に結合した磁気ビーズに結合している抗体とともにインキュベートされる。いくつかの態様では、記載されるように、振盪または回転させながらチューブ内で選択が行われる場合に、同一の数の細胞または同一の体積の細胞を選択するのとほぼ同じまたは類似の効率を達成するのに通常使用されるか、必要であろう選択試薬の量と比較して、実質的にそれよりも少ない量(例えば、その量の5%以下、10%以下、20%以下、30%以下、40%以下、50%以下、60%以下、70%以下もしくは80%以下)で、チャンバのキャビティ内で細胞に選択試薬が加えられる。いくつかの態様では、インキュベーションは、細胞および選択試薬に選択緩衝液を加えることにより行われて、例えば、10mL~200mL、例えば、少なくとも10mL、少なくとも20mL、少なくとも30mL、少なくとも40mL、少なくとも50mL、少なくとも60mL、少なくとも70mL、少なくとも80mL、少なくとも90mL、少なくとも100mL、少なくとも150mLもしくは少なくとも200mL、または少なくとも約10mL、少なくとも約20mL、少なくとも約30mL、少なくとも約40mL、少なくとも約50mL、少なくとも約60mL、少なくとも約70mL、少なくとも約80mL、少なくとも約90mL、少なくとも約100mL、少なくとも約150mLもしくは少なくとも約200mL、または約10mL、約20mL、約30mL、約40mL、約50mL、約60mL、約70mL、約80mL、約90mL、約100mL、約150mLもしくは約200mL、または10mL、20mL、30mL、40mL、50mL、60mL、70mL、80mL、90mL、100mL、150mLもしくは200mLの試薬のインキュベーションにより標的体積を達成する。いくつかの態様では、選択緩衝液および選択試薬は、細胞に加える前に予め混合される。いくつかの態様では、選択緩衝液および選択試薬は、細胞に別個に加えられる。いくつかの態様では、選択インキュベーションは、エネルギー的に有利な相互作用を促進するのを助け、それにより、高い選択効率を達成しながら比較的少ない全体的な選択試薬の使用を可能にし得る、周期的な穏やかな混合条件により行われる。
【0214】
いくつかの態様では、選択試薬とのインキュベーションの総持続時間は、5分~6時間または約5分~6時間、例えば、30分~3時間、例えば、少なくとも30分、少なくとも60分、少なくとも120分もしくは少なくとも180分、または少なくとも約30分、少なくとも約60分、少なくとも約120分もしくは少なくとも約180分である。
【0215】
いくつかの態様では、インキュベーションは、一般に、スピンの存在下などの混合条件下で、一般に、細胞をペレット化するのに使用される速度よりも遅い速度などの比較的低い力または速度で、例えば、600rpm~1700rpmまたは約600rpm~1700rpm(例えば、600rpm、1000rpm、もしくは1500rpmもしくは1700rpm、または約600rpm、約1000rpm、もしくは約1500rpmもしくは約1700rpm、または少なくとも600rpm、少なくとも1000rpm、もしくは少なくとも1500rpmもしくは少なくとも1700rpm)で、例えば、80g~100gまたは約80g~約100g(例えば、80g、85g、90g、95gもしくは100g、または約80g、約85g、約90g、約95gもしくは約100g、または少なくとも80g、少なくとも85g、少なくとも90g、少なくとも95gもしくは少なくとも100g)の試料またはチャンバもしくは他の容器の壁でのRCFで行われる。いくつかの態様では、スピンは、静止期間が後に続くこのような低速でのスピンの繰り返される間欠期を使用して、例えば、1秒間、2秒間、3秒間、4秒間、5秒間、6秒間、7秒間、8秒間、9秒間または10秒間のスピンおよび/または静止、例えば、約1秒または2秒のスピンの後に約5秒間、約6秒間、約7秒間または約8秒間静止することを使用して行われる。
【0216】
いくつかの態様では、そのようなプロセスは、チャンバが一体化されている完全閉鎖系内で行われる。いくつかの態様では、このプロセス(およびいくつかの局面ではまた、アフェレーシス試料などの細胞を含有する試料を洗浄する先行する洗浄工程などの1つまたは複数の追加の工程)は、自動プログラムを使用して、細胞、試薬および他の成分を適当な時間にチャンバに引き込み、押し出し、遠心分離を行って、単一の閉鎖系で洗浄および結合工程を完了するように、自動的に行われる。
【0217】
いくつかの態様では、細胞および選択試薬および/または試薬のインキュベーションおよび/または混合の後、インキュベートされた細胞は、特定の単数または複数の試薬の有無に基づいて細胞を選択するために分離される。いくつかの態様では、分離は、細胞と選択試薬とのインキュベーションが行われたのと同じ閉鎖系内で行われる。いくつかの態様では、選択試薬とのインキュベーション後、選択試薬が結合した細胞を含むインキュベートされた細胞は、細胞の免疫親和性に基づく分離のための系に移される。いくつかの態様では、免疫親和性に基づく分離のための系は、磁気分離カラムであるか、それを含む。
【0218】
そのような分離工程は、抗体または結合パートナーなどの試薬と結合した細胞がその後の使用のために保持される陽性選択、および/または抗体または結合パートナーなどの試薬に結合していない細胞が保持される陰性選択に基づくことができる。いくつかの例では、両画分がその後の使用のために保持される。いくつかの局面では、所望の集団以外の細胞が発現させるマーカーに基づいて分離が最もよく行われるように、異種集団内の細胞型を特異的に同定する陰性選択が、抗体が利用可能でない場合に特に有用であり得る。
【0219】
いくつかの態様では、プロセス工程は、例えば、親和性に基づく選択を行うことができる系または装置を使用する、インキュベートされた細胞の陰性選択および/または陽性選択をさらに含む。いくつかの態様では、単離は、陽性選択による特定の細胞集団の濃縮、または陰性選択による特定の細胞集団の枯渇によって行われる。いくつかの態様では、陽性選択または陰性選択は、それぞれ陽性または陰性に選択された細胞に発現した、または比較的高いレベル(マーカーhigh)で発現(マーカー+)した1つまたは複数の表面マーカーに特異的に結合する1つもしくは複数の抗体または他の結合剤と細胞をインキュベートすることによって達成される。
【0220】
分離は、特定の細胞集団、または特定のマーカーを発現する細胞の100%の濃縮または除去をもたらす必要はない。例えば、マーカーを発現する細胞などの特定の種類の細胞の陽性選択または濃縮は、そのような細胞の数または割合を増加させることを示すが、マーカーを発現しない細胞が完全な不在をもたらす必要はない。同様に、マーカーを発現する細胞などの特定の種類の細胞の陰性選択、除去、または枯渇は、そのような細胞の数または割合を減少させることを示すが、そのような細胞いずれもが完全に除去される必要はない。
【0221】
いくつかの例では、複数回の分離工程が行われ、この分離工程では、1つの工程から陽性または陰性に選択された画分が、後続の陽性選択または陰性選択などの別の分離工程に供される。いくつかの例では、単一の分離工程によって、陰性選択の標的となるマーカーにそれぞれ特異的な複数の抗体または結合パートナーとともに細胞をインキュベートすることなどによって、複数のマーカーを同時に発現する細胞を枯渇させることができる。同様に、様々な細胞型に発現された複数の抗体または結合パートナーとともに細胞をインキュベートすることによって、複数の細胞型を同時に陽性に選択することができる。特定の態様では、分離工程は繰り返され、およびまたは2回以上行われ、この分離工程では、1つの工程から陽性または陰性に選択された画分が、繰り返される陽性選択または陰性選択などの同じ分離工程に供される。いくつかの例では、例えば、選択された細胞の純度を高めるため、および/または陰性に選択された画分から陰性に選択された細胞をさらに除去する、および/または枯渇させるために、単一の分離工程が繰り返され、および/または2回以上行われる。特定の態様では、1つまたは複数の分離工程は、2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回、10回、または10回超行われる。特定の態様では、1つまたは複数の選択工程は、1回~10回、1回~5回または3回~5回行われ、および/または繰り返される。
【0222】
例えば、いくつかの局面において、T細胞の特定の部分集団、例えば、1つまたは複数の表面マーカーに陽性である、またはそれらを高レベルで発現する細胞、例えばCD3+、CD4+、CD8またはCD57+ T細胞が、陽性または陰性選択技術によって単離される。いくつかの態様において、そのような細胞は、そのようなマーカーに特異的に結合する1つまたは複数の抗体または結合パートナーとのインキュベーションによって選択される。いくつかの態様において、抗体または結合パートナーは、選択を実施するための固体支持体またはマトリックス、例えば磁気ビーズまたは常磁性ビーズに例えば直接的または間接的に結合していることができる。例えば、いくつかの態様において、CD4 Microbeads、CD8 MicrobeadsまたはCD57 Microbeads(Miltenyl Biotec)を用いてCD4+ T細胞、CD8+ T細胞またはCD57+ T細胞を選択、例えば陽性選択し得る。例えば、いくつかの態様において、CD3 Microbeads(Miltenyl Biotec)を用いてCD3+ T細胞を、選択、例えば陽性選択してもよい。
【0223】
ある特定の態様において、CD57-細胞は、CD57発現に陽性の細胞の陰性選択によってPBMC試料から分離される。様々な態様において、T細胞は、非T細胞、例えばB細胞、単球または他の白血球上に発現するマーカー、例えばCD14の陰性選択によってPBMC試料から分離される。いくつかの局面において、CD3+選択工程を使用して、T細胞を非T細胞から分離する。そのようなCD3+集団は、CD4+もしくはCD8+および/または1つまたは複数のナイーブ様、メモリーおよび/またはエフェクターT細胞部分集団上に発現する、または相対的に高度に発現するマーカーの陽性または陰性選択により、部分集団へとさらに分類することができる。いくつかの局面において、CD4+またはCD8+選択工程を使用して、CD4+ヘルパーおよびCD8+細胞傷害性T細胞を分離する。そのようなCD4+およびCD8+集団は、1つまたは複数のナイーブ様、メモリーおよび/またはエフェクターT細胞部分集団上に発現する、または相対的に高度に発現するマーカーの陽性または陰性選択により、部分集団へとさらに分類することができる。
【0224】
いくつかの態様において、CD8+細胞は、例えば、CD57の表面発現に基づく陽性または陰性選択により、CD57-T細胞をさらに濃縮または枯渇される。特定の態様において、CD4+細胞は、例えば、CD57の表面発現に基づく陽性または陰性選択により、CD57- T細胞をさらに濃縮または枯渇される。特定の態様において、CD3+細胞は、例えば、CD57の表面発現に基づく陽性または陰性選択により、CD57- T細胞をさらに濃縮または枯渇される。
【0225】
いくつかの態様において、CD8+細胞は、例えば、それぞれの部分集団と関連した表面抗原に基づく陽性または陰性選択により、ナイーブ、セントラルメモリー、エフェクターメモリーおよび/またはセントラルメモリー幹細胞をさらに濃縮または枯渇される。いくつかの態様において、セントラルメモリーT(TCM)細胞の濃縮は、効能を高める、例えば、いくつかの局面においてはそのような部分集団において特にロバストである、投与後の長期生存率、拡大増殖および/または生着を改善するために実施される。Terakura et al., (2012) Blood.1:72-82; Wang et al. (2012) J Immunother. 35(9):689-701を参照すること。いくつかの態様において、TCM濃縮CD8+ T細胞をCD4+ T細胞と合わせることが効能をさらに増強する。
【0226】
いくつかの局面において、CD8+細胞集団または部分集団を調製するときに使用される同じCD4発現ベースの選択工程が、CD4+細胞集団または部分集団を生成するためにも使用されて、CD4ベース分離からの陽性または陰性の両分画が保持され、任意で1つまたは複数のさらなる陽性または陰性選択工程ののち、方法の後続の工程に使用される。いくつかの態様において、CD4+細胞集団の選択とCD8+細胞集団の選択とは同時に実施される。いくつかの態様において、CD4+細胞集団およびCD8+細胞集団の選択はいずれかの順序で順次に実施される。いくつかの態様において、細胞を選択する方法は、米国特許出願公開第20170037369号に記載されている方法を含むことができる。いくつかの態様において、選択されたCD4+細胞集団および選択されたCD8+細胞集団は、選択ののち、合わされてもよい。いくつかの局面において、選択されたCD4+細胞集団および選択されたCD8+細胞集団は、本明細書に記載されるようなバイオリアクターバッグ中で合わされてもよい。
【0227】
様々な態様において、生物学的試料、例えばPBMCまたは他の白血球の試料がCD57+ T細胞の選択に付され、そこで、濃縮されたCD57-細胞を含有する陰性分画が保持される。いくつかの態様において、CD57-細胞を濃縮された陰性分画はCD3+ T細胞の選択に付され、そこで陽性分画が保持される。特定の態様において、CD57-細胞を濃縮された陰性分画からCD8+ T細胞が選択される。いくつかの態様において、CD57-細胞を濃縮された陰性分画はCD8+ T細胞の選択に付され、そこで、陰性と陽性の両分画が保持される。特定の態様において、陰性分画からCD4+ T細胞が選択される。特定の態様において、CD57-細胞を濃縮された陰性分画はCD4+ T細胞の選択に付され、そこで、陰性と陽性の両分画が保持される。特定の態様において、陰性分画からCD8+ T細胞が選択される。
【0228】
いくつかの局面において、分離される細胞のインキュベートされた試料または集団は、小さな磁化性または磁気応答性物質、例えば磁気応答性粒子または微粒子、例えば常磁性ビーズ(例えばDynalbeadsまたはMACS(登録商標)ビーズ)を含有する選択試薬とともにインキュベートされる。磁気応答性物質、例えば粒子は一般に、分離することが望まれる、例えば陰性または陽性選択することが望まれる細胞または細胞集団上に存在する分子、例えば表面マーカーに特異的に結合する結合パートナー、例えば抗体に直接的または間接的に付着している。いくつかの局面において、選択物質は、常磁性ビーズおよびCD3、CD4、CD8もしくはCD57に結合する、またはそれを認識する付着した抗体またはその抗原結合断片である、またはそれを含む。いくつかの態様において、選択物質はCD3、CD4、CD8またはCD57 MACS(登録商標)マイクロビーズである。
【0229】
いくつかの態様では、磁性粒子または磁性ビーズは、抗体または他の結合パートナーなどの特異的結合メンバーに結合した磁気応答性材料を含む。磁気分離法に使用される多くの周知の磁気応答性材料が公知であり、例えば、参照により本明細書に組み入れられるMoldayの米国特許第4,452,773号、および欧州特許明細書EP 452342 Bに記載の磁性粒子である。Owenの米国特許第4,795,698号およびLibertiらの米国特許第5,200,084号に記載されているものなどのコロイドサイズの粒子を用いてもよい。
【0230】
インキュベーションは、一般に、抗体もしくは結合パートナー、または分子、例えば、磁性粒子もしくは磁性ビーズに付着しているそのような抗体もしくは結合パートナーに特異的に結合する二次抗体もしくは他の試薬が、試料内の細胞に存在する場合に細胞表面分子に特異的に結合する条件下で行われる。
【0231】
特定の態様では、磁気応答性粒子は、一次抗体もしくは他の結合パートナー、二次抗体、レクチン、酵素またはストレプトアビジンでコーティングされる。特定の態様では、磁性粒子は、1つまたは複数のマーカーに特異的な一次抗体のコーティングを介して細胞に付着している。特定の態様では、ビーズではなく細胞を一次抗体または結合パートナーにより標識し、次いで、細胞型特異的二次抗体または他の結合パートナー(例えばストレプトアビジン)によりコーティングされた磁性粒子を加える。特定の態様では、ストレプトアビジンによりコーティングされた磁性粒子は、ビオチン化一次抗体またはビオチン化二次抗体と併せて使用される。
【0232】
いくつかの局面では、磁場に試料を置き、磁気応答性粒子または磁化可能粒子を付着させた細胞を磁石に引きつけて、未標識細胞から分離する手順で分離が達成される。陽性選択の場合、磁石に引きつけられる細胞が保持される。陰性選択の場合、引きつけられない細胞(未標識細胞)が保持される。いくつかの局面では、陽性選択および陰性選択の組み合わせは、同じ選択工程の間に行われ、ここで、陽性および陰性の画分は保持され、さらに処理されるか、追加の分離工程に供される。
【0233】
いくつかの態様では、親和性に基づく選択は、磁気活性化細胞選別(MACS)(Miltenyi Biotech, Auburn, CA)によるものである。磁気活性化細胞選別(MACS)、例えば、CliniMACSシステムでは、それに付着した磁化粒子を有する細胞の高純度選択が可能である。特定の態様では、MACSは、外部磁場の印加後に非標的種および標的種が連続的に溶出されるモードで動作する。すなわち、磁化粒子に付着した細胞は、付着していない種が溶出されている間、適所に保持される。次いで、この最初の溶出工程が完了した後、磁場に閉じ込められて溶出が妨げられた種は、それらを溶出し、回収することができるように何らかの方法で解放される。特定の態様では、非標的細胞は標識され、不均一な細胞集団から枯渇させられる。様々な態様において、選択作用物質は、CD3、CD4、CD8、またはCD57 MACS(登録商標)マイクロビーズである。
【0234】
いくつかの態様において、アフィニティー試薬の最適以下の収率濃度は、細胞を試薬とともにインキュベートし、試薬に結合した細胞を回収または分離することを含む所与の選択または濃縮において結合した細胞の最適または最大収率を達成するために使用される、または求められる濃度よりも低い濃度である(「収率」は、例えば、試薬によって標的化される、または試薬が特異性を示す、または試薬が特異性を示し、結合することができるマーカーを有する、インキュベーション中の細胞の総数に対する、そのような回収または選択された細胞の数である)。最適以下の収率濃度は一般に、そのようなプロセスまたは工程において、試薬に結合した細胞を回収したとき、結合した細胞、例えばCD57+、CD4+またはCD8+ T細胞の全部よりも少ない、例えば70%以下の収率を達成する試薬の濃度または量である。いくつかの態様において、最適以下の収率濃度は一般に、そのようなプロセスまたは工程において、試薬に結合した細胞を回収したとき、結合した細胞、例えばCD3+ T細胞の全部よりも少ない、例えば70%以下の収率を達成する試薬の濃度または量である。いくつかの態様において、50%もしくは約50%以下、45%もしくは約45%以下、40%もしくは約40%以下、30%もしくは約30%以下、または25%もしくは約25%以下の収率が最適以下濃度のアフィニティー試薬によって達成される。濃度は、細胞1個あたり粒子もしくは表面の数もしくは質量および/または細胞1個あたり作用物質(例えば抗体、例えば抗体断片)の分子の質量の数に換算して表され得る。
【0235】
いくつかの態様において、例えば、CD57+、CD4+またはCD8+ T細胞へのアフィニティーを有する2つ以上の選択試薬のそれぞれまたは1つもしくは複数の場合に最適以下収率濃度で操作するとき、そのような試薬の1つまたは複数は、その試薬によって認識される細胞タイプの比を、他のそのような試薬によって認識される細胞タイプと比べて偏らせるために、他のそのような試薬の1つまたは複数よりも高い濃度で使用される。いくつかの態様において、例えば、CD57+、CD3+、CD4+またはCD8+ T細胞へのアフィニティーを有する2つ以上の選択試薬のそれぞれまたは1つもしくは複数の場合に最適以下収率濃度で操作するとき、そのような試薬の1つまたは複数は、その試薬によって認識される細胞タイプの比を、他のそのような試薬によって認識される細胞タイプと比べて偏らせるために、他のそのような試薬の1つまたは複数よりも高い濃度で使用される。例えば、比を偏らせることが望まれるマーカーに特異的に結合する試薬は、どれほど大きく比を増大させることが望まれるかに依存して、他と比べて半分、1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、10倍またはより多く増大させた濃度(例えば、細胞1個あたり作用物質または質量)で含まれ得る。いくつかの態様において、最適以下範囲で、および/または試薬の飽和を達成するのに十分な細胞を用いて操作するとき、イムノアフィニティー試薬の量は、濃縮される細胞のおおよその収率に比例する。特定の態様において、濃縮または選択された細胞、例えばCD57-、CD4+またはCD8+ T細胞を含有する生成された集団の所望の比に依存するイムノアフィニティー試薬の適切な量または濃度は、慣例的に決定することができる。特定の態様において、濃縮または選択された細胞、例えばCD3+ T細胞を含有する生成された集団の所望の比に依存するイムノアフィニティー試薬の適切な量または濃度は、慣例的に決定することができる。
【0236】
いくつかの態様において、分離および/または単離工程は、国際公開公報第2015/164675号に記載されているように、イムノアフィニティー試薬が例えばペプチドリガンド相互作用を介してストレプトアビジンムテインと可逆的に結合している磁気ビーズを使用して実施される。そのような磁気ビーズの例がStreptamers(登録商標)である。いくつかの態様において、分離および/または工程は、磁気ビーズ、例えばMiltenyi Biotecから市販されている磁気ビーズを使用して実施される。
【0237】
いくつかの態様において、磁気応答性粒子は、その後にインキュベート、培養および/または操作される細胞に付着したまま残され;いくつかの局面において、粒子は、患者への投与のために細胞に付着したまま残される。いくつかの態様において、磁化性または磁気応答性粒子は細胞から除去される。磁化性粒子を細胞から除去する方法は公知であり、例えば、競合する非標識抗体、磁化性粒子または切断可能なリンカーに結合した抗体などの使用を含む。いくつかの態様において、磁化性粒子は生分解性である。
【0238】
いくつかの態様において、単離および/または選択は、濃縮されたT細胞、例えばCD57-T細胞、CD3+ T細胞、CD4+ T細胞および/またはCD8+ T細胞の1つまたは複数の集団を生じさせる。いくつかの態様において、濃縮されたT細胞の2つ以上の別々の集団が、単一の生物学的試料から単離、選択、濃縮または取得される。いくつかの態様において、別々の集団は、同じ対象から収集、収穫および/または取得された別々の生物学的試料から単離、選択、濃縮および/または取得される。
【0239】
ある特定の態様において、単離および/または選択は、CD57-CD3+ T細胞を少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.9%または100%もしくは約100%含む濃縮されたT細胞の1つまたは複数の集団を生じさせる。特定の態様において、濃縮されたT細胞の集団は本質的にCD57-CD3+ T細胞からなる。
【0240】
ある特定の態様において、単離および/または濃縮は、CD57-CD4+ T細胞を少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.9%または100%もしくは約100%含む濃縮されたCD4+ T細胞の集団を生じさせる。特定の態様において、CD4+ T細胞のインプット組成物は、CD8+ T細胞を40%未満、35%未満、30%未満、25%未満、20%未満、15%未満、10%未満、5%未満、1%未満、0.1%未満または0.01%未満しか含有しない、および/またはCD8+ T細胞を含有しない、および/またはCD8+ T細胞を含まない、もしくは実質的に含まない。いくつかの態様において、濃縮されたT細胞の集団は本質的にCD57-CD4+ T細胞からなる。
【0241】
ある特定の態様において、単離および/または濃縮は、CD57-CD8+ T細胞を少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.9%または100%もしくは約100%含む濃縮されたCD57-CD8+ T細胞の集団を生じさせる。特定の態様において、CD8+ T細胞の集団は、CD4+ T細胞を40%未満、35%未満、30%未満、25%未満、20%未満、15%未満、10%未満、5%未満、1%未満、0.1%未満または0.01%未満しか含有しない、および/またはCD4+ T細胞を含有しない、および/またはCD4+ T細胞を含まない、もしくは実質的に含まない。いくつかの態様において、濃縮されたT細胞の集団は本質的にCD57-CD8+ T細胞からなる。
【0242】
C. クロマトグラフィーによる細胞選択
本明細書に提供される方法の局面において、試料の細胞、例えばT細胞は、クロマトグラフィー単離、例えば、アフィニティークロマトグラフィーまたはゲル透過クロマトグラフィーを含むカラムクロマトグラフィーによって選択される。いくつかの態様において、細胞、例えばCD57-T細胞が、クロマトグラフィー単離、例えば、アフィニティークロマトグラフィーまたはゲル透過クロマトグラフィーを含むカラムクロマトグラフィーによって単離、選択または濃縮される。いくつかの態様において、方法は、標的細胞、例えば単離、選択または濃縮される細胞(例えばCD57+細胞)の表面上に位置する受容体分子(例えばCD57)に結合する受容体結合試薬を用いる。そのような方法は、(トレースレス)細胞アフィニティークロマトグラフィー技術(CATCH)と記されることもあり、全体として参照により本明細書に組み入れられるPCT出願国際公開公報第2013124474号および第2015164675号に記載されている方法または技術のいずれかを含み得る。特定の態様において、CD57+細胞がクロマトグラフィー単離によって陰性選択される。
【0243】
いくつかの態様において、標的細胞(例えばCD57+細胞)は、細胞表面上に受容体分子を有して、または発現して、単離、選択または濃縮される細胞が少なくとも1つの共通の特異的受容体分子(例えばCD57)の存在によって決定されるようになっている。いくつかの態様において、標的細胞を含有する試料はまた、受容体分子を欠くさらなる細胞を含有してもよい。例えば、いくつかの態様において、T細胞は、複数の細胞タイプ、例えば赤血球またはB細胞を含有する試料から単離、濃縮および/または選択される。特定の態様において、CD57+細胞は、複数の細胞タイプ、例えば赤血球またはB細胞を含有する試料から単離、濃縮および/または選択され、それにより、単離されたCD57+細胞および選択されない細胞の集団、例えば濃縮されたCD57-T細胞の集団を提供する。
【0244】
いくつかの態様において、受容体結合試薬は、クロマトグラフィーカラムに含まれる、例えばクロマトグラフィーマトリックス(例えば固定相)に直接的または間接的に結合している。いくつかの態様において、受容体結合試薬は、試料がカラムに加えられるとき、クロマトグラフィーマトリックス(例えば固定相)上に存在する。いくつかの態様において、受容体結合試薬は、試薬、例えば本明細書に記載されるアフィニティー試薬を介して間接的にクロマトグラフィーマトリックス(例えば固定相)に結合することができる。いくつかの態様において、アフィニティー試薬はカラムの固定相に共有結合的または非共有結合的に結合している。いくつかの態様において、アフィニティー試薬はクロマトグラフィーマトリックス(例えば固定相)に可逆的に固定化される。場合によっては、アフィニティー試薬は、共有結合を介してクロマトグラフィーマトリックス(例えば固定相)に固定化される。いくつかの局面において、アフィニティー試薬は非共有結合的にクロマトグラフィーマトリックス(例えば固定相)に可逆的に固定化される。
【0245】
いくつかの態様において、受容体結合試薬は、試料がクロマトグラフィーカラム(例えば固定相)に加えられるとき、例えば、クロマトグラフィーマトリックス(例えば固定相)上に直接的(例えば共有結合的または非共有結合的)またはアフィニティー試薬を介して間接的に結合した状態で存在し得る。したがって、試料が添加されると、標的細胞は、受容体結合試薬と結合し、カラムのクロマトグラフィーマトリックス(例えば固定相)上に固定化することができる。あるいはまた、いくつかの態様において、受容体結合試薬が試料に加えられることもできる。このようにして、受容体結合試薬は試料中の標的細胞(例えばT細胞)に結合し、その後、試料を、アフィニティー試薬を含むクロマトグラフィーマトリックス(例えば固定相)に加えることができ、そこで、すでに標的細胞に結合している受容体結合試薬がアフィニティー試薬に結合し、それにより、標的細胞をクロマトグラフィーマトリックス(例えば固定相)上に固定化する。いくつかの態様において、受容体結合試薬は、例えば本明細書に記載されるように、受容体結合試薬に含まれる、本明細書に記載されるような結合パートナーCを介して、本明細書に記載されるようなアフィニティー試薬に結合する。
【0246】
いくつかの局面において、受容体結合試薬が試料に加えられる。特定の態様において、受容体結合試薬は、細胞、例えば標的細胞の表面上の受容体分子に特異的に結合する結合部位Bを有する。いくつかの局面において、受容体結合試薬はまた、アフィニティー試薬の結合部位Zに特異的かつ可逆的に結合することができる結合パートナーCを含む。例えば、特定の局面において、CD57に結合する、またはCD57を認識する受容体結合試薬が試料に加えられ、それが、結合部位BにおけるCD57発現に関して陽性の細胞の表面上のCD57に結合する。
【0247】
ある特定の局面において、アフィニティー試薬はまた、結合パートナーCと結合し、それにより、受容体結合試薬の多量体化を提供することができる2つ以上の結合部位Zを含み得る。したがって、本明細書において使用されるこのアフィニティー試薬は多量体化試薬であるともいえる。アフィニティー試薬は、例えば、ストレプトアビジン、ストレプトアビジンムテイン、アビジン、アビジンムテインまたはそれらの混合物であり得る。いくつかの局面において、様々なクロマトグラフィーマトリックスが様々なアフィニティー試薬に結合され、分離のための多成分系を形成するカラムへと積層され得る。
【0248】
いくつかの態様において、2つ以上の受容体結合試薬が、例えばアフィニティー試薬上に存在する1つまたは複数の結合部位Zを介してアフィニティー試薬と会合する、例えばアフィニティー試薬に可逆的または不可逆的に結合する。場合によっては、これは、結果的に、受容体結合試薬が互いに近く配置されて、細胞表面分子(例えば選択マーカー)(の少なくとも2つのコピー)を有する標的分子が、その特定の分子(例えば選択マーカー)に結合することができる受容体結合試薬と接触するならばアビディティー効果が生じることができるようにする。
【0249】
いくつかの態様において、同じである、すなわち、同じ選択マーカー結合特異性を有する2つ以上の異なる受容体結合試薬がアフィニティー試薬に可逆的に結合することができる。いくつかの態様において、異なる選択マーカーに結合する少なくとも2つの異なる受容体結合試薬、場合によっては3つまたは4つの異なる受容体結合試薬を使用することが可能である。いくつかの局面において、少なくとも2つの受容体結合試薬それぞれが、異なる分子(例えば選択マーカー)、例えば第一の分子、第二の分子などに結合することができる。場合によっては、異なる分子(例えば選択マーカー)、例えば細胞表面分子は同じ標的細胞上に存在することができる。他の場合において、異なる分子(例えば選択マーカー)、例えば細胞表面分子は、同じ細胞集団中に存在する異なる標的細胞上に存在することができる。場合によっては、それぞれがさらなる異なる結合部位を含有する、第三、第四などの受容体結合試薬が同じ試薬と可逆的に会合することもできる。
【0250】
いくつかの態様において、2つ以上の異なる受容体結合試薬は同じ結合パートナーCを含有する。いくつかの態様において、2つ以上の異なる受容体結合試薬は異なる結合パートナーを含有する。いくつかの局面において、第一の受容体結合試薬は、アフィニティー試薬上に存在する結合部位Z1に特異的に結合することができる結合パートナーC1を有することができ、第二の受容体結合試薬は、アフィニティー試薬上に存在する結合部位Z1または結合部位Z2に特異的に結合することができる結合パートナーC2を有することができる。したがって、いくつかの例において、アフィニティー試薬によって含まれる複数の結合部位Zは、受容体結合試薬によって含まれる、それぞれ結合パートナーC1およびC2に可逆的に結合することができる結合部位Z1およびZ2を含む。いくつかの態様において、C1とC2は同じである、および/またはZ1とZ2は同じである。他の局面において、複数の結合部位Zの1つまたは複数は異なることができる。他の例において、複数の結合パートナーCの1つまたは複数は異なってもよい。結合パートナーCそれぞれが結合部位Zの1つと相互作用する、例えばそれに特異的に結合することができる限り、結合部位Zを含有するアフィニティー試薬と適合性である様々な結合パートナーCの任意の組み合わせを選択することは当業者の技能レベルの範囲内である。
【0251】
ある特定の態様において、試料、例えば細胞および受容体結合試薬(例えば抗体)を含有する試料は、付着または固定化されたアフィニティー試薬(例えば結合試薬)を含有するクロマトグラフィーマトリックスに装填される、またはそれと接触させられる。特定の局面において、アフィニティー試薬は、受容体結合試薬の結合パートナーCに特異的に結合する複数の結合部位Zを有する。特定の局面において、受容体結合試薬は、結合パートナーCと結合部位Zとの間の相互作用によってアフィニティー試薬に結合する。したがって、いくつかの態様において、細胞、例えば標的細胞は、アフィニティー試薬の1つまたは複数の結合部位Zと、クロマトグラフィーマトリックス上の受容体結合試薬の結合部位Zとによって形成される複合体を介して固定化される。さらなる局面において、細胞、例えば標的細胞は、例えば、クロマトグラフィーマトリックスから残りの試料をすすぎ洗い、解放または洗浄することにより、試料から枯渇させ得る。特定の局面において、受容体結合試薬は、細胞を含有する試料に含まれてもよく、例えば試料をクロマトグラフィーマトリックスに加える前に、付着したアフィニティーまたは多量体化試薬への結合のために、クロマトグラフィーマトリックスにアプライされ、または接触させられてもよい。
【0252】
いくつかの態様において、クロマトグラフィーマトリックスを使用して、例えば陰性選択によって試料から標的細胞を除去または分離する。例えば、特定の態様において、CD57+細胞およびCD57-細胞を含有する試料が、CD57に結合する、および/またはCD57を認識する受容体結合試薬と接触させられる、またはそれとともにインキュベートされる。特定の態様において、試料および受容体結合試薬はマトリックスに装填され、そこで、いくつかの局面において、固定化された、または付着したアフィニティー試薬と、受容体結合試薬と、CD57+ T細胞とによって複合体が形成される。いくつかの態様において、結合しない細胞をクロマトグラフィーマトリックスから除去またはすすぎ洗いし、それにより、結合したCD57+細胞を除去し、CD57-細胞を濃縮された試料、例えば集団を提供する。
【0253】
ある特定の態様において、クロマトグラフィーマトリックスを使用して、例えば陽性選択によって試料から標的細胞を単離、選択または濃縮する。例えば、いくつかの態様において、CD4+またはCD8+ T細胞および他の細胞、例えば非T細胞免疫細胞を含有する試料が、CD4またはCD8に結合する、および/またはそれを認識する受容体結合試薬と接触させられる、またはそれとともにインキュベートされる。特定の態様において、試料および受容体結合試薬はマトリックスに装填され、そこで、いくつかの局面において、固定化された、または付着したアフィニティー試薬と、受容体結合試薬と、CD4+またはCD8+ T細胞とによって複合体が形成される。特定の態様において、結合しない細胞をクロマトグラフィーマトリックスから除去またはすすぎ洗いする。特定の態様において、固定化されたCD4+またはCD8+細胞は、競合試薬の添加によって、例えば複合体を破壊することによって除去または解放され得る。いくつかの局面において、したがって、分離、解放または溶離されたCD4+またはCD8+ T細胞は、CD4+またはCD8+ T細胞を濃縮された細胞の試料、組成物または集団である。
【0254】
ある特定の態様において、クロマトグラフィーマトリックスを使用して、例えば陽性選択によって試料から標的細胞を単離、選択または濃縮する。例えば、いくつかの態様において、CD3+ T細胞および他の細胞、例えば非T細胞免疫細胞を含有する試料が、CD3に結合する、および/またはCD3を認識する受容体結合試薬と接触させられる、またはそれとともにインキュベートされる。特定の態様において、試料および受容体結合試薬はマトリックスに装填され、そこで、いくつかの局面において、固定化された、または付着したアフィニティー試薬と、受容体結合試薬と、CD3+ T細胞とによって複合体が形成される。特定の態様において、結合しない細胞をクロマトグラフィーマトリックスから除去またはすすぎ洗いする。特定の態様において、固定化されたCD3+細胞は、競合試薬の添加によって、例えば複合体を破壊することによって除去または解放され得る。いくつかの局面において、したがって、分離、解放または溶離されたCD3+ T細胞は、CD3+ T細胞を濃縮された細胞の試料、組成物または集団である。
【0255】
いくつかの局面において、競合試薬がクロマトグラフィーカラムに装填される。いくつかの態様において、結合パートナーCと結合部位Zとの間に形成される可逆的結合は競合試薬によって破壊することができる。特定の態様において、競合試薬は、アフィニティー試薬の結合部位Zに結合することができる結合部位を有する。いくつかの態様において、競合試薬は、1つまたは複数の結合部位Zに関し、結合パートナーCとの結合を求めて競合することができるビオチン、ビオチン誘導体もしくは類似体またはストレプトアビジン結合ペプチドであることができる。特定の態様において、競合試薬は、アフィニティー試薬とで複合体を形成し、それにより、クロマトグラフィーマトリックス上に固定化される。いくつかの態様において、結合パートナーCと競合試薬とは異なり、競合試薬は、1つまたは複数の結合部位Zに関し、結合パートナーのアフィニティーに比べ、より高い結合アフィニティーを示す。本明細書に提供される方法のいずれかの特定の局面において、標的細胞(例えばT細胞)をクロマトグラフィーマトリックス(例えば固定相)から切り離すために、アフィニティー試薬への選択物質(例えば受容体結合物質)の結合を破壊するための、クロマトグラフィーカラムの固定相への競合試薬の添加は求められない。
【0256】
この競合的結合の結果として、結合パートナーCおよび結合部位Zにおける受容体結合試薬とアフィニティー試薬との間の結合が置き換えられる。特定の態様において、アフィニティー試薬、受容体結合試薬および細胞、例えば標的細胞を含有する付着した複合体とともに競合試薬をクロマトグラフィーマトリックスに添加または装填すると、細胞がクロマトグラフィーマトリックスから溶離する。いくつかの局面において、受容体結合試薬は、結合部位Bにおける細胞の受容体分子に対して低いアフィニティーを有し、受容体結合試薬は、競合試薬の存在下、細胞から分離するようになっている。したがって、いくつかの態様において、結合した受容体結合分子を含まない、または本質的に含まない細胞、例えば標的細胞がクロマトグラフィーマトリックスから溶離する。
【0257】
いくつかの態様において、第一のクロマトグラフィーカラムの溶離物から、細胞、例えば標的細胞、競合試薬および受容体結合試薬を含む溶離試料が収集される。特定の態様において、溶離試料は、アフィニティークロマトグラフィーマトリックスであると同時にゲル透過マトリックスとしても働くことができる適当な固定相を有する第二のクロマトグラフィーカラムに装填される。特定の態様において、アフィニティークロマトグラフィーマトリックスは、その上に固定化されたアフィニティー試薬を有する。いくつかの局面において、受容体結合試薬および競合試薬は、アフィニティー試薬上の結合部位Zに結合し、それにより、クロマトグラフィーカラム上に固定化される。その結果、特定の局面において、単離された標的細胞を含有する溶離試料は、受容体結合試薬および競合試薬が枯渇している。したがって、いくつかの局面において、任意の反応を含まない標的細胞は、今や、さらに使用される、例えば、本明細書に記載される方法のいずれかによって処理されるための状態にある。
【0258】
いくつかの態様において、試料の細胞、例えば標的細胞は、例えば、クロマトグラフィーマトリックス(例えば固定相)から残りの試料をすすぎ洗い、解放または洗浄することにより、試料から枯渇させ得る。いくつかの態様において、1つまたは複数(例えば2つ、3つ、4つ、5つ、6つ)の洗浄工程を使用して、結合しない細胞およびデブリをクロマトグラフィーマトリックス(例えば固定相)から除去する。いくつかの態様において、少なくとも2つの洗浄工程が実施される。いくつかの態様において、試料は、1つまたは複数の洗浄工程が実施される前に少なくとも5、10、15、16、20、25、30、35、40、45、50、55、60、70、80、90、100もしく120分間または約5、10、15、16、20、25、30、35、40、45、50、55、60、70、80、90、100もしくは120分間、マトリックスに浸透することを許される。いくつかの態様において、洗浄工程は、試料がクロマトグラフィーカラム(例えば固定相)に加えられたのち5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、70、80、90、100もしくは120分間、約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、70、80、90、100もしくは120分間または少なくとも5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、70、80、90、100もしくは120分間、実施される。いくつかの態様において、洗浄工程は、試料がクロマトグラフィーカラム(例えば固定相)に加えられたのち5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55もしくは60分間、約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55もしくは60分間または少なくとも5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55もしくは60分間、実施される。いくつかの態様において、1つまたは複数の洗浄工程は、クロマトグラフィーカラム(例えば固定相)への試料の添加ののち120、100、90、80、70、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10もしくは5分以内または約120、100、90、80、70、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10もしくは5分以内に実施される。いくつかの態様において、1つまたは複数の洗浄工程は、クロマトグラフィーカラム(例えば固定相)への試料の添加ののち60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10もしくは5分以内または約60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10もしくは5分以内に実施される。いくつかの態様において、1つまたは複数の洗浄工程は、クロマトグラフィーカラム(例えば固定相)への試料の添加ののち5~60分以内または約5~60分以内に実施される。いくつかの態様において、1つまたは複数の洗浄工程は、クロマトグラフィーカラム(例えば固定相)への試料の添加ののち5~50分以内または約5~50分以内に実施される。いくつかの態様において、1つまたは複数の洗浄工程は、クロマトグラフィーカラム(例えば固定相)への試料の添加ののち5~40分以内または約5~40分以内に実施される。いくつかの態様において、1つまたは複数の洗浄工程は、クロマトグラフィーカラム(例えば固定相)への試料の添加ののち5~30分以内または約5~30分以内に実施される。いくつかの態様において、1つまたは複数の洗浄工程は、クロマトグラフィーカラム(例えば固定相)への試料の添加ののち5~20分以内または約5~20分以内に実施される。いくつかの態様において、1つまたは複数の洗浄工程は、クロマトグラフィーカラム(例えば固定相)への試料の添加ののち5~10分以内または約5~10分以内に実施される。いくつかの態様において、1つまたは複数の洗浄工程は、クロマトグラフィーカラム(例えば固定相)への試料の添加ののち10~60分以内または約10~60分以内に実施される。いくつかの態様において、1つまたは複数の洗浄工程は、クロマトグラフィーカラム(例えば固定相)への試料の添加ののち20~60分以内または約20~60分以内に実施される。いくつかの態様において、1つまたは複数の洗浄工程は、クロマトグラフィーカラム(例えば固定相)への試料の添加ののち30~60分以内または約30~60分以内に実施される。いくつかの態様において、1つまたは複数の洗浄工程は、クロマトグラフィーカラム(例えば固定相)への試料の添加ののち40~60分以内または約40~60分以内に実施される。いくつかの態様において、1つまたは複数の洗浄工程は、クロマトグラフィーカラム(例えば固定相)への試料の添加ののち50~60分以内または約50~60分以内に実施される。
【0259】
いくつかの態様では、1つの工程から陽性または陰性選択された画分が別の選択工程、例えば後続の陽性または陰性選択に供される、複数回の細胞選択工程が行われる。ある特定の態様では、選択、単離および濃縮のための方法、技法および試薬が、例えば、PCT出願番号WO2015164675に記載されており、この特許は、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。
【0260】
いくつかの態様では、試料から標的細胞(例えば、CD57- T細胞)を単離するために、単回の選択工程を使用することができる。いくつかの態様では、単回の選択工程は、単一のクロマトグラフィーカラム上で実施することができる。いくつかの例では、単回の選択工程は、複数のマーカーを発現する細胞を同時に枯渇させることができる。同様に、複数の細胞タイプを同時に陽性選択することができる。ある特定の態様では、選択工程は、1回超繰り返され、およびまたは、実施され、この場合、1つの工程から陽性または陰性選択された画分は、同じ選択工程、例えば繰り返しの陽性または陰性選択に供される。いくつかの例では、単回の選択工程は、1回超繰り返され、および/または、実施されることで、例えば、選択された細胞の純度を増加させ、かつ/または、陰性選択された画分から陰性選択された細胞をさらに除去および/もしくは枯渇させる。ある特定の態様では、1つまたは複数の選択工程は、2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回、10回、または10回超実施される。ある特定の態様では、1つまたは複数の選択工程は、1~10回、1~5回、または3~5回実施および/または繰り返される。いくつかの態様では、2回の選択工程が実施される。
【0261】
細胞選択は、1つまたは複数のクロマトグラフィーカラムを使用して実施され得る。いくつかの態様では、1つまたは複数のクロマトグラフィーカラムは、閉鎖系に含まれる。いくつかの態様では、閉鎖系は、自動化された閉鎖系であり、例えば、最低限のユーザー(例えば、ヒト)インプットを必要とするかまたは全く必要ない。いくつかの態様では、細胞選択は、連続的に実施される(例えば、連続選択技法)。いくつかの態様では、1つまたは複数のクロマトグラフィーカラムが連続的に配置される。例えば、第1のカラムは、カラムのアウトプット(例えば、溶出液)を、例えば連結管を介して、第2のクロマトグラフィーカラムに供給できるように配向され得る。いくつかの態様では、複数のクロマトグラフィーカラムが連続的に配置され得る。いくつかの態様では、細胞選択は、後続の工程が先の工程からの陰性および/または陽性画分をさらなる選択に供する、連続の陽性および陰性選択工程を行うことによって成し遂げられ得る。この場合、プロセス全体は、同じ管または管セット内で行われる。いくつかの態様では、標的細胞を含有する試料は、第1の選択がCD4+またはCD8+の一方の集団を濃縮するために達成され、第1の選択から選択されなかった細胞を第2の選択のための細胞源として使用してCD4+またはCD8+の他方の集団を濃縮する、連続選択に供される。いくつかの態様では、さらなる1回または複数回の選択を、CD4+またはCD8+の一方または両方の集団の亜集団、例えば、セントラルメモリーT(TCM)細胞、ナイーブT細胞および/または1つもしくは複数の表面マーカーに対して陽性またはそれを高レベルで発現する細胞(例えば、CD28+、CD62L+、CCR7+、CD27+、CD127+、CD4+、CD8+、CD45RA+および/またはCD45RO+)を濃縮するために達成することができる。いくつかの態様では、標的細胞を含有する試料は、第1の選択がCD3+集団を濃縮するために達成され、選択された細胞を第2の選択のための細胞源として使用してCD3+集団を濃縮する、連続選択に供される。いくつかの態様では、標的細胞を含有する試料は、第1の選択が第1の固定相(例えば、第1のクロマトグラフカラム内)上でCD3+集団を濃縮するために達成され、未結合細胞を含有するフロースルーを第2の選択のための細胞源として使用して第2の固定相(例えば、第2のクロマトグラフカラム内)上でCD3+集団を濃縮する、連続選択であって、第1の固定相と第2の固定相は連続的に配置される連続選択に供される。いくつかの態様では、さらなる1回または複数回の選択を、CD3+集団の亜集団、例えば、セントラルメモリーT(TCM)細胞、ナイーブT細胞および/または1つもしくは複数の表面マーカーに対して陽性またはそれを高レベルで発現する細胞(例えば、CD28+、CD62L+、CCR7+、CD27+、CD127+、CD4+、CD8+、CD45RA+および/またはCD45RO+)を濃縮するために達成することができる。いくつかの態様では、標的細胞を含有する試料は、第1の選択がCD3+集団を濃縮するために達成され、選択された細胞を第2の選択のための細胞源として使用してCD4+集団を濃縮する、連続選択に供される。いくつかの態様では、さらなる1回または複数回の選択を、CD3+CD4+集団の亜集団、例えば、セントラルメモリーT(TCM)細胞、ナイーブT細胞および/または1つもしくは複数の表面マーカーに対して陽性またはそれを高レベルで発現する細胞(例えば、CD28+、CD62L+、CCR7+、CD27+、CD127+、CD4+、CD8+、CD45RA+および/またはCD45RO+)を濃縮するために達成することができる。いくつかの態様では、標的細胞を含有する試料は、第1の選択がCD3+集団を濃縮するために達成され、選択された細胞を第2の選択のための細胞源として使用してCD8+集団を濃縮する、連続選択に供される。いくつかの態様では、さらなる1回または複数回の選択を、CD3+CD8+集団の亜集団、例えば、セントラルメモリーT(TCM)細胞、ナイーブT細胞および/または1つもしくは複数の表面マーカーに対して陽性またはそれを高レベルで発現する細胞(例えば、CD28+、CD62L+、CCR7+、CD27+、CD127+、CD4+、CD8+、CD45RA+および/またはCD45RO+)を濃縮するために達成することができる。いくつかの局面では、T細胞の特定の亜集団(例えば、CD3+細胞)、例えば、1つまたは複数の表面マーカーに対して陽性またはそれを高レベルで発現する細胞(例えば、CD28+、CD62L+、CCR7+、CD27+、CD127+、CD4+、CD8+、CD45RA+および/またはCD45RO+ T細胞)が、陽性または陰性の連続選択技法によって選択されることが想定される。
【0262】
いくつかの態様において、標的細胞を含有する試料は順次選択に付され、その場合、第一の選択が、CD57-集団を濃縮するために実施され、選択された細胞が、CD3+集団を濃縮するための第二の選択のための細胞のソースとして使用される。いくつかの態様において、標的細胞を含有する試料は順次選択に付され、その場合、第一の選択が、第一の固定相上で(例えば第一のクロマトグラフカラム中で)CD57-集団を濃縮するために実施され、結合しない細胞を含有するフロースルーが、第二の固相上で(例えば第二のクロマトグラフカラム中で)CD3+集団を濃縮するための第二の選択のための細胞のソースとして使用され、第一および第二の固定相は順次に配置されている。いくつかの態様において、CD57-集団の部分集団、例えばセントラルメモリーT(TCM)細胞、ナイーブT細胞および/または1つまたは複数の表面マーカーに関して陽性である、またはそれらを高いレベルで発現する細胞、例えばCD28+、CD62L+、CCR7+、CD27+、CD127+、CD4+、CD8+、CD45RA+および/またはCD45RO+を濃縮するためのさらなる選択を実施することができる。いくつかの態様において、標的細胞を含有する試料は順次選択に付され、その場合、第一の選択が、CD57-集団を濃縮するために実施され、選択された細胞が、CD3+集団を濃縮するための第二の選択のための細胞のソースとして使用される。いくつかの態様において、CD57-CD3+集団の部分集団、例えばセントラルメモリーT(TCM)細胞、ナイーブT細胞および/または1つまたは複数の表面マーカーに関して陽性である、またはそれらを高いレベルで発現する細胞、例えばCD28+、CD62L+、CCR7+、CD27+、CD127+、CD4+、CD8+、CD45RA+および/またはCD45RO+を濃縮するためのさらなる選択を実施することができる。いくつかの局面において、T細胞(例えばCD57-細胞)の特定の部分集団、例えば、1つまたは複数の表面マーカーに関して陽性である、またはそれらを高いレベルで発現する細胞、例えばCD28+、CD62L+、CCR7+、CD27+、CD127+、CD4+、CD8+、CD45RA+および/またはCD45RO+ T細胞は陽性または陰性順次選択技術によって選択されることが考慮される。
【0263】
いくつかの態様において、標的細胞を含有する試料は順次選択に付され、その場合、第一の選択が、CD3+集団を濃縮するために実施され、選択された細胞が、CD57-集団を濃縮するための第二の選択のための細胞のソースとして使用される。いくつかの態様において、標的細胞を含有する試料は順次選択に付され、その場合、第一の選択が、第一の固定相上で(例えば第一のクロマトグラフカラム中で)CD3+集団を濃縮するために実施され、結合しない細胞を含有するフロースルーが、第二の固相上で(例えば第二のクロマトグラフカラム中で)CD57-集団を濃縮するための第二の選択のための細胞のソースとして使用され、第一および第二の固定相は順次に配置されている。いくつかの態様において、CD3+集団の部分集団、例えばセントラルメモリーT(TCM)細胞、ナイーブT細胞および/または1つまたは複数の表面マーカーに関して陽性である、またはそれらを高いレベルで発現する細胞、例えばCD28+、CD62L+、CCR7+、CD27+、CD127+、CD4+、CD8+、CD45RA+および/またはCD45RO+を濃縮するためのさらなる選択を実施することができる。いくつかの態様において、標的細胞を含有する試料は順次選択に付され、その場合、第一の選択が、CD3+集団を濃縮するために実施され、選択された細胞が、CD57-集団を濃縮するための第二の選択のための細胞のソースとして使用される。いくつかの態様において、CD3+CD57-集団の部分集団、例えばセントラルメモリーT(TCM)細胞、ナイーブT細胞および/または1つまたは複数の表面マーカーに関して陽性である、またはそれらを高いレベルで発現する細胞、例えばCD28+、CD62L+、CCR7+、CD27+、CD127+、CD4+、CD8+、CD45RA+および/またはCD45RO+を濃縮するためのさらなる選択を実施することができる。いくつかの局面において、T細胞(例えばCD57-細胞)の特定の部分集団、例えば、1つまたは複数の表面マーカーに関して陽性である、またはそれらを高いレベルで発現する細胞、例えばCD28+、CD62L+、CCR7+、CD27+、CD127+、CD4+、CD8+、CD45RA+および/またはCD45RO+ T細胞は陽性または陰性順次選択技術によって選択されることが考慮される。
【0264】
いくつかの態様において、細胞選択は並行して実施される(例えば並行選択技術)。いくつかの態様において、1つまたは複数のクロマトグラフィーカラムは並列に配置されている。例えば、2つ以上のカラムが、試料が、試料を各カラムに添加することを可能にするチューブを介して、例えば試料が第一のカラムを横切ることなく、2つ以上のカラムに同時に装填されるように配置され得る。例えば、並行選択技術を使用するとき、細胞選択は、例えばプロセス全体が同じチューブまたはチューブセット中で実施される閉鎖系の中で陽性および/または陰性選択工程を同時に実施することによって達成され得る。いくつかの態様において、標的細胞を含有する試料は並行選択に付され、その場合、試料は、2つ以上の、それぞれが細胞集団の選択を実施するクロマトグラフィーカラムに装填される。いくつかの態様において、2つ以上のクロマトグラフィーカラムは、CD57-、CD3+、CD4+またはCD8+集団の選択を個々に実施する。いくつかの態様において、2つ以上のクロマトグラフィーカラムは、アフィニティークロマトグラフィーまたはゲル透過クロマトグラフィーを含め、同じ細胞集団の選択を独立して実施する。例えば、2つ以上のクロマトグラフィーカラムはCD57-細胞の選択を実施し得る。いくつかの態様において、2つ以上のクロマトグラフィーカラムは、アフィニティークロマトグラフィーまたはゲル透過クロマトグラフィーを含め、異なる細胞集団の選択を独立して実施する。例えば、2つ以上のクロマトグラフィーカラムは、CD57-細胞、CD4+細胞、CD3+および/またはCD8+細胞の選択を独立して実施し得る。いくつかの態様において、並行選択によって選択された1つまたはすべての細胞集団の部分集団を濃縮するために、例えば順次選択技術を使用するさらなる選択を実施することもできる。例えば、選択された細胞は、セントラルメモリーT(TCM)細胞、ナイーブT細胞および/または1つまたは複数の表面マーカーに関して陽性である、またはそれらを高いレベルで発現する細胞、例えばCD28+、CD62L+、CCR7+、CD27+、CD127+、CD4+、CD8+、CD45RA+および/またはCD45RO+に関してさらに選択されてもよい。いくつかの態様において、標的細胞を含有する試料は並行選択に付され、その場合、並行選択は、2つ以上のカラムにおいてCD57-集団を濃縮するために実施される。いくつかの態様において、CD57-集団の部分集団、例えばセントラルメモリーT(TCM)細胞、ナイーブT細胞および/または1つまたは複数の表面マーカーに関して陽性である、またはそれらを高いレベルで発現する細胞、例えばCD28+、CD62L+、CCR7+、CD27+、CD127+、CD4+、CD8+、CD45RA+および/またはCD45RO+を濃縮するためのさらなる選択を実施することができる。いくつかの態様において、標的細胞を含有する試料は並行選択に付され、その場合、選択は、2つ以上のカラムにおいてCD57-集団およびCD3+集団を濃縮するために独立して実施される。いくつかの態様において、CD57-およびCD3+集団の部分集団、例えばセントラルメモリーT(TCM)細胞、ナイーブT細胞および/または1つまたは複数の表面マーカーに関して陽性である、またはそれらを高いレベルで発現する細胞、例えばCD28+、CD62L+、CCR7+、CD27+、CD127+、CD4+、CD8+、CD45RA+および/またはCD45RO+を濃縮するためのさらなる選択を実施することができる。いくつかの態様において、標的細胞を含有する試料は並行選択に付され、その場合、選択は、2つ以上のカラムにおいてCD57-集団およびCD4+集団を濃縮するために独立して実施される。いくつかの態様において、CD57-およびCD4+集団の部分集団、例えばセントラルメモリーT(TCM)細胞、ナイーブT細胞および/または1つまたは複数の表面マーカーに関して陽性である、またはそれらを高いレベルで発現する細胞、例えばCD28+、CD62L+、CCR7+、CD27+、CD127+、CD4+、CD8+、CD45RA+および/またはCD45RO+を濃縮するためのさらなる選択を実施することができる。いくつかの態様において、標的細胞を含有する試料は並行選択に付され、その場合、並行選択は、CD57-集団およびCD8+集団を濃縮するために実施される。いくつかの態様において、CD57-およびCD8+集団の部分集団、例えばセントラルメモリーT(TCM)細胞、ナイーブT細胞および/または1つまたは複数の表面マーカーに関して陽性である、またはそれらを高いレベルで発現する細胞、例えばCD28+、CD62L+、CCR7+、CD27+、CD127+、CD4+、CD8+、CD45RA+および/またはCD45RO+を濃縮するためのさらなる選択を実施することができる。いくつかの態様において、標的細胞を含有する試料は並行選択に付され、その場合、並行選択は、CD4+集団およびCD8+集団を濃縮するために実施される。いくつかの態様において、CD4+およびCD8+集団の部分集団、例えばセントラルメモリーT(TCM)細胞、ナイーブT細胞および/または1つまたは複数の表面マーカーに関して陽性である、またはそれらを高いレベルで発現する細胞、例えばCD28+、CD62L+、CCR7+、CD27+、CD127+、CD4+、CD8+、CD45RA+および/またはCD45RO+を濃縮するためのさらなる選択を実施することができる。いくつかの局面において、T細胞(例えばCD3+、CD4+、CD8+細胞)の特定の部分集団、例えば、1つまたは複数の表面マーカーに関して陽性である、またはそれらを高いレベルで発現する細胞、例えばCD28+、CD62L+、CCR7+、CD27+、CD127+、CD4+、CD8+、CD45RA+および/またはCD45RO+ T細胞は陽性または陰性並行選択技術によって選択されることが考慮される。いくつかの態様において、順次選択技術と並行選択技術とを組み合わせて使用することもできる。
【0265】
いくつかの態様において、2つのカラムが並行選択に使用される。いくつかの態様において、2つのカラムは同じ細胞タイプ(例えば同じ選択マーカー)を選択する。いくつかの態様において、2つのカラムはそれぞれCD57-T細胞を選択する。
【0266】
一般に、固定相(例えば選択樹脂)の結合能力は、特定の数の標的部分、例えばT細胞などの標的細胞を選択するためにどれほど多くの固定相が必要であるのかに影響する。結合能力、例えば、固定相(例えば選択樹脂)1mLあたり固定化することができる標的細胞の数を使用して、1つまたは複数のカラム上に捕捉される標的細胞の数を決定または制御することができる。1つまたは複数のクロマトグラフィーカラムを、本明細書に開示されるオンカラム細胞選択および刺激に使用することができる。複数のカラムが使用される場合、それらは、順次、並行、またはそれらの適当な組み合わせで配置することができる。したがって、固定相(例えば選択樹脂)の結合能力を使用して、単一カラム手法における試薬量または多カラム手法における各カラムの試薬量を標準化することができる。
【0267】
いくつかの態様において、本明細書において使用される、固定相の結合能力とは、過剰量の標的細胞が固定相に装填されたとき所与の溶媒および細胞濃度条件で固定相に結合した標的細胞の最大数である。いくつかの態様において、結合能力は、固定相1mLあたり標的細胞(例えばT細胞)1億±2500万個または約1億±2500万個である。いくつかの態様において、本明細書に開示される固定相(例えば選択樹脂)の静的結合能力は、固定相1mLあたり標的細胞約7500万~約1億2500万個の範囲である。1つの局面において、本明細書において使用される固定相の、オンカラム細胞選択および刺激の場合の結合能力は静的結合能力である。いくつかの態様において、静的結合能力とは、例えば所与の溶媒および細胞濃度条件で固定相上に固定化することができる細胞の最大量である。いくつかの態様において、本明細書に開示される固定相(例えば選択樹脂)の静的結合能力は、固定相1mLあたり標的細胞約5000万~約1億個である。いくつかの態様において、静的結合能力は、固定相1mLあたり標的細胞(例えばT細胞)1億±2500万個または約1億±2500万個である。いくつかの態様において、本明細書に開示される固定相(例えば選択樹脂)の静的結合能力は、固定相1mLあたり標的細胞約7500万~約1億2500万個の範囲である。いくつかの態様において、固定相(例えば選択樹脂)の静的結合能力は、固定相1mLあたり標的細胞約1000万~約2000万個、約2000万~約3000万個、約3000万~約4000万個、約4000万~約5000万個、約5000万~約6000万個、約6000万~約7000万個、約7000万~約8000万個、約8000万~約9000万個、約9000万~約1億個、約1億1000万~約1億2000万個、約1億2000万~約1億3000万個、約1億3000万~約1億4000万個、約1億4000万~約1億5000万個、約1億5000万~約1億6000万個、約1億6000万~約1億7000万個、約1億7000万~約1億8000万個、約1億8000万~約1億9000万個または約1億9000万~約2億個である。
【0268】
いくつかの態様において、本明細書において使用される、固定相の結合能力とは、結合しない標的細胞の有意なブレイクスルーが起こる前に所与の流れ条件下で固定相に結合する標的細胞の数である。1つの局面において、本明細書において使用される固定相の、オンカラム細胞選択の場合の結合能力は動的結合能力、すなわち、試料アプライ中の充填されたクロマトグラフィーカラム中の動作条件下での結合能力である。いくつかの態様において、動的結合能力は、既知の濃度の標的細胞を含有する試料を装填し、フロースルーをモニターすることによって測定され、標的細胞は、結合しない標的細胞がカラム中を流れる前に固定相を特定のブレイクポイントに結合する。いくつかの態様において、動的結合能力は、固定相1mLあたり標的細胞(例えばT細胞)1億±2500万個または約1億±2500万個である。いくつかの態様において、本明細書に開示される固定相(例えば選択樹脂)の動的結合能力は、固定相1mLあたり標的細胞7500万~1億2500万個または約7500万~約1億2500万個である。いくつかの態様において、本明細書に開示される固定相(例えば選択樹脂)の動的結合能力は、固定相1mLあたり標的細胞約5000万~約1億個の範囲である。いくつかの態様において、固定相(例えば選択樹脂)の動的結合能力は、固定相1mLあたり標的細胞約1000万~約2000万個、約2000万~約3000万個、約3000万~約4000万個、約4000万~約5000万個、約5000万~約6000万個、約6000万~約7000万個、約7000万~約8000万個、約8000万~約9000万個、約9000万~約1億万個、約1億1000万~約1億2000万個、約1億2000万~約1億3000万個、約1億3000万~約1億4000万個、約1億4000万~約1億5000万個、約1億5000万~約1億6000万個、約1億6000万~約1億7000万個、約1億7000万~約1億8000万個、約1億8000万~約1億9000万個または約1億9000万~約2億個である。
【0269】
いくつかの態様において、固定相は20mLである。いくつかの態様において、固定相は、細胞20億±5億個の結合能力を有する。
【0270】
一般に、クロマトグラフィー法は流体クロマトグラフィー、通常は液体クロマトグラフィーである。いくつかの局面において、細胞、例えば標的細胞を含有する流体試料が、例えば重力流によって、またはクロマトグラフィーマトリックスを含有するカラムの一端にあるポンプによってアプライされ、流体試料がカラムの他端からカラムを出るフロースルーモードで、クロマトグラフィーを実施することができる。加えて、単離される細胞を含有する流体試料が、例えばピペットチップ内に充填されたクロマトグラフィーマトリックスを含有するカラムの一端にあるピペットによってアプライされ、流体試料がカラムの他端でクロマトグラフィーマトリックス/ピペットチップに出入りする「アップ&ダウン」モードで、クロマトグラフィーを実施することもできる。あるいはまた、クロマトグラフィーは、クロマトグラフィー材料(固定相)が、細胞を含有する試料とともに、例えば振とう、回転または例えばピペットによる流体試料の度重なる接触および除去の下、インキュベートされるバッチモードで実施されることもできる。
【0271】
いくつかの局面において、本発明に関連して、細胞のクロマトグラフィー単離に適している限り、任意の材料をクロマトグラフィーマトリックスとして用い得る。特定の局面において、適当なクロマトグラフィー材料は、充填されたクロマトグラフィーカラム中、細胞単離および/または細胞分離に所望の条件下で使用されるとき、細胞生存能力にとって少なくとも無害または本質的に無害である、例えば有害ではない。いくつかの局面において、分離される試料およびその中に含まれる成分の場所は変化するが、クロマトグラフィーマトリックスは既定の場所、通常は既定の位置にとどまる。したがって、いくつかの局面において、クロマトグラフィーマトリックスは「固定相」である。
【0272】
通常、それぞれのクロマトグラフィーマトリックスは固相または半固相の形態を有するが、単離/分離される標的細胞を含有する試料は流体相である。クロマトグラフィー分離を達成するために使用される移動相も同じく流体相である。クロマトグラフィーマトリックスは、粒子状物質(任意の適当なサイズおよび形の)であってもよく、または紙基材またはメンブレンをはじめとするモノリシッククロマトグラフィー材料(実施例セクションを参照)であってもよい。したがって、クロマトグラフィーは、カラムクロマトグラフィーと平面クロマトグラフィーの両方であってもよい。標準的なクロマトグラフィーカラムに加えて、双方向流を可能にするカラムまたはピペットチップを、本明細書に記載されるような細胞のカラムベース/フロースルーモードベースのクロマトグラフィー分離に使用することもできる。したがって、場合によっては、ピペットチップまたは双方向流を可能にするカラムもまた、本方法において有用なクロマトグラフィーカラムに包含される。いくつかの局面において、粒子状のマトリックス材料が使用され、粒子状のマトリックス材料は、例えば、約5μm~約200μmまたは約5μm~約400μmまたは約5μm~約600μmの平均粒径を有し得る。いくつかの局面において、平面クロマトグラフィーが使用され、マトリックス材料は、平面クロマトグラフィーに適した任意の材料、例えば従来のセルロースベースまたは有機ポリマーベースのメンブレン(例えば紙メンブレン、ニトロセルロースメンブレン、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)メンブレン)またはシリカコートされたガラスプレートであり得る。1つの態様において、クロマトグラフィーマトリックス/固定相は、非磁性材料または非磁化性材料である。
【0273】
いくつかの局面において、クロマトグラフィーマトリックス/固定相は、非磁性材料または非磁化性材料である。そのような材料としては、誘導体化シリカまたは架橋ゲルがある。架橋ゲル(通常、ビーズ形態で製造される)は、架橋多糖類などの天然ポリマーに基づき得る。多糖類マトリックスの例は、アガロースゲル(例えば、様々なビーズおよび細孔径で市販されている、Superflow(商標)アガロースまたはSuperflow(商標)Sepharose(登録商標)などのSepharose(登録商標)材料)または架橋デキストランのゲルを含むが、これに限定されない。さらなる例は、いずれもGE HealthcareからSephadex(登録商標)またはSuperdex(登録商標)として市販されている(様々なビーズサイズおよび様々な細孔径で)、デキストランが共有結合している粒子状架橋アガロースマトリックスである。このようなクロマトグラフィー材料の別の例が、同じくGE Healthcareから様々なビーズおよび細孔径で市販されているSephacryl(登録商標)である。
【0274】
いくつかの態様において、架橋ゲルはまた、自然界には存在しないポリマークラスなどの合成ポリマーに基づき得る。適当な例は、アガロースゲルまたは架橋デキストランのゲルを含むが、これに限定されない。架橋ゲルはまた、合成ポリマー、すなわち、自然界には存在しないポリマークラスに基づき得る。通常、細胞分離のためのクロマトグラフィー固定相が基づくそのような合成ポリマーは、極性モノマー単位を有する、ひいてはそれ自体が極性であるポリマーである。したがって、場合によっては、そのような極性ポリマーは親水性である。疎油性とも呼ばれる親水性の分子は、いくつかの局面において、水分子とで双極子-双極子相互作用を形成することができる部分を含有する。一般に、親油性とも呼ばれる疎水性の分子は、水から分離する傾向を有する。
【0275】
好適な合成高分子の実例は、ポリアクリルアミド、スチレン-ジビニルベンゼンゲルおよびアクリラートとジオールまたはアクリルアミドとジオールの共重合体である。実例は、Fractogel(登録商標)として市販されているポリメタクリラートゲルである。さらなる例は、Toyopearl(登録商標)として市販されているエチレングリコールとメタクリラートの共重合体である。いくつかの態様では、クロマトグラフィー固定相はまた、天然および合成高分子成分、例えば、多糖とアガロースまたは多糖とN,N'-メチレンビスアクリルアミドの複合マトリックスまたは複合材料または共重合体、例えば、ポリアクリルアミド/アガロース複合材料を含み得る。デキストランとN,N'-メチレンビスアクリルアミドの共重合体の実例は、上述のSephacryl(登録商標)シリーズの材料である。誘導体化シリカは、合成高分子または天然高分子にカップリングされたシリカ粒子を含み得る。そのような態様の例は、多糖グラフトシリカ、ポリビニルピロリドングラフトシリカ、ポリエチレンオキシドグラフトシリカ、ポリ(2-ヒドロキシエチルアスパルトアミド)シリカおよびポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)グラフトシリカを含むが、それらに限定されない。
【0276】
本発明において利用されるクロマトグラフィーマトリックスは、いくつかの態様では、例えば、本明細書に記載されるような除去カートリッジにおいて使用されるときの、ゲル濾過(サイズ排除としても知られている)マトリックスである。ゲル濾過は、分離されるべき細胞との相互作用を少なくとも本質的に受けないように設計されるという特性を特徴とし得る。よって、ゲル濾過マトリックスは、本明細書において定義されているような細胞または他の生物学的実体の主にそれらのサイズに基づく分離を可能にする。それぞれのクロマトグラフィーマトリックスは、典型的には、上述したような粒子状多孔質材料である。クロマトグラフィーマトリックスは、ある特定の排除限界を有し得、その限界は、典型的には分子量に関して定義され、その分子量を超える分子は、細孔への侵入が完全に遮断される。サイズ排除限界を定義するそれぞれの分子量は、単離されるべき標的細胞(または生物学的実体)の重量に対応する重量を下回るように選択され得る。そのような態様では、標的細胞は、サイズ排除クロマトグラフィーマトリックスの細孔への侵入が妨げられる。同様に、アフィニティークロマトグラフィーマトリックスである固定相は、選択された標的細胞のサイズよりも小さいサイズである細孔を有し得る。例証的な態様では、アフィニティークロマトグラフィーマトリックスおよび/またはゲル濾過マトリックスは、0~約500nmの平均細孔サイズを有する。
【0277】
受容体結合分子または競合試薬などの試料中に存在する他の成分は、細孔の排除限界を下回るサイズを有し得、これは、サイズ排除クロマトグラフィーマトリックスの細孔に侵入することができる。細孔容積に部分的にまたは完全に侵入することができるそのような成分のうち、その細孔容積によりアクセスできないより大きな分子が通常最初に溶出し、最も小さい分子が最後に溶出する。いくつかの態様では、サイズ排除クロマトグラフィーマトリックスの排除限界は、標的細胞の最大幅を下回るように選択される。よって、細孔容積にアクセス可能な成分は、通常、標的細胞よりも長く、サイズ排除クロマトグラフィーマトリックスの中に/上に残留するだろう。したがって、標的細胞は、試料の他の物質/成分から別々にクロマトグラフィーカラムの溶出液中に回収され得る。それゆえ、受容体結合試薬、またはあてはまる場合、競合試薬などの成分は、標的細胞よりも遅い時点で、ゲル濾過マトリックスから溶出する。ゲル浸透マトリックスが、結合部位、例えば、試料中に存在する受容体結合試薬および/または競合試薬などの試薬に結合可能である結合部位Zを含む親和性試薬(通常、その上に共有結合により結合されている)を含む場合、この分離の効果は、さらに高まるだろう。受容体結合試薬および/または競合試薬は、親和性試薬の結合部位Zに結合し、それにより、ゲル浸透マトリックス上に固定される。この方法は、通常、本発明おいて使用されるような除去カートリッジにおいて行われ、いくつかの態様では、本発明に係る方法、組み合わせおよびキットは、そのようなゲル濾過マトリックスを含むおよび/または利用する。それぞれの方法において、したがって、細胞は、サイズに基づいて分離される。
【0278】
本発明において利用されるクロマトグラフィーマトリックスはまた、磁気により誘引可能な物質、例えば、1つまたは複数の磁気により誘引可能な粒子または磁性流体を含み得る。それぞれの磁気により誘引可能な粒子は、標的細胞に結合可能である結合部位を有する多量体化試薬または親和性試薬を含み得る。磁気により誘引可能な粒子は、反磁性、強磁性、常磁性または超常磁性の材料を含有し得る。超常磁性の材料は、永久磁化を生じることなく、誘導された磁場によって磁場に反応する。酸化鉄系の磁気粒子は、例えば、Dynal BiotechからDynabeads(登録商標)として、Miltenyi Biotecから磁気MicroBeadsとして、CPG Inc.から磁気多孔性ガラスビーズとして、ならびに様々な他の供給元、例えば、少し例を挙げれば、Roche Applied Science、BIOCLON、BioSource International Inc.、micromod、AMBION、Merck、Bangs Laboratories、Polysciences、またはNovagen Inc.から市販されている。超常磁性のCoおよびFeCoならびに強磁性のCoナノ結晶系の磁性ナノ粒子は、例えば、Hutten, A. et al.(J. Biotech. (2004), 112, 47-63)によって記載されている。しかしながら、いくつかの態様では、本発明において利用されるクロマトグラフィーマトリックスは、いかなる磁気により誘引可能な物質も有しない。
【0279】
受容体結合試薬
上記のように、ある特定の局面において、本明細書に提供される方法は受容体結合試薬を用いる。いくつかの態様において、このセクションに記載されるような試薬は受容体結合試薬である。いくつかの態様において、受容体結合試薬は、細胞の表面上の分子、例えば細胞表面分子に結合する。いくつかの例において、細胞表面分子は選択マーカーである。いくつかの態様において、受容体結合試薬は、試料中の細胞の1つまたは複数によって発現される選択マーカーに特異的に結合することができる。いくつかの態様において、分子、例えば細胞表面分子または細胞表面受容体への特異的結合とは、本開示を通して、必ずしも、試薬がそのような分子だけに結合することを意味しない。例えば、ある分子に特異的に結合する試薬は、例えばイムノアッセイ、BIAcore(登録商標)、KinExA 3000計器(Sapidyne Instruments, Boise, ID)または他のアッセイによって測定されるように、一般にはずっと低いアフィニティーで他の分子にも結合し得る。場合によっては、特定の結合条件下、標的分子に結合する試薬の能力は、そのアフィニティーまたはアビディティーが、十分な統計的サイズのランダムなペプチドまたはポリペプチドの集合に対する同じ作用物質の平均アフィニティーまたはアビディティーの少なくとも5倍、例えば少なくとも10、20、30、40、50、100、250または500倍、またはさらには少なくとも1000倍の大きさであるような能力である。
【0280】
いくつかの態様において、細胞、例えば標的細胞(例えばT細胞)は、細胞表面上に分子、例えば選択マーカーを有して、または発現して、選択される細胞が、少なくとも1つの共通の特異的分子(例えば選択マーカー)の存在によって決定されるようになっている。いくつかの態様において、標的細胞を含有する試料はまた、その分子(例えば選択マーカー)を欠くさらなる細胞を含有する場合もある。例えば、いくつかの態様において、T細胞は、複数の細胞タイプ、例えば赤血球またはB細胞を含有する試料から選択され得る。選択マーカーおよび受容体分子は、細胞表面分子を指すために本明細書中で互換可能に使用され得る。
【0281】
いくつかの態様において、細胞表面、例えば標的細胞表面に位置する受容体分子は、本発明の方法におけるクロマトグラフィー分離プロセス中に細胞表面に共有結合的または非共有結合的に結合したまま残る限り、任意の分子であり得る。受容体分子は、受容体結合試薬が向けられ得る分子である。いくつかの態様において、受容体はペプチドまたはタンパク質、例えば膜受容体タンパク質である。いくつかの態様において、受容体は、脂質、多糖類、または核酸である。タンパク質である受容体は、表在性膜タンパク質または内在性膜タンパク質であり得る。それは、いくつかの態様において、膜にまたがる1つまたは複数のドメインを有し得る。特定の態様において、受容体分子は、免疫細胞の表面タンパク質、例えばCD4、CD8、またはCD57である。場合によっては、T細胞の場合、受容体分子はCD3である。場合によっては、T細胞の場合、受容体分子はCD4またはCD8である。いくつかの態様において、受容体分子は、所望の細胞集団または部分集団、例えば、血液細胞、例えばリンパ球(例えばT細胞、CD57+ T細胞、CD4+ T細胞、またはCD8+ T細胞)の集団または部分集団を決定する抗原であり得る。
【0282】
いくつかの局面において、細胞表面分子、例えば選択マーカーは、所望の細胞集団または部分集団、例えば、血液細胞、例えばリンパ球(例えばT細胞、Tヘルパー細胞、例えばCD57-T細胞、CD3+ T細胞、CD8+ T細胞、CD4+Tヘルパー細胞、B細胞またはナチュラルキラー細胞)、単球または幹細胞、例えばCD34陽性末梢幹細胞またはNanogもしくはOct-4発現幹細胞の集団または部分集団を決定する抗原であり得る。いくつかの態様において、選択マーカーは、T細胞またはT細胞のサブセットの表面に発現するマーカー、例えばCD57、CD25、CD28、CD62L、CCR7、CD27、CD127、CD3、CD4、CD8、CD45RA、および/またはCD45ROであってよい。T細胞の例は、CMV特異的CD8+Tリンパ球、細胞傷害性T細胞、メモリーT細胞、および制御性T細胞(Treg)などの細胞を含む。Tregの例はCD4 CD25 CD45RA Treg細胞を含み、メモリーT細胞の例はCD62L CD8+特異的セントラルメモリーT細胞を含む。
【0283】
いくつかの態様では、受容体結合試薬は、結合部位Bを有するか含有する。ある特定の態様では、結合部位Bは、一価である。いくつかの局面では、一価の結合部位Bは、一価の抗体断片もしくは免疫グロブリン様機能を有するタンパク質性結合分子、アプタマーまたはMHC分子であるかそれを含有する。一価の抗体断片の例は、Fab断片、Fv断片、および二価の単鎖Fv断片を含む単鎖Fv断片(scFv)を含むが、それらに限定されない。(組換え)抗体断片の例は、Fab断片、Fv断片、単鎖Fv断片(scFv)、二価抗体断片、例えば(Fab)2'-断片、ダイアボディ、トリアボディ(Iliades, P., et al., FEBS Lett (1997) 409, 437-441)、デカボディ(Stone, E., et al., Journal of Immunological Methods (2007) 318, 88-94)および他のドメイン抗体(Holt, L.J., et al., Trends Biotechnol. (2003), 21, 11, 484-490)である。いくつかの態様では、受容体分子結合試薬の1つまたは複数の結合部位は、「デュオカリン(duocalin)」としても知られている二量体リポカリンムテインなどの二価のタンパク質性人工結合分子であり得る。いくつかの態様では、受容体結合試薬は、単一の第2結合部位を有し得、すなわち、それは、一価であり得る。一価の受容体結合試薬の例は、一価抗体断片、抗体様結合特性を有するタンパク質性結合分子またはMHC分子を含むが、それらに限定されない。
【0284】
好適なタンパク質性結合分子のなおさらなる例は、EGF様ドメイン、Kringleドメイン、フィブロネクチンI型ドメイン、フィブロネクチンII型ドメイン、フィブロネクチンIII型ドメイン、PANドメイン、G1aドメイン、SRCRドメイン、Kunitz/Bovine膵臓トリプシンインヒビタードメイン、テンダミスタット(tendamistat)、Kazal型セリンプロテアーゼインヒビタードメイン、Trefoil(P型)ドメイン、フォン・ビルブラント因子C型ドメイン、アナフィラトキシン様ドメイン、CUBドメイン、チログロブリンI型リピート、LDL-受容体クラスAドメイン、Sushiドメイン、Linkドメイン、トロンボスポンジンI型ドメイン、免疫グロブリンドメインもしくは免疫グロブリン様ドメイン(例えば、ドメイン抗体またはラクダ重鎖抗体)、C型レクチンドメイン、MAMドメイン、フォン・ビルブラント因子A型ドメイン、ソマトメジンBドメイン、WAP型4ジスルフィドコアドメイン、F5/8 C型ドメイン、ヘモペキシンドメイン、SH2ドメイン、SH3ドメイン、ラミニン型EGF様ドメイン、C2ドメイン、「カッパボディ(Kappabodies)」(Ill.et al, Protein Eng. (1997) 10, 949-57を参照のこと、いわゆる「ミニボディ(minibody)」(Martin et al., EMBO J (1994) 13, 5303-5309)、ダイアボディ(Holliger et al., PNAS USA (1993) 90, 6444-6448を参照のこと)、いわゆる「Janusis」(Traunecker et al., EMBO J (1991) 10, 3655-3659、またはTraunecker et al., Int J Cancer (1992) Suppl 7, 51-52を参照のこと)、ナノボディ、マイクロボディ、アフィリン、アフィボディ、ノッチン、ユビキチン、ジンクフィンガータンパク質、自己蛍光タンパク質またはロイシンリッチリピートタンパク質である。抗体様機能を有する核酸分子の例は、アプタマーである。アプタマーは、規定の3次元モチーフに折り畳まれ、所与の標的構造に対して高親和性を示す。
【0285】
特定の局面では、受容体結合タンパク質は、結合パートナーCを含有する。いくつかの局面では、受容体結合試薬に含まれる結合パートナーCは、例えば、炭化水素系(高分子を含む)であり得、窒素、リン、硫黄、炭素、ハロゲン、または擬ハロゲン基を含み得る。その結合パートナーは、アルコール、有機酸、無機酸、アミン、ホスフィン、チオール、ジスルフィド、アルカン、アミノ酸、ペプチド、オリゴペプチド、ポリペプチド、タンパク質、核酸、脂質、糖、オリゴ糖、または多糖であり得る。さらなる例として、その結合パートナーは、カチオン、アニオン、ポリカチオン、ポリアニオン、ポリカチオン、電解質、高分子電解質、カーボンナノチューブまたはカーボンナノフォームでもあり得る。一般に、そのような結合パートナーは、多量体化試薬の結合部位に対して他の物質よりも高い親和性を有する。それぞれの結合パートナーの例は、クラウンエーテル、免疫グロブリン、その断片および抗体様機能を有するタンパク質性結合分子を含むが、それらに限定されない。
【0286】
いくつかの態様では、受容体結合試薬に含まれる結合パートナーCは、ビオチンを含み、親和性試薬は、ビオチンに可逆的に結合するストレプトアビジン類似体またはアビジン類似体を含む。いくつかの態様では、受容体結合試薬に含まれる結合パートナーCは、ストレプトアビジンまたはアビジンに可逆的に結合するビオチン類似体を含み、親和性試薬は、それぞれのビオチン類似体に可逆的に結合するストレプトアビジン、アビジン、ストレプトアビジン類似体またはアビジン類似体を含む。いくつかの態様では、受容体結合試薬に含まれる結合パートナーCは、ストレプトアビジンまたはアビジン結合ペプチドを含み、親和性試薬は、それぞれのストレプトアビジンまたはアビジン結合ペプチドに可逆的に結合するストレプトアビジン、アビジン、ストレプトアビジン類似体またはアビジン類似体を含む。
【0287】
いくつかの態様において、受容体結合試薬に含まれる結合パートナーはストレプトアビジン結合ペプチドを含み得る。いくつかの態様において、ペプチド配列は、SEQ ID NO:78に記載された配列に含有されるような、一般式His-Pro-Xaa(式中、Xaaは、グルタミン、アスパラギンまたはメチオニンである)の配列を含有する。いくつかの態様において、ペプチド配列は、SEQ ID NO:79に記載されるような、SEQ ID NO:69に記載された一般式を有する。一例において、ペプチド配列はTrp-Arg-His-Pro-Gln-Phe-Gly-Gly(Strep-tag(登録商標)とも呼ばれる。SEQ ID NO:75に記載)である。一例において、ペプチド配列はAla-Trp-Arg-His-Pro-Gln-Phe-Gly-Gly(Strep-tag(登録商標)とも呼ばれる。SEQ ID NO:90に記載)である。一例において、ペプチド配列は、例えば米国特許第6,103,493号に記載され、商品名Strep-Tactin(登録商標)の下で市販されているTrp-Ser-His-Pro-Gln-Phe-Glu-Lys(Strep-tag(登録商標)IIとも呼ばれる。SEQ ID NO:69に記載)である。ストレプトアビジン結合ペプチドは、例えば、例えば米国特許第5,506,121号に記載されている、「Strep-tag(登録商標)」などの単一ペプチドであってもく、または国際公開公報第02/077018号または米国特許第7,981,632号に記載されている、2つ以上の個々の結合分子の順次配置を有するストレプトアビジン結合ペプチドであってもよい。
【0288】
いくつかの態様において、受容体結合試薬の結合パートナーCは、アフィニティータグとして当業者には公知の部分を含む。そのような態様において、アフィニティー試薬は、アフィニティータグに結合することが知られている対応する結合パートナー、例えば抗体または抗体断片を含む。公知のアフィニティータグのいくつかの実例として、受容体結合試薬に含まれる結合パートナーとしては、ジニトロフェノールもしくはジゴキシゲニン、オリゴヒスチジン、ポリヒスチジン、免疫グロブリンドメイン、マルトース結合タンパク質、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)、キチン結合タンパク質(CBP)もしくはチオレドキシン、カルモジュリン結合ペプチド(CBP)、FLAG'ペプチド、HAタグ、VSV-Gタグ、HSVタグ、T7エピトープ、マルトース結合タンパク質(MBP)、単純ヘルペスウイルス糖タンパク質Dの配列のHSVエピトープ、配列の転写因子c-mycの「myc」エピトープ、V5タグまたはグルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)がある。そのような態様において、アフィニティー試薬の1つまたは複数の結合部位(この場合は抗体または抗体断片)と抗原との間で形成される複合体は、遊離抗原、すなわち遊離ペプチド(エピトープタグ)または遊離タンパク質(例えばMBPまたはCBP)を加えることにより、競合的に破壊することができる。アフィニティータグはまた、オリゴヌクレオチドタグであってもよい。そのようなオリゴヌクレオチドタグは、例えば、アフィニティー試薬に結合した、またはアフィニティー試薬に含まれる、相補的配列を有するオリゴヌクレオチドにハイブリダイズするために使用されてもよい。
【0289】
国際公開公報第2013/011011号(その内容全体が、あらゆる目的のために参照により本明細書に組み入れらる)に準じて、受容体結合試薬と標的細胞上の受容体分子との間の結合の強度は、受容体結合試薬を介するアフィニティー試薬への標的細胞の結合の可逆性にとって必ずしも必須ではない。むしろ、結合の強さにかかわらず、すなわち、結合部位Bを介する受容体結合試薬と受容体分子との間の結合の平衡解離定数(KD)が、低アフィニティー、例えば約10-3~約10-7MのKD範囲にあるのか、高アフィニティー、例えば約10-7~約1×10-10MのKD範囲にあるのかにかかわらず、結合部位Bを介する受容体結合試薬と受容体分子との結合の解離が十分な速さで起こる限り、標的細胞を可逆的に染色することができる。これに関して、結合部位Bを介する受容体結合試薬と受容体分子との間の結合の解離速度定数(k0ff)は、約3×10-5sec-1以上の値を有し得る(この解離速度定数は、受容体結合試薬の結合部位Bと標的細胞の表面上の受容体分子との間で形成される複合体の解離反応を特徴づける定数である)。受容体結合試薬の結合部位Bと標的細胞の表面上の受容体分子との間の解離反応の解離速度定数(kon)は、任意の値を有し得る。受容体分子と受容体結合試薬との間で十分に可逆的な結合を保証するためには、約3×10-5sec-1以上、約5×10-5sec-1以上、例えば約1×10-4sec-1以上、5×10-4sec-1以上、1×10-3sec-1以上、5×10-3sec-1以上、1×10-2sec-1以上、1×10-1sec-1以上、または5×10-1sec-1以上の値を有するように結合平衡のk0ff値を選択することが有利である。本明細書において使用される運動学的および熱力学的定数の値は、大気圧、すなわち1.013バールおよび室温、すなわち25℃の条件を指すということが留意されよう。
【0290】
いくつかの態様において、受容体結合試薬は、受容体分子に特異的に結合することができる単一の(一価の)結合部位Bを有する。いくつかの態様において、受容体結合試薬は、受容体分子に結合することができる少なくとも2つの(すなわち、3つ、4つ、または5つの同一の結合部位Bを含む複数の結合部位B)を有する。これらの態様のいずれにおいても、結合部位B(のそれぞれ)を介する受容体分子の結合は、約3×10-5sec-1以上のkoff値を有し得る。したがって、受容体結合試薬は、一価(例えば、一価の抗体断片または一価の人工結合分子(タンパク質性またはその他の)、例えばリポカリンファミリーのポリペプチドに基づくムテイン(「Anticalin(登録商標)とも知られる)であってもよく、または二価分子、例えば両方の結合部位が保持されている抗体または断片、例えばF(ab')2断片であってもよい。いくつかの態様において、koff速度が3×10-5sec-1以上であるならば、受容体分子は多価分子、例えば五量体IgE分子であってもよい。いくつかの態様において、Fabは抗CD57 Fabである。特定の態様において、Fabは抗CD4 Fabである。いくつかの態様において、Fabは抗CD8 Fabである。
【0291】
本発明のいくつかの態様において、本明細書に記載される可逆的細胞アフィニティークロマトグラフィー技術によって生物学的物質の(トレースレス)単離を提供するものは、少なくとも結合部位Bを介する受容体結合試薬と標的細胞上の受容体細胞との結合のkoff速度(3×10-5sec-1以上の)ではなく、分子レベル上である。むしろ、例えば米国特許第7,776,562号または国際公開公報第02/054065に記載されているように、受容体分子と結合受容体結合試薬の結合部位Bとの間の低アフィニティー結合が、固定化されたアフィニティー試薬によって媒介されるアビディティー効果とともに、標的細胞の可逆的かつトレースレスな単離を可能にする。これらの態様において、アフィニティー試薬の2つ以上の結合部位Zと、少なくとも2つの受容体結合試薬の結合パートナーCとの間で、複合体を形成することができ、標的細胞の可逆的固定化およびその後のアフィニティークロマトグラフィーマトリックスからの溶離を可能にする(競合物質の添加によるものであり、これが結合パートナーCと結合部位Zとの間に形成された結合(複合体)を破壊し、次いで標的細胞からの受容体結合試薬の解離を招く)。上述したように、そのような低い結合アフィニティーは、結合部位Bを介する受容体結合試薬と標的細胞表面上の受容体分子との間の結合の場合、約1.0×10-3M~約1.0×10-7Mの範囲の解離定数(KD)を特徴とし得る。
【0292】
いくつかの態様において、選択マーカーはCD57であってよく、受容体結合物質はCD57に特異的に結合する。いくつかの局面において、CD3に特異的に結合する受容体結合物質は、抗CD57抗体、抗CD57抗体の二価抗体断片、抗CD57抗体の一価抗体断片および抗体様結合性を有するタンパク質性CD57結合分子からなる群より選択され得る。いくつかの態様において、選択物質は抗CD57 Fab断片を含む。
【0293】
いくつかの態様において、選択マーカーはCD4であってよく、受容体結合物質はCD4に特異的に結合する。いくつかの局面において、CD4に特異的に結合する受容体結合物質は、抗CD4抗体、抗CD4抗体の二価抗体断片、抗CD4抗体の一価抗体断片および抗体様結合性を有するタンパク質性CD4結合分子からなる群より選択され得る。いくつかの態様において、抗CD4抗体、例えば二価抗体断片または一価抗体断片(例えばCD4 Fab断片)は、抗体13B8.2またはCD4への特異的結合を保持する13B8.2の機能的に活性な変異体から誘導することができる。例えば、抗体13B8.2またはm13B8.2の例示的な変異体は、米国特許第7,482,000号、米国特許出願第2014/0295458号または国際公開公報第2013/124474号;およびBes, C, et al. J Biol Chem 278, 14265-14273 (2003)に記載されている。「m13B8.2」と呼ばれる変異体Fab断片は、米国特許第7,482,000号に記載されているように、CD4結合マウス抗体13B8.2の可変ドメインと、重鎖のためのタイプガンマの定常ヒトCH1ドメインおよびタイプカッパの定常ヒト軽鎖ドメインを含有する定常ドメインとを有する。いくつかの態様において、抗CD4抗体、例えば抗体13B8.2の変異体は、可変軽鎖中のアミノ酸置換H91A、可変軽鎖中のアミノ酸置換Y92A、可変重鎖中のアミノ酸置換H35Aおよび/または可変重鎖中のアミノ酸置換R53A(いずれもKabatナンバリングによる)を含有する。いくつかの局面において、m13B8.2中の13B8.2 Fab断片の可変ドメインと比べ、軽鎖の91位(SEQ ID NO:96の93位)のHis残基がAlaに変異し、重鎖の53位(SEQ ID NO:95の55位)のArg残基がAlaに変異している。いくつかの態様において、抗CD4またはその断片に可逆的に結合している試薬は、市販されているか、または市販されている試薬から誘導される(例えば、カタログNo.6-8000-206または6-8000-205または6-8002-100;IBA GmbH, Gottingen, Germany)。いくつかの態様において、受容体結合物質は抗CD4 Fab断片を含む。いくつかの態様において、抗CD4 Fab断片は、SEQ ID NO:95によって記載された配列を有する可変重鎖と、SEQ ID NO:96によって記載された配列を有する可変軽鎖とを含む。いくつかの態様において、抗CD4 Fab断片は、SEQ ID NO:95によって記載された配列を有する可変重鎖のCDRと、SEQ ID NO:96によって記載された配列を有する可変軽鎖のCDRとを含む。
【0294】
いくつかの態様において、選択マーカーはCD8であってよく、受容体結合物質はCD8に特異的に結合する。いくつかの局面において、CD8に特異的に結合する受容体結合物質は、抗CD8抗体、抗CD8抗体の二価抗体断片、抗CD8抗体の一価抗体断片および抗体様結合性を有するタンパク質性CD8結合分子からなる群より選択され得る。いくつかの態様において、抗CD8抗体、例えば二価抗体断片または一価抗体断片(例えばCD8 Fab断片)は、抗体OKT8(例えばATCC CRL-8014)またはCD8への特異的結合を保持するその機能的に活性な変異体から誘導することができる。いくつかの態様において、抗CD8またはその断片に可逆的に結合している試薬は、市販されているか、または市販されている試薬から誘導される(例えば、カタログNo.6-8003または6-8000-201;IBA GmbH, Gottingen, Germany)。いくつかの態様において、受容体結合物質は抗CD8 Fab断片を含む。いくつかの態様において、抗CD8 Fab断片は、SEQ ID NO:97によって記載された配列を有する可変重鎖と、SEQ ID NO:98によって記載された配列を有する可変軽鎖とを含む。いくつかの態様において、抗CD8 Fab断片は、SEQ ID NO:97によって記載された配列を有する可変重鎖のCDRと、SEQ ID NO:98によって記載された配列を有する可変軽鎖のCDRとを含む。
【0295】
いくつかの態様において、選択マーカーはCD3であってよく、受容体結合物質はCD3に特異的に結合する。いくつかの局面において、CD3に特異的に結合する受容体結合物質は、抗CD3抗体、抗CD3抗体の二価抗体断片、抗CD3抗体の一価抗体断片および抗体様結合性を有するタンパク質性CD3結合分子からなる群より選択され得る。いくつかの態様において、抗CD3抗体、例えば二価抗体断片または一価抗体断片(例えばCD3 Fab断片)は、抗体OKT3(例えばATCC CRL-8001;例えば、Stemberger et al. PLoS One. 2012; 7(4): e35798を参照)またはCD3への特異的結合を保持するその機能的に活性な変異体から誘導することができる。いくつかの態様において、抗CD3またはその断片に可逆的に結合している試薬は、市販されている、または市販されている試薬から誘導される(例えば、カタログNo.6-8000-201、6-8001-100;IBA GmbH, Gottingen, Germany)。いくつかの態様において、受容体結合物質は抗CD3 Fab断片を含む。いくつかの態様において、抗CD3 Fab断片は、SEQ ID NO:93によって記載された配列を有する可変重鎖と、SEQ ID NO:94によって記載された配列を有する可変軽鎖とを含む。いくつかの態様において、抗CD3 Fab断片は、SEQ ID NO:93によって記載された配列を有する可変重鎖のCDRと、SEQ ID NO:94によって記載された配列を有する可変軽鎖のCDRとを含む。
【0296】
上記例のいずれにおいても、二価抗体断片は、(Fab)2'断片または二価一本鎖Fv断片であってよく、一方一価抗体断片は、Fab断片、Fv断片および一本鎖Fv断片(scFv)からなる群より選択され得る。上記例のいずれにおいても、抗体様結合性を有するタンパク質性結合分子は、アプタマー、リポカリンファミリーのポリペプチドに基づくムテイン、グルボディ、アンキリン足場に基づくタンパク質、結晶足場に基づくタンパク質、アドネクチンおよびアビマーであり得る。
【0297】
ある特定の態様において、クロマトグラフィー単離による単離および/または選択は、CD57-CD3+ T細胞を少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.9%または100%もしくは約100%含む、濃縮されたT細胞の1つまたは複数の集団を生じさせる。特定の態様において、濃縮されたT細胞の集団は本質的にCD57-CD3+ T細胞からなる。
【0298】
ある特定の態様において、クロマトグラフィー単離による単離および/または選択は、CD57-CD4+ T細胞を少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.9%または100%もしくは約100%含む、濃縮されたCD4+ T細胞の集団を生じさせる。特定の態様において、CD4+ T細胞のインプット組成物は、CD8+ T細胞を40%未満、35%未満、30%未満、25%未満、20%未満、15%未満、10%未満、5%未満、1%未満、0.1%未満もしくは0.01%未満しか含まない、および/またはCD8+ T細胞を含有しない、および/またはCD8+ T細胞を含まない、もしくは実質的に含まない。いくつかの態様において、濃縮されたT細胞の集団は、本質的にCD57-CD4+ T細胞からなる。
【0299】
ある特定の態様において、クロマトグラフィー単離による単離および/または選択は、CD57-CD8+ T細胞を少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.9%、または100%もしくは約100%含む、濃縮されたCD57-CD8+ T細胞の集団を生じさせる。特定の態様において、CD8+ T細胞の集団は、CD4+ T細胞を40%未満、35%未満、30%未満、25%未満、20%未満、15%未満、10%未満、5%未満、1%未満、0.1%未満、もしくは0.01%未満しか含有しない、および/またはCD4+ T細胞を含有しない、および/またはCD4+ T細胞を含まない、もしくは実質的に含まない。いくつかの態様において、濃縮されたT細胞の集団は本質的にCD57-CD8+ T細胞からなる。
【0300】
D. インプット組成物
ある特定の態様において、提供される方法は、細胞のインプット集団または組成物の製造または調製と関連して使用される(インプット組成物またはインプット集団は本明細書において互換可能に使用される)。いくつかの態様において、インプット組成物は、生物学的試料(例えば、初代T細胞を含有する試料、例えば白血球アフェレーシスまたはアフェレーシス試料)からT細胞を選択するための、例えば以下に記載されるような提供される方法のいずれかにしたがって生成される。特定の態様において、インプット細胞組成物は、遺伝子操作に使用するための細胞、例えば遺伝子操作される細胞または遺伝子操作された細胞を製造するプロセスを受ける細胞の集団を含む。特定の態様において、細胞を、組換え受容体をコードする核酸で処理する、それと接触させる、またはそれとともにインキュベートする。特定の態様において、インプット組成物は、T細胞、生存T細胞、CD57-T細胞、CD3+ T細胞、CD4+ T細胞、CD8+ T細胞、および/またはそれらの部分集団を含有する。
【0301】
いくつかの態様において、細胞生存率が、色素取り込みアッセイ(例えばカルセインAMアッセイ)、XTT細胞生存率アッセイおよび色素排除アッセイ(例えばトリパンブルー、エオシンまたはプロピジウム色素排除アッセイ)をはじめとするアッセイで評価される。特定の態様において、生存細胞は、1つまたは複数のアポトーシスマーカー、例えばアネキシンVまたは活性カスパーゼ3の陰性発現を有する。いくつかの態様において、生存細胞は、カスパーゼもしくは活性カスパーゼ、例えばカスパーゼ2、カスパーゼ3、カスパーゼ6、カスパーゼ7、カスパーゼ8、カスパーゼ9もしくはカスパーゼ10、Bcl-2ファミリーメンバー、例えばBax、Bad、およびBid、アネキシンVまたはTUNEL染色をはじめとする1つまたは複数のアポトーシスマーカーの発現に関して陰性である。特定の態様において、生存細胞は活性カスパーゼ3陰性である。特定の態様において、生存細胞はアネキシンV陰性である。
【0302】
いくつかの態様において、インプット組成物は、濃縮されたCD57-T細胞、例えば生存CD57-T細胞の集団を含む。いくつかの態様において、インプット集団の細胞の少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.9%、または100%もしくは約100%がCD57-T細胞、例えば生存CD57-T細胞である。いくつかの態様において、インプット集団は、本質的にCD57-T細胞、例えば生存CD57-T細胞からなる。
【0303】
ある特定の態様において、インプット集団は、濃縮されたCD4+ T細胞およびCD8+ T細胞を濃縮された細胞、例えばCD4+ T細胞およびCD8+ T細胞の集団である。特定の態様において、インプット集団は、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.9%、または100%もしくは約100%がCD3+ T細胞であるか、またはそれを含む。特定の態様において、インプット集団は、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.9%、または100%もしくは約100%がCD4+およびCD8+ T細胞であるか、またはそれを含む。いくつかの態様において、インプット集団は本質的にCD4+およびCD8+ T細胞からなる。特定の態様において、インプット集団は、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.9%、または100%もしくは約100%が、CD57-、例えば生存CD57-T細胞であるCD3+ T細胞(CD4+およびCD8+ T細胞)であるか、またはそれを含む。
【0304】
ある特定の態様において、インプット集団は、濃縮されたCD4+ T細胞の集団である。特定の態様において、インプット集団の細胞の少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.9%、または100%もしくは約100%が、CD4+ T細胞である。いくつかの態様において、インプット集団は本質的にCD4+ T細胞からなる。特定の態様において、インプット集団は、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.9%、または100%もしくは約100%が、CD57-、例えば生存CD57-T細胞であるCD4+ T細胞であるか、またはそれを含む。
【0305】
ある特定の態様において、インプット集団は、濃縮されたCD8+ T細胞の集団である。特定の態様において、インプット集団の細胞の少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.9%、または100%もしくは約100%がCD8+ T細胞である。いくつかの態様において、インプット集団は本質的にCD8+ T細胞からなる。特定の態様において、インプット集団は、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.9%、または100%もしくは約100%が、CD57-、例えば生存CD57-T細胞であるCD8+ T細胞であるか、またはそれを含む。
【0306】
いくつかの態様において、濃縮されたCD57-CD4+ T細胞の集団からの細胞および濃縮されたCD57-CD8+ T細胞の集団からの細胞が混合され、合わされ、および/またはプールされて、CD57-CD4+ T細胞およびCD57-CD8+ T細胞を含有するインプット集団を生成する。特定の態様において、濃縮されたCD57-CD4+ T細胞およびCD57-CD8+ T細胞の集団は、細胞を刺激する、例えば細胞を刺激条件下で培養する前にプールされ、混合され、および/または合わされる。特定の態様において、濃縮されたCD57-CD4+TおよびCD57-CD8+ T細胞の集団は、濃縮されたCD57-CD4+TおよびCD57-CD8+ T細胞を凍結、例えば凍結保存し、解凍した後でプールされ、混合され、および/または合わされる。
【0307】
ある特定の態様において、インプット集団は、濃縮されたCD57-CD4+細胞の集団からの細胞を、濃縮されたCD57-CD8+細胞の集団からの細胞と混合する、プールする、および/または合わせることによって製造、生成または作製される。特定の態様において、濃縮されたCD57-CD4+ T細胞の集団は、CD57-CD4+ T細胞を少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、99%、または99.9%含有する。特定の態様において、濃縮されたCD57-CD4+ T細胞の集団は、CD57-CD4+ T細胞を100%含有する、またはCD57-CD4+ T細胞を約100%含有する。特定の態様において、濃縮されたT細胞の集団は、CD57-CD8+ T細胞を20%未満、10%未満、5%未満、1%未満、0.1%未満、もしくは0.01%未満しか含有しないもしくは含まない、および/またはCD57-CD8+ T細胞を含有しない、および/またはCD57-CD8+ T細胞を含まないもしくは実質的に含まない。いくつかの態様において、細胞の集団は本質的にCD57-CD4+ T細胞からなる。特定の態様において、濃縮されたCD57-CD8+ T細胞の集団は、CD57-CD8+ T細胞を少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、98%、99%、もしくは99.9%含有する、またはCD57-CD8+ T細胞を100%もしくは約100%含有する。特定の態様において、濃縮されたCD57-CD8+ T細胞の集団は、CD57-CD4+ T細胞を、20%未満、10%未満、5%未満、1%未満、0.1%未満、もしくは0.01%未満しか含有しないもしくは含まない、および/またはCD57-CD4+ T細胞を含有しない、および/またはCD57-CD4+ T細胞を含まないもしくは実質的に含まない。いくつかの態様において、細胞の集団は本質的にCD57-CD8+ T細胞からなる。
【0308】
ある特定の態様では、CD4+ T細胞およびCD8+ T細胞は、1:10~10:1の間、1:5~5:1の間、4:1~1:4の間、1:3~3:1の間、2:1~1:2の間、1.5:1~1:1.5の間、1.25:1~1:1.25の間、1.2:1~1:1.2の間、1.1:1~1:1.1の間、または約1:1または1:1のCD4+ T細胞:CD8+ T細胞比で、プール、混合および/または組み合わされる。特定の態様では、生存CD4+ T細胞および生存CD8+ T細胞は、1:10~10:1の間、1:5~5:1の間、4:1~1:4の間、1:3~3:1の間、2:1~1:2の間、1.5:1~1:1.5の間、1.25:1~1:1.25の間、1.2:1~1:1.2の間、1.1:1~1:1.1の間、または約1:1または1:1のCD4+ T細胞:CD8+ T細胞比で、プール、混合および/または組み合わされる。
【0309】
特定の態様では、インプット組成物は、50×106、100×106、150×106、200×106、250×106、300×106、350×106、400×106、450×106、500×106、550×106、600×106、700×106、800×106、900×1061,000×106、1,100×106もしくは1,200×106個、約50×106、100×106、150×106、200×106、250×106、300×106、350×106、400×106、450×106、500×106、550×106、600×106、700×106、800×106、900×1061,000×106、1,100×106もしくは1,200×106個、または少なくとも50×106、100×106、150×106、200×106、250×106、300×106、350×106、400×106、450×106、500×106、550×106、600×106、700×106、800×106、900×1061,000×106、1,100×106もしくは1,200×106個の量のT細胞、例えば生存T細胞、生存CD3+ T細胞、または生存の混合CD4+およびCD8+ T細胞を有する。特定の態様では、インプット組成物は、50×106、100×106、150×106、200×106、250×106、300×106、350×106、400×106、450×106、500×106、550×106、600×106個、約50×106、100×106、150×106、200×106、250×106、300×106、350×106、400×106、450×106、500×106、550×106、600×106個、または少なくとも50×106、100×106、150×106、200×106、250×106、300×106、350×106、400×106、450×106、500×106、550×106、600×106個の量のCD4+ T細胞、例えば、生存CD4+ T細胞を有する。ある特定の態様では、インプット組成物は、50×106、100×106、150×106、200×106、250×106、300×106、350×106、400×106、450×106、500×106、550×106、600×106個、約50×106、100×106、150×106、200×106、250×106、300×106、350×106、400×106、450×106、500×106、550×106、600×106個、または少なくとも50×106、100×106、150×106、200×106、250×106、300×106、350×106、400×106、450×106、500×106、550×106、600×106個の量のCD8+ T細胞、例えば、生存CD8+ T細胞を有する。いくつかの態様では、細胞の量は、同じ組成物中に一緒にプール、混合および/または組み合わされた生存CD4+およびCD8+ T細胞の量である。そのような態様では、CD4+およびCD8+ T細胞は、1:3~3:1の間、2:1~1:2の間、1.5:1~1:1.5の間、1.25:1~1:1.25の間、1.2:1~1:1.2の間、1.1:1~1:1.1の間、または約1:1または1:1のCD4+ T細胞:CD8+ T細胞比で存在する。いくつかの態様では、細胞の量は、約1:1または1:1のCD4+ T細胞:CD8+ T細胞比で一緒にプール、混合および/または組み合わされた生存CD4+およびCD8+ T細胞の量である。
【0310】
特定の態様では、インプット組成物は、300×106~600×106または約300×106~600×106個の量のT細胞、例えば、生存CD3+細胞、または混合の生存CD4+および生存CD8+細胞(例えば、1:1または約1:1比で混合された)を有する。いくつかの態様では、インプット集団は、300×106または約300×106個の量の、例えば、生存CD3+細胞、または混合の生存CD4+および生存CD8+細胞(例えば、1:1または約1:1比で混合された)を有する。いくつかの態様では、インプット集団は、400×106または約400×106個の量の、例えば、生存CD3+細胞または混合の生存CD4+および生存CD8+細胞(例えば、1:1または約1:1比で混合された)を有する。いくつかの態様では、インプット集団は、500×106または約500×106個の量の、例えば、生存CD3+細胞または混合の生存CD4+および生存CD8+細胞(例えば、1:1または約1:1比で混合された)を有する。いくつかの態様では、インプット集団は、600×106または約600×106個の量の、例えば、生存CD3+細胞または混合の生存CD4+および生存CD8+細胞(例えば、1:1または約1:1比で混合された)を有する。いくつかの態様では、インプット集団は、700×106または約700×106個の量の、例えば、生存CD3+細胞または混合の生存CD4+および生存CD8+細胞(例えば、1:1または約1:1比で混合された)を有する。いくつかの態様では、インプット集団は、800×106または約800×106個の量の、例えば、生存CD3+細胞または混合の生存CD4+および生存CD8+細胞(例えば、1:1または約1:1比で混合された)を有する。いくつかの態様では、インプット集団は、900×106または約900×106個の量の、例えば、生存CD3+細胞または混合の生存CD4+および生存CD8+細胞(例えば、1:1または約1:1比で混合された)を有する。いくつかの態様では、インプット集団は、100×107または約100×107個の量の、例えば、生存CD3+細胞または混合の生存CD4+および生存CD8+細胞(例えば、1:1または約1:1比で混合された)を有する。いくつかの態様では、インプット集団は、110×107または約110×107個の量の、例えば、生存CD3+細胞または混合の生存CD4+および生存CD8+細胞(例えば、1:1または約1:1比で混合された)を有する。いくつかの態様では、インプット集団は、120×107または約120×107個の量の、例えば、生存CD3+細胞または混合の生存CD4+および生存CD8+細胞(例えば、1:1または約1:1比で混合された)を有する。
【0311】
ある特定の態様では、CD4+ T細胞およびCD8+ T細胞は、インプット組成物が、T細胞、例えば、生存T細胞、生存CD3+ T細胞、または生存の混合CD4+およびCD8+ T細胞を最大で目標数(2n)または最大で約目標数(約2n)有するように、プール、混合および/または組み合わされる。濃縮されたCD4+ T細胞を含む組成物がCD4+ T細胞を少なくともn個含有し、濃縮されたCD8+ T細胞(例えば、CD4+ T細胞組成物と同じドナーに由来する、例えば、ドナー由来の同じアフェレーシスまたは白血球アフェレーシス試料に由来する)を含む組成物がCD8+ T細胞を少なくともn個含有するある特定の態様では、CD4+ T細胞組成物由来のCD4+ T細胞のn個およびCD8+ T細胞組成物由来のCD8+ T細胞のn個が、プール、混合および/または組み合わされ(すなわち、CD4+:CD8+比1:1)、T細胞を目標数(2n)含有するインプット組成物を生成する。濃縮されたCD4+ T細胞を含む組成物がCD4+ T細胞をn個以下(例えば、n個よりも少ない)含有し、濃縮されたCD8+ T細胞(例えば、CD4+ T細胞組成物と同じドナーに由来する、例えば、ドナー由来の同じアフェレーシスまたは白血球アフェレーシス試料に由来する)を含む組成物がCD8+ T細胞をn個以下(例えば、n個よりも少ない)含有するある特定の態様では、CD4+ T細胞組成物の細胞のすべておよびCD8+ T細胞組成物の細胞のすべてが、プール、混合および/または組み合わされて、インプット組成物を生成する。これらの態様では、インプット組成物は、目標数(2n)よりも少ないT細胞を含有し得る。濃縮されたCD4+ T細胞を含む組成物がn個よりも少ないCD4+ T細胞を含有し、濃縮されたCD8+ T細胞(例えば、CD4+ T細胞組成物と同じドナーに由来する、例えば、ドナー由来の同じアフェレーシスまたは白血球アフェレーシス試料に由来する)を含む組成物がn個を超えるCD8+ T細胞を含有する(逆もまた同様)ある特定の態様では、インプット組成物がT細胞を最大で目標数(2n)含有するように、CD4+ T細胞組成物の細胞またはCD8+ T細胞組成物の細胞を使用してもう一方の細胞タイプを補う。先行の態様のいずれかにおいて、目標数2nは、300×106、350×106、400×106、450×106、500×106、550×106、600×106、700×106、800×106、900×1061,000×106、1,100×106、または1,200×106個であることができる。
【0312】
ある特定の態様では、濃縮されたCD4+ T細胞を含む組成物由来の450×106個のCD4+ T細胞および濃縮されたCD8+ T細胞(例えば、CD4+ T細胞組成物と同じドナーに由来する、例えば、ドナー由来の同じアフェレーシスまたは白血球アフェレーシス試料に由来する)を含む組成物由来の450×106個のCD8+ T細胞がプール、混合および/または組み合わされて、900×106個のCD4+およびCD8+ T細胞を含有するインプット組成物を生成する。ある特定の態様では、濃縮されたCD4+ T細胞を含む組成物が450×106個よりも少ないCD4+ T細胞を含有し、濃縮されたCD8+ T細胞(例えば、CD4+ T細胞組成物と同じドナーに由来する、例えば、ドナー由来の同じアフェレーシスまたは白血球アフェレーシス試料に由来する)を含む組成物が450×106個よりも少ないCD8+ T細胞を含有するとき、CD4+ T細胞組成物の細胞のすべておよびCD8+ T細胞組成物の細胞のすべてが、プール、混合および/または組み合わされて、インプット組成物を生成する。ある特定の態様では、組成物のいずれか一方が450×106個よりも少ないCD4+またはCD8+細胞を含有する一方で、他方の組成物が450×106を超えるCD8+細胞またはCD4+細胞を含有するとき、最大で900×106個のCD4+ T細胞およびCD8+ T細胞が組み合わされて、インプット組成物を生成する。インプット組成物中のCD4+およびCD8+ T細胞の総数は、900×106個よりも少ない場合がある。言い換えれば、刺激に供されるべきT細胞を最大で目標数(2n)、例えば、T細胞を最大で900×106個含むインプット組成物を生成するために、濃縮されたCD4+ T細胞を含む組成物の細胞を使用して、濃縮されたCD8+ T細胞を含む組成物を補ってもよい(逆もまた同様)。
【0313】
上記態様では、細胞の選択、単離、分離、濃縮および/または精製プロセスがインプット組成物の調製に関して考察されているが、本明細書において開示される細胞の選択、単離、分離、濃縮および/または精製プロセスを、後続の工程(例えば、活性化、刺激、操作、形質導入、トランスフェクション、インキュベーション、培養、採取、製剤化、および/または製剤化された細胞集団の対象への投与)の途中、その前、またはそのいずれかの間に、任意の好適な組み合わせおよび/または順序で使用できることを理解すべきである。例えば、T細胞の選択、単離、分離、濃縮および/または精製工程を、T細胞の活性化/刺激とT細胞の形質導入との間に実施することができる。別の例では、T細胞の選択、単離、分離、濃縮および/または精製工程を、T細胞の形質導入後であるが、細胞を採取する前、収集する前、および/または製剤化する前に実施することができる。特定の例では、T細胞の選択、単離、分離、濃縮および/または精製工程を、細胞を採取する直前に、精錬または清澄化工程として実施することができる。いくつかの態様では、クロマトグラフィーによるT細胞の選択工程は、T細胞の活性化/刺激とT細胞の形質導入の間に実施される。いくつかの態様では、クロマトグラフィーによるT細胞の選択工程は、T細胞の形質導入後であるが、細胞を採取する前、収集する前、および/または製剤化する前に実施される。いくつかの態様では、クロマトグラフィーによるT細胞の選択工程は、細胞を採取する直前に実施される。
【0314】
いくつかの態様では、インプット組成物は、細胞を刺激する、例えば、細胞を刺激条件下で培養する前に、例えば、無血清培地を用いた、1つまたは複数の希釈および/または洗浄工程に供される。いくつかの態様では、希釈および/または洗浄工程は、無血清培地への、例えば、PCT/US2018/064627(参照により本明細書に組み入れられる)に記載されている無血清培地への培地交換を可能にする。
【0315】
いくつかの態様では、無血清培地は、1つまたは複数のサプリメントが補充された基礎培地(例えば、OpTmizer(商標)T-Cell Expansion Basal Medium(ThermoFisher))を含む。いくつかの態様では、1つまたは複数のサプリメントは、無血清である。いくつかの態様では、無血清培地は、例えば追加のサプリメント(例えば、OpTmizer(商標)T-Cell Expansion Supplement(ThermoFisher))によって提供される、細胞(例えば、T細胞)の維持、拡大増殖および/または活性化のための1つまたは複数の追加の成分が補充された基礎培地を含む。いくつかの態様では、無血清培地はさらに、血清代替サプリメント、例えば、免疫細胞血清代替物、例えば、CTS(商標)Immune Cell Serum Replacement(ThermoFisher、#A2596101)、またはSmith et al. Clin Transl Immunology. 2015 Jan; 4(1): e31に記載されている免疫細胞血清代替物を含む。いくつかの態様では、無血清培地はさらに、L-グルタミンなどのアミノ酸の遊離形態を含む。いくつかの態様では、無血清培地はさらに、L-グルタミンのジペプチド形態(例えば、L-アラニル-L-グルタミン)、例えば、Glutamax(商標)(ThermoFisher)中のジペプチドを含む。いくつかの態様では、無血清培地はさらに、1つまたは複数の組換えサイトカイン、例えば、組換えヒトIL-2、組換えヒトIL-7、および/または組換えヒトIL-15を含む。
【0316】
いくつかの態様では、インプット組成物は、PBMCまたは白血球アフェレーシス試料などの出発試料から生成されたCD57- CD8+ T細胞が濃縮された集団と出発試料から生成されたCD57- CD4+ T細胞が濃縮された集団とを混合、組み合わせ、および/またはプールすることによって生成される。いくつかの態様では、CD57- CD4+ T細胞が濃縮された集団は、出発試料からCD8+ T細胞が濃縮された集団を生成するプロセスの間に生成されたCD8陰性画分から生成される。特定の態様では、インプット組成物は、1:1または約1:1のCD4+ T細胞:CD8+ T細胞の比を有し、インプット組成物は、細胞を刺激する、例えば、細胞を刺激条件下で培養する前に、例えば、PCT/US2018/064627に記載される無血清培地を用いた、1つまたは複数の洗浄工程に供される。いくつかの態様では、1つまたは複数の洗浄工程は、アルブミンを含有するPBS/EDTA緩衝液から無血清培地(細胞の刺激においても使用される)への培地交換を可能にする。
【0317】
III. 濃縮されたCD57-細胞の集団を遺伝子操作するプロセス
提供される方法の中には、キメラ抗原受容体(CAR)などの組換え受容体によってT細胞を遺伝子操作する方法がある。いくつかの局面において、提供される方法は、濃縮されたCD57-T細胞の1つまたは複数の集団を刺激、活性化、操作、培養および/または拡大増殖する1つまたは複数の工程を含むことができる。ある特定の態様において、1つまたは複数の集団は、本明細書中、例えばセクションIに記載されたCD57-T細胞の任意の集団である、またはそれを含む。いくつかの態様において、1つまたは複数の集団は、本明細書中、例えばセクションIIに記載された任意の方法またはプロセスによって生物学的試料から単離、選択、または濃縮される。いくつかの態様において、濃縮されたCD57-T細胞の1つまたは複数の集団は、例えば、集団の細胞を刺激条件下、例えば本明細書中、例えばセクションIII.Aに記載された任意の刺激条件下でインキュベートすることによって刺激または活性化される。特定の態様において、濃縮されたCD57-T細胞の1つまたは複数の集団は、例えば、異種ポリヌクレオチドを1つまたは複数の集団の細胞に導入することによって遺伝子操作される。いくつかの態様において、導入は、本明細書中、例えばセクションIII.Bに提供された遺伝子操作のための任意の方法によって実施される。いくつかの局面において、提供される方法は、細胞のゲノムへのウイルスベクターの組み込みを可能にするための条件下、形質導入されたT細胞をインキュベートする工程を含むことができる。
【0318】
提供される方法は、操作された細胞が、細胞の集団を拡大増殖させるためにさらには培養されない方法を含むことができる。例えば、いくつかの局面において、採取される細胞は、インキュベーションまたは培養の開始時の数と比べ、インキュベーションまたは培養の終了時に、全生存細胞の量を増加させる任意のインキュベーションまたは培養を受けていない。いくつかの態様において、採取される細胞は、明示的に、生存細胞の総数を、インキュベーションまたは培養プロセスの開始時と比べ、該インキュベーションまたは培養の終了時に増大(例えば拡大増殖)させるための任意のインキュベーションまたは培養工程を受けていない。いくつかの態様において、細胞は、拡大増殖を生じさせ得る条件下でインキュベートまたは培養されるが、インキュベーションまたは培養条件は、細胞集団を拡大増殖させるためには実施されない。いくつかの態様において、採取される細胞は、拡大増殖工程を含まないプロセスで製造されたにもかかわらず、拡大増殖を受けている場合もある。いくつかの態様において、拡大増殖工程を含まない製造プロセスは非拡大増殖または最小拡大増殖プロセスと呼ばれる。「非拡大増殖」プロセスはまた、「最小拡大増殖」プロセスとも呼ばれ得る。いくつかの態様において、非拡大増殖または最小拡大増殖プロセスは、プロセスが拡大増殖のための工程を含まないにもかかわらず、拡大増殖を受けた細胞を生じさせ得る。いくつかの態様において、採取される細胞は、全体として細胞集団の拡大増殖を減らす、抑える、最小限にする、または除くように設計された培地組成物を含むインキュベーションまたは培養工程を受けていてもよい。いくつかの態様において、収集、採取、または製剤化された細胞は、バイオリアクター中で、またはインキュベーションまたは培養の全部または一部として、細胞が揺動、回転、振とう、または灌流を受ける条件下で実施されるインキュベーションまたは培養を以前に受けたことがない。
【0319】
ある特定の態様において、濃縮されたCD57-T細胞の1つまたは複数の集団は、培養される、例えば、T細胞分裂、成長または拡大増殖を促進または許可する条件下、例えば一定期間または拡大増殖の閾限界に達するまで、培養される。いくつかの局面において、培養は、本明細書中、例えばセクションIII.Cに記載された任意の方法によって実施される。
【0320】
特定の態様において、本明細書に提供されるものは、CD57-T細胞の1つまたは複数の初期集団、例えばインプット集団から遺伝子操作されたT細胞組成物を生成する方法である。いくつかの態様において、濃縮されたCD57-T細胞の集団が刺激条件下でインキュベートされ、それにより、刺激された集団を生成する。特定の態様において、刺激条件下での細胞の刺激、例えば培養は、一定の期間、例えば2日未満の期間または18時間~30時間の期間、実施される。いくつかの局面において、刺激試薬による刺激は、20時間±4時間または約20時間±4時間、実施される。
【0321】
ある特定の態様において、異種ポリヌクレオチドが、刺激された集団の細胞に導入され、それにより、形質転換された集団を生成する。特定の態様において、細胞は、細胞を遺伝子操作する間または細胞を遺伝子操作した後、例えば、組換えタンパク質をコードする異種または組換えポリヌクレオチドの組み込みを許す、または組換えタンパク質の発現を許すのに十分な期間、インキュベートされる。特定の態様において、細胞は、一定の期間、例えば18時間超または4日未満の期間、例えば72時間±6時間、インキュベートされる。提供される態様のいずれにおいても、導入は、細胞が刺激試薬で刺激された後、細胞に対して実施することができる。いくつかの態様において、操作工程は、刺激が開始されたときから一定の期間内に、例えば刺激試薬を加えた、培養した、または細胞と接触したときから30時間内に開始される。特定の態様において、操作工程は、刺激試薬を加えた、培養した、または細胞と接触した後、18時間~30時間、例えば20時間±4時間で開始される。
【0322】
ある特定の態様において、その後、形質転換された集団は、一定の期間または拡大増殖閾値に達するまで拡大増殖され、それにより、拡大増殖された集団を生じさせる。特定の態様において、形質転換された集団または拡大増殖された集団は採取または収集され、任意で、例えば対象への投与または凍結保存のために製剤化される。いくつかの態様において、集団は、CD57-CD4+ T細胞およびCD57-CD8+ T細胞である、またはそれらを含有する。いくつかの態様において、集団は、CD57-CD3+ T細胞である、またはそれを含有する。
【0323】
特定の態様において、濃縮されたT細胞の集団は、組換え受容体を発現する濃縮されたT細胞の操作された集団を生成するプロセスの任意の段階または工程の前、最中、または後で収集され、凍結保護のために製剤化され、凍結(凍結保護)され、および/または0℃未満、-20℃未満または-70℃もしくは-80℃または-70℃もしくは-80℃未満で貯蔵され得る。いくつかの態様において、細胞は、1、2、3、4、5、6、7、8、9もしくは10日未満の期間または1、2、3、4、5、6、7、8週未満の期間または少なくとも1、2、3、4、5、6、7もしくは8週の期間または8週を超える期間、貯蔵され得る。貯蔵後、濃縮されたT細胞の集団は解凍され得、プロセス中の同じポイントから処理が再開され得る。いくつかの態様において、濃縮されたT細胞のインプット集団は、さらなる処理、例えば刺激条件下でのインキュベーションの前に凍結保護され、貯蔵される。特定の態様において、濃縮されたT細胞の培養および/または製剤化された集団は、例えば自己細胞療法として対象に投与される前に凍結保護され、貯蔵される。
【0324】
ある特定の態様において、本明細書に提供される方法は、細胞を刺激する工程および次いで組換え受容体、例えばCARをコードするポリヌクレオチドを細胞に導入する工程を含むプロセスによって操作された細胞を生成するプロセスと関連して使用される。特定の態様において、刺激は18~30時間、例えば約24時間実施され、その後、ポリヌクレオチドの導入が実施される。特定の態様において、細胞は、ポリヌクレオチドの導入が開始されたのち3日以内に採取または収集されて、例えば凍結保存のために製剤化される、または対象に投与される。様々な態様において、細胞は、刺激条件下でのインキュベーションが開始されたのち4日以内に採取または収集されて、例えば凍結保存のために製剤化される、または対象に投与される。
【0325】
ある特定の態様において、本明細書に提供されるものは、CD57-T細胞の2つの初期集団、例えばインプット集団から遺伝子操作されたT細胞組成物を生成する方法である。いくつかの態様において、濃縮されたCD57-T細胞の2つの集団は刺激条件下で別々にインキュベートされ、それにより、2つの別々の刺激された集団を生成する。特定の態様において、異種ポリヌクレオチドが、2つの別々の刺激された集団の細胞に導入され、それにより、2つの別々の形質転換された集団を生成する。特定の態様において、その後、2つの別々の形質転換された集団は、一定の期間または拡大増殖閾値に達するまで拡大増殖され、それにより、2つの別々の拡大増殖された集団を生じさせる。特定の態様において、2つの別々の形質転換された集団または2つの別々の拡大増殖された集団は採取または収集され、任意で、例えば対象への投与または凍結保存のために製剤化される。特定の態様において、2つの別々の集団は、同じ個体対象からの同じ生物学的試料または異なる生物学的試料に由来する。いくつかの態様において、2つの別々の集団は、濃縮されたCD57-CD4+ T細胞の集団およびCD57-CD8+ T細胞の別個の集団である、またはそれらを含有する。
【0326】
同じく提供されるものは、例えば、T細胞増殖または拡大増殖を促進する条件、例えば本明細書中、例えばセクションIII.Cに記載された任意のそのような刺激条件下でのインキュベーションまたは培養中に拡大増殖または増殖することができる細胞の集団を同定する方法である。いくつかの態様において、そのような方法は、集団中のCD57+細胞の出現率を測定し、またはその工程を含み、CD57+細胞の出現率が閾出現率よりも低いならば、集団は拡大増殖することができる。いくつかの態様において、閾出現率は30%、25%、20%、15%、10%、5%、または1%未満である。いくつかの態様において、閾値は20%または約20%である。いくつかの態様において、拡大増殖することができる集団は、増殖または拡大増殖を促進する条件下での培養中、10、11、12、13または14日以内に少なくとも2倍、3倍、4倍、または5倍に拡大増殖する。特定の態様において、拡大増殖することができる集団は、培養、例えば本明細書中、例えばセクションIII.Cに提供された培養中、11日以内に少なくとも4倍に拡大増殖する。
【0327】
いくつかの態様において、方法は、T細胞の集団のCD57発現と関連する特性の値を測定し、またはその工程を含み、特性の値がその特性の閾値未満であるならば、T細胞の集団は拡大増殖細胞療法が可能である。いくつかの態様において、特性は、用量の全T細胞、CD4+ T細胞またはCD8+ T細胞中に存在するCD57によってコードされるポリペプチドのレベルまたは量である。特定の態様において、特性は、用量の全T細胞、CD4+ T細胞またはCD8+ T細胞の表面に存在するCD57によってコードされるポリペプチドのレベルまたは量であり、特定の態様において、特性は、CD57の発現に関して陽性の存在するT細胞、CD4+ T細胞またはCD8+ T細胞の出現率、割合または量である。いくつかの態様において、特性は、T細胞中に存在する第二の遺伝子のmRNAのレベルまたは量である。特定の態様においてCD57のアクセシビリティのレベルまたは量。
【0328】
ある特定の態様において、閾値は、複数の参照T細胞集団中、CD57発現と関連する特性の平均または中央測定値の下25%、20%、15%、10%もしくは5%、約25%、20%、15%、10%、もしくは5%、または25%以内、20%以内、15%以内、10%以内、もしくは5%以内である、および/または平均または中央測定値の1標準偏差未満である。特定の態様において、閾値は、複数の参照T細胞集団からの集団中、CD57発現と関連する特性の最低測定値未満、任意で、最低測定値の50%以内、25%以内、20%以内、15%以内、10%以内、または5%以内である。いくつかの態様において、閾値は、複数の参照T細胞組成物からの試料の65%、75%、80%、85%超から計算された、CD57発現と関連する特性の平均または中央測定値未満である。特定の態様において、複数の参照T細胞集団は、T細胞の増殖または拡大増殖を促進する条件下で培養されたとき拡大増殖しなかった、任意で、培養、例えば本明細書中、セクションIII.Cに記載された培養の10、11、12、13または14日以内に少なくとも3倍、4倍または5倍に拡大増殖しなかった複数の集団である。いくつかの態様において、参照T細胞集団は、培養11日以内に少なくとも4倍に拡大増殖しなかった。
【0329】
いくつかの態様において、採取は、T細胞の操作された集団または拡大増殖された集団が閾数のT細胞、生存T細胞、操作されたT細胞もしくは操作された生存T細胞または閾濃度のT細胞、生存T細胞、操作されたT細胞もしくは操作された生存T細胞を含むときまたはその後で実施される。いくつかの態様において、T細胞、生存T細胞、操作されたT細胞または操作された生存T細胞の閾数または濃度には、刺激の開始から4、5、6もしくは7日以内または約4、5、6もしくは7日以内に達する。
【0330】
いくつかの態様において、操作されたT細胞の複数の集団または拡大増殖されたT細胞の複数の集団の中で、複数の集団の少なくとも70%、80%、90%、もしくは95%、または少なくとも約70%、80%、90%、もしくは95%、または少なくとも70%、80%、90%、もしくは95%、または少なくとも約70%、80%、90%、もしくは95%において、T細胞、生存T細胞、操作されたT細胞または操作された生存T細胞の閾数または濃度には、刺激の開始から5もしくは6日以内または約5もしくは6日以内に達する。いくつかの態様において、T細胞、生存T細胞、操作されたT細胞または操作された生存T細胞の閾数または濃度には、刺激の開始ののち2、3、4もしくは5集団倍加以内または約2、3、4もしくは5集団倍加以内に達する。
【0331】
いくつかの態様において、方法はまた、第二の遺伝子の発現と関連する特性の値を測定する工程を含み、CD57発現と関連する特性の値が閾値未満であるならば、および第二の遺伝子の発現と関連する特性が第二の閾値よりも大きいならば、集団は拡大増殖することができる。いくつかの態様において、第二の遺伝子は、ナイーブ様細胞のマーカー、例えばCD25、CD27、CD28、CCR7またはCD45RAであるが、これに限定されない。いくつかの態様において、第二の遺伝子はCD27をコードする。
【0332】
A. 刺激
いくつかの態様において、提供される方法は、刺激条件下、細胞、例えばCD57-T細胞のインキュベーションと関連して使用される。いくつかの態様において、刺激条件は、細胞、例えばCD4+またはCD8+ T細胞中でシグナル、例えばTCRおよび/または補助受容体から生成されるシグナルを活性化もしくは刺激する、および/または活性化もしくは刺激することができる条件を含む。いくつかの態様において、刺激条件は、刺激試薬、例えば細胞中でシグナルを活性化もしくは刺激する、および/または活性化もしくは刺激することができる試薬によって、および/またはその存在下で、細胞を培養、培養(cultivate)、インキュベート、活性化、増殖させる1つまたは複数の工程を含む。いくつかの態様において、刺激試薬はTCRおよび/または補助受容体を刺激および/または活性化する。特定の態様において、刺激試薬は、セクションIII.A.1に記載された試薬である。
【0333】
ある特定の態様において、濃縮されたCD57-T細胞の1つまたは複数の集団が、細胞を遺伝子操作する、例えば細胞を、例えばセクションIII.Bに提供された技術によってトランスフェクトおよび/または形質導入する前に、刺激条件下でインキュベートされる。特定の態様において、濃縮されたCD57-T細胞の1つまたは複数の集団が、1つまたは複数の組成物が生物学的試料から単離、選択、濃縮または取得された後で、刺激条件下でインキュベートされる。特定の態様において、濃縮されたCD57-T細胞の1つまたは複数の集団は、事前に凍結保存され、貯蔵されていたものであり、インキュベーションの前に解凍される。
【0334】
ある特定の態様において、濃縮されたCD57-T細胞の1つまたは複数の集団は、濃縮されたCD57-T細胞の2つの別々の集団である、またはそれらを含む。特定の態様において、濃縮されたCD57-T細胞の2つの別々の組成物、例えば、同じ生物学的試料から選択、単離、および/または濃縮された、濃縮T細胞の2つの別々の組成物は、刺激条件下、別々にインキュベートされる。特定の態様において、2つの別々の組成物は、濃縮されたCD57-CD4+ T細胞の組成物を含む。特定の態様において、2つの別々の組成物は、濃縮されたCD57-CD8+ T細胞の組成物を含む。特定の態様において、2つの別々の組成物は、濃縮されたCD57-CD3+ T細胞の組成物を含む。いくつかの態様において、濃縮されたCD57-CD4+ T細胞および濃縮されたCD57-CD8+ T細胞の2つの別々の組成物は、刺激条件下、別々にインキュベートされる。いくつかの態様において、濃縮されたT細胞の単一の組成物が刺激条件下でインキュベートされる。特定の態様において、単一の組成物は、濃縮されたCD57-CD4+ T細胞の組成物である。特定の態様において、単一の組成物は、濃縮されたCD57-CD8+ T細胞の組成物である。特定の態様において、単一の組成物は、濃縮されたCD57-CD3+ T細胞の組成物である。いくつかの態様において、単一の組成物は、インキュベーションの前に別々の組成物から合わされた、濃縮されたCD57-CD4+およびCD57-CD8+ T細胞の組成物である。
【0335】
いくつかの態様において、刺激条件下でインキュベートされる濃縮されたCD57-CD4+Tの集団は、CD57-CD4+ T細胞を少なくとも60%もしくは少なくとも約60%、少なくとも65%もしくは少なくとも約65%、少なくとも70%もしくは少なくとも約70%、少なくとも75%もしくは少なくとも約75%、少なくとも80%もしくは少なくとも約80%、少なくとも85%もしくは少なくとも約85%、少なくとも90%もしくは少なくとも約90%、少なくとも95%もしくは少なくとも約95%、少なくとも98%もしくは少なくとも約98%、少なくとも99%もしくは少なくとも約99%、少なくとも99.5%もしくは少なくとも約99.5%、少なくとも99.9%もしくは少なくとも約99.9%、または100%もしくは約100%含む。ある特定の態様において、刺激条件下でインキュベートされる濃縮されたCD57-CD4+Tの組成物は、CD57発現に関して陽性またはCD4発現に関して陰性であるT細胞を40%もしくは約40%未満、35%もしくは約35%未満、30%もしくは約30%未満、25%もしくは約25%未満、20%もしくは約20%未満、15%もしくは約15%未満、10%もしくは約10%未満、5%もしくは約5%未満、1%もしくは約1%未満、0.1%もしくは約0.1%未満、または0.01%もしくは約0.01%未満しか含まない。
【0336】
ある特定の態様において、刺激条件下でインキュベートされる濃縮されたCD57-CD8+Tの集団は、CD57-CD8+ T細胞を少なくとも60%もしくは少なくとも約60%、少なくとも65%もしくは少なくとも約65%、少なくとも70%もしくは少なくとも約70%、少なくとも75%もしくは少なくとも約75%、少なくとも80%もしくは少なくとも約80%、少なくとも85%もしくは少なくとも約85%、少なくとも90%もしくは少なくとも約90%、少なくとも95%もしくは少なくとも約95%、少なくとも98%もしくは少なくとも約98%、少なくとも99%もしくは少なくとも約99%、少なくとも99.5%もしくは少なくとも約99.5%、少なくとも99.9%もしくは少なくとも約99.9%、または100%もしくは約100%含む。特定の態様において、刺激条件下でインキュベートされる濃縮されたCD57-CD4+Tの組成物は、CD57発現に関して陽性またはCD8発現に関して陰性であるT細胞を40%もしくは約40%未満、35%もしくは約35%未満、30%もしくは約30%未満、25%もしくは約25%未満、20%もしくは約20%未満、15%もしくは約15%未満、10%もしくは約10%未満、5%もしくは約5%未満、1%もしくは約1%未満、0.1%もしくは約0.1%未満、または0.01%もしくは約0.01%未満しか含まない。特定の態様において、刺激条件下でインキュベートされる濃縮されたCD57-CD8+Tの組成物は、CD57発現に関して陽性またはCD8発現に関して陰性であるT細胞を40%もしくは約40%未満、35%もしくは約35%未満、30%もしくは約30%未満、25%もしくは約25%未満、20%もしくは約20%未満、15%もしくは約15%未満、10%もしくは約10%未満、5%もしくは約5%未満、1%もしくは約1%未満、0.1%もしくは約0.1%未満、または0.01%もしくは約0.01%未満しか含まない。
【0337】
ある特定の態様において、刺激条件下でインキュベートされる濃縮されたCD57-CD3+Tの集団は、CD57-CD3+ T細胞を少なくとも60%もしくは少なくとも約60%、少なくとも65%もしくは少なくとも約65%、少なくとも70%もしくは少なくとも約70%、少なくとも75%もしくは少なくとも約75%、少なくとも80%もしくは少なくとも約80%、少なくとも85%もしくは少なくとも約85%、少なくとも90%もしくは少なくとも約90%、少なくとも95%もしくは少なくとも約95%、少なくとも98%もしくは少なくとも約98%、少なくとも99%もしくは少なくとも約99%、少なくとも99.5%もしくは少なくとも約99.5%、少なくとも99.9%もしくは少なくとも約99.9%、または100%もしくは約100%含む。特定の態様において、刺激条件下でインキュベートされる濃縮されたCD57-CD3+Tの組成物は、CD57発現に関して陽性またはCD3発現に関して陰性であるT細胞を40%もしくは約40%未満、35%もしくは約35%未満、30%もしくは約30%未満、25%もしくは約25%未満、20%もしくは約20%未満、15%もしくは約15%未満、10%もしくは約10%未満、5%もしくは約5%未満、1%もしくは約1%未満、0.1%もしくは約0.1%未満、または0.01%もしくは約0.01%未満しか含まない。
【0338】
ある特定の態様において、濃縮されたCD57-CD4+およびCD57-CD8+ T細胞の別々の組成物が、単一の組成物へと合わされ、刺激条件下でインキュベートされる。特定の態様において、濃縮されたCD57-CD4+および濃縮されたCD57-CD8+ T細胞の別々の刺激された組成物が、インキュベーションを実施および/または完了したのち、単一の組成物へと合わされる。
【0339】
いくつかの態様において、刺激条件下でのインキュベーションは、刺激条件、例えば、集団中の細胞の増殖、拡大増殖、活性化および/または生存を誘導する、抗原曝露を模倣する、および/または遺伝子操作に備えて、例えば組換え抗原受容体の導入に備えて細胞をプライミングするように設計された条件の存在下でのインキュベーションによるものを含め、培養、培養(cultivation)、刺激、活性化、増殖を含むことができる。特定の態様において、刺激条件は、特定の培地、温度、酸素含量、二酸化炭素含量、時間、作用物質、例えば栄養素、アミノ酸、抗生物質、イオンおよび/または刺激因子、例えばサイトカイン、ケモカイン、抗原、結合パートナー、融合タンパク質、組換え可溶性受容体および細胞を活性化するように設計された任意の他の作用物質の1つまたは複数を含むことができる。
【0340】
いくつかの局面において、刺激条件下での刺激および/またはインキュベーションは、Riddellらへの米国特許第6,040,177号、Klebanoff et al. (2012) J Immunother. 35(9): 651-660、Terakura et al. (2012) Blood.1:72-82および/またはWang et al. (2012) J Immunother. 35(9):689-701に記載されているものなどの技術にしたがって実施される。
【0341】
いくつかの態様において、CD57-T細胞は、培養開始組成物にフィーダー細胞、例えば非分裂性末梢血単核細胞(PBMC)を加え(例えば、得られる細胞集団が、拡大増殖される初期集団中の各Tリンパ球あたり少なくとも約5、10、20、もしくは40またはより多くのPBMCフィーダー細胞を含有するように);培養物をインキュベートする(例えば、T細胞の数を拡大増殖させるのに十分な時間)ことによって拡大増殖される。いくつかの局面において、非分裂性フィーダー細胞は、ガンマ照射されたPBMCフィーダー細胞を含むことができる。いくつかの態様において、PBMCは、細胞分裂を防ぐために、約3000~3600radの範囲のガンマ線を照射される。いくつかの局面において、フィーダー細胞は、T細胞の集団の添加の前に培地に加えられる。
【0342】
いくつかの態様において、刺激条件は、ヒトTリンパ球の成長に適した温度、例えば、少なくとも約25℃、一般に少なくとも約30℃、一般に37℃または約37℃を含む。いくつかの態様において、培養中、例えば37℃から35℃への温度シフトが実施される。任意で、インキュベーションはさらに、非分裂性のEBV形質転換リンパ芽球様細胞(LCL)をフィーダー細胞として加えることを含み得る。LCLに対し、約6000~10,000radの範囲のガンマ線を照射することができる。LCLフィーダー細胞は、いくつかの局面において、任意の適当な量で、例えば、少なくとも約10:1のLCLフィーダー細胞:初期Tリンパ球の比で提供される。
【0343】
特定の態様において、刺激条件は、細胞を刺激試薬とともにインキュベート、培養および/または培養(cultivate)することを含む。特定の態様において、刺激試薬は、セクションIII.A.1に記載された試薬である。特定の態様において、刺激試薬はビーズを含有する、または含む。特定の態様において、刺激試薬は、オリゴマー試薬、例えばオリゴマーストレプトアビジンムテイン試薬を含有する、または含む。特定の態様において、刺激条件下での細胞のインキュベーション、培養および/または培養(cultivation)の出発および/または開始は、細胞が刺激試薬と接触する、および/または刺激試薬とともにインキュベートされると、起こる。特定の態様において、細胞は、細胞を遺伝子操作する、例えば組換えポリヌクレオチドを例えば形質導入またはトランスフェクションによって細胞に導入する前、その最中および/またはその後でインキュベートされる。いくつかの態様において、濃縮されたT細胞の組成物は、3:1もしくは約3:1、2.5:1もしくは約2.5:1、2:1もしくは約2:1、1.5:1もしくは約1.5:1、1.25:1もしくは約1.25:1、1.2:1もしくは約1.2:1、1.1:1もしくは約1.1:1、1:1もしくは約1:1、0.9:1もしくは約0.9:1、0.8:1もしくは約0.8:1、0.75:1もしくは約0.75:1、0.67:1もしくは約0.67:1、0.5:1もしくは約0.5:1、0.3:1もしくは約0.3:1または0.2:1もしくは約0.2:1の刺激試薬および/またはビーズ:細胞の比でインキュベートされる。特定の態様において、刺激試薬および/またはビーズ:細胞の比は、2.5:1~0.2:1、2:1~0.5:1、1.5:1~0.75:1、1.25:1~0.8:1、1.1:1~0.9:1である。特定の態様において、刺激試薬および/またはビーズ:細胞の比は約1:1または1:1である。
【0344】
いくつかの態様において、細胞は、細胞106個あたり0.01μg、約0.01μgもしくは少なくとも0.01μg、0.02μg、約0.02μgもしくは少なくとも0.02μg、0.03μg、約0.03μgもしくは少なくとも0.03μg、0.04μg、約0.04μgもしくは少なくとも0.04μg、0.05μg、約0.05μgもしくは少なくとも0.05μg、0.1μg、約0.1μgもしくは少なくとも0.1μg、0.2μg、約0.2μgもしくは少なくとも0.2μg、0.3μg、約0.3μgもしくは少なくとも0.3μg、0.4μg、約0.4μgもしくは少なくとも0.4μg、0.5μg、約0.5μgもしくは少なくとも0.5μg、0.75μg、約0.75μgもしくは少なくとも0.75μg、1μg、約1μgもしくは少なくとも1μg、2μg、約2μgもしくは少なくとも2μg、3μg、約3μgもしくは少なくとも3μg、4μg、約4μgもしくは少なくとも4μg、5μg、約5μgもしくは少なくとも5μg、6μg、約6μgもしくは少なくとも6μg、7μg、約7μgもしくは少なくとも7μg、8μg、約8μgもしくは少なくとも8μg、9μg、約9μgもしくは少なくとも9μg、または10μg、約10μgもしくは少なくとも10μgの刺激試薬の存在下で刺激される。いくつかの態様において、細胞は、細胞106個あたり4μgまたは約4μgの刺激試薬の存在下で刺激される。特定の態様において、細胞は、細胞106個あたり0.8μgまたは約0.8μgの刺激試薬の存在下で刺激される。
【0345】
ある特定の態様において、細胞、例えばインプット集団の細胞は、刺激条件下、例えば刺激試薬の存在下、0.01×106個/mL、約0.01×106個/mLもしくは少なくとも0.01×106個/mL、0.1×106個/mL、約0.1×106個/mLもしくは少なくとも0.1×106個/mL、0.5×106個/mL、約0.5×106個/mLもしくは少なくとも0.5×106個/mL、1.0×106個/mL、約1.0×106個/mLもしくは少なくとも1.0×106個/mL、1.5×106個/mL、約1.5×106個/mLもしくは少なくとも1.5×106個/mL、2.0×106個/mL、約2.0×106個/mLもしくは少なくとも2.0×106個/mL、2.5×106個/mL、約2.5×106個/mLもしくは少なくとも2.5×106個/mL、3.0×106個/mL、約3.0×106個/mLもしくは少なくとも3.0×106個/mL、4.0×106個/mL、約4.0×106個/mLもしくは少なくとも4.0×106個/mL、5.0×106個/mL、約5.0×106個/mLもしくは少なくとも5.0×106個/mL、10×106個/mL、約10×106個/mLもしくは少なくとも10×106個/mL、または50×106個/mL、約50×106個/mLもしくは少なくとも50×106個/mLの密度で刺激される、または刺激に付される、例えば培養される。特定の態様において、細胞、例えばインプット集団の細胞は、刺激条件下、例えば刺激試薬の存在下、3.0×106個/mL、約3.0×106個/mLもしくは少なくとも3.0×106個/mLの密度で刺激される、または刺激に付される、例えば培養される。特定の態様において、インプットの細胞は生存細胞である。
【0346】
いくつかの態様において、組成物または細胞は、刺激条件または刺激物質の存在下でインキュベートされる。そのような条件は、集団中の細胞の増殖、拡大増殖、活性化および/または生存を誘導する、抗原曝露を模倣する、および/または遺伝子操作に備えて、例えば組換え抗原受容体の導入に備えて細胞をプライミングするように設計された条件を含む。例示的な刺激試薬が以下に記載される。
【0347】
いくつかの態様において、1つまたは複数の刺激条件または刺激物質の存在下でのインキュベーションの少なくとも一部分は、例えば国際公開公報第2016/073602号に記載されているように、遠心チャンバの内部キャビティ中、例えば遠心回転下で実施される。いくつかの態様において、遠心チャンバ中で実施されるインキュベーションの少なくとも一部分は、刺激および/または活性化を誘導するための試薬との混合を含む。いくつかの態様において、細胞、例えば選択された細胞が遠心チャンバ中で刺激条件または刺激物質と混合される。そのようなプロセスのいくつか局面において、一定量の細胞が、細胞培養プレートまたは他のシステム中で類似の刺激を実施するとき通常に用いられるよりもはるかに少ない量の1つまたは複数の刺激条件または刺激物質と混合される。
【0348】
いくつかの態様において、刺激物質は、選択が遠心チャンバ中、例えばチューブまたはバッグ中、混合なしで定期的な振とうまたは回転とともに実施されるとき、同じ数の細胞または同じ量の細胞のほぼ同じまたは類似の選択効率を達成するために通常使用される、または必要であろう刺激物質の量と比べて実質的に少ない(例えば、その量の5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%または80%以下である)量で、チャンバのキャビティ中の細胞に加えられる。いくつかの態様において、インキュベーションは、細胞および刺激物質へのインキュベーションバッファーの添加とともに実施されて、例えば、10mL~200mL、例えば少なくとも10mLもしくは約少なくとも10mlもしくは約10mlもしくは10ml、少なくとも20mLもしくは約少なくとも20mlもしくは約20mlもしくは20ml、少なくとも30mLもしくは約少なくとも30mlもしくは約30mlもしくは30ml、少なくとも40mLもしくは約少なくとも40mlもしくは約40mlもしくは40ml、少なくとも50mLもしくは約少なくとも50mlもしくは約50mlもしくは50ml、少なくとも60mLもしくは約少なくとも60mlもしくは約60mlもしくは60ml、少なくとも70mLもしくは約少なくとも70mlもしくは約70mlもしくは70ml、少なくとも80mLもしくは約少なくとも80mlもしくは約80mlもしくは80ml、少なくとも90mLもしくは約少なくとも90mlもしくは約90mlもしくは90ml、少なくとも100mLもしくは約少なくとも100mlもしくは約100mlもしくは100ml、少なくとも150mLもしくは約少なくとも150mlもしくは約150mlもしくは150ml、または少なくとも200mLもしくは約少なくとも200mlもしくは約200mlもしくは200mlの試薬のインキュベーションで目標量を達成する。いくつかの態様において、インキュベーションバッファーおよび刺激物質は細胞への添加の前に事前混合される。いくつかの態様において、インキュベーションバッファーおよび刺激物質は別々に細胞に加えられる。いくつかの態様において、刺激インキュベーションは、定期的な静かな混合条件で実施され、それが、細胞の刺激および活性化を達成しながらも、エネルギー的に好ましい相互作用の促進を支援し、それにより、より少ない全刺激物質の使用を許すことができる。
【0349】
いくつかの態様において、インキュベーションは一般に、混合条件下、例えば、一般に比較的低い力または速度、例えば細胞をペレット化するために使用される速度よりも低い速度、例えば600rpm~1700rpmまたは約600rpm~約1700rpm(例えば、600rpmもしくは約600rpmもしくは少なくとも600rpm、1000rpmもしくは約1000rpmもしくは少なくとも1000rpmまたは1500rpmもしくは約1500rpmもしくは少なくとも1500rpmまたは1700rpmもしくは約1700rpmもしくは少なくとも1700rpm)のスピンの存在下、例えば試料またはチャンバもしくは他の容器の壁におけるRCF80g~100gまたは約80g~100g(例えば80gもしくは約80gもしくは少なくとも80g、85gもしくは約85gもしくは少なくとも85g、90gもしくは約90gもしくは少なくとも90g、95gもしくは約95gもしくは少なくとも95gまたは100gもしくは約100gもしくは少なくとも100g)で実施される。いくつかの態様において、スピンは、そのような低速でのスピンののち休止期間、例えばスピンおよび/または1、2、3、4、5、6、7、8、9または10秒間の休止、例えば約1または2秒間のスピンののち約5、6、7または8秒間の休止の繰り返し間隔を使用して実施される。
【0350】
いくつかの態様において、例えば刺激物質とのインキュベーションの全持続期間は、1時間~96時間もしくは約1時間~96時間、1時間~72時間もしくは約1時間~72時間、1時間~48時間もしくは約1時間~48時間、4時間~36時間もしくは約4時間~36時間、8時間~30時間もしくは約8時間~30時間または12時間~24時間もしくは約12時間~24時間、例えば少なくとも6時間もしくは約少なくとも6時間、少なくとも12時間もしくは約少なくとも12時間、少なくとも18時間もしくは約少なくとも18時間、少なくとも24時間もしくは約少なくとも24時間、36時間もしくは約少なくとも36時間または72時間もしくは約少なくとも72時間である。いくつかの態様において、さらなるインキュベーションは、1時間~48時間もしくは約1時間~48時間、4時間~36時間もしくは約4時間~36時間、8時間~30時間もしくは約8時間~30時間または12時間~24時間もしくは約12時間~24時間(両端の値を含む)である。
【0351】
いくつかの態様において、刺激、例えば刺激条件下での細胞の培養は、48時間、約48時間もしくは48時間未満、42時間、約42時間もしくは42時間未満、36時間、約36時間もしくは36時間未満、30時間、約30時間もしくは30時間未満、24時間、約24時間もしくは24時間未満、22時間、約22時間もしくは22時間未満、20時間、約20時間もしくは20時間未満、18時間、約18時間もしくは18時間未満、16時間、約16時間もしくは16時間未満または12時間、約12時間もしくは12時間未満、実施される。いくつかの態様において、刺激、例えば刺激条件下での細胞の培養は、20±4時間または16時間~24時間もしくは約16時間~24時間、実施される。特定の態様において、刺激、例えば刺激条件下での細胞の培養は、36時間~12時間もしくは約36時間~12時間、30時間~18時間もしくは約30時間~18時間または24時間もしくは約24時間または22時間もしくは約22時間、実施される。いくつかの態様において、刺激、例えば刺激条件下での細胞の培養は、2日、約2日もしくは2日未満または1日、約1日もしくは1日未満、実施される。
【0352】
特定の態様において、インプット集団の50×106個、約50×106個もしくは少なくとも50×106個、100×106個、約100×106個もしくは少なくとも100×106個、150×106個、約150×106個もしくは少なくとも150×106個、200×106個、約200×106個もしくは少なくとも200×106個、250×106個、約250×106個もしくは少なくとも250×106個、300×106個、約300×106個もしくは少なくとも300×106個、350×106個、約350×106個もしくは少なくとも350×106個、400×106個、約400×106個もしくは少なくとも400×106個、450×106個、約450×106個もしくは少なくとも450×106個、500×106個、約500×106個もしくは少なくとも500×106個、550×106個、約550×106個もしくは少なくとも550×106個、600×106個、約600×106個もしくは少なくとも600×106個、700×106個、約700×106個もしくは少なくとも700×106個、800×106個、約800×106個もしくは少なくとも800×106個、900×106個、約900×106個もしくは少なくとも900×106個または1000×106個、約1000×106個もしくは少なくとも1000×106個の細胞の量が刺激される、または刺激に付される、例えば刺激条件下で培養される。特定の態様において、刺激される、例えば刺激条件下で培養されるインプット集団の量は、細胞50×106個もしくは約50×106個、100×106個もしくは約100×106個、150×106個もしくは約150×106個、200×106個もしくは約200×106個、250×106個もしくは約250×106個、300×106個もしくは約300×106個、350×106個もしくは約350×106個、400×106個もしくは約400×106個、450×106個もしくは約450×106個、500×106個もしくは約500×106個、550×106個もしくは約550×106個、600×106個もしくは約600×106個、700×106個もしくは約700×106個、800×106個もしくは約800×106個、900×106個もしくは約900×106個または1,000×106個もしくは約1,000×106個または前記のいずれかの間の任意の値である。特定の態様において、インプット集団の細胞900×106個もしくは約900×106個の量が刺激される、例えば刺激条件下で培養される。
【0353】
特定の態様では、インプット組成物は、生存CD4+ T細胞および生存CD8+ T細胞を、1:10~10:1の間、1:5~5:1の間、4:1~1:4の間、1:3~3:1の間、2:1~1:2の間、1.5:1~1:1.5の間、1.25:1~1:1.25の間、1.2:1~1:1.2の間、1.1:1~1:1.1の間、または約1:1もしくは1:1の生存CD4+ T細胞:生存CD8+ T細胞比で含む。特定の態様では、インプット組成物は、生存CD4+ T細胞および生存CD8+ T細胞を、約1:1または1:1の生存CD4+ T細胞:生存CD8+ T細胞比で含む。特定の態様では、インプット集団の450×106個または約450×106個の量のCD4+細胞が刺激される、例えば、刺激条件下で培養される。特定の態様では、インプット集団の450×106個または約450×106個の量のCD8+細胞が刺激される、例えば、刺激条件下で培養される。特定の態様では、インプット集団の450×106個または約450×106個の量のCD4+ T細胞および450×106個または約450×106個の量のCD8+ T細胞が刺激される、例えば、刺激条件下で培養される。
【0354】
特定の態様では、刺激条件は、1つまたは複数のサイトカインと共におよび/またはその存在下で、濃縮したT細胞の組成物をインキュベート、培養(culture)、および/または培養(cultivate)することを含む。特定の態様では、1つまたは複数のサイトカインは、組換えサイトカインである。いくつかの態様では、1つまたは複数のサイトカインは、ヒト組換えサイトカインである。ある特定の態様では、1つまたは複数のサイトカインは、T細胞によって発現されるおよび/またはT細胞に対して内因性である受容体に結合するおよび/または結合可能である。特定の態様では、1つまたは複数のサイトカインは、サイトカインの4-アルファ-ヘリックスバンドルファミリーのメンバーであるかそれを含む。いくつかの態様では、サイトカインの4-アルファ-ヘリックスバンドルファミリーのメンバーは、インターロイキン-2(IL-2)、インターロイキン-4(IL-4)、インターロイキン-7(IL-7)、インターロイキン-9(IL-9)、インターロイキン12(IL-12)、インターロイキン15(IL-15)、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)および顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)を含むが、それらに限定されない。いくつかの態様では、1つまたは複数のサイトカインは、IL-15であるかそれを含む。特定の態様では、1つまたは複数のサイトカインは、IL-7であるかそれを含む。特定の態様では、1つまたは複数のサイトカインは、IL-2であるかそれを含む。
【0355】
ある特定の態様では、1つまたは複数のサイトカインの量または濃度は、国際単位(IU)を用いて測定および/または定量される。国際単位を使用して、ビタミン、ホルモン、サイトカイン、ワクチン、血液製剤および類似の生物活性物質を定量してもよい。いくつかの態様では、IUは、特定の重量および強度の国際参照標準、例えば、ヒトIL-2についてのWHO第1国際標準、86/504と比較することによる生物学的調製物の効力の測定単位であるかそれを含む。国際単位は、公開されておりかつ国際的な共同研究活動から得られた生物活性単位を報告するための唯一認められている標準化された方法である。特定の態様では、サイトカインの集団、試料または供給源についてのIUは、類似のWHO標準品を用いた製品比較試験によって得てもよい。例えば、いくつかの態様では、ヒト組換えIL-2、IL-7またはIL-15の集団、試料または供給源のIU/mgは、WHO標準IL-2製品(NIBSCコード:86/500)、WHO標準IL-17製品(NIBSCコード:90/530)およびWHO標準IL-15製品(NIBSCコード:95/554)とそれぞれ比較される。
【0356】
いくつかの態様では、IU/mg単位の生物活性は、(ng/ml単位のED50)-1×106に等しい。特定の態様では、組換えヒトIL-2またはIL-15のED50は、CTLL-2細胞による細胞増殖の半最大刺激(XTT切断)に必要な濃度に等しい。ある特定の態様では、組換えヒトIL-7のED50は、PHA活性化ヒト末梢血リンパ球の増殖のための半最大刺激に必要な濃度に等しい。IL-2についてのIUのアッセイおよび計算に関する詳細は、Wadhwa et al., Journal of Immunological Methods (2013), 379 (1-2): 1-7;およびGearing and Thorpe, Journal of Immunological Methods (1988), 114 (1-2): 3-9において考察されており;IL-15についてのIUのアッセイおよび計算に関する詳細は、Soman et al. Journal of Immunological Methods (2009) 348 (1-2): 83-94において考察されている。
【0357】
いくつかの態様では、細胞、例えば、インプット細胞は、1IU/mL~1,000IU/mLの間、10IU/mL~50IU/mLの間、50IU/mL~100IU/mLの間、100IU/mL~200IU/mLの間、100IU/mL~500IU/mLの間、250IU/mL~500IU/mLの間、または500IU/mL~1,000IU/mLの間の濃度のサイトカイン、例えば、組換えヒトサイトカインの存在下で、刺激されるか刺激に供される。
【0358】
いくつかの態様では、細胞、例えば、インプット細胞は、1IU/mL~500IU/mLの間、10IU/mL~250IU/mLの間、50IU/mL~200IU/mLの間、50IU/mL~150IU/mLの間、75IU/mL~125IU/mLの間、100IU/mL~200IU/mLの間、または10IU/mL~100IU/mLの間の濃度の組換えIL-2、例えば、ヒト組換えIL-2の存在下で、刺激されるか刺激に供される。特定の態様では、細胞、例えば、インプット集団の細胞は、50IU/mL、60IU/mL、70IU/mL、80IU/mL、90IU/mL、100IU/mL、110IU/mL、120IU/mL、130IU/mL、140IU/mL、150IU/mL、160IU/mL、170IU/mL、180IU/mL、190IU/mLもしくは100IU/mL、または約50IU/mL、60IU/mL、70IU/mL、80IU/mL、90IU/mL、100IU/mL、110IU/mL、120IU/mL、130IU/mL、140IU/mL、150IU/mL、160IU/mL、170IU/mL、180IU/mL、190IU/mLもしくは100IU/mLの濃度の組換えIL-2の存在下で、刺激されるか刺激に供される。いくつかの態様では、細胞、例えば、インプット細胞は、100IU/mLまたは約100IU/mLの組換えIL-2、例えば、ヒト組換えIL-2の存在下で、刺激されるか刺激に供される。
【0359】
いくつかの態様では、細胞、例えば、インプット細胞は、100IU/mL~2,000IU/mLの間、500IU/mL~1,000IU/mLの間、100IU/mL~500IU/mLの間、500IU/mL~750IU/mLの間、750IU/mL~1,000IU/mLの間、または550IU/mL~650IU/mLの間の濃度の組換えIL-7、例えば、ヒト組換えIL-7の存在下で、刺激されるか刺激に供される。特定の態様では、細胞、例えば、インプット細胞は、50IU/mL、100IU/mL、150IU/mL、200IU/mL、250IU/mL、300IU/mL、350IU/mL、400IU/mL、450IU/mL、500IU/mL、550IU/mL、600IU/mL、650IU/mL、700IU/mL、750IU/mL、800IU/mL、750IU/mL、750IU/mL、750IU/mLもしくは1,000IU/mL、または約50IU/mL、100IU/mL、150IU/mL、200IU/mL、250IU/mL、300IU/mL、350IU/mL、400IU/mL、450IU/mL、500IU/mL、550IU/mL、600IU/mL、650IU/mL、700IU/mL、750IU/mL、800IU/mL、750IU/mL、750IU/mL、750IU/mLもしくは1,000IU/mLの濃度のIL-7の存在下で、刺激されるか刺激に供される。特定の態様では、細胞、例えば、インプット細胞は、600IU/mLまたは約600IU/mLの組換えIL-7、例えば、ヒト組換えIL-7の存在下で、刺激されるか刺激に供される。
【0360】
いくつかの態様では、細胞、例えば、インプット細胞は、1IU/mL~500IU/mLの間、10IU/mL~250IU/mLの間、50IU/mL~200IU/mLの間、50IU/mL~150IU/mLの間、75IU/mL~125IU/mLの間、100IU/mL~200IU/mLの間、または10IU/mL~100IU/mLの間の濃度の組換えIL-15、例えば、ヒト組換えIL-15の存在下で、刺激されるか刺激に供される。特定の態様では、細胞、例えば、インプット集団の細胞は、50IU/mL、60IU/mL、70IU/mL、80IU/mL、90IU/mL、100IU/mL、110IU/mL、120IU/mL、130IU/mL、140IU/mL、150IU/mL、160IU/mL、170IU/mL、180IU/mL、190IU/mLもしくは200IU/mL、または約50IU/mL、60IU/mL、70IU/mL、80IU/mL、90IU/mL、100IU/mL、110IU/mL、120IU/mL、130IU/mL、140IU/mL、150IU/mL、160IU/mL、170IU/mL、180IU/mL、190IU/mLもしくは200IU/mLの濃度の組換えIL-15の存在下で、刺激されるか刺激に供される。いくつかの態様では、細胞、例えば、インプット細胞は、100IU/mLまたは約100IU/mLの組換えIL-15、例えば、ヒト組換えIL-15の存在下で、刺激されるか刺激に供される。
【0361】
特定の態様では、細胞、例えば、インプット集団由来の細胞は、IL-2、IL-7および/またはIL-15の存在下の刺激条件下で、刺激されるか刺激に供される。いくつかの態様では、IL-2、IL-7および/またはIL-15は、組換えである。ある特定の態様では、IL-2、IL-7および/またはIL-15は、ヒトである。特定の態様では、1つまたは複数のサイトカインは、ヒト組換えIL-2、IL-7および/またはIL-15であるかそれを含む。ある特定の態様では、細胞は、組換えIL-2、IL-7およびIL-15の存在下の刺激条件下で、刺激されるか刺激に供される。ある特定の態様では、細胞は、100IU/mLまたは約100IU/mLの組換えIL-2、600IU/mLまたは約600IU/mLの組換えIL-7、および100IU/mLまたは約100IU/mLの組換えIL-15の存在下の刺激条件下で、刺激されるか刺激に供される。
【0362】
条件は、特定の培地、温度、酸素含有量、二酸化炭素含有量、時間、作用物質、例えば、栄養素、アミノ酸、抗生物質、イオンおよび/または刺激因子、例えばサイトカイン、ケモカイン、抗原、結合パートナー、融合タンパク質、組換え可溶性受容体、ならびに細胞を活性化するように設計された任意の他の作用物質の1つまたは複数を含むことができる。
【0363】
いくつかの局面では、刺激は、Riddellらの米国特許第6,040,177号、Klebanoff et al. (2012) J Immunother. 35 (9): 651-660、Terakura et al. (2012) Blood. 1:72-82、および/またはWang et al. (2012) J Immunother. 35 (9):689-701に記載されているものなどの技術に従って行われる。
【0364】
いくつかの態様では、刺激は、無血清培地中で実施される。いくつかの態様では、無血清培地は、規定されたおよび/または正確に規定された細胞培養培地である。ある特定の態様では、無血清培地は、処理されている、例えば、阻害物質および/または成長因子を除去するために濾過されている、制御された培養培地である。いくつかの態様では、無血清培地は、タンパク質を含有する。ある特定の態様では、無血清培地は、血清アルブミン、加水分解物、成長因子、ホルモン、担体タンパク質および/または付着因子を含有し得る。
【0365】
いくつかの態様では、刺激は、本明細書またはPCT/US2018/064627に記載される無血清培地中で実施される。いくつかの態様では、無血清培地は、1つまたは複数のサプリメントが補充された基礎培地(例えば、OpTmizer(商標)T-Cell Expansion Basal Medium(ThermoFisher))を含む。いくつかの態様では、1つまたは複数のサプリメントは、無血清である。いくつかの態様では、無血清培地は、例えば追加のサプリメント(例えば、OpTmizer(商標)T-Cell Expansion Supplement(ThermoFisher))によって提供される、細胞(例えば、T細胞)の維持、拡大増殖および/または活性化のための1つまたは複数の追加の成分が補充された基礎培地を含む。いくつかの態様では、無血清培地はさらに、血清代替サプリメント、例えば、免疫細胞血清代替物、例えば、CTS(商標)Immune Cell Serum Replacement(ThermoFisher、#A2596101)、またはSmith et al. Clin Transl Immunology. 2015 Jan; 4(1): e31に記載されている免疫細胞血清代替物を含む。いくつかの態様では、無血清培地はさらに、L-グルタミンなどのアミノ酸の遊離形態を含む。いくつかの態様では、無血清培地はさらに、L-グルタミンのジペプチド形態(例えば、L-アラニル-L-グルタミン)、例えば、Glutamax(商標)(ThermoFisher)中のジペプチドを含む。いくつかの態様では、無血清培地はさらに、1つまたは複数の組換えサイトカイン、例えば、組換えヒトIL-2、組換えヒトIL-7、および/または組換えヒトIL-15を含む。いくつかの態様では、1つまたは複数の刺激条件または刺激試薬の存在下での刺激の少なくとも一部は、例えば、国際公開番号WO2016/073602(参照により組み入れられる)に記載されているような遠心回転下で、遠心チャンバの内部キャビティ内で行われる。いくつかの態様では、遠心チャンバ内で実施される刺激の少なくとも一部は、刺激および/または活性化を誘導するための単数または複数の試薬と混合することを含む。いくつかの態様では、選択された細胞などの細胞は、遠心チャンバ内で刺激条件または刺激剤と混合される。そのようなプロセスのいくつかの局面では、細胞培養プレートまたは他のシステムで同様の刺激を行う際に通常利用されているよりもはるかに少ない量の1つまたは複数の刺激条件または刺激剤と一定体積の細胞が混合される。
【0366】
いくつかの態様では、刺激は、一般に、スピンの存在下などの混合条件下で、一般に、細胞をペレット化するのに使用される速度よりも遅い速度などの比較的低い力または速度で、例えば、600rpm~1700rpmまたは約600rpm~1700rpm(例えば、600rpm、1000rpm、もしくは1500rpmもしくは1700rpm、または約600rpm、1000rpm、もしくは1500rpmもしくは1700rpm、または少なくとも600rpm、1000rpm、もしくは1500rpmもしくは1700rpm)で、例えば、80g~100gまたは約80g~100g(例えば、80g、85g、90g、95gもしくは100g、または約80g、85g、90g、95gもしくは100g、または少なくとも80g、85g、90g、95gもしくは100g)の試料またはチャンバもしくは他の容器の壁でのRCFで行われる。いくつかの態様では、スピンは、このような低速でのスピンの後に静止期間が続く反復インターバルを使用して、例えば、1秒間、2秒間、3秒間、4秒間、5秒間、6秒間、7秒間、8秒間、9秒間または10秒間のスピンおよび/または静止、例えば、約1秒または2秒のスピンとその後の約5秒間、約6秒間、約7秒間または約8秒間の静止を使用して行われる。
【0367】
ある特定の態様では、刺激は、静的条件、例えば、培地の遠心分離、振盪、回転、揺動、または灌流、例えば、連続もしくは半連続灌流を伴わない条件下で実施される。いくつかの態様では、開始の前またはその直後、例えば、5分、15分または30分以内に、バッグまたはバイアルなどの容器に細胞が移送され(例えば、無菌条件下で移送され)、インキュベーター内に入れられる。特定の態様では、インキュベーターは、16℃、24℃もしくは35℃、約16℃、24℃もしくは35℃、または少なくとも16℃、24℃もしくは35℃に設定される。いくつかの態様では、インキュベーターは、37℃、約37℃、または37℃±2℃、±1℃、±0.5℃もしくは±0.1℃に設定される。特定の態様では、静的条件下での刺激は、インキュベーター内に置かれた細胞培養バッグ中で実施される。いくつかの態様では、培養バッグは、単球(存在するならば)のバッグ表面への付着を可能にするシングルウェブのポリオレフィンガス透過性フィルムから構成される。
【0368】
特定の局面において、方法は、細胞の表面上の分子(細胞表面分子)に結合することができる少なくとも1つの試薬(例えばアフィニティー試薬または刺激試薬)が試薬(例えばアフィニティー試薬または刺激試薬)と可逆的に会合している可逆系を用いる。場合によっては、試薬は、試薬(例えばアフィニティー試薬または刺激試薬)に可逆的に結合することができる複数の結合部位を含有する。場合によっては、試薬(例えばアフィニティー試薬または刺激試薬)は多量体化試薬である。いくつかの態様において、少なくとも1つの試薬(例えばアフィニティー試薬または刺激試薬)は、分子のエピトープまたは領域に特異的に結合することができる少なくとも1つの結合部位Bを含有し、また、試薬(例えばアフィニティー試薬または刺激試薬)の少なくとも1つの結合部位Zに特異的に結合する結合パートナーCを含有する。場合によっては、結合パートナーCと少なくとも1つの結合部位Zとの間の結合相互作用は非共有結合的相互作用である。いくつかの態様において、結合パートナーCと少なくとも1つの結合部位Zとの間の結合相互作用、例えば非共有結合的相互作用は可逆性である。
【0369】
いくつかの態様において、可逆的会合は、少なくとも1つの結合部位Zにも結合することができる結合部位であるかまたはそれを含有する物質、例えば競合試薬の存在下で媒介されてもよい。一般に、物質(例えば競合試薬)は、試薬中に存在する結合部位Zへのより高い結合アフィニティーのせいで、および/または結合パートナーCよりも高い濃度で存在するせいで、競合相手として作用することができ、それにより、試薬から結合パートナーCを分離および/または解離させる。いくつかの態様において、少なくとも1つの結合部位Zへの物質(例えば競合試薬)のアフィニティーは、少なくとも1つの結合部位Zへの作用物質(例えばアフィニティー試薬または刺激試薬)の結合パートナーCのアフィニティーよりも高い。したがって、場合によっては、試薬の結合部位Zと試薬(例えばアフィニティー試薬または刺激試薬)の結合パートナーCとの間の結合は、試薬(例えば競合試薬)の添加によって破壊することができ、それにより、試薬(例えばアフィニティー試薬または刺激試薬)と試薬(例えばアフィニティー試薬または刺激試薬)との会合を可逆性にする。
【0370】
このような可逆系に使用することができる試薬は当技術分野において記載され、公知である。例えば、米国特許第5,168,049号;第5,506,121号;第6,103,493号;第7,776,562号;第7,981,632号;第8,298,782号;第8,735,540号;第9,023,604号;ならびにPCT出願国際公開公報第2013/124474号および国際公開公報第2014/076277号を参照すること。可逆的相互作用を形成することができる試薬および結合パートナーならびにそのような結合を逆にすることができる物質(例えば競合物質)の非限定的な例が以下に記載される。
【0371】
いくつかの態様において、刺激は、例えば形質導入の前に、細胞の活性化および/または増殖を生じさせる。
【0372】
1. 刺激試薬
特定の態様では、刺激条件は、細胞を刺激試薬と共にインキュベートすること、培養すること、および/または培養することを含む。ある特定の態様では、刺激試薬は、ビーズを含有するかそれを含む。ある特定の態様では、細胞が刺激試薬とインキュベートされるかまたは接触すると刺激の開始が起こる。特定の態様では、刺激試薬は、オリゴマー試薬、例えば、ストレプトアビジンムテインオリゴマーを含有するかそれを含む。特定の態様では、刺激試薬は、TCR複合体の1つまたは複数の成分の1つまたは複数の細胞内シグナル伝達ドメインおよび/あるいは1つまたは複数の共刺激分子の1つまたは複数の細胞内シグナル伝達ドメインを活性化するおよび/または活性化可能である。
【0373】
いくつかの態様では、刺激条件または刺激試薬は、TCR複合体の細胞内シグナル伝達ドメインを活性化可能である1つまたは複数の作用物質、例えば、リガンドを含む。いくつかの態様では、本明細書において想定されるような作用物質は、RNA、DNA、タンパク質(例えば、酵素)、抗原、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、抗体断片、炭水化物、脂質レクチン、または所望の標的に対して親和性を有する任意の他の生体分子を含むことができるが、それらに限定されない。いくつかの態様では、所望の標的は、T細胞受容体および/またはT細胞受容体の成分である。ある特定の態様では、所望の標的は、CD3である。ある特定の態様では、所望の標的は、T細胞共刺激分子、例えば、CD28、CD137(4-1-BB)、OX40またはICOSである。公知の多種多様な方法によって、1つまたは複数の作用物質をビーズに直接または間接的に付着させてもよい。付着は、共有、非共有、静電または疎水性であり得、例えば、化学的手段、機械的手段または酵素的手段を含む多種多様な付着手段によって達成され得る。いくつかの態様では、作用物質は、抗体またはその抗原結合断片、例えばFabである。いくつかの態様では、ビーズに直接付着している別の生体分子(例えば、抗ビオチン抗体)を介して、生体分子(例えば、ビオチン化抗CD3抗体)をビーズに間接的に付着させてもよい。
【0374】
いくつかの態様では、刺激試薬は、ビーズ(例えば、常磁性ビーズ)に付着しておりかつ細胞(例えば、T細胞)上の以下の巨大分子の1つまたは複数に特異的に結合する1つまたは複数の作用物質(例えば、抗体)を含有する:CD2、CD3、CD4、CD5、CD8、CD25、CD27、CD28、CD29、CD31、CD44、CD45RA、CD45RO、CD54(ICAM-1)、CD127、MHCI、MHCII、CTLA-4、ICOS、PD-1、OX40、CD27L(CD70)、4-1BB(CD137)、4-1BBL、CD30L、LIGHT、IL-2R、IL-12R、IL-1R、IL-15R;IFN-ガンマR、TNF-アルファR、IL-4R、IL-10R、CD18/CDl la(LFA-1)、CD62L(L-セレクチン)、CD29/CD49d(VLA-4)、Notchリガンド(例えば、Delta様1/4、Jagged 1/2など)、CCR1、CCR2、CCR3、CCR4、CCR5、CCR7およびCXCR3、またはこれらの巨大分子もしくはその断片に対する対応するリガンドを含むその断片。いくつかの態様では、ビーズに付着された作用物質(例えば、抗体)は、細胞(例えば、T細胞)上の以下の巨大分子の1つまたは複数に特異的に結合する:CD28、CD62L、CCR7、CD27、CD127、CD3、CD4、CD8、CD45RAおよび/またはCD45RO。
【0375】
いくつかの態様では、ビーズに付着された作用物質の1つまたは複数は、抗体である。抗体は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体(免疫グロブリンFc領域を有する完全長抗体を含む)、ポリエピトープ特異性を有する抗体組成物、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体、ダイアボディおよび単鎖分子)、ならびに抗体断片(例えば、Fab、F(ab')2、およびFv)を含むことができる。いくつかの態様では、刺激試薬は、抗体断片(抗原結合断片を含む)、例えば、Fab、Fab’-SH、Fv、scFv、または(Fab’)2断片である。IgG、IgM、IgA、IgDおよびIgE定常領域を含め、本明細書において想定される抗体に、任意のアイソタイプの定常領域を使用することができ、そのような定常領域は任意のヒトまたは動物種(例えば、ネズミ種)から得ることができることが認識される。
【0376】
いくつかの態様では、作用物質は、T細胞受容体の1つまたは複数の成分に結合するおよび/またはそれを認識する抗体である。特定の態様では、作用物質は、抗CD3抗体である。ある特定の態様では、作用物質は、共受容体に結合するおよび/またはそれを認識する抗体である。いくつかの態様では、刺激試薬は、抗CD28抗体を含む。いくつかの態様において、刺激試薬は抗CD28抗体および抗CD3抗体を含む。いくつかの態様において、刺激試薬は1つまたは複数の刺激物質を含む。いくつかの態様において、刺激試薬は一次および二次刺激物質を含む。いくつかの態様において、第一の刺激物質は、例えば本明細書に記載されるような抗CD3抗体またはその抗原結合断片であり、第二の刺激物質は、例えば本明細書に記載されるような抗CD28抗体またはその抗原結合断片である。いくつかの態様において、第一の刺激物質は、例えば本明細書に記載されるような抗CD3 Fabであり、第二の刺激物質は、例えば本明細書に記載されるような抗CD28 Fabである。
【0377】
いくつかの態様において、細胞、例えばインプット組成物の細胞は、3:1もしくは約3:1、2.5:1もしくは約2.5:1、2:1もしくは約2:1、1.5:1もしくは約1.5:1、1.25:1もしくは約1.25:1、1.2:1もしくは約1.2:1、1.1:1もしくは約1.1:1、1:1もしくは約1:1、0.9:1もしくは約0.9:1、0.8:1もしくは約0.8:1、0.75:1もしくは約0.75:1、0.67:1もしくは約0.67:1、0.5:1もしくは約0.5:1、0.3:1もしくは約0.3:1または0.2:1もしくは約0.2:1の刺激試薬:細胞の比の存在下で刺激される。特定の態様において、刺激試薬:細胞の比は、2.5:1~0.2:1、2:1~0.5:1、1.5:1~0.75:1、1.25:1~0.8:1、1.1:1~0.9:1である。特定の態様において、刺激試薬:細胞の比は約1:1または1:1である。特定の態様において、刺激試薬:細胞の比は約0.3:1または0.3:1である。特定の態様において、刺激試薬:細胞の比は約0.2:1または0.2:1である
【0378】
いくつかの態様において、細胞は、細胞106個あたり0.01μg、約0.01μgもしくは少なくとも0.01μg、0.02μg、約0.02μgもしくは少なくとも0.02μg、0.03μg、約0.03μgもしくは少なくとも0.03μg、0.04μg、約0.04μgもしくは少なくとも0.04μg、0.05μg、約0.05μgもしくは少なくとも0.05μg、0.1μg、約0.1μgもしくは少なくとも0.1μg、0.2μg、約0.2μgもしくは少なくとも0.2μg、0.3μg、約0.3μgもしくは少なくとも0.3μg、0.4μg、約0.4μgもしくは少なくとも0.4μg、0.5μg、約0.5μgもしくは少なくとも0.5μg、0.75μg、約0.75μgもしくは少なくとも0.75μg、1μg、約1μgもしくは少なくとも1μg、2μg、約2μgもしくは少なくとも2μg、3μg、約3μgもしくは少なくとも3μg、4μg、約4μgもしくは少なくとも4μg、5μg、約5μgもしくは少なくとも5μg、6μg、約6μgもしくは少なくとも6μg、7μg、約7μgもしくは少なくとも7μg、8μg、約8μgもしくは少なくとも8μg、9μg、約9μgもしくは少なくとも9μgまたは10μg、約10μgもしくは少なくとも10μgの刺激試薬の存在下で刺激される。いくつかの態様において、細胞は、細胞106個あたり4μgまたは約4μgの存在下で刺激される。特定の態様において、細胞は、細胞106個あたり3μgまたは約3μgの存在下で刺激される、または刺激に付される。特定の態様において、細胞は、細胞106個あたり2.5μgまたは約2.5μgの存在下で刺激される、または刺激に付される。特定の態様において、細胞は、細胞106個あたり2μgまたは約2μgの存在下で刺激される、または刺激に付される。特定の態様において、細胞は、細胞106個あたり1.8μgまたは約1.8μgの存在下で刺激される、または刺激に付される。特定の態様において、細胞は、細胞106個あたり1.6μgまたは約1.6μgの存在下で刺激される、または刺激に付される。特定の態様において、細胞は、細胞106個あたり1.4μgまたは約1.4μgの存在下で刺激される、または刺激に付される。特定の態様において、細胞は、細胞106個あたり1.2μgまたは約1.2μgの存在下で刺激される、または刺激に付される。特定の態様において、細胞は、細胞106個あたり1μgまたは約1μgの存在下で刺激される、または刺激に付される。特定の態様において、細胞は、細胞106個あたり0.8μgまたは約0.8μgの存在下で刺激される。様々な態様において、細胞は、細胞106個あたり0.8μgまたは約0.8μgの存在下で刺激される。
【0379】
いくつかの態様において、刺激試薬は細胞表面の分子に結合し、刺激試薬と分子との間のこの結合が、細胞中で刺激シグナルを誘導、送達または変調することができる。場合によっては、細胞表面分子(例えば受容体)はシグナル伝達分子である。いくつかのそのような場合において、刺激試薬は、1つまたは複数の標的細胞(例えばT細胞)によって発現されるシグナル伝達分子に特異的に結合することができる。場合によっては、刺激試薬は、受容体などの細胞表面分子に結合すると、細胞(例えばT細胞)中で刺激シグナルを誘導または送達することができる任意の作用物質である。いくつかの態様において、刺激シグナルは免疫刺激性であることができ、その場合、刺激物質は、細胞(例えばT細胞)による免疫応答に関与する、またはそれを刺激するシグナルを誘導、送達または変調する、例えば、免疫細胞増殖もしくは拡大増殖、免疫細胞活性化、免疫細胞分化、サイトカイン分泌、細胞傷害活性または免疫細胞の1つまたは複数の他の機能的活性を増大させることができる。いくつかの態様において、刺激シグナルは抑制性であることができ、その場合、刺激試薬は、免疫応答に関与する、またはそれを抑制する刺激シグナルを細胞(例えばT細胞)中で誘導、送達または変調する、例えば、免疫細胞増殖もしくは拡大増殖、免疫細胞活性化、免疫細胞分化、サイトカイン分泌、細胞傷害活性または免疫細胞の1つまたは複数の他の機能的活性を抑制または低下させることができる。
【0380】
いくつかの態様において、刺激試薬は一次刺激物質を含む。いくつかの態様において、一次刺激物質は、試料の選択された細胞の表面上の受容体分子に結合する。したがって、場合によっては、一次刺激物質は刺激シグナルを送達、誘導または変調する。いくつかの局面において、一次刺激物質による刺激シグナルの送達、誘導または変調が細胞の刺激を実施する。したがって、場合によっては、一次刺激物質は、刺激シグナルを細胞に送達し、または一次活性化シグナルを細胞に提供し、それにより、細胞を刺激および/または活性化する。いくつかの態様において、一次刺激物質はさらに、選択マーカーのダウンレギュレーションを誘導する。本明細書において使用されるダウンレギュレーションは、より早い時点と比べたときの、選択マーカーの発現、例えば細胞表面発現の減少を包含し得る。
【0381】
いくつかの態様において、標的細胞(例えばT細胞)はTCR/CD3複合体および共刺激分子、例えばCD28を含む。この場合、一次刺激物質はTCR/CD3複合体に結合し、それにより、T細胞中で刺激シグナル(例えば一次シグナル、例えば一次活性化シグナル)を送達し、二次刺激物質は共刺激CD28分子に結合する。特定の局面において、一次刺激物質および/または二次刺激物質はさらに、選択マーカー(例えば、標的細胞(例えばT細胞)を固定化するために使用される選択マーカー)のダウンレギュレーションを誘導する。
【0382】
いくつかの態様において、一次刺激物質は、細胞、例えばT細胞中でTCR/CD3複合体関連刺激シグナル(例えば一次シグナル)を送達する。いくつかの態様において、一次刺激物質は、免疫受容体チロシンベースの活性化モチーフまたはITAMを含有する分子に特異的に結合する。いくつかの局面において、一次刺激物質はCD3に特異的に結合する。場合によっては、CD3に特異的に結合する一次刺激物質は、抗CD3抗体、抗CD3抗体の二価抗体断片、抗CD3抗体の一価抗体断片および抗体様結合性を有するタンパク質性CD3結合分子からなる群より選択され得る。二価抗体断片は、F(ab')2断片または二価一本鎖Fv断片であり得るが、一価抗体断片は、Fab断片、Fv断片および一本鎖Fv断片(scFv)からなる群より選択され得る。場合によっては、抗体様結合性を有するタンパク質性CD3結合分子は、アプタマー、リポカリンファミリーのポリペプチドに基づくムテイン、グルボディ、アンキリン足場に基づくタンパク質、結晶足場に基づくタンパク質、アドネクチンおよびアビマーであり得る。
【0383】
いくつかの態様において、抗CD3 Fab断片は、ハイブリドーマ細胞株OKT3(ATCC(登録商標)CRL-8001(商標);また、米国特許第4,361,549号を参照)によって産生されたCD3結合モノクローナル抗体に由来することができる。抗CD3抗体OKT3の重鎖の可変ドメインおよび軽鎖の可変ドメインは、Arakawa et al J. Biochem. 120, 657-662 (1996)に記載されており、それぞれSEQ ID NO:93および94に記載されたアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、抗CD3 Fabは、それぞれSEQ ID NO:93および94に記載された重鎖および軽鎖のCDRを含む。
【0384】
いくつかの態様において、刺激物質は二次刺激物質を含む。いくつかの態様において、二次刺激物質は、細胞表面上分子などの細胞表面上の分子、例えば受容体分子に結合する。いくつかの態様において、二次刺激物質は、第一の刺激物質と結合した分子を通して送達される刺激シグナルを増強、減衰または修飾することができる。いくつかの態様において、二次刺激物質は、刺激シグナル、例えば第二の、またはさらなる刺激シグナルを送達、誘導または変調する。いくつかの局面において、二次刺激物質は、一次刺激物質によって誘発された刺激シグナルを増強または強化する。いくつかの態様において、二次刺激物質は、アクセサリー分子に結合する、および/または細胞中でアクセサリーまたは二次刺激シグナルを刺激または誘導することができる。いくつかの局面において、二次刺激物質は、共刺激分子に結合する、および/または共刺激シグナルを提供する。
【0385】
いくつかの態様において、二次刺激物質を含むことができる刺激物質は、共刺激分子、アクセサリー分子、サイトカイン受容体、ケモカイン受容体、免疫チェックポイント分子またはTNFファミリーもしくはTNF受容体ファミリーのメンバーであることができる第二の分子に結合する、例えば特異的に結合する。
【0386】
いくつかの態様において、細胞、例えばT細胞上の分子はCD28であり得、二次刺激物質はCD28に特異的に結合する。いくつかの局面において、CD28に特異的に結合する二次刺激物質は、抗CD28抗体、抗CD28抗体の二価抗体断片、抗CD28抗体の一価抗体断片および抗体様結合性を有するタンパク質性CD28結合分子からなる群より選択され得る。二価抗体断片は、F(ab')2断片または二価一本鎖Fv断片であり得、一価抗体断片は、Fab断片、Fv断片および一本鎖Fv断片(scFv)からなる群より選択され得る。抗体様結合性を有するタンパク質性CD28結合分子は、アプタマー、リポカリンファミリーのポリペプチドに基づくムテイン、グルボディ、アンキリン足場に基づくタンパク質、結晶足場に基づくタンパク質、アドネクチンおよびアビマーであり得る。
【0387】
いくつかの態様において、抗CD28 Fab断片は、抗体CD28.3(合成一本鎖Fv構築物としてGenBankアクセッション番号AF451974.1の下で寄託;また、Vanhove et al, BLOOD, 15 July 2003, Vol. 102, No. 2, pages 564-570を参照)に由来することができ、その可変重鎖および軽鎖はそれぞれSEQ ID NO:91および92を含む。いくつかの態様において、抗CD28 Fabは、それぞれSEQ ID NO:91および92に記載された可変重鎖および軽鎖のCDRを含む。
【0388】
いくつかの態様において、細胞、例えばT細胞上の分子はCD90であり、二次刺激物質はCD90に特異的に結合する。いくつかの局面において、CD90に特異的に結合する二次刺激物質は、抗CD90抗体、抗CD90抗体の二価抗体断片、抗CD90抗体の一価抗体断片および抗体様結合性を有するタンパク質性CD90結合分子からなる群より選択され得る。抗体または抗原結合断片は、当技術分野において公知の任意のものに由来することができる。例えば、抗CD90抗体G7(Biolegend, cat. no. 105201)を参照すること。
【0389】
いくつかの態様において、細胞、例えばT細胞上の分子はCD95であり、二次刺激物質はCD95に特異的に結合する。いくつかの局面において、CD95に特異的に結合する二次刺激物質は、抗CD95抗体、抗CD95抗体の二価抗体断片、抗CD95抗体の一価抗体断片および抗体様結合性を有するタンパク質性CD95結合分子からなる群より選択され得る。抗体または抗原結合断片は、当技術分野において公知の任意のものに由来することができる。例えば、いくつかの局面において、抗CD90抗体は、モノクローナルマウス抗ヒトCD95 CH11(Upstate Biotechnology, Lake Placid, NY)であってもよく、またはPaulsen et al. Cell Death & Differentiation 18.4 (2011): 619-631に記載されているような抗CD95 mAb 7C11または抗APO-1であってもよい。
【0390】
いくつかの態様において、細胞、例えばT細胞またはB細胞上の分子はCD137であり得、二次刺激物質はCD137に特異的に結合する。いくつかの局面において、CD137に特異的に結合する二次刺激物質は、抗CD137抗体、抗CD137抗体の二価抗体断片、抗CD137抗体の一価抗体断片および抗体様結合性を有するタンパク質性CD137結合分子からなる群より選択され得る。抗体または抗原結合断片は、当技術分野において公知の任意のものに由来することができる。例えば、抗CD137抗体は、Taraban et al. Eur J Immunol. 2002 Dec;32(12):36l7-27に記載されているようなLOB12、IgG2aまたはLOB12.3、IgG1であることができる。また、例えばUS6569997、US6303121、Mittler et al. Immunol Res. 2004;29(1-3):197-208を参照すること。
【0391】
いくつかの態様において、細胞、例えばB細胞上の分子はCD40であり得、二次刺激物質はCD40に特異的に結合する。いくつかの局面において、CD40に特異的に結合する二次刺激物質は、抗CD40抗体、抗CD40抗体の二価抗体断片、抗CD40抗体の一価抗体断片および抗体様結合性を有するタンパク質性CD40結合分子からなる群より選択され得る。
【0392】
いくつかの態様において、細胞、例えばT細胞上の分子はCD40L(CD154)であり得、二次刺激物質はCD40Lに特異的に結合する。いくつかの局面において、CD40Lに特異的に結合する二次刺激物質は、抗CD40L抗体、抗CD40L抗体の二価抗体断片、抗CD40L抗体の一価抗体断片および抗体様結合性を有するタンパク質性CD40L結合分子からなる群より選択され得る。抗体または抗原結合断片は、当技術分野において公知の任意のものに由来することができる。例えば、抗CD40L抗体は、いくつかの局面において、Blair et al. JEM vol. 191 no. 4651-660に記載されているようなHu5C8であることができる。また、例えば国際公開公報第1999061065号、US20010026932、US7547438、国際公開公報第2001056603号を参照すること。
【0393】
いくつかの態様において、細胞、例えばT細胞上の分子は誘導性T細胞共刺激因子(ICOS)であり得、二次刺激物質はICOSに特異的に結合する。いくつかの局面において、ICOSに特異的に結合する二次刺激物質は、抗ICOS抗体、抗ICOS抗体の二価抗体断片、抗ICOS抗体の一価抗体断片および抗体様結合性を有するタンパク質性ICOS結合分子からなる群より選択され得る。抗体または抗原結合断片は、当技術分野において公知の任意のものに由来することができる。例えばUS20080279851およびDeng et al. Hybrid Hybridomics. 2004 Jun;23(3):176-82を参照すること。
【0394】
いくつかの態様において、細胞、例えばT細胞上の分子はT細胞活性化リンカー(LAT)であり得、二次刺激物質はLATに特異的に結合する。いくつかの局面において、LATに特異的に結合する二次刺激物質は、抗LAT抗体、抗LAT抗体の二価抗体断片、抗LAT抗体の一価抗体断片および抗体様結合性を有するタンパク質性LAT結合分子からなる群より選択され得る。抗体または抗原結合断片は、当技術分野において公知の任意のものに由来することができる。
【0395】
いくつかの態様において、細胞、例えばT細胞上の分子はCD27であり得、二次刺激物質はCD27に特異的に結合する。いくつかの局面において、CD27に特異的に結合する二次刺激物質は、抗CD27抗体、抗CD27抗体の二価抗体断片、抗CD27抗体の一価抗体断片および抗体様結合性を有するタンパク質性CD27結合分子からなる群より選択され得る。抗体または抗原結合断片は、当技術分野において公知の任意のものに由来することができる。例えば国際公開公報第2008051424号を参照すること。
【0396】
いくつかの態様において、細胞、例えばT細胞上の分子はOX40であり得、二次刺激物質はOX40に特異的に結合する。いくつかの局面において、OX40に特異的に結合する二次刺激物質は、抗OX40抗体、抗OX40抗体の二価抗体断片、抗OX40抗体の一価抗体断片および抗体様結合性を有するタンパク質性OX40結合分子からなる群より選択され得る。抗体または抗原結合断片は、当技術分野において公知の任意のものに由来することができる。例えば国際公開公報第2013038191号、Melero et al. Clin Cancer Res. 2013 Mar 1;19(5):1044-53を参照すること。
【0397】
いくつかの態様において、細胞、例えばT細胞上の分子はHVEMであり得、二次刺激物質はHVEMに特異的に結合する。いくつかの局面において、HVEMに特異的に結合する二次刺激物質は、抗HVEM抗体、抗HVEM抗体の二価抗体断片、抗HVEM抗体の一価抗体断片および抗体様結合性を有するタンパク質性HVEM結合分子からなる群より選択され得る。抗体または抗原結合断片は、当技術分野において公知の任意のものに由来することができる。例えば国際公開公報第2006054961号、国際公開公報第2007001459号、Park et al. Cancer Immunol Immunother. 2012 Feb;61(2):203-14を参照すること。
【0398】
上記例のいずれにおいても、二価抗体断片は、(Fab)2'断片または二価一本鎖Fv断片であり得、一価抗体断片は、Fab断片、Fv断片および一本鎖Fv断片(scFv)からなる群より選択され得る。上記例のいずれにおいても、抗体様結合性を有するタンパク質性結合分子は、アプタマー、リポカリンファミリーのポリペプチドに基づくムテイン、グルボディ、アンキリン足場に基づくタンパク質、結晶足場に基づくタンパク質、アドネクチンおよびアビマーであり得る。
【0399】
いくつかの局面において、刺激物質は、標的細胞の表面に発現する分子を特異的に標的化し、その場合、分子は、TCR、キメラ抗原受容体または免疫受容体チロシンベースの活性化モチーフもしくはITAMを含む分子である。例えば、標的細胞の表面に発現する分子は、T細胞もしくはB細胞抗原受容体複合体、CD3鎖、CD3ゼータ、T細胞受容体もしくはB細胞受容体の抗原結合部分またはキメラ抗原受容体から選択される。場合によっては、刺激物質はペプチド:MHCクラスI複合体を標的化する。
【0400】
いくつかの態様において、刺激物質は、標的細胞の表面に発現する分子のHisタグ付き細胞外ドメインに結合する。場合によっては、刺激物質は、ニッケル添加トリスNTA(His-STREPPERまたはHis/Strep-tag(登録商標)II Adapterとも呼ばれる)と結合したペプチド配列Trp-Ser-His-Pro-Gln-Phe-Glu-Lys(Strep-tag(登録商標)IIとも呼ばれる。SEQ ID NO:69に記載)を含有する。いくつかの態様において、Hisタグ付けされている、標的細胞の表面に発現する分子はCD19である。
【0401】
いくつかの態様において、刺激物質は、組換え受容体、例えばCARの抗体部分に特異的に結合する。場合によっては、組換え受容体の抗体部分は、免疫グロブリン定常領域の少なくとも一部分、例えばヒンジ領域、例えばIgG4ヒンジ領域および/またはCH1/CLおよび/またはFc領域を含む。いくつかの態様において、定常領域または部分は、ヒトIgG、例えばIgG4またはIgG1のそれである。場合によっては、試薬は、IgG4スペーサーを認識するαIgGを添加されている。
【0402】
いくつかの態様において、所望の標的はT細胞受容体および/またはT細胞受容体の成分である。特定の態様において、所望の標的はCD3である。特定の態様において、所望の標的はT細胞共刺激分子、例えばCD28、CD137(4-1-BB)、0X40またはICOSである。
【0403】
いくつかの態様において、例えば、刺激物質が刺激試薬または受容体結合試薬に結合していない場合、刺激物質は抗体、二価抗体断片、F(ab)2または二価一本鎖Fv断片である。いくつかの態様において、刺激物質が試薬に結合していない場合、刺激物質は結合パートナーCを含まない。
【0404】
a. ビーズ試薬
ある特定の態様では、刺激試薬は、細胞(例えば、T細胞)を活性化および/または拡大増殖可能である1つまたは複数の作用物質(例えば、生体分子)にコンジュゲートまたは連結された粒子(例えば、ビーズ)を含有する。いくつかの態様では、1つまたは複数の作用物質は、ビーズに結合している。いくつかの態様では、ビーズは、生体適合性であり、すなわち、生物学的使用に適した材料から構成される。いくつかの態様では、ビーズは、培養細胞、例えば培養T細胞に対して非毒性である。いくつかの態様では、ビーズは、作用物質と細胞との間の相互作用を可能にする方法で作用物質を付着可能である任意の粒子であり得る。
【0405】
いくつかの態様では、刺激試薬は、ビーズと、細胞の表面上の巨大分子と直接相互作用する1つまたは複数の作用物質とを含有する。ある特定の態様では、ビーズ(例えば、常磁性ビーズ)は、細胞上の1つまたは複数の巨大分子(例えば、1つまたは複数の細胞表面タンパク質)に特異的な1つまたは複数の作用物質(例えば、抗体)を介して、細胞と相互作用する。ある特定の態様では、ビーズ(例えば、常磁性ビーズ)は、一次抗体(例えば、抗ビオチン抗体)または他の生体分子などの本明細書に記載される第1の作用物質で標識され、次いで、二次抗体(例えば、ビオチン化抗CD3抗体)または他の第2の生体分子(例えば、ストレプトアビジン)などの第2の作用物質が加えられ、それにより、二次抗体または他の第2の生体分子が、粒子上のそのような一次抗体または他の生体分子に特異的に結合する。
【0406】
いくつかの態様では、ビーズは、約0.001μm超、約0.01μm超、約0.1μm超、約1.0μm超、約10μm超、約50μm超、約100μm超または約1000μm超かつ約1500μm以下の直径を有する。いくつかの態様では、ビーズは、約1.0μm~約500μm、約1.0μm~約150μm、約1.0μm~約30μm、約1.0μm~約10μm、約1.0μm~約5.0μm、約2.0μm~約5.0μm、または約3.0μm~約5.0μmの直径を有する。いくつかの態様では、ビーズは、約3μm~約5μmの直径を有する。いくつかの態様では、ビーズは、少なくとも0.001μm、0.01μm、0.1μm、0.5μm、1.0μm、1.5μm、2.0μm、2.5μm、3.0μm、3.5μm、4.0μm、4.5μm、5.0μm、5.5μm、6.0μm、6.5μm、7.0μm、7.5μm、8.0μm、8.5μm、9.0μm、9.5μm、10μm、12μm、14μm、16μm、18μmもしくは20μm、または少なくとも約0.001μm、0.01μm、0.1μm、0.5μm、1.0μm、1.5μm、2.0μm、2.5μm、3.0μm、3.5μm、4.0μm、4.5μm、5.0μm、5.5μm、6.0μm、6.5μm、7.0μm、7.5μm、8.0μm、8.5μm、9.0μm、9.5μm、10μm、12μm、14μm、16μm、18μmもしくは20μm、または約0.001μm、0.01μm、0.1μm、0.5μm、1.0μm、1.5μm、2.0μm、2.5μm、3.0μm、3.5μm、4.0μm、4.5μm、5.0μm、5.5μm、6.0μm、6.5μm、7.0μm、7.5μm、8.0μm、8.5μm、9.0μm、9.5μm、10μm、12μm、14μm、16μm、18μmもしくは20μmの直径を有する。ある特定の態様では、ビーズは、4.5μmまたは約4.5μmの直径を有する。ある特定の態様では、ビーズは、2.8μmまたは約2.8μmの直径を有する。
【0407】
いくつかの態様では、ビーズは、0.001g/cm3超、0.01g/cm3超、0.05g/cm3超、0.1g/cm3超、0.5g/cm3超、0.6g/cm3超、0.7g/cm3超、0.8g/cm3超、0.9g/cm3超、1g/cm3超、1.1g/cm3超、1.2g/cm3超、1.3g/cm3超、1.4g/cm3超、1.5g/cm3超、2g/cm3超、3g/cm3超、4g/cm3超、または5g/cm3超の密度を有する。いくつかの態様では、ビーズは、約0.001g/cm3~約100g/cm3、約0.01g/cm3~約50g/cm3、約0.1g/cm3~約10g/cm3、約0.1g/cm3~約.5g/cm3、約0.5g/cm3~約1g/cm3、約0.5g/cm3~約1.5g/cm3、約1g/cm3~約1.5g/cm3、約1g/cm3~約2g/cm3、または約1g/cm3~約5g/cm3の間の密度を有する。いくつかの態様では、ビーズは、約0.5g/cm3、約0.5g/cm3、約0.6g/cm3、約0.7g/cm3、約0.8g/cm3、約0.9g/cm3、約1.0g/cm3、約1.1g/cm3、約1.2g/cm3、約1.3g/cm3、約1.4g/cm3、約1.5g/cm3、約1.6g/cm3、約1.7g/cm3、約1.8g/cm3、約1.9g/cm3、または約2.0g/cm3の密度を有する。ある特定の態様では、ビーズは、約1.6g/cm3の密度を有する。特定の態様では、ビーズまたは粒子は、約1.5g/cm3の密度を有する。ある特定の態様では、粒子は、約1.3g/cm3の密度を有する。
【0408】
ある特定の態様では、複数のビーズが均一な密度を有する。ある特定の態様では、均一な密度は、平均ビーズ密度の10%未満、5%未満または1%未満の密度標準偏差を含む。
【0409】
いくつかの態様では、ビーズは、ビーズ表面またはその近くに、作用物質にカップリング、結合またはコンジュゲートすることができる少なくとも1つの材料を含有する。いくつかの態様では、ビーズは、表面官能化されている、すなわち、結合分子、例えばポリヌクレオチドまたはポリペプチドと共有結合を形成することができる官能基を含む。特定の態様では、ビーズは、表面に露出したカルボキシル基、アミノ基、ヒドロキシル基、トシル基、エポキシ基および/またはクロロメチル基を含む。特定の態様では、ビーズは、表面に露出したアガロースおよび/またはセファロースを含む。特定の態様では、ビーズ表面は、結合分子を結合または付着することができる付着刺激試薬を含む。特定の態様では、生体分子はポリペプチドである。いくつかの態様では、ビーズは、表面に露出したプロテインA、プロテインGまたはビオチンを含む。
【0410】
いくつかの態様では、ビーズは、磁場内で反応する。いくつかの態様では、ビーズは磁性ビーズである。いくつかの態様では、磁性ビーズは常磁性である。特定の態様では、磁性ビーズは超常磁性である。特定の態様では、ビーズは、磁場に曝露されない限り、いかなる磁性特性も示さない。
【0411】
特定の態様では、ビーズは、磁性コア、常磁性コアまたは超常磁性コアを含む。いくつかの態様では、磁性コアは金属を含有する。いくつかの態様では、金属は、限定されることなく、鉄、ニッケル、銅、コバルト、ガドリニウム、マンガン、タンタル、亜鉛、ジルコニウムまたはそれらの任意の組み合わせであり得る。特定の態様では、磁性コアは、金属酸化物(例えば酸化鉄)、フェライト(例えば、マンガンフェライト、コバルトフェライト、ニッケルフェライトなど)、ヘマタイトおよび金属合金(例えばCoTaZn)を含む。いくつかの態様では、磁性コアは、フェライト、金属、金属合金、酸化鉄または二酸化クロムのうちの1つまたは複数を含む。いくつかの態様では、磁性コアは、元素状鉄またはその化合物を含む。いくつかの態様では、磁性コアは、マグネタイト(Fe3O4)、マグヘマイト(γFe2O3)またはグレイジャイト(Fe3S4)のうちの1つまたは複数を含む。いくつかの態様では、内部コアは酸化鉄(例えばFe3O4)を含む。
【0412】
特定の態様では、ビーズは、表面官能化コートまたはコーティングによって覆われた磁性コア、常磁性コアおよび/または超常磁性コアを含有する。いくつかの態様では、コートは、限定されることなく、ポリマー、多糖、シリカ、脂肪酸、タンパク質、炭素、アガロース、セファロースまたはそれらの組み合わせを含むことができる材料を含有することができる。いくつかの態様では、ポリマーは、ポリエチレングリコール、ポリ(乳酸-コ-グリコール酸)、ポリグルタルアルデヒド、ポリウレタン、ポリスチレンまたはポリビニルアルコールであり得る。特定の態様では、外側コートまたは外側コーティングはポリスチレンを含む。特定の態様では、外側コーティングは表面官能化されている。
【0413】
いくつかの態様では、刺激試薬は、金属酸化物コア(例えば酸化鉄コア)およびコートを含有するビーズを含み、金属酸化物コアは、少なくとも1つの多糖(例えばデキストラン)を含み、コートは、少なくとも1つの多糖(例えばアミノデキストラン)、少なくとも1つのポリマー(例えばポリウレタン)およびシリカを含む。いくつかの態様では、金属酸化物コアはコロイド状酸化鉄コアである。特定の態様では、1つまたは複数の作用物質は、抗体またはその抗原結合断片を含む。特定の態様では、1つまたは複数の作用物質は、抗CD3抗体および抗CD28抗体を含む。いくつかの態様では、刺激試薬は、抗CD3抗体、抗CD28抗体および抗ビオチン抗体を含む。いくつかの態様では、刺激試薬は抗ビオチン抗体を含む。いくつかの態様では、ビーズは、約3μm~約10μmの直径を有する。いくつかの態様では、ビーズは、約3μm~約5μmの直径を有する。特定の態様では、ビーズは、約3.5μmの直径を有する。
【0414】
いくつかの態様では、刺激試薬は、金属酸化物コア(例えば酸化鉄内部コア)およびコート(例えば保護コート)を含むビーズに付着する1つまたは複数の作用物質を含み、コートはポリスチレンを含む。特定の態様では、ビーズは、常磁性(例えば超常磁性)鉄コア、例えば、マグネタイト(Fe3O4)および/またはマグヘマイト(γFe2O3)cおよびポリスチレンコートまたはコーティングを含むコアを含む単分散、常磁性(例えば超常磁性)ビーズである。いくつかの態様では、ビーズは非多孔性である。いくつかの態様では、ビーズは、1つまたは複数の作用物質が付着する官能化表面を含有する。特定の態様では、1つまたは複数の作用物質は、表面でビーズに共有結合している。いくつかの態様では、1つまたは複数の作用物質は、抗体またはその抗原結合断片を含む。いくつかの態様では、1つまたは複数の作用物質は、抗CD3抗体および抗CD28抗体を含む。いくつかの態様では、1つまたは複数の作用物質は、抗CD3抗体および/または抗CD28抗体、および標識抗体(例えばビオチン化抗体)、例えば、標識抗CD3抗体または標識抗CD28抗体に結合することができる抗体またはその抗原断片を含む。特定の態様では、ビーズは、約1.5g/cm3の密度および約1m2/g~約4m2/gの表面積を有する。特定の態様では、ビーズは、約4.5μmの直径および約1.5g/cm3の密度を有する単分散超常磁性ビーズである。いくつかの態様では、ビーズは、約2.8μmの平均直径および約1.3g/cm3の密度を有する単分散超常磁性ビーズである。
【0415】
いくつかの態様では、濃縮T細胞の集団は、ビーズ:細胞の比が3:1、2.5:1、2:1、1.5:1、1.25:1、1.2:1、1.1:1、1:1、0.9:1、0.8:1、0.75:1、0.67:1、0.5:1、0.3:1もしくは0.2:1、または約3:1、約2.5:1、約2:1、約1.5:1、約1.25:1、約1.2:1、約1.1:1、約1:1、約0.9:1、約0.8:1、約0.75:1、約0.67:1、約0.5:1、約0.3:1もしくは約0.2:1で刺激試薬とともにインキュベートされる。特定の態様では、ビーズ:細胞の比は、2.5:1~0.2:1、2:1~0.5:1、1.5:1~0.75:1、1.25:1~0.8:1、1.1:1~0.9:1である。特定の態様では、ビーズ:細胞の比は、約1:1または1:1である。
【0416】
b. オリゴマーストレプトアビジンムテイン試薬
特定の態様では、刺激試薬は、TCR複合体の細胞内シグナル伝達ドメインを活性化することができる1つまたは複数の作用物質、例えばリガンドにコンジュゲート、結合または付着するオリゴマー試薬、例えばストレプトアビジンムテイン試薬を含有する。いくつかの態様では、1つまたは複数の作用物質は、特定の結合部位(例えば結合部位Z)でオリゴマー試薬に結合することができる付着した結合ドメインまたは結合パートナー(例えば結合パートナーC)を有する。いくつかの態様では、複数の作用物質が、オリゴマー試薬に可逆的に結合している。様々な態様では、オリゴマー試薬は、特定の態様では結合ドメイン(例えば結合パートナーC)で複数の作用物質に可逆的に結合している複数の特定の結合部位を有する。いくつかの態様では、結合した作用物質の量は、競合試薬、例えば、特定の結合部位(例えば結合部位Z)に結合することもできる試薬の存在下で低減されるか減少する。
【0417】
いくつかの態様では、オリゴマー刺激試薬は、少なくとも1つの作用物質(例えば、T細胞などの細胞内でシグナルを生成することができる作用物質)がオリゴマー試薬に会合する、例えば、可逆的に会合する可逆的な系であるか、それらを含む。オリゴマー刺激試薬の非限定的な例は、例えばその内容全体が参照により本明細書に組み込まれる国際公開PCT出願番号WO2018/197949に見出すことができる。いくつかの態様では、試薬は、作用物質に結合する、例えば、可逆的に結合することができる複数の結合部位を含む。場合によっては、試薬は、T細胞などの細胞内でシグナルを生成することができる少なくとも1つの付着した作用物質を有するオリゴマー粒子試薬である。いくつかの態様では、作用物質は、分子のエピトープまたは領域に特異的に結合することができる少なくとも1つの結合部位、例えば結合部位Bを含み、試薬の少なくとも1つの結合部位、例えば、試薬の結合部位Zに特異的に結合する、本明細書において結合パートナーCとも呼ばれる結合パートナーも含む。いくつかの態様では、結合パートナーCと少なくとも1つの結合部位Zとの間の結合相互作用は、非共有相互作用である。場合によっては、結合パートナーCと少なくとも1つの結合部位Zとの間の結合相互作用は、共有相互作用である。いくつかの態様では、結合パートナーCと少なくとも1つの結合部位Zとの間の非共有相互作用などの結合相互作用は、可逆的である。
【0418】
そのような可逆的な系でオリゴマー試薬として使用され得る物質は公知であり、例えば、米国特許第5,168,049号、米国特許第5,506,121号、米国特許第6,103,493号、米国特許第7,776,562号、米国特許第7,981,632号、米国特許第8,298,782号、米国特許第8,735,540号、米国特許第9,023,604号ならびに国際公開PCT出願番号WO2013/124474および国際公開PCT出願番号WO2014/076277を参照されたい。可逆的相互作用を形成することができる試薬および結合パートナーの非限定的な例、ならびにそのような結合を逆にすることができる物質(例えば競合試薬)は、以下に記載される。
【0419】
いくつかの態様では、オリゴマー試薬は、ストレプトアビジン、ストレプトアビジンムテインもしくは類似体、アビジン、アビジンムテインもしくは類似体(ニュートラアビジンなど)またはそれらの混合物のオリゴマーであり、そのようなオリゴマー試薬は、作用物質の結合ドメインと可逆的に会合するための1つまたは複数の結合部位(例えば結合パートナーC)を含む。いくつかの態様では、作用物質の結合ドメインは、ビオチン、ビオチン誘導体もしくは類似体、またはストレプトアビジン、ストレプトアビジンムテインもしくは類似体、アビジンもしくはアビジンムテインもしくは類似体に特異的に結合することができるストレプトアビジン結合ペプチドもしくは他の分子であり得る。
【0420】
特定の態様では、1つまたは複数の作用物質(例えば、T細胞などの細胞内でシグナルを生成することができる作用物質)は、オリゴマー試薬上に存在する複数の特定の結合部位(例えば結合部位Z)などを介して、オリゴマー試薬と会合する、例えば可逆的に結合している。場合によっては、これにより、作用物質によって結合されるか認識される細胞表面分子(の少なくとも2コピー)を有する標的細胞が作用物質と接触する場合にアビディティー効果が生じることができるように、作用物質が互いに密接に配置される。
【0421】
いくつかの態様では、オリゴマー試薬は、ストレプトアビジンオリゴマー、ストレプトアビジンムテインオリゴマー、ストレプトアビジン類似体オリゴマー、アビジンオリゴマー、アビジンムテインもしくはアビジン類似体(ニュートラアビジンなど)から構成されるオリゴマー、またはそれらの混合物である。特定の態様では、オリゴマー試薬は、作用物質の結合ドメイン(例えば結合パートナーC)に結合することができる特定の結合部位を含む。いくつかの態様では、結合ドメインは、ビオチン、ビオチン誘導体もしくは類似体、またはストレプトアビジン、ストレプトアビジンムテインもしくは類似体、アビジンもしくはアビジンムテインもしくは類似体に特異的に結合することができるストレプトアビジン結合ペプチドもしくは他の分子であり得る。本明細書に提供される方法は、オリゴマー試薬が、オリゴヒスチジンアフィニティタグ、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ、カルモジュリンもしくはその類似体、カルモジュリン結合ペプチド(CBP)、FLAGペプチド、HAタグ、マルトース結合タンパク質(MBP)、HSVエピトープ、mycエピトープ、および/またはビオチン化キャリアタンパク質に結合することができる分子を含み得ることを、さらに企図している。
【0422】
いくつかの態様では、ストレプトアビジンは、野生型ストレプトアビジン、ストレプトアビジンムテインまたは類似体、例えばストレプトアビジン様ポリペプチドであり得る。同様に、いくつかの局面では、アビジンには、野生型アビジンまたはアビジンのムテインもしくは類似体、例えばニュートラアビジン、典型的にはさらに中性のpiを示し、天然のアビジンの代替として利用可能な修飾アルギニンを有する脱グリコシル化アビジンが含まれる。一般に、脱グリコシル化された中性形態のアビジンには、例えば、Sigma Aldrichを通じて入手可能な「Extravidin」、またはThermo ScientificもしくはInvitrogenから入手可能な「NeutrAvidin」などの市販形態が含まれる。
【0423】
いくつかの態様では、試薬は、ストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテインもしくは類似体である。いくつかの態様では、野生型ストレプトアビジン(wt-ストレプトアビジン)は、Argarana et al, Nucleic Acids Res. 14(1986)1871-1882(SEQ ID NO:66)によって開示されたアミノ酸配列を有する。一般に、ストレプトアビジンは、4つの同一のサブユニットの四量体として天然に存在し、すなわち、それはホモ四量体であり、各サブユニットは、ビオチン、ビオチン誘導体または類似体またはビオチン模倣体に対する単一の結合部位を含む。ストレプトアビジンサブユニットの例示的な配列は、SEQ ID NO:66に記載のアミノ酸の配列であるが、そのような配列はまた、他のストレプトマイセス(Streptomyces)種由来のそのホモログに存在する配列を含み得る。特に、ストレプトアビジンの各サブユニットはビオチンに対して強い結合親和性を示し、その平衡解離定数(KD)は約10-14Mであり得る。場合によっては、ストレプトアビジンは、4つの結合部位のうちの1つのみが機能的である一価の四量体(Howarth et al.(2006)Nat.Methods,3:267-73;Zhang et al.(2015)Biochem.Biophys.Res.Commun.,463:1059-63))、4つの結合部位のうちの2つが機能的である二価の四量体(Fairhead et al.(2013)J. Mol. Biol., 426: 199-214)として存在し得るか、単量体または二量体の形態で存在し得る(Wu et al.(2005)J. Biol. Chem., 280:23225-31; Lim et al.(2010)Biochemistry, 50:8682-91)。
【0424】
いくつかの態様では、ストレプトアビジンは、野生型または未修飾ストレプトアビジン、例えば、ストレプトマイセス種由来のストレプトアビジン、またはビオチン、ビオチン誘導体もしくは類似体もしくはビオチン模倣体の結合部位を含む少なくとも1つの機能性サブユニットを含む、例えば、一般にSEQ ID NO:66に記載のストレプトマイセス・アビジニイ(Streptomyces avidinii)由来の野生型ストレプトアビジンの少なくとも1つの機能性サブユニットもしくはその機能的に活性な断片を含むその機能的に活性な断片などの任意の形態であり得る。例えば、いくつかの態様では、ストレプトアビジンは、N末端および/またはC末端で短縮される野生型ストレプトアビジンの断片を含むことができる。そのような最小のストレプトアビジンには、SEQ ID NO:66のアミノ酸位置10~16の領域でN末端で始まり、SEQ ID NO:66のアミノ酸位置133~142の領域でC末端で終わる任意のものが含まれる。いくつかの態様では、ストレプトアビジンの機能的に活性な断片は、SEQ ID NO:67に記載のアミノ酸の配列を含む。いくつかの態様では、SEQ ID NO:67に記載されるようなストレプトアビジンは、SEQ ID NO:66に記載の番号付けによりAla13に対応する位置にN末端メチオニンをさらに含むことができる。ストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテインにおける残基の位置への言及は、SEQ ID NO:66における残基の番号付けに関するものである。
【0425】
ストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテインの例は、例えば、WO86/02077、DE19641876 Al、US6,022,951、WO98/40396またはWO96/24606に記載されている。ストレプトアビジンムテインの例は公知であり、例えば、米国特許第5,168,049号、米国特許第5,506,121号、米国特許第6,022,951号、米国特許第6,156,493号、米国特許第6,165,750号、米国特許第6,103,493号もしくは米国特許第6,368,813号または国際公開PCT出願番号WO2014/076277を参照されたい。
【0426】
いくつかの態様では、ストレプトアビジンムテインは、未修飾または野生型ストレプトアビジンの一部ではないアミノ酸を含むことができるか、野生型または未修飾ストレプトアビジンの一部のみを含むことができる。いくつかの態様では、ストレプトアビジンムテインは、未修飾または野生型ストレプトアビジンのサブユニットと比較して、例えば、SEQ ID NO:66に記載の野生型ストレプトアビジンサブユニット、またはSEQ ID NO:67に記載されるようなその機能的に活性な断片と比較して、別のアミノ酸置換(substitution)(置換(replacement))を有し得る少なくとも1つのサブユニットを含む。
【0427】
いくつかの態様において、結合ドメインに関するストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテインの平衡解離定数(KD)は、1×10-4M、5×10-4M、1×10-5M、5×10-5M、1×10-6M、5×10-6Mまたは1×10-7M未満であるが、一般に、1×10-13M、1×10-12Mまたは1×10-11Mよりも大きい。例えば、米国特許第5,506,121号に開示されているようなペプチド配列(Strep-tags)がビオチン類似体として作用し、ストレプトアビジンの場合に、例えば約10-4~10-5MのKDの結合アフィニティーを実証することができる。場合によっては、結合アフィニティーは、ストレプトアビジン分子内で変異を作ることによってさらに改善することができる。例えば米国特許第6,103,493号またはPCT国際公開公報第2014/076277号を参照すること。いくつかの態様において、結合アフィニティーは、公知の方法、例えば本明細書に記載されるいずれかによって測定することができる。
【0428】
いくつかの態様において、試薬、例えばストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテインは、作用物質(例えば受容体結合物質または選択物質)中に存在する結合パートナーCであることができるペプチドリガンド結合パートナーに対して結合アフィニティーを示す。いくつかの態様において、ペプチド配列は、SEQ ID NO:83に記載された配列に含有されるような一般式His-Pro-Xaa(式中、Xaaはグルタミン、アスパラギンまたはメチオニンである)の配列を含有する。いくつかの態様において、ペプチド配列は、SEQ ID NO:74に記載されるような、SEQ ID NO:83に記載された一般式を有する。一例において、ペプチド配列はTrp-Arg-His-Pro-Gln-Phe-Gly-Glyである(Strep-tag(登録商標)とも呼ばれる。SEQ ID NO:75に記載)。一例において、ペプチド配列はTrp-Ser-His-Pro-Gln-Phe-Glu-Lysである(Strep-tag(登録商標)IIとも呼ばれる。SEQ ID NO:69に記載)。いくつかの態様において、ペプチドリガンドは、少なくとも2つのストレプトアビジン結合分子の連続配置を含有し、2つの分子の間の距離は少なくとも0かつ50アミノ酸以下であり、一方の結合分子は3~8のアミノ酸を有し、少なくとも配列His-Pro-Xaa(式中、Xaaはグルタミン、アスパラギンまたはメチオニンである)を含有し、他方の結合分子は、SEQ ID NO:84に記載されるような同じまたは異なるストレプトアビジンペプチドリガンドを有する(例えばPCT国際公開公報第02/077018号;米国特許第7,981,632号を参照)。いくつかの態様において、ペプチドリガンドは、SEQ ID NO:76または77のいずれかに記載された式を有する配列を含有する。いくつかの態様において、ペプチドリガンドは、SEQ ID NO:70~73、78~79のいずれかに記載されたアミノ酸の配列を有する。大部分の場合、これらすべてのストレプトアビジン結合ペプチドは同じ結合部位、すなわちストレプトアビジンのビオチン結合部位に結合する。そのようなストレプトアビジン結合ペプチドの1つまたは複数が結合パートナーC、例えばC1およびC2として使用されるならば、結合パートナーCを介して1つまたは複数の作用物質に結合した多量体化試薬および/またはオリゴマー粒子試薬は通常、1つまたは複数のストレプトアビジンムテインで構成される。
【0429】
いくつかの態様において、ストレプトアビジンムテインは、米国特許第6,103,493号に記載されている変異体である。いくつかの態様において、ストレプトアビジンムテインは、SEQ ID NO:66に記載されるような野生型ストレプトアビジンのアミノ酸配列に基づいてアミノ酸44~53位の領域内に少なくとも1つの変異を含有する。いくつかの態様において、ストレプトアビジンムテインは、1つまたは複数の残基44、45、46および/または47に変異を含有する。いくつかの態様において、ストレプトアビジンムテインは、野生型ストレプトアビジンの44位のGluの、疎水性脂肪族アミノ酸、例えばVal、Ala、IleまたはLeuによる置換、45位の任意のアミノ酸の、脂肪族アミノ酸、例えば46位の疎水性脂肪族アミノ酸による置換および/または47位のValの、塩基性アミノ酸、例えばArgまたはLys、一般にはArgによる置換を含有する。いくつかの態様において、Alaは46位にある、および/またはArgは47位にある、および/またはValもしくはIleは44位にある。いくつかの態様において、ストレプトアビジンムテインは、SEQ ID NO:80またはSEQ ID NO:81または82に記載されたアミノ酸の配列を含有する例示的なストレプトアビジンムテイン(ストレプトアビジンム変異体1、SAM1とも知られる)に記載されるような残基Va144-Thr45-Ala46-Arg47を含有する。いくつかの態様において、ストレプトアビジンムテインは、SEQ ID NO:85、68または73に記載されたアミノ酸の配列を含有する例示的なストレプトアビジンムテイン(SAM2とも知られる)に記載されるような残基ILe44-Gly45-Ala46-Arg47を含有する。場合によっては、そのようなストレプトアビジンムテインは、例えば米国特許第6,103,493号に記載され、商品名Strep-Tactin(登録商標)の下で市販されている。いくつかの態様において、ムテインストレプトアビジンは、SEQ ID NO:86またはSEQ ID NO:87に記載されたアミノ酸の配列を含有する。特定の態様において、分子は、SEQ ID NO:67、81、68、86、88、82または73のいずれかに記載された配列を含む、四量体としてモノマーあたり20の第一級アミン(1つのN末端アミンを含む)および4つのリシンを含有する分子である、ストレプトアビジンの四量体またはストレプトアビジンムテインである。
【0430】
いくつかの態様において、ストレプトアビジンムテインは、ペプチドリガンド(Trp-Arg-His-Pro-Gln-Phe-Gly-Gly;Strep-tag(登録商標)とも呼ばれる。SEQ ID NO:75に記載)の場合で、3.7×10-5Mであるかまたは3.7×10-5M未満である、および/またはペプチドリガンド(Trp-Ser-His-Pro-Gln-Phe-Glu-Lys;Strep-tag(登録商標)IIとも呼ばれる。SEQ ID NO:69に記載)の場合で、7.1×10-5Mであるかまたは7.1×10-5M未満である、および/または、SEQ ID NO:69、76~78、70~72、74、75、83、84のいずれかに記載されたペプチドリガンドのいずれかの場合で、7.0×10-5M、5.0×10-5M、1.0×10-5M、5.0×10-6M、1.0×10-6M、5.0×10-7M、もしくは1.0×10-7Mであるかまたは7.0×10-5M、5.0×10-5M、1.0×10-5M、5.0×10-6M、1.0×10-6M、5.0×10-7M、もしくは1.0×10-7M未満であり、かつ一般に1×10-13M、1×10-12Mまたは1×10-11Mよりも大きい平衡解離定数(KD)を特徴とする結合アフィニティーを示す。
【0431】
いくつかの態様において、結果的に得られるストレプトアビジンムテインは、ペプチドリガンド(Trp-Arg-His-Pro-Gln-Phe-Gly-Gly;Strep-tag(登録商標)とも呼ばれる。SEQ ID NO:75に記載)の場合で、2.7×104M-1であるかまたは2.7×104M-1より大きく、および/またはペプチドリガンド(Trp-Ser-His-Pro-Gln-Phe-Glu-Lys;Strep-tag(登録商標)IIとも呼ばれる。SEQ ID NO:69に記載)の場合で、1.4×104M-1であるかまたは1.4×104M-1より大きく、および/または、SEQ ID NO:69、76~78、70~72、74、75、83、84のいずれかに記載されたペプチドリガンドのいずれかの場合で、1.43×104M-1、1.67×104M-1、2×104M-1、3.33×104M-1、5×104M-1、1×105M-1、1.11×105M-1、1.25×105M-1、1.43×105M-1、1.67×105M-1、2×105M-1、3.33×105M-1、5×105M-1、1×106M-1、1.11×106M-1、1.25×106M-1、1.43×106M-1、1.67×106M-1、2×106M-1、3.33×106M-1、5×106M-1、1×107M-1であるか、または1.43×104M-1、1.67×104M-1、2×104M-1、3.33×104M-1、5×104M-1、1×105M-1、1.11×105M-1、1.25×105M-1、1.43×105M-1、1.67×105M-1、2×105M-1、3.33×105M-1、5×105M-1、1×106M-1、1.11×106M-1、1.25×106M-1、1.43×106M-1、1.67×106M-1、2×106M-1、3.33×106M-1、5×106M-1、1×107M-1より大きく、かつ一般に1×1013M-1、1×1012M-1または1×1011M-1よりも小さい平衡会合定数(KA)を特徴とする結合アフィニティーを示す。
【0432】
特定の態様において、本明細書に提供されるものは、複数のストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン四量体で構成された、および/またはそれらを含有するオリゴマー粒子試薬である。特定の態様において、本明細書に提供されるオリゴマー粒子試薬は、1つまたは複数の作用物質、例えば刺激物質および/または選択物質に可逆的に結合する、または可逆的に結合することができる複数の結合部位を含有する。いくつかの態様において、オリゴマー粒子は、70nm~125nmの半径(両端の値を含む)、例えば平均半径;1×107g/mol~1×109g/molの分子量(両端の値を含む);および/または1,000~5,000のストレプトアビジンもしくはストレプトアビジンムテイン四量体(両端の値を含む)を有する。いくつかの態様において、オリゴマー粒子試薬は、1つまたは複数の作用物質、例えば、細胞表面上の分子、例えば受容体に結合する作用物質に結合、例えば可逆的に結合している。特定の態様において、1つまたは複数の作用物質は、本明細書中、例えばセクションII.C.3に記載された作用物質である。いくつかの態様において、作用物質は、抗CD3および/または抗CD28抗体またはそれらの抗原結合断片、例えば結合パートナー、例えばストレプトアビジン結合ペプチド、例えばStrep-tag(登録商標)IIを含有する抗体またはその抗原断片である。特定の態様において、1つまたは複数の作用物質は、結合パートナー、例えばストレプトアビジン結合ペプチド、例えばStrep-tag(登録商標)IIを含有する抗CD3および/または抗CD28 Fabである。
【0433】
いくつかの態様において、本明細書に提供されるものは、複数のストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン四量体で構成された、および/またはそれらを含有するオリゴマー粒子試薬である。特定の態様において、本明細書に提供されるオリゴマー粒子試薬は、1つまたは複数の作用物質、例えば刺激物質および/または選択物質に可逆的に結合する、または可逆的に結合することができる複数の結合部位を含有する。いくつかの態様において、オリゴマー粒子は、80nm~120nmの半径(両端の値を含む)、例えば平均半径;7.5×106g/mol~2×108g/molの分子量(両端の値を含む)、例えば平均分子量;および/または500~10,000のストレプトアビジンもしくはストレプトアビジンムテイン四量体の量、例えば平均量(両端の値を含む)を有する。いくつかの態様において、オリゴマー粒子試薬は、1つまたは複数の作用物質、例えば、細胞表面上の分子、例えば受容体に結合する作用物質に結合、例えば可逆的に結合している。特定の態様において、1つまたは複数の作用物質は、本明細書中、例えばセクションII.C.3に記載された作用物質である。いくつかの態様において、作用物質は、抗CD3および/または抗CD28 Fab、例えば、結合パートナー、例えばストレプトアビジン結合ペプチド、例えばStrep-tag(登録商標)IIを含有するFabである。特定の態様において、1つまたは複数の作用物質は、結合パートナー、例えばストレプトアビジン結合ペプチド、例えばStrep-tag(登録商標)IIを含有する抗CD3および/または抗CD28 Fabである。
【0434】
いくつかの態様において、細胞は、細胞106個あたり0.01μg、約0.01μgもしくは少なくとも0.01μg、0.02μg、約0.02μgもしくは少なくとも0.02μg、0.03μg、約0.03μgもしくは少なくとも0.03μg、0.04μg、約0.04μgもしくは少なくとも0.04μg、0.05μg、約0.05μgもしくは少なくとも0.05μg、0.1μg、約0.1μgもしくは少なくとも0.1μg、0.2μg、約0.2μgもしくは少なくとも0.2μg、0.3μg、約0.3μgもしくは少なくとも0.3μg、0.4μg、約0.4μgもしくは少なくとも0.4μg、0.5μg、約0.5μgもしくは少なくとも0.5μg、0.75μg、約0.75μgもしくは少なくとも0.75μg、1μg、約1μgもしくは少なくとも1μg、2μg、約2μgもしくは少なくとも2μg、3μg、約3μgもしくは少なくとも3μg、4μg、約4μgもしくは少なくとも4μg、5μg、約5μgもしくは少なくとも5μg、6μg、約6μgもしくは少なくとも6μg、7μg、約7μgもしくは少なくとも7μg、8μg、約8μgもしくは少なくとも8μg、9μg、約9μgもしくは少なくとも9μg、または10μg、約10μgもしくは少なくとも10μgのオリゴマー刺激試薬の存在下で刺激される。いくつかの態様において、細胞は、細胞106個あたり4μgまたは約4μgの存在下で刺激される。いくつかの態様において、細胞は、細胞106個あたり3μgまたは約3μgの存在下で刺激される、または刺激に付される。いくつかの態様において、細胞は、細胞106個あたり2.75μgまたは約2.75μgの存在下で刺激される、または刺激に付される。いくつかの態様において、細胞は、細胞106個あたり2.5μgまたは約2.5μgの存在下で刺激される、または刺激に付される。いくつかの態様において、細胞は、細胞106個あたり2.25μgまたは約2.25μgの存在下で刺激される、または刺激に付される。いくつかの態様において、細胞は、細胞106個あたり2μgまたは約2μgの存在下で刺激される、または刺激に付される。特定の態様において、細胞は、細胞106個あたり1.8μgまたは約1.8μgの存在下で刺激される、または刺激に付される。特定の態様において、細胞は、細胞106個あたり1.6μgまたは約1.6μgの存在下で刺激される、または刺激に付される。特定の態様において、細胞は、細胞106個あたり1.4μgまたは約1.4μgの存在下で刺激される、または刺激に付される。特定の態様において、細胞は、細胞106個あたり1.2μgまたは約1.2μgの存在下で刺激される、または刺激に付される。特定の態様において、細胞は、細胞106個あたり1μgまたは約1μgの存在下で刺激される、または刺激に付される。特定の態様において、細胞は、細胞106個あたり0.8μgまたは約0.8μgの存在下で刺激される。特定の局面において、4μgのオリゴマー刺激試薬は、3μgのオリゴマー粒子および1μgの付着した作用物質、例えば0.5μgの抗CD3 Fabおよび0.5μgの抗CD28 Fabである、またはそれらを含む。いくつかの態様において、細胞は、オリゴマー試薬10×108個もしくは約10×108個、9×108個もしくは約9×108個、8×108個もしくは約8×108個、7×108個もしくは約7×108個、6×108個もしくは約6×108個、5×108個もしくは約5×108個、4×108個もしくは約4×108個、3×108個もしくは約3×108個、2×108個もしくは約2×108個、1×108個もしくは約1×108個の存在下で刺激される、または刺激に付される。いくつかの態様において、細胞は、オリゴマー試薬7×108個もしくは約7×108個、6×108個もしくは約6×108個、5×108個もしくは約5×108個、4×108個もしくは約4×108個、3×108個もしくは約3×108個の存在下で刺激される、または刺激に付される。いくつかの態様において、細胞は、オリゴマー試薬7×108個もしくは約7×108個~3×108個もしくは約3×108個の存在下で刺激される、または刺激に付される。いくつかの態様において、細胞は、オリゴマー試薬6×108個もしくは約6×108個~4×108個もしくは約4×108個の存在下で刺激される、または刺激に付される。いくつかの態様において、細胞は、オリゴマー試薬6×108個もしくは約6×108個~5×108個もしくは約5×108個の存在下で刺激される、または刺激に付される。いくつかの態様において、細胞は、オリゴマー試薬5×108個もしくは約5×108個の存在下で刺激される、または刺激に付される。
【0435】
いくつかの態様において、試料の細胞、例えば選択された細胞は、3:1もしくは約3:1、2.5:1もしくは約2.5:1、2:1もしくは約2:1、1.5:1もしくは約1.5:1、1.25:1もしくは約1.25:1、1.2:1もしくは約1.2:1、1.1:1もしくは約1.1:1、1:1もしくは約1:1、0.9:1もしくは約0.9:1、0.8:1もしくは約0.8:1、0.75:1もしくは約0.75:1、0.67:1もしくは約0.67:1、0.5:1もしくは約0.5:1、0.3:1もしくは約0.3:1または0.2:1もしくは約0.2:1のオリゴマー試薬:細胞の比の存在下で刺激される、または刺激に付される。特定の態様において、オリゴマー試薬:細胞の比は、2.5:1~0.2:1、2:1~0.5:1、1.5:1~0.75:1、1.25:1~0.8:1、1.1:1~0.9:1である。特定の態様において、オリゴマー試薬:細胞の比は約1:1または1:1である。特定の態様において、オリゴマー試薬:細胞の比は約0.3:1または0.3:1である。特定の態様において、オリゴマー試薬:細胞の比は約0.2:1または0.2:1である。
【0436】
ある特定の局面において、オリゴマー試薬内で、オリゴマー粒子:付着した作用の質量比は約3:1である。特定の局面において、オリゴマー試薬内で、オリゴマー粒子:付着した抗CD3 Fab:付着した抗CD28 Fabの質量比は約3:0.5:0.5である。特定の局面において、4μgのオリゴマー試薬は、3μgのオリゴマー粒子および1μgの付着した作用物質、例えば0.5μgの抗CD3 Fabおよび0.5μgの抗CD28 Fabである、またはそれらを含む。他の例において、細胞106個あたり1.2μgのオリゴマー試薬は、細胞106個あたり0.9μgのオリゴマー粒子および0.3μgの付着した作用物質、例えば0.15μgの抗CD3 Fabおよび0.15μgの抗CD28 Fabである、またはそれらを含む。いくつかの態様において、オリゴマー試薬は無血清培地に加えられ、刺激は、無血清培地中、例えばPCT/US2018/064627に記載されているように実施される。
【0437】
いくつかの態様において、無血清培地は、1つまたは複数のサプリメントを添加された基礎培地(例えばOpTmizer(商標)T-Cell Expansion Basal Medium(ThermoFisher)を含む。いくつかの態様において、1つまたは複数のサプリメントは無血清である。いくつかの態様において、無血清培地は、細胞(例えばT細胞)の維持、拡大増殖および/または活性化のための1つまたは複数のさらなる成分、例えばさらなるサプリメント(例えばOpTmizer(商標)T-Cell Expansion Supplement(ThermoFisher))によって提供される1つまたは複数のさらなる成分を添加された基礎培地を含む。いくつかの態様において、無血清培地はさらに、血清代替サプリメント、例えば免疫細胞血清代替品、例えばThermoFisher、#A2596101、CTS(商標)Immune Cell Serum ReplacementまたはSmith et al. Clin Transl Immunology. 2015 Jan; 4(1):e31に記載されている免疫細胞血清代替品を含む。いくつかの態様において、無血清培地はさらに、遊離形態のアミノ酸、例えばL-グルタミンを含む。いくつかの態様において、無血清培地はさらに、ジペプチド形態のL-グルタミン(例えばL-アラニル-L-グルタミン)、例えばGlutamax(商標)(ThermoFisher)中のジペプチドを含む。いくつかの態様において、無血清培地はさらに、1つまたは複数の組換えサイトカイン、例えば組換えヒトIL-2、組換えヒトIL-7および/または組換えヒトIL-15を含む。
【0438】
2. 刺激試薬の除去
いくつかの態様において、刺激試薬は、細胞を収集、採取または製剤化する前に細胞または細胞集団から除去または分離される。いくつかの態様において、刺激試薬は、インキュベーション、例えば本明細書中、例えばセクションI.Dに記載されたインキュベーションの後または最中に、細胞または細胞集団から除去または分離される。特定の態様において、細胞または細胞集団は、インキュベーション後かつ細胞を収集、採取または製剤化する工程の前に、刺激試薬を除去するためのプロセス、処置、工程または技術を受ける。特定の態様において、細胞または細胞集団は、インキュベーション後、刺激試薬を除去するためのプロセス、処置、工程または技術を受ける。いくつかの局面において、刺激試薬がインキュベーション中に細胞から分離または除去されるとき、細胞は、インキュベーションの残り期間中、分離または除去の前と同じインキュベーション条件に戻される。
【0439】
ある特定の態様において、刺激試薬は細胞から除去および/または分離される。理論によって拘束されることを望まないが、特定の態様は、刺激試薬と細胞との間の結合および/または会合が、いくつかの状況において、インキュベーション中に時間とともに低減し得ると考える。特定の態様において、刺激試薬と細胞との間の結合および/または会合を低減するために、1つまたは複数の作用物質を添加し得る。特定の態様において、細胞培養条件の変化、例えば作用物質の添加が、刺激試薬と細胞との間の結合および/または会合を低減し得る。したがって、いくつかの態様において、刺激試薬は、細胞とは別に、例えば、細胞をインキュベーション、細胞培養システムおよび/または溶液から除去することもなく、インキュベーション、細胞培養システムおよび/または溶液から除去され得る。
【0440】
ある特定の態様において、刺激試薬は、一定期間後に細胞から分離および/または除去される。特定の態様において、期間は、刺激の開始からの期間である。特定の態様において、インキュベーションの開始は、細胞が刺激試薬および/または刺激試薬を含有する培地もしくは溶液と接触した時点またはその付近と見なされる。特定の態様において、刺激試薬は、刺激の開始から120時間もしくは約120時間、108時間もしくは約108時間、96時間もしくは約96時間、84時間もしくは約84時間、72時間もしくは約72時間、60時間もしくは約60時間、48時間もしくは約48時間、36時間もしくは約36時間、24時間もしくは約24時間または12時間もしくは約12時間以内に細胞から除去または分離される。特定の態様において、刺激試薬は、刺激が開始されたのち48時間もしくは約48時間で細胞から除去または分離される。特定の態様において、刺激試薬は、刺激が開始されたのち72時間もしくは約72時間で細胞から除去または分離される。いくつかの態様において、刺激試薬は、刺激が開始されたのち96時間もしくは約96時間で細胞から除去または分離される。
【0441】
a. ビーズ試薬の除去
ある特定の態様において、ビーズ刺激試薬、例えば抗CD3/抗CD28抗体結合常磁性ビーズは細胞または細胞集団から分離または除去される。細胞から刺激試薬(例えば、ビーズ粒子または磁化性粒子などの粒子である、またはそれを含有する刺激試薬)を除去する方法は公知である。いくつかの態様において、例えば、刺激試薬の一次抗体に結合し、細胞上のその抗原に対するそのアフィニティーを変化させ、それによって穏やかな分離を可能にする、非標識抗体などの競合抗体を使用することができる。場合によっては、分離後、競合抗体は粒子(例えばビーズ粒子)と会合したまま残り得るが、未反応の抗体は洗い流され、または洗い流され得、細胞は抗体を単離、選択、濃縮および/または活性化しない。そのような試薬の例がDETACaBEAD(Friedl et al. 1995;Entschladen et al. 1997)である。いくつかの態様において、粒子(例えばビーズ粒子)は、切断可能なリンカー(例えばDNAリンカー)の存在下で除去することができ、それにより、粒子結合抗体はリンカー(例えばCELLection、Dynal)に結合する。場合によっては、リンカー領域は、例えばDNアーゼまたは他の解放バッファーの添加によって単離後に細胞から粒子(例えばビーズ粒子)を除去するための切断可能な部位を提供する。いくつかの態様において、細胞からの粒子(例えばビーズ粒子)の解放のために他の酵素的方法を用いることもできる。いくつかの態様において、粒子(例えばビーズ粒子または磁化性粒子)は生分解性である。
【0442】
いくつかの態様において、刺激試薬は、磁性、常磁性および/または超常磁性であり、および/または磁性、常磁性および/または超常磁性であるビーズを含有し、刺激試薬は、細胞を磁場に曝露することによって細胞から除去され得る。磁場を発生させるための磁石を含有する適当な装置の例は、DynaMag CTS(Thermo Fisher)、Magnetic Separator(Takara)およびEasySep Magnet(Stem Cell Technologies)を含む。
【0443】
特定の態様において、刺激試薬は、提供される方法の完了の前に、例えば、本明細書に提供される方法によって製造された操作された細胞を採取、収集および/または製剤化する前に、細胞から除去または分離される。いくつかの態様において、刺激試薬は、細胞を操作、例えば形質導入またはトランスフェクトする前に、細胞から除去および/または分離される。
【0444】
いくつかの態様において、刺激ビーズ試薬、例えば刺激磁気ビーズ試薬は、細胞を採取、収集および/または製剤化する前に、細胞または細胞集団から除去または分離される。いくつかの態様において、刺激ビーズ試薬、例えば刺激磁気ビーズ試薬は、インキュベーション、例えば本明細書中、例えばセクションI-Dに記載されたインキュベーションの最中または後に、磁場への曝露によって細胞または細胞集団から除去または分離される。特定の態様において、細胞または細胞集団は、インキュベーション後かつ細胞を収集、採取または製剤化する工程の前に、刺激ビーズ試薬、例えば刺激磁気ビーズ試薬を除去するために磁場に曝露される。特定の態様において、細胞または細胞集団は、インキュベーション後に、刺激ビーズ試薬、例えば刺激磁気ビーズ試薬を除去するための磁場に曝露される。いくつかの局面において、刺激ビーズ試薬がインキュベーション中に細胞または細胞集団から分離または除去されるとき、細胞または細胞集団は、インキュベーションの残り期間中、磁場への曝露の前と同じインキュベーション条件に戻される。
【0445】
特定の態様において、刺激ビーズ試薬、例えば刺激磁気ビーズ試薬は、インキュベーションから120時間もしくは約120時間、108時間もしくは約108時間、96時間もしくは約96時間、84時間もしくは約84時間、72時間もしくは約72時間、60時間もしくは約60時間、48時間もしくは約48時間、36時間もしくは約36時間、24時間もしくは約24時間または12時間もしくは約12時間以内に、例えば磁場への曝露によって細胞から除去または分離される。特定の態様において、刺激ビーズ試薬、例えば刺激磁気ビーズ試薬は、72時間もしくは約72時間のインキュベーションの後、例えば磁場への曝露によって細胞から除去または分離される。特定の態様において、刺激ビーズ試薬、例えば刺激磁気ビーズ試薬は、96時間もしくは約96時間のインキュベーションの後、例えば磁場への曝露によって細胞から除去または分離される。
【0446】
b. オリゴマー試薬の除去
いくつかの態様において、インキュベートされたT細胞の集団は、競合物質のような物質をT細胞に加えて刺激物質のシグナル伝達を妨害する、例えば減らす、および/または終わらせる、本明細書に提供される方法のいずれかにしたがって製造または生成された。いくつかの態様において、インキュベートされたT細胞の集団は、物質、例えば競合物質、例えばビオチンまたはビオチン類似体、例えばD-ビオチンの存在を含有する。いくつかの態様において、物質、例えば競合物質、例えばビオチンまたはビオチン類似体、例えばD-ビオチンは、インキュベーション中に物質が外から加えられずに培養されたT細胞の参照集団または調製物中の物質の量の少なくとも1.5倍、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも100倍、少なくとも1000倍またはより多い量で存在する。いくつかの態様において、培養されたT細胞の集団中の物質、例えば競合物質、例えばビオチンまたはビオチン類似体、例えばD-ビオチンの量は、10μM~100μMもしくは約10μM~100μM、100μM~1mMもしくは約100μM~1mM、100μM~500μMもしくは約100μM~500μMまたは10μM~100μMもしくは約10μM~100μMである。いくつかの態様において、10μMもしくは約10μMのビオチンまたはビオチン類似体、例えばD-ビオチンが、オリゴマー刺激試薬を細胞または細胞集団から分離または除去するために細胞または細胞集団に加えられる。
【0447】
ある特定の態様において、1つまたは複数の作用物質(例えばTCRおよび/または補助受容体を刺激または活性化する作用物質)は、例えば、オリゴマー試薬上に存在する複数の特定の結合部位(例えば結合部位Z)を介して、オリゴマー試薬と会合する、例えば可逆的に結合する。場合によっては、これは、結果的に、作用物質が互いに近く配置されて、作用物質と結合する、または作用物質によって認識される細胞表面分子(の少なくとも2つのコピー)を有する標的細胞が作用物質と接触させられるならばアビディティー作用が生じることができるようにする。いくつかの局面において、受容体結合試薬は、結合部位Bにおける細胞の受容体分子に対して低いアフィニティーを有して、受容体結合試薬は、競合試薬の存在下で細胞から解離するようになる。したがって、いくつかの態様において、作用物質は、競合試薬の存在下、細胞から除去される。
【0448】
いくつかの態様において、オリゴマー刺激試薬は、可逆的に付着した抗CD3および抗CD28 Fabを有するストレプトアビジンムテインオリゴマーである。いくつかの態様において、Fabは、例えばストレプトアビジンムテインオリゴマーへの可逆的付着を可能にするストレプトアビジン結合ドメインを含有する。場合によっては、抗CD3および抗CD28 Fabは互いに近く配置されて、CD3および/またはCD28を発現するT細胞が、Fabを可逆的に付着させたオリゴマー刺激試薬と接触させられるならばアビディティー作用が生じることができるようにする。いくつかの局面において、Fabは、CD3およびCD28に対して低いアフィニティーを有して、Fabは、競合物質、例えばビオチンまたはビオチン変異体もしくはビオチン類似体の存在下で細胞から解離するようになる。したがって、いくつかの態様において、Fabは、競合試薬、例えばD-ビオチンの存在下、細胞から除去される、または解離する。
【0449】
いくつかの態様において、刺激オリゴマー試薬、例えば刺激オリゴマーストレプトアビジンムテイン試薬は、細胞を収集、採取または製剤化する前に細胞または細胞集団から除去または分離される。いくつかの態様において、刺激オリゴマー試薬、例えば刺激オリゴマーストレプトアビジンムテイン試薬は、インキュベーション、例えば本明細書中、例えばセクションI.Dに記載されたインキュベーションの後または最中に、競合試薬、例えばビオチンまたはビオチン類似体、例えばD-ビオチンへの接触または曝露により、細胞または細胞集団から除去または分離される。特定の態様において、細胞または細胞集団は、インキュベーション後かつ細胞を収集、採取または製剤化する工程の前に、刺激オリゴマー試薬、例えば刺激オリゴマーストレプトアビジンムテイン試薬を除去するために、競合試薬、例えばビオチンまたはビオチン類似体、例えばD-ビオチンに接触させられる、または曝露される。特定の態様において、細胞または細胞集団は、インキュベーション後、刺激オリゴマー試薬、例えば刺激オリゴマーストレプトアビジンムテイン試薬を除去するために、競合試薬、例えばビオチンまたはビオチン類似体、例えばD-ビオチンに接触させられる、または曝露される。いくつかの局面において、刺激オリゴマー試薬、例えば刺激オリゴマーストレプトアビジンムテイン試薬がインキュベーション中に競合試薬、例えばビオチンまたはビオチン類似体、例えばD-ビオチンへの接触または曝露によって細胞から分離または除去されるとき、細胞は、インキュベーションの残り期間中、分離または除去の前と同じインキュベーション条件に戻される。
【0450】
いくつかの態様において、細胞は、オリゴマー刺激試薬を細胞から除去または分離するために、0.01μM、約0.01μMもしくは少なくとも0.01μM、0.05μM、約0.05μMもしくは少なくとも0.05μM、0.1μM、約0.1μMもしくは少なくとも0.1μM、0.5μM、約0.5μMもしくは少なくとも0.5μM、1μM、約1μMもしくは少なくとも1μM、2μM、約2μMもしくは少なくとも2μM、3μM、約3μMもしくは少なくとも3μM、4μM、約4μMもしくは少なくとも4μM、5μM、約5μMもしくは少なくとも5μM、10μM、約10μMもしくは少なくとも10μM、100μM、約100μMもしくは少なくとも100μM、500μM、約500μMもしくは少なくとも500μM、0.01μM、約0.01μMもしくは少なくとも0.01μM、1mM、約1mMもしくは少なくとも1mMまたは10mM、約10mMもしくは少なくとも10mMの競合試薬と接触させられる。様々な態様において、細胞は、可逆的に付着した抗CD3および抗CD28 Fabを有する刺激ストレプトアビジンムテインオリゴマーを細胞から除去または分離するために、0.01μM、約0.01μMもしくは少なくとも0.01μM、0.05μM、約0.05μMもしくは少なくとも0.05μM、0.1μM、約0.1μMもしくは少なくとも0.1μM、0.5μM、約0.5μMもしくは少なくとも0.5μM、1μM、約1μMもしくは少なくとも1μM、2μM、約2μMもしくは少なくとも2μM、3μM、約3μMもしくは少なくとも3μM、4μM、約4μMもしくは少なくとも4μM、5μM、約5μMもしくは少なくとも5μM、10μM、約10μMもしくは少なくとも10μM、100μM、約100μMもしくは少なくとも100μM、500μM、約500μMもしくは少なくとも500μM、0.01μM、約0.01μMもしくは少なくとも0.01μM、1mM、約1mMもしくは少なくとも1mMまたは10mM、約10mMもしくは少なくとも10mMのビオチンまたはビオチン類似体、例えばD-ビオチンと接触させられる。
【0451】
特定の態様において、刺激オリゴマー試薬、例えば刺激オリゴマーストレプトアビジンムテイン試薬は、例えば刺激オリゴマーストレプトアビジンムテイン試薬の存在下でのインキュベーションから120時間もしくは約120時間、108時間もしくは約108時間、96時間もしくは約96時間、84時間もしくは約84時間、72時間もしくは約72時間、60時間もしくは約60時間、48時間もしくは約48時間、36時間もしくは約36時間、24時間もしくは約24時間または12時間もしくは約12時間以内に細胞から除去または分離される。特定の態様において、刺激試薬は、例えば刺激オリゴマー試薬の存在下でのインキュベーションから48時間もしくは約48時間後に細胞から除去または分離される。特定の態様において、刺激オリゴマー試薬、例えば刺激オリゴマーストレプトアビジンムテイン試薬は、インキュベーションから72時間もしくは約72時間後に細胞から除去または分離される。いくつか定の態様において、刺激オリゴマー試薬、例えば刺激オリゴマーストレプトアビジンムテイン試薬は、インキュベーションから96時間もしくは約96時間で細胞から除去または分離される。
【0452】
B. 遺伝子操作
いくつかの態様において、提供される方法は、例えば組換えタンパク質をコードする異種ポリヌクレオチドを導入することにより、細胞、例えば、濃縮されたCD57-T細胞の集団の細胞またはそれに由来する細胞を遺伝子操作する工程を含む。そのような組換えタンパク質は、組換え受容体、例えば本明細書中、例えばセクションIVに記載されたいずれかを含み得る。組換えタンパク質をコードするポリヌクレオチド、例えば異種または組換えポリヌクレオチドの細胞への導入は、いくつかの既知のベクターのいずれかを使用して実施され得る。そのようなベクターとしては、レンチウイルスおよびガンマレトロウイルスを含むウイルス系がある。例示的な方法は、ウイルス、例えばレトロウイルスまたはレンチウイルスの形質導入を介するものを含め、受容体をコードする異種ポリヌクレオチドの導入のための方法を含む。いくつかの態様において、刺激された細胞の集団は、例えば、組換え受容体をコードする異種または組換えポリヌクレオチドを導入し、それによって形質転換細胞の集団(本明細書中、形質転換細胞集団とも呼ばれる)を生成するように遺伝子操作される。
【0453】
特定の態様において、細胞は、例えば本明細書中、例えばセクションIII.Aに提供された方法のいずれかによって刺激条件下で刺激、活性化および/またはインキュベートされた後、遺伝子操作、形質転換または形質導入される。特定の態様において、1つまたは複数の刺激された集団は、事前にCD57+ T細胞を枯渇させている、またはCD57+ T細胞から分離されている。
【0454】
ある特定の態様において、遺伝子操作のための方法は、集団の1つまたは複数の細胞を、組換えタンパク質、例えば組換え受容体をコードするポリヌクレオチドと接触させる、またはそのような細胞にそのようなポリヌクレオチドを導入することによって実施される。特定の態様において、核酸分子またはポリヌクレオチドは細胞に対して異種である。特定の態様において、異種ポリヌクレオチドは細胞に対して天然ではない。特定の態様において、異種ポリヌクレオチドは、それが送達される任意のベクター、例えばウイルスベクターに対して天然ではない。特定の態様において、異種ポリヌクレオチドは、細胞によって天然には発現されないタンパク質、例えば組換えタンパク質をコードする。特定の態様において、異種核ポリヌクレオチドは、導入の前には細胞中に見られない核酸配列である、またはそれを含有する。
【0455】
いくつかの態様において、細胞、例えば刺激された細胞は、形質導入アジュバントの存在下、操作される、例えば形質導入される。例示的な形質導入アジュバントとしては、ポリカチオン、フィブロネクチンまたはフィブロネクチン由来断片または変異体およびRetroNectinがあるが、これらに限定されない。特定の態様において、細胞は、ポリカチオン、フィブロネクチンもしくはフィブロネクチン由来断片もしくは変異体および/またはRetroNectinの存在下で操作される。特定の態様において、細胞は、ポリブレン、DEAE-デキストラン、硫酸プロタミン、ポリ-L-リシンまたはカチオン性リポソームであるポリカチオンの存在下で操作される。特定の態様において、細胞は硫酸プロタミンの存在下で操作される。
【0456】
いくつかの態様において、遺伝子操作、例えば形質導入は無血清培地中で実施される。いくつかの態様において、無血清培地は既知組成培地である。特定の態様において、無血清培地は、処理されている、例えば阻害因子および/または成長因子を除去するためにろ過されている制御された培地である。いくつかの態様において、無血清培地はタンパク質を含有する。特定の態様において、無血清培地は、血清アルブミン、加水分解物、成長因子、ホルモン、担体タンパク質および/または接着因子を含有し得る。
【0457】
特定の態様において、細胞は、1つまたは複数のサイトカインの存在下で操作される。特定の態様において、1つまたは複数のサイトカインは組換えサイトカインである。特定の態様において、1つまたは複数のサイトカインはヒト組換えサイトカインである。特定の態様において、1つまたは複数のサイトカインは、T細胞によって発現される、および/またはT細胞に内在性である受容体に結合する、および/または結合することができる。特定の態様において、1つまたは複数のサイトカインは、4-アルファヘリックスバンドルファミリーのサイトカインのメンバーである、またはそれを含む。いくつかの態様において、4-アルファヘリックスバンドルファミリーのサイトカインのメンバーとしては、インターロイキン-2(IL-2)、インターロイキン-4(IL-4)、インターロイキン-7(IL-7)、インターロイキン-9(IL-9)、インターロイキン12(IL-12)、インターロイキン15(IL-15)、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)および顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)があるが、それらに限定されない。いくつかの態様において、1つまたは複数のサイトカインはIL-15である、またはIL-15を含む。特定の態様において、1つまたは複数のサイトカインはIL-7である、またはIL-7を含む。特定の態様において、1つまたは複数のサイトカインは組換えIL-2である、または組換えIL-2を含む。
【0458】
いくつかの態様において、細胞は、刺激中に存在したものと同じまたは類似の培地の存在下で遺伝子操作、形質転換または形質導入される。いくつかの態様において、細胞は、刺激中に存在した培地と同じサイトカインを有する培地中で遺伝子操作、形質転換または形質導入される。特定の態様において、細胞は、刺激中に存在した培地と同じ濃度で同じサイトカインを有する培地中で遺伝子操作、形質転換または形質導入される。
【0459】
いくつかの態様において、細胞は、刺激中に存在したものと同じまたは類似の培地の存在下で遺伝子操作、形質転換または形質導入される。いくつかの態様において、細胞は、刺激中に存在した培地と同じサイトカインを有する培地中で遺伝子操作、形質転換または形質導入される。特定の態様において、細胞は、刺激中に存在した培地と同じサイトカインを同じ濃度で有する培地中で遺伝子操作、形質転換または形質導入される。
【0460】
1. 形質導入
いくつかの態様において、細胞の遺伝子操作は、ポリヌクレオチド、例えば異種ポリヌクレオチドを形質導入によって細胞に導入することである、またはそれを含む。いくつかの態様において、細胞はウイルスベクターを形質導入される。いくつかの態様において、ウイルスは、レトロウイルスベクター、例えばガンマレトロウイルスベクターまたはレンチウイルスベクターである。レンチウイルス形質導入の方法は公知である。例示的な方法が、例えば、Wang et al. (2012) J. Immunother. 35(9): 689-701;Cooper et al. (2003) Blood. 101:1637-1644;Verhoeyen et al. (2009) Methods Mol Biol. 506: 97-114およびCavalieri et al. (2003) Blood. 102(2): 497-505に記載されている。
【0461】
いくつかの態様において、形質導入は、集団の1つまたは複数の細胞を、組換えタンパク質、例えば組換え受容体をコードする核酸分子と接触させることによって実施される。いくつかの態様において、接触は、遠心分離、例えばスピノキュレーション(例えば遠心接種)によって実施することができる。そのような方法は、国際公開公報第2016/073602号に記載されている方法のいずれかを含む。例示的な遠心チャンバとしては、Biosafe SAによって製造販売されているもの、例えばSepax(登録商標)およびSepax(登録商標)2システムとで使用するためのもの、例えばA-200/FおよびA-200遠心チャンバならびにそのようなシステムとで使用するための様々なキットがある。例示的なチャンバ、システムならびに処理機器およびキャビネットは、例えば、米国特許第6,123,655号、米国特許第6,733,433号および米国特許出願公開第2008/0171951号および国際公開公報第00/38762号に記載されている。これらそれぞれの内容が全体として参照により本明細書に組み入れられる。そのようなシステムとで使用するための例示的なキットとしては、BioSafe SAによって製品名CS-430.1、CS-490.1、CS-600.1またはCS-900.2の下で販売されている使い捨てキットがあるが、それらに限定されない。
【0462】
いくつかの態様において、提供される方法は、組換え受容体をコードするポリヌクレオチドを含有するウイルスベクターを、300×106個、約300×106個または300×106個未満の細胞、例えば刺激された細胞集団の生存T細胞に形質導入することと関連して使用される。特定の態様において、100×106個または約100×106個の細胞、例えば刺激された細胞集団の生存T細胞が形質導入される。
【0463】
いくつかの態様において、形質導入は無血清培地中で実施される。いくつかの態様において、形質導入はIL-2、IL-7およびIL-15の存在下で実施される。特定の態様において、細胞、例えば刺激された細胞集団の細胞は、CD4+ T細胞またはCD8+ T細胞である細胞を少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%または少なくとも95%含有する。いくつかの態様において、形質導入は、24~48時間、36~12時間、18~30時間、または24時間もしくは約24時間、実施される。特定の態様において、形質導入工程は、インキュベーション、例えば刺激条件下でのインキュベーションの出発または開始から2日以内、36時間以内または30時間以内に開始される。
【0464】
いくつかの態様では、システムには、本明細書または国際公開番号WO2016/073602に記載されているような遠心チャンバシステムと共にまたはそれに関連して行うことができる1つまたは複数の処理工程など、システム内で実施される形質導入工程および1つまたは複数の様々な他の処理工程の局面を操作、自動化、制御および/またはモニタリングするための装置を含む他の装置が含まれ、および/またはシステムは、それに関連して配置される。いくつかの態様では、この装置は、キャビネット内に含有される。いくつかの態様では、装置は、制御回路を含有するハウジング、遠心分離機、カバー、モータ、ポンプ、センサ、ディスプレイおよびユーザインターフェースを含むキャビネットを含む。例示的なデバイスは、米国特許第6,123,655号、米国特許第6,733,433号および米国特許第2008/0171951号に記載されている。
【0465】
いくつかの態様では、システムは、一連の容器、例えば、バッグ、チューブ、ストップコック、クランプ、コネクタおよび遠心分離チャンバを含む。いくつかの態様では、バッグなどの容器は、同じ容器または別個の容器、例えば、同じバッグまたは別個のバッグ内に、形質導入されるべき細胞とウイルスベクター粒子とを含有する、バッグなどの1つまたは複数の容器を含む。いくつかの態様では、システムはさらに、本方法の間に構成成分および/または集団を希釈、再懸濁および/または洗浄するためにチャンバおよび/または他の構成成分に引き込まれる媒体、例えば、希釈剤および/または洗浄溶液を含有する、バッグなどの1つまたは複数の容器を含む。容器は、システム内の1つまたは複数の位置、例えば、投入ライン、希釈剤ライン、洗浄ライン、廃棄物ラインおよび/または排出ラインに対応する位置に接続することができる。
【0466】
いくつかの態様では、チャンバは、その回転軸の周りなどでチャンバの回転を達成可能である遠心分離機と関連付けられる。回転は、細胞の形質導入に関連するインキュベーションの前、その間および/もしくはその後に、および/または他の処理工程のうちの1つもしくは複数において行われ得る。したがって、いくつかの態様では、様々な処理工程の1つまたは複数が、回転下で、例えば、特定の力で行われる。チャンバは、典型的には垂直方向またはほぼ垂直方向に回転可能であり、その結果、チャンバは遠心分離中に垂直に位置し、側壁および軸は垂直またはほぼ垂直であり、端壁は水平またはほぼ水平である。
【0467】
いくつかの態様では、集団をキャビティに提供する前に、細胞を含有する集団およびウイルスベクター粒子を含有する集団および任意で空気を組み合わせるか混合することができる。いくつかの態様では、細胞を含有する集団およびウイルスベクター粒子を含有する集団および任意で空気を別個に提供し、キャビティ内で組み合わせて混合する。いくつかの態様では、細胞を含有する集団、ウイルスベクター粒子を含有する集団および任意で空気を任意の順序で内部キャビティに提供することができる。そのようないくつかの態様のいずれかにおいて、細胞およびウイルスベクター粒子を含有する集団は、遠心チャンバの内部または外部で組み合わされているまたは混合されているかどうか、かつ/または、細胞およびウイルスベクター粒子が、遠心チャンバに一緒にまたは別個に、例えば同時または連続して提供されるかどうかにかかわらず、一度一緒に組み合わされるかまたは混合されたインプット組成物である。
【0468】
いくつかの態様では、空気などの気体の体積の取り込みは、形質導入法での回転など、細胞およびウイルスベクター粒子をインキュベートする前に行われる。いくつかの態様では、空気などの気体の体積の取り込みは、形質導入法での回転など、細胞およびウイルスベクター粒子のインキュベーションの間に行われる。
【0469】
いくつかの態様では、形質導入集団を構成する細胞またはウイルスベクター粒子の液体体積、および任意で空気の体積は、所定の体積であることができる。体積は、システムに関連する回路にプログラムされた体積および/またはその回路によって制御された体積であることができる。
【0470】
いくつかの態様では、形質導入集団、および任意で空気などの気体の取り込みは、所望または所定の体積がチャンバの内部キャビティに取り込まれるまで、手動、半自動および/または自動で制御される。いくつかの態様では、システムに関連付けられたセンサは、遠心分離チャンバに出入りする液体および/または気体を、その色、流量および/または密度などを介して検出することができ、関連する回路と通信して、そのような所望または所定の体積の取り込みが達成されるまで、必要に応じて取り込みを停止または続行させることができる。いくつかの局面では、気体(例えば、空気)ではなくシステム内の液体のみを検出するようにプログラムされているかそれが可能であるセンサを作製して、取り込みを停止することなく、空気などの気体をシステムに通過させることができる。いくつかのそのような態様では、空気などの気体の取り込みが望まれている間、非透明なチューブ片をセンサ近くのラインに配置することができる。いくつかの態様では、空気などの気体の取り込みを手動で制御することができる。
【0471】
提供される方法の局面では、遠心分離チャンバの内部キャビティが高速回転に供される。いくつかの態様では、回転は、液体インプット組成物および任意で空気の取り込みの前に、それと同時に、それに続いて、またはそれと断続的に達成される。いくつかの態様では、回転は、液体インプット組成物および任意で空気の取り込みに続いて達成される。いくつかの態様では、回転は、内部キャビティの側壁の内面でのおよび/または細胞の表面層での200g、300g、400g、500g、600g、700g、800g、1000g、1100g、1500、1600g、1800g、2000g、2200g、2500g、3000g、3200g、3500gもしくは4000g、または約200g、300g、400g、500g、600g、700g、800g、1000g、1100g、1500、1600g、1800g、2000g、2200g、2500g、3000g、3200g、3500gもしくは4000g、または少なくとも200g、300g、400g、500g、600g、700g、800g、1000g、1100g、1500、1600g、1800g、2000g、2200g、2500g、3000g、3200g、3500gもしくは4000g、または少なくとも約200g、300g、400g、500g、600g、700g、800g、1000g、1100g、1500、1600g、1800g、2000g、2200g、2500g、3000g、3200g、3500gもしくは4000gの相対遠心力での遠心チャンバの遠心分離によるものである。いくつかの態様では、回転は、1200g超もしくは約1200g超、1400g超もしくは約1400g超、1600g超もしくは約1600g超、1800g超もしくは約1800g超、2000g超もしくは約2000g超、2400g超もしくは約2400g超、2800g超もしくは約2800g超、3000g超もしくは約3000g超、または3200g超もしくは約3200g超などによる、1100g超または約1100gである力での遠心分離によるものである。特定の態様では、遠心分離による回転は、600g~800gの間の力での回転である。特定の態様では、遠心分離による回転は、693gまたは約693gの力での回転である。いくつかの態様では、遠心分離による回転は、1600gであるかまたは約1600gである力での回転である。
【0472】
いくつかの態様では、チャンバのキャビティ内の空気などの気体は、チャンバから排出される。いくつかの態様では、空気などの気体は、閉鎖系の一部として遠心チャンバと動作可能に連結された容器に排出される。いくつかの態様では、容器は、空いている、または空の容器である。いくつかの態様では、チャンバのキャビティ内の気体などの空気は、無菌の管路を介してチャンバの内部キャビティに動作可能に接続されたフィルターを通して排出される。いくつかの態様では、空気は、手動、半自動または自動プロセスを使用して排出される。いくつかの態様では、チャンバのキャビティから、インキュベートされた細胞およびウイルスベクター粒子を含有するアウトプット集団、例えば、形質導入が開始された細胞またはウイルスベクターにより形質導入された細胞を圧搾する前に、それと同時に、それと断続的に、またはそれに続いて、チャンバから空気が排出される。
【0473】
いくつかの態様では、形質導入および/または他のインキュベーションは、連続的または半連続的なプロセスとして、またはその一部として実施される。いくつかの態様では、連続的なプロセスは、インキュベーションの少なくとも一部の間、例えば遠心分離しながら、細胞およびウイルスベクター粒子、例えば形質導入組成物の連続的な取り込み(単一の既存の組成物として、または同じ容器、例えばキャビティに連続的に引き込み、それによってその部分を混合することによって)、ならびに/または、液体の連続的な圧搾もしくは排除、および任意で容器からの気体(例えば、空気)の排出を伴う。いくつかの態様では、連続的な取り込みおよび連続的な圧搾は、少なくとも部分的に同時に行われる。いくつかの態様では、連続的な取り込みは、インキュベーションの一部の間に、例えば、遠心分離の一部の間に行われ、連続的な圧搾は、インキュベーションの別の部分の間に行われる。2つは交互に行われ得る。したがって、連続的な取り込みおよび圧搾により、インキュベーションを行いながら、試料のさらに大きな全体積を処理する、例えば形質導入することができる。
【0474】
いくつかの態様では、インキュベーションは、連続的なプロセスの一部であり、本方法は、インキュベーションの少なくとも一部の間に、キャビティへの形質導入組成物の連続的な取り込みをチャンバの回転の間およびインキュベーションの一部の間に達成する工程、液体の連続的な圧搾を達成する工程、および任意で、チャンバの回転の間に、少なくとも1つの開口部を通じてキャビティから気体(例えば、空気)を排出する工程を含む。
【0475】
いくつかの態様では、半連続的なインキュベーションは、キャビティへの組成物の取り込み、インキュベーション、キャビティからの液体の圧搾、および任意で、アウトプット容器などへのキャビティからの気体(例えば、空気)の排出、次いで、さらに多くの細胞および処理のための他の試薬、例えばウイルスベクター粒子を含有する後続の(例えば、第2、第3などの)組成物の取り込み、ならびにプロセスの反復を交互に達成することによって行われる。例えば、いくつかの態様では、インキュベーションは、半連続的なプロセスの一部であり、本方法は、インキュベーションの前に、少なくとも1つの開口部を通じた形質導入組成物のキャビティへの取り込みを達成する工程、インキュベーションに続いて、キャビティからの流体の圧搾を達成する工程;細胞およびウイルスベクター粒子を含む別の形質導入組成物の内部キャビティへの取り込みを達成する工程;ならびに別の形質導入組成物中の細胞がベクターにより形質導入される条件下で、内部キャビティ内で別の形質導入組成物をインキュベートする工程を含む。このプロセスは、いくつかの追加ラウンドにわたり反復的に継続され得る。この点で、半連続的または連続的な方法は、さらに大きな体積および/または数の細胞の産生を可能にし得る。
【0476】
いくつかの態様では、形質導入インキュベーションの一部は、遠心チャンバ内で実施され、回転または遠心分離を含む条件下で実施される。
【0477】
特定の態様では、ウイルスベクターによる細胞の形質導入は、細胞およびウイルス粒子を含有する混合物のスピノキュレーション、例えば、遠心分離であるかそれを含む。いくつかの態様では、細胞およびウイルス粒子を含有する組成物は、一般に、細胞をペレット化するために使用される速度よりも遅い速度、例えば、600rpm~1700rpmまたは約600rpm~1700rpm(例えば、600rpm、1000rpm、もしくは1500rpmもしくは1700rpm、または約600rpm、1000rpm、もしくは1500rpmもしくは1700rpm、または少なくとも600rpm、1000rpm、もしくは1500rpmもしくは1700rpm)などの比較的低い力または速度で回転させることができる。いくつかの態様では、回転は、例えば、チャンバまたはキャビティの内壁または外壁で測定した場合、100g~4000gまたは約100g~4000g(例えば、100g、200g、300g、400g、500g、600g、700g、800g、900g、1000g、1500g、2000g、2500g、3000gもしくは3500g、または約100g、200g、300g、400g、500g、600g、700g、800g、900g、1000g、1500g、2000g、2500g、3000gもしくは3500g、または少なくとも100g、200g、300g、400g、500g、600g、700g、800g、900g、1000g、1500g、2000g、2500g、3000gもしくは3500g、または少なくとも約100g、200g、300g、400g、500g、600g、700g、800g、900g、1000g、1500g、2000g、2500g、3000gもしくは3500g)の力、例えば、相対遠心力で行われる。
【0478】
いくつかの態様では、細胞は、ウイルスベクターと共に、100g~4000g、200g~1,000g、500g~1200g、1000g~2000g、600g~800g、1200g~1800gもしくは1500g~1800gまた約100g~4000g、200g~1,000g、500g~1200g、1000g~2000g、600g~800g、1200g~1800gもしくは1500g~1800gの力、例えば、相対遠心力でスピノキュレートされる。ある特定の態様では、細胞は、ウイルスベクター粒子と共に、100g、200g、300g、400g、500g、600g、700g、800g、900g、1000g、1200g、1500g、1600g、2000g、2500g、3000g、3200gもしくは3500g、少なくとも100g、200g、300g、400g、500g、600g、700g、800g、900g、1000g、1200g、1500g、1600g、2000g、2500g、3000g、3200gもしくは3500g、または約100g、200g、300g、400g、500g、600g、700g、800g、900g、1000g、1200g、1500g、1600g、2000g、2500g、3000g、3200gもしくは3500gでスピノキュレートされる。いくつかの態様では、細胞は、ウイルスベクターにより692gまたは約692gの力で形質導入される。特定の態様では、細胞は、ウイルスベクターにより1600gまたは約1600gの力で形質導入される。いくつかの態様では、力は、内部キャビティの側壁の内面でのおよび/または細胞の表面層での力である。
【0479】
ある特定の態様では、細胞は、スピノキュレートされる、例えば、細胞およびウイルスベクターを含有する細胞組成物は、5分間超または約5分間、例えば、10分間超もしくは約10分間、15分間超もしくは約15分間、20分間超もしくは約20分間、30分間超もしくは約30分間、45分間超もしくは約45分間、60分間超もしくは約60分間、90分間超もしくは約90分間、または120分間超もしくは約120分間;あるいは、5分~120分、30分~90分、15分~60分、15分~45分、30分~60分、もしくは45分~60分、または約5分~120分、30分~90分、15分~60分、15分~45分、30分~60分、もしくは45分~60分(両端の値を含む)にわたり回転される。いくつかの態様では、細胞は、ウイルスベクターと共に30分間または約30分間スピノキュレートされる。ある特定の態様では、細胞は、ウイルスベクターと共に60分間または約60分間スピノキュレートされる。
【0480】
いくつかの態様では、形質導入の方法は、形質導入組成物および任意で空気を、遠心チャンバ内で、5分間超もしくは約5分間、例えば、10分間超もしくは約10分間、15分間超もしくは約15分間、20分間超もしくは約20分間、30分間超もしくは約30分間、45分間超もしくは約45分間、60分間超もしくは約60分間、90分間超もしくは約90分間、または120分間超もしくは約120分間にわたりスピノキュレーション、例えば、回転または遠心分離することを含む。いくつかの態様では、形質導入組成物および任意で空気は、5分を超えるが60分以下、45分以下、30分以下または15分以下にわたり遠心チャンバ内で回転または遠心分離される。特定の態様では、形質導入は、60分間または約60分間にわたり回転または遠心分離することを含む。
【0481】
いくつかの態様では、形質導入の方法は、形質導入組成物および任意で空気を、遠心チャンバ内で、10分~60分、15分~60分、15分~45分、30分~60分、もしくは45分~60分、または約10分~60分、約15分~60分、約15分~45分、約30分~60分、もしくは約45分~60分(両端の値を含む)にわたり、かつ、内部キャビティの側壁の内面でおよび/または細胞の表面層で1000g、1100g、1200g、1400g、1500g、1600g、1800g、2000g、2200g、2400g、2800g、3200gもしくは3600g、約1000g、1100g、1200g、1400g、1500g、1600g、1800g、2000g、2200g、2400g、2800g、3200gもしくは3600g、または1000g、1100g、1200g、1400g、1500g、1600g、1800g、2000g、2200g、2400g、2800g、3200gもしくは3600gの力で回転または遠心分離することを含む。特定の態様では、形質導入の方法は、形質導入組成物、例えば、細胞およびウイルスベクター粒子を、1600gまたは約1600gで60分間または約60分間にわたり回転または遠心分離することを含む。
【0482】
2. ウイルスベクター粒子
いくつかの態様では、組換え核酸は、組換え感染性ウイルス粒子、例えば、シミアンウイルス40(SV40)、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス(AAV)に由来するベクターを使用して細胞に移送される。いくつかの態様では、組換え核酸は、組換えレンチウイルスベクターまたはレトロウイルスベクター、例えばガンマ-レトロウイルスベクターを使用してT細胞に移送される(例えば、Koste et al. (2014) Gene Therapy 2014 Apr 3. doi: 10.1038/gt.2014.25; Carlens et al. (2000) Exp Hematol 28(10): 1137-46; Alonso-Camino et al. (2013) Mol Ther Nucl Acids 2, e93; Park et al., Trends Biotechnol. 2011 November 29(11): 550-557を参照のこと)。
【0483】
いくつかの態様では、レトロウイルスベクター、例えば、モロニーマウス白血病ウイルス(MoMLV)、骨髄増殖性肉腫ウイルス(MPSV)、マウス胚性幹細胞ウイルス(MESV)、マウス幹細胞ウイルス(MSCV)または脾フォーカス形成ウイルス(SFFV)に由来するレトロウイルスベクターは、長末端反復配列(LTR)を有する。ほとんどのレトロウイルスベクターは、マウスレトロウイルスに由来する。いくつかの態様では、レトロウイルスは、任意の鳥類または哺乳類の細胞源に由来するものを含む。レトロウイルスは、典型的には両種指向性であり、これは、ヒトを含む数種の宿主細胞に感染可能であることを意味する。一態様では、発現されるべき遺伝子は、レトロウイルスのgag、polおよび/またはenv配列と置き換わる。多数の例示的なレトロウイルス系が記載されている(例えば、米国特許第5,219,740号;第6,207,453号;第5,219,740号;Miller and Rosman (1989) Bio Techniques 7:980-990;Miller, A. D. (1990) Human Gene Therapy 1:5-14;Scarpa et al. (1991) Virology 180:849-852;Burns et al. (1993) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:8033-8037;およびBoris-Lawrie and Temin (1993) Cur. Opin. Genet. Develop. 3:102-109)。
【0484】
ウイルスベクターゲノムは、典型的には、パッケージング細胞株または産生細胞株にトランスフェクトできるプラスミドの形態で構築される。そのような例のいずれでも、組換え受容体などの組換えタンパク質をコードする核酸は、一般にウイルスゲノムの非必須領域などのウイルスベクターの領域に挿入または配置される。いくつかの態様では、核酸は、ある特定のウイルス配列の代わりにウイルスゲノムに挿入されて、複製欠損であるウイルスを産生する。
【0485】
多種多様な公知の方法のいずれかを使用して、ゲノムがウイルスベクターゲノムのRNAコピーを含有するレトロウイルス粒子を産生することができる。いくつかの態様では、少なくとも2つの成分(第1に、構造タンパク質と、ウイルスベクター粒子を生成するのに必要な酵素とを包含するパッケージングプラスミド、第2に、ウイルスベクターそれ自体、すなわち、導入されるべき遺伝物質)がウイルスベースの遺伝子送達系の作製に関与する。これらの成分の一方または両方の設計に、バイオセーフティのためのセーフガードを導入することができる。
【0486】
いくつかの態様では、パッケージングプラスミドは、エンベロープタンパク質以外のHIV-1などのあらゆるレトロウイルスタンパク質を含有することができる(Naldini et al., 1998)。他の態様では、ウイルスベクターは、病原性に関連するものなどの追加のウイルス遺伝子、例えば、HIVの一次トランスアクチベーターであるvpr、vif、vpuおよびnef、ならびに/またはTatを欠損し得る。いくつかの態様では、HIVベースのレンチウイルスベクターなどのレンチウイルスベクターは、親ウイルスの3つの遺伝子、gag、polおよびrevのみを含み、これにより、組換えによる野生型ウイルスの再構成の可能性が減少するか排除される。
【0487】
いくつかの態様では、ウイルスベクターゲノムは、ウイルスベクターゲノムから転写されたウイルスゲノムRNAをウイルス粒子にパッケージングするのに必要なあらゆる成分を含有するパッケージング細胞株に導入される。あるいは、ウイルスベクターゲノムは、関心対象の1つまたは複数の配列、例えば組換え核酸に加えて、ウイルス成分をコードする1つまたは複数の遺伝子を含み得る。ただし、いくつかの局面では、標的細胞内でのゲノムの複製を防ぐために、複製に必要な内因性ウイルス遺伝子が除去され、パッケージング細胞株に別個に提供される。
【0488】
いくつかの態様では、パッケージング細胞株は、粒子を生成するために必要な成分を含有する1つまたは複数のプラスミドベクターによりトランスフェクトされる。いくつかの態様では、パッケージング細胞株は、LTR、シス作用パッケージング配列および関心対象の配列、すなわちCARなどの抗原受容体をコードする核酸を含む、ウイルスベクターゲノムを含有するプラスミドと;Gag、polおよび/またはrevなどのウイルスの酵素的および/または構造的成分をコードする1つまたは複数のヘルパープラスミドによりトランスフェクトされる。いくつかの態様では、レトロウイルスベクター粒子を生成する様々な遺伝的成分を分離するために複数のベクターが利用される。いくつかのそのような態様では、パッケージング細胞に別個のベクターを提供することにより、普通なら複製能力のあるウイルスを生成する可能性がある組換え事象の可能性が減少する。いくつかの態様では、あらゆるレトロウイルス成分を有する単一のプラスミドベクターを使用することができる。
【0489】
いくつかの態様では、レンチウイルスベクター粒子などのレトロウイルスベクター粒子は、宿主細胞の形質導入効率を高めるために偽型化される。例えば、いくつかの態様では、レンチウイルスベクター粒子などのレトロウイルスベクター粒子は、VSV-G糖タンパク質を用いて偽型化され、これにより、広い細胞宿主範囲が提供され、形質導入できる細胞タイプを拡大する。いくつかの態様では、パッケージング細胞株は、例えば、シンドビスウイルスエンベロープ、GALVまたはVSV-Gなどの異種指向性、ポリトロピックまたは両種指向性のエンベロープを含むように、非天然エンベロープ糖タンパク質をコードするプラスミドまたはポリヌクレオチドによりトランスフェクトされる。
【0490】
いくつかの態様では、パッケージング細胞株は、ウイルスゲノムRNAをレンチウイルスベクター粒子にパッケージングするためにトランスで必要とされる、ウイルス調節タンパク質および構造タンパク質を含む成分を提供する。いくつかの態様では、パッケージング細胞株は、レンチウイルスタンパク質を発現して機能的なレンチウイルスベクター粒子を産生することができる、任意の細胞株であり得る。いくつかの局面では、好適なパッケージング細胞株は、293細胞(ATCC CCL X)、293T細胞、HeLA細胞(ATCC CCL 2)、D17細胞(ATCC CCL 183)、MDCK細胞(ATCC CCL 34)、BHK細胞(ATCC CCL-10)およびCf2Th細胞(ATCC CRL 1430)を含む。
【0491】
いくつかの態様では、パッケージング細胞株は、ウイルスタンパク質を安定に発現する。例えば、いくつかの局面では、gag、pol、revおよび/または他の構造遺伝子を含有するが、LTRおよびパッケージング成分を含まないパッケージング細胞株を構築することができる。いくつかの態様では、パッケージング細胞株は、異種タンパク質をコードする核酸分子および/またはエンベロープ糖タンパク質をコードする核酸を含有するウイルスベクターゲノムと共に、1つまたは複数のウイルスタンパク質をコードする核酸分子により一過性にトランスフェクトされ得る。
【0492】
いくつかの態様では、ウイルスベクターおよびパッケージングプラスミドおよび/またはヘルパープラスミドは、トランスフェクションまたは感染を介してパッケージング細胞株に導入される。パッケージング細胞株は、ウイルスベクターゲノムを含有するウイルスベクター粒子を産生する。トランスフェクションまたは感染のための方法は周知である。非限定的な例は、リン酸カルシウム、DEAE-デキストランおよびリポフェクション法、エレクトロポレーションおよびマイクロインジェクションを含む。
【0493】
組換えプラスミドならびにレトロウイルスLTRおよびパッケージング配列を特別な細胞株に(例えば、リン酸カルシウム沈殿によって)導入すると、パッケージング配列は、組換えプラスミドのRNA転写物をウイルス粒子にパッケージングすることを可能にし得、その後、これが培養培地に分泌され得る。次いで、いくつかの態様では、組換えレトロウイルスを含有する培地を収集し、任意で濃縮し、遺伝子導入に使用する。例えば、いくつかの局面では、パッケージング細胞株へのパッケージングプラスミドおよび導入ベクターのコトランスフェクションの後、ウイルスベクター粒子が培養培地から回収され、当業者が使用している標準的な方法によって滴定される。
【0494】
いくつかの態様では、レンチウイルスベクターなどのレトロウイルスベクターは、レンチウイルス粒子の生成を可能にするプラスミドの導入により、例示的なHEK 293T細胞株などのパッケージング細胞株内で産生させることができる。いくつかの態様では、パッケージング細胞は、gagおよびpolをコードするポリヌクレオチドにより、ならびに抗原受容体(例えば、CAR)などの組換え受容体をコードするポリヌクレオチドによりトランスフェクトされ、かつ/または、前記ポリヌクレオチドを含有する。いくつかの態様では、パッケージング細胞株は、revタンパク質をコードするポリヌクレオチドにより任意でおよび/または追加でトランスフェクトされ、かつ/または、前記ポリヌクレオチドを含有する。いくつかの態様では、パッケージング細胞株は、VSV-Gなどの非天然エンベロープ糖タンパク質をコードするポリヌクレオチドにより任意でおよび/または追加でトランスフェクトされ、かつ/または、前記ポリヌクレオチドを含有する。いくつかのそのような態様では、細胞、例えばHEK 293T細胞のトランスフェクションの約2日後、細胞上清は、組換えレンチウイルスベクターを含有し、これを回収し、滴定することができる。
【0495】
回収および/または産生されたレトロウイルスベクター粒子を使用し、記載されるような方法を使用して標的細胞を形質導入することができる。標的細胞に入ると、ウイルスRNAは逆転写され、核に輸送され、宿主ゲノムに安定して組み込まれる。ウイルスRNAの組み込みの1日後または2日後に、組換えタンパク質、例えば、CARなどの抗原受容体の発現を検出することができる。
【0496】
3. ウイルスベクターとのインキュベーション
特定の態様において、細胞の形質転換または形質導入は、例えばウイルスベクターの存在下で細胞をインキュベートする1つまたは複数の工程である、またはそれらを含む。いくつかの態様において、細胞、例えば形質転換された細胞集団の細胞は、細胞を遺伝子操作、形質転換、形質導入またはトランスフェクトした後、インキュベートされる。
【0497】
ある特定の態様において、インキュベーションは、静的条件下、例えば遠心分離、振とう、回転、揺動または灌流、例えば培地の連続的または半連続的灌流を含まない条件下で実施される。いくつかの態様において、インキュベーションの開始前または開始後まもなく、例えば5、15または30分以内に、細胞は、容器、例えばバッグまたはバイアルに移され(例えば無菌条件下で移され)、インキュベーターに入れられる。
【0498】
いくつかの態様において、インキュベーションは無血清培地中で実施される。いくつかの態様において、無血清培地は既知組成培地である。特定の態様において、無血清培地は、処理されている、例えば阻害因子および/または成長因子を除去するためにろ過されている制御された培地である。いくつかの態様において、無血清培地はタンパク質を含有する。特定の態様において、無血清培地は、血清アルブミン、加水分解物、成長因子、ホルモン、担体タンパク質および/または接着因子を含有し得る。
【0499】
条件は、特定の培地、温度、酸素含量、二酸化炭素含量、時間、作用物質、例えば栄養素、アミノ酸、抗生物質、イオンおよび/または刺激因子、例えばサイトカイン、ケモカイン、抗原、結合パートナー、融合タンパク質、組換え可溶性受容体および細胞を活性化するように設計された任意の他の作用物質の1つまたは複数を含むことができる。
【0500】
いくつかの態様において、インキュベーションの少なくとも一部分は、例えば、国際公開公報第2016/073602号に記載されているように、遠心チャンバの内部キャビティ中、例えば遠心回転下で実施される。
【0501】
いくつかの態様において、細胞および任意で異種または組換えポリペプチド、例えばウイルスベクターは、インキュベーションのための容器の中に移される。いくつかの態様において、容器はバイアルである。特定の態様において、容器はバッグである。いくつかの態様において、細胞および任意で異種または組換えポリペプチドは、密閉または無菌条件下で容器の中に移される。いくつかの態様において、容器、例えばバイアルまたはバッグは、その後、インキュベーションの全部または一部分の間、インキュベーターに入れられる。特定の態様において、インキュベーターは、16℃、約16℃もしくは少なくとも16℃、24℃、約24℃もしくは少なくとも24℃または35℃、約35℃もしくは少なくとも35℃にセットされる。いくつかの態様において、インキュベーターは、37℃、約37℃または37℃±2℃、±1℃、±0.5℃もしくは±0.1℃にセットされる。
【0502】
特定の態様において、細胞は、1つまたは複数のサイトカインの存在下でインキュベートされる。特定の態様において、1つまたは複数のサイトカインは組換えサイトカインである。特定の態様において、1つまたは複数のサイトカインはヒト組換えサイトカインである。特定の態様において、1つまたは複数のサイトカインは、T細胞によって発現される、および/またはT細胞に内在性である受容体に結合する、および/または結合することができる。特定の態様において、1つまたは複数のサイトカインは、4-アルファヘリックスバンドルファミリーのサイトカインのメンバーである、またはそれを含む。いくつかの態様において、4-アルファヘリックスバンドルファミリーのサイトカインのメンバーとしては、インターロイキン-2(IL-2)、インターロイキン-4(IL-4)、インターロイキン-7(IL-7)、インターロイキン-9(IL-9)、インターロイキン12(IL-12)、インターロイキン15(IL-15)、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)および顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)があるが、それらに限定されない。いくつかの態様において、1つまたは複数のサイトカインはIL-15である、またはIL-15を含む。特定の態様において、1つまたは複数のサイトカインはIL-7である、またはIL-7を含む。特定の態様において、1つまたは複数のサイトカインは組換えIL-2である、または組換えIL-2を含む。
【0503】
いくつかの態様において、細胞は、組換えサイトカインの非存在下でインキュベートされる。
【0504】
いくつかの態様において、インキュベーションの全部または一部分は基礎培地中で実施される。いくつかの態様において、基礎培地は平衡塩類溶液(例えばPBS、DPBS、HBSS、EBSS)である。いくつかの態様において、基礎培地は、ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)、最小必須培地(MEM)、イーグル基礎培地(BME)、F-10、F-12、RPMI-1640、グラスゴー最小必須培地(GMEM)、アルファ最小必須培地(アルファMEM)、イスコーブ改変ダルベッコ培地およびM199から選択される。いくつかの態様において、基礎培地は複合培地(例えばRPMI-1640、IMDM)である。いくつかの態様において、基礎培地はOpTmizer(商標)CTS(商標)T-Cell Expansion Basal Medium(ThermoFisher)である。
【0505】
いくつかの態様において、基礎培地は、無機塩、糖、アミノ酸ならびに任意でビタミン、有機酸および/またはバッファーもしくは他の周知の細胞培養栄養素の混合物を含有する。栄養素に加えて、培地はpHおよび浸透圧を維持するのにも役立つ。いくつかの局面において、基礎培地の試薬は、細胞成長、増殖および/または拡大増殖を支持する。多種多様な市販の基礎培地が当業者に周知であり、ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)、ロズウェルパーク記念研究所培地(RPMI)、イスコーブ改変ダルベッコ培地およびハム培地がある。いくつかの態様において、基礎培地はイスコーブ改変ダルベッコ培地、RPMI-1640またはα-MEMである。
【0506】
ある特定の態様において、基礎培地はさらなる添加物を補充される。いくつかの態様において、基礎培地はさらなる添加物を補充されない。細胞培地への添加物としては、栄養素、糖、例えばブドウ糖、アミノ酸、ビタミンまたはATPおよびNADHなどの添加物があるが、これらに限定されない。
【0507】
いくつかの態様において、細胞は、異種ポリヌクレオチド、例えばウイルスベクターとともにインキュベートされる。ある特定の態様において、細胞は、ポリヌクレオチド、例えばウイルスベクターとともに、18時間、約18時間もしくは少なくとも18時間、24時間、約24時間もしくは少なくとも24時間、30時間、約30時間もしくは少なくとも30時間、36時間、約36時間もしくは少なくとも36時間、40時間、約40時間もしくは少なくとも40時間、48時間、約48時間もしくは少なくとも48時間、54時間、約54時間もしくは少なくとも54時間、60時間、約60時間もしくは少なくとも60時間、72時間、約72時間もしくは少なくとも72時間、84時間、約84時間もしくは少なくとも84時間、96時間、約96時間もしくは少なくとも96時間または96時間を超える期間、インキュベートされる。特定の態様において、総インキュベーション期間は、12時間、約12時間もしくは少なくとも12時間、18時間、約18時間もしくは少なくとも18時間、24時間、約24時間もしくは少なくとも24時間、30時間、約30時間もしくは少なくとも30時間、36時間、約36時間もしくは少なくとも36時間、42時間、約42時間もしくは少なくとも42時間、48時間、約48時間もしくは少なくとも48時間、54時間、約54時間もしくは少なくとも54時間、60時間、約60時間もしくは少なくとも60時間、72時間、約72時間もしくは少なくとも72時間、84時間、約84時間もしくは少なくとも84時間、96時間、約96時間もしくは少なくとも96時間、108時間、約108時間もしくは少なくとも108時間または120時間、約120時間もしくは少なくとも120時間である。特定の態様において、インキュベーションは、120時間、約120時間もしくは120時間以内、108時間、約108時間もしくは108時間以内、96時間、約96時間もしくは96時間以内、84時間、約84時間もしくは84時間以内、72時間、約72時間もしくは72時間以内、60時間、約60時間もしくは60時間以内、54時間、約54時間もしくは54時間以内、48時間、約48時間もしくは48時間以内、42時間、約42時間もしくは42時間以内、36時間、約36時間もしくは36時間以内、30時間、約30時間もしくは30時間以内、24時間、約24時間もしくは24時間以内、18時間、約18時間もしくは18時間以内または12時間、約12時間もしくは12時間以内に完了する。いくつかの態様において、総インキュベーション期間は、12時間~120時間もしくは約12時間~120時間、18時間~96時間もしくは約18時間~96時間、24時間~72時間もしくは約24時間~72時間または24時間~48時間もしくは約24時間~48時間である。いくつかの態様において、総インキュベーション期間は、1時間~48時間もしくは約1時間~48時間、4時間~36時間もしくは約4時間~36時間、8時間~30時間もしくは約8時間~30時間または12時間~24時間もしくは約12時間~24時間(両端の値を含む)である。
【0508】
C. 培養
特定の態様において、本明細書に提供される操作されたT細胞の組成物を生成するプロセスは、例えば異種ポリヌクレオチドを細胞に導入した後、任意の培養工程または細胞がインビトロで拡大増殖もしくは増殖を受ける工程と関連して実施される。いくつかの態様において、提供される方法は、細胞を培養する、例えば、増殖または拡大増殖を促進する条件下で細胞を培養するための1つまたは複数の工程を含む。いくつかの態様において、細胞は、遺伝子操作する、例えば組換えポリペプチドを形質導入またはトランスフェクションによって細胞に導入する工程の後、増殖または拡大増殖を促進する条件下で培養される。特定の態様において、細胞は、刺激条件下でインキュベートされ、組換えポリヌクレオチド、例えば組換え受容体をコードするポリヌクレオチドを形質導入またはトランスフェクトされた後、培養される。したがって、いくつかの局面において、濃縮されたT細胞の形質転換集団の細胞が培養される。特定の態様において、1つまたは複数の形質転換集団は、事前にCD57+ T細胞を枯渇させている、またはそれから分離されている。
【0509】
いくつかの態様において、本明細書に提供される操作されたT細胞の組成物を生成するプロセスは、異種ポリヌクレオチドを細胞に導入した後、培養工程または細胞がインビトロで拡大増殖もしくは増殖を受ける工程を必要としない。いくつかの態様において、操作された細胞組成物を生成または製造するプロセスまたは方法は、例えば、治療用組成物中の操作された細胞の数を拡大するための培養工程を含まない。
【0510】
ある特定の態様において、操作されたT細胞の1つまたは複数の集団は、濃縮されたT細胞の2つの別々の集団である、またはそれらを含む。特定の態様において、濃縮されたT細胞の2つの別々の集団、例えば、同じ生物学的試料から選択、単離および/または濃縮された濃縮されたT細胞の2つの別々の集団が刺激条件下で別々に培養される。特定の態様において、2つの別々の集団は、濃縮されたCD4+ T細胞、例えば濃縮されたCD57-CD4+ T細胞の集団を含む。特定の態様において、2つの別々の集団は、濃縮されたCD8+ T細胞、例えば濃縮されたCD57-CD8+ T細胞の集団を含む。いくつかの態様において、濃縮されたCD4+ T細胞および濃縮されたCD8+ T細胞の2つの別々の集団、例えば濃縮されたCD57-CD4+ T細胞および濃縮されたCD57-CD8+ T細胞の2つの別々の集団が、増殖および/または拡大増殖を促進する条件下で別々に培養される。いくつかの態様において、濃縮されたT細胞の単一の集団、例えばCD57-CD4+ T細胞およびCD57-CD8+ T細胞を含む、または含有する単一の集団が培養される。特定の態様において、単一の集団は、濃縮されたCD4+ T細胞の集団である。いくつかの態様において、単一の集団は、培養の前に別々の集団から合わされた濃縮されたCD4+およびCD8+ T細胞の集団である。
【0511】
いくつかの態様において、例えば増殖および/または拡大増殖を促進する条件下で培養される濃縮されたCD4+ T細胞(例えばCD57-CD4+ T細胞)の集団は、CD4+ T細胞(例えばCD57-CD4+ T細胞)を少なくとも60%もしくは少なくとも約60%、少なくとも65%もしくは少なくとも約65%、少なくとも70%もしくは少なくとも約70%、少なくとも75%もしくは少なくとも約75%、少なくとも80%もしくは少なくとも約80%、少なくとも85%もしくは少なくとも約85%、少なくとも90%もしくは少なくとも約90%、少なくとも95%もしくは少なくとも約95%、少なくとも98%もしくは少なくとも約98%、少なくとも99%もしくは少なくとも約99%、少なくとも99.5%もしくは少なくとも約99.5%、少なくとも99.9%もしくは少なくとも約99.9%または100%もしくは約100%含む。いくつかの態様において、集団は、組換え受容体を発現する、および/または組換えポリヌクレオチドを形質導入もしくはトランスフェクトされたCD4+ T細胞(例えばCD57-CD4+ T細胞)を少なくとも30%もしくは少なくとも約30%、少なくとも40%もしくは少なくとも約40%、少なくとも50%もしくは少なくとも約50%、少なくとも60%もしくは少なくとも約60%、少なくとも70%もしくは少なくとも約70%、少なくとも80%もしくは少なくとも約80%、少なくとも90%もしくは少なくとも約90%、少なくとも95%もしくは少なくとも約95%、少なくとも98%もしくは少なくとも約98%、少なくとも99%もしくは少なくとも約99%、少なくとも99.5%もしくは少なくとも約99.5%、少なくとも99.9%もしくは少なくとも約99.9%または100%もしくは約100%含む。特定の態様において、培養される濃縮されたCD4+ T細胞(例えばCD57-CD4+ T細胞)の集団は、CD8+ T細胞を40%もしく約40%未満、35%もしくは約35%未満、30%もしくは約30%未満、25%もしくは約25%未満、20%もしくは約20未満、15%もしくは約15%未満、10%もしくは約10%未満、5%もしくは約5%未満、1%もしくは約1%未満、0.1%もしくは約0.1%未満または0.01%もしくは約0.01未満しか含まない、および/またはCD8+ T細胞を含有しない、および/またはCD8+ T細胞を含まない、もしくは実質的に含まない。
【0512】
いくつかの態様において、例えば増殖および/または拡大増殖を促進する条件下で培養される濃縮されたCD8+ T細胞の集団は、CD8+ T細胞(例えばCD57-CD8+ T細胞)を少なくとも60%もしくは少なくとも約60%、少なくとも65%もしくは少なくとも約65%、少なくとも70%もしくは少なくとも約70%、少なくとも75%もしくは少なくとも約75%、少なくとも80%もしくは少なくとも約80%、少なくとも85%もしくは少なくとも約85%、少なくとも90%もしくは少なくとも約90%、少なくとも95%もしくは少なくとも約95%、少なくとも98%もしくは少なくとも約98%、少なくとも99%もしくは少なくとも約99%、少なくとも99.5%もしくは少なくとも約99.5%、少なくとも99.9%もしくは少なくとも約99.9%または100%もしくは約100%含む。特定の態様において、集団は、組換え受容体を発現する、および/または組換えポリヌクレオチドを形質導入もしくはトランスフェクトされたCD8+ T細胞(例えばCD57-CD8+ T細胞)を少なくとも30%もしくは少なくとも約30%、少なくとも40%もしくは少なくとも約40%、少なくとも50%もしくは少なくとも約50%、少なくとも60%もしくは少なくとも約60%、少なくとも70%もしくは少なくとも約70%、少なくとも80%もしくは少なくとも約80%、少なくとも90%もしくは少なくとも約90%、少なくとも95%もしくは少なくとも約95%、少なくとも98%もしくは少なくとも約98%、少なくとも99%もしくは少なくとも約99%、少なくとも99.5%もしくは少なくとも約99.5%、少なくとも99.9%もしくは少なくとも約99.9%または100%もしくは約100%含む。特定の態様において、刺激条件下で培養される濃縮されたCD8+ T細胞の集団は、CD4+ T細胞を40%もしく約40%未満、35%もしくは約35%未満、30%もしくは約30%未満、25%もしくは約25%未満、20%もしくは約20未満、15%もしくは約15%未満、10%もしくは約10%未満、5%もしくは約5%未満、1%もしくは約1%未満、0.1%もしくは約0.1%未満または0.01%もしくは約0.01未満しか含まない、および/またはCD4+ T細胞を含有しない、および/またはCD4+ T細胞を含まない、もしくは実質的に含まない。
【0513】
いくつかの態様において、培養は、初代免疫細胞、例えばヒトTリンパ球の成長に適した温度、例えば少なくとも25℃もしくは少なくとも約25℃、一般に少なくとも30℃もしくは少なくとも約30℃および一般に37℃もしくは約37℃を含む条件下で実施される。いくつかの態様において、濃縮されたT細胞の集団は、25~38℃、例えば30~37℃、例えば37℃±2℃もしくは約37℃±2℃の温度でインキュベートされる。いくつかの態様において、インキュベーションは、培養、例えば培養(cultivation)または拡大増殖が細胞の所望のまたは閾値の密度、濃度、数または用量を生じさせるまでの期間、実施される。いくつかの態様において、培養は、24時間超もしくは約24時間超または約24時間もしくは24時間、48時間超もしくは約48時間超または約48時間もしくは48時間、72時間超もしくは約72時間超または約72時間もしくは72時間、96時間超もしくは約96時間超または約96時間もしくは96時間、5日超もしくは約5日超または約5日もしくは5日、6日超もしくは約6日超または約6日もしくは6日、7日超もしくは約7日超または約7日もしくは7日、8日超もしくは約8日超または約8日もしくは8日、9日超もしくは約9日超または約9日もしくは9日の期間、またはそれ以上である。
【0514】
いくつかの態様において、細胞は、培養の開始時における細胞の量、濃度または密度と比べて少なくとも50%、少なくとも60%もしくは少なくとも約60%、少なくとも70%もしくは少なくとも約70%、少なくとも80%もしくは少なくとも約80%、少なくとも90%もしくは少なくとも約90%、少なくとも95%もしくは少なくとも約95%、少なくとも100%もしくは少なくとも約100%、少なくとも150%もしくは少なくとも約150%、少なくとも1倍もしくは少なくとも約1倍、少なくとも2倍もしくは少なくとも約2倍、少なくとも3倍もしくは少なくとも約3倍、少なくとも4倍もしくは少なくとも約4倍、少なくとも5倍もしくは少なくとも約5倍、少なくとも10倍もしくは少なくとも約10倍、少なくとも20倍もしくは少なくとも約20倍、少なくとも50倍もしくは少なくとも約50倍の大きさである量、濃度または密度である拡大増殖閾値を達成するために培養される。
【0515】
実施例に記載するように、集団倍加の数は、治療用T細胞組成物(例えばアウトプット組成物)で治療された患者における無増悪生存期間の確率と逆相関する。したがって、いくつかの態様において、集団倍加の数は1、2、3、4、5、6、8、9または10集団倍加以下である。いくつかの態様において、集団倍加の数は1、2、3、4、5または6集団倍加以下である。いくつかの態様において、ナイーブ様および/またはセントラルメモリーT細胞を少なくとも55%もしくは少なくとも約55%、少なくとも60%もしくは少なくとも約60%、少なくとも65%もしくは少なくとも約65%、少なくとも70%もしくは少なくとも約70%、少なくとも75%もしくは少なくとも約75%、少なくとも80%もしくは少なくとも約80%、少なくとも85%もしくは少なくとも約85%、少なくとも90%もしくは少なくとも約90%、少なくとも91%もしくは少なくとも約91%、少なくとも92%もしくは少なくとも約92%、少なくとも93%もしくは少なくとも約93%、少なくとも94%もしくは少なくとも約94%、少なくとも95%もしくは少なくとも約95%、少なくとも96%もしくは少なくとも約96%、少なくとも97%もしくは少なくとも約97%、少なくとも98%もしくは少なくとも約98%または少なくとも99%もしくは少なくとも約99%含むT細胞組成物(例えば操作されたCD4+、CD+8 T細胞)を拡大増殖させることによって集団倍加数の減少(例えば6以下)が達成される。いくつかの態様において、CD57+ T細胞を45%、40%、35%、30%、25%、20%、15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%または1%以下しか含まないT細胞組成物(例えば操作されたCD4+、CD+8 T細胞)を拡大増殖させることによって集団倍加数の減少(例えば6以下)が達成される。いくつかの態様において、0.05×10^6個/mL、0.1×10^6個/mL、0.15×10^6個/mL、0.2×10^6個/mL、0.25×10^6個/mL、0.3×10^6個/mL、0.35×10^6個/mL、0.4×10^6個/mL、0.45×10^6個/mLよりも高い播種密度を使用することによって集団倍加数の減少(例えば6以下)が達成される。
【0516】
条件は、特定の培地、温度、酸素含量、二酸化炭素含量、時間、作用物質、例えば栄養素、アミノ酸、抗生物質、イオンおよび/または刺激因子、例えばサイトカイン、ケモカイン、抗原、結合パートナー、融合タンパク質、組換え可溶性受容体および細胞を活性化するように設計された任意の他の作用物質の1つまたは複数を含むことができる。
【0517】
特定の態様において、濃縮されたT細胞の組成物は1つまたは複数のサイトカインの存在下で培養される。特定の態様において、1つまたは複数のサイトカインは組換えサイトカインである。特定の態様において、1つまたは複数のサイトカインはヒト組換えサイトカインである。特定の態様において、1つまたは複数のサイトカインは、T細胞によって発現される、および/またはT細胞に内在性である受容体に結合する、および/または結合することができる。特定の態様において、1つまたは複数のサイトカインは、4-アルファヘリックスバンドルファミリーのサイトカインのメンバーである、またはそれを含む。いくつかの態様において、4-アルファヘリックスバンドルファミリーのサイトカインのメンバーとしては、インターロイキン-2(IL-2)、インターロイキン-4(IL-4)、インターロイキン-7(IL-7)、インターロイキン-9(IL-9)、インターロイキン12(IL-12)、インターロイキン15(IL-15)、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)および顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)があるが、それらに限定されない。いくつかの態様において、1つまたは複数のサイトカインはIL-15である、またはIL-15を含む。特定の態様において、1つまたは複数のサイトカインはIL-7である、またはIL-7を含む。特定の態様において、1つまたは複数のサイトカインは組換えIL-2である、または組換えIL-2を含む。
【0518】
いくつかの局面において、インキュベーションは、Riddellらへの米国特許第6,040,177号、Klebanoff et al. (2012) J Immunother. 35(9): 651-660、Terakura et al. (2012) Blood.1:72-82および/またはWang et al. (2012) J Immunother. 35(9):689-701に記載されているものなどの技術にしたがって実施される。
【0519】
いくつかの態様において、培養の少なくとも一部分は、例えば国際公開公報第2016/073602号に記載されているように、遠心チャンバの内部キャビティ中、例えば遠心回転下で実施される。いくつかの態様において、遠心チャンバ中で実施されるインキュベーションの少なくとも一部分は、刺激および/または活性化を誘導するための試薬との混合を含む。いくつかの態様において、細胞、例えば選択された細胞が遠心チャンバ中で刺激条件または刺激物質と混合される。そのようなプロセスのいくつか局面において、一定量の細胞が、細胞培養プレートまたは他のシステム中で類似の刺激を実施するとき通常に用いられるよりもはるかに少ない量の1つまたは複数の刺激条件または物質と混合される。
【0520】
いくつかの態様において、インキュベーションは、例えば、10mL~2,000mL、例えば少なくとも10mLもしくは約少なくとも10mLもしくは約10mLもしくは10mL、少なくとも20mLもしくは約少なくとも20mLもしくは約20mLもしくは20mL、少なくとも30mLもしくは約少なくとも30mLもしくは約30mLもしくは30mL、少なくとも40mLもしくは約少なくとも40mLもしくは約40mLもしくは40mL、少なくとも50mLもしくは約少なくとも50mLもしくは約50mLもしくは50mL、少なくとも60mLもしくは約少なくとも60mLもしくは約60mLもしくは60mL、少なくとも70mLもしくは約少なくとも70mLもしくは約70mLもしくは70mL、少なくとも80mLもしくは約少なくとも80mLもしくは約80mLもしくは80mL、少なくとも90mLもしくは約少なくとも90mLもしくは約90mLもしくは90mL、少なくとも100mLもしくは約少なくとも100mLもしくは約100mLもしくは100mL、少なくとも150mLもしくは約少なくとも150mLもしくは約150mLもしくは150mL、少なくとも200mLもしくは約少なくとも200mLもしくは約200mLもしくは200mL、少なくとも300mLもしくは約少なくとも300mLもしくは約300mLもしくは300mL、少なくとも400mLもしくは約少なくとも400mLもしくは約400mLもしくは400mL、少なくとも500mLもしくは約少なくとも500mLもしくは約500mLもしくは500mL、少なくとも600mLもしくは約少なくとも600mLもしくは約600mLもしくは600mL、少なくとも700mLもしくは約少なくとも700mLもしくは約700mLもしくは700mL、少なくとも800mLもしくは約少なくとも800mLもしくは約800mLもしくは800mL、少なくとも900mLもしくは約少なくとも900mLもしくは約900mLもしくは900mL、少なくとも1000mLもしくは約少なくとも1000mLもしくは約1000mLもしくは1000mL、少なくとも1200mLもしくは約少なくとも1200mLもしくは約1200mLもしくは1200mL、少なくとも1400mLもしくは約少なくとも1400mLもしくは約1400mLもしくは1400mL、少なくとも1600mLもしくは約少なくとも1600mLもしくは約1600mLもしくは1600mL、少なくとも1800mLもしくは約少なくとも1800mLもしくは約1800mLもしくは1800mL、少なくとも2000mLもしくは約少なくとも2000mLもしくは約2000mLもしくは2000mL、少なくとも2200mLもしくは約少なくとも2200mLもしくは約2200mLもしくは2200mLまたは少なくとも2400mLもしくは約少なくとも2400mLもしくは約2400mLもしくは2400mLの目標量を達成するために、細胞および刺激物質への培養バッファーの添加とともに実施される。いくつかの態様において、インキュベーションバッファーおよび刺激物質は細胞への添加の前に混合される。いくつかの態様において、刺激インキュベーションは、定期的な静かな混合条件で実施され、それが、細胞の刺激および活性化を達成しながらも、エネルギー的に好ましい相互作用の促進を支援し、それにより、より少ない全刺激物質の使用を許すことができる。
【0521】
いくつかの態様において、インキュベーションは一般に、混合条件下、例えば、一般に比較的低い力または速度、例えば細胞をペレット化するために使用される速度よりも低い速度、例えば600rpm~1700rpmまたは約600rpm~1700rpm(例えば、600rpmもしくは約600rpmもしくは少なくとも600rpm、1000rpmもしくは約1000rpmもしくは少なくとも1000rpmまたは1500rpmもしくは約1500rpmもしくは少なくとも1500rpmまたは1700rpmもしくは約1700rpmもしくは少なくとも1700rpm)のスピンの存在下、例えば試料またはチャンバもしくは他の容器の壁におけるRCF80g~100gまたは約80g~100g(例えば80gもしくは約80gもしくは少なくとも80g、85gもしくは約85gもしくは少なくとも85g、90gもしくは約90gもしくは少なくとも90g、95gもしくは約95gもしくは少なくとも95gまたは100gもしくは約100gもしくは少なくとも100g)で実施される。いくつかの態様において、スピンは、そのような低速でのスピンののち休止期間、例えばスピンおよび/または1、2、3、4、5、6、7、8、9または10秒間の休止、例えば約1または2秒間のスピンののち約5、6、7または8秒間の休止の繰り返し間隔を使用して実施される。
【0522】
特定の態様において、培養は閉鎖系中で実施される。特定の態様において、培養は、閉鎖系中、無菌条件下で実施される。特定の態様において、培養は、提供されるシステムの1つまたは複数の工程と同じ閉鎖系中で実施される。いくつかの態様において、濃縮されたT細胞の集団は閉鎖系から取り出され、培養のためのバイオリアクターに入れられる、および/またはそれに接続される。培養に適したバイオリアクターの例は、GE Xuri W25、GE Xuri W5、Sartorius BioSTAT RM 20|50、Finesse SmartRocker Bioreactor SystemsおよびPall XRS Bioreactor Systemsを含むが、それらに限定されない。いくつかの態様において、バイオリアクターは、培養工程の少なくとも一部分中、細胞を灌流および/または混合するために使用される。
【0523】
いくつかの態様において、混合は、揺動および/またはモーショニングである、またはそれらを含む。場合によっては、バイオリアクターは、モーショニングまたは揺動に供することができ、それが、いくつかの局面において、酸素移動を増すことができる。バイオリアクターのモーショニングとしては、バイオリアクターの水平軸に沿う回転、バイオリアクターの垂直軸に沿う回転、バイオリアクターの傾斜した水平軸に沿う揺動またはそれらの任意の組み合わせがあるが、それに限定されない。いくつかの態様において、インキュベーションの少なくとも一部分は揺動とともに実施される。揺動速度および揺動角は、所望のかく拌を達成するように調節され得る。いくつかの態様において、揺動角は、20°、19°、18°、17°、16°、15°、14°、13°、12°、11°、10°、9°、8°、7°、6°、5°、4°、3°、2°または1°である。特定の態様において、揺動角は6~16°である。他の態様において、揺動角は7~16°である。他の態様において、揺動角は8~12°である。いくつかの態様において、揺動速度は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40rpmである。いくつかの態様において、揺動速度は4~12rpm、例えば4~6rpm(両端の値を含む)である。
【0524】
いくつかの態様において、バイオリアクターは、0.01L/分、約0.01L/分もしくは少なくとも0.01L/分、0.05L/分、約0.05L/分もしくは少なくとも0.05L/分、0.1L/分、約0.1L/分もしくは少なくとも0.1L/分、0.2L/分、約0.2L/分もしくは少なくとも0.2L/分、0.3L/分、約0.3L/分もしくは少なくとも0.3L/分、0.4L/分、約0.4L/分もしくは少なくとも0.4L/分、0.5L/分、約0.5L/分もしくは少なくとも0.5L/分、1.0L/分、約1.0L/分もしくは少なくとも1.0L/分、1.5L/分、約1.5L/分もしくは少なくとも1.5L/分または2.0L/分、約2.0L/分もしくは少なくとも2.0L/分または2.0L/分超の一定空気流で37℃または37℃付近の温度および5%または5%付近のC02レベルを維持する。特定の態様において、培養の少なくとも一部分は、灌流、例えば、例えば培養の開始時に対するタイミングおよび/または培養される細胞の密度に依存して290ml/日、580ml/日および/または1160ml/日での灌流とともに実施される。いくつかの態様において、細胞培養拡大増殖の少なくとも一部分は、揺動、例えば5°~10°、例えば6°の角度、一定の揺動速度、例えば5~15RPM、例えば6RMPまたは10RPMの揺動速度での揺動とともに実施される。
【0525】
いくつかの態様において、培養工程の少なくとも一部分は、一定の灌流下、例えば低い一定速度での灌流下で実施される。いくつかの態様において、灌流は、液体、例えば使用済み培地の流出および新鮮な培地の流入である、またはそれらを含む。特定の態様において、灌流は使用済み培地を新鮮な培地で置き換える。いくつかの態様において、培養の少なくとも一部分は、100ml/日もしくは約100ml/日もしくは少なくとも100ml/日、200ml/日もしくは約200ml/日もしくは少なくとも200ml/日、250ml/日もしくは約250ml/日もしくは少なくとも250ml/日、275ml/日もしくは約275ml/日もしくは少なくとも275ml/日、290ml/日もしくは約290ml/日もしくは少なくとも290ml/日、300ml/日もしくは約300ml/日もしくは少なくとも300ml/日、350ml/日もしくは約350ml/日もしくは少なくとも350ml/日、400ml/日もしくは約400ml/日もしくは少なくとも400ml/日、450ml/日もしくは約450ml/日もしくは少なくとも450ml/日、500ml/日もしくは約500ml/日もしくは少なくとも500ml/日、550ml/日もしくは約550ml/日もしくは少なくとも550ml/日、575ml/日もしくは約575ml/日もしくは少なくとも575ml/日、580ml/日もしくは約580ml/日もしくは少なくとも580ml/日、600ml/日もしくは約600ml/日もしくは少なくとも600ml/日、650ml/日もしくは約650ml/日もしくは少なくとも650ml/日、700ml/日もしくは約700ml/日もしくは少なくとも700ml/日、750ml/日もしくは約750ml/日もしくは少なくとも750ml/日、800ml/日もしくは約800ml/日もしくは少なくとも800ml/日、850ml/日もしくは約850ml/日もしくは少なくとも850ml/日、900ml/日もしくは約900ml/日もしくは少なくとも900ml/日、950ml/日もしくは約950ml/日もしくは少なくとも950ml/日、1000ml/日もしくは約1000ml/日もしくは少なくとも1000ml/日、1100ml/日もしくは約1100ml/日もしくは少なくとも1100ml/日、1160ml/日もしくは約1160ml/日もしくは少なくとも1160ml/日、1200ml/日もしくは約1200ml/日もしくは少なくとも1200ml/日、1400ml/日もしくは約1400ml/日もしくは少なくとも1400ml/日、1500ml/日もしくは約1500ml/日もしくは少なくとも1500ml/日、1600ml/日もしくは約1600ml/日もしくは少なくとも1600ml/日、1800ml/日もしくは約1800ml/日もしくは少なくとも1800ml/日、2000ml/日もしくは約2000ml/日もしくは少なくとも2000ml/日、2200ml/日もしくは約2200ml/日もしくは少なくとも2200ml/日または2400ml/日もしくは約2400ml/日もしくは少なくとも2400ml/日の定速での灌流下で実施される。
【0526】
D. 細胞の採取、収集および製剤化
いくつかの態様において、細胞療法および/または操作された細胞を製造、生成または生産するための1つまたは複数の処理工程(例えば、遠心チャンバおよび/または閉鎖系中で実施される)は、細胞の製剤化、例えば、培養、例えば培養(cultivation)および拡大増殖の前または後に提供される形質導入処理工程および/または前記1つまたは複数の他の処理工程から生じる遺伝子操作された細胞の製剤化を含み得る。いくつかの態様において、細胞の製剤化と関連する提供される方法は、形質導入された細胞、例えば上記処理工程を使用して形質導入および/または拡大増殖された細胞を閉鎖系中で処理する工程を含む。
【0527】
いくつかの態様において、刺激試薬は、製剤化の前に細胞から除去および/または分離される。特定の態様において、刺激試薬は、培養の後、細胞から除去および/または分離される。特定の態様において、刺激試薬は、例えば増殖および/または拡大増殖を促進する条件下、培養の後、かつ培養された細胞を製剤化する前に、細胞から除去および/または分離される。特定の態様において、刺激試薬は、本明細書中、例えばセクションIII.A.1に記載されている刺激試薬である。特定の態様において、刺激試薬は、本明細書中、例えばセクションIII.A.2に記載されているように細胞から除去および/または分離される。
【0528】
ある特定の態様において、細胞の培養された集団の細胞は、いくつかの態様において、細胞は、培養中に閾細胞数、密度および/または拡大増殖が達成されたのち0日~10日、0日~5日、2日~7日、0.5日~4日または1日~3日で製剤化される。特定の態様において、細胞は、培養中に閾細胞数、密度および/または拡大増殖が達成されたのち12時間もしくは約12時間で、もしくは12時間以内に、18時間もしくは約18時間で、もしくは18時間以内に、24時間もしくは約24時間で、もしくは24時間以内に、1日もしくは約1日で、もしくは1日以内に、2日もしくは約2日で、もしくは2日以内に、または3日もしくは約3日で、もしくは3日以内に製剤化される。いくつかの態様において、細胞は、培養中に閾細胞数、密度および/または拡大増殖が達成されたのち1日または約1日以内に製剤化される。
【0529】
ある特定の態様では、刺激の開始から細胞を収集、採取または製剤化するまでの時間は、36時間、42時間、48時間、54時間、60時間、72時間、84時間、96時間、108時間もしくは120時間であるか、約36時間、42時間、48時間、54時間、60時間、72時間、84時間、96時間、108時間もしくは120時間であるか、または36時間、42時間、48時間、54時間、60時間、72時間、84時間、96時間、108時間もしくは120時間未満である。ある特定の態様では、刺激の開始から細胞を収集、採取または製剤化するまでの時間は、1.5日、2日、3日、4日もしくは5日であるか、約1.5日、2日、3日、4日もしくは5日であるか、または1.5日、2日、3日、4日もしくは5日未満である。いくつかの態様では、操作された細胞を生成するための刺激の開始から細胞を収集、採取または製剤化するまでの時間は、36時間~120時間、48時間~96時間、もしくは48時間~72時間、または約36時間~120時間、48時間~96時間、もしくは48時間~72時間(両端の値を含む)、あるいは、1.5日~5日、2日~4日、もしくは2日~3日、または約1.5日~5日、2日~4日、もしくは2日~3日(両端の値を含む)である。特定の態様では、インキュベーションの開始から細胞を採取、収集または製剤化するまでの時間は、48時間、72時間もしくは96時間であるか、約48時間、72時間、もしくは96時間であるか、または48時間、72時間、もしくは96時間未満である。特定の態様では、インキュベーションの開始から細胞を採取、収集または製剤化するまでの時間は、2日、3日もしくは4日であるか、約2日、3日もしくは4日であるか、または2日、3日もしくは4日未満である。特定の態様では、インキュベーションの開始から細胞を採取、収集または製剤化するまでの時間は、48時間±6時間、72時間±6時間、または96時間±6時間である。特定の態様では、インキュベーションの開始から細胞を採取、収集または製剤化するまでの時間は、96時間もしくは4日であるかまたは約96時間もしくは4日である。
【0530】
ある特定の態様では、細胞は、少なくとも組み込まれたベクターがゲノム中に検出されたときに採取または収集される。いくつかの態様では、細胞は、安定な二倍体ゲノム当たりの組み込まれたベクターコピー数(iVCN)の前に採取または収集される。特定の態様では、細胞は、組み込まれたベクターがゲノム中に検出された後であるが安定な二倍体ゲノム当たりのiVCNが成し遂げられる前に採取または収集される。
【0531】
いくつかの態様では、細胞は、iVCNが二倍体ゲノム当たり5.0、4.0、3.0、2.5、2.0、1.75、1.5、1.25、1.2、1.1、1.0、0.9、0.8、0.75、0.7、0.6、0.5、0.4、0.3もしくは0.25コピーに達する、約5.0、4.0、3.0、2.5、2.0、1.75、1.5、1.25、1.2、1.1、1.0、0.9、0.8、0.75、0.7、0.6、0.5、0.4、0.3もしくは0.25コピーに達する、または少なくとも5.0、4.0、3.0、2.5、2.0、1.75、1.5、1.25、1.2、1.1、1.0、0.9、0.8、0.75、0.7、0.6、0.5、0.4、0.3もしくは0.25コピーに達する前に採取または収集される。特定の態様では、細胞は、iVCNが二倍体ゲノム当たり1.0コピーまたは約1.0コピーに達する前に採取または収集される。いくつかの態様では、細胞は、iVCNが二倍体ゲノム当たり0.5コピーまたは約0.5コピーに達する前に収集または採取される。
【0532】
ある特定の態様では、細胞は、1回、2回、3回、4回、5回、6回、8回、10回、20回もしくはそれ以上の細胞集団の細胞倍加、例えば、インキュベートの間に行われる倍加の前に、約1回、2回、3回、4回、5回、6回、8回、10回、20回もしくはそれ以上の細胞集団の細胞倍加、例えば、インキュベートの間に行われる倍加の前に、または少なくとも1回、2回、3回、4回、5回、6回、8回、10回、20回もしくはそれ以上の細胞集団の細胞倍加、例えば、インキュベートの間に行われる倍加の前に採取される。
【0533】
特定の態様では、細胞は、細胞の総数、例えば、インキュベートされた細胞またはインキュベーションを受けた細胞の総数が、インプット集団の細胞の数、例えば、刺激試薬と接触させた細胞の総数の1、2、3、4、5、6、8、10、20倍もしくは20倍より多くを超える前または約1、2、3、4、5、6、8、10、20倍もしくは20倍より多くを超える前の時間に採取または収集される。いくつかの態様では、細胞は、インキュベートされた細胞の総数が、形質転換、形質導入またはスピノキュレートされた細胞の総数、例えば、ウイルスベクターと接触させた細胞の総数の1、2、3、4、5、6、8、10、20倍もしくは20倍より多くを超える前または約1、2、3、4、5、6、8、10、20倍もしくは20倍より多くを超える前の時間に採取または収集される。ある特定の態様では、細胞は、T細胞、生存T細胞、CD3+ T細胞、CD4+ T細胞、CD8+ T細胞、CARを発現するT細胞、または前記のいずれかの組み合わせである。特定の態様では、細胞は、細胞の総数がインプット集団の細胞の総数を超える前の時間に採取または収集される。様々な態様では、細胞は、生存CD3+ T細胞の総数がインプット集団の生存CD3+細胞の総数を超える前の時間に採取または収集される。特定の態様では、細胞は、細胞の総数が、形質転換、形質導入またはスピノキュレートされた細胞の細胞総数を超える前の時間に採取または収集される。様々な態様では、細胞は、生存CD3+ T細胞の総数が、形質転換、形質導入またはスピノキュレートされた細胞の生存CD3+細胞の総数を超える前の時間に採取または収集される。様々な態様では、細胞は、生存CD4+細胞およびCD8+細胞の総数が、インプット集団の生存CD4+細胞およびCD8+細胞の総数を超える前の時間に採取または収集される。特定の態様では、細胞は、細胞の総数が、形質転換、形質導入またはスピノキュレートされた細胞の細胞総数を超える前の時間に採取または収集される。様々な態様では、細胞は、生存CD4+細胞およびCD8+細胞の総数が、形質転換、形質導入またはスピノキュレートされた細胞の生存CD4+細胞およびCD8+細胞の総数を超える前の時間に採取または収集される。
【0534】
いくつかの態様では、細胞療法および/または操作された細胞を製造、生成または生産するための提供される方法は、インキュベート、操作および培養、ならびに/または記載されるような1つもしくは複数の他の処理工程の前または後に、提供される処理工程から生じる遺伝子操作された細胞の製剤化などの細胞の製剤化を含み得る。いくつかの態様では、細胞の製剤化に関連する提供される方法は、閉鎖系において、上述した処理工程を使用して形質導入および/または拡大増殖された細胞などの形質導入細胞を処理することを含む。いくつかの態様では、組換え抗原受容体(例えば、CARまたはTCR)で操作された細胞を含む細胞の用量は、薬学的組成物または製剤などの組成物または製剤として提供される。そのような組成物は、提供される方法に従って、例えば、疾患、病態および障害の予防もしくは治療において、または検出、診断および予後判定法において使用することができる。
【0535】
いくつかの場合において、培養(culturing)、例えば培養(cultivation)および拡大増殖、ならびに/または記載されるような1つもしくは複数の他の処理工程の前または後に、提供される形質導入処理工程から生じる遺伝子操作された細胞の製剤化などの細胞の製剤化を含み得る細胞療法および/または操作された細胞を製造、生成または生産するための1つまたは複数の工程(例えば、遠心チャンバおよび/または閉鎖系において行われる)において、細胞が処理される。いくつかの場合において、細胞は、単回単位用量投与または複数回用量投与などの投薬のための量で製剤化することができる。いくつかの態様では、細胞の製剤化に関連する提供される方法は、閉鎖系において、上述した処理工程を使用して形質導入および/または拡大増殖された細胞などの形質導入細胞を処理することを含む。
【0536】
ある特定の態様では、濃縮されたT細胞の1つまたは複数の組成物が製剤化される。特定の態様では、濃縮されたT細胞の1つまたは複数の組成物は、1つまたは複数の組成物が操作および/または培養された後に製剤化される。特定の態様では、1つまたは複数の組成物は、インプット組成物である。いくつかの態様では、1つまたは複数のインプット組成物は、あらかじめ凍結保存および貯蔵されており、インキュベーションの前に融解される。
【0537】
ある特定の態様では、製剤化された細胞は、アウトプット細胞である。いくつかの態様では、濃縮されたT細胞の製剤化された組成物は、濃縮されたT細胞のアウトプット組成物である。特定の態様では、製剤化されたCD4+ T細胞および製剤化されたCD8+ T細胞は、アウトプットCD4+ T細胞およびアウトプットCD8+ T細胞である。特定の態様では、製剤化された細胞組成物、例えば、濃縮されたCD4+細胞およびCD8+細胞の製剤化された組成物は、アウトプット細胞組成物、例えば、濃縮されたCD4+細胞およびCD8+細胞のアウトプット組成物である。
【0538】
いくつかの態様では、細胞は、バッグまたはバイアルなどの容器中に製剤化することができる。いくつかの態様では、細胞は、細胞が培養中に閾値細胞数、密度に達した後、および/または拡大増殖が達成された後、0日~10日、0~5日、2日~7日、0.5日~4日、または1日~3日に製剤化される。ある特定の態様では、細胞は、培養中に閾値細胞数、密度、および/または拡大増殖が達成された後、12時間、18時間、24時間、1日、2日もしくは3日目に、または約12時間、18時間、24時間、1日、2日もしくは3日目に、または12時間、18時間、24時間、1日、2日もしくは3日以内に製剤化される。いくつかの態様では、細胞は、培養中に閾値細胞数、密度、および/または拡大増殖が達成された後、1日以内または約1日以内に製剤化される。
【0539】
ある特定の態様では、細胞は、例えば、閾値がいつ達成されるかにかかわらず、細胞が培養中のより早い時点で製剤化された場合よりも低い活性化状態で採取されるように、最小期間または最小時間培養される。いくつかの態様では、細胞は、培養中に閾値細胞数、密度、および/または拡大増殖が達成された後、0日~3日、例えば、0~3日、1~2日、1日もしくは約1日、2日もしくは約2日、または3日もしくは約3日目に培養される。ある特定の態様では、細胞は、製剤化の前に閾値細胞数、密度、および/または拡大増殖に達し、最小時間または最小期間の間、引き続き培養される。いくつかの態様では、閾値に達した細胞は、1日~14日、2日~7日もしくは3日~6日の最小時間または最小期間、あるいは、2日、3日、4日、5日、6日、7日もしくは7日超、または約2日、3日、4日、5日、6日、7日もしくは7日超の最小培養時間または最小培養期間などの最小期間および/または最小時間培養されるまで、製剤化されない。いくつかの態様では、最小培養時間または最小培養期間は、3日~6日である。
【0540】
いくつかの態様において、細胞は、いくつかの局面では、薬学的に許容される担体または賦形剤を含みうる薬学的に許容される緩衝液中に配合される。いくつかの態様において、処理は、対象への投与のために薬学的に許容されるかまたは望ましい媒体または配合緩衝液への媒体の交換を含む。いくつかの態様において、処理する段階は、形質導入および/または拡大増殖された細胞を洗浄して、1つまたは複数の任意の薬学的に許容される担体または賦形剤を含みうる薬学的に許容される緩衝液の中に細胞を置き換える段階を伴うことができる。薬学的に許容される担体または賦形剤を含むそのような薬学的形態の例は、細胞および組成物を対象に投与するために許容される形態に関連して以下に記述される任意のものでありうる。いくつかの態様における薬学的組成物は、疾患または状態を処置または予防するのに有効な量、例えば治療上有効または予防上有効な量の細胞を含有する。
【0541】
「薬学的に許容される担体」は、対象にとって無毒性である、活性成分以外の、薬学的配合物中の成分をいう。薬学的に許容される担体は、緩衝液、賦形剤、安定剤、または保存料を含むが、これらに限定されることはない。
【0542】
いくつかの局面において、担体の選択は、一部には特定の細胞によって、および/または投与方法によって決定される。したがって、種々の適当な配合物が存在する。例えば、薬学的組成物は保存料を含みうる。適当な保存料としては、例えば、メチルパラベン、プロピルパラベン、安息香酸ナトリウム、および塩化ベンザルコニウムが挙げられうる。いくつかの局面において、2つまたはそれ以上の保存料の混合物が用いられる。保存料またはその混合物は、典型的には全組成物の約0.0001重量%から約2重量%の量で存在する。担体は、例えばRemington’s Pharmaceutical Sciences 16th edition, Osol, A. Ed. (1980)によって記述されている。薬学的に許容される担体は一般に、用いられる投与量および濃度でレシピエントに無毒性であり、以下のものが含まれるが、これらに限定されることはない: リン酸塩、クエン酸塩および他の有機酸などの緩衝剤; アスコルビン酸およびメチオニンを含む抗酸化剤; 保存料(塩化オクタデシルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ヘキサメトニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、フェノール、ブチルもしくはベンジルアルコール、メチルもしくはプロピルパラベンなどのアルキルパラベン、カテコール、レゾルシノール、シクロヘキサノール、3-ペンタノールおよびm-クレゾールなど); 低分子量(約10残基未満)ポリペプチド; 血清アルブミン、ゼラチンもしくは免疫グロブリンなどのタンパク質; ポリビニルピロリドンなどの親水性重合体; グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニンもしくはリジンなどのアミノ酸; 単糖類、二糖類、およびグルコース、マンノースもしくはデキストリンを含む他の炭水化物; EDTAなどのキレート剤; スクロース、マンニトール、トレハロースもしくはソルビトールなどの糖類; ナトリウムなどの塩形成対イオン; 金属錯体(例えばZn-タンパク質錯体); ならびに/またはポリエチレングリコール(PEG)などの非イオン界面活性剤。
【0543】
いくつかの局面において緩衝剤が組成物に含まれる。適当な緩衝剤としては、例えばクエン酸、クエン酸ナトリウム、リン酸、リン酸カリウム、ならびに他のさまざまな酸および塩が挙げられる。いくつかの局面において、2つまたはそれ以上の緩衝剤の混合物が用いられる。緩衝剤またはその混合物は、典型的には全組成物の約0.001重量%~約4重量%の量で存在する。投与可能な薬学的組成物を調製するための方法は公知である。例示的な方法は、例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, Lippincott Williams & Wilkins; 21st ed. (May 1, 2005)においてより詳細に記述されている。
【0544】
配合物は水溶液を含むことができる。配合物または組成物はまた、各活性が互いに悪影響を及ぼさない場合、細胞で処置される特定の適応症、疾患、または状態に有用な2つ以上の活性成分、好ましくは細胞に補完的な活性を有するものを含有しうる。そのような活性成分は、意図される目的に有効な量で組み合わせて適当に存在する。したがって、いくつかの態様において、薬学的組成物は、化学療法剤、例えばアスパラギナーゼ、ブスルファン、カルボプラチン、シスプラチン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、フルオロウラシル、ゲムシタビン、ヒドロキシ尿素、メトトレキサート、パクリタキセル、リツキシマブ、ビンブラスチン、および/またはビンクリスチンのような他の薬学的に活性な作用物質または薬物をさらに含む。
【0545】
いくつかの態様において組成物は、いくつかの局面では、選択されたpHに緩衝されうる、滅菌液体調製物、例えば等張水溶液、懸濁液、乳濁液、分散液、または粘性組成物として提供される。液体組成物は担体を含むことができ、担体は、例えば水、食塩水、リン酸緩衝食塩水、ポリオール(例えばグリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコール)およびそれらの適当な混合物を含む溶媒または分散媒体であることができる。滅菌注射溶液は、適当な担体、希釈剤、または賦形剤、例えば滅菌水、生理食塩水、グルコース、デキストロースなどとの混合物などの溶媒中に細胞を組み込むことによって調製することができる。組成物は、所望される投与経路および製剤に依存して、湿潤剤、分散剤または乳化剤(例えばメチルセルロース)、pH緩衝剤、ゲル化または増粘添加剤、保存料、香味剤、および/または着色剤のような補助物質を含有することができる。いくつかの局面において標準的なテキストを参考にして適当な調製物を調製してもよい。
【0546】
抗菌保存料、抗酸化剤、キレート剤、および緩衝液を含む、組成物の安定性および無菌性を高めるさまざまな添加剤を添加することができる。微生物の作用の防止は、さまざまな抗菌剤および抗真菌剤、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノール、およびソルビン酸によって確実にすることができる。注射可能な薬学的形態の持続的吸収は、吸収を遅延させる作用物質、例えばモノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンの使用によってもたらすことができる。
【0547】
いくつかの態様において、配合緩衝液は凍結保存料を含有する。いくつかの態様において、細胞は、5%~20% DMSO溶液または5%~10% DMSO溶液のような、1.0%~30% DMSO溶液を含有する凍結保存溶液で配合される。いくつかの態様において、凍結保存溶液は、例えば、20% DMSOおよび8%ヒト血清アルブミン(HSA)を含有するPBS、または他の適当な細胞凍結培地であるか、またはそれを含有する。いくつかの態様において、凍結保存溶液は、例えば、少なくともまたは約7.5% DMSOであるか、またはそれを含有する。いくつかの態様において、処理段階は、形質導入および/または拡大増殖された細胞を洗浄して、凍結保存料溶液中の細胞と置き換える段階を伴うことができる。いくつかの態様において、細胞は、12.5%、12.0%、11.5%、11.0%、10.5%、10.0%、9.5%、9.0%、8.5%、8.0%、7.5%、7.0%、6.5%、6.0%、5.5%もしくは5.0% DMSOまたは約12.5%、12.0%、11.5%、11.0%、10.5%、10.0%、9.5%、9.0%、8.5%、8.0%、7.5%、7.0%、6.5%、6.0%、5.5%もしくは5.0% DMSO、あるいは1%~15%、6%~12%、5%~10%または6%~8% DMSOの終濃度を有する培地および/または溶液の中で、凍結、例えば、凍結保存または凍結保護される。特定の態様において、細胞は、例えば、5.0%、4.5%、4.0%、3.5%、3.0%、2.5%、2.0%、1.5%、1.25%、1.0%、0.75%、0.5%もしくは0.25% HSAまたは約5.0%、4.5%、4.0%、3.5%、3.0%、2.5%、2.0%、1.5%、1.25%、1.0%、0.75%、0.5%もしくは0.25% HSA、あるいは0.1%~-5%、0.25%~4%、0.5%~2%または1%~2% HSAの終濃度を有する培地および/または溶液の中で、凍結、例えば、凍結保存または凍結保護される。
【0548】
特定の態様において、濃縮されたT細胞、例えば、刺激され、操作され、および/または培養されたT細胞の組成物は、配合され、凍結保存され、その後にある量の時間の間、貯蔵される。ある種の態様において、配合された凍結保存細胞は、細胞が注入のために放出されるまで貯蔵される。特定の態様において、配合された凍結保存細胞は、1日~6ヶ月、1ヶ月~3ヶ月、1日~14日、1日~7日、3日~6日、6ヶ月~12ヶ月、または12ヶ月よりも長い間貯蔵される。いくつかの態様において、細胞は1日、2日、3日、4日、5日、6日もしくは7日間、約1日、2日、3日、4日、5日、6日もしくは7日間、または1日、2日、3日、4日、5日、6日もしくは7日未満の間、凍結保存および貯蔵される。ある種の態様において、貯蔵後に細胞は融解され、対象に投与される。ある種の態様において、細胞は5日間または約5日間貯蔵される。
【0549】
いくつかの態様において、配合は、培養細胞または拡大増殖細胞のような、細胞の洗浄、希釈または濃縮を含む1つまたは複数の処理段階を用いて実行される。いくつかの態様において、処理は、所与の用量またはその一部での投与のための細胞の数を含む単位用量形態組成物のような、所望の濃度または数への細胞の希釈または濃度を含むことができる。いくつかの態様において、処理段階は、容量低減を含み、それにより、必要に応じて細胞の濃度を増加させることができる。いくつかの態様において、処理段階は、容量追加を含み、それにより、必要に応じて細胞の濃度を減少させることができる。いくつかの態様において、処理は、形質導入および/または拡大増殖された細胞にある量の配合緩衝液を加えることを含む。いくつかの態様において、配合緩衝液の容量は、少なくとも50 mL、100 mL、200 mL、300 mL、400 mL、500 mL、600 mL、700 mL、800 mL、900 mL、もしくは1000 mL、または少なくとも約50 mL、100 mL、200 mL、300 mL、400 mL、500 mL、600 mL、700 mL、800 mL、900 mL、もしくは1000 mL、または約50 mL、100 mL、200 mL、300 mL、400 mL、500 mL、600 mL、700 mL、800 mL、900 mL、もしくは1000 mL、または50 mL、100 mL、200 mL、300 mL、400 mL、500 mL、600 mL、700 mL、800 mL、900 mL、もしくは1000 mLのような、10 mL~1000 mLまたは約10 mL~1000 mLである。
【0550】
いくつかの態様において、細胞組成物を配合するためのそのような処理段階は、閉鎖システムで実行される。そのような処理段階の例は、Sepax(登録商標)またはSepax 2(登録商標)細胞処理システムを伴う使用のためのものを含む、Biosafe SAによって製造され販売されている遠心分離チャンバのような、細胞処理システムに関連する1つまたは複数のシステムまたはキットと組み合わせた遠心分離チャンバを用いて実施されうる。例示的なシステムおよび方法は、国際公開WO2016/073602に記述されている。いくつかの態様において、方法は、上述の態様のいずれかにおいて、遠心分離チャンバの内部キャビティからの、薬学的に許容される緩衝液などの配合緩衝液中に配合された細胞の成果組成物である配合化組成物の取り出しを行うことを含む。いくつかの態様において、配合化組成物の取り出しは、閉鎖システムの一部として遠心分離チャンバと機能的に連結されているバッグなどの容器に対するものである。いくつかの態様において、バッグなどの容器は、アウトプットラインまたはアウトプット位置でシステムに接続されている。
【0551】
いくつかの態様において、遠心分離チャンバまたは細胞処理システムに関連するものなどの閉鎖システムは、チューブラインの各端部に、ポートと接続された多方向のチューブマニホールドを含む多ポートアウトプットキットを含み、配合化組成物の取り出しのために、ポートに1つまたは複数の容器を接続することができる。いくつかの局面において、所望の数または複数のアウトプット容器、例えばバッグを、少なくとも3、4、5、6、7、8つまたはそれ以上のような、1つまたは複数、一般には2つまたはそれ以上の多ポートアウトプットのポートに、滅菌して接続することができる。例えば、いくつかの態様において、1つまたは複数の容器、例えばバッグをポートに取り付けることができ、または全ポートよりも少ないポートに取り付けることができる。したがって、いくつかの態様において、システムは、アウトプット組成物の複数のアウトプットバッグ内への取り出しを行うことができる。
【0552】
いくつかの局面において、単回投与量の投与または複数回投与量の投与などの投与量の投与の量で、細胞は複数のアウトプットバッグの1つまたは複数に取り出すことができる。例えば、いくつかの態様において、アウトプットバッグはそれぞれ、所与の用量またはその分割量で投与するための細胞数を含有しうる。したがって、いくつかの局面において、各バッグは、投与のための単回用量を含んでいても、2つのアウトプットバッグ、または3つのアウトプットバッグのような、複数のアウトプットバッグのうちの2つ以上が、総合して投与のための1用量を構成するように、所望の用量の分割量を含有していてもよい。
【0553】
したがって、容器、例えばアウトプットバッグは、一般に、投与される細胞、例えばその1つまたは複数のその単位用量を含む。単位用量は、対象に投与されるべき細胞の量もしくは数、または投与されるべき細胞の数の2倍(もしくはそれ以上)でありうる。それは、対象に投与される細胞の最低の用量または最低可能用量でありうる。
【0554】
いくつかの態様において、容器、例えば、バッグの各々は、単位用量の細胞を個別に含む。したがって、いくつかの態様において、各容器は、同じ、またはほぼ同じ、もしくは実質的に同じ数の細胞を含む。いくつかの態様において、各単位用量は、少なくともまたは少なくとも約1×106、2×106、5×106、1×107、5×107、または1×108個の操作された細胞、全細胞、T細胞、またはPBMCを含む。いくつかの態様において、各バッグの配合化細胞組成物の容量は、10 mL~100 mL、例えば少なくともまたは少なくとも約20 mL、30 mL、40 mL、50 mL、60 mL、70 mL、80 mL、90 mLもしくは100 mLである。
【0555】
いくつかの態様において、この方法によって産生されたそのような細胞、またはそのような細胞を含む組成物は、疾患または状態を処置するために対象に投与される。
【0556】
E. 連続選択および並行選択
本明細書に提供される方法は、標的細胞集団(例えば、T細胞、CD3+、CD4+、CD8+、CD57- T細胞)を単離および/または濃縮するための、例えばカラムクロマトグラフィーによる、複数回の選択工程を可能にする。いくつかの態様では、1つまたは複数の選択工程は、アウトプット治療用細胞組成物を作製するためのプロセスの1つもしくは複数の時点で、またはある特定の工程に続いて行われる。いくつかの態様では、選択工程は、例えば、細胞組成物をさらに精製するための、特異的な細胞サブタイプの選択のための、生存細胞の選択のための、操作された細胞の選択のための、および/または細胞の比、総数もしくは濃度を調整するための複数回の選択工程を含む。いくつかの態様では、選択工程は、インキュベーションの前に実施される。いくつかの態様では、選択工程は、採取および収集の前に実施される。
【0557】
いくつかの局面では、そのような方法(例えば、選択工程)は、単一のプロセス流によって、例えば、閉鎖系において、本明細書に提供されるような試料(例えば、刺激および/または操作された細胞のアウトプット組成物)からの複数の異なる細胞集団が濃縮および/または単離される連続選択を利用することによって達成される。いくつかの局面では、分離または単離を同じ槽または槽のセット、例えば、チュービングセット中で行うことは、連続的な陽性選択工程および陰性選択工程、先の工程からの陰性画分および/または陽性画分をさらなる選択に供する後続工程を行うことによって達成され、その際、プロセス全体は、同じチューブまたはチュービングセット中で行われる。一態様では、標的細胞を含有する試料(例えば、刺激および/または操作された細胞のアウトプット組成物)は、第1の選択がCD4+集団またはCD8+集団の一方を濃縮するために実行され、第1の選択からの選択されなかった細胞が第2の選択のための細胞源として使用されてCD4+集団またはCD8+集団のもう一方が濃縮される、連続選択に供される。いくつかの態様では、さらなる選択(1回または複数回)を実行して、CD4+集団またはCD8+集団の一方または両方の亜集団、例えば、CD57-細胞を濃縮することができる。いくつかの態様では、標的細胞を含有する細胞集団(例えば、刺激および/または操作された細胞のアウトプット組成物)は、生存細胞のための連続選択に供される。いくつかの態様では、標的細胞を含有する細胞集団(例えば、刺激および/または操作された細胞のアウトプット組成物)中の細胞の比または総数が制御または調整される。
【0558】
いくつかの局面では、そのような方法(例えば、選択工程)は、単一のプロセス流によって、例えば、閉鎖系において、本明細書に提供されるような試料(例えば、刺激および/または操作された細胞のアウトプット組成物)からの複数の異なる細胞集団が濃縮および/または単離される連続選択を利用することによって達成される。いくつかの局面では、分離または単離を同じ槽または槽のセット、例えば、チュービングセット中で行うことは、連続的な陰性選択工程および陽性選択工程、先の工程からの陰性画分および/または陽性画分をさらなる選択に供する後続工程を行うことによって達成され、その際、プロセス全体は、同じチューブまたはチュービングセット中で行われる。一態様では、標的細胞を含有する試料(例えば、刺激および/または操作された細胞のアウトプット組成物)は、第1の選択がCD57+集団を除去するために実行される連続選択に供される。いくつかの態様では、さらなる選択(1回または複数回)を実行して、CD4+集団またはCD8+集団の一方または両方、例えば、CD57-CD4+細胞またはCD57-CD8+細胞を濃縮することができる。いくつかの態様では、標的細胞を含有する細胞集団(例えば、刺激および/または操作された細胞のアウトプット組成物)は、生存細胞のための連続選択に供される。いくつかの態様では、標的細胞を含有する細胞集団(例えば、刺激および/または操作された細胞のアウトプット組成物)中の細胞の比または総数が制御または調整される。
【0559】
一態様では、標的細胞を含有する試料(例えば、刺激および/または操作された細胞のアウトプット組成物)は、第1の選択がCD3+集団を濃縮するために実行される連続選択に供される。いくつかの態様では、さらなる選択(1回または複数回)を実行して、CD3+集団の亜集団、例えば、CD57-細胞を濃縮することができる。いくつかの態様では、さらなる選択(1回または複数回)を実行して、生存細胞を濃縮することができる。いくつかの態様では、さらなる選択(1回または複数回)を実行して、CD57-CD3+細胞の亜集団、例えば、生存しているCD3+CD57-CD4+細胞またはCD57-CD3+CD8+細胞を濃縮することができる。いくつかの態様では、生存細胞を選択することは、細胞集団(例えば、刺激および/または操作された細胞またはその亜集団のアウトプット組成物)から死細胞を除去することを含むかそれからなる。
【0560】
一態様では、標的細胞を含有する試料(例えば、刺激および/または操作された細胞のアウトプット組成物)は、第1の選択がCD57+細胞を除去するために実行される連続選択に供される。いくつかの態様では、さらなる選択(1回または複数回)を実行して、CD57-集団の亜集団、例えば、CD4+細胞および/またはCD8+細胞を濃縮することができる。いくつかの態様では、さらなる選択(1回または複数回)を実行して、生存細胞を濃縮することができる。いくつかの態様では、生存細胞を選択することは、細胞集団(例えば、刺激および/または操作された細胞またはその亜集団のアウトプット組成物)から死細胞を除去することを含むかそれからなる。
【0561】
いくつかの態様では、このセクションにおいて開示される方法(例えば、選択工程)は、連続選択技法を使用して行われる必要はない。いくつかの態様では、このセクションにおいて開示される方法(例えば、選択工程)は、連続選択技法を並行選択技法と組み合わせて使用して行うことができる。いくつかの態様では、選択工程は、連続選択を利用しないか、閉鎖系においてまたは同じチュービングを使用した槽のセットにおいて行われない連続選択を利用し得る。いくつかの態様では、選択工程は、単一工程で、例えば単一クロマトグラフィーカラムを使用して成し遂げられる。いくつかの態様では、選択工程は、並行選択技法を使用して成し遂げられる。例えば、選択工程は、陽性選択工程および/または陰性選択工程を同時に、例えば閉鎖系において行うことによって達成され、その際、プロセス全体は、同じチューブまたはチュービングセット中で行われる。いくつかの態様では、標的細胞を含有する試料(例えば、刺激および/または操作された細胞のアウトプット組成物)は、試料(例えば、刺激および/または操作された細胞のアウトプット組成物)が2つ以上のクロマトグラフィーカラム上にロードされる並行選択に供され、その際、各カラムが細胞集団の選択を実行する。いくつかの態様では、2つ以上のクロマトグラフィーカラムは、CD57-集団、CD3+集団、CD4+集団またはCD8+集団の選択を個々に実行する。いくつかの態様では、2つ以上のクロマトグラフィーカラムは、同じ細胞集団の選択を実行する。例えば、2つ以上のクロマトグラフィーカラムは、CD57-細胞の選択を実行し得る。いくつかの態様では、アフィニティークロマトグラフィーまたはゲル浸透クロマトグラフィーを含む2つ以上のクロマトグラフィーカラムは、同じ細胞集団の選択を独立に実行する。いくつかの態様では、アフィニティークロマトグラフィーまたはゲル浸透クロマトグラフィーを含む2つ以上のクロマトグラフィーカラムは、異なる細胞集団の選択を独立に実行する。いくつかの態様では、さらなる選択(1回または複数回)を実行して、並行選択を介して選択された1つまたはすべての細胞集団の亜集団を濃縮することができる。いくつかの態様では、標的細胞(例えば、CD57-細胞)を含有する試料(例えば、刺激および/または操作された細胞のアウトプット組成物)は、並行選択がCD4+集団およびCD8+集団またはCD3+集団を濃縮するために実行される並行選択に供される。
【0562】
いくつかの態様では、選択工程は、本明細書に記載されるような選択剤で標識されたビーズを使用して行うことができ、そして、第1の選択工程からの陽性画分および陰性画分を保持することができ、続いて、第2の選択マーカーを濃縮するための陽性画分のさらなる陽性選択を、例えば、第2の選択剤で標識されたビーズを使用することによるか上述したようなカラムクロマトグラフィーに陽性画分を供することによって行うことができる。いくつかの態様では、1つまたは複数の選択工程は、本明細書に記載されるようなカラムクロマトグラフィーを使用して行われる。いくつかの態様では、選択工程は、ビーズ分離およびカラムクロマトグラフィーを含む1つまたは複数の方法を使用して成し遂げられる。いくつかの態様では、選択は、カラムクロマトグラフィーを使用して成し遂げられる。
【0563】
いくつかの局面では、単一のカラムもしくはカラムのセットおよび/または同じチューブもしくはチュービングセットのような単一のまたは同じ単離もしくは分離槽または槽のセットの中で、あるいは、同じ磁性マトリックス、親和性標識固体支持体、または抗体もしくは他の結合パートナーなどの同じ分離マトリックスまたは媒体または試薬を使用して、複数の集団を単離することは、単離を合理化する特徴を含み、例えば、コスト、時間、複雑さ、試料の取り扱いの必要性、資源、試薬、または設備の使用の減少をもたらす。いくつかの局面では、そのような特徴は、これらが、本方法に関連するコスト、効率、時間および/もしくは複雑さを最小限にし、かつ/または感染、汚染および/もしくは温度変化によって引き起こされる有害性などの細胞産物に対する潜在的な有害性を回避するという点で有利である。本明細書に提供される方法は、オンカラム刺激と組み合わせて細胞選択の前または後の両方で標的集団を濃縮するための複数回の選択工程を可能にする。
【0564】
本明細書に提供される方法はさらに、成功裏に刺激および操作された細胞の選択および濃縮を可能にする。例えば、いくつかの態様では、上述した連続選択、並行選択、または単一選択手順を使用して、組換え受容体(例えば、CAR、TCR)を発現する刺激された細胞を特定してもよい。いくつかの態様では、組換え受容体(例えば、CAR)を発現する細胞を、亜集団細胞、例えば、CD4+ CAR+ T細胞、CD8+ CAR+ T細胞、および/または生存細胞についてさらに濃縮することができる。いくつかの態様では、選択工程は、組換え受容体(例えば、CAR、TCR)を発現する細胞および/またはその亜集団の比、濃度または総数の制御または調整を可能にする。いくつかの態様では、濃縮された集団を、細胞療法のための使用(例えば、投与)のために製剤化することができる。
【0565】
F. プロセスの例示的な特徴
いくつかの局面では、提供される方法および組成物は、CD57- T細胞が濃縮されたT細胞の集団に関する。特定の態様では、濃縮されたCD57- T細胞の集団を、例えば、CD57+細胞の陰性選択、いくつかの局面では、CD4+ T細胞および/またはCD8+ T細胞などのT細胞の陽性選択によって生成する方法に注目する。特定の態様では、濃縮されたCD57- T細胞の集団を、例えば、CD57+細胞の陰性選択、いくつかの局面では、CD3+ T細胞などのT細胞の陽性選択によって生成する方法に注目する。ある特定の態様は、濃縮されたCD57- T細胞の集団をインキュベートする、刺激する、活性化する、操作する、形質導入する、培養する、および/または拡大増殖する方法に注目する。ある特定の態様では、濃縮されたCD57- T細胞の集団をインキュベートする、刺激する、活性化する、操作する、形質導入する、培養する、および/または拡大増殖することは、T細胞の代替集団、例えば、CD57+ T細胞をある量または多量に含有する集団を用いたそのような工程またはプロセスに勝る利点を提供する。そのような利点は、改善された増殖または拡大増殖およびより少ない分化、例えば、最終分化を含むが、それらに限定されない。
【0566】
いくつかの態様では、提供される方法は、初代ヒトT細胞を含有する生体試料からCD57+ T細胞を選択することによってCD57+ T細胞が枯渇したT細胞の集団、例えば、濃縮されたCD57- T細胞の集団を生成するなどの、T細胞を濃縮する工程であるかそれを含む。いくつかの態様では、集団は、CD57+ T細胞を10%、5%、1%もしくは0.1%未満、または約10%、5%、1%もしくは0.1%未満含有する。特定の態様では、集団は、生体試料中に存在していたCD57+ T細胞の頻度の25%、20%、15%、10%もしくは5%未満、または約25%、20%、15%、10%もしくは5%未満を含有する。ある特定の態様では、集団のCD4+ T細胞の少なくとも85%、90%、95%または99%がCD57-CD4+ T細胞である。特定の態様では、集団のCD8+ T細胞の少なくとも85%、90%、95%または99%がCD57-CD8+ T細胞である。特定の態様では、集団のCD3+ T細胞の少なくとも85%、90%、95%または99%がCD57-CD3+ T細胞である。
【0567】
ある特定の態様では、T細胞を濃縮することは、濃縮されたCD57-CD4+ T細胞の集団および濃縮されたCD57-CD8+ T細胞の集団を生成するなどのために、生体試料からCD57+細胞を選択または除去すること、次いで、CD57について陰性選択された集団からCD4+ T細胞およびCD8+ T細胞を別々に選択することを含む。いくつかの態様では、これらの集団は、別々のままであり、例えば、その後、別々に凍結保護および保存され、かつ/または、組換え受容体を発現するように別々に操作される。特定の態様では、別々の集団は、例えば、CD57-CD4+ T細胞:CD57-CD8+ T細胞比1:1で組み合わされる。
【0568】
いくつかの態様では、提供される方法は、濃縮されたCD57- T細胞の集団を刺激することであるかそれを含む。ある特定の態様では、提供される方法は、濃縮されたCD57-CD4+ T細胞の集団を刺激するための1つまたは複数の工程を含む。特定の態様では、提供される方法は、濃縮されたCD57-CD8+ T細胞の集団を刺激するための1つまたは複数の工程を含む。ある特定の態様では、濃縮されたCD57- CD4+ T細胞の集団および濃縮されたCD57- CD8+ T細胞の集団は、刺激条件、例えば、セクションIII.Aなどの本明細書に記載される任意の刺激条件下で細胞をインキュベートすることなどによって刺激される。特定の態様では、刺激条件は、刺激試薬の存在であるかそれを含む。ある特定の態様では、濃縮されたCD57- CD4+ T細胞および濃縮されたCD57- CD8+ T細胞の別々の集団は、別々に刺激される。特定の態様では、濃縮されたCD57- CD4+ T細胞および濃縮されたCD57- CD8+ T細胞の別々の集団は、濃縮されたCD57- CD4+ T細胞およびCD57- CD8+ T細胞の組み合わされた組成物が刺激されるように、刺激される前に組み合わされるか混合される。
【0569】
ある特定の態様では、T細胞を刺激するための方法またはプロセスは、濃縮されたCD57-CD4+ T細胞の集団および濃縮されたCD57-CD8+ T細胞の集団を生成するなどのために、生体試料からCD57+細胞を選択または除去すること、次いで、CD57について陰性選択された集団からCD4+ T細胞およびCD8+ T細胞を別々に選択することを含む。ある特定の態様では、濃縮されたCD57-CD4+ T細胞および濃縮されたCD57-CD8+ T細胞の別々の集団は、刺激条件下で別々にインキュベートされる。特定の態様では、濃縮されたCD57-CD4+ T細胞および濃縮されたCD57-CD8+ T細胞の別々の集団は、組み合わされる、例えば、刺激条件下で別々にインキュベートされる。いくつかの態様では、刺激することは、刺激試薬の存在を含む。ある特定の態様では、刺激試薬は、抗CD3および抗CD28抗体コンジュゲート常磁性ビーズであるかそれを含む。特定の態様では、刺激試薬は、可逆的に結合された抗CD3および抗CD28 Fabを有するストプトアビジンムテインオリゴマー粒子であるかそれを含む。
【0570】
特定の態様では、提供される方法は、濃縮されたCD57- T細胞の集団を本明細書に提供される、例えば、セクションIII.Bの任意の方法などによって遺伝子操作することであるかそれを含む。いくつかの局面では、異種ポリヌクレオチドが、該集団の細胞に、例えば、形質導入によって導入される。ある特定の態様では、提供される方法は、濃縮されたCD57-CD4+ T細胞の集団またはそのような細胞を起源とするかそれに由来する細胞の集団を操作するための1つまたは複数の工程を含む。特定の態様では、提供される方法は、濃縮されたCD57-CD8+ T細胞の集団を遺伝子操作するための1つまたは複数の工程を含む。ある特定の態様では、濃縮されたCD57- CD4+ T細胞の集団および濃縮されたCD57- CD8+ T細胞の集団は、ウイルスベクターによる形質導入などによって遺伝子操作される。ある特定の態様では、濃縮されたCD57- CD4+ T細胞および濃縮されたCD57- CD8+ T細胞、例えば、刺激された濃縮されたCD57- CD4+ T細胞および刺激された濃縮されたCD57- CD8+ T細胞の別々の集団が遺伝子操作される。特定の態様では、CD57- CD4+ T細胞およびCD57- CD8+ T細胞の両方を含む濃縮されたCD57- T細胞、例えば、刺激されたCD57- T細胞、例えば、刺激された濃縮されたCD57- CD4+ T細胞および刺激された濃縮されたCD57- CD8+ T細胞の単一集団が遺伝子操作される。
【0571】
特定の態様では、T細胞を遺伝子操作するための方法は、濃縮されたCD57-CD4+ T細胞の集団および濃縮されたCD57-CD8+ T細胞の集団を生成するなどのために、生体試料からCD57+細胞を選択または除去する工程、次いで、CD57について陰性選択された集団からCD4+ T細胞およびCD8+ T細胞を別々に選択する工程であるかそれを含む。特定の態様では、濃縮されたCD57-CD4+ T細胞および濃縮されたCD57-CD8+ T細胞の別々の集団は、別々に遺伝子操作される。特定の態様では、濃縮されたCD57-CD4+ T細胞および濃縮されたCD57-CD8+ T細胞の別々の集団は、細胞を遺伝子操作するための工程の前に組み合わされる。いくつかの局面では、遺伝子操作することは、異種ポリヌクレオチド、例えば、組換え受容体をコードする異種ポリヌクレオチドを導入することであるかそれを含む。いくつかの局面では、導入することは、スピノキュレーション(spinoculation)を用いるなどの形質導入のための工程、および任意でその後のウイルスベクターの存在下でのインキュベーションのための工程であるかそれを含む。いくつかの態様では、異種ポリヌクレオチドは、本明細書に提供される、例えば、セクションIII.Bの任意の方法によって導入される。特定の態様では、CD57-CD4+ T細胞およびCD57-CD8+ T細胞は、例えば、本明細書に提供される、例えば、セクションIII.Aの任意の方法によって、遺伝子操作される前に刺激される。
【0572】
いくつかの態様では、遺伝子操作することは、(a)濃縮されたCD57- T細胞の集団を、TCR複合体の1つまたは複数の成分の1つまたは複数の細胞内シグナル伝達ドメインおよび1つまたは複数の共刺激分子の1つまたは複数の細胞内シグナル伝達ドメインを活性化可能な刺激試薬の存在下でインキュベートし、それによって、刺激されたT細胞を生成すること;(b)刺激されたT細胞を異種ポリヌクレオチドを含有するウイルスベクターで形質導入することによって、第1および第2の濃縮された集団の刺激されたT細胞に異種ポリヌクレオチドを導入して、形質転換されたT細胞を生成すること;(c)形質転換されたT細胞の増殖または拡大増殖を促進する条件下で形質転換されたT細胞を培養すること;ならびに(d)拡大増殖されたT細胞を採取または収集することによって実施される。
【0573】
いくつかの態様では、T細胞を遺伝子操作するための方法は、濃縮されたCD57-CD4+ T細胞の集団および濃縮されたCD57-CD8+ T細胞の集団を生成するなどのために、生体試料からCD57+細胞を選択または除去する工程、次いで、CD57について陰性選択された集団からCD4+ T細胞およびCD8+ T細胞を別々に選択する工程であるかそれを含む。特定の態様では、濃縮されたCD57-CD4+ T細胞および濃縮されたCD57-CD8+ T細胞の別々の集団は、別々に遺伝子操作されるか、遺伝子操作のための1つまたは複数の工程の前に組み合わされる。ある特定の態様では、CD57- CD4+ T細胞およびCD57-CD8+ T細胞は、刺激試薬、例えば、抗CD3および抗CD28抗体コンジュゲート常磁性ビーズの存在下でインキュベートされる。特定の態様では、刺激試薬は、可逆的に結合された抗CD3および抗CD28 Fabを有するストプトアビジンムテインオリゴマー粒子であるかそれを含み、組換え受容体をコードする異種ポリヌクレオチドを導入するための工程の前にT細胞を刺激する。いくつかの態様では、刺激されたCD57- CD4+ T細胞およびCD57-CD8+ T細胞は、形質転換されたCD57- CD4+ T細胞およびCD57-CD8+ T細胞を生成するなどのために、スピノキュレーションおよび/またはウイルスの存在下でのインキュベーションを含む工程などによって異種ポリヌクレオチドを担持するウイルスで形質導入される。
【0574】
いくつかの態様では、T細胞を遺伝子操作するための方法は、濃縮されたCD57-CD3+ T細胞の集団を生成するなどのために、生体試料からCD57+細胞を選択または除去する工程、次いで、CD57について陰性選択された集団からCD3+ T細胞を別々に選択する工程であるかそれを含む。ある特定の態様では、CD57-CD3+ T細胞は、刺激試薬、例えば、抗CD3および抗CD28抗体コンジュゲート常磁性ビーズの存在下でインキュベートされる。特定の態様では、刺激試薬は、可逆的に結合された抗CD3および抗CD28 Fabを有するストプトアビジンムテインオリゴマー粒子であるかそれを含み、組換え受容体をコードする異種ポリヌクレオチドを導入するための工程の前にT細胞を刺激する。いくつかの態様では、刺激されたCD57-CD3+ T細胞は、形質転換されたCD57-CD3+ T細胞を生成するなどのために、スピノキュレーションおよび/またはウイルスの存在下でのインキュベーションを含む工程などによって異種ポリヌクレオチドを担持するウイルスで形質導入される。
【0575】
いくつかの態様では、形質転換されたT細胞は、形質転換されたT細胞の増殖または拡大増殖を促進する条件下で、例えば、IL-2、IL-7またはIL-15などのサイトカインの存在下で培養される。いくつかの局面では、細胞は、細胞が少なくとも3倍、4倍または5倍の拡大増殖を達成するまで培養される。
【0576】
ある特定の態様では、拡大増殖された細胞は、例えば、凍結保護および保存のためにまたは細胞療法としての対象への投与のために製剤化されるべく、収集または採取される。ある特定の態様では、形質転換された細胞が収集または採取される。
【0577】
ある特定の態様では、提供される方法は、細胞療法において使用するのに適する操作されたT細胞のアウトプット組成物を成功裏に生成または生産することに関連して使用される。いくつかの態様では、アウトプット組成物は、組成物の細胞が培養中に閾値細胞数、密度、および/または拡大増殖に達した場合に、成功裏に生成される。特定の態様では、提供される方法は、細胞療法に適するT細胞の集団を、例えば、濃縮されたT細胞の初期集団からまたは生体試料から成功裏に生成または生産する確率または可能性を少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%有する。
【0578】
ある特定の態様では、細胞療法において使用するための提供される方法から生成された濃縮されたT細胞の集団は、活性で拡大増殖し、かつ/または、対象に投与されたときにインビボで活性化および拡大増殖可能である。特定の態様では、細胞は、インビボ有効性、活性および/または拡大増殖を示すかそれに関連する特徴および/または特性を呈する。例えば、いくつかの態様では、そのような特徴または特性は、対象にインビボ投与した後の活性化、増殖および/または拡大増殖に関連する表面タンパク質などのタンパク質の発現を含み得る。
【0579】
ある特定の態様では、提供される方法によって生成または生産された、例えば、細胞療法において使用するための、濃縮されたT細胞の集団は、代替および/または例示的プロセス(例えば、より高頻度のCD57+ T細胞を含有するT細胞の集団を刺激する、操作するおよび/または培養するプロセス)によって生成または生産された細胞よりも大きいCD25発現を有する。いくつかの態様では、提供される方法によって生成または生産された集団のT細胞は、代替および/または例示的プロセスによって生成または生産されたT細胞よりも大きなCD25発現を有する。いくつかの態様では、提供されるプロセスによって生成された集団のT細胞の少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも100%がCD25染色に陽性であり、例えば、検出可能な量のCD25を発現する。特定の態様では、アウトプット組成物は、代替および/または例示的プロセスによって生産または生成された細胞の組成物よりも大きな頻度のCD25陽性細胞を含有する。いくつかの態様では、該集団の細胞は、例えば、代替および/または例示的プロセスによって生産または生成された細胞と比較して、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも100%、少なくとも150%、少なくとも1倍、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、または少なくとも5倍多くのCD25を発現する。
【0580】
ある特定の態様では、提供される方法によって生成または生産された、例えば、細胞療法において使用するための、濃縮されたT細胞の集団は、代替および/または例示的プロセス(例えば、より高頻度のCD57+ T細胞を含有するT細胞の集団を刺激する、操作するおよび/または培養するプロセス)によって生成または生産された細胞よりも大きいCD27発現を有する。特定の態様では、提供される方法によって生成または生産された集団のT細胞は、代替および/または例示的プロセスによって生成または生産されたT細胞よりも大きなCD27発現を有する。ある特定の態様では、提供されるプロセスによって生成された集団のT細胞の少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも100%がCD27染色に陽性であり、例えば、検出可能な量のCD27を発現する。特定の態様では、アウトプット組成物は、代替および/または例示的プロセスによって生産または生成された細胞の組成物よりも大きな頻度のCD27陽性細胞を含有する。いくつかの態様では、該集団の細胞は、例えば、代替および/または例示的プロセスによって生産または生成された細胞と比較して、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも100%、少なくとも150%、少なくとも1倍、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、または少なくとも5倍多くのCD25を発現する。
【0581】
特定の態様では、提供される方法によって生成または生産された、例えば、細胞療法において使用するための、濃縮されたT細胞の集団は、代替および/または例示的プロセス(例えば、より高頻度のCD57+ T細胞を含有するT細胞の集団を刺激する、操作するおよび/または培養するプロセス)によって生成または生産された細胞よりも大きいCD28発現を有する。いくつかの態様では、提供される方法によって生成または生産された集団のT細胞は、代替および/または例示的プロセスによって生成または生産されたT細胞よりも大きなCD28発現を有する。ある特定の態様では、提供されるプロセスによって生成された集団のT細胞の少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも100%がCD28染色に陽性であり、例えば、検出可能な量のCD28を発現する。特定の態様では、アウトプット組成物は、代替および/または例示的プロセスによって生産または生成された細胞の組成物よりも大きな頻度のCD28陽性細胞を含有する。いくつかの態様では、該集団の細胞は、例えば、代替および/または例示的プロセスによって生産または生成された細胞と比較して、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも100%、少なくとも150%、少なくとも1倍、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、または少なくとも5倍多くのCD28を発現する。
【0582】
ある特定の態様では、提供される方法は、細胞療法において使用するのに適する操作されたT細胞の組成物を成功裏に生成または生産することに関連して使用される。いくつかの態様では、組成物は、組成物の細胞が培養中に標的細胞数、密度、および/または拡大増殖に達した場合に、成功裏に生成される。
【0583】
特定の態様では、提供される方法は、細胞療法に適する濃縮されたT細胞の集団を成功裏に生成または生産する確率または可能性を少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%有する。ある特定の態様では、確率または可能性は、85%~100%、90%~95%、または92%~94%である。ある特定の態様では、提供される方法は、濃縮されたCD57- T細胞の試料または集団の少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%から細胞療法に適する濃縮されたT細胞の集団を成功裏に生成または生産する。
【0584】
ある種の態様において、刺激の開始から細胞を回収、収集、または配合することまでの、操作された細胞を作製するための提供されるプロセスの総持続時間は、36時間、42時間、48時間、54時間、60時間、72時間、84時間、96時間、108時間、もしくは120時間であるか、約36時間、約42時間、約48時間、約54時間、約60時間、約72時間、約84時間、約96時間、約108時間、もしくは約120時間であるか、または36時間未満、42時間未満、48時間未満、54時間未満、60時間未満、72時間未満、84時間未満、96時間未満、108時間未満、もしくは120時間未満である。ある種の態様において、刺激の開始から細胞を回収、収集、または配合することまでの、操作された細胞を作製するための提供されるプロセスの総持続時間は、1.5日、2日、3日、4日、もしくは5日であるか、約1.5日、約2日、約3日、約4日、もしくは約5日であるか、または1.5日未満、2日未満、3日未満、4日未満、もしくは5日未満である。いくつかの態様において、刺激の開始から細胞を回収、収集、または配合することまでの、操作された細胞を作製するための提供されるプロセスの総持続時間は、36時間~120時間もしくは約36時間~約120時間、48時間~96時間もしくは約48時間~約96時間、または48時間~72時間もしくは約48時間~約72時間(両端の値を含む)、または、1.5日~5日もしくは約1.5日~約5日、2日~4日もしくは約2日~約4日、または2日~3日もしくは約2日~約3日(両端の値を含む)である。特定の態様において、インキュベーションの開始から細胞の回収、収集、または配合まで測定される場合の、提供されるプロセスを完了するための時間量は、48時間、72時間、もしくは96時間であるか、約48時間、約72時間、もしくは約96時間であるか、または48時間未満、72時間未満、もしくは96時間未満であるか、または2日、3日、もしくは4日であるか、約2日、約3日、もしくは約4日であるか、または2日未満、3日未満、もしくは4日未満である。特定の態様において、インキュベーションの開始から細胞の収集、回収、または配合まで測定される場合の、提供されるプロセスを完了するための時間量は、48時間±6時間、72時間±6時間、または96時間±6時間である。
【0585】
いくつかの態様において、インキュベーションは、刺激の開始後、24時間~120時間もしくは約24時間~約120時間、36時間~108時間もしくは約36時間~約108時間、48時間~96時間もしくは約48時間~約96時間、または48時間~72時間もしくは約48時間~約72時間(両端の値を含む)で完了される。いくつかの態様において、インキュベーションは、刺激の開始から120時間、約120時間、もしくは120時間以内、108時間、約108時間、もしくは108時間以内、96時間、約96時間、もしくは96時間以内、72時間、約72時間、もしくは72時間以内、48時間、約48時間、もしくは48時間以内、または36時間、約36時間、もしくは36時間以内で完了される。特定の態様において、インキュベーションは、24時間±6時間後、48時間±6時間後、または72時間±6時間後で完了される。いくつかの態様において、インキュベーションは、刺激の開始後、1日~5日もしくは約1日~約5日、1.5日~4.5日もしくは約1.5日~約4.5日、2日~4日もしくは約2日~約4日、または2日~3日もしくは約2日~約3日(両端の値を含む)で完了される。いくつかの態様において、インキュベーションは、刺激の開始から5日、約5日、もしくは5日以内、4日、約4日、もしくは4日以内、3日、約3日、もしくは3日以内、2日、約2日、もしくは2日以内、または1.5日、約1.5日、もしくは1.5日以内で完了される。
【0586】
いくつかの態様において、全プロセスは、濃縮されたT細胞、例えば、CD4+およびCD8+ T細胞またはCD3+細胞の単一の集団を用いて行われる。ある種の態様において、プロセスは、濃縮されたT細胞(例えば、CD4およびCD8細胞)の2つ以上のインプット集団を用いて行われ、これらのインプット集団は、濃縮されたT細胞の単一のアウトプット集団を作製または産生するために、プロセス前および/またはプロセス中に組み合わされる。いくつかの態様において、濃縮されたT細胞は、操作されたT細胞、例えば、組み換え受容体を発現するように形質導入されたT細胞であるか、またはそれを含む。
【0587】
いくつかの態様において、アウトプット集団、例えば、操作されたT細胞の集団は、(i)T細胞のインプット集団またはT細胞を含有するインプット集団を、刺激条件下で、18時間~30時間または約18時間~約30時間(両端の値を含む)インキュベートすること、(ii)組み換え受容体をコードする異種または組み換えポリヌクレオチドを、刺激された集団のT細胞内に導入すること、(iii)細胞をインキュベートすること、および次いで、(iv)インキュベートされた細胞を回収または収集することによって作製される。
【0588】
いくつかの態様において、細胞は、刺激条件下のインキュベーションを開始した後36時間~108時間以内または1.5日~4.5日以内に回収または収集される。特定の態様において、細胞は、形質転換された(例えば、遺伝子操作された、形質導入された、またはトランスフェクトされた)T細胞が、24~48時間または1~2日のスパン内で20%よりも大きく増加も減少もしない、ゲノムあたりの安定な組み込み型ベクターのコピー数(iVCN)を達成した後、48時間または2日内に回収または収集される。いくつかの態様において、細胞集団の測定されたiVCNが、該集団において測定された総ベクターコピー数(VCN)の20%、15%、10%、もしくは5%以内、または約20%、約15%、約10%、もしくは約5%以内である場合に、組み込みは安定と見なされる。特定の態様は、安定な組み込みを達成するために、ウイルスベクターが細胞と接触または細胞に導入された後、細胞を48時間、60時間、72時間、1日、2日、もしくは3日間、約48時間、約60時間、約72時間、約1日、約2日、もしくは約3日間、または少なくとも48時間、少なくとも60時間、少なくとも72時間、少なくとも1日、少なくとも2日、もしくは少なくとも3日間インキュベートしなければならないことを企図している。いくつかの態様において、安定な組み込みは、インキュベーションの72時間以内または約72時間で行われる。いくつかの態様において、細胞は、形質転換されたT細胞の総数がインプット集団の細胞の総数またはそれ未満である時点で回収または収集される。様々な態様において、細胞は、インプット集団の細胞が3、2、または1回を超えて倍加する前の時点で回収または収集される。
【0589】
ある種の態様において、アウトプット集団、例えば、操作されたT細胞の集団は、(i)T細胞を含むインプット集団を、刺激試薬、例えば、本明細書に記載される刺激試薬の存在下の刺激条件下で、18~30時間(両端の値を含む)インキュベートすること、(ii)例えば、刺激されたT細胞をウイルスベクターの存在下でスピノキュレートすることによって、刺激されたT細胞に組み換え受容体をコードするウイルスベクターを形質導入すること、(iii)形質導入されたT細胞を静的条件下で、18時間~96時間または18時間~96時間(両端の値を含む)インキュベートすること、および(iv)形質転換された集団のT細胞を、刺激条件下のインキュベーションが開始された後36時間~108時間または約36時間~約108時間内に収集することによって作製される。
【0590】
いくつかの態様において、提供される方法に関連したプロセスは、代替プロセスと比較される。例えば、いくつかの態様において、本明細書において提供される方法は、細胞を拡大増殖させるための工程を含む代替プロセスと比較される。特定の態様において、代替プロセスは、1つまたは複数の特定の局面では異なり得るが、その他の点で、提供される方法に関連するプロセスと類似または同一の特徴、局面、工程、段階、試薬および/または条件を含む。いくつかの態様において、代替プロセスは、提供される方法に関連するプロセスに類似し、例えば、拡大増殖を欠如するまたは拡大増殖を含まないが、非限定的に以下のうちの1つまたは複数を含む具合が異なる: 異なる試薬および/もしくは培地配合; インキュベーション、形質導入、トランスフェクション、および/もしくは培養中の血清の存在; インプット集団の異なる細胞構成、例えば、CD4+とCD8+ T細胞の比; 異なる刺激条件および/もしくは異なる刺激試薬; 刺激試薬と細胞の異なる比; 異なるベクターおよび/もしくは形質導入方法; 細胞をインキュベート、形質導入、および/もしくはトランスフェクトするための異なるタイミングもしくは順序; インキュベーションもしくは形質導入中に存在する1つもしくは複数の組み換えサイトカインの欠如もしくは差異(例えば、異なるサイトカインもしくは異なる濃度)、または細胞を収集もしくは回収するための異なるタイミング。
【0591】
いくつかの態様において、生体サンプルからのインプット細胞(例えば、CD4+またはCD8+ T細胞)の単離、濃縮、および/または選択から、アウトプット細胞が回収、配合、および/または凍結保護される時間まで測定される場合の、提供されるプロセスを完了するために必要な持続時間または時間量は、48時間、72時間、96時間、120時間、2日、3日、4日、5日、7日、もしくは10日、約48時間、約72時間、約96時間、約120時間、約2日、約3日、約4日、約5日、約7日、もしくは約10日、または48時間未満、72時間未満、96時間未満、120時間未満、2日未満、3日未満、4日未満、5日未満、7日未満、もしくは10日未満である。いくつかの態様において、単離、選択、または濃縮された細胞は、刺激の前に凍結保護されず、かつインプット細胞の単離、濃縮、および/または選択から(アウトプット細胞が回収、配合、および/または凍結保護される時間まで測定される場合の、提供されるプロセスを完了するために必要な持続時間または時間量は、48時間、72時間、96時間、120時間、2日、3日、4日、もしくは5日、または約48時間、約72時間、約96時間、約120時間、約2日、約3日、約4日、もしくは約5日、または48時間未満、72時間未満、96時間未満、120時間未満、2日未満、3日未満、4日未満、もしくは5日未満である。
【0592】
ある種の態様において、提供されるプロセスは、生体サンプルから単離、濃縮、または選択された細胞の集団、例えば、CD4+およびCD8+ T細胞またはCD3+細胞に対して行われる。いくつかの局面では、提供される方法は、生体サンプルが対象から回収されたときから、他の方法またはプロセスと比較して短い時間量内で、操作されたT細胞の組成物を産生または作製することができる。いくつかの態様において、提供される方法は、生体サンプル、または濃縮、単離、もしくは選択された細胞が刺激または形質導入のための工程の前に凍結保存および貯蔵される、任意または全部の時間を含めて、生体サンプルが対象から回収されたときから、操作されたT細胞が回収、収集、または配合されるとき(例えば、凍結保存または投与のため)まで、10日、9日、8日、7日、6日、5日、4日、3日、2日以内、もしくは約10日、約9日、約8日、約7日、約6日、約5日、約4日、約3日、約2日以内、または120時間、96時間、72時間、もしくは48時間以内もしくは約120時間、約96時間、約72時間、もしくは約48時間以内で、操作されたT細胞を産生または作製することができる。特定の態様において、提供される方法は、生体サンプル、または濃縮、単離、もしくは選択された細胞が刺激または形質導入のための工程の前に凍結保存および貯蔵される、任意または全部の時間を含めて、生体サンプルが対象から回収されたときから、操作されたT細胞が回収、収集、または配合されるときまで、6日~8日または約6日~8日以内で(両端の値を含む)、操作されたT細胞を産生または作製することができる。
【0593】
IV. 組換えタンパク質をコードする異種ポリヌクレオチド
いくつかの態様では、提供される方法は、CD57-細胞が濃縮された集団の細胞に異種ポリヌクレオチドを導入することであるかそれを含む。いくつかの態様では、異種ポリヌクレオチドは、組換えタンパク質をコードする。そのような組換えタンパク質は、組換え受容体、例えば、セクションIII.Aに記載されているいずれかを含み得る。組換えタンパク質をコードするポリヌクレオチド、例えば、異種または組換えポリヌクレオチドの細胞への導入は、多数の公知のベクターのいずれかを使用して行われ得る。そのようなベクターは、レンチウイルスおよびガンマレトロウイルスを含むウイルス系を含む。例示的な方法は、ウイルス、例えば、レトロウイルスまたはレンチウイルスによる形質導入を介することを含む、該受容体をコードする異種ポリヌクレオチドの移入のための方法を含む。いくつかの態様では、刺激された細胞の集団は、組換え受容体をコードする異種または組換えポリヌクレオチドを導入するなどのために遺伝子操作され、それによって、形質転換された細胞の集団(また、本明細書において細胞の形質転換された集団とも称される)を生成する。
【0594】
ある特定の態様では、組換えタンパク質(例えば、組換え受容体)をコードするポリヌクレオチドが細胞に導入される。ある特定の態様では、ポリヌクレオチドまたは核酸分子は、細胞に対して異種である。特定の態様では、異種ポリヌクレオチドは、細胞に対して天然ではない。ある特定の態様では、異種核酸分子または異種ポリヌクレオチドは、細胞によって天然に発現されないタンパク質、例えば、組換えタンパク質をコードする。特定の態様では、異種核酸分子またはポリヌクレオチドは、接触または導入の前に細胞中に見られない核酸配列であるかそれを含有する。
【0595】
特定の態様では、異種ポリヌクレオチドは、組換えタンパク質をコードする。ある特定の態様では、組換えタンパク質は、組換え受容体である。いくつかの態様では、組換えタンパク質は、組換えTCRまたはキメラ抗原受容体(CAR)などの組換え抗原受容体である。
【0596】
A. 組換え受容体
いくつかの態様では、1つまたは複数の組換え受容体を発現するか発現するように操作されている操作された細胞、例えばCD57- T細胞が提供される。中でも、受容体は、抗原受容体およびその1つまたは複数の成分を含有する受容体である。組換え受容体は、キメラ受容体、例えば、リガンド結合ドメインまたはその結合断片および細胞内シグナル伝達ドメインまたは領域を含有するもの、機能的な非TCR抗原受容体、キメラ抗原受容体(CAR)、T細胞受容体(TCR)、例えば、組換えまたはトランスジェニックTCR、キメラ自己抗体受容体(CAAR)、ならびに前述のいずれかの成分を含み得る。CARなどの組換え受容体は、一般に、1つまたは複数の細胞内シグナル伝達成分に、いくつかの局面ではリンカーおよび/または膜貫通ドメインを介して連結された、細胞外抗原(またはリガンド)結合ドメインを含む。いくつかの態様では、操作された細胞は、異なる成分、ドメインまたは領域を含有する2つ以上の受容体を発現する。いくつかの局面では、2つ以上の受容体は、組換え受容体の特異性、活性、抗原(またはリガンド)結合、機能および/または発現の空間的または時間的な調節または制御を可能にする。
【0597】
1. キメラ抗原受容体(CAR)
提供される方法および使用のいくつかの態様では、キメラ抗原受容体などのキメラ受容体は、所望の抗原(例えば、腫瘍抗原)に対する特異性を提供するリガンド結合ドメイン(例えば、抗体または抗体断片)と細胞内シグナル伝達ドメインとを組み合わせた1つまたは複数のドメインを含有する。いくつかの態様では、細胞内シグナル伝達ドメインは、一次活性化シグナルまたは一次シグナルを提供する、T細胞刺激または活性化ドメインなどの刺激または活性化細胞内ドメイン部分である。いくつかの態様では、細胞内シグナル伝達ドメインは、エフェクター機能を容易にする共刺激シグナル伝達ドメインを含有するか追加で含有する。いくつかの態様では、キメラ受容体は、免疫細胞内に遺伝子操作されたとき、T細胞活性を調節することができ、いくつかの場合において、T細胞の分化または恒常性を調節することができ、それによって、養子細胞療法において使用するなどのためのインビボでの寿命、生存および/または持続性が改善された遺伝子操作された細胞がもたらされる。
【0598】
CARを含む例示的な抗原受容体、ならびにそのような受容体を操作および細胞に導入するための方法は、例えば、国際特許出願公開番号WO200014257、WO2013126726、WO2012/129514、WO2014031687、WO2013/166321、WO2013/071154、WO2013/123061、米国特許出願公開番号US2002131960、US2013287748、US20130149337、米国特許第6,451,995号、第7,446,190号、第8,252,592号、第8,339,645号、第8,398,282号、第7,446,179号、第6,410,319号、第7,070,995号、第7,265,209号、第7,354,762号、第7,446,191号、第8,324,353号、および第8,479,118号、ならびに欧州特許出願番号EP2537416に記載されているもの、ならびに/またはSadelain et al., Cancer Discov. 2013 April; 3(4): 388-398; Davila et al. (2013) PLoS ONE 8(4): e61338; Turtle et al., Curr. Opin. Immunol., 2012 October; 24(5): 633-39; Wu et al., Cancer, 2012 March 18(2): 160-75に記載されているものを含む。いくつかの局面では、抗原受容体は、米国特許第7,446,190号に記載されているようなCAR、および国際特許出願公開番号WO/2014055668 A1に記載されているものを含む。CARの例は、WO2014031687、US 8,339,645、US 7,446,179、US 2013/0149337、米国特許第7,446,190号、米国特許第8,389,282号、Kochenderfer et al., 2013, Nature Reviews Clinical Oncology, 10, 267-276 (2013);Wang et al. (2012) J. Immunother. 35(9): 689-701;およびBrentjens et al., Sci Transl Med. 2013 5(177)などの前述の刊行物のいずれかに開示されているようなCARを含む。また、WO2014031687、US 8,339,645、US 7,446,179、US 2013/0149337、米国特許第7,446,190号、および米国特許第8,389,282号も参照されたい。
【0599】
CARなどのキメラ受容体は、一般に、細胞外抗原結合ドメイン、例えば、抗体分子の一部、一般に、抗体の可変重(VH)鎖領域および/または可変軽(VL)鎖領域、例えば、scFv抗体断片を含む。
【0600】
いくつかの態様では、受容体の標的となる抗原は、ポリペプチドである。いくつかの態様では、それは、炭水化物または他の分子である。いくつかの態様では、抗原は、正常または非標的細胞または組織と比較して、疾患または病態の細胞、例えば、腫瘍細胞または病原性細胞上に選択的に発現されるか過剰発現される。他の態様では、抗原は、正常細胞上に発現され、かつ/または、操作された細胞上に発現される。
【0601】
いくつかの態様では、受容体の標的となる抗原は、αvβ6インテグリン(avb6インテグリン)、B細胞成熟抗原(BCMA)、B7-H3、B7-H6、炭酸脱水素酵素9(CA9、CAIXまたはG250としても公知)、がん精巣抗原、がん/精巣抗原1B(CTAG、NY-ESO-1およびLAGE-2としても公知)、がん胎児抗原(CEA)、サイクリン、サイクリンA2、C-Cモチーフケモカインリガンド1(CCL-1)、CD19、CD20、CD22、CD23、CD24、CD30、CD33、CD38、CD44、CD44v6、CD44v7/8、CD123、CD133、CD138、CD171、コンドロイチン硫酸プロテオグリカン4(CSPG4)、上皮成長因子タンパク質(EGFR)、III型上皮成長因子受容体変異(EGFR vIII)、上皮糖タンパク質2(EPG-2)、上皮糖タンパク質40(EPG-40)、エフリンB2、エフリン受容体A2(EPHa2)、エストロゲン受容体、Fc受容体様5(FCRL5;Fc受容体相同体5またはFCRH5としても公知)、胎児アセチルコリン受容体(胎児AchR)、葉酸結合タンパク質(FBP)、葉酸受容体アルファ、ガングリオシドGD2、O-アセチル化GD2(OGD2)、ガングリオシドGD3、糖タンパク質100(gp100)、グリピカン-3(GPC3)、Gタンパク質共役受容体5D(GPRC5D)、Her2/neu(受容体型チロシンキナーゼerb-B2)、Her3(erb-B3)、Her4(erb-B4)、erbB二量体、ヒト高分子量メラノーマ関連抗原(HMW-MAA)、B型肝炎表面抗原、ヒト白血球抗原A1(HLA-A1)、ヒト白血球抗原A2(HLA-A2)、IL-22受容体アルファ(IL-22Rα)、IL-13受容体アルファ2(IL-13Rα2)、キナーゼ挿入ドメイン受容体(kdr)、カッパ軽鎖、L1細胞接着分子(L1-CAM)、L1-CAMのCE7エピトープ、ロイシンリッチリピート含有8ファミリーメンバーA(LRRC8A)、ルイスY、メラノーマ関連抗原(MAGE)-A1、MAGE-A3、MAGE-A6、MAGE-A10、メソセリン(MSLN)、c-Met、マウスサイトメガロウイルス(CMV)、ムチン1(MUC1)、MUC16、ナチュラルキラーグループ2メンバーD(NKG2D)リガンド、melan A(MART-1)、神経細胞接着分子(NCAM)、腫瘍胎児抗原、メラノーマ優先発現抗原(PRAME)、プロゲステロン受容体、前立腺特異抗原、前立腺幹細胞抗原(PSCA)、前立腺特異膜抗原(PSMA)、受容体型チロシンキナーゼ様オーファン受容体1(ROR1)、サバイビン、栄養膜糖タンパク質(TPBG、5T4としても公知)、腫瘍関連糖タンパク質72(TAG72)、チロシナーゼ関連タンパク質1(TRP1、TYRP1またはgp75としても公知)、チロシナーゼ関連タンパク質2(TRP2、ドパクロムトートメラーゼ、ドパクロムデルタイソメラーゼまたはDCTとしても公知)、血管内皮成長因子受容体(VEGFR)、血管内皮成長因子受容体2(VEGFR2)、ウィルムス腫瘍1(WT-1)、病原体特異的もしくは病原体発現抗原、またはユニバーサルタグに関連する抗原、および/またはビオチン化分子、および/またはHIV、HCV、HBVもしくは他の病原体によって発現される分子であるかそれを含む。受容体の標的となる抗原は、いくつかの態様では、多数の公知のB細胞マーカーのいずれかなど、B細胞悪性腫瘍に関連する抗原を含む。いくつかの態様では、抗原は、CD20、CD19、CD22、ROR1、CD45、CD21、CD5、CD33、Igカッパ、Igラムダ、CD79a、CD79bまたはCD30であるかそれを含む。
【0602】
いくつかの態様では、抗原は、病原体特異的もしくは病原体発現抗原であるかそれを含む。いくつかの態様では、抗原は、ウイルス抗原(例えば、HIV、HCV、HBVなど由来のウイルス抗原)、細菌抗原、および/または寄生虫抗原である。
【0603】
いくつかの態様では、抗原または抗原結合ドメインは、CD19である。いくつかの態様では、scFvは、CD19に特異的な抗体または抗体断片に由来するVHおよびVLを含有する。いくつかの態様では、CD19に結合する抗体または抗体断片は、FMC63およびSJ25C1などのマウス由来抗体である。いくつかの態様では、抗体または抗体断片は、例えば、米国特許公開番号US 2016/0152723に記載されるようなヒト抗体である。
【0604】
いくつかの態様では、scFvは、FMC63に由来する。FMC63は、一般に、ヒト起源のCD19を発現するNalm-1およびNalm-16細胞に対して産生されるマウスモノクローナルIgG1抗体のことを指す(Ling, N. R., et al. (1987). Leucocyte typing III. 302)。いくつかの態様では、FMC63抗体は、SEQ ID NO:38および39にそれぞれ示されるCDRH1およびH2、およびSEQ ID NO:40または54に示されるCDRH3、およびSEQ ID NO:35に示されるCDRL1、およびSEQ ID NO:36または55に示されるCDR L2、およびSEQ ID NO:37または56に示されるCDR L3を含む。いくつかの態様では、FMC63抗体は、SEQ ID NO:41のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)およびSEQ ID NO:42のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)を含む。
【0605】
いくつかの態様では、scFvは、SEQ ID NO:35のCDRL1配列、SEQ ID NO:36のCDRL2配列およびSEQ ID NO:37のCDRL3配列を含有する可変軽鎖、ならびに/またはSEQ ID NO:38のCDRH1配列、SEQ ID NO:39のCDRH2配列およびSEQ ID NO:40のCDRH3配列を含有する可変重鎖を含む。いくつかの態様では、scFvは、SEQ ID NO:41に示される可変重鎖領域およびSEQ ID NO:42に示される可変軽鎖領域を含む。いくつかの態様では、可変重鎖および可変軽鎖は、リンカーによって接続される。いくつかの態様では、リンカーは、SEQ ID NO:58に示される。いくつかの態様では、scFvは、順番に、VH、リンカー、およびVLを含む。いくつかの態様では、scFvは、順番に、VL、リンカー、およびVHを含む。いくつかの態様では、scFvは、SEQ ID NO:43に示されるヌクレオチドの配列またはSEQ ID NO:43に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の配列同一性を示す配列によってコードされる。いくつかの態様では、scFvは、SEQ ID NO:43に示されるアミノ酸の配列またはSEQ ID NO:43に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の配列同一性を示す配列を含む。
【0606】
いくつかの態様では scFvは、SJ25C1に由来する。SJ25C1は、ヒト起源のCD19を発現するNalm-1およびNalm-16細胞に対して産生されるマウスモノクローナルIgG1抗体である(Ling, N. R., et al. (1987). Leucocyte typing III. 302)。いくつかの態様では、SJ25C1抗体は、SEQ ID NO:47~49にそれぞれ示されるCDRH1、H2およびH3、ならびにSEQ ID NO:44~46にそれぞれ示されるCDRL1、L2およびL3配列を含む。いくつかの態様では、SJ25C1抗体は、SEQ ID NO:50のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)およびSEQ ID NO:51のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)を含む。
【0607】
いくつかの態様では、scFvは、SEQ ID NO:44のCDRL1配列、SEQ ID NO:45のCDRL2配列およびSEQ ID NO:46のCDRL3配列を含有する可変軽鎖、ならびに/またはSEQ ID NO:47のCDRH1配列、SEQ ID NO:48のCDRH2配列およびSEQ ID NO:49のCDRH3配列を含有する可変重鎖を含む。いくつかの態様では、scFvは、SEQ ID NO:50に示される可変重鎖領域およびSEQ ID NO:51に示される可変軽鎖領域を含む。いくつかの態様では、可変重鎖および可変軽鎖は、リンカーによって接続される。いくつかの態様では、リンカーは、SEQ ID NO:52に示される。いくつかの態様では、scFvは、順番に、VH、リンカー、およびVLを含む。いくつかの態様では、scFvは、順番に、VL、リンカー、およびVHを含む。いくつかの態様では、scFvは、SEQ ID NO:53に示されるアミノ酸の配列またはSEQ ID NO:53に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の配列同一性を示す配列を含む。
【0608】
いくつかの態様では、キメラ抗原受容体は、抗体または抗体断片を含有する細胞外部分を含む。いくつかの局面では、キメラ抗原受容体は、抗体または断片を含有する細胞外部分および細胞内シグナル伝達ドメインを含む。いくつかの態様では、抗体または断片は、scFvを含む。
【0609】
いくつかの態様では、組換え受容体、例えば、CARの抗体部分はさらに、ヒンジ領域、例えば、IgG4ヒンジ領域、ならびに/またはCH1/CLおよび/もしくはFc領域などの免疫グロブリン定常領域の少なくとも一部を含む。いくつかの態様では、定常領域または部分は、IgG4またはIgG1などのヒトIgGのものである。いくつかの局面では、定常領域の部分は、抗原認識成分、例えば、scFvと膜貫通ドメインとの間のスペーサー領域として役立つ。スペーサーは、スペーサーの非存在下と比較して、抗原結合後の細胞の応答性の増加を提供する長さのものであることができる。例示的なスペーサーは、Hudecek et al. (2013) Clin. Cancer Res., 19:3153、国際特許出願公開番号WO2014031687、米国特許第8,822,647号または公開出願番号US2014/0271635に記載されているものを含むが、それらに限定されない。
【0610】
いくつかの態様では、定常領域または部分は、IgG4またはIgG1などのヒトIgGのものである。いくつかの態様では、スペーサーは、配列ESKYGPPCPPCP(SEQ ID NO:1に示される)を有し、SEQ ID NO:2に示される配列によってコードされる。いくつかの態様では、スペーサーは、SEQ ID NO:3に示される配列を有する。いくつかの態様では、スペーサーは、SEQ ID NO:4に示される配列を有する。いくつかの態様では、定常領域または部分は、IgDのものである。いくつかの態様では、スペーサーは、SEQ ID NO:5に示される配列を有する。いくつかの態様では、スペーサーは、SEQ ID NO:1、3、4または5のいずれかに対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはより大きな配列同一性を示すアミノ酸の配列を有する。いくつかの態様では、スペーサーは、SEQ ID NO:27~34に示される配列を有する。いくつかの態様では、スペーサーは、SEQ ID NO:27~34のいずれかに対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはより大きな配列同一性を示すアミノ酸の配列を有する。
【0611】
いくつかの態様では、抗原受容体は、細胞外ドメインに直接または間接的に連結された細胞内ドメインを含む。いくつかの態様では、キメラ抗原受容体は、細胞外ドメインと細胞内シグナル伝達ドメインを連結する膜貫通ドメインを含む。いくつかの態様では、細胞内シグナル伝達ドメインは、ITAMを含む。例えば、いくつかの局面では、抗原認識ドメイン(例えば、細胞外ドメイン)は、一般に、1つまたは複数の細胞内シグナル伝達成分、例えば、CARの場合にはTCR複合体などの抗原受容体複合体を経由する活性化を模倣し、かつ/または別の細胞表面受容体を介してシグナル伝達する、シグナル伝達成分に連結されている。いくつかの態様では、キメラ受容体は、細胞外ドメイン(例えば、scFv)と細胞内シグナル伝達ドメインとの間で連結または融合された膜貫通ドメインを含む。したがって、いくつかの態様では、抗原結合成分(例えば、抗体)は、1つまたは複数の膜貫通ドメインおよび細胞内シグナル伝達ドメインに連結される。
【0612】
一態様では、受容体(例えば、CAR)中のドメインの1つに天然に会合する膜貫通ドメインが使用される。いくつかの場合、膜貫通ドメインは、同じまたは異なる表面膜タンパク質の膜貫通ドメインへのかかるドメインの結合を回避して、受容体複合体の他のメンバーとの相互作用を最小限に抑えるように選択されるかまたはアミノ酸置換によって改変される。
【0613】
膜貫通ドメインは、いくつかの態様では、天然起源または合成起源のいずれかに由来する。起源が天然である場合、ドメインは、いくつかの局面では、任意の膜結合または膜貫通タンパク質に由来する。膜貫通領域は、T細胞受容体のアルファ、ベータまたはゼータ鎖、CD28、CD3イプシロン、CD45、CD4、CD5、CD8、CD9、CD16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137、CD154に由来するものを含む(すなわち、これらの少なくとも膜貫通領域を含む)。あるいは、膜貫通ドメインは、いくつかの態様では、合成である。いくつかの局面では、合成膜貫通ドメインは、ロイシンおよびバリンなどの主に疎水性の残基を含む。いくつかの局面では、フェニルアラニン、トリプトファンおよびバリンのトリプレットが、合成膜貫通ドメインの各末端に見られる。いくつかの態様では、連結は、リンカー、スペーサー、および/または膜貫通ドメインによる。いくつかの局面では、膜貫通ドメインは、CD28の膜貫通部分を含有する。
【0614】
いくつかの態様では、細胞外ドメインおよび膜貫通ドメインは、直接的または間接的に連結することができる。いくつかの態様では、細胞外ドメインおよび膜貫通は、本明細書に記載されるいずれかなどのスペーサーによって連結される。いくつかの態様では、受容体は、CD28細胞外部分などの膜貫通ドメインが由来する分子の細胞外部分を含有する。
【0615】
中でも、細胞内シグナル伝達ドメインは、天然抗原受容体を経由するシグナル、共刺激受容体と組み合わせてこのような受容体を経由するシグナル、および/または共刺激受容体単独を経由するシグナルを模倣もしくは近似するものである。いくつかの態様では、短いオリゴペプチドまたはポリペプチドリンカー、例えば、グリシンおよびセリンを含有するもの、例えばグリシン-セリンダブレットなどの2~10アミノ酸長のリンカーが存在し、CARの膜貫通ドメインと細胞質シグナル伝達ドメインとの間に連結を形成する。
【0616】
T細胞活性化は、いくつかの局面では、2つのクラスの細胞質シグナル伝達配列:TCRを経由する抗原依存性一次活性化を開始する配列(一次細胞質シグナル伝達配列)、および抗原非依存的に作用して二次または共刺激シグナルを提供する配列(二次細胞質シグナル伝達配列)によって媒介されると説明されている。いくつかの局面では、CARは、そのようなシグナル伝達成分の一方または両方を含む。
【0617】
受容体、例えば、CARは、一般に、少なくとも1つの細胞内シグナル伝達成分を含む。いくつかの局面では、CARは、TCR複合体の一次活性化を調節する一次細胞質シグナル伝達配列を含む。刺激的に作用する一次細胞質シグナル伝達配列は、免疫受容体活性化チロシンモチーフまたはITAMとして公知のシグナル伝達モチーフを含有し得る。ITAMを含有する一次細胞質シグナル伝達配列の例は、CD3ゼータ鎖、FcRガンマ、CD3ガンマ、CD3デルタおよびCD3イプシロンに由来するものを含む。いくつかの態様では、CAR中の細胞質シグナル伝達分子は、細胞質シグナル伝達ドメイン、その一部、またはCD3ゼータに由来する配列を含有する。
【0618】
いくつかの態様では、受容体は、T細胞活性化および細胞傷害性を媒介するTCR CD3鎖(例えば、CD3ゼータ鎖)などのTCR複合体の細胞内成分を含む。したがって、いくつかの局面では、抗原結合部分は、1つまたは複数の細胞シグナル伝達モジュールに連結される。いくつかの態様では、細胞シグナル伝達モジュールは、CD3膜貫通ドメイン、CD3細胞内シグナル伝達ドメインおよび/または他のCD膜貫通ドメインを含む。いくつかの態様では、受容体、例えば、CARはさらに、Fc受容体γ、CD8、CD4、CD25またはCD16などの1つまたは複数の追加の分子の一部を含む。例えば、いくつかの局面では、CARまたは他のキメラ受容体は、CD3ゼータ(CD3ζ)またはFc受容体γとCD8、CD4、CD25またはCD16との間のキメラ分子を含む。
【0619】
いくつかの態様では、CARまたは他のキメラ受容体と連結すると、受容体の細胞質ドメインまたは細胞内シグナル伝達ドメインは、免疫細胞、例えば、CARを発現するように操作されたT細胞の正常なエフェクター機能または応答の少なくとも1つを活性化する。例えば、いくつかの状況では、CARは、サイトカインまたは他の因子の分泌など、細胞傷害活性またはTヘルパー活性などのT細胞の機能を誘導する。いくつかの態様では、抗原受容体成分または共刺激分子の切断型細胞内シグナル伝達ドメイン部分は、例えばそれがエフェクター機能のシグナルを伝達するならば、無傷の免疫刺激鎖の代わりに使用される。いくつかの態様では、細胞内シグナル伝達ドメイン(1つまたは複数)は、T細胞受容体(TCR)の細胞質配列を含み、いくつかの局面では、また、自然状況下でそのような受容体と協調して抗原受容体結合後にシグナル伝達を開始するように作用する共受容体の細胞質配列も含む。
【0620】
天然TCRに関連して、完全活性化は、一般に、TCRを経由するシグナル伝達だけでなく、共刺激シグナルも必要とする。したがって、いくつかの態様では、完全活性化を促進するために、二次または共刺激シグナルを発生するための成分もCARに含まれる。他の態様では、CARは、共刺激シグナルを発生するための成分を含まない。いくつかの局面では、追加のCARが同じ細胞において発現され、二次または共刺激シグナルを発生するための成分を提供する。
【0621】
いくつかの態様では、キメラ抗原受容体は、T細胞共刺激分子の細胞内ドメインを含有する。いくつかの態様では、CARは、CD28、4-1BB、OX40、DAP10およびICOSなどの共刺激受容体のシグナル伝達ドメインおよび/または膜貫通部分を含む。いくつかの局面では、同じCARは、活性化成分と共刺激成分の両方を含む。いくつかの態様では、キメラ抗原受容体は、T細胞共刺激分子またはその機能性変種に由来する細胞内ドメインを、例えば膜貫通ドメインと細胞内シグナル伝達ドメインとの間に含有する。いくつかの局面では、T細胞共刺激分子は、CD28または41BBである。
【0622】
いくつかの態様では、活性化ドメインは、1つのCAR内に含まれるのに対し、共刺激成分は、別の抗原を認識する別のCARにより提供される。いくつかの態様では、CARは、両方とも同じ細胞上に発現される、活性化または刺激CAR、共刺激CARを含む(WO2014/055668を参照のこと)。いくつかの局面では、細胞は、1つまたは複数の刺激または活性化CARおよび/または共刺激CARを含む。いくつかの態様では、細胞はさらに、疾患または病態に関連するものおよび/またはそれに特異的なもの以外の抗原を認識するCARなどの阻害性CAR(iCAR、Fedorov et al., Sci. Transl. Medicine, 5(215) (December, 2013)を参照のこと)を含み、それによって、疾患を標的とするCARを経由して送達される活性化シグナルが、阻害性CARがそのリガンドに結合することにより減衰または阻害されて、例えばオフターゲット効果を減少させる。
【0623】
ある特定の態様では、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3(例えば、CD3ゼータ)細胞内ドメインに連結されたCD28膜貫通およびシグナル伝達ドメインを含む。いくつかの態様では、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3ゼータ細胞内ドメインに連結されたキメラCD28およびCD137(4-1BB、TNFRSF9)共刺激ドメインを含む。
【0624】
いくつかの態様では、CARは、細胞質部分に1つまたは複数、例えば、2つ以上の共刺激ドメインおよび活性化ドメイン、例えば、一次活性化ドメインを包含する。例示的なCARは、CD3ゼータ、CD28および4-1BBの細胞内成分を含む。
【0625】
いくつかの態様では、抗原受容体はさらに、CARまたは他の抗原受容体を発現するマーカーおよび/または細胞を含み、受容体を発現する細胞の形質導入または操作を確認するために使用され得る細胞表面マーカーなどの代理マーカーをさらに含む。いくつかの局面では、マーカーは、CD34、NGFR、または上皮成長因子受容体の全部または一部(例えば、短縮型)、例えば、そのような細胞表面受容体の短縮型バージョン(例えば、tEGFR)を含む。いくつかの態様では、マーカーをコードする核酸は、切断可能なリンカー配列、例えばT2Aなどのリンカー配列をコードするポリヌクレオチドに機能的に連結される。例えば、マーカー、および任意でリンカー配列は、公開特許出願第WO2014031687号に開示されているようないずれかであり得る。例えば、マーカーは、任意でT2A切断可能リンカー配列などのリンカー配列に連結された短縮型EGFR(tEGFR)であり得る。
【0626】
短縮型EGFR(例えばtEGFR)の例示的なポリペプチドは、SEQ ID NO:7もしくは16に示されるアミノ酸の配列、またはSEQ ID NO:7もしくは16に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくはより大きな配列同一性を示すアミノ酸の配列を含む。例示的なT2Aリンカー配列は、SEQ ID NO:6もしくは17に示されるアミノ酸の配列、またはSEQ ID NO:6もしくは17に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくはより大きな配列同一性を示すアミノ酸の配列を含む。
【0627】
いくつかの態様では、マーカーは、T細胞上に天然では見られない、もしくはT細胞の表面上に天然では見られない分子、例えば、細胞表面タンパク質、またはその一部である。いくつかの態様では、分子は、非自己分子、例えば、非自己タンパク質、すなわち、細胞が養子移入される宿主の免疫系によって「自己」として認識されないものである。
【0628】
いくつかの態様では、マーカーは、治療機能を果たさず、かつ/または、例えば成功裏に操作された細胞を選択するための、遺伝子操作のマーカーとして使用されること以外の効果をもたらさない。他の態様では、マーカーは、治療用分子またはそれ以外の何らかの所望の効果を奏する分子、例えば、細胞がインビボで遭遇するリガンド、例えば、養子移入時およびリガンドとの遭遇時に細胞の応答を増強するおよび/または減弱させる共刺激分子または免疫チェックポイント分子であり得る。
【0629】
いくつかの場合において、CARは、第1世代、第2世代および/または第3世代のCARと称される。いくつかの局面では、第1世代のCARは、抗原結合時にCD3鎖誘導シグナルのみを提供するものである;いくつかの局面では、第2世代のCARは、そのようなシグナルと共刺激シグナルを提供するもの、例えばCD28またはCD137などの共刺激受容体由来の細胞内シグナル伝達ドメインを含むものである;いくつかの局面では、第3世代のCARは、異なる共刺激受容体の複数の共刺激ドメインを含むものである。
【0630】
例えば、いくつかの態様では、CARは、抗体、例えば、抗体断片、CD28の膜貫通部分またはその機能性変種であるかそれを含有する膜貫通ドメイン、ならびにCD28のシグナル伝達部分またはその機能性変種およびCD3ゼータのシグナル伝達部分またはその機能性変種を含有する細胞内シグナル伝達ドメインを含有する。いくつかの態様では、CARは、抗体、例えば、抗体断片、CD28の膜貫通部分またはその機能性変種であるかそれを含有する膜貫通ドメイン、ならびに4-1BBのシグナル伝達部分またはその機能性変種およびCD3ゼータのシグナル伝達部分またはその機能性変種を含有する細胞内シグナル伝達ドメインを含有する。いくつかのそのような態様では、受容体はさらに、ヒトIg分子などのIg分子の一部、例えばIgヒンジ、例えばIgG4ヒンジを含有するスペーサー、例えば、ヒンジのみのスペーサーを含む。
【0631】
いくつかの態様では、組換え受容体(例えば、CAR)の膜貫通ドメインは、ヒトCD28の膜貫通ドメイン(例えば、アクセッション番号P01747.1)またはその変種、例えば、SEQ ID NO:8に示されるアミノ酸の配列またはSEQ ID NO:8に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくはより大きな配列同一性を示すアミノ酸の配列を含む膜貫通ドメインであるかそれを含む;いくつかの態様では、組換え受容体の膜貫通ドメイン含有部分は、SEQ ID NO:9に示されるアミノ酸の配列、またはそれに対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上もしくは約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上の配列同一性を有するアミノ酸の配列を含む。
【0632】
いくつかの態様では、組換え受容体(例えば、CAR)の細胞内シグナル伝達成分は、ヒトCD28の細胞内共刺激シグナル伝達ドメインまたは機能性変種またはその一部、例えば、天然CD28タンパク質の186~187位にLLからGGへの置換を有するドメインを含有する。例えば、細胞内シグナル伝達ドメインは、SEQ ID NO:10もしくは11に示されるアミノ酸の配列、またはSEQ ID NO:10もしくは11に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくはより大きな配列同一性を示すアミノ酸の配列を含むことができる。いくつかの態様では、細胞内ドメインは、4-1BBの細胞内共刺激シグナル伝達ドメイン(例えば、アクセッション番号Q07011.1)または機能性変種またはその一部、例えば、SEQ ID NO:12に示されるアミノ酸の配列、またはSEQ ID NO:12に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくはより大きな配列同一性を示すアミノ酸の配列を含む。
【0633】
いくつかの態様では、組換え受容体(例えば、CAR)の細胞内シグナル伝達ドメインは、ヒトCD3ゼータ刺激シグナル伝達ドメインまたはその機能性変種、例えば、ヒトCD3ζのアイソフォーム3(アクセッション番号:P20963.2)の112 AA細胞質ドメインまたは米国特許第7,446,190号または米国特許第8,911,993号に記載されているようなCD3ゼータシグナル伝達ドメインを含む。例えば、いくつかの態様では、細胞内シグナル伝達ドメインは、SEQ ID NO:13、14もしくは15に示されるようなアミノ酸の配列、またはSEQ ID NO:13、14もしくは15に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくはより大きな配列同一性を示すアミノ酸の配列を含む。
【0634】
いくつかの局面では、スペーサーは、SEQ ID NO:1に示されるヒンジのみのスペーサーなど、IgGのヒンジ領域のみ、例えばIgG4またはIgG1のヒンジのみを含有する。他の態様では、スペーサーは、任意でCH2および/またはCH3ドメインに連結された、Igヒンジ、例えば、IgG4由来ヒンジであるかそれを含有する。いくつかの態様では、スペーサーは、CH2およびCH3ドメインに連結された、SEQ ID NO:4に示されるようなIgヒンジ、例えば、IgG4ヒンジである。いくつかの態様では、スペーサーは、CH3ドメインのみに連結された、SEQ ID NO:3に示されるようなIgヒンジ、例えば、IgG4ヒンジである。いくつかの態様では、スペーサーは、グリシン-セリンリッチ配列または公知の可動性リンカーなどの他の可動性リンカーであるかそれを含む。
【0635】
例えば、いくつかの態様では、CARは、抗体、例えばscFvsを含めた抗体断片、スペーサー、例えば、免疫グロブリン分子の一部、例えば重鎖分子のヒンジ領域および/または1つもしくは複数の定常領域を含有する、スペーサー、例えば、Igヒンジ含有スペーサー、CD28由来膜貫通ドメインの全部または一部を含有する膜貫通ドメイン、CD28由来細胞内シグナル伝達ドメイン、ならびにCD3ゼータシグナル伝達ドメインを含む。いくつかの態様では、CARは、抗体または断片、例えばscFv、スペーサー、例えばIgヒンジ含有スペーサーのいずれか、CD28由来膜貫通ドメイン、4-1BB由来細胞内シグナル伝達ドメイン、およびCD3ゼータ由来シグナル伝達ドメインを含む。
【0636】
いくつかの態様では、そのようなCAR構築物をコードする核酸分子はさらに、T2Aリボソームスキップエレメントをコードする配列および/またはtEGFR配列を、例えば、CARをコードする配列の下流に含む。いくつかの態様では、配列は、SEQ ID NO:6もしくは17に示されるT2Aリボソームスキップエレメント、またはSEQ ID NO:6もしくは17に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくはより大きな配列同一性を示すアミノ酸の配列をコードする。いくつかの態様では、抗原受容体(例えば、CAR)を発現するT細胞はまた、短縮型EGFR(EGFRt)を非免疫原性選択エピトープとして発現するように生成することもでき(例えば、同じ構築物から2つのタンパク質を発現するためにT2Aリボソームスイッチによって分離されたCARとEGFRtをコードする構築物の導入によって)、これはその後、そのような細胞を検出するためのマーカーとして使用することができる(例えば、米国特許第8,802,374号を参照のこと)。いくつかの態様では、配列は、SEQ ID NO:7もしくは16に示されるtEGFR配列、またはSEQ ID NO:7もしくは16に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくはより大きな配列同一性を示すアミノ酸の配列をコードする。いくつかの場合において、T2Aなどのペプチドは、リボソームに2AエレメントのC末端でのペプチド結合の合成をスキップさせることができ(リボソームスキッピング)、2A配列の末端と次の下流ペプチドとの間の分離をもたらす(例えば、de Felipe. Genetic Vaccines and Ther. 2:13 (2004)およびdeFelipe et al. Traffic 5:616-626 (2004)を参照のこと)。多くの2Aエレメントが公知である。本明細書において開示される方法および核酸において使用できる2A配列の例は、限定されることなく、米国特許公開番号20070116690に記載されているような、口蹄疫ウイルス由来の2A配列(F2A、例えば、SEQ ID NO:21)、ウマ鼻炎Aウイルス由来の2A配列(E2A、例えば、SEQ ID NO:20)、トセア・アシグナ(Thosea asigna)ウイルス由来の2A配列(T2A、例えば、SEQ ID NO:6または17)、およびブタテスコウイルス-1由来の2A配列(P2A、例えば、SEQ ID NO:18または19)。
【0637】
対象に投与される細胞によって発現されるCARなどの組換え受容体は、一般に、処置されている疾患もしくは病態またはその細胞において発現される、それに関連するおよび/またはそれに特異的な分子を認識するか、それに特異的に結合する。分子、例えば、抗原に特異的に結合すると、受容体は、一般に、ITAM伝達シグナルなどの免疫刺激シグナルを細胞内に送達し、それによって疾患または病態を標的とする免疫応答を促進する。例えば、いくつかの態様では、細胞は、疾患または病態の細胞または組織によって発現されるか疾患または病態に関連する抗原に特異的に結合するCARを発現する。
【0638】
2. T細胞受容体(TCR)
いくつかの態様では、提供される方法、使用、製造品または組成物に関連して使用されるT細胞などの操作された細胞は、腫瘍、ウイルスまたは自己免疫タンパク質の抗原などの標的ポリペプチドのペプチドエピトープまたはT細胞エピトープを認識するT細胞受容体(TCR)またはその抗原結合部分を発現する細胞である。
【0639】
いくつかの態様では、「T細胞受容体」または「TCR」は、可変α鎖およびβ鎖(それぞれ、TCRαおよびTCRβとしても知られる)もしくは可変γ鎖およびδ鎖(それぞれ、TCRαおよびTCRβとしても知られる)、またはその抗原結合部分を含み、かつMHC分子に結合されたペプチドに特異的に結合することができる分子である。いくつかの態様では、TCRはαβ型である。典型的には、αβ型およびγδ型で存在するTCRは一般に構造的に類似しているが、それらを発現するT細胞は異なる解剖学的位置または機能をもつ可能性がある。TCRは細胞の表面上に、または可溶性の形態で存在し得る。一般に、TCRはT細胞(またはTリンパ球)の表面に見られ、そこでは一般的に主要組織適合性複合体(MHC)分子に結合した抗原の認識に関与している。
【0640】
特に明記しない限り、用語「TCR」は、完全なTCRだけでなく、その抗原結合部分または抗原結合断片を包含すると理解されるべきである。いくつかの態様では、TCRは、αβ型またはγδ型のTCRを含めて、インタクトまたは完全長のTCRである。いくつかの態様では、TCRは完全長のTCRに満たない抗原結合部分であるが、それは、MHC-ペプチド複合体に結合するなど、MHC分子に結合した特定のペプチドに結合する。いくつかの場合には、TCRの抗原結合部分または断片は、完全長またはインタクトのTCRの構造ドメインの一部のみを含んでいてよいが、完全なTCRが結合するMHC-ペプチド複合体などのペプチドエピトープに結合することができる。いくつかの場合には、抗原結合部分は、特定のMHC-ペプチド複合体に結合するための結合部位を形成するのに十分なTCRの可変ドメイン、例えば、TCRの可変α鎖および可変β鎖、を含む。通常、TCRの可変鎖は、ペプチド、MHC、および/またはMHC-ペプチド複合体の認識に関与する相補性決定領域を含有する。
【0641】
いくつかの態様では、TCRの可変ドメインは超可変ループまたは相補性決定領域(CDR)を含み、これらは一般に、抗原認識ならびに結合能および結合特異性に対する主要な寄与因子である。いくつかの態様では、TCRの1つのCDRまたはその組み合わせは、所与のTCR分子の抗原結合部位の全てまたは実質的に全てを形成する。TCR鎖の可変領域内の様々なCDRは一般に、フレームワーク領域(FR)によって分離されており、このFRは通常、CDRと比較して、TCR分子間でより少ない可変性(変動性)を示す(例えば、Jores et al., Proc. Nat'l Acad. Sci. U.S.A. 87:9138, 1990; Chothia et al., EMBO J. 7:3745, 1988を参照されたい;また、Lefranc et al., Dev. Comp. Immunol. 27:55, 2003も参照されたい)。いくつかの態様では、CDR3は、抗原結合または特異性に関与する主要なCDRであるか、または抗原認識にとって、および/またはペプチド-MHC複合体のプロセシングされたペプチド部分との相互作用にとって、所与のTCR可変領域の3つのCDRの中で最も重要である。ある状況下では、α鎖のCDR1は、特定の抗原ペプチドのN末端部分と相互作用することができる。ある状況下では、β鎖のCDR1は、該ペプチドのC末端部分と相互作用することができる。ある状況下では、CDR2は、MHC-ペプチド複合体のMHC部分との相互作用またはMHC部分の認識に最も強く寄与するか、またはそれに関与する主要なCDRである。いくつかの態様では、β鎖の可変領域は、さらなる超可変領域(CDR4またはHVR4)を含むことができ、これは一般に、スーパー抗原の結合に関与し、抗原認識には関与しない(Kotb (1995) Clinical Microbiology Reviews, 8:411-426)。
【0642】
いくつかの態様では、TCRはまた、定常ドメイン、膜貫通ドメイン、および/または短い細胞質テイルを含むことができる(例えば、Janeway et al., Immunobiology: The Immune System in Health and Disease, 3rd Ed., Current Biology Publications, p. 4:33, 1997を参照されたい)。いくつかの局面では、TCRの各鎖は、1つのN末端免疫グロブリン可変ドメイン、1つの免疫グロブリン定常ドメイン、膜貫通領域、およびC末端の短い細胞質テイルを保有することができる。いくつかの態様では、TCRは、シグナル伝達を媒介するのに関与するCD3複合体の不変タンパク質と会合する。
【0643】
いくつかの態様では、TCR鎖は1つまたは複数の定常ドメインを含む。例えば、所与のTCR鎖(例えば、α鎖またはβ鎖)の細胞外部分は、2つの免疫グロブリン様ドメイン、例えば、可変ドメイン(例えば、VαまたはVβ;典型的にはKabatナンバリング(Kabat et al., “Sequences of Proteins of Immunological Interest, US Dept. Health and Human Services, Public Health Service National Institutes of Health, 1991, 5th ed.)に基づいてアミノ酸1-116)、および細胞膜に隣接する定常ドメイン(例えば、α鎖定常ドメインつまりCα、典型的にはKabatナンバリングに基づいて117-259位、またはβ鎖定常ドメインつまりCβ、典型的にはKabatナンバリングに基づいて117-295位)を含むことができる。例えば、場合により、2本の鎖によって形成されるTCRの細胞外部分は、2つの膜近位定常ドメインと、2つの膜遠位可変ドメインを含み、その可変ドメインにはそれぞれCDRが含まれる。TCRの定常ドメインは短い接続配列を含んでもよく、その場合には、システイン残基がジスルフィド結合を形成し、それによってTCRの2本の鎖を連結する。いくつかの態様では、TCRは、α鎖とβ鎖のそれぞれに追加のシステイン残基をもつことができ、その結果、TCRは定常ドメインに2つのジスルフィド結合を含むようになる。
【0644】
いくつかの態様では、TCR鎖は膜貫通ドメインを含む。いくつかの態様では、膜貫通ドメインは正に帯電している。いくつかの場合には、TCR鎖は細胞質テイルを含む。場合によっては、この構造は、TCRを、CD3およびそのサブユニットなどの他の分子と会合させることができる。例えば、膜貫通領域と共に定常ドメインを含むTCRは、該タンパク質を細胞膜に固定して、CD3シグナル伝達装置または複合体の不変サブユニットと会合し得る。CD3シグナル伝達サブユニット(例えば、CD3γ、CD3δ、CD3ε、およびCD3ζ鎖)の細胞内テイルは、TCR複合体のシグナル伝達能力に関与する1つまたは複数の免疫受容活性化チロシンモチーフつまりITAMを含む。
【0645】
いくつかの態様において、TCRは、2つの鎖αおよびβ(もしくは任意でγおよびδ)のヘテロ二量体の場合があるか、または一本鎖TCR構築物の場合がある。いくつかの態様において、TCRは、1つまたは複数のジスルフィド結合などにより連結された、2つの別々の鎖(αおよびβ鎖またはγおよびδ鎖)を含むヘテロ二量体である。
【0646】
いくつかの態様において、TCRは、実質的に完全長コード配列が容易に入手可能なVα、β鎖の配列などの公知のTCR配列から作製することができる。細胞起源からV鎖配列を含む完全長TCR配列を得るための方法は、周知である。いくつかの態様において、TCRをコードする核酸は、様々な起源から、例えば、1つもしくは複数の所与の細胞内の、もしくは該細胞から単離された、TCRをコードする核酸のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅、または公的に入手可能なTCR DNA配列の合成により、得ることができる。
【0647】
いくつかの態様において、TCRは、生物学的供給源から、例えば細胞から、例えばT細胞(例えば細胞傷害性T細胞)、T細胞ハイブリドーマ、または他の公表されている供給源から得られる。いくつかの態様において、T細胞はインビボで単離された細胞から得ることができる。いくつかの態様において、TCRは、胸腺で選択されたTCRである。いくつかの態様において、TCRはネオエピトープ拘束性TCRである。いくつかの態様において、T細胞は、培養したT細胞ハイブリドーマまたはクローンであることができる。いくつかの態様において、TCRまたはその抗原結合部分もしくはその抗原結合フラグメントは、TCRの配列の知識から合成的に作製することができる。
【0648】
いくつかの態様において、TCRは、標的ポリペプチド抗原またはその標的T細胞エピトープに対する候補TCRのライブラリーのスクリーニングから同定または選択されたTCRから作製される。TCRライブラリーは、PBMC、脾臓または他のリンパ器官に存在する細胞を含む、対象から単離されたT細胞からのVαおよびVβのレパートリーの増幅によって作製することができる。場合によっては、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)からT細胞を増幅することができる。いくつかの態様において、TCRライブラリーは、CD4+またはCD8+細胞から作製することができる。いくつかの態様において、TCRは、正常または健常な対象のT細胞源、すなわち正常TCRライブラリーから増幅することができる。いくつかの態様において、TCRは、罹患した対象のT細胞源、すなわち罹患TCRライブラリーから増幅することができる。いくつかの態様において、縮重プライマーは、ヒトから得られたT細胞などのサンプルにおけるRT-PCRなどによって、VαおよびVβの遺伝子レパートリーを増幅するために使用される。いくつかの態様において、scTvライブラリーは、ナイーブVαおよびVβライブラリーから組み立てることができ、その際、増幅産物がリンカーによって分離されるようにクローン化されるか、または組み立てられる。対象および細胞の供給源に応じて、該ライブラリーはHLAアレル特異的であることができる。あるいは、いくつかの態様において、TCRライブラリーは、親または足場TCR分子の変異誘発または多様化によって作製することができる。いくつかの局面では、TCRは、例えばα鎖またはβ鎖の、変異誘発などによる定方向進化に供される。いくつかの局面では、TCRのCDR内の特定の残基が変更される。いくつかの態様において、選択されたTCRは、親和性成熟によって改変することができる。いくつかの態様において、ペプチドに対するCTL活性を評価するためのスクリーニングなどによって、抗原特異的T細胞が選択される場合がある。いくつかの局面では、TCR、例えば抗原特異的T細胞上に存在するTCRは、結合活性などによって、例えば、抗原に対する特定の親和性または結合力によって、選択される場合がある。
【0649】
いくつかの態様において、TCRまたはその抗原結合部分は、改変または操作されたものである。いくつかの態様において、変更された特性を有するTCR、例えば、特定のMHC-ペプチド複合体に対する親和性がより高いTCRを作製するために、定方向進化法が用いられる。いくつかの態様において、定方向進化は、以下を含むがそれに限定されるわけではないディスプレイ法によって達成される: 酵母ディスプレイ(Holler et al. (2003) Nat Immunol, 4, 55-62; Holler et al. (2000) Proc Natl Acad Sci U S A, 97, 5387-92)、ファージディスプレイ(Li et al. (2005) Nat Biotechnol, 23, 349-54)、またはT細胞ディスプレイ(Chervin et al. (2008) J Immunol Methods, 339, 175-84)。いくつかの態様において、ディスプレイアプローチは、公知の親または基準TCRを操作または改変することを含む。例えば、いくつかの場合には、野生型TCRが、CDRの1個または複数の残基を変異させた変異誘発TCRを産生するためのテンプレートとして使用することができ、所望の標的抗原に対するより高い親和性などの、望ましい変更特性を備える変異体が選択される。
【0650】
いくつかの態様において、関心対象のTCRの産生または作製に使用するための標的ポリペプチドのペプチドは、公知であるか、または容易に同定することができる。いくつかの態様において、TCRまたは抗原結合部分の作製に使用するために適したペプチドは、関心対象の標的ポリペプチド、例えば、下記の標的ポリペプチドにおけるHLA拘束性モチーフの存在に基づき決定することができる。いくつかの態様において、ペプチドは、利用可能なコンピュータ予測モデルを用いて同定される。いくつかの態様において、MHCクラスI結合部位を予測するために、そのようなモデルは、ProPred1(Singh and Raghava (2001) Bioinformatics 17(12):1236-1237、およびSYFPEITHIを含むが、それに限定されるわけではない(Schuler et al. (2007) Immunoinformatics Methods in Molecular Biology, 409(1): 75-93 2007を参照されたい)。いくつかの態様において、MHC拘束性エピトープは、HLA-A0201であり、これは、白人全体の約39~46%に発現され、したがって、TCRまたは他のMHC-ペプチド結合分子の調製に使用するために選ばれてふさわしいMHC抗原を意味する。
【0651】
コンピュータ予測モデルを使用したHLA-A0201結合モチーフならびにプロテアソームおよび免疫プロテアソームの切断部位は当業者に公知である。MHCクラスI結合部位を予測するために、そのようなモデルは、ProPred1(Singh and Raghava, ProPred: prediction of HLA-DR binding sites. BIOINFORMATICS 17(12):1236-1237 2001により詳細に記載されている)、およびSYFPEITHI(Schuler et al. SYFPEITHI, Database for Searching and T-Cell Epitope Prediction. in Immunoinformatics Methods in Molecular Biology, vol 409(1): 75-93 2007を参照のこと)を含むが、それらに限定されない。
【0652】
いくつかの態様では、TCRまたはその抗原結合部分は、結合特性などの1つまたは複数の性質が変更されている、組換え生産された天然タンパク質またはその変異型であり得る。いくつかの態様では、TCRは、ヒト、マウス、ラットまたは他の哺乳動物などの様々な動物種の1つに由来し得る。TCRは、細胞結合型でも可溶型でもよい。いくつかの態様では、提供される方法の目的のために、TCRは、細胞の表面上に発現される細胞結合型である。
【0653】
いくつかの態様では、TCRは、完全長TCRである。いくつかの態様では、TCRは、抗原結合部分である。いくつかの態様では、TCRは、二量体TCR(dTCR)である。いくつかの態様では、TCRは、一本鎖TCR(sc-TCR)である。いくつかの態様では、dTCRまたはscTCRは、WO 03/020763、WO 04/033685、WO2011/044186に記載されているような構造を有する。
【0654】
いくつかの態様では、TCRは、膜貫通配列に対応する配列を含有する。いくつかの態様では、TCRは、細胞質配列に対応する配列を含有する。いくつかの態様では、TCRは、CD3とTCR複合体を形成可能である。いくつかの態様では、dTCRまたはscTCRを含むTCRのいずれかを、T細胞の表面上に活性TCRを生じるシグナル伝達ドメインに連結することができる。いくつかの態様では、TCRは、細胞の表面上に発現される。
【0655】
いくつかの態様では、dTCRは、TCRα鎖可変領域配列に対応する配列がTCRα鎖定常領域細胞外配列に対応する配列のN末端に融合している第1のポリペプチド、およびTCRβ鎖可変領域配列に対応する配列がTCRβ鎖定常領域細胞外配列に対応する配列のN末端に融合している第2のポリペプチドを含有し、第1および第2のポリペプチドは、ジスルフィド結合によって連結されている。いくつかの態様では、結合は、天然の二量体αβTCR中に存在する天然の鎖間ジスルフィド結合に対応し得る。いくつかの態様では、鎖間ジスルフィド結合は、天然のTCR中には存在しない。例えば、いくつかの態様では、1つまたは複数のシステインをdTCRポリペプチド対の定常領域細胞外配列に組み込むことができる。いくつかの場合において、天然および非天然の両方のジスルフィド結合が望ましいことがあり得る。いくつかの態様では、TCRは、膜に固定するための膜貫通配列を含有する。
【0656】
いくつかの態様では、dTCRは、可変αドメイン、定常αドメインおよび定常αドメインのC末端に付着した第1の二量体化モチーフを含有するTCRα鎖、ならびに可変βドメイン、定常βドメインおよび定常βドメインのC末端に付着した第1の二量体化モチーフを含むTCR β鎖を含有し、第1および第2の二量体化モチーフは、容易に相互作用して、第1の二量体化モチーフ中のアミノ酸と第2の二量体化モチーフ中のアミノ酸との間に共有結合を形成し、TCRα鎖とTCRβ鎖を一緒に連結する。
【0657】
いくつかの態様では、TCRは、scTCRである。典型的には、scTCRは、公知の方法を使用して生成することができる。例えば、Soo Hoo, W. F. et al. PNAS (USA) 89, 4759 (1992); Wulfing, C. and Pluckthun, A., J. Mol. Biol. 242, 655 (1994); Kurucz, I. et al. PNAS (USA)90 3830 (1993);国際公開PCT番号WO 96/13593、WO 96/18105、WO99/60120、WO99/18129、WO 03/020763、WO2011/044186;およびSchlueter, C. J. et al. J. Mol. Biol. 256, 859 (1996)を参照されたい。いくつかの態様では、scTCRは、TCR鎖の会合を容易にするために導入された非天然ジスルフィド鎖間結合を含有する(例えば、国際公開PCT番号WO 03/020763を参照のこと)。いくつかの態様では、scTCRは、そのC末端に融合した異種ロイシンジッパーが鎖の会合を促進する、非ジスルフィド連結された短縮型TCRである(例えば、国際公開PCT番号WO99/60120を参照のこと)。いくつかの態様では、scTCRは、ペプチドリンカーを介してTCRβ可変ドメインに共有結合により連結されたTCRα可変ドメインを含有する(例えば、国際公開PCT番号WO99/18129を参照のこと)。
【0658】
いくつかの態様では、scTCRは、TCRα鎖可変領域に対応するアミノ酸配列によって構成される第1のセグメント、TCRβ鎖定常ドメイン細胞外配列に対応するアミノ酸配列のN末端に融合したTCRβ鎖可変領域配列に対応するアミノ酸配列によって構成される第2のセグメント、および第1のセグメントのC末端を第2のセグメントのN末端に連結するリンカー配列を含有する。
【0659】
いくつかの態様では、scTCRは、α鎖細胞外定常ドメイン配列のN末端に融合したα鎖可変領域配列によって構成される第1のセグメント、ならびに配列β鎖細胞外定常および膜貫通配列のN末端に融合したβ鎖可変領域配列によって構成される第2のセグメント、および任意で第1のセグメントのC末端を第2のセグメントのN末端に連結するリンカー配列を含有する。
【0660】
いくつかの態様では、scTCRは、β鎖細胞外定常ドメイン配列のN末端に融合したTCRβ鎖可変領域配列によって構成される第1のセグメント、ならびに配列α鎖細胞外定常および膜貫通配列のN末端に融合したα鎖可変領域配列によって構成される第2のセグメント、および任意で第1のセグメントのC末端を第2のセグメントのN末端に連結するリンカー配列を含有する。
【0661】
いくつかの態様では、第1および第2のTCRセグメントを連結するscTCRのリンカーは、TCRの結合特異性を保持しながら、単一ポリペプチド鎖を形成可能な任意のリンカーであることができる。いくつかの態様では、リンカー配列は、例えば、式-P-AA-P-を有してよく、式中、Pはプロリンであり、AAはアミノ酸配列を表し、アミノ酸はグリシンおよびセリンである。いくつかの態様では、第1および第2のセグメントは、その可変領域配列がそのような結合のために配向されるように対合される。したがって、いくつかの場合において、リンカーは、第1のセグメントのC末端と第2のセグメントのN末端との間、またはその逆の間の距離を橋渡しするのに十分な長さを有するが、scTCRの標的リガンドへの結合を遮断または低減するほど長くない。いくつかの態様では、リンカーは、10~45個または約10~45個のアミノ酸、例えば10~30個のアミノ酸または26~41個のアミノ酸残基、例えば、29、30、31または32個のアミノ酸を含有することができる。いくつかの態様では、リンカーは、式-PGGG-(SGGGG)5-P-を有し、式中、Pはプロリンであり、Gはグリシンであり、Sはセリンである(SEQ ID NO:22)。いくつかの態様では、リンカーは、配列
を有する。
【0662】
いくつかの態様では、scTCRは、α鎖の定常ドメインの免疫グロブリン領域の残基をβ鎖の定常ドメインの免疫グロブリン領域の残基に連結する共有ジスルフィド結合を含有する。いくつかの態様では、天然TCR中の鎖間ジスルフィド結合は存在しない。例えば、いくつかの態様では、1つまたは複数のシステインを、scTCRポリペプチドの第1および第2のセグメントの定常領域細胞外配列に組み込むことができる。いくつかの場合において、天然および非天然の両方のジスルフィド結合が望ましいことがあり得る。
【0663】
導入された鎖間ジスルフィド結合を含有するdTCRまたはscTCRのいくつかの態様では、天然のジスルフィド結合は存在しない。いくつかの態様では、天然の鎖間ジスルフィド結合を形成する天然のシステインの1つまたは複数は、セリンまたはアラニンなどの別の残基に置換される。いくつかの態様では、導入されるジスルフィド結合は、第1および第2のセグメント上の非システイン残基をシステインに変異させることによって形成することができる。TCRの例示的な非天然ジスルフィド結合は、国際公開PCT番号WO2006/000830に記載されている。
【0664】
いくつかの態様では、TCRまたはその抗原結合断片は、標的抗原に対して10-5~10-12 Mまたは約10-5~10-12 Mならびにその中のすべての個々の値および範囲の平衡結合定数で親和性を示す。いくつかの態様では、標的抗原は、MHC-ペプチド複合体またはリガンドである。
【0665】
いくつかの態様では、α鎖およびβ鎖などのTCRをコードする核酸(1つまたは複数)は、PCR、クローニングまたは他の好適な手段によって増幅させ、好適な発現ベクター(1つまたは複数)にクローニングすることができる。発現ベクターは、任意の好適な組換え発現ベクターであることができ、任意の好適な宿主を形質転換またはトランスフェクトするために使用することができる。好適なベクターは、プラスミドおよびウイルスなどの、増殖および拡大増殖のため、または発現のため、またはその両方のために設計されたものを含む。
【0666】
いくつかの態様では、ベクターは、pUCシリーズ(Fermentas Life Sciences)、pBluescriptシリーズ(Stratagene, LaJolla, Calif.)、pETシリーズ(Novagen, Madison, Wis.)、pGEXシリーズ(Pharmacia Biotech, Uppsala, Sweden)、またはpEXシリーズ(Clontech, Palo Alto, Calif.)のベクターであることができる。いくつかの場合において、λG10、λGT11、λZapII(Stratagene)、λEMBL4、およびλNM1149などのバクテリオファージベクターも使用することができる。いくつかの態様では、植物発現ベクターを使用することができ、pBI01、pBI101.2、pBI101.3、pBI121およびpBIN19(Clontech)を含む。いくつかの態様では、動物発現ベクターは、pEUK-Cl、pMAMおよびpMAMneo(Clontech)を含む。いくつかの態様では、レトロウイルスベクターなどのウイルスベクターが使用される。
【0667】
いくつかの態様では、組換え発現ベクターは、標準的な組換えDNA技術を使用して調製することができる。いくつかの態様では、ベクターは、適宜におよびベクターがDNAベースであるかRNAベースであるかを考慮に入れて、ベクターが導入されるべき宿主の種類(例えば、細菌、真菌、植物または動物)に特異的な転写および翻訳開始および終止コドンなどの調節配列を含有することができる。いくつかの態様では、ベクターは、TCRまたは抗原結合部分(または他のMHC-ペプチド結合分子)をコードするヌクレオチド配列に機能的に連結された非天然プロモーターを含有することができる。いくつかの態様では、プロモーターは、非ウイルスプロモーターまたはウイルスプロモーター、例えばサイトメガロウイルス(CMV)プロモーター、SV40プロモーター、RSVプロモーター、およびマウス幹細胞ウイルスの長い末端反復配列中に見られるプロモーターであることができる。他の公知のプロモーターも想定される。
【0668】
いくつかの態様では、TCRをコードするベクターを生成するために、関心対象のTCRを発現するT細胞クローンから単離された全cDNAからα鎖およびβ鎖をPCR増幅し、発現ベクターにクローニングする。いくつかの態様では、α鎖およびβ鎖は、同じベクターにクローニングされる。いくつかの態様では、α鎖およびβ鎖は、異なるベクターにクローニングされる。いくつかの態様では、生成されたα鎖およびβ鎖は、レトロウイルスベクター、例えば、レンチウイルスベクターに組み込まれる。
【0669】
遺伝子操作された細胞および細胞の生産方法
いくつかの態様では、提供される方法は、疾患または病態を有する対象に、組換え抗原受容体を発現する細胞を投与することを伴う。遺伝子操作された成分、例えば、組換え受容体、例えば、CARまたはTCRの導入のための様々な方法が周知であり、提供される方法および組成物と共に使用してもよい。例示的な方法は、ウイルス、例えば、レトロウイルスまたはレンチウイルスによる形質導入、トランスポゾンおよびエレクトロポレーションを介した方法を含め、受容体をコードする核酸の移入のための方法を含む。
【0670】
中でも、受容体を発現し、かつ、提供される方法によって投与される細胞は、操作された細胞である。遺伝子操作することは、一般に、レトロウイルス形質導入、トランスフェクションまたは形質転換などによる、細胞を含有する組成物への組換えまたは操作された成分をコードする核酸の導入を伴う。
【0671】
3. キメラ自己抗体受容体(CAAR)
いくつかの態様では、中でも、提供される方法、使用、製造品および組成物に関連して使用される操作された細胞によって発現される組換え受容体は、キメラ自己抗体受容体(CAAR)である。いくつかの態様では、CAARは、自己抗体に特異的である。いくつかの態様では、CAARを発現する細胞、例えば、CAARを発現するように操作されたT細胞を使用して、自己抗体を発現する細胞に特異的に結合させてそれを殺傷することができるが、正常な抗体を発現する細胞にそうすることはできない。いくつかの態様では、CAARを発現する細胞を使用して、自己免疫疾患などの自己抗原の発現に関連する自己免疫疾患を処置することができる。いくつかの態様では、CAARを発現する細胞は、最終的に自己抗体を産生して自己抗体をその細胞表面上に提示するB細胞を標的とすることができ、治療的介入のためにこれらのB細胞を疾患特異的標的としてマークすることができる。いくつかの態様では、CAARを発現する細胞を使用して、抗原特異的なキメラ自己抗体受容体を使用して疾患を引き起こすB細胞を標的とすることによって、自己免疫疾患における病原性B細胞を効率的に標的化および殺傷することができる。いくつかの態様では、組換え受容体は、CAAR、例えば、米国特許出願公開番号US 2017/0051035に記載されているいずれかである。
【0672】
いくつかの態様では、CAARは、自己抗体結合ドメイン、膜貫通ドメイン、および細胞内シグナル伝達領域を含む。いくつかの態様では、細胞内シグナル伝達領域は、細胞内シグナル伝達ドメインを含む。いくつかの態様では、細胞内シグナル伝達ドメインは、一次シグナル伝達ドメイン、T細胞において一次活性化シグナルを誘導可能なシグナル伝達ドメイン、T細胞受容体(TCR)成分のシグナル伝達ドメイン、および/または免疫受容体活性化チロシンモチーフ(ITAM)を含むシグナル伝達ドメインであるかそれを含む。いくつかの態様では、細胞内シグナル伝達領域は、二次または共刺激シグナル伝達領域(二次細胞内シグナル伝達領域)を含む。
【0673】
いくつかの態様では、自己抗体結合ドメインは、自己抗原またはその断片を含む。自己抗原の選択は、標的とされる自己抗体のタイプに依存し得る。例えば、自己抗原は、特定の疾患状態、例えば、自己抗体媒介性自己免疫疾患などの自己免疫疾患に関連する、B細胞などの標的細胞上の自己抗体を認識するので、それを選択してもよい。いくつかの態様では、自己免疫疾患は、尋常性天疱瘡(PV)を含む。例示的な自己抗原は、デスモグレイン1(Dsg1)およびDsg3を含む。
【0674】
4. 多重標的化
いくつかの態様では、提供される方法、使用、製造品および組成物に関連して使用される細胞は、多重標的化戦略(例えば、各々が異なる抗原の同じものを認識し、典型的には各々が異なる細胞内シグナル伝達成分を含む、2つ以上の遺伝子操作された受容体の細胞上での発現)を利用する細胞を含む。そのような多重標的化戦略は、例えば、国際特許出願公開番号WO 2014055668 A1(活性化CARと共刺激CARの組み合わせであって、例えば、オフターゲット細胞、例えば正常細胞上に個々に存在するが処置されるべき疾患または病態の細胞上にしか一緒に存在しない2つの異なる抗原を標的とする、活性化CARと共刺激CARの組み合わせについて説明している)およびFedorov et al., Sci. Transl. Medicine, 5(215) (2013)(活性化CARと阻害性CARを発現する細胞、例えば、活性化CARが正常細胞または非疾患細胞と処置されるべき疾患または病態の細胞の両方に発現される一方の抗原に結合し、阻害性CARが正常細胞または処置が望ましくない細胞上にしか発現されない別の抗原に結合する、細胞について説明している)に記載されている。
【0675】
例えば、いくつかの態様では、細胞は、一般に第1の受容体によって認識される抗原、例えば第1の抗原への特異的結合時に、細胞に対して活性化または刺激シグナルを誘導可能である、第1の遺伝子操作された抗原受容体(例えば、CARまたはTCR)を発現する受容体を含む。いくつかの態様では、細胞はさらに、一般に第2の受容体によって認識される第2の抗原への特異的結合時に、免疫細胞に対して共刺激シグナルを誘導可能である、第2の遺伝子操作された抗原受容体(例えば、CARまたはTCR)、例えば、キメラ共刺激受容体を含む。いくつかの態様では、第1の抗原および第2の抗原は同じである。いくつかの態様では、第1の抗原および第2の抗原は異なる。
【0676】
いくつかの態様では、第1および/または第2の遺伝子操作された抗原受容体(例えば、CARまたはTCR)は、細胞に対して活性化シグナルを誘導可能である。いくつかの態様では、受容体は、ITAMまたはITAM様モチーフを含有する細胞内シグナル伝達成分を含む。いくつかの態様では、第1の受容体によって誘導される活性化は、細胞におけるシグナル伝達もしくはタンパク質発現の変化を伴い、結果として、ITAMリン酸化および/もしくはITAM媒介性シグナル伝達カスケードの開始などの免疫応答の開始、免疫シナプスの形成および/もしくは結合した受容体付近の分子(例えば、CD4またはCD8など)のクラスター化、NF-κBおよび/もしくはAP-1などの1つもしくは複数の転写因子の活性化、ならびに/またはサイトカインなどの因子の遺伝子発現、増殖および/もしくは生存の誘導をもたらす。
【0677】
いくつかの態様では、第1および/または第2の受容体は、CD28、CD137(4-1BB)、OX40、および/またはICOSなどの共刺激受容体の細胞内シグナル伝達ドメインまたは領域を含む。いくつかの態様では、第1および第2の受容体は、異なる共刺激受容体の細胞内シグナル伝達ドメインを含む。一態様では、第1の受容体は、CD28共刺激シグナル伝達領域を含有し、第2の受容体は、4-1BB共刺激シグナル伝達領域を含有する(逆もまた同様)。
【0678】
いくつかの態様では、第1および/または第2の受容体は、ITAMまたはITAM様モチーフを含有する細胞内シグナル伝達ドメインと共刺激受容体の細胞内シグナル伝達ドメインの両方を含む。
【0679】
いくつかの態様では、第1の受容体は、ITAMまたはITAM様モチーフを含有する細胞内シグナル伝達ドメインを含有し、第2の受容体は、共刺激受容体の細胞内シグナル伝達ドメインを含有する。同じ細胞において誘導される活性化シグナルと組み合わせる共刺激シグナルは、免疫応答、例えば、増加した遺伝子発現、サイトカインおよび他の因子の分泌、ならびに細胞殺傷などのT細胞媒介性エフェクター機能などのロバストで持続した免疫応答をもたらすものである。
【0680】
いくつかの態様では、第1の受容体単独の連結も第2の受容体単独の連結も、ロバストな免疫応答を誘導しない。いくつかの局面では、1つの受容体だけが連結される場合、細胞は、抗原に対して寛容もしくは非応答となるかまたは阻害され、かつ/または、細胞は、増殖するようにもしくは因子を分泌するようにもしくはエフェクター機能を実行するように誘導されることはない。しかしながら、いくつかのそのような態様では、第1および第2の抗原を発現する細胞の遭遇時など、複数の受容体が連結するとき、例えば、1つまたは複数のサイトカインの分泌、増殖、持続、および/または標的細胞の細胞傷害性殺傷などの免疫エフェクター機能の実行によって示されるような、完全な免疫活性化または刺激などの所望の応答が達成される。
【0681】
いくつかの態様では、2つの受容体はそれぞれ、一方の受容体によるその抗原への結合が細胞を活性化するかまたは応答を誘導するが、第2の阻害性受容体によるその抗原への結合がその応答を抑制または減少させるシグナルを誘導するように、細胞に対して活性化シグナルおよび阻害シグナルを誘導する。例は、活性化CARと阻害性CARまたはiCARの組み合わせである。例えば、活性化CARが、疾患または病態において発現されるが正常な細胞上にも発現される抗原に結合し、阻害性受容体が、正常な細胞上に発現されるが疾患または病態の細胞上には発現されない別個の抗原に結合する、戦略を使用してもよい。
【0682】
いくつかの態様では、特定の疾患または病態に関連する抗原が、一過性(例えば、遺伝子改変と関連した刺激時)または恒久的のいずれかで、非疾患細胞上に発現されるおよび/または操作された細胞それ自体上に発現される場合に、多重標的化戦略が利用される。そのような場合、2つの別々のかつ個々に特異的な抗原受容体の連結を要求することによって、特異性、選択性および/または効力が改善され得る。
【0683】
いくつかの態様では、複数の抗原、例えば、第1および第2の抗原は、標的とされる細胞、組織または疾患もしくは病態、例えば、がん細胞上に、発現される。いくつかの局面では、細胞、組織、疾患または病態は、多発性骨髄腫または多発性骨髄腫細胞である。いくつかの態様では、複数の抗原の1つまたは複数は、一般に、細胞療法で標的とすることが望ましくない細胞、例えば、正常もしくは非疾患の細胞もしくは組織、および/または操作された細胞自体上にも発現される。そのような態様では、細胞の応答を達成するために複数の受容体の連結を要求することによって、特異性および/または効力が達成される。
【0684】
B. 遺伝子操作のための核酸、ベクターおよび方法
いくつかの態様において、細胞、例えば、濃縮されたCD57- T細胞の集団の細胞は、組み換え受容体を発現するように遺伝子操作される。いくつかの態様において、操作は、組み換え受容体またはその部分もしくは構成成分をコードする1つまたは複数のポリヌクレオチドを導入することによって行われる。組み換え受容体をコードするポリヌクレオチド、ならびにそのような核酸および/またはポリヌクレオチドを含むベクターまたは構築物もまた提供される。
【0685】
いくつかの態様において、組み換え受容体をコードするポリヌクレオチドは、組み換え受容体の発現を制御するように機能的に連結された少なくとも1つのプロモーターを含む。いくつかの例では、該ポリヌクレオチドは、組み換え受容体の発現を制御するように機能的に連結された2つ、3つ、またはそれ以上のプロモーターを含む。いくつかの態様において、ポリヌクレオチドは、必要に応じて、および該ポリヌクレオチドがDNAベースかRNAベースかを考慮して、ポリヌクレオチドが導入されることになる宿主(例えば、細菌、真菌、植物または動物)のタイプに特異的な調節配列、例えば転写および翻訳の開始および終止コドンを含むことができる。いくつかの態様において、ポリヌクレオチドは、プロモーター、エンハンサー、イントロン、ポリアデニル化シグナル、Kozakコンセンサス配列、配列内リボソーム進入部位(IRES)、2A配列、およびスプライスアクセプターまたはドナーなどの調節/制御エレメントを含むことができる。いくつかの態様において、ポリヌクレオチドは、組み換え受容体および/または1つもしくは複数の付加的なポリペプチドをコードするヌクレオチド配列に機能的に連結される非ネイティブなプロモーターを含むことができる。いくつかの態様において、プロモーターは、RNA pol I、pol IIまたはpol IIIプロモーターの中より選択される。いくつかの態様において、プロモーターは、RNAポリメラーゼII(例えば、CMV、SV40初期領域またはアデノウイルス主後期プロモーター)によって認識される。別の態様において、プロモーターは、RNAポリメラーゼIII(例えば、U6またはH1プロモーター)によって認識される。いくつかの態様において、プロモーターは、非ウイルスプロモーターまたはウイルスプロモーター、例えばサイトメガロウイルス(CMV)プロモーター、SV40プロモーター、RSVプロモーター、およびマウス幹細胞ウイルスの長末端反復に見られるプロモーターであることができる。その他の公知のプロモーターも考えられる。
【0686】
いくつかの態様において、プロモーターは、構成的プロモーターであるか、またはそれを含む。例示的な構成的プロモーターは、例えば、シミアンウイルス40初期プロモーター(SV40)、サイトメガロウイルス前初期プロモーター(CMV)、ヒトユビキチンCプロモーター(UBC)、ヒト伸長因子1αプロモーター(EF1α)、マウスホスホグリセリン酸キナーゼ1プロモーター(PGK)、およびCMV初期エンハンサー結合型ニワトリβ-アクチンプロモーター(CAGG)を含む。いくつかの態様において、構成的プロモーターは、合成または改変されたプロモーターである。いくつかの態様において、プロモーターは、MNDプロモーター、骨髄増殖性肉腫ウイルスエンハンサーを有する改変されたMoMuLV LTRのU3領域を含む合成プロモーターであるか、またはそれを含む(Challita et al. (1995) J. Virol. 69(2):748-755を参照されたい)。いくつかの態様において、プロモーターは、組織特異的プロモーターである。別の態様において、プロモーターはウイルスプロモーターである。別の態様において、プロモーターは非ウイルスプロモーターである。いくつかの態様において、例示的なプロモーターは、ヒト伸長因子1アルファ(EF1α)プロモーターもしくはその改変された形態またはMNDプロモーターを含むことができるが、それに限定されるわけではない。
【0687】
別の態様において、プロモーターは、調節されたプロモーター(例えば、誘導性プロモーター)である。いくつかの態様において、プロモーターは、誘導性プロモーターまたは抑制性(repressible)プロモーターである。いくつかの態様において、プロモーターは、Lacオペレーター配列、テトラサイクリンオペレーター配列、ガラクトースオペレーター配列もしくはドキシサイクリンオペレーター配列を含むか、またはその類似体であるか、またはLacリプレッサーもしくはテトラサイクリンリプレッサー、もしくはその類似体によって結合もしくは認識され得る。いくつかの態様において、ポリヌクレオチドは、調節エレメント、例えばプロモーターを含まない。
【0688】
いくつかの場合には、組み換え受容体をコードする核酸配列は、シグナルペプチドをコードするシグナル配列を含む。ある局面では、シグナル配列は、ネイティブなポリペプチドに由来するシグナルペプチドをコードし得る。他の局面では、シグナル配列は、異種または非ネイティブなシグナルペプチドを、例えば、SEQ ID NO:24に示されるヌクレオチド配列によってコードされる、SEQ ID NO:25に示されるGMCSFRアルファ鎖の例示的なシグナルペプチドをコードし得る。場合によっては、組み換え受容体、例えばキメラ抗原受容体(CAR)をコードする核酸配列は、シグナルペプチドをコードするシグナル配列を含む。それに限定されるわけではない例示的なシグナルペプチドとして、例えば、SEQ ID NO:24に示されるヌクレオチド配列によってコードされる、SEQ ID NO:25に示されるGMCSFRアルファ鎖シグナルペプチド、またはSEQ ID NO:26に示されるCD8アルファシグナルペプチドが挙げられる。
【0689】
いくつかの態様において、ポリヌクレオチドは、1つまたは複数の付加的なポリペプチド、例えば、1つもしくは複数のマーカーおよび/または1つもしくは複数のエフェクター分子をコードする核酸配列を含む。いくつかの態様において、1つまたは複数のマーカーは、形質導入マーカー、代用マーカーおよび/または選択マーカーを含む。例えば、1つまたは複数の付加的なポリペプチドをコードする、導入された付加的な核酸配列の中には、移植された細胞の生存率および/または機能を促進することなどによって治療の有効性を改善することができる核酸配列; 例えば、インビボでの生存率または局在を評価するための、細胞の選択および/または評価のための遺伝的マーカーを提供する核酸配列; 例えば、Lupton S. D. et al., Mol. and Cell Biol., 11:6 (1991); およびRiddell et al., Human Gene Therapy 3:319-338 (1992)に記載されているような、インビボで細胞を陰性選択に感受性にすることによって安全性を改善する核酸配列が含まれる; 優性陽性選択マーカーと陰性選択マーカーとの融合に由来する二機能性選択融合遺伝子の使用について記載しているWO1992008796およびWO1994028143、ならびに米国特許第6,040,177号も参照されたい。
【0690】
いくつかの態様において、マーカーは形質導入マーカーまたは代用マーカーである。形質導入マーカーまたは代用マーカーは、ポリヌクレオチド、例えば組み換え受容体をコードするポリヌクレオチドが導入された細胞を検出するために使用することができる。いくつかの態様において、形質導入マーカーは、細胞の改変を示すかまたは確認することができる。いくつかの態様において、代用マーカーは、細胞表面上に組み換え受容体、例えばCAR、と共発現するようにされたタンパク質である。特定の態様において、そのような代用マーカーは、活性をほとんどまたはまったく持たないように修飾された表面タンパク質である。ある特定の態様において、代用マーカーは、組み換え受容体をコードする同じポリヌクレオチド上にコードされる。いくつかの態様において、組み換え受容体をコードする核酸配列は、任意で、内部リボソーム進入部位(IRES)によって、または自己切断ペプチドもしくはリボソームスキッピングを引き起こすペプチド、例えば2A配列、をコードする核酸によって分離された、マーカーをコードする核酸配列に機能的に連結される。外来性マーカー遺伝子を、いくつかの場合には操作された細胞に関連して利用して、細胞の検出または選択を可能にし、場合によっては細胞除去および/または細胞自殺も促進する場合がある。
【0691】
例示的な代用マーカーは、細胞表面ポリペプチドのトランケート形態を含むことができ、例えば、該トランケート形態は、非機能的であり、シグナルもしくは細胞表面ポリペプチドの完全長形態によって通常は伝達されるシグナルを伝達しないか、伝達できず、かつ/または内部移行しないか、内部移行できない。例示的なトランケート型細胞表面ポリペプチドには、成長因子または他の受容体のトランケート形態、例えば、トランケート型ヒト上皮成長因子受容体2(tHER2)、トランケート型上皮成長因子受容体(tEGFR、SEQ ID NO:7もしくは16に示される例示的なtEGFR配列)、または前立腺特異的膜抗原(PSMA)もしくはその改変形態、例えばトランケート型PSMA(tPSMA)が含まれる。いくつかの局面では、tEGFRは、抗体セツキシマブ(Erbitux(登録商標))または他の治療用抗EGFR抗体もしくは結合分子によって認識されるエピトープを含む場合があり、これらの抗体または分子を、tEGFR構築物およびコードされる外因性タンパク質で操作された細胞を同定もしくは選択するために、かつ/またはコードされる外因性タンパク質を発現する細胞を排除もしくは分離するために使用することができる。米国特許第8,802,374号およびLiu et al., Nature Biotech. 2016 April; 34(4): 430-434)を参照されたい。いくつかの局面では、マーカー、例えば、代用マーカーには、全部または一部(例えば、トランケート形態)のCD34、NGFR、CD19もしくはトランケート型CD19、例えばトランケート型非ヒトCD19が含まれる。トランケート型EGFR(例えばtEGFR)についての例示的なポリペプチドは、SEQ ID NO: 7もしくは16に示されるアミノ酸配列またはSEQ ID NO: 7もしくは16に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくはそれ以上の配列同一性を示すアミノ酸配列を含む。
【0692】
いくつかの態様において、マーカーは、検出可能なタンパク質、例えば蛍光タンパク質、例えば緑色蛍光タンパク質(GFP)、強化緑色蛍光タンパク質(EGFP)、例えばスーパーフォールドGFP(sfGFP)、赤色蛍光タンパク質(RFP)、例えばtdTomato、mCherry、mStrawberry、AsRed2、DsRedまたはDsRed2、シアン色蛍光タンパク質(CFP)、青緑色蛍光タンパク質(BFP)、強化青色蛍光タンパク質(EBFP)、および黄色蛍光タンパク質(YFP)、ならびにそれらの変異体、例えば、蛍光タンパク質の種変異体、単量体変異体、コドン最適化、安定化および/または強化変異体などであるか、またはそれを含む。いくつかの態様において、マーカーは、酵素、例えばルシフェラーゼ、大腸菌(E. coli)由来のlacZ遺伝子、アルカリホスファターゼ、分泌型胚性アルカリホスファターゼ(SEAP)、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)であるか、またはそれを含む。例示的な発光レポーター遺伝子には、ルシフェラーゼ(luc)、β-ガラクトシダーゼ、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)、β-グルクロニダーゼ(GUS)またはそれらの変異体が含まれる。いくつかの局面では、酵素の発現は、酵素の発現および機能的活性の際に検出することができる基質の添加によって検出することができる。
【0693】
いくつかの態様において、マーカーは選択マーカーである。いくつかの態様において、選択マーカーは、外因性の薬剤または薬物に対する耐性を付与するポリペプチドであるか、またはそれを含む。いくつかの態様において、選択マーカーは抗生物質耐性遺伝子である。いくつかの態様において、選択マーカーは、哺乳動物細胞に抗生物質耐性を付与する抗生物質耐性遺伝子である。いくつかの態様において、選択マーカーは、ピューロマイシン耐性遺伝子、ハイグロマイシン耐性遺伝子、ブラスチシジン耐性遺伝子、ネオマイシン耐性遺伝子、ジェネティシン耐性遺伝子、もしくはゼオシン耐性遺伝子、またはその改変形態であるか、またはそれを含む。
【0694】
本明細書に記載の組み換え受容体および/または付加的なポリペプチドはいずれも、組み換え受容体をコードする1つまたは複数の核酸配列を任意の組み合わせ、配向または配置で含む1つまたは複数のポリヌクレオチドによってコードされ得る。例えば、1、2、3またはそれ以上のポリヌクレオチドが、1、2、3またはそれ以上の異なるポリペプチド、例えば組み換え受容体もしくはその部分もしくは構成成分、および/または1つもしくは複数の付加的なポリペプチド、例えばマーカーおよび/もしくはエフェクター分子をコードすることができる。いくつかの態様において、1つのポリヌクレオチドは、組み換え受容体、例えばCAR、またはその部分もしくは構成成分をコードする核酸配列、および1つまたは複数の付加的なポリペプチドをコードする核酸配列を含む。いくつかの態様において、1つのベクターまたは構築物は、組み換え受容体、例えばCAR、またはその部分もしくは構成成分をコードする核酸配列、および1つまたは複数の付加的なポリペプチドをコードする核酸配列を含む別のベクターまたは構築物を含む。いくつかの態様において、組み換え受容体をコードする核酸配列および1つまたは複数の付加的なポリペプチドをコードする核酸配列は、2つの異なるプロモーターに機能的に連結される。いくつかの態様において、組み換え受容体をコードする核酸は、1つまたは複数の付加的なポリペプチドをコードする核酸の上流に存在する。いくつかの態様において、組み換え受容体をコードする核酸は、1つまたは複数の付加的なポリペプチドをコードする核酸の下流に存在する。
【0695】
特定の場合において、1つのポリヌクレオチドは、2つ以上の異なるポリペプチド鎖、例えば、組み換え受容体および1つまたは複数の付加的なポリペプチド、例えば、マーカーおよび/またはエフェクター分子をコードする核酸配列を含む。いくつかの態様において、2つ以上の異なるポリペプチド鎖を、例えば、組み換え受容体および1つまたは複数の付加的なポリペプチドを、コードする核酸配列は、2つの別々のポリヌクレオチドに存在する。例えば、2つの別々のポリヌクレオチドが提供され、各々を、細胞における発現のために細胞内に個別に移入または導入することができる。いくつかの態様において、マーカーをコードする核酸配列および組み換え受容体をコードする核酸配列は、細胞のゲノム内の異なる位置に存在するか、またはその位置に挿入される。いくつかの態様において、マーカーをコードする核酸配列および組み換え受容体をコードする核酸配列は、2つの異なるプロモーターに機能的に連結される。
【0696】
ポリヌクレオチドが第1および第2核酸配列を含む態様などのいくつかの態様において、異なるポリペプチド鎖の各々をコードするコード配列は、同じまたは異なることができるプロモーターに機能的に連結することができる。いくつかの態様において、核酸分子は、2つ以上の異なるポリペプチド鎖の発現を駆動するプロモーターを含むことができる。いくつかの態様において、そのような核酸分子はマルチシストロニック(バイシストロニックまたはトリシストロニック; 例えば、米国特許第6,060,273号を参照)であることができる。いくつかの態様において、組み換え受容体をコードする核酸配列および1つまたは複数の付加的なポリペプチドをコードする核酸配列は、同じプロモーターに機能的に連結され、任意で、内部リボソーム進入部位(IRES)によって、または自己切断ペプチドもしくはリボソームスキッピングを引き起こすペプチド、例えば2Aエレメントをコードする核酸によって分離される。例えば、例示的なマーカー、および任意でリボソームスキッピング配列は、PCT公報番号WO2014031687に開示されるいずれかであることができる。
【0697】
いくつかの態様において、転写ユニットは、IRESを含むバイシストロニックなユニットとして操作することができ、IRESは、単一のプロモーターからのメッセージによる遺伝子産物(例えば、組み換え受容体および付加的なポリペプチドをコードする)の共発現を可能にする。あるいは場合によっては、単一のオープンリーディングフレーム(ORF)に、自己切断ペプチド(例えば、2A配列)またはプロテアーゼ認識部位(例えば、フューリン)をコードする配列によって互いに分離された2個または3個の遺伝子(例えば、マーカーをコードする、および組み換え受容体をコードする)を含むRNAの発現を、単一のプロモーターが指令する場合がある。したがって、該ORFは、翻訳中(2Aの場合)または翻訳後に、個々のタンパク質にプロセシングされる、単一のポリペプチドをコードする。場合によっては、T2Aなどのペプチドは、2AエレメントのC末端でのペプチド結合の合成をリボソームにスキップさせることができ(リボソームスキッピング)、これは2A配列の該末端と下流の次のペプチドの間の分離につながる(例えば、de Felipe, Genetic Vaccines and Ther. 2:13 (2004)およびde Felipe et al. Traffic 5:616-626 (2004)を参照されたい)。様々な2Aエレメントが知られている。本明細書に開示される方法およびシステムで使用できる2A配列の例は、非限定的に、米国特許出願公開第20070116690号に記載されるような、口蹄疫ウイルス(F2A、例えばSEQ ID NO: 21)、ウマ鼻炎ウイルスA(E2A、例えばSEQ ID NO: 20)、ゾセア アシグナ(Thosea asigna)ウイルス(T2A、例えばSEQ ID NO: 6または17)、およびブタテッショウウイルス-1(P2A、例えばSEQ ID NO: 18または19)由来の2A配列である。
【0698】
いくつかの態様において、組み換え受容体をコードするポリヌクレオチドおよび/または付加的なポリペプチドは、ベクター中に含まれるか、または1つもしくは複数のベクター中にクローニングすることができる。いくつかの態様において、1つまたは複数のベクターを使用して、宿主細胞、例えば、操作のための細胞を形質転換またはトランスフェクトすることができる。例示的なベクターは、導入、増殖および拡大増殖のためもしくは発現のため、または両方のために設計されたベクター、例えばプラスミドおよびウイルスベクターを含む。いくつかの局面では、ベクターは発現ベクター、例えば、組み換え発現ベクターである。いくつかの態様において、標準的な組み換えDNA技法を用いて組み換え発現ベクターを調製することができる。
【0699】
いくつかの態様において、ベクターは、pUCシリーズ(Fermentas Life Sciences)、pBluescriptシリーズ(Stratagene, LaJolla, Calif.)、pETシリーズ(Novagen, Madison, Wis.)、pGEXシリーズ(Pharmacia Biotech, Uppsala, Sweden)、またはpEXシリーズ(Clontech, Palo Alto, Calif.)のベクターであることができる。場合によっては、バクテリオファージベクター、例えばλG10、λGT11、λZapII(Stratagene)、λEMBL4、およびλNM1149もまた、使用することができる。いくつかの態様において、植物発現ベクターを使用することができ、それらは、pBI01、pBI101.2、pBI101.3、pBI121およびpBIN19(Clontech)を含む。いくつかの態様において、動物発現ベクターは、pEUK-Cl、pMAMおよびpMAMneo(Clontech)を含む。
【0700】
いくつかの態様において、ベクターは、ウイルスベクター、例えばレトロウイルスベクターである。いくつかの態様において、組み換え受容体および/または付加的なポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、レトロウイルスもしくはレンチウイルスベクターを介して、またはトランスポゾンを介して細胞内に導入される(例えば、Baum et al. (2006) Molecular Therapy: The Journal of the American Society of Gene Therapy. 13:1050-1063; Frecha et al. (2010) Molecular Therapy 18:1748-1757; およびHackett et al. (2010) Molecular Therapy 18:674-683を参照されたい)。
【0701】
いくつかの態様において、1つまたは複数のポリヌクレオチドは、例えばシミアンウイルス40(SV40)、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス(AAV)由来のベクターなどの組み換え感染性ウイルス粒子を用いて、細胞内に導入される。いくつかの態様において、1つまたは複数のポリヌクレオチドは、組み換えレンチウイルスベクターまたはレトロウイルスベクター、例えばガンマ-レトロウイルスベクターなどを用いて、T細胞内に導入される(例えば、Koste et al. (2014) Gene Therapy 2014 Apr 3. doi: 10.1038/gt.2014.25;Carlens et al. (2000) Exp Hematol 28(10): 1137-46; Alonso-Camino et al. (2013) Mol Ther Nucl Acids 2, e93; Park et al., Trends Biotechnol. 2011 November 29(11): 550-557を参照されたい。
【0702】
いくつかの態様において、ベクターはレトロウイルスベクターである。いくつかの局面では、レトロウイルスベクター、例えば、モロニーマウス白血病ウイルス(MoMLV)、骨髄増殖性肉腫ウイルス(MPSV)、マウス胚性幹細胞ウイルス(MESV)、マウス幹細胞ウイルス(MSCV)、脾フォーカス形成ウイルス(SFFV)、またはアデノ随伴ウイルス(AAV)由来のレトロウイルスベクターは、は長末端反復配列(LTR)を有する。大部分のレトロウイルスベクターは、マウスレトロウイルスに由来する。いくつかの態様において、レトロウイルスには、任意の鳥類細胞または哺乳動物細胞供給源に由来するものが含まれる。レトロウイルスは典型的に広宿主性であり、広宿主性とは、それらが、ヒトを含むいくつかの種の宿主細胞に感染する能力を有することを意味する。1つの態様において、発現されるべき遺伝子でレトロウイルスのgag、pol、および/またはenv配列を置き換える。実例となるレトロウイルス系がいくつか記載されている(例えば、米国特許第5,219,740号; 同第6,207,453号; 同第5,219,740号; Miller and Rosman (1989) BioTechniques 7:980-990; Miller, A. D. (1990) Human Gene Therapy 1:5-14; Scarpa et al. (1991) Virology 180:849-852; Burns et al. (1993) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:8033-8037; およびBoris-Lawrie and Temin (1993) Cur. Opin. Genet. Develop. 3:102-109。
【0703】
レンチウイルス形質導入の方法は公知である。例示的な方法は、例えば、Wang et al. (2012) J. Immunother. 35 (9): 689-701; Cooper et al. (2003) Blood. 101:1637-1644; Verhoeyen et al. (2009) Methods Mol Biol. 506:97-114; およびCavalieri et al. (2003) Blood. 102(2): 497-505に記載されている。いくつかの態様において、組み換え受容体をコードするポリヌクレオチドおよび/または1つもしくは複数の付加的なポリペプチドは、培養細胞を含有する集団中に、例えばレトロウイルス形質導入、トランスフェクション、または形質転換により、導入される。
【0704】
いくつかの態様において、1つまたは複数のポリヌクレオチドは、エレクトロポレーションを用いてT細胞内に導入される(例えば、Chicaybam et al, (2013) PLoS ONE 8(3): e60298およびVan Tedeloo et al. (2000) Gene Therapy 7(16): 1431-1437を参照されたい)。いくつかの態様において、組み換え核酸は転位を介してT細胞内に導入される(例えば、Manuri et al. (2010) Hum Gene Ther 21(4): 427-437; Sharma et al. (2013) Molec Ther Nucl Acids 2, e74; およびHuang et al. (2009) Methods Mol Biol 506: 115-126を参照されたい)。遺伝物質、例えば、ポリヌクレオチドおよび/またはベクターを免疫細胞内に導入して発現させる他の方法には、リン酸カルシウムトランスフェクション(例えば、Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, New York. N.Y.に記載されている)、プロトプラスト融合、カチオン性リポソーム媒介トランスフェクション; タングステン粒子促進微小粒子衝撃法(tungsten particle-facilitated microparticle bombardment)(Johnston, Nature, 346: 776-777 (1990)); およびリン酸ストロンチウムDNA共沈(Brash et al., Mol. Cell Biol., 7: 2031-2034 (1987))および例えば、国際特許出願公開番号WO2014055668、および米国特許第7,446,190号に記載される他のアプローチが含まれる。
【0705】
いくつかの態様において、組み換え受容体および/または付加的なポリペプチドをコードする1つまたは複数のポリヌクレオチドまたはベクターは、拡大増殖の最中または後のいずれかに細胞内に、例えばT細胞内に導入され得る。ポリヌクレオチドまたはベクターのこの導入は、例えば任意の適切なレトロウイルスベクターを用いて行うことができる。次に、結果として生じた遺伝子操作細胞を、最初の刺激(例えば抗CD3/抗CD28刺激)から開放し、次いで、(例えば、新規に導入された受容体を介して)第2のタイプの刺激で刺激することができる。この第2のタイプの刺激には、ペプチド/MHC分子、遺伝的に導入された受容体(例えばCARの天然抗原および/もしくはリガンド)の同族(架橋)リガンド、または(例えば、受容体内の定常領域を認識することによって)新規受容体のフレームワーク内に直接結合する任意のリガンド(抗体など)の形態の抗原刺激が含まれ得る。例えば、Cheadle et al, "Chimeric antigen receptors for T-cell based therapy" Methods Mol Biol. 2012; 907:645-66またはBarrett et al., Chimeric Antigen Receptor Therapy for Cancer Annual Review of Medicine Vol. 65: 333-347 (2014)を参照されたい。
【0706】
場合によっては、細胞、例えばT細胞が活性化されることを必要としないベクターが、使用され得る。いくつかのそのような場合には、細胞は、活性化の前に選択および/または形質導入され得る。したがって、細胞は、細胞の培養の前または後に、場合によっては培養と同時または少なくともその一部分の最中に操作され得る。
【0707】
C. 遺伝子操作のための細胞および細胞の調製
いくつかの態様では、操作された細胞、例えば、遺伝子操作されたまたは改変された細胞、および細胞を操作する方法が提供される。いくつかの態様では、本明細書に記載されるいずれかなどの、1つまたは複数のポリヌクレオチド、例えば、組換え受容体および/または追加のポリペプチドをコードする1つまたは複数のポリヌクレオチドは、操作するために細胞に導入される。いくつかの局面では、ポリヌクレオチドおよび/またはその部分は、異種であり、すなわち、細胞または細胞から得られた試料、例えば別の生物または細胞から得られた試料中に通常は存在せず、これは、例えば、操作される細胞および/またはそのような細胞が由来する生物に通常は見られない。いくつかの態様では、核酸配列は、天然に存在しない、例えば、自然界に見られない核酸配列であるかまたは自然界に見られる核酸配列から改変されており、複数の異なる細胞タイプからの様々なドメインをコードする核酸のキメラ組み合わせを含む核酸配列を含む。
【0708】
細胞は、一般に哺乳動物細胞などの真核細胞であり、典型的にはヒト細胞である。いくつかの態様では、細胞は、血液、骨髄、リンパまたはリンパ系器官に由来し、自然免疫または適応免疫の細胞などの免疫系の細胞、例えば、リンパ球(典型的にはT細胞および/またはNK細胞)を含めた骨髄系細胞またはリンパ系細胞である。他の例示的な細胞は、誘導多能性幹細胞(iPSC)を含め、複能性幹細胞および多能性幹細胞などの幹細胞を含む。細胞は、典型的には、対象から直接単離されたもの、および/または対象から単離されて凍結されたものなどの初代細胞である。いくつかの態様では、細胞は、T細胞または他の細胞タイプの1つまたは複数のサブセット、例えば全T細胞集団、CD4+細胞、CD8+細胞、およびそれらの亜集団、例えば、機能、活性化状態、成熟度、分化、拡大増殖、再循環、局在化、および/もしくは持続能力についての潜在能、抗原特異性、抗原受容体の種類、特定の器官もしくは区画における存在、マーカーもしくはサイトカイン分泌プロフィール、ならびに/または分化の程度によって定義されるものを含む。処置されるべき対象に関して、細胞は、同種異系および/または自家であり得る。中でも、本方法は、既製の方法を含む。既製の技術などに関するいくつかの局面では、細胞は、iPSCなどの幹細胞のような多能性および/または複能性である。いくつかの態様では、本方法は、凍結保存の前または後に、対象から細胞を単離すること、それらを調製し、処理し、培養し、および/または操作すること、ならびにそれらを同じ対象に再導入することを含む。
【0709】
中でも、T細胞ならびに/またはCD4+および/またはCD8+ T細胞のサブタイプおよび亜集団は、ナイーブT(TN)細胞、エフェクターT細胞(TEFF)、メモリーT細胞およびそのサブタイプ、例えば、幹細胞メモリーT(TSCM)、セントラルメモリーT(TCM)、エフェクターメモリーT(TEM)、または最終分化エフェクターメモリーT細胞、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、未熟T細胞、成熟T細胞、ヘルパーT細胞、細胞傷害性T細胞、粘膜関連インバリアントT(MAIT)細胞、自然発生および適応制御性T(Treg)細胞、ヘルパーT細胞、例えば、TH1細胞、TH2細胞、TH3細胞、TH17細胞、TH9細胞、TH22細胞、濾胞性ヘルパーT細胞、アルファ/ベータT細胞、ならびにデルタ/ガンマT細胞である。
【0710】
いくつかの態様では、細胞は、ナチュラルキラー(NK)細胞である。いくつかの態様では、細胞は、単球または顆粒球、例えば、骨髄細胞、マクロファージ、好中球、樹状細胞、肥満細胞、好酸球、および/または好塩基球である。
【0711】
いくつかの態様では、細胞は、遺伝子操作を介して導入された1つまたは複数の核酸を含み、それによってそのような核酸の組換え産物または遺伝子操作された産物を発現する。いくつかの態様では、核酸は、異種であり、すなわち、細胞または細胞から得られた試料、例えば別の生物または細胞から得られた試料中に通常は存在せず、これは、例えば、操作される細胞および/またはそのような細胞が由来する生物に通常は見られない。いくつかの態様では、核酸は、天然に存在しない、例えば、自然界に見られない核酸であり、複数の異なる細胞タイプからの様々なドメインをコードする核酸のキメラ組み合わせを含む核酸を含む。
【0712】
いくつかの態様では、操作された細胞の調製は、1つまたは複数の培養工程および/または調製工程を含む。CARなどのトランスジェニック受容体をコードする核酸の導入のための細胞は、生体試料などの試料、例えば、対象から得られるか対象に由来する試料から単離され得る。いくつかの態様では、細胞が単離される対象は、疾患もしくは病態を有するか、または細胞療法を必要とするか、または細胞療法が投与される対象である。対象は、いくつかの態様では、細胞が単離、処理および/または操作されている養子細胞療法などの特定の治療的介入を必要とするヒトである。
【0713】
したがって、細胞は、いくつかの態様では、初代細胞、例えば、初代ヒト細胞である。試料は、組織、体液、および対象から直接採取された他の試料だけでなく、分離、遠心分離、遺伝子操作(例えば、ウイルスベクターによる形質導入)、洗浄および/またはインキュベーションなどの1つまたは複数の処理工程から得られる試料も含む。生体試料は、生物学的供給源から直接得られた試料または処理された試料であることができる。生体試料は、血液、血漿、血清、脳脊髄液、滑液、尿および汗などの体液、組織および器官に由来する処理された試料を含む組織および器官試料を含むが、それらに限定されない。
【0714】
いくつかの局面では、細胞が由来するか単離される試料は、血液または血液由来の試料であるか、アフェレーシスまたは白血球アフェレーシス産物であるか、またはそれに由来する。例示的な試料は、全血、末梢血単核細胞(PBMC)、白血球、骨髄、胸腺、組織生検、腫瘍、白血病、リンパ腫、リンパ節、腸管関連リンパ組織、粘膜関連リンパ組織、脾臓、他のリンパ組織、肝臓、肺、胃、腸、大腸、腎臓、膵臓、乳房、骨、前立腺、子宮頸、精巣、卵巣、扁桃、もしくは他の器官、および/またはそれらに由来する細胞を含む。試料は、細胞療法、例えば、養子細胞療法との関連において、自家供給源および同種異系供給源からの試料を含む。
【0715】
いくつかの態様では、細胞は、細胞株、例えば、T細胞株に由来する。細胞は、いくつかの態様では、異種供給源、例えば、マウス、ラット、非ヒト霊長類、およびブタから得られる。
【0716】
いくつかの態様では、細胞の単離は、1つまたは複数の調製工程および/または非親和性ベースの細胞分離工程を含む。いくつかの例では、細胞は、例えば不要な成分を除去する、所望の成分を濃縮する、特定の試薬に感受性の細胞を溶解または除去するために、洗浄、遠心分離、および/または1つもしくは複数の試薬の存在下でインキュベートされる。いくつかの例では、細胞は、密度、付着性、サイズ、感受性、および/または特定の成分に対する耐性などの1つまたは複数の性質に基づいて分離される。
【0717】
いくつかの例では、対象の循環血液由来の細胞は、例えば、アフェレーシスまたは白血球アフェレーシスによって得られる。試料は、いくつかの局面では、T細胞を含むリンパ球、単球、顆粒球、B細胞、他の有核白血球、赤血球、および/または血小板を含有し、いくつかの局面では、赤血球および血小板以外の細胞を含有する。
【0718】
いくつかの態様では、対象から収集された血球は、例えば血漿画分を除去するため、その後の処理工程のために細胞を適切な緩衝液または培地に入れるために洗浄される。いくつかの態様では、細胞は、リン酸緩衝食塩水(PBS)で洗浄される。いくつかの態様では、洗浄溶液は、カルシウムおよび/またはマグネシウムおよび/または多くのもしくはすべての二価カチオンを含まない。いくつかの局面では、洗浄工程は、製造業者の指示に従って半自動「フロースルー」遠心分離機(例えば、Cobe 2991細胞プロセッサ、Baxter)によって成し遂げられる。いくつかの局面では、洗浄工程は、製造業者の指示に従って接線流ろ過(TFF)によって成し遂げられる。いくつかの態様では、細胞は、洗浄後に、例えばCa++/Mg++を含まないPBSなどの様々な生体適合性緩衝液に再懸濁される。ある特定の態様では、血球試料の成分が除去され、細胞が培地に直接再懸濁される。
【0719】
いくつかの態様では、本方法は、密度に基づく細胞分離方法、例えば、赤血球を溶解することによる末梢血からの白血球の調製、およびパーコールまたはフィコール勾配による遠心分離を含む。
【0720】
いくつかの態様では、単離方法は、表面マーカー、例えば、表面タンパク質、細胞内マーカーまたは核酸などの1つまたは複数の特異的分子の細胞における発現または存在に基づく異なる細胞タイプの分離を含む。いくつかの態様では、そのようなマーカーに基づく任意の公知の分離方法が使用され得る。いくつかの態様では、分離は、親和性または免疫親和性に基づく分離である。例えば、単離は、いくつかの局面では、1つまたは複数のマーカー、典型的には細胞表面マーカーの細胞での発現または発現レベルに基づく細胞および細胞集団の分離、例えば、そのようなマーカーに特異的に結合する抗体または結合パートナーとのインキュベーション、続いて一般に、洗浄工程および抗体または結合パートナーに結合していない細胞からの抗体または結合パートナーに結合した細胞の分離によるものを含む。
【0721】
そのような分離工程は、試薬に結合した細胞をさらなる使用のために保持する陽性選択、および/または抗体もしくは結合パートナーに結合しなかった細胞を保持する陰性選択に基づき得る。いくつかの例では、両方の画分をさらなる使用のために保持する。いくつかの局面では、陰性選択は、分離が、所望の集団以外の細胞によって発現されるマーカーに基づいて最も良好に行われるように、異種集団において細胞タイプを特異的に同定する抗体が利用可能でない場合に特に有用であり得る。
【0722】
分離は、特定の細胞集団または特定のマーカーを発現する細胞の100%の濃縮または除去をもたらす必要はない。例えば、マーカーを発現する細胞などの特定のタイプの細胞の陽性選択または濃縮は、そのような細胞の数または割合を増加させることを指すが、マーカーを発現しない細胞の完全な非存在をもたらす必要はない。同様に、マーカーを発現する細胞などの特定のタイプの細胞の陰性選択、除去または枯渇は、そのような細胞の数または割合を減少させることを指すが、そのような細胞すべての完全な除去をもたらす必要はない。
【0723】
いくつかの例では、1回の工程から陽性または陰性選択された画分が、その後の陽性選択または陰性選択などの別の分離工程に供される、複数回の分離工程が行われる。いくつかの例では、各々が陰性選択の標的となるマーカーに特異的な複数の抗体または結合パートナーと共に細胞をインキュベートすることなどによって、複数のマーカーを同時に発現する細胞を単一の分離工程で枯渇させることができる。同様に、様々な細胞タイプ上に発現された複数の抗体または結合パートナーと共に細胞をインキュベートすることによって、複数の細胞タイプを同時に陽性選択することができる。
【0724】
例えば、いくつかの局面では、T細胞の特定の亜集団、例えば、1つまたは複数の表面マーカーに陽性であるかそれを高レベルに発現する細胞、例えば、CD28+、CD62L+、CCR7+、CD27+、CD127+、CD4+、CD8+、CD45RA+、および/またはCD45RO+ T細胞が、陽性選択技法または陰性選択技法によって単離される。
【0725】
例えば、CD3+、CD28+ T細胞は、抗CD3/抗CD28コンジュゲート磁気ビーズ(例えば、DYNABEADS(登録商標)M-450 CD3/CD28 T Cell Expander)を使用して陽性選択することができる。
【0726】
いくつかの態様では、単離は、陽性選択による特定の細胞集団の濃縮によって、または陰性選択による特定の細胞集団の枯渇によって行われる。いくつかの態様では、陽性選択または陰性選択は、それぞれ陽性選択または陰性選択される細胞上に発現している(マーカー+)または比較的高レベルで発現している(マーカーhigh)1つまたは複数の表面マーカーに特異的に結合する1つまたは複数の抗体または他の結合作用物質と共に、細胞をインキュベートすることによって成し遂げられる。
【0727】
いくつかの態様では、T細胞は、B細胞、単球、または他の白血球などの非T細胞上に発現されるマーカー(例えばCD14)の陰性選択によって、PBMC試料から分離される。いくつかの局面では、CD4+ヘルパーT細胞とCD8+細胞傷害性T細胞を分離するために、CD4+またはCD8+選択工程が使用される。そのようなCD4+集団およびCD8+集団はさらに、1つまたは複数のナイーブT細胞亜集団、メモリーT細胞亜集団、および/またはエフェクターT細胞亜集団上に発現されるマーカーまたは比較的高度に発現されるマーカーに関する陽性選択または陰性選択によって亜集団に選別することができる。
【0728】
いくつかの態様では、CD8+細胞は、ナイーブ、セントラルメモリー、エフェクターメモリー、および/またはセントラルメモリー幹細胞について、それぞれの亜集団に関連する表面抗原に基づく陽性選択または陰性選択などによって、さらに濃縮するか枯渇させる。いくつかの態様では、セントラルメモリーT(TCM)細胞の濃縮は、いくつかの局面ではそのような亜集団では特にロバストである、投与後の長期生存、拡大増殖および/または定着を改善するためなどの有効性を増加させるために行われる。Terakura et al. (2012) Blood.1:72-82; Wang et al. (2012) J Immunother. 35(9): 689-701を参照されたい。いくつかの態様では、TCM濃縮CD8+ T細胞およびCD4+ T細胞を組み合わせることによって、有効性がさらに増強される。
【0729】
諸態様において、メモリーT細胞は、CD8+末梢血リンパ球のCD62L+サブセットとCD62L-サブセットの両方に存在する。抗CD8抗体および抗CD62L抗体を使用するなどして、PBMCを、CD62L-CD8+画分および/またはCD62L+CD8+画分について濃縮または枯渇させることができる。
【0730】
いくつかの態様では、セントラルメモリーT(TCM)細胞の濃縮は、CD45RO、CD62L、CCR7、CD28、CD3および/またはCD127の陽性発現または高い表面発現に基づく;いくつかの局面では、それは、CD45RAおよび/またはグランザイムBを発現または高度に発現する細胞の陰性選択に基づく。いくつかの態様では、セントラルメモリーT(TCM)細胞の濃縮は、CD45RO、CD62L、CCR7、CD28、CD3、CD27および/またはCD127の陽性発現または高い表面発現に基づく。いくつかの態様では、セントラルメモリーT(TCM)細胞の濃縮は、CD62L、CCR7、CD28および/またはCD27の陽性発現または高い表面発現に基づく。いくつかの態様では、セントラルメモリーT(TCM)細胞の濃縮は、CCR7、CD28、および/またはCD27の陽性発現または高い表面発現に基づく。いくつかの態様では、セントラルメモリーT(TCM)細胞の濃縮は、CD28およびCD27の陽性発現または高い表面発現に基づく。いくつかの局面では、TCM細胞が濃縮されたCD8+集団の単離は、CD4、CD14、CD45RAを発現する細胞の枯渇、およびCD62Lを発現する細胞の陽性選択または濃縮によって行われる。いくつかの局面では、TCM細胞が濃縮されたCD8+集団の単離は、CD4、CD14、CD45RAを発現する細胞の枯渇、ならびにCD27およびCD28を発現する細胞の陽性選択または濃縮によって行われる。一局面では、セントラルメモリーT(TCM)細胞の濃縮は、CD4発現に基づいて選択される細胞の陰性画分から出発して行われ、それが、CD14およびCD45RAの発現に基づく陰性選択およびCD62Lに基づく陽性選択に供される。そのような選択は、いくつかの局面では、同時に行われ、他の局面では、逐次的にいずれかの順序で行われる。いくつかの局面では、CD8+細胞集団または亜集団の調製に使用したものと同じCD4発現に基づく選択工程を、CD4+細胞集団または亜集団を生成するためにも使用することで、CD4に基づく分離からの陽性画分および陰性画分の両方が保持され、任意で1つまたは複数のさらなる陽性選択工程または陰性選択工程後に、本方法の後続の工程において使用される。
【0731】
特定の一例では、PBMCの試料または他の白血球試料は、CD4+細胞の選択に供され、その場合、陰性画分および陽性画分の両方が保持される。次いで、陰性画分は、CD14およびCD45RAまたはCD19の発現に基づく陰性選択、およびCD62LまたはCCR7などのセントラルメモリーT細胞に特有のマーカーに基づく陽性選択に供され、この場合、陽性選択および陰性選択はいずれかの順序で行われる。
【0732】
CD4+ Tヘルパー細胞は、細胞表面抗原を有する細胞集団を特定することによって、ナイーブ細胞、セントラルメモリー細胞およびエフェクター細胞に選別される。CD4+リンパ球は、標準的方法によって得ることができる。いくつかの態様では、ナイーブCD4+ Tリンパ球は、CD45RO-、CD45RA+、CD62L+、CD4+ T細胞である。いくつかの態様では、セントラルメモリーCD4+細胞は、CD62L+およびCD45RO+である。いくつかの態様では、エフェクター CD4+細胞は、CD62L-およびCD45RO-である。
【0733】
一例として、CD4+細胞を陰性選択によって濃縮するために、モノクローナル抗体カクテルは、典型的には、CD14、CD20、CD11b、CD16、HLA-DRおよびCD8に対する抗体を含む。いくつかの態様では、陽性選択および/または陰性選択のための細胞の分離を可能にするために、抗体または結合パートナーは、磁気ビーズまたは常磁性ビーズなどの固形支持体またはマトリックスに結合される。例えば、いくつかの態様では、細胞および細胞集団は、免疫磁気(または親和性磁気)分離技法を使用して分離または単離される(Methods in Molecular Medicine, vol. 58: Metastasis Research Protocols, Vol. 2: Cell Behavior In Vitro and In Vivo, p 17-25 Edited by: S. A. Brooks and U. Schumacher(著作権)Humana Press Inc., Totowa, NJに概説されている)。
【0734】
いくつかの局面では、分離されるべき細胞の試料または集団は、小さな磁化可能材料または磁気応答材料、例えば、常磁性ビーズなどの磁気応答粒子または微粒子(例えば、DynabeadsまたはMACSビーズなど)と共にインキュベートされる。磁気応答の材料、例えば、粒子は、一般に、分離が望まれる、例えば、陰性選択または陽性選択することが望まれる1つの細胞、複数の細胞または細胞の集団上に存在する分子、例えば、表面マーカーに特異的に結合する結合パートナー、例えば、抗体に直接的または間接的に付着する。
【0735】
いくつかの態様では、磁気粒子または磁気ビーズは、抗体または他の結合パートナーなどの特異的結合メンバーに結合した磁気応答材料を含む。磁気分離法において使用される周知の磁気応答材料が数多くある。好適な磁気粒子は、Moldayの米国特許第4,452,773号、および欧州特許明細書EP 452342 Bに記載されているものを含み、これらの文献は参照により本明細書に組み入れられる。Owenの米国特許第4,795,698号およびLibertiらの米国特許第5,200,084号に記載されているものなどのコロイドサイズの粒子が他の例である。
【0736】
インキュベーションは、一般に、磁気粒子または磁気ビーズに付着している抗体もしくは結合パートナー、またはそのような抗体もしくは結合パートナーに特異的に結合する分子、例えば二次抗体または他の試薬が、試料内の細胞上に細胞表面分子が存在していれば、それに特異的に結合する条件下で行われる。
【0737】
いくつかの局面では、試料が磁場に置かれると、磁気応答粒子または磁化可能粒子が付着している細胞は磁石に引き付けられ、非標識細胞から分離されるであろう。陽性選択の場合は、磁石に引き付けられた細胞が保持される;陰性選択の場合は、磁石に引き付けられなかった細胞(非標識細胞)が保持される。いくつかの局面では、陽性選択と陰性選択の組み合わせが同じ選択工程中に実施され、この場合、陽性画分および陰性画分が保持され、さらに処理されるかさらなる分離工程に供される。
【0738】
ある特定の態様では、磁気応答粒子は、一次抗体もしくは他の結合パートナー、二次抗体、レクチン、酵素またはストレプトアビジン中にコートされる。ある特定の態様では、磁気粒子は、1つまたは複数のマーカーに特異的な一次抗体のコーティングを介して細胞に付着する。ある特定の態様では、ビーズではなく細胞が一次抗体または結合パートナーで標識され、次いで、細胞タイプに特異的な二次抗体または他の結合パートナー(例えば、ストレプトアビジン)でコートされた磁気ビーズが加えられる。ある特定の態様では、ストレプトアビジンでコートされた磁気粒子が、ビオチン化された一次抗体または二次抗体と併用される。
【0739】
いくつかの態様では、磁気応答粒子は、その後にインキュベート、培養および/または操作されるべき細胞に付着したままにされる;いくつかの局面では、該粒子は、患者に投与するために細胞に付着したままにされる。いくつかの態様では、磁化可能または磁気応答粒子は、細胞から除去される。細胞から磁化可能粒子を除去するための方法は、公知であり、例えば、競合する非標識抗体、および切断可能なリンカーにコンジュゲートされた磁化可能粒子または抗体の使用を含む。いくつかの態様では、磁化可能粒子は、生分解性である。
【0740】
いくつかの態様では、親和性に基づく選択は、磁気活性化細胞ソーティング(MACS)(Miltenyi Biotec, Auburn, CA)を介したものである。磁気活性化細胞ソーティング(MACS)システムは、磁化粒子が付着している細胞の高純度選択が可能である。ある特定の態様では、MACSは、外部磁場の適用後に非標的種と標的種とが逐次的に溶出されるモードで作動する。すなわち、磁化粒子に付着している細胞はその場に保持され、一方、付着していない種は溶出される。次いで、この第1の溶出工程が完了した後、磁場に捕らわれて溶出が妨げられていた種が、溶出して回収され得るような何らかの方法で遊離される。ある特定の態様では、非標的細胞が標識され、不均一な細胞集団から枯渇される。
【0741】
ある特定の態様では、単離または分離は、本方法の単離、細胞調製、分離、処理、インキュベーション、培養および/または製剤工程の1つまたは複数を行うシステム、デバイスまたは装置を使用して行われる。いくつかの局面では、例えばエラー、ユーザー操作および/または汚染を最小限に抑えるために、該システムを使用して、これらの工程の各々を閉鎖環境または無菌環境において行う。一例として、該システムは、国際特許出願公開番号WO2009/072003またはUS 20110003380に記載されているようなシステムである。
【0742】
いくつかの態様では、該システムまたは装置は、単離、処理、操作および製剤化工程の1つまたは複数、例えば、すべてを、統合型もしくは内臓型のシステム中、および/または自動的もしくはプログラム可能に行う。いくつかの局面では、該システムまたは装置は、ユーザーに処理、単離、操作および製剤化工程をプログラム、制御、その結果を判断、および/またはその様々な局面を調整させる、システムまたは装置と通信するコンピュータおよび/またはコンピュータープログラムを含む。
【0743】
いくつかの局面では、分離および/または他の工程は、例えば、閉鎖された無菌系における臨床規模レベルでの細胞の自動分離のために、CliniMACSシステム(Miltenyi Biotec)を使用して行われる。構成部品は、統合型マイクロコンピュータ、磁気分離ユニット、蠕動ポンプ、および様々なピンチ弁を含むことができる。統合型コンピュータは、いくつかの局面では、機器のすべての構成部品を制御し、標準化されたシーケンスで反復手順を実行するようにシステムに指示する。磁気分離ユニットは、いくつかの局面では、可動永久磁石および選択カラム用のホルダを含む。蠕動ポンプは、チュービングセット全体の流速を制御し、ピンチ弁と共に、システムを通る緩衝液の制御された流れと細胞の継続的懸濁を確実にする。
【0744】
CliniMACSシステムは、いくつかの局面では、無菌非発熱性溶液中で供給される抗体結合磁化可能粒子を使用する。いくつかの態様では、磁気粒子による細胞の標識化後、過剰の粒子を除去するために細胞が洗浄される。次いで、細胞調製バッグがチュービングセットに接続され、次にそのチュービングセットが緩衝液を含有するバッグおよび細胞収集バッグに接続される。チュービングセットは、組み立て済みの無菌チュービング(プレカラムおよび分離カラムを含む)からなり、1回限りの使い捨て用である。分離プログラムの開始後に、システムは自動で細胞試料を分離カラムに適用する。標識細胞はカラム内に保持され、一方、非標識細胞は一連の洗浄工程によって除去される。いくつかの態様では、本明細書に記載される方法と共に使用するための細胞集団は標識されておらず、カラム中に保持されない。いくつかの態様では、本明細書に記載される方法と共に使用するための細胞集団は、標識されており、カラム中に保持される。いくつかの態様では、磁場の除去後に、本明細書に記載される方法と共に使用するための細胞集団がカラムから溶出され、細胞収集バッグ内に収集される。
【0745】
ある特定の態様では、分離および/または他の工程は、CliniMACS Prodigyシステム(Miltenyi Biotec)を使用して行われる。CliniMACS Prodigyシステムは、いくつかの局面では、遠心分離による細胞の自動洗浄および分画を可能にする細胞処理ユニットを装備している。CliniMACS Prodigyシステムはまた、ソース細胞産物の巨視的層を識別することによって最適な細胞分画終点を決定する搭載カメラおよび画像認識ソフトウェアを含むこともできる。例えば、末梢血は、赤血球、白血球および血漿層へと自動的に分離される。CliniMACS Prodigyシステムはまた、例えば細胞の分化および拡大増殖、抗原負荷および長期細胞培養などの細胞培養プロトコルを遂行する統合型細胞培養チャンバを含むこともできる。投入口は、培地の無菌的取り出しおよび補充を可能にし、統合型顕微鏡を使用して細胞をモニタリングすることができる。例えば、Klebanoff et al. (2012) J Immunother. 35(9): 651-660、Terakura et al. (2012) Blood.1:72-82、およびWang et al. (2012) J Immunother. 35(9):689-701を参照されたい。
【0746】
いくつかの態様では、本明細書に記載される細胞集団は、複数の細胞表面マーカーについて染色された細胞が流体流で運ばれるフローサイトメトリーを介して、収集され、濃縮される(または枯渇される)。いくつかの態様では、本明細書に記載される細胞集団は、分取スケール(FACS)ソーティングを介して、収集され、濃縮される(または枯渇される)。ある特定の態様では、本明細書に記載される細胞集団は、FACSに基づく検出システムと組み合わせた微小電気機械システム(MEMS)チップの使用によって、収集され、濃縮される(または枯渇される)(例えば、WO 2010/033140、Cho et al. (2010) Lab Chip 10, 1567-1573;およびGodin et al. (2008) J Biophoton. 1(5):355-376を参照のこと)。どちらの場合も、細胞を複数のマーカーで標識することができ、明確に規定されたT細胞サブセットの高純度の単離が可能となる。
【0747】
いくつかの態様では、抗体または結合パートナーは、陽性選択および/または陰性選択のための分離が容易となるように、1つまたは複数の検出可能マーカーで標識される。例えば、分離は、蛍光標識抗体への結合に基づき得る。いくつかの例では、1つまたは複数の細胞表面マーカーに特異的な抗体または他の結合パートナーの結合に基づく細胞の分離は、例えばフローサイトメトリー検出システムと組み合わせた、分取スケール(FACS)および/または微小電気機械システム(MEMS)チップを含む蛍光活性化細胞ソーティング(FACS)などによって流体流中で行われる。そのような方法は、複数のマーカーに基づく陽性選択および陰性選択を同時に可能にする。
【0748】
いくつかの態様では、調製法は、単離、インキュベーションおよび/または操作の前または後のいずれかに、細胞を凍結、例えば、凍結保存するための工程を含む。いくつかの態様では、凍結およびその後の融解工程は、細胞集団中の顆粒球を除去し、かつ、ある程度まで単球を除去する。いくつかの態様では、細胞は、例えば血漿および血小板を除去するための洗浄工程の後に、凍結溶液中に懸濁される。いくつかの局面では、多様な公知の凍結溶液およびパラメータのいずれを使用してもよい。一例は、20% DMSOおよび8%ヒト血清アルブミン(HSA)を含有するPBS、または他の好適な細胞凍結媒体を使用することを伴う。次いで、これは、DMSOおよびHSAの終濃度がそれぞれ10%および4%になるように培地で1:1希釈される。次いで、細胞は、一般に、1℃/分の速度で-80℃に凍結され、液体窒素保存タンクの気相中に保存される。
【0749】
いくつかの態様では、細胞は、遺伝子操作の前またはそれに関連してインキュベートおよび/または培養される。インキュベーション工程は、培養(culture)、培養(cultivation)、刺激、活性化、および/または増殖を含むことができる。インキュベーションおよび/または操作は、ユニット、チャンバ、ウェル、カラム、チューブ、チュービングセット、バルブ、バイアル、培養ディッシュ、バッグ、または細胞を培養(culture)もしくは培養する(cultivating)ための他の容器などの培養槽中で行われ得る。いくつかの態様では、集団または細胞は、刺激条件または刺激作用物質の存在下でインキュベートされる。そのような条件は、集団中の細胞の増殖、拡大増殖、活性化、および/または生存を誘導するように、抗原曝露を模倣するように、かつ/または、遺伝子操作のため、例えば組換え抗原受容体の導入のため細胞をプライミングするように、設計された条件を含む。
【0750】
条件は、特定の媒体、温度、酸素含量、二酸化炭素含量、時間、作用物質、例えば、栄養素、アミノ酸、抗生物質、イオン、および/または刺激因子、例えばサイトカイン、ケモカイン、抗原、結合パートナー、融合タンパク質、組換え可溶性受容体、および細胞を活性化するように設計された任意の他の作用物質の1つまたは複数を含むことができる。
【0751】
いくつかの態様では、刺激条件または刺激作用物質は、TCR複合体の細胞内シグナル伝達ドメインを活性化可能である1つまたは複数の作用物質、例えば、リガンドを含む。いくつかの局面では、作用物質は、T細胞におけるTCR/CD3細胞内シグナル伝達カスケードを有効にするか開始する。そのような作用物質は、抗体、例えば、TCRに特異的なもの、例えば抗CD3を含むことができる。いくつかの態様では、刺激条件は、共刺激受容体を刺激可能である1つまたは複数の作用物質、例えばリガンド、例えば、抗CD28を含む。いくつかの態様では、そのような作用物質および/またはリガンドは、ビーズなどの固体支持体に結合していてもよく、および/または1つもしくは複数のサイトカインであってもよい。任意で、拡大増殖法はさらに、抗CD3および/または抗CD28抗体を培養培地に(例えば、少なくとも約0.5ng/mlの濃度で)加える工程を含み得る。いくつかの態様では、刺激作用物質は、IL-2、IL-15および/またはIL-7を含む。いくつかの局面では、IL-2濃度は、少なくとも約10ユニット/mLである。
【0752】
いくつかの局面では、インキュベーションは、米国特許第6,040,177号、Klebanoff et al. (2012) J Immunother. 35(9): 651-660、Terakura et al. (2012) Blood.1:72-82、および/またはWang et al. (2012) J Immunother. 35(9):689-701に記載されているものなどの技術に従って行われる。
【0753】
いくつかの態様では、培養開始集団に、フィーダー細胞、例えば非分裂末梢血単核細胞(PBMC)を(例えば、得られた細胞集団が、拡大増殖されるべき初期集団中のTリンパ球毎に少なくとも約5、10、20、もしくは40またはそれより多いPBMCフィーダー細胞を含有するように)添加し;培養物を(例えば、T細胞数が拡大増殖するのに十分な時間)インキュベートすることによって、T細胞が拡大増殖される。いくつかの局面では、非分裂フィーダー細胞は、ガンマ照射PBMCフィーダー細胞を含むことができる。いくつかの態様では、細胞分裂を防止するために、PBMCに、約3000~3600radの範囲のガンマ線が照射される。いくつかの局面では、T細胞集団の添加の前に、フィーダー細胞が培養培地に添加される。
【0754】
いくつかの態様では、刺激条件は、ヒトTリンパ球の成長に適した温度、例えば、少なくともセ氏約25度、一般に少なくとも約30度、一般にセ氏37度またはセ氏約37度を含む。任意で、インキュベーションはさらに、非分裂のEBV形質転換リンパ芽球様細胞(LCL)をフィーダー細胞として加えることを含み得る。LCLに、約6000~10,000radの範囲のガンマ線を照射することができる。LCLフィーダー細胞は、いくつかの局面では、任意の好適な量で、例えば、少なくとも約10:1のLCLフィーダー細胞と初期Tリンパ球の比で提供される。
【0755】
諸態様では、抗原特異的T細胞、例えば、抗原特異的CD4+ T細胞および/またはCD8+ T細胞は、ナイーブまたは抗原特異的Tリンパ球を抗原で刺激することによって得られる。例えば、サイトメガロウイルス抗原に対する抗原特異的T細胞株またはクローンは、感染対象からT細胞を単離して、細胞を同じ抗原でインビトロ刺激することによって生成することができる。
【0756】
V. 組成物および製剤
いくつかの態様では、本明細書において開示される製造プロセスのいずれかによって生成された治療用組成物(例えば、治療用T細胞組成物)、例えば、操作された(組換え受容体を発現する)T細胞を含有するアウトプット組成物が本明細書において提供される。いくつかの態様では、本明細書に開示される、例えば、セクションIII-Fの特徴のいずれか1つまたは複数を有する治療用組成物(例えば、治療用T細胞組成物)が本明細書において提供される。いくつかの態様では、組換え抗原受容体、例えばCARまたはTCRで操作された細胞を含む細胞の用量は、薬学的組成物または製剤などの組成物または製剤として提供される。そのような組成物は、提供される方法および/または提供される製造品または組成物に従って、例えば、疾患、病態および障害の予防もしくは治療において、または検出、診断および予後判定法において使用することができる。
【0757】
いくつかの態様では、治療用T細胞組成物は、組換え受容体を発現するCD4+ T細胞および組換え受容体を発現するCD8+ T細胞を含有し、組成物中の総受容体+/CD8+細胞の少なくとも80%がCD57-であり、組成物中の総受容体+/CD4+細胞の少なくとも80%がCD57-である。いくつかの態様では、治療用T細胞組成物は、組成物中の細胞の少なくとも80%もしくは少なくとも約80%、少なくとも85%もしくは少なくとも約85%、少なくとも90%もしくは少なくとも約90%、少なくとも95%もしくは少なくとも約95%、少なくとも96%もしくは少なくとも約96%、少なくとも97%もしくは少なくとも約97%、少なくとも98%もしくは少なくとも約98%、少なくとも99%もしくは少なくとも約99%、約100%、または100%がCD4+ T細胞およびCD8+ T細胞である、治療用T細胞組成物である。
【0758】
いくつかの態様では、治療用T細胞組成物は、組換え受容体を発現するCD3+ T細胞を含み、組成物中の総受容体+/CD3+細胞の少なくとも80%がCD57-である。いくつかの態様では、治療用T細胞組成物は、組成物中の細胞の少なくとも80%もしくは少なくとも約80%、少なくとも85%もしくは少なくとも約85%、少なくとも90%もしくは少なくとも約90%、少なくとも95%もしくは少なくとも約95%、少なくとも96%もしくは少なくとも約96%、少なくとも97%もしくは少なくとも約97%、少なくとも98%もしくは少なくとも約98%、少なくとも99%もしくは少なくとも約99%、約100%、または100%がCD3+ T細胞である、治療用T細胞組成物である。
【0759】
いくつかの態様では、治療用T細胞組成物は、規定された比のCD4 T細胞およびCD8 T細胞を含有する。いくつかの態様では、組成物中の受容体+/CD4+ T細胞と受容体+/CD8+ T細胞の比は、約1:3~約3:1であり、例えば、1:1または約1:1である。
【0760】
いくつかの態様では、組換え受容体は、セクションIV.Aに記載されるようないずれかである。いくつかの態様では、組換え受容体は、疾患、障害または病態の細胞または組織に関連する、それに特異的な、および/またはその上に発現される標的タンパク質に結合可能である。いくつかの態様では、組換え受容体は、キメラ抗原受容体(CAR)である。
【0761】
一部の態様では、提供される治療用組成物中の生存T細胞の数は、10×106個または約10×106個の細胞から、200×106個または約200×106個の細胞である。いくつかの態様では、提供される治療用組成物中の生存T細胞の数は、10×106個または約10×106個の細胞から、100×106個または約100×106個の細胞である。いくつかの態様では、提供される治療用組成物中の生存T細胞の数は、10×106個または約10×106個の細胞から、70×106個または約70×106個の細胞である。いくつかの態様では、提供される治療用組成物中の生存T細胞の数は、10×106個または約10×106個の細胞から、50×106個または約50×106個の細胞である。いくつかの態様では、提供される治療用組成物中の生存T細胞の数は、50×106個または約50×106個の細胞から、200×106個または約200×106個の細胞である。いくつかの態様では、提供される治療用組成物中の生存T細胞の数は、50×106個または約50×106個の細胞から、100×106個または約100×106個の細胞である。いくつかの態様では、提供される治療用組成物中の生存T細胞の数は、50×106個または約50×106個の細胞から、70×106個または約70×106個の細胞である。いくつかの態様では、提供される治療用組成物中の生存T細胞の数は、70×106個または約70×106個の細胞から、200×106個または約200×106個の細胞である。いくつかの態様では、提供される治療用組成物中の生存T細胞の数は、70×106個または約70×106個の細胞から、100×106個または約100×106個の細胞である。いくつかの態様では、提供される治療用組成物中の生存T細胞の数は、100×106個または約100×106個の細胞から、200×106個または約200×106個の細胞である。いくつかの局面では、組成物の容量は、1.0mL~10mLである。いくつかの態様では、容量は、2mLもしくは約2mL、3mLもしくは約3mL、4mLもしくは約4mL、5mLもしくは約5mL、6mLもしくは約6mL、7mLもしくは約7mL、8mLもしくは約8mL、9mLもしくは約9mL、または10mLもしくは約10mL、または前述のいずれかの間の任意の値である。
【0762】
用語「薬学的製剤」は、その中に含有される活性成分の生物学的活性が有効になるような形態でありかつ製剤が投与される対象に対して許容されない毒性である追加の成分を含有しない、調製物のことを指す。
【0763】
「薬学的に許容される担体」は、対象に無毒である、活性成分以外の薬学的製剤中の成分のことを指す。薬学的に許容される担体は、緩衝剤、賦形剤、安定剤、または保存料を含むが、これらに限定されない。
【0764】
いくつかの局面では、担体の選択は、一部には、特定の細胞もしくは作用物質によっておよび/または投与方法によって決定される。したがって、多様な好適な製剤がある。例えば、薬学的組成物は、保存料を含有することができる。好適な保存料は、例えば、メチルパラベン、プロピルパラベン、安息香酸ナトリウム、および塩化ベンザルコニウムを含み得る。いくつかの局面では、2つ以上の保存料の混合物が使用される。保存料またはその混合物は、典型的には、全組成物の重量に対して約0.0001%~約2%の量で存在する。担体は、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences 16th edition, Osol, A. Ed. (1980)に記載されている。薬学的に許容される担体は、一般に、用いられる投与量および濃度でレシピエントに無毒であり、緩衝液、例えば、リン酸塩、クエン酸塩、および他の有機酸;アスコルビン酸およびメチオニンを含む抗酸化物質;保存料(例えば、オクタデシルジメチルベンジル塩化アンモニウム;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム;塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチルアルコールもしくはベンジルアルコール;アルキルパラベン、例えば、メチルパラベンもしくはプロピルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;およびm-クレゾール);低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;タンパク質、例えば、血清アルブミン、ゼラチン、もしくは免疫グロブリン;親水性ポリマー、例えば、ポリビニルピロリドン;アミノ酸、例えば、グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、もしくはリジン;グルコース、マンノース、もしくはデキストリンを含む、単糖、二糖、および他の炭水化物;キレート剤、例えば、EDTA;糖、例えば、スクロース、マンニトール、トレハロース、もしくはソルビトール;塩を形成する対イオン、例えば、ナトリウム;金属錯体(例えば、Zn-タンパク質錯体);ならびに/または非イオン性界面活性剤、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)を含むが、それらに限定されない。
【0765】
緩衝化剤が、いくつかの局面では、組成物に含まれる。好適な緩衝化剤は、例えば、クエン酸、クエン酸ナトリウム、リン酸、リン酸カリウム、ならびに様々な他の酸および塩を含む。いくつかの局面では、2つ以上の緩衝化剤の混合物が使用される。緩衝化剤またはその混合物は、典型的には、全組成物の重量に対して約0.001%~約4%の量で存在する。投与可能な薬学的組成物を調製するための方法は公知である。例示的な方法は、例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, Lippincott Williams & Wilkins; 21st ed. (May 1, 2005)により詳細に記載されている。
【0766】
製剤または組成物はまた、細胞または作用物質で予防または治療されている特定の適応症、疾患または病態に有用な1つ超の活性成分を含有してもよく、この場合、それぞれの活性は、互いに悪影響を及ぼさない。そのような活性成分は、意図する目的に有効な量で組み合わされて適切に存在する。したがって、いくつかの態様では、薬学的組成物はさらに、他の薬学的に活性な作用物質または薬物、例えば化学療法剤、例えば、アスパラギナーゼ、ブスルファン、カルボプラチン、シスプラチン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、フルオロウラシル、ゲムシタビン、ヒドロキシウレア、メトトレキセート、パクリタキセル、リツキシマブ、ビンブラスチン、ビンクリスチンなどを含む。いくつかの態様では、作用物質または細胞は、塩、例えば、薬学的に許容される塩の形態で投与される。好適な薬学的に許容される酸付加塩は、塩酸、臭化水素酸、リン酸、メタリン酸、硝酸および硫酸などの鉱酸、ならびに、酒石酸、酢酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、フマル酸、安息香酸、グリコール酸、グルコン酸、コハク酸およびアリールスルホン酸などの有機酸、例えばp-トルエンスルホン酸に由来するものを含む。
【0767】
薬学的組成物は、いくつかの態様では、疾患または病態を治療または予防するのに有効な量、例えば治療有効量または予防有効量で作用物質または細胞を含有する。治療有効性または予防有効性は、いくつかの態様では、処置される対象を定期的に評価することによってモニタリングされる。数日またはより長期にわたる繰り返し投与については、病態に応じて、所望の疾患症状の抑制が起こるまで処置が繰り返される。しかしながら、他の投薬レジメンが有用である場合もあり、かつ、これを決定することができる。組成物の単回ボーラス投与によって、組成物の複数回ボーラス投与によって、または組成物の連続注入投与によって、所望の投与量を送達することができる。
【0768】
作用物質または細胞を、任意の好適な手段によって、例えば、ボーラス注入によって、注射、例えば、静脈内もしくは皮下注射、眼内注射、眼周囲注射、網膜下注射、硝子体内注射、経中隔注射、強膜下注射、脈絡膜内注射、前房内注射、結膜下(subconjectval、subconjuntival)注射、テノン嚢下注射、眼球後注射、眼球周囲注射、または強膜近傍後方送達によって投与することができる。いくつかの態様では、これらは、非経口、肺内、および鼻腔内、局所処置が望ましい場合は病巣内投与によって投与される。非経口注入は、筋肉内、静脈内、動脈内、腹腔内、または皮下投与を含む。いくつかの態様では、所与の用量は、細胞または作用物質の単回ボーラス投与によって投与される。いくつかの態様では、それは、例えば3日以内の期間にわたる、細胞または作用物質の複数回ボーラス投与によって、または、細胞または作用物質の連続注入投与によって投与される。
【0769】
疾患の予防または治療のために、適切な投与量は、処置されるべき疾患のタイプ、作用物質(1つまたは複数)のタイプ、細胞または組換え受容体のタイプ、疾患の重症度および経過、作用物質または細胞が予防目的で投与されるか治療目的で投与されるか、以前の療法、対象の病歴および作用物質または細胞に対する応答、ならびに主治医の判断に依存し得る。組成物は、いくつかの態様では、一度または一連の処置にわたって対象に適切に投与される。
【0770】
細胞または作用物質は、標準的な投与技術、製剤、および/またはデバイスを使用して投与され得る。組成物の保存および投与のための、製剤およびデバイス、例えばシリンジおよびバイアルが提供される。細胞に関して、投与は、自家のものであっても異種のものであってもよい。例えば、免疫応答性細胞または前駆細胞を、ある対象から得て、同じ対象または異なる適合性の対象に投与することができる。末梢血由来の免疫応答性細胞またはそれらの子孫(例えば、インビボ、エクスビボまたはインビトロ由来)を、カテーテル投与を含む局所注射、全身注射、局所注射、静脈内注射、または非経口投与を介して投与することができる。治療用組成物(例えば、神経毒性の症状を処置または改善する遺伝子改変された免疫応答性細胞または作用物質を含有する薬学的組成物)を投与するとき、それは、一般に、注射用単位剤形(溶液、懸濁液、エマルジョン)で製剤化される。
【0771】
製剤は、経口、静脈内、腹腔内、皮下、経肺、経皮、筋肉内、鼻腔内、頬側、舌下、または坐剤投与のための製剤を含む。いくつかの態様では、作用物質または細胞集団は、非経口投与される。用語「非経口」は、本明細書において使用される場合、静脈内、筋肉内、皮下、直腸、腟、および腹腔内投与を含む。いくつかの態様では、作用物質または細胞集団は、静脈内、腹腔内、または皮下注射による末梢全身送達を使用して対象に投与される。
【0772】
組成物は、いくつかの態様では、無菌液体調製物、例えば、等張性水溶液、懸濁液、エマルジョン、分散液、または粘性組成物として提供され、これらは、いくつかの局面では、選択されたpHに緩衝化されてもよい。液体調製物は、通常、ゲル、他の粘性組成物、および固体組成物よりも調製しやすい。加えて、液体組成物は、投与に、とりわけ、注射による投与にいくらかより便利である。他方で、粘性組成物を、特定の組織とのより長い接触期間をもたらすように適切な粘性の範囲内で製剤化することができる。液体組成物または粘性組成物は、例えば、水、食塩水、リン酸緩衝食塩水、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコール)およびそれらの好適な混合物を含有する、溶媒または分散媒であることができる、担体を含むことができる。
【0773】
無菌注射液は、溶媒中に、例えば、滅菌水、生理食塩水、グルコース、デキストロースなどの好適な担体、希釈剤または賦形剤と混合された溶媒中に作用物質または細胞を取り入れることによって、調製することができる。
【0774】
インビボ投与に使用されるべき製剤は、一般に無菌のものである。無菌は、例えば滅菌濾過膜で濾過することによって、容易に達成され得る。
【0775】
VI. 処置の方法
処置の方法、例えば、本明細書に記載される操作された細胞または操作された細胞を含有する組成物のいずれかを投与することを含む処置の方法が、本明細書において提供される。いくつかの局面では、また、本明細書に記載される操作された細胞または操作された細胞を含有する組成物のいずれかを、対象、例えば、疾患または障害を有する対象に投与する方法が提供される。いくつかの局面では、また、疾患または障害の処置のための、本明細書に記載される操作された細胞または操作された細胞を含有する組成物のいずれかの使用が提供される。いくつかの局面では、また、疾患または障害の処置のための医薬の製造のための、本明細書に記載される操作された細胞または操作された細胞を含有する組成物のいずれかの使用が提供される。いくつかの局面では、また、疾患もしくは障害の処置において使用するための、または疾患もしくは障害を有する対象への投与のための、本明細書に記載される操作された細胞または操作された細胞を含有する組成物のいずれかが提供される。
【0776】
養子細胞療法のための細胞の投与法は、公知であり、提供される方法および組成物に関連して使用され得る。例えば、養子T細胞療法は、例えば、Gruenbergらの米国特許出願公報番号2003/0170238;Rosenbergの米国特許第4,690,915号;Rosenberg (2011) Nat Rev Clin Oncol. 8(10): 577-85に記載されている。例えば、Themeli et al. (2013) Nat Biotechnol. 31(10): 928-933; Tsukahara et al. (2013) Biochem Biophys Res Commun 438(1): 84-9; Davila et al. (2013) PLoS ONE 8(4): e61338を参照されたい。
【0777】
いくつかの態様では、対象、例えば、疾患または障害を有するか有する疑いのある対象に、少量または減少量のCD57+ T細胞を有する細胞療法が投与される。特定の態様では、細胞療法におけるCD57+細胞の量または頻度は、投与の前に測定される。ある特定の態様では、細胞療法は、CD57+ T細胞を50%、40%、30%、25%、20%、15%、10%、5%もしくは1%未満、または約50%、40%、30%、25%、20%、15%、10%、5%もしくは1%未満有する。ある特定の態様では、細胞療法におけるCD57+細胞の量または頻度が測定され、細胞療法が、CD57+ T細胞を50%、40%、30%、25%、20%、15%、10%、5%もしくは1%未満、または約50%、40%、30%、25%、20%、15%、10%、5%もしくは1%未満有する場合に、細胞療法が対象に投与される。いくつかの態様では、細胞療法は、CD57 T細胞を25%未満または約25%未満有する。特定の態様では、細胞療法は、CD57 T細胞を10%未満または約10%未満有する。ある特定の態様では、細胞療法は、CD57+ T細胞を閾値量未満または約閾値量未満有する。
【0778】
特定の態様では、対象、例えば、疾患または障害を有するか有する疑いのある対象に、CD57発現に陽性の少量もしくは減少量のT細胞またはCD57発現に関連する少量もしくは減少量の形質(trait)を有する細胞療法が投与される。いくつかの態様では、CD57発現に関連する形質は、細胞療法を対象に投与する前に、細胞療法の細胞において測定される。特定の態様では、CD57発現に関連する形質が細胞療法において測定され、細胞療法がCD57発現に関連する形質を閾値未満有する場合に、細胞療法が対象に投与される。
【0779】
特定の態様では、閾値は、所定値である。いくつかの態様では、閾値は、実験的に導出される。いくつかの態様では、閾値は、複数の細胞療法において測定された形質の代表値(average)、中央値、または平均値(mean)である。いくつかの態様では、閾値は、複数の細胞療法、例えば、参照細胞療法の測定から実験的に導出される。いくつかの態様では、参照細胞療法は、T細胞の参照組成物、例えば、組換え受容体を発現するT細胞を含むT細胞組成物である。特定の態様では、T細胞、例えば、組換え受容体を発現するT細胞の参照組成物は、対象への投与の前に測定される。
【0780】
特定の態様では、参照細胞療法または参照T細胞組成物は、同じ疾患、障害または病態を処置するための細胞療法をさらに受けた対象群の中からの、T細胞、例えば、組換え受容体を発現するT細胞を含めたT細胞を含む細胞療法の組成物である。いくつかの態様では、参照細胞療法または参照T細胞組成物は、部分奏効または疾患進行をさらに呈した対象に投与されたT細胞組成物である。
【0781】
いくつかの態様では、CD57発現に関連する形質は、総T細胞、総CD4+ T細胞または総CD8+ T細胞中に存在するCD57ポリペプチドのレベルまたは量である。特定の態様では、形質は、該用量の総T細胞、CD4+ T細胞またはCD8+ T細胞中に存在するCD57ポリペプチドのレベルまたは量である。いくつかの態様では、形質は、総T細胞、CD4+ T細胞またはCD8+ T細胞の表面上に存在するCD57ポリペプチドのレベルまたは量である。様々な態様では、形質は、CD57+ T細胞、CD57+CD4+ T細胞またはCD57+CD8+ T細胞の頻度、割合または量である。ある特定の態様では、形質は、該用量のT細胞中に存在するCD57 mRNAのレベルまたは量である。いくつかの態様では、形質は、CD57をコードする遺伝子(B3GAT1)のアクセシビリティのレベルまたは量である。
【0782】
いくつかの態様では、CD57発現に関連する形質は、総CD3+ T細胞中に存在するCD57ポリペプチドのレベルまたは量である。特定の態様では、形質は、該用量の総CD3+ T細胞中に存在するCD57ポリペプチドのレベルまたは量である。いくつかの態様では、形質は、総CD3+ T細胞の表面上に存在するCD57ポリペプチドのレベルまたは量である。様々な態様では、形質は、CD57+CD3+ T細胞の頻度、割合または量である。ある特定の態様では、形質は、該用量のT細胞中に存在するCD57 mRNAのレベルまたは量である。いくつかの態様では、形質は、CD57をコードする遺伝子(B3GAT1)のアクセシビリティのレベルまたは量である。
【0783】
特定の態様では、閾値は、複数の参照細胞療法または参照T細胞組成物中のCD57発現に関連する形質の測定値の代表値、平均値または中央値の75%、60%、50%、40%、30%、25%、20%、15%、10%、5%、1%以下であるか、約75%、60%、50%、40%、30%、25%、20%、15%、10%、5%、1%以下であるか、または、75%、60%、50%、40%、30%、25%、20%、15%、10%、5%、1%以下以内であるか、または、その1%未満以下以内である。量は、形質の測定値の代表値、平均値または中央値未満の標準偏差の1以下、2分の1、3分の1、4分の1、5分の1、6分の1、8分の1、または10分の1である。特定の態様では、閾値は、複数の参照T細胞組成物または参照細胞療法の中からの一組成物中のCD57発現に関連する形質の最低測定値以下である。いくつかの態様では、閾値は、複数の参照細胞療法または参照T細胞組成物の中で測定された形質の最低測定値の50%、40%、35%、30%、25%、20%、15%、10%、5%、1%以下以内または約50%、40%、35%、30%、25%、20%、15%、10%、5%、1%以下以内、またはその1%未満以下以内である。ある特定の態様では、閾値は、参照T細胞組成物または参照細胞療法中の頻度の中から算出されたCD57発現に関連する形質の測定値の代表値、中央値または平均値以下である。いくつかの態様では、閾値は、複数の参照T細胞組成物から得られた測定値の25%、33%、50%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%もしくは95%、約25%、33%、50%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%もしくは95%、または少なくとも25%、33%、50%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%もしくは95%の代表、中央または平均測定値である。
【0784】
特定の態様では、CD57発現に関連する形質は、細胞療法を対象に投与する前に、細胞療法において測定される。いくつかの態様では、測定値は、対象が完全奏効を経験しないリスク、確率または可能性を評価するために使用される。ある特定の態様では、測定値は、対象が細胞療法の投与後に部分奏効または疾患進行の転帰を経験するリスク、確率または可能性を評価するために使用される。特定の態様では、形質の値が形質の閾値を超えた場合に、対象は、細胞療法の投与後に完全奏効を経験することに失敗するリスク、可能性または確率の増加を有すると判定される。いくつかの態様では、形質の値が形質の閾値を超えた場合に、対象は、細胞療法の投与後に部分奏効または疾患進行を経験するリスク、可能性または確率の増加を有すると判定される。いくつかの態様では、閾値は、本明細書に記載されるCD57に関連する形質の任意の閾値である。
【0785】
いくつかの態様では、細胞療法の投与後に完全奏効を達成することに失敗するリスクが増加したと見なされた対象は、その細胞療法の一用量の投与後に50%、40%、30%、25%、20%、15%、10%未満、もしくは10%より少ない、または約50%、40%、30%、25%、20%、15%、10%未満、もしくは10%より少ない頻度でさらに完全奏効を達成する。いくつかの態様では、完全奏効を達成することに失敗するリスクが増加したと見なされた対象は、その細胞療法の一用量の投与後に20%未満の頻度でさらに完全奏効を達成する。様々な態様では、完全奏効を達成することに失敗するリスクが増加したと見なされた対象は、その細胞療法の一用量の投与後に0%または約0%の頻度でさらに完全奏効を達成する。
【0786】
ある特定の態様では、細胞療法の投与後に部分奏効または疾患進行の転帰を達成するリスクが増加したと見なされた対象は、その細胞療法の一用量の投与後に50%、40%、30%、25%、20%、15%、10%未満、もしくは10%より少ない、または約50%、40%、30%、25%、20%、15%、10%未満、もしくは10%より少ない頻度でさらに完全奏効を達成する。様々な態様では、部分奏効または疾患進行の転帰を達成するリスクが増加したと見なされた対象は、その細胞療法の一用量の投与後に20%未満の頻度でさらに完全奏効を達成する。様々な態様では、部分奏効または疾患進行の転帰応答を達成するリスクが増加したと見なされた対象は、その細胞療法の一用量の投与後に0%または約0%の頻度でさらに完全奏効を達成する。
【0787】
特定の態様では、完全奏効を達成することに失敗するリスクが増加したと見なされた対象は、例えば、対象がさらに完全奏効を達成する可能性または確率を向上させるために、用量の増加した細胞療法を受ける。いくつかの態様では、部分奏効または疾患進行の転帰を達成するリスクが増加したと見なされた対象は、例えば、対象がさらに完全奏効を達成する可能性または確率を向上させるために、用量の増加した細胞療法を受ける。
【0788】
処置される疾患または状態は、抗原の発現が疾患状態または障害の病因に関連する、および/または関与する、例えばそのような疾患、状態または障害を引き起こすか、悪化させるか、またはそれに他の方法で関与する任意のものであることができる。例示的な疾患および状態は、悪性腫瘍もしくは細胞の形質転換(例えば、がん)、自己免疫疾患もしくは炎症性疾患、または、例えば細菌の、ウイルスのもしくはその他の病原体によって引き起こされる、感染性疾患に関連する疾患または状態を含むことができる。処置することができるさまざまな疾患および状態に関連する抗原を含む例示的な抗原は、上述されている。特定の態様において、キメラ抗原受容体またはトランスジェニックTCRは、疾患または状態に関連する抗原に特異的に結合する。
【0789】
疾患、症状および障害の中には、固形腫瘍、血液悪性腫瘍、および黒色腫を含み、限局性および転移性腫瘍を含む腫瘍、感染性疾患、例えばウイルスまたは他の病原体(例えばHIV、HCV、HBV、CMV、HPV)による感染、および寄生虫症、ならびに自己免疫疾患および炎症性疾患がある。いくつかの態様において、疾患、障害または状態は、腫瘍、がん、悪性腫瘍、新生物、または他の増殖性疾患もしくは障害である。そのような疾患には、白血病、リンパ腫、例えば、急性骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄性白血病(CML)、急性リンパ性(またはリンパ芽球性)白血病(ALL)、慢性リンパ性白血病(CLL)、ヘアリー細胞白血病(HCL)、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、辺縁帯リンパ腫、バーキットリンパ腫、ホジキンリンパ腫(HL)、非ホジキンリンパ腫(NHL)、未分化大細胞型リンパ腫(ALCL)、濾胞性リンパ腫、難治性濾胞性リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)および多発性骨髄腫(MM)が含まれるが、それに限定されるわけではない。いくつかの態様において、疾患または状態は、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、成人ALL、慢性リンパ芽球性白血病(CLL)、非ホジキンリンパ腫(NHL)、およびびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)の中より選択されるB細胞悪性腫瘍である。いくつかの態様において、疾患または状態はNHLであり、NHLは、侵攻性NHL、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、NOS(デノボおよびインドレントから形質転換)、原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫(PMBCL)、T細胞/組織球豊富型大細胞型B細胞リンパ腫(TCHRBCL)、バーキットリンパ腫、マントル細胞リンパ腫(MCL)、および/または濾胞性リンパ腫(FL)、任意で濾胞性リンパ腫グレード3B(FL3B)からなる群より選択される。
【0790】
いくつかの態様において、疾患または状態は、感染性の疾患または状態であり、例えば、ウイルス性、レトロウイルス性、細菌性、および原虫性感染症、免疫不全ウイルス、サイトメガロウイルス(CMV)、エプスタイン-バーウイルス(EBV)、アデノウイルス、BKポリオーマウイルスをであるが、これらに限定されない。いくつかの態様において、疾患または状態は、自己免疫性または炎症性の疾患または症状であり、例えば、関節リウマチ(RA)などの関節炎、I型糖尿病、全身性エリテマトーデス(SLE)、炎症性腸疾患、乾癬、強皮症、自己免疫性甲状腺疾患、グレーブス病、クローン病、多発性硬化症、喘息、および/または移植に関連する疾患もしくは状態である。
【0791】
いくつかの態様において、疾患または障害に関連する抗原は、αvβ6インテグリン(avb6インテグリン)、B細胞成熟抗原(BCMA)、B7-H3、B7-H6、炭酸脱水酵素9(CA9、別名CAIXまたはG250)、がん精巣抗原、がん/精巣抗原1B(CTAG、別名NY-ESO-1およびLAGE-2)、がん胎児性抗原(CEA)、サイクリン、サイクリンA2、C-Cモチーフケモカインリガンド1(CCL-1)、CD19、CD20、CD22、CD23、CD24、CD30、CD33、CD38、CD44、CD44v6、CD44v7/8、CD123、CD133、CD138、CD171、上皮成長因子タンパク質(EGFR)、トランケート型上皮成長因子タンパク質(tEGFR)、タイプIII上皮成長因子受容体変異(EGFR vIII)、上皮糖タンパク質2(EPG-2)、上皮糖タンパク質40(EPG-40)、エフリンB2、エフリン受容体A2(EPHa2)、エストロゲン受容体、Fc受容体様5(FCRL5; 別名Fc受容体ホモログ5またはFCRH5)、胎児アセチルコリン受容体(胎児AchR)、葉酸結合タンパク質(FBP)、葉酸受容体α、ガングリオシドGD2、O-アセチル化GD2(OGD2)、ガングリオシドGD3、糖タンパク質100(gp100)、グリピカン-3(GPC3)、Gタンパク質共役受容体5D(GPRC5D)、Her2/neu(受容体型チロシンキナーゼerb-B2)、Her3(erb-B3)、Her4(erb-B4)、erbB二量体、ヒト高分子量黒色腫関連抗原(HMW-MAA)、B型肝炎表面抗原、ヒト白血球抗原A1(HLA-A1)、ヒト白血球抗原A2(HLA-A2)、IL-22受容体α(IL-22Rα)、IL-13受容体α2(IL-13Rα2)、キナーゼ挿入ドメイン受容体(kdr)、カッパ軽鎖、L1細胞接着分子(L1-CAM)、L1-CAMのCE7エピトープ、ロイシンリッチリピート含有8ファミリーメンバーA(LRRC8A)、Lewis Y、黒色腫関連抗原(MAGE)-A1、MAGE-A3、MAGE-A6、MAGE-A10、メソテリン(MSLN)、c-Met、マウスサイトメガロウイルス(CMV)、ムチン1(MUC1)、MUC16、ナチュラルキラーグループ2メンバーD(NKG2D)リガンド、メラン(melan)A(MART-1)、神経細胞接着分子(NCAM)、がん胎児抗原、メラノーマ優先発現抗原(PRAME)、プロゲステロン受容体、前立腺特異抗原、前立腺幹細胞抗原(PSCA)、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、受容体型チロシンキナーゼ様オーファン受容体1(ROR1)、サバイビン、トロホブラスト糖タンパク質(TPBG、別名5T4)、腫瘍関連糖タンパク質72(TAG72)、チロシナーゼ関連タンパク質1(TRP1、別名TYRP1またはgp75)、チロシナーゼ関連タンパク質2(TRP2、別名ドパクロムトートメラーゼ、ドパクロムデルタイソメラーゼまたはDCT)、血管内皮細胞増殖因子受容体(VEGFR)、血管内皮細胞増殖因子受容体2(VEGFR2)、Wilms Tumor 1(WT-1)、病原体特異的もしくは病原体発現抗原、またはユニバーサルタグに関連する抗原、および/またはビオチン化分子、および/またはHIV、HCV、HBVもしくは他の病原体によって発現される分子であるか、またはそれを含む。いくつかの態様における該受容体によって標的づけられる抗原には、B細胞悪性腫瘍に関連する抗原、例えば、いくつかの公知のB細胞マーカーのいずれかが含まれる。いくつかの態様において、抗原は、CD20、CD19、CD22、ROR1、CD45、CD21、CD5、CD33、Igκ、Igλ、CD79a、CD79bまたはCD30であるか、またはそれを含む。いくつかの態様において、抗原は、病原体特異抗原または病原体発現抗原、例えばウイルス抗原(例えば、HIV、HCV、HBV由来のウイルス抗原)、細菌抗原、および/または寄生虫抗原であるか、またはそれを含む。
【0792】
いくつかの態様において、抗体または抗原結合フラグメント(例えば、scFvまたはVHドメイン)は、CD19などの抗原を特異的に認識する。いくつかの態様において、抗体または抗原結合フラグメントは、CD19に特異的に結合する抗体または抗原結合フラグメントに由来するか、またはその変異体である。いくつかの態様において、細胞療法、例えば養子T細胞療法は、細胞療法を受ける予定の対象から、またはそのような対象に由来する試料から細胞が単離され、かつ/またはその他の方法で調製される自家移植によって行われる。したがって、いくつかの局面において、細胞は、処置および細胞を必要とする対象、例えば患者に由来し、単離および処理後に同じ対象に投与される。
【0793】
いくつかの態様において、細胞療法、例えば養子T細胞療法は、細胞療法を受ける予定であるかまたは最終的に細胞療法を受ける対象以外の対象、例えば第1対象から細胞が単離され、かつ/またはその他の方法で調製される同種移植によって行われる。そのような態様において、この細胞は次いで、同じ種の異なる対象、例えば第2対象に投与される。いくつかの態様において、第1対象と第2対象は遺伝子的に同一である。いくつかの態様において、第1対象と第2対象は遺伝子的に類似している。いくつかの態様において、第2対象は第1対象と同じHLAクラスまたはスーパータイプを発現する。
【0794】
細胞は、任意の適切な手段によって投与することができ、例えば、ボーラス注入によって、注射、例えば静脈内または皮下注射、眼内注射、眼周囲注射、網膜下注射、硝子体内注射、経中隔注射、強膜下注射、脈絡膜内注射、前房内注射、結膜下(subconjectval)注射、結膜下(subconjuntival)注射、テノン嚢下注射、球後注射、球周囲注射、または後強膜近傍(posterior juxtascleral)送達によって投与される。いくつかの態様では、それらは、非経口、肺内、および鼻腔内、局所治療が望ましい場合は病変内投与によって投与される。非経口注入には、筋肉内、静脈内、動脈内、腹腔内、または皮下投与が含まれる。いくつかの態様では、投与量は、細胞の単回ボーラス投与によって投与される。いくつかの態様では、それは、例えば3日以内の期間にわたる、細胞の複数回ボーラス投与によって、または細胞の連続注入投与によって投与される。いくつかの態様では、細胞用量の投与または任意の追加の療法、例えば、リンパ球除去療法、介入療法および/または併用療法は、外来通院による送達を介して行われる。
【0795】
疾患の予防または治療の場合、適切な投与量は、治療する疾患のタイプ、細胞または組換え受容体のタイプ、疾患の重症度および経過、細胞が予防または治療目的で投与されるか、以前の治療、対象の病歴および細胞に対する反応、ならびに主治医の裁量に依存し得る。組成物および細胞は、いくつかの態様では、一度にまたは一連の治療にわたって対象に適切に投与される。
【0796】
いくつかの態様において、細胞は、併用処置の一部として、例えば、別の治療的介入、例えば抗体または操作された細胞または受容体または作用物質など、例えば細胞毒性剤または治療剤などと同時に、または任意の順序で逐次的に、投与される。細胞はいくつかの態様において、1種または複数種の付加的な治療剤と、または別の治療的介入と関連して、同時にまたは任意の順序で逐次的に共投与される。状況によっては、細胞は、細胞集団が1種もしくは複数種の付加的な治療剤の効果を増強するように、またはその逆になるように、十分に近い時間内に別の治療法と共投与される。いくつかの態様において、細胞は、1種または複数種の付加的な治療剤の前に投与される。いくつかの態様において、細胞は、1種または複数種の付加的な治療剤の後に投与される。いくつかの態様において、1種または複数種の付加的な作用物質には、例えば持続性を増強するための、IL-2などのサイトカインが含まれる。いくつかの態様において、本方法は、化学療法剤の投与を含む。
【0797】
いくつかの態様では、前記方法は、例えば投与前に腫瘍組織量を減らすための、化学療法剤、例えばコンディショニング化学療法剤、の投与を含む。
【0798】
いくつかの局面における免疫枯渇(例えば、リンパ球除去)療法による対象のプレコンディショニングは、養子細胞療法(ACT)の効果を改善することができる。
【0799】
したがって、いくつかの態様では、該方法は、細胞療法を開始する前に、プレコンディショニング剤、例えばリンパ球除去剤または化学療法剤(例えば、シクロホスファミド、フルダラビン、またはそれらの組み合わせ)を対象に投与することを含む。例えば、細胞療法の開始の少なくとも2日前に、例えば少なくとも3、4、5、6、または7日前に、プレコンディショニング剤を対象に投与することができる。いくつかの態様では、細胞療法の開始の7日よりも前までに、例えば6、5、4、3、または2日よりも前までに、プレコンディショニング剤を対象に投与する。
【0800】
いくつかの態様では、対象は、20mg/kg~100mg/kgまたは約20mg/kg~約100mg/kg、例えば40mg/kg~80mg/kgまたは約40mg/kg~約80mg/kgの用量のシクロホスファミドでプレコンディショニングされる。いくつかの局面では、対象は60mg/kgまたは約60mg/kgのシクロホスファミドでプレコンディショニングされる。いくつかの態様では、シクロホスファミドは、単回投与されるか、または毎日、隔日、または3日ごとの投与など、複数回投与される。いくつかの態様では、シクロホスファミドは、1日1回、1日または2日間投与される。いくつかの態様では、リンパ球除去剤がシクロホスファミドを含む場合、対象はシクロホスファミドを約または100mg/m2~500mg/m2、例えば200mg/m2~400mg/m2もしくは約200mg/m2~400mg/m2または250mg/m2~350mg/m2もしくは約250mg/m2~350mg/m2(両端の値を含む)の用量で投与される。ある場合には、対象は約300mg/m2のシクロホスファミドを投与される。いくつかの態様では、シクロホスファミドは、単回投与されるか、または毎日、隔日、または3日ごとの投与など、複数回投与される。いくつかの態様では、シクロホスファミドは、例えば1~5日間、例えば3~5日間、毎日投与される。ある場合には、対象は、細胞療法を開始する前に、約300mg/m2のシクロホスファミドを3日間毎日投与される。
【0801】
いくつかの態様では、リンパ球除去剤がフルダラビンを含む場合、対象はフルダラビンを1mg/m2~100mg/m2または約1mg/m2~約100mg/m2、例えば、10mg/m2~75mg/m2、15mg/m2~50mg/m2、20mg/m2~40mg/m2、もしくは24mg/m2~35mg/m2、または約10mg/m2~約75mg/m2、約15mg/m2~約50mg/m2、約20mg/m2~約40mg/m2、もしくは約24mg/m2~約35mg/m2(両端の値を含む)の用量で投与される。ある場合には、対象は約30mg/m2のフルダラビンを投与される。いくつかの態様では、フルダラビンは、単回投与されるか、または毎日、隔日、または3日ごとの投与など、複数回投与される。いくつかの態様では、フルダラビンは、例えば1~5日間、例えば3~5日間、毎日投与される。ある場合には、対象は、細胞療法を開始する前に、約30mg/m2のフルダラビンを3日間毎日投与される。
【0802】
いくつかの態様では、リンパ球除去剤は、シクロホスファミドとフルダラビンの組み合わせなどの、薬剤の組み合わせを含む。したがって、薬剤の組み合わせは、上記のような任意の用量または投与スケジュールでのシクロホスファミドと、上記のような任意の用量または投与スケジュールでのフルダラビンを含み得る。例えば、いくつかの局面では、対象は、初回投与またはその後の投与の前に、60mg/kg(約2g/m2)のシクロホスファミドおよび3~5回の25mg/m2のフルダラビンを投与される。
【0803】
細胞の投与後、操作された細胞集団の生物学的活性はいくつかの態様において、例えばいくつかの公知の方法のいずれかによって測定される。評価するパラメータには、例えばイメージングによるインビボでの、または例えばELISAもしくはフローサイトメトリーによるエクスビボでの、抗原に対する操作されたT細胞もしくは天然T細胞または他の免疫細胞の特異的結合が含まれる。ある特定の態様において、標的細胞を破壊する操作された細胞の能力は、例えばKochenderfer et al., J. Immunotherapy, 32(7): 689-702 (2009) およびHerman et al. J. Immunological Methods, 285(1): 25-40 (2004) に記載されている細胞傷害性アッセイなどの、任意の公知の適切な方法を用いて測定され得る。ある特定の態様において、細胞の生物学的活性は、CD107a、IFNγ、IL-2、およびTNFなどの1種または複数種のサイトカインの発現および/または分泌をアッセイすることによって測定される。いくつかの局面において、生物学的活性は、腫瘍量または腫瘍負荷量の減少などの臨床転帰を評価することによって測定される。
【0804】
ある特定の態様において、操作された細胞は、それらの治療有効性または予防有効性が増加するように、いくつもの方法でさらに改変される。例えば、集団によって発現される操作されたCARまたはTCRは、ターゲティング部分に直接的に、またはリンカーを介して間接的にコンジュゲートされ得る。化合物、例えばCARまたはTCRをターゲティング部分にコンジュゲートする実践は、公知である。例えば、Wadwa et al., J. Drug Targeting 3:1 1 1 (1995) および米国特許第5,087,616号を参照されたい。
【0805】
いくつかの態様では、細胞は、併用療法の一部として、例えば、抗体、遺伝子操作された細胞もしくは受容体、または薬剤(例えば、細胞傷害薬または治療薬)などの、別の治療的介入と同時に、または任意の順序で連続して、投与される。いくつかの態様における細胞は、1つ以上の追加の治療薬と一緒に、または別の治療的介入に関連して、同時にまたは任意の順序で連続して、共投与される。ある状況では、細胞は、細胞集団が1つ以上の追加の治療薬の効果を増強するかまたはその逆であるように時間的に十分に接近して、別の療法と共投与される。ある態様では、細胞を1つ以上の追加の治療薬の前に投与する。ある態様では、細胞を1つ以上の追加の治療薬の後に投与する。いくつかの態様では、1つ以上の追加の治療薬は、例えば持続性を高めるために、IL-2などのサイトカインを含む。
【0806】
A. 投薬
いくつかの態様では、1回量の細胞は、提供される方法、および/または提供される製造物品もしくは組成物に従って、対象に投与される。いくつかの態様では、該用量のサイズまたは投与のタイミングは、対象における特定の疾患または症状に応じて決定される。場合によっては、提供される明細記述を考慮して、特定の疾患のための該用量のサイズまたは投与のタイミングを経験的に決定することができる。
【0807】
いくつかの態様では、該用量の細胞は、2×105細胞/kgまたは約2×105細胞/kgから、2×106細胞/kgまたは約2×106細胞/kg、例えば、4×105細胞/kgもしくは約4×105細胞/kgから、1×106細胞/kgもしくは約1×106細胞/kg、または6×105細胞/kgもしくは約6×105細胞/kgから、約8×105細胞/kgもしくは約8×105細胞/kgを含む。いくつかの態様では、該用量の細胞は、対象の体重1キログラムあたり2×105以下の細胞(例えば、CAR発現細胞などの抗原発現細胞)(細胞/kg)を含み、例えば、3×105細胞/kg以下もしくは約3×105細胞/kg以下、4×105細胞/kg以下もしくは約4×105細胞/kg以下、5×105細胞/kg以下もしくは約5×105細胞/kg以下、6×105細胞/kg以下もしくは約6×105細胞/kg以下、7×105細胞/kg以下もしくは約7×105細胞/kg以下、8×105細胞/kg以下もしくは約8×105細胞/kg以下、9×105細胞/kg以下もしくは約9×105細胞/kg以下、1×106細胞/kg以下もしくは約1×106細胞/kg以下、または2×106細胞/kg以下もしくは約2×106細胞/kg以下を含む。いくつかの態様では、該用量の細胞は、対象の体重1キログラムあたり少なくとも2×105または少なくとも約2×105または2×105または約2×105の細胞(例えば、CAR発現細胞などの抗原発現細胞)(細胞/kg)を含み、例えば、少なくとも3×105細胞/kgもしくは少なくとも約3×105細胞/kgもしくは3×105細胞/kgもしくは約3×105細胞/kg、少なくとも4×105細胞/kgもしくは少なくとも約4×105細胞/kgもしくは4×105細胞/kgもしくは約4×105細胞/kg、少なくとも5×105細胞/kgもしくは少なくとも約5×105細胞/kgもしくは5×105細胞/kgもしくは約5×105細胞/kg、少なくとも6×105細胞/kgもしくは少なくとも約6×105細胞/kgもしくは6×105細胞/kgもしくは約6×105細胞/kg、少なくとも7×105細胞/kgもしくは少なくとも約7×105細胞/kgもしくは7×105細胞/kgもしくは約7×105細胞/kg、少なくとも8×105細胞/kgもしくは少なくとも約8×105細胞/kgもしくは8×105細胞/kgもしくは約8×105細胞/kg、少なくとも9×105細胞/kgもしくは少なくとも約9×105細胞/kgもしくは9×105細胞/kgもしくは約9×105細胞/kg、少なくとも1×106細胞/kgもしくは少なくとも約1×106細胞/kgもしくは1×106細胞/kgもしくは約1×106細胞/kg、または少なくとも2×106細胞/kgもしくは少なくとも約2×106細胞/kgもしくは2×106細胞/kgもしくは約2×106細胞/kgを含む。
【0808】
特定の態様において、細胞、または細胞のサブタイプの個々の集団は、対象に、約100万~約1000億個の細胞の範囲、および/または対象の体重1キログラムあたりの細胞のその量で投与され、例えば、100万~約500億個の細胞(例えば、約500万個の細胞、約1000万個の細胞、約1500万個の細胞、約2000万個の細胞、約2500万個の細胞、約5億個の細胞、約10億個の細胞、約50億個の細胞、約200億個の細胞、約300億個の細胞、約400億個の細胞、または前述の値のいずれか2つによって定義された範囲)、例えば約1000万~約1000億個の細胞(例えば、約2000万個の細胞、約3000万個の細胞、約4000万個の細胞、約6000万個の細胞、約7000万個の細胞、約8000万個の細胞、約9000万個の細胞、約100億個の細胞、約250億個の細胞、約500億個の細胞、約750億個の細胞、約900億個の細胞、または前述の値のいずれか2つによって定義された範囲)、場合によっては約1億個の細胞~約500億個の細胞(例えば、約1億2000万個の細胞、約2億5000万個の細胞、約3億5000万個の細胞、約4億5000万個の細胞、約6億5000万個の細胞、約8億個の細胞、約9億個の細胞、約30億個の細胞、約300億個の細胞、約450億個の細胞)またはこれらの範囲の間の任意の値および/または対象の体重1キログラムあたりで投与される。投与量は、疾患もしくは障害および/または患者および/または他の処置に特有の属性に応じて変化し得る。
【0809】
いくつかの態様において、細胞用量が対象の体表面積または体重に結び付けられないまたは基づかないように、細胞用量は一律の細胞用量または固定された細胞用量である。
【0810】
いくつかの態様において、例えば、対象がヒトである場合、該用量は、約5×108未満の総組み換え受容体(例えば、CAR)発現細胞、T細胞、または末梢血単核細胞(PBMC)を含み、例えば、約1×106~5×108の範囲のそのような細胞を含み、例えば、2×106、5×106、1×107、5×107、1×108、もしくは5×108、または前述の値のいずれか2つの間の範囲のそのような総細胞を含む。
【0811】
いくつかの態様において、遺伝子操作された細胞の用量は、1×105~5×108もしくは約1×105~約5×108の総CAR発現T細胞、1×105~2.5×108もしくは約1×105~約2.5×108の総CAR発現T細胞、1×105~1×108もしくは約1×105~約1×108の総CAR発現T細胞、1×105~5×107もしくは約1×105~約5×107の総CAR発現T細胞、1×105~2.5×107もしくは約1×105~約2.5×107の総CAR発現T細胞、1×105~1×107もしくは約1×105~約1×107の総CAR発現T細胞、1×105~5×106もしくは約1×105~約5×106の総CAR発現T細胞、1×105~2.5×106もしくは約1×105~約2.5×106の総CAR発現T細胞、1×105~1×106もしくは約1×105~約1×106の総CAR発現T細胞、1×106~5×108もしくは約1×106~約5×108の総CAR発現T細胞、1×106~2.5×108もしくは約1×106~約2.5×108の総CAR発現T細胞、1×106~1×108もしくは約1×106~約1×108の総CAR発現T細胞、1×106~5×107もしくは約1×106~約5×107の総CAR発現T細胞、1×106~2.5×107もしくは約1×106~約2.5×107の総CAR発現T細胞、1×106~1×107もしくは約1×106~約1×107の総CAR発現T細胞、1×106~5×106もしくは約1×106~約5×106の総CAR発現T細胞、1×106~2.5×106もしくは約1×106~約2.5×106の総CAR発現T細胞、2.5×106~5×108もしくは約2.5×106~約5×108の総CAR発現T細胞、2.5×106~2.5×108もしくは約2.5×106~約2.5×108の総CAR発現T細胞、2.5×106~1×108もしくは約2.5×106~約1×108の総CAR発現T細胞、2.5×106~5×107もしくは約2.5×106~約5×107の総CAR発現T細胞、2.5×106~2.5×107もしくは約2.5×106~約2.5×107の総CAR発現T細胞、2.5×106~1×107もしくは約2.5×106~約1×107の総CAR発現T細胞、2.5×106~5×106もしくは約2.5×106~約5×106の総CAR発現T細胞、5×106~5×108もしくは約5×106~約5×108の総CAR発現T細胞、5×106~2.5×108もしくは約5×106~約2.5×108の総CAR発現T細胞、5×106~1×108もしくは約5×106~約1×108の総CAR発現T細胞、5×106~5×107もしくは約5×106~約5×107の総CAR発現T細胞、5×106~2.5×107もしくは約5×106~約2.5×107の総CAR発現T細胞、5×106~1×107もしくは約5×106~約1×107の総CAR発現T細胞、1×107~5×108もしくは約1×107~約5×108の総CAR発現T細胞、1×107~2.5×108もしくは約1×107~約2.5×108の総CAR発現T細胞、1×107~1×108もしくは約1×107~約1×108の総CAR発現T細胞、1×107~5×107もしくは約1×107~約5×107の総CAR発現T細胞、1×107~2.5×107もしくは約1×107~約2.5×107の総CAR発現T細胞、2.5×107~5×108もしくは約2.5×107~約5×108の総CAR発現T細胞、2.5×107~2.5×108もしくは約2.5×107~約2.5×108の総CAR発現T細胞、2.5×107~1×108もしくは約2.5×107~約1×108の総CAR発現T細胞、2.5×107~5×107もしくは約2.5×107~約5×107の総CAR発現T細胞、5×107~5×108もしくは約5×107~約5×108の総CAR発現T細胞、5×107~2.5×108もしくは約5×107~約2.5×108の総CAR発現T細胞、5×107~1×108もしくは約5×107~約1×108の総CAR発現T細胞、1×108~5×108もしくは約1×108~約5×108の総CAR発現T細胞、1×108~2.5×108もしくは約1×108~約2.5×108の総CAR発現T細胞、または2.5×108~5×108もしくは約2.5×108~約5×108の総CAR発現T細胞を含む。
【0812】
いくつかの態様において、遺伝子操作された細胞の用量は、少なくとも1×105もしくは少なくとも約1×105のCAR発現細胞、少なくとも2.5×105もしくは少なくとも約2.5×105のCAR発現細胞、少なくとも5×105もしくは少なくとも約5×105のCAR発現細胞、少なくとも1×106もしくは少なくとも約1×106のCAR発現細胞、少なくとも2.5×106もしくは少なくとも約2.5×106のCAR発現細胞、少なくとも5×106もしくは少なくとも約5×106のCAR発現細胞、少なくとも1×107もしくは少なくとも約1×107のCAR発現細胞、少なくとも2.5×107もしくは少なくとも約2.5×107のCAR発現細胞、少なくとも5×107もしくは少なくとも約5×107のCAR発現細胞、少なくとも1×108もしくは少なくとも約1×108のCAR発現細胞、少なくとも2.5×108もしくは少なくとも約2.5×108のCAR発現細胞、または少なくとも5×108もしくは少なくとも約5×108のCAR発現細胞を含む。
【0813】
いくつかの態様において、細胞療法は、1×105~5×108もしくは約1×105~約5×108(両端の値を含む)の総組み換え受容体発現細胞、総T細胞、もしくは総末梢血単核細胞(PBMC)、5×105~1×107もしくは約5×105~約1×107の総組み換え受容体発現細胞、総T細胞、もしくは総末梢血単核細胞(PBMC)、または1×106~1×107もしくは約1×106~約1×107の総組み換え受容体発現細胞、総T細胞、もしくは総末梢血単核細胞(PBMC)の数の細胞を含む用量の投与を含む。いくつかの態様において、細胞療法は、少なくとも1×105もしくは少なくとも約1×105の総組み換え受容体発現細胞、総T細胞、もしくは総末梢血単核細胞(PBMC)、例えば少なくとも1×106もしくは少なくとも1×106、少なくとも1×107もしくは少なくとも約1×107、少なくとも1×108もしくは少なくとも約1×108のそのような細胞の細胞数を含む細胞の用量の投与を含む。いくつかの態様において、その数は、CD3+またはCD8+の総数を基準にし、場合によっては、組み換え受容体発現(例えば、CAR+)細胞の総数をも基準にする。いくつかの態様において、細胞療法は、1×105~5×108または約1×105~約5×108のCD3+もしくはCD8+総T細胞またはCD3+もしくはCD8+組み換え受容体発現細胞、5×105~1×107または約5×105~約1×107のCD3+もしくはCD8+総T細胞またはCD3+もしくはCD8+組み換え受容体発現細胞、あるいは1×106~1×107または約1×106~約1×107のCD3+もしくはCD8+総T細胞またはCD3+もしくはCD8+組み換え受容体発現細胞の数の細胞(両端の値を含む)を含む用量の投与を含む。いくつかの態様において、細胞療法は、1×105~5×108もしくは約1×105~5×108の総CD3+/CAR+もしくはCD8+/CAR+細胞、5×105~1×107もしくは約5×105~約1×107の総CD3+/CAR+もしくはCD8+/CAR+細胞、または1×106~1×107もしくは約1×106~約1×107の総CD3+/CAR+もしくはCD8+/CAR+細胞(両端の値を含む)の数の細胞を含む用量の投与を含む。
【0814】
いくつかの態様において、該用量のT細胞は、CD4+ T細胞、CD8+ T細胞またはCD4+およびCD8+ T細胞を含む。
【0815】
いくつかの態様において、例えば、対象がヒトである場合、CD4+およびCD8+ T細胞を含む用量の中を含む、該用量のCD8+ T細胞は、約1×106から5×108の間の総組み換え受容体(例えば、CAR)発現CD8+細胞を含み、例えば、約5×106~1×108の範囲そのような細胞、例えば、1×107、2.5×107、5×107、7.5×107、1×108、もしくは5×108のそのような総細胞、または前述の値のいずれか2つの間の範囲のものを含む。いくつかの態様において、患者は複数回の投与を受け、各用量または総用量は前述の値のいずれかの範囲内であることができる。いくつかの態様において、細胞の該用量は、1×107~0.75×108もしくは約1×107~約0.75×108の総組み換え受容体発現CD8+ T細胞、1×107~2.5×107もしくは約1×107~約2.5×107の総組み換え受容体発現CD8+ T細胞、1×107~0.75×108もしくは約1×107~約0.75×108の総組み換え受容体発現CD8+ T細胞(両端の値を含む)の投与を含む。いくつかの態様において、細胞の該用量は、1×107、2.5×107、5×107、7.5×107、1×108、もしくは5×108、または約1×107、約2.5×107、約5×107、約7.5×107、約1×108、もしくは約5×108の総組み換え受容体発現CD8+ T細胞の投与を含む。
【0816】
いくつかの態様では、細胞、例えば組換え受容体発現T細胞の用量は、対象に1回量として投与されるか、または2週間、1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、1年またはそれ以上の期間内に1回だけ投与される。
【0817】
養子細胞療法との関係において、所定の「用量」の投与は、単一の組成物としての細胞の所定の量もしくは数の投与および/または中断のない単回投与(例えば、単回注射または連続注入としての投与)を包含し、さらに、分割用量または複数の組成物としての細胞の所定の量もしくは数の投与(特定の期間、例えば3日以内の期間にわたって、複数の個別の組成物または注入として提供される)を包含する。したがって、いくつかの状況では、該用量は、単一時点で投与または開始される、指定された数の細胞の単回投与または連続投与である。しかしながら、状況によっては、該用量は、1日1回3日間もしくは2日間など、3日以内の期間にわたる複数回の注射または注入として、あるいは1日にわたる複数回の注入により投与される。
【0818】
したがって、いくつかの局面では、該用量の細胞は単一の薬学的組成物として投与される。いくつかの態様では、該用量の細胞は複数の組成物(集合的に該用量の細胞を含有する)として投与される。
【0819】
いくつかの態様では、用語「分割用量」は、2日以上にわたって投与されるように分割された用量を指す。このタイプの投薬は、本方法により包含され、1回量であるとみなされる。
【0820】
したがって、細胞の用量は、分割用量として、例えば経時的に投与される分割用量として、投与され得る。例えば、いくつかの態様では、該用量を2日間または3日間にわたって対象に投与することができる。代表的な分割投与法には、初日に該用量の25%を投与し、2日目に該用量の残り75%を投与することが含まれる。他の態様では、該用量の33%を初日に投与して、残り67%を2日目に投与してもよい。いくつかの局面では、該用量の10%を初日に投与し、該用量の30%を2日目に投与し、該用量の60%を3日目に投与する。いくつかの態様では、分割用量が3日を超えて広がることはない。
【0821】
いくつかの態様では、該用量の細胞は、例えば第1および第2の、任意でそれ以上の、複数の組成物または溶液の投与によって投与され、各組成物または溶液は該用量の一部の細胞を含有する。いくつかの局面では、それぞれが異なる細胞の集団および/またはサブタイプを含有する複数の組成物は、任意で一定期間内に、別々にまたは独立して投与される。例えば、細胞の集団またはサブタイプは、それぞれCD8+およびCD4+ T細胞、および/またはそれぞれCD8+およびCD4+濃縮集団、例えば、それぞれが組換え受容体を発現するように遺伝子操作された細胞を個別に含むCD4+および/またはCD8+ T細胞、を含むことができる。いくつかの態様では、該用量の投与は、1回量のCD8+ T細胞または1回量のCD4+ T細胞を含む第1の組成物の投与と、該用量のCD4+ T細胞およびCD8+ T細胞の他方を含む第2の組成物の投与を含む。
【0822】
いくつかの態様では、前記組成物または用量の投与、例えば、複数の細胞組成物の投与は、細胞組成物の別々の投与を含む。いくつかの局面では、別々の投与は、同時に、または任意の順序で連続して行われる。いくつかの態様では、該用量は第1の組成物および第2の組成物を含み、第1の組成物と第2の組成物を0~12時間間隔で、0~6時間間隔で、または0~2時間間隔で投与する。いくつかの態様では、第1の組成物の投与開始と第2の組成物の投与開始を、2時間以内、1時間以内、30分以内、15分以内、10分以内、または5分以内の間隔で行う。いくつかの態様では、第1の組成物の投与の開始および/または完了と、第2の組成物の投与の完了および/または開始を、2時間以内、1時間以内、30分以内、15分以内、10分以内、または5分以内の間隔で行う。
【0823】
いくつかの態様では、第1の組成物、例えば、該用量の第1の組成物は、CD4+ T細胞を含む。いくつかの態様では、第1の組成物、例えば、該用量の第1の組成物は、CD8+ T細胞を含む。いくつかの態様では、第1の組成物は、第2の組成物の前に投与される。
【0824】
いくつかの態様では、細胞の該用量または組成物は、規定されたまたは目標の比率の組換え受容体を発現するCD4+細胞と組換え受容体を発現するCD8+細胞、および/またはCD4+細胞とCD8+細胞を含み、この比は、任意で約1:1であるか、または約1:3~約3:1であり、例えば約1:1である。いくつかの局面では、異なる細胞集団の目標のまたは所望の比率(例えば、CD4+:CD8+比またはCAR+ CD4+:CAR+ CD8+比、例えば1:1)での組成物または用量の投与は、該集団の一方を含む細胞組成物の投与、次いで該集団の他方を含む別個の細胞組成物の投与を含み、その場合、該投与を、目標もしくは所望の比率またはおよそ目標もしくは所望の比率で行う。いくつかの局面では、規定された比率での細胞の用量または組成物の投与は、T細胞療法の拡大増殖、持続性および/または抗腫瘍活性の改善につながる。
【0825】
いくつかの態様では、対象は、細胞の複数回の用量、例えば、2回以上の用量または複数回の連続用量を受け取る。いくつかの態様では、2回の用量が対象に投与される。いくつかの態様では、対象は連続用量を受け取り、例えば、初回用量の約4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20または21日後に2回目の用量を投与される。いくつかの態様では、初回用量の後に複数回の連続用量が投与され、その連続用量の投与後に1回または複数回の追加の用量が投与されるようにする。いくつかの局面では、追加の用量で対象に投与される細胞の数は、初回用量および/または連続用量と同じであるか、または同様である。いくつかの態様では、1回または複数回の追加の用量は、前の用量よりも多い。
【0826】
いくつかの局面では、初回用量および/または連続用量のサイズは、以下のような、1つまたは複数の基準に基づいて決定される:以前の治療(例えば化学療法)に対する対象の反応、対象における疾病負荷、例えば、腫瘍の量、大きさ、サイズ、または転移の程度、範囲、もしくはタイプ、ステージ、および/または毒性の結果(例えば、CRS、マクロファージ活性化症候群、腫瘍崩壊症候群、神経毒性)を発症する対象の可能性もしくは発生率、ならびに/または投与される細胞および/もしくは組換え受容体に対する宿主免疫反応。
【0827】
いくつかの局面では、初回用量の投与と連続用量の投与との間の期間は、約9~約35日、約14~約28日、または15~27日である。いくつかの態様では、連続用量の投与は、初回用量の投与から約14日以上で約28日未満の時点である。いくつかの局面では、初回用量と連続用量との間の期間は、約21日である。いくつかの態様では、その連続用量の投与後に、1回または複数回の追加の用量、例えば連続用量が投与される。いくつかの局面では、1回または複数回の追加の連続用量は、前回の用量の投与から少なくとも約14日で約28日未満に投与される。いくつかの態様では、追加の用量は、前回の投与から約14日未満に投与され、例えば、前回の投与の4、5、6、7、8、9、10、11、12、または13日後に投与される。いくつかの態様では、用量は、前回の投与から約14日未満には投与されず、かつ/または前回の投与から約28日を超えて投与されない。
【0828】
いくつかの態様では、細胞、例えば組換え受容体発現細胞、の用量は、T細胞の初回用量およびT細胞の連続用量を含む2回の用量(例えば、2回量)を含み、ここで、初回の用量と2回目の用量の一方または両方は、T細胞の分割用量の投与を含む。
【0829】
いくつかの態様では、細胞の前記用量は一般に、疾病負荷を軽減するのに効果的な、十分な量である。
【0830】
いくつかの態様では、前記細胞は、細胞もしくは細胞タイプ(複数可)の所望の用量もしくは数、および/または細胞タイプの所望の比率を含む、所望の投与量で投与される。したがって、いくつかの態様での細胞の投与量は、細胞の総数(または体重1kgあたりの数)、および個々の集団またはサブタイプの所望の比、例えばCD4+対CD8+比、に基づいている。いくつかの態様では、細胞の投与量は、個々の集団中の細胞のまたは個々の細胞タイプの所望の総数(または体重1kgあたりの数)に基づいている。いくつかの態様では、投与量は、例えば、総細胞の所望の数、所望の比率、個々の集団中の細胞の所望の総数などの、そのような特徴の組み合わせに基づいている。
【0831】
いくつかの態様では、細胞の集団またはサブタイプ、例えばCD8+およびCD4+ T細胞は、総細胞の所望の用量(例えば、T細胞の所望の用量)の許容差(tolerated difference)で、または許容差の範囲内で投与される。いくつかの局面では、所望の用量は、細胞の所望の数、または細胞が投与される対象の体重の単位あたりの細胞の所望の数、例えば細胞数/kgである。いくつかの局面では、所望の用量は、細胞の最小数または体重の単位あたりの細胞の最小数であるか、それを上回る数である。いくつかの局面では、所望の用量で投与される総細胞の中で、個々の集団またはサブタイプは、所望の出力比(例えば、CD4+対CD8+比)で、またはそれに近い比率で存在し、例えば、そのような比率の一定の許容差または誤差の範囲内で存在する。
【0832】
いくつかの態様では、前記細胞は、細胞の個々の集団またはサブタイプの1つまたは複数の所望の用量(例えば、CD4+細胞の所望の用量および/またはCD8+細胞の所望の用量)の許容差の範囲内で投与される。いくつかの局面では、所望の用量は、サブタイプまたは集団の細胞の所望の数、または細胞が投与される対象の体重の単位あたりのそのような細胞の所望の数、例えば細胞数/kgである。いくつかの局面では、所望の用量は、集団またはサブタイプの細胞の最小数、あるいは体重の単位あたりの集団またはサブタイプの細胞の最小数であるか、それを上回る数である。
【0833】
したがって、いくつかの態様では、投与量は、総細胞の所望の固定用量および所望の比率に基づき、かつ/または個々のサブタイプもしくはサブ集団の1つまたは複数、例えばそれぞれ、の所望の固定用量に基づく。こうして、いくつかの態様では、投与量は、T細胞の所望の固定もしくは最小用量およびCD4+対CD8+細胞の所望の比率に基づき、かつ/またはCD4+および/またはCD8+細胞の所望の固定もしくは最小用量に基づく。
【0834】
いくつかの態様では、細胞は、複数の細胞集団またはサブタイプ、例えばCD4+およびCD8+細胞またはサブタイプの所望の出力比の許容範囲内で投与される。いくつかの局面では、所望の比は、特定の比であるか、ある範囲の比であり得る。例えば、いくつかの態様では、所望の比(例えば、CD4+対CD8+細胞の比)は、5:1もしくは約5:1から、5:1もしくは約5:1(すなわち約1:5より大きくかつ約5:1未満)、1:3もしくは約1:3から、3:1もしくは約3:1(すなわち約1:3より大きくかつ約3:1未満)、例えば、2:1もしくは約2:1から、1:5もしくは約1:5(すなわち約1:5より大きくかつ約2:1未満)、例えば、5:1、4.5:1、4:1、3.5:1、3:1、2.5:1、2:1、1.9:1、1.8:1、1.7:1、1.6:1、1.5:1、1.4:1、1.3:1、1.2:1、1.1:1、1:1、1:1.1、1:1.2、1:1.3、1:1.4、1:1.5、1:1.6、1:1.7、1:1.8、1:1.9、1:2、1:2.5、1:3、1:3.5、1:4、1:4.5、もしくは1:5、または約5:1、約4.5:1、約4:1、約3.5:1、約3:1、約2.5:1、約2:1、約1.9:1、約1.8:1、約1.7:1、約1.6:1、約1.5:1、約1.4:1、約1.3:1、約1.2:1、約1.1:1、約1:1、約1:1.1、約1:1.2、約1:1.3、約1:1.4、約1:1.5、約1:1.6、約1:1.7、約1:1.8、約1:1.9、約1:2、約1:2.5、約1:3、約1:3.5、約1:4、約1:4.5、もしくは約1:5である。いくつかの局面では、許容差は、所望の比の約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%以内である(これらの範囲内の任意の値を含む)。
【0835】
特定の態様では、細胞の数および/または濃度は、組換え受容体(例えば、CAR)発現細胞の数を指す。他の態様では、細胞の数および/または濃度は、投与される全ての細胞、T細胞、または末梢血単核細胞(PBMC)の数または濃度を指す。
【0836】
いくつかの局面では、用量のサイズは、以下のような、1つまたは複数の基準に基づいて決定される:以前の治療(例えば化学療法)に対する対象の反応、対象における疾病負荷、例えば、腫瘍の量、大きさ、サイズ、または転移の程度、範囲、もしくはタイプ、ステージ(病期)、および/または毒性の結果(例えば、CRS、マクロファージ活性化症候群、腫瘍崩壊症候群、神経毒性)を発症する対象の可能性もしくは発生率、ならびに/または投与される細胞および/もしくは組換え受容体に対する宿主免疫反応。
【0837】
いくつかの態様では、前記方法はまた、キメラ抗原受容体(CAR)を発現する細胞の1回または複数回の追加の用量を投与し、かつ/またはリンパ球除去療法を施す工程を含み、かつ/または該方法の1つまたは複数の工程は繰り返される。ある態様では、1回または複数回の追加の用量は、初期用量と同じである。ある態様では、1回または複数回の追加の用量は、初期用量と異なり、例えば、初期用量よりも高く、例えば、初期用量よりも2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍またはそれ以上高いか、または初期用量よりも低く、例えば、初期用量よりも2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍またはそれ以上低い。いくつかの態様では、1回または複数回の追加の用量の投与は、初期治療または以前の治療に対する対象の反応、対象における疾病負荷、例えば、腫瘍の量、大きさ、サイズ、または転移の程度、範囲、もしくはタイプ、ステージ(病期)、および/または毒性の結果(例えば、CRS、マクロファージ活性化症候群、腫瘍崩壊症候群、神経毒性)を発症する対象の可能性もしくは発生率、ならびに/または投与される細胞および/もしくは組換え受容体に対する宿主免疫反応に基づいて決定される。
【0838】
VII. 組成物および配合物
いくつかの態様において、組み換え抗原受容体、例えばCARまたはTCRで操作された細胞を含む細胞の用量は、薬学的組成物または配合物のような、組成物または配合物として提供される。そのような組成物は、例えば疾患、状態および障害の予防もしくは処置で、検出、診断および予後診断の方法で、提供される方法、および/または提供される製造物品もしくは組成物によって用いることができる。
【0839】
「薬学的配合物」という用語は、その中に含有される活性成分の生物学的活性を有効にさせるような形態にあり、かつ配合物が投与された対象にとって許容されないほど有毒であるさらなる構成成分を含有しない調製物をいう。
【0840】
「薬学的に許容される担体」は、対象にとって無毒性である、活性成分以外の、薬学的配合物中の成分をいう。薬学的に許容される担体は、緩衝液、賦形剤、安定剤、または保存料を含むが、これらに限定されることはない。
【0841】
いくつかの局面において、担体の選択は、一部には特定の細胞もしくは作用物質によって、および/または投与方法によって決定される。したがって、種々の適当な配合物が存在する。例えば、薬学的組成物は保存料を含みうる。適当な保存料としては、例えば、メチルパラベン、プロピルパラベン、安息香酸ナトリウム、および塩化ベンザルコニウムが挙げられうる。いくつかの局面において、2つまたはそれ以上の保存料の混合物が用いられる。保存料またはその混合物は、典型的には全組成物の約0.0001重量%から約2重量%の量で存在する。担体は、例えばRemington’s Pharmaceutical Sciences 16th edition, Osol, A. Ed. (1980)によって記述されている。薬学的に許容される担体は一般に、用いられる投与量および濃度でレシピエントに無毒性であり、以下のものが含まれるが、これらに限定されることはない: リン酸塩、クエン酸塩および他の有機酸などの緩衝剤; アスコルビン酸およびメチオニンを含む抗酸化剤; 保存料(塩化オクタデシルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ヘキサメトニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、フェノール、ブチルもしくはベンジルアルコール、メチルもしくはプロピルパラベンなどのアルキルパラベン、カテコール、レゾルシノール、シクロヘキサノール、3-ペンタノールおよびm-クレゾールなど); 低分子量(約10残基未満)ポリペプチド; 血清アルブミン、ゼラチンもしくは免疫グロブリンなどのタンパク質; ポリビニルピロリドンなどの親水性重合体; グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニンもしくはリジンなどのアミノ酸; 単糖類、二糖類、およびグルコース、マンノースもしくはデキストリンを含む他の炭水化物; EDTAなどのキレート剤; スクロース、マンニトール、トレハロースもしくはソルビトールなどの糖類; ナトリウムなどの塩形成対イオン; 金属錯体(例えばZn-タンパク質錯体); ならびに/またはポリエチレングリコール(PEG)などの非イオン界面活性剤。
【0842】
いくつかの局面において緩衝剤が組成物に含まれる。適当な緩衝剤としては、例えばクエン酸、クエン酸ナトリウム、リン酸、リン酸カリウム、ならびに他のさまざまな酸および塩が挙げられる。いくつかの局面において、2つまたはそれ以上の緩衝剤の混合物が用いられる。緩衝剤またはその混合物は、典型的には全組成物の約0.001重量%~約4重量%の量で存在する。投与可能な薬学的組成物を調製するための方法は公知である。例示的な方法は、例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, Lippincott Williams & Wilkins; 21st ed. (May 1, 2005)においてより詳細に記述されている。
【0843】
配合物または組成物はまた、各活性が互いに悪影響を及ぼさない、細胞または作用物質で予防または処置される特定の適応症、疾患、または状態に有用な2つ以上の活性成分を含有しうる。そのような活性成分は、意図された目的に有効な量で組み合わせて適当に存在する。したがって、いくつかの態様において、薬学的組成物は、化学療法剤、例えばアスパラギナーゼ、ブスルファン、カルボプラチン、シスプラチン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、フルオロウラシル、ゲムシタビン、ヒドロキシウレア、メトトレキサート、パクリタキセル、リツキシマブ、ビンブラスチン、ビンクリスチンなどのような、他の薬学的に活性な作用物質または薬物をさらに含む。いくつかの態様において、作用物質または細胞は、塩、例えば薬学的に許容される塩の形態で投与される。適当な薬学的に許容される酸付加塩は、塩酸、臭化水素酸、リン酸、メタリン酸、硝酸および硫酸のような鉱酸、ならびに酒石酸、酢酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、フマル酸、安息香酸、グリコール酸、グルコン酸、コハク酸およびアリールスルホン酸、例えばp-トルエンスルホン酸のような有機酸に由来するものを含む。
【0844】
いくつかの態様における薬学的組成物は、治療的に有効な量または予防的に有効な量のような、疾患または状態を処置または予防するのに有効な量で作用物質または細胞を含有する。いくつかの態様における治療的または予防的有効性は、処置された対象の定期的な評価によってモニタリングされる。数日またはそれ以上の反復投与の場合、状態に応じて、疾患症状の望ましい抑制が起こるまで処置が繰り返される。しかしながら、他の投与計画が有用でありえ、決定することができる。所望の投与量は、組成物の単回ボーラス投与によって、組成物の複数回ボーラス投与によって、または組成物の連続注入投与によって送達することができる。
【0845】
作用物質または細胞は、任意の適当な手段により、例えば、ボーラス注入により、注射、例えば、静脈内もしくは皮下注射、眼内注射、眼周囲注射、網膜下注射、硝子体内注射、経中隔注射、強膜下注射、脈絡膜内注射、前房内注射、結膜下(subconjectval)注射、結膜下(subconjuntival)注射、テノン嚢下注射、球後注射、球周囲注射、または後強膜近傍送達により投与することができる。いくつかの態様において、それらは、非経口、肺内、および鼻腔内投与、ならびに局所処置が望ましい場合、病変内投与により投与される。非経口注入は、筋肉内、静脈内、動脈内、腹腔内、または皮下投与を含む。いくつかの態様において、所与の用量は、細胞または作用物質の単回ボーラス投与により投与される。いくつかの態様において、それは、例えば3日以下の期間にわたる、細胞もしくは作用物質の複数回ボーラス投与により、または細胞もしくは作用物質の連続注入投与により投与される。
【0846】
疾患の予防または処置の場合、適切な投与量は、処置される疾患のタイプ、作用物質のタイプ、細胞または組み換え受容体のタイプ、疾患の重症度および経過、作用物質または細胞が予防目的または治療目的で投与されるかどうか、以前の治療、対象の病歴および作用物質または細胞に対する応答、ならびに主治医の裁量に依存しうる。組成物は、いくつかの態様において、一度にまたは一連の処置にわたって対象に適当に投与される。
【0847】
細胞または作用物質は、標準的な投与技法、配合、および/または装置を用いて投与されうる。組成物の貯蔵および投与のための、シリンジおよびバイアルのような、配合物および装置が提供される。細胞に関して、投与は自家または異種であることができる。例えば、免疫応答性細胞または前駆細胞を、1つの対象から得て、同じ対象または異なる適合性の対象に投与することができる。末梢血由来の免疫応答性細胞またはそれらの子孫(例えば、インビボ、エクスビボまたはインビトロ由来)を、カテーテル投与、全身注射、局所注射、静脈内注射、または非経口投与を含む局所注射によって投与することができる。治療用組成物(例えば、遺伝子改変された免疫応答性細胞または神経毒性の症状を処置もしくは改善する作用物質を含有する薬学的組成物)を投与する場合、それは一般に、単位用量の注射可能な形態(溶液、懸濁液、乳濁液)で配合されよう。
【0848】
配合物には、経口、静脈内、腹腔内、皮下、経肺、経皮、筋肉内、鼻腔内、口腔、舌下、または坐薬投与のためのものが含まれる。いくつかの態様において、作用物質または細胞集団は非経口的に投与される。本明細書において用いられる「非経口」という用語には、静脈内、筋肉内、皮下、直腸、膣内、および腹腔内投与が含まれる。いくつかの態様において、作用物質または細胞集団は、静脈内、腹腔内、または皮下注射による末梢全身送達(peripheral systemic delivery)を用いて対象に投与される。
【0849】
いくつかの態様において組成物は、いくつかの局面では、選択されたpHに緩衝されうる、滅菌液体調製物、例えば等張水溶液、懸濁液、乳濁液、分散液、または粘性組成物として提供される。液体調製物は通常、ゲル、他の粘性組成物、および固体組成物よりも調製が容易である。さらに、液体組成物は、特に注射により、投与するのが幾分便利である。一方、粘性組成物は、特定の組織とのより長い接触期間を提供するために、適切な粘性の範囲内で配合することができる。液体または粘性組成物は担体を含むことができ、担体は、例えば水、生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水、ポリオール(例えばグリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコール)およびそれらの適当な混合物を含む溶媒または分散媒体であることができる。
【0850】
滅菌注射溶液は、適当な担体、希釈剤、または賦形剤、例えば滅菌水、生理食塩水、グルコース、デキストロースなどとの混合物などの溶媒中に作用物質または細胞を組み込むことによって調製することができる。
【0851】
インビボ投与に用いられる配合物は一般に無菌である。無菌性は、例えば、無菌ろ過膜によるろ過により、容易に達成されうる。
【0852】
VIII. 製造品およびキット
また、提供される方法を実施する際に有用な製造品、システム、装置、およびキットが提供される。また、(i)CD57、CD4および/またはCD8に特異的な細胞の免疫親和性に基づく選択のための1つまたは複数の試薬;ならびに(ii)本明細書に記載される任意の方法を実施するための1つまたは複数の試薬の使用説明書を含む、製造品が提供される。
【0853】
また、(i)CD57、CD4および/またはCD8に特異的な細胞の免疫親和性に基づく選択のための1つまたは複数の試薬;(ii)TCR複合体の1つまたは複数の成分の1つまたは複数の細胞内シグナル伝達ドメインおよび1つまたは複数の共刺激分子の1つまたは複数の細胞内シグナル伝達ドメインを活性化可能な1つまたは複数の刺激試薬;ならびに(iii)本明細書に記載される任意の方法を実施するための1つまたは複数の試薬の使用説明書を含む、製造品が提供される。
【0854】
任意のそのような態様のいくつかにおいて、免疫親和性に基づく選択のための試薬は、CD57、CD4またはCD8に特異的に結合可能な抗体であるかそれを含む。任意のそのような態様のいくつかにおいて、免疫親和性に基づく選択のための試薬は、CD57に特異的に結合可能な抗体であるかそれを含む。任意のそのような態様のいくつかにおいて、抗体は、磁気粒子上に固定されるか、またはアフィニティークロマトグラフィーマトリックス上に固定されるかそれに付着される。
【0855】
任意のそのような態様のいくつかにおいて、刺激試薬は、(i)TCR複合体のメンバーに特異的に結合する、任意でCD3に特異的に結合する、一次作用物質、および(ii)T細胞共刺激分子であって、任意でCD28、CD137(4-1-BB)、OX40またはICOSから選択される共刺激分子に特異的に結合する、二次作用物質を含む。任意のそのような態様のいくつかにおいて、一次作用物質および二次作用物質の一方または両方は、抗体またはその抗原結合断片を含む。任意のそのような態様のいくつかにおいて、一次作用物質および二次作用物質は、抗体を含み、任意で、刺激試薬は、抗CD3抗体および抗CD28抗体またはその抗原結合断片とのインキュベーションを含む。任意のそのような態様のいくつかにおいて、一次作用物質および二次作用物質は、固体支持体の表面上に存在するかそれに付着される。任意のそのような態様のいくつかにおいて、固体支持体は、ビーズ、任意で常磁性ビーズであるかそれを含む。任意のそのような態様のいくつかにおいて、一次作用物質および二次作用物質は、複数のストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン分子を含むオリゴマー粒子試薬の表面上に可逆的に結合される。
【0856】
また、(i)本明細書に記載される任意の組成物;および(ii)組成物を対象に投与するための説明書を含む、製造品が提供される。
【0857】
いくつかの態様では、製造品またはキットは、1つまたは複数の容器、典型的には複数の容器、包装材料、ならびに、1つもしくは複数の容器および/または包装上またはそれに付随する、一般に、使用説明書、例えば、特定の細胞の免疫親和性に基づく選択、例えば、CD57、CD4および/またはCD8を発現する細胞の陽性選択または陰性選択のための試薬の説明書、および細胞療法のための治療用組成物などの組成物を生成するためにT細胞を操作するためなど本明細書に提供される方法のいずれかを行うための説明書を含めたラベルまたは添付文書を含む。いくつかの局面では、提供される製造品は、細胞の刺激および/または培養のための試薬(例えば、製造プロセスの1つまたは複数の工程における)、例えば、セクションIIおよびセクションIIIの任意の工程に記載される任意の試薬を含有する。
【0858】
また、組換え受容体を発現する操作された細胞またはその組成物、例えば本明細書に提供される方法を使用して生成されたものと、任意で使用説明書、例えば、投与の説明書とを含有する、製造品およびキットが提供される。いくつかの態様では、該説明書は、細胞療法を受ける前に、対象が、疾患または障害を処置するための組換え受容体を発現する操作された細胞の投与後に応答するおよび/またはある程度もしくはレベルの応答を示す可能性が高いかその疑いが高いかの指示を出す、またはそれを評価するための方法を指定する。いくつかの局面では、製造品は、操作された細胞の用量または組成物を含有することができる。
【0859】
本明細書に提供される製造品は、包装材料を含有する。提供される材料を包装する際に使用するための包装材料は、当業者に周知である。例えば、米国特許第5,323,907号、第5,052,558号および第5,033,252号(その各々がその全体で本明細書に組み入れられる)を参照されたい。包装材料の例は、ブリスターパック、ボトル、チューブ、吸入器、ポンプ、バッグ、バイアル、容器、シリンジ、使い捨て実験用品、例えば、ピペットチップおよび/またはプラスチックプレートもしくはボトルを含むが、それらに限定されない。製造品またはキットは、材料の分注を容易にするまたはハイスループットもしくは大規模での使用を容易にする、例えば、ロボット設備での使用を容易にするデバイスを含むことができる。典型的には、包装は、その中に含有される組成物と非反応性である。
【0860】
いくつかの態様では、試薬および/または細胞組成物は、別々に包装される。いくつかの態様では、各容器は、単一区画を有することができる。いくつかの態様では、製造品またはキットの他の成分は、別々に包装されるか、単一区画に一緒に包装される。
【0861】
IX. 定義
特に定義されない限り、本明細書で用いられる専門用語、表記、ならびに他の技術用語および科学用語または用語法は全て、特許請求される主題が関係する技術分野の当業者によって一般に理解されているものと同じ意味を有することが意図される。場合によっては、一般に理解されている意味を有する用語を、明確にするためにおよび/またはすぐに参照できるように本明細書において定義するが、本明細書にそのような定義を含めることは、当技術分野において一般に理解されているものとの実質的な相違を表すと必ずしも解釈されるべきではない。
【0862】
本明細書で用いられる場合、単数形「1つの (a)」、「1つの (an)」、および「その」は、特に文脈によって明白に指示されていない限り、その対象物の複数形も含む。例えば、「1つの (a)」または「1つの (an)」は、「少なくとも1つの」または「1つまたは複数の」を意味する。本明細書に記載される局面および変形は、局面および変形「からなる」ならびに/または局面および変形「から本質的になる」を含むと理解される。
【0863】
本開示を通して、特許請求される主題の様々な局面は、範囲形式で提示される。範囲形式での記載は、単に便宜上および簡潔化のためであり、特許請求される主題の範囲に対する確固たる限定として解釈されるべきでないことが、理解されるべきである。したがって、範囲の記載は、可能な部分範囲およびその範囲内の個々の数値を全て具体的に開示していると見なされるべきである。例えば、ある値域が提供される場合、その範囲の上限値と下限値の間の各介在値、およびその規定範囲内の任意の他の規定値または介在値が、特許請求される主題内に包含されることが理解される。これらのより小さな範囲の上限値および下限値は、独立的にそのより小さな範囲内に含まれてよく、これらもまた、規定範囲における任意の具体的に除外される限界値に従って、特許請求される主題内に包含される。規定範囲が限界値の一方または両方を含む場合、それら含まれた限界値の一方または両方を除外する範囲もまた、特許請求される主題内に含まれる。このことは、範囲の幅とは無関係に適用される。
【0864】
本明細書で用いられる「約」という用語は、明白な各値に関する通常の誤差範囲を指す。本明細書において「約」のついた値またはパラメータへの言及は、その値またはパラメータそのものに向けられた態様を含む(および記載する)。例えば、「約X」に言及する記載は「X」の記載を含む。特定の態様において、「約X」は、Xの±25%、±10%、±5%、±2%、±1%、±0.1%、または±0.01%の値を指す。
【0865】
本明細書で使用する場合、ヌクレオチドまたはアミノ酸の位置が、配列表に示されるような開示された配列中のヌクレオチドまたはアミノ酸の位置に「対応する」という記載は、GAPアルゴリズムなどの標準的なアラインメントアルゴリズムを用いて同一性を最大化するように開示された配列とアラインメントさせたときに同定される、ヌクレオチドまたはアミノ酸の位置を指す。配列同士をアラインメントさせることにより、例えば保存された同一のアミノ酸残基をガイドとして用いて、対応する残基を同定することができる。一般的に、対応する位置を同定するために、アミノ酸の配列は、最上位のマッチが得られるようにアラインメントされる(例えば、Computational Molecular Biology, Lesk, A.M.編, Oxford University Press, New York, 1988; Biocomputing: Informatics and Genome Projects, Smith, D.W.編, Academic Press, New York, 1993; Computer Analysis of Sequence Data, Part I, Griffin, A.M., and Griffin, H.G.編, Humana Press, New. Jersey, 1994; Sequence Analysis in Molecular Biology, von Heinje, G., Academic Press, 1987; およびSequence Analysis Primer, Gribskov, M. and Devereux, J.編, M Stockton Press, New York, 1991; Carrillo et al. (1988) SIAM J Applied Math 48: 1073を参照されたい)。
【0866】
本明細書で用いられる「ベクター」という用語は、それが連結されている別の核酸を増殖させることができる核酸分子を指す。本用語は、自己複製核酸構造としてのベクター、およびそれが導入された宿主細胞のゲノム中に組み込まれたベクターを含む。ある特定のベクターは、それらが機能的に連結されている核酸の発現を指示することができる。そのようなベクターは、本明細書において「発現ベクター」と称される。ベクターには、ウイルスベクター、例えばガンマレトロウイルスベクターといったレトロウイルスベクターおよびレンチウイルスベクターなどが含まれる。
【0867】
「宿主細胞」、「宿主細胞株」、および「宿主細胞培養物」という用語は互換的に使用され、外因性核酸が導入された細胞を指し、そのような細胞の子孫も含む。宿主細胞には「形質転換体」および「形質転換細胞」が含まれ、これには初代形質転換細胞、および継代数に関係なくそれらに由来する子孫が含まれる。子孫は、核酸の内容が親細胞と完全に一致していなくてもよく、変異を含有してもよい。元の形質転換細胞においてスクリーニングまたは選択されたものと同じ機能または生物学的活性を有する変異体子孫も、本明細書に含まれる。
【0868】
本明細書で用いられる場合、細胞または細胞の集団が特定マーカーに関して「陽性」であるという記述は、特定マーカー、典型的には表面マーカーが、細胞上または細胞中に検出可能な程度に存在することを指す。表面マーカーに言及する場合、本用語は、フローサイトメトリーによって、例えばマーカーに特異的に結合する抗体で染色し該抗体を検出することによって、検出される表面発現の存在を指し、この場合、染色は、アイソタイプ一致対照を他の点では同一の条件下で用いて同じ手順を行って検出される染色を実質的に上回るレベルで、および/またはそのマーカーに関して陽性であることが公知である細胞のレベルと実質的に類似するレベルで、および/またはそのマーカーに関して陰性であることが公知である細胞のレベルよりも実質的に高いレベルで、フローサイトメトリーによって検出可能である。
【0869】
本明細書で用いられる場合、細胞または細胞の集団が特定マーカーに関して「陰性」であるという記述は、特定マーカー、典型的には表面マーカーが、細胞上または細胞中に実質的に検出可能な程度に存在しないことを指す。表面マーカーに言及する場合、本用語は、フローサイトメトリーによって、例えばマーカーに特異的に結合する抗体で染色し該抗体を検出することによって、検出される表面発現の非存在を指し、この場合、染色は、アイソタイプ一致対照を他の点では同一の条件下で用いて同じ手順を行って検出される染色を実質的に上回るレベルで、および/またはそのマーカーに関して陽性であることが公知である細胞のレベルよりも実質的に低いレベルで、および/またはそのマーカーに関して陰性であることが公知である細胞のレベルと比較して実質的に類似するレベルで、フローサイトメトリーによって検出されない。
【0870】
本明細書で使用する場合、アミノ酸配列(参照ポリペプチド配列)に関して使用するときの「アミノ酸配列同一性パーセント(%)」および「同一性パーセント」とは、配列をアラインメントさせて、必要に応じて、最大の配列同一性パーセントを達成するためにギャップを導入した後、保存的置換を配列同一性の一部とみなさないで、参照ポリペプチド配列のアミノ酸残基と同一である候補配列(例えば、対象の抗体または断片)のアミノ酸残基のパーセントとして定義される。アミノ酸配列同一性パーセントを決定するためのアラインメントは、様々な公知の方法で、例えば、BLAST、BLAST-2、ALIGNまたはMegalign(DNASTAR社)ソフトウェアなどの公開されているコンピュータソフトウェアを使用して、達成することができる。比較される配列の全長にわたって最大のアラインメントを達成するために必要とされるアルゴリズムを含めて、配列をアラインメントするための適切なパラメータを決定することができる。
【0871】
アミノ酸の置換は、ポリペプチド中のあるアミノ酸を別のアミノ酸で置き換えることを含む。置換は、保存的アミノ酸置換であっても、非保存的アミノ酸置換であってもよい。アミノ酸の置換は、対象となる結合分子(例えば抗体)に導入されるか、または所望の活性(例えば、抗原結合の保持/改善、免疫原性の低下、またはADCCもしくはCDCの改善)についてスクリーニングされる産物に導入することができる。
【0872】
アミノ酸は一般に、次の共通の側鎖特性に従ってグループに分けることができる:
(1)疎水性:ノルロイシン、Met、Ala、Val、Leu、Ile;
(2)中性親水性:Cys、Ser、Thr、Asn、Gln;
(3)酸性:Asp、Glu;
(4)塩基性:His、Lys、Arg;
(5)鎖の向きに影響を与える残基:Gly、Pro;
(6)芳香族:Trp、Tyr、Phe。
【0873】
いくつかの態様では、保存的置換には、これらのクラスのうちのあるクラスのメンバーを同じクラスの別のメンバーと交換することが含まれる。いくつかの態様では、非保存的アミノ酸置換には、これらのクラスのうちのあるクラスのメンバーを別のクラスのメンバーと交換することが含まれる。
【0874】
本明細書で使用する場合、組成物は、細胞を含めて、2つ以上の産物、物質、または化合物の任意の混合物を指す。それは、溶液、懸濁液、液体、粉末、ペースト、水性、非水性、またはそれらの任意の組み合わせであり得る。
【0875】
本明細書で使用する場合、「対象」は、哺乳動物、例えばヒトまたは他の動物であり、典型的にはヒトである。
【0876】
X.例示的な態様
提供される態様としては以下がある。
1.(a)第1の選択を行う工程であって、第1の選択が、初代ヒトT細胞を含むアフェレーシス産物または白血球アフェレーシス産物を含む生体試料からCD57-またはCD3+ T細胞のいずれかを濃縮し、それにより、濃縮されたT細胞集団を生成することを含む工程;および
(b)濃縮されたT細胞集団からの細胞に第2の選択を行う工程
を含む、T細胞を濃縮するための方法であって、
第1の選択が、CD57- T細胞を濃縮することを含み、第2の選択が、濃縮された集団からCD3+ T細胞を濃縮することを含むか;または
第1の選択が、CD3+ T細胞を濃縮することを含み、第2の選択が、濃縮されたT細胞集団からCD57+ T細胞を除去することを含み、
該方法により、生体試料よりも少ないCD57+ T細胞を含みかつCD3+ T細胞が濃縮された、枯渇された集団が生成される、方法。
2. (a)第1の選択を行う工程であって、第1の選択が、初代ヒトT細胞を含む生体試料からCD57+ T細胞を除去し、それにより、枯渇されたT細胞集団を生成することを含み、枯渇された集団が、生体試料よりも少ないCD57+ T細胞を含む、工程;および
(b)枯渇された集団からの細胞に第2の選択を行う工程であって、第2の選択が、枯渇された集団からCD3+ T細胞を濃縮することを含み、それにより濃縮は、CD57-CD3+ T細胞の濃縮された集団を生成する、工程
を含む、T細胞を濃縮するための方法。
3. (a)第1の選択を行う工程であって、第1の選択が、初代ヒトT細胞を含む生体試料からCD3+ T細胞を濃縮し、それにより、濃縮されたT細胞集団を生成することを含む、工程;ならびに
(b)濃縮されたT細胞集団からの細胞に第2の選択を行う工程であって、第2の選択が、濃縮された試料細胞集団からCD57+ T細胞を除去し、それにより、枯渇された集団を生成することを含み、枯渇された集団は、生体試料よりもおよび/または濃縮されたT細胞集団よりも少ないCD57+ T細胞を含み、かつCD3+ T細胞が濃縮されている、工程
を含む、T細胞を濃縮するための方法。
4. (a)第1の選択を行う工程であって、該第1の選択が、初代ヒトT細胞を含む生体試料からCD57+ T細胞を除去し、それにより、第1の枯渇された集団を生成することを含み、第1の枯渇された集団が、生体試料よりも少ないCD57+ T細胞を含む、工程;
(b)第1の枯渇された集団からの細胞に第2の選択を行う工程であって、該第2の選択が、第1の枯渇された集団から(i)CD4+ T細胞および(ii)CD8+ T細胞の一方を濃縮することを含み、それにより濃縮は、(i)CD4+ T細胞および(ii)CD8+ T細胞の一方が濃縮された第2の枯渇された集団と、選択されなかった集団とを生成する、工程;ならびに
(c)第3の選択を行う工程であって、該第3の選択が、選択されなかった集団から(i)CD4+細胞および(ii)CD8+細胞の他方を濃縮することを含み、それにより濃縮は、(i)CD4+ T細胞および(ii)CD8+ T細胞の他方が濃縮された第3の枯渇された集団を生成する、工程
を含む、T細胞を濃縮するための方法。
5. 枯渇された集団(任意で、第1の枯渇された集団、第2の枯渇された集団、または第3の枯渇された集団)が、以下:
(i)5%未満または約5%未満のCD57+ T細胞;
(ii)生体試料中に存在するCD57+ T細胞の頻度の35%未満または約35%未満であるCD57+ T細胞の頻度;
(iii)CD4+ T細胞であって、該CD4+ T細胞の少なくとも95%または少なくとも約95%がCD57-である、CD4+ T細胞;および
(iv)CD8+ T細胞であって、該CD8+ T細胞の少なくとも95%または少なくとも約95%がCD57-である、CD8+ T細胞
のうち少なくとも1つを含む、態様1~4のいずれか記載の方法。
6. 生体試料が、アフェレーシス産物または白血球アフェレーシス産物を含む、態様1~5のいずれか記載の方法。
7. 初代ヒトT細胞を含むアフェレーシス産物または白血球アフェレーシス産物を含む生体試料からCD57+ T細胞を除去し、それにより、T細胞の枯渇された集団を生成する工程を含む、T細胞を濃縮するための方法であって、
枯渇された集団が、生体試料よりも少ないCD57+ T細胞を含み、枯渇された集団が、
(i)5%未満もしくは約5%未満のCD57+ T細胞;
(ii)生体試料中に存在するCD57+ T細胞の頻度の35%未満もしくは約35%未満であるCD57+ T細胞の頻度;
(iii)CD4+ T細胞であって、該CD4+ T細胞の少なくとも95%もしくは少なくとも約95%がCD57-である、CD4+ T細胞;および/または
(iv)CD8+ T細胞であって、該CD8+ T細胞の少なくとも95%もしくは少なくとも約95%がCD57-である、CD8+ T細胞
を含む、方法。
8. 枯渇された集団のCD4+ T細胞の少なくとも95%または少なくとも約95%が、CD57-CD4+ T細胞を含む、態様7記載の方法。
9. 枯渇された集団のCD8+ T細胞の少なくとも95%または少なくとも約95%が、CD57-CD8+ T細胞を含む、態様7記載の方法。
10. 枯渇された集団のCD4+ T細胞およびCD8+ T細胞の少なくとも95%または少なくとも約95%が、CD57-CD4+ T細胞およびCD57-CD8+ T細胞を含む、態様7~9のいずれか記載の方法。
11. 枯渇された集団のCD3+ T細胞の少なくとも95%または少なくとも約95%が、CD57-CD3+ T細胞を含む、態様1~10のいずれか記載の方法。
12. 枯渇された集団が第1の枯渇された集団であり、
前記方法が、第1の枯渇された集団からCD4+ T細胞を選択し、それにより、CD57-CD4+ T細胞の濃縮された集団である第2の枯渇された集団と、選択されなかった集団とを生成する工程をさらに含む、
態様7~10のいずれか記載の方法。
13. 選択されなかった集団からCD8+ T細胞を選択し、それによりCD57-CD8+ T細胞の濃縮された集団である第3の枯渇された集団と第2の選択されなかった集団とを生成する工程
をさらに含む、態様12記載の方法。
14. 枯渇された集団が、第1の枯渇された集団であり、
前記方法が、第1の枯渇された集団からCD8+ T細胞を選択し、それによりCD57-CD8+ T細胞の濃縮された集団である第2の枯渇された集団と、選択されなかった集団とを生成する工程をさらに含む、
態様7~10のいずれか記載の方法。
15. 選択されなかった集団からCD4+ T細胞を選択し、それによりCD57-CD4+ T細胞の濃縮された集団である第3の枯渇された集団と、第2の選択されなかった集団とを生成する工程
をさらに含む、態様14記載の方法。
16. 枯渇された集団が第1の枯渇された集団であり、
前記方法が、第1の枯渇された集団からCD3+ T細胞を選択し、それによりCD57-CD3+ T細胞の濃縮された集団である第2の枯渇された集団と、選択されなかった集団とを生成する工程をさらに含む、
態様7~11のいずれか記載の方法。
17. 枯渇された集団(任意で、第1の枯渇された集団)が、以下:
(i)5%未満または約5%未満のCD57+ T細胞;
(ii)生体試料中に存在するCD57+ T細胞の頻度の35%未満または約35%未満であるCD57+ T細胞の頻度;
(iii)CD4+ T細胞であって、該CD4+ T細胞の少なくとも95%または少なくとも約95%がCD57-であるCD4+ T細胞;および
(iv)CD8+ T細胞であって、該CD8+ T細胞の少なくとも95%または少なくとも約95%がCD57-であるCD8+ T細胞
のうち少なくとも1つを含む、態様16記載の方法。
18. 枯渇された集団のCD3+ T細胞の少なくとも95%または少なくとも約95%が、CD57-CD3+ T細胞を含む、態様17記載の方法。
19. CD57+ T細胞を除去する前に生体試料からCD3+ T細胞を濃縮し、それにより、CD57+ T細胞を除去するための濃縮されたCD3+ T細胞生体試料を生成する工程をさらに含む、態様17または態様18記載の方法。
20. 枯渇された集団が第1の枯渇された集団であり、
前記方法が、第1の枯渇された集団からCD3+ T細胞を濃縮し、それにより、CD57-CD3+ T細胞の濃縮された集団を生成する工程をさらに含む、
態様17または態様18記載の方法。
21. (a)第1の選択を行う工程であって、第1の選択が、初代ヒトT細胞を含むアフェレーシス産物または白血球アフェレーシス産物を含む生体試料からCD57+ T細胞を除去し、それにより、第1の枯渇された集団を生成することを含み、第1の枯渇された集団が、生体試料よりも少ないCD57+ T細胞を含む、工程;および
(b)第1の枯渇された集団からの細胞に第2の選択を行う工程であって、第2の選択が、第1の枯渇された集団からCD3+ T細胞を濃縮することを含み、それにより濃縮が、CD57-CD3+ T細胞の濃縮された集団を生成する、工程
を含む、T細胞を濃縮するための方法。
22. (a)第1の選択を行う工程であって、第1の選択が、初代ヒトT細胞を含むアフェレーシス産物または白血球アフェレーシス産物を含む生体試料からCD3+ T細胞を濃縮し、それにより、濃縮された生体試料を生成することを含む、工程;および
(b)濃縮された生体試料からの細胞に第2の選択を行う工程であって、第2の選択が、濃縮された生体試料からCD57+ T細胞を除去し、それにより、CD57-CD3+ T細胞の濃縮された集団である枯渇された集団を生成することを含む、工程
を含む、T細胞を濃縮するための方法。
23. 枯渇された集団(任意で、第1の枯渇された集団、第2の枯渇された集団、または第3の枯渇された集団)中のCD57+ T細胞の頻度が、生体試料中のCD57+ T細胞の頻度の35%、30%、20%、10%、5%、1%、もしくは0.1%未満、または約35%、30%、20%、10%、5%、1%、もしくは0.1%未満である、態様1~22のいずれか記載の方法。
24. 枯渇された集団(任意で、第1の枯渇された集団、第2の枯渇された集団、または第3の枯渇された集団)が、3%未満もしくは約3%未満、2%未満もしくは約2%未満、1%未満もしくは約1%未満、0.1%未満もしくは約0.1%未満、または0.01%未満もしくは約0.01%未満のCD57+ T細胞を含む、態様1~23のいずれか記載の方法。
25. 枯渇された集団(任意で、第1の枯渇された集団、第2の枯渇された集団、または第3の枯渇された集団)が、CD57+ T細胞を含まないまたは本質的に含まない、態様1~24のいずれか記載の方法。
26. 枯渇された集団(任意で、第1の枯渇された集団、第2の枯渇された集団、または第3の枯渇された集団)中のナイーブ様細胞の頻度が、生体試料中のナイーブ様細胞の頻度よりも少なくとも10%、20%、30%、40%、もしくは50%大きい、または少なくとも約10%、20%、30%、40%、もしくは50%大きい、態様1~25のいずれか記載の方法。
27. 枯渇された集団(任意で、第1の枯渇された集団、第2の枯渇された集団、または第3の枯渇された集団)中のCD25+ T細胞、CD27+ T細胞、CD28+ T細胞、CCR7+ T細胞、またはCD45RA+ T細胞のうち1つまたは複数の頻度が、生体試料中のそれぞれの細胞の頻度よりも少なくとも10%、20%、30%、40%、もしくは50%大きい、または少なくとも約10%、20%、30%、40%、もしくは50%大きい、態様1~26のいずれか記載の方法。
28. 枯渇された集団(任意で、第1の枯渇された集団、第2の枯渇された集団、または第3の枯渇された集団)中のCD28+ T細胞の頻度が、生体試料中のそれぞれの細胞の頻度よりも少なくとも約10%、20%、30%、40%、もしくは50%大きい、または約10%、20%、30%、40%、もしくは50%大きい、態様1~27のいずれか記載の方法。
29. 枯渇された集団(任意で、第1の枯渇された集団、第2の枯渇された集団、または第3の枯渇された集団)中のCD27+/CD28+ T細胞の頻度が、生体試料中のそれぞれの細胞の頻度よりも少なくとも約10%、20%、30%、40%、もしくは50%大きい、または約10%、20%、30%、40%、もしくは50%大きい、態様1~27のいずれか記載の方法。
30. 枯渇された集団(任意で、第1の枯渇された集団、第2の枯渇された集団、または第3の枯渇された集団)が、少なくとも15%、20%、25%、30%、35%、もしくは40%、または少なくとも約15%、20%、25%、30%、35%、もしくは40%のCD27+ T細胞を含む;あるいは
枯渇された集団(任意で、第1の枯渇された集団、第2の枯渇された集団、または第3の枯渇された集団)が、少なくとも10%、15%、20%、25%、25%、30%、35%、もしくは40%、または少なくとも約10%、15%、20%、25%、25%、30%、35%、もしくは40%のCD28+ T細胞を含む、
態様1~27のいずれか記載の方法。
31. 枯渇された集団(任意で、第1の枯渇された集団、第2の枯渇された集団、または第3の枯渇された集団)が、少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、50%、60%、70%、もしくは80%、または少なくとも約10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、50%、60%、70%、もしくは80%のCD27+CD28+ T細胞を含む、態様1~30のいずれか記載の方法。
32. 枯渇された集団(任意で、第1の枯渇された集団、第2の枯渇された集団、または第3の枯渇された集団)が、少なくとも70%もしくは80%、または少なくとも約70%もしくは80%のCD27+CD28+ T細胞を含む、態様1~31のいずれか記載の方法。
33. 枯渇された集団(任意で、第1の枯渇された集団、第2の枯渇された集団、または第3の枯渇された集団)が、少なくとも10%、15%、20%、もしくは25%、または少なくとも約10%、15%、20%、もしくは25%のCCR7+ T細胞を含む、態様1~32のいずれか記載の方法。
34. 第2の枯渇された集団と第3の枯渇された集団とを、任意で1:3または約1:3から、3:1または約3:1の間の比で、任意で1:1または約1:1の比で組み合わせ、それにより、第2の枯渇された集団および第3の枯渇された集団を含む枯渇された集団を生成する工程
をさらに含む、態様13または15~33のいずれか記載の方法。
35. インプット組成物のT細胞を刺激条件下でインキュベートし、それにより、T細胞の刺激された集団を生成する工程を含む、T細胞を刺激するための方法であって、
インプット組成物が、態様1~34のいずれか記載の方法によって生成された枯渇された集団(任意で、第1の枯渇された集団、第2の枯渇された集団、または第3の枯渇された集団)を含む、方法。
36. 少なくとも90%もしくは少なくとも約90%、少なくとも95%もしくは少なくとも約95%、少なくとも97%もしくは少なくとも約97%、少なくとも99%もしくは少なくとも約99%、または少なくとも99.9%もしくは少なくとも約99.9%のCD57-CD4+ T細胞を含むT細胞組成物を生成する、態様1~35のいずれか記載の方法。
37. 少なくとも90%もしくは少なくとも約90%、少なくとも95%もしくは少なくとも約95%、少なくとも97%もしくは少なくとも約97%、少なくとも99%もしくは少なくとも約99%、または少なくとも99.9%もしくは少なくとも約99.9%のCD57-CD8+ T細胞を含むT細胞組成物を製造する、態様1~35のいずれか記載の方法。
38. 少なくとも90%もしくは少なくとも約90%、少なくとも95%もしくは少なくとも約95%、少なくとも97%もしくは少なくとも約97%、少なくとも99%もしくは少なくとも約99%、または少なくとも99.9%もしくは少なくとも約99.9%のCD57-CD3+ T細胞を含むT細胞組成物を製造する、態様1~35のいずれか記載の方法。
39. 組成物中のCD4+対CD8+ T細胞の比が、3:1~1:3、2:1~1:2、1.5:1~1:1.5、または1.2:1~1:1.2(各々両端の値を含む)である、態様38記載の方法。
40. 組成物中のCD4+対CD8+ T細胞の比が1:1または約1:1 CD4+である、態様38または態様39記載の方法。
41. 初代T細胞が、ヒト対象に由来する、態様1~40のいずれか記載の方法。
42. 初代T細胞が、疾患または状態を有する対象に由来する、態様1~41のいずれか記載の方法。
43. 疾患または状態ががんである、態様42記載の方法。
44. 初代T細胞が、健康な対象に由来する、態様1~41のいずれか記載の方法。
45. CD57+ T細胞の除去が、免疫親和性に基づく選択を含む、態様1~44のいずれか記載の方法。
46. 免疫親和性に基づく選択が、CD57に特異的に結合することができる抗体と細胞を接触させ、抗体に結合していない細胞を回収し、それにより、陰性選択をもたらすことを含み、回収された細胞は、CD57+細胞が枯渇されている、態様45記載の方法。
47. 第1、第2、および/または第3の選択により、CD4またはCD8 T細胞が濃縮され、
免疫親和性に基づく選択が、それぞれCD4またはCD8に特異的に結合することができる抗体と細胞を接触させ、抗体に結合した細胞を回収することによって行われ、それにより、陽性選択がもたらされ、
回収された細胞は、CD4+細胞またはCD8+細胞が濃縮されており;
選択により、CD3 T細胞が濃縮され、
免疫親和性に基づく選択が、CD3に特異的に結合することができる抗体と細胞を接触させ、抗体に結合した細胞を回収することによって行われ、それにより、陽性選択をもたらされ、
回収された細胞は、CD3+細胞が濃縮されている、
態様45記載の方法。
48. 抗体が、固体表面に固定化されており、任意で、固体表面が磁性粒子である、態様46または態様47記載の方法。
49. 抗体が、アフィニティークロマトグラフィーマトリックスに固定化されているまたは付着しており;抗体が、マトリックスに固定化された結合試薬と可逆的結合を形成することができる1つまたは複数の結合パートナーをさらに含み、接触の間に抗体がクロマトグラフィーマトリックスに可逆的に結合される、態様48記載の方法。
50. 結合試薬が、結合パートナーに可逆的に結合するストレプトアビジンムテインである、態様49記載の方法。
51. ストレプトアビジンムテインが、SEQ ID NO:66に示されるアミノ酸配列のストレプトアビジンにおける位置に関して44~47位に対応する配列位置にアミノ酸配列Ile44-Gly45-Ala46-Arg47を含むか、または
ストレプトアビジンムテインが、SEQ ID NO:66に示されるアミノ酸配列のストレプトアビジンにおける位置に関して44~47位に対応する配列位置にアミノ酸配列Va144-Thr45-Ala46-Arg47を含む、
態様50記載の方法。
52. 結合パートナーがストレプトアビジン結合ペプチドである、態様49~51のいずれか記載の方法。
53. ストレプトアビジン結合ペプチドが、
からなる群より選択される、態様52記載の方法。
54. ストレプトアビジン結合ペプチドが、配列
を有する、態様52または態様53記載の方法。
55. 試料中の細胞をアフィニティークロマトグラフィーマトリックスに接触させた後、競合試薬を適用して結合パートナーと結合試薬との間の結合を破壊し、それにより、抗体に結合した細胞を回収する工程
をさらに含む、態様49~54のいずれか記載の方法。
56. 競合試薬が、ビオチンまたはビオチン類似体である、態様55記載の方法。
57. クロマトグラフィーマトリックスが、カラムである分離管に充填されている、態様48~55のいずれか記載の方法。
58. 初代T細胞を含む生体試料が、凍結保護物質と製剤化された試料である、態様1~57のいずれか記載の方法。
59. アフェレーシスまたは白血球アフェレーシス試料が、凍結保護物質と製剤化された試料である、態様13~58のいずれか記載の方法。
60. インプット組成物のT細胞を刺激条件下でインキュベートし、それにより、T細胞の刺激された集団を生成する工程を含む、T細胞を刺激するための方法であって、インプット組成物が、態様1~59のいずれか記載の方法によって製造される、方法。
61. インプット組成物のT細胞を刺激条件下でインキュベートする工程を含む、T細胞を刺激するための方法であって、インプット組成物中のCD57+ T細胞のパーセンテージが、CD57+ T細胞の閾値パーセンテージ未満であり、該閾値が、30%以下または約30%以下のCD57+ T細胞である、方法。
62. 閾値パーセンテージが、25%、20%、15%、10%、5%、もしくは1%以下、または約25%、20%、15%、10%、5%、もしくは1%以下のCD57+ T細胞である、態様61記載の方法。
63. インプット組成物が、
(i)5%未満もしくは約5%未満のCD57+ T細胞;
(ii)少なくとも95%もしくは少なくとも約95%のCD57- T細胞;
(iii)少なくとも90%もしくは少なくとも約90%のCD57-CD4+ T細胞;または
(iv)少なくとも90%もしくは少なくとも約90%のCD57-CD8+ T細胞
を含む、態様60~62のいずれか記載の方法。
64. インプット組成物のT細胞を刺激条件下でインキュベートし、それにより、T細胞の刺激された集団を生成する工程を含む、T細胞を刺激するための方法であって、
インプット組成物が、
(i)約5%未満もしくは約5%のCD57+ T細胞
(ii)少なくとも約95%もしくは約95%のCD57- T細胞;
(iii)少なくとも約90%もしくは約90%のCD57-CD4+ T細胞;または
(iv)少なくとも約90%もしくは約90%のCD57-CD8+ T細胞
を含む、方法。
65. インプット組成物が、初代ヒトT細胞を含むアフェレーシス産物または白血球アフェレーシス産物を含む生体試料から得られた細胞を含む、態様60~64のいずれか記載の方法。
66. 生体試料からCD57+ T細胞を除去し、それにより、T細胞の枯渇された集団を含むインプット組成物を生成する工程をさらに含む、態様65記載の方法。
67. (a)第1の選択を行う工程であって、該第1の選択が、初代ヒトT細胞を含む生体試料からCD57+ T細胞を除去し、それにより、第1の枯渇された集団を生成することを含み、該枯渇された集団が、生体試料よりも少ないCD57+ T細胞を含む、工程;
(b)第1の枯渇された集団からの細胞に第2の選択を行う工程であって、該第2の選択が、第1の枯渇された集団から(i)CD4+ T細胞および(ii)CD8+ T細胞の一方を濃縮することを含み、それにより濃縮は、(i)CD57-CD4+ T細胞および(ii)CD57-CD8+ T細胞の一方が濃縮された第2の枯渇された集団と、選択されなかった集団とを生成する、工程;
(c)選択されなかった集団からの細胞に第3の選択を行う工程であって、該第3の選択が、選択されなかった集団から(i)CD4+細胞および(ii)CD8+細胞の他方を濃縮することを含み、それにより濃縮は、(i)CD57-CD4+ T細胞および(ii)CD57-CD8+ T細胞の他方が濃縮された第3の枯渇された集団を生成する、工程;ならびに
(d)1つまたは複数のインプット組成物を刺激条件下でインキュベートする工程であって、該1つまたは複数のインプット組成物が、第2の枯渇された集団または第3の枯渇された集団からのT細胞を含む、工程
を含む、T細胞を刺激するための方法。
68. 工程(d)の前に、第2の枯渇された集団と第3の枯渇された集団とを組み合わせて、それにより、CD4+ T細胞およびCD8+ T細胞を含むインプット組成物を生成する工程
を含む、態様67記載の方法。
69. 工程(d)が、第1のインプット組成物および第2のインプット組成物を別々にインキュベートすることを含み、
該第1のインプット組成物が、第2の枯渇された集団からのT細胞を含み、該第2のインプット組成物が、第3の枯渇された集団からのT細胞を含む、
態様67記載の方法。
70. 第2の選択が、(i)CD4+ T細胞を濃縮し、それにより、(i)CD57-CD4+ T細胞が濃縮された第2の枯渇された集団を生成することを含み、第1のインプット組成物が、濃縮されたCD57-CD4+ T細胞を含み;かつ
第3の選択が、(ii)CD8+ T細胞を濃縮し、それにより、(ii)CD57-CD8+ T細胞が濃縮された第3の枯渇された集団を生成することを含み、第2のインプット組成物が、濃縮されたCD57-CD8+ T細胞を含む、
態様67~69のいずれか記載の方法。
71. 第2の選択が、(ii)CD8+ T細胞を濃縮し、それにより、(ii)CD57-CD8+ T細胞が濃縮された第2の枯渇された集団を生成することを含み、第1のインプット組成物が、濃縮されたCD57-CD8+ T細胞を含み;かつ
第3の選択が、(i)CD4+ T細胞を濃縮し、それにより、(i)CD57-CD4+ T細胞が濃縮された第3の枯渇された集団を生成することを含み、第2のインプット組成物が、濃縮されたCD57-CD4+ T細胞を含む、
態様67~69のいずれか記載の方法。
72. (a)第1の選択を行う工程であって、第1の選択が、初代ヒトT細胞を含む生体試料からCD57+ T細胞を除去し、それにより、第1の枯渇された集団を生成することを含み、枯渇された集団が、生体試料よりも少ないCD57+ T細胞を含む、工程;
(b)第1の枯渇された集団からの細胞に第2の選択を行う工程であって、第2の選択が、第1の枯渇された集団からのCD3+ T細胞を濃縮することを含み、それにより濃縮は、CD3+ T細胞が濃縮された第2の枯渇された集団を生成する、工程;および
(c)1つまたは複数のインプット組成物を刺激条件下でインキュベートする工程であって、1つまたは複数のインプット組成物が、第2の枯渇された集団からのT細胞を含む、工程
を含む、T細胞を刺激するための方法。
73. (a)生体試料からの細胞に第1の選択を行う工程であって、第1の選択が、生体試料からCD3+ T細胞を濃縮することを含み、それにより濃縮は、CD3+ T細胞が濃縮された、濃縮された生体試料を生成する、工程;
(b)第2の選択を行う工程であって、第2の選択が、初代ヒトT細胞を含む濃縮された生体試料からCD57+ T細胞を除去し、それにより、枯渇された集団を生成することを含み、枯渇された集団が、濃縮された生体試料よりも少ないCD57+細胞を含む、工程;および
(c)1つまたは複数のインプット組成物を刺激条件下でインキュベートする工程であって、1つまたは複数のインプット組成物が、枯渇された集団からのT細胞を含む、工程
を含む、T細胞を刺激するための方法。
74. インプット組成物が、5%未満または約5%未満のCD57+ T細胞を含む、態様60~73のいずれか記載の方法。
75. インプット組成物が、3%未満もしくは約3%未満、2%未満もしくは約2%未満、1%未満もしくは約1%未満、0.1%未満もしくは約0.1%未満、または0.01%未満もしくは約0.01%未満のCD57+ T細胞を含む、態様60~74のいずれか記載の方法。
76. インプット組成物中のCD57+細胞の頻度が、生体試料中に存在するCD57+ T細胞の頻度の35%、30%、25%、20%、10%、5%、1%、もしくは0.1%未満、または約35%、30%、25%、20%、10%、5%、1%、もしくは0.1%未満である、態様60~75のいずれか記載の方法。
77. インプット組成物が、CD57+ T細胞を含まないまたは本質的に含まない、態様60~76のいずれか記載の方法。
78. インプット組成物が、少なくとも95%または少なくとも約95%のCD57- T細胞を含む、態様60~77のいずれか記載の方法。
79. インプット組成物中のCD4+ T細胞が、少なくとも90%もしくは少なくとも約90%、少なくとも95%もしくは少なくとも約95%、少なくとも97%もしくは少なくとも約97%、少なくとも99%もしくは少なくとも約99%、または少なくとも99.9%もしくは約99.9%のCD57-CD4+ T細胞を含む、態様60~78のいずれか記載の方法。
80. インプット組成物中のCD8+ T細胞が、少なくとも90%もしくは少なくとも約90%、少なくとも95%もしくは少なくとも約95%、少なくとも97%もしくは少なくとも約97%、少なくとも99%もしくは少なくとも約99%、または少なくとも99.9%もしくは約99.9%のCD57-CD8+ T細胞を含む、態様60~79のいずれか記載の方法。
81. インプット組成物中のCD3+ T細胞が、少なくとも約90%もしくは約90%、少なくとも約95%もしくは約95%、少なくとも約97%もしくは約97%、少なくとも約99%もしくは約99%、または少なくとも約99.9%もしくは約99.9%のCD57-CD3+ T細胞を含む、態様60~80のいずれか記載の方法。
82. CD57- T細胞が、CD57-CD4+ T細胞およびCD57-CD8+ T細胞を含む、態様60~81のいずれか記載の方法。
83. インプット組成物が、3:1~1:3、2:1~1:2、1.5:1~1:1.5、または1.2:1~1:1.2(各々両端の値を含む)のCD4+ T細胞対CD8+ T細胞の比を含む、態様60~82のいずれか記載の方法。
84. インプット組成物が、1:1または約1:1のCD4+ T細胞対CD8+ T細胞の比を含む、態様60~83のいずれか記載の方法。
85. インプット組成物中のナイーブ様細胞の頻度が、生体試料中のナイーブ様細胞の頻度またはおよその頻度よりも少なくとも10%、20%、30%、40%、もしくは50%大きい、または少なくとも約10%、20%、30%、40%、もしくは50%大きい、態様60~84のいずれか記載の方法。
86. インプット組成物中のCD25+ T細胞、CD27+ T細胞、CD28+ T細胞、CCR7+ T細胞、またはCD45RA+ T細胞のうち1つまたは複数の頻度が、生体試料中のそれぞれの細胞の頻度よりも少なくとも10%、20%、30%、40%、もしくは50%大きい、または少なくとも約10%、20%、30%、40%、もしくは50%大きい、態様60~85のいずれか記載の方法。
87. インプット組成物が、少なくとも15%、20%、25%、30%、35%、もしくは40%、または少なくとも約15%、20%、25%、30%、35%、もしくは40%のCD27+ T細胞を含む、態様60~86のいずれか記載の方法。
88. インプット組成物が、少なくとも10%、15%、20%、25%、25%、30%、35%、もしくは40%、または少なくとも約10%、15%、20%、25%、25%、30%、35%、もしくは40%のCD28+ T細胞を含む、態様60~87のいずれか記載の方法。
89. インプット組成物が、少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、50%、60%、70%、もしくは80%、または少なくとも約10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、50%、60%、70%、もしくは80%のCD27+CD28+ T細胞を含む、態様60~88のいずれか記載の方法。
90. インプット組成物が、少なくとも70%もしくは80%、または少なくとも約70%もしくは80%のCD27+CD28+ T細胞を含む、態様60~89のいずれか記載の方法。
91. インプット組成物が、少なくとも10%、15%、20%、もしくは25%、または少なくとも約10%、15%、20%、もしくは25%のCCR7+ T細胞を含む、態様20~47のいずれか記載の方法。
92. 生体試料からCD57+ T細胞を除去することならびに/または第1および/もしくは第2の選択において細胞を濃縮することが、免疫親和性に基づく選択を含む、態様1~91のいずれか記載の方法。
93. 免疫親和性に基づく選択が、
CD57、CD4、またはCD8に特異的に結合することができる抗体と細胞を接触させ、
抗体に結合していない細胞を回収し、それにより陰性選択をもたらすこと、または
抗体に結合した細胞を回収し、それにより陽性選択をもたらすこと
によって行われ、
回収された細胞は、CD57+細胞が枯渇されており、および/またはCD4+細胞もしくはCD8+細胞が濃縮されており、抗体が磁性粒子上に固定化されている、態様92記載の方法。
94. 免疫親和性に基づく選択が、アフィニティークロマトグラフィーマトリックスに固定化されているまたは付着している抗体と細胞を接触させることによって行われ、抗体が、CD57、CD4、またはCD8に特異的に結合して、CD57+細胞の陰性選択またはCD4+もしくはCD8+細胞の陽性選択をもたらすことができる、態様92記載の方法。
95. 刺激条件が、刺激試薬の存在を含み、刺激試薬が、TCR複合体の1つまたは複数の成分の1つまたは複数の細胞内シグナル伝達ドメインおよび1つまたは複数の共刺激分子の1つまたは複数の細胞内シグナル伝達ドメインを活性化することができる、態様60~94のいずれか記載の方法。
96. 刺激試薬が、
(i)TCR複合体のメンバーに特異的に結合する、任意でCD3に特異的に結合する、一次作用物質、および
(ii)T細胞共刺激分子に特異的に結合する二次作用物質であって、任意で、共刺激分子が、CD28、CD137(4-1-BB)、OX40、またはICOSより選択される、二次作用物質
を含む、態様95記載の方法。
97. 一次作用物質および二次作用物質の一方または両方が、抗体またはその抗原結合断片を含む、態様96記載の方法。
98. 一次作用物質および二次作用物質が、抗体を含み、任意で、刺激条件が、抗CD3抗体またはその抗原結合断片および抗CD28抗体またはその抗原結合断片とのインキュベーションを含む、態様96または態様97記載の方法。
99. 抗原結合断片が、Fab断片、Fv断片、および一本鎖Fv断片(scFv)からなる群より選択される一価抗体断片である、態様97または態様98記載の方法。
100. 一次作用物質が抗CD3 Fabであり、二次作用物質が抗CD28 Fabを含む、態様96~99のいずれか記載の方法。
101. 一次作用物質および二次作用物質が、各々、固体支持体の表面に存在するまたは付着している、態様96~100のいずれか記載の方法。
102. 固体支持体が、ビーズ、任意で常磁性ビーズであるまたはそれを含む、態様101記載の方法。
103. 刺激条件が、表面に付着した抗CD3および抗CD28抗体を有する常磁性ビーズを含む刺激試薬の存在を含み、刺激試薬が、3:1未満または約3:1未満のビーズ対細胞の比で存在する、態様102記載の方法。
104. 刺激試薬が、1:1または約1:1のビーズ対細胞の比で存在する、態様103記載の方法。
105. 該方法が、細胞から刺激試薬を分離する工程をさらに含み、分離する工程が、細胞を磁場に曝露することを含む、態様102~104のいずれか記載の方法。
106. 一次作用物質および二次作用物質が、複数のストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン分子を含むオリゴマー粒子試薬の表面に可逆的に結合されている、態様96~100のいずれか記載の方法。
107. ストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン分子が、ビオチン、アビジン、ビオチン類似体もしくはビオチンムテイン、アビジン類似体もしくはムテイン、および/またはそれらの生物学的に活性な断片に結合するまたは結合することができる、態様106記載の方法。
108. ストレプトアビジンムテイン分子が、SEQ ID NO:66に示されるアミノ酸配列のストレプトアビジンにおける位置に関して44~47位に対応する配列位置にアミノ酸配列Val44-Thr45-Ala46-Arg47またはIle44-Gly45-Ala46-Arg47を含む、態様106または態様107記載の方法。
109. ストレプトアビジンムテイン分子が:
(a)SEQ ID NO:70~73、78、85~89のいずれかに示されるアミノ酸配列;
(b)SEQ ID NO:70~73、78、85~89のいずれかと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれ以上、または少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれ以上の配列同一性を示し、かつVal44-Thr45-Ala46-Arg47もしくはIle44-Gly45-Ala46-Arg47に対応するアミノ酸配列を含有し、かつ/またはビオチン、ビオチン類似体もしくはストレプトアビジン結合ペプチドに可逆的に結合する、アミノ酸配列;あるいは
(c)ビオチン、ビオチン類似体またはストレプトアビジン結合ペプチドに可逆的に結合する、(a)または(b)の機能的断片
を含む、態様106~108のいずれか記載の方法。
110. ストレプトアビジンムテイン分子が、SEQ ID NO:73または78に示されるアミノ酸配列を含む、態様106~109のいずれか記載の方法。
111. ストレプトアビジンムテイン分子が、SEQ ID NO:73に示されるアミノ酸配列を含む、態様106~110のいずれか記載の方法。
112. ストレプトアビジンムテイン分子が、SEQ ID NO:78に示されるアミノ酸配列を含む、態様106~110のいずれか記載の方法。
113. 一次作用物質および二次作用物質が、各々、ストレプトアビジン結合ペプチドを含む、態様106~112のいずれか記載の方法。
114. ストレプトアビジン結合ペプチドが、
からなる群より選択される、態様113記載の方法。
115. 一次作用物質が、抗CD3 Fabを含み、二次作用物質が、抗CD28 Fabを含む、態様106~114のいずれか記載の方法。
116. オリゴマー粒子試薬が、60nm超もしくは約60nm超、70nm超もしくは約70nm超、80nm超もしくは約80nm超、または90nm超もしくは約90nm超の半径を含む、態様106~115のいずれか記載の方法。
117. オリゴマー粒子試薬が、少なくとも5×107g/molもしくは少なくとも約5×107g/molまたは少なくとも1×108g/molもしくは少なくとも約1×108g/mol;または5×107g/mol~5×108g/mol、1×108g/mol~5×108g/molもしくは1×108g/mol~2×108g/mol(各々両端の値を含む)の分子量を含む、態様106~116のいずれか記載の方法。
118. オリゴマー粒子試薬が、少なくとも500個もしくは少なくとも約500個のストレプトアビジンもしくはストレプトアビジンムテイン四量体、少なくとも1,000個もしくは少なくとも約1,000個のストレプトアビジンもしくはストレプトアビジンムテイン四量体、少なくとも1,500個もしくは少なくとも約1,500個のストレプトアビジンもしくはストレプトアビジンムテイン四量体、または少なくとも2,000個もしくは少なくとも約2,000個のストレプトアビジンもしくはストレプトアビジンムテイン四量体;または1,000~20,000個のストレプトアビジンもしくはストレプトアビジンムテイン四量体、1,000~10,000個のストレプトアビジンもしくはストレプトアビジンムテイン四量体、または2,000~5,000個のストレプトアビジンもしくはストレプトアビジンムテイン四量体を含む、態様106~117のいずれか記載の方法。
119. 前記方法が、細胞から刺激試薬を分離する工程をさらに含み、分離する工程が、細胞を、物質と接触させることを含み、該物質が、一次作用物質および二次作用物質とオリゴマー粒子試薬との間の結合を解消することができる、態様106~118のいずれか記載の方法。
120. 前記物質が、遊離結合パートナーであり、かつ/または競合作用物質である、態様119記載の方法。
121. 前記物質の存在が、T細胞において一次および二次作用物質によって誘導またはモジュレートされるシグナルを終止または減少させる、態様119または態様120記載の方法。
122. 前記物質が、ストレプトアビジン結合ペプチド、ビオチンもしくはその生物学的に活性な断片、またはビオチン類似体もしくはその生物学的に活性な断片であるまたはそれを含む、態様119~121のいずれか記載の方法。
123. 前記物質が、ビオチン類似体であるまたはそれを含む、態様119~122のいずれか記載の方法。
124. 前記物質が、ストレプトアビジン結合ペプチドであるまたはそれを含み、ストレプトアビジン結合ペプチドが、
からなる群より選択される、態様122記載の方法。
125. 前記物質が、ビオチンもしくは生物学的に活性な断片、またはビオチン類似体もしくは生物学的に活性な断片であるまたはそれを含む、態様122記載の方法。
126. 刺激条件が、1つまたは複数の組み換えサイトカインの存在を含む、態様60~125のいずれか記載の方法。
127. 刺激条件が、組み換えIL-2、IL-7およびIL-15のうち1つまたは複数の存在を含む、態様60~126のいずれか記載の方法。
128. 組み換え受容体をコードする異種ポリヌクレオチドを、態様1~59のいずれか記載の方法によって生成されるT細胞組成物からのT細胞の集団に導入し、それにより、T細胞の操作された集団を生成する工程を含む、T細胞を遺伝子操作する方法。
129. 組み換え受容体をコードする異種ポリヌクレオチドを、態様73~127のいずれか記載の刺激されたT細胞集団からのT細胞の集団に導入し、それにより、T細胞の操作された集団を生成する工程を含む、T細胞を遺伝子操作する方法。
130. 組み換え受容体をコードする異種ポリヌクレオチドを、枯渇された集団またはインプット組成物または刺激された集団から得られたT細胞の集団に導入し、それにより、T細胞の操作された集団を生成する工程をさらに含む、態様1~127のいずれか記載の方法。
131. インプット組成物中のCD57+ T細胞のパーセンテージが、CD57+ T細胞の閾値パーセンテージ未満であり、閾値が、30%以下または約30%以下である場合、組み換え受容体をコードする異種ポリヌクレオチドを、インプット組成物のT細胞を刺激条件下でインキュベートすることによって生成されたT細胞の刺激された集団に導入し、それにより、T細胞の操作された集団を生成する工程を含む、T細胞を遺伝子操作する方法。
132. 閾値が、25%、20%、15%、10%、5%、もしくは1%以下、または約25%、20%、15%、10%、5%、もしくは1%以下である、態様131記載の方法。
133. 組み換え受容体をコードする異種ポリヌクレオチドを、インプット組成物からのT細胞に導入し、それにより、T細胞の操作された集団を生成する工程を含む、T細胞を遺伝子操作するための方法であって、
インプット組成物が、
(i)5%未満もしくは約5%未満のCD57+ T細胞
(ii)少なくとも95%もしくは少なくとも約95%のCD57- T細胞;
(iii)少なくとも90%もしくは少なくとも約90%のCD57-CD4+ T細胞;または
(iv)少なくとも90%もしくは少なくとも約90%のCD57-CD8+ T細胞
のうち1つまたは複数を含む、方法。
134. (a)第1の選択を行う工程であって、該第1の選択が、初代ヒトT細胞を含む生体試料からCD57+ T細胞を除去し、それにより、枯渇された集団を生成することを含み、該枯渇された集団が、生体試料よりも少ないCD57+ T細胞を含む、工程;
(b)枯渇された集団からの細胞に第2の選択を行う工程であって、該第2の選択が、初代ヒトT細胞を含む生体試料から(i)CD4+ T細胞および(ii)CD8+ T細胞の一方を濃縮することを含み、それにより濃縮は、(i)CD57-CD4+ T細胞および(ii)CD57-CD8+ T細胞の一方が濃縮された第1の濃縮された集団と、選択されなかった集団とを生成する、工程;
(c)選択されなかった集団からの細胞に第3の選択を行う工程であって、該第3の選択が、選択されなかった集団から(i)CD4+細胞および(ii)CD8+細胞の他方を濃縮することを含み、それにより濃縮は、(i)CD57-CD4+ T細胞および(ii)CD57-CD8+ T細胞の他方が濃縮された第2の濃縮された集団を生成する、工程;ならびに
(d)組み換え受容体をコードする異種ポリヌクレオチドを、第1および第2の濃縮された集団の一方または両方からのT細胞に導入し、それにより、T細胞の第1および第2の操作された集団を生成する工程
を含む、T細胞を遺伝子操作するための方法。
135. 導入する工程の前に、インプット組成物または濃縮された集団が、刺激条件下でインキュベートされる、態様130~134のいずれか記載の方法。
136. 工程(d)が、異種ポリヌクレオチドを、第1および第2の濃縮された集団からのCD4+ T細胞およびCD8+ T細胞を含む細胞の集団に導入することを含む、態様134または態様135記載の方法。
137. 工程(d)が、異種ポリヌクレオチドを、第1の濃縮された集団の細胞および第2の濃縮された集団の細胞に別々に導入することを含む、態様134または態様135記載の方法。
138. 第2の選択が、(i)CD4+ T細胞を濃縮し、それにより、(i)CD57-CD4+ T細胞が濃縮された第1の濃縮された集団を生成することを含み、第1の操作された集団が、CD57-CD4+ T細胞を含み;
第3の選択が、(ii)CD8+ T細胞を濃縮し、それにより、(ii)CD57-CD8+ T細胞が濃縮された第2の濃縮された集団を生成することを含み、第2の操作された集団が、CD57-CD8+ T細胞を含む、態様134~137のいずれか記載の方法。
139. 第2の選択が、(ii)CD8+ T細胞を濃縮し、それにより、(ii)CD57-CD8+ T細胞が濃縮された第1の濃縮された集団を生成することを含み、第1の操作された集団が、CD57-CD8+ T細胞を含み;
第3の選択が、(i)CD4+ T細胞を濃縮し、それにより、(i)CD57-CD4+ T細胞が濃縮された第2の操作された集団を生成することを含み、第2のインプット集団が、CD57-CD4+ T細胞を含む、
態様134~137のいずれか記載の方法。
140. (a)第1の選択を行う工程であって、第1の選択が、初代ヒトT細胞を含む生体試料からCD57+ T細胞を除去し、それにより、枯渇された集団を生成することを含み、該枯渇された集団が、生体試料よりも少ないCD57+ T細胞を含む、工程;
(b)枯渇された集団からの細胞に第2の選択を行う工程であって、第2の選択が、初代ヒトT細胞を含む生体試料からのCD3+ T細胞を濃縮することを含み、それにより濃縮は、CD57-CD3+ T細胞が濃縮された第1の濃縮された集団を生成する、工程;および
(c)組み換え受容体をコードする異種ポリヌクレオチドを、第1の濃縮された集団からのT細胞に導入し、それにより、T細胞の第1の操作された集団を生成する、工程
を含む、T細胞を遺伝子操作するための方法。
141. 導入する工程の前に、第1の濃縮された集団が、刺激条件下でインキュベートされる、態様140記載の方法。
142. (a)第1の選択を行う工程であって、第1の選択が、初代ヒトT細胞を含む生体試料からCD3+ T細胞を濃縮することを含み、それにより濃縮は、CD3+ T細胞が濃縮された、濃縮された生体試料を生成する、工程;
(b)濃縮された生体試料からの細胞に第2の選択を行う工程であって、第2の選択が、初代ヒトT細胞を含む濃縮された生体試料からCD57+ T細胞を除去し、それにより、枯渇された集団を生成することを含み、該枯渇された集団が、濃縮された生体試料よりも少ないCD57+ T細胞を含む、工程;および
(c)組み換え受容体をコードする異種ポリヌクレオチドを、枯渇された集団からのT細胞に導入し、それにより、T細胞の第1の操作された集団を生成する、工程
を含む、T細胞を遺伝子操作するための方法。
143. 導入する工程の前に、枯渇された集団が、刺激条件下でインキュベートされる、態様142記載の方法。
144. 導入する工程の前に、第1および第2の濃縮された集団の一方または両方の細胞が、刺激条件下でインキュベートされる、態様134~143のいずれか記載の方法。
145. 導入する工程が、形質導入を含む、態様128~144のいずれか記載の方法。
146. ウイルスベクターが、ガンマレトロウイルスベクターまたはレンチウイルスベクターである、態様145記載の方法。
147. ウイルスベクターがレンチウイルスベクターである、態様145または態様146記載の方法。
148. 導入する工程の後に、形質導入細胞を含む組成物を最大96時間、任意で、37°±2℃または約37°±2℃の温度でインキュベートする工程をさらに含む、態様128~147のいずれか記載の方法。
149. 導入する工程の後に、インキュベートする工程が最大72時間実施される、態様148記載の方法。
150. 導入する工程の後に、インキュベートする工程が最大48時間実施される、態様148記載の方法。
151. 導入する工程の後に、インキュベートする工程が最大24時間実施される、態様148記載の方法。
152. インキュベートする工程が、結果としてT細胞のゲノムへのウイルスベクターの組み込みを生じる、態様148~151のいずれか記載の方法。
153. 任意で、操作された集団の細胞を、操作された細胞の増殖または拡大増殖を促進する条件下で培養し、それにより、細胞の拡大増殖された集団を生成する工程をさらに含む、態様128~147のいずれか記載の方法。
154. 培養する工程が、1つまたは複数の組み換えサイトカインの存在下で実施される、態様153記載の方法。
155. 培養する工程が、任意で、IL-2、IL-7、およびIL-15のうち1つまたは複数を含む、1つまたは複数の組み換えサイトカインの存在下で実施される、態様153記載の方法。
156. 増殖または拡大増殖が、結果として、異種ポリヌクレオチドを含む生存T細胞数において、約2倍、3倍、4倍、5倍、もしくは少なくとも2倍、3倍、4倍、5倍、もしくは少なくとも約2倍、3倍、4倍、5倍、または5倍を超えるもしくは約5倍を超える増加を生じる、態様153~155のいずれか記載の方法。
157. 態様1~156のいずれか記載の方法によって作製される細胞の集団を採取または収集する工程を含む、細胞を採取または収集する方法。
158. (a)態様1~19のいずれか記載の方法によって生成された枯渇された集団(任意で、第1の枯渇された集団、第2の枯渇された集団、または第3の枯渇された集団)からのT細胞を刺激条件下でインキュベートする工程であって、該刺激条件が、TCR複合体の1つまたは複数の成分の1つまたは複数の細胞内シグナル伝達ドメインおよび1つまたは複数の共刺激分子の1つまたは複数の細胞内シグナル伝達ドメインを活性化することができる刺激試薬の存在を含み、それにより、刺激されたT細胞を生成する、工程;ならびに
(b)異種ポリヌクレオチドを、刺激されたT細胞に導入する工程であって、導入する工程が、刺激されたT細胞に、組み換え受容体をコードする異種ポリヌクレオチドを含むウイルスベクターを形質導入し、それにより、T細胞の操作された集団を生成することを含む、工程
を含む、T細胞を遺伝子操作するための方法。
159. (a)第1の選択を行う工程であって、該第1の選択が、初代ヒトT細胞を含む生体試料からCD57+ T細胞を除去し、それにより、枯渇された集団を生成することを含み、該枯渇された集団が、生体試料よりも少ないCD57+ T細胞を含む、工程;
(b)枯渇された集団からの細胞に第2の選択を行う工程であって、該第2の選択が、初代ヒトT細胞を含む生体試料から(i)CD4+ T細胞および(ii)CD8+ T細胞の一方を濃縮することを含み、それにより濃縮は、(i)CD57-CD4+ T細胞および(ii)CD57-CD8+ T細胞の一方が濃縮された第1の濃縮された集団と、選択されなかった集団とを生成する、工程;
(c)選択されなかった集団からの細胞に第3の選択を行う工程であって、第3の選択が、選択されなかった集団から(i)CD4+細胞および(ii)CD8+細胞の他方を濃縮することを含み、それにより濃縮は、(i)CD57-CD4+ T細胞および(ii)CD57-CD8+ T細胞の他方が濃縮された第2の濃縮された集団を生成する、工程;
(d)第1の濃縮された集団および第2の濃縮された集団からのT細胞を刺激条件下でインキュベートする工程であって、該刺激条件が、TCR複合体の1つまたは複数の成分の1つまたは複数の細胞内シグナル伝達ドメインおよび1つまたは複数の共刺激分子の1つまたは複数の細胞内シグナル伝達ドメインを活性化することができる刺激試薬の存在を含み、それにより、第1および第2の濃縮された集団の刺激されたT細胞を生成する、工程;ならびに
(e)組み換え受容体をコードする異種ポリヌクレオチドを、第1および第2の濃縮された集団の刺激されたT細胞に導入する工程であって、該導入する工程が、刺激されたT細胞に、異種ポリヌクレオチドを含むウイルスベクターを形質導入し、それにより、第1および第2の濃縮された集団からのT細胞の操作された集団を生成する、工程
を含む、T細胞を遺伝子操作するための方法。
160. (i)操作されたT細胞の集団を、操作された集団の増殖または拡大増殖を促進する条件下で培養し、それにより、T細胞の拡大増殖された集団を生成する工程;および
(ii)拡大増殖された集団を採取または収集する工程
をさらに含む、態様158または態様159記載の方法。
161. インキュベートする工程の前に、第1の濃縮された集団および第2の濃縮された集団が、
(i)5%未満もしくは約5%未満のCD57+ T細胞
(ii)生体試料中に存在するCD57+ T細胞の頻度の35%未満もしくは約35%未満であるCD57+ T細胞の頻度;または
(iii)少なくとも95%もしくは少なくとも約95%のCD57- T細胞
のうち1つまたは複数を含む、態様159または160記載の方法。
162. インキュベートする工程の前に、第1の濃縮された集団および第2の濃縮された集団が、5%未満または約5%未満のCD57+ T細胞を含む、態様159記載の方法。
163. インキュベートする工程の前に、第1の濃縮された集団および第2の濃縮された集団が、各々、3%未満もしくは約3%未満、2%未満もしくは約2%未満、1%未満もしくは約1%未満、0.1%未満もしくは約0.1%未満、または0.01%未満もしくは約0.01%未満のCD57+ T細胞を含む、態様159~162のいずれか記載の方法。
164. インキュベートする工程の前に、第1の濃縮された集団および第2の濃縮された集団中のCD57+細胞の頻度が、生体試料中のCD57+ T細胞の頻度の35%、30%、20%、10%、5%、1%、もしくは0.1%未満、または約35%、30%、20%、10%、5%、1%、もしくは0.1%未満を含む、態様159~163のいずれか記載の方法。
165. 導入する工程の前に、第1の濃縮された集団および第2の濃縮された集団が、CD57+ T細胞を含まないまたは本質的に含まない、態様159~164のいずれか記載の方法。
166. 第1の濃縮された組成物および第2の組成物の細胞が、単一の混合された集団として一緒にインキュベートおよび/または培養される、態様159~165のいずれか記載の方法。
167. 単一の混合された集団が、3:1~1:3、2:1~1:2、1.5:1~1:1.5、または1.2:1~1:1.2(両端の値を含む)のCD4+ T細胞対CD8+ T細胞比を含む、態様166記載の方法。
168. 導入する工程の前に、単一の混合された集団が、1:1または約1:1の比のCD4+ T細胞対CD8+ T細胞を含む、態様166または態様167記載の方法。
169. 第1の濃縮された集団および第2の濃縮された集団の細胞が、別々にインキュベートおよび/または培養される、態様159~168のいずれか記載の方法。
170. (a)第1の選択を行う工程であって、該第1の選択が、初代ヒトT細胞を含む生体試料からCD57+ T細胞を除去し、それにより、枯渇された集団を生成することを含み、該枯渇された集団が、生体試料よりも少ないCD57+ T細胞を含む、工程;
(b)枯渇された集団からの細胞に第2の選択を行う工程であって、該第2の選択が、初代ヒトT細胞を含む生体試料からCD3+ T細胞を濃縮することを含み、それにより濃縮は、CD57-CD3+ T細胞が濃縮された、濃縮された集団を生成する、工程;
(c)濃縮された集団からのT細胞を刺激条件下でインキュベートする工程であって、刺激条件が、TCR複合体の1つまたは複数の成分の1つまたは複数の細胞内シグナル伝達ドメインおよび1つまたは複数の共刺激分子の1つまたは複数の細胞内シグナル伝達ドメインを活性化することができる刺激試薬の存在を含み、それにより、濃縮された集団の刺激されたT細胞を生成する、工程;ならびに
(d)組み換え受容体をコードする異種ポリヌクレオチドを、濃縮された集団の刺激されたT細胞に導入する工程であって、刺激されたT細胞に異種ポリヌクレオチドを含むウイルスベクターを形質導入し、それにより、濃縮された集団からT細胞の操作された集団を生成することを含む、工程
を含む、T細胞を遺伝子操作するための方法。
171. (a)第1の選択を行う工程であって、第1の選択が、初代ヒトT細胞を含む生体試料からCD3+ T細胞を濃縮することを含み、それにより濃縮は、CD3+ T細胞が濃縮された、濃縮された生体試料を生成する、工程;
(b)濃縮された生体試料からの細胞に第2の選択を行う工程であって、第2の選択が、初代ヒトT細胞を含む濃縮された生体試料からCD57+ T細胞を除去し、それにより、枯渇された集団を生成することを含み、枯渇された集団が、濃縮された生体試料よりも少ないCD57+ T細胞を含む、工程;
(c)枯渇された集団からのT細胞を刺激条件下でインキュベートする工程であって、刺激条件が、TCR複合体の1つまたは複数の成分の1つまたは複数の細胞内シグナル伝達ドメインおよび1つまたは複数の共刺激分子の1つまたは複数の細胞内シグナル伝達ドメインを活性化することができる刺激試薬の存在を含み、それにより、枯渇された集団の刺激されたT細胞を生成する、工程;ならびに
(d)組み換え受容体をコードする異種ポリヌクレオチドを、枯渇された集団の刺激されたT細胞に導入する工程であって、刺激されたT細胞に、異種ポリヌクレオチドを含むウイルスベクターを形質導入し、それにより、枯渇された集団から操作されたT細胞集団を生成することを含む、工程
を含む、T細胞を遺伝子操作するための方法。
172. (i)操作されたT細胞の集団を、操作された集団の増殖または拡大増殖を促進する条件下で培養し、それにより、T細胞の拡大増殖された集団を生成する工程;および
(ii)拡大増殖された集団を採取または収集する工程
をさらに含む、態様170または態様171記載の方法。
173. 刺激試薬が、表面に付着した抗CD3および抗CD28抗体を有する常磁性ビーズを含む、態様158~172のいずれか記載の方法。
174. 刺激試薬が、可逆的に結合された抗CD3および抗CD28 Fabと共に複数のストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン分子を含むオリゴマー粒子試薬を含む、態様158~172のいずれか記載の方法。
175. 生体試料からCD57+ T細胞を除去することならびに/または第1および/もしくは第2の選択において細胞を濃縮することが、免疫親和性に基づく選択を含む、態様159~174のいずれか記載の方法。
176. 免疫親和性に基づく選択が、
CD57、CD4、またはCD8に特異的に結合することができる抗体と細胞を接触させること、および
抗体に結合していない細胞を回収し、それにより、陰性選択をもたらすこと、または
抗体に結合した細胞を回収し、それにより、陽性選択をもたらすこと
によって行われ、
回収された細胞は、CD57+細胞が枯渇されており、かつ/またはCD4+細胞もしくはCD8+細胞が濃縮されており、抗体が、磁性粒子に固定化されている、態様175記載の方法。
177. 免疫親和性に基づく選択が、
CD57、CD3、CD4、またはCD8に特異的に結合することができる抗体と細胞を接触させること、および
抗体に結合していない細胞を回収し、それにより、陰性選択をもたらすこと、または
抗体に結合した細胞を回収し、それにより、陽性選択をもたらすこと
によって行われ、
回収された細胞は、CD57+細胞が枯渇されており、かつ/またはCD3+細胞、CD4+細胞もしくはCD8+細胞が濃縮されており、抗体が、磁性粒子に固定化されている、態様175記載の方法。
178. 免疫親和性に基づく選択が、アフィニティークロマトグラフィーマトリックスに固定化されたまたは付着している抗体と細胞を接触させることによって行われ、抗体が、CD57、CD4、またはCD8に特異的に結合して、CD57+細胞の陰性選択またはCD4+もしくはCD8+細胞の陽性選択をもたらすことができる、態様175記載の方法。
179. 免疫親和性に基づく選択が、アフィニティークロマトグラフィーマトリックスに固定化されたまたは付着している抗体と細胞を接触させることによって行われ、抗体が、CD57、CD3、CD4、またはCD8に特異的に結合して、CD57+細胞の陰性選択またはCD3、CD4+、CD8+細胞の陽性選択をもたらすことができる、態様175記載の方法。
180. T細胞の操作された集団または拡大増殖されたT細胞集団が、T細胞、生存T細胞、操作されたT細胞、もしくは生存している操作されたT細胞の閾値数、またはT細胞、生存T細胞、操作されたT細胞、もしくは生存している操作されたT細胞の閾値濃度を含む時間またはその後に、採取する工程が行われる、態様157、160、または161~179のいずれか記載の方法。
181. T細胞、生存T細胞、操作されたT細胞、または生存している操作されたT細胞の閾値数または濃度が、刺激の開始後4、5、6、もしくは7日以内、または約4、5、6、もしくは7日以内に、4、5、6、もしくは7日で、または約4、5、6、もしくは7日で、到達される、態様180記載の方法。
182. 操作されたT細胞の集団または拡大増殖されたT細胞の集団の複数のうち、T細胞、生存T細胞、操作されたT細胞、または生存している操作されたT細胞の閾値数または濃度が、該複数の少なくとも70%、80%、90%、もしくは95%、または少なくとも約70%、80%、90%、もしくは95%において、刺激の開始後5もしくは6日以内、または約5もしくは6日以内に、5もしくは6日で、または約5もしくは6日で、到達される、態様181記載の方法。
183. T細胞、生存T細胞、操作されたT細胞、または生存している操作されたT細胞の閾値数または濃度が、刺激の開始後2、3、4、もしくは5以内、または約2、3、4、もしくは5以内、2、3、4、もしくは5、または約2、3、4、もしくは5の集団倍加数で到達される、態様180~182のいずれか記載の方法。
184. 操作された集団または拡大増殖された集団が、3%未満もしくは約3%未満、2%未満もしくは約2%未満、1%未満もしくは約1%未満、0.1%未満もしくは約0.1%未満、または0.01%未満もしくは約0.01%未満のCD57+ T細胞を含む、態様80~118のいずれか記載の方法。
185. 操作された集団または拡大増殖された集団が、CD57+ T細胞を含まないまたは本質的に含まない、態様128~184のいずれか記載の方法。
186. 操作された集団または拡大増殖された集団中のナイーブ様細胞の頻度が、該集団中の細胞の少なくとも10%、20%、30%、40%、もしくは50%、または少なくとも約10%、20%、30%、40%、もしくは50%である、態様128~185のいずれか記載の方法。
187. 操作された集団または拡大増殖された集団中のCD25+ T細胞、CD27+ T細胞、CD28+ T細胞、CCR7+ T細胞、またはCD45RA+ T細胞のうち1つまたは複数の頻度が、該集団中のそれぞれの細胞の頻度またはおよその頻度よりも少なくとも10%、20%、30%、40%、もしくは50%大きい、または少なくとも約10%、20%、30%、40%、もしくは50%大きい、態様128~186のいずれか記載の方法。
188. 操作された集団または拡大増殖された集団が、少なくとも15%、20%、25%、30%、35%、もしくは40%、または少なくとも約15%、20%、25%、30%、35%、もしくは40%のCD27+ T細胞を含む、態様128~187のいずれか記載の方法。
189. 操作された集団または拡大増殖された集団が、少なくとも10%、15%、20%、25%、25%、30%、35%、もしくは40%、または少なくとも約10%、15%、20%、25%、25%、30%、35%、もしくは40%のCD28+ T細胞を含む、態様128~188のいずれか記載の方法。
190. 操作された集団または拡大増殖された集団が、少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、50%、60%、70%、もしくは80%、または少なくとも約10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、50%、60%、70%、もしくは80%のCD27+CD28+ T細胞を含む、態様128~189のいずれか記載の方法。
191. 操作された集団または拡大増殖された集団が、少なくとも70%もしくは80%、または少なくとも約70%もしくは80%のCD27+CD28+ T細胞を含む、態様128~190のいずれか記載の方法。
192. 操作された集団または拡大増殖された集団が、少なくとも10%、15%、20%、もしくは25%、または少なくとも約10%、15%、20%、もしくは25%のCCR7+ T細胞を含む、態様128~191のいずれか記載の方法。
193. 細胞を採取する工程が、細胞をすすぐまたは洗浄することによって細胞デブリを除去することを含む、態様157、160、または161~192のいずれか記載の方法。
194. 採取または収集する工程が、凍結保存または対象への投与のために細胞を製剤化することをさらに含む、態様157、160、または161~193のいずれか記載の方法。
195. 採取または収集された細胞が、薬学的に許容される賦形剤の存在下で製剤化される、態様194記載の方法。
196. 採取または収集された細胞が、凍結保護物質の存在下で凍結保存のために製剤化される、態様194または態様195記載の方法。
197. 凍結保護物質が、DMSOを含む、態様196記載の方法。
198. 採取または収集された細胞が、容器、任意でバイアルまたはバッグの中に製剤化される、態様129、194~197のいずれか記載の方法。
199. 分離する工程が、採取する工程の前に起こる、態様105または119~131のいずれか記載の方法。
200. 分離する工程が、培養の前または間に起こる、態様105、119~131または199のいずれか記載の方法。
201. 分離する工程が、導入する工程の後に起こる、態様105、119~131、199、または200のいずれか記載の方法。
202. 組み換え受容体が、疾患、障害、または状態の細胞または組織に関連する、特異的な、および/または発現される標的抗原に結合することができる、態様128~201のいずれか記載の方法。
203. 疾患、障害、または状態が、感染性疾患もしくは障害、自己免疫疾患、炎症性疾患、または腫瘍もしくはがんである、態様202記載の方法。
204. 標的抗原が腫瘍抗原である、態様202または態様203記載の方法。
205. 標的抗原が、αvβ6インテグリン(avb6インテグリン)、B細胞成熟抗原(BCMA)、B7-H3、B7-H6、炭酸脱水酵素9(CA9、CAIXもしくはG250としても知られる)、がん-精巣抗原、がん/精巣抗原1B(CTAG、NY-ESO-1およびLAGE-2としても知られる)、がん胎児性抗原(CEA)、サイクリン、サイクリンA2、C-Cモチーフケモカインリガンド1(CCL-1)、CD19、CD20、CD22、CD23、CD24、CD30、CD33、CD38、CD44、CD44v6、CD44v7/8、CD123、CD133、CD138、CD171、コンドロイチン硫酸プロテオグリカン4(CSPG4)、上皮成長因子タンパク質(EGFR)、III型上皮成長因子受容体変異(EGFR vIII)、上皮糖タンパク質2(EPG-2)、上皮糖タンパク質40(EPG-40)、エフリンB2、エフリン受容体A2(EPHa2)、エストロゲン受容体、Fc受容体様5(FCRL5;Fc受容体ホモログ5もしくはFCRH5としても知られる)、胎児アセチルコリン受容体(胎児AchR)、葉酸結合タンパク質(FBP)、葉酸受容体アルファ、ガングリオシドGD2、O-アセチル化GD2(OGD2)、ガングリオシドGD3、糖タンパク質100(gp100)、グリピカン-3(GPC3)、Gタンパク質共役受容体5D(GPRC5D)、Her2/neu(受容体チロシンキナーゼerb-B2)、Her3(erb-B3)、Her4(erb-B4)、erbB二量体、ヒト高分子量-黒色腫関連抗原(HMW-MAA)、B型肝炎表面抗原、ヒト白血球抗原A1(HLA-A1)、ヒト白血球抗原A2(HLA-A2)、IL-22受容体アルファ(IL-22Rα)、IL-13受容体アルファ2(IL-13Rα2)、キナーゼ挿入ドメイン受容体(kdr)、カッパ軽鎖、L1細胞接着分子(L1-CAM)、L1-CAMのCE7エピトープ、ロイチンリッチリピート含有8ファミリーメンバーA(LRRC8A)、Lewis Y、黒色腫関連抗原(MAGE)-A1、MAGE-A3、MAGE-A6、MAGE-A10、メソセリン(MSLN)、c-Met、マウスサイトメガロウイルス(CMV)、ムチン1(MUC1)、MUC16、ナチュラルキラーグループ2メンバーD(NKG2D)リガンド、メランA(MART-1)、神経細胞接着分子(NCAM)、がん胎児抗原、黒色腫優先発現抗原(PRAME)、プロゲステロン受容体、前立腺特異抗原、前立腺幹細胞抗原(PSCA)、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、受容体型チロシンキナーゼ様オーファン受容体1(ROR1)、サバイビン、栄養膜糖タンパク質(TPBG、5T4としても知られる)、腫瘍関連糖タンパク質72(TAG72)、チロシナーゼ関連タンパク質1(TRP1、TYRP1もしくはgp75としても知られる)、チロシナーゼ関連タンパク質2(TRP2、ドパクロムトートメラーゼ、ドパクロムデルタ-イソメラーゼもしくはDCTとしても知られる)、血管内皮成長因子受容体(VEGFR)、血管内皮成長因子受容体2(VEGFR2)、ウィルムス腫瘍1(WT-1)、病原体特異的もしくは病原体発現抗原またはユニバーサルタグに関連する抗原、および/またはビオチン化分子、および/またはHIV、HCV、HBVもしくは他の病原体によって発現される分子の中より選択される、態様202~204のいずれか記載の方法。
206. 組み換え受容体が、機能的非TCR抗原受容体もしくはTCRまたはそれらの抗原結合断片であるまたはそれを含む、態様202~204のいずれか記載の方法。
207. 組み換え受容体がキメラ抗原受容体(CAR)である、態様202~205のいずれか記載の方法。
208. 組み換え受容体が抗BCMA CARである、態様202~205または207のいずれか記載の方法。
209. 組み換え受容体が抗CD19 CARである、態様202~205または207のいずれか記載の方法。
210. 組み換え受容体が、抗原結合ドメイン、スペーサーおよび/またはヒンジ領域を含む細胞外ドメイン;膜貫通ドメイン;ならびに共刺激シグナル伝達領域を含む細胞内シグナル伝達ドメインを含む、態様202~209のいずれか記載の方法。
211. 細胞外ドメインが、scFvを含む抗原結合ドメインを含む、態様210記載の方法。
212. 細胞内シグナル伝達ドメインが、一次シグナル伝達ドメイン、T細胞において一次活性化シグナルを誘導することができるシグナル伝達ドメイン、T細胞受容体(TCR)成分のシグナル伝達ドメイン、および/または免疫受容活性化チロシンモチーフ(ITAM)を含むシグナル伝達ドメインであるまたはそれを含む、態様210または態様211記載の方法。
213. 細胞内シグナル伝達ドメインが、CD3鎖、任意でCD3-ゼータ(CD3ζ)鎖の細胞内シグナル伝達ドメインまたはそのシグナル伝達部分であるまたはそれを含む、態様210~212のいずれか記載の方法。
214. 共刺激シグナル伝達領域が、CD28、4-1BB、またはICOSの細胞内シグナル伝達ドメイン、またはそれらのシグナル伝達部分を含む、態様210~213のいずれか記載の方法。
215. T細胞の集団中のCD57+細胞の頻度を測定する工程を含む、拡大増殖することができる集団を特定するための方法であって、CD57+細胞の頻度が閾値頻度未満である場合、細胞の集団が拡大増殖できると特定される、方法。
216. 閾値頻度が、35%、30%、20%、10%、5%、1%、もしくは0.1%未満、または約35%、30%、20%、10%、5%、1%、もしくは0.1%未満であるパーセンテージである、態様215記載の方法。
217. 拡大増殖することができる細胞の集団が、増殖または拡大増殖を促進する条件下で4、5、6、7、もしくは8日以内、または約4、5、6、7、もしくは8日以内に少なくとも2倍、4倍、8倍、もしくは16倍、または少なくとも約2倍、4倍、8倍、もしくは16倍拡大増殖する、態様215または態様216記載の方法。
218. T細胞の集団におけるCD57発現に関連する形質の値を測定する工程を含む、T細胞集団の拡大増殖の能力を決定するための方法であって、形質の値が形質の閾値未満またはおよその閾値未満である場合、T細胞集団が、拡大増殖できるとして決定される、方法。
219. 閾値が、
(i)複数の参照T細胞集団におけるCD57発現に関連する形質の測定値の平均または中央値よりも、25%で、約25%で、もしくは約25%以内もしくは約25%、約20%以内もしくは約20%、約15%以内もしくは約15%、約10%以内もしくは約10%、または約5%以内もしくは約5%少なく、かつ/あるいは測定値の平均もしくは中央値またはおよその平均もしくは中央値の1標準偏差下よりも小さい;
(ii)複数の参照T細胞集団からの集団におけるCD57発現に関連する形質の最低測定値よりも少なく、任意で、最低測定値よりも約50%以内もしくは約50%、約25%以内もしくは約25%、約20%以内もしくは約20%、約15%以内もしくは約15%、約10%以内もしくは約10%、または約5%以内もしくは約5%少なく;
(iii)複数の参照T細胞組成物からの試料の65%、75%、80%、85%超より計算されるCD57発現に関連する形質の測定値の平均または中央値未満であり;
複数の参照T細胞集団が、T細胞の増殖または拡大増殖を促進する条件下で培養された場合に拡大増殖しなかった複数の集団であり、任意で該細胞が、培養の4、5、6、7、もしくは8日以内、または約4、5、6、7、もしくは8日以内に、少なくとも約2倍、3倍、4倍、もしくは5倍、または約2倍、3倍、4倍、もしくは5倍拡大増殖しなかった、態様218記載の方法。
220. 形質が、総T細胞、CD4+ T細胞、またはCD8+ T細胞中に発現されるCD57タンパク質のレベルまたは量である、態様217~219のいずれか記載の方法。
221. 形質が、細胞集団中に存在するCD57+ T細胞、CD57+CD4+ T細胞、またはCD57+CD8+ T細胞の頻度、パーセンテージ、または量である、態様217~220のいずれか記載の方法。
222. 形質が、細胞集団中の総T細胞に存在するCD57 mRNAのレベルまたは量である、態様217~221のいずれか記載の方法。
223. 形質が、細胞集団中の総T細胞、CD4+ T細胞、またはCD8+ T細胞に存在するCD57 mRNAのレベルまたは量である、態様217~221のいずれか記載の方法。
224. 形質が、CD57(B3GAT1)をコードする遺伝子のクロマチンアクセシビリティのレベルまたは量である、態様217~221のいずれか記載の方法。
225. T細胞集団中の1つまたは複数の第2の遺伝子産物の発現に関連する第2の形質の第2の値を測定する工程をさらに含む、態様215~224のいずれか記載の方法であって、形質の値が、形質の閾値未満またはおよその閾値未満であり、かつ第2の形質の第2の値が、第2の形質の第2の閾値よりも大きいまたはおよその閾値よりも大きい場合、該集団が拡大増殖することができる、方法。
226. 第2の遺伝子産物が、ナイーブ様T細胞に関連するマーカーである、態様225記載の方法。
227. 1つまたは複数の第2の遺伝子産物が、CD27、CD28、CCR7、またはCD45RAより選択される、態様225または態様226記載の方法。
228. 1つまたは複数の第2の遺伝子産物が、CD27およびCD28である、態様225~227のいずれか記載の方法。
229. 第2の閾値が、
(i)複数の第2の参照T細胞組成物における第2の遺伝子に関連する形質の発現の測定値の平均もしくは中央値よりも25%、約25%、もしくは約25%以内、約20%以内もしくは約20%、約15%以内もしくは約15%、約10%以内もしくは約10%、または約5%以内もしくは約5%大きい、かつ/あるいは測定値の平均もしくは中央値よりもまたはおよその平均もしくは中央値よりも1標準偏差上大きい;
(ii)複数の参照T細胞組成物からの組成物における第2の遺伝子の発現に関連する第2の形質最高測定値よりも大きい、任意で、最高測定値よりも約50%以内もしくは約50%、約25%以内もしくは約25%、約20%以内もしくは約20%、約15%以内もしくは約15%、約10%以内もしくは約10%、または約5%以内もしくは約5%大きい;
(iii)複数の参照T細胞組成物からの試料の65%、75%、80%、85%超より計算される、第2の遺伝子の発現に関連する形質の測定値の平均または中央値よりも小さい、
態様225~228のいずれか記載の方法。
230. 第2の形質が、
(i)総T細胞、CD4+ T細胞、もしくはCD8+ T細胞に存在する第2の遺伝子によってコードされるポリペプチドのレベルもしくは量である;
(ii)総T細胞、CD4+ T細胞、もしくはCD8+ T細胞の表面に存在する第2の遺伝子によってコードされるポリペプチドのレベルもしくは量である;
(iii)第2の遺伝子の発現について陽性を示すT細胞、CD4+ T細胞、もしくはCD8+ T細胞の頻度、パーセンテージ、もしくは量である形質である;
(iv)T細胞中に存在する第2の遺伝子のmRNAのレベルもしくは量である;または
(v)第2の遺伝子のアクセシビリティのレベルもしくは量である、
態様225~229のいずれか記載の方法。
231. (a)態様215~230のいずれか記載の方法によって特定または決定されたT細胞集団からのT細胞を刺激条件下でインキュベートする工程であって、刺激条件が、TCR複合体の1つまたは複数の成分の1つまたは複数の細胞内シグナル伝達ドメインおよび1つまたは複数の共刺激分子の1つまたは複数の細胞内シグナル伝達ドメインを活性化することができる刺激試薬の存在を含み、それにより、刺激されたT細胞を生成する、工程;ならびに
(b)組み換え受容体をコードする異種ポリヌクレオチドを、刺激されたT細胞に導入する工程であって、刺激されたT細胞に、異種ポリヌクレオチドを含むウイルスベクターを形質導入し、それにより、T細胞の操作された集団を生成することを含む、導入する工程
を含む、T細胞を遺伝子操作するための方法。
232. 態様1~34のいずれか記載の方法によって作製される、削除された集団のCD57- T細胞を含む、細胞の組成物。
233. 態様1~59のいずれか記載の方法によって作製される、削除された集団のCD57- T細胞を含む、細胞の組成物。
234. 細胞が、CD57-CD4+ T細胞を含む、態様233記載の組成物。
235. 細胞が、CD57-CD8+ T細胞を含む、態様233記載の組成物。
236. 細胞が、CD57-CD3+ T細胞を含む、態様233記載の組成物。
237. 態様12、13、または15~34のいずれか記載の方法によって作製されるCD57-CD4+ T細胞の濃縮された集団のCD57-CD4+ T細胞を含む、濃縮されたCD57-CD4+ T細胞の組成物。
238. 態様13~34のいずれか記載の方法によって作製されるCD57-CD8+ T細胞の濃縮された集団のCD57-CD8+ T細胞を含む、濃縮されたCD57-CD8+ T細胞の組成物。
239. 態様20~33のいずれか記載の方法によって作製されるCD57-CD3+ T細胞の濃縮された集団のCD57-CD3+ T細胞を含む、濃縮されたCD57-CD3+ T細胞の組成物。
240. 態様35~127のいずれか記載の方法によって作製される刺激されたT細胞の集団を含む、細胞の組成物。
241. 態様128~152のいずれか記載の方法によって作製されるT細胞の操作された集団の細胞を含む組成物。
242. 態様153~157、160、161、163~198、および202~214のいずれか記載の方法によって作製される、T細胞の拡大増殖された集団の細胞を含む組成物。
243. 態様215~230のいずれか記載の方法によって拡大増殖することができると特定または決定されたT細胞の集団を含む組成物。
244. 態様130~151のいずれか記載の方法によって生成される、操作されたT細胞の集団または態様154~157、160、161、163~198、および202~214のいずれか記載の方法によって生成されるT細胞の拡大増殖された集団からのT細胞の用量を対象に投与する工程を含む、疾患、障害、または状態を有するまたは有する疑いがある対象を処置する方法。
245. 態様128~214のいずれか記載の方法によって生成される、操作されたT細胞の集団からのT細胞の用量を対象に投与する工程を含む、疾患、障害、または状態を有するまたは有する疑いがある対象を処置する方法。
246. 対象における疾患、障害、または状態の処置のための、態様128~152のいずれか記載の方法によって生成される操作されたT細胞の集団、または態様153~157、160、161、163~198、および202~214のいずれか記載の方法によって生成される、T細胞の拡大増殖された集団の使用。
247. 対象における疾患、障害、または状態の処置のための医薬の製造のための、態様128~152のいずれか記載の方法によって生成される操作されたT細胞の集団、または態様153~157、160、161、163~198、および202~214のいずれか記載の方法によって生成されるT細胞の拡大増殖された集団の使用。
248. 対象における疾患、障害、または状態の処置のための、態様135~174のいずれか記載の方法によって生成される操作されたT細胞の集団、または態様232~244のいずれか記載の組成物の使用。
249. 対象における疾患、障害、または状態の処置のための医薬の製造のための、態様135~174のいずれか記載の方法によって生成される操作されたT細胞の集団の使用。
250. 対象における疾患、障害、または状態の処置への使用のための、態様232~244のいずれか記載の組成物。
251. 組み換え受容体、任意で、CARが、疾患もしくは状態に関連するまたはその細胞に発現されるもしくは存在する抗原を特異的に認識するまたはそれに特異的に結合する、態様248~250のいずれか記載の使用または使用のための組成物。
252. 疾患または状態ががんである、態様248~251のいずれか記載の使用または使用のための組成物。
253. 対象に対して自家である、態様248~252のいずれか記載の使用または使用のための組成物。
254. 対象に対して同種である、態様248~253のいずれか記載の使用または使用のための組成物。
255. (i)CD57、CD3、CD4、および/またはCD8に特異的な細胞の免疫親和性に基づく選択のための1つまたは複数の試薬;ならびに
(ii)態様1~245のいずれか記載の方法を行うための1つまたは複数の試薬の使用のための指示書
を含む、製造物品。
256. (i)CD57、CD4、および/またはCD8に特異的な細胞の免疫親和性に基づく選択のための1つまたは複数の試薬;
(ii)TCR複合体の1つまたは複数の成分の1つまたは複数の細胞内シグナル伝達ドメインおよび1つまたは複数の共刺激分子の1つまたは複数の細胞内シグナル伝達ドメインを活性化することができる、1つまたは複数の刺激試薬;ならびに
(iii)態様1~245のいずれか記載の方法を行うための1つまたは複数の試薬の使用のための指示書
を含む、製造物品。
257. (i)CD57と、CD3、CD4、および/またはCD8のうち1つまたは複数とに特異的な細胞の免疫親和性に基づく選択のための1つまたは複数の試薬;
(ii)TCR複合体の1つまたは複数の成分の1つまたは複数の細胞内シグナル伝達ドメインおよび1つまたは複数の共刺激分子の1つまたは複数の細胞内シグナル伝達ドメインを活性化することができる、1つまたは複数の刺激試薬;ならびに
(iii)態様1~245のいずれか記載の方法を行うための1つまたは複数の試薬の使用のための指示書
を含む、製造物品。
258. 免疫親和性に基づく選択のための試薬が、CD57、CD4、またはCD8に特異的に結合することができる抗体であるまたはそれを含む、態様255~257のいずれか1つに記載の製造物品。
259. 免疫親和性に基づく選択のための試薬が、CD57、CD3、CD4、またはCD8に特異的に結合することができる抗体であるまたはそれを含む、態様255~257のいずれか1つに記載の製造物品。
260. 免疫親和性に基づく選択のための試薬が、CD57に特異的に結合することができる抗体であるまたはそれを含む、態様255~259のいずれか記載の製造物品。
261. 抗体が、磁性粒子に固定化されている、態様260記載の製造物品。
262. 抗体が、アフィニティークロマトグラフィーマトリックスに固定化されているまたは付着している、態様260記載の製造物品。
263. 刺激試薬が、
(i)TCR複合体のメンバーに特異的に結合する、任意でCD3に特異的に結合する、一次作用物質、および
(ii)T細胞共刺激分子に特異的に結合する二次作用物質であって、任意で共刺激分子が、CD28、CD137(4-1-BB)、OX40、またはICOSより選択される、二次作用物質
を含む、態様256~262のいずれか記載の製造物品。
264. 一次作用物質および二次作用物質の一方または両方が、抗体またはその抗原結合断片を含む、態様263記載の製造物品。
265. 一次作用物質および二次作用物質が、抗体を含み、任意で、刺激試薬が、抗CD3抗体および抗CD28抗体またはそれらの抗原結合断片とのインキュベーションを含む、態様263または態様264記載の製造物品。
266. 一次作用物質および二次作用物質が、固体支持体の表面に存在するまたは付着している、態様263~265のいずれか記載の製造物品。
267. 固体支持体が、ビーズ、任意で、常磁性ビーズであるまたはそれを含む、態様266記載の製造物品。
268. 一次作用物質および二次作用物質が、複数のストレプトアビジンまたはストレプトアビジンムテイン分子を含むオリゴマー粒子試薬の表面に可逆的に結合されている、態様263~267のいずれか記載の製造物品。
269. (i)態様241または態様242記載の組成物;および
(ii)対象に組成物を投与するための指示書
を含む、製造物品。
270. 組成物中の総受容体+/CD8+細胞の少なくとも80%がCD57-であり、組成物中の総受容体+/CD4+細胞の少なくとも80%がCD57-である、組み換え受容体を発現しているCD4+ T細胞および組み換え受容体を発現しているCD8+ T細胞を含む、治療用T細胞組成物。
271. 組成物中の細胞の少なくとも80%もしくは少なくとも約80%、少なくとも85%もしくは少なくとも約85%、少なくとも90%もしくは少なくとも約90%、少なくとも95%もしくは少なくとも約95%、少なくとも96%もしくは少なくとも約96%、少なくとも97%もしくは少なくとも約97%、少なくとも98%もしくは少なくとも約98%、少なくとも99%もしくは少なくとも約99%、約100%、または100%が、CD4+ T細胞およびCD8+ T細胞である、態様270記載の治療用T細胞組成物。
272. 組成物中の総受容体+/CD3+細胞の少なくとも80%がCD57-である、組み換え受容体を発現しているCD3+ T細胞を含む治療用T細胞組成物。
273. 組成物中の細胞の少なくとも80%もしくは少なくとも約80%、少なくとも85%もしくは少なくとも約85%、少なくとも90%もしくは少なくとも約90%、少なくとも95%もしくは少なくとも約95%、少なくとも96%もしくは少なくとも約96%、少なくとも97%もしくは少なくとも約97%、少なくとも98%もしくは少なくとも約98%、少なくとも99%もしくは少なくとも約99%、約100%、または100%がCD3+ T細胞である、態様272記載の治療用T細胞組成物。
274. 組成物中の受容体+/CD4+ T細胞対受容体+/CD8+ T細胞の比が、約1:3~約3:1である、態様270~273のいずれか記載の治療用T細胞組成物。
275. 組成物中の受容体+/CD4+ T細胞対受容体+/CD8+ T細胞の比が、1:1または約1:1である、態様270~274のいずれか記載の治療用T細胞組成物。
276. 組み換えタンパク質が、疾患、障害、または状態の細胞または組織に関連する、それに特異的である、および/またはそれに発現される標的タンパク質に結合することができる組み換え受容体であるまたはそれを含む、態様270~275のいずれか記載の治療用組成物。
277. 組み換えタンパク質がキメラ抗原受容体(CAR)である、態様270~276のいずれか記載の治療用組成物。
278. 組成物中の生存T細胞の数が、10×106個または約10×106個から、200×106個または約200×106個であり、任意で、組成物中の生存T細胞の数が、10×106個もしくは約10×106個から、100×106個もしくは約100×106個、10×106個もしくは約10×106個から、70×106個もしくは約70×106個、10×106個もしくは約10×106個から、50×106個もしくは約50×106個、50×106個もしくは約50×106個から、200×106個もしくは約200×106個、50×106個もしくは約50×106個から、100×106個もしくは約100×106個、50×106個もしくは約50×106個から、70×106個もしくは約70×106個、70×106個もしくは約70×106個から、200×106個もしくは約200×106個、70×106個もしくは約70×106個から、100×106個もしくは約100×106個、または100×106個もしくは約100×106個から、200×106個もしくは約200×106個(各々両端の値を含む)である、態様270~277のいずれか記載の治療用組成物。
279. 組成物の体積が、1.0mL~10mL(両端の値を含む)、任意で、2mLもしくは約2mL、3mLもしくは約3mL、4mLもしくは約4mL、5mLもしくは約5mL、6mLもしくは約6mL、7mLもしくは約7mL、8mLもしくは約8mL、9mLもしくは約9mL、または10mLもしくは約10mL、または前述のいずれかの間の任意の値である、態様270~278のいずれか記載の治療用組成物。
【実施例
【0877】
XI. 実施例
以下の実施例は、例証を目的としてのみ含まれるものであって、本発明の範囲を限定することは意図されていない。
【0878】
実施例1:T細胞を操作するためのプロセス中のT細胞の拡大増殖、細胞生存率および細胞周期進入の変動性の評価
7人の例示的なドナー(ドナーA~G)からCD8+ T細胞を得て、刺激、CAR構築物をコードするレンチウイルスベクターでの形質導入および拡大増殖のための培養を伴う製造プロセスによってキメラ抗原受容体(CAR)を発現するように操作するか、類似の刺激および培養プロセスに供した。刺激および培養された細胞における細胞の拡大増殖、細胞生存率および細胞周期進入を評価した。
【0879】
操作された細胞組成物を生成するために、ヒトドナー白血球アフェレーシス試料から免疫親和性に基づく濃縮によってCD8+細胞を単離し、凍結保存した。その後、凍結保存した細胞組成物を融解し、抗CD3/抗CD28抗体コンジュゲート常磁性ビーズおよび組換えサイトカイン(例えば、IL-2、IL-7およびIL-15)の存在下の刺激条件下で細胞をおよそ24時間インキュベートすることによって刺激した。次いで、4人のドナー(ドナーD~G)由来の細胞を、キメラ抗原受容体(CAR)をコードする核酸を含有するウイルス調製物で形質導入した。形質導入後、細胞を、セ氏37度のインキュベーター内、組換えサイトカイン(例えば、IL-2、IL-7およびIL-15)の存在下で培養し、培地を毎日補充した。3人のドナー(ドナーA~C)由来の細胞は、形質導入に供さず、刺激後に組換えサイトカインの存在下で培養した。
【0880】
刺激の開始後およそ最大240時間総細胞数について細胞をモニタリングし、経時的な拡大増殖倍率を判定した。生存率を評価し、細胞を、細胞分裂の指標となるマーカー(Ki-67)について染色し、刺激の開始後72時間目にフローサイトメトリーによって分析した。
【0881】
図1A~1Dに示すように、異なるドナー由来のCD8+ T細胞間で、T細胞の拡大増殖(図1Aおよび1B)、細胞生存率(図1C)および細胞周期進入(図1D)の変動性を観察した。
【0882】
実施例2:細胞製造中のドナー由来細胞の刺激後のCD57+集団およびCD57-集団の特性評価
CD57+細胞およびCD57-細胞の表現型を、キメラ抗原受容体(CAR)を発現するように細胞を操作するために例示的な細胞製造プロセス中に特性評価した。
【0883】
3人の例示的なドナー(ドナーA~C)由来のCD8+ T細胞およびCD4+ T細胞を、実施例1に記載したものと類似しているが細胞の形質導入のない例示的なプロセスに供した。刺激の開始直後と刺激の開始後およそ最大216時間の刺激中の様々な時点で、細胞の試料を収集した。フローサイトメトリーによる分析のために、活性化に関連するマーカー(CD25およびCD69)、増殖能に関連するマーカー(CD57)、細胞分裂に関連するマーカー(Ki-67)、およびT細胞分化表現型(例えば、ナイーブ様T細胞、エフェクターT(TEFF)細胞、メモリーT細胞、セントラルメモリーT細胞(TCM)、エフェクターメモリーT(TEM)細胞、エフェクターメモリーRA T(TEMRA)細胞)に関連する様々な表面マーカーを含む様々なマーカーについて細胞を染色した。階層クラスタリング分析を実施して、CD57発現、Ki-67発現およびT細胞分化表現型の間の関連性を評価した。
【0884】
図2A~2Cに示すように、刺激の開始時に集団中にCD57+ T細胞が存在しており、CD57+細胞の割合は、刺激および培養の間に集団中で低下した(図2Aおよび2Bを参照のこと)。CD57+ T細胞の頻度は、刺激開始のおよそ48時間後に減少し、それは、一般に、T細胞の拡大増殖および生存率の増加と同時に起こった。刺激後、Ki-67の発現に基づき、CD8+ T細胞の一部だけが細胞周期に侵入した。Ki-67の発現は、刺激後、CD57+細胞間で実質的に増加しなかった。比較して、Ki-67+細胞の割合は、CD57-細胞間で実質的に増加した(図2Aおよび2Cを参照のこと)。CD8+細胞区画と対照的に、CD4+細胞間で、刺激の開始時にCD57+細胞が低レベルで存在しており、CD57+細胞の割合は、刺激および培養プロセスの終わりに近づくにつれて増加した(図2D)。この結果は、CD8+細胞区画がCD4+細胞区画よりも均質であり得るという観察と一致する。
【0885】
注目すべきことに、ドナー由来の組成物は、例示的な採取用閾値細胞数(採取基準)に達するのに必要な時間に変動があることを示し、これは、様々な免疫表現型マーカーの発現の変動に対応した。あるドナー由来の組成物は、採取基準に達するのに7日の培養時間しか必要なかった。対照的に、別のドナー由来の組成物は、採取基準に達するのに8日の培養時間を要した。2つのドナー組成物間のCD57発現、Ki-67発現、CD45RA発現およびCD27発現の分析(フローサイトメトリーによって判定したところ)を図2Eおよび2Fに示す。刺激直前の時間を表す時点t=0から開始して発現を分析した。図2Eに示すように、すべての評価時点で、採取基準に達するのに7日(「採取まで7日」)を要したドナー細胞組成物と比較して、採取基準に達するのに8日(「採取まで8日」)を要したドナー細胞組成物において実質的により高いCD57発現が観察された。図2Fに示すように、評価されたすべての時点で、7日を要する組成物由来の細胞は、8日を要する組成物由来の細胞と比較して、CD27+CD45RA+の頻度がより高いことを示した。8日を要する組成物由来の細胞は、すべての評価時点でCD27+細胞の頻度が実質的に低いことを示した。これらの観察は、出発材料中のCD27+細胞がより高頻度であることを示す細胞組成物が、培養プロセスの終了時にそのような細胞がより良好な拡大増殖およびより高頻度であることを示すという知見と一致する。
【0886】
図3Aに示すように、CD57+ T細胞は、刺激後、活性化の指標となるマーカー(CD69およびCD25)を発現することが観察された。CD57+細胞は、活性化に関連する表現型を示し、早期のプロセス段階を通して持続した。階層クラスタリング分析は、CD57+およびKi67- T細胞が、CD57-およびKi67+細胞(図3C)と比較して、より分化したエフェクター細胞集団に関連する表現型特性を呈した(図3B)ことを示した。Ki-67+集団は主に、CD27+CD28+であった細胞を含み、Ki67-集団は、CD57+細胞が濃縮されており、CD27-CD28-表現型に対応した。
【0887】
結果は、CD57+ T細胞が、刺激可能でありながら、より最終分化した細胞および低減した増殖能に関連する表現型を示したという観察と一致した。いくつかの局面では、CD27+ T細胞は、CAR T細胞製造プロセス中の拡大増殖される細胞の大部分に寄与することが観察された。比較して、CD57+ T細胞は、拡大増殖せず、最後の製造されたCAR T細胞組成物中の細胞に対する寄与は小さかった。いくつかの局面では、低減した増殖能を示し得る細胞集団中のCD57+細胞の存在は、T細胞製造プロセスを受けている細胞集団の変動および不均質性に寄与し得る。
【0888】
実施例3:インプット組成物中のCD57+細胞の頻度ならびに細胞の拡大増殖、生存率、刺激試薬およびサイトカインに対する効果
ドナーが一致したCD57+細胞およびCD57-細胞を含有するインプット組成物を特定の比で混合し、例示的な製造プロセスに供した。細胞組成物の細胞の拡大増殖および生存率を評価した。
【0889】
ドナー対象から得られたCD8+ T細胞の組成物から、免疫親和性に基づく濃縮によるCD57+細胞の陽性選択によって、CD57+CD8+ T細胞およびCD57-CD8+ T細胞を単離した。単離した集団の純度をフローサイトメトリーによって判定した。製造プロセスに対するCD57+ T細胞の異なる頻度の影響を評価するために、刺激する前に、単離したCD57+集団とCD57-集団を混合することによってCD57+細胞を以下の頻度で含有するインプット組成物を生成した:(1)CD57+細胞を100%;(2)CD57+細胞を75%;(3)CD57+細胞を25%;および(4)CD57+細胞を0%。異なる滴定インプット組成物を、抗CD3/抗CD28コンジュゲートビーズおよび組換えサイトカインとのインキュベーションによる刺激ならびにCARをコードする核酸を含有するウイルス調製物での形質導入を含む、実施例1に記載したものと類似した例示的なCAR発現細胞用製造プロセスに供した。刺激の開始後およそ最大288時間総細胞数および生存率について細胞を経時的にモニタリングした。刺激の開始後48時間目に細胞培養プレートのウェルの画像を得て、刺激試薬の存在下で細胞クラスタリングについて評価した。培養培地中のIL-2の濃度を、刺激の開始後24時間目および48時間目に評価した。
【0890】
図4Aに示すように、CD57+細胞をより高頻度で含有するインプット組成物は、CD57+細胞をより低い頻度で含有するインプット組成物と比較して、より遅い細胞拡大増殖を示し、例示的な採取用閾値細胞数(採取基準)に達するのにより長い培養時間を要し、より低い細胞生存率を示した。CD57+細胞を100%含有する組成物において非常に低い拡大増殖が観察されたか、拡大増殖は観察されなかった。一般に、インプット組成物中のCD57+細胞の頻度は、採取基準に達するのに必要な培養期間と関連することが観察された。図4Bに示すように、CD57+細胞をより高頻度で含有するインプット組成物はまた、刺激試薬(抗CD3/抗CD28抗体コンジュゲート常磁性ビーズ)の存在下で48時間目に細胞クラスターを形成し、このことは、細胞が刺激に対して応答性であったことを実証している。刺激の開始後24時間目および48時間目に、CD57+細胞をより低い頻度で含有するインプット組成物の培養物と比較して、培養培地中のIL-2の濃度が、CD57+細胞をより高頻度で含有するインプット組成物の培養物中でより低かったことが観察された(図4C)。
【0891】
結果は、インプット組成物中のCD57+細胞の頻度が総細胞拡大増殖および細胞生存率に影響を及ぼし得るという観察と一致した。CD57+細胞がより高頻度であるインプット組成物は、採取基準に達するのにより長い培養時間を要した。いくつかの局面では、刺激試薬を使用して刺激および占有が可能であったCD57+細胞は、この培養条件中に存在するIL-2を消費し、培養物中の細胞数に寄与することが観察された。これは、CD57+細胞の存在が、製造プロセス中、集団中の他の細胞に影響を及ぼし得ることを示した。
【0892】
実施例4:インプット組成物中のCD57+細胞の枯渇および培養期間に対する効果
CD57+細胞が枯渇したインプット組成物を例示的な製造プロセスに供し、採取基準に達する前の細胞の表現型および培養期間を評価した。
【0893】
4人の異なる対象からCD8+細胞を得て、それぞれ2つのアームに分けた。一方のアームでは、細胞組成物からCD57+細胞を枯渇させてインプット組成物(枯渇)を生成し、フローサイトメトリーによって純度を評価した。もう一方のアームでは、CD8+細胞を、CD57+細胞の枯渇のないインプット組成物(非枯渇)として使用した。枯渇インプット組成物および非枯渇インプット組成物を、抗CD3/抗CD28コンジュゲートビーズおよび組換えサイトカインとのインキュベーションによる刺激、CARをコードする核酸を含有するウイルス調製物での形質導入ならびに拡大増殖の条件下での培養を含む、実施例1に記載したものと類似した例示的なウイルス形質導入によるCAR発現細胞用製造プロセスに供した。刺激の開始直前に、細胞組成物の試料をKi67、CD3、CD57、CD27およびCD28について染色した。枯渇培養物および非枯渇培養物の例示的な採取基準に達する期間を評価した。採取基準は、およそ10倍の細胞の拡大増殖を意味した。
【0894】
図5Aに示すように、非枯渇インプット組成物は、様々な頻度のCD57細胞を示した。図5Bに示すように、CD27+ CD28+細胞の頻度は、非枯渇インプット組成物と比較して、枯渇インプット組成物間でより高かく、より一貫していた。4人のドナーの非枯渇および枯渇インプット組成物間のCD27発現についてのフロープロットを図5Cに示す。図5Cの上部パネルは、4人のドナーからの非枯渇試料由来のCD8+ T細胞が、様々なCD27発現度を呈したことを示す。対照的に、図5Cの下部パネルに示すように、インプット組成物からのCD8+CD57+細胞の枯渇は、同様に一貫したCD27発現から明らかなように、ドナー全体にわたって出発材料の一貫性を改善した。まとめると、これらの結果は、出発ドナー白血球アフェレーシス試料中のナイーブ様細胞またはセントラルメモリー細胞のドナー細胞間の変動を、CD57+細胞を枯渇させることによって改善することができることを実証する。
【0895】
T細胞の増殖および成長のマーカーであるKi67の発現を、刺激の開始後72時間目に、ドナーインプット組成物中の総CD3+ T細胞間で評価した。図5Dに示すように、Ki67発現は、非枯渇組成物と比較して、枯渇インプット組成物間でより高かった。
【0896】
図5Eに示すように、採取までの培養期間(刺激の開始から採取基準に達する時間まで)は、一般に、非枯渇インプット組成物と比較して、枯渇インプット組成物間でより短く、より一貫していた。1人の例示的なドナー由来の細胞の拡大増殖を、刺激後の様々な日の総T細胞によって評価して、図5Fに示す。結果から、刺激後の複数の時点で、非枯渇インプット組成物から拡大増殖された細胞の総数よりも枯渇インプット組成物から拡大増殖された細胞の総数が高いことが観察されたことが示される(図5F)。これらの知見は、枯渇集団が、分化細胞および総細胞の数がより多いことから、採取基準までの期間がより短いことを示し得るという観察と一致する。
【0897】
枯渇細胞および非枯渇細胞を例示的なキメラ抗原受容体(CAR)で形質導入した後、CAR発現細胞の割合を評価した。図5Gに示すように、枯渇ドナー組成物間のCAR発現細胞の割合は、非枯渇ドナー組成物間の抗CD19 CAR発現細胞の割合よりも一貫していた。この結果は、CD57+細胞の枯渇が、T細胞によるCAR発現の一貫性を改善し得るという観察と一致する。
【0898】
まとめると、結果は、CD57+細胞の選択された枯渇が、拡大増殖を改善し、採取基準に達するのに必要な培養期間を減少させたという観察と一致した。さらに、この知見は、CD57+細胞の枯渇が、様々なインプット組成物間で出発材料中の細胞(例えば、CD27+細胞)の表現型の変動を低下させ得ることを示す。いくつかの局面では、様々なインプット組成物間のCD57+ T細胞の存在および頻度の変動は、CAR T細胞製造プロセスに影響を及ぼし得、かつ、培養期間および細胞組成物の性質に変動をもたらし得る。いくつかの局面では、インプット組成物中のCD57+ T細胞の枯渇は、プロセス制御および製造されたCAR T 細胞組成物の一貫性を改善することができる。
【0899】
実施例5:非ホジキンリンパ腫(NHL)患者の末梢血中のCD57+CD8+ T細胞の頻度
非ホジキンリンパ腫(NHL)患者の末梢血由来の細胞を、CD57+発現およびT細胞分化表現型に関連する様々な表面マーカーについて評価した。
【0900】
臨床試験中のNHL患者からの白血球アフェレーシス試料由来のCD4+細胞およびCD8+細胞の別個の組成物を、免疫親和性に基づく濃縮によって単離し、凍結保存した。その後、単離された各細胞組成物に由来する細胞を融解し、抗CD3/抗CD28抗体コンジュゲート常磁性ビーズおよび組換えサイトカイン(例えば、IL-2、IL-7およびIL-15)の存在下の刺激条件下で細胞を別々に48時間インキュベートすることによって刺激した。刺激の開始後48時間目に、フローサイトメトリーによる分析のために、系統(CD4およびCD8)、増殖能(CD57)、細胞分裂(Ki-67)、およびT細胞分化表現型(例えば、ナイーブ様T細胞、エフェクターT(TEFF)細胞、メモリーT細胞、セントラルメモリーT(TCM)細胞)に関連するマーカーを含む様々なマーカーについて、細胞組成物由来の試料を染色した。階層クラスタリングを実施して、CD57+発現とT細胞分化表現型に関連する多様なマーカーとの間の関連性を評価した。
【0901】
図6Aに示すように、インプット組成物中のCD57+細胞の頻度は、異なるNHL患者由来のCD8+細胞間で変動した。図6Bに示すように、刺激の開始後48時間目に、CD57+CD8+細胞の割合とKi67+細胞の割合との間に一般的な逆相関が観察された。図6Cに示すように、階層クラスタリングは、メモリーT細胞およびエフェクターT細胞分化表現型によって識別されたクラスターを示し、これらの表現型クラスターは、CD57+ T細胞の頻度が高いか低いかのいずれかで試料をさらにクラスタリングした。
【0902】
ドナーインプット組成物由来のCD57+細胞の分析は、異なるT細胞分化免疫表現型を有する細胞間でKi67発現が変動したことを明らかにした。図6Dに示すように、Ki67を発現する生CD57+細胞の割合は、CD27-CD45RA+細胞において最も低く、CD27-CD45RA-細胞、CD27+CD45RA+およびCD27+CD45RA-細胞においてより高かった。
【0903】
別個のCD4+およびCD8+ドナー細胞組成物をKi67、CD27、CD45RAおよびCD57の発現について分析した。図6Eに示すように、CD8+CD57+細胞の割合の大半はCD27-CD45RA+であり、このことは、これらのT細胞が最終分化エフェクターメモリーRA(TEMRA)T細胞であったことを示している。CD4+CD57+細胞のかなりの割合はCD27-CD45RA-であり、これらの細胞がエフェクターメモリー(EM)T細胞であることと一致する。これらの知見は、CD57+ T細胞が、様々な免疫表現型の分化したエフェクターT細胞であることを実証している。
【0904】
結果は、NHL対象の末梢循環中のCD57+ T細胞の頻度が様々であるという観察と一致した。ドナー細胞から生成された細胞組成物の知見(先の実施例に記載されているとおり)と同様に、高いCD57発現は、低減した増殖能を有するより分化した細胞の指標となる表現型と関連することが観察された。
【0905】
実施例6:倍加数および細胞分化の患者応答との関係性
CD19に特異的なキメラ抗原受容体(CAR)を発現する自家T細胞を含有する例示的な治療用T細胞組成物を生成した。抗CD19 CARは、ネズミ抗体に由来する抗CD19 scFv(FMC63に由来する可変領域)、免疫グロブリン由来スペーサー、CD28に由来する膜貫通ドメイン、4-1BBに由来する共刺激領域、およびCD3ゼータ細胞内シグナル伝達ドメインを含有した。
【0906】
再発・難治性非ホジキンリンパ腫(NHL)を有する対象に投与するための細胞組成物を生成するために、対象から白血球アフェレーシスを介して自家細胞を単離した。白血球アフェレーシス試料を、CAR発現細胞の生成のためのプロセスに供した。プロセスは、自動洗浄を使用した細胞の洗浄とCD4+ T細胞およびCD8+ T細胞の精製のための免疫親和性に基づく選択を伴い、CD8+細胞が濃縮された組成物(中央値99%、四分位範囲(IQR)98~100%、細胞はCD8+であった)とCD4+細胞が濃縮された組成物(中央値99%、IQR 99~100%、細胞はCD4+であった)の2つを生じた。
【0907】
濃縮されたCD4+組成物およびCD8+組成物の細胞を、抗CD3/抗CD28常磁性ビーズで活性化し、次いで、これらを別々に、4-1BB共刺激ドメインを有する抗CD19 CARをコードするベクターを用いたレンチウイルス形質導入に供した。CARは、ネズミ抗体に由来する抗CD19 scFv、免疫グロブリンスペーサー、CD28に由来する膜貫通ドメイン、4-1BBに由来する共刺激領域、およびCD3ゼータ細胞内シグナル伝達ドメインを含有した。次いで、形質導入された集団を別々に、細胞拡大増殖のために組換えIL-2およびIL-15サイトカイン(および追加でCD4+ T細胞組成物用に組換えIL-7)の存在下でインキュベートした。拡大増殖の条件下でのインキュベーションは、揺動運動バイオリアクター内で約4倍の拡大増殖の閾値に達するまで行った。拡大増殖されたCD8+細胞およびCD4+細胞を別々に製剤化および凍結保存し、投与の前に保存した。ロット間および/または異なる患者、例えば異なる患者属性を有する患者に由来する細胞組成物間の細胞健常性の指標となるパラメータにおける変動を最小限に抑えるために、細胞をロット全体で一定の体積に保った。細胞産物は、狭い範囲の生存細胞濃度を示した(一対象群についての細胞組成物の評価に基づく、CD8+:中央値31×106個の細胞/mL、IQR 28~40×106個の細胞/mL、N=38;CD4+:中央値35×106個の細胞/mL、IQR 31~40×106、N=36)。
【0908】
生成されたT細胞組成物を、後述するように再発・難治性非ホジキンリンパ腫(NHL)を有する対象への投与に使用した。
【0909】
A. 治療用T細胞組成物の例示的な属性
後述する再発・難治性非ホジキンリンパ腫(NHL)を有する対象への投与に使用する生成された治療用T細胞組成物を、フローサイトメトリーを使用してCCR7およびCD27について評価した。また、代理マーカーとして使用されるCD4および短縮型受容体の表面発現レベルも評価した。
【0910】
生成された各治療用組成物について、また、生成された細胞組成物の倍加数を、アクリジンオレンジ(AO)およびヨウ化プロピジウム(PI)またはDAPIのいずれかを用いた二重蛍光染色によって、総有核細胞数(TNC)に基づき、次式を使用して決定した:
【0911】
図7は、治療用組成物の生産プロセスにおける倍加数とCD4+CAR+細胞のCD27+細胞の割合との間の相関関係を示す。CD8+ T細胞について類似の結果が観察された。結果は、一般に、治療用T細胞組成物を生成するためのプロセス中のより低い倍加数とCD27+細胞のレベルの増加が関連することを示す。理論に拘束されることを望まないが、結果は、操作されたT細胞の生産プロセスにおけるCD27+細胞の割合の増加が、プロセス中の限定された倍加によって影響され得るという観察と一致する。
【0912】
上述したものと実質的に同じプロセスにおける拡大増殖工程中のプロセス内播種密度をモデリングした研究は、比較的高い播種密度(例えば、0.35×10^6個の細胞/mLまたはより大きい)が、より低い播種密度(例えば、0.05×10^6個の細胞/mLまたはより小さい)と比較して、採取基準に達する集団倍加数を低下させる見込みがあることを実証した(図8A)。モデリングは、比較的高い播種密度(図8B)またはより短いプロセス期間(図8C)がまた、より低い播種密度またはより長いプロセス期間と比較して、アウトプット治療用T細胞組成物(例えば、薬品)中のCD27に陽性のCD8+CAR+ T細胞の割合を増加させる見込みがあることも明らかにした。これらのデータは、拡大増殖工程の開始時の細胞のより高い播種密度またはより短いプロセス期間が、操作された治療用T細胞組成物中のセントラルメモリー細胞の割合の増加をもたらし得るという知見と一致する。
【0913】
B. 抗CD19 CAR+ T細胞組成物の投与
上述した治療用CAR+ T細胞組成物を、臨床試験中の再発または難治性(R/R)侵攻型非ホジキンリンパ腫(NHL)を有する対象に投与した。具体的には、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、デノボもしくはインドレントリンパ腫からの形質転換型(NOS)、高悪性度B細胞リンパ腫(ダブル/トリプルヒットを含む)、慢性リンパ性白血病(CLL)または辺縁帯リンパ腫(MZL)から形質転換したDLBCL、原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫(PMBCL)および濾胞性リンパ腫グレード3b(FLG3B)を含めたR/R NHLの成人対象のコホートに、抗CD19 CAR発現T細胞組成物を投与した。フルコホート内の対象(不良パフォーマンスステータス(ECOG 2)、辺縁帯リンパ腫(MZL)および/または慢性リンパ性白血病(CLL、リヒター)から形質転換したDLBCLを有する対象を除く、かつ、原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫(PMBCL)、および濾胞性リンパ腫グレード3b(FLG3B)を有する対象(コアコホート)を除く)のコアサブセットについて転帰を別々に評価した。コアコホートは、DLBCL、NOSおよび形質転換型濾胞性リンパ腫(tFL)または高悪性度B細胞リンパ腫(ダブル/トリプルヒット)またはDLBCL組織学を有するMYCとBCL2および/もしくはBCL6の再構成を伴う高悪性度B細胞リンパ腫(ダブル/トリプルヒット)を有しかつ米国東海岸癌臨床試験グループパフォーマンスステータス(ECOG PS)が0または1である対象を含めた。この実施例において提示された時点での分析は、抗CD19 CAR発現細胞が投与されたフルコホートの合計91人の対象の評価に基づいた(88人(コアコホートから65人)が応答について評価され、91人(コアコホートから67人)が安全性について評価された)。
【0914】
抗CD19 CAR発現細胞を含有する凍結保存された細胞組成物を静脈内投与の前に融解した。およそ1:1の目標比で別々に投与される製剤化されたCD4+ CAR+細胞集団および製剤化されたCD8+ CAR+集団を投与することによって、治療用T細胞用量を規定の細胞組成物として投与した。対象に、以下のように、CAR発現T細胞の単回用量または二倍用量を投与した(各単回用量は、それぞれ、CD4+ CAR発現T細胞およびCD8+ CAR発現T細胞の別々の注入を介する):5×107個の総CAR発現T細胞を含有する用量レベル1(DL1)の単回用量、または1×108個の総CAR発現T細胞を含有する用量レベル2(DL2)の単回用量。いくつかの場合において、対象に、各用量がおよそ14日空けて投与されるDL1の二倍用量を投与し、1日目および14日目に投与した(投薬過誤が原因で不注意にも2用量スケジュールにより2回のDL2用量を受けた1人の対象を含む)。DL1およびDL2で投与された組成物についての用量レベルおよびT細胞サブセットの目標数を表E1に示す。そのコアコホートにおいて、34人の対象にDL1を投与し、27人の対象にDL2を投与した。
【0915】
(表E1)抗CD19 CAR T細胞を含有する細胞組成物についての目標用量レベルおよびT細胞サブセットの数
【0916】
表E2は、2つの用量レベルでのフルコホートおよびコアコホートについての全奏効および安全性転帰を示す。完全奏効(CR)を示した52%の対象を含め、客観的奏効率(ORR)は74%であった。任意のグレードのサイトカイン放出症候群(CRS)の発生率は35%で、1%が重度CRSであり;任意のグレードの神経毒性(NT)の発生率は19%で、1%が重度NTであった。
【0917】
(表E2)CAR+細胞投与後の奏効および安全性
a DL1D(用量レベル1、2用量スケジュール)で処置され、類似の転帰を有する4人の患者
b PD、死亡または28日間の再分類検査の事象を有する患者を含む。1人の患者については利用可能な再分類検査がなかった。
c 適合CAR発現細胞産物の少なくとも1用量をデータスナップショット日の28日前に受けたまたは死亡したすべての対象を含む。
【0918】
C. 抗CD19 CAR発現T細胞の細胞属性と応答との間の関連性
治療用組成物中のCAR+ T細胞のある特定の表現型属性と臨床応答転帰に関連するパラメータとの間の関係性を評価した。組成物中のメモリー表現型と機能との間の相関関係を、セントラルメモリーサブセット組成と観察されたCAR+細胞のインビボ拡大増殖ピーク(ρ=0.42、P=0.002)および無増悪生存率(PFS)(カプランマイヤー生存推定値、P=0.0164)との間の正の相関関係に変換した。図9A~9Dは、CAR+ T細胞組成物を投与した対象についてのカプランマイヤー生存曲線を、CD4+ CAR+ T細胞間(無増悪生存率について図9A、応答期間について図9C)およびCD8+ CAR+ T細胞間(無増悪生存率について図9B、応答期間について図9D)である特定の閾値レベルを上回るまたは下回る頻度のCCR7+CD27+ CAR+ T細胞を含有する組成物が投与された群に分割して示す。組成物中のCCR7+CD27+メモリー細胞の頻度がより高いこととより長い無増悪生存率が相関していることが観察された。
【0919】
単変量解析は、治療用T細胞組成物の生産プロセス中のT細胞集団倍加(PDL)と非ホジキンリンパ腫(NHL)患者における無増悪生存率(PFS)の確率との間の逆の相関関係を明らかにした。図10は、CD8+/CAR+ T細胞中のPDLの数が「多い」(>6 PDL)または「少ない」(<6 PDL)患者の最適分割ログランク検定に基づいたPFS曲線を示す。この結果は、治療用T細胞組成物の生産プロセスにおけるT細胞の集団倍加数を制限し得る因子が、永続性のある無増悪生存率を示す対象の可能性を改善し得るという知見と一致する。
【0920】
実施例7:治療用細胞組成物の生産プロセスにおける選択された(インプット)細胞組成物の特徴の評価
実施例6に記載のプロセスによって抗CD19 CARで操作する前に、再発・難治性非ホジキンリンパ腫(NHL)を有する対象から選択されたT細胞の表現型属性を評価した。複数の対象由来のヒト末梢血単核細胞(PBMC)の白血球アフェレーシスから免疫親和性に基づく濃縮によって、CD4+ T細胞およびCD8+ T細胞を選択した。そのような選択されたT細胞の組成物(遺伝子操作する前、「操作前組成物」と称される)を、C-Cケモカイン受容体タイプ7(CCR7)、CD27およびCD45RAを含め、エフェクターメモリーまたはセントラルメモリー細胞サブタイプなどのある特定のT細胞サブタイプの指標となる細胞表面マーカーの発現について評価した。CD4またはCD8の表面発現も評価した。
【0921】
濃縮されたCD4+組成物およびCD8+組成物(例えば、インプット組成物)の評価は、セントラルメモリーT細胞サブセット上に存在するようなナイーブ様マーカーに陽性のT細胞(例えば、CD27+CD28+ T細胞)の割合が、NHL患者間で大きく変動したことを明らかにした(図11)。これらのデータは、CAR+ T細胞治療用T細胞組成物を生成するために使用される選択された(インプット)T細胞組成物において、患者間でセントラルメモリーT細胞サブセットのT細胞不均質性が存在することを示す。
【0922】
選択された(インプット)T細胞組成物を使用して、実質的に実施例6に記載したようにCD4+およびCD8+治療用T細胞組成物を生成した。また、実施例6に記載したように総有核細胞数(TNC)に基づき、生成された細胞組成物の倍加数も決定した。選択された(インプット)T細胞組成物中の細胞の表現型属性と治療用組成物の生産プロセスにおける倍加数との間の相関関係を判断した。図12に示すように、濃縮されたCD4+(インプット)組成物中のCD45RAおよびCCR7の陰性染色(CD45RA-CCR7-)によって特定されたエフェクターメモリーCD4+ T細胞の割合がより高いことと、治療用T細胞組成物の生産中の集団倍加数が正に相関した。類似の結果がCD8+ T細胞について観察された。
【0923】
上記結果は、操作されたT細胞組成物の生産プロセスにおいて使用されるインプット組成物中のエフェクターメモリーT細胞の割合を低下させることおよび/またはナイーブ様もしくはセントラルメモリー細胞サブセットのマーカーに陽性のT細胞を濃縮することを含むアプローチを支持している。上記結果と一致して、そのようなアプローチは、患者間変動性を低下させる、操作された治療用T細胞組成物の生産プロセスにおける集団倍加数を減少させるおよび/または対象が永続性のあるPFSを示し得る可能性を増加させるなど、操作された治療用T細胞組成物の1つまたは複数の特徴を改善し得る。
【0924】
実施例8:非拡大増殖および拡大増殖操作プロセスの動力学
ヒトT細胞(CD4+およびCD8+)を、キメラ抗原受容体(CAR)を用いて、拡大増殖のための培養工程を含まなかったプロセス(非拡大増殖コホート)および拡大増殖のための培養工程を含めたプロセス(拡大増殖コホート)を含む多様な製造プロセスによって操作した。様々なプロセスによる製造ラン中および製造ラン後に生産された細胞の合成解析を行った。操作されたT細胞組成物を生産するための製造ランは、実施例8に記載されるような大規模ランならびに後述するようなプロセスを含めた。製造ランはまた、製造ランと実質的に同じに行われたが細胞の操作プロセスにおいてより少数のT細胞を使用した縮小モデル(SDM)も含んだ。一般に、縮小製造ランは、表E3に記載のプロセスアクティビティを共有した。
【0925】
分析されたプロセスでは、抗CD19 CARまたは抗BCMA CARのいずれかでT細胞を操作した。例示的な抗CD19 CARは、ネズミ抗体FMC63に由来する抗CD19 scFv、免疫グロブリンスペーサー、CD28に由来する膜貫通ドメイン、4-1BBに由来する共刺激領域、およびCD3ゼータ細胞内シグナル伝達ドメインを含有した。ベクターはまた、T2A配列によってCAR構築物から分離されたCAR発現の代理マーカーとして役立つ短縮型受容体分子もコードした。例示的な抗BCMA CARは、BCMAに特異的なscFv抗原結合ドメイン、CD28膜貫通領域、4-1BB共刺激シグナル伝達領域、およびCD3ゼータ由来細胞内シグナル伝達ドメインを含有した。ベクターはまた、T2A配列によってCAR構築物から分離されたCAR発現の代理マーカーとして役立つ短縮型受容体分子もコードした。
【0926】
プロセスは、抗CD3/抗CD28常磁性ビーズまたは抗CD3/抗CD28 Fabコンジュゲートオリゴマーストレプトアビジンムテイン試薬のいずれかでT細胞を刺激することを含めた。オリゴマー試薬は、STREP-TACTIN(登録商標)M2と称されるストプトアビジンムテインのポリマー(SEQ ID NO:73に示されるアミノ酸のムテイン配列を含有するストプトアビジンホモテトラマー(国際公開出願番号WO2018/197949))を含有した。ストレプトアビジンムテインはまた、米国特許第6,103,493号およびVoss and Skerra (1997) Protein Eng., 1:975-982、およびArgarana et al. (1986) Nucleic Acids Research, 1871-1882に記載されている。刺激作用物質(抗CD3および抗CD28 Fab断片)を、オリゴマーストレプトアビジンムテイン試薬への可逆的結合によって多量体化した。抗CD3および抗CD28 Fab断片を、各Fab断片に融合したストプトアビジンペプチド-結合パートナーを介してストレプトアビジンムテインオリゴマーに可逆的に結合させた。抗CD3 Fab断片は、ハイブリドーマ細胞株OKT3(ATCC(登録商標)CRL-8001(商標);米国特許第4,361,549号も参照のこと)によって生産されたCD3結合モノクローナル抗体に由来し、Arakawa et al J. Biochem. 120, 657-662 (1996)に記載の抗CD3抗体OKT3の重鎖可変ドメインおよび軽鎖可変ドメインを含有した。これらの配列は、SEQ ID NO:93および94にそれぞれ示される。抗CD28 Fab断片は、抗体CD28.3(GenBankアクセッション番号AF451974.1の合成単鎖Fv構築物として寄託;Vanhove et al., BLOOD, 15 July 2003, Vol. 102, No. 2, pages 564-570も参照のこと)に由来し、SEQ ID NO:91および92にそれぞれ示される抗CD28抗体CD28.3の重鎖可変ドメインおよび軽鎖可変ドメインを含有した。Fab断片は個々に、その重鎖のカルボキシ末端で、アミノ酸
の配列を有する2つのストレプトアビジン結合モジュールの連続配置を含有するストプトアビジンペプチド結合配列に融合された。ペプチドタグ化Fab断片を組換え生産した(国際特許出願公開番号WO 2013/011011およびWO 2013/124474を参照されたい)。ペプチドタグ化抗CD3および抗CD28のオリゴマーストレプトアビジンムテイン試薬への結合は、D-ビオチンの添加によって分断するか解くことができる。D-ビオチンは、ストレプトアビジンムテイン上の結合パートナーへの結合に関して試薬上のstrepタグと競合し、それによって結合を分断する。
【0927】
製造ランの途中の様々な時間および終了時に細胞を収集し、計数し、CD4、CD8、CCR7、CD27およびCD45RAを含む表面マーカーを認識する抗体で染色した後フローサイトメトリーによって生存率を評価した。
【0928】
(表E3)
【0929】
A. T細胞操作プロセス
出発細胞供給源(凍結保存されたアフェレーシスまたは新鮮アフェレーシス)、オリゴマー刺激試薬の濃度および刺激に使用される細胞数を含め様々な特徴が異なる種々の非拡大増殖プロセスを使用して生産されたT細胞組成物を比較した。拡大増殖のために細胞をさらに培養したT細胞組成物も生産した。健常ドナーまたは患者ドナーに対してプロセスを行った。
【0930】
1. 非拡大増殖プロセス
ヒトドナーから白血球アフェレーシス試料を収集し、洗浄した。凍結保存しなかった白血球アフェレーシス試料から、免疫親和性に基づく選択によってCD4+細胞およびCD8+細胞を直接選択した。選択後、別々のCD4+ T細胞組成物およびCD8+ T細胞組成物を凍結保存し、次いで融解し、次いで、選択したCD4+ T細胞およびCD8+ T細胞を生存CD4+ T細胞:生存CD8+ T細胞比1:1で混合して、インプット組成物を生産した。混合したインプット細胞組成物由来の約600×106個の細胞(約300×106個のCD4+および300×106個のCD8+)を、この実施例で上述したとおり生成した0.8μg/1×106個の細胞の抗CD3/抗CD28 Fabコンジュゲートオリゴマーストレプトアビジンムテイン試薬とのインキュベーションによって刺激した。基本培地(例えば、CTS(商標)OpTmizer basal media, Thermo Fisher)、T細胞サプリメント(例えば、2.6% OpTmizer(登録商標)T-cell Expansion Supplement, Thermo Fisher)、免疫細胞血清代替品(例えば、2.5% CTS(商標)Immune Cell Serum Replacement)、2mM L-グルタミン、ジペプチド形態のL-グルタミン(例えば、1.0% Glutamax(商標), Thermo Fisher)、組換え100IU/mL IL-2、組換え600IU/mL IL-7、および組換え100IU/mL IL-15を含有する無血清完全培地中で18~30時間(24±6時間)刺激を行った。刺激後、最大300×106個の細胞を、例示的な抗BCMA CARまたは例示的な抗CD19 CARのいずれかをコードするレンチウイルスベクターを用いたスピノキュレーションによって形質導入した。
【0931】
スピノキュレーション後、細胞を、2mMグルタミンを含むが組換えサイトカインを添加していない基本培地(例えば、CTS(商標)OpTmizer basal media, Thermo Fisher)中で洗浄して、最大約0.75×106個の細胞/mLの密度で再懸濁し、約37.0℃のインキュベーター内でインキュベートした。刺激の開始の約48時間±6時間後(インキュベーションを開始した約24時間後)、1.0mM D-ビオチンを加え、細胞と混合して、オリゴマーストレプトアビジン試薬から抗CD3 Fab試薬および抗CD28 Fab試薬を解離させた。細胞を追加で約48時間(刺激の開始の約96時間±6時間後またはプロセスの5日目まで)さらにインキュベートし、次いで、凍結保護物質と共に製剤化した。
【0932】
別のプロセスでは、ヒトドナーから白血球アフェレーシス試料を収集し、洗浄して凍結保存した。凍結保存した白血球アフェレーシス試料を融解し、免疫親和性に基づく選択によって各試料からCD4+細胞およびCD8+細胞の別個の組成物を選択し、次いで、生存CD4+ T細胞:生存CD8+ T細胞比が変動した最大約900×106個の生存CD4+ T細胞およびCD8+ T細胞のインプット組成物を生産することを目標に、CD4+ T細胞およびCD8+ T細胞を混合した。混合したインプット細胞組成物を、この実施例で上述したとおり生成した1.2μg/1×106個の細胞の抗CD3/抗CD28 Fabコンジュゲートオリゴマーストレプトアビジンムテイン試薬(この場合、オリゴマー刺激試薬1.2μgは、オリゴマー粒子0.9μgおよび抗CD3 Fab 0.15μgおよび抗CD28 Fab 0.15μgを含む)とのインキュベーションによって刺激した。上述した同じ無血清完全培地中で16~24時間(20±4時間)刺激を行った。刺激後、最大約600×106個の細胞を、CAR(この場合、上述した同じ例示的な抗BCMA CARまたは例示的な抗CD19 CAR)をコードするレンチウイルスベクターを用いたスピノキュレーションによって形質導入した。この研究では、より高濃度のオリゴマーストレプトアビジンムテイン試薬とインキュベートした細胞は、改善された形質導入効率を示した(データ示さず)。このプロセスではスピノキュレーション後、細胞を、2mMグルタミンおよび2.6% T細胞サプリメント(例えば、2.6% OpTmizer(登録商標)supplement, Thermofisher)を含むが組換えサイトカインを添加していない基本培地((例えば、CTS(商標)OpTmizer basal media, Thermo Fisher)中で洗浄して、0.75×106個の細胞/mLの密度で再懸濁し、約37.0℃のインキュベーター内でインキュベートした。刺激の開始の約48時間±6時間後(インキュベーションを開始した約24時間後)、1.0mM D-ビオチンを加え、細胞と混合して、オリゴマーストレプトアビジン試薬から抗CD3 Fab試薬および抗CD28 Fab試薬を解離させた。細胞を追加で約48時間(刺激の開始の約96時間±6時間後またはプロセスの5日目まで)さらにインキュベートし、次いで、凍結保護物質と共に製剤化した。
【0933】
2. 拡大増殖プロセス
一プロセスでは、上述した非拡大増殖プロセスによって抗CD19 CAR T細胞を操作した。
【0934】
別のプロセスでは、ヒト白血球アフェレーシス試料からCD4+細胞およびCD8+細胞の別個の組成物を選択し、クライオ凍結した。その後、選択した細胞組成物を融解し、生存CD4+ T細胞:生存CD8+ T細胞比1:1で混合した。混合した組成物のおよそ300×106個のT細胞(150×106個のCD4および150×106個のCD8+ T細胞)を、組換えIL-2、IL-7およびIL-15を含有する無血清培地中、抗CD3抗体および抗CD28抗体が付着した常磁性ポリスチレンコートビーズの存在下、ビーズ:細胞比1:1で18~30時間刺激した。インキュベーションに続いて、刺激した細胞組成物由来のおよそ100×106個の生存細胞を、組換えIL-2、IL-7およびIL-15を含有する無血清培地中で濃縮した。細胞を、例示的なCAR(この場合、上述した例示的な抗BCMA CAR)をコードするレンチウイルスベクターを用いたおよそ1600gで60分間のスピノキュレーションによって形質導入した。スピノキュレーション後、細胞を組換えIL-2、IL-7およびIL-15を含有する無血清培地中に再懸濁し、約37℃で約18~30時間インキュベートした。次いで、細胞を、バイオリアクター(例えば、揺動運動バイオリアクター)に移すことによる拡大増殖のために、インキュベーション工程および形質導入工程中に使用した2倍の濃度のIL-2、IL-7およびIL-15を含有する例示的な無血清培地約500mL中で培養した。一定の生存細胞密度に達したら、かん流を開始し、その際、継続的に混合しながら半連続かん流によって培地を交換した。翌日、バイオリアクター内で約3×106個の細胞/mLの閾値細胞密度に達するまで細胞を培養し、この密度は、典型的には6~7日の拡大増殖を含む過程で生じた。磁場に曝露させることによって、抗CD3および抗CD28抗体コンジュゲート常磁性ビーズを細胞組成物から除去した。次いで、細胞を収集し、製剤化して、凍結保存した。
【0935】
B. プロセス測定基準
総生細胞(図13A)および生存率(図13B)などのプロセス測定基準を製造ラン中にモニタリングした。図13Aに示すように、5日目の時点で最小の細胞拡大増殖が観察され、5日目以降ロバストな拡大増殖が始まった。図13Bは、製造ラン中の細胞生存率の初期の減少を示し、プロセスの5日目以降、細胞が拡大増殖を開始したときに増加し始める。
【0936】
製造ラン中の異なる時点でのメモリー/分化表現型の比較の結果を図13C(CD5RAおよびCCR7発現による)および図13D(CD27およびCCR7発現による)に示す。示すように、製造ラン中早期の細胞の評価から、約5日目の細胞は、プロセス中のより早期(例えば1日目または2日目)の細胞またはプロセス中のより後期(例えば9日目)の細胞の両方と比較して、CCR7+CD45RA-細胞またはCCR7+CD27+細胞などのより分化の少ない細胞タイプが実質的により濃縮されていることが示される。CD57+細胞の数を製造プロセスの期間にわたって分析した。図14に示すように、CD8+CD57+細胞の数は、製造プロセスの過程を通して減少した一方で、CD4+CD57+細胞の数は全体を通して低いままであった。
【0937】
本発明は、例えば、本発明の様々な局面を例証するために提供される特定の開示された態様に範囲が限定されるものと意図されない。記載された組成物および方法に対する様々な改変は、本明細書における説明および教示から明らかになるであろう。そのような変形は、本開示の真の範囲および趣旨から逸脱することなく実践することができ、本開示の範囲内に含まれるものと意図される。
【0938】
配列
図1
図2-1】
図2-2】
図2-3】
図2-4】
図3-1】
図3-2】
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図5G
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図7
図8
図9-1】
図9-2】
図10
図11
図12
図13A
図13B
図13C
図13D
図14
【配列表】
0007604366000001.app