(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-13
(45)【発行日】2024-12-23
(54)【発明の名称】外科用器具装着型ディスプレイシステム
(51)【国際特許分類】
A61B 34/20 20160101AFI20241216BHJP
【FI】
A61B34/20
(21)【出願番号】P 2021533581
(86)(22)【出願日】2019-12-04
(86)【国際出願番号】 IB2019060444
(87)【国際公開番号】W WO2020121126
(87)【国際公開日】2020-06-18
【審査請求日】2022-09-30
(32)【優先日】2018-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513069064
【氏名又は名称】デピュイ・シンセス・プロダクツ・インコーポレイテッド
【住所又は居所原語表記】325 Paramount Drive, Raynham MA 02767-0350 United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】マータ・マリオ
【審査官】鈴木 敏史
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-502180(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0073136(US,A1)
【文献】特表2007-518540(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0267353(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 34/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科用器具アセンブリであって、
プロセッサと、
解剖学的構造に作用するように構成され、前記解剖学的構造への進入点から解剖学的物質を抜去するように構成された切断先端部を有する切断器具を備える、外科用器具と、
前記プロセッサに結合され、かつ前記外科用器具に取り付けられたディスプレイであって、前記ディスプレイが、前記解剖学的構造のX線データを表示するように構成されており、前記X線データが、撮像装置によって生成されたものである、ディスプレイと、
前記プロセッサと通信するメモリであって、前記プロセッサの実行時に、前記プロセッサに、1)前記解剖学的構造の縁部に基づき前記解剖学的構造の長さ方向に沿った軸線を決定させ、2
)前記解剖学的構造への
前記進入点を規定する軌道の表現
と、前記軸線とが互いに重なり合うように、前記軌道の前記表現を決定させる命令が記憶されている、メモリと、を備え、
前記ディスプレイが、前記軌道の前記表現を表示するために、前記解剖学的構造の前記X線データ上に前記軌道の前記表現をオーバーレイするように更に構成されている、外科用器具アセンブリ。
【請求項2】
前記ディスプレイが、前記解剖学的構造の前記軸線を表示するために、前記解剖学的構造の前記X線データ上に前記軸線をオーバーレイするように更に構成されている、請求項1に記載の外科用器具アセンブリ。
【請求項3】
前記メモリが、前記解剖学的構造に特化した技術情報と、前記プロセッサの実行時に、前記プロセッサに、前記技術情報に基づいて前記軌道の前記表現も決定させる更なる命令と、を更に記憶している、請求項1に記載の外科用器具アセンブリ。
【請求項4】
前記技術情報が、特定のインプラントに特化したものである、請求項3に記載の外科用器具アセンブリ。
【請求項5】
前記メモリが、前記プロセッサの実行時に、前記プロセッサに、前記解剖学的構造の境界を識別させる命令を更に記憶しており、
前記ディスプレイが、前記解剖学的構造の前記境界を表示するために、前記解剖学的構造の前記X線データ上に前記境界をオーバーレイするように更に構成されている、請求項1に記載の外科用器具アセンブリ。
【請求項6】
前記メモリが、前記プロセッサの実行時に、前記プロセッサに、前記解剖学的構造の前記境界が変化する場合に前記解剖学的構造の前記軸線が変化するように、前記解剖学的構造の前記境界に基づいて前記解剖学的構造の前記軸線を決定させる命令を更に記憶している、請求項5に記載の外科用器具アセンブリ。
【請求項7】
前記解剖学的構造が、髄内管を含む骨であり、
前記外科用器具アセンブリが、前記骨に孔を穿孔するように構成されており、
前記軌道の前記表現が、前記髄内管と会合するように前記孔が穿孔され得る線を更に規定する、請求項1に記載の外科用器具アセンブリ。
【請求項8】
前記メモリが、前記プロセッサの実行時に、前記プロセッサに、新しい軌道の新しい表現を画定するために、前記軌道の前記表現を調節させる命令を更に記憶しており、
前記ディスプレイが、前記新しい軌道の前記新しい表現を表示するために、前記解剖学的構造の前記X線データ上に前記新しい軌道の前記新しい表現をオーバーレイするように更に構成されている、請求項1に記載の外科用器具アセンブリ。
【請求項9】
前記ディスプレイが、前記外科用器具アセンブリのユーザのためのオプションを表示するように構成されたユーザインターフェースを画定し、前記メモリが、前記プロセッサの実行時に、前記プロセッサに、前記ユーザが前記ユーザインターフェースの前記オプションのうちの少なくとも1つを作動させたことに応答して、前記軌道の前記表現を調節させる命令を更に記憶している、請求項8に記載の外科用器具アセンブリ。
【請求項10】
前記軌道の前記表現が、第1の視点からの前記軌道の第1の表現であり、前記メモリが、前記プロセッサの実行時に、前記プロセッサに、
前記解剖学的構造への前記進入点を規定する前記軌道の第2の表現を決定させる命令を更に記憶しており、前記第2の表現が、第2の視点からのものである、請求項1に記載の外科用器具アセンブリ。
【請求項11】
前記第1の視点が、前記第2の視点に対して実質的に垂直である、請求項10に記載の外科用器具アセンブリ。
【請求項12】
前記ディスプレイが、前記解剖学的構造の前記進入点に対する前記切断先端部の位置を表示するように更に構成されている、請求項10に記載の外科用器具アセンブリ。
【請求項13】
前記ディスプレイが、前記軌道の前記第1の表現及び前記軌道の前記第2の表現に対する前記切断器具の位置合わせの視覚的指示を提供するように更に構成されている、請求項10に記載の外科用器具アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用撮像と併せて使用され得るシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
Cアーム又は移動増強装置は、X線技術に基づく医療用撮像装置の一例である。Cアームという名前は、X線源とX線検出器とを互いに接続するために使用されるC字形状のアームに由来している。Cアーム装置などの様々な医療用撮像装置は、モニタ上に連続的なX線画像を示すタイプの医療用撮像であるX線透視法を実施することができる。X線透視法による処置中、X線源又はトランスミッタは、患者の身体を貫通するX線を放射する。X線検出器又は画像増強装置は、身体を通過するX線を、医療用撮像装置のモニタ上に表示される可視画像に変換する。Cアーム装置などの医療用撮像装置は、リアルタイムで高解像度X線画像を表示することができるため、医師は、手術中のいかなるときにも進行を監視することができ、したがって、表示された画像に基づいて適切な措置を取ることができる。しかしながら、画像を監視することは、特定の処置の間、例えば、患者の解剖学的構造だけでなく、医療用撮像装置のディスプレイにも注意を払わなければならない処置の間、困難となることが多い。例えば、医療専門家が医療用撮像装置のディスプレイを見ながらドリルを操作することを必要とする場合、ドリルビットを遠位ロッキング孔に位置合わせすることは困難となり得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
ある例において、外科用器具アセンブリは、プロセッサと、解剖学的構造に作用するように構成された外科用器具と、プロセッサに結合され、外科用器具に取り付けられたディスプレイと、を含む。ディスプレイは、解剖学的構造のX線透視データ、例えばX線画像又はビデオデータを表示するように構成され得る。X線透視データは、撮像装置によって生成される。外科用器具アセンブリは、プロセッサと通信するメモリを更に含むことができる。メモリは、その中に命令を記憶してもよく、その命令は、プロセッサによって実行されると、外科用器具アセンブリに、例えば無線通信チャネルを介して、撮像装置からX線透視データをリアルタイムで受信させるようにするものである。更に、外科用器具は、近位端部と、その近位端部の反対側にある作業端部と、を含むことができる。作業端部は、解剖学的構造に作用するように構成され得るものであり、ディスプレイは、外科用器具の近位の場所から作業端部とディスプレイの両方への視線を提供するように配置され得る。更にまた、ディスプレイは、撮像装置のX線トランスミッタから撮像装置のX線レシーバへのX線の進行方向に対する、外科用器具の切断器具の位置合わせの視覚的指示を提供するように構成され得る。
【0004】
別の例において、外科用器具アセンブリの加速度計は、医療用撮像装置のX線発生器からX線レシーバへのX線の進行方向を用いて較正される。外科用器具アセンブリは、ドリルビットを有するドリルを含むことができる。外科用器具アセンブリは、医療用撮像装置によって生成された解剖学的構造のX線画像を表示することができる。X線画像は、標的部位を含むことができる。ドリルビットの先端部は解剖学的構造上に配置され得るものであり、外科用器具アセンブリは、標的部位と共にドリルビットの先端部の位置の表現を表示することができる。外科用器具アセンブリは、静止領域と、ドリルビットの配向を表現する可動インジケータとを含む配向画像を更に表示することができ、ドリルは、可動インジケータが静止領域に対する所定の空間的関係を有するときの、X線の進行方向に配向される。ドリルビットの先端部が標的部位と位置合わせされている間、かつ可動インジケータが静止領域に対する所定の空間的関係を有している間に、解剖学的構造が穿孔され得る。
【0005】
更に別の例では、外科用器具アセンブリは、解剖学的構造に作用するように構成された外科用器具と、ディスプレイと、プロセッサであって、1)解剖学的構造の軸線を決定することと、2)軸線に基づいて、解剖学的構造への進入点を規定する軌道の表現を決定することと、を行うように構成されたプロセッサと、を含む。ディスプレイは、撮像装置によって生成された解剖学的構造のX線データを表示するように構成され得る。ディスプレイは、軌道の表現を表示するために、解剖学的構造のX線データ上に軌道の表現をオーバーレイするように更に構成され得る。ディスプレイはまた、解剖学的構造の境界を表示するために、解剖学的構造のX線データ上に境界をオーバーレイするように更に構成され得る。ある例では、解剖学的構造は、髄内(intramedullary、IM)管を含む骨であり、外科用器具アセンブリは、骨に孔を穿孔するように構成され、軌道の表現は、IM管と会合するように孔が穿孔され得る線を更に規定する。
【0006】
前述は、本開示の数個の態様を要約しており、本開示の完全な範囲を反映するものではない。本開示の更なる特徴及び利点は、以下の説明に示されているか、その説明から明らかになり得るか、又は本発明の実施によって習得され得る。更に、前述の概要及び以下の詳細な説明はいずれも、例示及び説明するものであり、本開示の更なる説明を提供するよう意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
前述の概要、並びに本開示の実施形態例の以下の詳細な説明は、添付の図面と共に読むことにより、よりよく理解されよう。本開示の実施形態例を図示する目的のために、図面が参照される。しかしながら、本出願が示される正確な配置及び手段に限定されないことを、理解しなければならない。図面は、以下のとおりである。
【
図1】例示的な実施形態による例示的な撮像システムを示し、例示的な撮像システムは、外科用器具アセンブリと電気通信する撮像装置を含む、図である。
【
図2A】外科用器具に取り付けられたディスプレイを含む、
図1に示す例示的な外科用器具アセンブリの斜視図である。
【
図2B】外科用器具に取り付けられたディスプレイを含む、
図1に示す例示的な外科用器具アセンブリの斜視図である。
【
図2C】例示的な外科用器具アセンブリの背面図である。
【
図2D】例示的な外科用器具アセンブリの側面図である。
【
図3】
図1に示す撮像システムで使用するための例示的な計算装置のブロック図である。
【
図4A】
図2A~
図2Dに示す外科用器具アセンブリによって表示され得る解剖学的構造の例示的なX線画像を示しており、X線画像は標的部位を含む、図である。
【
図4B】解剖学的構造の別の例示的なX線画像を示しており、解剖学的構造の標的部位に対する外科用器具アセンブリの切断器具の位置を示す、図である。
【
図4C】切断器具の先端部が標的部位の上に配置されている、解剖学的構造の別の例示的なX線画像を示す図である。
【
図5A】撮像装置のX線トランスミッタからX線レシーバへのX線の進行方向に対する切断器具の位置合わせの視覚的指示を示し、切断器具は第1の方向に対して位置合わせされていない、外科用器具アセンブリのディスプレイの例示的なスクリーンショットである。
【
図5B】X線の進行方向に対する切断器具の位置合わせの視覚的指示を示し、切断器具は、第1の方向に対して実質的に垂直な第2の方向に対して位置合わせされていない、外科用器具アセンブリのディスプレイの別の例示的なスクリーンショットである。
【
図5C】X線の進行方向に対する切断器具の位置合わせの視覚的指示を示し、切断器具はX線の進行方向と位置合わせされており、そのため切断器具とX線の進行方向は同じ配向を有している、外科用器具アセンブリのディスプレイの別の例示的なスクリーンショットである。
【
図6A】例示的な解剖学的構造及び外科用器具アセンブリの例示的な配向を示す、
図1に示す例示的な撮像システムを示す図である。
【
図6B】
図6Aに示す撮像システムにおける外科用器具アセンブリの別の例示的な配向を示す図である。
【
図7A】外科用器具アセンブリが、外科用器具に固定された1つのディスプレイ及び深さゲージを含む、別の実施形態による外科用器具アセンブリの斜視図である。
【
図7B】外科用器具アセンブリが、外科用器具に固定された1つのディスプレイ及び深さゲージを含む、別の実施形態による外科用器具アセンブリの斜視図である。
【
図9】切断器具が穿孔方向に沿って解剖学的構造を通って進んでいる、例示的な解剖学的構造の断面図である。
【
図10A】解剖学的構造の部分に対する切断器具の先端部の深さの視覚的表示を示す、外科用器具アセンブリのディスプレイの例示的なスクリーンショットである。
【
図10B】解剖学的構造の部分に対する切断器具の先端部の深さの視覚的表示を示す、外科用器具アセンブリのディスプレイの例示的なスクリーンショットである。
【
図11】外科用器具アセンブリのディスプレイの例示的な分割スクリーンショットであり、同時に、切断器具の位置合わせの視覚的表示及び切断器具の先端部の深さの視覚的表示を示す。
【
図12】外科用器具アセンブリのディスプレイの別の例示的なスクリーンショットであり、同時に、切断器具の位置合わせの視覚的表示及び切断器具の先端部の深さの視覚的表示と、切断器具の先端部の深さの視覚的表示と、解剖学的構造のX線画像における切断器具と、を示す。
【
図13】
図7Aに示す外科用器具アセンブリの斜視図であり、外科用器具アセンブリのディスプレイ上に表示される例示的なX線画像を示す。
【
図14A】外科用器具アセンブリのディスプレイの例示的なスクリーンショットであり、第1の視野又は前後方向(anteroposterior、AP)の視野からの解剖学的構造のX線画像を示し、ここで、X線画像は、特定の髄内(IM)釘打ち処置のために解剖学的構造に進入するように位置付けられた切断器具を含む。
【
図14B】外科用器具アセンブリのディスプレイの例示的なスクリーンショットであり、このスクリーンショットは、特定のIM釘打ち処置の軌道のAP境界及びAP表現をX線画像上にオーバーレイされた、
図14AのX線画像を含む。
【
図15】外科用器具アセンブリのディスプレイの例示的なスクリーンショットであり、このスクリーンショットは、軌道のAP表現に従って切断器具の位置を調節された
図14BのX線画像を含む。
【
図16】外科用器具アセンブリのディスプレイの例示的なスクリーンショットであり、
図15に示される解剖学的構造及び切断器具のX線画像を示すが、画像は、APの視野に代わる第2の視野又は横方向の視野からのものであり、このスクリーンショットは、特定のIM釘打ち処置の軌道の横方向境界及び横方向表現をX線画像上にオーバーレイされたX線画像を含む。
【
図17】外科用器具アセンブリのディスプレイの例示的なスクリーンショットであり、このスクリーンショットは、軌道の横方向表現に従って切断器具の位置を調節された
図16のX線画像を含む。
【
図18】外科用器具アセンブリのディスプレイの別の例示的なスクリーンショットであり、このスクリーンショットは、1)解剖学的構造のX線画像と、2)X線画像上にオーバーレイされた解剖学的構造の軸線及びX線画像上にオーバーレイされた軌道の表現と、を含み、軌道の表現は、例示的な実施形態によれば、軸線に対してある角度をなしてオフセットされる。
【
図19】外科用器具アセンブリのディスプレイの別の例示的なスクリーンショットであり、IM釘打ち処理に関連する例示的な技術情報を示す。
【
図20】
図7Aに示された外科用器具アセンブリの斜視図であり、外科用器具アセンブリのディスプレイ上に表示された第1及び第2の例示的なX線画像を示し、軌道の第1の表現が第1のX線画像上にオーバーレイされ、軌道の第2の表現が第2のX線画像上にオーバーレイされている。
【
図21】外科用器具アセンブリのディスプレイの別の例示的なスクリーンショットであり、このスクリーンショットは、種々の処置を実施するためのオプションを含んでいる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
医療専門家は、患者に対して様々な医療処置を実施するために、医療用撮像装置、例えばCアーム装置を使用し得る。例えば、医療専門家は、骨折を判定したり、外科的処置を案内したり、あるいは外科修復の結果を検証したりするために、撮像装置を使用し得る。Cアーム装置は、連続的でリアルタイムの動画の生成を可能にする、例えば、スポット撮像及びX線透視撮像を提供する。このような画像は、Cアーム装置のディスプレイに提供される。本明細書では、場合によって、Cアームシステムのディスプレイが医療専門家を適切に支援するような様式で配置されていないことが認識されている。本明細書に記載される様々な実施形態において、撮像装置によって提供される画像は、外科用器具に装着され得るディスプレイにリアルタイムで送信され、それにより、撮像装置によって提供されるX線透視撮像は、外科用器具の作業端部を医療専門家が操作し、見ているときに、医療専門家によって見られ得る。ディスプレイは画像をリアルタイムで受信することができ、そのことで、画像が撮像装置によって生成されるのと同時に、画像がディスプレイによって表示される。一例では、ディスプレイは、撮像装置によって提供されるX線透視画像を髄内(IM)釘打ち処置中に見ることができるように、外科用ドリルに取り付けられる。一実施形態では、IM釘打ち処置中に医療専門家を案内するために、位置合わせの適用をも、外科用ドリルに装着されたディスプレイによって行うことができる。ディスプレイは対話型であってもよく、IM釘打ち処理の様々な態様を支援し得る。例えば、ディスプレイは、所与のIM釘の適切な進入点軌道を決定及び有効化すること、並びにIM釘のための遠位係止ねじの適切な配置及び配向を決定及び有効化することを補助し得る。
【0009】
最初に、X線透視法は連続的なX線画像をモニタ上に示すタイプの医療用撮像であるため、X線透視データ、X線透視画像、ビデオデータ、及びX線画像という用語は、別段の指定がない限り、本明細書では互換的に用いられ得るが、それに限定するものではない。したがって、X線画像は、X線ビームが患者の解剖学的構造を通過するX線透視処置中に生成された画像を指し得る。更に、X線透視データは、X線画像、ビデオデータ、又はコンピュータ生成視覚表現を含み得ることが理解されよう。したがって、X線透視データは、静止画又は動画を含み得る。
【0010】
図1を参照すると、医療用撮像システム102は、医療用撮像装置104と、撮像装置104と電気通信する外科用器具アセンブリ202と、を含み得る。Cアーム装置であり得る医療用撮像装置104は、身体(例えば骨)にX線を透過させように構成されたX線発生器又はトランスミッタ106と、X線トランスミッタ106からのX線を受信するように構成されたX線検出器又はレシーバ108と、を含み得る。したがって、医療用撮像装置104は、X線トランスミッタ106からX線レシーバ108へのX線の進行方向128を画定し得る。X線トランスミッタ106は、X線レシーバ108に面する平坦な表面106aを画定し得る。医療用撮像装置104は、X線トランスミッタ106をX線レシーバ108と物理的に接続するアーム110を更に含み得る。医療用撮像装置104は更に、X線検出器108からのX線画像を表示するように構成された医療用撮像装置ディスプレイ112と通信し得る。場合によっては、ディスプレイ112がアーム110に対して固定位置に位し得るように、医療用撮像装置ディスプレイ112はX線検出器108に物理的に組み込まれ得る。
【0011】
医療用撮像装置104は、開示される主題の説明を容易にするためにCアーム装置として提示されており、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。更に、撮像システム102及び撮像装置104は、開示される主題の説明を容易にするために、それぞれ医療用撮像システム及び医療用撮像装置として提示されており、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。したがって、システム102などのシステムに加えて、あるいはその代わりに、本明細書に開示される実施形態を実施するために、他の装置、システム、及び構成が用いられ得るが、そのような全ての実施形態は本開示の範囲内で企図されることが理解されよう。本明細書では、ディスプレイ112の位置が医療専門家にとっての問題を生じ得ることが認識されている。例えば、場合によっては、医療専門家は、X線発生器106とX線検出器108との間に配置された患者を見ながら、ディスプレイ112によってレンダリングされた画像又はデータを見ることが必要となり得る。一例では、医療専門家は、近位ねじの配置に使用される照準アームなどの補助器具又は誘導システムが不十分であることが原因で、IM釘打ち処置中に遠位側のロックねじを配置する課題に直面し得る。遠位ねじは一般に、X線透視の誘導下にてフリーハンド技術で挿入される。フリーハンド技術は一般的に、真円技術(perfect circle technique)と呼ばれる。例えば、IM釘打ち処置中に真円が確立されると、放射線画像を使用している間に視認性が不足するため、ドリルビットを遠位ロッキング孔の軸線に適切に位置合わせすることが困難となり得る。不適切な位置合わせは、パイロット孔の穿孔中に移植片の破壊又は亀裂を生じさせる可能性があり、このことは結果として、移植片の破損、整復/固定不良、手術の遅延などを引き起こし得る。本明細書では更に、ディスプレイ112によってレンダリングされるX線画像の配向が患者の解剖学的構造の配向に一致しない場合があり、それによって医療専門家にとって更なる課題が生じることが認識されている。
【0012】
本明細書に記載された実施形態によって対処される技術的問題の別の例として、遠位側係止ねじが配置される前に、補助器具又は誘導システムが不十分であることが原因で、医療専門家がIM釘を配置する課題に直面し得る。IM釘は一般に、X線透視の誘導下にてフリーハンド技術で挿入される。しかしながら、不適切な配置により、患者に痛みが生じる場合がある。例えば、異なる骨及び異なるIM釘は、痛みを最小限に抑えるために、IM釘を異なる進入点及び異なる軌道で骨に挿入されることを必要とする。更に、例えば技術ガイドに相談することによって、特定の骨に対する適切な進入点及び軌道を決定するための現在のアプローチは、誤り又は遅延をもたらす可能性がある。本明細書に記載される様々な例では、外科用器具アセンブリは、IM釘打ち処置などの様々な操作中に医療専門家を案内及び支援するように構成され得る。
【0013】
図21を参照すると、ユーザは、ディスプレイ112によって表示され得る例示的なユーザインターフェース2100上のオプションを作動させることによって、1つ又は2つ以上の動作を選択することができる。例えば、ユーザは、IM穿孔操作を実施するために、IM軌道オプション2104を選択することができる。ユーザは、プレートを骨に固定することに関連付けられた操作を実施するために、プレート付けオプション2103を選択することができる。ユーザは、遠位係止ねじで釘を固定することに関連する操作を実施するために、釘打ちオプション2102を選択することができる。所望に応じて、代替又は追加のオプションがユーザインターフェース2100によってレンダリングされてもよいことが理解されるであろう。更に、オプションの作動により、特定の操作を通してユーザを案内するために、更なる表示がレンダリングされ得ることが理解されるであろう。
【0014】
ここで
図3を参照すると、一実施形態において、医療用撮像装置104によって提供されるデータ(例えば、ビデオ又は静止画)は、任意の好適な計算装置上で稼働され得るソフトウェア若しくはハードウェア又はそれら両方の組み合わせなどのプログラムであり得る器具アプリケーション、例えばX線透視鏡アプリケーションによって受信され得る。ユーザは、医療用撮像装置104によって生成された画像を見るために、器具アプリケーションを使用し得る。器具アプリケーションは、様々な部位で、例えば患者の視界と位置合わせされた部位で、X線透視画像を受信及び表示し得る。
【0015】
図2及び
図3を参照すると、任意の好適な計算装置204が、器具アプリケーションをホストするように構成され得る。計算装置204が任意の適切な装置を含んでもよく、その例には、ラップトップ、タブレット、若しくはスマートフォンなどの可搬式の計算装置が挙げられることが理解されよう。別の例において、計算装置204は、外科用器具203の内部にあってもよい。
【0016】
例示的な構成において、計算装置204は、処理部又はユニット206と、電源208と、入力部210と、ディスプレイ212と、メモリ部214と、ユーザインターフェース部216と、加速度計215と、を含む。計算装置204のブロック図による描写は一例であり、特定の実装及び/又は構成を示唆することを意図したものではないことを強調する。処理部206と、入力部210と、ディスプレイ212と、メモリ214と、ユーザインターフェース216と、加速度計215は、それらの間の通信を可能にするように共に結合され得る。加速度計215は、計算装置204の配向に対応する加速度計情報を生成するように構成され得る。理解されるであろうように、上述の構成要素のうちのいずれも、1つ又は2つ以上の別個の装置及び/又は位置にわたって分布されてもよい。
【0017】
様々な実施形態において、入力部210は、計算装置204のレシーバ、計算装置204のトランスミッタ、又はこれらの組み合わせを含む。入力部210は、情報、例えばX線透視データを医療用撮像装置104からリアルタイムで受信することが可能である。理解されるべきこととして、送信及び受信機能は、計算装置204に対して、したがって外科用器具アセンブリ202に対して外部にある1つ以上の装置によっても提供され得る。
【0018】
プロセッサの正確な構成及びタイプに応じて、メモリ部214は、揮発性(いくつかのタイプのRAMなど)、不揮発性(ROM、フラッシュメモリなど)、又はこれらの組み合わせであってもよい。計算装置204は、テープ、フラッシュメモリ、スマートカード、CD-ROM、デジタル多用途ディスク(DVD)若しくは他の光学記憶装置、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスク記憶装置若しくは他の磁気記憶装置、ユニバーサルシリアルバス(USB)互換メモリ、又は情報を記憶するために使用され得、かつ計算装置204によりアクセスされ得る任意の他の媒体を含むが、これらに限定されない、追加の記憶装置(例えば、リムーバブル記憶装置及び/又は非リムーバブル記憶装置)を含むことができる。
【0019】
計算装置204は、計算装置204とのユーザの通信を可能にするユーザインターフェース部216も含み得る。ユーザインターフェース216は、例えば、ボタン、ソフトキー、マウス、声で作動する制御装置、タッチスクリーン、計算装置204の移動、視覚的合図(例えば、計算装置204上のカメラの前で手を動かす)などによって計算装置204を制御する能力を提供する入力を含んでもよい。ユーザインターフェース部216は、視覚情報(例えば、ディスプレイを介して)、聴覚情報(例えば、スピーカーを介して)、機械的(例えば、振動機構を介して)、又はこれらの組み合わせを含む出力を提供してもよい。様々な構成において、ユーザインターフェース部216は、ディスプレイ、タッチスクリーン、キーボード、マウス、加速度計、動作感知器、スピーカー、マイクロホン、カメラ、チルトセンサ、又はこれらの任意の組み合わせを含んでもよい。ユーザインターフェース部216は、例えば、指紋情報、網膜情報、声情報、及び/又は顔の特徴情報などの生物測定情報を入力するための任意の好適な装置を更に含んでもよい。したがって、例えば計算装置204などのコンピュータシステムは、プロセッサと、プロセッサに結合されたディスプレイと、プロセッサと通信するメモリと、を含み得る。メモリは、内部に命令を記憶していてもよく、これらの命令は、プロセッサによって実行されると、本明細書に記載される動作などの動作をコンピュータシステムに実行させる。ディスプレイ212は、
図4A~
図4C、
図5A~
図5C、及び
図10A~
図18を参照して記載されるような視覚情報を表示するように構成されてもよい。
【0020】
図1及び
図3を参照すると、トランスミッタユニット114は、医療用撮像装置104に電気的に結合されてもよく、あるいは医療用撮像装置の一部であってもよい。トランスミッタユニット114は、画像、例えば、X線透視画像を含むビデオ信号を受信及び送信するように構成された任意の好適な計算装置であってよい。トランスミッタユニット114は任意の適切な装置を含んでよく、その例には、ラップトップ、タブレット、又はスマートフォンなどの可搬式の計算装置が挙げられることが理解されよう。
【0021】
特に
図3を参照すると、例示的な構成において、トランスミッタユニット114は、処理部又はユニット116と、電源118と、入力部120と、出力部122と、を含み得る。トランスミッタユニット114のブロック図描写は一例であり、特定の実装及び/又は構成を示唆することを意図したものではないことが強調される。処理部116、入力部120、及び出力部122は、それらの間の通信を可能にするように共に結合され得る。理解されるであろうように、上述の構成要素のうちのいずれも、1つ以上の別個の装置及び/又は位置にわたって分布されてもよい。
【0022】
様々な実施形態において、入力部120はトランスミッタユニット114のレシーバを含み、出力部122はトランスミッタユニット114のトランスミッタを含む。入力部120は、医療用撮像装置104、特に医療用撮像装置104の出力インターフェース105から、情報、例えばX線透視画像又はビデオデータを受信することが可能である。出力インターフェース105は、同軸出力部、USB出力部、構成要素出力部、無線出力部などを含み得る。理解されるべきこととして、送信及び受信機能もまた、医療用撮像装置104によって提供されてよい。一例では、トランスミッタユニット114は医療用撮像装置104の出力インターフェース105に電気的に結合されて、トランスミッタユニット114とディスプレイ112との間の有線又は無線電気接続を確立する。出力インターフェース105は、整合する入力モジュールを使用するより多くのビデオ出力コネクタを含み得る。一例では、組み込みオペレーティングシステム上で動作するプロセッサを含み得る処理部116は、信号、例えばX線透視画像を含むビデオ信号の存在を、医療用撮像装置104から検出し得る。処理部116は、外科用器具アセンブリ202に送信するために、必要に応じて信号を処理し得る。例えば、処理部116は、信号を送信するために使用される帯域幅を低減するために、信号を圧縮し得る。
【0023】
処理部116が必要に応じてビデオ信号に対する処理を実行した後、X線透視画像を含み得るビデオ信号は、トランスミッタユニット114の出力部122によって、計算装置204の入力部210に送信され得る。トランスミッタユニット114の出力部122は、所望に応じて、任意の通信プロトコルに従ってX線透視画像を送信するように構成され得る。例えば、出力部122が任意のZigBeeプロトコルに従って無線で(無線通信チャネルを介して)データを送信できるようにするため、出力部122は、ユニバーサルシリアルバス(USB)を介して処理部206に接続されるZigBeeモジュールを含んでもよい。出力部122は、所望により、Wi-Fi、Bluetooth、ブロードキャスト、又は任意の他の無線通信チャネルを介して、ビデオ信号、例えば、X線透視画像を送信し得る。
【0024】
したがって、装置204の入力部210は、医療用撮像装置104から無線通信チャネルを介して送信されるデータ又はビデオ信号、例えばX線透視画像を、リアルタイムで受信することができる。入力部210は、所望により、ZigBeeメッセージ、Wi-Fiメッセージ、Bluetoothメッセージ、ブロードキャストメッセージ、又は任意の無線プロトコルに従ってフォーマットされたメッセージを受信するように構成され得る。一例では、装置204の入力部210が医療用撮像装置104からX線透視画像を受信すると、その画像は、計算装置204の処理部206によって取得及び検証され得る。例えば、処理部206は、受信された画像が適切な医療用撮像装置からのものであることを検証し得る。画像は、例えば、その画像が検証されたときに、ディスプレイ212に転送され得る。処理部206はまた、有効なデータが表示されていることを確実にし得る。例えば、計算装置204と医療用撮像装置104との間の無線通信チャネル又は接続に中断が存在する場合、処理部206は、その中断を識別し、ディスプレイ212を見る医療専門家に中断が伝達されるように、ディスプレイ212にメッセージを送信し得る。場合によっては、プロセッサ206は、撮像装置104と外科用器具アセンブリ202との間の通信リンクの質が所定の閾値を下回ったときに、外科用器具アセンブリ202にエラーの指示をディスプレイ212上に表示させるようにし得る。したがって、トランスミッタユニット114と計算装置204との間の無線ポイントツーポイント通信チャネル又は接続が確立され得るが、この無線ポイントツーポイント接続は、物理層上の入力部210及び出力部122、並びにアプリケーション層における処理部116及び206によって管理され得る。
【0025】
ここで
図2A~
図2D、
図7A~
図7B、及び
図13を参照すると、医療用撮像システム102は、外科用器具203に装着された計算装置204を含み得る外科用器具アセンブリ202を含み得る。外科用器具203は、解剖学的構造体124などの解剖学的構造に作用するように構成され得る。外科用器具203は本体205を画定することができ、計算装置204は、所望により本体205の任意の位置に取り付けられてもよい。一例では、
図2A~
図2Dを参照すると、計算装置204は、ひいてはディスプレイ212は、マウント228によって支持され得る。マウント228は支持表面230を含み得るが、この支持面は、計算装置204を、ひいてはディスプレイ212を支持するものである。マウント228は、外科用器具203の支持表面230及び本体205に取り付けられたアーム232を更に含むことができ、それにより、ディスプレイ212は、外科用器具203の本体205に対して固定位置に位する。アーム232又は支持表面230は、ディスプレイ212の視角を調整するために回転するように構成され得る。マウント228は、ディスプレイが外科用器具203の操作に干渉しないように配置され得る。計算装置204は、所望により、外科用器具205に代替的に取り付けられ得ることが理解されよう。
【0026】
図7A、
図7B、及び
図8を参照すると、例えば、外科用器具アセンブリ202は、深さゲージ250を更に含み得る。深さゲージ250は、本明細書で更に説明するように、解剖学的構造に対して実行される穿孔操作の深さに関連するデータを測定し、決定し、送信するように構成された1つ以上のプロセッサを含み得る。いくつかの例では、深さゲージ250は、国際公開第2017/083992号に記載されている骨ねじの長さの決定に好適な測定装置に従って具現化され、この開示は、その全体が本明細書に記載されているかのように参照により組み込まれる。深さゲージ250は、代替的に具現化され得ることが理解されるであろう。深さゲージ250はディスプレイ212と通信することができる。深さゲージ250は、外科用器具203がドリルとして動作するときに外科用器具203の穿孔深さを測定するように構成され得る。深さゲージ250は、外科用器具203に対して固定位置で外科用器具203に固定され得る。深さゲージ250は、本体205に対して固定位置に固定されるように、外科用器具203の本体205に取り外し可能に取り付けられるか又は固定され得る。深さゲージ250は、本体205及び深さゲージ250に固定され得るアダプタ252によって支持され得る。アダプタ252は、外科用器具203が動作するときにアダプタ252、したがって深さゲージ250が本体250に対して固定位置に留まるように、本体205にクランプするために所望の大きさであり得る。一例では、アダプタ252は、例えば、アクチュエータ255を動かすことによって調整することができる。アクチュエータ255は、ノブなどとして構成され得る。例えば、アクチュエータ255を時計回り方向に回転させてアダプタ252を締め付けることができ、また、アクチュエータを反時計回り方向に回転させてアダプタ252を緩めることができる。
【0027】
深さゲージ250は、第1の端部又は前端部254aと、長手方向Lに沿って第1の端部254aの反対にある第2の端部又は後端部254bと、を画定する深さゲージ本体254を画定し得る。深さゲージ本体254は、第3の端部又は上端部254cと、長手方向Lに対して実質的に垂直な横断方向Tに沿って第3の端部254cの反対側にある第4の端部又は底端部254dと、を更に画定し得る。アダプタ252は、深さゲージ250の第4の端部254dに固定され得るが、深さゲージ250は、所望により、代替的にアダプタ252に固定され得ることが理解されるであろう。アダプタ252は、外科用器具203の本体205に圧入され得る。アダプタ252は、外科用器具203の本体205に固定されるクランプカラーを画定し得るが、アダプタ252は外科用器具203に代替的に固定され得ることが理解されるであろう。別の例では、深さゲージ250は、アダプタ252を使用せずに、外科用器具203に直接固定され得る。
【0028】
更に
図7A、
図7B、及び
図8を参照すると、深さゲージ250は、深さゲージ本体254から、例えば、深さゲージ本体254の第2の端部254bにおいて延在する深さゲージ部材256を更に含み得る。計算装置204は、計算装置本体204a、及び深さゲージ部材256に取り付けられるように本体204aから延在する計算装置部材258を更に画定し得る。計算装置部材258は、計算装置部材258が計算装置本体204aに対して固定位置にあり得るように一体化され得る、又は他の方法で計算装置本体204aに取り付けられ得る。更に、ディスプレイ212は、計算装置本体204aに対して固定位置にあり得る。したがって、ディスプレイ212は、計算装置部材258に対して固定位置にあり得る。計算装置部材258は、深さゲージ部材256に対して回転するように構成され得る。ある例では、計算装置部材は、横断方向Tと実質的に平行な軸線260を中心として回転するように構成される。したがって、ディスプレイ212は、横断方向Tと実質的に平行な軸線260を中心として回転するように構成され得る。例えば、ディスプレイ212は、操作が実施されている間にディスプレイ212の視角を調節するために、軸線260を中心として回転するように構成され得る。軸線260は、長手方向Lと横断方向Tの両方に対して実質的に垂直である横方向Aに沿って規定されるディスプレイ212の幅に対して中心に置かれ得る。ディスプレイ212は所望により代替の軸線を中心として回転するように構成され得ることが理解されるであろう。深さゲージ250の1つ以上のプロセッサは、計算装置204に、したがってディスプレイ212に通信可能に結合され得る。一例では、深さゲージ250は、計算装置204にデータを無線で送信するように構成されている。例えば、深さゲージ250は、Wi-Fiネットワークを介して計算装置204にリアルタイムデータを提供することができる。
【0029】
また、計算装置204は、代替的に外科用器具203と一体化され得ることも理解されよう。更に、外科用器具203は、例示を目的として外科用ドリルとして示されているが、計算装置204及び深さゲージ250は、多数の好適な代替的装置又は器具に装着され得るか、あるいはそれらと一体化され得ることが理解されよう。例えば、外科用器具アセンブリ202は、所望により、骨の領域若しくは解剖学的構造の他の部分を標的とし、医療用移植片を抜去する、骨切り術若しくは任意の他の処置、例えば蛍光透視法を用いる任意の他の処置を実施するように構成された器具又は機器を含み得る。したがって、解剖学的構造124は骨として提示されているが、外科用器具アセンブリが動作するように構成され得る構造は、骨に限定されないことが理解されよう。
【0030】
計算装置204は、したがって外科用器具アセンブリ202は、外科用器具に取り付けられ得るディスプレイ212を含み得る。ディスプレイ212は、撮像装置104によって生成された解剖学的構造124のX線透視画像を表示するように構成され得る。例示的な構成では、ディスプレイ212は解剖学的構造124のX線透視画像をリアルタイムで表示することができ、画像が撮像装置104によって生成されるのと同時に、解剖学的構造124の画像がディスプレイ212によって表示される。場合によっては、ディスプレイ212は、ひいては外科用器具アセンブリ202は、複数のディスプレイ、例えば、第1のディスプレイ212aと、第1のディスプレイ212aの配向と比較して異なる配向を有する第2のディスプレイ212bと、を含み得る。別の例示的な構成では、例えば
図7A、
図7B、
図8、及び
図13に示されるように、ディスプレイ212は、ひいては外科用器具アセンブリ202は、1つのディスプレイのみを含む。
【0031】
図2A~
図2D、
図7A~
図7B、及び
図13を参照すると、外科用器具203は、近位端部203b、及び近位端部203bの反対側にある作業端部203aを画定し得る。作業端部203aは、例えば、医療を受けている患者の構造、例えば、解剖学的構造124を操作するように、例えば、切断するか、穿孔するか、又は別の標的とするように構成され得る。ディスプレイ212は、近位端部203bに面し得る。ディスプレイ212、特に第1のディスプレイ212a及び第2のディスプレイ212bは、外科用器具203の近位の場所から作業端部203aとディスプレイ212の両方への視線をもたらすように配置され得る。したがって、場合によっては、例えば、医療専門家は、外科用器具203を操作している間に、外科用器具203のディスプレイ212と作業端部203aの両方を見ることができる。
【0032】
一例では、外科用器具203は、外科用器具203の本体205に隣接する近位端部226bと、切断器具226の近位端部226bの反対側にある切断先端部226aとを含む、切断器具226を含む。切断先端部226aは、切断器具226の近位端部226bとは反対側にある切断器具の末端部を画定することができる。切断器具226は、解剖学的構造、例えば解剖学的構造124から解剖学的物質を抜去するように構成され得る切断先端部226aを有することができる。図示の例において、切断器具226はドリルビットであり、切断先端部226aはドリルビットの先端部であるが、切断器具226などの器具に加えてあるいはそれに代わって、他の器具及び構成が、本明細書で開示される実施形態を実現するために使用されてもよく、そのような全ての実施形態が、本開示の範囲内に含まれるものとして企図されることを理解されたい。
【0033】
外科用器具アセンブリ202は、外科用器具203の本体205に装着された、例えば軸線位置合わせツールなどの位置合わせツール218を含み得る。位置合わせツール218は、代替的に外科用器具203と一体化され得ることも理解されよう。位置合わせツール218は、外科用器具203の本体205に堅固に取り付けられ得る。一例では、切断器具226は外科用器具203の作業端部203aに位置し、位置合わせツール218は外科用器具の近位端部203bに位置するが、位置合わせツール218は、所望により代替的に位置し得ることが理解されよう。位置合わせツール218は、外科用器具203に近接する第1の表面218aと、第1表面218aの反対側にある第2の表面218bと、を画定することができる。第2の表面218bは平坦な表面を画定することができ、したがって位置合わせツール218は平坦な表面を画定することができる。したがって、位置合わせツール218の第2の表面218bは、平面を画定することができる。切断器具226(例えば、ドリルビット)は、位置合わせツール218の第2の表面218bによって画定される平面に対して垂直に配向され得る。一例では、位置合わせツール218は、位置合わせツールの第2の表面218bによって画定される平面に対して垂直に配向されるピンを含む。そのピンは、外科用器具203の近位端部203bによって画定された孔で受容されるように構成され得る。外科用器具203の近位端部203bによって画定される孔は、切断器具226と平行な配向を有することができ、これにより、位置合わせツール218のピンが、位置合わせツール218の近位端部203bによって画定された孔によって受容されると、位置合わせツールの第2の表面218bは、切断器具226の配向に対して垂直な平面を画定する。
【0034】
更に
図4A~
図4Cを参照すると、解剖学的構造124のX線透視画像は、1つ以上の標的部位126を含み得る。標的部位126は、外科用器具203が穿孔、切断、又は別様に標的とし得る解剖学的構造124上の部位を表し得る。図示の例によれば、標的部位126は、骨内の移植片125、例えばIM釘又はロッドによって画定され得る。外科用器具アセンブリによって実施される例示的な動作は、開示される主題の説明を容易にするためにIM釘打ち動作として提示されているが、この例示的なIM動作は、本開示の範囲を限定することを意図したものではないことが理解されよう。したがって、外科用器具アセンブリ202は、例示的なIM釘打ち動作などの動作に加えて、あるいはその代わりに、他の動作を実施するために使用されてもよく、そのような全ての実施形態が本開示の範囲内で企図されることが理解されよう。
【0035】
ディスプレイ212は、とりわけ、IM釘打ち動作に関連するX線透視画像を表示することができる。更に、ディスプレイ212は、深さゲージ250に関連する画像又はデータを表示することができる。更に、ディスプレイ212は、ディスプレイ212がX線透視画像をレンダリングするのと同時に、深さゲージ250に関連する画像又はデータを表示することができる。ディスプレイ212は、X線透視画像、例えば、医療用撮像装置104によって生成され、医療用撮像装置104から受信された、解剖学的構造124の例示的なX線透視画像400a~400cを表示するように構成され得る。特に
図4Aを参照すると、ディスプレイ212、例えば第1のディスプレイ212aは、解剖学的構造124内の移植片125の例示的なX線透視画像400aを表示することができる。移植片125は、解剖学的構造124から物質が抜去され得る1つ以上の標的部位126を画定することができる。例示的なIM釘打ち動作では、画像装置104からのX線透視画像を表示するディスプレイ212を見ることによって、医療専門家は、
図4Aに示すように、標的部位126が真円を画定するまで、患者とディスプレイ212とを同時に見ながら、患者又は撮像装置104を操作することができる。IM釘打ちの例では、1つ以上の標的部位126が真円を画定するとき、ねじを係止するための孔を標的部位126において穿孔し得る。
【0036】
ここで
図4Bを参照すると、ディスプレイ212は、例示的なX線透視画像400bを表示することができる。したがって、ディスプレイ212は、解剖学的構造124のX線透視画像上の標的部位126に対する、切断器具226の切断先端部226aの位置を表示するように構成され得る。X線透視画像400bは、例えば、
図6Bに示す切断先端部226aの位置を示すことができる。切断先端部226aは、解剖学的構造124の1つ以上の標的部位126から解剖学的物質を抜去するように構成され得る。更に、
図4Cに示すように、切断器具226(例えばドリルビット)の先端部226aは、解剖学的構造124上、例えば標的部位126の中心に配置され得る。ディスプレイ212は、外科用器具203の近位の場所から先端部226a及びディスプレイ212の両方への視線を提供するように配置されてもよく、それにより、医療専門家は、先端部226aを標的部位126において中心に置くために、X線透視画像400bと400cの両方を、ひいては先端部226a、及び解剖学的構造124を見ることができる。外科用器具203のディスプレイ212は、医療用撮像装置104のディスプレイ112をミラーリングすることができ、それにより、外科用器具アセンブリ202のディスプレイ212は、撮像装置104のディスプレイ112がレンダリングするのと同じ画像を同時にレンダリングして、画像をリアルタイムで表示することができる。
【0037】
場合によっては、例えば、ユーザインターフェース216を介したユーザ選択に基づいて、外科用器具アセンブリ202は、ディスプレイ212における垂直又は水平方向が、解剖学的構造124に対する外科用器具203の移動のそれぞれ垂直又は水平方向に対応するような回転配向へと、ディスプレイ212に表示されるX線透視画像を回転することができる。したがって、場合によっては、ディスプレイ212によって表示される回転配向のX線透視画像は、外科用器具203に結合されたディスプレイ212とは別個の医療用撮像装置ディスプレイ112上に表示されるX線透視画像と比較して、回転され得る。
【0038】
ここで
図5A~
図5Cを参照すると、ディスプレイ212はまた、視覚的指示、例えば、X線トランスミッタ106からX線レシーバ108へのX線の進行方向128に対する切断先端部226aの位置合わせの配向画像129を提供するように構成され得る。一例では、ディスプレイ212は、第1のディスプレイ212aと、第2のディスプレイ212bとを含み、第1のディスプレイ212aは、撮像装置104からX線透視画像(例えば、X線透視画像400a~400c)を表示するように構成され、第2のディスプレイ212bは、切断器具226の配向の視覚的指示を含んだ配向画面(例えば、配向画面500a~500c)を表示するように構成される。第1のディスプレイ212aが同様にあるいは代替的に、配向画面を表示してもよく、また、第2のディスプレイ212bが同様にあるいは代替的に、X線透視画像を表示してもよいことが理解されよう。更に、ディスプレイ212は、場合によっては、X線透視画像及び配向画面の両方を同時に表示し得る1つのディスプレイのみを含み得る。更に、
図11及び
図12を参照すると、ディスプレイ212は、場合によっては、X線透視画像、配向画面、及び深さゲージデータの任意の組み合わせを同時に表示することができる1つのディスプレイのみを含み得る。一例では、ユーザは、ユーザインターフェース216を介してオプションを選択して、ディスプレイ212によって表示されるX線透視画像、配向画面、又は深さゲージデータを選択することができる。別の例では、ディスプレイ212は、X線透視画像、配向画面、及び深さゲージデータの任意の組み合わせがディスプレイ212によって同時に表示され得るように、分割、例えば半分に分割、又は3つに分割されてもよい。本明細書に記載される、ディスプレイ212によって表示され得る画像(例えば、
図4A~
図4C、
図5A~
図5C、
図10A~
図20)は、網羅的ではないことが理解されるであろう。ディスプレイ212は、様々な構成又は代替的な視覚的描写を介して、様々な情報をユーザに提供することができる。
【0039】
位置合わせの視覚的指示、例えば配向画像129は、X線の進行方向128に基づくものであってもよく、また切断器具226の配向に対応する加速度計情報に更に基づくものであってもよい。例えば、外科用器具アセンブリ202の加速度計215は、医療用撮像装置104のX線発生器106からX線レシーバ108へのX線の進行方向128を用いて較正され得る。例示的な較正において、外科用器具203に取り付けられた位置合わせツール218は、切断器具226(例えばドリルビット)をX線の進行方向128と位置合わせするために、所定の配向を有する医療用撮像装置104の表面と見当合わせされるように構成される。一例では、位置合わせツール218は、X線トランスミッタの平坦な表面106aと見当合わせされるように構成されるが、位置合わせツール218は、必要に応じて医療用撮像装置104の他の表面と見当合わせされるように構成され得ることが理解されよう。特に、位置合わせツール218の第2の表面218bは、切断器具226がX線の進行方向128と位置合わせされたときに、医療用撮像装置104の平坦な表面106aに当接し得る平坦な表面であり得る。引き続きこの例について言えば、医療用撮像装置104によって、具体的には医療用撮像装置104によって生成されるX線ビームの方向を用いて加速度計215を較正するために、位置合わせツール218の表面218bがX線発生器106の平坦な表面106aに当接するときに、ゼロ値が設定され得る。一例では、ゼロ値を設定し、それにより、X線の進行方向128を用いて加速度計215を較正するために、ユーザは、切断器具226がX線の進行方向128に沿って配向されたときにゼロ値が設定されるように、位置合わせツールの表面218bがX線発生器106の平坦な表面106aに対して平坦であるときに、ディスプレイ212上の較正オプション134を作動させることができる。
【0040】
別の例において、較正器具は、医療用撮像装置104の一部であってもよく、あるいはそれに取り付けられてもよい。医療用撮像装置104、特にX線の進行方向128が、ある操作を実施するために所望の位置に配向されているとき、医療用撮像装置104の較正器具は、ゼロ値が所望のX線の進行方向128に対応するように、重力に対するゼロ値を識別することができる。医療用撮像装置104の較正器具128は、重力に対するゼロ値を加速度計215に送ることができる。したがって、外科用器具アセンブリ202は、医療用撮像装置104によって画定されるX線の進行方向128を用いて、外科用器具アセンブリ202の加速度計215を較正するように、医療用撮像装置104のX線発生器106からX線レシーバ108へのX線の進行方向128を表すゼロ値を医療用撮像装置104から受信することができる。加速度計215は、重力に対するゼロ値を、医療用撮像装置104の較正器具から受信するゼロ値に設定することができ、それにより、加速度計215はX線の進行方向128を用いて較正される。したがって、加速度計215は、切断器具226がX線の進行方向128に沿って配向されたときにゼロ値を指示することができる。
【0041】
一例では、加速度計215はディスプレイ212の配向に対応する。したがって、場合によっては、切断器具226に対するディスプレイ212の配向が調整されると、ゼロ値は、X線の進行方向128を用いて加速度計215を再較正するように再設定される。いくつかの例では、ディスプレイ212は、切断器具226に対して1つ以上の事前設定された配向(例えば、90度、75度など)を有する。したがって、場合によっては、第1の事前設定された配向における較正の後、ディスプレイ212は、第2の事前設定された配向へと移動され得る。一例では、ユーザは、ユーザインターフェース216を使用して、ディスプレイ212が配置される事前設定された配向を選択することができる。加速度計215は、第2の事前設定された配向を受信し、それに応じてゼロ値を調整することができ、それにより、加速度計が再較正されることなくディスプレイ212が調整される。更に別の例では、医療用撮像装置104は、X線の進行方向の配向の変化を識別し得る加速度計を含む。この例では、医療用撮像装置の加速度計は、X線の進行方向の配向の変化を外科用器具アセンブリ202に送信することができ、それにより、加速度計215を再較正することなくゼロ値が再設定され得る。したがって、ゼロ値は、X線発生器106及びX線レシーバ108の配向の変化に従って調整され得る。
【0042】
例えば、外科用器具アセンブリ202の加速度計215がX線の進行方向を用いて較正されるとき、加速度計は、X線の進行方向128に対する切断器具226の配向を指示する加速度計情報を生成することができる。加速度計情報は、ディスプレイ212によって、様々な配向画面、例えば、配向画像129を含み得る配向画面500a~500cに表示され得る。IM釘打ちの例として、外科用器具アセンブリ202を使用しながら配向画像129を見ることによって、切断器具226は穿孔中も適切な配向に維持され得る。すなわち、真円を画定する孔が標的部位126に穿孔され得る。
【0043】
例えば、
図5A~
図5Cを参照すると、配向画面500a~500cは、静止領域130と可動インジケータ132とを含み得る配向画像129を含むことができる。可動インジケータ132は、切断器具226の配向を表現し得る。一例では、可動インジケータ132が静止領域130に対する所定の空間的関係を有するとき、切断器具226はX線の進行方向128に配向される。一例では、切断器具226の先端部226a(例えばドリルビット)が標的部位126と位置合わせされ、可動インジケータ132が静止領域130に対する所定の空間的関係を有している間に、孔が解剖学的構造124に穿孔される。所定の空間的関係は、所望により異なり得ることが理解されよう。いくつかの例では、可動インジケータ132が静止領域130の上に重なるとき、切断器具226はX線の進行方向128に配向される。いくつかの例では、
図5Cに示すように、可動インジケータ132が静止領域130によって画定される境界内にあるとき、切断器具226はX線の進行方向128に配向される。
【0044】
図4A~
図4Cを参照して上述されたように、ディスプレイ212は、X線透視画像と、IM釘を固定するために係止ねじを配置することに関連するユーザインターフェースと、を表示することができる。ここで
図13~20を参照するが、ディスプレイ212は、追加的にあるいは代替的に、X線画像又はX線透視画像、並びに、インプラント125、例えばIM釘を配置することに関連するユーザインターフェースを表示することができる。ディスプレイ212は、X線画像、例えば、X線データ又は画像602(
図13、
図14A、
図14B)、X線画像604(
図15)、X線画像606(
図16)、X線画像608(
図17)、X線画像610(
図18)、並びにX線画像630a及び630b(
図20)を表示するように構成され得る。本明細書で用いられるとき、特に断らない限り、X線データとX線画像は、限定することなく、互換的に用いられ得る。特に
図14Aを参照すると、ディスプレイ212は、解剖学的構造124のX線データ602を表示することができる。図示の例によれば、X線データ602は、インプラント125用に解剖学的構造224に孔を穿孔するように位置付けられた切断器具226を含む。X線データ602は、穿孔操作のために軟組織を移動させるように位置付けられたクランプ612を更に含む。ある例では、解剖学的構造又は骨124のIM管に会合するように孔が穿孔され得る。したがって、孔は、骨への進入点と、進入点とIM管との間の軌道と、を規定することができ、インプラント125(例えば、IM釘又はロッド)は、インプラント125を受容するようにサイズ決めされた孔に挿入され得る。本明細書では、穿孔操作の適切な軌道及び進入点(例えば、痛みを最小限にするため)は、骨及び/又は挿入されるインプラントの種類に応じて異なり得ることが認識される。本明細書では、適切な軌道及び進入点が所与の手術室内で容易にはアクセス可能でない場合もあり、したがって、所与の医療専門家は個人的な知識に依存して、適切な軌道及び進入点を推定する場合もあることが、本明細書において更に認識される。更に、適切な軌道及び入口点が既知である場合であっても、穿孔操作は通常はフリーハンドで実施されるものであり、したがって、実際の軌道及び進入点は適切な軌道及び進入点とは異なり得る。
【0045】
例示的な実施形態では、
図14B及び
図17を参照すると、外科用器具アセンブリ202のプロセッサは、解剖学的構造124の境界614、例えば第1の境界若しくは前後方向(AP)の境界615(
図14B及び
図15)又は第2の境界若しくは横方向の境界617(
図16及び
図17)を識別又は判定し得る。境界614は、解剖学的構造124の第1の最外縁部614aと、第1の最外縁部614aの反対側の解剖学的構造124の第2の最外縁部614bと、を画定し得る。いくつかの例では、プロセッサは、参照によりその開示内容の全体が本明細書に記載されるように組み込まれる米国特許出願公開第2007/0274584号に記載されている縁部検出プロセスを実施することによって境界614を判定することができる。他の縁部検出アルゴリズムが所望に応じて実施されてもよく、上述の縁部検出プロセスは、例示を目的として提示されたものであることが理解されるであろう。場合によっては、プロセッサは、ユーザインターフェース216を介したユーザ選択に基づいて境界614を識別することができる。例えば、ディスプレイ212は、手動位置合わせオプション646などのオプションを表示することができる。ユーザ、例えば医療専門家は、手動位置合わせオプション646を、例えばタッチなどによって作動させることができる。手動位置合わせオプション646が作動されると、ユーザは、X線データ上に1つ又は2つ以上の画像を手動でオーバーレイすることができ、それにより、ディスプレイ212はX線データ上に1つ又は2つ以上の画像を表示する。ユーザが手動でオーバーレイし得る画像の例は、境界614である。例として、ユーザは、スタイラス、指などを用いて、X線データ上に画像を手動でオーバーレイすることができる。ある例では、ユーザは、外科用器具アセンブリ202のプロセッサによって判定される境界614を調節するために、手動位置合わせオプション646を作動させることができる。例えば、プロセッサは、境界614を判定するために縁部検出プロセスを実施することができるが、場合によっては、縁部検出プロセスは、解剖学的構造124の実際の最外縁部から偏倚した境界614の部分を得ることになり得る。例えば、縁部検出プロセスは、解剖学的構造124内の骨折を境界614の一部分として誤って識別することがある。この例では、ユーザは、ユーザインターフェース216を介して、解剖学的構造124の最外縁部を表現するものとして誤って識別される境界614の部分を調節することができる。したがって、外科用器具アセンブリ202は、ユーザがユーザインターフェース216のオプションのうちの少なくとも1つを作動させたことに応答して、境界614の少なくとも一部分、例えば全てを調節することができる。
【0046】
図14B、
図15、
図16、及び
図17に示されるように、ディスプレイ212は、解剖学的構造124の境界614を表示するために、解剖学的構造124のX線画像上に境界614をオーバーレイすることができる。
図18及び
図20を参照すると、外科用器具アセンブリ202のプロセッサは、解剖学的構造124の軸線616を判定することができる。外科用器具アセンブリ202のプロセッサは、解剖学的構造への進入点620を規定する軌道618の表現を決定することができる。
図14B~
図18及び
図20を参照すると、ディスプレイ212は、軌道の表現618を表示するために、解剖学的構造124のX線画像上に軌道618の表現をオーバーレイすることができる。軌道618の表現は、解剖学的構造124のIM管と会合するように孔が穿孔され得る線を規定し得る。軌道618の表現は、軸線616に基づいて決定され得る。更に、
図18及び
図20を参照すると、ディスプレイ212は、解剖学的構造124の軸線616を表示するために、解剖学的構造のX線画像上に境界616をオーバーレイすることができる。
【0047】
いくつかの例では、軸線616は、解剖学的構造の長さ方向に沿って中心線を規定し得る。
図14B~
図17を参照すると、軌道は、軌道618の表現と軸線616とが互いに重なり合い得るように、軸線616と一致し得る。例えば、第1の最外縁部614aは、解剖学的構造の長さ方向に対して実質的に垂直な解剖学的構造の幅を規定するように、第2の最外縁部614bから離間され得る。したがって、軸線616は、解剖学的構造体124の長さ方向に沿って、第1の最外縁部614aと第2の最外縁部614bから等距離にあってもよい。場合によっては、プロセッサは、ユーザインターフェース216を介したユーザ選択に基づいて軸線616を識別することができる。例として、ユーザ、例えば医療専門家は、手動位置合わせオプション646を、例えばタッチなどによって作動させることができる。手動位置合わせオプション646が作動されると、ユーザは、X線データ上に1つ又は2つ以上の画像を手動でオーバーレイすることができ、それにより、ディスプレイ212はX線データ上に1つ又は2つ以上の画像を表示する。ユーザが手動でオーバーレイし得る画像の例は、軸線616である。図示のように、軸線616は破線として表現されているが、軸線616は、例えば実線によって、所望に応じて代替的に表現され得ることが理解されるであろう。例として、ユーザは、スタイラス、指などを用いて、X線データ上に画像を手動でオーバーレイすることができる。ある例では、ユーザは、境界614、具体的には第1の最外縁部614a及び第2の最外縁614bに基づいて、外科用器具アセンブリ202のプロセッサによって決定される軸線616を調節するために、手動位置合わせオプション646を作動させることができる。したがって、外科用器具アセンブリ202は、ユーザがユーザインターフェース216のオプションのうちの少なくとも1つを作動させたことに応答して、軸線616の少なくとも一部分、例えば全てを調節又は決定することができる。更に、外科用器具アセンブリ202は、解剖学的構造体124の境界614に基づいて解剖学的構造124の軸線616を決定することができ、そのため、解剖学的構造体の境界614が変化する場合、解剖学的構造124の軸線616は境界線614への変化に従って変化する。例えば、第2の最外縁部614bは、第1の最外縁部614aから離れるように調節され、外科用器具アセンブリ202は、境界614が調節される前に軸線616が表示される場合と比較して、軸線616が第1の最外縁部614aから更に離れて表示され得るように、軸線616を第2の最外縁部614bに向かって移動させることができる。
【0048】
理論に束縛されるものではないが、本明細書に記載される実施形態は、手術室で撮影されるX線画像の数を減少させることができ、それによって所与の操作を実施するのにかかる時間を短縮することができることが認識される。ある例では、
図14A~
図15及び
図20のX線画像630aを参照すると、ディスプレイ212は、第1の視野又は前後方向(AP)の視野からの解剖学的構造124のX線画像を表示することができる。外科用器具アセンブリは、解剖学的構造124への進入点620を規定する軌道618の表現を決定し得る。ディスプレイ212は、軌道618の表現を表示するために、解剖学的構造124のX線画像上に軌道618の表現をオーバーレイすることができる。
【0049】
場合によっては、プロセッサは、ユーザインターフェース216を介したユーザ選択に応じて軌道618の表現を決定することができる。例えば、ディスプレイ212は、自動位置合わせオプション622などのオプションを表示することができる。ユーザ、例えば医療専門家は、自動位置合わせオプション622を、例えばタッチなどによって作動させることができる。自動位置合わせオプション622が作動されると、外科用器具アセンブリ202のプロセッサは、解剖学的構造124への進入点620を規定する軌道618の表現を決定することができる。外科用器具アセンブリはまた、自動位置合わせオプション622が選択又は作動されたことに応じて、軸線616若しくは境界614、又は軸線616と境界614との両方を決定することができる。更に、自動位置合わせオプション622が作動されたことに応じて、ディスプレイ212は、軌道618の表現、軸線616、及び/又は境界614を表示するために、解剖学的構造124のX線画像上に、軌道618の表現、軸線616、及び境界614のうちの少なくとも1つ、例えばそれらのうちの1つのみ、例えばそれらの任意の組み合わせをオーバーレイすることができる。
【0050】
いくつかの例では、外科用器具アセンブリ202は、技術情報、例えば、メモリ214に記憶された技術情報に基づいて軌道618の表現を決定することができる。このような技術情報は、IM釘を配置するために、様々な骨に孔を穿孔するのに適切な軌道を含み得る。この技術情報に基づいて、外科用器具アセンブリ202は、軌道の表現を決定することができる。例として、技術情報は、APの視野から見た所与の骨に対する軌道が、小転子のすぐ下の点から測定される軸線から5度の横方向であることを明記したものであってもよい。引き続きこの例に関して言えば、技術情報は、横方向の視点からの所与の骨に対する軌道が、大転子の中心にあり、髄管と一直線をなすことを明記したものであってもよい。ある例では、骨及び釘の種類がユーザインターフェース216を介してプロセッサに入力されてもよく、またX線画像に対応する視野(例えば、横方向又はAP)がユーザインターフェース216を介してプロセッサに入力されてもよい。これに応答して、プロセッサは、X線画像の視野、骨の種類、及び釘に対応する技術情報を取得することができる。取得された技術情報に基づいて、軌道が決定され得る。場合によっては、プロセッサは、境界614を最初に決定し、次いで境界に基づいて軸線616を決定する。軌道618の表現は、軸線616及び技法情報に基づいて決定され得る。例えば、技術情報は、軌道が第1の視野においては軸線616と一致し、第1の視野に対して実質的に垂直な第2の視野においては特定の角度だけ軸線から角度的に偏倚している(
図19を参照)ことを示すものであってもよい。
【0051】
図19を参照すると、所与のユーザは、ユーザインターフェース216を介してユーザ選択を作動させる外科用器具アセンブリから技術情報を取得することができる。例えば、ユーザ選択により、ディスプレイ212に技術情報650a及び650bを表示させることができる。技術情報650aは、APの視野からの適切な軌道652aのグラフィック描写を含み得る。技術情報650bは、横方向の視野からの適切な軌道652bのグラフィック描写を含み得る。表示され得る技術情報は、いくつかの操作の中でも特に、IM釘を配置するための、テキストとしての指示654を含み得る。ある例では、ユーザ選択に応じて、ユーザインターフェース216は、とりわけ、IM釘打ち操作に関連付けられた可聴指示をレンダリングすることができる。
【0052】
場合によっては、所与のユーザ、例えば医療専門家が、外科用器具アセンブリ202によってレンダリングされた技術情報を利用して、所与のX線画像上に軌道618の表現を手動でオーバーレイすることができる。例えば、ユーザは、手動位置合わせオプション646を、例えばタッチなどによって作動させることができる。手動位置合わせオプション646が作動されると、ユーザは、ディスプレイ212がX線データ上に軌道618を表示するように、軌道618の表現を手動でオーバーレイすることができる。軌道618の表現は、実線、破線などを画定することができる。ある例では、ユーザは、自動位置合わせオプション622が選択された後に外科用器具アセンブリ202のプロセッサによって判定される境界616を調節するために、手動位置合わせオプション646を作動させることができる。外科用器具アセンブリ202は、ユーザがユーザインターフェース216のオプションのうちの少なくとも1つを作動させたことに応答して、軌道の表現の少なくとも一部分、例えば全てを調節又は決定することができる。したがって、外科用器具アセンブリ202のプロセッサは、軌道の新しい表現を画定するように軌道の表現を調節することができ、ディスプレイ212は、新しい軌道の新しい表現を表示するために、解剖学的構造のX線画像上に新しい軌道の新しい表現をオーバーレイすることができる。ある例では、プロセッサは、ユーザがユーザインターフェース216のオプションのうちの少なくとも1つを作動させたことに応答して、軌道の表現を調節することができる。
【0053】
図14Bを参照すると、X線画像602上で見ることができる軌道618及び切断器具226の表現を見ることによって、ユーザは、
図15のX線画像604に示されるように、切断器具226を移動させて軌道の表現と整列させることができる。代替的に、自動化されたシナリオでは、切断器具226は、軌道618の表現と位置合わせされるように自動的に移動され得る。ある例では、切断器具226が軌道618の表現と位置合わせされると、医療用撮像装置104は、X線画像606及び608を生成するために、X線画像602及び604を生成したX線移動の方向とは異なる、X線トランスミッタ106からX線レシーバ108へのX線移動128の新たな方向を規定するように調節され得る。例えば、医療用撮像装置104は、
図14B及び
図15に示される第1の視野又はAPの視野に対してほぼ垂直な第2の視野又は横方向の視野を生成するように調節され得る。
【0054】
図14B、
図15、及び
図20を参照すると、軌道618の表現は、第1の視点からの、例えばAPの視点からの軌道の第1の表現618aと呼ばれ得る。ある例では、
図16、
図17及び
図20を参照すると、外科用器具アセンブリ202は、解剖学的構造124への進入点620を規定する軌道の第2の表現618bを決定することができる。第2の表現618bは、第2の視点からのものであってもよい。例として、第2の視点は、第1の視点がAPの視野を規定し得、第2の視点が横方向の視野を規定し得るように、第1の視点に対してほぼ眼窩周囲にあってもよい。軌道の第2の表現618bは、軌道618の表現を決定及び表示するための、本明細書に記載された実施形態のいずれかに従って、決定及び表示され得る。
【0055】
図14B~
図18を参照すると、ディスプレイ212は、解剖学的構造の進入点620に対する切断先端部226aの位置を表示することができる。軌道の第2の表現618bと、X線画像606及び608上で見ることができる切断器具226と、を見ることによって、ユーザは、切断器具226を、したがって切断先端部226aを移動させて、軌道の第2の表現618と位置合わせすることができる。代替的に、自動化されたシナリオでは、切断器具226は、軌道の第2の表現618bと位置合わせされるように自動的に移動され得る。
【0056】
場合によっては、切断器具226が、したがって切断先端部226aが軌道の第1の表現618a及び軌道の第2の表現618bと位置合わせされると、本明細書に記載の技術情報から決定され得る適切な進入点及び軌道に、切断器具226が位置合わせされたときに、穿孔操作が開始され得る。ディスプレイ212は、外科用器具203の近位の場所から先端部226aとディスプレイ212との両方への見通し線を提供するように配置されてもよく、それにより、医療専門家は、先端部226aを進入点620において中心に置くために、両方のX線画像を、したがって先端部226aと解剖学的構造124を見ることができる。
【0057】
ここで
図18を参照すると、ディスプレイ212はまた、軌道の第1の表現618a及び軌道の第2の表現618bに対する切断器具226の位置合わせの視覚的指示、例えば配向画像629を提供するように構成され得る。位置合わせの視覚的指示、例えば配向画像629は、X線の進行方向128に基づくものであってもよく、また切断器具226の配向に対応する加速度計情報に更に基づくものであってもよい。例えば、外科用器具アセンブリ202の加速度計215は、第1の視点からX線画像604が取られるときにX線発生器106から医療用撮像装置104のX線レシーバ108へと移動するX線移動の方向128を用いて、また第1の視点に対して実質的に垂直である第2の視点からX線画像608が取られるときのX線移動の方向128を用いて較正され得る。
【0058】
例えば、
図18を参照すると、配向画像629は、静止領域130と可動インジケータ132とを含み得る。可動インジケータ132は、切断器具226の配向を表現し得る。ある例では、可動インジケータ132が静止領域130に対する所定の空間的関係を有するとき、切断器具226は軌道の第1及び第2の表現618a及び618bを用いて配向される。ある例では、切断器具226(例えばドリルビット)が軌道の第1及び第2の表現と位置合わせされ、可動インジケータ132が静止領域130に対する所定の空間的関係を有している間に、孔が解剖学的構造124に穿孔される。所定の空間的関係は、所望により異なり得ることが理解されよう。いくつかの例では、可動インジケータ132が静止領域130の上にオーバーレイされているとき、切断器具226は軌道の第1及び第2の表現を用いて配向される。いくつかの例では、可動インジケータ132が静止領域130によって画定される境界内にあるとき、切断器具226は軌道の第1及び第2の表現を用いて配向される。
【0059】
ここで
図10A~
図12を参照すると、ディスプレイ212はまた、解剖学的構造124の1つ又は2つ以上の部分に対する切断先端部226aの深さの視覚的表示、例えば深さゲージ画像262を提供するように構成され得る。一例では、
図9を参照すると、解剖学的構造124は、第1の皮質、つまり近位皮質123、及び穿孔の方向であり得る、第1の方向D1、つまりX線の進行方向128に沿って第1の皮質123の反対側にある第2の皮質、つまり遠位皮質127を画定する。第1の皮質123は、第1の表面、つまり近位表面123aと、第1の方向D1に沿って第1の表面123aの反対側にある第2の表面、つまり遠位表面123bと、を画定し得る。同様に、第2の皮質127は、第1の表面、つまり近位表面127a、及びX線の進行方向128沿いでもあり得る第1の方向D1に沿って第1の表面127aの反対側にある第2の表面、つまり遠位表面127bを画定し得る。解剖学的構造124は中空部分131を画定し得る。例えば、中空部分131は、第1の皮質123の第2の表面123bと第2の皮質127の第1の表面127bとの間に画定され得る。深さの視覚的表示、例えば深さゲージ画像262は、切断器具226、特に切断先端部226aが解剖学的構造124に進入するときに変化し得る。具体的には、深さゲージ画像262は、切断器具先端部226aが第1の皮質123及び第2の皮質127のそれぞれの第1の表面及び第2の表面に接触するときに変化し得るデータを含むことができる。
【0060】
例示的な操作では、例示的な深さゲージ画面1000a及び例示的な分割画面1200をそれぞれ示す
図10A及び
図12をまず参照すると、深さゲージ画像262は、解剖学的構造124の一部分に対する基準位置の第1の距離を測定するように構成されており、ディスプレイ212は、解剖学的構造124の当該部分に対する切断先端部226aの第2の距離を示すように構成されている。深さゲージ250は、外科用器具203の穿孔時に第1の距離を測定するように構成され得る。ディスプレイ212は、第2の距離をリアルタイムで示すように、外科用器具の穿孔時に第2の距離を示すように構成され得る。第1の皮質123は、解剖学的構造124の一部分を画定することができる。一例では、第1の皮質123、特に第1の皮質123の第1の表面123aは、基準位置からの距離が深さゲージ250によって測定される基準位置を画定する。一例では、切断先端部226aは、第1の距離が第2の距離に等しいように、基準位置を画定する。
【0061】
代替例では、外科用器具203は、第1の距離が第2の距離よりも大きいように、解剖学的構造124の一部分からの距離が深さゲージ250によって測定される基準位置を画定するドリルスリーブを含み得る。切断器具226は、他にも理由があるが、骨を取り囲む軟組織を保護するためにスリーブ内に配置され得る。穿孔中、深さゲージ250は、ドリルスリーブの末端部から第1の皮質123の第1の表面123aまでの距離を決定することができる。ドリルスリーブの末端部から第1の皮質の第1の表面123aまでの距離は、切断先端部226aから第1の皮質123の第1の表面123aまでの距離よりも大きくてよい。したがって、深さゲージ250は、ディスプレイ212が表示するリアルタイムのドリル深さ距離よりも大きいリアルタイムのドリル深さ距離を測定することができる。第1の距離と第2の距離との差は、切断先端部226aとドリルスリーブの末端部との間の距離(オフセット距離と呼ぶことができる)を考慮するように、ディスプレイ212を較正することによって決定され得、ディスプレイ212は、切断器具先端部から第1の皮質123の第1の表面123aまでの距離を示す総ドリル深さ表示264を提供する。一例では、ユーザは、ユーザインターフェース216で較正オプションを選択することによってオフセット距離を入力することができる。別の例では、深さゲージ250は、較正モード中にオフセット距離を決定することができる。
【0062】
ディスプレイ212は、深さゲージ画面1000a及び例示的な分割画面1000を表示することができる。図示の例では、切断器具先端部226aが第1の皮質123の第1の表面123aに当接するときに、総ドリル深さ表示264はゼロ(0)を示す。あるいは、深さゲージは、ドリルスリーブが第1の皮質123の第1の表面123aに当接するときに、総ドリル深さ表示264がゼロ(0)を示し得るように較正され得る。外科用器具203は、第1の皮質123から第2の皮質127に向かって第1の方向D1に穿孔するように構成され得る。したがって、総ドリル深さ表示264は、穿孔操作前にゼロ(0)を示すことができ、それによって切断器具先端部226aは、穿孔操作中に解剖学的構造124に入る。穿孔操作が進行し、切断器具先端部226aが第1の皮質123を通って移動するときの例示的な深さゲージ画面1000b及び例示的な分割画面1100をそれぞれ示す、
図10B及び
図11を更に参照すると、総ドリル深さ表示264は、切断器具先端226aが第1の皮質123の第1の表面123aに対して進んだリアルタイム距離を示すように増加し得る。図示のように、深さゲージ画像262の表示はミリメートルでレンダリングされるが、表示は任意の代替単位でレンダリングされてもよいことが理解されるであろう。
【0063】
深さゲージ画像262は、直近に穿孔された皮質の遠位表面までの切断器具先端部226aからの距離を示す、最近の皮質出口点表示266を更に含み得る。したがって、ディスプレイ212は、切断先端部226aが第1の皮質123を出るときに第3の距離を示すように構成され得、第3の距離は、第1の方向D1に沿った第1の皮質123の幅を表し得る。一例として、切断器具先端部226aが、第1の皮質123の第2の表面123bから出るように、X線の進行方向128であり得る第1の方向D1に沿って進むとき、最近の皮質出口点表示266は、第1の皮質123の第1の表面123aから第1の皮質123の第2の表面123bまでの距離を示す。したがって、一例では、切断器具先端部226aが第1の皮質123の第2の表面123bを通って進む瞬間に、最近の皮質出口点表示266は、総穿孔深さ表示264と同じ値を示し得る。
【0064】
穿孔操作の例を続けると、切断器具先端部226aが、第2の皮質127の第2の表面127bから出るように第1の方向D1に沿って進むとき、最近の皮質出口点表示266は、第1の皮質123の第1の表面123aから第2の皮質127の第2の表面127bまでの距離を表示する。したがって、ディスプレイ212は、切断先端部226aが第2の皮質127から出るときに第4の距離を示すように構成され得、第4の距離は、第1の方向D1に沿った骨の骨幅を表し得る。ディスプレイ212は、第2の距離、第3の距離、及び第4の距離を同時に示すように構成され得る。更に、切断器具先端部226aが第2の皮質127の第2の表面127bを通って進む瞬間に、最近の皮質出口点表示266は、総ドリル深さ表示264と同じ値を示し得る。深さゲージ画像262は、以前の皮質出口点ではあるが、直近ではない皮質出口点に関連する表示又は値を表示する、以前の皮質出口点表示268を更に含み得る。したがって、この例を続けると、切断器具先端部226aが第2の皮質127の第2の表面127bを出るとき、以前の皮質出口点268は、第1の皮質123の第1の表面123aから第1の皮質123の第2の表面123bまでの距離を表示する。したがって、最近の皮質出口点表示266に表示された値は、以前の皮質出口点表示268に移る。切断器具先端部226aが第2の皮質127の第2の表面127bから離れるように進むとき、総ドリル深さ表示264は、
図10B及び
図11に例示されるように、切断器具先端部226aが第1の皮質123の第1の表面123aに対して進んだリアルタイム距離を示すように、増加し得る。
【0065】
理論に束縛されるものではないが、ユーザは、穿孔操作をより良好に行うために、外科用器具203がユーザの制御下で又は自律的にのいずれかで動作している間に、深さゲージ画像262を見ることができる。例えば、ユーザは、総穿孔深さ表示264に基づいて外科用器具を制御するために、穿孔操作の実施中に総ドリル深さ表示264を見ることができる。外科用器具203は、切断器具203が、完全な又は部分的な穿孔が意図されていない軟組織又は遠皮質など解剖学的構造の不要な部分に入らないように、深さゲージ画像262の情報に基づいて制御され得る。場合によっては、ユーザは、穿孔操作の実施後に孔を測定しなくてはいけないのではなく、深さゲージ画像262、特に総穿孔深さ表示264又は最近の皮質出口点表示266を見て、ねじの長さが穿孔されたそれぞれの孔と一致させることができる。一例では、計算装置204は、解剖学的構造124内の孔の深さに基づいて、ねじが穿孔される孔に自動的に一致するように、利用可能なねじの在庫を記憶する。一例では、ユーザは、例えば最近の皮質出口点表示266又は総穿孔深さ表示262など深さゲージ画像262に関する表示のうちの1つに対応するねじが選択されるように、ユーザインターフェース216でねじ選択オプションを作動させることができる。
【0066】
したがって、動作中、ディスプレイ212は、複数のX線画像をリアルタイムで受信し、表示することができ、ディスプレイ212は、外科用器具203の操作時に配向画像129及び深さゲージ画像262、特に総穿孔深さ表示262を表示することができる。具体的には、深さゲージ画像262は、切断器具203が移動する距離を表すことができる。X線透視画像、配向画像、及び深さゲージ画像は、ディスプレイ212によって同時に表示され得る。切断器具203が穿孔方向に沿って移動するときにディスプレイ212によって表示される距離は、距離をリアルタイムで更新するように変化し得る。
【0067】
一例では、
図6Aを参照すると、外科用器具203は、X線の進行方向128に対して平行である第1の方向D1に沿って、その第1の方向D1に沿って穿孔するように操作され得る。穿孔の間、例えば、切断器具226の配向がゼロ値から離れると、可動インジケータ132は静止領域130から離れる方向に移動し得る。可動インジケータ132は、切断器具226の配向がゼロ値に対して移動するのと同時に静止領域130に対して移動することができ、それにより、可動インジケータ132は、切断器具226の配向のリアルタイム表現を提供する。例えば、切断器具226の近位端部226bが切断器具226の切断先端部226aに対する第2の方向D2に沿って移動するとき、可動インジケータ132は、第2の方向D2に沿って移動し得る(例えば、
図5Aを参照)。第2の方向D2は、第1の方向D1に対して垂直であり得る。同様に、切断器具226の近位端部226bが切断器具226の切断先端部226aに対する第3の方向D3に沿って移動するとき、可動インジケータ132は、第3の方向D3に沿って移動し得る(例えば、
図5Bを参照)。第3の方向D3は、それぞれ第1及び第2の方向D1及びD2の両方に対して垂直であり得る。更に、切断器具226の近位端部226bが切断器具226の切断先端部226aに対する第2及び第3の方向の両方に沿って移動するとき、可動インジケータ132は、第2及び第3の方向D3の両方に沿って移動し得ることが理解されよう。更に、配向画面500a~500cは、第2及び第3の方向D2及びD3に沿った切断器具226の配向の数値表現136を含み得る。
【0068】
特に
図5Cを参照すると、切断器具226がゼロ値に従って配向されるとき、可動式インジケータ132は、静止領域130によって画定される境界内に配置され得る。更に、場合によっては、切断器具226がX線の進行方向128と正確に位置合わせされる場合、数値表現136は、第2及び第3の方向の両方に関連するゼロ値を指示し得る。IM釘打ち例として、医療専門家は、標的部位126において適切な配向を有する孔を穿孔するために、
図5Cに示す配向画像129を穿孔中に維持し得る。
【0069】
開示される技術を実行するための装置の実施形態例が本明細書に記載されているが、根底にある概念は、本明細書に記載されるような情報を通信及び提示することができる任意の計算装置、プロセッサ、又はシステムに適用されてもよい。本明細書に記載される様々な技術は、ハードウェア若しくはソフトウェアに関連して、又は適切な場合にはこれらの両方の組み合わせに関連して実装されてもよい。かくして、本明細書に記載される方法及び装置を実装することができ、又はそれらのある特定の態様又は部分は、フロッピーディスケット、CD-ROM、ハードドライブ、又は任意の他の機械可読記憶媒体(コンピュータ可読記憶媒体)などの有形の非一時的記憶媒体内に具現化されたプログラムコード(即ち、命令)の形態をとることができ、プログラムコードがコンピュータなどの機械にロードされてそれによって実行されると、この機械は、本明細書に記載される技術を実行するための装置になる。プログラマブルコンピュータ上で実行されるプログラムコードの場合、計算装置は、一般に、プロセッサ、プロセッサ可読記憶媒体(揮発性及び不揮発性メモリ、並びに/又は記憶素子を含む)、少なくとも1つの入力装置、及び少なくとも1つの出力装置、例えばディスプレイを含む。ディスプレイは、視覚情報を表示するように構成されてもよい。例えば、表示される視覚情報は、X線画像、X線透視画像、配向画面、又はコンピュータ生成視覚的表現などのX線透視データを含むことができる。
【0070】
プログラム(複数可)は、所望によりアセンブリ又は機械語に実装されてもよい。この機械語は、コンパイラ型言語又はインタープリタ型言語であってもよく、ハードウェア実装と組み合わされる。
【0071】
本明細書に記載される技術はまた、いくつかの送信媒体を介して、例えば電気配線又はケーブル配線を介して、光ファイバーを通して、又は送信の任意の他の形態を介して送信されるプログラムコードの形態で具現化された通信を介して実施されてもよい。汎用プロセッサ上で実施される場合、プログラムコードはプロセッサと組み合わされて、本明細書に記載される機能性をもたらすように操作する独自の装置を提供する。加えて、本明細書に記載される技術に関連して使用される任意の記憶技術は、常にハードウェアとソフトウェアとの組み合わせであってもよい。
【0072】
本明細書に記載される技術が、様々な図面の様々な実施形態に関連して実施されてもよく、かつ記載されている一方で、他の類似の実施形態が使用されてもよく、又は記載の実施形態に、それから逸脱することなく修正及び追加が加えられてもよいことを理解されたい。例えば、上に開示される工程が、上に示される順序で、又は所望により任意の他の順序で実行されてもよいことを理解されたい。更に、当業者であれば、本出願に記載される技術が、有線又は無線にかかわらず、任意の環境に適用することができ、通信ネットワークを介して接続され、かつネットワーク全域で情報交換する任意の数のそのような装置に適用され得ることを認識するであろう。したがって、本明細書に記載される技術は、いずれの単一の実施形態にも制限されるべきではなく、むしろ添付の特許請求の範囲に従う拡がり及び範囲内で解釈されるべきである。
【0073】
〔実施の態様〕
(1) 外科用器具アセンブリであって、
プロセッサと、
解剖学的構造に作用するように構成された外科用器具と、
前記プロセッサに結合され、かつ前記外科用器具に取り付けられたディスプレイであって、前記ディスプレイが、前記解剖学的構造のX線データを表示するように構成されており、前記X線データが、撮像装置によって生成されたものである、ディスプレイと、
前記プロセッサと通信するメモリであって、前記プロセッサの実行時に、前記プロセッサに、1)前記解剖学的構造の軸線を決定させ、2)前記軸線に基づいて、前記解剖学的構造への進入点を規定する軌道の表現を決定させる命令が記憶されている、メモリと、を備え、
前記ディスプレイが、前記軌道の前記表現を表示するために、前記解剖学的構造の前記X線データ上に前記軌道の前記表現をオーバーレイするように更に構成されている、外科用器具アセンブリ。
(2) 前記ディスプレイが、前記解剖学的構造の前記軸線を表示するために、前記解剖学的構造の前記X線データ上に前記軸線をオーバーレイするように更に構成されている、実施態様1に記載の外科用器具アセンブリ。
(3) 前記メモリが、前記解剖学的構造に特化した技術情報と、前記プロセッサの実行時に、前記プロセッサに、前記技術情報に基づいて前記軌道の前記表現も決定させる更なる命令と、を更に記憶している、実施態様1に記載の外科用器具アセンブリ。
(4) 前記技術情報が、特定のインプラントに特化したものである、実施態様3に記載の外科用器具アセンブリ。
(5) 前記メモリが、前記プロセッサの実行時に、前記プロセッサに、前記解剖学的構造の境界を識別させる命令を更に記憶しており、
前記ディスプレイが、前記解剖学的構造の前記境界を表示するために、前記解剖学的構造の前記X線データ上に前記境界をオーバーレイするように更に構成されている、実施態様1に記載の外科用器具アセンブリ。
【0074】
(6) 前記メモリが、前記プロセッサの実行時に、前記プロセッサに、前記解剖学的構造の前記境界が変化する場合に前記解剖学的構造の前記軸線が変化するように、前記解剖学的構造の前記境界に基づいて前記解剖学的構造の前記軸線を決定させる命令を更に記憶している、実施態様5に記載の外科用器具アセンブリ。
(7) 前記解剖学的構造が、髄内管を含む骨であり、
前記外科用器具アセンブリが、前記骨に孔を穿孔するように構成されており、
前記軌道の前記表現が、前記髄内管と会合するように前記孔が穿孔され得る線を更に規定する、実施態様1に記載の外科用器具アセンブリ。
(8) 前記メモリが、前記プロセッサの実行時に、前記プロセッサに、新しい軌道の新しい表現を画定するために、前記軌道の前記表現を調節させる命令を更に記憶しており、
前記ディスプレイが、前記新しい軌道の前記新しい表現を表示するために、前記解剖学的構造の前記X線データ上に前記新しい軌道の前記新しい表現をオーバーレイするように更に構成されている、実施態様1に記載の外科用器具アセンブリ。
(9) 前記ディスプレイが、前記外科用器具アセンブリのユーザのためのオプションを表示するように構成されたユーザインターフェースを画定し、前記メモリが、前記プロセッサの実行時に、前記プロセッサに、前記ユーザが前記ユーザインターフェースの前記オプションのうちの少なくとも1つを作動させたことに応答して、前記軌道の前記表現を調節させる命令を更に記憶している、実施態様8に記載の外科用器具アセンブリ。
(10) 前記軌道の前記表現が、第1の視点からの前記軌道の第1の表現であり、前記メモリが、前記プロセッサの実行時に、前記プロセッサに、
前記解剖学的構造への前記進入点を規定する前記軌道の第2の表現を決定させる命令を更に記憶しており、前記第2の表現が、第2の視点からのものである、実施態様1に記載の外科用器具アセンブリ。
【0075】
(11) 前記第1の視点が、前記第2の視点に対して実質的に垂直である、実施態様10に記載の外科用器具アセンブリ。
(12) 前記解剖学的構造の前記進入点から解剖学的物質を抜去するように構成された切断先端部を有する切断器具を更に備え、前記ディスプレイが、前記解剖学的構造の前記進入点に対する前記切断先端部の位置を表示するように更に構成されている、実施態様10に記載の外科用器具アセンブリ。
(13) 前記ディスプレイが、前記軌道の前記第1の表現及び前記軌道の前記第2の表現に対する前記切断器具の位置合わせの視覚的指示を提供するように更に構成されている、実施態様10に記載の外科用器具アセンブリ。
(14) 方法であって、
無線通信チャネルを介して、解剖学的構造の第1のX線画像を受信する工程であって、前記第1のX線画像が、医療用撮像装置によって生成されたものである、受信する工程と、
切断器具を有する外科用器具に取り付けられたディスプレイによって、前記第1のX線画像を表示する工程と、
前記解剖学的構造への進入点を規定する軌道の第1の表現を決定する工程と、
前記解剖学的構造の前記第1のX線画像上に前記軌道の前記第1の表現を表示する工程と、を含む、方法。
(15) 前記無線通信チャネルを介して、前記解剖学的構造の第2のX線画像を受信する工程であって、前記第2のX線画像が、前記第1のX線画像によって提供される視点に対して実質的に垂直である前記解剖学的構造の視点を提供するために、前記医療用撮像装置によって生成されたものである、受信する工程と、
前記ディスプレイによって、前記解剖学的構造の前記第2のX線画像を表示する工程と、
前記解剖学的構造における前記進入点を規定する前記軌道の第2の表現を決定する工程と、
前記ディスプレイによって、前記解剖学的構造の前記第2のX線画像上に前記軌道の前記第2の表現を表示する工程と、を更に含む、実施態様14に記載の方法。
【0076】
(16) 前記軌道の前記第1の表現及び前記軌道の前記第2の表現に対する前記切断器具の位置を表示する工程を更に含む、実施態様15に記載の方法。