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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-13
(45)【発行日】2024-12-23
(54)【発明の名称】光センサ及び光センサの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/12 20060101AFI20241216BHJP
【FI】
H01L31/12 E
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2021542636
(86)(22)【出願日】2020-07-21
(86)【国際出願番号】 JP2020028234
(87)【国際公開番号】W WO2021039214
(87)【国際公開日】2021-03-04
【審査請求日】2023-06-07
(31)【優先権主張番号】P 2019152616
(32)【優先日】2019-08-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 裕也
(72)【発明者】
【氏名】正木 貴章
【審査官】佐竹 政彦
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0223231(US,A1)
【文献】国際公開第2014/054420(WO,A1)
【文献】特開2017-011120(JP,A)
【文献】特開2002-359394(JP,A)
【文献】特開2008-235599(JP,A)
【文献】国際公開第2017/203953(WO,A1)
【文献】特開2005-116670(JP,A)
【文献】特開2006-005141(JP,A)
【文献】特開2011-119321(JP,A)
【文献】特開2013-187357(JP,A)
【文献】特開平09-148620(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/12-31/173
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚さ方向と交差する基板主面を有する基板と、
前記基板主面上に設けられ、レーザ光を垂直方向に出射するVCSELと、
前記基板主面上に設けられる受光素子と、
透光性を有し、前記VCSELを覆うように前記基板主面上に設けられる第1カバーと、
透光性を有し、前記受光素子を覆うように前記基板主面上に設けられる第2カバーと、
を備え、
前記第1カバーと前記第2カバーとの間には、隙間が形成され、
前記隙間には、空気が充填されており、
前記隙間の幅は0.03mm以上0.1mm未満であり、
前記第1カバーおよび前記第2カバーのうち前記隙間を構成する側面は、光が透過可能であり、
前記基板主面において、前記隙間に面する部分には、前記厚さ方向に凹む凹溝が形成されている光センサ。
【請求項2】
前記第1カバーは、前記厚さ方向と交差する第1上面と、前記第1上面と交差する第1側面と、を有し、
前記第2カバーは、前記厚さ方向と交差する第2上面と、前記第2上面と交差する第2側面と、を有し、
前記第1側面は、前記隙間に面する第1内側面と、前記隙間に面しない第1外側面と、を含み、
前記第2側面は、前記隙間に面する第2内側面と、前記隙間に面しない第2外側面と、を含む請求項1に記載の光センサ。
【請求項3】
前記第1カバーは、前記第1上面と前記第1内側面とが接続する隅部に、前記第1上面と前記第1内側面との双方と交差する第1傾斜面を有する請求項2に記載の光センサ。
【請求項4】
前記第2カバーは、前記第2上面と前記第2内側面とが接続する隅部に、前記第2上面と前記第2内側面との双方と交差する第2傾斜面を有する請求項2又は請求項3に記載の光センサ。
【請求項5】
前記基板は、基板側面を有し、
前記第1外側面と前記第2外側面とは、前記厚さ方向において、前記基板側面と面一となっている請求項2~請求項の何れか一項に記載の光センサ。
【請求項6】
前記第1内側面は、前記第1上面よりも粗面である請求項2~請求項の何れか一項に記載の光センサ。
【請求項7】
前記第2内側面は、前記第2上面よりも粗面である請求項2~請求項の何れか一項に記載の光センサ。
【請求項8】
前記第1外側面は、前記第1上面よりも粗面である請求項2~請求項の何れか一項に記載の光センサ。
【請求項9】
前記第2外側面は、前記第2上面よりも粗面である請求項2~請求項の何れか一項に記載の光センサ。
【請求項10】
前記VCSELの上面及び前記受光素子の上面は、前記厚さ方向にずれている請求項2~請求項の何れか一項に記載の光センサ。
【請求項11】
前記厚さ方向において、前記基板主面から前記VCSELの上面までの長さは、前記基板主面から前記受光素子の上面までの長さより短くなっている請求項10に記載の光センサ。
【請求項12】
前記第1上面と前記第2上面とは、同一平面上に位置している請求項2~請求項11の何れか一項に記載の光センサ。
【請求項13】
前記第1上面上に形成される第1フレネルレンズを備える請求項2~請求項12の何れか一項に記載の光センサ。
【請求項14】
前記第2上面上に形成される第2フレネルレンズを備える請求項2~請求項13の何れか一項に記載の光センサ。
【請求項15】
前記第1カバーと前記第2カバーとは、前記隙間を介して対向しており、
前記隙間は、前記厚さ方向における平面視において、前記第1カバーと前記第2カバーとの対向方向と直交する方向に延びており、
前記VCSELと前記受光素子とは、前記厚さ方向における平面視において、前記隙間の延びる方向にずれて配置されている請求項1~請求項14の何れか一項に記載の光センサ。
【請求項16】
前記基板主面は、前記凹溝に区画される第1領域及び第2領域を有し、
前記VCSELは、前記第1領域上に設けられ、
前記受光素子は、前記第2領域上に設けられ、
前記第1カバーは、前記VCSELを覆うように前記第1領域上に設けられ、
前記第2カバーは、前記受光素子を覆うように前記第2領域上に設けられ、
前記厚さ方向における平面視において、前記受光素子は前記VCSELよりも大きく、前記第2領域は前記第1領域よりも大きい請求項1~請求項15の何れか一項に記載の光センサ。
【請求項17】
厚さ方向と交差する基板主面を有する基板と、
前記基板主面上に設けられ、レーザ光を垂直方向に出射するVCSELと、
前記基板主面上に設けられる受光素子と、
透光性を有し、前記VCSELを覆うように前記基板主面上に設けられる第1カバーと、
透光性を有し、前記受光素子を覆うように前記基板主面上に設けられる第2カバーと、
を備え、
前記第1カバーと前記第2カバーとの間には、隙間が形成され、
前記隙間には、空気が充填されており、
前記隙間の幅は0.03mm以上0.1mm未満であり、
前記第1カバーおよび前記第2カバーのうち前記隙間を構成する側面は、光が透過可能であり、
前記基板主面において、前記隙間に面する部分には、前記厚さ方向に凹む凹溝が形成されている光センサの製造方法であって、
前記VCSEL及び前記受光素子ごと前記基板主面を覆う樹脂層を成形する成形工程と、
前記樹脂層における前記VCSELを覆う部分と前記受光素子を覆う部分との間の部分を切断することにより、前記第1カバー及び前記第2カバーの間に前記隙間を形成し、前記基板に前記凹溝を形成する切断工程と、を備える光センサの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光センサ及び光センサの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、光センサの一例として、電極パターンが形成される基板と、基板上に配置される発光ダイオードと、発光ダイオードと隣接するように基板上に配置されるフォトICと、発光ダイオードとフォトICとを一体に囲う外壁と、発光ダイオードとフォトICとの間を仕切る内壁と、を備える反射型フォトセンサが開示されている。この光センサは、発光ダイオードから出射される拡散光を遮光壁で遮ることにより、クロストークの低減を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-13050号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記のような光センサは、装置を小型化する点で改善の余地が残されていた。本開示の目的は、クロストークを低減しつつ、小型化が可能な光センサ及び光センサの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
上記課題を解決する光センサは、厚さ方向と交差する基板主面を有する基板と、前記基板主面上に設けられる発光素子と、前記基板主面上に設けられる受光素子と、透光性を有し、前記発光素子を覆うように前記基板主面上に設けられる第1カバーと、透光性を有し、前記受光素子を覆うように前記基板主面上に設けられる第2カバーと、を備え、前記第1カバーと前記第2カバーとの間には、隙間が形成されている。
【0006】
光センサにおいて、発光素子を覆う第1カバーと受光素子を覆う第2カバーとの間には隙間が設けられる。このため、光センサは、第1カバーと第2カバーとの間に隙間を設けない場合に比較して、物体に反射されることなく発光素子から受光素子に向かう光を低減できる。言い換えれば、光センサは、クロストークを低減できる。また、光センサは、第1カバーと第2カバーとの間に遮光壁を備える必要がない点で、装置の小型化が容易となる。
【発明の効果】
【0007】
上述した光センサによれば、クロストークを低減しつつ、小型化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態の光センサの平面図。
図2】第1実施形態の光センサの側面図。
図3】第1実施形態の光センサの側面図。
図4】第1実施形態の光センサの製造工程図。
図5】第1実施形態の光センサを製造する際の中間体の平面図。
図6】第1実施形態の光センサを製造する際の中間体の側面図。
図7】第1実施形態の光センサのダイシングされた面の一部を示す模式図。
図8】比較例の光センサの作用を説明する側面図。
図9】第1実施形態の光センサの作用を説明する側面図。
図10】第2実施形態の光センサの側面図。
図11】第2実施形態の変更例に係る光センサの側面図。
図12】第2実施形態の変更例に係る光センサの側面図。
図13】第3実施形態の光センサの側面図。
図14】第4実施形態の光センサの側面図。
図15】第4実施形態の変更例に係る光センサの側面図。
図16】変更例に係る光センサの平面図。
図17】変更例に係る光センサの側面図。
図18】変更例に係る光センサの側面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、光センサの各実施形態について図面を参照して説明する。以下に示す各実施形態は、技術的思想を具体化するための構成や方法を例示するものであり、各構成部品の材質、形状、構造、配置、寸法等を下記のものに限定するものではない。以下の各実施形態は、種々の変更を加えることができる。
【0010】
(第1実施形態)
第1実施形態に係る光センサ10について説明する。光センサ10は、光センサ10から6mm程度の近距離に存在する物体の検出に用いられる。一例として、光センサ10は、イヤホンなどのウェアラブルデバイスに適用される。この場合、検出対象となる物体は、人体又はウェアラブルデバイスを収容するケースの内壁などである。
【0011】
図1及び図2に示すように、光センサ10は、基板20と、発光素子30と、受光素子40と、第1カバー50と、第2カバー60と、ボンディングワイヤ71,72と、を備えている。図1以降において、第1カバー50と第2カバー60とは、透過して図示している。
【0012】
光センサ10は、矩形板状をなしている。以降の説明では、光センサ10の形状にしたがって定義した方向を使用する。詳しくは、光センサ10の厚さ方向を「厚さ方向Z」とし、厚さ方向Zと直交する方向を「第1方向X」とし、厚さ方向Z及び第1方向Xの両方向と直交する方向を「第2方向Y」とする。
【0013】
光センサ10の厚さ方向Zにおける長さは、0.3mm以上0.55mm以下であることが好ましく、第1実施形態では、0.55mmである。光センサ10の第1方向X及び第2方向Yにおける長さは、0.5mm以上1.0mm以下であることが好ましく、第1実施形態では、1.0mmである。つまり、光センサ10は、厚さ方向Zにおける平面視において、正方形状をなしている。
【0014】
図1及び図2に示すように、基板20は、矩形板状をなしている。基板20の材質は、例えば、アルミナ、窒化アルミニウムなどのセラミックスでもよいし、シリコンでもよいし、ガラスエポキシ等でもよい。
【0015】
基板20は、厚さ方向Zと交差する基板主面21と、基板主面21の外縁から厚さ方向Zに延びる基板側面22と、を有している。基板側面22は、4つの面から構成されており、第1基板側面221、第2基板側面222、第3基板側面223及び第4基板側面224を含んでいる。図1に示すように、第1基板側面221及び第4基板側面224は第1方向Xに延び、第2基板側面222及び第3基板側面223は第2方向Yに延びている。また、第2基板側面222及び第3基板側面223は、第1基板側面221及び第4基板側面224を接続している。
【0016】
基板主面21には、第2方向Yに延びる凹溝23が凹み形成されている。凹溝23は、基板主面21を第1領域A1及び第2領域A2に区画するように、基板主面21の第2方向Yにおける一端から他端まで直線状に延びている。つまり、凹溝23の長手方向は第2方向Yであり、凹溝23の幅方向は第1方向Xとなっている。凹溝23の第1方向Xにおける形成位置は、基板主面21の第1方向Xにおける中心から僅かにずれた位置となっている。すなわち、凹溝23は、第1方向Xにおいて、第3基板側面223よりも第2基板側面222に近い位置に形成されている。凹溝23の第2方向Yと直交する断面形状は、半円形状であってもよいし、矩形形状であってもよい。
【0017】
厚さ方向Zにおける平面視において、第1領域A1は、第1方向Xを短手方向とし第2方向Yを長手方向とする矩形状をなしている。同様に、第2領域A2は、第1方向Xを短手方向とし第2方向Yを長手方向とする矩形状をなしている。第1方向Xにおいて、第1領域A1の長さは第2領域A2よりも短く、第2方向Yにおいて、第1領域A1の長さは第2領域A2の長さと等しくなっている。このため、厚さ方向Zにおける平面視において、第1領域A1の面積は、第2領域A2の面積よりも小さくなっている。
【0018】
基板主面21には、導体からなる第1パッド211、第2パッド212、第3パッド213及び第4パッド214が形成されている。第1パッド211、第2パッド212、第3パッド213及び第4パッド214は、矩形板状をなしている。厚さ方向Zにおける平面視において、第1パッド211は、第2パッド212と同等の大きさに形成され、他のパッド213,214よりも小さく形成されている。一方、厚さ方向Zにおける平面視において、第4パッド214は、他のパッド211~213よりも大きく形成されている。第1パッド211及び第2パッド212は、第1領域A1に形成され、第3パッド213及び第4パッド214は、第2領域A2に形成されている。つまり、基板主面21において、第1パッド211及び第2パッド212と第3パッド213及び第4パッド214とは、凹溝23の両側にそれぞれ形成されている。
【0019】
図1に示すように、第1パッド211は、第4基板側面224よりも第1基板側面221の近くに形成され、第2パッド212は、第1基板側面221よりも第4基板側面224の近くに形成されている。一方、第3パッド213は、第4基板側面224よりも第1基板側面221の近くに形成され、第4パッド214は、第1基板側面221よりも第4基板側面224の近くに形成されている。
【0020】
また、第1パッド211及び第3パッド213は第1方向Xに少なくとも一部が重なるように形成され、第2パッド212及び第4パッド214は第1方向Xに少なくとも一部が重なるように形成されている。第1パッド211及び第2パッド212は第2方向Yに全体が重なるように形成され、第3パッド213及び第4パッド214は第2方向Yに全体が重なるように形成されている。つまり、第1パッド211及び第2パッド212は第2方向Yに配列し、第3パッド213及び第4パッド214は第2方向Yに配列している。
【0021】
第1パッド211及び第4パッド214は、第1方向X及び第2方向Yの両方向において、重なりを有しないように形成されている。同様に、第2パッド212及び第3パッド213は、第1方向X及び第2方向Yの両方向において、重なりを有しないように形成されている。こうして、厚さ方向Zにおける平面視において、第1パッド211及び第4パッド214は、基板主面21の一方の対角線上に間隔をあけて配置され、第2パッド212及び第3パッド213は、基板主面21の他方の対角線上に間隔をあけて配置されている。
【0022】
なお、図示を省略したが、基板20において、基板主面21の逆側の面となる基板裏面には、第1パッド211、第2パッド212、第3パッド213及び第4パッド214の4つのパッドにそれぞれ導通する4つの裏面電極が設けられている。
【0023】
図1及び図2に示すように、発光素子30は、略直方体状をなしている。発光素子30は、厚さ方向Zにおける平面視において正方形状をなしている。つまり、発光素子30は、第1方向Xにおける長さと第2方向Yにおける長さとが等しくなっている。
【0024】
発光素子30は、基板主面21の第1領域A1上に設けられている。詳しくは、発光素子30は、基板主面21の第1パッド211上に実装されている。このため、発光素子30は、第2方向Yにおいて、第4基板側面224よりも第1基板側面221の近くに設けられている。発光素子30は、ボンディングワイヤ71により、第2パッド212と電気的に接続されている。
【0025】
発光素子30は、例えば、LEDである。発光素子30は、基板主面21に略垂直な方向に光を出射する。このとき、発光素子30が出射する光は、一定の広がり角を有していてもよい。発光素子30から出射される光の波長は、例えば、650nm~1300nmの範囲内である。また、発光素子30の上面31は、光を出射する発光面となっている。
【0026】
図1及び図2に示すように、受光素子40は、略直方体状をなしている。受光素子40は、厚さ方向Zにおける平面視において長方形状をなしている。受光素子40は、第2領域A2と同様に、第1方向Xを短手方向とし、第2方向Yを長手方向としている。また、受光素子40は、第1方向X及び第2方向Yの両方向における長さが発光素子30よりも長く、厚さ方向Zにおける長さが発光素子30と等しくなっている。
【0027】
受光素子40は、発光素子30と隣り合うように、基板主面21の第2領域A2上に設けられている。詳しくは、受光素子40は、基板主面21の第4パッド214上に実装されている。このため、受光素子40は、第2方向Yにおいて、第1基板側面221よりも第4基板側面224の近くに設けられている。受光素子40は、ボンディングワイヤ72により、第3パッド213と電気的に接続されている。
【0028】
受光素子40は、発光素子30から検出対象に向かって出射された光の反射光を検出するための構成である。受光素子40は、受光量に応じたアナログ信号を出力する。受光素子40は、例えば、フォトダイオード、フォトトランジスタ又はフォトICなどである。また、受光素子40の上面41は、光を受光する受光面となっている。
【0029】
第1実施形態では、厚さ方向Zにおいて、発光素子30の上面31及び受光素子40の上面41が略一致している。つまり、厚さ方向Zにおいて、基板主面21から発光素子30の上面31までの長さが基板主面21から受光素子40の上面41までの長さと略等しくなっている。
【0030】
図1及び図2に示すように、第1カバー50は、発光素子30を覆うように基板主面21上に設けられている。第1実施形態では、第1カバー50は、第1パッド211及び第2パッド212と、発光素子30と、ボンディングワイヤ71と、を封止している。第1カバー50は、これらの光センサ10の構成部品を保護する目的で設けられている。第1カバー50は、例えば、発光素子30から出射する光の波長に対して、透光性を有する樹脂材料により形成されている。こうした樹脂材料としては、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン変性エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂及びユリア樹脂等が挙げられる。
【0031】
第1カバー50は、略直方体状をなし、厚さ方向Zにおける平面視において、基板主面21の第1領域A1と同等の大きさを有している。第1カバー50は、第1上面51と、第1裏面52と、第1側面53と、第1傾斜面54と、を有している。
【0032】
第1上面51は、第1裏面52の反対側の面であり、矩形状をなしている。第1上面51は、発光素子30の上面31と厚さ方向Zに対向している。第1裏面52は、基板主面21を向く面であり、矩形状をなしている。第1裏面52は、第1パッド211及び第2パッド212と発光素子30との外形に応じて凹む部分を有している。第1裏面52において、凹んでいない部分は、基板主面21の第1領域A1に接合している。
【0033】
第1側面53は、第1上面51、第1裏面52及び第1傾斜面54と交差する面であり、第1上面51及び第1傾斜面54と第1裏面52とを厚さ方向Zに接続する面である。第1実施形態では、第1側面53は4つの略矩状をなす面から構成されている。第1側面53は、第2カバー60を向く第1内側面531と、第2カバー60を向かない第1外側面532,533,534と、を含んでいる。
【0034】
第1内側面531は1つの面から構成され、第1外側面532,533,534は3つの面から構成されている。第1内側面531及び第1外側面533は、第1方向Xと交差する面であり、第1外側面532及び第1外側面534は、第2方向Yと交差する面である。第1内側面531は、基板20の凹溝23の内面と面一となっている。一方、第1外側面532は、第1基板側面221と面一となっており、第1外側面533は、第2基板側面222と面一となっており、第1外側面534は、第4基板側面224と面一となっている。
【0035】
第1傾斜面54は、第1カバー50において、第1上面51及び第1内側面531が接続する隅部に形成されている。第1傾斜面54は、第1上面51及び第1内側面531の両面と交差している。第1傾斜面54は、第2方向Yを長手方向とし、第1上面51及び第1内側面531の両面と交差する方向を短手方向とする矩形状をなしている。第1傾斜面54の形成角度と第1傾斜面54の大きさとは、適宜に選択することが可能である。第1実施形態では、第1傾斜面54と第1上面51との間をなす角度と、第1傾斜面54と第1内側面531との間をなす角度と、が等しくなっている。
【0036】
図3に示すように、第1側面53は、第1上面51よりも粗面となっている。つまり、第1内側面531は、第1上面51よりも粗面となり、第1外側面532,533,534は、第1上面51よりも粗面となっている。一方、第1傾斜面54は、第1上面51と同程度の表面粗さとなっている。なお、図3は、図2の拡大図であって、第1内側面531などの表面の凹凸形状を、実際の表面よりも誇張して図示した図である。また、図3では、第1外側面532などについては、表面の凹凸形状の図示を省略している。
【0037】
図1及び図2に示すように、第2カバー60は、受光素子40を覆うように基板主面21上に設けられている。第1実施形態では、第2カバー60は、第3パッド213及び第4パッド214と、受光素子40と、ボンディングワイヤ72と、を封止している。第2カバー60は、これらの構成部材を保護する目的で設けられている。第2カバー60は、第1カバー50と同じく、発光素子30から出射する光の波長に対して、透光性を有する樹脂材料により形成されている。
【0038】
第2カバー60は、略直方体状をなし、第1カバー50よりも大きく形成されている。詳しくは、第2カバー60は、第1方向Xにおける長さが第1カバー50よりも大きく、第2方向Y及び厚さ方向Zの両方向における長さが第1カバー50と等しくなっている。第2カバー60は、厚さ方向Zにおける平面視において、基板主面21の第2領域A2と同等の大きさを有している。第2カバー60は、第2上面61と、第2裏面62と、第2側面63と、第2傾斜面64と、を有している。
【0039】
第2上面61は、厚さ方向Zにおいて、第2裏面62の反対側の面であり、矩形状をなしている。第2上面61は、受光素子40の上面41と厚さ方向Zに対向している。第2裏面62は、基板主面21を向く面であり、矩形状をなしている。第2裏面62は、第3パッド213及び第4パッド214と発光素子30との外形に応じて凹む部分を有している。第2裏面62において、凹んでいない部分は、基板主面21の第2領域A2に接合している。
【0040】
第2側面63は、第2上面61、第2裏面62及び第2傾斜面64と交差する面であり、第2上面61及び第2傾斜面64と第2裏面62とを厚さ方向Zに接続する面である。第1実施形態では、第2側面63は4つの略矩形状をなす面から構成されている。第2側面63は、第1カバー50を向く第2内側面631と、第1カバー50を向かない第2外側面632,633,634と、を含んでいる。
【0041】
第2内側面631は1つの面から構成され、第2外側面632,633,634は3つの面から構成されている。第2内側面631及び第2外側面633は、第1方向Xと交差する面であり、第2外側面632及び第2外側面634は、第2方向Yと交差する面である。第2内側面631は、基板20の凹溝23の内面と面一となっている。一方、第2外側面632は、第1基板側面221と面一となっており、第2外側面633は、第3基板側面223と面一となっており、第2外側面634は、第4基板側面224と面一となっている。
【0042】
第2傾斜面64は、第2カバー60において、第2上面61及び第2内側面631が接続する隅部に形成されている。第2傾斜面64は、第2上面61及び第2内側面631との両面と交差している。第2傾斜面64は、第2方向Yを長手方向とし、第2上面61及び第2内側面631の両面と交差する方向を短手方向とする矩形状をなしている。第2傾斜面64の形成角度と第2傾斜面64との大きさは、適宜に選択することが可能である。第1実施形態では、第2傾斜面64と第2上面61との間をなす角度と、第2傾斜面64と第2内側面631との間をなす角度と、が等しくなっている。
【0043】
図3に示すように、第2側面63は、第2上面61よりも粗面となっている。つまり、第2内側面631は、第2上面61よりも粗面となり、第2外側面632,633,634は、第2上面61よりも粗面となっている。一方、第2傾斜面64は、第2上面61と同程度の表面粗さとなっている。なお、図3では、第1内側面531などと同様に、第2内側面631などの表面の凹凸形状を、実際の表面よりも誇張して図示している。また、図3では、第1外側面532などと同様に、第2外側面632については、表面の凹凸形状の図示を省略している。
【0044】
図1及び図2に示すように、第1カバー50が基板主面21の第1領域A1に設けられ、第2カバー60が基板主面21の第2領域A2に設けられている点で、第1カバー50と第2カバー60とは、第1方向Xに配列されているといえる。
【0045】
また、第1カバー50と第2カバー60との間には隙間GPが形成されている。詳しくは、隙間GPは、第1方向Xにおいて、第1カバー50の第1内側面531及び第1傾斜面54と、第2カバー60の第2内側面631及び第2傾斜面64と、の間に第2方向Yにわたって形成されている。第1カバー50と第2カバー60とは、隙間GPを介して第1方向Xに対向している。第1実施形態では、第1カバー50と第2カバー60との対向方向は、第1方向Xである。すなわち、第1方向Xは、第1カバー50と第2カバー60との対向方向ともいえるし、第1カバー50と第2カバー60との配列方向ともいえる。
【0046】
第1内側面531、第2内側面631、第1傾斜面54及び第2傾斜面64は、隙間GPに面する面であり、第1外側面532,533,534及び第2外側面632,633,634は、隙間GPに面しない面である。言い換えれば、第1内側面531、第2内側面631、第1傾斜面54及び第2傾斜面64は、隙間GPを区画する面であり、第1外側面532,533,534及び第2外側面632,633,634は、隙間GPを区画しない面である。また、第1内側面531及び第2内側面631は、隙間GPを介して第1方向Xに対向し、第1傾斜面54及び第2傾斜面64は、隙間GPを介して第1方向Xに対向している。
【0047】
図2に示すように、第1傾斜面54及び第2傾斜面64は異なる方向に延びている。第1実施形態では、第1傾斜面54及び第2傾斜面64は互いに直交する方向に延びている。一方、第1傾斜面54の厚さ方向Zに対する傾き及び第2傾斜面64の厚さ方向Zに対する傾きは等しくなっている。このため、図2に示すように、第1傾斜面54及び第2傾斜面64は、隙間GPの中心を通る線分に対して対称となっている。なお、第1傾斜面54及び第2傾斜面64の形成角度及び大きさは、必ずしも同一である必要はない。
【0048】
隙間GPは、厚さ方向Zにおける上方及び第2方向Yに開口している。第1実施形態では、隙間GPには、空気など、光センサ10の設置環境における気体が充填されている。隙間GPは、第1方向Xにおける幅が一定の第1部分GP1と、第1方向Xにおける幅が基板主面21から遠ざかるにつれて次第に広くなる第2部分GP2と、を有している。
【0049】
第1部分GP1は、第1カバー50の第1内側面531及び第2カバー60の第2内側面631の間に形成され、第2部分GP2は、第1カバー50の第1傾斜面54及び第2カバー60の第2傾斜面64の間に形成されている。第1部分GP1は、第2部分GP2よりも基板20寄りの部分である。第1部分GP1は、厚さ方向Zにおいて、第2部分GP2と接続している。
【0050】
第1実施形態では、厚さ方向Zにおける平面視において、隙間GPの長手方向は第2方向Yとなっている。図2に示すように、隙間GPは、厚さ方向Zにおいて、凹溝23に接続している。言い換えれば、基板主面21の隙間GPに面する部分には凹溝23が形成されている。なお、隙間GPは、第1方向Xにおける幅が、例えば、0.03mm以上0.1mm未満となるように形成することが好ましい。
【0051】
また、第1カバー50と第2カバー60とを比較すると、第1内側面531及び第2内側面631は同程度の表面粗さであり、第1外側面532,533,534及び第2外側面632,633,634は同程度の表面粗さである。同様に、第1上面51及び第2上面61は同程度の表面粗さであり、第1傾斜面54及び第2傾斜面64は同程度の表面粗さである。
【0052】
次に、光センサ10の製造方法について簡単に説明する。第1実施形態の製造方法は、一度に多数の光センサ10を製造する方法である。
図4に示すように、光センサ10の製造方法は、準備工程S11と、実装工程S12と、成形工程S13と、「切断工程」としての第1切断工程S14と、第2切断工程S15と、を備える。
【0053】
準備工程S11は、基板20と同じ材質であって且つ基板20よりも大きな大型基板110を準備する工程である。実装工程S12は、準備工程S11の後工程であって、複数のパッド211~214及び複数の裏面電極等を大型基板110上に形成し、複数の発光素子30及び複数の受光素子40を大型基板110上に実装する工程である。
【0054】
成形工程S13は、実装工程S12の後工程であって、金型を用いた樹脂成形により、大型基板110上に樹脂層120を形成する工程である。成形工程S13の実施により、複数のパッド211~214、複数の発光素子30及び複数の受光素子40ごと、大型基板110の上面を覆う樹脂層120が形成される。こうして、図5及び図6に示す中間体100が形成される。中間体100において、樹脂層120の表面121には、大型基板110の厚さ方向Zと直交する方向に延びる凹部122が複数形成される。凹部122の長手方向と直交する断面形状は、等脚台形状をなしている。中間体100において、樹脂層120の表面121と凹部122の斜面123とは、ともに金型による成形面である。なお、図5及び図6は、中間体100の図示する領域の関係上、凹部122を1つだけ図示している。
【0055】
第1切断工程S14は、成形工程S13の後工程であって、光センサ10の隙間GPに相当する部分を形成するべく、切断を行う工程である。第1切断工程S14は、図5及び図6に示す直線C1に沿って、回転するダイシングブレードを移動させることにより行われる。このとき、樹脂層120において、後に、第1カバー50となる部分及び第2カバー60となる部分が第1方向Xに分離する。つまり、樹脂層120において、発光素子30を覆う部分及び受光素子40を覆う部分の間の部分が切断される。第1切断工程S14は、厚さ方向Zにおいて、ダイシングブレードの最下部が大型基板110の上面よりも下方に配置される状態で行われる。このため、光センサ10の基板20に形成される凹溝23は、樹脂層120に隙間GPを形成する際に形成される。
【0056】
第1実施形態では、ダイシングブレードで隙間GPを形成するため、例えば、エッチングで隙間GPを形成する場合よりも生産性が良好となり、金型で隙間GPを形成する場合よりも金型の形状が複雑にならない。
【0057】
最後に、第2切断工程S15は、中間体100から複数の光センサ10を切り出すべく、図5及び図6に示す直線C2に沿って、ダイシングを行う工程である。このとき、大型基板110と樹脂層120とが同時に切断される。中間体100から複数の光センサ10を切り出す場合と樹脂層120に隙間GPを形成する場合とでは、同じ種類のダイシングブレードを用いてもよいし、異なる種類のダイシングブレードを用いてもよい。
【0058】
ここで、樹脂層120の表面121は、後に、第1カバー50の第1上面51及び第2カバー60の第2上面61となる部位であり、凹部122の斜面123は、後に、第1カバー50の第1傾斜面54及び第2カバー60の第2傾斜面64となる部位である。このため、第1実施形態では、第1上面51及び第2上面61並びに第1傾斜面54及び第2傾斜面64の表面粗さが同等となる。また、こうした点で、第1上面51及び第2上面61は、同一平面上に位置している。
【0059】
基板20の凹溝23と第1カバー50の第1内側面531及び第2カバー60の第2内側面631は、図6に示す直線C1に沿って中間体100をダイシングすることにより形成される。このため、第1内側面531及び第2内側面631には、図7に示すような切断痕が残る。その結果、図3に示すように、第1内側面531及び第2内側面631は、同程度の表面粗さとなるとともに、第1上面51及び第2上面61に比較して粗面となる。また、凹溝23の長手方向と直交する断面形状はダイシングブレードの先端形状に応じた形状となる。さらに、凹溝23の内面は、粗面となる。
【0060】
基板側面22と第1外側面532,533,534及び第2外側面632,633,634とは、図6に示す直線C2に沿って中間体100をダイシングすることにより形成される。このため、第1外側面532,533,534及び第2外側面632,633,634とにも、図7に示すような切断痕が残る。その結果、図3に示すように、第1外側面532,533,534と第2外側面632,633,634は、同程度の表面粗さとなるとともに、第1上面51及び第2上面61に比較して粗面となる。
【0061】
なお、図7に示す切断痕は、一例であり、ダイシングブレードの直径、ダイシングブレードの移動方向、ダイシングブレードの回転速度、ダイシングブレードのダイシング方向における移動速度、ダイシングブレードの材質及び樹脂層120の材質等によって変化し得る。
【0062】
第1実施形態の作用及び効果について説明する。
詳しくは、図8及び図9を参照して、比較例の光センサ10Xと第1実施形態の光センサ10とを比較しつつ説明する。なお、図8及び図9では、説明理解の容易のために、光センサ10,10Xの一部構成の図示を省略した。
【0063】
(1)図8に示すように、発光素子30と受光素子40とを一体に覆うカバー50Xを備える比較例の光センサ10Xにおいて、発光素子30から拡散光L1が出射する場合には、拡散光L1の一部がカバー50Xの上面51Xで受光素子40に向かうように反射される。これに対し、図9に示すように、第1実施形態の光センサ10において、発光素子30を覆う第1カバー50及び受光素子40を覆う第2カバー60の間には隙間GPが設けられる。このため、発光素子30から拡散光L1が出射される場合には、拡散光L1が隙間GPを通過し、第1カバー50の第1上面51及び第2カバー60の第2上面61で反射されない。
【0064】
また、図9に示すように、隙間GPを通過して第1カバー50から第2カバー60に進むような拡散光L4がある場合、当該拡散光L4の一部は、第1内側面531で反射されたり、第2内側面631で反射されたりする。このため、上記のような拡散光は、第2カバー60の内部に到達する際には強度が小さくなりやすい。
【0065】
こうして、光センサ10は、比較例の光センサ10Xと比較して、物体に反射されることなく、発光素子30から受光素子40に向かう光を低減できる。言い換えれば、光センサ10は、クロストークを低減できる。
【0066】
さらに、光センサ10は、第1カバー50と第2カバー60との間に遮光壁を備えない点で、装置の小型化が容易となる。また、光センサ10は、同様の点で、センサの構造を簡素化できるため、光センサ10の製造工程が複雑化することを抑制できる。
【0067】
(2)図8に示すように、カバー50Xに第1傾斜面54を設けない比較例において、発光素子30から拡散光L2が出射される場合には、第1上面51で反射された拡散光L2の一部が受光素子40に向かう可能性がある。
【0068】
この点、図9に示すように、第1実施形態の光センサ10は、第1カバー50に第1傾斜面54が形成されている。このため、図9に示すように、拡散光L2が第1傾斜面54を透過しやすく、拡散光L2が第1上面51で反射されにくい。その結果、光センサ10は、第1上面51での拡散光L2の反射に起因するクロストークを低減できる。
【0069】
(3)図8に示すように、カバー50Xに第2傾斜面64を設けない比較例において、発光素子30から拡散光L3が出射される場合には、拡散光L3がカバー50Xの上面51Xで反射されて、受光素子40に向かう可能性がある。この点、図9に示すように、第1実施形態の光センサ10は、第2カバー60に第2傾斜面64が形成されている。このため、図9に示すように、拡散光L3が第2カバー60の内部に入りにくく、受光素子40に向かいにくい。その結果、光センサ10は、第2上面61での拡散光L3の反射に起因するクロストークを低減できる。
【0070】
(4)図9に示すように、光センサ10において、第1カバー50の第1外側面532,533,534は、基板側面22(221,222,224)と面一であり、第2カバー60の第2外側面632,633,634は、基板側面22(221,223,224)と面一である。つまり、光センサ10は、第1カバー50と第2カバー60との周囲を囲う周壁を備えない。こうして、光センサ10は、装置の小型化がより容易となる。
【0071】
(5)光センサ10は、第1内側面531と第2内側面631とが、第1上面51と第2上面61とに比較して粗面である。このため、図9に示すように、発光素子30から拡散光L4が出射される場合には、拡散光L4が第1カバー50から隙間GPに出たり、隙間GPから第2カバー60に入ったりする際に、拡散光L4が反射したり、散乱したり、屈折したりする。こうして、光センサ10は、粗面の第1内側面531と第2内側面631とにより、拡散光L4を弱めることができる。
【0072】
(6)光センサ10は、第1外側面532,533,534が第1上面51と第2上面61とに比較して粗面である。このため、光センサ10は、発光素子30から出射される拡散光が、第1外側面532,533,534を介して、光センサ10の外部に漏れ出ることを抑制できる。
【0073】
(7)光センサ10は、第2外側面632,633,634が第1上面51と第2上面61とに比較して粗面である。このため、光センサ10は、第1方向X及び第2方向Yにおける外部から第2カバー60に入射する光が受光素子40に到達することを抑制できる。
【0074】
(8)図1に示すように、厚さ方向Zにおける平面視において、発光素子30と受光素子40とは、隙間GPの延びる方向である第2方向Yにずれて配置されている。詳しくは、厚さ方向Zにおける平面視において、発光素子30と受光素子40とは、第2方向Yに重ならないように配置されている。このため、光センサ10は、発光素子30と受光素子40とが第2方向Yに少なくとも一部が重なるように配置されている場合と比較して、発光素子30と受光素子40とを互いに遠ざけて配置できる。こうして、光センサ10は、クロストークをより低減できる。
【0075】
(9)図9に示すように、光センサ10は、第1カバー50と第2カバー60との上面から6mm以下の距離Lnに存在する物体200を検出対象とする。このため、光センサ10において、発光素子30から出射される光の多くが物体200で反射されることで、受光素子40に向かいやすくなる。このため、光センサ10は、遮光壁を備えない点で、クロストークが強くなったとしても、物体200の検出に十分なS/N比を確保できる。
【0076】
(第2実施形態)
図10に基づき、第2実施形態に係る光センサ10Aについて説明する。第2実施形態において、第1実施形態と共通する構成については、同一の符号を付して説明を省略する。第2実施形態の光センサ10Aは、第1実施形態の光センサ10と比較して、主に隙間GPに関する構成が異なる。
【0077】
図10に示すように、光センサ10Aは、基板20と、発光素子30と、受光素子40と、第1カバー50Aと、第2カバー60Aと、ボンディングワイヤ71,72と、遮光性インク80と、を備えている。
【0078】
第1カバー50Aは、略直方体状をなし、第1上面51と、第1裏面52と、第1側面53と、を有している。第2カバー60Aは、略直方体状をなし、第2上面61と、第2裏面62と、第2側面63と、を有している。
【0079】
遮光性インク80は、発光素子30が出射する光の波長を吸収する色のインクである。遮光性インク80は、第1カバー50と第2カバー60との間の隙間GPに充填されている。遮光性インク80は、隙間GPにおいて、固化していることが好ましいが、隙間GPに留まることが可能であれば、液状であってもよいし、ゲル状であってもよい。なお、第2実施形態において、隙間GPとは、第1カバー50と第2カバー60との間に形成されるものであり、遮光性インク80が充填されていても、隙間GPが形成されているものとする。
【0080】
第2実施形態の作用効果について説明する。
(10)第1カバー50Aと第2カバー60Aとの間の隙間GPに遮光性インク80が充填されているため、光センサ10Aは、発光素子30から出射される拡散光を遮光性インク80で吸収できる。こうして、光センサ10Aは、クロストークをより低減できる。また、第2実施形態の光センサ10Aは、第1実施形態の効果(1),(4)~(9)を得ることができる。
【0081】
第2実施形態は、以下のように変更して実施することができる。
図11及び図12に示すように、第2実施形態の光センサ10Aは、第1傾斜面54を有する第1カバー50と、第2傾斜面64を有する第2カバー60と、を備える光センサ10A1,10A2としてもよい。この場合、図11に示すように、光センサ10A1は、隙間GPのうち、第1内側面531と第2内側面631との間の第1部分GP1に充填される遮光性インク80A1を備えてもよい。また、図12に示すように、光センサ10A2は、隙間GPの全てに充填される遮光性インク80A2を備えてもよい。
【0082】
(第3実施形態)
図13に基づき、第3実施形態に係る光センサ10Bについて説明する。第3実施形態において、第1実施形態と共通する構成については、同一の符号を付して説明を省略する。第3実施形態の光センサ10Bは、第1実施形態の光センサ10と比較して、主にレンズを備える点が異なる。
【0083】
図13に示すように、光センサ10Bは、基板20と、発光素子30と、受光素子40と、第1カバー50Bと、第2カバー60Bと、ボンディングワイヤ71,72と、第1レンズ81と、第2レンズ82と、を備えている。
【0084】
第1カバー50Bは、略直方体状をなしている。第1カバー50Bは、第1上面51と、第1裏面52と、第1側面53と、を有している。第2カバー60Bは、略直方体状をなしている。第2カバー60Bは、第2上面61と、第2裏面62と、第2側面63と、を有している。
【0085】
第1レンズ81は、第1カバー50Bの第1上面51上に形成されている。第1レンズ81は、発光素子30から出射される光を集光したり、物体で反射された光が受光素子40に向かいやすくなるように発光素子30から出射される光の向きを傾けたりする。第2レンズ82は、第2カバー60Bの第2上面61上に形成されている。第2レンズ82は、第2カバー60に入射しようとする光を受光素子40に向けて集光する。
【0086】
第1レンズ81及び第2レンズ82は、ともにフレネルレンズである。この点で、第1レンズ81は「第1フレネルレンズ」の一例であり、第2レンズ82は「第2フレネルレンズ」の一例である。第1レンズ81及び第2レンズ82は、第1カバー50B及び第2カバー60Bと別体に形成してもよいし、第1カバー50B及び第2カバー60Bと一体に形成してもよい。第1レンズ81及び第2レンズ82を第1カバー50B及び第2カバー60Bと一体に形成する場合、第1レンズ81及び第2レンズ82は、例えば、成形工程S13で第1カバー50B及び第2カバー60Bと同時に形成することが可能である。
【0087】
第3実施形態の作用効果について説明する。
(11)光センサ10Bは、第1レンズ81及び第2レンズ82を備えるため、発光素子30から出射される光の多くが物体200で反射されるとともに、物体200での反射光が受光素子40に向かいやすくなる。また、第1レンズ81及び第2レンズ82は、フレネルレンズであるため、光センサ10Bの厚さ方向Zにおける長さが長くなることが抑制される。また、第3実施形態の光センサ10Bは、第1実施形態の効果(1),(4)~(9)を得ることができる。
【0088】
第3実施形態は、以下のように変更して実施することができる。
・第1レンズ81及び第2レンズ82は、通常の集光レンズとしてもよい。
・光センサ10Bは、第1レンズ81及び第2レンズ82の少なくとも一方のレンズを備えていればよい。
【0089】
(第4実施形態)
図14に基づき、第4実施形態に係る光センサ10Cについて説明する。第4実施形態において、第1実施形態と共通する構成については、同一の符号を付して説明を省略する。第4実施形態の光センサ10Cは、第1実施形態の光センサ10と比較して、主に発光素子の構成が異なる。
【0090】
図14に示すように、光センサ10Cは、基板20と、発光素子30Cと、受光素子40と、第1カバー50Cと、第2カバー60Cと、ボンディングワイヤ71,72と、を備えている。なお、図14では、ボンディングワイヤ71,72の図示を省略している。
【0091】
発光素子30Cは、第1パッド211上に実装され、第2パッド212とボンディングワイヤ71を介して接続されている。発光素子30Cの厚さ方向Zにおける長さは、受光素子40の厚さ方向Zにおける長さよりも短くなっている。
【0092】
第1カバー50Cは、略直方体状をなしている。第1カバー50Cは、第1上面51と、第1裏面52と、第1側面53と、を有している。第2カバー60Cは、略直方体状をなしている。第2カバー60Cは、第2上面61と、第2裏面62と、第2側面63と、を有している。
【0093】
図14に示すように、厚さ方向Zにおいて、基板主面21から発光素子30Cの上面31Cまでの長さLn1は、基板主面21から受光素子40の上面41までの長さLn2よりも短くなっている。つまり、厚さ方向Zにおいて、発光素子30Cの上面31Cから第1カバー50Cの第1上面51までの長さは、受光素子40の上面41から第2カバー60Cの第2上面61までの長さよりも長くなっている。こうして、発光素子30Cの上面31C及び受光素子40の上面41は、厚さ方向Zにずれて位置している。
【0094】
第4実施形態の作用効果について説明する。
(12)光センサ10Cにおいて、受光素子40の上面41は、発光素子30Cの上面31Cよりも上方にずれて位置している。このため、図14に示すように、発光素子30Cから第1方向X又は第1方向Xから僅かに傾いた方向に出射する拡散光L5がある場合、当該拡散光L5は、受光素子40の上面41に到達しにくくなる。こうして、光センサ10Cは、クロストークをより低減できる。また、第4実施形態の光センサ10Cは、第1実施形態の効果(1),(4)~(9)を得ることができる。
【0095】
第4実施形態は、以下のように変更して実施することができる。
図15に示すように、光センサ10Cは、発光素子30と受光素子40Cとを備える光センサ10C1としてもよい。図15に示すように、厚さ方向Zにおいて、基板主面21から発光素子30の上面31までの長さLn1は、基板主面21から受光素子40Cの上面41Cまでの長さLn2よりも長くなっている。つまり、厚さ方向Zにおいて、発光素子30の上面31から第1カバー50Cの第1上面51までの長さは、受光素子40Cの上面41Cから第2カバー60Cの第2上面61までの長さよりも短くなっている。なお、図15では、ボンディングワイヤ71,72の図示を省略している。
【0096】
・長さLn1及び長さLn2が異なっていれば、発光素子30Cの厚さ方向Zにおける長さ及び受光素子40の厚さ方向Zにおける長さは、等しくてもよい。この場合、第1パッド211と発光素子30Cとの間に導電性の介在部を設けたり、第4パッド214と受光素子40との間に導電性の介在部を設けたりしてもよい。また、発光素子30Cが実装される第1パッド211の厚さと、受光素子40が実装される第4パッド214の厚さと、を異なる厚さとしてもよい。また、基板20において、第1パッド211が形成される部分の厚さと、第4パッド214が形成される部分の厚さと、を異なる厚さとしてもよい。
【0097】
各実施形態は、以下のように変更して実施することができる。各実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・光センサ10,10A~10Cは、第1カバー50と第2カバー60との表面から6mmよりも離れた距離Lnに存在する物体を検出対象としてもよい。この場合、光センサ10,10A~10Cは、S/N比を確保するべく、光センサ10,10A~10Cの構成部品の形状、大きさ及び位置関係などを変更することが好ましい。
【0098】
・厚さ方向Zにおける平面視において、光センサ10,10A~10Cの外形形状は正方形状でなくてもよい。例えば、光センサ10,10A~10Cの外形形状は、長方形状であってもよいし、多角形状であってもよいし、円形状であってもよい。
【0099】
図16に示すように、光センサ10は、光センサ10Dとしてもよい。光センサ10Dにおいて、第1パッド211及び第4パッド214は第1方向Xに隣り合うように形成されてもよいし、第2パッド212及び第3パッド213は第1方向Xに隣り合うように形成されてもよい。言い換えれば、第1パッド211及び第4パッド214は、第1方向Xに少なくとも一部が重なるように形成されてもよいし、第2パッド212及び第3パッド213は、第1方向Xに少なくとも一部が重なるように形成されてもよい。つまり、発光素子30と受光素子40とは、凹溝23に区画される領域にそれぞれ設けられていればよい。
【0100】
図17に示すように、光センサ10は、基板20に凹溝23が形成されていない光センサ10Eとしてもよい。つまり、光センサ10Eの製造時に、厚さ方向Zにおいて、ダイシングブレードの下端と基板主面21とを一致させた状態で、図5及び図6に示す直線C1に沿ってダイシングを行ってもよい。
【0101】
図18に示すように、光センサ10は、基板主面21上に設けられ且つ第1カバー50と第2カバー60とを接続する接続部90を備える光センサ10Fとしてもよい。
接続部90は、第2方向Yを高さ方向とする柱状をなしている。接続部90は、第2方向Yにわたって、第1カバー50と第2カバー60とを接続している。つまり、接続部90は、第2方向Yにおいて、第1カバー50と第2カバー60との双方と同等の長さとなっている。また、第2方向Yにおける接続部90の断面形状は同一となっている。
【0102】
接続部90は、厚さ方向Zと交差する接続部上面91を有している。接続部上面91は、基板主面21に向かって凹んだ凹曲面であり、隙間GPに面している。このため、光センサ10Fにおいて、隙間GPは、第1カバー50の第1内側面531と第2カバー60の第2内側面631と接続部90の接続部上面91との間に形成されているといえる。言い換えれば、隙間GPは、第1カバー50と第2カバー60と接続部90との間に形成されているといえる。このように、第1カバー50と第2カバー60とは、分離している構成でもよいし、隙間GPが形成されていれば繋がっている構成でもよい。
【0103】
厚さ方向Zにおいて、基板主面21から接続部上面91までの長さを接続部90の厚さThとすると、接続部90の厚さThは、基板主面21から発光素子30の上面31までの長さLn1よりも短いことが好ましく、基板主面21から発光素子30の発光層までの長さよりも短いことがより好ましい。また、接続部90の厚さThは、基板主面21から受光素子40の上面41までの長さLn2よりも短いことが好ましく、基板主面21から受光素子40の受光層までの長さよりも短いことがより好ましい。
【0104】
上述したように、接続部上面91は湾曲している。この構成において、接続部90の厚さThとは、基板主面21から接続部上面91において最も基板主面21に近い部分までの長さとする。
【0105】
図18に示すように、接続部90の厚さThは、厚さ方向Zにおける隙間GPの長さLn3よりも短く、厚さ方向Zにおける第1部分GP1の長さLn4よりも短い。このため、第1カバー50と第2カバー60との間において、接続部90が占める領域よりも隙間GPが占める領域の方が大きくなっている。ただし、これに限られず、接続部90の厚さThは任意に設定可能であり、例えば厚さ方向Zにおける第1部分GP1の長さLn4よりも長くてもよい。
【0106】
なお、厚さ方向Zにおける隙間GPの長さLn3とは、接続部上面91(例えば接続部上面91における最も基板主面21に近い部分)から第1上面51及び第2上面61の厚さ方向Zの上端までの長さである。厚さ方向Zにおける第1部分GP1の長さLn4とは、接続部上面91(例えば接続部上面91における最も基板主面21に近い部分)から第1内側面531及び第2内側面631の厚さ方向Zの上端までの長さである。
【0107】
また、接続部90は、光センサ10Fの製造時に、厚さ方向Zにおいて、ダイシングブレードの下端を基板主面21よりも上方に配置させた状態で、図5及び図6に示す直線に沿ってダイシングが行われることで形成される。このため、接続部90は、第1カバー50と第2カバー60と同一の樹脂材料から形成され、接続部90は、第1カバー50と第2カバー60と一体に形成されている。
【0108】
図18に示す光センサ10Fは、接続部90によって第1カバー50と第2カバー60とが一体となるため、光センサ10Fの強度を高めることができる。また、光センサ10Fは、接続部90の厚さThを基板主面21から発光素子30の上面31までの長さLn1未満としたため、発光素子30から出射される光が、接続部90を通過して、受光素子40に向かうことを抑制できる。つまり、光センサ10Fは、接続部90を設けたことに起因するクロストークを低減できる。
【0109】
・発光素子30及び受光素子40の形状は、直方体状でなくてもよい。例えば、発光素子30及び受光素子40の形状は、立方体状でもよいし、円柱状でもよいし、板状でもよい。
【0110】
・発光素子30は、半導体レーザ素子としてもよい。半導体レーザ素子は、例えばレーザ光を垂直方向に出射するVCSEL(Vertical Cavity Surface Emitting LASER:垂直共振器面発光レーザ)である。これによれば、発光素子30から出射される光の拡散光を低減できる。
【0111】
・第1カバー50の第1内側面531と第2カバー60の第2内側面631とは粗面に形成しなくてもよい。同様に、第1カバー50の第1外側面532,533,534の少なくとも1つを粗面に形成しなくてもよいし、第2カバー60の第2外側面632,633,634の少なくとも1つを粗面に形成しなくてもよい。
【0112】
・第1カバー50の第1傾斜面54及び第2カバー60の第2傾斜面64は粗面に形成してもよい。この場合、金型の表面を粗面とすることで、第1傾斜面54及び第2傾斜面64を粗面としてもよいし、樹脂成形後の加工により、第1傾斜面54及び第2傾斜面64を粗面としてもよい。
【0113】
・第1カバー50の第1内側面531に鏡面の膜又は遮光膜を設けることで、発光素子30から出射される拡散光が第2カバー60の内部に入らないようにしてもよい。同様に、第2カバー60の第2内側面631に鏡面の膜又は遮光膜を設けることで、発光素子30から出射される拡散光が第2カバー60の内部に入らないようにしてもよい。
【0114】
・第1カバー50と第2カバー60との間の隙間GPは、樹脂層120の成形時に金型により形成してもよい。
・第1カバー50の第1上面51と第2カバー60の第2上面61とは、厚さ方向Zにずらしてもよい。
【0115】
・中間体100のダイシングには、ダイシングブレードを用いなくてもよい。例えば、ダイシングは、レーザを用いて行ってもよい。
(付記)
次に、上記各実施形態および各変更例に基づく技術的思想を以下に記載する。
【0116】
(付記1)
厚さ方向と交差する基板主面を有する基板と、
前記基板主面上に設けられる発光素子と、
前記基板主面上に設けられる受光素子と、
透光性を有し、前記発光素子を覆うように前記基板主面上に設けられる第1カバーと、
透光性を有し、前記受光素子を覆うように前記基板主面上に設けられる第2カバーと、
を備え、
前記第1カバーと前記第2カバーとの間には、隙間が形成されている光センサ。
【0117】
(付記2)
前記第1カバーは、前記厚さ方向と交差する第1上面と、前記第1上面と交差する第1側面と、を有し、
前記第2カバーは、前記厚さ方向と交差する第2上面と、前記第2上面と交差する第2側面と、を有し、
前記第1側面は、前記隙間に面する第1内側面と、前記隙間に面しない第1外側面と、を含み、
前記第2側面は、前記隙間に面する第2内側面と、前記隙間に面しない第2外側面と、を含む付記1に記載の光センサ。
【0118】
(付記3)
前記第1カバーは、前記第1上面と前記第1内側面とが接続する隅部に、前記第1上面と前記第1内側面との双方と交差する第1傾斜面を有する付記2に記載の光センサ。
【0119】
(付記4)
前記第2カバーは、前記第2上面と前記第2内側面とが接続する隅部に、前記第2上面と前記第2内側面との双方と交差する第2傾斜面を有する付記2又は付記3に記載の光センサ。
【0120】
(付記5)
前記基板は、基板側面を有し、
前記第1外側面と前記第2外側面とは、前記厚さ方向において、前記基板側面と面一となっている付記2~付記4の何れか一項に記載の光センサ。
【0121】
(付記6)
前記第1内側面は、前記第1上面よりも粗面である付記2~付記5の何れか一項に記載の光センサ。
【0122】
(付記7)
前記第2内側面は、前記第2上面よりも粗面である付記2~付記6の何れか一項に記載の光センサ。
【0123】
(付記8)
前記第1外側面は、前記第1上面よりも粗面である付記2~付記7の何れか一項に記載の光センサ。
【0124】
(付記9)
前記第2外側面は、前記第2上面よりも粗面である付記2~付記8の何れか一項に記載の光センサ。
【0125】
(付記10)
前記隙間に充填される遮光性インクを備える付記1~付記9の何れか一項に記載の光センサ。
【0126】
(付記11)
前記隙間には、空気が充填されている付記1~付記9の何れか一項に記載の光センサ。
(付記12)
前記発光素子の上面及び前記受光素子の上面は、前記厚さ方向にずれている付記1~付記11の何れか一項に記載の光センサ。
【0127】
(付記13)
前記厚さ方向において、前記基板主面から前記発光素子の上面までの長さは、前記基板主面から前記受光素子の上面までの長さより短くなっている付記12に記載の光センサ。
【0128】
(付記14)
前記第1上面と前記第2上面とは、同一平面上に位置している付記2~付記13の何れか一項に記載の光センサ。
【0129】
(付記15)
前記第1上面上に形成される第1フレネルレンズを備える付記2~付記14の何れか一項に記載の光センサ。
【0130】
(付記16)
前記第2上面上に形成される第2フレネルレンズを備える付記2~付記15の何れか一項に記載の光センサ。
【0131】
(付記17)
前記第1カバーと前記第2カバーとは、前記隙間を介して対向しており、
前記隙間は、前記厚さ方向における平面視において、前記第1カバーと前記第2カバーとの対向方向と直交する方向に延びており、
前記発光素子と前記受光素子とは、前記厚さ方向における平面視において、前記隙間の延びる方向にずれて配置されている付記1~付記16の何れか一項に記載の光センサ。
【0132】
(付記18)
前記基板主面において、前記隙間に面する部分には、前記厚さ方向に凹む凹溝が形成されている付記1~付記17の何れか一項に記載の光センサ。
【0133】
(付記19)
前記基板主面は、前記凹溝に区画される第1領域及び第2領域を有し、
前記発光素子は、前記第1領域上に設けられ、
前記受光素子は、前記第2領域上に設けられ、
前記第1カバーは、前記発光素子を覆うように前記第1領域上に設けられ、
前記第2カバーは、前記受光素子を覆うように前記第2領域上に設けられ、
前記厚さ方向における平面視において、前記受光素子は前記発光素子よりも大きく、前記第2領域は前記第1領域よりも大きい付記18に記載の光センサ。
【0134】
(付記20)
前記第1カバーと前記第2カバーとは、前記隙間を介して対向しており、
前記凹溝は、前記厚さ方向における平面視において、前記第1カバーと前記第2カバーとの対向方向と直交する方向に延びており、
前記第1領域及び前記第2領域は、前記凹溝の幅方向を短手方向とし、前記凹溝の延びる方向を長手方向とする矩形状をなし、
前記第1領域の前記短手方向の長さは、前記第2領域の前記短手方向の長さよりも短く、
前記第1領域の前記長手方向の長さは、前記第2領域の前記長手方向の長さと等しくなっている付記19に記載の光センサ。
【0135】
(付記21)
前記第1カバーと前記第2カバーとは、前記隙間を介して対向しており、
前記凹溝は、前記厚さ方向における平面視において、前記第1カバーと前記第2カバーとの対向方向と直交する方向に延びており、
前記基板は、前記第1領域に前記凹溝の延びる方向に配列した第1パッド及び第2パッドと、前記第2領域に前記凹溝の延びる方向に配列した第3パッド及び第4パッドと、を有し、
前記発光素子は、前記第1パッド上に実装され、前記第2パッドに電気的に接続され、
前記受光素子は、前記第4パッド上に実装され、前記第3パッドに電気的に接続されている付記19又は付記20に記載の光センサ。
【0136】
(付記22)
前記第1パッドは、前記凹溝の幅方向において、前記第3パッドと少なくとも一部が重なる一方、前記第4パッドと重ならないように形成され、
前記第2パッドは、前記凹溝の幅方向において、前記第4パッドと少なくとも一部が重なる一方、前記第3パッドと重ならないように形成されている付記21に記載の光センサ。
【0137】
(付記23)
前記基板主面上に設けられ、前記第1カバーと前記第2カバーとを接続する接続部を備え、
前記隙間は、前記第1カバーと前記第2カバーと前記接続部との間に形成されている付記1~付記17の何れか一項に記載の光センサ。
【0138】
(付記24)
前記接続部は、前記隙間に面する接続部上面を有し、
前記厚さ方向において、前記基板主面から前記接続部上面までの長さである前記接続部の厚さは、前記基板主面から前記発光素子の上面までの長さよりも短くなっている付記23に記載の光センサ。
【0139】
(付記25)
前記接続部は、前記隙間に面する接続部上面を有し、
前記厚さ方向における前記基板主面から前記接続部上面までの長さである前記接続部の厚さは、前記厚さ方向における前記隙間の長さよりも短くなっている付記23又は付記24に記載の光センサ。
【0140】
(付記26)
前記第1カバーと前記第2カバーとは、前記隙間を介して対向しており、
前記基板は、前記厚さ方向における平面視において、矩形状をなし、前記第1カバーと前記第2カバーとの対向方向に延びる第1基板側面及び第4基板側面と、前記対向方向と直交する方向に延びる前記第1基板側面及び前記第4基板側面を接続する第2基板側面及び第3基板側面と、を有し、
前記発光素子は、前記第4基板側面よりも前記第1基板側面に近い位置に設けられ、
前記受光素子は、前記第1基板側面よりも前記第4基板側面に近い位置に設けられている付記1~付記25の何れか一項に記載の光センサ。
【0141】
(付記27)
前記発光素子は、垂直方向にレーザ光を出射する半導体レーザ素子である付記1~付記26の何れか一項に記載の光センサ。
【0142】
(付記28)
前記厚さ方向における平面視において、正方形状をなしている付記1~付記27の何れか一項に記載の光センサ。
【0143】
(付記29)
前記厚さ方向における平面視において、1辺の長さが0.5mm以上1.0mm以下である付記28に記載の光センサ。
【0144】
(付記30)
前記第1カバーと前記第2カバーとから6mm以下の範囲内に存在する物体を検出対象とする付記1~付記29の何れか一項に記載の光センサ。
【0145】
(付記31)
厚さ方向と交差する基板主面を有する基板と、
前記基板主面上に設けられる発光素子と、
前記基板主面上に設けられる受光素子と、
透光性を有し、前記発光素子を覆うように前記基板主面上に設けられる第1カバーと、
透光性を有し、前記受光素子を覆うように前記基板主面上に設けられる第2カバーと、
を備える光センサの製造方法であって、
前記発光素子及び前記受光素子ごと前記基板主面を覆う樹脂層を成形する成形工程と、
前記樹脂層における前記発光素子を覆う部分と前記受光素子を覆う部分との間の部分を切断することにより、前記第1カバー及び前記第2カバーの間に隙間を形成する切断工程と、を備える光センサの製造方法。
(付記32)
厚さ方向と交差する基板主面を有する基板と、
前記基板主面上に設けられ、レーザ光を垂直方向に出射するVCSELと、
前記基板主面上に設けられる受光素子と、
透光性を有し、前記VCSELを覆うように前記基板主面上に設けられる第1カバーと、
透光性を有し、前記受光素子を覆うように前記基板主面上に設けられる第2カバーと、
を備え、
前記第1カバーと前記第2カバーとの間には、隙間が形成され、
前記隙間には、空気が充填されており、
前記基板主面において、前記隙間に面する部分には、前記厚さ方向に凹む凹溝が形成されている光センサ。
(付記33)
厚さ方向と交差する基板主面を有する基板と、
前記基板主面上に設けられ、レーザ光を垂直方向に出射するVCSELと、
前記基板主面上に設けられる受光素子と、
透光性を有し、前記VCSELを覆うように前記基板主面上に設けられる第1カバーと、
透光性を有し、前記受光素子を覆うように前記基板主面上に設けられる第2カバーと、
を備え、
前記第1カバーと前記第2カバーとの間には、隙間が形成され、
前記隙間には、空気が充填されており、
前記基板主面において、前記隙間に面する部分には、前記厚さ方向に凹む凹溝が形成されている光センサの製造方法であって、
前記VCSEL及び前記受光素子ごと前記基板主面を覆う樹脂層を成形する成形工程と、
前記樹脂層における前記VCSELを覆う部分と前記受光素子を覆う部分との間の部分を切断することにより、前記第1カバー及び前記第2カバーの間に前記隙間を形成し、前記基板に前記凹溝を形成する切断工程と、を備える光センサの製造方法。
【符号の説明】
【0146】
10,10A,10A1,10A2,10B,10C,10C1,10D,10E,10F…光センサ
10X…比較例の光センサ
20…基板
21…基板主面
211…第1パッド
212…第2パッド
213…第3パッド
214…第4パッド
22…基板側面
221…第1基板側面
222…第2基板側面
223…第3基板側面
224…第4基板側面
23…凹溝
30,30C…発光素子
31,31C…上面
40,40C…受光素子
41,41C…上面
50,50A,50B,50C…第1カバー
50X…比較例のカバー
51…第1上面
51X…上面
52…第1裏面
53…第1側面
531…第1内側面
532…第1外側面
533…第1外側面
534…第1外側面
54…第1傾斜面
60,60A,60B,60C…第2カバー
61…第2上面
62…第2裏面
63…第2側面
631…第2内側面
632…第2外側面
633…第2外側面
634…第2外側面
64…第2傾斜面
71,72…ボンディングワイヤ
80,80A1,80A2…遮光性インク
81…第1レンズ(第1フレネルレンズの一例)
82…第2レンズ(第2フレネルレンズの一例)
90…接続部
91…接続部上面
100…中間体
110…大型基板
120…樹脂層
121…表面
122…凹部
123…斜面
200…物体
A1…第1領域
A2…第2領域
GP…隙間
GP1…第1部分
GP2…第2部分
L1~L5…拡散光
X…第1方向
Y…第2方向
Z…厚さ方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18