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特許7604386複雑な生物学的マトリックスにおける試料間アナライト変動性の低減
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-13
(45)【発行日】2024-12-23
(54)【発明の名称】複雑な生物学的マトリックスにおける試料間アナライト変動性の低減
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/48 20060101AFI20241216BHJP
   C07K 1/16 20060101ALI20241216BHJP
   G01N 33/68 20060101ALI20241216BHJP
   G01N 33/53 20060101ALI20241216BHJP
【FI】
G01N33/48 A
C07K1/16
G01N33/68
G01N33/53 D
【請求項の数】 34
(21)【出願番号】P 2021552175
(86)(22)【出願日】2020-03-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-11
(86)【国際出願番号】 US2020023866
(87)【国際公開番号】W WO2020198011
(87)【国際公開日】2020-10-01
【審査請求日】2023-03-13
(31)【優先権主張番号】62/822,349
(32)【優先日】2019-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505373306
【氏名又は名称】ソマロジック オペレーティング カンパニー インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ドロレ ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】アストリング デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】ヴォン カルロヴィッツ アイラ
(72)【発明者】
【氏名】フラハ トーマス ハワード
(72)【発明者】
【氏名】ホー ジャン
【審査官】高田 亜希
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-162213(JP,A)
【文献】特開2018-199720(JP,A)
【文献】WEBBER, J. et al.,Proteomics Analysis of Cancer Exosomes Using a Novel Modified Aptamer-based Array (SOMAscan) Platform,MOLECULAR & CELLULAR PROTEOMICS,2011年10月17日,Vol.6,/No.10,pp.1050-1064
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/48 -33/98
C07K 1/00 -19/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンパク質を検出するための複数の生物学的試料を調製するための方法であって、
緩衝剤と、1つ以上の塩と、キレート剤と、非イオン界面活性剤とを含む製剤を用いて、前記複数の生物学的試料に対し緩衝液交換を実施することにより、複数の試験試料を生成することと、
複数の試験試料の総タンパク質濃度を調整することにより、複数の調整された試験試料を生成することとを含み、調整された各試験試料の総タンパク質濃度が約70μg/mL~約100μg/mLであり、
前記方法が、前記緩衝液交換を実施する前に前記複数の生物学的試料の総タンパク質を濃縮することを含まない、前記方法。
【請求項2】
タンパク質を検出するための生物学的試料を調製するための方法であって、
緩衝剤と、1つ以上の塩と、キレート剤と、非イオン界面活性剤とを含む製剤を用いて、前記生物学的試料に対し緩衝液交換を実施することにより、試験試料を生成することと、前記試験試料の総タンパク質濃度を調整することにより、調整された試験試料を生成することとを含み、前記調整された試験試料における総タンパク質濃度が約70μg/mL~約100μg/mLである、前記方法。
【請求項3】
前記試験試料もしくは前記複数の試験試料及び/または前記生物学的試料もしくは前記複数の生物学的試料のタンパク質濃度を定量することを含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
タンパク質を検出するための生物学的試料を調製するための方法であって、
緩衝剤と、1つ以上の塩と、キレート剤と、非イオン界面活性剤とを含む製剤を用いて、前記生物学的試料に対する緩衝液交換を実施することにより、試験試料を生成することと、
前記試験試料の総タンパク質濃度を定量することと、
前記試験試料の総タンパク質濃度を調整することにより、調整された試験試料を生成することとを含み、前記調整された試験試料における総タンパク質濃度が約70μg/mL~約100μg/mLである、前記方法。
【請求項5】
複数の生物学的試料に対し緩衝液交換を実施することにより、複数の試験試料を生成することを含み、調整された各試験試料の総タンパク質濃度がほぼ同じである、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
タンパク質を検出するための生物学的試料を調製する方法であって、
緩衝剤と、1つ以上の塩と、キレート剤と、非イオン界面活性剤とを含む製剤を用いて、前記生物学的試料に対する緩衝液交換を実施することにより、試験試料を生成することと、
前記試験試料のタンパク質濃度を定量することと、
前記試験試料の総タンパク質濃度が約70μg/mL~約100μg/mLの範囲内にない場合に、試験試料の総タンパク質濃度を調整することにより、調整された試験試料を生成することとを含み、前記調整された試験試料における総タンパク質濃度が約70μg/mL~約100μg/mLである、
前記方法。
【請求項7】
前記方法が、前記生物学的試料を濃縮することを含まない、請求項2~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記1つ以上の塩が各々独立的に、ナトリウム塩、カリウム塩、及びマグネシウム塩から選択される、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記1つ以上の塩が、ナトリウム塩、カリウム塩、及びマグネシウム塩を含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記ナトリウム塩がNaClであり、前記カリウム塩がKClであり、前記マグネシウム塩がMgClである、請求項8又は9に記載の方法。
【請求項11】
前記試験試料中の前記NaClが、約10mM~約500mM、または約50mM~約250mM、または約100mM~約200mM、または約102mMの濃度である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記試験試料中の前記KClが、約0.5mM~約30mM、または約1mM~約20mM、または約2mM~約15mM、または約4mM~約10mM、または約5mMの濃度である、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記試験試料中の前記MgClが、約0.5mM~約30mM、または約1mM~約20mM、または約2mM~約15mM、または約4mM~約10mM、または約5mMの濃度である、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記緩衝剤が、HEPES、MES、ビス-トリスメタン、ADA、ACES、ビス-トリスプロパン、PIPES、MOPSO、コラミンクロリド、MOPS、BES、TES、DIPSO、MOB、アセトアミドグリシン、TAPSO、TEA、POPSO、HEPPSO、EPS、HEPPS、トリシン、トリス、グリシンアミド、グリシルグリシン、HEPBS、ビシン、TAPS、AMPB、CHES、AMP、AMPSO、CAPSO、CAPS、及びCABSから選択される、請求項1~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記試験試料中の前記緩衝剤が、約4mM~約400mM、または約10mM~約300mM、または約20mM~約200mM、または約30mM~約100mM、または35mM~約50mM、または約40mMの濃度である、請求項1~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記キレート剤が、EDTA、EGTA、DTPA、BAPTA、DMPS、及びALAから選択される、請求項1~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記試験試料中の前記キレート剤が、約0.1mM~約10mM、または約0.5mM~約5mM、または約1mMの濃度である、請求項1~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記非イオン界面活性剤が、モノラウリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン(Tween-20)、モノラウリン酸ポリオキシエチレン(40)ソルビタン(Tween-40)、及びモノラウリン酸ポリオキシエチレン(80)ソルビタン(Tween-80)から選択される、請求項1~17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記非イオン界面活性剤が、前記試験試料の約0.01%~約1%、または前記試験試料の約0.02%~約0.5%、または前記試験試料の約0.03%~約0.1%、または前記試験試料の約0.04%~約0.08%、または前記試験試料の約0.05%(容量対容量)である、請求項1~18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記試験試料の総タンパク質濃度が、ビシンコニン酸(BCA)アッセイまたはマイクロBCAアッセイによって定量される、請求項1~19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記アッセイが、(a)ビシンコニン酸(bicinchoninic acid)試薬、あるいは(b)ビシンコニン酸(bicinchoninic acid)試薬、アルカリ性酒石酸-炭酸緩衝液及び硫酸銅溶液、あるいは(c)ビシンコニン酸(bicinchoninic acid)試薬及び(i)アルカリ性酒石酸-炭酸緩衝液または(ii)硫酸銅溶液を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記試験試料が、40mMのHEPES、102mMのNaCl、5mMのKCl、5mMのMgCl、1mMのEDTA、及び0.05%のTween-20を含む、請求項1~21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記試験試料のpHが、約pH5~約pH9、または約pH6~約pH8、または約pH7~約pH7.9、または約pH7.5である、請求項1~22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記生物学的試料が尿試料である、請求項1~23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
前記生物学的試料が血清試料である、請求項1~24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記緩衝液交換が限外濾過で実施されない、請求項1~25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記緩衝液交換された生物学的試料を生成する目的で、ゲル濾過クロマトグラフィーが、前記生物学的試料に対する前記緩衝液交換の実施のために使用された、請求項1~26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
請求項1~27のいずれか1項に記載の方法により調製される試験試料中の標的タンパク質を検出するための方法であって、
a)前記試験試料を少なくとも1つの捕捉試薬に接触させることであって、前記少なくとも1つの捕捉試薬が、複合体を形成するように前記標的タンパク質に結合可能である、前記接触させることと、
b)前記複合体の形成を可能にする条件下で、前記試験試料を前記少なくとも1つの捕捉試薬とインキュベートすることと、
c)前記少なくとも1つの捕捉試薬、前記複合体、または前記タンパク質のレベルを測定することにより、前記試験試料中の前記標的タンパク質のレベルを定量することであって、前記少なくとも1つの捕捉試薬または前記複合体のレベルが、前記標的タンパク質のレベルの代替である、前記定量することとを含み、
前記試験試料が、緩衝剤と、塩と、キレート剤と、非イオン界面活性剤とを含む製剤を用いて、前記生物学的試料に対し緩衝液交換を実施することによって生成され、
前記試験試料の総タンパク質濃度が、約70μg/mL以上約100μg/mL未満である、前記方法。
【請求項29】
前記緩衝液交換を実施する前に、前記生物学的試料のタンパク質濃度を測定することを含む、請求項1~28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
前記生物学的試料のタンパク質濃度が、蛍光読み出しアッセイ、ビシンコニン酸(BCA)アッセイ、マイクロBCAアッセイ、Lowryアッセイ、及びELISAアッセイからなる群より選択されるアッセイによって測定される、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記アッセイが、BCAアッセイまたはマイクロBCAアッセイである、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記アッセイが、(a)ビシンコニン酸(bicinchoninic acid)試薬、あるいは(b)ビシンコニン酸(bicinchoninic acid)試薬、アルカリ性酒石酸-炭酸緩衝液及び硫酸銅溶液、あるいは(c)ビシンコニン酸(bicinchoninic acid)試薬及び(i)アルカリ性酒石酸-炭酸緩衝液又は(ii)硫酸銅溶液を含む、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
前記アッセイが蛍光リードアウトアッセイである、請求項30に記載の方法。
【請求項34】
前記蛍光リードアウトアッセイが、メロシアニン色素及びエピココノンから選択される試薬を含む、請求項33に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、生物学的試料からの試料間アナライト測定値の変動性を低減することに関する。いくつかの実施形態において、本開示は、プロテオミクスアッセイによる測定における1つ以上のタンパク質の試料間レベルの変動性を低減するための組成物及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
生物学的試料におけるアナライト測定値の試料間変動性は、バイオマーカーの発見、代謝分析、遺伝子発現分析、タンパク質経路分析、ならびに診断及び予後ツールにおいて問題となり、とりわけ結果が比較的差の小さい定量的生物学的シグナルに依存する場合に問題となる。高い試料間変動性を示す生物学的試料タイプは、このような試料タイプを扱う上で主要な課題である。このような変動性を低減すれば、実験及び臨床の適用例において、より一貫性が高く意味のあるデータセットがもたらされるであろう。
【0003】
そのため、生物学的マトリックスにおける試料間アナライト測定値の変動性を低減するための代替的な組成物及び方法が継続的に必要とされている。本開示は、複雑なマトリックスにおける生物学的シグナルを正規化するための新規の組成物及び方法を提供することによってこのようなニーズを満たすものであり、当該組成物及び方法によってこのような変動性が低減、最小化、または除去される。
【発明の概要】
【0004】
本明細書では、緩衝液交換された生物学的試料と、緩衝液交換を含むタンパク質を検出するための生物学的試料を調製する方法とが提供される。いくつかの実施形態において、緩衝液交換生物学的試料を含むまたはそれから生成された試験試料で測定されたアナライトレベルの試料間変動は、緩衝液交換されていない生物学的試料を含むまたはそれから生成された試料と比較して低減される。いくつかの実施形態において、緩衝液交換を含む方法を用いて生成された試験試料のアナライトレベルの試料間変動は、緩衝液交換を含まない方法と比較して低減される。いくつかの実施形態において、緩衝液交換された生物学的試料を含むまたはそれから生成された試験試料中のアナライトにおける測定値の線形範囲は、緩衝液交換されていない生物学的試料を含むまたはそれから生成されたアナライト中のアナライトにおける測定値の線形範囲よりも大きい。いくつかの実施形態において、アナライトはタンパク質(例えば、標的タンパク質)である。いくつかの実施形態において、生物学的試料は尿試料である。いくつかの実施形態において、試験試料中の総タンパク質濃度は2μg/mL~100μg/mLである。いくつかの実施形態において、試験試料中の総タンパク質濃度は、2μg/mL~60μg/mLである。いくつかのこのような実施形態において、試験試料または生物学的試料の総タンパク質濃度は、総タンパク質濃度が約2μg/mL~約60μg/mLの範囲内にないことが決定した後に、その範囲に調整される。いくつかの実施形態において、試験試料の総タンパク質濃度は、総タンパク質濃度の調整なしで約2μg/mL~約60μg/mLの範囲にある。いくつかのこのような実施形態において、総タンパク質濃度は、蛍光リードアウトアッセイを用いて測定される。いくつかの実施形態において、試験試料中の総タンパク質濃度は70μg/mL~100μg/mLである。いくつかのこのような実施形態において、試験試料の総タンパク質濃度は、総タンパク質濃度が約70μg/mL~約100μg/mLの範囲内にないことが決定した後に、その範囲に調整される。いくつかの実施形態において、試験試料の総タンパク質濃度は、総タンパク質濃度の調整なしで約70μg/mL~約100μg/mLの範囲にある。いくつかのこのような実施形態において、総タンパク質濃度は、BCAアッセイを用いて測定される。いくつかの実施形態において、複数の試験試料または複数の生物学的試料の各々の総タンパク質濃度は、同じであるように調整される。
【0005】
本明細書で提供される、ある特定の実施形態を以下に列挙する。
【0006】
実施形態1.タンパク質を検出するための生物学的試料を調製するための方法であって、
a)緩衝剤と、1つ以上の塩と、キレート剤と、非イオン界面活性剤とを含む製剤を用いて、前記生物学的試料に対し緩衝液交換を実施することにより、試験試料を生成することと、
b)前記試験試料の総タンパク質濃度を調整することにより、調整された試験試料を生成することとを含み、前記調整された試験試料における総タンパク質濃度が約2μg/mL~約60μg/mLである、前記方法。
【0007】
実施形態2.前記試験試料のタンパク質濃度を定量することを含む、実施形態1に記載の方法。
【0008】
実施形態3.タンパク質を検出するための生物学的試料を調製するための方法であって、
a)緩衝剤と、1つ以上の塩と、キレート剤と、非イオン界面活性剤とを含む製剤を用いて、前記生物学的試料に対する緩衝液交換を実施することにより、試験試料を生成することと、
b)前記試験試料の総タンパク質濃度を定量することと、
c)前記試験試料の総タンパク質濃度を調整することにより、調整された試験試料を生成することとを含み、前記調整された試験試料における総タンパク質濃度が約2μg/mL~約60μg/mLである、前記方法。
【0009】
実施形態4.複数の生物学的試料に対し緩衝液交換を実施することにより、複数の試験試料を生成することを含み、調整された各試験試料の総タンパク質濃度がほぼ同じである、実施形態1~3のいずれか1つに記載の方法。
【0010】
実施形態5.複数の生物学的試料に対し緩衝液交換を実施することにより、複数の試験試料を生成することを含み、調整された各試験試料の総タンパク質濃度が同じである、実施形態1~3のいずれか1つに記載の方法。
【0011】
実施形態6.タンパク質を検出するための生物学的試料を調製する方法であって、
a)緩衝剤と、1つ以上の塩と、キレート剤と、非イオン界面活性剤とを含む製剤を用いて、前記生物学的試料に対する緩衝液交換を実施することにより、試験試料を生成することと、
b)前記試験試料のタンパク質濃度を定量することと、
c)前記試験試料の総タンパク質濃度が約2μg/mL~約60μg/mLの範囲内にない場合に、試験試料の総タンパク質濃度を調整することにより、調整された試験試料を生成することとを含み、前記調整された試験試料における総タンパク質濃度が約2μg/mL~約60μg/mLである、前記方法。
【0012】
実施形態7.前記試験試料の総タンパク質濃度が、約2μg/mL~約50μg/mL、または約2μg/mL~約45μg/mL、または約4μg/mL~約40μg/mL、または約8μg/mL~約40μg/mL、または約10μg/mL~約40μg/mL、または約10μg/mL~約30μg/mL、または40μg/mL未満、または30μg/mL未満、または20μg/mL未満、または約15μg/mL、または約10μg/mL~約20μg/mLの範囲にない場合に、前記生物学的試料の総タンパク質濃度を前記範囲に調整することにより、調整された試験試料を生成する、実施形態6に記載の方法。
【0013】
実施形態8.前記1つ以上の塩が各々独立的に、ナトリウム塩、カリウム塩、及びマグネシウム塩から選択される、実施形態1~7のいずれか1つに記載の方法。
【0014】
実施形態9.前記1つ以上の塩が、ナトリウム塩、カリウム塩、及びマグネシウム塩を含む、実施形態1~7のいずれか1つに記載の方法。
【0015】
実施形態10.前記ナトリウム塩がNaClであり、前記カリウム塩がKClであり、前記マグネシウム塩がMgClである、実施形態8または9のいずれか1つに記載の方法。
【0016】
実施形態11.前記製剤中の前記NaClが、約10mM~約500mM、または約50mM~約250mM、または約100mM~約200mM、または約102mMの濃度である、実施形態10に記載の方法。
【0017】
実施形態12.前記製剤中の前記KClが、約0.5mM~約30mM、または約1mM~約20mM、または約2mM~約15mM、または約4mM~約10mM、または約5mMの濃度である、実施形態10または11に記載の方法。
【0018】
実施形態13.前記製剤中の前記MgClが、約0.5mM~約30mM、または約1mM~約20mM、または約2mM~約15mM、または約4mM~約10mM、または約5mMの濃度である、実施形態10~12のいずれか1つに記載の方法。
【0019】
実施形態14.前記緩衝剤が、HEPES、MES、ビス-トリスメタン、ADA、ACES、ビス-トリスプロパン、PIPES、MOPSO、コラミンクロリド、MOPS、BES、TES、DIPSO、MOB、アセトアミドグリシン、TAPSO、TEA、POPSO、HEPPSO、EPS、HEPPS、トリシン、トリス、グリシンアミド、グリシルグリシン、HEPBS、ビシン、TAPS、AMPB、CHES、AMP、AMPSO、CAPSO、CAPS、及びCABSから選択される、実施形態1~13のいずれか1つに記載の方法。
【0020】
実施形態15.前記製剤中の前記緩衝剤が、約4mM~約400mM、または約10mM~約300mM、または約20mM~約200mM、または約30mM~約100mM、または35mM~約50mM、または約40mMの濃度である、実施形態14に記載の方法。
【0021】
実施形態16.前記キレート剤が、EDTA、EGTA、DTPA、BAPTA、DMPS、及びALAから選択される、実施形態1~15のいずれか1つに記載の方法。
【0022】
実施形態17.前記製剤中の前記キレート剤が、約0.1mM~約10mM、または約0.5mM~約5mM、または約1mMの濃度である、実施形態16に記載の方法。
【0023】
実施形態18.前記非イオン界面活性剤が、モノラウリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン(Tween-20)、モノラウリン酸ポリオキシエチレン(40)ソルビタン(Tween-40)、及びモノラウリン酸ポリオキシエチレン(80)ソルビタン(Tween-80)から選択される、実施形態1~17のいずれか1つに記載の方法。
【0024】
実施形態19.前記非イオン界面活性剤が、前記製剤の約0.01%~約1%、または前記製剤の約0.02%~約0.5%、または前記製剤の約0.03%~約0.1%、または前記製剤の約0.04%~約0.08%、または前記製剤の約0.05%、または前記製剤の約0.1%(容量対容量)である、実施形態18に記載の方法。
【0025】
実施形態20.前記調整された試験試料の総タンパク質濃度が、約2μg/mL~約50μg/mL、または約2μg/mL~約45μg/mL、または約4μg/mL~約40μg/mL、または約8μg/mL~約40μg/mL、または約10μg/mL~約40μg/mL、または約10μg/mL~約30μg/mL、または40μg/mL未満、または30μg/mL未満、または20μg/mL未満、または約15μg/mL、または約10μg/mL~約20μg/mLである、実施形態1~19のいずれか1つに記載の方法。
【0026】
実施形態21.前記試験試料または前記調整された試験試料の総タンパク質濃度が、蛍光リードアウトアッセイ、Bradfordアッセイ、ビシンコニン酸(BCA)アッセイ、Lowryアッセイ、及びELISAアッセイからなる群より選択されるアッセイによって定量される、実施形態2~20のいずれか1つに記載の方法。
【0027】
実施形態22.前記蛍光リードアウトアッセイが、メロシアニン色素及びエピココノンから選択される試薬を含む、実施形態21に記載の方法。
【0028】
実施形態23.前記製剤が、40mMのHEPES、102mMのNaCl、5mMのKCl、5mMのMgCl、1mMのEDTA、及び0.05%のTween-20を含む、実施形態1~22のいずれか1つに記載の方法。
【0029】
実施形態24.前記製剤のpHが、約pH5~約pH9、または約pH6~約pH8、または約pH7~約pH7.9、または約pH7.5である、実施形態1~23のいずれか1つに記載の方法。
【0030】
実施形態25.前記製剤が、40mMのHEPES、102mMのNaCl、5mMのKCl、5mMのMgCl、1mMのEDTA、及び0.05%のTween-20からなり、pHが7.5である、実施形態1~24のいずれか1つに記載の方法。
【0031】
実施形態26.前記緩衝液交換が限外濾過で実施されない、実施形態1~25のいずれか1つに記載の方法。
【0032】
実施形態27.前記緩衝液交換がゲル濾過クロマトグラフィーによって実施される、実施形態1~26のいずれか1つに記載の方法。
【0033】
実施形態28.前記生物学的試料が尿試料である、実施形態1~27のいずれか1つに記載の方法。
【0034】
実施形態29.前記生物学的試料が血清試料である、実施形態1~27のいずれか1つに記載の方法。
【0035】
実施形態30.前記方法が、前記生物学的試料を濃縮することを含まない、実施形態1~29のいずれか1つに記載の方法。
【0036】
実施形態31.緩衝液交換された生物学的試料を含む試験試料であって、前記試験試料の総タンパク質濃度が約2μg/mL~約60μg/mLであり、前記緩衝液交換された生物学的試料が、緩衝剤、1つ以上の塩、キレート剤、及び非イオン界面活性剤を含む、前記試験試料。
【0037】
実施形態32.1つ以上のタンパク質捕捉試薬をさらに含む、実施形態31に記載の試験試料。
【0038】
実施形態33.前記1つ以上のタンパク質捕捉試薬の各々が、アプタマーまたは抗体である、実施形態32に記載の試験試料。
【0039】
実施形態34.前記試験試料の総タンパク質濃度が、約2μg/mL~50μg/mL、または約2μg/mL~45μg/mL、または約4μg/mL~約40μg/mL、または約8μg/mL~40μg/mL、または約10μg/mL~40μg/mL、または約10μg/mL~30μg/mL、または50μg/mL未満、または40μg/mL未満、または30μg/mL未満、または20μg/mL未満、または約15μg/mL、または約10μg/mL~約20μg/mLである、実施形態31~33のいずれか1つに記載の試験試料。
【0040】
実施形態35.前記1つ以上の塩が各々独立的に、ナトリウム塩、カリウム塩、及びマグネシウム塩から選択される、実施形態31~34のいずれか1つに記載の試験試料。
【0041】
実施形態36.前記1つ以上の塩が、ナトリウム塩、カリウム塩、及びマグネシウム塩を含む、実施形態31~34のいずれか1つに記載の試験試料。
【0042】
実施形態37.前記ナトリウム塩がNaClであり、前記カリウム塩がKClであり、前記マグネシウム塩がMgClである、実施形態35または36に記載の試験試料。
【0043】
実施形態38.前記試験試料中の前記NaClが、約10mM~約500mM、または約50mM~約250mM、または約100mM~約200mM、または約102mMの濃度である、実施形態37に記載の試験試料。
【0044】
実施形態39.前記試験試料中の前記KClが、約0.5mM~約30mM、または約1mM~約20mM、または約2mM~約15mM、または約4mM~約10mM、または約5mMの濃度である、実施形態37または38に記載の試験試料。
【0045】
実施形態40.前記試験試料中の前記MgClが、約0.5mM~約30mM、または約1mM~約20mM、または約2mM~約15mM、または約4mM~約10mM、または約5mMの濃度である、実施形態37~39のいずれか1つに記載の試験試料。
【0046】
実施形態41.前記緩衝剤が、HEPES、MES、ビス-トリスメタン、ADA、ACES、ビス-トリスプロパン、PIPES、MOPSO、コラミンクロリド、MOPS、BES、TES、DIPSO、MOB、アセトアミドグリシン、TAPSO、TEA、POPSO、HEPPSO、EPS、HEPPS、トリシン、トリス、グリシンアミド、グリシルグリシン、HEPBS、ビシン、TAPS、AMPB、CHES、AMP、AMPSO、CAPSO、CAPS、及びCABSから選択される、実施形態31~40のいずれか1つに記載の試験試料。
【0047】
実施形態42.前記試験試料中の前記緩衝剤が、約4mM~約400mM、または約10mM~約300mM、または約20mM~約200mM、または約30mM~約100mM、または35mM~約50mM、または約40mMの濃度である、実施形態31~41のいずれか1つに記載の試験試料。
【0048】
実施形態43.前記キレート剤が、EDTA、EGTA、DTPA、BAPTA、DMPS、及びALAから選択される、実施形態31~42のいずれか1つに記載の試験試料。
【0049】
実施形態44.前記試験試料中の前記キレート剤が、約0.1mM~約10mM、または約0.5mM~約5mM、または約1mMの濃度である、実施形態31~43のいずれか1つに記載の試験試料。
【0050】
実施形態45.前記非イオン界面活性剤が、モノラウリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン(Tween-20)、モノラウリン酸ポリオキシエチレン(40)ソルビタン(Tween-40)、及びモノラウリン酸ポリオキシエチレン(80)ソルビタン(Tween-80)から選択される、実施形態31~44のいずれか1つに記載の試験試料。
【0051】
実施形態46.前記非イオン性界面活性剤が、前記試験試料の約0.01%~約1%、または前記試験試料の約0.02%~約0.5%、または前記試験試料の約0.03%~約0.1%、または前記試験試料の約0.04%~約0.08%、または前記試験試料の約0.05%(容量対容量)である、実施形態31~45のいずれか1つに記載の方法。
【0052】
実施形態47.前記試験試料の総タンパク質濃度が、蛍光リードアウトアッセイ、Bradfordアッセイ、ビシンコニン酸(BCA)アッセイ、Lowryアッセイ、及びELISAアッセイからなる群より選択されるアッセイによって定量される、実施形態31~46のいずれか1つに記載の試験試料。
【0053】
実施形態48.前記蛍光リードアウトアッセイが、メロシアニン色素及びエピココノンから選択される試薬を含む、実施形態47に記載の試験試料。
【0054】
実施形態49.前記試験試料が、40mMのHEPES、102mMのNaCl、5mMのKCl、5mMのMgCl、1mMのEDTA、及び0.05%のTween-20を含む、実施形態31~48のいずれか1つに記載の試験試料。
【0055】
実施形態50.前記試験試料のpHが、約pH5~約pH9、または約pH6~約pH8、または約pH7~約pH7.9、または約pH7.5である、実施形態31~49のいずれか1つに記載の試験試料。
【0056】
実施形態51.少なくとも1つの捕捉試薬がアプタマーであり、前記少なくとも1つのアプタマーが5位修飾ピリミジンを含む、実施形態31~50のいずれか1つに記載の試験試料。
【0057】
実施形態52.前記5位修飾ピリミジンが、前記ピリミジンの5位に疎水性部分を含む、実施形態51に記載の試験試料。
【0058】
実施形態53.前記疎水性部分が、ナフチル部分、フェニル部分、チロシル部分、インドール部分、及びモルホリノ部分から選択される、実施形態52に記載の試験試料。
【0059】
実施形態54.前記疎水性部分が、アミドリンカー、カルボニルリンカー、プロピニルリンカー、アルキンリンカー、エステルリンカー、尿素リンカー、カルバメートリンカー、グアニジンリンカー、アミジンリンカー、スルホキシドリンカー、及びスルホンリンカーから選択される基を含むリンカーを介して前記塩基の5位と共有結合している、実施形態52または53に記載の試験試料。
【0060】
実施形態55.前記生物学的試料が尿試料である、実施形態31~54のいずれか1つに記載の試験試料。
【0061】
実施形態56.前記生物学的試料が血清試料である、実施形態31~54のいずれか1つに記載の試験試料。
【0062】
実施形態57.試験試料中の標的タンパク質を検出するための方法であって、
a)前記試験試料を少なくとも1つの捕捉試薬に接触させることであって、前記少なくとも1つの捕捉試薬が、複合体を形成するように前記標的タンパク質に結合可能である、前記接触させることと、
b)前記複合体の形成を可能にする条件下で、前記試験試料を前記少なくとも1つの捕捉試薬とインキュベートすることと、
c)前記少なくとも1つの捕捉試薬、前記複合体、または前記タンパク質のレベルを測定することにより、前記試験試料中の前記標的タンパク質のレベルを定量することであって、前記少なくとも1つの捕捉試薬または前記複合体のレベルが、前記標的タンパク質のレベルの代替である、前記定量することとを含み、
前記試験試料が、緩衝剤と、塩と、キレート剤と、非イオン界面活性剤とを含む製剤を用いて、前記生物学的試料に対し緩衝液交換を実施することによって生成され、
前記試験試料の総タンパク質濃度が、約2μg/mL以上約60μg/mL未満である、前記方法。
【0063】
実施形態58.前記少なくとも1つのタンパク質捕捉試薬が、アプタマーまたは抗体である、実施形態57に記載の方法。
【0064】
実施形態59.複数の捕捉試薬を含み、各捕捉試薬がアプタマーである、実施形態57または58に記載の方法。
【0065】
実施形態60.前記試験試料の総タンパク質濃度が、約2μg/mL~50μg/mL、または約2μg/mL~45μg/mL、または約4μg/mL~約40μg/mL、または約8μg/mL~40μg/mL、または約10μg/mL~40μg/mL、または約10μg/mL~30μg/mL、または50μg/mL未満、または40μg/mL未満、または30μg/mL未満、または20μg/mL未満、または約15μg/mL、または約10μg/mL~約20μg/mLである、実施形態57~59のいずれか1つに記載の方法。
【0066】
実施形態61.前記1つ以上の塩が、ナトリウム塩、カリウム塩、及びマグネシウム塩から選択される、実施形態57~60のいずれか1つに記載の方法。
【0067】
実施形態62.前記1つ以上の塩が、ナトリウム塩、カリウム塩、及びマグネシウム塩を含む、実施形態57~60のいずれか1つに記載の方法。
【0068】
実施形態63.前記ナトリウム塩がNaClであり、前記カリウム塩がKClであり、前記マグネシウム塩がMgClである、実施形態61または62に記載の方法。
【0069】
実施形態64.前記製剤中の前記NaClが、約10mM~約500mM、または約50mM~約250mM、または約100mM~約200mM、または約102mMの濃度である、実施形態63に記載の方法。
【0070】
実施形態65.前記製剤中の前記KClが、約0.5mM~約30mM、または約1mM~約20mM、または約2mM~約15mM、または約4mM~約10mM、または約5mMの濃度である、実施形態63または64に記載の方法。
【0071】
実施形態66.前記製剤中の前記MgClが、約0.5mM~約30mM、または約1mM~約20mM、または約2mM~約15mM、または約4mM~約10mM、または約5mMの濃度である、実施形態63~65のいずれか1つに記載の方法。
【0072】
実施形態67.前記緩衝剤が、HEPES、MES、ビス-トリスメタン、ADA、ACES、ビス-トリスプロパン、PIPES、MOPSO、コラミンクロリド、MOPS、BES、TES、DIPSO、MOB、アセトアミドグリシン、TAPSO、TEA、POPSO、HEPPSO、EPS、HEPPS、トリシン、トリス、グリシンアミド、グリシルグリシン、HEPBS、ビシン、TAPS、AMPB、CHES、AMP、AMPSO、CAPSO、CAPS、及びCABSから選択される、実施形態57~66のいずれか1つに記載の方法。
【0073】
実施形態68.前記製剤中の前記緩衝剤が4mM~約400mM、または約10mM~約300mM、または約20mM~約200mM、または約30mM~約100mM、または35mM~約50mM、または約40mMの濃度である、実施形態57~67のいずれか1つに記載の方法。
【0074】
実施形態69.前記キレート剤が、EDTA、EGTA、DTPA、BAPTA、DMPS、及びALAから選択される、実施形態57~68のいずれか1つに記載の方法。
【0075】
実施形態70.前記製剤中の前記キレート剤が、約0.1mM~約10mM、または約0.5mM~約5mM、または約1mMの濃度である、実施形態57~69のいずれか1つに記載の方法。
【0076】
実施形態71.前記非イオン界面活性剤が、モノラウリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン(Tween-20)、モノラウリン酸ポリオキシエチレン(40)ソルビタン(Tween-40)、及びモノラウリン酸ポリオキシエチレン(80)ソルビタン(Tween-80)から選択される、実施形態57~70のいずれか1つに記載の方法。
【0077】
実施形態72.前記非イオン界面活性剤が、前記製剤の約0.01%~約1%、または前記製剤の約0.02%~約0.5%、または前記製剤の約0.03%~約0.1%、または前記製剤の約0.04%~約0.08%、または前記製剤の約0.05%である、実施形態57~71のいずれか1つに記載の方法。
【0078】
実施形態73.前記方法の総タンパク質濃度が、蛍光リードアウトアッセイ、Bradfordアッセイ、ビシンコニン酸(BCA)アッセイ、Lowryアッセイ、及びELISAアッセイからなる群より選択されるアッセイによって測定される、実施形態57~72のいずれか1つに記載の方法。
【0079】
実施形態74.前記蛍光リードアウトアッセイが、メロシアニン色素及びエピココノンから選択される試薬を含む、実施形態73に記載の方法。
【0080】
実施形態75.前記製剤が、40mMのHEPES、102mMのNaCl、5mMのKCl、5mMのMgCl、1mMのEDTA、及び0.05%のTween20を含む、実施形態57~74のいずれか1つに記載の方法。
【0081】
実施形態76.前記製剤が、40mMのHEPES、102mMのNaCl、5mMのKCl、5mMのMgCl、1mMのEDTA、及び0.05%のTween-20(pH7.5)からなる、実施形態57~74のいずれか1つに記載の方法。
【0082】
実施形態77.前記製剤のpHが、約pH5~約pH9、または約pH6~約pH8、または約pH7~約pH7.9、または約pH7.5である、実施形態57~75のいずれか1つに記載の方法。
【0083】
実施形態78.前記アプタマーが5位修飾ピリミジンを含む、実施形態58~77のいずれか1つに記載の方法。
【0084】
実施形態79.前記5位修飾ピリミジンが、前記ピリミジンの5位に疎水性部分を含む、実施形態78に記載の方法。
【0085】
実施形態80.前記疎水性部分が、ナフチル部分、フェニル部分、チロシル部分、インドール部分、及びモルホリノ部分から選択される、実施形態79に記載の方法。
【0086】
実施形態81.前記疎水性部分が、アミドリンカー、カルボニルリンカー、プロピニルリンカー、アルキンリンカー、エステルリンカー、尿素リンカー、カルバメートリンカー、グアニジンリンカー、アミジンリンカー、スルホキシドリンカー、及びスルホンリンカーから選択される基を含むリンカーを介して前記塩基の5位と共有結合している、実施形態79または80に記載の方法。
【0087】
実施形態82.前記複合体が非共有結合複合体である、実施形態57~81のいずれか1つに記載の方法。
【0088】
実施形態83.前記少なくとも1つの捕捉試薬が、前記試験試料に接触させる前に第1の固体支持体に結合するか、または前記捕捉試薬が、前記試験試料に接触させた後に第1の固体支持体に結合する、実施形態57~82のいずれか1つに記載の方法。
【0089】
実施形態84.前記複合体を、前記捕捉試薬を介して第1の固体支持体に結合させることをさらに含む、実施形態57~83のいずれか1つに記載の方法。
【0090】
実施形態85.前記第1の固体支持体から複合体を解放することと、前記複合体を第2の固体支持体に結合させることとをさらに含む、実施形態84に記載の方法。
【0091】
実施形態86.前記複合体が、前記タンパク質を介し前記第2の固体支持体に結合する、実施形態85に記載の方法。
【0092】
実施形態87.競合分子を前記試験試料に加えること、及び/または競合分子を加え、前記試験試料を希釈することをさらに含む、実施形態57~86のいずれか1つに記載の方法。
【0093】
実施形態88.前記競合分子がポリアニオン競合物質である、実施形態87に記載の方法。
【0094】
実施形態89.前記ポリアニオン競合物質が、オリゴヌクレオチド、ポリデキストラン、DNA、ヘパリン、及びdNTPから選択される、実施形態88に記載の方法。
【0095】
実施形態90.前記ポリアニオン性競合物質がポリデキストランであり、前記ポリデキストランがデキストラン硫酸である、実施形態89に記載の方法。
【0096】
実施形態91.前記ポリアニオン競合物質がオリゴヌクレオチドであり、前記オリゴヌクレオチドが1つ以上の5位修飾ピリミジンを含む、実施形態89に記載の方法。
【0097】
実施形態92.前記生物学的試料が尿である、実施形態57~91のいずれか1つに記載の方法。
【0098】
実施形態93.前記生物学的試料が血清である、実施形態57~91のいずれか1つに記載の方法。
【0099】
実施形態94.前記緩衝液交換がゲル濾過クロマトグラフィーを用いて実施される、実施形態1~30または57~93のいずれか1つに記載の方法。
【0100】
実施形態95.前記緩衝液交換された生物学的試料を生成する目的で、ゲル濾過クロマトグラフィーが、前記生物学的試料に対する前記緩衝液交換の実施のために使用された、実施形態31~56のいずれか1つに記載の試験試料。
【0101】
実施形態96.前記緩衝液交換を実施する前に、前記生物学的試料のタンパク質濃度を測定することをさらに含む、実施形態1~30または57~94のいずれか1つに記載の方法。
【0102】
実施形態97.前記生物学的試料のタンパク質濃度が、蛍光読み出しアッセイ、ビシンコニン酸(BCA)アッセイ、マイクロBCAアッセイ、Lowryアッセイ、及びELISAアッセイからなる群より選択されるアッセイによって測定される、実施形態96に記載の方法。
【0103】
実施形態98.総タンパク質濃度を定量するために使用される前記アッセイが、前記生物学的試料の緩衝液交換の前に実施される、実施形態47~56または95のいずれか1つに記載の試験試料。
【0104】
実施形態99.総タンパク質濃度を定量するために使用される前記アッセイが、前記生物学的試料の緩衝液交換の後に実施される、実施形態47~56、95、または98のいずれか1つに記載の試験試料。
【0105】
実施形態100.タンパク質を検出するための複数の生物学的試料を調製するための方法であって、
緩衝剤と、1つ以上の塩と、キレート剤と、非イオン界面活性剤とを含む製剤を用いて、前記複数の生物学的試料に対し緩衝液交換を実施することにより、複数の試験試料を生成することと、
複数の試験試料の総タンパク質濃度を調整することにより、複数の調整された試験試料を生成することとを含み、調整された各試験試料の総タンパク質濃度がほぼ同じであり、
前記方法が、前記緩衝液交換を実施する前に前記複数の生物学的試料の総タンパク質を濃縮することを含まない、前記方法。
【0106】
実施形態101.タンパク質を検出するための生物学的試料を調製するための方法であって、
緩衝剤と、1つ以上の塩と、キレート剤と、非イオン界面活性剤とを含む製剤を用いて、前記生物学的試料に対し緩衝液交換を実施することにより、試験試料を生成することと、
前記試験試料の総タンパク質濃度を調整することにより、調整された試験試料を生成することとを含み、前記調整された試験試料における総タンパク質濃度が約70μg/mL~約100μg/mLである、前記方法。
【0107】
実施形態102.前記試験試料もしくは前記複数の試験試料及び/または前記生物学的試料もしくは前記複数の生物学的試料のタンパク質濃度を定量することを含む、実施形態100または101に記載の方法。
【0108】
実施形態103.タンパク質を検出するための生物学的試料を調製するための方法であって、
緩衝剤と、1つ以上の塩と、キレート剤と、非イオン界面活性剤とを含む製剤を用いて、前記生物学的試料に対する緩衝液交換を実施することにより、試験試料を生成することと、
前記試験試料の総タンパク質濃度を定量することと、
前記試験試料の総タンパク質濃度を調整することにより、調整された試験試料を生成することとを含み、前記調整された試験試料における総タンパク質濃度が約70μg/mL~約100μg/mLである、前記方法。
【0109】
実施形態104.複数の生物学的試料に対し緩衝液交換を実施することにより、複数の試験試料を生成することを含み、調整された各試験試料の総タンパク質濃度がほぼ同じである、実施形態101~103のいずれか1つに記載の方法。
【0110】
実施形態105.複数の生物学的試料に対し緩衝液交換を実施することにより、複数の試験試料を生成することを含み、調整された各試験試料の総タンパク質濃度が同じである、実施形態100~103のいずれか1つに記載の方法。
【0111】
実施形態106.タンパク質を検出するための生物学的試料を調製する方法であって、
緩衝剤と、1つ以上の塩と、キレート剤と、非イオン界面活性剤とを含む製剤を用いて、前記生物学的試料に対する緩衝液交換を実施することにより、試験試料を生成することと、
前記試験試料のタンパク質濃度を定量することと、
前記試験試料の総タンパク質濃度が約70μg/mL~約100μg/mLの範囲内にない場合に、試験試料の総タンパク質濃度を調整することにより、調整された試験試料を生成することとを含み、前記調整された試験試料における総タンパク質濃度が約70μg/mL~約100μg/mLである、前記方法。
【0112】
実施形態107.前記試験試料の総タンパク質濃度が、約70μg/mL~約100μg/mL、または約70μg/mL~約95μg/mL、または約70μg/mL~約90μg/mL、または約70μg/mL~約85μg/mL、または約70μg/mL~約80μg/mL、または約70μg/mL~約75μg/mLの範囲内にない場合に、前記試験試料の総タンパク質濃度を前記範囲に調整することにより、調整された試験試料を生成する、実施形態106に記載の方法。
【0113】
実施形態108.前記1つ以上の塩が各々独立的に、ナトリウム塩、カリウム塩、及びマグネシウム塩から選択される、実施形態100~107のいずれか1つに記載の方法。
【0114】
実施形態109.前記1つ以上の塩が、ナトリウム塩、カリウム塩、及びマグネシウム塩を含む、実施形態100~107のいずれか1つに記載の方法。
【0115】
実施形態110.前記ナトリウム塩がNaClであり、前記カリウム塩がKClであり、前記マグネシウム塩がMgClである、実施形態108または109のいずれか1つに記載の方法。
【0116】
実施形態111.前記製剤中の前記NaClが、約10mM~約500mM、または約50mM~約250mM、または約100mM~約200mM、または約75~125mM、または約102mMの濃度である、実施形態110に記載の方法。
【0117】
実施形態112.前記製剤中の前記KClが、約0.5mM~約30mM、または約1mM~約20mM、または約2mM~約15mM、または約4mM~約10mM、または約5mMの濃度である、実施形態110または111に記載の方法。
【0118】
実施形態113.前記製剤中の前記MgClが、約0.5mM~約30mM、または約1mM~約20mM、または約2mM~約15mM、または約4mM~約10mM、または約5mMの濃度である、実施形態110~112のいずれか1つに記載の方法。
【0119】
実施形態114.前記緩衝剤が、HEPES、MES、ビス-トリスメタン、ADA、ACES、ビス-トリスプロパン、PIPES、MOPSO、コラミンクロリド、MOPS、BES、TES、DIPSO、MOB、アセトアミドグリシン、TAPSO、TEA、POPSO、HEPPSO、EPS、HEPPS、トリシン、トリス、グリシンアミド、グリシルグリシン、HEPBS、ビシン、TAPS、AMPB、CHES、AMP、AMPSO、CAPSO、CAPS、及びCABSから選択される、実施形態100~113のいずれか1つに記載の方法。
【0120】
実施形態115.前記製剤中の前記緩衝剤が、約4mM~約400mM、または約10mM~約300mM、または約20mM~約200mM、または約30mM~約100mM、または35mM~約50mM、または約40mMの濃度である、実施形態114に記載の方法。
【0121】
実施形態116.前記キレート剤が、EDTA、EGTA、DTPA、BAPTA、DMPS、及びALAから選択される、実施形態100~115のいずれか1つに記載の方法。
【0122】
実施形態117.前記製剤中の前記キレート剤が、約0.1mM~約10mM、または約0.5mM~約5mM、または約1mMの濃度である、実施形態116に記載の方法。
【0123】
実施形態118.前記非イオン界面活性剤が、モノラウリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン(Tween-20)、モノラウリン酸ポリオキシエチレン(40)ソルビタン(Tween-40)、及びモノラウリン酸ポリオキシエチレン(80)ソルビタン(Tween-80)から選択される、実施形態100~117のいずれか1つに記載の方法。
【0124】
実施形態119.前記非イオン界面活性剤が、前記製剤の約0.01%~約1%、または前記製剤の約0.02%~約0.5%、または前記製剤の約0.03%~約0.1%、または前記製剤の約0.04%~約0.08%、または前記製剤の約0.05%、または前記製剤の約0.1%(容量対容量)である、実施形態118に記載の方法。
【0125】
実施形態120.前記調整された試験試料の総タンパク質濃度が、約2μg/mL~約70μg/mL、または約2μg/mL~約75μg/mL、または約4μg/mL~約70μg/mL、または約8μg/mL~約70μg/mL、または約10μg/mL~約70μg/mL、または約10μg/mL~約70μg/mLである、実施形態100~119のいずれか1つに記載の方法。
【0126】
実施形態121.前記試験試料または前記調整された試験試料の総タンパク質濃度が、ビシンコニン酸(BCA)アッセイによって定量され、前記BCAアッセイが、任意選択でマイクロBCAアッセイである、実施形態102~120のいずれか1つに記載の方法。
【0127】
実施形態122.前記アッセイが、ビシンコニン酸(bicinchoninic acid)試薬またはビシンコニン酸(bicinchonic acid)試薬、ならびに任意選択でアルカリ性酒石酸-炭酸緩衝液及び/または硫酸銅溶液を含む、実施形態121に記載の方法。
【0128】
実施形態123.前記製剤が、40mMのHEPES、102mMのNaCl、5mMのKCl、5mMのMgCl、1mMのEDTA、及び0.05%のTween-20を含む、実施形態100~122のいずれか1つに記載の方法。
【0129】
実施形態124.前記製剤のpHが、約pH5~約pH9、または約pH6~約pH8、または約pH7~約pH7.9、または約pH7.5である、実施形態100~123のいずれか1つに記載の方法。
【0130】
実施形態125.前記製剤が、40mMのHEPES、102mMのNaCl、5mMのKCl、5mMのMgCl、1mMのEDTA、及び0.05%のTween-20からなり、pHが7.5である、実施形態100~124のいずれか1つに記載の方法。
【0131】
実施形態126.前記緩衝液交換が限外濾過で実施されない、実施形態100~125のいずれか1つに記載の方法。
【0132】
実施形態127.前記緩衝液交換がゲル濾過クロマトグラフィーによって実施される、実施形態100~126のいずれか1つに記載の方法。
【0133】
実施形態128.前記生物学的試料が尿試料である、実施形態100~127のいずれか1つに記載の方法。
【0134】
実施形態129.前記生物学的試料が血清試料である、実施形態100~127のいずれか1つに記載の方法。
【0135】
実施形態130.前記方法が、前記生物学的試料を濃縮することを含まない、実施形態101~129のいずれか1つに記載の方法。
【0136】
実施形態131.緩衝液交換された生物学的試料を含む試験試料であって、前記試験試料の総タンパク質濃度が約70μg/mL~約100μg/mLであり、前記緩衝液交換された生物学的試料が、緩衝剤、1つ以上の塩、キレート剤、及び非イオン界面活性剤を含む、前記試験試料。
【0137】
実施形態132.1つ以上のタンパク質捕捉試薬をさらに含む、実施形態131に記載の試験試料。
【0138】
実施形態133.前記1つ以上のタンパク質捕捉試薬の各々が、アプタマーまたは抗体である、実施形態132に記載の試験試料。
【0139】
実施形態134.前記試験試料の総タンパク質濃度が、約70μg/mL~95μg/mL、または約70μg/mL~90μg/mL、または約70μg/mL~85μg/mL、または約70μg/mL~80μg/mL、または約70μg/mL~75μg/mL、または約70μg/mLである、実施形態131~133のいずれか1つに記載の試験試料。
【0140】
実施形態135.前記1つ以上の塩が各々独立的に、ナトリウム塩、カリウム塩、及びマグネシウム塩から選択される、実施形態131~134のいずれか1つに記載の試験試料。
【0141】
実施形態136.前記1つ以上の塩が、ナトリウム塩、カリウム塩、及びマグネシウム塩を含む、実施形態131~135のいずれか1つに記載の試験試料。
【0142】
実施形態137.前記ナトリウム塩がNaClであり、前記カリウム塩がKClであり、前記マグネシウム塩がMgClである、実施形態135または136に記載の試験試料。
【0143】
実施形態138.前記試験試料中の前記NaClが、約10mM~約500mM、または約50mM~約250mM、または約100mM~約200mM、または約102mMの濃度である、実施形態137に記載の試験試料。
【0144】
実施形態139.前記試験試料中の前記KClが、約0.5mM~約30mM、または約1mM~約20mM、または約2mM~約15mM、または約4mM~約10mM、または約5mMの濃度である、実施形態137または138に記載の試験試料。
【0145】
実施形態140.前記試験試料中の前記MgClが、約0.5mM~約30mM、または約1mM~約20mM、または約2mM~約15mM、または約4mM~約10mM、または約5mMの濃度である、実施形態137~139のいずれか1つに記載の試験試料。
【0146】
実施形態141.前記緩衝剤が、HEPES、MES、ビス-トリスメタン、ADA、ACES、ビス-トリスプロパン、PIPES、MOPSO、コラミンクロリド、MOPS、BES、TES、DIPSO、MOB、アセトアミドグリシン、TAPSO、TEA、POPSO、HEPPSO、EPS、HEPPS、トリシン、トリス、グリシンアミド、グリシルグリシン、HEPBS、ビシン、TAPS、AMPB、CHES、AMP、AMPSO、CAPSO、CAPS、及びCABSから選択される、実施形態131~140のいずれか1つに記載の試験試料。
【0147】
実施形態142.前記試験試料中の前記緩衝剤が、約4mM~約400mM、または約10mM~約300mM、または約20mM~約200mM、または約30mM~約100mM、または35mM~約50mM、または約40mMの濃度である、実施形態131~141のいずれか1つに記載の試験試料。
【0148】
実施形態143.前記キレート剤が、EDTA、EGTA、DTPA、BAPTA、DMPS、及びALAから選択される、実施形態131~142のいずれか1つに記載の試験試料。
【0149】
実施形態144.前記試験試料中の前記キレート剤が、約0.1mM~約10mM、または約0.5mM~約5mM、または約1mMの濃度である、実施形態131~143のいずれか1つに記載の試験試料。
【0150】
実施形態145.前記非イオン界面活性剤が、モノラウリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン(Tween-20)、モノラウリン酸ポリオキシエチレン(40)ソルビタン(Tween-40)、及びモノラウリン酸ポリオキシエチレン(80)ソルビタン(Tween-80)から選択される、実施形態131~144のいずれか1つに記載の試験試料。
【0151】
実施形態146.前記非イオン性界面活性剤が、前記試験試料の約0.01%~約1%、または前記試験試料の約0.02%~約0.5%、または前記試験試料の約0.03%~約0.1%、または前記試験試料の約0.04%~約0.08%、または前記試験試料の約0.05%(容量対容量)である、実施形態131~145のいずれか1つに記載の方法。
【0152】
実施形態147.前記試験試料の総タンパク質濃度が、ビシンコニン酸(BCA)アッセイによって定量され、前記BCAアッセイが、任意選択でマイクロBCAアッセイである、実施形態131~146のいずれか1つに記載の試験試料。
【0153】
実施形態148.前記アッセイが、ビシンコニン酸(bicinchoninic acid)試薬またはビシンコニン酸(bicinchonic acid)試薬、ならびに任意選択でアルカリ性酒石酸-炭酸緩衝液及び/または硫酸銅溶液を含む、実施形態147に記載の試験試料。
【0154】
実施形態149.前記試験試料が、40mMのHEPES、102mMのNaCl、5mMのKCl、5mMのMgCl、1mMのEDTA、及び0.05%のTween-20を含む、実施形態131~148のいずれか1つに記載の試験試料。
【0155】
実施形態150.前記試験試料のpHが、約pH5~約pH9、または約pH6~約pH8、または約pH7~約pH7.9、または約pH7.5である、実施形態131~149のいずれか1つに記載の試験試料。
【0156】
実施形態151.少なくとも1つの捕捉試薬がアプタマーであり、前記少なくとも1つのアプタマーが5位修飾ピリミジンを含む、実施形態131~150のいずれか1つに記載の試験試料。
【0157】
実施形態152.前記5位修飾ピリミジンが、前記ピリミジンの5位に疎水性部分を含む、実施形態151に記載の試験試料。
【0158】
実施形態153.前記疎水性部分が、ナフチル部分、フェニル部分、チロシル部分、インドール部分、及びモルホリノ部分から選択される、実施形態152に記載の試験試料。
【0159】
実施形態154.前記疎水性部分が、アミドリンカー、カルボニルリンカー、プロピニルリンカー、アルキンリンカー、エステルリンカー、尿素リンカー、カルバメートリンカー、グアニジンリンカー、アミジンリンカー、スルホキシドリンカー、及びスルホンリンカーから選択される基を含むリンカーを介して前記塩基の5位と共有結合している、実施形態152または153に記載の試験試料。
【0160】
実施形態155.前記生物学的試料が尿試料である、実施形態131~154のいずれか1つに記載の試験試料。
【0161】
実施形態156.前記生物学的試料が血清試料である、実施形態131~154のいずれか1つに記載の試験試料。
【0162】
実施形態157.前記緩衝液交換された生物学的試料を生成する目的で、ゲル濾過クロマトグラフィーが、前記生物学的試料に対する前記緩衝液交換の実施のために使用された、実施形態131~156のいずれか1つに記載の試験試料。
【0163】
実施形態158.試験試料中の標的タンパク質を検出するための方法であって、
前記試験試料を少なくとも1つの捕捉試薬に接触させることであって、前記少なくとも1つの捕捉試薬が、複合体を形成するように前記標的タンパク質に結合可能である、前記接触させることと、
前記複合体の形成を可能にする条件下で、前記試験試料を前記少なくとも1つの捕捉試薬とインキュベートすることと、
前記少なくとも1つの捕捉試薬、前記複合体、または前記タンパク質のレベルを測定することにより、前記試験試料中の前記標的タンパク質のレベルを定量することであって、前記少なくとも1つの捕捉試薬または前記複合体のレベルが、前記標的タンパク質のレベルの代替である、前記定量することとを含み、
前記試験試料が、生物学的試料と、緩衝剤、塩、キレート剤、及び非イオン界面活性剤を含む製剤との緩衝液交換を実施することによって生成され、前記試験試料の総タンパク質濃度が、約70μg/mL~約100μg/mL未満である、前記方法。
【0164】
実施形態159.前記少なくとも1つのタンパク質捕捉試薬が、アプタマーまたは抗体である、実施形態158に記載の方法。
【0165】
実施形態160.複数の捕捉試薬を含み、各捕捉試薬がアプタマーである、実施形態158または159に記載の方法。
【0166】
実施形態161.前記試験試料の総タンパク質濃度が、約70μg/mL~95μg/mL、または約70μg/mL~90μg/mL、または約70μg/mL~85μg/mL、または約70μg/mL~80μg/mL、または約70μg/mL~75μg/mL、または約70μg/mLである、実施形態158~160のいずれか1つに記載の方法。
【0167】
実施形態162.前記1つ以上の塩が、ナトリウム塩、カリウム塩、及びマグネシウム塩から選択される、実施形態158~161のいずれか1つに記載の方法。
【0168】
実施形態163.前記1つ以上の塩が、ナトリウム塩、カリウム塩、及びマグネシウム塩を含む、実施形態158~161のいずれか1つに記載の方法。
【0169】
実施形態164.前記ナトリウム塩がNaClであり、前記カリウム塩がKClであり、前記マグネシウム塩がMgClである、実施形態162または163に記載の方法。
【0170】
実施形態165.前記製剤中の前記NaClが、約10mM~約500mM、または約50mM~約250mM、または約100mM~約200mM、または約102mMの濃度である、実施形態164に記載の方法。
【0171】
実施形態166.前記製剤中の前記KClが、約0.5mM~約30mM、または約1mM~約20mM、または約2mM~約15mM、または約4mM~約10mM、または約5mMの濃度である、実施形態164または165に記載の方法。
【0172】
実施形態167.前記製剤中の前記MgClが、約0.5mM~約30mM、または約1mM~約20mM、または約2mM~約15mM、または約4mM~約10mM、または約5mMの濃度である、実施形態164~166のいずれか1つに記載の方法。
【0173】
実施形態168.前記緩衝剤が、HEPES、MES、ビス-トリスメタン、ADA、ACES、ビス-トリスプロパン、PIPES、MOPSO、コラミンクロリド、MOPS、BES、TES、DIPSO、MOB、アセトアミドグリシン、TAPSO、TEA、POPSO、HEPPSO、EPS、HEPPS、トリシン、トリス、グリシンアミド、グリシルグリシン、HEPBS、ビシン、TAPS、AMPB、CHES、AMP、AMPSO、CAPSO、CAPS、及びCABSから選択される、実施形態158~167のいずれか1つに記載の方法。
【0174】
実施形態169.前記製剤中の前記緩衝剤が4mM~約400mM、または約10mM~約300mM、または約20mM~約200mM、または約30mM~約100mM、または35mM~約50mM、または約40mMの濃度である、実施形態158~168のいずれか1つに記載の方法。
【0175】
実施形態170.前記キレート剤が、EDTA、EGTA、DTPA、BAPTA、DMPS、及びALAから選択される、実施形態158~169のいずれか1つに記載の方法。
【0176】
実施形態171.前記製剤中の前記キレート剤が、約0.1mM~約10mM、または約0.5mM~約5mM、または約1mMの濃度である、実施形態158~170のいずれか1つに記載の方法。
【0177】
実施形態172.前記非イオン界面活性剤が、モノラウリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン(Tween-20)、モノラウリン酸ポリオキシエチレン(40)ソルビタン(Tween-40)、及びモノラウリン酸ポリオキシエチレン(80)ソルビタン(Tween-80)から選択される、実施形態158~171のいずれか1つに記載の方法。
【0178】
実施形態173.前記非イオン界面活性剤が、前記製剤の約0.01%~約1%、または前記製剤の約0.02%~約0.5%、または前記製剤の約0.03%~約0.1%、または前記製剤の約0.04%~約0.08%、または前記製剤の約0.05%である、実施形態158~172のいずれか1つに記載の方法。
【0179】
実施形態174.前記試験試料の総タンパク質濃度が、ビシンコニン酸(BCA)アッセイによって測定され、前記BCAアッセイが、任意選択でマイクロBCAアッセイである、実施形態158~173のいずれか1つに記載の方法。
【0180】
実施形態175.前記アッセイが、ビシンコニン酸(bicinchoninic acid)試薬またはビシンコニン酸(bicinchonic acid)試薬、ならびに任意選択でアルカリ性酒石酸-炭酸緩衝液及び/または硫酸銅溶液を含む、実施形態174に記載の方法。
【0181】
実施形態176.前記製剤が、40mMのHEPES、102mMのNaCl、5mMのKCl、5mMのMgCl、1mMのEDTA、及び0.05%のTween20を含む、実施形態158~175のいずれか1つに記載の方法。
【0182】
実施形態177.前記製剤が、40mMのHEPES、102mMのNaCl、5mMのKCl、5mMのMgCl、1mMのEDTA、及び0.05%のTween-20(pH7.5)からなる、実施形態158~175のいずれか1つに記載の方法。
【0183】
実施形態178.前記製剤のpHが、約pH5~約pH9、または約pH6~約pH8、または約pH7~約pH7.9、または約pH7.5である、実施形態158~177のいずれか1つに記載の方法。
【0184】
実施形態179.前記アプタマーが5位修飾ピリミジンを含む、実施形態158~178のいずれか1つに記載の方法。
【0185】
実施形態180.前記5位修飾ピリミジンが、前記ピリミジンの5位に疎水性部分を含む、実施形態179に記載の方法。
【0186】
実施形態181.前記疎水性部分が、ナフチル部分、フェニル部分、チロシル部分、インドール部分、及びモルホリノ部分から選択される、実施形態180に記載の方法。
【0187】
実施形態182.前記疎水性部分が、アミドリンカー、カルボニルリンカー、プロピニルリンカー、アルキンリンカー、エステルリンカー、尿素リンカー、カルバメートリンカー、グアニジンリンカー、アミジンリンカー、スルホキシドリンカー、及びスルホンリンカーから選択される基を含むリンカーを介して前記塩基の5位と共有結合する、実施形態180または181に記載の方法。
【0188】
実施形態183.前記複合体が非共有結合複合体である、実施形態158~182のいずれか1つに記載の方法。
【0189】
実施形態184.前記少なくとも1つの捕捉試薬が、前記試験試料に接触させる前に第1の固体支持体に結合するか、または前記捕捉試薬が、前記試験試料に接触させた後に第1の固体支持体に結合する、実施形態158~183のいずれか1つに記載の方法。
【0190】
実施形態185.前記複合体を、前記捕捉試薬を介して第1の固体支持体に結合させることをさらに含む、実施形態158~184のいずれか1つに記載の方法。
【0191】
実施形態186.前記第1の固体支持体から複合体を解放することと、前記複合体を第2の固体支持体に結合させることとをさらに含む、実施形態185に記載の方法。
【0192】
実施形態187.前記複合体が、前記タンパク質を介し前記第2の固体支持体に結合する、実施形態186に記載の方法。
【0193】
実施形態188.競合分子を前記試験試料に加えること、及び/または競合分子を加え、前記試験試料を希釈することをさらに含む、実施形態158~187のいずれか1つに記載の方法。
【0194】
実施形態189.前記競合分子がポリアニオン競合物質である、実施形態188に記載の方法。
【0195】
実施形態190.前記ポリアニオン競合物質が、オリゴヌクレオチド、ポリデキストラン、DNA、ヘパリン、及びdNTPから選択される、実施形態189に記載の方法。
【0196】
実施形態191.前記ポリアニオン性競合物質がポリデキストランであり、前記ポリデキストランがデキストラン硫酸である、実施形態190に記載の方法。
【0197】
実施形態192.前記ポリアニオン競合物質がオリゴヌクレオチドであり、前記オリゴヌクレオチドが1つ以上の5位修飾ピリミジンを含む、実施形態190に記載の方法。
【0198】
実施形態193.前記生物学的試料が尿である、実施形態158~192のいずれか1つに記載の方法。
【0199】
実施形態194.前記生物学的試料が血清である、実施形態158~192のいずれか1つに記載の方法。
【0200】
実施形態195.前記緩衝液交換がゲル濾過クロマトグラフィーを用いて実施される、実施形態100~130または158~194のいずれか1つに記載の方法。
【0201】
実施形態196.前記緩衝液交換を実施する前に、前記生物学的試料のタンパク質濃度を測定することをさらに含む、実施形態100~130または158~195のいずれか1つに記載の方法。
【0202】
実施形態197.前記生物学的試料のタンパク質濃度が、蛍光読み出しアッセイ、ビシンコニン酸(BCA)アッセイ、マイクロBCAアッセイ、Lowryアッセイ、及びELISAアッセイからなる群より選択されるアッセイによって測定される、実施形態196に記載の方法。
【0203】
実施形態198.前記アッセイが、BCAアッセイまたはマイクロBCAアッセイである、実施形態197に記載の方法。
【0204】
実施形態199.前記アッセイが、ビシンコニン酸(bicinchoninic acid)試薬またはビシンコニン酸(bicinchonic acid)試薬、ならびに任意選択でアルカリ性酒石酸-炭酸緩衝液及び/または硫酸銅溶液を含む、実施形態198に記載の方法。
【0205】
実施形態200.前記アッセイが蛍光リードアウトアッセイである、実施形態197に記載の方法。
【0206】
実施形態201.前記蛍光リードアウトアッセイが、メロシアニン色素及びエピココノンから選択される試薬を含む、実施形態200に記載の方法。
【0207】
実施形態202.タンパク質を検出するための生物学的試料を調製するための方法であって、
緩衝剤と、1つ以上の塩と、キレート剤と、非イオン界面活性剤とを含む製剤を用いて、前記生物学的試料に対し緩衝液交換を実施することにより、試験試料を生成することと、
前記生物学的試料または前記試験試料の総タンパク質濃度を定量することと、
前記生物学的試料または前記試験試料の総タンパク質濃度を調整することとを含み、前記方法が、前記緩衝液交換を実施する前に前記生物学的試料の総タンパク質を濃縮することを含まない、前記方法。
【0208】
実施形態203.前記試験試料の総タンパク質濃度が約2μg/mL~約60μg/mLである、実施形態202に記載の方法。
【0209】
実施形態204.タンパク質を検出するための生物学的試料を調製するための方法であって、
前記試験試料の総タンパク質濃度を定量することと、
前記生物学的試料の総タンパク質濃度を約2μg/mLから約60μg/mLに調整することと、
緩衝剤と、1つ以上の塩と、キレート剤と、非イオン界面活性剤とを含む製剤を用いて、前記生物学的試料に対する緩衝液交換を実施することにより、試験試料を生成することとを含む、前記方法。
【0210】
実施形態205.複数の生物学的試料に対し緩衝液交換を実施することにより、複数の試験試料を生成することを含み、各試験試料の総タンパク質濃度がほぼ同じである、実施形態202~204のいずれか1つに記載の方法。
【0211】
実施形態206.複数の生物学的試料に対し緩衝液交換を実施することにより、複数の試験試料を生成することを含み、各試験試料の総タンパク質濃度が同じである、実施形態202~205のいずれか1つに記載の方法。
【0212】
実施形態207.タンパク質を検出するための生物学的試料を調製する方法であって、
前記生物学的試料のタンパク質濃度を定量することと、
前記生物学的試料の総タンパク質濃度が約2μg/mLから約60μg/mLの範囲にない場合に、前記生物学的試料の総タンパク質濃度を約2μg/mLから約60μg/mLに調整することと、
緩衝剤と、1つ以上の塩と、キレート剤と、非イオン界面活性剤とを含む製剤を用いて、前記生物学的試料に対する緩衝液交換を実施することにより、試験試料を生成することとを含む、前記方法。
【0213】
実施形態208.前記生物学的試料の総タンパク質濃度が、約2μg/mL~約50μg/mL、または約2μg/mL~約45μg/mL、または約4μg/mL~約40μg/mL、または約8μg/mL~約40μg/mL、または約10μg/mL~約40μg/mL、または約10μg/mL~約30μg/mL、または40μg/mL未満、または30μg/mL未満、または20μg/mL未満、または約15μg/mL、または約10μg/mL~約20μg/mLの範囲にない場合に、前記方法が、前記生物学的試料の総タンパク質濃度を前記範囲に調整することを含む、実施形態207に記載の方法。
【0214】
実施形態209.前記1つ以上の塩が各々独立的に、ナトリウム塩、カリウム塩、及びマグネシウム塩から選択される、実施形態202~208のいずれか1つに記載の方法。
【0215】
実施形態210.前記1つ以上の塩が、ナトリウム塩、カリウム塩、及びマグネシウム塩を含む、実施形態202~208のいずれか1つに記載の方法。
【0216】
実施形態211.前記ナトリウム塩がNaClであり、前記カリウム塩がKClであり、前記マグネシウム塩がMgClである、実施形態209または210のいずれか1つに記載の方法。
【0217】
実施形態212.前記製剤中の前記NaClが、約10mM~約500mM、または約50mM~約250mM、または約100mM~約200mM、または約102mMの濃度である、実施形態211に記載の方法。
【0218】
実施形態213.前記製剤中の前記KClが、約0.5mM~約30mM、または約1mM~約20mM、または約2mM~約15mM、または約4mM~約10mM、または約5mMの濃度である、実施形態211または212に記載の方法。
【0219】
実施形態214.前記製剤中の前記MgClが、約0.5mM~約30mM、または約1mM~約20mM、または約2mM~約15mM、または約4mM~約10mM、または約5mMの濃度である、実施形態211~213のいずれか1つに記載の方法。
【0220】
実施形態215.前記緩衝剤が、HEPES、MES、ビス-トリスメタン、ADA、ACES、ビス-トリスプロパン、PIPES、MOPSO、コラミンクロリド、MOPS、BES、TES、DIPSO、MOB、アセトアミドグリシン、TAPSO、TEA、POPSO、HEPPSO、EPS、HEPPS、トリシン、トリス、グリシンアミド、グリシルグリシン、HEPBS、ビシン、TAPS、AMPB、CHES、AMP、AMPSO、CAPSO、CAPS、及びCABSから選択される、実施形態202~214のいずれか1つに記載の方法。
【0221】
実施形態216.前記製剤中の前記緩衝剤が、約4mM~約400mM、または約10mM~約300mM、または約20mM~約200mM、または約30mM~約100mM、または35mM~約50mM、または約40mMの濃度である、実施形態215に記載の方法。
【0222】
実施形態217.前記キレート剤が、EDTA、EGTA、DTPA、BAPTA、DMPS、及びALAから選択される、実施形態202~216のいずれか1つに記載の方法。
【0223】
実施形態218.前記製剤中の前記キレート剤が、約0.1mM~約10mM、または約0.5mM~約5mM、または約1mMの濃度である、実施形態217に記載の方法。
【0224】
実施形態219.前記非イオン界面活性剤が、モノラウリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン(Tween-20)、モノラウリン酸ポリオキシエチレン(40)ソルビタン(Tween-40)、及びモノラウリン酸ポリオキシエチレン(80)ソルビタン(Tween-80)から選択される、実施形態202~218のいずれか1つに記載の方法。
【0225】
実施形態220.前記非イオン界面活性剤が、前記製剤の約0.01%~約1%、または前記製剤の約0.02%~約0.5%、または前記製剤の約0.03%~約0.1%、または前記製剤の約0.04%~約0.08%、または前記製剤の約0.05%、または前記製剤の約0.1%(容量対容量)である、実施形態219に記載の方法。
【0226】
実施形態221.前記試験試料の総タンパク質濃度が、約2μg/mL~約50μg/mL、または約2μg/mL~約45μg/mL、または約4μg/mL~約40μg/mL、または約8μg/mL~約40μg/mL、または約10μg/mL~約40μg/mL、または約10μg/mL~約30μg/mL、または40μg/mL未満、または30μg/mL未満、または20μg/mL未満、または約15μg/mL、または約10μg/mL~約20μg/mLである、実施形態202~220のいずれか1つに記載の方法。
【0227】
実施形態222.前記試験試料または前記生物学的試料の総タンパク質濃度が、蛍光リードアウトアッセイ、Bradfordアッセイ、ビシンコニン酸(BCA)アッセイ、Lowryアッセイ、及びELISAアッセイからなる群より選択されるアッセイによって定量される、実施形態203~221のいずれか1つに記載の方法。
【0228】
実施形態223.前記蛍光リードアウトアッセイが、メロシアニン色素及びエピココノンから選択される試薬を含む、実施形態222に記載の方法。
【0229】
実施形態224.前記製剤が、40mMのHEPES、102mMのNaCl、5mMのKCl、5mMのMgCl、1mMのEDTA、及び0.05%のTween-20を含む、実施形態202~223のいずれか1つに記載の方法。
【0230】
実施形態225.前記製剤のpHが、約pH5~約pH9、または約pH6~約pH8、または約pH7~約pH7.9、または約pH7.5である、実施形態202~224のいずれか1つに記載の方法。
【0231】
実施形態226.前記製剤が、40mMのHEPES、102mMのNaCl、5mMのKCl、5mMのMgCl、1mMのEDTA、及び0.05%のTween-20からなり、pHが7.5である、実施形態202~225のいずれか1つに記載の方法。
【0232】
実施形態227.前記緩衝液交換が限外濾過で実施されない、実施形態202~226のいずれか1つに記載の方法。
【0233】
実施形態228.前記緩衝液交換がゲル濾過クロマトグラフィーによって実施される、実施形態202~227のいずれか1つに記載の方法。
【0234】
実施形態229.前記生物学的試料が尿試料である、実施形態202~228のいずれか1つに記載の方法。
【0235】
実施形態230.前記生物学的試料が血清試料である、実施形態202~228のいずれか1つに記載の方法。
【0236】
実施形態231.前記方法が、前記生物学的試料を濃縮することを含まない、実施形態202~230のいずれか1つに記載の方法。
【0237】
実施形態232.タンパク質を検出するための生物学的試料を調製するための方法であって、
緩衝剤と、1つ以上の塩と、キレート剤と、非イオン界面活性剤とを含む製剤を用いて、前記生物学的試料に対し緩衝液交換を実施することにより、試験試料を生成することと、
前記生物学的試料または前記試験試料の総タンパク質濃度を定量することと、
前記生物学的試料または前記試験試料の総タンパク質濃度を調整することとを含み、前記方法が、前記緩衝液交換を実施する前に前記生物学的試料の総タンパク質を濃縮することを含まず、
任意選択で、(i)前記総タンパク質濃度が、前記緩衝液交換を実施する前に調整されるか、または(ii)前記総タンパク質濃度が、前記緩衝液交換を実施した後に調整される、前記方法。
【0238】
実施形態232の方法はさらに、必要な変更を考慮しながら、先行実施形態の任意の適用可能な特徴を含むことができる。任意の前述の実施形態は、緩衝液交換の前または後に総タンパク質の調整(及び該当する場合は測定)が実施される順序で実施されてもよく、必要に応じて、緩衝液交換の前または後に総タンパク質の調整(及び該当する場合は測定)が実施されるように変更されてもよい。本明細書で開示または特許請求される任意の方法は、文言が明らかに別の内容を要求しない限り、両方の順序を包含するものとして、すなわち、緩衝液交換の前または後に総タンパク質の調整(及び該当する場合は測定)が実施されるものとして、解釈されるべきである。
【0239】
ある特定の方法
いくつかの実施形態において、本明細書で開示される方法は、生物学的試料または試験試料中の総タンパク質濃度の標準化を容易にする一方で、アナライト測定値における試料間変動性を限定し、試料中のアナライトの線形範囲を拡大する。いくつかの実施形態において、当該方法は、緩衝液交換を実施することを含む。いくつかのこのような実施形態において、緩衝液交換は、生物学的試料の総タンパク質濃度の調整及び生物学的試料の塩濃度の制御を共に可能にする。生物学的試料中の塩濃度の変動は、試料内のアナライトの測定で有意な変動を引き起こし得る。総タンパク質濃度及び塩濃度を調整する能力は、このような試料間変動性を限定する。いくつかの実施形態において、本明細書の方法は、アナライト濃度の線形範囲を拡大し、緩衝液交換されていない生物学的試料または試験試料中のアナライトの測定よりも信頼性の高いアナライトの測定を可能にする。
【0240】
いくつかの実施形態において、本明細書での方法は、生物学的試料の総タンパク質濃度を定量することを含む。いくつかのこのような実施形態において、生物学的試料の総タンパク質濃度は、生物学的試料の緩衝液交換の前に定量される。いくつかの実施形態において、本明細書での方法は、試験試料の総タンパク質濃度を定量することを含む。いくつかのこのような実施形態において、試験試料の総タンパク質濃度は、生物学的試料の緩衝液交換後に定量される。いくつかの実施形態において、総タンパク質濃度は、蛍光リードアウトアッセイを用いて定量される。いくつかの実施形態において、総タンパク質濃度は、BCAアッセイを用いて定量される。いくつかの実施形態において、試験試料の総タンパク質濃度は、ある特定の値またはある特定の範囲内であるように定量され、調整されない。いくつかの実施形態において、総タンパク質濃度は、ある特定の値ではないように定量されるか、またはある特定の範囲外であり、調整される。いくつかの実施形態において、範囲は、総タンパク質濃度を定量するために使用されるあらゆるタイプのアッセイにおいて同じではない。いくつかの実施形態において、本明細書での方法は、複数の生物学的試料から複数の試験試料を生成することを含み、いくつかの試験試料またはいくつかの生物学的試料の総タンパク質濃度は調整され、他の試験試料または他の生物学的試料の総タンパク質濃度は調整されない。
【0241】
いくつかの実施形態において、本明細書での方法は、生物学的試料の総タンパク質の限外濾過または濃縮を含まない。いくつかのこのような実施形態において、緩衝液交換は、ゲル濾過クロマトグラフィーを用いて実施される。
【0242】
ある特定の試験試料
いくつかの実施形態において、本明細書で開示される緩衝液交換試験試料は、約60μg/mL未満、60~100μg/mL、または70~100μg/mLの総タンパク質濃度を含む。いくつかのこのような実施形態は、HEPES、NaCl、KCl、MgCl、Tween、及びEDTAを含む。
【0243】
生物学的試料中の試料間変動性
生物学的試料からの総タンパク質濃度の変動性(例えば、ランダムで非タイミング的な「スポット」尿検体)は、プロテオミクス解析に対する課題となっている。スポット尿試料中の総タンパク質の正常範囲は約1~14mg/dLであり、安静時には約50~80mg/日が排泄される。尿中タンパク質濃度は、年齢、運動、立位姿勢に伴って増加する傾向がある。ネフローゼ症候群では、タンパク質の総排泄量が1日3.5gを超えることがある。
【0244】
尿検体間のタンパク濃度の変動性については、Thomas他が報告している(Thomas,C.E.,Sexton W.,Benson K.,Sutphen R.,and J.Koomen.(2010). Urine collection and processing for protein biomarker discovery and quantification.Cancer Epidemiol Biomarkers Prev 19(4):953-959)。この研究では、連続10日間にわたり1個体から全ての排尿を収集した。それぞれに対する総タンパク質濃度を定量し、検体間で100倍超変動することが分かった。変動係数(CV)が最低だったのは、24時間プール(39%)及び朝の最初の排尿(41%)であった。最大のCVは、1日のうち2回目の排尿(54%)及び全てのスポット収集物(61%)で観察された。
【0245】
ヒト尿の組成及び濃度の特性。McDonnell Douglas Astronautics Company(Huntington Beach,CA)によって米国航空宇宙局のために準備されたものからは、68種の小分子成分が尿中の溶解性固体の99%を構成することを示された。これらの68種の分子は、典型的な尿試料では、1リットル当たり合計約36.8グラムになる。上位10分子は、尿素、塩化物、ナトリウム、カリウム、クレアチニン、無機硫黄、馬尿酸、リン、クエン酸、及びグルクロン酸であり、単位体積当たりの質量が最も高いものから最も低いものまでランク付けされている。ただし、尿検体間では、これらの68成分のいずれの絶対濃度もかなり変動する。以下の表1は、いくつかの尿試料間で観察されたいくつかの違いをまとめたものである。
【表1】
【0246】
対象間比較及び同じ対象からの試料間比較からの尿中総タンパク質濃度の変動性、これに加えてpH、塩濃度、及び他の成分の変動性により、尿は、バイオマーカー発見及び診断におけるプロテオミクス測定値に対する困難なマトリックスとなる。これは、タンパク質レベルの測定値が、これらの尿中成分(例えば、塩及び他の固体)の存在、具体的には濃度に影響され得るためである。事実上、これらの成分のレベルが異なるがタンパク質の濃度が同じ試料においては、タンパク質レベルをアッセイする場合、試料の異なる成分のレベルに基づき異なるタンパク質測定値が得られることになる。
【0247】
本発明の前述及び他の目的、特徴、及び利点は、添付の図面を参照しながら進められる以下の詳細な説明からさらに明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0248】
図1】A及びBは、NaCl濃度の関数としてのアナライト測定値の変化を示している。A及びBは共に、異なって提示された同じデータを示している。Aは、x軸上にSB17緩衝液製剤に対する追加のNaCl(mM)濃度(102mM NaClで開始)、y軸上にRFU(相対蛍光単位)のLog2倍変化を示しており、この倍数変化は、対照緩衝液条件(SB17緩衝液)に比べ、試料中に存在するアナライトの量と相関している。Bは、x軸上にSB17緩衝液に対する追加のNaCl(mM)濃度(102mM NaClで開始)、y軸上にNaCl濃度の関数として増加または減少するアナライトのパーセントを示している。
図2】A及びBは、MgCl濃度の関数としてのアナライト測定値の変化を示している。A及びBは共に、異なって提示された同じデータを示している。Aは、x軸上にSB17緩衝液製剤に対する追加のMgCl(mM)濃度(5mM MgClで開始)、y軸上にRFU(相対蛍光単位)のLog2倍変化を示しており、この倍数変化は、対照緩衝液条件(SB17緩衝液)に比べ、試料中に存在するアナライトの量と相関している。Bは、x軸上にSB17緩衝液に対する追加のMgCl(mM)濃度(5mM MgClで開始)、y軸上にMgCl濃度の関数として増加または減少するアナライトのパーセントを示している。
図3】A及びBは、尿素濃度の関数としてのアナライト測定値の変化を示している。A及びBは共に、異なって提示された同じデータを示している。Aは、x軸上にSB17緩衝液製剤に対する尿素(mM)濃度(0mMで開始)の追加、y軸上にRFU(相対蛍光単位)のLog2倍変化を示しており、この倍数変化は、対照緩衝液条件(SB17緩衝液)に比べ、試料中に存在するアナライトの量と相関している。Bは、x軸上にSB17緩衝液に対する追加の尿素(mM)濃度(0mMで開始)、y軸上に尿素濃度の関数として増加または減少するアナライトのパーセントを示している。
図4】この滴定で測定された2,298検体における線形範囲を可視化したものを示している。黒色のバーは、試料の総タンパク質濃度(μg/mL)(y軸)の関数として、各アナライト(x軸)における線形範囲の下限及び上限に及んでいる。
図5】線形範囲内にある2,298のアナライトのパーセント(x軸)を試料の総タンパク質濃度(μg/mL)(y軸)の関数として示している。
図6】試料緩衝液交換がプロテオミクスアッセイにおけるアナライト線形性に及ぼす影響を示している。2つの異なるアナライトをアッセイで測定した。一方の試料は緩衝液交換に供し、他方の試料は緩衝液交換に供しなかった(対照)。試料の総タンパク質濃度(x軸)に基づく滴定を実施し、RFUによって測定したアナライトのレベルをLog2スケール(y軸)にプロットした。対照試料中のALDOタンパク質アナライトについては、比較的低い総タンパク質濃度で線形範囲が観察されるが、約30μg/mLを超えるとRFU測定値が減少する。試料を緩衝液交換に供すると、同じアナライト(ALDO)の線形範囲は、130μg/mLの試料の総タンパク質濃度まで十分に延びる。同様に、対照試料中のANXA4タンパク質アナライトについても、比較的低い総タンパク質濃度では線形範囲が観察されるが、約16μg/mLを超えるとRFU測定値が横ばいまたはプラトーになる。試料を緩衝液交換に供すると、同じアナライト(ANXA4)の線形範囲は、130μg/mLの試料の総タンパク質濃度まで十分に延びる。
図7A】試料の総タンパク質濃度の関数としてアッセイで測定したアナライトの線形性をグラフにしたものである。図7A及び図7Bは共に、異なって提示された同じデータを示している。アナライトは、線形範囲内、線形範囲より上、または線形範囲より下として分類される。図7Aは、アナライトの数及びそれらの分類(線形範囲より上、下、または範囲内)(y軸)を試料の総タンパク質濃度の関数としてグラフ化したものである。
図7B】試料の総タンパク質濃度の関数としてアッセイで測定したアナライトの線形性をグラフにしたものである。図7A及び図7Bは共に、異なって提示された同じデータを示している。アナライトは、線形範囲内、線形範囲より上、または線形範囲より下として分類される。図7Bは、アナライトのパーセント及びそれらの分類(線形範囲より上、下、または範囲内)(y軸)を試料の総タンパク質濃度の関数としてグラフ化したものである。
図8】アプタマーに組み込まれ得るある特定の例示的5位修飾ウリジン及びシチジンである。
図9】ウリジンの5位に存在し得るある特定の例示的修飾である。C-5修飾の化学構造は、修飾をウリジンの5位に結合する例示的なアミド結合を含む。示される5位部分としては、フェニル部分(例えば、Bn、PE、及びPP)、ナフチル部分(例えば、Nap、2Nap、NE)、ブチル部分(例えば、iBu)、フルオロベンジル部分(例えば、FBn)、チロシル部分(例えば、Tyr)、3,4-メチレンジオキシベンジル(例えば、MBn)、モルホリノ部分(例えば、MOE)、ベンゾフラニル部分(例えば、BF)、インドール部分(例えば、Trp)、ならびにヒドロキシプロピル部分(例えば、Thr)が挙げられる。
図10】シチジンの5位に存在し得るある特定の例示的修飾である。C-5修飾の化学構造は、修飾をシチジンの5位に結合する例示的なアミド結合を含む。示される5位部分としては、フェニル部分(例えば、Bn、PE、及びPP)、ナフチル部分(例えば、Nap、2Nap、NE、及び2NE)、ならびにチロシル部分(例えば、Tyr)が挙げられる。
図11】アプタマーベースプロテオミクスアッセイによって測定される、線形範囲内にある尿試料中のアナライトの数のグラフを、マイクロBCAアッセイによって測定される総タンパク質濃度の関数として示している。
図12A】アプタマーベースのプロテオミクスアッセイによって測定される、線形範囲内にある尿試料中のアナライトの数を、マイクロBCAアッセイによって測定される1~150μg/mLの総タンパク質濃度の関数として示している。図12Aは、10例の個別の尿試料の結果を示している。
図12B】アプタマーベースのプロテオミクスアッセイによって測定される、線形範囲内にある尿試料中のアナライトの平均数を、マイクロBCAアッセイによって測定される1~150μg/mLの総タンパク質濃度の関数として示している。図12Bは、同じ10例の個別の尿試料を合わせた結果を示している。
【発明を実施するための形態】
【0249】
I.用語及び方法
本発明を特定の代表的な実施形態に関連して説明するが、本発明は特許請求の範囲によって定義され、これらの実施形態に限定されないことが理解されよう。
【0250】
当業者であれば、本発明の実施で使用され得る、本明細書に記載されるものと同様または同等の多くの方法及び材料を認識するであろう。本発明は、記載された方法及び材料に決して限定されない。
【0251】
別段の定義がない限り、本明細書で使用される技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されている意味を有する。分子生物学における一般的な用語の定義は、Benjamin Lewin,Genes V,Oxford University Pressにより出版,1994(ISBN 0-19-854287-9)、Kendrew et al.(eds.),The Encyclopedia of Molecular Biology,Blackwell Science Ltd.により出版,1994(ISBN 0-632-02182-9)、及びRobert A.Meyers(ed.),Molecular Biology and Biotechnology:a Comprehensive Desk Reference,VCH Publishers,Inc.により出版,1995(ISBN 1-56081-569-8)に見出され得る。本発明の実施において、本明細書に記載されるものと同様または同等の任意の方法、デバイス、及び材料が使用されてもよいが、本明細書では、ある特定の方法、デバイス、及び材料について説明する。
【0252】
本明細書中で引用される全ての刊行物、公開された特許文献、及び特許出願は、個々の刊行物、公開された特許文献、または特許出願が、参照により援用されるものとして具体的かつ個別に示されたのと同じ程度に、参照により本明細書に援用される。
【0253】
本出願で使用される場合、添付の特許請求の範囲を含めて、単数形「a」、「an」、及び「the」は、内容による別段の明確な定めがない限り、複数形を含み、「少なくとも1つ」及び「1つ以上」と互換的に使用され得る。したがって、「アプタマー」が言及された場合にはアプタマーの混合物が含まれ、「プローブ」が言及された場合にはプローブの混合物が含まれる、などのようになる。
【0254】
本明細書で使用される場合、用語「含む(comprise)」、「含む(comprising)」、「含む(include)」、「含む(including)」、「含む(contain)」、「含む(containing)」、及びこれらの任意のバリエーションは、非排他的包含を網羅するように意図され、その結果、要素または要素のリストを含む(comprise)、含む(include)、または含む(contain)プロセス、方法、プロダクト・バイ・プロセス、または組成物は、明示的に列挙されていない他の要素を含み得る。
【0255】
さらに、核酸またはポリペプチドに関して示される全ての塩基サイズまたはアミノ酸サイズ、及び全ての分子量または分子質量の値は概算であり、説明のために提供されることを理解されたい。
【0256】
さらに、本明細書で提供される範囲は、その範囲内の全ての値の簡略表記であるものと理解されたい。例えば、1~50の範囲は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、または50からの任意の数、数の組合せ、または部分範囲、そして内容による別段の明確な定めがない限り、これらの分数を含むものと理解されたい。
【0257】
任意の濃度範囲、パーセンテージ範囲、比率範囲、または整数範囲は、別段の指示がない限り、両端値、列挙される範囲内の任意の整数、及び適切な場合はその分数(例えば、整数の10分の1及び100分の1)の値も含むものと理解されたい。また、本明細書に記載されている任意の物理的特色に関する任意の数字範囲、例えば、ポリマーサブユニット、サイズ、または厚さは、別段の指示がない限り、記載範囲内の任意の整数を含むものと理解されたい。
【0258】
選択肢(例えば、「または」)の使用は、選択肢のうちの1つ、両方、またはその任意の組合せのいずれかを意味するものと理解されたい。
【0259】
本開示の様々な実施形態の検討を容易にするため、特定の用語について以下のように説明する。
【0260】
約:数値または範囲の文脈における「約」という用語は、別段の指示がない限り、列挙された数値または範囲のプラスまたはマイナス10%の数値または範囲を意味する。
【0261】
抗体:「抗体」という用語は、抗原に結合する能力を保持する任意の種の全長抗体、ならびにこのような抗体のフラグメント及び派生物(Fabフラグメント、F(ab’)フラグメント、1本鎖抗体、Fvフラグメント、及び1本鎖Fvフラグメントを含む)を指す。また、「抗体」という用語は、合成由来の抗体、例えば、ファージディスプレイ由来の抗体及びフラグメント、アフィボディ、ならびにナノボディを含む。
【0262】
アプタマー:本明細書で使用する場合、「アプタマー」とは、標的分子に対して特異的結合親和性を有する核酸を指し、このとき、標的分子に対するアプタマーの結合は、ワトソン-クリック塩基対合を含まない。親和性相互作用は、程度の問題であることが認識されているが、この文脈において、その標的に対するアプタマーの「特異的結合親和性」は、アプタマーが試験試料中の他の成分に結合するよりも概してはるかに高い程度の親和性でアプタマーがその標的に結合することを意味する。「アプタマー」は、特定のヌクレオチド配列を有する核酸分子の1つのタイプまたは種のコピーのセットである。アプタマーは、任意の好適な数のヌクレオチド(任意の数の化学修飾ヌクレオチドを含む)を含むことができる。複数の「アプタマー」とは、このような分子の2つ以上のセットを指す。異なるアプタマーは、同数または異なる数のいずれかのヌクレオチドを有し得る。アプタマーは、DNAもしくはRNAまたは化学修飾核酸とすることができ、また1本鎖、2本鎖であるか、または1本鎖及び2本鎖領域の両方を含むことができ、より高次の構造を含むことができる。また、アプタマーは、その対応標的に共有結合することを可能にする光反応性または化学反応性の官能基を含んでもよい。本明細書で開示される任意のアプタマー法は、同じ標的分子に特異的に結合する2つ以上のアプタマーの使用を含むことができる。以下でさらに説明されるように、アプタマーはタグを含むことができる。アプタマーがタグを含む場合、アプタマーの全てのコピーが同じタグを有する必要はない。さらに、異なるアプタマーがそれぞれタグを含む場合、各異なるアプタマーは、同じタグまたは異なるタグのいずれかを有することができる。
【0263】
BCAアッセイまたはビシンコニン酸アッセイもしくはビシンコニン酸アッセイ:本明細書で使用する場合、「BCAアッセイ」、「ビシンコニン酸(bicinchoninic acid)アッセイ」、及び「ビシンコニン酸(bicinchonic acid)アッセイ」は互換的に使用され、試料中のタンパク質濃度を定量するために使用することができるビシンコニン酸を含む任意のアッセイ、キット、試薬、または組成物を指す。BCAアッセイとしては、限定されるものではないが、マイクロBCAアッセイが挙げられる。例示的なマイクロBCAアッセイは、実施例6に記載されている。
【0264】
生物学的試料または生物学的マトリックス:本明細書で使用する場合、「生物学的試料」及び「生物学的マトリックス」は、生物から得られる任意の材料、溶液、または混合物を指す。生物学的試料または生物学的マトリックスには、血液(全血、白血球、末梢血単核球、血漿、及び血清を含む)、痰、呼気、尿、精液、唾液、髄膜液、羊水、腺液、リンパ液、乳頭吸引液、気管支吸引液、滑液、関節吸引液、細胞、細胞抽出物、及び脳脊髄液が含まれる。生物学的試料または生物学的マトリックスには、実験で分離した前述の全ての画分も含まれる。また、「生物学的試料」及び「生物学的マトリックス」という用語は、均質化された固体材料(例えば、糞便試料、組織試料、または組織生検)を含む材料、溶液、または混合物も含む。また、「生物学的試料」及び「生物学的マトリックス」という用語は、細胞株、組織培養物、細胞培養物、細菌培養物、ウイルス培養物、または無細胞生物システム(例えば、IVTT)に由来する材料、溶液、または混合物も含む。
【0265】
レベル:本明細書で使用する場合、「標的タンパク質レベル」、「アナライトレベル」、及び「レベル」とは、生物学的試料中のアナライト(例えば、標的タンパク質)を検出するための任意の分析方法を用いて行われる測定値であって、生物学的試料中のアナライトの、そのための、またはそれに対応する存在、非存在、絶対的な量または濃度、相対的な量または濃度、力価、レベル、発現レベル、測定レベルの比などを示す測定値を指す。「レベル」の正確な性質は、アナライトの検出に用いられる特定の分析方法の具体的な設計及び構成要素に依存する。
【0266】
緩衝剤:本明細書で使用する場合、「緩衝剤」とは、溶解される溶液のpHを調整及び/または維持することができる化学物質または化学物質の組合せを意味する。いくつかの実施形態において、緩衝剤は弱酸である。いくつかの実施形態において、緩衝剤は弱塩基である。いくつかの実施形態において、緩衝剤は弱酸及び弱塩基である。いくつかの実施形態において、緩衝剤は塩である。いくつかのこのような実施形態において、緩衝剤は弱酸及び弱塩基の塩である。いくつかの実施形態において、緩衝剤は双性イオン性である。いくつかの実施形態において、緩衝剤は、4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンエタンスルホン酸(HEPES)、2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸(MES)、ビス-トリスメタン、N-(2-アセトアミド)イミノジ酢酸(ADA)、N-(カルバモイルメチル)-2-アミノエタンスルホン酸(ACES)、ビス-トリスプロパン、ピペラジン-N,N’-ビス(2-エタンスルホン酸)(PIPES)、3-モルホリノ-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸(MOPSO)、コラミンクロリド、3-(N-モルホリノ)プロパンスルホン酸(MOPS)、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-2-アミノエタンスルホン酸(BES)、N-[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]-2-アミノエタンスルホン酸(TES)、3-(N,N-ビス[2-ヒドロキシエチル]アミノ)-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸(DIPSO)、4-(N-モルホリノ)ブタンスルホン酸(MOB)、アセトアミドグリシン、2-ヒドロキシ-3-[トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミノ]-1-プロパンスルホン酸(TAPSO)、N,N-ジエチルエタンアミン(TEA)、ピペラジン-N,N’-ビス(2-ヒドロキシプロパンスルホン酸)(POPSO)、4-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン-1-(2-ヒドロキシプロパン-3-スルホン酸)水和物(HEPPSO)、4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンプロパンスルホン酸(EPPS)、トリシン、トリス、グリシンアミド、グリシルグリシン、N-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン-N’-(4-ブタンスルホン酸)(HEPBS)、ビシン、N-[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]-3-アミノプロパンスルホン酸(TAPS)、2-(シクロヘキシルアミノ)エタンスルホン酸、2-(N-シクロヘキシルアミノ)エタンスルホン酸(CHES)、β-アミノイソブチルアルコール塩酸塩(AMP)、N-(1,1-ジメチル-2-ヒドロキシエチル)-3-アミノ-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸(AMPSO)、N-シクロヘキシル-2-ヒドロキシル-3-アミノプロパンスルホン酸)(CAPSO)、3-(シクロヘキシルアミノ)-1-プロパンスルホン酸(CAPS)、及び4-(シクロヘキシルアミノ)-1-ブタンスルホン酸(CABS)から選択される。
【0267】
緩衝液交換された試料:本明細書で使用する場合、「緩衝液交換された試料」は、緩衝液交換ステップの実施が実施されている。いくつかの実施形態において、緩衝液交換ステップは、1つ以上の緩衝液成分の同一性及び/または濃度を変化させることを含む。このような緩衝液成分としては、限定されるものではないが、緩衝剤、塩、キレート剤、及び界面活性剤が挙げられる。いくつかの実施形態において、緩衝液交換された試料の総タンパク質濃度は、緩衝液交換工程を実施する前の試料の総タンパク質濃度と同じである。いくつかの実施形態において、緩衝液交換された試料は、緩衝液交換された生物学的試料である。
【0268】
C-5修飾ピリミジン:本明細書中で使用する場合、「C-5修飾ピリミジン」という用語は、C-5位に修飾を有するピリミジンを指す。C-5修飾ピリミジンの例としては、米国特許第5,719,273号、第5,945,527号、同第9,163,056号、及びDellafiore et al.,2016,Front. Chem.,4:18に記載されているものが挙げられる。C-5修飾の例は、すぐ下に例示されているように、C-5位のデオキシウリジンを、ベンジルカルボキシアミド(代替的にベンジルアミノカルボニル)(Bn)、ナフチルメチルカルボキシアミド(代替的にナフチルメチルアミノカルボニル)(Nap)、トリプタミノカルボキシアミド(代替的にトリプタミノカルボニル)(Trp)、フェネチルカルボキシアミド(代替的にフェネチルアミノカルボニル)(Pe)、チオフェニルメチルカルボキシアミド(代替的にチオフェニルメチルアミノカルボニル)(Th)、及びイソブチルカルボキシアミド(代替的にイソブチルアミノカルボニル)(iBu)から独立的に選択される置換基で置換したものが挙げられる。
【0269】
また、C-5修飾ピリミジンの化学修飾は、単独でまたは任意の組合せで、2’位の糖修飾、環外アミンでの修飾、及び4-チオウリジンの置換などと組み合わせることもできる。
【0270】
代表的なC-5修飾ピリミジンとしては、5-(N-ベンジルカルボキシアミド)-2’-デオキシウリジン(BndU)、5-(N-ベンジルカルボキシアミド)-2’-O-メチルウリジン、5-(N-ベンジルカルボキシアミド)-2’-フルオロウリジン、5-(N-イソブチルカルボキシアミド)-2’-デオキシウリジン(iBudU)、5-(N-イソブチルカルボキシアミド)-2’-O-メチルウリジン、5-(N-フェネチルカルボキシアミド)-2’-デオキシウリジン(PedU)、5-(N-チオフェニルメチルカルボキシアミド)-2’-デオキシウリジン(ThdU)、5-(N-イソブチルカルボキシアミド)-2’-フルオロウリジン、5-(N-トリプタミノカルボキシアミド)-2’-フルオロウリジン(TrpdU)、5-(N-トリプタミノカルボキシアミド)-2’-O-メチルウリジン、5-(N-トリプタミノカルボキシアミド)-2’-フルオロウリジン、5-(N-[1-(3-トリメチルアンモニウム)プロピル]カルボキシアミド)-2’-デオキシウリジンクロリド、5-(N-ナフチルメチルカルボキシアミド)-2’-デオキシウリジン(NapdU)、5-(N-ナフチルメチルカルボキシアミド)-2’-O-メチルウリジン、5-(N-ナフチルメチルカルボキシアミド)-2’-フルオロウリジン、または5-(N-[1-(2,3-ジヒドロキシプロピル)]カルボキシアミド)-2’-デオキシウリジン)が挙げられる。
【0271】
ヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドの合成の前または後に修飾され得る。オリゴヌクレオチド内のヌクレオチドの配列は、1つ以上の非ヌクレオチド成分によって中断され得る。修飾オリゴヌクレオチドは、例えば、任意の好適な標識成分との結合体化によって、重合後にさらに修飾され得る。
【0272】
本明細書で使用する場合、「少なくとも1つのピリミジン」という用語は、核酸の修飾を指す場合、核酸中の1つの、いくつかの、または全てのピリミジンを指し、これは核酸中のC、T、またはUのいずれかまたは全てのいずれかまたは全ての存在が修飾される場合もあれば、修飾されない場合もあることを示している。
【0273】
捕捉試薬:本明細書で使用する場合、「捕捉剤」または「捕捉試薬」とは、アナライト(例えば、バイオマーカー、タンパク質、及び/またはペプチド)に特異的に結合可能な分子を指す。「標的タンパク質捕捉試薬」とは、標的タンパク質に特異的に結合可能な分子を指す。非限定的な例示的捕捉試薬としては、アプタマー、抗体、アドネクチン、アンキリン、他の抗体ミメティック及び他のタンパク質スキャフォールド、自己抗体、キメラ、小分子、核酸、レクチン、リガンド結合受容体、インプリントポリマー、アビマー、ペプチドミメティック、ホルモン受容体、サイトカイン受容体、合成受容体、ならびに上記の捕獲試薬のいずれかの修飾物またはフラグメントが挙げられる。いくつかの実施形態において、捕捉試薬は、アプタマー及び抗体から選択される。
【0274】
キレート剤:本明細書で使用する場合、「キレート剤」とは、単一の金属イオンに対し複数の結合を形成することができる化学物質を意味する。いくつかの実施形態において、キレート剤は、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、エチレングリコール四酢酸(EGTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、1,2-ビス(2-アミノフェノキシ)エタン-N,N,N’,N’-四酢酸(BAPTA)、2,3-ジメルカプトプロパンスルホン酸(DMPS)から選択される。
【0275】
対照レベル:標的分子の「対照レベル」とは、疾患もしくは状態を有しない個体からの、または疾患もしくは状態を有する疑いのないもしくはリスクがない個体からの、または疾患もしくは状態の非進行性形態を有する個体からの、同じ試料タイプにおける標的分子のレベルを指す。さらに、「対照レベル」は、平均、または正常もしくは健康なパラメーター内で考慮されるものに基づく参照物質を指すことがある。また、「対照レベル」は、以前に採用した参照レベルも指すことがあり、この基準レベルは、標的の後の測定レベルまたは検出レベルと比較するために使用される。例えば、標的のレベルをA時点で検出し、次いでB時点で検出し、B時点がA時点の後とすることができる。より具体的な例では、A時点を0時間または0日目とみなし、B時点をA時点から何分後(例えば、A時点から10、20、30、40、50、60分後)、何時間後(例えば、A時点から1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、または24時間後)、何日後(例えば、A時点から1、2、3、4、5、6、または7日後)、何週間後(例えば、A時点から1、2、3、または4週間後)、何ヵ月後(例えば、A時点から1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12ヵ月後)、及びさらには何年後(例えば、A時点から1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、20、25、30、35、40、45、50、55、または60年後)とすることができる。標的分子の「対照レベル」は、本発明の方法を実行するたびに定量する必要はなく、特定の試料のレベルが正常なレベルより高いか低いかを判定するために参照物質または閾値として使用される予め定量したレベルであってもよい。
【0276】
対応相関:「対応相関」または「一致相関係数」は、2つの連続変数X及びY(例えば、予測、推定または判定、及び実測値)の間の一致を測定する。「対応相関」はペアが45度線上にある程度を評価し、正確さ及び精度(または「Linの一致性」)の測定値を含む。さらなる情報は、Lin,Biometric,Vol.45,No.1(March,1989),255-268(参照により本明細書に援用される)に見出すことができる。本明細書で使用され得る相関を定量するための他の方法としては、限定されるものではないが、ピアソン相関係数、対応のあるt検定、傾き(=1)及び切片(=0)の最小二乗解析、変動係数、ならびにクラス内相関係数が挙げられる。ある特定の実施形態において、対応相関は、Linの一致性、ピアソン相関係数、対応のあるt検定、傾き(=1)及び切片(=0)の最小二乗解析、変動係数、ならびにクラス内相関係数から選択される方法によって定量される。
【0277】
検出:本明細書で使用する場合、「検出する」または「定量する」は、アナライトレベルに対応するシグナルを観察及び記録するために使用される計測器ならびにそのシグナルを生成するために必要な材料の両方の使用を含む。様々な実施形態において、レベルは、蛍光、化学発光、表面プラズモン共鳴、表面弾性波、質量分析、赤外分光法、ラマン分光法、原子間力顕微鏡法、走査型トンネル顕微鏡法、電気化学的検出法、核磁気共鳴、量子ドットなどを含めた任意の好適な方法を用いて検出される。
【0278】
診断:「診断する」、「診断すること」、「診断」、及びこれらのバリエーションは、個体に関連する1つ以上の徴候、症状、データ、または他の情報に基づいてその個体の健康状態または状態を検出、定量、または認識することを指す。個体の健康状態は、健康/正常(すなわち、疾患もしくは状態の非存在の診断)または病気/異常(すなわち、疾患もしくは状態の存在の診断もしくは特徴の評価)として診断され得る。「診断する」、「診断すること」、「診断」などの用語は、特定の疾患または状態に関して、疾患の初期検出、疾患の特徴付けまたは分類、疾患の進行、寛解、または再発の検出、及び個体への治療または療法の投与後の疾患応答の検出を包含する。
【0279】
希釈:「希釈」、「希釈系列」、及びこれらのバリエーションは、いくつかの異なるタイプの希釈を包含し、限定されるものではないが、段階希釈、系列希釈、及びこれらの組合せが含まれる。段階希釈の例として、希釈因子が1000(1:1000希釈)の場合、ユーザーは最初に1:10希釈(希釈因子10)を実施し、次に1:100希釈(希釈因子100)を実施することができ、1:10希釈から1部の溶質及び99部の希釈剤を用いて希釈することにより、希釈因子を1000または溶質を1:1000希釈にすることができる。系列希釈は、それぞれが同じ希釈因子を有する一連の段階希釈を含み、このとき、前の段階からの希釈物質は、後続の希釈を行うために使用される。系列希釈の例として、5点1:2系列希釈を行うには、1部の溶質を使用し、1部の希釈剤と合わせて第1の希釈物(5点のうちの第1点)を作製し、続いて第1の希釈物から1部の溶質を使用し、1部の希釈剤と合わせて第2の希釈物(5点のうちの第2点)を作製し、以下同様に、第5の連続した系列希釈に到達するまで行う必要がある。
【0280】
希釈因子:「希釈因子」とは、希釈剤の部に対する溶質の部の比率を指す。例えば、希釈係数2は1:2希釈を意味し、溶質が1部、希釈剤が1部で合計2部となる。希釈係数10は1:10希釈を意味し、溶質が1部、希釈剤が9部で合計10部となる。
【0281】
評価する:「評価する」、「評価すること」、「評価」、及びこれらのバリエーションは、「診断」及び「予後」の両方を包含し、疾患または状態を有する個体の将来の疾患または状態の経過についての判断または予測、ならびに疾患または状態と以前に診断されたことがない個体に疾患または状態が生じる可能性についての判断及び予測、ならびに寛解状態にあるかまたは疾患が治癒したと考えられる個体に疾患または状態が再発する可能性についての判断または予測を包含する。また、「評価する」という用語は、療法に対する個体の応答を評価すること、例えば、個体が治療剤に対して好ましく応答する可能性があるか、または治療剤に対して応答する可能性が低いか(または、例えば、毒性もしくは他の望ましくない副作用を経験するか)を予測すること、個体に投与するための治療剤を選択すること、あるいは個体に投与されたまたは投与されている療法に対する個体の応答をモニタリングまたは判定することも包含する。
【0282】
個体:本明細書で使用する場合、「個体」及び「対象」は、試験対象または患者を指すために互換的に使用される。個体は、哺乳類または非哺乳類であり得る。様々な実施形態において、個体は哺乳類である。哺乳類個体は、ヒトまたは非ヒトであり得る。様々な実施形態において、個体はヒトである。健康または正常な個体は、目的の疾患または状態が従来の診断方法によって検出されない個体である。
【0283】
線形回帰:本明細書で使用する場合、「線形回帰」という用語は、スカラー従属変数yと、xで示される1つ以上の説明変数との間の関係をモデル化するためのアプローチを指す。1つの説明変数の場合は単純線形回帰と呼ばれる。複数の説明変数については、多重線形回帰と呼ばれる。概して、線形回帰は、予測モデルをy及びxの値の観測されたデータセットに適合させるために使用することができる。このようなモデルを開発した後、付随するyの値を伴わずにxの値を追加した場合は、適合モデルを使用してyの値を予測することができる。
【0284】
マーカー:本明細書で使用する場合、「マーカー」及び「バイオマーカー」は互換的に使用され、個体における正常もしくは異常なプロセスの徴候、または個体における疾患もしくは他の状態の徴候を示すまたはそれである標的分子(またはアナライト)を指す。より具体的には、「マーカー」または「バイオマーカー」は、正常か異常かにかかわらず、また異常である場合は慢性か急性かにかかわらず、特定の生理学的状態またはプロセスの存在に関連する解剖学的、生理学的、生化学的、または分子的パラメーターである。バイオマーカーは、実験室アッセイ及び医療イメージングを含めた様々な方法によって検出可能かつ測定可能である。いくつかの実施形態において、バイオマーカーは標的タンパク質である。
【0285】
修飾:本明細書で使用する場合、「修飾する」、「修飾された」、「修飾」という用語、及びこれらの任意のバリエーションは、オリゴヌクレオチドに関連して使用される場合、オリゴヌクレオチドの4つの構成ヌクレオチド塩基(すなわち、A、G、T/U、及びC)のうちの少なくとも1つが、天然のヌクレオチドのアナログまたはエステルであることを意味する。いくつかの実施形態において、修飾ヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドにヌクレアーゼ耐性を付与する。いくつかの実施形態において、修飾ヌクレオチドは、アプタマーとタンパク質標的との圧倒的に疎水性の相互作用をもたらし、その結果、高い結合効率及び安定した共結晶複合体がもたらされる。C-5位に置換を有するピリミジンは、修飾ヌクレオチドの一例である。修飾としては、骨格修飾、メチル化、稀な塩基対合の組合せ、例えば、イソ塩基のイソシチジン及びイソグアニジンなどを挙げることができる。修飾としては、キャッピングなどの3’及び5’修飾も挙げることができる。他の修飾としては、アナログによる1つ以上の天然ヌクレオチドの置換、ヌクレオチド間修飾、例えば、非荷電結合(例えば、メチルホスホネート、ホスホトリエステル、ホスホアミデート、カルバメートなど)による修飾及び荷電結合(例えば、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエートなど)による修飾、インターカレーター(例えば、アクリジン、ソラレンなど)による修飾、キレート剤(例えば、金属、放射性金属、ホウ素、酸化金属など)を含有する修飾、アルキル化剤を含む修飾、ならびに修飾結合(例えば、アルファアノマー核酸など)による修飾などを挙げることができる。さらに、通常はヌクレオチドの糖上に存在するヒドロキシル基のいずれかが、ホスホン酸基またはリン酸基で置き換えられる場合もあれば、標準的な保護基によって保護される場合もあれば、追加のヌクレオチドへの、もしくは固体支持体への追加の結合を準備するために活性化される場合もある。5’末端及び3’末端のOH基は、リン酸化される場合もあれば、アミン、約1~約20個の炭素原子の有機キャッピング基部分、ポリエチレングリコール(PEG)ポリマー(いくつかの実施形態においては、約10~約80kDaの範囲)、PEGポリマー(いくつかの実施形態においては、約20~約60kDaの範囲)、または他の親水性もしくは疎水性の生体ポリマーもしくは合成ポリマーで置換される場合もある。1つの実施形態において、修飾は、ピリミジンのC-5位の修飾である。このような修飾は、C-5位に直接アミド結合を介し、または他のタイプの結合によって生成され得る。
【0286】
ポリヌクレオチドは、当技術分野で広く知られているリボース糖またはデオキシリボース糖の類似形態も含むことができ、これには2’-O-メチル-、2’-O-アリル、2’-フルオロまたは2’-アジド-リボース、炭素環式等アナログ、α-アノマー糖、エピマー糖(例えば、アラビノース、キシロース、またはリキソース)、ピラノース糖、フラノース糖、セドヘプツロース、アクリル酸アナログ、及び脱塩基ヌクレオシドアナログ(例えば、メチルリボシド)が含まれる。上記のように、1つ以上のホスホジエステル結合は、代替的な結合基で置き換えられてもよい。このような代替的な結合基としては、リン酸塩がP(O)S(「チオエート」)、P(S)S(「ジチオエート」)、(O)NR(「アミデート」)、P(O)R、P(O)OR’、CO、またはCH(「ホルムアセタール」)で置き換えられる実施形態が挙げられ、式中、各RまたはR’は独立的に、Hであるか、または置換もしくは非置換アルキル(1~20C)(任意選択でエーテル(-O-)結合を含む)、アリール、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、またはアラルジルである。ポリヌクレオチド中の全ての結合が同一である必要はない。糖、プリン、及びピリミジンの類似形態の置換は、例えば、ポリアミド骨格のような代替的骨格構造が有利であり得るように、最終生成物の設計に有利であり得る。
【0287】
核酸:本明細書で使用する場合、「核酸」、「オリゴヌクレオチド」、及び「ポリヌクレオチド」は、ヌクレオチドのポリマーを指すために互換的に使用され、DNA、RNA、DNA/RNAハイブリッド、ならびにこれらの種類の核酸、オリゴヌクレオチド及びポリヌクレオチドの修飾物が挙げられ、様々な実体または部分が任意の位置でヌクレオチド単位に結合することが含まれる。「ポリヌクレオチド」、「オリゴヌクレオチド」、及び「核酸」という用語は、2本鎖または1本鎖分子に加えて三重らせん分子を含む。核酸、オリゴヌクレオチド、及びポリヌクレオチドは、アプタマーという用語よりも広義の用語であり、したがって、核酸、オリゴヌクレオチド、及びポリヌクレオチドという用語は、アプタマーであるヌクレオチドのポリマーを含むが、核酸、オリゴヌクレオチド、及びポリヌクレオチドという用語は、アプタマーに限定されない。
【0288】
最小二乗法:本明細書で使用する場合、「最小二乗法」または「OLS」または「線形最小二乗法」とは、線形回帰モデルにおいて未知のパラメーターを推定するための方法を指す。この方法は、データセット内の観測された応答と線形近似によって予測される応答との間の二乗垂直距離の和を最小化する。得られた推定量は、特に右辺にリグレッサーが1つの場合は、1つの簡単な式で表すことができる。
【0289】
予後:「予測する」、「予後判定」、「予後」、及びこれらのバリエーションは、疾患または状態を有する個体における疾患または状態の将来の経過の予測(例えば、患者の生存期間の予測)を指し、このような用語は、個体に対する治療または療法の投与中及び/または投与後の疾患応答の評価を包含する。
【0290】
SELEX:「SELEX」及び「SELEX法」という用語は、本明細書では互換的に使用され、概して、(1)望ましい方式で標的分子と相互作用する(例えば、タンパク質に対して高い親和性で結合する)アプタマーの選択と、(2)その選択された核酸の増幅との組合せを指す。SELEX法は、標的タンパク質などの特定のアナライトに対して高い親和性を有するアプタマーを同定するために使用され得る。
【0291】
配列同一性:2つ以上の核酸配列に関連して本明細書で使用する場合、配列同一性は、ギャップの数、及び2つ以上の配列のアラインメントを最適化するために導入する必要がある各ギャップの長さを考慮して、配列によって共有される同一ヌクレオチド位置の数(すなわち、同一性%=同一の位置の数/参照配列における位置の総数×100)の関数である。配列の比較及び2つ以上の配列間の同一性パーセントの定量は、BLAST及びGapped BLASTプログラムなどの数学的アルゴリズムをそのデフォルトパラメーターで用いて遂行することができる(例えば、Altschul et al.,J.Mol.Biol.215:403,1990;また、www.ncbi.nlm.nih.gov/BLASTのBLASTNも参照)。配列比較については、典型的には1つの配列が参照配列として機能し、これと試験配列が比較される。配列比較アルゴリズムを使用する場合、コンピューターに試験配列及び参照配列を入力し、必要に応じて部分配列の座標を指定し、配列アルゴリズムプログラムパラメーターを指定する。次に、配列比較アルゴリズムは、指定されたプログラムパラメーターに基づいて参照配列(複数可)に対する試験配列のパーセント配列同一性を計算する。比較のための配列の最適なアラインメントは、例えば、Smith and Waterman,Adv. Appl. Numerical.,2:482,1981によって、Needleman and Wunsch,J.Mol.Biol.,48:443,1970のホモロジーアラインメントによって、Pearson and Lipman,Proc.Nat’l.Acad.Sci.USA 85:2444,1988の類似度法によって、これらのアルゴリズムのコンピューター化実装(Wisconsin Genetics Software Package,Genetics Computer Group,575 Science Dr.,Madison,Wis.におけるGAP、BESTFIT、FASTA、及びTAFASTA)によって、または目視検査(概して、Ausubel,F.M.et al.,Current Protocols in Molecular Biology(Greene Publishing Assoc.and Wiley-Interscience(1987)出版)を参照)によって行うことができる。本明細書で使用する場合、配列が参照ヌクレオチド配列に対し、例えば少なくとも約95%同一である核酸(例えば、アプタマー)の同一性パーセントについて記載する場合、核酸配列は、参照核酸配列の100ヌクレオチド当たり最大5個の点突然変異を含み得ることを除いて参照配列と同一であることが意図される。言い換えれば、参照核酸配列に対し少なくとも約95%配列が同一である所望の核酸配列を得るには、参照配列中のヌクレオチドの最大5%を欠失させるもしくは別のヌクレオチドで置換するか、または参照配列中のヌクレオチドの総数の最大5%のいくつかの数のヌクレオチドを参照配列中に挿入する(本明細書では挿入と称される)ことができる。所望の配列を生成するための参照配列のこれらの変異は、参照ヌクレオチド配列の5’もしくは3’末端位置、またはこれらの末端位置の間の任意の場所で生じ得、参照配列中のヌクレオチド間に個々に散在しているかまたは参照配列中の1つ以上の連続した基の中で散在している。
【0292】
SOMAmer:本明細書で使用する場合、SOMAmerまたはSOMAmer試薬は、オフレート特徴が改善されたアプタマーを指す。SOMAmer試薬は、代替的に低速オフレート修飾アプタマー(Slow Off-Rate Modified Aptamer)と称され、「Method for Generating Aptamers with Improved Off-Rates」という表題の米国特許公開第20090004667号(参照によりその全体が援用される)に記載されている改良SELEX法を介して選択することができる。いくつかの実施形態において、低速オフレートアプタマー(疎水性修飾を有する少なくとも1つのヌクレオチドを含むアプタマーを含む)は、オフレート(t1/2)が、2分以上、4分以上、5分以上、8分以上、10分以上、15分以上、30分以上、60分以上、90分以上、120分以上、150分以上、180分以上、210分以上、または240分以上である。
【0293】
実質的に同等:本明細書で使用する場合、「実質的同等」という表現は、2つの数値間において、当業者が、これら2つの値によって測定される特徴の文脈内で、これらの値の差がほとんどまたは全く生物学的及び/または統計学的有意性がないとみなす程度に十分に類似度が高いことを示す。より具体的には、2つの値の差(例えば、基準値と回帰モデル基準値との間の差)は、好ましくは、約25%未満、または約20%未満、または約15%未満、または約10%未満、または約5%未満、または約4%未満、または約3%未満、または約2.5%未満、または約2%未満、または約1%未満である。
【0294】
標的分子:「標的」、「標的分子」、及び「アナライト」とは、本明細書では互換的に使用され、試料中に存在し得る任意の目的分子を指す。この用語は、特定の分子の任意のわずかな変化、例えば、タンパク質の場合は、アミノ酸配列のわずかな変化、ジスルフィド結合形成、グリコシル化、脂質化、アセチル化、リン酸化、または任意の他の操作もしくは修飾、例えば、分子の同一性を実質的に変化させない標識成分との結合体化を含み得る。「標的分子」、「標的」、または「アナライト」とは、分子または多分子構造の1つのタイプまたは種のコピーのセットを指す。「標的分子」、「標的」、及び「アナライト」とは、分子または多分子構造の2つ以上のタイプまたは種を指す。例示的な標的分子としては、タンパク質、ポリペプチド、核酸、炭水化物、脂質、多糖類、糖タンパク質、ホルモン、受容体、抗原、抗体、アフィボディ、抗体ミメティック、ウイルス、病原体、毒性物質、基質、代謝産物、遷移状態アナログ、補因子、阻害剤、薬物、色素、栄養素、成長因子、細胞、組織、及び上記のいずれかの任意のフラグメントまたは部分が挙げられる。いくつかの実施形態において、標的分子はタンパク質であり、この場合、標的分子は「標的タンパク質」と称することができる。
【0295】
試験試料:本明細書で使用する場合、「試験試料」とは、生物学的試料を含むか、または生物学的試料に由来する材料、溶液、または混合物を意味する。いくつかの実施形態において、試験試料は、生物学的試料から生成される。いくつかの実施形態において、試験試料は、生物学的試料または生物学的試料を含む溶液に対し緩衝液交換を実施することにより、生物学的試料または生物学的試料を含む溶液から生成される。本明細書で使用する場合、「調整された試験試料」は、総タンパク質濃度の変化などの調整が行われた試験試料である。
【0296】
総タンパク質:本明細書で使用する場合、溶液、緩衝液、または試料中の「総タンパク質」とは、溶液、緩衝液、または試料中の全てのタンパク質を意味する。総タンパク質の濃度、レベル、量は、溶液、緩衝液、または試料中の全ての異なるタイプのタンパク質を考慮に入れる。これに対し、「標的タンパク質」または「アナライトタンパク質」とは、溶液、緩衝液、または試料中の1つの特定のタンパク質を指す。
【0297】
本発明の前述及び他の目的、特徴、及び利点は、添付の図面を参照しながら進められる以下の詳細な説明からさらに明らかになる。
【0298】
本明細書に記載されるものと類似または同等の方法及び材料が本開示の実施または試験に使用され得るが、好適な方法及び材料が以下に記載される。加えて、材料、方法、及び実施例は、例示的なものに過ぎず、限定的であるようには意図されていない。
【0299】
アナライト及びアナライトレベルの検出及び定量
本明細書に記載されるアナライトのアナライトレベルは、任意の様々な既知の分析方法を用いて検出することができる。1つの実施形態において、アナライトレベルは、捕捉試薬を用いて検出される。様々な実施形態において、捕捉試薬は、溶液中のアナライトに曝露される場合もあれば、捕捉試薬が固体支持体上に固定化されている間にアナライトに曝露される場合もある。いくつかの実施形態において、捕捉試薬は、固体支持体上の二次的特徴に反応性である特徴を含む。このような実施形態において、捕捉試薬は、溶液中のアナライトに曝露することができ、次いで、捕捉試薬上の特徴を、固体支持体上の二次的特徴と共に使用して、アナライトを固体支持体上に固定化することができる。捕捉試薬は、行われる分析のタイプに基づいて選択される。捕捉試薬としては、限定されるものではないが、アプタマー、抗体、アドネクチン、アンキリン、他の抗体ミメティック及び他のタンパク質スキャフォールド、キメラ、小分子、F(ab’)フラグメント、1本鎖抗体フラグメント、Fvフラグメント、1本鎖Fvフラグメント、核酸、レクチン、リガンド結合受容体、アフィボディ、ナノボディ、インプリントポリマー、アビマー、ペプチドミメティック、ホルモン受容体、サイトカイン受容体、ならびに合成受容体(これらのいずれかの修飾物及びフラグメントを含む)が挙げられる。
【0300】
いくつかの実施形態において、アナライトレベルは、アナライト/捕捉試薬複合体を用いて検出される。
【0301】
いくつかの実施形態において、アナライトレベルは、アナライト/捕捉試薬複合体に由来し、(例えば、アナライト/捕捉試薬の相互作用に続く反応の結果として)間接的に検出されるが、アナライト/捕捉試薬複合体の形成に依存する。
【0302】
いくつかの実施形態において、アナライトは、生物学的試料中の2つ以上のアナライトの同時検出を可能にする多重化形式を用いて検出される。多重化形式のいくつかの実施形態において、捕捉試薬は、直接的または間接的に、共有結合的または非共有結合的に、固体支持体上の個別の位置で固定化される。いくつかの実施形態において、多重化形式は、個別の固体支持体を使用し、このとき、各固体支持体は、その固体支持体に関連するユニークな捕捉試薬(例えば、量子ドット)を有する。いくつかの実施形態において、個々のデバイスは、生物学的試料中で検出されるべき複数のアナライトの各々の1つを検出するために使用される。個々のデバイスは、生物学的試料中の各アナライトが同時に処理されるのを許容するように構成され得る。例えば、マイクロタイタープレートを使用して、プレート中の各ウェルが、生物学的試料中で検出されるべき複数のアナライトのうちの1つ以上の分析に使用されるようにすることができる。
【0303】
本明細書に記載される1つ以上の実施形態において、蛍光タグを使用して、アナライト/捕捉試薬複合体の成分を標識して、アナライトレベルの検出を可能にすることができる。様々な実施形態において、蛍光標識は、既知の技術を用いて、本明細書に記載される任意のアナライトに特異的な捕捉試薬と結合体化することができ、次いで、蛍光標識は、対応するアナライトレベルを検出するために使用することができる。好適な蛍光標識としては、希土類キレート、フルオレセイン及びその誘導体、ローダミン及びその誘導体、ダンシル、アロフィコシアニン、PBXL-3、Qドット605、リサミン、フィコエリトリン、テキサスレッド、ならびに他のこのような化合物が挙げられる。
【0304】
いくつかの実施形態において、蛍光標識は蛍光色素分子である。いくつかの実施形態において、蛍光色素分子は、少なくとも1つの置換インドリウム環系を含み、このとき、インドリウム環の3炭素上の置換基は、化学反応基または結合体化物質を含む。いくつかの実施形態において、色素分子は、AlexFluor分子、例えば、AlexaFluor 488、AlexaFluor 532、AlexaFluor 647、AlexaFluor 680、またはAlexaFluor 700を含む。いくつかの実施形態において、色素分子は、第1のタイプ及び第2のタイプの色素分子、例えば、2つの異なるAlexaFluor分子を含む。いくつかの実施形態において、色素分子は、第1のタイプ及び第2のタイプの色素分子を含み、2つの色素分子は異なる発光スペクトルを有する。
【0305】
蛍光は、広範囲のアッセイ形式に適合する様々な計測手段を用いて測定することができる。例えば、分光蛍光計は、マイクロタイタープレート、顕微鏡スライド、プリントアレイ、キュベットなどを分析するように設計されている。Principles of Fluorescence Spectroscopy(J.R.Lakowicz,Springer Science + Business Media,Inc.,2004)を参照。Bioluminescence & Chemiluminescence:Progress & Current Applications;Philip E.Stanley and Larry J. Kricka editors,World Scientific Publishing Company,January 2002を参照。
【0306】
1つ以上の実施形態において、化学発光タグを任意選択で使用して、アナライト/捕捉複合体の成分を標識して、アナライトレベルの検出を可能にすることができる。好適な化学発光材料としては、塩化オキサリル、ローダミン6G、Ru(bipy) 2+、TMAE(テトラキス(ジメチルアミノ)エチレン)、ピロガロール(1,2,3-トリヒドロキシベンゼン)、ルシゲニン、ペルオキシオキサレート、アリールオキサレート、アクリジニウムエステル、ジオキセタンなどのいずれかが含まれる。
【0307】
いくつかの実施形態において、検出方法は、アナライトレベルに対応する検出可能なシグナルを生成する酵素/基質の組み合わせを含む。概して、酵素は、発色基質の化学変化を触媒し、これは、分光光度法、蛍光、及び化学発光を含む様々な技法を用いて測定することができる。好適な酵素としては、例えば、ルシフェラーゼ、ルシフェリン、リンゴ酸デヒドロゲナーゼ、ウレアーゼ、ホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRPO)、アルカリホスファターゼ、ベータ-ガラクトシダーゼ、グルコアミラーゼ、リゾチーム、グルコースオキシダーゼ、ガラクトースオキシダーゼ、及びグルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ、ウリカーゼ、キサンチンオキシダーゼ、ラクトペルオキシダーゼ、ミクロペルオキシダーゼなどが挙げられる。
【0308】
いくつかの実施形態において、検出方法は、蛍光、化学発光、放射性核種の組合せ、及び/または測定可能なシグナルを生成する酵素/基質の組合せであり得る。いくつかの実施形態において、マルチモーダルシグナル伝達は、アナライトアッセイ形式でユニークかつ有利な特徴を有し得る。
【0309】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるアナライトのアナライトレベルは、以下で論じられるように、シングルプレックスアプタマーアッセイ、多重化アプタマーアッセイ、シングルプレックスまたは多重化イムノアッセイ、mRNA発現プロファイリング、miRNA発現プロファイリング、質量分析、組織学的/細胞学的方法などを含めた任意の分析方法を用いて検出することができる。
【0310】
アプタマーベースアッセイを用いたアナライトレベルの定量
本明細書に記載されるアナライトのアナライトレベルは、任意の様々なアプタマーベースアッセイを用いて検出することができる。生物学的試料及び他の試料における生理学的に重要な分子の検出及び定量化を対象とするアッセイは、科学研究及びヘルスケア分野の重要なツールである。このようなアッセイの1つのクラスは、固体支持体上に固定化された1つ以上のアプタマーを含むマイクロアレイの使用を含む。アプタマーはそれぞれ、非常に特異的な様式で、かつ非常に高い親和性で標的分子に結合可能である。例えば、「Nucleic Acid Ligands」という表題の米国特許第5,475,096号を参照。また、例えば、それぞれが「Nucleic Acid Ligand Diagnostic Biochip」という表題の米国特許第6,242,246号、米国特許第6,458,543号、及び米国特許第6,503,715号も参照。ひとたびマイクロアレイが試料に接触すると、アプタマーは、試料中に存在するそれぞれの標的分子に結合し、それによって、アナライトに対応するアナライトレベルの定量が可能になる。
【0311】
1つの態様において、アプタマーは、最大約100ヌクレオチド、最大約95ヌクレオチド、最大約90ヌクレオチド、最大約85ヌクレオチド、最大約80ヌクレオチド、最大約75ヌクレオチド、最大約70ヌクレオチド、最大約65ヌクレオチド、最大約60ヌクレオチド、最大約55ヌクレオチド、最大約50ヌクレオチド、最大約45ヌクレオチド、最大約40ヌクレオチド、最大約35ヌクレオチド、最大約30ヌクレオチド、最大約25ヌクレオチド、及び最大約20ヌクレオチドを含むことができる。関連する態様において、アプタマーは、約25~約100ヌクレオチド長(すなわち、約25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、または100ヌクレオチド長)または約25~50ヌクレオチド長(すなわち、約25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、または50ヌクレオチド長)であり得る。
【0312】
アプタマーは、SELEX法を含めた任意の既知の方法を用いて同定することができる。ひとたび同定されると、アプタマーは、任意の既知の方法(化学合成法及び酵素合成法を含む)に従って調製または合成することができる。いくつかの実施形態において、アプタマーは、疎水性修飾(例えば、疎水性塩基修飾)を有する少なくとも1つのヌクレオチドを含み、これによって標的タンパク質との疎水性接触が可能になる。このような疎水性接触は、いくつかの実施形態においては、アプタマーによる親和性の増大及び/またはオフレート結合の低速化に寄与する。いくつかの実施形態において、アプタマーは、疎水性修飾を有する少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、または少なくとも10個のヌクレオチドを含み、各疎水性修飾は、他のものと同じ場合も異なる場合もある。いくつかの実施形態において、疎水性塩基修飾はC-5修飾ピリミジンである。非限定的な例示的C-5修飾ピリミジンは本明細書に記載され、及び/または当技術分野で知られている。
【0313】
いくつかのアッセイ形式において、アプタマーは、試料に接触させる前に、固体支持体上に固定化される。ただし、ある特定の状況下では、試料に接触させる前のアプタマーの固定化は最適なアッセイを提供しない場合がある。例えば、いくつかの例において、アプタマーの事前固定化によって、アプタマーと固体支持体の表面にある標的分子とが非効率的に混合することがあり、これにより場合によっては反応時間が長くなるため、アプタマーがその標的分子に効率的に結合できるようにするためにインキュベーション期間が延長される可能性がある。さらに、フォトアプタマーがアッセイで使用される場合、また固体支持体として利用される材料に応じて、固体支持体は、フォトアプタマーとその標的分子との間の共有結合の形成に影響を及ぼすように使用される光を散乱または吸収する傾向があり得る。さらに、用いる方法によっては、アプタマーに結合した標的分子の検出が不正確になり得る。というのも、固体支持体の表面は、使用する任意の標識剤の曝露及び影響も受け得るからである。最後に、アプタマーの固体支持体上への固定化は、概して、アプタマーを試料に曝露する前に、アプタマーを準備するステップ(すなわち、固定化)を含み、この準備ステップがアプタマーの活性または機能性に影響を及ぼし得る。
【0314】
アプタマーが溶液中でその標的を捕捉し、次いで検出前にアプタマー-標的混合物の特定の成分を除去するように設計された分離ステップを使用することを可能にするアプタマーアッセイまたは「アプタマーベースアッセイ(複数可)」についても記載されている(例えば、「Multiplexed Analyses of Test Samples」という表題の米国特許公開第2009/0042206号を参照)。記載されているアプタマーアッセイは、核酸(すなわち、アプタマー)を検出及び定量化することにより、試験試料中の非核酸標的(例えば、タンパク質標的)の検出及び定量化を可能にする。記載された方法は、非核酸標的を検出及び定量化するための核酸代替物(すなわち、アプタマー)を作出し、よって、増幅を含む広範な種々の核酸技術が、タンパク質標的を含むより広範な所望の標的に適用されることを可能にする。
【0315】
アプタマーは、アプタマーアナライト複合体(または光アプタマーアナライト共有結合複合体)からのアッセイ成分の分離を容易にし、検出及び/または定量化のためのアプタマーの単離を可能にするように構築することができる。1つの実施形態において、このようなコンストラクトは、アプタマー配列中に切断可能または放出可能な要素を含むことができる。他の実施形態において、さらなる機能性をアプタマーに導入することができ、例えば、標識または検出可能成分、スペーサー成分、または特異的結合タグもしくは固定化要素を導入することができる。例えば、アプタマーは、切断可能部分を介しアプタマーに接続したタグ、標識、標識を分離するスペーサー成分、及び切断可能部分を含むことができる。1つの実施形態において、切断可能要素は、光切断可能リンカーである。光切断可能リンカーは、ビオチン部分及びスペーサー部分に結合させることができ、アミンの誘導体化のためのNHS基を含むことができ、ビオチン基をアプタマーに導入するために使用することができ、それにより、後にアッセイ法でアプタマーの放出が可能になる。
【0316】
均質アッセイは、いくつかの実施形態では溶液中の全てのアッセイ成分を用いて実施されるが、シグナルの検出前に試料及び試薬の分離を必要としない場合がある。これらの方法は迅速かつ容易に使用できる。
【0317】
いくつかの実施形態において、シグナル生成のための方法は、フルオロフォア標識捕捉試薬とその特異的アナライト標的との相互作用による異方性シグナル変化を利用する。標識された捕捉物質がその標的と反応すると、分子量の増加によって、複合体に結合しているフルオロフォアの回転運動が生じ、異方性値を変化させるのがはるかに遅くなる。異方性変化をモニタリングすることにより、結合事象を使用して溶液中のアナライトを定量的に測定することができる。他の方法としては、蛍光偏光アッセイ、分子ビーコン法、時間分解蛍光消光、化学発光、蛍光共鳴エネルギー移動などが挙げられる。
【0318】
生物学的試料中のアナライトレベルを検出するために使用され得る例示的な溶液ベースアプタマーアッセイは、以下を含む:(a)生物学的試料を、第1のタグを含み、アナライトに対する特異的親和性を有するアプタマーに接触させることであって、アナライトが試料中に存在する場合、アプタマー親和性複合体が形成される、接触させること;(b)混合物を、第1の捕捉要素を含む第1の固体支持体に曝露し、第1のタグを第1の捕捉要素と関連付けさせること;(c)最初の固体支持体に関連しない混合物の成分を除去すること;(d)アプタマー親和性複合体のアナライト成分に第2のタグを結合させること;(e)第1の固体支持体からアプタマー親和性複合体を放出させること;(f)放出されたアプタマー親和性複合体を、第2の捕捉要素を含む第2の固体支持体に曝露し、第2のタグを第2の捕捉要素と会合させること;(g)複合体を形成していないアプタマーをアプタマー親和性複合体から分配することにより、複合体を形成していないアプタマーを混合物から除去すること;(h)固体支持体からアプタマーを溶出させること;(i)アプタマー親和性複合体のアプタマー成分を検出することによって分析物を検出すること。例えば、試料中のタンパク質濃度またはレベルは、相対蛍光単位(RFU)として表すことができ、これは、アプタマー親和性複合体のアプタマー成分を検出することによる産物であり得る(例えば、標的タンパク質と複合体化したアプタマーは、アプタマー親和性複合体を作出する)。すなわち、アプタマーベースアッセイにおいては、タンパク質濃度またはレベルはRFUと相関する。
【0319】
アプタマーを用いて生物学的試料中のアナライトを検出する非限定的な例示的方法は、Kraemer et al.,PLoS One 6(10):e26332に記載されている。
【0320】
イムノアッセイを用いたアナライトレベルの定量
いくつかの実施形態において、標的タンパク質またはアナライトタンパク質のレベルは、イムノアッセイを用いて定量される。イムノアッセイ法は、対応する標的またはアナライトに対する抗体の反応に基づいており、特定のアッセイ形式に応じて試料中のアナライトを検出することができる。免疫反応性に基づくアッセイ法の特異性及び感受性を改善するために、特異的なエピトープ認識を備えていることからモノクローナル抗体及びそのフラグメントがしばしば使用される。ポリクローナル抗体も、モノクローナル抗体と比較して標的に対する親和性が高いことから、様々なイムノアッセイで首尾よく使用されている。イムノアッセイは、広範囲の生物学的試料マトリックスと共に使用するように設計されている。イムノアッセイ形式は、定性的、半定量的、及び定量的な結果をもたらすように設計されている。
【0321】
定量的な結果は、既知の濃度の検出されるべき特定のアナライトで作出した標準曲線を使用することによって得られる。未知の試料からの応答またはシグナルを標準曲線にプロットし、未知の試料における標的に対応する量またはレベルを確立させる。
【0322】
多数のイムノアッセイ形式が設計されている。ELISAまたはEIAは、アナライトの検出において定量的であり得る。この方法は、アナライトまたは抗体のいずれかへの標識の結合に依存し、標識成分は、直接的または間接的に酵素を含む。ELISA試験は、アナライトの直接、間接、競合、またはサンドイッチ検出のためにフォーマット作成することができる。他の方法は、例えば、放射性同位体(I125)または蛍光などの標識に依存する。さらなる技法としては、例えば、凝集、比濁法、濁度法、ウェスタンブロット、免疫沈降、免疫細胞化学、免疫組織化学、フローサイトメトリー、Luminexアッセイなどが挙げられる(ImmunoAssay:A Practical Guide(Brian Law編、Taylor & Francis,Ltd.発行、2005年版)を参照)。
【0323】
例示的なアッセイ形式としては、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、ラジオイムノアッセイ、蛍光、化学発光、及び蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)または時間分解FRET(TR-FRET)イムノアッセイが挙げられる。アナライトを検出するための手順の例としては、アナライト免疫沈降、続いてサイズ及びペプチドレベルの識別を可能にする定量的方法(例えば、ゲル電気泳動、キャピラリー電気泳動、平面電気クロマトグラフィーなど)が挙げられる。
【0324】
検出可能な標識またはシグナル生成材料を検出及び/または定量化する方法は、標識の性質に依存する。適切な酵素によって触媒された反応の産物(検出可能な標識が酵素である場合(上記参照))は、限定されるものではないが、蛍光、発光、もしくは放射性であり得、またはこのような産物は可視光もしくは紫外光を吸収し得る。このような検出可能な標識を検出するのに好適な検出器の例としては、限定されるものではないが、X線フィルム、放射能カウンター、シンチレーションカウンター、分光光度計、比色計、蛍光光度計、照度計、及び濃度計が挙げられる。
【0325】
検出のための方法はいずれも、反応の任意の好適な調製、処理、及び分析を可能にする任意の形式で実施することができる。これは例えば、マルチウェルアッセイプレート(例えば、96ウェルまたは386ウェル)の場合もあれば、任意の好適なアレイもしくはマイクロアレイを用いる場合もある。様々な薬剤のためのストック溶液は、手動またはロボットにより作製することができ、全ての後続のピペッティング、希釈、混合、分配、洗浄、インキュベート、試料リードアウト、データ収集、及び分析は、検出可能な標識を検出可能な市販の分析ソフトウェア、ロボット工学、及び検出計測器を用いてロボットにより行われ得る。
【0326】
遺伝子発現プロファイリングを用いたアナライトレベルの定量
いくつかの実施形態において、標的mRNAレベルは、本明細書に記載の遺伝子発現プロファイリング法を用いて定量される。生物学的試料中のmRNAの測定は、いくつかの実施形態において、生物学的試料中の対応するタンパク質のレベルの検出のための代替物として使用され得る。したがって、いくつかの実施形態において、本明細書に記載のアナライトまたはアナライトパネルは、適切なRNAを検出することによって検出され得る。
【0327】
いくつかの実施形態において、mRNA発現レベルは、逆転写定量的ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCRに続いてqPCR)によって測定される。RT-PCR法を使用してmRNAからcDNAを作出する。cDNAをqPCRアッセイで使用して、DNA増幅プロセスが進行するにつれて蛍光を生成することができる。標準曲線と比較することにより、qPCRは、細胞当たりのmRNAのコピー数などの絶対的測定値を生じ得る。ノーザンブロット、マイクロアレイ、インベーダーアッセイ、及びキャピラリー電気泳動と組み合わせたRT-PCRは全て、試料中のmRNAの発現レベルを測定するために使用されている。Gene Expression Profiling:Methods and Protocols,Richard A.Shimkets,editor,Humana Press,2004を参照。
【0328】
質量分析法を用いたアナライトレベルの定量
いくつかの実施形態において、標的タンパク質またはアナライトタンパク質のレベルは質量分析を用いて定量される。様々な構成の質量分析計を使用してアナライトレベルを検出することができる。数タイプの質量分析計が利用可能であり、または様々な構成で製造することができる。概して、質量分析計は以下の主要な構成要素を有する:試料インレット、イオン源、質量分析器、検出器、真空系、及び計測器制御系、及びデータ系。試料インレット、イオン源、及び質量分析器における相違は、概して計測器のタイプ及びその能力を規定する。例えば、インレットは、キャピラリーカラム液体クロマトグラフィー源であってもよく、マトリックス支援レーザー脱離で使用されるような直接プローブまたは段階であってもよい。一般的なイオン源は、例えば、エレクトロスプレー(ナノスプレー及びマイクロスプレーを含む)またはマトリックス支援レーザー脱離である。一般的な質量分析器としては、四重極質量フィルター、イオントラップ質量分析器、及び飛行時間型質量分析器が挙げられる。さらなる質量分析法は当技術分野で周知されている(Burlingame et al.Anal.Chem.70:647 R-716R(1998);Kinter and Sherman,New York(2000)参照)。
【0329】
タンパク質アナライト及びアナライトレベルは、以下のいずれかによって検出及び測定することができる:エレクトロスプレーイオン化質量分析(ESI-MS)、ESI-MS/MS、ESI-MS/(MS)n、マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析(MALDI-TOF-MS)、表面増強レーザー脱離/イオン化飛行時間型質量分析(SELDI-TOF-MS)、シリコン上の脱離/イオン化(DIOS)、二次イオン質量分析(SIMS)、四重極飛行時間型(Q-TOF)、タンデム飛行時間型(TOF/TOF)技術(ultraflex III TOF/TOFと呼ばれる)、大気圧化学イオン化質量分析(APCI-MS)、APCI-MS/MS、APCI-(MS)、大気圧光イオン化質量分析(APPI-MS)、APPI-MS/MS及びAPPI-(MS)、四重極質量分析、フーリエ変換質量分析(FTMS)、定量的質量分析、及びイオントラップ質量分析。
【0330】
試料調製戦略は、タンパク質アナライトの質量分析キャラクタリゼーション及びアナライトレベルの定量の前に、試料を標識及び濃縮するために使用される。標識方法としては、限定されるものではないが、相対的及び絶対的定量のための等圧性タグ(iTRAQ)、ならびに細胞培養物中のアミノ酸を含む安定同位体標識(SILAC)が挙げられる。質量分析の前に候補アナライトタンパク質のための試料を選択的に濃縮するために使用される捕捉試薬としては、限定されるものではないが、アプタマー、抗体、核酸プローブ、キメラ、小分子、F(ab’)フラグメント、1本鎖抗体フラグメント、Fvフラグメント、1本鎖Fvフラグメント、核酸、レクチン、リガンド結合受容体、アフィボディ、ナノボディ、アンキリン、ドメイン抗体、代替的抗体スキャフォールド(例えば、ダイアボディなど)インプリントポリマー、アビマー、ペプチドミメティック、ペプトイド、ペプチド核酸、トレオース核酸、ホルモン受容体、サイトカイン受容体、及び合成受容体、ならびにこれらの修飾及びフラグメントが挙げられる。
【0331】
ある特定の検出方法
アプタマーアッセイ法
本明細書で使用する場合、「アプタマーアッセイ法」は、以下に記載されるステップを含むまたはそれからなる。いくつかの実施形態において、アプタマーベースアッセイは、アプタマーアッセイ法である。別段の指示がない限り、全てのステップは室温で実施した。
【0332】
アプタマーマスターミックス溶液の調製。
アプタマーを3つのユニークな混合物Dil1、Dil2、及びDil3にグループ分けした。これらはそれぞれ20%、0.5%、及び0.005%の試料希釈物に対応した。混合物へのアプタマーの割当てを、血漿及び血清試料を各アプタマーと適合させた希釈系列をアッセイし、シグナルの最大線形範囲を示した試料希釈液を同定することによって経験的に決定した。アプタマーの分離及び試料の異なる希釈物(20%、0.5%、または0.005%)との混合により、アッセイがタンパク質濃度の10倍範囲に及ぶことが可能となる。アプタマーマスターミックスのためのストック溶液は、各アプタマー4nMにおいてHE-Tween緩衝液(10mMのHEPES、pH7.5、1mMのEDTA、0.05%のTween20)中で調製され、-20℃で冷凍保存した。およそ4271のアプタマーをDil1ミックス中に、約828のアプタマーをDil2中に、約173のアプタマーをDil3ミックス中で混合した。使用前に、ストック溶液をHE-Tween緩衝液で希釈して各アプタマーの作業濃度を0.55nMとし、個々の使用アリコートに分取した。キャッチ-0プレートの調製にアプタマーマスターミックスを使用する前に、95℃で10分間、次いで25℃で少なくとも30分間インキュベートすることにより、作業溶液を使用前に加熱冷却してアプタマーをリフォールディングさせた。
【0333】
キャッチ-0プレートの調製。
60μLのストレプトアビジン磁気セファロース10%スラリー(GE Healthcare、28-9857)を、96ウェルプレート(Thermo Scientific、AB-0769)の各ウェルに分注した。ビーズを、40mMのHEPES、100または102mMのNaCl、5mMのKCl、5mMのMgCl、1mMのEDTA、及び0.05%または0.1%(v/v)のTween-20(pH7.5)を含む175μLのアッセイ緩衝液で1回洗浄し、次いで、100μLの加熱冷却アプタマーマスターミックスを各ウェルに加えた。プレートを、ThermoMixer Cシェーカー(Eppendorf)上で850rpmで振とうしながら、25℃で30分間インキュベートした。30分間のインキュベート後、6μLのMBブロック緩衝液(50mMのTris-HCl中の50mMのD-ビオチン、pH8、0.01%のTween)をプレートの各ウェルに加え、プレートをさらに2分間、振とうしながらインキュベートした。次いで、プレートを175μLのアッセイ緩衝液で洗浄し、ThermoMixer C上で850rpmで振とうしながら1分間の洗浄サイクルを行い、続いて磁石上で30秒間分離させた。洗浄溶液を除去した後、ビーズを175μLのアッセイ緩衝液中に再懸濁させ、使用するまで-20℃で保存した。
【0334】
キャッチ-2ビーズの調製。
アッセイのロボット処理を開始する前に、マルチプレックスアプタマーアッセイのキャッチ-2ステップに使用したMyOneストレプトアビジンC1ビーズ(Dynabeads、製品番号35002D、Thermo Scientific)の10mg/mLのビーズスラリーを、MB Prep緩衝液(10mMのTris-HCl、pH8、1mMのEDTA、0.4%のSDS)で5分間、まとめて1回洗浄し、続いてアッセイ緩衝液で2回洗浄した。最後の洗浄後、ビーズを10mg/mLの濃度で再懸濁させ、75μLのビーズスラリーをキャッチ-2プレートの各ウェルに分注した。アッセイの開始時に、キャッチ-2プレートをアルミニウムアダプター内に置き、Fluentデッキ上の適切な位置に置いた。
【0335】
試料結合ステップ。
キャッチ-0プレートを、上記の通りにストレプトアビジン磁気セファロースビーズ上にアプタマーミックスを固定化することによって調製した。凍結プレートを25℃で30分間解凍し、175μLのアッセイ緩衝液で1回洗浄した。100μLの各試料希釈液(20%、0.5%、及び0.005%)を、3つの異なるアプタマーマスターミックス(それぞれDil1、Dil2、及びDil3)を含むビーズを含むプレートに加えた。次いで、キャッチ-0プレートをアルミホイルシール(Microseal‘F’Foil、Bio-Rad)で密封し、850rpm、28℃に設定した4プレート回転シェーカー(PHMP-4、Grant Bio)内に置いた。試料結合ステップを3.5時間実施した。
【0336】
Fluentロボット上でのマルチプレックスアプタマーアッセイ処理。
試料結合ステップが完了した後、キャッチ-0プレートをアルミニウムプレートアダプター内に置き、ロボットデッキ上に置いた。磁気ビーズ洗浄ステップを、温度制御プレートを用いて実施した。全てのロボット処理ステップでは、以下に記載したようなキャッチ-2洗浄を除いて、プレートを25℃の温度に設定した。プレートを175μLのアッセイ緩衝液で4回洗浄し、各洗浄サイクルをプログラムして、プレートを1000rpmで少なくとも1分間振とうし、続いて磁気ビーズを少なくとも30秒間分離させてから緩衝液を吸引した。最後の洗浄サイクル中に、タグ試薬を、100倍タグ試薬(EZ-Link NHS-PEG-ビオチン、製品番号21363、Thermo、無水DMSO中で調製した100mM溶液)をアッセイ緩衝液で1:100に希釈することによって調製し、ロボットデッキ上の溝槽中に注いだ。100μLのタグ試薬をプレートのウェルの各々に加え、1200rpmで5分間振とうしながらインキュベートして、ビーズ表面上で捕捉したタンパク質をビオチン化した。ビオチン化反応を、175μLのクエンチ緩衝液(アッセイ緩衝液中の20mMグリシン)を各ウェルに加えることによってクエンチした。プレートを静置して3分間インキュベートし、次いで175μLのアッセイ緩衝液で4回洗浄して、上記に記載したものと同じ条件下で洗浄を実施した。
【0337】
光切断及び動力学的チャレンジ。
プレートを最後に洗浄した後、90μLの光切断緩衝液(アッセイ緩衝液中の2μMのオリゴヌクレオチド競合物、競合物質オリゴヌクレオチド(Z-ブロックとも称される)は5’-(AC-Bn-Bn)-AC-3’のヌクレオチド配列を有し、式中Bnは、5位ベンジル置換デオキシウリジン残基を示す)を、プレートの各ウェルに加えた。プレートをFluentデッキ上の光切断サブステーションに移動させた。サブステーションは、BlackRay光源(UVP XXシリーズベンチランプ、365nm)及び3つのBioshake 3000-Tシェーカー(Q Instruments)からなる。プレートを1000rpmで振とうしながら20分間照射した。
【0338】
キャッチ-2ビーズ捕捉。
光切断プロセスの最後に、緩衝液を磁気分離によってキャッチ-2プレートから除去し、プレートを100μLのアッセイ緩衝液で1回洗浄した。アプタマー-タンパク質複合体を含む光切断溶出液を、希釈3プレートから開始して各キャッチ-0プレートから除去した。90μLの溶液を全て、シェーカー上に配置したキャッチ-1溶出液プレートに最初に移し、磁石を上げて、吸引される可能性がある全てのストレプトアビジン磁気セファロースビーズを捕捉した。その後、溶液をキャッチ-2プレートに移し、プレートを1400rpm、25℃で振とうしながら3分間インキュベートした。3分間インキュベートした後、磁気ビーズを90秒間分離させて溶液をプレートから除去し、光切断したDil2プレート溶液をプレートに加えた。同一のプロセス後、Dil1プレートからの溶液を加え、3分間インキュベートした。3分間のインキュベートの最後に、6μLのMBブロック緩衝液を磁気ビーズ懸濁液に加え、ビーズを1200rpm、25℃で振とうしながら2分間インキュベートした。このインキュベート後、プレートを38℃の温度にプリセットした別のシェーカーに移した。磁気ビーズを2分間分離させてから溶液を除去した。次いで、キャッチ-2プレートを175μLのMB洗浄緩衝液(アッセイ緩衝液中の20%グリセロール)で4回洗浄し、各洗浄サイクルをプログラムして、ビーズを1200rpmで1分間振とうしてビーズを3.5分間、磁石上で分割させた。最後のビーズ分離ステップ中に、シェーカー温度を25℃に設定した。次いで、ビーズを175μLのアッセイ緩衝液で1回洗浄した。この洗浄ステップでは、ビーズを1200rpmで1分間振とうし、次いで磁石上で2分間分離させた。洗浄ステップ後、溶出緩衝液(1.8MのNaClO、40mMのPIPES、pH6.8、1mMのEDTA、0.05%のトリトンX-100)を用いて、アプタマーを精製したアプタマー-タンパク質複合体から溶出させた。溶出は、75μLの溶出緩衝液を使用して25℃で10分間、ビーズを1250rpmで振とうしながら行った。70μLの溶出液をアーカイブプレートに移し、磁石上で分離させて、吸引される可能性のある全ての磁気ビーズを分割した。10μLの溶出物質を黒ハーフエリアプレートに移し、アッセイ緩衝液で1:5に希釈して、内部アッセイQCとしてモニタリングするCy3蛍光シグナルの測定に使用した。20μLの溶出物質を、5μLのハイブリダイゼーションブロッキング溶液(Oligo aCGH/ChIP-on-chip Hybridization Kit、大容量、Agilent Technologies 5188-5380、Agilentアレイ上のコーナーマーカープローブに相補的なシアニン3標識DNA配列のスパイクを含む)を含むプレートに移した。このプレートをロボットデッキから取り外し、ハイブリダイゼーションのためにさらに処理した(以下を参照)。溶出液が残ったままのアーカイブプレートを、アルミホイルを使用して熱密封し、-20℃で保存した。
【0339】
ハイブリダイゼーション。
25μLの2倍Agilentハイブリダイゼーション緩衝液(Oligo aCGH/ChIP-on-chip Hybridization Kit、Agilent Technologies、製品番号5188-5380)を、溶出試料及びブロッキング緩衝液を含むプレートの各ウェルに手作業でピペッティングした。40μLのこの溶液を、ハイブリダイゼーションガスケットスライド(ハイブリダイゼーションガスケットスライド-スライド形式当たり8マイクロアレイ、Agilent Technologies)の各「ウェル」に手作業でピペッティングした。各アプタマーに相補的な、アレイ当たり10個のプローブを含むカスタムSurePrint G3 8×60k Agilentマイクロアレイスライドを、製造業者のプロトコルに従ってガスケットスライド上に置いた。各アセンブリ(Hybridization Chamber Kit-SureHyb対応、Agilent Technologies)をしっかりと固定し、ハイブリダイゼーションオーブンに載せて55℃で19時間、20rpmで回転させた。
【0340】
ハイブリダイゼーション後の洗浄。
Little Dipper Processor(モデル650C、Scigene)を用いてスライド洗浄を実施した。およそ700mLの洗浄緩衝液1(Oligo aCGH/ChIP-on-chip Wash Buffer 1、Agilent Technologies)を大きなガラス製染色皿に注ぎ、ガスケットスライドからのマイクロアレイスライドの分離に使用した。ひとたび分解させたら、スライドを、Little Dipper上の洗浄緩衝液1を含む槽内のスライドラックに迅速に移した。スライドを、マグネチックスターバーで混合しながら、洗浄緩衝液1で5分間洗浄した。次いで、スライドラックを37℃の洗浄緩衝液2(Oligo aCGH/ChIP-onchip Wash Buffer 2、Agilent Technologies)を入れた槽に移し、撹拌しながら5分間インキュベートした。スライドラックを第2槽からゆっくりと取り出し、次いでアセトニトリルを含む槽に移して、撹拌しながら5分間インキュベートした。
【0341】
マイクロアレイイメージング。
マイクロアレイスライドを、3μm解像度、100%PMT設定でシアニン3チャネルにおいてマイクロアレイスキャナー(Agilent G4900DA Microarray Scanner System、Agilent Technologies)を用いてイメージングし、20ビットオプションを有効にした。得られたtiff画像を、GE1_1200_Jun14プロトコルを用いたAgilent特徴抽出ソフトウェア(バージョン10.7.3.1以上)を用いて処理した。
【0342】
ある特定の生物学的試料の収集及び調製
いくつかの実施形態において、生物学的試料は、以下に記載される試料収集、緩衝液交換、及び/またはタンパク質標準化を実施することによって調製される。
【0343】
尿試料の収集及び調製
尿試料は、管内に取り込まれた中間尿を介して個体から収集し、次いで直ちに-80℃の冷凍庫に保存した。凍結尿試料を以下のように処理した:
緩衝液交換:試料を37℃の水浴中で約15分間解凍して、全ての低温沈殿物が溶解することを確実にした。解凍した試料を水浴から取り出し、生物学的安全キャビネットに入れた。キャップを除去し、内容物を200μLのマルチチャネルピペットで上下に3回ピペッティングすることにより混合した。試料をそれぞれ216μLで新たな管に分取し、20μLシングルチャネルピペットを用いて1Mのトリス(トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン)pH=8を解凍/混合尿の各アリコートに加え、最終トリス濃度が40mM(4%)となるようにした。トリス処置したアリコートを、200μLのマルチチャネルピペットで上下に3回穏やかにピペッティングすることにより混合した。15μLのトリス処置した尿試料を、PCRプレート(96ウェルPCRプレート(Fisher Scientific番号NC0508659))中の対応するウェルに移した。この15μLのアリコートを、メロシアニン色素を含むNanoOrange(登録商標)キットを用いてタンパク質濃度の定量化を実施するまで-80℃で保存した(例えば、Jones et al.“Development and Characterization of the NanoOrange(登録商標) Protein Quantitation Assay:A Fluorescence-Based Assay of Proteins in Solution.”BioTechniques.34(4):850-4(2003)を参照)。
【0344】
アリコートを、2つのZeba(商標)7kDa MWCOスピン脱塩プレート(Thermo Scientific番号89808)または2つのHarvard G25 1.5kDa MWCO 96-Well SpinColumn(商標)(Harvard Apparatus番号74-5652)上でそれぞれの製造業者の説明書に従って緩衝液交換した。Zeba(商標)脱塩プレートについては、製造業者のプロトコルの「Procedure for Buffer-Exchange」セクションを参照。簡潔に述べると、Zeba(商標)スピン脱塩プレートを室温に到達するまでインキュベートした。このアセンブリを、96ウェルプレート-キャリアローターを用いて1,000×gで2分間遠心分離して、貯蔵緩衝液を除去した。フロースルーを廃棄した。250μL体積の緩衝液を樹脂床の頂部に加えた。再びプレートを1,000×gで2分間遠心分離し、フロースルーを廃棄した。このステップをさらに3回繰り返した。洗浄プレートを脱イオン水で3回すすぎ、乾燥させ、今後の使用のために保存した。各脱塩プレートを試料収集プレートの上に積み重ねて、プレート上の英数字見出しを整列させた。100μLの試料を第1の脱塩プレートの樹脂床の中央に適用した。同じ試料の別の100μLの試料を、第2の脱塩プレートの樹脂床の中心に適用した。プレートを1000×gで2分間遠心分離し、処理した試料を収集した。200μLのマルチチャネルピペットを使用して、100μLの各トリス処置/脱塩試料を2つのマトリックスラックの各々に移し、試料の向きを維持した。マトリックス管を再度キャップし、これでこれらの管は100μLのトリス処置/脱塩試料を含んだ。アリコート管をドライアイスに移し、-80℃で保存した。
Harvard G25 96-Well SpinColumn(商標)については、製造業者のプロトコルの「For Gel Filtration/Ion Exchange Columns」セクションを参照。簡潔に述べると、96-Well SpinColumn(商標)を収集管のうちの1つに入れ、200μLの緩衝液を全ての開口ウェルに加えた。管を15分間インキュベートして水和を可能にした。プレートを2000×gで2分間遠心分離した。96-Well SpinColumn(商標)を収集プレートから取り出し、カラムの外側の水分を吸い取って乾燥させた。100μL体積の試料を、第1の96-Well SpinColumnプレートのウェルの頂部に移した。同じ試料の別の100μL体積を、第2の96-Well SpinColumnプレートのウェルの中心に加えた。各カラムプレートを新たな収集プレートに加え、2000×gで2分間スピンさせ、100μLの各トリス処置/脱塩試料を2つのマトリックスラックのそれぞれに移した。マトリックス管を再度キャップした。これでこれらの管は100μLのトリス処置/脱塩試料を含む。完了したアリコート管のラックをドライアイスに移し、-80℃で保存した。
15μg/mL総タンパク質へのタンパク質標準化:
緩衝液交換された尿試料は、以下のようにして、総タンパク質濃度が120μLにおいて15μg/mLになるように標準化した:緩衝液交換された尿検体を28~37℃の水浴で10分間解凍した。緩衝液交換された検体の必要体積を、以下の式によって計算した:0.12mL×15μg/mL/尿[タンパク質](μg/mL)=V*(尿試料の体積)。この式により、V*が0.108mLよりも大きい場合、V*を0.108mLになるように調整した。以下の式によって1倍アッセイ緩衝液を管に加えた:0.108mL-V*=アッセイ緩衝液の体積。50μMのZ-ブロック(10倍Z-ブロック)を含む0.012mL体積の1倍アッセイ緩衝液を加えた。試料を穏やかに混合した。100μL体積を、アプタマーベースアッセイの96-ウェルキャッチ-0プレートの単一ウェルに移した。3つ全ての血漿マスターミックス(Dil1、Dil2、及びDil3)を各ウェル内で合わせた。
【0345】
キット
本明細書に記載の任意のアナライトの組合せは、好適なキット、例えば、本明細書で開示される方法の実施に使用するためのキットを用いて、検出することができる。さらに、任意のキットが、本明細書で記載されているような1つ以上の検出可能標識(例えば、蛍光部分など)を含み得る。
【0346】
上記の説明では、多数の詳細が記載されている。しかし、本開示の利益を有する当業者には、本開示がこのような具体的な詳細なしで実施され得ることが明らかであろう。いくつかの場合において、周知された構造及びデバイスは、本開示を不明瞭にすることを避けるために、詳細に示されるのではなく、ブロック図形態で示される。
【0347】
詳細な説明のいくつかの部分は、1つ以上の所望の結果を導くステップの観点から提示されている。概して、このようなステップは、物理量の物理的操作を必要とするステップである。通常、必ずしもそうとは限らないが、このような量は、記憶、移転、組合せ、比較、及び別の形で操作が可能な電気または磁気信号の形態をとる。これらの信号をビット、値、要素、記号、文字、用語、数字などと称することは、一般的な用法という理由から、時として好都合であることが証明されている。
【0348】
ただし、これらの用語及び類似の用語は全て、適切な物理量に関連するものであり、単にこれらの量に適用される好都合なラベルに過ぎないことに留意すべきである。以下の解説から明らかなように、別段に明記されていない限り、説明全体において、「計算する」、「比較する」、「適用する」、「作出する」、「ランク付けする」、「分類する」などの用語を利用する解説は、コンピューターシステムのレジスタ及びメモリ内の物理的(例えば、電子的)量として表されるデータを、コンピューターシステムのメモリもしくはレジスタ内、または他のこのような情報記憶、伝送、または表示デバイス内の物理的量として同様に表される他のデータに操作及び変換する特化型コンピューターシステムまたは同様の特化型電子コンピューティングデバイスの動作及びプロセスを指すことを理解されたい。
【0349】
本開示のある特定の例は、本明細書での運用を実施するための装置にも関する。この装置は、意図された目的のために構築される場合もあれば、意図された目的を実施するように選択的にインストール、起動、または構成された特化型コンピューターハードウェア及び/または特化型コンピュータープログラムを含む場合もある。このようなコンピュータープログラムは、コンピューター可読記憶媒体、例えば、限定されるものではないが、フロッピーディスク、光学ディスク、CD-ROM、及び磁気光学ディスク、読取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、EPROM、EEPROM、磁気カードもしくは光カード、または電子命令の格納に適した任意のタイプの媒体に格納することができる。
【0350】
上記の説明は、例示的であり、限定的ではないように意図されていることを理解されたい。多くの他の例は、上記の説明を読み理解すれば当業者には明らかになるであろう。そのため、本開示の範囲は、添付の特許請求の範囲を、このような請求の権利が与えられる等価物の十分な範囲と共に参照して判断されるべきである。
【実施例
【0351】
以下の実施例は、ある特定の特徴及び/または実施形態を示すために示されるものである。これらの実施例が、記載された特定の特徴または実施形態に本開示を限定するように解釈されるべきではない。
【0352】
実施例1:尿の総タンパク質及び組成の変動性
尿試料における試料間変動性を確認するため、NanoOrange(登録商標)タンパク質定量化法(Invitrogen;Molecular Probes NanoOrange(登録商標)タンパク質定量化キット;カタログ番号N6666)を3つの異なる尿収集物で使用し、スポット尿試料から広範囲のタンパク質濃度が得られた。第1群は46例のボランティアからなり、第2群は170例のボランティアからなり、第3群は183例のボランティアからなった。概して、尿試料は、管内に取り込まれた中間尿を介して個体から収集し、次いで直ちに-80℃の冷凍庫に保存した。
【0353】
3つの異なる採尿群のタンパク質濃度は約4μg/mL~約4423μg/mLの範囲であり、最も希釈された試料と最も濃縮された試料との間に約1,000倍の差が生じた。各収集時のタンパク濃度の中央値(四分位範囲)は、第1群の対象で46.5(23~74.5)μg/mL、第2群の対象で57.5(27.2~89.8)μg/mL、及び第3群の対象で75.0(51~114)μg/mLであった。
【0354】
概して、NanoOrangeキットを用いた尿中総タンパク質濃度の定量に使用した方法は以下の通り:10倍濃縮NanoOrange(登録商標)タンパク質定量化希釈液を蒸留水で10倍に希釈することにより、1倍タンパク質定量化希釈液を作製した。96ウェルプレートの各々に15mLの1倍タンパク質定量化希釈液が必要であった。1.5mLのNanoOrange(登録商標)タンパク質定量化希釈液を、13.5mLの蒸留水または脱イオン水に加えた。96ウェルプレートの各々に、13mLの1.04倍NanoOrange(登録商標)試薬作業溶液を調製した。NanoOrange(登録商標)タンパク質定量化試薬(成分A)を1倍タンパク質定量化希釈液に入れて481倍に希釈した。ホイルで包んだ管内で、0.027mLのNanoOrange(登録商標)タンパク質定量化試薬(成分A)を13mLの1倍タンパク質定量化希釈液に加えた。NanoOrange(登録商標)色素の光分解を防止するため、1倍NanoOrange(登録商標)作業溶液を光から保護した。NanoOrange(登録商標)キットは、標準曲線を用意するために使用したBSA(成分B)の2mg/mL試料を含む。標準曲線を25倍で生成し、10.25~0.402μg/mLの最終範囲で網羅した。最終1倍タンパク質定量化希釈液中の最初のBSAの25倍ストック溶液(最終10.25μg/mL)を調製した。39μLの10倍NanoOrange(登録商標)タンパク質定量化希釈液(製造業者が供給)及び50μLの2mg/mL BSAを302μLの蒸留水に加えた。1倍NanoOrange(登録商標)タンパク質定量化希釈液中の25倍BSA溶液の8つの1.5倍系列希釈液を調製した。200μLの前回の標準溶液を100μLの1倍NanoOrange(登録商標)タンパク質定量化希釈液に加えた。1倍タンパク質定量化希釈液中の25倍QC#1を205μg/mL(最終8.2μg/mL)で調製した。48.8μLの10倍NanoOrange(登録商標)タンパク質定量化希釈液(製造業者が供給)及び50μLの2mg/mL BSAを389.2μLの蒸留水に加えた。1倍タンパク質定量化希釈液中の25倍QC#2を132.5μL(最終5.3μg/mL)で調製した。226μLのQC#1を123.7μLの1倍NanoOrange(登録商標)タンパク質定量化希釈液に加えた。1倍タンパク質定量化希釈液中の25倍QC#3を30μg/mL(最終1.2μg/mL)で調製した。79μLのQC#2を269.9μLの1倍NanoOrange(登録商標)タンパク質定量化希釈液に加えた。各25倍トリス処置尿試料(下記の処理注記参照)を、1.04倍NanoOrange(登録商標)試薬作業溶液に入れて希釈した。ノンスカートPCRプレート(Abgene番号AB-0600-L)において、6μLの原尿試料を144μLの1.04倍NanoOrange(登録商標)試薬作業溶液に加えた。各25倍QC試料を、2連で1.04倍NanoOrange(登録商標)試薬作業溶液に入れて希釈した。ノンスカートPCRプレート(Abgene番号AB-0600-L)において、6μLのQC試料を、2連で144μLの1.04倍NanoOrange(登録商標)試薬作業溶液に加えた。各25倍標準曲線試料を、1.04倍NanoOrange(登録商標)試薬作業溶液に入れて希釈した。ノンスカートPCRプレート(Abgene番号AB-0600-L)において、6μLの標準曲線試料を144μLの1.04倍NanoOrange(登録商標)試薬作業溶液に加えた。2つの「ブランク」を含めた。
【0355】
ノンスカートPCRプレート(Abgene番号AB-0600-L)において、6μLの1倍NanoOrange(登録商標)タンパク質定量化希釈液を144μLの1.04倍NanoOrange(登録商標)試薬作業溶液に加えた。MicroAmp Optical 8-cap strip付きの全ての試料含有ウェルをキャップした(Applied BioSystems番号N8010560)。試料を、ヒートリッド付きのサーモサイクラー内で95℃で10分間インキュベートし、光から保護し、次いでサーモサイクラーまたはベンチトップのいずれかの中で30分間室温に冷却し、光から保護した。マルチチャネルピペットを使用して、100μLの各試料を黒クリアボトムハーフエリア96ウェルプレート(Corning番号3880)に移した。SpectraMax M5(または類似の計測器)で蛍光を470nmで測定した。SpectraMaxのパラメーターを以下のように設定した:Fluorescence Endpoint;Top Read:470nm excitation/590nm emission/570 cutoff;Automix:off;Calibrate:on;PMT:Auto;Settle Time:off;Column Priority;Speed:Normal;Reads/Well:6。
【0356】
未知の試料のタンパク質濃度は、最初にQC及び標準物質を含む全ての試料の蛍光値から試薬ブランクの蛍光値を引くことによって定量した。4パラメーター適合による標準曲線を使用して、未知の試料及びQCのタンパク質濃度を定量した。2連QC試料のCV%(<15%)及び精度(<15%)を計算して、プレートの通過を確認した。
【0357】
さらに、トリス-HCl(pH=8)を加えることがNanoOrangeタンパク質定量化アッセイに及ぼす効果を、17例の独立した尿検体で評価した。新鮮凍結尿アリコートを37℃水浴中で15分間解凍し、14,000gで10分間遠心分離し、清澄化した上清を新鮮な管に移した。NanoOrangeアッセイでのタンパク質定量化用に、清澄化した上清から6マイクロリットルのアリコートを取り出した。次いで、トリスpH8.0(1M)を残りの44μLの上清に加えて、最終濃度を40mMとした。6マイクロリットルのこれらのトリス処置試料を同様にNanoOrangeアッセイで実行し、タンパク質濃度を未処置の対応物と比較した。
【0358】
簡潔に述べると、6μLの尿を、PCRプレート中の144μLの1倍NanoOrange作業溶液に加えた。試料をキャップし、サーモサイクラー中で10分間95℃に加熱し、ベンチトップ上で30分間冷却し、光から保護した。100μLの熱冷却試料をクリアボトム/黒ハーフエリアUVプレートに移し、470nm励起/590nm発光波長を用いて蛍光を測定した。各プレートに含まれる標準曲線を用いてタンパク質濃度を定量した。
【0359】
この実施例では、複数の対象及び複数の収集回数にわたる単一の対象の両方からの尿検体が、総タンパク質測定値で変動性を示すことが確認された。さらに、この実施例では、尿試料の組成及び特徴(例えば、pH及び塩分含量)が対象によって変動し得ることが示された。
【0360】
実施例2:アナライト測定値はプロテオミクスアッセイにおける塩及び尿素の濃度差に感受性がある
この実施例は、プロテオミクス解析におけるアナライト測定値が、塩及び尿素(共に尿の成分である)の濃度変化に感受性があることを示すものである。
【0361】
様々な濃度の尿素、NaCl、及び/またはMgClがアプタマーベースのプロテオミクスアッセイに及ぼす効果を測定した。この実施例で使用した対照(または「真の標準」)製剤は、SB17アッセイ緩衝液である。SB17は、102mMのNaCl、5mMのKCl、5mMのMgCl、40mMのHEPES、1mMのEDTA、及び0.1%のTween-20(v/v)をpH7.5で合わせることによって作製したアッセイ緩衝液である。様々な塩及び/または尿素濃度を有するSB17緩衝液の製剤を作製し(表3の製剤1~28を参照)、表2に列挙された201の組換えタンパク質から選択した1つのタンパク質を特定のタンパク質濃度でスパイクした。
【表2】
【表3】
【0362】
表3に示すように、製剤中のNaClの最終濃度は約100mMから約420mMまで変動し、より具体的には、NaClの濃度は、112mM、122mM、142mM、182mM、262mM、342mM、及び422mMであった。製剤中のMgClの最終濃度は約5mMから約13mMまで変動し、より具体的には、MgClの濃度は、5.25mM、5.5mM、6mM、7mM、9mM、11mM、及び13mMであった。製剤中の尿素の最終濃度は約0mMから約320mMまで変動し、より具体的には、尿素の濃度は、0mM、20mM、20mM、40mM、80mM、160mM、240mM、及び320mMであった。
【0363】
SB17緩衝液及び製剤1~28中の201の組換えタンパク質の濃度を、アプタマーアッセイ法を用いて測定した。
【0364】
アプタマーベースアッセイにおいてNaClの濃度増加が201の組換えタンパク質の測定値に及ぼす効果についてのデータを図1に示す。対照(またはベースラインの比較測定値)と比較した201のタンパク質アナライトについての、アッセイに存在するタンパク質の相対レベルに対応するRFU(相対蛍光単位)のLog倍変化は、NaCl濃度の増加に伴って、アッセイによる個々のタンパク質アナライトの測定レベルが変化したことを示している。概して、これらのデータは、アプタマーベースアッセイで1つ以上のタンパク質の濃度は同じだがNaClの濃度は異なる2つ以上の試料(例えば、尿試料)を使用した場合、この2つ以上の試料から得られる1つ以上のタンパク質のレベルは異なり、そのためバイオマーカーの発見及び/または診断に関連する任意の結果が生じるであろうことを示している。
【0365】
アプタマーベースアッセイでMgClの濃度増加が201の組換えタンパク質の測定値に及ぼす効果についてのデータを図2に示す。対照(またはベースラインの比較測定値)と比較した201のタンパク質アナライトについての、アッセイ中存在するタンパク質の相対レベルに対応するRFU(相対蛍光単位)のLog2倍変化は、MgCl濃度の増加に伴って、アッセイによる個々のタンパク質アナライトの測定レベルが変化したことを示している。概して、これらのデータは、アプタマーベースアッセイで1つ以上のタンパク質の濃度は同じだがMgClの濃度は異なる2つ以上の試料(例えば、尿試料)を使用した場合、この2つ以上の試料から得られる1つ以上のタンパク質のレベルは異なるであろうことを示している。
【0366】
アプタマーベースアッセイで尿素の濃度増加が201の組換えタンパク質の測定値に及ぼす効果についてのデータを図3に示す。対照(またはベースラインの比較測定値)と比較した201のタンパク質アナライトについての、アッセイ中存在するタンパク質の相対レベルに対応するRFU(相対蛍光単位)のLog2倍変化は、尿素濃度の増加に伴って、アッセイによる個々のタンパク質アナライトの測定レベルが変化したことを示している。概して、これらのデータは、アプタマーベースアッセイで1つ以上のタンパク質の濃度は同じだが尿素の濃度は異なる2つ以上の試料(例えば、尿試料)を使用した場合、この2つ以上の試料から得られる1つ以上のタンパク質のレベルは異なるであろうことを示している。
【0367】
まとめると、これらのデータは、様々な濃度の塩が、アプタマーベースアッセイにおけるタンパク質のレベル測定に影響を及ぼしたことを示している。このような変動は、とりわけ試料間で塩濃度が異なることが知られている生物学的試料(例えば、尿)の場合、バイオマーカーの発見及び診断検査を複雑にする。したがって、生物学的試料に由来するタンパク質またはタンパク質セットのレベルを比較し、意味のある健康関連情報及び/または臨床的決定ツール(例えば、疾患対非疾患)を導き出すためには、塩濃度の変化を軽減しなければならない。
【0368】
実施例3:アプタマーベースアッセイでアナライトを測定するための固定された尿中タンパク質濃度の使用
この実施例は、アプタマーベースアッセイで尿中の総タンパク質濃度が線形範囲内のアナライトの数に影響を及ぼすことを示すものである。
【0369】
結合曲線の線形範囲は、標的濃度の変化が相対蛍光単位(RFU)シグナルの比例的(すなわち線形的)変化に対応する領域である(すなわち、濃度の変化速度が、アプタマーベースアッセイにおけるハイブリダイゼーションベースリードアウトの測定単位であるRFUの変化速度に等しい)。概して、任意のタイプの試料についての好ましい総タンパク質の濃度または濃度範囲は、線形範囲内のアナライトの数を最大にする濃度として定義される。
【0370】
好ましい尿中総タンパク質の濃度または濃度範囲を定量するため、タンパク質濃度が高い、例えば147μg/mLの尿試料を用いて8点滴定を実施した。アプタマーアッセイ緩衝液が反応体積の約20%を占めるため、検体の147μg/mL濃度の約80%、すなわち118μg/mLを試料の開始タンパク質濃度とした。次いで、1.8μg/mLに対する6点1:2希釈系列を実施し、より高い濃度における解像度をわずかに高めるため、88μg/mL(すなわち出発タンパク質濃度の75%)でもう1つの点を加えた。試料を、本明細書に記載のアプタマーベースアッセイでアッセイした。全ての試料を20μMのZ-ブロックと共に1連でアッセイした。
【0371】
合計2,298のアナライトが3点以上の希釈線形性を有することが観察されたが、この線形性は出発総タンパク質濃度に依存した。線形範囲を図4に示す。X軸はアナライトの数(0~2298のアナライト)を特定し、Y軸は総タンパク質濃度(2μg/mL~128μg/mL)を特定する。黒色のバーは、総タンパク質濃度の関数として、各アナライトにおける線形範囲の下限及び上限に及んでいる。各総タンパク質濃度で線形範囲内に収まるアナライトが存在したが、試料を15μg/mLの総タンパク質濃度に標準化すると、60%超のアナライトが線形範囲を有した。したがって、アナライトにおける線形範囲は、2、4、8、16、32、64、及び128μg/mLの総タンパク質濃度で観察された。同じデータを代替的方法で見たものを図5に示す。
【0372】
図5は、線形範囲内で測定された分析物(n=2,298)の総数のパーセントを総タンパク質濃度の関数として示している。0μg/mLから開始して、線形範囲内のアナライトの局所最大値は約7μg/mLで生じ、次いで約30μg/mLまでわずかな減少が観察される。59μg/mLの総タンパク濃度で増加が観察されたが、測定シグナル(すなわち、RFUレベル)は比較的低く(データは示さず)、したがって一貫した測定が困難であった可能性がある。
【0373】
まとめると、これらのデータは、線形範囲が約2μg/mL~約128μg/mLの範囲の総タンパク質濃度のアナライトで得られ得るが、最も多数の線形範囲内のアナライトを相対的に「強力な」RFUシグナルと共にもたらす好ましい総タンパク質濃度範囲は、NanoOrangeによる測定において約2μg/mL~50μg/mL、より好ましくは約5μg/mL~40μg/mL、最も好ましくは約10μg/mL~30μg/mLであったことを示している。最も多数の線形範囲内のアナライトをもたらすより正確な総タンパク質濃度は、約7μg/mL、10μg/mL、及び15μg/mLであった。
【0374】
これらのデータは、試料中のタンパク質アナライトを測定する前に、試料中の総タンパク質濃度を標準化された総タンパク質濃度に調整することにより、線形範囲内のアナライトの数を増加させる得ることを示すが、尿などの複雑なマトリックスは依然塩などの様々な成分を含んでおり、このことから、その試料中のタンパク質レベルを正確かつ一貫して測定する能力が妨げられる恐れがある。
【0375】
実施例4:アプタマーベースアッセイでアナライトを測定するための尿試料における緩衝液交換の使用
この実施例は、緩衝液交換法を尿試料に適用することが、アプタマーベースアッセイによって測定され得る線形範囲を有するアナライトの数に影響を及ぼすことを示すものである。
【0376】
緩衝液交換なし(対照)及びSB17アッセイ緩衝液を用いた緩衝液交換後の尿試料に対し滴定を実施した。緩衝液交換は、Zeba(商標)7kDa MWCOスピン脱塩カラムを使用し、製造業者のプロトコルに従って遂行した。希釈系列は、対照尿試料及び緩衝液交換尿試料の両方において、4、8.1、16.3、32.5、65、及び130μg/mLの総タンパク質とした。対照試料及び緩衝液交換試料の各々中の2,298のアナライトを、実施例3で概説されるように、アプタマーベースアッセイで個別に測定した。
【0377】
2つのアナライト(ALDOA及びANXA4)に対する総タンパク質滴定系列におけるアプタマーベースアッセイの結果を図6に示す。緩衝液交換された尿試料(図6で「脱塩」として示される)及び緩衝液交換されない尿試料をプロットし、x軸を試料の総タンパク質濃度とし、y軸をLog10RFU値(試料中のタンパク質の相対レベルの代替物)とした。図6は、アプタマーベースアッセイでアナライトを測定する前に尿試料の緩衝液交換を実施することにより、(とりわけ総タンパク質が約16μg/mL超の場合)アナライトの線形範囲が拡大したことを示している。
【0378】
試験した他のアナライトも同様の結果を示した。これらのデータは、総タンパク質濃度が高いこと(これは、おそらく尿含量が高いこと(試料が希薄でないこと)を示し、よってアッセイ「妨害物質」(例えば、尿塩)の濃度が高いことを示す)が、アッセイでのアナライト測定値に影響を及ぼしたことを示している。さらに、これらのデータは、試料中のアナライトのレベルをアッセイする前に、尿試料に対し緩衝液交換を実施することにより、尿試料中の特定のアナライトを一貫して再現可能に測定する能力に対しこのような「妨害物質」が及ぼす影響が軽減されたことを示している。
【0379】
したがって、アプタマーベースアッセイでアナライトのレベルを測定する前に尿試料の緩衝液交換を行うことにより、とりわけタンパク質濃度が約16μg/mL超(例えば、ALDOAタンパク質)及び32μg/mL超(例えば、ANXA4タンパク質)の尿試料において、尿の「妨害物質」の影響が軽減された。
【0380】
実施例5:尿試料の緩衝液交換及び総タンパク質濃度標準化の組合せ
この実施例は、尿試料に緩衝液交換及び総タンパク質濃度標準化の適用を組み合わせることで、アナライト測定の再現性及び試料中のアナライトの数が改善されることを示すものである。これにより、バイオマーカー発見を実施する能力が増大し、プロテオミクスアッセイによる尿試料を用いた個体への診断または予後タイプアッセイがもたらされる。
【0381】
滴定実験を実施して、最も多数の線形範囲を有するアナライトをもたらす緩衝液交換された尿試料の総タンパク質濃度を定量した。ヒトのドナーからの11例の尿試料を、2mLのZebaスピン脱塩カラム(400μL尿装填)を用いてSB17緩衝液に緩衝液交換した。80%の「尿」で開始する系列2倍希釈によって滴定を実施し、その間オリゴヌクレオチド競合物質(Z-ブロック)濃度を5μMに維持した。各試料についての滴定曲線を適合させ、NanoOrange(登録商標)によって測定された総タンパク質空間における線形範囲内のアナライトの数、そして線形範囲より上下にあるアナライトを計算しプロットした。
【0382】
図7は、線形範囲内、線形範囲より上、及び線形範囲より下にあるアナライトの数を示している。X軸は、試料の総タンパク質濃度(約0μg/mL~約50μg/mLの範囲)を表し、図7Aの場合、Y軸は測定されたアナライトの数であり、図7Bの場合、同じデータがプロットされているが、Y軸はアナライトのパーセントを示している。概して、図7のデータは、試料を約10μg/mL~50μg/mLの総タンパク質濃度に標準化し、アプタマーベースアッセイでアナライトを測定する前にアッセイ緩衝液によって緩衝液交換に供すると、アナライトの大部分が線形範囲内にとどまったことを示している。
【0383】
まとめると、本明細書に記載のデータは、総タンパク質濃度が約100μg/mLよりも有意に高い試験試料(例えば、Russell et al.“Potential of High-Affinity,Slow Off-Rate Modified Aptamer(SOMAmer)Reagents for Mycobacterium tuberculosis Proteins as Tools for Infection Models and Diagnostic Application.”J.Clin.Microbiol.55(10):3072-3088(2017)に記載されているもの)が、総タンパク質濃度が60μg/mL以下の試験試料よりも、線形範囲内のアナライトの数が低減していることを示している。
【0384】
実施例6:尿試料の総タンパク質を測定するためのBCAアッセイの使用
マイクロBCA(商標)タンパク質アッセイキット(ThermoFisher、カタログ番号23235)を使用して、尿検体のタンパク質濃度を測定した。アッセイは、Tecan Fluent 780リキッドハンドリングプラットフォームを用いて半自動プロトコルで実行した。ウシ血清アルブミン(BSA)を使用してタンパク質標準物質を調製し、品質管理(QC)試料をMillipore Sigmaから商業的に購入した(カタログ番号NIST927E)。
【0385】
60mLのマイクロBCA作業試薬を、30mLの試薬A、28.8mLの試薬B、1.2mLの試薬Cを用いて調製した。タンパク質標準物質及びQC試料は、4~64μg/mLの範囲の既知の濃度を0.05倍アッセイ緩衝液で希釈することによって3連の管で調製し、管当たり500μLの最終体積とした。尿試料のpHを調整し、緩衝液交換を行い、次いで脱イオン水で20倍に希釈した。
【0386】
タンパク質標準物質及びQC試料を3連で分析し、「ブランク」緩衝液試料を2連で分析した。タンパク質濃度が未知の尿試料は単一の測定値として分析したが、各試料を4つの異なる希釈物で試験した。
【0387】
オペレーターは、Tecan Fluentリキッドハンドリングプロトコルを開始した。このプロトコルは、いくつかの試料希釈ステップを実施することと、マイクロBCA作業試薬を1:1で希釈した試料と混合することとを含んだ。自動プロトコルの完了後、オペレーターは、作業試薬と混合した試料をホイルに包み、これを37℃のインキュベーター内に2時間置いた。2時間のインキュベートが完了した後、オペレーターは試料を1,000×gで1分間遠心分離し、次いで標準物質を含めた全ての試料の吸光度を測定した。
【0388】
重み付けなしの二次適合を使用して、標準物質の吸光度を既知の濃度と相関させる較正曲線を作出した。較正曲線を使用して、QC試料及び尿試料のタンパク質濃度を計算した。結果の正確性を検証するため、2連QC試料の濃度を計算し、それらの既知の値の20%以内であることを確認した。
【0389】
実施例7:アプタマーベースアッセイと組み合わせたBCAアッセイの使用
実施例3に記載されているように、尿試料中の総タンパク質濃度は、アプタマーベースのプロテオミクスアッセイで線形範囲内にあるアナライトの数に影響を及ぼす。
【0390】
BCAアッセイで測定した尿における好ましい総タンパク質の濃度または濃度範囲を定量するため、10例の尿試料を用いた滴定系列を実質的に実施例3に記載されているように分析し、実施例6に記載されているようにBCAアッセイを用いてタンパク質濃度を測定した。推定線形範囲内でシグナルをもたらしたアプタマー(例えば、SOMAmer試薬)の数を、測定した各総タンパク質濃度値ごとにカウントした。
【0391】
図11は結果を示しており、実施例6に記載のマイクロBCAアッセイで測定したタンパク質濃度に対する線形範囲内のアプタマー(例えば、SOMAmer試薬)の数としてプロットしている。尿検査試料における最適なタンパク質濃度は、線形性カウントにさらなる増加がないと思われる最低濃度である。図11に示す結果によれば、そのポイントは100μg/mLまたはそれよりさらに高いと思われる。ただし、100μg/mLを超える濃度は、典型的にこれより低い濃度である可変性の試料で得るには実用的でない可能性がある。そのため、最適範囲を調整された試験試料に対し70~100μg/mLと判定した。
【0392】
同じデータを代替的方法で見たものを図12に示す。線形範囲内のアプタマー数を、1~150μg/mLの範囲のタンパク質濃度に対し定量した。図12Aは、試験した10例の試料の各々について、カウントのプロットをタンパク質濃度の関数として示している。図12Bは、10例全ての試料におけるこれらのカウントの平均をタンパク質濃度の関数として示している。図12Bに示すように、最大平均カウントは96μg/mLで達成されたが、約70~85μg/mL及びそれ以上のタンパク質濃度の線形範囲内でのアプタマーの数の増加は小さい。
【0393】
まとめると、これらのデータは、多くのアナライトにおいて線形範囲は約2μg/mL~約200μg/mLの範囲の総タンパク質濃度で得られ得るが、比較的「強力な」RFUシグナルと共に最も多数の線形範囲内のアナライトをもたらす好ましい総タンパク質濃度範囲は、マイクロBCAによる測定において約70μg/mL~100μg/mLであったことを示している。
図1
図2
図3
図4
図5
図6-1】
図6-2】
図7A
図7B
図8-1】
図8-2】
図8-3】
図8-4】
図8-5】
図9-1】
図9-2】
図9-3】
図10
図11
図12A
図12B