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特許7604408低寄生容量MEMS慣性センサおよび関連する方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-13
(45)【発行日】2024-12-23
(54)【発明の名称】低寄生容量MEMS慣性センサおよび関連する方法
(51)【国際特許分類】
   G01P 15/08 20060101AFI20241216BHJP
   G01P 15/125 20060101ALI20241216BHJP
【FI】
G01P15/08 101Z
G01P15/125 Z
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2021577609
(86)(22)【出願日】2020-06-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-14
(86)【国際出願番号】 US2020037837
(87)【国際公開番号】W WO2020263613
(87)【国際公開日】2020-12-30
【審査請求日】2023-04-24
(31)【優先権主張番号】16/457,865
(32)【優先日】2019-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520490417
【氏名又は名称】アナログ ディヴァイスィズ インク
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】チャールズ・ブラックマー
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー・エー・グレゴリー
(72)【発明者】
【氏名】ニコライ・ポクロフスキ
(72)【発明者】
【氏名】ブラッドリー・シー・カーンタ
【審査官】大森 努
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-043232(JP,A)
【文献】特開2012-181050(JP,A)
【文献】特開平11-218545(JP,A)
【文献】特表2012-502276(JP,A)
【文献】特開2017-156353(JP,A)
【文献】特開平06-273442(JP,A)
【文献】米国特許第05659195(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0260616(US,A1)
【文献】特開2009-147798(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01P 15/08,15/125
H01L 29/84
B81B 1/00-7/04
B81C 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
微小電気機械システム(MEMS)慣性センサであって、
第1の表面を有する基板と、
前記基板の前記第1の表面に面し、平面内に実質的に横たわる第2の表面を有する可動プルーフマスであって、前記プルーフマスの前記第2の表面が、前記平面内の境界を画定する、可動プルーフマスと、
前記第1の表面に実質的に垂直なアンカーであって、前記基板を前記プルーフマスに連結し、前記プルーフマスの前記第2の表面の前記境界内に、および前記基板の前記第1の表面と前記可動プルーフマスの前記第2の表面との間に、位置決めされている、アンカーと、
前記基板の前記第1の表面に形成されたトレンチであって、前記トレンチが、前記基板の前記第1の表面に垂直な方向に関して少なくとも3μmの厚さを有する固体誘電体材料で少なくとも部分的に充填されていて、前記トレンチが、前記方向に沿って前記プルーフマスと少なくとも部分的に重なっている、トレンチと、
前記トレンチの上に形成された電極であって、前記電極および前記プルーフマスが、前記MEMS慣性センサの加速度に応答して、前記基板に対する前記プルーフマスの運動を感知するように構成された、感知キャパシタを形成する、電極と、を備え、
前記トレンチが、複数の固体誘電体材料のカラムを備え、
前記複数の固体誘電体材料のカラムが、前記トレンチ内に形成された複数の半導体材料のカラムと交互に配置され、または前記トレンチ内の複数の間隙と交互に配置されている、MEMS慣性センサ。
【請求項2】
前記トレンチが、実質的に垂直な側壁を有する、請求項1に記載のMEMS慣性センサ。
【請求項3】
前記トレンチが、前記方向に関して、1μm~20μmの厚さを有する、請求項1に記載のMEMS慣性センサ。
【請求項4】
前記電極が、前記固体誘電体材料上に配置される、請求項1に記載のMEMS慣性センサ。
【請求項5】
前記電極が、前記プルーフマスと前記トレンチとの間に、前記方向に沿って配置されている、請求項1に記載のMEMS慣性センサ。
【請求項6】
前記基板の前記第1の表面上に形成された誘電体層をさらに備え、前記トレンチ内の前記固体誘電体材料が前記方向に沿って前記誘電体層よりも厚い、請求項1に記載のMEMS慣性センサ。
【請求項7】
前記感知キャパシタが、前記MEMS慣性センサの前記加速度に応答して、前記基板に対する前記プルーフマスの平面外運動を感知するように構成されている、請求項1に記載のMEMS慣性センサ。
【請求項8】
微小電気機械システム(MEMS)慣性センサであって、
第1の表面を有する基板と、
前記基板に連結されたプルーフマスと、
前記基板内に形成されたトレンチと、
前記基板の前記第1の表面上に配置された誘電体層と、
前記トレンチ内に配置され、前記誘電体層に物理的に接触する固体誘電体材料領域であって、前記固体誘電体材料領域が、前記基板の前記第1の表面に垂直な方向に関して前記誘電体層よりも厚く、前記固体誘電体材料が、前記方向に関して少なくとも3μmの厚さを有する、固体誘電体材料領域と、
前記トレンチの上に形成された電極であって、前記電極および前記プルーフマスが、前記MEMS慣性センサの加速度に応答して、前記基板に対する前記プルーフマスの運動を感知するように構成された、感知キャパシタを形成する、電極と、を備え、
前記固体誘電体材料領域が、前記トレンチ内に形成された複数の固体誘電体材料のカラムを含み、
前記複数の固体誘電体材料のカラムが、前記トレンチ内に形成された複数の半導体材料のカラムと交互に配置され、または前記トレンチ内の複数の間隙と交互に配置されている、MEMS慣性センサ。
【請求項9】
前記トレンチが、実質的に垂直な側壁を有する、請求項8に記載のMEMS慣性センサ。
【請求項10】
前記トレンチが、前記方向に関して、2μm~20μmの厚さを有する、請求項8に記載のMEMS慣性センサ。
【請求項11】
前記電極が前記誘電体層上に配置されている、請求項8に記載のMEMS慣性センサ。
【請求項12】
前記電極が、前記方向に沿って前記プルーフマスと前記トレンチとの間に配置されている、請求項8に記載のMEMS慣性センサ。
【請求項13】
前記誘電体層および前記固体誘電体材料領域が、共通の誘電体材料を含む、請求項8に記載のMEMS慣性センサ。
【請求項14】
微小電気機械システム(MEMS)慣性センサを製造するための方法であって、
複数の間隙によって互いに間隔をあけられた複数の半導体材料のカラムを形成するために基板をエッチングすることと、
前記間隙の少なくとも一部を酸化物材料で充填するために前記複数の半導体材料のカラムを酸化させることと、
前記酸化物材料の上に電極を形成することと、
前記基板の上方に懸架されたプルーフマスを形成することと、を含み、
前記複数の半導体材料のカラムを酸化させることが、前記間隙少なくとも一部を前記酸化物材料で充填するために前記複数の半導体材料のカラムを酸化させることを含み、
酸化された前記複数の半導体材料のカラムが、前記複数の半導体材料のカラムと交互に配置され、または充填後に残存する前記間隙と交互に配置されている、方法。
【請求項15】
前記基板をエッチングして、前記複数の半導体材料のカラムを形成することが、深い反応性イオンエッチングを実行することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記基板をエッチングして前記複数の半導体材料のカラムを形成することが、前記基板をエッチングして、2μm~20μmの高さを有する前記複数の半導体材料のカラムを形成することを含む、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2019年6月28日に代理人整理番号G0766.70275US00の下で出願された、「LOW-PARASITIC CAPACITANCE MEMS INERTIAL SENSORS AND RELATED METHODS」と題された、米国特許出願第16/457,865号の利益を米国特許法第120条の下で継続的に主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本出願に記載される技術は、加速度計およびジャイロスコープなどの微小電気機械システム(MEMS)慣性センサに関する。
【背景技術】
【0003】
慣性センサは、運動、力、角速度、および/または他の量を測定し、報告する電子デバイスである。慣性センサの例は、ジャイロスコープおよび加速度計を含む。MEMSジャイロスコープは、ジャイロスコープの共振する質量が角運動を受けるときに生じるコリオリ力によって生成される加速度を感知することによって角運動を検出する。MEMS加速度計は、直線加速度および/または角加速度を検出する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本出願の一態様によれば、低減された寄生容量を示す微小電気機械システム(MEMS)慣性センサが提供される。寄生容量の低減は、厚い誘電体材料の局所領域を形成することによって達成され得る。これらの局所領域は、トレンチの内側に形成され得る。トレンチの形成は、感知キャパシタと基板との間の垂直分離の増大を可能にし、それによって、この領域内の寄生容量を低減する。感知キャパシタの静止電極は、プルーフマスとトレンチとの間に配置され得る。トレンチは、誘電体材料で充填され得る。状況によっては、トレンチの一部が空気で充填され、それによって寄生容量をさらに低減し得る。これらのMEMS慣性センサは、他の種類の慣性センサの中でも、加速度計および/またはジャイロスコープとして機能し得る。これらのトレンチの製造は、横方向の酸化を伴う場合があり、それによって半導体材料のカラムが酸化される。
【0005】
本出願の別の態様による、MEMS慣性センサが提供される。MEMS慣性センサは、基板と、基板に連結されたプルーフマスと、基板内に形成されたトレンチであって、トレンチが誘電体材料で少なくとも部分的に充填され、トレンチが基板の第1の表面に垂直な方向に沿ってプルーフマスと少なくとも部分的に重なる、トレンチと、トレンチの上に形成された電極であって、電極およびプルーフマスが、MEMS慣性センサの加速度に応答して、基板に対するプルーフマスの運動を感知するように構成された感知キャパシタを形成する、電極と、を備え得る。
【0006】
本出願の別の態様による、MEMS慣性センサが提供される。MEMS慣性センサは、第1の表面を有する基板と、基板に連結されたプルーフマスと、基板に形成されたトレンチと、基板の第1の表面上に配置された誘電体層と、トレンチ内に配置された誘電体材料領域であって、誘電体材料領域が、基板の第1の表面に垂直な方向に関して誘電体層よりも厚い、誘電体材料領域と、トレンチの上方に形成された電極と、を備え得る。
【0007】
本出願の別の態様による、MEMS慣性センサを製造するための方法が提供される。方法は、第1の間隙を含む複数の間隙によって互いに間隔を置かれた半導体材料の複数のカラムを形成するために基板をエッチングすることと、第1の間隙の少なくとも一部を酸化物材料で充填するために半導体材料の複数のカラムを酸化させることと、酸化物材料の上に電極を形成することと、基板の上方に懸架されたプルーフマスを形成することと、を含み得る。
【0008】
本出願の様々な態様および実施形態は、以下の図を参照して説明される。図は必ずしも一定の縮尺で描かれていないことを理解されたい。複数の図に見られるアイテムは、それらが見られるすべての図において同じ参照番号によって示されている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、いくつかの限定されない実施形態による、MEMS慣性センサの例を示す模式図である。
図2図2は、いくつかの限定されない実施形態による、基板内に形成されたトレンチを有するMEMS慣性センサの例を示す模式図である。
図3図3は、いくつかの限定されない実施形態による、図2のMEMS慣性センサの一部をさらに詳細に示す模式図である。
図4A図4Aは、いくつかの限定されない実施形態による、MEMS慣性センサを製造するプロセスの例を集合的に示す模式図である。
図4B図4Bは、いくつかの限定されない実施形態による、MEMS慣性センサを製造するプロセスの例を集合的に示す模式図である。
図4C図4Cは、いくつかの限定されない実施形態による、MEMS慣性センサを製造するプロセスの例を集合的に示す模式図である。
図4D図4Dは、いくつかの限定されない実施形態による、MEMS慣性センサを製造するプロセスの例を集合的に示す模式図である。
図4E図4Eは、いくつかの限定されない実施形態による、MEMS慣性センサを製造するプロセスの例を集合的に示す模式図である。
図4F図4Fは、いくつかの限定されない実施形態による、MEMS慣性センサを製造するプロセスの例を集合的に示す模式図である。
図5図5は、いくつかの限定されない実施形態による、半導体材料の複数のカラムを有するトレンチを有する慣性センサの例を示す模式図である。
図6図6は、いくつかの限定されない実施形態による、MEMS慣性センサを含むシステムの例を示すブロック図である。
図7図7は、いくつかの限定されない実施形態による、図6のシステムを含む乗用車を示す模式図である。
図8図8は、いくつかの限定されない実施形態による、図6のシステムを含むスマートフォンを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
出願人は、特定の慣性センサが加速度または回転速度などの物理量を検出する感度は、寄生容量の存在により発生するノイズによって悪影響を受け得ることを認識してきた。慣性センサの感度に対する寄生容量の影響は、感知キャパシタに依拠して測定量を検出する慣性センサにおいて特に有害である。これらの慣性センサでは、実際に、寄生容量によって拾われるノイズは、測定量(例えば、加速度または回転速度)に応答して感知キャパシタによって生成される電気信号とある程度区別できない。その結果、慣性センサは、測定量に対して感度が低く、そのためその有用性が制限される。
【0011】
出願人は、特定の慣性センサでは、感知キャパシタの下に基板が存在することにより、寄生容量が生じ得ることを認識してきた。特に、寄生容量は、感知キャパシタと基板との間の領域で生じる。この領域は、ときには、基板の上面上に堆積された誘電体材料の薄層によって占められる。寄生容量の例は、「裏面容量」および「基板容量」を含む。
【0012】
本出願の態様は、厚い誘電体材料の局所領域を形成することによって、寄生容量が低減される、MEMS慣性センサに関する。いくつかの実施形態では、厚い誘電体材料のそのような局所領域は、感知キャパシタと下層の基板との間に形成される。
【0013】
いくつかの実施形態では、厚い誘電体材料の局在領域は、感知キャパシタの下方で基板内に形成されたトレンチ内部に形成される。出願人は、感知キャパシタの下方の基板内にトレンチが存在することが、基板と感知キャパシタとの間の垂直分離を効果的に増大させ、容量の低減をもたらすことを認識してきた。これらのトレンチは、誘電体材料で部分的にまたは完全に充填され得る。例えば、半導体基板(例えば、シリコン)上に形成される慣性センサでは、トレンチは、他の例の中でも、酸化シリコンもしくは他の種類の酸化物、または窒化シリコンで充填され得る。他の実施形態では、トレンチは、空気で充填され得、その誘電率は、誘電体材料の誘電率よりも低く、したがって寄生容量をさらに低減する。
【0014】
出願人は、誘電体材料が半導体基板上で成長させられる比較的遅い速度に起因する、厚い誘電体材料の局所領域の形成に関連する1つの課題を認識してきた。例えば、100の方向に沿ったシリコンの酸化を考えると、0.4μm厚の酸化シリコン層を得るには1200℃で約4時間かかる。この速度では、センサの寄生容量を許容可能なレベルまで減少させるために、十分に厚い酸化シリコン層を成長させるのに過度に長い時間がかかる場合がある。このアプローチは、製造リードタイムを増加させ、その結果、製造コストを増加させるため、実行不可能である。
【0015】
本出願の態様は、寄生容量を低減するように設計されたMEMS慣性センサに関するが、同時にリードタイムおよび製造コストを含む。厚い誘電体材料の領域が形成される速度を増加させるために、いくつかの実施形態では、トレンチは、その中に誘電体材料が形成されるとき、成長が少なくとも部分的に横方向に生じるように設計される。以下でさらに詳細に説明するように、誘電体材料を横方向に沿って成長させることは、トレンチが(完全にまたは部分的に)充填される速度を高速化することができる。
【0016】
いくつかの実施形態では、横方向の誘電体の成長は、半導体材料の複数のカラムを基板内に形成することによって、およびカラムを酸化(部分的または完全に)させることによって、達成され得る。このようにして、酸化はカラム間の間隙内で横方向に進行する。半導体材料のカラムが互いに十分に近い位置に配置されている場合、誘電体材料が間隙を閉じる前に移動しなければならない距離は短く、それによって厚い誘電体材料の領域を形成するために必要な時間を短縮する。
【0017】
図1は、いくつかの限定されない実施形態による、MEMS慣性センサの例を示す模式図である。慣性センサ100は、基板101上に形成され、プルーフマス102、アンカー104、誘電体層106、ならびに電極108および110を含む。
【0018】
基板101は、限定されないが、シリコンまたは他の半導体材料を含む、任意の好適な材料から作成され得る。プルーフマス102は、材料の中でもとりわけ、ドープされていないシリコン、ポリシリコン、ドープされたシリコン、またはこれらの組み合わせから作成され得る。プルーフマス102は、導電性であってもよく、または少なくとも導電性部分を有してもよい。例えば、基板101に面するプルーフマス102の表面は、導電性であってもよい。いくつかの実施形態では、プルーフマス102は、導電性シェル(例えば、ドープされたシリコン、アルミニウム、または銅)を有する誘電体材料(またはドープされていないシリコン)などの材料の混合物を含み得る。アンカー104は、プルーフマス102と同じ材料、または異なる材料から作成され得る。アンカー104は、プルーフマス102を基板101に連結する。アンカー104は、(図1に示すように)基板101上の垂直ポストとして形成され得るか、またはプルーフマス102が取り付けられたフレームの一部であり得る。
【0019】
誘電体層106は、限定されないが、酸化シリコンもしくは他の種類の酸化物、窒化シリコン、またはこれらの組み合わせを含む任意の好適な誘電体材料から作成され得る。電極108および110は、とりわけ、銅およびアルミニウムを含む任意の導電性材料から作成され得る。導電性トレース(図1には示されていない)は、MEMS慣性センサ100と基板101上に形成された他の電子回路との間の電気信号をルーティングするために使用され得る。電極108および110と同様に、導電性トレースは、誘電体層106の上に堆積され得る。導電性トレースは、基板101以外のチップ上に形成された電子回路にワイヤボンディングされ得る接合パッドにルーティングされ得る。しかしながら、いくつかの実施形態では、そのような電子回路は、基板101上に形成され得る。
【0020】
図1に示すように、誘電体層106は、基板101の上面120上に形成される。この例では、上面120はxy平面内にあるが、すべての実施形態がこの配置に限定されるわけではない。
【0021】
MEMS慣性センサ100は、他の種類の慣性センサの中でも、加速度計もしくは少なくとも加速度計の一部として、および/またはジャイロスコープもしくは少なくともジャイロスコープの一部として機能し得る。例えば、慣性センサ100は、プルーフマス102が平面外に傾く(例えば、図1の例のxy平面内にあるプルーフマス102の上面によって画定される平面から傾く)程度を感知することによって、z軸に沿って向けられた加速度を感知し得る。Z軸加速度は、例えば、コリオリ力またはより単純なz軸に沿った慣性センサの運動を含む、様々な考えられる原因に応答して生じ得る。プルーフマスが平面外に傾く程度は、1つ以上の感知キャパシタの容量が変化する程度を感知することによって感知することができる。図1の例では、感知キャパシタCS1およびCS2は、この目的のために使用され得る。
【0022】
キャパシタCS1は、電極108とプルーフマス102との間に形成され、キャパシタCS2は、電極110とプルーフマス102との間に形成される。電極108および110は、静止している(例えば、基板101とともに堅固に動くように制約されている)一方、プルーフマス102は、基板101に対して自由に動くことができる。図1の例では、キャパシタCS1およびCS2は、プルーフマス102の平面外の運動を差動的に感知するように構成されている。例えば、プルーフマス102がxz平面内で時計回りに傾くと、プルーフマス102と電極110との間の分離が減少し、したがって、感知キャパシタCS2の容量が増加し、プルーフマス102と電極108との間の分離が増加し、したがって、感知キャパシタCS1の容量が減少する。同様に、プルーフマス102がxz平面内で反時計回りに傾くと、プルーフマス102と電極110との間の分離が増加し、したがって、感知キャパシタCS2の容量が減少し、プルーフマス102と電極108との間の分離が減少し、したがって、感知キャパシタCS1の容量が増加する。いくつかの実施形態では、感知キャパシタCS1およびCS2の容量は、それぞれの電極とプルーフマス102との間の分離の観点から表現され得る。例えば、CS1の容量は、CS1=εε/dの式で表すことができ、ここで、εは真空誘電率、εはキャパシタCS1の端子間の材料の比誘電率、AはキャパシタCS1の面積、dは電極108とプルーフマス102との間の分離である。同様の式はCS2にも適用される。
【0023】
図1にさらに示すように、寄生容量は、感知キャパシタと下層の基板101との間の誘電体層106を通して形成される。例えば、寄生容量Cp1は、電極108と基板101との間に生じ、寄生容量Cp2は、電極110と基板101との間に生じる。したがって、電極108および基板101は容量Cp1の端子とみなされ得、電極110および基板101は容量Cp2の端子とみなされ得る。これらの寄生容量は、感知キャパシタCS1およびCS2によって生成された信号を受信する検出回路(図1には示されていない)のノイズに寄与する。このノイズは、慣性センサが加速度または回転速度を正確に感知する能力に悪影響を及ぼし得るいくつかの実施形態では、実際に、検出回路に存在するノイズは、以下の量に比例する。(Csense+Cparasitic+Crouting+Camp)/(Csense)、ここで、Csenseは感知キャパシタの全体的な容量を表し、Cparasiticは全体的な寄生容量を表し、Croutingは導電性トレースに関連する全体的な容量を表し、Campは検出回路の増幅段階の入力容量を表す。このように、寄生容量の存在は、検出回路におけるノイズに直接影響を与える。
【0024】
寄生容量は、その端子間の分離および端子間の材料の誘電率で表現され得る。例えば、Cp1の容量は、Cp1=εε/dの式で表すことができ、ここで、εは、キャパシタの端子間の材料の比誘電率であり、Aは、キャパシタの面積であり、dは、端子間の分離である。
【0025】
本出願の態様は、寄生容量のためにMEMS慣性センサの検出回路に存在するノイズを低減するための技術に関する。いくつかの実施形態では、図1に示される寄生容量は、その端子間の分離を増大させることによって低減され得る。例えば、いくつかの実施形態では、寄生容量は、基板内にトレンチを形成することによって、およびトレンチを誘電体材料または空気で部分的にまたは完全に充填することによって低減され得る。
【0026】
いくつかの限定されない実施形態による、そのような構成の例が、図2に示されている。MEMS慣性センサ100と同様に、MEMS慣性センサ200が、基板101上に形成され、プルーフマス102、アンカー104、誘電体層106、ならびに電極108および110を含む。MEMS慣性センサ200は、電極108および110の下方の基板内に形成されたトレンチ208および210をさらに含む。
【0027】
MEMS慣性センサ100と同様に、MEMS慣性センサ200は、他の種類の慣性センサの中でも、加速度計もしくは少なくとも加速度計の一部として、および/またはジャイロスコープもしくは少なくともジャイロスコープの一部として機能し得る。例えば、慣性センサ200は、z軸に沿って向けられた加速度を感知し得るが、本出願の態様は、平面内加速度を検出するように構成された慣性センサにも適用され得るため、この点で限定されない。
【0028】
いくつかの実施形態では、図2に示されるように、トレンチは、z軸に沿ってプルーフマス102と少なくとも部分的に重なり得る。その結果、トレンチの少なくとも一部はプルーフマス102の下にある。いくつかの実施形態では、電極は、プルーフマス102と、z軸に沿った対応するトレンチとの間に配置され得る。例えば、図2に示すように、電極108は、プルーフマス102とトレンチ208との間に配置される。
【0029】
図3に関連して以下で詳細に説明するように、トレンチ208および210は、Cp1およびCp2に対してMEMS慣性センサの寄生容量を低減するように配置される(図1を参照のこと)。トレンチ208および210は、機械的安定性を提供するために誘電体材料で部分的または完全に充填され得るか、または空気で充填され得る。例えば、いくつかの実施形態では、基板101は、シリコンから作成され得、トレンチは、酸化シリコンで充填され得る。図1の配置に対して、図2の配置は、基板と感知電極との間の垂直分離(z軸における)を効果的に増加させ、したがって寄生容量を減少させる。トレンチ208および210を充填する誘電体材料は、誘電体層106で使用されるのと同じ材料(例えば、酸化シリコン)であり得るか、または異なる材料であり得る。
【0030】
いくつかの実施形態では、トレンチ208および210の一部は、空気で充填され得る。空気は約1の比誘電率を有するため、トレンチの一部を空気で充填することは、寄生容量のさらなる低減につながり得る。
【0031】
いくつかの実施形態では、本明細書で説明される種類のトレンチは、MEMS慣性センサ200と他の電子回路との間の電気信号をルーティングするために使用される導電性トレース(図2には示されない)の下方で基板内に形成され、したがって、そのような導電性トレースに関連付けられる寄生容量を低減し得る。トレンチ208および210と同様に、これらのトレンチは、少なくとも誘電体材料のうちの1つで、または空気で、部分的または完全に充填され得る。
【0032】
図3は、いくつかの限定されない実施形態による、図2のMEMS慣性センサの一部をさらに詳細に示す模式図である。特に、図3は、トレンチ208をさらに詳細に示す。図3に示されていないトレンチ210は、図3に関連して説明されるものと同様の特徴を有し得る。いくつかの実施形態では、トレンチ208は、側壁302および304によってxy平面内で境界を定め得る。いくつかの実施形態では、側壁302および304は、実質的に垂直であり得る(例えば、z軸に対して平行である、またはz軸に対して5°以下で角度的にオフセットしている)。実質的に垂直な側壁は、例えば、反応イオンエッチング(RIE)を含む異方性エッチングプロセスで基板をエッチングすることによって取得され得る。異方性エッチング技術の使用は、等方性エッチング技術によって形成される他の種類の凹部よりも深いトレンチの形成を可能にする。いくつかの実施形態では、深いトレンチを有することが望ましく、なぜなら寄生容量の端子間のより大きな分離をもたらし、結果として、より低い容量をもたらすからである。しかしながら、いくつかの実施形態では、等方性エッチング技術が、本明細書に記載の種類の1つ以上のトレンチの形成のために使用され得ることを理解されたい。しかしながら、本出願が実質的に垂直な側壁に限定されないので、側壁302および304は、z軸に対して任意の好適な量の角度を付けられ得ることを理解されたい。いくつかの実施形態では、例えば、側壁がトレンチの底部で収束する三角形として形作られたトレンチが使用され得る。
【0033】
いくつかの実施形態では、トレンチ208は、誘電体材料で部分的に、または完全に充填され得る。トレンチ内の誘電体材料は、誘電体層106よりも(z軸に沿って)厚くてもよい。図3において、誘電体層106の厚さ(t)およびトレンチ208の厚さ(t)は、基板101の上面120に対して画定される。厚さtおよびtは、z軸に関して参照される。比t/tは、1.5~100、1.5~50、1.5~25、1.5~10、1.5~5、2~100、2~50、2~25、2~10、2~5、5~100、5~50、5~25、5~10であり得る。他の比率も可能である。
【0034】
厚さtは、0.1μm~5μm、0.5μm~5μm、1μm~5μm、2μm~5μm、3μm~5μm、4μm~5μm、0.1μm~3μm、0.5μm~3μm、1μm~3μm、2μm~3μm、0.1μm~2μm、0.5μm~2μm、1μm~2μm、0.1μm~1.5μm、0.5μm~1.5μm、1μm~1.5μm、0.1μm~1μm、0.5μm~1μm、0.1μm~0.5μm、0.5μm~0.5μm、0.5μm~1μm、0.5μm~1μm、0.5μm~1μmであり得る。このような範囲外の他の範囲も可能である。いくつかの実施形態では、誘電体層106は存在しない(t=0のように)場合がある。
【0035】
厚さtは、1μm~20μm、2.5μm~20μm、5μm~20μm、7.5μm~20μm、10μm~20μm、15μm~20μm、1μm~10μm、2.5μm~10μm、5μm~10μm、7.5μm~10μm、1μm~8μm、2μm~8μm、4μm~8μm、6μm~8μm、1μm~6μm、2μm~6μm、6μm~8μm、1μm~4μm、2μm~4μmであり得る。付加的に、または別法として、厚さtは、20μmより大きく、50μmより大きく、100μmより大きく、300μmより大きく、500μmより大きく、700μmより大きいが、基板101の全体の厚さより小さい場合がある。このような範囲外の他の範囲も可能である。
【0036】
x軸およびy軸におけるトレンチ208(w)の幅は、1μm~400μm、25μm~400μm、50μm~400μm、75μm~400μm、100μm~400μm、150μm~400μm、1μm~200μm、25μm~200μm、50μm~200μm、75μm~200μm、1μm~100μm、20μm~100μm、40μm~100μm、60μm~100μm、1μm~50μm、20μm~50μm、30μm~50μm、1μm~10μm、5μm~10μmであり得る。このような範囲外の他の範囲も可能である。x軸におけるトレンチ208の幅は、y軸におけるトレンチ208の幅と等しくてもよく、または異なっていてもよい。
【0037】
図3の例では、電極108と基板101との間のz軸に沿った分離は、t+tであり、これは、図1の電極108と上面120との間の分離よりもtに等しい量だけ大きい。その結果、寄生容量CPTは寄生容量Cp1よりも小さい。電極108に関連付けられる寄生容量の低減は、検出回路に存在するノイズの減少をもたらし、したがって、MEMS慣性センサ200の、検出される量(例えば、運動の加速度および/または角速度)に対する感度の増加をもたらす。
【0038】
いくつかの実施形態では、容量を著しく減少させるために、非常に深い(例えば、tが3μmより大きい)トレンチ208を形成することが望ましい場合がある。しかしながら、出願人は、厚い誘電体材料の局所領域を形成することは、誘電体材料の比較的遅い成長速度のために困難であり得ることを認識してきた。
【0039】
出願人は、製造プロセス中に誘電体材料が横方向に成長することを可能にすることによって、厚い誘電体材料の局所領域(トレンチ208の内部のものと同様の)を形成するために必要な時間が、実質的に削減され得ることを認識してきた。いくつかの実施形態では、基板内に半導体材料の複数のカラムを形成することによって、および半導体材料のカラムを酸化(部分的または完全に)させることによって、横方向の誘電体成長が達成され得る。いくつかの限定されない実施形態による、このような製造プロセスの例が、図4A図4Fに示されている。これらのステップのいくつか(またはすべて)の順序は、必要に応じて変更され得るので、本明細書に記載の種類の製造プロセスは、図4A図4Fの順序に限定されないことを理解されたい。
【0040】
図4Aに示すように、基板101が提供される。基板101は、例えば、シリコン(ドープされたまたはドープされていない)、またはポリシリコンを含む、任意の好適な半導体材料から作成され得る。
【0041】
図4Bの製造ステップでは、基板101に半導体材料の複数のカラム402が形成されている。カラム402は、z軸に沿って細長くてもよい。カラム402は、とりわけ、円筒形および矩形を含む、任意の好適な形状を有し得る。カラム402の形状は、規則的であり得る(幅Wがz軸に沿って一定であるように)か、または不規則であり得る(幅Wがz軸に沿って変化するように)。カラム402は、間隙404によって互いに分離され得る。いくつかの実施形態では、間隙404は、空気で充填され得る。間隙404の形状は、規則的であり得る(幅Wがz軸に沿って一定であるように)か、または不規則であり得る(幅Wがz軸に沿って変化するように)。いくつかの実施形態では、間隙404およびカラム402は、(フォトリソグラフィ技術を使用して)基板101を選択的にエッチングすることによって形成され得る。選択的エッチングは、RIEなどの異方性エッチングを含み得る。間隙404は、上面120に対するz軸でのtに等しい深さを有し得る(図3を参照)。
【0042】
幅Wは、0.1μm~5μm、0.1μm~3μm、0.1μm~2μm、0.1μm~1μm、0.5μm~2μm、0.5μm~1μmであり得る。このような範囲外の他の範囲も可能である。
【0043】
幅Wは、0.1μm~5μm、0.5μm~3μm、0.1μm~2μm、0.1μm~1μm、0.5μm~2μm、0.5μm~1μmであり得る。このような範囲外の他の範囲も可能である。
【0044】
図4Cの製造ステップでは、誘電体材料406が形成されている。誘電体材料406は、例えば、パターン化された基板101を酸化させることによって、形成され得る。エッチング領域の外側、およびカラム402の上部では、酸化は、垂直方向に(z軸に沿って)生じ得る。加えて、(x軸および/またはy軸に沿った)横方向の酸化が、間隙404内で生じ得る。横方向の酸化は、カラム402の側壁の酸化により生じ得る。酸化物が横方向に前進するにつれて、カラム402および間隙404の幅WおよびWが減少する。これは、酸化物が、カラムの側壁からカラムの中心に向かって(したがって、カラムの一部を消費する)、およびカラムの側壁からカラムの中心から離れて(したがって、間隙の一部を消費する)、2つの方向に前進するからである。いくつかの実施形態では、酸化は、図4Dに示されるように、各カラム402の全体および各間隙404の全体が酸化シリコンによって消費されるまで進行し得る。しかしながら、他の実施形態では、1つ以上の間隙404の一部および/または1つ以上のカラム402の一部は、未酸化のままであり得る。この概要が図5に例示され、間隙404が幅Wに達し、カラム402が幅Wに達し、酸化領域が幅Wに達したときに、酸化が停止される。いくつかの実施形態では、領域全体が酸化物で消費される前に酸化を停止することは、空気の存在が寄生容量をさらに低減するように使用され得る。いくつかの実施形態では、例えば、間隙404およびカラム402の厚さは、カラムの全体が酸化物によって消費されたときに、未酸化のままの残存間隙が依然として存在するように選択され得る。
【0045】
異なる製造技術が、誘電体層406を形成するために使用され得る。例えば、いくつかの実施形態では、誘電体層は、熱酸化(ドライまたはウェット雰囲気での)、プラズマ促進化学蒸着(PECVD)(例えば、前駆体としてオルトケイ酸テトラエチル(TEOS)を使用する)、およびシリコンの硝酸酸化(NAOS)によって形成され得る。これらの中で、熱酸化物は、酸化プロセスに伴う高温を考慮すると、より低いレベルの機械的応力につながるが、リードタイムが長くなり得る。
【0046】
いくつかの実施形態では、図3のトレンチ内の誘電体層106および誘電体材料は、図4Cの製造ステップの一部として同時に形成され得ることを理解されたい。しかしながら、他の実施形態では、図3のトレンチ内の誘電体層106および誘電体材料は、別個に形成され得る。
【0047】
任意選択で、図4Dの製造ステップでは、誘電体材料の上面を平坦化するために平坦化が実行され得る。考えられる平坦化技術は、化学的機械研磨(CMP)、熱リフロー、および追加の誘電体層の堆積を含む。
【0048】
図4Eの製造ステップでは、電極108が形成される。いくつかの実施形態では、電極108は、電極108がz軸に沿って厚い誘電体材料と重なるように、厚い誘電体材料の領域の上に形成される。図2に示すように、電極108は、感知キャパシタの端子として機能し得る。いくつかの実施形態では、導電性トレース(図4Eには示されていない)もまた、図4Eの製造ステップでパターン化される。
【0049】
図4Fの製造ステップでは、アンカー104およびプルーフマス102が形成される。いくつかの実施形態では、プルーフマス102の形成は、犠牲層の形成および剥離を伴う。プルーフマス102は、z軸に沿って、厚い誘電体材料の領域と重なり、電極108と重なるように形成され得る。
【0050】
本明細書に記載の種類のMEMS慣性センサは、1つ、2つ、または3つの方向での加速度を感知するための加速度計として使用され得る。付加的に、または別法として、本明細書に記載の種類のMEMS慣性センサは、1つ、2つ、または3つの方向を中心とした運動の角速度を感知するためのジャイロスコープとして使用され得る。これらの種類のジャイロスコープは、ピッチおよび/またはロールおよび/またはヨーレートを感知するように構成され得る。ジャイロスコープとして使用される場合、本明細書に記載の種類のMEMS慣性センサは、共振体の振動をもたらすための回路と連結され得る。共振体は、プルーフマス102自体、またはMEMS慣性センサの他の部分であり得る。
【0051】
上述のように、検出回路は、感知キャパシタに連結され得、これらのキャパシタの容量の変動を感知するように構成され得る。いくつかの実施形態では、検出回路は、基板101上に配置され得る。他の実施形態では、検出回路は、基板101に接合され得る(例えば、ワイヤボンディングまたはフリップチップボンディングされる)別個の基板上に配置され得る。これらの基板は、共通の筐体内にパッケージングされてもされなくてもよい。
【0052】
図6は、MEMS慣性センサ602、電源ユニット604、検出回路606、および入力/出力(I/O)インターフェース608を含むシステム600を示すブロック図である。MEMS慣性センサ602は、例えば、MEMS慣性センサ200を備えてもよく、任意選択で、図4A図4Fのステップに従って製造されてもよい。MEMS慣性センサは、例えば、運動の加速度および/または角速度を感知するように構成され得る。
【0053】
システム600は、有線接続を介して、または無線で、感知された加速度および/または角速度を表すデータを、コンピュータ、スマートフォン、タブレット、スマートウォッチ、スマートグラス、または任意の他の好適な受信デバイスなどの外部監視システムに、周期的に送信し得る。I/Oインターフェース608は、Wi-Fi、Bluetooth、Bluetooth Low Energy(BLE)、Zigbee、Thered、ANT、ANT+、IEE802.15.4、IEE802.11.ah、または任意の他の好適な無線通信プロトコルを介してデータを送信および/または受信するように構成され得る。別法としては、または付加的に、I/Oインターフェース608は、独自の接続プロトコルを使用してデータを送信および/または受信するように構成され得る。I/Oインターフェース608は、マイクロストリップアンテナなどの1つ以上のアンテナを含み得る。いくつかの実施形態では、I/Oインターフェース608は、ケーブルに接続され得、ケーブルを通して信号を送信および/または受信するように構成され得る。
【0054】
システム600は、電源ユニット604を使用して電源供給され得る。電源ユニット604は、検出回路606、I/Oインターフェース608、MEMS慣性センサ602、またはそれらの任意の好適な組み合わせに電力供給するように構成され得る。いくつかの実施形態では、電源ユニット604は、1つ以上の電池を含み得る。システム600は、少なくともいくつかの実施形態では、電池の電力のみに基づいて長期間その動作を可能にするのに十分に少ない電力を消費し得る。いくつかの実施形態において、1つ以上の電池は、充電可能であり得る。電源ユニット604は、1つ以上のリチウムイオン電池、リチウムポリマー(LiPo)電池、スーパーキャパシタベースの電池、アルカリ電池、アルミニウムイオン電池、水銀電池、乾電池、亜鉛炭素電池、ニッケル-カドミウム電池、グラフェン電池、または任意の他の好適な種類の電池を含み得る。いくつかの実施形態では、電源ユニット604は、AC電力をDC電力に変換する回路を含み得る。例えば、電源ユニット604は、I/Oインターフェース608を介するなどして、システム600の外部の電源からAC電力を受け取り得、システム600の一部またはすべての構成要素にDC電力を提供し得る。このような場合、電源ユニット604は、整流器、電圧レギュレータ、DC-DCコンバータ、または電力変換のための任意の他の好適な装置を含み得る。
【0055】
いくつかの実施形態では、電源ユニット604は、環境発電構成要素および/またはエネルギー貯蔵構成要素を含み得る。エネルギーは、周囲環境から採取され、必要とされるときにシステム600に電力供給するために貯蔵され得、これは、周期的、ランダム、または継続的な電力供給を含み得る。実装される環境発電構成要素の種類は、システム600の予想される環境に基づいて、例えば、考えられる考慮事項の中でもとりわけ、システム600が経験する可能性のある運動の予測される大きさおよび頻度、システムが経験する可能性のある応力の量、システムが経験する可能性のある光暴露の量、および/またはシステムが暴露される可能性のある温度に基づいて選択され得る。好適なエネルギー収集技術の例としては、熱電エネルギー収集、磁気振動収集、電気的オーバーストレス収集、太陽光発電収集、高周波収集、及び運動エネルギー収集が挙げられる。いくつかの実施形態において、エネルギー貯蔵コンポーネントは、スーパーキャパシタを含み得る。
【0056】
システム600は、とりわけ、スポーツ、ヘルスケア、消費者、軍事、および産業用途を含む、加速度および/または角速度(考えられる物理量の中でもとりわけ)を検出するための多様な設定で配備され得る。いくつかの限定されない例が、ここで説明される。システム600は、スポーツ関連の身体活動およびパフォーマンス、患者の健康、軍人の活動、またはユーザの関心のある他の用途を監視するために配備された、ウェアラブルセンサであり得る。システム600は、スマートフォン内に配設されてもよく、1つ、2つ、または3つの次元でロール、ヨー、および/もしくはピッチレートならびに/または加速度を感知するように構成され得る。
【0057】
1つのそのような設定は、自動車、またはボートや航空機などの他の乗り物において存在する。図7は、システム600を備える乗用車700を概略的に示している。システム600は、乗用車700の任意の好適な位置に配置され得る。システム600は、1つ、2つまたは3つの次元でロール、ピッチおよび/もしくはヨーレートならびに/または加速度を感知するように構成され得る。システム600は、I/Oインターフェース608を使用して、感知された角速度および/または加速度を、乗用車700内に配置されたコンピュータシステムおよび/または乗用車700外の基地局に配置されたコンピュータシステムに提供するように構成され得る。システム600は、乗用車700に搭載されたナビゲーションシステム(自動運転システムを含む)に、情報を提供し得る。別法としては、または付加的に、システム600は、自動操舵システムおよび/または自動ブレーキシステムに、情報を提供し得る。
【0058】
いくつかの実施形態では、システム600は、ウェアラブルデバイスの一部であり得る。例えば、システム600は、イヤホンの一部として、スマートウォッチの一部として、またはスマートフォン801の一部として搭載され得る(図8に示すように)。システム600が配備され得る他の環境は、多くある中でもとりわけ、タブレット、ラップトップ、スマートグラス、医療機器、スポーツ用品を含み得る。
【0059】
本明細書に記載の技術の態様は、1つ以上の利益を提供し得、それらのいくつかが前述された。ここで説明されたものは、そのような利点のいくつかの例である。すべての態様および実施形態が、必ずしも、ここで説明される利益のすべてを提供するわけではないことを理解されたい。さらに、本明細書に記載された技術の態様は、ここで記載されるものにさらなる利益をもたらし得ることを理解されたい。
【0060】
本明細書に記載された技術の態様は、低減された寄生容量を有するMEMS慣性センサを提供し、検出回路に存在するノイズの低減をもたらし、測定される物理量(例えば、運動の加速度および/または角速度)に対する慣性センサの感度の増大をもたらす。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の種類のMEMS慣性センサ内に存在するノイズは、他の種類のMEMS慣性センサ内に存在するノイズよりも3倍低い(またはいくつかの実施形態ではさらに低い)。本明細書に記載される技術のさらなる態様は、低寄生容量MEMS慣性センサを製造するための低コスト技術を提供する。
【0061】
「おおよそ」、「実質的に」、および「約」という用語は、いくつかの実施形態では目標値の±20%以内、いくつかの実施形態では目標値の±10%以内、いくつかの実施形態では目標値の±5%以内、およびいくつかの実施形態では目標値の±2%以内を意味するために使用され得る。「およそ」、「実質的に」、および「約」という用語は、目標値を含み得る。
【符号の説明】
【0062】
100、200、602 MEMS慣性センサ
101 基板
102 プルーフマス
104 アンカー
106 誘電体層
108、110 電極
120 基板の上面
208、210 トレンチ
302、304 側壁
402 カラム
404 間隙
406 誘電体層
600 システム
604 電源ユニット
606 検出回路
608 入力/出力(I/O)インターフェース
700 乗用車
801 スマートフォン
図1
図2
図3
図4A-4B】
図4C-4D】
図4E-4F】
図5
図6
図7
図8