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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-13
(45)【発行日】2024-12-23
(54)【発明の名称】FPCコネクタ及びコネクタ対
(51)【国際特許分類】
   H01R 12/77 20110101AFI20241216BHJP
【FI】
H01R12/77
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022011065
(22)【出願日】2022-01-27
(65)【公開番号】P2023109512
(43)【公開日】2023-08-08
【審査請求日】2024-02-19
(73)【特許権者】
【識別番号】591043064
【氏名又は名称】モレックス エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100116207
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100096426
【弁理士】
【氏名又は名称】川合 誠
(72)【発明者】
【氏名】圓谷 哲紀
(72)【発明者】
【氏名】宮本 久嗣
【審査官】濱田 莉菜子
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-66080(JP,A)
【文献】特開平7-220828(JP,A)
【文献】特開2019-106347(JP,A)
【文献】特開2009-238523(JP,A)
【文献】特開平7-183070(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0173234(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 12/00-12/91
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)先端が二股状のFPCを取付可能なハウジングを備えるFPCコネクタであって、
(b)前記ハウジングは、前記FPCの幅方向中央に形成された分離部が係合する柱部と、前記FPCの幅方向両端に形成された係止開口部に進入して係止する係止凸部とを有し、
(c)該係止凸部は、前記FPCにおける補強板と反対側から補強板側に向けて突出するように形成され、
(d)前記ハウジングは、その幅方向中央に形成された凹部と、該凹部に形成されたスリットであって、前記FPCの分離部の内側端部が嵌り込むスリットとを更に有することを特徴とするFPCコネクタ。
【請求項2】
前記柱部は、その少なくとも一部が前記凹部の幅方向中心よりも幅方向のいずれかの側に偏倚している請求項1に記載のFPCコネクタ。
【請求項3】
前記ハウジングの外壁面に、前記係止開口部と係止凸部との係止状態を視認可能な視認窓が形成されている請求項1又は2に記載のFPCコネクタ。
【請求項4】
前記ハウジングは、前記係止凸部よりも幅方向外方に形成された押え凸部であって、前記係止凸部と反対方向に突出し、前記FPCの補強板側の面における前記係止開口部よりも前端寄りの部分に当接可能な押え凸部を有する請求項1~3のいずれか1項に記載のFPCコネクタ。
【請求項5】
前記ハウジングは、前記係止凸部よりも前面寄りに形成された解除空間を有する請求項1~4のいずれか1項に記載のFPCコネクタ。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載のFPCコネクタと、該FPCコネクタと嵌合する相手方コネクタとを有するコネクタ対。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、FPCコネクタ及びコネクタ対に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、フレキシブル回路基板(FPC)、フレキシブルフラットケーブル(FFC)等と称される平板状可撓性ケーブルを接続するためにフレキシブルフラットケーブル用コネクタが使用されている。このようなコネクタは、フレキシブルフラットケーブルの先端に取付けられ、相手方コネクタと嵌合することによって、フレキシブルフラットケーブルを相手方コネクタと導通させるようになっている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
図27は従来のフレキシブルフラットケーブル用コネクタを示す斜視図である。
【0004】
図において、811は、図示されない相手方コネクタと嵌合するフレキシブルフラットケーブル用コネクタとしてのコネクタのハウジングである。該ハウジング811は、概略方形の平板部812と、該平板部812の左右両側に形成された一対のガイド壁813と、前記平板部812の前端縁に形成されたケーブル前端押え片817と、各ガイド壁813の後端近傍の内側面から突出するケーブルガイド片818と、前記平板部812の上面に形成されたケーブル係止突起819とを備えている。
【0005】
また、890は、フレキシブルフラットケーブルである。該フレキシブルフラットケーブル890は、その長手方向に延在し、互いに平行な複数本の導体892を含むものであるが、フレキシブルフラットケーブル890の前端縁近傍部891においては、導体892の上面を覆う絶縁被覆が除去されており、導体892が露出している。なお、前端縁近傍部891の後方には、係止孔893が形成されている。
【0006】
そして、前記フレキシブルフラットケーブル890は、図において矢印で示されるように、ハウジング811に対して、その後方から前方に向けて移動させられることによって、前記コネクタに取付けられる。この際、フレキシブルフラットケーブル890は、その左右両側縁がケーブルガイド片818と平板部812との間隙を通過し、その前端がケーブル前端押え片817と平板部812との間隙に進入し、その係止孔893がケーブル係止突起819に係止される。これにより、フレキシブルフラットケーブル890は、コネクタのハウジング811に確実に取付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2002-100425号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、前記従来のコネクタにおいては、肉薄で変形しやすいフレキシブルフラットケーブル890を損傷させることなく、また、表裏を取違えることなく、短時間で、簡便に、かつ、正確に取付けることが困難である。
【0009】
特に、近年では、コネクタの小型化及び低背化が進み、その各部が微細化されているので、フレキシブルフラットケーブル890の表裏を取違えることなく、正確に取付けられたことを視認することも困難になっている。
【0010】
ここでは、前記従来のコネクタの問題点を解決して、小型低背でありながら、高い強度を発揮するとともに、先端が二股状のフレキシブル回路基板(FPC)であっても、損傷させることなく、表裏を取違えることなく、短時間で、簡便に、確実に、正確に取付けることができ、信頼性の高いFPCコネクタ及びコネクタ対を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
そのために、FPCコネクタにおいては、先端が二股状のFPCを取付可能なハウジングを備えるFPCコネクタであって、前記ハウジングは、前記FPCの幅方向中央に形成された分離部が係合する柱部と、前記FPCの幅方向両端に形成された係止開口部に進入して係止する係止凸部とを有し、該係止凸部は、前記FPCにおける補強板と反対側から補強板側に向けて突出するように形成され、前記ハウジングは、その幅方向中央に形成された凹部と、該凹部に形成されたスリットであって、前記FPCの分離部の内側端部が嵌り込むスリットとを更に有する。
【0012】
他のFPCコネクタにおいては、さらに、前記柱部は、その少なくとも一部が前記凹部の幅方向中心よりも幅方向のいずれかの側に偏倚している。
【0013】
更に他のFPCコネクタにおいては、さらに、前記ハウジングの外壁面に、前記係止開口部と係止凸部との係止状態を視認可能な視認窓が形成されている。
【0014】
更に他のFPCコネクタにおいては、さらに、前記ハウジングは、前記係止凸部よりも幅方向外方に形成された押え凸部であって、前記係止凸部と反対方向に突出し、前記FPCの補強板側の面における前記係止開口部よりも前端寄りの部分に当接可能な押え凸部を有する。
【0015】
更に他のFPCコネクタにおいては、さらに、前記ハウジングは、前記係止凸部よりも前面寄りに形成された解除空間を有する。
【0016】
コネクタ対においては、本開示のFPCコネクタと、該FPCコネクタと嵌合する相手方コネクタとを有する。
【発明の効果】
【0017】
本開示によれば、FPCコネクタは、小型低背でありながら、高い強度を発揮するとともに、先端が二股状のFPCであっても、損傷させることなく、表裏を取違えることなく、短時間で、簡便に、確実に、正確に取付けることができ、信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】第1の実施の形態における第1コネクタの第1の斜視図である。
図2】第1の実施の形態における第1コネクタの第2の斜視図である。
図3】第1の実施の形態における第1コネクタの二面図であって、(a)は上面図、(b)は(a)におけるA-A矢視断面図である。
図4】第1の実施の形態における第1コネクタの後面図である。
図5】第1の実施の形態における第1コネクタの断面図であって、(a)は図4におけるB-B矢視断面図、(b)は図4におけるC-C矢視断面図である。
図6】第1の実施の形態における第1コネクタの前面図であって、(a)は全体図、(b)は(a)におけるD部拡大図である。
図7】第1の実施の形態における斜めから観た第1コネクタの前面図であって、(a)は全体図、(b)は(a)におけるE部拡大図である。
図8】第1の実施の形態におけるFPCの先端付近の平面図であって、(a)は上側FPCの平面図、(b)は下側FPCの平面図である。
図9】第1の実施の形態におけるFPCが取付けられた第1コネクタの二面図であって、(a)は上面図、(b)は(a)におけるF-F矢視断面図である。
図10】第1の実施の形態におけるFPCが取付けられた第1コネクタの後面図である。
図11】第1の実施の形態におけるFPCが取付けられた第1コネクタの断面図であって、(a)は図10におけるG-G矢視断面図、(b)は図10におけるH-H矢視断面図である。
図12】第1の実施の形態における第2コネクタの斜視図であって、(a)は第1の斜視図、(b)は第2の斜視図である。
図13】第1の実施の形態における第2コネクタの二面図であって、(a)は前面図、(b)は上面図である。
図14】第1の実施の形態における第1コネクタと第2コネクタとの嵌合前の状態を示す上面図である。
図15】第1の実施の形態における第1コネクタと第2コネクタとの嵌合開始時の状態を示す上面図である。
図16】第1の実施の形態における第1コネクタと第2コネクタとの嵌合開始時の状態を示す二面図であって、(a)は第1コネクタの後方から観た図、(b)は(a)におけるI-I矢視断面図である。
図17】第1の実施の形態における第1コネクタと第2コネクタとの嵌合中期の状態を示す第1の二面図であって、(a)は上面図、(b)は(a)におけるJ-J矢視断面図である。
図18】第1の実施の形態における第1コネクタと第2コネクタとの嵌合中期の状態を示す第2の二面図であって、(a)は第1コネクタの後方から観た図、(b)は(a)におけるK-K矢視断面図である。
図19】第1の実施の形態における第1コネクタと第2コネクタとの嵌合後期の状態を示す第1の二面図であって、(a)は上面図、(b)は(a)におけるL-L矢視断面図である。
図20】第1の実施の形態における第1コネクタと第2コネクタとの嵌合後期の状態を示す第2の二面図であって、(a)は第1コネクタの後方から観た図、(b)は(a)におけるM-M矢視断面図である。
図21】第2の実施の形態における第1コネクタの斜視図であって、(a)は斜め前方から観た図、(b)は斜め後方から観た図である。
図22】第2の実施の形態における第1コネクタの第1の二面図であって、(a)は後面図、(b)は下面図である。
図23】第2の実施の形態における第1コネクタの第2の二面図であって、(a)は上面図、(b)は(a)におけるN-N矢視断面図である。
図24】第2の実施の形態におけるFPCが取付けられた第1コネクタの三面図であって、(a)は上面図、(b)は後面図、(c)は(a)におけるO-O矢視断面図である。
図25】第2の実施の形態における第2コネクタの斜視図であって、(a)は斜め前方から観た図、(b)は斜め後方から観た図である。
図26】第2の実施の形態における第2コネクタの二面図であって、(a)は上面図、(b)は前面図である。
図27】従来のフレキシブルフラットケーブル用コネクタを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0020】
図1は第1の実施の形態における第1コネクタの第1の斜視図、図2は第1の実施の形態における第1コネクタの第2の斜視図、図3は第1の実施の形態における第1コネクタの二面図、図4は第1の実施の形態における第1コネクタの後面図、図5は第1の実施の形態における第1コネクタの断面図、図6は第1の実施の形態における第1コネクタの前面図、図7は第1の実施の形態における斜めから観た第1コネクタの前面図、図8は第1の実施の形態におけるFPCの先端付近の平面図、図9は第1の実施の形態におけるFPCが取付けられた第1コネクタの二面図、図10は第1の実施の形態におけるFPCが取付けられた第1コネクタの後面図、図11は第1の実施の形態におけるFPCが取付けられた第1コネクタの断面図である。なお、図3において、(a)は上面図、(b)は(a)におけるA-A矢視断面図であり、図5において、(a)は図4におけるB-B矢視断面図、(b)は図4におけるC-C矢視断面図であり、図6において、(a)は全体図、(b)は(a)におけるD部拡大図であり、図7において、(a)は全体図、(b)は(a)におけるE部拡大図であり、図8において、(a)は上側FPCの平面図、(b)は下側FPCの平面図であり、図9において、(a)は上面図、(b)は(a)におけるF-F矢視断面図であり、図11において、(a)は図10におけるG-G矢視断面図、(b)は図10におけるH-H矢視断面図である。
【0021】
図において、10は本実施の形態における第1コネクタであって、後述される相手方コネクタとしての第2コネクタ101と嵌合してコネクタ対(コネクタペア)を構成するコネクタの一方である。本実施の形態において、第1コネクタ10は、フレキシブル回路基板であるFPC90を第2コネクタ101に電気的に接続するための、いわゆる、ジャケットとして使用されるものであって、FPC90が取付けられるFPCコネクタである。なお、本実施の形態において、FPCは、フレキシブル回路基板だけでなく、FFCと称されるフレキシブルフラットケーブルをも含む平板状可撓性基板乃至平板状可撓性ケーブルのことを意味し、いかなる種類の平板状可撓性基板乃至平板状可撓性ケーブルであってもよい。
【0022】
なお、本実施の形態において、第1コネクタ10、第2コネクタ101、FPC90等の各部の構成及び動作を説明するために使用される上、下、左、右、前、後等の方向を示す表現は、絶対的なものでなく相対的なものであり、前記第1コネクタ10、第2コネクタ101、FPC90等の各部が図に示される姿勢である場合に適切であるが、その姿勢が変化した場合には姿勢の変化に応じて変更して解釈されるべきものである。
【0023】
そして、前記第1コネクタ10は、合成樹脂等の絶縁性材料によって一体的に形成されたハウジングとしての第1ハウジング11を有する。該第1ハウジング11は、図に示されるように、概略直方体である幅方向(Y軸方向)に細長く延びた外形を備える。そして、前記第1ハウジング11は、FPC90が挿入される側、すなわち、後側(X軸負方向側)に位置する本体部11aと、該本体部11aの前面(X軸正方向側面)に接続されて第2コネクタ101と嵌合する嵌合部11bとを有する。また、前記本体部11aと嵌合部11bとの間には、幅方向(Y軸方向)に延在する平板状のフランジ部11cが形成されている。なお、前記本体部11aの後端面は第1ハウジング11の後面11rと称され、前記嵌合部11bの前端面は第1ハウジング11の前面11fと称される。
【0024】
前記嵌合部11bは、その幅方向(Y軸方向)両端に位置し、フランジ部11cから前方(X軸正方向)に向けて延出する角柱のような形状の嵌合側部12bと、左右両端を嵌合側部12bによって画定された嵌合主部12aとを含んでいる。なお、前記嵌合側部12bの前端面は前面11fとして機能し、前記嵌合主部12aの前端面は前面11fより後方(X軸負方向)に位置する。また、前記嵌合主部12aには、第1コネクタ10と第2コネクタ101とが嵌合した際に、第2コネクタ101が備える後述される端子161の少なくとも接触突部165aが進入する端子進入凹部12a1が複数個、幅方向に並んで形成されている。該端子進入凹部12a1の数及びピッチは、前記端子161の数及びピッチに対応するように設定される。なお、各端子進入凹部12a1は、嵌合主部12aの前端面に開口するとともに、嵌合主部12aの上下における嵌合主平面12dにも開口するように形成されている。
【0025】
該嵌合主平面12dにおける前端は、嵌合主部12aの前端面において上下に突出する前端凸部12a2によって画定されている。また、該前端凸部12a2における端子進入凹部12a1の開口には、FPC90の前端90fが当接又は近接する先端ガイド12a3が形成されている。該先端ガイド12a3の突出高さは、FPC90の表面側に露出する導電線の表面より低くなるように設定されている。
【0026】
さらに、前記嵌合主部12aにおける幅方向(Y軸方向)中央には、嵌合部11bが欠落した凹部としての嵌合凹部12cが形成されている。該嵌合凹部12cは、上下方向(Z軸方向)から観て、嵌合主部12aの前端面からフランジ部11cまで到達するように凹入した概略矩形の空間であって、その左右両側は、前後方向及び上下方向に延在する嵌合内壁部12eによって画定されている。
【0027】
また、第1ハウジング11の上面(Z軸正方向面)における幅方向(Y軸方向)中央には、第2コネクタ101との嵌合状態を維持する嵌合状態維持装置としてのロック部材21が形成されている。該ロック部材21は、左右一対のロック用腕部21bと、該ロック用腕部21bの中央部分に両端が接続されたロック突起部21aとを含んでいる。各ロック用腕部21bは、その基端が嵌合凹部12cの幅方向両側を画定する嵌合内壁部12eの上面に接続され、上下方向(Z軸方向)から観て、後方(X軸負方向)に向けて直線的に延在する弾性変形可能なカンチレバー状の部材である。また、前記ロック部材21の後側における本体部11aの上面にはロック保持部23が形成され、該ロック保持部23に、コネクタ位置保証機構(CPA)としての二次ロック部材22が、前方に向けてスライド可能に取付けられている。該二次ロック部材22は、一般的なCPAと同様に機能し、第1コネクタ10と第2コネクタ101との嵌合が完了した際に、前記ロック部材21が第2コネクタ101をロックした状態で、前方に向けてスライドさせられて、ロック部材21が嵌合解除方向に動作することを防止する部材である。
【0028】
さらに、第1ハウジング11には、FPC90における少なくとも前端90f近傍部分が挿入されるFPC挿入凹部としての基板挿入凹部13が形成されている。該基板挿入凹部13は、前後方向(X軸方向)に延在するとともに、第1ハウジング11の後面11rにおいて、幅方向(Y軸方向)に延在する細長いスリットのように開口する凹部であるが、幅方向に延在する仕切り壁14によって上側基板挿入凹部13Aと下側基板挿入凹部13Bとに区画されている。つまり、第1ハウジング11は、2つの基板挿入凹部13を有している。そして、上側基板挿入凹部13Aには、FPC90のうちの上側FPC90Aが挿入され、下側基板挿入凹部13Bには、FPC90のうちの下側FPC90Bが挿入される。
【0029】
なお、本実施の形態においては、上側基板挿入凹部13Aと下側基板挿入凹部13Bとを統合的に説明する場合には、基板挿入凹部13として説明し、上側FPC90Aと下側FPC90Bとを統合的に説明する場合には、FPC90として説明する。
【0030】
各基板挿入凹部13は、その幅方向(Y軸方向)両端に位置する端部挿入凹部13bと、左右両端が端部挿入凹部13bに接続された中央挿入凹部13aとを含んでいる。
【0031】
前記端部挿入凹部13bは、嵌合部11bにおいては嵌合側部12b内を前後方向に延在し、嵌合側部12bの前端面に開口する。さらに、前記端部挿入凹部13bに対応する第1ハウジング11の外壁面、具体的には、嵌合側部12bにおける上面(Z軸正方向面)及び下面(Z軸負方向面)には、前後方向に延在するスリット状の視認窓としての窓13b1が形成され、嵌合側部12b内の端部挿入凹部13bは、前記窓13b1を通して、第1ハウジング11の上下の外部に連通しているので、前記窓13b1を通して端部挿入凹部13b内を視認することができる。
【0032】
また、前記中央挿入凹部13aは、フランジ部11cに形成された連絡開口としての前後連絡開口13a1を通して、嵌合主部12aの上下における嵌合主平面12dの表面上の空間と連通している。すなわち、FPC90において中央挿入凹部13aに挿入された部分の前端90fは、前後連絡開口13a1を通って嵌合主平面12dの表面に沿ってスライドし、前記嵌合主平面12dの前端を画定する前端凸部12a2にまで到達することができる。
【0033】
さらに、嵌合側部12b内の端部挿入凹部13bは、嵌合側部12bの内側側面に形成された連絡開口としての側部連絡開口13a2を通して、嵌合主部12aの上下における嵌合主平面12dの表面上の空間と連通している。さらに、嵌合凹部12cは、嵌合内壁部12eに形成されたスリットである連絡開口としての凹部連絡開口13a3を通して、嵌合主部12aの上下における嵌合主平面12dの表面上の空間と連通している。すなわち、FPC90において嵌合主平面12dの表面に沿って挿入された部分は、嵌合側部12b内の端部挿入凹部13b内に挿入された部分と接続された状態を維持することができるとともに、一部分を嵌合凹部12c内に露出することができる。
【0034】
前記仕切り壁14における中央挿入凹部13a内の上下面からは、前後方向に延在する複数の細長いリブ14aが突出している。基板挿入凹部13に挿入されたFPC90は、その仕切り壁14側の面が細長いリブ14aの表面に沿ってスライドするので、摺接抵抗が減少し、スムーズにスライドすることができる。
【0035】
また、前記仕切り壁14における端部挿入凹部13b内の上下面には、図3、5等に示されるように、係止凸部14bが突出するように形成されている。基板挿入凹部13に挿入されたFPC90は、その幅方向両端に形成された係止開口部93に前記係止凸部14bが進入して係止するので、無用に抜出ることが防止される。なお、各係止凸部14bは、図3(b)に示されるように、前後方向に延在する天面部14b2と、該天面部14b2の後端(X軸負方向端)に接続された傾斜面部14b1と、前記天面部14b2の前端(X軸正方向端)に接続され、上下方向(Z軸方向)に延在する係止面部14b3とを含んでいる。
【0036】
さらに、前記端部挿入凹部13b内における係止凸部14bよりも前面11f寄りには、解除空間13dが形成されている。該解除空間13dは、第1コネクタ10に取付けられたFPC90を取外す際に、図示されない解除治具を挿入して係止凸部14bによる係止開口部93の係止を解除する作業を可能とする空間である。
【0037】
また、嵌合側部12bにおける端部挿入凹部13b内の仕切り壁14に対向する面には、前記係止凸部14bと反対方向に突出する、すなわち、仕切り壁14に向けて突出する押え凸部13cが形成されている。該押え凸部13cは、前記係止凸部14bよりも前方、かつ、幅方向外方に形成されている。基板挿入凹部13に挿入されたFPC90は、その幅方向両端に形成された係止開口部93に前記係止凸部14bが進入して係止し、さらに、前記係止開口部93よりもFPC90の前端90f寄り、かつ、幅方向両端寄りの部分が押え凸部13cによって仕切り壁14に向けて押圧されるので、前記係止凸部14bが係止開口部93から外れることが確実に防止される。なお、各押え凸部13cは、図3(b)に示されるように、前後方向に延在する天面部13c2と、該天面部13c2の後端(X軸負方向端)に接続された傾斜面部13c1とを含んでいる。
【0038】
さらに、第1ハウジング11には、基板挿入凹部13内において上下方向に延在する柱部15が形成されている。該柱部15は、横断面が概略矩形の角柱状の部材であり、第1ハウジング11の幅方向中央近傍において、前側面(X軸正方向面)が嵌合凹部12cに面する位置に形成されている。なお、本実施の形態においては、上側基板挿入凹部13A内に位置する柱部15を上側柱部15Aとして説明し、下側基板挿入凹部13B内に位置する柱部15を下側柱部15Bとして説明するが、上側柱部15Aと下側柱部15Bとを統合的に説明する場合には、柱部15として説明する。
【0039】
前記上側柱部15Aは、上下方向(Z軸方向)から観て、図5(a)に示されるような断面形状を有し、その幅方向(Y軸方向)の寸法は、嵌合凹部12cの幅方向(Y軸方向)の寸法より少し小さく、その前側面は、嵌合凹部12cにおける上側基板挿入凹部13Aに対応する後端面の大部分を画定して嵌合凹部12c内に露出している。なお、上側柱部15Aは、幅方向の寸法が大きな概略矩形断面の本体部15aと、幅方向の寸法が本体部15aより小さく、該本体部15aから後方(X軸負方向)に向けて突出する概略矩形断面の突出部15bとを有する。該突出部15bは、その幅方向中心が本体部15aの幅方向中心よりも、幅方向の一側、すなわち、左側(Y軸正方向側)に偏倚するように形成され、突出部15bの左側面と本体部15aの左側面とは同一面を構成する。また、突出部15bの右側面は、本体部15aの右側面の左側に位置し、突出部15bの右側面と本体部15aの後側面とによって二面が画定された欠落部15cが形成されている。該欠落部15cは、図5(a)に示されるような鉤形乃至矩形の横断面形状を有する。
【0040】
また、前記下側柱部15Bは、上下方向(Z軸方向)から観て、図5(b)に示されるような概略矩形の断面形状を有し、その幅方向(Y軸方向)の寸法は、嵌合凹部12cの幅方向(Y軸方向)の寸法より小さく、その幅方向の中心が嵌合凹部12cの幅方向の中心から幅方向の他側、すなわち、右側(Y軸負方向側)に偏倚している。そして、前記下側柱部15Bの前側面は、嵌合凹部12cにおける下側基板挿入凹部13Bに対応する後端面の半分以上を画定して嵌合凹部12c内に露出している。前記下側柱部15Bは、上側柱部15Aとは異なり、概略矩形断面の本体部15aのみを有し、突出部15bに対応する部分も、欠落部15cに対応する部分も有していない。
【0041】
図8(a)及び(b)には、それぞれ、上側FPC90A及び下側FPC90Bにおける前端90fから所定距離の範囲の平面図が示されている。なお、FPC90は、一般的に、長尺の帯状の部材であるが、前端90fから前記所定距離以上に離れた部分の図示は、説明の都合上、省略されている。そして、前記FPC90の本体91における第2コネクタ101の端子161と接触する側の表面である端子接触面、すなわち、表側面と反対側の、非端子接触面、すなわち、裏側面には、前端90fから所定長の範囲に、平板状の補強板92が取付けられている。該補強板92は、例えば、絶縁性の樹脂フィルム等から成り、補強部材として、本体91の裏側面に、接着剤等によって固着されていることが望ましい。なお、前記所定長は、第1ハウジング11における嵌合主部12aの前端凸部12a2から後面11rまでの寸法よりもやや長い程度であって、FPC90が第1コネクタ10に取付けられた際に、補強板92の後端近傍が視認可能となる程度が望ましい。
【0042】
また、図示されない前記本体91の表側面では、前端90fから一定範囲において、絶縁性被覆が取除かれ、導電線が露出しているものとする。なお、前記絶縁性被覆が取除かれる範囲は、補強板92が取付けられている範囲よりも小さいことが望ましい。前記導電線は、FPC90の長手方向(X軸方向)に延在するものであって、複数本(例えば、12本程度)が所定のピッチ(例えば、1~2〔mm〕程度)で互いに平行となるように配設されている。なお、前記導電線の本数及びピッチは、第2コネクタ101の端子161の本数及びピッチに対応して、適宜変更される。
【0043】
前記FPC90は、先端が二股状のものであって、その前端90fにおける幅方向(Y軸方向)中央には、後方(X軸負方向)に向けて凹入するような形状の分離部94が形成されている。該分離部94は、本体91及び補強板92が欠落した空間であって、前端90fに開口する空間である。
【0044】
そして、上側FPC90Aの分離部94は、上下方向(Z軸方向)から観て、図8(a)に示されるような形状を有し、幅方向の寸法が大きな概略矩形の本体部94aと、幅方向の寸法が本体部94aより小さく、該本体部94aから後方(X軸負方向)に向けて突出する概略矩形の突出部94bとを有する。なお、前記本体部94aの幅方向の中心は、上側FPC90Aの幅方向の中心と一致する。前記突出部94bは、その幅方向中心が本体部94aの幅方向中心よりも、幅方向の一側、すなわち、左側(Y軸正方向側)に偏倚するように形成され、突出部94bの左側面と本体部94aの左側面とは同一面を構成する。また、突出部94bの右側面は、本体部94aの右側面の左側に位置し、突出部94bの右側面と本体部94aの後側面とによって二面が画定された凸片部94cが形成されている。該凸片部94cは、図8(a)に示されるような鉤形乃至矩形の横断面形状を有する。
【0045】
前記上側FPC90Aの分離部94は、上側柱部15Aと係合する部分であって、その後端(X軸負方向端)寄りの部分の中に上側柱部15Aを収容する。したがって、上下方向(Z軸方向)から観て、前記分離部94の後端寄りの部分の形状は、上側柱部15Aの断面形状と同一であり、本体部94aの幅方向、突出部94bの幅方向及び前後方向、並びに、凸片部94cの幅方向及び前後方向の寸法は、上側柱部15Aの断面における本体部15a、突出部15b及び欠落部15cのそれらと、ほぼ同一である。なお、前記本体部94aの幅方向の寸法は、上側柱部15Aの断面における本体部15aのそれとほぼ同一であるから、嵌合凹部12cの幅方向より、少し小さくなっている。
【0046】
また、下側FPC90Bの分離部94は、上下方向(Z軸方向)から観て、図8(b)に示されるような形状を有し、幅方向の寸法が大きな概略矩形の本体部94aと、幅方向の寸法が本体部94aより小さく、該本体部94aから後方(X軸負方向)に向けて突出する概略矩形の突出部94bとを有する。なお、前記本体部94aの幅方向の中心は、下側FPC90Bの幅方向の中心と一致する。前記突出部94bは、その幅方向中心が本体部94aの幅方向中心よりも、幅方向の他側、すなわち、右側(Y軸負方向側)に偏倚するように形成され、突出部94bの右側面と本体部94aの右側面とは同一面を構成する。また、突出部94bの左側面は、本体部94aの左側面の右側に位置し、突出部94bの左側面と本体部94aの後側面とによって二面が画定された凸片部94cが形成されている。該凸片部94cは、図8(b)に示されるような鉤形乃至矩形の横断面形状を有する。
【0047】
前記下側FPC90Bの分離部94は、下側柱部15Bと係合する部分であって、その後端(X軸負方向端)寄りの部分である突出部94bの中に下側柱部15Bを収容する。したがって、上下方向(Z軸方向)から観て、前記突出部94bの形状は、下側柱部15Bの断面形状と同一であり、突出部94bの幅方向及び前後方向の寸法は、下側柱部15Bの断面における本体部15aのそれらと、ほぼ同一である。なお、前記本体部94aの幅方向の寸法は、嵌合凹部12cのそれより、少し小さくなっている。
【0048】
そして、FPC90は、第1ハウジング11の後面11rから基板挿入凹部13に挿入されて、第1コネクタ10に取付けられる。具体的には、FPC90は、その前端90fが第1ハウジング11の後面11rと対向するような姿勢から、第1ハウジング11に対して相対的に前進するように移動させられて、基板挿入凹部13に挿入される。この際、上側FPC90Aは、補強板92が取付けられていない面である表側面が仕切り壁14に面するような姿勢で、上側基板挿入凹部13Aに挿入され、下側FPC90Bは、補強板92が取付けられていない面である表側面が仕切り壁14に面するような姿勢で、下側基板挿入凹部13Bに挿入される。
【0049】
FPC90の幅方向両端近傍部分は、端部挿入凹部13b内を相対的に前進すると、前端90fが係止凸部14bに当接する。ここで、該係止凸部14bの後端側に傾斜面部14b1が形成されているので、FPC90はスムーズに係止凸部14bに乗上げて更に前進することができる。続いて、前端90fが押え凸部13cに当接する。ここで、該押え凸部13cの後端側に傾斜面部13c1が形成されているので、FPC90はスムーズに押え凸部13cに乗上げて更に前進することができる。そして、FPC90において中央挿入凹部13aに挿入された部分の前端90fが、前後連絡開口13a1を通って嵌合主平面12dの表面に沿ってスライドし、前端凸部12a2に到達すると、FPC90の第1コネクタ10への取付けが完了する。すると、図11に示されるように、FPC90の前端90fが先端ガイド12a3に当接又は近接した状態となる。
【0050】
FPC90の第1コネクタ10への取付けが完了すると、FPC90の幅方向中央に形成された分離部94に、第1ハウジング11の柱部15が進入して係合する。図11(a)に示されるように、上側FPC90Aの分離部94は、上側柱部15Aと係合し、分離部94における本体部94aの後端(X軸負方向端)寄りの部分に上側柱部15Aにおける本体部15aが収容されて係合し、分離部94における突出部94bに上側柱部15Aにおける突出部15bが収容されて係合し、分離部94における凸片部94cが上側柱部15Aにおける欠落部15cに収容されて係合する。また、図11(b)に示されるように、下側FPC90Bの分離部94は、下側柱部15Bと係合し、分離部94における突出部94bに下側柱部15Bにおける本体部15aが収容されて係合する。
【0051】
本実施の形態において、上側柱部15Aの平面視における形状と下側柱部15Bの平面視における形状とは、いずれも、少なくとも一部分が第1ハウジング11乃至嵌合凹部12cの幅方向(Y軸方向)中心よりも幅方向のいずれかの側に偏倚し、かつ、互いに相違する。また、上側柱部15Aと係合する上側FPC90Aの分離部94の平面視における形状と下側柱部15Bと係合する下側FPC90Bの分離部94の平面視における形状とは、いずれも、少なくとも一部がFPC90の幅方向(Y軸方向)中心よりも幅方向のいずれかの側に偏倚し、かつ、互いに相違する。例えば、図8(a)、(b)に示されるように、本体部94aの幅方向(Y軸方向)の寸法は同じであるが、上側FPC90Aの本体部94aの前後方向(X軸方向)の長さは、下側FPC90Bの本体部94aの長さより大きくてよい。また、上側FPC90Aの突出部94bの幅方向及び前後方向の寸法は、下側FPC90Bの突出部94bの幅方向及び前後方向の寸法よりも小さくてよい。さらに、上側FPC90Aの凸片部94cの幅方向の凸量は、下側FPC90Bの凸片部94cの幅方向の凸量よりも大きくてよい。この相違により、FPC90が第1コネクタ10へ取付けられる前であっても、FPC90は、上側FPC90Aであるか、下側FPC90Bであるかを識別することもできる。
【0052】
したがって、第1ハウジング11の上側基板挿入凹部13Aには、正規の姿勢の上側FPC90Aのみを挿入することができ、下側FPC90Bのような非正規の種類のFPC90を挿入することができず、正規の種類、すなわち、上側FPC90Aであっても表裏逆様のような非正規の姿勢であると挿入することができない。同様に、第1ハウジング11の下側基板挿入凹部13Bには、正規の姿勢の下側FPC90Bのみを挿入することができ、上側FPC90Aのような非正規の種類のFPC90を挿入することができず、正規の種類、すなわち、下側FPC90Bであっても表裏逆様のような非正規の姿勢であると挿入することができない。
【0053】
また、FPC90の第1コネクタ10への取付けが完了すると、図9(a)に示されるように、FPC90の分離部94の内側端部が嵌合内壁部12eに形成されたスリットである凹部連絡開口13a3に嵌り込むとともに、図9(b)に示されるように、FPC90の幅方向両端に形成された係止開口部93に、係止凸部14bが進入して係止する。この状態で、仮にFPC90を後方(X軸負方向)に向けて引くような外力が付与されたとしても、係止凸部14bの前端側に上下方向(Z軸方向)に延在する傾斜面部14b1が形成されており、該傾斜面部14b1が係止開口部93の前端に引掛かるので、係止凸部14bによる係止開口部93の係止が解除されることがない。さらに、FPC90において、係止開口部93よりも前方、かつ、幅方向外方の部分が、押え凸部13cによって仕切り壁14に向けて押圧されているので、前記係止凸部14bによる係止開口部93の係止解除がより確実に防止される。
【0054】
しかも、嵌合側部12bの上面(Z軸正方向面)及び下面(Z軸負方向面)における係止凸部14bに対応する位置に、スリット状の窓13b1が形成されているので、オペレータは、FPC90の幅方向両端近傍部分が嵌合側部12bの端部挿入凹部13b内に挿入され、係止凸部14bによって係止開口部93が係止されていることを、第1コネクタ10の外側から視認することができる。
【0055】
さらに、FPC90の第1コネクタ10への取付けが完了すると、オペレータは、図9(a)に示されるように、嵌合主平面12dの表面がFPC90によって覆われ、嵌合主平面12dから突出する前端凸部12a2に前端90fが到達したことを、第1コネクタ10の外側から視認することができる。
【0056】
次に、第2コネクタ101の構成について説明する。
【0057】
図12は第1の実施の形態における第2コネクタの斜視図、図13は第1の実施の形態における第2コネクタの二面図である。なお、図12において、(a)は第1の斜視図、(b)は第2の斜視図であり、図13において、(a)は前面図、(b)は上面図である。
【0058】
本実施の形態における第2コネクタ101は、合成樹脂等の絶縁性材料によって一体的に形成されたハウジングとしての第2ハウジング111と、導電性の金属板に打抜き、曲げ等の加工を施すことによって形成された端子161とを有する。前記第2コネクタ101は、実装部材としての図示されない基板の表面に実装される基板コネクタであって、前記第1コネクタ10と互いに嵌合される。図に示される例において、前記第2コネクタ101は、いわゆるライトアングルタイプであって、前記第1コネクタ10と嵌合する際に、該第1コネクタ10に対して相対的に移動する方向が基板の表面に平行であり、したがって、第2コネクタ101の第2ハウジング111における嵌合面としての前面111fが実装面111bに対して直交している。なお、前記第2コネクタ101は、必ずしも、ライトアングルタイプである必要はなく、前記第1コネクタ10と嵌合する際に、該第1コネクタ10に対して相対的に移動する方向が基板の表面に垂直であって第2ハウジング111における嵌合面としての前面111fが実装面111bに対して平行な、いわゆるストレートタイプのものであってもよいし、第2コネクタ101が他のFPCや電線などの先端に接続された電線用コネクタであってもよいし、さらに他のコネクタと接続するための中継コネクタと称されるタイプのものであってよいが、ここでは、説明の便宜上、ライトアングルタイプである場合について説明する。
【0059】
前記第2ハウジング111は、図に示されるように、概略直方体である幅方向(Y軸方向)に細長く延びた外形を備える。そして、前記第2ハウジング111は、第1コネクタ10と嵌合する嵌合面としての前面111fに開口する嵌合凹部113を有する。また、前記第2ハウジング111は、幅方向(Y軸方向)両端に形成された側壁部111cを有し、該側壁部111cには、前記基板への実装をより確実にするための補助金具171が取付けられる。該補助金具171は、金属板に打抜き、曲げ等の加工を施すことによって形成された部材であって、下端には、幅方向(Y軸方向)外方に向けて延在する基板接続部としてテール部172が形成されている。該テール部172は、前記基板の表面に形成された接続パッド等にはんだ付によって接続される。さらに、前記第2ハウジング111は、実装面111bから下方(Z軸負方向)に向けて突出する突起111dを有する。該突起111dは、前記基板の表面に形成された孔に挿入されて係合する。
【0060】
また、前記第2ハウジング111の前面111fには、上方(Z軸正方向)に向けて突出する壁のような形状のフランジ部114が形成されている。さらに、前記第2ハウジング111の上面(Z軸正方向面)における幅方向(Y軸方向)中央には、第1コネクタ10との嵌合状態を維持する嵌合状態維持装置としての被ロック部材121が形成されている。該被ロック部材121は、第1コネクタ10のロック部材21と係合してロックされる部材であって、該ロック部材21のロック突起部21aと係合するロック凹部121aを含んでいる。
【0061】
さらに、前記嵌合凹部113における幅方向(Y軸方向)中央には、第1コネクタ10の嵌合凹部12cと嵌合する柱部としての嵌合柱部112cが形成されている。該嵌合柱部112cは、前記被ロック部材121の直下において、上下方向(Z軸方向)に延在する角柱状の部材であり、その前端面は前面111fと同一面となるように形成されている。前記嵌合柱部112cによって、嵌合凹部113の上下方向の変形やそりが防止される。また、第2コネクタ101がストレートタイプであるときには、嵌合柱部112cの前端面が、治具が吸着するための吸着面として機能し得る。
【0062】
そして、前記第1コネクタ10と第2コネクタ101とが嵌合した状態において、嵌合柱部112cは第1コネクタ10の嵌合凹部12c内に収容され、前記嵌合柱部112cによって左右に二分された嵌合凹部113内のそれぞれには、前記嵌合凹部12cによって左右に二分された嵌合部11bのそれぞれが収容される。
【0063】
また、前記嵌合凹部113内には、その奥側から前方(X軸負方向)に向けて延在する複数の端子支持部112aが幅方向に並んで配設されている。各端子支持部112aの上下面には、前後方向に延在する端子収容溝112bが1本ずつ形成され、各端子収容溝112b内には、各端子161の接触部165が収容されている。なお、各接触部165は、カンチレバー状の部材であり、その自由端に端子支持部112aの上下方向外方に向けて膨出する接触突部165aが形成されている。前記接触部165は、根本又は途中から二股に分岐し、2つの自由端のそれぞれに接触突部165aとしての前方接触突部165a1及び後方接触突部165a2が形成され、該前方接触突部165a1及び後方接触突部165a2はタンデムに並んだ状態となっているものであることが望ましい。前記端子支持部112aは、第1コネクタ10と第2コネクタ101とが嵌合した状態において、第1コネクタ10の端子進入凹部12a1に進入する部材であり、その数及びピッチは、前記端子進入凹部12a1の数及びピッチに対応するように設定される。
【0064】
さらに、前記嵌合凹部113内の上下面からは、前後方向に延在する複数の細長いリブ116が突出している。第1コネクタ10と第2コネクタ101とが嵌合する際に、嵌合凹部113に挿入される嵌合主部12aの嵌合主平面12dの表面上のFPC90は、細長いリブ116の表面に沿ってスライドするので、摺接抵抗が減少し、スムーズにスライドすることができる。
【0065】
さらに、第2ハウジング111には、端子161が挿入されて収容される端子収容凹部115が複数形成されている。該端子収容凹部115は、前後方向(X軸方向)に延在するとともに、第2ハウジング111の後面111rにおいて、上下方向(Z軸方向)に延在する細長いスリットのように開口する凹部であるが、上側端子収容凹部115Aと下側端子収容凹部115Bとに区画されている。つまり、第2ハウジング111は、二種類の端子収容凹部115を有している。前記上側端子収容凹部115A及び下側端子収容凹部115Bは、それぞれ、各端子支持部112aの上下面に形成された端子収容溝112bに連通している。また、前記上側端子収容凹部115A及び下側端子収容凹部115Bは、それぞれ、複数個ずつ幅方向(Y軸方向)に並んで配設されているが、その数及びピッチは、前記端子収容溝112bの数及びピッチに対応するように設定される。そして、上側端子収容凹部115Aには、端子161のうちの上側端子161Aが挿入され、下側端子収容凹部115Bには、端子161のうちの下側端子161Bが挿入される。
【0066】
なお、本実施の形態においては、上側端子収容凹部115Aと下側端子収容凹部115Bとを統合的に説明する場合には、端子収容凹部115として説明し、上側端子161Aと下側端子161Bとを統合的に説明する場合には、端子161として説明する。
【0067】
各端子161は、上下方向(Z軸方向)及び前後方向(X軸方向)に延在する平板状の部材であって、前記端子収容凹部115に収容されて保持される本体部163と、該本体部163の後端(X軸正方向端)から下方(Z軸負方向)に向けて延出する連絡部164と、該連絡部164の下端(Z軸負方向端)から後方(X軸正方向)に向けて突出する基板接続部としてのテール部162と、前記本体部163の前端(X軸負方向端)から前方(X軸負方向)に向けて延出するカンチレバー状の接触部165と、該接触部165の自由端に形成された接触突部165aとを含んでいる。前記テール部162は、前記基板の表面に形成された接続パッド等にはんだ付によって接続される。
【0068】
そして、上側端子161Aの本体部163、接触部165及び接触突部165aと、下側端子161Bの本体部163、接触部165及び接触突部165aとは、嵌合凹部113の上下方向(Z軸方向)中心において幅方向(Y軸方向)及び前後方向(X軸方向)に延在する中心面を対称面として、互いに対称となるように形成されている。したがって、上側端子161Aの接触突部165aは、上方を向いて、端子支持部112aの上面から上方に突出し、下側端子161Bの接触突部165aは、下方を向いて、端子支持部112aの下面から下方に突出している。
【0069】
これに対して、連絡部164及びテール部162は、上側端子161A及び下側端子161Bのいずれにおいても、同じ方向に延在するように形成されている。そして、下側端子161Bの連絡部164は、上下方向(Z軸方向)の寸法が比較的小さく、かつ、前後方向から観て、上下方向に直線的に延在しているのに対して、上側端子161Aの連絡部164は、上下方向の寸法が比較的大きく、かつ、前後方向から観て、クランク状に屈曲して上下方向に延在している。
【0070】
上側端子161Aと該上側端子161Aの直下に位置する下側端子161Bとは、前後方向から観て、本体部163は、幅方向(Y軸方向)に関して同一位置にあるのに、テール部162は、幅方向(Y軸方向)に関して異なる位置にある。具体的には、前後方向から観て、前記下側端子161Bの本体部163とテール部162は、上下方向に延在する一直線上に位置し、また、前記上側端子161Aの本体部163も前記一直線上に位置しているが、前記上側端子161Aのテール部162は、前記下側端子161Bのテール部162から幅方向の一側(図12(b)において右側:Y軸正方向側)に偏倚している。なお、前記上側端子161Aのテール部162は、互いに隣接する上側端子161Aのテール部162同士のほぼ中間に位置する。そのため、前記上側端子161Aの本体部163とテール部162とを結ぶ連絡部164は、クランク状に屈曲して、前記下側端子161Bの連絡部164及びテール部162と干渉しないようになっている。これにより、図12(b)に示されるように、すべての端子161のテール部162は、一列となるように幅方向(Y軸方向)に並んで配設される。
【0071】
次に、前記構成の第1コネクタ10と第2コネクタ101とを嵌合させる動作について説明する。
【0072】
図14は第1の実施の形態における第1コネクタと第2コネクタとの嵌合前の状態を示す上面図、図15は第1の実施の形態における第1コネクタと第2コネクタとの嵌合開始時の状態を示す上面図、図16は第1の実施の形態における第1コネクタと第2コネクタとの嵌合開始時の状態を示す二面図、図17は第1の実施の形態における第1コネクタと第2コネクタとの嵌合中期の状態を示す第1の二面図、図18は第1の実施の形態における第1コネクタと第2コネクタとの嵌合中期の状態を示す第2の二面図、図19は第1の実施の形態における第1コネクタと第2コネクタとの嵌合後期の状態を示す第1の二面図、図20は第1の実施の形態における第1コネクタと第2コネクタとの嵌合後期の状態を示す第2の二面図である。なお、図16において、(a)は第1コネクタの後方から観た図、(b)は(a)におけるI-I矢視断面図であり、図17において、(a)は上面図、(b)は(a)におけるJ-J矢視断面図であり、図18において、(a)は第1コネクタの後方から観た図、(b)は(a)におけるK-K矢視断面図であり、図19において、(a)は上面図、(b)は(a)におけるL-L矢視断面図であり、図20において、(a)は第1コネクタの後方から観た図、(b)は(a)におけるM-M矢視断面図である。
【0073】
ここで、第1コネクタ10は、上側FPC90A及び下側FPC90Bの取付けが完了したものであるとする。また、第2コネクタ101は、突起111dが図示されない基板の表面に形成された孔に挿入されて係合し、端子161のテール部162及び補助金具171のテール部172が図示されない基板の表面の接続パッドにはんだ付によって接続されることにより、基板に表面実装されているものとする。また、前記端子161のテール部162が接続される接続パッドは、基板において信号等の電流を伝達するための導電トレースに接続されたものであるとする。
【0074】
まず、オペレータは、図14に示されるように、第1コネクタ10の第1ハウジング11における嵌合面である前面11fと第2コネクタ101の嵌合面である前面111fとを対向させた状態とし、第1コネクタ10の第1ハウジング11における嵌合部11bの位置が第2コネクタ101の第2ハウジング111における嵌合凹部113の位置と合致するように調整する。これにより、第1コネクタ10と第2コネクタ101との位置合せが完了する。
【0075】
この状態で、第1コネクタ10及び/又は第2コネクタ101を相手側に接近する方向、すなわち、嵌合方向に移動させると、嵌合が開始され、まず、図15及び16に示されるように、第1ハウジング11における嵌合側部12bの前端面近傍が嵌合凹部113内に進入する。しかし、嵌合主部12aは、まだ、嵌合凹部113内に進入していない。
【0076】
続いて、第1コネクタ10及び/又は第2コネクタ101を嵌合方向に更に移動させると、嵌合中期となり、図17及び18に示されるように、第1ハウジング11における嵌合主部12aの前端面近傍も嵌合凹部113内に進入する。このとき、先端部分が前方に突出してガイド凸部として機能する左右の嵌合側部12bが、嵌合凹部113内におけるある程度深い位置まで進入しているので、第2コネクタ101に対する第1コネクタ10の姿勢が安定した状態で、第1コネクタ10及び/又は第2コネクタ101を嵌合方向に移動させることができる。
【0077】
続いて、第1コネクタ10及び/又は第2コネクタ101を嵌合方向に更に移動させると、嵌合後期となり、図19及び20に示されるように、左右の嵌合側部12bの半分以上が嵌合凹部113内に進入している。また、第1ハウジング11における嵌合凹部12c内に第2ハウジング111における嵌合柱部112cの前端面近傍が進入し、第1ハウジング11における嵌合主部12aの端子進入凹部12a1内に、第2ハウジング111における端子支持部112aの前端面近傍が進入する。
【0078】
すると、端子161の接触部165の自由端に形成された接触突部165aは、相対的に第1ハウジング11の後方(X軸負方向)に向けて移動し、FPC90の表面側に露出する導電線の表面に接触することとなるが、この際、まず、先端ガイド12a3の表面に接触し、続いて、前端90fが先端ガイド12a3に当接又は近接しているFPC90の導電線の表面に接触する。ここで、前述のように、先端ガイド12a3の突出高さは、FPC90の導電線の表面より低く設定されているので、接触突部165aは、先端ガイド12a3の表面に接触して弾性的に変位させられた後、FPC90の導電線の表面に接触して更に弾性的に変位させられることとなる。つまり、カンチレバー状の接触部165は、接触突部165aが先端ガイド12a3の表面に接触したときに弾性的に変形し、続いて、接触突部165aがFPC90の導電線の表面に接触したときに更に弾性的に変形することとなる。このように、接触突部165aがFPC90に接触する前に接触部165を変形させておくことによって、FPC90へのダメージを軽減することができる。また、接触突部165aが先端ガイド12a3の表面を摺接することによって生じる先端ガイド12a3の削れを軽減することもできる。
【0079】
続いて、第1コネクタ10及び/又は第2コネクタ101を嵌合方向に更に移動させると、嵌合が完了し、第1ハウジング11における嵌合凹部12c内に第2ハウジング111における嵌合柱部112cが進入して嵌合する。また、第1ハウジング11における嵌合主部12aの端子進入凹部12a1内に、第2ハウジング111における端子支持部112aが進入し、該端子支持部112aの上面から上方に突出する上側端子161Aの接触突部165aは上側FPC90Aの導電線と接触して導通し、前記端子支持部112aの下面から下方に突出する下側端子161Bの接触突部165aは下側FPC90Bの導電線と接触して導通する。これにより、第1コネクタ10及び/又は第2コネクタ101の各部や端子161が破損することなく、第1コネクタ10と第2コネクタ101とが確実に嵌合し、上側FPC90Aの導電線の各々は対応する上側端子161Aと導通し、下側FPC90Bの導電線の各々は対応する下側端子161Bと導通する。
【0080】
このように、本実施の形態において、第1コネクタ10は、先端が二股状のFPC90を取付可能な第1ハウジング11を備える。そして、第1ハウジング11は、FPC90の幅方向中央に形成された分離部94が係合する柱部15と、FPC90の幅方向両端に形成された係止開口部93に進入して係止する係止凸部14bとを有し、係止凸部14bは、FPC90における補強板92と反対側から補強板92側に向けて突出するように形成され、第1ハウジング11は、その幅方向中央に形成された嵌合凹部12cと、嵌合凹部12cに形成された凹部連絡開口13a3であって、FPC90の分離部94の内側端部が嵌り込む凹部連絡開口13a3とを更に有する。
【0081】
これにより、第1コネクタ10は、小型低背でありながら、高い強度を発揮するとともに、先端が二股状のFPC90であっても、損傷させることなく、表裏を取違えることなく、短時間で、簡便に、確実に、正確に取付けることができ、信頼性を向上させることができる。
【0082】
また、柱部15は、その少なくとも一部が嵌合凹部12cの幅方向中心よりも幅方向のいずれかの側に偏倚している。したがって、柱部15の形状に合せてFPC90の分離部94を形成することによって、FPC90が正規の姿勢であるときにのみFPC90を挿入することができ、FPC90の誤挿入を防止することができる。
【0083】
さらに、第1ハウジング11の外壁面に、係止開口部93と係止凸部14bとの係止状態を視認可能な窓13b1が形成されている。これにより、FPC90が適正位置に挿入されている状態を第1コネクタ10の外部から視認することができる。
【0084】
さらに、第1ハウジング11は、係止凸部14bよりも幅方向外方に形成された押え凸部13cであって、係止凸部14bと反対方向に突出し、FPC90の補強板92側の面における係止開口部93よりも前端90f寄りの部分に当接可能な押え凸部13cを有する。これにより、FPC90の前端90f近傍が変形し、係止開口部93と係止凸部14bとの係止が解除されて、FPC90が抜出ることを防止することができる。また、FPC90の前端90f近傍のばたつきを防止することができる。
【0085】
さらに、第1ハウジング11は、係止凸部14bよりも前面11f寄りに形成された解除空間13dを有する。これにより、第1コネクタ10に取付けられたFPC90を取外す際に、解除空間13dに図示されない解除治具を挿入して係止凸部14bによる係止開口部93の係止を解除する作業が可能となる。
【0086】
次に、第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによってその説明を省略する。また、前記第1の実施の形態と同じ動作及び同じ効果についても、その説明を省略する。
【0087】
図21は第2の実施の形態における第1コネクタの斜視図、図22は第2の実施の形態における第1コネクタの第1の二面図、図23は第2の実施の形態における第1コネクタの第2の二面図、図24は第2の実施の形態におけるFPCが取付けられた第1コネクタの三面図、図25は第2の実施の形態における第2コネクタの斜視図、図26は第2の実施の形態における第2コネクタの二面図である。なお、図21において、(a)は斜め前方から観た図、(b)は斜め後方から観た図であり、図22において、(a)は後面図、(b)は下面図であり、図23において、(a)は上面図、(b)は(a)におけるN-N矢視断面図であり、図24において、(a)は上面図、(b)は後面図、(c)は(a)におけるO-O矢視断面図であり、図25において、(a)は斜め前方から観た図、(b)は斜め後方から観た図であり、図26において、(a)は上面図、(b)は前面図である。
【0088】
前記第1の実施の形態においては、第1コネクタ10の第1ハウジング11が有する基板挿入凹部13が2つである、すなわち、上側基板挿入凹部13Aと下側基板挿入凹部13Bとを有しているのに対し、本実施の形態においては、図21(b)及び22(a)に示されるように、第1コネクタ10の第1ハウジング11が有する基板挿入凹部13は1つのみである。したがって、本実施の形態においては、FPC90も1つのみである。
【0089】
図に示される例において、本実施の形態における第1コネクタ10の第1ハウジング11は、前記第1の実施の形態における下側基板挿入凹部13Bに相当する基板挿入凹部13のみを有し、前記第1の実施の形態における上側基板挿入凹部13Aに相当する基板挿入凹部13を有していない。したがって、仕切り壁14の上側に基板挿入凹部13が存在せず、仕切り壁14の下側にのみ基板挿入凹部13が存在し、第1ハウジング11の本体部11aの上面部分が仕切り壁14によって構成され、リブ14aは仕切り壁14における中央挿入凹部13a内の下面から突出している。そして、FPC90は、補強板92が取付けられていない面である表面側が仕切り壁14に面するような姿勢で、基板挿入凹部13に挿入される。
【0090】
また、前記第1の実施の形態においては、嵌合凹部12cによって幅方向(Y軸方向)に二分された嵌合主部12aの各区画内に複数個の端子進入凹部12a1が幅方向に並んで形成されているのに対し、本実施の形態においては、図21(a)に示されるように、嵌合凹部12cによって幅方向(Y軸方向)に二分された嵌合主部12aの各区画内には、幅方向に延在する端子進入凹部12a1が1つのみ形成されている。さらに、本実施の形態において、嵌合主平面12dは、端子進入凹部12a1の下側内面となっていて、嵌合主平面12dの前端を画定する前端凸部12a2は、端子進入凹部12a1の下側内面から突出する。
【0091】
前記第1の実施の形態においては、第2コネクタ101の第2ハウジング111が有する端子収容凹部115が二種類である、すなわち、上側端子収容凹部115Aと下側端子収容凹部115Bとを有しているのに対し、本実施の形態においては、図25(b)に示されるように、第2コネクタ101の第2ハウジング111が有する端子収容凹部115は一種類のみである。したがって、本実施の形態においては、端子161も一種類のみであって、前記第1の実施の形態における下側端子161Bと同様のもののみである。
【0092】
また、前記第1の実施の形態においては、嵌合柱部112cによって幅方向(Y軸方向)に二分された嵌合凹部113の各区画内に複数個の端子支持部112aが幅方向に並んで形成されているのに対し、本実施の形態においては、図25(a)及び26(b)に示されるように、嵌合柱部112cによって幅方向(Y軸方向)に二分された嵌合凹部113の各区画内には、幅方向に延在する端子支持部112aが1つのみ形成されている。そして、各端子支持部112aの下面には、前後方向に延在する複数本の端子収容溝112bが幅方向に並んで形成され、各端子収容溝112b内には、各端子161の接触部165が収容されている。該接触部165の自由端に形成された接触突部165aは、下方を向いて、端子支持部112aの下面から下方に突出している。
【0093】
なお、本実施の形態における第1コネクタ10及び第2コネクタ101のその他の基本的な構成は、前記第1の実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0094】
また、本実施の形態における第1コネクタ10にFPC90を取付ける基本的な動作も、前記第1の実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0095】
さらに、本実施の形態における第1コネクタ10と第2コネクタ101とを嵌合させる動作、並びに、第1コネクタ10と第2コネクタ101とが嵌合した状態のその他の基本的な構成及び効果についても、前記第1の実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0096】
なお、本明細書の開示は、好適で例示的な実施の形態に関する特徴を述べたものである。ここに添付された特許請求の範囲内及びその趣旨内における種々の他の実施の形態、修正及び変形は、当業者であれば、本明細書の開示を総覧することにより、当然に考え付くことである。
【産業上の利用可能性】
【0097】
本開示は、FPCコネクタ及びコネクタ対に適用することができる。
【符号の説明】
【0098】
10 第1コネクタ
11 第1ハウジング
11a、15a、94a、163 本体部
11b 嵌合部
11c、114 フランジ部
11f、111f 前面
11r、111r 後面
12a 嵌合主部
12a1 端子進入凹部
12a2 前端凸部
12a3 先端ガイド
12b 嵌合側部
12c、113 嵌合凹部
12d 嵌合主平面
12e 嵌合内壁部
13 基板挿入凹部
13A 上側基板挿入凹部
13a 中央挿入凹部
13a1 前後連絡開口
13a2 側部連絡開口
13a3 凹部連絡開口
13B 下側基板挿入凹部
13b 端部挿入凹部
13b1 窓
13c 押え凸部
13c1、14b1 傾斜面部
13c2、14b2 天面部
13d 解除空間
14 仕切り壁
14a、116 リブ
14b 係止凸部
14b3 係止面部
15 柱部
15A 上側柱部
15B 下側柱部
15b、94b 突出部
15c 欠落部
21 ロック部材
21a ロック突起部
21b ロック用腕部
22 二次ロック部材
23 ロック保持部
90 FPC
90A 上側FPC
90B 下側FPC
90f 前端
91 本体
92 補強板
93 係止開口部
94 分離部
94c 凸片部
101 第2コネクタ
111 第2ハウジング
111b 実装面
111c 側壁部
111d 突起
112a 端子支持部
112b 端子収容溝
112c 嵌合柱部
115 端子収容凹部
115A 上側端子収容凹部
115B 下側端子収容凹部
121 被ロック部材
121a ロック凹部
161 端子
161A 上側端子
161B 下側端子
162、172 テール部
164 連絡部
165 接触部
165a 接触突部
165a1 前方接触突部
165a2 後方接触突部
171 補助金具
811 ハウジング
812 平板部
813 ガイド壁
817 ケーブル前端押え片
818 ケーブルガイド片
819 ケーブル係止突起
890 フレキシブルフラットケーブル
891 前端縁近傍部
892 導体
893 係止孔
図1
図2
図3
図4
図5
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