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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-13
(45)【発行日】2024-12-23
(54)【発明の名称】選果システム
(51)【国際特許分類】
   B07C 5/02 20060101AFI20241216BHJP
   A23N 15/00 20060101ALI20241216BHJP
   B07C 5/08 20060101ALI20241216BHJP
   B07C 5/342 20060101ALI20241216BHJP
【FI】
B07C5/02
A23N15/00 F
B07C5/08
B07C5/342
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022039510
(22)【出願日】2022-03-14
(65)【公開番号】P2023134148
(43)【公開日】2023-09-27
【審査請求日】2024-02-22
(73)【特許権者】
【識別番号】720001060
【氏名又は名称】ヤンマーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】弁理士法人あーく事務所
(72)【発明者】
【氏名】中迫 文彦
【審査官】内田 茉李
(56)【参考文献】
【文献】特開平8-182970(JP,A)
【文献】特開平9-057211(JP,A)
【文献】特開2021-159837(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B07C 5/02
A23N 15/00
B07C 5/08
B07C 5/342
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
農産物が拡散配置して収容されたコンテナから選別コンベアへと、前記農産物を移載する移載エリアを有し、
前記コンテナには当該コンテナを特定するコンテナ情報が設定されており、
前記コンテナに収容された各農産物は、前記移載エリアでの移載前に第1計測装置によって前記コンテナへの収容状態で計測が行われており、前記第1計測装置での計測によって得られる当該コンテナ内での配置位置情報と当該農産物の第1品質情報とが対応付けて設定されており、
前記移載エリアには、
前記コンテナに設定されたコンテナ情報を読み取るコンテナ情報読取手段と、
前記コンテナから前記選別コンベアへ移載される各農産物に対し、前記コンテナ内での配置位置と、前記選別コンベア上の載置位置とを検出するエリアセンサとが設けられており、
前記移載エリアにて前記コンテナに収容された農産物を前記選別コンベアへ移載する際に、前記コンテナ情報読取手段にて前記コンテナ情報を読み取ると共に、前記エリアセンサにて移載される農産物の追跡を行うことで、移載前の前記コンテナに収容されていた農産物と移載後の前記選別コンベアに載置された農産物との対応付けを行うことを特徴とする選果システム。
【請求項2】
請求項1に記載の選果システムであって、
前記選別コンベアに、搬送される農産物に対して計測を行って第2品質情報を得る第2計測装置が設けられており、
前記第1品質情報および前記第2品質情報を結合し、結合した情報に基づいて農産物の選別を行うことを特徴とする選果システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の選果システムであって、
前記移載エリアまで前記コンテナを搬送する供給搬送コンベアを有し、
前記供給搬送コンベアには、前記第1計測装置が設けられていることを特徴とする選果システム。
【請求項4】
請求項1から3の何れか1項に記載の選果システムであって、
前記第1計測装置はX線センサによって農産物に対する計測を行うことを特徴とする選果システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテナによって供給される農産物を選別コンベアへ移載して選別を行う選果システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、コンテナに収納された農産物をコンテナから取り出して選別コンベアに移載する際に、コンテナ情報を選別コンベアに載置された容器に記憶させ、その後、計測装置によって計測された評価データを結合させて、生産者毎に等階級を判定する選果装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第3321340号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の選果装置では、農産物の等階級判定は選別コンベアでの搬送中に行われるものであり、等階級判定を行うための計測装置を選別コンベアの搬送経路に備えている。すなわち、計測装置の設置箇所が制限されることとなり、選果装置の設計の自由度が低くなるといった問題がある。そのため、農産物に対する計測回数を増やして判定の精度を高めるといった装置設計が困難になることもある。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、計測装置の設置箇所の制限を無くし、設計の自由度が高い選果システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の選果システムは、農産物が拡散配置して収容されたコンテナから選別コンベアへと、前記農産物を移載する移載エリアを有し、前記コンテナには当該コンテナを特定するコンテナ情報が設定されており、前記コンテナに収容された各農産物は、前記移載エリアでの移載前に第1計測装置によって前記コンテナへの収容状態で計測が行われており、前記第1計測装置での計測によって得られる当該コンテナ内での配置位置情報と当該農産物の第1品質情報とが対応付けて設定されており、前記移載エリアには、前記コンテナに設定されたコンテナ情報を読み取るコンテナ情報読取手段と、前記コンテナから前記選別コンベアへ移載される各農産物に対し、前記コンテナ内での配置位置と、前記選別コンベア上の載置位置とを検出するエリアセンサとが設けられており、前記移載エリアにて前記コンテナに収容された農産物を前記選別コンベアへ移載する際に、前記コンテナ情報読取手段にて前記コンテナ情報を読み取ると共に、前記エリアセンサにて移載される農産物の追跡を行うことで、移載前の前記コンテナに収容されていた農産物と移載後の前記選別コンベアに載置された農産物との対応付けを行うことを特徴としている。
【0007】
上記の構成によれば、コンテナ情報読取手段およびエリアセンサを用いて、移載エリアにおける移載前の農産物(コンテナ収容された農産物)と移載後の農産物(選別コンベアに載置された農産物)との対応付けを行うことができる。これにより、コンテナ収容段階で設定されている各農産物の品質情報を、選別コンベアへの移載後においても認識できる。選別コンベアでの選別前に農産物の品質評価を行うことができ、選果システムの設計の自由度を高めることができる。
【0008】
また、上記選果システムは、前記選別コンベアに、搬送される農産物に対して計測を行って第2品質情報を得る第2計測装置が設けられており、前記第1品質情報および前記第2品質情報を結合し、結合した情報に基づいて農産物の選別を行う構成とすることができる。
【0009】
上記の構成によれば、例えば、移載エリアでの農産物の移載を行う際、農産物の向きを上下逆にすることで、第1品質情報と第2品質情報とは農産物に対して逆方向からの計測による品質情報となる。これらを結合することで、農産物を傷つけることなく(コンベア搬送中に農産物の向きを変えることなく)評価精度を向上させることができる。
【0010】
また、上記選果システムは、前記移載エリアまで前記コンテナを搬送する供給搬送コンベアを有し、前記供給搬送コンベアには、前記第1計測装置が設けられている構成とすることができる。
【0011】
また、上記選果システムでは、前記第1計測装置はX線センサによって農産物に対する計測を行う構成とすることができる。
【0012】
上記の構成によれば、選別機能を持たない供給搬送コンベアでは、第1計測装置にX線センサを用いることができる。X線センサの使用により、農産物の重量まで計測することが可能であり、品質の評価精度が向上する。
【発明の効果】
【0013】
本発明の選果システムは、移載エリアにおける移載前後の農産物の対応付けを行い、コンテナ収容段階で設定されている各農産物の品質情報を選別コンベアへの移載後においても認識することができる。これにより、選別コンベアでの選別前に農産物の品質評価を行うことができ、選果システムの設計の自由度を高めることができるといった効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態を示すものであり、選果システムの概略構成を示す模式図である。
図2】第1計測装置での読取後の記憶データを示すテーブルである。
図3】移載エリアの具体的構成を示す概略図であり、(a)は移載エリアを上から見た図、(b)は移載エリアを横から見た図である。
図4】選別コンベアへの載置後の記憶データを示すテーブルである。
図5】選果システムの制御系の構成を示す機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
〔実施の形態1〕
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。図1は、本実施の形態に係る選果システム(以下、本システム)の概略構成を示す模式図である。本システムで選別される農産物の種類は特に限定されるものではないが、球体に近い形状で、表面が柔らかく傷つきやすい果実など(例えば桃)への適用が好適である。
【0016】
本システムは、大略的には、供給搬送コンベア10と選別コンベア20とを移載エリア30を介して接続した構成とされている。供給搬送コンベア10は、選別対象となる農産物Fが収容されたコンテナCを移載エリア30まで搬送するコンベアである。選別コンベア20は、個別に載置された農産物Fを搬送しながら、各農産物Fに対して判定された等階級(等級および階級)に基づき選別を行うコンベアである。移載エリア30では、コンテナCに収納された農産物Fを、コンテナCから取り出して選別コンベア20に移載する作業が行われる。また、本システムは、本システムによる農産物の選別処理を制御する選別制御装置40を有している。
【0017】
供給搬送コンベア10には、第1計測装置101が設けられており、第1計測装置101に対して供給搬送コンベア10の搬送方向上流側にはバーコードリーダ102が配置されている。コンテナCには、各コンテナCを特定するためのコンテナ情報がバーコードによって付されている。また、コンテナC内では複数の農産物Fが拡散配置して収容される。具体的には、コンテナCの内部が複数の区分け領域に分割されており、1つの区分け領域に1つの農産物Fが載置・収容される。
【0018】
供給搬送コンベア10によって搬送されるコンテナCは、第1計測装置101の直前でバーコードリーダ102によってコンテナ情報が読み取られ、第1計測装置101ではコンテナCに収納された全ての農産物Fに対して計測・判定が行われる。第1計測装置101としては、コンテナCに対して1方向(上方)からの計測を行う面計測装置が使用される。
【0019】
第1計測装置101での計測・判定は、各農産物Fに対してサイズ、形状、表面キズなどを計測して等階級を判定することに加え、コンテナC内での各農産物Fの配置位置情報(農産物Fが載置された区分け領域)の計測も含まれる。第1計測装置101の計測によって得られた各農産物Fの等階級情報(第1品質情報)は、農産物F毎に割り振られたID番号と、収容されていたコンテナCのコンテナ情報(すなわち、バーコードリーダ102によって読み取られたコンテナ情報)と、コンテナC内での各農産物Fの配置位置情報とに対応付けられて記憶される(図2参照)。
【0020】
第1計測装置101では、農産物Fの計測にX線センサを用いてもよい。X線センサを用いた第1計測装置101では、農産物Fに対してサイズ、形状、表面キズなどの外観データに加え、水分含有率などの内部データを得ることも可能となる。形状および水分含有率からは農産物Fの重量を間接的に計測(算出)することも可能であり、選別のための評価パラメータに重量を加えることで品質の評価精度も向上する。尚、X線センサは、第1計測装置101を選別コンベア20に設置しないことから使用が可能となる。すなわち、X線センサは、計測対象となる農産物Fに対してX線の照射部と受光部とを対称に配置する必要があり、選別機能を持たせることで複雑な構造となる選別コンベア20に対して果実の全体を撮像可能な設置は困難である。
【0021】
図3は、移載エリア30の具体的構成を示す概略図であり、(a)は移載エリア30を上から見た図、(b)は移載エリア30を横から見た図である。移載エリア30では、選別コンベア20に沿って少なくとも1つ(好適には複数、図1では3つの)作業テーブル31が設置されており、作業テーブル31の上にコンテナCを載せた状態で、農産物Fの移載作業が行えるようになっている。尚、本システムでは、移載エリア30における農産物Fの移載作業を作業者の人手によって行うものとしている。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、可能であればロボットアームなどによって移載作業が行われるものであってもよい。
【0022】
それぞれの作業テーブル31には、バーコードリーダ(コンテナ情報読取手段)301と、エリアセンサ302とが設置される。作業テーブル31に載せられたコンテナCは、バーコードリーダ301によってコンテナ情報が読み取られる。これにより、移載作業を受けるコンテナCが特定される。コンテナCから選別コンベア20への移載作業時には、エリアセンサ302によって移載される農産物Fの追跡が行われる。具体的には、エリアセンサ302により、各農産物Fに対して、コンテナCから取り出される時点でのコンテナC内での配置位置情報と、選別コンベア20に載置された時点での選別コンベア20上の載置位置情報が確認され、これらの位置情報が対応付けられる。
【0023】
選別コンベア20に載置された農産物Fにおいては、農産物F毎に選別コンベア20上での載置位置情報と、等階級情報とが対応付けられて記憶される(図4参照)。例えば、エリアセンサ302の追跡により、第1計測装置101での読取後の記憶データ(図2参照)に対し、コンテナ情報およびコンテナC内での配置位置情報を、選別コンベア20上での載置位置情報に置き替えることで、選別コンベア20への載置後の記憶データ(図4参照)を得ることができる。
【0024】
ここで、選別コンベア20上の載置位置情報は、例えば、農産物Fが選別コンベア20に最初に載置された場所の座標情報と、農産物Fが選別コンベア20に載置された時点での選別コンベア20の位置情報とを組み合わせた情報とすることができる。上記座標情報は、選別コンベア20の搬送方向(図1中の矢印X方向)における絶対座標である。また、選別コンベア20の位置情報は、選別コンベア20を駆動する回転軸から伝導するよう取り付けられたエンコーダから得られる角速度の情報や、選別コンベア20における搬送体をセンサなどでパルス検出することによって得ることができる。
【0025】
選別コンベア20に載置された農産物Fは、移載エリア30から選別エリア21へと搬送され、選別エリア21において等階級に応じた選別を受ける。すなわち、選別エリア21では、選別される農産物Fの種類数に応じて複数(図1では8個)の受けボックスBが配置されており、各農産物Fは判定された等階級に対応する受けボックスBの位置で選別コンベア20から受けボックスBへ仕分けされる。
【0026】
具体的には、農産物Fが選別コンベア20に載置された箇所から選別先の受けボックスまでの距離L1が、上述の座標情報に基づいて算出される。そして、選別コンベア20を駆動する回転軸に備えられたエンコーダにより農産物Fの搬送距離が追跡され、農産物Fが距離L1の搬送を受けた時点で選別コンベア20から選別先の受けボックスBへ仕分けされる。
【0027】
尚、このような仕分け作業を行える選別コンベア20は公知のものであり、ここでは選別コンベア20の具体的構造についての詳細な説明は省略する。また、図1では、選別コンベア20から受けボックスBへ直接仕分けが行われるような図示とされているが、選別コンベア20と受けボックスBとの間には、それぞれの受けボックスB毎に仕分けコンベアが設けられていてもよい。すなわち、選別コンベア20で仕分けされた農産物Fは、仕分けコンベアによって選別先の受けボックスBまで搬送されてもよい。
【0028】
また、本システムでは、選別コンベア20における移載エリア30と選別エリア21との間に第2計測装置201が設けられている。第2計測装置201では、選別コンベア20で搬送中の農産物Fに対して、サイズ、形状、表面キズなどの計測と、この計測に基づく等階級の判定が行われる。第2計測装置201としては、農産物Fに対して1方向(上方)からの計測を行う面計測装置が使用される。
【0029】
第2計測装置201が使用される本システムでは、移載エリア30における農産物Fの移載作業の際に、農産物Fが上下逆向きにして移載される。これにより、第2計測装置201による計測は、第1計測装置101による計測とは逆方向からの計測となる。農産物Fの最終的な選別に使用される判定結果は、第1計測装置101の判定による等階級情報(第1品質情報)と第2計測装置201の判定による等階級情報(第2品質情報)とが結合されたものとなる。このように、異なる方向からの多計測による判定を行うことで、本システムの評価精度を向上させることができる。また、本システムでは、異なる方向からの多計測を行うために農産物Fに対して向きを変化させながら搬送を行うといったことも無いため、コンベアでの搬送によって農産物Fを傷つけることも回避できる。
【0030】
続いて、本システムにおける制御系の説明を行う。図5は、本システムの制御系の構成を示す機能ブロック図である。本システムの制御系は、図5に示すように、バーコードリーダ102、第1計測装置101、バーコードリーダ301、エリアセンサ302、第2計測装置201、選別コンベア20および選別制御装置40によって構成されている。第1計測装置101は、第1カメラ101a、X線センサカメラ101bおよび第1画像処理コンピュータ101cを備えている。第2計測装置201は、第2カメラ201aおよび第2画像処理コンピュータ201bを備えている。選別制御装置40は、データ記憶部401およびコンベア制御部402を備えている。
【0031】
供給搬送コンベア10では、バーコードリーダ102がコンテナCのコンテナ情報を読み取り、第1計測装置101における第1カメラ101aおよびX線センサカメラ101bがコンテナCに収容された農産物Fの計測(撮影)を行う。第1カメラ101aおよびX線センサカメラ101bの計測データは第1画像処理コンピュータ101cによる画像処理を受け、その結果、コンテナC内の各農産物Fの位置情報および等階級情報が得られる。得られた農産物Fの位置情報および等階級情報は、バーコードリーダ102で読み取られたコンテナ情報と共に選別制御装置40へ送られ、データ記憶部401にて記憶される。
【0032】
移載エリア30では、バーコードリーダ301がコンテナCのコンテナ情報を読み取り、エリアセンサ302が移載される農産物Fの追跡を行う。この追跡により、データ記憶部401に記憶されているデータの書き換えが行われる。すなわち、上述したように、第1計測装置101での読取後の記憶データ(図2参照)が、選別コンベア20への載置後の記憶データ(図4参照)に書き換えられる。
【0033】
選別コンベア20では、第2計測装置201における第2カメラ201aが搬送中の農産物Fの計測(撮影)を行う。第2カメラ201aの計測データは第2画像処理コンピュータ201bによる画像処理を受け、各農産物Fの等階級情報が得られる。得られた農産物Fの等階級情報は選別制御装置40へ送られ、必要であればデータ記憶部401に記憶されている記憶データを更新する。
【0034】
選別制御装置40におけるコンベア制御部402は、データ記憶部401の記憶データに基づき、選別コンベア20での仕分け動作を制御する。すなわち、コンベア制御部402は、各農産物Fの等階級情報に基づいて選別先を決定し、その選別先に応じた受けボックスBに農産物Fが仕分けされるように選別コンベア20を制御する。
【0035】
尚、上述した本システムの制御系では、第1画像処理コンピュータ101cおよび第2画像処理コンピュータ201bを第1計測装置101および第2計測装置201のそれぞれに設けた構成としている。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、第1画像処理コンピュータ101cおよび第2画像処理コンピュータ201bは、選別制御装置40に設けられていてもよい。
【0036】
以上のように、本システムは、バーコードリーダ301およびエリアセンサ302を用いて、移載エリア30における移載前後の農産物Fの対応付けを行うことができる。これにより、コンテナCの収容段階で判定された各農産物Fの等階級情報を、選別コンベア20への移載後においても認識できる。すなわち、選別コンベア20での選別前に農産物Fの品質評価を行うことができ、選果システムの設計の自由度を高めることができる。また、選別コンベア20に第2計測装置201を設け、第1計測装置101および第2計測装置201による多判定を行うことで、判定の精度を高めることができる。
【0037】
〔実施の形態2〕
上記実施の形態1では、供給搬送コンベア10と、バーコードリーダ102および第1計測装置101を選果システムの一部として組み込んでいるが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、供給搬送コンベア10は本システムにおいて必須ではなく、バーコードリーダ102および第1計測装置101は本システムに含まない構成であってもよい。
【0038】
具体的には、バーコードリーダ102および第1計測装置101は本システムとは別途に用意されており、コンテナCに収容された農産物Fに対する計測・判定は、本システムとは離れた箇所で、また、本システムによる選別作業時とは異なるタイミングで行われてもよい。但し、第1計測装置101で計測・判定されたデータは、本システムに含まれる選別制御装置40に予め記憶されるものとする。
【0039】
第1計測装置101による計測・判定が終了したコンテナCは、選別作業時まで倉庫などで保管されていてもよく、選別作業時にフォークリフトなどで移載エリア30まで運ばれて来てもよい。バーコードリーダ102および第1計測装置101を本システムに含めない場合、これらを選別コンベア20と近接して配置する必要が無くなり、装置設計の自由度がさらに高くなる。
【0040】
〔実施の形態3〕
上記実施の形態1では、選別コンベア20において第2計測装置201を備えているが、本発明はこれに限定されるものではなく、第2計測装置201は本システムにおいて省略されてもよい。
【0041】
本システムが第2計測装置201を備えない場合、選別コンベア20における搬送長さを、第2計測装置201を備える場合に比べて短くすることができる。選別コンベア20は、農産物Fの仕分け機能を持たせるための構造が複雑となっており、搬送長が長くなるとそのコストも増大する。すなわち、本システムに第2計測装置201を備えない場合には、第2計測装置201自体の削減と、選別コンベア20を短くすることによるコストダウンといったメリットが得られる。
【0042】
今回開示した実施形態は全ての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。したがって、本発明の技術的範囲は、上記した実施形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0043】
10 供給搬送コンベア
101 第1計測装置
101a 第1カメラ
101b X線センサカメラ
101c 第1画像処理コンピュータ
102 バーコードリーダ
20 選別コンベア
21 選別エリア
201 第2計測装置
201a 第2カメラ
201b 第2画像処理コンピュータ
30 移載エリア
31 作業テーブル
301 バーコードリーダ(コンテナ情報読取手段)
302 エリアセンサ
40 選別制御装置
401 データ記憶部
402 コンベア制御部
C コンテナ
F 農産物
B 受けボックス
図1
図2
図3
図4
図5