(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-13
(45)【発行日】2024-12-23
(54)【発明の名称】放射線撮影装置、放射線撮影システム、及び制御方法
(51)【国際特許分類】
A61B 6/00 20240101AFI20241216BHJP
G01T 7/00 20060101ALI20241216BHJP
【FI】
A61B6/00 520Z
G01T7/00 A
(21)【出願番号】P 2022169169
(22)【出願日】2022-10-21
【審査請求日】2023-05-29
(31)【優先権主張番号】P 2021180577
(32)【優先日】2021-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2022067120
(32)【優先日】2022-04-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100223941
【氏名又は名称】高橋 佳子
(74)【代理人】
【識別番号】100159695
【氏名又は名称】中辻 七朗
(74)【代理人】
【識別番号】100172476
【氏名又は名称】冨田 一史
(74)【代理人】
【識別番号】100126974
【氏名又は名称】大朋 靖尚
(72)【発明者】
【氏名】上野 弘人
(72)【発明者】
【氏名】竹島 美奈
【審査官】佐藤 賢斗
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-137271(JP,A)
【文献】国際公開第2013/176251(WO,A1)
【文献】特開2013-244166(JP,A)
【文献】特開2013-138829(JP,A)
【文献】特開2019-058208(JP,A)
【文献】特開2017-209244(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00 - 6/58
G01T 7/00 - 7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線発生装置から入射した放射線を検出するセンサ部と、
前記センサ部によって検出された放射線の累積到達線量と、放射線の照射時間と、照射停止閾値と、を用いて、放射線の照射の停止に関する信号を前記放射線発生装置に送信する制御部と、を備えた放射線撮
影装置において、
前記制御部は、前記累積到達線量が
、操作者により入力された所定量に到達した後に、前記照射時間と前記所定量とを用いて得られる前記照射停止閾値に基づいて、前記放射線の照射の停止に関する信号を前記放射線発生装置に送信することを特徴とする放射線撮影装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記累積到達線量が所定量に達した場合に、前記照射時間を計時することを特徴とする請求項1に記載の放射線撮影装置。
【請求項3】
前記制御部は、放射線撮影における前記累積到達線量の目標値と、前記照射時間と、前記照射の停止に関する信号の送信から前記放射線発生装置において前記放射線の照射が停止するまでの遅延時間と、に基づいて、前記照射停止閾値を設定する制御を行うことを特徴とする請求項2に記載の放射線撮影装置。
【請求項4】
前記照射の停止に関する信号を前記放射線発生装置へ送信する通信部を有し、
前記制御部は、前記通信部と前記放射線発生装置との通信における通信遅延時間に基づき前記遅延時間を導出すること
を特徴とする請求項3に記載の放射線撮影装置。
【請求項5】
前記通信部は、複数の通信形態を有し、
前記制御部は、前記複数の通信形態のうち前記放射線撮影を行う際の通信形態における前記通信遅延時間に基づき前記遅延時間を導出すること
を特徴とする請求項4に記載の放射線撮
影装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記放射線撮影を行う前に複数の前記通信遅延時間を取得することを特徴とする請求項4に記載の放射線撮影装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記複数の通信遅延時間のうちの1つに基づいて前記遅延時間を導出することを特徴とする請求項6に記載の放射線撮影装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記複数の通信遅延時間のうち一部または全部の平均値に基づいて前記遅延時間を導出することを特徴とする請求項6に記載の放射線撮影装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記複数の通信遅延時間のうちの最小値に基づいて前記遅延時間を導出することを特徴とする請求項6に記載の放射線撮影装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記照射の停止に関する信号の送信に対して、前記放射線発生装置から所定の時間に応答がない場合には、前記照射の停止に関する信号を前記放射線発生装置に再度送信することを特徴とする請求項1に記載の放射線撮影装置。
【請求項11】
前記制御部は、前記累積到達線量が所定量になった時点を照射開始閾値として照射開始を判定し、
前記制御部は、前記照射の停止に関する信号を送信するタイミングを、前記照射時間と、前記照射開始閾値と、に基づいて決定することを特徴とする請求項1に記載の放射線撮影装置。
【請求項12】
放射線発生装置から入射した放射線を検出するセンサ部と、
前記センサ部によって検出された放射線の累積到達線量と、放射線の照射時間と、照射停止閾値と、を用いて、放射線の照射の停止に関する信号を前記放射線発生装置に送信する制御部と、を備えた放射線撮
影装置において、
前記制御部は、前記累積到達線量が
、操作者により入力された所定量になった時点を照射開始閾値として照射開始を判定し、前記照射の停止に関する信号を送信するタイミングを、前記照射時間と、前記照射開始閾値と、に基づいて決定すること
を特徴とする放射線撮影装置。
【請求項13】
請求項1乃至12のいずれか一項に記載の放射線撮影装置と、
前記放射線発生装置と、を有すること
を特徴とする放射線撮影システム。
【請求項14】
放射線発生装置から入射した放射線を検出するセンサ部と、
前記センサ部によって検出された放射線の累積到達線量と、放射線の照射時間と、照射停止閾値と、を用いて、放射線の照射の停止に関する信号を前記放射線発生装置に送信する制御部と、を備えた放射線撮
影装置の制御方法であって、
前記累積到達線量が
、操作者により入力された所定量に到達した後に、前記照射時間と前記所定量とを用いて得られる前記照射停止閾値に基づいて、前記放射線の照射の停止に関する信号を前記放射線発生装置に送信する送信工程を行うことを特徴とする放射線撮
影装置の制御方法。
【請求項15】
放射線発生装置から入射した放射線を検出するセンサ部と、
前記センサ部によって検出された放射線の累積到達線量と、放射線の照射時間と、照射停止閾値と、を用いて、放射線の照射の停止に関する信号を前記放射線発生装置に送信する制御部と、を備えた放射線撮
影装置の制御方法であって、
前記累積到達線量が
、操作者により入力された所定量になった時点を照射開始閾値として照射開始を判定する判定工程と、前記照射の停止に関する信号を送信するタイミングを、前記照射時間と、前記照射開始閾値と、に基づいて決定する決定工程と、を行う
ことを特徴とする放射線撮
影装置の制御方法。
【請求項16】
請求項14又は15に記載の制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項17】
前記所定量は、前記放射線発生装置からの照射が安定した状態における前記累積到達線量である請求項1に記載の放射線撮影装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、放射線撮影装置、放射線撮影システム、及び制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、X線等の放射線による医療画像診断や非破壊検査に用いる放射線撮影装置として、半導体材料によって形成された平面検出器(Flat Panel Detector:FPD)を備えた放射線撮影装置が普及している。このような放射線撮影装置は、例えば医療画像診断においては、一般撮影のような静止画撮影や透視撮影のような動画撮影を行うデジタル放射線撮影装置として用いられている。
【0003】
放射線撮影装置の中には、照射された放射線の線量(累積線量)をモニタして当該累積線量が閾値に達した場合に放射線の照射を停止させる(例えば、放射線の照射を停止させるための照射停止信号を放射線発生装置に対して送信する)ものがある。この動作は、自動露光制御(Automatic Exposure Control:AEC)と称され、これによって、例えば放射線の過剰照射を防ぐことができる。
【0004】
このような放射線撮影装置として、例えば、特許文献1には、FPDの撮像領域内に、撮像領域に到達する放射線の線量を検出する線量検出部を備える放射線撮影装置が開示されている。この特許文献1では、線量検出部で検出する線量と予め設定された線量目標値とに基づいて、放射線発生装置において放射線の照射を停止すべき停止タイミングを予測している。そして、放射線発生装置に対して放射線の照射停止タイミングを知らせるための照射停止タイミング通知を、照射停止タイミングが到来する前に発信するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の記載の技術では、放射線発生装置からの放射線の照射停止制御の精度に課題がある。即ち、特許文献1の記載の技術では、被写体を透過する放射線の透過線量率が高くなる場合、放射線の累積線量が閾値に達するまでの時間が数ms程度と短くなる。その結果、照射停止タイミング通知が間に合わずに放射線発生装置が放射線の照射を停止する以前に放射線の累積線量が閾値よりも大きくなってしまうという問題が生じうる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題は、放射線発生装置から入射した放射線を検出するセンサ部と、前記センサ部によって検出された放射線の累積到達線量と、放射線の照射時間と、照射停止閾値と、を用いて、放射線の照射の停止に関する信号を前記放射線発生装置に送信する制御部と、を備えた放射線撮影装置において、前記制御部は、前記累積到達線量が、操作者により入力された所定量に到達した後に、前記照射時間と前記所定量とに基づいて、前記放射線の照射の停止に関する信号を前記放射線発生装置に送信することを特徴とする放射線撮影装置によって解決される。
【発明の効果】
【0008】
本開示の少なくとも一つの実施形態により、放射線発生装置からの放射線の照射停止制御を高精度で行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1の実施形態に係る放射線撮影システムの概略構成の一例を示す図である。
【
図2】第1の実施形態に係る放射線撮影システムにおいて、被写体の撮影の開始から終了までの一連の制御方法における処理手順の一例を示すフローチャートである。
【
図3】第1の実施形態に係る放射線撮影システムにおいて、通信の遅延時間を測定するための一連の制御方法における処理手順の一例を示す図である。
【
図4】第1の実施形態に係る放射線撮影システムにおいて、通信形態毎の通信遅延時間の関係を示すテーブルである。
【
図5】第1の実施形態に係る閾値変更制御部が設定する閾値の時間変化と線量の関係の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、図面を参照しながら、本開示を実施するための形態(実施形態)について説明する。なお、本明細書においては、放射線としてX線を用いることが好適であるが、放射線はX線に限定されるものではなく、α線やβ線、γ線なども、含まれるものとする。
【0011】
(第1の実施形態)
図1は、本開示の実施形態に係る放射線撮影システム100の概略構成の一例を示す図である。本実施形態においては、放射線撮影システム100は、特に医療用として使用されることが好適である。この放射線撮影システム100は、
図1に示すように、放射線発生装置110、放射線撮影装置120、及び、照射制御装置130を有して構成されている。
【0012】
放射線発生装置110は、照射制御装置130(より具体的には、撮影制御部131)の制御に基づいて、不図示の被写体に向けて放射線を照射する。この放射線発生装置110は、放射線を生成する放射線生成部である放射線管球及び、放射線管球で生成した放射線のビーム広がり角を規定するコリメータを含み構成されている。
【0013】
放射線撮影装置120は、例えばFPDを備えて構成されており、二次元に分布した撮像素子を含むセンサ部121を有して構成されている。このセンサ部121は、放射線発生装置110から照射され、入射した放射線を検出するものである。
【0014】
また、放射線撮影装置120は、具体的にセンサ部121において撮像素子に到達した放射線量の二次元分布の情報(線量情報)を検出し、放射線画像データを生成する。その後、放射線撮影装置120は、生成した放射線画像データを、通信部123を介して、照射制御装置130の画像処理部134に送信する。照射制御装置130は、放射線発生装置110及び放射線撮影装置120の動作を制御するとともに、放射線撮影装置120で撮影された放射線画像データを取得して処理する。
【0015】
さらに、放射線撮影装置120は、制御部200を有する。制御部200は、閾値判定部122、閾値決定部124、タイマー部125、線量算出部126を有する。閾値判定部122は、センサ部121で検出した線量が閾値に到達しているかを判定する機能を有する。閾値判定部122は、センサ部121で検出し線量算出部126で算出された放射線の線量(累積到達線量)が予め決められた照射停止閾値に到達したと判定した場合に、通信部123を通じて、照射制御装置130へ照射停止信号127を送信する。照射制御装置130は、通信部133を介して、放射線撮像装置120より照射停止通知を受信すると、撮影制御部131は放射線発生装置110からの放射線照射を停止するため、照射停止制御136を行う。
【0016】
また、それと同時に通信部133より放射線撮影装置120に対して、照射停止信号127の受信の応答を返す。放射線撮影装置120は、照射停止信号127を送信した後、一定時間応答が来ない場合には、照射制御装置130へ照射停止信号127を再度送信する。
【0017】
閾値判定部122は、線量算出部126によって撮影の開始からの累積到達線量が所定量になったことが算出されると、照射が開始されたと判定し、タイマー部125に照射時間の計時を開始させる。この時の線量の閾値を照射開始閾値と呼称する。閾値判定部122は、センサ部121で検出された線量が、照射開始閾値に到達すると、閾値決定部124にその旨を伝達する。閾値決定部124は、照射開始閾値の到達を閾値判定部122より伝達されると、その時点を閾値変更基準点として定める。照射開始閾値となる所定量は、放射線発生装置110の照射が安定し始めたと判定するための基準となる線量値であり、放射線発生装置110の特性に応じて適切な値を閾値判定部122に設定する。
【0018】
タイマー部125は、所定のタイミングからの放射線の照射時間を計時するタイマーである。本実施形態では、閾値決定部124により定められた閾値変更基準点から、照射時間を計時する。閾値決定部124は、計時部125の照射時間と閾値判定部122の照射開始閾値を参照しながら、閾値変更基準点からの時間変化、照射開始閾値、および、後述の通信遅延時間Tdcより照射停止信号を送信するタイミングを連続的に補正する。
【0019】
通信部123は、照射制御装置130と有線および無線において通信可能である。撮影に先立って、照射制御装置130の通信部133と通信を行い、2つの装置間の通信応答時間をタイマー部125でカウントすることで、通信による遅延時間を算出し、閾値決定部124で通信遅延時間Tdcを保持する。閾値決定部124は算出された通信遅延時間Tdcを照射停止閾値の設定に反映させる。
【0020】
なお、ここで保持する通信遅延時間Tdcは、通信部123と通信部133との通信形態の組み合わせの数だけ保持することが可能なように、閾値決定部124に、テーブル等で保持することとする。通信部123と通信部133との通信形態に応じて閾値決定部124が照射停止閾値の設定に反映させるTdcは切り替わるようにすることとする。なお、テーブルで保持することに限定するものでなく、計算式に基づき算出することや、測定により算出しても良い。
【0021】
続いて、照射制御装置130が備える各構成部131~135の機能を説明する。
【0022】
撮影条件設定部132は、例えば、被写体の撮影部位や、放射線発生装置110における管電圧及び管電流、放射線が被写体を透過し放射線撮影装置120に到達する線量(累積到達線量)の目標値Dref等の撮影条件情報を含む撮影条件データを設定する。ここで、線量とは、一般的に、放射線照射時の累積到達線量を意味するが、それに類似した線量の値または連動した線量の値を使用しても構わなく、以下、必要に応じて「累積到達線量」と記載する。
【0023】
通信部133は、放射線撮像装置120と有線および無線において通信可能である。
【0024】
画像処理部134は、放射線撮影装置120から送信された放射線画像データに対して、階調処理やノイズ低減処理といった画像処理を行う。そして、画像処理部134は、画像処理後の放射線画像データを表示部135に送信する。
【0025】
表示部135は、画像処理部134から送信された放射線画像データに基づく放射線画像をモニタ等に出力して表示する。
【0026】
本実施例に記載の放射線撮影システム100において、放射線撮影装置120から照射制御装置130へ照射停止信号127を送信するタイミングは、前述の放射線撮影装置120から照射制御装置130への照射停止信号127の送信時間に基づく。さらに、照射制御装置130から、放射線発生装置110に対して放射線の照射を停止させるための照射停止制御136が行われてから、放射線発生装置110において放射線の照射が停止するまでの遅延時間を加味したタイミングであることが望ましい。
【0027】
また、放射線発生装置110において放射線の照射が停止する時間とは、放射線発生装置110の放射線管球における管電圧が下がり始めた時間または当該管電圧が下がりきった時間である。管電圧が下がりきった時間に基づき遅延時間を設定する場合には、放射線管球における管電圧が下がり始めてから下がりきるまでの非定常期間の時間に、線量・線質の変化を考慮した係数をかけた時間を加味して、遅延時間を設定することが望ましい。
【0028】
より具体的には、遅延時間Tdは、信号発信から管電圧が下がり始めるまでの定常期間Taと、管電圧が下がり始めてから下がりきるまでの非定常期間Tbとに分けられる。このとき、非定常期間Tbは、放射線管球における管電圧が低下するため、係数k(ここで、係数kは1以下である)をかけて加える。即ち、非定常期間Tbを加味した場合の遅延時間Tdは、以下の式に基づいて定めることができる。
Td=Ta+kTb
【0029】
本実施形態においては、この遅延時間Tdは、発生装置ごとに、被写体の放射線撮影に係る放射線の照射前(撮影前)までに取得しておく必要がある。また、この遅延時間Tdは、放射線撮影装置120の設置時に実際に測定した値を用いることができる。さらに、撮影環境や使用する放射線発生装置110を予めデータベースに登録しておき、データベースより参照して遅延時間Tdを算出してもよい。遅延時間Tdは、予め閾値決定部124に通知され、遅延時間Tdを考慮した照射停止閾値の設定を行うことが望ましい。
【0030】
次に、被写体の撮影の処理について、
図2を用いて説明する。
【0031】
図2は、本実施形態に係る放射線撮影システム100において、被写体の撮影の開始から終了までの一連の制御方法における処理手順の一例を示すフローチャートである。
【0032】
本撮影処理では、予め保持している遅延時間Td、事前に取得した通信遅延時間Tdc、照射開始閾値Dobs、及び線量(累積到達線量)の目標値Drefに基づいて、線量(累積到達線量)の照射停止閾値Dth及びDthの時間変化を設定し、被写体の放射線撮影を行う。
【0033】
まず、ステップS201において、撮影条件設定部132は、入力部(不図示)を介して操作者が入力した撮影開始の指示を受け取るとともに、例えば操作者が入力した撮影条件情報(照射条件情報)を設定する。ここで、撮影条件設定部132は、撮影条件情報(照射条件情報)として、放射線管球における管電圧や管電流、線量(累積到達線量)の目標値Dref、照射開始閾値Dobs、遅延時間Td等を設定する。
【0034】
その後、撮影条件設定部132は、取得した撮影開始の指示及び設定した撮影条件情報(照射条件情報)を放射線撮像装置120に送信する。また、放射線撮影システム100を構成するいずれかの装置に遅延時間Tdの値を保存しておき、その値を参照してもよい。
【0035】
続いて、ステップS202において、閾値決定部124は、ステップS201で設定された線量(累積到達線量)の目標値Dref、照射開始閾値Dobs、遅延時間Td、及び通信遅延時間Tdcに基づいて、線量(累積到達線量)の照射停止閾値Dth及びその時間変化を設定する。この線量(累積到達線量)の照射停止閾値Dth及びその時間変化の設定については、
図5を用いて後述する。
【0036】
続いて、ステップS203において、撮影制御部131は、ステップS201において撮影条件設定部132から受け取った撮影条件情報(照射条件情報)とともに、放射線の照射を行わせるための照射実行信号を放射線発生装置110に送信する。これに伴って、放射線発生装置110は、撮影条件設定部132から受け取った撮影条件情報(照射条件情報)に基づく照射条件で被写体に向けて放射線を照射する。
【0037】
続いて、ステップS204において、まず、線量算出部126は、センサ部121で検出した放射線の線量(累積到達線量)を代表する値Dを算出する。なお、ここでの放射線の線量(累積到達線量)を代表する値Dとしては、線量(累積到達線量)の最大値や平均値、中央値等を用いてもよい。以降の説明では、放射線の線量(累積到達線量)を代表する値Dを「放射線の線量(累積到達線量)D」として記載する。
【0038】
そして、閾値判定部122は、放射線の線量(累積到達線量)Dと、ステップS202で設定した照射停止閾値Dthと、を比較し、線量(累積到達線量)Dが照射停止閾値Dthよりも小さいか否かを判断する。この判断の結果、線量(累積到達線量)Dが照射停止閾値Dthよりも小さい場合には(S204/YES)、ステップS204で待機する。
【0039】
一方、ステップS204の判断の結果、線量(累積到達線量)Dが照射停止閾値Dth以上の場合(線量(累積到達線量)Dが当該閾値以上である)には(S204/NO)、ステップS205に進む。
【0040】
ステップS205に進むと、線量(累積到達線量)Dが照射停止閾値Dthに達したため、放射線撮影装置120は照射制御装置130に対して、放射線発生装置110からの放射線の照射を停止させるための照射停止信号127を送信する。照射制御装置130は照射停止信号を受信すると、撮影制御部131より、発生装置110に対して照射停止制御136を行う。
【0041】
この際、照射停止信号127の送信にかかる通信遅延時間Tdc、及び、照射停止制御136から実際に放射線発生装置110において放射線の照射が停止するまでの遅延時間Tdの分、放射線は照射され続ける。そのため、線量(累積到達線量)の目標値Drefに対して実際に照射された線量(累積到達線量)Dを近づけることが可能となる。
【0042】
続いて、ステップS206において、放射線撮影装置120は、センサ部121における撮像素子を制御し、線量情報への変換を停止し、生成した放射線画像データを画像処理部134に送信する。
【0043】
続いて、ステップS207において、画像処理部134は、放射線撮影装置120から受信した放射線画像データに対して、階調処理やノイズ低減処理といった画像処理を行う。その後、画像処理部134は、画像処理後の放射線画像データを表示部135へ送信する。
【0044】
続いて、ステップS208において、表示部135は、画像処理部134から受信した放射線画像データに基づく放射線画像をモニタ等に出力して表示し、操作者に放射線画像を提示する。
【0045】
そして、ステップS208の処理が終了すると、
図2に示す被写体の放射線撮影に係るフローチャートの処理を終了する。
【0046】
次に、
図3を用いて、撮影前の通信遅延時間Tdcの取得の方法について説明する。
【0047】
放射線撮影装置120及び照射制御装置130が起動し、有線通信・無線通信が動作可能となった状態で、放射線撮像装置120は、通信部123より、照射制御装置130の通信部133へ通信遅延時間を取得するための問い合わせを行う。
【0048】
その際、放射線撮影装置120は、タイマー部125のカウンタを参照する。照射制御装置130は通信遅延時間問い合わせを受信すると、直ちに応答を行う。放射線撮影装置120は照射制御装置130からの応答を受信すると、タイマー部125のカウンタを参照し、通信の往復時間(t1)÷2の時間を暫定通信遅延時間(T1)として保持する。
【0049】
放射線撮影装置120は撮影開始前まで継続的に本動作を繰り返し実施し、暫定通信遅延時間を複数取得していく(T2、T3、T4、・・・)。なお、取得した暫定通信遅延時間の最大個数を超えた場合には、最も古い情報から随時上書きしていく。撮影の開始タイミングへ遷移すると、複数取得した暫定通信遅延時間から、1つの通信遅延時間を算出し、通信遅延時間Tdcとして定める。ここで、1つの通信遅延時間の定め方として、複数の通信遅延時間の一部または全部の平均値を用いても良いし、一部または全部のうちの最小値を用いても良い。
【0050】
通信遅延時間Tdcを用いて、閾値決定部124は、線量(累積到達線量)の目標値Drefに対して、線量(累積到達線量)の照射停止閾値Dth及びその時間変化を設定する。この線量(累積到達線量)の照射停止閾値Dth及びその時間変化を設定については、
図5を用いて後述する。
【0051】
なお、算出されたTdcと、発生装置の遅延時間Tdと、公称最短照射時間の関係性において、下記の式が成り立つ場合には、通信遅延時間が非常に大きく、所望のタイミングで照射停止できないことが、撮影前の段階で判断できる。この状況においては、例えば撮影禁止の制御を行う。または、ユーザに警告を出すなどの動作を行っても良い。
Tdc>公称最短照射時間-Td
【0052】
また、通信遅延時間Tdcとは、放射線撮像装置120から照射制御装置130への通信の遅延時間であるため、遅延時間の構成要素としては、アクセスポイント、HUB、無線中継器などのユニットでの内部処理の時間が含まれる。他にも、アプリケーション層遅延・伝送遅延・伝搬遅延・無線管理サーバの処理(暗号化処理など)等が含まれ、また複数のHUBなどを使用する場合なども、それらの構成要素全ての時間を含めて通信遅延時間Tdcとする。
【0053】
通信遅延時間Tdcは、放射線撮像装置120と照射制御装置130間の通信形態の違いによって、値が異なるものである。具体的には、有線通信・無線通信によって異なるであろうし、無線通信の中でも、複数のアンテナを使用し、通信品質の向上を図る技術を搭載しているシステムの場合、複数存在するアンテナのうち、使用するアンテナによっても通信時間が異なる。それらの通信形態の違いによって、異なる通信遅延時間を
図4のようにテーブルとして、閾値決定部124で保持する。
【0054】
閾値決定部124は、撮影タイミングに通信部123と通信部133との通信形態を判断し、通信遅延時間Tdcのテーブルより、通信形態に応じた通信遅延時間Tdcの値を、照射停止閾値の設定に反映させる。
【0055】
例えば撮影直前に有線通信が切断され無線通信に切り替わってしまった場合に、直前に取得していた有線通信時の遅延時間Tdcを照射停止閾値の設定に反映させてしまった場合、精度よくAECを実施することが出来なくなってしまう。そこで、
図4のテーブルの様に通信形態による遅延時間Tdcを保持していれば、撮影タイミングの通信形態によって正しい通信遅延時間Tdcを用いて照射停止閾値の設定に反映し、精度よくAECを実施することが可能となる。
【0056】
図4では、Table.4(A)では通信形態毎の遅延時間をテーブルとして保持しているが、Table.4(B)に示すように、ベースの遅延時間に対しての差分を保持しておいても良い。
【0057】
なお、
図4では無線通信のアンテナを2つとして示しているが、個数を限定せずそれ以上の個数でも良いし、1つでも良い。
【0058】
次に、
図5を用いて、
図2のステップS202における線量(累積到達線量)の照射停止閾値Dth及びその時間変化の設定処理について説明する。なお、線量(累積到達線量)の照射停止閾値Dthの時間変化を設定する際には、ステップS204において肯定判断(S204/YES)がなされた場合に、ステップS202の処理内容も行うことになる。
【0059】
図5は、本実施形態における、線量(累積到達線量)の照射停止閾値Dth及びその時間変化と線量(累積到達線量)Dとの関係の一例を示す図である。この
図5では、縦軸に示された線量(累積到達線量)Dと、横軸に示された時間(経過時間)との関係が示されている。
【0060】
図5に示すように、閾値決定部124は、放射線の照射開始からの経過時間に応じて線量(累積到達線量)の照射停止閾値Dthを変化させる制御を行っている。具体的に、
図5では、閾値決定部124は、経過時間とともに線量(累積到達線量)の照射停止閾値Dthを増加させる制御を行っている。
【0061】
ここで、経過時間を計測する開始点は、
図5に示す閾値変更基準点である。閾値変更基準点は前述の通り、センサ部121で検出された線量(累積到達線量)Dに対して、閾値判定部122が保持している照射開始閾値に到達したと閾値判定部122が判定すると、その時点を閾値変更基準点として、閾値決定部124に通知する。
【0062】
閾値決定部124は、その基準点から経過時間をカウントし、経過時間に応じて、線量(累積到達線量)の照射停止閾値Dthを変化させる制御を行う。
【0063】
撮影を行う際には、撮影制御131が発生装置110に対して照射の開始を指示しても、発生装置110の管球によっては立ち上がりに時間を要し、立ち上がりが不安定なものもある。照射開始指示をしたところから経過時間のカウントを行うと、実際の線量(累積到達線量)Dと、線量率から想定される照射線量との整合性が取れなくなり、精度よく線量(累積到達線量)の照射停止閾値Dthの変更が出来なくなる。これを回避するため、照射が安定し始めるタイミングを、閾値変更基準点とすることで、照射停止制御の精度の向上を実現可能とする。
【0064】
なお、この閾値変更基準点として定める際の、センサ部121で検出された線量(累積到達線量)Dと照射開始閾値の到達判定では、センサ部121で検出された線量(累積到達線量)Dを使用するのが好適である。このとき、センサ部121で検出された線量のS/N比が十分に高い場合には、到達線量ではなく、1サンプルの線量を使用して照射開始閾値の到達判定を行っても良い。
【0065】
そして、閾値判定部122では、センサ部121で検出された線量(累積到達線量)Dが、この
図5に示す経過時間とともに変化する線量(累積到達線量)の照射停止閾値Dth以上となった場合に(S204/NO)、
図2のステップS205に移行する。そしてステップS205において、照射制御装置130に対して、照射停止信号127を送信し、撮影制御部131は、放射線発生装置110から放射線の照射を停止するように照射停止制御136を行う。
【0066】
この際、照射停止信号127の送信にかかる通信遅延時間Tdc及び、照射停止制御136を行ってから実際に放射線発生装置110において放射線の照射が停止するまでの遅延時間Tdの分だけ放射線が照射され続ける。
【0067】
図5に示す例では、放射線撮影装置120に入射する放射線の線量率が高い線量率501の場合には、照射時間Thighで、線量算出部126で得られた線量(累積到達線量)Dが、線量(累積到達線量)の照射停止Dth以上となる。その結果、照射時間Thighの時点で、放射線撮影装置120は、照射制御装置130に対して照射停止信号127を送信し、その後、放射線発生装置110において放射線の照射が停止する。
【0068】
この際の照射停止閾値Dthは、線量算出部126で照射停止閾値Dthを超えたことを検出し、通信遅延時間Tdc及び発生装置側の遅延時間Tdの時間分を考慮した照射停止閾値Dthである。よって、実際に発生装置110からの照射が停止するときには、目標値であるDrefの放射線が放射線撮影装置120に到達することになる。
【0069】
同様に、放射線撮影装置120に入射する放射線Rの線量率が低い線量率502の場合には、照射時間Tlowで、線量算出部126で得られた線量(累積到達線量)Dが、線量(累積到達線量)の照射停止閾値Dth以上となる。
【0070】
その結果、照射時間Tlowの時点で、放射線撮影装置120は、照射制御装置130に対して照射停止信号127を送信し、その後、放射線発生装置110において放射線の照射が停止する。線量算出部126で照射停止閾値Dthを超えたことを検出し、通信遅延時間Tdc及び発生装置側の遅延時間Tdの時間分を考慮した照射停止閾値Dthである。よって、実際に発生装置110からの照射が停止するときには、目標値であるDrefの放射線が放射線撮影装置120に到達することになる。
【0071】
ここで、この
図5に示すように、放射線の線量率501や線量率502は、線量(累積到達線量)Dと時間との関係に基づき定まるものである。
図5において、例えば、線量(累積到達線量)の照射停止閾値Dthを一定とした場合には、線量率の変化に応じて実際の線量(累積到達線量)Dが変化する。それにより、実際に止めたいタイミングより長く照射してしまい、線量(累積到達線量)の目標値Drefから離れた値となり、過剰照射となってしまう。
【0072】
本実施形態では、
図5に示すように、放射線の照射開始からの経過時間に応じて線量(累積到達線量)の照射停止閾値Dthを変化させる(具体的には、経過時間とともに線量(累積到達線量)の照射停止閾値Dthを増加させる)制御を行っている。そのため、高い線量率501の場合、及び低い線量率502の場合のどちらも、線量(累積到達線量)の目標値Drefの値とすることができる。これにより、線量率の大小にかかわらずに、放射線の照射停止制御を高精度で行うことができる。
【0073】
本実施形態においては、
図5に示すように、線量(累積到達線量)の照射停止閾値Dthの時間変化を、経過時間に対して、連続的変化に変化させているが、例えばメモリ容量を考慮して、経過時間に対して階段的に変化する階段関数で表されるようにしても良い。
【0074】
この際、線量(累積到達線量)の照射停止閾値Dthに係る階段関数の時間区分の長さは、時間区分ごとに異なっていてもよい。
【0075】
本実施形態においては、経過時間tに対する線量(累積到達線量)の照射停止閾値Dthは、経過時間t、遅延時間Td、通信遅延時間Tdc、照射開始閾値Dobs、及び、線量(累積到達線量)の目標値Drefを用いて、以下の数1の式を満たすものとして設定することができる。
【0076】
【0077】
即ち、数1に示すように、閾値決定部124は、経過時間tに応じて線量(累積到達線量)の照射停止閾値Dthを変化させる。かつ、閾値決定部124は、線量(累積到達線量)の目標値Dref、照射開始閾値Dobs、遅延時間Td、及び、通信遅延時間Tdcに基づいて、線量(累積到達線量)の照射停止閾値Dthの時間変化を設定する。
【0078】
なお、線量(累積到達線量)の照射停止閾値Dthとして階段関数を用いる場合には、数1の式と階段の各段がそれぞれ交わるような関数を設定することが望ましい。
【0079】
かかる構成によれば、放射線発生装置110からの放射線の照射停止制御を高精度で行うことができる。即ち、AECを高精度で行うことができる。
【0080】
なお、本実施形態では、累積到達線量が照射停止閾値Dthになることにより照射の停止を行っているが、照射停止閾値Dthになる時間を線量率から予測し、その予測した時間に照射を停止するようにしてもよい。さらに、累積到達線量が照射停止閾値Dthになるまでに複数回線量率から時間を予測して、線量率の変化に合わせて照射停止閾値Dthとなる時間を更新してもよい。この場合も、照射時間を累積到達線量が照射開始閾値に達したことを検出した時点から計時すると、照射の停止を精度よく予測することができる。
【0081】
(その他の実施形態)
本開示は、上述の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。
【0082】
また、記録媒体は、フレキシブルディスク、光ディスク(例えばCD-ROM、DVD-ROM)、光磁気ディスク、磁気テープ、不揮発性のメモリ(例えばUSBメモリ)、ROM等、種々の記録媒体を用いることができる。また、上述の機能を実施するプログラムを、ネットワークを介してダウンロードしてコンピュータにより実行するようにしてもよい。
【0083】
また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、上述の実施形態の機能が実現されるだけに限定するものではない。そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているOS(オペレーティングシステム)等が実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって上述した実施形態の機能が実現される場合も含まれる。
【0084】
さらに、記録媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれてもよい。そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPU等が実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって上述の機能が実現される場合も含まれる。
【0085】
以上の実施形態に関し、発明の一側面および選択的な特徴として以下の付記を開示する。
【0086】
(付記1)
放射線発生装置から入射した放射線を検出するセンサ部と、
前記センサ部によって検出された放射線の累積到達線量と、放射線の照射時間と、照射停止閾値と、を用いて、放射線の照射の停止に関する信号を前記放射線発生装置に送信させる制御部と、を備えた放射線撮像装置において、
前記制御部は、前記累積到達線量に基づいて、前記照射時間を計時することを特徴とする放射線撮影装置。
【0087】
(付記2)
前記制御部は、前記累積到達線量が所定量に達した場合に、前記照射時間を計時してもよい。
【0088】
(付記3)
前記制御部は、放射線撮影における前記累積到達線量の目標値と、前記照射時間と、前記照射の停止に関する信号の送信から前記放射線発生装置において前記放射線の照射が停止するまでの遅延時間と、に基づいて、前記照射停止閾値を設定する制御を行ってもよい。
【0089】
(付記4)
前記照射の停止に関する信号を前記放射線発生装置へ送信する通信部を有し、
前記制御部は、前記通信部と前記放射線発生装置との通信における通信遅延時間に基づき前記遅延時間を導出してもよい。
【0090】
(付記5)
前記通信部は、複数の通信形態を有し、
前記制御部は、前記複数の通信形態のうち前記放射線撮影を行う際の通信形態における前記通信遅延時間に基づき前記遅延時間を導出してもよい。
【0091】
(付記6)
前記制御部は、前記放射線撮影を行う前に複数の前記通信遅延時間を取得してもよい。
【0092】
(付記7)
前記制御部は、前記複数の通信遅延時間のうちの1つに基づいて前記遅延時間を導出してもよい。
【0093】
(付記8)
前記制御部は、前記複数の通信遅延時間のうち一部または全部の平均値に基づいて前記遅延時間を導出してもよい。
【0094】
(付記9)
前記制御部は、前記複数の通信遅延時間のうちの最小値に基づいて前記遅延時間を導出してもよい。
【0095】
(付記10)
前記制御部は、前記照射の停止に関する信号の送信に対して、前記放射線発生装置から所定の時間に応答がない場合には、前記照射の停止に関する信号を前記放射線発生装置に再度送信してもよい。
【0096】
(付記11)
前記制御部は、前記累積到達線量が所定量になった時点を照射開始閾値として照射開始を判定し、
前記制御部は、前記照射の停止に関する信号を送信するタイミングを、前記照射時間と、前記照射開始閾値と、に基づいて決定してもよい。
【0097】
(付記12)
放射線発生装置から入射した放射線を検出するセンサ部と、
前記センサ部によって検出された放射線の累積到達線量と、放射線の照射時間と、照射停止閾値と、を用いて、放射線の照射の停止に関する信号を前記放射線発生装置に送信させる制御部と、を備えた放射線撮像装置において、
前記制御部は、前記累積到達線量が所定量になった時点を照射開始閾値として照射開始を判定し、前記照射の停止に関する信号を送信するタイミングを、前記照射時間と、前記照射開始閾値と、に基づいて決定すること
を特徴とする放射線撮影装置。
【0098】
(付記13)
付記1乃至12のいずれか一項に記載の放射線撮影装置と、
前記放射線発生装置と、を有すること
を特徴とする放射線撮影システム。
【0099】
(付記14)
放射線発生装置から入射した放射線を検出するセンサ部と、
前記センサ部によって検出された放射線の累積到達線量と、放射線の照射時間と、照射停止閾値と、を用いて、放射線の照射の停止に関する信号を前記放射線発生装置に送信させる制御部と、を備えた放射線撮像装置の制御方法であって、
前記累積到達線量に基づいて、前記照射時間を計時する計時工程を行う
ことを特徴とする制御方法。
【0100】
(付記15)
前記計時工程において、前記累積到達線量が所定量に達した場合に前記照射時間の計時を行ってもよい。
【0101】
(付記16)
前記計時工程の後に、前記照射時間に応じて前記照射停止閾値を設定する設定工程を行い、
前記設定工程は、放射線撮影における前記累積到達線量の目標値と、前記放射線の照射の停止に関する信号を前記放射線発生装置に送信してから前記放射線発生装置において前記放射線の照射が停止するまでの遅延時間と、に基づいて、前記照射停止閾値の設定を行ってもよい。
【0102】
(付記17)
複数の通信形態を有し前記照射の停止に関する信号を前記放射線発生装置へ送信する通信部による前記放射線発生装置との通信における通信遅延時間を測定する測定工程を前記設定工程の前に行い、
前記設定工程は、前記複数の通信形態のうち前記放射線撮影を行う際の通信形態における前記通信遅延時間に基づき前記遅延時間の導出を行ってもよい。
【0103】
(付記18)
前記設定工程において、前記照射の停止に関する信号を前記放射線発生装置へと送信するタイミングを、前記照射時間と、前記照射開始閾値と、に基づいて設定してもよい。
【0104】
(付記19)
放射線発生装置から入射した放射線を検出するセンサ部と、
前記センサ部によって検出された放射線の累積到達線量と、放射線の照射時間と、照射停止閾値と、を用いて、放射線の照射の停止に関する信号を前記放射線発生装置に送信させる制御部と、を備えた放射線撮像装置の制御方法であって、
前記照射時間に応じて前記照射停止閾値を設定する設定工程を行い、
前記設定工程において、前記照射の停止に関する信号を前記放射線発生装置へと送信するタイミングを、前記照射時間と、前記照射開始閾値と、に基づいて設定する
ことを特徴とする制御方法。
【0105】
(付記20)
付記14乃至19のいずれか一項に記載の制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【符号の説明】
【0106】
110 放射線発生装置
120 放射線撮影装置
121 センサ部
127 照射停止信号
130 照射制御装置
200 制御部