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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-13
(45)【発行日】2024-12-23
(54)【発明の名称】内視鏡レーザトリガ吸引自動オン/オフ
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/00 20060101AFI20241216BHJP
   A61B 1/015 20060101ALI20241216BHJP
【FI】
A61B1/00 621
A61B1/015 512
A61B1/015 511
【請求項の数】 25
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022169393
(22)【出願日】2022-10-21
(65)【公開番号】P2023063276
(43)【公開日】2023-05-09
【審査請求日】2023-01-17
(31)【優先権主張番号】63/262,924
(32)【優先日】2021-10-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】500498763
【氏名又は名称】ジャイラス エーシーエムアイ インク ディー/ビー/エー オリンパス サージカル テクノロジーズ アメリカ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ジョーダン・シー・アバロス
【審査官】廣崎 拓登
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0055568(US,A1)
【文献】特表2019-505245(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0215965(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00-1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アブレーションモダリティの動作を、付随的な吸引及び灌注モダリティの少なくとも一方と連携させるための内視鏡システムであって、
前記付随的な吸引及び灌注モダリティの少なくとも一方のタイミングと、患者内のアブレーションターゲットに向けて、前記アブレーションモダリティによって発せられるアブレーションエネルギーのアブレーションタイミングとを連携させるために、制御信号を発するように構成されたコントローラ回路であって、前記アブレーションモダリティによる前記アブレーションエネルギーの発出と時間的に連携して、吸引及び灌注の少なくとも一方を相対的に増加させるために、前記制御信号が、前記付随的な吸引及び灌注モダリティの前記少なくとも一方を制御するための直接的なユーザ入力を必要とせずに自動的に発せられる、コントローラ回路と、
前記患者内の前記アブレーションターゲット及び前記患者内のアブレーションターゲット環境の少なくとも一方に関する撮像または分光の特性情報を提供するための、撮像デバイス及び分光デバイスの少なくとも1つと、
を備え、
前記コントローラ回路が、前記患者内の前記アブレーションターゲット及び前記患者内のアブレーションターゲット環境のうちの少なくとも一方に関する前記特性情報に少なくとも部分的に基づいて前記制御信号を生成し、
前記付随的な吸引及び灌注モダリティの少なくとも一方の前記タイミングを連携させるために、前記制御信号が前記アブレーションエネルギーの前記アブレーションタイミングから時間的ズレであって前記特性情報に基づいて決定された時間的ズレをもって発せられるか、前記コントローラ回路が決定し
前記コントローラ回路が、作業領域における温度及び圧力のうちの少なくとも一方に基づいて前記時間的ズレを決定するようにさらに構成されている、内視鏡システム。
【請求項2】
前記コントローラ回路が、
前記撮像デバイスから、前記アブレーションターゲット環境の第1の画像を受信することと、
前記第1の画像から前記アブレーションターゲットの細粉または破片を識別することと、
前記第1の画像において識別された前記細粉または破片に関する特性情報に基づいて、前記制御信号を生成することと
を行う、請求項1に記載の内視鏡システム。
【請求項3】
前記特性情報が、前記第1の画像における前記アブレーションターゲットの前記細粉によって引き起こされる不鮮明度である、請求項2に記載の内視鏡システム。
【請求項4】
前記特性情報が、前記第1の画像における前記アブレーションターゲットの破片の数である、請求項2に記載の内視鏡システム。
【請求項5】
前記特性情報が、前記第1の画像における前記アブレーションターゲット環境に定着した前記アブレーションターゲットの細粉または破片の量である、請求項2に記載の内視鏡システム。
【請求項6】
前記コントローラ回路が、
前記第1の画像の受信の後に、前記撮像デバイスから、前記アブレーションターゲット環境の第2の画像を受信することと、
前記第2の画像から前記アブレーションターゲットの細粉または破片を識別することと、
前記第2の画像において識別された前記細粉または破片に関する特性情報に基づいて、前記制御信号を生成することと
を行う、請求項2に記載の内視鏡システム。
【請求項7】
前記特性情報が、前記第1の画像と前記第2の画像との間の前記アブレーションターゲットの前記細粉によって引き起こされる不鮮明度の変化である、請求項6に記載の内視鏡システム。
【請求項8】
前記特性情報が、前記第1の画像と前記第2の画像に基づいて前記アブレーションターゲットの前記細粉によって引き起こされる不鮮明度の傾向である、請求項6に記載の内視鏡システム。
【請求項9】
前記コントローラ回路が、前記第1の画像と前記第2の画像に基づいて前記アブレーションターゲットの前記細粉によって引き起こされる前記不鮮明度の前記傾向に基づいて、前記制御信号をいつ生成するかを予測する、請求項8に記載の内視鏡システム。
【請求項10】
前記特性情報が、前記第1の画像と前記第2の画像との間の前記アブレーションターゲットの破片の数の変化である、請求項6に記載の内視鏡システム。
【請求項11】
前記特性情報が、前記第1の画像と前記第2の画像との間の前記アブレーションターゲット環境に定着した前記アブレーションターゲットの細粉または破片の量の変化である、請求項6に記載の内視鏡システム。
【請求項12】
前記特性情報が、前記アブレーションターゲット環境の術中圧力または術中温度を含む、請求項1に記載の内視鏡システム。
【請求項13】
前記コントローラ回路が、前記特性情報に基づいて、第1の制御信号と前記第1の制御信号の後の第2の制御信号との間の持続時間を予測する、請求項1に記載の内視鏡システム。
【請求項14】
アブレーションモダリティの動作を付随的な吸引及び灌注モダリティの少なくとも一方と連携させる内視鏡システムの作動方法であって、
前記内視鏡システムが、前記付随的な吸引及び灌注モダリティの少なくとも一方のタイミングと、患者内のアブレーションターゲットに向けて、前記アブレーションモダリティによって発せられるアブレーションエネルギーのアブレーションタイミングとを連携させるために、制御信号を発するように構成されたコントローラ回路を備え、
前記作動方法が、
前記コントローラ回路が、前記アブレーションモダリティによる前記アブレーションエネルギーの発出と時間的に連携して、吸引及び灌注の少なくとも一方を相対的に増加させるために、前記付随的な吸引及び灌注モダリティの前記少なくとも一方を制御するための直接的なユーザ入力を必要とせずに前記制御信号を自動的に発するステップと、
前記コントローラ回路が、前記患者内の前記アブレーションターゲット及び前記患者内のアブレーションターゲット環境の少なくとも一方に関する撮像または分光の特性情報を受信するステップと、
前記コントローラ回路が、前記患者内の前記アブレーションターゲット及び前記患者内のアブレーションターゲット環境のうちの少なくとも一方に関する前記特性情報に少なくとも部分的に基づいて前記制御信号を生成するステップと
を備え、
前記付随的な吸引及び灌注モダリティの少なくとも一方の前記タイミングを連携させるために、前記制御信号が前記アブレーションエネルギーの前記アブレーションタイミングから時間的ズレであって前記特性情報に基づいて決定された時間的ズレをもって発せられるか、前記コントローラ回路が決定し
前記コントローラ回路が、作業領域における温度及び圧力に基づいて前記時間的ズレを決定するようにさらに構成されている、方法。
【請求項15】
前記コントローラ回路が、前記アブレーションターゲット環境の第1の画像を受信するステップと、
前記コントローラ回路が、前記第1の画像から、前記アブレーションターゲットの細粉または破片を識別するステップと、
前記コントローラ回路が、前記第1の画像において識別された前記細粉または破片に関する特性情報に基づいて、前記制御信号を生成するステップと
をさらに備える、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記特性情報が、前記第1の画像における前記アブレーションターゲットの前記細粉によって引き起こされる不鮮明度である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記特性情報が、前記第1の画像における前記アブレーションターゲットの破片の数である、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記特性情報が、前記第1の画像における前記アブレーションターゲット環境に定着した前記アブレーションターゲットの細粉または破片の量である、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記コントローラ回路が、前記第1の画像の受信の後に、前記アブレーションターゲット環境の第2の画像を受信するステップと、
前記コントローラ回路が、前記第2の画像から、前記アブレーションターゲットの細粉または破片を識別するステップと、
前記コントローラ回路が、前記第2の画像において識別された前記細粉または破片に関する特性情報に基づいて、前記制御信号を生成するステップと
をさらに備える、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記特性情報が、前記第1の画像と前記第2の画像との間の前記アブレーションターゲットの前記細粉によって引き起こされる不鮮明度の変化である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記特性情報が、前記第1の画像と前記第2の画像に基づいて前記アブレーションターゲットの前記細粉によって引き起こされる不鮮明度の傾向である、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記コントローラ回路が、前記第1の画像と前記第2の画像に基づいて前記アブレーションターゲットの前記細粉によって引き起こされる前記不鮮明度の前記傾向に基づいて、前記制御信号をいつ生成すべきかを予測するステップをさらに備える、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記特性情報が、前記第1の画像と前記第2の画像との間の前記アブレーションターゲットの破片の数の変化である、請求項19に記載の方法。
【請求項24】
前記特性情報が、前記第1の画像と前記第2の画像との間の前記アブレーションターゲット環境に定着した前記アブレーションターゲットの細粉または破片の量の変化である、請求項19に記載の方法。
【請求項25】
前記特性情報が、前記アブレーションターゲット環境の術中圧力または術中温度を含む、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年10月22日に出願された米国仮特許出願第63/262,924号に対する優先権の利益を主張し、その内容全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
内視鏡などの医療用スコープは、1800年代初頭に初めて開発され、患者の体内を検査するために使用されてきた。そのようなスコープは、内視鏡、腹腔鏡、尿管鏡、十二指腸鏡、関節鏡及び内視鏡またはスコープと呼ばれることがある他のものを含むことができる。臓器を通して流体を移動させるために、内視鏡が使用され得る。いくつかの内視鏡は、流体を移動させるなどのために、灌注、吸引、またはその両方を提供する。レーザエネルギーは体内で使用することもできる。例えば、レーザジェネレータは、レーザファイバまたはファイババンドルなどを介して、体内にレーザエネルギーを提供することができる。レーザエネルギーは、1つまたは複数の結石をアブレーションするためにレーザ砕石術を実行するなど、診断または治療に使用することができる。アブレーションにより、結石を、自然に通過することもでき、内視鏡または補助ツールを介して、把持、吸引、または他の方法で身体から除去することもできるより小さい断片に分解することができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
必ずしも一定の縮尺で描かれていない図面において、同様の数字は、異なる図において同様のコンポーネントを表す場合がある。異なる文字の接尾辞を有する同様の数字は、同様のコンポーネントの異なる例を表す場合がある。図面は、本明細書において説明される様々な実施形態を、限定ではなく例として一般的に示している。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図1】吸引を制御するための吸引コンポーネント及びレーザジェネレータを有する内視鏡システムの一部の例を示す図である。
図2】レーザエネルギーに基づいて吸引及び/または灌注を制御する方法の例を示す図である。
図3】作業領域(working area)の撮像に基づいて吸引及び/または灌注を制御する方法の例を示す図である。
図4】動作領域の撮像に基づいて吸引及び/または灌注を制御する方法の例を示す図である。
図5】動作領域の撮像に基づいて吸引及び/または灌注を制御する方法の例を示す図である。
図6】動作領域の撮像に基づいて吸引及び/または灌注を制御する方法の例を示す図である。
図7】結石の撮像に基づいて治療計画を決定する方法の例を示す図である。
図8】例示的なコンピュータベースの臨床意思決定支援システム(CDSS)の例示的な概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
本明細書で説明するシステム及び技法は、砕石術中に、流体、結石、結石粉及び/または結石の破片などを腎臓などの臓器を通して移動させるために、吸引(aspiration)または「吸引(suction)」を使用する、内視鏡などの医療デバイスに関する。内視鏡の吸引は、レーザエネルギー送達によって作動、レーザエネルギー送達と同期、またはレーザエネルギー送達と連携することができるが、吸引は、追加的または代替的に、1以上の追加機能または異なる機能と連携することができる。これは自動的に行うことができ、吸引を制御するためのユーザ入力は必要ない。
【0006】
内視鏡は、診断、治療、またはその両方のために体内のターゲットを視覚化するために使用され得る。内視鏡は、臓器から細片(debris)を洗い流し、内視鏡処置中の視覚化を改善するなどのために、流体の流入(例えば、「灌注」)及び除去(例えば、「吸引」)を容易にするように構成され得る。例えば、尿管鏡は、腎臓に生理食塩水を供給するための灌注流体チャネルと、レーザ砕石術中に結石粉及び破片を吸引するための吸引チャネルを含み得る。石粉及び小破片は患者によって自然に排出され得るが、処置中に細片を積極的に除去することは有益である。
【0007】
腎臓を通る流体の流入及び流出は、監視、制御、またはその両方から利益を得る可能性のある腎圧の上昇及び低下を伴い得る。処置全体を通して継続的に吸引を「オン」にすることは、望ましくない場合がある。常に「オン」の吸引は、継続的な監視及び制御、または吸引から除去された流体を置き換えるための灌注流体の継続的な流入を含み得る。さらに、細粉化または他の結石の破片化が一時停止している間は、吸引及び/または腎臓への流体の通過は不要な場合がある。したがって、必要なときだけアクティブ化されるように吸引を制御することが有利である。
【0008】
本明細書に記載のシステム及び技法は、重要または望ましいと考えられるときに内視鏡吸引をアクティブ化させ、他のときに吸引を一時停止するために使用され得る。吸引は、内視鏡のユーザによって(例えば、フットペダルまたは他のアクチュエータを使用して)手動で制御され得るが、本システム及び技法は、吸引をアクティブ化及び/または非アクティブ化するために別の直接的なユーザ入力を必要としないなどの1つまたは複数の規準に基づくなどによって、吸引を自動的に制御する機能を提供することができる。例えば、吸引は、レーザ源がオンになっているとき、またはレーザ砕石術中にオンになっているときに応答してオンになり、レーザ源がオフになっているとき、またはオフであるときに応答してオフになるなど、レーザまたは他のエネルギー源(または、関連付けられる制御信号)の状態に基づいて自動的に制御することができる。
【0009】
レーザジェネレータのアクティブ化/非アクティブ化に対する吸引制御のタイムシフト遅延を設けることができる。例えば、レーザがオフになると吸引を自動的にオフにすることができるが、レーザがオフになった後、またはレーザがオンになる前の期間、吸引を継続するために、プログラムされたオフ遅延が使用され得る。例えば、吸引は、エネルギー送達によるアブレーションのために結石または破片を所望の場所に移動させるか、またはレーザアクティビティ後に細粉/破片を取り除くための時間を提供するなどのために、レーザがレーザエネルギーの送達を開始する前、またはレーザが送達を停止した後、プログラム可能な、または別の方法で指定された時間(例えば、1/2秒、1秒、X秒など)の間、「オン」のままであり得る。
【0010】
画像センサが、細粉、破片及び/または他の細片が十分に取り除かれていると見なされる1以上の画像を生成している場合など、吸引が中断されるタイミングを自動的に遅らせるための基準として、時間以外の1以上の規準が使用され得る。例えば、画像の明確度、霞、または他の1以上の個別または複合的な特性の比較を、指定された許容量または指定された許容画像と比較することができる。これは、人工知能及び/または機械学習(AI/ML)を使用して結果を決定または改善するために役立つなどのために、アルゴリズム的に、またはトレーニング済みモデルを使用して実行することができる。
【0011】
例えば、吸引が中断されるタイミングを自動的に遅らせるための規準は、術中圧力のセンサから得られた測定値に基づく場合がある。例えば、術中圧力が何らかの許容レベルまたは範囲に落ち着いた時期に応じて、レーザ細粉化が停止した後も吸引がしばらく継続する場合がある。
【0012】
灌注または他の流体送達がポンプなどのアクティブなメカニズムに基づく場合、対重力IVでは、流体送達は、1以上のレーザアクティブ化時間に少なくとも部分的に基づくことができるなど、同様に制御することができる。例えば、レーザ細粉化/破片化が終了したとき(または、少し遅れた後)、流体の送達と吸引の両方を自動的に中断することができる(例えば、独立した直接的なユーザ入力を必要とせずに)。
【0013】
図1は、吸引を制御するための吸引コンポーネント104及びレーザジェネレータ106を有する内視鏡システム100の一部の例を示す概略図である。
【0014】
内視鏡システム100は、内視鏡102、吸引コンポーネント104、レーザジェネレータ106及び流体源108を含み得る。内視鏡システム100は、患者110と相互作用し得る。例えば、内視鏡システム100は、腎臓112などの患者110の臓器にアクセスするために使用され得る。腎臓112は、結石114を有し得る。
【0015】
内視鏡102は、補助デバイスの遠位部分が患者110内のターゲット部位に導入されることを可能にする作業チャネルなどの1以上のチャネルを含み得る。内視鏡102の本体に別個の灌注チャネル及び吸引チャネルが含まれてもよく、またはそのような機能が内視鏡102の作業チャネルを使用して実行されてもよい。どのチャネルが使用されるかに関係なく、吸引コンポーネント104の遠位部分、レーザジェネレータ106からのレーザファイバの遠位部分、または流体源108と流体連通する灌注チャネルの遠位部分に、臓器(例えば、腎臓112)内のターゲット部位へのアクセスを提供することができる。内視鏡102は、照明光源(レーザジェネレータ106とは異なり得る)を含んでもよく、または照明ファイバもしくはファイババンドルを介して照明光源に結合されてもよい。これは、内視鏡可視化光学系を介した内視鏡による視覚的観察を補助するなど、内視鏡の遠位端において腎臓112を照明する手段を提供するために役立つことができる。内視鏡102は、使い捨てでもよく再使用可能でもよい。内視鏡102は、内視鏡102が患者110の切開部、患者110の尿道、あるいは患者110の腎臓112または他のターゲット臓器にアクセスする他の手段を通過できるようにするなど、柔軟であり得る。
【0016】
灌注流体源108は、生理食塩水または他の流体を内視鏡102を通して腎臓112または他の臓器内の処置部位に提供し得る。流体源108は、重力により流体を提供するポール上の静脈内(IV)バッグを含み得る。流体源108を使用する灌注は、静脈バッグのコンポーネントを圧搾するような圧力カフによって、静脈バッグを上げ下げすることによって、バルブのバルブ開口部を調節するようなサムホイールアクチュエータによって、または灌注もしくは他の流体を提供する速度を修正することができる他の手段によって制御され得る。流体源108は、流体を継続的に供給するなどのために制御され得る。流体源108は、一定速度で流体を提供するなどのために制御され得る。流体源108は、調節可能な速度または変化する速度でさえも流体を提供するなどのために制御され得る。流体源108からの流量は、内視鏡のユーザまたは別の介護士などによって手動で制御され得る。流体源108からの流量は、1以上の検出または予想されるイベントなどに基づいて、ユーザの介入を必要とせずに自動的または半自動的に制御され得るが、そのようなユーザの介入は許可され得る。
【0017】
レーザジェネレータ106は、内視鏡102を通じてエネルギーを結石114に、例えば1以上の光ファイバまたは光ファイババンドルを介して提供し得、そのいずれもレーザファイバと呼ぶことができる。例えば、レーザジェネレータ106は、患者110から除去するか通過させることができるより小さい断片(細粉または破片など)に結石114をアブレーションするために、レーザパルスを生成し得る。レーザジェネレータ106によるアブレーションは、結石粉または破片を引き起こす可能性がある。結石粉または破片は、結石が自然に通過できる大きさにし得、吸引コンポーネント104から適用される吸引を使用して除去し得、または回収デバイスまたは他の医療機器の補助を得て除去され得る。いくつかの実施形態では、レーザジェネレータ106は、超音波エネルギー源などの別のエネルギー提供源に置き換えられ(または、それによって増強され)てもよい。レーザジェネレータ106は、ターゲットへのレーザエネルギーの送達をトリガするために、ユーザによって手動で制御することができる。代替的または追加的に、レーザジェネレータ106は、AI/MLまたは他のトレーニング済みモデルが、レーザが向けられた結石を識別した場合などに、ターゲットへのレーザエネルギーの送達をトリガするためのユーザの介入を必要とせずに、自動的に制御され得る。代替的または追加的に、レーザジェネレータ106は、AI/MLまたは他のトレーニングされたモデルが、レーザが向けられた結石を識別したが、実際にレーザエネルギーの送達をトリガする前にユーザ確認を要求した場合などに、半自動的に制御され得る。代替的または追加的に、レーザジェネレータ106によって発せられるレーザパルスのエネルギーレベル、またはレーザジェネレータ106のパルス繰返率もしくはパターンは、自動的または半自動的に決定され得る。そのような自動エネルギーレベル、繰返率、またはパターンは、自動的に、半自動的に、またはユーザによって発せられてもよい。吸引、灌注、アブレーション、または他の機能のいずれかを制御することは、完全にロボットまたはロボット支援の手法などによる内視鏡102自体の位置決めまたは移動の制御、または内視鏡102に関連付けられる1以上の他のエンドエフェクタの制御を伴い得る。
【0018】
吸引コンポーネント104は、内視鏡102の吸引チャネルまたは作業チャネルなどを介して、内視鏡102を通じて、ターゲット、または臓器(例えば、腎臓112)の作業領域に吸引を提供し得る。吸引コンポーネント104は、吸引を使用して腎臓112から流体を除去し得る。吸引コンポーネント104は、吸引を使用して腎臓112から結石粉または破片を除去し得る。吸引速度は、作業領域及び臓器内に実質的に一定量の流体が存在するように灌注または他の流体を提供する速度と実質的に同様になるように確立または調節され得る。例えば、流体の送達速度が速い場合、吸引速度が速くなる可能性がある。同様に、流体速度が遅い場合、吸引速度が遅くなる可能性がある。流体送達速度は、吸引速度に少なくとも部分的に基づいて確立または修正され得る。逆に、吸引速度は、流体送達速度に少なくとも部分的に基づいて確立または修正され得る。
【0019】
内視鏡システム100は、撮像デバイス、撮像光学系、またはその両方を含み得る。例えば、カメラまたは他の撮像デバイスが内視鏡102内に組み込まれ得る。撮像デバイスは、内視鏡102から分離していてもよく、完全に分離しているか、または分離しているが内視鏡102を介してターゲットに向かって挿入可能であってもよい。撮像デバイスは、臓器(例えば、腎臓112)の作業領域の1以上の静止画像またはビデオ画像を提供し得る。本明細書で説明するように、画像に対してオブジェクト認識または他の画像処理が実行され得る。
【0020】
内視鏡システム100は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの何らかの組合せにおいて実装することができるコンピューティングデバイスまたは他のコントローラ回路を含むか、またはそれらに結合することができる。コンピューティングデバイスは、プロセッサ及びメモリデバイスを含むことができる。メモリデバイスは、プロセッサによって実行されると、コンピューティングデバイスに1以上の行為または動作を実行させる命令を含むことができる。コンピューティングデバイスは、画像処理、吸引コンポーネント104のアクティブ化及び/もしくは非アクティブ化、吸引コンポーネント104の吸引速度の変更、レーザジェネレータ106のアクティブ化及び/もしくは非アクティブ化、レーザジェネレータ106のエネルギーレベルの変更、流体源108のアクティブ化及び/もしくは非アクティブ化、流体源108の流体送達速度の変更、1以上のセンサ(例えば、温度センサ、圧力センサなど)からの作業環境の1以上の特徴の感知された指標の受信、またはそれらの組合せを行うことが可能であり得る。
【0021】
図2は、レーザエネルギーに基づいて吸引及び/または灌注を制御するための方法200を示している。コンピューティングデバイスまたはコントローラ回路は、方法200を実装し得る。202において、レーザジェネレータ106がレーザエネルギーを提供するようにレーザジェネレータ106がアクティブ化されるという指標が受信され得る。ユーザは、直接的なユーザ入力によってレーザエネルギーを送達するために、レーザジェネレータ106をアクティブ化し得る。204において、吸引が修正され得る。吸引は、直接的なユーザ入力なしに修正され得る。例えば、レーザジェネレータ106がレーザエネルギーを提供しているとき、コンピューティングデバイスは、それに応答して、吸引を提供するか、吸引のより低い周囲レベルまたは待機レベルなどから吸引を増加させるために、吸引コンポーネント104をオンにすることをトリガすることができる。206において、レーザジェネレータ106がレーザエネルギーを供給しないように、レーザジェネレータ106が非アクティブ化されているという指標を受信することができる。208において、吸引が修正され得る。吸引は、追加のユーザ入力なしに修正され得る。レーザジェネレータ106がレーザエネルギーの提供を停止すると、コンピューティングデバイスは、それに応答して、吸引の提供を停止するか、比較的より高い「アクティブ」吸引レベルから比較的より低い周囲レベルまたは待機レベルに吸引を減らすために、吸引コンポーネント104をオフにすることをトリガすることができる。レーザジェネレータ106は、レーザジェネレータ106への直接的なユーザ入力によって、レーザエネルギーの提供を停止し得る。流体源108の流体送達速度は、同様に、方法200と同様の方法でコンピューティングデバイスによって自動的に制御可能に調節され得る。一例では、コンピューティングデバイスをトリガして、流体の流体送達流量、吸引の吸引流量、またはその両方を変更するなどのために、レーザジェネレータ106の相対エネルギーまたは出力に関連付けられる1以上のパラメータが追加的または代替的に使用され得る。例えば、レーザエネルギーを下げることは、吸引コンポーネント104の吸引速度を下げるためにコンピューティングデバイスをトリガし得、レーザエネルギーを上げることは、吸引コンポーネント104の吸引速度を上げるためにコンピューティングデバイスをトリガし得る。レーザエネルギーが非アクティブ化されたという指標を待つのではなく、コンピューティングデバイスは、現在の吸引速度、現在の流体速度、現在のエネルギーレベル及びエネルギーレーザの現在のパルスパターンに基づいて、いつ吸引を再度修正するかを予測し得る。そのため、吸引は、ステップ202において受け取った指標に基づいて204において修正することができ、ステップ206において追加の指標なしに208において修正することができる。
【0022】
吸引コンポーネント104のタイミングはまた、レーザジェネレータ106の変化またはアクティブ化/非アクティブ化に伴って、またはそれに応答して、吸引速度を修正し、及び/または吸引のアクティブ化もしくは量を調整するなどのために、確立または操作することができ、正確に同時に調整される必要はない。例えば、コンピューティングデバイスは、ステップ206においてレーザジェネレータ106がオフにされた(または、電源を切られた)後(または、前でさえも)ある時間差で、ステップ204において、吸引コンポーネント104をオフにし(または、電源を切り)得る。例えば、レーザジェネレータ106は、レーザジェネレータ106の非アクティブ化(または、レーザエネルギーの減少)の前にコンピューティングデバイスが吸引をオフにし(または、電源を切り)得るように、レーザジェネレータ106がアクティブ化されると、レーザエネルギー送達のあらかじめ定められたパターンを有し得る。時間差は、追加的または代替的に、時間遅延、作業領域における温度、作業領域における圧力及び/または他の測定された特性にすべてまたは部分的に基づくことができる。したがって、コンピューティングデバイスは、設定または測定値(例えば、温度、圧力、レーザエネルギー、または他の測定された特性)の組合せに基づいて、吸引コンポーネント104及び/または流体源108をアクティブ化(ステップ204において)または非アクティブ化(ステップ208において)し得る。例えば、ステップ202において、レーザジェネレータ106は、時間0においてレーザエネルギーの送達を開始し得、2秒後にステップ204において、吸引コンポーネント104及び/または流体源108がアクティブ化または増加され得る。同様に、ステップ206において、レーザジェネレータ106は、時間xにおいてレーザエネルギーの送達を停止し得、2秒後にステップ208において、吸引コンポーネント104及び/または流体源108が非アクティブ化または減少され得る。別の例として、レーザジェネレータ106がアクティブ化され得るが、レーザエネルギーの送達の前に吸引がアクティブ化または修正され得るように、レーザエネルギーが遅延に設定され得る。例えば、吸引により、結石114が、レーザエネルギーを送達する場所に移動する可能性がある。方法200は、結石114をアブレーションするためにレーザジェネレータ106がアクティブ化及び非アクティブ化されるときに繰り返され得る。
【0023】
撮像デバイスは、吸引、灌注、または別の動作パラメータを自動的または半自動的に制御する方法を決定する際に使用するためなど、コンピューティングデバイスが分析する作業領域の1以上の画像を捕捉することができる。図3は、作業領域の撮像に基づいて吸引及び/または灌注を制御する例示的な方法300を示している。ステップ302において、撮像デバイスは、作業領域の1以上の画像を捕捉することができる。結石粉により、画像が不鮮明になる場合がある。ステップ304において、画像の不鮮明度を決定するために、コンピューティングデバイスによる画像処理を使用することができる。ある程度のぼやけが存在しない場合、撮像デバイスはステップ302において画像を捕捉し続けることができ、画像処理デバイスはステップ304において画像の不鮮明度を決定し続けることができる。ステップ306において、コンピューティングデバイスは、画像にある程度の不鮮明性が存在すると決定された場合、吸引コンポーネント104をアクティブ化するか、吸引速度を修正することができる。同様に、コンピューティングデバイスは、画像内に存在する不鮮明度がより低いと決定された場合、吸引コンポーネント104を非アクティブ化することができる。例えば、コンピューティングデバイスは、不鮮明傾向を決定するなどのために、不鮮明度に基づいて作業領域の2つ以上の画像を比較することができる。コンピューティングデバイスは、不鮮明性の傾向に基づいて、吸引コンポーネント104をいつアクティブ化または非アクティブ化するべきかを予測し得る。代替的または追加的に、方法300は、流体源108の灌注、または灌注及び吸引の両方を制御するために使用され得る。方法300またはその一部は、処置の持続時間を通して繰り返され得る。コンピューティングデバイスは、吸引コンポーネント104をいつアクティブ化または非アクティブ化するべきかを決定または予測するために、不鮮明度、吸引速度、流体速度、レーザエネルギーもしくは状態、または作業領域の1以上の他の条件の1以上の兆候を使用できるものなどの複合指標を計算することができる。
【0024】
図4は、作業領域の撮像に基づいて吸引及び/または灌注を制御する方法400の例を示している。ステップ402において、撮像デバイスは、作業領域の1以上の画像を提供することができる。ステップ404において、コンピューティングデバイスは、結石114、または結石114によって引き起こされる細粉もしくは破片と内視鏡102の遠位端との間の近接を決定または追跡することができる。ステップ406において、そのような距離または近接の決定に基づいて、コンピューティングデバイスは、内視鏡102の遠位端が結石114によって引き起こされる細粉または破片から所望の距離内にあるときに、吸引コンポーネント104をアクティブ化するか、吸引速度を修正し得る。コンピューティングデバイスは、内視鏡102の遠位端が、結石114によって引き起こされる細粉または破片から指定されたまたは所望の距離の外側にある場合、吸引コンポーネント104を非アクティブ化し得る。代替的または追加的に、方法400は、流体源108の灌注、または灌注及び吸引の両方を制御するために使用され得る。方法400またはその一部は、処置の持続時間を通して繰り返され得る。
【0025】
図5は、作業領域の撮像に基づいて吸引及び/または灌注を制御する方法500の例を示している。ステップ502において、撮像デバイスは、作業領域の1以上の画像を提供することができる。ステップ504において、作業領域の画像内の破片の数を数えるために、コンピューティングデバイスによる画像処理が使用され得る。破片の1以上または各々のサイズを決定するなどのために、コンピューティングデバイスによって他の画像処理が実行され得る。ステップ506において、この情報または同様の情報を使用して、破片の数が特定の数よりも多い場合などに、コンピューティングデバイスは吸引コンポーネント104をアクティブ化し得る。コンピューティングデバイスは、少なくとも1つの破片のサイズが特定のサイズを下回る場合に、吸引コンポーネント104をアクティブ化し得る。例えば、コンピューティングデバイスは、少なくとも1つの破片のサイズが、その動作チャネルまたは別の吸引チャネルを介するなどして内視鏡102を通過するのに十分小さい場合、吸引コンポーネント104をアクティブ化し得る。追加的または代替的に、この情報または同様の情報を使用して、コンピューティングデバイスは、破片の数が特定の数を下回る場合などに、吸引コンポーネント104によって適用される吸引を非アクティブ化または低減するために、吸引コンポーネント104に制御信号を発し得る。例えば、コンピューティングデバイスは、破片の数がゼロに達した場合、吸引コンポーネント104を非アクティブ化する、または電源を切るように、吸引コンポーネント104に制御信号を発し得る。一例では、コンピューティングデバイスは、指定された閾値サイズを下回る破片が検出されない場合、吸引コンポーネント104を非アクティブ化する、または電源を切るように、吸引コンポーネント104に制御信号を発し得る。代替的または追加的に、方法500は、流体源108の灌注、または灌注及び吸引の両方を制御するために使用され得る。方法500またはその一部は、処置の持続時間を通して繰り返され得る。
【0026】
図6は、作業領域の撮像に基づいて吸引及び/または灌注を制御する例示的な方法600を示している。ステップ602において、撮像デバイスは、作業領域の1以上の画像を提供することができる。ステップ604において、コンピューティングデバイスによる画像処理は、結石114または結石114の細粉もしくは破片と患者の臓器とを区別するために使用され得る。例えば、コンピューティングデバイスは、結石114の細粉または破片が臓器の組織に定着したと決定し得る。その場合、ステップ606において、コンピューティングデバイスは、内視鏡102の遠位端が結石114の細粉または破片から特定の距離内にあるときに、吸引コンポーネント104をアクティブ化するための制御信号を発し得、内視鏡102の遠位先端が組織の特定の距離の外側にあるとき、吸引コンポーネント104を非アクティブ化するための制御信号を発し得る。例えば、コンピューティングデバイスは、組織が結石114の細粉または破片を取り除いているか、または実質的に取り除いていることを画像処理が示す場合、吸引コンポーネント104を非アクティブ化するための制御信号を発し得る。代替的または追加的に、方法600は、流体源108の灌注、または灌注及び吸引の両方を制御するために使用され得る。方法600またはその一部は、処置の持続時間を通して繰り返され得る。
【0027】
図7は、結石114の撮像に基づいて治療計画を決定する例示的な方法700を示している。ステップ702において、撮像デバイスは、結石114を含む、作業領域の1以上の画像を提供することができる。ステップ704において、コンピューティングデバイスは、撮像デバイスからの1以上の画像からの情報を使用するなどして、または目標結石114から照明への応答からの分光情報を使用することによって、結石114及び/または結石114の細粉もしくは破片の1以上の特性を決定するようにプログラムされ得る。コンピューティングデバイスは、結石114及び/または結石114の細粉もしくは破片のサイズを決定し得る。コンピューティングデバイスは、結石114及び/または結石114の細粉もしくは破片の材料組成または特質を決定することができる。ステップ706において、結石114及び/または結石114の細粉もしくは破片の1以上の特性に基づいて、コンピューティングデバイスは治療計画を決定し得る。例えば、コンピューティングデバイスは、レーザジェネレータ106によって発せられたレーザパルスのエネルギーレベルを決定し得る。別の例として、コンピューティングデバイスは、レーザジェネレータ106のパルス繰返率またはパターンを決定し得る。別の例として、コンピューティングデバイスは、吸引コンポーネント104の吸引速度及び/または吸引パターンを決定し得る。コンピューティングデバイスは、流体源108の流体送達速度及び/または流体送達パターンを決定し得る。方法700またはその一部は、処置の持続時間を通して繰り返され得る。例えば、治療計画は、現在の治療計画の有効性に応じて、処置全体で修正され得る。治療計画の修正は、アブレーションエネルギーの送達の一時停止を含み得る。例えば、画像が実質的に鮮明になり、結石114(または、結石114の位置)が再び識別できるようになるまで、治療を一時停止することができる。図2図7に記載の方法は、単独でまたは組み合わせて使用され得る。
【0028】
図8は、流体または吸引をアクティブ化する、流体または吸引を非アクティブ化する、流体流動または吸引の速度を修正する、あるいはレーザエネルギー状態及び/または腎臓112もしくは結石114に関する情報などの作業領域の特性情報に基づいてそのような機能をいつ提供するべきかを予測するように構成された、例示的なコンピュータベースの臨床意思決定支援システム(CDSS)800の概略図を示している。特性情報は、画像、術中温度、または術中圧力を含み得る。様々な実施形態では、CDSS800は、患者に固有の特性情報(例えば、画像、温度、圧力)が人工知能(AI)モデル804に入力特徴として提供される入力インターフェース802と、吸引または流体流動の速度をアクティブ化、非アクティブ化、または調整するために制御信号を生成するための特性情報(例えば、画像、温度、圧力)がAIモデルに適用される推論動作を実行するプロセッサと、流体及び吸引の速度及び/または状態がユーザ、例えば臨床医にそれを介して伝達されるユーザインターフェース(UI)とを含む。
【0029】
いくつかの実施形態では、入力インターフェース802は、CDSS800と、撮像デバイス、分光デバイス、温度計、圧力センサ、または撮像、分光、温度、圧力、もしくは他の特性情報を提供するための他のセンサなどの、入力特徴の少なくとも一部を生成する1以上の医療デバイスとの間の直接データリンクであってもよい。例えば、入力インターフェース802は、治療及び/または診断医療処置中に、レーザエネルギー状態及び/または特性情報(例えば、画像、温度、圧力)をCDSSに直接送信し得る。追加的または代替的に、入力インターフェース802は、ユーザとCDSS800との間の相互作用を容易にする古典的なユーザインターフェースであってもよい。例えば、入力インターフェース802は、ユーザがレーザジェネレータ106のレーザエネルギー治療プロトコルをそれを介して手動で入力し得るユーザインターフェースを容易にし得る。追加的または代替的に、入力インターフェース802は、CDSS800に電子患者記録へのアクセスを提供し得、そこから、作業領域の以前の撮像などの1以上の入力特徴が抽出され得る。これらの場合のいずれにおいても、上述したように、入力インターフェース802は、CDSS800がレーザエネルギー状態、及び/または、腎臓112もしくは結石114に関する情報などの作業領域の特性情報を評価するために使用される時点、またはそれ以前に、特定の患者に関連付けられる以下の入力特徴のうちの1以上を収集するように構成される。
【0030】
上記の入力機能のうちの1以上に基づいて、プロセッサは、流体もしくは吸引をアクティブ化する、流体もしくは吸引を非アクティブ化する、流体流動もしくは吸引の速度を修正する、またはそのような機能をいつ提供すべきかを予測するための制御信号を生成するために、AIモデルを使用して推論動作を実行する。例えば、入力インターフェース802は、結石114を含む作業領域の画像を、AIモデルを通じてこれらの入力特徴を出力層に伝搬するAIモデルの入力層に送達し得る。AIモデルは、データの分析において見つかったパターンに基づいて推論を行うことによって、明示的にプログラムされていなくても、コンピュータシステムにタスクを実行する機能を提供することができる。AIモデルは、既存のデータから学習し、新しいデータについて予測を行うことができるアルゴリズム(例えば、機械学習アルゴリズム)の研究と構築を探求する。そのようなアルゴリズムは、出力または評価として表されるデータ駆動型の予測または決定を行うために、例示的なトレーニングデータからAIモデルを作り上げることによって動作する。
【0031】
機械学習(ML)は、教師ありMLと教師なしMLの2つの一般的なモードがある。教師ありMLは、入力と出力との間の関係を学習するために、事前の知識(例えば、入力を出力または結果に関連付ける例)を使用する。教師ありMLの目標は、トレーニングデータが与えられたときに、トレーニングの入力と出力との間の関係を最もよく近似する関数を学習して、入力が与えられたときに対応する出力を生成するためにMLモデルが同じ関係を実装できるようにすることである。教師なしMLは、分類もラベル付けもされていない情報を使用するMLアルゴリズムのトレーニングであり、アルゴリズムがガイダンスなしでその情報に基づいて動作できるようにする。教師なしMLは、データ内の構造を自動的に識別できるため、探索的分析に役立つ。
【0032】
教師ありMLの一般的なタスクは、分類問題と回帰問題である。カテゴライズ問題とも呼ばれる分類問題は、アイテムをいくつかのカテゴリ値のいずれかに分類することを目的としている(例えば、このオブジェクトはリンゴですか、それともオレンジですか?)。回帰アルゴリズムは、一部のアイテムを定量化することを目的としている(例えば、一部の入力値にスコアを提供することによって)。一般的に使用される教師ありMLアルゴリズムのいくつかの例には、ロジスティック回帰(LR)、単純ベイズ、ランダムフォレスト(RF)、ニューラルネットワーク(NN)、ディープニューラルネットワーク(DNN)、行列分解及びサポートベクターマシン(SVM)がある。
【0033】
教師なしMLの一般的なタスクは、クラスタリング、表現学習及び密度推定を含む。一般的に使用される教師なしMLアルゴリズムのいくつかの例には、K平均クラスタリング、主成分分析及びオートエンコーダがある。
【0034】
もう1つのタイプのMLは、データを交換せずに、ローカルデータを保持する複数の分散型デバイス間でアルゴリズムをトレーニングする連合学習(共同学習としても知られる)である。この手法は、すべてのローカルデータセットが1つのサーバにアップロードされる従来の集中型機械学習技法、ならびにローカルデータサンプルが同じように分散されていると想定することが多い、より古典的な分散型手法とは対照的である。連合学習により、複数のアクタがデータを共有することなく共通の堅牢な機械学習モデルを作り上げることができるようになるため、データプライバシ、データセキュリティ、データアクセス権及び異種データへのアクセスなどの重要な問題に対処できる。
【0035】
いくつかの例では、プロセッサによる推論動作の実行前に、AIモデルが継続的または定期的にトレーニングされ得る。次いで、推論動作中に、AIモデルに提供される患者固有の入力特徴は、入力層から、1以上の隠れ層を介して、最終的に流体もしくは吸引をアクティブ化する、流体もしくは吸引を非アクティブ化する、流体流動もしくは吸引の速度を修正する、またはそのような機能をいつ提供するべきかを予測するための制御信号に対応する出力層に伝播され得る。例えば、AIモデル804は、図2図7のいずれかに単独でまたは組み合わせて記載された方法を実装するようにトレーニングされ得る。
【0036】
本明細書で説明する方法の例は、少なくとも部分的に機械またはコンピュータで実装され得る。いくつかの例は、上記の例において説明した方法を実行するために電子デバイスを構成するように動作可能な命令でエンコードされたコンピュータ可読媒体または機械可読媒体を含み得る。そのような方法の実装形態は、マイクロコード、アセンブリ言語コード、高水準言語コードなどのコードを含み得る。そのようなコードは、様々な方法を実行するためのコンピュータ可読命令を含み得る。コードは、コンピュータプログラム製品の一部を構成し得る。さらに、一例では、コードは、実行中または他の時点などにおいて、1以上の揮発性、非一時的、または不揮発性の有形のコンピュータ可読媒体に有形に記憶され得る。これらの有形のコンピュータ可読媒体の例は、これらに限定されないが、ハードディスク、リムーバブル磁気ディスク、リムーバブル光学ディスク(例えば、コンパクトディスク及びデジタルビデオディスク)、磁気カセット、メモリカードまたはスティック、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読取り専用メモリ(ROM)などを含み得る。
【符号の説明】
【0037】
100 内視鏡システム、102 内視鏡、104 吸引コンポーネント、106 レーザジェネレータ、108 流体源、110 患者、112 腎臓、114 結石、200 方法、300 方法、400 方法、500 方法、600 方法、700 方法、800 コンピュータベースの臨床意思決定支援システム(CDSS)、802 入力インターフェース、804 AIモデル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8