(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-13
(45)【発行日】2024-12-23
(54)【発明の名称】磁性コア、インダクター及びこれを含むEMIフィルター
(51)【国際特許分類】
H01F 17/06 20060101AFI20241216BHJP
H01F 27/00 20060101ALI20241216BHJP
H01F 27/24 20060101ALI20241216BHJP
【FI】
H01F17/06 F
H01F17/06 K
H01F27/00 S
H01F27/24 J
(21)【出願番号】P 2022199960
(22)【出願日】2022-12-15
(62)【分割の表示】P 2020534607の分割
【原出願日】2018-12-20
【審査請求日】2023-01-13
(31)【優先権主張番号】10-2017-0183905
(32)【優先日】2017-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】517099982
【氏名又は名称】エルジー イノテック カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(72)【発明者】
【氏名】ナ,ヒョンミン
(72)【発明者】
【氏名】ナム,テクフン
(72)【発明者】
【氏名】キム,スンサン
【審査官】秋山 直人
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-055061(JP,A)
【文献】特開平02-096315(JP,A)
【文献】特開2007-042678(JP,A)
【文献】実開昭61-042814(JP,U)
【文献】特開平11-176653(JP,A)
【文献】特開2006-100465(JP,A)
【文献】特開2017-195587(JP,A)
【文献】特開2000-208343(JP,A)
【文献】特開2007-081239(JP,A)
【文献】特開平07-153613(JP,A)
【文献】特開昭61-183907(JP,A)
【文献】特開平09-320858(JP,A)
【文献】特開平11-162745(JP,A)
【文献】特表2021-509224(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 17/06
H01F 27/00
H01F 27/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠心方向に沿って最内側に配置される第1内周面、及び遠心方向に沿って最外側に配置される第1外周面を含むトロイダル状の第1磁性体と、
前記第1磁性体の
第1内周面に配置された第2
内側磁性体と、
前記第1磁性体の前記第1外周面に配置された第2外側磁性体と、を含み、
前記遠心方向に垂直な垂直方向において前記第1磁性体の長さが前記第2
内側磁性体の長さよりも長
く、
前記遠心方向に垂直な垂直方向において前記第1磁性体の長さが前記第2外側磁性体の長さよりも長い、磁気結合装置。
【請求項2】
前記第2
内側磁性体
及び第2外側磁性体のうち少なくとも一つは、前記遠心方向に沿って複数の層で配置された金属リボンを含み、
前記金属リボンの複数の層の間に、前記遠心方向に沿って互いに離隔して配置された第1樹脂部及び第2樹脂部を含む、請求項1に記載の磁気結合装置。
【請求項3】
前記第1樹脂部と前記第2樹脂部の前記垂直方向の長さが互いに異なっている、請求項2に記載の磁気結合装置。
【請求項4】
遠心方向に沿って最内側に配置される第1内周面、及び遠心方向に沿って最外側に配置される第1外周面を含むトロイダル状の第1磁性体と、
前記第1磁性体の第1内周面及び前記第1外周面のうち少なくとも一面に配置された第2磁性体と、を含み、
前記遠心方向に垂直な垂直方向において前記第1磁性体の長さが前記第2磁性体の長さよりも長く、
前記第2磁性体は、前記遠心方向に沿って複数の層で配置された金属リボンを含み、
前記金属リボンの複数の層の間に、前記遠心方向に沿って互いに離隔して配置された第1樹脂部及び第2樹脂部を含み、
前記第1樹脂部と前記第2樹脂部の前記垂直方向の長さが互いに異なっている、磁気結合装置。
【請求項5】
前記金属リボンは、前記遠心方向の最外側に配置された最外側面を含み、
前記最外側面に配置された第3樹脂部をさらに含む、請求項2
又は4に記載の磁気結合装置。
【請求項6】
前記金属リボンは、前記垂直方向に沿って互いに向かい合う上面及び下面を含み、
前記上面に配置された第4樹脂部、及び前記下面に配置された第5樹脂部をさらに含む、請求項
5に記載の磁気結合装置。
【請求項7】
前記第3樹脂部、前記第4樹脂部、及び前記第5樹脂部が互いに連結されている、請求項
6に記載の磁気結合装置。
【請求項8】
前記第1磁性体は、Mn-Zn系物質を含む、請求項1
又は4に記載の磁気結合装置。
【請求項9】
前記金属リボンは、円周方向に沿って延長され、Fe-Si系物質を含む、請求項2
又は4に記載の磁気結合装置。
【請求項10】
遠心方向に沿って最内側に配置される第1内周面、及び遠心方向に沿って最外側に配置される第1外周面を含むトロイダル状の第1磁性体と、
前記第1磁性体の
第1内周面に配置された第2
内側磁性体と、
前記第1磁性体の前記第1外周面に配置された第2外側磁性体と、を含み、
前記第1磁性体は、前記第2
内側磁性体と前記遠心方向に重なる
第1重複領域
、前記
第1重複領域から前記遠心方向に垂直な方向に突出している
第1突出領域
、前記第2外側磁性体と前記遠心方向に重なる第2重複領域、及び前記第2重複領域から前記遠心方向に垂直な方向に突出している第2突出領域を含む、磁気結合装置。
【請求項11】
前記
第1突出領域は、上部に突出している上部
第1突出領域、及び下部に突出している下部
第1突出領域を含
み、
前記第2突出領域は、上部に突出している上部第2突出領域、及び下部に突出している下部第2突出領域を含む、請求項
10に記載の磁気結合装置。
【請求項12】
遠心方向に沿って最内側に配置される第1内周面、及び遠心方向に沿って最外側に配置される第1外周面を含むトロイダル状の第1磁性体と、
前記第1磁性体の第1内周面及び前記第1外周面のうち少なくとも一面に配置された第2磁性体と、を含み、
前記第1磁性体は、前記第2磁性体と前記遠心方向に重なる重複領域、及び前記重複領域から前記遠心方向に垂直な方向に突出している突出領域を含み、
前記第2磁性体は、前記遠心方向に沿って複数の層で配置された金属リボンを含み、
前記金属リボンの複数の層の間に、前記遠心方向に沿って互いに離隔して配置された第1樹脂部及び第2樹脂部を含み、
前記第1樹脂部と前記第2樹脂部の前記垂直方向の長さが互いに異なっている、磁気結合装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁性コア、インダクター及びこれを含むEMIフィルターに関する。
【背景技術】
【0002】
インダクターは印刷回路基板上に適用される電子部品の一つであり、電磁気的特性によ
って共振回路、フィルター回路、パワー回路などに適用され得る。
【0003】
一方、パワーボード内に適用されるEMI(Electro Magnetic In
terference)フィルターは、回路動作に必要な信号は通過させ、雑音は除去す
る役割を担う。
【0004】
図1は、EMIフィルターが適用された一般のパワーボードが電源と負荷に連結されて
いるブロック図である。
【0005】
図1に示すEMIフィルターのパワーボードから伝達される雑音の種類は、大きく、パ
ワーボードから放射される30MHz~1GHzの放射性雑音と、電源ラインを通じて伝
導される150kHz~30MHzの伝導性雑音とに区分できる。
【0006】
伝導性雑音の伝達方式は、差動モード(differential mode)と共通
モード(common mode)とに区分できる。このうち、共通モード雑音は、少な
い量であっても、大きいループを描きながら戻ってくるため、遠く離れている電子機器に
も影響を及ぼすことがある。このような共通モード雑音は配線系のインピーダンス不平衡
によって発生することもあり、高周波環境であるほど著しくなる。
【0007】
共通モード雑音を除去するために、
図1に示すEMIフィルターに適用されるインダク
ターは、一般に、Mn-Zn系フェライト(Ferrite)素材を含むトロイダル(t
oroidal)状の磁性コアを使用する。Mn-Zn系フェライトは100kHz~1
MHzで透磁率が高いので、共通モード雑音を効果的に除去することができる。
【0008】
図2は、一般のインダクター100を示す斜視図である。
【0009】
図2を参照すると、インダクター100は、磁性コア110、及び磁性コア110上に
巻線されたコイル120を含むことができる。
【0010】
磁性コア110はトロイダル(toroidal)形状であり得、コイル120は、磁
性コア110上に巻線された第1コイル122、及び第1コイル122に対向して巻線さ
れた第2コイル124を含むことができる。第1コイル122及び第2コイル124はそ
れぞれ、トロイダル状の磁性コア110の上面S1、側面S2及び下面S3に巻線され得
る。
【0011】
磁性コア110は、コイル120と絶縁するためのボビン(図示せず)をさらに含むこ
とができ、コイル120は、表面が絶縁素材で被覆された導線からなり得る。
【0012】
図3は、
図2に示す磁性コアがボビンをさらに含む場合の分解斜視図であり、
図4は、
図3に示す磁性コアの工程斜視図である。
【0013】
図3を参照すると、磁性コア110はボビン130に収容され得る。ボビン130は、
上部ボビン132及び下部ボビン134を含むことができる。
【0014】
次に、
図4の(a)を参照すると、
図3のように上部ボビン132、磁性コア110及
び下部ボビン132が備えられた状態で下部ボビン132の底面に磁性コア110が配置
され得る。その後、
図4の(b)に示すように、
図4の(a)に示した結果物に上部ボビ
ン131が結合され得る。このとき、各構成要素は接着物質で互いに接着され得る。
【0015】
上述したインダクターの性能改善のために、磁性コア110を異種物質で構成するなど
の様々な努力が行われてきた。一例として、前述したようなMn-Zn系フェライト(F
errite)素材を含むトロイダル(toroidal)状の磁性コアの表面の少なく
とも一部にFe-Si系の金属リボンが配置され得る。ところが、金属リボンは高い磁性
特性(すなわち、高い透磁率)を得るために高温(例えば、500℃~600℃)の熱処
理を伴うのが一般的である。しかしながら、高温の熱処理を経た金属リボンは、磁性特性
は向上するが、強度が弱くなりすぎるため、小さい衝撃にも砕けやすい(Brittle
)状態となり、製作工程において運送及び取扱が非常に難しく、結果として作業性の低下
及び完成品の収率低下につながる問題点があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明が遂げようとする技術的課題は、磁性特性及び強度に優れた磁性コア部品とそれ
を含むインダクター及びEMIフィルターを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
一実施例によるインダクターは、トロイダル形状を有し、フェライトを含む第1磁性体
と、第1磁性体の外周面又は内周面に配置される第2磁性体と、を含み、第2磁性体は、
第1磁性体の円周方向に沿って巻かれている複数層の金属リボン及び樹脂物質を含み、樹
脂物質は、複数層の金属リボンの外表面を覆うように配置された第1樹脂物質と、複数層
の層間空間のうち少なくとも一部に配置された第2樹脂物質とを含む。
【0018】
例えば、第1磁性体はMn-Zn系フェライトを含み、第2磁性体はFe-Si系金属
リボンを含み、第2樹脂物質は、第2磁性体の全体高さに対して下面から上面への方向に
0%~5%の領域及び95%~100%の領域に配置され得る。
【0019】
例えば、第1磁性体の直径方向の厚さは第2磁性体の直径方向の厚さよりも厚く、第2
磁性体の直径方向の厚さは第1樹脂物質の直径方向の厚さよりも厚くてよい。
【0020】
例えば、第1樹脂物質の厚さは20μm~30μmであり得る。
【0021】
例えば、第1樹脂物質層の高さは第2磁性体の高さよりも高くてよい。
【0022】
例えば、第2樹脂物質は、複数層の層間空間に対して15%~30%配置され得る。
【0023】
例えば、第2樹脂物質は、複数層の層間空間に対して20%~25%配置され得る。
【0024】
実施例によるEMIフィルターは、インダクター及びキャパシターを含み、インダクタ
ーはトロイダル形状を有し、フェライトを含む第1磁性体と、第1磁性体の外周面又は内
周面に配置される第2磁性体と、を含み、第2磁性体は、第1磁性体の円周方向に沿って
巻かれている複数層の金属リボン及び樹脂物質を含むことができる。ここで、樹脂物質は
、複数層の金属リボンの外表面を覆うように配置された第1樹脂物質と、複数層の層間空
間のうち少なくとも一部に配置された第2樹脂物質とを含むことができる。
【0025】
例えば、第1磁性体はMn-Zn系フェライトを含み、第2磁性体はFe-Si系金属
リボンを含み、第2樹脂物質は、第2磁性体の全体高さに対して下面から上面への方向に
0%~5%の範囲及び95%~100%の範囲に配置され得る。
【0026】
例えば、第2樹脂物質の一部は、複数層の層間空間に対して15%~30%配置され得
る。
【発明の効果】
【0027】
実施例によるインダクター及びそれを含むEMIフィルターは、巻き取られた複数層の
金属リボン状の磁性コアが樹脂物質でコーティングされるので、強度が向上しながらも優
れた磁性特性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】EMIフィルターが適用された一般のパワーボードが電源と負荷に連結されたブロック図である。
【
図3】
図2に示した磁性コアがボビンをさらに含む場合を示す分解斜視図である。
【
図5】本発明の一実施例による磁性コアの斜視図及び断面図である。
【
図7】本発明のさらに他の実施例による磁性コアの斜視図及び断面図である。
【
図8】本発明のさらに他の実施例による磁性コアの斜視図及び断面図である。
【
図9】本発明のさらに他の実施例による磁性コアの斜視図及び断面図である。
【
図10】フェライト素材及び金属リボン素材の透磁率及びインダクタンスを示すグラフである。
【
図11】実施例によるエポキシコーティング液の希釈比率による層間空間のエポキシ比率を示す断面イメージである。
【
図12】
図12は、実施例によるサンプル測定領域を説明するための図である。
【
図14】実施例によるインダクターを含むEMIフィルターの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明は様々な変更を加えることができ、様々な実施例を有することができるところ、
特定の実施例を図面に例示して説明するものとする。しかし、これは本発明を特定の実施
形態に対して限定しようとするものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれる全て
の変更、均等物或いは代替物を含むものとして理解されるべきである。
【0030】
第2、第1などのように序数を含む用語は、様々な構成要素を説明するために用いるこ
とができるが、これらの用語によって前記構成要素が限定されるわけではない。これらの
用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的にのみ用いられる。例えば、本発
明の権利範囲を逸脱することなく第2構成要素は第1構成要素と命名されてもよく、同様
に第1構成要素も第2構成要素と命名されてもよい。及び/又はという用語は、複数の関
連した記載項目の組合せ又は複数の関連した記載項目のいずれかを含む。
【0031】
一つの構成要素が他の構成要素に“連結され”ているか“接続され”ていると言及され
たときには、他の構成要素に直接連結されていたり又は直接接続されていてもよいが、中
間にさらに他の構成要素が存在してもよいと理解されるべきであろう。一方、一つの構成
要素が他の構成要素に“直接連結され”ているか“直接接続され”ていると言及されたと
きには、中間にさらに他の構成要素が存在しないと理解されるべきであろう。
【0032】
実施例の説明において、各層(膜)、領域、パターン又は構造が基板、各層(膜)、領
域、パッド又はパターンの“上/上部(on)”に又は“下/下部(under)”に形
成されるという記載は、直接に(directly)又は他の層を介在して形成される、
いずれの場合をも含む。各層の上/上部又は下/下部に対する基準は、図面を基準に説明
する。また、図面において各層(膜)、領域、パターン又は構造物の厚さや大きさは、説
明の明確性及び便宜のために変形され得るので、実際の大きさを全的に反映するものでは
ない。
【0033】
本出願で使用した用語は単に特定の実施例を説明するために用いられたもので、本発明
を限定しようとする意図のものではない。単数の表現は、文脈上で明白に言及しない限り
、複数の表現も含む。本出願において、“含む”又は“有する”などの用語は、明細書上
に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品又はこれらを組み合わせたものが
存在することを指定しようとするもので、1つ又はそれ以上の他の特徴や数字、段階、動
作、構成要素、部品又はこれらを組み合わせたものの存在又は付加の可能性を前もって排
除しないものではないと理解されるべきである。
【0034】
特に定義されない限り、技術的又は科学的な用語を含めてここに使われる全ての用語は
、本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者にとって一般的に理解される
のと同じ意味を有する。一般的に使われる辞書に定義されているような用語は、関連技術
の文脈上における意味と一致する意味を有するものと解釈されなければならず、本出願で
明白に定義しない限り、理想的な又は過度に形式的な意味で解釈されない。
【0035】
以下、添付の図面を参照して実施例を詳細に説明するが、図面中、同一であるか或いは
対応する構成要素には同一の参照番号を付与し、それに対する重複説明は省略するものと
する。
【0036】
本発明の一実施例によれば、磁性コアは、互いに異なる物質で構成された第1磁性体と
第2磁性体を含むことができる。ここで、第2磁性体は第1磁性体の少なくとも一部の表
面に配置されてよく、巻き取られた複数層の金属リボンを含むことができる。本実施例に
よる第2磁性体は、巻き取られた複数層の金属リボンの熱処理後の強度弱化の問題を解消
するために樹脂物質を含むことができる。樹脂物質は、巻き取られた複数層の金属リボン
の外表面を覆う樹脂物質と、複数層の層間空間の少なくとも一部に配置された樹脂物質を
含むことができる。ここで、層間空間とは、金属リボンが巻き取られることによって遠心
方向に互いに隣接する2つのリボン層において、相対的に遠心から近い層の外周面と相対
的に遠心から遠い層の内周面との間に形成された空間を意味できる。樹脂物質の形成方法
と特性の詳細は後述するものとし、まず、
図5~
図8を参照して本発明の実施例による異
種の磁性体が磁性コアを構成する様々な形態を説明する。説明の便宜のために、
図5~図
7で樹脂物質の図示は省略されている。
【0037】
図5は、本発明の一実施例による磁性コアの斜視図及び断面図であり、
図6は、
図5の
磁性コアの工程図であり、
図7~
図9は、本発明の他の実施例による磁性コアの斜視図及
び断面図である。
【0038】
図5を参照すると、磁性コア800は、第1磁性体810及び第2磁性体820を含み
、第1磁性体810及び第2磁性体820は異種であり、第2磁性体820は第1磁性体
810の少なくとも一部の表面に配置され得る。このとき、第2磁性体820は第1磁性
体810に比べて高い飽和磁束密度を有し得る。
【0039】
ここで、第1磁性体810はフェライトを含み、第2磁性体820は金属リボンを含む
ことができる。ここで、フェライトの透磁率(μ)は2,000~15,000であり得
、金属リボンの透磁率(μ)は100,000~150,000であり得る。例えば、フ
ェライトはMn-Zn系フェライトであり得、金属リボンはFe系ナノ結晶質金属リボン
であり得る。Fe系ナノ結晶質金属リボンは、Fe及びSiを含むナノ結晶質金属リボン
であり得る。金属リボンの厚さは15μm~20μmであり得るが、必ずしもこれに限定
されない。
【0040】
このとき、第1磁性体810及び第2磁性体820はそれぞれトロイダル状であり、第
2磁性体820は、第1磁性体810の外周面S2に配置される第2外側磁性体822、
及び第1磁性体810の内周面S4に配置される第2内側磁性体824を含むことができ
る。
【0041】
このとき、第2外側磁性体822及び第2内側磁性体824の厚さはそれぞれ第1磁性
体810の厚さよりも薄い。第2外側磁性体822の厚さと第1磁性体810の厚さ間の
比率及び第2内側磁性体824の厚さと第1磁性体810の厚さ間の比率の少なくとも一
つを調節すれば、磁性コア800の透磁率を調節することができる。
【0042】
このような磁性コアを製作するために、
図6に示すように、2つの第2磁性体822,
824をそれぞれ用意する。各第2磁性体822,824は複数層に巻き取られた金属リ
ボンに樹脂物質が形成されたものであり得る。用意した第2磁性体822,824のうち
、トロイダル状の第1磁性体810の内周面S4に対応する第2内側磁性体824は、第
1磁性体810の中空に挿入され、第1磁性体810も外周面S2に対応する第2外側磁
性体822の中空に挿入され得る。勿論、各第2磁性体の第1磁性体810への相対的な
結合順序は変更されても構わない。
【0043】
このとき、第1磁性体810の外周面S2と第2外側磁性体822、及び第1磁性体8
10の内周面S4と第2内側磁性体824は、接着剤によって接着され得る。このとき、
接着剤は、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、シリコン系樹脂及びニスのうち少なくとも
一つを含む接着剤であり得る。このように、接着剤を用いて異種の磁性体を接合させると
、物理的な振動時にも性能低下が発生しなくなる。
【0044】
ここで、第2磁性体822,824のそれぞれは、
図5に示すように、複数回ワインデ
ィングされて複数層に積層された金属リボンを含むことができる。積層された金属リボン
の層数によって第2磁性体822,824の厚さ及び透磁率が変わり、これによって磁性
コア800の透磁率が変わり、磁性コア800が適用されたEMIフィルターのノイズ除
去性能が変わり得る。
【0045】
すなわち、第2磁性体822,824の厚さが大きいほどノイズ除去性能が高くなり得
る。このような原理を用いて、コイルが巻線される領域に配置される第2磁性体822,
824の厚さが、コイルが巻線されない領域に配置される第2磁性体822,824の厚
さよりも厚くなるように、積層された金属リボンの層数を調節することができる。
【0046】
金属リボンの層数はワインディング回数、ワインディング開始地点及びワインディング
終了地点によって調節され得る。
図5の(a)に示すように、第1磁性体810の外周面
S2に配置された第2外側磁性体822を基準にワインディングの開始点と終了地点の関
係を説明すると、次の通りである。勿論、第2外側磁性体822は、第1磁性体810と
結合される前にワインディングの他に樹脂物質(図示せず)の形成も完了した状態である
ことは前述した通りであるが、説明の便宜のために、第1磁性体810の外周面の一地点
を基準にワインディングが始まると仮定する。
【0047】
金属リボンである第2外側磁性体822をワインディングする場合、ワインディング開
始地点から1回ワインディングする場合、第2外側磁性体822は1層の金属リボンを含
むことができ、ワインディング開始地点から2回ワインディングする場合、第2外側磁性
体822は2層の金属リボンを含むことができる。一方、ワインディング開始地点とワイ
ンディング終了地点が互いに異なる場合、例えばワインディング開始地点から1.5回ワ
インディングする場合、第2外側磁性体822は、1層に金属リボンが積層された領域と
2層に金属リボンが積層された領域を含むことになる。あるいは、ワインディング開始地
点から2.5回ワインディングする場合、第2外側磁性体822は、2層に金属リボンが
積層された領域と3層に金属リボンが積層された領域を含むことになる。この場合、積層
された層数がより多い領域にコイルを配置すれば、本発明の実施例による磁性コア800
が適用されたEMIフィルターのノイズ除去性能をより高めることができる。
【0048】
例えば、磁性コア800がトロイダル状であり、磁性コア800上に第1コイル122
及び第2コイル124が互いに対称に巻線される場合、第1磁性体810の外周面に配置
される第2外側磁性体822の積層された層数が多い領域に第1コイル122を配置し、
第1磁性体810の内周面に配置される第2内側磁性体824の積層された層数が多い領
域に第2コイル124を配置することができる。これによって、第1コイル122及び第
2コイル124はいずれも、第2磁性体822,824において積層された層数が多い領
域に配置され、積層された層数が少ない領域には第1コイル122及び第2コイル124
が配置されないので、高いノイズ除去性能を得ることができる。
【0049】
第2外側磁性体822及び第2内側磁性体824が同一の素材及び厚さを有するとして
いるが、これに制限されるものではない。第2外側磁性体822及び第2内側磁性体82
4は互いに異なる素材又は互いに異なる透磁率を有してもよく、互いに異なる厚さを有し
てもよい。これによって、磁性コア800の透磁率は様々な範囲を有することができる。
【0050】
一方、
図7に示すように、第1磁性体810の高さh1が第2磁性体820の高さh2
より高くてもよい。このために、第2磁性体820の製造工程で、第1磁性体810の高
さh1よりも幅の短い金属リボンを巻き取ればいい。これによれば、第2外側磁性体82
2は第1磁性体810の上面S1と外周面S2間の境界及び第1磁性体810の下面S3
と外周面S2間の境界に配置されなく、第2内側磁性体824は第1磁性体810の上面
S1と内周面S4間の境界及び第1磁性体810の下面S3と内周面S4間の境界に配置
されなくてすむ。これによって、第1磁性体810の上面S1と外周面S2間の境界、第
1磁性体810の下面S3と外周面S2間の境界、第1磁性体810の上面S1と内周面
S4間の境界、及び第1磁性体810の下面S3と内周面S4間の境界などで第2外側磁
性体822のクラックを防止することができる。
【0051】
或いは、
図8に示すように、第2磁性体820が第1磁性体810の外周面S2にのみ
配置されてもよく、
図9に示すように、第2磁性体820が第1磁性体810の内周面S
4にのみ配置されてもよい。
【0052】
このように、磁性コア800が透磁率の異なる異種の磁性体を含めば、広範囲な周波数
帯域のノイズ除去が可能である。特に、Mn-Zn系フェライトのみからなるトロイダル
状の磁性コアに比べて、表面に磁束が集まる現象が防止されるので、高周波ノイズ除去効
果が大きく、内部飽和度が低くなるので、高電力製品への適用が可能である。また、第1
磁性体810及び第2磁性体820の透磁率、体積比などを調節すれば、磁性コア800
の性能調節が可能である。
【0053】
一方、
図10を参照すると、周波数別透磁率が異なるフェライト素材と金属リボン素材
を全て含む磁性コアは、所定の周波数領域でインダクタンスが高く現れ、これによって高
いノイズ除去性能が得られることが分かる。
【0054】
以上、実施例による第1磁性体と第2磁性体の相互配置関係について説明した。以下で
は、本発明の一実施例による第2磁性体の樹脂物質についてより詳細に説明する。
【0055】
一実施例によれば、樹脂物質は、複数の層に巻き取られた金属リボンを熱処理し、熱処
理結果物をコーティング液に含浸(dipping)後に乾燥させる方法で形成され得る
。実施例によって、乾燥過程は、60°~150°の環境で熱乾燥過程を含むことができ
る。
【0056】
図8の(c)に示すように、第2磁性体820において樹脂物質Rは、巻き取られた金
属リボンMRの外表面(上面、下面、内周面、外周面)に配置され、巻き取られた金属リ
ボン同士間(図示せず)にも配置され得る。
【0057】
一実施例によれば、コーティング液は、エポキシ樹脂と希釈剤が所定の比率に混合され
た混合液であり得る。希釈剤はエポキシ樹脂を溶解させ得るものであれば、特定成分に限
定されない。次の表1~表4に、エポキシ樹脂と希釈剤との比率を異ならせてインダクタ
ンス減少率を測定した結果の一例を示す。
【0058】
【0059】
【0060】
【0061】
【0062】
表1~表4を参照すると、エポシ樹脂の比率が高いほどインダクタンス減少率が高く、
希釈剤の比率が高いほどインダクタンス減少率が少ないことが分かる。具体的に、エポキ
シ樹脂と希釈剤の比率が5:5の場合、30%に近いインダクタンス減少率を示し、エポ
キシ樹脂と希釈剤の比率が3:7の場合、約15%に近いインダクタンス減少率を示した
。ただし、エポキシ樹脂と希釈剤の比率が2:8の場合と1:9の場合のインダクタンス
減少率はそれぞれ5.72%と4.7%であり、その差は大きくないが、比較的良好なイ
ンダクタンス減少率を示した。
【0063】
次に、表5を参照して各希釈剤別強度を比較する。
【0064】
【0065】
表5は、15層(turn)に巻き取られた金属リボンを熱処理後に、外周面の一地点
を直径方向に加圧する時に破損が発生する外力をg単位で示したものである。表5を参照
すると、コーティング液に含浸する前の金属リボンは、約70gの外力が加えられる時に
破損するが、エポキシ樹脂と希釈液の比率によって約3倍から10倍以上の強度向上があ
ることが分かる。
【0066】
このような希釈比率別の強度向上の相異は、コーティング液(すなわち、含浸液)の希
釈比率によるエポキシ樹脂の粘性差によって、含浸後に金属リボンを取り上げる際に金属
リボンの外周に相対的に多量のエポキシが残る理由もあるが、含浸液中で巻き取られた金
属リボンの複数層の層間空間に侵入したエポキシ樹脂の量も増加することに起因する。ま
た、巻き取られた金属リボンの複数層の層間空間において乾燥過程でエポキシ樹脂の体積
が膨脹して金属リボンに微細クラックが増加し、インダクタンス減少効果が発生すること
がある。これを、
図11~
図13を参照して説明する。図示してはいないが、
図11~図
13において、巻き取られたリボンの層間空間において樹脂物質が配置される位置は、第
2磁性体820の全体高さを下面から上面までと定義するとき、下面から上面への方向に
全体高さの0%~5%の領域及び95%~100%の領域に配置され得る。好ましくは、
下面から上面への方向に全体高さの0%~15%及び85%~100%の領域に配置され
得る。より好ましくは、下面から上面への方向に全体高さの0%~30%及び70%~1
00%の領域に配置され得る。下面から上面への方向に全体高さの31%~69%の領域
に配置される場合、強度向上及びインダクタンス減少率はわずかであり得る。
【0067】
図11は、実施例によるエポキシコーティング液の希釈比率による層間空間のエポキシ
比率を示す断面イメージである。
図11では、15層(turn)に巻き取られた金属リ
ボンを、希釈比率を個別にしたエポキシコーティング液に含浸した第2磁性体を円周方向
に切断した後、断面を拡大したイメージである。また、
図11で各イメージはいずれも下
端が遠心方向であり、各希釈比率別に上段イメージは15層の金属リボンが全て示された
イメージであり、下段イメージは、5層の金属リボンだけが見られるようにさらに拡大し
たイメージであり、各下段イメージ中の円は、エポキシ樹脂が位置している領域を意味す
る。
【0068】
図11を参照すると、エポキシと希釈剤の比率が1:9の場合、遠心方向に隣接したリ
ボン層間の空間、すなわち、層間空間全体に対して約10%の割合でエポキシ樹脂が位置
し、エポキシと希釈剤の比率が2:8の場合、約25%の割合でエポキシ樹脂が位置する
。また、エポキシと希釈剤の比率が3:7の場合、層間空間全体に対して約30%の割合
でエポキシ樹脂が位置し、エポキシと希釈剤の比率が5:5の場合、約50%の割合でエ
ポキシ樹脂が位置する。
【0069】
図11に見られるように、層間空間にエポキシ樹脂が占める比率によって強度が変わる
ことが分かる。
【0070】
以下では、表1~表4のインダクタンス減少量と、表5の強度向上を総合的に比較する
。
【0071】
エポキシと希釈液の比率が5:5の場合、強度は最も高くなるが、インダクタンス減少
率が高すぎ、また、エポキシと希釈液の比率が1:9の場合、インダクタンス減少率が最
も低いが、強度の向上幅が低かった。
【0072】
また、エポキシと希釈液の比率がそれぞれ2:8の場合と1:9の場合、インダクタン
ス減少率の面では類似の優秀性を示し、強度向上の面では、エポキシと希釈液の比率がそ
れぞれ2:8及び3:7の場合に、類似の優秀性を示した。
【0073】
要するに、エポキシと希釈液の比率が2:8である場合、インダクタンス減少率は1:
9である場合と類似な程度の優秀性を示し、強度は3:7の場合と類似な程度の優秀性を
示したところ、最も好ましい比率であるといえる。
【0074】
したがって、以下では、エポキシと希釈液の比率が2:8の場合、層間空間のエポキシ
比率を、
図12及び
図13を参照してより具体的に説明する。
【0075】
図12は、実施例によるサンプル測定領域を説明するための図であり、
図13は、
図1
2の各領域における測定結果である。
【0076】
図12には、実施例による2:8の希釈比を有するコーティング液に含浸された後に乾
燥した第2磁性体820の平面図を示す。層間空間のエポキシ比率を測定するために、1
つの第2磁性体820がArea_1~Area_4の4つの領域に分割され、それぞれ
の円周方向に切断された断面映像が撮影される。したがって、1つの第2磁性体サンプル
に対して層間空間のエポキシ比率が4回測定され、5個のサンプルを用いて総20回の測
定が行われた。
【0077】
図13には、このような測定過程で撮影された一部サンプルのイメージを示す。
図13
は、15層(turn)に巻き取られた金属リボンを、2:8の希釈比率を有するエポキ
シコーティング液に含浸した第2磁性体を円周方向に切断した後、断面を拡大したイメー
ジを示している。また、
図13で、各イメージはいずれも下端が遠心方向であり、各上段
イメージは下段のイメージが断面のどの部分に該当するかを示し、下段イメージは5層の
金属リボンだけが見られるようにさらに拡大したイメージであり、各下段イメージ中の円
は、エポキシ樹脂が位置している領域を意味する。
【0078】
図13の(a)では、層間空間にエポキシ樹脂が15%の比率を占め、
図13の(b)
では20%、
図13の(c)では25%、
図13の(d)では30%の比率をそれぞれエ
ポキシが占めることを示している。
【0079】
要するに、希釈比が2:8の場合、層間空間のエポキシ比率は15%~30%であるが
、これは最大値と最小値を含む範囲であり、20回の測定結果は下表6の通りである。
【0080】
【0081】
表6を参照すると、総20回の実験において、15%の場合が2回、20%の場合が4
回、25%の場合が7回、30%の場合が3回とそれぞれ現れた。したがって、希釈比が
2:8である場合、層間空間のエポキシ比率は15%~30%、好ましくは20%~25
%、より好ましくは23%~25%であり得る。また、図示してはいないが、第2磁性体
の外側コーティング層の厚さは10μm~40μmであり得、好ましくは20μm~30
μmであり得る。厚さが10μmよりも小さい場合、強度が低くなって金属リボンが破損
することがあり、40μmよりも大きい場合、インダクタンス減少率が大きくなって性能
が減少することがある。
【0082】
一方、前述した実施例によるインダクターは、ラインフィルターに含まれ得る。例えば
、ラインフィルターは交流/直流変換機(AC-to-DC converter)に適
用される雑音低減用ラインフィルターであり得る。
図14は、実施例によるインダクター
を含むEMIフィルターの一例である。
【0083】
図14を参照すると、EMIフィルター2000は、複数のX-キャパシタCx、複数
のY-キャパシタCy及びインダクターLを含むことができる。
【0084】
X-キャパシタCxは、ライブラインLIVEの第1端子P1とニュートラルラインN
EUTRALの第3端子P3との間、及びライブラインLIVEの第2端子P2とニュー
トラルラインNEUTRALの第4端子P4との間にそれぞれ配置される。
【0085】
複数のY-キャパシタCyは、ライブラインLIVEの第2端子P2とニュートラルラ
インNEUTRALの第4端子P4との間に直列に配置され得る。
【0086】
インダクターLは、ライブラインLIVEの第1端子P1と第2端子P2との間、及び
ニュートラルラインNEUTRALの第3端子P3と第4端子P4との間に配置され得る
。ここで、インダクターLは、前述した実施例によるインダクター100であり得る。
【0087】
EMIフィルター2000は共通モード雑音が流入する時、一次側インダクタンス(P
rimary Inductance)とY-キャパシタCyの合成インピーダンス特性
によって共通モード雑音を除去する。ここで、ライブラインLIVEの一次側インダクタ
ンスは、第3及び第4端子P3,P4をオープン(Open)させた状態で第1及び第2
端子P1,P2間のインダクタンスを測定して得ることができ、ニュートラルラインNE
UTRALの一次側インダクタンスは、第1及び第2端子P1,P2をオープン(Ope
n)させた状態で第3及び第4端子P3,P4間のインダクタンスを測定して得ることが
できる。
【0088】
EMIフィルター2000は、差動モード雑音が流入する時、漏れインダクタンス(l
eakage Inductance)とX-キャパシタCxの合成インピーダンス特性
によって差動モード雑音を除去する。ここで、ライブラインLIVEの漏れインダクタン
スは、第3及び第4端子P3,P4を短絡(short)させた状態で第1及び第2端子
P1,P2間のインダクタンスを測定して得ることができ、ニュートラルラインNEUT
RALの漏れインダクタンスは、第1及び第2端子P1,P2を短絡させた状態で第3及
び第4端子P3,P4間のインダクタンスを測定して得ることができる。
【0089】
実施例によるEMIフィルター2000のインダクターが前述した実施例によるインダ
クターに該当する。
【0090】
前述した実施例のそれぞれに対する説明は、互いに内容が相反しない限り、他の実施例
に対しても適用可能である。
【0091】
以上、実施例を中心に説明したが、これは単なる例示で、本発明を限定するものではな
く、本発明の属する分野における通常の知識を有する者であれば、本実施例の本質的な特
性を逸脱しない範囲で以上に例示されていない様々な変形と応用が可能であることが理解
できよう。例えば、実施例に具体的に示した各構成要素は変形して実施できるものである
。そして、このような変形及び応用に関係する差異点は、添付する特許請求の範囲で規定
する本発明の範囲に含まれるものとして解釈されるべきであろう。