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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-13
(45)【発行日】2024-12-23
(54)【発明の名称】内視鏡
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/018 20060101AFI20241216BHJP
【FI】
A61B1/018 515
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2022509798
(86)(22)【出願日】2020-03-23
(86)【国際出願番号】 JP2020012793
(87)【国際公開番号】W WO2021191989
(87)【国際公開日】2021-09-30
【審査請求日】2022-05-19
【審判番号】
【審判請求日】2023-10-05
(73)【特許権者】
【識別番号】594170727
【氏名又は名称】日本ライフライン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116274
【弁理士】
【氏名又は名称】富所 輝観夫
(72)【発明者】
【氏名】児玉 祐貴
【合議体】
【審判長】加々美 一恵
【審判官】瓦井 秀憲
【審判官】萩田 裕介
(56)【参考文献】
【文献】特許第4764417(JP,B2)
【文献】特表2019-536547(JP,A)
【文献】特表2016-536062(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00- 1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
体内に挿入されるシャフトと、
前記シャフトの基端側に装着されたハンドルと、
前記シャフトおよび前記ハンドルと共に内視鏡を構成するカメラであって、撮像素子を搭載するカメラヘッドとケーブルチューブとを有するカメラとを備えてなり、
前記カメラは、前記ハンドルおよび前記シャフトから分離可能であり、
前記シャフトには、前記カメラが配置されるカメラチャンネルが形成され、
前記ハンドルには、前記カメラチャンネルに連通するカメラチャンネルポートが設けられ、
前記カメラの前記ケーブルチューブには、前記カメラチャンネルに前記カメラが適正に配置されているときに前記カメラチャンネルポートに装着されるカメラコネクタが取付けられており、
前記カメラコネクタは、前記カメラチャンネルポートに装着されているときに、前記カメラチャンネルに配置されている前記カメラの先端が、前記カメラチャンネルが開口する前記シャフトの先端面よりも基端側にある第1位置と、前記シャフトの前記先端面よりも先端側にある第2位置との間で変位するよう、前記カメラを往復移動させるカメラ位置調整機構を有していることを特徴とする、
親内視鏡のチャンネルを通じて目的部位の近傍に案内される内視鏡。
【請求項2】
前記第1位置から前記第2位置までの距離が2~100mmであることを特徴とする請求項に記載の内視鏡。
【請求項3】
前記カメラ位置調整機構は、送りねじを利用して前記カメラを往復移動させる機構であることを特徴とする請求項またはに記載の内視鏡。
【請求項4】
前記カメラ位置調整機構は、前記カメラチャンネルポートに装着され、軸方向に沿って延びるガイド溝が内周面に形成されているコネクタケースと、
前記コネクタケースの内部に延在してその一部が当該コネクタケースの基端側に延出し、少なくともその基端部分に雄ねじ部が形成され、前記カメラの前記ケーブルチューブが、その内部に挿通された状態で固定されているシャフト部と、前記シャフト部の先端部分を取り囲むようにして当該シャフト部と一体的に形成され、前記ガイド溝に案内される凸条部が外周面に形成されているガイド部とからなり、前記コネクタケースに対してスライド可能なスライド部材と、
前記コネクタケースの基端側に位置して軸方向の移動が規制され、前記スライド部材の前記シャフト部の前記雄ねじ部に螺合する雌ねじ部を有する回転摘みとを備え、
前記回転摘みを一方向に回転して、前記スライド部材を基端位置から先端位置までスライドさせることにより、前記カメラの前記先端を前記第1位置から前記第2位置まで移動させ、
前記回転摘みを他方向に回転して、前記スライド部材を前記先端位置から前記基端位置までスライドさせることにより、前記カメラの前記先端を前記第2位置から前記第1位置に移動させる機構であることを特徴とする請求項に記載の内視鏡。
【請求項5】
前記カメラ位置調整機構の前記スライド部材が前記基端位置にないときには、前記カメラコネクタが前記カメラチャンネルポートに装着されることを規制するコネクタ装着規制機構を有していることを特徴とする請求項に記載の内視鏡。
【請求項6】
前記コネクタ装着規制機構は、前記カメラチャンネルポートと前記カメラコネクタとの
間に介在するよう、当該カメラチャンネルポートに装着されたポート側コネクタを備えて構成され、
前記ポート側コネクタには、前記ケーブルチューブの挿通路が形成されており、
前記スライド部材が前記基端位置にあるときには、前記ポート側コネクタの基端部分を前記コネクタケースの内部に挿入して、前記ポート側コネクタと前記カメラコネクタとを連結することが可能であり、
前記スライド部材が前記基端位置にないときには、前記ポート側コネクタの前記基端部分を前記コネクタケースの内部に挿入しようとしても、前記スライド部材の先端が干渉して挿入することができないよう構成されていることを特徴とする請求項に記載の内視鏡。
【請求項7】
前記コネクタケースの周壁に円形の貫通孔が形成され、
前記ポート側コネクタの先端部分は、前記カメラチャンネルポートから前記ハンドルの内部に挿入され、
前記ポート側コネクタの前記基端部分は、前記スライド部材の前記シャフト部の挿通路を形成する内管部と、前記コネクタケースの内周形状に合わせてその外周形状が形成された外管部とを備えてなり、
前記外管部の周壁には、前記スライド部材のスライド時に前記ガイド部の前記凸条部との接触を回避するための切り欠きが形成され、前記切り欠きに挟まれて可撓性を示す周壁部分の外周側に半球状の突起が形成され、
前記スライド部材が前記基端位置にあるときには、前記ポート側コネクタの前記基端部分を前記コネクタケースの内部に挿入しようとすると、前記突起が挿入の妨げとならないように、前記周壁部分が撓んで前記突起が内側に退避し、前記ポート側コネクタの前記基端部分が前記コネクタケースの内部に挿入されたときには、撓んでいた前記周壁部分が元の姿勢に戻るとともに前記突起が前記コネクタケースの前記貫通孔内に嵌合され、
前記スライド部材が前記基端位置にないときには、前記ポート側コネクタの前記基端部分を前記コネクタケースの内部に挿入しようとしても、内側に撓んだ状態の前記周壁部分に前記スライド部材の先端が干渉して挿入することができないよう構成されていることを特徴とする請求項に記載の内視鏡。
【請求項8】
前記カメラ位置調整機構は、前記カメラチャンネルポートに装着されている固定部材と、前記カメラの前記ケーブルチューブが、その内部に挿通された状態で固定され、前記固定部材に対して軸方向に移動する可動部材とを備えて構成され、
基端位置にある前記可動部材を押し込んで先端位置まで移動させることにより、前記カメラの前記先端を前記第1位置から前記第2位置まで移動させ、
先端位置にある前記可動部材を引き戻して基端位置まで移動させることにより、前記カメラの前記先端を前記第2位置から前記第1位置まで移動させることができ、
前記カメラ位置調整機構は、前記可動部材の移動に応じてクリック感を付与する機構であることを特徴とする請求項またはに記載の内視鏡。
【請求項9】
前記カメラ位置調整機構は、前記可動部材に形成されたクリック用凹凸部と、前記固定部材に設けられ、前記クリック用凹凸部とかみ合うクリック用凸部とを有していることを特徴とする請求項に記載の内視鏡。
【請求項10】
前記カメラに、光ファイバーが搭載されていることを特徴とする請求項1~の何れかに記載の内視鏡。
【請求項11】
前記シャフトには、前記カメラが配置されるカメラチャンネルが形成され、
前記シャフトの外径が1.1~7.0mm、前記カメラチャンネルの径が0.7~3.0mmであり、
前記シャフトには、径が0.3~3.0mmの鉗子チャンネルが形成されていることを特徴とする請求項1~1の何れかに記載の内視鏡。
【請求項12】
胆管もしくは膵管、気管支または膀胱における疾患を診断治療するための請求項1~1の何れかに記載の内視鏡。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は内視鏡に関し、更に詳しくは、体内に挿入されるシャフト、操作用のハンドルおよびカメラを備えた内視鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、十二指腸内視鏡を介して胆管や膵管などの診断治療に使用される小型の内視鏡として、体内に挿入されるシャフト、操作用のハンドルおよびカメラを備えた内視鏡が知られている(下記特許文献1参照)。
【0003】
この内視鏡を構成するシャフトには、カメラ(伝送ケーブルを含む)および光ファイバが配置され、送水チャンネルおよび鉗子チャンネルが形成されている。
シャフトに配置されて内視鏡を構成するカメラには、固体撮像素子(CMOSイメージセンサ)が搭載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第4764417号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載されているような小型の内視鏡は、高価な固体撮像素子を有するカメラを備えている。そのため、このような内視鏡を再使用することが望まれる。
しかし、小型の内視鏡を洗浄することは困難であり、洗浄の際にカメラが損傷することも考えられる。このため、特許文献1に記載されている小型の内視鏡については、再使用することは認められておらず、使用後にはカメラごと廃棄されている。
【0006】
本発明はこのような事情に基いてなされたものである。
本発明の第1の目的は、高価な固体撮像素子を有するカメラを再使用することができる内視鏡を提供することにある。
本発明の第2の目的は、シャフトの先端面からカメラを延出させた状態で当該シャフトがデリバリデバイスや体内に挿入されることを防止することができる内視鏡を提供することにある。
本発明の第3の目的は、シャフトの先端面に対するカメラの先端位置を微調整することができる内視鏡を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明の内視鏡は、体内に挿入されるシャフトと、
前記シャフトの基端側に装着されたハンドルと、
撮像素子を搭載するカメラヘッドとケーブルチューブとを有するカメラとを備えてなり、
前記カメラは、前記ハンドルおよび前記シャフトから分離可能であることを特徴とする。
【0008】
このような構成の内視鏡によれば、その使用後において、ハンドルおよびシャフトからカメラを分離し、これを洗浄することにより、内視鏡を構成する高価な部品であるカメラを再使用することができる。
【0009】
(2)前記シャフトには、前記カメラが配置されるカメラチャンネルが形成され、
前記ハンドルには、前記カメラチャンネルに連通するカメラチャンネルポートが設けられ、
前記カメラの前記ケーブルチューブには、前記カメラチャンネルに前記カメラが適正に配置されているときに前記カメラチャンネルポートに装着されるカメラコネクタが取付けられていることが好ましい。
【0010】
このような構成の内視鏡によれば、ハンドルに設けられたカメラチャンネルポートからカメラを挿入し、シャフトに形成されたカメラチャンネルに当該カメラを挿通し、カメラのケーブルチューブに取付けられたカメラコネクタをカメラチャンネルポートに装着することにより、カメラチャンネルにカメラを適正に配置することができる。
【0011】
(3)上記(2)の内視鏡において、前記カメラコネクタは、前記カメラチャンネルポートに装着されているときに、前記カメラチャンネルに配置されている前記カメラの先端が、前記カメラチャンネルが開口する前記シャフトの先端面よりも基端側にある第1位置と、前記シャフトの前記先端面よりも先端側にある第2位置との間で変位するように、前記カメラを往復移動させるカメラ位置調整機構を有していることが好ましい。
【0012】
このような構成の内視鏡によれば、シャフトの先端面に対するカメラの先端位置を第1位置と第2位置との間で微調整することができる。
また、カメラ位置調整機構によってカメラの先端を第1位置に位置させてからカメラをカメラチャンネルに挿入することにより、シャフトの先端面からカメラを延出させた状態で、デリバリデバイスや体内に挿入されることを防止することができる。
【0013】
(4)上記(3)の内視鏡において、前記第1位置から前記第2位置までの距離が2~100mmであることが好ましい。
【0014】
(5)上記(3)または(4)の内視鏡において、前記カメラ位置調整機構は、送りねじを利用して前記カメラを往復移動させる機構であることが好ましい。
【0015】
(6)上記(5)の内視鏡において、前記カメラ位置調整機構は、前記カメラチャンネルポートに装着され、軸方向に沿って延びるガイド溝が内周面に形成されているコネクタケースと、
前記コネクタケースの内部に延在してその一部が当該コネクタケースの基端側に延出し、少なくともその基端部分に雄ねじ部が形成され、前記カメラの前記ケーブルチューブが、その内部に挿通された状態で固定されているシャフト部と、前記シャフト部の先端部分を取り囲むようにして当該シャフト部と一体的に形成され、前記ガイド溝に案内される凸条部が外周面に形成されているガイド部とからなり、前記コネクタケースに対してスライド可能なスライド部材と、
前記コネクタケースの基端側に位置して軸方向の移動が規制され、前記スライド部材の前記シャフト部の前記雄ねじ部に螺合する雌ねじ部を有する回転摘みとを備え、
前記回転摘みを一方向に回転して、前記スライド部材を基端位置から先端位置までスライドさせることにより、前記カメラの前記先端を前記第1位置から前記第2位置まで移動させ、
前記回転摘みを他方向に回転して、前記スライド部材を前記先端位置から前記基端位置までスライドさせることにより、前記カメラの前記先端を前記第2位置から前記第1位置に移動させる機構であることが好ましい。
【0016】
(7)上記(6)の内視鏡において、前記カメラ位置調整機構の前記スライド部材が前記基端位置にないときには、前記カメラコネクタが前記カメラチャンネルポートに装着され
ることを規制するコネクタ装着規制機構を有していることが好ましい。
【0017】
このような構成の内視鏡によれば、スライド部材が基端位置にないときには、カメラチャンネルにカメラを配置すること(内視鏡にカメラを搭載すること)ができないので、シャフトの先端面からカメラを延出させた状態で、当該シャフトがデリバリデバイスや体内に挿入されることを確実に防止することができる。
【0018】
(8)上記(7)の内視鏡において、前記コネクタ装着規制機構は、前記カメラチャンネルポートと前記カメラコネクタとの間に介在するよう、当該カメラチャンネルポートに装着されたポート側コネクタを備えて構成され、
前記ポート側コネクタには、前記ケーブルチューブの挿通路が形成されており、
前記スライド部材が前記基端位置にあるときには、前記ポート側コネクタの基端部分を前記コネクタケースの内部に挿入して、前記ポート側コネクタと前記カメラコネクタとを連結することが可能であり、
前記スライド部材が前記基端位置にないときには、前記ポート側コネクタの前記基端部分を前記コネクタケースの内部に挿入しようとしても、前記スライド部材の先端が干渉して挿入することができないよう構成されていることが好ましい。
【0019】
(9)上記(8)の内視鏡において、前記コネクタケースの周壁に円形の貫通孔が形成され、
前記ポート側コネクタの先端部分は、前記カメラチャンネルポートから前記ハンドルの内部に挿入され、
前記ポート側コネクタの前記基端部分は、前記スライド部材の前記シャフト部の挿通路を形成する内管部と、前記コネクタケースの内周形状に合わせてその外周形状が形成された外管部とを備えてなり、
前記外管部の周壁には、前記スライド部材のスライド時に前記ガイド部の前記凸条部との接触を回避するための切り欠きが形成され、前記切り欠きに挟まれて可撓性を示す周壁部分の外周側に半球状の突起が形成され、
前記スライド部材が前記基端位置にあるときには、前記ポート側コネクタの前記基端部分を前記コネクタケースの内部に挿入しようとすると、前記突起が挿入の妨げとならないように、前記周壁部分が撓んで前記突起が内側に退避し、前記ポート側コネクタの前記基端部分が前記コネクタケースの内部に挿入されたときには、撓んでいた前記周壁部分が元の姿勢に戻るとともに前記突起が前記コネクタケースの前記貫通孔内に嵌合され、
前記スライド部材が前記基端位置にないときには、前記ポート側コネクタの前記基端部分を前記コネクタケースの内部に挿入しようとしても、内側に撓んだ状態の前記周壁部分に前記スライド部材の先端が干渉して挿入することができないよう構成されていることが好ましい。
【0020】
(10)上記(3)または(4)の内視鏡において、前記カメラ位置調整機構は、前記カメラチャンネルポートに装着されている固定部材と、前記カメラの前記ケーブルチューブが、その内部に挿通された状態で固定され、前記固定部材に対して軸方向に移動する可動部材とを備えて構成され、
基端位置にある前記可動部材を押し込んで先端位置まで移動させることにより、前記カメラの前記先端を前記第1位置から前記第2位置まで移動させ、
先端位置にある前記可動部材を引き戻して基端位置まで移動させることにより、前記カメラの前記先端を前記第2位置から前記第1位置まで移動させることができ、
前記カメラ位置調整機構は、前記可動部材の移動に応じてクリック感を付与する機構であってもよい。
【0021】
(11)上記(10)の内視鏡において、前記カメラ位置調整機構は、前記可動部材に形
成されたクリック用凹凸部と、前記固定部材に設けられ、前記クリック用凹凸部とかみ合うクリック用凸部とを有していることが好ましい。
【0022】
(12)本発明の内視鏡において、前記カメラに、光ファイバーが搭載されていることが好ましい。
【0023】
(13)本発明の内視鏡において、前記シャフトの外径が1.1~7.0mm、前記カメラチャンネルの径が0.7~3.0mmであり、
前記シャフトには、径が0.3~3.0mmの鉗子チャンネルが形成されていることが好ましい。
このような構成の内視鏡によれば、細径のシャフトを備えていながら汎用の鉗子を使用することが可能になる。
【0024】
(14)本発明の内視鏡は、胆管もしくは膵管、気管支または膀胱における疾患を診断治療するために好適に使用することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明の内視鏡によれば、高価な固体撮像素子を有するカメラを再使用することができる。
また、カメラ位置調整機構を有する本発明の内視鏡によれば、シャフトの先端面に対するカメラの先端位置を第1位置と第2位置との間で微調整することができる。
また、カメラ位置調整機構によってカメラの先端を第1位置に位置させてからカメラをカメラチャンネルに挿入することにより、シャフトの先端面からカメラを延出させた状態で、デリバリデバイスや体内に挿入されることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の内視鏡の第1実施形態の外観を示す説明図である。
図2図1に示した内視鏡の先端部を示す部分拡大図(II部詳細図)である。
図3図2のIII-III矢視図である。
図4A図1に示した内視鏡を構成するカメラコネクタのスライド部材が基端位置にある状態を示す断面図である。
図4B図1に示した内視鏡を構成するカメラコネクタのスライド部材が先端位置にある状態を示す断面図である。
図5A図1に示した内視鏡を構成するカメラの先端がシャフトの先端面より基端側の第1位置にある状態を示す斜視図である。
図5B図1に示した内視鏡を構成するカメラの先端がシャフトの先端面より先端側の第2位置にある状態を示す斜視図である。
図6図1に示した内視鏡におけるカメラ位置調整機構およびコネクタ装着規制機構の構成部材を分解して示す斜視図である。
図7図1に示した内視鏡におけるカメラ位置調整機構およびコネクタ装着規制機構の構成部材を分解して示す斜視図である。
図8A図1に示した内視鏡を構成するポート側コネクタとカメラコネクタとが連結されている状態を示す断面図である。
図8B図1に示した内視鏡を構成するポート側コネクタとカメラコネクタとの連結が規制されている状態を示す断面図である。
図9】本発明の内視鏡の第2実施形態の外観の要部を示す説明図である。
図10A図9に示した内視鏡を構成する可動部材が基端位置にある状態を示す断面図である。
図10B図9に示した内視鏡を構成する可動部材が先端位置にある状態を示す断面図である。
図11図9に示した内視鏡を構成する固定部材および可動部材を示す斜視図である。
図12図9に示した内視鏡を構成する固定部材および可動部材を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
<第1実施形態>
図1図8図8Aおよび図8B)に示すこの実施形態の内視鏡100は、胆管または膵管における疾患を診断治療するため使用される。
この内視鏡100は、体内に挿入されるシャフト10と、シャフト10の基端側に装着されたハンドル20と、カメラ30とを備えている。
【0028】
図3に示すように、内視鏡100を構成するシャフト10には、カメラチャンネル13と、送水チャンネル14と、鉗子チャンネル17とが形成されている。
【0029】
シャフト10の外径としては1.1~7.0mmであることが好ましく、好適な一例を示せば3.6mmである。
カメラチャンネル13の径としては0.7~3.0mmであることが好ましく、好適な一例を示せば1.1mmである。
鉗子チャンネル17の径としては0.3~3.0mmであることが好ましく、好適な一例を示せば2.0mmである。鉗子チャンネル17の径が2.0mmであることにより汎用の鉗子(1.8mm径)を使用することが可能になる。
【0030】
内視鏡100を構成するハンドル20は、グリップ21と2つの操作ノブ25,26とを備えてなり、ハンドル20には、カメラチャンネル13に連通するカメラチャンネルポート23と、鉗子チャンネル17に連通する鉗子チャンネルポート27とが設けられている。
【0031】
内視鏡100を構成するカメラ30は、CMOSイメージセンサ311を搭載するカメラヘッド31と、CMOSイメージセンサ311の伝送ケーブルを内包するケーブルチューブ35とを有し、カメラ30には、CMOSイメージセンサ311を取り囲むようにして光ファイバ(図示省略)が内蔵されている。
カメラヘッド31の外径としては0.6~2.9mmであることが好ましく、好適な一例を示せば1.0mmである。ケーブルチューブ35の外径は、カメラヘッド31の外径と実質的に同一である。
【0032】
カメラ30は、シャフト10のカメラチャンネル13に配置され、ケーブルチューブ35の基端部分は、ハンドル20のカメラチャンネルポート23から外部に延出し、ケーブルチューブの基端は制御装置に接続される。
【0033】
カメラ30のケーブルチューブ35には、カメラコネクタ50が取付けられている。
このカメラコネクタ50は、シャフト10のカメラチャンネル13にカメラ30が適正に配置されているときに、ハンドル20のカメラチャンネルポート23に装着される。
すなわち、カメラチャンネルポート23にカメラコネクタ50を装着することにより、カメラ30は、カメラチャンネル13に適正に配置される。
カメラコネクタ50の取付け位置としては、カメラ30の先端から300~3000mmとされ、好適な一例としては、カメラ30の先端から2100mmである。
【0034】
本実施形態の内視鏡100において、カメラ30は、ハンドル20およびシャフト10から分離可能である。
すなわち、カメラチャンネルポート23からカメラコネクタ50を取り外し、シャフト10のカメラチャンネル13に配置されているカメラ30を、カメラコネクタ50とともに、ハンドル20のカメラチャンネルポート23から抜去することができる。
【0035】
また、一旦分離したカメラ30を、カメラヘッド31を先頭にして、ハンドル20のカメラチャンネルポート23から、ハンドル20の内部およびシャフト10のカメラチャンネル13に挿入し、カメラチャンネルポート23にカメラコネクタ50を装着することにより、当該カメラ30を内視鏡100の構成部品として再び組み込むことができる。
【0036】
カメラコネクタ50は、カメラチャンネルポート23に装着されているときに、カメラチャンネル13に配置されているカメラ30の先端が、カメラチャンネル13が開口するシャフト10の先端面15よりも基端側にある第1位置(図5Aに示したようなカメラ30の先端位置)と、先端面15よりも先端側にある第2位置(図5Bに示したようなカメラ30の先端位置)との間で変位するよう、カメラチャンネル13に対してカメラ30を往復移動させるカメラ位置調整機構を有している。
【0037】
ここに、第1位置から第2位置までの距離(位置調整機構によるカメラ30の先端の移動距離)としては2~100mmであることが好ましく、好適な一例を示せば30mmである。
また、シャフト10の先端面15から第1位置までの距離は1.5~20mmであることが好ましく、先端面15から第2位置までの距離は0.5~80mmであることが好ましい。
【0038】
本実施形態の内視鏡100において、カメラコネクタ50の有するカメラ位置調整機構は、送りねじを利用してカメラ30を往復移動させる機構である。
具体的には、カメラチャンネルポート23に装着され、軸方向に沿って延びるガイド溝512が内周面に形成されているとともに、軸方向に沿って延びるガイド孔513が周壁に形成されているコネクタケース51と;
コネクタケース51の内部に延在して、その一部が当該コネクタケース51の基端側に延出し、その基端部分に雄ねじ部522が形成され、カメラ30のケーブルチューブ35が、その内部に挿通された状態で接着固定されているシャフト部521と、シャフト部521の先端部分を取り囲むようにして当該シャフト部521と一体的に形成され、コネクタケース51のガイド溝512に案内される凸条部524が外周面に形成されているとともに、ガイド孔513に案内される突起部525が外周側に形成されているガイド部523とからなり、コネクタケース51に対してスライド可能なスライド部材52と;
コネクタケース51の基端側に位置して軸方向の移動が規制され、スライド部材52のシャフト部521の雄ねじ部522に螺合する雌ねじ部531を有する回転摘み53とを備え、
回転摘み53を一方向に回転して、スライド部材52を基端位置から先端位置までスライドさせることにより、カメラ30の先端を第1位置(図5Aに示したようなカメラ30の先端位置)から第2位置(図5Bに示したようなカメラ30の先端位置)まで移動させ、回転摘み53を他方向に回転して、スライド部材52を先端位置から基端位置までスライドさせることにより、カメラ30の先端を第2位置から第1位置に移動させる機構である。
【0039】
ここに、「基端位置」は、図4Aに示すように、スライド部材52がそれより基端側に移動できない位置であり、「先端位置」は、図4Bに示すように、スライド部材52がそれより先端側に移動できない位置である。
【0040】
カメラ位置調整機構は、コネクタケース51と、スライド部材52と、回転摘み53と
により構成されている。
【0041】
コネクタケース51は、後述するポート側コネクタを介してカメラチャンネルポート23に装着されるカメラコネクタ50の構成部材であり、アーチ状部分を有する筒状体からなる。
コネクタケース51の内周面には、軸方向に沿って延びるガイド溝512が形成されているとともに、アーチ状部分の周壁には、軸方向に沿って延びるガイド孔513が形成されている。
【0042】
スライド部材52は、シャフト部521と、このシャフト部521の先端部分を取り囲むようにして当該シャフト部521と一体的に形成されたガイド部523とからなる。
【0043】
スライド部材52のシャフト部521はコネクタケース51の内部に延在し、シャフト部521の一部は、コネクタケース51の基端面511に形成された開口から基端側に延出している。
シャフト部521の基端部分には雄ねじ部522が形成されている。
図4Aおよび図4Bに示すように、シャフト部521の内部には、カメラ30のケーブルチューブ35が挿通された状態で接着固定されている。
【0044】
スライド部材52のガイド部523は、コネクタケース51の形状に合わせてアーチ状部分を有し、シャフト部521の先端部分を取り囲むようにして当該シャフト部521と一体的に形成されている。
ガイド部523の外周面には、コネクタケース51のガイド溝512に案内される凸条部524が形成されている。
また、ガイド部523のアーチ状部分の外周側には、コネクタケース51のガイド孔513に案内される突起部525が形成されている。
【0045】
回転摘み53は、コネクタケース51の基端側に配置されている。
回転摘み53の内周側には、スライド部材52のシャフト部521の雄ねじ部522に螺合する雌ねじ部531が形成されている。
回転摘み53は、コネクタケース51に対する軸方向の移動が規制されており、回転摘み53を回転することにより、コネクタケース51に対してスライド部材52がスライドする。
また、回転摘み53を回転させてスライド部材52がスライドすることにより、シャフト部521の内部に接着固定されているケーブルチューブ35も、コネクタケース51に対して軸方向に移動することになる。
【0046】
上記のような構成のカメラ位置調整機構によれば、回転摘み53を一方向に回転して、スライド部材52を基端位置(図4Aに示した位置)から先端位置(図4Bに示した位置)までスライドさせることにより、カメラ30の先端を第1位置(図5Aに示したようなカメラ30の先端位置)から第2位置(図5Bに示したようなカメラ30の先端位置)まで移動させ、回転摘み53を他方向に回転して、スライド部材52を先端位置から基端位置までスライドさせることにより、カメラ30の先端を第2位置から第1位置に移動させることができる。
【0047】
上記のようなカメラ位置調整機構において、スライド部材52が基端位置にないときに、カメラコネクタ50をカメラチャンネルポート23に装着した場合、カメラ30の先端が、シャフト10の先端面15におけるカメラチャンネル13の開口から延出する可能性がある。
カメラチャンネル13の開口からカメラ30の先端が延出している状態でシャフト10
を体内に挿入しようとすると、カメラ30の先端によって、体内組織に損傷を与えたり、カメラ30(カメラヘッド31)を目的部位の近傍に案内するためのデリバリデバイス(例えば、十二指腸鏡などの親内視鏡)のチャンネル内部に損傷を与えたり、カメラ30自体が損傷を受けたりするおそれがある。
【0048】
そこで、本実施形態の内視鏡100においては、スライド部材52が基端位置にない(カメラチャンネル13の開口からカメラ30の先端が延出するおそれがある)ときには、カメラコネクタ50がカメラチャンネルポート23に装着されることを規制するコネクタ装着規制機構を備えている。
【0049】
コネクタ装着規制機構は、カメラチャンネルポート23とカメラコネクタ50との間に介在するように、当該カメラチャンネルポート23に装着されたポート側コネクタ60を備えて構成されている。
【0050】
ポート側コネクタ60の先端部分61は、カメラチャンネルポート23からハンドル20の内部に挿入されている。
ポート側コネクタ60の基端部分62は、スライド部材52のシャフト部521(当該シャフト部521の内部に接着固定されているケーブルチューブ35)の挿通路を形成する内管部621と、コネクタケース51の内周形状に合わせてその外周形状が形成された外管部622とを備えている。
【0051】
外管部622の周壁には、スライド部材52がスライドするときに、ガイド部523に形成されている凸条部524との接触を回避するための切り欠き623~626が形成され、ガイド部523に形成されている突起部525との接触を回避するための切り欠き627が形成されている。また、切り欠き624および625に挟まれて可撓性を示すようになった周壁部分628の外周側には半球状の突起629が形成されている。
一方、コネクタケース51の周壁には、当該コネクタケース51にポート側コネクタ60の基端部分62が挿入されたときに突起629が嵌合される円形の貫通孔515が形成されている。
【0052】
このような構成のコネクタ装着規制機構によれば、スライド部材52が基端位置にあるときに、ポート側コネクタ60とカメラコネクタ50とを連結するために、ポート側コネクタ60の基端部分62をコネクタケース51の内部に挿入しようとすると、突起629が挿入の妨げとならないように、周壁部分628が撓んで突起629が内側に退避する。そして、ポート側コネクタ60の基端部分62がコネクタケース51の内部に挿入されたときには、図8Aに示すように、撓んでいた周壁部分628が元の姿勢に戻るとともに突起629がコネクタケース51の貫通孔515内に嵌合される。これにより、ポート側コネクタ60とカメラコネクタ50とが連結され、当該カメラコネクタ50は、ポート側コネクタ60を介して、カメラチャンネルポート23に装着される。
【0053】
スライド部材52が基端位置にないときには、ポート側コネクタ60の基端部分62をコネクタケース51の内部に挿入しようとしても、図8Bに示すように、内側に撓んだ状態の周壁部分628にスライド部材52の先端が干渉して挿入することができず、従って、ポート側コネクタ60にカメラコネクタ50を連結することはできず、カメラチャンネルポート23にカメラコネクタ50を装着することはできない。
【0054】
本実施形態の内視鏡100によれば、その使用後において高価な固体撮像素子を有するカメラ30をハンドルおよびシャフトから分離して洗浄することにより、当該カメラ30を内視鏡100の構成部品として組み込んで再使用することができる。
また、カメラ位置調整機構およびコネクタ装着規制機構により、シャフト10の先端面
15におけるカメラチャンネル13の開口からからカメラ30を延出させた状態で、当該シャフト10がデリバリデバイスや体内に挿入されることを確実に防止することができる。
さらに、送りねじを利用してカメラ30を往復移動させるカメラ位置調整機構により、シャフト10の先端面15に対するカメラ30の先端位置を微調整することができる。
【0055】
<第2実施形態>
この実施形態の内視鏡200は、第1位置と第2位置との間でカメラ30の先端を変位させるためのカメラ位置調整機構の具体的機構が異なること以外は第1実施形態と同様であり、図9図12に示す本実施形態において、第1実施形態と同一の構成要素については、図1図8図8Aおよび図8B)と同一の符合を付して、その説明を省略する。
【0056】
この実施形態の内視鏡200のカメラ位置調整機構は、カメラチャンネルポート23に装着される固定部材70と、この固定部材70に対して軸方向に移動する可動部材80と、両者の間に介在してクリック感を付与する構造(クリック用凸部729およびクリック用凹凸部819)とを備えて構成されている。
【0057】
カメラ位置調整機構を構成する固定部材70の先端部分は、カメラチャンネルポート23からハンドル20の内部に挿入されている。
固定部材70の基端部分は、ケーブルチューブ35の挿通路を形成する内管部71と、アーチ状部分を有する筒状の外管部72とからなり、外管部72の周壁には、切り欠き723~727が形成されている。また、切り欠き724および725に挟まれて可撓性を示すようになった周壁部分728の内周側にはクリック用凸部729が形成されている。
【0058】
カメラ位置調整機構を構成する可動部材80は、固定部材70の外管部72の内周形状に合わせてその外周形状が形成された先端部分81と、操作用摘みである基端部分82とからなる。
図10Aおよび図10Bに示すように、可動部材80には、その中心軸に沿って貫通孔が形成され、この貫通孔に、カメラ30のケーブルチューブ35が挿通された状態で接着固定されている。
可動部材80の先端部分81には、当該可動部材80が固定部材70の内部に挿入されるときに、切り欠き723~726に案内される凸条部814が外周面に形成されているとともに、切り欠き727に案内される突起部815が外周側に形成されている。
また、固定部材70の周壁部分728の内周側に形成されたクリック用凸部729に対向する可動部材80の先端部分81の外周側には、クリック用凸部729とかみ合うクリック用凹凸部819が形成されている。
【0059】
このような構成のカメラ位置調整機構によれば、基端位置にある可動部材80を押し込んで先端位置まで移動させることにより、カメラ30の先端を第1位置から第2位置まで移動させ、先端位置にある可動部材80を引き戻して基端位置まで移動させることにより、カメラ30の先端を第2位置から第1位置まで移動させることができ、そして、可動部材80の移動に応じて、クリック用凸部729とクリック用凹凸部819とにより発生するクリック感を得ることができるので、これにより、カメラ30の先端位置を微調整することができる。
【符号の説明】
【0060】
100 内視鏡
10 シャフト
13 カメラチャンネル
14 送水チャンネル
15 シャフトの先端面
17 鉗子チャンネル
20 ハンドル
21 グリップ
23 カメラチャンネルポート
25,26 操作ノブ
27 鉗子チャンネルポート
30 カメラ
31 カメラヘッド
35 ケーブルチューブ
50 カメラコネクタ
51 コネクタケース
511 基端面
512 ガイド溝
513 ガイド孔
515 貫通孔
52 スライド部材
521 シャフト部
522 雄ねじ部
523 ガイド部
524 凸条部
525 突起部
53 回転摘み
531 雌ねじ部
60 ポート側コネクタ
61 先端部分
62 基端部分
621 内管部
622 外管部
623~627 切り欠き
628 周壁部分
629 半球状の突起
200 内視鏡
70 固定部材
71 内管部
72 外管部
723~727 切り欠き
728 周壁部分
729 クリック用凸部
80 可動部材
81 先端部分
814 凸条部
815 突起部
819 クリック用凹凸部
82 基端部分(操作用摘み)
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10A
図10B
図11
図12