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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-13
(45)【発行日】2024-12-23
(54)【発明の名称】光ファイバケーブルコネクタ
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/36 20060101AFI20241216BHJP
   G02B 6/42 20060101ALI20241216BHJP
【FI】
G02B6/36
G02B6/42
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022525411
(86)(22)【出願日】2020-10-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-18
(86)【国際出願番号】 US2020057978
(87)【国際公開番号】W WO2021087122
(87)【国際公開日】2021-05-06
【審査請求日】2023-10-30
(31)【優先権主張番号】62/927,419
(32)【優先日】2019-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/013,178
(32)【優先日】2020-04-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501012517
【氏名又は名称】アイピージー フォトニクス コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー・ガール
(72)【発明者】
【氏名】グレゴリー・アルトゥシュラー
(72)【発明者】
【氏名】ヴァレリー・コズロフ
【審査官】奥村 政人
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-002744(JP,A)
【文献】特開2000-352642(JP,A)
【文献】米国特許第04786135(US,A)
【文献】特表2019-514054(JP,A)
【文献】特開平11-194234(JP,A)
【文献】特開2002-323641(JP,A)
【文献】特開平06-324236(JP,A)
【文献】特開2016-151684(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第108885315(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/24
G02B 6/255-6/27
G02B 6/30- 6/34
G02B 6/36- 6/43
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ放射源を機器に接続するための光ファイバコネクタカップリングであって、前記光ファイバコネクタカップリングは、
前方端、後方端および軸を有するランチコネクタ
を含み、
前記ランチコネクタは、本体部分を含み、光ファイバが、前記後方端で前記本体部分内へ延在し、
前記ランチコネクタは、前記本体部分によって画定された機械的接続部分および光学的接続部分を有し、
前記光学的接続部分は、前記機械的接続部分内に収容され、前記光ファイバに接続された雄フェルールを含み、
前記光ファイバは、前記雄フェルールの前方端で前方に露出したファセットを有し、
適合性エラストマー材料のブロックが、前記本体部分内に前記ランチコネクタの前記軸の周りで中央に配置され、前記適合性エラストマー材料のブロックは、中央開口を備えたカップとして構成され、前記カップが、ベース部分および前記ベース部分から前方に延在する環状壁部分を備え、前記環状壁部分が、前記光学的接続部分の後ろ向き表面に当接し、前記雄フェルールの後方端は、前記ベース部分に着座している、光ファイバコネクタカップリング。
【請求項2】
前記本体部分は、前記適合性エラストマー材料のブロックを受容するためのスロットを画定し、前記適合性エラストマー材料のブロックは、前記光ファイバに軸方向の適合性を提供する、請求項1に記載の光ファイバコネクタカップリング。
【請求項3】
前記本体部分は、前記光学的接続部分を収容する管状部分を備えた前方ノーズピースを有し、前記光学的接続部分は、中央周方向バンドを備えた略円筒形であり、前記前方ノーズピースは、前記光学的接続部分に形状適合したキャビティを有するが、前記光学的接続部分と前記前方ノーズピースとの間にギャップを備え、これによって前記光学的接続部分は、前記キャビティの中で移動が制限されている、請求項1に記載の光ファイバコネクタカップリング。
【請求項4】
前記光学的接続部分は、前記雄フェルールの最前方端から後方に変位する前向き環状面を有し、前記前向き状面は、前記ランチコネクタを接続するとき、前記光学的接続部分のための停止表面を提供する、請求項1に記載の光ファイバコネクタカップリング。
【請求項5】
前記本体部分は、前記光学的接続部分を収容する管状部分を備えた前方ノーズピースを有し、前記本体部分は、前記前方ノーズピースの後方に把持部分を有し、前記前方ノーズピースは、前記把持部分の環状溝に着座したフランジを有し、前記光ファイバコネクタカップリングは、前記前方ノーズピースと前記把持部分との間に配置されたOリングをさらに含む、請求項1に記載の光ファイバコネクタカップリング。
【請求項6】
前記本体部分は、前記光学的接続部分に対して大きなキャビティを備えたハウジングを画定し、これによって前記ハウジング内の前記光学的接続部分を制限しながら、前記光学的接続部分の径方向、前方および後方への移動を可能にする、請求項1に記載の光ファイバコネクタカップリング。
【請求項7】
前記光学的接続部分の前記後ろ向き表面は、前記光ファイバの張力によって前記適合性エラストマー材料のブロックに対して保持されている、請求項1に記載の光ファイバコネクタカップリング。
【請求項8】
前記雄フェルールの前記前方端は、パワーウェルを有する、請求項1に記載の光ファイバコネクタカップリング。
【請求項9】
前記雄フェルールは、ステンレス鋼で形成されている、請求項1に記載の光ファイバコネクタカップリング。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本願は、2020年4月21日に出願された米国仮出願第63/013,178号、および2019年10月29日に出願された米国仮出願第62/927,419号の優先権を主張するものである。両出願は、参照により本明細書に組み込まれている。
【0002】
本願は、本願の権利者が所有する特許文献1および特許文献2に関連する。これらの特許は、あらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれている。
【背景技術】
【0003】
レーザベースの医療機器は、医療治療にレーザ放射を用いる。レーザ放射の種類、出力、およびパラメータは、治療によって異なる。レーザエネルギー生成器は、光学的接続部分および機械的接続部分を有する接続システムを用いて医療機器に接続される。
【0004】
コネクタは、送達システムの重要な構成要素である。通信機器上のコネクタの密度を高めることが望ましいため、一般に光ファイバコネクタのサイズは、時間の経過とともに減少してきており、すなわち、機器スペースの1平方インチあたりのコネクタ数が多くなっている。医療目的の一般的なコネクタは、露出したファイバファセットを備えた前方突出フェルールを備えたSMA-905またはSMA-906修正コネクタのような、通信デバイス用に開発された微修正光コネクタを含む。このようなコネクタはサイズが小さく、嵌合部品も小さく、具体的には、フェルールが光ファイバおよび協働する雌部品を固定している。把持可能部分のサイズが小さいため、光ファイバを医療機器に接続するために繊細な操作が要求される。小さなサイズのコネクタは、手袋で扱うことにも、迅速に接続することにも向かない。また、入力ファイバファセットが露出してコネクタの最遠部分を画定するため、レーザエネルギー生成器上の医療機器コネクタとの嵌合中、ファセットが容易に汚染または損傷される。レーザ源と医療機器との間の接続の完全性に関連するあらゆる問題が、医療機器の性能にそして潜在的に医療処置に影響を与える可能性がある。
【0005】
電気通信と比較した医療用レーザ用途において、ファイバおよび接続部ははるかに高い電力レベルを効率的に通過させる必要がある。光学的接続部分のわずかなずれがある場合、接続部において過度の発熱があり、医療機器への電力が失われる可能性がある。特にコネクタ部分に関連する熱管理手段が不十分である場合、過度の発熱によりコネクタ部分が損傷する可能性がある。
【0006】
レーザ用途向けのほとんどの従来の光ファイバコネクタは、光学的接続部分が本質的に機械的接続部分内に固定されている。光学的接続部分の位置合わせが決定的ではない通信用途において、光学的接続部分と機械的接続部分との間のこの固定された関係は十分である。これは、このような通信コネクタの低電力処理要件に部分的に起因している。熱管理は重要な要素ではなく、わずかなずれは重要な問題ではない。レーザ通信用途における光ファイバコネクタは通常1つの光ファイバをもう1つの光ファイバに接続しており、このような接続では1つの光ファイバ面がもう1つの光ファイバ面に対向している。したがって、協働コネクタの光学的接続部分間の適切な位置合わせが比較的簡単であり、光学的接続部分を機械的接続部分に固定することは重要な問題ではない。
【0007】
これを、位置合わせおよびいくつかの場合において熱管理に関連する重要度が高いレーザ医療機器におけるランチコネクタと比較する。医療機器用の一般的なレーザエネルギー生成器において、レーザエネルギー生成器と接続するランチコネクタは、レーザ生成器の接続部で円錐形の集束レーザビームと位置を合わせねばならない内部露出光ファイバ面を有する。ずれがあると、コネクタ部分のエネルギー損失および過度の加熱が発生する可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】米国特許第10082632号明細書
【文献】米国特許第10663677号明細書
【文献】米国特許第5329541号明細書
【文献】米国特許第5337386号明細書
【文献】米国特許第5907650号明細書
【文献】米国特許第5943460号明細書
【文献】米国特許第6238103号明細書
【文献】米国特許第7503701号明細書
【文献】米国特許第8419293号明細書
【文献】米国特許第8888378号明細書
【文献】米国特許第9329350号明細書
【文献】米国特許第9393081号明細書
【文献】米国特許第9395496号明細書
【文献】米国特許第9429713号明細書
【文献】米国特許出願公開第2019/0094472号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
レーザエネルギー生成器に接続する医療機器用のランチコネクタは大幅な進歩を遂げてきた。機械的接続部分を光学的接続部分から分離および隔離し、ランチコネクタの光学的接続部分、たとえば前方端で光ファイバ面を備えた円筒形雄フェルールをランチコネクタの環状機械的部分内で弾性的に浮かせることにより、レーザ生成器で円筒形ボアを備えた雌フェルールと嵌合させたとき、許容できる位置合わせを提供することができる。本願の所有者の特許文献2を参照されたい。この出願は、あらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれている。特許文献2の特許は、円筒形雄フェルールが光ファイバケーブルによってのみハウジングの均一な直径のボア内に支持される実施形態を開示している。他の実施形態は、円筒形雄フェルールがランチコネクタハウジングの均一な直径のボア内に支持され、雄フェルールの後方に配置されたエラストマー材料が雄フェルールの中心合わせを提供することを開示している。これらの実施形態は、医療用途のための既知のランチコネクタに対する改善を提供するが、より容易な製造、組み立て、堅牢性、および熱管理に関連するさらなる改善があれば、歓迎されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
送達システムは、医療治療のためにレーザ放射を利用する医療機器に接続するためのレーザ放射源から延在する。送達システムは、レーザ源から延在する光ファイバを備えた光ケーブルを含み、雄ランチコネクタが光ケーブル上に雄フェルールを有する。ランチコネクタは、医療機器上の雄フェルールと接続する雌フェルールを有する受容コネクタに結合する。雄ランチコネクタは、内部を画定する外壁を備えるとともに最外または最前方縁で前方に突出してその中に画定された中央軸方向凹部を有する管状部分を備えた本体部分を有する。光ファイバは、本体部分の最前方縁の後方の中央凹部に配置された雄フェルールで終端し、前向きファイバファセットを提示する。実施形態において、受容コネクタに接続されていないとき、雄フェルールは中央凹部内に適合して配置されている。実施形態において、ランチコネクタが接続されていないとき、雄フェルールは、本体部分に対して雄フェルールを直接または間接的に支持するエラストマー材料によって適合的に配置され、中央軸方向凹部における雄フェルールと本体部分の壁表面との間の周方向および軸方向に延在する適合間隔により、すべての径方向における移動の定義された自由度および雄フェルールの軸方向の適合性が提供される。
【0011】
実施形態において、雄フェルールは、剛性スリーブに着座し、フェルールは、スリーブから前方に延在し、スリーブは、本体部分に着座しているエラストマー材料に係合および/またはこれによって支持され、スリーブは、内部本体壁表面から離間し、ランチコネクタが受容コネクタに取り付けられていないとき、径方向の適合性およびすべての径方向における弾性を提供する。実施形態において、適合性および弾性が前方および後方軸方向に提供される。実施形態において、エラストマー材料は、スリーブと本体部分の内部壁表面との間に延在する環状部材として構成されている。実施形態において、エラストマー材料はエラストマー材料の1つまたは複数のブロックとして構成され、剛性スリーブの後方縁または縁部がエラストマー材料に係合または対向している。
【0012】
実施形態において、雄フェルール、その上の任意のスリーブまたはフィッティング、および光ファイバおよびその上の任意のカバーリングは、受容コネクタに接続されていないとき、中心合わせおよび適合性を提供する適合性材料によってのみ、本体部分内で支持されている。実施形態において、適合性はすべての方向にある。実施形態において、フェルールの移動は、雄フェルールおよびその上の任意のスリーブまたはフィッティングを包含するランチコネクタの本体部分または他の構造によって制限される。本体部分または他の構造は、雄フェルールおよびその上の任意のスリーブまたはフィッティングのための形状適合キャビティを提供することができる。
【0013】
実施形態においてランチコネクタの構成要素は、溶接、糊、接着剤、または別個の留め具を最小限に、またはなしで一緒に組み立てられている。実施形態において、すべての外側向きの構成要素、前方プラグ部分、ハンドル部分、およびストレインリリーフ部材は、溶接、糊、接着剤、または別個の留め具なしで組み立て可能であり、構成要素上のポリマー特徴によって一緒に保持されている。
【0014】
実施形態において、ハンドル部分およびランチコネクタハウジングの一部を画定する本体部分のクラムシェル半体が、ポリマークラムシェル半体上のかみ合い特徴によって保持され、光学的接続部分およびプラグは、ポリマークラムシェル半体内に成型された特徴を適合させることによってハウジングに保持されている。実施形態において、ランチコネクタのハウジングは、単一の一体部品として成型されたポリマーハンドル部分と、単一の一体部品として成型されたポリマー前方プラグ部分と、を含む。ランチコネクタは、1つはハンドル部分と一体の、1つは前方プラグ部分と一体の、協働ねじ状接続部分によって回転式に組み立てられている。組み立て時、ねじ接続は隠される。実施形態において、Oリングが、プラグ部分とハンドル部分との間の接合部にあり、接続が行われるときにOリングが圧縮されて、ハウジングのそれぞれのプラグ部分およびハンドル部分に外圧を提供し、あらゆる切断トルクに抵抗して気密シールを提供する。実施形態において、Oリングは、プラグ部分の軸に対してある角度で圧縮され、それぞれの軸の鋭角の測定値は20度より大きく70度より小さい。実施形態において、ハウジングのポリマープラグ部分およびポリマーハンドル部分は、構成要素の接続部分上の協働特徴が嵌合する場合にこれらを軸方向に一緒に押すことによってスナップフィット組み立てすることができる。
【0015】
実施形態において、ランチコネクタが、ノーズまたはプラグ部分および把持またはハンドル部分によって画定されたポリマーハウジングを有し、プラグ部分はランチコネクタの機械的接続部分を画定する。光学的接続部分が、適合的中心合わせ剛性雄フェルール部品を有し、これは光ファイバに接続され、剛性雄フェルール部品の後方に配置されてその最後方部分に係合および/または捕捉しているエラストマー材料で形成された支持体によって適合的に中心合わせされている。実施形態において、光学的接続部分の剛性雄フェルール部分のいずれもエラストマー支持体の後方に延在することはない。実施形態において、適合的中心合わせ雄フェルール部品はエラストマー支持体から前方に延在し、そこから片持ちされている。実施形態において、エラストマー支持体は、光ファイバ用の中央開口部を備えたカップ形状部材である。実施形態において、エラストマー支持体は、これを通って延在する光ファイバを把持またはクランプする2つの分離可能な部分を備えたブロック形状である。実施形態において、ランチコネクタが雌カップリング部分でレーザエネルギー生成器に接続されているとき、エラストマー支持体は主に軸方向に偏向され、これによって主に圧縮されている。
【0016】
実施形態において、ランチコネクタが受容コネクタに接続されていないとき、光ファイバおよびその上の任意のカバーリング上の張力がエラストマー材料でスリーブの圧縮状態を提供することができる。
【0017】
実施形態において、光ファイバおよびその上の任意のカバーリングは、光学的接続部分の雄フェルール部分にも係合および支持するエラストマー材料によって適合的かつ弾性的に本体部分に接続されている。
【0018】
実施形態において、光ケーブルは、離間した個別の取り付け領域で本体部分の後方端と係合している被覆を有する。
【0019】
実施形態において、雄フェルールは、アンカー位置の前方の光ケーブルの柔軟性によって提供される移動の自由を有する。フェルールは、本体部分の管状部分のような本体部分内またはその一部の構造によって横方向に制限され、これによって横方向の移動の自由を制限することができる。フェルールが管状部分内で軸方向に中心にあるとき、このような構造によりフェルールの全長にわたってフェルールの周りに周方向のギャップが提供される。実施形態において弾性材料を雄フェルールの後方端部に取り付けて、光ファイバまたはケーブルによって提供されるものを越える横方向移動に対するいくらかの抵抗を実際提供する径方向または横方向の移動の自由を制御することができる。
【0020】
実施形態において、雄フェルールは、アンカー位置の前方の光ケーブルの柔軟性および光学的接続部分の後方部分とエラストマー部材との係合によって提供される移動の自由を有する。実施形態において光学的接続部分は、フェルールまたはスリーブに着座したフェルールとすることができる。フェルールは、本体部分の管状部分のような本体部分内またはその一部の構造によって横方向および軸方向に制限され、これによって光学的接続部分の横方向の移動の自由を制限することができる。フェルールが管状部分内で軸方向に中心にあるとき、このような構造によりフェルールの全長にわたってフェルールの周りに周方向のギャップが提供される。実施形態において弾性材料を雄フェルールの後方端部に取り付けて、光ファイバまたはケーブルによって提供されるものを越える横方向移動に対するいくらかの抵抗を実際提供する径方向または横方向の移動の自由を制御することができる。
【0021】
実施形態において、フェルールは、光レジストレーション受容器に雄フェルールのための軸方向ストップを有する雌フェルールなしで、受容コネクタの雌フェルール上の協働する内向き円筒形表面と整合する外側円筒形表面のようなレジストレーション面を有する。雄フェルールは、雌フェルールの内向き円筒形表面内に摺動式に受容され、協働するフェルールの唯一の接触はそれぞれの円筒形表面間にある。本発明者らは、雄フェルールの前方面での、特にファイバファセットでの集束レーザエネルギーが、有利に管理される実質的な過剰熱を生成することができるということを発見した。雄および雌フェルールのそれぞれの円筒形表面の界面は、雄フェルールから離れる適切な熱伝達を管理および提供するのに適切でないことがある。本発明者らは、雄フェルールの前面上の集束レーザエネルギーの熱放散は好ましくは、レーザエネルギー生成器上の医療機器コネクタを通して熱を伝達および放散することによって管理され、したがってランチコネクタおよび取り付けられた光ファイバケーブルのものより大きいヒートシンク能力の方法を提供するということをさらに発見した。受容コネクタおよび関連する構造は、ランチコネクタおよび医療機器へのファイバケーブルより過剰熱を放散するのに適している。本発明者らは、軸方向に対向する表面、特に圧縮下で一緒に押し付けられる表面が、雄フェルールおよび雌フェルールの摺動円筒形表面より効率的にランチコネクタから受容コネクタへ熱を伝達することを発見した。
【0022】
実施形態の特徴および利点は、雄フェルールの外部円筒形表面と雌フェルールの内向き円筒形表面との摺動係合によってレーザエネルギー生成器の受容コネクタに係合する雄フェルールを備えたランチコネクタである。レーザエネルギーは雄フェルールの前側に集束し、これによって雄フェルールを加熱する。管状スリーブが雄フェルールを取り囲み、受容コネクタ上の協働環状表面に係合する、コネクタ軸に垂直な前向き環状先端表面を有する。実施形態において協働環状表面は雌フェルールの環状表面である。実施形態において、雄フェルールを支持するスリーブの前向き環状表面は、雄フェルールの前面の後方の弾性部分の圧縮によって雌フェルールの協働環状表面と圧縮的に係合する。実施形態において弾力性部分は、管状スリーブとランチコネクタの本体との間に配置されたエラストマー材料である。実施形態において、エラストマー材料は環状部材で構成されている。実施形態においてエラストマー材料は、管状スリーブの後方端に係合するブロックである。
【0023】
実施形態において、ランチコネクタが、ランチコネクタの把持部分の内部にあり、受容コネクタの環状係合部材と係合する環状熱伝達部材を通して雄フェルールから延在する熱伝達経路を備えたレーザエネルギー生成器上の受容コネクタに接続し、レーザエネルギー生成器は、雄フェルールから伝達される熱エネルギーのためのヒートシンクを提供する。実施形態において、弾性部材が環状熱伝達部材の後方軸方向変位を提供し、接続されたときに受容コネクタの環状係合部材との圧縮係合を提供する前方付勢を提供する。
【0024】
従来の光ファイバコネクタ技術は、雄フェルールの前方面に係合する軸方向停止表面に依存している。ランチコネクタの文脈において、これにより雄フェルールと雌フェルールとの係合が複雑になる。実施形態において、雄フェルールの最前方前端はいかなる停止表面にも係合しない。接続が行われるとき、最前方前端の後方のショルダーが雌フェルールの環状表面に係合することができる。ショルダーと環状表面との係合により、雄フェルール内の光ファイバの前方ファセットに集束したレーザビームエネルギーによって生成される熱放散の経路が提供される。
【0025】
本発明の実施形態において、フェルールの後方の光ファイバは、フェルールが医療機器のコネクタの一部と係合するとき、軸方向のクッション性および/または弾性を提供するエラストマー支持部材に固定される。ランチコネクタ本体に対する光ファイバの固定は、ダイアフラムを画定する弾性のあるエラストマーディスクに行うことができる。
【0026】
本発明の実施形態において、フェルールは、光レジストレーション受容器のボアにおいて摺動式に受容され、光レジストレーション受容器は、テーパ状の凹状の引き込みレジストレーション表面および円筒形レジストレーション表面を有することができ、雄フェルールは、協働する凸状の外側テーパ状表面および円筒形レジストレーション表面を有して光レジストレーション受容器の円筒形レジストレーション表面に密接に係合する。
【0027】
本発明の実施形態において、ランチコネクタの外側管状部分は、たとえば、レーザエネルギー生成器に取り付けられた受容カップリングの機械的レジストレーション受容器と係合する。管状外側部分の先端縁および/または機械的レジストレーション受容器の最外縁は、挿入公差を提供するためにテーパとすることができる。
【0028】
本発明の実施形態の特徴および利点は、単一の光ファイバ、ファイバ上の任意のシース、およびエラストマー材料によってのみ位置的に固定された内部可動フェルールを有する単一のファイバを備えた光ファイバランチコネクタである。フェルールは、ランチコネクタの内側管状部分のボアに部分的に配置されることによって位置的に制限されるが位置的に固定されない。実施形態の特徴および利点は、ランチコネクタに雄フェルールを配置する際に金属ばねおよびコイルばねが利用されず、雄フェルール(およびその上の任意のスリーブ)の配置に関する弾性および適合性がエラストマー材料および/または光ファイバケーブル(およびその上の任意の被覆)によって提供されることである。このような実施形態において、ランチコネクタにおける雄フェルールの適合性はより容易に制御されると考えられ、組み立ておよび製造はより容易であると考えられ、構成要素の複雑さは少なくなるが、すべて金属ばねおよび/またはコイルばねではなくエラストマー材料を利用するためである。
【0029】
実施形態において、ランチコネクタは、ハウジングの2つのクラムシェル半体の1つを開き、2つのクラムシェル半体の1つに配置されたエラストマー材料の一部を雄フェルールまたは雄フェルールとスリーブの組み合わせの受容領域の後方に配置すること、雄フェルールまたは雄フェルールとスリーブの組み合わせを2つのクラムシェル半体の1つの中へ置き、雄フェルールまたは雄フェルールとスリーブの組み合わせから延在する光ファイバ(およびその上の任意の被覆)をエラストマー材料のその一部の表面上に置いて、後方端をエラストマー材料のその一部の前方表面に配置し、雄フェルールまたは雄フェルールとスリーブとの組み合わせを受容するための画定されたキャビティに雄フェルールまたは雄フェルールとスリーブとの組み合わせを置くこと、そして2つのクラムシェル半体の一方に対して2つのクラムシェル半体の他方を閉じ、2つのクラムシェル半体を一緒に固定することによって組み立てられる。他方はエラストマー材料の第2の部分を有し、これによって、2つのクラムシェル半体が一緒に組み立てられるとき、光ファイバおよびその上の任意の被覆をエラストマー材料の第1および第2の部分間に挟む、または他の方法で固定または制限することができる。実施形態において、エラストマー材料の2つの部分はエラストマー材料の前向き部分で2つのウェビングを画定することができ、2つのウェビングは光ファイバおよびその上の任意の被覆を支持する。
【0030】
本発明の実施形態の特徴および利点は単一のファイバを備えた光ファイバランチコネクタであり、これは、単一の光ファイバに、および任意選択でファイバ上のシースにのみ固定された内部可動フェルールを有する。フェルールは、ランチコネクタの内側管状部分のボアに部分的に配置されることによって位置的に制限されるが位置的に固定されない。
【0031】
本発明の実施形態の特徴および利点は、協働コネクタを備えた光ファイバカップリングであり、一方のコネクタは、ファイバファセットを備えた光ファイバを支持するフェルールを備えたランチコネクタであり、他方のコネクタは、一方のコネクタを受容し、フェルールを受容する光レジストレーション受容器を有する。各コネクタは、コネクタの光学的接続部分がコネクタの外部から凹んでいる。
【0032】
実施形態において、フェルールを含む光学的接続部分は、光学的接続部分から後方に延在する光ファイバによってランチコネクタハウジングに保持され、光ファイバは光学的接続部分の後方のエラストマーブロックによってクランプされ、光学的接続部分の後方端がエラストマーブロックの前向き表面に対向する。実施形態において、光ファイバは張力下にあり、エラストマーブロックは光学的接続部分の後方端によって圧縮荷重を受ける。実施形態において、光学的接続部分は、金属スリーブに着座したガラスまたはセラミックのフェルールを含み、金属スリーブは、エラストマースリーブに係合および圧縮する円形の後方係合端を提供する。実施形態において、光学的接続部分はステンレス鋼フェルールを含む。実施形態において、エラストマーブロックにおける光ファイバのクランピングにより、光ファイバの軸方向の適合性および光学的接続部分の軸方向の適合性が可能になる。実施形態において、光ファイバは、エラストマーブロック、2つの分離可能なブロック部分で形成されたエラストマーブロックを通って中央に延在する。光ファイバは、光ファイバとブロック部分との間に締まりばめを備えた2つの分離可能なブロック部分間に挟まれている。
【0033】
実施形態において、ランチコネクタの光学的接続部分は、前方円筒形部分、前方円筒形部分より直径方向に大きい中央円筒形部分、および中央円筒形部分より直径方向に小さい後方円筒形部分を有する。前方円筒形部分は、光ファイバおよび中に固定された光ファイバに合わせたサイズの中央軸方向ボアを有するとともに、前方光ファイバの前端で露出した端部を有する。実施形態において前方円筒形部分は後方円筒形部分に直径方向に等しい。実施形態において、ランチコネクタのハウジングは、ランチコネクタの光学的接続部分の3つの円筒形部分に適合して成形された内部キャビティを提供する。実施形態において、3つの円筒形部分は、ステンレス鋼フィッティングから延在するガラスまたはセラミックの円筒形フェルールによって提供され、ステンレス鋼フィッティングは円筒形中央部分および円筒形後方部分を提供し、ガラスまたはセラミックの円筒形フェルールは前方円筒形部分を提供する。実施形態において、3つの円筒形部分は一体のステンレス鋼フェルールによって提供されている。実施形態においてフェルールは他の組成物、たとえばセラミック材料のものとすることができる。
【0034】
実施形態において、レーザエネルギーの送達のためにレーザ源を医療機器に接続するための協働する一対のコネクタがあり、各コネクタは、外側の機械的カップリング部分および内側の光学的カップリング部分を有し、外側の機械的カップリング部分のそれぞれは前方縁を備えた外側管状部分として構成され、各外側管状部分は管状壁を有してそれぞれの軸方向凹部を画定し、光学的カップリング部分は軸方向凹部内に同心円状に配置されて管状壁から離間し、光学的カップリング部分はそれぞれの前方縁からはめ込まれている。実施形態において、1つのコネクタが、フェルールに接続してファイバファセットを提示する光ファイバを備えた光ケーブルを提供する。フェルールは中央位置を有し、フェルールは光レジストレーション受容器の雌部分内で受容される。実施形態において、管状機械的カップリング部分の1つが、他のカップリングの管状機械的カップリング部分と他のカップリングの光学的カップリング部分との間に織り交ぜられている。管状機械的カップリング部分は互いに摺動式に係合している。実施形態において、レーザエネルギーを医療機器に供給するコネクタ、ランチコネクタは、医療機器に関連するコネクタの外側管状部分内に延在するその外側管状部分を有する。実施形態において、コネクタが手動で操作されると、外側の機械的カップリングが最初に係合し、外側の機械的カップリングが摺動式に係合されて一緒になるときにコネクタを軸方向に位置合わせし、コネクタは、光学的カップリング部分が互いに係合する前に軸方向に位置合わせする。光学的カップリング部分は次いで事前位置合わせされ、光学的カップリング部分が一方または両方の光学的カップリング部分上のテーパ状表面と係合すると、光学的カップリングは最終的な動作上の位置へと合わせられる。実施形態において1つの光学的カップリング部分がそのそれぞれの機械的カップリング部分に対して横方向に移動可能である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】本明細書の発明による、ランチコネクタがレーザエネルギー生成器のコネクタから切り離されている送達システムの斜視図である。
図2】レーザエネルギー生成器に接続された図1のランチコネクタの斜視図である。
図3】実施形態による、ランチコネクタおよび受容コネクタを含むカップリングの断面図である。
図4】非結合状態での図3のカップリングの断面図である。
図5図3の断面の拡大詳細図である。
図6図3のランチコネクタの分解図である。
図7】ランチコネクタの別の実施形態の斜視図である。
図8図7のランチコネクタの分解図である。
図9図7のランチコネクタの別の分解図である。
図10図7のランチコネクタの断面図である。
図11】実施形態による別のランチコネクタの斜視図である。
図12図11のランチコネクタ、およびランチコネクタの雄フェルールを受容する雌フェルールの断面図である。
図13A図11のランチコネクタの分解図である。
図13B図11のランチコネクタの分解図である。
図14A図11のコネクタの前方ノーズ部分の斜視図である。
図14B図11のコネクタの前方ノーズ部分の斜視図である。
図14C図14Aおよび図14Bのノーズ部分の断面図である。
図15A図11のランチコネクタの本体部分またはハウジングの斜視図である。
図15B図11のランチコネクタの本体部分またはハウジングの斜視図である。
図15C図15Aおよび図15Bのハウジングの断面図である。
図16A図1のランチコネクタの雄フェルールの斜視図である。
図16B図1のランチコネクタの雄フェルールの斜視図である。
図16C図16Aおよび図16Bの雄フェルールの断面図である。
図16D図16A図16Cの雄フェルールの前方端図である。
図17A】ブッシングとして構成され、エラストマー支持体として機能するエラストマー材料のブロックの斜視図である。
図17B】ブッシングとして構成されて、エラストマー支持体として機能するエラストマー材料のブロックの斜視図である。
図17C図17Aおよび図17Bのエラストマー支持体の断面図である。
図18A図17Cのエラストマー支持体のための保持器の斜視図である。
図18B図17Cのエラストマー支持体のための保持器の斜視図である。
図18C図18Aおよび図18Bの保持器の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1および図2を参照すると、レーザエネルギー送達システム20が、光ファイバケーブル22およびランチコネクタ24を含む。ランチコネクタ24およびコネクタ28が、レーザ放射源30から医療機器34へレーザ放射を提供するための光ファイバカップリング32を画定する。
【0037】
図3図4図5および図6を参照すると、カップリング600が、ランチコネクタ602、およびランチコネクタを受容する医療機器コネクタ604を含み、医療機器コネクタはランチコネクタを受容し、レーザエネルギー生成器607の一部である。ランチコネクタは光学的接続部分610および機械的接続部分612を含む。ランチコネクタの機械的接続部分は、内部壁表面620、外部壁表面622、および前方環状停止表面623を備えた管状壁部分618を有する前方突出管状部分616を備えた本体部分614を含む。光学的接続部分は、雄フェルール630を備えた光学的接続部品624およびそこから延在する光ファイバ線632を含む。雄フェルールは、前方部分633、前方面634、後方部分636、円筒形表面638、および光ファイバ線632がそこから延在する後端640を有する。ファイバファセット642が雄フェルールの前面で露出している。光学的接続部品624は、雄フェルール630が中に固定されるスリーブとして構成された剛性フィッティング650をさらに含むことができる。スリーブはステンレス鋼のような高熱伝導性材料で形成することができ、他の材料および金属も適切であり得る。スリーブは、前方縁656、前方管状部分658、中央管状部分660、および後方管状部分662を有する。中央管状部分は、前方および後方管状部分より大きな直径を有し、管状壁部分618上のそれぞれの前方および後方停止表面674、676に対向している前方および後方停止表面670、672を含む。本体部分614は、雄フェルール630および取り付けられたスリーブ650に一致するキャビティ677を画定し、フェルールおよびスリーブの運動の自由の量を制限する。スリーブは、ブロック679として構成されたエラストマー材料678によって係合および支持することができる。ブロックは、光ファイバ線の周りに取り付けるための図6に示すような半体として構成することができるそれぞれのブロック部分679.1を有することができる。ブロック部分679.1は、エラストマー材料678の前方端でウェビング679.5を提供するキャビティ679.3をさらに有することができる。光ファイバ線は、ストレインリリーフ部材として構成されたたとえば細長いグロメット679.7によって本体部分のテール679.6でさらに固定することができる。
【0038】
受容コネクタ604は、光学的接続部分680および機械的接続部分682を含む。光学的接続部分は、雄フェルールの外側円筒形表面638と協働する内向き円筒形表面684を備えた雌フェルール683を有する。レーザエネルギー生成器607は、レンズ642から雄フェルールのファイバファセット642に集束エネルギービーム640を提供する。
【0039】
機械的接続部分は、レーザエネルギー生成器コネクタハウジング687によって画定された凹部686においてランチコネクタの前方突出管状部分616、またはノーズ部分を受容する。
【0040】
集束エネルギービームから雄フェルールで生成された熱は、雄フェルールからスリーブへ雌フェルール683の外方環状面692へハウジング695またはレーザエネルギー生成器607の他の構造へ延在する矢印によって示す熱経路690によって放散することができる。ハウジング687またはレーザエネルギー生成器コネクタの他の構造は、雄フェルールから熱を放散するための重要なヒートシンクとして作用する。熱容量、すなわち、特に鋼のような金属で形成されているときのスリーブの能力は、ランチコネクタの本体部分に用いることができるようなポリマーより実質的に大きい。
【0041】
接続が行われてスリーブがエラストマー部材に対して後方に押されると、エラストマー部材の弾性により、スリーブの前方環状面の圧縮力を雌フェルールの外側環状面に提供することができる。圧縮力により、それぞれの部品間の熱接続の強化が支援される。他の実施形態において、熱流路は雌フェルール以外の他の構造を通ることができる。
【0042】
図7図10を参照すると、実施形態において、ランチコネクタ700が、把持部分704、テール部分706、前方フランジ708、および前述のようにレーザ放射源の受容コネクタに挿入するために把持部分704から前方に突出するノーズ部分710を備えた本体部分702として構成されたハウジング701を有する。雄フェルール711を含む光学的接続部分が、ノーズ部分で本体部分内に適合して配置されている。他の実施形態において、円筒形の雄フェルールを前に示したようにフィッティングに着座させることができる。
【0043】
図8図10に最もよく示されているように、本体部分は、実施形態において、3つの外部構成要素および1つの内部構成要素を含むことができる。具体的には、把持部分およびフランジは、開放内部717を画定する外部壁715.5を備えたハウジング715として構成された2つのクラムシェルピース712、714で形成することができる。組み立てたときのクラムシェルピースは環状凹部716内に、ハウジング715の一部でもあるノーズピース720の後端719にある後部フランジ718を捕捉している。ノーズピース720のOリング溝728内のOリング726を、ハウジングを封止するとともにノーズピースと2つのクラムシェルピースとの間の接続部729における気密性および硬さを改善するために提供することができる。したがって、ノーズピース720および2つのクラムシェルピース712、714は、ハウジングの外部に露出した構成要素である。光ファイバ線732は、開放内部717を通って、そして剛性ブッシング733として構成された本体部分の内部構成要素を通って延在する。ブッシング733は、ノーズピースの後端719と2つのクラムシェルピースとの間でクラムシェルピースと一体の壁部分として構成された停止部分734、735によって捕捉されている。壁部分734、735およびノーズピース720は、ブッシングを受容するかつ着座させるためのスロット740を画定する。剛性ブッシング733は径方向において中心にあり、光ファイバ線732用の中央開口742、および弾性かつ適合性のブッシングまたはブロック745として構成されたエラストマー部材を受容するためのブッシング環状壁744によって画定された前向き中央ブッシング凹部743を有する。ブッシングは、ハウジング内にRFIDタグ745.6を配置するために用いることができる後方延長部733.2を有することができる。実施形態において、ハウジング構成要素および剛性ブッシングは射出成型されたポリマーから形成することができる。
【0044】
図10を参照すると、光ファイバ線は雄フェルール711内へ延在し、フェルールの前方端752で露出したファセット750を有する。雄フェルールはステンレス鋼または他の材料で形成することができる。ファイバの前方ファセットを過剰に満たすレーザ放射がフェルールに当たったとき焦点から外れるように、前方端は、パワーウェル753として知られる凹部を有することができる。前方端は、外部表面755を備えた引き込みテーパ状部分754、および第1の半径r1の円筒形外部表面759を備えた第1の前方円筒形部分758を有する。円筒形外部表面765および第2の半径r2を備えたもう1つの第2の前方円筒形部分764が第1の前方円筒形部分から後方に延在し、円筒形外部表面767および第3の半径r3を備えた中央または第3の円筒形部分768が第2の前方円筒形部分の後方にある。円筒形外部表面771を備えた後方円筒形部分770が第3の円筒形部分に隣接し、後方または第4の半径r4である。実施形態において、第2の半径r2は第1の半径r1より大きく、第3の半径r3は第2の半径r2より大きく、第4の半径r4よりも大きい。実施形態において、第4の半径r4は第2の半径r2に等しくてもよい。中央または第3の円筒形部分768は、前方停止表面777および後方停止表面778を備えた中間円筒形バンド776を画定する。フェルールは、ノーズピースの内部壁表面782およびブッシング733の内部表面783によって画定されたフェルールキャビティ780内で軸方向および径方向に制限されている。フェルールキャビティはフェルールの形状に適合している。ノーズピース壁上の内部ショルダー785は、雄フェルールを制限するための軸方向ストップを提供する。フェルールキャビティを画定するノーズピースの内向き円筒形表面782は径方向または横方向の停止表面を提供する。雄フェルールは、図3図6の実施形態の雄フェルールおよび剛性スリーブと実質的に同様に構成されているが、雄フェルールは一体型であり、完全にステンレス鋼または他の材料で形成されている点が異なる。ランチコネクタ602のこの実施形態も、図3および図4に示すようなレーザエネルギー生成器コネクタおよび雌フェルールと接続することになる。フェルールの全体がステンレス鋼であるためより良好な熱伝導および伝達を促進することができるという点において、図3および図4の実施形態の熱管理を強化することができる。協働する雌フェルールもステンレス鋼とし、ランチコネクタのそれぞれの光学的接続部分とレーザエネルギー生成器コネクタとの間の金属間接触の大きな領域を提供することができる。
【0045】
図10を参照し続けると、実施形態において、第1の半径は0.055インチから0.070インチとすることができる。第2の半径は0.090インチから0.110インチとすることができ、第3の半径は0.110インチから0.125インチとすることができ、そして第4の半径は0.0090インチから0.110インチとすることができる。実施形態において、第2および第3の半径間の半径測定値の差は0.015インチから0.020インチである。実施形態において、第4および第3の半径間の半径測定値の差は0.015インチから0.020インチである。実施形態において、フェルールまたはフィッティング内のフェルールが本体部分の形状適合キャビティ内で中心合わせされているとき、径方向に測定されたフェルールまたはフィッティング内のフェルールの周囲全体の0.005インチから0.020インチのフェルールまたはフィッティング内のフェルールの外側表面との間の最小のギャップがある。
【0046】
光ファイバ線は従来、雄フェルールの後部凹部内にエポキシ788などで固定することができる。エラストマーブロック745は、光ファイバ線の周りをクランプする図8および図9に示すような半体として構成された2つの部分745.1、745.2を有することができる。軸方向溝790が一方または両方の部分にあってもよい。実施形態において溝は光ファイバ線に対して小さめである。加えて、エラストマー部分はブッシング凹部に対してわずかに大きくすることができ、そのため、2つのエラストマーブロック半体が光ファイバ線の周りに挟まれてブッシング凹部に挿入されると、光ファイバ線およびブロック半体に対して、ならびにブロック半体およびブッシングに対して締まりばめになり、そのためブロック半体が圧縮されて光ファイバ線の周りをクランプし、これによって光ファイバ線をクランプして所定の位置に保持する。エラストマーブロック材料の柔軟な弾性のため、この係合によりハウジングに対して光ファイバ線732のいくらかの前方および後方への移動が依然として可能になり、このような移動は主に軸方向であろう。エラストマーブロックの周りの中央周方向凹部745.8により、光ファイバ線がブロックにクランプされたときのその前方後方の移動の自由度を強化する、すなわち、適合性を高めることができる。このようにブロックは光ファイバ線のエラストマークランプとして作用する。加えて、ブロック半体が光ファイバ線の周りに挟まれているので、雄フェルールまたは剛性スリーブフィッティングに着座した雄フェルールを含む光学的接続部分をエラストマーブロックの前向き表面へ引っ張ってブロックの前方面でエラストマーブロックに接触またはこれをわずかに押下することができる。これにより光学的接続部分への中心合わせが提供され、フェルールの後方部分またはその面とのフィッティング係合がエラストマーブロックの光ファイバ線の前方出口点の周りで放射状に離間して分散される。実施形態において、前方面は、フェルールまたはフィッティングの後方端に適合する形状とすることができる。実施形態において、光ファイバ線は、光学的接続部分とエラストマーブロックとの間にわずかな張力があり、これによって光学的接続部分をエラストマーブロックに引き込んで偏向させて、光学的接続部分のより強固な中心合わせを提供することができる。
【0047】
図11図13Bを参照すると、把持部分804、前方フランジ808、および図1図5に示すようなレーザエネルギー生成器内へプラグを差し込むために前方フランジから前方に延在するプラグ部分または前方ノーズ部分810を備えたハウジング801を備えたランチコネクタ800の追加の一実施形態が示されている。ストレインリリーフ部材811として構成されたテール部分が光ファイバケーブル812を固定する。
【0048】
図12図16Dを参照すると、コネクタ800は一般に、ハウジング、特にプラグ部分810および前方フランジ808で形成された機械的接続部分813を含み、雄フェルール816、雄フェルール816の後方端820を捕捉するエラストマー支持体818、およびハウジング801に対してエラストマー支持体を固定するための保持器824で形成された光学的接続部分814も含む。組み立てられるハウジング801の構成要素はノーズ部分810および把持部分804であり、これらのそれぞれが、部分的な回転を伴って両構成要素の接合を可能にするねじ830を有するものとして示される協働回転取り付け部分826、828を有する。プラグ部分810と把持部分との間の接合部834にOリング833を配置することができる。把持部分は、ランチコネクタの軸α1に対して斜めであるOリング係合表面835を有することができる。Oリングはノーズ部分810のフランジ部分838の環状溝836に着座する。このような角度のある表面により、それぞれの構成要素上の遠位に配置された環状停止表面841、842が互いに当接し、固い接合部を提供するように、協働するねじ状構成要素の完全なロック回転が可能になる。加えて、Oリングは接合部で係合した構成要素間に拡張または分離力を提供するが、これは、これらの構成要素が不注意でばらばらにならないように、これらを効果的にロックすると考えられる。Oリングは接合部834で気密シールも提供する。
【0049】
エラストマー支持体818は、図12に示すように光ファイバ812用の中央開口844を備えて断面がU形状であるカップ形状のブッシングとして構成することができ、雄フェルールの後方端が凹部に着座している。支持体818はノーズ部分810の後方端847の環状凹部846に着座し、エラストマー支持体818の前方延在環状壁847.7の最前方および前向き環状表面847.5が、軸α1に垂直な後ろ向き環状ショルダー表面849でノーズ部分内部ショルダー848に当接する。支持体は、組み立てを容易にする径方向スロット854を備えたディスクとして成形された保持器853によって圧縮することができ、保持器は、組み立て中に光ファイバ812上を摺動することが可能になる。保持器は、ノーズ部分810のそれぞれの環状係合表面857、858と把持部分804との間に着座して挟まれている周辺フランジを有する。有利には、エラストマー支持体の最前方および前向き環状表面847.5は、後ろ向き環状表面861にある後方ショルダー860で雄フェルールとも係合する。これにより、雄フェルールに適合して成形されたハウジングの内部における雄フェルールの「ソフトな」弾性かつ適合性軸方向配置が提供される。加えて、エラストマー支持体のベース864の内側底部着座表面863は、雄フェルール816の後ろ向き最後方表面とさらに係合し、雄フェルールのさらなる弾性かつ適合性軸方向配置を提供することができる。
【0050】
図11図18Cを参照し続けると、前の実施形態のように、雄フェルールは、前向き環状面または表面868を備えた前向きショルダー867を有することができる。前向きショルダー867は、雄フェルールの前向きショルダーで周方向ギャップ872および軸方向ギャップ873を備えてノーズ部分の壁の雄フェルールの形状に適合した形状を提供するノーズ部分の後ろ向き内部ショルダー870に対向している。図12に最もよく示されるように、雄フェルールの前向き面868は雌フェルール880の環状面879と協働して、レーザエネルギーがその上に集束されるときに雄フェルールの前端で生成される熱の熱放散のための経路を提供する。
【0051】
特に図16Cを参照すると、光学的接続部品890は一体の雄フェルールとして構成されている。第1または前方円筒形部分891が第1の直径D1を有し、第2または中間円筒形部分892が第1の直径より大きい第2の直径D2を有する。第2の中間円筒形部分でもある第3の円筒形部分893が、第1の直径より大きくかつ第2の直径より大きい第3の直径D3を有する。後方または第4の円筒形部分894が、第2の中間円筒形部分の直径より小さく、前方円筒形部分891の直径D1より大きい後方または第4の直径D4を有する。実施形態において、一体の光学的接続部品はステンレス鋼を含むことができる。
【0052】
実施形態において、機械的接続部分は、バヨネット接続、ねじ込み接続、圧入接続、または戻り止め接続として構成することができる。実施形態において、エラストマー支持体は、他の弾性適合性支持体によって置き換えることができ、たとえば、コイルばね構成がいくつかの実施形態において適切であり得る。
【0053】
特許文献1および3~15は、あらゆる目的のために参照により組み込まれている。
【0054】
本発明は前述の実施形態の詳細に限定されない。本発明は、本明細書(あらゆる参照により組み込まれた文献、あらゆる添付された特許請求の範囲、要約および図面を含む)に開示された特徴の任意の新規の1つ、または任意の新規の組み合わせに、またはこのように開示された任意の方法またはプロセスのステップの任意の新規の1つ、または任意の新規の組み合わせに及ぶ。本願のすべてのセクションにおける上記の文献は、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【0055】
具体的な例を本明細書で例示および説明してきたが、同じ目的を達成するために計算された任意の構成が、示された具体的な例の代わりになり得ることが当業者によって理解されるであろう。本願は、本主題の適合例または変形例をカバーするように意図されている。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲およびそれらの法的均等物、ならびに次の例示的な態様によって定義されることが意図されている。本発明の上述の態様の実施形態は単にその原理を説明するものであり、限定的であると見なされるべきではない。本明細書に開示された本発明のさらなる修正例がそれぞれの技術における当業者に想起されることになり、すべてのこのような修正例が本発明の範囲内であると見なされる。
【符号の説明】
【0056】
20 レーザエネルギー送達システム
22 光ファイバケーブル
24 ランチコネクタ
28 コネクタ
30 レーザ放射源
32 光ファイバカップリング
34 医療機器
600 カップリング
602 ランチコネクタ
604 医療機器コネクタ
607 レーザエネルギー生成器
610 光学的接続部分
612 機械的接続部分
614 本体部分
616 前方突出管状部分
618 管状壁部分
620 内部壁表面
622 外部壁表面
623 前方環状停止表面
624 光学的接続部品
630 雄フェルール
632 光ファイバ線
633 前方部分
634 前方面
636 後方部分
638 外側円筒形表面
640 後端
640 集束エネルギービーム
642 ファイバファセット
642 レンズ
650 剛性フィッティング、スリーブ
656 前方縁
658 前方管状部分
660 中央管状部分
662 後方管状部分
670 前方停止表面
672 後方停止表面
674 前方停止表面
676 後方停止表面
677 キャビティ
678 エラストマー材料
679 ブロック
679.1 ブロック部分
679.3 キャビティ
679.5 ウェビング
679.7 グロメット
680 光学的接続部分
682 機械的接続部分
683 雌フェルール
684 内向き円筒形表面
686 凹部
687 レーザエネルギー生成器コネクタハウジング
690 熱経路
695 ハウジング
700 ランチコネクタ
701 ハウジング
702 本体部分
704 把持部分
706 テール部分
708 前方フランジ
710 ノーズ部分
711 雄フェルール
712 クラムシェルピース
714 クラムシェルピース
715 ハウジング
715.5 外部壁
716 環状凹部
717 開放内部
718 後部フランジ
719 後端
720 ノーズピース
726 Oリング
728 Oリング溝
729 接続部
732 光ファイバ線
733 ブッシング
733.2 後方延長部
734 停止部分
735 停止部分
740 スロット
742 中央開口
743 前向き中央ブッシング凹部
744 ブッシング環状壁
745 エラストマーブロック
745.1 部分
745.2 部分
745.6 RFIDタグ
745.8 中央周方向凹部
750 ファセット
752 前方端
753 パワーウェル
754 テーパ状部分
755 外部表面
758 第1の前方円筒形部分
759 円筒形外部表面
764 第2の前方円筒形部分
765 円筒形外部表面
767 円筒形外部表面
768 第3の円筒形部分
770 後方円筒形部分
771 円筒形外部表面
776 中間円筒形バンド
780 フェルールキャビティ
782 内部壁表面
785 内部ショルダー
788 エポキシ
800 ランチコネクタ
801 ハウジング
804 把持部分
808 前方フランジ
810 前方ノーズ部分
811 ストレインリリーフ部材
812 光ファイバケーブル
813 機械的接続部分
814 光学的接続部分
816 雄フェルール
818 エラストマー支持体
820 後方端
824 保持器
826 回転取り付け部分
828 回転取り付け部分
833 Oリング
834 接合部
835 Oリング係合表面
836 環状溝
841 環状停止表面
842 環状停止表面
844 中央開口
847.5 前向き環状表面
849 後ろ向き環状ショルダー表面
853 保持器
854 径方向スロット
857 環状係合表面
858 環状係合表面
860 後方ショルダー
861 後ろ向き環状表面
863 内側底部着座表面
864 ベース
867 前向きショルダー
868 前向き環状面
870 後ろ向き内部ショルダー
872 周方向ギャップ
873 軸方向ギャップ
879 環状面
880 雌フェルール
890 光学的接続部品
891 前方円筒形部分
892 中間円筒形部分
893 第3の円筒形部分
894 第4の円筒形部分
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13A
図13B
図14A
図14B
図14C
図15A
図15B
図15C
図16A
図16B
図16C
図16D
図17A
図17B
図17C
図18A
図18B
図18C