(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-13
(45)【発行日】2024-12-23
(54)【発明の名称】ヘアドライヤー
(51)【国際特許分類】
A45D 20/10 20060101AFI20241216BHJP
A45D 20/12 20060101ALI20241216BHJP
【FI】
A45D20/10 101
A45D20/12 B
(21)【出願番号】P 2022526067
(86)(22)【出願日】2020-11-03
(86)【国際出願番号】 IB2020060292
(87)【国際公開番号】W WO2021090155
(87)【国際公開日】2021-05-14
【審査請求日】2023-07-25
(31)【優先権主張番号】102019000020314
(32)【優先日】2019-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】522176920
【氏名又は名称】ガ.マ エッセ.エッレ.エル
【氏名又は名称原語表記】GA.MA S.R.L
【住所又は居所原語表記】Via Sant’Alberto,1714,40018 San Pietro in Casale (BO)(IT)
(74)【代理人】
【識別番号】110001461
【氏名又は名称】弁理士法人きさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】チューヴァ,カルロス ホセ
【審査官】宮部 愛子
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-113402(JP,A)
【文献】実開昭63-083104(JP,U)
【文献】特開2015-013126(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2013-0115845(KR,A)
【文献】特開2020-171488(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0042356(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 20/10
A45D 20/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
‐ハンドル(3)と、少なくとも1つの後方吸引開口部(5)および前方排出開口部(6)を備える主貫通空洞(13)を有する本体(4)とを備えるケーシング(2)と、
‐前記主貫通空洞(13)に封入された少なくとも1つの電気モーター(20)およびファン(21)であって、前記ファン(21)は、前記主貫通空洞(13)内で安定した速度の空気流(F)を生成するように、前記電気モーター(20)によって回転駆動可能である、電気モーター(20)およびファン(21)と、
‐前記主貫通空洞(13)内で前記前方排出開口部(6)に配置され、前記空気流(F)の速度を上昇させるために前記前方排出開口部(6)に向かって縮小する通路断面を有するそれぞれの貫通空洞(14)を備える、内側ディフューザー(15)であって、前記内側ディフューザー(15)から高速で出てくる前記空気流(F)によって生じる引込み効果によって、空気が外側から前記主貫通空洞(13)中に入ってくることを可能にするように、前記本体(4)は前記前方排出開口部(6)に少なくとも1つの側方開口部(7)を備え、そうすることで、前記前方排出開口部(6)からの空気出力流量(Q2)が増大される、内側ディフューザー(15)とを備え、
組立て構成(A)で前記本体(4)の前記前方排出開口部(6)に可逆的に連結できる外側排出要素(30)を備え、前記外側排出要素(30)は、前記空気流(F)の流出チューブ状部分(31)と、前記前方排出開口部(6)に挿入されるように適合され、引込み効果によって前記主貫通空洞(13)に空気が入ることを防止し、かつ前記ファン(21)によって生成される初期空気流量(Q1)に実質的に等しい前記流出チューブ状部分(31)からの空気出力流量を得るために、前記少なくとも1つの側方開口部(7)を閉じる長さを有する、連結チューブ状部分(32)とを備えることを特徴とする、ヘアドライヤー(1)。
【請求項2】
前記内側ディフューザー(15)は、吸込み開口部(17a)を備え、前記空気流(F)が入るための第1の通路横断面を有する、内側チューブ状部分(17)と、前記空気流(F)が出てくるための第2の通路横断面を有する少なくとも1つの流出口(16)を有する外側チューブ状部分(18)とを備え、前記第2の通路横断面の表面は、前記第1の通路横断面の表面の30%~50%に等しい、請求項1に記載のヘアドライヤー(1)。
【請求項3】
前記内側ディフューザー(15)の前記外側チューブ状部分(18)は、前記本体(4)の長手方向軸(X)の周りで角度的に離間配置された流出口(16)を複数備え、各流出口(16)の通路横断面は全体の表面が、前記第2の通路横断面の表面に等しい、請求項2に記載のヘアドライヤー。
【請求項4】
前記内側ディフューザー(15)の前記外側チューブ状部分(18)は流出ダクト(26)を複数備え、前記流出ダクト(26)は、それぞれ前記流出口(16)を備え、前記長手方向軸(X)の周りで径方向に配置され、隣接する2つの流出ダクト(26)は、具体的には前記前方排出開口部(6)に向かって収束する対応する溝(19)によって分離される、請求項3に記載のヘアドライヤー(1)。
【請求項5】
前記本体(4)は、前記本体(4)の前方部分(4a)の側壁に形成された側方開口部(7)を複数備える、請求項1~4のいずれか一項に記載のヘアドライヤー(1)。
【請求項6】
前記外側排出要素(30)の前記流出チューブ状部分(31)は、それぞれの流出開口部(31a)に向かって小さくなり収束する内側断面を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載のヘアドライヤー(1)。
【請求項7】
前記外側排出要素(30)の前記流出チューブ状部分(31)は、少なくとも1つのそれぞれの流出開口部に向かって大きくなり拡大する内側断面を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載のヘアドライヤー(1)。
【請求項8】
前記本体(4)は、前記本体(4)のそれぞれの後方部分(4b)に形成された第1の後方吸引開口部(5)を複数備える、請求項1~7のいずれか一項に記載のヘアドライヤー(1)。
【請求項9】
前記本体(4)は、実質的に円筒形の形状であり、長手方向軸(X)に沿って延びる、請求項1~8のいずれか一項に記載のヘアドライヤー(1)。
【請求項10】
空気加熱手段(22)、具体的には、電流が供給されると発熱するように適合された抵抗ワイヤ手段を備える、請求項1~9のいずれか一項に記載のヘアドライヤー(1)。
【請求項11】
前記加熱手段(22)は、前記本体(4)内で、前記空気流(F)に対して前記電気モーター(20)および前記ファン(21)の下流に位置する、請求項10に記載のヘアドライヤー(1)。
【請求項12】
前記加熱手段(22)は、前記内側ディフューザー(15)の前記内側チューブ状部分(17)に位置する、請求項3に従属するときの請求項10に記載のヘアドライヤー(1)。
【請求項13】
前記電気モーター(20)の少なくとも1つの回転速度を制御し、前記内側ディフューザー(15)の
前記主貫通空洞(13)内の前記空気流(F)の前記速度を調節する、制御手段(25)を備える、請求項1~12のいずれか一項に記載のヘアドライヤー(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘアドライヤー装置に関し、具体的には、空気の内側ディフューザーを備えた、持ち運び式のヘアドライヤーを指す。
【背景技術】
【0002】
業務用と家庭用の両方を対象とする、市場で公知であり広く使用されている持ち運び式のヘアドライヤーは、ハンドルと、空気用の貫通ダクトを形成する中空本体とを備えた、一般にプラスチック材料製の外部ケーシングを備える、電気装置である。最も一般的な実施形態では、電気モーターと、電気モーターに接続されそれによって回転される、遠心ファンまたは軸流ファンと、空気を加熱するための1つまたは複数の電気加熱要素、具体的には、抵抗器または電気抵抗器とが、ヘアドライヤーのケーシング内に、より正確には、エアダクトを形成する中空の本体に収容されている。
【0003】
ヘアドライヤーが使用中のとき、すなわち、電気モーターおよび電気加熱抵抗器が電流を供給されているときは、ファンは電気モーターによって回転され、エアダクト内で空気流を生成する。空気流は、吸引開口部を通してヘアドライヤーの後部に吸引され、ヘアドライヤーの前部に向かって流れ、前方開口部または排出開口部から流出する。空気流は、電流が通るとジュール効果によって発熱する電気加熱抵抗器を通り抜け、それゆえ、温度上昇し、排出開口部から流出する。
【0004】
ヘアドライヤーの電気モーターは、概して、整流子タイプのものであり、ケーシングに固定され、単相の直流または交流が供給される固定子巻線を備える、固定子と、回転子巻線または電機子巻線を備え、固定子内に回転可能なように位置決めされ、固定子と位置合わせされる、回転子と、回転子に固定され、モーターの動作に必要な磁場を生成するために回転子の回転中に単相の直流または交流を回転子巻線に供給する1対のブラシによって係合される、整流子またはスイッチとを備える。回転子および固定子は、強磁性体から作製されており、ある程度短時間で髪を乾かすように適合された空気流を生成するようにファンを動作させるのに必要な動力が大きいほど寸法が大きくなる。
【0005】
プラスチック材料製のケーシングおよびファンならびに電気抵抗器を形成する抵抗ワイヤは軽量化されているため、ヘアドライヤーの全体の重量は実質的に電気モーターの重量によるものであることが明らかである。
【0006】
強力であるが扱いにくいヘアドライヤーを継続して使用すること、特に、ヘアスタイリングの分野の専門家が上肢を引き上げた状態を長時間維持し、周期的に反復運動を行うことによる使用は、手‐手首‐ひじ‐肩系の筋肉および腱に対する有害な結果につながる恐れがあり、場合によっては、炎症性疾患ならびに骨および関節の痛みが慢性化するリスクを伴うことが知られている。
【0007】
実際に、医学的研究によれば、理美容師のほぼ40%が筋骨格系の疾患、具体的には、姿勢または上肢の生体力学的過負荷に関する疾患を患っていることが示された。
【0008】
理美容師人口の筋骨格系の疾患の事例を減らすために、仕事中に正しい姿勢を維持することおよび機能的負荷のより大きいものとより小さいものとを順繰りに行うことなどの対策に加えて、手‐手首‐ひじ‐肩系にほとんどまたは全く重荷をかけない、扱いやすいかつ軽量のヘアドライヤーの使用が根本的に重要である。
【0009】
したがって、当分野の傾向は、ファンを動作させるための動力および生成される十分な量または空気流を減らすことなく、言い換えれば、髪を乾かすのに必要な時間を増大させることなく、ヘアドライヤーの全体的なサイズおよび重量をますます低減することである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の目的は、公知のヘアドライヤーの欠点を克服するヘアドライヤーを提供することである。
【0011】
別の目的は、手‐手首‐ひじ‐肩系の筋肉および腱にほとんどまたは全く重荷をかけずに長時間にわたって使用できる、扱いやすいかつ軽量のヘアドライヤーを提供することである。
【0012】
さらなる目的は、ある程度短時間で髪を乾かすために高い空気流を送ることができる強力なヘアドライヤーを提供することである。
【0013】
別のさらなる目的は、様々な必要に従って髪を乾かすために精密にかつ広い調節範囲で空気流を変更できるヘアドライヤーを提供することである。
【0014】
これらのおよび他の目的は、請求項1に記載のヘアドライヤーによって達成される。
【0015】
本発明の例示的かつ非限定的な実施形態を示す添付の図面を参照すると、本発明をより良く理解および実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図3】
図1のヘアドライヤーの長手方向断面斜視図である。
【
図4】
図2の線IV‐IVに沿って切断した断面図である。
【
図5】組立て構成にある、外側空気ノズルを備える
図1のヘアドライヤーの斜視図である。
【
図6】
図5のヘアドライヤーの長手方向部分断面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1から
図4を参照すると、本発明によるヘアドライヤー1が示されており、ヘアドライヤー1は、ハンドル3および本体4を備えたケーシング2を備える。本体4は、空気の吸込みおよび排出それぞれのための、1つまたは複数の後方吸引開口部5および前方排出開口部6を備える、主貫通空洞13を有する。本体4は、例えば、その主貫通空洞13と同じく実質的に円筒形の形状を有し、長手方向軸Xに沿って延びる。
【0018】
本体4は、前述の主貫通空洞13内に、電気モーター20およびファン21を収容するように適合されており、ファン21は、主貫通空洞13内で、具体的には、長手方向軸Xに平行な、安定した速度の空気流Fを生成するために、電気モーター20によって回転駆動可能である。
【0019】
本体4内には、加熱手段22も設けられており、空気流Fに対して電気モーター20およびファン21の下流に配置されている。加熱手段22は、電流が供給されると発熱するように適合された抵抗ワイヤ手段を備える。電気モーター20、ファン21および加熱手段22は、公知のタイプの構成要素であり、したがって、さらに詳細には記載しない。
【0020】
空気は、主貫通空洞13を通って流れ、後方吸引開口部5を通してファン21によって吸引され、加熱手段22および前方排出開口部6を通ってケーシング2の外に運ばれる。
【0021】
ヘアドライヤー1はさらに、内側ディフューザー15を備える。内側ディフューザー15は、主貫通空洞13内でかつ前方排出開口部6に配置されており、公知のベンチュリー効果によって空気流Fの速度を上昇させるために、前方排出開口部6に向かって縮小する(長手方向軸Xを横切る、すなわち、長手方向軸Xと直交する)通路断面を有するそれぞれの貫通空洞14を備える。
【0022】
本体4はさらに、前方排出開口部6に、1つまたは複数の側方開口部7を備える。ベンチュリー効果によって、具体的には、内側ディフューザー15から高速で出てくる空気流Fによって生じる空気取込み作用によって、側方開口部7を通して、空気をケーシング2の外側から主貫通空洞13中に吸引でき、そうすることで、以下でより良く説明するように、排出開口部6からの空気出力流量Q2が増大される。
【0023】
このように、空気出力流量Q2は、ファン21によって生成される初期空気流量Q1と比べて50%~100%増大できる。
【0024】
特に
図3および
図4を参照すると、内側ディフューザー15は、具体的には、ほぼ円筒形であり、吸込み開口部17aを備え、ファン21に入りそこから出る空気流Fのための第1の通路横断面を有する、内側チューブ状部分17と、出ていく空気流Fのための少なくとも1つの流出口16を有し、第2の通路横断面を有する、外側チューブ状部分18とを備え、第2の通路横断面の面積は、第1の通路横断面の面積の30%~50%に等しい。より正確には、内側ディフューザー15の貫通空洞14は、内側チューブ状部分17のそれぞれの空洞および外側チューブ状部分18のそれぞれの空洞によって形成される。
【0025】
図示の実施形態では、加熱手段22は、内側ディフューザー15の貫通空洞14に、具体的には、内側チューブ状部分17内に収容されている。あるいは、加熱手段22は、内側ディフューザーの外側に固定されていてもよく、後者では、内側チューブ状部分17の長さがより短い。
【0026】
図示の実施形態では、内側ディフューザー15の外側チューブ状部分18は、本体4の長手方向軸Xの周りで角度的に離間配置された流出口16を複数備える。流出口16の通路横断面は、全体の面積が、空気流Fの吸込みのための第1の通路横断面よりも小さい第2の通路横断面の面積に等しい。
【0027】
より正確には、内側ディフューザー15の外側チューブ状部分18は、流出ダクト26を複数備え(流出ダクトの内側空洞が外側チューブ状部分18のそれぞれの内側空洞を形成している)、流出ダクト26のそれぞれが、それぞれの流出口16を備える。流出ダクト26は、長手方向軸Xの周りで径方向に配置され、隣接する2つの流出ダクト26がそれぞれの溝19によって分離されるような形状であり、溝19は、具体的には、前方排出開口部6に向かって収束する。
【0028】
本体4内で前方排出開口部6において十分な空気流量を確保するために、前記本体4は、図示の実施形態では、本体4の前方部分4aの側壁でいくつかの平行な円周の列に形成された、孔の形態の貫通側方開口部7を複数備える。前方部分4aは前記前方排出開口部6を備える。
【0029】
同様に、ファン21による十分な空気の吸引を確保するために、本体4は、前記本体4のそれぞれの後方部分4bに作製された後方吸引開口部5を複数備える。より正確には、後方吸引開口部5は、それぞれの後方部分4bで本体4の側壁および後壁に形成された孔を複数備える。
【0030】
後方吸引開口部5を通って入ってくる空気をろ過し、ファン21、モーター20および加熱手段22を汚し詰まらせる可能性のある異物、ダスト、微粒子およびほこりを留めるために、穿孔フィルター要素9が本体4内で後方部分4bに設けられている。
【0031】
ヘアドライヤー1はさらに、図示はせず詳細に記載しない、公知のタイプの制御手段25を含む。制御手段25は、内側ディフューザー15の前で主貫通空洞13内で空気流Fの速度を調節するために、電気モーター20の、したがって、ファン21の回転速度を制御できる。
【0032】
図5および
図6に示すように、本発明のヘアドライヤー1はさらに、組立て構成Aで本体4の前方排出開口部6に可逆的に連結できる外側排出要素30を備える。
【0033】
外側排出要素30は、空気流Fの流出チューブ状部分31と連結チューブ状部分32とを備え、連結チューブ状部分32は、具体的には、円筒形であり、具体的にはわずかな締まり嵌めによって、前方排出開口部6に挿入されるように適合されている。連結チューブ状部分32の長さは、空気取込み作用によって空気が主貫通空洞13に入ることを防止し、ファン21によって生成される初期空気流量Q1に実質的に等しい空気出力流量Q2を前方排出開口部6で得るために、側方貫通開口部7を閉じるようになっている。同時に、側方貫通開口部7を閉じることによって、内側ディフューザー15から出てくる空気の圧力が変わらないように維持される。
【0034】
図5および
図6に示される実施形態では、外側排出要素30は、流出チューブ状部分31を有する公知のタイプのノズルを備える。流出チューブ状部分31は、形状およびサイズが一様でなく、空気の流出速度を上昇させるようにそれぞれの流出開口部31aに向かって小さくなり収束する内側断面を有する。その場合、ファン21によって生成される空気流量は一定のままである。例えば、流出開口部31aは形状が細長い矩形である。
【0035】
流出チューブ状部分31の流出開口部31aの断面または面積は、例えば、内側ディフューザー15の第2の通路横断面の面積、すなわち、流出ダクト26の流出口16の全体の面積に実質的に等しい。
【0036】
流出開口部31aは、矩形以外の形状を有することができ、流出ダクト26の流出口16の全体の面積よりも小さいかまたは大きい面積を有することができる。
【0037】
例えば、外側排出要素は、形状および断面が一様ではない流出チューブ状部分31を有するディフューザーを備えることができ、流出チューブ状部分31は、出てくる空気流の速度を低下させるように流出ダクト26の流出口16の全体の面積よりも大きい全体の面積を有する、1つまたは複数の流出開口部に向かって大きくなり拡大している。
【0038】
本発明のヘアドライヤー1の動作中には、後方吸引開口部5を通してファン21に吸引され、主貫通空洞13を通して運ばれる空気が、内側ディフューザー15に到達する。内側ディフューザー15はそれぞれの貫通空洞14を有し、貫通空洞14は、公知のベンチュリー効果によって空気流Fの速度を上昇させるために、前方排出開口部6に向かって縮小する通路断面を有する。
【0039】
さらなる結果として、公知のベンチュリー効果によって、具体的には、内側ディフューザー15から高速で出てくる空気流Fによって生じる空気取込み作用と、(ベルヌーイの定理による)結果として起こる、内側ディフューザー15の出力部における圧力の局部的な低下とによって、空気は、本体4の前方部分4aの側壁に形成された複数の側方開口部7を通して、ヘアドライヤー1の外側から主貫通空洞3の内側に向かって吸引される。したがって、貫通側方開口部7を通して吸引され引き込まれる空気の付加流量は、前方排出開口部6からの空気出力流量Q2を大幅に増大させるように、ファン21によって生成される初期空気流量Q1に付加される。
【0040】
側方開口部7からの空気の吸引または引込みは、内側ディフューザー15の外側チューブ状部分18の形状によっても容易にされ、その外側チューブ状部分18は、前方排出開口部6に向かって収束する形状を有するそれぞれの溝19によって互いに分離された、複数の流出ダクト26を備える。前記収束溝19は、側方開口部7からの空気の吸引を容易にすることに加えて、長手方向軸Xに平行な主貫通空洞3の内側に向かって径方向に集中して動く空気の搬送を可能にする。本出願人によって行われた試験によれば、内側ディフューザー15および側方開口部7の特定の構成のおかげで、本発明のヘアドライヤーの空気出力流量Q2が、ファン21によって生成される初期空気流量Q1と比べて50%~100%増大できることが示された。
【0041】
したがって、公知のベンチュリー効果および空気取込み作用を利用する、内側ディフューザー15および側方開口部7を備える本発明のヘアドライヤー1のおかげで、動力、すなわち、電気モーター20のサイズおよび重量を増大させる必要なしに、供給される空気流量を有意に増大させることが可能である。このように、ある程度短時間で髪を乾かすように高流量、例えば、60m3/hと110m3/hとの間の流量を確保するヘアドライヤーを有しながら、コンパクトで扱いやすく、重量およびサイズが小さく、手‐手首‐ひじ‐肩系の筋肉および腱にほとんどまたは全く重荷をかけずに長時間にわたって使用できる機器を有することが可能である。
【0042】
側方開口部7を閉じることによってベンチュリー効果および空気取込み作用を抑制するように適合された外側出口要素30の使用は、本発明のヘアドライヤー1の空気出力流量Q2を低減することも可能にし、したがって、空気出力流量Q2はファン21によって生成される初期空気流量Q1に実質的に等しくなり、ファン21の速度(したがって、その空気流量)はやはり、電気モーター20の回転速度の制御を可能にする制御手段25によって精密に変更できる。
【0043】
したがって、本発明のヘアドライヤー1は、外側排出要素30を使用しても使用しなくても様々な特定の必要に従って髪を乾かすために、精密にかつ広い調節範囲で空気流量を変更できるようにする。