(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-13
(45)【発行日】2024-12-23
(54)【発明の名称】コーティング組成物および積層体
(51)【国際特許分類】
C09D 175/04 20060101AFI20241216BHJP
B32B 9/00 20060101ALI20241216BHJP
B32B 27/40 20060101ALI20241216BHJP
【FI】
C09D175/04
B32B9/00 A
B32B27/40
(21)【出願番号】P 2022535313
(86)(22)【出願日】2021-07-05
(86)【国際出願番号】 JP2021025283
(87)【国際公開番号】W WO2022009829
(87)【国際公開日】2022-01-13
【審査請求日】2022-12-09
(31)【優先権主張番号】P 2020116108
(32)【優先日】2020-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005887
【氏名又は名称】三井化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103517
【氏名又は名称】岡本 寛之
(74)【代理人】
【識別番号】100149607
【氏名又は名称】宇田 新一
(72)【発明者】
【氏名】宮永 朋治
(72)【発明者】
【氏名】村上 司
(72)【発明者】
【氏名】福田 和幸
(72)【発明者】
【氏名】内田 隆
(72)【発明者】
【氏名】吉村 寿洋
【審査官】桜田 政美
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-188871(JP,A)
【文献】特開2003-191364(JP,A)
【文献】国際公開第2010/038643(WO,A1)
【文献】特開2017-222151(JP,A)
【文献】特開2015-214673(JP,A)
【文献】特開2014-185317(JP,A)
【文献】特開2019-085510(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 175/04
B32B 9/00
B32B 27/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリイソシアネート成分およびポリオール成分と、有機溶剤とを含み、
前記ポリイソシアネート成分は、芳香環含有イソシアネートを含み、
前記ポリオール成分は、アクリルポリオールを含み、
前記アクリルポリオールは、水酸基含有重合性モノマーおよびカルボキシル基含有重合性モノマーを含有し、(メタ)アクリロニトリルを含有しないモノマー組成物の重合体であり、
前記有機溶剤が、アルキルエステルを含有し、
前記ポリオール成分の水酸基に対する、前記ポリイソシアネート成分のイソシアネート基の当量比(NCO/OH)が、1.2以上6.0以下である
ことを特徴とする、コーティング組成物。
【請求項2】
前記芳香環含有イソシアネートが、
キシリレンジイソシアネートおよび/またはその誘導体を含む
ことを特徴とする、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項3】
前記モノマー組成物が、芳香族ビニルモノマーを含む
ことを特徴とする、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項4】
前記モノマー組成物において、前記水酸基含有重合性モノマーの含有量に対する、前記カルボキシル基含有重合性モノマーの含有量の質量比(カルボキシル基含有重合性モノマー/水酸基含有重合性モノマー)が、0.03以上0.1以下である
ことを特徴とする、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項5】
前記モノマー組成物の総量100質量部に対して、前記カルボキシル基含有重合性モノマーの含有割合が、0.1質量部以上5.0質量部以下である
ことを特徴とする、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項6】
前記アクリルポリオールのガラス転移温度が、-25℃以上80℃以下である
ことを特徴とする、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項7】
前記アクリルポリオールの数平均分子量が、6000以上である
ことを特徴とする、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項8】
樹脂フィルムと、
前記樹脂フィルムの厚み方向一方側に配置される無機薄膜層と、
前記無機薄膜層の厚み方向一方側に配置されるポリウレタン層と、
前記ポリウレタン層の厚み方向一方側に配置される接着層と、
前記接着層の厚み方向一方側に配置されるシーラント層と
を備えており、
前記ポリウレタン層が、コーティング組成物の硬化物を含み、
前記コーティング組成物は、
ポリイソシアネート成分およびポリオール成分を含み、
前記ポリイソシアネート成分は、芳香環含有イソシアネートを含み、
前記ポリオール成分は、アクリルポリオールを含み、
前記アクリルポリオールは、水酸基含有重合性モノマーおよびカルボキシル基含有重合性モノマーを含有し、(メタ)アクリロニトリルを含有しないモノマー組成物の重合体である
ことを特徴とする、積層体。
【請求項9】
前記無機薄膜層が、酸化アルミニウムおよび/または酸化ケイ素を含む
ことを特徴とする、請求項
8に記載の積層体。
【請求項10】
前記樹脂フィルムが、ポリエステル樹脂および/またはポリオレフィン樹脂を含む
ことを特徴とする、請求項
8に記載の積層体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コーティング組成物および積層体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、各種包装材料などの分野では、例えば、ガスバリア性、耐レトルト性(耐熱水性)などの各種機能が要求されている。そこで、包装材料として、例えば、各種機能を有するフィルムを複数積層した積層体が、使用されている。
【0003】
積層体として、より具体的には、例えば、基材と、プライマーから得られる樹脂塗膜と、インキ層、接着層およびシーラント層とを備える積層体が、提案されている。また、樹脂塗膜を形成するプライマーとしては、例えば、メチルメタクリレート(MMA)、アクリロニトリル(AN)、β-ヒドロキシエチルメタクリレート(β-HEMA)、スチレン(St)、ブチルアクリレート(BA)およびメタクリル酸(MAA)を共重合させて、主剤溶液を調製し、得られた主剤溶液に硬化剤としてのキシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体(XDI-TMP)を配合したプライマーが提案されている(例えば、特許文献1(比較例プライマー4)参照)。
【0004】
また、上記プライマーに、さらに、5-(1,5-ジオキソテトラヒドロ-3-フラニル)-3-メチル-3-シクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸無水物を配合することも、提案されている(例えば、特許文献1(実施例プライマー4)参照)。
【0005】
さらに、上記のプライマーにおいて、溶媒として、メチルエチルケトンと酢酸エチルとプロピレングリコールモノメチルエーテルとの混合溶剤を使用することも、提案されている(例えば、特許文献1(各実施例および各比較例)参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一方、コーティング分野においては、取扱性および作業性の向上を図るために、溶剤として、アルキルエステルを単独で使用することが要求されている。
【0008】
しかし、上記のプライマーは、アルキルエステルに対する溶解性が十分ではないため、溶剤として、アルキルエステルおよび他の溶剤を含む混合溶剤を使用しており、取扱性および作業性に劣る。
【0009】
また、このようなプライマーを用いて得られる積層体には、ガスバリア性および耐レトルト性(耐熱水性)のさらなる向上が、要求されている。
【0010】
本発明は、取扱性および作業性に優れ、また、ガスバリア性および耐レトルト性(耐熱水性)に優れる積層体を効率よく得ることができるコーティング組成物、および、そのコーティング組成物を用いて得られる積層体である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明[1]は、ポリイソシアネート成分およびポリオール成分を含み、前記ポリイソシアネート成分は、芳香環含有イソシアネートを含み、前記ポリオール成分は、アクリルポリオールを含み、前記アクリルポリオールは、水酸基含有重合性モノマーおよびカルボキシル基含有重合性モノマーを含有し、(メタ)アクリロニトリルを含有しないモノマー組成物の重合体である、コーティング組成物を含んでいる。
【0012】
本発明[2]は、前記芳香環含有イソシアネートが、キシリレンジイソシアネートおよび/またはその誘導体を含む、上記[1]に記載のコーティング組成物を含んでいる。
【0013】
本発明[3]は、前記モノマー組成物が、芳香族ビニルモノマーを含む、上記[1]または[2]に記載のコーティング組成物を含んでいる。
【0014】
本発明[4]は、前記ポリオール成分の水酸基に対する、前記ポリイソシアネート成分のイソシアネート基の当量比(NCO/OH)が、1.2以上6.0以下である、上記[1]~[3]のいずれか一項に記載のコーティング組成物を含んでいる。
【0015】
本発明[5]は、前記モノマー組成物において、前記水酸基含有重合性モノマーの含有量に対する、前記カルボキシル基含有重合性モノマーの含有量の質量比(カルボキシル基含有重合性モノマー/水酸基含有重合性モノマー)が、0.03以上0.1以下である、上記[1]~[4]のいずれか一項に記載のコーティング組成物を含んでいる。
【0016】
本発明[6]は、前記モノマー組成物の総量100質量部に対して、前記カルボキシル基含有重合性モノマーの含有割合が、0.1質量部以上5.0質量部以下である、上記[1]~[5]のいずれか一項に記載のコーティング組成物を含んでいる。
【0017】
本発明[7]は、前記アクリルポリオールのガラス転移温度が、-25℃以上80℃以下である、上記[1]~[6]のいずれか一項に記載のコーティング組成物を含んでいる。
【0018】
本発明[8]は、前記アクリルポリオールの数平均分子量が、6000以上である、上記[1]~[7]のいずれか一項に記載のコーティング組成物を含んでいる。
【0019】
本発明[9]は、樹脂フィルムと、前記樹脂フィルムの厚み方向一方側に配置される無機薄膜層と、前記無機薄膜層の厚み方向一方側に配置されるポリウレタン層と、前記ポリウレタン層の厚み方向一方側に配置される接着層と、前記接着層の厚み方向一方側に配置されるシーラント層とを備えており、前記ポリウレタン層が、上記[1]~[8]のいずれか一項に記載のコーティング組成物の硬化物を含む、積層体を含んでいる。
【0020】
本発明[10]は、前記無機薄膜層が、酸化アルミニウムおよび/または酸化ケイ素を含む、上記[9]に記載の積層体を含んでいる。
【0021】
本発明[11]は、前記樹脂フィルムが、ポリエステル樹脂および/またはポリオレフィン樹脂を含む、上記[9]または[10]に記載の積層体を含んでいる。
【発明の効果】
【0022】
本発明のコーティング組成物では、アクリルポリオールの原料であるモノマー組成物が、(メタ)アクリロニトリルを含有していない。そのため、本発明のコーティング組成物は、アルキルエステルに対する溶解性に優れ、その結果、取扱性および作業性に優れる。
【0023】
また、本発明のコーティング組成物は、ポリイソシアネート成分として、芳香環含有イソシアネートを含んでいる。また、アクリルポリオールとして、水酸基含有重合性モノマーおよびカルボキシル基含有重合性モノマーを含有するモノマー組成物の重合体を含んでいる。
【0024】
そのため、本発明のコーティング組成物は、ガスバリア性および耐レトルト性(耐熱水性)に優れる積層体を得ることができる。
【0025】
本発明の積層体は、上記のコーティング組成物を用いて得られるため、作業性によく得られ、また、ガスバリア性および耐レトルト性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】
図1は、本発明の積層体の一実施形態を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明のコーティング組成物は、ポリイソシアネート成分およびポリオール成分を含んでいる。
【0028】
ポリイソシアネート成分は、有効成分として、イソシアネート化合物を含有している。
【0029】
イソシアネート化合物は、必須成分として、芳香環含有イソシアネートを含有している。
【0030】
芳香環含有イソシアネートは、分子骨格に芳香環を含有するポリイソシアネートである。
【0031】
芳香環含有イソシアネートとしては、例えば、芳香環含有イソシアネート単量体、芳香環含有イソシアネート単量体の誘導体(以下、芳香環含有イソシアネート誘導体と称する。)などが挙げられる。
【0032】
芳香環含有イソシアネート単量体としては、例えば、芳香族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネートなどが挙げられる。
【0033】
芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、トルイジンジイソシアネート(TODI)、パラフェニレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート(NDI)などが挙げられ、好ましくは、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)が挙げられる。トリレンジイソシアネートとしては、例えば、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネートなどが挙げられる。ジフェニルメタンジイソシアネートとしては、例えば、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2’-ジフェニルメタンジイソシアネートなどが挙げられる。
【0034】
芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)などが挙げられる。キシリレンジイソシアネートとしては、1,3-キシリレンジイソシアネート、1,4-キシリレンジイソシアネートなどが挙げられる。テトラメチルキシリレンジイソシアネートとしては、例えば、1,3-テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,4-テトラメチルキシリレンジイソシアネートなどが挙げられる。
【0035】
これら芳香環含有イソシアネート単量体は、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0036】
芳香環含有イソシアネート単量体として、好ましくは、芳香族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネートが挙げられ、より好ましくは、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートが挙げられ、さらに好ましくは、キシリレンジイソシアネートが挙げられる。
【0037】
芳香環含有イソシアネート誘導体としては、上記した芳香環含有イソシアネート単量体を、公知の方法で変性して得られる変性体が挙げられる。
【0038】
芳香環含有イソシアネート誘導体として、より具体的には、例えば、多量体、アロファネート変性体、ポリオール変性体、ビウレット変性体、ウレア変性体、オキサジアジントリオン変性体、カルボジイミド変性体などが挙げられる。
【0039】
多量体としては、例えば、2量体、3量体、5量体、7量体などが挙げられる。また、3量体としては、例えば、イソシアヌレート変性体、イミノオキサジアジンジオン変性体などが挙げられる。
【0040】
アロファネート変性体としては、例えば、上記した芳香環含有イソシアネート単量体と、1価アルコールまたは2価アルコールとの反応より生成するアロファネート変性体などが挙げられる。
【0041】
ポリオール変性体としては、例えば、上記した芳香環含有イソシアネート単量体と、3価以上のアルコールとの反応により生成するアルコール付加体などが挙げられる。
【0042】
ビウレット変性体としては、例えば、上記した芳香環含有イソシアネート単量体と、水および/またはアミン類との反応により生成するビウレット変性体などが挙げられる。
【0043】
ウレア変性体としては、例えば、上記した芳香環含有イソシアネート単量体と、ジアミンとの反応により生成するウレア変性体などが挙げられる。
【0044】
オキサジアジントリオン変性体としては、例えば、上記した芳香環含有イソシアネート単量体と、炭酸ガスとの反応により生成するオキサジアジントリオン変性体などが挙げられる。
【0045】
カルボジイミド変性体としては、例えば、上記した芳香環含有イソシアネート単量体の脱炭酸縮合反応により生成するカルボジイミド変性体などが挙げられる。
【0046】
また、芳香環含有イソシアネート誘導体としては、例えば、ウレトジオン変性体、ウレトンイミン変性体、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート(クルードMDI、ポリメリックMDI)なども挙げられる。
【0047】
これら芳香環含有イソシアネート誘導体は、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0048】
芳香環含有イソシアネート誘導体として、好ましくは、トリレンジイソシアネートの誘導体、キシリレンジイソシアネートの誘導体が挙げられ、より好ましくは、キシリレンジイソシアネートの誘導体が挙げられ、さらに好ましくは、1,3-キシリレンジイソシアネートの誘導体が挙げられる。
【0049】
また、誘導体として、好ましくは、イソシアヌレート変性体、ポリオール変性体(アルコール付加体)が挙げられ、さらに好ましくは、ポリオール変性体(アルコール付加体)が挙げられ、とりわけ好ましくは、トリメチロールプロパン付加体が挙げられる。
【0050】
これら芳香環含有イソシアネートは、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0051】
芳香環含有イソシアネートとして、好ましくは、キシリレンジイソシアネートおよび/またはその誘導体が挙げられ、より好ましくは、キシリレンジイソシアネートの誘導体が挙げられ、さらに好ましくは、キシリレンジイソシアネートのポリオール変性体(アルコール付加体)が挙げられ、とりわけ好ましくは、キシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加体が挙げられる。
【0052】
また、イソシアネート化合物は、本発明の優れた効果を損なわない範囲で、任意成分として、芳香環不含有イソシアネートを含有することができる。
【0053】
芳香環不含有イソシアネートは、分子骨格に芳香環を含有しないポリイソシアネートである。
【0054】
芳香環不含有イソシアネートとしては、例えば、芳香環不含有イソシアネートの単量体、芳香環不含有イソシアネートの単量体の誘導体(以下、芳香環不含有イソシアネート誘導体と称する。)などが挙げられる。
【0055】
芳香環不含有イソシアネート単量体としては、例えば、脂肪族ポリイソシアネートなどが挙げられる。
【0056】
脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、エチレンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート(PDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、オクタメチレンジイソシアネート、ノナメチレンジイソシアネート、2,2’-ジメチルペンタンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、ブテンジイソシアネート、1,3-ブタジエン-1,4-ジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,6,11-ウンデカメチレントリイソシアネート、1,3,6-ヘキサメチレントリイソシアネート、1,8-ジイソシアネート-4-イソシアナトメチルオクタン、2,5,7-トリメチル-1,8-ジイソシアネート-5-イソシアナトメチルオクタン、ビス(イソシアナトエチル)カーボネート、ビス(イソシアナトエチル)エーテル、1,4-ブチレングリコールジプロピルエーテル-ω、ω’-ジイソシアネート、リジンイソシアナトメチルエステル、リジントリイソシアネート、2-イソシアナトエチル-2,6-ジイソシアネートヘキサノエート、2-イソシアナトプロピル-2,6-ジイソシアネートヘキサノエート、ビス(4-イソシアネート-n-ブチリデン)ペンタエリスリトール、2,6-ジイソシアネートメチルカプロエートなどが挙げられる。
【0057】
また、脂肪族ポリイソシアネートには、脂環族ポリイソシアネートが含まれる。
【0058】
脂環族ポリイソシアネートとしては、例えば、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(H6XDI)、1,3-シクロヘキサンジイソシアネート、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、1,3-ビス(イソシアナトエチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(イソシアナトエチル)シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、2,2’-ジメチルジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、2,5-ジイソシアナトメチルビシクロ〔2,2,1〕-ヘプタン、2,6-ジイソシアナトメチルビシクロ〔2,2,1〕-ヘプタン(NBDI)、2-イソシアナトメチル2-(3-イソシアナトプロピル)-5-イソシアナトメチルビシクロ-〔2,2,1〕-ヘプタン、2-イソシアナトメチル-2-(3-イソシアナトプロピル)-6-イソシアナトメチルビシクロ-〔2,2,1〕-ヘプタン、2-イソシアナトメチル3-(3-イソシアナトプロピル)-5-(2-イソシアナトエチル)-ビシクロ-〔2,2,1〕-ヘプタン、2-イソシアナトメチル3-(3-イソシアナトプロピル)-6-(2-イソシアナトエチル)-ビシクロ-〔2,2,1〕-ヘプタン、2-イソシアナトメチル2-(3-イソシアナトプロピル)-5-(2-イソシアナトエチル)-ビシクロ-〔2,2,1〕-ヘプタン、2-イソシアナトメチル2-(3-イソシアナトプロピル)-6-(2-イソシアナトエチル)-ビシクロ-〔2,2,1〕-ヘプタンなどが挙げられ、好ましくは、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(H6XDI)が挙げられる。
【0059】
これら芳香環不含有イソシアネート単量体は、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0060】
芳香環不含有イソシアネート誘導体としては、芳香環含有イソシアネート誘導体と同様に、上記した芳香環不含有イソシアネート単量体を、公知の方法で変性して得られる変性体が挙げられる。
【0061】
芳香環不含有イソシアネート誘導体として、より具体的には、例えば、多量体、アロファネート変性体、ポリオール変性体、ビウレット変性体、ウレア変性体、オキサジアジントリオン変性体、カルボジイミド変性体などが挙げられる。
【0062】
これら芳香環不含有イソシアネート誘導体は、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0063】
これら芳香環不含有イソシアネートは、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0064】
なお、芳香環不含有イソシアネートの含有割合は、目的および用途に応じて、適宜設定される。
【0065】
より具体的には、芳香環不含有イソシアネートの含有割合は、密着性およびガスバリア性の観点から、ポリイソシアネート化合物(芳香環含有イソシアネートおよび芳香環不含有イソシアネート)の総量100質量部に対して、例えば、30質量部以下、好ましくは、20質量部以下、より好ましくは、10質量部以下、とりわけ好ましくは、0質量部である。
【0066】
換言すれば、芳香環含有イソシアネートの含有割合は、ポリイソシアネート化合物の総量100質量部に対して、例えば、70質量部以上、好ましくは、80質量部以上、より好ましくは、90質量部以上、とりわけ好ましくは、100質量部である。
【0067】
すなわち、イソシアネート化合物は、好ましくは、芳香環不含有イソシアネートを含有しない。
【0068】
換言すれば、イソシアネート化合物は、好ましくは、芳香環含有イソシアネートのみを含有し、より好ましくは、芳香環含有イソシアネート誘導体のみを含有し、さらに好ましくは、キシリレンジイソシアネートの誘導体のみを含有する。
【0069】
また、ポリイソシアネート成分は、有機溶剤を含有することができる。
【0070】
すなわち、上記のイソシアネート化合物を、有機溶剤で希釈することができる。
【0071】
有機溶剤としては、アルキルエステルが挙げられる。アルキルエステルとしては、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチルなどが挙げられる。
【0072】
これら有機溶剤は、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0073】
有機溶剤として、取扱性および作業性の観点から、好ましくは、アルキルエステルが挙げられ、より好ましくは、酢酸エチルが挙げられる。
【0074】
ポリイソシアネート成分が、イソシアネート化合物および有機溶剤を含有する場合、固形分濃度は、目的および用途に応じて、適宜設定される。
【0075】
より具体的には、ポリイソシアネート成分の固形分濃度(イソシアネート化合物の含有割合)は、例えば、5質量%以上、好ましくは、10質量%以上であり、例えば、100質量%以下、好ましくは、80質量%以下である。
【0076】
ポリオール成分は、有効成分として、ポリオール化合物を含有している。
【0077】
ポリオール化合物は、必須成分として、アクリルポリオールを含有している。
【0078】
アクリルポリオールは、マクロポリオールである。なお、マクロポリオールは、水酸基を2つ以上有し、数平均分子量400以上、好ましくは、500以上、例えば、100000以下の有機化合物である。
【0079】
アクリルポリオールは、水酸基含有重合性モノマーおよびカルボキシル基含有重合性モノマーを含有し、(メタ)アクリロニトリルを含有しないモノマー組成物の重合体である。
【0080】
なお、(メタ)アクリロニトリルは、アクリロニトリルおよび/またはメタクリロニトリルを示す。また、(メタ)アクリルは、アクリルおよび/またはメタクリルを示す。また、(メタ)アクリレートは、アクリレートおよび/またはメタクリレートを示す。
【0081】
アクリルポリオールの原料であるモノマー組成物が、(メタ)アクリロニトリルを含有しなければ、アクリルポリオールのアルキルエステルに対する溶解性の向上を図ることができ、その結果、取扱性および作業性に優れるコーティング組成物を得ることができる。
【0082】
水酸基含有重合性モノマーとしては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8-ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、10-ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、12-ヒドロキシラウリル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0083】
これら水酸基含有重合性モノマーは、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0084】
水酸基含有重合性モノマーとして、ガスバリア性および耐レトルト性の観点から、好ましくは、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートが挙げられ、より好ましくは、2-ヒドロキシエチルアクリレートが挙げられる。
【0085】
カルボキシ基含有重合性モノマーとしては、例えば、モノカルボン酸、ジカルボン酸および、これらの塩などが挙げられる。モノカルボン酸としては、例えば、(メタ)アクリル酸などが挙げられる。また、ジカルボン酸としては、例えば、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、無水イタコン酸、無水マレイン酸、無水フマル酸などが挙げられる。
【0086】
これらカルボキシ基含有重合性モノマーは、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0087】
カルボキシ基含有重合性モノマーとして、好ましくは、(メタ)アクリル酸、イタコン酸が挙げられ、より好ましくは、(メタ)アクリル酸が挙げられ、さらに好ましくは、アクリル酸が挙げられる。
【0088】
また、モノマー組成物は、水酸基含有重合性モノマーおよび/またはカルボキシル基含有重合性モノマーと共重合可能な共重合性モノマーを含むことができる。
【0089】
共重合性モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸エステル、芳香族ビニルモノマー、アミノ基含有重合性モノマー、グリシジル基含有重合性モノマー、スルホン酸基含有重合性モノマー、アセトアセトキシ基含有重合性モノマー、リン酸基含有化合物、ビニルエステル類、複素環式ビニル化合物、ハロゲン化ビニリデン化合物、α-オレフィン類、ジエン類などが挙げられる。
【0090】
(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸の炭素原子数1~12のアルキルエステルなどが挙げられる。より具体的には、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、n-アミル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0091】
これら(メタ)アクリル酸エステルは、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0092】
(メタ)アクリル酸エステルとして、好ましくは、メチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレートが挙げられ、より好ましくは、メチルメタクリレート、n-ブチルアクリレートが挙げられる。
【0093】
芳香族ビニルモノマーとしては、例えば、スチレン、α-メチルスチレンなどが挙げられる。
【0094】
これら芳香族ビニルモノマーは、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0095】
芳香族ビニルモノマーとして、好ましくは、スチレンが挙げられる。
【0096】
アミノ基含有重合性モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸2-アミノエチル、(メタ)アクリル酸2-(N-メチルアミノ)エチル、(メタ)アクリル酸2-(N,N-ジメチルアミノ)エチルなどが挙げられる。
【0097】
これらアミノ基含有重合性モノマーは、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0098】
グリシジル基含有重合性モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸グリシジルなどが挙げられる。
【0099】
これらグリシジル基含有重合性モノマーは、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0100】
スルホン酸基含有重合性モノマーとしては、例えば、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、アクリルアミドt-ブチルスルホン酸などが挙げられる。また、その塩としては、上記スルホン酸基含有重合性モノマーの、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩、例えば、アンモニウム塩などが挙げられる。具体的には、例えば、アリルスルホン酸ナトリウム、メタリルスルホン酸ナトリウム、メタリルスルホン酸アンモニウムなどが挙げられる。
【0101】
これらスルホン酸含有重合性モノマーは、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0102】
アセトアセトキシ基含有重合性モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸アセトアセトキシエチルなどが挙げられる。
【0103】
これらアセトアセトキシ基含有重合性モノマーは、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0104】
リン酸基含有化合物としては、例えば、2-メタクロイロキシエチルアシッドフォスフェートなどが挙げられる。
【0105】
これらリン酸基含有化合物は、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0106】
ビニルエステル類としては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどが挙げられる。
【0107】
これらビニルエステル類は、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0108】
N-置換不飽和カルボン酸アミドとしては、例えば、N-メチロール(メタ)アクリルアミドなどが挙げられる。
【0109】
これらN-置換不飽和カルボン酸アミドは、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0110】
複素環式ビニル化合物としては、例えば、ビニルピロリドンなどが挙げられる。
【0111】
これら複素環式ビニル化合物は、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0112】
ハロゲン化ビニリデン化合物としては、例えば、塩化ビニリデン、フッ化ビニリデンなどが挙げられる。
【0113】
これらハロゲン化ビニリデン化合物は、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0114】
α-オレフィン類としては、例えば、エチレン、プロピレンなどが挙げられる。
【0115】
これらα-オレフィン類は、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0116】
ジエン類としては、例えば、ブタジエンなどが挙げられる。
【0117】
これらジエン類は、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0118】
これら共重合性モノマーは、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0119】
共重合性モノマーとして、好ましくは、(メタ)アクリル酸エステル、芳香族ビニルモノマーが挙げられる。
【0120】
すなわち、モノマー組成物は、好ましくは、水酸基含有重合性モノマーと、カルボキシル基含有重合性モノマーと、(メタ)アクリル酸エステルおよび/または芳香族ビニルモノマーとを含有し、より好ましくは、水酸基含有重合性モノマーと、カルボキシル基含有重合性モノマーと、(メタ)アクリル酸エステルと、芳香族ビニルモノマーとを含有する。
【0121】
モノマー組成物において、水酸基含有重合性モノマーの含有割合は、後述するポリウレタン層の密着性およびガスバリア性の観点から、モノマー組成物の総量100質量部に対して、例えば、1質量部以上、好ましくは、5質量部以上、より好ましくは、10質量部以上、さらに好ましくは、15質量部以上であり、アクリルポリオールの取扱性の観点から、例えば、99.99質量部以下、好ましくは、60質量部以下、より好ましくは、40質量部以下、さらに好ましくは、23質量部以下である。
【0122】
また、モノマー組成物において、カルボキシ基含有重合性モノマーの含有割合は、ガスバリア性、耐レトルト性、取扱性および作業性の観点から、モノマー組成物の総量100質量部に対して、例えば、0.01質量部以上、好ましくは、0.1質量部以上、より好ましくは、0.5質量部以上、さらに好ましくは、0.7質量部以上であり、例えば、99質量部以下、好ましくは、5質量部以下、より好ましくは、3質量部以下、さらに好ましくは、2質量部以下である。
【0123】
また、水酸基含有重合性モノマーの含有量に対する、カルボキシル基含有重合性モノマーの含有量の質量比(カルボキシル基含有重合性モノマー/水酸基含有重合性モノマー)が、取扱性および作業性の観点から、例えば、0.01以上、好ましくは、0.03以上であり、例えば、0.2以下、好ましくは、0.1以下である。
【0124】
また、モノマー組成物が、(メタ)アクリル酸エステルを含有する場合、(メタ)アクリル酸エステルの含有割合は、アクリルポリオールのガラス転移温度が後述の範囲となるように適宜設定される。例えば、(メタ)アクリル酸エステルの含有割合(総量)は、耐ブロッキング性および密着性の観点から、モノマー組成物の総量100質量部に対して、例えば、1質量部以上、好ましくは、5質量部以上であり、例えば、70質量部以下、好ましくは、50質量部以下である。
【0125】
また、モノマー組成物が、芳香族ビニルモノマーを含有する場合、芳香族ビニルモノマーの含有割合は、アクリルポリオールのガラス転移温度が後述の範囲となるように適宜設定される。例えば、芳香族ビニルモノマーの含有割合は、モノマー組成物の総量100質量部に対して、例えば、1質量部以上、好ましくは、20質量部以上であり、例えば、50質量部以下、好ましくは、40質量部以下である。
【0126】
そして、アクリルポリオールは、例えば、溶剤中で、上記のモノマー組成物に重合開始剤を配合し、モノマー組成物を重合させることにより、得ることができる。
【0127】
溶剤としては、特に制限されないが、例えば、上記アルキルエステルが挙げられる。溶剤として、好ましくは、酢酸エチルが挙げられる。
【0128】
重合開始剤としては、特に制限されないが、例えば、水溶性開始剤、油溶性開始剤、レドックス系開始剤などが挙げられ、好ましくは、水溶性開始剤、油溶性開始剤が挙げられる。
【0129】
水溶性開始剤としては、例えば、過硫酸塩、過酸化水素、有機ハイドロパーオキサイド、4,4’-アゾビス(4-シアノ吉草酸)酸などが挙げられる。
【0130】
油溶性開始剤としては、例えば、過酸化ベンゾイル、アゾビスイソブチロニトリルなどが挙げられる。
【0131】
これら重合開始剤は、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0132】
重合開始剤の配合割合は、目的および用途に応じて、適宜設定される。
【0133】
モノマー組成物の総量100質量部に対して、重合開始剤が、例えば、0.05質量部以上であり、例えば、10質量部以下、好ましくは、5質量部以下である。
【0134】
重合条件は、目的および用途に応じて、適宜設定される。
【0135】
例えば、常圧下、重合温度が、例えば、30℃以上、好ましくは、50℃以上であり、例えば、95℃以下、好ましくは、85℃以下である。
【0136】
また、重合時間が、例えば、1時間以上、好ましくは、2時間以上であり、例えば、30時間以下、好ましくは、20時間以下である。
【0137】
また、ポリマー組成物の重合においては、製造安定性の向上を図る観点から、公知の添加剤を、添加することができる。
【0138】
添加剤としては、例えば、pH調整剤、金属イオン封止剤、分子量調節剤(連鎖移動剤)、中和剤などが挙げられる。
【0139】
なお、添加剤の添加量および添加のタイミングは、目的および用途に応じて、適宜設定される。
【0140】
これにより、モノマー組成物の重合体として、アクリルポリオールが得られる。
【0141】
また、アクリルポリオールは、上記溶剤の溶液として得られる場合がある。
【0142】
アクリルポリオールが溶液として得られる場合、溶液の固形分濃度は、例えば、3質量%以上、好ましくは、5質量%以上であり、例えば、100質量%未満、好ましくは、90質量%以下である。
【0143】
また、アクリルポリオール(固形分)のガラス転移温度は、後述するポリウレタン層の耐ブロッキング性の観点から、例えば、-50℃以上、好ましくは、-25℃以上、より好ましくは、0℃以上、さらに好ましくは、20℃以上、とりわけ好ましくは、40℃以上であり、アクリルポリオールの取扱性および作業性の観点から、例えば、100℃以下、好ましくは、90℃以下、より好ましくは、80℃以下、さらに好ましくは、70℃以下である。
【0144】
なお、アクリルポリオールのガラス転移温度は、モノマー組成物の処方およびFOX式により、公知の方法で算出される。
【0145】
また、アクリルポリオール(固形分)の数平均分子量は、ガスバリア性、耐レトルト性、取扱性および作業性の観点から、例えば、2000以上、好ましくは、6000以上、より好ましくは、10000以上であり、例えば、100000以下、好ましくは、50000以下、より好ましくは、20000以下である。
【0146】
また、アクリルポリオールの数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、標準ポリスチレン換算分子量として算出される。
【0147】
さらに、ポリオール化合物は、本発明の優れた効果を損なわない範囲で、任意成分として、その他のマクロポリオール、低分子量ポリオールを含有することができる。
【0148】
その他のマクロポリオールは、アクリルポリオールを除くマクロポリオールである。
【0149】
その他のマクロポリオールとしては、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリウレタンポリオール、エポキシポリオール、植物油ポリオール、ポリオレフィンポリオール、重合性モノマー変性ポリオールなどが挙げられる。
【0150】
これらその他のマクロポリオールは、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0151】
低分子量ポリオールは、分子中に水酸基を2つ以上有し、分子量50以上、400以下、好ましくは、300以下の有機化合物である。
【0152】
低分子量ポリオールとしては、例えば、2価アルコール、3価アルコールなどが挙げられる。2価アルコールとしては、例えば、1,2-エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールなどが挙げられる。3価アルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパンなどが挙げられる。
【0153】
これら低分子量ポリオールは、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0154】
なお、任意成分の含有割合は、目的および用途に応じて、適宜設定される。
【0155】
例えば、その他のマクロポリオールの含有割合は、ガスバリア性の観点から、ポリオール化合物の総量100質量部に対して、例えば、50質量部未満、好ましくは、40質量部以下、さらに好ましくは、30質量部以下、とりわけ好ましくは、0質量部である。
【0156】
また、低分子量ポリオールの含有割合は、密着性の観点から、ポリオール化合物の総量100質量部に対して、例えば、50質量部未満、好ましくは、40質量部以下、さらに好ましくは、30質量部以下、とりわけ好ましくは、0質量部である。
【0157】
換言すれば、アクリルポリオールの含有割合は、ポリオール化合物の総量100質量部に対して、例えば、50質量部を超過し、好ましくは、60質量部以上、さらに好ましくは、70質量部以上、とりわけ好ましくは、100質量部である。
【0158】
すなわち、ポリオール成分は、有効成分として、その他のマクロポリオールおよび低分子量ポリオールを含まず、上記のアクリルポリオールのみを含有する。
【0159】
また、ポリオール成分は、有機溶剤を含有することができる。
【0160】
すなわち、上記のポリオール化合物を、有機溶剤で希釈することができる。
【0161】
有機溶剤としては、上記した有機溶剤が挙げられる。これら有機溶剤は、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0162】
有機溶剤として、取扱性および作業性の観点から、好ましくは、アルキルエステルが挙げられ、より好ましくは、酢酸エチルが挙げられる。
【0163】
なお、ポリオール成分が有機溶剤を含有する場合、その固形分濃度は、目的および用途に応じて、適宜設定される。
【0164】
より具体的には、ポリオール成分の固形分濃度(ポリオール化合物の含有割合)は、例えば、5質量%以上、好ましくは、10質量%以上であり、例えば、100質量%以下、好ましくは、80質量%以下である。
【0165】
また、コーティング組成物は、さらに、添加剤を含むことができる。
【0166】
添加剤としては、例えば、リンの酸素酸またはその誘導体、シランカップリング剤、消泡剤、エポキシ樹脂、触媒、塗工性改良剤、レベリング剤、安定剤(酸化防止剤、紫外線吸収剤など)、可塑剤、界面活性剤、顔料、充填剤、有機または無機微粒子、防黴剤などが挙げられる。
【0167】
これら添加剤は、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0168】
添加剤は、例えば、ポリイソシアネート成分およびポリオール成分のいずれか一方またはその両方に添加されていてもよく、また、ポリイソシアネート成分および/またはポリオール成分とは別途、配合されてもよい。
【0169】
添加剤の配合量は、その目的および用途により適宜決定される。
【0170】
コーティング組成物において、ポリイソシアネート成分およびポリオール成分の含有割合は、例えば、ポリオール成分の水酸基に対する、ポリイソシアネート成分のイソシアネート基の当量比(NCO/OH)として、調整される。
【0171】
より具体的には、ポリオール成分の水酸基に対する、ポリイソシアネート成分のイソシアネート基の当量比(NCO/OH)は、ガスバリア性の観点から、例えば、0.9以上、好ましくは、1.0を超過し、より好ましくは、1.1以上、さらに好ましくは、1.2以上、さらに好ましくは、2.0以上、とりわけ好ましくは、2.5以上であり、耐レトルト性の観点から、例えば、10.0以下、好ましくは、8.0以下、より好ましくは、6.5以下、さらに好ましくは、6.0以下、さらに好ましくは、5.0以下、とりわけ好ましくは、4.5以下である。
【0172】
また、コーティング組成物は、例えば、2液硬化型コーティング剤、または、1液硬化型コーティング剤として調製される。
【0173】
2液硬化型コーティング剤では、上記したポリオール成分が主剤として調製される。また、上記したポリイソシアネート成分が硬化剤として調製される。そして、主剤および硬化剤が、使用時に、上記の割合で配合される。
【0174】
1液硬化型コーティング剤としては、湿気や蒸気(アミン蒸気など)などにより硬化する湿気硬化型接着剤が挙げられる。このような1液硬化型コーティング剤は、例えば、ポリイソシアネート成分および上記したポリオール成分を、上記の割合で反応させることにより得られる、分子末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを含有する。
【0175】
そして、1液硬化型コーティング剤としてのウレタンプレポリマーは、分子末端にイソシアネート基を有しており、そのイソシアネート基が大気中の湿気や蒸気(アミン蒸気など)などと反応することにより、硬化する。
【0176】
また、コーティング剤は、好ましくは、上記した有機溶剤を含有する。
【0177】
有機溶剤として、取扱性および作業性の観点から、好ましくは、アルキルエステルが挙げられ、より好ましくは、酢酸エチルが挙げられる。
【0178】
有機溶剤は、上記したように、ポリイソシアネート成分および/またはポリオール成分に配合されていてもよく、また、ポリイソシアネート成分およびポリオール成分の混合時に、別途、配合されていてもよい。
【0179】
コーティング組成物において、有機溶剤の含有割合は、ポリイソシアネート成分およびポリオール成分の固形分(樹脂固形分)の総量が、所定の割合になるように、適宜設定される。
【0180】
コーティング組成物(ポリイソシアネート成分およびポリオール成分の総量。なお、ポリイソシアネート成分およびポリオール成分の混合時に、別途、有機溶剤が配合される場合には、その有機溶剤を含む。)の固形分濃度は、取扱性および作業性の観点から、例えば、5質量%以上、好ましくは、10質量%以上、より好ましくは、20質量%以上であり、例えば、50質量%以下、好ましくは、40質量%以下、より好ましくは、30質量%以下である。
【0181】
そして、このようなコーティング組成物は、アクリルポリオールの原料であるモノマー組成物が、(メタ)アクリロニトリルを含有していない。そのため、上記のコーティング組成物は、アルキルエステルに対する溶解性に優れ、その結果、取扱性および作業性に優れる。
【0182】
また、上記のコーティング組成物は、ポリイソシアネート成分として、芳香環含有イソシアネートを含んでいる。また、アクリルポリオールとして、水酸基含有重合性モノマーおよびカルボキシル基含有重合性モノマーを含有するモノマー組成物の重合体を含んでいる。
【0183】
そのため、上記のコーティング組成物は、ガスバリア性および耐レトルト性(耐熱水性)に優れる積層体を得ることができる。
【0184】
図1は、上記のコーティング組成物を使用して得られる積層体としてのラミネートフィルムの概略図である。
【0185】
ラミネートフィルム1は、樹脂フィルム2と、樹脂フィルム2の厚み方向一方側に配置される無機薄膜層3と、無機薄膜層3の厚み方向一方側に配置されるポリウレタン層4と、ポリウレタン層4の厚み方向一方側に配置される接着層5と、接着層5の厚み方向一方側に配置されるシーラント層6とを備えている。
【0186】
このようなラミネートフィルム1は、例えば、樹脂フィルム2、無機薄膜層3およびポリウレタン層4を備える第1フィルム10と、シーラント層6を備える第2フィルム11とを、接着層5を介して互いに接着されることにより、形成される。
【0187】
第1フィルム10は、例えば、樹脂フィルム2に積層された無機薄膜層3の表面に、ポリウレタン層4を積層することによって、形成される。
【0188】
樹脂フィルム2としては、例えば、熱可塑性樹脂を含むプラスチックフィルムが挙げられる。
【0189】
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニル樹脂などが挙げられる。
【0190】
これら熱可塑性樹脂は、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0191】
熱可塑性樹脂として、好ましくは、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂が挙げられる。
【0192】
換言すれば、樹脂フィルム2は、好ましくは、ポリオレフィン樹脂および/またはポリエステル樹脂を含む。
【0193】
ポリオレフィン樹脂としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン・ポリプロピレン共重合体(ランダム共重合体・ブロック共重合体)などが挙げられる。ポリエステル樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリ乳酸などが挙げられる。
【0194】
また、樹脂フィルム2が、2種類以上の熱可塑性樹脂を含む場合、樹脂フィルム2は、共押出フィルムであってもよく、また、熱可塑性樹脂のフィルムを複数貼着した複合フィルムであってもよい。
【0195】
また、樹脂フィルム2は、必要により、表面処理されていてもよい。表面処理としては、例えば、コロナ放電処理、プライマー処理などが挙げられる。
【0196】
また、樹脂フィルム2は、未延伸フィルムであってもよく、また、一軸または二軸延伸フィルムであってもよい。
【0197】
これら樹脂フィルム2は、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0198】
樹脂フィルム2として、好ましくは、ポリエステル樹脂からなるプラスチックフィルム、ポリオレフィン樹脂からなるプラスチックフィルムが挙げられ、より好ましくは、ポリエステル樹脂からなるプラスチックフィルムが挙げられ、さらに好ましくは、ポリエチレンテレフタレートからなるプラスチックフィルムが挙げられる。
【0199】
樹脂フィルム2の厚みは、特に制限されないが、例えば、5μm以上、好ましくは、10μm以上であり、例えば、200μm以下、好ましくは、100μm以下である。
【0200】
無機薄膜層3は、樹脂フィルム2の厚み方向一方側に配置されており、より具体的には、樹脂フィルム2の一方側の表面に、積層されている。
【0201】
無機薄膜層3は、無機材料の薄膜である。
【0202】
無機材料としては、例えば、無機物、無機酸化物、無機窒素酸化物などが挙げられる。
【0203】
無機物としては、例えば、マグネシウム、カルシウム、バリウム、チタン、ジルコニウム、アルミニウム、インジウム、ケイ素、ゲルマニウム、スズなどが挙げられる。
【0204】
無機酸化物としては、例えば、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化インジウム、酸化ケイ素、酸化スズなどが挙げられる。
【0205】
無機窒素酸化物としては、例えば、酸化窒化ケイ素などが挙げられる。
【0206】
これら無機材料は、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0207】
無機材料として、ガスバリア性の観点から、好ましくは、アルミニウム、ケイ素、酸化アルミニウム、酸化ケイ素が挙げられ、より好ましくは、酸化アルミニウム、酸化ケイ素が挙げられる。
【0208】
換言すれば、無機薄膜層3は、好ましくは、酸化アルミニウムおよび/または酸化ケイ素を含む。
【0209】
無機薄膜層3は、樹脂フィルム2の一方面に、公知の方法で形成される。
【0210】
無機薄膜層3を形成する方法としては、例えば、蒸着法(真空蒸着法、EB蒸着法など)、スパッタリング法、イオンプレーティング法、ラミネート法、プラズマ気相成長法(CVD法など)などが挙げられる。
【0211】
無機薄膜層3を形成する方法として、生産効率の観点から、好ましくは、蒸着法が挙げられ、より好ましくは、真空蒸着法が挙げられる。
【0212】
換言すれば、無機薄膜層3は、好ましくは、無機蒸着層である。
【0213】
無機薄膜層3の厚みは、特に制限されないが、例えば、1nm以上、好ましくは、2nm以上であり、例えば、500nm以下、好ましくは、300nm以下である。
【0214】
また、樹脂フィルム2の厚みと無機薄膜層3の厚みとの合計は、例えば、5μm以上、好ましくは、10μm以上であり、例えば、200μm以下、好ましくは、100μm以下である。
【0215】
また、樹脂フィルム2の表面に無機薄膜層3が積層された複合フィルム(以下、基材フィルムと称する場合がある。)を、市販品として入手することもできる。
【0216】
そのような市販品としては、例えば、バリアロックス(登録商標、東レフィルム加工社製、アルミナ蒸着ポリエチレンテレフタレートフィルム)シリーズ、テックバリア(登録商標、三菱ケミカル社製、シリカ蒸着ポリエチレンテレフタレートフィルム)などが挙げられる。
【0217】
ポリウレタン層4は、上記したコーティング組成物の硬化物を含んでいる。
【0218】
ポリウレタン層4は、例えば、上記のコーティング組成物を、無機薄膜層3に塗布し、乾燥および硬化(養生)させることによって、形成される。
【0219】
より具体的には、ポリイソシアネート成分(硬化剤)とポリオール成分(主剤)とが、上記の割合で配合され、それらの混合物(コーティング組成物)が、無機薄膜層3に塗工される。
【0220】
コーティング組成物の塗工温度は、例えば、5℃以上、好ましくは、10℃以上であり、例えば、50℃以下、好ましくは、40℃以下である。
【0221】
また、コーティング組成物の塗工量は、例えば、0.1g/m2以上、好ましくは、0.3g/m2以上であり、例えば、10g/m2以下、好ましくは、5g/m2以下である。
【0222】
また、コーティング組成物の乾燥温度は、例えば、60℃以上、好ましくは、80℃以上であり、例えば、200℃以下、好ましくは、150℃以下である。また、乾燥時間は、例えば、10秒以上、好ましくは、30秒以上であり、例えば、1時間以下、好ましくは、30分以下である。
【0223】
また、硬化温度(養生温度)は、例えば、5℃以上、好ましくは、10℃以上であり、例えば、50℃以下、好ましくは、40℃以下である。また、養生時間が、例えば、10時間以上、好ましくは、20時間以上であり、例えば、200時間以下、好ましくは、100時間以下である。
【0224】
これにより、無機薄膜層3に、コーティング組成物の硬化物としてのポリウレタン層4が、積層される。
【0225】
ポリウレタン層4の厚みは、特に制限されないが、例えば、5μm以上、好ましくは、10μm以上であり、例えば、200μm以下、好ましくは、100μm以下である。
【0226】
これにより、樹脂フィルム2、無機薄膜層3およびポリウレタン層4を備える第1フィルム10が得られる。
【0227】
第1フィルム10の厚みは、特に制限されないが、例えば、50μm以上、好ましくは、100μm以上であり、例えば、2000μm以下、好ましくは、1000μm以下である。
【0228】
第2フィルム20は、シーラント層6を含んでおり、好ましくは、シーラント層6からなる。
【0229】
シーラント層6は、ラミネートフィルム1にヒートシール性を付与するヒートシール層である。
【0230】
シーラント層6としては、例えば、熱可塑性ポリオレフィンフィルムが挙げられる。
【0231】
熱可塑性ポリオレフィンフィルムとして、より具体的には、例えば、ポリエチレンフィルム、未延伸ポリプロピレンフィルム(CPPフィルム)などが挙げられる。
【0232】
これら熱可塑性ポリオレフィンフィルムは、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0233】
熱可塑性ポリオレフィンフィルムとして、好ましくは、未延伸ポリプロピレンフィルム(CPPフィルム)が挙げられる。
【0234】
第2フィルム20(シーラント層6)の厚みは、例えば、10μm以上、好ましくは、20μm以上であり、例えば、200μm以下、好ましくは、150μm以下である。
【0235】
また、第2フィルム20(シーラント層6)は、必要により、表面処理されていてもよい。表面処理としては、例えば、コロナ放電処理、プライマー処理などが挙げられる。
【0236】
接着層5は、第1フィルム10のポリウレタン層4と、第2フィルム20のシーラント層6との間に介在され、第1フィルム10と第2フィルム20とを接着する層である。
【0237】
接着層5は、公知のラミネート接着剤を、塗布および乾燥することにより得られる。
【0238】
ラミネート接着剤としては、例えば、ポリオレフィン系接着剤、アクリル系接着剤、ポリエステル系接着剤、フェノール樹脂系接着剤、エポキシ系接着剤、ポリウレタン系接着剤、ゴム系接着剤、シリコ-ン系接着剤などが挙げられる。
【0239】
これらラミネート接着剤は、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0240】
接着層5を形成する方法は、特に制限されないが、例えば、第1フィルム10のポリウレタン層4の厚み方向一方面、および/または、第2フィルム20のシーラント層6の厚み方向他方面に、ラミネート接着剤を塗布し、第1フィルム10と第2フィルム20とを貼り合わせて、乾燥および硬化させる。
【0241】
より具体的には、例えば、まず、第1フィルム10および第2フィルム20のいずれか一方の厚み方向一方面に、ラミネート接着剤を塗布する。
【0242】
好ましくは、第1フィルム10の厚み方向一方面(すなわち、ポリウレタン層4の表面)に、ラミネート接着剤を塗布する。
【0243】
ラミネート接着剤の塗布温度は、例えば、35℃以上、好ましくは、40℃以上であり、例えば、100℃以下、好ましくは、90℃以下、さらに好ましくは、85℃以下である。
【0244】
また、ラミネート接着剤の塗工量は、例えば、0.5g/m2以上、好ましくは、1g/m2以上であり、例えば、5g/m2以下、好ましくは、4.5g/m2以下である。
【0245】
また、ラミネート接着剤が用いられるラミネート装置は、順転写型塗布装置および逆転写型塗布装置(リバースコータ)のいずれを用いることもできる。
【0246】
次いで、その塗工面を、他方のフィルム(好ましくは、第2フィルム20)に貼着し、常温または加温下において、硬化(養生)させる。なお、ラミネート接着剤の硬化条件は、目的および用途に応じて、適宜設定される。
【0247】
これにより、ラミネート接着剤の硬化物として、接着層5が得られる。
【0248】
接着層5の厚みは、例えば、10μm以上、好ましくは、20μm以上であり、例えば、200μm以下、好ましくは、150μm以下である。
【0249】
そして、これにより、樹脂フィルム2と、樹脂フィルム2の厚み方向一方側に配置される無機薄膜層3と、無機薄膜層3の厚み方向一方側に配置されるポリウレタン層4と、ポリウレタン層4の厚み方向一方側に配置される接着層5と、接着層5の厚み方向一方側に配置されるシーラント層6とを備えるラミネートフィルム1が得られる。
【0250】
ラミネートフィルム1の厚みは、例えば、20μm以上、好ましくは、30μm以上であり、例えば、180μm以下、好ましくは、150μm以下である。
【0251】
そして、このようなラミネートフィルム1は、上記のコーティング組成物を用いて得られるため、作業性によく得られ、また、ガスバリア性および耐レトルト性に優れる。
【0252】
そのため、このようなラミネートフィルム1は、食品、飲料、医薬品および医薬部外品などの各種の産業分野における包装材料として、好適に用いられる。
【実施例】
【0253】
次に、本発明を、実施例および比較例に基づいて説明するが、本発明は、下記の実施例によって限定されるものではない。なお、「部」および「%」は、特に言及がない限り、質量基準である。また、以下の記載において用いられる配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなどの具体的数値は、上記の「発明を実施するための形態」において記載されている、それらに対応する配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなど該当記載の上限値(「以下」、「未満」として定義されている数値)または下限値(「以上」、「超過」として定義されている数値)に代替することができる。
【0254】
参考例1
表1に記載の処方でアクリルポリオールを調製した。
【0255】
すなわち、表1に記載の処方で準備されたモノマー組成物を、酢酸エチル中に分散させ、重合開始剤としてのアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)1.0質量部を添加し、60℃で10時間反応させた。これにより、アクリルポリオール(ポリオール化合物)を得た。
【0256】
また、これにより、アクリルポリオールの酢酸エチル溶液(ポリオール成分(以下、アクリルポリオール溶液と称する。))を得た。
【0257】
次いで、アクリルポリオール溶液に、さらに、酢酸エチルを添加し、固形分濃度50%に調整した。
【0258】
得られたアクリルポリオールのガラス転移温度(Tg)を、モノマー組成物の処方およびFOX式により算出した。また、アクリルポリオールの数平均分子量(Mn)を、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより標準ポリスチレン換算分子量として算出した。
【0259】
次いで、得られたアクリルポリオール溶液(固形分濃度50%)0.5gと、酢酸エチル8.5gとを混合し、その後、タケネートD-110N(三井化学社製、XDIのトリメチロールプロパン付加体(イソシアネート化合物)、固形分濃度75%、酢酸エチル溶液(ポリイソシアネート成分))1.0gを混合し、透明なコーティング組成物を調製した。
【0260】
一方、樹脂フィルムおよび無機薄膜層を備える基材フィルムとして、アルミナ蒸着PETフィルム(アルミナ蒸着ポリエチレンテレフタレートフィルム)を準備した。
【0261】
次いで、上記のコーティング組成物を、無機薄膜層(アルミナ側)に、乾燥厚み0.5g/m2となるようにバーコーターを用いてコーティングし、110℃に設定した乾燥オーブンに投入して、1分間乾燥させ、40℃で2日間養生した。
【0262】
これにより、ポリウレタン層を形成した。
【0263】
次いで、ポリウレタン層に、ドライラミネート用接着剤としてのタケラックA-310(三井化学社製)およびタケネートA-3(三井化学社製)の混合物(タケラックA-310/タケネートA-3=10/1(質量比))を、乾燥厚み3g/m2となるようにバーコーターにて塗布し、ドライヤーで乾燥させた。
【0264】
その後、シーラント層としての未延伸ポリプロピレンフィルム(トーセロCP RXC-22(CPPフィルム、#60)、三井化学東セロ社製)を、接着剤の表面にラミネートし、40℃で3日間養生した。
【0265】
これにより、積層体としてのラミネートフィルムを得た。
【0266】
実施例2、6、8~13、比較例1、2および5
表1~表3に記載の処方でアクリルポリオール溶液(固形分濃度50%)を調製した。また、アクリルポリオール溶液(固形分濃度50%)0.7gと酢酸エチル8.4gを混合した後、タケネートD-110N(三井化学社製、XDIのトリメチロールプロパン付加体、固形分濃度75%、酢酸エチル溶液)0.9gを混合した。その他は、参考例1と同じ方法で、コーティング組成物およびラミネートフィルムを得た。
【0267】
実施例3
表1に記載の処方でアクリルポリオール溶液(固形分濃度50%)を調製した。また、アクリルポリオール溶液(固形分濃度50%)1.0gと酢酸エチル8.3gを混合した後、タケネートD-110N(三井化学社製、XDIのトリメチロールプロパン付加体、固形分濃度75%、酢酸エチル溶液)0.7gを混合した。その他は、参考例1と同じ方法で、コーティング組成物およびラミネートフィルムを得た。
【0268】
参考例4
表1に記載の処方でアクリルポリオール溶液(固形分濃度50%)を調製した。また、アクリルポリオール溶液(固形分濃度50%)1.3gと酢酸エチル8.2gを混合した後、タケネートD-110N(三井化学社製、XDIのトリメチロールプロパン付加体、固形分濃度75%、酢酸エチル溶液)0.5gを混合した。その他は、参考例1と同じ方法で、コーティング組成物およびラミネートフィルムを得た。
【0269】
実施例5
表1に記載の処方でアクリルポリオール溶液(固形分濃度50%)を調製した。また、アクリルポリオール溶液(固形分濃度50%)1.0gと酢酸エチル8.3gを混合した後、タケネートD-110N(三井化学社製、XDIのトリメチロールプロパン付加体、固形分濃度75%、酢酸エチル溶液)0.7gを混合した。その他は、参考例1と同じ方法で、コーティング組成物およびラミネートフィルムを得た。
【0270】
実施例7
表1に記載の処方でアクリルポリオール溶液(固形分濃度50%)を調製した。また、アクリルポリオール溶液(固形分濃度50%)0.9gと酢酸エチル8.4gを混合した後、タケネートD-110N(三井化学社製、XDIのトリメチロールプロパン付加体、固形分濃度75%、酢酸エチル溶液)0.7gを混合した。その他は、参考例1と同じ方法で、コーティング組成物およびラミネートフィルムを得た。
【0271】
実施例14
表2に記載の処方でアクリルポリオール溶液(固形分濃度50%)を調製した。また、アクリルポリオール溶液(固形分濃度50%)0.5gと酢酸エチル8.4gを混合した後、タケネートD-110N(三井化学社製、XDIのトリメチロールプロパン付加体、固形分濃度75%、酢酸エチル溶液)0.7gおよびタケネートT-50(三井化学社製、XDI単量体)0.2gを混合した。その他は、参考例1と同じ方法で、コーティング組成物およびラミネートフィルムを得た。
【0272】
実施例15
表2に記載の処方でアクリルポリオール溶液(固形分濃度50%)を調製した。また、アクリルポリオール溶液(固形分濃度50%)0.7gと酢酸エチル8.4gを混合した後、タケネートD-131N(三井化学社製、XDIのイソシアヌレート変性体、固形分濃度75%、酢酸エチル溶液)0.9gを混合した。その他は、参考例1と同じ方法で、コーティング組成物およびラミネートフィルムを得た。
【0273】
実施例16
表2に記載の処方でアクリルポリオール溶液(固形分濃度50%)を調製した。また、アクリルポリオール溶液(固形分濃度50%)0.7gと酢酸エチル8.5gを混合した後、タケネートD-103H(三井化学社製、TDIのトリメチロールプロパン付加体、固形分濃度75%、酢酸エチル溶液)0.8gを混合した。その他は、参考例1と同じ方法で、コーティング組成物およびラミネートフィルムを得た。
【0274】
比較例3および4
表3に記載の処方でアクリルポリオール溶液(固形分濃度50%)を調製した。
【0275】
しかし、アクリルポリオール溶液(固形分濃度50%)0.7gと酢酸エチル8.4gを混合したところ、アクリルポリオールが酢酸エチルに溶解せず、コーティング組成物を得られなかった。
【0276】
比較例6
表3に記載の処方でアクリルポリオール溶液(固形分濃度50%)を調製した。また、アクリルポリオール溶液(固形分濃度50%)0.7gと酢酸エチル8.4gを混合した後、タケネートD-160(三井化学社製、HDIのトリメチロールプロパン付加体、固形分濃度75%酢酸エチル溶液)0.9gを混合した。その他は、参考例1と同じ方法で、コーティング組成物およびラミネートフィルムを得た。
【0277】
実施例17および比較例7~10
基材フィルムとして、アルミナ蒸着PETフィルム(アルミナ蒸着ポリエチレンテレフタレートフィルム)に代えて、シリカ蒸着PETフィルム(シリカ蒸着ポリエチレンテレフタレートフィルム)を用いた以外は、実施例2、比較例1~2および比較例5~6と、それぞれ同じ方法で、コーティング組成物およびラミネートフィルムを得た。
【0278】
実施例18および比較例11~14
基材フィルムとして、アルミナ蒸着PETフィルム(アルミナ蒸着ポリエチレンテレフタレートフィルム)に代えて、シリカ蒸着BOPPフィルム(シリカ蒸着二軸延伸ポリプロピレンフィルム)を用いた以外は、実施例2、比較例1~2および比較例5~6と、それぞれ同じ方法で、コーティング組成物およびラミネートフィルムを得た。
【0279】
<評価>
(1)レトルト処理
ラミネートフィルムを、120℃で30分間、0.2MPaの加圧下で、熱水滅菌処理(レトルト処理)した。
【0280】
(2)酸素透過度の測定
酸素透過測定装置(OX-TRAN2/20、MOCON社製)を用いて、熱水殺菌処理前後の各ラミネートフィルムの、それぞれの20℃における、相対湿度80%(80%RH)での1m2、1日および1気圧当たりの酸素透過量(OTR:cc/m2・24hr.atm)を測定した。
【0281】
また、レトルト処理の前後の酸素透過量から、レトルト処理によるOTR低下率を、下記式に基づいて算出した。
【0282】
OTR低下率=レトルト処理前の酸素透過量/レトルト処理後の酸素透過量
【0283】
(3)密着性(ラミネート強度)の測定
各ラミネートフィルムの、無機薄膜層とポリウレタン層との間のラミネート強度(N)を、JIS K 6854(1999)に準拠したT字剥離試験(15mm幅)により、剥離速度300mm/minで測定した。
【0284】
(4)ブロッキング性
ポリウレタン層と樹脂フィルムとを接触(面積20cm2)させ、40℃で24時間保管した。
【0285】
次いで、ポリウレタン層と樹脂フィルムとを、引張試験機により、300mm/minの速度でせん断方向に剥離した。
【0286】
ブロッキング性について、以下の基準に基づき評価した。
〇:強度が1N以下であった。
△:強度が1N以上かつ、手で容易に剥離できた。
×:強度が2N以上であった。
【0287】
【0288】
【0289】
【0290】
【0291】
なお、表中の略号の詳細を下記する。
【0292】
AA:アクリル酸
St:スチレン
MMA:メチルメタクリレート
BA:n-ブチルアクリレート
AN:アクリロニトリル
HEA:2-ヒドロキシエチルアクリレート
HEMA:2-ヒドロキシエチルメタクリレート
OTR:酸素透過度
D-110N:タケネートD-110N、XDIのトリメチロールプロパン付加体、固形分濃度75%、酢酸エチル溶液、三井化学社製
D-131N:タケネートD-131N、XDIのイソシアヌレート変性体、固形分濃度75%、酢酸エチル溶液、三井化学社製
T-50:タケネートT-50、XDI単量体、三井化学社製
D-103H:タケネートD-103H、TDIのトリメチロールプロパン付加体、固形分濃度75%、酢酸エチル溶液、三井化学社製
AlOxPET:アルミナ蒸着ポリエチレンテレフタレートフィルム
SiOxPET:シリカ蒸着ポリエチレンテレフタレートフィルム
SiOxBOPP:シリカ蒸着二軸延伸ポリプロピレンフィルム
MF:基材切れ(基材フィルム破断)
【0293】
なお、上記発明は、本発明の例示の実施形態として提供したが、これは単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。当該技術分野の当業者によって明らかな本発明の変形例は、後記特許請求の範囲に含まれるものである。
【産業上の利用可能性】
【0294】
本発明のコーティング組成物および積層体は、食品の包装材料分野、飲料の包装材料分野、医薬品の包装材料分野、および、医薬部外品の包装材料分野において、好適に用いられる。
【符号の説明】
【0295】
1 ラミネートフィルム
2 樹脂フィルム
3 無機薄膜層
4 ポリウレタン層
5 接着層
6 シーラント層