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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-13
(45)【発行日】2024-12-23
(54)【発明の名称】バッテリ管理システム
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/48 20060101AFI20241216BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20241216BHJP
   H02J 7/02 20160101ALI20241216BHJP
   H01M 10/42 20060101ALI20241216BHJP
【FI】
H01M10/48 P
H01M10/48 301
H02J7/00 U
H02J7/02 U
H01M10/42 P
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022546224
(86)(22)【出願日】2021-08-19
(86)【国際出願番号】 JP2021030421
(87)【国際公開番号】W WO2022050069
(87)【国際公開日】2022-03-10
【審査請求日】2023-02-27
(31)【優先権主張番号】P 2020148412
(32)【優先日】2020-09-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101683
【弁理士】
【氏名又は名称】奥田 誠司
(74)【代理人】
【識別番号】100139930
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 亮司
(72)【発明者】
【氏名】山本 一輝
【審査官】右田 勝則
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/115069(WO,A1)
【文献】国際公開第2012/133212(WO,A1)
【文献】特開2013-211944(JP,A)
【文献】特開2015-099782(JP,A)
【文献】特開2017-079131(JP,A)
【文献】特開2020-202166(JP,A)
【文献】特開2017-005939(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/48
H02J 7/00
H02J 7/02
H01M 10/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の単電池を備えるバッテリパックを複数個組み合わせたバッテリユニットの情報を管理するバッテリ管理システムであって、
複数の前記バッテリパックそれぞれの状態を示すバッテリパック情報を取得し、前記取得したバッテリパック情報に基づいて前記バッテリユニットの状態を示すバッテリユニット情報を取得する情報処理装置と、
インターネットを介して前記情報処理装置から送信された前記バッテリユニット情報を受信し、前記受信したバッテリユニット情報の少なくとも一部を、前記バッテリユニットを使用するユーザの端末装置にインターネットを介して送信するサーバと、
を備え
前記情報処理装置は、前記バッテリユニットに属する互いに並列接続された二つ以上のバッテリパックであって、出力電圧が互いに異なる前記二つ以上のバッテリパックの出力を合成した前記バッテリユニットの出力を演算し、
前記バッテリユニット情報は、演算した前記バッテリユニットの出力を示す情報を含む、バッテリ管理システム。
【請求項2】
前記情報処理装置は、出力電圧が互いに異なる前記二つ以上のバッテリパックのそれぞれから出力された電圧が互いに同じ大きさになるように調整したときの、前記二つ以上のバッテリパックの出力を合成した前記バッテリユニットの出力を演算する、請求項1に記載のバッテリ管理システム。
【請求項3】
前記バッテリパック情報は、前記複数のバッテリパックそれぞれの電圧、電流、出力、温度、SOC(State Of Charge)のうちの少なくとも一つに関する情報を含み、
前記情報処理装置は、前記バッテリパック情報を用いて前記バッテリユニット情報を演算する、請求項1または2に記載のバッテリ管理システム。
【請求項4】
前記バッテリユニット情報は、前記バッテリユニットの電圧、電流温度、SOC(State Of Charge)のうちの少なくとも一つに関する情報をさらに含む、請求項1から3のいずれかに記載のバッテリ管理システム。
【請求項5】
前記情報処理装置は、前記バッテリパック情報に基づいて取得した前記バッテリユニット情報の一部を前記サーバに送信する、請求項1からのいずれかに記載のバッテリ管理システム。
【請求項6】
前記サーバは、前記情報処理装置から受信したバッテリユニット情報の一部を、前記ユーザの端末装置に送信する、請求項1からのいずれかに記載のバッテリ管理システム。
【請求項7】
前記サーバは、前記ユーザの端末装置に送信しなかった前記バッテリユニット情報の内容に関して、送信のリクエストを前記ユーザの端末装置から受信した場合、前記リクエストされた前記バッテリユニット情報の内容を、前記ユーザの端末装置に送信する、請求項に記載のバッテリ管理システム。
【請求項8】
前記サーバは、前記バッテリパック情報の送信のリクエストを前記ユーザの端末装置から受信した場合、前記バッテリパック情報の送信のリクエストを前記情報処理装置に送信し、
前記サーバから前記リクエストを受信した前記情報処理装置は、前記バッテリパック情報を前記サーバに送信し、
前記サーバは、前記情報処理装置から受信した前記バッテリパック情報を、前記ユーザの端末装置に送信する、請求項1からのいずれかに記載のバッテリ管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のバッテリパックを組み合わせたバッテリユニットの情報を管理するバッテリ管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
バッテリから供給される電力により動作する機械として、例えば電動車両および電動補助車両等がある。一般に、これらの車両にはバッテリが搭載され、バッテリから供給される電力により電動モータは回転し、車両は走行することができる。バッテリは充電可能であり、充電することで繰り返し使用することができる。
【0003】
近年、環境保護の観点から、上記のような車両等で使用されたバッテリを別の機械に搭載して再利用することが提案されている。特許文献1は、バッテリを現在使用している車両の情報およびその車載バッテリの情報を取得することで、再利用可能なバッテリがいつ、どの程度の量供給されるのかを予測するシステムを開示している。これにより、バッテリの再利用を行う業者は、バッテリの調達計画および装置の製造計画を立てることが容易になる。
【0004】
このように、リサイクルを前提として個々のバッテリの状態を管理することで、バッテリの再利用が容易になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際公開第2012/133212号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のような個々のバッテリに関する情報は、バッテリを単体で中古バッテリとして再利用する場合や、バッテリを資源とみなして分解してリサイクルする場合には有用である。しかしながら、バッテリを単体で中古バッテリとして再利用する場合、その中古バッテリの出力特性に適合する車両および装置に使用用途が限られるなど、用途が著しく限定されるという課題がある。また、バッテリを分解してリサイクルする場合、バッテリを資源として再び利用できるように分解および分別することが必要であり、リサイクルにおける労力およびコストがかかるという課題がある。
【0007】
本発明は、バッテリパックを幅広い使用用途に適合させやすくするバッテリ管理システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のある実施形態に係るバッテリ管理システムは、複数の単電池を備えるバッテリパックを複数個組み合わせたバッテリユニットの情報を管理するバッテリ管理システムであって、複数の前記バッテリパックそれぞれの状態を示すバッテリパック情報を取得し、前記取得したバッテリパック情報に基づいて前記バッテリユニットの状態を示すバッテリユニット情報を取得する情報処理装置と、前記情報処理装置から送信された前記バッテリユニット情報を受信し、前記受信したバッテリユニット情報の少なくとも一部を、前記バッテリユニットを使用するユーザの端末装置に送信するサーバと、を備える。
【0009】
複数のバッテリパックを組み合わせたバッテリユニットを使用するシステムにおいて、情報処理装置によりバッテリユニット情報を取得してサーバへ送信する。複数のバッテリパックそれぞれの情報をサーバへ送信する必要がないため、情報処理装置とサーバとの間のデータ通信量を低減させることができる。
【0010】
バッテリユニットを使用するユーザは、サーバから送信されたバッテリユニット情報を参照することで、バッテリユニットを適切に使用することができる。ユーザは、個々のバッテリパックの状態を気にすることなく、バッテリユニットを評価できるため、ユーザ側の利便性を高めることができる。
【0011】
バッテリユニットの提供者は、バッテリユニットの仕様をユーザに開示すればよく、個々のバッテリパックの仕様をユーザに開示する必要はない。このため、使用するバッテリパックの選択肢が広がるとともに、バッテリパックの組み合わせ方の選択肢も広がり、幅広い使用用途に適合させることができる。
【0012】
ある実施形態において、前記バッテリパック情報は、前記複数のバッテリパックそれぞれの電圧、電流、出力、温度、SOC(State Of Charge)のうちの少なくとも一つに関する情報を含み、前記情報処理装置は、前記バッテリパック情報を用いて前記バッテリユニット情報を演算してもよい。
【0013】
バッテリパック情報が示す内容からバッテリユニット情報を演算することができる。
【0014】
ある実施形態において、前記バッテリユニット情報は、前記バッテリユニットの電圧、電流、出力、温度、SOC(State Of Charge)のうちの少なくとも一つに関する情報を含んでもよい。
【0015】
バッテリユニットを使用するユーザは、バッテリユニット情報を用いてバッテリユニットを評価することができる。
【0016】
ある実施形態において、前記情報処理装置は、前記バッテリパック情報に基づいて取得した前記バッテリユニット情報の一部を前記サーバに送信してもよい。
【0017】
バッテリユニット情報の一部のみをサーバに送信することで、情報処理装置とサーバとの間のデータ通信量をさらに低減させることができる。
【0018】
ある実施形態において、前記サーバは、前記情報処理装置から受信したバッテリユニット情報の一部を、前記ユーザの端末装置に送信してもよい。
【0019】
バッテリユニット情報の一部のみをユーザの端末装置に送信することで、サーバとユーザの端末装置との間のデータ通信量を低減させることができる。
【0020】
ある実施形態において、前記サーバは、前記ユーザの端末装置に送信しなかった前記バッテリユニット情報の内容に関して、送信のリクエストを前記ユーザの端末装置から受信した場合、前記リクエストされた前記バッテリユニット情報の内容を、前記ユーザの端末装置に送信してもよい。
【0021】
ユーザの端末装置に送信しなかった情報をユーザが必要とする場合は、その情報をユーザに提供することで、ユーザの利便性を高めることができる。
【0022】
ある実施形態において、前記サーバは、前記バッテリパック情報の送信のリクエストを前記ユーザの端末装置から受信した場合、前記バッテリパック情報の送信のリクエストを前記情報処理装置に送信し、前記サーバから前記リクエストを受信した前記情報処理装置は、前記バッテリパック情報を前記サーバに送信し、前記サーバは、前記情報処理装置から受信した前記バッテリパック情報を、前記ユーザの端末装置に送信してもよい。
【0023】
ユーザがバッテリパック情報を必要とする場合は、ユーザにバッテリパック情報を提供することで、ユーザの利便性を高めることができる。
【0024】
また、ユーザからリクエストされた場合のみバッテリパック情報を送信することで、データ通信量を低減させることができる。
【発明の効果】
【0025】
複数のバッテリパックを組み合わせたバッテリユニットを使用するシステムにおいて、情報処理装置によりバッテリユニット情報を取得してサーバへ送信する。複数のバッテリパックそれぞれの情報をサーバへ送信する必要がないため、情報処理装置とサーバとの間のデータ通信量を低減させることができる。
【0026】
バッテリユニットを使用するユーザは、サーバから送信されたバッテリユニット情報を参照することで、バッテリユニットを適切に使用することができる。ユーザは、個々のバッテリパックの状態を気にすることなく、バッテリユニットを評価できるため、ユーザ側の利便性を高めることができる。
【0027】
バッテリユニットの提供者は、バッテリユニットの仕様をユーザに開示すればよく、個々のバッテリパックの仕様をユーザに開示する必要はない。このため、使用するバッテリパックの選択肢が広がるとともに、バッテリパックの組み合わせ方の選択肢も広がり、幅広い使用用途に適合させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の実施形態に係るバッテリ管理システム100を示す図である。
図2】本発明の実施形態に係るバッテリユニット200を示す斜視図である。
図3】本発明の実施形態に係るバッテリユニット200およびバッテリパック10の一例を示す図である。
図4】本発明の実施形態に係るバッテリユニット200の動作を示すフローチャートである。
図5】本発明の実施形態に係るサーバ300の動作を示すフローチャートである。
図6】本発明の実施形態に係る単電池情報101、バッテリパック情報110、バッテリユニット情報220の一例を示す図である。
図7】本発明の実施形態に係るサーバ300の動作の別の例を示すフローチャートである。
図8】本発明の実施形態に係るバッテリユニット200の第2上限出力を演算する処理を示すフローチャートである。
図9】本発明の実施形態に係るバッテリユニット200の第2上限出力の演算の一例を示す図である。
図10】本発明の実施形態に係るバッテリユニット200の第2上限出力の演算の別の例を示す図である。
図11】本発明の実施形態に係る複数のバッテリパック10から得られる複数のグループを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態に係るバッテリ管理システムを説明する。実施形態の説明においては、同様の構成要素には同様の参照符号を付し、重複する場合にはその説明を省略する。以下の実施形態は例示であり、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0030】
図1は、本発明の実施形態に係るバッテリ管理システム100を示す図である。バッテリ管理システム100は、複数のバッテリパック10を組み合わせたバッテリユニット200の情報を管理する。バッテリ管理システム100では、バッテリユニット200は、通信ネットワーク500を介してサーバ300と情報の送受信を行う。例えば、バッテリユニット200は、バッテリユニット200の状態を示すバッテリユニット情報をサーバ300に送信する。通信ネットワーク500は例えばインターネットであるが、それに限定されない。
【0031】
サーバ300は、バッテリユニット200から送信されたバッテリユニット情報を受信する。サーバ300は、通信ネットワーク500を介して、バッテリユニット200を使用するユーザの端末装置400と情報の送受信を行う。例えば、サーバ300は、受信したバッテリユニット情報の少なくとも一部を、ユーザ端末装置400に送信する。
【0032】
図2は、バッテリユニット200を示す斜視図である。バッテリユニット200では、複数のバッテリパック10を組み合わせて充放電を行う。バッテリユニット200は、例えば定置用蓄電システムとして用いられる。定置用蓄電システムは、例えば、太陽光発電設備および風力発電設備等の再生可能エネルギーを利用する発電設備で用いられ得る。また、定置用蓄電システムは、災害時等の非常用電源としても用いられ得る。
【0033】
バッテリユニット200は、筐体2と、筐体2に設けられた複数のコネクタ(接続装置)3とを備える。コネクタ3の個数は2個以上の任意の個数である。複数のコネクタ3のそれぞれにはバッテリパック10が接続される。バッテリユニット200は、複数のバッテリパック10のうちの1個以上のバッテリパック10を含むグループを一つの単位として放電を行う。
【0034】
バッテリユニット200の筐体2には、充電用コネクタ4、放電用コネクタ5および6が設けられている。充電用コネクタ4は例えば太陽光発電装置および風力発電装置等の発電装置に接続され、発電装置が発電した電力によりバッテリパック10を充電することができる。また、例えば、充電用コネクタ4が家庭用電源等の任意の電源に接続されることにより、バッテリパック10を充電してもよい。
【0035】
放電用コネクタ5および6は、例えば負荷(外部装置)に接続される。放電用コネクタ5および6からは、バッテリパック10から出力された電力が出力される。放電用コネクタ5からは直流の電力が出力される。放電用コネクタ6からは交流の電力が出力される。バッテリユニット200の用途に応じて、バッテリユニット200は放電用コネクタ5および6の一方のみを備えていてもよい。
【0036】
バッテリパック10のそれぞれは、バッテリユニット200に対して着脱可能である。バッテリパック10は、例えば、電動車両および電動補助車両等の機械に装着して使用されていた中古のバッテリパックである。それらの機械からバッテリパック10を取り外し、バッテリユニット200に装着して再利用する。なお、バッテリユニット200に装着されるバッテリパック10は、中古のバッテリパックに限定されず、新品のバッテリパックであってもよい。また、中古のバッテリパックと新品のバッテリパックとを混合して用いてもよい。バッテリユニット200で使用されるバッテリパック10は、その状態に応じて別のバッテリパック10と交換され得る。例えば、劣化が進んだバッテリパック10はバッテリユニット200から取り外され、別のバッテリパック10と交換される。
【0037】
図3は、バッテリユニット200およびバッテリパック10の一例を示す図である。
【0038】
本発明の実施形態を分かりやすく説明するために、以降の説明ではバッテリユニット200が3個のバッテリパック10を搭載する形態について主に説明するが、本発明の実施形態はそれに限定されない。バッテリユニット200に搭載されるバッテリパック10の個数は任意であり、2個でもよいし4個以上でもよく、それらの形態にも本発明は適用可能である。図3に示す例では、バッテリパック10として3個のバッテリパック10a、10b、10cがバッテリユニット200に搭載されている。
【0039】
バッテリパック10は、複数の単電池(セル)1と、バッテリマネージメントシステム(BMS)12と、コネクタ13とを備える。BMS12は、バッテリパック10の充放電等の各種動作を制御するとともに、バッテリパック10の各種状態を監視する。BMS12は、バッテリパック10の電圧、電流、温度、SOC(State of Charge)、SOH(State of Health)等を監視する。バッテリパック10のコネクタ13はバッテリユニット200のコネクタ3に接続される。複数の単電池1から出力された電流は、BMS12およびコネクタ13を介してバッテリユニット200内に供給される。
【0040】
バッテリユニット200において、複数のバッテリパック10a、10b、10cは互いに並列接続される。バッテリパック10aは、PWM(Pulse Width Modulation)用のスイッチング素子51、ダイオード61、放電用のスイッチング素子54を介してコンバータ41およびインバータ42に接続される。バッテリパック10bは、PWM用のスイッチング素子52、ダイオード62、放電用のスイッチング素子54を介してコンバータ41およびインバータ42に接続される。バッテリパック10cは、PWM用のスイッチング素子53、ダイオード63、放電用のスイッチング素子54を介してコンバータ41およびインバータ42に接続される。
【0041】
放電用コネクタ6に負荷(外部装置)71が接続されている場合、インバータ42は、入力された直流電圧を交流電圧に変換し、負荷71に出力する。放電用コネクタ5に負荷71が接続されている場合、コンバータ41は、入力された直流電圧の大きさを調整し、負荷71に出力する。バッテリユニット200の用途に応じて、バッテリユニット200はコンバータ41およびインバータ42の一方のみを備えていてもよい。
【0042】
充電用コネクタ4に発電装置73が接続されている場合、発電装置73から出力された電力は、充電用コネクタ4、充電用のスイッチング素子55を介して充電器43に入力される。充電器43は、電圧および電流の大きさを調整し、バッテリパック10に出力する。バッテリパック10aを充電する場合、充電器43から出力された電流は、ダイオード64およびコネクタ3を介してバッテリパック10aに供給される。バッテリパック10bを充電する場合、充電器43から出力された電流は、ダイオード65およびコネクタ3を介してバッテリパック10bに供給される。バッテリパック10cを充電する場合、充電器43から出力された電流は、ダイオード66およびコネクタ3を介してバッテリパック10cに供給される。
【0043】
スイッチング素子51、52、53、54、55は、例えば電界効果トランジスタ(FET)であるが、それらのスイッチング素子は電界効果トランジスタに限定されず、任意のスイッチング素子が用いられ得る。
【0044】
情報処理装置30は、バッテリユニット200の動作を制御する制御装置である。情報処理装置30は、プロセッサ31と、メモリ32と、通信回路33とを備える。プロセッサ31は、バッテリユニット200の動作を制御する信号処理回路(コンピュータ)である。典型的にはプロセッサ31は半導体集積回路である。
【0045】
メモリ32は、バッテリユニット200の動作の制御をプロセッサ31に実行させるためのコンピュータプログラムを記憶している。そのようなコンピュータプログラムは、それが記録された記録媒体(半導体メモリ、光ディスク等)からバッテリユニット200へインストールしてもよいし、インターネット等の電気通信回線を介してダウンロードしてもよい。また、無線通信を介してそのようなコンピュータプログラムをバッテリユニット200へインストールしてもよい。このようなコンピュータプログラムは、パッケージソフトウェアとして販売され得る。プロセッサ31は、メモリ32に記憶されたコンピュータプログラムを実行してバッテリユニット200の動作を制御する。
【0046】
プロセッサ31は、通信回路33を介してバッテリパック10のBMS12と通信を行う。また、プロセッサ31は、通信回路33を介してサーバ300と通信を行う。プロセッサ31は、バッテリパック10を充放電するときにBMS12との間で必要な情報の送受信を行う。また、プロセッサ31は、バッテリパック10の電圧、電流、温度等のバッテリパック情報をBMS12から受け取る。
【0047】
プロセッサ31は、コンバータ41、インバータ42、充電器43、スイッチング素子51、52、53、54、55の動作を制御する。バッテリユニット200の放電動作時は、プロセッサ31は、スイッチング素子54をオンにする。プロセッサ31は、スイッチング素子51、52、53のオンとオフを繰り返し切り替えることでPWM制御を実行する。PWM制御により変調された直流電圧は、コンバータ41またはインバータ42に入力される。バッテリパック10の充電動作時は、プロセッサ31は、スイッチング素子55をオンにするとともに、充電器43の動作を制御して、充電を行うバッテリパック10に電力を供給する。
【0048】
充電を行う場合、スイッチング素子51、52、53のうちの充電の対象となるバッテリパック10に対応するスイッチング素子はオフにしてもよい。例えば、バッテリパック10a、10b、10cの中でバッテリパック10cの電圧が最も低く、バッテリパック10cの充電を行うとする。バッテリパック10cの充電時は、スイッチング素子53をオフにすることで、充電用の電流が回路の放電側に流れることを防止できる。これにより、バッテリパック10aおよび10bを放電させながら、バッテリパック10cの充電を行うことができる。このようにバッテリユニット200では、充電と放電とを並行して行うことができる。充電対象のバッテリパック10cの電圧と、放電させるバッテリパック10aおよび10bの電圧との乖離を解消させることができ、バッテリパック10cが所望のレベルまで充電された後は、バッテリパック10cをバッテリパック10aおよび10bとともに放電させることができる。
【0049】
また、充電を行う場合、スイッチング素子51、52、53のうちの充電の対象となるバッテリパック10に対応するスイッチング素子をオンにしてもよい。例えば、バッテリパック10cを充電する場合、スイッチング素子53をオンにする。この場合、充電用の電流の一部は、回路の放電側に流れる。すなわち、充電器43から出力された電力の一部は、放電用の電力として用いられる。充電対象のバッテリパック10cから出力される電流が減少するため、バッテリパック10cの電圧と、バッテリパック10aおよび10bの電圧との乖離を小さくすることができる。
【0050】
次に、バッテリ管理システム100がバッテリユニット情報を管理する動作をより詳細に説明する。
【0051】
図4は、バッテリユニット200の動作を示すフローチャートである。図5は、サーバ300の動作を示すフローチャートである。図6は、単電池情報101、バッテリパック情報110、バッテリユニット情報220の一例を示す図である。図6の二点鎖線で囲んだ情報が単電池情報101である。一点鎖線で囲んだ情報がバッテリパック情報110である。点線で囲んだ情報がバッテリユニット情報220である。
【0052】
バッテリパック10のBMS12(図3)は、複数の単電池1それぞれの電圧であるセル電圧を検出する。また、複数の単電池1の集合体における複数箇所の温度であるセル温度を検出する。単電池情報101にはこれらの検出値が含まれる。
【0053】
BMS12は、単電池情報101等を用いてバッテリパック情報110を生成する。バッテリパック情報110は、複数のバッテリパック10それぞれの状態を示す情報である。バッテリパック情報110は、複数のバッテリパック10それぞれの電圧、電流、出力、温度、SOC、SOH等に関する情報を含む。
【0054】
バッテリパック10の上限出力は、バッテリパック10が出力可能な電力の上限値である。上限出力は、バッテリパック10の現在の状態に応じて変化する。例えば、上限出力は、SOCおよび温度等に応じて変化する。以降の説明では、バッテリパック10の上限出力を“第1上限出力”と表現する。
【0055】
BMS12は、バッテリパック10の電圧を検出する。BMS12は、電圧の検出値に対応するバッテリパック10の上限電流を取得する。上限電流は、バッテリパック10の電圧が検出された大きさである場合に、そのときのバッテリパック10が出力可能な電流の上限値である。例えば、BMS12は、電圧と上限電流との関係を示すマップを予め記憶している。BMS12は、そのようなマップを用いて電圧の検出値から上限電流を取得することができる。BMS12は、電圧の検出値と上限電流の値とを乗算することで、バッテリパック10の第1上限出力を取得する。
【0056】
バッテリパック10の最大電圧および最小電圧は、バッテリパック10に含まれる複数の単電池1の電圧のうちの最大値および最小値を示している。バッテリパック10の最大温度および最小温度は、複数の単電池1の集合体における複数箇所の温度のうちの最大値および最小値を示している。
【0057】
BMS12は、それらの情報を含むバッテリパック情報110をプロセッサ31(図3)に出力し、プロセッサ31はバッテリパック情報110を取得する(図4のステップS10)。なお、プロセッサ31が電圧の検出値と上限電流の値とを乗算することで第1上限出力を取得してもよい。
【0058】
プロセッサ31は、バッテリパック情報110に基づいてバッテリユニット情報220を取得する(ステップS11)。バッテリユニット情報220は、バッテリユニット200の状態を示す情報である。バッテリユニット情報220は、バッテリユニット200の電圧、電流、出力、温度、SOC、SOH等に関する情報を含む。
【0059】
バッテリユニット200の上限出力は、バッテリユニット200が出力可能な電力の上限値である。以降の説明では、バッテリユニット200の上限出力を“第2上限出力”と表現する。プロセッサ31は、例えば、バッテリパック10それぞれの第1上限出力を用いて、バッテリユニット200の第2上限出力を演算する。
【0060】
バッテリユニット200の最大電圧および最小電圧は、バッテリユニット200に含まれる複数のバッテリパック10の電圧のうちの最大値および最小値を示している。バッテリユニット200の最大温度および最小温度は、バッテリユニット200に含まれる複数のバッテリパック10の温度のうちの最大値および最小値を示している。
【0061】
プロセッサ31は、通信回路33(図3)を用いてバッテリユニット情報220をサーバ300に送信する(ステップS12)。図1および図5を参照して、サーバ300は、通信ネットワーク500を介してバッテリユニット200からバッテリユニット情報220を受信する(ステップS20)。
【0062】
サーバ300は、例えば、図示しないプロセッサ、記憶装置、通信回路等を備える。サーバ300は、受信したバッテリユニット情報220を記憶装置に記憶する。また、サーバ300は、バッテリユニット情報220を、バッテリユニット200を使用するユーザの端末装置400に送信する(ステップS21)。ユーザ端末装置400は、通信ネットワーク500を介してサーバ300からバッテリユニット情報220を受信する。ユーザは、受信したバッテリユニット情報220を用いて、バッテリユニット200の充放電の設定を行うことができる。
【0063】
本実施形態のバッテリ管理システム100では、バッテリユニット200の情報処理装置30(図3)によりバッテリユニット情報220を取得して、その取得したバッテリユニット情報220をサーバ300へ送信する。複数のバッテリパック10それぞれのバッテリパック情報110をサーバ300へ送信する必要がないため、情報処理装置30とサーバ300との間のデータ通信量を低減させることができる。
【0064】
例えば、バッテリユニット200が24個のバッテリパック10を備える場合、24個分のバッテリパック情報110(図6)をサーバ300へ送信すると、データ通信量が大きくなってしまう。本実施形態では、24個分のバッテリパック情報110を集約して生成したバッテリユニット情報220をサーバ300へ送信する。この場合、データ通信量を概ね1/24に低減させることができる。なお、バッテリパック10の個数24個は一例であり、バッテリパック10の個数はそれに限定されない。
【0065】
バッテリユニット200を使用するユーザは、サーバ300から送信されたバッテリユニット情報220を参照することで、バッテリユニット200を適切に使用することができる。ユーザは、多数のバッテリパック情報110を見ながら、バッテリユニット200をどのように動作させるかについて悩む必要はない。ユーザは、個々のバッテリパック10の状態を気にすることなく、バッテリユニット200を評価できるため、ユーザ側の利便性を高めることができる。
【0066】
バッテリユニット200の提供者は、バッテリユニット200の仕様をユーザに開示すればよく、個々のバッテリパック10の仕様をユーザに開示する必要はない。このため、使用するバッテリパック10の選択肢が広がるとともに、バッテリパック10の組み合わせ方の選択肢も広がり、幅広い使用用途に適合させることができる。
【0067】
また、ユーザがバッテリパック情報110を必要とする場合は、ユーザにバッテリパック情報110を提供する。図5を参照して、サーバ300は、バッテリパック情報110の送信のリクエストをユーザ端末装置400から受信したか判定する(ステップS22)。リクエストをユーザ端末装置400から受信したと判定した場合、サーバ300は、バッテリパック情報110の送信のリクエストをバッテリユニット200に送信する(ステップS23)。
【0068】
図4を参照して、バッテリユニット200のプロセッサ31は、バッテリパック情報110の送信のリクエストをサーバ300から受信したか判定する(ステップS13)。リクエストをサーバ300から受信したと判定した場合、プロセッサ31は、バッテリパック情報110をサーバ300に送信する(ステップS14)。
【0069】
図5を参照して、サーバ300は、バッテリユニット200から送信されたバッテリパック情報110を受信する(ステップS24)。サーバ300は、受信したバッテリパック情報110を、ユーザ端末装置400に送信する(ステップS25)。
【0070】
バッテリユニット200の動作を停止する場合は、情報の送受信を終了する(ステップS15、S26)。
【0071】
バッテリユニット200のユーザがバッテリパック情報110を必要とする場合は、ユーザにバッテリパック情報110を提供することで、ユーザの利便性を高めることができる。また、ユーザからリクエストされた場合のみバッテリパック情報110を送信することで、データ通信量を低減させることができる。
【0072】
なお、サーバ300は、バッテリユニット情報220の一部のみをユーザ端末装置400に送信してもよい。これにより、サーバ300とユーザ端末装置400との間のデータ通信量を低減させることができる。
【0073】
図7は、サーバ300の動作の別の例を示すフローチャートである。
【0074】
図4および図7を参照して、バッテリユニット200のプロセッサ31は、バッテリユニット情報220をサーバ300に送信する(ステップS12)。サーバ300は、バッテリユニット200からバッテリユニット情報220を受信する(ステップS30)。サーバ300は、受信したバッテリユニット情報220の一部を、ユーザ端末装置400に送信する(ステップS31)。このように、バッテリユニット情報220の一部のみをユーザ端末装置400に送信することで、サーバ300とユーザ端末装置400との間のデータ通信量を低減させることができる。
【0075】
サーバ300は、ユーザ端末装置400に送信しなかったバッテリユニット情報220の内容に関して、送信のリクエストをユーザ端末装置400から受信したか判定する(ステップS32)。リクエストを受信したと判定した場合、サーバ300は、リクエストされたバッテリユニット情報220の内容をユーザ端末装置400に送信する(ステップS33)。このように、ユーザ端末装置400に送信しなかった情報をユーザが必要とする場合は、その情報をユーザに提供することで、ユーザの利便性を高めることができる。バッテリユニット200の動作を停止する場合は、情報の送受信を終了する(ステップS34)。
【0076】
また、バッテリユニット200の情報処理装置30は、バッテリユニット情報220の一部をサーバ300に送信してもよい。バッテリユニット情報220の一部のみをサーバ300に送信することで、バッテリユニット200とサーバ300との間のデータ通信量をさらに低減させることができる。この場合、ユーザ端末装置400に送信しなかったバッテリユニット情報220の内容に関して、送信のリクエストをサーバ300がユーザ端末装置400から受信した場合は、情報処理装置30は、そのリクエストされたバッテリユニット情報220の内容をサーバ300に送信してもよい。サーバ300は、受信したバッテリユニット情報220の内容をユーザ端末装置400に送信する。ユーザ端末装置400に送信しなかった情報をユーザが必要とする場合は、その情報をユーザに提供することで、ユーザの利便性を高めることができる。
【0077】
次に、本実施形態に係るバッテリユニット200の上限出力の演算方法の一例を説明する。
【0078】
プロセッサ31は、複数のバッテリパック10の放電を制御する。プロセッサ31は、1個以上のバッテリパック10を放電させるときのバッテリユニット200の第2上限出力を演算する。上述したように、第2上限出力は、バッテリユニット200が出力可能な電力の上限値である。
【0079】
図8は、バッテリユニット200の第2上限出力を演算する処理を示すフローチャートである。図9は、バッテリユニット200の第2上限出力の演算の一例を示す図である。図10は、バッテリユニット200の第2上限出力の演算の別の例を示す図である。図11は、複数のバッテリパック10のうちの1個以上を含む複数のグループを示す図である。
【0080】
図11を参照して、バッテリパック10の個数が3個のとき、1個以上のバッテリパック10を含むグループの数は7個になる。図11は、それら7個のグループ80i、80j、80k、80l、80m、80n、80oを示している。プロセッサ31は、複数のグループ80i、80j、80k、80l、80m、80n、80oそれぞれの上限出力を演算する。グループの上限出力は、そのグループが出力可能な電力の上限値である。以降の説明では、グループの上限出力を“第3上限出力”と表現する。
【0081】
プロセッサ31は、各バッテリパック10のBMS12から、電圧の検出値および上限電流の値を受け取る。図9は、バッテリパック10a、10b、10cの電圧および上限電流の一例を示している。各バッテリパック10の第1上限出力は、電圧と上限電流とを乗算することで得られる。
【0082】
図8を参照して、プロセッサ31は、複数のグループのうちの一つのグループに属するバッテリパック10を特定する(ステップS40)。例えば、グループ80iに属するバッテリパックはバッテリパック10a、10b、10cであることを特定する。
【0083】
プロセッサ31は、グループ80iに属するバッテリパック10a、10b、10cの中から最も電圧が低いバッテリパックを特定する(ステップS41)。図9に示す例では、最も電圧が低いバッテリパックとして、バッテリパック10aを特定する。プロセッサ31は、最も電圧が低いバッテリパック10aの電圧21.0(V)を基準電圧に設定する。
【0084】
プロセッサ31は、グループ80iに属する他のバッテリパック10b、10cそれぞれの電圧と、基準電圧との比を演算する。図9に示す例では、バッテリパック10bの電圧比は0.84、バッテリパック10cの電圧比は0.71である。
【0085】
プロセッサ31は、バッテリパック10a、10b、10cそれぞれのPWM制御に適用するデューティー比(DT比)を演算する(ステップS42)。デューティー比は、電圧比を二乗することで得られる。
【0086】
プロセッサ31は、演算したデューティー比を適用した場合のバッテリパック10a、10b、10cそれぞれの第1上限出力を演算する(ステップS43)。図9に示す例では、バッテリパック10aの第1上限出力は210(W)、バッテリパック10bの第1上限出力は266(W)、バッテリパック10cの第1上限出力は300(W)となる。
【0087】
プロセッサ31は、これらデューティー比を適用したときの第1上限出力を足し合わせて、グループの第3上限出力を取得する(ステップS44)。図9に示す例では、グループ80iの第3上限出力として776(W)を取得する。
【0088】
ステップS45において、プロセッサ31は、全てのグループの第3上限出力を演算したか判定する。全てのグループの第3上限出力の演算が完了していない場合、ステップS40の処理に戻り、演算が未だのグループについて処理を行う。
【0089】
図9に示す例では、プロセッサ31は、グループ80jに属するバッテリパック10b、10cの中から最も電圧が低いバッテリパック10bを特定する。プロセッサ31は、最も電圧が低いバッテリパック10bの電圧25.0(V)を基準電圧に設定する。そして、上述と同様の処理を行い、グループ80jの第3上限出力として798(W)を取得する。
【0090】
また、プロセッサ31は、グループ80kに属するバッテリパック10a、10cの中から最も電圧が低いバッテリパック10aを特定する。プロセッサ31は、最も電圧が低いバッテリパック10aの電圧21.0(V)を基準電圧に設定する。そして、上述と同様の処理を行い、グループ80kの第3上限出力として510(W)を取得する。同様に、プロセッサ31は、グループ80lの第3上限出力を演算する。図9では、グループ80lの第3上限出力を演算の例は省略している。また、図11に示すグループ80m、80n、80oのように、グループに属するバッテリパック10が1個である場合、そのグループの第3上限出力は、そのグループに属するバッテリパック10の第1上限出力となる。
【0091】
全てのグループの第3上限出力の演算が完了すると、ステップS46(図8)の処理に進む。ステップS46において、プロセッサ31は、全てのグループの第3上限出力の中で最大となる第3上限出力を選択する。プロセッサ31は、その選択した第3上限出力をバッテリユニット200の第2上限出力として設定する。図9に示す例では、グループ80jの第3上限出力798(W)が最大値となる。プロセッサ31は、その798(W)をバッテリユニット200の第2上限出力として設定する。
【0092】
図10は、バッテリユニット200の第2上限出力の演算の別の例を示している。図10に示すバッテリパック10a、10b、10cの状態は図9とは異なっている。図10に示す状態のバッテリパック10a、10b、10cに対して、上記と同様の処理を行う。プロセッサ31は、全てのグループの第3上限出力の中で最大となる第3上限出力を選択する。図10に示す例では、グループ80iの第3上限出力705(W)が最大値となる。プロセッサ31は、その705(W)をバッテリユニット200の第2上限出力として設定する。
【0093】
プロセッサ31は、演算した第2上限出力を含むバッテリユニット情報220をサーバ300に送信する(図4のステップS12)。サーバ300に送信する第2上限出力の値は、演算した第2上限出力の値よりも小さくてもよい。演算値よりも小さい値の第2上限出力をユーザに提示することで、余裕のある放電をバッテリユニット200に行わせることができる。
【0094】
図9に示すグループ80jの第3上限出力798(W)に基づいてバッテリユニット200の第2上限出力を設定した場合、プロセッサ31は、グループ80jに属するバッテリパック10bおよび10cを放電させる。
【0095】
プロセッサ31は、バッテリパック10bおよび10cの中で電圧が最も低いバッテリパック10bの電圧25.0(V)を基準電圧に設定する。プロセッサ31は、PWM制御により、他のバッテリパック10cから出力された電圧29.4(V)を基準電圧25.0(V)に調整する。放電用に選択したグループ80jに属するバッテリパック10bおよび10cのそれぞれから出力された電圧が互いに同じ大きさになるよう調整することで、そのグループ80jに属するバッテリパック10bおよび10cを並列接続して放電させることができる。
【0096】
図10に示すグループ80iの第3上限出力705(W)に基づいてバッテリユニット200の第2上限出力を設定した場合、プロセッサ31は、グループ80iに属するバッテリパック10a、10b、10cを放電させる。
【0097】
プロセッサ31は、バッテリパック10a、10b、10cの中で電圧が最も低いバッテリパック10aの電圧21.0(V)を基準電圧に設定する。プロセッサ31は、PWM制御により、他のバッテリパック10b、10cから出力された電圧を基準電圧21.0(V)に調整する。放電用に選択したグループ80iに属するバッテリパック10a、10b、10cのそれぞれから出力された電圧が互いに同じ大きさになるよう調整することで、そのグループ80iに属するバッテリパック10a、10b、10cを並列接続して放電させることができる。
【0098】
上述したように、本実施形態のバッテリユニット200では、複数のバッテリパック10の第1上限出力を用いてバッテリユニット200の第2上限出力を演算し、その演算したバッテリユニット200の第2上限出力に基づいて複数のバッテリパック10の放電を制御する。
【0099】
本実施形態では、バッテリユニット200に搭載される複数のバッテリパック10のうちの少なくとも一つは、他のバッテリパック10と仕様が異なっていてもよい。複数のバッテリパック10の間で仕様が互いに異なっていてもよい。
【0100】
複数のバッテリパック10の仕様が互いに同じ場合および互いに異なる場合に関わらず、上限出力はバッテリパック10毎に取得可能であり、この上限出力に基づいて複数のバッテリパック10を組み合わせる。複数のバッテリパック10の間で仕様が互いに異なっていても、上限出力はそれらバッテリパック10の間で共通の物理量となる。このため、上限出力を用いて各バッテリパック10を評価することにより、複数のバッテリパック10の間で仕様が互いに異なっていても、バッテリパック10同士を組み合わせることができる。これにより、バッテリパック10の選択の自由度を向上させることができる。
【0101】
また、複数のバッテリパック10の状態によっては、組み合わせたバッテリパック10の数が多いほど第3上限出力が大きくなるとは限らない。例えば、図9に示すバッテリパック10a、10b、10cの状態では、2個のバッテリパック10bおよび10cを組み合わせたときの第3上限出力が最大となっている。バッテリパック10の組み合わせ方が互いに異なる複数のグループそれぞれの第3上限出力を演算し、その中で最大となる第3上限出力をバッテリユニット200の第2上限出力に設定する。複数のバッテリパック10の組み合わせから得られる最大の第3上限出力を採用することにより、複数のバッテリパック10の能力を最大限に活かした放電が可能となる。
【0102】
また、図3を参照しながら説明したように、複数のバッテリパック10は、ダイオード61、62、63を介してコンバータ41およびインバータ42に接続される。放電用に選択したグループに含まれるバッテリパック10は互いに並列接続された状態で放電する。例えば、グループ80jが選択されている場合、バッテリパック10bおよび10cは互いに並列接続された状態で放電する。このとき、グループ80jに含まれないバッテリパック10aの正極端子は、ダイオード61を介して並列接続のノード68に接続されている。スイッチング素子51はオンにしておく。バッテリパック10aの電圧は、グループ80jの基準電圧よりも低いため、バッテリパック10aからは電流は流れない。
【0103】
放電中に負荷71の消費電力が急激に大きくなった場合、バッテリユニット200の出力電圧は急激に低下し得る。ノード68の電圧がバッテリパック10aの電圧よりも低くなると、ダイオード61を介して電流が流れ、バッテリパック10aからも負荷71に電力が供給されるようになる。このように、ダイオードを介して非選択のバッテリパック10を並列接続のノード68に接続しておくことにより、負荷71の消費電力が急激に大きくなった場合でもバッテリユニット200がダウンすることを抑制できる。
【0104】
上記の説明では、グループに含まれるバッテリパック10の中で電圧が最も低いバッテリパック10の電圧を基準電圧に設定したが、本発明はそれに限定されない。電圧が最も低いバッテリパック10以外のバッテリパック10の電圧を基準電圧に設定してもよい。この場合、基準電圧よりも低い電圧のバッテリパック10については、その電圧を昇圧することにより、同じグループに含まれるバッテリパック10のそれぞれから出力された電圧が互いに同じ大きさになるよう調整してもよい。
【0105】
以上、本発明の例示的な実施形態を説明した。
【0106】
本発明のある実施形態に係るバッテリ管理システム100は、複数の単電池1を備えるバッテリパック10を複数個組み合わせたバッテリユニット200の情報を管理する。バッテリ管理システム100は、複数のバッテリパック10それぞれの状態を示すバッテリパック情報110を取得し、取得したバッテリパック情報110に基づいてバッテリユニット200の状態を示すバッテリユニット情報220を取得する情報処理装置30と、情報処理装置30から送信されたバッテリユニット情報220を受信し、受信したバッテリユニット情報220の少なくとも一部を、バッテリユニット200を使用するユーザ端末装置400に送信するサーバ300と、を備える。
【0107】
複数のバッテリパック10を組み合わせたバッテリユニット200を使用するシステムにおいて、情報処理装置30によりバッテリユニット情報220を取得してサーバ300へ送信する。複数のバッテリパック10それぞれの情報をサーバ300へ送信する必要がないため、情報処理装置30とサーバ300との間のデータ通信量を低減させることができる。
【0108】
バッテリユニット200を使用するユーザは、サーバ300から送信されたバッテリユニット情報220を参照することで、バッテリユニット200を適切に使用することができる。ユーザは、個々のバッテリパック10の状態を気にすることなく、バッテリユニット200を評価できるため、ユーザ側の利便性を高めることができる。
【0109】
バッテリユニット200の提供者は、バッテリユニット200の仕様をユーザに開示すればよく、個々のバッテリパック10の仕様をユーザに開示する必要はない。このため、使用するバッテリパック10の選択肢が広がるとともに、バッテリパック10の組み合わせ方の選択肢も広がり、幅広い使用用途に適合させることができる。
【0110】
ある実施形態において、バッテリパック情報110は、複数のバッテリパック10それぞれの電圧、電流、出力、温度、SOCのうちの少なくとも一つに関する情報を含み、情報処理装置30は、バッテリパック情報110を用いてバッテリユニット情報220を演算してもよい。バッテリパック情報110が示す内容からバッテリユニット情報220を演算することができる。
【0111】
ある実施形態において、バッテリユニット情報220は、バッテリユニット200の電圧、電流、出力、温度、SOCのうちの少なくとも一つに関する情報を含んでもよい。
【0112】
バッテリユニット200を使用するユーザは、バッテリユニット情報220を用いてバッテリユニット200を評価することができる。
【0113】
ある実施形態において、情報処理装置30は、バッテリパック情報110に基づいて取得したバッテリユニット情報220の一部をサーバ300に送信してもよい。
【0114】
バッテリユニット情報220の一部のみをサーバ300に送信することで、情報処理装置30とサーバ300との間のデータ通信量をさらに低減させることができる。
【0115】
ある実施形態において、サーバ300は、情報処理装置30から受信したバッテリユニット情報220の一部を、ユーザ端末装置400に送信してもよい。
【0116】
バッテリユニット情報220の一部のみをユーザ端末装置400に送信することで、サーバ300とユーザ端末装置400との間のデータ通信量を低減させることができる。
【0117】
ある実施形態において、サーバ300は、ユーザ端末装置400に送信しなかったバッテリユニット情報220の内容に関して、送信のリクエストをユーザ端末装置400から受信した場合、リクエストされたバッテリユニット情報220の内容を、ユーザ端末装置400に送信してもよい。
【0118】
ユーザ端末装置400に送信しなかった情報をユーザが必要とする場合は、その情報をユーザに提供することで、ユーザの利便性を高めることができる。
【0119】
ある実施形態において、サーバ300は、バッテリパック情報110の送信のリクエストをユーザ端末装置400から受信した場合、バッテリパック情報110の送信のリクエストを情報処理装置30に送信し、サーバ300からリクエストを受信した情報処理装置30は、バッテリパック情報110をサーバ300に送信し、サーバ300は、情報処理装置30から受信したバッテリパック情報110を、ユーザ端末装置400に送信してもよい。
【0120】
ユーザがバッテリパック情報110を必要とする場合は、ユーザにバッテリパック情報110を提供することで、ユーザの利便性を高めることができる。また、ユーザからリクエストされた場合のみバッテリパック情報110を送信することで、データ通信量を低減させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0121】
本発明は、複数のバッテリパックを組み合わせて利用する技術分野において特に有用である。
【符号の説明】
【0122】
1:単電池、 2:筐体、 3:コネクタ(接続装置)、 4:充電用コネクタ、 5:放電用コネクタ、 6:放電用コネクタ、 10:バッテリパック、 12:バッテリマネージメントシステム(BMS)、 13:コネクタ、 20:バッテリユニット、 30:情報処理装置(制御装置)、 31:プロセッサ、 32:メモリ、 33:通信回路、 41:コンバータ、 42:インバータ、 43:充電器、 51、52、53:PWM用スイッチング素子、 54:放電用スイッチング素子、 55:充電用スイッチング素子、 61、62、63、64、65、66:ダイオード、 68:ノード、 71:負荷(外部装置)、 73:発電装置、 80:グループ、 100:バッテリ管理システム、 101:単電池情報、 110:バッテリパック情報、 200:バッテリユニット、 220:バッテリユニット情報、 300:サーバ、 400:ユーザ端末装置、 500:ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11