(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-13
(45)【発行日】2024-12-23
(54)【発明の名称】ドライブ・トレイン
(51)【国際特許分類】
F16H 3/087 20060101AFI20241216BHJP
F16H 3/10 20060101ALI20241216BHJP
B60K 1/02 20060101ALI20241216BHJP
【FI】
F16H3/087
F16H3/10
B60K1/02
(21)【出願番号】P 2022547293
(86)(22)【出願日】2020-02-06
(86)【国際出願番号】 GB2020050272
(87)【国際公開番号】W WO2021156585
(87)【国際公開日】2021-08-12
【審査請求日】2023-01-25
(32)【優先日】2020-02-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】521268211
【氏名又は名称】ゼロシフト トランスミッションズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クイン、ニール
【審査官】藤村 聖子
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第03388274(EP,A1)
【文献】特開2014-129884(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102014109169(DE,A1)
【文献】特開2006-038136(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 3/00-3/78
B60K 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電気モータと、第2の電気モータと、トランスミッション・システムとを含み、前記トランスミッション・システムは、前記第1の電気モータに駆動可能に連結された第1の入力シャフトと、前記第2の電気モータに駆動可能に連結された第2の入力シャフトと、
出力部材と、前記第1の入力シャフトに回転可能にマウントされた第1のギア要素及び前記第2の入力シャフトに回転可能にマウントされた第2のギア要素を含む第1のギア・トレイン
であって、前記第1のギア要素が前記第2のギア要素と噛み合う、第1のギア・トレインと、前記第1の入力シャフトに回転可能にマウントされた第3のギア要素及び前記第2の入力シャフトに回転可能にマウントされた第4のギア要素を含む第2のギア・トレイン
であって、前記第3のギア要素が前記第4のギア要素と噛み合う、第2のギア・トレインと、前記第1のギア要素及び前記第3のギア要素を前記第1の入力シャフトとともに回転するように選択的にロックするように構成されたギア・セレクタ組立体と、前記第2のギア要素及び前記第4のギア要素を前記第2の入力シャフトとともに回転するように選択的にロックするように構成された別のギア・セレクタ組立体とを含み、前記ギア・セレクタ組立体のうちの少なくとも一方が、以下のモード:前記ギア要素を順トルク方向及び逆トルク方向で前記入力シャフトとともに回転するようにロックするモード、前記ギア要素を前記順トルク方向で前記入力シャフトとともに回転するようにロックし、前記逆トルク方向にはロックしないモード;及び前記ギア要素を前記逆トルク方向で前記入力シャフトとともに回転するようにロックし、前記順トルク方向にはロックしないモード、を含む動作モードから選択的に、その各ギア要素のそれぞれをその各入力シャフトとともに回転するようにロックするように構成されている、ドライブ・トレイン。
【請求項2】
前記出力部材
が前記出力シャフトを含む、請求項
1に記載のドライブ・トレイン。
【請求項3】
前記トランスミッション・システムが前記出力部材にマウントされたギア要素を含む、請求項
1又は2に記載のドライブ・トレイン。
【請求項4】
前記出力部材にマウントされた前記ギア要素が、前記出力部材とともに回転するように固定されている、請求項
3に記載のドライブ・トレイン。
【請求項5】
前記出力部材にマウントされた前記ギア要素が前記第1のギア・トレインの一部である、請求項
3又は
4に記載のドライブ・トレイン。
【請求項6】
前記トランスミッション・システムが第3のギア・トレインを含み、前記第3のギア・トレインが、前記第1の入力シャフトに回転可能にマウントされた第5のギア要素と、前記出力部材にマウントされた前記ギア要素とを含
み、
前記第1のギア要素及び前記第5のギア要素が第1のスリーブに固定的に取り付けられ、前記第1のスリーブが前記第1の入力シャフトに回転可能にマウントされ、前記ギア・セレクタ組立体が、前記第1のスリーブを前記第1の入力シャフトとともに回転するように選択的にロックするように構成されて
おり、
前記ギア・セレクタ組立体が、前記第1のスリーブを順トルク方向及び逆トルク方向で前記第1の入力シャフトとともに回転するようにロックするモード、前記第1のスリーブを前記順トルク方向で前記第1の入力シャフトとともに回転するようにロックし、前記逆トルク方向にはロックしないモード;及び前記第1のスリーブを前記逆トルク方向で前記第1の入力シャフトとともに回転するようにロックし、前記順トルク方向にはロックしないモード、を含む動作モードから選択的に、前記第1のスリーブを前記第1の入力シャフトとともに回転するようにロックするように構成されている、請求項
3または4に記載のドライブ・トレイン。
【請求項7】
前記トランスミッション・システムが前記出力部材にマウントされた別のギア要素を含む、請求項
3から
6までのいずれか一項に記載のドライブ・トレイン。
【請求項8】
前記出力部材にマウントされた前記別のギア要素が、前記出力部材とともに回転するように固定されている、請求項
7に記載のドライブ・トレイン。
【請求項9】
前記出力部材にマウントされた前記ギア要素が前記第2のギア・トレインの一部である、請求項
7又は
8に記載のドライブ・トレイン。
【請求項10】
前記トランスミッション・システムが第4のギア・トレインを含み、前記第4のギア・トレインが、前記第1の入力シャフトに回転可能にマウントされた第6のギア要素と、前記出力部材にマウントされた前記別のギア要素とを含
み、
前記第3のギア要素及び前記第6のギア要素が第2のスリーブに固定的に取り付けられ、前記第2のスリーブが前記第1の入力シャフトに回転可能にマウントされ、前記ギア・セレクタ組立体が、前記第2のスリーブを前記第1の入力シャフトとともに回転するように選択的にロックするように構成されて
おり、
前記ギア・セレクタ組立体が、前記第2のスリーブを順トルク方向及び逆トルク方向で前記第1の入力シャフトとともに回転するようにロックするモード、前記第2のスリーブを前記順トルク方向で前記第1の入力シャフトとともに回転するようにロックし、前記逆トルク方向にはロックしないモード;及び前記第2のスリーブを前記逆トルク方向で前記第1の入力シャフトとともに回転するようにロックし、前記順トルク方向にはロックしないモード、を含む動作モードから選択的に、前記第2のスリーブを前記第1の入力シャフトとともに回転するようにロックするように構成されている、請求項
7又は8に記載のドライブ・トレイン。
【請求項11】
ギア・シフト中、前記第1の電気モータ及び前記第2の電気モータのうちの一方の速度が新しいギアの速度と同期され
、
前記電気モータの前記速度の前記新しいギアへの同期が、前記各ギア・セレクタ組立体が前記新しいギアに係合する前に行われる、請求項
1から10までのいずれか一項に記載のドライブ・トレイン。
【請求項12】
第1の電気モータと、第2の電気モータと、トランスミッション・システムとを含み、前記トランスミッション・システムは、前記第1の電気モータに駆動可能に連結された第1の入力シャフトと、前記第2の電気モータに駆動可能に連結された第2の入力シャフトと、出力部材と、前記第1の入力シャフトに回転可能にマウントされた第1のギア要素、前記第2の入力シャフトとともに回転するように固定された第2のギア要素、及び前記出力部材に回転可能にマウントされたギア要素を含む第1のギア・トレインと、前記第1の入力シャフトに回転可能にマウントされた第3のギア要素、前記第2の入力シャフトとともに回転するように固定された第4のギア要素、及び前記出力部材に回転可能にマウントされた別のギア要素を含む第2のギア・トレインと、前記第1のギア要素及び前記第3のギア要素を前記第1の入力シャフトとともに回転するように選択的にロックするように構成されたギア・セレクタ組立体と、前記ギア要素及び前記別のギア要素を前記出力部材とともに回転するように選択的にロックするように構成された別のギア・セレクタ組立体とを含み、前記ギア・セレクタ組立体のうちの少なくとも一方が、以下のモード:前記ギア要素を順トルク方向及び逆トルク方向で前記シャフトとともに回転するようにロックするモード、前記ギア要素を前記順トルク方向で前記シャフトとともに回転するようにロックし、前記逆トルク方向にはロックしないモード;及び前記ギア要素を前記逆トルク方向で前記シャフトとともに回転するようにロックし、前記順トルク方向にはロックしないモード、を含む動作モードから選択的に、その各ギア要素のそれぞれをその各シャフトとともに回転するようにロックするように構成されている、ドライブ・トレイン。
【請求項13】
第1の電気モータと、第2の電気モータと、トランスミッション・システムとを含み、前記トランスミッション・システムは、前記第1の電気モータに駆動可能に連結された第1の入力シャフトと、前記第2の電気モータに駆動可能に連結された第2の入力シャフトと、出力部材と、前記第1の入力シャフトとともに回転するように固定された第1のギア要素、前記第2の入力シャフトに回転可能にマウントされた第2のギア要素、及び前記出力部材に回転可能にマウントされたギア要素を含む第1のギア・トレインと、前記第1の入力シャフトとともに回転するように固定された第3のギア要素、前記第2の入力シャフトに回転可能にマウントされた第4のギア要素、及び前記出力部材に回転可能にマウントされた別のギア要素を含む第2のギア・トレインと、前記第2のギア要素及び前記第4のギア要素を前記第2の入力シャフトとともに回転するように選択的にロックするように構成されたギア・セレクタ組立体と、前記ギア要素及び前記別のギア要素を前記出力部材とともに回転するように選択的にロックするように構成された別のギア・セレクタ組立体とを含み、前記ギア・セレクタ組立体のうちの少なくとも一方が、以下のモード:前記ギア要素を順トルク方向及び逆トルク方向で前記シャフトとともに回転するようにロックするモード、前記ギア要素を前記順トルク方向で前記シャフトとともに回転するようにロックし、前記逆トルク方向にはロックしないモード;及び前記ギア要素を前記逆トルク方向で前記シャフトとともに回転するようにロックし、前記順トルク方向にはロックしないモード、を含む動作モードから選択的に、その各ギア要素のそれぞれをその各入力シャフトとともに回転するようにロックするように構成されている、ドライブ・トレイン。
【請求項14】
少なくとも1つの動作状態では、トルクが前記第1の電気モータから前記第3のギア・トレインを介して前記出力部材へと提供される、請求項
6に記載のドライブ・トレイン。
【請求項15】
少なくとも1つの動作状態では、トルクが前記第1の電気モータから前記第4のギア・トレインを介して前記出力部材へと提供される、請求項
10に記載のドライブ・トレイン。
【請求項16】
少なくとも1つの動作状態では、トルクが前記第2の電気モータから前記第1のギア・トレインを介して前記出力部材へと提供される、請求項1から
15までのいずれか一項に記載のドライブ・トレイン。
【請求項17】
少なくとも1つの動作状態では、トルクが前記第2の電気モータから前記第2のギア・トレインを介して前記出力部材へと提供される、請求項1から
16までのいずれか一項に記載のドライブ・トレイン。
【請求項18】
少なくとも1つの動作状態では、トルクが前記第2の電気モータから前記第3のギア・トレインを介して前記出力部材へと提供される、請求項
6に記載のドライブ・トレイン。
【請求項19】
少なくとも1つの動作状態では、トルクが前記第2の電気モータから前記第4のギア・トレインを介して前記出力部材へと選択的に提供される、請求項
10に記載のドライブ・トレイン。
【請求項20】
少なくとも1つの動作状態では、トルクが前記第1の電気モータによって前記出力部材へと提供され、前記第2の電気モータによって提供されない、請求項1から
19までのいずれか一項に記載のドライブ・トレイン。
【請求項21】
少なくとも1つの動作状態では、トルクが前記第2の電気モータによって前記出力部材へと提供され、前記第1の電気モータによって提供されない、請求項1から
20までのいずれか一項に記載のドライブ・トレイン。
【請求項22】
少なくとも1つの動作状態では、トルクが同時に前記第1の電気モータ及び前記第2の電気モータによって前記出力部材へと提供される、請求項1から
21までのいずれか一項に記載のドライブ・トレイン。
【請求項23】
少なくとも1つの動作状態では、トルクが異なるギア・トレインを介して、同時に前記第1の電気モータ及び前記第2の電気モータによって前記出力部材へと提供される、請求項
22に記載のドライブ・トレイン。
【請求項24】
少なくとも1つの動作状態では、トルクが共通のギア・トレインを介して、同時に前記第1の電気モータ及び前記第2の電気モータによって前記出力部材へと提供される、請求項
22又は
23に記載のドライブ・トレイン。
【請求項25】
ギア・シフト中に前記出力部材にトルク支持を提供するように構成されている、請求項1から
24までのいずれか一項に記載のドライブ・トレイン。
【請求項26】
ギア・シフト中、前記第1の電気モータ及び前記第2の電気モータのうちの一方のトルク出力が減少し、前記第1のモータ及び前記第2のモータのうちの他方の前記トルク出力が増加する
ように構成される、請求項1から
25までのいずれか一項に記載のドライブ・トレイン。
【請求項27】
前記ギア・セレクタ組立体のうちの少なくとも一方が、互いから独立して動くことができる第1の組の係合部材及び第2の組の係合部材を含む、請求項1から
26までのいずれか一項に記載のドライブ・トレイン。
【請求項28】
前記第1の組の係合部材及び前記第2の組の係合部材は、前記第1の組の係合部材及び前記第2の組の係合部材が前記出力部材にマウントされた前記ギア要素を選択し、制動力が伝達される状態で、前記第1の組の係合部材が、前記ギア要素に関連付けられた駆動構成物と駆動式に係合し、前記第2の組の係合部材が、負荷がかかっていない状態になり、駆動力が伝達される状態で、前記第2の組の係合部材が、前記ギア要素に関連付けられた駆動構成物と駆動式に係合し、前記第1の組の係合部材が、負荷がかかっていない状態になるように構成される、請求項12又は13に従属する場合の請求項27に記載のドライブ・トレイン。
【請求項29】
第1の組の係合部材及び第2の組の係合部材は、前記第1の組の係合部材及び前記第2の組の係合部材が前記出力部材にマウントされた前記別のギア要素を選択し、駆動力が伝達される状態で、前記第1の組の係合部材が、前記別のギア要素に関連付けられた駆動構成物と駆動式に係合し、前記第2の組の係合部材が、負荷がかかっていない状態になり、制動力が伝達される状態で、前記第2の組の係合部材が、前記別のギア要素に関連付けられた駆動構成物と駆動式に係合し、前記第1の組の係合部材が、負荷がかかっていない状態になるように構成され得る、請求項12又は13に従属する請求項27に記載のドライブ・トレイン。
【請求項30】
第1の電気モータと、第2の電気モータと、トランスミッション・システムとを含み、前記トランスミッション・システムは、前記第1の電気モータに駆動可能に連結された第1の入力シャフトと、前記第2の電気モータに駆動可能に連結された第2の入力シャフトと、出力部材と、前記第1の入力シャフトに回転可能にマウントされた第1のギア要素及び前記第2の入力シャフトに回転可能にマウントされた第2のギア要素を含む第1のギア・トレインであって、前記第1のギア要素が前記第2のギア要素と噛み合う、第1のギア・トレインと、前記第1の入力シャフトに回転可能にマウントされた第3のギア要素及び前記第2の入力シャフトに回転可能にマウントされた第4のギア要素を含む第2のギア・トレインであって、前記第3のギア要素が前記第4のギア要素と噛み合う、第2のギア・トレインと、前記第1のギア要素及び前記第3のギア要素を前記第1の入力シャフトとともに回転するように選択的にロックするように構成された第1のギア・セレクタ組立体と、前記第2のギア要素及び前記第4のギア要素を前記第2の入力シャフトとともに回転するように選択的にロックするように構成された第2のギア・セレクタ組立体とを含み、前記第1のギア・セレクタ組立体が、前記第1のギア要素及び前記第3のギア要素との係合の内への及び外の、互いから独立して動くことができる第1の組の係合部材及び第2の組の係合部材を含み、前記第1のギア・セレクタ組立体が、以下のモード:前記ギア要素を順トルク方向及び逆トルク方向で前記第1の入力シャフトとともに回転するようにロックするモード、前記ギア要素を前記順トルク方向で前記1の入力シャフトとともに回転するようにロックし、前記逆トルク方向にはロックしないモード;及び前記ギア要素を前記逆トルク方向で前記1の入力シャフトとともに回転するようにロックし、前記順トルク方向にはロックしないモード、を含む動作モードから選択的に、前記第1のギア要素及び前記第3のギア要素のそれぞれを前記第1の入力シャフトとともに回転するようにロックするように構成され、前記第2のギア・セレクタ組立体が、前記第2のギア要素及び前記第4のギア要素との係合の内への及び外の、互いから独立して動くことができる第1の組の係合部材及び第2の組の係合部材を含み、前記第2のギア・セレクタ組立体が、以下のモード:前記ギア要素を順トルク方向及び逆トルク方向で前記第2の入力シャフトとともに回転するようにロックするモード、前記ギア要素を前記順トルク方向で前記第2の入力シャフトとともに回転するようにロックし、前記逆トルク方向にはロックしないモード;及び前記ギア要素を前記逆トルク方向で前記第2の入力シャフトとともに回転するようにロックし、前記順トルク方向にはロックしないモード、を含む動作モードから選択的に、前記第2のギア要素及び前記第4のギア要素のそれぞれを前記第2の入力シャフトとともに回転するようにロックするように構成される、ドライブ・トレイン。
【請求項31】
前記第1のギア・セレクタ組立体は、互いから独立して動くことができる第1の組の係合部材及び第2の組の係合部材を含む、請求項30に記載のドライブ・トレイン
【請求項32】
前記第1の組の係合部材及び前記第2の組の係合部材は、前記第1の組の係合部材及び前記第2の組の係合部材が前記第1のギア要素を選択し、制動力が伝達される
状態で、前記第1の組の係合部材が、前記第1のギア要素に関連付けられた駆動構成物と駆動式に係合し、前記第2の組の係合部材が、負荷がかかっていない状態になり、駆動力が伝達される
状態で、前記第2の組の係合部材が、第1のギア要素に関連付けられた駆動構成物と駆動式に係合し、前記第1の組の係合部材が
、負荷がかかっていない状態になるように構成されている、請求項
31に記載のドライブ・トレイン。
【請求項33】
前記第1の組の係合部材及び前記第2の組の係合部材は、前記第1の組の係合部材及び前記第2の組の係合部材が前記第3のギア要素を選択し、駆動力が伝達される
状態で、前記第1の組の係合部材が、前記第3のギア要素に関連付けられた駆動構成物と駆動式に係合し、前記第2の組の係合部材が、負荷がかかっていない状態になり、制動力が伝達される
状態で、前記第2の組の係合部材が、前記第3のギア要素に関連付けられた駆動構成物と駆動式に係合し、前記第1の組の係合部材が
、負荷がかかっていない状態になるように構成されている、請求項
31又は
32に記載のドライブ・トレイン。
【請求項34】
前記第2の
ギア・セレクタ組立体が互いから独立して動くことができる第1の組の係合部材及び第2の組の係合部材を含む、請求項
30から
32までのいずれか一項に記載のドライブ・トレイン。
【請求項35】
前記第1の組の係合部材及び前記第2の組の係合部材は、前記第1の組の係合部材及び前記第2の組の係合部材が前記第2のギア要素を選択し、制動力が伝達される
状態で、前記第1の組の係合部材が、前記第2のギア要素に関連付けられた駆動構成物と駆動式に係合し、前記第2の組の係合部材が、負荷がかかっていない状態になり、駆動力が伝達される
状態で、前記第2の組の係合部材が、前記第2のギア要素に関連付けられた駆動構成物と駆動式に係合し、前記第1の組の係合部材が
、負荷がかかっていない状態になるように構成されている、請求項
34に記載のドライブ・トレイン。
【請求項36】
前記第1の組の係合部材及び前記第2の組の係合部材は、前記第1の組の係合部材及び前記第2の組の係合部材が前記第4のギア要素を選択し、駆動力が伝達される
状態で、前記第1の組の係合部材が、前記第4のギア要素に関連付けられた駆動構成物と駆動式に係合し、前記第2の組の係合部材が、負荷がかかっていない状態になり、制動力が伝達される
状態で、前記第2の組の係合部材が、前記第4のギア要素に関連付けられた駆動構成物と駆動式に係合し、前記第1の組の係合部材が、負荷がかかっていない状態になるように構成されている、請求項
34又は
35に記載のドライブ・トレイン。
【請求項37】
前記第1の電気モータの最大出力定格が、前記第2の電気モータの最大出力定格とは異なる、請求項1から
36までのいずれか一項に記載のドライブ・トレイン。
【請求項38】
請求項1から
37までのいずれか一項に記載のドライブ・トレインを含む車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はドライブ・トレインに関する。ドライブ・トレインは、電気車両に使用するのに特に適しているが、他の用途に使用されてもよい。
【背景技術】
【0002】
従来の単一のクラッチ・シンクロメッシュ・トランスミッションを有する車両ドライブ・トレインでは、現在のギアが選択解除され新しいギアが係合される前にクラッチを操作することにより、エンジン又はモータなどの動力源からトランスミッションを係合解除することが必要である。新しいギアを係合させようと試みているときに動力が係合解除されない場合、シンクロメッシュは新しいギア要素に係合することができないか、又はトランスミッションを損傷させ、トランスミッションにトルク・スパイクを引き起こすリスクとともに無理に係合させられなければならない。大半の場合、これは、エンジンの速度が新しいギアの速度に適合していないからである。従来のギアボックスを有し、エンジンによって動力を供給される車などの自動車においては、新しいギア比の選択には、通常は完了するのに0.5~1秒かかる。したがって、たとえば、より高いギアが選択されたとき、時間遅延により、クラッチがエンジン及びトランスミッションに再連結する前にエンジンが[それ自体の慣性により]その速度を減速して、新しいギアの速度により忠実に適合することが可能になり、それにより、動力が再印加されたときにトルク・スパイクが発生する可能性が低減される。
【0003】
デュアル・クラッチ・トランスミッション(DCT:dual clutch transmission)システムは、ギア間をシフトするときに2つのクラッチを使用してトルクの伝達をシームレスに引き継ぐことによってこの問題に対処しようとしてきた。しかし、DCTにはいくつかの欠点が存在し、たとえば、DCTは重く高価な2つの摩擦クラッチを使用することを必要とし、制御が複雑で寄生損失を有し、したがってあまり効率的ではない。
【0004】
別のタイプのシームレス・トランスミッション・システムは、即時タイプのトランスミッション・システムと呼ばれる。この系統のトランスミッション・システムは少なくとも1つのセレクタ組立体を含み、少なくとも1つのセレクタ組立体は、それに関連付けられたそれぞれのギア要素上の駆動構成物(drive formation)に選択的に係合するように構成された第1の組の係合要素及び第2の組の係合要素を含む。第1の組の係合要素及び第2の組の係合要素は、現在のギアが依然として係合している間に新しいギアを選択することができるように構成され、したがって、少なくともいくつかのシフト・タイプにおいては、動作下で新しいギアを選択することができる。このタイプのセレクタ組立体は、それに関連付けられたそれぞれのギア要素に関して4つの動作モード:両方のトルク方向で完全に係合している(完全にギアが入っている)モード;両方のトルク方向で係合解除しているモード(ニュートラル);順トルク方向に係合しているが逆トルク方向に係合解除しているモード;及び順トルク方向に係合解除しているが逆トルク方向に係合しているモードを有する。別個の比(discrete ratio)のギアボックスが、負荷がかかった状態でトルクの途切れなしに即座に比をシフト・アップ又はシフト・ダウンする能力を有することを可能にするのは、最後の2つのモードである。
【0005】
即時トランスミッションは、国際公開第2004/099654号、国際公開第2005/005868号、国際公開第2005/005869号、国際公開第2005/024261号及び国際公開第2005/026570号、国際公開第2006/095140号、国際公開第2006/123128号、国際公開第2006/123166号、国際公開第2007/132209号、国際公開第2008/062192号、国際公開第2008/096140号、国際公開第2008/145979号、国際公開第2009/06253号、国際公開第2010/046654号、国際公開第2010/046655号、国際公開第2010/046652号、国際公開第2012/164237号、英国特許第2573592号及び英国特許第2574291号に記載されており、これらの内容は参照によって援用される。
【0006】
上で言及された即時トランスミッションのいくつかは、燃焼機関を含む車両ドライブ・トレイン向けに主に設計されている。したがって、これらのトランスミッションは必ずしも電気車両に最適化されていない。しかし、別個の比を備える電気車両用のトランスミッション・システムでは、ギア・シフト中の車輪への動力の損失を防ぐために、いくつかのシフト・タイプにおいてのみトルク支持(torque support)を得ることができ他のシフト・タイプではトルク支持を得ることができない場合でも、ギア・シフト中にトルク支持を有することが望ましい。さらに、たとえばいかなる不必要な構成要素も取り除くことにより、比較的単純で小型のトランスミッション・レイアウトを使用してトルク支持を提供することが望ましい。ドライブ・トレインが、ギア要素の相対的サイズ(したがって有効ギア比)についての柔軟性を提供し、比較的多数の有効ギア比を提供し、ドライブ・トレインで使用される電気モータの選択肢についての柔軟性を与えるトランスミッション・レイアウトを有することも望ましい。また、いくつかの即時トランスミッション・システムは、少なくともいくつかのシフト・タイプにおいてギア間をシフトするときにシフト・ショック(トルク・スパイク)に苦慮する場合がある。これは、いくつかのギア・シフトにおいては現在のギアが依然として係合している間に新しいギアを選択することができ、現在係合しているギアと新しいギアとの間に速度の差がある場合があるからである。モータ・スポーツ車両などのいくつかの用途においては、いくらかのシフト・ショックは許容可能な場合がある。しかし、乗用車両などのより洗練されたシフトが要求される他の用途においては、シフト・ショックは望ましくない。
【0007】
欧州特許第2529967号には、電気車両とともに使用するのに適したドライブ・トレインが開示されている。ドライブ・トレインは、第1の電気モータ及び第2の電気モータ、並びにトランスミッション・システムを含む。トランスミッション・システムは第1のプライマリ・シャフト及び第2のプライマリ・シャフトを含む。第1の電気モータは第1のプライマリ・シャフトに結合され、第2の電気モータは第2のプライマリ・シャフトに結合される。第1のプライマリ・シャフトと第2のプライマリ・シャフトとは同軸に配置される。トランスミッション・システムは4つの順方向ギアを含む。奇数のギア(第1のギア及び第3のギア)は第1のプライマリ・シャフトに、したがって第1の電気モータに関連付けられる。偶数のギア(第2のギア及び第4のギア)は第2のプライマリ・シャフトに、したがって第2のモータに関連付けられる。ドライブ・トレインは、第1のモータと第2のモータの両方からの駆動力を出力部(デファレンシャル・ギア)に同時に供給することができるように構成される。たとえば、第1の動作モードでは、第1のギア及び第2のギアを同時に係合させることができ、第1のモータは第1のギアを介して出力部に駆動力を提供し、第2のモータは第2のギアを介して出力部に駆動力を提供する。ギア・シフト中に駆動力の損失がないように、シフト中、出力部にトルク支持を提供することができる。しかし、このドライブ・トレインの重大な制約は、第1のモータは奇数のギアを介してのみ出力部に駆動力を提供することができ、第2のモータは偶数のギアを介してのみ出力部に駆動力を提供することができるということである。これによりドライブ・トレインの効果及び柔軟性が限定される。また、プライマリ・シャフトが同軸に配置されており、ギア・トレインが第1のプライマリ・シャフト及び第2のプライマリ・シャフトの軸に沿って従来の形式で配置されているので、このトランスミッションは比較的大きい。また、使用されているギア・セレクタ組立体は従来のシンクロメッシュ・ギア・セレクタ組立体である。これらの装置に使用されている同期コーンは比較的大きく、これは、対になるそれぞれのギアの間に比較的大きい離隔距離があることを意味し、シンクロナイザは比較的高価である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】国際公開第2004/099654号
【文献】国際公開第2005/005868号
【文献】国際公開第2005/005869号
【文献】国際公開第2005/024261号
【文献】国際公開第2005/026570号
【文献】国際公開第2006/095140号
【文献】国際公開第2006/123128号
【文献】国際公開第2006/123166号
【文献】国際公開第2007/132209号
【文献】国際公開第2008/062192号
【文献】国際公開第2008/096140号
【文献】国際公開第2008/145979号
【文献】国際公開第2009/06253号
【文献】国際公開第2010/046654号
【文献】国際公開第2010/046655号
【文献】国際公開第2010/046652号
【文献】国際公開第2012/164237号
【文献】英国特許第2573592号
【文献】英国特許第2574291号
【文献】欧州特許第2529967号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、前述の問題の少なくとも1つを緩和し、又は少なくとも既存のドライブ・トレインに代わる代替的なドライブ・トレインを提供することに努める。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一態様によれば、請求項1に記載のドライブ・トレインが提供される。ドライブ・トレインは比較的多数の動作状態を提供し、これは提供されるギア・トレインの数よりも多い。通常、それぞれの動作状態は異なる有効ギア比を有する。ドライブ・トレインは非常に柔軟であり、たとえば第1の電気モータ単体から出力部へとトルクを供給してもよく、第2の電気モータ単体から出力部へとトルクを供給してもよく、同時に第1の電気モータ及び第2の電気モータによって出力部へとトルクを供給してもよい。少なくとも1つの動作状態では、ドライブ・トレインは第1の電気モータと第2の電気モータの両方から出力部へと、共通のギア・トレインを介してトルクを供給することができる。ドライブ・トレインは、第1の電気モータが、ある動作状態では奇数のギアを介して、また別の動作状態では偶数のギアを介して、出力部へとトルクを選択的に供給することを可能にする。ドライブ・トレインは、第2の電気モータが、ある動作状態では奇数のギアを介して、また別の動作状態では偶数のギアを介して、出力部へとトルクを選択的に供給することを可能にする。ドライブ・トレインはギア・シフト中にトルク支持を提供し、したがって、少なくとも1つのシフト・タイプにおいては、ギア・シフト中、トルクは常に駆動車輪に提供される。ドライブ・トレインは小型であり、高価で比較的大きいシンクロナイザ・タイプのセレクタ組立体を必要としない。新しいギア要素が一方の回転方向に回転するようにロックされるが、他方の回転方向にはロックされない方式で新しいギア要素を選択することが可能であり、このことはシフト中のトルク反転に対処する助けとなるので、特許請求されたタイプのギア・セレクタ組立体を使用することは、ギア・シャフト中にモータを新しいギアに同期させる助けとなる。
【0011】
ドライブ・トレインは2つのモータを含み、モータのうちの一方のみが出力部を駆動する動作状態を有するので、モータのうちの一方が万一故障した場合、車両又は他の用途は残りのモータを使用して動作を続けることができる。
【0012】
別の態様によれば、請求項2に記載のドライブ・トレインが提供される。ドライブ・トレインは請求項1の構成に記載の同様の利点を有する。追加的に、特許請求されたレイアウトを用いて、シフトが起こる前にモータのうちの一方の速度を新しいギアに完全に同期させることが可能になるので、ドライブ・トレインは、いかなる実質的なシフト・ショック(トルク・スパイク)もなしにシフトを行う。
【0013】
別の態様によれば、ドライブ・トレインが提供される。
【0014】
ドライブ・トレインは第1の電気モータを含むことができる。
【0015】
ドライブ・トレインは第2の電気モータを含むことができる。
【0016】
ドライブ・トレインはトランスミッション・システムを含むことができる。
【0017】
トランスミッション・システムは、第1の電気モータに駆動可能に連結された第1の入力シャフトを含むことができる。第1の入力シャフトは、第1の電気モータに直接的に連結されてもよい。つまり、第1の電気モータの出力部と第1の入力シャフトとの間に、第1の電気モータから第1の入力シャフトへと駆動力を伝達するギア又はクラッチは存在しない。たとえば、第1の電気モータは第1のモータ・シャフトを有してもよく、第1のモータ・シャフトは第1の入力シャフトに結合されてもよい。第1のモータ・シャフトは、第1の入力シャフトにスプライン連結されてもよい。
【0018】
トランスミッション・システムは、第2の電気モータに駆動可能に連結された第2の入力シャフトを含むことができる。第2の入力シャフトは、第2の電気モータに直接的に連結されてもよい。つまり、第2の電気モータの出力部と第2の入力シャフトとの間に、第2の電気モータから第2の入力シャフトへと駆動力を伝達するギア又はクラッチは存在しない。たとえば、第2の電気モータは第2のモータ・シャフトを有してもよく、第2のモータ・シャフトは第2の入力シャフトに結合されてもよい。第2のモータ・シャフトは、第2の入力シャフトにスプライン連結されてもよい。
【0019】
トランスミッション・システムは第1のギア・トレインを含むことができる。第1のギア・トレインは、第1の入力シャフトにマウントされた第1のギア要素を含むことができる。第1のギア・トレインは、第2の入力シャフトにマウントされた第2のギア要素を含むことができる。いくつかの実施例では、第1のギア要素は第1の入力シャフトに回転可能にマウントされ得る。いくつかの実施例では、第1のギア要素は第1の入力シャフトとともに回転するように固定され得る。いくつかの実施例では、第2のギア要素は第2の入力シャフトに回転可能にマウントされ得る。いくつかの実施例では、第2のギア要素は第2の入力シャフトとともに回転するように固定され得る。
【0020】
トランスミッション・システムは第2のギア・トレインを含むことができる。第2のギア・トレインは、第1の入力シャフトにマウントされた第3のギア要素を含むことができる。第2のギア・トレインは、第2の入力シャフトにマウントされた第4のギア要素を含むことができる。いくつかの実施例では、第3のギア要素は第1の入力シャフトに回転可能にマウントされ得る。いくつかの実施例では、第3のギア要素は第1の入力シャフトとともに回転するように固定され得る。いくつかの実施例では、第4のギア要素は第2の入力シャフトに回転可能にマウントされ得る。いくつかの実施例では、第4のギア要素は第2の入力シャフトとともに回転するように固定され得る。
【0021】
トランスミッション・システムは出力シャフトを含むことができる。
【0022】
トランスミッション・システムは出力シャフトにマウントされたギア要素を含むことができる。いくつかの実施例では、ギア要素は出力シャフトに回転可能にマウントされ得る。いくつかの実施例では、ギア要素は出力シャフトとともに回転するように固定され得る。
【0023】
トランスミッション・システムは、出力シャフトにマウントされた別のギア要素を含むことができる。いくつかの実施例では、別のギア要素は出力シャフトに回転可能にマウントされ得る。いくつかの実施例では、別のギア要素は出力シャフトとともに回転するように固定され得る。
【0024】
トランスミッション・システムはギア・セレクタ組立体を含むことができる。いくつかの実施例では、ギア・セレクタ組立体は、第1のギア要素及び第3のギア要素を第1の入力シャフトとともに回転するように選択的にロックするように構成され得る。いくつかの実施例では、ギア・セレクタ組立体は、第2のギア要素及び第4のギア要素を第2の入力シャフトとともに回転するように選択的にロックするように構成され得る。いくつかの実施例では、ギア・セレクタ組立体は、ギア要素及び別のギア要素を出力シャフトとともに回転するように選択的にロックするように構成され得る。
【0025】
ギア・セレクタ組立体は、以下のモード:ギア要素を順トルク方向及び逆トルク方向でシャフトとともに回転するようにロックするモード、ギア要素を順トルク方向でシャフトとともに回転するようにロックし、逆トルク方向にはロックしないモード;及びギア要素を逆トルク方向でシャフトとともに回転するようにロックし、順トルク方向にはロックしないモード、を含む動作モードから選択的に、その各ギア要素のそれぞれをその各シャフトとともに回転するようにロックするように構成され得る。
【0026】
いくつかの実施例では、ギア・セレクタ組立体は、第1のギア要素を順トルク方向及び逆トルク方向で第1の入力シャフトとともに回転するようにロックするモード、第1のギア要素を順トルク方向で第1の入力シャフトとともに回転するようにロックし、逆トルク方向にはロックしないモード;及び第1のギア要素を逆トルク方向で第1の入力シャフトとともに回転するようにロックし、順トルク方向にはロックしないモード、を含む動作モードから選択的に、第1のギア要素を第1の入力シャフトとともに回転するようにロックするように構成され得る。
【0027】
いくつかの実施例では、ギア・セレクタ組立体は、第3のギア要素を順トルク方向及び逆トルク方向で第1の入力シャフトとともに回転するようにロックするモード、第3のギア要素を順トルク方向で第1の入力シャフトとともに回転するようにロックし、逆トルク方向にはロックしないモード;及び第3のギア要素を逆トルク方向で第1の入力シャフトとともに回転するようにロックし、順トルク方向にはロックしないモード、を含む動作モードから選択的に、第3のギア要素を第1の入力シャフトとともに回転するようにロックするように構成され得る。
【0028】
いくつかの実施例では、ギア・セレクタ組立体は、第2のギア要素を順トルク方向及び逆トルク方向で第2の入力シャフトとともに回転するようにロックするモード、第2のギア要素を順トルク方向で第2の入力シャフトとともに回転するようにロックし、逆トルク方向にはロックしないモード;及び第2のギア要素を逆トルク方向で第2の入力シャフトとともに回転するようにロックし、順トルク方向にはロックしないモード、を含む動作モードから選択的に、第2のギア要素を第2の入力シャフトとともに回転するようにロックするように構成され得る。
【0029】
いくつかの実施例では、ギア・セレクタ組立体は、第4のギア要素を順トルク方向及び逆トルク方向で第1の入力シャフトとともに回転するようにロックするモード、第4のギア要素を順トルク方向で第2の入力シャフトとともに回転するようにロックし、逆トルク方向にはロックしないモード;及び第4のギア要素を逆トルク方向で第2の入力シャフトとともに回転するようにロックし、順トルク方向にはロックしないモード、を含む動作モードから選択的に、第4のギア要素を第1の入力シャフトとともに回転するようにロックするように構成され得る。
【0030】
いくつかの実施例では、ギア・セレクタ組立体は、ギア要素を順トルク方向及び逆トルク方向で出力シャフトとともに回転するようにロックするモード、ギア要素を順トルク方向で出力シャフトとともに回転するようにロックし、逆トルク方向にはロックしないモード;及びギア要素を逆トルク方向で出力シャフトとともに回転するようにロックし、順トルク方向にはロックしないモード、を含む動作モードから選択的に、ギア要素を出力シャフトとともに回転するようにロックするように構成され得る。
【0031】
いくつかの実施例では、ギア・セレクタ組立体は、別のギア要素を順トルク方向及び逆トルク方向で出力シャフトとともに回転するようにロックするモード、別のギア要素を順トルク方向で出力シャフトとともに回転するようにロックし、逆トルク方向にはロックしないモード;及び別のギア要素を逆トルク方向で出力シャフトとともに回転するようにロックし、順トルク方向にはロックしないモード、を含む動作モードから選択的に、別のギア要素を出力シャフトとともに回転するようにロックするように構成され得る。
【0032】
トランスミッション・システムは、別のギア・セレクタ組立体を含むことができる。別のギア・セレクタ組立体は、1対のギア要素をそれらの各シャフトとともに回転するように選択的にロックするように構成され得る。通常、別のギア・セレクタ組立体は、ギア要素を、上に述べたギア・セレクタ組立体によって選択可能なもの以外のそれらの各シャフトとともに回転するように選択的にロックする。たとえば、ギア・セレクタ組立体は、第1の入力シャフトとともに回転するように第1のギア要素及び第3のギア要素;第2の入力シャフトとともに回転するように第2のギア要素及び第4のギア要素;及び出力シャフトとともに回転するようにギア要素及び別のギア要素、のうちの1つを選択的にロックするように構成され得る。別のギア・セレクタ組立体は、第1の入力シャフトとともに回転するように第1のギア要素及び第3のギア要素;第2の入力シャフトとともに回転するように第2のギア要素及び第4のギア要素;及び出力シャフトとともに回転するようにギア要素及び別のギア要素、のうちの別の1つを選択的にロックするように構成され得る。
【0033】
別のギア・セレクタ組立体は、以下のモード:ギア要素を順トルク方向及び逆トルク方向でシャフトとともに回転するようにロックするモード、ギア要素を順トルク方向でシャフトとともに回転するようにロックし、逆トルク方向にはロックしないモード;及びギア要素を逆トルク方向でシャフトとともに回転するようにロックし、順トルク方向にはロックしないモード、を含む動作モードから選択的に、その各ギア要素のそれぞれをその各シャフトとともに回転するようにロックするように構成され得る。
【0034】
いくつかの実施例では、別のギア・セレクタ組立体は、第1のギア要素を順トルク方向及び逆トルク方向で第1の入力シャフトとともに回転するようにロックするモード、第1のギア要素を順トルク方向で第1の入力シャフトとともに回転するようにロックし、逆トルク方向にはロックしないモード;及び第1のギア要素を逆トルク方向で第1の入力シャフトとともに回転するようにロックし、順トルク方向にはロックしないモード、を含む動作モードから選択的に、第1のギア要素を第1の入力シャフトとともに回転するようにロックするように構成され得る。
【0035】
いくつかの実施例では、別のギア・セレクタ組立体は、第3のギア要素を順トルク方向及び逆トルク方向で第1の入力シャフトとともに回転するようにロックするモード、第3のギア要素を順トルク方向で第1の入力シャフトとともに回転するようにロックし、逆トルク方向にはロックしないモード;及び第3のギア要素を逆トルク方向で第1の入力シャフトとともに回転するようにロックし、順トルク方向にはロックしないモード、を含む動作モードから選択的に、第3のギア要素を第1の入力シャフトとともに回転するようにロックするように構成され得る。
【0036】
いくつかの実施例では、別のギア・セレクタ組立体は、第2のギア要素を順トルク方向及び逆トルク方向で第2の入力シャフトとともに回転するようにロックするモード、第2のギア要素を順トルク方向で第2の入力シャフトとともに回転するようにロックし、逆トルク方向にはロックしないモード;及び第2のギア要素を逆トルク方向で第2の入力シャフトとともに回転するようにロックし、順トルク方向にはロックしないモード、を含む動作モードから選択的に、第2のギア要素を第2の入力シャフトとともに回転するようにロックするように構成され得る。
【0037】
いくつかの実施例では、別のギア・セレクタ組立体は、第4のギア要素を順トルク方向及び逆トルク方向で第2の入力シャフトとともに回転するようにロックするモード、第4のギア要素を順トルク方向で第2の入力シャフトとともに回転するようにロックし、逆トルク方向にはロックしないモード;及び第4のギア要素を逆トルク方向で第2の入力シャフトとともに回転するようにロックし、順トルク方向にはロックしないモード、を含む動作モードから選択的に、第4のギア要素を第2の入力シャフトとともに回転するようにロックするように構成され得る。
【0038】
いくつかの実施例では、別のギア・セレクタ組立体は、ギア要素を順トルク方向及び逆トルク方向で出力シャフトとともに回転するようにロックするモード、ギア要素を順トルク方向で出力シャフトとともに回転するようにロックし、逆トルク方向にはロックしないモード;及びギア要素を逆トルク方向で出力シャフトとともに回転するようにロックし、順トルク方向にはロックしないモード、を含む動作モードから選択的に、ギア要素を出力シャフトとともに回転するようにロックするように構成され得る。
【0039】
いくつかの実施例では、別のギア・セレクタ組立体は、別のギア要素を順トルク方向及び逆トルク方向で出力シャフトとともに回転するようにロックするモード、別のギア要素を順トルク方向で出力シャフトとともに回転するようにロックし、逆トルク方向にはロックしないモード;及び別のギア要素を逆トルク方向で出力シャフトとともに回転するようにロックし、順トルク方向にはロックしないモード、を含む動作モードから選択的に、別のギア要素を出力シャフトとともに回転するようにロックするように構成され得る。
【0040】
いくつかの実施例では、第1のギア要素は第3のギア要素と噛み合う。
【0041】
いくつかの実施例では、第2のギア要素は第4のギア要素と噛み合う。
【0042】
第2の電気モータからのトルクは、第1の入力シャフトにマウントされた少なくとも1つのギア要素へと伝達され得る。たとえば、トルクは第2の電気モータから第1のギア要素へと、第2のギア要素を介して伝達され得る。トルクは第2の電気モータから第3のギア要素へと、第4のギア要素を介して伝達され得る。
【0043】
いくつかの実施例では、第1のギア・トレインは出力シャフトにマウントされたギア要素を含むことができる。第1のギア要素は、出力部材にマウントされたギア要素と噛み合うことができる。第1のギア要素が第2のギア要素と噛み合い、第1のギア要素が出力部材にマウントされたギア要素と噛み合うとき、これにより非常に単純で小型のトランスミッション・レイアウトが提供される。トルクは第1の電気モータから出力部材へと、第1のギア・トレインを介して選択的に提供され得る。トルクは第2の電気モータから出力部材へと、第1のギア・トレインを介して選択的に提供され得る。
【0044】
トランスミッション・システムは第3のギア・トレインを含むことができる。第3のギア・トレインは、第1の入力シャフトに回転可能にマウントされる第5のギア要素を含むことができる。第3のギア・トレインは、出力部材にマウントされるギア要素を含むことができる。トルクは第1の電気モータから出力部材へと、第3のギア・トレインを介して選択的に提供され得る。トルクは第2の電気モータから出力部材へと、第1のギア・トレイン及び第3のギア・トレインを介して選択的に提供され得る。第1の入力シャフトと第2の入力シャフトとを連結する第1のギア・トレインと、第1の入力シャフトを出力部材に連結する第3のギア・トレインとを有することにより、第1の電気モータ及び第2の電気モータの相対的な出力定格を決定するより高い柔軟性が提供され、ギア要素の相対的サイズ、したがってそれらの間の比を決定するより高い柔軟性が提供される。これにより、モータ及び/又はギアリングを特定の目的、たとえば強い加速、低速、発進、又は高速での巡航、に関して選択することが可能になる。
【0045】
第1のギア要素及び第5のギア要素は、第1のスリーブに固定的に取り付けられ得る。第1のスリーブは第1の入力シャフトに回転可能にマウントされ得る。ギア・セレクタ組立体は、第1のスリーブを第1の入力シャフトとともに回転するように選択的にロックするように構成され得る。第1のギア要素及び第5のギア要素は第1のスリーブとともに回転するように固定されているので、第1のスリーブを第1の入力シャフトとともに回転するように選択的にロックすることにより、第1のギア要素及び第5のギア要素も第1の入力シャフトとともに回転するように選択的にロックされる。
【0046】
ギア・セレクタ組立体は、第1のスリーブを順トルク方向及び逆トルク方向で第1の入力シャフトとともに回転するようにロックするモード、第1のスリーブを順トルク方向で第1の入力シャフトとともに回転するようにロックし、逆トルク方向にはロックしないモード;及び第1のスリーブを逆トルク方向で第1の入力シャフトとともに回転するようにロックし、順トルク方向にはロックしないモード、を含む動作モードから選択的に、第1のスリーブを第1の入力シャフトとともに回転するようにロックするように構成され得る。第1のギア要素及び第5のギア要素は第1のスリーブとともに回転するようにロックされるので、ギア・セレクタ組立体についての選択モードは、第1のギア要素及び第5のギア要素にも当てはまる。
【0047】
いくつかの実施例では、第2のギア・トレインは、出力シャフトにマウントされた別のギア要素を含むことができる。第3のギア要素は、出力部材にマウントされた別のギア要素と噛み合うことができる。第3のギア要素が第4のギア要素と噛み合い、第3のギア要素が出力部材にマウントされた別のギア要素と噛み合う実施例では、これにより非常に単純で小型のトランスミッション・レイアウトが提供される。トルクは第1の電気モータから出力部材へと、第2のギア・トレインを介して選択的に提供され得る。トルクは第2の電気モータから出力部材へと、第2のギア・トレインを介して選択的に提供され得る。
【0048】
トランスミッション・システムは第4のギア・トレインを含むことができる。第4のギア・トレインは、第1の入力シャフトに回転可能にマウントされた第6のギア要素を含むことができる。第4のギア・トレインは、出力部材にマウントされた別のギア要素を含むことができる。トルクは第1の電気モータから出力部材へと、第4のギア・トレインを介して選択的に提供され得る。トルクは第2の電気モータから出力部材へと、第2のギア・トレイン及び第4のギア・トレインを介して選択的に提供され得る。第2のギア・トレイン及び第4のギア・トレインを有することにより、第1の電気モータ及び第2の電気モータの相対的な出力定格を決定するより高い柔軟性が提供され、ギア要素の相対的サイズ、したがってそれらの間の比を決定するより高い柔軟性が提供される。これにより、モータ及び/又はギアリングを特定の目的、たとえば強い加速、低速、発進、又は高速での巡航、に関して選択することが可能になる。
【0049】
第3のギア要素及び第6のギア要素は、第2のスリーブに固定的に取り付けられ得る。第2のスリーブは第1の入力シャフトに回転可能にマウントされ得る。ギア・セレクタ組立体は、第2のスリーブを第1の入力シャフトとともに回転するように選択的にロックするように構成され得る。第3のギア要素及び第6のギア要素は第2のスリーブとともに回転するように固定されているので、第2のスリーブを第1の入力シャフトとともに回転するように選択的にロックすることにより、第3のギア要素及び第6のギア要素も第1の入力シャフトとともに回転するように選択的にロックされる。
【0050】
ギア・セレクタ組立体は、第2のスリーブを順トルク方向及び逆トルク方向で第1の入力シャフトとともに回転するようにロックするモード、第2のスリーブを順トルク方向で第1の入力シャフトとともに回転するようにロックし、逆トルク方向にはロックしないモード;及び第2のスリーブを逆トルク方向で第1の入力シャフトとともに回転するようにロックし、順トルク方向にはロックしないモード、を含む動作モードから選択的に、第2のスリーブを第1の入力シャフトとともに回転するようにロックするように構成され得る。第3のギア要素及び第6のギア要素は第2のスリーブとともに回転するようにロックされるので、ギア・セレクタ組立体についての選択モードは、第3のギア要素及び第6のギア要素にも当てはまる。
【0051】
ドライブ・トレインは、トルクが第1の電気モータから第1のギア・トレインを介して出力部材へと提供される少なくとも1つの動作状態を有することができる。動作状態はトランスミッションの通常の運転状態であり、ギア・シフトではない。ギア・シフトは、トランスミッションがある動作状態から別の動作状態へと切り替わっている状態である。
【0052】
ドライブ・トレインは、トルクが第1の電気モータから第2のギア・トレインを介して出力部材へと提供される少なくとも1つの動作状態を有することができる。
【0053】
ドライブ・トレインは、トルクが第1の電気モータから第3のギア・トレインを介して出力部材へと提供される少なくとも1つの動作状態を有することができる。
【0054】
ドライブ・トレインは、トルクが第1の電気モータから第4のギア・トレインを介して出力部材へと提供される少なくとも1つの動作状態を有することができる。
【0055】
ドライブ・トレインは、トルクが第2の電気モータから第1のギア・トレインを介して出力部材へと提供される少なくとも1つの動作状態を有することができる。
【0056】
ドライブ・トレインは、トルクが第2の電気モータから第2のギア・トレインを介して出力部材へと提供される少なくとも1つの動作状態を有することができる。
【0057】
ドライブ・トレインは、トルクが第2の電気モータから第3のギア・トレインを介して出力部材へと提供される少なくとも1つの動作状態を有することができる。トルクは、第2の電気モータから同時に第1のギア・トレイン及び第3のギア・トレインを介して出力部材へと提供されてもよい。
【0058】
ドライブ・トレインは、トルクが第2の電気モータから第4のギア・トレインを介して出力部材へと提供される少なくとも1つの動作状態を有することができる。トルクは、第2の電気モータから同時に第2のギア・トレイン及び第4のギア・トレインを介して出力部材へと提供されてもよい。
【0059】
ドライブ・トレインは、トルクが第1の電気モータ単体によって出力部材へと提供される少なくとも1つの動作状態を有することができる。ドライブ・トレインは、トルクが第1のモータ単体によって出力部材へと提供される複数の動作状態を有することができる。たとえば、ドライブ・トレインは、トルクが第1のモータ単体によって出力部材へと提供される2つの動作状態を含んでもよい。
【0060】
ドライブ・トレインは、トルクが第2の電気モータ単体によって出力部材へと提供される少なくとも1つの動作状態を有することができる。ドライブ・トレインは、トルクが第2のモータ単体によって出力部材へと提供される複数の動作状態を有することができる。たとえば、ドライブ・トレインは、トルクが第2のモータ単体によって出力部材へと提供される2つの動作状態を含んでもよい。
【0061】
ドライブ・トレインは、トルクが同時に第1の電気モータ及び第2の電気モータによって出力部材へと提供される少なくとも1つの動作状態を有することができる。ドライブ・トレインは、トルクが同時に第1の電気モータ及び第2の電気モータによって出力部材へと提供される複数の動作状態を有することができる。たとえば、ドライブ・トレインは、トルクが同時に第1の電気モータ及び第2の電気モータによって出力部材へと提供される4つの動作状態を有してもよい。
【0062】
ドライブ・トレインは、トルクが異なるギア・トレインを介して同時に第1の電気モータ及び第2の電気モータによって出力部材へと提供される少なくとも1つの動作状態を有することができる。たとえば、トルクは同時に第1の電気モータ及び第2の電気モータによって出力部材へと提供されてもよく、第1の電気モータは第1のギア・トレイン及び第2のギア・トレインのうちの一方を介してトルクを提供し、第2の電気モータは第1のギア・トレイン及び第2のギア・トレインのうちの他方を介してトルクを提供する。トルクは同時に第1の電気モータ及び第2の電気モータによって出力部材へと提供されてもよく、第1の電気モータは第3のギア・トレイン及び第4のギア・トレインのうちの一方を介してトルクを提供し、第2の電気モータは第3のギア・トレイン及び第4のギア・トレインのうちの他方を介してトルクを提供する。
【0063】
ドライブ・トレインは、トルクが共通のギア・トレインを介して同時に第1の電気モータ及び第2の電気モータによって出力部材へと提供される少なくとも1つの動作状態を有することができる。ドライブ・トレインは、複数の動作状態において、トルクが共通のギア・トレインを介して同時に第1の電気モータ及び第2の電気モータによって出力部材へと提供され得るように構成されてもよい。共通のギア・トレインは、それぞれの動作状態において異なっていてもよい。たとえば、トルクは同時に第1の電気モータ及び第2の電気モータによって出力部材へと提供されてもよく、第1の電気モータ及び第2の電気モータは、第1のギア・トレインを介して出力部材へとトルクを提供する。トルクは同時に第1の電気モータ及び第2の電気モータによって出力部材へと提供されてもよく、第1の電気モータ及び第2の電気モータは、第2のギア・トレインを介して出力部材へとトルクを提供する。トルクは同時に第1の電気モータ及び第2の電気モータによって出力部材へと提供されてもよく、第1の電気モータ及び第2の電気モータは、第3のギア・トレインを介して出力部材へとトルクを提供する。トルクは同時に第1の電気モータ及び第2の電気モータによって出力部材へと提供されてもよく、第1の電気モータ及び第2の電気モータは、第4のギア・トレインを介して出力部材へとトルクを提供する。
【0064】
ドライブ・トレインは、第1の電気モータが、ある動作状態では奇数のギアを介し、別の動作状態では偶数のギアを介して、出力部材へとトルクを提供するように構成されてもよい。たとえば、第1のギア、第2のギア、第3のギア、第4のギア、などを有する車両の実施例においては、第1の電気モータは、ある動作状態では第1のギア又は第3のギアなどの奇数のギアを介し、別の動作状態では第2のギア又は第4のギアなどの偶数のギアを介して、出力部材へとトルクを提供してもよい。
【0065】
ドライブ・トレインは、第2の電気モータが、ある動作状態では奇数のギアを介し、別の動作状態では偶数のギアを介して、出力部材へとトルクを提供するように構成されてもよい。
【0066】
ドライブ・トレインは、ギア・シフト中に出力部材にトルク支持を提供するように構成されてもよい。したがって、少なくとも1つのシフト・タイプにおいては、ギア・シフト中のトルクの途切れが存在しない。ドライブ・トレインはパワー・オン・アップ・シフト中及びパワー・オン・ダウン・シフト中にトルク支持を提供する。オーバーランが発生するパワー・オフ・アップ・シフト中及びパワー・オフ・ダウン・シフト中には、バッテリ再生が行われる場合がある。
【0067】
ギア・シフト中、第1の電気モータ及び第2の電気モータのうちの一方の速度は、新しいギアの速度と同期され得る。これは、少なくとも1つのシフト・タイプに当てはまる場合がある。これは、各ギア・セレクタ組立体によって新しいギアが係合している間のトルク・スパイクを最小限に抑える助けとなる。たとえば、第1の電気モータの速度は、第1のスリーブ及び第2のスリーブのうちの一方の回転速度と同期されてもよい。第2の電気モータの速度は、第3のスリーブ及び第4のスリーブのうちの一方と同期されてもよい。電気モータの速度の同期は、各ギア・セレクタ組立体が新しいギアに係合する前に行われる。たとえば、第1の電気モータの速度は、第1のスリーブ及び第2のスリーブのうちの一方の速度と、ギア・セレクタ組立体がそのスリーブに係合する前に同期され得る。第2の電気モータの速度は、第3のスリーブ及び第4のスリーブのうちの一方の速度と、別のギア・セレクタ組立体がそのスリーブに係合する前に同期され得る。電子制御装置により、電気モータの速度が調節され得る。新しいギア要素が一方の回転方向に回転するようにロックされるが、他方の回転方向にはロックされない方式で新しいギア要素を選択することが可能であり、このことはシフト中のトルクの反転又はスパイクに対処する助けとなるので、特許請求されたタイプのギア・セレクタ組立体を使用することは、ギア・シャフト中にモータを新しいギアと同期させるときの助けとなる。
【0068】
ギア・シフト中、第1の電気モータ及び第2の電気モータのうちの一方のトルク出力は減少する場合があり、好ましくはゼロ又はゼロ近くまで減少する。これは、少なくとも1つのシフト・タイプに当てはまる場合がある。
【0069】
ギア・シフト中、第1のモータ及び第2のモータのうちの他方のトルク出力は増加する場合がある。これは、少なくとも1つのシフト・タイプに当てはまる場合がある。これは、たとえば、第1の電気モータと第2の電気モータの両方が出力部材へとトルクを供給するある動作状態から、第1の電気モータと第2の電気モータの両方が出力部材へとトルクを供給する別の動作状態へとシフトしているときに発生する場合がある。一方のモータのトルク出力を一時的に増加させることにより、他方のモータからのトルクの損失が補償される。
【0070】
ギア・セレクタ組立体及び別のギア・セレクタ組立体の少なくとも一方は、第1の組の係合部材及び第2の組の係合部材を含むことができる。第1の組の係合部材及び第2の組の係合部材は、互いから独立して動くように構成され得る。第1の組の係合部材及び第2の組の係合部材は、第1のギア要素及び第3のギア要素、第2のギア要素及び第4のギア要素、又はギア要素及び別のギア要素などの各ギア要素に関連付けられた駆動構成物と係合するように、また係合を外すように動くように構成され得る。駆動構成物は、ギア要素に直接的に形成されてもよい。駆動構成物は、スリーブなどの、ギア要素に関連付けられた構成要素に形成されてもよい。
【0071】
第1の組の係合部材及び第2の組の係合部材は、第1の組の係合部材及び第2の組の係合部材が第1のギア要素を選択し、制動力が伝達されるとき、第1の組の係合部材が第1のギア要素に関連付けられた駆動構成物と駆動式に係合し、第2の組の係合部材は負荷がかかっていない状態になり、駆動力が伝達されるとき、第2の組の係合部材が第1のギア要素に関連付けられた駆動構成物と駆動式に係合し、第1の組の係合部材は負荷がかかっていない状態になるように構成され得る。
【0072】
第1の組の係合部材及び第2の組の係合部材は、第1の組の係合部材及び第2の組の係合部材が第3のギア要素を選択し、駆動力が伝達され得るとき、第1の組の係合部材が第3のギア要素に関連付けられた駆動構成物と駆動式に係合し、第2の組の係合部材は負荷がかかっていない状態になり、制動力が伝達されるとき、第2の組の係合部材が第3のギア要素に関連付けられた駆動構成物と駆動式に係合し、第1の組の係合部材は次いで負荷がかかっていない状態になるように構成され得る。
【0073】
第1の組の係合部材及び第2の組の係合部材は、第1の組の係合部材及び第2の組の係合部材が第2のギア要素を選択し、制動力が伝達されるとき、第1の組の係合部材が第2のギア要素に関連付けられた駆動構成物と駆動式に係合し、第2の組の係合部材は負荷がかかっていない状態になり、駆動力が伝達されるとき、第2の組の係合部材が第2のギア要素に関連付けられた駆動構成物と駆動式に係合し、第1の組の係合部材は負荷がかかっていない状態になるように構成され得る。
【0074】
第1の組の係合部材及び第2の組の係合部材は、第1の組の係合部材及び第2の組の係合部材が第4のギア要素を選択し、駆動力が伝達されるとき、第1の組の係合部材が第4のギア要素に関連付けられた駆動構成物と駆動式に係合し、第2の組の係合部材は負荷がかかっていない状態になり、制動力が伝達されるとき、第2の組の係合部材が第4のギア要素に関連付けられた駆動構成物と駆動式に係合し、第1の組の係合部材は負荷がかかっていない状態になるように構成され得る。
【0075】
第1の組の係合部材及び第2の組の係合部材は、第1の組の係合部材及び第2の組の係合部材が出力シャフトにマウントされたギア要素を選択し、制動力が伝達されるとき、第1の組の係合部材がギア要素に関連付けられた駆動構成物と駆動式に係合し、第2の組の係合部材は負荷がかかっていない状態になり、駆動力が伝達されるとき、第2の組の係合部材がギア要素に関連付けられた駆動構成物と駆動式に係合し、第1の組の係合部材は負荷がかかっていない状態になるように構成され得る。
【0076】
第1の組の係合部材及び第2の組の係合部材は、第1の組の係合部材及び第2の組の係合部材が出力シャフトにマウントされた別のギア要素を選択し、駆動力が伝達されるとき、第1の組の係合部材が別のギア要素に関連付けられた駆動構成物と駆動式に係合し、第2の組の係合部材は負荷がかかっていない状態になり、制動力が伝達されるとき、第2の組の係合部材が別のギア要素に関連付けられた駆動構成物と駆動式に係合し、第1の組の係合部材は負荷がかかっていない状態になるように構成され得る。
【0077】
第1の電気モータの最大出力定格は、第2の電気モータの最大出力定格とは異なってもよい。一方のモータは第1の組の動作条件に適しており、第2のモータは第2の組の動作条件に適しているように、第1の電気モータ及び第2の電気モータには異なるタイプのモータが使用されてもよい。
【0078】
第1の入力シャフトと第2の入力シャフトとは平行でもよい。第1の入力シャフトと第2の入力シャフトとは非同軸でもよい。第1の入力シャフト及び第2の入力シャフトの長手方向軸は、第1の入力シャフトから第2の入力シャフトへと延在するギア・トレインを収容するために、互いから十分に間隔を開けて配置される。
【0079】
別の態様によれば、第1の電気モータと、第2の電気モータと、トランスミッション・システムとを含み、トランスミッション・システムは、第1の電気モータに駆動可能に連結された第1の入力シャフトと、第2の電気モータに駆動可能に連結された第2の入力シャフトと、第1の入力シャフトに回転可能にマウントされた第1のギア要素及び第2の入力シャフトに回転可能にマウントされた第2のギア要素を含むことができる第1のギア・トレインと、第1の入力シャフトに回転可能にマウントされた第3のギア要素及び第2の入力シャフトに回転可能にマウントされた第4のギア要素を含むことができる第2のギア・トレインと、第1のギア要素及び第3のギア要素を第1の入力シャフトとともに回転するように選択的にロックするように構成されたギア・セレクタ組立体と、第2のギア要素及び第4のギア要素を第2の入力シャフトとともに回転するように選択的にロックするように構成された別のギア・セレクタ組立体とを含むことができ、ギア・セレクタ組立体が、第1のギア要素を順トルク方向及び逆トルク方向で第1の入力シャフトとともに回転するようにロックするモード、第1のギア要素を順トルク方向で第1の入力シャフトとともに回転するようにロックし、逆トルク方向にはロックしないモード;及び第1のギア要素を逆トルク方向で第1の入力シャフトとともに回転するようにロックし、順トルク方向にはロックしないモード、を含む動作モードから選択的に、第1のギア要素を第1の入力シャフトとともに回転するようにロックするように構成されてもよく、ギア・セレクタ組立体が、第3のギア要素を順トルク方向及び逆トルク方向で第1の入力シャフトとともに回転するようにロックするモード、第3のギア要素を順トルク方向で第1の入力シャフトとともに回転するようにロックし、逆トルク方向にはロックしないモード;及び第3のギア要素を逆トルク方向で第1の入力シャフトとともに回転するようにロックし、順トルク方向にはロックしないモード、を含む動作モードから選択的に、第3のギア要素を第1の入力シャフトとともに回転するようにロックするように構成されてもよく、且つ/又は別のギア・セレクタ組立体が、第2のギア要素を順トルク方向及び逆トルク方向で第2の入力シャフトとともに回転するようにロックするモード、第2のギア要素を順トルク方向で第2の入力シャフトとともに回転するようにロックし、逆トルク方向にはロックしないモード;及び第2のギア要素を逆トルク方向で第2の入力シャフトとともに回転するようにロックし、順トルク方向にはロックしないモード、を含む動作モードから選択的に、第2のギア要素を第2の入力シャフトとともに回転するようにロックするように構成されてもよく、別のギア・セレクタ組立体が、第4のギア要素を順トルク方向及び逆トルク方向で第2の入力シャフトとともに回転するようにロックするモード、第4のギア要素を順トルク方向で第2の入力シャフトとともに回転するようにロックし、逆トルク方向にはロックしないモード;及び第4のギア要素を逆トルク方向で第2の入力シャフトとともに回転するようにロックし、順トルク方向にはロックしないモード、を含む動作モードから選択的に、第4のギア要素を第1の入力シャフトとともに回転するようにロックするように構成されてもよい、ドライブ・トレインが提供される。
【0080】
別の態様によれば、第1の電気モータと、第2の電気モータと、トランスミッション・システムとを含み、トランスミッション・システムは、第1の電気モータに駆動可能に連結された第1の入力シャフトと、第2の電気モータに駆動可能に連結された第2の入力シャフトと、出力シャフトと、第1の入力シャフトに回転可能にマウントされた第1のギア要素、第2の入力シャフトとともに回転するように固定された第2のギア要素、及び出力シャフトに回転可能にマウントされたギア要素を含む第1のギア・トレインと、第1の入力シャフトに回転可能にマウントされた第3のギア要素、第2の入力シャフトとともに回転するように固定された第4のギア要素、及び出力シャフトに回転可能にマウントされた別のギア要素を含む第2のギア・トレインと、第1のギア要素及び第3のギア要素を第1の入力シャフトとともに回転するように選択的にロックするように構成されたギア・セレクタ組立体と、ギア要素及び別のギア要素を出力シャフトとともに回転するように選択的にロックするように構成された別のギア・セレクタ組立体とを含み、ギア・セレクタ組立体のうちの少なくとも一方が、以下のモード:ギア要素を順トルク方向及び逆トルク方向でシャフトとともに回転するようにロックするモード、ギア要素を順トルク方向でシャフトとともに回転するようにロックし、逆トルク方向にはロックしないモード;及びギア要素を逆トルク方向でシャフトとともに回転するようにロックし、順トルク方向にはロックしないモード、を含む動作モードから選択的に、その各ギア要素のそれぞれをその各シャフトとともに回転するようにロックするように構成されている、ドライブ・トレインが提供される。
【0081】
別の態様によれば、第1の電気モータと、第2の電気モータと、トランスミッション・システムとを含み、トランスミッション・システムは、第1の電気モータに駆動可能に連結された第1の入力シャフトと、第2の電気モータに駆動可能に連結された第2の入力シャフトと、出力シャフトと、第1の入力シャフトとともに回転するように固定された第1のギア要素、第2の入力シャフトに回転可能にマウントされた第2のギア要素、及び出力シャフトに回転可能にマウントされたギア要素を含む第1のギア・トレインと、第1の入力シャフトとともに回転するように固定された第3のギア要素、第2の入力シャフトに回転可能にマウントされた第4のギア要素、及び出力シャフトに回転可能にマウントされた別のギア要素を含む第2のギア・トレインと、第2のギア要素及び第4のギア要素を第2の入力シャフトとともに回転するように選択的にロックするように構成されたギア・セレクタ組立体と、ギア要素及び別のギア要素を出力シャフトとともに回転するように選択的にロックするように構成された別のギア・セレクタ組立体とを含み、ギア・セレクタ組立体のうちの少なくとも一方が、以下のモード:ギア要素を順トルク方向及び逆トルク方向でシャフトとともに回転するようにロックするモード、ギア要素を順トルク方向でシャフトとともに回転するようにロックし、逆トルク方向にはロックしないモード;及びギア要素を逆トルク方向でシャフトとともに回転するようにロックし、順トルク方向にはロックしないモード、を含む動作モードから選択的に、その各ギア要素のそれぞれをその各入力シャフトとともに回転するようにロックするように構成されている、ドライブ・トレインが提供される。
【0082】
別の態様によれば、第1の電気モータと、第2の電気モータと、トランスミッション・システムとを含み、トランスミッション・システムは、第1の電気モータに駆動可能に連結された第1の入力シャフトと、第2の電気モータに駆動可能に連結された第2の入力シャフトと、第1の入力シャフトにマウントされた第1のギア要素及び第2の入力シャフトにマウントされた第2のギア要素を含む第1のギア・トレインと、第1の入力シャフトにマウントされた第3のギア要素及び第2の入力シャフトにマウントされた第4のギア要素を含む第2のギア・トレインとを含むドライブ・トレインが提供される。トランスミッションは、出力部材と、出力部材にマウントされたギア要素と、出力部材にマウントされた別のギア要素とを含んでもよい。トランスミッションはギア・セレクタ組立体を含んでもよい。トランスミッションは別のギア・セレクタ組立体を含んでもよい。ギア・セレクタ組立体及び別のギア・セレクタ組立体のそれぞれは、シンクロメッシュのギア・セレクタ組立体又はドグ・タイプのセレクタ組立体などの従来のギア・セレクタ組立体でもよい。
【0083】
別の態様によれば、本明細書に記載の任意の構成によるドライブ・トレインを含む車両が提供される。たとえば、車両は自動車、運搬車、オートバイ、バス、バン、全輪駆動車両、トラクタ、建設車両、及び掘削車両のうちの任意の1つを含んでもよい。
【0084】
次に、単なる一実例として、添付図面を参照して実施例を説明する。添付図面では、同様の参照符号は同等の特徴を示す。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【
図1】第1の実施例によるドライブ・トレインの概略図であり、ドライブ・トレインは第1の電気モータ及び第2の電気モータ、並びにトランスミッション・システムを含む。
【
図2】
図1のドライブ・トレインで使用されるギア・セレクタ組立体の等角図である。
【
図3a】
図2のギア・セレクタ組立体の一部の等角図である。
【
図3b】
図3aのギア・セレクタ組立体の一部の分解等角図である。
【
図4】
図1のドライブ・トレインの動作状態を示す図である。
【
図5】
図1のドライブ・トレインの動作状態を示す図である。
【
図6】
図1のドライブ・トレインの動作状態を示す図である。
【
図7】
図1のドライブ・トレインの動作状態を示す図である。
【
図8】
図1のドライブ・トレインの動作状態を示す図である。
【
図9】
図1のドライブ・トレインの動作状態を示す図である。
【
図10】
図1のドライブ・トレインの動作状態を示す図である。
【
図11】
図1のドライブ・トレインの動作状態を示す図である。
【
図12】
図1のドライブ・トレインの動作状態を示す図である。
【
図13】
図1のドライブ・トレインの動作状態を示す図である。
【
図14】単一モータ状態から単一モータ状態への
図1のドライブ・トレインにおけるパワー・オン・アップ・シフトを示す図である。
【
図15】単一モータ状態から単一モータ状態への
図1のドライブ・トレインにおけるパワー・オン・アップ・シフトを示す図である。
【
図16】単一モータ状態から単一モータ状態への
図1のドライブ・トレインにおけるパワー・オン・アップ・シフトを示す図である。
【
図17】単一モータ状態から単一モータ状態への
図1のドライブ・トレインにおけるパワー・オン・アップ・シフトを示す図である。
【
図18】単一モータ状態から単一モータ状態への
図1のドライブ・トレインにおけるパワー・オン・アップ・シフトを示す図である。
【
図19】単一モータ状態から単一モータ状態への
図1のドライブ・トレインにおけるパワー・オン・アップ・シフトを示す図である。
【
図20】単一モータ状態から単一モータ状態への
図1のドライブ・トレインにおけるパワー・オン・アップ・シフトを示す図である。
【
図21】デュアル・モータ状態からデュアル・モータ状態への
図1のドライブ・トレインにおけるパワー・オン・アップ・シフトを示す図である。
【
図22】デュアル・モータ状態からデュアル・モータ状態への
図1のドライブ・トレインにおけるパワー・オン・アップ・シフトを示す図である。
【
図23】デュアル・モータ状態からデュアル・モータ状態への
図1のドライブ・トレインにおけるパワー・オン・アップ・シフトを示す図である。
【
図24】デュアル・モータ状態からデュアル・モータ状態への
図1のドライブ・トレインにおけるパワー・オン・アップ・シフトを示す図である。
【
図25】デュアル・モータ状態からデュアル・モータ状態への
図1のドライブ・トレインにおけるパワー・オン・アップ・シフトを示す図である。
【
図26】デュアル・モータ状態からデュアル・モータ状態への
図1のドライブ・トレインにおけるパワー・オン・アップ・シフトを示す図である。
【
図27】デュアル・モータ状態からデュアル・モータ状態への
図1のドライブ・トレインにおけるパワー・オン・アップ・シフトを示す図である。
【
図28】デュアル・モータ状態からデュアル・モータ状態への
図1のドライブ・トレインにおけるパワー・オン・アップ・シフトを示す図である。
【
図29】第2の実施例によるドライブ・トレインの概略図であり、ドライブ・トレインは第1の電気モータ及び第2の電気モータ、並びにトランスミッション・システムを含む。
【
図30】第3の実施例によるドライブ・トレインの概略図であり、ドライブ・トレインは第1の電気モータ及び第2の電気モータ、並びにトランスミッション・システムを含む。
【
図31】第4の実施例によるドライブ・トレインの概略図であり、ドライブ・トレインは第1の電気モータ及び第2の電気モータ、並びにトランスミッション・システムを含む。
【
図32】第5の実施例によるドライブ・トレインの概略図であり、ドライブ・トレインは第1の電気モータ及び第2の電気モータ、並びにトランスミッション・システムを含む。
【発明を実施するための形態】
【0086】
図1には、第1の実施例によるドライブ・トレイン1が概略的に示してある。ドライブ・トレイン1は、第1の電気モータM1、第2の電気モータM2、及びトランスミッション2を含む。ドライブ・トレインは、自動車、運搬車、オートバイ、バス、バン、全輪駆動車両、トラクタ、建設車両、及び掘削車両などの車両に使用することができる。別法として、ドライブ・トレインは製造工程などの他の用途に使用されてもよい。
【0087】
トランスミッション2は第1の入力シャフト3を含む。第1の入力シャフト3は、第1の電気モータM1に駆動可能に連結される。たとえば、第1の電気モータEM1の出力シャフトが第1の入力シャフト3に直接的に結合されてもよく、たとえば第1の入力シャフト3にスプライン連結されてもよい。トランスミッション2は第2の入力シャフト5を含む。第2の入力シャフト5は第2の電気モータM2に駆動可能に連結される。たとえば、第2の電気モータEM2の出力シャフトが第2の入力シャフト5に直接的に結合されてもよく、たとえば第2の入力シャフト5にスプライン連結されてもよい。
【0088】
第1の入力シャフト3と第2の入力シャフト5とは、互いに対して平行に配置される。第1の入力シャフト3及び第2の入力シャフト5の長手方向軸は互いから間隔を開けて配置されており、したがって、第1の入力シャフト3と第2の入力シャフト5とは同軸ではない。
【0089】
トランスミッションは出力シャフト7の形をとる出力部材を含む。車両用途では、出力シャフト7は、通常はアクスルを介して車両の車輪へと駆動力を伝達するデファレンシャルに連結される。
【0090】
トランスミッション2は、第1の入力シャフト3に回転可能にマウントされたギア要素11を有する第1のギア・トレイン9を含む。第1のギア・トレイン9は、第2の入力シャフト5に回転可能にマウントされたギア要素13を含む。
【0091】
トランスミッション2は、第1の入力シャフト3に回転可能にマウントされたギア要素17を有する第2のギア・トレイン15を含む。第2のギア・トレイン15は、第2の入力シャフト5に回転可能にマウントされたギア要素19を含む。
【0092】
トランスミッション2は、第1の入力シャフト3に回転可能にマウントされたギア要素23を有する第3のギア・トレイン21を含む。第3のギア・トレイン21は、出力シャフト7にマウントされたギア要素25を含む。好ましくは、ギア要素25は出力シャフト7とともに回転するように固定される。
【0093】
トランスミッション2は、第1の入力シャフト3に回転可能にマウントされたギア要素29を有する第4のギア・トレイン27を含む。第4のギア・トレイン27は、出力シャフト7にマウントされたギア要素31を含む。好ましくは、ギア要素31は出力シャフト7とともに回転するように固定される。
【0094】
第1のギア・トレイン9からのギア要素11及び第3のギア・トレイン21からのギア要素23は、第1のスリーブ33を用いて第1の入力シャフト3に回転可能にマウントされる。ギア要素11及びギア要素23は、第1のスリーブ33とともに回転するようにそれぞれ固定される。第1のスリーブ33は軸受(図示せず)によって第1の入力シャフト3に回転可能にマウントされる。
【0095】
第2のギア・トレイン15からのギア要素17及び第4のギア・トレイン27からのギア要素29は、第2のスリーブ35を用いて第1の入力シャフト3に回転可能にマウントされる。ギア要素17及びギア要素29は、第2のスリーブ35とともに回転するようにそれぞれ固定される。第2のスリーブ35は、軸受(図示せず)によって第1の入力シャフト3に回転可能にマウントされる。
【0096】
第1のギア・トレイン9からのギア要素13は、第3のスリーブ85を用いて第2の入力シャフト5に回転可能にマウントされる。ギア要素13は、第3のスリーブ85とともに回転するように固定される。第3のスリーブ85は、軸受(図示せず)によって第2の入力シャフト5に回転可能にマウントされる。
【0097】
第2のギア・トレイン15からのギア要素19は、第4のスリーブ87を用いて第2の入力シャフト5に回転可能にマウントされる。ギア要素19は、第4のスリーブ87とともに回転するように固定される。第4のスリーブ87は、軸受(図示せず)によって第2の入力シャフト5に回転可能にマウントされる。
【0098】
トランスミッション2は第1のギア・セレクタ組立体37を含む。第1のギア・セレクタ組立体37は、第1のスリーブ33を第1の入力シャフト3とともに回転するように選択的にロックするように構成され、したがってギア要素11及びギア要素23を第1の入力シャフト3とともに回転するように選択的にロックするように構成される。第1のギア・セレクタ組立体37は、第2のスリーブ35を第1の入力シャフト3とともに回転するように選択的にロックするように構成され、したがってギア要素17及びギア要素29を第1の入力シャフト3とともに回転するように選択的にロックするように構成される。
【0099】
トランスミッション2は第2のギア・セレクタ組立体39を含む。第2のギア・セレクタ組立体39は、第3のスリーブ85を第2の入力シャフト5とともに回転するように選択的にロックするように構成され、したがって第1のギア・トレイン9のギア要素13を第2の入力シャフト5とともに回転するように選択的にロックするように構成される。第2のギア・セレクタ組立体39は、第4のスリーブ87を第2の入力シャフト5とともに回転するように選択的にロックするように構成され、したがって第2のギア・トレイン15のギア要素19を第2の入力シャフト5とともに回転するように選択的にロックするように構成される。
【0100】
第1のギア・セレクタ組立体37は、第1のスリーブ33に位置付けられた駆動構成物41と係合するように構成される(
図1を参照)。第1のセレクタ組立体37は、第2のスリーブ35に位置付けられた駆動構成物43と係合するように構成される(
図1を参照)。駆動構成物41、43は、それぞれドグの群を備える。第1の群のドグ41は、第1のスリーブ33の一方の端部に向かって位置付けられる。第2の群のドグ43は、第2のスリーブ35の一方の端部に向かって位置付けられる。それぞれの群41、43には、通常3つのドグが存在する。1つの群の中のドグは、第1の入力シャフト3の周りで均等に円周方向に分散され、すなわち1対のドグの中心間に対する角度は約120度である。好ましくは3つのドグが使用されるが、これは、この構成により、第1のセレクタ組立体37から係合部材を受ける比較的大きい係合窓(engagement window)、つまりドグ間の間隔が提供されるからである。また、3つのドグにより、固有自己調心(inherent self-centring)及び均一な負荷分散が提供される。係合窓が大きいことにより、第1のセレクタ組立体37が第1のスリーブ33及び第2のスリーブ35に完全に係合する見込みがより高くなる。
【0101】
第1のセレクタ組立体37は、第1のスリーブ33にマウントされた駆動構成物41と第2のスリーブ35にマウントされた駆動構成物43との間で第1の入力シャフト3にマウントされる。
【0102】
第1のギア・セレクタ組立体37は、第1の組の係合部材45及び第2の組の係合部材46、並びにアクチュエータ機構47を含む(
図2、
図3a及び
図3bを参照)。第1の組の係合部材45は、第1の入力シャフト3の周りに均等に分散された3つの部材45a-cを備える。第2の組の係合部材46は、第1の入力シャフト3の周りに均等に分散された3つの部材46a-cを備える。
【0103】
第1の組の係合部材45及び第2の組の係合部材46は、第1の入力シャフト3にマウントされる支持体49にマウントされる(
図3a及び
図3bを参照)。各組の係合部材45、46は第1の入力シャフト3とともに回転するように構成されるが、アクチュエータ機構47の切替え動作に応答して、支持体49に沿って、したがって第1の入力シャフト3に沿って軸方向に摺動することができる。これを容易にするために、支持体49はその湾曲した表面に形成された6つのキー溝51を含み、そのそれぞれは各係合部材45a-c、46a-cを受けるように構成される。それぞれのキー溝51は半径方向及び接線方向にその各係合部材45a-c、46a-cをキー溝51の内部に拘束するように、しかし軸方向には拘束しないようにプロファイル設定される(
図3bを参照)。
【0104】
支持体49は内部スプライン49aを含み、これは第1の入力シャフト3に形成された外部スプラインと係合するように構成される。これにより、支持体49と第1の入力シャフト3との間の非常に頑強な連結部が提供される。スプライン加工された構成により支持体49がロックされ、したがって第1の組の係合部材45及び第2の組の係合部材46が第1の入力シャフト3とともに回転するようにロックされる。
【0105】
各組の係合部材45、46の構成は、特定の組の部材45a-c、46a-cが一つおきのキー溝51に位置付けられ、部材の組45、46が支持体49に沿って摺動できるような構成である。第1の組の係合部材45a-cは第1の環状コネクタ部材53によって互いに強固に連結され、ユニットとして動く。したがって、第1の組の係合部材45a-cと第1の環状コネクタ部材53とは、第1のギア・セレクタ・リングをともに形成する。第1の組の係合部材45a-cは第1の環状コネクタ部材53の周りに均等に分散される。第2の組の係合部材46a-cは第2の環状コネクタ部材55によって互いに強固に連結され、ユニットとして動く。したがって、第2の組の係合部材46a-cと第2の環状コネクタ部材55とは、第2のギア・セレクタ・リングをともに形成する。第2の組の係合部材46a-cは第2の環状コネクタ部材55の周りに均等に分散される。それぞれの組の係合部材45、46は、他方から独立して動くことができる。第1の組の係合部材45と第2の組の係合部材46との間に相対運動があるとき、第1の環状コネクタ部材53は第2の組の係合部材46の上を動き、第2の環状コネクタ部材55は第1の組の係合部材45の上を動く。
【0106】
それぞれの環状コネクタ部材53、55は、その外側の湾曲した表面に形成された、各環状コネクタ部材53、55の周りに全面的に延在する溝57を有する。
【0107】
第1の組のそれぞれの係合部材45a-45cは、第1のスリーブ33に取り付けられた第1の群のドグ41に係合するように構成された第1の端部59と、第2のスリーブ35に取り付けられた第2の群のドグ43に係合するように構成された第2の端部61とを有する。第1の端部59及び第2の端部61は通常は同じ構成を有するが反対向きであり、たとえば、それぞれの第1の係合部材45a-cの第1の端部59は、第1のスリーブ33の減速(逆トルク方向)中に第1の群のドグ41に選択的に係合するように構成され、第2の端部61は、第2のスリーブ35の加速(順トルク方向)中に第2の群のドグ43に選択的に係合するように構成される。第2の組のそれぞれの係合部材46a-cについては、第1の端部63は、第2のスリーブ35の減速(逆トルク方向)中に第2の群のドグ43に係合するように構成され、第2の端部65は、第1のスリーブ33の加速(順トルク方向)中に第1の群のドグ41に係合するように構成される。
【0108】
第1の組の係合部材45と第2の組の係合部材46の両方が第1の組のドグ41及び第2の組のドグ43のうちの一方に係合すると、駆動力は順トルク方向及び逆トルク方向で各スリーブ33、35と第1のギア・セレクタ組立体37との間に伝えられる。
【0109】
それぞれの係合部材の第1の端部及び第2の端部59、61、63、65は、各ドグ41、43に駆動式に係合するための駆動面67と、傾斜部(ramp)69の形をとる非駆動面と、端部面71とを含み、肩部73を含んでもよい(
図3bを参照)。端部面71は、係合部材45a-c、46a-cの軸方向運動を制限する。いくつかの構成では、ドグ41、43の側面は傾斜させられてもよい。この例では、駆動面67はドグ41、43の側面を補完するように角度を付けられてもよく、したがって、係合部材45a-c、46a-cが回転して係合するとき、摩耗を軽減するために面対面の接触が存在する。非駆動面69の目的は、係合部材とドグ41、43との間のロッキング係合を防止することである。それぞれの非駆動面69は好ましくはらせん状に形成され、その各端部面71から離れるように傾く。非駆動面45の傾斜の角度は、端部面71から最も遠い非駆動面の縁部と端部面71の平面との間の長手方向距離がドグ41、43の高さよりも大きくなるような角度でもよい。これは、係合部材45a-c、46a-cとドグ41、43との間に、非駆動面69を各ドグ41、43に向かって動かす相対回転運動があるときに、トランスミッションがロック・アップしないことを確実とする助けとなる。ドグ41、43は係合部材45a-c、46a-cの側面に衝突せず、むしろ非駆動面69に係合する。ドグ41、43と係合部材45a-c、46a-cとの間のさらなる相対回転運動により、ドグ41、43が非駆動面69を横切って摺動し、非駆動面のらせん表面により、係合部材45a-c、46a-cが各ドグ41、43から離れるように第1の入力シャフト3に沿って軸方向に動き、したがって、トランスミッションはロック・アップしない。したがって、非駆動面69はラチェット効果(ratcheting effect)を提供し、第1のギア・セレクタ組立体37は、いくつかの動作条件下では、第1のスリーブ33及び第2のスリーブ35に対してそれぞれ滑るように構成される。
【0110】
第1の組の係合部材45と第2の組の係合部材46とは互いから独立して動くことができるので、第1のギア・セレクタ組立体37は、最初に第1の組の係合部材45及び第2の組の係合部材46のうちの一方を用いて第1のスリーブ33を選択することができる。第1の組の係合部材45及び第2の組の係合部材46のうちの他方は、続いて第1のスリーブ33に係合する。同様に、第1のギア・セレクタ組立体37は、最初に第1の組の係合部材及び第2の組の係合部材のうちの一方を用いて第2のスリーブ35を選択することができる。第1の組の係合部材45及び第2の組の係合部材46のうちの他方は、続いて第2のスリーブ35に係合する。
【0111】
したがって、第1のギア・セレクタ組立体37は、以下のモード:順トルク方向と逆トルク方向の両方で完全に係合しているモード;両方のトルク方向で係合解除しているモード(ニュートラル);順トルク方向に係合しているが逆トルク方向に係合解除しているモード;及び順トルク方向に係合解除しているが逆トルク方向に係合しているモード、を含む動作モードから選択的に第1のスリーブ33に係合するように構成される。第1のギア・セレクタ組立体37は、以下のモード:順トルク方向と逆トルク方向の両方で完全に係合しているモード;両方のトルク方向で係合解除しているモード(ニュートラル);順トルク方向に係合しているが逆トルク方向に係合解除しているモード;及び順トルク方向に係合解除しているが逆トルク方向に係合しているモード、を含む動作モードから選択的に第2のスリーブ35に係合するように構成される。
【0112】
第1の組の部材45及び第2の組の部材46が交互配置されているとき(
図3aを参照)、第1の組の部材45の第1の端部59の駆動面67は、第2の組の部材46の第1の端部63の駆動面67に隣接する。第1の組の部材45及び第2の組の部材46が第1のスリーブ33と完全に係合しているとき、ドグ41は、隣接する駆動面67の各ペアの間に位置付けられる。第1の組の部材45及び第2の組の部材46が第2のスリーブ35と完全に係合しているとき、ドグ43は、係合部材の第2の端部61、63の隣接する駆動面67の各ペアの間に位置付けられる。ドグ41、43及び係合部材の端部59、61、63、65の寸法は、ギアにバックラッシがほとんどないか又はないことを確実とするために、スリーブ33、35が加速から減速へと、又はその逆に動いたとき、加速部材の駆動面67と減速部材の駆動面67との間でそれぞれのドグがほとんど動かないような寸法である。バックラッシは、加速から減速へと、又はその逆に動くとき、ドグが加速部材の駆動面67から減速部材の駆動面67へと動いたときに経験されるロスト・モーションである。従来のドグ・タイプのトランスミッションは約30度のバックラッシを有する。この実施例による車用の通常のトランスミッションは、5度未満のバックラッシを有する。
【0113】
第1の組の部材45及び第2の組の部材46が各スリーブ33、35と完全に係合しており、ドグ41、43が隣接する駆動面67の各ペアの間に位置付けられているとき、第1の組の係合部材45及び第2の組の係合部材46のうちの一方は負荷がかかった状態であることになり、第1の組の係合部材45及び第2の組の係合部材46のうちの他方は負荷がかかっていない状態であることになる。負荷がかかっていない組の係合部材は、ギア・シフト中に、現在係合しているギア要素との係合から外れるように動くことができる。
【0114】
アクチュエータ機構47はシフト・クレードル75を含む。機構47は、シフト・ドラム77やシフト・フォーク79a、79bなどの単一のアクチュエータのみを使用して第1の組の係合部材45及び第2の組の係合部材46を作動させるように構成される。好ましくは、シフト・クレードル75は巻きばね80などの弾力的な手段を含む。ばね80は、第1の組の係合部材45及び第2の組の係合部材46がスリーブ33、35と駆動係合しており、動くことができないとき、第1の組の係合部材45及び第2の組の係合部材46を付勢して、軸方向に動かすように構成される。
【0115】
第2のギア・セレクタ組立体39は、第1のギア・セレクタ組立体37と同様の構成を有する。
【0116】
第3のスリーブ85は、スリーブの一方の端部に向かって位置付けられた第3の組の駆動構成物81を含む。第4のスリーブ87は、第4の組の駆動構成物83を含む。第2のギア・セレクタ組立体39は、第3の組の駆動構成物81と第4の組の駆動構成物83との間で第2の入力シャフト5にマウントされる。第2のギア・セレクタ組立体39は、第3のスリーブ85、したがってギア要素13を第2の入力シャフト5とともに回転するように選択的にロックするために、第3の組の駆動構成物81を第1の組の係合部材45及び第2の組の係合部材46に選択的に係合させるように構成される。第2のギア・セレクタ組立体39は、第4のスリーブ87、したがってギア要素19を第2の入力シャフト5とともに回転するように選択的にロックするために、第4の組の駆動構成物83を第1の組の係合部材45及び第2の組の係合部材46に選択的に係合させるように構成される。
【0117】
第2のギア・セレクタ組立体39は、以下のモード:順トルク方向と逆トルク方向の両方で完全に係合しているモード;両方のトルク方向で係合解除しているモード(ニュートラル);順トルク方向に係合しているが逆トルク方向に係合解除しているモード;及び順トルク方向に係合解除しているが逆トルク方向に係合しているモード、を含む動作モードから選択的に第3のスリーブ85、したがってギア要素13に係合するように構成される。第2のギア・セレクタ組立体39は、以下のモード:順トルク方向と逆トルク方向の両方で完全に係合しているモード;両方のトルク方向で係合解除しているモード(ニュートラル);順トルク方向に係合しているが逆トルク方向に係合解除しているモード;及び順トルク方向に係合解除しているが逆トルク方向に係合しているモード、を含む動作モードから選択的に第4のスリーブ87、したがってギア要素19に係合するように構成される。
【0118】
ドライブ・トレイン1は制御システムを含むことができる。ギア・セレクタ組立体37、39のそれぞれについての第1の組の係合部材45及び第2の組の係合部材46の運動は制御システムによって制御されて、完全自動の、又は半自動のギア・シフトを提供することができる。制御システムは第1の電気モータM1及び第2の電気モータM2の動作も制御することができる。
【0119】
【0120】
参照符号「A」は、第1のギア・セレクタ組立体37が、第2のスリーブ35を順トルク方向及び逆トルク方向で第1の入力シャフト3とともに回転するようにロックした条件を表し、
【0121】
参照符号「B」は、第1のギア・セレクタ組立体37が、第1のスリーブ33を順トルク方向及び逆トルク方向で第1の入力シャフト3とともに回転するようにロックした条件を表し、
【0122】
参照符号「C」は、第2のギア・セレクタ組立体39が、第4のスリーブ87を順トルク方向及び逆トルク方向で第2の入力シャフト5とともに回転するようにロックした条件を表し、
【0123】
参照符号「D」は、第2のギア・セレクタ組立体39が、第3のスリーブ85を順トルク方向及び逆トルク方向で第2の入力シャフト5とともに回転するようにロックした条件を表す。
【0124】
動作状態1はニュートラル状態であり、トルクは出力シャフト7に提供されない。
【0125】
動作状態2~9は、それぞれ出力シャフト7にトルクを提供する。通常、動作状態2~9のそれぞれは、他の動作状態とは異なる有効ギア比(ギア出力)を有する。したがって、トランスミッション2は8つの異なる有効ギア比(ギア出力)を提供することができる。したがって、説明されているレイアウトでは、比較的少ない数のギア・トレインにより、比較的多い数の出力が提供され得る。
【0126】
いくつかの動作状態では、出力シャフト7は第1の電気モータM1によってのみ駆動される。いくつかの動作状態では、出力シャフト7は第2の電気モータM2によってのみ駆動される。いくつかの動作状態では、出力シャフト7は同時に第1の電気モータM1及び第2の電気モータM2によって駆動される。トルクが両方のモータによって出力シャフト7に提供される動作状態においては、トルクは相加的である。当然、ドライブ・トレインの任意の所与の使用においては、適用要件を満たすために、トランスミッションの利用可能な動作状態のうちのすべて又は小区分(subsection)を使用者に利用可能にすることができる。
【0127】
動作状態2では、トルクは第1の電気モータM1から出力シャフト7へと、第4のギア・トレイン27を介して提供される。第1のギア・セレクタ組立体37は、順トルク方向及び逆トルク方向で第1の入力シャフト3とともに回転するように第2のスリーブ35をロックする。第2の電気モータM2は動作していない。第2のギア・セレクタ組立体39はニュートラル状態にある。
【0128】
動作状態3では、トルクは第1の電気モータM1から出力シャフト7へと、第3のギア・トレイン21を介して提供される。第1のギア・セレクタ組立体37は順トルク方向及び逆トルク方向で第1の入力シャフト3とともに回転するように第1のスリーブ33をロックする。第2の電気モータM2は動作していない。第2のギア・セレクタ組立体39はニュートラル状態にある。
【0129】
動作状態4では、トルクは第2の電気モータM2から出力シャフト7へと、第2のギア・トレイン15及び第4のギア・トレイン27を介して提供される。第2のギア・セレクタ組立体39は順トルク方向及び逆トルク方向で第2の入力シャフト5とともに回転するように第4のスリーブ87をロックする。第1の電気モータM1は動作していない。第1のギア・セレクタ組立体37はニュートラル状態にある。
【0130】
動作状態5では、トルクは第2の電気モータM2から出力シャフト7へと、第1のギア・トレイン9及び第3のギア・トレイン21を介して提供される。第2のギア・セレクタ組立体39は、順トルク方向及び逆トルク方向で第2の入力シャフト5とともに回転するように第3のスリーブ85をロックする。第1の電気モータM1は動作していない。第1のギア・セレクタ組立体37はニュートラル状態にある。
【0131】
動作状態6では、トルクは第1の電気モータM1から出力シャフト7へと、第4のギア・トレイン27を介して提供され、第2の電気モータM2から出力シャフト7へと、第1のギア・トレイン9及び第3のギア・トレイン21を介して提供される。第1のギア・セレクタ組立体37は、順トルク方向及び逆トルク方向で第1の入力シャフト3とともに回転するように第2のスリーブ35をロックする。第2のギア・セレクタ組立体39は、順トルク方向及び逆トルク方向で第2の入力シャフト5とともに回転するように第3のスリーブ85をロックする。
【0132】
動作状態7では、トルクは第1の電気モータM1から出力シャフト7へと、第3のギア・トレイン21を介して提供され、第2の電気モータM2から出力シャフト7へと、第1のギア・トレイン9及び第3のギア・トレイン21を介して提供される。第1のギア・セレクタ組立体37は、順トルク方向及び逆トルク方向で第1の入力シャフト3とともに回転するように第1のスリーブ33をロックする。第2のギア・セレクタ組立体39は、順トルク方向及び逆トルク方向で第2の入力シャフト5とともに回転するように第3のスリーブ85をロックする。
【0133】
動作状態8では、トルクは第1の電気モータM1から出力シャフト7へと、第3のギア・トレイン21を介して提供され、第2の電気モータM2から出力シャフト7へと、第2のギア・トレイン15及び第4のギア・トレイン27を介して提供される。第1のギア・セレクタ組立体37は、順トルク方向及び逆トルク方向で第1の入力シャフト3とともに回転するように第1のスリーブ33をロックする。第2のギア・セレクタ組立体39は、順トルク方向及び逆トルク方向で第2の入力シャフト5とともに回転するように第4のスリーブ87をロックする。
【0134】
動作状態9では、トルクは第1の電気モータM1から出力シャフト7へと、第4のギア・トレイン27を介して提供され、第2の電気モータM2から出力シャフト7へと、第2のギア・トレイン15及び第4のギア・トレイン27を介して提供される。第1のギア・セレクタ組立体37は、順トルク方向及び逆トルク方向で第1の入力シャフト3とともに回転するように第2のスリーブ35をロックする。第2のギア・セレクタ組立体39は、順トルク方向及び逆トルク方向で第2の入力シャフト5とともに回転するように第4のスリーブ87をロックする。
【0135】
したがって、少なくともいくつかの動作状態においては、トルクは第1の電気モータM1及び第2の電気モータM2から出力シャフトへと、少なくとも1つの共通のギア・トレインを介して提供され得る。このことは、小型のトランスミッション・システムを提供する助けとなる。少なくともいくつかの動作状態においては、トルクは第1の電気モータM1及び第2の電気モータM2から出力シャフトへと、異なるギア・トレインを介して提供され得る。
【0136】
トルクが第1の電気モータM1と第2の電気モータM2の両方によって出力シャフト7に提供される動作条件においては、制御システムは、モータが、出力シャフトでの速度に適合するように選択された、ギア・トレインに適切な速度で動作することを確実とするように、モータの動作を制御する。
【0137】
車両向けの考えられる一構成では、:動作状態9は第1のギアに対応することができ;動作状態8は第2のギアに対応することができ;動作状態4は第3のギアに対応することができ;動作状態6は第4のギアに対応することができ;動作状態2は第5のギアに対応することができ;動作状態7は第6のギアに対応することができ;動作状態5は第7のギアに対応することができ;動作状態3は第8のギアに対応することができる。第1の電気モータM1及び第2の電気モータM2のそれぞれが、奇数のギアと偶数のギアの両方によって出力シャフトにトルクを提供することができることは、この構成及び上述の動作状態から明らかであろう。
【0138】
ドライブ・トレイン1の重要な利点は、ドライブ・トレイン1が、ギア・シフト中に出力シャフト7にトルク支持を提供するということである。トルク支持が提供されると、ギア・シフト中、車両の車輪を駆動させる駆動力の著しい損失がない。ドライブ・トレインは、以下のシフト・タイプ:パワー・オン・アップ・シフト、パワー・オン・ダウン・シフト、パワー・オフ・アップ・シフト、及びパワー・オフ・ダウン・シフトにおいて、トルク支持を提供するように構成され得る。
【0139】
図14~
図20には、第1の単一モータ動作状態(動作状態4)から第2の単一モータ動作状態(動作状態2)へのパワー・オン・アップ・シフトが示してある。
図15には動作状態4のドライブ・トレイン1が示してあり、出力シャフト7は第2の電気モータM2によってのみ駆動される。第1のギア・セレクタ組立体37はニュートラル状態にある。第2のギア・セレクタ組立体39は第4のスリーブ87と完全に係合している。トルクは第2の電気モータM2から出力シャフトへと、第2のギア・トレイン15及び第4のギア・トレイン27を介して提供される。動作状態2へのギア・シフト中、第1の電気モータM1が起動され、第2のスリーブ35の回転速度に同期される。これは、第1の入力シャフト3及び第1のギア・セレクタ組立体37の係合部材45、46の回転速度を第2のスリーブ35の回転速度と同期させる効果を有する(
図16を参照)。第1のギア・セレクタ組立体37は第2のスリーブ35と係合する。第1のギア・セレクタ組立体37は、第1の組の係合部材45及び第2の組の係合部材46のうちの一方を用いて最初に第2のスリーブ35と係合し、次いで第1の組の係合部材及び第2の組の係合部材のうちの他方でフォロー・アップし、それにより、順トルク方向及び逆トルク方向で第1の入力シャフト3とともに回転するように第2のスリーブ35をロックする(
図17を参照)。トルクは第1の電気モータM1から出力シャフトへと、第4のギア・トレイン27を介して提供される。この段階では、トルクは一時的に第1の電気モータM1と第2の電気モータM2の両方によって出力シャフト7に提供される(
図18を参照)。第1のギア・セレクタ組立体37が第2のスリーブ35に係合したとき、第2のギア・セレクタ組立体39の負荷がかかっている組の係合部材45、46には負荷がかからなくなり、第2のギア・セレクタ組立体39は次いで第4のスリーブ87と係合解除し、第2の電気モータM2を出力シャフト7から効果的に連結解除する(
図19を参照)。第2の電気モータM2から第1の電気モータM1へとトルクを引き継いでいる間、出力シャフト7にトルクが連続的に提供されていることを、
図19のトルクのグラフから見て取ることができる。
図20にはギア・シフトが完了し、動作状態2で駆動しており、第2の電気モータM2が動作していない状態へと移っていることが示されている。
【0140】
図21~
図28には、第1のデュアル・モータ動作状態(動作状態9)から第2のデュアル・モータ動作状態(動作状態8)へのパワー・オン・アップ・シフトが示してある。
図22には動作状態9のドライブ・トレイン1が示してあり、出力シャフト7は第1の電気モータM1と第2の電気モータM2の両方によって駆動される。第1のギア・セレクタ組立体37は第2のスリーブ35と完全に係合している。トルクは第1の電気モータM1から出力シャフト7へと、第4のギア・トレイン27を介して提供される。第2のギア・セレクタ組立体39は第4のスリーブ87と完全に係合している。トルクは第2の電気モータM2から出力シャフト7へと、第2のギア・トレイン15及び第4のギア・トレイン27を介して提供される。動作状態8へのギア・シフト中、第2の電気モータM2からのトルク出力は増加するが、同時に第1の電気モータM1からのトルク出力は減少する(
図23を参照)。これにより、負荷がかかっている組の係合部材45、46に負荷がかからなくなり、第1のギア・セレクタ組立体37は第2のスリーブ35と係合解除してニュートラル位置へと移り(
図24を参照)、したがって、一時的に第1の電気モータM1によって出力シャフト7にトルクが供給されない。第1の電気モータM1の速度は、次いで第1のスリーブ33の回転速度と同期される(
図25を参照)。第1のギア・セレクタ組立体37は、次いで第1のスリーブ33に係合する。第1のギア・セレクタ組立体37は第1の組の係合部材45及び第2の組の係合部材46のうちの一方を用いて最初に第1のスリーブ33と係合し、次いで第1の組の係合部材45及び第2の組の係合部材46のうちの他方でフォロー・アップして、第1のスリーブ33と完全に係合する(
図26を参照)。トルクは次いで第1の電気モータM1から出力シャフトへと、第3のギア・トレイン21を介して供給される(
図27を参照)。第4のギア・トレイン27から第3のギア・トレイン21へとギア・トレインを変更している間、第1の電気モータM1からのトルクが出力シャフト7から一時的に連結解除されているにもかかわらず、トルクは第2の電気モータM2によって出力シャフト7に連続的に提供されていることを、
図27のトルクのグラフから見て取ることができる。
図28には、ギア・シフトが完了し、動作状態8で駆動しており、トルクが第1の電気モータM1と第2の電気モータM2の両方によって同時に出力シャフト7に供給されていることが示されている。
【0141】
他のシフト・タイプは同様の形式で行うことができる。
【0142】
トルク・スパイクは、新しいギアと係合する前の、シフト戦略における速度同期ステップにより、実質的に解消されることが理解されよう。トランスミッション・レイアウトにより、一方は第1の電気モータM1から直接的であり、他方は第2の電気モータM2から直接的である2つの駆動入力経路が提供されるので、同期は可能である。
【0143】
ドライブ・トレインは車両用途及び非車両用途で使用することができる。典型的な車両は、車、運搬車、オートバイ、バス、バン、全輪駆動車両、トラクタ、建設車両、及び掘削車両を含む。非車両用途は製造機械、風力タービンなどを含む。
【0144】
第2の実施例によるドライブ・トレイン101が
図29に示してある。第2の実施例は、以下の点を除いて第1の実施例に類似している。第3のギア・トレイン21及び第4のギア・トレイン27を有するのではなく、出力シャフト7にマウントされるギア要素25、35は、それぞれ第1のギア・トレイン9及び第2のギア・トレイン15の一部になっている。つまり、第1のギア・トレイン9は、第1の入力シャフト3に回転可能にマウントされたギア要素11と、第2の入力シャフト5に回転可能にマウントされたギア要素13と、出力シャフト7とともに回転するように固定されたギア要素25とを含む。第2のギア・トレイン15は、第1の入力シャフト3に回転可能にマウントされたギア要素17と、第2の入力シャフト5に回転可能にマウントされたギア要素19と、出力シャフト7とともに回転するように固定されたギア要素31とを含む。
【0145】
第2の実施例は、
図4の表に略述して示された第1の実施例と同じ動作状態を有するが、第3のギア・トレイン及び第4のギア・トレインがないことにより、トルク経路のいくつかは第1の実施例とは異なる。
【0146】
第2の実施例は、第1の実施例の、簡略化されたより小型のバージョンであるが、ギア要素の相対的サイズの選択における柔軟性が第1の実施例よりも低く、第1の電気モータM1及び第2の電気モータM2の相対的出力の選択における柔軟性が低い。つまり、第1の実施例により、ギア要素の相対的サイズ、及び第1の電気モータM1及び第2の電気モータM2の相対的出力の選択を微調整するより高い柔軟性が提供され、それにより、たとえば2つのモータM1、M2のうちの一方が急加速の目的に、又はエネルギー効率的な運転の目的によりよく適合する。
【0147】
第3の実施例によるドライブ・トレイン201が
図30に示してある。第3の実施例は、第1の実施例と第2の実施例とのハイブリッド・バージョンである。第3のギア・トレイン21を有するのではなく、出力シャフト7にマウントされるギア要素25は、第1のギア・トレイン9の一部になっている。つまり、第1のギア・トレイン9は、第1の入力シャフト3に回転可能にマウントされたギア要素11と、第2の入力シャフト5に回転可能にマウントされたギア要素13と、出力シャフト7とともに回転するように固定されたギア要素25とを含む。しかし、第2の実施例とは異なり、第3の実施例は、第2のギア・トレイン15及び第4のギア・トレイン27については第1の実施例と同様の構成を有する。
【0148】
第3の実施例は
図4の表に略述して示された第1の実施例と同じ動作状態を有するが、第3のギア・トレインがないことにより、トルク経路のいくつかは第1の実施例とは異なる。
【0149】
図示されていない第3の実施例の変形形態は、それが第1の実施例の第1のギア・トレイン9及び第3のギア・トレイン21、並びに第2の実施例の第2のギア・トレイン15を含むことを除いて、第3の実施例に類似している。第3の実施例の変形形態は
図4の表に略述して示された第1の実施例と同じ動作状態を有するが、第4のギア・トレインがないことにより、トルク経路のいくつかは第1の実施例とは異なる。
【0150】
第3の実施例は、ギア要素の相対的サイズ、及び第1のモータM1及び第2のモータM2の相対的出力を選択する柔軟性を第2の実施例よりも有するが、第1の実施例ほどの柔軟性ではない。しかし、第3の実施例は第1の実施例よりも小型である。
【0151】
第4の実施例によるドライブ・トレイン301が
図31に示してある。第4の実施例は、第2のギア・セレクタ組立体39が第2の入力シャフト5の代わりに出力シャフト7にマウントされていることを除いて、第2の実施例に類似している。ギア要素13及びギア要素19は、第2の入力シャフト5とともに回転するように固定される。ギア要素25及びギア要素31は、出力シャフト7に回転可能にマウントされる。第2のギア・セレクタ組立体39は、ギア要素25及びギア要素31を出力シャフト7とともに回転するように選択的にロックするように構成される。
【0152】
第5の実施例によるドライブ・トレイン401が
図32に示してある。第5の実施例は、第1のギア・セレクタ組立体37が第1の入力シャフト3の代わりに出力シャフト7にマウントされていることを除いて、第2の実施例に類似している。ギア要素11及びギア要素17は、第1の入力シャフト3とともに回転するように固定される。ギア要素25及びギア要素31は、出力シャフト7に回転可能にマウントされる。第1のギア・セレクタ組立体37は、ギア要素25及びギア要素31を出力シャフト7とともに回転するように選択的にロックするように構成される。
【0153】
第4の実施例及び第5の実施例はそれぞれ11の状態、10の動作状態及びニュートラルを有し、これは第1から第3の実施例よりも多い状態である。しかし、第4の実施例及び第5の実施例の欠点は、モータのうちの一方の速度を第1から第3の実施例の場合と同じように効果的に新しいギアに同期させることが必ずしも可能とは限らないので、動作状態の少なくともいくつかの間をシフトするとき、トルク・スパイクが発生するリスクが存在することである。少なくともいくつかのシフトにおいては、ギア・セレクタ組立体37、39のうちの少なくとも1つは、現在のギア要素が依然として係合している間に新しいギア要素に係合し、新しく係合したギア要素とセレクタ組立体37、39を駆動しているモータM1、M2との間には速度の差があるので、トルク・スパイクが発生する恐れがある。
【0154】
上に述べた実施例には特許請求の範囲に記載の範囲に含まれる修正が加えられてもよく、たとえばいくつかの実施例では、ギア・セレクタ組立体のうちの一方のみが上述のタイプのものでもよいことが、当業者には理解されよう。他方のギア・セレクタ組立体は従来のドグ又はシンクロメッシュのセレクタ組立体でもよい。しかし、トランスミッションがロック・アップする懸念なしにギア要素が早期に係合されること、小型の構成、及び高価な同期コーンが必要とされないことなどのギア選択の利点があるので、ギア・セレクタ組立体のそれぞれを上述のタイプとして有することが好ましい。
【0155】
いくつかの実施例では、第1のセレクタ組立体と第2のセレクタ組立体の両方が、シンクロメッシュ又はドグ・タイプのギア・セレクタ組立体などの、従来のタイプであってもよい。しかし、こうした構成では、上述のタイプのセレクタ組立体を有する利点が失われ、通常は、特にシンクロナイザが使用される場合、トランスミッションはそれほど小型でなくなる可能性がある。
【0156】
いくつかの実施例では、第1のモータM1と第2のモータM2とは同様のものである。他の実施例では、第1のモータM1と第2のモータM2とは異なる。たとえば、第1のモータM1及び第2のモータM2のうちの一方は、急速な加速、低速、及び車両の発進により適した特性を有してもよい。第1のモータM1及び第2のモータM2のうちの一方は、たとえば高速道路運転用の巡航速度により適した特性を有してもよい。
【0157】
アクチュエータ機構47は、上述のものとは異なるように構成されてもよい。たとえば、アクチュエータ機構は第1のアクチュエータ及び第2のアクチュエータ、並びに第1のアクチュエータ部材及び第2のアクチュエータ部材を含んでもよい。第1のアクチュエータ及び第2のアクチュエータは力発生装置アクチュエータでもよく、好ましくは電気システム、たとえば電気機械的システム又は電気液圧的システムの一部でもよい。第1のアクチュエータ部材及び第2のアクチュエータ部材は、第1のアクチュエータ及び第2のアクチュエータから各組の係合部材へと力を伝える機械的駆動部材であり、好ましくは独立して制御可能なシフト・フォークの形をとる。第1の組の係合部材45は第1のシフト・フォークを介して第1のアクチュエータによって駆動され、第2の組の係合部材46は第2のシフト・フォークを介して第2のアクチュエータによって駆動される。したがって、第1の組の係合部材45及び第2の組の係合部材46は、互いから完全に独立して動く。
【0158】
いくつかの構成では、トランスミッションの少なくとも1つのギア要素においては、関連付けられた構成要素(スリーブ)にマウントされた駆動構成物を有する代わりに、駆動構成物はギア要素に形成されてもよく、ギア要素に直接的に取り付けられてもよい。