(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-13
(45)【発行日】2024-12-23
(54)【発明の名称】カセットアセンブリ、水上船、及び水アクセス可能構造体を整備する方法
(51)【国際特許分類】
B63B 27/30 20060101AFI20241216BHJP
B63B 27/14 20060101ALI20241216BHJP
【FI】
B63B27/30
B63B27/14 103
(21)【出願番号】P 2022573802
(86)(22)【出願日】2021-02-03
(86)【国際出願番号】 GB2021050231
(87)【国際公開番号】W WO2021160991
(87)【国際公開日】2021-08-19
【審査請求日】2022-10-04
(32)【優先日】2020-02-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】522319941
【氏名又は名称】ビー・エム・ティー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ローレス,ジャゴ・ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】スティーブンズ,サミュエル・ジョージ・アラン
(72)【発明者】
【氏名】ウィッティー,クリストファー・ジョン
【審査官】宇佐美 琴
(56)【参考文献】
【文献】英国特許出願公開第02490252(GB,A)
【文献】特開2002-194729(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第03323708(EP,A1)
【文献】特開昭60-109407(JP,A)
【文献】特公昭36-020978(JP,B1)
【文献】特表2022-505274(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63B 27/14,27/30,59/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水上船の一端に取り付け可能なカセットアセンブリであって、
使用時に外部構造体に当接するカセット部であって、船の反対端の方向に船に対して移動可能な、カセット部と、
船が外部構造体に向かって移動されるときに、カセット部の移動に対抗するための弾性緩衝システムと、
を備え、
弾性緩衝システムは、直列に配置された複数の弾性的に圧縮可能な要素を具備する緩衝器を備え、
弾性緩衝システムは、緩衝器の垂直移動を防止するための垂直ガイドを備え、垂直ガイドは、緩衝器又はカセット部のガイドチャネルの一方に形成された径方向のガイド突起を備え、ガイド突起は、緩衝器又はガイドチャネルの他方に形成されたスロットと協働するように構成され
ており、
過回転防止ユニットは、複数の拘束タイを備え、且つ、カセット部の過剰な回転を防止するように構成されている、
カセットアセンブリ。
【請求項2】
カセット部は水平面内で回転可能である、請求項1に記載のカセットアセンブリ。
【請求項3】
カセット部は、その上面に形成された通路を備える、請求項1又は2に記載のカセットアセンブリ。
【請求項4】
カセット部の幅にわたって離間された少なくとも2つの緩衝器を備える、請求項1~3のいずれか一項に記載のカセットアセンブリ。
【請求項5】
カセット部は、外部構造体に接触するように構成されたフェンダ部を備え、フェンダ部が
中央突出部と、
中央突出部のそれぞれの横方向側面に位置付けられた一対の凹部と、
を備え、
凹部は、停止面を備え、この停止面を超える外部構造体の第1の支持管の船外への動きを防止し、
凹部及び中央突出部は、第1の支持管と停止面との間の接触が、中央突出部が外部構造体の第2の支持管に接触するようなカセット部の回転を引き起こすように構成される、請求項1~4のいずれか一項に記載のカセットアセンブリ。
【請求項6】
弾性緩衝システムは、緩衝器の横方向の移動の範囲を制限するための横方向ガイドを備える、請求項1~5のいずれか一項に記載のカセットアセンブリ。
【請求項7】
横方向ガイドは、緩衝器の横方向縁部に形成された第1の接触要素を備え、第1の接触要素は、カセット部のガイドチャネルの横方向縁部に形成された第2の接触要素に接触するように構成される、請求項6に記載のカセットアセンブリ。
【請求項8】
各緩衝器は、直列に配置された3つの圧縮可能な要素を備える、請求項1~7のいずれか一項に記載のカセットアセンブリ。
【請求項9】
弾性緩衝システムは、船の反対端に向かうカセット部の動きを制限するように構成された停止要素を備える、請求項1~8のいずれか一項に記載のカセットアセンブリ。
【請求項10】
カセット部は、緩衝器が最大圧縮限界に達する前に停止要素に接触するように構成される、請求項9に記載のカセットアセンブリ。
【請求項11】
請求項1~
10のいずれか一項において画定されるカセットアセンブリ
と、前記カセットアセンブリを受けるように構成された受け部と
、を備える水上船。
【請求項12】
受け部は、船内に凹部を備える、請求項
11に記載の水上船。
【請求項13】
水上船を使用して、水アクセス可能構造体を整備する方法であって、水上船は、水上船の一端に配置された
請求項1~10のいずれか一項に記載のカセットアセンブリを備え、該方法は、
カセットアセンブリのカセット部を水アクセス可能構造体と接触させることと、
弾性緩衝システムを使用して、船の反対端の方向へのカセット部の相対移動に対抗することと、
を備え、
弾性緩衝システムは、直列に配置された複数の弾性圧縮可能な要素を具備する緩衝器を備える、方法。
【請求項14】
水アクセス可能構造体は風力タービンである、請求項
13に記載の方法。
【請求項15】
請求項1~
10のいずれか一項に記載のカセットアセンブリ及び/又は請求項
11~12のいずれか一項に記載の水上船の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、水上船のためのカセットアセンブリ、カセットアセンブリを支持するための水上船、及び風力タービンなどの水アクセス可能構造体を整備する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
水上船を有する沖合風力タービンなどの水アクセス可能構造体を整備する際には、様々な課題が生じる。1つの困難は、人員が構造体にアクセスできるようにすることである。一例では、船舶は、水アクセス可能構造体内に意図的にナビゲートされ、船舶を構造体と接触させ、構造体へのアクセスを可能にすることができる。しかしながら、構造体及び/又は船舶に大きな衝撃力が与えられ、構造体及び/又は船舶を潜在的に損傷するおそれがある。
【0003】
英国特許出願公開第2390252号明細書は、船の一端にキャリッジアセンブリを有する水上船を開示している。キャリッジアセンブリは、船に対して移動可能であり、キャリッジアセンブリが水アクセス可能構造体に衝突するときに衝撃力が吸収されるように緩衝器付きである。そのようなシステムを船舶又は構造体のいずれにも損傷を与えることなく安全に使用するために、その動作に制約が課される。これは、キャリッジアセンブリを組み込んだ船舶の質量、衝突速度、及び構造体に対する船舶の衝突角を制限することを含んでもよい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、これらの困難、及び本明細書の開示から当業者には明らかであろう、いかなる他の困難に対処することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、添付の特許請求の範囲に記載の装置及び方法が提供される。本発明の他の特徴は、従属請求項及び以下の説明から明らかになるであろう。
【0007】
本開示の第1の態様によれば、水上船の一端に取り付け可能なカセットアセンブリであって、
使用時に外部構造体に当接するカセット部であって、船の反対端の方向に船に対して移動可能なカセット部と、
船が外部構造体に向かって移動されるときにカセット部の移動に対抗するための弾性緩衝システムと、
を備え、
弾性緩衝システムは、直列に配置された複数の弾性圧縮可能な要素を具備する緩衝器を備える、カセットアセンブリが提供される。
【0008】
カセット部は、好適には水平面内で回転可能であってもよい。
【0009】
カセット部は、その上面に形成された通路を備えてもよい。
【0010】
弾性緩衝システムは、カセット部の幅にわたって離間された少なくとも2つの緩衝器を備えてもよい。弾性緩衝システムの各緩衝器は、直列に配置された複数の弾性的に圧縮可能な要素を備えてもよい。
【0011】
カセット部は、外部構造体に接触するように構成されたフェンダ部を備えてもよい。フェンダ部は、弾性材料で形成されてもよい。フェンダ部は、中央突出部と、中央突出部のそれぞれの横方向側面に位置付けられた一対の凹部とを備えてもよい。凹部は停止面を備え、この停止面を超える外部構造体の第1の支持管の船外への動きを防止してもよい。凹部及び中央突出部は、第1の支持管と停止面との間の接触が、フェンダ部、適切には中央突出部が外部構造体の第2の支持管に接触するようなカセット部の回転を引き起こすように構成されてもよい。
【0012】
外部構造体は、沖合風力タービンであってもよい。外部構造体は、沖合プラットフォーム又は他の固定構造体又は浮遊構造体であってもよい。
【0013】
弾性的に圧縮可能な要素は、管状であってもよい。圧縮可能な要素は、セルフェンダを備えてもよい。各圧縮可能な要素は、250mm~1000mm、適切には450mm~800mm、適切には約500mmの長手方向長さを有してもよい。圧縮可能な要素の管状部の径は、250mm~1000mm、適切には450mm~800mm、適切には約550mmであってよい。圧縮可能な要素は、20%超の、適切には30%超、適切には40%超、適切には50%超、最も適切には約52.5%の最大圧縮であってもよい。圧縮可能な要素の圧縮は、19~50kNmのエネルギー、適切には20~40kNm、適切には22~30kNm、適切には23~28kNm、適切には約26kNmを必要としてもよい。圧縮可能な要素の圧縮は、約90~235kN、適切には100~180kN、適切には110~140kN、適切には約120kNの反力を提供することができる。
【0014】
弾性緩衝システムは、緩衝器の垂直移動を制限するため、適切には緩衝器の垂直移動を防止するための垂直ガイドを備えてもよい。垂直ガイドは、緩衝器又はカセット部のガイドチャネルの一方に形成された1つ以上のガイド突起を備えてもよく、ガイド突起は、緩衝器又はガイドチャネルの他方に形成されたスロットと協働するように構成される。突起は、緩衝器から径方向に突出してもよい。突起は、隣接する圧縮可能な要素の間に配置されてもよい。
【0015】
弾性緩衝システムは、緩衝器の横方向移動の範囲を制限するための横方向ガイドを備えてもよい。横方向ガイドは第1の接触要素を備えてもよく、第1の接触要素は、緩衝器の横方向縁部に形成された、ガイドチャネルの横方向縁部に形成された第2の接触要素に接触するように構成される。ガイドチャネルは、緩衝器の所定の範囲の横方向の動きを可能にするようにサイズ設定されてもよい。
【0016】
各緩衝器は、直列に配置された3つの圧縮可能な要素を備えてもよい。各緩衝器は、直列に配置された4つ、5つ、6つ又はそれより多い圧縮可能な要素を備えてもよい。
【0017】
弾性緩衝システムは、船の反対端に向かってカセット部の動きを制限するように構成された停止要素を備えてもよい。停止要素は、弾性的に変形可能な材料で形成されてもよい。カセット部は、緩衝器が最大圧縮限界に達する前に停止要素に接触するように構成されてもよい。
【0018】
カセットアセンブリは、カセット部の過剰な回転を防止するように構成された過回転防止ユニットを含んでもよい。過回転防止ユニットは、非圧縮位置を超えて緩衝器を伸張させるカセット部の動きを防止するように構成された複数の拘束タイを備え得る。
【0019】
本開示の第2の態様によれば、本明細書で画定されるカセットアセンブリを受けるように構成された受け部を備える水上船が提供される。
【0020】
受け部は、カセットアセンブリを摺動可能に支持するように構成されてもよい。受け部は、カセットアセンブリを回転可能に支持してもよい。
【0021】
受け部は、船内、適切には船の前部に凹部を備えてもよい。受け部は、後壁を備えてもよい。後壁は、少なくとも2つの緩衝器を支持するため少なくとも2つの取付ポストを備えてもよい。受け部は、略垂直な側壁を備えてもよい。
【0022】
受け部は、船の前方部分の幅の少なくとも50%にわたって延在してもよい。適切には、受け部は、船の前方部分の幅の少なくとも60%にわたって延在してもよい。受け部は、船の前方部分の幅の少なくとも70%にわたって延在してもよい。
【0023】
水上船は、受け部に配置されたカセットアセンブリを備えてもよい。
【0024】
第2の態様の船のさらに適切な特徴は、第1の態様のカセットアセンブリに関して上記で定義されており、任意の組み合わせで組み合わせられてもよい。
【0025】
本開示の第3の態様によれば、水上船を使用して水アクセス可能構造体を整備する方法であって、水上船は一端に配置されたカセットアセンブリを備え、該方法は、
カセットアセンブリのカセット部を水アクセス可能構造体と接触させることと、
弾性緩衝システムを使用して船の反対端の方向へのカセット部の相対移動に対抗することと、
を備え、
弾性緩衝システムは、直列に配置された、複数の弾性的に圧縮可能な要素を具備する緩衝器を備える、方法が提供される。
【0026】
水アクセス可能構造体は風力タービンであってもよい。
【0027】
第2の態様の方法のさらに適切な特徴は、第1の態様のカセットアセンブリ及び第2の態様の船舶に関して上記で画定されており、任意の組み合わせで組み合わせられてもよい。
【0028】
本開示の第4の態様によれば、本明細書で定義されるカセットアセンブリ及び/又は水上船の使用が提供される。
【0029】
本開示の第5の態様によれば、水上船の一端に取り付け可能なカセットアセンブリであって、
使用時に外部構造体に当接するカセット部であって、船の反対端の方向に船に対して移動可能な、カセット部と、
船が外部構造体に向かって移動されるときに、カセット部の移動に対抗するための弾性緩衝システムと、
を備え、
カセット部が、外部構造体に接触するように構成されたフェンダ部であって、
中央突出部と、
中央突出部のそれぞれの横方向側面に位置付けられた一対の凹部と、
を具備するフェンダ部を備える、カセットアセンブリが提供される。
【0030】
凹部は停止面を備え、この停止面を超える外部構造体の第1の支持管の船外への動きを防止してもよい。凹部及び中央突出部は、第1の支持管と停止面との間の接触が、フェンダ部、適切には中央突出部が外部構造体の第2の支持管に接触するようなカセット部の回転を引き起こすように構成されてもよい。
【0031】
第5の態様のアセンブリのさらに適切な特徴は、第1の態様のカセットアセンブリ及び第2の態様の船に関して上記で画定されており、任意の組み合わせで組み合わせられてもよい。
【0032】
本開示の第6の態様によれば、水上船の一端に取り付け可能なカセットアセンブリであって、
使用時に外部構造体に当接するカセット部であって、船の反対端の方向に船に対して移動可能な、カセット部と、
船が外部構造体に向かって移動されるときにカセット部の移動に対抗するための弾性緩衝システムと、
を備え、
弾性緩衝システムは、カセット部の過剰な回転を防止するように構成された過回転防止ユニットを備える、カセットアセンブリが提供される。
【0033】
第6の態様のアセンブリのさらに適切な特徴は、第1の態様のカセットアセンブリ及び第2の態様の船に関して上記で画定されており、任意の組み合わせで組み合わせられ得る。
【0034】
本開示をよりよく理解するために、また本開示の例がどのように実施されることができるかを示すために、ここで添付の概略図を単に例として参照する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】例示的なカセットアセンブリを含む例示的な水上船の一端の俯瞰平面図である。
【
図2】
図1の例示的な水上船の一端の側面断面図である。
【
図3A】カセットの例示的なガイドチャネルの正面図である。
【
図5A】水アクセス可能構造体に接触する
図1及び
図2の例示的な水上船の俯瞰平面図である。
【
図5B】水アクセス可能構造体に接触する
図1及び
図2の例示的な水上船の俯瞰平面図である。
【
図5C】水アクセス可能構造体に接触する
図1及び
図2の例示的な水上船の俯瞰平面図である。
【
図7】水アクセス可能構造体を整備する例示的な方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図面において、対応する参照符号は対応する構成要素を示す。当業者であれば、図中の要素は簡略化及び明瞭化のために示されており、必ずしも縮尺通りに描かれていないことを理解するであろう。例えば、図中の要素のいくつかの寸法は、様々な例示的な実施形態の理解を向上させるのを助けるために、他の要素に対して誇張されている場合がある。また、商業的に実現可能な実施形態において有用又は必要である、一般的であるがよく理解されている要素は、これらの様々な例示的な実施形態の妨げの少ない図を促進するために描かれていないことが多い。
【0037】
概要において、本開示の例は、水上船の一端に取り付け可能なカセットアセンブリであって、外部構造体に当接するための移動可能なカセット部と、カセット部の移動に対抗するための弾性緩衝システムとを備え、弾性緩衝システムは、カセット部の幅にわたって離間された少なくとも2つの緩衝器を備え、各緩衝器が、直列に配置された複数の弾性圧縮可能な要素を備える、カセットアセンブリを提供する。複数の弾性圧縮可能な要素の直列の配置により、緩衝システムはより多くのエネルギーを吸収することを可能にし得るが、衝突反力に著しい増加を及ぼさない。
【0038】
図1及び
図2は、例示的な水上船100の前方部分102を示す。船舶100の長手方向中心線は、参照符号101によって示されている。前方部分102は、平面視したときに中心線101に対してほぼ垂直であるように、水平方向又は横方向に延在する。
【0039】
船舶100、具体的には前方部分102は、全体的に参照符号200で示されるカセットアセンブリを備える。
図2に最もよく見られるように、カセットアセンブリ200は、船舶100の構造内に形成された受け部120内に配置される。例えば、受け部120は、カセットアセンブリ200を受容するように構成された、前部102にわたって横方向に延びる凹部の形態をとる。
【0040】
受け部120は、船100の略水平なデッキプレートによって垂直に結合される。例えば、受け部120は、受け部120の上方の張出し舷牆構造121及び船舶100下方の船体122によって結合される。
【0041】
同様に、受け部120は、その横方向端部において略垂直な隔壁によって水平方向に結合されている。一例では、船100は、双胴船である。そのような例では、略垂直な隔壁は、船舶100の各デミハルの中心線上に配置されてもよい。凹部120の後部は、略垂直な横隔壁123によって形成されてもよい。
【0042】
カセットアセンブリ200は、カセット部210又はキャリッジを備える。カセット部210は、矢印Aによって示される長手方向に移動できるように、受け部120内に摺動可能に取り付けられたプラットフォームの形態をとる。カセット部210はまた、矢印Bによって示されるように、水平面内で回転することができる。例えば、カセット部210は、対応する弓形チャネルによって支持された、その横方向縁部に弓形部を備えてもよい。
【0043】
カセット部210の上面211により、ユーザは水アクセス可能構造体にアクセス可能である。例えば、通路220が上面211に形成されてもよいが、いくつかの例では、上面211の全体がその上を歩行されてもよいことが理解されよう。
【0044】
カセット部210の前部212は、水アクセス可能構造体に接触するように構成される。前部212(したがって、受け部120)は、前方部分102の幅の約65~70%延在してもよい。
図1に示されるように、前部212は、フェンダ部230を備えしてもよい。フェンダ部230は、ゴムなどの水アクセス可能構造体と接触すると圧縮することができる可撓性又は弾性材料で形成される。フェンダ部230の形状は、以下で
図4及び
図5を参照して、より詳細に説明される。いくつかの例では、船舶100はまた、カセットアセンブリの両側に配置されたフェンダ部105を備えてもよい。
【0045】
カセットアセンブリ200はまた、弾性緩衝システム250を備える。弾性緩衝システム250は、カセット部210と水アクセス可能構造体との間の接触によって引き起こされるカセット部210の移動に対抗するように構成される。弾性緩衝システム250は、一対の緩衝器251を備える。緩衝器251は、カセット部210の幅にわたって離間している。
【0046】
緩衝器251は、受け部120の後隔壁123からカセット部210の停止面213まで延在している。停止面213は、カセット部210内に水平方向に延在するガイドチャネル214の一端を形成する、略垂直な面であってもよい。緩衝器251は、緩衝器251が固定されることができる後隔壁から水平方向に延在する取付ポスト252によって後隔壁123に取り付けられてもよい。
【0047】
各緩衝器251は、複数の弾性圧縮可能な要素253を備える。圧縮可能な要素253は、方向Aに直列に配置されている。圧縮可能な要素253は、管状部材の両端に配置された対向するプレートを有する、略管状の圧縮可能な部材である。例えば、圧縮可能な要素253は、ゴム製のフェンダセル又はコーンの形態をとる。圧縮可能な要素253は、カセット部210と水アクセス可能構造体との間の接触のエネルギーを吸収するために圧縮されることができる。圧縮力が除去されると、圧縮可能な要素253は復元力を受けるように構成され、それによってそれらの初期の実質的に圧縮されていない状態に戻る。
【0048】
図示の例では、各緩衝器251は、3つの弾性的に圧縮可能な要素253を備える。さらなる例では、各緩衝器251は、2つ、4つ、5つ、6つ、又は別の数の弾性的に圧縮可能な要素251を備えてもよい。
【0049】
一例では、圧縮可能な要素は、セルフェンダを備える。一例では、各圧縮可能な要素は、約500mmの長手方向長さを有する。圧縮可能な要素の管状部分の直径は、約550mmとしてもよい。対向するプレートの直径は、約650mmとしてもよい。圧縮可能な要素は、約52.5%の最大撓み又は圧縮を有してもよい。圧縮可能な要素の圧縮は、約26kNmのエネルギーを必要としてもよく、約120kNの反力を提供することができる。これは、0.15m/sの初期高速接岸速度を有する、PIANCに従った定格性能データであってもよい。例えば、性能は、23℃+/-5℃で、圧縮角度0°であってもよい。一例では、圧縮可能な要素は、Trelleborg Marine Systemsによって提供されるSCK Cell Fender、適切にはSCK 500 E1.3 cell fenderである。
【0050】
図3A~
図3Cに詳細に示されているガイド突起255は、隣接する圧縮可能な要素253の間に取り付けられている。ガイド突起255は、例えば圧縮可能な要素253の上方及び下方の垂直面において、圧縮可能な要素253から半径方向に突出している。ガイド突起255は、緩衝器251の移動を制御するために、ガイドチャネル214と相互作用するように構成される。例えば、ガイド突起255は、チャネル214内に画定された対応するスロット255aと協働する。スロット255aは、緩衝器251が垂直方向に移動するのを防止するようにサイズ設定されてもよい。したがって、各スロット255aの深さは、突起255の高さと実質的に同じであってもよい。一例では、各突起255は、突起255とスロット255aとの間の摩擦を低減するため、ナイロンシューを備える。ガイド突起255及び対応するスロット255aは、垂直方向の動きを防止する、緩衝器251のための第1の又は垂直ガイドを形成してもよい。
【0051】
緩衝器251のための第2のガイドは、緩衝器251の横方向の動きの範囲を制限することができる。例えば、チャネル214の横方向の幅は、緩衝器251の可能な横方向の動きを制限することができる。一例では、緩衝器251及び/又はチャネル214は、緩衝器251とチャネルの横方向縁部との間の接触を容易にする低摩擦要素を備える。例えば、チャネル214は、ナイロンブロック257aを備えてもよく、ナイロンブロック257aは、例えば隣接する圧縮可能な要素253の間に取り付けられた、緩衝器の横方向側面に形成されたステンレス鋼ブロック257によって接触されるように配置される。スロット255aはまた、緩衝器251の横方向の動きを可能にするため、突起255aよりも広い幅を有してもよい。したがって、第2のガイドは、剪断を防止するため使用時に緩衝器251の横方向の移動を制限する一方で、カセット部210の水平方向の回転を可能にする長手方向の動き及び十分な横方向の動きを依然として可能にする。
【0052】
弾性緩衝システム250は、前方部分102から船舶の反対端に向かって、長手方向Aにカセット部210の動きを制限するように構成された停止要素258をさらに備える。停止要素258は、後隔壁123上の受け部120内に配置されている。例えば、取付ポスト252の上方及び下方にそれぞれ配置された各緩衝器251に対して、2つの停止要素258が存在してもよい。したがって、停止要素258は、チャネル215の上方及び下方の領域でカセット部210に接触するように構成される。停止要素258は、接触時に変形し得る可撓性又は弾性材料で形成される。例えば、停止要素258は、ゴム製フェンダブロックであってもよい。
【0053】
停止要素258は、カセット部210が後隔壁252に接触するように移動する場合、カセット部210及び/又は船100への損傷を防止するように衝撃が緩衝されることを確実にする。一例では、カセットアセンブリ200は、緩衝器251がその最大圧縮限界に達する前にカセット部210が停止要素258に接触するように構成される。したがって、緩衝器251への損傷が防止され、圧縮可能な要素253の寿命が延ばされることができる。
【0054】
ここで
図4を参照すると、フェンダ部230の形状が、より詳細に説明される。フェンダ部230は、フェンダ部230の実質的に横方向の中心から長手方向に突出する中央突出部231を備える。フェンダ部はまた、中央突出部231の左舷及び右舷にそれぞれ配置された2つの横方向突出部232a及び232bを備える。中央突出部231と横方向突出部232a、bとの間には、左舷及び右舷の凹部233a、bが配置されている。
【0055】
各凹部233は、中央突出部231から離れてそのそれぞれの横方向突出部232まで連続して延在するように配置された第1の傾斜部234、第2の傾斜部235、及び第3の傾斜部236を有する。第1の傾斜部234は、中央突出部231から離れて横方向に延びるにつれて長手方向内側(すなわち、前部102から離れて)に傾斜し、第2の傾斜部235も、中央突出部231から離れて延びるにつれて長手方向内側に傾斜する。第2の傾斜部235の傾斜角度は、第1の傾斜部234よりも浅い。凹部233は、横方向突出部に向かって延びるにつれて長手方向外側(すなわち、前部102に向かって)に傾斜する第3の傾斜部236をさらに備える。第1の傾斜部と第2の傾斜部234、235との間の角度αは、約130度である。第2の傾斜部と第3の傾斜部235、236との間の角度βは、約130度である。
【0056】
次に、水アクセス可能構造体300を追加で示す
図5A~
図5Cを参照して、船舶100及びカセットアセンブリ200の使用について説明される。
【0057】
例えば、水アクセス可能構造体は、沖合風力タービン300であってもよい。沖合風力タービン300は、タービン300へのアクセスを可能にする、その片側に形成されたアクセス構造体310を備える。アクセス構造体310は、一対の離間された支持管311と、支持管311の間に配置されたラダー312とを備える。
【0058】
使用時に、船舶はタービン300に接近し、カセットアセンブリ200のフェンダ部230が支持管311に衝突するようにナビゲートされる。フェンダ部230が支持管311に接触すると、カセット部210に反力が付与される。反力により、カセット部210が後方に付勢される。弾性緩衝システム250は、緩衝器251の圧縮によって衝突の衝撃を吸収し、それによって船舶100及び/又はタービン300への損傷を防止する。
【0059】
船舶100がタービン300と接触しているとき、船舶100は、前方推力(例えば、プロペラ又は船舶100の他の動力装置を介する)を加えることによって定位置に維持されることができる。次いで、タービン300にアクセスすることを望む人員は、通路220及びはしご312に乗ることができる。メンテナンス作業が完了し、人員が船舶100に戻った後、船舶100は逆推力を加え、それによって風力タービン300から離れる。そうすることで、緩衝器251を圧縮していた力が取り除かれ、それらの弾性力により、緩衝材が
図2に示される状態に再膨張することが可能になる。
【0060】
図5Aでは、船舶100は、船舶100の長手方向軸線101が管311の間に延材する概念上の線に対して垂直であるように、タービン300と位置合わせされた衝突で示されている。この状態では、中央突出部231は、管311の間に受容され、管311は、中央突出部231の両側の凹部233a、bに接触する。これは、衝突力が緩衝器251の圧縮方向に実質的に位置合わせされた理想的な状況である。さらに、管311の間の中央突出部231の位置は、例えば、風又は潮流が船舶100に作用した場合に、船舶100を定位置に保持するのを支援してもよい。
【0061】
図5Bは、船舶100とタービン300との間の初期の接触を示しており、船舶100は、
図5Aに示される位置に対して約10度ずれている。この位置ずれした手法では、支持管311のうちの第1の管は、左舷凹部233aによって係合され、第2の傾斜部235aと第3の傾斜部236aとの接合部で捕捉される。したがって、第2及び第3の傾斜部235、236は停止面として作用し、フェンダ部230に対する第1の管311のさらなる船外への動きを防止する。
【0062】
図5Cに見られることができるように、衝突によってカセット部210の左舷側が内側に移動し、カセット部210が水平面内で回転する。これにより、中央突出部231が支持管311の第2の管と接触する。したがって、フェンダ部230の形状は、位置ずれした衝突の場合であっても、両方の管が接触することを確実にする。これにより、両方の管311の間で衝突が確実に共有され、管311への損傷を防止する。これはまた、両方の弾性緩衝器251が衝突を確実に吸収することを支援する。
【0063】
図6A及び
図6Bは、別の例示的なカセットアセンブリ1200を示す。カセットアセンブリ1200は、カセットアセンブリ200と同様であり、構造及び動作が同様であり、対応する要素は、1000だけ増分された対応する参照符号を有する。
【0064】
カセットアセンブリ1200は、過回転防止ユニット1260をさらに含む。過回転防止ユニット1260は、停止面1213から取付ポスト1252まで延在する複数の拘束タイ1261を備える。例えば、停止面1213のそれぞれの横方向端部に近接して配置された少なくとも2つの拘束タイがあってもよい。拘束タイ1261は、
図6Aに示される張力に達し、停止面1213がタイ1261の長さよりも取付ポスト1252から遠く離れることを防止するように構成される。タイ1261の長さは、弾性緩衝器1251がその非圧縮状態を超えて伸張される位置に停止面1213が移動できないように選択される。しかしながら、弾性緩衝器1251が圧縮されると、タイ1261は弛緩状態に戻る。したがって、過回転防止ユニット1260は、カセット部1210の一端が強く接触してカセット部210が過回転し、それによりカセット部の他端の緩衝器1251が損傷することを防止できる。
【0065】
カセットアセンブリ1200の弾性緩衝器1251はただ1つの弾性的に圧縮可能な要素1253を有するが、過回転防止ユニット1260はカセットアセンブリ200に組み込まれてもよいことが理解されよう。
【0066】
いくつかの例では、カセットアセンブリ200又は1200は、適切な受け部を有する船舶100に後付けされてもよいことが理解されよう。例えば、カセットアセンブリ200又は1200は、例えば、典型的には船舶の前方貨物デッキ上に位置する開放空間を利用して、船舶の前甲板にボルト止め又は溶接されることができる。同様に、カセットアセンブリ200又は1200は、例えば整備、修理などのために、船舶100に着脱可能であってもよい。
【0067】
いくつかの例では、カセットアセンブリは、直列に配置された複数の圧縮可能な要素を具備する緩衝器と、単一の圧縮可能な要素を具備する緩衝器とを備えてもよい。本開示は、単一又は複数の圧縮可能な要素を備える任意の数の緩衝器の任意の組み合わせに及ぶ。
【0068】
図7は、水上船の端部に配置されたカセットアセンブリを備える水上船を使用して、水アクセス可能構造体を整備する方法を示す。ブロックS701では、カセットアセンブリのカセット部を水アクセス可能構造体と接触させる。ブロックS702では、船舶の反対端の方向へのカセット部の相対移動は、弾性緩衝システムを使用して対抗される。
【0069】
有利には、上述の例は、水中の構造体にアクセスするための改良された船舶を提供する。直列に配置された複数の弾性要素を備える緩衝器の使用は、衝突反力に著しい増加を及ぼさずに、より多くのエネルギーを吸収することができるシステムを提供する。したがって、より大きな質量を有する船舶を使用して、水アクセス可能構造体を整備することができ、衝突速度のより大きな許容誤差が許容されることができる。さらに、上述の例は、船舶又は構造体のいずれかに損傷を与えることなく、より広い範囲の角度から構造体に接近することができ、それによって船舶の操作を容易にすることができる船舶を提供する。
【0070】
本出願に関連して本明細書と同時に又は本明細書の前に出願され、本明細書と共に公衆の閲覧に供されるすべての論文及び文献に注目されたい。そのようなすべての論文及び文献の内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0071】
本明細書(添付の特許請求の範囲、要約、及び図面を含む)に開示された特徴のすべて、及び/又はそのように開示された任意の方法若しくはプロセスのステップのすべては、そのような特徴及び/又はステップの少なくともいくつかが相互に排他的である組み合わせを除いて、任意の組み合わせで組み合わせることができる。
【0072】
本明細書に開示された各特徴(添付の特許請求の範囲、要約、及び図面を含む)は、特に明記しない限り、同一、同等、又は同様の目的を果たす代替的な特徴によって置き換えられることができる。したがって、特に明記しない限り、開示された各特徴は、一般的な一連の同等又は類似の特徴の一例にすぎない。
【0073】
本発明は、前述の実施形態(複数可)の詳細に限定されない。本発明は、本明細書(添付の特許請求の範囲、要約、及び図面を含む)に開示された特徴の任意の新規なもの、若しくは任意の新規な組み合わせ、又はそのように開示された任意の方法若しくはプロセスのステップの任意の新規なもの、若しくは任意の新規な組み合わせに及ぶ。