(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-13
(45)【発行日】2024-12-23
(54)【発明の名称】電気機器のための保護回路
(51)【国際特許分類】
H02H 7/00 20060101AFI20241216BHJP
H02H 5/04 20060101ALI20241216BHJP
【FI】
H02H7/00 J
H02H5/04 170
(21)【出願番号】P 2022576089
(86)(22)【出願日】2021-04-22
(86)【国際出願番号】 GB2021050972
(87)【国際公開番号】W WO2021250369
(87)【国際公開日】2021-12-16
【審査請求日】2023-01-25
(32)【優先日】2020-06-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】500024469
【氏名又は名称】ダイソン・テクノロジー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100224683
【氏名又は名称】齋藤 詩織
(72)【発明者】
【氏名】ユエンキー リャオ
(72)【発明者】
【氏名】ウェイフー ユー
(72)【発明者】
【氏名】シーイー チェン
(72)【発明者】
【氏名】アーロン チンウェイ ツァイ
(72)【発明者】
【氏名】カイ ワン
【審査官】大濱 伸也
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-157446(JP,A)
【文献】特開2016-045718(JP,A)
【文献】特開2003-157671(JP,A)
【文献】特開2006-058510(JP,A)
【文献】特表2016-511454(JP,A)
【文献】特開2008-311765(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02H 7/00
H02H 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気機器のための保護回路であって、
動作パラメータ入力信号を閾値と比較することと、関連付けられた電気構成要素への電力潮流を制御するように構成された第1のスイッチング回路に第1の制御信号を出力することと、を実行するように構成された第1の比較器モジュールを含み、
前記第1の比較器モジュールは、第1の状態変更ラッチ装置から有効/無効信号を受信するように構成され、
前記第1の状態変更ラッチ装置は、前記第1の比較器モジュールからの前記第1の制御信号の状態変更に応答し、それに応答して、前記状態変更ラッチ装置は、前記有効/無効信号を有効状態から無効状態に変更して、それによって、前記第1の制御信号を電源切断状態に設定することと、それによって、前記機器を非作動安全状態にロックすることと、
を実行し、
制御モジュールは、前記第1の比較器モジュールの前記第1の制御信号を監視することと、前記第1の制御信号の状態に応答する前記状態変更ラッチ装置に起動入力を出力することと、を実行し、
前記第1の状態変更ラッチ装置は、前記起動入力によって作動されるラッチ機構を含み、
前記第1の状態変更ラッチ装置は、前記ラッチ機構の状態を保存する記憶部モジュールを含み、
前記制御モジュールは、所定の持続時間の保存入力を出力することによって、前記ラッチ機構の前記状態を保存するように前記記憶部モジュールを制御して、それによって、前記ラッチ機構の前記状態が、前記記憶部モジュールに保存されると、前記機器は、前記機器が電源再投入された後でさえも非作動状態のままである、
保護回路。
【請求項2】
請求項1に記載の保護回路において、前記ラッチ機構は、前記起動入力が所定期間、起動状態にあることを検出すると、状態を変更するように構成される、保護回路。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の保護回路において、前記第1の状態変更ラッチ装置は、デジタル電位差計である、保護回路。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の保護回路において、前記第1の比較器モジュールは、前記動作パラメータ入力信号が前記閾値を超えると、論理高信号を第1の論理素子に出力する
第2の論理素子を含み、前記第1の論理素子は、前記
論理高信号と前記有効/無効信号とが同じ論理状態であると、論理高状態として前記第1の制御信号を出力する、保護回路。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の保護回路において、前記第1の比較器モジュールは、前記動作パラメータ入力信号が前記閾値を超えると、前記第1の制御信号を論理高状態として出力する
論理素子を含む、保護回路。
【請求項6】
請求項5に記載の保護回路において、前記閾値は、前記第1の状態変更ラッチ装置の前記有効/無効信号によって、その信号が有効状態にあると、提供される、保護回路。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の保護回路において、前記動作パラメータ入力信号を受信することと、動作パラメータ入力信号を閾値と比較することと、それに応答して、第2の制御信号を、前記関連付けられた電気機器への電力潮流を制御するように構成された第2のスイッチング回路に出力することと、を実行するように構成された第2の比較器モジュールをさらに含み、
前記第2の比較器モジュールは、第2の状態変更ラッチ装置から有効/無効信号を受信するように構成され、
前記第2の状態変更ラッチ装置は、前記第2の比較器モジュールからの前記第2の制御信号の状態変更に応答し、それに応答して、前記第2の状態変更ラッチ装置は、前記有効/無効信号を有効状態から無効状態に変更して、それによって、前記第2の制御信号を電源切断状態にロックする、保護回路。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の保護回路において、前記第1のスイッチング回路は電力制御継電器に接続され、前記電力制御継電器は電源に接続される、保護回路。
【請求項9】
請求項
7に従属する場合の請求項8に記載の保護回路において、前記第2のスイッチング回路は前記電力制御継電器に接続される、保護回路。
【請求項10】
請求項9に記載の保護回路において、前記電力制御継電器は、前記第1のスイッチング回路と第2のスイッチング回路との一方又は両方が前記
電力制御継電器を非通電にするように動作すると、電源を無効化するように構成される、保護回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、機器において使用するための保護制御回路に関する。特に、排他的ではないが、ヘアドライヤ又はヘアカーラなどのパーソナルケア機器に関する。また、本発明は、そのような保護制御回路を組み込む機器に関する。
【背景技術】
【0002】
電気発熱器を組み込む電気機器は、平均的な家庭では一般的であり、ヘアドライヤ、ヘアストレートナなどの個人的な整髪装置だけでなく、暖房器(space heater)も含むことができる。そのような機器を安全に使用させるために、家庭用電気機器は、故障が発生した場合にこのような機器がどのように動作すべきかを決定する安全基準によって管理される。そのような規格の例は、IEC/EN/UL60730である。
【0003】
典型的な要件は、機器が、保護制御機能を組み込んで、安全障害が識別された場合に機器への電力が無効化されることを確実にすることである。さらに、電力供給の無効化は、電源が再投入された後でも電力供給が無効化されたままであるように、リセット不可能な制御であるべきである。また、装置のユーザは、動作を回復するために、機器をリセットすることができない。
【0004】
電気発熱器を組み込む機器では、リセット不可能な安全機能が、熱遮断によって提供されることができる。熱遮断は、機器を、その動作温度が安全でない水準に達したときに無効化するように動作可能な温度ヒューズを利用する。そのような安全機能を組み込むことができるそのような電気機器の例は、WO2015/005024A1及びWO2018/130832A1に記載される。
【0005】
これらの電気機器に関連付けられた1つの設計上の課題は、それらがユーザによってより容易に保持及び動作されるように、それらの重量及び大きさを低減することによって、それらをより人間工学的にすることである。これは、実装容積の減少において、温度ヒューズなどの追加の安全装置を組み込むために、それらの電気制御システムを設計する能力を損なう。したがって、関連する安全基準要件を満たすが、より小さい外周器(package)において、同じ安全機能を提供する代替手法が望ましい。この背景に対して、本発明の実施形態が考案された。
【発明の概要】
【0006】
本発明の第1の態様によれば、電気機器のための保護回路が提供される。保護回路は、継続的な電力供給が危険であり得るような安全でない状態が検出された場合に、発熱装置、照明器具、又は電動機などの機器の関連付けられた電気構成要素への電力供給を制御するように構成される。保護回路は、動作パラメータ入力信号を閾値と比較することと、関連付けられた電気構成要素への電力潮流を制御するように構成された第1のスイッチング回路に第1の制御信号を出力することと、を実行するように構成された第1の比較器モジュールを含む。第1の比較器モジュールは、第1の状態変更ラッチ装置から有効/無効信号を受信するように構成される。第1の状態変更ラッチ装置は、第1の比較器モジュールからの第1の制御信号の状態変更に応答し、それに応答して、状態変更ラッチ装置は、有効/無効信号を有効状態から無効状態に変更して、それによって、第1の制御信号を電源切断状態に設定することと、それによって、機器を非作動安全状態にロックすることと、を実行する。
【0007】
有利なことに、保護回路は、機器で使用される永久的な電気切断システムのための100%ハードウェア解決策を提供し、そのため、回路は、従来の温度ヒューズを使用せず、さらに安全上重要なソフトウェアの実装を必要としない。保護回路は、電源が再投入された後でさえも、システムを依然として切断するということを強調する価値がある。したがって、本発明の保護回路は、より小さい形状要素を有する非従来の電気機器によく適した、特に費用効率が高くて空間効率の良い解決策を提供する。
【0008】
電源再投入(power cycle)とは、機器が電源切断され、次に電源投入されることを指す。保護回路が利用され、第1の制御信号が電源切断状態に設定される場合、ユーザがその後機器を電源投入に切り替えようとすると、それは無効化され、非作動状態にロックされるので、それは機能しないであろう。機器が修理される、安全上の問題が解決される、及び修理技術者がラッチをリセットする可能性があるが、これは機器の解体を必要とする。
【0009】
一例では、状態変更ラッチ装置は、有効/無効信号を提供するワイパ位置を有するデジタル電位差計とすることができる。また、ある例では、有効/無効信号は、動作パラメータ入力信号が比較される所定閾値を提供するように構成されることができる。
【0010】
保護回路の一部として、監視又は「制御」モジュールは、第1の比較器モジュールの第1の制御信号を監視することと、第1の制御信号の状態に応答する状態変更ラッチ装置に起動入力を出力することと、を実行するように構成されることができる。
【0011】
第1の状態変更ラッチ装置は、起動入力によって作動されるラッチ機構を含むことができる。このようにして、制御モジュールはラッチ装置の状態を制御することができ、したがって、スイッチング回路に入力される制御信号の状態を制御することができる。ラッチ機構は、起動入力が所定期間、起動状態にあることを検出すると、状態を変更するように構成されることができる。例えば、ラッチ機構は、「減少ワイパ位置」ピンが起動信号によって通電されると値を減少させるデジタル電位差計のワイパ位置によって実装されることができる。起動信号は、ワイパ位置がその最低値に減少されることを確実にするために、所定期間、通電されることができる。
【0012】
第1の状態変更ラッチ装置は、ラッチ機構の状態を保存する記憶部モジュールを有することができる。例えば、制御モジュールは、所定の持続時間の保存入力を出力することによって、ラッチ機構の状態を保存するように記憶部モジュールを制御することができる。ラッチ機構の状態が記憶部モジュールに保存されると、機器は、機器が電源再投入された後でさえも非動作状態のままとなる。
【0013】
一例では、動作パラメータ入力信号が閾値を超えると、第1の比較器モジュールが論理高信号を第1の論理素子に出力する比較器を含むことができる。第1の比較器出力信号と有効/無効信号とが同じ論理状態にあると、第1の論理素子は、論理高状態として第1の制御信号を出力する。
【0014】
別の例では、第1の比較器モジュールは、動作パラメータ入力信号が閾値を超えると、第1の制御信号を論理高状態として出力する比較器を含むことができる。閾値は、その信号が有効状態にあると、第1の状態変更ラッチ装置の有効/無効信号によって提供されることができる。
【0015】
便利なこととして、保護回路は耐故障性であるように構成されることができ、回路内の任意の信号故障が開閉回路の安全状態を損ない、それによって関連付けられた電気構成要素への電力供給を切断する。したがって、保護回路は、動作パラメータ入力信号を受信することと、動作パラメータ入力信号を閾値と比較することと、それに応答して、第2の制御信号を、関連付けられた電気機器への電力潮流を制御するように構成された第2のスイッチング回路に出力することと、を実行するように構成された第2の比較器モジュールをさらに含むことができる。第2の比較器モジュールは、第2の状態変更ラッチ装置から有効/無効信号を受信するように構成される。また、第2の状態変更ラッチ装置は、第2の比較器モジュールからの第2の制御信号の状態変更に応答することができ、それに応答して、第2の状態変更ラッチ装置は、有効/無効信号を有効状態から無効状態に変更して、それによって、第2の制御信号を電源切断状態にロックする。
【0016】
別の言い方をすれば、保護回路は、第1及び第2の回路レグを含み、その各々が、関連付けられた開閉回路への電力潮流を制御するのに非常に類似した方法で機能する。
【0017】
第1のスイッチング回路は電力制御継電器に接続されることができる。電力制御継電器は電源に接続される。同様に、第2のスイッチング回路は電力制御継電器に接続されることができる。第1のスイッチング回路と第2のスイッチング回路との一方又は両方が継電器を非通電にするように動作すると、電力制御継電器は、電源を無効化するように構成されることができる。
【0018】
本出願の範囲内で、先行する段落、特許請求の範囲、及び/又は以下の説明及び図面、特にその個々の特徴に記載された様々な態様、実施形態、例、及び代替は、独立して又は任意の組み合わせで取られ得ることが明確に意図される。すなわち、任意の実施形態のすべての実施形態及び/又は特徴は、そのような特徴が互換性のない場合を除き、任意の方法及び/又は組み合わせで組み合わされることができる。出願人は、任意の最初に提出された請求項を変更する権利、又はそれに応じて任意の新たな請求項を提出する権利を留保する。その権利は、最初に提出された請求項を、そのようにして最初に請求されたものではないが、任意の他の請求項の任意の特徴を従属させる及び/又は組み込むように補正する権利を含む。
【0019】
本発明の上記及び他の態様は、添付の図面を参照して、単なる例としてここで説明される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の一例による、回路構成の模式図である。
【
図2】
図1に示される回路構成のより詳細な模式図である。
【
図3】
図2に示されるが、耐故障性を提供する追加の回路を含む回路構成の模式図である。
【
図4】
図2に示される回路構成の動作を示すタイミング図である。
【
図5】
図1から
図3に示される回路構成と同等の機能を提供する回路構成の別の例の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
複数の図面において、同一の参照番号は、複数の図面にわたって共通する特徴を示すために使用される。
【0022】
図1を参照すると、保護回路2は、電気機器4内に、その機器に適切な安全機能を提供するために設置された様々な構成要素を含む。以下の実施例では、保護回路2が、電気機器4の構成要素6に供給される電力に関する制御を提供する。この構成要素6は、例えば、照明器具、電動機、又は発熱装置とすることができるが、これらは、この説明に関連する構成要素の種類を示すに過ぎない。構成要素6に供給される電力を制御することによって、その構成要素は、構成要素が機能し続けることが安全ではないと考えられる状況において、無効化されることができる。
【0023】
以下の説明では、構成要素6は発熱装置であると考えられ得るが、いずれの用語も互換的に使用されてよい。そのような発熱装置は、典型的なヘアドライヤに見られるような電線要素タイプの発熱装置、又は例えば、ヘアストレートナ及びヘアアイロン(hair curling tong)に一般的に見られるが、本出願人によって製造されるヘアドライヤにも見られるセラミック要素タイプの発熱装置、とすることができる。
【0024】
図1の回路図は、保護回路2によって提供される構造及び機能への導入を提供するために、高機能水準にあることに留意されたい。後の図面及び関連付けられた説明は、保護回路に使用される特定の回路構成要素のより詳細な理解を提供する。
【0025】
概観すると、保護回路2は、スイッチング回路12と通信する比較器モジュール10を含む。スイッチング回路12は、発熱装置6に電圧/電流を供給する電源14の動作を制御する。
【0026】
比較器モジュール10は、温度センサ18から入力信号16を受信して、入力信号16を所定閾値20と比較する。入力信号16は、当業者によって理解されるように、感知された温度に比例して温度センサ18によって出力される、適切に較正された電圧又は電流とすることができる。ここでは示されないが、温度センサ18は、論議されているパラメータの正確な測定を確実にする方法で、機器4に一体化されることができる。例えば、温度センサ18は、発熱装置の発熱要素の隣に取り付けられる、又はその中に埋め込まれることができる。また、温度センサ信号16は、発熱装置6の電流帰還を介して提供され得ることも想定される。この例では、比較器は、温度センサから信号を受信するが、他の用途では、入力信号は別の動作パラメータを表し得ることに留意する。
【0027】
所定閾値20は、格納された値であってもよいし、入力信号によって提供されてもよいことを理解されたい。
図1では、所定閾値20は、単一の値として示されるが、他の検査が実行されてもよい。例えば、入力温度信号が許容可能な電圧範囲内にあることを確実にするために、追加の検査が行われることができる。
【0028】
温度比較器モジュール10は、出力信号22をスイッチング回路12に供給する。この例では、出力信号22は、高又は低状態とすることができるデジタル出力信号であり、それによって、スイッチング回路12を作動又は非作動にし、したがって、それに応じて発熱装置6への電力潮流を制御する。ここで、スイッチング回路12は、開閉装置24を含む。開閉装置24は、その動作状態を制御するために継電器26に動作可能に接続される。したがって、継電器26は、電源14から発熱装置6への電力潮流を制御することができる信頼性の高い機構を提供する。
【0029】
上述のように、安全規則に従うためには、機器が電源再投入された後でさえもユーザが機器4の動作を回復することができないように、保護回路は、構成要素6への電源供給を無効化可能にすることが重要である。したがって、この目的のために、保護回路2は、比較器モジュール10とインタフェース接続された状態変更ラッチ装置30を含む。状態変更ラッチ装置30は、比較器モジュール10の出力信号22に応答するように構成され、有効/無効信号31を比較器モジュール10に発することによって、出力信号22を、その信号が高状態から低状態に遷移する場合、低状態にラッチする機能を有する。例えば、比較器モジュール10が、所定閾値20を超える、センサ18の温度を検出し、それによって、機器4の潜在的に危険な状態を示す場合、出力信号22は、発熱装置6への電力を無効化するようにスイッチング回路12を設定するために、高状態から低状態に遷移するであろう。それに応答して、状態変更ラッチ装置30は、信号状態遷移を検出し、感知された温度が所定温度閾値20を下回って低下するとしても出力信号22が低状態のままであるように比較器モジュール10を設定するであろう。この目的のために、状態変更ラッチ装置30は、有効/無効信号31を無効状態に設定する。したがって、この機能は、機器を安全な状態にして、ユーザが機器を再び電源投入することなく適切な調査が実行されることができる。
【0030】
図1に示されるように、状態変更ラッチ装置30は、制御モジュール32の制御下で動作する。制御モジュール32は、温度比較器モジュール10から出力信号22を受信し、適切な制御入力34を状態変更ラッチ装置30に提供する。状態変更ラッチ装置30と制御モジュール32とは、
図1において別個の機能ブロックとして示されるが、これは便宜上のものにすぎず、したがって、状態変更ラッチ装置30と制御モジュール32とは、単一のハードウェアモジュールであってもよいことに留意されたい。保護回路の一部としてここで説明される回路構成要素の全ては、好ましくはハードウェア構成要素として構成されることに留意されたい。したがって、これらのハードウェア構成要素は、回路基板上の分離された構成要素として構成されてもよく、又はより好ましくは、これらのハードウェア構成要素は、集積回路の一部を形成してもよい。これは、保護回路によって提供される機能が、特に空間効率の良い外周器において実現されることができ、機器の既存PCBレイアウト内に統合され得ることを意味することになる。これは、既存解決策と比較すると、既存解決策は、機器内のかなり多くの量の実装空間を占める温度ヒューズに基づく傾向があり、そして、実装容積が制限された新規なレイアウトを有するヘアドライヤなどの個人用機器に対して役立たない。
【0031】
別の利点は、ここで論じられる本発明の例によって提供されるハードウェアに基づく解説策が、一般的に安全水準認定のための重要な要件をさらに伴うソフトウェア処理環境の実装を必要としないことである。
【0032】
保護回路2の広範な機能を説明したが、ここで、
図2に関してより詳細な説明が続く。
図2では、1つの可能な実装例が示される。
【0033】
図2において、比較器モジュール10は、複数の論理ゲートを含む。論理ゲートは、状態変更ラッチ装置30からの有効/無効信号31とインタフェース接続される。図から分かるように、ここでは状態変更ラッチ装置30は電位差計として具体化され、有効/無効信号31は、以下の説明でより明らかになるように、電位差計のワイパ出力によって提供される。
【0034】
概要では、比較器モジュール10は、それぞれ102及び104とラベル付けされた一対の比較器と、それぞれ106及び108とラベル付けされた一対のANDゲートとを含む。比較器102、104は、比較器モジュール10によって提供される温度比較機能を提供する。最初に第1の比較器102を参照すると、上述のように、温度センサ18からの温度信号16と、所定温度閾値12を提供する電圧基準信号110とを受信する。したがって、比較器102は、単一の温度値で温度比較機能を提供することが理解されよう。
【0035】
高度な値検査を提供するために、第2の比較器104は、2つの入力値、すなわち、温度センサ18からの温度信号16と下限値を示す電圧基準信号112と、を比較する。当業者は、この値が、誤差読み取り値、例えば負の温度値、を示すことになる値として設定され得ることを理解するであろう。例えば、示す温度値は、0.6v以下の信号電圧に対応し得るセ氏-150度とすることができる。
【0036】
したがって、2つの比較器102、104は、全体で、温度信号が、2つの基準電圧値110、112によって決定された所定範囲内にあることを検査する。
【0037】
両方の比較器102、104の出力102’と104’とは、入力信号として第1のANDゲート106に供給され、第1のANDゲート106は、第2のANDゲート108に信号106’を出力する。したがって、出力信号106’は、両方の比較器の出力が論理高(logic high)状態であるときに論理高となり、感知された温度が、電圧基準値110、112によって定義された許容可能な温度範囲内にあることを示す。
【0038】
第2のANDゲート108は、第1のANDゲート106’からの出力信号106と、さらに、状態変更ラッチ装置30(これ以降、簡潔にするために「デジポット」と呼ぶ)からの有効/無効信号31とを受信する。したがって、第2のANDゲート108は、その入力信号の両方が論理高状態にあるときにのみ、出力信号108を論理高状態に設定するであろう。第2のANDゲートの出力信号108’は、
図1を参照して上述した比較器モジュール10の出力信号22と同等であり、以後、そのように言及されることに留意されたい。
【0039】
論じられるように、出力信号22は、スイッチング回路12に入力される。スイッチング回路12は、図から分かるように、半導体開閉器120と、そのソース端子とゲート端子との間に接続されたプルアップ抵抗122とを含む開閉装置24を含む。半導体開閉器120のドレイン端子は、継電器26のコイル接点に接続される。ここで、半導体開閉器120は、PMOSとして示されるが、他のスイッチ構成を使用することもできる。
【0040】
上述のように、出力信号22は、インバータ又はNOTゲート124を介して、開閉器120のゲート端子に接続されることが理解されよう。したがって、比較器モジュール10からの出力信号22が論理高状態であるとき、インバータ124は、信号を論理低(logic low)状態に変換する。これは、ゲート端子が低電圧であり、したがって、半導体開閉器120を電源投入状態にすることを意味する。これは、電流が、半導体開閉器120のソースとドレインとの間を流れることができ、それによって、継電器26に通電し、構成要素6が有効状態のままであることを確実にすることを意味する。
【0041】
上述のように、感知された温度が、電圧基準によって定義された許容範囲内にない場合、2つのANDゲート106、108は、それらの出力を論理低に切り替えるであろう。これは、比較器モジュール10からの出力信号22が論理高状態から論理低状態に遷移し、それによって、開閉器ユニット120を電源切断にし、継電器26を非通電にすることを意味する。
【0042】
図2では、デジポット30及び制御モジュール32の詳細がより明確に示される。図から分かるように、有効/無効信号31は、「ワイパ」ピン(Rw)が第2のANDゲート108に接続されるという事実によって生成される。初期条件として、感知された温度が許容範囲内(又は少なくとも所定温度閾値未満)にあることにより保護回路2が有効状態で動作している場合、Rwピンの電圧は、デジポットの入力電圧ピンVccに対応するその最高位置にあるであろう。
【0043】
制御モジュール32は、Rwピンをその最高位置からその最低位置に引くために、デジポット30を動作させる。これは、有効/無効信号を有効状態から無効状態に変更する効果を有する。これが行われると、制御モジュール32は、Rwピンを最低位置に配置するようにデジポットを動作させ、それによって、有効/無効信号を無効状態に維持する。
【0044】
図2では、制御モジュール32に実装された機能の一例を見ることができる。上述したように、制御モジュール32は、比較器モジュール10からの制御信号22が論理高状態から論理低状態に遷移することに応答する。この目的のために、制御モジュール32は、立ち下がりエッジ検出器130を含む。立ち下がりエッジ検出器130は、負パルス発生器132の動作を起動する。負パルス発生器132は、デジポット30のPdピンに論理低信号を送信する。これは、ワイパ位置をその現在の最高値から減少させる。デジタル電位差計のピン割り当ては様々であり得、他の装置では、Pdピンが、Udピンとして、又はより一般的にはワイパの位置を減少させるピンとして、知られ得ることにも留意する。当業者は、このような他のピン割り当てを知っているであろう。例として、ワイパ位置を増加させる機能のためのUC又は「アップ制御」と、ワイパ位置を減少させる機能のためのDC又は「ダウン制御」とが挙げられる。また、当業者は、市販の様々な種類のデジタル電位差計が利用可能であり、これらの種類のいずれも、適切に構成されて、本出願において使用され得ることを理解するであろう。
【0045】
負パルス発生器132によって生成される負パルスの持続時間は、Rwピンの値を、その最高位置から最低位置に引くのに十分であるように設定され、この持続時間は、使用されるデジポットの仕様、特にワイパの最高位置と最低位置との間のステップ数、に応じて変更することができる。しかしながら、本目的のために、負パルスは、32ステップワイパに対応する約3秒内であると考えられることができる。さらに背景状況を提供すると、有効/無効信号は、デジタル入力を提供するように設定される。これは、5vの回路電圧Vccが与えられると、有効/無効が、例えば0.7*Vccの値で正であり、例えば0.3*Vccのとき負であることを提供する。したがって、32ステップの電位差計について、有効/無効信号は、ワイパ位置23に対応する3.5Vよりも大きいときは正であり、ワイパ位置9に対応する1.5Vよりも小さいときは負である。
【0046】
デジポット30のワイパ位置が低状態に引き下げられ、それによって有効/無効信号を無効状態に遷移するように起動すると、ワイパ位置は、その位置に設定又は「保持」されなければならない。制御モジュール32は、遅延ブロック134と、他の負パルス発生器ブロック136とによってこれを達成する。
【0047】
図示されるように、負パルス発生器132によって生成された負パルス信号は、遅延ブロック134にも入力される。遅延ブロック134は、低状態から高状態への負パルス信号遷移に応答する。この実施例では、3秒の期間が経過した後である。遷移が検出されると、遅延ブロックは、短い遅延期間、この場合は10ミリ秒を与え、次に、他の負パルス発生器136を起動して、デジポットのASEピンに入力される負パルス信号を生成する。他の負パルス発生器136は、デジポット30が、ワイパ位置をデジポット30の不揮発性記憶部(NVM)138に保存するために十分な時間、ASEピンを低状態に保持するために、所定の持続時間の負パルスを発生させる。ワイパ位置の低状態がNVM138に保存されると、有効/無効信号31は、無効状態に留まり、それによってスイッチング回路22を無効状態に維持する。
【0048】
この時点で、制御モジュール32の特定の機能は、必要とされる方法でデジポットを動作させるように構成され、そして、他のデジポットは、異なる制御機能を要求し得ることに留意されたい。具体的には、保持機能が実装される時点でPdピンが高である場合にのみ保持機能が成功するので、遅延ブロック134によって与えられた10ミリ秒の遅延は、他の負パルス発生器138を起動してASEピンにおいてNVM保存信号を生成する前に、負パルス信号が確かに高状態に戻ったことを確実にするように構成される。
【0049】
上記説明から、
図2の回路構成は、重要なパラメータが閾値を超えていると判断された場合に安全な状態にされなければならない機器のための永続的な保護機能について洗練されたハードウェア実装を達成することが理解されるであろう。解決策はハードウェア実装であるため、非常に空間効率が良く、機器内の既存のPCB空間に統合されることができる。
【0050】
ここで
図3を参照すると、
図2に関連して上述した回路トポロジと共通性を有する拡張保護回路200の例が示される。
図3において、
図2の保護回路2は、図の上部に見られることができ、複製回路は、図の下部に見られることができる。この説明の目的のために、回路上部を第1の回路レグ202と呼び、回路下部を第2の回路レグ204と呼ぶことにする。この時点で、第1の回路レグ202の構成及び動作は、
図2を参照して上述した通りであるので、ここではさらなる説明を繰り返さないことに留意されたい。
【0051】
図2の保護回路と比較して、
図3の保護回路200は、第1の回路レグ202の機能が第2の回路レグ204によって複製されるので、耐故障性を提供する。したがって、回路レグのうちの一方が、継電器26を非通電にすることができないような故障を有する場合、他方の回路レグは、継電器の非通電を依然として達成し、したがって、発熱装置6への電力供給を切断するように正しく機能することができる。
【0052】
概要では、第1の回路レグ202は、第1の比較器モジュール210と、第1の状態変更ラッチ装置212と、第1の制御モジュール213と、継電器216に接続された第1のスイッチング回路214と、を含む。これらの回路要素の動作は、
図2の保護回路2に関連して上述されたものと同じである。
【0053】
第2の回路レグ204は、第1の回路レグ202と非常に類似しており、したがって、第2の比較器モジュール230と、第2の制御モジュール231と、第2の状態変更ラッチ装置232と、第2のスイッチング回路234と、を含む。次に、これらの回路構成要素のさらなる説明を行う。
【0054】
特に、第2の比較器モジュール230は、第1の比較器モジュール210と比較して幾分単純化され、単一の比較器素子236と単一のANDゲート238とを有する。比較器素子236は、温度センサ18からの温度信号16と、温度閾値を定義する電圧基準信号240とを受信する。したがって、実際には、比較器素子236は、同じ温度信号と同じ電圧基準とを受信するので、
図2の保護回路に関連して上述したように、比較器素子236は、比較器モジュール10と同様の温度検査機能を実装する。
【0055】
機器2が正常に動作しており、温度センサ18からの温度信号16が所定閾値を下回ると、比較器素子236の出力信号242は、論理高であり、ANDゲート238に供給される。第1の回路レグ202と同様に、第2の回路レグ204でも、ANDゲート238は、初期状態において論理高状態にある第2の状態変更ラッチ装置232から有効/無効信号244を受信する。
【0056】
また、任意選択で、ANDゲート238は、この図において239’とラベル付けされた破線によって示されるように、第1の回路レグ202の状態変更ラッチ装置212から有効/無効信号239を受信することができる。また、同様に、第2の状態変更ラッチ装置232からの有効/無効信号244は、破線244’によって示されるように、第1の比較器210に入力されることができる。この構成は、状態変更ラッチ装置212、232のいずれかが、継電器26の動作を無効化できることを確実にし、したがって、事実上、回路の耐故障性を改善する。さらに、状態変更ラッチ装置212、232のいずれかの動作がANDゲートを起動させるので、いずれかの装置における故障は、2つの状態変更ラッチ装置212、232が効果的に相互に連結される結果として影響を及ぼさず、したがって、いずれか一方の起動は、両方の開閉装置の動作を引き起こし、それによって継電器を非通電にする。これは、比較器における耐性、例えば、状態変更ラッチ装置212、232のうちの1つのみを始動させることを防ぎ、その状況ではゲート108、238の両方が起動されるであろう。
【0057】
機器2が正常に動作していると、ANDゲート238への入力信号は論理高になり、したがって、ANDゲート238からの出力信号246も論理高になるであろう。
【0058】
出力信号246は、第2のスイッチング回路234に入力される。第2のスイッチング回路234は、第1のスイッチング回路214と同様に、継電器216に接続される。任意選択で、ここに示されるように、出力信号246は、信号の任意の一時的な変動をフィルタ除去するために、適切な時定数を出力信号246に適用するフィルタ素子247によってフィルタリングされることができる。さらなる任意選択として、ラッチ素子248が回路に含まれてもよく、
図3では、ラッチ素子248は、フィルタ素子247の後に位置付けられて示される。ラッチ素子248の利点は、状態変更ラッチ装置212、232を作動させるために必要とされる3秒の期間が終了する前に比較器108、238の出力が高に引き上げられている場合に、ラッチ素子248は、信号が低状態のままであることを確実にし、それによって、状態変更ラッチ装置212、232が有効/無効信号を低状態に変更するのに十分な期間、信号が低状態にあることを確実にする。
【0059】
ここで、スイッチング回路214、236の各々は、継電器216に通電するために、継電器216に正の電圧を提供しなければならず、したがって、発熱装置(
図3に図示されない)への電力供給も可能にする。第2の回路レグ204において、第2のスイッチング回路234は、NMOSトランジスタとして示される半導体開閉装置250を含み、そのソース端子SはグランドGNDに接続され、そのドレイン端子Dは継電器216に接続され、ゲート端子GはANDゲート238からの出力信号246を受信する。論理低信号がグランド電位であることを確実にするために、ゲート端子GとグランドGNDとの間にプルダウン抵抗252が接続される。
【0060】
この構成では、ANDゲート238からの出力信号246が論理高であると、これは、開閉装置250のゲート端子Gを高状態にし、ドレイン端子Dとソース端子Sとの間の伝導を通し、それによって、それが接続される継電器216のコイル接続を通電することが理解されよう。継電器216の他方のコイル接続に接続されている第1のスイッチング回路224と共に、継電器216は、両方のスイッチング回路が活動状態にあると通電される。
【0061】
逆に、ANDゲート238からの出力信号246が論理低状態に遷移する場合、プルダウン抵抗252は、ゲート端子Gがグランド状態であることを確実にし、したがって、開閉装置が切断され、それによって、継電器216を非通電にする。
【0062】
第2の制御モジュール231と第2の状態変更ラッチ装置232との動作は、
図2の保護回路2、したがって第1の回路レグ202に関して説明された同等の構成要素の動作と同一であることに留意されたい。したがって、ここではさらに説明しない。
【0063】
上記説明から、第1の回路レグ202と第2の回路レグ204とは、並列に動作して、発熱装置6の動作のための監視(watchdog)機能を提供することが理解されよう。両方の回路レグ202、204は、発熱装置の安全上限を定義すると考えられる所定温度閾値を超える温度を発熱装置6において検出する温度センサ18に応答する。温度信号が所定閾値を超えた場合、出力信号の状態の変更は、比較器とANDゲートとを通って伝搬し、スイッチング回路214、234を無効化し、継電器を非通電にする。同時に、第1及び第2の回路レグ202、204の各々における状態変更ラッチ装置212、232は、比較器モジュール210、230からの状態変更に応答して、それぞれの有効/無効信号239、244を無効状態にラッチし、それによって、非作動安全状態で機器2をロックするためにそれぞれ動作される。したがって、たとえ温度が許容可能な水準に低下したとしても、状態変更ラッチ装置212、232によって出された、ラッチされた有効/無効信号239、244は、機器2の動作が可能でないことを確実にするであろう。
【0064】
図4は、
図2及び
図3の保護回路内の様々な信号について、一連のタイミング図又は波形を示す。
図3に関して、タイミング図は、第1の回路レグ202内の構成部分に関連するが、第2の回路レグ204に適用されるのと同じ情報であることが理解されよう。波形は、明確にするために、4(a)~4(g)とラベル付けされる。波形4(a)は発熱装置6を組み込む製品への主電源を示す。波形4(b)は、継電器に供給された電圧を示す。波形4(c)は、温度センサ18によって検出された温度プロファイルを示す。波形4(d)は、比較器モジュール10、210からの出力信号22の電圧を示す。波形4(e)は、制御モジュール32、213によって生成された起動信号を示す。波形4(f)は、状態変更ラッチ装置のASEピンの電圧を示す。波形4(g)は、状態変更ラッチ装置30、212から比較器モジュール10、210への有効/無効信号31、239の状態を示す。
【0065】
最初に波形4(c)を参照すると、温度は、V基準1とラベル付けされた破線によって示される所定閾値を下回る値でt=0から始まり、t=T1にてその閾値を横切るまで上昇することが分かるであろう。フィルタ素子247によって適用されるフィルタリングのために、任意の信号遷移が起こる前に150ミリ秒の期間がある。波形4(d)に見られるように、t=T2にて、開閉装置12、214における電圧は、論理高から論理低に遷移する。また、波形4(e)に示されるように、t=T2にて、負パルスは、負パルス発生器132によって生成される。上述のように、負パルスが3秒の期間生成され、その結果、波形4(g)に示されるように、有効/無効信号31、239が、その最高値からその最低値まで段階的に引き下げられる。
【0066】
3秒の負パルスが終了すると、負パルスは論理高に戻り、その時点で、遅延ブロック134は、第2の負パルス発生器136が状態変更ラッチ装置30、212のASEピンにおいて50ミリ秒の短い負パルスを生成する前に10ミリ秒の遅延期間を実施する。これは、状態変更ラッチ装置30、212のワイパ位置をNVMに記憶されるようにする。
【0067】
この機能は、壁プラグからの主電源と回路電圧Vccとをそれぞれ示す波形4(a)及び4(b)を考慮することによって更に理解されることができる。図から分かるように、主電源は終端し、正の回路電圧Vccも終端する。これは、ユーザが、機器が遮断(trip out)したことを認識すると、安全対策として、ユーザが壁プラグにおいて機器を電源切断することを表す。図から分かるように、主電源が再確立され、回路電圧Vccも再確立されると、波形4(a)、4(d)、及び4(g)を比較することによって分かるように、温度が安全水準にあるにもかかわらず、これは、状態変更ラッチ装置の有効/無効信号の状態を変更させない。
【0068】
当業者は、
図1から
図4を参照して上述の回路構成が、任意選択的に単一の耐故障性を有する機器のための単一動作ラッチ開閉回路のハードウェア実装を達成する例であることを理解するであろう。単一動作ラッチ装置は、電源が再投入された動作の後でさえラッチされたままである装置である。完全性のために、保護回路300のさらなる例示的な構成が、
図5を参照してここで説明される。
【0069】
図5は、
図1から
図3の回路構成といくつかの共通性を共有するので、基本的な動作原理を不明瞭にしないように、ここでは相違点のみを説明する。
【0070】
図1から
図3の例示的な回路構成と同様に、保護回路300は、比較器モジュール302と、状態変更ラッチ装置304と、関連付けられた制御装置306と、を含み、それらの構成要素は、スイッチング回路308の動作を制御する。前の例と同様に、スイッチング回路308は、継電器312の通電を制御する開閉装置310を含む。継電器312は、電源314の動作を制御し、電源314は、主電源316から機器の構成要素318への電力の潮流を調整する。
【0071】
特に、この実施形態では、状態変更ラッチ装置304は、有効無効信号322を比較器モジュール302に発するが、それは、比較器モジュール302が温度センサ326から受信された、測定された温度信号324と比較する電圧基準として作用する有効/無効信号である。
【0072】
前述の例のように、状態変更ラッチ装置304は、デジタル電位差計(デジポット)として具体化され、有効/無効信号322は、デジポットのワイパピンの出力である。デジポットは、比較器モジュール302によって使用される電圧基準を提供するので、その電圧値は、温度感知信号との正確な比較を確実にするために精緻でなければならない。したがって、デジポットは、電圧基準のための適切な分解能を提供するために、256ステップを有するワイパを用いて構成されることが好ましい。
【0073】
制御装置306とスイッチング回路308とは、前の例を参照して論じられたのと同様に動作するので、さらなる説明は提供されない。したがって、この例は、より少ない論理構成要素を有するより単純な実施形態を有することが理解されよう。
【0074】
回路構成の異なる例及びそのいくつかの変形を上述したが、当業者は、特許請求の範囲に定義される本発明の概念から逸脱することなく、それらの回路構成に修正を加えることができることを理解するであろう。
【0075】
上述の回路構成は、切断機能が、極めて小型の外周器を提供するハードウェア解決策として実装されるという利点を有する。当業者は、ここで論じられる保護回路が一度で機能し、機器が安全な状態に保たれることを確実にする目的で、ユーザによってリセット可能ではないことを理解するであろう。しかしながら、好適には、保護回路は、工場の設定においてテスト及びリセットされることができるように構成されることができる。保護回路がリセットされ得る1つの方法は、デジタル電位差計のPUピン(又は「プルアップピン」)が外部のテストインタフェースによって通電されることである。この動作は、ワイパ位置をその最高水準まで引き上げ、それによって有効/無効信号を有効状態に設定を戻す。ワイパピンRwがその最高水準に戻ると、デジタル電位差計のASEピンは、新しいワイパ位置を保存するために、必要な期間、通電されることができる。