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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-13
(45)【発行日】2024-12-23
(54)【発明の名称】プログラム及び制御方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/12 20060101AFI20241216BHJP
【FI】
G06F3/12 328
G06F3/12 324
G06F3/12 332
G06F3/12 347
G06F3/12 303
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2023107827
(22)【出願日】2023-06-30
(62)【分割の表示】P 2018225256の分割
【原出願日】2018-11-30
(65)【公開番号】P2023115336
(43)【公開日】2023-08-18
【審査請求日】2023-07-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100223941
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 佳子
(74)【代理人】
【識別番号】100159695
【弁理士】
【氏名又は名称】中辻 七朗
(74)【代理人】
【識別番号】100172476
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 一史
(74)【代理人】
【識別番号】100126974
【弁理士】
【氏名又は名称】大朋 靖尚
(72)【発明者】
【氏名】木幡 徹
【審査官】征矢 崇
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-216166(JP,A)
【文献】特開2006-155289(JP,A)
【文献】特開2011-232940(JP,A)
【文献】特開2011-076225(JP,A)
【文献】特開2017-027277(JP,A)
【文献】特開2010-113404(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置内で動作可能な第1の印刷ソフトウェアのプログラムであって、
前記情報処理装置のコンピュータに、
前記情報処理装置と通信可能な第1印刷装置の情報を取得するステップと、
前記取得された情報に基づいて、前記第1印刷装置に関する第1表示アイテムを含む第1選択画面を、前記情報処理装置の表示部に表示させるステップと、
前記第1選択画面において前記第1表示アイテムがユーザにより選択された場合、前記第1印刷装置を前記第1の印刷ソフトウェアに登録する登録処理を行うステップと、
前記登録処理に基づいて、前記第1印刷装置を第2の印刷ソフトウェアに登録させるよう前記第2の印刷ソフトウェアへ指示するステップと、
を実行させ、
前記指示に基づいて、前記第1印刷装置が前記情報処理装置の前記第2の印刷ソフトウェアに登録されることを特徴とするプログラム。
【請求項2】
前記登録処理に基づいて、前記第2の印刷ソフトウェアが提供する第2選択画面におけるユーザ選択を介さずに、前記第1印刷装置が前記第2の印刷ソフトウェアに登録されることを特徴とする請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
前記第1印刷装置は、前記第2の印刷ソフトウェアにより生成された第1印刷データを解釈できない印刷装置であり、前記登録処理により、前記第1印刷装置が前記第1の印刷ソフトウェアに登録される処理と前記第1印刷装置が前記第2の印刷ソフトウェアに登録される処理とが実行されることにより、前記第1印刷装置に対して、前記第2の印刷ソフトウェアを介して印刷を実行させることが可能となることを特徴とする請求項1または2に記載のプログラム。
【請求項4】
前記第1印刷装置は、前記第2の印刷ソフトウェアにより生成された第1印刷データを解釈できない印刷装置であり、
前記第1印刷装置に印刷を実行させる場合、前記コンピュータに、
前記第2の印刷ソフトウェアにより生成された前記第1印刷データを、前記第1印刷装置が解釈可能な所定の形式の第2印刷データに変換する変換処理を実行するステップと、
前記第2印刷データを前記第1印刷装置に送信するために出力するステップと、
をさらに実行させることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項5】
前記第1印刷データを解釈可能な第2印刷装置に印刷を実行させる場合、
前記第2の印刷ソフトウェアにより生成された前記第1印刷データは、前記第1の印刷ソフトウェアによる前記変換処理が実行されずに、前記第2印刷装置に送信されることを特徴とする請求項4に記載のプログラム。
【請求項6】
前記登録処理に基づき、前記第1印刷装置を示す情報が前記第2の印刷ソフトウェアに送信されることにより、前記第2の印刷ソフトウェアに前記第1印刷装置を示す情報が登録されることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項7】
前記コンピュータに、前記第2の印刷ソフトウェアに登録された前記第1印刷装置を示す情報を、ユーザが印刷指示を行う場合に選択するようユーザに促す通知アイテムを表示させるステップをさらに実行させることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項8】
前記コンピュータに、前記第1印刷データを解釈可能な第2印刷装置が前記第2の印刷ソフトウェアに既に登録されているか判定するステップをさらに実行させ、
前記第2印刷装置が前記第2の印刷ソフトウェアに既に登録されていると判定された場合、前記通知アイテムを表示させ、
前記第2印刷装置が前記第2の印刷ソフトウェアに登録されていないと判定された場合、前記通知アイテムを表示させないことを特徴とする請求項3または4を引用する請求項7に記載のプログラム。
【請求項9】
情報処理装置内で動作可能な第1の印刷ソフトウェアのプログラムであって、
前記情報処理装置のコンピュータに、
前記情報処理装置と通信可能な第1印刷装置の情報を取得するステップと、
前記取得された情報に基づいて、前記第1印刷装置に関する第1表示アイテムを含む第1選択画面を、前記情報処理装置の表示部に表示させるステップと、
前記第1選択画面において前記第1表示アイテムがユーザにより選択された場合、前記第1印刷装置を前記第1の印刷ソフトウェアに登録する登録処理を行うステップと、
前記登録処理に基づき、前記第1印刷装置を示す情報を変更するステップと、
前記変更後の前記第1印刷装置を示す情報を、第2の印刷ソフトウェアに送信するステップと、
を実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項10】
前記第1印刷装置は、前記第2の印刷ソフトウェアにより生成された第1印刷データを解釈できない印刷装置であり、前記登録処理により、前記第1印刷装置に対して、前記第2の印刷ソフトウェアを介して印刷を実行させることが可能となることを特徴とする請求項9に記載のプログラム。
【請求項11】
前記第1印刷装置は、前記第2の印刷ソフトウェアにより生成された第1印刷データを解釈できない印刷装置であり、
前記第1印刷装置に印刷を実行させる場合、前記コンピュータに、
前記第2の印刷ソフトウェアにより生成された前記第1印刷データを、前記第1印刷装置が解釈可能な所定の形式の第2印刷データに変換する変換処理を実行するステップと、
前記第2印刷データを前記第1印刷装置に送信するために出力するステップと、
をさらに実行させることを特徴とする請求項9または10に記載のプログラム。
【請求項12】
前記第1印刷データを解釈可能な第2印刷装置に印刷を実行させる場合、
前記第2の印刷ソフトウェアにより生成された前記第1印刷データは、前記第1の印刷ソフトウェアによる前記変換処理が実行されずに、前記第2印刷装置に送信されることを特徴とする請求項11に記載のプログラム。
【請求項13】
前記登録処理に基づき、前記第1の印刷ソフトウェアに登録された前記第1印刷装置を示す情報が前記第2の印刷ソフトウェアに送信されることにより、前記第2の印刷ソフトウェアに前記第1印刷装置を示す情報が登録されることを特徴とする請求項9から12のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項14】
前記第1の印刷ソフトウェアは前記第1印刷装置のベンダー固有の形式に印刷データを変換する印刷ソフトウェアであり、前記第2の印刷ソフトウェアはOS標準印刷ソフトウェアであることを特徴とする請求項1から13のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項15】
情報処理装置の制御方法であって、
前記情報処理装置と通信可能な第1印刷装置の情報を取得するステップと、
前記取得された情報に基づいて、前記第1印刷装置に関する第1表示アイテムを含む第1選択画面を、前記情報処理装置の表示部に表示させるステップと、
前記第1選択画面において前記第1表示アイテムがユーザにより選択された場合、前記第1印刷装置を第1の印刷ソフトウェアに登録する登録処理を行うステップと、
前記登録処理に基づいて、前記第1印刷装置を第2の印刷ソフトウェアに登録させるよう前記第2の印刷ソフトウェアへ指示するステップと、
を備え、
前記指示に基づいて、前記第1印刷装置が前記情報処理装置の前記第2の印刷ソフトウェアに登録されることを特徴とする制御方法。
【請求項16】
情報処理装置の制御方法であって、
前記情報処理装置と通信可能な第1印刷装置の情報を取得するステップと、
前記取得された情報に基づいて、前記第1印刷装置に関する第1表示アイテムを含む第1選択画面を、前記情報処理装置の表示部に表示させるステップと、
前記第1選択画面において前記第1表示アイテムがユーザにより選択された場合、前記第1印刷装置を第1の印刷ソフトウェアに登録する登録処理を行うステップと、
前記登録処理に基づき、前記第1印刷装置を示す情報を変更するステップと、
前記変更後の前記第1印刷装置を示す情報を、第2の印刷ソフトウェアに送信するステップと、
を備えることを特徴とする制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プログラム及び制御方法に関する。特に、印刷制御ソフトウェアに関するプログラム及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタベンダーの提供するプリンタ固有のソフトウェア(以下、固有プリンタドライバ)を必要とせずに、オペレーティングシステム(以下、OSと呼ぶ)が標準的な印刷機能(以下、OS標準印刷機能と呼ぶ)を提供する技術がある(特許文献1参照)。OSは、プリンタから取得する情報に基づき、そのプリンタがOS標準印刷機能に対応しているか(サポートしているか)判断し、対応していれば、OS標準印刷機能が生成した印刷データをプリンタに送信する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表2015-508921
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、プリンタによってはOS標準印刷機能に対応しておらず、OS標準印刷機能により生成された印刷データを解釈できない場合がある。また、プリンタがOS標準印刷機能に対応していたとしても、OS標準印刷機能よりも詳細な印刷設定に基づく印刷を行わせたい場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
情報処理装置内で動作可能な第1の印刷ソフトウェアのプログラムであって、前記情報処理装置のコンピュータに、前記情報処理装置と通信可能な第1印刷装置の情報を取得するステップと、前記取得された情報に基づいて、前記第1印刷装置に関する第1表示アイテムを含む第1選択画面を、前記情報処理装置の表示部に表示させるステップと、前記第1選択画面において前記第1表示アイテムがユーザにより選択された場合、前記第1印刷装置を前記第1の印刷ソフトウェアに登録する登録処理を行うステップと、前記登録処理に基づいて、前記第1印刷装置を第2の印刷ソフトウェアに登録させるよう前記第2の印刷ソフトウェアへ指示するステップと、を実行させ、前記指示に基づいて、前記第1印刷装置が前記情報処理装置の前記第2の印刷ソフトウェアに登録されることを特徴とするプログラム。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、OS標準印刷機能を用いて適切に印刷を指示できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】画像形成システムのハードウェア構成を表すブロック図である。
図2】ソフトウェア構成を表すブロック図である。
図3】印刷データ変換ユーティリティのプリンタ管理画面を示す模式図である。
図4】OSのプリンタ追加画面を示す模式図である。
図5】印刷データ変換ユーティリティにおけるプリンタ追加処理のフローチャートである。
図6】印刷データ変換ユーティリティにおけるプリンタ追加処理のフローチャートである。
図7】描画アプリケーションの印刷ダイアログである。
図8】印刷データ変換ユーティリティにおけるプリンタ追加処理のフローチャートである。
図9】アプリケーションで選択すべきプリンタを報知するダイアログである。
図10】印刷データ変換ユーティリティにおけるプリンタ追加処理のフローチャートである。
図11】印刷データ変換ユーティリティにおけるプリンタ追加処理のフローチャートである。
図12】OSのプリンタ追加画面を示す模式図である。
図13】印刷データ変換ユーティリティにおけるプリンタ追加処理のフローチャートである。
図14】OSのプリンタ追加画面で選択すべきプリンタを報知するダイアログを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して本発明の実施の形態を詳しく説明する。尚、以下の実施の形態は特許請求の範囲に係る本発明を限定するものでなく、また本実施の形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが本発明の解決手段に必須のものとは限らない。
【0009】
<第一実施形態>
[システム構成]
本実施形態に係る画像形成システムのハードウェア構成について、図1のブロック図を参照して説明する。図1は、ホストコンピュータ11とプリンタ12とが、Ethernet(登録商標)やUSB等の通信バス121を介して通信可能な印刷システムの例である。図1では、プリンタは1つのみ図示したが、通信バス121を介して任意の数のプリンタが接続可能である。
【0010】
ホストコンピュータ11は情報処理装置の一例である。ホストコンピュータ11には、オペレーティングシステム(以下、OSと呼ぶ)がインストールされている。本実施形態では、macOS(登録商標)がインストールされている例を説明する。OSは、後述するOS標準印刷ソフトウェアであるOS標準印刷システム202を備えている。
【0011】
ホストコンピュータ11は、例えばパーソナルコンピュータ(PC)であり、インターフェース(I/F)部107と、CPU101、ROM102、RAM103、表示部104、入力部105、外部記憶装置106を有する。本実施形態のホストコンピュータ11は、デスクトップ型PCに限らず、ノート型PC、タブレット型PC、スマートフォンでもよい。
【0012】
ホストコンピュータ11は、プリンタ12へ、プリンタ12を制御するための指示、印刷データ、設定コマンド等を送信する。CPU101は、ホストコンピュータ11の各部を制御する中央演算装置であり、OSや後述のOS印刷データ変換ユーティリティ203などの制御プログラムを実行する。ROM102は記憶されたOSによりそのシステム動作を制御する。RAM103は、CPU101による作業領域が展開されるランダムアクセスメモリである。外部記憶装置106は、アプリケーションやOS印刷データ変換ユーティリティ203などの各種制御プログラムを格納している。
【0013】
入力部105は、ホストコンピュータ11を操作するためのキーボード及びマウス等の入力デバイスである。表示部104は、入力部105から入力された情報を確認するための表示、或いは、OSやアプリケーションのユーザインタフェース画面の表示、メッセージの表示などを行う表示デバイスである。I/F部107は、プリンタ12とのデータの送受信を行う通信モジュールである。
【0014】
印刷装置であるプリンタ12は、例えばインクジェットプリンタである。プリンタ12は、I/F部115と、CPU111、ROM112、RAM113、プリントエンジン114を有する。CPU111は以下の各部を制御する中央演算処理装置である。ROM112は読み出し専用メモリであり、プリントエンジン114を制御するプログラムを格納している。RAM113は随時書き込み読み出しメモリであり、プリントエンジン114の動作に必要なプログラム、ホストコンピュータ11から受信した設定値などを一時記憶する。
【0015】
プリントエンジン114は、ホストコンピュータ11から送られたプリントデータに基づいて記録媒体にプリントする。I/F部115は、ホストコンピュータ11からプリントデータを受信する通信モジュールであり、プリンタ12からホストコンピュータ11にプリンタ12の現在のステータス情報を送信する機能などを有する。ここでいうステータス情報とは、I/F部115を介して接続されているホストコンピュータ11からの要求に応じて、プリンタ12が返却する事の出来る、プリンタ12の状態を表すステータスデータの事である。ステータスデータとは、「印刷中」「待機状態」などのプリンタ12の動作の状態や、「用紙切れ」「カバーが開いている」「インク残量無し」などのプリンタ12のエラーの状態を知らせるための情報である。
【0016】
[ソフトウェア構成]
図2は、本発明の実施形態に係るホストコンピュータ11(情報処理装置内)のソフトウェア構成を表すブロック図である。ホストコンピュータ11には、OS標準印刷ソフトウェアであるOS標準印刷システム202と、印刷制御ソフトウェアである印刷データ変換ユーティリティ203とが動作可能に搭載されている。さらに、ホストコンピュータ11は、描画アプリケーション201が搭載されている。
【0017】
描画アプリケーション201は、ユーザ指示に基づき、描画データを生成するソフトウェアである。ここでいうアプリケーションは、ホストコンピュータ11の基本ソフトウェアであるOS上で動作するソフトウェアである。アプリケーション201は作成したデータをプリントする機能を有し、例えば、文書作成用のワープロソフトや画像編集ソフト、年賀状作成ソフトなどが挙げられる。描画アプリケーションにより生成される描画データは、例えば、PDF(Portable Document Format)形式のデータである。
【0018】
描画アプリケーション201は、描画データの生成後、ユーザ指示に基づき、OS標準印刷システム202に対して印刷要求を行う。なお、印刷要求が行われる場合、印刷設定については、印刷データ変換ユーティリティ203が提供する設定画面によりユーザからの設定指示を受け付けることができる。OS標準印刷システム202から印刷要求が行われると、印刷データ変換ユーティリティ202により生成された印刷設定に関する情報と、描画アプリケーション201により生成された描画データと、を含む印刷ジョブがOS標準印刷システム202に渡される。印刷設定に関する情報には、用紙サイズや用紙種類、どのプリントキューにおいて印刷を行うか、などの情報が含まれる。
【0019】
OS標準印刷システム202は、印刷データ生成に必要な標準的な機能を備えるOS標準印刷ソフトウェアであり、描画アプリケーション201が生成した描画データをスプール処理し、所定の形式(以下、「標準形式」とも呼ぶ)の印刷データを生成する。さらに、OS標準印刷システム202は、生成した標準形式の印刷データを印刷データ変換ユーティリティ203へ出力する処理を行う。あるいは、OS標準印刷システム202は、生成した標準形式の印刷データを、直接プリンタ12へデータを送信するために、印刷データ変換ユーティリティ203へ出力せずにプリント通信部204へ標準形式の印刷データを直接出力する処理を行う。また、OS標準印刷ソフトウェア202は、プリント通信部204を介し、プリンタ12がOS標準印刷システム202をサポートしているかを判定するため、プリンタ12の機種情報等の識別情報を取得する。なお、サポート判定のために取得する情報は、プリンタ12の機種情報に限らず、プリンタ12のケイパビリティ情報等でもよい。OS標準印刷システム202における様々な処理は、OS標準印刷システム202内のシステム制御部211の制御により行なわれる。
【0020】
印刷データ変換ユーティリティ203は、OS標準印刷システム202により出力された標準形式の印刷データを、プリンタベンダー固有の形式の印刷データに変換するソフトウェアである。
【0021】
ここで、本実施形態のプリンタ12は、OS標準印刷システム202をサポートしていないものとして説明する。OS標準印刷システム202をサポートしていないプリンタ12の場合、OS標準印刷システム202が生成した標準形式の印刷データを受信しても解釈できない。よって、本実施形態では、印刷データ変換ユーティリティ203をホストコンピュータ11に搭載する。そして、印刷データ変換ユーティリティ203が、標準形式の印刷データを、プリンタ12が解釈可能なプリンタベンダー固有の形式(以下、「個別形式」とも呼ぶ)の印刷データに変換処理する。これにより、OS標準印刷システム202の機能に対応していないプリンタに対しても、OS標準印刷システム202の標準機能を使って印刷を行わせることできるようになる。
【0022】
なお、プリンタ12がOS標準印刷システムをサポートしている場合であっても(つまり、標準形式の印刷データを解釈可能な場合であっても)、印刷データ変換ユーティリティ203を使用するとよい。印刷データ変換ユーティリティ203を使用することにより、より多くの機能を提供できるようになる。例えば、OS標準印刷システム202が提供する標準的な機能の場合、カラーマッチング処理や色味や明るさの調整等の詳細な印刷品質の設定には対応していない。つまり、OS標準印刷システム202が提供する機能には制限がある。そこで、OS標準印刷システム202を使用することにより、プリンタベンダー固有のプリンタドライバと同等の機能を提供することができるようになる。
【0023】
印刷データ変換ユーティリティ203は、データ変換部212とプリンタドライバ部213とを有し、OS標準印刷システム202から標準形式の印刷データと印刷設定情報を受け取り、印刷制御に必要な処理を行う。具体的には、印刷データ変換ユーティリティ203は、まず、プリント通信部204を介してプリンタ12から機種情報を取得し、プリンタ12がOS標準印刷システム202をサポートしているか判定する。なお、サポート判定のために取得する情報は、プリンタ12の機種情報に限らず、プリンタ12のケイパビリティ情報等でもよい。
【0024】
印刷データ変換ユーティリティ203は、プリンタ12がOS標準印刷システム202をサポートしていないと判断した場合、プリンタ12が疑似的にOS標準印刷システム202をサポートしているよう扱うための特定処理を行う。なお、上述したとおり、OS標準印刷システム202をサポートしていたとしても、プリンタベンダー固有のプリンタドライバと同等の機能を提供すべきプリンタ12であった場合は、この特定処理を実行するとよい。特定処理の詳細な内容は、図5を用いて後述する。また、印刷データ変換ユーティリティ203は、OS標準印刷システム202から受け取った標準形式の印刷データと印刷設定情報を、データ変換部212とプリンタドライバ部213を使用して、個別形式の印刷データに変換する処理を行う。プリンタドライバ部213を使用してデータを変換することで、OS標準印刷システム202の提供する機能が少ない場合であっても、プリンタベンダー固有のプリンタドライバと同等の機能を提供することができる。
【0025】
プリント通信部204は、OS標準印刷システム202から出力された標準形式の印刷データ、又は、印刷データ変換ユーティリティ203が出力した個別形式の印刷データをプリンタ12に送信する通信モジュールである。また、プリンタ12から送信されるステータス情報などのデータ取得も行う。
【0026】
[プリンタ登録処理]
次に、本実施形態におけるプリンタの登録処理について説明する。印刷データ変換ユーティリティ203にデータ処理対象のプリンタを登録する場合、印刷データ変換ユーティリティ203へのプリンタ登録に加え、OS標準印刷システム202へのプリンタ登録が必要になる。なお、以下では、プリンタを登録する処理を「追加」と表現する場合もある。
【0027】
まず、図3を用いて、プリンタ追加処理における画面遷移について説明する。図3は、印刷データ変換ユーティリティ203が提供する画面を示す。プリンタ管理画面31はプリンタ追加画面表示ボタン32とプリンタ削除画面表示ボタン33とを含む。ユーザによりプリンタ追加画面表示ボタン32が押下されると、プリンタ追加画面34(選択画面)が表示される。プリンタ追加画面34には、OS標準印刷システム202をサポートしておらず、且つ、ホストコンピュータ11と通信可能に接続されているプリンタを示す表示アイテムが表示される。ユーザは、プリンタ追加画面34に表示されたプリンタの中から追加したいプリンタを選択し、プリンタ追加ボタン35を押下することにより、印刷データ変換ユーティリティ203への追加処理が完了する。印刷データ変換ユーティリティ203へ追加されたプリンタはプリンタ管理画面31にプリンタリスト36として表示される。
【0028】
図4に、OS標準印刷システム202が提供する画面を示す。図4の画面は、印刷データ変換ユーティリティ203へのプリンタの追加完了後、印刷データ変換ユーティリティ203が、追加したプリンタの情報を、OS標準印刷システム202へ送信することにより表示されるとよい。また、図4は、ユーザの任意の指示により表示されてもよい。
【0029】
図4において、OS標準印刷システム202は、プリンタ追加画面41(選択画面)に、ホストコンピュータ11と接続されているプリンタのリストを、種類別に表示する。ここで、種類とは、「プリンタとホストコンピュータとの接続形態」、「プリンタドライバのインストールの有無」、「OS標準印刷システム202のサポート状況」がある。これらのうちいずれかが異なると、1つのプリンタに対して複数の表示アイテムが表示される。つまり、同一プリンタであっても、プリンタリスト42に複数の選択肢が表示されるようになっている。また、同一プリンタで同一種類のものであっても、2回登録が行われた場合は、2つ目のものについてはプリンタ名の後ろに「2」の数値が自動的に付与される場合がある。また、全く同じ名前と種類で2つの項目が表示されるという場合もある。
【0030】
例えば、図4において、1行目のプリンタ名が「Printer A」で種類が「USB」の項目は、USBケーブルにてプリンタとホストコンピュータ11とが接続されている場合に表示されるものとする。2行目のプリンタ名が「Printer A」で種類が「Network」の項目は、プリンタベンダー固有のプリンタドライバがホストコンピュータ11にインストールされている場合に表示されるものとする。3行目のプリンタ名が「Printer A」で種類が「OS標準」の項目は、ネットワーク上にプリンタが存在すれば表示されるものとする。なお、「OS標準」とは、「OS標準のネットワーク接続」を示す。また、この状態で、図3において印刷データ変換ユーティリティ203にプリンタAが追加された場合、図4において4行目に示す通り、プリンタ名「Printer A2」で種類が「OS標準」の項目が表示される。
【0031】
ユーザは追加したいプリンタをプリンタリスト42の中から選択し、追加ボタン43を押下することにより、OS標準印刷システム202へプリンタが追加される。
【0032】
次に、図5を用いて、プリンタ登録の具体的な処理を説明する。図5は、印刷データ変換ユーティリティ203が実行するプリンタの追加処理のフローチャートを示す。以降、印刷データ変換ユーティリティ203を、各処理の主体として説明することもあるが、実際には、対応するプログラムをCPU101が実行することで、対応する機能が実現されることになる。なお、全ての処理は必ずしも一つのプロセス上で逐次的に実行されるものではなく、一度OS側に処理が移り、再度OSから呼び出されるようなケースもあり得る。あくまで印刷データ変換ユーティリティ203の主要な処理を、便宜的にわかりやすく示したフローである。なお、印刷データ変換ユーティリティ203は、OSの起動時には常に起動している常駐ソフトウェアとして機能させることが好ましい。
【0033】
S501では、印刷データ変換ユーティリティ203は、図3において、ユーザによるプリンタ追加画面表示ボタン32の押下を受け付ける。
【0034】
S502では、印刷データ変換ユーティリティ203は、プリンタ追加画面34を表示部104に表示させるための処理を開始する。そして、S503で、印刷データ変換ユーティリティ203は、プリント通信部204を介して、ホストコンピュータ11に接続されているプリンタから機種情報を取得する。
【0035】
S504では、プリンタから取得した機種情報に基づき、プリンタがOS標準印刷システム202をサポートしているか判定する。具体的には、プリンタが印刷データ変換ユーティリティ203のサポート対象機種を判断するためのホワイトリストを印刷データ変換ユーティリティ203が備えるとよい。そして取得した機種情報をもとに、ホワイトリストを参照して判断するとよい。なお、判定のために取得する情報は、プリンタ12の機種情報に限らず、プリンタ12のケイパビリティ情報等でもよい。そして、ケイパビリティにサポート情報が含まれている場合は、ホワイトリストを用いずに、このサポート情報を基に判定するとよい。
【0036】
S504において、接続プリンタがOS標準印刷システム202をサポートしている(S504においてYES)と判定された場合、追加が必要なプリンタが存在しないため、プリンタ追加画面34にプリンタが存在しない旨を表示し、処理は終了する(S506)。
【0037】
一方、S504において、接続プリンタがOS標準印刷システム202をサポートしていない(S504においてNO)と判定された場合、S505へ進む。S505では、印刷データ変換ユーティリティ203は、プリンタ追加画面34に接続プリンタの「プリンタ名」「種類」を表示する。なお、S504において、接続プリンタがOS標準印刷システム202をサポートしていないということは、接続プリンタは印刷データ変換ユーティリティ203においてサポートすべき機種であるということになる。
【0038】
S507では、印刷データ変換ユーティリティ203は、操作者ユーザがプリンタ追加画面34においてユーザが追加対象のプリンタを選択してプリンタ追加ボタン35を押下したことを受け付ける。図3のプリンタ追加画面34では、プリンタ名「PrinterA」が指示されたものとする。なお、図2では、プリンタ12が「Printer A」に対応するものとする。
【0039】
S508では、印刷データ変換ユーティリティ203は、指示されたプリンタを印刷データ変換ユーティリティ203に追加する処理を実行する。この追加処理(登録処理)により、印刷データ変換ユーティリティ203に、「Printer A」に対応するプリンタ12の印刷キューが生成される。
【0040】
S508で印刷データ変換ユーティリティ203へのプリンタ追加が完了した場合、S509へ進む。S509では、印刷データ変換ユーティリティ203は、当該プリンタ12がOS標準印刷システム202をサポートしているとOSに疑似的に認識させるための特定処理を実行する。具体的には、印刷データ変換ユーティリティ203が、追加完了したプリンタの情報を、OS標準印刷システム202へ送信することにより実行される。送信されるプリンタの情報としては、プリンタ名、接続形態、ケイパビリティ情報が含まれる。ケイパビリティ情報とは、プリンタの能力や機能を示す情報であり、両面印刷可能かを示す情報や、カラー印刷が可能かを示す情報等が含まれる。
【0041】
図5では、さらに、このS509において、印刷データ変換ユーティリティ203は、自身に登録したプリンタの情報だけでなく、OS標準印刷システム202へそのプリンタを登録するよう指示するためのコマンドも送信する。この登録指示コマンドを受けたOS標準印刷システム202は、取得したプリンタの情報を基に、プリンタ12をOS標準印刷システム202へ登録する処理を行う。この登録処理により、OS標準印刷システム202にプリンタ12の印刷キューが生成される。
【0042】
なお、もし既にOS標準印刷システム202に、「Printer A」のプリンタ名で「OS標準」の種類の項目が登録されている場合、今回の登録処理では、OS標準印刷システム202は、プリンタ名が「Printer A2」として登録される。そこで、印刷データ変換ユーティリティ203は、その登録情報を取得し、印刷データ変換ユーティリティ203自身に登録しているプリンタ12のプリンタ名を「Printer A」から「Printer A2」に登録し直すとよい。これにより、印刷データ変換ユーティリティ203へ登録されている情報とOS標準印刷システム202へ登録されている情報とが同じプリンタ名となるため好ましい。
【0043】
本実施形態により、OS標準印刷システム202の提供する機能をサポートしていないプリンタであっても、印刷データ変換ユーティリティ203への登録により、自動的にOS標準印刷システム202にも登録される。この登録処理により、OS標準印刷システム202により生成された標準形式の印刷データは、印刷データ変換ユーティリティ203により個別形式の印刷データに変換される。そして、個別形式の印刷データがプリンタへ送信される。これにより、OS標準印刷システム202の機能に対応していないプリンタに対しても、OS標準印刷システム202を使って印刷を行わせることできるようになる。
【0044】
なお、印刷データ変換ユーティリティ203へのプリンタ登録の際、図4に示すように、ユーザはOS標準印刷システム202の提供するプリンタ追加画面41を開いて、OS標準印刷システム202へプリンタを登録することも可能である。ただし、プリンタ追加画面41においてプリンタリスト42の中から登録したいプリンタを選択するのは難しい。例えば、同一名称または類似名称で同一プリンタが複数表示されてしまう場合、追加しなければならないプリンタがどれなのかを特定するのが難しい。しかしながら、本実施形態のように、印刷データ変換ユーティリティ203への登録に基づき、OS標準印刷システム202にも自動登録される方式の場合、OS標準印刷システム202が提供する画面でのユーザ選択によりプリンタを指定させる必要がない。よって、ユーザは、より簡便にプリンタの登録を行うことが可能となる。
【0045】
なお上述の例では、S509において、印刷データ変換ユーティリティ203は、自身に登録したプリンタの情報と共に、OS標準印刷システム202へプリンタを登録するよう指示するための登録指示コマンドを送信したが、本実施形態はこれに限られない。図6を用いて印刷データ変換ユーティリティ203におけるプリンタ追加処理の変形例を説明する。図6は、印刷データ変換ユーティリティ203が実行するプリンタの追加処理のフローチャートを示す。図6において、S501~S508までの処理は図5と同じであるため説明を省略する。
【0046】
図6では、S508におけるプリンタ追加完了後、S509において、印刷データ変換ユーティリティ203は、当該プリンタ12がOS標準印刷システム202をサポートしているとOSに疑似的に認識させるための特定処理を実行する。具体的には、印刷データ変換ユーティリティ203が、追加完了したプリンタの情報を、OS標準印刷システム202へ送信することにより実行される。
【0047】
そして、S601において、印刷データ変換ユーティリティ203は、OS標準印刷システム202に、送信したプリンタの情報に対応するプリンタを、OS標準印刷システム202に登録させるための処理を行う。具体的には、まず、印刷データ変換ユーティリティ203は、OS標準印刷システム202のプリンタ追加処理を呼び出す。そして、自動でOS標準印刷対応プリンタとしてOSに追加する処理を実行する。これにより、図5と同様に、OS標準印刷システム202に自動で登録されるため、OS標準印刷システム202の提供する画面において、プリンタ追加をユーザが手動で選択指示する手間がなくなる。よって、ユーザは、より簡便にプリンタの登録を行うことが可能となる。
【0048】
なお、本実施形態の図5又は図6に示した方法は、プリンタ12がOS標準印刷システム202をサポートしている場合であっても適応可能である。つまり、プリンタ12がOS標準印刷システム202をサポートしている場合であっても、印刷データ変換ユーティリティ203を使用するよう、印刷データ変換ユーティリティ203にプリンタ12を登録する場合にも適用できる。具体的には、S504において、接続プリンタが、OS標準印刷システム202をサポートしているか、又は、プリンタベンダー固有のプリンタドライバと同等の機能を提供すべきか、を判定するとよい。これにより、プリンタ12がOS標準印刷システム202をサポートしている場合であっても、プリンタベンダー固有のプリンタドライバと同等の印刷設定を適用することができる。
【0049】
以上、本実施形態により、ユーザは描画アプリケーションの印刷ダイアログ(印刷指示画面)を開き、印刷ダイアログにてOS標準印刷システム202に追加されたプリンタを選択して印刷を指示する。これにより、OS標準印刷システム202を用いて印刷を実行させることが可能となる。
【0050】
<第二実施形態>
次に、第二実施形態について説明する。第二実施形態では、OS標準印刷システム202へのプリンタ登録後に、印刷指示の際にユーザが選択すべきプリンタをユーザに通知する処理を行うことを特徴とする。以下の説明では第一実施形態と共通する説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
【0051】
[報知処理]
まず、印刷指示を行う場合の処理について説明する。図7は描画アプリケーション201が提供する印刷ダイアログ71が表示された状態を表している。この印刷ダイアログ71は、ユーザが描画アプリケーション201を用いて描画データを生成した後、描画アプリケーションの画面において印刷を指示することにより表示される画面である。印刷ダイアログ71は、印刷を実行させるプリンタを選択するためのプリンタメニュー72、印刷プレビュー領域73、印刷要求を指示するプリントボタン74、印刷ダイアログ71を閉じ描画アプリケーションによる制御に戻すキャンセルボタン75を備える。さらに、印刷設定を指示するための用紙サイズメニュー76、部数設定項目77、その他の詳細設定を行う詳細設定メニュー78を備える。
【0052】
ここで、第一実施形態の処理により自動登録されたプリンタだけでなく、OS標準印刷システム202に対応したプリンタもOS標準印刷システム202に登録されている場合について説明する。この場合、実際にユーザが印刷指示を行う場合に、どのプリンタを選択すればよいのかが分かりづらい可能性がある。特に、1つのプリンタに対して複数のプリンタ名で登録されている場合は、ユーザは選択すべきプリンタが分からず迷ってしまう。また、OS標準印刷システム202に対応したプリンタとして登録されたプリンタ名(つまり、印刷データ変換ユーティリティ203には登録されていないプリンタ名)をユーザが選択してしまうと、機能が制限されるケースが多い。具体的には、印刷データ変換ユーティリティ203を通さずに印刷指示を実行させるため、指定できる印刷設定の機能が少なくなる。よって、ユーザにはできるだけ第一実施形態において自動登録されたプリンタを推奨することが好ましい。なお、印刷データ変換ユーティリティ203を介して印刷指示が行われる場合、あらかじめ印刷データ変換ユーティリティ203を起動して印刷設定画面を表示し、ユーザに、カラーマッチング処理や色味や明るさの調整等のより詳細な印刷設定を行わせるとよい。そして、図7に示す印刷ダイアログ71においてプリントボタン74が押下されたら、印刷データ変換ユーティリティ203は、あらかじめ設定された詳細な印刷設定を反映して、印刷データの変換を行うとよい。この詳細な印刷設定により、プリンタベンダーが提供するプリンタドライバと同等の印刷設定機能を提供することができるようになる。なお、本実施形態では、印刷ダイアログ71においてプリントボタン74が押下された後に、印刷データ変換ユーティリティ203が提供する印刷設定画面を表示させてもよい。この場合は、この印刷設定画面において、カラーマッチング処理や色味や明るさの調整等のより詳細な印刷設定を指示することができる。
【0053】
本実施形態では、第一実施形態の印刷データ変換ユーティリティ203におけるプリンタ登録処理において、OS標準印刷システム202にプリンタが自動登録された後に、OS標準印刷システム202へのプリンタ追加状態に応じたユーザへの報知を行う。
【0054】
図8は、本実施形態における印刷データ変換ユーティリティ203の処理を示すフローチャートである。図8におけるS501~S601までの流れは図6と同じであるため説明を省略する。図8においてS801では、印刷データ変換ユーティリティ203は、プリンタ自動登録完了後に、印刷指示の際にユーザが選択すべきプリンタを報知する処理を行う。この時に表示される通知アイテムである報知ダイアログの一例を図9に示す。図9において、報知ダイアログ91は、OS標準印刷システム202へのプリンタ登録が完了したことを示すテキストと、印刷時に選択すべきプリンタ名をユーザに通知するテキストと、を含む。ここで推奨しているプリンタ名は、第一実施形態において、OS標準印刷システム202に自動登録されたプリンタ名が表示される。
【0055】
本実施形態により、S標準印刷システム202へのプリンタ登録後に上記報知を行うため、ユーザが印刷指示を行う場合にどのプリンタを選択すればよいのか分かりやすくなる。
【0056】
<第三実施形態>
次に、第三実施形態について説明する。第二実施形態では、OS標準印刷システム202へのプリンタ自動追加後、S801にて常にユーザへの報知を行っていたが、本実施形態では、プリンタの登録状態に応じて、報知を行う場合と報知を行わない場合とを切り替えることを特徴とする。以下の説明では前述の各実施形態と共通する説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
【0057】
[プリンタ追加状態に応じたプリンタ報知処理]
本実施形態ではプリンタの追加状態を参照して報知をするか否かを切り替える。図10に本実施形態における印刷データ変換ユーティリティ203の処理フローを示す。図10におけるS501~S601までの流れは図6と同じであるため、説明を省略する。
【0058】
S1001にて、印刷データ変換ユーティリティ203は、他に接続プリンタがOS標準印刷システム202に追加されているか、を判定する。S1001の判定がYESの場合はS601でOSへ追加したプリンタ以外に、もともとOS標準印刷システム202に対応したプリンタが追加されていたということになる。この場合、印刷時には、ユーザにはS601で追加したプリンタを描画アプリケーションの印刷ダイアログで選択してほしいため、選択すべきプリンタをS801にて報知する。なお、S801にて放置するダイアログは第二実施形態で説明した画面と同じである。一方、S1001の判定がNOの場合、現在OSへ追加されている接続プリンタはS601で追加したプリンタ1つのみであるため、ユーザがどのプリンタを選択すべきか迷うことはない。よって、報知を行う必要がないため、S801をスキップして処理を終了する。これにより、プリンタがほかに一つも追加されていない場合など、報知を出すことが逆に煩わしい場合には、報知を行わない制御を実行することが可能となる。
【0059】
<第四実施形態>
次に、第四実施形態について説明する。本実施形態では、第一~第三実施形態のようにOS標準印刷システム202へプリンタを自動追加するのではなく、OS標準印刷システム202の提供する画面において、OS標準印刷システム202に登録するプリンタを選択させる例を説明する。なお、以下の説明では前述の各実施形態と共通する説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
【0060】
[プリンタ名称変更処理]
本実施形態では、OS標準印刷システム202が提供するOSのプリンタ追加画面41において、プリンタリスト42に表示するプリンタ名を、印刷データ変換ユーティリティ203向けのプリンタであることがわかりやすいように、変更する。
【0061】
図11は、本実施形態の印刷データ変換ユーティリティ203へのプリンタ追加処理を説明するフローチャートである。図11におけるS501~S508までは前述までの各実施形態と同じであるため説明を省略する。本実施形態のS509では、印刷データ変換ユーティリティ203は、OS標準印刷システム202に印刷データ変換ユーティリティ203にプリンタを追加したことを通知する。
【0062】
そして、S1101にて、印刷データ変換ユーティリティ203は、自身に登録されたプリンタの名称を変更する処理を行う。そして、OS標準印刷システム202に、変更後のプリンタ名称を送信する。この際、プリンタ名だけでなく、登録したプリンタの情報として、接続形態、ケイパビリティ情報を一緒に送信するとよい。
【0063】
この結果、OSのプリンタ追加画面41に表示されるプリンタリストは図12のようになる。図12のプリンタリスト122では、図4において「Printer A2」と表示されていたプリンタ名が、「Printer A For Printer App」と表示される。これにより、印刷データ変換ユーティリティ203に登録されたプリンタであることがユーザにとってわかりやすくなる。よって、ユーザが、OS標準印刷システム202が提供するプリンタ追加画面41においてプリンタを選択する場合であっても、印刷データ変換ユーティリティ203に登録したプリンタを選択しやすくなるため好ましい。
【0064】
なお、図11では、S509の後にS1101を実行したが、本実施形態はこれに限らない。具体的には、S509のステップを削除してもよい。S1101において、変更後のプリンタ名をOS標準印刷システム202に送信する処理を、疑似的にOS標準印刷システム202をサポートしているよう扱うための特定処理としてもよい。
【0065】
<第五実施形態>
次に、第五実施形態について説明する。本実施形態では、第四実施形態において、OS標準印刷システム202の提供するプリンタ追加画面において、ユーザがどのプリンタ名を選択すべきかユーザに通知する例を説明する。なお、以下の説明では前述の実施形態と共通する図及びその説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
【0066】
[選択プリンタの案内処理]
本実施形態ではOS標準印刷システム202が提供するプリンタ追加画面41において、ユーザがどのプリンタを選択すればよいのか、を印刷データ変換ユーティリティ203により案内する。図13は本実施形態の印刷データ変換ユーティリティ203へのプリンタ追加処理を説明するフローチャートである。S501~S1101までは図11と同じであるため説明を省略する。本実施形態では、S1301にて、OS標準印刷システム202のプリンタ追加画面41においてどのプリンタを選択すればよいのか、を案内するダイアログを通知アイテムとして表示する。案内ダイアログの一例を図14に示す。
【0067】
図14の案内ダイアログ31では、S1101において変更済みのプリンタ名「Printer A For Printer App」を表示し、このプリンタ名をプリンタ追加画面41において選択するよう案内する。
【0068】
本実施形態により、ユーザは、OS標準印刷システム202が提供するプリンタ追加画面41において、印刷データ変換ユーティリティ203に登録したプリンタを選択しやすくなるため好ましい。
【0069】
<その他の実施形態>
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【符号の説明】
【0070】
11 ホストコンピュータ
12 プリンタ
101 CPU
102 ROM
103 RAM
104 表示部
105 入力部
106 外部記憶装置
107 I/F部
111 CPU
112 ROM
113 RAM
114 プリントエンジン
115 I/F部
201 アプリケーション
202 OS標準印刷システム
203 印刷データ変換ユーティリティ
204 プリント通信部
211 システム制御部
212 データ変換部
213 プリンタドライバ部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14