(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-13
(45)【発行日】2024-12-23
(54)【発明の名称】カテーテルからの流体分配のための装置および方法
(51)【国際特許分類】
A61B 18/02 20060101AFI20241216BHJP
【FI】
A61B18/02
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023138301
(22)【出願日】2023-08-28
(62)【分割の表示】P 2020544221の分割
【原出願日】2019-02-20
【審査請求日】2023-09-21
(32)【優先日】2018-02-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503423661
【氏名又は名称】ユナイテッド ステイツ エンドスコピー グループ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110004163
【氏名又は名称】弁理士法人みなとみらい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マルカヒー,トーマス アイ.
【審査官】北村 龍平
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-033779(JP,A)
【文献】国際公開第2011/091533(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/041052(WO,A1)
【文献】特表2004-528092(JP,A)
【文献】特表2003-520102(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 18/00 - 18/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムであって、
該システムは、
近位端と、遠位端と、両者の間の送達管腔と、を有する送達カテーテルと、
カテーテルの遠位端に結合される流体分配装置と、
を備え、
前記流体分配装置は、
本体であって、近位端と、遠位端と、本体の縦軸に沿って両者の間に延びる幅をもつ壁と、を有する本体と、
前記本体の前記近位端にある入口であって、送達カテーテルの前記遠位端を受容するように構成される、入口と、
前記壁の上に配置された複数の隆起要素であって、前記隆起要素の一部分は縦軸から半径方向外向きに延びている、前記隆起要素と、
複数のチャネル孔であって、それぞれ、複数の前記隆起要素と隣り合う隆起要素の間の前記壁の上に配置されている、前記の複数のチャネル孔と、
複数のチャネルであって、前記入口と流体連通することができ、それぞれが複数の前記チャネル孔の当該の1つまたは複数まで延びている、前記の複数のチャネルと、
前記本体の前記近位端の近位開口部から前記本体の前記遠位端の遠位開口部までの縦軸と平行に本体を貫通して延びている器具管腔であって、該器具管腔は前記器具管腔を貫通する医療器具を受容するように構成されている、前記器具管腔と、
本体の周りに配置された細長い管状部材と、
流体分配装置中の流体を外に周方向へ注入するための複数のスプレー孔であって、前記の細長い管状部材の周りに配置され、前記隆起要素の間に配置された前記のスプレー孔と、
を有し、
医療器具が器具管腔を貫通して配置されている、システム。
【請求項2】
システムが、さらに、
流体分配装置にかかる、身体管腔を開存させかつ/または装置または器具を体腔内に配置するために使用する拡張可能部材を有し、
前記拡張可能部材は送達カテーテルに固定される近位端を有し、
前記拡張可能部材は前記医療器具に固定される遠位端を有する、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
システムが、さらに、
延長管を有し、
該延長管が、前記拡張可能部材の前記遠位端に対して固定され、その遠位端から遠位に延びる、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記拡張可能部材の前記遠位端は、接着剤によって、固定され、
前記拡張可能部材の前記遠位端の前記接着剤は、流体が前記接着剤を通り過ぎて遠位に進むことを阻止する、請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
前記医療器具は、内視鏡、ガイドワイヤ、またはクライオ減圧管、あるいはそれらを組み合わせたもののうちの1つである、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記の複数のスプレー孔は、細長い管状部材の壁の幅にまたがる載頭円錐形状を含み、壁の内面上の孔の直径は壁の外側の直径よりも大きい、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
1つまたは複数の孔は縦軸に対して垂直な角度で細長い管状部材の壁の幅にまたがる、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
1つまたは複数の孔のうちのいくつかは縦軸に対して垂直ではない角度で細長い管状部材の壁の幅にまたがり、1つまたは複数の孔は縦軸に対して垂直な角度で細長い管状部材の壁の幅にまたがる、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
装置であって、
近位端と、遠位端と、本体の縦軸に沿って両者の間に延びる幅をもつ壁と、を有する本体と、
前記本体の前記近位端にある入口であって、前記入口が送達カテーテルの前記遠位端を受容するように構成される、入口と、
壁上に配置された複数の隆起要素であって、前記隆起要素の各部分は縦軸から半径方向外向きに延びている、前記隆起要素と、
複数のチャネル孔であって、それぞれ、複数の前記隆起要素と隣り合う隆起要素の間の前記壁の上に配置されている、前記の複数のチャネル孔と、
複数のチャネルであって、入口と流体連通することができ、それぞれが複数のチャネル孔の当該の1つまたは複数まで延びている、前記のチャネルと、
本体の近位端の近位開口部から本体の遠位端の遠位開口部まで縦軸と平行に本体を貫通して延びている器具管腔であって、該器具管腔は器具管腔を貫通する医療器具を受容するように構成された前記器具管腔と、
本体の周りに配置された細長い管状部材と、
流体分配装置中の流体を外に周方向へ注入するための複数のスプレー孔であって、前記の細長い管状部材の周りに配置され、前記隆起要素の間に配置された前記のスプレー孔と、
を有する、装置。
【請求項10】
隆起要素は、細長い管状部材と接触している、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
入口の戻り止めがカテーテルの突出部とかみ合うようにカテーテルを入口に対してロックするように構成されている、請求項9に記載の装置。
【請求項12】
前記のスプレー孔は、細長い管状部材を通る真っ直ぐな管腔である、請求項9に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権
本出願は、2018年2月21日に提出された米国仮特許出願第62/633,121号明細書に対する米国特許法第119条の下での優先権の利益を主張するものであり、その全体があらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれるものとする。
【0002】
本開示は、一般に医療装置の分野に関する。詳細には、本開示は、送達カテーテル(delivery catheter)から送達された流体を運ぶ装置および方法に関する。身体管腔(body lumens)内で流体を送達するとともに、クライオ減圧管(cryodecompression tubes)などのパススルー医療器具(pass-through medical instruments)を送達するための流体分配装置(fluid distribution devices)を含む例示的なカテーテルが開示される。
【背景技術】
【0003】
様々なカテーテルが、身体管腔内で、診断または治療の選択肢として身体管腔に流体を送達することを含む様々な用途に使用される。流体は、液体、気体、または液体と気体の両方の混合物とすることができる。送達には、流体を身体管腔の壁上に噴霧することが必要となり得る。場合によっては、処置の有効性および/または効率は、送達された流体がカテーテルおよび/または噴霧装置から身体管腔の壁にどれほど妨げられていないかに依存し得る。
【0004】
一例として、凍結手術(cryosurgery)は、罹患した組織、損傷した組織、またはそうでなければ望ましくない組織(本明細書ではまとめて「標的組織(target tissue)」と称される)が加圧下での寒剤(cryogen)の送達によって治療される処置であり、寒剤の送達は寒剤スプレーでもよい。これらのシステムは、一般に、クライオアブレーションシステム(cryoablation systems)、クライオスプレーシステム(cryospray systems)、クライオスプレーアブレーションシステム、凍結手術システム、凍結手術スプレーシステム、および/または寒剤スプレーアブレーションシステムと称される。通常使用されるように、「寒剤」は、極低温外科的処置中の治療効果のある使用のために十分に低い沸点(すなわち、約-153℃未満)をもつ任意の流体(例えば、ガス、液化ガス、または当業者に知られる他の流体)を指す。適切な寒剤には、例えば、アルゴン、窒素、およびヘリウムが含まれ得る。-153℃を超えるが、大気および体温と比べてまだ非常に低い沸点(例えば、N2Oの場合は-88.5℃、CO2の場合は-78.5℃)をもつ二酸化炭素や亜酸化窒素などの疑似寒剤が使用されてもよい。
【0005】
クライオスプレーシステムの動作中、医療専門家(例えば、臨床医、技術者、医療専門家、外科医など)は、寒剤送達カテーテルを介して寒剤スプレーを治療領域の表面上に向けることができる。医療専門家は、気管支鏡、胃鏡、結腸鏡、尿管鏡、小児用スコープなどのビデオ支援装置または内視鏡を介して、寒剤スプレーを視覚的に標的にすることができる。寒剤スプレーは、0℃~-196℃の範囲の温度で寒剤送達カテーテルから出て、標的組織を凍結させることができる。
【0006】
治療部位の体内での処置には、この処置に必要な他の器具とともに、様々な形で、様々な用途のために、かつある範囲の治療部位にわたってカテーテルが含まれ得る。例えば、スプレー寒冷療法中、治療中に生成される寒剤ガス抜くために、食道を治療する前に、クライオ減圧管(CDT)、ガス除去管(GRT)、またはガス放出管(GET)が胃の中に配置されなければならない。管は通常、身体管腔の表面に対して治療装置から離れた場所に置くことができ、これにより、噴霧装置に対して、管の後ろに未治療の領域をもたらす可能性がある(すなわち、管は寒剤スプレーが治療部位の組織に到達するのを阻止する)。治療中、管がクライオスプレーを隠した場合、隣接する組織は完全に凍結するのを妨げられる可能性がある。臨床医は、未治療の領域を治療するかまたは第2の処置に戻るために、管および/または寒剤送達装置/カテーテルを取り除き、別の位置で再方向付けしなければならない。そのような管または他の器具は、ガイドワイヤの上に配置され得るが、ガイドワイヤは、内視鏡のワーキングチャネル内で、または治療部位で、あるいはその両方で追加の潜在的障害物となる。
【0007】
本開示の装置、システム、および方法が有用であり得るのは、これらの考慮事項に関する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示は、本開示の様々な実施形態において、クライオスプレーなどの流体を分配するための装置、システム、および方法を含み、他の医療器具とともに流体をより効率的に送達し治療領域に分配するために使用され得る。この種の装置および方法は、他の利点の中でもとりわけ、治療部位においてクライオスプレーなどの治療流体のより効率的なカバレッジを提供することができる。様々な実施形態により、器具が流体送達用の空洞部分も有する装置の管腔を貫通して延びることが可能になり、流体および/またはスプレーが治療部位で器具によって制約されないことが可能になる。
【0009】
様々な実施形態では、装置が、近位端と、遠位端と、本体の縦軸に沿って両者の間に延びる幅をもつ壁と、を有する本体を含むことができる。本体は、空洞部分および器具管腔(instrument lumen)を画定することができる。入口が本体の近位端にあり得る。入口は、空洞部分の中に延びることができ、空洞部分と流体連通することができる。入口は、送達カテーテルの遠位端を受容するように構成され得る。器具管腔は、本体を貫通して延びることができ、本体の近位端の開口部から本体の遠位端の開口部まで縦軸と平行であり得る。器具管腔は、器具管腔を貫通して延びる器具を受容するように構成され得る。1つまたは複数の孔が、本体の壁に沿って空洞部分と流体連通することができ、それにより、カテーテルから送達された流体は、入口を通って空洞部分に流れ込み、1つまたは複数の孔を通って空洞部分から流れ出ることができる。
【0010】
本明細書およびその他に記載されている様々な実施形態では、入口は、空洞部分内に少なくとも部分的に延びる細長い表面を含むことができる。細長い表面は、空洞部分内にステップダウン部分を含むことができる。ステップダウン部分は、細長い表面の残りの部分の直径よりも小さい直径を有することができる。1つまたは複数の孔はスプレー孔を含むことができる。空洞部分はアニュラス(annulus)とすることができる。空洞部分は、器具管腔の周りに延在することができ、器具管腔に対して閉鎖され得る。空洞部分は、送達カテーテルから送達された流体を入口から空洞部分の中へ運び、1つまたは複数の孔を通って空洞部分から外へ運ぶように、入口に対して開放することができる。本体は洋ナシ形の断面を有することができる。入口は器具管腔と平行であり得る。カテーテルは本体に着脱可能に装着可能であり得る。カテーテルは本体に恒久的に装着され得る。器具管腔は、1つまたは複数の孔に対して実質的に垂直であり得る。本体は、遠位端に丸い先端を有することができる。複数の流れチャネルが空洞部分内にあり得る。流れチャネルは、入口からの流れを、空洞部分を通って1つまたは複数の孔の外へ分配するように構成され得る。1つまたは複数の孔は、本体の壁を貫通して延びる真っ直ぐな管腔を含むことができる。1つまたは複数の孔は、本体の壁の幅にまたがる載頭円錐形状を含むことができる。壁の内面上にあり得る孔の直径は、壁の外面上にあり得る孔の直径よりも大きくすることができる。1つまたは複数の孔は、壁に対して垂直な角度で壁の幅にまたがることができる。1つまたは複数の孔は、壁に対してある角度で壁の幅にまたがることができる。角度は約15度~約165度とすることができる。1つまたは複数の孔のうちのいくつかは、壁に対して垂直ではない角度で壁の幅にまたがることができる。他の1つまたは複数の孔のうちのいくつかは、壁に垂直な角度で壁の幅にまたがることができる。1つまたは複数の孔は、本体の全周囲の周りに、その孔から送達される流体のスプレーパターンを生成することができる。
【0011】
様々な実施形態では、システムが、近位端と、遠位端と、両者の間の送達管腔と、を有することができる送達カテーテルを含むことができる。流体分配装置がカテーテルの遠位端に結合され得る。流体分配装置は、近位端と、遠位端と、本体の縦軸に沿って両者の間に延びる幅をもつ壁と、を有することができる本体を含むことができる。入口が本体の近位端にあり得る。入口は、送達カテーテルの遠位端に結合するように構成され得る。複数の隆起要素が壁上に配置され得る。隆起要素の各部分は、縦軸から半径方向外向きに延びることができる。複数のチャネル孔がそれぞれ、複数の隆起要素の隣り合う隆起要素間の壁上に配置され得る。複数のチャネルが、入口と流体連通することができ、それぞれが複数のチャネル孔の当該の1つまたは複数まで延びることができる。器具管腔が、本体の近位端の近位開口部から本体の遠位端の遠位開口部まで縦軸と実質的に平行に本体を貫通して延びることができる。器具管腔は、器具管腔を貫通する医療器具を受容するように構成され得る。細長い管状部材が本体の周りに配置され得る。複数のスプレー孔が細長い管状部材の周りに配置され得る。スプレー孔は隆起要素の間に配置され得る。医療器具が器具管腔を貫通して配置され得る。
【0012】
本明細書およびその他に記載されている様々な実施形態では、システムが流体分配装置の本体の周りに配置された状態で拡張可能部材を含むことができる。拡張可能部材は、送達カテーテルに対して適所に固定される近位端を有することができる。拡張可能部材は、医療器具に対して適所に固定される遠位端を有することができる。コーティングが、拡張可能部材の遠位端から拡張可能部材の近位端に向かって部分的に延びることができる。コーティングは、流体が遠位に進むのを実質的に阻止するように構成され得る。延長管が、拡張可能部材の遠位端に対して適所に固定されてもよく、その遠位端から遠位に延びることができる。拡張可能部材の遠位端は、接着剤、成形熱可塑性スリーブ、カフ(cuff)、またはカラーによって、あるいは化学結合によって適所に固定され得る。拡張可能部材の遠位端の接着剤は、流体が接着剤を通り過ぎて遠位に進むのを実質的に阻止することができる。入口は、器具管腔と平行に延びることができる。医療器具は、内視鏡、ガイドワイヤ、またはクライオ減圧管、あるいはそれらを組み合わせたもののうちの1つとすることができる。戻り止めが、入口内にあってもよく、カテーテル上の突出部とかみ合うようにカテーテルを入口に対して適所にロックするように構成されてもよい。複数の隆起要素は、縦軸の周りに円周方向に延びるリブとすることができる。本体はカテーテルに恒久的に装着され得る。スプレー孔は、細長い管状部材を通る実質的に真っ直ぐな管腔とすることができる。複数のスプレー孔は、細長い管状部材の壁の幅にまたがる載頭円錐形状を含むことができる。壁の内面上の孔の直径は、壁の外側の直径よりも大きくすることができる。1つまたは複数の孔は、縦軸に対して垂直な角度で細長い管状部材の壁の幅にまたがることができる。1つまたは複数の孔は、縦軸に対してある角度で細長い管状部材の壁の幅にまたがることができる。角度は約15度~約165度とすることができる。1つまたは複数の孔のうちのいくつかは、縦軸に対して垂直ではない角度で細長い管状部材の壁の幅にまたがることができる。1つまたは複数の孔のうちのその他は、縦軸に対して垂直な角度で壁の幅にまたがることができる。
【0013】
様々な実施形態では、装置が、近位端および遠位端を有し、縦軸に沿って延びることができるハウジングを含むことができる。器具管腔が、ハウジングの近位端から遠位端まで縦軸と平行にハウジングを貫通して延びることができる。ハウジングは、ハウジングの内部に画定され、器具管腔の周りに周方向に延びる空洞部分を有することができる。入口が、ハウジングの近位端から空洞部分内に延びることができる。入口は、空洞部分と流体連通することができ、寒剤流体送達カテーテルの遠位端を受容するように構成され得る。ハウジングの1つまたは複数の孔が、空洞部分と流体連通することができ、カテーテルおよび空洞部分からの寒剤流体をハウジングの外部に分配するように構成され得る。
【0014】
本明細書およびその他に記載されている様々な実施形態では、1つまたは複数の孔は縦軸に対して垂直に向けられてもよい。入口は、カテーテルおよび入口が互いに結合されると互いに実質的に接触することができるように、カテーテルと相互作用するように構成された直径を有することができる。複数の流れチャネルが空洞部分内にあってもよく、カテーテルからの寒剤流体の流れを入口から空洞部分を通って1つまたは複数の孔の外へ均一に分配するように構成され得る。入口の戻り止めが、カテーテルの突出部とかみ合うようにカテーテルを入口に対して適所にロックするように構成されてもよい。
【0015】
様々な実施形態では、装置が、近位端と、遠位端と、本体の縦軸に沿って両者の間に延びる幅をもつ壁と、を有する本体を含むことができる。本体は空洞部分を画定することができる。入口が本体の近位端を貫通して延びることができる。入口は、空洞部分の中に延びることができ、空洞部分と流体連通することができる。入口は、送達カテーテルの遠位端を受容するように構成され得る。管腔が、本体の近位端の開口部から本体の遠位端の開口部まで縦軸と平行に本体を貫通して延びることができる。内壁が本体内にあってもよく、管腔と空洞部分との間に断熱アニュラスを画定する管腔の周りにあってもよい。1つまたは複数の孔が、本体の壁の幅の周りに配置され、この幅を貫通して延びて空洞部分と流体連通することができ、それによって、カテーテルから送達された流体は、入口を通って空洞部分に流れ込み、1つまたは複数の孔を通って空洞部分から流れ出ることができる。
断熱アニュラスは、実質的に密閉された真空チャンバ、または極低温温度範囲内での使用に適した低伝導率充填媒体とすることができる。移行ゾーンが、入口と空洞部分との間にあり、入口および空洞部分と流体連通することができる。移行ゾーンは遠位方向に体積が増大し得る。移行ゾーンは、入口から受けた流体の流れを空洞部分に通して1つまたは複数の孔に向けて分配するように構成され得る1つまたは複数の内壁を含むことができる。
管腔の遠位端は、管腔から遠位に延びることができる、管腔と流体連通する管状部材と相互作用するように構成され得る環状バーブを含むことができる。管腔は、本体を通り過ぎて遠位に延びることができる。本体は、レーザ切断ハイポチューブを含むことができる。
空洞部分は、器具管腔の周りに延在することができ、器具管腔に対して閉鎖され得る。空洞部分は、送達カテーテルから送達された流体を入口から空洞部分の中へ運び、1つまたは複数の孔を通って空洞部分から外へ運ぶように、入口に対して開放することができる。
【0016】
様々な実施形態では、装置が、近位端と、遠位端と、本体の縦軸に沿って両者の間に延びる幅をもつ壁と、を有する本体を含むことができる。入口が本体の近位端にあり得る。
入口は、送達カテーテルの遠位端に結合するように構成され得る。複数の隆起要素が壁上に配置され得る。隆起要素の各部分は、縦軸から半径方向外向きに延びることができる。
複数のチャネル孔がそれぞれ、複数の隆起要素の隣り合う隆起要素間の壁上に配置され得る。複数のチャネルが、入口と流体連通することができ、それぞれが複数のチャネル孔の当該の1つまたは複数まで延びることができる。管腔が、本体の近位端の近位開口部から本体の遠位端の遠位開口部まで実質的に縦軸に沿った方向に本体を貫通して延びることができる。管腔は、管腔を貫通する医療器具を受容するように構成され得る。細長い管状部材が本体の周りに配置され得る。複数のスプレー孔が細長い管状部材の周りに配置され得る。スプレー孔は隆起要素の間に配置され得る。
【0017】
本明細書およびその他に記載されている様々な実施形態では、複数の隆起要素は、細長い管状部材と実質的に接触していてもよい。
【0018】
本開示の非限定的な実施形態は、添付図を参照して例として記述されているが、添付図は、概略的なものであり、原寸に比例して描かれたものではない。添付図において、図示されている同じまたはほぼ同じ各構成要素は、通常、1つの数字で表されている。明瞭にするために、すべての構成要素がすべての図でラベル付けされているわけではなく、また、当業者が本開示を理解できるようにするために例示が必要でない場所に各実施形態のすべての構成要素が示されているわけではない。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本開示の一実施形態による、身体管腔内の流体分配システムを示す図である。
【
図2A】本開示の一実施形態による流体分配装置の正面断面図である。
【
図2B】
図2Aの装置の正面断面図を、本開示の一実施形態に従って含められたカテーテルおよび器具を有するシステムとして示す図である。
【
図3】本開示の一実施形態による流体分配システムの斜視図である。
【
図4A】本開示の一実施形態による流体分配装置の斜視図である。
【
図4B】本開示の一実施形態による流体分配装置の左断面図である。
【
図5】本開示の一実施形態による流体分配システムの斜視部分断面図である。
【
図6】本開示の一実施形態による流体分配システムの斜視図である。
【
図7A】本開示の一実施形態による流体分配システムを示す図である。
【
図7B】本開示の一実施形態による流体分配システムを示す別の図である。
【
図7C】本開示の一実施形態による流体分配システムを示す別の図である。
【
図7D】本開示の一実施形態による流体分配システムを示す別の図である。
【
図7E】本開示の一実施形態による流体分配システムを示す別の図である。
【
図7F】本開示の一実施形態による流体分配システムを示す別の図である。
【
図7G】本開示の一実施形態による流体分配システムを示す別の図である。
【
図8A】本開示の一実施形態による流体分配装置の部分断面図である。
【
図8B】本開示の一実施形態による流体分配装置の別の部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本開示は、記載されている実施形態に限定されるものではない。本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的としており、限定的なものではない。別段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語は、本開示が属する当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。
【0021】
本開示の諸実施形態は、食道または気管支内のカテーテルからの、クライオ減圧管(CDT)を用いた寒剤流体分配に特に関して説明され得るが、そのような装置、システム、および方法は、様々な流体を用いて、様々な器具を用いて、血管系、泌尿生殖器系、上部消化管系、下部消化管系などの様々な他の身体通路、器官、および/または空洞に使用され得る。
【0022】
本明細書で使用される場合、単数形の「a」、「an」、および「the」は、文脈上、そうでないとする明確な指示がない限り、複数形も含むことを意図している。「備える(comprises)」および/または「備える(comprising)」または「含む(includes)」および/または「含む(including)」という用語は、本明細書で使用される場合、規定された部分、領域、ステップ要素、および/または構成要素の存在を指定するが、1つまたは複数の他の部分、領域、整数、ステップ、操作、要素、構成要素、および/またはそれらのグループの存在または追加を排除しないことがさらに理解されよう。
【0023】
本明細書で使用される場合、接続詞「および(and)」は、文脈上、そうでないとする明確な指示がない限り、そのように等位結合される構造、構成要素、部分などのそれぞれを含み、接続詞「または(or)」は、文脈上、そうでないとする明確な指示がない限り、単独で任意の組み合わせおよび数で、そのように等位結合される構造、構成要素、部分などのうちの1つまたはその他を含む。
【0024】
本明細書で使用される場合、「遠位(distal)」という用語は、システムまたは装置を患者に導入するときにシステムまたは装置に沿って医療専門家から最も遠く離れている端を指すのに対して、「近位(proximal)」という用語は、システムまたは装置を患者に導入するときにシステムまたは装置に沿って医療専門家に最も近接している端を指す。
【0025】
本開示の装置および方法は、身体管腔内のクライオスプレーガスの流れ(以下、「寒剤」または「クライオスプレー」と称される)を分配するために、クライオアブレーションシステムとともに使用され得る。本開示がそれを用いて実施され得る例示的なクライオアブレーションシステムには、以下に限定されるものではないが、共同所有の米国特許第9,820,797号明細書、第9,301,796号明細書、および第9,144,449号明細書、ならびに米国特許出願第11/956,890号明細書、第14/012,320号明細書、および第14/869,814号明細書に記述されているシステムが含まれ、これらの明細書はそれぞれ、その全体が参照により本明細書に組み込まれるものとする。様々な実施形態では、流体を分配する特徴および利点は、本開示全体を通じて、ならびに、その内容全体があらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる、Downeyらの「Systems and Methods to Enhance Radial Spray from a Catheter」という名称の、本明細書に添えて同時に提出される共同所有の米国仮特許出願(弁理人整理番号8177.0038)の開示全体を通じて実現することができる。
【0026】
本明細書では、数値はすべて、明示的に示されているかどうかにかかわらず、「約(about)」という用語で修飾されているものとする。「約」という用語は、数値の文脈で、一般に、当業者なら列挙された値と同等である(すなわち、同じ機能または結果を有する)と見なすはずの数値の範囲を指す。多くの場合、「約」という用語は、四捨五入して最も近い有効数字にされた数値を含むことができる。「約」という用語の他の使用法(つまり、数値以外の文脈で)は、特に明記されていない限り、本明細書の文脈から理解され、その文脈と一致するその使用法の通常の慣用される定義を有すると見なされ得る。
【0027】
エンドポイントによる数値範囲の列挙には、そのエンドポイントを含む、その範囲内のすべての数値が含まれる(例えば、1~5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、および5を含む)。
【0028】
本明細書における「実施形態」、「いくつかの実施形態」、「他の実施形態」などへの言及は、記載された実施形態が特定の特徴、構造、または特性を含み得るが、すべての実施形態が必ずしも特定の機能、構造、または特性を含み得るわけではないことを示すことに留意されたい。さらに、そのような言い回しは、必ずしも同じ実施形態を指しているわけではない。さらに、特定の特徴、構造、または特性が実施形態に関連して説明されている場合、明示的に記述されていようとなかろうと、そうでないと明確に規定されない限り、他の実施形態に関連してそのような特徴、構造、または特性に影響を与えることは当業者の知識の範囲内にあるはずである。すなわち、以下で説明する様々な個々の要素は、特定の組み合わせで明示的に示されていない場合でも、当業者なら理解するように、他の追加の実施形態を形成するためにまたは説明した実施形態を補完および/または強化するために互いに組み合わせ可能または配置可能であると考えられる。
【0029】
本開示の種々の実施形態は、送達カテーテルの遠位端が装置の入口を通って受容される間、種々の内視鏡器具(例えば、CDT、生検装置、ステントサイザ、ステント送達システムなど)が流体分配装置の器具管腔を通って受容され延長されることを可能にする。器具、装置、およびカテーテルが身体管腔内の望ましい位置まで前進させられると、寒剤などの流体が、カテーテルを通って装置の入口の中に、そして1つまたは複数の孔の外へ送達され得る。1つまたは複数の孔から噴霧された流体は、器具管腔を貫通して延びる内視鏡器具によって妨げられることなく、患者の標的組織に到達することができる。
【0030】
図1を参照すると、本開示による流体分配システムの一実施形態が示されており、流体分配システムは、近位端と、遠位端と、両者の間の管腔と、を有する送達カテーテル130を含む。流体分配装置100がカテーテル130の遠位端に結合される。装置100は、近位端と、遠位端と、本体102の縦軸に沿って両者の間に延びる幅をもつ壁と、を有する本体102を有する。本体102は、空洞部分および器具管腔108を画定する。器具管腔108は、本体102を貫通して延びる。装置100は、本体102の近位端に入口104を有する。入口104は、空洞部分の中に延びており、空洞部分と流体連通する。入口104は、送達カテーテル130の遠位端を受容する。装置100は、空洞部分と流体連通する、本体102の壁に沿った孔110を含み、それにより、カテーテル130から送達された流体は、入口104を通って空洞部分に流れ込み、孔110を通って空洞部分から流れ出て、カテーテル130および空洞部分からの流体を本体102の外部に分配する。器具132、例えばCDTなどは、器具管腔108内に受容され、器具管腔108を貫通して延びる。システムの外部にある内視鏡134、例えば小児用スコープなどは、装置100、カテーテル130、および器具132を観察し配置するために使用され得る。システムは身体管腔136内に挿入されて示されており、装置100は、システムが標的組織138を治療できるように配置される。
【0031】
図2A~
図2Cを参照すると、本開示による流体分配装置200の一実施形態が示されており、流体分配装置200は、近位端202pと、遠位端202dと、本体202の縦軸Lに沿って延びる両者の間に延びる幅をもつ壁202wと、を有する本体202を含む。本体202は、空洞部分206および器具管腔208を画定する。本体の近位端202pを通る入口204がある。入口204は、空洞部分206の中に延びており、空洞部分206と流体連通する。入口204は、送達カテーテル230の遠位端を受容するように構成される。入口204は、空洞部分206内に少なくとも部分的に延びる細長い表面203を含む。細長い表面203は、空洞部分206内にステップダウン部分205を有していて、細長い表面203の残りの部分の直径および入口の近位端の開口部の直径よりも小さい、入口の遠位端の開口部の直径を作る。ステップダウン部分205の直径は、カテーテル230の外径よりも小さい。入口204内のカテーテル230は、ステップダウン部分205を通り過ぎて延びることができないことを理解されたい。器具管腔208は、本体202の近位端208pの開口部から本体202の遠位端208dの開口部まで縦軸Lと平行に本体202を貫通して延びる。器具管腔208は、器具管腔208を貫通して延びる器具232を受容するように構成される。本体202の壁202wに沿った孔210は空洞部分206と流体連通する。空洞部分206は、器具管腔208の周りに延在し、器具管腔208に対して閉鎖される。空洞部分206は、送達カテーテル230から送達された流体を入口204から空洞206の中へ運び、1つまたは複数の孔210から空洞部分206の外へ運ぶように、入口204の遠位端に対して開放しており、それにより、カテーテル230から送達された流体は、入口204を通って空洞部分206に流れ込み、孔210を通って空洞部分206から流れ出て、カテーテル230および空洞部分206からの流体を本体202の外部に分配する。
【0032】
図3を参照すると、本開示による流体分配装置の一実施形態が示されており、流体分配装置は、本体300の縦軸に沿って延びる壁302を有する本体300を含む。入口304が、本体300の近位端を貫通して、本体300によって画定される空洞部分306内に延びる。入口304は、空洞部分306と流体連通しており、送達カテーテル330の遠位端を受容するように構成される。器具管腔308が、本体300を貫通して延び、本体300を貫通して延びる器具332を受容するように構成される。空洞部分306と流体連通する、本体300の壁302に沿った孔310がある。空洞部分306は、器具管腔308の周りに延在し、器具管腔308に対して閉鎖される。空洞部分306は、送達カテーテル330から送達された流体を入口304から空洞部分306の中へ運び、孔310を通って空洞部分306から外へ運ぶように、入口304の遠位端に対して開放している。
【0033】
図4Aおよび
図4Bを参照すると、本開示による流体分配装置の一実施形態が示されており、流体分配装置は、近位端400pと、遠位端400dと、本体400の縦軸Lに沿って延びる幅をもつ壁402と、を有する本体400を含む。本体400は空洞部分406を画定する。本体400の近位端400pを通る入口404がある。入口404は、空洞部分406の中に延びており、空洞部分406と流体連通する。移行ゾーン405が、入口404と空洞部分406との間にあり、入口404および空洞部分406のそれぞれと流体連通する。入口408および空洞部分406はそれぞれ、移行ゾーン405の少なくとも一部を含むことができる。移行ゾーン405は、遠位方向に(すなわち、実質的に本体400の遠位端に向かう方向に)体積が増大する。入口404は、送達カテーテルの遠位端を受容するように構成される。管腔408は、管腔408を通る医療器具を受容できるものであり、本体400の近位端408pの開口部から本体400の遠位端408dの開口部まで縦軸Lに沿って本体400を貫通して延びる。管腔408と空洞部分406との間に断熱アニュラス414を画定する管腔408の周りにある本体400内に内壁412がある。断熱アニュラスは、空洞部分406内の流体から管腔408を実質的に断熱することができる。孔410は本体400の壁402の幅の周りに配置され、この幅を貫通して延びていて空洞部分406と流体連通しており、それにより、カテーテルから送達された流体は、入口404を通って空洞部分406に流れ込み、1つまたは複数の孔410を通って空洞部分406から流れ出る。孔410は、身体管腔の周方向スプレーカバレッジを可能にするように、壁402の周りに周方向に配置される。孔410の直径および分布は、所望の噴霧場特性を確立するために、例えば、すべての孔410を通る実質的に均一な流れを実現するために、軸線Lに沿ってかつ軸線Lの周りで異なることができる。空洞部分406は、管腔408の周りに延在し、管腔408に対して閉鎖される。空洞部分406は、送達カテーテルから送達された流体を入口404から空洞部分406の中へ運び、孔410を通って空洞部分406から外へ運ぶように、入口404と空洞部分406との間で流通する移行ゾーン405を介して入口404の遠位端に対して開放している。空洞部分406は、例えば内壁412の表面の輪郭を軸線に沿って先細りにすることにより、空洞部分406を多孔質媒体(例えば、充填もしくは焼結粉末、テキスタイル、または当業者に知られている他のエンジニアリンング充填材(ピンフィンアレイ、ガイドベーンアレイ、光化学エッチングスクリーンなど))で満たすか、または実質的に均一な相分布を促進するように空洞部分406のぬれ表面を修正すること(例えば、乱流を選択的に促進または抑制するように表面粗さを指定すること、疎水性もしくは親水性コーティングを塗布すること、およびそれらを組み合わせること)により、均一な流れ分布をもたらすように構成され得る。遠位端408dは、管腔408の遠位端408dから遠位に延び、管腔408と流体連通する管状部材と相互作用するように構成された環状バーブ416を含む。管状部材は、バーブによって適所に保持することができ、管腔408を本体400に対して遠位に延ばずことができる。
【0034】
図5を参照すると、本開示による流体分配システムの一実施形態が示されており、流体分配システムは、カテーテル530を受容する入口504を介して送達カテーテル530に結合された流体分配装置501を含む。管状部材534が、装置501の本体502の管腔508から遠位に延びる。管状部材534は、管腔508の遠位端の環状バーブ516と相互作用する。管状部材534は、バーブによって適所に保持することができ、管腔508を遠位に延出する。管状部材534は、標的組織を通り過ぎて患者の中へ(例えば、胃の中へ)遠位に延びることができる。シース536が、カテーテル530を断熱する空気または真空ギャップ531でカテーテル530を取り囲む。シース536はまた、管腔508の近位端および管状部材534と流体連通する流体経路532を含む。流体経路532は、CDTなどの1つまたは複数の内視鏡器具の挿入を受け入れる器具チャネルとして構成され得る。例えば、器具が、流体経路532内に挿入され、管腔508を通って管状部材534内に挿入され、管状部材534の遠位端から外に出ることができる。器具は、管状部材534に対して適所に固定され得る、または管状部材534を通って摺動可能に並進され得る。器具は、管状部材の壁との間に摩擦を生成する突出部を有することができる。シース536はマルチルーメン押出しであってもよい。システムは、シース536に沿って近位に延びるテザー544を介して、装置501の近位端にあるハンドル(図示せず)での作動部材540の遠位並進および近位並進で拡張および収縮する拡張可能部材538を含む。他の作動手段も考えられる。拡張可能部材538は、システムの挿入、再配置、および患者からの除去の間、収縮位置に引っ込められる。拡張可能部材538は、開存性を確立し、身体管腔を広げ、治療されるべき組織を広げるかまたは組織のしわを伸ばし、かつ/または治療されるべき管腔内で器具を中心に置くために、拡張され、身体管腔の壁に接触させられ得る。シース536は、医療専門家が管腔を測定し、装置を配置し、そして患者内の治療を追跡するのを支援するために使用され得るマーキング542を含む。シース536は、患者から近位に延出する受動換気チャネル(passive venting channel)550も含むので、CDTに加えてまたはCDTの代わりに、患者の体内からの流体の受動通気(例えば、流体経路532を経由し、かつ/または流体経路532を貫通して延びる器具を経由する能動または受動通気)が可能になる。拡張可能部材538は、例えば、形状記憶要素、編組パターン、または拡張可能部材538の一部にわたって部分的に固化して拡張可能部材538の形状に影響を与えることができる可撓性ゲルもしくは接着剤のうちの1つまたは複数によって支持される実質的に円筒の形状を有することができる。
【0035】
図6を参照すると、入口604を介してシース636のアニュラスチャネル630に結合された流体分配装置601を含む、本開示による流体分配システムの一実施形態が示されている。入口604は、装置601を貫通して延びる管腔608を周方向に取り囲む実質的にアニュラスチャネル630である。アニュラスチャネル630は、流体がアニュラスチャネル630から孔を通って供給され得るように、装置601の周りの孔と流体連通する。入口604は、(アニュラスチャネル630における)入口604の近位端での小さな直径から、(分配装置601の本体602における)遠位方向の入口604の遠位端での大きな直径へ移行することができる。アニュラスチャネル630は、シース636に沿って近位に延び、送達カテーテルと流体連通する。器具が、入口604と流体連通することができ、かつ/または管腔608を貫通して延びることができる。シース636は、管腔608が装置601内に供給される流体から実質的に断熱され得るようにアニュラスチャネル630を断熱するアニュラスチャネル630の周りの空気または真空ギャップ631も含む。管腔608は、アニュラスチャネル630内でシース636に沿って近位に延びる流体経路と流体連通するが、アニュラスチャネル630とは流体連通しない。管腔608をアニュラスチャネル630から分離することにより、管腔608は、アニュラスチャネル630に供給される流体から独立した経路を維持すること(例えば、クライオ減圧経路として機能することができる管腔608から寒剤流体経路を分離すること)が可能になる。拡張可能部材638が流体分配装置601の周りに配置され得る。部材は、
図6に拡大された構成で示されており、医療専門家が作動させるための、シース636に沿って患者の体外へ近位に延びるテザーを介してシース636の周りの作動部材640の遠位並進および近位並進で拡張および収縮され得る。拡張可能部材638は、例えば、形状記憶要素、編組パターン、または拡張可能部材638の一部にわたって部分的に固化して拡張可能部材638の形状に影響を与えることができる可撓性ゲルもしくは接着剤のうちの1つまたは複数によって支持される実質的に円筒の形状を有することができる。
【0036】
図7A~
図7Gを参照すると、本開示による流体分配システムの一実施形態が示されており、流体分配システムは、その長さの各部分に沿って断熱層722で囲まれた送達カテーテル720を含む。送達カテーテル720は、近位端720pと、遠位端720dと、両者の間の送達管腔と、を有する。流体分配装置700がカテーテルの遠位端720dに結合される。装置700は、近位端712pと、遠位端712dと、本体712の縦軸Lに沿って両者の間に延びる幅をもつ壁712wと、を有する本体712を有する。装置700は、送達カテーテル720の遠位端720dを受容するように構成された、本体712の近位端712pを貫通する入口704を有する。本体712の壁712w上に配置された、縦軸Lから半径方向外向きに延びる隆起要素714(例えば、リブ)があってもよい。本体712内の1つまたは複数のチャネル716が、入口704から壁712w内の1つまたは複数のチャネル孔(図示せず)まで延びる。1つまたは複数のチャネル孔はそれぞれ、隣り合う隆起要素714間に位置する。隣り合う隆起要素714間の各空間は、単一のチャネル孔または複数の孔を有することができる。チャネル716は、近位端で入口704と流体連通し、チャネル孔を介して遠位端で隣り合う隆起要素714間の空間と流体連通する。器具管腔708が、本体712pの近位端の近位開口部708pから本体712dの遠位端の遠位開口部708dまで縦軸Lに沿って本体712を貫通して延びる。医療器具726が器具管腔708を貫通して延びる。
図7Fは、送達カテーテル720と医療器具726とカテーテル720および器具726の周りの受動換気管腔750とを有するシース736のFーFでの断面図を示す。受動換気管腔750は、流体が1つまたは複数の換気入口751から装置700の近位にあり得るシース736を通り、そして例えば
図7Cの換気出口孔752を通ってシステムおよび/または患者の中から外へ受動的に流れることができるように、近位の1つまたは複数の出口752と流体接続する。
【0037】
さらに
図7A~
図7Gを参照すると、スプレー孔710を有する細長い管状部材702が本体712を取り囲む。スプレー孔710は、スプレー孔710が隣り合う隆起要素714間に配置されるように、細長い管状部材702の周囲に列をなして配置される。しかしながら、様々な実施形態では、孔710および隆起要素714は、所望の用途および効果に応じて、チャネル716とチャネル孔とスプレー孔710との間の別の配置にすることができる。第1のカフ728は、医療器具726が器具管腔708に接触することなく医療器具726が第1のカフ728内で第1のカフ728対して摺動するための支持面を設けることにより器具管腔708を延長する本体712の遠位端712dの周りに配置される。カフ728の外側輪郭は、非外傷性挿管のために徐々に先細りなった輪郭を提供することができる。システムは、流体分配装置700の周りの拡張可能部材730を含む。
拡張可能部材730は編組メッシュであるが、例えば、準拠バルーンや非準拠バルーンなどの他の拡張可能材料を備えることができる。拡張可能部材730の近位端730pは送達カテーテル720に対して固定され、拡張可能部材730の遠位端730dは医療器具726に対して固定される。拡張可能部材730の取付点は、医療器具726の並進運動が、近位端730pから独立して拡張可能部材730の遠位端730dを遠位に延長し、近位に引っ込めることを可能にする。これにより、拡張可能部材730の操作が可能になる。例えば、遠位端730dは、拡張可能部材730が
図7Dに示されている拡張構成に移行するように、近位端730pに向かって移動され得る。別の例として、遠位端730dは、拡張可能部材730が
図7Eに示されている収縮構成に移行するように、近位端730pから離れるように遠位に移動され得る。
【0038】
さらに
図7A~
図7Gを参照すると、医療器具726の並進運動は、医療器具726の近位部分に結合されたスライダ732を有するハンドル734を使用することによって操作され得る。拡張可能部材730の近位端730pおよび遠位端730dは、近位端730pがカテーテル720に対して固定され、遠位端730dが医療器具726に対して適所に固定されるために、システムの様々な部分に適所に固定され得る。拡張可能部材730の近位端730pは、カテーテル720および器具726を収容するシース736に固定されるが、代わりに、例えば、カテーテル726および/または断熱層722に固定されてもよい。拡張可能部材730の遠位端730dは、医療器具726から延びる延長管738に固定されるが、代わりに、例えば、医療器具726に固定されてもよい。医療器具726は、第1のカフ728を貫通し、それにまた延長管738の近位部分の内側に固定されている第2のカフ740を貫通して延びる。拡張可能部材730の遠位端730dは、拡張可能部材730の遠位端730dから拡張可能部材730の近位端730pに向かって延びるコーティング742によって固定される。コーティング742は、流体がコーティング742(例えば、クライオスプレー)を通り過ぎて遠位に進むことを実質的に阻止するように構成された隔膜を形成する。コーティング742は、コーティング742が連続的な流体隔膜を形成するために塗布される拡張可能部材730のメッシュの隙間を実質的に埋める。コーティング742は、拡張可能部材730が拡張構成と収縮構成との間で移行するときに変形できるようにするために、可撓性エラストマーコーティングとすることができる。コーティング742は、拡張可能部材730が拡張構成である間に、壁が概ね錐台形、漏斗形、または同様の形になるように塗布され得る。コーティング742は、拡張可能部材730の形状および半径方向の安定性がコーティング742によって強化されるように、拡張可能部材730とコーティング742が接触しているところで拡張可能部材730の剛性を高めることができる。コーティング742は、例えば、ウレタン、成形熱可塑性物質、熱可塑性ウレタン、熱硬化性ウレタン、ペバックス(pebax)、熱可塑性エラストマーなどの様々な材料を含むことができる。第2のカフ740は、システムの残りの部分の挿入または除去とは無関係に、システムおよび/または患者内への器具726の挿入および除去を可能にすることができる。第2のカフ740は、器具726を延長管738に流体結合する。第2のカフ738は、例えば、治療領域から流体を器具726経由で近位に除去するために能動または受動であり得る換気孔752を配置するために、器具726の位置を調整することもできる。上述したように、締結具、ピン、クリップ、溶接など、構成要素を互いに対して取り付ける他の手段が考えられる。
【0039】
図8Aおよび
図8Bを参照すると、本開示による流体分配装置の一実施形態が示されており、流体分配装置は、近位端812pと、遠位端812dと、本体812の縦軸Lに沿って両者の間に延びる幅をもつ壁812wと、を有する本体812を含む。入口804が、本体812の近位端812pを貫通して延びており、送達カテーテルの遠位端を受容するように構成される。本体812は、縦軸Lから半径方向外向きに延びる、壁812w上に配置された隆起要素814(例えば、リブ)を含む。本体812は、本体812の入口804内のチャネル入口816pから延び、それぞれが壁812w内のチャネル孔816dまで独立して延びるチャネル816を含む。各チャネル816は、隣り合う隆起要素814間のチャネル孔816dまで延びる。隣り合う隆起要素814間の各空間は、ただ1つのチャネル孔816dを有するが、各空間は、処置のフローニーズを満たすために追加のチャネル孔816dを有していてもよい。チャネル816は、チャネル孔816dを介して入口804および隣り合う隆起要素814間の空間と流体連通する。
図8Aおよび
図8Bの部分断面図は、本体812全体にわたって延びるチャネル816の各部分を示す。
チャネル816は、チャネル入口816pからの流体の流れを、本体812に沿ったチャネル816を通って、チャネル孔816dから、隣り合う隆起要素814間の空間中へ分配するように構成され、流体を壁812wの外側の周囲に、最後にスプレー孔810から外へ周方向に注入するために使用することができる。チャネル孔816dの直径は各スプレー孔810の直径よりも大きいので、流体は、流体の流路内の直径が減少しているため、スプレー孔810を流れる前に隣り合う隆起要素814間の空間内の壁812wのほぼ周囲に流れることができる。チャネル孔816dの直径は、例えば、流体の分配が空間相互間で孔810から外へ実質的に均一に分配されるように、互いに異なることができる。
【0040】
さらに
図8Aおよび
図8Bを参照すると、管腔808が、本体812の近位端の近位開口部808pから本体812の遠位端812dの遠位開口部808dまで実質的に縦軸Lに沿った方向に本体812を貫通して延びる。管腔808は、管腔808に通して医療器具を受容するように構成される。細長い管状部材802が、スプレー孔810を有する本体812を取り囲む。スプレー孔810は、スプレー孔810が隣り合う隆起要素814間に配置されるように、細長い管状部材802の周囲に列をなして配置される。しかしながら、様々な実施形態では、孔810および隆起要素814の配置は、所望の用途および効果に応じて、チャネル816とチャネル孔816dとスプレー孔810の間の別の配置にすることができる。隆起要素814は、細長い管状部材802と実質的に接触している。入口804は、実質的に近位の方向に向けられた凸状突起820を含む(すなわち、凸状突起820の頂点が実質的に近位の方向に向けられるようにする)。チャネル816は凸状突起820の周りに配置され、それにより、入口804内への流体の流れが凸状突起820に接触することができ、この流体は、凸状突起820の頂点から半径方向に離れる向きに、一般にチャネル入口816pの方へ向けられ得る。流れは、実質的に均一な方法でチャネル816内に分配され得る。
【0041】
上記および他の様々な実施形態において、拡張可能部材を拡張して身体管腔と接触した状態にするのは、患者の体内の装置/システムを、例えば身体管腔の実質的に中心点に配置するために行われてもよく、したがって、装置の孔は、身体管腔の壁から実質的に等距離にある(すなわち、管腔内の中心にある)、あるいは身体管腔に対して他の所定の距離または向きとして配置される。拡張可能部材はまた、拡張して身体管腔の壁と接触した状態になり開存性を確立することができる。
【0042】
本明細書に記載されている、またはそうでなければ本開示の範囲内にある様々な実施形態では、本体の壁に沿った1つまたは複数の孔はスプレー孔とすることができる。孔は、器具管腔、本体の壁、またはその両方に対して実質的に垂直であり得る。孔は、壁を貫通する真っ直ぐな管腔であってもよい。孔は、壁の内側の直径が壁の外側の直径よりも大きい、またはその逆の円錐台形状であってもよい。1つまたは複数の孔は壁に対してある角度をなすことができ、この角度は約15度~約165度とすることができる。孔のうちの1つまたは複数が壁に対して垂直であるが、孔のうちの1つまたは複数が壁に対して角度をつけられてもよい(例えば、壁に対して垂直ではない)。1つまたは複数の孔は、本体の周り約360°でもよい、本体の全周の周りにスプレーパターンを生成することができる。孔は、円、半円、スロット、リング、チャネルなどであり得る。
【0043】
様々な実施形態では、装置または組立体の様々な部品に異なる材料が選択され得る。例えば、カテーテル本体または装置本体の様々な部分が、ステンレス鋼、コバルト合金、白金合金、それらを組み合わせたもの、または同種のもので構成され得る。管が、一端または両端で本体にレーザ溶接され得る。拡張可能部材が、PET、PEEK、ナイロン、ステンレス鋼、またはニチノール、あるいはそれらを組み合わせたもの、などで構成され得る。コーティングが、ウレタン、成形熱可塑性物質、熱可塑性ウレタン、熱硬化性ウレタン、Pebax、または熱可塑性エラストマー、あるいはそれらを組み合わせたもの、などで構成され得る。シースが、コイルもしくは編組強化ポリマー、またはポリマーカプセル化レーザ切断金属管で構成され得る。シースは、PTFEやPFAなどの滑らかなライナの有無にかかわらず提供され得る。シースの外部は、PropellやKemamideなどの潤滑添加剤を含むことができる。シース用のポリマーには、Pebax、ウレタン、ポリイミド、ポリアミド、それらを組み合わせたもの、などが含まれる。断熱材は、PET編組(例えば、個別の点接触による弱熱的接続用)、またはPET熱収縮材料(例えば、流体進入に対する障壁用)、またはそれらを組み合わせたもの、などで構成され得る。カテーテルは、レーザ切断ステンレス鋼管、PET熱収縮管、Pebaxなどのコイル強化ポリマー、またはそれらを組み合わせたもの、などの積層物で構成され得る。
【0044】
本明細書に記載されている、またはそうでなければ本開示の範囲内にある様々な実施形態では、本体の空洞部分はアニュラスであってもよい。空洞部分は、入口からの流れを、空洞部分を通って1つまたは複数のチャネルおよびスプレー孔の外へ均一に分配するように構成された、空洞部分内の複数の流れチャネルを含むことができる。これらのチャネルは、入口からの流れを近位に、実質的に遠位方向の1つまたは複数の孔に向かって方向付ける移行半径を有する壁を含むことができる。チャネルは、入口から流れを空洞部分の周りに方向付けることもできる。チャネルは、孔からのクライオスプレーが身体管腔に、実質的に対称なカバレッジパターンおよび/または体積、または非対称なパターンおよび/または体積で所望されるようにかけられるように、流れを空洞全体にわたって均一に分配するのに役立つことができる。
【0045】
本明細書に記載されている、またはそうでなければ本開示の範囲内にある様々な実施形態では、空洞部分は、ハウジング内にかつ器具管腔の周りにあってもよい。ハウジングは、空洞部分と流体連通する近位端内に延びる入口を備えた近位端を有することができる。
ハウジングの入口は、寒剤流体を送達するように構成されたカテーテルの遠位端を受容するように構成され得る。ハウジングは、空洞部分と流体連通する1つまたは複数の孔を有することができる。ハウジングの1つまたは複数の孔は、ハウジングから半径方向に向けられ得る。
【0046】
本明細書に記載されている、またはそうでなければ本開示の範囲内にある様々な実施形態では、チャネル孔およびスプレー孔は、様々な寸法を有することができ、それらの孔を通る流量を増減する比率を有することができる。隆起要素間の高さ、幅、および距離、入口の寸法、チャネルおよび孔の数および向き、本体の様々な壁および/または内部マニホルドの壁の厚さ、ならびに移行ゾーンはすべて、所望の用途、使用される流体、および/または治療効果に合わせて選択、変更、および/または最適化され得る。例えば、LN2の場合、孔の直径は約0.003インチ(0.0762mm)~約0.012インチ(0.3048mm)に及ぶことができ、環状厚さは約0.005インチ(0.127mm)~約0.030インチ(0.762mm)に及ぶことができ、壁は約0.005インチ(0.127mm)~約0.20インチ(0.508mm)に及ぶことができる。
【0047】
本明細書に記載されている、またはそうでなければ本開示の範囲内にある様々な実施形態では、本体は洋ナシ形の断面を有することができる。本体は、円形や楕円形などの他の断面と、入口および器具管腔の周りに実質的に均一な境界を有する形状と、身体管腔内で容易に並進することができる他の形状と、を有することができる。本体は、遠位端に丸い先端形状を有することができる。丸い先端形状は、身体管腔への外傷を最小限に抑えながら、装置を身体管腔内に挿入するのに役立つことができる。本体は、レーザ切断ハイポチューブ、ポリマー、または別の生体適合性材料であってもよい。
【0048】
本明細書に記載されている、またはそうでなければ本開示の範囲内にある様々な実施形態では、カテーテル、器具、および/または管状部材は、流体分配装置から取り外し可能であり得る。装置は、カテーテル、器具、および/または管状部材に恒久的に装着され得る。装着には、結合、溶接、ろう付けなどが含まれ得る。
【0049】
本明細書に記載されている、またはそうでなければ本開示の範囲内にある様々な実施形態では、入口は器具管腔と平行であってもよい。器具管腔内の器具、器具管腔と流体連通する器具、または器具管腔に近接する器具は、内視鏡、ガイドワイヤ、CDT、および/または同種のものであってもよい。1つまたは複数の器具は、カテーテルに隣接することができる。入口および/または器具管腔は、例えば、装置が器具に沿って並進できる場合にスプレー治療間に一定の間隔があくように、カテーテル上の突出部とかみ合わせて1つまたは複数の器具を入口に対してある位置にロックするように構成された1つまたは複数の戻り止めを含むことができる。器具管腔は、分配装置に対する器具の周方向の向きを維持しながら器具管腔に沿って器具を摺動させるために使用され得るチャネルまたはトラックを含むことができる。入口は、カテーテルおよび入口が互いに実質的に接触するように、カテーテルと相互作用するように構成された直径を有することができる。移行ゾーンが入口と空洞部分との間にあり、入口および空間部分のそれぞれと流体連通することができる。移行ゾーンは、遠位方向に体積が増大するように構成され得る。移行ゾーンは、入口から受けて実質的に空洞部分に向かって運ばれる流体の流れを分配するように構成された1つまたは複数の内壁を含むことができる。
【0050】
本明細書に記載されている、またはそうでなければ本開示の範囲内にある様々な実施形態では、断熱アニュラスが、実質的に密閉された真空チャンバ、極低温温度範囲での使用に適した低伝導率充填媒体であってもよく、あるいは断熱アニュラスは、近位端および/または遠位端で装置の外部に対して開放していてもよい。
【0051】
本明細書に記載されている、またはそうでなければ本開示の範囲内にある様々な実施形態では、管腔は、管腔から遠位に延び、管腔と流体連通する管状部材と相互作用するように構成された環状バーブを含むことができる。バーブは、管状部材の内面と相互作用することができる。バーブは、管状部材が実質的に適所に保持されるように管状部材との摩擦および相互作用をもたらすことができる、リング、ドーム、アニュラス、切り開いたチャネル、突出部、隆起部(バンプ)などの他の形状であってもよい。器具管腔は、その上で管状部材が摺動するための境界面を提供するために、装置の本体を通り過ぎて遠位に延びることができる。
【0052】
本明細書に記載されている、またはそうでなければ本開示の範囲内にある様々な実施形態では、拡張可能部材は、メッシュ、編組、ばね、バルーン、または他の拡張可能特徴とすることができる。拡張可能部材は、クライオスプレーが身体管腔に接触するのを実質的に妨げられることのないように、多孔質であってもよい。上述したように、拡張可能部材は、身体管腔を開存させかつ/または装置または器具を体腔内に配置するために使用することができる。
【0053】
クライオスプレーなどの流体を分配する方法の諸実施形態は、本開示の装置を身体管腔内に挿入する医療専門家を含むことができる。装置は、装置内に送達カテーテルの遠位端を有する送達カテーテルを含むことができる。追加の器具が装置内に受容され、装置を貫通して延長されてもよい。医療専門家は、スプレーが追加の器具によって妨げられることなく、身体管腔の実質的に環状のセクションまたは環状セクションの一部の所望の部分を治療することができる。身体管腔内の治療部位から離れるように近位および遠位に並進するスプレーは、追加の器具を用いて受動的または能動的に(例えば、吸引によって)大気に放出され得る。
【0054】
本明細書に開示され特許請求される装置および/または方法はすべて、本開示に照らして、過度の実験なしに製作および実行することができる。本開示の装置および方法は、好ましい諸実施形態に関して説明されてきたが、これらの装置および/または方法に、本明細書に記載されている方法のステップまたはステップの順序で、本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく変更を適用できることが当業者には明らかであろう。当業者に明らかなすべてのそのような類似の代替物および修正形態は、添付の特許請求の範囲によって定義されるように、本開示の精神および範囲内であると見なされる。