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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-13
(45)【発行日】2024-12-23
(54)【発明の名称】患者位置決め用システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61G 13/12 20060101AFI20241216BHJP
   A61B 17/56 20060101ALI20241216BHJP
【FI】
A61G13/12 B
A61B17/56
【請求項の数】 20
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023142093
(22)【出願日】2023-09-01
(65)【公開番号】P2024035225
(43)【公開日】2024-03-13
【審査請求日】2023-09-01
(31)【優先権主張番号】17/929,110
(32)【優先日】2022-09-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507400686
【氏名又は名称】グローバス メディカル インコーポレイティッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】べス ローマン
(72)【発明者】
【氏名】ジェンナ イスラエル
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ レヴィンス
【審査官】齊藤 公志郎
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05147287(US,A)
【文献】特表2002-536119(JP,A)
【文献】国際公開第2020/067470(WO,A1)
【文献】米国特許第5918330(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61G 13/00-12
A61B 17/56
A61F 5/00-02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者を位置決めするシステムであって、
互いに間隔を開けて、かつ前記患者の左側および右側をそれぞれ支持するように構成された一組の上位支持体であって、それぞれが、
前記患者の対応する側に配置されるように適合したパッド用の取付プレートと、
歯を備えた曲面を有するヒンジであって、前記曲面が回動するよう動作可能である、ヒンジと、
前記ヒンジの前記歯と接触する歯止めであって、前記歯の角度によって、前記パッドを第1方向で回動可能とするよう動作可能な歯止めと、
前記ヒンジから延出する可動部材であって、歯を含み、第1端を有し、前記ヒンジが前記第1端の回りに回動するように前記ヒンジに取り付けられる直線部材である可動部材と、
前記可動部材の前記歯と接触する第2歯止めであって、前記可動部材の前記歯の角度によって、前記可動部材を移動可能とするよう動作可能な第2歯止めとを含む、一組の上位支持体と、
前記可動部材を介して、前記上位支持体のそれぞれに接続する下位支持体とを含む、システム。
【請求項2】
前記歯止めは、前記歯の前記角度に対応する角度付き表面を含み、前記歯止めは、反対方向での回動を可能とするよう、前記ヒンジから離脱するように動作可能である、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記歯止めは、ピンの遠位端に配置される、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記ピンはハンドル又はボタンを含む、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記第2歯止めは、第2ピンの遠位端に配置され、前記第2歯止めは、前記可動部材の後退を可能とするよう、前記可動部材から離脱するように動作可能である、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記上位支持体は、前記可動部材を横方向に受容するよう動作可能な通路も更に含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記取付プレートに取り付けられた前記パッドも更に含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記上位支持体は、通路も更に含み、前記第2歯止めは前記通路内に配置される、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記歯は、前記ヒンジの外周に沿って延出する、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記上位支持体は前記下位支持体から取り外し可能である、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
フレームも更に含み、前記下位支持体は前記フレームに取り付けられる、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
患者を位置決めするシステムであって、
互いに間隔を開けて、かつ前記患者の左側および右側をそれぞれ支持するように構成された一組の上位支持体であって、それぞれが、
取付プレートに取り付けられたパッドと、
湾曲ラチェットを有するヒンジであって、前記湾曲ラチェットが前記取付プレートを回動するよう動作可能である、ヒンジと、
前記湾曲ラチェットと接触する歯止めであって、前記湾曲ラチェットの表面によって、第1方向で回動可能とするよう動作可能な歯止めと、
前記ヒンジから延出する可動部材であって、直線ラチェットを含む可動部材と、
前記直線ラチェットと接触する第2歯止めであって、前記直線ラチェットを第1方向で移動可能とするよう動作可能な第2歯止めとを含む、一組の上位支持体と、
前記可動部材を介して、前記上位支持体に接続する下位支持体と、
フレームとを含み、前記下位支持体は前記フレームに取り付けられる、システム。
【請求項13】
前記歯止めは、角度付き表面を含み、前記歯止めは、反対方向での回動を可能とするよう、前記湾曲ラチェットから離脱するように動作可能である、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記歯止めは、ピンの遠位端に配置される、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記第2歯止めは、第2ピンの遠位端に配置され、前記第2歯止めは、反対方向での移動を可能とするよう、前記直線ラチェットから離脱するように動作可能である、請求項12に記載のシステム。
【請求項16】
前記上位支持体は前記下位支持体から取り外し可能である、請求項12に記載のシステム。
【請求項17】
患者を位置決めするシステムであって、
互いに間隔を開けて、かつ前記患者の左側および右側をそれぞれ支持するように構成された一組の上位支持体であって、それぞれが、
患者を受容するパッドと、
湾曲ラチェットであって、歯を含み、前記パッドを回動するよう動作可能な湾曲ラチェットと、
前記湾曲ラチェットの前記歯と接触する歯止めであって、前記湾曲ラチェットの表面によって、前記パッドを第1方向で回動可能とするよう動作可能な歯止めと、
前記湾曲ラチェットから延出する可動部材であって、直線ラチェットを含む可動部材と、
前記直線ラチェットと接触する第2歯止めであって、前記直線ラチェットを第1方向で移動可能とするよう動作可能な第2歯止めとを含む、一組の上位支持体と、
前記可動部材を介して、前記上位支持体に接続する下位支持体であって、前記上位支持体は第2パッドを含む下位支持体と、
フレームとを含み、前記下位支持体は前記フレームに取り付けられる、システム。
【請求項18】
前記歯止めは、反対方向での回動を可能とするよう、前記湾曲ラチェットから離脱するように動作可能である、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記第2歯止めはハンドルに結合する、請求項17に記載のシステム。
【請求項20】
前記歯止めは角度付き表面を含む、請求項17に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
腹臥位腰椎側方進入椎体間固定術(LLIF)は、オープン・ジャクソン・フレームで実施することができる。しかし、従来のジャクソンフレームでは、腹臥位でのLLIFの進入のし易さ、及び人間工学性を改善させるために必要な、患者に対する特定の操作移動ができない。更に、従来のジャクソンフレームを使用すると、前方から腰筋(ATP)への進入も制限される。従来の側臥LLIFでは、術者は肋骨と腸骨稜との間に角度をつけるために、「ブレイク・ザ・ベッド(ベッドの角度を変える)」という手法をとることが多い。これにより、腰部と肋骨との間の間隔が開き、L4-5やL1-2など、特に解剖学的に難易度の高い患者への進入が改善される。しかし、患者をジャクソンフレーム上で腹臥位にしている場合、現在のところ、患者に対する冠状面調整を制御可能に誘発する方法はない。
【0002】
腹臥位での側方手術は、人間工学的に不十分であることが多い。ジャクソンフレームの高さと傾きの制限、並びに、術者の身長/体格は、外科的通路の視認性を低下させ、不安定な作業角度につながる恐れがある。患者の身長と傾きをより制御できるようにすることで、術者の人間工学性を改善させる必要がある。
【0003】
LLIFには、真の意味での前後方向(AP)と横方向のCアームイメージングが必要である。標準的なジャクソンフレームの傾きの角度は、約25度だけである。標準的なCアームデバイスでは、傾いたジャクソン・フレーム・テーブルに患者を乗せた状態で、テーブルを約35度傾かせるまで、真の意味での側方撮影を行うことはできない。その理由は、直接側方画像を見るためには、Cアームが患者上で約65度以上「レインボウする(虹を描くように動かす)」必要があるが、多くのデバイスではそれができないからである。しかし、全患者傾斜を約40度から45度まで増やせば、Cアームが患者上をレインボウすることで、真の意味での側方画像を得ることができる。したがって、従来の機器では、術者は側方フルオロ撮影ごとに、患者を再度傾かせる必要がある。
【0004】
腹臥位側方進入に関する更なる課題は、現在のところ、脊柱への斜位アプローチ、又は前方から腰筋へのアプローチ(ATP)ができないことである。ジャクソンフレームのレールは、適切なATP技法に必要な斜位軌道を直接ブロックする。フレームレールは患者に対して同じ位置に留まるため、ジャクソンフレームを傾かせても、この問題は解決しない。ATP進入を容易にするために、ジャクソンフレームのレールに対する患者の傾きを増やす必要性がある。
【発明の概要】
【0005】
一例示的実施形態において、本開示では、患者位置決めシステムを提供しており、このシステムは、上位支持体であって、パッド用の取付プレートと、歯を備えた曲面を有するヒンジであって、上記曲面が回動するよう動作可能である、ヒンジと、上記ヒンジの上記歯と接触する歯止めであって、上記歯の角度によって、上記パッドを第1方向で回動可能とするよう動作可能な歯止めと、上記ヒンジから延出する可動部材であって、歯を含む可動部材と、上記可動部材の歯と接触する第2歯止めであって、上記可動部材の上記歯の角度によって、上記可動部材を移動可能とするよう動作可能な第2歯止めとを含む、上位支持体と、上記可動部材を介して、上記上位支持体に接続する下位支持体とを、含む。
【0006】
一例示的実施形態において、本開示では、患者位置決めシステムを提供しており、このシステムは、上位支持体であって、取付プレートに取り付けられたパッドと、湾曲ラチェットを有するヒンジであって、上記湾曲ラチェットが上記取付プレートを回動するよう動作可能である、ヒンジと、上記湾曲ラチェットと接触する歯止めであって、上記湾曲ラチェットの表面によって、第1方向で回動可能とするよう動作可能な歯止めと、上記ヒンジから延出する可動部材であって、直線ラチェットを含む可動部材と、上記直線ラチェットと接触する第2歯止めであって、上記直線ラチェットを第1方向で移動可能とするよう動作可能な第2歯止めとを含む、上位支持体と、上記可動部材を介して、上記上位支持体に接続する下位支持体と、フレームとを含み、上記下位支持体は上記フレームに取り付けられる。
【0007】
一例示的実施形態において、本開示では、患者位置決めシステムを提供しており、このシステムは、上位支持体であって、患者を受容するパッドと、湾曲ラチェットであって、歯を含み、上記パッドを回動するよう動作可能な湾曲ラチェットと、上記湾曲ラチェットの上記歯と接触する歯止めであって、上記湾曲ラチェットの表面によって、上記パッドを第1方向で回動可能とするよう動作可能な歯止めと、上記ヒンジから延出する可動部材であって、直線ラチェットを含む可動部材と、上記直線ラチェットと接触する第2歯止めであって、上記直線ラチェットを第1方向で移動可能とするよう動作可能な第2歯止めとを含む、上位支持体と、上記可動部材を介して、上記上位支持体に接続する下位支持体であって、上記上位支持体は第2パッドを含む下位支持体と、フレームとを含み、上記下位支持体は上記フレームに取り付けられる。
【0008】
理解すべき点として、前述の一般的説明、並びに以下の詳細な説明はいずれも、本質的に例示的、且つ解説的なものであり、本開示の範囲を限定することなく、本開示に関する理解を提供することを意図している。これに関して、本開示の更なる態様、特徴、及び利点は、以下の詳細な説明から、当業者に明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
これらの図面は、本開示に関する幾つかの実施形態の特定の態様を例示するものであり、本開示を限定又は定義するために使用しないものとする。
図1】本開示の特定実施形態に係る、患者を位置決めするパディング崩壊アセンブリを示す図である。
図2A】本開示の実施例に係る、上記崩壊アセンブリの拡大図である。
図2B】本開示の実施例に係る、上記崩壊アセンブリの拡大図である。
図2C】本開示の実施例に係る、上記崩壊アセンブリの拡大図である。
図2D】本開示の実施例に係る、上記崩壊アセンブリの拡大図である。
図3A】本開示の実施例に係る、傾きと高さの調整を変えられるジャッキの斜視図である。
図3B】本開示の実施例に係る、傾きと高さの調整を変えられるジャッキの斜視図である。
図3C】本開示の実施例に係る、傾きと高さの調整を変えられるジャッキの斜視図である。
図3D】本開示の実施例に係る、上記ジャッキの様々な構成を示す図である。
図3E】本開示の実施例に係る、上記ジャッキの様々な構成を示す図である。
図3F】本開示の実施例に係る、上記ジャッキの様々な構成を示す図である。
図4A】本開示の実施例に係る、上位支持体と下位支持体を示す図である。
図4B】本開示の実施例に係る、上位支持体と下位支持体を示す図である。
図4C】本開示の実施例に係る、下位支持体への上位支持体の取り付けを示す図である。
図4D】本開示の実施例に係る、下位支持体への上位支持体の取り付けを示す図である。
図4E】本開示の実施例に係る、下位支持体への上位支持体の取り付けを示す図である。
図4F】本開示の実施例に係る、軸方向回動機構を示す図である。
図4G】本開示の実施例に係る、軸方向回動機構を示す図である。
図4H】本開示の実施例に係る、軸方向回動機構を示す図である。
図5A】本開示の実施例に係る、頭側/尾側ヒンジを示す図である。
図5B】本開示の実施例に係る、頭側/尾側ヒンジを示す図である。
図5C】本開示の実施例に係る、頭側/尾側ヒンジを示す図である。
図6A】本開示の実施例に係る、頭側/尾側ヒンジを示す図である。
図6B】本開示の実施例に係る、頭側/尾側ヒンジを示す図である。
図6C】本開示の実施例に係る、頭側/尾側ヒンジを示す図である。
図7】本開示の実施例に係る、ロッキング機能を受容するための差し込み用位置、及びヒンジ機能を示す図である。
図8A】本開示の実施例に係る、パッドマウント、及びパッド・マウント・ロックとの様々なロッキング位置を示す図である。
図8B】本開示の実施例に係る、パッドマウント、及びパッド・マウント・ロックとの様々なロッキング位置を示す図である。
図8C】本開示の実施例に係る、パッドマウント、及びパッド・マウント・ロックとの様々なロッキング位置を示す図である。
図9A】本開示の実施例に係る、ヒンジロッキング機能の前側を示す図である。
図9B】本開示の実施例に係る、ヒンジロッキング機能の前側を示す図である。
図9C】本開示の実施例に係る、ヒンジロッキング機能の前側を示す図である。
図9D】本開示の実施例に係る、ヒンジロッキング機能の前側を示す図である。
図9E】本開示の実施例に係る、ヒンジロッキング機能の前側を示す図である。
図9F】本開示の実施例に係る、ヒンジロッキング機能の前側を示す図である。
図10A】本開示の実施例に係る、モジュール性を得るためのパッドマウントを含む、ヒンジロッキング機能との様々なロッキング位置を示す図である。
図10B】本開示の実施例に係る、モジュール性を得るためのパッドマウントを含む、ヒンジロッキング機能との様々なロッキング位置を示す図である。
図10C】本開示の実施例に係る、モジュール性を得るためのパッドマウントを含む、ヒンジロッキング機能との様々なロッキング位置を示す図である。
図11A】本開示の実施例に係る、モジュール式プレートを示す図である。
図11B】本開示の実施例に係る、モジュール式プレートを示す図である。
図12A】本開示の実施例に係る、パッドマウントのアライメント機能を示す図である。
図12B】本開示の実施例に係る、パッドマウントのアライメント機能を示す図である。
図12C】本開示の実施例に係る、パッドマウントのアライメント機能を示す図である。
図12D】本開示の実施例に係る、パッドマウントのアライメント機能を示す図である。
図13A】本開示の実施例に係る、図12A~12Dの断面図である。
図13B】本開示の実施例に係る、図12A~12Dの断面図である。
図13C】本開示の実施例に係る、図12A~12Dの断面図である。
図13D】本開示の実施例に係る、図12A~12Dの断面図である。
図14A】本開示の実施例に係る、調整式上位パッドを示す図である。
図14B】本開示の実施例に係る、調整式上位パッドを示す図である。
図15】本開示の実施例に係る、上位支持体、及びこれらを結合するストラップを示す図である。
図16A】本開示の実施例に係る、多様な患者の解剖学的構造に対応できるよう、並進運動性を有するボルスタを示す図である。
図16B】本開示の実施例に係る、多様な患者の解剖学的構造に対応できるよう、並進運動性を有するボルスタを示す図である。
図17】本開示の実施例に係る、スライダ部がスライダトラック内の任意の位置でロックできるようにする多歯ロックを含められる、反対側のボルスタを示す図である。
図18A】本開示の実施例に係る、ボルスタを調整するラチェッティング機構を示す図である。
図18B】本開示の実施例に係る、ボルスタを調整するラチェッティング機構を示す図である。
図19】ボルスタの並進をロックするための代替的なペグ・イン・スロット・ロッキング機構を示す図である。
図20】本開示の実施例に係る、同様に、深さ止めを備えられる、反対側のボルスタを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
これから、本開示の原理の理解を促す目的で、図面に示された実装形態を参照し、具体的な用語を使用して、それらについて説明する。とはいえ、本開示の範囲の限定を意図したものではないことは理解されるであろう。記載のデバイス、器具、方法、並びに、本開示の原理の更なる適用に対するあらゆる変更、及び更なる修正は、本開示が関連する技術分野の当業者に対して、一般的に起こり得るように十分に企図される。とりわけ、1つ又は複数の実装形態を参照して述べる特徴、構成要素、及び/又はステップを、本開示の他の実装形態を参照して述べる特徴、構成要素、及び/又はステップと組み合わせてもよいことが、十分に企図され得る。説明をし易くするため、場合によっては、図面を通して、同一又は類似の部品を参照するために同一の参照番号が使用されている。
【0011】
実施形態は、全般に脊椎手術に関する。より具体的には、実施形態は、ネジに接続した傾斜部を通じて、パディングを崩壊させるシステムに関する。ユーザがネジを回すと、ネジが左右に動くことで、傾斜部が駆動し、ベースプレートに組み込まれたトラックに沿って、パディングを強制的に動かす。傾斜部の方向により、ネジを時計回り又は反時計回りのいずれかの方向に回して制御することで、一度に片側(患者の左/右)のみを崩壊させることができる。
【0012】
アセンブリは、ネジに接続している傾斜部でパディングを崩壊させる。ネジはアセンブリにねじ込まれている。ユーザがネジを回すと、ネジが左右に動くことで、各傾斜部が駆動し、ベースプレートに組み込まれたトラックに沿って、パディングを強制的に動かす。代替え的に、ネジは固定されたままでよく、ネジ山の付いた傾斜部は、ネジに対して並進移動可能である。傾斜部の方向により、ネジを時計回り又は反時計回りのいずれかの方向に回して制御することで、一度に片側(患者の左/右)のみを崩壊させることができる。傾斜部がネジで作動していないため、パディングはトラックの底位置にあり得る。傾斜部がネジで作動しているため、パディングがトラックへと上方に移動できる。ネジは左から右に動くように回動している。
【0013】
アセンブリの傾きと高さに関して、胸部パッドアセンブリ、及び腰部パッドアセンブリがそれぞれ左右のジャッキを含むことができ、合計4つのジャッキがある。腰部左側ジャッキ、及び胸部左側ジャッキの高さを高くすると、患者の左側が上に傾く。同様に、腰部右側ジャッキ及び胸部右側ジャッキの双方を上げると、患者の右側が上に傾く。4つのジャッキを全て持ち上げれば、患者をベッドフレームと同じ高さに保ちながら、患者の高さが上がるだけになるはずである。
【0014】
幾つかの実施形態において、ハンドルがネジに取り付けられる。ハンドルを回すとネジが回り、アクチュエータが駆動する。アクチュエータが移動すると、これはジャッキアセンブリの高さを持ち上げる。ジャッキの頂部には、胸部/腰部パッドアセンブリを左右のジャッキの高さと一致させることができる可変エンドプレートを備えられる。ゼロ度で傾きの無い状態で、ジャッキを下げることができる。幾つかの実施例において、片側が傾いていてもよい。あるいは、傾き無しに、ジャッキを上げることもできる。
【0015】
各パディング崩壊アセンブリは、フレーム(例えば、ジャクソンフレーム、又は手術に適した他のフレーム)に取り付けることができる。フレームは、手術中の患者を収容/支持するため、縦方向に延出してもよい。幾つかの実施例において、フレームはレールを含み、例えば、金属又は炭素繊維などの剛性材料から製造可能である。
【0016】
上位支持体及び下位支持体をフレームに取り付けてもよい。下位支持体は冠状面調整を駆動する。それぞれのパッドによる患者の胸部と腰部の実際の動きを補助するために、上位支持体のように下位支持体にグリッピング機能を追加することができる。これは患者を下位支持体に固定する1つの方法である。グリッピング機能は、患者の両脇を圧迫する機能を有するパッドを備えられる。下位支持体への固定を提供する他、上位支持体は、フレームが傾き、患者の体重が傾いた側を下にしてかかる際、支持を提供する。
【0017】
上位支持体に直線並進運動が発生する場合がある、つまり、パッドを内側と横方向に動かすことで、患者側を圧迫することができる。並進機能は必ず内側方向への移動を許容する一方、横方向には、直線ラチェッティングシステムを介して自動ロックを提供する。これにより、余剰な機能を使うことなく、ユーザは上位支持体を圧迫することができる。ラチェッティング機能を解放して、アームを自由に並進移動させるには、ハンドルを引くか、あるいはボタンを押す。直線ラチェットは、出荷とモジュール化の際の選択肢のために、ハウジングの内外に摺動する(上位支持体を下位支持体から簡単に取り外せる)。解放ハンドルを引いて、アームを調整できる。この並進機能は、ペグ・イン・ホール、又はクランクを含む、あらゆる形式のロッキングを利用することができる。ロックされた構成とは、歯止めがアームに接触している構成である。ロック解除された構成とは、歯止めがアームに接触していない構成である。
【0018】
また、軸方向のパッド回動が発生する場合もある。これにより、患者に対する安全性をより高めるために、「絞り込む」ことができる。単一角度でロックされるのではなく、パッドは患者に向かって回動することで、患者に対して下向きに圧力を更に加えることができる。回動機能によって、必ず患者に向かう方向への移動が可能となるが、湾曲ラチェッティングシステムを介して、患者から離れる方向に回動する際、自動ロックを提供する。
【0019】
直線ラチェットと同様、これにより、余剰な機能を使うことなく、ユーザは上位支持体を更に圧迫することができる。ラチェッティング機能を解放するには、ハンドルを引いて、歯止めを離脱させる。代替え的に、この機能は、係合するまで自由な回動を可能とする差し込み用シャフトを利用することができる。ロックされた構成とは、歯止めがラチェットに接触している構成である。ロック解除された構成とは、歯止めがラチェットに接触していない構成である。
【0020】
幾つかの例は、頭側/尾側ヒンジを含む。これにより、パッドを頭部の方向へ、あるいは頭部から離れるように回動させて、解剖学的構造(つまり、腕)又は術者の作業スペースの邪魔にならないように、パッドマウントを移動させることができる。パッドマウントはハンドルを引いて、回動できるようになるまで、しっかりと保持されている。ハンドルを解放すると、ヒンジロックがパッドマウントを所定位置に再度係合する。パッドマウントを多くの位置でロックできるように、ヒンジロックは星形でもよい。ロックされた構成とは、ハンドルが引かれておらず、ヒンジロックがロックされている構成である。ロック解除された構成とは、ハンドルが引かれて、ヒンジロックがロック解除されている構成である。
【0021】
頭側/尾側ヒンジは、モジュール式パッドマウントを含められる。頭側/尾側ヒンジにより、パッドマウントを取り外して、モジュール化することができる。ロッキング機能(例えば、ヒンジロック)は、パッドマウントの差し込み用位置に挿入される。ボタンが押されると、パッドマウントが回動できるよう、差し込み用機能が邪魔にならない位置に移動する。ボタンを解放すると、差し込み用機能がパッドマウントにスナップ音を立てて戻り、所定位置にロックされる。
【0022】
パッドマウントを本体から取り外すには、ボタンを押し(回動を可能とする)、パッドマウントを90°の位置まで回動させる。これにより、パッドマウントの穴が差し込み用機能と同じ形状になるので、ボタンを解放した際、ロックが通過できるようになる。そして、パッドマウントを自由に取り外すことができる。パッドマウントを正しい位置まで誘導する上で効果的なアライメント機能が存在してもよい。差し込み用位置、及びヒンジング機能は、ロッキング機能を受容する。この機能を回動させて、その位置に配置することができる。パッドマウント、及びパッド・マウント・ロックとの様々なロッキング位置がある。マウントの様々な部分に適合するよう、ロックを回動させることができる。
【0023】
調整/回動用にボタンを押すことができる。ロックされた構成とは、ボタンが押されていない構成である。ロック解除された構成とは、ボタンが押されて、回動できる構成である。モジュール性を得るための、パッドマウントを含む、ヒンジロッキング機能との様々なロッキング位置がある。このマウントと機能は取り外し可能で、モジュール式に組み立てることができる。この機能を回動させて、マウントに配置することができる。モジュール式プレートを使用できる。このボタンを押すと、プレートを調整できる。このボタンを押して、プレート全体の高さを下げる。パッドはベルクロで調整できる。上位支持体をストラップで結合できる。支持体には、患者を締め付けるために反対側に接続するストラップを受け入れるスリットが含まれている。
【0024】
ボルスタが並進運動できることで、様々な患者の解剖学的構造に対応でき、更に、患者をベッドに乗せた後でボルスタを患者の脇に押し込んで、冠状屈曲部を生み出す(又は、強化する)ことができる。並進運動にはロッキング機能があり、これにより、所望位置に配置されると、所定位置でしっかりと留まる。ロッキング機能は、ラチェッティング構成要素を利用したり、あるいは、ペグ・イン・ホールのような、「差し込み」機能を利用することもできる。並進機能は、ハンドルを回すと前進する「クランク」、又は「ネジ」を利用することができる。ボルスタをテーブル・アーム・マウントに取り付けて、そこで、継手で動かして、所定位置にロックすることができる。
【0025】
X線イメージングの妨げにならないよう、ボルスタは、主として放射線透過材料で作られている。スライダ部は、トラック内に含まれてもよく、あるいは、取り外し可能な別個の構成要素でもよい。いずれの向きでもトラックに導入できるよう、スライダはリバーシブルである。リバーシブルスライダは、様々な向きでトラックに導入されると、パッドの到達距離が長くなったり、短くなったりすることで、様々な体格の患者に対応できるよう、オフセット型(到達距離を調整可能な)パッド支持プレートを含むことができる。反対側のボルスタは、スライダ部がスライダトラック内の任意の位置でロックできるようにする多歯ロックを含められる。ユーザが1つのロック解除ボタンを押すことで、いずれか(又は両方)のロッキング歯止め歯のロックを解除できるように、多歯は1つのボタンで制御することができる。
【0026】
ボルスタの調整には、ラチェッティング機構を使用可能である。この機構は、金属製の歯を含むことができる。他の構成要素はプラスチック製でもよい。更に、ロッキング歯がスライダのラチェッティング構成要素と係合しなくなる位置まで、スライダがトラックに沿って延出し過ぎるのを防止するために、反対側のボルスタは深さ止めを備えてもよい。深さ止めの位置は、スライダが深さ止めの位置に近づくか、又は深さ止めの位置にある場合、ユーザが視覚的に分かるように、トラックにエッチング、あるいは他の方法でマークされた線で示されることもある。
【0027】
反対側のボルスタは、取り外し可能なパディングを含んでもよい。パッドは、アリ溝又はT字スロット形状部、面ファスナ(例えば、ベルクロファスナ)、あるいは、他の取り付け機構で取り付けることができる。反対側のボルスタは、ユーザが追加の距離(スペース)を必要とする場合に、パッドとパッドプレートとの間で取り付け可能な着脱式深さ調整アダプタを含むことができる。このアダプタは、X線との干渉を軽減する放射線透過材料でよい。
【0028】
図1は、本開示の特定実施形態に係る、パディング崩壊アセンブリ100を示す。アセンブリ100は、アセンブリ100にねじ込まれたネジ104に接続された傾斜部102を通じて、パディング(図示せず)を崩壊させる。ユーザがネジ104を回すと、ネジ104が左右に動くことで、各傾斜部102が駆動し、ベースプレートに組み込まれたトラックに沿って、パディング103を強制的に動かす。傾斜部102の方向により、ネジ104を時計回り又は反時計回りのいずれかの方向に回して制御することで、一度に片側(患者の左/右)のみを崩壊させることができる。各傾斜部102は、崩壊アセンブリ100の反対側に配置されてもよい。各傾斜部102は、傾斜面を提供する任意の適切な形状とすることができる。
【0029】
各パディング崩壊アセンブリ100は、フレーム106(例えば、ジャクソンフレーム、又は手術に適した他のフレーム)に取り付けることができる。フレーム106は、手術中の患者を収容/支持するため、縦方向に延出してもよい。幾つかの実施例において、フレームはレールを含み、例えば、金属などの剛性材料から製造可能である。フレーム106は、例えば、長方形など、任意の適切な形状を含み得る。
【0030】
図2A図2Dは、本開示の実施例に係る、調整中の傾斜部102の様々な位置を示す。図2Aは、アセンブリ100の底部を示している。アセンブリ100は、ネジ104に接続している傾斜部102でパディング103を崩壊させる。傾斜部102は、ネジ104上で移動できるように配置されてもよい。上述のとおり、どちらの側からでも傾斜部102を調整できるよう、傾斜部102はアセンブリ100の反対側に配置されている。
【0031】
ネジ104はアセンブリ100にねじ込まれている。ユーザがネジ104を回すと、ネジ104が左右に動くことで、各傾斜部102が駆動し、ベースプレート202に組み込まれたトラック200に沿って、パディング103を強制的に動かす。ネジ104は、ベースプレート202に沿って縦方向に延出してもよい。トラック200は、パディング103を受容するスロットをベースプレート202に含むことができる。パディングは、傾斜部102間のネジ104の長さに沿って延出してもよい。
【0032】
図2Bは、パディング103が底位置にあるアセンブリ100の頂部を示す。つまり、傾斜部102がネジ104で作動していないため、パディング103はトラック200の底位置にあり得る。傾斜部102の方向により、ネジ104を時計回り又は反時計回りのいずれかの方向に回して制御することで、一度に片側(患者の左/右)のみを崩壊させることができる。傾斜部102がネジ104で作動していないため、パディング103はトラック200の底位置にあり得る。
【0033】
図2Cは、作動位置にあるアセンブリ100の底部を示している。各傾斜部102は、パディング103の所望の傾斜を提供するために、ネジ104を介して調整することができる。傾斜部102がネジ104で作動しているため、パディング103がトラック200へと上方に移動できる。ネジ104は左から右に動くように回動している。図2Dは、パディング103が作動位置にあるアセンブリ100の頂部を示す。つまり、傾斜部102がネジ104で作動しているため、パディング103がトラック200へと上方に移動できる。ある傾斜部102のみの移動により、パディング103は傾斜することがある。しかしながら、ネジ104の調整に基づいて、パディング103を所望に合わせて調整/傾斜させることができる。
【0034】
図3A図3Fは、傾き及び高さ調整用のジャッキ(複数)300に関する様々な図を示している。図3A図3Cは、ジャッキ300の斜視図を示す。胸部パッドアセンブリ、及び腰部パッドアセンブリがそれぞれ左右のジャッキ300を含むことができ、合計4つのジャッキがある。腰部左側ジャッキ、及び胸部左側ジャッキの高さを高くすると、患者の左側が上に傾く。同様に、腰部右側ジャッキ及び胸部右側ジャッキの双方を上げると、患者の右側が上に傾く。4つのジャッキを全て持ち上げれば、患者をベッドフレームと同じ高さに保ちながら、患者の高さが上がるだけになるはずである。
【0035】
図3Aは、ハウジング301と、ハウジング301に対して前方/内側、及び後方/外側に動くように動作可能なネジ304に取り付けられているハンドル302とを示す。ハンドル302を回すとネジ304が回り、アクチュエータ306が駆動する。アクチュエータ306が移動すると、これはジャッキアセンブリの高さを持ち上げる。ジャッキの頂部には、胸部/腰部パッドアセンブリを左右のジャッキの高さと一致させることができる可変エンドプレート(モデルにはない)を備えられる。
【0036】
図3B図3Cで見られるように、ジャッキ300は、ネジ104を使用して回動し、ハンドル302の回動方向に応じて、アクチュエータ306を前方又は後方に移動させる。例えば、ネジ304を時計回りに回すと、アクチュエータ306は前方に押され、ネジ304を反対方向に回すと、アクチュエータ306は後方に移動する。ネジ304の動きにより枢動可能部材308と310を作動させて、ジャッキの高さを調整するように、部材308と310は、連動して動くことができる。
【0037】
図3D図3Fは、ジャッキ300の様々な位置を示している。図3Dでは、傾き無しでジャッキ300を下げた状態を示している。線311は、テーブルトップの角度が0度であることを表している。枢動可能部材308と310は、概して平坦で、線311より下にある。アクチュエータ306が前方に位置し、部材308と310が線311の下で平坦となるよう、ネジ304が回動している。
【0038】
図3Eは片側の傾きを示す。つまり、左ジャッキ300が作動している。左側の枢動可能部材308と310は、所望の傾斜を与えるために上昇する。アクチュエータ306は、上昇できるよう後方に移動した。一方、右側での枢動可能部材308と310は、平坦なままであり、アクチュエータはハウジング301に対して内側/前方に押されている。図3Fは、線311で示すように、傾きゼロでジャッキ300を上昇させた状態を示している。適切な位置決めができるよう、ジャッキ300は任意に調整可能である。枢動可能部材308と310はすべて、所望の傾斜を与えるよう上昇する。アクチュエータ306は、上昇できるよう後方に移動している。幾つかの実施例において、ジャッキ300の調整中に、アクチュエータ306がハウジング301の内外を移動することがある。
【0039】
図4A~4Hは、フレーム106の上位支持体400、及び下位支持体402を示している。一方、胸部パッドと腰部パッドの機構について、上述した。図4A図4Bで見られるように、下位支持体402が冠状面調整の駆動源であるため、ポジショナが患者の下をすり抜ける可能性がある。
【0040】
それぞれのパッドによる患者の胸部と腰部の実際の動きを補助するために、上位支持体400のように下位支持体にグリッピング機能を追加することができる。これは患者を下位支持体402に固定する1つの方法である。グリッピング機能は、患者の両脇を圧迫する機能を有するパッドを備えられる。下位支持体402への固定を提供する他、上位支持体400は、フレーム106が傾き、患者の体重が傾いた側を下にしてかかる際、支持を提供する。支持体400と402は共に、ブラケット403(図4B参照)を介して、フレーム106に取り付けることができる。
【0041】
図4Bは、患者405が上位支持体400と下位支持体402との間に配置され得ることを示す。各上位支持体400には、取付プレートなどの、伸長部材407を取り付けることができる。部材407は、上位支持体400の垂直方向の移動を可能にするよう、外側に引っ張られるピン429と接触してもよい。部材407が部材407の下にあるトラック409に沿って摺動できるよう、ピン429を引くことができる。パッド411は、上位支持体と下位支持体のそれぞれに配置することができる。
【0042】
各上位支持体400は、対応する下位支持体402に対する上位支持体400の枢動/回動を可能にするよう、回動可能部材(例えば、ヒンジ408)を含むことができる。ヒンジ408は、患者405との間で部材407を内側/外側に回動させることができるよう、部材407に結合することができる。例えば、ピン410を引いてヒンジ408のロックを解除することで、部材407(例えば、各パッド411の取付プレート)の回動を可能にすることができる。
【0043】
そして、上位支持体400の所望の回動後、ヒンジ408の位置を所定位置でロックするために、ピン410を前方に移動させることができる。下位支持体402はそれぞれ、直線方向に延出、又は後退可能とする、可動部材412に隣接して配置されてもよい。プレート413を使用して、下位支持体402を取り付けることができる。幾つかの実施例において、下位支持体402は、回動、あるいは、延出/後退もせず、所定位置に固定されている。下位支持体402は、角度付き構造406を介してベースプレートに対して角度を付けることができる。
【0044】
図4C図4Eは、上位支持体400の直線並進運動を示す。パッドを内側と横方向に動かすことで、患者側を圧迫することができる。並進機能は必ず内側方向への移動を許容する一方、横方向には、直線ラチェッティングシステムを介して自動ロックを提供する。
【0045】
図4Cは、上位支持体400の拡大図である。これにより、余剰な機能を使うことなく、ユーザは上位支持体400を圧迫することができる。ラチェッティング機能を解放し、可動部材412(例えば、アーム)を自由に並進させるには、ピン414を引く。ピン414は、通路416内に延出して、可動部材412を通路416(例えば、下位支持体402に結合するハウジング)内の所望位置で固定することができる。可動部材412(例えば、直線ラチェット)は、突条部/歯417を含められる。可動部材412及びピン414は、上位支持体400を直線的に移動/調整するためのラチェット機構を形成することができる。
【0046】
ラチェット機構によって、上位支持体は内側又は外側へと直線的に移動することができる。直線ラチェット(可動部材412)は、通路416の内外を摺動して、任意での出荷とモジュール化の間、下位支持体402からの上位支持体400の取り外しを容易にする。解放ハンドル420を引いて、可動部材412を調整できる。この並進機能は、ペグ・イン・ホール、又はクランクを含む、あらゆる形式のロッキングを利用することができる。
【0047】
図4Dは、歯止め412が可動部材412に接触するロックされた構成を示す。歯止め422は、ピン414の遠位端に配置されてもよい。係合時、歯止め422は突条部/歯418に接触して、可動部材412を所定位置に固定する。図4Eは、歯止め422が可動部材412に接触していないロック解除された構成を示す。ハンドル420を引くと、歯止め422は可動部材412から離れ(接触せず)、通路416を通る可動部材412の直線移動を可能にする。
【0048】
可動部材412の直線移動は、方向矢印で示されている。幾つかの実施例において、突条部418は角度を付けてもよく、歯止め422は、可動部材412の一方向の動きのみを許容する対応する角度を含むことができる。図のように、ピン414を引いて、歯止め422を突条部/歯418から解放/離脱させない限り、角度部/輪郭部は後方への動きを防止する。
【0049】
図4F図4Hは、軸方向のパッド回動を示す。これにより、患者に対する安全性をより高めるために、「絞り込む」ことができる。単一角度(すなわち、90°)でロックされるのではなく、パッドは患者に向かって回動することで、患者に対して下向きに圧力を更に加えることができる。図4Fは、患者に向かう方向への移動を常に可能としながら、湾曲ラチェッティングシステムを介して、患者から離れる方向に回動する際、自動ロックを提供する回動機能(例えば、湾曲ラチェット/ヒンジ408)を図示している。直線ラチェットと同様、これにより、余剰な機能を使うことなく、ユーザは上位支持体400を更に圧迫することができる。ハンドル410を引くことで、ヒンジ408、及び上位支持体400の回動を可能にすることができる。可動部材412はヒンジ408から延出することができる。
【0050】
図4Gは、ロックされた構成のヒンジ408(例えば、湾曲ラチェット)の拡大図を示す。ラチェッティング機能を解放するために、ハンドル410を引いて、歯止め424をヒンジ408の歯426から離脱させる。ヒンジ408は、湾曲ラチェットなど、歯426が少なくとも部分的にその外周に沿って延出する湾曲部を含むことができる。歯止め424は、ヒンジ408の歯426と対応する角度を付けた歯428を含み、一方向の回動を可能とする。この角度は、ハンドル410を介して歯止め424が引き離されるまで、逆回動を防止する。
【0051】
図4Hは、歯止め424がラチェット/可動部材412に接触していないロック解除された構成を示す。歯止め424は、歯426の角度の付いた接触面と対応する角度を付けた接触面(歯428)を含み、一方向の回動を可能とする。ハンドル410を引くことで、ヒンジ408を反対方向に回動させることができる。歯止め424が離脱しない限り、ヒンジ408の位置は固定される。代替え的に、この機能は、係合するまで自由な回動を可能とする差し込み用シャフトを利用することができる。
【0052】
図5A図5Cは、頭側/尾側ヒンジ500を示す。図5Aで見られるように、ヒンジ500を引いて、パッドマウント502のロックを解除することができる。これにより、パッド503を頭部の方向へ、あるいは頭部から離れるように回動させて、解剖学的構造(つまり、腕)又は術者の作業スペースの邪魔にならないように、パッドマウント502を移動させることができる。パッドマウント502はハンドル504を引いて、回動できるようになるまで、しっかりと保持されている。パッドマウント502は任意の適切な形状であってよく、幾つかの実施例では、形状はパッドマウント502の底部に向かって狭くなってもよい。ヒンジ500は、内部構成部品用のハウジング505も含み得る。
【0053】
図5Bを更に参照すると、ハンドル504を解放すると、ヒンジロック506がパッドマウント502を所定位置に再度係合する。パッドマウント502を多くの位置でロックできるように、ヒンジロック506は星形でもよい。図5Bは、ハンドル504が引かれておらず、ヒンジロック506がロックされている、ロックされた構成を示す。つまり、ハンドル504に結合した部材506がパッドマウント502の回動を阻止する。部材507はハウジング505内に配置されている。図5Cは、ハンドル504が引かれて、ヒンジロック506がロック解除されている、ロック解除された構成を示す。つまり、パッドマウント502が回動できるよう、ハンドル504に結合する部材507は、ハウジング505内で移動する。
【0054】
図6A図6Cは、頭側/尾側ヒンジ(図5A図5C参照)のロッキング機能600を示している。パッドマウント502は、パッドマウント502の移動を容易にする/誘導するための湾曲スロット601を含むことができる。ロッキング機能600は、任意の適切な形状(例えば、星形)の鍵穴602を含むことができる。
【0055】
図6Bを更に参照すると、ロッキング機能600の別の構成要素は、頭側/尾側ヒンジの位置を固定するために鍵穴602に入れられる鍵603を含む。図6Cは、ボタン604が押されると、パッドマウント502が回動できるよう、差し込み用機能が邪魔にならない位置に移動することを、図示している。ボタン604を解放すると、差し込み用機能がパッドマウント502にスナップ音を立てて戻り、所定位置にロックされる。
【0056】
図7は、差し込み用位置701と、鍵704を受容する鍵穴702とを含むロック700を示している。鍵704を回動させて、その位置701に配置することができる。各位置701は、異なる角度で配向された凹部を含む。各凹部の深さが鍵704の厚さに対応することで、確実な適合を保証する。図8A図8Cは、パッドマウント502及びロック700との様々なロッキング位置を示している。様々な位置に適合するよう、ロック700を回動させることができる。所望の角度に調整できるよう、ロッキング機能を受容するための様々な形状のオリフィスを使用することができる。鍵704は、図8A図8Cそれぞれの位置701内の異なる位置内で配置されている。つまり、パッドマウント502が回動して、所定位置にロックされている。
【0057】
図9A図9Cは、ヒンジロック700の前側を示している。図9Aは、ロック700に配置されたパッドマウントを示す。必要に応じて、パッド903を回動させてから、所定位置にロックすることができる。図9Bは、ロックされた構成を示す。パッドマウント902の位置を固定するために、鍵704は位置701内に置かれる。図9Cは、ロック解除された構成を示す。パッドマウント902が回動できるよう、鍵704は位置701から引かれる。ロックの構成要素をハウジング907内に配置してもよい。
【0058】
図9D図9Fは、ヒンジロッキング機能700の後側を示している。パッド903を保持するマウント902の調整/回動用に、ボタン901を押してもよい。図9Eは、ロックされた構成を示す。マウント902の移動を阻止するために、ボタン901は押されていない。部材905をボタン901に結合できる。部材905はボタン901へと延出することができる。図9Fは、ロック解除された構成を示す。回動できるよう、ボタン901が押されている。マウント902の移動を阻止するために、ボタン901は押されていない。ボタン901を押すと、マウント902を回動できる。
【0059】
図10A図10Cは、モジュール性を得るための、パッドマウント1002を含む、ヒンジロッキング機能1000との様々なロッキング位置を示す。このマウント1002と機能1000は取り外し可能で、モジュール式に組み立てることができる。この機能1004を回動させて、マウント1002に配置することができる。各構成部品は分離可能で、モジュール式手順で分解、組み立てることができる。様々な位置に適合するよう、マウント1002を回動させることができる。所望の角度に調整できるよう、ロッキング機能を受容するための様々な形状のオリフィスを使用することができる。機能1000は、図10A図10Cそれぞれの差し込み用位置1006内の異なる位置内で配置されている。つまり、パッドマウント1002が回動して、所定位置にロックされている。
【0060】
図11A及び図11Bは、モジュール式取付プレート1100を示している。ボタン1102を押すと、プレート1100を調整できる。つまり、プレート1100を回動させることができる。図11Aで見られるように、プレート1100は、ハウジング1110の外側部1109の間に配置されている。図11Bは、ハウジング1110の単一外側部1109(例えば、右側又は左側部1109)に配置されたプレート1100を示している。ハウジング1110の底部には、ラチェッティング機構1111が配置されている。例えば、歯1115を有するアーム1113は、構成部品を固定するハウジング1110を貫通することができる。パッド1112をプレート1100に結合できる。
【0061】
図12A図12Dは、パッドマウント、例えば、パッドマウント502のアライメント機能を示す。図12Aは、鍵1200と鍵穴1202の誤アライメントを示している。図12B図12Dは、鍵1200と鍵穴1202の誤アライメントを示している。鍵1200は、ネジ山を有する位置決めネジでよい。各構成要素は、鍵穴1202の回動を可能にする剛性構造であり得る。鍵穴1202は、鍵1200を受容する差し込み用位置を含む。鍵1200を回動させて、その位置に配置することができる。各位置は、異なる角度で配向された凹部を含む。各凹部の深さが鍵の厚さに対応することで、確実な適合を保証する。図12C及び図12Dは、パッドマウント502との様々なロッキング位置を示している。様々な位置に適合するよう、マウント502を回動させることができる。所望の角度に調整できるよう、ロッキング機能を受容するための様々な形状のオリフィスを使用することができる。鍵1200は、図12C及び図12Dそれぞれの鍵穴1202内の異なる位置内で配置されている。つまり、パッドマウント502が回動して、所定位置にロックされている。
【0062】
図13A図13Dは、図12A図12Dの断面図を示す。ネジ山1204は鍵1200に沿って延出できる。鍵1200はハウジング1110を貫通することができる。ネジ山1204はロッキング鍵1200に沿って延出できる。図13Aは、鍵1200とプレート502の誤アライメントを示している。図13B図13Dは、鍵1200をプレート502に漸進的にアライメントし、確実に配置する様子を示している。ネジ山は、移動し易くするために角度が付けられてもよい。更に、ネジ山はグリップも提供できる。幾つかの例では、ネジ山は一方向の移動を許容し、後方への移動を防止することもある。
【0063】
図14Aは、調整式上位パッド1400を示す。パッド1400はベルクロ1401で調整できる。パッド1400はマウント1402に取り付け可能である。図14Bで見られるように、アーム1402は、横方向に調整するためのラチェット1404を含むことができる。垂直方向の調整にはハンドル1406を使用する。所望の位置決めを可能とするよう、高さと長さを図のように調整できる。
【0064】
図15では、上位支持体1500、及びこれらを結合するストラップ1502を示している。支持体1500には、患者を締め付けるために反対側に接続するストラップ1502を受け入れるスリット1501が含まれている。パッド1504を支持体1500間に配置可能である。これにより患者を固定することができる。必要に応じて、ストラップを締めたり、あるいは、緩めたりできる。
【0065】
図16A及び図16Bは、様々な患者の解剖学的構造に対応でき、更に、患者をベッドに乗せた後でボルスタ1600を患者の脇に押し込んで、冠状屈曲部を生み出す(又は、強化する)ことができるよう、並進運動可能とするボルスタ1600を示す。図16Aは、ボルスタ1600の初期位置を示している。並進運動にはロッキング機能1602があり、これにより、所望位置に配置されると、所定位置でしっかりと留まる。例えば、図19に関して説明したように、ロッキング機能1602は、ラチェッティング構成要素を利用したり、あるいは、ペグ・イン・ホールのような、「差し込み」機能を利用することもできる。ロッキング機構1602は、アーム1603を含められる。
【0066】
図16Bはボルスタ1600の並進を示す。並進機能は、ハンドルを回すと前進する「クランク」、又は「ネジ」を利用することができる。ボルスタ1600をテーブル・アーム・マウントに取り付けて、そこで、継手で動かして、所定位置にロックすることができる。X線イメージングの妨げにならないよう、ボルスタ1600は、主として放射線透過材料で作られている。スライダ部1604は、トラック内に含まれてもよく、あるいは、取り外し可能な別個の構成要素でもよい。いずれの向きでもトラック1606に導入できるよう、スライダ1604はリバーシブルである。リバーシブルスライダは、様々な向きでトラック1606に導入されると、パッドの到達距離が長くなったり、短くなったりすることで、様々な体格の患者に対応できるよう、オフセット型(到達距離を調整可能な)パッド支持プレートを含むことができる。
【0067】
図17は、スライダ部1702がスライダトラック内の任意の位置でロックできるようにする多歯ロック1701を含められる、反対側のボルスタ1700を示す。ボルスタ1700を使用して、患者をしっかりと位置決めすることができる。ユーザが1つのロック解除ボタン1705を押すことで、いずれか(又は両方)のロッキング歯止め歯1706のロックを解除できるように、多歯1704は1つのボタン1705で制御することができる。ボルスタ1700は直線的に移動できる。
【0068】
図18A及び図18Bは、ボルスタ1700を調整するラチェッティング機構1800を示す。この機構1800は、金属製の歯1802及び歯1804を含むことができる。歯1804は可動部材1805に沿って延出できる。部材1805によって、ボルスタ1700の直線運動が可能となる。調整できるよう、様々な歯列は互いに接触してもよい。他の構成要素はプラスチック製でもよい。
【0069】
図19は、ロッキング歯がスライダ1904のラチェッティング構成要素と係合しなくなる位置まで、スライダ1904がトラックに沿って延出し過ぎるのを防ぐために、反対側のボルスタ1900がペグ1902を備えてもよいことを、示す。ペグ1902の位置は、スライダ1904が特定の位置に近づくか、又はその位置にある場合、ユーザが視覚的に分かるように、トラックにエッチング、あるいは他の方法でマークされた線で示されることもある。ペグ1902を使用して、ボルスタ1700を所定位置にロックすることができる。ボルスタ1700は、パッド1907を取り付けるためのフレーム1906を含められる。フレーム1906は、調整用の穴1909を備える側方拡張部1908を含む。
【0070】
図20は、反対側のボルスタ2000を示している。反対側のボルスタ2000は、ユーザが追加の距離(スペース)を必要とする場合に、パッドとパッドプレートとの間で取り付け可能な着脱式深さ調整アダプタ2004を含むことができる。このアダプタ2004は、X線との干渉を軽減する放射線透過材料でよい。歯2006は、直線移動できるよう、可動部材2006に沿って延出できる。部材2006は、トラック2008内で移動可能に配置されていてもよい。トラック2008はフレーム2010に一体化されてもよい。
【0071】
記載された実施形態により、ジャクソンフレームなどのフレームを使用した手術中に、患者の傾き及びパディング崩壊を制御することができる。
【0072】
利点には、腹臥位での側方進入を改善させるパディング崩壊が含まれ得る。更に、患者が腹臥位にある場合、側方進入の際の軸傾斜が改善される。この軸傾斜により、腹臥位でのATP進入が可能となる。パディング崩壊は、位置決めによる脊柱側彎変形を軽減する。非対称型軸傾斜は、位置決めによる軸方向回動変形を軽減させる。
【0073】
本開示の動作及び構造は、前述の説明から明らかになると考えられる。上記で示し、あるいは説明した装置及び方法は、好ましいものとして特徴付けられたが、以下の特許請求の範囲で定義される本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、様々な変更及び修正も可能である。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図4G
図4H
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図6C
図7
図8A
図8B
図8C
図9A
図9B
図9C
図9D
図9E
図9F
図10A
図10B
図10C
図11A
図11B
図12A
図12B
図12C
図12D
図13A
図13B
図13C
図13D
図14A
図14B
図15
図16A
図16B
図17
図18A
図18B
図19
図20