IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ デーエムゲー モリ ウルトラソニック レーザーテック ゲーエムベーハーの特許一覧

特許7604611粉末噴出肉盛溶接のための粉末質量流量を測定するための方法および装置
<>
  • 特許-粉末噴出肉盛溶接のための粉末質量流量を測定するための方法および装置 図1
  • 特許-粉末噴出肉盛溶接のための粉末質量流量を測定するための方法および装置 図2
  • 特許-粉末噴出肉盛溶接のための粉末質量流量を測定するための方法および装置 図3
  • 特許-粉末噴出肉盛溶接のための粉末質量流量を測定するための方法および装置 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-13
(45)【発行日】2024-12-23
(54)【発明の名称】粉末噴出肉盛溶接のための粉末質量流量を測定するための方法および装置
(51)【国際特許分類】
   G01G 23/01 20060101AFI20241216BHJP
   G01G 11/00 20060101ALI20241216BHJP
【FI】
G01G23/01 Z
G01G11/00 Z
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2023215743
(22)【出願日】2023-12-21
(62)【分割の表示】P 2022508845の分割
【原出願日】2020-07-28
(65)【公開番号】P2024029069
(43)【公開日】2024-03-05
【審査請求日】2024-01-11
(31)【優先権主張番号】102019121948.5
(32)【優先日】2019-08-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】521565028
【氏名又は名称】デーエムゲー モリ ウルトラソニック レーザーテック ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】DMG MORI ULTRASONIC LASERTEC GMBH
【住所又は居所原語表記】Gildemeisterstrasse 1, 55758 Stipshausen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100090398
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 美千栄
(74)【代理人】
【識別番号】100090387
【弁理士】
【氏名又は名称】布施 行夫
(72)【発明者】
【氏名】ベンジャミン バックス
(72)【発明者】
【氏名】クリスチャン クレドヴィグ
【審査官】大森 努
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-028587(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第109250504(CN,A)
【文献】特開平10-142034(JP,A)
【文献】実開昭61-014332(JP,U)
【文献】米国特許第05304771(US,A)
【文献】特開平10-034374(JP,A)
【文献】特開2016-052778(JP,A)
【文献】米国特許第05021149(US,A)
【文献】米国特許第06940037(US,B1)
【文献】米国特許第06057515(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01G 1/00-23/48
B23K 1/00-103/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉末噴出肉盛溶接のための粉末質量流量を測定するための装置(10)であって、
少なくとも1つの粉末定量吐出装置(11a,11b)と、
制御部(20)と、
を含み、
前記装置は、
粉末質量流量検出器(14)と、
粉末質量特定装置(18)と、
粉末切り替え器(15)と、
を含み、
前記少なくとも1つの粉末定量吐出装置(11a,11b)は、前記粉末切り替え器(15)に応じて、粉末質量を、前記粉末質量流量検出器(14)を介して粉末質量特定装置(18)および/または加工ヘッド(16)に供給するように構成され、
前記制御部(20)は、前記粉末質量特定装置(18)によって測定された粉末質量流量に基づいて、前記粉末質量流量検出器(14)を校正するように構成され、
前記粉末切り替え器(15)と前記粉末質量特定装置(18)との間に、粉末質量をガスまたはガス混合物から分離するための、遠心分離器、重力分離器、および/または慣性分離器(17)を含むことを特徴とする、装置。
【請求項2】
前記制御部(20)は、前記粉末質量特定装置(18)によって測定された粉末質量流量および指定された粉末質量流量に基づいて、前記粉末定量吐出装置(11a,11b)を調整するように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記制御部(20)は、前記粉末質量流量検出器(14)によって検出された粉末質量流量および指定された粉末質量流量に基づいて、前記粉末定量吐出装置(11a,11b)を調整するように構成されている、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記制御部(20)は、1つまたは複数のピンチ弁(11a,11b)を介して粉末質
量流量を制御するように構成されている、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記粉末質量特定装置(18)は、ある時間間隔で堆積された固体の質量を測定することによって粉末質量流量を測定するように構成されている、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記制御部(20)は、作業準備モードにおいて、
指定された粉末質量流量に応じて、および前記粉末質量特定装置(18)によって測定された粉末質量流量に応じて、単位時間当たりの前記少なくとも1つの粉末定量吐出装置(11a,11b)の供給量を調整するステップと、
指定された粉末質量流量、および/または前記粉末質量特定装置(18)によって測定された粉末質量流量に応じて、前記粉末質量流量検出器(14)を校正するステップと、を行うように構成されている、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記制御部(20)は、粉末噴出肉盛溶接を行うために、少なくとも、
作業モードにおいて、前記粉末質量を、前記粉末質量流量検出器(14)を介して、前記加工ヘッド(16)に供給するために、前記粉末切り替え器(15)を作動させるステップと、
作業モードにおいて、前記粉末質量流量検出器(14)を用いて粉末質量流量を監視するステップと、
を行うように構成されている、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記制御部(20)は、前記粉末質量流量検出器(14)によって検出された粉末質量流量と指定された粉末質量流量との差が所定値を超えた場合に、作業モードから作業準備モードに切り替えるように構成されている、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
粉末噴出肉盛溶接のための粉末質量流量を測定する方法であって、
粉末質量を、粉末質量流量検出器(14)を介して粉末質量特定装置(18)に供給するステップと、
遠心分離器、重力分離器、および/または慣性分離器(17)によって、供給された粉末質量をガスまたはガス混合物から分離するステップと、
前記粉末質量特定装置(18)によって供給された粉末質量の粉末質量流量を特定するステップと、
特定された粉末質量流量に応じて、前記粉末質量流量検出器(14)を校正するステップと、
前記粉末質量特定装置(18)から加工ヘッド(16)への供給方向を変更するために、粉末切り替え器(15)を作動させるステップと、
指定された粉末質量流量の粉末質量を、前記粉末質量流量検出器(14)を介して、前記加工ヘッド(16)に供給するステップと、
前記粉末質量流量検出器を用いて、粉末質量流量を監視するステップと、
を含み、
前記粉末質量流量を特定するステップは、前記供給された粉末質量を分離するステップの後に行われる、方法。
【請求項10】
粉末質量流量は、秤を用いて測定される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
単位時間当たりの供給量は、供給された粉末質量の特定された粉末質量流量に応じて、および指定された粉末質量流量に応じて制御される、請求項9または10に記載の方法。
【請求項12】
単位時間当たりの供給量は、前記粉末質量流量検出器(14)の検出値に応じて、および指定された粉末質量流量に応じて調整される、請求項9ないし11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記方法は、前記粉末質量流量検出器(14)によって検出された粉末質量流量の、指定された粉末質量流量からの差が所定値を超えた場合に、再び行われる、請求項9ないし12のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉末噴出肉盛溶接のための粉末質量流量を測定するための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
粉末噴出肉盛溶接(powder cladding(PuIverduesenauftragschweissen))は、近年、付加的な製造加工としてますます重要になってきている。粉末噴出肉盛溶接の場合、粉末は、レーザー加工領域に標的化された方法で供給され、粉末組成、特に使用される材料、および粉末粒子の大きさは、多様であってもよい。ある製造加工では、粉末は、不活性ガス雰囲気中で塗布されてもよい。
【0003】
均一な塗布および質的に均一な表面塗布を達成するために、できるだけ一定量の粉末質量を用いて粉末をレーザー加工領域に搬送することが必要である。粉末質量流量(powdermass flow(Pulvermassenstrom))は、例えば、粉末組成に応じて変化してもよい。
【0004】
WO2015/155116A1は、粉末噴出(powder jet(Pulverstrahl))が、試験目的のために、レーザー加工領域内の様々な開口部を通過する方法を示している。粉末質量流量を特定するために、粉末噴出は、所定の期間、加工領域を貫通する各開口部を通過する。加工領域を通過した粉末噴出は、測定カップに収集され、収集された粉末質量は、秤を用いて特定される。収集された粉末質量を用いて、関連する粉末噴出を伴う開口部は、レーザー肉盛溶接に用いられる。
【0005】
EP1950001A1は、粉末質量が、所定の期間にわたって高エネルギービーム装置(high-energy jet(Hochenergiestrahl))に供給される方法を示している。そして、粉末質量が収集され、高エネルギービーム装置に対する粉末噴出の位置は、収集された粉末質量および指定された値に応じて調整される。この観点から、本発明の目的は、粉末質量流量の測定を改善する装置および方法を提供することである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、独立請求項1の特徴および独立請求項10の特徴によって達成される。従属請求項は、本発明の特定の実施形態に関する。本発明は、粉末噴出肉盛溶接のための粉末質量流量を測定するための装置および方法に関する。
【0007】
本発明によれば、装置は、少なくとも1つの粉末定量吐出装置(powder metering device(Pulverdosierer))と、制御部と、粉末質量流量検出器と、粉末質量特定装置と、粉末切り替え器と、を含む。ある実施形態では、少なくとも1つの粉末定量吐出装置は、例えば、1つまたは複数の運搬ベルト、1つまたは複数のピンチ弁、1つまたは複数の運搬ディスク、および/または1つまたは複数の回転運搬機を含んでもよい。
【0008】
ある実施形態では、制御部は、複数の制御部から構成されてもよい。制御部は、例えば、1つまたは複数のアナログおよび/またはデジタル回路を含んでもよい。ある実施形態では、制御ユニットは、少なくとも1つの入力パラメーターに応じて1つまたは複数の出力パラメーターを制御するように構成されていてもよい。
【0009】
粉末質量流量検出器は、例えば、重量測定、放射線減衰測定、反射測定などによって、粉末質量流量を特定するように構成されていてもよい。
【0010】
粉末切り替え器は、制御に従って、異なる受け手に粉末質量流量を供給するように構成されていてもよい。この場合、受け手は、例えば、粉末質量特定装置としての秤および/または加工ヘッド(process head(Prozesskopf))であってもよい。
【0011】
本発明によれば、少なくとも1つの粉末定量吐出装置は、粉末切り替え器に応じて、粉末質量を、粉末質量流量検出器を介して秤および/または加工ヘッドに供給するように構成されている。これは、粉末質量が加工ヘッドに供給されることなく、粉末質量流量を調整することができるという利点を有する。一方、いったん粉末質量流量が設定(作業準備)されると、粉末質量流量が途切れないため粉末噴出肉盛溶接への切り替えが容易である。供給の中断は、特にスイッチを入れた場合に、粉末質量の供給の変動につながることがある。
【0012】
本発明によれば、制御部は、秤よって測定された粉末質量流量に基づいて粉末質量流量検出器を校正するように構成されている。粉末質量流量検出器を用いて、粉末質量噴出肉盛溶接中に粉末質量流量を監視してもよい。その結果、粉末質量流量検出器の校正は、粉末質量流量を監視する際の精度を高めてもよく、それは、粉末質量の変化、特に物質および/または保護ガス成分の変化が、粉末質量流量検出器による粉末質量流量の検出感度に影響を及ぼす可能性があるためである。
【0013】
ある実施形態では、制御部は、秤によって測定された粉末質量流量および指定された粉末質量流量に基づいて、粉末定量吐出装置を調整するように構成されていてもよい。これは、指定された粉末質量流量に対する粉末質量流量の正確な調整が、特に粉末噴出肉盛溶接の前に、その場で可能であるという利点を有する。
【0014】
ある実施形態では、制御部は、粉末質量流量検出器によって検出された粉末質量流量、および指定された粉末質量流量に基づいて、粉末定量吐出装置を調整するように構成されていてもよい。これは、特に粉末噴出肉盛溶接中に、粉末質量流量を監視することができるという利点を有する。粉末質量流量検出器は、粉末噴出肉盛溶接の前に秤を用いて校正され得るので、粉末噴出肉盛溶接中に、正確な粉末質量流量の監視が、その場で可能である。
【0015】
特に効率的な実施形態では、装置は、粉末質量をガスまたはガス混合物から分離するために、粉末切り替え器と秤との間の、遠心分離器、重力分離器、および/または慣性分離器を含む。ガスまたはガス混合物から粉末質量を分離するための他の方法を用いることも考えられる。ガスまたはガス混合物から粉末質量を分離することは、秤を用いた粉末質量流量の測定がより正確になるという利点を有する。例えば、シールドガスヘリウムは、空気より密度が低いため、空気で満たされた環境で上昇する。その結果、例えば、秤の測定結果は、ガスの浮力またはガスの質量のためにゆがめられることがある。粉末質量をガスまたはガス混合物から分離することは、測定結果のこのゆがみを防止する。
【0016】
特に安定した実施形態では、制御部は、1つまたは複数のピンチ弁を介して粉末質量流量を制御するように構成されていてもよい。ピンチ弁は、特に目詰まりに強く、他の調整弁に比べて圧力の急上昇が低減されるという利点を有する。特に制御ループの場合には、粉末質量流量を目標流量に制御することにより、揺動を抑制することができ、それゆれ落ち着くまでの時間を短縮することができる。
【0017】
特に費用効果の高い実施形態では、秤は、ある時間間隔で堆積された固体の質量を測定することによって、粉末質量流量を測定するように構成されていてもよい。ある時間間隔で分離された固体の質量の測定は、例えば、差分を形成することによって特定され得る。
さらなる実施形態では、この目的のために、秤を再校正してもよく、またはそれに応じてゼロ点を調整してもよい。例えば、時間間隔を延ばすことによって、精度を高めてもよい。これは、粉末質量流量が、少ない労力で比較的正確に測定され得るという利点を有する。
【0018】
特に効率的な実施形態では、制御部は、作業準備モードにおいて、指定された粉末質量流量に応じて、および/または秤によって測定された粉末質量流量に応じて、少なくとも1つの粉末定量吐出装置の単位時間当たりの供給速度を設定するステップと、指定された粉末質量流量に応じて、および秤よって測定された粉末質量流量に応じて、粉末質量流量検出器を校正するステップと、を行うように構成されていてもよい。これは、粉末噴出肉盛溶接の前に、粉末質量流量が粉末質量特定装置によって正確に設定され、粉末噴出肉盛溶接中に粉末質量流量が監視されるという有利な点を有する。校正は、指定された粉末質量流量で行われるため、供給された粉末質量流量を監視する際の精度を高めることができ、その結果として、特に非線形誤差を、校正でより良好に補正することができる。指定された粉末質量流量からの差がより小さい粉末質量流量は、粉末質量のより均一な塗布および粉末質量塗布の向上した品質をもたらす。
【0019】
特に効率的な実施形態では、制御部は、粉末噴出肉盛溶接を行うために、少なくとも、作業モードにおいて、粉末質量を、粉末質量流量検出器を介して、加工ヘッドに供給するために、粉末切り替え器を作動させるステップと、作業モードにおいて、粉末質量流量検出器を用いて粉末質量流量を監視するステップと、を行うように構成されていてもよい。これは、粉末質量供給を中断する必要なしに、作業準備モードから作業モードに切り換えることが可能であるという利点を有する。その結果、特に作業モードの開始時に、指定された粉末質量流量で供給された粉末質量流量が沈降することを防ぐことができる。これは、特に粉末噴出肉盛溶接が開始されるときにおいて、粉末質量塗布の質の向上につながる。
【0020】
特に自動化された実施形態では、制御部は、粉末質量流量検出器によって検出された粉末質量流量と指定された粉末質量流量との差が所定値を超えた場合に、作業モードから作業準備モードに切り替えるように構成されていてもよい。これは、粉末質量の積層が指定された粉末質量塗布から過度に逸脱した場合に、粉末噴出肉盛溶接が中断されるという利点を有する。これにより、粉末質量塗布の特定の品質を保証することができる。さらに、粉末質量流量を再び調整することができ、および/または粉末質量流量検出器を、粉末質量特定装置を用いて、同時に再び校正することができる。これは、また、粉末質量流量検出器の校正における誤差を簡単な方法で排除できるという利点を有する。このようにして、粉末噴出肉盛溶接中の所望の粉末質量流量を自動化された方法で保証することができる。
【0021】
本発明によれば、装置は、以下の方法を行うように構成されていてもよい。本発明に係る方法は、粉末質量を供給するステップと、供給された粉末質量の粉末質量流量を特定するステップと、特定された粉末質量流量に応じて、粉末質量流量検出器を校正するステップと、指定された粉末質量流量の粉末質量を、粉末質量流量検出器を介して、加工ヘッドに供給するステップと、粉末質量流量検出器を用いて、粉末質量流量を監視するステップと、を含んでもよい。粉末質量流量は、例えば、秤で特定されてもよい。秤は、所定の期間にわたって秤上に堆積された粉末質量を測定するように構成されていてもよい。これは、例えば、適切にゼロ点を設定することによって、または2つの測定結果の間の差を取ることによって行うことができる。ある実施形態では、秤は、粉末質量受け部を含んでもよい。ある実施形態では、秤は、粉末質量受け部の粉末質量を取り除くように構成されていてもよい。
【0022】
特に正確な実施形態では、粉末質量流量を特定する前に、粉末質量をガスまたはガス混合物から分離するステップを含んでもよい。これは、秤によって測定された粉末質量流量がガスまたはガス混合物によってゆがめられないという利点を有する。例えば、ヘリウムは、空気よりも質量が小さいため、空気で満たされた空間において浮力が生じる。粉末質量が、例えば、シールドガスとしてのヘリウムと混合されている場合、粉末質量が予めヘリウムから分離されていないと、秤は、粉末質量流量をより低く測定する。
【0023】
特に費用効果の高い実施形態では、粉末質量流量は、秤を用いて測定されてもよい。
【0024】
特に効率的な実施形態は、粉末質量流量の特定部から加工ヘッドへの供給方向を変更するために、粉末切り替え器を作動させるステップを含んでもよい。これは、特に粉末噴出肉盛溶接の開始時に、粉末質量が粉末噴出肉盛溶接の前に均一な粉末質量流量で特定部に供給されるので、粉末質量供給中の沈降が回避されるという利点を有する。
【0025】
特に有利な実施形態では、単位時間当たりの供給量は、供給された粉末質量の特定された粉末質量流量に応じて、および指定された粉末質量流量に応じて制御されてもよい。これは、粉末噴出肉盛溶接の前に、粉末質量流量を比較的正確に調整/制御することができるという利点を有する。実施形態によっては、制御部は、例えば、対応するアナログまたはデジタル閉ループ制御を含んでもよい。
【0026】
特に有利な実施形態では、単位時間当たりの供給量は、粉末質量流量検出器の検出値に応じて、および指定された粉末質量流量に応じて調整されてもよい。これは、粉末質量流量検出器によって検出された粉末質量流量に応じて、粉末噴出肉盛溶接中に供給された粉末質量流量を、制御/調整できるという利点がある。これにより、供給された粉末質量流量は、監視することができるだけでなく、粉末噴出肉盛溶接中に調整することもできる。対応する調整/制御は、例えば、制御部、および/またはアナログまたはデジタル回路によって行われてもよい。
【0027】
特に自動化された実施形態では、方法は、粉末質量流量検出器によって検出された粉末質量流量の、指定された粉末質量流量からの差が所定値を超えた場合に、再び行われてもよい。これは、供給された粉末質量流量が指定された粉末質量流量から限界値を超えて逸脱すると仮定可能な場合に、粉末噴出肉盛溶接と、粉末質量流量検出器の校正を含む粉末質量流量の正確な調整と、の間の自動化された切り替えがあるという利点を有する。粉末質量流量の指定された質量流量からの差が所定値未満である場合には、粉末噴出肉盛溶接を継続することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1図1は、粉末噴出肉盛溶接のための粉末質量流量を測定するための本発明の一実施形態に係る装置を概略的に示す。
図2図2は、本発明の一実施形態に係る方法の処理のフローチャートを概略的に示す。
図3図3は、粉末質量流量を測定/特定するための本発明の一実施形態に係る方法の処理のフローチャートを概略的に示す。
図4図4は、粉末噴出肉盛溶接のための粉末質量流量を測定するための本発明の一実施形態に係る装置を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
ある実施形態では、本発明の機能に影響を及ぼすことなく、構成部材は、組み合わされてもよく、複数の構成部材に分割されてもよく、および/または追加の構成部材が追加されてもよい。ある実施形態では、本発明による方法の機能に影響を及ぼすことなく、方法
ステップは、順序が交換されてもよく、並列で行われてもよく、組み合わされまたは分割されてもよく、および/またはさらなるステップが追加されてもよい。
【0030】
図1は、粉末噴出肉盛溶接のための粉末質量流量を測定するための本発明の一実施形態に係る装置10を概略的に示す。図1には、粉末質量流(powder mass flow(Pulvermassenstrom))が実線の矢印で概略的に示されている。破線は、異なる構成部材間での信号および/またはデータ交換のための接続を示す。信号および/またはデータ伝送のための接続は、有線および/または無線であってもよい。
【0031】
本実施形態では、粉末質量が2つの粉末定量吐出装置、すなわち粉末定量吐出装置11aおよび11bによって供給される。粉末定量吐出装置は、粉末質量流を生成するように構成されている。粉末質量流は、共通の粉末質量流を形成するために、Y連結部13内で組み合わされる。粉末定量吐出装置を備えた一実施形態では、Y連結部は、選択的に省略されてもよい。ある実施形態では、特に装置が複数の粉末定量吐出装置を含む場合、装置は、複数のY連結部、および/または混合器または複数回Y連結部(n-fold Y-connections(n-fache Y-Verbindungen))などの代替物を含んでもよい。
【0032】
このようにして生成された共通粉末質量流は、粉末質量流量検出器14を介して、粉末切り替え器15に送られる。粉末切り替え器15の駆動に応じて、粉末切り替え器は、粉末質量流を加工ヘッド16および/または秤18に導く。本実施形態では、粉末切り替え器は、制御部20によって制御される。
【0033】
本実施形態では、粉末分離器17は、粉末切り替え器15と秤16との間に配置されている。これは、ガスまたはガス混合物、特にシールドガスから粉末を分離するように構成されていてもよい。
【0034】
ある実施形態では、制御装置20は、複数の部分的に独立した制御装置から構成されていてもよい。本実施形態では、制御装置は、粉末質量流量検出器14からの検出データに応じて、および/または秤18からのデータ/信号および指定された粉末質量流量に応じて、粉末定量吐出装置11a,11bを制御および/または調整するように構成されている。
【0035】
本実施形態では、制御部20は、さらに、秤18からのデータ/信号および/または指定された粉末質量流量に応じて、粉末質量流量検出器14を校正するように構成されている。秤18は、例えば、ある時間間隔で秤18上に堆積した粉末質量を測定することによって粉末質量流量を測定するように構成されていてもよい。その後、測定された粉末質量を時間間隔の長さで割ることによって、粉末質量流量が得られる。
【0036】
本実施形態では、制御部は、加工ヘッドを制御するように構成されている。加工ヘッドは、1つ、2つ、または3つの方向に移動されるように構成されていてもよい。ある実施形態では、加工ヘッドは、粉末噴出肉盛溶接中にレーザー加工領域に所定のエネルギーを導入するように構成されたレーザー部を含んでもよい。
【0037】
ある実施形態では、制御部は、作業準備モードにおいて、少なくとも1つの粉末定量吐出装置11a,11bからの粉末質量流を、粉末質量流量検出器14を介して、粉末切り替え器によって秤に導くように構成されている。粉末質量は、秤の上流に配置された任意の粉末質量分離器において、ガスおよびガス混合物から分離される。本実施形態では、制御部は、指定された粉末質量流量が秤18によって測定されるように、少なくとも1つの粉末定量吐出装置11a,11bを調整し、制御するように構成されている。その結果、少なくとも1つの粉末定量吐出装置が調整される場合、粉末質量流量検出器14を校正す
ることができる。粉末質量流量検出器は、例えば、粉末質量流量を検出するために、光学的に放射の手段によって、または接点によって構成され得る。ある実施形態では、粉末質量流量検出器の検出データは、校正に応じて簡単に調整される。
【0038】
粉末質量流量検出器の校正後、本実施形態では、粉末噴出肉盛溶接が行われてもよい。本実施形態では、作業モード、すなわち粉末噴出肉盛溶接のモードに切り替えるために、粉末切り替え器15は、制御信号を介して作動され、その結果、粉末質量流が秤に代わって加工ヘッド16に供給される。これにより、粉末質量の供給を中断することなく、作業準備モードから作業モードに切り替えることができる。
【0039】
粉末噴出肉盛溶接の間、粉末質量流量は、粉末質量流量検出器を用いて監視される。これにより、一定の粉末質量流量が保証される。
【0040】
ある実施形態では、制御部は、粉末質量流量検出器によって検出された粉末質量流量の、指定された粉末質量流量からの差が所定の限界値を超える場合に、粉末噴出肉盛溶接を中断または中止するように構成されていてもよい。この目的のために、粉末切り替え器15は、粉末質量流が粉末切り替え器15から秤18に供給されるように、制御部20によって作動されてもよい。その後、粉末質量流量は、秤を用いて再び調整され、必要に応じて、粉末質量流量検出器は、校正されてもよい。
【0041】
ある実施形態では、制御部は、外部信号、例えば、粉末質量の堆積を検査するための検出器からの検出信号に基づいて、粉末噴出肉盛溶接を中断または中止するように構成されていてもよい。ある変形例では、これは、作業モードから作業準備モードへの変更があること、または粉末噴出肉盛溶接が中止されることを意味してもよい。
【0042】
図2は、本発明の一実施形態に係る方法の処理のフローチャートを概略的に示す。第1ステップS11では、粉末質量が供給される。粉末質量は、好ましくは、粉末噴出肉盛溶接のための粉末として好適である。第2ステップS12では、供給された粉末質量の粉末質量流量が特定される。次のステップS13では、特定された粉末質量流量に応じて、粉末質量流量が指定された粉末質量流量から所定の許容値を超えて逸脱しているかどうかが検査される。差が許容値よりも大きい場合、ステップS14を介して粉末質量の供給が調整され、ステップS12において粉末質量流量が再び特定される。差が許容値より小さい場合、粉末質量流量検出器は、特定された粉末質量流量を用いてステップS15で校正される。
【0043】
ステップS11~S15における粉末噴出肉盛溶接のための準備に基づいて、ステップS16では、粉末噴出肉盛溶接が行われ得る。準備のステップから粉末噴出肉盛溶接S16を行うステップに切り替えるために、例えば、粉末切り替え器を作動させて、ステップS12に示すように粉末質量流量を特定する特定部に代えて、粉末噴出肉盛溶接の加工ヘッドへの供給方向を変更するようにしてもよい。
【0044】
粉末噴出肉盛溶接S16の間、粉末質量流量は、ステップS16a,S17~S19において粉末質量検出器を用いて監視される。ステップS16aでは、粉末質量流量が、粉末質量流量検出器によって検出される。ステップS17では、粉末質量流量検出器によって検出された粉末質量流量の、指定された粉末質量流量からの差が、所定の許容値よりも大きいかどうかが検査される。差がより大きい場合、粉末噴出肉盛溶接は、中断され、粉末質量流量を特定するステップS12で処理が継続される。実施形態によっては、ステップS12~ステップS16が再び行われると、粉末質量流量検出器を校正するステップS15は、省略されてもよい。
【0045】
検出された粉末質量流量の、指定された粉末質量流量からの差が許容範囲内である場合、ステップS18で、検出された粉末質量流量が指定された値に対応するかどうか検査される。検出された粉末質量流量が指定された粉末質量流量に対応する場合、ステップS16で粉末噴出肉盛溶接の実行が継続される。値が一致しない場合、ステップS19で粉末質量の供給が調整され、処理は、また粉末噴出肉盛溶接を行うステップS16に続く。
【0046】
ある実施形態では、粉末噴出肉盛溶接を行うステップS16は、検出された粉末質量流量の、指定された粉末質量流量からの差がさらなる許容値を下回っている場合、ステップS18の後も継続され得る。さもなければ、処理は、粉末質量の供給を調整するステップS19に続く。ある実施形態では、ステップS17およびステップS18の許容値が同じ値であってもよい。
【0047】
ある実施形態では、ステップS16,S16a,S17~S19は、特に、粉末質量流量検出器を用いて粉末噴出肉盛溶接中の粉末質量流量を監視することを含み、例えば、異なる順序で行われてもよく、追加のステップを用いてもよく、少なくとも部分的に組み合わされてもよい。
【0048】
図3は、粉末質量流量を測定/特定するための本発明の一実施形態に係る方法の処理のフローチャートを概略的に示す。方法の開始S21により、ステップS22では、運搬ディスク速度nによって粉末質量流iistが生成される。本実施形態では、粉末定量吐出装置は、運搬ディスクである。本実施形態では、指定された粉末質量流量isollは、並列に伝送される。方法の開始後、測定サイクルS24が始まる。
【0049】
作動された秤への粉末切り替え器を含むサイクルが開始されたばかりかどうかに応じて、ステップS26またはステップS25が行われる。サイクルが停止状態から開始された場合、ステップS26では、粉末運搬機/粉末定量吐出装置を、本例示的実施形態では60秒間、待機させる。秤への粉末切り替え器が作動されると、ステップS25では、粉末切り替え器を、本例示的実施形態では30秒間、待機させる。ステップS25およびステップS26は、粉末切り替え器が作動していない場合や、粉末供給装置が停止状態から作動していない場合には、省略されてもよい。
【0050】
次のステップS27では、粉末質量m0の第1測定が秤上で行われる。さらなるステップS28では、ある時間間隔/測定持続時間T、本例示的実施形態では30秒間待機される。時間間隔/測定期間Tの間、粉末質量流は、秤に供給される。次に、ステップS29では、粉末質量m1の第2測定が行われる。次のステップS30では、方程式iist=(m1-m0)/Tを用いて、粉末質量流量が特定される。
【0051】
さらなるステップS31では、粉末質量流量isollの、指定された粉末質量流量の差が特定される。本例示的実施形態では、差は、式|isoll-iist|/isollを用いて特定される。差が所定の許容値、本例示的実施形態では1%未満であれば、指定された粉末質量流量isollを供給するための運搬ディスク速度nerfを運搬ディスク速度nで特定し、粉末質量流量iの測定/特定をステップS33で完了することができる。
【0052】
差が所定の許容値より大きい場合、ステップS34で、運搬ディスクの速度nが調整される。実施形態によっては、粉末定量吐出装置の反応時間の経過するまで、本例示的実施形態では20秒間は、サイクルがステップS24で再び開始される前に、ステップS35において待機されてもよい。
【0053】
図4は、粉末噴出肉盛溶接のための粉末質量流量を測定するための本発明の一実施形態
に係る装置を概略的に示す。本実施形態では、ピンチ弁11a,11bは、粉末運搬機41a,41bによって、供給される粉末を投与する(meter(dosieren))。得られた粉末流は、Y連結部13によって1つの流れに合わせられる。この例示的な実施形態では、ピンチ弁は、1つまたは複数の定量吐出装置を駆動するための方向制御弁(directional valve(Wegeventil zur Ansteuerung))を介して制御される。粉末質量流は、粉末質量流量検出器14を介して、Y連結部13から粉末切り替え器15に供給される。
【0054】
本実施形態に示すように、粉末切り替え器15は、粉末切り替え器43を駆動するための方向制御弁によって制御されてもよい。粉末質量流は、粉末移送16aを介して、加工ヘッド16に供給されることが可能である。さらに、粉末質量流は、秤18上に供給されることが可能である。粉末分離器17は、秤18と粉末切り替え器15との間の搬送経路に配置されていてもよい。ある実施形態では、1つまたは複数の定量吐出装置42を駆動するための方向制御弁、粉末切り替え器を制御するための方向制御弁、秤18、質量流量検出器14、粉末分離器、および/または加工ヘッドは、例えば、1つまたは複数の制御部を介して、互いに接続されていてもよい。
【0055】
制御部は、例えば、粉末質量流量検出器14および/または秤18によって提供されるデータ/信号に基づいて、1つまたは複数の定量吐出装置42を駆動するための方向制御弁を用いて、粉末質量流量を制御/調整するように構成されていてもよい。ある実施形態では、制御部は、粉末切り替え器を駆動するための方向制御弁によって粉末切り替え器を制御し、これにより、粉末噴出肉盛溶接の作業準備モードと作業モードとを切り替えるように構成されていてもよい。
【0056】
作業準備モードでは、指定された粉末質量流量は、秤18、1つまたは複数の定量吐出装置42を駆動するための方向制御弁、および1つまたは複数の定量吐出装置11a,11bによって調整されてもよい。粉末質量流量検出器14は、好ましくは、粉末質量流量が調整された後に校正されてもよい。その後、中断することなく作業モードに切り替えるために、粉末質量流は、粉末切り替え器43を駆動するための方向制御弁を作動させることによって、加工ヘッド16に供給され得る。粉末が加工ヘッド16に供給されている間、供給されている粉末質量流は、粉末質量流量検出器14によって監視されてもよい。
【0057】
ある実施形態では、制御部は、粉末質量流量検出器14が所定値からの過度の差を検出した場合に、作業準備モードに自動的に切り替わり、粉末質量流量を再び調整するように構成されていてもよい。これは、例えば、第1バッチからの粉末が粉末噴出肉盛溶接中に使い果たされ、第2バッチから粉末が供給される場合に、粉末質量流量が目標値に対応することが、保証されるという利点を有する。
【符号の説明】
【0058】
11a,11b 粉末定量吐出装置
13 Y連結部
14 粉末質量流量検出器
15 粉末切り替え器
16 加工ヘッド
16a 加工ヘッド16への粉末移送
17 粉末分離器
18 秤
20 制御部
41a,41b 粉末運搬機
42 1つまたは複数の定量吐出装置を駆動するための方向制御弁
43 粉末切り替え器を駆動するための方向制御弁
ist 測定された/特定された粉末質量流量
soll 指定された粉末質量流量
T 時間間隔/測定持続時間
m0 第1重量測定
m1 第2重量測定
n 運搬ディスクの速度
erfsollを供給するための運搬ディスクの速度
図1
図2
図3
図4