(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-13
(45)【発行日】2024-12-23
(54)【発明の名称】光起電力電池およびその製造方法、光起電力モジュール
(51)【国際特許分類】
H01L 31/068 20120101AFI20241216BHJP
【FI】
H01L31/06 300
(21)【出願番号】P 2023222014
(22)【出願日】2023-12-27
【審査請求日】2024-01-29
(31)【優先権主張番号】202310145791.6
(32)【優先日】2023-02-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519095522
【氏名又は名称】ジョジアン ジンコ ソーラー カンパニー リミテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】512083920
【氏名又は名称】晶科能源股分有限公司
【氏名又は名称原語表記】JINKO SOLAR CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No.1,Jinko Road, Shangrao Economic Development Zone Jiangxi 334100 CN
(74)【代理人】
【識別番号】100199819
【氏名又は名称】大行 尚哉
(74)【代理人】
【識別番号】100087859
【氏名又は名称】渡辺 秀治
(72)【発明者】
【氏名】金井昇
(72)【発明者】
【氏名】廖光明
(72)【発明者】
【氏名】楊楠楠
【審査官】山本 元彦
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-538009(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第110896117(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第110890443(CN,A)
【文献】特表2017-517147(JP,A)
【文献】特表2014-504003(JP,A)
【文献】特開2017-118112(JP,A)
【文献】特開2017-143267(JP,A)
【文献】特表2012-511258(JP,A)
【文献】国際公開第2022/199883(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/02-31/078
H01L 31/18-31/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコンウェーハを提供することと、
前記シリコンウェーハの第1面にトンネル酸化層を形成し、前記トンネル酸化層にP型アモルファスシリコン層を形成することと、
前記P型アモルファスシリコン層の前記シリコンウェーハから離れた側にN型ドーパントを間隔をおいて形成し、前記N型ドーパントにはリン原子が含まれ、前記N型ドーパントの厚さ
の範囲は1μm~50μmであることと、
前記N型ドーパントに対してレーザ処理を行い、前記P型アモルファスシリコン層における前記N型ドーパントと接触する部分に前記N型ドーパントにおける一部のリン原子を混入させ、前記P型アモルファスシリコン層をP型アモルファスシリコンとN型アモルファスシリコンが交互に配列されるアモルファスシリコン層に変換させることと、
前記アモルファスシリコン層の表面における前記N型ドーパントの残りの部分を除去し、前記アモルファスシリコン層の前記表面に保護層を形成することと、
前記保護層と前記アモルファスシリコン層に対してレーザ処理を行い、トレンチと突起を形成すること
であって、前記突起のレーザ照射方向に垂直な幅の範囲は、100μm~500μmであり、前記トレンチのレーザ照射方向に垂直な幅の範囲は、100~300μmであることと、
前記シリコンウェーハを処理し、前記シリコンウェーハをさらに処理する過程において、前記トレンチの深さが増加し、前記トレンチが前記シリコンウェーハに入り込む深さ
の範囲は0.2μm~2μmであることと、
前記保護層を除去することと、
前記シリコンウェーハに対して高温処理を行い、前記アモルファスシリコン層を多結晶シリコン層に変換させることと、を含む、
ことを特徴とする光起電力電池の製造方法。
【請求項2】
前記N型ドーパントに対してレーザ処理を行った後、前記N型ドーパントと接触する前記P型アモルファスシリコン層中のリン原子の含有量は、ホウ素原子の含有量よりも大きい、
ことを特徴とする請求項1に記載の光起電力電池の製造方法。
【請求項3】
前記シリコンウェーハは、前記第1面に対向する第2面を有し、前記方法は、前記シリコンウェーハをさらに処理するときに、前記シリコンウェーハの前記第2面にテクスチャ構造を形成することを含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の光起電力電池の製造方法。
【請求項4】
前記シリコンウェーハに対して高温処理を行い、前記アモルファスシリコン層を多結晶シリコン層に変換させた後、さらに、
前記シリコンウェーハの第1面と第2面に同時にパッシベーション層を形成することと、
前記シリコンウェーハの第1面に電極を形成することと、を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の光起電力電池の製造方法。
【請求項5】
前記N型ドーパントは、含燐シリコンガラスまたはリン含有ワックスであり、ここで、含燐シリコンガラス中のリン原子の濃度が1×10
21atoms/cm
3以上であり、リン含有ワックス中のリン原子の質量分率が0.2%~2%である、
ことを特徴とする請求項2に記載の光起電力電池の製造方法。
【請求項6】
前記N型ドーパントを除去することは、トラフ型装置を利用して、水酸化カリウムとジエチレングリコールブチルエーテルの混合液でN型ドーパントを除去し、ここで、水酸化カリウムの濃度範囲が0.1%~0.5%であり、ジエチレングリコールブチルエーテルの濃度範囲が0.1%~0.3%であることを含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の光起電力電池の製造方法。
【請求項7】
前記P型アモルファスシリコン層中のホウ素原子のドーピング濃度範囲は、3.0×10
19atoms/cm
3~3.0×10
20atoms/cm
3である、
ことを特徴とする請求項1に記載の光起電力電池の製造方法。
【請求項8】
前記シリコンウェーハをさらに処理した後、前記トレンチの深さは、前記多結晶シリコン層と前記トンネル酸化層の総厚さよりも大きい、
ことを特徴とする請求項1に記載の光起電力電池の製造方法。
【請求項9】
前記シリコンウェーハをさらに処理するときに、トラフ型装置を利用して、水酸化カリウム、添加剤および脱イオン水を用い、ここで、水酸化カリウムの濃度範囲は、1%~1.5%で、添加剤の濃度範囲は、0.5%~1%である、
ことを特徴とする請求項3に記載の光起電力電池の製造方法。
【請求項10】
前記保護層を除去することは、トラフ型装置を利用して、フッ化水素溶液をで前記保護層を除去し、ここで、フッ化水素の濃度範囲は、10%~20%であることを含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の光起電力電池の製造方法。
【請求項11】
高温処理を行う過程において、高温の温度範囲は、850℃~950℃である、
ことを特徴とする請求項1に記載の光起電力電池の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施例は、光起電力の技術分野に関し、特に、光起電力電池およびその製造方法、光起電力モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
光起電力電池は太陽電池とも呼ばれ、光起電力効果を利用して光エネルギーを電気エネルギーに変換するデバイスである。光起電力電池は多種多様で、単結晶シリコン電池、多結晶シリコン電池、アモルファスシリコン電池と化合物電池のいくつかの種類に分けられる。1975年、アメリカのパデュー大学は、IBC電池と略称されたインターディジテッドバックコンタクト光起電力電池(Interdigitated Back Contact Solar Cell)を提案した。IBC電池の製造過程において、リン、ホウ素の局所拡散工程では、シリコンウェーハ基板に対してドープする必要があり、この時、一定の再結合を引き起こすとともに、ドープして形成されたキャリアの選択的な輸送性能は、理想的なものではない。また、従来のIBC電池は、製造工程が複雑で、従来の結晶シリコン電池の製造ラインと組み合わせることができなく、大掛りな量産ができないなどの問題がある。
【0003】
したがって、N型ドーパントを用いてP型多結晶シリコンをN型多結晶シリコンに変換し、ドープして形成されたキャリアの選択的な輸送性能を高め、光起電力電池の製造工程を簡略化かつ改良し、従来の結晶シリコン電池製造ラインと組み合わせることができるようにし、大掛りな量産を実現する光起電力電池の製造方法を提供する必要がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記に鑑みて、本発明の実施例には、光起電力電池の製造方法が提供され、この光起電力電池の製造方法は、シリコンウェーハを提供することと、シリコンウェーハの第1面にトンネル酸化層を形成し、トンネル酸化層にP型アモルファスシリコン層を形成することと、P型アモルファスシリコン層のシリコンウェーハから離れた側にN型ドーパントを間隔をおいて形成し、N型ドーパントにはリン原子が含まれることと、N型ドーパントに対してレーザ処理を行い、P型アモルファスシリコン層におけるN型ドーパントと接触する部分にN型ドーパントにおける一部のリン原子を混入させ、P型アモルファスシリコン層をP型アモルファスシリコンとN型アモルファスシリコンが交互に配列されるアモルファスシリコン層に変換させることと、アモルファスシリコン層の表面におけるN型ドーパントの残りの部分を除去し、アモルファスシリコン層の表面に保護層を形成することと、保護層とアモルファスシリコン層に対してレーザ処理を行い、トレンチと突起を形成することと、シリコンウェーハを処理し、シリコンウェーハを処理する過程において、トレンチの深さが増加することと、保護層を除去することと、シリコンウェーハに対して高温処理を行い、アモルファスシリコン層を多結晶シリコン層に変換させることと、を含む。
【0005】
選択できるように、N型ドーパントに対してレーザ処理を行った後、N型ドーパントと接触するP型アモルファスシリコン層中のリン原子の含有量は、ホウ素原子の含有量よりも大きい。
【0006】
選択できるように、前記シリコンウェーハは、前記第1面に対向する第2面を有し、前記方法は、シリコンウェーハのをさらに処理するときに、シリコンウェーハの第2面にテクスチャ構造を形成することを含む。
【0007】
選択できるように、シリコンウェーハに対して高温処理を行い、アモルファスシリコン層を多結晶シリコン層に変換させた後、さらに、
シリコンウェーハの第1面と第2面に同時にパッシベーション層を形成することと、
シリコンウェーハの第1面に電極を形成することと、を含む。
【0008】
選択できるように、N型ドーパントは、含燐シリコンガラスまたはリン含有ワックスであり、ここで、含燐シリコンガラス中のリン原子の濃度が1×1021atoms/cm3以上であり、リン含有ワックス中のリン原子の質量分率が0.2%~2%である。
【0009】
選択できるように、アモルファスシリコン層の表面におけるN型ドーパントの残りの部分を除去することは、トラフ型装置を利用して、水酸化カリウムとジエチレングリコールブチルエーテルの混合液でN型ドーパントを除去し、ここで、水酸化カリウムの濃度範囲が0.1%~0.5%であり、ジエチレングリコールブチルエーテルの濃度範囲が0.1%~0.3%であることを含む。
【0010】
選択できるように、P型アモルファスシリコン層中のホウ素原子のドーピング濃度範囲は、3.0×1019atoms/cm3~3.0×1020atoms/cm3である。
【0011】
選択できるように、さらに処理した後、トレンチの深さは、多結晶シリコン層とトンネル酸化層の総厚さよりも大きい。
【0012】
選択できるように、トラフ型装置を利用して、水酸化カリウム、添加剤および脱イオン水でシリコンウェーハをさらに処理し、ここで、水酸化カリウムの濃度範囲は、1%~1.5%で、添加剤の濃度範囲は、0.5%~1%である。
【0013】
選択できるように、保護層を除去することは、トラフ型装置を利用して、フッ化水素溶液をで保護層を除去し、ここで、フッ化水素の濃度範囲は、10%~20%であることを含む。
【0014】
選択できるように、高温処理を行う過程において、高温の温度範囲は、850℃~950℃である。
【0015】
本発明の実施例には、光起電力電池がさらに提供され、この光起電力電池は、上記の光起電力電池の製造方法で製造された光起電力電池を含む。
【0016】
本発明の実施例には、、光起電力モジュールがさらに提供され、この光起電力モジュールは、上記の光起電力電池を含む。
【発明の効果】
【0017】
従来技術と比べて、本発明の実施例で提供される光起電力電池及びその製造方法、光起電力モジュールは、少なくとも以下のような有益な効果を達成している。
【0018】
本発明の実施例は、光起電力電池およびその製造方法、光起電力モジュールを提供している。この光起電力電池の製造方法は、光起電力電池の製造工程を簡略化かつ改良し、N型ドーパントを利用してP型多結晶シリコンをN型多結晶シリコンに変換し、ドープして形成されたキャリアの選択的な輸送性能を向上させ、この種類の光起電力電池が従来の結晶シリコン電池生産ラインと組み合わせて大掛りに生産されることができるだけでなく、光起電力電池の光電変換効率を大幅に高めることができる。
【0019】
もちろん、本発明の実施例を実施する任意の製品は、特に上述の全ての技術的効果を同時に達成する必要はない。
【0020】
以下の添付図面を参照して本発明の例示的な実施例を詳細に説明することで、本発明の他の特徴及びその利点が明瞭になる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
明細書に組み込まれかつ明細書の一部を構成する添付図面は、本発明の実施例を示し、それらの説明と共に、本発明の原理を解釈するために使用される。
【
図1】
図1は、本発明の実施例に係る光起電力電池の製造方法のフローチャートである。
【
図2】
図2は、本発明の実施例に係る光起電力電池の1つの選択可能な実施形態のフローチャートである。
【
図3】
図3は、本発明の実施例で提供されるN型ドーパントのレーザ処理前のP型アモルファスシリコン層とN型ドーパントにおける原子の構造を示す図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施例で提供されるN型ドーパントのレーザ処理後のアモルファスシリコン層とN型ドーパントにおける原子の構造を示す図である。
【
図5】
図5は、本発明に係る別の光起電力電池の製造方法のフローチャートである。
【
図6】
図6は、本発明に係る光起電力電池の別の選択可能な実施形態のフローチャートである。
【
図7】
図7は、本発明に係る光起電力電池の構造を示す図である。
【
図8】
図8は、本発明に係る光起電力モジュールの構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して本発明の各例示的な実施例について詳しく説明する。なお、特に明記されていない限り、これらの実施例に記載された部材とステップに対応する配置、数式及び数値は、本発明の範囲を限定するものではない。
【0023】
以下の少なくとも1つの例示的な実施例についての説明は、実際には例示的なものに過ぎず、本発明及びその応用又は使用に対するいかなる限定とするものではない。
【0024】
当業者の周知した技術、方法及び装置は、詳しく説明されないかもしれないが、適切な場合、前記技術、方法及び装置は、明細書の一部とみなされるべきである。
【0025】
ここで示され、検討されたすべての例において、いかなる具体的な数値は、単なる例示として解釈され、制限として解釈されるべきではない。したがって、例示的な実施例の他の例は、異なる数値を持ってもよい。
【0026】
なお、類似した記号と文字は、下記の図面で類似した項目を示している。このゆえに、ある項目が1つの図面で定義されると、次の図面ではそれ以上検討する必要がない。
【0027】
図1~
図4を参照すると、
図1は、本発明の実施例に係る光起電力電池の製造方法のフローチャートであり、
図2は、本発明に係る光起電力電池の1つの選択可能な実施形態のフローチャートであり、
図3は、本発明で提供されるN型ドーパントのレーザ処理前のP型アモルファスシリコン層とN型ドーパントにおける原子の構造を示す図であり、
図4は、本発明で提供されるN型ドーパント30のレーザ処理後のアモルファスシリコン層とN型ドーパントにおける原子の構造を示す図である。本実施例では、光起電力電池の製造方法が提供され、この光起電力電池の製造方法は、以下のステップを含む。
【0028】
S1:シリコンウェーハ00を提供する。
【0029】
具体的には、
図2における(a)に示すように、シリコンウェーハ00は、N型単結晶シリコンであり、その抵抗率が1ohm・cm~10ohm・cmであり、シリコンウェーハ00の厚さ範囲が80μm~180μmであり、シリコンウェーハ00の厚さが80μm未満であると、製造プロセスにおける破片率が高く、歩留まりが低くなり、シリコンウェーハ00の厚さが180μmを超えると、シリコンウェーハ00の抵抗とコストを増やすことになる。したがって、シリコンウェーハ00の厚さ範囲を80μm~180μmに設定することで、製造プロセスにおける破片率が高く、歩留まりが低いことを避けるとともに、シリコンウェーハ00の電気抵抗とコストの増加を避けることができる。選択できるように、シリコンウェーハ00の厚さは80μm、100μm、120μm、140μm、160μmまたは180μmであってもよい。
【0030】
シリコンウェーハ00の長さ範囲は、156mm~220mmであり、シリコンウェーハ00の長さが156mm未満であると、生産能力が低く、コストが高くなり、シリコンウェーハ00の長さが220mmを超えると、破片率が高く、工程均一性の難易度が大きくなる。したがって、シリコンウェーハ00の長さ範囲を156mm~220mmに設定することで、生産能力が低く、コストが高いことを回避するだけでなく、破片率が高く、工程均一性の難易度が大きくなることを避けることができる。選択できるように、シリコンウェーハ00の長さは、156mm、170mm、185mm、200mm、210mmまたは220mmであってもよい。
【0031】
なお、この時のシリコンウェーハ00は、すでに表面の有機表面膜、不純物イオン、金属汚染物などの不純物が取り除かれたクリーンなシリコンウェーハ00であり、その洗浄方法が既存の技術を利用しているため、ここでは説明を割愛する。
【0032】
S2:シリコンウェーハ00の第1面01にトンネル酸化層10を形成し、トンネル酸化層10にP型アモルファスシリコン層20を形成する。
【0033】
具体的には、
図2における(a)に示すように、シリコンウェーハ00の第1面01は、シリコンウェーハ00の太陽光が当らない面(即ち裏面)であり、トンネル酸化層10とP型アモルファスシリコン層20の材質がいずれもSiO
x、AlO
x、SiON
xのいずれか1種である。
【0034】
トンネル酸化層10は、光起電力電池の裏面のパッシベーションに使われ、優れた表面パッシベーションとキャリアの選択的収集を実現し、光起電力電池の変換効率を高めることができる。
【0035】
トンネル酸化層10の厚さ範囲は、1nm~1.5nmである。トンネル酸化層10の厚さが1nm未満であると、トンネル酸化層10が薄すぎて、光起電力電池のパッシベーション効果に影響する。トンネル酸化層10の厚さが1.5nmを超えると、トンネル酸化層10が厚すぎて、キャリアのトンネル効果に影響する。したがって、トンネル酸化層10の厚さ範囲を1nm~1.5nmに設定することで、光起電力電池のパッシベーション効果に影響することを回避するだけでなく、キャリアのトンネル効果に影響することも避けることができる。選択できるように、トンネル酸化層10の厚さは、1nm、1.1nm、1.2nm、1.3nm、1.4nmまたは1.5nmであってもよい。
【0036】
このトンネル酸化層10を製造する方法は、低圧化学気相成長(LPCVD)装置を用いて熱酸化方式でトンネル酸化層10を形成する方法であり、その工程パラメータが、温度範囲550℃~650℃と、酸素流量範囲20sccm~40sccmと、時間範囲400s~600sと、ファーナスチューブ内のガス圧500,000mTorr~800,000mTorr(即ち、66500Pa~106400Pa)とを含む。注意すべきこととして、温度が550℃未満であると、トンネル酸化層10が薄すぎ、温度が650℃を超えると、トンネル酸化層10の形成速度が速すぎて制御されにくくなる。酸素流量が20sccm未満であると、トンネル酸化層10の形成速度が遅くて不均一になり、酸素流量が40sccmを超えると、トンネル酸化層10の形成にはあまり寄与せず、コストを浪費する。時間が400s未満であると、トンネル酸化層10が薄すぎて、光起電力電池のパッシベーション効果に影響し、時間が600sを超えると、トンネル酸化層10が厚すぎて、キャリアのトンネル効果に影響する。ファーナスチューブ内のガス圧が500,000mTorrより低いと、圧力が低すぎて、トンネル酸化層10の形成速度が遅くなり、ファーナスチューブ内のガス圧が800,000mTorrを超えると、圧力が高すぎて酸素原子の平均自由行程に影響し、トンネル酸化層10の均一性が悪くなる。
【0037】
P型アモルファスシリコン層20は、フィールドパッシベーション層として、シリコンウェーハ00の表面にバンドベンディングを形成し、キャリアの選択的輸送を実現し、再結合損失を低減する。
【0038】
P型アモルファスシリコン層20の厚さ範囲は、60nm~300nmであり、P型アモルファスシリコン層20の厚さが60nm未満であると、P型アモルファスシリコンのドープ難易度が高く、金属化マッチング難易度も高くなり、P型アモルファスシリコン層20の厚さが300nmを超えると、P型アモルファスシリコンの吸光状況が深刻になる。したがって、P型アモルファスシリコン層20の厚さ範囲を60nm~300nmに設定することで、P型アモルファスシリコンのドープ難易度が高く、金属化マッチング難易度が高くなることを回避するだけでなく、P型アモルファスシリコンの吸光が深刻になることも避けることができる。選択できるように、P型アモルファスシリコン層20の厚さは、60nm、110nm、160nm、210nm、260nmまたは300nmであってもよい。
【0039】
このP型アモルファスシリコン層20の製造は、
低圧化学気相成長(LPCVD)装置を用いてアモルファスシリコン層を堆積し、その工程パラメータは、ファーナステールと炉口の両方にモノシラン(化学式SiH4)ガスを流し込み、ファーナステールのガス流量範囲が1,500sccm~2,000sccmで、炉口のガス流量範囲が100sccm~200sccmで、温度範囲が590℃~610℃で、ガス圧力範囲が100mtorr~500mtorr(即ち、13.3Pa~66.5Pa)であり、注意すべきこととして、ファーナステールのガス流量が1,500sccm未満であると、ファーナステール位置のアモルファスシリコンが薄くなり、ファーナステールのガス流量が2,000sccmを超えると、ファーナステール位置のアモルファスシリコンが厚くなり、炉口のガス流量が100sccm未満であると、炉口位置のアモルファスシリコンが薄くなり、炉口のガス流量が200sccmを超えると、炉口位置のアモルファスシリコンが厚くなり、温度が590℃未満であると、アモルファスシリコン層20が薄くなり、温度が610℃を超えると、アモルファスシリコン層が厚くなり、ガス圧が100mtorr未満であると、アモルファスシリコン層が薄くなり、ガス圧が500mtorrを超えると、アモルファスシリコン層が厚くなり、均一性が悪くなるステップ1と、
拡散装置を用いてアモルファスシリコン層に対してホウ素をエクスサイチュでドープするステップ2と、を含む。
【0040】
S3:P型アモルファスシリコン層20のシリコンウェーハ00から離れた側にN型ドーパント30を間隔をおいて形成し、N型ドーパントにはリン原子が含まれる。
【0041】
具体的には、
図2における(a)に示すように、P型アモルファスシリコン層20のシリコンウェーハ00から離れた側にN型ドーパント30を間隔をおいて形成することは、
印刷機とステンシルを利用してP型アモルファスシリコン層20のシリコンウェーハ00から離れた側にN型ドーパント30を印刷するステップ1と、
チェーン乾燥炉を利用してN型ドーパント30を乾燥させ、その工程パラメータが乾燥温度範囲150℃~250℃と乾燥時間範囲1~3minとを含み、注意すべきこととして、乾燥温度が150℃未満であると、乾燥効果が普通であり、乾燥温度が250℃を超えると、N型ドーパント30が脱落しやすくなり、乾燥時間が1min未満であると、乾燥効果が普通であり、乾燥時間が3minを超えると、N型ドーパント30が脱落しやすくなるステップ2と、を含む。
【0042】
N型ドーパント30の厚さ範囲は1μm~50μmであり、N型ドーパント30の厚さが1μm未満であると、ドーピング源が不足になり、N型ドーパント30の厚さが50μmを超えると、乾燥効果が悪くて、マテリアルを浪費する。したがって、N型ドーパント30の厚さを1μm~50μmに設定することで、ドーピング源の不足を回避するだけでなく、乾燥効果の低下及びマテリアルの浪費を避けることができる。選択できるように、N型ドーパント30の厚さは、1μm、15μm、30μm、45μmまたは50μmであってもよい。
【0043】
S4:N型ドーパント30に対してレーザ処理を行い、P型アモルファスシリコン層20におけるN型ドーパント30と接触する部分にN型ドーパント30における一部のリン原子を混入させ、P型アモルファスシリコン層20をP型アモルファスシリコン41とN型アモルファスシリコン42が交互に配列されるアモルファスシリコン層40に変換させる。
【0044】
具体的には、
図2における(b)、
図3~
図4に示すように、N型ドーパント30に対してレーザ処理を行う方法は、ナノ秒レーザ装置を利用してN型ドーパント30を照射することであり、その工程パラメータは、レーザ波長範囲300nm~1,000nmと、レーザ線幅範囲50μm~120μmと、レーザエネルギー範囲5W~20Wと、隣接するスポットの重なり面積範囲10%~30%とを含む。注意すべきこととして、レーザ波長が300nm未満であると、光源作用深さが浅くてドーピング効果に影響し、レーザ波長が1,000nmを超えると、ドーピング効果に影響すると同時に、レーザが大きなダメージを引き起こす。レーザ線幅が50μm未満であると、レーザの生産能力が小さすぎ、レーザ線幅が120μmを超えると、スポットのエネルギー分布の均一性が悪くなる。レーザエネルギーが5W未満であると、リン原子のドーピング濃度が不足になり、レーザエネルギーが20Wを超えると、N型ドーパント30とP型アモルファスシリコン層20へのダメージが大きくなる。隣接するスポットの重なり面積が10%未満であると、スポット交差箇所におけるリン原子のドーピング濃度が不十分になり、隣接するスポットの重なり面積が30%を超えると、エネルギー交差箇所のN型ドーパント30の受けるダメージが大きい。
【0045】
S5:N型ドーパント30を除去し、アモルファスシリコン層40のシリコンウェーハ00から離れた側に保護層50を形成する。
【0046】
具体的には、
図2における(c)に示すように、まず、アモルファスシリコン層の表面におけるN型ドーパント30の残りの部分を除去し、次に、アモルファスシリコン層40のシリコンウェーハ00から離れた側に保護層50を形成し、保護層50の材質がSiO
x、SiON
x、SiN
xのいずれか1種であり、保護層50が前記アモルファスシリコン層40の非開口領域を保護する役割を果たす。
【0047】
保護層50の厚さは、2nm以上であり、保護層50の厚さが2nm未満であると、保護層50の保護効果が低下してしまう。
【0048】
保護層50を形成する方法は、まず、チェーン型装置のフィードエンドにオゾン(化学式O3)発生器と加熱装置を設置して薄い保護層50を生成し、次に、トラフ型装置の末端に過酸化水素溶液(過酸化水素水と称する)で保護層50を厚くすることである。ここで、加熱装置の加熱温度範囲が60℃~80℃であり、加熱温度が60℃未満であると、保護層50の厚さが薄くなり、加熱温度が80℃を超えると、装置に対する要求が高く、工程の難易度を増やしており、過酸化水素溶液の濃度範囲が1%~2%である。過酸化水素溶液の濃度が1%未満であると、保護層50の厚さが薄くなり、過酸化水素溶液の濃度が2%を超えると、過酸化水素溶液の揮発が速くなり、コストを浪費し、トラフ型装置の温度が80℃で、時間が120sである。
【0049】
S6:保護層50とアモルファスシリコン層40に対してレーザ処理を行い、トレンチ61と突起62を形成する。
【0050】
具体的には、
図2における(d)に示すように、ピコ秒レーザ装置で保護層50とアモルファスシリコン層40を照射し、交互に配列されたトレンチ61と突起62を形成し、その工程パラメータは、レーザ波長範囲300nm~1,000nmと、レーザスポットの大きさ範囲50μm~120μmと、レーザエネルギー範囲2W~15Wと、隣接するスポットの重なり面積範囲10%~30%とを含み、注意すべきこととして、レーザ波長が300nm未満であると、光源作用深さが浅くてドーピング効果に影響し、レーザ波長が1,000nmを超えると、ドーピング効果に影響すると同時に、レーザが大きなダメージをもたらす。レーザスポットが50μm未満であると、レーザの生産能力が低すぎ、レーザスポットが120μmを超えると、保護層50を均一に除去することができない。レーザエネルギーが2W未満であると、保護層50を均一に除去することができなく、レーザエネルギーが15Wを超えると、レーザの保護層50とアモルファスシリコン層40へのダメージが大きくなる。隣接するスポットの重なり面積が10%未満であると、保護層50を均一に除去することができなく、隣接するスポットの重なり面積が30%を超えると、レーザの保護層50とアモルファスシリコン層40へのダメージが大きい。
【0051】
突起62のレーザ照射方向に垂直な幅(即ち、隣接するトレンチ61間の距離)は、100μm~500μmであり、突起62のレーザ照射方向に垂直な幅が100μm未満であると、金属化位置合わせの難易度が大きく、突起62のレーザ照射方向に垂直な幅が500μmを超えると、キャリアの吸収に影響する。したがって、突起62のレーザ照射方向に垂直な幅を100μm~500μmに設定することで、金属化位置合わせの難易度を下げるだけでなく、キャリアの吸収に影響することを避けることができる。選択できるように、突起62のレーザ照射方向に垂直な幅が100μm、200μm、300μm、400μmまたは500μmであってもよい。
【0052】
トレンチ61のレーザ照射方向に垂直な幅(即ち隣接する突起62間の距離)は、100~300μmであり、トレンチ61のレーザ照射方向に垂直な幅が1μm未満であると、漏電のリスクがあり、トレンチ61のレーザ照射方向に垂直な幅が50μmを超えると、キャリアの吸収に影響する。したがって、トレンチ61のレーザ照射方向に垂直な幅を100~300μmに設定することで、漏電のリスクを回避するだけでなく、キャリアの吸収に影響することを避けることができる。選択できるように、トレンチ61のレーザ照射方向に垂直な幅が100μm、150μm、200μm、250μmまたは300μmであってもよい。
【0053】
S7:シリコンウェーハ00を処理し、シリコンウェーハ00をさらに処理する過程において、トレンチ61の深さが増加する。
【0054】
具体的には、
図2における(e)に示すように、シリコンウェーハ00の第1面01を処理する方式は、トラフ型装置でシリコンウェーハ00をエッチングすることであり、その工程パラメータは、薬液温度範囲80℃~85℃と、浸漬時間範囲200s~500sとを含む。注意すべきこととして、薬液温度が80℃より低いと、エッチング速度が遅く、薬液温度が85℃を超えると、エッチング速度が速すぎる。浸漬時間が200s未満であると、エッチング後のトレンチの深さが十分ではなく、浸漬時間が500sを超えると、エッチング後のトレンチの深さがほとんど変わらず、レーザに照射されない領域の保護層50とアモルファスシリコン層40を損なってしまう。
【0055】
シリコンウェーハ00の第1面01を処理した後のトレンチ61の深さが保護層50とアモルファスシリコン層40をレーザ処理した後のトレンチ61の深さより大きいことを要求するのは、トレンチ61がP型アモルファスシリコン41とN型アモルファスシリコン42を離隔して、両者の接続箇所に隙間を形成し、光起電力電池の性能、例えば電流、開放電圧などを高めるためである。
【0056】
S8:保護層50を除去する(
図2における(f)に示すように、このステップについては、下記の実施例で説明するため、ここでは説明を割愛する)。
【0057】
S9:シリコンウェーハ00に対して高温処理を行い、アモルファスシリコン層40を多結晶シリコン層70に変換させる。
【0058】
具体的には、
図2における(g)に示すように、シリコンウェーハ00の第1面01を高温処理する方法は、チューブ式炉高温装置を利用してアモルファスシリコン層40を多結晶シリコン層70に変換することであり、その工程パラメータは、温度範囲850℃~950℃と、チューブ内気圧範囲100mtorr~800mtorrと、流し込まれる窒素ガス(N
2)と酸素ガス(O
2)の混合ガスにおける窒素ガスと酸素ガスの流量比1:1~5:1とを含む。
【0059】
ここで、温度が850℃より低いと、アモルファスシリコン層40から多結晶シリコン層70への変換率が低く、温度が950℃より高いと、多結晶シリコン層70の界面準位密度が増加する。チューブ内気圧が100mtorrより低いと、高温処理過程におけるアニーリングが不十分で、チューブ内気圧が800mtorrより高いと、生成する多結晶シリコン層70の均一性が悪くなる。窒素ガスと酸素ガスのガス流量比が1:1より低いと、酸素ガスの消費量が多く、窒素ガスと酸素ガスのガス流量比が5:1を超えると、高温処理過程におけるアニーリングが不十分になる。
【0060】
多結晶シリコン層70は、エミッタ層として、光生成キャリアの輸送をさらに強め、光起電力電池のバッキングファクタ、短絡電流及び開放電圧などの性能を高めることができる。
【0061】
本実施例で提供される光起電力電池の製造方法は、従来技術と比べて、少なくとも下記のような有益な効果を奏している。
【0062】
本実施例は、光起電力電池の製造工程を簡略化かつ改良し、N型ドーパントを利用してP型多結晶シリコンをN型多結晶シリコンに変換し、ドープして形成されたキャリアの選択的輸送性能を高めており、この種類の光起電力電池が従来の結晶シリコン電池生産ラインと組み合わせて大掛りに生産されることができるだけでなく、光起電力電池の光電変換効率を大幅に向上させることができる光起電力電池の製造方法を提供する。
【0063】
1つの選択可能な実施例では、
図3~4に示すように、N型ドーパント30に対してレーザ処理を行った後、N型ドーパント30と接触するP型アモルファスシリコン層20中のリン原子31の含有量は、ホウ素原子21の含有量よりも大きい。
【0064】
具体的には、リン原子31のドーピング濃度は、2×1020atoms/cm3以上であることが要求されており、リン原子31のドーピング濃度が2×1020atoms/cm3より低いと、接触抵抗に影響するだけでなく、フィールドパッシベーション効果も低下する。
【0065】
一般的に4探針プローブシート抵抗測定器と拡散濃度測定器/接合深さ測定器(ECV測定器と略称)でドーピング濃度と曲線をモニタリングし、少数キャリア寿命パッシベーションモニタリング手段でドーピング効果の確認にさらに寄与する。
【0066】
1つの選択可能な実施例では、
図5は、本発明で提供される別の光起電力電池の製造方法のフローチャートであり、
図6は、本発明で提供される光起電力電池の別の選択可能な実施形態のフローチャートである。
図5~
図6に示すように、シリコンウェーハ00の第1面01に対して処理を行うと同時に、シリコンウェーハ00の第2面02に対して処理を行い、シリコンウェーハ00の第2面02にテクスチャ構造を形成させる(図示せず)。
【0067】
具体的には、シリコンウェーハ00の第2面02(前面)に対してテクスチャリング処理を行うことで、シリコンウェーハの吸収する光線の数量を増やし、光起電力電池の光電変換効率を高めることができる。ここで、テクスチャ構造は、一般的にピラミッドであり、その形態の大きさ範囲が通常1μm~3μmで、高さ範囲が通常0.5μm~2μmである。具体的には、形態の大きさが3μmより大きくなったり、高さが0.5μmより低くなったりすると、いずれもシリコンウェーハ00の表面反射率が低下することを招き、形態の大きさが1μmより小さくなったり、高さが2μmより高くなったりすると、いずれもシリコンウェーハ00の表面パッシベーションが悪くなることを招く。
【0068】
1つの選択可能な実施例では、
図5~
図6に示すように、シリコンウェーハ00の第1面01に対して高温処理を行い、アモルファスシリコン層40を多結晶シリコン層70に変換させた後、さらに、
シリコンウェーハ00の第1面01と第2面02に同時にパッシベーション層80を形成するステップと、
シリコンウェーハ00の第1面01に電極90を形成するステップと、を含む。
【0069】
具体的に、本実施例で提供される光起電力電池の製造方法は、以下のステップをさらに含む。
【0070】
S10:シリコンウェーハ00の第1面01と第2面02に同時にパッシベーション層80を形成する。
【0071】
パッシベーション層80は、2層または3層であってもよい。本実施例では2層が好ましい。
【0072】
パッシベーション層80には、シリコンウェーハ00第1面01に位置する第1パッシベーション層81、第3パッシベーション層83と、シリコンウェーハ00第2面02に位置する第2パッシベーション層82、第4パッシベーション層84と、を含み、第1パッシベーション層81と第2パッシベーション層82がいずれもシリコンウェーハ00に近い膜層であり、第3パッシベーション層83と第4パッシベーション層84がいずれもシリコンウェーハ00から離れた膜層である。
【0073】
図6における(h)に示すように、第1パッシベーション層81と第2パッシベーション層82の材料は、SiO
xまたはAlO
xであり、その役割が光起電力電池の再結合速度を下げ、少数キャリア寿命を向上させ、光起電力電池の効率を高めることである。
【0074】
第1パッシベーション層81と第2パッシベーション層82の厚さ範囲は、5nm~20nmであり、第1パッシベーション層81と第2パッシベーション層82の厚さが5nm未満であると、光起電力電池のパッシベーション効果が悪くなり、第1パッシベーション層81と第2パッシベーション層82の厚さが20nmを超えると、この後電極90を製造する時に使用されるペーストが焼き込まれにくくなり、電極とシリコンウェーハ00との接触効果が悪くなる。したがって、第1パッシベーション層81と第2パッシベーション層82の厚さ範囲を5nm~20nmに設定することで、光起電力電池のパッシベーション効果が悪くなることを回避するだけでなく、電極とシリコンウェーハ00との接触効果が悪くなることも回避することができる。選択できるように、第1パッシベーション層81と第2パッシベーション層82の厚さは、5nm、10nm、15nmまたは20nmであってもよい。
【0075】
第1パッシベーション層81と第2パッシベーション層82の製造方法は、以下の2つに分けられることができる。
【0076】
方法1:S5で保護層50を形成する方法と同じであるため、ここでは説明を割愛する。
【0077】
方法2:高温チューブ式炉装置を利用して、窒素ガス(N2)と酸素ガス(O2)の混合ガスを流し込んでシリコンウェーハ00を酸化し、その工程パラメータは、窒素ガスと酸素ガスのガス流量比範囲1:1~5:1と、温度範囲650℃~750℃と、時間範囲10min~20minとを含み、なお、窒素ガスと酸素ガスのガス流量比が1:1未満であると、酸素ガスの割合が低くなり、第1パッシベーション層81と第2パッシベーション層82が薄くて緻密でないことを招き、窒素ガスと酸素ガスのガス流量比が5:1を超えると、酸素ガスの割合が高すぎてマテリアルを浪費し、温度が650℃より低いと、第1パッシベーション層81と第2パッシベーション層82が薄くて緻密でないことを招き、温度が750℃より高いと、パッシベーション効果にあまり寄与せず、コストを増加させ、時間が10min未満であると、第1パッシベーション層81と第2パッシベーション層82が薄くて緻密でないことを招き、時間が20minを超えると、第1パッシベーション層81と第2パッシベーション層82が厚くて電池セルの効率に影響する。
【0078】
図6における(i)に示すように、第3パッシベーション層83と第4パッシベーション層84の材料は、SiN
x、SiN
xとSiON
xおよびSiO
xとの混合物、SiN
xとSiON
xの混合物、SiN
xとSiO
xの混合物のいずれか1種であってもよく、その役割が反射防止層として、シリコンウェーハ00の光吸収量を増やし、光電変換効率を高めることである。
【0079】
第3パッシベーション層83の厚さ範囲は、75nm~85nmであり、第4パッシベーション層84の厚さ範囲は、70nm~80nmであり、第3パッシベーション層83の厚さが75nm未満であり、第4パッシベーション層84の厚さが70nm未満であると、最適な反射防止透過増加効果に達することができない。第3パッシベーション層83の厚さが85nmを超え、第4パッシベーション層84の厚さが80nmを超えると、必要な工程時間が長く、効率が低くなるとともに、材料を浪費し、コストを増やす。したがって、第3パッシベーション層83の厚さ範囲を75nm~85nmに、第4パッシベーション層84の厚さ範囲を70nm~80nmに設定することで、最適な反射防止透過増加効果を確保できるだけでなく、必要な工程時間が長く、効率が低く、材料を浪費し、コストを増やすなどの問題を避けることができる。選択できるように、第3パッシベーション層83の厚さは75nm、77nm、79nm、81nm、83nmまたは85nmであってもよく、第4パッシベーション層84の厚さは70nm、72nm、74nm、76nm、78nmまたは80nmであってもよい。
【0080】
第3パッシベーション層83と第4パッシベーション層84の製造方法は、いずれもプラズマ強化化学気相成長法であり、第3パッシベーション層83と第4パッシベーション層84を製造する時、両者の工程パラメータは、温度を除いて他いずれも同じであり、他のパラメータは、モノシラン(SiH4)とアンモニア(NH3)の混合ガスのガス流量比範囲1:10~3:10と、気圧範囲1,000mtorr~2,000mtorrとを含む。なお、ガス流量比が1:10未満であると、生成されたパッシベーション層の屈折率が低く、パッシベーション効果が悪く、ガス流量比が3:10を超えると、パッシベーション層の屈折率が高く、接触効果が悪くなる。気圧が1,000mtorr未満であると、コーディング速度が遅く、気圧が2,000mtorrを超えると、生成された膜層の均一性が悪い。
【0081】
第3パッシベーション層83を製造する温度範囲は、500℃~570℃であり、第3パッシベーション層83を製造する温度が500℃未満であると、コーディング速度が遅く、第3パッシベーション層83を製造する温度が570℃を超えると、生成された膜層の均一性が悪くなる。
【0082】
第4パッシベーション層84を製造する温度範囲は、460℃~500℃であり、第4パッシベーション層84を製造する温度が460℃未満であると、コーディング速度が遅く、第4パッシベーション層84を製造する温度が500℃を超えると、生成された膜層の均一性が悪くなる。
【0083】
なお、パッシベーション層80の製造方法は、上記の方法のほか、本実施例で説明された膜層を形成することができる原子層堆積法(ALDと略す)、反応性スパッタリング法、マグネトロンスパッタリング法(物理蒸着PVDのうちの一種)なども含むが、これらに限定されるものではない。
【0084】
S11:シリコンウェーハ00の第1面01に電極90を形成する。
【0085】
図6における(j)に示すように、従来のシルクスクリーン印刷法と従来のペーストを利用してシリコンウェーハ00の第1面01に電極90を形成することができる。選択できるように、P型アモルファスシリコン41と接触する電極90は、銀アルミニウムペーストが好ましく、ここで、銀(Ag)成分の割合範囲が80%~90%で、アルミニウム(Al)成分の割合が1%~3%であり、電極90の幅範囲が20μm~40μmである。N型アモルファスシリコン42と接触する電極90は、銀ペーストが好ましく、ここで、銀(Ag)成分の割合範囲が82%~92%であり、電極90の幅範囲が20μm~40μmである。銀アルミニウムペーストと銀ペーストは、高温焼結過程でパッシベーション層80を腐食し、シリコンウェーハ00の裏面の多結晶シリコン層70と良好なオーミック接触を形成する。
【0086】
また、電極90は、アルミニウムペースト、銀張銅などを選ぶこともできる。
【0087】
なお、電極90の製造方法は、上記の方法のほか、本実施例で記載された電極90を形成できる金属蒸着法、電気メッキ法なども含むが、これらに限定されるものではない。
【0088】
電極90のレーザ照射方向に垂直な幅範囲は、10μm~80μmであり、電極90のレーザ照射方向に垂直な幅が10μm未満であると、キャリアの輸送に影響し、工程の難易度を高めており、電極90のレーザ照射方向に垂直な幅が80μmを超えると、コストが高くなる。したがって、電極90のレーザ照射方向に垂直な幅範囲を10μm~80μmに設定することで、キャリアの輸送に影響して工程の難易度を上げることを回避するだけでなく、コストが高くなることを回避することができる。選択できるように、電極90のレーザ照射方向に垂直な幅は、10μm、25μm、40μm、65μmまたは80μmであってもよい。
【0089】
電極90の多結晶シリコン層70に入り込む深さ範囲は、10nm~100nmであり、電極90の多結晶シリコン層70に入り込む深さが10nm未満であると、接触抵抗が悪くなり、電極90の多結晶シリコン層70に入り込む深さが100nmを超えると、パッシベーション効果に影響する。したがって、電極90の多結晶シリコン層70に入り込む深さ範囲を10nm~100nmに設定することで、接触抵抗が悪くなることを回避するだけでなく、パッシベーション効果に影響することも回避することができる。選択できるように、電極90の多結晶シリコン層70に入り込む深さは、10nm、30nm、50nm、70nmまたは100nmであってもよい。
【0090】
1つの選択可能な実施例では、N型ドーパント30は、含燐シリコンガラスまたはリン含有ワックスであり、ここで、含燐シリコンガラス中のリン原子31の濃度が1×1021atoms/cm3以上であり、リン含有ワックス中のリン原子31の質量分率が0.2%~2%である。
【0091】
具体的には、含燐シリコンガラス中のリン原子31濃度が1×1021atoms/cm3以上であり、あるいは、リン含有ワックス中のリン原子31の質量分率が0.2%~2%であることを満たすことができないと、P型アモルファスシリコン層20中のリン原子31のドーピング濃度が低くなり、P型アモルファスシリコン層20におけるP型アモルファスシリコン41がN型アモルファスシリコン42に変換されることに寄与せず、高集光条件での電圧飽和効果を解消し、光起電力電池の直列抵抗を下げることができない。したがって、含燐シリコンガラス中のリン原子31の濃度を1×1021atoms/cm3以上に設定したり、リン含有ワックス中のリン原子31の質量分率を0.2%~2%に設定したりすることで、P型アモルファスシリコン層20におけるP型アモルファスシリコン41がN型アモルファスシリコン42に変換されることに寄与するとともに、高集光条件下での電圧飽和効果を解消し、光起電力電池の直列抵抗を下げることができる。選択できるように、含燐シリコンガラス中のリン原子31の濃度は、1×1021atoms/cm3、2×1021atoms/cm3、3×1021atoms/cm3、4×1021atoms/cm3または5×1021atoms/cm3であってもよく、リン含有ワックス中のリン原子31の質量分率は、0.2%、0.6%、1%、1.5%または2%であってもよい。
【0092】
1つの選択可能な実施例では、N型ドーパント30を除去することは、トラフ型装置を利用して、水酸化カリウムとジエチレングリコールブチルエーテルの混合液でN型ドーパント30を除去し、ここで、水酸化カリウムの濃度範囲が0.1%~0.5%であり、ジエチレングリコールブチルエーテルの濃度範囲が0.1%~0.3%であることを含む。
【0093】
具体的には、N型ドーパント30は、光起電力電池の構造ではなく、P型アモルファスシリコン層20をP型アモルファスシリコン41とN型アモルファスシリコン42が交互に配列されたアモルファスシリコン層40に変換するために使われ、使用後にN型ドーパント30を除去する必要がある。N型ドーパント30を除去する方法は、トラフ型装置を採用することを含み、トラフ型装置の場合、常温条件(一般的には25℃)に制御する必要があり、時間が60sである。水酸化カリウムとジエチレングリコールブチルエーテルの混合液でN型ドーパント30を除去し、ここで、水酸化カリウムの濃度範囲が0.1%~0.5%であり、ジエチレングリコールブチルエーテルの濃度範囲が0.1%~0.3%である。水酸化カリウムの濃度が0.1%未満であると、N型ドーパント30を完全に除去することができず、後続の光起電力電池膜層の製造に影響し、最終的に光起電力電池全体の構造と発電効率に影響を与える。水酸化カリウムの濃度が0.5%を超えると、エッチング速度が速くてコントロールが困難になり、アモルファスシリコン層40を損傷しやすくなり、光起電力電池の構造と発電効率に影響する。ジエチレングリコールブチルエーテルの濃度が0.1%未満であると、N型ドーパント30を完全に除去することができず、後続の光起電力電池膜層の製造に影響し、最終的に光起電力電池全体の構造と発電効率に影響する。ジエチレングリコールブチルエーテルの濃度が0.3%を超えると、エッチング速度にあまり影響しないとともに、材料の浪費を招きやすい。したがって、水酸化カリウムの濃度範囲を0.1%~0.5%に設定し、ジエチレングリコールブチルエーテルの濃度範囲を0.1%~0.3%に設定することで、N型ドーパント30を完全に除去し、後続の光起電力電池膜層の製造及び光起電力電池の構造と発電効率に影響しないことを確保することができるだけでなく、エッチング速度を制御し、材料の浪費を避けることができる。選択できるように、水酸化カリウムの濃度は、0.1%、0.2%、0.3%、0.4%または0.5%であってもよく、ジエチレングリコールブチルエーテルの濃度は、0.1%、0.15%、0.2%、0.25%または0.3%であってもよい。
【0094】
1つの選択可能な実施例では、P型アモルファスシリコン層20中のホウ素原子21のドーピング濃度範囲は、3.0×1019atoms/cm3~3.0×1020atoms/cm3である。
【0095】
具体的には、P型アモルファスシリコン層20中のホウ素原子21のドーピング濃度が3.0×1019atoms/cm3未満であると、電極90とP型アモルファスシリコンとの接触及びフィールドパッシベーション効果が悪くなり、P型アモルファスシリコン層20中のホウ素原子21のドーピング濃度が3.0×1020atoms/cm3を超えると、コストと時間を浪費する。したがって、P型アモルファスシリコン層20中のホウ素原子21のドーピング濃度範囲を3.0×1019atoms/cm3~3.0×1020atoms/cm3に設定することで、電極90とP型アモルファスシリコンとの接触及びフィールドパッシベーション効果に影響しないだけでなく、コストや時間の浪費を避けることができる。選択できるように、P型アモルファスシリコン層20中のホウ素原子21のドーピング濃度は、3.0×1019atoms/cm3、1.5×1020atoms/cm3、3.0×1020atoms/cm3であってもよい。
【0096】
1つの選択可能な実施例では、
図2における(d)~(e)に示すように、シリコンウェーハ00の第1面01を処理した後、トレンチ61の深さは、多結晶シリコン層70とトンネル酸化層10の総厚さよりも大きい。
【0097】
具体的には、シリコンウェーハ00の第1面01を処理した後、トレンチ61の深さは、多結晶シリコン層70とトンネル酸化層10の総厚さよりも大きく、これは、トレンチ61がシリコンウェーハ00に入り込んでいるのと同じである。これにより、P型アモルファスシリコン41とN型アモルファスシリコン42は、完全に遮断され、漏電現象を防止することができる。
【0098】
ここで、トレンチ61がシリコンウェーハ00に入り込む深さ範囲は、0.2μm~2μmであり、トレンチ61がシリコンウェーハ00に入り込む深さが0.2μm未満であると、トレンチ61は、良好な絶縁効果を発揮できず、漏電のリスクがあり、トレンチ61がシリコンウェーハ00に入り込む深さが2μmを超えると、パッシベーション効果に影響する。したがって、トレンチ61がシリコンウェーハ00に入り込む深さ範囲を0.2μm~2μmに設定することで、トレンチ61が良好な絶縁効果を発揮し、漏電のリスクを回避するだけでなく、パッシベーション効果に影響することを避けることができる。選択できるように、トレンチ61がシリコンウェーハ00に入り込む深さは、0.2μm、0.6μm、1μm、1.4μm、1.8μmまたは2μmであってもよい。
【0099】
1つの選択可能な実施例では、
図5に示すように、シリコンウェーハ00の第1面01を処理すると同時に、シリコンウェーハ00の第2面02を処理することは、トラフ型装置を利用して、水酸化カリウム、添加剤および脱イオン水でシリコンウェーハ00の第1面01と第2面02を同時に処理し、ここで、水酸化カリウムの濃度範囲は、1%~1.5%で、添加剤の濃度範囲は、0.5%~1%であることを含む。
【0100】
具体的には、水酸化カリウムの濃度が1%未満であると、反応速度が遅すぎて、時間を浪費する。水酸化カリウムの濃度が1.5%を超えると、反応速度が速すぎて、過程をコントロールしにくくなる。したがって、水酸化カリウムの濃度範囲を1%~1.5%に設定することで、反応速度が遅すぎて時間を浪費することを回避するとともに、反応速度が速すぎて過程をコントロールしにくいことを避けることができる。選択できるように、水酸化カリウムの濃度は、1%、1.1%、1.2%、1.3%、1.4%または1.5%であってもよい。
【0101】
添加剤の主成分は、水、イソプロピルアルコール(IPA)、水酸化ナトリウム(NaOH)、弱酸塩および界面活性剤を含む。添加剤の濃度が0.5%未満であると、反応速度が速すぎて、過程をコントロールしにくくなる。添加剤の濃度が1%を超えると、反応速度が遅すぎて、時間を浪費する。したがって、添加剤の濃度範囲を0.5%~1%に設定することで、反応速度が速すぎて過程をコントロールしにくいことを回避するとともに、反応速度が遅すぎて時間を浪費することを避けることができる。選択できるように、添加剤の濃度は、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%または1%であってもよい。
【0102】
1つの選択可能な実施例では、
図2における(e)-f)に示すように、保護層50を除去することは、トラフ型装置を利用して、フッ化水素溶液をで保護層50を除去し、ここで、フッ化水素の濃度範囲は、10%~20%であることを含む。
【0103】
具体的には、フッ化水素の濃度が10%未満であると、保護層50を完全に除去することができず、除去時間が長すぎる。フッ化水素の濃度が20%を超えると、マテリアルの浪費を招く。したがって、フッ化水素の濃度範囲を10%~20%に設定することで、保護層50を完全に除去できず、除去時間が長すぎることを回避するとともに、マテリアルの浪費を避けることができる。選択できるように、フッ化水素の濃度は、10%、12%、14%、16%、18%または20%であってもよい。
【0104】
1つの選択可能な実施例では、シリコンウェーハ00の第1面01に対して高温処理を行う場合、高温処理の温度範囲は、850℃~950℃である。
【0105】
具体的には、高温処理の温度が850℃より低いと、アモルファスシリコン層40から多結晶シリコン層70への変換率が低くなる。高温処理の温度が950℃より高いと、多結晶シリコン層70の界面準位密度が増加する。したがって、高温処理の温度範囲を850℃~950℃に設定することで、アモルファスシリコン層40から多結晶シリコン層70への変換率を確保できるとともに、多結晶シリコン層70の界面準位密度が増加することを避けることができる。選択できるように、高温の温度は、850℃、870℃、890℃、910℃、930℃または950℃であってもよい。
【0106】
1つの選択可能な実施例では、
図7は、本発明の実施例で提供される光起電力電池の構造を示す図である。
図7に示すように、光起電力電池100は、上記のいずれかの光起電力電池の製造方法で製造された光起電力電池を含む。
【0107】
具体的には、光照射方向に垂直な方向に沿って、光起電力電池100は、トレンチ領域130と、それぞれトレンチ領域130の両側に位置する第1電極領域110及び第2電極領域120と、を含む。光照射方向に沿って、トレンチ領域130は、第4パッシベーション層84、第2パッシベーション層82、シリコンウェーハ00、第1パッシベーション層81及び第3パッシベーション層83を順次含み、第1電極領域110は、第4パッシベーション層84、第2パッシベーション層82、シリコンウェーハ00、トンネル酸化層10、N型多結晶シリコン72、第1パッシベーション層81、第3パッシベーション層83及び電極90を順次含み、第2電極領域120は、第4パッシベーション層84、第2パッシベーション層82、シリコンウェーハ00、トンネル酸化層10、P型多結晶シリコン71、第1パッシベーション層81、第3パッシベーション層83及び電極90を順次含む。
【0108】
1つの選択可能な実施例では、
図8は、本発明で提供される光起電力モジュールの構造を示す図である。
図8に示すように、光起電力モジュール200は、上記のいずれかの光起電力電池の製造方法で製造された光起電力電池100を含む。
【0109】
具体的には、本実施例で提供される光起電力モジュール200は、積層部材210と、積層部材210の周囲に被覆された光起電力モジュールフレーム220と、を含み、積層部材210は、光照射方向に沿って、前面板211、第1封止用接着フィルム212、少なくとも1セットのセルストリング213、第2封止用接着フィルム214及び裏面板215を順次含む。ここで、セルストリング213は、上記のいずれかの光起電力電池の製造方法で製造された光起電力電池100を含み、その他がいずれも従来の構造であるため、ここでは説明を割愛する。
【0110】
上記の実施例からわかるように、本発明の実施例で提供される光起電力電池及びその製造方法、光起電力モジュールは、少なくとも以下のような有益な効果を達成している。
【0111】
本発明は、光起電力電池およびその製造方法、光起電力モジュールを提供している。この光起電力電池の製造方法は、光起電力電池の製造工程を簡略化かつ改良し、N型ドーパントを利用してP型多結晶シリコンをN型多結晶シリコンに変換し、ドープして形成されたキャリアの選択的な輸送性能を向上させ、この種類の光起電力電池が従来の結晶シリコン電池生産ラインと組み合わせて大掛りに生産されることができるだけでなく、光起電力電池の光電変換効率を大幅に高めることができる。
【0112】
例によって、本発明のいくつかの特定の実施例を詳しく説明したが、上記の例は、説明するためのものだけであり、本発明の範囲を限定するためのものではないことを当業者は理解すべきである。当業者は、本発明の範囲及び精神から逸脱することなく、上記の実施例を変更することができることを理解すべきである。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって限定されている。