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▶ サヌルス メディカル エルエルシーの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-13
(45)【発行日】2024-12-23
(54)【発明の名称】材料の標的送達のための装置および方法
(51)【国際特許分類】
   A61F 9/007 20060101AFI20241216BHJP
【FI】
A61F9/007 120
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2023501166
(86)(22)【出願日】2021-07-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-01
(86)【国際出願番号】 US2021070831
(87)【国際公開番号】W WO2022011382
(87)【国際公開日】2022-01-13
【審査請求日】2023-03-03
(31)【優先権主張番号】63/049,044
(32)【優先日】2020-07-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/050,695
(32)【優先日】2020-07-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521027722
【氏名又は名称】サヌルス メディカル エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ポラック,ジョン・エス
(72)【発明者】
【氏名】ボス,ウィリアム・アール
【審査官】大橋 俊之
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-537208(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0022691(US,A1)
【文献】特表2015-530202(JP,A)
【文献】米国特許第05324305(US,A)
【文献】特表2007-527256(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 9/007
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体接着物質(101)を網膜に適用するための装置(100)であって、
外側スリーブであって、近位端と、遠位端(102a)と、前記外側スリーブの長さに沿って延びる通路(103)と、前記外側スリーブの前記遠位端の開口部とを備える外側スリーブ(102,202,302,402,412,422,452)、
近位端および遠位端を有する細長い本体(104,208,454,554,704)と、
前記細長い本体の前記遠位端に結合したアプリケータ部分(310,460,560,610,650,702)と
を備えるアプリケータ先端部(106,156,206,306)、および
前記装置の長さに沿って延びており、生体接着物質を前記アプリケータ先端部の少なくとも前記アプリケータ部分に適用できるように、前記生体接着物質を通過させることができる物質供給管腔(105,203,340,710)を備えており、
前記アプリケータ先端部は、前記アプリケータ部分が前記外側スリーブ内に収容される第1の位置と、前記アプリケータ先端部が前記外側スリーブの前記遠位端の前記開口部を過ぎて位置する第2の位置との間を移動するように構成され、
前記アプリケータ部分は、前記アプリケータ部分が前記第1の位置にあるときの第1の幅、および前記アプリケータ部分が前記第2の位置にあるときの第2の幅を有し、前記第2の幅は、前記第1の幅よりも実質的に大きく、
前記アプリケータ部分は、前記外側スリーブの前記通路内に受け入れ可能な第1の形状と前記外側スリーブの前記通路よりも大きい第2の形状との間で変形可能で、
前記第2の形状においては、前記アプリケータ部分の表面が概して幅広く平坦で、前記アプリケータ部分の厚さよりも大きな幅と長さを有する、装置。
【請求項2】
少なくとも前記物質供給管腔は、流体連通した前記生体接着物質の供給源を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記物質供給管腔は前記外側スリーブとは別個の管腔である、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記物質供給管腔は、前記アプリケータ先端部の少なくとも前記細長い本体を通って延びる通路である、請求項1~3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記物質供給管腔は、前記外側スリーブの内側に配置され、前記外側スリーブに対して延ばすことが可能かつ引き込むことが可能である別個のカニューレを備える、先行する請求項のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記物質供給管腔は、前記外側スリーブに対して軸方向に固定され、前記アプリケータ部分が遠位方向に進められるときに前記アプリケータ部分の長さの少なくとも一部分に沿って前記生体接着物質を前記アプリケータ部分上に滲出させることができるように、前記外側スリーブの端部に隣接した開口部を有する、先行する請求項のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記外側スリーブの近位端に結合したハンドルをさらに備える、先行する請求項のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記アプリケータ部分は、前記アプリケータ先端部が前記外側スリーブ内へと近位方向に引き戻されるときに前記アプリケータ部分の第1の側の部分が第2の側の部分に向かって丸まるようにバイアスされている、先行する請求項のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
前記アプリケータ先端部の前記細長い本体は、前記装置の近位端まで前記外側スリーブを通って延びる、先行する請求項のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
前記アプリケータ先端部の前記細長い本体は、前記アプリケータ部分と一体に形成されている、または取り外し不可能に結合されている、先行する請求項のいずれか1項に記載の装置。
【請求項11】
前記アプリケータ部分は、前記アプリケータ部分が前記外側スリーブ内へと近位方向に引き戻されるときに前記外側スリーブの前記通路内に畳まれるようにバイアスされている、先行する請求項のいずれか1項に記載の装置。
【請求項12】
前記アプリケータ部分は、前記アプリケータ先端部が前記外側スリーブ内へと近位方向に引き戻されるときに前記アプリケータ部分の第1の側の部分が第2の側の部分に向かって折り曲げられるように、または畳まれるようにバイアスされている、先行する請求項のいずれか1項に記載の装置。
【請求項13】
前記アプリケータ先端部の少なくとも前記細長い本体を通る前記通路は、
i.前記アプリケータ部分の近位端の開口部、または
ii.前記アプリケータ部分の第1の表面を通過する複数の開口部、または
iii.前記アプリケータ部分の近位端の前記開口部および前記アプリケータ部分の前記第1の表面を通過する前記複数の開口部に連絡している、先行する請求項のいずれか1項に記載の装置。
【請求項14】
前記アプリケータ部分は、前記アプリケータ部分の軸方向中心線の一方側に位置する第1の側の部分が、前記アプリケータ部分の他方側部分に位置する第2の側の部分とは異なる形状を有するように、非対称形状を有し、前記第1および第2の側は、前記アプリケータ部分の軸方向中心線によって分割されている、先行する請求項のいずれか1項に記載の装置。
【請求項15】
前記アプリケータ部分は、前記アプリケータ部分の軸方向中心線の一方側に位置する第1の側の部分の第1の長さが、前記アプリケータ部分の前記軸方向中心線の第2の側に位置する第2の側の部分の第2の長さよりも長い非対称形状を有する、
任意には、前記第1の側の部分は、軸方向の第1の長さを有する第1の移行部分を有し、前記第2の側の部分は、軸方向の第2の長さを有する第2の移行部分を有し、前記第1の移行部分の前記第1の長さは、前記第2の移行部分の前記第2の長さよりも小さい、先行する請求項のいずれか1項に記載の装置。
【請求項16】
前記アプリケータ部分は、非対称な幅を有する、任意には、前記アプリケータ部分は、非対称な厚さも有する、先行する請求項のいずれか1項に記載の装置。
【請求項17】
前記アプリケータ部分は、前記アプリケータ部分の第1の側における前記アプリケータ部分の厚さプロファイルが前記アプリケータ部分の第2の側における前記アプリケータ部分の厚さプロファイルとは異なるように、幅方向において非対称な厚さを有する、
任意には、前記アプリケータ部分の前記第1の側の部分は、前記第2の側の部分よりも柔軟である、先行する請求項のいずれか1項に記載の装置。
【請求項18】
前記アプリケータ部分は、前記アプリケータ部分が前記外側スリーブ内へと引き戻されるときに、第2の側の部分が収縮する前に第1の側の部分が収縮するように構成されている、先行する請求項のいずれか1項に記載の装置。
【請求項19】
前記外側スリーブは、前記外側スリーブの前記遠位端のノッチを有する、
任意には、ノッチは前記アプリケータ部分が前記外側スリーブの前記遠位端に引き込まれるときの前記アプリケータ部分の収縮またはサイズの縮小を容易にするように構成されている、先行する請求項のいずれか1項に記載の装置。
【請求項20】
前記ノッチは、概ね「v」字の形状であり、あるいは近位方向に狭くなるテーパ状の形状を有する、または
前記ノッチは、概ね「u」字の形状であり、あるいは均一な幅および前記ノッチの近位端の丸みを帯びた端部を有する、請求項19に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権の主張および参照による援用
本出願は、2020年7月7日に出願された米国特許出願第63/049,044号および2020年7月10日に出願された米国特許出願第63/050,695号に対する米国特許法第119条(e)の下での利益を主張する。これらの優先権出願の各々の内容は、あらゆる目的に関して、あたかも本明細書に完全に記載されているかのように、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。本出願と共に提出された出願データシートにおいて外国または国内の優先権主張が特定されているあらゆる出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれ、本明細書の一部とされる。
【0002】
分野
本明細書に開示される装置および方法は、網膜組織への生体接着剤の送達および塗布など、組織表面への物質の標的送達に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
裂傷および裂孔などの網膜の不連続部に関連する黄斑円孔および網膜剥離を治療するための既存の方法として、パーフルオロカーボン、レーザー、凍結療法、気泡注入、およびシリコーン油の使用が挙げられる。網膜下腔から流体を押し出すためにパーフルオロカーボンを使用すると、網膜下腔へのパーフルオロカーボン液の意図せぬ移動につながりかねず、それが中心黄斑に位置する場合、視力の喪失につながる可能性がある。硝子体腔からパーフルオロカーボン液が完全に除かれないと、患者が不快に感じ得る関連の視覚現象を引き起こす可能性がある。レーザーおよび凍結療法の使用は、永続的な網膜瘢痕組織の形成をもたらし、網膜上膜および網膜上瘢痕組織の形成の一因となり得る。気泡注入の使用は、患者の活動の制限につながり、眼圧の上昇および白内障などの合併症を引き起こす可能性がある。同様に、シリコーン油は、眼圧上昇などの合併症を引き起こすことがあり、除去のための第2の手術を必要とし、患者の視覚を乱しかねない残存する油泡が除去の試みの後も残ることが多いため、問題となり得る。
【0004】
切開、強膜切開、および裂傷などの漏出性の眼壁不連続部を治療するための既存の方法として、縫合糸および市販の生体接着剤が挙げられる。縫合された不連続部は、漏れが続くことがある。縫合糸は、眼の刺激、疼痛、および流涙を引き起こし、上強膜および結膜の浮腫および炎症を含む局所組織反応を引き起こすこともある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
いくつかの生体接着剤の1つの難点は、それらが毒性を引き起こす可能性である。別の難点は、生体接着剤送達装置の先端を離れるときの生体接着剤への重力の影響ゆえに、眼の内側および外側のどちらでも、生体接着剤を非垂下の眼表面に塗布することが困難である可能性である。例えば、眼の側方または上方の位置に網膜裂孔が存在する眼において、重力ゆえに網膜裂孔への生体接着剤の塗布が困難になる可能性があり、なぜならば、生体接着剤が塗布装置から吐出されるとすぐに、重力によって生体接着剤の滴下または液だれが生じ、網膜不連続部への正確な塗布を妨げる可能性があるからである。同じ問題が、液体または粘性材料を眼の側方および下方の外面に塗布しようとする場合にも生じる。生体接着剤における別の難点は、網膜および他の眼表面の大きな不連続部、ならびに不規則形状の縁部または互いに異なる高さにある縁部を有する組織不連続部への塗布が、困難である可能性である。網膜不連続部に生体接着剤を塗布する難題は、経強膜の網膜下方へのアプローチを使用して試みられる場合に、さらにより困難である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
いくつかの例示的な実施形態の概要
本開示のシステム、方法、および装置の各々は、いくつかの革新的な態様、実装形態、または態様を有するが、それらのうちの単一の1つが本明細書に開示される所望の属性に単独で寄与するものではない。
【0007】
網膜に生体接着物質を適用するための装置およびシステムの実施形態が、本明細書に開示され、それらの実施形態は、近位端と、遠位端と、細長い本体の長さに沿って延びる通路と、細長い本体の遠位端の開口部とを有する外側スリーブ、近位端および遠位端を有する細長い本体と、細長い本体の遠位端に結合したアプリケータ部分とを含むアプリケータ先端部、および装置の長さに沿って延びており、生体接着物質をアプリケータ先端部の少なくともアプリケータ部分に適用できるように生体接着物質を通過させることができる物質供給管腔、を含む。装置のいくつかの実施形態は、少なくとも物質供給管腔に流体連通する生体接着物質の供給源をさらに有することができる。
【0008】
本明細書に開示される装置、システム、および方法の任意の実施形態は、さらなる実施形態において、以下の特徴、構成要素、および/または詳細、すなわちアプリケータ先端部が、アプリケータ部分が外側スリーブ内に収容される第1の位置と、アプリケータ先端部が外側スリーブの遠位端の開口部を過ぎて位置する第2の位置との間を移動するように構成されること;アプリケータ部分が、アプリケータ部分が第1の位置にあるときの第1の幅、およびアプリケータ部分が第2の位置にあるときの第2の幅を有することができ、第2の幅は第1の幅よりも実質的に大きいこと;物質供給管腔が、アプリケータ先端部の少なくとも細長い本体を通って延びる通路であること;物質供給管腔が、外側スリーブの内側に配置され、外側スリーブに対して延ばすことが可能かつ引き込むことが可能である別個のカニューレを含むことができること;物質供給管腔が、外側スリーブに対して軸方向に固定されてよく、アプリケータ部分が遠位方向に進められるときにアプリケータ部分の長さの少なくとも一部に沿って生体接着物質をアプリケータ部分上に滲出させることができるように、外側スリーブの端部に隣接した開口部を有することができること;装置が、外側スリーブの近位端に結合したハンドルを含むこと;アプリケータ部分が、アプリケータ先端部が外側スリーブ内へと近位方向に引き戻されるときにアプリケータ部分の第1の側の部分が第2の側の部分に向かって丸まるようにバイアスされてよいこと;アプリケータ先端部の細長い本体が、外側スリーブを通って装置の少なくとも近位端まで延びること;アプリケータ先端部の細長い本体が、アプリケータ部分と一体に形成されてよいこと;アプリケータ部分が、アプリケータ先端部の細長い本体に取り外し不可能に結合してよいこと;アプリケータ部分が、装置と一緒に患者の身体から取り除かれるように構成されてよいこと;アプリケータ部分が、装置が患者の身体から取り除かれる前に第1の位置に移動させられるように構成されてよいこと;アプリケータ部分が、アプリケータ部分が外側スリーブ内へと近位方向に引き戻されるときに外側スリーブの通路内に畳まれるようにバイアスされてよいこと;アプリケータ部分が、アプリケータ先端部が外側スリーブ内へと近位方向に引き戻されるときにアプリケータ部分の第1の側の部分が第2の側の部分に向かって折り曲げられるようにバイアスされてよいこと;アプリケータ部分が、アプリケータ先端部が外側スリーブ内へと近位方向に引き戻されるときにアプリケータ部分の第1の側の部分が第2の側の部分に向かって畳まれるようにバイアスされてよいこと;および/またはアプリケータ先端部の少なくとも細長い本体を通る通路が、アプリケータ部分の近位端の開口部に連絡していること;のうちの1つ以上を、本明細書に開示される任意の他の実施形態の任意の他の特徴、構成要素、および/または詳細との任意の組み合わせにて、含むことができる。
【0009】
本明細書に開示される装置、システム、および方法の任意の実施形態は、さらなる実施形態において、以下の特徴、構成要素、および/または詳細、すなわちアプリケータ先端部の少なくとも細長い本体を通る通路が、アプリケータ部分の第1の表面を通過する複数の開口部に連絡していること;アプリケータ部分が、アプリケータ部分の軸方向中心線の一方側に位置する第1の側の部分が、アプリケータ部分の他方側部分に位置する第2の側の部分とは異なる形状を有することができるように、非対称形状を有することができ、第1および第2の側は、アプリケータ部分の軸方向中心線によって分割されること;アプリケータ部分が、アプリケータ部分の軸方向中心線の一方側に位置する第1の側の部分の第1の長さが、アプリケータ部分の軸方向中心線の第2の側に位置する第2の側の部分の第2の長さよりも長くなり得る非対称形状を有することができること;第1の側の部分が、軸方向の第1の長さを有する第1の移行部分を有することができ、第2の側の部分が、軸方向の第2の長さを有する第2の移行部分を有し、第1の移行部分の第1の長さが、第2の移行部分の第2の長さよりも小さくてよいこと;アプリケータ部分が、非対称な幅を有することができること;アプリケータ部分が、アプリケータ部分の第1の側におけるアプリケータ部分の厚さプロファイルがアプリケータ部分の第2の側におけるアプリケータ部分の厚さプロファイルとは異なってよいように、幅方向において非対称な厚さを有してよいこと;アプリケータ部分の第1の側の部分が、第2の側の部分よりも柔軟であってよいこと;および/またはアプリケータ部分が、アプリケータ部分が外側スリーブ内へと引き戻されるときに、第2の側の部分が収縮する前に第1の側の部分が収縮するように構成されてよいこと;アプリケータ部分が、非対称な幅および非対称な厚さを有することができること;のうちの1つ以上を、本明細書に開示される任意の他の実施形態の任意の他の特徴、構成要素、および/または詳細との任意の組み合わせにて、含むことができる。
【0010】
本明細書に開示される装置、システム、および方法の任意の実施形態は、さらなる実施形態において、以下の特徴、構成要素、および/または詳細、すなわち外側スリーブが、外側スリーブの遠位端にノッチを有することができること;外側スリーブが、アプリケータ部分が外側スリーブの遠位端に引き込まれるときのアプリケータ部分の収縮またはサイズの縮小を容易にするように構成された外側スリーブの遠位端のノッチを有することができること;ノッチが、概ね「v」字の形状であってよく、あるいは近位方向に狭くなるテーパ状の形状を有することができること;および/またはノッチが、概ね「u」字の形状であってよく、あるいは均一な幅およびノッチの近位端の丸みを帯びた端部を有することができること;のうちの1つ以上を、本明細書に開示される任意の他の実施形態の任意の他の特徴、構成要素、および/または詳細との任意の組み合わせにて、含むことができる。
【0011】
カニューレと、アプリケータ先端部とを含んでおり、カニューレは、近位端と、遠位端と、カニューレの長さに沿って延びる通路とを備えている組織表面に物質を適用するための装置およびシステムの実施形態が、本明細書に開示される。いくつかの実施形態において、アプリケータ先端部は、近位端および遠位端を有する細長い本体と、細長い本体の遠位端に結合したアプリケータ部分と、アプリケータ先端部の少なくとも細長い本体を通る通路と、カニューレの近位端に結合したハンドルと、少なくともアプリケータ先端部の細長い本体の長さに沿って延びる通路に流体連通する物質の供給源とを含むことができる。
【0012】
本明細書に開示される装置、システム、および方法の任意の実施形態は、さらなる実施形態において、以下の特徴、構成要素、および/または詳細、すなわちアプリケータ先端部が、アプリケータ部分がカニューレ内に収容される第1の位置と、アプリケータ先端部がカニューレの遠位端を過ぎて延びる第2の位置との間を、カニューレの通路の長さに沿って移動するように構成されてよいこと;アプリケータ部分が、アプリケータ部分が第1の位置にあるときの第1の幅、およびアプリケータ部分が第2の位置にあるときの第2の幅を有することができ、第2の幅が第1の幅よりも実質的に大きいこと;アプリケータ部分が、アプリケータ先端部がカニューレ内へと近位方向に引き戻されるときにカニューレの通路内に畳まれるようにバイアスされてよいこと;物質が生体接着剤であってよいこと;組織が眼組織を含むことができること;アプリケータ部分が、アプリケータ先端部がカニューレ内へと近位方向に引き戻されるときにアプリケータ部分の第1の側の部分が第2の側の部分に向かって丸まるようにバイアスされてよいこと;アプリケータ部分が、アプリケータ先端部がカニューレ内へと近位方向に引き戻されるときにアプリケータ部分の第1の側の部分が第2の側の部分に向かって折り曲げられるようにバイアスされてよいこと;アプリケータ部分が、アプリケータ先端部がカニューレ内へと近位方向に引き戻されるときにアプリケータ部分の第1の側の部分が第2の側の部分に向かって畳まれるようにバイアスされてよいこと;アプリケータ先端部の少なくとも細長い本体を通る通路が、アプリケータ部分の近位端の開口部に連絡していること;および/またはアプリケータ先端部の少なくとも細長い本体を通る通路が、アプリケータ部分の第1の表面を通過する複数の開口部に連絡していること;のうちの1つ以上を、本明細書に開示される任意の他の実施形態の任意の他の特徴、構成要素、および/または詳細との任意の組み合わせにて、含むことができる。
【0013】
網膜組織の欠陥を治療する方法の実施形態であって、生体接着物質を適用するための装置を欠陥に向かって前進させることと、装置のアプリケータ先端部の少なくとも一部分を生体接着物質で覆うことと、アプリケータ先端部を装置の外側スリーブの遠位端を過ぎて前進させることと、生体接着物質を装置のアプリケータ先端部から欠陥へと移すこととを含む方法の実施形態が、本明細書に開示される。いくつかの実施形態において、本方法は、アプリケータ先端部を外側スリーブ内に引き戻すことによってアプリケータ先端部をより小さいサイズに丸め、あるいは畳むことをさらに含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】物体の表面に物質を適用するための装置の実施形態の上面図を示しており、第2の状態または延ばされた状態の装置を示している。
図2図1に示した装置の実施形態の側面図を示しており、第2の状態または展開された状態の装置を示している。
図3図1に示した装置の実施形態の側面図を示しており、第1の状態または引き戻された状態の装置を示している。
図4図1に示した装置の実施形態の端面図を示しており、第1の状態または引き戻された状態の装置を示している。
図5】装置の別の実施形態の端面図を示しており、第1の状態または引き戻された状態の装置を示している。
図6】アプリケータの別の実施形態の上面図を示している。
図7A】物体の表面に物質を適用するための装置の別の実施形態の断面図を示しており、第2の状態または展開された状態の装置を示している。
図7B】物体の表面に物質を適用するための装置の別の実施形態の断面図を示しており、第2の状態または展開された状態の装置を示している。
図8A】本明細書に記載のシステムまたは装置の非限定的な例を示している。
図8B】本明細書に記載のシステムまたは装置の非限定的な例を示している。
図8C】本明細書に記載のシステムまたは装置の非限定的な例を示している。
図9】光または焼灼のためのファイバまたはワイヤを有するカニューレの例を示している。
図10】物体の表面に物質を適用するための装置の別の実施形態の側面図を示しており、第2の状態または延ばされた状態の装置を示している。
図11図10に示した装置の実施形態の側面図を示しており、やはり第2の状態または延ばされた状態の装置を示している。
図12】眼内に外科的に前進させた表面に物質を適用するための装置の一実施形態の側面図であり、格納状態のアプリケータ部分を示している。
図13】眼内に外科的に前進させた図12に示した装置の側面図であり、延ばされて展開した状態のアプリケータ部分を示している。
図14】眼内に外科的に前進させた表面に物質を適用するための装置の別の実施形態の側面図であり、外側カニューレ内に格納された状態の供給カニューレを示している。
図15図14に示した装置の実施形態の側面図であり、アプリケータ部分の一部分に重なるように延ばされた状態にある供給カニューレを示している。
図16図14に示した装置の実施形態の側面図であり、物質で少なくとも部分的に覆われたアプリケータ部分を示している。
図17図14に示した装置の実施形態の側面図であり、眼内の組織欠陥に物質を移動させているアプリケータ部分を示している。
図18A】本明細書に開示された装置の任意の実施形態と共に使用することができるカニューレの実施形態の端部の斜視図である。
図18B図18Aに示したカニューレの実施形態の図18Aの線18B-18Bを通って得た断面図である。
図18C図18Aに示したカニューレの実施形態の上面図である。
図19A】本明細書に開示された装置の任意の実施形態と共に使用することができるカニューレの別の実施形態の端部の斜視図である。
図19B図19Aに示したカニューレの実施形態の図19Aの線19B-19Bを通って得た断面図である。
図19C図19Aに示したカニューレの実施形態の上面図である。
図20A】本明細書に開示された装置の任意の実施形態と共に使用することができるカニューレの別の実施形態の端部の上面図である。
図20B】本明細書に開示された装置の任意の実施形態と共に使用することができるカニューレの別の実施形態の端部の上面図である。
図20C】本明細書に開示された装置の任意の実施形態と共に使用することができるカニューレの別の実施形態の端部の上面図である。
図21】本明細書に開示された任意の装置の実施形態と共に使用することができるアプリケータの実施形態の上面図である。
図22】本明細書に開示された任意の装置の実施形態と共に使用することができるアプリケータの別の実施形態の上面図である。
図23】本明細書に開示された任意の装置の実施形態と共に使用することができるアプリケータの別の実施形態の上面図である。
図24】本明細書に開示された任意の装置の実施形態と共に使用することができるアプリケータの別の実施形態の上面図である。
図25】本明細書に開示された装置の任意の実施形態において使用することができるアプリケータ部分の実施形態について、図21の線25-25を通って得た断面図であり、したがって、この断面は、アプリケータの軸方向中心線に垂直である。
図26】本明細書に開示された装置の任意の実施形態において使用することができるアプリケータ部分の別の実施形態の断面図であり、この断面は、アプリケータの軸方向中心線に垂直である。
図27】本明細書に開示された装置の任意の実施形態において使用することができるアプリケータ部分の別の実施形態の断面図であり、この断面は、アプリケータの軸方向中心線に垂直である。
図28】本明細書に開示された装置の任意の実施形態において使用することができるアプリケータ部分の別の実施形態の断面図であり、この断面は、アプリケータの軸方向中心線に垂直である。
図29】本明細書に開示された装置の任意の実施形態において使用することができるアプリケータ部分の別の実施形態の断面図であり、この断面は、アプリケータの軸方向中心線に垂直である。
図30】送達装置の別の実施形態の端部の斜視図であり、引き戻されて畳まれた状態のアプリケータおよび引き戻された状態の物質送達カニューレを示している。
図31図30に示した送達装置の実施形態の端部の斜視図であり、途中まで前進させられた位置にあり、広がった状態にあるアプリケータ部分を示している。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下の詳細な説明においては、以下の詳細な説明の一部を形成する添付の図面を参照する。図面においては、文脈上別段の指示がない限り、類似の記号は、典型的には、類似の構成要素を指す。詳細な説明、図面、および特許請求の範囲に記載される例示的な実施形態は、限定を意味するものではない。本明細書に提示される主題の趣旨または範囲から逸脱することなく、他の実施形態を利用することができ、他の変更を行うことができる。本明細書において一般的に説明され、図面に示される本開示の態様は、多種多様な異なる構成にて配置、置換、組み合わせ、分離、および設計が可能であり、それらのすべてが本明細書において明示的に企図されていることが、容易に理解されよう。
【0016】
当技術分野において、眼または他の生体組織に治療物質を適用するための問題のない使いやすい装置および方法が必要とされている。本明細書において、例えば、限定はされないが、生体物質を組織表面に適用するなど、物質を表面に適用するためのシステム、装置、および方法が開示される。本明細書に開示される任意の装置および方法の用途のいくつかの例として、これらに限られるわけではないが、網膜の裂孔、円孔、または剥離などに関して、眼組織に生体接着剤などの生体物質を適用すること、強膜、結膜、および角膜に生体接着剤を適用すること、胃腸組織や結腸組織などに穿孔または裂孔を封じるために生体接着剤などの生体物質を適用することが挙げられる。しかしながら、本明細書に開示される装置および方法の実施形態は、治療物質の送達、あるいは眼、医学、または生物学の用途に限定されない。本明細書に開示される装置および方法は、生物学、非生物学、機械、またはその他など、任意の所望の用途における任意の所望の材料または任意の適切な材料の送達に使用することが可能である。
【0017】
図1および図2が、物体の表面に物質101を適用するための装置100(本明細書において、送達装置とも呼ばれる)の一実施形態の上面図および側面図をそれぞれ示している。いくつかの実施形態において、装置100は、カニューレまたは外側スリーブ102(本明細書において、細長い本体または外側シースとも呼ばれる)と、物質101を前進させることができる管腔または通路105を内部に有する内側スリーブ104(本明細書において、内側カニューレとも呼ばれる)と、内側スリーブ104に結合したアプリケータ106(本明細書において、アプリケータ先端部とも呼ばれる)とを含むことができる。外側スリーブ102を、物質101の適用時の装置100のユーザによる制御を容易にし、あるいは改善するために、内側スリーブ104およびアプリケータ106の少なくとも一部分に追加の剛性および操作性を提供するように構成することができる。
【0018】
内側スリーブ104は、近位端104a(図示せず)および遠位端104bを有することができる。通路105は、内側スリーブ104の近位端104aから遠位端104bまで延びてよい。図示のように、アプリケータ106を、内側スリーブ104の遠位端104bに結合させることができる。
【0019】
カニューレは、随意により、可撓性、半剛体、または剛体であってよく、金属合金、ポリマー材料、などを含む任意の適切な材料から形成されてよい。システムを、随意により、外側スリーブ102を持たないように構成することができ、その場合、内側スリーブ104およびアプリケータ106は、外側スリーブ102が不要であるように充分に堅固で操作可能である。
【0020】
本明細書に開示される任意の実施形態においては、カニューレ102を目標位置へと前進させた後にアプリケータ106をカニューレ102の近位端へと前進させる必要がないように、アプリケータ106および/または他の構成要素を、カニューレまたは外側スリーブ102に予め装てんすることができる。随意により、装置100を、カニューレ102を目標位置へと前進させた後にアプリケータ106をカニューレ102の近位端へと前進させるように構成することができる。カニューレ102の近位端は、カニューレ102へのアプリケータ部分110の挿入を容易にし、さらには/あるいはアプリケータ部分110をカニューレ102への挿入のために容易に畳み、かつ/または丸めることができるように、テーパ状であってよい。
【0021】
装置100の任意の実施形態において、ハンドル、カニューレまたは外側シース102、内側シース104、あるいは他の剛体または半剛体の構成要素は、任意の適切なプラスチック材料、金属、ポリ塩化ビニル、ガラス、アクリル、炭素繊維、および/または以上の任意の組み合わせから製作されてよく、あるいはこれらを含むことができる。いくつかの実施形態において、カニューレ先端プラグまたは保護先端カバーは、プラスチック、金属、ポリ塩化ビニル、ガラス、アクリル、炭素繊維、ゴム(例えば、限定されないが、シリコン)、および/または以上の任意の組み合わせを含むことができる。
【0022】
アプリケータ106の遠位端部106aは、カニューレ102の遠位端102aから延出することができる。任意の実施形態において、アプリケータ106は、細長い部分108およびアプリケータ部分110を有することができる。アプリケータ106の細長い部分108は、随意により、細長い部分108の近位端108aから遠位端108bまで細長い部分108を通って延びる通路112を有することができる。通路112は、動作可能な状態において、通路108の近位端108aで、内側スリーブ104の通路105に流体連通することができる。開口部またはオリフィス114が、本体108の遠位端108bに位置することができ、通路112と流体連通することができる。いくつかの実施形態は、本体108の近位端108aを内側スリーブ104の遠位端104bに結合させるコネクタ122を有することができる。この実施形態において、物質101を、内側スリーブ104の通路105を通り、コネクタ122を通り、アプリケータ106の細長い部分108を貫いて延びる通路112を通って前進させることができ、開口部114を通ってアプリケータ106のアプリケータ部分110の第1の表面110a上に表出させることができる。
【0023】
別の実施形態において、図10および図11に示されるように、装置300は、外側スリーブ302およびアプリケータ部分310と、外側スリーブまたはカニューレ302の内側に配置された通路340を有する追加の可動カニューレ338とを有することができる。通路340は、随意により、物質101(これは、随意により、上述の物質、または本明細書に開示される任意の他の実施形態における物質、あるいは任意の他の所望の材料であってよい)をアプリケータ部分310のさまざまな部分へと伝達または供給するための通路を提供することができる。説明されるとおり、可動カニューレ338(本明細書において、充てんカニューレまたはリフィルカニューレとも呼ばれる)を、外側スリーブ302、および/またはアプリケータ306の少なくとも一部分に対して、少なくとも図10に示されるような第1の位置から図11に示されるような第2の位置まで移動可能であるように構成することができる。アプリケータ306およびアプリケータ部分310は、限定はしないが、アプリケータ106およびアプリケータ部分110など、本明細書に開示された他のアプリケータおよびアプリケータ部分のいずれかの特徴、材料、または他の詳細のいずれかを有することができる。
【0024】
本明細書に開示される任意の実施形態において、装置は、外側スリーブおよびアプリケータ部分と、外側スリーブまたはカニューレの内側の通路を有する追加の固定された管腔またはカニューレ(例えば、カニューレ338の固定バージョンなど)とを有することができる。管腔またはカニューレは、物質101(これは、随意により、上述の物質、または本明細書に開示される任意の他の実施形態における物質、あるいは任意の他の所望の材料であってよい)をアプリケータ部分310へと伝達または供給するための通路を提供することができる。例えば、限定するものではないが、物質を、管腔またはカニューレの遠位端の開口部を通ってアプリケータ部分へと滲出させることができる。さらに、装置のいくつかの実施形態を、物質が連続的に注入されて物質供給管腔または通路の遠位端の開口部を通って滲出するがゆえに、物質を最初にアプリケータ部分の遠位縁または前縁に滲出させ、次いで、アプリケータ部分が遠位方向に延ばされるにつれて、アプリケータ部分の長さの全体に滲出させることができるように構成することができる。いくつかの実施形態において、物質供給管腔またはカニューレの遠位端を、複数の開口部、マニホールド、または幅広いスロット開口部などにより、アプリケータ部分へと広い帯にて物質を滲出させるように構成することができる。いくつかの実施形態において、装置または装置の遠位端部分の唯一の可動な構成要素または延ばすことができる構成要素が、アプリケータおよびアプリケータ部分(これらは一体的に接続されてよい)であってよい。
【0025】
実際に、アプリケータ306を完全に延ばされた位置まで前進させた後に、カニューレ338を、例えば、限定ではないが、アプリケータ部分310の遠位部分、すなわち図10に示される第1の位置まで前進させることができる。物質101を、最初に、通路340を通ってアプリケータ部分310の遠位部分310a上に前進させることができる。次いで、カニューレ338を(図11に示されるように)第2の位置に向かって後退(随意により、アプリケータ部分310のより良好な制御および被覆のためにゆっくりと行うことができる)させるときに、ユーザは、アプリケータ部分310の中間部分および/または近位部分へと物質の排出を続けることができる。この構成において、ユーザ(随意により、外科医または他の医療施術者であってよい)は、可動カニューレを使用してアプリケータ部分310の一部または全ての部分(遠位部分、中間部分、および近位部分)にわたって物質のより均一な稠度および分布を達成することができる。いくつかの実施形態において、可動カニューレは、固定された通路またはカニューレと比較して、アプリケータ部分310の一部または全ての部分(遠位部分、中間部分、および近位部分)にわたって物質のより均一な稠度および分布を可能にすることができる。
【0026】
さらに、本明細書に開示される任意の実施形態において、装置は、第1の内側カニューレまたは固定された内側カニューレ(カニューレ104など)と、内側カニューレ104の外側表面を取り囲み、上述のように遠位先端部を通る通路を通って前進させることができる可動カニューレとを有することができる。これらの実施形態において、アプリケータ部分に物質を供給するために、2つの通路を使用することができる。随意により追加のカニューレまたはスリーブであってよい可動通路を、内側カニューレ104、アプリケータを通る通路、および/またはアプリケータ部分に対して前進および後退させることが可能であるように構成することができる。
【0027】
その後に、物質101をアプリケータ106のアプリケータ部分110(または、310)の第1の表面上に前進させた後に、ユーザは、物質101を所望の表面に適用することができる。例えば、装置100が眼表面への治療物質の適用に使用される用途において、外科医または医療施術者は、アプリケータ106のアプリケータ部分110の第1の表面110a上に物質101を前進させた後に、アプリケータ部分110を使用して眼表面の標的部分に物質101を適用することができる。任意の実施形態において、アプリケータ106を、物質101が適用される組織に対する穿刺または他の損傷のリスクを低減するために、柔軟かつ従順であるように製作または他のやり方で構成することができる。いくつかの実施形態においては、アプリケータ106を、医療グレードのシリコーン材料、1つ以上の生分解性材料、ステンレス鋼およびニチノールなどの1つ以上の異なる種類の合金、あるいは任意の他の適切なゴムまたは他の可撓性ポリマー材料から製作することができる。任意の実施形態において、アプリケータ部分110を、アプリケータ部分110の熱伝導率を高めるように設計された材料、すなわちアプリケータ部分110による熱または冷却の伝達をより良好に可能にするための高い熱伝導特性を有する材料から製作することができる。
【0028】
装置100の任意の実施形態は、随意により、外側シースまたはカニューレ102の遠位端102aに結合した遠位先端部(図示せず)を有することができる。遠位先端部は、随意により、円錐形またはテーパ状の外形を有することができ、シリコーンまたは他の適切なポリマーなどの可撓性材料、ステンレス鋼またはニチノールなどの合金、などから製作されてよい。あるいは、他の実施形態において、カニューレ102の遠位端102aは、組織表面の開口部または他の開口部を通って遠位端102aを容易に前進させることができるように構成された斜めの端面または面取りされた端面を有することができる。
【0029】
他の実施形態において、遠位端102aは、網膜下腔にアクセスするために強膜を貫くなど、組織を貫く挿入を可能にするために、中空針先端部のように尖っていて鋭利であってよい。随意により、本明細書に開示される任意の実施形態の装置は、可撓性シリコーンなどのより柔らかい材料を備えるカニューレ102の遠位の遠位先端部分を有することができる。柔らかい先端部分を、いくつかの用途において、組織表面への外傷のリスクを低減するために使用することができる。さらに、任意の実施形態において、柔らかい先端部分を、物質を穏やかに広げ、あるいは移動させる、組織から物質を除去する、などのために、組織の表面をブラッシングするためにも使用することができる。
【0030】
さらに、装置100は、随意により、カニューレ102の遠位端102bおよび/または装置100の遠位先端部に取り外し可能に結合することができる取り外し可能な遠位プラグまたは先端カバーを有することができる。遠位プラグまたは先端カバーは、装置内の無菌性を維持するためのシールを装置に提供するとともに、物質で予め満たされたされた装置内のカニューレを通る通路を密封するために、カニューレ102を通る通路とのシールを提供することができ、装置を標的組織領域に前進させる前に取り除くことが可能である。
【0031】
さらに、図2に最も明瞭に示されるように、アプリケータ106のいくつかの実施形態は、長さ方向L(図2において特定される)および幅方向W(図1において特定される)の少なくとも一方において、湾曲した外形を有することができる。例えば、限定ではないが、アプリケータ部分110のいくつかの実施形態は、長さ方向および幅方向の両方において湾曲した外形またはわずかに湾曲した外形を有することができ、湾曲した外形は、標的組織表面(随意により、人間の眼、動物または生物の眼、などの網膜表面または他の眼表面であってよい)の曲率に類似し、かつ/またはアプリケータ部分に所望の物質をより良好に保持するようなサイズおよび構成である。他の実施形態において、アプリケータ部分110を、とりわけアプリケータ部分110が回転させられ、傾けられ、さらには/あるいは上下逆さまにされるときに、アプリケータ部分110に物質101を保持するアプリケータ部分110の能力を改善するように構成することができる。他の実施形態において、アプリケータ部分110は、概ね平坦な外形または形状、あるいは任意の他の所望の外形または形状を有することができる。
【0032】
本明細書に開示される任意の実施形態のカニューレ102および/またはカニューレ(または、内側スリーブ)104は、随意により、管状の形状を有し、約25ゲージ(0.455mmのサイズ)、または27ゲージ(0.361mmのサイズ)、あるいは28ゲージ(0.33mmのサイズ)以下または約28ゲージ(0.33mmのサイズ)以下から20ゲージ(0.813mm)以上または約20ゲージ(0.813mm)以上まで、または27ゲージ(0.361mmのサイズ)から24ゲージ(0.511mm)または約24ゲージ(0.511mm)まで、あるいはこれらの範囲内の任意の値、またはこれらの範囲内の任意の値から任意の値までのサイズを有することができる。随意により、他の実施形態において、より大きいカニューレまたはより小さいカニューレを、内側および/または外側カニューレまたはスリーブに使用することができる。
【0033】
任意の実施形態において、カニューレ、カニューレ基部、カニューレ本体、および/またはカニューレ先端部は、0.1~0.5mm、0.5~1mm、1~2mm、2~3mm、3~4mm、4~5mm、5~6mm、6~7mm、7~8mm、8~9mm、または9~10mmの断面直径を有することができる。随意により、カニューレ、カニューレ基部、カニューレ本体、カニューレ先端部、および/またはカニューレ出口ポートは、0.1~0.5mm、0.5~1mm、1~2mm、2~3mm、3~4mm、4~5mm、5~6mm、6~7mm、7~8mm、8~9mm、9~10mm、10~20mm、20~30mm、30~40mm、または40~50mmの長さを有することができる。さらに、カニューレ、カニューレ基部、カニューレ本体、カニューレ先端、および/またはカニューレ出口ポートは、0.01~0.05mm、0.05~0.1mm、0.1~0.5mm、0.5~1mm、1~2mm、2~3mm、3~4mm、4~5mm、5~6mm、6~7mm、7~8mm、8~9mm、9~10mm、10~20mm、20~30mm、30~40mm、または40~50mmの外径、内径、および内径と外径との間の幅を有することができる。
【0034】
眼の用途以外の他の用途に関して、カニューレ102は、随意により、管状の形状と、10mmまたは約10mmから200mm以上または約200mm以上まで、あるいは40mmまたは約40mmから80mmまたは約80mmまでの断面サイズまたは内径とを有することができる。
【0035】
本明細書に開示される装置および方法のいくつかの実施形態を、さまざまな粘度のさまざまな材料または物質を標的組織または表面に送達および適用するように構成することができる。本明細書に開示される任意の装置、システム、および方法と共に使用することができる物質の例として、限定されないが、接着剤、生体接着剤、ゲル、ヒドロゲル、濃い液体または半液体処理物質、二重層ヒドロゲル、非固体、ポリエチレングリコール溶液、トリリジンアミン溶液、ポリマーヒドロゲル、熱応答性ゲル、および以上の任意の組み合わせが挙げられる。本明細書に開示される任意の実施形態において使用することができる生体接着物質の例として、限定されないが、ReSure(商標)シーラント、ポリエチレングリコールヒドロゲルおよび他のヒドロゲル、シアノアクリレート、フィブリン糊、ポリエチレングリコール溶液、トリリジンアミン溶液、糖タンパク質、弾性タンパク質、炭水化物、ムコ多糖、などが挙げられる。システムまたは装置のいくつかの実施形態において、生体接着材料は、樹脂を含む。さらに、UVまたは光活性化生体接着剤を、随意により、本明細書に開示される任意の装置の実施形態と共に使用することができる。いくつかのそのような実施形態において、システム、キット、または装置は、生体接着材料を活性化させるための光または光ファイバを備えることができる。
【0036】
さらに、温度活性化生体接着剤を、随意により、本明細書に開示される任意の装置の実施形態と共に使用することができる。いくつかのそのような実施形態において、システム、キット、または装置は、生体接着材料を活性化させるための熱を導く材料を備えることができる。
【0037】
いくつかの実施形態において、物質は、接着剤または生体接着剤を含むことができる。本明細書において使用されるとき、「接着剤」という用語には、その通常の意味が与えられるものとし、生体接着剤を包含することも意図されている。本明細書に開示される任意の実施形態において使用することができる接着剤の例として、これらに限られるわけではないが、ポリ酢酸ビニル、のり、脂肪族、シアノアクリレート、エポキシ、ポリウレタン接着剤、およびコンタクトセメントが挙げられる。生体接着剤の例として、これらに限られるわけではないが、が挙げられる。いくつかの実施形態において、接着剤は、生体模倣材料である。いくつかの実施形態において、接着剤は、生体接着剤ではない。
【0038】
さらに、本明細書に開示される任意の実施形態を、1つ以上の物質であって、例えば、これらに限られるわけではないが、通常の体温、あるいは80°Fまたは約80°Fから100°F以上または約100°F以上、90°Fまたは約90°Fから100°Fまたは約100°F以上、95°Fまたは約95°Fから100°Fまたは約100°F以上、またはこれらの範囲内の任意の値から任意の値まで、などのしきい値または値の範囲に物質の温度が達したときに重合する1つ以上の物質を使用するように構成することもできる。さらに、任意の実施形態を使用して、低温硬化物質、すなわち物質の温度が、例えば、これらに限られるわけではないが、体温を下回ること10°F、あるいは70°Fまたは約70°F以下から90°Fまたは約90°Fまで、または80°Fまたは約80°Fから90°Fまたは約90°Fまでの任意の値、あるいはこれらの範囲内の任意の値から任意の値まで、などのしきい値または値の範囲まで低下したときに重合する物質を、組織表面に適用することができる。
【0039】
さらに、本明細書に開示される任意の実施形態を、任意の数のさまざまな波長の光による活性化にて重合し、あるいは光によって活性化される1つ以上の物質を使用するように構成することもできる。活性化光を、材料送達装置内または材料送達装置から分離した特別なアプリケータによってもたらすことができる。使用することができる適切な物質として、網膜下腔、硝子体腔、または結膜上もしくは結膜下を含む眼表面において典型的に使用され、あるいはそれらにおける使用に関して承認された物質、ならびに組織内のすき間を閉じるために使用することができる物質も挙げることができる。
【0040】
任意の実施形態において、アプリケータ部分110は、外側スリーブ102内に引き込むことが可能であると共に、より堅固な材料において生じうる作用力および結果として生じる外傷を最小限に抑えるように、充分に可撓性であるようにバイアスされてよく、あるいは幅方向Wに畳むことが可能であるように他のやり方で構造的にバイアスされてよい。図3および図4は、図1に示した装置100の実施形態の側面図および端面図をそれぞれ示しており、アプリケータ部分110が外側スリーブ102内に収容され、あるいは引き込まれた第1の状態または引き込まれた状態の装置を示している。図5は、装置100およびアプリケータ部分110の別の実施形態の端面図である。
【0041】
内側スリーブ104およびアプリケータ106は、随意により、例えば図3および図4に示される第1の状態と図1および図2に示される第2の状態または展開状態との間で、外側スリーブ102の管腔または通路103を通って前進および後退させることが可能であってよい。
【0042】
アプリケータ106が第1の状態または引き込まれた状態にあるとき、装置100の遠位部分は、より少ない力しか必要とせずに、したがって組織への外傷のリスクをより少なくして、組織表面の開口部を通って前進可能であるように、外側スリーブ102によって定めることができるより小さい外形または断面サイズを有することができる。装置100のいくつかの実施形態を、アプリケータ部分110が外側スリーブ102内に引き込まれ、あるいは外側スリーブ102内に位置するときに、アプリケータ部分110が、図4および図5に最もよく示されるように、外側スリーブの内側空間内にぴったりと収まることによって、アプリケータ部分110の第1の表面110aによって囲まれた空間130を形成するように、湾曲した形状またはらせん形状をとることができるように構成することができる。
【0043】
図5を参照すると、アプリケータ部分110を、内側スリーブ104およびアプリケータ106がすべて第2の状態から第1の状態または引き込まれた状態へと外側スリーブ102内に引き戻されたときに、アプリケータ部分110を、上述または図5に図示したよりコンパクトな形状または状態あるいは狭い形状または状態に畳まれるようにバイアスでき、あるいはまたは他のやり方で構成できるように、構成することができ、したがって、アプリケータ106を外側スリーブ102内に引き込んだ状態で装置100を組織の開口部を通って引き戻すことができる。図示および説明されるように、アプリケータ部分110は、外側スリーブ102の幅よりも大きい幅Wを有することができる。アプリケータ部分110は、よりコンパクトな外形へと移行するように構成またはバイアスされているため、図4および図5に示されるように外側スリーブ102内にアプリケータ部分110を引き込むことにより、装置100の遠位部分のサイズを外側スリーブ102のサイズまで小さくすることができる。これにより、装置100が組織の開口部(存在する場合)を通って引き戻されるときの組織への外傷を減らすことができる。任意の実施形態において、アプリケータ部分110を、外側スリーブ内に収まるように畳み、丸め、圧縮し、圧迫し、狭くし、あるいは他のやり方で幅Wまたはサイズを小さくすることを可能にする任意の特徴を有するように構成でき、あるいはそのようにすることを可能にする任意の材料で製作することができる。
【0044】
アプリケータ部分110は、アプリケータ部分110が第1の位置(アプリケータ部分110が外側スリーブ102内に収容されている)にあるときの第1の幅、およびアプリケータ部分110が第2の位置(アプリケータ先端部が外側スリーブ102の遠位端102aの開口部を過ぎて延びている)にあるときの第2の幅を有することができ、あるいは定めることができる。アプリケータ部分110の第2の幅は、アプリケータ部分110の第1の幅よりも実質的に大きくてよい。本明細書に開示される任意の実施形態において、アプリケータ部分110の第2の幅は、アプリケータ部分110の第1の幅の約5倍の大きさ、あるいはアプリケータ部分110の第1の幅の2倍または約2倍(または、随意により、より小さい)から8倍または約8倍(または、随意により、より大きい)の大きさ、またはアプリケータ部分110の第1の幅の3倍または約3倍から6倍または約6倍の大きさであってよい。
【0045】
本明細書に開示される任意の実施形態において、アプリケータ部分110の第2の幅は、2mm、または約2mm、あるいは3mm、または約3mm、あるいは4mm、または約4mm、あるいは1.5mmまたは約1.5mm(または、さらに小さい)から6mmまたは約6mm(または、さらに大きい)まで、または2mmまたは約2mmから4mmまたは約4mmまで、または2mmまたは約2mmから3mmまたは約3mmまで、あるいはこれらの範囲内の任意のサイズ、またはこれらの範囲内の任意のサイズから任意のサイズまでであってよい。装置を眼以外の組織に使用することができる他の実施形態において、第2の幅は、上記に列挙した値または範囲よりも2倍大きく、あるいは上記に列挙した値または範囲よりも3倍大きい任意の値または任意の値から任意の値までであってよい。
【0046】
アプリケータ部分110を、中実の非有窓材料で製作することができる。あるいは、代替的に、アプリケータ部分110を、ふるいまたはハエ叩きのような多数の開口部またはスリットあるいはそれらの任意の組み合わせを有する有窓材料で製作することができる。開口部またはスリットは、随意により、さまざまなサイズおよび/または寸法であってよい。
【0047】
スリーブ102内にアプリケータ部分110を引き込むさらなる利点は、物質101が内側スリーブ104およびアプリケータ106に形成された通路を通って前進するときに、物質101が、空間130を満たすことにより、アプリケータ部分110の第1の表面110aに接触し、実質的に覆うことができることである。この実施形態において、物質101によるアプリケータ部分110の第1の表面110aの被覆を改善するために、ユーザは、アプリケータ部分110の円形の形状または丸まった形状を形成して、物質101を前進させ、随意により実質的に充てんすることができる空間130を形成するように、アプリケータ部分110を外側スリーブ内に引き込むことができる。
【0048】
任意の実施形態において、アプリケータ部分110を、装置100の初期状態においてスリーブ102内に引き込むことができる。物質101を、随意により、装置100を標的位置へと前進させる前に、通路105、112内および容積130内に事前にもたらすことができる。加えて、物質を、随意により、装置を使用する前に、通路105、112内および容積130内に蓄えることができる。このような実施形態において、熱応答性ゲルまたは他の熱活性化物質を使用して、予め充てんされた装置の貯蔵寿命を延ばし、装置の保管中または装置の適用前に物質が硬化する可能性を低減することができる。患者の身体または追加の熱源(例えば、限定ではないが、アプリケータ部分110に一体化された熱源またはアプリケータ部分110に適用される熱源)からの熱を使用して、熱応答性物質を活性化させることができる。他の実施形態において、ユーザまたは外科医は、装置100が標的位置へと前進させられた後、および/またはアプリケータ部分100が第2の状態または位置あるいは展開された状態または位置(図1に示されている)へと前進させられた後に、通路105、112を通って物質101をもたらすことができる。
【0049】
装置100を、随意により、アプリケータ106を接続部122において内側スリーブ104に選択的に接続可能にできるように構成することができる。この構成において、装置100は、接続可能なインタフェース122がなければ不可能である複数の追加の機能を可能にすることができる。第1の例として、所望の手順が実行されて物質101標的表面に適用された後に、装置のユーザは、コネクタ122においてアプリケータ106を内側スリーブ104から切り離すことができ、したがって、アプリケータ106またはアプリケータ部分110などのアプリケータ106の一部分を引き戻すことなく、外側スリーブ102および内側スリーブ104を標的位置から引き戻すことができる。例えば、眼の用途などのいくつかの用途において、所望のレベルの治癒が達成されるまで、または無期限に、アプリケータ106を眼組織に接触させたままにすることが望ましい場合がある。その後に、遠位先端部106またはその一部は、標的位置に残されても、アプリケータ106を内側スリーブ104に再び接続し、アプリケータ106を外側スリーブ102の内側に引き込むなどの任意の適切な手段によって、標的位置から取り除かれてもよい。遠位先端部106を、生体吸収性材料、不活性材料、などから製作することができる。不活性であり、標的位置に残される場合、アプリケータ部分110は、物質が溶解または消散した後でも、組織に追加の足場または支持を提供することができる。
【0050】
任意の実施形態において、これに限られるわけではないが、内側スリーブ104の通路105などの装置100の任意の部分に物質101を事前に充てんし、この部分的に充てんされた状態で保管することができる。アプリケータ106を、アプリケータ106が内側スリーブ104から切り離され、いかなる物質101も有していない取り付けられていない状態または切り離された状態で提供することができる。この構成において、アプリケータ106をコネクタ122において内側スリーブ104に結合させた後に、ユーザは、アプリケータ部分110が第1の状態または第2の状態のいずれかであるときに、物質101を、塗布先端部106の細長い部分108の通路112を通って開口部114からアプリケータ部分110へと前進させることができる。
【0051】
本明細書に開示される任意の実施形態におけるコネクタ122を、アプリケータ106が内側スリーブ104から切り離されたときに、コネクタ122が内側スリーブ104の通路105をシールして、コネクタ122を通る内側スリーブ104の通路105内の物質の排出を防止できるように、自動シールであるように構成することができる。
【0052】
アプリケータ部分110の任意の実施形態を、随意により、長さ方向(図2にLで示される)における可撓性が幅方向Wにおける可撓性よりも小さくなるように構成することができる。アプリケータ部分110の材料を、限定はしないが、長さ方向におけるアプリケータ部分110の剛性を高め、幅方向におけるアプリケータ部分110の剛性を下げるために、ニチノール、ステンレス鋼、または他の合金から作られた波形、補強ワイヤ、ワイヤループ、リブ、シート、または他の構造部材、長さ方向のチャネル、リブ、または他の特徴など、補強の特徴または材料を有するように構成することができる。
【0053】
さらに、いくつかの実施形態を、随意により、物質の可撓性膜を表面へと送出または適用し、あるいは任意の物質または材料を眼の小さな開口部を通って眼などの密閉空間に届けるように、構成することができる。
【0054】
図6は、これに限られるわけではないが、上記開示の装置100のいずれかなど、本明細書に開示される装置の任意の実施形態と共に使用することができるアプリケータ先端部156の別の実施形態の上面図を示している。アプリケータ先端部156は、これに限られるわけではないが上述のアプリケータ106などの本明細書に開示される他のアプリケータ先端部の実施形態のいずれかの任意の特徴、材料、または他の詳細を、後述される特徴のいずれかと組み合わせ、あるいは後述される特徴のいずれかに代えて含むことで、新たな実施形態を形成することができる。
【0055】
図6を参照すると、アプリケータ部分160は、細長い部分158を通って延びる通路162に流体連通する複数の開口部163を含むことができる。複数の開口部163を、アプリケータ部分160の第1の表面160aの周りに、任意の所望のパターンおよび任意の所望の数にて形成することができる。例えば、限定ではないが、アプリケータ部分160に、約20個の開口部163、5個または約5個から40個または約40個までの開口部、10個または約10個から30個または約30個までの開口部、15個または約15個から25個または約25個の開口部、これらの範囲内の任意の数の開口部163、あるいはこれらの範囲内の任意の数から任意の数までの開口部163が形成されてよい。
【0056】
開口部163は、アプリケータ部分160の第1の表面160aにおける物質101のより均一な分布を提供でき、あるいは可能にすることができる。さらに、開口部163は、アプリケータ部分160の第1の表面160aのみを貫いて通路162まで延びているため、装置が第1の状態または引き込まれた状態にあるときにアプリケータ部分160を装置の外側スリーブ内に容易に畳み、曲げ、かつ/または引き込むことができるように、アプリケータ部分160の可撓性を高め、かつ/またはアプリケータ部分160を畳みやすくすることができる。
【0057】
図7Aが、物体の表面に物質101を適用するための装置200の別の実施形態の断面図を示しており、第2の状態または展開された状態の装置200を示している。装置200は、これに限られるわけではないが上述の装置100などの本明細書に開示される他の装置の実施形態のいずれかの任意の特徴、材料、または他の詳細を、後述される特徴のいずれかと組み合わせ、あるいは後述される特徴のいずれかに代えて含むことができる。
【0058】
いくつかの実施形態において、装置200は、物質101を前進させることができる管腔または通路203を内部に有するカニューレまたは外側スリーブ202(本明細書において、細長い本体とも呼ばれる)と、内側コア204に結合したアプリケータ先端部206とを含むことができる。アプリケータ先端部206および内側コア204は、外側スリーブ202内で移動可能(例えば、延ばすことおよび引き込むことが可能)であってよい。いくつかの実施形態において、アプリケータ先端部206および内側コア204は、外側スリーブ202内で回転可能であってよい。外側スリーブ202を、物質101の適用時の装置200のユーザによる制御を容易にし、あるいは改善するために、アプリケータ先端部206に追加の剛性および操作性を提供すると共に、装置200を通ってアプリケータ先端部206のアプリケータ部分210へと物質を前進させるように構成することができる。
【0059】
アプリケータ先端部206の遠位端部206aは、カニューレまたは外側スリーブ202の遠位端202aから延出することができる。任意の実施形態において、アプリケータ先端部206は、細長い部分208およびアプリケータ部分210を有することができる。シール222を、随意により、装置200の外側スリーブ202の遠位端202aに配置して、アプリケータ部分210の第1の表面210a(アプリケータ表面と呼ぶことができる)に整列したチャネルまたは通路を除く細長い本体208の外側表面の周りをシールすることができる。さらに、本明細書に開示される任意の実施形態と同様に、蛍光透視または放射線不透過性マーカを、外側シース202の遠位端202aなどの外側シース202に沿って配置し、かつ/またはアプリケータ先端部206に沿って配置して、これらの構成要素の位置の視覚化を外科医に提供することができる。
【0060】
この実施形態において、図7Aに示されるように、物質101は、外側スリーブ202の内側の細長い本体208の外側表面と外側スリーブ202の内側表面との間の空間を伝わることができるので、細長い本体208およびアプリケータ先端部206を通る別個の管腔を形成する必要はない。いくつかの実施形態においては、内側コア204の外側表面または外側スリーブ202の内側表面の長さに沿ってチャネルまたは空間を形成することができ、それに沿い、あるいはそれを通って、物質101を前進させることができる。他の実施形態においては、図7Bに示されるように、外側スリーブ202が、物質101を前進させることができる別個の管腔203を有することができる。
【0061】
いくつかの実施形態において、細長い本体208は、別個の内側コアが不要であるように、外側スリーブ202の少なくとも近位端からアプリケータ部分210まで延びてよい。いくつかの実施形態において、細長い本体208または内側コア204の近位端は、ユーザが細長い本体208を操作してアプリケータ部分210を必要に応じて前進および後退させることができるように、ハンドル(随意により、適切なシールを必要に応じて備える)を通過または貫通して延びてよい。上述のアプリケータ部分110と同様に、アプリケータ部分210を、外側スリーブ202内に引き込むことが可能であるように構成することができ、第1の状態または閉状態と第2の状態または延ばされた状態との間で可動であるように構成することができる。例えば、これに限定するものではないが、アプリケータ先端部206を外側スリーブ202内に引き込み、その後に、物質101が外側スリーブ202の遠位端202aを過ぎて前進させられるときに延ばすことにより、物質101をアプリケータ先端部206の遠位部分206aに適用でき、アプリケータ先端部206が外側スリーブ202の遠位端202aに対して遠位方向に前進させられるにつれて、アプリケータ先端部206の長さに沿って適用することができる。
【0062】
装置200の任意の実施形態において、ハンドル、カニューレまたは外側シース202、内側シース204、あるいは他の剛体または半剛体の構成要素は、任意の適切なプラスチック材料、金属、ポリ塩化ビニル、ガラス、アクリル、炭素繊維、および/または以上の任意の組み合わせから製作されてよく、あるいはこれらを含むことができる。いくつかの実施形態において、カニューレ先端プラグまたは保護先端カバーは、プラスチック、金属、ポリ塩化ビニル、ガラス、アクリル、炭素繊維、ゴム(例えば、限定されないが、シリコン)、および/または以上の任意の組み合わせを含むことができる。
【0063】
本明細書に開示される任意の実施形態は、装置100の近位端にハンドル(図示せず)を有することができる。ハンドルは、生体材料または他の液体材料送達装置の任意の現在の設計または既存の設計の任意の詳細を有することができる。いくつかの実施形態において、ハンドルは、装置100の外側スリーブ102に結合することができる第1のハンドル部分または部材を有することができる。追加のハンドルまたは第2のハンドルが、内側スリーブ104に結合することができる。第2のハンドル部材は、ユーザが内側スリーブ104、したがって内側スリーブ104に結合した場合のアプリケータ106を、外側スリーブ102に対して前進および後退させることができるように、第1のハンドル部材に対して独立して移動可能であってよい。
【0064】
通路105内に物質101をもたらすための送出装置または送出手段(図示せず)を、内側スリーブ104の近位端104bに流体連通させることができる。送出装置を装置100のハンドルに結合させることができ、あるいはハンドルの一部とすることができる。いくつかの実施形態において、送出装置は、プランジャまたはシリンジ、物質を充てんまたは収容することができる充てん可能なチャンバ、圧縮可能なバルブ、圧縮可能な嚢、または通路105を通って物質101を排出するように構成された他の装置を含むことができる。物質101を内側スリーブ104内に前進させるための追加の機構は、機械式ポンプ、動力ポンプ、空気圧ポンプまたはシリンダ、電気機械式ポンプ手段、などを含むことができる。随意により、ハンドルは、ハンドル内に接着材料を受け入れるように構成されたポートを含むことができる。本明細書に記載されるような材料の嚢または他の排出装置を、ポートに流体連通するように結合させることができる。
【0065】
図8Aが、プランジャ41と、ハンドル35と、生体接着材料を保持するための空洞40と、延長ノブ36と、ロッド38と、ロックコネクタ39と、生体接着材料のフィルム37(途中まで延ばされている)を収容する可撓性ループ37とを含むシステムおよび/または装置の例を示している。プランジャ41を、ユーザ(例えば、ユーザの指からの圧力、またはハンドルに接続された外部の装置によって供給される空気圧を使用)によって押されたときに、中空カニューレを通り、かつ/または可撓性ループ37内へと、生体接着材料を吐出させるために使用することができる。いくつかの実施形態において、プランジャ41は、図8Bおよび/または図8Cの例に組み込まれる。例えば、延長ノブ36を使用して、可撓性ループ37を図8Bに見られるとおりの格納位置から延ばすことができる。いくつかの実施形態においては、可撓性ループ37を、本明細書の他の箇所に開示されているアプリケータ先端部のいずれかで置き換えることができる。
【0066】
図8Bが、延長ノブ36と、ロッド38と、生体接着材料のフィルムを収容する可撓性ループ37と、2つのガイドリッジ42とを含むシステムおよび/または装置の例を示している。いくつかの実施形態は、図8Aおよび/または図15Cに示されるように広がる図8Bのような格納式ループを含む。
【0067】
図8Cが、ハンドル47と、ロッド38と、カニューレ48と、生体接着材料のフィルムを収容する可撓性ループ37とを含むシステムおよび/または装置の例を示している。カニューレは、取り外し可能であっても、取り外し不可能であってもよい。
【0068】
これらに限られるわけではないが、ハンドル部分、外側スリーブ102、内側スリーブ104、および/または遠位先端部106などの本明細書に開示される任意の実施形態における装置100の任意の構成要素を、温度調節機能を有するように構成することができる。いくつかの実施形態においては、外側スリーブ102、内側スリーブ104、および/または遠位先端部106を、随意により、物質101が装置100を通って前進するときに物質101が発生させる熱から生じ得る熱を装置から消散させるように構成することができる。例えば、外側スリーブ102、内側スリーブ104、および遠位先端部106のうちの1つ以上が、随意により、装置100の特定の部分から熱を導き去ることができる優れた熱伝導または高い熱伝導を有する熱伝導性金属(例えば、銅、鋼、ニチノール、アルミニウム、または他の合金、など)などの材料から製作されてよく、あるいは他の材料を含んでよい。いくつかの実施形態においては、外側スリーブ102および/または内側スリーブ104を、随意により、熱を伝導し、あるいは消散させるように構成することができるが、アプリケータ106は、熱を消散させたり、伝導したりするようには構成されない。
【0069】
あるいは、外側スリーブ102、内側スリーブ104、および/または遠位先端部106を、随意により、物質101が装置100を通って前進するときに物質101が発生させる熱から生じ得る熱を装置の1つ以上の構成要素に保持するように構成することができる。例えば、外側スリーブ102、内側スリーブ104、および遠位先端部106のうちの1つ以上を、随意により、装置100の特定の部分から導き去られる熱の量を減らすことができる優れた断熱能力または高い断熱能力を有する材料から製作することができる。いくつかの実施形態においては、外側スリーブ102および/または内側スリーブ104を、随意により、熱を保持するように構成できる一方で、アプリケータ106は、熱を保持するようには構成されない。
【0070】
いくつかの実施形態において、装置100の構成要素のうちの1つ以上(外側スリーブ102および内側スリーブ104を含むことができ、あるいは随意により、外側スリーブ102、内側スリーブ104、およびアプリケータ106を含むことができる)を、物質101が何らかの熱を発生させる場合に、装置100の温度が、随意により患者の体温であってよい所望の温度しきい値を超えて上昇することがないように、室温または体温よりも低い所望の温度に予め冷却することができる。
【0071】
さらに、いくつかの実施形態においては、装置100の構成要素のうちの1つ以上(外側スリーブ102および内側スリーブ104を含むことができ、あるいは、随意により、外側スリーブ102、内側スリーブ104、およびアプリケータ106を含むことができる)を、物質101が装置内に収容されているときに物質の接着性または接着能力が低くなるように、しきい値温度値を下回る温度に物質101(ヒドロゲルであってよい)を維持するように構成することができる。物質101をアプリケータ部分110へと前進させ、あるいは物質101を標的の組織または表面に適用するとき、物質の温度、したがって接着性を高めることができる。例えば、限定ではないが、外側スリーブ102は、外側スリーブ102の内面と内側スリーブ104の外面との間に空間を生じるように、通路103の内径が内側スリーブ104の外面よりも大きくなるようなサイズおよび構成であってよい。冷却流体を、個々の管腔を通り、あるいは他のやり方で通路103を通って導くことで、内側スリーブ104、したがって物質101に、冷却源を提供することができる。冷却流体が装置101から漏れることがないように、外側スリーブ102の端部を内側スリーブ104にシールするために、1つ以上のシールを使用することができる。あるいは、外側スリーブ102内の温度、したがって物質101の温度を低下させる冷却流体を伝えるための追加の空洞または通路を提供するために、外側スリーブ102の全体の周りに、外側スリーブ102を取り囲むように構成された外側シェルを配置することができる。装置100を通る冷却流体の入口および出口として、入口ポートおよび出口ポートをハンドル内に形成でき、あるいはハンドルに結合させることができる。冷却流体は、随意により、硝酸アンモニウムを含むことができる。
【0072】
随意により、レオスタットおよび/または他の手段をハンドル内に配置することができ、装置100の任意の構成要素またはすべての温度を制御するために使用することができる。随意により、装置100の任意の構成要素またはすべての温度を監視するために、1つ以上の熱センサまたは他のセンサを使用することができる。さらに、本明細書に開示される装置100の任意の実施形態を、たとえ物質または用途が装置またはその構成要素の温度を上昇させる傾向を有する可能性があっても、装置の各部分の温度を指定範囲内に自動的に維持する能力を有するように構成することができる。
【0073】
さらに、本明細書に開示される装置100の任意の実施形態を、標的組織に熱を伝達し、あるいは届けるために、装置内および/またはアプリケータ先端部に含まれる物質101の温度を上昇させるべく、装置100の構成要素のうちの1つ以上(外側スリーブ102および内側スリーブ104を含むことができ、あるいは、随意により、外側スリーブ102、内側スリーブ104、およびアプリケータ106を含むことができ、あるいは、随意により、アプリケータ106またはアプリケータ部分110のみを含むことができる)に熱を伝達するように構成することができる。いくつかの実施形態においては、限定はしないが、銅、鋼、ニチノール、アルミニウム、または他の合金などの熱伝導性材料を装置に一体化させ、装置に沿って長さ方向に延在させて、装置の近位端またはハンドルに隣接する熱源からアプリケータ106に熱を伝達することができる。随意により、装置100の構成要素のうちの1つ以上(外側スリーブ102および内側スリーブ104を含むことができ、あるいは、随意により、外側スリーブ102、内側スリーブ104、およびアプリケータ106を含むことができ、あるいは、随意により、アプリケータ106またはアプリケータ部分110のみを含むことができる)に熱を伝達するために、1つ以上の熱電構成要素または手段を使用することができる。
【0074】
本明細書に開示される任意の実施形態において、装置または方法は、所望であれば、材料の特定の熱応答特性に応じて内側スリーブ104、アプリケータ106、またはアプリケータ部分110の温度を上昇または低下させることによって、装置100または組織表面(眼の表面上の組織など)から固化した物質またはゲルを除去し、あるいは液化させることを含むことができる。次いで、液化させた物質またはゲルを装置を通って吸引し、装置またはハンドル部分の近位端を通って除去することができる。装置を、随意により、任意の液化させた物質またはゲルあるいは装置から除去されることが望ましい任意の他の物質を吸引するための1つ以上の吸引チューブまたは吸引チャネルを有するように構成することができる。チューブを、除去された物質が液体状態のままであることを確実にするために、随意により加熱または温度制御することができる。
【0075】
本明細書に開示される装置の任意の実施形態は、内部焼灼構成要素を含むことができる。そのような実施形態は、光または焼灼のためのファイバまたはワイヤを有するカニューレを含むことができる。図9が、光または焼灼のためのファイバまたはワイヤを有するカニューレの例を示している。この例は、カニューレの縁部に沿った管内に光ファイバ65を含む。光ファイバ65は、この例においては斜めの端部62を含むが、いくつかの実施形態において、光ファイバ65の端部は直線状である。光ファイバ65の端部62は、斜めである場合、カニューレ先端部の面取りの角度に一致する角度で面取りされてよい。この例は、光ファイバ65の端部62によって放射される照明60を含む。
【0076】
いくつかの実施形態において、カニューレ先端部を、焼灼に使用されるように構成することができる。例えば、カニューレ先端部からスプレーまたは液滴として現れることができる追加の材料(液体など)を通過させるように構成された追加のチューブを備えることができる。例えば、追加の材料を、生体接着材料を活性化させるために使用することができる。いくつかの実施形態において、装置またはシステム、あるいはそのハンドル、カニューレ、カニューレ先端部、光、または光ファイバなどの構成要素を、生体接着材料を活性化させ、濃縮し、あるいは硬化させる波長の光を放射するように構成することができる。
【0077】
システムおよび/または装置を、(例えば、内部焼灼構成要素を使用して)カニューレ先端部の温度を上昇させるやり方で作動させることができる。これは、いくつかの実施形態によれば、生体接着材料がより高い温度においてより流動性になる温度応答性材料である場合に、アプリケータ部分からの生体接着剤の解放を補助するうえで好都合である。いくつかの実施形態は、凍結療法ハンドピースなどの凍結療法構成要素を含む。いくつかの実施形態において、システムまたは装置を、(例えば、凍結療法構成要素を使用して)アプリケータ先端部の温度を低下させるやり方で作動させることができる。これは、いくつかの実施形態によれば、生体接着材料がより低い温度においてより流動性になり、脆くなり、あるいは解放可能になる温度応答性材料である場合に、アプリケータ部分からの生体接着剤の解放を補助するうえで好都合である。
【0078】
本明細書に開示される実施形態のいずれかと共に使用される物質として、熱活性化物質を挙げることができる。さらに、装置を、随意により、内側カニューレ104内の追加の管腔を介し、内側カニューレ104の外側の追加の管腔または通路を介し、別個の装置からの完全に別個のカニューレを介し、あるいは他のやり方で、物質へと暖かい空気または冷たい空気の供給源をもたらすように構成することができる。暖かい空気または冷たい空気を、適用された物質に吹き付けることができる。装置は、随意により、空気を加温または冷却して物質へと適用する前に空気をろ過するためのフィルタを含むことができる。任意の実施形態において、空気の供給源の通路は、外側カニューレ102および/または内側カニューレ104に関して本明細書に開示されたサイズのいずれかを有することができる。暖かい空気または冷たい空気の供給源は、独立した機器であってよく、外側カニューレまたは内側カニューレに一体化されてよく、空気をろ過して眼または他の器具へと送るように構成された硝子体手術機械などの他の外科装置に一体化されてよい。
【0079】
本明細書に開示される装置の任意の実施形態は、1つ以上の物質(本明細書に開示される物質、または現在知られており、もしくは後に開発される他の物質のいずれかであってよい)も含むキットまたはシステムに取り入れられてよく、あるいは含まれてよい。キットは、装置に含まれていない場合に、物質をもたらすための材料ディスペンサをさらに含むことができる。キットは、随意により、装置にまだ含まれていない場合に、装置の遠位端のための先端プラグまたは保護カバーをさらに含むことができる。システム、装置、またはキットは、無菌であってよく、あるいは予め滅菌されてよい。いくつかの実施形態において、キットは、本明細書に記載のとおりの予め滅菌された材料ディスペンサを含む。
【0080】
キットまたはシステムは、例えば、限定ではないが、硬化構成要素および物質が標的組織表面に適用された後に硬化構成要素を物質に適用するための装置のうちの1つ以上など、本明細書に開示される他の構成要素または装置のいずれかをさらに含むことができる。さらに、本明細書に開示される任意の実施形態において、物質または1つ以上の異なる物質を、装置のハンドル部分の開口部やポートなどに結合させることができるカプセルまたは自己完結型シリンジにて提供することができる。
【0081】
いくつかの実施形態は、網膜、強膜、結膜、および角膜などを含む眼の治療などの目的で眼または網膜に物質(生体接着剤などの上記に列挙した物質のいずれかを含むことができる)を適用するためのシステム、装置、またはキットの使用に関する。任意のそのような方法において、カニューレを、随意により、任意の既知の技術または一般的に使用される技術を使用して、眼の中へと進めることができる。本明細書に開示される外科的処置は、眼の表面または眼の他の組織を穿刺することを含むことができ、あるいは、いかなる眼組織にも進入または穿刺することなく眼組織を治療することを含むことができる。
【0082】
本明細書に開示される方法は、物質をアプリケータ先端部のアプリケータ部分へと前進させ、アプリケータ部分から眼組織または随意により網膜組織であってよい標的組織へと前進させることを含むことができる。本明細書に開示される任意の実施形態を、随意により、本明細書の他の箇所に開示されるように、網膜裂孔あるいは体内の他の欠陥または組織の修復、ならびに本明細書に開示される用途以外の他の外科的用途に使用することができる。いくつかの実施形態は、例えば、物質の吸引、物質の注入、あるいは活性化溶液または他の硬化手段の注入または送達を制御する、物質をハンドピースの通路および/または装置の流路を通って流すことを可能にする、などのために弁を制御するために、装置またはシステムのハンドピース上のボタンの操作、他の手動制御、またはフットペダルの操作を含むことができる。
【0083】
本明細書に開示される任意の実施形態は、発光設備、UV発光設備、高温の適用(例えば、熱の印加)、低温の適用(例えば、冷却の印加)、などを含む標的表面に適用された後の物質を硬化させるための手段を含むことができる。
【0084】
さらに、本明細書に開示される任意の実施形態を、これらに限られるわけではないが胃腸組織や結腸組織などにおける適用など、眼組織以外の用途に合わせて構成することができる。
【0085】
いくつかの実施形態において、装置によって送達される材料は、経硝子体にて送達されてよい。経硝子体での使用に関して、装置による送達は、送達後に凝集性/粘着性材料を除去するために切断作用を使用することができる。いくつかの実施形態において、過剰分は、硝子体カッターおよび/または吸引によって除去可能である。経硝子体での送達を、水晶体/IOLを通る視界を不明瞭にし、あるいは房水の流入/流出を損なう可能性がある水晶体/IOL/毛様体突起/隅角、角膜内皮などの非標的眼構造への接着材料の浮遊を回避するために、空気で満たされた眼において利用することができる。
【0086】
物質の適用中に、組織の1つ以上の部分を流体で覆うことで、そのような組織を保護し、あるいはそのような組織をマスクして、物質との接触を回避することができる。さらに、物質の適用を制御し、かつ/または物質によるいくつかの組織表面の接触を回避するために、空気を使用することが可能である。例えば、限定ではないが、組織表面を覆い、あるいは保護するために、空気ディスクを生成することができ、接着材料を、下方の構造上ではなく流体表面上に沈降させることができ、かつ/または非標的組織への付着を回避するために直ちに活性化させる(非粘着性にする)ことができる。本明細書に開示される任意の実施形態における活性化は、水または同様の液体による活性化を含むことができる。物質が熱反応性である場合、任意の望ましくない材料は、この装置の任意の実施形態によってその温度を調節することが可能であり、材料を液体形態に変換することができ、その後にそのような材料を眼から吸引することができる。
【0087】
経強膜の送達が企図され、網膜下腔を通る網膜裂孔への材料の送達を含むことができる。材料が装置または針のテーパ状の端部を介した送達後に網膜に付着した後に、針が強膜から引き抜かれるときに材料が切断され得る。材料は、カニューレ、針、または強膜および脈絡膜の組織を横切るために利用される装置によって残された強膜欠損への網膜の嵌頓を防止するためのバッファとして機能し得る。
【0088】
送達装置は、シングル、ダブル、またはトリプルボアであってよい。いくつかの実施形態において、ダブルボア装置は、材料の送達のための1つのボアと、IOPが上昇するときに眼の外部に眼内液を還流させるための第2のボアとを含む。いくつかの実施形態においては、ボアのうちの1つが、照明に使用することができる光ファイバを含む。いくつかの実施形態においては、ボアのうちの1つが、レーザ光を届けるファイバを含む。いくつかの実施形態においては、ボアのうちの1つが、熱または注入された材料を硬化させるために使用される何らかの他のエネルギー源を届けるファイバを含む。
【0089】
いくつかの実施形態において、トリプルボア装置は、材料の送達のための1つのボアと、接着材料の気泡またはフィルムを生成するために使用される気体を通すための1つのボアと、IOPが上昇するときに眼の外部に眼内液を還流させるための第3のボアとを含む。
【0090】
図12図17が、装置300の実施形態を使用する1つの随意による方法を示している。図12を参照すると、カニューレ302を、眼の中へと前進させることができる。図12に示されるように、カニューレが眼の中へと前進させられるとき、アプリケータ部分310をカニューレ302内に位置させることができ、あるいはカニューレ302内に引き込むことができる。いくつかの実施形態において、アプリケータ部分310は、アプリケータ部分がカニューレ302内に位置するときにアプリケータ部分310上に物質を有することができる。いくつかの実施形態においては、後述されるように、アプリケータ部分310をカニューレ302の遠位端を過ぎて遠位方向に前進させた後に、物質をアプリケータ部分310に適用することができる。その後に、図13に示されるように、アプリケータ部分310をカニューレ302の遠位端から延ばし、第2の状態または広がった状態へと広がることを可能にすることができる。カニューレ338(本明細書において、供給カニューレとも呼ばれる)を、外側カニューレ302を通って延ばすことができる。図14が、カニューレ338の遠位端が外側カニューレ302の遠位端とほぼ整列するように延ばされたカニューレ338を示している。カニューレ338を、図15に示されるように、外側カニューレ302の遠位端を過ぎてアプリケータ先端部のアプリケータ部分310の遠位端310aに向かって延ばすことができる。その後に、図16に示されるように、物質101をカニューレ338の通路340を通って前進させ、アプリケータ部分101上に放出することができる。その後に、図17に示されるように、外側カニューレ302およびアプリケータ部分310をユーザが移動および操作して、物質101を標的組織に適用することができる。
【0091】
システムおよび/または装置のいくつかの実施形態は、冷却または加熱流体あるいは装置100と共に使用することができる他の流体または気体のためのハンドピース内またはカニューレ内の内部材料供給チャンバをさらに含む。内部材料供給チャンバは、随意により、近位端と、材料供給先端部および/または出口ポートを含む遠位端とを備える細長い本体を含むことができる。内部材料供給チャンバは、随意により、通路105の少なくとも一部分の内部にあってよく、あるいは通路105の少なくとも一部分に隣接することができる。
【0092】
システムおよび/または装置のいくつかの実施形態において、内部材料供給チャンバ、内部材料供給チャンバの細長い本体、材料供給先端部、および/または材料供給出口ポートは、0.1~0.5mm、0.5~1mm、1~2mm、2~3mm、3~4mm、4~5mm、5~6mm、6~7mm、7~8mm、8~9mm、9~10mm、10~20mm、20~30mm、30~40mm、または40~50mmの断面直径を備える。システムまたは装置のいくつかの実施形態において、内部材料供給チャンバ、内部材料供給チャンバの細長い本体、材料供給先端部、および/または材料供給出口ポートは、0.1~0.5mm、0.5~1mm、1~2mm、2~3mm、3~4mm、4~5mm、5~6mm、6~7mm、7~8mm、8~9mm、9~10mm、10~20mm、20~30mm、30~40mm、40~50mm、50~60mm、60~70mm、70~80mm、80~90mm、90~100mm、100~150mm、または150~200mmの長さを備える。
【0093】
システムおよび/または装置のいくつかの実施形態は、第2の内部材料供給チャンバをさらに備える。システムまたは装置のいくつかの実施形態において、内部材料供給チャンバおよび第2の内部材料供給チャンバはそれぞれ、別個の生体接着材料、例えばポリエチレングリコール溶液およびトリリジンアミン溶液、ヒドロゲル、二重層ヒドロゲル、または高分子ヒドロゲルを含む。
【0094】
図18Aが、本明細書に開示される装置の任意の実施形態と共に使用することができるカニューレ402の実施形態の端部の斜視図である。図18Bが、図18Aに示したカニューレ402の実施形態の図18Aの線18B-18Bを通って得た断面図である。図18Cが、図18Aに示したカニューレ402の実施形態の上面図である。図示のように、カニューレ402は、カニューレ402の端部に形成されたノッチまたは切り欠き404を有することができ、これは、本明細書に開示されたアプリケータ部分の任意の実施形態について、アプリケータ部分が外側スリーブまたはカニューレの遠位端に引き込まれるときに、引き込みまたはサイズの縮小(例えば、締め付け、あるいは畳む)を助けることができる。図18Cを参照すると、いくつかの実施形態において、切り欠き404は、例えば、限定ではないが、軸方向中心線Cを通り、かつ図の平面に垂直(例えば、用紙の平面に垂直)な平面を通り、カニューレ402の軸方向中心線Cを通って延びる平面の周りに非対称形状を有することができる。いくつかの実施形態において、ノッチ404は、湾曲した端部406を終端とすることができる。他の実施形態において、ノッチ404は、ノッチの片側がカニューレの軸方向中心線に平行である三角形の形状を有することができる。他の実施形態において、ノッチは、図20Aおよび図20Bに示されるカニューレ422のノッチ424のように、ノッチの両側がテーパ状または斜めであり、あるいは他のやり方で「v」字形である三角形の形状を有することができる。いくつかの実施形態においては、図20Bに示されるように、v字形のノッチの頂点または近位端部分424aが、丸みを帯びても、半径を有してもよい。他の実施形態において、ノッチは、図20Cのように、丸みを帯びた端部および平行な側部を有することができ、あるいは他のやり方で概ね「u」字の形状を有することができる。
【0095】
さらに、図18Cを参照すると、本明細書に開示される任意の実施形態におけるノッチ(これらに限られるわけではないが、ノッチ404、414、および424など)は、カニューレ402の端部に隣接する長さLおよび幅Wを有することができ、本明細書に開示されるカニューレの実施形態は、直径Dを有することができる。例えば、限定するものではないが、ノッチの幅W(または、ノッチ414の幅W1)は、カニューレの直径Dの30%(または、約30%)、あるいはカニューレの直径Dの20%(または、約20%、もしくは20%未満)から100%(または、約100%、もしくは100%超)まで、またはカニューレの直径Dの30%(または、約30%)から50%(または、約50%)まで、あるいはこれらの範囲内の任意の値または任意の値から任意の値までであってよい。いくつかの実施形態において、ノッチの幅W(または、ノッチ414の幅W1)は、0.25mm(または、約0.25mm)、あるいは0.1mm(または、いくつかの実施形態においては、約0.1mmもしくは0.1mm未満)から1.5mm(または、いくつかの実施形態においては、約1.5mmもしくは1.5mm超)まで、または0.25mm(または、いくつかの実施形態においては、約0.25mm)から0.75mm(または、いくつかの実施形態においては、約0.75mm)まで、あるいはこれらの範囲内の任意の値または任意の値から任意の値までであってよい。
【0096】
任意の実施形態において、本明細書に開示される任意の実施形態のノッチの長さLは、アプリケータ部分の長さの約30%、あるいはアプリケータ部分の長さの20%(または、約20%もしくは20%未満)から100%(または、約100%もしくは100%超)まで、またはアプリケータ部分の長さの30%(または、約30%)から60%(または、約60%)まで、またはアプリケータ部分の長さの30%(または、約30%)から50%(または、約50%)まで、あるいはこれらの範囲内の任意の値または任意の値から任意の値までであってよい。いくつかの実施形態において、ノッチの長さは、約1mm、あるいは0.5mm(または、いくつかの実施形態においては、約0.5mmもしくは0.5mm未満)から2mm(または、いくつかの実施形態においては、約2mmもしくは2mm超)まで、または0.75mm(または、いくつかの実施形態においては、約0.75mm)から1mm(または、いくつかの実施形態においては、約1mm)まで、あるいはこれらの範囲内の任意の値または任意の値から任意の値までであってよい。
【0097】
図19Aおよび図19Cが、本明細書に開示される装置の任意の実施形態と共に使用することができるカニューレ412の別の実施形態の端部の斜視図および上面図である。図19Bが、図19Aに示したカニューレ412の実施形態の図19Aの線19B-19Bを通って得た断面図である。図示のように、カニューレ412は、カニューレ412の端部に形成されたノッチまたは切り欠き414を有することができ、これは、本明細書に開示されるアプリケータ部分の任意の実施形態を容易に展開し、さらには/あるいは引き込み、もしくは畳むことを可能にする。図18Cを参照すると、いくつかの実施形態において、切り欠き414は、例えば、限定ではないが、軸方向中心線Cを通り、かつ図の平面に垂直(例えば、用紙の平面に垂直)な平面を通り、カニューレ412の軸方向中心線Cを通って延びる平面の周りに非対称形状を有することができる。
【0098】
さらに、任意の実施形態において、ノッチ414は、第1の部分414aと、第1の部分414aよりも狭い第2の部分414bとを有する二重ノッチであってよい。例えば、限定ではないが、第1の部分414aは、第2の部分414bの幅W2の約2倍であってよく、あるいは第2の部分414bの幅W2よりも50%大きい(または、約50%大きい)~100%大きい(または、約100%大きい)であってよい幅W1を有することができる。任意の実施形態において、ノッチ414の第1の部分414aは、ノッチ414の全長Lの50%(または、約50%)の長さL1、あるいはノッチ414の全長Lの30%(または、約30%もしくは30%未満)から80%(または、約80%、もしくは80%未満)までの長さL1、またはノッチ414の全長Lの40%(または、約40%)から60%(または、約60%もしくは60%未満)までの長さL1を有することができる。いくつかの実施形態において、ノッチ414は、湾曲した端部416を終端とすることができる。
【0099】
図21が、本明細書に開示される任意の装置の実施形態と共に使用することができるアプリケータ456を有する装置450の別の実施形態の上面図である。装置450および/またはアプリケータ456は、これに限られるわけではないが上述の装置100および/またはアプリケータ106などの本明細書に開示される装置またはアプリケータの任意の他の実施形態の任意の構成要素、特徴、材料、および/または他の詳細を、後述される特徴のいずれかと組み合わせ、あるいは後述される特徴のいずれかに代えて含むことで、新たな実施形態を形成することができる。図21を参照すると、アプリケータ456は、装置450の少なくとも一部(または、全部)を通って延びるコア部材または細長い本体454に結合したアプリケータ部分460を有することができる。
【0100】
図25を参照すると、図25は、本明細書に開示された装置の任意の実施形態において使用することができるアプリケータ部分460の実施形態について、図21の線25-25を通って得た断面図であり、したがって、この断面は、アプリケータ456の軸方向中心線に垂直である。図示のように、アプリケータ部分460のいくつかの実施形態は、中心面Cを中心に対称な形状を有することができ、アプリケータ部分460の全幅にわたってほぼ均一な厚さを有することができる。
【0101】
図26は、本明細書に開示された装置の任意の実施形態において使用することができるアプリケータ部分470の別の実施形態の断面図であり、この断面は、アプリケータの軸方向中心線に垂直である。図示のように、アプリケータ部分470のいくつかの実施形態は、中心面Cを中心に対称な形状を有することができ、アプリケータ部分470がアプリケータ部分470の中央部における第1の厚さT1からアプリケータ部分470の側方の一方または両方における第2のより小さい厚さT2までテーパ状であるテーパ状の厚さを有することができる。いくつかの実施形態においては、図26に示されるように、アプリケータ部分470の底面472および/または上面474が、アプリケータ部分470の中央部からアプリケータ部分470の側縁に向かって斜めであってよい。他の実施形態においては、図27および図28に示されるように、アプリケータ部分470の底面472および/または上面474が、アプリケータ部分470の中央部からアプリケータ部分470の側縁に向かって概ね平坦であってよい。
【0102】
本明細書に開示される任意の実施形態においては、アプリケータ部分の底面および/または上面が、アプリケータ部分470の中央部からアプリケータ部分470の側縁に向かって凹状または湾曲していてよい。例えば、限定ではないが、図27に示されるように、アプリケータ部分480の上面484が、アプリケータ部分470の中央部からアプリケータ部分の側縁に向かって湾曲していてよい。本明細書に開示される任意の実施形態において、より大きな厚さ(厚さT1など)を有する中央部が、図27に示されるアプリケータ部分480の実施形態の中央部486のように狭くてもよく、図28に示されるアプリケータ部分490の実施形態の中央部496または図24に示されるアプリケータ部分650の実施形態の中央部664のように広くてもよい。例えば、限定ではないが、中央部は、アプリケータ部分の全体の幅の30%(または、約30%)、あるいはアプリケータ部分の全体の幅の10%(または、約10%もしくは10%未満)から60%(または、約60%もしくは60%超)まで、または20%(または、約20%)から40%(または、約40%)までの幅を有することができる。
【0103】
いくつかの実施形態において、第1の厚さT1は、0.2mm(または、約0.2mm)、あるいは0.1mm(または、約0.1mmもしくは0.1mm未満)から約1mm(または、約1mmもしくは1mm超)まで、または0.15mm(または、約0.15mm)から約0.5mm(または、約0.5mm)まで、あるいはこれらの範囲内の任意の値または任意の値から任意の値までであってよい。任意の実施形態において、第2の厚さT2は、0.1mm(または、約0.1mm)、あるいは0.05mm(または、約0.05mmもしくは0.05mm未満)から約0.5mm(または、約0.5mmもしくは0.5mm超)まで、または0.075mm(または、約0.075mm)から約0.25mm(または、約0.25mm)まで、あるいはこれらの範囲内の任意の値または任意の値から任意の値までであってよい。
【0104】
いくつかの実施形態において、第1の厚さT1は、50%(または、約50%)、あるいは10%(または、約10%もしくは10%未満)から約80%(または、約80%もしくは80%超)まで、または20%(または、約20%)から約60%(または、約60%)まで、または30%(または、約30%)から約40%(または、約40%)まで、あるいはこれらの範囲内の任意の値または任意の値から任意の値までであってよい。
【0105】
さらに、本明細書に開示される任意の実施形態において、アプリケータ部分470は、アプリケータ部分470の第1の側がアプリケータ部分470の第2の側の形状および/または厚さと比較して異なる形状および/または厚さを有するように、非対称な断面を有することができ、ここで、第1の側および第2の側の部分は、中心線の軸Cによって分割されるものと定義することができる。例えば、本明細書に開示される装置の任意の実施形態において使用することができるアプリケータ部分500の別の実施形態の断面図である図29に示されるように、第1の側の部分502の第1の形状および厚さプロファイルが、アプリケータ部分500の第2の側の部分504の第2の形状および厚さプロファイルと違ってよい。中央部における厚さT1は、第1の側の部分502の側縁または側部の厚さT2よりも大きくてよく、第2の側の部分504の側縁または側部における厚さT3は、第1の側の部分502の側縁または側部の厚さT2よりも大きくてよい。さらに、本明細書に開示される任意の実施形態において、底面506の形状は、上面508の形状と違ってよく、第1の側の部分502における底面506の形状は、第2の側の部分504における底面506の形状と同じでも、違ってもよく、かつ/または第1の側の部分502における上面508の形状は、第2の側の部分504における上面508の形状と同じでも、違ってもよい。
【0106】
図22が、本明細書に開示される任意の装置の実施形態と共に使用することができるアプリケータ552を有する装置550の別の実施形態の上面図である。装置550および/またはアプリケータ556は、これに限られるわけではないが上述の装置100、450および/またはアプリケータ106、456などの本明細書に開示される装置またはアプリケータの任意の他の実施形態の任意の構成要素、特徴、材料、および/または他の詳細を、後述される特徴のいずれかと組み合わせ、あるいは後述される特徴のいずれかに代えて含むことで、新たな実施形態を形成することができる。図22を参照すると、アプリケータ552は、装置550の少なくとも一部(または、全部)を通って延びるコア部材または細長い本体554に結合したアプリケータ部分560を有することができる。図22を参照すると、アプリケータ部分560は、第1のテーパ移行部分562および第2のテーパ移行部分564を有することができる。第1および第2のテーパ移行部分は、アプリケータ部分をカニューレ内に引き込むときに、アプリケータ部分を畳み、折り曲げ、丸め、巻き、あるいは他のやり方で収縮させることを助けることができる。いくつかの実施形態において、第1および第2のテーパ移行部分562、564は、アプリケータ部分460の中心線Cに関して対称であってよい。他の実施形態において、アプリケータ部分は、アプリケータ部分の両側にテーパ移行部分を有することができるが、これらのテーパ移行部分が、図24に示されるアプリケータ部分650の実施形態の第1および第2のテーパ移行部分656、658などのように、異なるサイズおよび/または形状であってよい。例えば、限定ではないが、第1のテーパ移行部分が、第2のテーパ移行部分よりも長くてよい。他の実施形態において、アプリケータ部分は、図23に示される装置600の実施形態のアプリケータ部分610などのように、ただ1つのテーパ移行部分を有することができる。
【0107】
図24を参照すると、任意の実施形態において、アプリケータ部分(アプリケータ部分650など)を、第1の側壁部分(例えば、本明細書において第1の側の部分とも呼ばれる側壁部分652)の長さL1が、第1のテーパ移行部分(第1のテーパ移行部分656など)の存在に起因してアプリケータ部分の全長Lよりも短くなり得るように、構成することができる。例えば、第1の側壁部分の長さL1は、アプリケータ部分の全長Lの約40%、またはアプリケータ部分の全長の30%または約30%から約50%までであってよい。
【0108】
さらに、第2の側壁(例えば、本明細書において第2の側の部分とも呼ばれる側壁分654)の長さL2が、第1の側壁の長さL1よりも短くてよい。これは、第2のテーパ側壁部分(第2のテーパ側壁部分658など)の長さ、角度、および/または他の形状が違うこと、および/または第2の壁部分と第2のテーパ側壁部分との交点における半径がより大きいことに起因し得る。第2の壁部分と第2のテーパ側壁部分との交点における半径(図24の半径R2など)は、第1の壁部分と第1のテーパ側壁部分との交点における半径(図24の半径R1など)よりも大幅に大きくてよい(例えば、2~20倍以上、または5~10倍以上、あるいは前述の範囲内の任意の値または値の範囲)。任意の実施形態において、第2の側部移行部分658は、アプリケータ部分を容易に畳み、あるいは収縮させることができるように、第1の側部移行部分656よりも緩やかであってよい。
【0109】
いくつかの実施形態において、第1の側の部分652は、軸方向の第1の長さを有する第1の移行部分を有することができ、第2の側の部分654は、軸方向の第2の長さを有する第2の移行部分を有することができ、第2の長さは、第1の移行部分の第1の長さよりも大きい。いくつかの実施形態においては、第1の移行部分の長さが短いことで、アプリケータ部分650が装置の外側スリーブ内に引き込まれるときに、アプリケータ部分650の第2の側の部分654が畳まれるよりも前に、アプリケータ先端部650の第1の側の部分652が畳まれ得る。これにより、いくつかの実施形態において、アプリケータ部分650を、対称的なアプリケータ部分と比べて、よりコンパクトなサイズに畳むことを可能にできる。
【0110】
図30が、送達装置700の別の実施形態の端部の斜視図であり、内側カニューレ704に結合し、外側カニューレ本体またはスリーブ706の内側に引き込まれた状態または畳まれた状態にあるアプリケータ702と、外側カニューレ本体706の内側に引き込まれた状態にある物質送達カニューレ710とを示している。図31は、図30に示した送達装置700の実施形態の端部の斜視図であり、途中まで前進した位置にあり、広がった状態にあるアプリケータ702を示している。さらに、図31は、いくつかの実施形態において、送達カニューレ710を、アプリケータ部分702の遠位端部分まで延びるように軸方向に延ばすことが可能であり、かつ物質が物質送達カニューレ710から滲出している最中に後退させることが可能であることを示している。装置700を、物質送達カニューレがアプリケータ部分702の遠位端を超えて延びることがないように、物質送達カニューレ710の延伸の範囲を制限するように構成することができる。さらに、装置700を、物質送達カニューレ710がスリーブ706の端部または端部付近の固定位置にあり、アプリケータ702が外側カニューレまたはスリーブ706の端部を過ぎて前進するときにアプリケータ702の表面上への物質の送達を可能にするように構成することもできる。いくつかの実施形態において、装置または装置の遠位端部分の唯一の可動な構成要素または延ばすことができる構成要素が、一体的に接続されてよいアプリケータおよびアプリケータ部分であってよい。
【0111】
本発明の特定の実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示されているにすぎず、本開示の範囲を限定することを意図していない。実際、本明細書に記載の新規な方法およびシステムは、さまざまな他の形態で具体化可能である。さらに、本開示の精神から逸脱することなく、本明細書に記載のシステムおよび方法において、さまざまな省略、置き換え、および変更を行うことが可能である。添付の特許請求の範囲およびそれらの均等物は、本開示の範囲および精神に含まれると考えられる形態または修正を包含することを意図している。したがって、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲を参照することによってのみ定義される。
【0112】
特定の態様、実施形態、または例に関連して説明された特徴、材料、特性、またはグループは、この箇所または本明細書の他の箇所に記載された任意の他の態様、実施形態、または例に、それらと相容れない場合を除き、適用可能であると理解されるべきである。本明細書(添付の特許請求の範囲、要約、および図面を含む)に開示されたすべての特徴、ならびに/あるいはそのように開示された任意の方法またはプロセスのすべてのステップは、そのような特徴および/またはステップの少なくともいくつかが相互に排他的である組み合わせを除き、任意の組み合わせにて組み合わせることが可能である。保護は、上述のいずれの実施形態の詳細にも限定されない。保護は、本明細書(添付の特許請求の範囲、要約、および図面を含む)に開示された特徴のうちの任意の新規な特徴または特徴の任意の新規な組み合わせ、あるいはそのように開示された任意の方法またはプロセスのステップのうちの任意の新規なステップまたはステップの任意の新規な組み合わせに及ぶ。
【0113】
さらに、本開示において別個の実施態様の文脈において説明された特定の特徴を、単一の実施態様に組み合わせて実施することも可能である。反対に、単一の実施態様の文脈において説明された種々の特徴を、別々に、または任意の適切な部分的組み合わせにて、複数の実施態様において実施することも可能である。さらに、いくつかの特徴が特定の組み合わせにて作用するものとして上述されているかもしれないが、請求項に記載の組み合わせからの1つ以上の特徴を、場合によっては、組み合わせから削除することが可能であり、組み合わせは、部分的組み合わせまたは部分的組み合わせの変形として特許請求されてよい。
【0114】
さらに、いくつかの動作が特定の順序で図面に図示または本明細書で説明されているかもしれないが、そのような動作は、所望の結果を達成するために、必ずしも示された特定の順序または連続した順序で実行される必要はなく、あるいはすべての動作が実行される必要はない。図示または説明されていない他の動作を、例示的な方法およびプロセスに取り入れることができる。例えば、1つ以上の追加の動作を、記載された動作のいずれかの前、後、同時、または間に実行することができる。さらに、動作は、他の実施態様において、並べ替えまたは順序の変更が可能である。いくつかの実施形態において、図示および/または開示されたプロセスにおいて行われる実際のステップが、図に示されたステップと違ってもよいことを、当業者であれば理解できるであろう。実施形態に応じて、上述したステップのうちの特定のステップを削除しても、他のステップを追加してもよい。さらに、上記で開示された特定の実施形態の特徴および属性をさまざまなやり方で組み合わせて、さらなる実施形態を形成することができ、それらはいずれも本開示の範囲に含まれる。また、上記の実施態様における種々のシステム構成要素の分離を、そのような分離がすべての実施態様において必要であると理解すべきではなく、記載された構成要素およびシステムが、一般に、単一の製品に統合されても、複数の製品にパッケージ化されてもよいことを理解すべきである。
【0115】
本開示の目的に関して、特定の態様、利点、および新規な特徴が、本明細書に記載されている。必ずしもそのような利点のすべてが、任意の特定の実施形態に従って達成される必要はない。したがって、例えば、本開示が、本明細書において教示された或る利点または利点群を、本明細書において教示または示唆されてよい他の利点を必ずしも達成することなく達成するようなやり方で、具体化または実施されてもよいことを、当業者であれば理解できるであろう。
【0116】
「・・・できる(can)」、「・・・し得る(could)」、「・・・でよい(might)」、または「・・・もよい(may)」、などの条件付きの言語は、そのようでないことが明記されず、あるいは使用される文脈においてそのようでないと理解されない限り、特定の実施形態が特定の特徴、要素、および/またはステップを含むが、別の実施形態はそれらを含まない旨を伝達することを意図している。したがって、そのような条件付きの言語は、一般に、特徴、要素、および/またはステップが1つ以上の実施形態に関して何らかの形で必要とされること、または1つ以上の実施形態が、ユーザ入力またはプロンプトの有無にかかわらず、これらの特徴、要素、および/またはステップが任意の特定の実施形態に含まれ、もしくは任意の特定の実施形態において実行されるべきかを決定するための論理を必然的に含むことを、意味するものではない。
【0117】
「X、Y、およびZのうちの少なくとも1つ」という表現などの接続語は、とくに明記されない限り、項目、用語、などがX、Y、またはZのいずれかであってよいことを伝達するために一般に使用される文脈で理解される。したがって、そのような接続語は、一般に、特定の実施形態が少なくとも1つのX、少なくとも1つのY、および少なくとも1つのZの存在を必要とすることを意味するようには意図されていない。
【0118】
本明細書で使用される「およそ(approximately)」、「約(about)」、「概ね(generally)」、および「実質的に(substantially)」などの用語など、本明細書で使用される程度の言語は、記載された値、量、または特性に近い値、量、または特性であって、依然として所望の機能を果たし、あるいは所望の結果を達成する値、量、または特性を表す。例えば、「およそ」、「約」、「概ね」、および「実質的に」という用語は、記載された量の10%未満、5%未満、1%未満、0.1%未満、および0.01%未満の範囲内の量を指すことができる。別の例として、特定の実施形態において、「概ね平行」および「実質的に平行」という用語は、正確な平行からの逸脱が15度、10度、5度、3度、1度、または0.1度以下である値、量、または特性を指す。
【0119】
本開示の範囲は、この箇所または本明細書の他の箇所における好ましい実施形態の特定の開示によって限定されるようには意図されておらず、この箇所または本明細書の他の箇所に提示され、あるいは将来提示されるように、特許請求の範囲によって定義され得る。特許請求の範囲の文言は、特許請求の範囲で使用される文言に基づいて広く解釈されるべきであり、本明細書に記載された例または出願の審査の最中の例に限定されず、それらの例は、非排他的であると解釈されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8A
図8B
図8C
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18A
図18B
図18C
図19A
図19B
図19C
図20A
図20B
図20C
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31