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特許7604634パウチ型電池ケースおよびその成形装置、並びにパウチ型二次電池
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-13
(45)【発行日】2024-12-23
(54)【発明の名称】パウチ型電池ケースおよびその成形装置、並びにパウチ型二次電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/178 20210101AFI20241216BHJP
   H01M 50/105 20210101ALI20241216BHJP
   H01M 50/119 20210101ALI20241216BHJP
   H01M 50/121 20210101ALI20241216BHJP
   H01M 50/129 20210101ALI20241216BHJP
   H01M 50/133 20210101ALI20241216BHJP
【FI】
H01M50/178
H01M50/105
H01M50/119
H01M50/121
H01M50/129
H01M50/133
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2023520510
(86)(22)【出願日】2021-10-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-14
(86)【国際出願番号】 KR2021013714
(87)【国際公開番号】W WO2022075750
(87)【国際公開日】2022-04-14
【審査請求日】2023-04-04
(31)【優先権主張番号】10-2020-0129025
(32)【優先日】2020-10-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0074479
(32)【優先日】2021-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】セ・ヨン・オ
(72)【発明者】
【氏名】チュン・ヒ・イ
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・ミン・ハ
(72)【発明者】
【氏名】グン・ヒ・キム
(72)【発明者】
【氏名】ヒョン・ボム・キム
(72)【発明者】
【氏名】ヒュン・ホ・クォン
【審査官】高木 康晴
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-232067(JP,A)
【文献】特開2013-026173(JP,A)
【文献】特開2007-257847(JP,A)
【文献】特開2005-294212(JP,A)
【文献】特開2002-208384(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極およびセパレータが積層されて形成された電極組立体を内部に収容するカップ部と、
前記カップ部の壁と前記壁から延びるサイドとを互いに連結する複数のダイエッジと、を含み、
少なくとも1つの前記ダイエッジは、
第1曲率半径でラウンドして形成された第1領域と、
前記第1曲率半径よりも小さい第2曲率半径でラウンドして形成された第2領域と、を含み、
前記第1領域は、前記電極組立体の一側から突出した電極タブが載置される領域であり
前記第1曲率半径は、前記第2曲率半径の1.5倍~4倍である、パウチ型電池ケース。
【請求項2】
前記第1曲率半径は、
1.7mm~2.7mmである、請求項1に記載のパウチ型電池ケース。
【請求項3】
前記第2曲率半径は、
1.2mm以下である、請求項1または2に記載のパウチ型電池ケース。
【請求項4】
前記第2曲率半径は、
0.7mm以下である、請求項1から3のいずれか一項に記載のパウチ型電池ケース。
【請求項5】
パウチフィルムを成形して製造され、
前記パウチフィルムは、
第1ポリマーから製造され、最内層として形成されたシーラント層と、
第2ポリマーから製造され、最外層として形成された表面保護層と、
前記表面保護層と前記シーラント層との間に積層された水分バリア層と、を含み、
前記水分バリア層は、
厚さが50~80μmであり、結晶粒度が10~13μmであるアルミニウム合金薄膜からなり、
前記シーラント層は、
厚さが60~100μmである、請求項1から4のいずれか一項に記載のパウチ型電池ケース。
【請求項6】
前記カップ部の深さは、
前記カップ部が1つ形成される場合は7mm、前記カップ部が2つ形成される場合は6.5mmである、請求項1から5のいずれか一項に記載のパウチ型電池ケース。
【請求項7】
前記第1領域は、
互いに対向する2つの前記ダイエッジにそれぞれ1つずつ形成されている、請求項1から6のいずれか一項に記載のパウチ型電池ケース。
【請求項8】
前記第1領域は、
1つの前記ダイエッジに複数形成されている、請求項1から6のいずれか一項に記載のパウチ型電池ケース。
【請求項9】
前記第2領域は、
複数の前記第1領域の間に形成されている、請求項8に記載のパウチ型電池ケース。
【請求項10】
電極およびセパレータが積層されて形成された電極組立体と、
前記電極組立体を内部に収容するカップ部を含む電池ケースと、を含み、
前記電池ケースは、
前記カップ部の壁と前記壁から延びるサイドとを互いに連結する複数のダイエッジを含み、
少なくとも1つの前記ダイエッジは、
第1曲率半径でラウンドして形成された第1領域と、
前記第1曲率半径よりも小さい第2曲率半径でラウンドして形成された第2領域と、を含み、
前記第1領域は、前記電極組立体の一側から突出した電極タブが載置される領域であり
前記第1曲率半径は、前記第2曲率半径の1.5倍~4倍である、パウチ型二次電池。
【請求項11】
前記電極組立体の面積は15000mm~100000mmである、請求項10に記載のパウチ型二次電池。
【請求項12】
請求項1に記載のパウチ型電池ケースを製造するための電池ケース成形装置であって、
上面にパウチフィルムが載置され、前記上面から内側に陥没形成された少なくとも1つの成形空間を含むダイと、
前記成形空間の上方に配置され、下降して前記パウチフィルムを前記成形空間に挿入して成形するパンチと、を含み、
前記ダイは、
前記成形空間と前記上面を互いに連結する複数の加圧エッジを含み、
少なくとも1つの前記加圧エッジは、
第3曲率半径でラウンドして形成されている第3領域と、
前記第3曲率半径よりも小さい第4曲率半径でラウンドして形成されている第4領域と、を含み、
前記第3領域は、前記第1領域に対応している、電池ケース成形装置。
【請求項13】
前記第3曲率半径は、
1.5mm~2.5mmである、請求項12に記載の電池ケース成形装置。
【請求項14】
前記第4曲率半径は、
1mm以下である、請求項12または13に記載の電池ケース成形装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2020年10月06日付けの韓国特許出願第10-2020-0129025号および2021年06月08日付けの韓国特許出願第10-2021-0074479号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示された全ての内容は、本明細書の一部として組み込まれる。
【0002】
本発明は、パウチ型電池ケースおよびその成形装置、並びにパウチ型二次電池に関し、より詳しくは、ダイエッジと電極タブの干渉が発生するのを防止することができるパウチ型電池ケースおよびその成形装置、並びにパウチ型二次電池に関する。
【背景技術】
【0003】
一般的に、二次電池の種類としては、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池、およびリチウムイオンポリマー電池などが挙げられる。このような二次電池は、デジタルカメラ、P-DVD、MP3P、携帯電話、PDA、携帯ゲーム機(Portable Game Device)、パワーツール(Power ツール)、およびE-バイク(E-bike)などの小型製品だけでなく、電気自動車やハイブリッド自動車のような高出力が求められる大型製品と、余剰の発電電力や再生可能エネルギーを貯蔵する電力貯蔵装置と、バックアップ用電力貯蔵装置にも適用されて用いられている。
【0004】
このような二次電池を製造するために、先ず、電極活物質スラリーを正極集電体および負極集電体に塗布して正極および負極を製造し、それをセパレータ(Separator)の両側に積層することで、所定形状の電極組立体(Electrode Assembly)を形成する。そして、電池ケースに電極組立体を収納し、電解質の注入後にシールする。
【0005】
二次電池は、電極組立体を収容するケースの材質に応じて、パウチ型(Pouch Type)および缶型(Can Type)などに分類される。パウチ型(Pouch Type)は、柔軟なポリマー材質で製造されたパウチに電極組立体を収容する。そして、缶型(Can Type)は、金属またはプラスチックなどの材質で製造されたケースに電極組立体を収容する。
【0006】
パウチ型二次電池のケースであるパウチは、柔軟性を有するパウチフィルムにプレス加工を行い、カップ部を形成することで製造される。そして、カップ部が形成されると、前記カップ部の収容空間に電極組立体を収納しサイドをシールして二次電池を製造する。
【0007】
このようなプレス加工中のドロー(Drawing)成形は、プレス装置のような成形装置にパウチフィルムを挿入し、パンチでパウチフィルムに圧力を印加し、パウチフィルムを延伸させることで行われる。パウチフィルムは複数の層からなり、そのうち内部に位置した水分バリア層は金属から製造される。ところで、仮に、水分バリア層の成形性を向上させ、カップ部の壁が垂直に近くなり、カップ部のエッジの曲率半径を改善する場合、エッジのうちダイエッジが電極タブを圧迫してダイエッジと電極タブとの間に干渉が発生するという問題があった。
先行技術文献として韓国公開公報第2017-0124882号がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、ダイエッジと電極タブの干渉が発生するのを防止することができるパウチ型電池ケースおよびその成形装置、並びにパウチ型二次電池を提供することにある。
【0009】
本発明の課題は、以上で言及した課題に制限されず、言及していないまた他の課題は、下記の記載から当業者に明らかに理解できるものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するための本発明の実施形態に係るパウチ型電池ケースは、電極およびセパレータが積層されて形成された電極組立体を内部に収容するカップ部と、前記カップ部の壁と前記壁から延びるサイドとを互いに連結する複数のダイエッジと、を含み、少なくとも1つの前記ダイエッジは、第1曲率半径でラウンドして形成された第1領域と、前記第1曲率半径よりも小さい第2曲率半径でラウンドして形成された第2領域と、を含む。
【0011】
また、前記第1曲率半径は1.7mm~2.7mmであってもよい。
また、前記第2曲率半径は1.2mm以下であってもよい。
また、前記第2曲率半径は0.7mm以下であってもよい。
【0012】
また、パウチフィルムを成形して製造され、前記パウチフィルムは、第1ポリマーから製造され、最内層として形成されたシーラント層と、第2ポリマーから製造され、最外層として形成された表面保護層と、前記表面保護層と前記シーラント層との間に積層された水分バリア層と、を含み、前記水分バリア層は、厚さが50~80μmであり、結晶粒度が10~13μmであるアルミニウム合金薄膜からなり、前記シーラント層は、厚さが60~100μmであってもよい。
【0013】
また、前記カップ部の深さは、前記カップ部が1つ形成される場合は7mm、前記カップ部が2つ形成される場合は6.5mmであってもよい。
また、前記第1領域は、互いに対向する2つの前記ダイエッジにそれぞれ1つずつ形成されることができる。
【0014】
また、前記第1領域は、1つの前記ダイエッジに複数形成されることができる。
また、前記第2領域は、複数の前記第1領域の間に形成されることができる。
【0015】
上記の課題を解決するための本発明の実施形態に係るパウチ型二次電池は、電極およびセパレータが積層されて形成された電極組立体と、前記電極組立体を内部に収容するカップ部を含む電池ケースと、を含み、前記電池ケースは、前記カップ部の壁と前記壁から延びるサイドとを互いに連結する複数のダイエッジを含み、少なくとも1つの前記ダイエッジは、第1曲率半径でラウンドして形成された第1領域と、前記第1曲率半径よりも小さい第2曲率半径でラウンドして形成された第2領域と、を含む。
【0016】
また、前記電極組立体の面積は15000mm~100000mmであってもよい。
また、前記第1領域は、前記電極組立体の一側から突出した電極タブが載置されることができる。
【0017】
上記の課題を解決するための本発明の実施形態に係る電池ケース成形装置は、上面にパウチフィルムが載置され、前記上面から内側に陥没形成された少なくとも1つの成形空間を含むダイと、前記成形空間の上方に配置され、下降して前記パウチフィルムを前記成形空間に挿入して成形するパンチと、を含み、前記ダイは、前記成形空間と前記上面を互いに連結する複数の加圧エッジを含み、少なくとも1つの前記加圧エッジは、第3曲率半径でラウンドして形成されている第3領域と、前記第3曲率半径よりも小さい第4曲率半径でラウンドして形成されている第4領域と、を含む。
【0018】
また、前記第3曲率半径は1.5mm~2.5mmであってもよい。
また、前記第4曲率半径は1mm以下であってもよい。
【0019】
上記の課題を解決するための本発明の実施形態に係るパウチ型二次電池は、電極およびセパレータが積層されて形成された電極組立体と、前記電極組立体を内部に収容するカップ部を含む電池ケースと、を含み、前記電池ケースは、前記カップ部の壁と前記壁から延びるサイドとを互いに連結する複数のダイエッジを含み、少なくとも1つの前記ダイエッジは、前記電極組立体の一側から突出した電極タブと対応し、内側に凹状に陥没した第1領域を含むことができる。
【0020】
また、前記少なくとも1つの前記ダイエッジは、前記第1領域と連結され、前記第1領域よりは内側に少なく凹状に形成された第2領域をさらに含むことができる。
【0021】
また、前記第1領域は、第1曲率半径でラウンドして形成され、前記第2領域は、前記第1曲率半径よりも小さい第2曲率半径でラウンドして形成されることができる。
本発明のその他の具体的な事項は、詳細な説明および図面に含まれている。
【発明の効果】
【0022】
本発明の実施形態によると、少なくとも次のような効果を有する。
ダイエッジにおける電極タブが載置される第1領域は、相対的に大きい第1曲率半径でラウンドして形成され、電極タブが載置されない第2領域は、相対的に小さい第2曲率半径でラウンドして形成されることで、カップ部の壁が垂直に近くなり、カップ部のダイエッジの曲率半径が減少しても、ダイエッジと電極タブとの間に干渉が発生するのを防止することができる。
【0023】
本発明に係る効果は以上で例示された内容により制限されず、さらに多様な効果が本明細書内に含まれている。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の一実施形態に係る二次電池の組立図である。
図2】本発明の一実施形態に係るパウチフィルムの断面図である。
図3】合金番号AA8079のアルミニウム合金および合金番号AA8021のアルミニウム合金の鉄およびシリコンの含量を示したグラフである。
図4】合金番号AA8079のアルミニウム合金および合金番号AA8021のアルミニウム合金の鉄の含量に応じた引張強度、伸び率、および結晶粒度の変化を示すグラフである。
図5】合金番号AA8079のアルミニウム合金および合金番号AA8021のアルミニウム合金の結晶粒を拡大したSEMイメージである。
図6】本発明の比較例に係るダイエッジおよび電極タブを拡大した概略図である。
図7】本発明の一実施形態に係る電池ケースの部分平面図である。
図8】本発明の一実施形態に係る電池ケースのカップ部に電極組立体を挿入した様子を示した部分平面図である。
図9】本発明の一実施形態に係るダイエッジの第1領域および電極タブを拡大した概略図である。
図10】本発明の一実施形態に係るカップ部のダイエッジの第2領域および電極タブを拡大した概略図である。
図11】本発明の一実施形態に係る成形装置の概略図である。
図12】本発明の一実施形態に係るダイの部分拡大図である。
図13】本発明の他の実施形態に係る二次電池の部分斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の利点および特徴、そしてそれらを達成する方法は、添付図面とともに詳細に後述している実施形態を参照すれば明らかになるであろう。ただし、本発明は、以下に開示される実施形態に限定されるものではなく、互いに異なる多様な形態で実現できるものであり、本実施形態は、単に本発明の開示が完全となるようにし、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者に発明の範囲を完全に知らせるために提供されるものであり、本発明は、特許請求の範囲により定義されるだけである。明細書の全体にわたって、同一の参照符号は、同一の構成要素を指す。
【0026】
他の定義がなければ、本明細書で用いられる全ての用語(技術および科学的用語を含む)は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者に共通に理解できる意味として用いられてもよい。また、一般的に用いられる辞書に定義されている用語は、明らかに特に定義していない限り、理想的にまたは過度に解釈されない。
【0027】
本明細書で用いられた用語は、実施形態を説明するためのものであって、本発明を制限しようとするものではない。本明細書において、単数形は、語句で特に言及しない限り、複数形も含む。明細書で用いられる「含む(comprises)」および/または「含む(comprising)」は、言及された構成要素の他に、1つ以上の他の構成要素の存在または追加を排除するものではない。
【0028】
以下、添付図面を参照して、本発明の好ましい実施形態について詳しく説明することにする。
図1は、本発明の一実施形態に係る二次電池1の組立図である。
【0029】
本発明の一実施形態によると、パウチフィルム135の引張強度および伸び率が改善されることで靱性(Toughness)が増加し、パウチフィルム135を成形してパウチ型電池ケース13を製造する際に成形性が向上することができる。
【0030】
このために、本発明の一実施形態に係るパウチフィルム135は、第1ポリマーから製造され、最内層に形成されるシーラント層1351(図2に図示)と、第2ポリマーから製造され、最外層に形成される表面保護層1353(図2に図示)と、前記表面保護層1353と前記シーラント層1351との間に積層される水分(またはガス)バリア層1352(図2に図示)と、を含み、前記水分バリア層1352は、厚さが50~80μmであり、結晶粒度が10~13μmであるアルミニウム合金薄膜からなり、前記シーラント層1351は、厚さが60~100μmであってもよい。特に、前記水分バリア層1352は、厚さが55~65μmであり、前記シーラント層1351は、厚さが75~85μmであることが好ましい。
【0031】
電極組立体10は、電極およびセパレータを交互に積層して形成する。先ず、電極活物質とバインダーおよび可塑剤を混合したスラリーを正極集電体および負極集電体に塗布し、正極および負極などの電極を製造する。そして、セパレータ(Separator)を電極の間に積層して電極組立体10を形成し、電極組立体10を電池ケース13に挿入し、電解質の注入後にシールする。
【0032】
電極組立体(Electrode Assembly)10は、全長に全幅を掛けた面積が15000mm~100000mmであってもよい。特に、電極組立体10の全幅は60mm以上であってもよい。また、電極組立体10は、積層方向に対して6mm~20mmの厚さを有してもよい。したがって、本発明の一実施形態に係る電極組立体10は、一般的な小型電池と比べて大きい電池容量を提供することができる。
【0033】
具体的に、電極組立体10は、正極および負極の2種類の電極と、前記電極を互いに絶縁させるために電極の間に介在するセパレータと、を含む。このような電極組立体10は、スタック型、ゼリーロール型、スタック&フォールディング型などが挙げられる。2種類の電極、すなわち、正極と負極は、それぞれアルミニウムと銅を含む金属箔または金属網状の電極集電体に活物質スラリーが塗布された構造である。活物質スラリーは、通常、粒状の活物質、導電材などを溶媒が添加された状態で撹拌して形成することができる。溶媒は、後続工程で除去される。
【0034】
電極組立体10は、図1に示されたように、電極タブ(Electrode Tab)11を含む。電極タブ11は、電極組立体10の正極および負極にそれぞれ連結され、電極組立体10から外部に突出し、電極組立体10の内部と外部との間で電子が移動できる経路となる。電極組立体10の電極集電体は、電極活物質が塗布された部分と、電極活物質が塗布されていない末端部分、すなわち、無地部とから構成される。そして、電極タブ11は、無地部を裁断して形成されるか、または無地部に別の導電部材を超音波溶接などにより連結して形成されてもよい。このような電極タブ11は、図1に示されたように、電極組立体10のそれぞれ異なる方向に突出してもよいが、これに制限されず、一側から同じ方向に並んで突出するなど、多様な方向に向かって突出形成されてもよい。
【0035】
電極組立体10の電極タブ11には、二次電池1の外部に電気を供給する電極リード(Electrode Lead)12がスポット(Spot)溶接などにより連結される。そして、電極リード12の一部は、絶縁部14により周りが取り囲まれる。絶縁部14は、電池ケース13の第1ケース131と第2ケース132が熱融着されるサイド134に限定されて位置し、電極リード12を電池ケース13に接着させる。そして、電極組立体10から生成される電気が電極リード12を通して電池ケース13に流れるのを防止し、電池ケース13のシールを維持する。したがって、このような絶縁部14は、電気がよく通じない非導電性を有する不導体で製造される。一般的に、絶縁部14としては、電極リード12に付着しやすく、厚さが比較的に薄い絶縁テープを多く用いるが、これに制限されず、電極リード12を絶縁できるものであれば、多様な部材を用いてもよい。
【0036】
電極リード12は、一端が前記電極タブ11と連結され、他端が前記電池ケース13の外部にそれぞれ突出する。すなわち、電極リード12は、正極タブ111に一端が連結され、正極タブ111が突出した方向に延びる正極リード121と、負極タブ112に一端が連結され、負極タブ112が突出した方向に延びる負極リード122と、を含む。一方、正極リード121および負極リード122は、図1に示されたように、いずれも他端が電池ケース13の外部に突出する。それにより、電極組立体10の内部で生成された電気を外部に供給することができる。また、正極タブ111および負極タブ112がそれぞれ多様な方向に向かって突出形成されるため、正極リード121および負極リード122もそれぞれ多様な方向に向かって延びることができる。
【0037】
正極リード121および負極リード122は、その材質が互いに異なってもよい。すなわち、正極リード121は、正極集電体と同一のアルミニウム(Al)材質であり、負極リード122は、負極集電体と同一の銅(Cu)材質、またはニッケル(Ni)がコーティングされた銅材質であってもよい。そして、電池ケース13の外部に突出した電極リード12の一部分は、端子部となり、外部端子と電気的に連結される。
【0038】
電池ケース13は、電極組立体10を内部に収納する、柔軟性の材質を有するパウチフィルム135を成形して製造されたパウチである。以下、電池ケース13は、パウチであるものと説明する。パンチ22(図11に図示)などを用いて、柔軟性を有するパウチフィルム135をドロー(Drawing)成形すると、一部が延伸され、袋状の収容空間1331を含むカップ部133が形成されることで、電池ケース13が製造される。
【0039】
電池ケース13は、電極リード12の一部が露出するように電極組立体10を収容しシールされる。このような電池ケース13は、図1に示されたように、第1ケース131および第2ケース132を含む。第1ケース131にはカップ部133が形成され、電極組立体10を収容できる収容空間1331が備えられ、第2ケース132は、前記電極組立体10が電池ケース13の外部に離脱しないように、前記収容空間1331を上方からカバーする。第1ケース131と第2ケース132は、図1に示されたように、一側が互いに連結されて製造されてもよいが、これに制限されず、互いに分離して別に製造されるなど、多様に製造されてもよい。
【0040】
パウチフィルム135にカップ部133を成形する際に、1つのパウチフィルム135に1つのカップ部133だけが形成されてもよいが、これに制限されず、1つのパウチフィルム135に2つのカップ部133を互いに隣り合うようにドロー成形してもよい。すると、図1に示されたように、第1ケース131と第2ケース132には、それぞれカップ部133が形成される。この際、第1ケース131と第2ケース132に形成されたそれぞれのカップ部133は、深さDが互いに同一であってもよいが、これに制限されず、深さDが互いに異なってもよい。
【0041】
本発明の一実施形態の場合、カップ部133の深さDは3mm以上、特に6.5mm以上であってもよい。したがって、本発明の一実施形態に係るカップ部133は、一般的な小型電池と比べて大きい電極容量を有する電極組立体10を収納することができる。
【0042】
第1ケース131のカップ部133に備えられた収容空間1331に電極組立体10を収納した後、2つのカップ部133が互いに対向するように、電池ケース13における2つのカップ部133の間に形成されたブリッジ136を中心に電池ケース13をフォールディングすることができる。すると、第2ケース132のカップ部133が電極組立体10を上方からも収容する。したがって、2つのカップ部133が1つの電極組立体10を収容するため、カップ部133が1つであるときよりも、厚さがさらに厚い電極組立体10も収容することができる。また、電池ケース13をフォールディングすることにより、第1ケース131と第2ケース132が互いに一体に連結されるため、後ほどシール工程を行う際に、シールするサイド134の個数が減少することができる。したがって、工程速度を向上させることができ、シール工程数も減少させることができる。
【0043】
一方、電池ケース13は、電極組立体10を収容する収容空間1331が備えられたカップ部133と、カップ部133の側部に形成され、脱気孔を通して前記カップ部133の内部に生成されるガスを排出する脱気部137と、を含むことができる。電池ケース13のカップ部133に電極組立体10を収納し電解液を注入した後、活性化工程を行うと、電池ケース13の内部でガスが発生し、このようなガスを外部に排出するために脱気工程を行う。
【0044】
電極組立体10の電極タブ11に電極リード12が連結され、電極リード12の一部分に絶縁部14が形成されると、第1ケース131のカップ部133に備えられた収容空間1331に電極組立体10が収容され、第2ケース132が前記空間を上部からカバーする。そして、内部に電解質を注入し、第1ケース131および第2ケース132のカップ部133の外側に延長形成されたサイド134をシールする。電解質は、二次電池1の充放電時、電極の電気化学的反応により生成されるリチウムイオンを移動させるためのものであり、リチウム塩と高純度有機溶媒類の混合物である非水系有機電解液または高分子電解質を用いたポリマーを含むことができる。さらに、電解質は、硫化物系、酸化物系、またはポリマー系の固体電解質を含んでもよく、このような固体電解質は、外力により容易に変形する柔軟性を有してもよい。このような方法によりパウチ型二次電池1を製造することができる。
【0045】
図2は、本発明の一実施形態に係るパウチフィルム135の断面図である。
本発明の一実施形態に係るパウチ型二次電池1の電池ケース13であるパウチは、パウチフィルム135をドロー(Drawing)成形して製造される。すなわち、パウチフィルム135をパンチ22などで延伸させてカップ部133を形成することで製造される。本発明の一実施形態によると、このようなパウチフィルム135は、図2に示されたように、シーラント層(Sealant Layer)1351、水分バリア層(Moisture Barrier Layer)1352、表面保護層(Surface Protection Layer)1353を含み、必要に応じて、延伸補助層(Drawing Assistance Layer)1354をさらに含むことができる。
【0046】
シーラント層1351は、第1ポリマーから製造され、最内層に形成され、電極組立体10と直接接触することができる。ここで、最内層とは、前記水分バリア層1352を基準として電極組立体10が位置する方向に向かう際に最も最後に位置した層をいう。電池ケース13は、上記のような積層構造のパウチフィルム135を、パンチ22などを用いてドロー(Drawing)成形すると、一部が延伸され、袋状の収容空間1331を含むカップ部133が形成されることで製造される。そして、このような収容空間1331に電極組立体10が内部に収容されると、電解質を注入する。その後、第1ケース131と第2ケース132を互いに対向するように接触させ、サイド134に熱圧着をすると、シーラント層1351同士が接着されることで、パウチがシールされる。この際、シーラント層1351は、電極組立体10と直接的に接触するため、絶縁性を有しなければならず、電解質とも接触するため、耐食性を有しなければならない。また、内部を完全に密閉して内部および外部間の物質移動を遮断しなければならないため、高いシール性を有しなければならない。すなわち、シーラント層1351同士が接着されたサイド134は、優れた熱接着強度を有しなければならない。一般的に、このようなシーラント層1351を製造する第1ポリマーは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、アクリル系高分子、ポリアクリロニトリル、ポリイミド、ポリアミド、セルロース、アラミド、ナイロン、ポリエステル、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール、ポリアリレート、テフロン(登録商標)、およびガラス繊維からなる群から選択された1つ以上の物質からなることができる。特に、主にポリプロピレン(PP)またはポリエチレン(PE)などのポリオレフィン系樹脂が用いられる。ポリプロピレン(PP)は、引張強度、剛性、表面硬度、耐摩耗性、耐熱性などの機械的物性と、耐食性などの化学的物性に優れるため、シーラント層1351を製造するのに主に用いられる。さらに、無延伸ポリプロピレン(Cated Polypropylene)または酸修飾ポリプロピレン(Acid Modified Polypropylene)、またはポリプロピレン-ブチレン-エチレン三元共重合体で構成されてもよい。ここで、酸修飾ポリプロピレンは、MAH PP(Maleic Anhydride Polypropylene)であってもよい。また、シーラント層1351は、いずれか1つの物質からなる単一膜構造を有するか、または2つ以上の物質がそれぞれ層をなして形成された複合膜構造を有してもよい。
【0047】
本発明の一実施形態によると、シーラント層1351の厚さは60~100μmであってもよく、特に75~85μmであってもよい。仮にシーラント層の厚さが60μmよりも薄いと、シール時に内部が破壊されるなど、シール耐久性が低下するという問題があり得る。その逆に、仮にシーラント層の厚さが100μmよりも厚いと、パウチ全体の厚さが過度に厚くなるため、かえって成形性が低下するか、または二次電池の体積対比エネルギー密度が低下し得る。シーラント層1351の厚さが小さい場合、パウチフィルム135の絶縁破壊電圧が低くなって絶縁性が低下し得、絶縁性が劣るパウチフィルム135を用いて電池を製造する場合に不良率が高くなり得る。
【0048】
水分バリア層1352は、表面保護層1353とシーラント層1351との間に積層され、パウチの機械的強度を確保し、二次電池1外部のガスまたは水分などの出入りを遮断し、電解質漏れを防止する。水分バリア層1352は、アルミニウム合金薄膜から製造されることができる。アルミニウム合金薄膜は、所定レベル以上の機械的強度を確保できながらも、重さが軽く、電極組立体10と電解質による電気化学的性質に対する補完および放熱性などを確保することができる。
【0049】
より具体的には、本発明の一実施形態に係るアルミニウム合金薄膜は、結晶粒度が10~13μm、好ましくは10.5~12.5μm、より好ましくは11~12μmであってもよい。アルミニウム合金薄膜の結晶粒度が前記範囲を満たす際に、カップの成形時にピンホール(Pinhole)や亀裂が発生することなく成形深さを増加させることができる。
【0050】
このようなアルミニウム合金薄膜には、アルミニウム以外の金属元素、例えば、鉄(Fe)、銅(Cu)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、ニッケル(Ni)、マグネシウム(Mg)、および亜鉛(Zn)からなる群から選択される1種または2種以上が含まれることができる。
【0051】
また、本発明の一実施形態によると、水分バリア層1352の厚さは50μm~80μmであってもよく、特に55μm~65μmであってもよい。
従来は、水分バリア層の厚さが50μmよりも薄いため、成形性が低下していた。そこで、パウチフィルム135をドロー成形すると、カップ部の深さを深く形成する際に、カップ部の壁が垂直に近く形成されるのに限界があり、カップ部のエッジの曲率半径を減少するのにも限界があった。また、穿孔強度が弱いため、電池ケースが外部から衝撃を受けると、内部の電極組立体が破損しやすいという問題もあった。
【0052】
その逆に、仮に水分バリア層の厚さが約80μmよりも厚いと、製造費用が増加するだけでなく、二次電池全体の厚さが過度に厚くなり、二次電池の体積対比エネルギー密度が低下するという問題がある。仮に二次電池全体の厚さを減少させるためにシーラント層の厚さを60μmよりも薄く減少させると、シール耐久性が低下するという問題がある。
【0053】
しかしながら、単にアルミニウム合金薄膜の厚さだけを増加させる場合、成形深さは増加させることができるが、成形後にアルミニウム合金薄膜にピンホールやクラックが発生し、密封耐久性に問題が発生する。
【0054】
そこで、本発明者らは、研究を重ねた結果、水分バリア層の材質として特定の結晶粒度を有するアルミニウム合金薄膜を適用し、水分バリア層およびシーラント層の厚さを特定の範囲に制御する場合、カップ部を深く成形可能であり、優れた密封耐久性も維持可能であることを見出し、本発明を完成した。
【0055】
具体的には、本発明に係る水分バリア層1352は、結晶粒度が10μm~13μm、好ましくは10.5~12.5μm、より好ましくは11~12μmであるアルミニウム合金薄膜を含む。アルミニウム合金薄膜の結晶粒度が前記範囲を満たす際に、カップの成形時にピンホール(Pinhole)や亀裂が発生することなく成形深さを増加させることができる。アルミニウム合金薄膜の結晶粒度が13μm超過である場合には、アルミニウム合金薄膜の強度が低下し、延伸時に内部応力の分散が難しいため、クラックやピンホールの発生が増加し、結晶粒度が10μm未満である場合には、アルミニウム合金薄膜の柔軟性が低下し、成形性の向上に限界がある。
【0056】
一方、前記結晶粒度は、アルミニウム合金薄膜の組成およびアルミニウム合金薄膜の加工方法に応じて異なり、アルミニウム合金薄膜の厚さ方向の断面を走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope、SEM)で観測して測定することができる。具体的には、本発明においては、走査型電子顕微鏡を用いてアルミニウム合金薄膜の厚さ方向の断面のSEMイメージを取得し、前記SEMイメージから観察される結晶粒のうち既に設定された個数の結晶粒の最大直径を測定した後、これらの平均値を結晶粒度として評価した。
【0057】
表面保護層1353は、第2ポリマーから製造され、最外層に形成され、外部との摩擦および衝突から二次電池1を保護しながらも、電極組立体10を外部から電気的に絶縁させる。ここで、最外層とは、前記水分バリア層1352を基準として電極組立体10が位置する方向の反対方向に向かう際に最も最後に位置した層をいう。このような表面保護層1353を製造する第2ポリマーは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、アクリル系高分子、ポリアクリロニトリル、ポリイミド、ポリアミド、セルロース、アラミド、ナイロン、ポリエステル、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール、ポリアリレート、テフロン(登録商標)、およびガラス繊維からなる群から選択された1つ以上の物質であってもよい。特に、主に耐摩耗性および耐熱性を有するポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリマーを用いることが好ましい。そして、表面保護層1353は、いずれか1つの物質からなる単一膜構造を有するか、または2つ以上の物質がそれぞれ層をなして形成された複合膜構造を有してもよい。
【0058】
本発明の一実施形態によると、このような表面保護層1353の厚さは5μm~25μmであってもよく、特に7μm~12μmであってもよい。仮に表面保護層の厚さが5μmよりも薄いと、外部絶縁性が低下するという問題があり得る。その逆に、仮に表面保護層の厚さが25μmよりも厚いと、パウチ全体の厚さが厚くなるため、かえって二次電池の体積対比エネルギー密度が低下し得る。
【0059】
一方、PETは、安価、かつ、耐久性に優れ、電気絶縁性に優れるが、前記水分バリア層1352として多く用いられるアルミニウムとの接着性も弱く、応力を印加して延伸される際の挙動も互いに異なり得る。したがって、表面保護層1353と水分バリア層1352を直接接着すると、ドロー成形途中に表面保護層1353と水分バリア層1352が剥離し得る。それにより、水分バリア層1352が均一に延伸されないため、成形性が低下するという問題が発生し得る。
【0060】
本発明の一実施形態によると、電池ケース13は、第3ポリマーから製造され、表面保護層1353と水分バリア層1352との間に積層される延伸補助層1354をさらに含むことができる。延伸補助層1354は、表面保護層1353と水分バリア層1352との間に積層され、表面保護層1353と水分バリア層1352が延伸される際に剥離するのを防止することができる。このような延伸補助層1354を製造する第3ポリマーは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、アクリル系高分子、ポリアクリロニトリル、ポリイミド、ポリアミド、セルロース、アラミド、ナイロン、ポリエステル、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール、ポリアリレート、テフロン(登録商標)、およびガラス繊維からなる群から選択された1つ以上の物質であってもよい。特に、ナイロン(Nylon)樹脂は、表面保護層1353のポリエチレンテレフタレート(PET)とは接着が容易であり、水分バリア層1352のアルミニウム合金とは延伸される際の挙動が類似するため、第3ポリマーとしては、主にナイロン(Nylon)樹脂を用いることができる。そして、延伸補助層1354は、いずれか1つの物質からなる単一膜構造を有するか、または2つ以上の物質がそれぞれ層をなして形成された複合膜構造を有してもよい。
【0061】
従来、水分バリア層は、約40μmの厚さを有し、それにより、延伸補助層は、約15μmの相当に薄い厚さを有するものであった。すなわち、延伸補助層と水分バリア層の厚さ比率が1:2.67であって、水分バリア層の厚さ比率が相当に高かった。ところで、上述したように、本発明の一実施形態によると、水分バリア層1352が約50~80μm、特に55μm~65μmの厚さを有するため、水分バリア層1352の成形性が向上する。この際、延伸補助層1354の成形性も向上させるために、延伸補助層1354は20μm~50μmの厚さを有してもよく、特に25μm~38μmの厚さを有することが好ましい。仮に20μmよりも薄いと、延伸補助層が水分バリア層の向上した成形性を追うことができず、延伸途中に破損し得る。その逆に、仮に50μmよりも厚いと、パウチ全体の厚さが厚くなるため、二次電池の体積が増加し、エネルギー密度が低下し得る。特に、本発明の一実施形態によると、延伸補助層1354と水分バリア層1352の厚さ比率が1:2.5よりも小さくてもよい。すなわち、従来よりも延伸補助層1354の厚さ比率をさらに増加することができる。ただし、延伸補助層1354の厚さが過度に厚くなると、パウチ全体の厚さが厚くなるため、過度な厚さにならないために、前記厚さ比率は1:1.5よりも大きくてもよい。すなわち、前記厚さ比率は1:1.5~1:2.5であってもよい。
【0062】
図3は、合金番号AA8079のアルミニウム合金および合金番号AA8021のアルミニウム合金の鉄およびシリコンの含量を示したグラフである。
上述したように、水分バリア層1352をなすアルミニウム合金薄膜は、結晶粒度が10~13μm、好ましくは10.5~12.5μm、より好ましくは11~12μmであってもよい。
【0063】
また、前記アルミニウム合金薄膜の鉄(Fe)含有量は1.2wt%~1.7wt%、好ましくは1.3wt%~1.7wt%、より好ましくは1.3wt%~1.45wt%であってもよい。アルミニウム合金薄膜中の鉄(Fe)含有量が1.2wt%未満である場合には、アルミニウム合金薄膜の強度が低下し、成形時にクラックおよびピンホールが発生し得、1.7wt%超過である場合には、アルミニウム合金薄膜の柔軟性が低下し、成形性の向上に限界がある。
【0064】
また、前記アルミニウム合金薄膜のシリコン(Si)含有量は0.2wt%以下、好ましくは0.05~0.2wt%、より好ましくは0.1~0.2wt%であってもよい。シリコン含有量が0.2wt%超過である場合には、成形性が低下し得る。
【0065】
具体的には、本発明に係るアルミニウム合金薄膜は、合金番号AA8021のアルミニウム合金であってもよい。
これに対し、従来の電池用パウチには、主に合金番号AA8079のアルミニウム合金薄膜が用いられた。
アルミニウム合金に鉄が多く含まれる場合には、機械的強度が向上し、鉄が少なく含まれる場合には、柔軟性が向上する。
【0066】
合金番号AA8079は、図3に示されたように、鉄を0.6wt%~1.2wt%含み、シリコンを0.3wt%以下含む。合金番号AA8079のアルミニウム合金の場合、鉄が相対的に少なく含まれており、それを用いて水分バリア層1352を製造する場合、柔軟性が向上することはできるが、強度が低下して成形性に限界があり得る。
【0067】
これに対し、合金番号AA8021は、図3に示されたように、鉄を1.2wt%~1.7wt%、特に1.3wt%~1.7wt%含むことができ、シリコンを0.2wt%以下含むことができる。このような合金番号AA8021のアルミニウム合金を用いて水分バリア層1352を製造する場合、鉄が相対的に多く含まれるため、引張強度(Tensile Strength)、伸び率(Elongation Rate)、および穿孔強度(puncture Strength)が改善されることができる。
【0068】
一方、ある材料に引張力を印加した際、引張強度と伸び率との間の関係をグラフで示すことができる。この際、グラフの縦軸を引張強度、横軸を伸び率とすると、グラフの下面積が当該材料の靱性(Toughness)である。靱性とは、材料の破壊に対する強さ程度を示し、靱性が高いほど、材料が破壊されないまでさらに多く延伸されることができる。
【0069】
したがって、合金番号AA8021のアルミニウム合金を用いて水分バリア層1352を製造する場合、引張強度および伸び率が改善されるため、靱性(Toughness)が増加し、成形性が向上することができる。
【0070】
図4は、合金番号AA8079のアルミニウム合金および合金番号AA8021のアルミニウム合金の鉄の含量に応じた引張強度(Rm)、伸び率、および結晶粒度の変化を示すグラフであり、図5は、合金番号AA8079のアルミニウム合金および合金番号AA8021のアルミニウム合金の結晶粒を拡大したSEMイメージである。
【0071】
図4に示されたように、アルミニウム合金の鉄の含量に応じて、引張強度、伸び率、および結晶粒度が変化する。具体的に、引張強度および伸び率は鉄の含量に比例するため、鉄の含量が増加するほど、引張強度および伸び率も増加する。これに対し、結晶粒度は鉄の含量に反比例するため、鉄の含量が増加するほど、結晶粒度は減少する。
【0072】
合金番号AA8079は、結晶粒度が13μm~21μmと相対的に大きい。したがって、延伸時に内部応力がさらに少なく分散し、ピンホール(Pinhole)が多くなるため、電池ケース13の成形性が低下するという問題がある。
【0073】
合金番号AA8021は、結晶粒度が10μm~13μmと相対的に小さい。したがって、延伸時に内部応力がさらに多く分散することができるため、ピンホール(Pinhole)が減少し、電池ケース13の成形性が向上することができる。
【0074】
一方、本発明に係るパウチフィルム135は、総厚さが160μm~200μm、好ましくは180μm~200μmであってもよい。パウチフィルム135の厚さが前記範囲を満たす際に、パウチの厚さ増加による電池収容空間の減少、密封耐久性の低下などを最小化しながらも成形深さを増加させることができる。
【0075】
本発明に係るパウチフィルム135は、特定の厚さおよび結晶粒度を有するアルミニウム合金薄膜を含んでおり、引張強度および伸び率に優れる。具体的には、本発明に係るパウチフィルム135は15mmΥ80mmの大きさに裁断した後、50mm/minの引張速度で引っ張りつつ測定した引張強度が200N/15mm~300N/15mm、好ましくは210N/15mm~270N/15mm、より好ましくは220N/15mm~250N/15mmであり、伸び率が120%~150%、好ましくは120%~140%、より好ましくは120%~130%であってもよい。このように、本発明に係るパウチフィルム積層体は、引張強度および伸び率が高く、それにより、靱性(Toughness)が増加し、カップの成形時に成形深さが大きい場合にもクラックの発生が少ない。
【0076】
また、本発明に係るパウチフィルム積層体は、特定の厚さおよび結晶粒度を有するアルミニウム合金薄膜を含んでおり、穿孔強度に優れる。具体的には、本発明に係るパウチフィルム積層体は、穿孔強度が30N以上であってもよい。図6は、本発明の比較例に係るダイエッジ138および電極タブ11を拡大した概略図である。
【0077】
カップ部133は、種々のエッジを含み、具体的に、パンチ22の加圧エッジ221に対応して形成されるパンチエッジ139、およびダイ21の加圧エッジ213に対応して形成されるダイエッジ138などを含む。パンチエッジ139は、カップ部133の周辺を取り囲む複数の壁1333と底部1332をそれぞれ連結し、ダイエッジ138は、複数の壁1333とサイド134をそれぞれ連結する。ところで、仮にダイの加圧エッジにラウンド処理が行われていないと、ダイの加圧エッジが尖鋭になるため、パウチフィルム135を成形する際に、カップ部のダイエッジに応力が集中し、クラックが発生しやすいという問題がある。
【0078】
これを解決するために、ダイ21の加圧エッジ213にラウンド処理をすることで、図6に示されたように、カップ部333のダイエッジ338がラウンドして形成され、ダイエッジ338に集中する応力を或る程度分散させることができる。
【0079】
しかしながら、カップ部の深さを特定の深さ以上に成形すると、カップ部のダイエッジの曲率半径を小さく(例えば、2mm以下)形成する際に、依然としてパウチフィルム135にクラックが発生し得た。例えば、前記特定の深さとは、カップ部133を1つ成形する場合を基準として約7mm、カップ部133を2つ成形する場合を基準として約6.5mmであってもよい。
【0080】
本明細書において、ダイエッジ138、338がラウンドして形成されるとは、曲率を有するように曲面を形成することを意味し、このような曲面は、全体的に一定の曲率を有してもよいが、これに制限されず、全体的に一定でない曲率を有してもよい。
【0081】
したがって、本発明の一実施形態によると、シーラント層1351の厚さは60~100μm、特に75~85μmであってもよく、水分バリア層1352の厚さは50μm~80μm、特に55μm~65μmであってもよく、水分バリア層1352は、結晶粒度が10~13μmであるアルミニウム合金薄膜からなってもよい。
【0082】
それにより、水分バリア層1352の成形性が向上するため、図6に示されたように、パウチフィルム135をドロー成形する際に、カップ部333の深さを特定の深さ以上に深く形成しながらも、カップ部333の壁3333が垂直に近くなり、カップ部333のエッジ338、339の曲率半径R3も減少することができる。
【0083】
または、本発明の他の実施形態によると、パウチフィルム135をドロー成形する際に、カップ部333の深さを前記特定の深さ以下に形成することで、カップ部333の壁3333が垂直に近くなり、カップ部333のエッジ338、339の曲率半径R3も減少することができる。
【0084】
具体的に、カップ部333の壁3333が底部3332から傾斜角が90°~95°、好ましくは90°~93°間の傾斜を有するように垂直に近く形成されることができる。また、カップ部133のエッジ338、339は、少なくとも1つがカップ部333の深さの1/20~1/6の曲率半径でラウンドして形成されることができる。具体的に、カップ部133のエッジ338、339のうち少なくとも1つは1mm以下、特に0.7mm以下の曲率半径R3でラウンドして形成されても、クラックが発生するのを防止することができる。
【0085】
上記のように電池ケース13を製造することで、収容空間1331の体積が増加するため、内部に収納される電極組立体10の体積も増加することができ、二次電池1の体積対比エネルギー効率も増加することができる。そして、製造費用が大幅に増加せず、かつ、シーラント層1351の厚さを減少させなくても、パウチ全体の厚さも大幅に増加せず、シール耐久性も低下しない。また、パウチ型電池ケース13およびパウチ型二次電池1が全体的にシャープな形状を有することができるため、二次電池1の外観にも優れ、商品性も向上することができる。
【0086】
ただし、カップ部333の壁3333が垂直に近くなり、カップ部333のエッジ338、339の曲率半径が減少するにつれ、図6に示されるように、ダイエッジ338と電極タブ11との間に干渉が発生し得る。具体的に、電極タブ11は、電極組立体10内に積層された電極から突出するため、電極組立体10内の電極の個数だけ複数形成されることができる。そして、このような複数の電極タブ11が互いに積層されて連結された後にサイド134に載置される。この際、電極タブ11がダイエッジ338からサイド134まで載置されるが、ダイエッジ338の曲率半径R3が減少するほど、ダイエッジ338がカップ部333の内側にさらに多く湾入し、ダイエッジ338での柔軟性が低下し得る。すると、ダイエッジ338と電極タブ11との間の距離もさらに減少し、ダイエッジ338が電極タブ11を圧迫し、ダイエッジ338と電極タブ11との間に干渉が発生し得る。特に、電極タブ11の個数が多いほど、電極タブ11が積層される厚さが厚くなり、カップ部333の壁3333と電極タブ11との間の空間がさらに狭くなる。したがって、ダイエッジ338が電極タブ11をさらに圧迫することで、電力の供給が円滑ではなく、さらには、電極タブ11が断線するという問題が発生し得る。
【0087】
図7は、本発明の一実施形態に係る電池ケース13の部分平面図であり、図8は、本発明の一実施形態に係る電池ケース13のカップ部133に電極組立体10を挿入した様子を示した部分平面図である。
【0088】
本発明の実施形態によると、パウチフィルム135の成形性が向上してカップ部133の壁1333が垂直に近くなり、カップ部133のダイエッジ138の曲率半径R1、R2が減少しても、ダイエッジ138と電極タブ11との間に干渉が発生するのを防止することができる。
【0089】
このために、本発明の実施形態に係るパウチ型電池ケース13は、電極およびセパレータが積層されて形成される電極組立体10を内部に収容するカップ部133と、前記カップ部133の壁1333と前記壁1333から延びるサイド134とを互いに連結する複数のダイエッジ138と、を含み、少なくとも1つの前記ダイエッジ138は、第1曲率半径R1(図9に図示)でラウンドして形成される第1領域1381と、前記第1曲率半径R1よりも小さい第2曲率半径R2(図10に図示)でラウンドして形成される第2領域1382と、を含む。
【0090】
また、本発明の一実施形態に係るパウチ型二次電池1は、電極およびセパレータが積層されて形成される電極組立体10と、前記電極組立体10を内部に収容するカップ部133を含む電池ケース13と、を含み、前記電池ケース13は、前記カップ部133の壁1333と前記壁1333から延びるサイド134とを互いに連結する複数のダイエッジ138を含み、少なくとも1つの前記ダイエッジ138は、第1曲率半径R1でラウンドして形成される第1領域1381と、前記第1曲率半径R1よりも小さい第2曲率半径R2でラウンドして形成される第2領域1382と、を含む。
【0091】
上述したように、電池ケース13は、カップ部133の周辺を取り囲む複数の壁1333と、壁1333から延びるサイド134と、を含む。そして、ダイエッジ138は、複数の壁1333とサイド134をそれぞれ連結する。本発明の一実施形態によると、少なくとも1つのダイエッジ138は、互いに異なる2つの曲率半径R1、R2でラウンドして形成される。すなわち、図7に示されたように、少なくとも1つのダイエッジ138は、第1曲率半径R1でラウンドして形成される第1領域1381と、第1曲率半径R1よりも小さい第2曲率半径R2でラウンドして形成される第2領域1382と、を含む。
【0092】
ここで、第1曲率半径R1は1.7mm~2.7mmであってもよく、第2曲率半径R2は1.2mm以下、好ましくは0.7mm以下であってもよい。すなわち、第1曲率半径R1は、第2曲率半径R2の1.5倍~4倍であってもよい。
【0093】
図7および図8に示されたように、第1領域1381は、電極組立体10の一側から突出した電極タブ11が載置される領域である。これに対し、第2領域1382は、電極タブ11が載置されない領域である。したがって、第1領域1381は、相対的に大きい第1曲率半径R1でラウンドして形成され、第2領域1382は、相対的に小さい第2曲率半径R2でラウンドして形成される。
【0094】
第1領域1381の長さは、電極タブ11が安定的に載置できるように、電極タブ11の幅と互いに対応することができる。ここで、対応するとは、第1領域1381の長さが電極タブ11の幅と同一であるか、または微細にさらに大きいことを意味する。仮に第1領域1381の長さが電極タブ11の幅よりも小さいと、電極タブ11がダイエッジ138に安定的に載置できない。
【0095】
一方、ダイエッジ138は、カップ部133の壁1333の周縁に沿って形成されるため、壁1333の個数だけ複数形成される。例えば、図7に示されたように、カップ部133が四角形状を有すると、ダイエッジ138は、4個形成されることができる。ただし、これに制限されず、カップ部133の壁1333の個数に応じてダイエッジ138の個数も多様に形成されることができる。
【0096】
そして、複数の電極タブ11が電極組立体10のそれぞれ異なる方向に突出すると、電極タブ11が載置される第1領域1381も、互いに異なるダイエッジ138にそれぞれ形成されることができる。例えば、図7に示されたように、第1領域1381は、互いに対向する2つのダイエッジ138にそれぞれ1つずつ形成されることができる。この際、第1領域1381は、ダイエッジ138のほぼ中心部に位置することができ、第1領域1381の両側にそれぞれ第2領域1382が形成されることができる。ただし、これに制限されず、複数の電極タブ11が電極組立体10の一側から同一の方向に並んで突出すると、第1領域1381は、1つのダイエッジ138に複数形成されてもよい。この際、複数の第1領域1381の間には、第2領域1382が形成されることができる。
【0097】
一方、第1領域1381と第2領域1382は、互いに異なる曲率半径R1、R2でラウンドするため、第1領域1381と第2領域1382との間には段差が形成されることができる。
【0098】
ただし、これに制限されず、段差が形成されないように、第1領域1381と第2領域1382との間を連結する連結領域が形成されてもよい。このような連結領域もラウンドして形成され、第1領域1381から第2領域1382まで延びるにつれ、曲率半径が第1曲率半径R1から第2曲率半径R2に一定に連続的に変化することができる。それにより、段差が形成されずに、第1領域1381と第2領域1382が連続的に連結されることができる。
【0099】
図9は、本発明の一実施形態に係るダイエッジ138の第1領域1381および電極タブ11を拡大した概略図であり、図10は、本発明の一実施形態に係るカップ部133のダイエッジ138の第2領域1382および電極タブ11を拡大した概略図である。
【0100】
上述したように、電極タブ11が載置される第1領域1381は、相対的に大きい第1曲率半径R1でラウンドして形成される。
このような第1曲率半径R1は1.7mm~2.7mmであってもよい。したがって、図9に示されるように、ダイエッジ138が電極タブ11を圧迫しないため、電極タブ11が載置される第1領域1381において、ダイエッジ138と電極タブ11の干渉が発生するのを防止することができる。
【0101】
これに対し、電極タブ11が載置されない第2領域1382は、相対的に小さい第2曲率半径R2でラウンドして形成される。このような第2曲率半径R2は1.2mm以下、好ましくは0.7mm以下であってもよい。
【0102】
したがって、図10に示されるように、二次電池1の体積対比エネルギー効率も増加することができ、パウチ型電池ケース13およびパウチ型二次電池1を全体的にシャープな形状に製造することができるため、二次電池1の外観にも優れ、商品性も向上することができる。
【0103】
図11は、本発明の一実施形態に係る成形装置2の概略図である。
本発明の一実施形態に係るパウチフィルム135を成形する成形装置2は、上面にパウチフィルム135が載置され、前記上面から内側に陥没形成された少なくとも1つの成形空間211を含むダイ21と、前記成形空間211の上方に配置され、下降して前記パウチフィルム135を前記成形空間211に挿入して成形するパンチ22と、を含み、前記ダイ21は、前記成形空間211と前記上面を互いに連結する複数の加圧エッジ213を含み、少なくとも1つの前記加圧エッジ213は、第3曲率半径でラウンドして形成される第3領域2131(図12に図示)と、前記第3曲率半径よりも小さい第4曲率半径でラウンドして形成される第4領域2132(図12に図示)と、を含む。
【0104】
このような成形装置2を用いてパウチフィルム135を成形する際に、上述したように1つのカップ部133だけが形成されてもよいが、これに制限されず、2つのカップ部133を互いに隣り合うようにドロー成形してもよい。このために、図6に示されたように、ダイ21には成形空間211が互いに隣り合うように2つ形成され、2つの成形空間211の間には隔壁212が形成されることができる。パンチ22が2つの成形空間211に全て挿入してパウチフィルム135をドロー成形すると、2つの成形空間211の各々に対応して、第1ケース131と第2ケース132の各々に、1つのカップ部、合計2つのカップ部133が形成され、このような2つのカップ部133の間には、隔壁212に対応してブリッジ136も共に形成されることができる。
【0105】
ブリッジ136は、後ほど電池ケース13をフォールディングする際に基準となる部分であってもよい。二次電池1の製造が完了すると、ブリッジ136は、二次電池1の一側においてフォールディング部(図示せず)を形成することができる。このようなフォールディング部は、第1ケース131と第2ケース132を互いに一体に連結するため、後ほどシール工程を行う際に、シールするサイド134の個数が減少することができる。したがって、工程速度を向上させ、シール工程数も減少させることもできる。この際、フォールディング部の幅が小さいほど、カップ部133の壁1333と電極組立体10との間の空間も減少するため、二次電池1の全体体積が減少し、体積対比エネルギー密度が増加することができる。
【0106】
このようなフォールディング部の幅はブリッジ136の厚さに比例し、ブリッジ136は隔壁212に対応して形成されるため、ブリッジ136の厚さは隔壁212の厚さに比例する。したがって、パウチフィルム135を成形する際には、ブリッジ136の厚さを最小化することが好ましく、このために、隔壁212の厚さも最小化することが好ましい。
【0107】
ところで、隔壁212が、厚さが薄い状態で、高さが過度に高く形成されると、ドロー成形する過程で隔壁212が破損し得る。特に、従来は、ダイ21に底が存在したが、この場合、パンチ22がパウチフィルム135を成形する際に、パウチフィルム135と成形空間211との間の空間に存在する気体が排出できないという問題があった。
【0108】
したがって、近年、このようなダイ21に底を除去することで、パウチフィルム135と成形空間211との間の空間に存在する気体が容易に排出されることはできるが、隔壁212の高さが過度に高く形成されるという問題があった。
【0109】
したがって、本発明の一実施形態によると、図11に示されたように、隔壁212の上部は、最小化された厚さを維持し、隔壁212の下部に隔壁212の厚さよりもさらに厚い補強部2121が形成されることができる。補強部2121は、電池ケース13に形成されるカップ部133の深さDよりは下方に形成され、隔壁212が破損しない程度の位置に形成されることができる。補強部2121の正確な位置は、隔壁212の厚さ、隔壁212の材料、パンチ22の圧力、形成されるカップ部133の深さDに応じて実験的に決定することができる。
【0110】
ただし、これに制限されず、隔壁212は、下部に行くほど、厚さが次第に厚く形成されてもよい。すなわち、隔壁212の断面の少なくとも一部がほぼ三角形状を有し、隔壁212に形成された成形空間211の内壁214が傾斜を有することができる。隔壁212に形成された成形空間211の内壁214の正確な傾斜は、隔壁212の上部の厚さ、隔壁212の材料、パンチ22の圧力、形成されるカップ部133の深さに応じて実験的に決定することができる。それにより、隔壁212の強度が増加し、ドロー成形過程で隔壁212が破損するのを防止することができる。
【0111】
図12は、本発明の一実施形態に係るダイ21の部分拡大図である。
本発明の実施形態によると、パウチ型電池ケース13の少なくとも1つのダイエッジ138は、第1曲率半径R1でラウンドして形成される第1領域1381と、第1曲率半径R1よりも小さい第2曲率半径R2でラウンドして形成される第2領域1382と、を含む。
【0112】
そして、このような電池ケース13を製造するために、本発明の実施形態に係るダイ21は、上面と成形空間211を互いに連結する複数の加圧エッジ213を含み、少なくとも1つの加圧エッジ213は、第3曲率半径でラウンド処理される第3領域2131と、第3曲率半径よりも小さい第4曲率半径でラウンド処理される第4領域2132と、を含む。
【0113】
ダイ21の上面に、特に成形空間211をカバーしてパウチフィルム135が載置され、成形空間211の上方に配置されたパンチ22が下降し、パウチフィルム135を成形空間211に挿入して成形する。それにより、カップ部133が形成され、パウチ型電池ケース13が製造される。この際、ダイ21の複数の加圧エッジ213に対応してパウチ型電池ケース13のダイエッジ138が形成される。
【0114】
加圧エッジ213の第3領域2131は、電池ケース13の第1領域1381に対応する。ここで、第3領域2131の第3曲率半径は、第1領域1381の第1曲率半径R1からパウチフィルム135自体の厚さを引いた数値であってもよい。例えば、パウチフィルム135の厚さが0.2mmであれば、第1領域1381の第1曲率半径R1は1.7mm~2.7mmであり得るため、第3領域2131の第3曲率半径は1.5mm~2.5mmであってもよい。
【0115】
また、加圧エッジ213の第4領域2132は、電池ケース13の第2領域1382に対応する。ここで、第2領域2132の第4曲率半径は、第2領域1382の第2曲率半径R2からパウチフィルム135自体の厚さを引いた数値であってもよい。例えば、第2領域1382の第2曲率半径R2は1.2mm以下、好ましくは0.7mm以下であり得るため、第4領域2132の第4曲率半径は1mm以下、好ましくは0.5mm以下であってもよい。
【0116】
ダイ21の加圧エッジ213は、電池ケース13のダイエッジ138と対応し、ダイ21の成形空間211は、電池ケース13のカップ部133と対応する。したがって、加圧エッジ213も成形空間211の周縁に沿って形成されるため、成形空間211が四角形状を有すると、加圧エッジ213は4個形成されることができる。
【0117】
そして、第3領域2131も、互いに異なる加圧エッジ213にそれぞれ形成されることができる。例えば、第3領域2131は、互いに対向する2つの加圧エッジ213にそれぞれ1つずつ形成されることができる。この際、第3領域2131は、加圧エッジ213のほぼ中心部に位置することができ、第3領域2131の両側にそれぞれ第4領域2132が形成されることができる。ただし、これに制限されず、第3領域2131は、1つのダイエッジ138に複数形成されてもよく、第3領域2131の間には、第4領域2132が形成されることができる。
【0118】
一方、第3領域2131と第4領域2132は、互いに異なる曲率半径でラウンドするため、第3領域2131と第4領域2132との間には段差が形成されることができる。ただし、これに制限されず、段差が形成されないように、第3領域2131と第4領域2132との間を連結する連結領域が形成されてもよい。このような連結領域もラウンドして形成され、第3領域2131から第4領域2132まで延びるにつれ、曲率半径が第3曲率半径から4曲率半径に一定に連続的に変化することができる。それにより、段差が形成されずに、第3領域2131と第4領域2132が連続的に連結されることができる。
【0119】
図13は、本発明の他の実施形態に係る二次電池1の部分斜視図である。
本実施形態に係る電池ケース13に含まれた少なくとも1つのダイエッジ138は、電極タブ11(図1参照)と対応し、内側に凹状に陥没した第1領域1381を含むことができる。前記少なくとも1つのダイエッジ138は、第1領域1381と連結され、前記第1領域1381よりは内側に少なく凹状に形成された第2領域1382をさらに含むことができる。
【0120】
より詳細には、二次電池1を外側から眺めた際に、第1領域1381は、第2領域1382よりも内側、すなわち、サイド134に向かってさらに深く湾入することができる。したがって、電極タブ11の幅方向、すなわち、ダイエッジ138の長さ方向に対して電極タブ11と干渉する段部やエッジが形成されない。
【0121】
すなわち、電極組立体10が電池ケース13に収容される際に、電極タブ11が第1領域1381に正確に対応せずに第2領域1382側に一部外れても、電極タブ11と第2領域1382が干渉しない。例えば、第1領域1381の長さが電極タブ11の幅よりも短くても、電極タブ11と第2領域1382が干渉しない。
【0122】
そして、第1領域1381は、凹状に湾入形成されるため、電極タブ11は、第1領域1381により過度に圧迫されない。
それにより、電極組立体10の電極タブ11の幅が変わっても、成形装置を変更する必要がないという利点がある。
【0123】
また、本実施形態の場合にも、第1領域1381と第2領域1382は、それぞれ互いに異なる曲率半径でラウンドして形成されることができる。すなわち、第1領域1381の第1曲率半径R1は、第2領域1382の第2曲率半径R2よりも大きく形成されることができる。
【0124】
本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者であれば、本発明がその技術的思想や必須の特徴を変更せず、他の具体的な形態で実施可能であることを理解することができるであろう。したがって、以上で記述された実施形態は、全ての面で例示的なものであって、限定的なものではないことを理解しなければならない。本発明の範囲は上記の詳細な説明よりは後述の特許請求の範囲により示され、特許請求の範囲の意味および範囲、そしてその均等概念から導き出される多様な実施形態が本発明の範囲に含まれるものと解釈しなければならない。
【符号の説明】
【0125】
1:二次電池
2:成形装置
10:電極組立体
11:電極タブ
12:電極リード
13:電池ケース
14:絶縁部
21:ダイ
22:パンチ
111:正極タブ
112:負極タブ
121:正極リード
122:負極リード
131:第1ケース
132:第2ケース
133:カップ部
134:サイド
135:パウチフィルム
136:ブリッジ
137:脱気部
138:ダイエッジ
139:パンチエッジ
211:成形空間
212:隔壁
213:ダイの加圧エッジ
221:パンチの加圧エッジ
1331:収容空間
1332:底部
1333:壁
1351:シーラント層
1352:水分バリア層
1353:表面保護層
1354:延伸補助層
1381:第1領域
1382:第2領域
2121:補強部
2131:第3領域
2132:第4領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13