(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-13
(45)【発行日】2024-12-23
(54)【発明の名称】光保護組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/73 20060101AFI20241216BHJP
A61K 8/81 20060101ALI20241216BHJP
A61K 8/44 20060101ALI20241216BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20241216BHJP
A61Q 1/00 20060101ALI20241216BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20241216BHJP
A61Q 17/04 20060101ALI20241216BHJP
【FI】
A61K8/73
A61K8/81
A61K8/44
A61K8/34
A61Q1/00
A61Q19/00
A61Q17/04
(21)【出願番号】P 2023524403
(86)(22)【出願日】2021-10-21
(86)【国際出願番号】 EP2021079237
(87)【国際公開番号】W WO2022084458
(87)【国際公開日】2022-04-28
【審査請求日】2023-06-19
(32)【優先日】2020-10-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】595100370
【氏名又は名称】ロレアル
【氏名又は名称原語表記】L′OREAL
(74)【代理人】
【識別番号】100118599
【氏名又は名称】村上 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100160738
【氏名又は名称】加藤 由加里
(72)【発明者】
【氏名】ドゥエザン,ステファン
(72)【発明者】
【氏名】カタラン-マルタン,エレナ
(72)【発明者】
【氏名】ニコ,オンディーヌ
(72)【発明者】
【氏名】ジョッソ,マルタン
(72)【発明者】
【氏名】ボードワン,ロズリーヌ
(72)【発明者】
【氏名】メルシエ,セリーヌ
【審査官】上坊寺 宏枝
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0304658(US,A1)
【文献】特表2016-513121(JP,A)
【文献】特開2018-184370(JP,A)
【文献】特表2018-538305(JP,A)
【文献】特開2021-091813(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0345605(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00-8/99
A61Q 1/00-90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成物であって、
(i)
前記組成物の総重量に対して0.05重量%~5重量%の、微生物によって産生された非デンプン性多糖から選択され
る第1の親水性ゲル化剤、並びに
(ii)
前記組成物の総重量に対して0.1重量%~5重量%の、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン
酸のコポリマーから選択され
る第2の親水性ゲル化剤
を含む少なくとも1つの水性相、
(a)
前記組成物の総重量に対して0.05重量%~5重量%の、N-アシルアミノ酸誘導体から選択され
る第1の親油性ゲル化剤、及び
(b)
前記組成物の総重量に対して0.1重量%~5重量%の、デキストリンとC
12
~C
24
脂肪酸とのエステルから選択され
る第2の親油性ゲル化剤
を含む少なくとも1つの油性相
を含み、
前記組成物がまた、少なくとも1つのUV遮断剤を含む、
前記組成物。
【請求項2】
前記第1の親水性ゲル化剤(i)が、前記組成物の総重量に対して
0.1重量%~1重量%の量で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記第1の親水性ゲル化剤(i)が
、キサンタンガ
ムから選択される、請求項
1に記載の組成物。
【請求項4】
前記第2の親水性ゲル化剤(ii)が、前記組成物の総重量に対して
0.4重量%~2重量%の量で存在する、請求項
1に記載の組成物。
【請求項5】
前記第2の親水性ゲル化剤(ii)が
、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸とビニルピロリドンとのコポリマーから選択される、請求項
1に記載の組成物。
【請求項6】
前記第1の親油性ゲル化剤(a)が、前記組成物の総重量に対して
0.1重量%~1重量%の量で存在する、請求項
1に記載の組成物。
【請求項7】
前記第1の親油性ゲル化剤(a)が、ジブチルラウロイルグルタミド及びジブチルエチルヘキサノイルグルタミドから選択される、請求項
1に記載の組成物。
【請求項8】
前記第2の親油性ゲル化剤(b)が、前記組成物の総重量に対して
0.4重量%~2重量%の量で存在する、請求項
1に記載の組成物。
【請求項9】
前記第2の親油性ゲル化剤(b)が、デキストリンとC
12~C
18脂肪酸とのエステルから選択される、請求項
1に記載の組成物。
【請求項10】
該組成物が少なくとも第3の親油性ゲル化剤(c)を更に含み、第3の親油性ゲル化剤(c)が、(C
10~C
30)アルキルポリアクリレートから選択される、請求項
1に記載の組成物。
【請求項11】
前記第3の親油性ゲル化剤(c)が、前記組成物の総重量に対して0.2重量%~5重量%の量で存在する、請求項
10に記載の組成物。
【請求項12】
該水性相及び油性相を、30/70~90/10の水性相/油性相重量比で含む、請求項
1に記載の組成物。
【請求項13】
前記少なくとも1つのUV遮断剤が、親油性UV遮断剤から選択される、請求項
1に記載の組成物。
【請求項14】
前記少なくとも1つのUV遮断剤が、該油性相中に、全て又は部分的に存在する、請求項
1に記載の組成物。
【請求項15】
少なくとも1つのアルコールを更に含む、請求項
1に記載の組成物。
【請求項16】
前記アルコールが、前記組成物の総重量に対して0.1重量%~10重量%の量で存在する、請求項
15に記載の組成物。
【請求項17】
少なくとも1つの更なる化粧活性剤を更に含む、請求項
1に記載の組成物。
【請求項18】
ケラチン物質をメーキャップ及び/又はケアする為の化粧方法であって、前記ケラチン物質に、請求項
1に定義された組成物を施与することからなる少なくとも1つの工程を含む、前記化粧方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧分野の為に、特にケラチン物質をケアする為、その衛生の為、保護する為及び/又はメーキャップする為に、好ましくは身体又は顔の皮膚をケアする為に、その技術的性能レベル、及びユーザに、特にユーザの皮膚に、施与されるときに該ユーザに与える知覚的感覚、に関して特には非常に有利な、新しい組成物を提案することに向けられている。
【0002】
語「ケラチン物質」は、特に皮膚、唇、及びケラチン繊維、例えば毛髪、特に皮膚及び/又は毛髪、特に身体及び/又は顔の、好ましくは皮膚、を意味することが意図されている。
【0003】
本発明は、特には、日焼け止め製品又は光保護製品とも云われる光保護化粧組成物の分野、及びまた対応する化粧処置方法に関する。
【0004】
ケラチン物質、特に皮膚、は、太陽光に日々曝露される。
【0005】
実のところ、この多色光への皮膚の長期化された曝露は、皮膚障害又は表面損傷を誘発しうることが既知である。
【0006】
この曝露に起因して、一部の人々は特には、皮膚上に、より具体的には顔、ネックライン、腕、手及び肩上に、皮膚に均一性の欠如をもたらす、より濃い及び/又はより着色された跡の外見を見ることになり、これらは、明白な理由で審美的問題を引き起こす。
【0007】
これらの望ましくない効果に対抗する為に、有機又は無機抗UV遮断剤(anti-UV screening agents)が配合される光保護組成物を使用することが慣習となっている。
【0008】
光保護組成物は一般的には、有機UV遮断剤及び/又は無機UV遮断剤を含み、該遮断剤は、それら自体の化学的性質に従って、且つUV放射線の吸収、反射又は散乱によるそれら自体の特性に従って、機能する。該光保護組成物は一般的には、脂溶性有機遮断剤及び/又は水溶性UV遮断剤の混合物を含む。
【0009】
UVA遮断剤は、皮膚の日焼けを引き起こし、特に敏感肌又は太陽放射線に継続的に曝露される皮膚の場合には、皮膚において有害な変化を誘発しやすい、320~400nmの波長を有するUVA放射線を、有利なことには遮断することを可能にする。UVA放射線は、特には、皮膚の弾性喪失及び皺の出現を引き起こし、それによって皮膚の早期の老化をもたらす。
【0010】
UVB遮断剤に関しては、やはり上皮の日焼けを可能にするが、自然な日焼けにとって有害になりうる紅斑及び皮膚表面熱傷を引き起こしやすい、280~320nmの波長を有するUVB放射線を遮断することを可能にする。
【背景技術】
【0011】
現在までに、UVA及び/又はUVB放射線によって誘発される有害効果に対して、ケラチン物質、より特には皮膚、を保護する為の多種多様な光保護組成物が既知である。該光保護組成物は、油性相及び/又は水性相に入れて運ばれる幾つかの有機又は無機UV遮断剤の組み合わせを、抗UV活性剤として主に含み、一般的には、エマルション又はゲルタイプの提示形態で提案されている。
【0012】
また、高レベルの遮断効率を達成する為には、高含量の遮断剤が必要とされることが既知である。
【0013】
しかしながら、高含量のUV遮断剤は、安定化された且つ心地良い質感を有する組成物の容易な製造の為には役立たない。
【0014】
従って、高い遮断力を有する配合物は一般的には、該配合物のさっぱり感(freshness)及び快適さを覆い隠す、快適でない、又は更には不快な知覚的観点を有する。特に、高い保護指数を有する光保護配合物の弱点は、強力にべたつき、且つ粘つく感覚であることが多く、従って、得られる質感の軽さ及び/又はさっぱり感が欠如するだけでなく、施与しても白色の外見であり、従って皮膚上で目に見えてしまうということである。
【0015】
更に、高含量のUV遮断剤の導入は一般的には、不安定化の問題をもたらす。この不安定性は更に、時折、該組成物の相分離及び/又は粘度喪失を引き起こして、該配合物を非効率にし、又は更には使用不能にしうる。
【0016】
前述の望ましくない効果を克服する為に、特に施与したときにさっぱりする効果及び皮膚上で目に見えなくなる効果を得る為に、水性提示形態が既に考慮されてきた。しかしながら、UV遮断剤を含むこれらの水性組成物は、一般的には粘つき、従って快適でないだけでなく、非常に流動的になる。
【0017】
ポリマーを使用して、遮断剤を含む水性ゲルを構造化することも提案されてきた。しかしながら、この解決法は、一般的には選定された構造化ポリマーが、残念ながら電解質に対して低い耐性を示し、また、該組成物の知覚特性を劣化させるので、満足のいくものではない。
【0018】
前述の望ましくない効果を克服する為に、UV遮断剤を他の特定の化合物と組み合わせて含む水性組成物の使用が、既に考慮されてきた。
【0019】
しかしながら、これらの組成物は、施与したときのさっぱり感が欠如しており、経時的に安定性の欠陥を示す。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
結果的に、同一の光保護組成物において、相反する技術的性能の質、例えば、通常は皮膚上でべたつき、且つ粘つく仕上がりを暗示する高レベルのUV保護と、特にさっぱりする知覚によってもたらされる心地良い知覚的観点とを調和させることは、困難なままである。
【0021】
高レベルのUV保護を有しており、更には施与したときに透明な光保護組成物が、依然として求められている。
【0022】
特に、高レベルのUV保護を有しており、心地良い知覚特性を有しており、有利なことにはさっぱりし、好ましくは施与したときに透明な光保護組成物が、依然として求められている。
【0023】
また、高レベルのUV保護を有しており、完全に安定であり、すなわち分離(demixing)しない光保護組成物が、求められている。
【0024】
それ故に、ケラチン物質に施与したときに透明であり、べたつくことも粘つくこともなく、太陽放射線、特にUV放射線、に対して良好な効率、とりわけ満足な太陽光線保護指数(SPF:sun protection factor)、を有する、さっぱりする安定な化粧組成物を備えることが、依然として特に求められている。
【0025】
本発明は、具体的には、これらの必要性を満たすことに向けられている。
【課題を解決するための手段】
【0026】
該問題に対してかなりの研究が行われた後、ここで全く予想外に、且つ驚くべきことに、特定のゲル化剤を組み合わせることによってこれらの目的を達成することが可能になることが、出願人によって見出された。
【0027】
従って、その観点の第1に従って、本発明は、組成物、とりわけ化粧組成物、特には、ケラチン物質をメーキャップ及び/又はケアする為の組成物、とりわけ化粧組成物、であって、該組成物が、
(i)非デンプン性多糖から選択される少なくとも第1の親水性ゲル化剤、並びに
(ii)2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸ポリマー及びコポリマーから選択される少なくとも第2の親水性ゲル化剤
を含む少なくとも1つの水性相と、
(a)アミノ酸ベースのゲル化剤から選択される少なくとも第1の親油性ゲル化剤、及び
(b)デキストリンエステルから選択される少なくとも第2の親油性ゲル化剤
を含む少なくとも1つの油性相と
を含み、
前記組成物がまた、少なくとも1つのUV遮断剤を含む、
前記組成物に関する。
【0028】
好ましくは、本発明に従う組成物において、該水性相及び油性相は、ゲル化されている。
【0029】
従って、好ましい1つの実施態様に従うと、本発明は、組成物、とりわけ化粧組成物、特には、ケラチン物質をメーキャップ及び/又はケアする為の組成物、とりわけ化粧組成物、であって、該組成物が、
(i)非デンプン性多糖から選択される少なくとも第1の親水性ゲル化剤、並びに
(ii)2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸ポリマー及びコポリマーから選択される少なくとも第2の親水性ゲル化剤
でゲル化された少なくとも1つの水性相と、
(a)アミノ酸ベースのゲル化剤から選択される少なくとも第1の親油性ゲル化剤、及び
(b)デキストリンエステルから選択される少なくとも第2の親油性ゲル化剤
でゲル化された少なくとも1つの油性相と
を含み、
前記組成物がまた、少なくとも1つのUV遮断剤を含む、
前記組成物に関する。
【0030】
全く予期に反して、本発明者等は、本発明に従う配合物における特定のゲル化剤とUV遮断剤との組み合わせが、施与したときに非常にさっぱり感の知覚をもたらすと同時に、良好な化粧特性及び高レベルの保護を保っている組成物を得ることを可能にすることを観察した。
【0031】
以下の実施例から明らかになる通り、本発明に従う組成物は、良好なさっぱり感の効果を示し、施与したときに透明である。
【0032】
本発明に従う組成物は、良好な保護特性を示し、安定であると同時に、ケラチン物質に施与したときにさっぱり感及び透明性を保っている。
【0033】
加えて、本発明に従う組成物は、有利なことには、電解質及び多量のアルコール、特にエタノール、の添加に耐える。
【0034】
好ましくは、本発明に従う組成物は、ゲル/ゲルタイプの構築を有する。従って、好ましくは、本発明に従う組成物は、エマルションとは異なっている。
【0035】
好ましい1つの実施態様に従うと、本発明に従う組成物は、界面活性剤を含まない。
【0036】
その観点の別の観点に従って、本発明の目的はまた、ケラチン物質、特には皮膚及び/又は唇、をメーキャップ及び/又はケアする為の化粧方法であって、上記ケラチン物質に、上述に定義された組成物を施与することからなる少なくとも1つの工程を含む、上記の化粧方法である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
親水性ゲル化剤
本発明の目的の為に、語「親水性ゲル化剤」は、本発明に従う組成物の該水性相をゲル化することができる化合物を意味する。
【0038】
従って、該親水性ゲル化剤は、該組成物の該水性相中に存在する。
【0039】
上述で特定される通り、本発明に従う組成物は、非デンプン性多糖から選択される少なくとも第1の親水性ゲル化剤(i)、並びに2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸ポリマー及びコポリマーから選択される少なくとも第2の親水性ゲル化剤(ii)を含む。
【0040】
第1の親水性ゲル化剤(i)
本発明に従う組成物は、非デンプン性多糖から選択される少なくとも第1の親水性ゲル化剤(i)を含む。
【0041】
該非デンプン性多糖は、微生物によって産生された多糖、藻類から単離された多糖、及びより高等植物由来の多糖、例えば、同種多糖、特にセルロース及びそれらの誘導体又はフルクトサン、異種多糖、例えば、アラビアガム、ガラクトマンナン、グルコマンナン及びペクチン及びそれらの誘導体、並びにそれらの混合物から選択されうる。
【0042】
特に、該非デンプン性多糖は、フルクタン、ジェラン、グルカン、アミロース、アミロペクチン、グリコーゲン、プルラン、デキストラン、セルロース及びそれらの誘導体、特にメチルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース及びカルボキシメチルセルロース、マンナン、キシラン、リグニン、アラバン、ガラクタン、ガラクツロナン、アルギネートベースの化合物、キチン、キトサン、グルクロノキシラン、アラビノキシラン、キシログルカン、グルコマンナン、ペクチン酸及びペクチン、アラビノガラクタン、カラギーナン、寒天、グリコサミノグルカン(glycosaminoglucans)、アラビアガム、トラガントガム、ガティガム、カラヤガム、ローカストビーンガム、ガラクトマンナン、例えば、グアーガム及びそれらの非イオン性誘導体、特にヒドロキシプロピルグアー及びそれらのイオン性誘導体、微生物起源の生物多糖ガム、特にスクレログルカン又はキサンタンガム、ムコ多糖、特にコンドロイチン硫酸、並びにそれらの混合物から選択されうる。
【0043】
より特には、該第1の親水性ゲル化剤(i)は、カラギーナン、特には、カッパカラギーナン、ジェランガム、寒天、キサンタンガム、アルギネートベースの化合物、特には、アルギン酸ナトリウム、スクレログルカンガム、グアーガム、イヌリン及びプルラン、並びにそれらの混合物から選択されうる。
【0044】
好ましくは、該第1の親水性ゲル化剤(i)は、キサンタンガムである。
【0045】
好ましくは、本発明に従う組成物の該水性相は、該組成物の総重量に対して0.05重量%~5重量%、好ましくは0.1重量%~1重量%、の少なくとも第1の親水性ゲル化剤(i)を含む。
【0046】
第2の親水性ゲル化剤(ii)
本発明に従う組成物は、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸ポリマー及びコポリマーから選択される少なくとも第2の親水性ゲル化剤(ii)を含む。
【0047】
従って、本発明の為の第2の親水性ゲル化剤(ii)として好適な、使用される該ポリマーは、水性アンモニア以外の無機塩基、例えば水酸化ナトリウム又は水酸化カリウム、で部分的又は完全に中和された形態の、少なくとも該2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(AMPS(商標))モノマーを包含する、架橋されている又は架橋されていないホモポリマー又はコポリマーでありうる。
【0048】
該ポリマーは好ましくは、完全に又はほぼ完全に中和されており、すなわち少なくとも90%が中和されている。
【0049】
本発明に従うこれらのAMPS(商標)ポリマーは、架橋されているか、又は架橋されていないものでありうる。
【0050】
該ポリマーが架橋されている場合、架橋剤は、ラジカル重合によって得られたポリマーを架橋する為に一般的に使用される、ポリオレフィン系不飽和化合物から選択されうる。
【0051】
言及されうる架橋剤の例は、ジビニルベンゼン、ジアリルエーテル、ジプロピレングリコールジアリルエーテル、ポリグリコールジアリルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、ヒドロキノンジアリルエーテル、エチレングリコール又はテトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、メチレンビスアクリルアミド、メチレンビスメタクリルアミド、トリアリルアミン、トリアリルシアヌレート、ジアリルマレエート、テトラアリルエチレンジアミン、テトラアリルオキシエタン、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、アリル(メタ)アクリレート、糖シリーズのアルコールのアリルエーテル、又は多官能性アルコールの他のアリルエーテル若しくはビニルエーテル、並びにリン酸及び/若しくはビニルホスホン酸誘導体のアリルエステル、又はこれらの化合物の混合物を包含する。
【0052】
本発明の好ましい実施態様に従うと、該架橋剤は、メチレンビスアクリルアミド、アリルメタクリレート及びトリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)から選択される。架橋度は一般的には、該ポリマーに対して0.01モル%~10モル%、より特には0.2モル%~2モル%、である。
【0053】
本発明において使用するのに好適な該AMPS(商標)ポリマーは、水溶性又は水分散性である。この場合、該ポリマーは、AMPS(商標)モノマーだけを含み、架橋されている場合には上述で定義されたもの等の1以上の架橋剤を含む「ホモポリマー」であるか、又はAMPS(商標)及び1以上の親水性若しくは疎水性エチレン性不飽和モノマー、及び架橋されている場合には上述で定義されたもの等の1以上の架橋剤、から得られたコポリマーであるか、のいずれかである。上記コポリマーが疎水性エチレン性不飽和モノマーを含む場合、これらのモノマーは、脂肪鎖を含まず、好ましくは少量で存在する。
【0054】
本発明の目的の為に、語「脂肪鎖」は、少なくとも7個の炭素原子を含む任意の炭化水素系鎖を意味する。
【0055】
語「水溶性又は水分散性」は、1%に等しい重量濃度で水性相に25℃で導入された場合、巨視的に均一且つ透明な溶液、すなわち500nmに等しい波長で、厚さ1cmの試料を通して少なくとも60%、好ましくは少なくとも70%、の最大光線透過値を有する溶液、を得ることを可能にするポリマーを意味する。
【0056】
本発明に従う「ホモポリマー」は好ましくは、架橋され、中和され、以下の工程を含む調製方法に従って得られうる。(a)AMPS(商標)等のモノマーが、遊離形態で、tert-ブタノール溶液又は水及びtert-ブタノール溶液に分散又は溶解され、(b)(a)において得られた該モノマー溶液又は分散液が、90%~100%の該ポリマーのスルホン酸官能基の中和度を得ることを可能にする量で、1以上の無機又は有機塩基、好ましくは水性アンモニアNH3、で中和され、(c)1以上の架橋性モノマーが、(b)において得られた該溶液又は分散液に添加され、(d)標準的なフリーラジカル重合が、フリーラジカル開始剤の存在下で、10℃~150℃の温度で実施され、該ポリマーは、該tert-ブタノールベースの溶液又は分散液において沈殿される。
【0057】
本発明に従う該水溶性又は水分散性AMPS(商標)コポリマーは、水溶性のエチレン性不飽和モノマー、疎水性モノマー、又はそれらの混合物を含む。
【0058】
該水溶性コモノマーは、イオン性又は非イオン性でありうる。
【0059】
該イオン性水溶性コモノマーの中でも、例えば、以下の化合物及びその塩が言及されうる。(メタ)アクリル酸、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸及び(メタ)アリルスルホン酸、ビニルホスホン酸、マレイン酸、イタコン酸、クロトン酸、次式(A)の水溶性ビニルモノマー
【0060】
【化1】
ここで、R
1は、H、-CH
3、-C
2H
5又は-C
3H
7から選択され、X
1は、-OR
2型のアルキルオキシドから選択され、ここで、R
2は、少なくとも1つのスルホン酸基(-SO
3-)及び/又はサルフェート基(-SO
4-)及び/又はホスフェート基(-PO
4H
2-)で置換されている、1~6個の炭素原子を有する直鎖状又は分岐状の、飽和又は不飽和の炭化水素系ラジカルである。
【0061】
該非イオン性水溶性コモノマーの中でも、例えば、(メタ)アクリルアミド、N-ビニルアセトアミド及びN-メチルN-ビニルアセトアミド、N-ビニルホルムアミド及びN-メチル-N-ビニルホルムアミド、無水マレイン酸、ビニルアミン、4~9個の炭素原子を有する環式アルキル基を含むN-ビニルラクタム、例えば、N-ビニルピロリドン、N-ブチロラクタム及びN-ビニルカプロラクタム、式CH2=CHOHのビニルアルコール、次式(B)の水溶性ビニルモノマー
【0062】
【化2】
ここで、R
3は、H、-CH
3、-C
2H
5又は-C
3H
7から選択され、X
2は、-OR
4型のアルキルオキシドから選択され、ここで、R
4は、ハロゲン(ヨウ素、臭素、塩素又はフッ素)原子で任意的に置換されていてもよい、1~6個の炭素原子を有する直鎖状又は分岐状の、飽和又は不飽和の炭化水素系ラジカル、ヒドロキシル(-OH)基、エーテルである、
が言及されうる。
【0063】
例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、及びエチレングリコールの、ジエチレングリコールの又はポリアルキレングリコールの(メタ)アクリレートが言及される。
【0064】
脂肪鎖を有していない該疎水性コモノマーの中でも、例えば、スチレン及びその誘導体、例えば、4-ブチルスチレン、アルファ-メチルスチレン及びビニルトルエン;式CH2=CH-OCOCH3の酢酸ビニル;式CH2=CHORのビニルエーテル(式中、Rは、1~6個の炭素を有する直鎖状又は分岐状の、飽和又は不飽和の炭化水素系ラジカルである);アクリロニトリル;カプロラクトン;塩化ビニル及び塩化ビニリデン;重合後にシリコーンポリマーを結果として生じるシリコーン誘導体、例えば、メタクリルオキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン及びシリコーンメタクリルアミド;次式(C)の疎水性ビニルモノマー
【0065】
【化3】
ここで、R
4は、H、-CH
3、-C
2H
5又は-C
3H
7から選択され、X
3は、-OR
5型のアルキルオキシドから選択され、ここで、R
5は、1~6個の炭素原子を有する直鎖状又は分岐状の、飽和又は不飽和炭化水素系ラジカルである、
が言及されうる。
【0066】
例えば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルアクリレート、イソボルニルアクリレート及び2-エチルヘキシルアクリレートに言及される。
【0067】
本発明の該水溶性又は水分散性AMPS(商標)ポリマーは好ましくは、50000g/モル~10000000g/モル、好ましくは80000g/モル~8000000g/モル、更により好ましくは100000g/モル~7000000g/モル、のモル質量を有する。
【0068】
本発明において使用するのに好適な水溶性又は水分散性AMPS(商標)ホモポリマーとして、例えば、アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸ナトリウムの架橋されている又は架橋されていないポリマー、特に市販製品Simulgel 800において使用されるもの(CTFA名:ナトリウムポリアクリロイルジメチルタウレート)、架橋されているアクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸アンモニウムポリマー(INCI名:アンモニウムポリアクリルジメチルタウラミド)、例えば、欧州特許第0815928号明細書に記載されているもの、及び例えばClariant社によって商品名Hostacerin AMPS(商標)で販売されている製品、が言及されうる。
【0069】
好ましくは、本発明に従う組成物は、AMPS(商標)ホモポリマーを含む。
【0070】
本発明に従う水溶性又は水分散性AMPS(商標)コポリマーとして、言及されうる例は、
架橋されているアクリルアミド/アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸ナトリウムコポリマー、特にSEPPIC社による市販製品Sepigel 305において使用されるもの(CTFA名:ポリアクリルアミド/C13~C14イソパラフィン/ラウレス-7)又は名称Simulgel 600で販売されている市販製品において使用されるもの(CTFA:アクリルアミド/アクリロイルジメチルタウリンナトリウム/イソヘキサデカン/ポリソルベート-80)、
AMPS(商標)と、ビニルピロリドン又はビニルホルムアミドとのコポリマー、特にClariant社によって名称Aristoflex AVC(商標)で販売されている市販製品(CTFA名:アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/VPコポリマー)において使用されるが、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムで中和されたもの、
AMPS(商標)と、アクリル酸ナトリウムとのコポリマー、特に該AMPS(商標)/アクリル酸ナトリウムコポリマー、特にSEPPIC社によって名称Simulgel EG(商標)で、又は商品名Sepinov EMで販売されている市販製品において使用されるもの(CTFA名:ヒドロキシエチルアクリレート/アクリロイルジメチルタウリンナトリウムコポリマー)、
AMPS(商標)と、ヒドロキシエチルアクリレートとのコポリマー、特に該AMPS(商標)/ヒドロキシエチルアクリレートコポリマー、特にSEPPIC社によって名称Simulgel NS(商標)で販売されている市販製品において使用されるもの(CTFA名:ヒドロキシエチルアクリレート/アクリロイルジメチルタウリンナトリウムコポリマー(及び)スクアラン(及び)ポリソルベート60)、又は例えば名称アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸ナトリウム/ヒドロキシエチルアクリレートコポリマーで販売されている製品、例えば、市販製品Sepinov EMT 10(INCI名:ヒドロキシエチルアクリレート/アクリロイルジメチルタウリンナトリウムコポリマー)
を包含する。
【0071】
本発明に従って好ましい水溶性又は水分散性AMPS(商標)コポリマーとして、AMPS(商標)と、ビニルピロリドン又はビニルホルムアミドとのコポリマー、特にClariant社によって名称Aristoflex AVC(商標)で販売されている市販製品(CTFA名:アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/VPコポリマー)において使用されるが、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムで中和されたもの、が言及されうる。
【0072】
従って、好ましい1つの実施態様に従うと、該第2の親水性ゲル化剤(ii)は、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸コポリマーから、好ましくは2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸と、ビニルピロリドン又はビニルホルムアミドとのコポリマーから、より好ましくは2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸とビニルピロリドンとのコポリマーから、選択される。
【0073】
好ましくは、本発明に従う組成物の該水性相は、該組成物の総重量に対して0.1重量%~5重量%、好ましくは0.4重量%~2重量%、の少なくとも第2の親水性ゲル化剤(ii)を含む。
【0074】
親油性ゲル化剤
本発明の目的の為に、語「親油性ゲル化剤」は、本発明に従う組成物の該油性相をゲル化することができる化合物を意味する。
【0075】
従って、該親油性ゲル化剤は、該組成物の該油性相中に存在する。
【0076】
上述で特定される通り、本発明に従う組成物は、アミノ酸ベースのゲル化剤から選択される少なくとも第1の親油性ゲル化剤(a)、及びデキストリンエステルから選択される少なくとも第2の親油性ゲル化剤(b)を含む。
【0077】
本発明に従う組成物はまた、半結晶性ポリマーから特に選択される少なくとも第3の親油性ゲル化剤(c)を同様に含みうる。
【0078】
第1の親油性ゲル化剤(a)
本発明に従う組成物は、アミノ酸ベースのゲル化剤から選択される少なくとも第1の親油性ゲル化剤(a)を含む。
【0079】
特に、該アミノ酸ベースのゲル化剤は、米国特許第5843194号明細書に定義されているN-アシルアミノ酸誘導体から、とりわけ、N-ラウロイルグルタミン酸ジエチルアミド、N-ラウロイルグルタミン酸ジブチルアミド(ジブチルラウロイルグルタミド)、N-ラウロイルグルタミン酸ジヘキシルアミド、N-ラウロイルグルタミン酸ジオクチルアミド、N-ラウロイルグルタミン酸ジデシルアミド、N-ラウロイルグルタミン酸ジドデシルアミド、N-ラウロイルグルタミン酸ジテトラデシルアミド、N-ラウロイルグルタミン酸ジヘキサデシルアミド、N-ラウロイルグルタミン酸ジステアリルアミド、N-ステアロイルグルタミン酸ジブチルアミド、N-ステアロイルグルタミン酸ジヘキシルアミド、N-ステアロイルグルタミン酸ジヘキシルアミド(ジブチルエチルヘキサノイルグルタミド)、N-ステアロイルグルタミン酸ジヘプシルアミド、N-ステアロイルグルタミン酸ジオクチルアミド、N-ステアロイルグルタミン酸ジデシルアミド、N-ステアロイルグルタミン酸ジドデシルアミド、N-ステアロイルグルタミン酸ジオクチルアミド、N-ステアロイルグルタミン酸ジヘキサデシルアミド、N-ステアロイルグルチルアミド、N-ステアロイルグルタミン酸ジステアリルアミド、及びそれらの混合物から選択されるN-アシルアミノ酸誘導体から、選択されうる。
【0080】
好ましくは、該第1の親油性ゲル化剤(a)は、ジブチルラウロイルグルタミド及びジブチルエチルヘキサノイルグルタミドから選択される。
【0081】
より好ましくは、該第1の親油性ゲル化剤(a)は、ジブチルラウロイルグルタミドである。
【0082】
好ましくは、本発明に従う組成物の該油性相は、該組成物の総重量に対して0.05重量%~5重量%、好ましくは0.1重量%~1重量%、の少なくとも第1の親油性ゲル化剤(a)を含む。
【0083】
第2の親油性ゲル化剤(b)
本発明に従う組成物は、デキストリンエステルから選択される少なくとも第2の親油性ゲル化剤(b)を含む。
【0084】
特に、該組成物は、デキストリンと、特にC12~C24脂肪酸、好ましくはC14~C18脂肪酸、とのエステル、又はそれらの混合物から選択される第2の親油性ゲル化剤(b)を含む。
【0085】
より好ましくは、該デキストリンエステルは、デキストリンと、C12~C18脂肪酸、特にはC14~C18脂肪酸、とのエステルである。
【0086】
特に好ましい1つの実施態様に従うと、該デキストリンエステルは、ミリスチン酸デキストリン及び/又はパルミチン酸デキストリンから選択される。
【0087】
特定の1つの実施態様に従うと、該デキストリンエステルは、ミリスチン酸デキストリン、とりわけ例えば、千葉製粉社によって名称Rheopearl MKL-2で販売されているミリスチン酸デキストリン、である。
【0088】
特に好ましくは、該デキストリンエステルは、パルミチン酸デキストリンである。この製品は、例えば、千葉製粉社によって名称Rheopearl TL(商標)、Rheopearl KL(商標)及びRheopearl(商標)KL2で販売されているものから選択されうる。
【0089】
好ましくは、本発明に従う組成物の該油性相は、該組成物の総重量に対して0.1重量%~5重量%、好ましくは0.4重量%~2重量%、の少なくとも第2の親油性ゲル化剤(b)を含む。
【0090】
第3の親油性ゲル化剤(c)
好ましい1つの実施態様に従うと、本発明に従う組成物はまた、少なくとも第3の親油性ゲル化剤(c)を含みうる。
【0091】
該第3の親油性ゲル化剤(c)は、半結晶性ポリマーから特に選択されうる。
【0092】
好ましくは、該半結晶性ポリマーは、有機構造、及び30℃以上の融点を有する。
【0093】
本発明の目的の為に、語「半結晶性ポリマー」は、結晶化可能な部分及び非晶質部分を含み、特に溶融(固体-液体遷移)の相温度の可逆的一次変化を有する、ポリマーを意味する。該結晶化可能な部分は、側鎖(又はペンダント鎖)又は主鎖におけるブロックのいずれかである。
【0094】
該半結晶性ポリマーの該結晶化可能な部分が、該ポリマー主鎖のブロックである場合、この結晶化可能なブロックは、非晶質ブロックの化学的性質とは異なる化学的性質を有しており、この場合、該半結晶性ポリマーは、例えば、ジブロック、トリブロック又はマルチブロックタイプ、のブロックコポリマーである。該結晶化可能な部分が、該主鎖に対してペンダント状態の鎖である場合、該半結晶性ポリマーは、ホモポリマー又はコポリマーでありうる。
【0095】
該半結晶性ポリマーの該融点は好ましくは、150℃未満である。
【0096】
該半結晶性ポリマーの該融点は好ましくは、30℃以上及び100℃未満である。より好ましくは、該半結晶性ポリマーの該融点は、30℃以上及び70℃未満である。
【0097】
本発明に従う1以上の該半結晶性ポリマーは、周囲温度(25℃)及び大気圧(760mmHg)において固体であり、30℃以上の融点を有する。該融点値は、示差走査熱量計(DSC)、例えば、Mettler社によって名称DSC 30で販売されている熱量計を、1分当たり5℃又は10℃の温度上昇で使用して測定された融点に対応する(考慮される該融点は、該サーモグラムにおいて最も高い吸熱ピークの温度に対応する点である)。
【0098】
本発明に従う1以上の該半結晶性ポリマーは好ましくは、上記組成物を受けることを意図されたケラチン支持物、特に皮膚、唇又は眉、の温度よりも高い融点を有する。
【0099】
本発明に従って、該半結晶性ポリマーは有利なことには、それらの融点よりも高い温度において、とりわけ少なくとも1重量%まで、該脂肪相に可溶性である。該結晶化可能な鎖又はブロック以外の該ポリマーのブロックは、非晶質である。
【0100】
本発明の目的の為に、語「結晶化可能な鎖又はブロック」は、単独で使用された場合に、温度が融点よりも上であるか又は下であるかに応じて非晶質状態から結晶状態に可逆的に変化しうる、鎖又はブロックを意味する。本発明の目的の為に、鎖は、該ポリマー主鎖に対してペンダント状態であるか、又は側方にある一群の原子である。「ブロック」は、該主鎖に属する一群の原子であり、この群は、該ポリマーの繰り返し単位の1つを構成している。
【0101】
好ましくは、該半結晶性ポリマーの該ポリマー主鎖は、それらの融点よりも上の温度において、該脂肪相に可溶性である。
【0102】
好ましくは、該半結晶性ポリマーの該結晶化可能なブロック又は鎖は、各ポリマーの全重量の少なくとも30%、更に良くは少なくとも40%、を占める。結晶化可能な側鎖を担持している該半結晶性ポリマーは、ホモポリマー又はコポリマーである。結晶化可能なブロックを担持している本発明の半結晶性ポリマーは、ブロック又はマルチブロックコポリマーである。これらは、反応性(又はエチレン性)二重結合を担持しているモノマーを重合することによって、又は重縮合によって得られうる。本発明のポリマーが、結晶化可能な側鎖を担持しているポリマーである場合、これらのポリマーは、有利なことには、ランダム形態又は統計形態である。
【0103】
好ましくは、本発明の半結晶性ポリマーは、合成起源である。
【0104】
好ましい実施態様に従うと、該半結晶性ポリマーは、
1以上の結晶化可能な疎水性側鎖を担持している1以上のモノマーの重合から結果として生じる単位を含む、ホモポリマー及びコポリマー、
該主鎖に少なくとも1つの結晶化可能なブロックを担持しているポリマー、
脂肪族又は芳香族又は脂肪族/芳香族ポリエステルタイプの重縮合体、
メタロセン触媒作用を介して調製された、エチレンとプロピレンとのコポリマー、並びに
アクリレート/シリコーンコポリマー
から選択される。
【0105】
本発明において使用されることができる該半結晶性ポリマーは、特には、
そのモノマーが、欧州特許第0951897号明細書に記載されている、制御された結晶化のポリオレフィンのブロックコポリマー、
特には、脂肪族又は芳香族又は脂肪族/芳香族ポリエステルタイプの重縮合体、
メタロセン触媒作用を介して調製された、エチレンとプロピレンとのコポリマー、
少なくとも1つの結晶化可能な側鎖を担持しているホモポリマー又はコポリマー、及び該主鎖に少なくとも1つの結晶化可能なブロックを担持しているホモポリマー又はコポリマー、例えば、米国特許第5156911号明細書に記載されているもの、特には、Intelimer(商標)ポリマーの小冊子、Landec IP22(Rev.4~97)に記載されているLandec社のIntelimer(商標)製品に対応する(C10~C30)アルキルポリアクリレート、例えば、Landec社の製品Intelimer(商標)IPA 13-1(これは、約145000の分子量及び49℃に等しい融点を有するステアリルポリアクリレートである)、又はEvonik社のTego(商標)製品、及び例えばTego(商標)SP13-1製品(これは、約145000の分子量及び49℃に等しい融点を有するステアリルポリアクリレートである)、
少なくとも1つの結晶化可能な側鎖を担持している、特に1以上のフルオロ基を有するホモポリマー又はコポリマー、例えば、国際公開第01/19333号パンフレットに記載されているもの、
アクリレート/シリコーンコポリマー、例えば、ポリジメチルシロキサングラフトを担持している、アクリル酸とステアリルアクリレートとのコポリマー、ポリジメチルシロキサングラフトを担持している、ステアリルメタクリレートのコポリマー、ポリジメチルシロキサングラフトを担持している、アクリル酸とステアリルメタクリレートとのコポリマー、ポリジメチルシロキサングラフトを担持している、メチルメタクリレートとブチルメタクリレートと2-エチルヘキシルアクリレートとステアリルメタクリレートとのコポリマー。特に、信越化学工業株式会社によって名称KP-561(CTFA名:アクリレート/ジメチコン)、KP-541(CTFA名:アクリレート/ジメチコン及びイソプロピルアルコール)、KP-545(CTFA名:アクリレート/ジメチコン及びシクロペンタシロキサン)、又はKSG-16(ジメチコン/ビニルジメチコンクロスポリマー(及び)ジメチコン)で販売されているコポリマーが言及されうる、
並びにそれらの混合物
から選択されうる。
【0106】
好ましくは、該第3の親油性ゲル化剤(c)は、少なくとも1つの結晶化可能な側鎖を担持しているホモポリマー又はコポリマー、及び該主鎖に少なくとも1つの結晶化可能なブロックを担持しているホモポリマー又はコポリマーから選択される。
【0107】
特に好ましい1つの実施態様に従うと、該第3の親油性ゲル化剤(c)は、(C10~C30)アルキルポリアクリレートから選択され、より好ましくはステアリルポリアクリレートから選択される。
【0108】
好ましくは、本発明に従う組成物の該油性相は、該組成物の総重量に対して0.2重量%~5重量%、好ましくは0.5重量%~2重量%、の少なくとも第3の親油性ゲル化剤(c)を含む。
【0109】
UV遮断剤
前述に言及された通り、本発明に従う組成物は、少なくとも1つのUV遮断剤を含む。
【0110】
特に、本発明に従う組成物は、UVA及び/又はUVBを遮断する為の少なくとも1つの化合物を含みうる。
【0111】
好ましくは、本発明に従う組成物は、親水性有機UV遮断剤、親油性有機UV遮断剤、不溶性有機UV遮断剤、無機遮断剤、及びそれらの混合物、から選択される少なくとも1つのUV遮断剤を含みうる。
【0112】
好ましい1つの実施態様に従うと、本発明に従う組成物、好ましくは化粧組成物、は、少なくとも1つの有機及び/又は無機UV遮断剤(太陽光のUV放射線を遮断する薬剤)を含みうる。
【0113】
該UV遮断剤は、化粧品において通常使用されるUV遮断剤である。該UV遮断剤は、化粧品において許容されるUV遮断剤のリストを特定する、Annex VI of Regulation (EC) No 1223/2009に含まれている輸入自由品目リストから選択されうる。
【0114】
本発明に従う組成物の該UV遮断剤は、様々な性質のものでありうる。
【0115】
該UV遮断剤は、親油性、親水性又は不溶性の有機薬剤でありうる。
【0116】
語「親油性UV遮断剤」は、分子形態で液体脂肪相に完全に溶解されることができるか、又はコロイド形態(例えばミセル形態)で液体脂肪相に溶解されることができる、任意の化粧的又は皮膚科学的遮断剤を意味する。
【0117】
語「親水性UV遮断剤」は、分子形態で液体水性相に完全に溶解されることができるか、又はコロイド形態(例えばミセル形態)で液体水性相に溶解されることができる、任意の化粧的又は皮膚科学的遮断剤を意味する。
【0118】
語「不溶性UV遮断剤」は、親油性UV遮断剤又は親水性UV遮断剤のいずれとしても定義されず、且つ粒子形態で水性相又は液体脂肪相中に存在する、任意の化粧的又は皮膚科学的遮断剤を意味する。
【0119】
本発明に従う組成物の該UV遮断剤は、UVA及び/又はUVB光防護をもたらしうる。
【0120】
特定の1つの実施態様に従うと、該組成物はまた、親水性有機UV遮断剤、親油性有機UV遮断剤、不溶性有機UV遮断剤、無機遮断剤、及びそれらの任意の混合物、から選択される少なくとも1つのUV遮断剤を含む。
【0121】
好ましい1つの実施態様に従うと、該組成物はまた、親水性有機UV遮断剤、親油性有機UV遮断剤、不溶性有機UV遮断剤、及びそれらの任意の混合物、から選択される少なくとも1つのUV遮断剤を含む。
【0122】
特に、該組成物は、欧州特許第0775698号明細書に記載されており、それに示されている合成に従って調製された、1以上のビス-レゾルシニルトリアジン誘導体を含みうる。
【0123】
使用されることができるこのような化合物の例として、
2,4-ビス{[4-(2-エチルヘキシルオキシ)-2-ヒドロキシ]フェニル}-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン;
2,4-ビス{[4-(3-(2-プロピルオキシ)-2-ヒドロキシプロピルオキシ]-2-ヒドロキシ]フェニル}-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン;
2,4-ビス{[4-(2-エチルヘキシルオキシ)-2-ヒドロキシ]フェニル}-6-[4-(2-メトキシエチルカルボキシル)フェニルアミノ]-1,3,5-トリアジン;
2,4-ビス{[4-トリス(トリメチルシロキシシリルプロピルオキシ)-2-ヒドロキシ]フェニル}-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン;
2,4-ビス{[4-(2’’-メチルプロペニルオキシ)-2-ヒドロキシ]フェニル}-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン;
2,4-ビス{[4-(1’,1’,1’,3’,5’,5’,5’-ヘプタメチルトリシロキシ-2’’-メチルプロピルオキシ)-2-ヒドロキシ]フェニル}-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン;
2,4-ビス{[4-(3-(2-プロピルオキシ)-2-ヒドロキシプロピルオキシ]-2-ヒドロキシ]フェニル}-6-[(4-エチルカルボキシル)フェニルアミノ]-1,3,5-トリアジン;
2,4-ビス{[4-(2-エチルヘキシルオキシ)-2-ヒドロキシ]フェニル}-6-(1-メチルピロール-2-イル)-1,3,5-トリアジン
が言及されうる。
【0124】
より特には、少なくとも2,4-ビス{[4-(2-エチルヘキシルオキシ)-2-ヒドロキシ]フェニル}-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン化合物又はビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン(INCI名)、特にCiba-Geigyによって商品名Tinosorb Sで販売されている製品、が使用されうる。
【0125】
1つの実施態様に従うと、該組成物は、1以上のジベンゾイルメタン誘導体を含みうる。特に、非限定的に、
2-メチルジベンゾイルメタン、
4-メチルジベンゾイルメタン、
4-イソプロピルジベンゾイルメタン、
4-tert-ブチルジベンゾイルメタン、
2,4-ジメチルジベンゾイルメタン、
2,5-ジメチルジベンゾイルメタン、
4,4’-ジイソプロピルジベンゾイルメタン、
4,4’-ジメトキシジベンゾイルメタン、
4-tert-ブチル-4’-メトキシジベンゾイルメタン、
2-メチル-5-イソプロピル-4’-メトキシジベンゾイルメタン、
2-メチル-5-tert-ブチル-4’-メトキシジベンゾイルメタン、
2,4-ジメチル-4’-メトキシジベンゾイルメタン、
2,6-ジメチル-4-tert-ブチル-4’-メトキシジベンゾイルメタン
が言及されうる。
【0126】
1つの実施態様に従うと、該組成物は、1以上のベンジリデンカンファー誘導体を含みうる。特に、
3-ベンジリデンカンファー、特にChimexによって名称Mexoryl SDで製造されている3-ベンジリデンカンファー、
4-メチルベンジリデンカンファー、特にMerckによって名称Eusolex 6300で販売されている4-メチルベンジリデンカンファー、
ベンジリデンカンファースルホン酸、特にChimexによって名称Mexoryl SLで製造されているベンジリデンカンファースルホン酸、
カンファーベンザルコニウムメトサルフェート、特にChimexによって名称Mexoryl SOで製造されているカンファーベンザルコニウムメトサルフェート、
ポリアクリルアミドメチルベンジリデンカンファー、特にChimexによって名称Mexoryl SWで製造されているポリアクリルアミドメチルベンジリデンカンファー、
テレフタリリデンジカンファースルホン酸、特にChimexによって名称Mexoryl SXで製造されているテレフタリリデンジカンファースルホン酸
が言及されうる。
【0127】
該有機UV遮断剤はまた、アントラニル酸;ケイ皮酸誘導体;サリチル酸誘導体;ベンゾフェノン誘導体;フェニルベンゾトリアゾール誘導体;ベンザルマロネート誘導体、とりわけ米国特許第5624663号明細書において言及されているベンザルマロネート誘導体;フェニルベンズイミダゾール誘導体;イミダゾリン;4,4-ジアリールブタジエン誘導体;欧州特許第0669323号明細書及び米国特許第2463264号明細書に記載されているビスベンゾアゾリル誘導体;p-アミノ安息香酸(PABA)誘導体;米国特許第5237071号明細書、米国特許第5166355号明細書、英国特許出願公開第2303549号明細書、独国特許出願公開第19726184号明細書及び欧州特許第893119号明細書に記載されているメチレンビス(ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール)誘導体;欧州特許第0832642号明細書、欧州特許出願公開第1027883号明細書、欧州特許出願公開第1300137号明細書及び独国特許出願公開第10162844号に記載されているベンゾオキサゾール誘導体;遮断ポリマー及び遮断シリコーン、例えば、とりわけ国際公開第93/04665号パンフレットに記載されているもの;α-アルキルスチレンベースのダイマー、例えば、独国特許出願公開第19855649号明細書に記載されているもの;欧州特許第0967200号明細書、独国特許出願公開第19746654号明細書、独国特許出願公開第19755649号明細書、欧州特許第1008586号明細書、欧州特許出願公開第1133980号明細書及び欧州特許第133981号明細書に記載されている4,4-ジアリールブタジエン;他のメロシアニン誘導体、例えば、国際公開第04/006878号パンフレット、国際公開第05/058269号パンフレット及び国際公開第06/032741号パンフレットに記載されているメロシアニン誘導体、並びにそれらの混合物から選択されうる。
【0128】
本発明に従う組成物において使用される有機UV遮断剤の例として、それらのINCI名で以下に示されるものが言及されうる。
【0129】
親油性UVA遮断剤
ジベンゾイルメタン誘導体
イソプロピルジベンゾイルメタン、
ブチルメトキシジベンゾイルメタン(また、名称Avobenzoneとして知られている)。
【0130】
アミノベンゾフェノン
2-(4-ジエチルアミノ-2-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸n-ヘキシル)、とりわけBASFによって商品名Uvinul A+で販売されている2-(4-ジエチルアミノ-2-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸n-ヘキシル)(INCI名:ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル);
1,1’-(1,4-ピペラジンジイル)ビス[1-[2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]フェニル]メタノン(CAS919803-06-8)。
【0131】
アントラニル酸誘導体
特にSymriseによって商品名Neo Heliopan MAで販売されている、アントラニル酸メンチル。
【0132】
4,4-ジアリールブタジエン誘導体
1,1-ジカルボキシ(2,2’-ジメチルプロピル)-4,4-ジフェニルブタジエン。
【0133】
メロシアニン誘導体
オクチル5-N,N-ジエチルアミノ-2-フェニルスルホニル-2,4-ペンタジエノエート。
【0134】
好ましい1つの実施態様に従うと、本発明に従う組成物は、ブチルメトキシジベンゾイルメタンを含む。
【0135】
親水性UVA遮断剤
欧州特許第669323号明細書及び米国特許第2463264号明細書に記載されているビス-ベンゾアゾリル誘導体、より特にはフェニルジベンゾイミダゾールテトラスルホン酸二ナトリウム化合物、とりわけSymriseによって商品名Neo Heliopan APで販売されているフェニルジベンゾイミダゾールテトラスルホン酸二ナトリウム化合物。
【0136】
特定の1つの実施態様に従うと、本発明に従う組成物は、テレフタリリデンジカンファースルホン酸(例えば、商品名Mexoryl SXで販売されている)を含む。
【0137】
親油性UVB遮断剤
パラ-アミノ安息香酸
エチルPABA、
エチルジヒドロキシプロピルPABA、
ジメチルPABAエチルヘキシル(ISPのEscalol 507)。
【0138】
サリチル酸誘導体
特にRona/EM Industriesによって名称Eusolex HMSで販売されている、ホモサレート、
特にSymriseによって名称Neo Heliopan OSで販売されている、サリチル酸エチルヘキシル、
特にScherによって名称Dipsalで販売されている、サリチル酸ジプロピレングリコール、
特にSymriseによって名称Neo Heliopan TSで販売されている、サリチル酸TEA。
【0139】
ケイ皮酸
特にDSM Nutritional Products,Inc.によって商品名Parsol MCXで販売されている、メトキシケイ皮酸エチルヘキシル、
メトキシケイ皮酸イソプロピル、
特にSymriseによって商品名Neo Heliopan E 1000で販売されている、メトキシケイ皮酸イソアミル、
ジイソプロピルケイ皮酸メチル、
シノキセート(cinnoxate)、
ジメトキシケイ皮酸エチルヘキサン酸グリセリル。
【0140】
β,β’-ジフェニルアクリレート誘導体
特にBASFによって商品名Uvinul N35で販売されている、エトクリレン、
特にBASFによって商品名Uvinul N539で販売されている、オクトクリレン。
【0141】
ベンジリデンカンファー誘導体
特にChimexによって名称Mexoryl SDで販売されている、3-ベンジリデンカンファー、
特にMerckによって名称Eusolex 6300で販売されている、メチルベンジリデンカンファー、
特にChimexによって名称Mexoryl SWで販売されている、ポリアクリルアミドメチルベンジリデンカンファー。
【0142】
トリアジン誘導体
特にBASFによって商品名Uvinul T150で販売されている、エチルヘキシルトリアゾン、
特にSigma 3Vによって商品名Uvasorb HEBで販売されている、ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン、
2,4,6-トリス(ジネオペンチル4’-アミノベンザルマロネート)-s-トリアジン、
2,4,6-トリス(ジイソブチル4’-アミノベンザルマロネート)-s-トリアジン、
2,4-ビス(ジネオペンチル4’-アミノベンザルマロネート)-6-(n-ブチル4’-アミノベンゾエート)-s-トリアジン、
2,4-ビス(n-ブチル4’-アミノベンゾエート)-6-(アミノプロピルトリシロキサン)-s-トリアジン、
米国特許第6225467号明細書、国際公開第2004/085412号パンフレット(化合物6及び9を参照されたい)又は文書Symmetrical Triazine Derivatives, IP.COM Journal, IP.COM INC West Henrietta, NY, US (20 September 2004)に記載されている対称性トリアジン遮断剤、特に2,4,6-トリス(ビフェニル)-1,3,5-トリアジン(特に、2,4,6-トリス(ビフェニル-4-イル-1,3,5-トリアジン)及び2,4,6-トリス(テルフェニル)-1,3,5-トリアジン、これら2つの遮断剤は、Beiersdorfの特許出願である国際公開第06/035000号パンフレット、国際公開第06/034982号パンフレット、国際公開第06/034991号パンフレット、国際公開第06/035007号パンフレット、国際公開第2006/034992号パンフレット及び国際公開第2006/034985号パンフレットに記載されている)。
【0143】
イミダゾリン誘導体
ジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリンプロピオン酸エチルヘキシル。
【0144】
ベンザルマロネート誘導体
ベンザルマロネート官能基を含むポリオルガノシロキサン、特にポリシリコーン-15、とりわけDSM Nutritional Products,Inc.によって商品名Parsol SLXで販売されているポリシリコーン-15、
4’-メトキシベンザルマロン酸ジネオペンチル。
【0145】
好ましい1つの実施態様に従うと、本発明に従う組成物は、以下の遮断剤:ホモサレート(特に、Rona/EM Industriesによって名称Eusolex HMSで販売されている)、サリチル酸エチルヘキシル(特に、Symriseによって名称NEO Heliopan OSで販売されている)、オクトクリレン(特に、BASFによって商品名Uvinul N539で販売されている)、エチルヘキシルトリアゾン(特に、商品名Uvinul T150で販売されている)、及びそれらの任意の混合物から選択される1以上のUV遮断剤を含む。
【0146】
親水性UVB遮断剤
以下のp-アミノ安息香酸(PABA)誘導体
PABA、
グリセリルPABA、及び
特にBASFによって商品名Uvinul P25で販売されている、PEG-25 PABA、
特にMerckによって商品名Eusolex 232で販売されている、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸、
フェルラ酸、
サリチル酸、
DEAメトキシシンナメート、
特にChimexによって名称Mexoryl SLで販売されている、ベンジリデンカンファースルホン酸、
特にChimexによって名称Mexoryl SOで販売されている、カンファーベンザルコニウムメトサルフェート。
【0147】
親油性の混合されたUVA及びUVB遮断剤
ベンゾフェノン誘導体
特にBASFによって商品名Uvinul 400で販売されている、ベンゾフェノン-1、
特にBASFによって商品名Uvinul D50で販売されている、ベンゾフェノン-2、
特にBASFによって商品名Uvinul M40で販売されている、ベンゾフェノン-3又はオキシベンゾン、
特にNorquayによって商品名Helisorb 11で販売されている、ベンゾフェノン-6、
特にAmerican Cyanamidによって商品名Spectra-Sorb UV-24で販売されている、ベンゾフェノン-8、
ベンゾフェノン-10、
ベンゾフェノン-11、
ベンゾフェノン-12。
【0148】
フェニルベンゾトリアゾール誘導体
特にRhodia Chimieによって名称Silatrizoleで、又はChimex社によって名称Meroxyl XLで販売されている、ドロメトリゾールトリシロキサン、
メチレンビス(ベンゾトリアゾリル)テトラメチルブチルフェノール、とりわけFairmount Chemicalによって商品名Mixxim BB/100で、特に固体形態で販売されている、又はとりわけCiba Specialty Chemicalsによって商品名Tinosorb Mで、微粒子化形態で水性分散液として販売されているメチレンビス(ベンゾトリアゾリル)テトラメチルブチルフェノール。
【0149】
好ましい1つの実施態様に従うと、本発明に従う組成物は、ドロメトリゾールトリシロキサン(特に、Rhodia Chimieによる名称Silatrizoleの又はChimex社による名称Meroxyl XLの)を含む。
【0150】
ベンゾオキサゾール誘導体
特にSigma 3Vによる名称Uvasorb K2Aの、2,4-ビス[5-1(ジメチルプロピル)ベンゾオキサゾール-2-イル-(4-フェニル)イミノ]-6-(2-エチルヘキシル)イミノ-1,3,5-トリアジン。
【0151】
親水性の混合されたUVA及びUVB遮断剤
少なくとも1つのスルホン酸ラジカルを含むベンゾフェノン誘導体、特に、
ベンゾフェノン-4、とりわけBASFによって商品名Uvinul 40で販売されているベンゾフェノン-4、
ベンゾフェノン-5、及び
ベンゾフェノン-9。
【0152】
メロシアニンファミリーのUV遮断剤
本発明に従う組成物、好ましくは化粧組成物、は、メロシアニンファミリーの1以上のUV遮断剤を含みうる。また、メロシアニンタイプの遮断剤、特に国際公開第2007/071582号パンフレット、IP.com Journal(2009), 9(5A), 29-30 IPCOM000182396D、標題Process for producing 3-amino-2-cyclohexan-1-ylidene compounds、及び米国特許第4749643号明細書(13欄66行~14欄57行及びこれに関して引用されている参考文献)に記載されているプロトコールに従って調製されたメロシアニンタイプの遮断剤、が言及されうる。
【0153】
好ましい1つの実施態様に従うと、該組成物は、1以上の親油性UV遮断剤を含む。
【0154】
好ましい1つの実施態様に従うと、該組成物は、親油性UVA遮断剤、親油性UVB遮断剤、並びに/又は親油性の混合されたUVA及びUVB遮断剤から選択される1以上のUV遮断剤を含む。
【0155】
より好ましくは、該組成物は、ジベンゾイルメタン誘導体、サリチル酸誘導体、β,β’-ジフェニルアクリレート誘導体、トリアジン誘導体及びフェニルベンゾトリアゾール誘導体から選択される1以上のUV遮断剤を含む。
【0156】
特に好ましい1つの実施態様に従うと、該組成物は、ブチルメトキシジベンゾイルメタン、ホモサレート、サリチル酸エチルヘキシル、オクトクリレン、エチルヘキシルトリアゾン、ドロメトリゾールトリシロキサン、及びそれらの混合物から選択される1以上のUV遮断剤を含む。
【0157】
1つの実施態様に従うと、本発明に従う組成物中に存在する、被包されていない1以上の有機UV遮断剤の量は、該組成物の総重量に対して0.5重量%~50重量%でありうる。該量は、例えば、該組成物の総重量に対して5重量%~50重量%、又は例えば10重量%~40重量%であり、更には例えば15重量%~35重量%である。
【0158】
特定の1つの実施態様に従うと、本発明に従う組成物におけるUV遮断剤の濃度は、該組成物の総重量に対して1重量%~50重量%、好ましくは1重量%~40重量%、である。
【0159】
本発明の組成物はまた、一般的には顔料である無機UV遮断剤を含みうる。該顔料は、コーティングされているか、又はコーティングされていないものでありうる。
【0160】
該コーティングされた顔料は、例えば、Cosmetics & Toiletries, February 1990, Vol.105, pages 53-64に記載されている化合物、例えば、アミノ酸、蜜蝋、脂肪酸、脂肪アルコール、アニオン性界面活性剤、レシチン、脂肪酸のナトリウム塩、カリウム塩、亜鉛塩、鉄塩若しくはアルミニウム塩、金属アルコキシド(チタン又はアルミニウムの)、ポリエチレン、シリコーン、タンパク質(コラーゲン、エラスチン)、アルカノールアミン、酸化ケイ素、金属酸化物、又はヘキサメタリン酸ナトリウムを用いて、化学的、電子的、機械化学的及び/又は機械的性質の1以上の表面処理を受けた顔料である。
【0161】
既知の通り、シリコーンは、直鎖状又は環式の、分岐状の又は架橋されている構造を含む、様々な分子量の有機ケイ素ポリマー又はオリゴマーであり、これは、好適には官能化されたシランの重合及び/又は重縮合によって得られ、ケイ素原子が酸素原子を介して互いに結合(シロキサン結合)されており、任意的に置換されていてもよい炭化水素系ラジカルが炭素原子を介して上記ケイ素原子に直接結合している、主単位の繰り返しから本質的に構成されている。
【0162】
語「シリコーン」はまた、それらの調製の為に必要とされるシラン、特にアルキルシラン、を包含する。
【0163】
本発明に好適な顔料をコーティングする為に使用されるシリコーンは好ましくは、アルキルシラン、ポリジアルキルシロキサン及びポリアルキルヒドロシロキサンを含む群から選択される。更により好ましくは、該シリコーンは、オクチルトリメチルシラン、ポリジメチルシロキサン及びポリメチルヒドロシロキサンを含む群から選択される。
【0164】
言うまでもなく、該金属酸化物顔料は、シリコーンで処理される前に、他の表面作用剤を用いて、特に酸化セリウム、アルミナ、シリカ、アルミニウム化合物若しくはケイ素化合物、又はそれらの混合物を用いて、処理されたものでありうる。
【0165】
該コーティングされた顔料は、例えば、
シリカでコーティングされた酸化チタン、池田社の製品Sunveil及びMerck社の製品Eusolex T-Avo、
シリカ及び酸化鉄でコーティングされた酸化チタン、特に池田社の製品Sunveil F、
シリカ及びアルミナでコーティングされた酸化チタン、特にテイカ社の製品Microtitanium Dioxide MT 500 SA及びMicrotitanium Dioxide MT 100 SA、Tioxide社のTioveil、並びにRhodia社のMirasun TiW 60、
アルミナでコーティングされた酸化チタン、特に石原社の製品Tipaque TTO-55(B)及びTipaque TTO-55(A)、並びにKemira社のUVT 14/4、
アルミナ及びステアリン酸アルミニウムでコーティングされた酸化チタン、特にテイカ社の製品Microtitanium Dioxide MT 100 TV、MT 100 TX、MT 100 Z及びMT-01、並びにUniqema社の製品Solaveil CT-10 W、Solaveil CT 100及びSolaveil CT 200、
シリカ、アルミナ及びアルギン酸でコーティングされた酸化チタン、特にテイカ社の製品MT-100 AQ、
アルミナ及びラウリン酸アルミニウムでコーティングされた酸化チタン、特にテイカ社の製品Microtitanium Dioxide MT 100 S、
酸化鉄及びステアリン酸鉄でコーティングされた酸化チタン、特にテイカ社の製品Microtitanium Dioxide MT 100 F、
酸化亜鉛及びステアリン酸亜鉛でコーティングされた酸化チタン、特にテイカ社の製品BR351、
シリカ及びアルミナでコーティングされ、シリコーンで処理された酸化チタン、特にテイカ社の製品Microtitanium Dioxide MT 600 SAS、Microtitanium Dioxide MT 500 SAS又はMicrotitanium Dioxide MT 100 SAS、
シリカ、アルミナ及びステアリン酸アルミニウムでコーティングされ、シリコーンで処理された酸化チタン、特にチタン工業社の製品STT-30-DS、
シリカでコーティングされ、シリコーンで処理された酸化チタン、特にKemira社の製品UV-Titan X 195又はテイカ社の製品SMT-100 WRS、
アルミナでコーティングされ、シリコーンで処理された酸化チタン、特に石原社の製品Tipaque TTO-55(S)又はKemira社のUV Titan M 262、
トリエタノールアミンでコーティングされた酸化チタン、特にチタン工業社の製品STT-65-S、
ステアリン酸でコーティングされた酸化チタン、特に石原社の製品Tipaque TTO-55(C)、
ヘキサメタリン酸ナトリウムでコーティングされた酸化チタン、特にテイカ社の製品Microtitanium Dioxide MT 150 W
である。
【0166】
シリコーンで処理された他の酸化チタン顔料は、例えば、オクチルトリメチルシランで処理されたTiO2、例えば、Degussa Silices社によって商品名T 805で販売されている製品、ポリジメチルシロキサンで処理されたTiO2、例えば、Cardre社によって商品名70250 Cardre UF TiO2SI3で販売されている製品、ポリジメチルヒドロシロキサンで処理されたアナターゼ/ルチルTiO2、例えば、Color Techniques社によって商品名Microtitanium Dioxide USP Grade Hydrophobicで販売されている製品である。
【0167】
コーティングされていない酸化チタン顔料は、例えば、テイカ社によって商品名Microtitanium Dioxide MT 500 B又はMicrotitanium Dioxide MT 600 Bで、Degussa社によって名称P 25で、Wackher社によってTransparent titanium oxide PWで、三好化成者によって名称UFTRで、Tomen社によって名称ITSで、及びTioxide社によって名称Tioveil AQで販売されている。
【0168】
コーティングされていない酸化亜鉛顔料は、例えば、
Sunsmart社によって名称Z-Coteで販売されているもの、
Elementis社によって名称Nanoxで販売されているもの、
Nanophase Technologies社によって名称Nanogard WCD 2025で販売されているもの
である。
【0169】
コーティングされた酸化亜鉛顔料は、例えば、
Sunsmart社によって名称Z-Cote HP1で販売されているもの(ジメチコンでコーティングされたZnO)、
Toshibi社によって名称Zinc Oxide CS-5で販売されているもの(ポリメチルヒドロシロキサンでコーティングされたZnO)、
Nanophase Technologies社によって名称Nanogard Zinc Oxide FNで販売されているもの(Finsolv TN、すなわち安息香酸アルキル(C12~C15)中40%分散液として)、
大東社によって名称Daitopersion Zn-30及びDaitopersion Zn-50で販売されているもの(シリカ及びポリメチルヒドロシロキサンでコーティングされた30%又は50%の酸化亜鉛を含む、オキシエチレン化されたポリジメチルシロキサン/シクロポリメチルシロキサン中分散液)、
ダイキン社によって名称NFD Ultrafine ZnOで販売されているもの(シクロペンタシロキサン中分散液としての、リン酸ペルフルオロアルキル及びペルフルオロアルキルエチルに基づくコポリマーでコーティングされたZnO)、
信越化学工業株式会社によって名称SPD-Z1で販売されているもの(シクロジメチルシロキサン中に分散された、シリコーンでグラフト化されたアクリルポリマーでコーティングされたZnO)、
ISP社によって名称Escalol Z100で販売されているもの(メトキシケイ皮酸エチルヘキシル/PVP-ヘキサデセンコポリマー/メチコン混合物に分散された、アルミナで処理されたZnO)、
冨士色素社によって名称Fuji ZnO-SMS-10で販売されているもの(シリカ及びポリメチルシルセスキオキサンでコーティングされたZnO)、
Elementis社によって名称Nanox Gel TNで販売されているもの(ヒドロキシステアリン酸重縮合体を含む安息香酸C12~C15アルキル中、55%の濃度で分散されたZnO)
である。
【0170】
コーティングされていない酸化セリウム顔料は、例えば、名称Colloidal Cerium Oxideで販売されている。
【0171】
コーティングされていない酸化鉄顔料は、例えば、Arnaud社によって名称Nanogard WCD 2002(FE 45B)、Nanogard Iron FE 45 BL AQ、Nanogard FE 45R AQ及びNanogard WCD 2006(FE 45R)で、又は三菱社によって名称TY-220で販売されている。
【0172】
コーティングされた酸化鉄顔料は、例えば、Arnaud社によって名称Nanogard WCD 2008(FE 45B FN)、Nanogard WCD 2009(FE 45B 556)、Nanogard FE 45 BL 345及びNanogard FE 45 BLで、又はBASF社によって名称Transparent Iron Oxideで販売されている。
【0173】
また、池田社によって名称Sunveil Aで販売されている、シリカでコーティングされた二酸化チタンと二酸化セリウムとの等重量混合物、並びにまたアルミナ、シリカ及びシリコーンでコーティングされた、二酸化チタンと二酸化亜鉛との混合物、例えば、Kemira社によって販売されている製品M 261、又はアルミナ、シリカ及びグリセロールでコーティングされた、二酸化チタンと二酸化亜鉛との混合物、例えば、Kemira社によって販売されている製品M 211を包含する、金属酸化物の混合物、特に二酸化チタンと二酸化セリウムとの混合物、が言及されうる。
【0174】
該顔料は、それらの天然形態又は顔料ペーストの形態で、すなわち、例えば英国特許第2206339号明細書に記載されている分散剤との混合物として、本発明に従う組成物に導入されうる。
【0175】
特定の1つの実施態様に従うと、本発明に従う組成物は、無機UV遮断剤を含まない。
【0176】
特定の1つの実施態様に従うと、本発明に従う組成物中に存在する1以上の該無機UV遮断剤の量は、該組成物の総重量に対して0.01重量%~20重量%でありうる。該量は、例えば、該組成物の総重量に対して1重量%~15重量%である。
【0177】
特定の1つの実施態様に従うと、本発明に従う組成物はまた、1以上の有機UV遮断剤及び1以上の無機UV遮断剤を含む。
【0178】
特定の1つの実施態様に従うと、本発明に従う組成物はまた、仏国特許発明第2977490号明細書、国際公開第2013/004777号パンフレット又は米国特許出願公開第2014/0134120号明細書に記載されているUV遮断剤の組み合わせを含む。
【0179】
好ましくは、本発明に従う組成物において、1以上の該UV遮断剤は、該油性相中に、好ましくは該ゲル化された油性相中に、全て又は部分的に、好ましくは単独で、存在する。
【0180】
水性相
本発明に従う組成物の該水性相は、水及び任意的に水溶性溶媒を含む。
【0181】
好ましくは、本発明に従う組成物の該水性相は、ゲル化されている。
【0182】
該水性相は、該組成物に、上記組成物の全重量に対して20重量%~95重量%、更に良くは30重量%~90重量%、好ましくは50重量%~80重量%、の含量で存在しうる。
【0183】
好ましくは、本発明に従う組成物は、該組成物の総重量に対して35重量%~70重量%、好ましくは35重量%~65重量%、より好ましくは40重量%~60重量%、の水を含む。
【0184】
本発明において使用するのに好適な水は、フローラルウォーター、例えば、ヤグルマソウウォーター及び/又はミネラルウォーター、例えば、Vittelウォーター、Lucasウォーター若しくはLa Roche Posayウォーター及び/又は温泉水でありうる。
【0185】
本発明において、語「水溶性溶媒」は、周囲温度において液体であり、水混和性(25℃及び大気圧において50重量%を超える水への混和性)の化合物を示す。
【0186】
加えて、本発明の組成物において使用されることができる該水溶性溶媒は、揮発性であることができる。
【0187】
特に、本発明に従う組成物において使用されることができる該水溶性溶媒の中でも、1~5個の炭素原子を有する低級モノアルコール、例えば、エタノール及びイソプロパノール、2~8個の炭素原子を有するグリコール、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール及びジプロピレングリコール、C3及びC4ケトン、並びにC2~C4アルデヒド、が言及されうる。
【0188】
好ましい1つの実施態様に従うと、本発明に従う組成物はまた、少なくとも1つのアルコール、特にモノアルコール、好ましくはエタノール、を含む。
【0189】
好ましくは、本発明に従う組成物において、該アルコールは、該組成物の総重量に対して0.1重量%~10重量%、好ましくは2重量%~7重量%、の量で存在しうる。
【0190】
代替の実施態様に従うと、本発明に従う組成物の該水性相は、少なくとも1つのC2~C32ポリオールを含みうる。
【0191】
本発明の目的の為に、語「ポリオール」は、少なくとも2つの遊離ヒドロキシル基を含む任意の有機分子を意味すると理解されるべきである。
【0192】
好ましくは、本発明に従うポリオールは、周囲温度において液体形態で存在する。
【0193】
本発明において使用するのに好適なポリオールは、アルキル鎖上に少なくとも2つの-OH官能基、特に少なくとも3つの-OH官能基、より特には少なくとも4つの-OH官能基、を担持している、直鎖状、分岐状又は環式の、飽和又は不飽和アルキルタイプの化合物でありうる。
【0194】
本発明に従う組成物を配合するのに、有利なことには好適な該ポリオールは、特には、2~32個の炭素原子、好ましくは3~16個の炭素原子、を有するポリオールである。
【0195】
有利なことには、該ポリオールは、例えば、エチレングリコール、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,2-ペンタンジオール、カプリリルグリコール(1,2-オクタンジオール)、ブチレングリコール、イソプレングリコール、ペンチレングリコール、へキシレングリコール、グリセロール、ポリグリセリン、例えば、グリセロールオリゴマー、例えば、ジグリセロール、及びポリエチレングリコール、並びにそれらの混合物から選択されうる。
【0196】
特定の1つの様式に従って、本発明の組成物は、少なくとも1つの1,2-ペンタンジオールを含みうる。
【0197】
特定の1つの様式に従って、本発明の組成物は、少なくともカプリリルグリコール(1,2-オクタンジオール)を含みうる。
【0198】
特定の様式に従って、本発明の組成物は、少なくともグリセロールを含みうる。
【0199】
本発明の好ましい1つの実施態様に従うと、上記ポリオールは、カプリリルグリコール 1,2-ペンタンジオール及びグリセロール、並びにそれらの混合物から選択される。
【0200】
脂肪相
本発明に従う組成物は、少なくとも1つの脂肪相、好ましくは少なくとも1つのゲル化された脂肪相、を含む。
【0201】
特に、本発明に従う組成物は、該組成物の総重量に対して5重量%~80重量%、好ましくは10重量%~70重量%、より好ましくは15重量%~40重量%、の脂肪相を含む。
【0202】
本発明に従う組成物の該脂肪相は、油、ワックス、ペースト状化合物、及び/又はシリコーン化合物、好ましくは少なくとも1つの油、を含みうる。
【0203】
油
語「油」は、周囲温度(20℃)及び大気圧(760mmHg)において液体である、水非混和性の非水性化合物を意味することが意図されている。
【0204】
本発明に従う組成物、とりわけ化粧組成物、を調製するのに好適な油性相は、炭化水素系油、シリコーン油、フルオロ油若しくは非フルオロ油、又はそれらの混合物を含みうる。
【0205】
該油は、揮発性又は不揮発性でありうる。
【0206】
該油は、動物、植物、鉱物又は合成起源でありうる。
【0207】
本発明の目的の為に、語「炭化水素系油」は、主に水素原子及び炭素原子を有する油を意味することが意図されている。
【0208】
語「シリコーン油」は、少なくとも1つのケイ素原子、とりわけ少なくとも1つのSi-O基、を含む油を意味することが意図されている。
【0209】
語「フルオロ油」は、少なくとも1つのフッ素原子を含む油を意味することが意図されている。
【0210】
該油は、例えば、ヒドロキシル又は酸ラジカルの形態の、酸素、窒素、硫黄及び/又はリン原子を、任意的に含みうる。
【0211】
揮発性油
本発明の目的の為に、語「揮発性油」は、周囲温度及び大気圧において、皮膚と接触させると1時間未満で蒸発することができる任意の油を意味することが意図されている。該揮発性油は、特に周囲温度及び大気圧においてゼロでない蒸気圧を有する、特に0.13Pa~40000Pa(10-3~300mmHg)、特に1.3Pa~13000Pa(0.01~100mmHg)、より特には1.3Pa~1300Pa(0.01~10mmHg)、の蒸気圧を有する、周囲温度において液体である揮発性化粧化合物である。
【0212】
該揮発性油は、炭化水素系油又はシリコーン油でありうる。
【0213】
8~16個の炭素原子を有する揮発性炭化水素系油の中でも、とりわけ、分岐状C8~C16アルカン、例えば、C8~C16イソアルカン(また、イソパラフィンとして既知)、イソドデカン、イソデカン、イソヘキサデカン及び例えば商品名Isopar又はPermethylで販売されている油、分岐状C8~C16エステル、例えば、ネオペンタン酸イソヘキシル、並びにそれらの混合物、が言及されうる。特に、該揮発性炭化水素系油は、8~16個の炭素原子を有する揮発性炭化水素系油、及びそれらの混合物から選択される。
【0214】
また、8~16個の炭素原子、特に10~15個の炭素原子、より特には11~13個の炭素原子、を含む揮発性直鎖状アルカン、例えば、Sasolによってそれぞれの参照名Parafol 12-97及びParafol 14-97で販売されているn-ドデカン(C12)及びn-テトラデカン(C14)、並びにそれらの混合物、ウンデカン-トリデカン混合物、Cognis社から国際公開第2008/155059号パンフレットの実施例1及び2において得られたn-ウンデカン(C11)とn-トリデカン(C13)との混合物、並びに及びそれらの混合物、が言及されうる。
【0215】
言及されうる揮発性シリコーン油は、揮発性直鎖状シリコーン油、例えば、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、テトラデカメチルヘキサシロキサン、ヘキサデカメチルヘプタシロキサン及びドデカメチルペンタシロキサンを包含する。
【0216】
言及されうる揮発性環状シリコーン油は、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、シクロヘキサシロキサン及びドデカメチルシクロヘキサシロキサン、特にシクロヘキサシロキサン、を包含する。
【0217】
不揮発性油
語「不揮発性」は、周囲温度及び大気圧における蒸気圧が、ゼロでなく、且つ10-3mmHg(0.13Pa)未満である油を意味することが意図されている。
【0218】
該不揮発性油はとりわけ、不揮発性炭化水素油、フルオロ油及び/又はシリコーン油から選択されうる。
【0219】
特に言及されうる不揮発性炭化水素系油は、
動物起源の炭化水素系油、
植物起源の炭化水素系油、10~40個の炭素原子を有する合成エーテル、例えば、ジカプリルエーテル、
合成エステル、例えば、式R1COOR2の油(式中、R1+R2が10以上であることを条件として、R1は、1~40個の炭素原子を含む直鎖状又は分岐状脂肪酸残基を表し、R2は、1~40個の炭素原子を有する、とりわけ分岐状である、炭化水素系鎖を表す)。該エステルは、特には、アルコールと脂肪酸とのエステル、例えば、オクタン酸セトステアリル、イソプロピルアルコールエステル、例えば、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸エチル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、ステアリン酸イソプロピル、ステアリン酸オクチル、ヒドロキシル化エステル、例えば、乳酸イソステアリル、ヒドロキシステアリン酸オクチル、アルコール又は多価アルコールのリシノール酸エステル、ラウリン酸ヘキシル、ネオペンタン酸エステル、例えば、ネオペンタン酸イソデシル、ネオペンタン酸イソトリデシル、並びにイソノナン酸エステル、例えば、イソノナン酸イソノニル及びイソノナン酸イソトリデシルから選択されうる、
ポリオールエステル及びペンタエリスリトールエステル、例えば、テトラヒドロキシステアリン酸/テトライソステアリン酸ジペンタエリスリチル、
12~26個の炭素原子を有する分岐状及び/又は不飽和炭素系鎖を有する、周囲温度において液体である脂肪アルコール、例えば、2-オクチルドデカノール、イソステアリルアルコール及びオレイルアルコール、
C12~C22高級脂肪酸、例えば、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、及びそれらの混合物、
炭酸エステル、例えば、炭酸ジカプリリル、
非フェニルシリコーン油、例えば、カプリリルメチコン、並びに
フェニルシリコーン油、例えば、フェニルトリメチコン、フェニルジメチコン、フェニルトリメチルシロキシジフェニルシロキサン、ジフェニルジメチコン、ジフェニルメチルジフェニルトリシロキサン及び2-フェニルエチルトリメチルシロキシシリケート、100cSt以下の粘度を有するジメチコン又はフェニルトリメチコン、トリメチルペンタフェニルトリシロキサン、並びにそれらの混合物、
並びにこれらの様々な油の混合物
を包含する。
【0220】
特に、該組成物はまた、特に不揮発性無極性炭化水素系油、不揮発性エステル油、及びそれらの混合物、から選択される少なくとも1つの不揮発性油を含みうる。
【0221】
本発明の目的の為に、語「無極性油」は、25℃における溶解パラメータ、すなわちδaが、0(J/cm3)1/2に等しい油を意味する。
【0222】
ハンセン三次元溶解度空間における溶解パラメータの定義及び計算は、C.M.Hansen:''The three dimensional solubility parameters'',J.Paint Technol.39, 105(1967)の論文に記載されている。
【0223】
このハンセン空間に従って、
δDは、分子の衝突中に誘発された双極子の形成から誘導されたロンドン分散力を特徴付け、
δpは、永久双極子間のデバイ相互作用力、及び誘起双極子と永久双極子との間のケーソム相互作用力を特徴付け、
δhは、特定の相互作用力(例えば、水素結合、酸/塩基、ドナー/アクセプター等)を特徴付け、
δaは、等式δa=(δp
2+δh
2)1/2によって決定される。
【0224】
該パラメータδp、δh、δD及びδaは、(J/cm3)1/2で表される。
【0225】
特に、該不揮発性無極性炭化水素系油は、酸素原子を含まない。
【0226】
好ましくは、該不揮発性無極性炭化水素系油は、鉱物又は合成起源の直鎖状又は分岐状炭化水素から選択されうる。特に、該油は、
流動パラフィン又はそれらの誘導体、
スクアラン、
液体ワセリン、
ナフタレン油、
ポリブチレン、特にAmoco社によって販売又は製造されているIndopol H-100(モル質量又はMW=965g/モル)、Indopol H-300(MW=1340g/モル)及びIndopol H-1500(MW=2160g/モル)、
ポリイソブテン及び水素化されたポリイソブテン、特に日本油脂社によって販売されているParleam(商標)、Amoco社によって販売又は製造されているPanalane H-300 E(MW=1340g/モル)、Synteal社によって販売又は製造されているViseal 20000(MW=6000g/モル)及びWitco社によって販売又は製造されているRewopal PIB 1000(MW=1000g/モル)、
デセン/ブテンコポリマー及びポリブテン/ポリイソブテンコポリマー、特にIndopol L-14、
ポリデセン及び水素化されたポリデセン、特にMobil Chemicals社によって販売又は製造されているPuresyn 10(MW=723g/モル)及びPuresyn 150(MW=9200g/モル)、
並びにそれらの混合物
から選択されうる。
【0227】
上記不揮発性油はまた、特に18~70個の炭素原子を有するエステル油でありうる。
【0228】
言及されうる例は、モノエステル、ジエステル又はトリエステルを包含する。
【0229】
該エステル油はとりわけ、ヒドロキシル化されうる。
【0230】
該不揮発性エステル油は好ましくは、
合計18~40個の炭素原子を含むモノエステル、特に式R1COOR2のモノエステル(式中、R1+R2が18以上であることを条件として、R1は、4~40個の炭素原子を含む直鎖状又は分岐状脂肪酸残基を表し、R2は、4~40個の炭素原子を有する、特に分岐状である炭化水素系鎖を表す)、例えば、Purcellin油(オクタン酸セトステアリル)、イソノナン酸イソノニル、安息香酸C12~C15アルコール、パルミチン酸2-エチルヘキシル、ネオペンタン酸オクチルドデシル、ステアリン酸2-オクチルドデシル、エルカ酸2-オクチルドデシル、イソステアリン酸イソステアリル、セバシン酸ジイソプロピル、安息香酸2-オクチルドデシル、アルコール又は多価アルコールのオクタン酸エステル、デカン酸又はリシノール酸エステル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、ラウリン酸2-ヘキシルデシル、パルミチン酸2-オクチルデシル、ミリスチン酸2-オクチルドデシル又はコハク酸2-ジエチルヘキシル。好ましくは、これらは、式R1COOR2のエステル(式中、R1は、4~40個の炭素原子を含む直鎖状又は分岐状脂肪酸残基を表し、R2は、4~40個の炭素原子を有する、特に分岐状である炭化水素系鎖を表し、R1及びR2は、R1+R2が18以上になるようなものである)である。好ましくは、該エステルは、合計18~40個の炭素原子を含む。言及されうる好ましいモノエステルは、イソノナン酸イソノニル、エルカ酸オレイル及び/又は2-ネオペンタン酸オクチルドデシルを包含する、
特に合計18~60個の炭素原子、特に合計18~50個の炭素原子、を含むジエステル。特に、ジカルボン酸とモノアルコールとのジエステル、好ましくは例えば、リンゴ酸ジイソステアリル、又はモノカルボン酸のグリコールジエステル、例えば、ジヘプタン酸ネオペンチルグリコール若しくはジイソステアリン酸ポリグリセリル-2、特に例えば、Alzo社によって参照名Dermol DGDISで販売されている化合物を使用することが可能である、
特に合計35~70個の炭素原子を含むトリエステル、特に例えば、トリカルボン酸のトリエステル、例えば、クエン酸トリイソステアリル若しくはトリメット酸トリデシル、又はモノカルボン酸のグリコールトリエステル、例えば、トリイソステアリン酸ポリグリセリル-2、
特に35~70個の総炭素数を有するテトラエステル、例えば、ペンタエリスリトール又はモノカルボン酸のポリグリセリンテトラエステル、例えば、テトラペラルゴン酸ペンタエリスリチル、テトライソステアリン酸ペンタエリスリチル、テトライソノナン酸ペンタエリスリチル、グリセリルトリス(2-デシル)テトラデカノエート、テトライソステアリン酸ポリグリセリル-2又はテトラキス(2-デシル)テトラデカン酸ペンタエリスリチル、
不飽和脂肪酸ダイマー及び/又はトリマーとジオールとの縮合によって得られたポリエステル、例えば、仏国特許出願公開第0853634号明細書に記載されているもの、特に例えば、ジリノール酸と1,4-ブタンジオールとの縮合によって得られたポリエステル。これに関して、とりわけBiosynthisによって名称Viscoplast 14436Hで販売されているポリマー(INCI名:ジリノール酸/ブタンジオールコポリマー)、又はポリオールと二酸ダイマーとのコポリマー及びそれらのエステル、例えば、Hailuscent ISDA、が言及されうる、
ジオールダイマーとモノカルボン酸又はジカルボン酸とのエステル及びポリエステル、例えば特に、不飽和脂肪酸、とりわけ不飽和C8~C34、とりわけC12~C22、特にC16~C20、より特にはC18脂肪酸、の二量体化から特に誘導されたジカルボン酸ダイマーから得られうる、ジオールダイマーと脂肪酸とのエステル及びジオールダイマーとジカルボン酸ダイマーとのエステル、例えば、ジリノール二酸とジリノールジオールダイマーとのエステル、例えば、日本精化社によって商品名Lusplan DD-DA5(商標)及びDD-DA7(商標)で販売されているもの、
ビニルピロリドン/1-ヘキサデセンコポリマー、例えば、ISP社によって名称Antaron V-216で販売されている製品(また、Ganex V216として既知)(MW=7300g/モル)、
炭化水素系植物油、例えば、特に7~40個の炭素原子を有する脂肪酸の脂肪酸トリグリセリド(周囲温度において液体である)、例えば、ヘプタン酸若しくはオクタン酸トリグリセリド又はホホバ油。特に、飽和トリグリセリド、例えば、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、トリヘプタン酸グリセリル、トリオクタン酸グリセリル、及びC18~C36酸トリグリセリド、例えば、Stearinerie Duboisによって参照名DUB TGI 24で販売されているもの、並びに不飽和トリグリセリド、例えば、ヒマシ油、オリーブ油、キシメニア油及びプラカシー油が言及されうる、
並びにそれらの混合物
から選択されうる。
【0231】
好ましくは、本発明に従う組成物は、不揮発性油、特に不揮発性炭化水素系油、より好ましくはジカプリルエーテル、を含む。
【0232】
シリコーン化合物
本発明に従って、該脂肪相はまた、少なくとも1つのシリコーン化合物を含みうる。
【0233】
特に、該シリコーン化合物は、オルガノポリシロキサンエラストマーから選択されうる。
【0234】
語「オルガノポリシロキサンエラストマー」又は「シリコーンエラストマー」は、粘弾性の特性、とりわけスポンジ又は可撓性の球の粘稠度、を有する可撓性で変形可能なオルガノポリシロキサンを意味することが意図されている。その弾性率は、この材料が変形に耐え、制限された伸張性及び収縮性を有するような弾性率である。この材料は、伸びた後に元の形状を回復することができる。
【0235】
該シリコーン化合物は、より特には、架橋されているオルガノポリシロキサンエラストマーである。
【0236】
該エラストマーは、有利なことには、非乳化性エラストマーである。
【0237】
語「非乳化性」は、親水性鎖を全く有していない、特にポリオキシアルキレン単位(とりわけポリオキシエチレン又はポリオキシプロピレン)又はポリグリセリル単位を全く有していない、オルガノポリシロキサンエラストマーを定義する。従って、本発明の特定の形態に従って、該組成物は、ポリオキシアルキレン単位もポリグリセリル単位も含まない、オルガノポリシロキサンエラストマーを含む。
【0238】
特に、本発明において使用される該シリコーンエラストマーは、ジメチコンクロスポリマー(INCI名)、ビニルジメチコンクロスポリマー(INCI名)、ジメチコン/ビニルジメチコンクロスポリマー(INCI名)、ジメチコン(及び)ジメチコン/ビニルジメチコンクロスポリマー(INCI名)及びジメチコンクロスポリマー-3(INCI名)から選択される。
【0239】
該オルガノポリシロキサンエラストマー粒子は、少なくとも1つの炭化水素系油及び/又は1つのシリコーン油に含まれるエラストマー性オルガノポリシロキサンから形成されたゲルの形態で運ばれうる。これらのゲル剤において、該オルガノポリシロキサン粒子は、非球形粒子であることが多い。
【0240】
非乳化性エラストマーは、特には、欧州特許第242219号明細書、欧州特許第285886号明細書及び欧州特許第765656号明細書、並びに特開昭61-194009号公報に記載されている。
【0241】
該シリコーンエラストマーは一般的には、ゲル、ペースト又は粉末の形態であるが、有利なことには、ゲルの形態であり、このゲルにおいて、該シリコーンエラストマーが、直鎖状シリコーン油(ジメチコン)又は環状シリコーン油(例えば、シクロペンタシロキサン)に、有利なことには直鎖状シリコーン油に、分散されている。
【0242】
使用されることができる非乳化性エラストマーは、より特には、信越化学工業株式会社によって名称KSG-6、KSG-15、KSG-16、KSG-18、KSG-41、KSG-42、KSG-43及びKSG-44で、Dow Corning社によってDC9040及びDC9041で、並びにGeneral Electric社よってSFE 839で、販売されているものを包含する。
【0243】
特定の様式に従って、シクロペンタジメチルシロキサン、ジメチコン、ジメチルシロキサン、メチルトリメチコン、フェニルメチコン、フェニルジメチコン、フェニルトリメチコン及びシクロメチコンを含む、包括的でないリストから選択されるシリコーン油、好ましくは25℃において1~500cStの粘度を有しており、任意的にフッ素化された脂肪族基で、又はヒドロキシル、チオール及び/若しくはアミン基等の官能基で任意的に修飾された、ポリジメチルシロキサン(PDMS)又はジメチコンから選択される直鎖状シリコーン油、に分散されたシリコーンエラストマーのゲルが使用される。
【0244】
以下のINCI名を有する化合物にとりわけ言及されうる。
ジメチコン/ビニルジメチコンクロスポリマー、例えば、信越化学工業株式会社のUSG-105及びUSG-107A、Dow Corning社のDC9506及びDC9701、
ジメチコン/ビニルジメチコンクロスポリマー(及び)ジメチコン、例えば、信越化学工業株式会社のKSG-6及びKSG-16、
ジメチコン/ビニルジメチコンクロスポリマー(及び)シクロペンタシロキサン、例えば、KSG-15、
シクロペンタシロキサン(及び)ジメチコンクロスポリマー、例えば、Dow Corning社のDC9040、DC9045及びDC5930、
ジメチコン(及び)ジメチコンクロスポリマー、例えば、Dow Corning社のDC9041、
ジメチコン(及び)ジメチコンクロスポリマー、例えば、Dow Corning社のDow Corning EL-9240(商標)シリコーンエラストマーブレンド(ヘキサジエン/ポリジメチルシロキサンで架橋されているポリジメチルシロキサン(2cSt)の混合物)、
C4~C24アルキルジメチコン/ジビニルジメチコンクロスポリマー、例えば、Alzo社のNuLastic Silk MA。
【0245】
本発明に従って好ましくは使用されることができる直鎖状シリコーン油に分散されたシリコーンエラストマーの例として、とりわけ、ジメチコン/ビニルジメチコンクロスポリマー(及び)ジメチコン、特に信越化学工業株式会社のKSG-6及びKSG-16、が言及されうる。
【0246】
オルガノポリシロキサンエラストマーの粒子はまた、粉末形態で使用されることができる。とりわけ、Dow Corning社によって名称Dow Corning 9505 Powder及びDow Corning 9506 Powderで販売されている粉末が言及され得、これらの粉末は、INCI名:ジメチコン/ビニルジメチコンクロスポリマーを有する。
【0247】
該オルガノポリシロキサン粉末はまた、例えば、米国特許第5538793号明細書に記載されているシルセスキオキサン樹脂でコーティングされうる。このようなエラストマー粉末は、信越化学工業株式会社によって名称KSP-100、KSP-101、KSP-102、KSP-103、KSP-104及びKSP-105で販売されており、INCI名:ビニルジメチコン/メチコンシルセスキオキサンクロスポリマーを有する。
【0248】
アジュバント
フィラー
有利なことには、本発明に従う組成物はまた、ケア及び/又はメーキャップ組成物において慣用的に使用されているものから特に選択される、1以上のフィラーを含みうる。
【0249】
本発明の目的の為に、語「フィラー」は、任意の形態の、無色又は白色の、無機又は有機の、天然又は合成の固体粒子を意味することを意図され、これらは、該組成物の媒体に不溶性であり、分散されている形態である。
【0250】
当然のことながら、これらのフィラーは、該組成物の特性にとって有害にならないように、適切な含量及び適切な条件下で使用される。
【0251】
これらのフィラーは、該フィラーを含む組成物に、柔軟性、艶消し効果及び均一性を与えることを可能にする。加えて、これらのフィラーは、有利なことには、皮脂又は汗などの様々な攻撃因子と戦うことを可能にする。
【0252】
これらのフィラーの例として、タルク、マイカ、シリカ、カオリン、ポリ-β-アラニン粉末及びポリエチレン粉末、テトラフルオロエチレンポリマー粉末(Teflon(商標))、ラウロイルリシン、デンプン、窒化ホウ素、中空ポリマーミクロスフェア、例えば、ポリ塩化ビニリデン/アクリロニトリルのもの、例えば、Expancel(商標)(Nobel Industrie)、アクリル酸コポリマーミクロスフェア、シリコーン樹脂ミクロビーズ(例えば、東芝のTospearls(商標))、ポリオルガノシロキサンエラストマー粒子、沈殿された炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸水素マグネシウム、ヒドロキシアパタイト、硫酸バリウム、酸化アルミニウム、ポリウレタン粉末、複合フィラー、中空シリカミクロスフェア、並びにガラス又はセラミックマイクロカプセル、が言及されうる。また、特開2003-128788号公報及び特開2000-191789号公報に記載されている、中空球部分の形態である粒子が使用されうる。
【0253】
着色剤
本発明に従う組成物はまた、少なくとも1つの微粒子状又は非微粒子状の、水溶性又は水不溶性着色剤を、好ましくは該組成物の総重量に対して少なくとも0.0001重量%の割合で含みうる。
【0254】
この量は、明白な理由で、考慮される該着色剤によって与えられる所望の色効果の強さと色強度とに関して有意に変わりやすく、その調整は、明らかに当業者の権能の範囲内にある。
【0255】
前述の通り、本発明において使用するのに好適な該着色剤は、水溶性でありうるが、脂溶性でもありうる。
【0256】
水溶性染料
本発明の目的の為に、語「水溶性着色剤」は、水性相又は水混和性溶媒に可溶性であり、色を付与することができる、任意の天然又は合成の、一般的には有機化合物、を意味することが意図されている。
【0257】
本発明において使用するのに好適な水溶性染料として、特には、合成又は天然の水溶性染料、例えば、FDCレッド4、DCレッド6、DCレッド22、DCレッド28、DCレッド30、DCレッド33、DCオレンジ4、DCイエロー5、DCイエロー6、DCイエロー8、FDCグリーン3、DCグリーン5、FDCブルー1、ベタニン(ビートの根)、カルミン、銅クロロフィリン、メチレンブルー、アントシアニン(エノシアニン、黒ニンジン、ハイビスカス及びニワトコ)、カラメル及びリボフラビン、が言及されうる。
【0258】
該水溶性染料は、例えば、ビートの根の汁及びカラメルである。
【0259】
好ましい実施態様に従うと、本発明に従う組成物は、少なくとも1つの水溶性染料を含む。
【0260】
該水溶性染料は、該水溶性染料を含む該組成物の総重量に対して0.0001重量%~2重量%の割合で存在しうる。
【0261】
脂溶性染料
本発明の目的の為に、語「脂溶性着色剤」は、油性相に、又は脂肪物質と混和性の溶媒に、可溶性であり、且つ色を付与することができる、任意の天然又は合成の、一般的には有機化合物、を意味することが意図されている。
【0262】
本発明において使用するのに好適な脂溶性染料として、特には、合成又は天然の脂溶性染料、例えば、DCレッド17、DCレッド21、DCレッド27、DCグリーン6、DCイエロー11、DCバイオレット2、DCオレンジ5、スーダンレッド、カロテン(β-カロテン、リコペン)、キサントフィル(カプサンチン、カプソルビン、ルテイン)、パーム油、スーダンブラウン、キノリンイエロー、アナトー及びクルクミン、が言及されうる。
【0263】
該着色微粒子物質は、該着色微粒子物質を含む該組成物の総重量に対して0.0001重量%~10重量%の割合で存在しうる。
【0264】
該着色微粒子物質は、特には、顔料、真珠層及び/又は金属の色合いを有する粒子でありうる。
【0265】
顔料
語「顔料」は、水性溶液に不溶性の、白色であるか又は着色された、無機又は有機粒子を意味すると理解されるべきであり、これらは、該顔料を含む組成物を着色する及び/又は不透明化することを意図されている。
【0266】
該顔料は、白色でありうるか又は着色され得、無機及び/又は有機でありうる。
【0267】
無機顔料として、酸化チタン、二酸化チタン、酸化ジルコニウム、二酸化ジルコニウム、酸化セリウム又は二酸化セリウム及び酸化亜鉛、酸化鉄又は酸化クロム、紺青、マンガンバイオレット、ウルトラマリンブルー及びクロム水和物、並びにそれらの混合物、が言及されうる。
【0268】
該顔料はまた、例えば、セリサイト/褐色酸化鉄/二酸化チタン/シリカタイプでありうる構造を有する顔料でありうる。このような顔料は、例えば、Chemicals and Catalysts社によって参照名Coverleaf NS又はJSで販売されており、30の領域にコントラスト比を有する。
【0269】
該顔料はまた、例えば、酸化鉄を含むシリカマイクロスフェアタイプでありうる構造を有する顔料でありうる。この構造を有する顔料の例は、三好社によって参照名PC Ball PC-LL-100 Pで販売されている顔料であり、この顔料は、黄色酸化鉄を含むシリカミクロスフェアから構成されている。
【0270】
有利なことには、該顔料は、酸化鉄及び/又は二酸化チタンでありうる。
【0271】
特定の1つの実施態様に従うと、本発明に従う組成物は、1%未満の顔料を含む。
【0272】
真珠層
語「真珠層」は、特にある特定の軟体動物がそれらの殻内で産生した、又は代替として合成された、真玉虫色であるか、又は玉虫色でないものでありうる、光学的干渉を介して色効果を有する、任意の形状の着色された粒子を意味すると理解されるべきである。
【0273】
該真珠層は、真珠光沢顔料、例えば、酸化鉄でコーティングされたチタンマイカ、オキシ塩化ビスマスでコーティングされたチタンマイカ、酸化クロムでコーティングされたチタンマイカ、有機染料でコーティングされたチタンマイカ、及びオキシ塩化ビスマスに基づく真珠光沢顔料から選択されうる。該真珠層はまた、マイカ粒子でありえ、その表面には、金属酸化物及び/又は有機着色剤の少なくとも2つの連続層が重畳される。
【0274】
また言及されうる真珠層の例は、酸化チタンで、酸化鉄で、天然顔料で、又はオキシ塩化ビスマスで被覆された天然マイカを包含する。
【0275】
商業的に入手可能な真珠層の中でも、Engelhardによって販売されているTimica、Flamenco及びDuochrome(マイカベースの)真珠層、Merckによって販売されているTimiron真珠層、Eckartによって販売されているマイカベースのPrestige真珠層、並びにサンケミカルによって販売されている合成マイカベースのSunshine真珠層が言及されうる。
【0276】
該真珠層は、より特には、黄、ピンク、赤、ブロンズ、オレンジ、ブラウン、金及び/又は銅のような、色又は色合いを有しうる。
【0277】
有利なことには、本発明に従う該真珠層は、二酸化チタン又は酸化鉄、及びオキシ塩化ビスマス、で被覆されたマイカである。
【0278】
特定の1つの実施態様に従うと、本発明に従う組成物は、1重量%未満の真珠層を含む。
【0279】
金属の色合いを有する粒子
本発明の目的の為に、語「金属の色合いを有する粒子」は、その性質、サイズ、構造及び表面仕上げが、特に非玉虫色方式で入射光を反射することを可能にする、任意の化合物を意味する。
【0280】
本発明において使用されることができる、金属の色合いを有する該粒子は、少なくとも1つの金属及び/又は少なくとも1つの金属誘導体の粒子、少なくとも1つの金属及び/又は少なくとも1つの金属誘導体を含む金属の色合いを有する少なくとも1つの層で少なくとも部分的に被覆された、単一材料又は複数材料から製作された有機又は無機基材を含む粒子、並びに上記粒子の混合物、から特に選択される。
【0281】
上記粒子中に存在しうる金属の中でも、例えば、Ag、Au、Cu、Al、Ni、Sn、Mg、Cr、Mo、Ti、Zr、Pt、Va、Rb、W、Zn、Ge、Te、Se、及びそれらの混合物又は合金が言及されうる。Ag、Au、Cu、Al、Zn、Ni、Mo及びCr、並びにそれらの混合物又は合金(例えば、青銅及び真鍮)が、好ましい金属である。
【0282】
語「金属誘導体」は、金属から誘導された化合物、特に酸化物、フッ化物、塩化物及び硫化物、を示す。
【0283】
言及されうるこれらの粒子の例は、アルミニウム粒子、例えば、Siberline社により名称Starbrite 1200 EAC(商標)で及びEckart社によりMetalure(商標)で販売されているもの、並びに金属層でコーティングされたガラス粒子、特に特開平09-188830号公報、特開平10-158450号公報、特開平10-158541号公報、特開平07-258460号公報及び特開平05-017710号公報に記載されているものを包含する。
【0284】
特定の1つの実施態様に従うと、本発明に従う組成物は、1%未満の金属の色合いを有する粒子を含む。
【0285】
着色剤の疎水性処理
既に記載された該粉末状着色剤は、特には、油と良好な濡れ性を有するように、疎水性薬剤で全体的又は部分的に表面処理されて、本発明の組成物の該油性相とより適合するものにされうる。従って、これらの処理された顔料は、油性相に十分に分散されている。疎水性処理された顔料は、特には、欧州特許第1086683号明細書に記載されている。
【0286】
該疎水性処理剤は、シリコーン、例えば、メチコン、ジメチコン及びペルフルオロアルキルシラン;脂肪酸、例えば、ステアリン酸;金属石鹸、例えば、ジミリスチン酸アルミニウム、水素化された獣脂グルタメートのアルミニウム塩;リン酸ペルフルオロアルキル;ポリヘキサフルオロプロピレンオキシド;ペルフルオロポリエーテル;アミノ酸;N-アシルアミノ酸又はその塩;レシチン、イソプロピルトリイソステアリルチタネート、セバシン酸イソステアリル、並びにそれらの混合物から選択されうる。
【0287】
上述に引用された化合物において言及される語「アルキル」は、特には、1~30個の炭素原子を有する、好ましくは5~16個の炭素原子を有する、アルキル基を示す。
【0288】
更なる化粧活性剤
好ましい1つの実施態様に従うと、本発明に従う組成物はまた、少なくとも1つの更なる化粧活性剤を含む。
【0289】
特に、該更なる化粧活性剤は、少なくとも1つの親水性活性剤及び/又は1つの親油性活性剤でありうる。
【0290】
語「親水性活性剤」は、水素結合を形成することができる、水溶性又は水分散性活性剤を意味することが意図されている。
【0291】
化粧活性剤として、例えば、モイスチャライザー、好ましくはグリセロール、脱色剤、落屑剤、保湿剤、アンチエイジング剤、艶消し剤、瘢痕形成(cicatrizing)剤、抗菌剤、治癒剤、好ましくはパンテノール、ビタミン及びその誘導体、好ましくはトコフェロール、抗酸化化合物、並びにそれらの混合物、が言及されうる。
【0292】
1以上の該更なる活性剤は、とりわけ、
ビタミン及びその誘導体、とりわけそのエステル、特にトコフェロール(ビタミンE)及びそのエステル(例えば、トコフェロール酢酸エステル)、並びにアスコルビン酸(ビタミンC)及びその誘導体、
保湿剤、特に尿素、ヒドロキシ尿素、グリセロール、ポリグリセリン、グリセリルグルコシド、ジグリセリルグルコシド、ポリグリセリルグルコシド及びキシリチルグルコシド、特にグリセロール、
C-グリコシド化合物、
抗酸化化合物、
アンチエイジング活性剤、特にヒアルロン酸化合物、とりわけヒアルロン酸ナトリウム、レチノール及びその誘導体、サリチル酸化合物、特に5-n-オクタノイルサリチル酸(カプリロイルサリチル酸)、カフェイン、アデノシン、c-β-d-キシロピラノシド-2-ヒドロキシプロパン、並びに(3-ヒドロキシ-2-ペンチルシクロペンチル)酢酸のナトリウム塩、
スキンケア剤、特にアラントイン、パンテノール及びタンパク質加水分解物、
血管強壮剤(veinotonics)、特にポリフェノール、とりわけエスシン、ルスクス、ジオスミン、ヘスペリジン、レスベラトロール、並びに
それらの混合物
から選択されうる。
【0293】
本発明に従う組成物は、少なくとも1つのモイスチャライザー(また、保湿剤として既知)を含みうる。
【0294】
好ましくは、該モイスチャライザーは、グリセロールである。
【0295】
好ましい1つの実施態様に従うと、本発明に従う組成物はまた、少なくとも1つの更なる化粧活性剤、より好ましくは少なくとも1つのアンチエイジング活性剤、好ましくはヒアルロン酸、又はその塩、より好ましくはヒアルロン酸ナトリウム、を含む。
【0296】
本発明に従う組成物はまた、化粧分野で慣用的に使用されているアジュバント、例えば、保存剤、特にフェノキシエタノール、フレグランス、極性添加剤、膜形成ポリマー、更なるゲル化剤、pH調整剤(酸又は塩基)、分散剤、化粧活性剤、例えば、瘢痕形成剤、脂性皮膚と戦う為の薬剤、及び/又は汚染防止剤、並びにそれらの混合物から選択される、少なくとも1つの添加剤を含みうる。
【0297】
言うまでもなく、当業者は、本発明に従う組成物の有利な特性が、想定された添加によって有害な影響を受けないか又は実質的に受けないように、1以上のこの又はこれらの任意的な更なる化合物、及び/又はその量を、注意しながら選定することになろう。
【0298】
組成物
本発明に従って、該組成物は、ケラチン物質へのその施与の前又は後に特徴付けられることができる。言い換えれば、本発明に従う組成物の外見は、ケラチン物質への施与の前、言い換えればその包装/梱包においてと、又はケラチン物質への施与の後、すなわちケラチン物質、特に皮膚、に施与されてすぐと、では異なりうる。
【0299】
好ましい実施態様に従うと、本発明に従う組成物は、施与前に着色されている。言い換えれば、本発明に従う組成物は好ましくは、その包装/梱包において着色されている。好ましくは、施与前の本発明に従う組成物は、青色である。
【0300】
本発明の目的の為に、組成物は、ヒトの目にとって、可視スペクトルの色、特に白色とは異なる色、を有するように見える場合、「着色されている」と云われる。このような組成物は、不透明又は透明/半透明でありうる。
【0301】
別の好ましい実施態様に従うと、本発明に従う組成物は、施与前は白色である。言い換えれば、本発明に従う組成物は好ましくは、その包装/梱包において白色である。
【0302】
特定の1つの実施態様に従うと、本発明に従う組成物は、施与前には透明/半透明である。言い換えれば、本発明に従う組成物は好ましくは、その包装/梱包において、及び/又はその包装から出され、広げられる前には、透明/半透明である。
【0303】
好ましい1つの実施態様に従うと、本発明に従う組成物は、ケラチン物質への施与後は無色になる。
【0304】
透明度/透過度は、Formulaction社のTurbiscan(商標)Lab分析機器を用いて行われる、l*光子の平均自由工程の測定によって評価されることができる。該平均自由工程は、mmで表される。この値が高いほど、該組成物の透明度が高い。
【0305】
従って、本発明に従う組成物は好ましくは、0.5mm~10mm、好ましくは2~10mm、の平均光子工程長を有する。
【0306】
好ましくは、該組成物が、施与前に、不透明であろうと又は透明/半透明であろうと、着色されていようと又は無色であろうと、該組成物は、ケラチン物質、特に皮膚、に施与されたときには透明又は半透明である。
【0307】
従って、本発明に従う組成物は、ケラチン物質に施与されるとすぐに、透明又は半透明になる。該組成物の透明性又は透過性はまた、視覚的に査定されることができる。例えば、皮膚に施与された、例えば150μmの厚さを有する該組成物は、透明であり、すなわち該ケラチン物質、特に皮膚、を可視にすることが分かる。
【0308】
施与したときのこの透明度はまた、代表的なin vitroプロトコールに従って、150μmの厚さのフィルムを、ポリエステルの透明フィルム上に堆積させることによって、及びBYK-Gardner社のHazegard機器を用いてその透過率を測定することによって、評価されることができる。この値が高いほど、該組成物の透明度が高い。
【0309】
従って、本発明に従う組成物は好ましくは、70%超、好ましくは85%超、の透過率を有する。
【0310】
本発明に従う組成物は、エマルション、例えば水中油(O/W)若しくは油中水(W/O)エマルション、ゲル、例えば乳化された水中油若しくは油中水ゲルの形態で、又はゲル/ゲルタイプの組成物の形態で、存在しうる。
【0311】
好ましくは、本発明に従う組成物は、ゲル/ゲルタイプである。
【0312】
従って、この実施態様に従うと、本発明に従う組成物は、エマルションとも乳化されたゲルとも異なっている。
【0313】
エマルションは一般的には、油性液相及び水性液相から構成されている。該エマルションは、該2つの液相の一方の液滴が他方に分散している、分散液である。該エマルションの該分散された相を形成する該液滴のサイズは、典型的にほぼマイクロメートル(0.1~100μm)である。更に、エマルションは、その安定性を経時的に確保する為に、界面活性剤又は乳化剤の存在を必要とする。
【0314】
それとは逆に、ゲル/ゲルタイプの組成物は、2つのゲル化された非混和性相の混合物から構成され、これらは共にゲルタイプの質感を有する。この質感には、とりわけ、粘稠性の(consistent)及び/又はクリーム状の外見が視覚的に反映されている。
【0315】
より具体的には、ゲル/ゲルタイプの組成物において、該ゲル化された水性相及び該ゲル化された油性相は、互いに浸透し、従って、安定な粘稠性の製品を形成する。この粘稠度は、互いに浸透されたマクロドメインを混合することによって達成される。これらの互いに浸透されたマクロドメインは、測定不可能な物体である。従って、ゲル/ゲルタイプの該組成物は、顕微鏡によればエマルションとは非常に異なっている。ゲル/ゲルタイプの組成物はまた、「感じ(sense)」、すなわちO/W又はW/Oの感じ、を有するものとして特徴付けられることができない。
【0316】
従って、ゲル/ゲルタイプの組成物は、ゲルタイプの粘稠度を有する。該組成物の安定性は、界面活性剤なしに長続きする。結果的に、ゲル/ゲルタイプの組成物、とりわけ化粧組成物、は、その安定性を経時的に確保する為に、界面活性剤又はシリコーン乳化剤を全く必要としない。
【0317】
例えば、ゲル-ゲルタイプの組成物の形成の前に、該ゲル化された水性相又は該ゲル化された親油性相のいずれかに着色剤を導入することによって、ゲル-ゲルタイプの該組成物における、水性ゲルと油性ゲルとの混合物の固有の性質を観察することは、従来技術から既知の実務である。ゲル-ゲルタイプの組成物における視覚的検査中、該染料が、該ゲル化された水性相だけ、又は該ゲル化された油性相だけに存在する場合でも、該着色剤は、均一に分散されたように見える。具体的には、ゲル-ゲルタイプの該組成物の形成前に、異なる色の2つの異なる染料が、該油性相及び該水性相にそれぞれ導入される場合、該2つの色は、ゲル-ゲルタイプの該組成物中に均一に分散されているように観察されうる。このことは、エマルションの形成前に、水溶性又は油溶性である染料が該水性相及び油性相にそれぞれ導入される場合、外側の相中に存在する該染料の色だけが観察されることになる該エマルションとは、異なっている(Remington:The Science and Practice of Pharmacy,19th Edition (1995),Chapter 21,page 282)。
【0318】
本発明の場合、ゲル-ゲルタイプの組成物とエマルションとを区別するのに好ましい試験は、希釈試験である。具体的には、ゲル-ゲルタイプの組成物において、該ゲル化された水性ドメイン及び油性ドメインは、互いに浸透し、粘稠性の且つ安定な組成物を形成し、その組成物における水及び油の挙動は、エマルションの挙動とは異なっている。結果的に、ゲルタイプの組成物(二相連続系(bi-continuous system))の希釈中の挙動は、エマルションの挙動と比較されうる。
【0319】
より具体的には、該希釈試験は、40gの製品及び160gの希釈溶媒(水又は油)を、500mlのプラスチックビーカーに入れることにある。該希釈は、任意の乳化を回避する為に、制御された撹拌を用いて実施される。特にこれは、惑星形ミキサー:Speed Mixer TM DAC400FVZを使用して実施される。該ミキサーの速度は、1500rpmで4分間に設定される。最後に、結果として生じた試料の観察が、光学顕微鏡を100倍(10×10倍)の拡大率において使用して実施される。油、例えば、Parleam(商標)及びDow Corningによって販売されているXiameter PMX-200 Silicone Fluid 5CS(商標)は、該組成物に含まれている油の1つと同様に、希釈溶媒として好適であることに留意されうる。
【0320】
ゲル-ゲルタイプの組成物(二相連続系)の場合、油又は水で希釈されるときは、常に不均一な外見が観察される。ゲル-ゲルタイプの組成物(二相連続系)が、水で希釈される場合には、懸濁状態の油性ゲルの小片が観察され、ゲル-ゲルタイプの組成物(二相連続系)が、油で希釈される場合には、懸濁状態の水性ゲルの小片が観察される。
【0321】
それとは対照的に、エマルションは、希釈中に異なる挙動を有する。O/Wエマルションが水性溶媒で希釈される場合、該エマルションは、不均一な且つ塊の多い外見を有することなく、徐々に薄まっていく。この同じO/Wエマルションが、油で希釈されると、不均一な外見を有する(O/Wエマルションの小片が、該油に懸濁されている)。W/Oエマルションが水性溶媒で希釈される場合、該エマルションは、不均一な外見を有する(W/Oエマルションの小片が、水に懸濁されている)。この同じW/Oエマルションが油で希釈される場合には、不均一な且つ塊の多い外見を有することなく、徐々に薄まっていく。
【0322】
特に、ゲル/ゲルタイプの組成物と、エマルション又は乳化されたゲルとを区別するのに好まれうる別の試験は、レーザー走査共焦点顕微鏡を用いる試験である。
【0323】
より具体的には、拡散による該組成物の標識化が行われる。例えば、一方では[0.1M]の割合で、周囲温度において静かに撹拌しながら水に可溶化させた、フルオレセイン塩(Sigma Aldrich)から、他方では、240ppmの割合で、周囲温度において静かに撹拌しながらホモサレート、オクトクリレン、サリチル酸エチルヘキシル混合物[1:0.7:0.5]に可溶化させた、ナイルレッド(ThermoFisher)に基づいて出発して、蛍光色素溶液が調製される。該蛍光色素(florochrome)溶液のそれぞれ5μlが、試験される該組成物のそれぞれ1.5mlに添加される。該混合物全体が、ヘラを使用して手作業で注意深く混合され、次に周囲温度において最低でも3時間、拡散の為に静置される。該蛍光色素溶液の拡散後、各試料は、250μmのスペーサーによって分離された2つの顕微鏡カバースリップ(厚さ170μm)の間に置かれる。観察を行う為に、レーザー走査共焦点顕微鏡(TC SP8、Leica Microsystems)が使用される。該蛍光色素フルオレセイン(λF-abs max=515nm)及びナイルレッド(λP-abs max=620nm)をそれぞれ励起する為に、2つのレーザー(アルゴン-λAr=488nm及びHe/Ne-λHe/Ne=561nm)が使用される。2つのPMT(光電子増倍管)検出器は、それぞれバンド幅ΔλF-em=506~546nm及びΔλB-em=650~710nmの蛍光発光シグナルをリカバーするように構成されている。画像は、シーケンシャルモードで、すなわち2つのレーザーで該試料の励起と発光とを交互に行うことによって、取得される。該フルオレセイン又は該ナイルレッドの蛍光発光から結果として生じる親水性相及び親油性相は、明確に異なる色に見える。ゲル/ゲルタイプの該組成物の顕微鏡的観察は、特異的又は定型的な形態(第1の色)を、親水性又は親油性連続相(第2の色の)において有していない親油性又は親水性ドメインの分散液を含む二相構造を示す。エマルションタイプの該組成物の顕微鏡的観察は、親油性又は親水性の球形物体の分散液、言い換えれば、液滴(第1の色)が、親水性又は親油性の連続マトリックス(第2の色の)に分散している分散液、を示す。乳化された水性ゲルタイプの該組成物の顕微鏡的観察は、単一の親水性の連続相(1つの色の)を示す。
【0324】
特に、本発明に従う組成物は、該水性相及び油性相を、30/70~90/10、好ましくは60/40~80/20、の水性相/油性相重量比で含む。
【0325】
該二相の間の該比は、所望の化粧特性に従って調整される。
【0326】
従って、特に顔の為のケア組成物の場合、1超、とりわけ65/35~80/20、好ましくは70/30~80/20、の水性相/油性相重量比を選ぶことが有利になる。
【0327】
これらの好ましい比は、特には、さっぱりする軽い組成物を得る為に有利である。
【0328】
従って有利なことには、本発明に従う組成物は、外部の機械的応力に曝されていない限り、それよりも低い応力では流れない最小応力を有する、クリーム状のゲルの形態で存在しうる。
【0329】
本明細書の以下の本文から明らかになる通り、本発明に従う組成物は、1.5Pa、特に10Pa超、の最小限界応力を有しうる。
【0330】
本発明に従う組成物はまた、有利なことには、少なくとも400Paに等しい、好ましくは1000Pa超、の剛性率G*を有しうる。
【0331】
有利な実施態様の変更態様に従って、本発明に従う組成物を形成する為に考慮される該相は、それぞれ、1.5Pa超、好ましくは10Pa超、の限界応力を有しうる。
【0332】
該限界応力の特徴付けは、振動レオロジー測定によって実施される。方法論は、本発明の本文の例示的な章において提案される。
【0333】
一般的には、対応する測定は、コーン-プレート測定本体(直径60mm)を備えられた制御されたHaake RS600応力レオメータを使用して、25℃において行われる。測定ごとに、該試料は、その位置に慎重に置かれ、該試料(2mm)を顎部(jaws)に置いてから5分後に、該測定を開始する。次に、該試験組成物は、設定周波数1Hzにおいて10-2~103Paの応力勾配に付される。
【0334】
本発明に従う組成物はまた、ある特定の弾性を有しうる。この弾性は、この最小応力限界の下で、少なくとも100Paに等しく、好ましくは400Pa超、でありうる剛性率G*によって特徴付けられうる。組成物の該値G*は、考慮される該組成物を、設定周波数1Hzにおいて10-2~103Paの応力勾配に付すことによって得られうる。
【0335】
組成物の意図された使用
本発明に従う組成物、とりわけ化粧組成物、は、生理的に許容される媒体を含む。
【0336】
本発明の目的の為に、語「生理的に許容される媒体」は、組成物の局所投与に好適な媒体を示すことが意図されている。
【0337】
生理的に許容される媒体は一般的には、不快な匂い又は外見を有しておらず、且つ局所投与と完全に適合性がある。該組成物が局所投与、すなわち考慮されるケラチン物質の表面に施与することによる投与、を意図されている本発明の場合、このような媒体は、特には、ユーザに許容されないヒリヒリ感(stinging)、こわばり又は発赤を引き起こさない場合、生理的に許容されるとみなされる。
【0338】
特に、該組成物は、局所施与、すなわち考慮される皮膚の表面、頭皮及び/又は粘膜への施与に適している。従って、該生理的に許容される媒体は、好ましくは、化粧的又は皮膚科学的に許容される媒体、すなわち不快な匂い、色又は外見を有しておらず、且つユーザに許容されないヒリヒリ感、こわばり又は発赤を引き起こさない、媒体である。
【0339】
本発明に従う組成物は、多かれ少なかれ流体でありえ、白色であるか又は着色された、好ましくは着色された、クリーム、軟膏、乳液、ローション、セラム、ペースト又はフォームの外見を有しうる。本発明に従う組成物は、任意的に、皮膚にエアロゾル形態で施与されうる。本発明に従う組成物はまた、固体形態、例えばスティックの形態、でありうる。
【0340】
本発明に従う組成物は、ケラチン物質をケア及び/又はメーキャップする為の化粧組成物、好ましくは特に身体又は顔、好ましくは顔、のケラチン物質をケアする為の化粧組成物、の形態でありうる。
【0341】
本発明に従う組成物は、皮膚又は半粘膜をケアする為の製品、例えば、顔、唇、手、足、解剖学的ひだ又は身体の為の保護又は化粧ケア組成物(例えば、デイクリーム、ナイトクリーム、デイセラム、ナイトセラム、メーキャップ除去クリーム、メーキャップベース、日焼け止め組成物、保護若しくはケアボディ乳液、アフターサン乳液、スキンケア若しくは頭皮ケアローション、ゲル若しくはフォーム、セラム、マスク、又はアフターシェーブ組成物)、の形態でありうる。
【0342】
本発明に従う化粧組成物は、例えば、顔及び/又は身体の為の、液体から半液体の粘稠度のケア製品及び/又は日焼け止め保護製品、例えば、ローション、乳液、多かれ少なかれ濃厚なクリーム、ゲル及びクリーム-ゲル、として使用されうる。本発明に従う化粧組成物は、任意的に、エアロゾル形態で梱包され得、ムース又はスプレーの形態でありうる。
【0343】
該組成物は、手で又はアプリケーターを使用して、皮膚に施与されうる。
【0344】
このような組成物は、特には、当業者の一般知識に従って調製される。
【0345】
本発明に従う蒸発可能な流体ローションの形態の本発明に従う組成物は、加圧又は非加圧気化式デバイスを用いることによって、微粒子の形態で皮膚又は毛髪に施与される。本発明に従うデバイスは、当業者に周知であり、非エアロゾルポンプ又は「アトマイザ」、噴射剤を含むエアロゾル容器、及び圧縮された空気を噴射剤として使用するエアロゾルポンプを含む。後者は、米国特許第4077441号明細書及び米国特許第4850517号明細書に記載されている(該説明の内容の不可欠な部分を形成している)。
【0346】
本発明に従ってエアロゾル形態で梱包された該組成物は一般的には、慣用的な噴射剤、例えば、ハイドロフルオロ化合物、ジクロロジフルオロメタン、ジフルオロエタン、ジメチルエーテル、イソブタン、n-ブタン、プロパン又はトリクロロフルオロメタンを含む。該噴射剤は好ましくは、該組成物の総重量に対して15重量%~80重量%の量で存在する。
【0347】
既に定義されたこのような組成物は、特には、本発明に従う化粧的使用の為に用いられうる。
【0348】
従って、本発明はまた、ケラチン物質をケア及び/又はメーキャップする為の、好ましくは身体及び/又は顔のケラチン物質、特に皮膚、をケアする為の、本発明に従う組成物の使用に関する。
【0349】
本発明はまた、ケラチン物質、特に皮膚、をメーキャップ及び/又はケアする為の化粧方法であって、既に定義された組成物を、上記ケラチン物質に施与する少なくとも1つの工程を含む、化粧方法に関する。
【0350】
好ましくは、本発明はまた、ケラチン物質、特に皮膚、をケアする為の化粧方法であって、上述に定義された上記ケラチン物質に施与する少なくとも1つの工程を含む、化粧方法に関する。
【0351】
ケラチン物質、特に皮膚、をメーキャップ及び/又はケアする為の該化粧方法は、非治療的である。
【0352】
特に、本発明は、太陽放射線に対して皮膚及び/又は唇及び/又は毛髪を保護する為の、前述の通りの組成物の、非治療的な化粧的使用に関する。
【0353】
本発明はまた、皮膚及び/又は唇及び/又は毛髪の早期の光誘発老化の徴候と戦う又はそれを予防する為の、先に定義された組成物の非治療的な化粧的使用に関する。
【0354】
1つの実施態様に従うと、本発明はまた、長波UVA線によって、及び/又はDUV線(毎日の曝露によるUV又は毎日のUV線)への曝露によって誘発される色素沈着を低減する為の、本発明に従う組成物の使用に関する。
【0355】
本発明はまた、皮膚の暗色化を予防する為の、並びに/又は顔貌の色及び/若しくは均一性を改善する為の、先に定義された組成物の化粧的使用に関する。
【0356】
加えて、本発明は、特に顔、ネックライン、腕、手及び/又は肩の皮膚の早期の老化、特に化学線起源による皮膚老化、例えば光による老化、の徴候を予防する為の、先に定義された組成物の化粧的使用に関する。
【0357】
本発明はまた、皮膚の硬さ及び/若しくは弾性及び/若しくは張り(tonicity)及び/若しくはしなやかさ(suppleness)の喪失、皺及び小皺の形成、くすんだ顔貌、並びに/又は皮膚のしなびた外見、を予防する為の、上述に定義された組成物の化粧的使用に関する。
【0358】
本発明はまた、太陽放射線から皮膚及び/又は唇及び/又は毛髪を保護する為の、非治療的な化粧方法であって、該ケラチン物質の表面に、本発明に従う少なくとも1つの組成物を施与することを含む、化粧方法に関する。
【0359】
本発明はまた、ケラチン物質の老化の徴候を予防及び/又は処置する為の、非治療的な化粧方法であって、該ケラチン物質の表面に、本発明に従う少なくとも1つの組成物を施与することを含む、化粧方法に関する。
【0360】
本発明の目的の為に、語「予防する」は、所与の現象の発生リスクを少なくとも部分的に低下させることを意味すると理解される。
【0361】
特許請求の範囲を包含する本説明を通して、表現「1つの~を含む(comprising a)」は、別段特定されない限り、「少なくとも1つの~を含む(comprising at least one)」と同義であると理解されるべきである。
【0362】
表現「…~…(between ... and ...)」、「…~…を含む(comprises from ... to ...)」、「…~…から形成された(formed from ... to ...)」及び「…~…の範囲(ranging from ... to ...)」は、別段特定されない限り、限界値の両端を含んでいると理解されるべきである。
【0363】
本発明は、以下に提示される実施例によって、より詳細に例示される。別段指定されない限り、示された量は、質量百分率として表される。
【実施例】
【0364】
測定方法
以下の詳細な実施例において、以下の測定方法が使用される。
【0365】
振動動的レオロジー測定の為の方法論
これらは、弾性率を測定する為の高調波レジーム(harmonic-regime)レオロジー測定である。
【0366】
該測定は、静止した製品に対して、直径60mmのプレート-プレート回転子及び2mmのギャップを有するHaake RS600レオメータを使用して、25℃において行われる。
【0367】
該高調波レジーム測定は、該製品の粘弾特性を特徴付けることを可能にする。該技術は、材料を、経時的に正弦波的に変動する応力に付すこと、及びこの応力に対する該材料の応答を測定すること、にある。該挙動が線形粘弾性挙動である範囲(歪みが応力に比例する帯域)において、該応力(τ)及び該歪み(γ)は、以下の方式で書かれる、時間の2つの正弦関数である:τ(t)=τ0 sin(ωt)及びγ(t)=γ0 sin(ωt+δ)[式中、τ0は、該応力の最大振幅(Pa)を表し、γ0は、該歪みの最大振幅(-)を表し、ω=2ΠNは、角周波数(ラジアン毎秒)を表し、Nは、周波数(Hz)を表し、δは、該歪みに対する該応力の位相シフト(ラジアン)を表す]。
【0368】
従って、該2つの関数は、同じ角周波数を有するが、角度δによって位相シフトされる。τ(t)とγ(t)との間の該位相シフトに応じて、該系の挙動が捉えられうる。δ=0である場合、該材料は、純粋に弾性であり、δ=Π/2である場合、該材料は、純粋に粘性(ニュートン流体)であり、0<δ<Π/2である場合、該材料は、粘弾性である。
【0369】
一般的には、該応力及び該歪みは、複素形式:τ*(t)=τ0eiωt及びγ*(t)=γ0e(iωt+δ)で書かれる。
【0370】
次に、該歪みに対する該材料の全体的抵抗を表す複素剛性率は、該材料が弾性であるか粘性であるかにかかわらず、G*=τ*/γ*=G’+iG’’[式中、G’は、サイクル中に貯蔵され、完全に反発されるエネルギーを特徴付ける貯蔵弾性率又は弾性率であり、すなわちG’=(τ0/γ0)cosδであり、G’’は、サイクル中に内部摩擦によって消散されたエネルギーを特徴付ける喪失率又は粘性率であり、すなわちG’’=(τ0/γ0)sin δである]によって定義される。
【0371】
保持されるパラメータは、周波数1Hzで測定されたプラトーにおいて記録される平均剛性率G*である。
【0372】
安定性を測定する為のプロトコール
安定性を評価する方法は、参照と比較される該組成物の経時的な観察によって行われる。
【0373】
不安定性は、位相シフト、解放、又は外見の変化、の観察によって検出されることができる。
【0374】
また、質感、外見、色及び匂いの変動は、巨視的に(肉眼で)及び/又は微視的に評価されうる。
【0375】
特に、該組成物は、周囲温度(20~25℃)において2カ月間保存した後に観察される。比較の目的の為に、周囲温度において2カ月目における安定性は、1~5の尺度で分類されることができ、1は安定性が最も低い組成物に対応する。
【0376】
さっぱり感を測定する為のプロトコール
該組成物のさっぱり感は、訓練を受けた5人のボランティアのパネルによって、施与したときに1~5の尺度で知覚的に評価され、1は最もさっぱりしない組成物に対応する。
【0377】
l
*
の測定による透明性を評価する為のプロトコール
該測定は、Formulaction社のTurbiscan(商標)Lab分析機器で行われる。該測定は、該試料に照射すること、並びに光源の反対側と光源の隣とに置かれた2つの同期された検出器によって、透過された強度及び後方散乱された強度を測定すること、にある。
【0378】
該後方散乱は、光量子がその初期方向を喪失する距離である、光子l*の平均自由工程に、直接関連付けられる。
【0379】
該l*の値は、μmで与えられる。この値が高いほど、該試料の透明度が高い。
【0380】
実施例I:本発明に従う組成物
ゲル/ゲル形態の本発明に従う組成物(1)及び(2)は、以下に記載される通りに調製され、それらの割合が下記の表1に示されている。
【0381】
【0382】
組成物の調製
該組成物1及び2は、以下の手順に従って調製される。
【0383】
相A1及びA2の構成成分は、透明な液体が得られるまで加熱される。
【0384】
相A3の構成成分は、均一な黄色液体が得られるまで加熱される。
【0385】
相A1及びA2の混合物が、熱い該相A3に添加される。
【0386】
相B1~B3は、最初に混合された後、前の該油性混合物と接触させられる。
【0387】
次に、相C及びDの構成成分が添加される。
【0388】
結果
組成物1及び2は、安定である。
【0389】
加えて、該組成物は、さっぱりし、皮膚に施与されるとすぐに透明になる。
【0390】
実施例II:比較組成物
本発明ではない組成物(3)、(4)及び(5)が、以下に記載される通りに調製され、それらの割合が下記の表2に示されている。
【0391】
【0392】
組成物の調製
該組成物3~5は、以下の手順に従って調製される。
【0393】
相A1及びA2の構成成分は、透明な液体が得られるまで加熱される。
【0394】
相A3の構成成分は、均一な黄色液体が得られるまで加熱される。
【0395】
相A1及びA2の混合物が、熱い該相A3に添加される。
【0396】
相B1~B3は、最初に混合された後、前の該油性混合物と接触させられる。
【0397】
次に、相C及びDの構成成分が添加される。
【0398】
結果
該組成物1及び2と比較して、該組成物3、4及び5は、安定性が低く、あまりさっぱりせず、且つ透明度が低い。該比較データが、下記の表3に示されている。
【0399】