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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-13
(45)【発行日】2024-12-23
(54)【発明の名称】制御・監視信号伝送システム
(51)【国際特許分類】
   H04L 7/06 20060101AFI20241216BHJP
   H04L 25/38 20060101ALI20241216BHJP
【FI】
H04L7/06
H04L25/38 A
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2023529161
(86)(22)【出願日】2021-06-14
(86)【国際出願番号】 JP2021022483
(87)【国際公開番号】W WO2022264201
(87)【国際公開日】2022-12-22
【審査請求日】2024-05-08
(73)【特許権者】
【識別番号】501194514
【氏名又は名称】株式会社 エニイワイヤ
(74)【代理人】
【識別番号】100134647
【弁理士】
【氏名又は名称】宮部 岳志
(72)【発明者】
【氏名】濱中 淳一
(72)【発明者】
【氏名】田中 保則
(72)【発明者】
【氏名】菅谷 務
【審査官】北村 智彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-069036(JP,A)
【文献】国際公開第2015/056291(WO,A1)
【文献】特開2009-038474(JP,A)
【文献】特開2007-081608(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 7/06
H04L 25/38
IEEE Xplore
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御部とデータの授受を行う親局と、共通の伝送線を介して伝送同期方式により前記親局 とデータの授受を行う子局の複数を備え、
所定の周期と所定のデューティー比を有する電圧クロック信号のクロック電圧領域の間の期間において、
電圧レベルを変化させた後の目標に設定されている第一の電圧レベルとなる第一の状態での、前記複数の子局の内部回路と前記伝送線で構成される回路のインピーダンスが、前記電圧レベルを変化させる前の開始状態のインピーダンスより高くなる場合、前記インピーダンスが前記第一の状態より低くなる第二の状態をとる第二の電圧レベルを経て、前記第一の電圧レベルへ変化させることを特徴とする制御・監視信号伝送システム。
【請求項2】
前記クロック電圧領域の間の期間が3以上の領域に時分割されている請求項1に記載の制御・監視信号伝送システム。
【請求項3】
前記クロック電圧領域の間の期間において、前記クロック電圧領域の電圧レベルへ変化するタイミングを早め、デューティー比が前記所定のデューティー比より大きくなる領域を設ける請求項2に記載の制御・監視信号伝送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御側に設けられた親局と被制御側に設けられた複数の子局との間の信号線を省配線化し、共通の伝送線で接続し、伝送クロックで同期させるなどの伝送同期方式によりデータの伝送を行う制御・監視信号伝送システムに関する。
【0002】
施設内に配置された多数の装置を集中制御するシステムにおいて、配線の数を減らす、所謂省配線化が広く実施されている。そして、その省配線化の一般的な手法として、被制御側に設けられた複数の機器の各々を制御側に設けられた制御部に直接繋ぐパラレル接続に代えて、パラレル信号とシリアル信号の変換機能を備えた親局と複数の子局を、制御部と複数の装置にそれぞれ接続し、親局と複数の子局との間で共通の伝送線を介してシリアル信号によりデータ授受を行う方式が広く採用されている。
【0003】
また、共通の伝送線を介してシリアル信号によりデータ授受を行う方式として、伝送クロックで同期させるなどの伝送同期方式が知られている。そして、伝送同期により親局と複数の子局の間でデータを授受するための様々な手法が提案されている。
【0004】
例えば、特開2002-16621号公報には、クロックの1周期の後半が電源電圧とされ前半が電源電圧と異なる電位の領域とされた直列のパルス状電圧信号において、クロックの1周期の前半領域に親局から制御信号を出力し、後半領域に、クロックより高い周波数の信号(以下、「周波数信号」とする)を監視信号として子局から出力する制御・監視信号伝送システムが提案されている。
【0005】
また、特開2002-152864号公報には、クロックの1周期の後半が電源電圧とされ前半が電源電圧と異なる電圧レベルの領域とされた直列のパルス状電圧信号において、クロックの1周期の前半領域を時分割し、分割された領域に親局からの制御信号と子局からの監視信号を出力する制御・監視信号伝送システムが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2002-16621号公報
【文献】特開2002-152864号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
親局と複数の子局の間で同期をとるための直列のパルス状電圧信号(以下、「電圧クロック信号」とする)におけるクロック電圧領域は、クロックとして機能するために、一定の電圧レベルが所定の時間維持される必要がある。すなわち、電圧クロック信号は所定値以上のデューティー比を有する必要がある。
【0008】
そこで、上記従来技術のように、電圧クロック信号のデューティー比を所定値以上に維持しながら、クロック電圧領域(上記従来技術では電源電圧とされたクロックの1周期の後半)をデータの授受に用いる手法として周波数信号を用いることが提案されている。しかしながら、周波数信号は、周波数が1MHz程度の高周波になると伝送線のインダクタンスにより電流変化の振幅が減少し、或いは、過渡現象により振幅が不安定なものとなり、検出できない場合があった。すなわち、電圧クロック信号におけるクロック電圧領域は、データを授受する領域として利用できない場合があった。
【0009】
一方、電圧クロック信号におけるクロック電圧領域の間の期間の電位変化は同期に与える影響が小さい。そこで、上記従来技術のように、クロック電圧領域の間の期間(上記従来技術では電源電圧と異なる電圧レベルの領域)を、親局と子局とのデータ授受のために用いることが提案されている。そして、その場合に用いる電圧クロック信号は、クロック電圧領域の間の期間で親局と子局とのデータ授受を実行するために、所定の周期を有するものとされる。
【0010】
しかしながら、クロック電圧領域の間の期間を親局と子局とのデータ授受のために用いる場合には、電圧レベルの変化に際し回路のインピーダンス等に起因する電圧レベル変化がなまる、いわゆる過渡現象が起こり、この過渡現象の影響によりデータ授受の精度が低下する問題があった。
【0011】
例えば、PチャネルMOS型FETとコンデンサの組み合わせにより電圧レベルを変化させる場合、電圧クロック信号における高電位のクロック電圧領域の電圧レベルからそれと異なる電圧レベルへの変化(以下、「立下り」とする)に際して電圧レベル変化がなまるため、クロック電圧領域の立下りを同期の基点とする場合、同期のタイミングにずれが生じ、本来検出すべき電圧レベルと異なる電圧レベルを検出し、電圧レベルを利用して抽出されるデータ値が誤ったものとなってしまう場合があった。
【0012】
また、回路構成の特性上、高電位のクロック電圧領域の電圧レベルと異なる電圧レベルからクロック電圧領域の電圧レベルへの変化(以下、「立上り」とする)の際の電圧レベル変化のなまりが小さいため、その過渡期間が立下り時の過渡期間より短くなり、同期の基点(立下り)から立上りまでの時間幅を利用してデータ値を抽出する場合には、抽出されるデータ値が誤ったものとなってしまう場合があった。
【0013】
しかも、電圧レベル変化のなまりは、電圧クロック信号の周期とは無関係に、回路構成により決まるため、周期が早くなるほど、データ授受の精度に及ぼす影響は大きくなっていた。
【0014】
そこで、本発明は、所定の周期とデューティー比を有する電圧クロック信号のクロック電圧領域の間の期間を利用したデータの授受の精度を高めることができる制御・監視信号伝送システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明に係る制御・監視信号伝送システムでは、制御部とデータの授受を行う親局と、共通の伝送線を介して伝送同期方式により前記親局とデータの授受を行う子局の複数を備える。そして、所定の周期とデューティー比を有する電圧クロック信号のクロック電圧領域の間の期間において、電圧レベルを変化させた後の目標に設定されている第一の電圧レベルとなる第一の状態での、前記子局の複数の内部回路と前記伝送線で構成される回路のインピーダンスが、前記電圧レベルを変化させる前の開始状態より高くなる場合、前記インピーダンスが前記第一の状態より低くなる第二の状態をとる第二の電圧レベルを経て、前記第一の電圧レベルへ変化させる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、電圧レベルを変化させた後の目標に設定されている第一の電圧レベルとなる第一の状態での、子局の複数の内部回路と伝送線で構成される回路のインピーダンスが、電圧レベルを変化させる前の開始状態より高くなる場合、インピーダンスが第一の状態より低くなる第二の状態をとる第二の電圧レベルを経て、第一の電圧レベルへ変化させることにより、過渡期間の短縮が可能となる。すなわち、過渡期間に起因する同期のタイミングに生じるずれを小さく抑えることができる。そのため、電圧クロック信号のクロック電圧領域の間の期間を利用したデータの授受の精度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明に係る制御・監視信号伝送システムの実施形態における伝送信号のタイムチャート図である。
図2】同実施形態のシステム構成図である。
図3】親局の機能ブロック図である。
図4】伝送信号の伝送手順を示す模式図である。
図5】入力子局の機能ブロック図である。
図6】出力子局の機能ブロック図である。
図7】本発明に係る制御・監視信号伝送システムの他の実施形態における伝送信号のタイムチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明に係る制御・監視信号伝送システムの実施形態を説明する。
この制御・監視信号伝送システムは、工場などの施設内に配置された多数の装置機器を制御部において集中制御するためのものである。図2に示すように、制御部1および共通データ信号線DP、DN(以下、伝送線とする)に接続された親局2と、被制御側となる施設内に配置され伝送線に接続された入力子局4、出力子局5および入出力子局6の複数で構成される。なお、図2においては、図示の便宜上、各々の子局が一つずつ示されているが、伝送線に接続される子局の種類や数に制限は無い。
【0019】
入力子局4が接続される入力部7、出力子局5が接続される出力部8および入出力子局6が接続される入出力部9は、被制御側となる施設内に配置された装置である。
【0020】
入力部7に相当するものとして、例えば、リードスイッチ、マイクロスイッチ、押釦スイッチ、光電スイッチ、その他各種センサを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0021】
出力部8に相当するものとして、例えば、アクチュエータ、(ステッピング)モータ、ソレノイド、電磁弁、リレー、サイリスタ、ランプを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0022】
入出力部9は、入力部7と出力部8の双方の機能を備える装置機器である。例えば、温調、タイマ、カウンタ等の装置機器で、親局2に対し情報を送信する機能と、親局2から送信されたデータに基づき出力動作を行う機能の双方を備えるものを挙げることができる。
【0023】
なお、入力部7は、入力子局4と一体化された入力部一体型子局70であってもよい。また、出力部8は、出力子局5と一体化された出力部一体型子局80であってもよい。
【0024】
制御部1は、演算処理機能を持つ管理判断手段11と入出力ユニット12を備える。管理判断手段11は、入出力ユニット12を介して親局2からデータを受け取り、内部に記憶されたプログラムに基づいて必要な演算処理を行う。
【0025】
<親局の構成>
親局2は、伝送線に接続され、図3に示すように、出力データ部21、管理データ部22、タイミング発生部23、親局出力部24、親局入力部25、入力データ部26を備える。そして、所定の周期とデューティー比を有する電圧クロック信号に制御データを含めて出力するとともに、入力子局4、出力子局5および入出力子局6から電圧クロック信号のクロック電圧領域の間の期間に出力された監視データを抽出し、制御部1の入出力ユニット12へ出力する。
【0026】
出力データ部21は、制御部1から受けたデータをシリアルデータとして親局出力部24へ引き渡す。
【0027】
管理データ部22は、制御部1から受けたデータに基づき、後述の管理制御データ領域において子局への指示に必要となるデータをシリアルデータとして親局出力部24へ引き渡す。
【0028】
タイミング発生部23は、発振回路(OSC)31とタイミング発生手段32からなり、発振回路(OSC)31を基にタイミング発生手段32が、このシステムのタイミングクロックを生成し親局出力部24、親局入力部25に引き渡す。
【0029】
親局出力部24は、制御データ発生手段33とラインドライバ34からなる。制御データ発生手段33が、出力データ部21から受けたデータと、タイミング発生部23から受けたタイミングクロックに基づき、ラインドライバ34を介して伝送線に制御データを含む電圧クロック信号を出力する。
【0030】
電圧クロック信号は、図1に示すように、閾値Estより高い電圧レベルEpが所定の時間幅維持されるクロック電圧領域の複数が定周期で連なり構成される。そして、この実施形態では電圧レベルEpが+24Vとされている。
【0031】
なお、クロック電圧領域は同期クロックとして機能するものであれば制限はなく、使用環境や使用状態に応じて適宜決めることができる。例えば、グランドレベルより低い負電圧が所定の時間幅維持されるものであってもよい。
【0032】
クロック電圧領域の間の期間では、クロック電圧領域の電圧レベルEpより低い電圧レベルによりデータ値が示されるものとなっている。ただし、データ値を示す電圧レベルは、使用環境や使用状態に応じて適宜決めればよく、クロック電圧領域の電圧レベルEpより高い電圧レベルとしてもよい。クロック電圧領域の電圧レベルEpがグランドレベルより低い負電圧であっても同様である。
【0033】
また、この実施形態では、全ての子局4、5、6の内部回路と伝送線で構成される回路のインピーダンス(以下、「伝送回路インピーダンス」とする)は、データ値を示す電圧レベルをとる状態(第一の状態)において、クロック電圧領域よりも大きいものとなる。そして、クロック電圧領域の電圧レベルEpからデータ値を示す電圧レベルへの変化に際し過渡現象が起こるものとなっている。
【0034】
クロック電圧領域の間の期間は、4個の領域に時分割されている。なお、以下の説明では、クロック電圧領域の間の期間の4個の領域を、電圧レベルがクロック電圧領域の電圧レベルEpから降下する過渡期間tに近い順に、I領域、V領域、F領域、P領域とする。
【0035】
この実施形態では、I領域、V領域、F領域において閾値Ectより低い電位が論理データ値“1”を示す電圧レベルと、閾値Ectより高い電位が論理データ値“0”を示す電圧レベルとなっている。この実施形態において閾値Ectは10Vとグランドレベルの間(約6V)に設定されているが、その大きさに制限はなく、使用状況や使用環境に応じて設定すればよい。なお、データ値を示す電圧レベルと論理データ値の対応関係に制限はなく、使用環境や使用状態に応じて適宜決めることができる。
【0036】
この実施形態のP領域は、親局2からの出力のみに用いられ、閾値Estより低い電位が論理データ値“1”を示す電圧レベルと、閾値Estより高い電位が論理データ値“0”を示す電圧レベルとなっている。そして、電圧レベルの高い領域の時間幅を大きくすることにより、すなわち、デューティー比を設定値より大きくすることにより、ノイズの影響を受けにくくするとともに、クロック機能の安定性を高めるものとなっている。なお、I領域、V領域、F領域と同様に、データ値を示す電圧レベルと論理データ値の対応関係に制限はなく、使用環境や使用状態に応じて適宜決めることができる。
【0037】
クロック電圧領域の電圧レベルEpからデータ値を示す電圧レベルへの変化に際しては、データ値を示す電圧レベルをとる状態(第一の状態)よりも伝送回路インピーダンスの低くなる状態(第二の状態)となる低電圧レベルGNDまでの電圧降下が行われるものとなっている。そして、低電圧レベルGNDを経て、データ値を示す電圧レベルへ変化するものとなっている。なお、データ値を示す電圧レベルをとる状態よりも伝送回路インピーダンスが低くなる状態は、例えば、低電圧レベルGNDを、回路に溜まった電荷や、逆起電力を一掃できるレベルとすることによりつくりだすことができる。
【0038】
なお、回路構成等により、データ値を示す電圧レベルをとる状態における伝送回路インピーダンスがクロック電圧領域よりも小さいものとなる場合は、データ値を示す電圧レベルからクロック電圧領域の電圧レベルEpへの変化に際し、クロック電圧領域よりも伝送回路インピーダンスの低くなる状態となる電圧レベルを経て、クロック電圧領域の電圧レベルEpへ変化させることになる。
【0039】
伝送手順は、図4に示すように、電圧クロック信号におけるスタート信号STと次のスタート信号STの間の、管理データ領域、制御・監視データ領域、そしてCRC領域と続く一連の領域を1フレームサイクルとするものとなっている。そして、制御・監視データ領域を利用した、親局2と入力子局4、出力子局5、及び、入出力子局6との定常データの授受が行われている。
【0040】
また、制御・監視データ領域への割り当てがされていない非定常データは管理データ領域を利用して授受されるものとなっている。更に、CRC領域を利用し、伝送異状の有無が判断されるものとなっている。
【0041】
スタート信号STでは、管理データ領域、制御・監視データ領域、及び、CRC領域におけるクロック電圧領域の電圧レベルEpがクロック電圧領域の時間幅より長く維持されるものとなっている。なお、スタート信号STの時間幅に制限はなく、使用条件等を考慮し適宜決めることができる。
【0042】
親局入力部25はラインレシーバ35と監視データ抽出手段36で構成される。ラインレシーバ35は、伝送線から電圧クロック信号を受け、波形整形して監視データ抽出手段36に引き渡す。
【0043】
監視データ抽出手段36は、タイミング発生部23から引き渡されたタイミングクロックを利用してデータ値を抽出するタイミングを得て、ラインレシーバ35から引き渡された電圧クロック信号の電圧レベルのデジタル値に基づき、データを抽出する。そして、制御・監視データ領域の定常データDIO、及び、管理データ領域の管理データDEXとして入力データ部26に引き渡す。
【0044】
入力データ部26は、監視データ抽出手段36から受け取った直列の入力データを並列(パラレル)データに変換し、監視データおよび管理監視データとして制御部1の入出力ユニット12へ出力する。
【0045】
<入力子局の構成>
入力子局4は、図5に示すように、主要な演算処理を実行する子局入力部40、および、子局入力部40と伝送線の間に配置された子局ラインレシーバ48と子局ラインドライバ49を備え、子局ラインレシーバ48を介して伝送線から電圧クロック信号を受け、子局ラインドライバ49を介して伝送線へ監視信号を出力するものとなっている。
【0046】
子局入力部40は、伝送受信手段41、管理制御データ抽出手段42、アドレス抽出手段43、アドレス設定手段44、管理監視データ送信手段45、入力手段46および監視データ送信手段47を有する。
【0047】
なお、この実施形態の入力子局4は、内部回路としてマイクロコンピュータ・コントロール・ユニットであるMCUを備えており、このMCUが子局入力部40として機能するものとなっている。
【0048】
子局ラインレシーバ48は、伝送線から電圧クロック信号を受け、波形整形して伝送受信手段41に引き渡す。
【0049】
伝送受信手段41は、電圧レベルの閾値Estと閾値Ectに対する判別を行い、子局ラインレシーバ48から引き渡された、電圧クロック信号の電圧レベルのデジタル値を、管理制御データ抽出手段42、アドレス抽出手段43および管理監視データ送信手段45に引き渡す。
【0050】
管理制御データ抽出手段42は、電圧クロック信号の電圧レベルのデジタル値に基づきスタート信号STを判別する。そして、スタート信号STが終了するタイミング(この実施形態では立下り)を起点とし、管理データ領域に相当するパルス間領域の電圧レベルのデジタル値に基づき、管理データを抽出する。抽出された管理データは、そのデータに基づいた処理を実行する、図示しない処理手段に引き渡される。
【0051】
アドレス抽出手段43は、電圧クロック信号の電圧レベルのデジタル値に基づきスタート信号STを判別し、スタート信号STが終了するタイミング(この実施形態では立下り)を起点とするクロック電圧領域のカウントを行う。そして、このカウント値がアドレス設定手段44で設定された自局アドレスデータと一致するタイミングを得る。なお、このタイミングは、電圧クロック信号において自局に割り当てられたデータ領域(以下、「自局領域」とする)が開始するタイミング(以下、「自局領域開始タイミング」とする)となる。
【0052】
アドレス抽出手段43は、また、クロック電圧領域の立下りを起点とする経過時間に基づき、I領域、V領域、及び、F領域のタイミングを得る。
【0053】
そして、自局領域開始タイミングを得たアドレス抽出手段43は、自局に割り当てられたI領域、V領域、及び、F領域の期間、監視データ送信手段47を有効にする。なお、自局領域が、クロック電圧領域の間の期間の複数で構成される場合は、自局領域が終了するまで、自局に割り当てられたI領域、V領域、及び、F領域が出現する都度、その電源電圧エリアの期間、監視データ送信手段47を有効にする。
【0054】
管理監視データ送信手段45は、電圧クロック信号の電圧レベルのデジタル値に基づきスタート信号STを判別する。そして、スタート信号STが終了するタイミングを起点とし、管理データ領域に相当するクロック電圧領域の間の期間におけるI領域、V領域、及び、F領域のうち、監視信号の出力用に設定されている領域での信号出力を行う。
【0055】
なお、管理監視データ送信手段45から出力される監視信号は、親局2に送信すべきデータが、図示しない処理手段から引き渡されている場合にのみ送信されるものとなっている。
【0056】
入力手段46は、入力部7からの入力に基づくデータを監視データ送信手段47に引き渡す。
【0057】
監視データ送信手段47は、アドレス抽出手段43により有効とされた場合に、入力手段46から引き渡されたデータを、子局ラインドライバ49を介して伝送線に監視信号として出力する。
【0058】
<出力子局の構成>
出力子局5は、図6に示すように、主要な演算処理を実行する子局出力部50、および、子局出力部50と伝送線の間に配置された子局ラインレシーバ48と子局ラインドライバ49を備え、子局ラインレシーバ48を介して伝送線から電圧クロック信号を受け、子局ラインドライバ49を介して伝送線へ監視信号を出力するものとなっている。なお、図6において、入力子局4と実質的に同じ部分には同符号を付し、その説明を簡略化または省略する。
【0059】
子局出力部50は、伝送受信手段41、管理制御データ抽出手段42、アドレス抽出手段43、アドレス設定手段44、管理監視データ送信手段45、制御データ抽出手段51および出力手段52を有する。
【0060】
この実施形態の出力子局5も入力子局4と同様に、内部回路としてマイクロコンピュータ・コントロール・ユニットであるMCUを備えており、このMCUが子局出力部50として機能するものとなっている。
【0061】
出力子局5の伝送受信手段41は、子局ラインレシーバ48から引き渡された、電圧クロック信号の電圧レベルのデジタル値を、管理制御データ抽出手段42、アドレス抽出手段43および管理監視データ送信手段45に加え、更に、制御データ抽出手段51に引き渡す。
【0062】
出力子局5のアドレス抽出手段43は、スタート信号STが終了するタイミングを起点とする高電位領域のカウントにより自局領域開始タイミングを得て、クロック電圧領域の立下りを起点とする経過時間に基づき、自局領域におけるP領域のタイミングを得る。なお、I領域、V領域、又は、F領域が親局2から自局への出力のために割り当てられている場合は、そのタイミングも得る。
【0063】
そして、自局領域開始タイミングを得たアドレス抽出手段43は、自局に割り当てられたP領域の期間、そして、I領域、V領域、又は、F領域が割り当てられている場合はその領域の期間、監視データ送信手段47を有効にする。また、自局領域が、クロック電圧領域の間の期間の複数で構成される場合は、自局領域が終了するまで、自局に割り当てられたI領域、V領域、F領域、及びP領域が出現する都度、その電源電圧エリアの期間、監視データ送信手段47を有効にする。
【0064】
制御データ抽出手段51は、アドレス抽出手段43により有効とされた場合に、伝送受信手段41から引き渡された電圧クロック信号の電圧レベルのデジタル値に基づき制御データを抽出し、出力手段52に引き渡す。
【0065】
出力手段52は、制御データ抽出手段51から引き渡された制御データに基づいた情報を出力部8に出力し、出力部8を動作させ、或いは停止させる。
【0066】
<入出力子局の構成>
入出力子局6は入力子局4と出力子局5の双方の機能を備え、子局入力部40および子局出力部50の双方の構成を併せ持つ子局入出力部を有するものであるが、その構成は子局入力部40および子局出力部50と実質的に同じものであるため、図示およびその説明は省略する。
【0067】
この実施形態において、I領域、V領域、F領域、及びP領域におけるデータ値は、領域内の所定のタイミングで検出された電圧レベルに基づき抽出されるものとなっている。すなわち、電圧クロック信号の電圧レベルをデータ値に対応させることにより、データの授受が行われるものとなっているが、電圧クロック信号のデューティー比をデータ値に対応させることにより、データの授受を行うものとしてもよい。
【0068】
図7は、電圧クロック信号のデューティー比をデータ値に対応させることによりデータの授受を行う実施形態における伝送信号のタイムチャートである。なお、図7に示す実施形態の説明において、図1~6に示す実施形態と実質的に同一の部分には同符号を付し、その説明を省略または簡略化する。
【0069】
図7に示す実施形態では、クロック電圧領域の時間幅が、すなわち、電圧クロック信号のデューティー比がデータ値に対応するものとなっている。なお、クロック電圧領域の時間幅は、クロック電圧領域の立下りから立上りまでの経過時間を計測することにより得ることができる。
【0070】
図7に示す実施形態において、同期タイミングの基点となるクロック電圧領域の立下りは定周期とされているため、クロック電圧領域の時間幅が大きいときはクロック電圧領域の立下りから立上りまでの経過時間が小さく、クロック電圧領域の時間幅が小さいときはクロック電圧領域の立下りから立上りまでの経過時間が大きくなる。従って、経過時間の長短により、クロック電圧領域の時間幅の大小を判別することができる。
【0071】
図7においては、所定の閾値より長い経過時間TLは小さい時間幅に対応するデータ値“1”を、所定の閾値より短い経過時間TSは大きい時間幅に対応するデータ値“0”を示すものとなっている。クロック電圧領域の時間幅とデータ値との対応に制限はなく、使用状況に応じて適切に設定すればよい。ただし、クロック電圧領域の時間幅は、クロックとして機能するために必要な一定の幅以上とすること、すなわち、デューティー比を電圧クロック信号の設定値より大きくすることが必要である。
【符号の説明】
【0072】
1 制御部
2 親局
4 入力子局
5 出力子局
6 入出力子局
7 入力部
8 出力部
9 入出力部
11 管理判断手段
12 入出力ユニット
21 出力データ部
22 管理データ部
23 タイミング発生部
24 親局出力部
25 親局入力部
26 入力データ部
31 発振回路(OSC)
32 タイミング発生手段
33 制御データ発生手段
34 ラインドライバ
35 監視信号検出手段
36 監視データ抽出手段
40 子局入力部
41 伝送受信手段
42 管理制御データ抽出手段
43 アドレス抽出手段
44 アドレス設定手段
45 管理監視データ送信手段
46 入力手段
47 監視データ送信手段
48 子局ラインレシーバ
49 子局ラインドライバ
50 子局出力部
51 制御データ抽出手段
52 出力手段
70 入力部一体型子局
80 出力部一体型子局
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7