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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-13
(45)【発行日】2024-12-23
(54)【発明の名称】半導体構造及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H10B 12/00 20230101AFI20241216BHJP
【FI】
H10B12/00 671A
H10B12/00 681B
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2023535049
(86)(22)【出願日】2021-09-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-20
(86)【国際出願番号】 CN2021117284
(87)【国際公開番号】W WO2023284098
(87)【国際公開日】2023-01-19
【審査請求日】2023-06-08
(31)【優先権主張番号】202110808697.5
(32)【優先日】2021-07-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】522246670
【氏名又は名称】チャンシン メモリー テクノロジーズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CHANGXIN MEMORY TECHNOLOGIES,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100189555
【弁理士】
【氏名又は名称】徳山 英浩
(74)【代理人】
【識別番号】100125922
【弁理士】
【氏名又は名称】三宅 章子
(72)【発明者】
【氏名】韓 清華
【審査官】小山 満
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/0295123(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0074363(US,A1)
【文献】特開2009-182105(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0258895(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0194814(US,A1)
【文献】国際公開第2003/036714(WO,A1)
【文献】特開2009-152585(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10B 12/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体構造であって、
ベースと、
前記ベースに位置するビット線と、
前記ビット線の表面に位置する半導体チャネルを含み、
前記ベースから前記ビット線に指す方向に沿って、前記半導体チャネルは、順に配置された第1ドーピング領域、チャネル領域、及び第2ドーピング領域を含み、前記第1ドーピング領域は、前記ビット線に接触し、前記第1ドーピング領域、前記チャネル領域、及び前記第2ドーピング領域に、第1種類ドーピングイオンがドーピングされ、前記チャネル領域にさらに、第2種類ドーピングイオンがドーピングされ、それによって、前記チャネル領域における多数キャリアの濃度を、前記第1ドーピング領域と前記第2ドーピング領域における多数キャリアの濃度より低くし、前記第1種類ドーピングイオンは、N型イオンとP型イオンのうちの一方であり、前記第2種類ドーピングイオンは、N型イオンとP型イオンのうちの他方であり、
前記第2種類ドーピングイオンはさらに、前記第1ドーピング領域の前記チャネル領域、及び前記第2ドーピング領域の前記チャネル領域に近い領域に位置する、半導体構造。
【請求項2】
前記第1種類ドーピングイオンの前記チャネル領域における有効ドーピング濃度は、前記第1種類ドーピングイオンの前記第1ドーピング領域における有効ドーピング濃度より低く、前記第1種類ドーピングイオンの前記チャネル領域における有効ドーピング濃度は、第1種類ドーピングイオンの前記第2ドーピング領域における有効ドーピング濃度より低く、
前記チャネル領域における前記第1種類ドーピングイオンの有効ドーピング濃度は、8×1018atom/cm~2×1019atom/cmであり、及び/又は、
前記第1ドーピング領域における前記第1種類ドーピングイオンの有効ドーピング濃度は、3×1019atom/cm~1×1020atom/cmであり、前記第2ドーピング領域における前記第1種類ドーピングイオンの有効ドーピング濃度は、3×1019atom/cm~1×1020atom/cmである、
請求項1に記載の半導体構造。
【請求項3】
前記ベースへの前記チャネル領域の正投影は、前記ベースへの前記第2ドーピング領域の正投影より小さく、且つ、前記ベースへの前記第1ドーピング領域の正投影より小さい、
請求項1に記載の半導体構造。
【請求項4】
前記ベース、前記ビット線、及び前記半導体チャネルは、同じ半導体元素を有し、
前記ビット線の材料はさらに、金属半導体化合物を含み、
前記半導体構造はさらに、
前記第2ドーピング領域の前記ベースから離れる上面に位置する金属接触層を含み、前記金属半導体化合物と前記金属接触層は、同じ金属元素を有する、
請求項1に記載の半導体構造。
【請求項5】
前記半導体構造はさらに、
前記チャネル領域の側壁の表面を覆う絶縁層と、
前記絶縁層の前記チャネル領域から離れる側壁の表面を覆うワード線であって、隣接する前記第1ドーピング領域の側壁、隣接する前記ワード線の側壁、及び隣接する前記第2ドーピング領域の側壁によって隙間を構成する、ワード線と、
前記隙間に位置する隔離層であって、前記隔離層の前記ベースから離れる上面は、前記第2ドーピング領域の前記ベースから離れる上面より低くない、隔離層と、を含む、
請求項1に記載の半導体構造。
【請求項6】
半導体構造の製造方法であって、
ベースを提供するステップと、
前記ベースに初期ビット線を形成し、前記初期ビット線の前記ベースから離れる表面に半導体チャネルを形成するステップであって、前記ベースから前記初期ビット線に指す方向に沿って、前記半導体チャネルは、順に配置された第1ドーピング領域、チャネル領域、及び第2ドーピング領域を含み、前記第1ドーピング領域、前記チャネル領域、及び前記第2ドーピング領域には、同じドーピング濃度の第1種類ドーピングイオンがドーピングされ、前記第1種類ドーピングイオンは、N型イオンとP型イオンのうちの一方である、ステップと、
前記チャネル領域の側壁に第2種類ドーピングイオンがドーピングされた犠牲層を形成するステップであって、前記犠牲層は、少なくとも前記チャネル領域の側壁を覆い、前記第2種類ドーピングイオンは、N型イオンとP型イオンのうちの他方である、ステップと、
アニールプロセスを採用して、前記第2種類ドーピングイオンを前記チャネル領域に拡散させ、それによって、前記チャネル領域における多数キャリアの濃度を低減させるステップと、
前記犠牲層を除去することによって、前記チャネル領域の側壁を露出させるステップと、を含み、
前記アニールプロセスのステップにおいて、前記第2種類ドーピングイオンの拡散方向は、前記チャネル領域から前記第1ドーピング領域に指す方向、又は、前記チャネル領域から前記第2ドーピング領域に指す方向である、半導体構造の製造方法。
【請求項7】
前記犠牲層における前記第2種類ドーピングイオンのドーピング濃度は、4×1020atom/cm~9×1020atom/cmである、
請求項に記載の半導体構造の製造方法。
【請求項8】
前記チャネル領域の側壁に第2種類ドーピングイオンがドーピングされた犠牲層を形成する前に、前記半導体構造の製造方法はさらに、
前記チャネル領域の側壁の表面に保護層を形成するステップを含み、前記保護層は、前記チャネル領域の側壁の表面を覆い、
前記犠牲層を除去した後に、前記半導体構造の製造方法はさらに、前記保護層を除去するステップを含む、
請求項に記載の半導体構造の製造方法。
【請求項9】
前記犠牲層が隣接する前記保護層の間隔に充填され、隣接する前記第2ドーピング領域の間隔に位置する、
請求項に記載の半導体構造の製造方法。
【請求項10】
前記チャネル領域の側壁に第2種類ドーピングイオンがドーピングされた犠牲層を形成する前に、前記半導体構造の製造方法はさらに、
前記第1ドーピング領域の側壁の表面を覆う第1隔離層を形成するステップであって、同一の前記初期ビット線における隣接する前記第1ドーピング領域の側壁の前記第1隔離層の間は、第1間隔を有し、前記第1間隔から前記初期ビット線が露出される、ステップと、
第2隔離層を形成するステップであって、前記第2隔離層は、前記第1間隔に位置し、前記第2隔離層の前記ベースから離れる上面は、前記第2ドーピング領域の前記ベースから離れる上面より低くなく、前記第2隔離層と前記チャネル領域との間は、第2間隔を有する、ステップと、
前記第2ドーピング領域の側壁の表面を覆う第3隔離層を形成するステップであって、前記第3隔離層は、前記第2隔離層に接触し、隣接する前記初期ビット線に位置する隣接する前記第2ドーピング領域の側壁の前記第2隔離層の間は、第3間隔を有し、前記第2間隔と前記第3間隔は、接続されている、ステップと、を含む、
請求項に記載の半導体構造の製造方法。
【請求項11】
前記犠牲層を除去した後に、前記半導体構造の製造方法はさらに、
前記チャネル領域の側壁の表面を覆う絶縁層を形成するステップと、
前記絶縁層の前記チャネル領域から離れる側壁の表面を覆うワード線を形成するステップであって、前記ワード線と前記絶縁層によって、前記第2間隔が満杯にされる、ステップと、を含む、
請求項10に記載の半導体構造の製造方法。
【請求項12】
前記ワード線を形成した後に、前記半導体構造の製造方法はさらに、
前記第2隔離層と前記第3隔離層を除去し、それによって、前記初期ビット線を露出させるステップと、
露出された前記初期ビット線に対して金属化処理を行い、それによって、ビット線を形成するステップであって、前記ビット線の材料は、金属半導体化合物を含む、ステップと、を含む、
請求項11に記載の半導体構造の製造方法。
【請求項13】
前記ワード線を形成した後に、前記第2隔離層と前記第3隔離層を除去する前に、前記半導体構造の製造方法はさらに、
エピタキシャル成長プロセスを採用して、前記第2ドーピング領域の前記ベースから離れる上面に初期過渡層を形成するステップを含み、前記初期過渡層には、前記第1種類ドーピングイオンがドーピングされ、前記第1種類ドーピングイオンの前記初期過渡層におけるドーピング濃度は、前記第1種類ドーピングイオンの前記第2ドーピング領域における有効ドーピング濃度より大きく、前記ベースへの前記初期過渡層の正投影は、前記ベースへの前記第2ドーピング領域の正投影を覆い、
前記初期ビット線に対して前記金属化処理を行うステップは、さらに、前記初期過渡層に対して金属化処理を行うステップを含む、
請求項12に記載の半導体構造の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本願は、2021年07月16日に提出された、出願番号が202110808697.5であり、発明の名称が「半導体構造及びその製造方法」である中国特許出願を引用し、その内容の全てが引用により本願に組み込まれる。
【0002】
本開示の実施例は、半導体構造及びその製造方法に関するが、それらに限らない。
【背景技術】
【0003】
ダイナミック・メモリの集積密度の高密度化につれて、ダイナミック・メモリのアレイ構造におけるトランジスタの配置方式、及びダイナミック・メモリのアレイ構造における機能素子そのものの小型化に対して研究を行う同時に、小型の機能素子の電気性能を向上させる必要もある。
【0004】
垂直のゲート・オールラウンド(GAA:Gate-All-Around)トランジスタ構造をダイナミック・メモリ・アクセス・トランジスタ(access transistor)として利用する場合、その占有面積は4F2(Fが所定のプロセス条件で得られることができる最小のパターンサイズである)に達することができ、原則としてより高い密度効率を実現することができる。しかしながら、ドーピングプロセスの制約により、GAAトランジスタ構造における各領域において、多数キャリアの濃度が一致し、又はわずかに異なる。そのため、GAAトランジスタ構造における各領域の多数キャリアの濃度を調整して異ならせることは難しく、GAAトランジスタ構造及びダイナミック・メモリの電気性能をさらに向上させることは難しい。
【発明の概要】
【0005】
本開示のいくつかの実施例に基づいて、本開示の実施例の一態様は、半導体構造を提供する。該半導体構造は、ベースと、前記ベースに位置するビット線と、前記ビット線の表面に位置する半導体チャネルと、を含み、前記ベースから前記ビット線に指す方向に沿って、前記半導体チャネルは、順に配置された第1ドーピング領域、チャネル領域、及び第2ドーピング領域を含み、前記第1ドーピング領域は、前記ビット線に接触し、前記第1ドーピング領域、前記チャネル領域、及び前記第2ドーピング領域に、第1種類ドーピングイオンがドーピングされ、前記チャネル領域にさらに、第2種類ドーピングイオンがドーピングされ、それによって、前記チャネル領域における多数キャリアの濃度を、前記第1ドーピング領域と前記第2ドーピング領域における多数キャリアの濃度より低くし、前記第1種類ドーピングイオンは、N型イオンとP型イオンのうちの一方であり、前記第2種類ドーピングイオンは、N型イオンとP型イオンのうちの他方である。
【0006】
本開示のいくつかの実施例に基づいて、本開示の実施例の別の一態様はさらに、半導体構造の製造方法を提供する。該半導体構造の製造方法は、ベースを提供するステップと、前記ベース上に初期ビット線を形成し、前記初期ビット線の前記ベースから離れる表面に半導体チャネルを形成するステップであって、前記ベースから前記初期ビット線に指す方向に沿って、前記半導体チャネルは、順に配置された第1ドーピング領域、チャネル領域、及び第2ドーピング領域を含み、前記第1ドーピング領域、前記チャネル領域、及び前記第2ドーピング領域には、同じドーピング濃度の第1種類ドーピングイオンがドーピングされ、前記第1種類ドーピングイオンは、N型イオンとP型イオンのうちの一方である、ステップと、前記チャネル領域の側壁に第2種類ドーピングイオンがドーピングされた犠牲層を形成するステップであって、前記犠牲層は、少なくとも前記チャネル領域の側壁を覆い、前記第2種類ドーピングイオンは、N型イオンとP型イオンのうちの他方である、ステップと、アニール(焼鈍)プロセスを採用して、前記第2種類ドーピングイオンを前記チャネル領域に拡散させ、それによって、前記チャネル領域における多数キャリアの濃度を低減させるステップと、前記犠牲層を除去することによって、前記チャネル領域の側壁を露出させるステップと、を含む。
【発明の効果】
【0007】
本開示の実施例は、少なくとも下記の有益な効果を奏する。
【0008】
上記の技術的解決策において、チャネル領域には、第1種類ドーピングイオンがドーピングされ、第2種類ドーピングイオンもドーピングされ、それによって、チャネル領域における多数キャリアの濃度は、第1ドーピング領域における多数キャリアの濃度より低く、且つ、第2ドーピング領域における多数キャリアの濃度より低い。一方で、チャネル領域における多数キャリアの濃度が低いことは、チャネル領域のオン/オフ比例を向上させることに有利であり、それによって、チャネル領域のオン/オフに対する制御の感度を向上させることに有利であり、チャネル領域の速やかなオン・オフを保証する。もう一方で、第1ドーピング領域と第2ドーピング領域における多数キャリアの濃度がいずれも大きいことは、第1ドーピング領域と第2ドーピング領域の自身の抵抗を低減させることに有利であり、それによって、第1ドーピング領域、チャネル領域、及び第2ドーピング領域によって構成されるトランジスタの閾値電圧を低減させること、及び該トランジスタの飽和電流を向上させることに有利である。そのため、本開示の実施例は、半導体構造の電気性能を向上させることに有利である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の実施例に提供される半導体構造の形成方法における各ステップに対応する構造概略図である。
図2】本開示の実施例に提供される半導体構造の形成方法における各ステップに対応する構造概略図である。
図3】本開示の実施例に提供される半導体構造の形成方法における各ステップに対応する構造概略図である。
図4】本開示の実施例に提供される半導体構造の形成方法における各ステップに対応する構造概略図である。
図5】本開示の実施例に提供される半導体構造の形成方法における各ステップに対応する構造概略図である。
図6】本開示の実施例に提供される半導体構造の形成方法における各ステップに対応する構造概略図である。
図7】本開示の実施例に提供される半導体構造の形成方法における各ステップに対応する構造概略図である。
図8】本開示の実施例に提供される半導体構造の形成方法における各ステップに対応する構造概略図である。
図9】本開示の実施例に提供される半導体構造の形成方法における各ステップに対応する構造概略図である。
図10】本開示の実施例に提供される半導体構造の形成方法における各ステップに対応する構造概略図である。
図11】本開示の実施例に提供される半導体構造の形成方法における各ステップに対応する構造概略図である。
図12】本開示の実施例に提供される半導体構造の形成方法における各ステップに対応する構造概略図である。
図13】本開示の実施例に提供される半導体構造の形成方法における各ステップに対応する構造概略図である。
図14】本開示の実施例に提供される半導体構造の形成方法における各ステップに対応する構造概略図である。
図15】本開示の実施例に提供される半導体構造の形成方法における各ステップに対応する構造概略図である。
図16】本開示の実施例に提供される半導体構造の形成方法における各ステップに対応する構造概略図である。
図17】本開示の実施例に提供される半導体構造の形成方法における各ステップに対応する構造概略図である。
図18】本開示の実施例に提供される半導体構造の形成方法における各ステップに対応する構造概略図である。
図19】本開示の実施例に提供される半導体構造の形成方法における各ステップに対応する構造概略図である。
図20】本開示の実施例に提供される半導体構造の形成方法における各ステップに対応する構造概略図である。
図21】本開示の実施例に提供される半導体構造の形成方法における各ステップに対応する構造概略図である。
図22】本開示の実施例に提供される半導体構造の形成方法における各ステップに対応する構造概略図である。
図23】本開示の実施例に提供される半導体構造の形成方法における各ステップに対応する構造概略図である。
図24】本開示の実施例に提供される半導体構造の形成方法における各ステップに対応する構造概略図である。
図25】本開示の実施例に提供される半導体構造の形成方法における各ステップに対応する構造概略図である。
図26】本開示の実施例に提供される半導体構造の形成方法における各ステップに対応する構造概略図である。
図27】本開示の実施例に提供される半導体構造の形成方法における各ステップに対応する構造概略図である。
図28】本開示の実施例に提供される半導体構造の形成方法における各ステップに対応する構造概略図である。
図29】本開示の実施例に提供される半導体構造の形成方法における各ステップに対応する構造概略図である。
図30】本開示の実施例に提供される半導体構造の形成方法における各ステップに対応する構造概略図である。
図31】本開示の実施例に提供される半導体構造の形成方法における各ステップに対応する構造概略図である。
図32】本開示の実施例に提供される半導体構造の形成方法における各ステップに対応する構造概略図である。
図33】本開示の実施例に提供される半導体構造の形成方法における各ステップに対応する構造概略図である。
図34】本開示の実施例に提供される半導体構造の形成方法における各ステップに対応する構造概略図である。
図35】本開示の実施例に提供される半導体構造の形成方法における各ステップに対応する構造概略図である。
図36】本開示の実施例に提供される半導体構造の形成方法における各ステップに対応する構造概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
上記において、1つ又は複数の実施例は、それに対応する図面における図によって例示的に説明される。ここの例示的な説明は、実施例に対する制限を構成するものではない。特に明記しない限り、図面における図は、縮尺の制限を構成するものではない。
【0011】
現在、半導体構造の電気性能を向上させる必要がある。
【0012】
検討によれば、GAAトランジスタにおいて、第1ドーピング領域、チャネル領域、及び第2ドーピング領域は、順に積層して設けられ、プレーナ型トランジスタのように、イオン注入プロセスを利用してゲート構造を製造した後に、第1ドーピング領域と第2ドーピング領域の自己整合ドーピングプロセスを行うことは難しい。そのため、GAAトランジスタにおける第1ドーピング領域、チャネル領域、及び第2ドーピング領域は、通常、同一のドーピングプロセスによって形成され、それによって、第1ドーピング領域、チャネル領域、及び第2ドーピング領域における多数キャリアの濃度は基本的に一致しており、しかも、チャネル領域における多数キャリアの濃度は高すぎてはならない。チャネル領域における多数キャリアの濃度が高い場合、チャネル領域のオン/オフ比例が低減することになり、それによって、ゲートでチャネル領域のオフを制御することは難しい。しかしながら、チャネル領域における多数キャリアの濃度がチャネル領域に高いオン/オフ比例を有させるようになる場合、第1ドーピング領域と第2ドーピング領域における多数キャリアの濃度が低く、自身の抵抗が大きく、GAAトランジスタの閾値電圧を向上させ、GAAトランジスタの飽和電流を低減させ、それによって、GAAトランジスタの電気性能に悪影響を与える。
【0013】
本開示の実施例は、半導体構造及びその製造方法を提供する。半導体構造において、チャネル領域には、第1種類ドーピングイオンがドーピングされ、第2種類ドーピングイオンもドーピングされ、それによって、チャネル領域における多数キャリアの濃度は、第1ドーピング領域における多数キャリアの濃度より低く、且つ、第2ドーピング領域における多数キャリアの濃度より低い。一方で、チャネル領域における多数キャリアの濃度が低いことは、チャネル領域のオン/オフ比例を向上させることに有利であり、それによって、チャネル領域のオン/オフに対する制御の感度を向上させることに有利であり、チャネル領域の速やかなオン・オフを保証する。もう一方で、第1ドーピング領域と第2ドーピング領域における多数キャリアの濃度がいずれも大きいことは、第1ドーピング領域と第2ドーピング領域の自身の抵抗を低減させることに有利であり、それによって、第1ドーピング領域、チャネル領域、及び第2ドーピング領域によって構成されるトランジスタの閾値電圧を低減させること、及び該トランジスタの飽和電流を向上させることに有利である。そのため、本開示の実施例は、チャネル領域の多数キャリアの濃度が低いことを保証する同時に、第1ドーピング領域と第2ドーピング領域の多数キャリアの濃度が高いことを保証し、それによって、半導体構造の電気性能を向上させることに有利である。
【0014】
本開示の実施例の目的、技術的解決策及び利点をより明確にするために、以下では、図面を参照して本開示の各実施例について詳細に説明する。しかしながら、当業者が理解可能なこととして、本開示の各実施例において、読者に本開示をより良く理解させるために、多くの技術的詳細が提供される。しかしながら、これらの技術的詳細、及び下記の各実施例に基づく様々な変化と変更が無くても、本開示が主張する技術的解決策を実現することができる。
【0015】
本開示の1つの実施例は、半導体構造を提供し、以下では、図面を参照して本開示の1つの実施例に提供される半導体構造について詳細に説明する。図1乃至図6は、本開示の1つの実施例に提供される半導体構造に対応する構造概略図。ここで、図1は、本開示の1つの実施例に提供される半導体構造の1つの構造概略図である。図2は、図1に示す構造における半導体チャネルの断面概略図である。図3は、第1断面方向AA1に沿った図1に示す構造の1つの断面概略図である。図4は、第1断面方向AA1に沿った図1に示す構造の別の1つの断面概略図である。図5は、第2断面方向BB1に沿った図1に示す構造の断面概略図である。図6は、本開示の1つの実施例に提供される半導体構造の別の1つの構造概略図である。
【0016】
図1乃至図6を参照すると、半導体構造は、ベース11と、ベース11に位置するビット線104と、ビット線104の表面に位置する半導体チャネル105と、を含む。ベース11からビット線104に指す方向に沿って、半導体チャネル105は、順に配置された第1ドーピング領域I、チャネル領域II、及び第2ドーピング領域IIIを含む。第1ドーピング領域Iは、ビット線104に接触し、第1ドーピング領域I、チャネル領域II、及び第2ドーピング領域IIIに、第1種類ドーピングイオンがドーピングされ、チャネル領域IIにさらに、第2種類ドーピングイオンがドーピングされ、それによって、チャネル領域IIにおける多数キャリアの濃度を、第1ドーピング領域Iと第2ドーピング領域IIIにおける多数キャリアの濃度より低くする。第1種類ドーピングイオンは、N型イオンとP型イオンのうちの一方であり、第2種類ドーピングイオンは、N型イオンとP型イオンのうちの他方である。
【0017】
半導体構造はさらに、チャネル領域IIの側壁の表面を覆う絶縁層106と、絶縁層106のチャネル領域IIから離れる側壁の表面を覆うワード線107であって、隣接する第1ドーピング領域Iの側壁、隣接するワード線107の側壁、及び隣接する第2ドーピング領域IIIの側壁によって隙間を構成する、ワード線107と、隙間に位置する隔離層103であって、隔離層103のベース11から離れる上面は、第2ドーピング領域IIIのベース11から離れる上面より低くなく、隔離層103と、を含むことができる。
【0018】
半導体構造は、垂直のGAAトランジスタを含み、且つ、ビット線104は、ベース11とGAAトランジスタとの間に位置する。そのため、3D積層の記憶デバイスを構成することができ、半導体構造の集積密度を向上させることに有利である。
【0019】
以下では、図1乃至図6を参照して、半導体構造についてさらに詳細に説明する。
【0020】
ここで、ベース11の材料の種類は、元素半導体材料又は結晶無機化合物半導体材料であり得る。元素半導体材料は、シリコン又はゲルマニウムであり得る。結晶無機化合物半導体材料は、炭化ケイ素、ゲルマニウム化ケイ素、ヒ化ガリウム、又はガリウム化インジウムなどであり得る。いくつかの実施例において、ベース11には、第2種類ドーピングイオンがドーピングされることができる。
【0021】
いくつかの実施例において、ベース11、ビット線104、及び半導体チャネル105は、同じ半導体元素を有する。この場合、半導体チャネル105とビット線104は、同一の膜層構造を利用して形成されることができる。該膜層構造は、半導体元素によって構成され、半導体チャネル105とビット線104を一体構造させ、それによって、半導体チャネル105とビット線104との間の界面準位の欠陥を改善し、半導体構造の性能を改善する。
【0022】
ここで、半導体元素は、シリコン、炭素、ゲルマニウム、ヒ素、ガリウム、及びインジウムのうちの少なくとも1つを含むことができる。1つの例において、ビット線104と半導体チャネル105はいずれもシリコンを含む。他の例において、ビット線と半導体チャネルはいずれも、ゲルマニウム、又は、シリコンとゲルマニウム、又は、シリコンと炭素、又は、ヒ素とガリウム、又は、ガリウムとインジウムを含むことができる。
【0023】
いくつかの実施例において、ビット線104の材料はさらに、金属半導体化合物114を含むことができる。金属半導体化合物114は、金属化されていない半導体材料と比較すると、比較的に小さい抵抗率を有する。そのため、半導体チャネル105と比較すると、ビット線104の抵抗率はより小さく、それによって、ビット線104の抵抗を低減させ、且つ、ビット線104と第1ドーピング領域Iとの間の接触抵抗を低減させ、半導体構造の電気性能をさらに改善することに有利である。それ以外、ビット線104の抵抗率は、ベース11の抵抗率より小さい。
【0024】
いくつかの実施例において、第1ドーピング領域Iの真下に位置するビット線104の領域の材料は半導体材料であり、ビット線104の第1ドーピング領域Iに覆われていない部分領域の材料は金属半導体化合物である。理解可能なこととして、デバイスのサイズの継続的な縮小又は製造プロセスパラメータの調整につれて、ビット線104の第1ドーピング領域Iの真下に位置する部分領域の材料は半導体材料であり、ビット線104の第1ドーピング領域Iの真下に位置する他の領域の材料は金属半導体化合物でもあり得る。ここの「他の領域」の位置は、「部分領域」の外囲に位置する。
【0025】
ここで、いくつかの実施例において、図3を参照すると、同一のビット線104における複数の金属半導体化合物114の間は相互に間隔をあけて配置され、他のいくつかの実施例において、図4を参照すると、同一のビット線104における複数の金属半導体化合物114の間は相互に連通されている。説明すべきこととして、図4は、隣接する金属半導体化合物114の間の縁がちょうど相互に接触して連通されている場合だけを例示し、実際の状況において、隣接する金属半導体化合物114の間が相互に接触する領域はより大きくても良い。本開示の実施例は、隣接する金属半導体化合物114の間が相互に接触する領域のサイズについて限定しない。
【0026】
他の実施例において、ビット線全体の材料は、金属半導体化合物であり得る。
半導体元素がシリコンであることを例として、金属半導体化合物114は、ケイ化コバルト、ケイ化ニッケル、ケイ化モリブデン、ケイ化チタン、ケイ化タングステン、ケイ化タンタル、又はケイ化プラチナのうちの少なくとも1つを含む。
【0027】
ここで、ベース11上に間隔をあけて配置された複数のビット線104を形成することができ、各ビット線104は、少なくとも1つの第1ドーピング領域Iに接触することができる。図1乃至図5において、相互に間隔をあけて配置される4つのビット線104、及び各ビット線104が4つの第1ドーピング領域Iに接触することを例として、実際の電気需要に応じて、ビット線104の数量及び各ビット線104に接触する第1ドーピング領域Iの数量を合理的に設定することができる。
【0028】
いくつかの実施例において、ビット線104に第1種類ドーピングイオンがドーピングされ、ベース11に第2種類ドーピングイオンがドーピングされた場合、ビット線104とベース11は、PN接合を構成し、該PN接合は、ビット線104の漏電を防止し、半導体構造の電気性能をさらに改善することに有利である。説明すべきこととして、他の実施例において、ベースには、第2種類ドーピングイオンがドーピングされなくても良い。
【0029】
いくつかの実施例において、第1種類ドーピングイオンは、N型イオンであり、第2種類ドーピングイオンは、P型イオンである。具体的に、N型イオンは、ヒ素イオン、リンイオン、又はアンチモンイオンのうちの少なくとも1つを含み、P型イオンは、ホウ素イオン、インジウムイオン、又はガリウムイオンのうちの少なくとも1つを含む。他のいくつかの実施例において、第1種類ドーピングイオンは、P型イオンであり得、第2種類ドーピングイオンは、N型イオンであり得る。
【0030】
いくつかの実施例において、第1種類ドーピングイオンは全部リンイオンであり得、第2種類ドーピングイオンは全部ホウ素イオンであり得る。他の実施例において、第1ドーピング領域における第1種類ドーピングイオンと第2ドーピング領域における第1種類ドーピングイオンは異なっても良い。
【0031】
いくつかの実施例において、半導体チャネル105における第1ドーピング領域I、チャネル領域II、及び第2ドーピング領域IIIには、いずれも第1種類ドーピングイオンがドーピングされている。それ以外、図2を参照すると、図2は、半導体チャネル105における破線とチャネル領域の外囲によって囲まれる拡散領域IVに、第2種類ドーピングイオンがあることを示す。即ち、第2種類ドーピングイオンは、チャネル領域IIに位置するだけでなく、第1ドーピング領域Iのチャネル領域IIに近い領域及び第2ドーピング領域IIIのチャネル領域IIに近い領域にも位置し、且つ、拡散領域IVにおける第1種類ドーピングイオンのドーピング濃度は、拡散領域IVにおける第2種類ドーピングイオンのドーピング濃度より高い。このようにして、拡散領域IVにおける第1種類ドーピングイオンの有効ドーピング濃度を低減させることに有利である。さらに、本実施例において、第1種類ドーピングイオンの、チャネル領域IIにおける有効ドーピング濃度は、第1ドーピング領域Iとチャネル領域IIが接触する部分領域における有効ドーピング濃度より低く、第1種類ドーピングイオンの、チャネル領域IIにおける有効ドーピング濃度は、第2ドーピング領域IIIとチャネル領域IIが接触する部分領域における有効ドーピング濃度より低い。
【0032】
説明すべきこととして、第1ドーピング領域Iとチャネル領域IIが接触する部分領域における第1種類ドーピングイオンの有効ドーピング濃度は、具体的に、該部分領域における第1種類ドーピングイオンのドーピング濃度と第2種類ドーピングイオンのドーピング濃度との差である。第2ドーピング領域IIIとチャネル領域IIが接触する部分領域における第1種類ドーピングイオンの有効ドーピング濃度は、具体的に、該部分領域における第1種類ドーピングイオンのドーピング濃度と第2種類ドーピングイオンのドーピング濃度との差である。
【0033】
半導体チャネル105において、何かしらの領域について、該領域に第1種類ドーピングイオンだけではなく、第2種類ドーピングイオンもドーピングされている場合、第1種類ドーピングイオンと第2種類ドーピングイオンは共同で作用することで不純物補償現象が起こり、該領域における多数キャリアが減少する。該領域における第1種類ドーピングイオンのドーピング濃度が該領域における第2種類ドーピングイオンのドーピング濃度より高い場合、該領域における第1種類ドーピングイオンの有効ドーピング濃度は低くなり、該領域における多数キャリアの濃度は低くなる。
【0034】
そのため、第1ドーピング領域Iとチャネル領域IIが接触する部分領域における第1種類ドーピングイオンの有効ドーピング濃度が低減する場合、該領域における多数キャリアの濃度を低減させることに有利であり、それによって、第1ドーピング領域Iとチャネル領域IIとの間の接合部の電界強度が弱くなり、それによって、半導体構造は衝突電離の影響を受けにくく、ゲート誘導ドレインリーク電流(GIDL:gate-induced drain leakage)を低減させる。そのため、第2ドーピング領域IIIとチャネル領域IIが接触する部分領域における第1種類ドーピングイオンの有効ドーピング濃度が低減する場合、半導体構造が衝突電離の影響を受けにくく、GIDLを低減させることにさらに有利である。
【0035】
いくつかの実施例において、チャネル領域IIにおける第1種類ドーピングイオンのドーピング濃度は、チャネル領域IIにおける第2種類ドーピングイオンのドーピング濃度より高く、且つ、第1種類ドーピングイオンの、チャネル領域IIにおける有効ドーピング濃度は、第1ドーピング領域Iにおける有効ドーピング濃度より低く、第1種類ドーピングイオンの、チャネル領域IIにおける有効ドーピング濃度は、第2ドーピング領域IIIにおける有効ドーピング濃度より低くても良い。
【0036】
説明すべきこととして、チャネル領域IIにおける第1種類ドーピングイオンの有効ドーピング濃度は、具体的に、チャネル領域IIにおける第1種類ドーピングイオンのドーピング濃度とチャネル領域IIにおける第2種類ドーピングイオンのドーピング濃度との差である。第1ドーピング領域Iにおける第1種類ドーピングイオンの有効ドーピング濃度は、具体的に、第1ドーピング領域Iにおける第1種類ドーピングイオンのドーピング濃度と第1ドーピング領域Iにおける第2種類ドーピングイオンのドーピング濃度との差である。第2ドーピング領域IIIにおける第1種類ドーピングイオンの有効ドーピング濃度は、具体的に、第2ドーピング領域IIIにおける第1種類ドーピングイオンのドーピング濃度と第2ドーピング領域IIIにおける第2種類ドーピングイオンのドーピング濃度との差である。
【0037】
第1種類ドーピングイオンの、チャネル領域IIにおける有効ドーピング濃度は、第1ドーピング領域Iにおける有効ドーピング濃度より低いだけでなく、第2ドーピング領域IIIにおける有効ドーピング濃度より低い。それによって、チャネル領域IIにおける多数キャリアの濃度は、第1ドーピング領域Iにおける多数キャリアの濃度より低く、且つ、第2ドーピング領域IIIにおける多数キャリアの濃度より低い。このようにして、チャネル領域IIの多数キャリアの濃度が低いことを保証する同時に、第1ドーピング領域Iと第2ドーピング領域IIIの多数キャリアの濃度が高いことを保証することに有利であり、それによって、チャネル領域IIのオン/オフ比例を向上させる同時に、第1ドーピング領域I、チャネル領域II、及び第2ドーピング領域IIIによって構成されるトランジスタの閾値電圧を低減させ、該トランジスタの飽和電流を向上させ、それによって、半導体構造の電気性能を向上させる。
【0038】
いくつかの実施例において、チャネル領域IIにおける第1種類ドーピングイオンの有効ドーピング濃度は、8×1018atom/cm~2×1019atom/cmであり得る。該濃度範囲において、チャネル領域IIのオン/オフ比例が高く、チャネル領域IIが速やかにオン・オフすることができることを保証する。
【0039】
例えば、チャネル領域IIにおける第1種類ドーピングイオンの有効ドーピング濃度は、1×1019atom/cmであり得る。チャネル領域IIの高いオン/オフ比例を保証する同時に、チャネル領域IIの高い導電性を保証することに有利である。
【0040】
それ以外、第1ドーピング領域Iにおける第1種類ドーピングイオンの有効ドーピング濃度は、3×1019atom/cm~1×1020atom/cmであり、第2ドーピング領域IIIにおける第1種類ドーピングイオンの有効ドーピング濃度は、3×1019atom/cm~1×1020atom/cmであり得る。該濃度範囲において、第1ドーピング領域Iと第2ドーピング領域IIIにおける多数キャリアの濃度はいずれも高い。この場合、第1ドーピング領域Iと第2ドーピング領域IIIの自身の抵抗はいずれも低く、第1ドーピング領域I、チャネル領域II、及び第2ドーピング領域IIIによって構成されるトランジスタが低い閾値電圧と高い飽和電流を有することを保証することに有利である。
【0041】
例えば、第1ドーピング領域Iにおける第1種類ドーピングイオンの有効ドーピング濃度は、1×1020atom/cmであり得、第2ドーピング領域IIIにおける第2種類ドーピングイオンの有効ドーピング濃度も、1×1020atom/cmであり得、第1ドーピング領域Iと第2ドーピング領域IIIがいずれも高い導電性を有することを保証することに有利である。
【0042】
いくつかの実施例において、ベース11に沿ってビット線104に指す方向Zで、半導体チャネル105の高さは100nm~150nmであり、第1ドーピング領域I、チャネル領域II、及び第2ドーピング領域IIIの高さは、いずれも30nm~50nmである。
【0043】
いくつかの実施例において、ベース11へのチャネル領域IIの正投影は、ベース11への第2ドーピング領域IIIの正投影より小さく、且つ、ベース11への第1ドーピング領域Iの正投影より小さくても良い。方向Zに垂直する断面に、断面面積がより小さいチャネル領域IIを形成することに有利であり、チャネル領域IIの側壁を取り囲むワード線107のチャネル領域IIに対する制御能力を向上させることに有利であり、それによって、GAAトランジスタのオン又はオフに対する制御がより容易になる。他の実施例において、ベースへの第1ドーピング領域、チャネル領域、及び第2ドーピング領域の正投影は等しくても良く、又は、ベースへのチャネル領域と第2ドーピング領域の正投影は、いずれもベースへの第1ドーピング領域の正投影より小さい。
【0044】
ここで、図3図5を参照すると、方向Zに垂直する断面に、チャネル領域IIの幅Wとチャネル領域IIの長さLは、いずれも10nm以下であり得、ワード線107がチャネル領域IIに対して良い制御能力を有することを保証することに有利である。
【0045】
それ以外、隔離層103は、第2誘電体層123、第3誘電体層133、第4誘電体層143、及び第5誘電体層153を含むことができる。
【0046】
ここで、第4誘電体層143は、隣接するビット線104の間隔に位置し、且つ、隣接するビット線104上の隣接する第1ドーピング領域Iの間隔に位置する。第5誘電体層153は、同一のビット線104上の隣接する第1ドーピング領域Iの側壁に位置し、且つ、第4誘電体層143の側壁に位置し、隣接する第5誘電体層153の間は第1隙間を有する。第4誘電体層143と第5誘電体層153は、隣接する第1ドーピング領域Iと隣接するビット線104との間の電絶縁を共同で実現する。
【0047】
いくつかの実施例において、第4誘電体層143の材料と第5誘電体層153の材料は同じであり、例えば、第4誘電体層143の材料と第5誘電体層153の材料は、いずれも酸化ケイ素であり得る。他の実施例において、第4誘電体層の材料と第5誘電体層の材料は、異なっても良く、第4誘電体層の材料と第5誘電体層の材料が絶縁効果の良い材料であればよい。
【0048】
隣接するワード線107の間は、第2隙間を有し、第2誘電体層123は、第2ドーピング領域IIIの側壁の表面を覆う。隣接する第2ドーピング領域IIIの側壁に位置する第2誘電体層123の間は、第3隙間を有する。第3誘電体層133は、第1隙間、第2隙間、及び第3隙間に位置する。
【0049】
ここで、第1隙間と、第2隙間と、第3隙間との間は連通されている。いくつかの実施例において、図3乃至図5を参照すると、第3誘電体層133は、第1隙間、第2隙間、及び第3隙間に満杯に充填され、且つ、第3誘電体層133のベース11から離れる上面は、第2ドーピング領域IIIのベース11から離れる上面より高い。別のいくつかの実施例において、図6を参照すると、第2隙間に位置する第3誘電体層133は、第4隙間109を有し、即ち、隣接するワード線107の間は、第3誘電体層133以外、さらに第4隙間109を有し、隣接するワード線107の間に発生されたキャパシタを低減させ、それによって、半導体構造の電気的特性を向上させることに有利である。他の例において、第4隙間は、第2隙間に位置する第3誘電体層だけでなく、さらに、第1隙間に位置する第3誘電体層にも存在し、又は、第3隙間に位置する第3誘電体層にも存在することができる。
【0050】
いくつかの実施例において、第4誘電体層143と第5誘電体層153は、第1隔離層113を共同で構成し、ベース11への絶縁層106の外囲の正投影は、ベース11への第1隔離層113の外囲の正投影より小さい。即ち、図3乃至図5を参照すると、絶縁層106の半導体チャネル105から離れる外壁は、第1隔離層113の半導体チャネル105から離れる外壁と比較すると、半導体チャネル105により近い。ここで、絶縁層106の材料は酸化ケイ素である。他の実施例において、絶縁層と第3誘電体層は、同一の膜層構造であり得、即ち、絶縁層と第3誘電体層は、同一のプロセスのステップによって形成させることができる。ここで、絶縁層の材料と第3誘電体層の材料は、酸化ケイ素又は窒化ケイ素のうちの少なくとも1つを含む。
【0051】
半導体構造はさらに、第2ドーピング領域IIIのベース11から離れる上面に位置する金属接触層108を含むことができ、金属半導体化合物114と金属接触層108は、同じ金属元素を有する。ここで、金属元素は、コバルト、ニッケル、モリブデン、チタン、タングステン、タンタル、又はプラチナのうちの少なくとも1つを含む。
【0052】
金属接触層108が金属元素を有するため、後続で金属接触層108にキャパシタ構造の下部電極を形成するときに、金属接触層108と下部電極はオーミック接触を構成し、下部電極と半導体材料と直接接触することによってショットキー障壁接触を形成することを回避し、オーミック接触は、第2ドーピング領域IIIと下部電極との間の接触抵抗を低減させることに有利であり、それによって、半導体構造が動作するときのエネルギー消費を低減させ、RC遅延効果を改善し、それによって、半導体構造の電気性能を向上させる。それ以外、製造プロセスから見ると、金属接触層108と金属半導体化合物114は、同じ金属元素を有し、1つのプロセスステップにおいて、金属接触層108を形成し、且つ、ビット線104内に金属半導体化合物114を形成することに有利である。
【0053】
ここで、ベース11への金属接触層108の正投影は、ベース11への第2ドーピング領域IIIの正投影を覆うことができ、金属接触層108と下部電極との間の接触面積を増加させることに有利であり、それによって、金属接触層108と下部電極との間の接触抵抗を低減させ、半導体構造の電気性能を向上させる。
【0054】
半導体構造はさらに、第2ドーピング領域IIIと金属接触層108との間に位置する過渡層118を含むことができる。過渡層118は、第2ドーピング領域IIIの上面の一部に位置し、金属接触層108は、過渡層118の他の表面を包む。過渡層118と第2ドーピング領域IIIには、同じ種類のドーピングイオンがドーピングされ、且つ、ドーピングイオンの、過渡層118におけるドーピング濃度は、第2ドーピング領域IIIにおけるドーピング濃度より高い。この場合、過渡層118の抵抗は、第2ドーピング領域IIIの抵抗より小さく、第2ドーピング領域IIIと下部電極との間の伝送抵抗をさらに低減させることに有利である。
【0055】
他の実施例において、半導体構造は、過渡層を含まなくても良く、第2ドーピング領域の上面は、金属接触層だけを有する。
【0056】
半導体構造はさらに、キャパシタ構造(図示されていない)を含むことができる。キャパシタ構造は、金属接触層108と第3誘電体層133によって共同で構成される表面に位置する。
【0057】
上記の通り、ベース11に垂直のGAAトランジスタが設けられ、該GAAトランジスタにおいて、チャネル領域IIにおける多数キャリアの濃度は、第1ドーピング領域Iにおける多数キャリアの濃度より低く、且つ、第2ドーピング領域IIIにおける多数キャリアの濃度より低い。このようにして、チャネル領域IIの多数キャリアの濃度が低いことを保証する同時に、第1ドーピング領域Iと第2ドーピング領域IIIの多数キャリアの濃度が高いことを保証することに有利であり、それによって、チャネル領域IIのオン/オフ比例を向上させる同時に、第1ドーピング領域I、チャネル領域II、及び第2ドーピング領域IIIによって構成されるトランジスタの閾値電圧を低減させ、該トランジスタの飽和電流を向上させ、それによって、半導体構造の電気性能を向上させる。
【0058】
本開示の別の1つの実施例はさらに、半導体構造の製造方法を提供し、上記の半導体構造を形成するために用いられることができる。
【0059】
図7乃至図36は、本開示の別の1つの実施例に提供される半導体構造の製造方法における各ステップに対応する断面構造概略図である。以下では、図面を参照して本実施例に提供される半導体構造の製造方法について詳細に説明する。上記の実施例と同じ又は対応する部分は、以下では詳細な説明を繰り返さない。
【0060】
図7乃至図10を参照すると、ベース11を提供し、ベース11上に初期ビット線124を形成し、初期ビット線124のベース11から離れる表面に半導体チャネル105を形成する。ベース11から初期ビット線124に指す方向に沿って、半導体チャネル105は、順に配置された第1ドーピング領域I、チャネル領域II、及び第2ドーピング領域IIIを含み、第1ドーピング領域I、チャネル領域II、及び第2ドーピング領域IIIには、同じドーピング濃度の第1種類ドーピングイオンがドーピングされ、第1種類ドーピングイオンは、N型イオンとP型イオンのうちの一方である。
【0061】
ここで、ベース11を提供し、ベース11上に初期ビット線124及び半導体チャネル105を形成するステップは、下記のステップを含む。
【0062】
図7を参照すると、基板110を提供し、ここで、基板110の材料の種類は、元素半導体材料又は結晶無機化合物半導体材料であり得る。元素半導体材料は、シリコン又はゲルマニウムであり得る。結晶無機化合物半導体材料は、炭化ケイ素、ゲルマニウム化ケイ素、ヒ化ガリウム、又はガリウム化インジウムなどであり得る。
【0063】
基板110は、ベース11を含む。ベース11に、第2種類ドーピングイオンがドーピングされ、第2種類ドーピングイオンは、N型イオンとP型イオンのうちの他方である。初期半導体層10は、ベース11上に設置される。
【0064】
初期半導体層10に対してドーピング処理及びアニール処理を行うことによって、初期半導体層10に第1種類ドーピングイオンがドーピングされ、後続で初期半導体層10をエッチングして初期ビット線124と半導体チャネル105を形成する。
【0065】
ここで、ドーピング処理は、高温拡散又はイオン注入の方法を採用することができる。イオン注入の方式を採用して初期半導体層10に対してドーピング処理を行った後に、アニール処理のアニール温度は、800℃~1000℃である。
【0066】
いくつかの実施例において、初期半導体層10における第1種類ドーピングイオンのドーピング濃度は、3×1019atom/cm~1×1020atom/cmであり、初期半導体層10のベース11に指す方向で、初期半導体層10における第1種類ドーピングイオンのドーピング深さは、150nm~250nmである。
【0067】
いくつかの実施例において、第1種類ドーピングイオンは、N型イオンであり、第2種類ドーピングイオンは、P型イオンである。他の実施例において、第1種類ドーピングイオンは、P型イオンであり得、第2種類ドーピングイオンは、N型イオンであり得る。
【0068】
初期半導体層10のベース11から離れる側に、バッファ層120とバリア層130を順に積層して形成する。いくつかの実施例において、堆積プロセスを採用してバッファ層120とバリア層130を形成することができる。バッファ層120の材料は、酸化ケイ素であり、バリア層130の材料は、窒化ケイ素である。
【0069】
ここで、化学気相堆積プロセスを採用して窒化ケイ素を堆積することによって、バリア層130を形成することができる。窒化ケイ素膜層の酸化速度は非常に遅く、窒化ケイ素膜層の下に位置する基板110を保護し、基板100の酸化を避けることに有利である。
【0070】
いくつかの実施例において、基板110は、シリコン基板である。窒化ケイ素の格子定数と熱膨張係数、及びシリコン基板の格子定数と熱膨張係数のミスマッチ率がいずれも大きいため、シリコン基板に窒化ケイ素を直接的に形成すると、窒化ケイ素とシリコンの界面の欠陥密度は大きく、キャリアトラップと再結合中心になりやすく、シリコンのキャリアモビリティに影響し、それによって、半導体構造の性能と動作寿命に影響する。さらに、窒化ケイ素の薄膜応力は大きく、シリコン基板に直接的に堆積されると、亀裂現象が発生しやすい。そのため、シリコン基板に窒化ケイ素を堆積する前に、まず、バッファ層120として酸化ケイ素を形成することによって、半導体構造の性能と動作寿命を向上させることに有利である。
【0071】
引き続き図7を参照すると、バリア層130に第1マスク層102を形成する。第1マスク層102は、相互に分離された複数の第1開口bを有する。第1開口bの延在方向Xで、第1開口bの長さは、後続で形成されるビット線の長さと一致する。
【0072】
図8を参照すると、第1マスク層102をマスクとして、バリア層130、バッファ層120、及び初期半導体層10をエッチングし、複数の第1トレンチaを形成し、第1マスク層102を除去する。
【0073】
いくつかの実施例において、ベース11の表面に垂直する方向Zに沿って、第1トレンチaの深さは、250nm~300nmである。第1トレンチaの深さは、初期半導体層10における第1種類ドーピングイオンのドーピング深さより大きく、そのため、第1種類ドーピングイオンがドーピングされた初期半導体層10を全部エッチングすることを保証することに有利であり、後続で第1種類ドーピングイオンのドーピング濃度が高い半導体チャネルとビット線を形成することに便利である。
【0074】
図9を参照すると、第1トレンチaに第4誘電体層143を形成する。
【0075】
いくつかの実施例において、下記のプロセスステップを採用して第4誘電体層143を形成することができる。堆積プロセスを行い、バリア層130の上面を覆い、且つ、第1トレンチaに満杯に充填される第4誘電体膜を形成し、バリア層130の上面を露出するまで第4誘電体膜に対して化学機械平坦化処理を行い、残りの第4誘電体膜を、第4誘電体層143とする。ここで、第4誘電体膜の材料は、酸化ケイ素を含む。
【0076】
それ以外、第4誘電体層143と残りのバリア層130によって共同で構成される上面に第2マスク層112を形成する。第2マスク層112は、相互に分離された複数の第2開口cを有し、第2開口cの延在方向Yで、第2開口cの長さは、後続で形成されるワード線の長さと一致する。
【0077】
いくつかの実施例において、図7図9を参照すると、第1開口bの延在方向Xは、第2開口cの延在方向Yに垂直であり、それによって、最終的に形成される半導体チャネル105は、4F2の配置方式として呈し、半導体構造の集積密度をさらに向上させることに有利である。他の実施例において、第1開口の延在方向と第2開口の延在方向は交差し、その両方の間の角度は、90°でなくても良い。
【0078】
いくつかの実施例において、第1開口bの方向Yに沿った開口幅と第2開口cの方向Xに沿った開口幅との比率は、2~1であり得、それによって、後続でチャネル領域IIの側壁を取り囲む初期第1誘電体層を露出する通孔を形成することを保証し、後続でワード線を自己整合で形成することに有利である。例えば、方向Yに沿った第1開口bの開口幅は、方向Xに沿った第2開口cの開口幅に等しくても良く、且つ、隣接する第1開口bの間の間隔は、隣接する第2開口cの間の間隔に等しい。一方で、後続で形成される複数の半導体チャネルを揃えて配置させ、半導体構造の集積密度をさらに向上させる。もう一方で、同一のマスク版を採用して第1マスク層102と第2マスク層112を形成することができ、半導体構造の製造コストを低減させることに有利である。
【0079】
いくつかの実施例において、第1マスク層102と第2マスク層112を形成する方法は、いずれも自己整合四重パターニング(SAQP:Self-Aligned Quadruple Patterning)又は自己整合ダブルパターニング(SADP:Self-Aligned Double Patterning)を含む。
【0080】
図10を参照すると、第2マスク層112をマスクとして、初期半導体層10(図7を参照する)と第4誘電体層143をエッチングし、複数の第2トレンチd、初期ビット線124、及び半導体チャネル105を形成する。ベース11の表面に垂直な方向Zで、第2トレンチdの深さは、第1トレンチaの深さより小さく、初期ビット線124を形成する同時に、初期ビット線124のベース11から離れる側に相互に分離された複数の半導体チャネル105を形成することに有利であり、初期ビット線124と半導体チャネル105の第1ドーピング領域Iは接触する。次に、第2マスク層112を除去する。
【0081】
いくつかの実施例において、第2トレンチdの深さは、100nm~150nmである。初期半導体層10における第1種類ドーピングイオンのドーピング深さが150nm~250nmであるために、第1種類ドーピングイオンがドーピングされた大部分又は全部の初期半導体層10を、2回のエッチングによって半導体チャネル105に変化させることに有利である。
【0082】
それ以外、基板110の材料は、シリコンであり、第4誘電体層143の材料は、酸化ケイ素である。第2マスク層112をマスクとして初期半導体層10と第4誘電体層143をエッチングするステップにおいて、エッチングプロセスによる、酸化ケイ素に対するエッチング速度はシリコンに対するエッチング速度より大きく、そのため、初期ビット線124の側壁の一部は露出される。
【0083】
隣接する初期ビット線124と隣接する半導体チャネル105との間の電絶縁を実現するために、第2マスク層112をマスクとして初期半導体層10と第4誘電体層143をエッチングした後に、残りの第4誘電体層143は依然として、隣接する初期ビット線124の間隔及び隣接する半導体チャネル105の間隔に位置する。
【0084】
いくつかの実施例において、半導体チャネル105が初期ビット線124に垂直する、ベース11の上面から離れるGAAトランジスタを形成し、3D積層の半導体構造を構成することができ、GAAトランジスタの電気性能に不利な影響を与えないことを前提として、サイズ特徴がより小さいGAAトランジスタを設計し、それによって、半導体構造の集積密度を向上させることに有利である。
【0085】
それ以外、第1マスク層102と第2マスク層112を利用して、2回のエッチングプロセスによって、初期ビット線124と半導体チャネル105を同時に形成する。一方で、第1開口bと第2開口cのサイズを調整することによって、半導体チャネル105のサイズを調整し、サイズ精度が高い半導体チャネル105を形成することに有利である。もう一方で、初期ビット線124と半導体チャネル105は、いずれも初期半導体層10をエッチングすることによって形成され、即ち、初期ビット線124と半導体チャネル105は、同一の膜層構造を利用して形成され、初期ビット線124と半導体チャネル105を一体構造させ、それによって、初期ビット線124と半導体チャネル105との間の界面準位の欠陥を改善し、半導体構造の性能を改善する。
【0086】
図11乃至図34を参照すると、第1ドーピング領域Iの側壁の表面を覆う第1隔離層113を形成し、同一の初期ビット線124において、隣接する第1ドーピング領域Iの側壁の第1隔離層113の間は、第1間隔を有し、第1間隔によって初期ビット線124が露出される。第2隔離層163を形成し、第2隔離層163は、第1間隔に位置し、ベ第2隔離層163のース11から離れる上面は、第2ドーピング領域IIIのベース11から離れる上面より低くなく、第2隔離層163とチャネル領域IIとの間は、第2間隔を有する。第2ドーピング領域IIIの側壁の表面を覆う第3隔離層173を形成し、第3隔離層173は、第2隔離層163に接触し、隣接する初期ビット線124に位置する隣接する第2ドーピング領域IIIの側壁の第2隔離層163の間は、第3間隔を有し、第2間隔と第3間隔は、連通されている。
【0087】
ここで、図12は、図11に示す構造が第1断面方向AA1に沿った断面概略図であり、図13は、図11に示す構造が第2断面方向BB1に沿った断面概略図である。説明すべきこととして、後続で、記載の便宜上、第1断面方向AA1に沿った断面概略図及び第2断面方向BB1に沿った断面概略図のうちの1つ又は2つを示す。1つの図面だけを参照する場合、図面は、第1断面方向AA1に沿った断面概略図である。2つの図面を同時に参照する場合、図面は、まず、第1断面方向AA1に沿った断面概略図であり、次に、第2断面方向BB1に沿った断面概略図である。
【0088】
いくつかの実施例において、図1図11乃至図33を参照して、第1隔離層113、第2隔離層163、第3隔離層173、絶縁層106、ワード線107、及び隔離層103を形成するステップは、下記のステップを含む。
【0089】
図11を参照すると、初期第1隔離層113aを形成する。初期第1隔離層113aは、半導体チャネル105の側壁を取り囲み、同一の初期ビット線124上の隣接する半導体チャネル105の側壁に位置する初期第1隔離層113aの間は、第4間隔eを有する。
【0090】
初期第1隔離層113aを形成するステップは、下記のようであり得る。第1隔離膜を形成し、第1隔離膜は、第2トレンチd(図10を参照する)の側壁と底部をその形状が保持されるように覆い、バリア層130と第4誘電体層143の上面に位置する。第1隔離膜に対して、バリア層130を露出するまで、ドライエッチングプロセスを行い、同じエッチング時間内にエッチングプロセスによって第1隔離膜の異なる領域をエッチングする厚さが同じであることを利用して、第5誘電体層153を形成する。
【0091】
図11乃至図13を参照すると、第5誘電体層153は、第2トレンチd(図10を参照する)の側壁に位置し、第4誘電体層143は、隣接する半導体チャネル105の間隔に位置し、第4誘電体層143と第5誘電体層153は、初期第1隔離層113aを共同で構成し、第2トレンチdの側壁に位置する第5誘電体層153の間は、第4間隔eを有する。
【0092】
ここで、第4誘電体層143の材料と第5誘電体層153の材料は同じであり、後続でのエッチングプロセスによってチャネル領域IIの側壁に対応する第4誘電体層143と第5誘電体層153を一緒に除去することに便利であり、それによって、チャネル領域IIの側壁と後続での形成される第2隔離層との間に隙間を形成し、それによって、後続でワード線を製造する隙間を形成することに有利である。さらに、第4誘電体層143の材料と第5誘電体層153の材料は、いずれも酸化ケイ素である。
【0093】
他の実施例において、第4誘電体層の材料と第5誘電体層の材料は、異なっても良く、第4誘電体層の材料と第5誘電体層の材料が絶縁効果の良い材料であればよい。次に、チャネル領域の側壁に対応する第4誘電体層と第5誘電体層をステップずつ除去することができる。
【0094】
図14を参照すると、第2隔離層163を形成する。第2隔離層163は、第4間隔e(図13を参照する)に満杯に充填され、第2隔離層163の材料と初期第1隔離層113aの材料は異なる。ここで、第2隔離層163の材料は、窒化ケイ素を含む。
【0095】
図15を参照すると、初期第1隔離層113aの一部を、第2ドーピング領域IIIの側壁を露出するようにエッチングする。
【0096】
図16乃至図19を参照すると、ここで、図17は、図16の俯瞰概略図であり、図18は、第3断面方向CC1に沿った断面概略図であり、図19は、第2断面方向BB1に沿った断面概略図である。
【0097】
第3隔離層173を形成する。第3隔離層173は、第2ドーピング領域IIIの側壁を取り囲み、第2隔離層163の側壁に位置する。第2ドーピング領域IIIの側壁に位置する第3隔離層173と第2隔離層163の側壁に位置する第3隔離層173は、通孔fを共同で構成する。通孔fの底部は、初期第1隔離層113aから露出し、第3隔離層173の材料と初期第1隔離層113aの材料は異なる。
【0098】
図18図19を参照すると、第3隔離層173は、第2ドーピング領域IIIの側壁を取り囲む同時に、第5誘電体層153の上面と第4誘電体層143の上面の一部を覆う。通孔fによって、第4誘電体層143の上面の一部が露出される。
【0099】
いくつかの実施例において、下記のプロセスステップを採用して第3隔離層173を形成することができる。堆積プロセスを行い、半導体チャネル105、初期第1隔離層113a、及び第2隔離層163によって共同で構成されるの表面を、形状が保持されるように覆う第3隔離膜を形成する。第3隔離膜に対して、第2ドーピング領域IIIの上面を露出するまで、ドライエッチングプロセスを行い、同じエッチング時間内に、エッチングプロセスによって第3隔離膜の異なる領域をエッチングする厚さが同じであることを利用して、第2隔離層163を露出する第3隔離層173を形成する。ここで、第3隔離層173の材料は、窒化ケイ素を含む。
【0100】
それ以外、上記の第1マスク層102と第2マスク層112において、方向Yに沿った第1開口bの開口幅と方向Xに沿った第2開口cの開口幅との比率は、2~1であり、第3隔離層173を形成するときに、第3隔離層173が同一の初期ビット線124上の隣接する半導体チャネル105の間の間隔に満杯に充填される同時に、隣接する初期ビット線124上の隣接する半導体チャネル105の間の隙間に満杯に充填されないことを保証することに有利である。それによって、第4誘電体層143の上面の一部を露出する通孔fを形成することを保証し、後続で通孔fを利用して初期第1隔離層113aの一部を除去することに便利である。
【0101】
図20乃至図22を参照すると、通孔fから露出される、チャネル領域IIの側壁に位置する初期第1隔離層113aを除去し、残りの初期第1隔離層113a(図18を参照する)を、第1隔離層113とする。
【0102】
通孔fから初期第1隔離層113aの上面の一部が露出され、初期第1隔離層113aの材料は、第2隔離層163と第3隔離層173の材料のいずれもと異なる。この場合、通孔fにエッチング溶液を注入し、ウェットエッチングプロセスによってチャネル領域IIの側壁に位置する初期第1隔離層113aを除去し、第1ドーピング領域Iの側壁に位置する初期第1隔離層113aを第1隔離層113として保留することができる。
【0103】
それ以外、第2隔離層163と第3隔離層173によって、支持骨組を共同で構成し、支持骨組は、第2ドーピング領域IIIに接触するように接続され、支持骨組の一部は、第1隔離層113に嵌め込まれる。ウェットエッチングプロセスを行うステップにおいて、一方で、支持骨組は、半導体チャネル105を支持して固定する作用を果たし、エッチング溶液が流れるときに半導体チャネル105への圧力が生じ、半導体チャネル105が圧力を受けて傾いたりずれたりすることを避けることに有利であり、それによって、半導体構造の安定性を向上させる。もう一方で、支持骨組は、第2ドーピング領域IIIの側壁を包み、エッチング溶液による第2ドーピング領域IIIの損傷を避けることに有利である。
【0104】
チャネル領域IIの側壁に位置する初期第1隔離層113aを除去した後に、チャネル領域IIと第2隔離層163との間に、第2隙間gが形成され、通孔fと第2隙間gによって、穴構造hが共同で形成される。
【0105】
図23図24を参照すると、チャネル領域IIの側壁の表面に保護層119が形成され、保護層119は、チャネル領域IIの側壁の表面を覆う。
【0106】
半導体チャネル105の材料がシリコンであることを例として、露出されたチャネル領域IIの側壁に対して熱酸化処理を行い、それによって、保護層119を形成し、保護層119は、残りのチャネル領域IIの側壁の表面を覆い、保護層119と第2隔離層163との間は、第5間隔iを有する。具体的に、チャネル領域IIの側壁に垂直な方向で、保護層119の厚さは1nm~2nmである。他の実施例において、保護層は、堆積プロセスによって形成されることもできる。
【0107】
一方で、後続で犠牲層を形成するときに、保護層119は、犠牲層とチャネル領域IIを隔離するために用いられ、犠牲層を形成するときにチャネル領域IIに対する汚染を避けるためである。もう一方で、後続で犠牲層と保護層119を除去するときに、保護層119は、エッチングバッファの作用を果たし、チャネル領域IIの側壁に対する過エッチングを避けるためである。
【0108】
熱酸化処理の過程において、第2ドーピング領域IIIの上面も露出される。この場合、第2ドーピング領域IIIの上面に近い部分領域とチャネル領域IIの側壁は、いずれも保護層119に変化する。
【0109】
図25図26を参照すると、保護層119のチャネル領域IIから離れる側壁に、第2種類ドーピングイオンがドーピングされた犠牲層129を形成し、犠牲層129は少なくとも、チャネル領域IIの側壁を覆う。
【0110】
いくつかの実施例において、堆積プロセスを採用して通孔fと第5間隔Iに満杯に充填される犠牲層129を形成することができる。即ち、犠牲層129は、隣接する保護層119の間隔に満杯に充填され、隣接する第2ドーピング領域IIIの間隔に位置する。このように形成された犠牲層129の体積が大きく、後続でアニールプロセスを行うときに、多くの第2種類ドーピングイオンを提供することに有利であり、それによって、より多くの第2種類ドーピングイオンをチャネル領域IIに拡散させ、チャネル領域IIにおける多数キャリアの濃度を低減させる。
【0111】
ここで、犠牲層129の材料は、ポリシリコンを含む。ポリシリコンにおける不純物が多いために、ポリシリコンを形成するときに、チャネル領域IIと犠牲層129との間は、保護層119を有し、不純物によるチャネル領域IIに対する汚染を避けることに有利である。第2種類ドーピングイオンは、ホウ素イオンであり得る。
【0112】
いくつかの実施例において、犠牲層129における第2種類ドーピングイオンのドーピング濃度は、4×1020atom/cm~9×1020atom/cmである。例えば、犠牲層129における第2種類ドーピングイオンのドーピング濃度は、1×1021atom/cmであり、後続でアニールプロセスの後に、チャネル領域IIにおける第1種類ドーピングイオンの有効ドーピング濃度範囲が8×1018atom/cm~2×1019atom/cmであることを保証することに有利である。
【0113】
他の実施例において、チャネル領域の側壁に保護層を形成せず、チャネル領域の側壁の表面に、第2種類ドーピングイオンがドーピングされた犠牲層を直接的に形成することができる。
【0114】
アニールプロセスを採用して、第2種類ドーピングイオンをチャネル領域IIに拡散させ、それによって、チャネル領域IIにおける多数キャリアの濃度を低減させる。上記のプロセスにおいて、第1ドーピング領域I、チャネル領域II、及び第2ドーピング領域IIIに、いずれも第1種類ドーピングイオンがドーピングされる。そのため、第2種類ドーピングイオンがチャネル領域IIに拡散するときに、第1種類ドーピングイオンの、チャネル領域IIにおける有効ドーピング濃度は、第1ドーピング領域Iにおける有効ドーピング濃度より低く、且つ、第2ドーピング領域IIIにおける有効ドーピング濃度より低くなる。それによって、チャネル領域IIにおける多数キャリアの濃度は、第1ドーピング領域Iにおける多数キャリアの濃度より低く、且つ、第2ドーピング領域IIIにおける多数キャリアの濃度より低くなる。それは、チャネル領域IIのオン/オフ比例を向上させる同時に、第1ドーピング領域I、チャネル領域II、及び第2ドーピング領域IIIによって構成されるトランジスタの閾値電圧を低減させ、該トランジスタの飽和電流を向上させることに有利である。
【0115】
それ以外、アニールプロセスのステップにおいて、第2種類ドーピングイオンの拡散方向は、チャネル領域IIから第1ドーピング領域Iに指す方向、又は、チャネル領域IIから第2ドーピング領域III指す方向である。このようにして、第1ドーピング領域Iとチャネル領域IIが接触する部分領域における第1種類ドーピングイオンの有効ドーピング濃度は低くなり、第2ドーピング領域IIIとチャネル領域IIが接触する部分領域における第1種類ドーピングイオンの有効ドーピング濃度は低くなり、半導体構造が衝突電離の影響を受けにくくなること、及びGIDLを低減させることに有利である。
【0116】
それ以外、第2ドーピング領域IIIの側壁は、第3隔離層173によって保護され、第2ドーピング領域IIIの上面は、保護層119によって保護される。そのため、犠牲層129に対してエッチングを行う必要がなく、アニールプロセスを直接的に行えば、チャネル領域IIへの第2種類ドーピングイオンの拡散目的を達成することができ、半導体構造の製造ステップを簡素化することに有利である。
【0117】
図27図28を参照すると、犠牲層129と保護層119を除去することによって、チャネル領域IIの側壁を露出させ、通孔fと体積がより大きい第2間隔kを再び形成し、それによってベース11へのチャネル領域IIの正投影がベース11への第2ドーピング領域IIIの正投影より小さく、ベース11への第1ドーピング領域Iの正投影より小さくなる。本実施例において、犠牲層129の材料はポリシリコンであり、チャネル領域IIの材料はシリコンであり、同一のエッチングプロセスによって犠牲層129とチャネル領域IIに対するエッチング速度差は小さい。そのため、犠牲層129を除去するときに、保護層119は、エッチングバリア層として、チャネル領域IIがエッチング損傷を受けることを防止することができる。
【0118】
図29乃至図31を参照すると、チャネル領域IIの側壁の表面を覆う絶縁層106を形成し、絶縁層106のチャネル領域IIから離れる側壁の表面を覆うワード線107を形成する。ワード線107と絶縁層106は、第2間隔kに共同で充填される(図28を参照する)。
【0119】
いくつかの実施例において、露出されたチャネル領域IIの側壁に対して熱酸化処理を行い、それによって、絶縁層106を形成する。さらに、ベース11へのチャネル領域IIの正投影がベース11への第2ドーピング領域IIIの正投影より小さく、ベース11への第1ドーピング領域Iの正投影より小さくする。それは、エッチングプロセスを採用しないことを前提で、方向Zに垂直する断面に、断面面積がより小さいチャネル領域IIを形成することに有利であり、ワード線107のチャネル領域IIに対する制御能力を向上させることに有利であり、それによって、GAAトランジスタのオン又はオフに対する制御がより容易になる。ここで、絶縁層106の材料は酸化ケイ素である。他の実施例において、堆積プロセスによってチャネル領域の側壁の表面を覆う絶縁層を形成することもできる。
【0120】
ワード線107を形成するステップは、下記のステップを含む。初期ワード線を形成し、初期ワード線は、第2間隔kと通孔fに満杯に充填される。通孔fに位置する初期ワード線を除去し、残りの初期ワード線を、ワード線107とする。ここで、堆積プロセスによって初期ワード線を形成することができる。初期ワード線の材料は、ポリシリコン、窒化チタン、窒化タンタル、銅、又はタングステンのうちの少なくとも1つを含む。
【0121】
初期ワード線は、第2間隔kと通孔fに自己整合で満杯に充填される。通孔fに位置する初期ワード線を除去した後に、サイズが正確であるワード線107を自己整合で形成することに有利であり、エッチングプロセスによってワード線107のサイズを設計する必要がなく、ワード線107の形成ステップを簡素化することに有利である。さらに、第2間隔kのサイズを調整することによって、サイズが小さいワード線107を得ることができる。
【0122】
図32を参照すると、ワード線107を形成した後に、さらに、第4隔離層183を形成する。第4隔離層183は、通孔fに充填される(図30を参照する)。
【0123】
いくつかの実施例において、第4隔離層183の材料は、第2隔離層163と第3隔離層173の材料と同じであり、いずれも窒化ケイ素を含む。他の実施例において、第3隔離膜に対して、第2ドーピング領域の上面を露出するまで化学機械平坦化処理を行い、即ち、第2ドーピング領域の上面に位置する絶縁層を同期的に除去し、残りの第3隔離膜は、第3隔離層とされる。
【0124】
引き続き図32を参照すると、第2ドーピング領域IIIの上面に位置する絶縁層106を除去し(図29を参照する)、エピタキシャル成長プロセスを採用して、第2ドーピング領域IIIの上面に初期過渡層128を形成する。ベース11への初期過渡層128の正投影は、ベース11への第2ドーピング領域IIIの正投影を覆う。
【0125】
それ以外、エピタキシャル成長のプロセスステップにおいて、初期過渡層128には、さらに、第1種類ドーピングイオンがドーピングされ、第1種類ドーピングイオンの、初期過渡層128におけるドーピング濃度は、第2ドーピング領域IIIにおけるドーピング濃度より高い。この場合、初期過渡層128の抵抗は、第2ドーピング領域IIIの抵抗より小さい。
【0126】
一方で、エピタキシャル成長プロセスを採用することによって、第2ドーピング領域IIIと初期過渡層128との間の連続性を向上させ、異なる結晶格子特性又は結晶格子ズレによる接触欠陥を低減させ、接触欠陥による接触抵抗を低減させ、キャリアの伝送能力と移動速度を向上させることに有利であり、それによって、第2ドーピング領域IIIと初期過渡層128との間の導電性能を向上させ、半導体構造の動作過程における発熱を低減させる。もう一方で、エピタキシャル成長プロセスを採用することは、ベース11への初期過渡層128の正投影を拡大することに有利であり、ベース11への初期過渡層128の正投影面積がベース11への第2ドーピング領域IIIの正投影面積より大きくすることに有利である。後続で、初期過渡層128をマスクとして、第2ドーピング領域IIIの側壁を取り囲む第2誘電体層が第2ドーピング領域IIIを露出するまでエッチングされることを避け、それによって、後続で形成される第2誘電体層の第2ドーピング領域IIIに対する良い保護効果を保証する。
【0127】
図32図33を参照すると、初期過渡層128をマスクとして、第2隔離層163、第3隔離層173、及び第4隔離層183をエッチングし、それによって、第2ドーピング領域IIIの側壁を露出させ、残りの第2隔離層163の上面は、ワード線107の上面より高くない。ここで、ベース11への初期過渡層128の正投影は、ベース11への第2ドーピング領域IIIの正投影を覆い、該ステップにおいて半導体チャネル105がエッチング損傷を受けることを避けることに有利である。
【0128】
次に、初期過渡層128の表面、第2ドーピング領域IIIの側壁、ワード線107の上面、及び第2隔離層163の上面を形状が保持されるように覆う第2誘電体膜を形成する。第2誘電体膜に対して、初期過渡層128の表面を露出するまで化学機械平坦化処理を行い、初期過渡層128をマスクとして残りの第2誘電体膜をエッチングする。ベース11上の初期過渡層128の正投影面積は、ベース11への第2ドーピング領域IIIの正投影面積より大きく、そのため、初期過渡層128の表面、第2隔離層163の上面、及びワード線107の上面の一部に位置する第2誘電体膜を除去する同時に、ベース11への初期過渡層128の正投影に正対する第2誘電体膜がエッチングされることを避けることに有利である。それによって、第2ドーピング領域IIIの側壁を取り囲む第2誘電体層123を形成し、第2誘電体層123による第2ドーピング領域IIIの良い保護効果を保証する。ここで、堆積プロセスを採用して第2誘電体膜を形成することができる。
【0129】
次に、残りの第2隔離層163を除去することによって、初期ビット線124の上面を露出させる。
他の実施例において、初期過渡層をマスクとして、第2隔離層、第3隔離層、及び第4隔離層をエッチングし、それによって、初期ビット線及び第2ドーピング領域の側壁を露出させる。次に、露出された第2ドーピング領域の側壁に対して熱酸化処理を行い、それによって、第2誘電体層を形成する。
【0130】
図33図1乃至図5を参照すると、露出された初期ビット線124と初期過渡層128に対して金属化処理を行い、それによって、ビット線104を形成する。ビット線104の材料は、金属半導体化合物114を含む。
【0131】
ここで、金属化処理は、下記のステップを含む。
【0132】
初期過渡層128の表面と初期ビット線124の上面に金属層を形成し、金属層は、ビット線104を形成するために金属元素を提供する。金属層はさらに、第2誘電体層123、ワード線107、及び第1隔離層113の露出される表面に位置する。ここで、金属層の材料は、コバルト、ニッケル、モリブデン、チタン、タングステン、タンタル、又はプラチナのうちの少なくとも1つを含む。
【0133】
アニール処理を行い、それによって、初期過渡層128の厚さの一部を金属接触層108に変化させ、初期ビット線124の厚さの一部をビット線104に変化させる。ビット線104を形成した後に、残りの金属層を除去する。
【0134】
いくつかの実施例において、アニール処理の過程において、金属層は、初期過渡層128及び初期ビット線124と反応し、初期過渡層128の厚さの一部は金属接触層108に変化させ、初期ビット線124の厚さの一部はビット線104に変化する。具体的に、1つの例において、図3を参照すると、同一のビット線104における複数の金属半導体化合物114の間は相互に間隔をあける。別の1つの例において、図4を参照すると、同一のビット線104における複数の金属半導体化合物114の間は相互に接続されている。
【0135】
他の実施例において、初期過渡層の厚さの全体を金属接触層に変化させることができる。初期ビット線の厚さの全体をビット線に変化させることができる。
【0136】
他の実施例において、第2ドーピング領域の上面に初期過渡層が形成されていない時に、まず第2ドーピング領域の上面に位置する絶縁層を除去せず、後続で、初期ビット線だけに対して金属化処理を行い、ビット線を形成してから、第2ドーピング領域の上面に位置する絶縁層を除去する。又は、第2ドーピング領域の上面に初期過渡層が形成されていない時に、第2ドーピング領域の上面に位置する絶縁層を除去し、第2ドーピング領域の側壁を露出させた後に、第2ドーピング領域の上面と側壁、ワード線の上面、及び第2隔離層の上面を、形状が保持されるように覆う第2誘電体膜を形成し、次に、第2誘電体膜に対して垂直エッチングを行い、それによって、第2ドーピング領域の上面、第2隔離層の上面、及びワード線の上面の一部に位置する第2誘電体膜を除去し、第2ドーピング領域の側壁に位置する第2誘電体膜を第2誘電体層として保留する。
【0137】
引き続き図33図1乃至図5を参照すると、第3誘電体層133を形成し、第3誘電体層133を、隣接する第1隔離層113の間の第1間隔、隣接するワード線107の間の第2隙間、及び隣接する第2誘電体層123の間の第3隙間に充填し、隣接する半導体チャネル105及び隣接するワード線107との間の電絶縁を実現する。いくつかの例において、図6を参照すると、第3誘電体層133を形成するときに、第2隙間に位置する第3誘電体層133はさらに、第4隙間109を有することができる。
【0138】
ここで、第2誘電体層123、第3誘電体層133、第4誘電体層143、及び第5誘電体層153によって、隔離層103を共同で構成する。
【0139】
別のいくつかの実施例において、図11乃至図1図34乃至図36を参照すると、第1隔離層113、絶縁層106、ワード線107、及び第3誘電体層133を形成するステップは、下記のステップを含む。
【0140】
図11乃至図14を参照すると、初期第1隔離層113aを形成し、初期第1隔離層113aは、半導体チャネル105の側壁を取り囲み、同一の初期ビット線124上の隣接する半導体チャネル105の側壁に位置する初期第1隔離層113aの間は、第4間隔eを有する。第2隔離層163を形成し、第2隔離層163は、第4間隔eに満杯に充填され、第2隔離層163の材料と初期第1隔離層113aの材料は異なる。
【0141】
ここで、初期第1隔離層113aと第2隔離層163を形成するステップは、上記の例子と同じであり、ここで繰り返して記載しない。
【0142】
図34を参照すると、初期第1隔離層113aの一部(図14を参照する)を、第2ドーピング領域IIIの側壁とチャネル領域IIの側壁を露出するようにエッチングし、残りの初期第1隔離層113aを、第1隔離層113とする。さらに、第2ドーピング領域IIIの側壁とチャネル領域IIの側壁を覆う保護層119を形成し、保護層119と第2隔離層163との間は、第6間隔mを有する。
【0143】
半導体チャネル105の材料がシリコンであることを例として、露出された第2ドーピング領域IIIの側壁とチャネル領域IIの側壁に対して熱酸化処理を行い、それによって、保護層119を形成し、保護層119は、残りの第2ドーピング領域IIIの側壁の表面と残りのチャネル領域IIの側壁の表面を覆う。具体的に、方向Zに垂直な方向で、保護層119の厚さは1nm~2nmである。他の実施例において、保護層は、堆積プロセスによって形成されることもできる。
【0144】
一方で、後続で犠牲層を形成するときに、保護層119は、犠牲層を形成するときにチャネル領域IIに対する汚染を避けるために、犠牲層とチャネル領域IIを隔離するために用いられる。もう一方で、後続で犠牲層と保護層119を除去するときに、保護層119は、エッチングバッファの作用を果たし、チャネル領域IIの側壁に対する過エッチングを避ける。
【0145】
熱酸化処理の過程において、第2ドーピング領域IIIの上面も露出し、この場合、第2ドーピング領域IIIの上面に近い一部領域も保護層119に変化する。
【0146】
図35を参照すると、保護層119のチャネル領域IIから離れる側壁に、第2種類ドーピングイオンがドーピングされた犠牲層129を形成し、犠牲層129は、チャネル領域IIの側壁だけを覆う。犠牲層129を形成するステップは、下記のステップを含むことができ、即ち、堆積プロセスを採用して、第6間隔mに満杯に充填する初期犠牲層を形成し、初期犠牲層に対してリエッチング処理を行い、初期犠牲層がチャネル領域IIの側壁だけに位置するように初期犠牲層の一部を除去する。このようにして、後続でアニールプロセスを行うときに、第2種類ドーピングイオンが第2ドーピング領域IIIの側壁を取り囲む保護層119によって第2ドーピング領域IIIに拡散することを避けることができる。
【0147】
アニールプロセスを採用して、第2種類ドーピングイオンをチャネル領域IIに拡散させ、それによって、チャネル領域IIにおける多数キャリアの濃度を低減させる。
【0148】
図35図36を参照すると、保護層119と犠牲層129を除去し、それによって、第2ドーピング領域IIIの側壁とチャネル領域IIの側壁を露出させる。第2ドーピング領域IIIの側壁とチャネル領域IIの側壁を覆う初期絶縁層116を形成し、初期絶縁層116と第2隔離層163との間は隙間を有する。チャネル領域IIの側壁の初期絶縁層116は、絶縁層106であり、第2ドーピング領域IIIの側壁を覆う保護層116は、第2誘電体層123である。ここで、初期絶縁層116を形成する方法は、熱酸化プロセス又は堆積プロセスを含む。
【0149】
いくつかの実施例において、後続のプロセスステップにおいて、残りの第2ドーピング領域IIIの上面に位置する初期絶縁層116を除去する。他の実施例において、熱酸化処理の後に、残りの第2ドーピング領域の上面に位置する初期絶縁層を除去し、残りのチャネル領域及び残りの第2ドーピング領域の側壁の表面を覆う初期絶縁層だけを保留することができる。
【0150】
ワード線107を形成し、ワード線107は、チャネル領域IIの側壁に位置する絶縁層106の側壁だけを取り囲む。ワード線107を形成するステップは、上記の例と同じであり、ここで繰り返して記載しない。
【0151】
ワード線107を形成した後に、第4隔離層を形成し、初期過渡層を形成し、金属接触層とビット線を形成するために初期過渡層と初期ビット線に対して金属化処理を行い、第3誘電体層を形成するステップは、上記の例と同じであり、ここで繰り返して記載しない。
【0152】
金属接触層108と第3誘電体層133によって共同で構成される表面にキャパシタ構造(図示されていない)を形成する。他の実施例において、さらに、金属接触層を形成しなくても良く、第2ドーピング領域の上面に位置する絶縁層を除去した後に、第2ドーピング領域と第3誘電体層によって共同で構成される表面にキャパシタ構造を直接形成することができる。
【0153】
上記の通り、特定の形の穴構造を形成することによって、熱酸化プロセスとアニールプロセスを採用して、第2種類ドーピングイオンを、第1種類ドーピングイオンがドーピングされたチャネル領域IIに拡散させる。それによって、第1種類ドーピングイオンの、チャネル領域IIにおける有効ドーピング濃度は、第1ドーピング領域Iにおける有効ドーピング濃度より低く、且つ、第2ドーピング領域IIIにおける有効ドーピング濃度より低い。このようにして、チャネル領域IIの多数キャリアの濃度が低い同時に、第1ドーピング領域Iと第2ドーピング領域IIIの多数キャリアの濃度が高いことを保証し、それによって、チャネル領域IIのオン/オフ比例を向上させる同時に、第1ドーピング領域I、チャネル領域II、及び第2ドーピング領域IIIによって構成されるトランジスタの閾値電圧を低減させ、該トランジスタの飽和電流を向上させ、それによって、半導体構造の電気性能を向上させる。
【0154】
当業者が理解可能なこととして、上記の各実施方式は、本開示を実現する具体的な実施例であり、実際の応用において、本開示の趣旨及び範囲から逸脱せずに、形態及び詳細における様々な変更が可能である。当業者であれば、本開示の趣旨及び範囲から逸脱しない限りに、独自で変更及び修正することができ、そのため、本開示の保護範囲は、特許請求の範囲によって決定されるべきである。
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