(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-13
(45)【発行日】2024-12-23
(54)【発明の名称】投影アセンブリ用の加熱可能な複合ペイン
(51)【国際特許分類】
C03C 27/12 20060101AFI20241216BHJP
【FI】
C03C27/12 L
C03C27/12 N
(21)【出願番号】P 2023549606
(86)(22)【出願日】2022-03-30
(86)【国際出願番号】 EP2022058349
(87)【国際公開番号】W WO2022214369
(87)【国際公開日】2022-10-13
【審査請求日】2023-08-16
(32)【優先日】2021-04-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】500374146
【氏名又は名称】サン-ゴバン グラス フランス
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100217179
【氏名又は名称】村上 智史
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス ゴマー
(72)【発明者】
【氏名】バレンティーン シュルツ
(72)【発明者】
【氏名】マルセル クライン
【審査官】三村 潤一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-073408(JP,A)
【文献】特表2019-511987(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0295681(US,A1)
【文献】特開平10-148787(JP,A)
【文献】特開2007-099199(JP,A)
【文献】特表2019-527158(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03C 27/12
B32B 1/00 - 43/00
B60J 1/00 - 1/20
B60K 35/00 - 37/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合ペイン(1)であって、特に投影アセンブリ(100)用の、少なくとも下記を有する複合ペイン(1):
- 外側ペイン(2)、内側ペイン(3)、及び前記外側ペインと前記内側ペイン(2、3)との間に配置された熱可塑性中間層(4)、ここで、前記外側ペイン及び前記内側ペイン(2、3)は、それぞれ、外側面(I、III)及び内側面(II、IV)を有し、前記外側ペイン(2)の前記内側面(II)と前記内側ペイン(3)の前記外側面(III)は互いに対向している、
- 前記内側又は前記外側ペイン(2、3)の前記外側面(I、III)又は前記内側面(II、IV)上のうちの一つに領域的に配置される、第1マスキングストリップ(5)、
- 導電性コーティング(10)、並びに、
- 光(12)を反射するのに適した反射層(9)、
ここで、前記反射層(9)は、前記内側ペイン(3)から前記外側ペイン(2)に向かって見たときに、前記第1マスキングストリップ(5)の前に空間的に配置されており、ここで、前記第1マスキングストリップ(5)は、少なくとも1つの領域において前記反射層(9)と重なって
おり、
ここで、前記反射層(9)の少なくとも一部が、前記導電性コーティング(10)上に直接配置されている。
【請求項2】
前記反射層(9)が、前記内側ペイン(3)の前記外側面(III)上、又は前記内側ペイン若しくは前記外側ペイン(2、3)の前記内側面(II、IV)上の一方、前記熱可塑性中間層(4)内、又は前記第1マスキングストリップ(5)上に配置され、前記第1マスキングストリップ(5)が、前記反射層(9)よりも大きな表面積を有し、前記反射層(9)と完全に重なっている、請求項1に記載の複合ペイン(1)。
【請求項3】
前記第1マスキングストリップ(5)が、前記外側ペイン(2)の縁部領域において、周方向に枠状の様式で配置され、特には、前記反射層(9)と重なる部分(13’)において、それとは異なる部分(13’’)における幅よりも大きな幅を有する、請求項1又は2に記載の複合ペイン(1)。
【請求項4】
前記第1マスキングストリップ(5)が、不透明な熱可塑性複合フィルムとして実装され、前記外側ペイン(2)の前記内側面(II)上に配置される、請求項1~3のいずれか一項に記載の複合ペイン(1)。
【請求項5】
前記反射層(9)が、コーティングされたキャリアフィルム又はコーティングされていないポリマーフィルムとして実装され、前記熱可塑性中間層(4)内に配置されている、請求項1~4のいずれか一項に記載の複合ペイン(1)。
【請求項6】
少なくとも1.7の屈折率を有する高屈折率コーティング(16)が、少なくとも、前記内側ペイン(3)の前記内側面(IV)の、前記反射層(9)と重なっている領域内に配置され、前記反射層(9)が、前記高屈折率コーティング(16)よりも、前記外側ペイン(2)の前記外側面(I)に対して空間的に近く、前記内側ペイン(3)の前記内側面(IV)から空間的に遠くに配置されている、請求項1~5のいずれか一項に記載の複合ペイン(1)。
【請求項7】
前記高屈折率コーティング(16)が、少なくとも1.9、好ましくは少なくとも2.0の屈折率を有する、請求項6に記載の複合ペイン(1)。
【請求項8】
前記導電性コーティング(10)が、銀(Ag)、インジウムスズ酸化物(ITO)、フッ素ドープスズ酸化物(SnO2:F)、又はアルミニウムドープ亜鉛酸化物(ZnO:Al)を含有する、請求項1~7のいずれか一項に記載の複合ペイン(1)。
【請求項9】
前記導電性コーティング(10)が、前記外側ペイン又は前記内側ペインの縁部領域内で、電圧源への接続のために提供された2つのバスバー(11、11’)に接続されており、それによって、加熱電流のための電流経路が、前記バスバー(11、11’)間に形成されている、請求項1~8のいずれか一項に記載の複合ペイン(1)。
【請求項10】
前記導電性コーティング(10)が、前記外側ペイン又は前記内側ペイン(2、3)の周縁部領域を除いた、前記外側ペイン(2)の前記内側面(II)全体又は前記内側ペイン(3)の前記外側面(III)全体上に、好ましくは5mm~100mm、特に好ましくは10mm~50mmの幅で配置されている、請求項1~9のいずれか一項に記載の複合ペイン(1)。
【請求項11】
下記を含む、投影アセンブリ(100):
- 請求項1~10のいずれか一項に記載の複合ペイン(1)、
- 画像表示装置(8)であって、前記反射層(9)に関連付けられており、前記反射層(9)に向けられている画像ディスプレイを有しており、その画像が、前記反射層(9)によって反射される、画像表示装置(8)、ここで、少なくとも、前記反射層(9)の、前記第1マスキングストリップ(5)と重なっている領域が、前記画像表示装置(8)によって照射される。
【請求項12】
請求項11に記載の投影アセンブリ(100)であって、視野カメラをさらに有し、これは、利用者の視野を捕捉することを目的とし、かつ前記画像表示装置(8)及び前記複合ペイン(1)と相互作用し、それによって、前記利用者が、前記反射層(9)を介して反射された画像を視覚的に最適に捕捉できる、投影アセンブリ(100)。
【請求項13】
請求項11又は12に記載の投影アセンブリ(100)であって、機能要素をさらに有し、これは
、利用者のフリーハンドの動きを認識することを目的とし、かつ前記画像表示装置(8)と相互作用し、それによって、前記画像表示装置(8)を制御するために用いられうる情報を、
前記利用者のフリーハンドの動きから得ることができる、投影アセンブリ(100)。
【請求項14】
請求項1~10のいずれか一項に記載の複合ペイン(1)を製造する方法であって、
(a)前記外側ペイン(2)、前記内側ペイン(3)及び前記熱可塑性中間層(4)を提供すること、
(b)前記第1マスキングストリップ(5)を、前記内側ペイン(3)又は前記外側ペイン(2)の前記外側面(I、III)又は前記内側面(II、IV)上のうちの一つに領域的に配置すること、
(c)前記導電性コーティング(10)を導入すること、
(d)前記熱可塑性中間層(4)を、前記外側ペイン(2)と前記内側ペイン(3)との間に配置し、それによって、層スタックを形成すること、
(e)前記層スタックを積層して、複合ペイン(1)を形成すること、
を含む、方法。
【請求項15】
請求項1~10のいずれか一項に記載の複合ペイン(1)の使用であって、陸上、空中、又は水上を移動する乗り物における使用、特には、乗り物のフロントガラスとしての使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、投影アセンブリ用の加熱可能な複合ペイン、その製造方法、その使用、及び投影アセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
ヘッドアップディスプレイは、現在、乗り物及び航空機内で、頻繁に用いられている。ヘッドアップディスプレイの動作は、イメージングユニットの使用を通じて進行し、これは、光学モジュール及び投影表面を用いて、運転者が仮想画像として認識する画像を投影する。この画像を、例えば、投影表面としての乗り物のフロントガラス(ウィンドシールド)を介して反射させると、交通安全性を大幅に向上させる重要なデータを、利用者に対して表示しうる。
【0003】
通常、乗り物のフロントガラスは、2枚のガラスペインから成り、これらは、少なくとも1枚の熱可塑性フィルムを介して互いに積層されている。典型的に用いられているヘッドアップディスプレイでは、プロジェクタ画像が、フロントガラスの両方の表面上で反射するという問題が生じる。したがって、運転者は、望ましい一次画像のみを認識するわけではなく、一次画像は、フロントガラスの内部側表面上での反射(一次反射)によって生じる。運転者は、また、わずかにずれた(オフセットした)二次画像も認識し、これは、通常は強度が弱く、フロントガラスの外部側表面上での反射(二次反射)によって生じる。この問題は一般に、反射表面を、互いに対して意図的に選択された角度で配置することによって、一次画像及び二次画像が一致し、その結果、二次画像がもう気にならないほど目立たなくなることで、解決される。
【0004】
ヘッドアップディスプレイプロジェクタの放射は、典型的に、実質的にs偏光である;なぜなら、これは、p偏光と比較してフロントガラスの反射特性が優れているためである。しかしながら、運転者は、p偏光のみを透過する偏光選択性サングラスを着用している場合、HUD画像をほとんど認識できないか、又はまったく認識できない。この結果、偏光選択性サングラスと適合性のあるHUD投影アセンブリが必要である。したがって、これに関連した問題の解決策は、p偏光を用いる投影アセンブリを使用することである。
【0005】
さらに問題なのは、天候及び照明条件を問わず、反射画像を介して伝達される情報の認識可能性である。重大かつ安全に関連する情報は、昼又は夜の任意の時間帯で、かつ強い日差し又は雨の中で、運転者が十分に認識できるものでなければならない。その結果、ヘッドアップディスプレイ技術に基づくディスプレイを設計するとき、プロジェクタが相応の高出力を有し、それにより、投影画像が、十分な明るさを、特に太陽光が入射した場合に有し、観察者によって容易に認識できるように注意しなければならない。これは、ある程度の大きさのプロジェクタを必要とし、相応の消費電力を伴う。
【0006】
独国特許出願公開第102014220189号明細書は、p偏光放射で動作して、ヘッドアップディスプレイ画像を生成する、ヘッドアップディスプレイ投影アセンブリを開示している。入射角は、典型的に、ブリュースター角(偏光角)に近く、それ故にp偏光は、ガラス表面によってわずかしか反射されないため、そのフロントガラスは、運転者の方向においてp偏光を反射できる反射構造を有する。厚さ5nm~9nmの単一金属層(例えば、銀製又はアルミニウム製)を、乗用車の内部とは反対側を向いている、内側ペインの外側面上に適用することが、反射構造として提案されている。
【0007】
米国特許出願公開第2004/0135742号も同様に、p偏光放射で動作して、ヘッドアップディスプレイ画像を生成し、運転者の方向においてp偏光放射を反射できる反射構造を有する、ヘッドアップディスプレイ投影アセンブリを開示している。国際公開第96/19347号サーチレポートにおいて開示されている多層ポリマー層が、反射構造として提案されている。
【0008】
ヘッドアップディスプレイ技術に基づいてディスプレイを設計するとき、プロジェクタが相応の高出力を有することによって、投影画像が十分な明るさを、特に太陽光が入射した場合に有し、観察者によって容易に認識できるようにすることを、確保するためにさらに注意しなければならない。これは、ある程度の大きさのプロジェクタを必要とし、相応の消費電力及び放熱を伴う。
【0009】
独国特許出願公開第102009020824号明細書は、黒色材料と重なって複合ペイン上に適用される反射マイラー適用部を有する、仮想画像システムを開示している。この複合ペインを、例えば、乗り物内のフロントガラスとして設置してよく、ここで、マイラー適用部は、画像表示装置から仮想画像を照射され、その画像は、観察者のために乗り物内部内へと反射される。画像表示装置は、好ましくは、通気口、例えば複合ペインを加熱するために用いられるものなどを用いて配置され、それにより、運転手には識別できない。
【0010】
運転中のもう1つの大きな課題は、視界を妨げるペインの氷結又は曇りを防ぎうるためにフロントガラスを加熱することである。さらに、投影画像は、あらゆる天候及び温度条件下で容易に判読できなければならない。これは、ペイン上に結露が生じることによって損なわれうる。ペインは、通常、吸い込み口を介してペイン上に吹き付けられる加熱空気によって加熱される。この加熱のタイプは、加熱、換気及び空調(HVAC)方法としてまとめられる。莫大なエネルギー消費に加えて、熱風が運ばれてペイン上に吹き付けられる吸い込み口は、大きな空間を必要とする。さらに、通気口は通常、ペインに対して特定の幾何学的関係にある取り出し口ノズルの形態で設置しなければならないため、これが今度は設計の自由度を大幅に制限する。これらの通気口又は取り出し口ノズルによって、プロジェクタ又は画像表示装置を、ダッシュボード内に収容することが困難になる。これらは典型的には、ダッシュボードの通気口の領域内に配置されていて、ペインの加熱が弱くなるか、又は完全に不可能となる。
【0011】
代替的には、ペイン自体は、電気加熱機能を有しうる。独国特許出願公開第103 52 464号明細書から、例えば、電気加熱可能なワイヤを2枚のガラスペインの間に配置した、複合ガラスペインが知られている。具体的な加熱出力は、ワイヤのオーミック抵抗によって調整しうる。設計及び安全性のため、ワイヤの本数及びワイヤの直径のいずれも、できる限り小さいままにしなければならない。ワイヤは、日中及び夜間のヘッドライト照明の下では見えないか、又はほとんど認識できないようにしなければならない。
【0012】
また、特には銀に基づいた、透明な導電性コーティングも知られている。このような導電性コーティングは、赤外線領域に対する反射特性を有するコーティングとして、又は加熱可能なコーティングとしても用いてよい。国際公開第03/024155号は、例えば、2つの銀層を有する導電性コーティングを開示している。このようなコーティングは、通常、3Ω/sqの範囲内のシート抵抗を有する。
【0013】
導電性コーティングの1つの問題点は、それらのシート抵抗が、多くの場合高いことであり、これは、少なくとも加熱されるペインの寸法が大きい場合、又は電流経路が長い場合には、高い動作電圧を必要とし、これは、任意の場合で、乗り物の通常の車載電圧よりも高い。国際公開第2013/104439号及び欧州特許第2803246号明細書は、異なる層から成るペインを加熱するための導電性コーティングを開示している。これらの層の少なくとも1つは、屈折率が2.1以上の高屈折率材料を含有する。このようにして、導電性コーティングのシート抵抗は、著しく低減され、その結果、好ましくは1Ω/sq未満である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
その結果、本発明の目的は、HUD技術に基づく投影アセンブリ用の改良された複合ペインを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明によれば、本発明の目的は、請求項1に記載の複合ペインによって達成される。好ましい実施形態は、従属請求項から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1A】
図1Aは、本発明による複合ペインの一実施形態の平面図である。
【
図1B】
図1Bは、
図1の複合ペインを有する本発明による投影アセンブリの断面図である。
【
図2】
図2は、複合ペインを有する本発明による投影アセンブリの別の断面図である。
【
図3】
図3は、本発明による複合ペインのさらなる実施形態を示す平面図である。
【
図4】
図4は、本発明による複合ペインのさらなる実施形態を示す平面図である。
【
図5】
図5は、本発明による投影アセンブリの様々な実施形態の拡大断面図である。
【
図6】
図6は、本発明による投影アセンブリの様々な実施形態の拡大断面図である。
【
図7】
図7は、本発明による投影アセンブリの様々な実施形態の拡大断面図である。
【
図8】
図8は、本発明による投影アセンブリの様々な実施形態の拡大断面図である。
【
図9】
図9は、本発明による投影アセンブリの様々な実施形態の拡大断面図である。
【
図10】
図10は、本発明による投影アセンブリの様々な実施形態の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明によれば、特には投影アセンブリ用を目的とした、複合ペインが記載される。この複合ペインは、少なくとも以下を有する:
- 外側ペイン、内側ペイン、及び外側ペインと内側ペインとの間に配置された熱可塑性中間層、
- 導電性コーティング、
- 第1マスキングストリップ、
- 並びに反射層。
【0018】
外側ペイン及び内側ペインは、それぞれ、外側面及び内側面を有する。外側ペインの内側面と内側ペインの外側面は、互いに対向している。
【0019】
第1マスキングストリップは、内側又は外側ペインの外側面又は内側面上のうちのひとつに、領域的に配置される。反射層は、光を反射するのに適している。
【0020】
内側ペインから外側ペインに向かって見たとき、反射層は、空間的に、第1マスキングストリップの前に配置され、第1マスキングストリップは、少なくとも1つの領域内で反射層と重なっている。
【0021】
反射層及び第1マスキングストリップを、内側又は外側ペインの異なる外側又は内側面上に配置してよい。代替的には、反射層及び第1マスキングストリップを、同じ、内側ペインの外側若しくは内側面、又は外側ペインの内側面上に、配置してもよい。反射層は、第1マスキングストリップと重ならない部分を有してよく、すなわち、反射層は、少なくとも1つの領域であって、これにおいて、反射層が、内側ペインから外側ペインに向かって見たときに第1マスキングストリップの前に位置する領域、を含む。
【0022】
導電性コーティングは、外側ペインの内側面若しくは外側面上、内側ペインの内側面若しくは外側面上、熱可塑性中間層内、又はマスキングストリップ上に、領域的に又は完全に配置してよい。好ましくは、導電性コーティングは、外側ペインと内側ペインとの間に配置される。
【0023】
本発明の文脈において、「外側ペインと内側ペインとの間」とは、導電性コーティングが、熱可塑性中間層内、外側ペインの内側面上、又は内側ペインの外側面上に配置されうることを意味する。第1マスキングストリップも、外側ペインと内側ペインとの間に配置されている場合、導電性コーティングを、マスキングストリップ上に配置してもよく、又は第1マスキングストリップを、導電性コーティング上に配置してよい。
【0024】
本発明の文脈において、例えば、要素Aが、要素Bと完全に重なるという記述は、要素Aの、要素Bの表面平面に対する正規直交投影が、要素B内に完全に配置されることを意味する。「ある領域内で重なる」とは、要素Aの、要素Bの表面平面に対する正規直交投影が、要素B内に領域的にのみ配置されることを意味することは言うまでもない。
【0025】
本発明による複合ペインの様々な好ましい層配列を、以下に説明する:
【0026】
(1)第1マスキングストリップが、外側ペインの外側面上に配置され、導電性コーティングが、外側ペインの内側面上に配置されている場合、反射層を、内側ペインの内側若しくは外側面上、又は熱可塑性中間層内に配置してよい。代替的には、反射層を、外側ペインの内側面上かつ導電性コーティング上に配置してもよい。別の代替案では、反射層を、外側ペインの内側面上又は導電性コーティング上にのみ配置してもよい。
【0027】
(2)第1マスキングストリップが、外側ペインの内側面上に配置され、また、導電性コーティングも、外側ペインの内側面上若しくは第1マスキングストリップ上、又は第1のマスキングストリップ上かつ外側ペインの内側面上に配置されている場合、反射層を、内側ペインの内側若しくは外側面上、又は熱可塑性中間層内に配置してよい。代替的には、反射層を、外側ペインの内側面上、導電性コーティング上かつ第1マスキングストリップ上にも配置してよい。別の代替案では、反射層を、第1マスキングストリップ上かつ外側ペインの内側面上に配置してよい。別の代替案では、反射層を、第1マスキングストリップ上かつ導電性コーティング上に配置してよい。さらに、反射層を、マスキングストリップ上にのみ配置してもよい。
【0028】
(3)第1マスキングストリップが、内側ペインの外側面上に配置され、導電性コーティングが、内側ペインの外側面上若しくは第1マスキングストリップ上、又は第1マスキングストリップ上かつ内側ペインの外側面上に配置されている場合、反射層を、内側ペインの内側面上に配置してよい。
【0029】
(4)第1マスキングストリップが、内側ペインの内側面上に配置され、導電性コーティングが、外側ペインの内側面上又は内側ペインの外側面上に配置されている場合、反射層を、第1マスキングストリップ上かつ内側ペインの内側面上に配置してよい。さらに、反射層を、マスキングストリップ上にのみ配置してもよい。
【0030】
(5)第1マスキングストリップが、外側ペインの外側面上に配置され、導電性コーティングが、内側ペインの外側面上に配置されている場合、反射層を、外側ペインの内側面上、内側ペインの内側面上、又は熱可塑性中間層内に配置してよい。代替的には、反射層を、内側ペインの外側面上又は導電性コーティング上に配置してもよい。別の代替案では、反射層を、内側ペインの外側面上かつ導電性コーティング上に配置してもよい。
【0031】
(6)第1マスキングストリップが、外側ペインの内側面上に配置され、導電性コーティングが、内側ペインの外側面上に配置されている場合、反射層を、内側ペインの内側面上又は熱可塑性中間層内に配置してよい。代替的には、反射層を、内側ペインの外側面上又は導電性コーティング上に配置してもよい。また、反射層を、内側ペインの外側面上かつ導電性コーティング上に配置してもよい。別の代替案として、反射層を、外側ペインの内側面上かつ第1マスキングストリップ上、又は第1マスキングストリップ上のみに配置してよい。
【0032】
(7)第1マスキングストリップが、内側ペインの外側面上に配置され、導電性コーティングが、外側ペインの内側面上に配置されている場合、反射層を、内側ペインの内側面上に配置してよい。
【0033】
導電性コーティングは、第1マスキングストリップ及び/又は反射層と重なっていてよい。それを、第1マスキングストリップ上に領域的に又は完全に配置してもよい。
【0034】
複合ペインは、内部を外部環境から仕切るためのものである。内側ペインの内側面は、内部に面し、外側ペインの外側面は、外部環境に面する。本発明の文脈では、「内側ペインから外側ペインに向かって見たとき、反射層は、空間的に、第1マスキングストリップの前に配置されている」という表現は、反射層が、第1マスキングストリップよりも空間的に内部に近いことを意味する。すなわち、複合ペインを通して内部から外側に向かって見たとき、反射層は、空間的に、第1マスキングストリップの前に配置されている。外側ペイン及び内側ペインは、好ましくは、2つの対向する側方縁部を有し、上方縁部及び下方縁部を有する。設置状態において、上方縁部は、上方領域内に配置されることが意図され、反対側の、下方縁部は、設置状態において、下方領域内に配置されることが意図されている。
【0035】
導電性コーティングは、好ましくは透明である。第1マスキングストリップは、不透明である。反射層は、不透明又は透明でもよい。好ましくは、反射層は透明である。
【0036】
本発明の文脈において、「透明」とは、複合ペインの全透過率が、フロントガラスのための法的要件(例えば、欧州連合の指令ECE-R43)に準拠していることを意味し、好ましくは、50%越え、特に60%越え、例えば70%越えの可視光線に対する透過率を有する(ISO 9050:2003)。したがって、「不透明」とは、10%未満、好ましくは5%未満、特に0%の光透過率を意味する。
【0037】
本発明は、下記の認識に基づいている;第1マスキングストリップと少なくとも領域的に重なる反射層が、不透明な第1マスキングストリップに対して高いコントラストを有する良好な画像表示を可能にし、それによって、画像表示が明るく見えるようになり、このようにして、優れた認識性も可能にする、という認識。有利なことに、これにより画像表示装置の電力を低減することができ、このようにして、エネルギー消費及び発熱を低減することができる。導電性コーティングにより、複合ペインを加熱するための取り出し口ノズルの使用をほとんど省くことができ、画像表示装置のための乗り物内の空間を確保することができる。これは本発明の大きな利点である。
【0038】
本発明の特定の実施形態では、反射層は、内側ペインの外側面上、又は内側ペイン若しくは外側ペインの内側面上の一方、熱可塑性中間層内、又は第1マスキングストリップ上に配置されており、ここで、第1マスキングストリップは、反射層よりも大きな表面積を有し、反射層と完全に重なっている。この実施形態では、反射画像は、特にコントラストが高い;なぜなら、反射層が、第1マスキングストリップの前に完全に配置されているためである。
【0039】
第1マスキングストリップは、好ましくは、外側ペインの内側面又は外側面の縁部領域において周方向に枠状の様式で配置され、特に、反射層と重なる1つの部分において、それとは異なる部分における幅よりも大きな幅を有する。第1マスキングストリップは、特に好ましくは、側方縁部並びに上方及び下方縁部に沿って、外側ペインの内側又は外側面上に配置される。本発明の文脈において、「より大きな幅を有する」とは、マスキングストリップが、その延在方向に対して垂直なこの部分において、他の部分における幅よりも大きな幅を有することを意味する。このようにして、マスキングストリップを、反射層の寸法に適切に適合させうる。
【0040】
第1マスキングストリップは、好ましくは、1つ又は複数の層を有するコーティングである。代替的には、しかしながら、複合ペイン内に挿入される不透明な要素、例えばフィルムであってもよい。
【0041】
複合ペインの好ましい実施形態によれば、第1マスキングストリップは、単一層から成る。これは、複合ペインの製造が、特に簡単かつ経済的であるという利点を有する;なぜなら、単一の層を、マスキングストリップのために形成するだけでよいためである。
【0042】
本発明の文脈で説明した作用態様に加えて、設置状態でペインを通して識別可能なその他の構造をマスキングする役割も果たしうる。特に、フロントガラスの場合、第1マスキングストリップは、フロントガラスを乗り物本体内に接着するための接着ビードをマスキングする役割を果たす。これは、通常不規則に適用される接着ビードが、外側から見えるのを防ぎ、それによって、フロントガラス全体の調和した印象が作り出される、ことを意味する。一方、マスキングストリップは、用いられる接着剤のUV保護としても機能する。UV光を照射し続けると接着剤が損傷し、時間の経過とともに乗り物本体に対するペインの接着が緩んでしまうだろう。電気的に制御可能な機能層を有するペインの場合、第1マスキングストリップは、例えば、バスバー及び/又は接続要素を隠す役割も果たしうる。
【0043】
第1マスキングストリップは、好ましくは、外側ペイン上に、特にはスクリーン印刷によって印刷される。印刷インクは、目の細かい織物を通してガラスペイン上に押し付けられる。印刷インクは、例えば、ゴム製のスクイージーを用いて織物を通して押し付けられる。織物は、印刷インクを透過する領域及びそのインクを透過しない領域を有し、これらは、印刷の幾何学的形状を定義する。このようにして、織物は、印刷のためのステンシルとして機能する。印刷インクは、液相(溶媒)、例えば水又は有機溶媒(アルコールなど)中に懸濁された、少なくとも1種の顔料及びガラスフリットを含有する。顔料は、典型的には黒色顔料であり、例えばカーボンブラック、アニリンブラック、ボーンブラック、酸化鉄ブラック、スピネルブラック、及び/又はグラファイトである。
【0044】
インクが印刷された後、ガラスペインは、温度処理に供され、この処理において、液相が蒸発によって排出され、ガラスフリットが溶融し、ガラス表面に恒久的に接着される。温度処理は、典型的には、450℃~700℃の範囲内の温度で行われる。顔料は、溶融ガラスフリットによって形成されたガラスマトリックス中に、マスキングストリップとして残る。
【0045】
代替的には、第1マスキングストリップは、不透明、すなわち着色又は顔料付けされた、好ましくは黒色顔料付けされた、熱可塑性複合フィルムであって、好ましくはポリビニルブチラール(PVB)、エチルビニルアセテート(EVA)、又はポリエチレンテレフタレート(PET)、好ましくはPVBに基づく熱可塑性複合フィルムである。複合フィルムの着色又は顔料付けを、自由に選択してよいが、好ましくは黒色である。着色又は顔料付けされた複合フィルムは、好ましくは外側ペインと内側ペインとの間、特に好ましくは外側ペインの内側面上に配置される。着色又は顔料付けされた熱可塑性複合フィルムは、好ましくは0.25mm~1mmの厚さを有する。
【0046】
あるものが、ある材料に「基づいて」形成されている場合、その大部分はこの材料から成り、特には、不純物又はドーパントに加えて実質的にこの材料から成る。
【0047】
本発明による複合ペインの別の好ましい実施形態によれば、外側ペインの内側面上の第1マスキングストリップに加えて、少なくとも1つの追加のマスキングストリップを、内側ペインの外側面上及び/又は内側ペインの内側面上に配置する。追加のマスキングストリップは、外側ペインと内側ペインとの接着性を向上させる役割を果たし、好ましくはセラミック粒子と混合され、これはマスキングストリップに粗くて接着性のある表面を与える。これは、例えば、内側ペインの内側面上で、乗り物本体内での複合ペインの結合をサポートする。内側ペインの外側面上では、これは、複合ペインの2つの個別のペインの積層をサポートする。内側ペインの内側面上に適用される追加のマスキングストリップを、美的理由、例えば、反射層の縁部を隠すため、又は透明領域への移行の縁部を形成するために設けてもよい。第1及び追加のマスキングストリップは、好ましくは5μm~50μm、特に好ましくは8μm~25μmの厚さを有する。
【0048】
反射層によって反射される光は、好ましくは可視光、すなわち約380nm~780nmの波長範囲内の光である。このように、反射層は、約380nm~780nmの波長範囲内の可視光を反射するのに適している。反射層は、好ましくは、p偏光及び/又はs偏光放射に対して(様々な入射角度で)高いかつ均一な反射率を有し、それによって、高輝度、カラーニュートラルな画像表示が確保される。
【0049】
反射層は、好ましくは光に対して部分的に透明であり、これは、本発明の文脈において、反射層が、可視スペクトル範囲内で、好ましくは少なくとも60%、特に好ましくは少なくとも70%、とりわけ85%未満の平均透過率(ISO 9050:2003に従う)を有し、このように、ペインを通しての透視を実質的に制限しないことを意味する。反射層は、好ましくは、反射層に入射する光の少なくとも15%、特に好ましくは少なくとも20%、最も特に好ましくは少なくとも30%を反射する。反射層は、好ましくは、p偏光又はs偏光のみを反射する。反射層は、画像表示装置からの光を反射することを意図されたものである。
【0050】
反射層は不透明であってもよい。反射層は、好ましくは、それがマスキング層の不透明領域と一致して配置されるとき、又は反射層がマスキング層の不透明領域と完全に重なるとき、不透明である。不透明な反射層は、好ましくは、反射層に入射する光のうち、少なくとも60%、特に好ましくは少なくとも70%、最も特に好ましくは少なくとも80%を反射する。
【0051】
反射層は、画像表示装置の光を反射するように適切に実施される。反射層は、好ましくは、反射層に入射する画像表示装置からの光のうち、30%以上、好ましくは50%以上、最も特に好ましくは70%以上、とりわけ90%以上を反射する。
【0052】
本発明の好ましい実施形態において、反射層は、好ましくは、p偏光のうち、10%以上、より好ましくは50%以上、最も特に70%以上、とりわけ90%を反射する。
【0053】
偏光方向の表示は、複合ペインへの放射の入射面を指す。「p偏光放射線」という表現は、その電界が入射面内で振動する放射を指す。「s偏光放射」という表現は、その電界が入射面に垂直に振動する放射を指す。入射面は、入射ベクトル及び照射領域の幾何学的中心における複合ペインの表面法線によって生成される。
【0054】
換言すれば、偏光、すなわち特にはp偏光及びs偏光放射の割合は、画像表示装置によって照射される領域のうちのある1点において、好ましくは照射領域の幾何学的中心において決定される。複合ペインは湾曲していることがあり(例えば、それらがフロントガラスのとき)、したがって、画像表示装置の放射の入射面に影響を与えるため、わずかにずれた偏光割合が残りの領域において発生しうるが、これは物理的な理由から避けられない。
【0055】
反射層は、好ましくは、下記から成る群から選択される、少なくとも1種の金属を含む:アルミニウム、スズ、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ロジウム、イリジウム、ニッケル、パラジウム、白金、銅、銀、金、又はそれらの混合合金。反射層は、特に好ましくはアルミニウム又はニッケルクロム合金を含有する。特には、反射層は、アルミニウム又はニッケルクロム合金から成る。アルミニウム及びニッケルクロム合金は、可視光に対して特に高い反射率を有する。
【0056】
本発明の特定の一実施形態では、反射層は、薄膜スタック、すなわち薄い個別の層の層配列を含有するコーティングである。この薄膜スタックは、銀に基づく1つ又は複数の導電層を含有する。銀に基づく導電層は、反射コーティングに、基本的な反射特性並びにIR反射効果及び導電性をも与える。導電層は銀に基づく。この伝導層は、好ましくは、少なくとも90重量%の銀、特に好ましくは少なくとも99重量%の銀、最も特に好ましくは少なくとも99.9重量%の銀を含有する。銀層は、ドーパント、例えばパラジウム、金、銅、又はアルミニウムなどを有してよい。銀に基づいた材料は、光、特に好ましくはp偏光の反射に、特に適している。反射層において銀を用いると、光の反射において特に有利であることが証明されている。コーティングは、5μm~50μm、好ましくは8μm~25μmの厚さを有する。
【0057】
反射層は、光、好ましくはp偏光を反射する、反射コーティングフィルム又は反射非コーティングフィルムとして実施してもよい。反射層は、反射コーティングを有するキャリアフィルム、又は反射ポリマーフィルムであってよい。反射コーティングは、好ましくは、交互の屈折率を有する金属及び/又は誘電体層配列に基づく、少なくとも1つの層を含む。金属に基づく層は、好ましくは、銀及び/若しくはアルミニウムを含有するか、又は銀及び/若しくはアルミニウムでできている。誘電体層は、例えば、窒化ケイ素、酸化亜鉛、酸化スズ亜鉛、混合ケイ素-金属窒化物(例えばケイ素-ジルコニウム窒化物など)、酸化ジルコニウム、酸化ニオブ、酸化ハフニウム、酸化タンタル、酸化タングステン、又は炭化ケイ素に基づいていてよい。上記の酸化物及び窒化物は、化学量論的、部分化学量論的、又は超化学量論的に堆積してよい。それらは、ドーパント、例えばアルミニウム、ジルコニウム、チタン、ホウ素などを有してよい。反射非コーティングポリマーフィルムは、好ましくは誘電性ポリマー層を含むか、又は誘電性ポリマー層でできている。誘電性ポリマー層は、好ましくはPETを含有する。反射層が反射フィルムとして実施される場合、その厚さは、好ましくは30μm~300μm、特に好ましくは50μm~200μm、とりわけ100μm~150μmである。
【0058】
反射層をコーティングとして実装する場合、それを、好ましくは物理蒸着(PVD)によって内側ペイン上又は外側ペイン上に適用し、特に好ましくは陰極スパッタリング(「スパッタリング」)によって、最も特に好ましくはマグネトロン増強陰極スパッタリング(「マグネトロンスパッタリング」)によって適用する。しかしながら、原理的には、コーティングを、例えば、化学蒸着(CVD)、プラズマ化学蒸着(PECVD)によって、蒸着によって、又は原子層蒸着(ALD)によって適用してもよい。コーティングを、好ましくは、積層前にペインに適用する。
【0059】
反射層がコーティングされた反射フィルムの場合、CVD又はPVDコーティング法を製造のために用いてもよい。
【0060】
本発明による複合ペインの別の好ましい実施形態によれば、反射層を、反射コーティングキャリアフィルム又は反射非コーティングポリマーフィルムとして実装し、熱可塑性中間層内に配置する。この配置の利点は、反射層を、外側ペイン又は内側ペインに、薄膜技術(例えば、CVD又はPVDなど)を用いて適用する必要がないことである。これは、、さらに有利な機能、例えば反射層上での光のより均一な反射など、を有する反射層の利用をもたらす。さらに、複合ペインの製造を簡素化することができる;なぜなら、反射層を、外側又は内側ペイン上に、積層前に追加のプロセスを介して配置する必要がないためである。
【0061】
本発明の特に好ましい実施形態において、反射層は、反射フィルムであり、これは、金属を含まず、好ましくはp偏光を有する可視光線を反射する。その反射層は、互いに相乗的に作用するプリズム及び反射偏光子に基づいて機能するフィルムである。反射層として用いるためのそのようなフィルムは、例えば3M社から市販されている。
【0062】
本発明の別の好ましい実施形態において、反射層はホログラフィック光学素子(HOE)である。「HOE」という用語は、ホログラフィーの動作原理に基づいた素子を指す。HOEは、通常は屈折率における変化として、ホログラム内に保存された情報を用いて、線(ビーム)経路内の光を変化させる。それらの機能は、その干渉パターンが望ましい光学効果を生み出す平面又は球面の光波の重ね合わせに基づく。HOEは、輸送分野(例えばヘッドアップディスプレイなど)において、すでに用いられている。単純な反射層と比較したHOEの使用の利点は、目及びプロジェクタの位置の配置、並びにプロジェクタ及び反射層などのそれぞれの傾斜角に関する、幾何学的設計の自由度が比較的大きいことに起因する。さらに、この変形例を用いると、二重画像が、特に大幅に軽減されるか、又は防止をもされる。HOEは、実画像又は仮想画像さえも、異なる画像幅において表示するのに適している。さらに、幾何学的な反射角を、HOEを用いて調整しうるため、例えば乗り物内での利用の場合、運転者に伝達される情報を、望ましい視野角から非常によく表示しうる。
【0063】
有利なことに、反射層は、ペインにおける光の単なる反射と比較して、反射された光の特性を改善しうる。反射されるp偏光の割合は、好ましくは高く、光の反射率は例えば約90%である。
【0064】
本発明の特定の一実施形態において、高屈折率コーティングを、内側ペインの内側面全体又はその領域に適用する。高屈折率コーティングは、好ましくは、内側ペインの内側面と空間的に直接接触している。高屈折率コーティングは、少なくとも、複合ペインを通して見たときに反射層と完全に重なる、内側ペインの内側面上の領域内に、配置されている。このように、反射層は、高屈折率コーティングよりも、外側ペインの外側面に対して空間的に近く配置されているが、内側ペインの内側面から空間的に離れて配置されている。これは、画像表示装置によって反射層上に投影される光、好ましくはp偏光の割合が過半を占める光が、反射層に当たる前に高屈折率コーティングを通過することを意味する。
【0065】
高屈折率コーティングは、少なくとも1.7、特に好ましくは少なくとも1.9、最も特に好ましくは少なくとも2.0の屈折率を有する。屈折率の増加により高屈折効果が得られる。高屈折率コーティングが、光の反射、特には内側ペインの内部側表面におけるp偏光の反射を弱め、それによって、反射コーティングの望ましい反射が、より大きなコントラストで現れる。
【0066】
発明者による説明によれば、この効果は、高屈折率コーティングによる内部側表面の屈折率の増加に基づくものである。これにより、界面でのブリュースター角αBrewsterが増加する;なぜなら、これは、次式として決定されることが知られているためである;ここで、n1は空気の屈折率であり、n2は放射が当たる材料の屈折率である。
【0067】
【0068】
高い屈折率を有する高屈折率コーティングは、ガラス表面の実効屈折率の増加をもたらし、このようにして、コーティングされていないガラス表面と比較して、ブリュースター角がより大きな値にシフトする結果をもたらす。その結果、HUD技術に基づく投影アセンブリの一般的な幾何学的関係によって、入射角とブリュースター角の差が小さくなることで、内側ペインの内側面におけるp偏光の反射が、抑制され、これによって、発生するゴースト像(ゴーストイメージ)が弱められる。
【0069】
高屈折率コーティングは、好ましくは単一層から形成され、この層の上下にさらなる層を有さない。単一層は、良い効果を達成するのに十分であり、層を重ねて適用するよりも技術的に簡単である。しかしながら、原理的には、高屈折率コーティングは、複数の個別の層を有してもよく、これは、個別の場合において特定のパラメータを最適化するために望ましい場合がある。
【0070】
高屈折率コーティングに適した材料は、下記の通りである;窒化ケイ素(Si3N4)、混合ケイ素-金属窒化物(例えば、ケイ素-ジルコニウム窒化物(SiZrN)、混合ケイ素-アルミニウム窒化物、混合ケイ素-ハフニウム窒化物、又は混合ケイ素-チタン窒化物など)、窒化アルミニウム、酸化スズ、酸化マンガン、酸化タングステン、酸化ニオブ、酸化ビスマス、酸化チタン、混合スズ-亜鉛酸化物、及び酸化ジルコニウム。また、遷移金属酸化物(例えば酸化スカンジウム、酸化イットリウム、酸化タンタルなど)又はランタニド酸化物(例えば酸化ランタン又は酸化セリウムなど)を用いてもよい。高屈折率コーティングは、好ましくは、これらの材料の1つ又は複数を含有する、又はそれらに基づく。
【0071】
高屈折率コーティングを、物理又は化学蒸着によって適用してよく、すなわち、PVD又はCVDコーティングとしてよい(PVD:物理蒸着、CVD:化学蒸着)。コーティングが好ましくは基づく適切な材料は、下記の通りである;特には窒化ケイ素、混合ケイ素-金属窒化物(例えば、ケイ素-ジルコニウム窒化物、混合ケイ素-アルミニウム窒化物、混合ケイ素-ハフニウム窒化物、又は混合ケイ素-チタン窒化物)、窒化アルミニウム、酸化スズ、酸化マンガン、酸化タングステン、酸化ニオブ、酸化ビスマス、酸化チタン、酸化ジルコニウム、窒化ジルコニウム、又は混合スズ-亜鉛酸化物。好ましくは、高屈折率コーティングは、陰極スパッタリング(「スパッタリング」)によって適用されるコーティングであり、特にはマグネトロン増強陰極スパッタリング(「マグネトロンスパッタリング」)によって適用されるコーティングである。
【0072】
代替的には、高屈折率コーティングは、ゾルゲルコーティングである。ゾルゲル法において、まず、コーティングの前駆体を含有するゾルを提供し、熟成させる。熟成は、前駆体の加水分解及び/又は前駆体間の(部分的な)反応を含みうる。前駆体は、通常、溶媒、好ましくは水、アルコール(特にはエタノール)、又は水とアルコールの混合物中に存在する。この場合、ゾルは、好ましくは、溶媒中に酸化ケイ素前駆体を含有する。前駆体は、好ましくは、シラン、特にはテトラエトキシシラン又はメチルトリエトキシシラン(MTEOS)である。しかしながら、代替的には、下記を前駆体として使用してもよい;ケイ酸塩、特にはケイ酸ナトリウム、ケイ酸リチウム、又はケイ酸カリウム、例えばオルトケイ酸テトラメチル、オルトケイ酸テトラエチル(TEOS)、オルトケイ酸テトライソプロピル、又は一般形R2nSi(OR1)4-nのオルガノシラン。ここで、R1は、好ましくは、アルキル基である;R2は、アルキル、エポキシ、アクリレート、メタクリレート、アミン、フェニル、又はビニル基である;nは0~2の整数である。ハロゲン化ケイ素又はアルコキシドを用いてもよい。酸化ケイ素前駆体によって、酸化ケイ素のゾルゲルコーティングが形成される。コーティングの屈折率を本発明による値まで高めるために、屈折率を高める添加剤、好ましくは酸化チタン及び/若しくは酸化ジルコニウム、又はそれらの前駆体を、ゾルに添加する。完成したコーティングにおいて、屈折率を高める添加剤が、酸化ケイ素マトリックス中に存在する。酸化ケイ素の、屈折率を高める添加剤に対するモル比を、望ましい屈折率に応じて自由に選択してよく、例えば約1:1である。
【0073】
本発明の別の特定の実施形態では、高屈折率コーティングを、追加のマスキングストリップ上に、領域的に適用し、追加のマスキングストリップを、内側ペインの内側面に適用する。この文脈において、「領域的に」という言葉は、高屈折率コーティングを、追加のマスキングストリップ上に部分的に又は完全に配置するが、さらに、内側ペインの内側面上に適用してもよいことを意味する。これは、マスキングストリップが内側ペインに事前に適用されているかどうかに関係なく、高屈折率層を内側ペイン全体に適用できるという利点を有する。
【0074】
好ましくは、さらなる導電性コーティングを、内側ペインの外側面上又は外側ペインの内側面上で少なくとも領域的に適用する。
【0075】
導電性コーティングは、内側ペインの外側面全体又は外側ペインの内側面全体にわたって延在してよい。導電性コーティングは、好ましくは、内側ペインの外側面又は外側ペインの内側面のうち、少なくとも50%、特に好ましくは少なくとも70%、最も特に好ましくは少なくとも90%にわたって延在する。
【0076】
導電性コーティングを、内側ペイン若しくは外側ペイン、反射層、又はマスキングストリップ上に空間的に直接適用してよい。代替的には、導電性コーティングは、外側ペイン又は内側ペインに結合されたキャリアフィルムに適用してもよい。
【0077】
導電性コーティングは、典型的には、1つ又は複数、例えば、2つ、3つ、又は4つの導電性機能層を含有する。この機能層は、好ましくは、少なくとも1種の金属、例えば、銀、金、銅、ニッケル、及び/若しくはクロム、又は金属合金を含有する。機能層は、特に好ましくは、少なくとも90重量%のその金属、特に少なくとも99.9重量%のその金属を含有する。機能層はその金属又はその金属合金から成っていてよい。機能層は、特に好ましくは銀又は銀含有合金を含有する。このような機能層は、特に有利な導電性を有し、同時に、可視スペクトル範囲において高い透過率を有する。機能層の厚さは、好ましくは5nm~50nm、特に好ましくは8nm~25nmである。機能層の厚さがこの範囲であれば、可視スペクトル範囲での有利に高い透過率、及び特に有利な導電性が達成される。
【0078】
好ましくは、少なくとも1つの誘電体層が、それぞれ、コーティングの2つの隣接する機能層の間に配置される。好ましくは、さらなる誘電体層が、最初の機能層の下及び/又は最後の機能層の上に配置される。誘電体層は、誘電体材料、例えば、窒化ケイ素などの窒化物又は酸化アルミニウムなどの酸化物を含有する誘電体材料の、少なくとも1つの単層を含有する。しかしながら、誘電体層は、複数の個別の層、例えば、誘電体材料の個別の層、平滑化層、整合層、ブロッキング層、及び/又は反射防止層を含んでもよい。誘電体層の厚さは、例えば10nm~200nmである。
【0079】
この層構造は一般に、真空プロセス、例えばマグネトロン強化カソードスパッタリングなどによって実行される、一連の蒸着操作によって得られる。
【0080】
他の適切な導電性コーティングは、好ましくは、インジウムスズ酸化物(ITO)、フッ素ドープスズ酸化物(SnO2:F)、又はアルミニウムドープ亜鉛酸化物(ZnO:Al)を含有する。その機能層は、好ましくは、8nm~25nm、特に好ましくは13nm~19nmの層厚を有する。これは、導電性コーティングの透明性、カラーニュートラル性、及びシート抵抗の点で特に有利である。
【0081】
有利な実施形態では、導電性コーティングは、合計厚さが2μm以下、特に好ましくは1μm以下である、層又は複数の個別層の層構造である。
【0082】
全ての導電層の合計層厚は、好ましくは40nm~80nm、特に好ましくは45nm~60nmである。全ての導電層の合計厚さに関するこの範囲において、十分に高い比熱力P、及び、同時に十分に高い透過率が、2つのバスバー間の典型的な距離h、及び乗り物ペイン用、特にフロントガラス用の12V~15Vの範囲内の動作電圧Uをもって、有利に達成される。さらに、導電性コーティングは、全ての導電層の合計厚さに関するこの範囲において、赤外線範囲に対して特に優れた反射特性を有する。全ての導電層の合計層厚が過度に低いと、シート抵抗Rsquareが過度に高くなり、したがって、比熱力Pが過度に低くなり、かつ赤外線範囲に対する反射特性が低下する。全ての導電層の合計層厚が過度に大きいと、ペインを通過する透過率が低下しすぎることによって、乗り物用窓の透過率の要件を満たさなくなる。
【0083】
本発明の好ましい実施形態では、導電性コーティングは、薄い金属ワイヤの形態で実装され、これは、好ましくは、内側又は外側ペインの一方の縁部領域から内側又は外側ペインのそれぞれの反対側の縁部領域まで延在する。ワイヤは重なり合っていてもよい。金属ワイヤの直径は、好ましくは0.5mm未満である。金属ワイヤは、好ましくは、少なくとも1種の金属、例えば、銀、金、銅、ニッケル、及び/若しくはクロム、又は金属合金を含有する。金属ワイヤは、特に好ましくは、少なくとも90重量%のその金属、特に少なくとも99.9重量%のその金属を含む。コーティングの実施形態としての金属ワイヤは、導電性コーティングが加熱電流を介して加熱される用途に特に適している。
【0084】
加熱コーティングのIR反射効果にかかわらず、そのコーティングを、複合ペインを加熱するために用いてもよい。この目的のために、好ましくは、電圧源に接続するために提供された少なくとも2つの外側バスバーが、導電性コーティングに接続され、それによって、加熱電流のための電流経路がバスバー間に形成される。導電性コーティングを介した複合ペインの加熱の結果、複合ペインが乗り物内に設置される際に典型的に用いられる加熱、換気、空調(HVAC)方法を用いた加熱の種々の態様が、不要となる。これにより、ダッシュボードの領域内でさらなる省スペース化が可能になる。HVACを用いた加熱は、通常エンジンコンパートメント内で加熱される空気を、複合ペインに導く供給ラインを必要とする。これらの供給ラインは通常、乗り物のダッシュボード内に設置され、大きなスペースを必要とする。しかしながら、電気コーティングの電気加熱は、電気自動車での使用に関しても有利である。電気自動車では、導電性コーティングを介してフロントガラスを加熱することは、複合ペインに向けられた空気の電気加熱と比較して、エネルギーの節約を意味する。さらに、設計における自由度がある;なぜなら、HVACシステムの排気口は、送風機能を実現するために、ガラス表面に対して定められた幾何学的配置で配置しなければならないためである。導電性コーティングの使用は、このような境界条件を無くし、ダッシュボードをより自由に配置してよい。
【0085】
本発明による複合ペインの導電性コーティングは、好ましくは、1Ω/sq以下、特に好ましくは0.4Ω/sq~0.9Ω/sq、最も特に好ましくは0.5Ω/sq~0.85Ω/sq、例えば約0.7Ω/sqのシート抵抗を有する。シート抵抗に関するこの範囲では、高い比熱力Pが有利に達成される。さらに、シート抵抗のこの範囲では、導電性コーティングは、赤外線範囲に対して特に良好な反射特性を有する。
【0086】
本発明の特定の実施形態において、導電性コーティングは、外側ペイン又は内側ペインの縁部領域において、電圧源に接続するために提供された2つのバスバーに接続され、それによって、加熱電流のための電流経路がバスバー間に形成される。この文脈において、導電性コーティングは、好ましくは、外側ペイン又は内側ペインの90%以上にわたって延在している。この配置により、複合ペインの大部分を効率的に加熱することができる。
【0087】
本発明の別の特定の実施形態では、導電性コーティングは、第1マスキングストリップと完全に重なるように配置され、電圧源に接続するために提供された2つのバスバーに接続され、それによって、加熱電流のための電流経路がバスバー間に形成される。好ましくは、導電性コーティングは、マスキングストリップ上に適用される。別の可能性では、マスキングストリップは、導電性コーティング上に適用される。この変形例では、第1マスキングストリップと一致する領域を、選択的に加熱することができる。
【0088】
バスバーは、印刷されかつ焼成された伝導性構造体として実装してよい。印刷されたバスバーは、好ましくは、少なくとも金属、金属合金、金属化合物、及び/又は炭素、特に好ましくは貴金属、特には銀を含有する。印刷ペーストは、好ましくは、金属性粒子、金属粒子、及び/又は炭素、特には銀粒子などの貴金属粒子を含有する。導電性は、好ましくは、導電性粒子を通じて達成される。その粒子は、有機及び/又は無機マトリックス中、例えば、好ましくはガラスフリットを含有する印刷ペーストとしての、ペースト又はインク中に、存在してよい。
【0089】
印刷されたバスバーの層厚は、好ましくは5μm~40μm、特に好ましくは8μm~20μm、最も特に好ましくは8μm~12μmである。これらの厚さを有する印刷されたバスバーは、技術的に実現が容易であり、有利な通電容量を有する。
【0090】
バスバーの幅は、好ましくは2mm~30mm、特に好ましくは4mm~20mm、とりわけ10mm~20mmである。バスバーがこれらより薄いと、電気抵抗が過度に高くなり、その結果、動作の際にバスバーが過度に加熱される。さらに、これらより薄いバスバーは、スクリーン印刷などの印刷技術による製造が困難である。これらより厚いバスバーは、望ましくないほど多い材料の使用量を必要とする。
【0091】
バスバーの比抵抗ρaは、好ましくは0.8μΩ・cm~7.0μΩ・cm、特に好ましくは1.0μΩ・cm~2.5μΩ・cmである。この範囲内の比抵抗を有するバスバーは、技術的に実現が容易であり、有利な通電容量を有する。
【0092】
しかしながら、代替的には、バスバーを、導電性箔のストリップとして実装してもよい。そして、バスバーは、例えば、少なくともアルミニウム、銅、スズメッキ銅、金、銀、亜鉛、タングステン、及び/若しくはスズ、又はそれらの合金を含有する。ストリップは、好ましくは10μm~500μm、特に好ましくは30μm~300μmの厚さを有する。これらの厚さを有する導電性箔でできているバスバーは、技術的に実現が容易であり、有利な通電容量を有する。ストリップは、例えば、はんだ化合物を介して、導電性接着剤を介して、又は直接配置することによって、導電性構造体に導電的に接続してよい。
【0093】
本発明の別の特定の実施形態では、導電性コーティングは、外側ペイン又は内側ペインの周縁部領域を除いた、外側ペインの内側面全体又は内側ペインの外側面全体上に、好ましくは5mm~100mm、特に好ましくは10mm~50mmの幅で、配置される。乗り物内に設置された状態では、このようにして形成された非コーティング領域(すなわち、導電性コーティングの無い縁部領域)は、導電性コーティングと乗り物本体との間の電気絶縁の役割を果たす。
【0094】
外側ペイン及び内側ペインは、好ましくは、下記を含有するか、又は下記でできている:ガラス、特に好ましくは板ガラス、フロートガラス、石英ガラス、ホウケイ酸ガラス、ソーダ石灰ガラス、アルミノケイ酸ガラス、又は透明プラスチック、好ましくは硬質透明プラスチック、特にポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリアミド、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、及び/又はそれらの混合物。
【0095】
外側ペイン及び内側ペインには、それ自体既知の適切なコーティング、例えば反射防止コーティング、非粘着性コーティング、耐スクラッチ性コーティング、光触媒コーティング、又は日射遮蔽コーティング若しくはLow-Eコーティングをさらに有してよい。
【0096】
個々のペイン(外側ペイン及び内側ペイン)の厚さは様々であってよく、個々の場合の要件に適合させてよい。好ましくは、0.5mm~5mm、より好ましくは1.0mm~2.5mmの標準的な厚さを有するペインが用いられる。ペインの大きさは、様々であってよく、用途によって決まる。
【0097】
複合ペインは、望ましい任意の三次元形状を有してよい。好ましくは、外側ペイン及び内側ペインは、シャドーゾーンを有さず、それによって、外側ペイン及び内側ペインを、例えば、カソードスパッタリングによってコーティングすることができるようになる。好ましくは、外側ペイン及び内側ペインは、1つ又は複数の空間方向において平坦であるか、又はわずかに若しくは強く湾曲している。
【0098】
熱可塑性中間層は、随意にポリエチレンテレフタレート(PET)と組み合わせて、下記を含有するか、又は下記でできている:少なくとも1種の熱可塑性プラスチック、好ましくはポリビニルブチラール(PVB)、エチレンビニルアセテート(EVA)、及び/若しくはポリウレタン(PU)、又はそれらのコポリマー若しくは誘導体。しかしながら、熱可塑性中間層は、例えば、下記を含有してもよい:ポリプロピレン(PP)、ポリアクリレート、ポリエチレン(PE)、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリアセテート樹脂、注型用樹脂(キャスティングレジン)、アクリレート、フッ素化エチレンプロピレン、ポリフッ化ビニル、及び/若しくはエチレンテトラフルオロエチレン、又はこれらの共重合体若しくは混合物。
【0099】
熱可塑性中間層は、好ましくは、少なくとも1つの熱可塑性複合フィルムとして実施され、下記を含有するか、又は下記でできている:ポリビニルブチラール(PVB)、特に好ましくはポリビニルブチラール(PVB)及び当業者に公知の添加剤、例えば可塑剤など。好ましくは、熱可塑性中間層は、少なくとも1種の可塑剤を含有する。
【0100】
可塑剤は、プラスチックをより柔らかく、より柔軟に、より平滑にし、かつ/又はより弾性を高める化学化合物である。可塑剤は、プラスチックの熱弾性範囲を低温側にシフトさせ、それによって、プラスチックが、使用温度範囲において望ましいより大きい弾性特性を有するようにする。好ましい可塑剤は、カルボン酸エステル、特に低揮発性のカルボン酸エステル、油脂、軟質樹脂、及び樟脳(カンファ―)である。他の可塑剤は、好ましくはトリ-又はテトラエチレングリコールの脂肪族ジエステルである。可塑剤として特に好ましく用いられるものは、3G7、3G8又は4G7であり、ここで最初の桁はエチレングリコール単位の数を示し、最後の桁は化合物のカルボン酸部分における炭素原子の数を示す。したがって、3G8は、トリエチレングリコール-ビス-(2-エチルヘキサノエート)、換言すれば、式C4H9CH(CH2CH3)CO(OCH2CH2)3O2CCH(CH2CH3)C4H9の化合物を表す。
【0101】
好ましくは、PVBに基づく熱可塑性中間層は、少なくとも3重量%、好ましくは少なくとも5重量%、特に好ましくは少なくとも20重量%、さらにもっと好ましくは少なくとも30重量%、とりわけ少なくとも35重量%の可塑剤を含有する。可塑剤は、好ましくはトリエチレングリコール-ビス-(2-エチルヘキサノエート)を含有するか、又はこれでできている。
【0102】
熱可塑性中間層を、単一のフィルムによって形成してもよいし、複数のフィルムによって形成してもよい。熱可塑性中間層を、上下に配置された1又は複数の熱可塑性フィルムによって形成してよく、熱可塑性中間層の厚さは、好ましくは0.25mm~1mm、典型的には0.38mm又は0.76mmである。
【0103】
熱可塑性中間層は、機能性熱可塑性中間層、特には音響減衰特性を有する中間層、赤外線反射中間層、赤外線吸収中間層、及び/又は紫外線吸収中間層であってもよい。例えば、熱可塑性中間層は、可視光の狭い帯域を遮断する帯域フィルタフィルムであってもよい。
【0104】
本発明はさらに、本発明による複合ペインと反射層に関連付けられた画像表示装置とを有する投影アセンブリに及ぶ。この画像表示装置は、反射層に向けられた画像ディスプレイを有し、その画像は反射層によって反射され、この画像はその後、好ましくは内側ペインの内側面を介して、本発明による複合ペインから離れ、ここで、反射層の少なくとも第1マスキングストリップと重なっている領域は、画像表示装置によって照射される。複数の反射層が、その延在においてで互いにずれて配置される場合、対応する数の画像表示装置を提供してよい。
【0105】
本発明の特定の実施形態では、第1マスキングストリップと重なっている領域に加えて、反射層は、第1マスキングストリップと重なっていない領域にもわたって延在している。この場合、投影アセンブリは、さらなる画像表示装置を含み、その画像は、反射層によって反射され、これはその後、内側ペインの内側面を介して本発明による複合ペインから離れ、ここで、反射層のうち第1マスキングストリップと重なっていない領域に位置している一部が、さらなる画像表示装置によって照射される。この適用の利点は、高コントラストの反射画像を、反射層が第1マスキングストリップと重なっている部分において、得ることができることである。さらなる画像表示装置の画像は、好ましくは、複合ペインを通して透過視される領域内で反射され、このようにして、乗り物内で用いられるような従来のヘッドアップディスプレイ画像を形成する。
【0106】
本発明の文脈では、「第1マスキングストリップと重ならない領域」という表現は、複合ペインを通した透視において、この領域が第1マスキングストリップと重ならないことを意味する。
【0107】
本発明による投影アセンブリの好ましい実施形態によれば、ディスプレイとも呼ぶことができる画像ディスプレイを、下記として実装してよい:液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜トランジスタディスプレイ(TFT)、発光ダイオードディスプレイ(LED)、有機発光ダイオードディスプレイ(OLED)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(EL)、マイクロLEDディスプレイなど、好ましくはLCDディスプレイ。p偏光の反射率が高いため、エネルギーを大量に消費するプロジェクタ、例えばヘッドアップディスプレイ用途において通常使用されるようなものなど、は必要ない。上述したディスプレイの種々の態様及び他の同様の省エネ画像表示装置で十分である。その結果、エネルギー消費量と放熱を削減することができる。
【0108】
本発明の別の好ましい実施形態では、投影アセンブリは、利用者の視野を捕捉することを目的とする視野カメラを含み、これは、画像表示装置及び複合ペインと相互作用し、それによって、視覚的に、利用者が、反射層を介して反射された画像を最適に見つけることができるようにする。
【0109】
視野カメラは、少なくともアイカメラ及び赤外光源を含む。視野カメラは、「リモートアイトラッカー」の原理に基づいて動作する。その結果、本発明による投影アセンブリが、乗り物内に設置されているとき、視野カメラを、ダッシュボード領域内又は複合ペイン上に取り付けてよい。赤外光源は、赤外光を放出し、これを、アイカメラが利用者の眼球上の反射を介して検知し、このようにして、目の位置を追跡することができる。このようにして得られた利用者の目の位置に関するデータが、評価され、画像表示装置の向きの調整につながりうる。画像表示装置の向きの変化は、利用者の目の位置によって決定され、その結果、反射層上の画像の反射における角度の変化をもたらす。反射された画像は、このようにして、改善された角度で利用者の目に当たり、画像のより良い視覚的認識を可能にする。
【0110】
本発明の別の好ましい実施形態では、投影アセンブリは、機能要素を含む。これは、利用者のフリーハンドの動きを検知することを目的とし、画像表示装置と相互作用し、それによって、画像表示装置を制御するために用いられうる情報を、利用者のフリーハンドの動きから得ることができるようになる。
【0111】
その機能要素は、定義された領域の3D画像を生成できる1つ又は複数の光学センサを含んでよい。3D画像から、例えば、動き、ジェスチャー、又は接近を、検知することができ、これらを、反射層上の反射を介して利用者に視覚的にアクセスできるようにされる画像表示を制御かつ監視するために、用いてよい。機能要素は、人の身体部分の動き及び/又は存在を検知するための評価ユニットに接続されている。
【0112】
本発明の特定の実施形態では、光学センサは、好ましくは少なくとも300GHzの周波数範囲内、特に好ましくは赤外光周波数範囲内で、放射かつ検知する。手信号又はジェスチャーを認識するための赤外光システムは、すでに広範囲にわたって研究されており、その結果、特に商業的使用に適している。
【0113】
本発明のさらなる特定の実施形態では、光学センサは、好ましくは最大でも300GHzの周波数範囲内で放射かつ検知する。より低い周波数の線(ビーム)は、動き及びジェスチャーの検知に特に適している;なぜなら、それらは、可視又は赤外領域内の光線の形態で、放射汚染の影響を受けにくいためである。
【0114】
代替的には、機能要素は、複数の容量性センサ(キャパシティブセンサ)を含んでよい。容量性センサは、表面電極によって又は2つの結合電極の配置によって形成されうる、切替え領域(スイッチング領域)を形成する。ある物体が容量性切替え領域に近づくと、接地に対する表面電極の静電容量又は2つの結合電極によって形成されているコンデンサの静電容量が、変化する。静電容量の変化は、回路配置又はセンサ電子機器によって測定され、閾値を超えると切替え信号(スイッチング信号)が、作動させられる。このようにして作動させられた切替え信号を、機能要素に電気的に接続された画像表示装置を運転するために用いてよい。好ましくは15cmまで、特には10cmまでの至近距離での動きを、特に容易に検出しうる。異なる切替え信号を特定の順序で動かすことによって、動きの方向を検知することもできる。このようにして、反射層上の反射を介して利用者に視覚的にアクセスできるようにされる画像表示を、制御かつ監視することができる。
【0115】
機能要素及び/又は視野カメラは、好ましくは、本発明による複合ペインに取り付けられるが、複合ペイン内、すなわち、外側ペインと内側ペインとの間に、配置してもよい。外側ペインの内側面及び内側ペインの外側面上への配置も、同様に可能である。代替的には、本発明による投影アセンブリが乗り物内に設置されているとき、機能要素及び/又は視野カメラは、ダッシュボード領域に取り付けられる。
【0116】
本発明はさらに、本発明による複合ペインを製造するための方法にも及ぶ。この方法は、以下のステップを含む:
(a)第1ステップでは、外側ペイン、内側ペイン、及び熱可塑性中間層を提供し、ここで、外側ペイン及び内側ペインは、それぞれ、外側面及び内側面を有する。
(b)第2ステップでは、第1マスキングストリップを、内側又は外側ペインの外側面又は内側面のうちの一つに領域的に配置する。
(c)第3ステップでは、導電性コーティングを適用する。
(d)第4ステップでは、熱可塑性中間層を外側ペインと内側ペインとの間に配置し、それによって、外側ペインの内側面と内側ペインの外側面とを互いに対向させた、層スタックを形成する。反射層は、常に、内側ペインから外側ペインに向かって見たときに、第1マスキングストリップの前に空間的に配置され、第1マスキングストリップは、少なくとも一領域において反射層と重なる。反射層を、光を反射するように適切に設計する。
(e)第5ステップでは、層スタックを積層して複合ペインを形成する。
【0117】
これらのステップは、好ましくは上記の順序((a)~(d))で実施される。しかしながら、第2及び第3のステップは、異なる順序で実施してよい。
【0118】
層スタックは、熱、真空、及び/又は圧力の作用下で積層され、ここで、個々の層は少なくとも1つの熱可塑性中間層によって互いに接合(積層)される。それ自体既知の方法を、複合ペインを製造するために用いてよい。例えば、いわゆるオートクレーブ法を、約10bar~15barの高圧、及び130℃~145℃の温度において、およそ2時間にわたって実行してよい。それ自体公知の真空バッグ又は真空リング方法は、例えば、およそ200mbarかつ130℃~145℃において動作する。外側ペイン、内側ペイン、及び熱可塑性中間層を、複合ペインを形成するために、少なくとも一対のローラー間のカレンダー内においてプレスしてもよい。複合ペインを製造するためのこのタイプの設備は公知であり、通常、プレスから上流に少なくとも1つの加熱トンネルを有する。プレス作業の際の温度は、例えば40℃~150℃である。カレンダー加工及びオートクレーブ法の組み合わせは、実際に特に有用であることが証明されている。代替的には、真空ラミネーターを用いてよい。これらは、1つ又は複数の加熱可能かつ排気可能なチャンバーから成り、この中で外側ペイン及び内側ペインを、例えば、0.01mbar~800mbarの減圧下、80℃~170℃の温度において、約60分以内にわたって積層してよい。
【0119】
本発明はさらに、陸上、空中、又は水上を移動するための移動手段、特には自動車における、本発明による複合ペインの使用にまで及び、この場合、複合ペインを、例えば、フロントガラス、リアウィンドウ、サイドウィンドウ、及び/又はガラスルーフとして、好ましくは、フロントガラスとして、用いてよい。好ましくは、複合ペインを乗り物のフロントガラスとして用いる。
【0120】
本発明の様々な実施形態を、個別に、又は任意の組み合わせにおいて実施してよい。特に、上述及び以下に説明する特徴は、本発明の範囲から逸脱することなく、示された組み合わせだけでなく、他の組み合わせ又は単独において用いてよい。
【0121】
以下、本発明を、添付の図を参照しながら、以下のように例示的な実施形態を用いてより詳細に説明する。これらの図は、簡略化された表現であり、縮尺通りではない:
【0122】
図1Aは、本発明による複合ペインの一実施形態の平面図である。
図1Bは、
図1の複合ペインを有する本発明による投影アセンブリの断面図である。
図2は、複合ペインを有する本発明による投影アセンブリの別の断面図である。
図3は、本発明による複合ペインのさらなる実施形態を示す平面図である。
図4は、本発明による複合ペインのさらなる実施形態を示す平面図である。
図5は、本発明による投影アセンブリの様々な実施形態の拡大断面図である。
図6は、本発明による投影アセンブリの様々な実施形態の拡大断面図である。
図7は、本発明による投影アセンブリの様々な実施形態の拡大断面図である。
図8は、本発明による投影アセンブリの様々な実施形態の拡大断面図である。
図9は、本発明による投影アセンブリの様々な実施形態の拡大断面図である。
図10は、本発明による投影アセンブリの様々な実施形態の拡大断面図である。
【0123】
図1Aは、乗り物内での本発明による複合ペイン1の実施形態を、高度に単純化した概略表現での平面図を示す。
図1Bは、投影アセンブリ100における
図1Aの例示的な実施形態の断面図を示す。
図1Bの断面図は、
図1Aに示されるように、複合ペイン1の断面線A-A’に対応する。
【0124】
複合ペイン1は、複合ペインの形態で実装され(
図5~10参照)、外側ペイン2及び内側ペイン3を有し、外側ペイン2と内側ペイン3との間に配置される熱可塑性中間層4を有する。複合ペイン1は、例えば乗り物内に設置され、乗り物内部14を外部環境15から仕切る。複合ペイン1は、例えば、自動車のフロントガラスである。
【0125】
外側ペイン2及び内側ペイン3は、それぞれ、ガラス、好ましくは熱強化ソーダ石灰ガラスでできており、可視光に対して透明である。熱可塑性中間層4は、熱可塑性プラスチック、好ましくはポリビニルブチラール(PVB)、エチレン酢酸ビニル(EVA)、及び/又はポリエチレンテレフタレート(PET)から成る。
【0126】
外側ペイン2の外側面Iは、熱可塑性中間層4とは反対側を向いており、同時に、複合ペイン1の外側表面でもある。外側ペイン2の内側面II及び内側ペイン3の外側面IIIは、それぞれ中間層4に面している。内側ペイン3の内側面IVは、熱可塑性中間層4とは反対側を向いており、同時に複合ペイン1の内側面でもある。複合ペイン1は、任意の適切な幾何学的形状及び/又は曲率を有してよいことは言うまでもない。複合ペイン1として、それは典型的には凸状の曲率を有する。また、複合ペイン1は、設置状態において上部に位置する上方縁部及び設置状態において下部に位置する下方縁部、並びに左右に位置する側方縁部を有する。
【0127】
複合ペイン1の端部領域13において、枠状の周方向に、第1マスキングストリップ5が、外側ペイン2の内側面II上にある。第1マスキングストリップ5は、不透明であり、複合ペイン1の内側に配置された構造物、例えば複合ペイン1を乗り物本体内に接着するための接着ビードが見えるのを、防止する。第1マスキングストリップ5は、好ましくは黒色である。第1マスキングストリップ5は、マスキングストリップ用に従来用いられている非導電性材料、例えば、焼成された黒色スクリーン印刷インクでできている。
【0128】
さらに、
図1Bに示すように、複合ペイン1は、内側ペイン3の内側面IV上の縁部領域13において、第2マスキングストリップ6を有する。第2マスキングストリップ6は、周方向に枠状の様式で実装されている。第1マスキングストリップ5と同様に、第2マスキングストリップ6は、マスキングストリップ用に従来使用されている非導電性材料、例えば、焼成された黒色スクリーン印刷インクでできている。
【0129】
複合ペイン1の中央領域では、導電性コーティング10が、外側ペイン2の内側面II上に存在する。複合ペイン1の平面図では、導電性コーティング10は、第1マスキングストリップ5によって形成された周方向の枠内に、ほぼ配置されている。しかしながら、ここに示されているものとは異なり、これを超えて、導電性コーティング10を、第1マスキングストリップ5又は外側ペイン2の内側面II上に領域的に又は完全に適用してもよい。導電性コーティング10は、透明であり、複合ペイン1を通しての視界を妨げないか、又はわずかに妨げるだけである。複合ペイン1の縁部領域13は、導電性コーティング10でコーティングされておらず、これは、導電性コーティング10と乗り物本体との間の電気絶縁の役割を果たす。
【0130】
代替的には、導電性コーティング10は、内側ペイン3の外側面III上に、中央領域において配置してもよい。
【0131】
図1Aに示されているように、導電性コーティング10の電気的接触のために、導電性コーティング10上で(
図1Bでは見えない)、それぞれ、第1バスバー11が、左方縁部領域内に配置され、別の、第2バスバー11’が、右方縁部領域内に配置される。バスバー11、11’は、例えば銀粒子を含有し、スクリーン印刷によって適用され、その後焼成された。バスバー11、11’の長さは、複合ペイン1の側方縁部に沿った導電性コーティング10の範囲に、ほぼ対応している。
【0132】
電圧がバスバー11、11’に適用されると、均一な電流が、バスバー11、11’間の導電性コーティング10に流れる。各バスバー11、11’上に、供給ラインへの接続部を、ほぼ中央に配置してよい(ここでは図示しない)。この接続部を、接触表面を介してバスバーに電気的に接続してよい。電気的接続を介して、バスバー11、11’は、例えば、電圧源に接続され、これは、自動車に慣用されている車載電圧、好ましくは12V~15V、例えば約14Vを供給する。代替的には、14Vの電圧源は、より高い電圧、例えば35V~45V、特には42Vを有してもよい。導電性コーティング10は、例えば、層システムであり、これは、例えば、3つの導電性銀層を含有し、これらは誘電体層によって互いに分離されている。電流が導電性コーティング10に流れると、これはその電気抵抗及びジュール熱の発生によって加熱される。複合ペイン1を氷結又は曇りから保護するため、この熱を用いてよい。
【0133】
この実施形態並びに
図3及び
図4における実施形態の代替として、導電性コーティング10及び存在する場合にはバスバー11、11’を、ここに描かれた例と類似の様式で、内側ペイン3の外側面III上に配置してもよい。
【0134】
第1マスキングストリップ5上に、PVD法によって蒸着された反射層9が存在する。複合ペイン1を通して見ると、反射層9は、第2マスキングストリップ6と重なっていない。反射層9は、例えば、少なくとも1つの銀層及び1つの誘電体層を有する少なくとも1つの薄層スタックを含む、金属コーティングである。代替的には、反射層9を、反射フィルムとして実装してもよく、第1マスキングストリップ5上に、例えば接着層によって、配置してもよい。反射フィルムは、金属コーティングを含んでよいが、又は、層配列における誘電性ポリマー層から成っていてよい。これらの変形態様の組み合わせもありうる。
【0135】
複合ペイン1を通して見たとき、反射層9は、第1マスキングストリップ5と重なって配置され、第1マスキングストリップ5は、反射層9と完全に重なっている。すなわち、反射層9は、第1マスキングストリップ5と重なっていない部分を有さない。ここで、反射層9は、例えば、複合ペイン1の縁部領域13の下方(エンジン側)部分13’内にのみ配置されている。しかしながら、反射層9を、縁部領域13の上方(ルーフ側)部分13’’内又は側方部分内に配置することもできるであろう。さらに、複数の反射層9を提供してよく、例えば、縁部領域13の下方(エンジン側)部分13’内及び上方(ルーフ側)部分13’’内に配置してよい。例えば、反射層9を、(部分的な)周縁画像が生成されるように配置してよい。
【0136】
第1マスキングストリップ5は、縁部領域13の下方(エンジン側)部分13’において、幅が広くなっている。すなわち、第1マスキングストリップ5は、縁部領域13の下方(エンジン側)部分13’において、複合ペイン1の縁部領域13の上方(ルーフ側)部分13’’における幅よりも、より広い幅を有する。「幅」とは、第1マスキングストリップ5の、その延在に対して垂直な寸法を意味する。ここで、第2マスキングストリップ6は、下方(エンジン側)部分13’において拡幅配置されない(すなわち、また、反射層9と重なっていない)。
【0137】
投影アセンブリ100は、ダッシュボード7内に配置された、画像生成装置としての画像表示装置8をさらに有する。画像表示装置8は、光12(画像情報)を生成するために用いられ、これは、反射層9に向けられ、反射層9によって反射光12’として乗り物内部14内に反射され、それを、観察者、例えば運転者が見ることができる。反射層9は、画像表示装置8の光12、すなわち画像表示装置8からの画像を反射するように適切に実装される。画像表示装置8の光12は、好ましくは、複合ペイン1に、50°~80°、特に60°~70°、典型的には約65°の入射角で当たり、これはHUD投影アセンブリの慣例のままである。例えば、画像表示装置8を自動車のAピラー内又はルーフ上(いずれの場合も乗り物内部の内側)に配置することもできるであろうが、これは、反射層9がこのために適切に配置されている場合においてである。複数の反射層9が提供されているとき、各反射層9に別個の画像表示装置8を関連付けてよい。すなわち複数の画像表示装置8を配置してよい。画像表示装置8は、例えば、LCDディスプレイ、OLEDディスプレイ、ELディスプレイ、又はμLEDディスプレイ等のディスプレイである。また、例えば、複合ペイン1が、乗り物のルーフパネル、サイドウィンドウ、又はリアウィンドウであってもよいであろう。
【0138】
図2に示された変形例は、本質的に
図1A及び
図1Bの変形例に対応するため、ここでは相違点のみを論じ、それ以外は
図1A及び
図1Bに関する記述を参照する。
【0139】
図1A及び
図1Bに示すものとは異なり、複合ペイン1を通して見ると、反射層9は、外側ペイン2の内側面II全体と重なっている。したがって、複合ペイン1を通して見たとき、反射層9は、第1マスキングストリップ5及び導電性コーティング10と完全に重なっている。反射層9は、第1マスキングストリップ5及び導電性コーティング10上に、例えばPVD法を用いて、蒸着される。しかしながら、反射層9全体を内側又は外側ペイン2、3の内側面II、IV又は内側ペイン3の外側面III上に適用することも同様に可能である(
図2には示されていない)。反射層9が、外側ペイン2の内側面II全体にわたって延在しているという事実の結果として、第1マスキングストリップ5と重なる領域だけしか画像の反射に用いることができないわけではない。他の画像表示装置、例えば、反射層9のうち第1マスキングストリップ5と重ならない領域を照射する、他の画像表示装置を用いてもよい。このようにして、ヘッドアップディスプレイの機能を利用しうる。
【0140】
【0141】
図1Aに示されているものとは異なり、
図3において、この変形例におけるバスバー11、11’は、複合ペイン1の側方縁部に沿って延在する導電性コーティング10の縁部領域に沿って配置されておらず、その代わりに、複合ペイン1の下方縁部及び上方縁部に沿って下方かつ上方縁部領域内に配置されている。バスバー11、11’の長さは、複合ペイン1の下方縁部又は上方縁部に沿った導電性コーティング10の範囲に、ほぼ対応する。
【0142】
図4に示された変形例では、導電性コーティング10は、バスバー11、11’によって電気的に接触されない。この例示的な実施形態では、コーティング10は、完全に複合ペイン1全体を加熱するために用いられるものというわけではなく、むしろコーティング10のIR反射特性が、例えば、日射から乗り物内部を保護し、冷却を維持するために用いられる。
【0143】
次に、
図5~
図10を参照し、これにおいて、複合ペイン1の様々な実施形態の拡大断面図が示されている。
図5~
図10の断面図は、
図1Bに示されているように、複合ペイン1の縁部領域13の下方部分13’における断面線A-A’に対応している。
【0144】
図5に示された複合ペイン1の変形例では、第1(不透明)マスキングストリップ5は、外側ペイン2の内側面II上に位置している。反射層9は、第1マスキングストリップ5上に直接適用されている。画像表示装置8からの光12は、反射層9によって乗り物内部14内に反射光12’として反射される。光12、12’は、s偏光及び/又はp偏光を有してよい。複合ペイン1への光12の入射角がブリュースター角に近いため、光12のp偏光分は、内側ペイン3を透過する際にほとんど妨げられない。この変形例は、入射p偏光12の比較的大きな割合が、反射されるという利点を有する。そして、この変形例は、入射角が反射角と等しい(
図5~
図10にαによって示されている)という事実により、入射p偏光12の比較的大きな割合が、ほとんど妨げられることなく、内側ペイン3を通って乗り物内部14内に伝達されるという利点を有する。さらに、画像は、(不透明な)第1マスキング層5の背景に対して、高いコントラストをもって容易に認識可能である。内側ペイン3の内側面IVへの画像表示装置8の光12の入射角αは、例えば68°である。
【0145】
【0146】
図5に示されているものとは異なり、
図6では、反射層9は、第1マスキングストリップ5上に適用されておらず、代わりに、内側ペイン3の内側面IV上に適用されている。この変形例は、入射光12が内側ペイン3を透過することによって妨げられないという利点を有する。さらに、内側ペイン3上での反射による二重画像が少ないため、s偏光成分の高い光12に対しても好ましい。
【0147】
図5に示されているものとは異なり、
図7では、反射層9は、第1マスキングストリップ5上に適用されておらず、代わりに、内側ペイン3の外側面III上に適用されている。この変形例は、特に、第1マスキングストリップ5を反射層9でコーティングできないとき、又は第1マスキングストリップ5及び第2反射層9の2段階適用が適さないときに、適している。
【0148】
図8に示された複合ペイン1の変形例は、反射層9を、光12を乗り物内部14内に反射する反射フィルムとして実装している点で、
図5の変形例とは異なる。この変形例は、
図5、
図6、及び
図7に示す反射層9の実行可能な代替案を表すものであり、反射層9は、例えば、PVD法を用いてマスキングストリップ5上に蒸着される。
【0149】
図5の変形例とのさらなる違いとして、
図8の反射層9は、複合ペイン1内の2つの熱可塑性中間層4’、4’’(例えばPVBフィルム)の間に積層されている。複合ペイン1の残りの部分に対して反射層9によって引き起こされる高低差(厚さジャンプ)を埋め合わせるため、熱可塑性中間層4、4'が、その領域の外側(反射層9が提供されていない部分)よりも、対応してより薄い厚さを有することが有利である。このようにして、外側ペイン2と内側ペイン3との間の均一な距離(すなわち、一定の合計厚さ)を達成することができることで、積層の際の任意のガラスの破損を、確実かつ安全に回避する。また、第1マスキングストリップ5は、外側ペイン2の内側面II上には配置されず、むしろ外側ペイン2の外側面I上に配置される。例えば、PVBフィルムを用いるとき、PVBフィルムは、反射層9の領域において、反射層9が提供されていない領域よりも薄い厚みを有する。さらに、画像は、不透明な(第1)マスキング層5の背景に対して、高いコントラストをもって容易に認識可能である。複合ペイン1の内部において、反射層9は、外部の影響から十分に保護されている。
【0150】
図9に示された複合ペイン1の変形例は、第1(不透明)マスキングストリップ5が、光に対して不透過性の熱可塑性中間層として実装され、これは、外側ペイン2の内側面II上に配置される、という点のみにおいて、
図8の変形例と異なる。第1マスキングストリップ5は、例えば、着色されたPVB、EVA、又はPETフィルムに基づいて形成される。この場合、反射層9は、熱可塑性中間層4と第1マスキングストリップ5との間に積層される。
【0151】
図10に示された複合ペイン1の変形例は、高屈折率コーティング14が、内側ペイン3の内側面IV上に配置されている点でのみ、
図5の変形例と異なる。高屈折率コーティング14は、例えばゾル-ゲル法によって適用され、酸化チタンコーティングから成る。高屈折率コーティング14の屈折率が内側ペイン3と比較して高い(例えば1.7)ため、通常約56.5°(ソーダ石灰ガラスの場合)であるブリュースター角を変えることができ、これによって適用が簡単になり、内側ペイン3の内側面IVでの反射による、邪魔な二重画像の影響を低減することができる。
【0152】
全ての例示的な実施形態において、反射層9は、第1マスキングストリップ5に対して乗り物内部に向かって配置される。すなわち、複合ペイン1の内側面から見たとき、反射層9は、第1マスキングストリップ5の前に配置されている。
【0153】
以上の記述から、本発明は、高コントラストをもって良好な画像表示を可能にする、改良された投影アセンブリ用複合ペインを利用可能にするということになる。好ましくない二次画像を避けることができる。複合ペインと共に導電性コーティングを用いることにより、ダッシュボード領域内の空間を、乗り物内に設置する際に大幅に縮小することができ、乗り物内部のスリムなデザインの見込みを立てることができる。マスキングストリップの前の反射層を介して画像表示を行うことによって、通常ダッシュボードに、スピードメーター、タコメーター、警告表示、燃料計とともに取り付けられているディスプレイを、交換することができる。導電層による複合ペインの加熱は、通常はエンジン熱で加熱された空気をフロントガラスに導く供給ラインに、取って代わる。さらに、グレージングに対して特定の幾何学的関係で通常取り付けられている排気口ノズルが省略されるとき、乗り物内部の設計に幾何学的自由度が追加される。本発明による複合ペインは、公知の製造方法を用いて簡単かつ経済的に製造しうる。
本開示は、下記の態様を含む。
<態様1>
複合ペイン(1)であって、特に投影アセンブリ(100)用の、少なくとも下記を有する複合ペイン(1):
- 外側ペイン(2)、内側ペイン(3)、及び前記外側ペインと前記内側ペイン(2、3)との間に配置された熱可塑性中間層(4)、ここで、前記外側ペイン及び前記内側ペイン(2、3)は、それぞれ、外側面(I、III)及び内側面(II、IV)を有し、前記外側ペイン(2)の前記内側面(II)と前記内側ペイン(3)の前記外側面(III)は互いに対向している、
- 前記内側又は前記外側ペイン(2、3)の前記外側面(I、III)又は前記内側面(II、IV)上のうちの一つに領域的に配置される、第1マスキングストリップ(5)、
- 導電性コーティング(10)、並びに、
- 光(12)を反射するのに適した反射層(9)、
ここで、前記反射層(9)は、前記内側ペイン(3)から前記外側ペイン(2)に向かって見たときに、前記第1マスキングストリップ(5)の前に空間的に配置されており、ここで、前記第1マスキングストリップ(5)は、少なくとも1つの領域において前記反射層(9)と重なっている。
<態様2>
前記反射層(9)が、前記内側ペイン(3)の前記外側面(III)上、又は前記内側ペイン若しくは前記外側ペイン(2、3)の前記内側面(II、IV)上の一方、前記熱可塑性中間層(4)内、又は前記第1マスキングストリップ(5)上に配置され、前記第1マスキングストリップ(5)が、前記反射層(9)よりも大きな表面積を有し、前記反射層(9)と完全に重なっている、態様1に記載の複合ペイン(1)。
<態様3>
前記第1マスキングストリップ(5)が、前記外側ペイン(2)の縁部領域において、周方向に枠状の様式で配置され、特には、前記反射層(9)と重なる部分(13’)において、それとは異なる部分(13’’)における幅よりも大きな幅を有する、態様1又は2に記載の複合ペイン(1)。
<態様4>
前記第1マスキングストリップ(5)が、不透明な熱可塑性複合フィルムとして実装され、前記外側ペイン(2)の前記内側面(II)上に配置される、態様1~3のいずれかに記載の複合ペイン(1)。
<態様5>
前記反射層(9)が、コーティングされたキャリアフィルム又はコーティングされていないポリマーフィルムとして実装され、前記熱可塑性中間層(4)内に配置されている、態様1~4のいずれかに記載の複合ペイン(1)。
<態様6>
少なくとも1.7の屈折率を有する高屈折率コーティング(16)が、少なくとも、前記内側ペイン(3)の前記内側面(IV)の、前記反射層(9)と重なっている領域内に配置され、前記反射層(9)が、前記高屈折率コーティング(16)よりも、前記外側ペイン(2)の前記外側面(I)に対して空間的に近く、前記内側ペイン(3)の前記内側面(IV)から空間的に遠くに配置されている、態様1~5のいずれかに記載の複合ペイン(1)。
<態様7>
前記高屈折率コーティング(16)が、少なくとも1.9、好ましくは少なくとも2.0の屈折率を有する、態様6に記載の複合ペイン(1)。
<態様8>
前記導電性コーティング(10)が、銀(Ag)、インジウムスズ酸化物(ITO)、フッ素ドープスズ酸化物(SnO
2
:F)、又はアルミニウムドープ亜鉛酸化物(ZnO:Al)を含有する、態様1~7のいずれかに記載の複合ペイン(1)。
<態様9>
前記導電性コーティング(10)が、前記外側ペイン又は前記内側ペインの縁部領域内で、電圧源への接続のために提供された2つのバスバー(11、11’)に接続されており、それによって、加熱電流のための電流経路が、前記バスバー(11、11’)間に形成されている、態様1~8のいずれかに記載の複合ペイン(1)。
<態様10>
前記導電性コーティング(10)が、前記外側ペイン又は前記内側ペイン(2、3)の周縁部領域を除いた、前記外側ペイン(2)の前記内側面(II)全体又は前記内側ペイン(3)の前記外側面(III)全体上に、好ましくは5mm~100mm、特に好ましくは10mm~50mmの幅で配置されている、態様1~9のいずれかに記載の複合ペイン(1)。
<態様11>
下記を含む、投影アセンブリ(100):
- 態様1~10のいずれかに記載の複合ペイン(1)、
- 画像表示装置(8)であって、前記反射層(9)に関連付けられており、前記反射層(9)に向けられている画像ディスプレイを有しており、その画像が、前記反射層(9)によって反射される、画像表示装置(8)、ここで、少なくとも、前記反射層(9)の、前記第1マスキングストリップ(5)と重なっている領域が、前記画像表示装置(8)によって照射される。
<態様12>
態様11に記載の投影アセンブリ(100)であって、視野カメラをさらに有し、これは、利用者の視野を捕捉することを目的とし、かつ前記画像表示装置(8)及び前記複合ペイン(1)と相互作用し、それによって、前記利用者が、前記反射層(9)を介して反射された画像を視覚的に最適に捕捉できる、投影アセンブリ(100)。
<態様13>
態様11又は12に記載の投影アセンブリ(100)であって、機能要素をさらに有し、これは、前記利用者のフリーハンドの動きを認識することを目的とし、かつ前記画像表示装置(8)と相互作用し、それによって、前記画像表示装置(8)を制御するために用いられうる情報を、利用者のフリーハンドの動きから得ることができる、投影アセンブリ(100)。
<態様14>
態様1~10のいずれかに記載の複合ペイン(1)を製造する方法であって、
(a)前記外側ペイン(2)、前記内側ペイン(3)及び前記熱可塑性中間層(4)を提供すること、
(b)前記第1マスキングストリップ(5)を、前記内側ペイン(3)又は前記外側ペイン(2)の前記外側面(I、III)又は前記内側面(II、IV)上のうちの一つに領域的に配置すること、
(c)前記導電性コーティング(10)を導入すること、
(d)前記熱可塑性中間層(4)を、前記外側ペイン(2)と前記内側ペイン(3)との間に配置し、それによって、層スタックを形成すること、
(e)前記層スタックを積層して、複合ペイン(1)を形成すること、
を含む、方法。
<態様15>
態様1~10のいずれかに記載の複合ペイン(1)の使用であって、陸上、空中、又は水上を移動する乗り物における使用、特には、乗り物のフロントガラスとしての使用。
【符号の説明】
【0154】
1 複合ペイン
2 外側ペイン
3 内側ペイン
4、4’、4’’ 熱可塑性中間層
5 第1マスキングストリップ
6 第2マスキングストリップ
7 ダッシュボード
8 画像表示装置
9 反射層
10 導電性コーティング
11、11’ バスバー
12、12’ 光
13、13’、13’’ 縁部領域
14 乗り物内部
15 外部環境
16 高屈折率コーティング
100 投影アセンブリ
【0155】
I 外側ペイン2の外側面
II 外側ペイン2の内側面
III 内側ペイン3の外側面
IV 内側ペイン3の内側面
A-A’ 断面線