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特許7604688シート給送装置、画像読取装置及び画像形成装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-13
(45)【発行日】2024-12-23
(54)【発明の名称】シート給送装置、画像読取装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 7/04 20060101AFI20241216BHJP
   B65H 3/06 20060101ALI20241216BHJP
   B65H 3/52 20060101ALI20241216BHJP
【FI】
B65H7/04
B65H3/06 340E
B65H3/52 330
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2024005796
(22)【出願日】2024-01-18
(62)【分割の表示】P 2020004637の分割
【原出願日】2020-01-15
(65)【公開番号】P2024026841
(43)【公開日】2024-02-28
【審査請求日】2024-02-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003133
【氏名又は名称】弁理士法人近島国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉原 千晶
【審査官】松江川 宗
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-077312(JP,A)
【文献】特開2006-143422(JP,A)
【文献】特開2005-247482(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 7/04
B65H 3/06
B65H 3/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートが積載される積載面を有するシート積載部と、
前記シート積載部に積載されたシートを給送方向に給送する給送ローラと、
前記給送ローラを駆動するモータを含み、前記モータによって前記給送ローラが駆動される第1状態と、前記モータによって前記給送ローラが駆動されない第2状態と、に切り替え可能な駆動手段と、
前記給送ローラを昇降可能に支持し、前記駆動手段が前記第2状態から前記第1状態に切り替わることによって、前記給送ローラをシートから離間した離間位置からシートに当接する当接位置へ下降させる支持手段と、
前記給送方向において前記給送ローラよりも下流に配置され、前記給送ローラから給送されるシートを1枚ずつ分離して搬送する分離搬送手段と、
前記給送方向において前記分離搬送手段よりも下流に配置され、前記分離搬送手段により分離されたシートを搬送する搬送ローラ対と、
記積載面に対する突出量が変化するように移動可能なフラグ部材を有し、前記フラグ部材の位置に基づいて前記積載面に積載されたシートの有無を検知する第1検知手段と、
前記シート積載部に積載された複数のシートを連続して給送する給送動作において、前記複数のシートのうちの第1のシートが前記給送ローラにより給送されて前記搬送ローラ対に到達すると前記駆動手段を前記第1状態から前記第2状態に切り替え、前記第1のシートが給送された後に前記駆動手段を前記第2状態から前記第1状態に切り替えてから、前記第1検知手段によって前記第1のシートの次の第2のシートの有無を検知する制御手段と、を備える、
ことを特徴とするシート給送装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記給送ローラによって前記第1のシートが給送された後、前記駆動手段を前記第2状態から前記第1状態に切り替える前の状態において、前記第2のシートの有無を検知する第1モードと、前記給送ローラによって前記第1のシートが給送された後、前記駆動手段を前記第2状態から前記第1状態に切り替えてから、前記第2のシートの有無を検知する第2モードと、を実行可能である、
ことを特徴とする請求項1に記載のシート給送装置。
【請求項3】
前記給送方向に直交する幅方向の前記第1検知手段とは異なる位置においてシートの有無を検知する第2検知手段を備え、
前記制御手段は、前記第1検知手段によって前記第1のシートが検知された場合において、前記第2検知手段によって前記第1のシートが検知されたときに前記第1モードによって前記第2のシートの有無を確定させ、前記第2検知手段によって前記第1のシートが検知されないときに前記第2モードで前記第2のシートの有無を確定させる、
ことを特徴とする請求項2に記載のシート給送装置。
【請求項4】
前記第2検知手段は、前記幅方向に関して前記第1検知手段より外側に配置される、
ことを特徴とする請求項3に記載のシート給送装置。
【請求項5】
前記給送ローラの上部を覆うカバー部を備え、
前記第2検知手段は、前記カバー部に回動可能に支持され、前記給送方向に回動するレバー部を有し、前記レバー部の位置に基づいてシートを検知する、
ことを特徴とする請求項3又は4記載のシート給送装置。
【請求項6】
前記制御手段は、シート幅が第1幅であるシートが前記積載面に積載されている場合に前記第1モードを実行し、シート幅が前記第1幅よりも短い第2幅であるシートが前記積載面に積載されている場合に前記第2モードを実行するように構成されている、
ことを特徴とする請求項2から5のいずれか1項に記載のシート給送装置。
【請求項7】
前記分離搬送手段は、第1ローラと第2ローラとを有し、前記第1ローラ及び前記第2ローラによって形成される分離ニップ部において、前記給送ローラから給送されるシートを1枚ずつ分離する、
ことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のシート給送装置。
【請求項8】
前記シート積載部は、前記積載面から前記分離搬送手段に向けて傾斜し、前記分離ニップ部に向けてシートの先端を案内する案内面を有し、
前記案内面は、前記給送ローラが下降する際に前記支持手段に接触しないように配置される、
ことを特徴とする請求項7に記載のシート給送装置。
【請求項9】
前記給送方向に直交する幅方向においてシートの端部を規制する一対の規制面を有し、前記積載面において前記幅方向に移動可能に支持されるシート規制手段を備え、
前記給送ローラは、前記幅方向において前記シート規制手段によって規制されるシートの中央に配置される、
ことを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載のシート給送装置。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項に記載のシート給送装置と、
前記シート給送装置によって給送されたシートを読み取る画像読取手段と、を備える、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項11】
請求項10に記載の画像読取装置と、
前記画像読取装置が読み取った画像に基づいてシートに画像を形成する画像形成手段と、を備える、
ことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートを給送するシート給送装置、並びにこれを備える画像読取装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、ファクシミリ等の画像形成装置として、原稿の画像を光学的に読み取って画像データを得るスキャナ等の画像読取装置を備えるものが知られている。これらの画像読取装置は、複数の原稿を一度の操作で読み取ることができるよう、自動原稿給送装置(Auto Document Feeder、以下ADFと呼ぶ)を備えた構成のものがある。ADFは、原稿となる用紙を積載するためのトレイを有し、分離給送部によってトレイから用紙を1枚ずつ、画像読取装置の読取部へ向けて給送する(特許文献1参照)。特許文献1では、トレイ上及び分離給送部の近傍に用紙を検知するためのセンサを配置してトレイ上の用紙の有無を検知し、用紙の給送を開始している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-247482号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年、ADFに対しては、名刺や小切手のような小さいサイズの用紙(以下、小サイズ用紙)を給送可能とすることが求められている。小サイズ用紙を給送する場合、摩擦や静電気等によって用紙同士が張り付くことにより、給送対象ではない用紙が分離給送部に到達してしまうことがある。このとき、分離給送部に用紙が挟持されてトレイから浮いた状態となり、トレイ上の用紙の有無を誤検知して、給送対象の用紙がトレイに残留してしまうという課題がある。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、トレイに積載されたシートの有無の誤検知を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明の一態様は、シートが積載される積載面を有するシート積載部と、前記シート積載部に積載されたシート給送方向に給送する給送ローラと、前記給送ローラを駆動するモータを含み、前記モータによって前記給送ローラが駆動される第1状態と、前記モータによって前記給送ローラが駆動されない第2状態と、に切り替え可能な駆動手段と、前記給送ローラを昇降可能に支持し、前記駆動手段が前記第2状態から前記第1状態に切り替わることによって、前記給送ローラをシートから離間した離間位置からシートに当接する当接位置へ下降させる支持手段と、前記給送方向において前記給送ローラよりも下流に配置され、前記給送ローラから給送されるシートを1枚ずつ分離して搬送する分離搬送手段と、前記給送方向において前記分離搬送手段よりも下流に配置され、前記分離搬送手段により分離されたシートを搬送する搬送ローラ対と、前記積載面に対する突出量が変化するように移動可能なフラグ部材を有し、前記フラグ部材の位置に基づいて前記積載面に積載されたシートの有無を検知する第1検知手段と、前記シート積載部に積載された複数のシートを連続して給送する給送動作において、前記複数のシートのうちの第1のシートが前記給送ローラにより給送されて前記搬送ローラ対に到達すると前記駆動手段を前記第1状態から前記第2状態に切り替え、前記第1のシートが給送された後に前記駆動手段を前記第2状態から前記第1状態に切り替えてから、前記第1検知手段によって前記第1のシートの次の第2のシートの有無を検知する制御手段と、を備えることを特徴とするシート給送装置である
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、トレイに積載されたシートの有無の誤検知を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の実施例1の画像形成装置の概略構成図。
図2】実施例1のADF及びリーダの断面図。
図3】実施例1のADFの要部を示す図(a、b)。
図4】実施例1のシート積載時のADFの要部を示す図(a、b)。
図5】実施例1の小サイズのシート積載時のADFの要部を示す図(a、b)。
図6】実施例1の画像形成装置の制御構成を示すブロック図。
図7】実施例1の小サイズのシートを給送する給送動作におけるシートの挙動を説明する図(a~e)。
図8】実施例1のシートを給送する給送動作の流れを示すフローチャート。
図9】参考例としてのADFの要部を示す図。
図10】参考例としてのADFにおける原稿の検知態様を示す図(a~d)。
図11】参考例としてのADFにおけるシートの浮きの発生を示す図。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0010】
<画像形成装置の構成>
本開示の実施例のシート給送装置である自動原稿読取装置200(以下、ADF200とする)の構成について説明する。図1は、画像形成装置300の概略斜視図である。ADF200は、原稿としてのシートを読み取る画像読取装置(以下、リーダ100とする)に向けてシートを給送する。ADF200は、リーダ100の上面奥側に設けられた開閉ヒンジにより、リーダ100に対して開閉自在に設けられている。また、ADF200及びリーダ100は、電子写真方式やインクジェット方式の画像形成手段300Bによりシートに画像を形成する画像形成装置300の上面に設けられている。なお、画像形成装置300に設けられているシート給送装置としての手差しシート給送手段に対しても、本実施例の構成を適用することができる。
【0011】
<画像読取装置の構成>
次に、ADF200及びリーダ100の構成について図1及び図2を参照しながら説明する。図2は、ADF200及びリーダ100の構成を示す断面図である。リーダ100は、原稿台ガラス101と、表面読み取りユニット104と、光学系モータ225と(図6参照)、読取移動ガイド109と、表面白色基準部材103とを有する。表面読み取りユニット104は、表面LED105、106と、表面レンズアレイ107と、表面ラインセンサ108とによって構成されている。表面読み取りユニット104は、光学系モータ225によって読取移動ガイド109に沿って移動しながら、原稿台ガラス101上に載置されたシートの画像を一ラインずつ読み取る。表面流し読みガラス102は、図2に示すように裏面白色基準部材222と一体的に形成され、表面読み取りユニット104は、ADF200によって表面流し読みガラス102上に搬送されたシートの画像を読み取る。
【0012】
<自動原稿搬送装置の構成>
次に、ADF200によるシートの給送動作について、図2を参照して説明する。ADF200は、シートが積載される積載トレイ201と、分離ローラ対206と、積載トレイ201に対して当接離間可能に設けられた給送ローラ204とを有する。また、積載トレイ201においてシートが積載される積載面201Aにおいて、給送ローラ204と分離ローラ対206との間は、分離ローラ対206のニップ部206Nに向けてシートを案内する案内面201Sが設けられている。また、分離ローラ対206のニップ部206Nは、給送ローラ204の軸方向に視て積載面201Aよりも高い位置に配置されている。また、給送ローラ204の上部を覆うように設けられたカバー部228には、給送ローラ204を支持するアーム部204AMが設けられている。アーム部204AMは、給送ローラ204が下降する場合に、案内面201Sに接触しないように配置されている。
【0013】
シート積載部としての積載トレイ201に積載されたシートは、分離ローラ対206と給送ローラ204とによって、シートの給送開始前における積載トレイ201よりも下流への進出が規制される。本実施例の分離搬送手段としての分離ローラ対206は、分離ニップ部としてのニップ部206Nを形成する第1ローラとしての分離上ローラ206aと、第2ローラとしての分離下ローラ206bとによって構成される。分離ローラ対206と給送ローラ204との間には、シートの有無を検知する第1原稿センサ205と第2原稿センサ227とが設けられている。本実施例の第2シート検知手段が第1原稿センサ205であり、第1シート検知手段が第2原稿センサ227である。そして、本実施例の給送手段を構成する給送ローラ204を積載トレイ201に積載されたシートの上面に下降させ、シートに当接した状態で回転させることにより、積載トレイ201に積載された最上位のシートが給送される。給送ローラ204によって給送されたシートは、分離ローラ対206によって最上位の1枚が分離され、ADF200の内部に向けて搬送される。
【0014】
分離ローラ対206によってADF200の内部に向けて搬送されたシートは、引抜ローラ対208に到達する。また、シートの給送方向において、分離ローラ対206と引抜ローラ対208との間には、引抜ローラ対208に向けて搬送されるシートを検知する給送センサ207が設けられている。シートの給送方向において引抜ローラ対208の下流には、引抜ローラ対208を通過したシートを表面流し読みガラス102へ向けて搬送するリード上流ローラ対209が配置された搬送路が設けられている。搬送路に搬送されたシートは、リード上流ローラ対209によって表面読取位置と、その下流にある裏面読取位置とに搬送される。表面読取位置とは、表面読み取りユニット104によってシートの表面が読み取られる位置である。また、裏面読取位置とは、裏面読み取りユニット212によってシートの裏面が読み取られる位置である。シートの表面を読み取る場合、シートは、表面流し読みガラス102と、裏面流し読みガラス217との間を通過することによって、表面流し読みガラス102と一体となった表面白色基準部材103の下を通過する際に表面LED105、106により照射される。表面LED105、106の反射光を、表面レンズアレイ107を通して、表面ラインセンサ108によって1ラインずつ読み取ることで、シートの表面の画像が読み取られる。
【0015】
両面読取の場合、シートの表面は上述したように、表面読み取りユニット104で読み取りを行う。シートの裏面に対しては、表面流し読みガラス102と一体的に形成された裏面白色基準部材222を通過する際に、裏面読み取りユニット212によって読み取られる。裏面読み取りユニット212は、裏面LED213、214と、裏面レンズアレイ215によって構成されている。そして、シートが裏面白色基準部材222を通過する際に、裏面LED213、214により光を照射し、その反射光を、裏面レンズアレイ215を通して裏面ラインセンサ216で読み取ることによってシートの裏面の画像が読み取られる。画像が読み取られた後のシートは、リード下流ローラ対218により排出ローラ対219に搬送され、排出ローラ対219によって排出トレイ220に排出される。複数枚のシートが積載トレイ201に積載されている場合には、全てのシートの表面読み取り及び排出トレイ220への排出が終了するまで、上述したシートの給送から排出までの一連の処理を繰り返し実行する。なお、表面読み取りユニット104、裏面読み取りユニット212には、図2に示すようなCIS以外にも表面レンズアレイ107やミラーを用いた縮小光学系で構成されるCCDなどを用いてもよい。
【0016】
ここで、参考例として、従来のADFにおけるトレイ上に積載されたシートの有無を検知する構成について説明する。図9は、参考例としてのADF500の上面図である。図9に示すように、ADF500には、積載トレイ501に積載されたシートPの有無を検知するセンサ504が、ピックアップローラ502によるシートの給送方向に直交する幅方向において積載トレイ501の中央に配置されている。このような配置とすることにより、例えば、名刺やはがき等の幅方向の長さが小さい種類のシートであっても、センサ504によって積載トレイ501に積載されているか否かを検知することができる。さらに、ADF500では、ピックアップローラ502及び分離搬送手段503が積載トレイ501の上方カバーによって支持されている。このような構成により、センサ504は、積載トレイ501側に設けられた構成となることが多い。
【0017】
例えば、図10(a,b)に示すように、センサ504としてフォトリフレクタ等の反射型センサを用いた場合、センサ504から照射光の反射光を受光したか否かによってセンサ504が出力する信号がON又はOFFに変化する。センサ504がフォトリフレクタである場合、図10(a)に示すように分離搬送手段503からの反射光(破線矢印F(a))では光量が少ないためにセンサ504はOFF信号を出力する。一方で、図10(b)に示すようにシートPの反射光の光量(破線矢印F(b))ではONと検出する。また、コストの観点から、図10(c,d)に示すように、積載トレイ501の積載面に対して上下に移動するフラグ部材とフォトインタラプタからなるセンサ504が用いられることがある。このとき、図10(c)に示すように、シートPによってフラグ部材が積載トレイ501の積載面に向けて下降すると、センサ504はON信号を出力する。一方で、フラグ部材が上昇すると、センサ504はOFF信号を出力する。
【0018】
このような構成のADF500において、名刺やはがき等の剛性が大きく、かつ給送方向の長さが短いシートP、P+1を連続して給送する場合、図11に示すようなシートの浮きが生じることがある。例えば、分離搬送手段503とピックアップローラ502との間の搬送路の傾斜によって、シートP+1が積載トレイ501の積載面よりも上方へ浮いた状態となる。さらに、シートP+1が紙であった場合、シートP+1の積載面からの浮きにより、センサ504のフラグ部材が上昇して、給送対象のシートP+1が積載トレイ501にあるにも関わらず、センサ504ではシートがないと誤検知するという課題がある。
【0019】
次に、図3から図5を参照して、本実施例において積載トレイ201に積載されたシートを検知する構成について説明する。図3(a)は、積載トレイ201にシートが積載されていない状態のADF200の要部の上面図である。シートの給送方向において分離ローラ対206と給送ローラ204との間には、本実施例の第2検知手段としての第1原稿センサ205と、第1検知手段としての第2原稿センサ227とが設けられている。本実施例の第1検知位置である第2原稿センサ227の検知位置は、シートの給送方向に直交する幅方向の中央に配置されている。また、本実施例の第2検知位置である第1原稿センサ205の検知位置は、第2原稿センサ227の検知位置に対して幅方向の一方側(給送方向の下流を向いた視点で幅方向の右側)に配置されている。つまり、第1原稿センサ205の検知位置は、積載トレイ201の中央を基準として、幅方向に関して第2原稿センサ227の検知位置よりも外側に配置されている。なお、第1原稿センサ205の検知位置が第2原稿センサ227の検知位置に対して幅方向の他方側に配置される構成であってもよい。
【0020】
積載トレイ201において、シートが積載される積載面201Aには、幅方向におけるシートの端部を規制する一対の規制面231a、231bを有するシート規制手段としての規制部材230a、230bが設けられている。規制部材230a、230bは、積載面201Aにおいて幅方向に移動可能に支持されており、給送ローラ204の幅方向の位置は、規制部材230a、230bによって規制されるシートの幅方向の中央に配置されている。また、幅方向における第2原稿センサ227の検知位置は、幅方向における給送ローラ204の位置に重複するように配置されている。つまり、規制部材230a、230bによって規制されたシートは、第2原稿センサ227によって検知可能な位置に配置される。
【0021】
図3(b)は、積載トレイ201にシートが積載されていない状態のADF200の要部の断面図である。第1原稿センサ205は、カバー部228に回動可能に支持されたレバー部205Aを有して構成されている。レバー部205Aは、カバー部228から積載面201Aに向けて垂れ下がるように配置されており、シートの給送方向に回動する。コントローラ200A(図2参照)は、レバー部205Aの回動量に応じて第1原稿センサ205の検知位置にシートがあるか否かを判断することができる。第1原稿センサ205の検知位置にシートがある場合、シートによってレバー部205Aは所定量、例えば、シートの給送方向に45度回動して図示しないフォトインタラプタが遮光状態となる。第1原稿センサ205の検知位置にシートがある場合のレバー部205Aの回動量が本実施例の第3量である。第1原稿センサ205は、レバー部205Aの位置が45度回動して図示しないフォトインタラプタが遮光状態となった場合にON信号を出力する。そして、コントローラ200Aは受信したON信号に基づいて第1原稿センサ205の検知位置にシートがあることを識別することができる。一方で、第1原稿センサ205の検知位置にシートがない場合、レバー部205Aは、例えば、シートの給送方向に10度回動して図示しないフォトインタラプタが透過状態で停止する。第1原稿センサ205の検知位置にシートが無い場合のレバー部205Aの回動量が本実施例の第4量であり、第4量は第3量よりも小さい。第1原稿センサ205は、レバー部205Aの位置が10度回動して図示しないフォトインタラプタが透過状態となった場合にOFF信号を出力する。そして、コントローラ200Aは受信したOFF信号に基づいて第1原稿センサ205の検知位置にシートがないことを識別することができる。
【0022】
第2原稿センサ227は、積載面201Aに対する突出量が変化するように移動可能なフラグ部材227Aと、積載面201Aよりも下方に設けられたフォトインタラプタ229とを有して構成されている。フラグ部材227Aは、積載面201Aに設けられたスリットを介して積載面201Aの下方から上方に向けて突出するように配置されており、積載面201Aに対して上下方向に移動可能である。フラグ部材227Aが積載面201Aに対して上下方向に移動することにより、フォトインタラプタ229の発光部から受光部への光路がフラグ部材227Aによって遮断又は透過される。コントローラ200Aは、フラグ部材227Aの突出量に応じて第2原稿センサ227の検知位置にシートがあるか否かを判断することができる。第2原稿センサ227の検知位置にシートがある場合、フラグ部材227Aは、シートに押し下げられることによりフォトインタラプタ229の光路を遮断する位置(例えば、積載面201Aから5mm下方の位置)に移動する。第2原稿センサ227は、フォトインタラプタ229の光路が遮断状態である場合にON信号を出力し、コントローラ200Aは受信したON信号に基づいて第2原稿センサ227の検知位置にシートがあることを識別することができる。第2原稿センサ227の検知位置にシートがある場合の積載面201Aに対するフラグ部材227Aの突出量が本実施例の第1量である。なお、本実施例の第1量として、積載面201Aに対するフラグ部材227Aの突出量が0、つまり、積載面201Aからフラグ部材227Aが突出していない状態のときのフラグ部材227Aの突出量が含まれる。
【0023】
一方で、第2原稿センサ227の検知位置にシートが無い場合(図3(b)参照)、フラグ部材227Aは、シートによって押し下げられない状態である。このとき、フラグ部材227Aは、フォトインタラプタ229の光路を透過する位置(例えば、積載面201Aから5mm上方の位置)に移動する。第2原稿センサ227は、フォトインタラプタ229の光路が透過状態である場合にOFF信号を出力し、コントローラ200Aは受信したOFF信号に基づいて第2原稿センサ227の検知位置にシートがないことを識別することができる。第2原稿センサ227の検知位置にシートがない場合の積載面201Aに対するフラグ部材227Aの突出量が本実施例の第2量であり、第2量は第1量よりも大きい。また、給送ローラ204は、積載トレイ201に向けて下降する場合に、フラグ部材227Aとの相対位置が、フラグ部材227Aによってフォトインタラプタ229の光路が透過される位置となるように下降する。
【0024】
このように、ADF200には、シートの幅方向の異なる箇所に設けられた第1原稿センサ205と第2原稿センサ227とのそれぞれの検知位置におけるシートの有無を検知することができる。そして、コントローラ200Aは、第1原稿センサ205及び第2原稿センサ227から出力される検知信号に基づいて、積載トレイ201上のシートの有無と積載されたシートのサイズとを判断することができる。
【0025】
次に、本実施例における積載トレイ201上に積載されたシートのサイズを判断する構成について説明する。なお、図4(a)及び図5(a)における幅方向の長さWとは、幅方向における給送ローラ204の長さである。図4(a)は、幅方向におけるシート幅が長さWよりも長いシートSが積載トレイ201に積載されているときのADF200の上面図である。このとき、第1原稿センサ205及び第2原稿センサ227の両方の検知位置においてシートがあることが検知され、第1原稿センサ205及び第2原稿センサ227は、いずれもON信号を出力する。コントローラ200Aは、第1原稿センサ205及び第2原稿センサ227がいずれもON信号を出力した場合に、積載トレイ201に幅方向におけるシート幅が長さWよりも長いシートSが積載されていると判断する。
【0026】
図4(b)は、シートSが積載されているときの分離ローラ対206付近の断面図である。第1原稿センサ205は、上述したように、シートによってレバー部205Aが所定量回動した状態となった場合にON信号を出力する。給送ローラ204の下方にシートSの先端が押し込まれると、幅方向においてシートSの端部は、第1原稿センサ205の検知位置に重複する位置となる。これにより、シートSによって第1原稿センサ205のレバー部205Aが、シートの給送方向において下流に向けて(図4(b)矢印F1方向)に回動し、図示しないフォトインタラプタが遮光状態となる。これにより、第1原稿センサ205はON信号を出力する。第2原稿センサ227は、上述したように、フラグ部材227AがシートSに押し下げられることにより、フォトインタラプタ229の光路を遮断する位置に移動した場合にON信号を出力する。給送ローラ204の下方にシートSの先端が押し込まれると、第2原稿センサ227のフラグ部材227Aは積載面501Aに対して下方に移動し、フラグ部材227Aによってフォトインタラプタ229が遮光状態となる。これにより、第2原稿センサ227はON信号を出力する。このように、コントローラ200Aは、第1原稿センサ205及び第2原稿センサ227がいずれもON信号を出力しているため、積載トレイ201に幅方向におけるシート幅が長さWよりも長いシートSが積載されていると判断する。
【0027】
図5(a)は、幅方向におけるシート幅が長さWよりも短いシートKが積載トレイ201に積載されているときのADF200の上面図である。本実施例では、幅方向におけるシート幅が長さWよりも短いシートKのサイズを「小サイズ」とする。シートKは、シートKの幅方向の中央が給送ローラ204の幅方向の中央の位置となるように規制部材230a、230bによって積載トレイ201における位置が規制されている。このとき、第2原稿センサ227の検知位置においてシートがあることが検知される一方で、第1原稿センサ205の検知位置にはシートKの端部が到達していないため、第1原稿センサ205の検知位置ではシートが無いと検知される。つまり、第1原稿センサ205はOFF信号を出力し、第2原稿センサ227はON信号を出力する。コントローラ200Aは、第1原稿センサ205がOFF信号を出力し、かつ第2原稿センサ227がON信号を出力した場合に、積載トレイ201に幅方向におけるシート幅が長さWよりも短い小サイズのシートKが積載されていると判断する。
【0028】
図5(b)は、シートKが積載されているときの分離ローラ対206付近の断面図である。第1原稿センサ205は、上述したように、シートによってレバー部205Aが所定量回動した状態となった場合にON信号を出力する。給送ローラ204の下方にシートKの先端が押し込まれた場合において、第1原稿センサ205の検知位置にはシートKの端部が到達していない。つまり、幅方向においてシートKの端部は、第1原稿センサ205の検知位置に重複していない位置にある。これにより、第1原稿センサ205のレバー部205Aが、図示しないフォトインタラプタを透過状態にして停止する状態となり、第1原稿センサ205はOFF信号を出力する。一方で、第2原稿センサ227は、上述したように、フラグ部材227Aがシートに押し下げられることにより、フォトインタラプタ229の光路を遮断する位置に移動した場合にON信号を出力する。給送ローラ204の下方にシートKの先端が押し込まれると、第2原稿センサ227のフラグ部材227Aは積載面501Aに対して下方に移動し、フラグ部材227Aによってフォトインタラプタ229が遮光状態となる。これにより、第2原稿センサ227はON信号を出力する。このように、第1原稿センサ205がOFF信号を出力し、かつ第2原稿センサ227がON信号を出力しているため、コントローラ200Aは、積載トレイ201に幅方向におけるシート幅が長さWよりも短いシートKが積載されていると判断する。なお、本実施例における第2幅としてのシートKのシート幅は、例えば、規制部材230a、230bによって規制可能な最小サイズのシート幅や、名刺サイズのシートのシート幅等の長さの幅である。また、本実施例の第1幅としての幅方向における長さWのシート幅は、規制部材230a、230bによって規制可能な最小サイズのシート幅や、名刺サイズのシートのシート幅等の長さ以上の幅である。つまり、本実施例において、第2幅は、第1幅よりも短いシート幅であり、幅方向におけるシートの端部が第1原稿センサ205の検知位置に重ならない場合のシートのシート幅である。また、本実施例において、第1幅は、幅方向におけるシートの端部が第1原稿センサ205の検知位置に重なる場合のシートのシート幅である。
【0029】
<制御構成>
次に、ADF200の動作を制御する構成について図6を参照して説明する。図6は、ADF200の動作を制御する構成を示すブロック図である。図6に示すように、ADF200と画像形成装置300とは、バス401、402によって電気的に接続されている。
【0030】
<ADF側のコントローラの構成>
まず、リーダ100及びADF200の動作を制御する構成について説明する。リーダ100及びADF200の動作を制御する制御手段としてのコントローラ200Aは、CPU301と、ROM302と、RAM303と、画像転送部304と、画像メモリ305と、画像処理部306とを有する。CPU301は、演算手段であり、リーダ100及びADF200の動作を制御するプログラムを実行する。ROM302は、不揮発性の記憶領域であり、リーダ100及びADF200の制御プログラムが格納されている。RAM303は、CPU301が演算を行う際の作業領域として用いられる記憶領域である。CPU301がROM302に格納されているプログラムをロードしてRAM303に展開し、RAM303に展開したプログラムを実行することにより、コントローラ200Aにおいてリーダ100及びADF200の動作の制御が行われる。
【0031】
CPU301には、ADF200においてシートを搬送する各ローラを駆動させる搬送モータ224が接続されている。搬送モータ224は、分離クラッチ223を介して給送ローラ204及び分離ローラ対206と接続されている。分離クラッチ223を切断することで、引抜ローラ対208に到達する手前の位置PS(図2参照)において、シートの搬送を停止した状態でシートを留めておくことができる。また、CPU301には、第1原稿センサ205と、第2原稿センサ227と、給送センサ207と、リードセンサ210とが接続されている。給送センサ207及びリードセンサ210は、ADF200の内部の検知位置においてシートの端部を検知するセンサである。なお、本実施例において、搬送モータ224はパルスモータであり、CPU301は駆動パルス数を制御して、搬送モータ224のパルスを管理している。駆動パルス数はADF200を搬送されるシートの搬送距離として換算することができ、CPU301は搬送モータ224の駆動パルス数に基づいて算出したシートの搬送距離に基づいてシートの搬送を制御する。
【0032】
CPU301には、表面読み取りユニット104を副走査方向に移動させるための光学系モータ225と、光学系HPセンサ226と、画像メモリ305と、画像処理部306と、画像転送部304とが接続されている。表面読み取りユニット104及び裏面読み取りユニット212は、シートを走査して1ライン毎にシートの画像を読み取る。画像メモリ305は、表面読み取りユニット104及び裏面読み取りユニット212により読み取られたシートの画像データを一時的に格納する記憶領域である。画像処理部306は、画像メモリ305に格納された画像データに対して画像処理を行う。画像転送部304は、画像処理部306により画像処理が施された画像データを、バス402を介してコントローラ310の画像転送部314に転送する。
【0033】
<本体側コントローラの構成>
次に、画像形成装置300全体の動作を制御する本体側制御手段としてのコントローラ300Aの構成について説明する。コントローラ300Aは、リーダ100、ADF200を含む画像読取システムとしての画像形成装置300全体の動作を制御する。コントローラ300Aは、コントローラ200Aと通信可能に接続されており、コントローラ200Aから入力される信号に基づいて画像形成装置300の動作を制御する。また、コントローラ300Aは、コントローラ200Aに対してリーダ100及びADF200の動作を制御するための信号を出力する。
【0034】
コントローラ300Aは、CPU311と、ROM312と、RAM313と、画像転送部314と、画像メモリ315とを有する。CPU311は、画像形成装置300本体側の演算手段であり、画像形成装置300全体の動作を制御するプログラムを実行する。ROM312は、不揮発性の記憶領域であり、画像形成装置300の制御プログラムが格納されている。RAM313は、CPU310が演算を行う際の作業領域として用いられる記憶領域である。CPU311がROM312に格納されているプログラムをロードしてRAM313に展開し、RAM313に展開したプログラムを実行することにより、コントローラ300Aにおいて画像形成装置300の動作の制御が行われる。画像形成装置300の動作とは、たとえば、画像形成手段300Bにおける画像形成動作等のことである。画像転送部314は、画像転送部304から画像を受信して画像メモリ315へ格納する。なお、画像形成装置300には、ユーザからの画像形成装置300、リーダ100及びADF200、に対する動作指示やユーザへのメッセージ表示および読み取られた画像の表示を行う操作部316が設けられている。操作部316は、CPU311との間で通信して画像の表示や画像形成装置300の動作指示に関する情報をCPU311に出力する。
【0035】
CPU311は、バス401を介してCPU301と通信し、リーダ100及びADF200における画像の読取動作に関する制御コマンドのやり取りや制御用データの入出力を行う。例えば、CPU311は、操作部316からリーダ100及びADF200における画像読取の開始を指示する情報を受け取り、CPU301に画像読取の開始を要求する情報を出力する。例えば、CPU311は、操作部316からユーザによるシートのサイズの設定情報を受け取り、CPU301にシートのサイズ(給送方向及び幅方向におけるシートの長さ)の情報を送信する。また、CPU311は、CPU301からリーダ100及びADF200において異常が発生したことを示す情報を受け取り、異常の種類に応じたユーザへのメッセージを操作部316に報知させる。
【0036】
次に、本実施例において、小サイズのシートKを給送する給送動作におけるシートKの挙動について説明する。図7(a)~(d)は、給送動作におけるシートKの挙動の説明図である。図7(a)~(d)では、給送ローラ204及び分離ローラ対206付近を拡大して示している。図7(a)に示すように、分離クラッチ223がON状態になると、給送ローラ204は、搬送モータ224の駆動に伴って矢印rの方向に回転する。また、給送ローラ204は、分離クラッチ223がON状態となり搬送モータ224に連結されると、積載トレイ201に下降して積載トレイ201上のシート束の最上位のシートKをピックアップして破線矢印Dの方向に給送する。
【0037】
図7(b)に示すように、シートKの先端が分離ローラ対206を抜けて引抜ローラ対208に到達すると、分離クラッチ223をOFF状態にし、給送ローラ204の回転を停止させる。これは、シートKが給送ローラ204を抜けた直後に、次に給送されるシートK+1を給送しないようにするためである。しかし、図7(b)に示すように、シートKのような小サイズのシートを給送する場合、シートKの先端が引抜ローラ対208に到達しピックアップローラの回転を停止する前に、シートKの後端が給送ローラ204を抜けてしまう。これにより、給送ローラ204が回転した状態で次のシートK+1に接するため、シートKの搬送に連れられてシートK+1が破線矢印Dの方向へ搬送されてしまう、いわゆる連れ送りが発生する。小サイズのシートにおけるこのような挙動は、給送方向におけるシートの長さが短い場合のみに限定されるものではない。例えば、シートが摩擦の少ない材質のものである場合や、静電気等で前後のシートが貼りついていた場合には、シートの挙動として図7(b)に示すような連れ送りが発生する可能性がある。
【0038】
そして、シートの連れ送りにより、図7(c)に示すように、シートの浮きが発生する。シートの搬送路に先行して給送されるシートKの先端が引抜ローラ対208に到達すると、給送ローラ204の回転が停止する。引抜ローラ対208に到達したシートKは、引抜ローラ対208及び搬送路の下流に配置されたローラによって搬送される。また、給送ローラ204及び分離ローラ対206の回転は分離クラッチ223により連動されている。積載トレイ201の積載面201Aにおいて、給送ローラ204と分離ローラ対206との間は、分離ローラ対206のニップ部206Nに向けてシートの先端を案内する案内面201Sが設けられている。また、分離ローラ対206のニップ部206Nは、積載面201Aよりも高い位置に配置されている。このような構成により、積載トレイ201上に積載されたシート束全体の下流への進入を抑制し、最上位のシートのみを搬送路へ給送することができる。シートの給送においてシートの連れ送りが発生した場合、連れ送られたシートの先端が分離ローラ対206のニップ部206Nに当接した状態で、連れ送られたシートの後端が浮き上がることがある。本実施例では、シートの先端が分離ローラ対206に到達した状態において、シートの後端が積載面201Aから浮いた状態のことを「シートの浮き」とする。このとき、分離クラッチ223がOFF状態であるため、給送ローラ204は分離ローラ対206と同様に回転していない状態であり、下向きに移動する動力を有していない。このように、シートの浮きが発生している場合、給送ローラ204は積載面201Aに対して離間した状態である。
【0039】
図7(d)は、シートの連れ送りが発生した状態でシートの給送を継続し、シートK+1の給送においてシートK+2の連れ送りが発生した状態を示している。積載トレイ201に積載されたシートのうち、最後のシートであるシートK+2は、給送対象のシートK+1の給送時に連れ送られることで、シートK+2の先端が分離ローラ対206に到する。そして、シートK+1の後端が給送センサ207を通過すると、次シートであるシートK+2の給送を開始する。このとき、給送ローラ204を下降させてシートの給送を開始する前に、第2原稿センサ227の検知結果に基づいて積載トレイ201上のシートの有無が判断される。本実施例の第1検知処理が、給送ローラ204を下降させる前に、第2原稿センサ227によって積載トレイ201上のシートの有無を検知する処理である。また、本実施例の第1モードが、給送ローラ204を下降させる前に積載トレイ201上の第2原稿センサ227の検知位置におけるシートの有無を確定させる動作モードである。
【0040】
しかし、この場合、シートK+2の浮きにより、図7(d)の破線矢印f1の方向へ第2原稿センサ227のフラグ部材227Aが移動しているため、第2原稿センサ227の検知位置にシートが無いと判断される。このように、シートの連れ送りが発生した場合、給送対象のシートが積載トレイ201に残留しているにも関わらず、シートが無いと誤検知してしまい、シートK+2が給送されずに積載トレイ201に残留してしまう状況が起こりうる。
【0041】
これに対して、本実施例では、図7(e)に示すように、給送ローラ204を下降させてから第2原稿センサ227の検知結果に基づいて積載トレイ201上のシートの有無を判断する。具体的に、まず、分離クラッチ223をON状態にして給送ローラ204を下降しシートK+2に押し当てる。シートK+2が給送ローラ204によって押し下げられることで、第2原稿センサ227のフラグ部材227Aは積載面201Aに対して下方(矢印f2方向)に移動する。そして、シートK+2の浮きを給送ローラ204によって解消してから第2原稿センサ227の検知結果に基づいて積載トレイ201上のシートの有無を判断する。本実施例の第2検知処理が、給送ローラ204を下降させてから第2原稿センサ227によって積載トレイ201上のシートの有無を検知する処理である。また、本実施例の第2モードが、給送ローラ204を下降させてから積載トレイ201上の第2原稿センサ227の検知位置におけるシートの有無を確定させる小サイズ搬送モードである。なお、小サイズ搬送モードとして、第1検知処理を行ってから第2検知処理を行う構成であってもよい。
【0042】
このように、小サイズ搬送モードにおいて積載トレイ201上にシートがある場合は、給送ローラ204の下降によってフラグ部材227Aが移動することで、第2原稿センサ27がON信号を出力する。一方で、小サイズ搬送モードにおいて積載トレイ201にシートがない場合は、給送ローラ204を下降してもフラグ部材227Aが移動しないため、第2原稿センサ227の信号はOFFのままである。このように、本実施例では、シートの浮きを解消してから積載トレイ201上のシートの有無を検知するため、積載トレイ201上におけるシートの有無の誤検知を低減することができる。
【0043】
<シートの給送動作の流れ>
次に、本実施例において積載トレイ201からシートを給送する給送動作の流れについて図8を参照して説明する。図8は、本実施例において積載トレイ201に積載されたシートを給送する給送動作の流れを示すフローチャートである。図8のフローチャートによるシートの給送動作は、CPU301がROM302に格納されているプログラムを実行することにより、コントローラ200Aが主体となって実行される動作である。なお、図8のフローチャートは、片面及び両面についてシートの画像を読み取る場合の給送動作に対して同様に適用することができる。
【0044】
ユーザにより操作部316が操作される等してシートの画像を読み取る読取処理の開始が指示されると、コントローラ300AのCPU311から読取処理を開始するための信号がコントローラ200Aに出力されて、本フローが開始される。コントローラ200Aに読取処理を開始する信号が入力されると、第1原稿センサ205の信号を確認する(S101)。第1原稿センサ205がON信号を出力している場合(S101/Y)、積載トレイ201に積載されているシートが小サイズのシートではないと判断し、RAM303に小サイズ搬送モードをOFF状態にする情報を格納する(S102)。一方で、第1原稿センサ205がOFF信号を出力し(S101/N)、かつ第2原稿センサ227がON信号を出力している場合(S115/Y)、積載トレイ201に積載されているシートが小サイズのシートであると判断する。そして、RAM303に小サイズ搬送モードをON状態にする情報を格納する(S116)。
【0045】
次に、積載トレイ201からシートを給送するために、搬送モータ224を駆動させ(S103)分離クラッチ223をON状態にする(S104)。これにより、給送ローラ204が積載トレイ201に積載されたシートに下降し、シートの上面に当接した状態で給送ローラ204が回転することとなる。そして、給送ローラ204によってシートが分離ローラ対206に送られ、分離ローラ対206によってシートが1枚ずつによって分離されて引抜ローラ対208に向けて搬送される。給送センサ207がON信号を出力する(S105/Y)と、シートが引抜ローラ対208に到達したと判断する(S106)。シートが引抜ローラ対208に到達すると、分離クラッチ223をOFF状態にして(S107)、給送ローラ204と分離ローラ対206の回転を停止させる。引抜ローラ対208に到達したシートは、表面読取位置に向けて搬送され、表面読み取りユニット104によってシートの表面の画像が読まれる。なお、シートの両面の画像を読み取る場合には、表面の画像読み取り後、裏面読取位置において裏面読み取りユニット212によって裏面の画像が読み取られる。引抜ローラ対208によってシートが搬送されることにより、給送センサ207の出力信号がONからOFFに切り替わると(S108/Y)、RAM303を参照して、小サイズ搬送モードがON状態又はOFF状態のどちらであるかを確認する(S109)。
【0046】
小サイズ搬送モードがON状態である場合(S109/Y)、積載トレイ201に積載されたシートが小サイズのシートであることが分かっている。そこで、第2原稿センサ227によるシートの有無の検知を行う前に、分離クラッチ223をON状態にし(S110)、給送ローラ204を下降させる(S111)。このとき、給送ローラ204が積載トレイ201に積載されたシートに向けて下降することにより、シートが積載トレイ201の積載面201Aに向けて押し下げられることとなる。このように、小サイズ搬送モードがON状態である場合には、給送ローラ204を下降させてシートを押し下げることにより、積載面201Aからのシートの浮きを解消している。これにより、積載トレイ201に積載されたシートのうち、最終シートの浮きにより第2原稿センサ227のフラグ部材227Aが積載面201Aの上方に位置している場合でも、給送ローラ204によってシートが押し下げられることとなる。そして、シートの押し下げによって、第2原稿センサ227のフラグ部材227Aが積載面201Aの下方に移動して、第2原稿センサ227の出力信号がOFF信号からON信号に切り替わることとなる。なお、S111においては、シートを給送するときと同じ位置まで給送ローラ204を下降させる。
【0047】
給送ローラ204の下降が完了すると(S111/Y)、第2原稿センサ227の出力信号を確認する(S112)。第2原稿センサ227がON信号を出力している場合(S112/N)、積載トレイ201上にシートがあるため、S105にリターンし、S105からS111までの工程を積載トレイ201にシートがなくなるまで繰り返し行う。このように、本実施例では、積載トレイ201に積載されたシートが小サイズのシートであることが検知された場合に、給送ローラ204を下降させてから積載トレイ201上のシートの有無を確定させる。なお、第2原稿センサ227がOFF信号を出力している場合(S112/Y)、積載トレイ201にはシートがない状態である。この場合、分離クラッチ223をOFF状態にし、(S113)、搬送モータ224を停止させて(S114)、一連の給送動作を終了する。
【0048】
一方、S109において、小サイズ搬送モードがOFF状態である場合(S109/N)、積載トレイ201に積載されたシートが小サイズではないことが分かっている。このような場合には、積載面201Aに対するシートの浮きは発生していないとして給送ローラ204の下降を開始する前に、第1原稿センサ205の出力信号を確認する(S117)。第1原稿センサ205がON信号を出力している場合(S117/N)、積載トレイ201上シートが残った状態であるからS104にリターンして、S104からS109までの工程を積載トレイ201にシートがなくなるまで繰り返し行う。このように、本実施例では、積載トレイ201に積載されたシートが小サイズのシートではないことが検知された場合に、給送ローラ204を下降させてから積載トレイ201上のシートの有無を確定させる。一方で、第1原稿センサ205がOFF信号を出力している場合(S117/Y)、積載トレイ201にはシートがない状態であるため、搬送モータ224を停止させて(S114)、一連の給送動作を終了する。なお、読取処理の開始後、第1原稿センサ205及び第2原稿センサ227がいずれもOFF信号を出力している場合(S101/NかつS115/N)は、原稿台ガラス101にシートが載置された状態でシートの画像が読み取られる。そして、シートの画像が読み取り後、本処理を終了する(図8、A)。
【0049】
このように、本実施例では、積載トレイ201に積載されたシートの浮きが生じるような場合において、給送ローラ204を下降させてシートの浮きを解消してから積載トレイ201上のシートの有無を検知している。そのため、シートの浮きに起因する積載トレイ201上におけるシートの有無の誤検知を低減することができる。
<その他の実施例>
【0050】
第2原稿センサ227として、実施例1では、フラグ部材227Aによってフォトインタラプタ229の光路を遮断又は透過状態とすることにより、シートの有無を検知する構成について説明した。第2原稿センサ227としては、これ以外にも、シートに向けて光を照射してシートからの反射光の光量に応じてシートの有無を検知するフォトリフレクタ等のセンサを用いてもよい。第2原稿センサ227がフォトリフレクタである場合であっても、給送ローラ204によってシートを押し下げることにより、シートの浮きによるシートの有無の誤検知を低減することができる。
【符号の説明】
【0051】
100:リーダ(画像読取装置)/200:ADF(シート給送装置)/200A:コントローラ(制御手段)/201:積載トレイ(シート積載部)/201A:積載面/201S:案内面/204:給送ローラ(給送手段)/204AM:アーム部/205:第1原稿センサ(第2検知手段)/205A:レバー部/206:分離ローラ対(分離搬送手段)/206a:分離上ローラ(第1ローラ)/206b:分離下ローラ(第2ローラ)/206N:ニップ部(分離ニップ部)/227:第2原稿センサ(第1検知手段)/227A:フラグ部材/228:カバー部/229:フォトインタラプタ/230a、230b:規制部材/231a、231b:規制面/300:画像形成装置/300B:画像形成手段
図1
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