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  • 特許-情報処理装置及び情報処理方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-13
(45)【発行日】2024-12-23
(54)【発明の名称】情報処理装置及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   G16H 40/00 20180101AFI20241216BHJP
   G16H 10/00 20180101ALI20241216BHJP
【FI】
G16H40/00
G16H10/00
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2024054804
(22)【出願日】2024-03-28
【審査請求日】2024-03-28
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 裕幸
(72)【発明者】
【氏名】高山 伸也
(72)【発明者】
【氏名】須田 洋行
【審査官】梅岡 信幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-197810(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の範囲で区分けされたエリアの指定を受付ける受付部と、
処方薬に関する処方薬情報及び前記処方薬が処方された患者の住所を特定可能な情報を含む処方データが記録されたデータベースから前記処方データを取得する取得部と、
前記処方データに基づいて、処方薬が処方された患者が居住するエリアを特定し、特定したエリアと処方薬情報とを関連付けて記録する記録部と、
前記記録部に記録されたエリア毎の処方薬情報に基づいて前記指定のエリアで処方された処方薬の種類毎の統計値に関する分析を行う分析部と、
前記分析の結果を出力する出力部と、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記取得部は、各エリアの人口を含む人口データがさらに記録された前記データベースから前記人口データをさらに取得し、
前記分析部は、前記処方データに基づいて単位人口あたりの処方薬に関する単位人口統計値を算出し、前記人口データ及び前記単位人口統計値に基づいて前記指定のエリアの人口あたりに換算された統計値であって前記指定のエリアで処方された処方薬の種類毎の統計値に関する分析を行う、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記人口データは、年代毎の人口を含み、
前記分析部は、年代毎に前記単位人口統計値を算出し、年代毎に前記指定のエリアで処方された処方薬の種類毎の統計値に関する分析を行う、
請求項に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記処方データは、電子版お薬手帳アプリケーションのデータであり、
前記取得部は、前記指定のエリアにおける人口データをさらに取得し、
前記人口データは、年代毎の人口データを含み、
前記取得部は、電子版お薬手帳アプリケーションの年代毎の利用率をさらに取得し、
前記分析部は、前記指定のエリアにおける年代毎の人口データ及び電子版お薬手帳アプリケーションの年代毎の利用率に基づいて前記指定のエリアにおける電子版お薬手帳アプリケーションの利用率を推定し、前記利用率の推定値に基づいて前記指定のエリアで処方された処方薬の種類毎の統計値に関する分析を行う、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記処方データは、薬局から取得された薬局の処方データであり、
前記取得部は、前記指定のエリアに存在する薬局の情報をさらに取得し、
前記分析部は、前記指定のエリアにおける全薬局数に対する薬局の処方データを取得可能な薬局数の割合、又は前記指定のエリアにおける全薬局の処方薬取扱総数に対する薬局の処方データを取得可能な薬局の処方薬取扱数の割合に基づいて、前記指定のエリアで処方された処方薬の種類毎の統計値に関する分析を行う、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記分析部は、所定期間毎に処方薬の種類毎の統計値に関する分析を行う、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記分析部は、月毎に処方薬の種類毎の統計値に関する分析を行う、
請求項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記分析部は、生活習慣病の薬か否かに分けて分析を行う、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記分析部は、ジェネリック薬か否かに分けて分析を行う、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記分析部は、院内処方か院外処方かに分けて分析を行う、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項11】
処方薬と当該処方薬に必要な処方器具とを関連付ける処方器具情報を記憶する記憶部をさらに備え、
前記分析部は、前記処方器具情報に基づいて、前記指定のエリアで処方された処方薬の量に対応する処方器具の数量を分析する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項12】
情報処理装置が実行する情報処理方法であって、
所定の範囲で区分けされたエリアの指定を受付ける受付ステップと、
処方薬に関する処方薬情報及び前記処方薬が処方された患者の住所を特定可能な情報を含む処方データが記録されたデータベースから前記処方データを取得する取得ステップと、
前記処方データに基づいて、処方薬が処方された患者が居住するエリアを特定し、特定したエリアと処方薬情報とを関連付けて記録する記録ステップと、
前記記録ステップで記録されたエリア毎の処方薬情報に基づいて前記指定のエリアで処方された処方薬の種類毎の統計値に関する分析を行う分析ステップと、
前記分析の結果を出力する出力ステップと、
を含む情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、薬局機能を搭載した機動力のある災害対策医薬品供給車両(モバイルファーマシー)が知られている(例えば、非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】「モバイルファーマシー (災害対策医薬品供給車両)」、公益社団法人大分県薬剤師会、[令和6年3月21日検索]、インターネット<URL:http://www.oitakenyaku.or.jp/manage/wp-content/uploads/2014/09/Mobile-Pharmacy.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したモバイルファーマシーによれば、地震等の災害による被災地などに医薬品(以下、単に薬と称する)を供給することができる。しかしながら、被災地でどのような薬がどのくらいの数量必要なのかを想定することが難しく、被災地での薬の需要に十分に応えることができない可能性があった。例えば、解熱剤や抗生物質などの薬を想定して準備したが、被災地では高齢者が多く生活習慣病の薬が不足している場合など、実際に被災地に行かなければ薬の需要の状況が分からない場合があった。
【0005】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、その目的は、被災地での薬の需要に応えることに寄与することができる情報処理装置及び情報処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、所定の範囲で区分けされたエリアの指定を受付ける受付部と、処方薬に関する処方薬情報及び前記処方薬が処方された患者の住所を特定可能な情報を含む処方データが記録されたデータベースから前記処方データを取得する取得部と、前記処方データに基づいて、処方薬が処方された患者が居住するエリアを特定し、特定したエリアと処方薬情報とを関連付けて記録する記録部と、前記記録部に記録されたエリア毎の処方薬情報に基づいて前記指定のエリアで処方された処方薬の種類毎の統計値に関する分析を行う分析部と、前記分析の結果を出力する出力部と、を備える情報処理装置である。
本発明の一態様は、上記の情報処理装置において、前記取得部は、各エリアの人口を含む人口データがさらに記録された前記データベースから前記人口データをさらに取得し、前記分析部は、前記処方データに基づいて単位人口あたりの処方薬に関する単位人口統計値を算出し、前記人口データ及び前記単位人口統計値に基づいて前記指定のエリアの人口あたりに換算された統計値であって前記指定のエリアで処方された処方薬の種類毎の統計値に関する分析を行う、情報処理装置である。
本発明の一態様は、上記の情報処理装置において、前記人口データは、年代毎の人口を含み、前記分析部は、年代毎に前記単位人口統計値を算出し、年代毎に前記指定のエリアで処方された処方薬の種類毎の統計値に関する分析を行う、情報処理装置である。
本発明の一態様は、上記の情報処理装置において、前記処方データは、電子版お薬手帳アプリケーションのデータであり、前記取得部は、前記指定のエリアにおける人口データをさらに取得し、前記人口データは、年代毎の人口データを含み、前記取得部は、電子版お薬手帳アプリケーションの年代毎の利用率をさらに取得し、前記分析部は、前記指定のエリアにおける年代毎の人口データ及び電子版お薬手帳アプリケーションの年代毎の利用率に基づいて前記指定のエリアにおける電子版お薬手帳アプリケーションの利用率を推定し、前記利用率の推定値に基づいて前記指定のエリアで処方された処方薬の種類毎の統計値に関する分析を行う、情報処理装置である。
本発明の一態様は、上記の情報処理装置において、前記処方データは、薬局から取得された薬局の処方データであり、前記取得部は、前記指定のエリアに存在する薬局の情報をさらに取得し、前記分析部は、前記指定のエリアにおける全薬局数に対する薬局の処方データを取得可能な薬局数の割合、又は前記指定のエリアにおける全薬局の処方薬取扱総数に対する薬局の処方データを取得可能な薬局の処方薬取扱数の割合に基づいて、前記指定のエリアで処方された処方薬の種類毎の統計値に関する分析を行う、情報処理装置である。
本発明の一態様は、上記の情報処理装置において、前記分析部は、所定期間毎に処方薬の種類毎の統計値に関する分析を行う、情報処理装置である。
本発明の一態様は、上記の情報処理装置において、前記分析部は、月毎に処方薬の種類毎の統計値に関する分析を行う、情報処理装置である。
本発明の一態様は、上記の情報処理装置において、前記分析部は、生活習慣病の薬か否かに分けて分析を行う、情報処理装置である。
本発明の一態様は、上記の情報処理装置において、前記分析部は、ジェネリック薬か否かに分けて分析を行う、情報処理装置である。
本発明の一態様は、上記の情報処理装置において、前記分析部は、院内処方か院外処方かに分けて分析を行う、情報処理装置である。
本発明の一態様は、上記の情報処理装置において、処方薬と当該処方薬に必要な処方器具とを関連付ける処方器具情報を記憶する記憶部をさらに備え、前記分析部は、前記処方器具情報に基づいて、前記指定のエリアで処方された処方薬の量に対応する処方器具の数量を分析する、情報処理装置である。
【0007】
本発明の一態様は、情報処理装置が実行する情報処理方法であって、所定の範囲で区分けされたエリアの指定を受付ける受付ステップと、処方薬に関する処方薬情報及び前記処方薬が処方された患者の住所を特定可能な情報を含む処方データが記録されたデータベースから前記処方データを取得する取得ステップと、前記処方データに基づいて、処方薬が処方された患者が居住するエリアを特定し、特定したエリアと処方薬情報とを関連付けて記録する記録ステップと、前記記録ステップで記録されたエリア毎の処方薬情報に基づいて前記指定のエリアで処方された処方薬の種類毎の統計値に関する分析を行う分析ステップと、前記分析の結果を出力する出力ステップと、を含む情報処理方法である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、被災地での薬の需要に応えることに寄与することができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一実施形態に係る情報提供システムの構成例を示すブロック図である。
図2】一実施形態に係る情報処理装置の構成例を示すブロック図である。
図3】一実施形態に係る情報処理方法の手順の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。
図1は、一実施形態に係る情報提供システムの構成例を示すブロック図である。図1において、情報処理装置1は、通信回線を介して分析依頼者端末2とデータを送受する。分析依頼者端末2は、分析依頼者が使用する端末である。分析依頼者は、分析依頼者端末2により、情報処理装置1に対して、分析対象となる分析エリア等の指定を行う。情報処理装置1は、分析依頼者端末2から受付けた分析エリア等の指定に基づいた分析結果を分析依頼者端末2へ提供する。分析エリアは、例えば日本の国土が所定の範囲で区分けされたエリアのうち、分析対象となるエリアである。分析エリアは、例えば、県単位であってもよいし、市町村単位であってもよいし、それ以外の例えばメッシュ状に区切られた区画単位などであってもよい。
【0011】
情報処理装置1は、通信回線を介してデータベース3とデータを送受する。データベース3は、処方データや、エリアデータや、電子版お薬手帳アプリケーション利用情報等の情報を格納する。
【0012】
処方データは、処方薬に関する処方薬情報を含むデータである。処方データは、例えば、処方薬の種類及び数量や、患者情報や、薬局情報などの情報を含む。処方データは、例えば、薬局から取得されてデータベース3に格納される。処方データは、例えば、電子版お薬手帳アプリケーションから取得されてデータベース3に格納される。
【0013】
エリアデータは、エリア分けを示す情報や、各エリアの薬局データや、各エリアの人口データ等を含むデータである。電子版お薬手帳アプリケーション利用情報は、各エリアの電子版お薬手帳アプリケーションの利用状況を示す情報である。
【0014】
図2は、本実施形態に係る情報処理装置1の構成例を示すブロック図である。図1において、情報処理装置1は、通信部11と、記憶部12と、制御部13とを備える。
【0015】
通信部11は、情報処理装置1の外部の装置と通信を行う。通信部11は、通信回線を介して分析依頼者端末2とデータを送受する。通信部11は、通信回線を介してデータベース3とデータを送受する。
【0016】
記憶部12は、制御部13が実行するプログラムや制御部13が使用するデータ等の各種のデータを記憶する。なお、記憶部12は、ハードディスク装置や光磁気ディスク装置、フラッシュメモリ等の不揮発性のメモリや、CD-ROM等の読み出しのみが可能な記録媒体、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の揮発性のメモリ、あるいはこれらの組み合わせにより構成されるものとする。
【0017】
制御部13は、CPU(Central Processing Unit:中央演算処理装置)を備え、記憶部12に記憶されたプログラムを実行することによって各種の機能を実現する。本実施形態に係る制御部13が記憶部12に記憶された処方分析プログラム121を実行することによって、受付部131、取得部132、分析部133、出力部134及び記録部135の機能が実現される。
【0018】
なお、情報処理装置1として、汎用のコンピュータ装置を使用して構成してもよく、又は、専用のハードウェア装置として構成してもよい。例えば、情報処理装置1は、インターネット等の通信ネットワークに接続されるサーバコンピュータを使用して構成されてもよい。また、情報処理装置1の各機能はクラウドコンピューティングにより実現されてもよい。また、情報処理装置1は、単独のコンピュータにより実現するものであってもよく、又は情報処理装置1の機能を複数のコンピュータに分散させて実現するものであってもよい。また、情報処理装置1として、例えばWWWシステム等を利用してウェブサイトを開設するように構成してもよい。
【0019】
記憶部12は、処方器具情報122を記憶する。処方器具情報122は、処方薬と当該処方薬に必要な処方器具とを関連付ける情報である。例えば、処方器具情報122は、インスリンとインスリン注射器とを関連付けると共に、どのくらいのインスリンの量に対してどのくらいのインスリン注射器の個数が必要であるかを示す情報を含む。
【0020】
受付部131は、通信部11により、分析依頼者端末2から分析依頼情報を受信する。分析依頼情報は、分析対象となる分析エリア等の指定を行う情報である。受付部131は、分析依頼者端末2から分析依頼情報を受信することによって、分析エリア等の指定を受付ける。
【0021】
取得部132は、通信部11によりデータベース3へアクセスし、データベース3から処方データを取得する。分析部133は、処方薬情報に基づいて、受付部131が受付けた指定の分析エリアで処方された処方薬に関する分析を行う。出力部134は、分析部133による分析の結果(分析結果データ)を出力する。出力部134から出力された分析結果データは、通信部11により分析依頼者端末2へ送信される。
【0022】
記録部135は、処方データに基づいて、処方薬が処方された患者が居住するエリアを特定し、特定したエリアと処方薬情報とを関連付けて記憶部12に記録する。処方データは、患者の住所を特定可能な情報を含んでいる。
【0023】
次に図3を参照して本実施形態に係る情報処理方法を説明する。図3は、本実施形態に係る情報処理方法の手順の例を示すフローチャートである。
【0024】
(ステップS1) 情報処理装置1は、分析依頼者端末2から分析依頼情報を受信し、当該分析依頼情報に示される分析エリア等の指定を受付ける。
【0025】
(ステップS2) 情報処理装置1は、処方データをデータベース3から取得する。
【0026】
(ステップS3) 情報処理装置1は、処方薬情報に基づいて、受付部131が受付けた指定の分析エリアで処方された処方薬に関する分析を行う。
【0027】
(ステップS4) 情報処理装置1は、分析結果データを出力する。
【0028】
次に本実施形態に係る処方薬に関する分析方法について、以下に例を挙げて説明する。
【0029】
(処方薬に関する分析方法の例1)
分析部133は、処方薬に関する統計値を算出する。統計値は、例えば、処方薬の種類毎の数量の集計値、処方薬の種類毎の保険点数の集計値、処方薬の種類毎の金額の集計値などである。また、分析部133は、それら集計値に基づいて、処方薬の種類毎のランキングデータを作成してもよい。
【0030】
(処方薬に関する分析方法の例2)
処方データは、患者の住所を特定可能な情報を含んでいる。処方データは、例えば、患者の住所そのままの情報を含む。処方データは、例えば、患者の健康保険証の番号を含む。健康保険証の番号から患者の住所を特定可能である。
【0031】
記録部135は、処方データに基づいて、処方薬が処方された患者が居住するエリアを特定し、特定したエリアと処方薬情報とを関連付けて記憶部12に記録する。分析部133は、記憶部12に記録されたエリア毎の処方薬情報に基づいて、エリア毎に処方された処方薬に関する分析を行う。
【0032】
(処方薬に関する分析方法の例3)
処方データは、処方薬に関する分析方法の例2と同様に、患者の住所を特定可能な情報を含んでいる。取得部132は、通信部11によりデータベース3へアクセスし、人口データをデータベース3から取得する。データベース3において、各エリアの人口データはエリアデータに含まれている。
【0033】
分析部133は、処方データに基づいて単位人口あたりの処方薬に関する単位人口統計値を算出する。分析部133は、人口データ及び単位人口統計値に基づいて、受付部131が受付けた指定の分析エリアで処方された処方薬に関する分析を行う。例えば、分析部133は、指定の分析エリアで処方された処方薬に関して、指定の分析エリアの人口あたりに換算した統計値を算出する。統計値は、処方薬に関する分析方法の例1と同様である。
【0034】
(処方薬に関する分析方法の例4)
処方薬に関する分析方法の例4は、処方薬に関する分析方法の例3の変形例である。処方データは、患者の年代を特定可能な情報を含んでいる。処方データは、例えば、患者の年齢そのままの情報を含む。処方データは、例えば、患者の健康保険証の番号を含む。健康保険証の番号から患者の年齢を特定可能である。人口データは、年代毎の人口データを含んでいる。分析部133は、年代毎に単位人口統計値を算出し、年代毎に、指定のエリアで処方された処方薬に関する分析を行う。これにより、例えば高齢者が多い地域など、特定の年代が多い地域の分析を行うことができる。
【0035】
(処方薬に関する分析方法の例5)
処方データは、電子版お薬手帳アプリケーションのデータである。
取得部132は、通信部11によりデータベース3へアクセスし、受付部131が受付けた指定の分析エリアにおける人口データをデータベース3から取得する。人口データは、年代毎の人口データを含んでいる。
取得部132は、通信部11によりデータベース3へアクセスし、電子版お薬手帳アプリケーション利用情報をデータベース3から取得する。電子版お薬手帳アプリケーション利用情報は、電子版お薬手帳アプリケーションの年代毎の利用率を含んでいる。
【0036】
分析部133は、指定の分析エリアにおける年代毎の人口データ及び電子版お薬手帳アプリケーションの年代毎の利用率に基づいて、指定の分析エリアにおける電子版お薬手帳アプリケーションの利用率を推定する。分析部133は、指定の分析エリアにおける電子版お薬手帳アプリケーションの利用率の推定値に基づいて、指定の分析エリアで処方された処方薬に関する分析を行う。これにより、処方データのデータ数不足による分析精度の低下を抑制することができる。
【0037】
(処方薬に関する分析方法の例6)
処方データは、薬局から取得された薬局の処方データである。
取得部132は、通信部11によりデータベース3へアクセスし、薬局データをデータベース3から取得する。データベース3において、各エリアの薬局データはエリアデータに含まれている。薬局データは、エリア内に存在する薬局の情報を有する。
【0038】
分析部133は、受付部131が受付けた指定の分析エリアにおける全薬局数に対する薬局の処方データを取得可能な薬局数の割合に基づいて、指定のエリアで処方された処方薬に関する分析を行う。又は、分析部133は、受付部131が受付けた指定の分析エリアにおける全薬局の処方薬取扱総数に対する薬局の処方データを取得可能な薬局の処方薬取扱数の割合に基づいて、指定のエリアで処方された処方薬に関する分析を行ってもよい。これにより、処方データのデータ数不足による分析精度の低下を抑制することができる。
【0039】
(処方薬に関する分析方法の例7)
分析部133は、所定期間毎に各処方薬に関する分析を行う。例えば、分析部133は、直近1カ月の処方薬に関する統計値を算出する。例えば、分析部133は、例えば月毎や3カ月毎や半年毎や1年毎などで処方薬に関する統計値を算出する。これにより、一定期間についての処方薬の分析が可能である。例えば、冬場には高血圧治療薬の需要が増大する等の季節要因による傾向を把握することができる。
【0040】
(処方薬に関する分析方法の例8)
分析部133は、特定種類の薬か否かに分けて分析を行う。例えば、分析部133は、生活習慣病の薬か否かに分けて分析を行う。例えば、分析部133は、ジェネリック薬か否かに分けて分析を行う。
【0041】
(処方薬に関する分析方法の例9)
分析部133は、院内処方か院外処方かに分けて分析を行う。これにより、被災地での薬の需要を把握する場合に、院外処方に限定して分析結果を利用することができる。
【0042】
(処方薬に関する分析方法の例10)
分析部133は、処方器具情報122に基づいて、受付部131が受付けた指定の分析エリアで処方された処方薬の量に対応する処方器具の数量を分析する。例えば、処方器具情報122は、インスリンとインスリン注射器とを関連付けると共に、どのくらいのインスリンの量に対してどのくらいのインスリン注射器の個数が必要であるかを示す情報を含む。分析部133は、処方器具情報122に基づいて、指定の分析エリアで処方されたインスリンの量に対して必要なインスリン注射器の個数を算出する。これにより、指定の分析エリアで必要とされるインスリンの量と共に必要なインスリン注射器の個数を把握することができる。
【0043】
以上が処方薬に関する分析方法の例の説明である。上述した処方薬に関する分析方法の各例は、適宜、組み合わせてもよい。
【0044】
出力部134は、分析結果データを出力する。例えば、エリア毎に分析結果(例えば統計値など)をリスト形式で出力してもよい。例えば、画面に表示された地図上でエリア毎に分析結果(例えば統計値など)を表示してもよい。例えば、分析エリアにおける処方薬の種類毎の需要をランキング形式で出力してもよい。
【0045】
なお、処方薬に加えてさらに市販薬も含めて分析を行うようにしてもよい。比較的症状が軽い場合や病院へ行くことに抵抗感がある場合などに、医師の診察を受けずに市販薬を購入して服用する患者もいる。このため、ドラッグストア等の店舗の売上データや患者の電子決済等の購入記録などから購買された市販薬の種類及び数量を含む市販薬購買データを取得し、情報処理装置1が市販薬購買データも含めて分析してもよい。市販薬購買データも含めることによって、処方薬及び市販薬を含めた薬全般の需要を分析することができる。また、将来処方薬が必要になるかもしれない潜在的な患者の薬の需要も含めて分析することができる。
【0046】
上述したように本実施形態によれば、分析結果データによって、被災地等の分析エリアにおける薬の需要を把握することができる。これにより、被災地での薬の需要に応えることに寄与することができるという効果が得られる。
【0047】
なお、これにより、例えば医薬品供給システムにおける総合的なサービス品質の向上を実現することができることから、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標9「レジリエントなインフラを整備し、持続可能な産業化を推進するとともに、イノベーションの拡大を図る」に貢献することが可能となる。
【0048】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【0049】
また、上述した各装置の機能を実現するためのコンピュータプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行するようにしてもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものであってもよい。また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、フラッシュメモリ等の書き込み可能な不揮発性メモリ、DVD(Digital Versatile Disc)等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。
【0050】
さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory))のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【符号の説明】
【0051】
1…情報処理装置、2…分析依頼者端末、3…データベース、11…通信部、12…記憶部、13…制御部、131…受付部、132…取得部、133…分析部、134…出力部、135…記録部
【要約】
【課題】被災地での薬の需要に応えることに寄与すること。
【解決手段】所定の範囲で区分けされたエリアの指定を受付ける受付部と、処方薬に関する処方薬情報を含む処方データを取得する取得部と、前記処方薬情報に基づいて前記指定のエリアで処方された処方薬に関する分析を行う分析部と、前記分析の結果を出力する出力部と、を備える。
【選択図】図2
図1
図2
図3